(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-18
(54)【発明の名称】ヒドロキシ基官能化チオエーテルを調製する方法
(51)【国際特許分類】
C07C 319/18 20060101AFI20230810BHJP
C07C 321/14 20060101ALI20230810BHJP
C07C 321/28 20060101ALI20230810BHJP
C07C 321/30 20060101ALI20230810BHJP
【FI】
C07C319/18
C07C321/14 CSP
C07C321/28
C07C321/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505701
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-01-26
(86)【国際出願番号】 EP2021070659
(87)【国際公開番号】W WO2022023196
(87)【国際公開日】2022-02-03
(32)【優先日】2020-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルッヒマン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】メイズ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】クリスト,エリオット
(72)【発明者】
【氏名】ルーエ,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】グリード,タッシロ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AB48
4H006AB84
4H006AC63
4H006BA93
4H006TA04
4H006TB14
4H006TB36
(57)【要約】
n個の式(I)(式中、Xは、C
2~C
12-アルキレン;又はC
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
12-アルキレンであり;R
1、R
2及びR
3は、互いに独立に、水素又はC
1~C
4-アルキルであり;nは、1、2、3、4、5又は6の整数である)の基を有する化合物Aを調製する方法であって、;n個の-SH基を有する化合物Bを、フリーラジカル発生剤の存在下、式(II)の化合物Cと反応させるステップを含む、方法が提供される。
【化1】
【化2】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個の式
【化1】
(式中、
Xは、C
2~C
12-アルキレン;又はC
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
12-アルキレンであり;
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立に、水素又はC
1~C
4-アルキルであり;
nは、1、2、3、4、5又は6の整数である)
の基を有する化合物Aを調製する方法であって、
n個の-SH基を有する化合物Bを、フリーラジカル発生剤の存在下、式
【化2】
の化合物Cと反応させるステップを含む、方法。
【請求項2】
R
1及びR
2が水素であり、
R
3が水素又はC
1~C
4-アルキルであり;
Xが、C
2~C
6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
6-アルキレンである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
30~130℃の温度にて、ラジカル開始剤、好ましくはアゾ化合物の存在下で行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
n個の式(I)の基を有する化合物Aが、式
【化3】
(式中、
Y
1は、C
1~C
18-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン、NR
6R
7、C
3~C
18-シクロアルキル、C
6~C
18-アリール若しくはC
2~C
18-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO、S、-SO-、-SO
2、-COO-、-OCOO-、-CO-、C
3~C
18-シクロアルキレン、C
6~C
18-アリーレン若しくはC
2~C
18-ヘテロアリーレンで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;
C
3~C
18-シクロアルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン若しくはNR
8R
9で置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC
3~C
18-シクロアルキル;
C
6~C
18-アリール;C
1~C
12-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
10R
11で置換されているC
6~C
12-アリール;
C
2~C
18-ヘテロアリール;C
1~C
12-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
12R
13で置換されているC
2~C
18-ヘテロアリールであり;
R
4及びR
5は、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C
1~C
18-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC
6~C
18-アリール又はC
6~C
12-アリールであり;
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13は、互いに独立に且つ各出現ごとに、C
1~C
4-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
1~C
4-アルキル;C
6~C
10-アリール;又はOH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
6~C
10-アリールであるか;
又はR
6とR
7、R
8とR
9、R
10とR
11、若しくはR
12とR
13は、一緒になって、C
4~C
6-アルキレン;又はO、S及び/若しくはNR
14によって割り込まれているC
4~C
6-アルキレンであり;
R
14はC
1~C
4-アルキルであり;
mは、各出現ごとに、0~12であり;
Y
2はn価の結合基であり;
nは、2、3、4、5又は6の整数である)
の化合物である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
R
4及びR
5が、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C
1~C
4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC
1~C
4-アルキル;C
6~C
12-アリール;又はC
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
6~C
12-アリールであり;
mが1~10である、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Y
1が、C
1~C
12-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、C
5~C
6-シクロアルキル、C
6~C
12-アリール若しくはC
2~C
10-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO、S、-SO-、-SO
2、-COO-、-OCOO-、-CO-、C
6~C
8-シクロアルキレン、C
6~C
12-アリーレン若しくはC
4~C
10-ヘテロアリーレンで割り込まれているC
1~C
12-アルキル;
C
5~C
8-シクロアルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC
5~C
8-シクロアルキル;
C
6~C
12-アリール;C
1~C
6-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ又はC
1~C
4-アルキルチオで置換されているC
6~C
10-アリール;
C
2~C
10-ヘテロアリール;C
1~C
6-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ又はC
1~C
4-アルキルチオで置換されているC
2~C
10-ヘテロアリールであり;
mが0である、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
Y
1が、OHで置換されている且つ場合によりO又はSで割り込まれているC
2~C
12-アルキルであり;
R
4が水素であり、R
5が、各出現ごとに、水素、C
1~C
4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC
1~C
4-アルキル;又はフェニルであり;
mが1~10である、
請求項4又は5に記載の方法。
【請求項8】
Y
2が、脂肪族単位、脂環式単位、芳香族単位及び/又は複素芳香族単位と、場合により、ヘテロ原子を含有する官能基とを含む、n価の結合基であり;
nが、2、3、4又は6、好ましくは2、3又は4の整数である、
請求項4又は5に記載の方法。
【請求項9】
Y
2が二価の結合基であり、前記二価の結合基が、C
1~C
18-アルキレン;C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン、NR
15R
16、C
5~C
12-シクロアルキル、C
6~C
12-アリール又はC
2-C
12-ヘテロアリールで置換されているC
1~C
18-アルキレン;
C
5~C
12-シクロアルキレン;C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン若しくはNR
17R
18で置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC
5~C
12-シクロアルキレン;C
6~C
12-アリーレン;C
1~C
12-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
19R
20で置換されているC
6~C
12-アリーレン;C
2~C
12-ヘテロアリーレン;C
1~C
12-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
21R
22で置換されているC
2~C
12-ヘテロアリーレンから選択される少なくとも1つの基と、場合により-O-、-S-、-SO-、-SO
2、-COO-、-OCOO-又は-CO-から選択される少なくとも1つのヘテロ官能基とを含み;
R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21及びR
22が、互いに独立に且つ各出現ごとに、C
1~C
4-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC
1~C
4-アルキル;C
6~C
10-アリール;又はOH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC
6~C
10-アリールであり;
nが2である、
請求項4、5又は8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
Y
2が二価の結合基であり、前記二価の結合基が、C
1~C
12-アルキレン;C
5~C
8-シクロアルキレン;O又はSで割り込まれているC
5~C
8-シクロアルキレン;C
6~C
12-アリーレン;C
1~C
4-アルキルで置換されているC
6~C
12-アリーレン;C
2~C
12-ヘテロアリーレン;又はC
1~C
4-アルキルで置換されているC
2~C
12-ヘテロアリーレンから選択される少なくとも1つの基と、場合により-O-、-S-又は-COO-、特に-O-又は-S-から選択される少なくとも1つの基とを含む、
請求項4、5、8又は9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
Y
2が、ベンゼントリイル、トリアジントリイル、メチリデンから選択される三価の結合基であるか、又はベンゼントリイル、メチリデン若しくは窒素のいずれかと二価基とから構成されている三価の結合基である、又は
Y
2が、メタン若しくはベンゼンから誘導される四価の結合基であるか、又はメタン若しくはベンゼンから誘導されるものと二価基とから構成されている四価の結合基である、又は
Y
2が、式
【化4】
と場合により二価基との六価基であり、
前記二価基が、各出現ごとに、C
1~C
12-アルキレン及び場合により-O-、-S-又は-COO-から選択される少なくとも1つの基から選択される、
請求項4、5、8、9又は10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
Y
2が二価の結合基であり、前記二価の結合基が、C
1~C
18-アルキレン、-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-S-CH
2-、-(CH
2CH
2O)
p-CH
2CH
2-、-(CH
2CH
2S)
p-CH
2CH
2-(式中、pは2~10の整数である)、-(C
3H
7O)
q-C
3H
7-、-(C
3H
7S)
q-C
3H
7-(式中、qは1~10の整数である)、o-フェニレン、m-フェニレン、p-フェニレン、4,4’-イソプロピリデン-ジフェニレン、
【化5】
から選択される少なくとも1つの基を含む、
請求項4、5、8、9又は10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
式
【化6】
(式中、
Y
1は、C
1~C
18-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン、NR
6R
7、C
3~C
18-シクロアルキル、C
6~C
18-アリール若しくはC
2~C
18-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO-、-S-、-SO-、-SO
2-、-COO-、-OCOO-若しくは-CO-、C
3~C
18-シクロアルキレン、C
6~C
18-アリーレン若しくはC
2~C
18-ヘテロアリーレンで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;
C
3~C
18-シクロアルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン若しくはNR
8R
9で置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC
3~C
18-シクロアルキル;
C
6~C
18-アリール;C
1~C
12-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
10R
11で置換されているC
6~C
12-アリール;
C
2~C
18-ヘテロアリール;C
1~C
12-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
12R
13で置換されているC
2~C
18-ヘテロアリールであり;
Xは、C
2~C
12-アルキレン;又はC
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
12-アルキレンであり;
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立に、水素又はC
1~C
4-アルキルであり;
R
4及びR
5は、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C
1~C
18-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC
6~C
18-アリール又はC
6~C
12-アリールであり;
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13は、互いに独立に且つ各出現ごとに、C
1~C
4-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
1~C
4-アルキル;C
6~C
10-アリール;又はOH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
6~C
10-アリールであるか;
又はR
6とR
7、R
8とR
9、R
10とR
11、若しくはR
12とR
13は、一緒になって、C
4~C
6-アルキレン;又はO、S及び/若しくはNR
14によって割り込まれているC
4~C
6-アルキレンであり;
R
14はC
1~C
4-アルキルであり;
mは、各出現ごとに、1~12、好ましくは1~10であり;
Y
2はn価の結合基であり;
nは、2、3、4、5又は6の整数であり、
但し、R
4とR
5とが同時にHであることはないことを条件とする)
の化合物A。
【請求項14】
a)式
Y
1-SH (V)、又は(Y
2)
n-SH (VI)
のチオールを
式
【化7】
の環状モノチオカーボネートと反応させて、化合物Bを形成するステップと;
b)請求項4、5、7、8、9、10、11又は12のいずれか一項に記載の方法によって化合物Bを反応させるステップと
を含む方法によって得ることができる、請求項13に記載の化合物A。
【請求項15】
式(IV)の化合物Aであって、
R
1及びR
2が水素であり、R
3が水素又はC
1~C
4-アルキルであり;
Xが、C
2~C
6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
6-アルキレンであり;
R
4が水素であり、R
5が、各出現ごとに、水素、C
1~C
4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC
1~C
4-アルキル;又はフェニルであり;
Y
2がn価の結合基であり;
mが2~6であり、
nが、2、3、4、5又は6の整数である、
化合物A。
【請求項16】
請求項11若しくは12のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる式(IV)の化合物又は請求項13、14又は15に記載の式(IV)の化合物の、鎖延長剤としての又は架橋剤としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チオールを、フリーラジカル発生剤の存在下、アルケニル基含有チオエーテル-アルコールと反応させることによって、チオエーテル基及びヒドロキシ基を含む化合物Aを調製する方法に関する。更に、本発明は、アルケニル基含有チオエーテル-アルコールから誘導される1つ以上の基を有する化合物に関し、多官能性化合物Aの、鎖延長剤としての又は架橋剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2つ以上のヒドロキシ官能基を有する構造体は、特にポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート及びポリウレタンをベースとするプラスチック又は樹脂のための重付加反応又は重縮合反応の分野における構成ブロックとして、好適に使用されうる。
【0003】
二官能性化合物は、直線状の構成ブロックとして使用されてもよく、例えば鎖延長剤として、ハードセグメントの一部として又はソフトセグメントの一部として使用されてもよい。より高い官能性の化合物は、一般に、架橋剤として使用することができる。
【0004】
硫黄含有化合物、特に硫黄含有オリゴマー及びポリマーは、多くの技術用途において関心が高い。例えばチオエーテル基の形態にある硫黄原子を、二官能性及びより高い官能性アルコール中に導入すると、硫黄原子の有利な性質に起因して、ヒドロキシ含有構成ブロックの誘引性が高まる。例えば、これは、改善された化学的及び熱的安定性を有する、又は光学的用途の分野において特に有利なものである増大した屈折率を有するポリマーを調製することを可能にする。更に、チオエーテル基は、ポリマーの性質、例えば極性及び可溶性を微調整する化学的修飾を可能にする。
【0005】
チアジオールは、一般に、ジチオールをナトリウム金属で処理し、続いて2-クロロエタノールを添加することによって調製することができる。このような方法は、例えば、3,6-ジチアオクタン-1,8-ジオールの合成について、R.A. Odhiamboら、RSC Adv.、2018、8、3663~3672頁、又はR.E. Wolfら、J. Am. Chem. Soc. 1987、109、4328~4335頁に記載されている。
【0006】
【0007】
3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジオールを、エタン-1,2-ジチオールの代わりに3-チアペンタン-1,5-ジチオールを使用する手順と類似して調製することができる。
【0008】
3,6,9,12-テトラチアテトラデカン-1,14-ジオールを調製するために、3,6-ジチアオクタン-1,8-ジオールを、最初に、チオ尿素を使用して、続いて2-クロロエタノールの添加によって、対応するジチオールに転換し、これは、本明細書で前に記載されている(R.A. Odhiamboら、RSC Adv.、2018、8、3663~3672頁;M. Tanakaら、J. Org. Chem. 2001、66、7008~7012頁)。前記チアジオールは、チアクラウンエーテルのために使用されることになると記載されている。
【0009】
これらの手順は精巧であり、塩素含有化合物の放出を伴い塩形成を伴うナトリウム金属又は塩素含有材料を使用することは、安全性に関連する側面及び環境規制から、回避すべきである。
【0010】
JP 2009-203416 Aは、3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジオールを含む熱伝導性樹脂組成物を開示している。
【0011】
v=3、5及び7である、以下の式のグリコールは、ジビニルスルフィドと2-メルカプトエタノール又は対応するメルカプト-アルコールとの反応によっても調製することができ、これは、A.D.B. Sloanにより、Chemistry and Industry、1967、666頁に記載されている。
【0012】
【0013】
3,6-ジチアオクタン-1,8-ジチオールの合成はまた、H. Naarmann、Pure Appl. Chem.、1973、36(1-2)、267頁に挙げられており、ここで、2-メルカプトエタノールをビニルヒドロキシエチルチオエーテルと反応させる。しかしながら、122℃の融点は、異なる化合物が形成されていることを示している。3,6-ジチオオクタン-1,8-ジチオールは、64℃の融点を有する。
【0014】
チオールから出発する、モノ-、ジ-及びポリヒドロキシ含有ポリチオエーテルへの容易に利用可能な合成経路への必要性が、依然として存在する。更なるチオエーテル基の、アルコール中の導入が、このような化合物のより大きい安定性を可能にし、その理由は、初期の末端-SH官能基が、より安定な-OH官能基によって置換されているためである。そのため、官能基-SHが酸化的に二量体化する傾向は排除される。
【0015】
更に、毒性学的問題を回避することができる、例えば、より単純でより速い達成を可能にする、モノ-、ジ-及びポリヒドロキシ含有ポリチオエーテルを調製する方法の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】R.A. Odhiamboら、RSC Adv.、2018、8、3663~3672頁
【非特許文献2】R.E. Wolfら、J. Am. Chem. Soc. 1987、109、4328~4335頁
【非特許文献3】R.A. Odhiamboら、RSC Adv.、2018、8、3663~3672頁
【非特許文献4】M. Tanakaら、J. Org. Chem. 2001、66、7008~7012頁
【非特許文献5】A.D.B. Sloan、Chemistry and Industry、1967、666頁
【非特許文献6】H. Naarmann、Pure Appl. Chem.、1973、36(1-2)、267頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の一目的は、経済的であり柔軟性のある、ヒドロキシ含有ポリチオエーテルを調製する方法を提供することである。
【0019】
更に、本発明の一目的は、多様なポリマーの調製において、構成ブロックとして使用されることになるヒドロキシ含有ポリチオエーテルを提供することである。
【0020】
更に、本発明の一目的は、空気の存在下、改善された貯蔵安定性を呈する、例えば容易で安全な取り扱いを可能にする、ヒドロキシ含有ポリチオエーテルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
チオールを、アルケニル基含有チオエーテル-アルコールと反応させることによって、ヒドロキシ含有ポリチオエーテルを容易に調製できることが、今回見出された。特に、ジ-又はポリヒドロキシ含有ポリチオエーテルを調製する方法は、増大した化学的安定性及び/又は上昇した屈折率のような改善された性質を有する多様なポリマーの調製における使用に好適な、構成ブロックへの容易なアクセスを提供する。
【0022】
したがって、第1の態様では、本発明は、n個の式
【化3】
(式中、
Xは、C
2~C
12-アルキレン;又はC
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
12-アルキレンであり;
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立に、水素又はC
1~C
4-アルキルであり;
nは、1、2、3、4、5又は6の整数である)
の基を有する化合物Aを調製する方法であって、
n個の-SH基を有する化合物Bを、フリーラジカル発生剤の存在下、式
【化4】
の化合物Cと反応させるステップを含む、方法に関する。
【0023】
更なる一態様では、本発明は、式
【化5】
(式中、Y
1は、C
1~C
18-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン、NR
6R
7、C
3~C
18-シクロアルキル、C
6~C
18-アリール若しくはC
2~C
18-ヘテロアリールで置換されている及び/又は-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-COO-、-OCOO-若しくは-CO-、C
3~C
18-シクロアルキレン、C
6~C
18-アリーレン若しくはC
2~C
18-ヘテロアリーレンで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;
C
3~C
18-シクロアルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン若しくはNR
8R
9で置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC
3~C
18-シクロアルキル;
C
6~C
18-アリール;C
1~C
12-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
10R
11で置換されているC
6~C
12-アリール;
C
2~C
18-ヘテロアリール;C
1~C
12-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
12R
13で置換されているC
2~C
18-ヘテロアリールであり;
Xは、C
2~C
12-アルキレン;又はC
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
12-アルキレンであり;
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立に、水素又はC
1~C
4-アルキルであり;
R
4及びR
5は、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C
1~C
18-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC
6~C
18-アリール又はC
6~C
12-アリールであり;
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13は、互いに独立に且つ各出現ごとに、C
1~C
4-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
1~C
4-アルキル;C
6~C
10-アリール;又はOH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
6~C
10-アリールであるか;
又はR
6とR
7、R
8とR
9、R
10とR
11、若しくはR
12とR
13は、一緒になって、C
4~C
6-アルキレン;又はO、S及び/若しくはNR
14によって割り込まれているC
4~C
6-アルキレンであり、
R
14はC
1~C
4-アルキルであり;
mは、各出現ごとに、1~12、好ましくは1~10であり;
Y
2はn価の結合基であり、
nは、2、3、4、5又は6の整数であり、
但し、R
4とR
5とが同時にHであることはないことを条件とする)
の化合物Aに関する。
【0024】
更なる一態様では、本発明は、
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はC1~C4-アルキルであり;
Xが、C2~C6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C6-アルキレンであり;
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;又はフェニルであり;
Y2がn価の結合基であり;
mが2~6であり、
nが、2、3、4、5又は6の整数である、
式(IV)の化合物Aに関する。
【0025】
更なる一態様では、本発明は、本明細書中の任意の態様において規定された方法によって得ることができる式(IV)の化合物の、鎖延長剤としての又は架橋剤としての使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
用語アルキル、アルキレン、シクロアルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロゲンは、当技術分野で既知であり、一般に、前記基が以下に挙げられる特定の実施形態中で更に特定されている場合、以下の意味を有する。
【0027】
アルキル、例えばC1~C18-アルキル、C1~C12-アルキル、C1~C4-アルキル、C1~C6-アルキル又はC2~C12-アルキルは、可能なところでは、直鎖状又は分枝状の炭素原子の所与の限定内にあってもよい。例は、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、t-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、1-メチルヘキシル、n-ヘプチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、1-メチルヘプチル、3-メチルヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、及び前述したn-アルキル基の構成異性体である。
【0028】
アルキレン、例えばC1~C12-アルキレン、C2~C6-アルキレン、C2~C4-アルキレン、C2~C12-アルキレン又はC4~C6-アルキレンは、アルキルの任意の末端炭素原子から水素原子を除去することによって、上に定義したアルキルから誘導されうる。例は、メチレン、1,2-エタンジイル、1,1-エタンジイル、1,1-プロパンジイル、1,2-プロパンジイル、2,2-プロパンジイル、1,3-プロパンジイル、2-メチル-2,3-プロパンジイル、1,1-ブタンジイル、1,2-ブタンジイル、2,2-ブタンジイル、2,3-ブタンジイル、1,3-ブタンジイル、1,4-ブタンジイル、1,5-ペンタンジイル、1,6-ヘキサンジイル、1,8-オクタンジイル、1,10-デカンジイル及び1,12-ドデカンジイルである。
【0029】
1個を超える、特に、2個を超える炭素原子の任意のアルキル若しくはアルキレン基、又は別の部分の一部であるこのようなアルキル部分は、-O-、-S-、-SO-、-SO2、-COO-、-OCOO-又は-CO-のようなヘテロ官能基によって割り込まれうる。それらは、これらのヘテロ官能基のうちの1つ以上によって割り込まれてもよく、それぞれの場合の1つの基は、一般に、アルキル又はアルキレン基のうちの1つのC-C-結合中に挿入されている。割り込まれている基が更に置換されている場合、置換基は、一般に、ヘテロ原子においてではない。タイプ-O-又は-S-のうちの2つ以上の割り込み基が1つの基内で発生する場合、それらは同一であることが多い。
【0030】
シクロアルキル、例えばC3~C18-シクロアルキル、C5~C12-シクロアルキル、C5~C8-シクロアルキル、C5~C6-シクロアルキルには、非置換でありうる又はアルキル基で置換されうるシクロアルキル基が挙げられる。例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、tert-ブチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、ヘキシルシクロヘキシル、ドデシルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル又はシクロドデシルである。シクロヘキシル及びシクロペンチルが好ましく、より好ましいのはシクロヘキシルである。シクロアルキル、例えば1個以上のO又はS、好ましくは1個のOによって割り込まれているC3~C18-シクロアルキルは、例えばテトラヒドロピラニルである。
【0031】
シクロアルキレン、例えばC3~C18-シクロアルキレン、C6~C8-シクロアルキレン、C5~C12-シクロアルキレン、C5~C8-シクロアルキレンは、任意の環炭素原子から水素原子を除去することによって、上に定義したシクロアルキルから誘導されうる。
【0032】
アルコキシ、例えばC1~C4-アルコキシは、アルキル-Oである。
【0033】
アルキルチオ、例えばC1~C4-アルキルチオは、アルキル-Sである。
【0034】
アリール、例えばC6~C18-アリール、C6~C10-アリール又はC6~C12-アリールは、炭素原子の所与の限定内にあってもよく、例えばインダニル中に、縮合環を有しうる、フェニル、フルオレニル、ビフェニルイル、ターフェニルイル又はナフチルであってもよい。好ましい例は、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、3-又は4-ビフェニルイルである。各アリールは非置換であってもよく、又は1回以上置換されていてもよい。
【0035】
アリーレン、例えばC6~C18-アリーレン、C6~C12-アリーレンは、任意の環炭素原子から水素原子を除去することによって、上に定義したアリールから誘導されうる。例は、o-フェニレン、m-フェニレン、p-フェニレン、1,4-ナフチレン又は2,6-ナフチレンである。
【0036】
ヘテロアリールは、C2~C18-ヘテロアリール、C2~C10-ヘテロアリール又はC2~C12-ヘテロアリール、すなわち5~7個の環原子を有する環であってもよく、ここで、窒素、酸素又は硫黄が、可能性のあるヘテロ原子である。例は、炭素原子の所与の限定内にあり、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、キサンテニル、ジベンゾフラニル、ビピリジル、トリアジニル、イソインドリル、インドリル、3H-インドリル、キノキサリニル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリル、フェナジニル、フェノチアジニル又はフェノキサジニルである。各ヘテロアリールは、非置換であってもよく、又は1回以上置換されていてもよい。用語「ヘテロアリール」にはまた、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、1,8-ナフチレン、1,4-ナフチレン又は2,6-ナフチレンのような上に挙げたヘテロアリール基とアリーレン基との組合せも挙げられる。
【0037】
ヘテロアリーレン、例えばC2~C18-ヘテロアリーレン、C4~C10-ヘテロアリーレン、C2~C12-ヘテロアリーレンは、ヘテロアリールの任意の環炭素原子から水素原子を除去することによって、上に規定したヘテロアリールから誘導されうる。
【0038】
ハロゲン(Hal)は、I、Br、Cl又はF、好ましくはアルキルに担持したCl、及びアリールに担持したCl又はBrを意味する。
【0039】
アミン基、例えばNR
6R
7(式中、R
6及びR
7は、一緒に、O、S及び/又はNR
14によって割り込まれているC
4~C
6-アルキレンである)によって表されているアミン基は、環状アミンであり、式中、R
6及びR
7は、このようにして、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によりアルキル基により置換されうる、4~6個の環原子を含む脂肪族N-複素環式残基を形成する。例は、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、
【化6】
、又はそれらの、C
1~C
4-アルキルで置換の変形体である。
【0040】
用語「脂肪族単位」は、本明細書で使用される場合、直鎖状炭化水素から誘導される基を意味し、これは分枝状であってもよい。
【0041】
用語「脂環式単位」は、本明細書で使用される場合、環状炭化水素から誘導される基を意味し、これはアルキルで置換されていてもよい。
【0042】
用語「芳香族単位」は、本明細書で使用される場合、芳香族化合物から誘導される基を意味する。
【0043】
用語「複素芳香族単位」は、本明細書で使用される場合、複素芳香族化合物から誘導される基を意味する。
【0044】
用語「置換されている」は、「で1個以上置換されている」を意味し、すなわち可能なところでは1~3個、好ましくは1~2個、より好ましくは1個である。置換基が、基の中で1個超、発生する場合、それは、各出現ごとに異なりうる。
【0045】
本明細書で使用される場合、単数形の冠詞「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかに別のことを述べていない限り、複数形を包含する。
【0046】
本方法は、式
【化7】
の1つ以上の基を有する化合物Aを提供する。
【0047】
好ましくは、Xは、C2~C12-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C12-アルキレンである。より好ましくは、Xは、C2~C6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C6-アルキレンであり、最も好ましくは、Xは、C2~C4-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれている、特にSで割り込まれているC2~C4-アルキレンである。
【0048】
特に好ましい実施形態では、Xはエチレン又はプロピレン、特にエチレンである。
【0049】
好ましくは、R1及びR2は水素であり、R3は水素又はC1~C4-アルキル、好ましくは水素又はメチルである。特定すると、R1、R2及びR3は水素である。
【0050】
したがって、好ましい一態様では、本発明は、
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はC1~C4-アルキルであり;
Xが、C2~C6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれている、好ましくはSで割り込まれているC2~C6-アルキレンである、
方法に関する。
【0051】
本方法は、好ましくは、n個の式
【化8】
(式中、
R
3は水素又はCH
3であり;
Xは、C
2~C
4-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
4-アルキレン、好ましくはC
2~C
4-アルキレン;又はSで割り込まれているC
2~C
4-アルキレンであり、
nは、1、2、3、4、5又は6の整数である)
の基を有する化合物Aを提供する。
【0052】
より好ましくは、Xはエチレン又はプロピレン、最も好ましくはエチレンである。
【0053】
特に好ましいのは、
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はメチルであり、特にR1、R2及びR3が水素であり;
Xがエチレン又はプロピレン、特にエチレンである、
方法である。
【0054】
特に好ましいのは、
R1、R2及びR3が水素であり;
Xがエチレンである、
方法である。
【0055】
好ましくは、本発明は、n個の式(I)の基を有する化合物Aが、式
【化9】
(式中、
Y
1は、C
1~C
18-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン、NR
6R
7、C
3~C
18-シクロアルキル、C
6~C
18-アリール若しくはC
2~C
18-ヘテロアリールで置換されている及び/又は-O-、-S-、-SO-、-SO
2、-COO-、-OCOO-、C
3~C
18-シクロアルキレン、C
6~C
18-アリーレン若しくはC
2~C
18-ヘテロアリーレンで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;
C
3~C
18-シクロアルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン若しくはNR
8R
9で置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC
3~C
18-シクロアルキル;
C
6~C
18-アリール;C
1~C
12-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
10R
11で置換されているC
6~C
12-アリール;
C
2~C
18-ヘテロアリール;C
1~C
12-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
12R
13で置換されているC
2~C
18-ヘテロアリールであり;
R
4及びR
5は、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C
1~C
18-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC
6~C
18-アリール又はC
6~C
12-アリールであり;
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13は、互いに独立に且つ各出現ごとに、C
1~C
4-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
1~C
4-アルキル;C
6~C
10-アリール;又はOH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
6~C
10-アリールであるか;
又はR
6とR
7、R
8とR
9、R
10とR
11、若しくはR
12とR
13は、一緒になって、C
4~C
6-アルキレン;又はO、S及び/若しくはNR
14によって割り込まれているC
4~C
6-アルキレンであり、
R
14はC
1~C
4-アルキルであり;
mは、各出現ごとに、0~12であり;
Y
2はn価の結合基であり;
nは、2、3、4、5又は6の整数である)
の化合物である、方法に関する。
【0056】
mが1超である場合、mは、1つの鎖中に存在する-S-CHR4-CHR5-基の平均数を意味する。
【0057】
-S-CHR5-CHR4-基を含有する式(III)又は(IV)の化合物の構造異性体をまた得ることができるが、少量においてである。例えば、mが1超である場合、-S-CHR4-CHR5-基及び-S-CHR5-CHR4-基を含有する式(III)又は(IV)の化合物の混合物を得ることができ、ここで、後者は、通常、少量でのみ存在する。
【0058】
好ましくは、Y1は、C1~C12-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン、NR6R7、C5~C6-シクロアルキル、C6~C12-アリール若しくはC2~C10-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO、S、-SO-、-SO2、-COO-、-OCOO-、-CO-、C6~C8-シクロアルキレン、C6~C12-アリーレン若しくはC4~C10-ヘテロアリーレンで割り込まれているC1~C12-アルキル;
C5~C8-シクロアルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン若しくはNR8R9で置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC5~C8-シクロアルキル;
C6~C12-アリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR10R11で置換されているC6~C10-アリール;
C2~C10-ヘテロアリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR12R13で置換されているC2~C10-ヘテロアリールであり;
R4及びR5は、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C1~C18-アルキル;ハロゲンで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC1~C18-アルキル;C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC6~C18-アリール又はC6~C12-アリールであり;
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立に且つ各出現ごとに、C1~C4-アルキル;OH又はフェニルで置換されているC1~C4-アルキルである。
【0059】
より好ましくは、R6とR7、R8とR9、R10とR11、及びR12とR13は、同一であり、C1~C4-アルキル;又はOHで置換されているC1~C4-アルキルである。
【0060】
最も好ましくは、Y1は、C1~C12-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、C5~C6-シクロアルキル、C6~C12-アリール又はC2~C10-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO、S、C6~C8-シクロアルキレン、C6~C12-アリーレン若しくはC4~C10-ヘテロアリーレンで割り込まれているC1~C12-アルキル;
C5~C8-シクロアルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC5~C8-シクロアルキル;
C6~C12-アリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC6~C10-アリール;
C2~C10-ヘテロアリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC2~C10-ヘテロアリールである。
【0061】
特に、Y1は、OHで置換されている且つO又はSで割り込まれている、特定するとSで割り込まれているC1~C12-アルキルである。
【0062】
好ましいのは、mが1~10、すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10、より好ましくは1~8、特に2~6である、式(III)の化合物Aを調製する方法である。
【0063】
特に、R4は水素であり、R5は、各出現ごとに、水素、C1~C18-アルキル;ハロゲンで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC1~C18-アルキル;C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC6~C18-アリール又はC6~C12-アリールである。
【0064】
代替的に、R4及びR5は、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;C6~C12-アリール;又はC1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC6~C12-アリールである。
【0065】
したがって、
R4及びR5が、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;C6~C12-アリール;又はC1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC6~C12-アリールであり;
mが1~10、好ましくは1~8、特に2~6である、
式(III)又は(IV)の化合物Aを調製する方法が好ましい。
【0066】
特に、R4は水素であり、R5は、各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;C6~C12-アリール;又はC1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC6~C12-アリールであり;mは1~10、好ましくは1~8、すなわち1、2、3、4、5、6、7又は8、特に2~6である。
【0067】
R4が水素であり、R5は、各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;又はフェニルであり;
mが1~8、特に2~6である、
式(III)又は(IV)の化合物Aを調製する方法がより好ましい。
【0068】
特に、
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに、水素又はC1~C4-アルキルであり;
mが1~8、特定するとmが1~6、又は2~6である、
式(III)又は(IV)の化合物Aを調製する方法が好ましい。
【0069】
したがって、
Y1が、C1~C12-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、C5~C6-シクロアルキル、C6~C12-アリール若しくはC2~C10-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO、S、C6~C8-シクロアルキレン、C6~C12-アリーレン若しくはC4~C10-ヘテロアリーレンで割り込まれているC1~C12-アルキル;
C5~C8-シクロアルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC5~C8-シクロアルキル;
C6~C12-アリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC6~C10-アリール;
C2~C10-ヘテロアリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC2~C10-ヘテロアリールであり;
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;C6~C12-アリール;又はC1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC6~C12-アリールであり;
mが1~8、特にmが1~6、又は2~6である、
式(III)の化合物Aを調製する方法が更に好ましい。
【0070】
代替的に好ましいのは、mが0である、式(III)の化合物Aを調製する方法である。
【0071】
したがって、
Y1が、C1~C12-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、C5~C6-シクロアルキル、C6~C12-アリール若しくはC2~C10-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO、S、C6~C8-シクロアルキレン、C6~C12-アリーレン若しくはC4~C10-ヘテロアリーレンで割り込まれているC1~C12-アルキル;
C5~C8-シクロアルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC5~C8-シクロアルキル;
C6~C12-アリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC6~C10-アリール;
C2~C10-ヘテロアリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC2~C10-ヘテロアリールであり;
mが0である、
式(III)の化合物Aを調製する方法が好ましい。
【0072】
更に好ましいのは、
Y1が、OHで置換されている且つO又はSで割り込まれている、特にSで割り込まれているC1~C12-アルキルであり;
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;又はフェニルであり;
mが1~10、好ましくは1~8、特に2~6である、
式(III)の化合物Aを調製する方法である。
【0073】
特に好ましいのは、R4が水素であり、R5が、各出現ごとに同じであり、水素又はC1~C4-アルキルである、式(III)の化合物Aを調製する方法である。
【0074】
該方法はまた、式(I)のより多くの基を有する化合物Aを提供することができる。
【0075】
したがって、好ましい一態様では、本発明は、式
【化10】
(式中
Y
2は、n価の結合基であり、
Xは、C
2~C
6-アルキレン、又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
6-アルキレンであり;
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立に、水素又はC
1~C
4-アルキルであり;
nは、2、3、4、5又は6の整数である)
の化合物Aを調製する方法に関する。
【0076】
より好ましいのは、
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はC1~C4-アルキルであり;
Xが、C2~C6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C6-アルキレンである、
式(IV)の化合物Aを調製する方法である。
【0077】
最も好ましいのは、
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はCH3であり;
Xが、C2~C4-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C4-アルキレン、好ましくはC2~C4-アルキレン;又はSで割り込まれているC2~C4-アルキレンである、
式(IV)の化合物を調製する方法である。
【0078】
n価は、好ましくは2、3、4又は6、より好ましくは2、3又は4、最も好ましくは2又は3、特に2の整数である。
【0079】
したがって、好ましい一態様では、本発明は、
Y2がn価の結合基であり;
nが、2、3、4又は6、特に2、3又は4の整数である、
式(IV)の化合物を調製する方法に関する。
【0080】
n価の結合基は、脂肪族単位、脂環式単位、芳香族単位及び/又は複素芳香族単位と、場合により、ヘテロ原子を含有する官能基とを含んでもよい。
【0081】
したがって、更なる好ましい一態様では、本発明は、
Y2が、脂肪族単位、脂環式単位、芳香族単位及び/又は複素芳香族単位と、場合により、ヘテロ原子を含有する官能基とを含む、n価の結合基であり;
nが、2、3、4又は6、好ましくは2、3又は4の整数である、
式(IV)の化合物を調製する方法に関する。
【0082】
ヘテロ原子を含有する官能基は、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-COO-、-OCOO-又は-CO-から選択されるヘテロ官能基である。ヘテロ原子を含有する官能基は、n価の結合基の、脂肪族単位、脂環式単位、芳香族単位及び/又は複素芳香族単位の一部であってもよく、場合により前記単位のうちの少なくとも1つの間に存在してもよい。
【0083】
nが2である場合、Y2は二価の結合基である。二価の結合基Y2は、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基及び/若しくはヘテロアリーレン基と、場合により-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-COO-、-OCOO-又は-CO-から選択される少なくとも1つのヘテロ官能基とを含んでもよい。
【0084】
好ましくは、二価の結合基Y2は、C1~C18-アルキレン;C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン、NR15R16、C5~C12-シクロアルキル、C6~C12-アリール又はC2~C12-ヘテロアリールで置換されているC1~C18-アルキレン;
C5~C12-シクロアルキレン;C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン若しくはNR17R18で置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC5~C12-シクロアルキレン;C6~C12-アリーレン;C1~C12-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR19R20で置換されているC6~C12-アリーレン;C2~C12-ヘテロアリーレン;C1~C12-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR21R22で置換されているC2~C12-ヘテロアリーレンから選択される少なくとも1つの基と、場合により-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-COO-、-OCOO-又は-CO-から選択される少なくとも1つのヘテロ官能基とを含み;
R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21及びR22は、互いに独立に且つ各出現ごとに、C1~C4-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC1~C4-アルキル;C6~C10-アリール;又はOH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC6~C10-アリールから選択される少なくとも1つの基を含む。
【0085】
-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-COO-、-OCOO-又は-CO-から選択されるヘテロ官能基が、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基及び/又はヘテロアリーレン基の一部ではないことが理解される。
【0086】
ヘテロ官能基は、好ましくは-O-、-S-又は-COO-から選択され、より好ましくは-O-又は-S-から選択される。
【0087】
より好ましくは、二価の結合基Y2は、C1~C18-アルキレン;C5~C12-シクロアルキレン;O又はSで割り込まれているC5~C12-シクロアルキレン;C6~C12-アリーレン;C1~C4-アルキルで置換されているC6~C12-アリーレン;C2~C12-ヘテロアリーレン;又はC1~C4-アルキルで置換されているC2~C12-ヘテロアリーレンから選択される少なくとも1つの基と、場合により-O-、-S-又は-COO-から選択される少なくとも1つの基とを含む。
【0088】
最も好ましくは、二価の結合基Y2は、C1~C12-アルキレン;C5~C8-シクロアルキレン;O又はSで割り込まれているC5~C8-シクロアルキレン;C6~C12-アリーレン;C1~C4-アルキルで置換されているC6~C12-アリーレン;C2~C12-ヘテロアリーレン;又はC1~C4-アルキルで置換されているC2~C12-ヘテロアリーレンから選択される少なくとも1つの基と、場合により-O-、-S-若しくは-COO-、特に-O若しくは-S-から選択される少なくとも1つのヘテロ官能基とを含む。
【0089】
したがって、好ましい一態様では、本発明は、
Y2が二価の結合基であり、前記二価の結合基が、C1~C12-アルキレン;C5~C8-シクロアルキレン;O又はSで割り込まれているC5~C8-シクロアルキレン;C6~C12-アリーレン;C1~C4-アルキル、C2~C12-ヘテロアリーレンで置換されているC6~C12-アリーレン;又はC1~C4-アルキルで置換されているC2~C12-ヘテロアリーレンから選択される少なくとも1つの基と、場合により-O-、-S-若しくは-COO-、特に-O-若しくは-S-から選択される少なくとも1つの基とを含む、
式(IV)の化合物を調製する方法に関する。
【0090】
二価の結合基Y2は、多様な長さのC1~C18-アルキレンのうちの1つ以上の基を含んでもよい。
【0091】
C1~C18-アルキレンの例は、メチレン、エチレン、-CHCH3-、-C(CH3)2-、1,2-プロピレン、1,3-プロピレン、2,2-ジメチル-1,3-プロピレン、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロピレン、1,4-ブチレン、1,6-ヘキシレン、1,12-ドデシレン、1,16-ヘキサデシレンである。
【0092】
二価基Y
2の例には、C
1~C
18-アルキレン、-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-S-CH
2-、-(CH
2CH
2O)
p-CH
2CH
2-、-(CH
2CH
2S)
p-CH
2CH
2-(式中、pは1~10、好ましくは2~10、より好ましくは2~4の整数である)、-(C
3H
7O)
q-C
3H
7-、-(C
3H
7S)
q-C
3H
7-(式中、qは1~10、好ましくは1~4、又は2~4の整数である)、o-フェニレン、m-フェニレン、p-フェニレン、4,4’-イソプロピリデン-ジフェニレン、
【化11】
、例えば
【化12】
が挙げられる。
【0093】
nが3である場合、Y2は、ベンゼン(すなわちベンゼントリイル)、トリアジントリイル、メチリデンから好ましくは誘導される三価の結合基であるか、又はベンゼントリイル、メチリデン若しくは窒素のいずれかと、本明細書中に前に記載した少なくとも1つの二価基とから構成されている三価の結合基である。
【0094】
より好ましくは、Y2は、ベンゼントリイル、トリアジントリイル、メチリデンから選択される三価の結合基であるか、又はベンゼントリイル、トリアジントリイル若しくはメチリデンのいずれかと、C1~C12-アルキレン及び場合により-O-、-S-若しくは-COO-から選択される少なくとも1つのヘテロ官能基から選択される少なくとも1つの二価基とから構成されている三価の結合基である。
【0095】
【0096】
nが4である場合、Y2は、メタン若しくはベンゼンから好ましくは誘導される四価の結合基であるか、又はメタン若しくはベンゼンから誘導されるものと、本明細書中に前に記載した少なくとも1つの二価の結合基とから構成されている四価の結合基である。
【0097】
より好ましくは、Y2は、メタン若しくはベンゼンから誘導される四価の結合基であるか、又はメタン若しくはベンゼンから誘導されるものと、C1~C12-アルキレン及び場合により-O-、-S-若しくは-COO-から選択される少なくとも1つの基から選択される少なくとも1つの二価基とから構成されている四価の結合基である。
【0098】
【0099】
五価又は六価の結合基は、ペンタ-又はヘキサ-糖アルコール、例えばキシリトール、リビトール、ソルビトール、マンニトール若しくはガラクチコールから誘導されうる。
【0100】
【0101】
更なる好ましい一態様では、本発明は、
Y
2が、ベンゼントリイル、トリアジントリイル、メチリジンから選択される三価の結合基であるか、又はベンゼントリイル、メチリデン若しくは窒素のいずれかと、少なくとも1つの二価基とから構成されている三価の結合基である、又は
Y
2が、メタン若しくはベンゼンから誘導される四価の結合基であるか、又はメタン若しくはベンゼンから誘導されるものと、少なくとも1つの二価基とから構成されている四価の結合基である、又は
Y
2が、式
【化16】
と場合により少なくとも1つの二価基との六価基であり、
前記二価基が、各出現ごとに、C
1~C
12-アルキレン及び場合により-O-、-S-又は-COO-から選択される少なくとも1つの基である、
式(IV)の化合物を調製する方法に関する。
【0102】
更なる好ましい一態様では、本発明は、
Y
2が、二価の結合基であり、前記二価の結合基が、C
1~C
18-アルキレン、-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-S-CH
2-、-(CH
2CH
2O)
p-CH
2CH
2-、-(CH
2CH
2S)
p-CH
2CH
2-(式中、pは1~10、好ましくは2~10の整数である)、-(C
3H
7O)
q-C
3H
7-、-(C
3H
7S)
q-C
3H
7-(式中、qは1~10の整数である)、o-フェニレン、m-フェニレン、p-フェニレン、4,4’-イソプロピリデン-ジフェニレン、
【化17】
から選択される少なくとも1つの基を含む、
式(IV)の化合物を調製する方法に関する。
【0103】
更なる好ましい一態様では、本発明は、
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;又はフェニルであり;
mが1~10、好ましくは1~8、特に2~6である、
式(IV)の化合物を調製する方法に関する。
【0104】
本発明の実践において使用されうるモノチオール化合物又はポリチオール化合物は、市販されており、又は当技術分野で一般に既知の方法によって調製することができる。
【0105】
例えば、アルコール基を有する化合物は、鉱酸中でチオ尿素と反応させ、続いてアルカリ加水分解によって、対応するチオール化合物に転換されてもよく、これは、例えばEP0378895 A1に記載されている。
【0106】
チオ尿素及びハロゲン酸の、アルコールに対する直接作用によるイソチオウロニウム塩の調製は、例えば、R.L. Frankらにより、J. Am. Chem. Soc.、1946、68、10、2103~2104頁に記載されている。アルキルアルコール、チオ尿素、及び臭化水素酸又は塩酸の48%のアクセスは、9時間還流させて続いてNaOHでの中和によってアルキルチオールを生じる。チオールは、酸性化混合物から、エーテルを用いて抽出することができる。
【0107】
穏やかな条件下でのアルコールからのチオールのワンポット急速合成は、一般に、トリフェニルホスフィン、N-ブロモ-スクシンイミド(NBS)及びポリマー担持水硫化物を使用することによって可能であり、これは、例えば、B.P. Bandgarらにより、Synlett 2000、6、908~910頁に記載されている。ジアルキルスルフィドの形成は、これらの条件下では起こらず、およそ85%の収率が可能である。
【0108】
メルカプタンはまた、触媒(CO、60バール、150℃)としてジコバルトオクタカルボニルを使用することによって、中程度の収率(44%)において、H2Sを伴ってアルコールからも得ることができ、これは、例えば、H. Alperらにより、J. Org. Chem.1988、53、3306~3309頁に記載されている。
【0109】
式(III)の化合物を調製する方法のためのモノチオール化合物B1は、一般式
【化18】
のものであってもよい。
【0110】
式(VIII)の好ましい化合物B1は、
(式中、
Y1は、C1~C18-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン、NR6R7、C3~C18-シクロアルキル、C6~C18-アリール若しくはC2~C18-ヘテロアリールで置換されている及び/又は-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-COO-、-OCOO-、-CO-、C3~C18-シクロアルキレン、C6~C18-アリーレン若しくはC2~C18-ヘテロアリーレンで割り込まれているC1~C18-アルキル;
C3~C18-シクロアルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン若しくはNR8R9で置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC3~C18-シクロアルキル;
C6~C18-アリール;C1~C12-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR10R11で置換されているC6~C12-アリール;
C2~C18-ヘテロアリール;C1~C12-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR12R13で置換されているC2~C18-ヘテロアリールであり;
R4及びR5は、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C1~C18-アルキル;ハロゲンで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC1~C18-アルキル;C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC6~C18-アリール又はC6~C12-アリールであり;
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13は、互いに独立に且つ各出現ごとに、C1~C4-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC1~C4-アルキル;C6~C10-アリール;又はOH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC6~C10-アリールであるか;
又はR6とR7、R8とR9、R10とR11、若しくはR12とR13は、一緒になって、C4~C6-アルキレン;又はO、S及び/若しくはNR14によって割り込まれているC4~C6-アルキレンであり;
R14はC1~C4-アルキルであり;
mは0~12である)
の化合物である。
【0111】
より好ましいのは、式
Y1-SH (V)
(式中、
Y1は、C1~C12-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、C5~C6-シクロアルキル、C6~C12-アリール若しくはC2~C10-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO、S、C6~C8-シクロアルキレン、C6~C12-アリーレン若しくはC4~C10-ヘテロアリーレンで割り込まれているC1~C12-アルキル;
C5~C8-シクロアルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC5~C8-シクロアルキル;
C6~C12-アリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC6~C10-アリール;
C2~C10-ヘテロアリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC2~C10-ヘテロアリールである)
の化合物B1である。
【0112】
最も好ましいのは、
Y1が、OHで置換されている且つO又はSで割り込まれている、特にSで割り込まれているC1~C12-アルキルである、
式(V)の化合物B1である。
【0113】
好適な化合物の例は、メチルメルカプタン又はエチルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン、チオフェノールのようなアリールメルカプタン、及びメルカプトエタノール、メルカプトグリコール又はメルカプトフェノールのようなメルカプトアルコールである。
【0114】
代替的に好ましいのは、
Y1が、C1~C12-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、C5~C6-シクロアルキル、C6~C12-アリール若しくはC2~C10-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO、S、C6~C8-シクロアルキレン、C6~C12-アリーレン若しくはC4~C10-ヘテロアリーレンで割り込まれているC1~C12-アルキル;
C5~C8-シクロアルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC5~C8-シクロアルキル;
C6~C12-アリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC6~C10-アリール;
C2~C10-ヘテロアリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC2~C10-ヘテロアリールであり;
R4及びR5が、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;C6~C12-アリール;又はC1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC6~C12-アリールであり;
mが1~10である、
式(VIII)の化合物B1である。
【0115】
特に好ましいのは、
Y1が、OHで置換されている且つO又はSで割り込まれている、特にSで割り込まれているC1~C12-アルキルであり;
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;又はフェニルであり;
mが1~8、特に1~6である、
式(VIII)の化合物B1である。
【0116】
更に好ましいのは、
Y1が、OHで置換されている且つO又はSで割り込まれている、特にSで割り込まれているC1~C12-アルキルであり;
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに同じであり、水素又はC1~C4-アルキルであり;
mが1~8、特に1~6である、
式(VIII)の化合物B1である。
【0117】
式(IV)の化合物を調製する方法のための、少なくとも2つのメルカプト基を有するポリチオール化合物B2は、一般式
【化19】
(式中、
Y
2は、脂肪族単位、脂環式単位、芳香族単位及び/又は複素芳香族単位と、場合により、ヘテロ原子を含有する官能基とを含む、n価の結合基であり;
R
4及びR
5は、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C
1~C
18-アルキル;ハロゲンで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC
6~C
18-アリール又はC
6~C
12-アリールであり;
mは0~12であり;
nは、2、3、4、5又は6、好ましくはnは2、3又は4、より好ましくはnは2又は3である)
のものであってもよい。
【0118】
式(IX)の好ましい化合物B2は、
Y2が、脂肪族単位、脂環式単位、芳香族単位及び/又は複素芳香族単位と、場合により、ヘテロ原子を含有する官能基とを含む、n価の結合基であり;
R4及びR5が、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;C6~C12-アリール:又はC1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC6~C12-アリールであり;
mが0~10であり;
nが、2、3、4又は6、好ましくは2、3又は4、より好ましくはnが2又は3の整数である、
化合物である。
【0119】
より好ましいのは、
Y2が、二価の結合基であり、前記二価の結合基は、C1~C12-アルキレン;C5~C8-シクロアルキレン;O又はSで割り込まれているC5~C8-シクロアルキレン;C6~C12-アリーレン;C1~C4-アルキル、C2~C12-ヘテロアリーレンで置換されているC6~C12-アリーレン;又はC1~C4-アルキル及び場合により-O-、-S-若しくは-COO-、特に-O-若しくは-S-から選択される少なくとも1つの基で置換されているC2~C12-ヘテロアリーレンである、
式(IX)の化合物B2である。
【0120】
また、より好ましいのは、
Y2が、ベンゼントリイル、トリアジントリイル、メチリデンから選択される三価の結合基であるか、又はベンゼントリイル、メチリデン若しくは窒素のいずれかと、少なくとも1つの二価基とから構成されている三価の結合基である、
又はメタン若しくはベンゼンから誘導される四価の結合基であるか、又はメタン若しくはベンゼンから誘導されるものと、少なくとも1つの二価基とから構成されている四価の結合基であり、
前記二価基が、各出現ごとに、C1~C12-アルキレン及び場合により-O-、-S-又は-COO-から選択される少なくとも1つの基から選択される、
式(IX)の化合物B2である。
【0121】
また、より好ましいのは、
Y
2が、ベンゼントリイル、トリアジントリイル、メチリデンから選択される三価の結合基であるか、又はベンゼントリイル、メチリデン若しくは窒素のいずれかと、少なくとも1つの二価基とから構成されている三価の結合基である、又は
Y
2が、メタン若しくはベンゼンから誘導される四価の結合基であるか、又はメタン若しくはベンゼンから誘導されるものと、少なくとも1つの二価基とから構成されている四価の結合基である、又は
Y
2が、式
【化20】
と場合により少なくとも1つの二価基との六価基であり、
前記二価基が、各出現ごとに、C
1~C
12-アルキレン及び場合により-O-、-S-又は-COO-から選択される少なくとも1つの基から選択される、
式(IX)の化合物B2である。
【0122】
好適なジチオール化合物B2の例には、1,2-ジメルカプトエタン、2,2-ジメルカプトプロパン、1,3-ジメルカプトプロパン、1,4-ジメルカプトブタン、1,6-ジメルカプトヘキサン、テトラ(エチレングリコール)ジチオール、3,6-ジオキサ-1,8-オクタン-ジチオール、2,2’-チオジエタンチオール、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン、1,2-ビス(2-メルカプトエチルチオ)エタン、1,5-ジメルカプト-3-オキサペンタン、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジチオール、2-メルカプトメチル-1,3-ジメルカプトプロパン、ベンゼンジメタンチオール(異性体)、(1,1’-ビヘニル)-4,4’ジメタンチオール、2-メルカプトエチル-エーテル、ジメルカプトベンゼン(異性体)、ターフェニルジチオール、1,4-ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、1,4-ジメルカプトシクロヘキサン、2,5-ジメルカプトチオフェン、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2,4-ジメルカプト-s-トリアゾロ-[4,3-b]-1,3-4-チアジアゾール(C3H2N4S3)、ジチオシアヌル酸、ビス(4-メルカプトフェニル)スルフィド、ビス(4-メルカプトフェニル)エーテル、2-メルカプトメチル-1,4-ジメルカプトプロパン、2-(2-メルカプトエチルチオ)-1,3-ジメルカプトプロパン、1,2-ビス(2-メルカプトエチル-チオ)-3-メルカプトプロパン、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールビス(2-メルカプトアセテート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、1,4-ブタンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、1,4-ブタンジオールビス(3-メルカプトプロピオネート)、2,5-ビス(メルカプトメチル)-1,4-ジチアン、2,5-ビス(メルカプトエチル)-1,4-ジチアン、2,2-ビス(4-メルカプトフェニル)プロパン、ビス(4-メルカプトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4-メルカプトメチルフェニル)エーテル又は2,2-ビス(4-メルカプトメチルフェニル)プロパンが挙げられる。
【0123】
好適なトリチオール化合物の例には、1,3,5-トリメルカプトベンゼン、1,3,5-トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス-(チオグリコレート)、1,2,3-トリメルカプトプロパン、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリチオシアヌル酸(TMT)=1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリチオール;又は1,1,1-トリス(メルカプトメチル)プロパンが挙げられる。
【0124】
テトラチオール化合物の例には、ペンタエリスリトールテトラキス-(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,1,3,3-テトラキス(メルカプトメチルチオ)プロパン又はテトラキス(メルカプトメチル)メタンが挙げられる。
【0125】
式(II)の化合物Cは、市販されており、又は当技術分野で既知の方法によって得ることができる。例えば、ビニルメルカプトエタノールが市販されている。
【0126】
一般に、ビニルチオエーテルは、レッペ法により、塩基性触媒の存在下、チオール基を有する化合物をアセチレンと反応させることによって得ることができ、これは、例えば米国特許第2003/0,105,353 A1号に記載されている。
【0127】
ビニルチオエーテルはまた、塩基性触媒としてナトリウムメトキシドを有するエタノール又はテトラヒドロフラン(THF)中ブロモエタンを使用したメルカプトエタノールの転換によっても得ることができ、これは、例えば、A. Gubuらにより、Chem. Eur. J.、2018、24、5895~5900頁に記載されている。
【0128】
ビニルチオエーテルはまた、リチウムジイソプロピルアミン(LDA)の使用による、乾燥THF中1,4-オクタチアンの開環によっても得ることができ、これは、例えば、Y.-Y. Wangら、J. Am. Chem. Soc. 2019、141、24、9739~9745頁に記載されている。
【0129】
該方法は、通常、有機溶媒中、不活性雰囲気下且つフリーラジカル発生剤の存在下、昇温にて行われる。
【0130】
式(II)の化合物B及び化合物Cは、一般に、適当な量の有機溶媒又は水中に溶解させる。同じ溶媒又は異なる溶媒を使用してもよく、好ましくは同じ溶媒が使用される。
【0131】
好適な有機溶媒の例は、非プロトン性溶媒、例えば、ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、シクロヘキサノン若しくはメチルイソブチルケトンのようなケトン、トルエン若しくはキシレンのような芳香族溶媒、テトラヒドロフランのようなエーテル、酢酸エチル若しくは酢酸ブチルのようなエステル、又はジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド若しくはN-メチル-ピロリドン(NMP)のようなアミドなどである。それらのうちで好ましいのは、ケトン、エーテル及びエステルである。
【0132】
好適な溶媒の更なる例は、プロトン性溶媒、好ましくは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのようなアルコール、又は水であってもよい。
【0133】
溶媒は、個別に使用されてもよく、又はそれらの2種以上の組合せとして使用されてもよい。
【0134】
反応物のうちの少なくとも1つが反応条件下で液体である場合、該方法は溶媒なしで実施されてもよく、但し条件として、反応混合物はその方法の間に懸濁液又は均質な溶液に変わることになる。
【0135】
該方法は、通常、フリーラジカル発生剤の存在下で行われる。基本的には、任意のタイプのフリーラジカル発生剤が、反応を開始するのに使用されてもよい。例えば、フリーラジカル発生化学的化合物、紫外線光又は照射が使用されうる。ラジカル開始剤は、一般に、有機溶媒における溶液として使用される。
【0136】
任意のラジカル開始剤が使用されてもよく、例えば、アゾ化合物又は過酸素化合物である。アゾ化合物が好ましい。
【0137】
好適なアゾ化合物の例は、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチルアゾジイソブチレート、2-tert-ブチルアゾ-2-シアノプロパンなどである。好適な過酸素化合物の例は、過酸化カリウム、過酸化アンモニウム、過酸化ベンゾイル、ジ-tert-ブチルペルオキシド、過酸化ジクミル、過酸化ラウリル、クメンヒドロペルオキシドなどである。
【0138】
有機溶媒は、化合物B及びCのうちの1種について使用されるのと同じであってもよく、好ましくは同じである。
【0139】
ラジカル開始剤は、触媒有効量で、例えば、反応させるチオール官能基1つ当たり0.0008~0.005当量の量で、好ましくは0.001~0.004当量で使用することができる。
【0140】
該方法は、通常、不活性雰囲気下で、例えば窒素又はアルゴン雰囲気下で実施される。酸素が反応混合物中に存在する場合、ラジカル開始剤の量は、適正なラジカル収率を得るために増加されるべきである。例えば、ラジカル開始剤の触媒有効量は、0.5~21%の酸素が存在する場合は500%まで増加されるべきであり、0.5~10%の酸素が存在する場合は300%まで増加されるべきであり、0.5~5%の酸素が存在する場合は100%まで増加されるべきである。
【0141】
ラジカル発生剤に応じて、該方法は、一般に、室温(20~23℃)にて若しくは昇温にて、例えば30~130℃、好ましくは40~120℃の温度にて行われ、及び/又はUV光での照射によって行われる。反応時間は、通常、15分~40時間、好ましくは1~12時間である。
【0142】
反応は、好ましくは、化合物Bが、不活性雰囲気下、室温にて好適な溶媒に供給されるように行われる。次いで、溶液/懸濁液は、40~130℃の温度に加熱されてもよい。通常、溶媒に溶解させた式(II)の化合物Bは、この温度にてゆっくりと添加され、好ましくは30分から8時間の期間内で滴下添加される。通常、ラジカル開始剤の溶液は、ゆっくりと且つ同時に添加される。一般に、得られた混合物は昇温にて数時間撹拌される。
【0143】
室温に冷却した後、生成物は、従来技術の方法によって、例えばろ過又は蒸発によって分離されうる。
【0144】
したがって、好ましい一態様では、本発明は、該方法が30~130℃の温度にて且つラジカル開始剤の存在下で行われる、化合物Aを調製する方法に関する。
【0145】
1つの-SH基を有する化合物Bと式(II)の化合物Cとのモル比は、通常、
0.8:1.2~1.2:0.8、好ましくは0.85:1.15~1.15:0.85、より好ましくは0.9:1.1~1.1:0.9、最も好ましくは0.95:1.05~1.05:0.95のものである。
【0146】
n個の-SH基(式中、nは、2、3、4、5又は6の整数である)を有する化合物Bを反応させる場合、式(II)の化合物Cは、通常、化合物Bの1当量に基づいて、(0.85≦n≦1.15)当量の量、好ましくは(0.9≦n≦1.1)、より好ましくは(0.95≦n≦1.05)で使用される。
【0147】
例えば、2つの-SH基を有する化合物Bを反応させる場合、式(II)の化合物Cは、1.7~2.3当量、好ましくは1.8~2.2、より好ましくは1.9~2.1の量で使用される。
【0148】
更なる一態様では、本発明は、式
【化21】
(式中、
Y
1は、C
1~C
18-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン、NR
6R
7、C
3~C
18-シクロアルキル、C
6~C
18-アリール若しくはC
2~C
18-ヘテロアリールで置換されている及び/又は-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-COO-、-OCOO-若しくは-CO-、C
3~C
18-シクロアルキレン、C
6~C
18-アリーレン若しくはC
2~C
18-ヘテロアリーレンで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;
C
3~C
18-シクロアルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン若しくはNR
8R
9で置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC
3~C
18-シクロアルキル;
C
6~C
18-アリール;C
1~C
12-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
10R
11で置換されているC
6~C
12-アリール;
C
2~C
18-ヘテロアリール;C
1~C
12-アルキル、OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR
12R
13で置換されているC
2~C
18-ヘテロアリールであり;
Xは、C
2~C
12-アルキレン;又はC
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
12-アルキレンであり;
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立に、水素又はC
1~C
4-アルキルであり;
R
4及びR
5は、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C
1~C
18-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC
6~C
18-アリール又はC
6~C
12-アリールであり;
R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12及びR
13は、互いに独立に且つ各出現ごとに、C
1~C
4-アルキル;OH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
1~C
4-アルキル;C
6~C
10-アリール;又はOH、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC
6~C
10-アリールであるか;
又はR
6とR
7、R
8とR
9、R
10とR
11、若しくはR
12とR
13は、一緒になって、C
4~C
6-アルキレン;又はO、S及び/若しくはNR
14によって割り込まれているC
4~C
6-アルキレンであり;
R
14はC
1~C
4-アルキルであり;
mは、各出現ごとに、1~12、好ましくは1~10、より好ましくは1~8であり;
Y
2はn価の結合基であり;
nは、2、3、4、5又は6の整数であり、
但し、R
4とR
5とが同時にHであることはないことを条件とする)
の化合物Aに関する。
【0149】
更なる一態様では、本発明は、
Y1が、C1~C18-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン、NR6R7、C3~C18-シクロアルキル、C6~C18-アリール若しくはC2~C18-ヘテロアリールで置換されている及び/又は-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-COO-、-OCOO-若しくは-CO-、C3~C18-シクロアルキレン、C6~C18-アリーレン若しくはC2~C18-ヘテロアリーレンで割り込まれているC1~C18-アルキル;
C3~C18-シクロアルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン若しくはNR8R9で置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC3~C18-シクロアルキル;
C6~C18-アリール;C1~C12-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR10R11で置換されているC6~C12-アリール;
C2~C18-ヘテロアリール;C1~C12-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、ハロゲン又はNR12R13で置換されているC2~C18-ヘテロアリールであり;
Xは、C2~C12-アルキレン;又はC1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC2~C12-アルキレンであり;
R1、R2及びR3が、互いに独立に、水素又はC1~C4-アルキルであり;
R4及びR5が、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C1~C18-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C18-アルキル;C1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC6~C18-アリール又はC6~C12-アリールであり;
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12及びR13が、互いに独立に且つ各出現ごとに、C1~C4-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC1~C4-アルキル;C6~C10-アリール;又はOH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC6~C10-アリールであるか;
又はR6とR7、R8とR9、R10とR11、若しくはR12とR13は、一緒になって、C4~C6-アルキレン;O、S及び/若しくはNR14によって割り込まれているC4~C6-アルキレンであり;
R14はC1~C4-アルキルであり;
mが、各出現ごとに、1~12、好ましくは1~10、より好ましくは1~8である、
式(III)の化合物Aに関する。
【0150】
好ましくは、化合物Aは、
Y1が、C1~C12-アルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、C5~C6-シクロアルキル、C6~C12-アリール若しくはC2~C10-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO、S、C6~C8-シクロアルキレン、C6~C12-アリーレン若しくはC4~C10-ヘテロアリーレンで割り込まれているC1~C12-アルキル;
C5~C8-シクロアルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC5~C8-シクロアルキル;
C6~C12-アリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC6~C10-アリール;
C2~C10-ヘテロアリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC2~C10-ヘテロアリールであり;
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はC1~C4-アルキルであり;
Xが、C2~C6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C6-アルキレンであり;
R4及びR5が、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;C6~C12-アリール;又はC1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ若しくはハロゲンで置換されているC6~C12-アリールであり;
mが1~10、特に1~8、特定すると2~6であり、
但し、R4とR5とが同時にHであることはないことを条件とする、
式(III)又は(IV)のものである。
【0151】
好ましくは、化合物Aは、
Y1が、C1~C12-アルキル;C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ、C5~C6-シクロアルキル、C6~C12-アリール若しくはC2~C10-ヘテロアリールで置換されている及び/又はO、S、C6~C8-シクロアルキレン、C6~C12-アリーレン若しくはC4~C10-ヘテロアリーレで割り込まれているC1~C12-アルキル;
C5~C8-シクロアルキル;OH、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSによって割り込まれているC5~C8-シクロアルキル;
C6~C12-アリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC6~C10-アリール;
C2~C10-ヘテロアリール;C1~C6-アルキル、OH、C1~C4-アルコキシ又はC1~C4-アルキルチオで置換されているC2~C10-ヘテロアリールであり;
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はC1~C4-アルキルであり;
Xが、C2~C6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C6-アルキレンであり;
R4及びR5が、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;C6~C12-アリール;又はC1~C4-アルキル、C1~C4-アルコキシ、C1~C4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC6~C12-アリールであり;
mは1~10である、
式(III)のものである。
【0152】
更に好ましくは、化合物Aは、
Y1が、OHで置換されている且つO又はSで割り込まれている、特にSで割り込まれているC1~C12-アルキルであり;
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はC1~C4-アルキルであり;
Xが、C2~C6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C6-アルキレンであり;
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;又はフェニルであり;
mが1~10、特に1~8、特定すると2~6であり、
但し、R4とR5とが同時にHであることはないことを条件とする
式(III)又は(IV)のものである。
【0153】
特に好ましいのは、
Y1が、OHで置換されている且つO又はSで割り込まれている、特にSで割り込まれているC1~C12-アルキルであり;
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はC1~C4-アルキルであり;
Xが、C2~C6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C6-アルキレンであり;
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに同じであり、水素又はC1~C4-アルキルであり;
mが1~8、特に1~6、特定すると2~6であり、
但し、R4とR5とが同時にHであることはないことを条件とする、
式(III)又は(IV)の化合物Aである。
【0154】
更なる一態様では、本発明は、
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はC1~C4-アルキルであり;
Xが、C2~C6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C6-アルキレンであり;
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;又はフェニルであり;
Y2がn価の結合基であり;
mが2~6であり、
nが、2、3、4、5又は6の整数である、
式(IV)の化合物Aに関する。
【0155】
mが1~10、好ましくは1~8、より好ましくは2~6であり、nが2~6、好ましくは2、3又は4である、式(VIII)の化合物B1、又は式(IX)の化合物B2は、PCT/EP2020/061400に記載されている方法に従って調製することができ、式
【化22】
(式中、R
4及びR
5は、本明細書中で前に任意の態様において規定したものである)
の環状モノチオカーボネート化合物から得ることができる。
【0156】
したがって、
a)式
Y
1-SH (V)
のチオールを、式
【化23】
の環状モノチオカーボネートと反応させて、式
【化24】
の化合物B1を形成するステップと、
b)本明細書中で前に任意の態様において規定した方法に従って化合物B1を反応させるステップと
を含み、
但し、R
4とR
5とが同時にHであることはないことを条件とする、方法
によって得ることができる、mが1~10、好ましくは1~8である、式(III)の化合物Aが好ましい。
【0157】
式(IX)の化合物B2は、
式
(Y2)n-SH (VI)
のチオールを、式(VII)の環状モノチオカーボネートと反応させることによって調製することができる。
【0158】
したがって、
a)式
(Y
2)
n-SH (VI)
のチオールを反応させて、
式
【化25】
の化合物B2を形成するステップと、
b)本明細書中で前に任意の態様において規定した方法によって化合物B2を反応させるステップと
を含み、
但し、R
4とR
5とが同時にHであることはないことを条件とする、方法
によって得ることができる、mが1~10、好ましくは1~8である、式(IV)の化合物Aが好ましい。
【0159】
好ましいのは、
a)式
Y
1-SH (V)、又は(Y
2)
n-SH (VI)
のチオールを、式
【化26】
の環状モノチオカーボネートと反応させて、化合物Bを形成するステップと、
b)本明細書中の任意の態様において規定した方法によって化合物Bを反応させるステップと
を含み、
但し、R
4とR
5とが同時にHであることはないことを条件とする、方法
によって得ることができる、式(III)又は(IV)の化合物Aである。
【0160】
したがって、好ましい一態様では、本発明は、
a)式
Y
1-SH (V)、又は(Y
2)
n-SH (VI)
のチオールを、式
【化27】
の環状モノチオカーボネートと反応させて、式
【化28】
の化合物B1、又は式
【化29】
の化合物B2を形成するステップと、
b)本明細書中の任意の態様において規定した方法によって、化合物B1又はB2を反応させるステップと
を含み、
但し、R
4とR
5とが同時にHであることはないことを条件とする、方法
によって得ることができる、式(III)又は(IV)の化合物Aに関する。
【0161】
環状モノチオカーボネートは、通常、式(VI)のチオールの1当量に基づいて、約(n×m)当量の量において添加される。
【0162】
反応は、塩基性触媒の存在下で行うことができる。好適な触媒は、第三級アミノ基、グアニジノ基、アミジン基若しくはホスホン基を有する化合物、又は金属水酸化物のような塩基性金属塩、チタン若しくはスズからの金属アルコキシド、例えばテトラアルキレート若しくはジアルキルスズアルカノエート、又は金属硫化物である。
【0163】
環状モノチオカーボネートは、通常、式(V)のチオールの1当量の約m当量の量において添加される。
【0164】
好適な環状モノチオカーボネート化合物は、
R4及びR5が、水素、C1~C4-アルキル、CH2Cl、CH2O-nC4H9、CH2O-C12/C14又はフェニル、好ましくは水素又はC1~C4-アルキル、最も好ましくは水素又はメチルである、
式(VI)の化合物である。置換基「C12/C14」は、C12/C14脂肪アルコールから誘導される置換基を意味する。
【0165】
好ましい環状モノチオカーボネートは、R4及びR5のうちの1つがHであり、他が水素、C1~C4-アルキル、CH2Cl、CH2O-nC4H9、CH2O-C12/C14又はフェニルである、化合物である。
【0166】
より好ましくは、R5は、水素又はC1~C4-アルキル、最も好ましくは水素又はメチルである。
【0167】
環状モノチオカーボネートは、米国特許第3,072,676号、米国特許第3,201,416号又はWO2019/034469 A1に記載されている方法に従って調製することができる。
【0168】
更なる一態様では、本発明は、本明細書中の任意の態様において規定された方法によって得ることができる、式(IV)
【化30】
(式中、
Xは、C
2~C
12-アルキレン;又はC
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオで置換されている及び/又はO若しくはSで割り込まれているC
2~C
12-アルキレンであり;
R
1、R
2及びR
3は、互いに独立に、水素又はC
1~C
4-アルキルであり;
R
4及びR
5は、互いに独立に且つ各出現ごとに、水素、C
1~C
18-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC
1~C
18-アルキル;C
1~C
4-アルキル、C
1~C
4-アルコキシ、C
1~C
4-アルキルチオ又はハロゲンで置換されているC
6~C
18-アリール又はC
6~C
12-アリールであり;
mは、各出現ごとに、0~12であり;
Y
2は、ベンゼントリイル、トリアジントリイル、メチリデンから選択される三価の結合基であるか、又はベンゼントリイル、メチリデン若しくは窒素のいずれかと二価基とから構成されている三価の結合基である;又は
Y
2は、メタン又はベンゼンから誘導される四価の結合基であるか、又はメタン若しくはベンゼンから誘導されるものと二価基とから構成されている四価の結合基であり、
前記二価基は、各出現ごとに、C
1~C
12-アルキレン及び場合により-O-、-S-又は-COO-から選択される少なくとも1つの基から選択される;又は
Y
2は二価の結合基であり、前記二価の結合基は、C
1~C
18-アルキレン、-CH
2-O-CH
2-、-CH
2-S-CH
2-、-(CH
2CH
2O)
p-CH
2CH
2-、-(CH
2CH
2S)
p-CH
2CH
2-(式中、pは2~10の整数である)、-(C
3H
7O)
q-C
3H
7-、-(C
3H
7S)
q-C
3H
7-(式中、qは1~10の整数である)、o-フェニレン、m-フェニレン、p-フェニレン、4,4’-イソプロピリデン-ジフェニレン、
【化31】
から選択される少なくとも1つの基を含む)
の化合物Aの、又は
Y
2がn価の結合基であり、
但し、R
4とR
5とが同時にHであることはないことを条件とし、
mが、各出現ごとに、1~12であり、nが、2、3又は4である、
式(IV)の化合物の、
鎖延長剤としての又は架橋剤としての使用に関する。
【0169】
更に、本発明は、
R1及びR2が水素であり、R3が水素又はC1~C4-アルキルであり;
Xが、C2~C6-アルキレン;又はO若しくはSで割り込まれているC2~C6-アルキレンであり;
R4が水素であり、R5が、各出現ごとに、水素、C1~C4-アルキル;ハロゲンで置換されている又はO若しくはSで割り込まれているC1~C4-アルキル;又はフェニルであり;
Y2がn価の結合基であり;
mが2~6であり、
nが、2、3、4、5又は6の整数である、
式(IV)の化合物Aの、
鎖延長剤としての又は架橋剤としての使用に関する。
【0170】
n=2である式(IV)の化合物Aは、通常、鎖延長剤として使用され、n=3、4、5又は6、好ましくはn=3若しくは4である式(IV)の化合物Aは、通常、架橋剤として使用される。
【0171】
本発明の方法は、チオール基含有化合物から出発する、モノ-、ジ-及びポリヒドロキシ含有ポリチオエーテルへの容易に利用できる合成経路を可能にする。これらの化合物中の追加のチオエーテル基の導入は、このような化合物のより大きい安定性を可能にし、その理由は、-SH官能基出発化合物が、-S-官能基へと変換され、その一方で、得られた化合物の鎖末端が、酸化に対するより多くの安定性を可能にするOH基を呈するためである。
【0172】
更に、本方法は、特に鎖延長剤又は架橋剤として、多様なポリマーの調製における構成ブロックとして使用されることになるヒドロキシ含有ポリチオエーテルへのアクセスを可能にする。前記構成ブロックは、増大した化学的安定性及び/又は上昇した屈折率のような改善された性質を有する多種のポリマーの調製において好適に使用される。
【0173】
本ヒドロキシ含有ポリチオエーテルは、空気の存在下、例えば、容易で安全な取り扱いを可能にする改善された貯蔵安定性を呈する。
【0174】
その上、ヒドロキシ含有ポリチオエーテルは、出発化合物と比べて減少した臭いを示し、且つより環境に優しい実施条件を可能にする。
【0175】
本明細書中で前に挙げられた方法について付与されている定義及び優先順位は、任意の組合せにおいて、且つ本発明の他の態様についての任意の組合せにおいて当てはまる。
【0176】
本発明は今や、以下の実施例を参照してより詳細に説明されることになる。これらの実施例は、限定されるものと解釈されるべきではない。別段の記述がない限り、「%」は常に重量%(wt%)である。
【実施例】
【0177】
[実施例1]
3,6-ジチアオクタン-1,8-ジオールの合成
【0178】
【化32】
2-メルカプトエタノール(46.8g;0.6mol)及びメチルイソブチルケトン(90g)の溶液を、500ml反応器中に室温(約20~25℃)にて供給し、乾燥窒素で15分以内で脱気した。溶液を80℃に加熱し、続いて撹拌し、ビニルメルカプトエタノール(62.55g;0.6mol)及びメチルイソブチルケトン(90g)の溶液1と、Wako V59((2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、AIBN、Wako Specialty Chemicals)(117mg、0.71mmol、0.0012当量)及びメチルイソブチルケトン(75g)の溶液2とを同時に滴下添加した。溶液1は2時間以内で添加し、溶液2は4時間以内で添加した。次いで、得られた混合物を90℃にて8時間撹拌した。室温に冷却した後、生成物を沈殿によって得た。式(X)の生成物をろ過して除き、トルエンで再結晶させて、白色の粉末を得た(87%収率、融点65℃)。
【0179】
[実施例2]
3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジオールの合成
2a)3-チア-5-メルカプト-1-ペンタノールの合成
ビニルメルカプトエタノール(30g、288mmol、1当量)を丸底フラスコ中に入れ、MeOH(100mL)で希釈した。この溶液へ、チオ酢酸(22g、288mmol、1当量)を添加した。フラスコに還流コンデンサを装備し、混合物を60℃にて4時間撹拌した。30mL水性HCl(10%)を添加した後、混合物を、反応が終了するまで撹拌させた。クロロホルム及び水を反応混合物に添加した。水相のpHを炭酸カリウムを使用してpH=7に調整した。クロロホルム相を分離し、抽出をクロロホルムで2回繰り返した。合わせたクロロホルム相を塩化カルシウムで脱水した。真空中のクロロホルムの蒸発後、無色の油が生じ、これを更に室温にてオイルポンプ真空にかけて、微量の溶媒及び不純物を除去した。収率17.5g(44%)。
【0180】
2b)3,6,9-トリチアウンデカン-1,11-ジオールの合成
【0181】
【化33】
シュレンク管中、実施例2a(10.85mmol、1当量)1.5gを20mLイソブチルメチルケトンで希釈し、混合物を通して窒素をバブリングすることによって脱気し、続いて、ビニルメルカプトエタノール(1.25g、11.93mmol、1.1当量)を窒素雰囲気下で添加した。反応を開始するために、AIBN(0.03mmol、0.003当量)5mgを混合物に添加した。シュレンク管をゴム栓で封止し、70℃に加熱し、混合物を激しく撹拌した。10分後、生成物は無色の固体として沈殿した。固体をろ過して除き、トルエン中で再結晶させた(83%収率、融点96℃)。
NMR
1H (400 MHz, d
6-DMSO): δ [ppm] 2.60 (4H, t, C
H
2CH
2OH), 2.72 (8H, d, SC
H
2C
H
2S), 3.52 (4H, dd, C
H
2OH), 4.75 (2H, t,
HOCH
2)
【0182】
[実施例3]
3,6,9,12-テトラチアテトラデカン-1,14-ジオールの合成
【0183】
【化34】
エタンジチオール(40g;0.425mol)のメチルイソブチルケトン(90g)中溶液を、1000ml反応器中に室温にて供給し、乾燥窒素で15分以内で脱気した。溶液を80℃に加熱し、続いて撹拌し、ビニルメルカプトエタノール(88.54g;0.84mol)及びメチルイソブチルケトン(120g)の溶液1と、Wako V59 (160mg、0.974mmol)及びメチルイソブチルケトン(90g)の溶液2とを同時に滴下添加した。溶液1は2時間以内で添加し、溶液2は4時間以内で添加した。次いで、得られた混合物を90℃にて8時間撹拌した。室温に冷却した後、生成物を沈殿によって得た。生成物をろ過して除き、トルエンで再結晶させて、白色の粉末を得た(94%収率、融点114℃)。
NMR
1H (400 MHz, d
6-DMSO): δ [ppm] 2.61 (4H, t, C
H
2CH
2OH), 2.75 (12H, d, SC
H
2C
H
2S), 3.55 (4H, dd, C
H
2OH), 4.79 (2H, t,
HOCH
2)
NMR
13C (100 MHz, d
6-DMSO): δ [ppm] 31.9 (
CH
2S
CH
2
CH
2S
CH
2), 32.3 (HOCH
2
CH
2), 34.4 (HOCH
2CH
2S
CH
2), 61.5 (HO
CH
2)
【0184】
[実施例4]
【0185】
【化35】
シュレンク管中、ベンゼン-1,3-ジチオール(14mmol)2gをイソブチル-メチルケトン10mLで希釈し、混合物を通して窒素をバブリングすることによって脱気した。混合物へ、ビニルメルカプトエタノール(3g、28mmol)を窒素雰囲気下で添加した。イソブチル-メチルケトンに溶解したAIBN(0.14mmol、0.01当量)23mgを混合物に添加した。管をゴム栓で封止し、80℃に加熱し、その間、混合物を激しく撹拌した。1時間後、反応が完了し、それは
1H NMRで証明された。溶媒を蒸発させて、黄色がかった油(93%粗収率)4.6gを得た。粗生成物1.5gを、カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル及び石油エーテルを使用したシリカ、80:20(容積/容積)混合率)によって精製した。溶媒の蒸発後、ワックス状の無色の固体2.2gが形成した(収率72%)。
屈折率(23℃にてアッベ屈折率計で決定した):1.6401
融点: 42℃
NMR
1H (300 MHz, CDCl
3): δ [ppm] 7.33 - 6.99 (m, 4H), 3.65 (q, J = 5.8 Hz, 4H), 3.20 - 2.89 (m, 4H), 2.82 - 2.50 (m, 8H), 2.42 - 2.18 (t, 2H).
【0186】
[実施例5]
【0187】
【化36】
シュレンク管中、4,4’-ジメルカプトジフェニルスルフィド(4mmol)1gを10mLイソブチル-メチルケトンで希釈し、混合物を通して窒素をバブリングすることによって脱気した。混合物へ、ビニルメルカプトエタノール(8mmol)0.85gを窒素雰囲気下で添加した。イソブチル-メチルケトンに溶解したAIBN(0.009mmol、0.023当量)15mgを混合物に添加した。管をゴム栓で封止し、80℃に加熱し、その間、混合物を激しく撹拌した。80℃にて16時間撹拌した後、反応混合物を23℃に冷却し、生成物は無色の結晶固体として沈殿し、これをろ過して除き、真空中で50℃にて乾燥させた(収率:83%;融点130℃)。
NMR
1H (300 MHz, d
6-DMSO): δ [ppm] 7.41 - 7.16 (m, 8H), 4.79 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 3.64 - 3.42 (q, 4H), 3.25 - 3.09 (m, 4H), 2.83 - 2.68 (m, 4H), 2.62 (t, J = 6.7 Hz, 4H).
【0188】
[実施例6]
6a)式(XVa)の化合物6a)を、EP0378895 A1及びKR20110021371 Aに記載されている方法との類似において調製した。
【0189】
【化37】
2-メルカプトエタノール(30g;384.5mmol)を水50ml中NaOH溶液(7.7g)に、撹拌しながら室温にて15分以内で滴下添加した。次いで、エピクロロヒドリン(17.8g;192.2mmol)を3時間以内で滴下添加した。HCl(37%、80g)及びチオ尿素(54.2g;712mmol)を添加し、得られた混合物を105℃に加熱し、8時間撹拌した。50℃に冷却した後、トルエン(90ml)及びアンモニア水(25%;60g)を添加して撹拌した。トルエン相を分離し、水で洗浄し、塩化カルシウムで脱水した。溶媒を、真空中で蒸発によって除去して透明な油を生じ、これを、更なる精製なしでステップ5b)において使用した。収率93%。
【0190】
6b)実施例6a)の生成物のメチルイソブチルケトン(60g)中溶液(50g;0.192mol)を、1000ml反応器中、室温にて供給し、乾燥窒素で15分以内で脱気した。溶液を80℃に加熱し、次いで撹拌し、ビニルメルカプトエタノール(60g;0.577mol)及びメチルイソブチルケトン(90g)の溶液1と、Wako V59(100mg)及びメチルイソブチルケトン(60g)の溶液2とを同時に滴下添加した。溶液1は2時間以内で添加し、溶液2は4時間以内で添加した。次いで、得られた混合物を80℃て8時間撹拌し、溶媒を、真空中で蒸発によって除去して、式(XVb)の生成物を、室温にてワックス状の固体へと固化する油として得た。収率90%;融点47℃。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ [ppm] 2.66-2.92 (31H), 3.68 (6H, t, CH
2OH).
【0191】
【0192】
[実施例7]
7a)オリゴマーチオアルコールの合成
【0193】
【化39】
式(XVI)のメルカプトエタノール(15g;192mmol)及びプロピレン-チオカーボネート(113g;960mmol、5当量)を撹拌しながら混合し、60℃に加熱した。ジアザビシクロ-ウンデカン(DBU)(1.5g;9.65mmol)を添加し、60℃にて8時間撹拌した。室温に冷却した後、得られた透明の油を、更なる精製なしでステップ4b)において使用した。
【0194】
7b)オリゴチオエーテルジオールの合成
【0195】
【化40】
実施例7a)の生成物(85g;0.188mol)のメチルイソブチルケトン(90g)中溶液を、1000ml反応器中、室温にて供給し、乾燥窒素で15分内で脱気した。溶液を80℃に加熱し、次いで撹拌し、ビニルメルカプトエタノール(19.8g;0.188mol)及びメチルイソブチルケトン(60g)の溶液1と、Wako V59(28mg)及びメチルイソブチルケトン(60g)の溶液2とを同時に滴下添加した。溶液1は2時間以内で添加し、溶液2は4時間以内で添加した。次いで、得られた混合物を80℃にて8時間撹拌し、溶媒を真空中の蒸発によって除去して、生成物を褐色がかった油として得た。
屈折率R
I:24.5℃にて測定して1.5550
分子量(SEC、移動相としてのTHF、ポリスチレン標準):Mw=3430Da;Mn=2720、Pd=1.26
【国際調査報告】