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特表2023-534132膨張可能なブラダーを備えた肢位置決め使い捨て用品
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】膨張可能なブラダーを備えた肢位置決め使い捨て用品
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/14 20160101AFI20230801BHJP
   A61B 46/10 20160101ALI20230801BHJP
【FI】
A61B90/14
A61B46/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577779
(86)(22)【出願日】2021-07-14
(85)【翻訳文提出日】2022-12-16
(86)【国際出願番号】 US2021041662
(87)【国際公開番号】W WO2022015872
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/051,469
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510059882
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・オルソペディクス・アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】519295384
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・アジア・パシフィク・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】コーミエ、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ラップ、カサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィラ、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】オーベンドルフ、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ブリジャーズ、マイケル デイヴィッド
(57)【要約】
整形外科治療手技中に人体の腕の下部を位置付け、かつ保持するための整形外科用肢インターフェース装置が、開示されている。装置は、スリーブに結合されたハンドプレートを含む。スリーブは、腕を囲んで掴み、かつ膨張可能なブラダーで裏打ちされている。ブラダーは、複数の膨張可能なゾーンを含み、少なくとも1つのゾーンは、膨張したブラダーがそれに沿って可変膨張プロファイルを有するように、膨張制限手段を有する。可変膨張プロファイルは、肢の麻痺を避けるために肢の他の領域をソフトに保持しながら、肢の標的領域における保持を増加させるように構成されている。保持が増加した領域は、腕の一部と係合して、信頼できる肢の散乱のために腕上のグリップを改善することができる。
【選択図】図3A図3D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
整形外科手技中に人体の腕及び手の下部を位置付け、かつ保持するための整形外科用肢インターフェース装置であって、
ハンドプレートと、
前記腕を囲い、かつ掴んで保持するように構成された、前記ハンドプレートに結合されたスリーブであって、前記スリーブが、その中に流体が導入されると膨張した構成に膨張し、かつ前記スリーブの内部開口サイズを調節するように構成されたブラダーを含み、前記ブラダーが、前記ブラダーに沿って、膨張がより大きい少なくとも1つのゾーン、及び膨張が制限された少なくとも1つのゾーンを含む、複数の膨張可能なゾーンを含み、前記複数の膨張可能なゾーンが、前記腕との前記整形外科用肢インターフェース装置の保持を改善するように構成されている、スリーブと、を備える、整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項2】
前記膨張がより大きい少なくとも1つのゾーンが、前記ブラダーの端部に沿って配置されており、前記腕の手首部分の周りに係合し、かつ前記腕の長手方向軸に沿った軸方向の牽引時の滑りに対する抵抗を改善するように構成されている、請求項1に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項3】
前記複数の膨張可能なゾーンが、膨張が制限された少なくとも1つのゾーンによって分離された、膨張がより大きい少なくとも2つの個別のゾーンを含み、前記少なくとも2つの個別のゾーンが、前記腕の周りに組み立てられたときに、前記腕の前面の対向する側面と係合するように構成されており、前記腕への回転力の印加時の滑りに対する抵抗を改善するように構成されている、請求項2に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項4】
前記膨張が制限された少なくとも1つのゾーンが、リブ、キルティング、又はベローズのうちの少なくとも1つを含む膨張を制限する手段によって画定されている、請求項1に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項5】
前記膨張が制限された少なくとも1つのゾーンが、複数のキルティングドットによって少なくとも部分的に画定されている、請求項1に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項6】
前記整形外科用肢インターフェース装置に固定して結合された滅菌ドレープを更に備え、前記滅菌ドレープが、前記腕、ハンドプレート、及びスリーブの上に滅菌バリアを展開し、かつ提供するように構成されている、請求項1に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項7】
前記ブラダーが、流体輸送システムに動作可能に結合されており、前記流体輸送システムが、流体を前記ブラダー内に輸送し、それによって、前記ブラダーを膨張させるように構成されており、前記流体輸送システムが、圧力制限弁を含む、請求項1に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項8】
整形外科手技中に人体の腕及び手の下部を位置付け、かつ保持するための整形外科用肢インターフェース装置であって、
ハンドプレートと、
前記腕を囲い、かつ掴むように構成された、前記ハンドプレートに結合されたスリーブであって、前記スリーブが、その中に流体が導入されると膨張し、かつ前記スリーブの内部開口サイズを調節するように構成されたブラダーを含み、前記ブラダーが、膨張制限手段を含む少なくとも1つのゾーンと、前記膨張制限手段を含む少なくとも1つのゾーンよりも更に膨張するように構成された、膨張制限手段を含まない少なくとも1つのゾーンと、を含む、互いに流体的に結合された複数の膨張可能なゾーンを含み、前記複数の膨張可能なゾーンが、前記腕との前記整形外科用肢インターフェース装置の保持を改善するように構成されている、スリーブと、を備える、整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項9】
前記膨張制限手段を含むゾーンのうちの前記少なくとも1つが、前記腕の挟み込みを低減し、それによって、前記手の麻痺を軽減するように構成されている、請求項8に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項10】
前記膨張制限手段を含まない少なくとも1つのゾーンが、前記ブラダーの遠位端に沿って延在しており、前記腕の手首部分を膨張及び係合し、前記腕の長手方向軸に沿った軸方向の牽引時の滑りに対する抵抗を改善するように構成されている、請求項8に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項11】
膨張制限手段を含まない前記少なくとも1つのゾーンが、2つの個別のゾーンを含み、前記2つの個別のゾーンの各々が、前記ブラダーに沿って軸方向に延在し、かつ膨張制限手段を含むゾーンによって分離された、細長いゾーンを画定し、前記2つの個別のゾーンが、前記腕への回転力の印加時に滑りに対する抵抗を改善するよう構成されている、請求項8に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項12】
前記膨張制限手段が、リブ、キルティング、又はベローズのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項13】
前記膨張制限手段が、複数のキルティングドットを含む、請求項8に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項14】
前記整形外科用肢インターフェース装置に動作可能に結合された滅菌ドレープを更に備え、前記滅菌ドレープが、前記腕、ハンドプレート、及びスリーブの上に滅菌バリアを提供するように構成されている、請求項8に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項15】
前記ブラダーが、流体輸送システムに動作可能に結合されて提供されており、前記流体輸送システムが、流体を前記ブラダー内に輸送し、それによって、前記ブラダーを膨張させるように構成されており、前記流体輸送システムが、圧力制限弁を含む、請求項8に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項16】
整形外科手技中に人体の腕及び手首の下部を位置付け、かつ保持するための整形外科用肢インターフェース装置であって、
ハンドプレートに動作可能に結合された膨張可能なブラダーであって、前記膨張可能なブラダーが、前記腕及び手首を取り囲み、かつその中に流体が導入されると膨張するように構成されており、前記膨張可能なブラダーが、膨張制限手段を有するゾーンと、前記膨張可能なブラダーが可変膨張プロファイルを画定するように、膨張制限手段がないゾーンと、を含み、前記可変膨張プロファイルが、前記手首及び手の所定部分の保持を増加して、牽引中の前記腕の滑りを止めるように構成されている、膨張可能なブラダーを備える、整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項17】
前記可変膨張プロファイルが、前記手首の周りで係合し、かつ軸方向牽引を受ける間に前記整形外科用肢インターフェース装置を保持するように構成された、前記膨張可能なブラダーの遠位縁部に沿って配置される、膨張制限手段がない少なくとも1つのゾーンを含む、請求項16に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項18】
前記可変膨張プロファイルが、膨張制限手段がない少なくとも2つのゾーンを含み、前記少なくとも2つのゾーンの各々が、前記腕の長さに沿って係合し、かつ回転牽引を受ける間の滑りに対する改善された抵抗のために前記整形外科用肢インターフェース装置を保持するように構成された、前記膨張可能なブラダーの長手方向軸に沿って配置される、請求項16に記載の整形外科用肢インターフェース装置。
【請求項19】
前記膨張制限手段が、複数のキルティングドットを含む、請求項16に記載の整形外科用肢インターフェース装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月14日に出願された「LIMB POSITIONING DISPOSABLES WITH AIR BLADDERS」と題する、米国仮特許出願第63/051,469号の利益を主張し、かつその全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、肢位置決め装置を介した整形外科用関節鏡下及び関節形成術手技中に肢を保持及び位置付ける、肢インターフェース装置の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
整形外科用関節鏡下及び関節形成術手技中に、病理へのアクセスを得るために患者の肢を位置付ける必要があることが多い。牽引はまた、特定の解剖学的構造へのアクセスを得るために、関節をそらすために必要になる場合がある。肢を位置付けるために、肢インターフェース装置(LID)は、患者の肢と係合し、かつ移動式アンカーポイントとして作用する外科手術位置決めアームに接続する。LIDは、無菌状態で手術室に到着することが好ましい。
【0004】
現在のLIDは、患者の肢及び位置、並びに実施される外科手術に特有であってもよい。例えば、先行技術のLIDは、図1Aに示す外科手術スリーブ又はラップ10を含んでもよい。スリーブ10は、患者の腕2及び手4を肢位置決めアーム20に取り付ける。この例では、肢位置決めアーム20に固定される前に、図1Aに示すように、患者の手4は、ハンドル又はバー6に取り付けられ、かつボールドフィストに固定される。患者の腕2及び手4の部分は、可撓性のスリーブ10にドレープされるか、又は覆われ、かつストラップ5で定位置に固定される。スリーブ10は、パッド用の開放セル発泡体材料を含み得る。外科手術スリーブ又はラップ10はまた、図1Bに示すビーチチェア位置など、患者の腕を位置付けるために、肢位置決めアーム20と異なる配向で使用され得る。
【0005】
現在のLIDは、1つのサイズでのみ利用可能であり得るため、患者とLIDとの間の嵌合は変化する。この嵌合の変化は、患者とLIDとの間の移動及び滑りをもたらし得る。この滑りは、手技を実施するために必要な注意をそらす結果となり得、それによって、散乱空間が再確立される間に手術時間が長くなるため、問題がある。しかしながら、装置を締めすぎて滑りを補えない場合、患者の手4及び指1に麻痺が生じる可能性がある。
【0006】
現在のLIDは、滅菌された状態で提供されなければならず、患者の肢は、手術部位から肢の遠位端まで滅菌溶液で滅菌されなければならない。肩の手技については、滅菌溶液は、肩から、かつ腕の下方から、指先まで塗布される。次に、滅菌溶液は、肢インターフェース装置を患者に取り付け得る前に、乾燥する時間を必要とする。滅菌溶液が指先まで完全に塗布されていない場合、まずストッキネットを患者に載せて、肢インターフェース装置を使用する間に滅菌状態が維持されることを確実にする。次に、患者肢をLID内に配置し、LIDは、ベルクロなどの固定機構を介して閉じてもよく、その後、コバンなどの自己接着ラップをLIDの周りに巻き付けて、肢を更に固定してもよい。次に、手術肢は、外科手術部位のみが露出するように、滅菌ドレープ(図示せず)で覆われる。この手技には時間がかかるため、複数の手順及び構成要素が必要となる。
【0007】
したがって、肢の麻痺を引き起こすことなく、保持力及び散乱を改善するため、より多くの肢サイズを収容し、かつ肢に沿った重要な位置に調節可能に嵌合し、掴むことができる、LIDが必要である。より少ない時間を必要とし、かつ個々の構成要素を減少させて、位置付けられ滅菌された患者肢を準備する、LIDがまた必要である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
例示的な実施形態の詳細な説明について、次に、添付図面を参照する。
【0009】
図1A】当技術分野で公知のLIDによって支持される患者の腕を示しており、患者の腕は「側臥位」位置に位置付けられている。
図1B】当技術分野で公知のLIDによって支持される患者の腕を示しており、患者の腕はビーチチェア位置に位置付けられている。
図2A】腕、手首、及び手の前側の解剖学的構造を示している。
図2B】腕、手首、及び手の内側の解剖学的構造を示している。
図3A】本開示による、巻き付け構成における膨張可能なブラダーを有する、LID実施形態を示している。
図3B】本開示による、図3Aに示すLID実施形態の側面図を示している。
図3C】本開示による、図3Aに示すLID実施形態の下側の図を示している。
図3D】本開示による、図3Aに示すLID実施形態の膨張可能なブラダーを示しており、ブラダーは、キルティングドットのゾーンを有する巻き付けられていない構成にある。
図3E】本開示による、図3Dに示す膨張可能なブラダーの膨張の変化するゾーンを表している。
図3F】本開示による、膨張制限手段を有する、図3Dに示す膨張したブラダーのゾーンの断面を示している。
図3G】本開示による、図3Dに示す膨張したブラダーのゾーンの断面を示しており、ゾーンには膨張制限手段がない。
図3H】本開示による、患者の腕、手、及び手首の対応する側面上の図3Dに示した膨張可能なブラダーの外側部分及び内側部分を示している。
図3I】本開示による、患者の腕、手、及び手首の対応する側面上の図3Dに示した膨張可能なブラダーの後部分及び前部分の変化した膨張プロファイルを示している。
図3J】本開示による、巻き付けられていない構成における図3Aに示したLID実施形態の図を示している。
図3K】本開示による、巻き付けられていない構成における図3Aに示したLID実施形態の下側の図を示している。
図4A】本開示による、膨張可能なブラダーを有する別のLID実施形態を示している。
図4B】本開示による、LIDに予め組み立てられ、かつ患者の腕及びLIDを覆う、滅菌ドレープを有する、患者の腕及びリストの周りに巻き付けられた図4Aに示すLID実施形態を示している。
図4C】本開示による、図4Aに示す膨張可能なブラダーの例示のベローズ及びリブパターンを示しており、膨張可能なブラダーは、開放構成で示されている。
図4D】本開示による、図4Aに示すLID実施形態の側面図を示している。
図4E】本開示による、図4Aに示すLID実施形態の上面図を示している。
図5A】本開示による、膨張可能なブラダーを有する別のLID実施形態を示している。
図5B】本開示による、図5Aに示すLIDの側面図を示している。
図5C】本開示による、図5Aに示すLID内の膨張可能なブラダーの例示の膨張制限ゾーンを示しており、ブラダーは、平坦化され、かつ図5Aに示す例示のLIDから取り外されて示されている。
図6A】本開示による、別のLID実施形態を示している。
図6B】本開示による、図5Aに示すLIDの側面図を示している。
【発明の概要】
【0010】
本明細書において、患者肢を保持するための1つ以上の膨張可能なブラダーを含む、LIDが開示される。ブラダーは、様々な程度に膨張して、機能を改善する。例えば、ブラダーは、肢上の標的領域の周りで最も膨張して、肢への外部負荷を与えて肢の保持を改善することができる。これにより、肢の位置決め及び牽引中の患者とLIDとの間のグリップが改善され得る。同時に、ブラダーは、他の領域に沿って膨張を制限し、したがって、LID上のこれらの領域を緩和し、それによって、患者の肢への麻痺又は神経損傷の可能性を低減する手段を含み得る。例えば、膨張可能なブラダーは、手首の前面に隣接して最小限に膨張しながら、手首の外側及び内側側面でより多く膨張することが好ましく、手首の前面に沿って延在する神経に沿って圧力の緩和を提供しながら、手首の周りを掴み得る。膨張可能なブラダーは、ポンプを介して、ブラダーと一体的に膨張され得る。
【0011】
一部のゾーンでより多く、かつ他のゾーンでより少なく膨張させる手段を有する組み込まれた膨張可能なブラダーは、流体が患者と肢インターフェース装置との間のギャップのいずれかを充填するため、患者の解剖学的構造及びサイズの範囲を収容するように、カスタマイズ可能な嵌合を提供し、したがって、2つの間の滑りの量を制限することができる。統合された滅菌バリアドレープによって、ストッキネット又はコバンを使用することなく、未滅菌の手を装置内に置けるようにし、これは、手術前の時間を節約することができる。
【0012】
本明細書で使用される用語「スリーブ」は、膨張可能なブラダーを担持し、かつ膨張可能なブラダーの膨張を肢から半径方向に離して拘束する、構築物として定義される。スリーブは、肢の上、かつそれに沿って組み立てられ、ブラダーを肢に対して保持するように構成されている。スリーブは、チューブ、ラップ、鞘、カフ、又はクラムシェルであってもよい。スリーブは、肢の自由端の上を摺動して肢を取り囲むことによって組み立てられる管として提供され得る。スリーブは、開放された巻き付けられていない形態で提供され、かつスリーブを肢の周りに巻き付けることによって組み立てられる、ラップであってもよい。この例では、スリーブは、ベルクロ又は接着テープ又はフックアンドアイなどの閉鎖手段を含み得る。スリーブは、クラムシェルであってもよく、互いに対して移動して、その中に肢をねじ込む開口部を提供する、少なくとも2つの嵌合セグメントを含んでもよい。スリーブは、ヒンジ又はスナップを含み得る。スリーブは、硬質及び/又は可撓性の材料で形成されてもよい。スリーブは、ニット繊維から形成され得る。
【0013】
本明細書では、整形外科手技中に人体の腕及び手の下部を位置付け、かつ保持することができる、整形外科用肢インターフェース装置が開示される。それは、剛直であり得、かつ位置決めアームに直接結合し得る、ハンドプレートを含み得る。また、ハンドプレートに結合されたスリーブを含んでもよい。スリーブは、腕の下部に組み立てられ、組み立てられた形態で、腕及び手首を取り囲むことができる。スリーブは、膨張可能なブラダーを含んでもよく、これは、スリーブの内部開口サイズを調節し、それによって腕及び手首の輪郭に調節するように膨張され得る。膨張可能なブラダーは、腕及び手首上のグリップが増加したゾーンと、腕及び手首上の圧力が緩和したゾーンとを形成する、互いに流体的に結合され得る複数の膨張可能なゾーンを含む。ゾーンのうちの少なくとも1つは、腕及び手首上のグリップを増加させるための、膨張がより大きいゾーンを画定する。ゾーンのうちの少なくとも1つは、圧力を緩和して腕及び手の麻痺を回避するための、ブラダーに沿って膨張が制限されたゾーンを画定する。複数のゾーンは、腕との整形外科用肢インターフェース装置の保持を改善するように構成されている。
【0014】
一部の例示的な実施形態では、膨張がより大きいゾーンのうちの1つは、ブラダーの端部に沿って配置され得、手首と係合し、かつそれを取り囲んで、腕上のグリップを改善し、より具体的には、腕の長手方向軸に沿った軸方向の牽引時の滑りに対する増加する標的抵抗を提供するように構成されている。一部の例示的な実施形態では、複数の膨張可能なゾーンは、膨張が制限された少なくとも1つのゾーンによって分離された、膨張がより大きい少なくとも2つの個別のゾーンを含み得る。少なくとも2つの個別のゾーンは、2つの個別のゾーンが、腕を囲むときに、腕への外部回転力の印加時の滑りに対する抵抗を改善するように構成されるように、腕の前面の対向する側面と係合するように構成され得る。膨張が制限された少なくとも1つのゾーンは、リブ、キルティング、又はベローズのうちの少なくとも1つを含む膨張を制限する手段によって画定され得る。膨張が制限された少なくとも1つのゾーンは、複数のキルティングドットによって少なくとも部分的に画定され得る。装置はまた、腕、ハンドプレート、及びスリーブの上に滅菌バリアを展開し、かつ提供するように構成された、装置に結合された滅菌ドレープを含み得る。ブラダーは、流体輸送システムと一体的に、かつこれに動作可能に結合されて提供され得、流体輸送システムは、流体をブラダー内に輸送し、それによって、ブラダーを膨張させるように構成されており、流体輸送システムは、圧力制限弁を含む。
【0015】
整形外科手技中に人体の腕及び手の下部を位置付け、かつ保持する、別の整形外科LID実施形態が開示される。この装置は、スリーブに結合されたハンドプレートを含む。スリーブは、腕を囲い、かつ掴むように構成されており、その中に流体が導入されると膨張し、かつスリーブの内部開口サイズを調節するように構成されたブラダーによって裏打ちされ得る。ブラダーは、膨張を制限するための膨張制限手段を有する少なくとも1つのゾーンと、膨張制限手段を有する少なくとも1つのゾーンよりも更に膨張するように構成された膨張制限手段を含まない少なくとも1つのゾーンと、を含む、互いに流体的に結合され得る、複数の膨張可能なゾーンを含む。複数の膨張可能なゾーンは、腕との整形外科用肢インターフェース装置の保持を改善するように構成されている。
【0016】
一部の例示的な実施形態では、膨張制限手段を含むゾーンのうちの少なくとも1つは、腕の挟み込みを低減し、それによって、手の麻痺を軽減する。膨張制限手段を含まない少なくとも1つのゾーンは、ブラダーの遠位端に沿って延在し得、腕の手首部分を膨張及び係合して、腕の長手方向軸に沿った軸方向の牽引時の滑りに対する抵抗を改善し得る。膨張制限手段を含まない少なくとも1つのゾーンは、ブラダーに沿って軸方向に延在しており、かつ膨張制限手段を含むゾーンによって分離されている、2つの個別の細長いゾーンを含み得る。2つの個別のゾーンは、患者の腕と係合し、かつ腕への回転力の印加時の滑りに対する抵抗を改善し得る。膨張制限手段は、リブ、キルティング、又はベローズのうちの少なくとも1つを含み含み得る。膨張制限手段は、複数のキルティングドットを含み得る。整形外科用肢インターフェース装置はまた、腕、ハンドプレート、及びスリーブの上に滅菌バリアを提供するように構成された、装置に結合された滅菌ドレープを含み得る。ブラダーは、流体輸送システムに動作可能に結合され得、流体輸送システムは、流体をブラダー内に輸送し、それによって、ブラダーを膨張させるように構成されており、流体輸送システムは、圧力制限弁を含む。
【0017】
本明細書では、整形外科手技中に人体の腕及び手首の下部を位置付け、かつ保持する、別の整形外科用肢インターフェース装置が開示される。装置は、ハンドプレートに動作可能に結合された膨張可能なブラダーを含み、膨張可能なブラダーは、腕及び手首を取り囲み、かつその中に流体が導入されると膨張するように構成されている。膨張可能なブラダーは、膨張制限手段を有するゾーンと、膨張可能なブラダーが可変膨張プロファイルを画定するように、膨張制限手段がないゾーンと、を含む。可変膨張プロファイルは、牽引中の腕の滑りを止めるために、手首及び手の標的部分の増加された保持を提供する。可変膨張プロファイルは、患者の腕の手首を取り囲み、かつ軸方向牽引を受ける間に整形外科用肢インターフェース装置を保持するように構成された、膨張可能なブラダーの遠位端に沿って配置される、膨張制限手段がない少なくとも1つのゾーンを含み得る。可変膨張プロファイルは、膨張可能なブラダーの長手方向軸に沿って配置される、膨張制限手段がない少なくとも2つのゾーンを含み得る。これらの2つのゾーンは、患者の腕の長さに沿って係合し、かつ外部回転牽引を受けている間に整形外科用肢インターフェース装置を保持し得る。膨張制限手段は、複数のキルティングドットを含み得る。可変膨張プロファイルは、互いに対して第1の間隔を有する複数のドットを含む、第1のゾーンと、第1のゾーンと互いに対して異なる第2の間隔を有する複数のドットを含む、第2のゾーンと、を含み、それによって、第1のゾーンと第2のゾーンとの間に可変膨張プロファイルを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、異なる例で示されているかどうかにかかわらず、同一の構成要素には同一の参照番号が与えられている。明瞭かつ簡潔な方法で例を説明するために、図面は必ずしも縮尺ではない場合があり、ある特定の特徴が何らかの概略的形態で示され得る。一実施例に関して記述及び/又は図示された特徴は、1つ以上の他の実施例、及び/又は、他の実施例の特徴と組み合わせて、又は、その代わりに、同一の方法又は類似の方法で使用されてもよい。
【0019】
本明細書及び請求項において使用される場合、本発明を説明及び定義する目的のために、「約」及び「実質的に」という用語は、任意の定量的比較、値、測定、又はその他の表現に起因し得る不確実性の固有の程度を表すために使用される。「約」及び「実質的に」という用語はまた、本明細書において、問題における主題の基本的機能の変化をもたらすことなく、定量的表現が指定された参照から変化し得る程度を表すのに使用される。「備える」、「含む」、及び/又はそれぞれの複数形は非限定であり、列挙された部品を含み、列挙されていない更なる部品を含み得る。「及び/又は」は非限定であり、1つ以上の列挙された部品及び列挙された部品の組み合わせを含む。用語「上部」、「下部」、「上向き」などの使用は、本開示の明確な説明に役立つことのみを意図するものであり、本開示の構造、位置付け、及び/又は動作をいかなる様式でも制限することを意図するものではない。
【0020】
指1、腕2、手首3及び手4を含む、手及び前腕の解剖学的構造が、図2A及び図2Bに示されている。手根骨領域7は、手4の近位端にあり、その中にくも膜下骨及び海綿状骨を含む。第1の中足骨8の近位端は、手根骨領域7の遠位端に隣接して位置される。本明細書では、位置決めアーム20を囲んで結合し、患者の腕2、手首3及び手4の様々な部分を係合して、肢を位置付けるのに役立つ、スリーブ、クランプ、又はラップの形態のLIDが開示される。LIDは、肢の改善されたグリップのために、膨張して、腕2、手首3、及び手4の輪郭に適合する一方で、過度な挟み込み、及び麻痺又は手肢の損傷を引き起こすことを回避又は低減するように構成された少なくとも1つのブラダーを含む。ブラダーは、一旦肢の周りに配置されると、管状又は円錐形状であってもよい。ブラダーは、腕2、手首3及び手4の部分に優先的に拡張して、牽引中の肢の保持性を改善するように構成されている。ブラダーは、肢の形状に適合するように流体で膨張され得る。ブラダーは、一部のゾーンではより大きな奥行き又はより大きなプロファイルに優先的に拡張するが、他の領域ではより小さなプロファイルに留まり得る。別の言い方をすると、ブラダーは、少なくとも1つの小さなプロファイルゾーン及び少なくとも1つの大きなプロファイルゾーンを含み得る。各ゾーンは流体的に分離されてもよく、それによって、一度に1つずつ膨張される個別の個々のブラダーから形成されるが、それらは互いに流体的に連続することが好ましい。各ゾーンは、完全に拡張されたときに一貫した膨張奥行きを有してもよく、又はそれに沿って様々な膨張奥行きを有してもよい。また、ブラダーは、周辺境界の周りに少なくとも2つのシートの材料を封止することによって形成されてもよく、これらの封止された境界に隣接して、膨張プロファイルは、徐々にテーパ状であってもよく、したがって変化してもよいが、このテーパは、ゾーンの意図とは異なる。
【0021】
この例では、LID保持は、側臥位で典型的である、肢長手方向軸に沿った軸方向牽引中に改善され得る。ブラダーは、膨張プロファイルを制限し、これらのゾーンを膨張させるために必要な流体の量を減少させるために、下側プロファイルゾーンにキルティング又はベローズを含み得る。ブラダーは、互いから円周方向に間隔を置いた2つの個別の部分で、より大きなプロファイルに拡張し得る。これにより、肢に対する回転力の間の装置保持が改善され、LIDが患者の肢の周りを回転することを防止し得る。この回転力は、図1Bに示すビーチチェア位置にあるときにより一般的である。
【0022】
第1の例示の装置を図3A図3Kに示す。LID200は、ハンドプレート220、及びそれに取り付けたラップ230の形態のスリーブを含み得る。図3A図3Cは、閉じたラップ状態(巻き付け構成)でのLID200を示している。ハンドプレート220は一般的に、LID200にある程度の剛性を提供するように構成されており、腕2、手4及び手首3を支持し得る。ハンドプレート220は、患者の腕の前側と係合してもよい。ハンドプレート220は、プラスチック又は金属などの硬質材料で形成され得る。ハンドプレート220は、患者位置決めアーム20(図1Bで最もよく分かる)に結合する手段を含み得る。例えば、ハンドプレート220は、位置決めアーム20に結合するためのポスト210を含み得る。患者の手4及び指1は、手根骨領域7、手首3、及び腕2をラップ230で囲んだ状態で、ハンドプレート220の輪郭表面222上に位置してもよい。輪郭表面222は、患者の腕2とLID200との間の滑りの可能性を低減するために、高い摩擦係数を有する、粘弾性発泡体225の層で裏打ちされてもよい。
【0023】
ラップ230は、患者の腕2、手首3、及び手根骨領域7を巻き付けて、かつ掴むように構成されている。より具体的には、ラップ230は、患者の手4、手首3、及び腕2を囲むように組み立てられてもよい。ラップ230は、ニット繊維などの可撓性材料から形成される外層236を含み得る。外層236は、組み立てられるのにつれて、ラップ230の外面全体を画定してもよく、したがって、組み立てられるのにつれて、膨張可能なブラダー240の膨張をラップ230の内部開口部に向かって内側に方向付けてもよい。外層236は、ベルクロ又はフックアンドアイなど、それに取り付けられた固定又は閉鎖手段247を含み得る。
【0024】
ラップ230は、管状部分230a及び遠位部分230bを有し得る。管状部分230aは、腕2をきつく係合するよう概して構成され、一方で遠位部分230bは、手4と軽く係合して、ハンドプレート表面222上にそれを維持することができる。遠位部分230bは、患者の手4の第1の中手骨領域の周りを囲むことができる。遠位部分230bは、好ましくは、手4を緩く掴み得る。管状部分230aは、手首3のより小さな断面領域の周りに円周方向に延在するように構成された第1の端部232を画定する。管状部分230aは、患者の前腕のより大きな断面領域の周りに円周方向に延在するように構成された第2の対向する端部233を画定する。より具体的には、端部232は、第1の中手骨8の近位端に隣接する領域と係合することが好ましく、第2の端部233は、前腕に沿って手首関節3から約3インチ近位にある。管状部分230aは、端部233が、手首3及び手根骨領域7に対する前腕のより大きな断面を収容するために、端部232よりも長い縁部又はより大きな開口部を画定し得るように、円錐形状であってもよい。端部232及び233は各々、互いに平行であり、湾曲していてもよい(図3Dで最もよく分かる)縁部を画定してもよい。腕2の周りに巻かれるとき、ラップ230は、腕と強く係合し、アーム形状に適合し得る。
【0025】
図3D図3Iは、図を単純化するためにハンドプレートが取り除かれた、ラップの様々な態様を示している。図3Dから始めて、ラップ230及び膨張可能なブラダー240は、平坦な巻き付けられていない構成で示され、少なくとも1つを含む。ラップ層236は、腕2の周りを包む際に、ブラダー240が患者の皮膚と係合するように、少なくとも1つの膨張可能なブラダー240で裏打ちされてもよい。外層236は、ブラダー240の放射状の膨張を包含して、好ましくは、ラップ230の内部サイズのサイズを、巻き付け構成で小さくするように内側に膨張を方向付けることができる。ブラダー240は、その中に流体を選択的に受け、かつ半径方向に拡張するように構成されている。放射状の拡張は、外層236からの限定のために、少なくとも部分的に患者の肢に向かって優先的に内側に向けられてもよい。一部の実施形態では、ブラダーの外層は、より剛直な材料で形成され得る。ブラダー240を選択的に膨張させることは、患者肢上のグリップを改善するように構成されている。ブラダー240は、ブラダー240を膨張させるために手で操作され得る、ポンプ245に流体的に結合されてもよい。
【0026】
少なくとも図3D及び図3Fに示すように、ポンプ245は、ブラダー又はラップ230と一体型であってもよい。ポンプ245の例示的な位置は、異なる位置に示される、図3A及び図3Dの両方に示される。ポンプ245は、滅菌ドレープ(後で説明)によって覆われてもよく、容易に発見でき、かつアクセス可能である必要がある。図3Aでは、ポンプは、図1Aに示すように、患者をビーチチェア位置と同様に位置付ける一方で、好ましくあり得る、組み立てられる際に腕2の後面上にある。図3Dでは、ポンプは、図1Aに示す側臥位と同様に患者の位置決めに好ましい場合がある、患者の前腕に沿って腕2の前面上にある。ポンプ245は、手動で操作されたポンプであってもよく、逆止弁を含んでもよい。ポンプは、ドーム型表面246を有する流体チャンバを含み得る。流体流導管(図示せず)は、流体チャンバに流体的に結合されてもよく、導管は、入口及び出口を有する、弁を含む。ドーム型表面246は、流体導管を通して、かつブラダー240内に流体をポンプ注入するために、手で変形可能であってもよい。逆止弁は、流体チャンバから排出チャネルを通る一方向の流体流を提供するために、少なくとも1つの排出チャネルを有してもよい。他の実施形態では、ブラダーは、CO2カートリッジなどの流体カートリッジに動作可能に結合されてもよく、カートリッジの作動時に膨張してもよい。一部の実施形態では、ポンプ245は、空気ブラダー240の過圧を制限するように構成されてもよい。例えば、ポンプは、ポンプ245の効率が、各ポンプの適用可能とともに減少し、最終的に、各連続ポンプが、もはやブラダーの圧力を実用的に増加させないように構成されてもよい。ブラダー240は、その内部圧力が5psiを超えるときに、過膨張状態と見なされる。
【0027】
一部の実施形態では、ブラダー240の部分は、全体でブラダー240を膨張させるために必要な流体の体積を減少させる手段を含み得る。これらの手段は、リブ、ベローズ、又はキルティングを含み得る。一部の実施形態では、ブラダー240の部分は、他のゾーンよりも、好ましくは、ブラダー240のいくつかのゾーンを制約する手段を含み得る。例えば、ブラダー240は、ポンプ245に流体的に結合された単一の囲まれた体積を画定してもよく、体積は、少なくとも1つのキルティングドット242によって一部のゾーンで局所的に減少する。キルティングドット242は、熱的に又は接着的に形成され、ブラダー壁の対向する内面を個別の位置で接合し、ドット242を画定する。ドット242が存在しないか、又は更に間隔を置いている(低密度)場合、ブラダー240は、更に膨張し、それによって、キルティングドット242が互いに間隔を置いている場合よりも、ラップ230の対応するゾーンの内部サイズをより小さくし得る。示されるように、全てのキルティングドット242は、同じサイズであってもよい。より少ない膨張を標的とする領域はまた、より大きなサイズのキルティングドットを含み得る。
【0028】
図3Dに示す実施例では、キルティングドット242は、端部232に沿って密度が存在せず、又は密度がより低い。端部232は、海綿状及びくも膜状の結節に隣接した領域の周りに巻き付けられるように構成されている。患者の腕及び手首の周りに巻き付けられるとき、この端部232は、手根骨領域7の周りにしっかりと巻き付けられ、その後優先的に膨張されて、手根骨領域7及び手首3の周りのグリップを改善することができる。この組み合わせは、例えば、散乱の間に、軸力が印加されたときに手が抜け落ちるのを防止するように構成されている。ブラダー240がこの領域内で膨張すると、それは手根骨の外周輪郭と合致し、したがって、手が使い捨て用品を通して滑ることを防いでいる。これは特に、肢に沿った軸方向の力に抵抗するのに有用であり、これは、側臥位の肩及び肘の位置で典型的である。
【0029】
一部の実施形態では、端部232は、他の部分よりも好ましくは膨張する部分を含み得る。全体的な好みは、より小さな結果として生じる内部開口部に膨張することであるが、手の麻痺を軽減するために、手首の前部及び後部の挟み込みを避けることが好ましい場合がある。したがって、任意選択のキルティングを、手首3の周りの前部及び後部の配置に対応する端部232に隣接して追加してもよい(242a)。
【0030】
遠位部分230bは、膨張可能ではない場合があるという点で、不活性であってもよい。他の実施形態では、ブラダー240は、遠位部分230b内に延在してもよく、また、全体としてブラダー240を膨張させるために必要な流体の量を減少させるために、キルティング242などの膨張制限手段を含んでもよい。遠位部分230bは、ハンドプレート220上に親指及び手4を緩く巻き付けて保持するように構成されており、きついグリップは望ましくない。他の実施形態では、遠位部分230bは、ブラダー240から別々に形成されてもよい。それは、取り外し可能であってもよく、又はハンドプレート220に直接結合されてもよい。ラップ230は、膨張しないように不活性である、不活性フラップ247を含み得る。フラップ247は、ラップ230の一部分と重なり、かつラップ230を肢の周りに固定し得る。フラップ247は、患者の肢の周りにラップを固定するためのベルクロ又は接着剤などの固定手段を含み得る。
【0031】
異なるゾーンの簡略化された例を図3Eに示し、これは、ブラダー240の異なるゾーンを示している。ゾーンAは、組み立てられた際に結果として生じるラップの減少した内部サイズに膨張し、それによって、手首3の外面と係合するように構成されている、端部232に沿って延在し得る。ゾーンAは、手首3の周りに円周方向に延在してもよく、かつそれに沿って可変膨張プロファイルを含み、手首3の外側及び内側表面に沿ってより多くの膨張を提供し、いくつかの膨張制限手段は、ゾーンA’に配置されている。ゾーンA’は、手首3の前部分及び後部分に沿って圧力の緩和を提供し、手の麻痺を軽減し得る。ゾーンBは、低密度のキルティングドット242を有してもよく、又は優先的膨張のためのいかなる膨張制限手段も有さない場合がある。ゾーンBは、例えば、患者の肢の周りに巻き付けられたときに互いに円周方向に間隔を置いた、複数の個別のゾーンを画定し得る。ゾーンBは、2つの端部232と233との間に延在する、少なくとも2つの細長いゾーンを画定してもよく、手首3と端部233との間に前腕2の前面に沿って延在してもよい。他の実施形態では、ゾーンBは、ハンドルプレート220に対して横方向に、患者の前腕と係合してもよく、腕2の内側側面及び外側側面と係合してもよい。この領域内にキルティング又はベローズが存在しないことで、LIDが腕2の周りを回転するのを防ぐためにハンドプレート220に対して前腕を確実に保持するように、ブラダー240は更に優先的に膨張することができる。この支持は、ビーチチェアの肩及び肘の手技に特に重要である。ゾーンCは、高密度膨張制限手段の領域を画定し得る。ゾーンCは、それに沿って膨張を減少させるように構成された複数のキルティングドット242を含み得る。キルティングドット242は、サイズ及び頻度又は間隔を変化させて、ブラダー240の膨張時に可変膨張プロファイルを提供し得る。遠位部分230bはまた、ゾーンDを画定してもよく、ゾーンDは、全く膨張しないか、又は患者の手と最小限に係合するための複数の膨張制限手段を含んでもよい。
【0032】
膨張構成のラップ230の例示的な断面を、位置及びゾーンについて図3D及び図3Eを参照して、図3F及び図3Gに示している。外層236は、ブラダー240を裏打ちし得る。ゾーンAは、ゾーンCよりも大きなサイズに優先的に膨張し、患者の腕2の周りに巻き付けられたときにより小さい内部開口部を形成し得る。ゾーンCは、複数のキルティングドット242によって制限されてもよい。ゾーンBは、腕2の外側側面と係合する、細長いゾーンを画定し得る。ゾーンDは、不活性であってもよい。
【0033】
図3Hは、腕2の前面図を示しており、ラップ230の代表的な部分を示している。例えば、ラップ230が腕の周りに係合された状態で、ゾーンCは、腕2の外側及び内側表面に沿って延在し、かつ係合してもよい。2つの個別のゾーンBは、前側に沿って延在し得る。膨張制限手段が少ないゾーンAは、手首3の輪郭と係合し得る。図3Iは、腕2の側面図を示しており、ゾーンC及びゾーンA’は、手根骨領域7まで腕2に沿って表されている。ゾーンA’は、手首3の前面に沿って延在している、神経への圧力を緩和するための膨張制限手段を含み得る。
【0034】
一部の実施形態では、ラップ230は、独立して膨張され得る、複数のブラダーを含み得る。例えば、ブラダーは、ラップ230が手根骨と係合し得る場所にちょうど近位に分裂する2つのブラダーを含み得る。別の方法として、2つのブラダーは、空気ブラダーアセンブリの両方の部分を膨張させるために1つのポンプ及び入口弁のみが必要とされるように、架橋チャネルを介して流体的に接続されてもよい。
【0035】
図3J図3Kは、平坦な構成のラップ230を有するLID200を示している。ハンドプレート220は、ポスト210a、210bなどの2つの接続ポストを含み得る。ポスト210aは、例えば、患者側臥位位置のための位置決めアーム20に結合されてもよく、一方で、ポスト210bは、ビーチチェア位置にある患者のための位置決めアーム20に結合するための好ましい場所にあってもよい。ハンドプレート220は、患者の腕2を支持する輪郭表面を画定する、近位脚221を含み得る。ラップ230は、近位脚221に動作可能に結合されてもよい。ラップ230は、脚221の2つの層221aと221bとの間に挟まれてもよい。組み立て中、2つの層221a、221bは、分離され、2つの層221a、221bを固定結合する前に、ラップ230の一部分がそれらの間に配置されてもよい。結合は、例えば、接着剤、超音波溶接、ヒートシール又はスナップフィットによるものであってもよい。ブラダー240のこの挟まれた部分及びラップ230の挟まれた部分を直接的に囲むブラダー領域は、膨張制限手段を含んでもよく、その結果、ブラダー240の膨張は、層結合に最小限の応力を加える。ラップ230を挟むことは、好ましくは、ブラダー240を封止して、その領域における膨張を防止し得る。ラップ230の例示の結合部分231を図3Dに示している。一部の実施形態では、ハンドプレート220は、2つの層221aと221bとの間に、その中に形成される複数のチャネル223を含み得る。チャネル223は、ハンドプレート220上の応力を減少させるブラダー240の両側を通過するための流体導管を画定してもよい。一部の他の例示的な実施形態では、ブラダーの近位端及び遠位端に位置するハンドプレート上の一対又は一連のボスを使用して、ブラダーが挟み込まれないようにして、流体がブラダーの一方の側面から他方の側面に流れることを可能にし得る。一部の実施形態では、ブラダー240は、超音波溶接又は接着剤の添加などの接合プロセスを介して、ハンドプレート220に直接的に固定されてもよい。一部の実施形態では、ハンドプレート220は、患者とLIDとの間の滑りの可能性を低減するために、高い摩擦係数を有する、粘弾性発泡体225で裏打ちされてもよい。一部の実施形態では、ラップ230の皮膚接触部分は、滑りの可能性を低減するために、高摩擦率フォーム又は織物で裏打ちされてもよい。一部の実施形態では、ブラダー240の皮膚接触部分は、患者と肢インターフェース装置との間の滑りを低減するために、摩擦係数が高い表面仕上げを有する。ブラダー材料は、異なる摩擦係数を生成するために、様々な異なる表面仕上げ、例えば、マット又は透明で製造されてもよい。ブラダー240は、ビニルから形成され得る。ブラダー240は、ガス又は液体で膨張され得る。ブラダー240は、空気で膨張することが好ましい。
【0036】
膨張可能なブラダー340を有するLID300の別の例示的実施形態を図4A図4Eに示している。LID300は、LID200と類似していてもよく、同様の構成要素は、同じ数字指定が与えられる。LID300は、膨張可能なブラダー340で裏打ちされた管330の形態でスリーブに動作可能に結合されたハンドプレート220を含み得る。この実施形態では、ベローズ342及びリブ343を含む、その他の例示的な膨張制限手段が開示されている。管330は、連続的な円錐形管として提供されてもよく、したがって、手4の上で、患者の手首3及び腕2上に摺動される。図4Bに示すように、管330は、前腕に沿って手首関節の近位約3インチの手8~の第1の中手骨の近位端に隣接した端部332で位置付けられることが好ましい。この実施形態では、管330は、完全密封された管330として提供されてもよく、したがって、患者の腕の周りにブラダー340を巻き付ける必要性を回避し、したがって、ベルクロ又はフックアンドアイなどの固定手段を回避する。この実施形態では、ブラダー340は、ブラダー340の膨張プロファイルを制限するためのベローズ342を含み得る。ベローズ342は、ブラダー全体を膨張させるために必要な流体体積を減少させるために、個別の場所でブラダー体積を局所的に遮断するように構成されているという点で、キルティングドットに類似し得る。また、ベローズ342は、より大きな膨張のための領域及び膨張を低減するための領域を方向付けて、肢のグリップを改善する。ベローズ342は、個々のより小さな又はより短い遮断を画定するキルティングドットと比較して、ブラダー340の長さに沿って延在するブラダー内部体積への線形又は細長い遮断を画定し得る。ベローズ342は、標的の膨張ゾーンに対して膨張を方向付ける配向に沿って一緒に裏打ちするブラダーの封止線として形成され得る。ベローズ342は、キルティングドット242と同様に、好ましくは、ブラダーの最も外側の境界から間隔を置いた位置で終了し、したがって、好ましくは、流体がベローズ242の端部の周りを流れて、ブラダー340全体を充填することを可能にする。
【0037】
図4Cは、膨張制限手段及びその例示的な場所を示すために、切断及び平坦化された管330を示している。ハンドプレート220は、図の理解を容易にするために取り外されている。この実施形態では、管330は、患者の前腕2に隣接するより狭い端部333及び患者の親指に隣接したより大きな開口部を有する、円錐を形成し得る。他の実施形態と同様に、ブラダー340は、より狭い端部333に配置され得る、ブラダー340と一体のポンプ245を含み得る。本明細書で論じるようなその他の場所がまた企図される。ポンプ245は、滅菌ドレープを介して容易にアクセスできるように配置される。ベローズ342を形成する複数のシール線が図示されており、ここで、ブラダーの内壁がその線342に沿って封止されている。ベローズ342は、ブラダー340を膨張させるのに必要な膨張体積を制限するように構成されている。ベローズ342は、手首3の周りの場所に対応し得る端部332に隣接するゾーンに沿って存在せず、又はその頻度が少なく、本明細書で前に開示したゾーンAに類似したゾーンを画定することが好ましい。ベローズ342は、ブラダー340に沿って、またそれを横切って延在する線を画定し得る。ベローズ342は、患者の腕に沿って、及び管330の長手方向軸に沿って配向された線から形成され得る。ベローズ342は、ブラダーの対向する面の線を一緒に接着することによって形成される。具体的には、ベローズ342は、好ましくは、腕の後部分上に位置してもよい。これは、手首3の内側及び外側部分に位置するブラダー340のゾーンを優先的に膨張させながら、ブラダー340全体を膨張させるために必要な流体の量を制限する。本明細書で説明するように、これは、患者と肢インターフェース装置との間の滑りを制限する。
【0038】
更に、ブラダー340は、その中にリブ345を受容するためのポケット345を含み得る。ポケット343は、ブラダー340の外面上に配置されてもよく、手首3及び腕2の後部分及び前部分の上に横たわるブラダー340の部分上に配置されてもよい。図4Cに示す通り、管の外部表面は、リブ345をそれに沿って摺動可能に受容する、ポケット343を含み得る。これらのリブ345は、腕2内への膨張を方向付け、ブラダー340全体を膨張させるために必要な流体の量を制限する。リブ345は、リップストップナイロン又はダクロンから形成され得る。これらのリブ345は、肢の長手方向軸に対して垂直なブラダー340の屈曲又は膨張を可能にするが、肢の長手方向軸に対して平行なブラダー340の屈曲を制限するか、又はむしろ防止する。リブ345は、ブラダー340がそれ自体でボール状になることを阻害して、牽引下で装置が患者に固定されたままになるように、ブラダーが患者の臨界解剖学的構造と接触し、かつ保持することを確実にする。一部の実施形態では、患者からブラダーを除去するために、ブラダーを収縮させる解放弁があってもよい。
【0039】
一部の実施形態では、滅菌バリアドレープ370は、図4Bに示す例のLID200又は300の部分に動作可能に結合されてもよい。例えば、滅菌バリアドレープ370は、封止滅菌バリアを作り出すように、ハンドプレート220の遠位部分に沿って封止されてもよく、患者の手4及び指1は、患者を肢インターフェース装置に装填する前に滅菌を必要としない場合がある。これにより、肢の準備時間が短縮され得る。ドレープ370は、患者の指1の色及び状態が、手技の持続時間にわたり患者の循環を監視する一環として監視され得るように、半透明であってもよい。患者の指での患者のパルスはまた、一体型又は取り外し可能なパルス/心拍センサのいずれかによって監視されてもよい。ドレープ370は、ハンドプレート320の近位部分に沿って封止されてもよく、それにより、患者の前腕、肘の近位、及び患者の上腕上に引き上げて、患者の腕に沿って滅菌バリアを提供することができる。ドレープ370が送達された構成で折り畳まれるとき、ドレープの露出面は、ドレープ展開時に最終的に患者の皮膚と接触するであろう面と同じ面である。これにより、未滅菌の物体(挿入中の患者の手など)によるドレープとの意図しない接触が、最終的な外向きの表面の滅菌性が損なわれるシナリオを作らないことを確実にする。ドレープの近位端は、展開されると、ドレープを患者に固定するためのテープのストリップ又は他の非永久的接着剤ストリップ(例えば、コバン)を含み得る。
【0040】
図5A図5Cは、膨張可能なブラダー440で裏打ちされた、クラムシェル430を有するハンドプレート420を含むLID400の別の実施形態を示している。膨張可能なブラダー440は、クラムシェル430の上部の内側のみを覆うことができる。ブラダー440は、腕2及び手首3の後側、外側、及び内側と係合してもよい。クラムシェル430は、剛直であってもよく、プラスチックから形成されてもよい。クラムシェル430は、底部430bがハンドプレート420の湾曲に沿って延在するように、上部430a及び底部430bを含み得る。底部430は、連続的で、ハンドプレート420と一体的に形成されてもよい。上部430aは、患者の手、手首、及び前腕の後面の湾曲に続いてもよい。クラムシェル430は、クラムシェルが上部からヒンジをつなぐか、又は側面からヒンジをつないで腕を摺動させることを可能にする、ヒンジ432を含み得る。クラムシェル壁が、患者の手から半径方向に離れて膨張することからブラダー440を限定し、患者の手/手首の周りで膨張を押し下げるように、ブラダー440は、上部430aの内面を裏打ちしてもよい。他の実施形態では、ブラダー440は、クラムシェルの上部及び底部の両方の内面を裏打ちしてもよい。ポンプ245は、プラスチッククラムシェルの上部430a内に組み込まれてもよい。ブラダー440は、ブラダー440の膨張に必要な流体の量を減少させるために、本明細書に記載のようなベローズ及びキルティングの部分又は全体領域を含み得る。具体的には、ベローズ及び/又はキルティングは、手の後部に隣接して配置されてもよい。これにより、手首3の内側及び外側部分上に位置するブラダーの部分を最も膨張させるように方向付け、臨界解剖学的特徴へのブラダーの保持による患者とLID 400との間の滑りを減少させる。
【0041】
図5Cは、クラムシェル430aの上部を裏打ちし、それによって、患者の腕2及び手首3の後面、内側及び外側の側面と係合し得る、例示のブラダー440を示している。ブラダー440は、液体又はガスなどの流体を選択的に受けることを含む、可撓性材料から形成され得る。ブラダー440は、ビニルから形成されてもよい。ブラダー440の内部体積は、膨張制限手段441によって遮断され得る。膨張制限手段441は、ブラダーの非封止部分又は非接着部分によって画定される境界を有する、複数の個別の封止場所又は接着場所を含み得る。これらの個別の封止場所は、例えば、正方形、円、又は楕円を含む、ドット形状を画定してもよく、またキルティング効果を画定してもよい。これらの個別の封止場所は、ブラダー440に沿って延在する細長い線を画定し、蛇行効果を画定する。細長い線は、湾曲又は直線であってもよい。個別の封止される膨張制限手段は、ブラダーの最も外側の境界から間隔を置いていることが好ましく、ブラダーのこの最も外側の封止された境界によって画定されるように、ブラダー全体の周り及び内部への流体の流れを可能にする。
【0042】
図5Cでは、キルティングドット242が示されている。キルティングドット242は、麻痺を引き起こす可能性がある、腕の部分を挟み込むことなく、患者の腕2の後方部分と係合するブラダー440の部分に沿って配置されることが好ましい。外側部分445a及び内側部分445bは、膨張制限手段がなくてもよく、したがって、腕2の外側部分及び内側部分を更に係合するように膨張することが好ましい。これは、前述の開示される実施形態のゾーンBと類似している。これにより、腕2上の回転力による滑りに対する抵抗が改善され得る。更に、ブラダー440のフランジ付き端部であってもよい端部443は、手首3の周りのグリップを改善するための膨張制限手段を有していなくてもよい。フランジ端部443は、手首3の周囲に更に延在して、グリップを改善し得る。この増加した膨張は、前述の実施形態に開示されたようなゾーンAと類似している。
【0043】
ドレープ(図示せず)は、クラムシェル430又はハンドプレート420内に封止されてもよく、これにより、肢を装置に装填する際に指及び手を非滅菌にすることができ、またクラムシェルに取り付けられたドレープを使用して前腕をドレープすることができる。閉じているときに、クラムシェルは、選択的にクラムシェルを開くための作動であってもよい、統合されたばね特徴を介して閉じたままにすることができる。一部の実施形態では、発泡体は、クラムシェル430bの底部内に位置して、患者の皮膚と係合してもよい。この発泡体は、一度に1層ずつ選択的に除去され得る、複数の層を含み得る。これは、発泡体の層を剥がして、より大きな手がクラムシェル内に適切に嵌合して収まるようにすることができるように、発泡体の高さに対する調節のレベルを提供し得る。一部の実施形態では、ハンドプレートは、両側に位置する空気ブラダーを有する右及び左の肢の特定の側面があるように設計され得る。
【0044】
図6A及び図6Bでは、ブラダー440(図示せず)などのブラダーで少なくとも部分的に裏打ちされ得る、ハンドプレート620の別のクラムシェル実施形態が示されている。図6A及び図6Bは、ハンドプレート620及びクラムシェルのみを示しており、理解を容易にするためにブラダーライナーが取り除かれている。この実施形態では、接続ポスト210は、側臥位の腕2上の軸荷重(F)と同軸であってもよい。クラムシェルトップ630は、ヒンジ式に開き、ばね又はスナップ機構650と係止してもよい。ブラダーを膨張させることによって生成される圧力のように、クラムシェルを開くように方向付けられる力は、統合された機構650を係止位置に更に駆動する力を生成する。統合されたばね機構650は、クラムシェル630の両側に1つずつ、2つの機構を含み得る。クラムシェルトップ620は、1つの特徴のみが解放されたときに解放されないことが好ましい。両方の機構650は、クラムシェルを開くことができるように、個別に、又は同時にのいずれかで解放されることが好ましい。両方の機構は、片手で同時に解放されてもよい。
【0045】
患者肢を安定化する方法は、LIDハンドプレート(220、420)上に患者の手を置くことと、患者の腕2及び手首3を、ラップ230、チューブ330又はクラムシェル430などのスリーブで取り囲むことと、を含み得る。一部の例示的な方法では、スリーブは、患者の解剖学的構造に締め付けるように調節されてもよく、ブラダーを膨張させるために必要な流体の量を減少させる。一部の例示的な方法では、スリーブは、患者の周りで閉じてもよく、フックアンドループ(ベルクロ)又は一時的な接着剤などの第1の機械的手段を介して固定されてもよい。閉じたときに、スリーブは、患者の前腕の断面が手首の断面よりも大きい、患者の解剖学的構造に合致するように実質的に円錐形状であってもよい。一部の例示的な方法では、クラムシェルの上部は、腕及び手首をハンドプレート上に配置するためにヒンジで開き、その後、腕及び手首の周りでヒンジで閉じ、スナップで閉じてもよい。腕及び手首は、スリーブの遠位端に隣接する手根骨領域7を配置するように調節され得る。一部の例示的な方法では、LIDに固定された滅菌ドレープは、LID及び患者の腕の上に引き出されてもよい。ポンプ245は、腕2及び手首3が位置すると、ブラダー(240、340、440)を膨張させるために作動し得る。ポンプの作動は、手動であってもよい。ブラダーは、ブラダーを膨張させるために必要な流体の量を減少させる、膨張制限を含み得る。膨張した構成では、ブラダーは、異なる程度に膨張するブラダー表面に沿った複数のゾーンを含む、可変膨張プロファイルを画定し得る。ブラダーは、ブラダーの標的ゾーンに沿った膨張を制限するための膨張制限手段を含み得る。一般的に円錐形又は管状であるラップ形態にあるとき、この可変膨張プロファイルは、ブラダー240、340、440に沿って可変内部開口サイズを画定する。ブラダーを膨張させることは、例えば、手の麻痺を避けるために、手首の前面に隣接するブラダーのゾーンを最小限に膨張させ得る。ブラダー240、340、440を膨張させることは、腕2の外側及び/又は内側に沿ってブラダーのゾーンを膨張させ得る。次いで、回転力は、標的関節へのより良好なアクセスのために患者の腕に印加されてもよく、腕2の外側及び/又は内側に沿った膨張の増加は、患者の腕に対するLIDの回転滑りに抵抗するように構成されている。ブラダー240、340、440を膨張させることは、好ましくは、手首3の周りのブラダーのゾーンをより小さい内部開口サイズに膨張させ得る。次いで、軸力が、標的関節へのより良好なアクセスのために患者の腕に印加されてもよく、これは、関節を散乱させる可能性があり、手首3の周りの膨張の増加は、患者の腕に対するLIDの軸方向の滑りに抵抗するように構成されている。
【0046】
当業者は、本開示が、その概念又は本質的な特徴から逸脱せずに、他の特定の形態で具現化され得ることを理解するであろう。それゆえに、上記の例は、本明細書に説明される開示の制限ではなく、全ての点において例示的に考慮されるべきである。したがって、本開示の範囲は、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示されており、それゆえに、特許請求の範囲の意味及び等価性の範囲内にある全ての変更がその中に包含されることが意図される。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図3H
図3I
図3J
図3K
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
【国際調査報告】