(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】レチクルポッドのシーリング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
H01L21/68 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566365
(86)(22)【出願日】2021-04-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2021029943
(87)【国際公開番号】W WO2021222603
(87)【国際公開日】2021-11-04
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラシュク, ラス ヴィ.
(72)【発明者】
【氏名】ワン, ホアピン
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA10
5F131CA12
5F131CA17
5F131DA32
5F131DA42
5F131GA13
5F131GA24
5F131GA32
5F131GA52
5F131GA55
5F131GA68
5F131GA84
5F131GA87
5F131GA92
5F131JA04
5F131KA03
(57)【要約】
ポッドは、カバー本体を有するカバーと、ベースプレート本体を有するベースプレートと、1つまたは複数のシール面とを含む。1つまたは複数のシール面は、ベースプレート本体およびカバー本体の一方または両方の上に形成され、シーリングを提供する。レチクルポッドを製造する方法は、ベースプレートのベースプレート本体およびカバーのカバー本体の少なくとも1つの上に1つまたは複数のシール面を形成することを含む。1つまたは複数のシール面は、ベースプレートとカバーとの間にシーリングを提供するように形成される。1つまたは複数のシール面の各々は、約70以上のロックウェルC硬度を有する耐摩耗性最外コーティングを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー本体を含むカバーと、
ベースプレート本体を含むベースプレートと、
前記ベースプレート本体および前記カバー本体の一方または両方の上に形成され、前記カバーと前記ベースプレートとの間にシーリングを提供する1つまたは複数のシール面であって、前記1つまたは複数のシール面は各々、約70以上のロックウェルC硬度を有する耐摩耗性最外コーティングを含む1つまたは複数のシール面と
を備える、ポッド。
【請求項2】
前記耐摩耗性最外コーティングの前記ロックウェルC硬度は、約80以上である、請求項1に記載のポッド。
【請求項3】
前記耐摩耗性最外コーティングは、窒化チタン、窒化クロム、ダイヤモンド状炭素、またはダイヤモンド-ニッケル複合材の1つである、請求項1に記載のポッド。
【請求項4】
第1の耐摩耗性最外コーティングを有する第1のシール面は、前記ベースプレート本体上に形成され、第2の耐摩耗性最外コーティングを有する第2のシール面は、前記カバー本体上に形成され、前記第1の耐摩耗性最外コーティングは、前記第2の耐摩耗性最外コーティングと同じである、請求項1に記載のポッド。
【請求項5】
第1の耐摩耗性最外コーティングを有する第1のシール面は、前記ベースプレート本体上に形成され、第2の耐摩耗性最外コーティングを有する第2のシール面は、前記カバー本体上に形成され、前記第1の耐摩耗性最外コーティングは、前記第2の耐摩耗性最外コーティングとは異なる、請求項1に記載のポッド。
【請求項6】
前記1つまたは複数のシール面は、前記ベースプレート本体上に形成された第1のシール面を含み、前記ベースプレートは、前記第1のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングを含み、前記第1のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングは、前記カバーが前記ベースプレート上に載置されたときに前記カバーに直接接触するように配置される、請求項1に記載のポッド。
【請求項7】
前記ベースプレート本体は、アルミニウムを含み、前記耐摩耗性最外コーティングは、前記アルミニウム上に形成される、請求項6に記載のポッド。
【請求項8】
前記1つまたは複数のシール面は、前記カバー本体上に形成された第2のシール面を含み、前記カバーは、前記第2のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングを含み、前記カバーの前記耐摩耗性最外コーティングは、前記カバーが前記ベースプレート上に載置されたときに前記ベースプレートの前記耐摩耗性最外コーティングに直接接触するように配置される、請求項6に記載のポッド。
【請求項9】
前記カバーは、前記ベースプレート上に載置されたとき、前記1つまたは複数のシール面の前記1つまたは複数の耐摩耗性最外面を介して前記ベースプレートにのみ接触する、請求項1に記載のポッド。
【請求項10】
前記1つまたは複数のシール面の前記1つまたは複数の耐摩耗性外面は、前記ベースプレートの全周に沿って延びる、請求項1に記載のポッド。
【請求項11】
レチクルポッドを製造する方法であって、
ベースプレートのベースプレート本体およびカバーのカバー本体の少なくとも1つの上に1つまたは複数のシール面を形成し、前記ベースプレートと前記カバーとの間にシーリングを提供することであって、前記1つまたは複数のシール面は各々、約70以上のロックウェルC硬度を有する耐摩耗性最外コーティングを含むこと
を含む、方法。
【請求項12】
前記耐摩耗性最外コーティングの前記ロックウェルC硬度は、約80以上である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記耐摩耗性最外コーティングは、窒化チタン、窒化クロム、ダイヤモンド状炭素、またはダイヤモンド-ニッケル複合材の1つである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記耐摩耗性最外コーティングは、約0.1~約100マイクロメートルの厚さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ベースプレート本体および前記カバー本体の前記少なくとも1つの上に前記1つまたは複数のシール面を形成することは、前記ベースプレートの前記少なくとも1つの75%未満および前記カバーの75%未満を覆うように前記1つまたは複数のシール面を形成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数のシール面は、第1のシール面を含み、
前記1つまたは複数のシール面を形成することは、前記ベースプレート本体上に前記第1のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングを形成することを含み、前記第1のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングは、前記カバーが前記ベースプレート上に載置されたときに前記カバーに直接接触するように配置される、
請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記ベースプレート本体は、アルミニウムを含み、
前記1つまたは複数のシール面を形成することは、前記ベースプレートの前記アルミニウム上に前記第1のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングを形成することを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1つまたは複数のシール面を形成することは、前記ベースプレートの全周に沿って延びるように前記1つまたは複数のシール面の前記1つまたは複数の耐摩耗性外面を形成することを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月30日に出願された米国仮出願第63/017,825号の利益および優先権を主張し、上記の開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、レチクルに使用されるレチクルポッドに関する。より具体的には、本開示は、レチクルポッドにシーリングを提供するために使用される表面に関する。
【背景技術】
【0003】
レチクルポッドは、例えば、半導体処理に使用されるフォトリソグラフィマスクなどのレチクルを収容するために使用される。レチクルポッドは、レチクルの保管および搬送に使用することができる。レチクルポッドは、処理中に1つまたは複数のツールによって取り扱われ操作される金属内側ポッドを含むことができる。内側ポッドは、ベースプレートと、カバーとを含み、ベースプレートおよびカバーは、レチクルを収容し、搬送、保管、および処理中の汚染または物理的損傷からレチクルを保護する。レチクルポッドは、例えば、極紫外線(EUV)フォトリソグラフィツールと共に使用するためのEUVポッドを含む。レチクルポッドは、ポッド扉を有する外側ポッドと、内側ポッドを収容するポッドドームとを含むことができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、レチクルに使用されるレチクルポッドに関する。より具体的には、本開示は、レチクルポッドにシーリングを提供するために使用される表面に関する。
【0005】
一実施形態では、ポッドは、カバー本体を有するカバーと、ベースプレート本体を有するベースプレートと、1つまたは複数のシール面とを含む。1つまたは複数のシール面は、ベースプレート本体およびカバー本体の一方または両方の上に形成され、カバーとベースプレートとの間にシーリングを提供する。1つまたは複数のシール面は各々、約70以上のロックウェルC硬度を有する耐摩耗性最外コーティングを含む。
【0006】
一実施形態では、耐摩耗性最外コーティングは、約80以上のロックウェルC硬度を有する。
【0007】
一実施形態では、1つまたは複数のシール面は、第1のシール面を含む。ベースプレートは、第1のシール面の耐摩耗性最外コーティングを含み、第1のシール面は、ベースプレート本体上に形成される。第1のシール面の耐摩耗性最外コーティングは、カバーがベースプレート上に載置されたときにカバーに直接接触するように配置される。
【0008】
一実施形態では、1つまたは複数のシール面は、第2のシール面を含む。カバーは、第2のシール面の耐摩耗性最外コーティングを含み、第2のシール面は、カバー本体上に形成される。カバーの耐摩耗性最外コーティングは、カバーがベースプレート上に載置されたときにベースプレートの耐摩耗性最外コーティングに直接接触するように配置される。
【0009】
一実施形態では、ポッドは、外側ポッドドームと、外側ポッド扉とを含む。外側ポッドドームおよび外側ポッド扉は、外側ポッド扉が外側ポッドドームに取り付けられたときに外側ポッドドーム内にベースプレートおよびカバーを収納するように構成される。一実施形態では、ポッドは、EUVレチクルポッドである。
【0010】
一実施形態では、レチクルポッドを製造する方法は、ベースプレートのベースプレート本体およびカバーのカバー本体の少なくとも1つの上に1つまたは複数のシール面を形成することを含む。1つまたは複数のシール面は、ベースプレートとカバーとの間にシーリングを提供するように形成される。1つまたは複数のシール面の各々は、約70以上のロックウェルC硬度を有する耐摩耗性最外コーティングを含む。
【0011】
一実施形態では、1つまたは複数のシール面を形成することは、ベースプレート本体上に耐摩耗性最外コーティングを形成することを含む。カバーがベースプレート上に載置されたときにカバーに直接接触するように配置された耐摩耗性最外コーティング。
【0012】
一実施形態では、1つまたは複数のシール面を形成することは、カバー本体上に耐摩耗性最外コーティングを形成することを含む。カバーがベースプレート上に載置されたときにベースプレートに直接接触するように配置された耐摩耗性最外コーティング。
【0013】
本開示は、添付の図面に関連する様々な例示的な実施形態の以下の説明を考慮することにより、より完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】レチクルポッドの内側ポッドの一実施形態の断面図である。
【
図1B】一実施形態による、開いているときの
図1Aの内側ポッドの断面図である。
【
図2】レチクルポッド内のベースプレートの一実施形態の上面図である。
【
図3】レチクルポッド用のカバーの一実施形態の底面図である。
【
図4】ベースプレートおよびレチクルポッド用のカバーのシール面に接触する一実施形態の断面図である。
【
図5】レチクルポッドの一実施形態の斜視図である。
【
図6】レチクルポッドの製造方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、様々な修正および代替の形式に従順であるが、それらの詳細は、例として図面に示され、詳細に説明される。しかし、その意図は、本開示の態様を説明される特定の例示的な実施形態に限定することではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、本開示の趣旨および範囲内にあるすべての修正、同等物、および代替案を包含することである。
【0016】
本開示は、レチクルに使用されるレチクルポッド、およびレチクルポッド内にシーリングを提供するために使用される表面を対象とする。
【0017】
図1Aおよび
図1Bは、レチクルポッドの内側ポッド1の一実施形態の断面図を示す。
図1Aは、閉じているときの内側ポッド1を示す。
図1Bは、開いているときの内側ポッド1を示す。内側ポッド1は、レチクル5を収容するためのレチクル収容部分3を有する内部空間を有する。ポッド1は、内側ポッド1内でレチクル5を支持および拘束するために、レチクル収容部分3内にレチクル支持体7Aおよびレチクル接点7Bを含むことができる。
【0018】
内側ポッド1は、ベースプレート10と、カバー40とを含む。ベースプレート10およびカバー40は、互いに接合されるように構成される。
図1Aに示すように、内側ポッド1の内部空間は、ベースプレート10上にカバー40を載置することによって取り囲まれる(例えば、閉じられる)。カバー40は、ベースプレート10に直接接触する。特に、カバー40の底部42は、ベースプレート10の上部12に接触する。内側ポッド1は、ベースプレート10からカバー40を離すことによって(例えば、方向D
1に上方にカバーを移動させることなどによって)開かれる。例えば、外部ツール(例えば、自動化アームなど)が内側ポッド1を開いてレチクル収容部分3にアクセスし、レチクル5を取り外す。
【0019】
ベースプレート10およびカバー40は、ベースプレート10とカバー40との間にシーリングを提供するように構成された1つまたは複数のシール面を含む。例えば、シーリングは、ベースプレート10とカバー40との間を通過することによって外部容器(例えば、空気、塵埃など)がポッド1に入るのを低減または防止するように構成される。ベースプレート10は、カバー40がベースプレート10上に載置されたときにカバー40に直接接触する1つまたは複数のシール面を含むことができる。カバー40は、カバー40がベースプレート10上に載置されたときにベースプレート10に直接接触するように構成された1つまたは複数のシール面を含む。例えば、ベースプレート10は、カバー40に直接接触するように構成された第1のシール面(例えば、シール面14)を含むことができ、カバー40は、ベースプレート10に直接接触するように構成された第2のシール面(例えば、シール面44)を含むことができる。
【0020】
図2は、レチクルポッド用のベースプレート10の一実施形態の上面図である。
図2は、ベースプレート10の上部12を示す。カバー40は、ベースプレート10の上部12上に載置されるように構成される。ベースプレート10はまた、レチクル支持体7Aを含むことができる。
【0021】
ベースプレート10は、シール面14と、ベースプレート本体16とを含む。シール面14は、ベースプレート本体16上に形成される。以下、シール面14およびベースプレート本体16の構成について、より詳細に説明する。
図2のベースプレート10は、単一の連続したシール面14を含む。シール面14は、ベースプレート10の全周に沿って延びる。しかし、ベースプレート10は、一実施形態では複数のシール面を含むことができる。例えば、別々のシール面14が、ベースプレート10とカバー40との間でより大きな摩耗量が生じ得る場所に設けられてもよい。一実施形態では、ベースプレート10のシール面14は、ベースプレート10の外周の一部に沿ってのみ延びてもよい。
【0022】
図2に示すように、1つまたは複数のシール面14は、ベースプレート10の75%未満を覆うように配置される。一実施形態では、1つまたは複数のシール面14は、ベースプレート10の50%未満を覆うように配置される。
【0023】
図3は、内側ポッド用のカバー40の一実施形態の底面図である。
図3は、カバー40の底部42を示す。カバー40の底部42は、カバー40がベースプレート40上に載置されたときにベースプレート10の上部12に接触するように構成される。カバー40はまた、レチクル収容部分3と、内側ポッド内のレチクルの上面に接触するレチクル接点7Bとを含むことができる。
【0024】
カバー40は、シール面44と、カバー本体46とを含む。シール面44は、カバー本体46上に形成される。以下、シール面44およびカバー本体46の構成について、より詳細に説明する。
図3のカバー40は、単一の連続したシール面44を含む。しかし、カバー40は、一実施形態では複数のシール面を含むことができる。例えば、ベースプレート40の外周の一部に沿ってのみ延びるシール面44の各々。例えば、別々のシール面44が、ベースプレート10とカバー40との間でより大きな摩耗量が生じる場所に設けられてもよい。
【0025】
シール面44は、カバー40の全周に沿って延びる。したがって、カバー40がベースプレート10上に載置されると、シール面44は、ベースプレート10の全周に沿って延びるように配置される。いくつかの実施形態では、ベースプレート10の1つまたは複数のシール面14およびカバー40の1つまたは複数のシール面44は、組み合わせてベースプレート10の全周にわたって延びるように配置されてもよい。例えば、ベースプレート10のシール面14は、ベースプレート10の全周に沿って延びなくてもよく、カバー40のシール面44は、シール面14なしでベースプレート10の外周の一部に沿って延びる。組み合わせて考慮すると、ベースプレート10のシール面14およびカバー40のシール面44は、ベースプレート10の全周に沿って延びることができる。
【0026】
シール面44は、カバー40の75%未満を覆うように設けられる。一実施形態では、シール面44は、カバー40の50%未満を覆う。内側ポッド1のシール面14、44は、ベースプレート10およびカバー40の75%未満を覆うように形成される。一実施形態では、シール面14、44は、ベースプレート10およびカバー40の50%未満を覆うように形成される。
【0027】
図4は、ベースプレート10およびカバー40のシール面14、44にわたる断面図である。例えば、
図4の断面は、
図2の破線A
1および
図3の破線A
2を通って延びる。
図4は、(例えば、
図1Bに示すように)カバー40がベースプレート10上に載置されたときのシール面14、44の構造および相互作用を示す。
【0028】
シール面14は、ベースプレート本体16上に形成され、シール面44は、カバー本体46上に形成される。ベースプレート本体16およびカバー本体46は、金属でそれぞれ形成される。ベースプレート本体16およびカバー本体46は、同じ金属で形成することができる。一実施形態では、ベースプレート本体16は、アルミニウムを含み、シール面14は、ベースプレート本体16のアルミニウム上に形成される。一実施形態では、カバー本体46は、アルミニウムを含み、シール面44は、カバー本体46のアルミニウム上に形成される。
【0029】
各シール面14、44は、耐摩耗性最外コーティング14A、44Aを含む。各耐摩耗性最外コーティング14A、44Aは、そのシール面14、14の全長に沿って延びる。例えば、耐摩耗性最外コーティング14Aは、シール面14について上述され
図2で示したのと同様に、ベースプレート12の全周に沿って延びる。
【0030】
図4に戻ると、ベースプレート10の各シール面14に沿って、耐摩耗性最外コーティング14Aは、ベースプレート10の外面18を提供する。カバー40の各シール面44に沿って、耐摩耗性最外コーティング44Aは、カバー40の外面48を提供する。したがって、カバー40は、ベースプレート10上に載置されたとき、1つまたは複数の耐摩耗性最外面14A、44Aを介してベースプレート10にのみ接触する。
【0031】
各耐摩耗性最外コーティング14A、44Aは、約70以上のロックウェルC硬度を有する。ロックウェルC硬度は、ASTM E18~20に従って測定および決定される。一実施形態では、耐摩耗性最外コーティング14A、44Aは、約80以上のロックウェルC硬度を有する。例えば、耐摩耗性コーティング14Aおよび/または44Aは、限定はしないが、窒化チタン、窒化クロム、ダイヤモンド状炭素、およびダイヤモンド-ニッケル複合材であってもよい。一実施形態では、耐摩耗性コーティング14Aおよび/または44Aは、ダイヤモンド-ニッケル複合材である。別の実施形態では、耐摩耗性コーティング14Aおよび/または44Aは、ダイヤモンド状炭素である。さらに他の実施形態では、耐摩耗性コーティング14Aおよび/または44Aは、窒化チタンまたは窒化クロムである。約70以上のロックウェルC硬度を有するコバルトまたはコバルト複合材を組み込んだ耐ウェア性コーティングも考えられる。
【0032】
耐摩耗性最外コーティング14A、44Aは、それらが形成されるベースプレート本体16またはカバー本体46の厚さよりも薄い厚さT1、T2を有する。一実施形態では、耐摩耗性最外コーティング14A、44Aの厚さは、約0.1~約100マイクロメートルである。一実施形態では、耐摩耗性最外コーティング14A、44Aの厚さは、約0.1~約60マイクロメートルである。一実施形態では、耐摩耗性最外コーティング14、44Aの厚さは、約0.1~約40マイクロメートルである。用途に応じて、ベースプレート10のシール面14は、カバーのシール面44上に設けられた耐摩耗性最外コーティング44Aと同じであっても異なっていてもよい耐摩耗性最外コーティング14Aとすることができる。
【0033】
図4に示すように、内側層20が耐摩耗性最外コーティング14Aとベースプレート本体16との間に設けられる。内側層20は、ベースプレート本体16上に形成され、耐摩耗性最外コーティング14Aは、積層された内側層20およびベースプレート本体16上にある。例えば、内側層20は、限定はしないが、ニッケルであってもよい。一実施形態では、ベースプレート10は、内側層20を含まなくてもよい。例えば、耐摩耗性最外コーティング14Aは、ベースプレート本体16の材料上に直接形成されてもよい。別の実施形態では、複数の内側層20が、耐摩耗性最外コーティング14Aとベースプレート本体16との間に設けられてもよい。例えば、ベースプレート本体16は、ベースプレート10の1つまたは複数の性質(例えば、反応性の低下、強度の増加など)、および/または耐摩耗性最外コーティング14Aの1つまたは複数の性質(例えば、強度の増加、耐摩耗性最外コーティングの接着性の増加など)を改善する内側層20を含むことができる。一実施形態では、カバー40は、上述したのと同様の方式で内側層50を含むことができる。
【0034】
図1A~
図4では、ベースプレート10とカバー40の両方には、耐摩耗性最外コーティング14A、44Aを有する少なくとも1つのシール面14、44が設けられる。ベースプレート10のシール面14は、カバー40のシール面44に直接接触する。より詳細には、ベースプレート10の耐摩耗性最外コーティング14Aは、カバー40の耐摩耗性最外コーティング44Aに直接接触する。他の実施形態では、シール面およびその耐摩耗性最外コーティングは、対向するシール面の耐摩耗性最外コーティングに接触しなくてもよい。シール面14、44およびその耐摩耗性最外コーティング14A、44Aは、耐摩耗性最外コーティング以外の材料に直接接触してもよい。例えば、シール面14、44およびその耐摩耗性外側コーティング14A、44Aは、対向するベースプレート本体16もしくはカバー本体46の金属、または前記対向するベースプレート本体16もしくはカバー本体上のコーティング(例えば、層20、層50など)に直接接触することができる。
【0035】
しかし、いくつかの実施形態では、ベースプレート10およびカバー40の一方のみがシール面を有してもよいことを理解されたい。例えば、ベースプレート10がシール面を含まない一方でカバー40には1つまたは複数のシール面44が設けられてもよく、またはその逆であってもよい。このような構成では、カバー40の耐摩耗性最外コーティング44Aは、ベースプレート10の異なる材料(例えば、ベースプレート本体16の金属、層20など)に接触する。
【0036】
図5は、一実施形態による、レチクルポッド200の斜視図である。レチクルポッド200は、内側ポッド210と、外側ポッド220とを含む。例えば、レチクルポッド200は、限定はしないが、フォトリソグラフィマスクの極紫外線(「EUV」)処理用のレチクルポッドであってもよい。
【0037】
内側ポッド210は、カバー212と、ベースプレート214とを含む。カバー212およびベースプレート214は、互いに接合されるように構成される。互いに接合されると、カバー212およびベースプレート214は、使用のためのレチクル230を収容するサイズおよび形状の内部空間を画定する。例えば、レチクル230は、限定はしないが、極紫外線(EUV)処理に使用されるフォトリソグラフィマスクであってもよい。いくつかの実施形態では、カバー212およびベースプレート214の少なくとも1つは、
図1A~
図3のベースプレート10およびカバー40について上述したのと同様の1つまたは複数のシール面216を含む。いくつかの実施形態では、カバー212およびベースプレート214は各々、シール面216(カバー212については
図5では不明瞭)の少なくとも1つを含む。耐摩耗性最外コーティングを含むシール面216の各々。耐摩耗性最外コーティングは、例えば、
図4について上述した耐摩耗性最外コーティング14Aとすることができる。カバー212は、例えば、上述され
図1A、
図1B、および
図3に示すカバー40とすることができる。ベースプレート214は、例えば、上述され
図1A、
図1B、および
図2に示すベースプレート10とすることができる。
【0038】
外側ポッド220は、外側ポッドドーム222と、外側ポッド扉224とを含む。外側ポッド220は、外側ポッドドーム222および外側ポッド扉224によって画定された内部空間内に内側ポッド210を収納するように構成される。外側ポッドドーム222は、例えばレチクルポッド200の搬送および取り扱い中、内部空間を取り囲み、内側ポッド210を収容するために外側ポッド扉224に固定することができる。外側ポッドドーム222および外側ポッド扉224は各々、1つまたは複数のポリマー材料を含むか、またはそれらから完全に作製することができる。
【0039】
図6は、レチクルポッドを製造する方法300のブロック図である。例えば、方法300は、上述され
図5で説明したレチクルポッド300を形成してもよく、または上述され
図1A~
図4で説明したレチクルポッド用のベースプレート10およびカバー40の一方または両方を形成してもよい。一実施形態では、レチクルポッドは、EUVレチクルポッドである。方法300は、310で開始する。
【0040】
310において、レチクルポッド用のベースプレート(例えば、ベースプレート10、ベースプレート214)およびカバー(例えば、カバー40、カバー212)が設けられる。一実施形態では、310は、ベースプレートおよびカバーの一方または両方を形成することを含むことができる。次いで、方法300は320に進む。
【0041】
320において、1つまたは複数のシール面(例えば、シール面14、シール面44、シール面216)が、ベースプレートのベースプレート本体(例えば、ベースプレート本体16)およびカバーのカバー本体(例えば、カバー本体46)の少なくとも1つの上に形成される。1つまたは複数のシール面は、ベースプレートとカバーとの間にシーリングを提供するように構成される。1つまたは複数のシール面の各々は、約70以上のロックウェルC硬度を有する耐摩耗性最外コーティング(例えば、耐摩耗性最外コーティング14A、耐摩耗性最外コーティング44A)を含む。耐摩耗性最外コーティングが形成され得る方法の非限定的な例には、物理気相堆積、スパッタ堆積、化学気相堆積、およびプラズマ強化化学気相堆積が挙げられる。
【0042】
一実施形態では、1つまたは複数のシール面を形成すること320は、ベースプレート本体上にシール面を形成すること322を含む。ベースプレート本体上にシール面を形成すること322は、ベースプレート本体上に耐摩耗性最外コーティング(例えば、耐摩耗性最外コーティング14A)を形成することを含む。耐摩耗性最外コーティングは、カバーがベースプレート上に載置されたときにカバーに直接接触するようにベースプレート本体上に配置される。
【0043】
一実施形態では、1つまたは複数のシール面を形成すること320は、カバー本体上に少なくとも1つのシール面を形成すること324を含む。カバー本体上にシール面を形成すること324は、カバー本体上に耐摩耗性最外コーティング(例えば、耐摩耗性最外コーティング44A)を形成することを含む。耐摩耗性最外コーティングは、カバーがベースプレート上に載置されたときにベースプレートに直接接触するようにカバー本体上に配置される。
【0044】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のシール面を形成すること320は、ベースプレート本体上にシール面を形成すること322と、カバー本体上にシール面を形成すること324との両方を含む。他の実施形態では、1つまたは複数のシール面を形成すること220は、ベースプレート本体上にシール面を形成すること322、またはカバー本体上にシール面を形成すること324の一方のみを含むことができる。
【0045】
場合によっては、それらの形成後、耐摩耗性最外コーティングを所望の表面粗さまたは平滑性まで研磨して接触表面積を高め、耐摩耗性コーティングにおける表面欠陥を最小限に抑えることができる。
【0046】
様々な実施形態における方法300は、
図1A~
図4のベースプレート10およびカバー40に関して上述した特徴と同等の特徴を達成するように修正することができることを理解されたい。例えば、一実施形態における方法300は、ベースプレートの全周に沿って延びるように1つまたは複数のシール面320を形成してもよい。
【0047】
態様:
態様1~12のいずれかは、態様13~20のいずれかと組み合わせることができる。
【0048】
態様1.カバー本体を含むカバーと、ベースプレート本体を含むベースプレートと、前記ベースプレート本体および前記カバー本体の一方または両方の上に形成され、前記カバーと前記ベースプレートとの間にシーリングを提供する1つまたは複数のシール面であって、前記1つまたは複数のシール面は各々、約70以上のロックウェルC硬度を有する耐摩耗性最外コーティングを含む1つまたは複数のシール面とを備える、ポッド。
【0049】
態様2.前記耐摩耗性最外コーティングの前記ロックウェルC硬度は、約80以上である、態様1に記載のポッド。
【0050】
態様3.前記耐摩耗性最外コーティングは、窒化チタン、窒化クロム、およびダイヤモンド状炭素の1つである、態様1または2に記載のポッド。
【0051】
態様4.前記耐摩耗性最外コーティングは、約0.1~約100マイクロメートルの厚さを有する、態様1~3のいずれか一項に記載のポッド。
【0052】
態様5.前記1つまたは複数のシール面は、前記ベースプレートの75%未満および前記カバーの75%未満を覆う、態様1~4のいずれか一項に記載のポッド。
【0053】
態様6.前記1つまたは複数のシール面は、前記ベースプレート本体上に形成された第1のシール面を含み、前記ベースプレートは、前記第1のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングを含み、前記第1のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングは、前記カバーが前記ベースプレート上に載置されたときに前記カバーに直接接触するように配置される、態様1~4のいずれか一項に記載のポッド。
【0054】
態様7.前記ベースプレート本体は、アルミニウムを含み、前記耐摩耗性最外コーティングは、前記アルミニウム上に形成される、態様6に記載のポッド。
【0055】
態様8.前記1つまたは複数のシール面は、前記カバー本体上に形成された第2のシール面を含み、前記カバーは、前記第2のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングを含み、前記カバーの前記耐摩耗性最外コーティングは、前記カバーが前記ベースプレート上に載置されたときに前記ベースプレートの前記耐摩耗性最外コーティングに直接接触するように配置される、態様6または7に記載のポッド。
【0056】
態様9.前記カバーは、前記ベースプレート上に載置されたとき、前記1つまたは複数のシール面の前記1つまたは複数の耐摩耗性最外面を介して前記ベースプレートにのみ接触する、態様1~8のいずれか一項に記載のポッド。
【0057】
態様10.前記1つまたは複数のシール面の前記1つまたは複数の耐摩耗性外面は、前記ベースプレートの全周に沿って延びる、態様1~9のいずれか一項に記載のポッド。
【0058】
態様11.前記ポッドは、EUVレチクルポッドである、態様1~9のいずれか一項に記載のポッド。
【0059】
態様12.外側ポッドドームと、外側ポッド扉とをさらに備え、前記外側ポッドドームおよび前記外側ポッド扉は、前記外側ポッド扉が前記外側ポッドドームに取り付けられたときに前記外側ポッドドーム内に前記ベースプレートおよび前記カバーを収納するように構成される、態様1~11のいずれか一項に記載のポッド。
【0060】
態様13.レチクルポッドを製造する方法であって、ベースプレートのベースプレート本体およびカバーのカバー本体の少なくとも1つの上に1つまたは複数のシール面を形成し、前記ベースプレートと前記カバーとの間にシーリングを提供することであって、前記1つまたは複数のシール面は各々、約70以上のロックウェルC硬度を有する耐摩耗性最外コーティングを含むことを含む、方法。
【0061】
態様14.前記耐摩耗性最外コーティングの前記ロックウェルC硬度は、約80以上である、態様13に記載の方法。
【0062】
態様15.前記耐摩耗性最外コーティングは、窒化チタン、窒化クロム、およびダイヤモンド状炭素の1つである、態様13または14に記載の方法。
【0063】
態様16.前記耐摩耗性最外コーティングは、約0.1~約100マイクロメートルの厚さを有する、態様13~15のいずれか一項に記載の方法。
【0064】
態様17.前記ベースプレート本体および前記カバー本体の前記少なくとも1つの上に前記1つまたは複数のシール面を形成することは、前記ベースプレートの前記少なくとも1つの75%未満および前記カバーの75%未満を覆うように前記1つまたは複数のシール面を形成することを含む、態様13~16のいずれか一項に記載の方法。
【0065】
態様18.前記1つまたは複数のシール面は、第1のシール面を含み、前記1つまたは複数のシール面を形成することは、前記ベースプレート本体上に前記第1のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングを形成することを含み、前記第1のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングは、前記カバーが前記ベースプレート上に載置されたときに前記カバーに直接接触するように配置される、態様13~17のいずれか一項に記載の方法。
【0066】
態様19.前記ベースプレート本体は、アルミニウムを含み、前記1つまたは複数のシール面を形成することは、前記ベースプレートの前記アルミニウム上に前記第1のシール面の前記耐摩耗性最外コーティングを形成することを含む、態様13~18のいずれか一項に記載の方法。
【0067】
態様20.前記1つまたは複数のシール面を形成することは、前記ベースプレートの全周に沿って延びるように前記1つまたは複数のシール面の前記1つまたは複数の耐摩耗性外面を形成することを含む、態様13~19のいずれか一項に記載の方法。
【0068】
本出願で開示される例は、すべての点において例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。本開示の範囲は、前述の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内にあるすべての変更は、特許請求の範囲に包含されることを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2023-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー本体を含むカバーと、ベースプレート本体を含むベースプレートと、ベースプレート本体及びカバー本体の一方又は両方の上に形成され、カバーとベースプレートとの間にシーリングを提供する一又は複数のシール面であって、一又は複数のシール面は各々、約70以上のロックウェルC硬度を有する耐摩耗性最外コーティングを含む一又は複数のシール面とを備える、ポッド。
【請求項2】
耐摩耗性最外コーティングは、窒化チタン、窒化クロム、ダイヤモンド状炭素、又はダイヤモンド-ニッケル複合材の1つである、請求項1に記載のポッド。
【請求項3】
第1の耐摩耗性最外コーティングを有する第1のシール面は、ベースプレート本体上に形成され、第2の耐摩耗性最外コーティングを有する第2のシール面は、カバー本体上に形成され、第1の耐摩耗性最外コーティングは、第2の耐摩耗性最外コーティングと同じである、請求項1に記載のポッド。
【請求項4】
第1の耐摩耗性最外コーティングを有する第1のシール面は、ベースプレート本体上に形成され、第2の耐摩耗性最外コーティングを有する第2のシール面は、カバー本体上に形成され、第1の耐摩耗性最外コーティングは、第2の耐摩耗性最外コーティングとは異なる、請求項1に記載のポッド。
【請求項5】
ベースプレートのベースプレート本体及びカバーのカバー本体の少なくとも1つの上に一又は複数のシール面を形成し、ベースプレートとカバーとの間にシーリングを提供することであって、一又は複数のシール面は各々、約70以上のロックウェルC硬度を有する耐摩耗性最外コーティングを含むことを含む、レチクルポッドを製造する方法。
【国際調査報告】