(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-16
(54)【発明の名称】変換されたシミュレーション波形を用いた電子信号の検証
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20230808BHJP
G06F 30/367 20200101ALI20230808BHJP
【FI】
G01R31/28 F
G06F30/367
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501454
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 US2021040963
(87)【国際公開番号】W WO2022011190
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】バージェス・デイビッド・エヴァレット
【テーマコード(参考)】
2G132
5B146
【Fターム(参考)】
2G132AB02
2G132AC01
2G132AC10
2G132AC12
2G132AD10
5B146AA22
5B146DG03
5B146GC11
5B146GG21
5B146GQ02
(57)【要約】
電子回路中の信号を検証するためのシステムであって、波形変換部(waveform translator)と試験測定装置とが含まれる。この波形変換部は、シミュレーション試作回路のノードのシミュレーション波形を受信して、上記シミュレーション波形を変換波形に変換するように構成されている。試験測定装置は、測定された波形を取得し、上記変換波形を使用して、上記シミュレーション波形からの上記測定された波形のずれを求めるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路の信号検証方法があって、
回路シミュレータから、シミュレーション試作回路のノードに関するシミュレーション波形を受信するステップと、
上記シミュレーション波形を波形変換部によって上記シミュレーション波形とは異なるフォーマットを有する変換波形に変換するステップと、
上記シミュレーション試作回路の上記ノードに対応する製造された回路のノードから、試験測定装置を用いて、測定波形を取得するステップと、
上記試験測定装置によって、上記変換波形を用いて上記シミュレーション波形からの上記測定波形のずれを求めるステップと
を具える方法。
【請求項2】
上記回路シミュレータによって、物理的試作回路の設計回路図を、該設計回路図をモデル化する前に取り込むステップと、
上記回路シミュレータによって、上記物理的試作回路の上記設計回路図をモデル化して上記シミュレーション試作回路を生成するステップと、
上記回路シミュレータによって、上記シミュレーション試作回路の上記ノードに関する上記シミュレーション波形を生成するステップと
を更に具える請求項1の方法。
【請求項3】
上記変換波形が、上記試験測定装置の基準波形である請求項1の方法。
【請求項4】
上記波形変換部によって、上記シミュレーション波形から追加の変換波形を生成するステップを更に具える請求項1の方法。
【請求項5】
上記シミュレーション波形から上記追加の変換波形を生成するステップが、上記シミュレーション波形を複製して複製波形を作成するステップと、次いで、上記複製波形を所望の許容誤差に対応する所定量だけ変更するステップとを含む請求項4の方法。
【請求項6】
上記試験測定装置によって、シミュレーション波形からの最大所望変動量に基づいて合否基準を決定するステップと、
上記測定波形の求めたずれが上記合否基準内にある場合に上記測定波形を合格として特定するステップと、
上記測定波形の求めたずれが上記合否基準外にある場合に上記測定波形を不合格として特定するステップと
を更に具える請求項1の方法。
【請求項7】
上記物理的試作回路の設計回路図に対応する、上記製造された回路の製造レイアウト情報を生成するステップと、
上記製造レイアウト情報に基づいて上記製造された回路を製作するステップと
を更に具える請求項1の方法。
【請求項8】
上記製造レイアウト情報から上記物理的回路の電子的な3次元モデルを生成するステップを更に具える請求項7の方法。
【請求項9】
ビジョン・システムを用いて上記製造された回路の視覚的環境情報を取得するステップと、
上記視覚的環境情報に基づいてスケーラ及びマッパによって上記3次元モデルのスケール及び配置を調整するステップと
によって、上記シミュレーション試作回路の上記ノードの位置と上記製造された回路の上記ノードの位置とを相関させるステップを更に具える請求項8の方法。
【請求項10】
上記製造された回路の上記ノードから上記測定波形を取得するステップが、上記製造された回路の上記ノードをプロービングするステップを含む請求項1の方法。
【請求項11】
上記変換波形を用いて上記シミュレーション波形からの上記測定波形のずれを求めるステップが、上記変換波形から上記測定波形を減算するステップ及び所望の許容誤差を使用してマスク範囲を定義するステップのうちの少なくとも1つを含む請求項1の方法。
【請求項12】
受信するステップ、変換するステップ、取得するステップ及び求めるステップが反復する処理であり、この方法は、前の反復処理で求めたずれを利用して、次の反復処理の取得するステップに関して上記製造された回路の次のノードを決定するステップを更に具える請求項1の方法。
【請求項13】
電子回路中の信号を検証するためのシステムであって、
シミュレーション試作回路のノードに関するシミュレーション波形を受信し、該シミュレーション波形を該シミュレーション波形のフォーマットとは異なるフォーマットを有する変換波形に変換するように構成される波形変換部と、
上記シミュレーション試作回路の上記ノードに対応する製造された回路上のノードからの測定波形を取得するよう構成される試験測定装置であって、上記変換波形を用いて上記シミュレーション波形からの上記測定波形のずれを求めるように更に構成される上記試験測定装置と
を具えるシステム。
【請求項14】
上記波形変換部は、上記シミュレーション波形を複製して複製波形を作成し、該複製波形を所望の許容誤差に対応する所定量だけ変更するように更に構成される請求項13のシステム。
【請求項15】
上記試験測定装置は、上記シミュレーション波形からの最大所望変動量に基づいて合否判定基準を決定するように更に構成され、上記試験測定装置は、上記測定波形の求めたずれが上記合否基準内である場合に上記測定波形を合格として特定するように更に構成され、上記試験測定装置は、上記測定波形の求めたずれが上記合否基準外である場合に、上記測定波形を不合格として特定するように更に構成される請求項13のシステム。
【請求項16】
上記製造された回路は、物理的試作回路の設計回路図に対応し、該システムは、上記物理的試作回路の上記設計回路図に対応する、上記製造された回路の製造レイアウト情報から上記物理的回路の電子的な3次元モデルを生成するように構成された3次元生成部を更に具える請求項13のシステム。
【請求項17】
上記製造された回路についての視覚的環境情報を取得するように構成されたビジョン・システムを更に具える請求項16のシステム。
【請求項18】
上記視覚的環境情報に基づいて3次元モデルのスケール及び配置を調整するように構成されたスケーラ及びマッパを更に具える請求項17のシステム。
【請求項19】
上記波形変換部及び上記試験測定装置のうちの少なくとも1つとの非接触でのユーザのインタラクティブな操作を可能にするように構成された非接触システム操作インタフェースを更に具える請求項13のシステム。
【請求項20】
上記物理的試作回路の上記設計回路図を受信し、上記物理的試作回路をモデル化して上記シミュレーション試作回路を生成するように構成された回路シミュレータを更に具え、該回路シミュレータは、上記シミュレーション試作回路の上記ノードに関する上記シミュレーション波形を生成するように更に構成される請求項10のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この特許出願は、2020年7月9日に出願された米国仮特許出願第63/050,053号の利益を主張する。この出願は、この参照により、本開示に組み込まれる。
【0002】
本件は、試験測定装置において、シミュレーション波形を使用して電子回路を検証するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電子回路を検証するための現在のプロセスでは、設計者が回路を設計し、それをシミュレーションしてから回路を作る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5325309号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0040288号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回路が製作されると、設計者は、オシロスコープその他の試験測定装置で回路をプローブし、プローブされたポイントの信号を期待値と視覚的に比較している(設計知識によってか、又は、チェック対象のノードを監視しながらシミュレーションを再実行することのどちらかによって)。
【0006】
開示技術の形態は、従来技術における欠点に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に記載される態様は、電子回路の信号検証方法に関する。開示技術のある形態では、回路シミュレーションを設計された回路の検証と統合する能力をサポートする。具体的には、開示技術のある形態では、回路シミュレータの能力を使用して予想シミュレーション波形をエクスポート(他のアプリケーションで使用できるようにフォーマットして出力)する共に、この予想シミュレーション波形を、オシロスコープなどの試験測定装置上の基準波形として取り込む。これにより、試験測定装置の既存の数学的関数とマスク関数を使用した自動比較が可能になる。開示技術のある形態では、シミュレーション波形を、試験測定装置での検証(validation)、性能(performance)及び許容誤差(tolerance)試験に使用できるフォーマットに変換するプロセスを自動化する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、物理的な試作回路、シミュレーション試作回路、製造された回路を表す。
【
図2】信号検証方法を実行するように構成された、
図1に示すシステムの構成要素の形態例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3に、ある形態例による変換シミュレーション波形を用いた信号検証方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示で使用される場合、「物理的回路(physical circuit)」という用語は、有形の電子回路を意味し、一方、「シミュレーション回路(simulated circuit)」という用語は、コンピュータ・ソフトウェアにおいて数学的にモデル化したものとしてのみ存在する無形の電子回路を意味する。本開示で使用される場合、「物理的試作(プロトタイプ)回路」という用語は、設計される電子回路の設計基準となることを意図した物理的回路を意味する。設計される電子回路は、例えば、特定の1つ又は複数の機能を実行するように設計される集積回路であっても良い。「製造された回路(fabricated circuit)」という用語は、物理的試作回路の設計基準に基づいて製作された物理的回路を意味する。製造された回路のレイアウトは、物理的な試作回路のレイアウトと機能的に一致する。「シミュレーション試作回路」という用語は、無形の電子回路を意味し、そのレイアウトは、コンピュータ・ソフトウェア中に数学的にモデル化したものとしてのみ存在し、物理的試作回路をモデル化したものであるか、又は、物理的試作回路の一部の機能をモデル化したものである。
【0010】
本願で説明するプロセスでは、物理的試作回路から生成されたシミュレーション試作回路を使用して、製造された回路を検証する。この状況において、「検証する」とは、製造された回路が物理的試作回路の設計基準に適合することを確認するために、製造された回路が試験されることを意味する。従って、電子回路の設計プロセスで用いられる情報は、その検証プロセスにも適用される。その結果、製造された回路を検証するためのより簡単で便利な方法が得られる。
【0011】
こうしたことから、
図1は、物理的試作回路、シミュレーション試作回路及び製造された回路の表している。
図2は、実施形態による信号検証方法を実行するように構成されたシステムの構成要素の配置形態例を示す機能ブロック図である。
図3は、実施形態による変換されたシミュレーション波形を使用する信号検証方法300の一例を示す。
【0012】
図1~
図3を参照すると、工程301、302において、物理的試作回路101の設計回路
図201を取り込み(capture)、回路シミュレーション・ソフトウェアなどの回路シミュレータ202においてモデル化して、シミュレーション試作回路103(
図1に、例示的な表示画面上に現れる形で図示)を生成する。回路シミュレータ202は、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)ベースのツールであっても良い。
【0013】
工程303では、
図1に図示される形態において、回路シミュレータ202が、シミュレーション試作回路103内の特定のノード105についてのシミュレーション波形を生成する。ある形態では、シミュレーション試作回路103における例示的なノード105は、物理的試作回路101における例示的なノード104に対応する。シミュレーション波形は、シミュレーション試作回路103に基づいて、物理的試作回路101の対応するノード104の波形を算出したものを数学的に表現したものである。回路シミュレータ202のシミュレーション波形は、回路シミュレータ202から波形変換部(waveform translator)203にエクスポートされても良い。
【0014】
工程304において、波形変換部203は、シミュレーション波形を、試験測定装置204で利用可能な形式の変換波形に変換する。そのような形式の1つは、例えば、基準波形としてである。ある形態では、この変換処理としては、得られる変換波形が試験測定装置204と互換性を有するように、シミュレーション波形に情報を追加する処理、又は、シミュレーション波形から情報を削除する処理があっても良い。ある形態では、この変換処理として、得られる変換波形が試験測定装置204と互換性を有するように、シミュレーション波形をリサンプリングする処理を含んでいても良い。
【0015】
ある形態では、変換処理工程は、自動である。つまり、波形変換部203が回路シミュレータ202からシミュレーション波形を受信すると、この工程が開始して、独立して動作する。例えば、この変換処理は、プログラム又はスクリプトによって実行されても良い。
【0016】
ある形態では、工程305において、波形変換部203によって、例えば、シミュレーション波形を変更し、次いで変更されたシミュレーション波形を変換することによって、追加の変換波形が生成されても良い。追加の変換波形は、例えば、数学的機能を有しない試験測定装置204に許容誤差波形(tolerance waveform)を提供するのに有用なことがある。このため、許容誤差波形は、例えば、所望の許容誤差に対応する所定量だけ変換波形からオフセットされても良い。許容誤差は、固定量、シミュレーション波形からのパーセントによる差、又は、最大所望変動量(variance)の別の表現であっても良い。ある形態では、2つの追加の変換波形が生成されても良く、このとき、第1追加変換波形は、変換波形から正方向にオフセットされたものであり、第2追加変換波形は、変換波形から負の方向にオフセットされたものである。全体として、第1追加変換波形及び第2追加変換波形は、変換波形の周囲の許容誤差バンド又は許容誤差領域(トリガ・マスクと呼ばれることもある)を定義できる。ある形態では、この許容誤差領域を使用して、測定波形(工程311に関して後述)が、許容誤差領域内にあって合格(pass:パス)か、又は、許容誤差領域外にあって不合格(fail:フェイル)かを判断しても良い。
【0017】
ある形態では、変換波形は、基準波形として試験測定装置204にインポートされても良い。これには、工程305から追加の変換波形(もし存在する場合には)を追加の基準波形としてインポートすることも含まれる。
【0018】
工程306では、物理的な試作回路101に基づいて製造される回路102についての製造レイアウト情報205が生成される。製造レイアウト情報205は、物理的試作回路101の設計回路
図201に対応する。この状況において、「対応する」とは、機能的に、製造される回路102(従って、製造レイアウト情報205)が、物理的な試作回路101と実質的に一致することを意味する。本開示で使用される場合、「実質的に一致する」とは、完全な同一性を必要とせずに、大部分又は本質的に同等であることを意味する。
【0019】
工程307では、製造レイアウト情報205から物理的回路の電子的な3次元モデルが生成される。この3次元モデルは、3次元モデル生成部206によって生成されても良い。
【0020】
工程308では、製造レイアウト情報205に基づいて製造される回路102が作製される。
【0021】
工程311では、製造された回路102が、(試験測定装置204からのプローブを使用して)プローブされ(probe:プローブで調べられ)、上述したシミュレーション試作回路103の例示的なノード105に対応する製造された回路102上の例示的なノード106からの信号を測定する(即ち、測定波形を得る)。この状況において、「対応する」とは、回路におけるその相対的な配置に関して、製造された回路102上の例示的なノード106が、シミュレーション試作回路103の例示的なノード105と実質的に一致することを意味する。
【0022】
ある形態では、工程309において、ビジョン・システム207が、製造された回路102に関する視覚的環境情報(視覚的な環境に関する情報)を取得する。ビジョン・システム(視覚システム)207は、拡張現実システム又はマシン・ビジョン・システム(machine vision system)の一部であっても良い。ビジョン・システム207からの視覚的環境情報を使用して、工程310では、スケーラ(scaler)及びマッパ(mapper)208が、3次元モデルのスケール(拡大縮小)及び配置を調整して、シミュレーション試作回路103の回路ノードを、製造された回路102の視覚的環境と相関させ、製造された回路上の所望のプロービング・ポイント(プローブするポイント)の場所を正確に特定できるようにする。
【0023】
相関処理が行われたら、プロービング目標生成部210が、3次元モデルを使用して、拡張現実システム内のプロービング目標(probing targets)を特定し、人間のオペレータが正しいノード上で測定を行うのを支援しても良い。3次元モデルは、マシン・ビジョン・システムの一部である自動プロービング・システム用の位置決め情報を生成して、所望の回路ノードの自動測定を行うためにも利用できる。このため、工程311で回路をプロービングするときに、更に、ビジョン・システム207によって得られる視覚的環境情報と併せて、工程307に関して上述した3次元モデルを使用するようにしていても良い。
【0024】
工程312において、工程311からの測定信号を、工程304からの変換波形と比較して、(工程311の)実際の測定波形からの変換波形(従って、工程303のシミュレーション波形)のずれを求める。このずれは、例えば、変換波形から測定波形を減算することによって求めるか、又は、所望の許容誤差を使用してマスク範囲(mask limit)を定義することによって求めても良い。許容誤差は、固定量、変換波形からのパーセント表示の差又は最大所望変動量(variance)の別の表現であっても良い。
【0025】
ある形態では、工程312での比較は、自動デバッグ・システム211に情報を提供するために使用されても良く、自動デバッグ・システム211は、物理的試作回路101の設計回路
図201及びシミュレーション試作回路103内の選択されたノード105のシミュレーション波形を利用して、製造された回路102について、その特性を測定し、検証する。ある形態では、自動デバッグ・システム211は、以前に測定されたノード106の結果に基づいて、製造された回路102の新しい探索場所を体系的にプローブして、製造された回路102が適切に動作しているかどうか判断し、もし適切に動作していない場合には、製造された回路102の障害部分を分離しても良い。ある形態では、これら新しい探索場所は、例えば、複雑な回路解析アルゴリズムによって決定されても良い。そのようなアルゴリズムは、例えば、大量のトレーニング・パターンに接した人工知能又は機械学習を利用しても良く、これは、適切な動作をチェックするための回路内の次の場所として最も高い確率の項目を特定できる。
【0026】
工程313では、試験測定装置204の数学的機能を変換波形に対して使用して、合否(pass/fail:合格/不合格)基準を確立する。例えば、所望の許容誤差は、試験測定装置204の数学的機能に含まれるか又は入力されても良い。許容誤差は、固定量、変換波形のパーセント表示の差又は最大所望変動量の別の表現、例えば、信号マスク又はトリガ・マスクであっても良い。この許容誤差は、工程314において、測定波形(工程311に関して上述)が、変換波形から所望の許容範囲内にあって合格とするか、又は、変換波形から所望の許容誤差の範囲外にあって不合格とするかを判断するために利用されても良い。ある形態では、製作する処理(工程308)、プローブする処理(工程311)及び求める処理(工程312)が、反復する。このような形態では、工程314において、先の反復処理で求めたずれを、次の反復処理のプロービング工程のための、製造された回路の次のノードを決定するために使用しても良い。
【0027】
ある形態では、ユーザによるシステムとのインタラクティブな操作をシンプルにするために、システムが非接触システム操作インタフェース209を有していても良い。非接触型操作としては、例えば、音声ベース又はジェスチャ・ベースの操作であっても良い。
実施例
【0028】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0029】
実施例1としては、電子回路の信号検証方法があり、この方法は、回路シミュレータから、シミュレーション試作回路のノードに関するシミュレーション波形を受信するステップと、上記シミュレーション波形を波形変換部によって上記シミュレーション波形とは異なるフォーマットを有する変換波形に変換するステップと、上記シミュレーション試作回路の上記ノードに対応する製造された回路のノードから、試験測定装置を用いて、測定波形を取得するステップと、上記試験測定装置によって、上記変換波形を用いて上記シミュレーション波形からの上記測定波形のずれを求めるステップとを具える。
【0030】
実施例2は、実施例1の方法であって、上記回路シミュレータによって、物理的試作回路の設計回路図を、該設計回路図をモデル化する前に取り込むステップと、上記回路シミュレータによって、上記物理的試作回路の上記設計回路図をモデル化して上記シミュレーション試作回路を生成するステップと、上記回路シミュレータによって、上記シミュレーション試作回路の上記ノードに関する上記シミュレーション波形を生成するステップとを更に具える。
【0031】
実施例3としては、実施例1から2のいずれかの方法があり、このとき、上記変換波形は、上記試験測定装置の基準波形である。
【0032】
実施例4としては、実施例1から3のいずれかの方法があり、このとき、上記波形変換部によって、上記シミュレーション波形から追加の変換波形を生成するステップを更に具える。
【0033】
実施例5としては、実施例4の方法があり、このとき、上記シミュレーション波形から上記追加の変換波形を生成するステップが、上記シミュレーション波形を複製して複製波形を作成するステップと、次いで、上記複製波形を所望の許容誤差に対応する所定量だけ変更するステップとを含む。
【0034】
実施例6としては、実施例1から5のいずれかの方法があり、このとき、上記試験測定装置によって、シミュレーション波形からの最大所望変動量(variance)に基づいて合否(pass/fail:合格/不合格)基準を決定するステップと、上記測定波形の求めたずれが上記合否基準内にある場合に上記測定波形を合格として特定するステップと、上記測定波形の求めたずれが上記合否基準外にある場合に上記測定波形を不合格として特定するステップとを更に具える。
【0035】
実施例7としては、実施例1から6のいずれかの方法があり、このとき、上記物理的試作回路の設計回路図に対応する、上記製造された回路の製造レイアウト情報を生成するステップと、上記製造レイアウト情報に基づいて上記製造された回路を製作するステップとを更に具える。
【0036】
実施例8としては、実施例1から7のいずれかの方法があり、このとき、上記製造レイアウト情報から上記物理的回路の電子的な3次元モデルを生成するステップを更に具える。
【0037】
実施例9としては、実施例8の方法があり、このとき、ビジョン・システムを用いて上記製造された回路の視覚的環境情報を取得するステップと、上記視覚的環境情報に基づいてスケーラ及びマッパによって上記3次元モデルのスケール(拡大縮小)及び配置を調整するステップとによって、上記シミュレーション試作回路の上記ノードの位置と上記製造された回路の上記ノードの位置とを相関させるステップを更に具える。
【0038】
実施例10としては、実施例1から9のいずれかの方法があり、このとき、上記製造された回路の上記ノードから上記測定波形を取得するステップが、上記製造された回路の上記ノードをプローブするステップを含む。
【0039】
実施例11としては、実施例1から10のいずれかの方法があり、このとき、上記変換波形を用いて上記シミュレーション波形からの上記測定波形のずれを求めるステップが、上記変換波形から上記測定波形を減算するステップ及び所望の許容誤差を使用してマスク範囲(mask limit)を定義するステップのうちの少なくとも1つを含む。
【0040】
実施例12としては、実施例1から11のいずれかの方法があり、このとき、受信するステップ、変換するステップ、取得するステップ及び求めるステップが反復する処理であり、この方法は、前の反復処理で求めたずれを利用して、次の反復処理の取得するステップに関して上記製造された回路の次のノードを決定するステップを更に具える。
【0041】
実施例13としては、電子回路中の信号を検証するためのシステムがあり、このシステムは、シミュレーション試作回路のノードに関するシミュレーション波形を受信し、該シミュレーション波形を該シミュレーション波形のフォーマットとは異なるフォーマットを有する変換波形に変換するように構成される波形変換部と、上記シミュレーション試作回路の上記ノードに対応する製造された回路上のノードからの測定波形を取得するよう構成される試験測定装置であって、上記変換波形を用いて上記シミュレーション波形からの上記測定波形のずれを求めるように更に構成される上記試験測定装置とを具える。
【0042】
実施例14としては、実施例13のシステムがあり、このとき、上記波形変換部は、上記シミュレーション波形を複製して複製波形を作成し、該複製波形を所望の許容誤差に対応する所定量だけ変更するように更に構成される。
【0043】
実施例15としては、実施例13から14のいずれかのシステムがあり、このとき、上記試験測定装置は、上記シミュレーション波形からの最大所望変動量(variance)に基づいて合否判定基準を決定するように更に構成され、上記試験測定装置は、上記測定波形の求めたずれが上記合否基準内である場合に上記測定波形を合格として特定するように更に構成され、上記試験測定装置は、上記測定波形の求めたずれが上記合否基準外である場合に、上記測定波形を不合格として特定するように更に構成されている。
【0044】
実施例16としては、実施例13から15のいずれかのシステムがあり、このとき、上記製造された回路は、物理的試作回路の設計回路図に対応し、該システムは、上記物理的試作回路の上記設計回路図に対応する、上記製造された回路の製造レイアウト情報から上記物理的回路の電子的な3次元モデルを生成するように構成された3次元生成部を更に具える。
【0045】
実施例17としては、実施例16のシステムがあり、このとき、上記製造された回路についての視覚的環境情報を取得するように構成されたビジョン・システムを更に具える。
【0046】
実施例18としては、実施例17のシステムがあり、このとき、上記視覚的環境情報に基づいて3次元モデルのスケール(拡大縮小)及び配置を調整するように構成されたスケーラ及びマッパを更に具える。
【0047】
実施例19としては、実施例13から18のいずれかのシステムがあり、このとき、上記波形変換部及び上記試験測定装置のうちの少なくとも1つとの非接触でのユーザのインタラクティブな操作を可能にするように構成された非接触システム操作インタフェースを更に具える。
【0048】
実施例20としては、実施例10から19のいずれかのシステムがあり、このとき、上記物理的試作回路の上記設計回路図を受信し、上記物理的試作回路をモデル化して上記シミュレーション試作回路を生成するように構成された回路シミュレータを更に具え、該回路シミュレータは、上記シミュレーション試作回路の上記ノードに関する上記シミュレーション波形を生成するように更に構成される。
【0049】
態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0050】
開示された主題の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0051】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。例えば、ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0052】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0053】
更に、用語「を具える(comprises)」及びその文法的に等価なものは、本願において、他のコンポーネント(components)、機能(features)、ステップ、処理(processes)、工程(operations)がオプションで存在することを示すのに使用される。例えば、コンポーネントA、B及びC「を具える(comprising)」又は「何かが」コンポーネントA、B及びC「を具える(which comprises)」という条件は、コンポーネントA、B及びCだけを含んでも良いし、又は、コンポーネントA、B及びCと共に1つ以上の他のコンポーネントを含んでいても良い。
【0054】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。
【国際調査報告】