(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】コバルトシード上の銅電気メッキ用組成物
(51)【国際特許分類】
C25D 3/38 20060101AFI20230728BHJP
C25D 7/00 20060101ALI20230728BHJP
C25D 7/12 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
C25D3/38 101
C25D7/00 J
C25D7/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501805
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2021068001
(87)【国際公開番号】W WO2022012932
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】エムネ,シャルロット
(72)【発明者】
【氏名】シュトレンペル,フェレナ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンダーソン,ルーカス ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】フリューゲル,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ブレンドル,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】キタヤポルン,サタナ
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルハルト,ナディネ
【テーマコード(参考)】
4K023
4K024
【Fターム(参考)】
4K023AA19
4K023BA06
4K023CA09
4K023CB13
4K023CB33
4K023DA02
4K023DA06
4K023DA07
4K024AA09
4K024AB01
4K024BA01
4K024BA15
4K024CA02
4K024CA03
4K024CA06
4K024GA04
(57)【要約】
本発明は、銅電気メッキ用酸性水性組成物であって、
(a) 銅イオンと;
(b) 臭化物イオンと;
(c) 式S1
【化1】
(式中、
X
S1は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のC
1-C
12アルカンジイルから選択され、置換されていても置換されていなくてもよく、任意にO、S又はNR
S40によって割り込まれていてよく;
R
S1は一価であり、
(a)ポリ(オキシ(C
3からC
6)アルキレン部分によってN原子に結合された、ポリ(オキシ(C
3からC
6)アルキレン)-ブロック-ポリ(オキシエチレン)基、又は
(b)ポリ(オキシエチレン)-ブロック-ポリ(オキシ(C
3からC
6)アルキレン)-ブロック-ポリ(オキシエチレン)、
であり、これらの基は両方とも5~30質量%のポリ(オキシエチレン)の含量を有し;
R
S2、R
S3、R
S4は
(a)H、RS1、RS40、から選択され、又は
(b)R
S3及び隣接する基R
S4、又はn>2の場合、2つの隣接する基R
S4は一緒に二価の基X
S3を形成することができ;
R
S40は、(a)ヒドロキシ、アルコキシ又はアルコキシカルボニルにより任意に置換され得る直鎖状又は分岐鎖状のC
1-C
20アルキル、及び(b)ヒドロキシ、アルコキシ又はアルコキシカルボニルにより任意に置換され得る直鎖状又は分岐鎖状のC
1-C
20アルケニルから選択され;
X
S3は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のC
1-C
12アルカンジイルから選択され、置換されていても置換されていなくてもよく、任意にO、S又はNR
S40によって割り込まれていてよく;及び
nは1から6までの整数である)の少なくとも1つの添加剤と、
を含む組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅電気メッキ用酸性水性組成物であって、
(a) 銅イオンと;
(b) 臭化物イオンと;
(c) 式S1
【化1】
(式中、
X
S1は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のC
1-C
12アルカンジイルから選択され、置換されていても置換されていなくてもよく、任意にO、S又はNR
S40によって割り込まれていてよく;
R
S1は一価であり、
(a)ポリ(オキシ(C
3からC
6)アルキレン)部分によってN原子に結合された、ポリ(オキシ(C
3からC
6)アルキレン)-ブロック-ポリ(オキシエチレン)基、又は
(b)ポリ(オキシエチレン)-ブロック-ポリ(オキシ(C
3からC
6)アルキレン)-ブロック-ポリ(オキシエチレン)、
であり、これらの基は両方とも5~30質量%のポリ(オキシエチレン)の含量を有し;
R
S2、R
S3、R
S4は
(a)H、R
S1、R
S40、から選択され、又は
(b)R
S3及び隣接する基R
S4、又はn>2の場合、2つの隣接する基R
S4は一緒に二価の基X
S3を形成することができ;
R
S40は、(a)ヒドロキシ、アルコキシ又はアルコキシカルボニルにより任意に置換され得る直鎖状又は分岐鎖状のC
1-C
20アルキル、及び(b)ヒドロキシ、アルコキシ又はアルコキシカルボニルにより任意に置換され得る直鎖状又は分岐鎖状のC
1-C
20アルケニルから選択され;
X
S3は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のC
1-C
12アルカンジイルから選択され、置換されていても置換されていなくてもよく、任意にO、S又はNR
S40によって割り込まれていてよく;及び
nは1から6までの整数である)の少なくとも1つの添加剤と、
を含む組成物。
【請求項2】
X
S1は、(a)C
1-C
6アルカンジイル、好ましくはメタンジイル、エタンジイル又はプロパンジイル、及び(b)-(CH
2)
q-[Q-(CH
2)
r]
s-から選択され、式中QはO、S又はNR
40から選択され、q及びrは1~6の整数、sは1~4の整数、q+rsはX
S1のC原子の総数である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記添加剤の質量平均分子量は、300~6000g/mol、好ましくは1000~4000g/molである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
nは1、2、又は3であり、R
S2、R
S3、R
S4はR
S1から独立して選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
R
S1は一価のポリ(オキシプロピレン)-ブロック-ポリ(オキシエチレン)基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
R
S1のポリ(オキシエチレン)含量は8~28質量%である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
R
S1は一価のポリ(オキシブチレン)-ブロック-ポリ(オキシエチレン)基である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
R
S1のポリ(オキシエチレン)含量は8~28質量%である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
式(S2a)の添加剤、
【化2】
又は、式(S2b)の添加剤、
【化3】
又は、式(S2c)の添加剤、
【化4】
又は、式(S2d)の添加剤、
【化5】
(式中、
R
S1、nは、前述の定められた意味を有し;
R
S2、R
S3及びR
S4は、それぞれ独立してR
S1又はR
S40であり、好ましくはR
S1であり;
X
S1、X
S11、X
S3は、それぞれ独立してC
1からC
3のアルカンジイルであり;及び
rは、1~8の整数、好ましくは2~6の整数である)
を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記臭化物イオンは、5~100ppm、好ましくは20~80ppmの濃度で存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
10~100ppm、好ましくは20~80ppmの濃度の塩化物イオンをさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
10ナノメートル以下、好ましくは5nm以下のアパーチャサイズを有する凹フィーチャを含み、前記フィーチャがコバルトシードを含む基板上に銅を堆積するための、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物を含む銅電気メッキ浴の使用。
【請求項13】
(a) ナノメートルサイズの凹フィーチャを含み、前記凹フィーチャがコバルトシード層を含んでいる基板を提供するステップと;
(b) 請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物を、前記基板と接触させるステップと;
(c) 前記コバルトシード層上に金属層を堆積させ、前記ナノメートルサイズのフィーチャを充填するのに十分な時間、前記基板に電流を流すステップと、
を含む、銅層を堆積させるための方法。
【請求項14】
電気メッキ組成物中の前記コバルトシード層の静的腐食が10nm/分以下、好ましくは5nm/分以下である、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅イオン及びシード保護剤及び核生成剤を含む銅電気メッキ用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)の金属配線相互接続の形成は、ダマシンプロセス又はデュアルダマシンプロセスを使用して実現されることができる。一般的には、トレンチ又はホールは、基板上に配置された二酸化ケイ素などの誘電体材料にエッチングされる。ホール又はトレンチは、1つ以上のライナー層及びバリア層で裏打ちされ得る。次いで、銅の薄層は、ホール又はトレンチに堆積され、銅のシード層として機能することができる。その後、ホール又はトレンチは銅で充填されることができる。
【0003】
従来の銅の堆積は、通常2つのステップで行われる。まず、PVDプロセスを使用して基板上に銅のシード層を堆積させる。次に、銅をシード層上に電気メッキし、ホール又はトレンチを充填する。バリア層又はライナー層上に銅を直接電気メッキすることによって、PVDを使用する銅のシード層の堆積を回避する技術が開発されている。しかし、バリア層又はライナー層に直接銅を電気メッキすることには課題がある。
【0004】
WO2019/199614A1は、コバルト又はルテニウムなどの銅よりも高い抵抗率を示す非銅ライナーを含む相互接続フィーチャへの銅のボイドフリーボトムアップ充填を開示している。電気メッキ溶液は、低い銅濃度、高いpH、有機添加物、及び銅錯化剤としての臭化物イオンを含む。
【0005】
添加剤の1つのクラスは、いわゆるサプレッサー(suppressors)、抑制剤(suppressing agents)、あるいは単に界面活性剤である。サプレッサーは、ビア又はトレンチのような小さなフィーチャを実質的にボトムアップで充填するために使用される。フィーチャが小さいほど、ボイド及び継ぎ目を避けるために、より洗練された添加剤が必要となる。文献には、様々な抑制化合物が記載されている。最も使用されるサプレッサーのクラスは、ポリグリコールなどのポリエーテル化合物、又はエチレンオキシドプロピレンオキシドコポリマーなどのポリアルキレンオキシドである。
【0006】
WO2006/053242A1は、アミンベースのポリオキシアルキレンサプレッサーを開示している。アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジアミノプロパン、ジエチレングリコールジアミン又はトリエチレングリコールジアミンであり得る。コポリマーは、ブロック構造、交互構造又はランダム構造を有することができる。TETRONIC(登録商標)の商標でBASFにより提供されている化合物(これらの全てはエチレンジアミンのEO/POブロックコポリマーであり、最大5500g/molの分子量を有する)が好ましいと記載されている。EOとPOのブロックコポリマーは、実施例で使用されている。
【0007】
WO2010/115717、WO2011/012475、及びWO2018/114985は、銅シードへの銅電着のための特定のアミン開始ポリアルコキシアルキレンコポリマーに基づくサプレッサーを含む組成物を開示している。
【0008】
ビア又はトレンチなどのフィーチャのアパーチャサイズが、それぞれ5ナノメートル未満、さらには3ナノメートル未満の寸法にさらに小さくすることにより、銅電着前の銅シード堆積が不均一性と非整合性をも示し、したがって特にアパーチャの上部でアパーチャサイズがさらに小さくなるため、相互接続を銅で充填することが特に困難になる。フィーチャのサイズが小さくなるほど、著しいシードの張出しなしにフィーチャの側壁に連続したシードを形成することが困難になる。
【0009】
WO2019/199614A1には、コバルト又はルテニウムなどの非銅ライナー層に関連するこれらの困難を回避することが提案されている。非銅ライナー層への銅メッキのための電気メッキ溶液は、低い銅濃度、高いpH、有機添加剤、及び銅錯化剤としての臭化物イオンを含有する。
【0010】
臭化物を使用する結果、添加剤の電気化学的特性が著しく変化し、これは臭化物なしのメッキに使用される組成物よりも、選択が困難になる。ポリアルキレンコポリマーサプレッサータイプの電気化学的性質の調査により、臭化物の存在下では臭化物がない場合に比べて抑制効果が高まるため、抑制剤の特性が著しく変化することが明らかになった。臭化物の存在は、サプレッサーの吸着/脱着挙動に影響を与えそうである。
【0011】
さらに、コバルトは銅に比べて貴金属性が低く、特に銅も存在する場合、酸及び酸素の存在下ですぐに腐食が進む。一方、コバルトの腐食が少ないアルカリ性電気メッキ浴では、銅を溶解状態に保つために必要な錯化剤を使用するため、充填不良ときたない銅の充填を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2019/199614A1
【特許文献2】WO2006/053242A1
【特許文献3】WO2010/115717
【特許文献4】WO2011/012475
【特許文献5】WO2018/114985
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、銅電気メッキ浴、特に酸性銅電気メッキ浴を用いて、コバルトシードを有するナノメートルスケールのフィーチャの実質的にボイドレスかつシームレスな充填を提供することが可能な銅電気メッキ組成物を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、コバルトシード層を有する凹フィーチャの銅による充填を提供すること、及び、コバルトシード層の低いか又は少なくとも減少した腐食を提供することを可能にする電気メッキ浴を提供することである。本発明のさらなる目的は、特に10nm、特に5nm以下のアパーチャサイズを有するフィーチャへの、ボトムアップ充填能力を提供する添加剤を提供することである。さらに、臭化物イオンを含む電気メッキ組成物と互換性がある添加剤を提供することは重要である。
【0015】
驚くべきことに、本明細書で定義された特定のポリアミンベースの添加剤は、良好なボトムアップ充填ならびにコバルトシード層の良好な腐食抑制を示すことが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、本発明は、以下を含む銅電気メッキ用酸性水性組成物を提供する:
(a) 銅イオン;
(b) 臭化物イオン;及び
(c) 式S1
【化1】
(式中、
X
S1は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のC
1-C
12アルカンジイルから選択され、これは置換されていても置換されていなくてもよく、任意にO、S又はNR
S40によって割り込まれていてよく;
R
S1は一価であり、
(a)ポリ(オキシ(C
3からC
6)アルキレン)部分によってN原子に結合された、ポリ(オキシ(C
3からC
6)アルキレン)-ブロック-ポリ(オキシエチレン)基、又は
(b)ポリ(オキシエチレン)-ブロック-ポリ(オキシ(C
3からC
6)アルキレン)-ブロック-ポリ(オキシエチレン)、
であり、両方とも5~30質量%のポリ(オキシエチレン)の含量を有し;
R
S2、R
S3、R
S4は
(a)H、R
S1、R
S40、から選択され、又は
(b)R
S3及び隣接する基R
S4、又はn>2の場合、2つの隣接する基R
S4は一緒に二価の基X
S3を形成することができ;
R
S40は、(a)ヒドロキシ、アルコキシ又はアルコキシカルボニルにより任意に置換され得る、直鎖状又は分岐鎖状のC
1-C
20アルキル、及び(b)ヒドロキシ、アルコキシ又はアルコキシカルボニルにより任意に置換され得る、直鎖状又は分岐鎖状のC
1-C
20アルケニルから選択され;
X
S3は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のC
1-C
12アルカンジイルから選択され、これは置換されていても置換されていなくてもよく、任意にO、S又はNR
S40によって割り込まれていてよく;及び
nは1から6までの整数である)
の少なくとも1つの添加剤。
【0017】
本発明はさらに、30ナノメートル以下のアパーチャサイズを有する凹フィーチャを含む基板上に銅を堆積させるための、本明細書に記載された組成物を含む銅電気メッキ浴の使用に関し、該フィーチャはコバルトシードを含む。
【0018】
本発明はさらに、銅層を堆積させるための方法に関し、該方法は、
(a)ナノメートルサイズの凹フィーチャを含む基板を提供するステップであって、前記フィーチャはコバルトシード層を含んでいる、ステップと;
(b)本明細書に記載されている組成物を、前記基板と接触させるステップと;
(c)前記コバルトシード層上に金属層を堆積させ、前記ナノメートルサイズのフィーチャを充填するのに十分な時間、前記基板に電流を流すステップと、
を含む。
【0019】
本添加剤は、コバルトのシード層上に良好な銅の核形成をもたらす。これにより、薄いシード層上への電気メッキが可能になり、ボイド又は継ぎ目を発生させることなく、大小両方のフィーチャのボトムアップ充填を高速で行うことができる。さらに、添加剤は、コバルトシード層の腐食を効果的に抑制する。
【0020】
本発明による抑制剤は、小さな凹フィーチャ、特に20nm以下、特に10nm以下、最も特に5nm以下のアパーチャサイズを有する小さな凹フィーチャの充填に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施例で銅メッキに使用されたパターン化されたウエハ基板のSEM画像を示す。
【
図2】実施例B1aによる銅電気メッキ後の部分的に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図3】実施例B1bによる銅電気メッキ後の完全に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図4】実施例B1cによる銅電気メッキ後の部分的に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図5】実施例B1dによる銅電気メッキ後の完全に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図6】実施例B2aによる銅電気メッキ後の部分的に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図7】実施例B2bによる銅電気メッキ後の完全に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図8】実施例B2cによる銅電気メッキ後の完全に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図9】実施例B3aによる銅電気メッキ後の部分的に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図10】実施例B3bによる銅電気メッキ後の完全に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図11】実施例B4aによる銅電気メッキ後の部分的に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図12】実施例B4bによる銅電気メッキ後の完全に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図13】実施例B5aによる銅電気メッキ後の部分的に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【
図14】実施例B5bによる銅電気メッキ後の完全に充填されたトレンチのSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明による添加剤
臭化物イオン及び以下に記載された少なくとも1つの添加剤を含む本発明による電気メッキ組成物は、ナノメートルサイズであってコバルトのライナー又はシードを有するフィーチャの充填において並外れた性能を示すことが見出された。添加剤は、コバルト腐食防止剤と同様に抑制剤として作用する。本明細書では、本添加剤を「抑制剤」とも呼ぶ。
【0023】
電解質に加えて、本発明による水性組成物は、式S1
【化2】
の少なくとも1つの添加剤を含んでいる。
【0024】
一般に、抑制剤は、1つ以上のポリオキシアルキレン側鎖を含むポリアミンスターターから構成される。
【0025】
XS1は、ポリアミンスターター内のスペーサー基である。それは直鎖状又は分岐鎖状のC1-C12アルカンジイルであってよく、これは、置換されていてよく、又は非置換であってもよく、好ましくは非置換である。このようなアルカンジイルスペーサーは、任意に、O、S又はNRS40で割り込まれていてよい。第1の好ましい実施形態において、XS1は、C1-C6アルカンジイル、より好ましくはC1-C4アルカンジイル、最も好ましくはメタンジイル、エタンジイル又はプロパンジイルである。第2の好ましい実施形態では、ヘテロ原子が存在し、XS1は、-(CH2)q-[Q-(CH2)r]s-であってよく、式中QはO、S又はNR40から選択され、q及びrは1~6の整数、sは1~4の整数、q+rsはXS1のC原子の総数である。特に好ましいのはQ=O及びq=r=1又は2、s=1のスペーサーである。有用な置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ、及びアルコキシカルボニルであり得る。
【0026】
基RS1(本明細書では「ポリオキシアルキレン」基とも呼ばれる)は、ブロック状に配列されたポリ(オキシ(C3からC6)アルキレン)部分とポリ(オキシエチレン)部分を含む。本明細書では、ポリ(オキシ(C3からC6)アルキレン)はAO、ポリ(オキシエチレン)はEOとも呼ばれる。
【0027】
第1の実施形態では、基RS1は、一価のポリ(オキシ(C3からC6)アルキレン)-ブロック-ポリ(オキシエチレン)基(-AO-EO)であってよい。このバイブロックオキシアルキレン基は、より疎水性の高いポリ(オキシ(C3からC6)アルキレン)部分によってN原子に結合されている。言い換えれば:ポリ(オキシエチレン)部分は、基RS1を終端する。
【0028】
別の実施形態では、基RS1は、一価のポリ(オキシエチレン)-ブロック-ポリ(オキシ(C3からC6)アルキレン)-ブロック-ポリ(オキシエチレン)基(-EO-AO-EO)であり得る。このトリブロックオキシアルキレン基においても、EO部分が基RS1を終端する。EOの少なくとも50%、より好ましくは75%が基RS1の末端に位置することが好ましい。
【0029】
ポリオキシアルキレン基RS1は、5~30質量%、好ましくは7~29質量%、さらに好ましくは8~28質量%のポリ(オキシエチレン)含量を有することができる。
【0030】
それぞれのポリオキシアルキレンブロックコポリマーは、それぞれのアルキレンオキシドから調製されることができる。
【0031】
好ましくは、RS1の少なくとも1つのC3からC6のポリオキシアルキレンブロックは、ポリオキシプロピレン(プロピレンオキシドから調製)、及びポリオキシブチレン(ブチレンオキシドから調製)から選択される。
【0032】
RS2、RS3、RS4は、H、RS1、RS40;又はRS3と隣接する基RS4(又はn>2の場合、2つの隣接する基RS4は一緒に二価の基XS3を形成することができる)から選択される。後者の場合、XS3は、O、S又はNRS40によって任意に割り込まれ得る直鎖状又は分岐鎖状C1-C12アルカンジイルから選択されることができる。RS40は、(a)ヒドロキシ、アルコキシ又はアルコキシカルボニルにより任意に置換され得る直鎖状又は分岐鎖状のC1-C20アルキル、及び(b)ヒドロキシ、アルコキシ又はアルコキシカルボニルにより任意に置換され得る直鎖状又は分岐鎖状のC1-C20アルケニルであり得る。好ましくは、RS40は、C1からC6のアルキル又はC1からC12のヒドロキシアルキルである。好ましくは、XS3は、直鎖状又は分岐鎖状のC1-C6アルカンジイルから、より好ましくはC1-C4アルカンジイルから、最も好ましくはメチル又はエチル又はプロピルから選択される。この場合、XS1、好ましくは5員又は6員環系を形成するように選択される。
【0033】
好ましい実施形態において、全ての基RS2、RS3、RS4は、上記で定義されたポリオキシアルキレン基RS1である。
【0034】
一般に、nは1~6の整数であり得る。好ましくは、nは1~4の整数であり、最も好ましくは、nは1又は2である。
【0035】
一般に、抑制剤の分子質量Mwは、約300~約25000g/mol、好ましくは500~15000g/molであり得る。一実施形態では、抑制剤の分子質量Mwは、約500~約8000g/mol、好ましくは約1000~約6000g/mol、最も好ましくは約1000~約3500g/molである。別の好ましい実施形態では、抑制剤の分子質量Mwは、約5000~約20000g/mol、特に約6000~約15000g/molである。
【0036】
第1の好ましい実施形態は、式(S2a)の添加剤であり、
【化3】
式中
R
S1は、定められた意味を有し;
R
S2、R
S3及びR
S4は、R
S1又はR
S40から選択され、好ましくはR
S1であり;
rは、1~8の整数であり、好ましくは2~6、最も好ましくは2、3又は4であり;
R
S40は、定められた意味を有し、好ましくはC
1からC
6のアルキル又はC
1からC
12のヒドロキシアルキルであり;及び
nは、1、2又は3である。
【0037】
第2の好ましい実施形態は、式(S2b)の添加剤であり、
【化4】
R
S1は、定められた意味を有し;
R
S2は、R
S1又はR
S40から選択され、好ましくはR
S1であり;
R
S40は、定められた意味を有し、好ましくはC
1からC
6のアルキル又はC
1からC
12のヒドロキシアルキルであり;
X
S1,X
S3は、それぞれ独立してC
1からC
3のアルカンジイルであり、好ましくはX
S1とX
S3は両方ともエタンジイルであるか、又はX
S1とX
S3のどちらかがメタンジイルであり、X
S1とX
S3の他方はプロパンジイルであるかである。
【0038】
このような化合物は、環状アミン、例えば、これらに限定されないが、ピペラジン、メチルピペラジン、エチルピペラジン、プロピルピペラジン、ブチルピペラジンなどから出発して調製されることができる。
【0039】
第3の好ましい実施形態は、式(S2c)の添加剤であり、
【0040】
【化5】
式中、
R
S1は、定められた意味を有し;
R
S2及びR
S3は、R
S1又はR
S40から選択され、好ましくはR
S1であり;
R
S40は、定められた意味を有し、好ましくはC
1からC
6のアルキル又はC
1からC
12のヒドロキシアルキルであり;及び
X
S1、X
S11、X
S3は、それぞれ独立してC
1からC
3のアルカンジイルであり、好ましくはX
S1とX
S3は両方ともエタンジイルであるか、又はX
S1とX
S3のどちらかがメタンジイルであり、X
S1とX
S3の他方はプロパンジイルであるかである。
【0041】
第4の好ましい実施形態は、式(S2d)の添加剤であり、
【化6】
式中、
R
S1は、定められた意味を有し;
R
S2、R
S3及びR
S4は、R
S1又はR
S40から選択され、好ましくはR
S1であり;
R
S40は、定められた意味を有し、好ましくはC
1からC
6のアルキル又はC
1からC
12のヒドロキシアルキルであり;及び
X
S1、X
S11、X
S3は、それぞれ独立してC
1からC
3のアルカンジイルであり、好ましくはX
S1とX
S3は両方ともエタンジイルであるか、又はX
S1とX
S3のどちらかがメタンジイルであり、X
S1とX
S3の他方がプロパンジイルであるかである。
【0042】
このような実施形態3及び4の化合物は、アミノアルキル化環状アミン、例えば、これらに限定されないが、ビスアミノエチルピペラジン、ビスアミノプロピルピペラジン、ビスアミノブチルピペラジン等から開始することによって調製されることができる。
【0043】
さらなる有用なポリアミンスターターは、WO2018/073011に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
メッキ浴
本発明では、多種多様な金属メッキ浴を使用することができる。金属電気メッキ浴は、典型的には、銅イオン源、臭化物イオン、電解質、抑制剤、及び任意にさらなる添加剤、例えば、これらに限定されないが、アクセラレータ(accelerators)、レベラー(levelers)、界面活性剤を含有する。
【0045】
メッキ浴は、典型的には水性である。「水性」という用語は、メッキ浴が水性であることを意味する。水は、広い範囲の量で存在し得る。蒸留水、脱イオン水又は水道水など、あらゆる種類の水が使用されることができる。好ましくは、メッキ浴は、本明細書に記載された化合物の水溶液である。好ましくは、水は電子グレードの脱イオン水である。水以外の他の溶媒が少量存在してよいが、好ましくは、水が唯一の溶媒である。
【0046】
本発明の抑制剤は、典型的には、メッキ浴の総質量に基づいて、約0.1ppm~約1000ppmの量で使用される。本発明で有用なサプレッサーの特に好適な量は、1~700ppm、より具体的には10~500ppmである。
【0047】
金属イオン源は、電気メッキ浴中に堆積される銅イオンの十分な量を放出することができる、すなわち電気メッキ浴に少なくとも部分的に溶解することができる任意の化合物であり得る。好ましい実施形態では、銅以外のさらなる金属は電気メッキ浴中に存在しない。他の好ましい実施形態では、金属は銅を含み、0.1g/l未満、好ましくは0.01g/l未満の量のスズを含み、最も好ましくはスズを含まない。
【0048】
銅イオン源が、金属イオンの100%を放出するために、メッキ浴に可溶であることが好ましい。好適な銅イオン源は金属塩であり、これらに限定されないが、金属硫酸塩、金属ハロゲン化物、金属アセテート、金属硝酸塩、金属フルオロホウ酸塩、金属アルキルスルホネート、金属アリールスルホネート、金属スルファメート、金属グルコン酸塩などを含む。金属は銅であることが好ましい。銅イオン源が、硫酸銅、塩化銅、酢酸銅、クエン酸銅、硝酸銅、フッ化ホウ酸銅、メタンスルホン酸銅、フェニルスルホン酸銅、p-トルエンスルホン酸銅であることがさらに好ましい。硫酸銅五水和物、メタンスルホン酸銅が特に好ましい。このような金属塩は、一般に市販されており、さらに精製することなく使用されることができる。
【0049】
銅イオン源は、本発明において、基板上へ電気メッキするのに十分な金属イオンを提供する任意の量で使用されることができる。
【0050】
銅は、典型的には、メッキ溶液の約0.2~約300g/lの範囲の量で存在する。一般に、サプレッサーは低銅浴、中銅浴、及び高銅浴で有用である。低銅とは、約0.3~約20g/lの銅濃度を意味する。
【0051】
臭化物イオンは、US8268155B1又はWO2019/199614A1に記載されているように、典型的には0.25~250ppm、好ましくは5~100ppm、最も好ましくは10~80ppmの量で存在する。
【0052】
また、金属塩の混合物も、本発明に従って電気メッキされることができる。したがって、約2質量%までのスズを有する銅-スズなどの合金が、本発明に従って有利にメッキされ得る。このような混合物中の各金属塩の量は、メッキされる特定の合金に依存し、当業者にはよく知られている。
【0053】
一般に、銅イオン、臭化物イオン及び本発明による抑制剤の少なくとも1つに加えて、本銅電気メッキ組成物は、電解質、1つ以上の金属イオン源、任意にさらなるハロゲン化物イオン、特に塩化物イオン、及び任意にアクセラレータ及び/又はレベラーのような他の添加物を含有することが好ましい。
【0054】
本発明の電気メッキ浴は、各成分を任意の順序で組み合わせることによって調製されることができる。金属塩、水、電解質、及び任意のハロゲン化物イオン源などの無機成分を最初に浴容器に添加し、次いでレベリング剤(leveling agents)、アクセラレータ、サプレッサー、界面活性剤などの有機成分を添加することが好ましい。
【0055】
典型的には、本発明のメッキ浴は、10~65℃又はそれ以上の任意の温度で使用されることができる。メッキ浴の温度は、10~35℃が好ましく、15~30℃がより好ましい。
【0056】
好適な酸性電解質は、例えば、これらに限定されないが、硫酸、酢酸、フルオロホウ酸、アルキルスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸、アリールスルホン酸、例えば、フェニルスルホン酸及びトルエンスルホン酸、スルファミン酸、塩酸、リン酸、などを含む。特定の実施形態では、電解質はピロリン酸を含まない。酸は、典型的には、約0.1~約300g/lの範囲の量で存在する。メッキ浴は、高酸浴、中酸浴又は低酸浴であり得る。低酸浴は、通常、15g/l未満、あるいは10g/l又は5g/l未満の濃度の1つ以上の酸を含む。本明細書で使用される場合、「酸性」とは、メッキ浴のpHが7未満、好ましくは5未満であることを意味する。より好ましくは、酸性メッキ浴のpHは4未満であり、さらにより好ましくは3未満であり、最も好ましくは2未満である。
【0057】
このような電解質は、任意に、さらなるハロゲン化物イオン源、例えば、塩化銅におけるような塩化物イオン、又は塩酸を含むことができる。本発明では、約0~約500ppmのような広範囲の塩化物イオン濃度を使用することができる。典型的には、塩化物イオン濃度は、メッキ浴に基づいて、約1~約100ppm、好ましくは約10ppm~約100ppm、最も好ましくは20~80ppmの範囲にある。電解質は、硫酸又はメタンスルホン酸であることが好ましく、硫酸又はメタンスルホン酸と塩化物イオン源との混合物であることが好ましい。本発明で有用な酸及びハロゲン化物イオン源は、一般に市販されており、さらに精製することなく使用されることができる。
【0058】
特定の実施形態では、本発明のサプレッサーは、典型的には約20g/l未満の銅イオンを含有する低銅電解質組成物で、典型的には約0.1~15g/lの硫酸のような酸と、典型的には約10~400質量ppmの範囲の臭化物イオンと組み合わせて使用されることができ、好ましくは塩化物イオンと組み合わせて使用されることができる。
【0059】
その他の添加物
本発明による電気メッキ浴は、1種又は2種以上の任意の添加剤を含むことができる。このような任意の添加剤は、これらに限定されないが、アクセラレータ、他のサプレッサー、レベラー及び界面活性剤等を含む。
【0060】
任意のアクセラレータが本発明によるメッキ浴で有利に使用することができる。本発明で有用なアクセラレータは、これらに限定されないが、1つ以上の硫黄原子とスルホン酸/ホスホン酸又はそれらの塩を含む化合物を含む。好ましくは、組成物は、少なくとも1つのアクセラレータをさらに含む。
【0061】
好ましいアクセラレータは、一般構造MO3X-R21-(S)n-R22を有し、ここで:
- Mは水素又はアルカリ金属(好ましくはNa又はK)であり、
- XはP又はSであり、
- n=1から6までであり、
- R21は、C1-C8アルキル基又はヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロ芳香族基から選択される。ヘテロアルキル基は、1つ以上のヘテロ原子(N、S、O)及び1~12の炭素を有する。炭素環式アリール基は、フェニル、ナフチルなどの典型的なアリール基である。ヘテロ芳香族基も好適なアリール基であり、1つ以上のN,O又はS原子を含有し、1~3つの独立又は縮合環を有する。
- R22はH又は(-S-R21´XO3M)から選択され、R21´はR21と同一又は異なっている。
【0062】
より具体的には、有用なアクセラレータは、下記の式を含む:
MO3S-R21-SH
MO3S-R21-S-S-R21’-SO3M
MO3S-Ar-S-SAr-SO3M
ここで、R21は上記で定義された通りであり、Arはアリールである。
【0063】
特に好ましいアクセラレータは:
- SPS:ビス(3-スルホプロピル)-ジスルフィド二ナトリウム塩
- MPS:3-メルカプト-1-プロパンスルホン酸、ナトリウム塩
である。
【0064】
単独又は混合して使用されるアクセラレータの他の例は、例えば、これらに限定されないが:MES(2-メルカプトエタンスルホン酸、ナトリウム塩);DPS(N,N-ジメチルジチオカルバミン酸(3-スルホプロピルエステル)、ナトリウム塩);UPS(3-[(アミノ-イミノメチル)-チオ]-1-プロピルスルホン酸);ZPS(3-(2-ベンズチアゾリルチオ)-1-プロパンスルホン酸、ナトリウム塩);3-メルカプト-プロピルスルホン酸-(3-スルホプロピル)エステル;メチル-(-スルホプロピル)-ジスルフィド、二ナトリウム塩;メチル-(-スルホプロピル)-トリスルフィド、二ナトリウム塩を含む。
【0065】
このようなアクセラレータは、典型的には、メッキ浴の総質量に基づいて、約0.1ppm~約3000ppmの量で使用される。本発明で有用なアクセラレータの特に好適な量は、1~500ppm、より具体的には2~100ppmである。
【0066】
任意の追加のサプレッサーが本発明で有利に使用され得る。本発明で有用なサプレッサーは、これらに限定されないが、高分子材料、特にヘテロ原子置換を有するもの、より具体的には酸素置換を有するものを含む。サプレッサーがポリアルキレンオキシドであることが好ましい。好適なサプレッサーは、ポリエチレングリコールコポリマー、特にポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマーを含む。好適なサプレッサーのエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの配置は、ブロック、交互、勾配、又はランダムであってよい。ポリアルキレングリコールは、ブチレンオキシドなどのさらなるアルキレンオキシドビルディングブロックを含んでいてよい。好ましくは、好適なサプレッサーの平均分子量は、約2000g/molを超える。好適なポリアルキレングリコールの出発分子は、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノールなどのアルキルアルコール、フェノール及びビスフェノールなどのアリールアルコール、ベンジルアルコールなどのアルカリールアルコール、グリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、炭水化物例えばサッカロースなどのポリオールスターター、アルキルアミン、アニリン、トリエタノールアミン、エチレンジアミンなどのアリールアミン、アミド、ラクタム、複素環式アミン例えばイミダゾールなどのアミン及びオリゴアミン及びカルボン酸であり得る。任意に、ポリアルキレングリコールサプレッサーは、イオン基、例えば硫酸塩、スルホン酸塩、アンモニウムなどにより官能化されてよい。
【0067】
さらなるサプレッサーが使用される場合、それらは典型的には浴の質量に基づいて、約1~約10,000ppm、好ましくは約5~約10,000ppmの範囲の量で存在する。好ましくは、本発明による抑制剤以外の抑制剤は、メッキ浴中に存在しない。
【0068】
レベリング剤が本発明による金属メッキ浴に有利に使用されることができる。「レベリング剤」及び「レベラー」という用語は、本明細書では同義的に使用される。好ましくは、組成物は、少なくとも1つのレベリング剤をさらに含む。
【0069】
適切なレベリング剤は、これらに限定されないが、ポリエチレンイミン及びその誘導体、四級化ポリエチレンイミン、ポリグリシン、ポリ(アリールアミン)、ポリアニリン、ポリウレア、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン-コ-ホルムアルデヒド)、アミンとエピクロロヒドリンとの反応生成物、アミンとエピクロロヒドリンとポリアルキレンオキシドとの反応生成物、アミンとポリエポキシドとの反応生成物、ポリビニルピリジン、WO2011/151785A1に記載のポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、例えばWO2011/064154A2とWO2014/072885A2,WO2019/043146A1に記載のポリアミノアミド、又はそれらのコポリマー、ニグロシン、ペンタメチル-パラローズアニリンヒドロハライド、ヘキサメチル-パラローズアニリンヒドロハライド、WO2010/069810に記載のジ又はトリアルカノールアミン及びそれらの誘導体、WO2012/085811A1に記載のビグアニド、のうち1つ以上を含む。
【0070】
さらに、式N-R-Sの官能基を含有する化合物がレベリング剤として使用されてよく、ここでRは置換アルキル、非置換アルキル、置換アリール、非置換アリールである。典型的に、アルキル基は、(C1-C6)アルキルであり、好ましくは、(C1-C4)アルキルである。一般に、アリール基は、(C6-C20)アリール、好ましくは、(C6-C10)アリールを含む。このようなアリール基は、硫黄、窒素、酸素などのヘテロ原子をさらに含んでいてよい。アリール基がフェニル又はナフチルであることが好ましい。式N-R-Sの官能基を含有する化合物は、一般に知られており、一般に市販されており、さらに精製することなく使用されることができる。このようなN-R-S官能基を含有する化合物では、硫黄(「S」)及び/又は窒素(「N」)は、単結合又は二重結合でそのような化合物に結合され得る。硫黄がこのような化合物に単結合で結合している場合、硫黄は別の置換基、例えば、これらに限定されないが、水素、(C1-C12)アルキル、(C2-C12)アルケニル、(C6-C20)アリール、(C1-C12)アルキルチオ、(C2-C12)アルケニルチオ、(C6-C20)アリールチオなどを有する。同様に、窒素は、これらに限定されないが、水素、(C1-C12)アルキル、(C2-C12)アルケニル、(C7-C10)アリールなどの1つ以上の置換基を有する。N-R-S官能基は、非環状であっても、又は環状であってもよい。環状のN-R-S官能基を含有する化合物は、環系内に窒素もしくは硫黄のいずれか一方、又は窒素及び硫黄の両方を有する化合物を含む。
【0071】
一般に、電気メッキ浴中のレベリング剤の総量は、メッキ浴の総質量に基づいて、0.5ppm~10000ppmである。レベリング剤は、典型的には、メッキ浴の総質量に基づいて、約0.1ppm~約1000ppm、より典型的には1~100ppmの総量で使用されるが、より多い量又はより少ない量で使用されてもよい。
【0072】
Cuメッキ金属の所望の表面仕上げを提供するために、多種多様な添加剤が、通常浴中で使用され得る。通常、複数の添加剤が、各添加剤が所望の機能を形成しつつ使用される。有利には、電気メッキ浴は、アクセラレータ、レベラー、ハロゲン化物イオン源、結晶粒微細化剤及びそれらの混合物の1つ以上を含有することができる。最も好ましくは、電気メッキ浴は、本発明によるサプレッサーに加えて、アクセラレータ及びレベラーの両方を含有する。他の添加剤もまた、本発明の電気メッキ浴において好適に使用され得る。
【0073】
プロセス
本発明の一実施形態によれば、本明細書に記載されている組成物を含む銅電気メッキ浴は、30ナノメートル以下のアパーチャサイズを有する凹フィーチャを含む基板上に銅を堆積するために使用され得、そのフィーチャはコバルトシードを含む。
【0074】
本発明のさらなる実施形態は、銅層を堆積させるための方法であって、該方法は、
(a)ナノメートルサイズの凹フィーチャを含む基板を提供するステップであって、このフィーチャはコバルトシード層を含んでいる、ステップと;
(b)本明細書に記載されている組成物を、前記基板と接触させるステップと;
(c)前記コバルトシード層上に金属層を堆積させ、前記ナノメートルサイズのフィーチャを充填するのに十分な時間、前記基板に電流を流すステップと、
を含む。
【0075】
本発明は、様々なコバルトシード基板、特にナノメートル及び様々なサイズのアパーチャを有する基板上に銅層を堆積させるのに有用である。例えば、本発明は、例えばコバルトシード層を備えた小径のビア、トレンチ又は他のアパーチャを有する半導体デバイスなど、集積回路基板上に銅を堆積させるのに特に適している。一実施形態では、半導体デバイスは、本発明に従ってメッキされる。このような半導体デバイスには、これに限定されないが、集積回路の製造に使用されるウエハが含まれる。
【0076】
通常、コバルトシード層は、40nm~1.5nm、好ましくは2~10nmの厚さを有する。
【0077】
好ましくは、電気メッキ組成物中のコバルトシード層の静的腐食は、10nm/分以下、好ましくは5nm/分以下、最も好ましくは3nm/分以下である。本明細書において、「静的腐食」とは、電気メッキ組成物が、電位又は機械的摩耗を適用されることなく基板に接触することを意味する。
【0078】
最も好ましくは、サブマイクロメータサイズのフィーチャは、1~30ナノメートルの(有効な)アパーチャサイズ、及び/又は4以上のアスペクト比を有する。より好ましくは、フィーチャは、25ナノメートル以下、最も好ましくは20ナノメートル以下のアパーチャサイズを有する。
【0079】
本発明によるアパーチャサイズとは、メッキ前、すなわちシード堆積後のフィーチャの最小直径又は自由距離を意味する。「アパーチャ」及び「開口部」という用語は、本明細書において同義的に使用される。凸形状は、メッキ前のフィーチャの最大直径又は自由距離よりも少なくとも25%、好ましくは30%、最も好ましくは50%小さいアパーチャサイズを有するフィーチャである。
【0080】
典型的には、基板は、本発明のメッキ浴と接触させることにより電気メッキされる。基板は、典型的には、カソードとして機能する。メッキ浴はアノードを含有し、該アノードは可溶性又は不溶性であってよい。任意に、カソードとアノードは膜によって分離されていてよい。電位は通常、カソードに印加される。十分な電流密度が印加され、基板上に所望の厚さを有する銅層などの金属層が堆積されるのに十分な時間、メッキが行われる。適切な電流密度には、これに限定されないが、0.5~250mA/cm2の範囲が含まれる。典型的には、集積回路の製造において銅を堆積させるために使用される場合、電流密度は1~60mA/cm2の範囲である。具体的な電流密度は、メッキされる基板、選択されたレベリング剤などに依存する。このような電流密度の選択は、当業者の能力の範囲内である。印加電流は、直流(DC)、パルス電流(PC)、パルス逆電流(PRC)、又は他の適切な電流であり得る。
【0081】
一般に、本発明が集積回路の製造に使用されるウエハのような基板上に金属を堆積するために使用される場合、メッキ浴は使用中に撹拌される。任意の適切な撹拌方法が本発明に使用されることができ、そのような方法は当技術分野において周知である。好適な撹拌方法には、これらに限定されないが、不活性ガス又は空気の噴射、ワークピースの撹拌、インピンジメントなどが含まれる。このような方法は、当業者には公知である。本発明を使用してウエハなどの集積回路基板をメッキする場合、ウエハを1~150RPMのように回転させ、メッキ溶液を回転するウエハに例えばポンピング又は噴霧によって接触させることができる。代替として、メッキ浴の流れが所望の金属堆積を提供するのに十分である場合、ウエハを回転させる必要はない。
【0082】
銅は、金属銅の堆積物内にボイドを実質的に形成することなく、本発明によるアパーチャ内に堆積される。「実質的にボイドを形成することなく」という用語は、メッキされるアパーチャの95%がボイドフリーであることを意味する。メッキされるアパーチャの98%がボイドフリーであることが好ましく、最も好ましいのは、メッキされるアパーチャの全てがボイドフリーである。
【0083】
半導体基板をメッキするためのメッキ装置はよく知られている。メッキ装置は、Cu電解液を保持する電気メッキタンクを備え、該電気メッキタンクはプラスチック又は電気メッキ液に対して不活性な他の材料から作られている。タンクは、特にウエハメッキのためには、円筒形であり得る。カソードは、タンクの上部に水平に配置され、トレンチ及びビアなどの開口部を有するシリコンウエハなど、任意の種類の基板であってよい。ウエハ基板は、コバルトのシード層でコーティングされている。コバルトのシード層は、化学気相堆積(CVD)、物理気相堆積(PVD)、原子層堆積(ALD)などにより適用されることができる。アノードも、ウエハメッキのために円形であることが好ましく、アノードとカソードとの間に空間を形成してタンクの下部に水平に配置される。アノードは、典型的には可溶性アノードである。
【0084】
これらの浴用添加剤は、様々な工具メーカーによって開発されたメンブレン技術と組み合わされて有用である。このシステムでは、アノードは膜によって有機浴用添加剤から隔離され得る。アノードと有機浴用添加剤を分離する目的は、有機浴用添加剤の酸化を最小限に抑えることにある。
【0085】
カソード基板とアノードは配線によって電気的に接続され、それぞれ整流器(電源)に接続されている。直流電流又はパルス電流用のカソード基板は、溶液中のCuイオンがカソード基板で還元され、カソード表面にメッキされたCu金属が形成されるように、正味の負電荷を有している。アノードでは酸化反応が起こる。カソードとアノードは、タンクの中に水平又は垂直に配置され得る。
【0086】
好ましくは、基板はナノメートルサイズのフィーチャを含み、マイクロメートル又はナノメートルサイズのフィーチャ、特に1~30nmのアパーチャサイズ及び/又は4以上のアスペクト比を有するフィーチャを充填するように、堆積が行われる。添加剤は、15nm、特に10nm以下のアパーチャサイズ及び4以上のアスペクト比を有するフィーチャをボイドフリーで充填することさえ可能である。
【0087】
全てのパーセント、ppm又は同等の値は、別段の指示がない限り、それぞれの組成物の総質量に対する質量を指す。全ての引用文献は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0088】
以下の実施例は、本発明の範囲を制限することなく、本発明をさらに説明するものである。
【0089】
分析方法
抑制剤の分子量は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定された。ポリスチレンを標準物質として、テトラヒドロフランを溶離液として使用した。カラム温度は30℃、注入量は30μL(μリットル)、流速は1.0ml/分であった。サプレッサーの質量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、多分散度PDI(Mw/Mn)が決定された。
【0090】
アミン価は、DIN 53176に従って、酢酸中のポリマーの溶液を過塩素酸で滴定することにより決定された。
【実施例】
【0091】
実施例A:サプレッサーの合成
いくつかのサプレッサーは、それぞれのスターターのポリアルコキシル化により合成された。
【0092】
実施例A1:サプレッサー1の合成
ジエチレントリアミン(154.8g)を窒素雰囲気下で3.5lのオートクレーブに入れ、100℃まで加熱した。次いで、ブチレンオキシド(540.9g)を9時間かけて添加した。混合物を10時間後反応させた。604.5mgKOH/gのヒドロキシ価を有する黄色の中間生成物(653.9g)が得られた。
【0093】
中間生成物(463.8g)とカリウムtert-ブトキシド(1.6g)を3.5lのオートクレーブに入れた。窒素で中和した後、圧力を1.5barに調整し、混合物を130℃で1時間均質化した。次いで、ブチレンオキシド(504.8g)を130℃で8時間かけて添加し、最大圧力5barに達した。混合物を6時間後反応させる。その後、エチレンオキシド(88.1g)を130℃で2時間かけて添加し、最大圧力5barに達した。反応を完了させるために、混合物を130℃、7barの圧力で6時間後反応させた。その後、温度を80℃に下げ、揮発性化合物を80℃の真空中で除去した。サプレッサー1を292.8mgKOH/gのヒドロキシ価を有する黄色がかった液体(923.7g)として得た。
【0094】
実施例A2:サプレッサー2の合成
ジエチレントリアミン(253.8g)を窒素雰囲気下で2lのオートクレーブに入れ、100℃まで加熱した。次いで、プロピレンオキシド(714.0g)を5.5時間かけて添加した。混合物を10時間後反応させた。700mgKOH/gのヒドロキシ価を有する黄色の中間生成物(962.0g)が得られた。
【0095】
中間生成物(120.9g)とカリウムtert-ブトキシド(1.5g)を2lのオートクレーブに入れた。窒素で中和した後、圧力を1.5barに調整し、混合物を130℃で1時間均質化した。次いで、プロピレンオキシド(625.9g)を130℃で11時間かけて添加し、最大圧力5barに達した。混合物を10時間後反応させる。その後、エチレンオキシド(270.8g)を130℃で4.5時間かけて添加し、最大圧力5barに達した。反応を完了させるために、混合物を130℃、5barの圧力で6時間後反応させた。その後、温度を80℃に下げ、揮発性化合物を80℃の真空中で除去した。サプレッサー2を84.5mgKOH/gのヒドロキシ価を有する黄色がかった液体(1048.7g)として得た。
【0096】
実施例A3:サプレッサー3の合成
ジエチレントリアミン(253.8g)を窒素雰囲気下で2lのオートクレーブに入れ、100℃まで加熱した。次いで、プロピレンオキシド(714.0g)を5.5時間かけて添加した。混合物を10時間後反応させた。700mgKOH/gのヒドロキシ価を有する黄色の中間生成物(962.0g)が得られた。
【0097】
中間生成物(137.8g)とカリウムtert-ブトキシド(0.9g)を3.5lのオートクレーブに入れた。窒素で中和した後、圧力を1.5barに調整し、混合物を130℃で1時間均質化した。次いで、プロピレンオキシド(304.9g)を130℃で5時間かけて添加し、最大圧力5barに達した。混合物を6時間後反応させる。その後、エチレンオキシド(154.2g)を130℃で3時間かけて添加し、最大圧力5barに達した。反応を完了させるために、混合物を130℃、5barの圧力で6時間後反応させた。その後、温度を80℃に下げ、揮発性化合物を80℃の真空中で除去した。サプレッサー3を170.0mgKOH/gのヒドロキシ価を有する黄色がかった液体(568.9g)として得た。
【0098】
実施例A4:サプレッサー4の合成
ジエチレントリアミン(253.8g)を窒素雰囲気下で2lのオートクレーブに入れ、100℃まで加熱した。次いで、プロピレンオキシド(714.0g)を5.5時間かけて添加した。混合物を10時間後反応させた。700mgKOH/gのヒドロキシ価を有する黄色の中間生成物(962.0g)が得られた。
【0099】
中間生成物(236.1g)とカリウムtert-ブトキシド(1.4g)を3.5lのオートクレーブに入れた。窒素で中和した後、圧力を1.5barに調整し、混合物を130℃で1時間均質化した。次いで、プロピレンオキシド(592.4g)を130℃で10時間かけて添加し、最大圧力5barに達した。混合物を6時間後反応させる。その後、エチレンオキシド(79.3g)を130℃で2時間かけて添加し、最大圧力5barに達した。反応を完了させるために、混合物を130℃、5barの圧力で6時間後反応させた。その後、温度を80℃に下げ、揮発性化合物を80℃の真空中で除去した。サプレッサー4を180.4mgKOH/gのヒドロキシ価を有する黄色がかった液体(887.6g)として得た。
【0100】
実施例A5:サプレッサー5の合成
ジエチレントリアミン(253.8g)を窒素雰囲気下で2lのオートクレーブに入れ、100℃まで加熱した。次いで、プロピレンオキシド(714.0g)を5.5時間かけて添加した。混合物を10時間後反応させた。700mgKOH/gのヒドロキシ価を有する黄色の中間生成物(962.0g)が得られた。
【0101】
中間生成物(157.4g)とカリウムtert-ブトキシド(0.9g)を3.5lのオートクレーブに入れた。窒素で中和した後、圧力を1.5barに調整し、混合物を130℃で1時間均質化した。次いで、プロピレンオキシド(348.5g)を130℃で6時間かけて添加し、最大圧力5barに達した。混合物を6時間後反応させる。その後、エチレンオキシド(114.5g)を130℃で2時間かけて添加し、最大圧力5barに達した。反応を完了させるために、混合物を130℃、5barの圧力で6時間後反応させた。その後、温度を80℃に下げ、揮発性化合物を80℃の真空中で除去した。界面活性剤5を182.4mgKOH/gのヒドロキシ価を有する黄色がかった液体(598.6g)として得た。
【0102】
実施例B:銅の電気メッキ実験
メッキ実験のために、
図1に示すようなパターン化されたウエハ基板を使用した。ウエハ基板は、30AのTaN層上に50AのCVD Coシードを担持し、開口部の上部で直径が15nm、フィーチャの半分の高さで直径が18nm、フィーチャの底部で直径が11nmのフィーチャを有していた。フィーチャの高さは約136nmで、アスペクト比は約7.5であった。
【0103】
実施例B1a:サプレッサー1による電気メッキ、部分充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、及び3.43ml/lの実施例A1で調製されたサプレッサー1のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0104】
29.0秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を有するフィーチャを有するウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0105】
その結果は、銅で部分的に充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図2に示される。
図2は、銅がフィーチャの側壁への堆積が抑制される一方、フィーチャの底面に堆積されていることを示している。
【0106】
実施例B1b:サプレッサー1による電気メッキ、完全充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、及び3.43ml/lの実施例A1で調製されたサプレッサー1のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0107】
65.4秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を有するフィーチャを有するウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0108】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図3に示される。
図3に示されるように、完全に充填されたトレンチに大きなボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0109】
実施例B1c:サプレッサー1による電気メッキ、レベラーによる部分充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液、及び3.43ml/lの実施例A1で調製されたサプレッサー1のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0110】
29.0秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を有するフィーチャを有するウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0111】
その結果は、銅で部分的に充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図4に示される。
図4は、フィーチャ内の銅の顕著なボトムアップ成長を示している。
【0112】
実施例B1d:サプレッサー1による電気メッキ、レベラーによる完全充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液、及び3.43ml/lの実施例A1で調製されたサプレッサー1のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0113】
65.4秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を有するフィーチャを有するウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0114】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図5に示される。
図5に示されるように、完全に充填されたトレンチに大きなボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0115】
B2a:サプレッサー2による電気メッキ、部分充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液、及び37.0ml/lの実施例A2で調製されたサプレッサー2のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0116】
29.0秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を有するフィーチャを有するウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0117】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図6に示される。
図6に示されるように、部分的に充填されたトレンチにボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0118】
実施例B2b:サプレッサー2による電気メッキ、完全充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液、及び37.0ml/lの実施例A2で調製されたサプレッサー2のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0119】
43.5秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を有するフィーチャを有するウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0120】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図7に示される。
図7に示されるように、完全に充填されたトレンチにボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0121】
実施例B2c:サプレッサー2による電気メッキ、完全充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.080g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液、及び37.0ml/lの実施例A2で調製されたサプレッサー2のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0122】
65.4秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を有するフィーチャを有するウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0123】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図8に示される。
図8に示されるように、完全に充填されたトレンチにボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0124】
実施例B3a:サプレッサー3による電気メッキ、部分充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液、及び19.0ml/lの実施例A3で調製されたサプレッサー3のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0125】
21.8秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を有するフィーチャを有するウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0126】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図9に示される。
図9に示されるように、部分的に充填されたトレンチにボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0127】
実施例B3b:サプレッサー3による電気メッキ、完全充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液と、19.0ml/lの実施例A3で調製されたサプレッサー3のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0128】
43.6秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を備えたフィーチャを備えたウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0129】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図10に示される。
図10に示されるように、完全に充填されたトレンチにボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0130】
実施例B4a:サプレッサー4による電気メッキ、部分充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液、及び19.0ml/lの実施例A4で調製されたサプレッサー4のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0131】
21.8秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を備えたフィーチャを備えたウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0132】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図11に示される。
図11に示されるように、部分的に充填されたトレンチにボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0133】
実施例B4b:サプレッサー4による電気メッキ、完全充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液、及び19.0ml/lの実施例A4で調製されたサプレッサー4のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0134】
65.4秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を備えたフィーチャを備えたウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0135】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図12に示される。
図12に示されるように、完全に充填されたトレンチにボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0136】
実施例B5a:サプレッサー5による電気メッキ、部分充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液、及び19.0ml/lの実施例A5で調製されたサプレッサー5のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0137】
21.8秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を備えたフィーチャを備えたウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0138】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図13に示される。
図13に示されるように、部分的に充填されたトレンチにボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0139】
実施例B5b:サプレッサー5による電気メッキ、完全充填
DI水、硫酸銅として0.5g/lの銅、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.040g/lの臭化物イオン、0.081g/lのSPS、0.5ml/lのポリアルカノールアミン型レベラーのDI水中の0.866質量%溶液、及び19.0ml/lの実施例A5で調製されたサプレッサー5のDI水中の1.8質量%溶液を組み合わせることによってメッキ浴を調製した。
【0140】
65.4秒間、-1.01mA/cm2の直流電流を印加し18℃で上記のメッキ浴にウエハ基板を接触させることによって、コバルトシード層を備えたフィーチャを備えたウエハ基板上に銅層を電気メッキした。このように電気メッキされた銅層をSEM検査によって調べた。
【0141】
その結果は、銅で充填されたトレンチのSEM画像を提供する
図14に示される。
図14に示されるように、完全に充填されたトレンチに大きなボイド又は継ぎ目を示すことなく、隣接するトレンチは均等に充填されている。
【0142】
実施例C:Co腐食実験
40nmのCoによりシードされたブランケットウエハ基板を0.05質量%のクエン酸含有水溶液に室温で30秒間浸漬してCo酸化物を除去した。基板を溶液から取り出し、DI水でリンスした後、ブロー乾燥させた。クエン酸による処理前及び処理後で、Co層の厚さをXRFにより測定した。Co層厚を平均して2nm減少させるように、10枚のウエハクーポンに対してクエン酸洗浄手順が行われた。
【0143】
Co腐食実験では、予洗浄したウエハ基板を、硫酸銅として0.5g/lのCu、2.5g/lの硫酸、HClとして0.050g/lの塩化物イオン、HBrとして0.080g/lの臭化物イオン及び実施例Aで調製された270ppmのサプレッサーを含有する水性溶液中に25℃で60秒浸漬させた。基板を溶液から取り出し、DI水でリンスした後、ブロー乾燥させた。予洗浄の前と腐食実験後に、Co層の厚さをXRFにより測定した。得られたCo層の厚さの変化は、クエン酸による基板の予洗浄による酸化物の除去により、2nm補正された。各腐食実験は2回繰り返され、結果は平均化された。
【0144】
Co腐食実験の結果を、Co厚さの変化(ΔTHK(Co))として表1に示す。負の数値は、Co層の厚さの減少を示す。本発明のサプレッサーは、Co層の厚さのわずかな変化だけで、Coの腐食を抑制する効果を明確に示す。電解質溶液中にサプレッサーを含まない場合、Co層の厚さは約24nm減少する。本発明のサプレッサーを添加することにより、静的腐食実験において、Co層の厚さはわずか約4nm以下に減少する。
【0145】
【0146】
表1は、それぞれの添加剤を添加することによって、静的コバルト腐食によるコバルト層の厚さの減少が強く抑制されることを示している。コバルトの厚さの測定における許容範囲は約0.4~0.5nmであった。
【国際調査報告】