(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-17
(54)【発明の名称】デジタル抗菌薬適正使用支援システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/20 20180101AFI20230809BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20230809BHJP
【FI】
G16H10/20
G16H20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501393
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 US2021041343
(87)【国際公開番号】W WO2022015678
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドーシ, ニシット エス.
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン, ジーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】リー, ブライアン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スダーシャナ, スビタ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
いくつかの例では、デジタル抗菌薬適正管理プログラム(ASP)システムは、ASPチームサブシステムと、治療チームサブシステムとを含む。ASPチームサブシステムは、治療チームによる抗生物質の処方および/または診断検査命令に介入する臨床決定のための関連情報へのASPチームアクセスを提供し、治療チームサブシステムに介入推奨を送信することができる。ASPチームサブシステムはまた、介入推奨についての推奨を提供することができる。治療チームサブシステムは、患者に抗生物質または診断試験を処方するための臨床決定のための関連情報への治療チームのアクセスを提供することができる。治療チームサブシステムはまた、処方についての推奨を生成することができる。治療チームサブシステムはまた、ASPサブシステムから介入推奨を受信し、介入推奨および情報をモバイルデバイスに表示することができる。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のコンピュータプロセッサによって実装される、抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)を支援する方法であって、
複数のデータベースから、複数の患者の医療データ、複数の抗生物質に対する病原体の耐性を示す耐性記録情報、および前記複数の抗生物質を使用する特定の疾患の治療に関する複数のガイドラインを取得することと、
前記複数の抗生物質のうちの第1の抗生物質の処方または前記複数の患者のうちの第1の患者についての第1の診断試験の命令のうちの少なくとも1つについての推奨を生成することであって、前記推奨が、前記複数のガイドライン、前記耐性記録情報、および前記第1の患者に対する前記医療データに1つ以上のルールを適用することに基づいて生成される、推奨を生成することと、
治療チームの第1のメンバーによってアクセス可能な第1のシステムのインターフェースを介して、前記第1の患者の前記医療データへのアクセス、前記第1の患者の病状に関連する前記耐性記録情報のサブセット、および前記第1のメンバーによる第1の臨床決定を容易にするための推奨を提供することであって、前記第1の臨床決定が、前記第1の患者に対して、前記第1の抗生物質の第1の用量を処方すること、または前記第1の診断試験を命令することのうちの少なくとも1つを含む、前記第1の患者の前記医療データへのアクセス、前記第1の患者の病状に関連する前記耐性記録情報のサブセット、および前記第1のメンバーによる第1の臨床決定を容易にするための推奨を提供することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のデータベースから前記複数の患者の前記医療データを取得するための第1のトリガを受信することであって、前記第1のトリガが、前記複数の患者の前記医療データにアクセスするための前記インターフェースを介した第1のコマンドを含む、第1のトリガを受信することと、
前記第1のトリガを受信したことに応答して、前記複数の患者の識別子を含むクエリを前記複数のデータベースに送信して、前記複数の患者の前記医療データを取得することと、
第2のトリガを受信して、推奨を生成することであって、前記第2のトリガが、前記第1の患者の前記医療データが前記インターフェースに表示されているという指示を受信すること、第2のコマンドを前記インターフェースを介して受信して、前記推奨を生成すること、または第1の患者の新たな医療データが利用可能であることを示すネットワークメッセージを前記複数のデータベースから受信することのうちの少なくとも1つを含む、第2のトリガを受信して、推奨を生成することと、
前記第2のトリガを受信したことに応答して前記推奨を生成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記推奨が、
前記複数のデータベースから、かつ前記第1の患者の前記医療データに示された前記第1の患者の疾患に基づいて、前記複数のガイドラインのうちの1つのガイドラインを表すグラフを取得することと、
前記第1の患者の前記疾患の状態に基づいて前記グラフをトラバースして、候補抗生物質のリストを取得することと、
前記第1の患者が抗生物質治療を受ける場所の場所識別子に基づいて前記複数のデータベースから前記耐性記録情報の耐性記録テーブルを取得することであって、前記耐性記録テーブルが複数のセクションを含み、各セクションが抗生物質に関連付けられ、関連付けられた前記抗生物質に対する異なる病原体の耐性の程度をリスト化する、前記耐性記録情報の耐性記録テーブルを取得することと、
前記候補抗生物質のリストに関連付けられた前記耐性記録テーブルのセクションを識別することと、
前記耐性記録の識別された前記セクションに基づいて、前記患者の疾患を引き起こす1つ以上の病原体に対する前記候補抗生物質のリストの耐性度を決定することであって、前記1つ以上の病原体が前記第1の患者の前記医療データに示される、前記候補抗生物質のリストの耐性度を決定することと、
前記耐性度に基づいて前記候補抗生物質のリストをランク付けすることと、
前記ランク付けに基づいて前記候補抗生物質のリストから推奨抗生物質を選択することと、
前記推奨抗生物質および関連付けられた前記用量を含む前記推奨を生成することと
によって生成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記インターフェースがモバイルインターフェースを備え、
前記第1のシステムが、モバイルデバイスを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記インターフェースが、前記第1のメンバーと前記治療チームの他のメンバーとの間、または前記第1のメンバーと別のチームのメンバーとの間のリアルタイムまたは非同期通信を可能にする通信インターフェースを備え、
前記インターフェースが、前記第1の患者の前記医療データ、前記耐性記録情報、または1つ以上の推奨抗生物質のうちの少なくとも1つを含むデータを表示するためのデータアクセスインターフェースをさらに備え、
前記通信インターフェースおよび前記データアクセスインターフェースが、前記第1のメンバーに同時に提供される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記通信インターフェースが、前記第1のメンバーが、前記第1の抗生物質の前記第1の用量の処方または前記第1の診断試験の命令のうちの少なくとも1つを前記治療チームの第2のメンバーに送信することを可能にする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記通信インターフェースが、前記第1のメンバーが、ASPチームによって操作される第2のシステムからの介入推奨に応答して、前記第1の患者に対する前記第1の抗生物質の前記第1の用量の処方または前記第1の診断試験の命令のうちの少なくとも1つを変更することを可能にする、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記インターフェースが第1のインターフェースであり、
前記方法が、
前記第2のシステムから前記介入推奨を受信することと、
前記介入推奨を含む通知を第2のインターフェースに表示することと、
前記通知に応答するための前記第1のメンバーからの入力の受信に応答して、前記通信インターフェースおよび前記データアクセスインターフェースを含む前記第1のインターフェースを前記第1のメンバーに表示することと
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のデータベースが、電子医療記録(EMR)データベース、マスター患者インデックス(MPI)サービスデータベース、健康情報交換(HIE)サーバ、医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)のフォーマットで画像ファイルを記憶するストレージ、画像保管通信システム(PACS)、ゲノムデータを含む検査室情報システム(LIS)、放射線情報システム(RIS)、耐性記録データベース、または病院ガイドラインデータベースのうちの少なくとも1つを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記医療データが、異なる時点での病歴、体温、血圧、または検査室結果のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の患者の前記医療データへのアクセスを提供することが、
前記医療データのサブセットを選択することと、
前記医療データの前記サブセットを前記インターフェースに表示することと、を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記医療データの前記サブセットが、前記治療チームの前記第1のメンバーによる入力、取得されていない前記第1の患者についての新たな試験結果を含む前記医療データの前記サブセット、または前記第1の臨床決定に関連する検査室測定結果を含む前記医療データの前記サブセットのうちの少なくとも1つに基づいて選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記インターフェースが第1のインターフェースであり、
前記方法が、
前記第1のメンバーについての前記新たな試験結果が前記複数のデータベースに記憶されているという指示を受信することと、
第2のインターフェースに前記指示を含む通知を表示することと、
前記通知に応答するための前記第1のメンバーからの入力の受信に応答して、前記第1のインターフェースを介して前記医療データの前記サブセットを前記第1のメンバーに表示することと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の患者に対する前記医療データに示された疾患の状態に基づいて、前記複数のガイドラインのサブセットを選択することと、
前記インターフェースを介して、前記複数のガイドラインの前記サブセットへのアクセスを提供することと
をさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の抗生物質の前記処方についての前記推奨が、前記第1の抗生物質の投与経路、または前記第1の抗生物質の前記第1の用量が投与される治療経過の期間のうちの少なくとも1つの推奨をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記推奨が、前記第1の患者の病歴、前記第1の患者の疑われる診断名、前記第1の患者の疾患を引き起こす疑われる病原体、前記第1の患者の薬物耐性のリスク、または前記第1の患者の検査室試験結果のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記推奨が、
複数の代替抗菌レジメンのそれぞれについてのベネフィットオーバーリスクスコア(benefit-over-risk score)を決定することであって、前記リスクが抗生物質に対する耐性を発現させる可能性に基づいて決定される、ベネフィットオーバーリスクスコア(benefit-over-risk score)を決定することと、
前記ベネフィットオーバーリスクスコアに基づいて前記複数の代替抗菌レジメンをランク付けすることと、
前記ランク付けに基づいて、推奨される経験的抗菌レジメンを提供することと
に基づいて生成される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
経験的抗菌レジメンについての前記推奨が、前記第1の抗生物質の前記第1の用量がいつ投与されるかの推奨をさらに含み、
前記推奨が、治療に必要な第1の数と、害を及ぼすのに必要な第2の数とに基づく比に基づいて生成され、前記第1の数が、1人の患者に利益をもたらすために前記第1の抗生物質によって治療する必要がある患者の数を示し、前記第2の数が、1人の患者が治療害を受ける前に前記第1の抗生物質によって治療することができる患者の数を示す、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記推奨が、前記第1の患者を治療している病院の抗生物質在庫または前記第1の患者を治療している診療所の抗生物質在庫のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記推奨が、限られた薬物のリストに基づいて生成される、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記推奨が、前記複数の患者のうちの第2の患者の治療履歴に基づいて、かつ前記第1の患者と前記第2の患者との間の症状の比較に基づいて生成される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記推奨が、1つ以上のルールに基づいて生成され、
少なくとも1つ以上のルールまたは前記複数のガイドラインが、病院または診療所の管理者によって編集可能である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
1つ以上のコンピュータプロセッサによって実装される、抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)を支援する方法であって、
複数のデータベースから、1つ以上の抗生物質を投与された後の複数の患者の医療データ、前記1つ以上の抗生物質を含む複数の抗生物質に対する病原体の耐性を示す耐性記録情報、および前記複数の抗生物質を使用する特定の疾患の治療に関する複数のガイドラインを取得することと、
前記医療データおよび前記耐性記録情報に基づいて前記複数の患者のそれぞれについてのトリアージランキングを決定することと、
ASPチームの第1のメンバーによってアクセス可能なインターフェースを介して、前記複数の患者を表し、かつ前記複数の患者の前記医療データの少なくとも一部を含むランク付けされた患者リストを表示することであって、前記患者リストが、前記複数の患者の前記トリアージランキングに基づいてランク付けされる、ランク付けされた患者リストを表示して、前記ASPチームの前記第1のメンバーによる第1の臨床決定を容易にし、前記複数の患者のうちの第1の患者に対する第1の抗生物質の処方に介入することと
を含む、方法。
【請求項24】
前記複数のデータベースから前記複数の患者の前記医療データを取得するための第1のトリガを受信することであって、前記第1のトリガが、前記複数の患者のうちの1人以上の前記医療データにアクセスするための前記インターフェースを介した第1のコマンド、前記複数の患者のうちの1人以上の抗生物質処方の検討が予定されていることを示すタイマの満了、または第2のシステムに入力されている新たな抗生物質処方の検出を含む、第1のトリガを受信することと、
前記第1のトリガを受信したことに応答して、前記複数の患者の識別子を含むクエリを前記複数のデータベースに送信して、前記複数の患者の前記医療データを取得することと、
第2のトリガを受信して、推奨を生成することであって、前記第2のトリガが、前記第1の患者の前記医療データが前記インターフェースに表示されているという指示を受信すること、第2のコマンドを前記インターフェースを介して受信して、前記推奨を生成すること、または第1の患者の新たな医療データが利用可能であることを示すネットワークメッセージを前記複数のデータベースから受信することのうちの少なくとも1つを含む、第2のトリガを受信して、推奨を生成することと、
前記第2のトリガを受信したことに応答して前記推奨を生成することと
をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記インターフェースが、コンピュータの表示画面上に設けられる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記医療データが、異なる時点での病歴、体温、血圧、または検査室結果のうちの少なくとも1つを含む、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記トリアージスコアが、複数の要因に基づいて患者について計算され、前記複数の要因が、前記患者について最新の検査室結果が生成された場合に、前記患者が、前記患者に対する抗生物質の既存の処方に介入する機会を示す特性を示すかどうか、または前記患者に処方された前記抗生物質の特性を示すかどうかのうちの少なくとも1つを含む、請求項24から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記患者に対する抗生物質の既存の処方に介入する機会を示す特性を前記患者が示すかどうかの前記要因が、陽性血液培養、バグ-薬物ミスマッチ、検査室/薬物ミスマッチ、アレルギーの検出、重複カバレッジ、または静脈内(IV)から経口(PO)機会の存在のうちの少なくとも1つを含む複数の属性に基づいて計算される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記要因のそれぞれが重みに関連付けられ、
前記トリアージスコアが、前記要因の加重平均に基づいて計算され、かつ
前記重みが、前記ASPチームによって規定されるか、または前記インターフェースを介して上位の患者に対して選択されている下位の患者の履歴に基づいて自動調整される、請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記患者リストが、各患者について受信されたシステム生成通知の数を決定することに基づいてランク付けされ、前記システム生成通知が、前記患者に対する抗生物質の既存の処方に介入する機会を示す特性を前記患者が示すかどうかの前記要因に関連する1つ以上のルールに基づいて生成される、請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
介入推奨を含む通知を前記第2のシステムに送信することであって、前記介入推奨が、前記第1の患者に対する前記第1の抗生物質の前記処方に介入するか、または前記第1の患者に対する前記診断試験の前記処方に介入するための前記第1の臨床決定に基づく、介入推奨を含む通知を前記第2のシステムに送信することをさらに含む、請求項27から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記通知を生成するために、前記インターフェースを介して、前記第1のメンバーからの入力を受信することと、
前記入力に基づいて前記通知を生成することと、をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
推奨を生成して、前記第1の患者に対する前記第1の抗生物質の前記処方に介入するか、または前記第1の患者に対する前記診断試験の前記処方に介入することであって、前記推奨が、前記第1の患者に対する複数のガイドライン、前記耐性記録情報、および前記医療データに1つ以上のルールを適用することによって生成される、推奨を生成して、前記第1の患者に対する前記第1の抗生物質の前記処方に介入するか、または前記第1の患者に対する前記診断試験の前記処方に介入することと、
前記インターフェースを介して、前記第1のメンバーに前記推奨を表示することと
をさらに含み、
前記入力が、前記推奨が前記第1のメンバーに表示されたとき、または、前記推奨が前記第1のメンバーに表示された後に、前記第1のメンバーから受信される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記推奨が、
前記複数のデータベースから、かつ前記第1の患者の前記医療データに示される前記第1の患者の疾患に基づいて、前記複数のガイドラインのうちの1つのガイドラインを表すグラフを取得することと、
前記第1の患者の前記疾患の状態に基づいて前記グラフをトラバースして、候補抗生物質およびそれらの用量のリストを取得することと、
前記候補抗生物質のリストに含まれていない前記第1の抗生物質、または前記グラフにおいて指定された前記第1の抗生物質に関連付けられた用量と一致せずに処方されている前記第1の抗生物質の第1の用量に基づいて前記推奨を生成することと
によって生成される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記推奨が、
前記第1の患者が抗生物質治療を受ける場所の場所識別子に基づいて前記複数のデータベースから耐性記録テーブルを取得することであって、前記耐性記録テーブルが複数のセクションを含み、各セクションが抗生物質に関連付けられ、関連付けられた前記抗生物質に対する異なる病原体の耐性の程度をリスト化する、耐性記録テーブルを取得することと、
前記第1の抗生物質に関連付けられた前記耐性記録テーブルのセクションを識別することと、
前記耐性記録の識別された前記セクションに基づいて、前記患者の疾患を引き起こす1つ以上の病原体に対する前記候補抗生物質のリストの耐性度を決定することであって、前記1つ以上の病原体が前記第1の患者の前記医療データに示される、前記候補抗生物質のリストの耐性度を決定することと、
閾値を超える前記耐性度に基づいて前記推奨を生成することと
によって生成される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記推奨を含む通知を送信することをさらに含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の患者の前記医療データの一部として、前記処方の前記介入の状態を記憶することと、
前記介入に対するコンプライアンスまたは非コンプライアンスについての前記通知に対する治療チームからの応答を前記第2のシステムから受信することと、
前記応答に基づいて、前記第1の患者についての前記処方の前記介入の記憶された前記状態を更新することと
をさらに含む、請求項28から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記インターフェースを介して、前記第1のメンバーに前記応答を表示することと、
前記インターフェースを介して、前記第1のメンバーからの入力を受信して、前記介入の前記状態を更新することと
をさらに含み、
前記介入の前記記憶された状態が、前記第1のメンバーからの前記入力に基づいて更新される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記インターフェースが、前記第1のメンバーと前記ASPチームの他のメンバーとの間、または前記第1のメンバーと別のチームのメンバーとの間のリアルタイムまたは非同期の通信を可能にする通信インターフェースを備え、
前記通知および前記応答が、前記通信インターフェースに表示される、請求項37または38に記載の方法。
【請求項40】
前記インターフェースが、前記第1の患者の前記医療データ、前記耐性記録情報、または1つ以上の推奨抗生物質のうちの少なくとも1つを含むデータを表示するためのデータアクセスインターフェースをさらに備え、
前記通信インターフェースおよび前記データアクセスインターフェースが、前記第1のメンバーに同時に提供される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記複数の患者への抗生物質の処方および投与の履歴ならびに前記抗生物質に対する患者の反応を含む前記複数の患者の前記医療データ、ならびに前記ASPチームによる介入のコンプライアンスおよび非コンプライアンスの統計に基づいて、分析レポートを生成することと、
前記インターフェースを介して前記分析レポートを表示することと
をさらに含む、請求項23から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
1つ以上のコンピュータプロセッサによって実装される、抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)を支援する方法であって、
複数のデータベースから、複数の患者の医療データ、複数の抗生物質に対する病原体の耐性を示す耐性記録情報、および前記複数の抗生物質を使用する特定の疾患の治療に関する複数のガイドラインを取得することと、
第1の患者に対する前記医療データ、前記耐性記録情報、および前記複数のガイドラインに基づいて、前記複数の患者のうちの前記第1の患者についての経験的抗菌レジメンの推奨を生成することと、
治療チームの第1のメンバーによってアクセス可能な第1のシステムの第1のインターフェースを介して、前記第1の患者の前記医療データ、前記耐性記録情報、および前記推奨される経験的抗菌レジメンへのアクセスを提供して、前記第1のメンバーによる第1の臨床決定を容易にすることであって、前記第1の臨床決定が、前記複数の抗生物質のうちの第1の抗生物質の第1の用量を前記第1の患者に処方することを含む、アクセスを提供して、前記第1のメンバーによる第1の臨床決定を容易にすることと、
前記第1の患者が前記第1の抗生物質の前記第1の用量を受けた後に前記第1の患者の更新された医療データを受信することと、
前記医療データおよび前記耐性記録情報に基づいて前記複数の患者のそれぞれについてのトリアージランキングを決定することであって、前記医療データが前記第1の患者の更新された前記医療データを含む、トリアージランキングを決定することと、
ASPチームの第2のメンバーによってアクセス可能な第2のシステムの第2のインターフェースを介して、前記複数の患者を表し、かつ前記複数の患者の前記医療データの少なくとも一部を含むランク付けされた患者リストを表示することであって、前記患者リストが、前記複数の患者の前記トリアージランキングに基づいてランク付けされる、ランク付けされた患者リストを表示して、前記ASPチームの前記メンバーによる第1の臨床決定を容易にし、前記複数の患者のうちの第1の患者に対する第1の抗生物質の処方に介入することと、
前記第2のインターフェースを介して、前記ASPチームからの第2の臨床決定を受信して、前記第1の患者への前記第1の抗生物質の前記処方に介入することと、
前記第2の臨床決定の受信に応答して、前記第2の臨床決定に基づく介入推奨を含む通知を生成することと、
前記通知を前記第1のシステムに送信することと
を含む、方法。
【請求項43】
上記の方法のいずれかの動作を実行するようにコンピュータシステムを制御するための複数の命令を記憶するコンピュータ可読媒体を備える、コンピュータ製品。
【請求項44】
システムであって、
請求項43に記載のコンピュータ製品と、
前記コンピュータ可読媒体に記憶された命令を実行するための1つ以上のプロセッサと
を備える、システム。
【請求項45】
上記の方法のいずれかを実行するための手段を備える、システム。
【請求項46】
上記の方法のいずれかを実行するように構成された、システム。
【請求項47】
上記の方法のいずれかのステップをそれぞれ実行するモジュールを備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、「SYSTEMS AND METHODS FOR ANTIMICROBIAL STEWARDSHIP」と題された、2020年7月13日出願の米国仮特許出願第62/705,728号、および「SYSTEMS AND METHODS FOR ANTIMICROBIAL STEWARDSHIP」と題された、2021年2月16日出願の米国仮特許出願第63/149,953号の優先権を主張し、これらの双方は、本明細書の譲受人に譲渡され、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本発明の実施形態は、一般に、抗菌薬適正使用支援に関し、特に、医療現場における抗菌薬適正使用支援に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
抗菌薬耐性は、2050年までに癌よりも多くの死亡を引き起こすと予想されており、世界中で約1000万人と推定されている。1つの問題は、処方された抗生物質の50%超が不必要または不適切であり、ひいては抗生物質に対する耐性が高くなることである。その結果、抗菌薬耐性の世界的な健康上の脅威を考慮すると、抗生物質の有効性を維持するために、世界中の病院および医療現場で抗菌薬適正使用プログラム(ASP)を実装するための規制およびポリシーが大幅に増加している。ASPは、典型的には、患者の転帰を改善し、微生物耐性を低減するために抗生物質の適切な使用を促進するための協調プログラムである。ASPは、典型的には、治療の一部として患者に抗生物質を処方して投与する治療チームと、抗生物質治療を変更するための介入を推奨するために抗生物質の処方/投与および他の患者情報を検討するASPチームとの間の協働を含む。次いで、治療チームは、治療を最適化するために抗生物質治療への変更を実施することができる。
【0004】
ASPは、患者に対する治療を最適化しながら抗菌薬耐性を低減するのに重要な役割を果たすことができるが、ASPの有効性を低下させる可能性がある非効率性の様々な原因が存在し得る。例えば、どの抗生物質を患者に処方するかについて臨床決定を行うために、または処方に介入するために、臨床医は、複数のデータベースから異なるタイプのデータを取得し、臨床決定に最も関連するデータを選択する必要があり得る。しかしながら、複数のデータベースからのデータの取り出し、ならびに臨床決定を行うための関連データの選択/識別は、手間がかかり、時間がかかり、潜在的にエラーを起こしやすい。さらに、典型的には、ASPチームおよび治療チームは、患者の抗生物質治療を変更するかどうかを決定するために事前に予定された会議において協働するが、そのような構成は、抗生物質治療が開始されるときと抗生物質治療が変更されるときとの間にかなりの遅延をもたらす可能性がある。これらは、全て、抗菌薬耐性の低減および患者に提供されるケアの質の改善におけるASPの有効性を実質的に低下させる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
簡単な概要
本開示の例は、ASPの実行を改善するために少なくともいくつかの問題に対処することができるデジタルASPシステムを提供する。具体的には、デジタルASPシステムは、1つ以上のASPチームサブシステムと、1つ以上の治療チームサブシステムとを含むことができる。ASPチームサブシステムは、治療チームによる抗生物質の処方および/または診断検査命令に介入する臨床決定のための関連情報へのASPチームアクセスを提供し、リアルタイム通信を介して治療チームサブシステムに介入推奨を送信することができる。ASPチームサブシステムはまた、管理者がASPの実行を評価するのを助けるために、様々な統計を記録するためのレポートを生成することができる。ASPチームサブシステムはまた、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の全米医療安全ネットワーク(NHSN)などの外部機関にレポートを送信することもできる。
【0006】
さらに、治療チームサブシステムは、患者に抗生物質を処方する臨床決定のための関連情報への治療チームのアクセスを提供することができる。治療チームサブシステムはまた、ASPサブシステムから介入推奨を受信し、介入推奨に対する応答をASPサブシステムに返信し、リアルタイムまたは非同期通信を介して他の治療チームサブシステムに処方命令を送信することができる。ASPチームサブシステムは、第1のインターフェース(以下、ASPチームインターフェース)を介してASPチームによってアクセス可能とすることができる。いくつかの例では、ASPチームインターフェースは、コンピュータの表示画面上に提供されるデスクトップインターフェースとすることができる。いくつかの例では、ASPチームインターフェースは、ASPチームのメンバーのモバイルデバイス上に提供されるモバイルインターフェースとすることができる。さらに、治療チームサブシステムは、治療チームのメンバーのモバイルデバイス上に提供されることができる第2のインターフェース(以下、治療チームインターフェース)を介して治療チームによってアクセス可能である。
【0007】
本発明のこれらおよび他の実施形態は、以下に詳細に説明する。例えば、他の実施形態は、本明細書に記載の方法に関連するシステム、デバイス、およびコンピュータ可読媒体に関する。
【0008】
以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって、本発明の実施形態の性質および利点をよりよく理解できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
詳細な説明は、添付の図面を参照して説明される。
【0010】
【
図1】従来の抗菌薬適正使用プログラム(ASP)およびASPに関連する情報を示している。
【
図2A-2C】従来の抗菌薬適正使用プログラム(ASP)およびASPに関連する情報を示している。
【0011】
【
図3A-3H】本開示の特定の態様にかかる、デジタルASPシステムの構成要素の例を示している。
【0012】
【
図4A-4E】本開示の特定の態様にかかる、デジタルASPシステムによって提供されるASPチームインターフェースの例を示している。
【0013】
【
図5A-5D】本開示の特定の態様にかかる、デジタルASPシステムによって提供される治療チームインターフェースの例を示している。
【0014】
【
図6A-6B】本開示のある態様にかかる、ASPをサポートするための方法の例を示している。
【0015】
【
図7】本明細書に開示された技術を実装するために利用されることができる例示的なコンピュータシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
抗菌薬受託プログラム(ASP)は、典型的には、患者の転帰を改善し、抗菌薬耐性を低下させるために抗生物質の適切な使用を促進するための協調プログラムである。ASPは、典型的には、治療の一部として患者に抗生物質を処方して投与する治療チームと、抗生物質治療を変更するための介入を推奨するために抗生物質の処方/投与および他の患者情報を検討するASPチームとの間の協働を含む。次いで、治療チームは、治療を最適化するために変更を実施することができる。
【0017】
しかしながら、抗菌薬耐性の低減および患者に対する治療の最適化におけるASPの有効性は、非効率性の様々な原因によって低下する可能性がある。具体的には、臨床医は、典型的には、患者の医療データ(例えば、病歴、検査室データなど)、処方を管理するガイドライン/規制、耐性記録情報などの抗生物質の特性情報などの異なるタイプの情報を取得する必要があり、これらは、通常、複数のデータベースに記憶される。さらに、臨床医はまた、臨床決定に最も関連するデータを選択する必要があり得る。複数のデータベースからのデータの取り出し、ならびに臨床決定を行うための関連データの選択/識別は、手間がかかり、時間がかかり、潜在的にエラーを起こしやすい。さらに、典型的には、ASPチームは、治療チームによる抗生物質の処方の介入に関する臨床決定を行い、治療チームは、事前に予定された会議中にのみ介入推奨を受け取る。したがって、患者が抗生物質治療を開始した後、患者は、治療に何らかの変更を加えることができる前に、ASPチームと治療チームとの間の次の事前に予定された会議まで待つ必要がある。結果として、患者についての抗生物質治療の変更の実施が大幅に遅延する可能性があり、介入は、通常、本質的に先を見越したものではなく後手である。これらは、全て、抗菌薬耐性の低減および患者に提供されるケアの質の改善におけるASPの有効性を低下させる可能性がある。
【0018】
本開示の例は、抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)の実行を改善するためのデジタルシステムを提供する。具体的には、デジタルシステムは、1つ以上のASPチームサブシステムと、1つ以上の治療チームサブシステムとを含むことができる。ASPチームサブシステムは、治療チームによって命令された抗生物質の処方および/または診断試験(例えば、細菌感染に関連する診断試験、例えば染色および検査、培養、病原体の抗生物質に対する感受性/感度の試験など)に介入する臨床決定のための関連情報へのASPチームアクセスを提供し、ASPチームの臨床決定に基づく介入推奨をリアルタイムまたは非同期通信を介して治療チームサブシステムに送信することができる。ASPチームサブシステムはまた、管理者がASPの実行を評価するのを助けるために、抗生物質の処方、介入などの様々な統計を記録するためのレポートを生成することができる。ASPチームサブシステムはまた、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の全米医療安全ネットワーク(NHSN)などの外部機関にレポートを送信することもできる。
【0019】
さらに、治療チームサブシステムは、抗生物質を処方するため、および/または患者に診断検査を命令するための臨床決定のための関連情報への治療チームのアクセスを提供することができる。治療チームサブシステムはまた、臨床決定に基づく処方命令を他の治療チームサブシステムに送信することができる。治療チームサブシステムはまた、ASPサブシステムから介入推奨を受信し、介入推奨に対する応答をASPサブシステムに返信し、処方命令(抗生物質、診断試験など)をリアルタイムまたは非同期通信を介して他の治療チームサブシステムに送信することができる。
【0020】
具体的には、ASPチームサブシステムは、ASPチームインターフェースを介してアクセス可能とすることができる。いくつかの例では、ASPチームインターフェースは、コンピュータの表示画面上に提供されるデスクトップインターフェースとすることができる。いくつかの例では、ASPチームインターフェースは、モバイルデバイス上に提供されるモバイルインターフェースであってもよい。ASPチームインターフェースは、ASPチームデータアクセスインターフェースおよびASPチーム通信インターフェースを含むことができる。ASPチームサブシステムは、ネットワークを介して1つ以上のデータベースから介入推奨に関連するまたは必要とされる患者の様々な医療データを受信し、データを集約することができる。介入の推奨は、抗生物質の処方を変更すること、細菌感染に関連する診断検査を変更することなどとすることができる。患者の集約された医療データは、例えば、患者の病歴、患者の直近の診断、抗生物質を含む医薬品、様々な測定の結果(例えば、体温、血圧など)、および様々な検査室試験の結果(例えば、細菌試験、細菌培養、抗生物質感受性試験、グラム染色など)を含むことができる。ASPチームサブシステムはまた、耐性記録情報、抗生物質の処方および投与のためのガイドラインなどの介入推奨に関連する他のデータを集約することができる。
【0021】
ASPチームサブシステムは、ASP介入決定のために患者データを取得して集約するトリガを受信することができる。トリガは、例えば、特定の患者の医療データにアクセスするためのASPチームからのコマンド、ASPチームによる患者の抗生物質の使用/処方の検討が予定されていること、特定の患者に対して新たな抗生物質の処方が入力され、処方が検討されていないことなどを示すタイマに基づくことができる。
【0022】
次いで、ASPチームサブシステムは、集約データを表示するためにASPチームデータアクセスインターフェースに提供することができ、あるいは集約データをASPチームデータアクセスインターフェースを介してアクセス可能にすることができ、その結果、ASPチームメンバーは、異なるソースからおよび/または異なるインターフェース内のデータにアクセスする代わりに、ASPチームデータアクセスインターフェースから介入推奨を行うのに必要な全てのデータにアクセスすることができる。いくつかの例では、ASPチームデータアクセスインターフェースはまた、集約データのサブセットを選択し、選択されたデータをASPチームデータアクセスインターフェースに表示することができる。いくつかの例では、ASPチームサブシステムは、特定の患者に対するデータの関連度に基づいてフィルタリング動作を自動的に実行することができる。いくつかの例では、フィルタリング動作は、ユーザからの入力に基づいて実行されることもできる。
【0023】
さらに、患者の治療/検査の効率的な検討および介入を容易にするために、ASPチームサブシステムは、抗生物質プロファイル、患者の検査室試験結果、患者の病歴、介入追跡状況などに基づいて患者のサブセットを自動的に選択することができる。選択は、スコアリングシステムに基づくことができる。具体的には、ASPチームサブシステムは、各患者のトリアージスコアを決定し、トリアージスコアに基づいて患者をランク付けし、ランク付けされた患者のリストをASPチームインターフェースに表示することができる。トリアージスコアは、患者の治療/検査を検討する緊急性を示すことができる。次いで、ASPチームは、ランキングを参照して、検討のために患者を選択することができる。トリアージスコアは、患者の抗生物質治療を検討する緊急性を示すために、様々な要因(例えば、最新の検査室試験結果の利用可能性、検査室試験/薬物ミスマッチ、限られた薬物処方など)の加重平均とすることができる。重みは、例えば以前の介入に基づいて、ASPチームによっておよび/またはASPチームサブシステムによって自動的に決定されることができる。ASPチームインターフェースは、ランク付けされたリスト内の特定の患者のASPチームからの選択を受信し、選択された患者の上述したフィルタリングされたデータをASPチームのデータアクセスインターフェースに表示することができる。
【0024】
介入推奨のための関連データを表示することに加えて、ASPチームサブシステムはまた、臨床決定支援(CDS)の一部として、決定を容易にするための介入推奨を生成することもできる。ASPチームサブシステムは、例えば、トリガに応答して、選択された患者の医療データ、耐性記録情報、ガイドラインなどに基づいて推奨を生成することができる。いくつかの例では、トリガは、ASPチームサブシステムにASP介入決定のために患者データを取得および集約させる同じトリガであってもよい。いくつかの例では、トリガは、例えば、検討されている患者の新たな医療データ(例えば、検査室試験結果、またはサブシステムによって処理されていない他の新たな医療データ)が利用可能であるというデータベースからの指示に基づく異なるトリガとすることができる。指示は、ASPチームサブシステムによって送信されたクエリに応答してデータベースによって送信されたネットワークメッセージの形態とすることができる。
【0025】
ASPチームサブシステムは、医療データと同時にASPチームデータアクセスインターフェースに推奨を表示することができ、ユーザが推奨の基礎にアクセスすることを可能にすることができる。ASPチームサブシステムはまた、推奨に基づいて、またはASPチームからの入力に基づいて自動的に生成されることができる介入推奨の通知を生成し、テキストメッセージング、音声通話などのリアルタイム通信を介して治療チームサブシステムに通知を送信することができる。通知はまた、非同期通信の一部として後に治療チームメンバーによって応答されるスヌーズ通知であってもよい。ASPチームサブシステムはまた、介入推奨の状態(例えば、治療変更が実施されたかどうか、診断試験が命令されたかどうかなど)を(自動的におよび/またはASPチームからの入力に基づいて)追跡することができる。いくつかの例では、ASPチーム通信インターフェースは、テキストメッセージングインターフェースの形態とすることができ、通知、ならびに治療チームサブシステムからの通知に対する応答は、テキストメッセージの形態で表示されることができる。ASPチームサブシステムは、ASPチームデータアクセスインターフェースおよびASPチーム通信インターフェースを同時に表示することができ、これは、ユーザが、協働体験を容易にするために、医療データにアクセスしながらテキストメッセージまたは音声を介して通信することを可能にする。通知に基づいて動作するために必要な全ての情報も治療チームインターフェースに提供される。
【0026】
さらに、ASPチームサブシステムは、ASPをサポートするための追加機能を含むことができる。例えば、ASPチームサブシステムは、管理者がASPの実行を評価するのを助けるために、様々な統計を記録するためのレポートを生成することができる。そのようなレポートは、例えば、治療日数に関するレポート、または介入受け入れレポートを含むことができる。ASPチームサブシステムはまた、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の全米医療安全ネットワーク(NHSN)などの外部機関にレポートを送信することもできる。別の例として、ASPチームサブシステムは、通知の生成の構成、通知に対するアクセス権の設定(例えば、ASPチームのどのメンバーが通知を生成/受信することができ、治療チームのどのメンバーが治療チームサブシステムを介してASPチームサブシステムから通知を受信することができるかなど)、医療データの編集/抽象化(例えば、ガイドラインの編集、耐性記録、データの独自フォーマットへの変換など)などの様々な管理機能をサポートすることができる。
【0027】
さらに、治療チームサブシステムは、治療チームのメンバーのモバイルデバイス上に提供されることができる治療チームインターフェースを介して治療チームによってアクセス可能である。治療チームインターフェースは、治療チームデータアクセスインターフェースおよび治療チーム通信インターフェースを含むことができる。治療チームサブシステムはまた、ネットワークを介して1つ以上のデータベースから特定の患者の臨床決定に関連する(または必要とされる)様々な医療データを取得し、データを集約することができる。治療チームサブシステムは、患者の病歴を検討するための治療チームからの選択などのトリガの受信に基づいて医療データを取得して集約することができる。
【0028】
臨床決定は、例えば、第1の用量または経験的治療、細菌感染に関連する診断試験(例えば、細菌感染に関連する診断試験、例えば染色および検査、培養、病原体の同定、病原体の感受性/抗生物質に対する感受性の試験)などを含むことができる。医療データは、例えば、特定の患者のバイタルおよび検査室試験結果、耐性記録情報、ガイドラインなどを含むことができる。次いで、治療チームサブシステムは、表示のために治療チームデータアクセスインターフェースに集約データを提供することができ、あるいは治療チームデータアクセスインターフェースを介して集約データへのアクセスを提供することができる。これは、治療チームメンバーが、異なるソースからおよび/または異なるインターフェースでデータにアクセスする代わりに、治療チームのデータアクセスインターフェースから臨床決定を行うのに必要な全てのデータ(例えば、細菌感染に関連する診断試験を命令する第1の用量、経験的治療について)にアクセスすることを可能にする。
【0029】
さらに、治療チームサブシステムはまた、患者に対するデータの関連度に基づいて、耐性記録情報などのデータの一部に対してフィルタリング動作を自動的に実行することができる。例えば、治療チームインターフェースは、患者が抗生物質を投与されるべき場所(例えば、ICU)に基づいて耐性記録情報を提供することができる。別の例として、治療チームサブシステムは、抗生物質プロファイル、患者の検査室試験結果、患者の病歴、介入追跡状況などに基づいて患者のサブセットを自動的に選択し、治療チームデータアクセスインターフェースを介して患者のサブセットの医療データへのアクセスを提供することができる。いくつかの例では、フィルタリング動作は、ユーザからの入力に基づいて実行されることもできる。
【0030】
第1の用量または経験的治療に関する臨床決定のための関連データを表示することに加えて、治療チームサブシステムはまた、CDSの一部として、第1の用量または経験的治療についての推奨を生成することもできる。治療チームサブシステムは、薬物に対するアレルギーを含む患者の病歴、患者の疑われる診断名、患者の疾患を引き起こす疑われる病原体、患者の薬物耐性のリスク、患者の検査室試験結果、耐性記録情報、ガイドライン、処方制限および在庫状況などの様々なタイプの医療データに基づいて推奨を生成することができる。推奨は、例えば、治療チームメンバーからのコマンド/要求の受信、患者の新たな医療データ(例えば、検査室試験結果)が利用可能であるという指示(例えば、ネットワークメッセージ)の受信などに基づいて生成されることができる。治療チームサブシステムは、治療チームデータアクセスインターフェースに推奨を表示して、ユーザが推奨の基礎にアクセスすることを可能にすることができる。次いで、治療チームは、推奨を受け入れるか拒否するかに基づいて臨床決定(例えば、処方命令)を行うことができる。
【0031】
さらに、治療チームサブシステムはまた、臨床決定の通知を生成/受信することができる。通知(スヌーズ通知、テキストメッセージなどを含むことができる)は、治療チームの臨床医からの入力に基づいて生成され、テキストメッセージング、音声通話などのリアルタイム通信を介して治療チームの他のメンバー(例えば、薬剤師)によって操作される他の治療チームサブシステムに通知を送信することができる。さらに、治療チームサブシステムは、上述したように、ASPサブシステムから介入の通知を受信することができる。いくつかの例では、通知は、モバイルデバイスに感覚出力(例えば、振動、トーンなど)を発生させて、通知についてユーザに警告することができる。さらに、治療チームサブシステムは、ユーザからの通知の選択を受信すると、治療チームインターフェースを起動することができる。いくつかの例では、治療チーム通信インターフェースは、テキストメッセージングインターフェースの形態であってもよく、また、通知、ならびに他の治療チームサブシステムからの通知に対する応答は、テキストメッセージの形態で表示されることができる。治療チームサブシステムは、治療チームデータアクセスインターフェースおよび治療チーム通信インターフェースを同時に表示することができ、これは、ユーザが、協働体験を容易にするために、医療データにアクセスしながらテキストメッセージまたは音声を介して通信することを可能にする。治療チームインターフェースはまた、スヌーズ通知を可能にし、治療チームは、後で通知に基づいて行動することができる。
【0032】
本開示の例にかかるデジタルASPシステムでは、ASPチームおよび治療チームの双方が、単一のデータアクセスインターフェースからの臨床決定(介入推奨、第1の用量/経験的治療の処方など)のために、全ての関連情報、ならびにシステム生成の推奨にアクセスすることができる。臨床医が異なるシステムから異なるデータを調達する必要がある場合、または異なるインターフェースを介して異なるデータにアクセスする必要がある場合と比較して、デジタルASPシステムは、臨床医のデータへのアクセスを大幅に改善することができ、臨床決定を高速化するだけでなく、決定の質も改善する。さらに、デジタルASPシステムによって提供されるトリアージランキングは、治療/診断試験を検討および/または変更する必要がある患者が適時に介入を受けることができることを保証することができる。さらに、ASPチームと治療チームとの間にリアルタイムの通信能力を提供することによって、ASPチームによる介入推奨は、介入推奨が行われるとすぐにリアルタイムで、どこでも(例えば、患者のベッドサイド、薬局などで)治療チームに通信することができる。ASPチームおよび治療チームが事前に予定された会議中にのみ協働する場合と比較して、そのような構成は、患者の治療および診断試験の介入をさらに高速化することができる。これらは、全て、患者に提供されるケアの質、ならびに抗菌薬耐性の低減におけるASPの有効性を改善することができる。
【0033】
I.抗菌薬適正使用プログラム(ASP)の例
図1、
図2A、
図2B、および
図2Cは、抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)の例を示している。ASPは、典型的には、患者の転帰を改善し、微生物耐性を低減するために抗生物質の適切な使用を促進するための協調プログラムである。ASPは、典型的には、治療の一部として患者に抗生物質を処方して投与する治療チームと、抗生物質治療を変更するための介入を推奨するために抗生物質の処方/投与を検討するASPチームとの間の協働を含む。
【0034】
A.ASPチームと治療チームとの間の例示的な相互作用
図1は、例示的なASPプログラム100を示している。
図1に示すように、ステップ102において、治療チーム(
図1の病院総合診察医)は、経験的治療または第1の用量の抗生物質を患者に処方する。第1の用量は、典型的には、感染が疑われる患者に処方された最初の抗生物質を指し、一方、経験的治療は、典型的には、原因病原体の決定前に患者に与えられた抗生物質を指す。第1の用量が投与されてから約1~3日後、ASPチームの薬剤師および/または臨床医などのASPチームメンバーは、ステップ104において、患者の抗生物質治療を検討することができる。検討は、ASPチームと治療チームとの間の事前に予定された会議で実行されることができる。検討プロセスの一部として、患者は、優先順位に基づいてトリアージされることができる。優先順位が高いと考えられる患者は、抗生物質治療を最適化する機会を識別するために、ASPチームの薬剤師によって抗生物質治療を検討させることができる。ASPチームが抗生物質を変更する機会を識別した場合、ASPチームは、ステップ106において、治療チームに介入要求を送信することができ、治療チームは、その後、患者に処方された抗生物質治療を変更することができる。介入要求はまた、患者に投与される診断/検査室試験を変更することを求めることもできる。患者が更新された抗生物質治療を受けた後、ステップ108において、患者のために新たな検査室結果を受け取ることができる。検査室試験結果に基づいて、追加の検討および介入が、ASPチームによってステップ104において生成されることができる。さらに、ステップ110において、ASPチームは、患者への抗生物質の処方およびその後の介入を含む、病院での抗生物質使用の遡及的レポートを生成することができる。
【0035】
B.ASPプログラムの例示的なフロー図
図2A、
図2B、および
図2Cは、例示的なASPプログラム200のさらなる詳細を示している。
図2Aは、ASPプログラム200のフロー図を示している。
図2Aに示すように、治療チーム204は、患者210の治療208を決定するために、1つ以上のデータベース206から様々なデータを調達することができる。データベース206は、例えば、医療データデータベース206a、ガイドラインデータベース206b、および耐性記録データベース206cを含むことができる。治療208は、第1の用量/経験的治療、またはASPチーム212からの介入推奨に基づく更新された治療とすることができ、
図1のステップ102に対応することができる。
【0036】
医療データデータベース206aは、患者の医療データを含むデータを記憶することができる。医療データは、例えば、どの病原体が患者210で感染を引き起こすかの最近の診断、病歴、検査室試験結果、身体測定値(例えば、血圧、体温など)結果などを含むことができる。ガイドラインデータベース206bは、抗生物質の処方が適切であり、ガイドラインと一致するかどうかを決定するために、異なる疾患、異なる設定(例えば、患者が病院に入院しているか否か)、異なる医学的状態(例えば、他の併存症が存在するかどうか、患者が免疫無防備状態であるかどうか)などに対して異なる抗生物質を処方するためのガイドラインを記憶することができる。ガイドラインデータベース206bはまた、例えば、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)のコア要素などの国内ガイドラインへのリンクを記憶することができる。
【0037】
ガイドラインデータベース206bに記憶されたガイドライン207の例が
図2Bに示されている。
図2Bに示されるように、ガイドライン207は、特定の疾患、例えば、コミュニティ後天性肺炎(CAP)を処置するために使用される抗生物質をリスト化することができる。ガイドライン207は、病院に入院していない患者および異なるレベルの併存症についてのセクション207-aおよびセクション207-b、ならびに病院に入院した患者および異なるレベルの併存症についてのセクション207-cおよびセクション207-dを含む。患者が病院に入院しているかどうか、ならびに患者に存在する併存症のタイプおよびその重症度に応じて、特定の抗生物質がセクション207-a、207-b、207-c、または207-dのいずれかにしたがって処方されることができる。
【0038】
さらに、耐性記録データベース206cに記憶された耐性記録情報は、異なる設定(例えば、入院患者、外来患者、集中治療室(ICU)、長期介護施設など)での様々な抗生物質に対する様々な病原体の感受性/耐性を文書化することができる。耐性記録データベース206cに記憶された耐性記録テーブル209の例が
図2Cに示されている。
図2Cに示すように、耐性記録テーブル209は、ICU内の抗生物質のリストに対する病原体の感受性のパーセンテージをリスト化する。例えば、セクション209-aを参照すると、病原体緑膿菌は、セフェピムに78%感受性であり、アズトレオナムに67%感受性であり、これは、緑膿菌がセフェピムよりもアズトレオナムに対してより耐性であることを示すことができる。さらに、セクション209-bを参照すると、病原体エンテロバクター・クロアカは、イミペネムに100%感受性であるが、アンピシリンに0%感受性であり、これはエンテロバクター・クロアカがアンピシリンに完全に耐性であるが、イミペネムによって効果的に排除されることができることを示すことができる。
【0039】
患者210が治療208を受けた後、患者は、検査室試験214を受けて治療後試験結果216を得ることができる。検査室試験214は、患者210に存在する病原体および抗生物質に対する患者210の耐性を決定するために、細菌試験、培養細菌、抗生物質感受性試験、グラム染色などの様々な試験を含むことができる。治療後試験結果216が使用されて、抗生物質治療208が病原体のレベルを低下させるのに有効であるかどうか、抗生物質治療208が病原体の耐性を増加させるかどうかなどを評価することができる。
【0040】
次いで、治療後試験結果216は、治療チーム204およびASPチーム212の双方に提供されることができる。治療チーム204は、治療後試験結果216を分析し、患者210に処方された抗生物質治療208を変更するかどうかを決定することができる。治療チーム204は、例えば、抗生物質治療208が微生物耐性に起因して病原体のレベルを低下させるのに有効でない場合、抗生物質治療208を変更することを決定することができる。治療チーム204は、患者210への事前に予定された訪問において、分析を実行し、治療を変更することを決定することができる。
【0041】
さらに、ASPチーム212はまた、例えば、治療チーム204による抗生物質治療208、患者210の治療チーム204によって命令された様々な診断/検査室試験などを検討するために、治療チーム204と検討会議を行うことができる。検討は、様々なタイプの情報に基づくことができる。検討は、治療後試験結果216ならびにデータベース206内のデータに基づくことができる。例えば、抗生物質治療208がガイドラインデータベース206bから取得されたガイドラインにしたがって適切であるかどうか、抗生物質治療208が、耐性記録データベース206cから取得された耐性記録情報にしたがって標的病原体を排除するのに有効であるかどうかなど、およびそうであっても、微生物耐性を低減するように抗生物質治療208をさらに最適化されることができるかどうかについて決定を行うことができる。別の例として、診断/検査室試験が患者210に存在する病原体のレベル、患者210に存在する病原体の微生物耐性のレベルなどを測定するのに有効であるかどうかについての決定を行うことができる。検討は、
図1のステップ104に対応することができ、治療チーム204とASPチーム212との間の事前に予定された会議で実行されることができる。検討の結果、ASPチーム212は、治療/診断介入218を生成することができ、これは、患者210の治療チーム204によって命令される治療208および/または診断/検査を変更するために会議中に治療チーム204に提供されることができる。さらに、検討が新たなタイプの微生物耐性を示す場合、ASPチーム212は、ガイドラインデータベース206bおよび/または耐性記録データベース206cに対する更新220を生成することもできる。次いで、治療チーム204は、ガイドラインデータベース206bの更新されたガイドラインおよび耐性記録データベース206cの更新された耐性記録情報を使用して、患者210または他の患者に対するその後の抗生物質治療を決定することができる。
【0042】
C.ASPプログラムの有効性に影響を与える例示的な要因
しかしながら、抗菌薬耐性の低減および患者に対する治療の最適化におけるASP200の有効性は、非効率性の様々な原因によって低下する可能性がある。具体的には、上述したように、治療チーム204およびASPチーム212の双方がデータベース206からデータを取得する必要があり得る。データは、患者の医療データ、ガイドライン、および耐性記録情報などの異なるタイプの情報を含み、通常、複数のデータベースに記憶される。さらに、通常、調達されたデータの小さなサブセットのみが臨床決定に関連する。複数のデータベースからのデータの取り出し、ならびに臨床決定を行うための関連データの選択/識別は、手間がかかり、時間がかかり、潜在的にエラーを起こしやすい。
【0043】
例えば、
図2Bを参照すると、特定の疾患のための抗生物質を投与するためのガイドラインを参照しようとする臨床医は、その疾患のためのガイドライン(例えば、CAPについてのガイドライン207、他の疾患についての他のガイドライン)を取得し、次いで、患者の医学的状態に基づいてガイドラインの関連部分(例えば、セクション207-a、207-b、207-c、または207-dのうちの1つ)を参照して、関連するガイドラインを取得する必要がある。別の例として、
図2Cを参照すると、特定の病原体が最も感受性である抗生物質を選択しようとする臨床医は、患者が抗生物質(ICU、入院患者、または外来患者)を投与される特定の設定に対して耐性記録を取得し、次いで病原体に対応するセクションを選択する必要がある。臨床医はまた、抗生物質の在庫、抗生物質のコストなどの他の情報と相互参照して、どの抗生物質を処方するかについて決定する必要があり得る。その結果、臨床医は、膨大な量のガイドラインおよび耐性記録情報を解析し、特定の設定で特定の患者に最も関連する情報の小さなサブセットを選択し、患者の様々な医療データと相互参照し、次いでその患者に抗生物質を処方する(または処方を変更する)ことに関する臨床決定を行う必要がある。患者の医療データ、ガイドライン、および耐性記録情報は、通常、異なる場所に記憶され、抗生物質治療に関する臨床決定を多数の患者に対して行う必要があるという事実と相まって、臨床医が効率的な方法で各患者の適切な臨床決定を行うために関連情報を見つけることは困難になる。ASPの有効性、ならびに患者に提供されるケアの質は、結果として低下する可能性がある。
【0044】
さらに、ASPチームと治療チームとの間の従来の協調方法はまた、ASPの有効性を低下させる可能性がある。具体的には、典型的には、ASPチームは、治療チームによる抗生物質の処方の介入に関する臨床決定を行い、治療チームは、事前に予定された会議中にのみ介入推奨を受け取る。同様に、治療チームは、典型的には、患者の検査データを検討し、患者への事前に予定された訪問中に患者の抗生物質治療を変更する決定を行う。したがって、患者が抗生物質治療を開始した後、患者は、治療に変更を加えることができる前に、ASPチームと治療チームとの間の次の予定された会議、または治療チームによる次の予定された訪問まで待つ必要がある。結果として、患者についての抗生物質治療の変更の実施が大幅に遅延する可能性があり、その変更は、通常、本質的に先を見越したものではなく後手(例えば、患者のバイタルの実質的な分解を見た後)である。これらは、全て、ASPの有効性および患者に提供されるケアの質をさらに低下させる可能性がある。
【0045】
II.ASPをサポートするデジタルシステム
A.システム概要
本開示の例は、ASP管理ならびに医療処置および/または診断の処方を容易にすることができるデジタルASPシステムを提供する。デジタルシステムは、1つ以上のASPチームサブシステムと、1つ以上の治療チームサブシステムとを含むことができる。ASPチームサブシステムは、患者の管理/フィルタリングされた情報にASPチームがアクセスして、抗生物質の処方および/または患者の診断検査に介入するかどうかを決定し、ASPチームが介入決定を治療チームに送信することを可能にすることができる。ASPチームサブシステムはまた、優先順位の高い患者およびその情報のリストへのASPチームアクセスを提供することができる。ASPチームサブシステムはまた、情報を分析し、介入決定のためにASPチームに推奨を提供することができる。さらに、治療チームサブシステムはまた、抗生物質/診断試験を処方するために患者の管理/フィルタリングされた情報への治療チームのアクセスを提供することができる。治療チームサブシステムはまた、介入決定を受信して表示することができる。治療チームサブシステムはまた、処方についての推奨を生成することができる。
【0046】
図3Aは、ASPの実行を改善することができるデジタルASPシステム300の例を示している。デジタルASPシステム300は、1つ以上のASPチームサブシステム302および1つ以上の治療チームサブシステム304などの複数のソフトウェアサブシステムおよびモジュールを含むソフトウェアシステムとすることができる。ASPチームサブシステム302は、治療チームによる抗生物質の処方および/または診断検査命令に介入する臨床決定のための関連情報へのアクセスをASPチームに提供し、音声通話、テキストメッセージなどの形態とすることができるリアルタイム通信を介して治療チームサブシステム304(および/または他のASPチームサブシステム302)に介入推奨を送信することができる。ASPチームサブシステム302はまた、管理者がASPの実行を評価するのを助けるために、抗生物質の処方、介入などの様々な統計を記録するためのレポートを生成することができる。さらに、治療チームサブシステム304は、抗生物質を処方するため、および/または患者に診断検査を命令するための臨床決定のための関連情報への治療チームのアクセスを提供することができる。治療チームサブシステム304はまた、ASPサブシステム302から介入推奨を受信し、介入推奨に対する応答をASPサブシステム302に返信し、処方命令(抗生物質、診断試験など)をリアルタイム通信を介して他の治療チームサブシステム304に送信することができる。
【0047】
B.ASPチームサブシステム
ASPチームサブシステム302は、コンピュータ314aおよび314bなどのASPチームによってアクセス可能なコンピュータの表示画面上に提供されるデスクトップインターフェースとすることができるASPチームインターフェース312を介してアクセス可能とすることができる。ASPチームインターフェース312は、介入推奨のための関連情報へのアクセスを提供するためのASPデータアクセスインターフェース312aを含むことができる。ASPチームインターフェース312はまた、ASPチームが治療チーム(または他のASPチームメンバー)と介入推奨について通信することを可能にするASP通信インターフェース312bを含むことができる。
【0048】
ASPチームサブシステム302は、ASPデータアクセスモジュール316、患者トリアージモジュール318、ASP介入モジュール320、ASP通知モジュール322、レポートモジュール324、ASP通信モジュール326、および管理モジュール327をさらに含むことができる。
【0049】
具体的には、ASPデータアクセスモジュール316は、ネットワーク(図示せず)を介して1つ以上のデータベース328に接続されることができる。データベース328は、例えば、患者医療データデータベース328a、ガイドラインデータベース328b、および耐性記録データベース328cを含むことができる。データベース328は、例えば、電子医療記録(EMR)データベース、マスター患者インデックス(MPI)サービスデータベース、健康情報交換(HIE)サーバ、医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)のフォーマットで画像ファイルを記憶するストレージ、画像保管通信システム(PACS)、ゲノムデータを含む検査室情報システム(LIS)、放射線情報システム(RIS)、耐性記録データベース、および/または病院ガイドラインデータベースをさらに含むことができる。
【0050】
図3Bおよび
図3Cは、データベース328に記憶されたデジタル形式のガイドラインおよび耐性記録情報の例を示している。
図3Bは、デジタル形式のガイドライン329の例を示している。ガイドライン329は、
図2Bのガイドライン207に対応することができ、グラフ形式にすることができ、各親ノード(例えば、ノード329a~g)は、患者の疾患の状況/状態を表すが、各葉ノード(例えば、ノード329h~k)は、処方されることができる抗生物質のリストに関連付けられることができる。ガイドラインデータベース328bは、それぞれが特定の疾患に関連する複数のガイドラインをグラフ形式で記憶することができる。患者に処方されることができる抗生物質のリストを取得するために、ASPチームサブシステム302および/または治療チームサブシステム304は、患者の疾患に基づいてガイドラインデータベース328bから特定のガイドラインのグラフを取得し、患者の疾患の状況/状態に基づいてガイドライングラフの親ノードを選択することによってグラフをトラバースし、トラバースの終わりに葉ノードに到達し、葉ノードに関連する抗生物質のリストを取得することができる。
【0051】
図3Cは、デジタル形式の耐性記録データ331の例を示している。耐性記録データ331は、複数の耐性記録テーブルを含むことができ、そのそれぞれは、
図2Cの耐性記録テーブル209と同様の情報を含むことができる。各耐性記録テーブルは、ICU、通常の病院のベッド、養護施設などの抗生物質が投与される場所に関連付けられた場所識別子(場所ID)に関連付けられることができる。各耐性記録テーブルは複数のセクションをさらに含み、各セクションは、セクション209-aおよび209-bと同様に、特定の抗生物質の抗生物質識別子を病原体のリストおよび抗生物質に対する病原体の耐性度に関連付ける。患者に対する特定のタイプの抗生物質の耐性度を決定するために、ASPチームサブシステム302および/または治療チームサブシステム304は、患者が抗生物質を投与されるべき場所(例えば、ICU、通常の病院のベッド、介護施設など)に基づいて耐性記録テーブルを取得し、特定のタイプの抗生物質の識別子に基づいて耐性記録テーブル内のセクションを識別し、病原体および病原体の耐性度のリストを取得することができる。システムは、患者に存在すると決定された病原体のみを含むように病原体のリストにさらに絞り込むことができる(例えば、患者の検査室結果に基づいて)。
【0052】
図3Aに戻って参照すると、ASPデータアクセスモジュール316は、ASP介入決定のために患者データを取得および集約するトリガを受信することができる。トリガは、例えば、特定の患者の医療データにアクセスするためにASPチームによって操作されるコンピュータ(例えば、コンピュータ314a、314bなど)によって送信されるコマンド、ASPチームによる患者の抗生物質の使用/処方の検討が予定されていることを示すタイマ、新たな抗生物質処方が患者に対して入力され、処方が検討されていないという指示(例えば、治療チームサブシステム304からのネットワークメッセージ)などに基づくことができる。トリガに応答して、ASPデータアクセスモジュール316は、その抗生物質の使用/処方がASPチームによって検討される患者のリストを取得し、患者のデータを取得するために、患者のリストの識別子を含むクエリをデータベース328に送信することができる。以下で論じるように、患者のリストは、患者トリアージモジュール318によって決定されることができ、抗生物質の使用/処方を検討するための優先順位が高いと考えられる患者を含むことができる。
【0053】
ASPデータアクセスモジュール316は、例えば、患者の病歴、患者の直近の診断、様々な測定の結果(例えば、体温、血圧など)、および様々な検査室試験の結果(例えば、細菌試験、細菌培養、抗生物質感受性試験、グラム染色など)などの介入推奨に関連する患者の様々な医療データを含む様々なタイプのデータをデータベース328から取得することができる。情報はまた、例えば、耐性記録情報、抗生物質の処方および投与のためのガイドラインなどを含むことができる。データアクセスインターフェース312aはまた、集約データのサブセットを選択し、選択されたデータをデータアクセスインターフェースに表示することもできる。
【0054】
1.患者のフィルタリングおよびトリアージ
いくつかの例では、ASPチームサブシステム302(例えば、ASPデータアクセスモジュール316、ASPデータアクセスインターフェース312aなど)は、特定の患者に対するデータの関連度に基づいてフィルタリング動作を自動的に実行することができる。関連度は、特定の患者の様々なデータに基づくことができる。例えば、
図3Cに関して上述したように、ASPチームサブシステムは、患者の医療データに示されるように、患者が抗生物質を投与されるべき場所(例えば、ICU、通常の病院のベッド、介護施設など)に基づいて、患者のために耐性記録テーブルを自動的に選択することができる。さらに、患者の検査室試験結果(どの病原体が患者の感染性疾患を引き起こしているかを示すことができる)、抗生物質の在庫などに基づいて、ASPチームサブシステムは、特定の設定のための狭い抗生物質セットに対して特定の病原体についての耐性記録テーブルの特定のセクションに絞り込んで、ASPデータアクセスインターフェース312aに表示するための耐性記録テーブルのセクションを提供することができる。
【0055】
例えば、
図3Cを参照すると、耐性記録データベース328cに記憶された耐性記録データは、抗生物質の投与位置にそれぞれ関連付けられた複数の耐性記録テーブルを含むことができる。ASPチームサブシステム302はまた、患者が現在どの病院に入院しているかを決定し、患者が抗生物質を投与される可能性が最も高い場所を決定することができる。例えば、患者が現在ICUに入室している場合、ASPチームサブシステム302は、患者がICUで抗生物質を投与される可能性が最も高いと決定し、ICUに関連する耐性記録テーブルを選択することができる。
【0056】
別の例として、ASPチームサブシステムはまた、ガイドラインの特定のセクション(例えば、
図2Bの区画206b-a、206b-b、206b-c、または206b-dのうちの1つ)を識別し、ASPデータアクセスインターフェース312aを介してガイドラインの識別されたセクションへのアクセスを提供することができる。
図3Bに戻って参照すると、ASPチームサブシステムは、患者の感染症に基づいてガイドライングラフを識別し、ガイドライングラフをトラバースして、患者の病歴に示されるように、患者の併存症のタイプおよび重症度などに対応する親を識別することができる。次いで、ASPチームサブシステムは、識別された親ノードに関連し、トラバースの終わりに葉ノードに関連する推奨抗生物質を含むガイドラインのセクションを出力することができる。
【0057】
さらに、患者トリアージモジュール318は、患者の治療/試験の効率的な検討および介入を容易にすることができる。いくつかの例では、患者トリアージモジュール318は、抗生物質の使用/処方の検討のために患者のサブセットを自動的に選択することができる。選択は、例えば、抗生物質プロファイル、患者の検査室試験結果、患者の病歴、介入追跡状況などに基づくことができる。
【0058】
具体的には、患者トリアージモジュール318は、各患者のトリアージスコアを決定し、トリアージスコアに基づいて患者をランク付けし、ランク付けされた患者のリストをASPチームインターフェース312に表示することができる。トリアージスコアは、患者の治療/検査を検討する緊急性を示すことができる。ASPチームインターフェース312は、ランク付けされたリスト内の特定の患者のASPチームからの選択を受信し、選択された患者の上述したフィルタリングされたデータをASPデータアクセスインターフェース312aに表示することができる。
【0059】
図3Dおよび
図3Eは、患者のトリアージスコアを計算するための例示的な技術を示している。
図3Dに示すように、患者は、患者の抗生物質/診断検査処方を検討するための緊急性を決定するために使用されることができる属性のセット330に関連付けられることができる。各属性は、スコアs0、s1などに関連付けられることもできる。いくつかの例では、属性のスコアは、属性が存在しない場合は0、属性が存在する場合は1とすることができる。他のスコア値が割り当てられることもできる。さらに、各属性は、w0、w1、w2などの重みに関連付けられることもできる。トリアージスコアは、スコアの加重平均に基づいて計算されることができ、より高いスコアは、患者の抗生物質/診断検査処方を検討することがより緊急であることを意味し、逆もまた同様である。
【0060】
属性の重みは、様々な方法で決定されることができる。いくつかの例では、重みは、ASPチームによって決定されることができる。例えば、新たな検査室結果が利用可能な患者、現在与えられている抗生物質を最適化する機会を示す何らかの特性を示すために積極的な検討を必要とする患者(例えば、陽性血液培養結果に基づいて、現在の治療が無効であることを示すバグ-薬物ミスマッチなど)、および複数の抗生物質、広域薬物、制限抗生物質、または不足リストの抗生物質を投与されている患者が、これらの特徴を有しない他の患者よりも先にASPチームによる検討を受けることができるように、重みが割り当てられることができる。いくつかの例では、属性の重みは、介入の履歴などの他の基準に基づいて患者トリアージモジュール318によって自動的に決定されることもできる。例えば、ASPチームが以前に特定の属性を有する患者についての抗生物質/診断検査の処方に介入した場合、患者トリアージモジュール318は、それらの属性の重みを自動的に増加させることができる。
【0061】
さらに、患者トリアージモジュール318は、他の基準に基づいて患者をランク付けすることができる。例えば、後述するように、ASP通知モジュール322は、最新の検査室試験結果および/または処方に基づいて、患者の特定の属性が、患者がASPチームからの検討を保証することを示す場合に通知を生成することができる。
図3Fを参照すると、ASP通知モジュール322は、例えば、最新の患者の医療データがバグ/薬物ミスマッチ、重複抗生物質適用範囲、陽性培養、現在の/処方された治療に対するアレルギー、薬物-検査室ミスマッチ、および/または静脈内(IV)から経口(PO)機会などを示す場合に通知を生成することができる。患者トリアージモジュール318は、ASPチームサブシステム302を介して患者の処方が最後に検討されてからASP通知モジュール322が患者ごとに生成した通知の数をカウントし、通知の数に基づいて患者をランク付けすることができる。新たな検査室試験結果および/または処方が検討を必要とするときに通知が生成されることができることを考えると、患者に対して生成された通知の数が多いほど、患者の抗生物質処方を検討することがより緊急であることを示すことができる。したがって、患者トリアージモジュール318は、通知に基づいて患者をランク付けすることができ、通知の数が最も多い患者が最も高くランク付けされる。
【0062】
いくつかの例では、患者トリアージモジュール318はまた、抗生物質の処方に基づいて患者をランク付けすることもできる。例えば、患者トリアージモジュール318は、各患者について、患者に現在処方されている抗生物質の特性を反映する複合抗生物質スコアを計算し、次いで複合抗生物質スコアに基づいて同じ数の通知を有する患者をランク付けすることができる。複合抗生物質スコアに基づくランキングは、通知の数の後の二次ランキングとすることができる。
図3Eは、例示的な抗生物質スコアテーブル332および患者の例示的なランキング334を示している。抗生物質スコアテーブル332に示すように、抗生物質には、それが広範囲の病原体を治療する広域抗生物質であるかどうか、それが不足しているかどうか、それが制限されているかどうかなどを反映するスコアが割り当てられることができる。限られた抗生物質に最高のスコアが割り当てられることができ、これはその処方の検討のための最高の優先順位を示す。次いで、患者に処方された各抗生物質に、テーブル332に基づいてスコアが割り当てられることができ、患者のスコアが合計されて抗生物質複合スコアを生成することができる。例示的なランキング334を参照すると、通知の数に基づいて患者がランク付けされることができ、通知の数が最も多い患者が最も高くランク付けされる(例えば、患者AおよびB)。同じ通知数を有する患者(例えば、患者AおよびB)の中で、患者は、それらの複合抗生物質スコアに基づいてさらにランク付けされることができ、最高の複合抗生物質スコアを有する患者が最高にランク付けされる。
【0063】
例示的なランキング334では、患者トリアージモジュール318はまた、患者が特定の抗生物質を投与された期間に基づいて患者をランク付けすることができる。多数の連続日数にわたって抗生物質を投与された患者は、より少ない連続日数にわたって抗生物質(または他の抗生物質)を投与された別の患者よりも高くランク付けされることができる。いくつかの例では、抗生物質投与期間に基づくランキングは、三次ランキングと同じ数の通知および複合抗生物質スコアを有する患者(例えば、患者CおよびD)の群に対して実行されることができる。
【0064】
2.ASP介入
図3Aに戻って参照すると、介入推奨の関連データを集約して表示することに加えて、ASPチームサブシステム302は、介入推奨を出力するASP介入モジュール320をさらに含む。ASP介入モジュール320は、ASPチームインターフェース312を介して、ASPチームメンバーからの入力を受け入れ、入力に基づいて介入推奨を生成することができる。次いで、ASP介入モジュール320は、介入推奨をASP通知モジュール322に送信することができ、ASP通知モジュールは、介入推奨を含む通知/テキストメッセージを生成し、通知をASP通信モジュール326を介して治療チームサブシステム304に送信することができる。
【0065】
いくつかの例では、ASPサブシステム302は、モバイルデバイスを介してアクセス可能とすることができる。そのような例では、ASP通知モジュール322は、モバイルデバイスのアイドル画面上に通知を出力し、通知の選択を検出すると、モバイルデバイスをアイドル状態からアクティブ状態に切り替え、治療チームインターフェース360を起動することができる。治療チーム通知モジュール366はまた、治療チーム臨床決定モジュール364による処方命令に関する臨床決定を受信し、臨床決定を通知として他の治療チームサブシステム304に送信することができる。
【0066】
図3Fは、ASP介入モジュール320の内部構成要素の例を示している。
図3Fに示すように、ASP介入モジュール320は、推奨モジュール340と、介入推奨生成モジュール342と、追跡モジュール344とを含むことができる。推奨モジュール340は、介入推奨についての推奨を生成し、推奨をASPチームインターフェース312に出力することができる。介入の推奨は、例えば、投薬の変更、抗菌薬の漸増/漸減、IVからPOへの変換などを含むことができる。いくつかの例では、推奨モジュール340は、推奨を、推奨をサポートする医療データ、ガイドライン、および/または耐性記録情報とともに表示することができるASPデータアクセスインターフェース312aに推奨を出力することができる。
【0067】
介入推奨生成モジュール342は、例えば、ASPチームインターフェース312に提供されたフォームへの手動入力に基づいて(例えば、推奨を見ることに基づいて)、または介入推奨を自動的に生成するために推奨モジュール340によって提供された(ASPチームへの)推奨の選択に基づいて、ASPチームメンバーが治療チームについての介入推奨を作成し、次いでその介入推奨をASP通知モジュール322に出力することを可能にする。次いで、ASP通知モジュール322は、介入推奨を通知/テキストメッセージとして治療チームサブシステム304に送信することができる。追跡モジュール344は、例えば、チームサブシステム304からの応答、またはASPチームインターフェース312を介したASPチームメンバーからの入力を監視することに基づいて、介入推奨の状態(コンプライアンスまたは非コンプライアンス)を追跡することができる。
【0068】
推奨モジュール340は、様々な技術に基づいて(治療チームに対する)介入推奨を生成するための(ASPチームに対する)推奨を生成することができる。
図3Fに示すように、推奨モジュール340は、医療データに1つ以上のルールを適用することに基づいて推奨を生成することができるルールモジュール340aを含むことができる。ルールは、例えば、選択された抗生物質に対する病原体耐性を最小限に抑えながら、患者の疾患を治療するのに有効な1つ以上の抗生物質を選択することを示すことができる。ルールは、推奨を生成するために、患者の医療データ、ガイドライン、および耐性記録情報に適用されることができる。医療データは、例えば、患者の疾患、臨床反応、診断試験結果(例えば、培養および感受性試験)、および他の検査パラメータ(例えば、クレアチニン、薬物レベル)を含むことができる。
【0069】
例として、
図3Bに戻って参照すると、患者の医療データに示される患者の疾患に基づいて、ルールモジュール340aは、ガイドラインデータベース328bからガイドライングラフを取得することができる。さらに、ルールモジュール340aは、患者の疾患の状態(例えば、患者が入院しているか否か、重症度、併存症の有無など)に基づいてガイドライングラフをトラバースし、トラバースの最後に、疾患の治療として患者に処方されることができる候補抗生物質のリスト、ならびに候補抗生物質の用量を識別することができる。ルールモジュール340aは、患者に処方された抗生物質が推奨抗生物質のリストに含まれているかどうか、および処方された抗生物質の用量が推奨用量と一致するかどうかを決定することができる。処方された抗生物質が推奨抗生物質のリストにない場合、または処方された用量が推奨用量と一致しない場合、ルールモジュール340aは、抗生物質処方を介入するための推奨(例えば、異なる抗生物質への変更、用量の変更など)を決定することができる。
【0070】
さらに、
図3Cに戻って参照すると、ルールモジュール340aは、患者の治療位置に基づいて耐性記録テーブルを取得し、処方されている抗生物質に対応する耐性記録テーブルのセクションを識別することができる。各セクションにおいて、ルールモジュール340aは、処方された抗生物質に対する、(例えば、患者の検査室試験結果に示されるように)患者の疾患を引き起こす1つ以上の病原体の耐性の程度を決定することができる。耐性の程度が特定の閾値を超える場合、ルールモジュール340aは、抗生物質処方の介入の推奨を決定することもできる。
【0071】
さらに、推奨モジュール340は、1つ以上の異なる抗生物質を含むことができる各代替抗生物質治療レジメンの利益スコアおよびリスクスコアを計算し、各レジメンの利益スコアとリスクスコアとの間の比に基づいて代替レジメンをランク付けし、最も高い比を有するレジメンを介入推奨として選択することができる代替レジメンランク付けモジュール340bを含むこともできる。利益スコアは、例えば、抗生物質に対する病原体の感受性に基づくことができるが、リスクスコアは、例えば、レジメン内の抗生物質のいずれかが冗長であるかどうか、レジメン内の特定の抗生物質に対して病原体が耐性になるリスクなどに基づくことができる。リスクスコアは、患者の病歴(例えば、患者が耐性を経験したかどうか)、疑わしい診断などに基づいて計算されることもできる。リスクを考慮することにより、ほとんどのタイプの病原体をカバーするため、広域抗生物質が推奨モジュール340によって常に推奨されるシナリオを回避することができる。
【0072】
さらに、推奨モジュール340はまた、予測動作の実行に基づいて推奨を生成することができる予測モジュール340cを含むことができる。予測動作の目標は、患者が不適切な抗生物質治療を受けているか、または介入が必要である可能性/確率を予測することとすることができる。予測は、他の患者が受けた抗生物質治療に基づくことができる。例えば、患者が特定の抗生物質を5日間受け、同じ感染性疾患を有する他の患者が同じ抗生物質を2日間だけ受けて回復する場合、推奨モジュール340は、患者が予想される期間(2日間)を超えた不適切な抗生物質治療を受けたと予測することができる。
【0073】
推奨モジュール340は、患者の医療データを処理し、トリガを受信することに基づいてASP介入についての推奨を送信するかどうかを決定することができる。トリガは、ASPデータアクセスモジュール316にASP介入決定のために患者データを取得および集約させる同じトリガであってもよく、例えば、患者の特定の新たな医療データ(例えば、検査室試験結果、またはサブシステムによって処理されていない他の新たな医療データ)が利用可能であるというデータベース328からの指示に基づく異なるトリガであってもよい。指示は、ASPデータアクセスインターフェース312aが患者の医療データを表示するときに推奨モジュール340によって送信されたクエリに応答してデータベースによって送信されたネットワークメッセージの形態とすることができる。
【0074】
例として、ASPデータアクセスインターフェース312aがASPチームメンバーによる患者の選択を受信した後にASPデータアクセスインターフェース312aが患者の医療データを表示することに応答して、推奨モジュール340は、患者の医療データの更新(もしあれば)についてデータベース328にクエリを送信することができる。推奨モジュール340が、ASP介入決定(例えば、グラム陰性桿菌(GNR)結果などの検査室試験結果)に関連する特定の新たな医療データが利用可能になったことを検出し、推奨を生成する要求を検出し、および/または患者の抗生物質処方の検討が期限になっていることを示すタイマの満了を検出した場合、推奨モジュール340は、患者の医療データを処理し、ASP介入についての推奨を生成および送信するかどうかを決定することができる。
【0075】
3.ASP通知
図3Aに戻って参照すると、ASP通知モジュール322は、通知を生成することができ、通知は、治療チームサブシステム304またはASPチームサブシステム302内の他のモジュールに送信されることができる。
図3Gは、ルールベース通知モジュール352および介入通知モジュール354を含むことができるASP通知モジュール322の内部構成要素の例を示している。ルールベース通知モジュール352は、1つ以上のルールに基づいて通知を生成することができる。例えば、
図3Hに関して説明したように、ルールベース通知モジュール352は、データベース328、またはASPデータアクセスモジュール316によって集約された情報にアクセスし、例えば、最新の患者の医療データが、耐性記録情報および患者の最新の医療データにガイドラインを適用することに基づいて、バグ-薬物ミスマッチ、冗長抗生物質カバレッジ、陽性培養、現在の/処方された治療に対するアレルギー、薬物-検査室ミスマッチ、および/または静脈内(IV)から経口(PO)への機会などを示す場合、通知(例えば、システムベース通知356a)を生成することができる。別の例として、ルールベースの通知モジュール352は、患者の新たな医療データの利用可能性(例えば、新たな血液試験結果、新たな血液培養結果など)に基づいて通知を生成することができる。通知は、治療チームサブシステム304に送信されることができ、患者トリアージモジュール318は、
図3Eに示す通知の数に基づいて患者のランク付けを決定することができる。さらに、介入通知モジュール354は、介入推奨生成モジュール342から介入推奨を受信することができ、介入推奨は、介入推奨生成モジュール342によって生成されるか、またはASPチームによって推奨モジュール340から推奨の選択を受信することによって生成されることができる。次いで、介入推奨生成モジュール342は、手動介入通知356b(介入推奨モジュール342から)または推奨に基づく介入通知356c(推奨モジュール340から)のいずれかを生成することができる。
【0076】
再び
図3Aを参照すると、ASPチームサブシステム302は、レポートモジュール324と、ASP通信モジュール326とを含むことができる。レポートモジュール324は、特定の病院における、異なるパラメータを用いた抗生物質治療の日数、介入(追跡モジュール344の出力に基づくコンプライアンスまたは非コンプライアンス)、1000患者日当たりまたは100入院当たりの感染数など、様々な統計を記録するためのレポートを生成することができる。レポートはまた、異なる病院の比較データレポートを含むことができる。いくつかの例では、レポートは、治療日のレポート、介入受け入れレポートなどを含むことができる。いくつかの例では、レポートモジュール324はまた、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の全米医療安全ネットワーク(NHSN)などの外部機関にレポートを送信することもできる。
【0077】
さらに、ASP通信モジュール326は、ASPチームサブシステム302および治療チームサブシステム304間のリアルタイム通信を提供することができる。リアルタイム通信は、例えば、音声通話、テキストメッセージなどの形態とすることができる。通知は、ASP通信モジュール326を介してASP通知モジュール322から他のASPチームサブシステム302および治療チームサブシステム304に送信されることができる。ASP通信モジュール326は、ASP通信インターフェース312bを介してアクセス可能である。いくつかの例では、ASP通信インターフェース312bは、テキストメッセージングインターフェースの形態とすることができ、通知、ならびに治療チームサブシステムからの通知に対する応答は、テキストメッセージの形態で表示されることができる。ASPチームサブシステム302は、ASPデータアクセスインターフェース312aおよびASP通信インターフェース312bをASPチームインターフェース312内に同時に表示することができ、これは、ユーザが、協働体験を容易にするために、医療データにアクセスしながらテキストメッセージまたは音声を介して通信することを可能にする。
【0078】
さらに、ASPチームサブシステム302はまた、通知の生成の構成、通知に対するアクセス権の設定(例えば、ASPチームのどのメンバーが通知を生成/受信することができ、治療チームのどのメンバーが治療チームサブシステムを介してASPチームサブシステムから通知を受信することができるかなど)、医療データの編集/抽象化(例えば、ガイドラインの編集、データの独自フォーマットへの変換など)などの様々な管理機能をサポートすることができる管理モジュール327を含むことができる。
C. 治療チームサブシステム
【0079】
ここで、治療チームサブシステム304を参照すると、治療チームは、患者に抗生物質および/または診断試験を処方する臨床決定のための関連情報にアクセスすることができる。治療チームサブシステム304はまた、ASPサブシステム302から介入推奨を受信し、介入推奨に対する応答をASPサブシステム302に返信し、処方命令(抗生物質、診断試験など)をリアルタイム通信を介して他の治療チームサブシステム304に送信することができる。
【0080】
具体的には、治療チームサブシステム304は、モバイルデバイス361aおよび361bなどの治療チームのメンバーのモバイルデバイス(例えば、スマートフォン、タブレット、ラップトップコンピュータなど)に設けられたモバイルインターフェースとすることができる治療チームインターフェース360を介してアクセス可能とすることができる。治療チームインターフェース360は、抗生物質を処方するための関連情報(例えば、初回投与、経験的治療など)へのアクセスを提供し、および/または細菌感染に関連する診断試験(例えば、染色および検査、培養、病原体の抗生物質に対する感受性/感度の試験など)を患者に命令するための治療チームデータアクセスインターフェース360aを含むことができる。治療チームインターフェース360は、治療チームメンバーが処方について他の治療チームメンバー(例えば、薬剤師)と通信することを可能にする治療チーム通信インターフェース360bをさらに含む。治療チーム通信インターフェース360bはまた、治療チームメンバーがASPチームサブシステム302からの通知にアクセスすることを可能にし、
図3Gのシステム生成通知356a、介入通知356bおよび356cなどを含むことができる。
【0081】
治療チームサブシステム304は、治療チームデータアクセスモジュール362、治療チーム臨床決定モジュール364、治療チーム通知モジュール366、および治療チーム通信モジュール368をさらに含むことができる。
【0082】
1.治療チームデータアクセス
ASPチームサブシステム302のASPデータアクセスモジュール316と同様に、治療チームサブシステム304の治療チームデータアクセスモジュール362は、関連情報を調達して、特定の抗生物質を処方する決定および/またはデータベース328からの特定の診断試験を命令する決定を支援し、その情報を治療チームデータアクセスインターフェース360aに提供することができる。治療データアクセスモジュール362は、治療チームデータアクセスインターフェース360a(治療チームによる)を介した選択などのトリガを受信することに基づいて、データベース328からデータを取得および集約して、1人以上の患者の病歴を検討することができる。選択の受信に基づいて、治療チームデータアクセスモジュール362は、患者の医療データを取得するために患者の識別子をデータベース328に送信することができる。
【0083】
治療チームデータアクセスモジュール362は、例えば、抗生物質および/または診断検査を処方する推奨に関連する患者の病歴、患者の直近の診断、様々な測定の結果(例えば、体温、血圧など)、および様々な検査室試験の結果(例えば、細菌試験、細菌培養、抗生物質感受性試験、グラム染色など)などの様々なタイプのデータを調達することができる。情報はまた、例えば、耐性記録情報、抗生物質の処方および投与のためのガイドラインなどを含むことができる。治療チームデータアクセスインターフェース360aはまた、集約データのサブセットを選択し、選択されたデータをデータアクセスインターフェースに表示することもできる。
【0084】
いくつかの例では、治療チームサブシステム304(例えば、治療チームデータアクセスモジュール362、治療チームデータアクセスインターフェース360aなど)は、ASPチームサブシステム302と同様の方法で、特定の患者に対するデータの関連度に基づいてフィルタリング動作を自動的に実行することができる。例えば、耐性記録情報は、抗生物質の投与位置にそれぞれ関連付けられた複数のセクションを含むことができる。治療チームサブシステム304は、患者が現在どの病院に入院しているかを決定し、患者が抗生物質を投与される可能性が最も高い場所を決定することができる。例えば、患者が現在ICUに入院している場合、治療チームサブシステム304は、患者がICUで抗生物質を投与される可能性が最も高いと決定し、ICUに関連する耐性記録情報のセクションを選択することができる。いくつかの例では、フィルタリング動作は、ユーザからの入力(例えば、クエリ)に基づいて実行されることもできる。
【0085】
2.治療チーム臨床決定
さらに、治療チームサブシステム304は、特定の抗生物質を処方する、および/または特定の診断検査を命令する臨床決定を出力するために治療チーム臨床決定モジュール364をさらに含むことができる。治療チーム臨床決定モジュール364は、治療チームインターフェース360を介して、治療チームメンバーからの入力を受け入れ、入力に基づいて臨床決定を生成することができる。次いで、治療チーム臨床決定モジュール364は、臨床決定を治療チーム通知モジュール366に送信することができ、治療チーム通知モジュールは、通知を生成し、治療チーム通信モジュール368を介して他の治療チームサブシステム304に通知を送信することができる。
【0086】
図3Hは、治療チーム臨床決定モジュール364の内部構成要素の例を示している。
図3Hに示すように、治療チーム臨床決定モジュール364は、推奨モジュール370と、臨床決定生成モジュール372とを含むことができる。推奨モジュール370は、特定の抗生物質を処方する、および/または特定の診断検査を命令する臨床決定についての推奨を生成し、治療チームインターフェース360で推奨を出力することができる。推奨は、例えば、1つ以上の抗生物質の処方、抗生物質を投与する方法、用量、および/または治療の期間を含むことができる。いくつかの例では、推奨モジュール370は、治療チームデータアクセスインターフェース360aに推奨を出力することができ、チームデータアクセスインターフェースは、推奨を支援する医療データ、ガイドライン、および/または耐性記録情報とともに推奨を表示することができる。
【0087】
臨床決定生成モジュール372は、例えば、治療チームインターフェース360に提供されたフォームに手動で記入することに基づいて(例えば、推奨を見ることに基づいて)、または臨床決定を自動的に生成するために推奨モジュール370によって提供された推奨を選択することに基づいて、治療チームメンバーが介入推奨を入力し、次いで臨床決定を治療チーム通知モジュール366に出力することを可能にする。
【0088】
推奨モジュール370は、様々な技術に基づいて臨床決定についての推奨を生成することができる。
図3Hに示すように、推奨モジュール370は、ガイドライン、耐性記録情報、および医療データに1つ以上のルールを適用することに基づいて推奨を生成することができるルールモジュール370aを含むことができる。ASPチームサブシステム302のルールモジュール340aと同様に、ルールは、例えば、選択された抗生物質に対する病原体耐性を最小限に抑えながら、患者の疾患を治療するのに有効な1つ以上の抗生物質を選択することを示すことができる。医療データは、例えば、臨床反応、診断試験結果(例えば、培養および感受性試験)、および他の検査パラメータ(例えば、クレアチニン、薬物レベル)を含むことができる。
【0089】
例として、
図3Bに戻って参照すると、患者の医療データに示される患者の疾患に基づいて、ルールモジュール340aは、ガイドラインデータベース328bからガイドライングラフを取得することができる。さらに、ルールモジュール340aは、患者の疾患の状態(例えば、患者が入院しているか否か、重症度、併存症の有無など)に基づいてガイドライングラフをトラバースし、トラバースの最後に、疾患の治療として患者に処方されることができる候補抗生物質のリスト、ならびに候補抗生物質の用量を識別することができる。
【0090】
さらに、
図3Cに戻って参照すると、ルールモジュール370aは、患者の治療位置に基づいて耐性記録テーブルを取得し、推奨抗生物質のリストに対応する耐性記録テーブルのセクションを識別することができる。各セクションにおいて、ルールモジュール370aは、処方された抗生物質に対する、(例えば、患者の検査室試験結果に示されるように)患者の疾患を引き起こす1つ以上の病原体の耐性の程度を決定することができる。ルールモジュール370aは、耐性度に基づいて推奨抗生物質をランク付けし、耐性度が最も低いか、または耐性度が閾値未満の推奨抗生物質のリストのサブセットを推奨に含めることができる。
【0091】
さらに、推奨モジュール370は、1つ以上の異なる抗生物質を含むことができる各代替抗生物質治療レジメンの利益スコアおよびリスクスコアを計算し、各レジメンの利益スコアとリスクスコアとの間の比に基づいて代替レジメンをランク付けし、最も高い比を有するレジメンを介入推奨として選択することができる代替レジメンランク付けモジュール370bを含むこともできる。利益スコアは、例えば、抗生物質に対する病原体の感受性に基づくことができるが、リスクスコアは、例えば、レジメン内の抗生物質のいずれかが冗長であるかどうか、レジメン内の特定の抗生物質に対して病原体が耐性になるリスクなどに基づくことができる。リスクスコアは、患者の病歴(例えば、患者が耐性を経験したかどうか)、疑わしい診断などに基づいて計算されることもできる。
【0092】
さらに、推奨モジュール370はまた、予測動作の実行に基づいて推奨を生成することができる予測モジュール370cを含むことができる。予測動作の目標は、例えば、抗生物質治療がいつ必要とされるかを予測することを含むことができる。予測は、細菌感染症が抗生物質治療を必要とする可能性対感染症が自己解決感染症である可能性、または患者の疾患が非感染性過程である可能性の決定に基づくことができる。いくつかの例では、予測は、「治療に必要な数」(1人の患者に利益をもたらすために抗生物質によって治療する必要がある患者は何人か?)と「害に必要な数」(治療上の害を受ける前に抗生物質によって治療することができる患者は何人か?)との間のトレードオフに基づくことができる。
【0093】
推奨モジュール370は、患者の医療データを処理し、トリガを受信することに基づいて、特定の抗生物質を処方する、および/または特定の診断検査を命令する臨床決定についての推奨を送信するかどうかを決定することができる。トリガは、治療チームデータアクセスインターフェース360aにデータベース328からデータを取得および集約させるトリガと同じトリガに基づくことができ、または、例えば、治療チームデータアクセスインターフェース360aに表示されている患者の医療データ、治療チームメンバーからのコマンド、患者の特定の新たな医療データ(例えば、検査室試験結果)が利用可能であるというデータベース328からの指示などに基づく異なるトリガに基づくことができる。
【0094】
例えば、治療チームデータアクセスインターフェース360aが患者の医療データを表示することに応答して、推奨モジュール370は、患者の医療データの更新(もしあれば)のためにデータベース328にクエリを送信することができる。推奨モジュール370が、特定の抗生物質を処方する、および/または特定の診断検査(例えば、検査室試験結果)を命令する臨床決定に関連する特定の新たな医療データが利用可能になったことを検出した場合、推奨モジュール370は、患者の更新された医療データを処理し、臨床決定についての推奨を決定することができる。
【0095】
3.治療チームとASPチームとの間のコミュニケーション
図3Aに戻って参照すると、治療チームサブシステム304は、治療チーム通知モジュール366と、治療チーム通信モジュール368とをさらに含むことができる。治療チーム通知モジュール366は、通知の受信および送信の双方を処理することができる。上述したように、治療チームサブシステム304は、
図3Gのシステム生成通知356a、介入通知356bおよび356cなどを含むことができるASPチームサブシステム302からの通知を受信することができる。治療チーム通知モジュール366は、モバイルデバイスのアイドル画面上に通知を出力し、通知の選択を検出すると、モバイルデバイスをアイドル状態からアクティブ状態に切り替え、治療チームインターフェース360を起動することができる。いくつかの例では、通知は、治療チームが後で通知に対して行動することができるように、スヌーズ通知の形態とすることができる。治療チーム通知モジュール366はまた、治療チーム臨床決定モジュール364によって臨床決定出力を受信し、臨床決定を通知として他の治療チームサブシステム304に送信することができる。
【0096】
さらに、治療チーム通信モジュール368は、ASPチームサブシステム302のASP通信モジュール326と、別の治療チームサブシステム304の別の治療チーム通信モジュール368とのリアルタイムまたは非同期通信を提供することができる。上述したように、リアルタイム通信は、例えば、音声通話、テキストメッセージなどの形態とすることができる。通知、ならびにASPチームからの介入推奨に対する治療チームからの応答は、治療チーム通信モジュール368を介して送信/受信されることができる。治療チーム通信モジュール368はまた、治療チーム通信インターフェース360bを介してアクセス可能とすることができる。いくつかの例では、治療チーム通信インターフェース360bはまた、テキストメッセージングインターフェースの形態とすることができ、通知、ならびに治療チームサブシステムからの通知に対する応答は、テキストメッセージの形態で表示されることができる。治療チームサブシステム304は、治療チームインターフェース360内に治療チームデータアクセスインターフェース360aおよび治療チーム通信インターフェース360bを同時に表示することができ、これは、ユーザが、協働体験を容易にするために、医療データにアクセスしながらテキストメッセージまたは音声を介して通信することを可能にする。
【0097】
III.デジタルASPシステムによって提供されるインターフェースの例
A.ASPチームインターフェースの例
図4A~
図4Eは、ASPチームインターフェース312の例を示している。
図4Aは、ASPチームインターフェース312が、ASPチームメンバーがASPチームサブシステム302の異なる構成要素にアクセスすることができるダッシュボードインターフェースを示すことを示している。例えば、ダッシュボードインターフェースは、検討される患者のフィルタリングされたリストおよびフィルタの要約(例えば、薬物ミスマッチを示す患者または抗生物質バンコマイシンによって処方されている患者が含まれる)にアクセスするためのセクション402を含む。ダッシュボードインターフェースは、レポートモジュール324によって提供されるレポートにアクセスするためのセクション404と、ASPチームメンバーによってアクセス可能なリソース(例えば、最新の耐性記録、ガイドライン、警告など)へのリンクを含むセクション406と、予定された介入およびレポートを示すセクション408とをさらに含む。
【0098】
図4Bは、
図4Aのダッシュボードインターフェース内のセクション402の選択を検出すると表示されることができるASPチームインターフェース312の別の例を示している。
図4Bに示すように、ASPデータアクセスインターフェース312aは、患者のフィルタリングされたリストを表示することができる。リストは、各患者について、経歴情報410a、治療場所410b、検討の優先度410c、実施可能な項目410d、診断410e、現在の抗生物質治療410f、および最終更新日410gを含む。患者は、患者トリアージモジュール318によって決定されることができる優先度410cにしたがってリスト化される。実行可能な項目410dは、介入機会を示すことができる
図3Gのシステム生成通知356aに基づくことができる。
【0099】
図4Bのフィルタリングされたリスト内の各患者は、ASPデータアクセスインターフェース312aに表示されることができる患者のデータを検討するために選択可能である。
図4C~
図4Eは、選択された患者の抗生物質治療を検討するためのASPデータアクセスインターフェース312aおよびASP通信インターフェース312bの例を示している。
図4Cに示すように、ASPデータアクセスインターフェース312aは、例えば、ASPチームサブシステム302上の患者のイベントの履歴(例えば、推奨、介入、検査室試験結果の到着の履歴など)を含むタイムライン412a、患者のバイタル412b(例えば、心拍数、血圧、体温など)、患者が受けた抗生物質治療の履歴412c、および患者の検査室試験結果の履歴412dを含む、ASPデータアクセスモジュール316によって集約された様々なタイプのデータを表示することができる。これらの全てのデータは、患者の医療データの一部とすることができ、
図3Aの患者医療データデータベース328aから取得されることができる。さらに、ASPデータアクセスインターフェース312aはまた、患者の他の医療データ(例えば、胸部X線、アレルギーなど)へのアクセスを提供するために選択可能なアイコン412eを表示する。これらの全ての情報は、介入推奨を生成するために関連するか、または必要でさえあり、これらの全ての情報は、単一のデータアクセスインターフェースでASPチームメンバーにアクセス可能とされる/表示される。ASPチームメンバーがこの情報を異なるソースから入手したり、この情報を異なるインターフェースまたは異なるデバイスから調べたりする必要がある場合と比較して、そのような構成は、介入推奨のための関連する/必要な情報へのASPチームのアクセスを大幅に改善することができ、これは、ひいてはASPチームが正しい介入推奨を迅速に生成することを可能にする。
【0100】
さらに、ASPチームインターフェース312はまた、ASP介入モジュール320の推奨モジュール340によって生成された介入の推奨414を表示する。推奨414は、最新のグラム陰性桿菌(GNR)結果を受信し、GNR結果にルールを適用することに基づいて生成されることができる。
図4Cの例では、推奨414は、GNR結果に基づいてバンコマイシンの使用を中止するための介入を提案する。ASPチームインターフェース312はまた、介入推奨を伝えるために推奨ベースの通知を呼び出すか送信するかの選択肢を提供するASP通信インターフェース312bを表示する。
図4Dを参照すると、推奨ベースの通知を送信する選択を受信すると、ASP通信インターフェース312bは、通知を送信する前に、ユーザが通知をカスタマイズすることができるようにフォーム416を表示することができる。
【0101】
図4Eは、ASP通信インターフェース312bの他の例を示している。
図4Eに示すように、ASP通信インターフェース312bは、推奨ベースの通知422(推奨414から生成される)および治療チームからの応答メッセージ424が表示され、ASPチームと治療チームとの間でリアルタイム通信を行うことを可能にするテキストメッセージングインターフェース420の形態とすることができる。
【0102】
B.モバイルデバイス上の治療チームインターフェースまたはASPチームインターフェースの例
図5A~
図5Dは、治療チームインターフェース360またはASPチームインターフェース312のモバイルバージョンとすることができるモバイルインターフェース500の例を示している。
図5Aの左側において、インターフェース500は、患者502のリストを示している。インターフェース500がASPチームインターフェース312のモバイルバージョンである場合、患者は、患者トリアージモジュール318によってランク付けされることができる。各患者は、患者の医療データを示し、臨床決定(例えば、抗生物質治療)を送信するために、治療チームメンバーによって選択可能である。患者のうちの1人の選択を受信すると、ASPデータアクセスモジュール316または治療チームデータアクセスモジュール362は、データベース328から選択された患者の医療データを取得することができる。
【0103】
図5Aの右側には、治療チームデータアクセスインターフェース360a(またはASPデータアクセスインターフェース312a)および治療チーム通信インターフェース360b(またはASP通信インターフェース312b)を含む複合インターフェース504が示されている。
図5Aの右側に示すように、治療チームメンバーによる要求508を受信すると、治療チーム臨床決定モジュール364の推奨モジュール370(またはASP介入モジュール320の推奨モジュール340)によって推奨506が生成されることができる。
【0104】
図5Bは、モバイルインターフェース500の別の例を示している。
図5Bの左側に示すように、モバイルインターフェース500は、クエリ512を受信すると、ICU、21歳以上の成人、および特定の病原体緑膿菌に固有の耐性記録チャート510を出力することができる。耐性記録チャート510に含まれる情報の量は、クエリ512ならびに過去のクエリ、関連度などの基準に基づいて治療チームサブシステム304の治療チームデータアクセスモジュール362(またはASPチームサブシステム302のデータアクセスモジュール316)によって選択されることができる。例えば、治療チームデータアクセスモジュール362は、特定の患者に関連しない情報のセクションを含むことができる
図2Cの耐性記録テーブル209ではなく、モバイルデバイスの限られた画面サイズ内で関連する耐性記録情報を提供するために、病原体緑膿菌が最も高い感受性を有する抗生物質を選択し、耐性記録チャート510にそれらを含めることができる。
図5Bの右側では、治療チーム通信インターフェース360bは、治療チームメンバーから臨床決定を含むメッセージ514を受信することができる。治療チーム臨床決定モジュール364は、メッセージ514を受信し、治療チーム通知モジュール366にメッセージを転送することができ、次いで、通知を生成し、別の治療チームメンバー(例えば、薬剤師)によって操作される別の治療チームサブシステム304に通知を送信することができる。
【0105】
図5Cおよび
図5Dは、治療チームサブシステム304の治療チーム通知モジュール366(またはASPチームサブシステム302のASP通知モジュール322)が、ASPチームサブシステム302から介入通知などの通知を受信したときの動作の例を示している。
図5Cの左側に示すように、モバイルデバイスは、アイドル状態になることができ、ホーム画面516が表示される。通知518を受信すると、モバイルデバイスは、プッシュ通知としてホーム画面516に通知518を表示することができる。通知518は、モバイルデバイスをアイドル状態からアクティブ状態に切り替えるように選択可能であり、モバイルデバイスは、訓練チームインターフェース312、ならびに通知518を検討するかどうかに関するプロンプト520を表示することができる。
図5Dの左側を参照すると、ユーザが通知518を検討することを選択したことを検出すると、治療チーム通信インターフェース360bは、通知518に含まれる介入推奨522、ならびに介入推奨に応答するための選択可能な(例えば、介入推奨を受け入れるための)アイコン524および(通知518の送信者を呼び出すための)526を表示することができる。
図5Dの右側を参照すると、治療チーム通信インターフェース360bは、アイコン526の選択を検出すると、治療チームメンバーが送信者に電話をかけることを可能にするダイヤル画面528を提供することができる。
【0106】
IV.方法
図6Aおよび
図6Bは、抗菌薬適正使用支援プログラムを支援する方法の例を示している。本方法は、デジタルASPシステム300などのデジタルASPシステムによって実装されることができる。
【0107】
A.治療チームサブシステムによって実行される例示的な方法
図6Aは、例えば治療チームサブシステム304によって実装されることができる方法600の例を示している。
【0108】
ステップ602において、治療チームサブシステム304は、複数のデータベースから、複数の患者の医療データ、複数の抗生物質の特性情報、および複数の抗生物質を使用する特定の疾患の治療に関する複数のガイドラインを集約することができる。
【0109】
例えば、治療チームサブシステム304の治療チームデータアクセスモジュール362は、電子医療記録(EMR)データベース、マスター患者インデックス(MPI)サービスデータベース、健康情報交換(HIE)サーバ、医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)の形式で画像ファイルを記憶するストレージ、画像保管通信システム(PACS)、ゲノムデータを含む検査室情報システム(LIS)、放射線情報システム(RIS)、耐性記録データベース、および/または病院ガイドラインデータベースなどの、1つ以上のデータベース328からの様々なタイプの医療データを集約することができる。医療データは、抗生物質の処方および/または患者の病歴、患者の直近の診断、様々な測定の結果(例えば、体温、血圧など)、および様々な検査室試験の結果(例えば、細菌試験、細菌培養、抗生物質感受性試験、グラム染色など)などの診断検査に関連するデータを含むことができる。情報はまた、例えば、耐性記録情報、抗生物質の処方および投与のためのガイドラインなどを含むことができる。
【0110】
いくつかの例では、治療チームサブシステムは、患者の病歴を検討するための治療チームからの選択などのトリガの受信に基づいて医療データを取得して集約することができる。
【0111】
ステップ604において、治療チームサブシステム304は、複数の抗生物質のうちの第1の抗生物質の処方または複数の患者のうちの第1の患者についての第1の診断検査の命令の少なくとも一方についての推奨を生成することができ、推奨は、第1の患者の医療データ、耐性記録情報、および複数のガイドラインに基づく。
【0112】
例えば、治療チームサブシステム304(例えば、推奨モジュール370)は、特定の抗生物質を処方するおよび/または特定の診断試験を命令する臨床決定についての推奨を生成することができる。推奨は、例えば、特定の抗生物質の処方、抗生物質を投与する方法、用量、および/または治療の期間を含むことができる。推奨の生成は、トリガの受信に基づくことができる。トリガは、治療チームサブシステム304(例えば、治療チームデータアクセスインターフェース360a)にデータベース328からデータを取得および集約させるトリガと同じトリガに基づくことができ、または、例えば、治療チームデータアクセスインターフェース360aに表示されている患者の医療データ、治療チームメンバーからのコマンド、患者の特定の新たな医療データ(例えば、検査室試験結果)が利用可能であるというデータベース328からの指示などに基づく異なるトリガに基づくことができる。
【0113】
例えば、治療チームデータアクセスインターフェース360aが患者の医療データを表示することに応答して、推奨モジュール370は、患者の医療データの更新(もしあれば)のためにデータベース328にクエリを送信することができる。推奨モジュール370が、特定の抗生物質を処方する、および/または特定の診断検査(例えば、検査室試験結果)を命令する臨床決定に関連する特定の新たな医療データが利用可能になったことを検出した場合、推奨モジュール370は、患者の更新された医療データを処理し、臨床決定についての推奨を決定することができる。
【0114】
推奨は、医療データに1つ以上のルールを適用することなどに基づいて、様々な技術に基づいて生成されることができる。ルールは、例えば、選択された抗生物質に対する病原体耐性を最小限に抑えながら、患者の疾患を治療するのに有効な1つ以上の抗生物質を選択することを示すことができる。ルールは、推奨を生成するために、患者の医療データ、ガイドライン、および耐性記録情報に適用されることができる。医療データは、例えば、臨床反応、診断試験結果(例えば、培養および感受性試験)、および他の検査パラメータ(例えば、クレアチニン、薬物レベル)を含むことができる。
【0115】
例として、
図3Bに戻って参照すると、患者の医療データに示される患者の疾患に基づいて、ルールモジュール340aは、ガイドラインデータベース328bからガイドライングラフを取得することができる。さらに、ルールモジュール340aは、患者の疾患の状態(例えば、患者が入院しているか否か、重症度、併存症の有無など)に基づいてガイドライングラフをトラバースし、トラバースの最後に、疾患の治療として患者に処方されることができる候補抗生物質のリスト、ならびに候補抗生物質の用量を識別することができる。
【0116】
さらに、
図3Cを参照すると、ルールモジュール370aは、患者の治療位置に基づいて耐性記録テーブルを取得し、推奨抗生物質のリストに対応する耐性記録テーブルのセクションを識別することができる。各セクションにおいて、ルールモジュール370aは、処方された抗生物質に対する、(例えば、患者の検査室試験結果に示されるように)患者の疾患を引き起こす1つ以上の病原体の耐性の程度を決定することができる。ルールモジュール370aは、耐性度に基づいて推奨抗生物質をランク付けし、耐性度が最も低いか、または耐性度が閾値未満の推奨抗生物質のリストのサブセットを推奨に含めることができる。
【0117】
いくつかの例では、1つ以上の異なる抗生物質を含むことができる各代替抗生物質治療レジメンの利益スコアおよびリスクスコアを計算することと、各レジメンの利益スコアとリスクスコアとの比に基づいて代替レジメンをランク付けすることと、最も高い比を有するレジメンを介入推奨として選択することとを含む代替レジメンのランク付けが実行されることができる。利益スコアは、例えば、抗生物質に対する病原体の感受性に基づくことができるが、リスクスコアは、例えば、レジメン内の抗生物質のいずれかが冗長であるかどうか、レジメン内の特定の抗生物質に対して病原体が耐性になるリスクなどに基づくことができる。リスクスコアは、患者の病歴(例えば、患者が耐性を経験したかどうか)、疑わしい診断などに基づいて計算されることもできる。いくつかの例では、推奨は、予測演算の実行に基づいて生成されることができる。予測動作の目標は、例えば、抗生物質治療がいつ必要とされるかを予測することを含むことができる。予測は、細菌感染症が抗生物質治療を必要とする可能性対感染症が自己解決感染症である可能性、または患者の疾患が非感染性過程である可能性の決定に基づくことができる。いくつかの例では、予測は、「治療に必要な数」(1人の患者に利益をもたらすために抗生物質によって治療する必要がある患者は何人か?)と「害に必要な数」(治療上の害を受ける前に抗生物質によって治療することができる患者は何人か?)との間のトレードオフに基づくことができる。
【0118】
ステップ606において、治療チームサブシステム304は、インターフェース(例えば、治療チームインターフェース360)を介して、第1の患者の医療データへのアクセス、第1の患者の病状に関連する耐性記録情報のサブセット、および第1のメンバーによる第1の臨床決定を容易にするための推奨を提供することができ、第1の臨床決定は、第1の患者に対して第1の抗生物質の第1の用量を処方すること、または第1の診断試験を命令することのうちの少なくとも一方を含む。
【0119】
具体的には、治療チームインターフェース360は、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン、タブレットなど)上に提供されるモバイルインターフェースとすることができ、
図5Aに示すように、医療データのサブセットを選択し、選択されたデータをデータアクセスインターフェースに表示することができる治療チームデータアクセスインターフェース360aを含むことができる。いくつかの例では、治療チームサブシステム304(例えば、治療チーム治療チームデータアクセスモジュール362、治療チームデータアクセスインターフェース360aなど)は、特定の患者に対するデータの関連度に基づいてフィルタリング動作を自動的に実行することができる。例えば、治療チームインターフェースは、患者が抗生物質を投与されるべき場所(例えば、ICU)に基づいて耐性記録情報を提供することができる。別の例として、治療チームサブシステムは、抗生物質プロファイル、患者の検査室試験結果、患者の病歴、介入追跡状況などに基づいて患者のサブセットを自動的に選択し、治療チームデータアクセスインターフェースを介して患者のサブセットの医療データへのアクセスを提供することができる。いくつかの例では、フィルタリング動作は、ユーザからの入力に基づいて実行されることもできる。
【0120】
第1の用量または経験的治療に関する臨床決定のための関連データを表示することに加えて、治療チームサブシステムはまた、CDSの一部として、第1の用量または経験的治療についての推奨を生成することもできる。治療チームサブシステムは、薬物に対するアレルギーを含む患者の病歴、患者の疑われる診断名、患者の疾患を引き起こす疑われる病原体、患者の薬物耐性のリスク、患者の検査室試験結果、耐性記録情報、ガイドライン、処方制限および在庫状況などの様々なタイプの医療データに基づいて推奨を生成することができる。推奨は、例えば、治療チームメンバーからのコマンド/要求、患者の新たな医療データ(例えば、検査室試験結果)が利用可能であるという指示(例えば、ネットワークメッセージ)などのトリガに基づいて生成されることができる。治療チームサブシステムは、治療チームデータアクセスインターフェースに推奨を表示して、ユーザが推奨の基礎にアクセスすることを可能にすることができる。次いで、治療チームは、推奨を受け入れるか拒否するかに基づいて臨床決定(例えば、処方命令)を行うことができる。推奨は、
図5Bに示すように、推奨の基礎を提供するために医療データとともに表示されることができる。
【0121】
例として、
図3Bに戻って参照すると、患者の医療データに示される患者の疾患に基づいて、ルールモジュール340aは、ガイドラインデータベース328bからガイドライングラフを取得することができる。さらに、ルールモジュール340aは、患者の疾患の状態(例えば、患者が入院しているか否か、重症度、併存症の有無など)に基づいてガイドライングラフをトラバースし、トラバースの最後に、疾患の治療として患者に処方されることができる候補抗生物質のリスト、ならびに候補抗生物質の用量を識別することができる。
【0122】
さらに、
図3Cに戻って参照すると、ルールモジュール370aは、患者の治療位置に基づいて耐性記録テーブルを取得し、推奨抗生物質のリストに対応する耐性記録テーブルのセクションを識別することができる。各セクションにおいて、ルールモジュール370aは、処方された抗生物質に対する、(例えば、患者の検査室試験結果に示されるように)患者の疾患を引き起こす1つ以上の病原体の耐性の程度を決定することができる。ルールモジュール370aは、耐性度に基づいて推奨抗生物質をランク付けし、耐性度が最も低いか、または耐性度が閾値未満の推奨抗生物質のリストのサブセットを推奨に含めることができる。
【0123】
さらに、治療チームサブシステム304は、特定の抗生物質を処方する、および/または特定の診断検査を命令する臨床決定を出力することができる。治療チームサブシステム304は、治療チームインターフェース360を介して、治療チームメンバーからの入力を受け入れ、入力に基づいて臨床決定を生成することができる。入力は、例えば、ステップ604において生成された推奨に基づくことができる。次いで、治療チームサブシステム304は、治療チーム通信モジュール368を介して他の治療チームサブシステム304に通知(例えば、テキストメッセージ、スヌーズ通知など)として臨床決定を送信することができる。
【0124】
いくつかの例では、方法600は、ステップ608および610をさらに含むことができる。
【0125】
ステップ608において、治療チームサブシステム304は、ASPチームサブシステム302から、第1の臨床決定に介入するための介入推奨を受信することができる。介入推奨は、通知、テキストメッセージなどの形態とすることができる。
【0126】
ステップ610において、治療チームサブシステム304は、介入推奨を表示することができる。いくつかの例では、介入推奨は、
図5Cに示すように、モバイルデバイスがアイドル状態にある間に他の感覚出力(例えば、振動、トーンなど)として表示または出力されることができる通知を含むことができる。通知の選択を受信すると、治療チームサブシステム304は、治療チームインターフェース360を起動して、通知ならびに最初の患者の医療データの双方を表示することができる。いくつかの例では、介入推奨は、
図5Dに示すように、テキストメッセージングインターフェースに表示されるテキストメッセージとすることができる。
【0127】
B.ASPチームサブシステムによって実行される例示的な方法
さらに、
図6Bは、ASPチームサブシステム302によって実装されることができる方法650の例を示している。
【0128】
ステップ652において、ASPチームサブシステム302は、複数のデータベースから、1つ以上の抗生物質を投与された後の複数の患者の医療データ、1つ以上の抗生物質を含む複数の抗生物質に対する病原体の耐性を示す耐性記録情報、および複数の抗生物質を使用する特定の疾患の治療に関する複数のガイドラインを取得することができる。
【0129】
具体的には、ASPチームサブシステム302のASPデータアクセスモジュール316は、電子医療記録(EMR)データベース、マスター患者インデックス(MPI)サービスデータベース、健康情報交換(HIE)サーバ、医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)の形式で画像ファイルを記憶するストレージ、画像保管通信システム(PACS)、ゲノムデータを含む検査室情報システム(LIS)、放射線情報システム(RIS)、耐性記録データベース、および/または病院ガイドラインデータベースなどの、1つ以上のデータベース328から医療データを取得することができる。ASPデータアクセスモジュール316は、例えば、患者の病歴、患者の直近の診断、様々な測定の結果(例えば、体温、血圧など)、および様々な検査室試験の結果(例えば、細菌試験、細菌培養、抗生物質感受性試験、グラム染色など)などの介入推奨に関連する患者の様々なデータを含む様々なタイプのデータを調達することができる。情報はまた、例えば、耐性記録情報、抗生物質の処方および投与のためのガイドラインなどを含むことができる。
【0130】
ASPチームサブシステムは、ASP介入決定のために患者データを取得して集約するトリガを受信することができる。トリガは、例えば、特定の患者の医療データにアクセスするためのASPチームからのコマンド、ASPチームによる患者の抗生物質の使用/処方の検討が予定されていること、特定の患者に対して新たな抗生物質の処方が入力され、処方が検討されていないことなどを示すタイマに基づくことができる。
【0131】
ステップ654において、ASPチームサブシステム302は、医療データおよび耐性記録情報に基づいて、複数の患者のそれぞれのトリアージランキングを決定することができる。
【0132】
具体的には、患者の治療/検査の効率的な検討および介入を容易にするために、ASPチームサブシステム302の患者トリアージモジュール318は、各患者のトリアージスコアを決定し、トリアージスコアに基づいて患者をランク付けし、ランク付けされた患者のリストをASPチームインターフェースに表示することができる。トリアージスコアは、患者の治療/検査を検討する緊急性を示すことができる。次いで、ASPチームは、ランキングを参照して、検討のために患者を選択することができる。トリアージスコアは、患者の抗生物質治療を検討する緊急性を示すために、様々な要因(例えば、最新の検査室試験結果の利用可能性、検査室試験/薬物ミスマッチ、限られた薬物処方など)の加重平均とすることができる。重みは、例えば以前の介入に基づいて、ASPチームによっておよび/またはASPチームサブシステムによって自動的に決定されることができる。
【0133】
患者のトリアージスコアは、様々な技術に基づいて計算されることができる。具体的には、
図3Fを参照すると、患者は、患者の抗生物質/診断検査処方を検討するための緊急性を決定するために使用されることができる属性のセット330に関連付けられることができる。各属性は、スコアs0、s1などに関連付けられることもできる。いくつかの例では、属性のスコアは、属性が存在しない場合は0、属性が存在する場合は1とすることができる。他のスコア値が割り当てられることもできる。さらに、各属性は、w0、w1、w2などの重みに関連付けられることもできる。トリアージスコアは、スコアの加重平均に基づいて計算されることができ、より高いスコアは、患者の抗生物質/診断検査処方を検討することがより緊急であることを意味し、逆もまた同様である。属性の重みは、様々な方法で決定されることができる。いくつかの例では、重みは、ASPチームによって決定されることができる。例えば、新たな検査室結果が利用可能な患者、現在与えられている抗生物質を最適化する機会を示す何らかの特性を示すために積極的な検討を必要とする患者(例えば、陽性血液培養結果に基づいて、現在の治療が無効であることを示すバグ-薬物ミスマッチなど)、および複数の抗生物質、広域薬物、制限抗生物質、または不足リストの抗生物質を投与されている患者が、これらの特徴を有しない他の患者よりも先にASPチームによる検討を受けることができるように、重みが割り当てられることができる。いくつかの例では、属性の重みは、介入の履歴などの他の基準に基づいて患者トリアージモジュール318によって自動的に決定されることもできる。例えば、ASPチームが以前に特定の属性を有する患者についての抗生物質/診断検査の処方に介入した場合、患者トリアージモジュール318は、それらの属性の重みを自動的に増加させることができる。
【0134】
さらに、患者のトリアージランキングは、他の基準に基づくことができる。例えば、上述したように、ASPサブシステム302(例えば、ASP通知モジュール322)は、最新の検査室試験結果および/または処方に基づいて、患者の特定の属性が、患者がASPチームからの検討を保証することを示す場合に通知を生成することができる。ASPチームサブシステム302を介して患者の処方が最後に検討されてから各患者に対して生成された通知の数がカウントされることができ、通知の数に基づいて患者がランク付けされることができる。通知の数が最も多い患者は、患者の処方を検討するための最も高い優先度/緊急度を示すために最も高くランク付けされることができる。
【0135】
別の例として、
図3Fを参照すると、抗生物質の処方に基づいて患者がランク付けされることができる。例えば、各患者について、患者に現在処方されている抗生物質の特性を反映する複合抗生物質スコアが計算されることができ、同じ数の通知を有する患者が複合抗生物質スコアに基づいてさらにランク付けされることができる。複合抗生物質スコアに基づくランキングは、通知の数の後の二次ランキングとすることができる。
【0136】
いくつかの例では、
図3Eを参照すると、抗生物質には、それが広範囲の病原体を治療する広域抗生物質であるかどうか、それが不足しているかどうか、それが制限されているかどうかなどを反映するスコアが割り当てられることができる。限られた抗生物質に最高のスコアが割り当てられることができ、これはその処方の検討のための最高の優先順位を示す。次いで、患者に処方された各抗生物質にスコアが割り当てられることができ、患者のスコアが合計されて抗生物質複合スコアを生成することができる。
【0137】
図3Fを参照すると、通知の数に基づいて患者がランク付けされることができ、通知の数が最も多い患者が最も高くランク付けされる(例えば、患者AおよびB)。同じ通知数を有する患者(例えば、患者AおよびB)の中で、患者は、それらの複合抗生物質スコアに基づいてさらにランク付けされることができ、最高の複合抗生物質スコアを有する患者が最高にランク付けされる。いくつかの例では、ランキングはまた、患者が特定の抗生物質を投与されている期間に基づくこともできる。多数の連続日数にわたって抗生物質を投与された患者は、より少ない連続日数にわたって抗生物質(または他の抗生物質)を投与された別の患者よりも高くランク付けされることができる。
【0138】
ステップ656において、ASPサブシステム302は、ASPチームの第1のメンバーによってアクセス可能なインターフェースを介して、複数の患者を表し、複数の患者の医療データの少なくとも一部を含むランク付けされた患者リストを表示することができ、患者リストは、複数の患者のうちの第1の患者に対する第1の抗生物質の処方に介入するためのASPチームの第1のメンバーによる介入推奨を容易にするために、複数の患者のトリアージランキングに基づいてランク付けされる。
【0139】
具体的には、ランク付けされた患者リスト、ならびにステップ652において集約された医療データの少なくとも一部は、デスクトップインターフェース、モバイルインターフェースなどとすることができるASPチームインターフェース312のデータアクセスインターフェース312aに表示されることができる。ランク付けされた患者リストの例が
図4Bに示されている。ランク付けされた患者リストを表示する(またはランク付けされた患者リストを表示する命令を受信する)と、ASPデータアクセスモジュール316は、データベース328から患者の医療データを取得することができる。さらに、ランク付けされた患者リスト内の患者のうちの1人の選択を受信すると、ASPデータアクセスモジュール316はまた、第1のメンバーによる介入推奨を容易にするために、データアクセスインターフェース312aに表示するために選択された患者の追加データを取得することができる。
【0140】
いくつかの例では、ASPチームサブシステム302(例えば、ASPデータアクセスモジュール316、ASPデータアクセスインターフェース312aなど)は、患者に対するデータの関連度に基づいてフィルタリング動作を自動的に実行することができる。例えば、ASPチームサブシステムは、患者のために、抗生物質を投与すべき場所(例えば、ICU)、患者の検査室試験結果(どの病原体が患者の感染性疾患を引き起こしているかを示すことができる)、抗生物質の在庫などに基づいて、耐性記録情報のサブセットを自動的に選択して、特定の設定の狭い抗生物質セットに対して特定の病原体の耐性記録情報の特定のセクションに絞り込んで、ASPデータアクセスインターフェース312aに表示するために耐性記録情報のサブセットを提供することができる。
【0141】
いくつかの例では、ASPチームサブシステム302は、臨床決定支援(CDS)の一部として、臨床決定を容易にするための介入についての推奨を生成することができる。ASPチームサブシステム302は、例えば、選択された患者の医療データ、耐性記録情報、ガイドラインなどに基づいて推奨を生成することができる。ASPチームサブシステム302は、患者の医療データと同時にASPチームデータアクセスインターフェースに推奨を表示して、
図4Cに示すように、ユーザが推奨の基礎にアクセスすることを可能にすることができる。
【0142】
ASPチームサブシステム302は、様々な方法で様々な推奨を生成することができる。具体的には、介入の推奨は、例えば、投薬の変更、抗菌薬の漸増/漸減、IVからPOへの変換などを含むことができる。いくつかの例では、推奨は、ASPチームインターフェース312を介してASPチームから介入推奨を受信することに基づく(例えば、ASPチームサブシステム302による推奨出力の閲覧に基づく)か、または介入推奨を自動的に生成するためにASPチームサブシステム302によって出力された推奨の選択を受信することに基づくことができる。
【0143】
ASPチームサブシステムは、例えば、トリガに応答して、選択された患者の医療データ、耐性記録情報、ガイドラインなどに基づいて推奨を生成することができる。いくつかの例では、トリガは、ASPチームサブシステムにASP介入決定のために患者データを取得および集約させる同じトリガであってもよい。いくつかの例では、トリガは、例えば、検討されている患者の新たな医療データ(例えば、検査室試験結果、またはサブシステムによって処理されていない他の新たな医療データ)が利用可能であるというデータベースからの指示に基づく異なるトリガとすることができる。指示は、ASPチームサブシステムによって送信されたクエリに応答してデータベースによって送信されたネットワークメッセージの形態とすることができる。
【0144】
いくつかの例では、ASPチームサブシステムのルールモジュール(例えば、ルールモジュール340a)は、1つ以上のルールを適用することに基づいて推奨を生成することができる。ルールは、例えば、選択された抗生物質に対する病原体耐性を最小限に抑えながら、患者の疾患を治療するのに有効な1つ以上の抗生物質を選択することを示すことができる。ルールは、推奨を生成するために、患者の医療データ、ガイドライン、および耐性記録情報に適用されることができる。
【0145】
例として、
図3Bに戻って参照すると、患者の医療データに示される患者の疾患に基づいて、ルールモジュール340aは、ガイドラインデータベース328bからガイドライングラフを取得することができる。さらに、ルールモジュール340aは、患者の疾患の状態(例えば、患者が入院しているか否か、重症度、併存症の有無など)に基づいてガイドライングラフをトラバースし、トラバースの最後に、疾患の治療として患者に処方されることができる候補抗生物質のリスト、ならびに候補抗生物質の用量を識別することができる。ルールモジュール340aは、患者に処方された抗生物質が推奨抗生物質のリストに含まれているかどうか、および処方された抗生物質の用量が推奨用量と一致するかどうかを決定することができる。処方された抗生物質が推奨抗生物質のリストにない場合、または処方された用量が推奨用量と一致しない場合、ルールモジュール340aは、抗生物質処方を介入するための推奨(例えば、異なる抗生物質への変更、用量の変更など)を決定することができる。
【0146】
さらに、
図3Cを参照すると、ルールモジュール340aは、患者の治療位置に基づいて耐性記録テーブルを取得し、処方されている抗生物質に対応する耐性記録テーブルのセクションを識別することができる。各セクションにおいて、ルールモジュール340aは、処方された抗生物質に対する、(例えば、患者の検査室試験結果に示されるように)患者の疾患を引き起こす1つ以上の病原体の耐性の程度を決定することができる。耐性の程度が特定の閾値を超える場合、ルールモジュール340aは、抗生物質処方の介入の推奨を決定することもできる。
【0147】
別の例では、ASPチームサブシステム302の代替レジメンランク付けモジュール(例えば、代替レジメンランク付けモジュール340b)は、1つ以上の異なる抗生物質を含むことができる各代替抗生物質治療レジメンの利益スコアおよびリスクスコアを計算し、各レジメンについての利益スコアとリスクスコアとの間の比に基づいて代替レジメンをランク付けし、最も高い比を有するレジメンを介入推奨として選択することができる。利益スコアは、例えば、抗生物質に対する病原体の感受性に基づくことができるが、リスクスコアは、例えば、レジメン内の抗生物質のいずれかが冗長であるかどうか、レジメン内の特定の抗生物質に対して病原体が耐性になるリスクなどに基づくことができる。リスクスコアは、患者の病歴(例えば、患者が耐性を経験したかどうか)、疑わしい診断などに基づいて計算されることもできる。
【0148】
別の例では、ASPチームサブシステム302の予測モジュール(例えば、予測モジュール340c)は、予測動作の実行に基づいて推奨を生成することができる。予測動作の目標は、患者が不適切な抗生物質治療を受けているか、または介入が必要である可能性/確率を予測することとすることができる。予測は、他の患者が受けた抗生物質治療に基づくことができる。例えば、患者が特定の抗生物質を5日間受け、同じ感染性疾患を有する他の患者が同じ抗生物質を2日間だけ受けて回復する場合、推奨モジュール340は、患者が予想される期間(2日間)を超えた不適切な抗生物質治療を受けたと予測することができる。
【0149】
いくつかの例では、方法650は、ステップ658をさらに含み、ASPチームサブシステム302は、第1の臨床決定に基づく介入推奨を第2のシステム(例えば、治療チームサブシステム304)に送信することができる。介入推奨は、通知、テキストメッセージなどの形態とすることができる。いくつかの例では、ASPチームサブシステム302は、推奨に基づいて、またはASPチームからの入力に基づいて自動的に生成されることができる介入推奨の通知/テキストメッセージを生成し、テキストメッセージング、音声通話などのリアルタイム通信を介して治療チームサブシステム(例えば、治療チームサブシステム304)に通知を送信することができる。いくつかの例では、通知は、スヌーズ通知とすることができるため、治療チームは、後で通知に基づいて行動することができる。ASPチームサブシステム302はまた、介入推奨の状態(例えば、治療変更が実施されたかどうか、診断試験が命令されたかどうかなど)を(自動的におよび/またはASPチームからの入力に基づいて)追跡することができる。いくつかの例では、ASPチーム通信インターフェースは、テキストメッセージングインターフェースの形態とすることができ、通知、ならびに治療チームサブシステムからの通知に対する応答は、テキストメッセージの形態で表示されることができる。さらに、ASPチームサブシステム302は、ASPチームデータアクセスインターフェース312aおよびASPチーム通信インターフェース312bを同時に表示することができ、これは、ユーザが、協働体験を容易にするために、医療データにアクセスしながらテキストメッセージまたは音声を介して通信することを可能にする。通知に作用するために必要な全ての情報はまた、
図6Aに記載されかつ
図5Bに示されるように、通知を表示/出力する治療チームインターフェース(例えば、治療チームインターフェース360)に提供される。
【0150】
V.コンピュータシステム
本明細書で言及されるコンピュータシステムのいずれも、任意の適切な数のサブシステムを利用することができる。そのようなサブシステムの例が、コンピュータシステム10における
図7に示されている。いくつかの実施形態では、コンピュータシステムは、単一のコンピュータ装置を含み、ここでサブシステムは、コンピュータ装置の構成要素とすることができる。他の実施形態では、コンピュータシステムは、それぞれがサブシステムであり、内部構成要素を備えた複数のコンピュータ装置を含むことができる。コンピュータシステムは、デスクトップおよびラップトップコンピュータ、タブレット、携帯電話、ならびに他のモバイルデバイスを含むことができる。いくつかの実施形態では、クラウドインフラストラクチャ(例えば、アマゾン・ウェブ・サービス)、グラフィカル処理ユニット(GPU)などが使用されて、開示された技術を実装することができる。
【0151】
図7に示すサブシステムは、システムバス75を介して相互接続されている。プリンタ74、キーボード78、記憶デバイス79、ディスプレイアダプタ82に接続されたモニタ76などの追加のサブシステムが示されている。I/Oコントローラ71に結合された外付けおよび入出力(I/O)デバイスは、入出力(I/O)ポート77(例えば、USB、FireWire(登録商標))などの当該技術分野において知られている任意の数の手段によって、コンピュータシステムに接続されることができる。例えば、I/Oポート77または外部インターフェース81(例えば、Ethernet、Wi-Fi等)は、コンピュータシステム10を、インターネット等のワイドエリアネットワーク、マウス入力デバイス、またはスキャナに接続するために使用されることができる。システムバス75を介した相互接続は、セントラルプロセッサ73が、サブシステムのそれぞれと通信し、システムメモリ72または記憶デバイス79(例えば、ハードドライブなどの固定ディスク、または、光ディスク)からの複数の命令の実行、ならびにサブシステム間の情報の交換の制御を可能にする。システムメモリ72および/または記憶デバイス79は、コンピュータ可読媒体を具体化することができる。別のサブシステムは、カメラ、マイクロフォン、加速度計、その他などのデータ収集デバイス85である。本明細書で説明したデータの任意のものは、ある構成要素から別の構成要素へ出力されることができ、ユーザに出力されることができる。
【0152】
コンピュータシステムは、例えば、外部インターフェース81または内部インターフェースによって一体に接続された、複数の同じ構成要素またはサブシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、コンピュータシステム、サブシステム、または装置は、ネットワークを介して通信することができる。そのような例では、1つのコンピュータは、クライアントと見なされることができ、別のコンピュータは、サーバと見なされることができ、それらのそれぞれは、同じコンピュータシステムの一部とすることができる。クライアントおよびサーバは、それぞれ、複数のシステム、サブシステム、または構成要素を含むことができる。
【0153】
実施形態の態様は、ハードウェア(例えば、特定用途向け集積回路またはフィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用して、および/またはモジュラーまたは統合された様式の一般にプログラム可能なプロセッサを伴う、コンピュータソフトウェアを使用して、制御ロジックの形態で実装されることができる。本明細書で使用されるとき、プロセッサは、1つの集積チップ上のシングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、または1つの回路基板上の、もしくはネットワーク接続されたマルチプロセシングユニットを含む。本明細書で提供される開示および教示に基づいて、当業者は、ハードウェアおよびハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して、本発明の実施形態を実施するための他の手段および/または方法を知り、理解するであろう。
【0154】
本出願で説明されるソフトウェアの構成要素または機能のいずれも、例えばJava、C、C++、C#、Objective-C、Swiftなどの任意の適切なコンピュータ言語、または例えば、従来のもしくはオブジェクト指向の手法を用いたPerlもしくはPythonなどのスクリプト言語を用いて、プロセッサによって実行されるソフトウェアコードとして実装され得る。ソフトウェアコードは、一連の命令またはコマンドとして、記憶および/または伝送のためにコンピュータ可読媒体上に記憶されることができる。好適な非一時的コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、ハードドライブ、フロッピーディスクなどの磁気媒体、コンパクトディスク(CD)もしくはDVD(デジタル多用途ディスク)などの光学的媒体、またはフラッシュメモリ、などを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、そのような記憶デバイスまたは送信デバイスの任意の組み合わせとすることができる。
【0155】
そのようなプログラムはまた、インターネットを含む様々なプロトコルに準拠する有線、光、および/または無線ネットワークを介した送信に適合されたキャリア信号を使用して符号化および送信されることができる。そのように、コンピュータ可読媒体は、そのようなプログラムを用いてエンコードされたデータ信号を使用して作成されることができる。プログラムコードで符号化されたコンピュータ可読媒体は、互換性のあるデバイスと一緒にパッケージ化されるか、または他のデバイスとは別に提供されることができる(例えば、インターネットダウンロードを介して)。任意のそのようなコンピュータ可読媒体は、個々のコンピュータ製品(例えば、ハードドライブ、CD、または完全なコンピュータシステム)上にまたは内部に備えられることができ、また、システムまたはネットワーク内部の異なるコンピュータ製品上にまたは内部に存在することができる。コンピュータシステムは、本明細書に記載の結果のいずれかをユーザに提供するためのモニタ、プリンタ、または他の適切なディスプレイを含むことができる。
【0156】
ここに説明される方法のいずれは、上記のステップを行うように構成されることができる、1つ以上のプロセッサを含むコンピュータシステムを用いて完全に、または、部分的に行われてもよい。したがって、実施形態のそれぞれは、潜在的にステップのそれぞれまたはステップのグループのそれぞれを行う異なる構成要素を用いて、本明細書に記載される方法のいずれかのステップを行うように構成されているコンピュータシステムを対象とすることができる。符号付きのステップとして提示されているが、本明細書の方法のステップは、同時にまたは異なる順序で実行されることができる。さらに、これらのステップの一部は、他の方法からの他のステップの一部とともに使用されることができる。また、ステップの全てまたは一部は、任意とすることができる。さらに、任意の方法の任意のステップは、モジュール、ユニット、回路、またはこれらのステップを実行するための他の手段を用いて実行されることができる。
【0157】
特定の実施形態の固有の詳細は、本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、任意の適切なやり方で組み合わせられることができる。しかしながら、本発明の他の実施形態は、それぞれの個別の態様に関する特定の実施形態、またはこれらの個別の態様の特定の組み合わせを対象とすることができる。
【0158】
本発明の例示的な実施形態の上記説明は、図示および説明を目的として提示されている。網羅的であること、または本発明を、説明されたそのものの形式に限定することを意図するものではなく、多数の変更および変形が、上述した教示に照らして、可能である。
【0159】
「a」、「an」、または「the」という記載は、そのようでないと具体的に示されない限り、「1つ以上」を意味するように意図される。「or」のを使用法は、具体的にそうでないことに示さない限り、「排他的論理和」でなく、「包含的論理和」を意味することを意図する。「第1の」構成要素への言及は、第2の構成要素がもたらされることを必ずしも必要としない。さらに、「第1の」または「第2の」構成要素への言及は、明示的に述べられない限り、言及された構成要素を特定の位置に限定しない。
【0160】
本明細書において言及された全ての特許、特許出願、刊行物、および説明文は、それらの全体があらゆる目的のために参照によって援用される。いずれも先行技術であると認められるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のコンピュータプロセッサによって実装される、
医療現場における抗菌薬適正使用支援プログラム(ASP)を支援する方法であって、
複数のデータベースから、複数の患者の医療データ、
医療現場における複数の抗生物質に対する病原体の耐性を示す耐性記録情報、および前記複数の抗生物質を使用する特定の疾患の治療に関する複数のガイドラインを取得することと、
前記複数の抗生物質のうちの第1の抗生物質の処方または前記複数の患者のうちの第1の患者についての第1の診断試験の命令のうちの少なくとも1つについての推奨を生成することであって、前記推奨が、前記複数のガイドライン、前記耐性記録情報、および前記第1の患者に対する前記医療データに1つ以上のルールを適用することに基づいて生成される、推奨を生成することと、
治療チームの第1のメンバーによってアクセス可能な第1のシステムのインターフェースを介して、前記第1の患者の前記医療データへのアクセス、前記第1の患者の病状に関連する前記耐性記録情報のサブセット、および前記第1のメンバーによる第1の臨床決定を容易にするための推奨を提供することであって、前記第1の臨床決定が、前記第1の患者に対して、前記第1の抗生物質の第1の用量を処方すること、または前記第1の診断試験を命令することのうちの少なくとも1つを含む、前記第1の患者の前記医療データへのアクセス、前記第1の患者の病状に関連する前記耐性記録情報のサブセット、および前記第1のメンバーによる第1の臨床決定を容易にするための推奨を提供することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数のデータベースから前記複数の患者の前記医療データを取得するための第1のトリガを受信することであって、前記第1のトリガが、前記複数の患者の前記医療データにアクセスするための前記インターフェースを介した第1のコマンドを含む、第1のトリガを受信することと、
前記第1のトリガを受信したことに応答して、前記複数の患者の識別子を含むクエリを前記複数のデータベースに送信して、前記複数の患者の前記医療データを取得することと、
第2のトリガを受信して、推奨を生成することであって、前記第2のトリガが、前記第1の患者の前記医療データが前記インターフェースに表示されているという指示を受信すること、第2のコマンドを前記インターフェースを介して受信して、前記推奨を生成すること、または第1の患者の新たな医療データが利用可能であることを示すネットワークメッセージを前記複数のデータベースから受信することのうちの少なくとも1つを含む、第2のトリガを受信して、推奨を生成することと、
前記第2のトリガを受信したことに応答して前記推奨を生成することと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記推奨が、
前記複数のデータベースから、かつ前記第1の患者の前記医療データに示された前記第1の患者の疾患に基づいて、前記複数のガイドラインのうちの1つのガイドラインを表すグラフを取得することと、
前記第1の患者の前記疾患の状態に基づいて前記グラフをトラバースして、候補抗生物質のリストを取得することと、
前記第1の患者が抗生物質治療を受ける場所の場所識別子に基づいて前記複数のデータベースから前記耐性記録情報の耐性記録テーブルを取得することであって、前記耐性記録テーブルが複数のセクションを含み、各セクションが抗生物質に関連付けられ、関連付けられた前記抗生物質に対する異なる病原体の耐性の程度をリスト化する、前記耐性記録情報の耐性記録テーブルを取得することと、
前記候補抗生物質のリストに関連付けられた前記耐性記録テーブルのセクションを識別することと、
前記耐性記録の識別された前記セクションに基づいて、前記患者の疾患を引き起こす1つ以上の病原体に対する前記候補抗生物質のリストの耐性度を決定することであって、前記1つ以上の病原体が前記第1の患者の前記医療データに示される、前記候補抗生物質のリストの耐性度を決定することと、
前記耐性度に基づいて前記候補抗生物質のリストをランク付けすることと、
前記ランク付けに基づいて前記候補抗生物質のリストから推奨抗生物質を選択することと、
前記推奨抗生物質および関連付けられた前記用量を含む前記推奨を生成することと
によって生成される、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記インターフェースが、前記第1のメンバーと前記治療チームの他のメンバーとの間、または前記第1のメンバーと別のチームのメンバーとの間のリアルタイムまたは非同期通信を可能にする通信インターフェースを備え、
前記インターフェースが、前記第1の患者の前記医療データ、前記耐性記録情報、または1つ以上の推奨抗生物質のうちの少なくとも1つを含むデータを表示するために設定されたデータアクセスインターフェースをさらに備え、
前記通信インターフェースおよび前記データアクセスインターフェースが、前記第1のメンバーに同時に提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記通信インターフェースが、前記第1のメンバーが、前記第1の抗生物質の前記第1の用量の処方または前記第1の診断試験の命令のうちの少なくとも1つを前記治療チームの第2のメンバーに送信することを可能にする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記通信インターフェースが、前記第1のメンバーが、ASPチームによって操作される第2のシステムからの介入推奨に応答して、前記第1の患者に対する前記第1の抗生物質の前記第1の用量の処方または前記第1の診断試験の命令のうちの少なくとも1つを変更することを可能にする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記インターフェースが第1のインターフェースであり、
前記方法が、
前記第2のシステムから前記介入推奨を受信することと、
前記介入推奨を含む通知を第2のインターフェースに表示することと、
前記通知に応答するための前記第1のメンバーからの入力の受信に応答して、前記通信インターフェースおよび前記データアクセスインターフェースを含む前記第1のインターフェースを前記第1のメンバーに表示することと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のデータベースが、電子医療記録(EMR)データベース、マスター患者インデックス(MPI)サービスデータベース、健康情報交換(HIE)サーバ、医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)のフォーマットで画像ファイルを記憶するストレージ、画像保管通信システム(PACS)、ゲノムデータを含む検査室情報システム(LIS)、放射線情報システム(RIS)、耐性記録データベース、または病院ガイドラインデータベースのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記医療データが、異なる時点での病歴、体温、血圧、または検査室結果のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の患者の前記医療データへのアクセスを提供することが、
前記医療データのサブセットを選択することと、
前記医療データの前記サブセットを前記インターフェースに表示することと、を含み、
前記医療データの前記サブセットが、前記治療チームの前記第1のメンバーによる入力、取得されていない前記第1の患者についての新たな試験結果を含む前記医療データの前記サブセット、または前記第1の臨床決定に関連する検査室測定結果を含む前記医療データの前記サブセットのうちの少なくとも1つに基づいて選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記インターフェースが第1のインターフェースであり、
前記方法が、
前記第1のメンバーについての前記新たな試験結果が前記複数のデータベースに記憶されているという指示を受信することと、
第2のインターフェースに前記指示を含む通知を表示することと、
前記通知に応答するための前記第1のメンバーからの入力の受信に応答して、前記第1のインターフェースを介して前記医療データの前記サブセットを前記第1のメンバーに表示することと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の患者に対する前記医療データに示された疾患の状態に基づいて、前記複数のガイドラインのサブセットを選択することと、
前記インターフェースを介して、前記複数のガイドラインの前記サブセットへのアクセスを提供することと
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の抗生物質の前記処方についての前記推奨が、前記第1の抗生物質の投与経路、または前記第1の抗生物質の前記第1の用量が投与される治療経過の期間のうちの少なくとも1つの推奨をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記推奨が、前記第1の患者の病歴、前記第1の患者の疑われる診断名、前記第1の患者の疾患を引き起こす疑われる病原体、前記第1の患者の薬物耐性のリスク、または前記第1の患者の検査室試験結果のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記推奨が、
複数の代替抗菌レジメンのそれぞれについてのベネフィットオーバーリスクスコア(benefit-over-risk score)を決定することであって、前記リスクが抗生物質に対する耐性を発現させる可能性に基づいて決定される、ベネフィットオーバーリスクスコア(benefit-over-risk score)を決定することと、
前記ベネフィットオーバーリスクスコアに基づいて前記複数の代替抗菌レジメンをランク付けすることと、
前記ランク付けに基づいて、推奨される経験的抗菌レジメンを提供することと
に基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
経験的抗菌レジメンについての前記推奨が、前記第1の抗生物質の前記第1の用量がいつ投与されるかの推奨をさらに含み、
前記推奨が、治療に必要な第1の数と、害を及ぼすのに必要な第2の数とに基づく比に基づいて生成され、前記第1の数が、1人の患者に利益をもたらすために前記第1の抗生物質によって治療する必要がある患者の数を示し、前記第2の数が、1人の患者が治療害を受ける前に前記第1の抗生物質によって治療することができる患者の数を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記推奨が、前記第1の患者を治療している病院の抗生物質在庫または前記第1の患者を治療している診療所の抗生物質在庫のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、または、限られた薬物のリストに基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記推奨が、前記複数の患者のうちの第2の患者の治療履歴に基づいて、かつ前記第1の患者と前記第2の患者との間の症状の比較に基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記推奨が、1つ以上のルールに基づいて生成され、
少なくとも1つ以上のルールまたは前記複数のガイドラインが、病院または診療所の管理者によって編集可能である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記医療データおよび前記耐性記録情報に基づいて前記複数の患者のそれぞれについてのトリアージランキングを決定することと、
ASPチームの第1のメンバーによってアクセス可能なインターフェースを介して、前記複数の患者を表し、かつ前記複数の患者の前記医療データの少なくとも一部を含むランク付けされた患者リストを表示することであって、前記患者リストが、前記複数の患者の前記トリアージランキングに基づいてランク付けされる、ランク付けされた患者リストを表示して、前記ASPチームの前記第1のメンバーによる第1の臨床決定を容易にし、前記複数の患者のうちの前記第1の患者に対する第1の抗生物質の処方に介入することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】