IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

<>
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図1
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図2
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図3
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図4
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図5
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図6
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図7
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図8
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図9
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図10
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図11
  • 特表-固体成形体及び固体成形体の使用 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(54)【発明の名称】固体成形体及び固体成形体の使用
(51)【国際特許分類】
   B01J 35/02 20060101AFI20230816BHJP
【FI】
B01J35/02 C
B01J35/02 301C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023505902
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 EP2021070653
(87)【国際公開番号】W WO2022023193
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】20188359.2
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カウフマン レチュルスキ,マルセロ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ロメロ ヴァレ,ミゲル アンゲル
【テーマコード(参考)】
4G169
【Fターム(参考)】
4G169AA01
4G169AA02
4G169AA15
4G169BA01A
4G169BB06A
4G169BC10A
4G169BC16A
4G169BC42A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169CB81
4G169CC17
4G169DA05
4G169EA02X
4G169EA06
4G169EB04
4G169EB07
4G169EB14X
4G169EB14Y
4G169ED03
(57)【要約】
本発明は、第1の底面領域(3)、第2の底面領域(5)、及び側面領域(7)を含む円筒形を有する固体成形体(1)に関し、固体成形体(1)は、各々第1の底面領域(3)から第2の底面領域(5)へ延びる側面領域(7)内の少なくとも1つの溝半径(13)を有する第1の数の溝(9)と、各々第1の底面領域(3)から第2の底面領域(5)へ延びる第2の数の開口(11)とを含み、固体成形体(1)は、ローロイド(2)の形の断面領域を有する。本発明はさらに、固体成形体(1)の使用に関する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の底面領域(3)、第2の底面領域(5)、及び側面領域(7)を含む円筒形を有する固体成形体(1)であって、
前記固体成形体(1)は、各々前記第1の底面領域(3)から前記第2の底面領域(5)へ延びる前記側面領域(7)内の少なくとも1つの溝半径(13)を有する第1の数の溝(9)と、
各々前記第1の底面領域(3)から前記第2の底面領域(5)へ延びる第2の数の開口(11)と、を含み、
前記固体成形体(1)は、ローロイド(2)の形の断面領域を有する、固体成形体(1)。
【請求項2】
前記第2の数の開口(11)は、2~8の範囲内で存在する、請求項1に記載の固体成形体(1)。
【請求項3】
前記第1の数の溝(9)は、前記第2の数の開口(11)より多い、請求項1又は2に記載の固体成形体(1)。
【請求項4】
前記第1の数の溝(9)と前記第2の数の開口(11)との間の比は、2である、請求項1から3のいずれか一項に記載の固体成形体(1)。
【請求項5】
前記固体成形体(1)は、6つの溝(9)及び3つの開口(11)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の固体成形体(1)。
【請求項6】
前記固体成形体(1)の直径(17)と前記固体成形体(1)の高さ(19)との間の比は、0.5~4.0、好ましくは1.5~2.5の範囲内である、請求項1から5のいずれか一項に記載の固体成形体(1)。
【請求項7】
少なくとも1つの開口(11)は、第2の半径(15)を有し、前記少なくとも1つの開口(11)の前記第2の半径(15)と前記固体成形体(1)の前記直径(17)との間の比は、0.01~0.50、好ましくは0.05~0.20の範囲内である、請求項1から6のいずれか一項に記載の固体成形体(1)。
【請求項8】
前記第1の数の溝(9)は、第3の半径(25)を有する第3の数の第1の溝(21)と、第4の半径(27)を有する第4の数の第2の溝(23)とを含み、前記第3の半径(25)は、前記第4の半径(27)より小さい、請求項1から7のいずれか一項に記載の固体成形体(1)。
【請求項9】
前記第1の溝(21)の前記第3の半径(25)と前記固体成形体(1)の前記直径(17)との間の比は、0.05~0.45、好ましくは0.05~0.15の範囲内であり、且つ/又は
前記第2の溝(23)の前記第4の半径(27)と前記固体成形体(1)の前記直径(17)との間の比は、0.075~0.50、好ましくは0.20~0.30の範囲内である、請求項8に記載の固体成形体(1)。
【請求項10】
前記第3の数の第1の溝(21)は、前記第4の数の第2の溝(23)と等しい数存在する、請求項8又は9に記載の固体成形体(1)。
【請求項11】
前記開口(11)の各々は、2つの第2の溝(23)同士の間に配置される、請求項8から10のいずれか一項に記載の固体成形体(1)。
【請求項12】
前記固体成形体(1)の中心軸(30)から前記開口(11)の少なくとも1つの第1の中心(31)までの第1の距離(29)と前記固体成形体(1)の前記直径(17)との間の比は、0.00~0.40、好ましくは0.15~0.25の範囲内である、請求項1から11のいずれか一項に記載の固体成形体(1)。
【請求項13】
前記第1の底面領域(3)及び/又は前記第2の底面領域(5)は、ドーム形であり、ドーム高さ(35)と前記固体成形体(1)の前記直径(17)との間の比は、好ましくは0.01~0.40、より好ましくは0.05~0.10の範囲内である、請求項1から12のいずれか一項に記載の固体成形体(1)。
【請求項14】
前記固体成形体(1)は、混合酸化物を含み、且つ
前記混合酸化物は、酸素、アルミニウム、コバルト、及び少なくとも1つの希土類金属、たとえばランタンを含むか、又は
前記混合酸化物は、酸素、アルミニウム、ニッケル、及び少なくとも1つのアルカリ土類金属、たとえばマグネシウムを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の固体成形体(1)。
【請求項15】
触媒としての、好ましくは1種以上の炭化水素を水素及び一酸化炭素を含む合成ガスに改質するための、好ましくは二酸化炭素の存在下における、請求項1から14のいずれか一項に記載の固体成形体(1)の使用であって、前記炭化水素は、好ましくはメタン、エタン、プロパン、及びブタンからなる群から選択され、前記炭化水素は、より好ましくはメタンである、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の底面領域、第2の底面領域、及び側面領域を含む円筒形を有する固体成形体に関し、固体成形体は、各々第1の底面領域から第2の底面領域へ延びる側面領域内の第1の数の溝と、各々第1の底面領域から第2の底面領域へ延びる第2の数の開口とを含む。本発明はさらに、触媒としての固体成形体の使用に関する。
【0002】
特に触媒として使用されるときの固体成形体の性能は、成形体の形状、ひいては幾何形状に強く依存する。機械強度、圧力降下、充填層密度、及び層質量拡散係数が、性能指標の例を構成する。さらに重要なパラメータは、単一の固体成形体の重量、比表面積、並びに熱輸送特性及び質量輸送特性である。
【0003】
固体成形体は、たとえば炭化水素を合成ガスに改質する際に適用され、そこではNi又はCoを含有する酸化物系の触媒を使用することができる。
【背景技術】
【0004】
WO2013/118078A1は、炭化水素を改質するためのヘキサアルミネートを含む触媒及び改質プロセスに言及している。触媒は、バルク材料、錠剤、又はストランドとして調製される。
【0005】
EP2323762B1は、孔及び溝を同数有する水素の成形触媒体を記載している。
【0006】
DE2719543A1は、触媒を組み込むためのセラミック体を開示している。円形の外周を有する円筒が示されている。
【0007】
DE3935073A1は、炭化水素の触媒脱水素のためのプロセスを開示している。矩形の栓を有する歯車の形の触媒体が適用される。
【0008】
WO2007/051602A1は、無水マレイン酸を調製するための成形触媒体に関する。2つの三角形の面を提供するプリズムの形の成形触媒体が提案されている。
【0009】
WO2020/120078A1は、管形反応器及び管形反応器内に位置する少なくとも1つの触媒粒子を備える触媒系を対象とする。触媒粒子の形と管形反応器の形との関係が、熱伝達条件を改善すると考えられる。
【0010】
米国特許第4,441,990号は、炭化水素処理動作で使用することができる触媒押出物を形成するために用いられる、矩形管及び三角形管などの断面形状を参照している。
【0011】
DE3141942A1は、凸面が凹面より広い特有の円周を有する円筒の形の触媒成形体を対象とする。
【0012】
WO2010/029324A1は、五角形のパターンで配置された5つの孔及び5つのリッフル(riffles)を呈する円筒を備える触媒ユニットを対象とする。
【0013】
WO2006/114320A1は、円筒形の触媒部材を記載しており、触媒部材の円周面にエンボス(embossings)が設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
多くの場合、触媒固体成形体の幾何形状は圧力降下又は表面積などの1つの性能指標のみに関して最適化され、逆に他の性能指標は無視される。本発明の目的は、少なくとも1つの性能指標の改善を提供すると同時に、残りの性能指標に対しても良好な性能を示す固体成形体を提供することである。したがって、固体成形体は、圧力降下、表面積、機械強度、単一の成形体の重量、充填層密度、充填層の比表面積、熱輸送特性、及び質量輸送特性を含む様々な性能指標間の妥協点を与えるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的は、第1の底面領域、第2の底面領域、及び側面領域を含む円筒形を有する固体成形体によって実現され、固体成形体は、各々第1の底面領域から第2の底面領域へ延びる側面領域内の少なくとも1つの溝半径を有する第1の数の溝と、各々第1の底面領域から第2の底面領域へ延びる第2の数の開口とを含み、固体成形体は、ローロイド(rholoid)の形の断面領域を有する。
【0016】
ローロイドという用語は、2次元図で見たときに3つの重なり合う円によって形成される交差平面であると理解される。ローロイドは、3つの辺、特に3つの湾曲した辺、及び3つの角を含む。3つの辺の各々の長さは、それぞれ算術平均値に基づいて、3つの辺の長さの算術平均値から好ましくは30%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満だけ異なる。特に、重なり合った円の中心点は、隣接する中心点から等距離に配置され、したがって二等辺三角形を形成する。3次元図で見ると、ローロイド体は、重なり合った3つの円に対応する3つの円筒の交差によって形成される。
【0017】
ローロイドは、固体成形体の円筒形の断面領域の基本形状を構成し、第1の底面領域及び第2の底面領域は、好ましくは、特に平面の底面領域の場合は互いに平行に配置され、且つ/又は特に湾曲若しくはドーム形の底面領域の場合は鏡像として配置される。第1の底面領域及び第2の底面領域は、好ましくは側面領域によって接合される。側面領域は、第1の数の溝を含み、成形体の断面のローロイドの円周はこれらの溝によって断続し、これらの溝はリッフル又はエンボスと呼ぶこともできる。
【0018】
固体成形体は、第2の数の開口をさらに含み、第2の数の開口は孔と呼ぶこともでき、固体成形体を通って第1の底面領域から第2の底面領域へ延びる。第1の数は溝を指し、第2の数は開口を指す。断面図内の開口の円周は、成形体によって完全に取り囲まれており、それとは対照的に、溝は単独で固体成形体の外周に位置し、固体成形体の円周の凹面部分である。
【0019】
それぞれ固体成形体、溝、及び/又は開口の好ましくは長手方向軸、より好ましくは中心軸が、互いに平行に配置される。平行という用語は、それぞれ固体成形体、溝、及び/又は開口の長手方向軸、より好ましくは中心軸が、20°未満、好ましくは10°未満、より好ましくは5°未満、及び最も好ましくは2°未満の角度を囲むという点で理解される。
【0020】
成形体は、好ましくは2つ~8つ、より好ましくは3つ~7つ、特に3つの開口を含む。
【0021】
固体成形体は、好ましくは開口より多くの溝を含む。より好ましくは、第1の数の溝と第2の数の開口との間の差は、少なくとも2、最も好ましくは3である。特に好ましい実施形態では、第1の数の溝と第2の数の開口との間の比は2である。少なくとも1つの溝半径は、好ましくは0.8mm~5.0mm、より好ましくは1.4mm~5.0mmの範囲内である。
【0022】
好ましくは、少なくとも1つの開口は第2の半径を有し、より好ましくは、すべての開口が第2の半径を有し、少なくとも1つの溝半径と少なくとも1つの開口の第2の半径との間の比は、好ましくは0.2~5.0の範囲内である。少なくとも1つの溝半径と固体成形体の直径との間の比は、好ましくは0.05~0.50、より好ましくは0.10~0.30の範囲内である。
【0023】
好ましくは、第1の数の溝は、第3の半径を有する第3の数の第1の溝と、第4の半径を有する第4の数の第2の溝とを含み、第3の半径は第4の半径より小さい。より好ましくは、第1の数は第3の数及び第4の数の和である。最も好ましくは、第3の数の第1の溝は第4の数の第2の溝と等しい数存在する。1つの好ましい実施形態では、固体成形体は6つの溝を含み、6つの溝は3つの第1の溝及び3つの第2の溝を含み、さらに好ましくは、固体成形体は3つの開口を含む。特に、それぞれ第1の溝の各々は第3の半径を有し、且つ/又は第2の溝の各々は第4の半径を有する。第1の溝及び第2の溝は、好ましくは交互に配置される。
【0024】
第1の溝の第3の半径と少なくとも1つの開口の第2の半径との間の比は、好ましくは0.2~3.0、より好ましくは0.5~1.5の範囲内である。最も好ましくは、第1の溝の第3の半径は、少なくとも1つの開口の第2の半径に等しい。第2の溝の第4の半径と少なくとも1つの開口の第2の半径との間の比は、好ましくは0.3~5.0、より好ましくは1.5~3.0、最も好ましくは1.8~2.5の範囲内である。
【0025】
さらに好ましくは、第1の溝の第3の半径と固体成形体の直径との間の比は、0.05~0.45、より好ましくは0.05~0.15の範囲内であり、且つ/又は第2の溝の第4の半径と固体成形体の直径との間の比は、0.075~0.50、より好ましくは0.20~0.30の範囲内である。第3の半径と第4の半径との間の比は、好ましくは0.3~0.6の範囲内である。
【0026】
好ましくは、第3の半径は、0.8mm~5.0mm、より好ましくは1.4mm~2.5mmの範囲内であり、且つ/又は第4の半径は、1.2mm~5.0mm、より好ましくは3.2mm~5.0mmの範囲内である。
【0027】
さらに、各開口は第1の中心を含む。中心は幾何中心であると理解される。開口のうちの1つの第1の中心は、固体成形体の中心軸に位置することができる。好ましくは、開口の少なくとも1つの第1の中心、より好ましくはすべての開口のすべての第1の中心は、固体成形体内に固体成形体の中心軸から第1の距離をあけて配置される。固体成形体の中心軸から開口の少なくとも1つの第1の中心まで、特にすべての開口のすべての第1の中心までの第1の距離と、固体成形体の直径との間の比は、好ましくは0.00~0.40、より好ましくは0.15~0.25の範囲内である。固体成形体の中心軸から少なくとも1つの第1の中心まで、特にすべての開口のすべての第1の中心までの第1の距離は、好ましくは2.4mm~9.0mm、より好ましくは2.5mm~4.0mmの範囲内である。最も好ましくは、第1の距離はすべての開口に対して等しい。
【0028】
したがって、第2の数の開口は、固体成形体の中心軸に沿って延びる1つの中心開口と、少なくとも1つの周辺開口とを含むことができ、第2の数の開口は、好ましくは周辺開口及び中心開口の数の合計分存在する。少なくとも1つの周辺開口の円周は、それでもなお固体成形体内に完全に含まれており、固体成形体によって取り囲まれる。
【0029】
各開口は、好ましくは円形の断面を有する。より好ましくは、開口は、開口の第1の中心に対して、隣接する周辺開口及び固体成形体の中心軸から等距離に配置される。
【0030】
少なくとも1つの開口の第2の半径と固体成形体の直径との間の比は、好ましくは0.01~0.50、より好ましくは0.05~0.20の範囲内である。第2の半径は、より好ましくは0.1mm~5.0mm、さらにより好ましくは1.4~2.5mmの範囲内である。特に、第2の半径はすべての開口に対して等しい。
【0031】
好ましくは、第3の数の第1の溝及び第4の数の第2の溝は、第2の数の開口と等しい数存在する。より好ましくは、開口の各々は、2つの第2の溝同士の間に配置される。それに対応して、開口及び第2の溝は、好ましくはそれぞれ固体成形体の断面の別個の区分内に配置される。1つの開口及び1つの第1の溝は、好ましくは固体成形体の断面の同じ区分内に配置される。開口及び第1の溝が配置された区分を突起と呼ぶこともできる。好ましくは、2つの第2の溝同士の間に1つの突起が配置され、2つの突起同士の間に1つの第2の溝が配置される。それに応じて、第2の溝及び突起は、好ましくは固体成形体の円周に、ひいては側面領域に、交互に配置される。さらに、各突起は好ましくは1つの第1の溝を含む。
【0032】
第1の溝は、好ましくは隣接する溝及び固体成形体の中心軸から等距離に配置され、且つ/又は第2の溝は、好ましくは隣接する溝及び固体成形体の中心軸から等距離に配置される。
【0033】
第1の溝の各々は、想像上の、好ましくは円形の断面領域の第2の中心を有し、第2の溝の各々は、想像上の、好ましくは円形の断面領域の第3の中心を有する。第2の中心及び第3の中心は、それぞれ固体成形体の外側に位置することができる。好ましくは、第1の溝の少なくとも1つの第2の中心、開口の少なくとも1つの第1の中心、及び固体成形体の中心軸の1つの点が、1本の線を構築する。
【0034】
固体成形体の中心軸から少なくとも1つの第1の溝の第2の中心までの第2の距離と固体成形体の直径との間の比は、好ましくは0.3~0.8、より好ましくは0.4~0.6の範囲内、たとえば0.5である。少なくとも1つの第1の溝の第2の中心と固体成形体の中心軸との間の第2の距離は、好ましくは4mm~15mm、より好ましくは7mm~12mmの範囲内である。
【0035】
固体成形体の中心軸から少なくとも1つの第2の溝の第3の中心までの第3の距離と固体成形体の直径との間の比は、好ましくは0.3~0.8、より好ましくは0.4~0.6の範囲内、たとえば0.5である。少なくとも1つの第2の溝の第3の中心と固体成形体の中心軸との間の第3の距離は、好ましくは4mm~15mm、より好ましくは7mm~12mmの範囲内である。
【0036】
好ましくは、第2の距離はすべての第1の溝に対して等しく、且つ/又は第3の距離はすべての第2の溝に対して等しい。より好ましくは、第2の距離は第3の距離に等しい。
【0037】
固体成形体の直径と固体成形体の高さとの間の比は、好ましくは0.5~4.0、より好ましくは1.5~2.5の範囲内である。ローロイドの形の断面領域を有する固体成形体の直径は、好ましくはローロイドの3つの角を含む包囲円の直径である。さらに、固体成形体の高さは、好ましくは底面領域に直交して測定される第1の底面領域と第2の底面領域との間の最大の距離であると理解される。
【0038】
固体成形体の直径は、好ましくは8mm~25mm、より好ましくは10mm~22mm、最も好ましくは14mm~20mmの範囲内である。固体成形体の高さは、好ましくは4.0mm~12.5mm、より好ましくは7.0mm~12.0mmの範囲内である。
【0039】
固体成形体の第1の底面領域及び/又は第2の底面領域は、好ましくはドーム形である。より好ましくは、第1の底面領域及び第2の底面領域はドーム形である。特に、第1の底面領域及び/又は第2の底面領域に対するドーム高さと固体成形体の直径との間の比は、0.01~0.40、より好ましくは0.05~0.10の範囲内である。ドーム高さは、好ましくは0.2mm~4.0mm、より好ましくは0.8mm~2.0mmの範囲内である。ドームは、それぞれ固体成形体の頂部及び底部であると理解され、その表面は2つの方向に湾曲している。それに対応して、ドーム、ひいてはドーム高さは、側面領域が1つの方向のみに湾曲する場所で終了し、この方向は固体成形体に対して径方向である。
【0040】
本発明はさらに、触媒としての、好ましくは1種以上の炭化水素を水素及び一酸化炭素を含む合成ガスに改質するための、好ましくは二酸化炭素の存在下における、固体成形体の使用に関し、炭化水素は、好ましくはメタン、エタン、プロパン、及びブタンからなる群から選択され、炭化水素は、より好ましくはメタンである。
【0041】
より好ましくは、固体成形体は、1種以上の炭化水素、好ましくはメタンを、水素及び一酸化炭素を含む合成ガスに改質する方法で使用され、この方法は、
(a)固体成形体を含む反応区間を備えた反応器を用意することと、
(b)反応物質ガス流を(a)から得られた反応区間に入れることであり、反応区間に入れられた反応物質ガス流が1種以上の炭化水素、二酸化炭素、及び水を含むことと、前記反応物質ガス流を前記反応区間内の改質条件にさらすことと、前記反応区間から生成物流を除去することとを含み、前記生成物流は水素及び一酸化炭素を含む。
【0042】
固体成形体は、好ましくは混合酸化物を含む。より好ましくは、混合酸化物はコバルトを含む、又は、混合酸化物はニッケルを含む。さらに好ましくは、混合酸化物は、酸素、アルミニウム、コバルト、及び少なくとも1つの希土類金属、たとえばランタンを含む、又は、混合酸化物は、酸素、アルミニウム、ニッケル、及び少なくとも1つのアルカリ土類金属、たとえばマグネシウムを含む。特に、少なくとも1つの希土類金属はランタンである。特に、少なくとも1つのアルカリ土類金属はマグネシウムである。
【0043】
固体成形体の好ましくは50重量%~100重量%、より好ましくは60重量%~100重量%、さらにより好ましくは70重量%~100重量%、さらに好ましくは80重量%~100重量%、特に90重量%~100重量%、特に好ましくは95重量%~100重量%、最も好ましくは99重量%~100重量%は、混合酸化物及び任意選択で少なくとも1つの好適な結合剤からなる。固体成形体の99重量%~100重量%、さらにより好ましくは99.5重量%~100重量%、最も好ましくは99.9重量%~100重量%は、混合酸化物からなることもできる。
【0044】
混合酸化物がニッケルを含む場合、混合酸化物は、好ましくは少なくともニッケル-マグネシウム混合酸化物及びマグネシウムスピネル、並びに任意選択で水酸化酸化アルミニウムを含む。ニッケル-マグネシウム混合酸化物は、好ましくは100nm以下、より好ましくは70nm以下、さらにより好ましくは50nm以下の平均結晶サイズを有する。マグネシウムスピネル相は、好ましくは100nm以下、より好ましくは70nm以下、さらにより好ましくは50nm以下の平均結晶サイズを有する。混合酸化物中のニッケルの割合は、好ましくは30モル%の範囲内、より好ましくは6モル%~30モル%の範囲内であり、マグネシウムの割合は、好ましくは8モル%~38モル%、より好ましくは23モル%~35モル%の範囲内であり、アルミニウムの割合は、好ましくは50モル%~70モル%の範囲内である。43.09°2θにおける混合酸化物の回折反射の強度は、好ましくは44.82°2θにおける回折反射の強度以下であり、43.08°2θにおける回折反射の強度は、より好ましくは44.72°2θにおける反射の強度未満である。
【0045】
固体成形体は、特に固体成形体がニッケルを含む混合酸化物を含むとき、たとえばEP3574994A1に記載されているように作製することができる。
【0046】
混合酸化物がコバルトを含む場合、元素として計算される混合酸化物中のアルミニウムに対するコバルトの重量比は、好ましくは少なくとも0.17:1である。
【0047】
固体成形体に含まれる混合酸化物中のコバルト、ランタン、及びアルミニウムの含有量に関して、特定の制限は適用されない。元素として計算される混合酸化物の好ましくは6重量%~9重量%、より好ましくは6.5重量%~8.5重量%、最も好ましくは7重量%~8重量%は、コバルトからなる。さらに、元素として計算される混合酸化物の好ましくは15重量%~20重量%、より好ましくは16重量%~19重量%、最も好ましくは17重量%~18重量%、特に17.5重量%~17.8重量%は、ランタンからなる。さらに、元素として計算される混合酸化物の好ましくは33重量%~40重量%、より好ましくは34重量%~38重量%、最も好ましくは35重量%~37重量%、特に35.5重量%~36.5重量%は、アルミニウムからなる。
【0048】
コバルトを含む混合酸化物は、非晶質相、1つ以上の結晶相、又は、非晶質相及び1つ以上の結晶相を含むことができる。混合酸化物は、好ましくは1つ以上の結晶相、より好ましくは少なくとも2つの結晶相、最も好ましくは少なくとも3つの結晶相を含む。混合酸化物の好ましくは80重量%~100重量%、より好ましくは90重量%~100重量%、最も好ましくは92重量%~100重量%は、結晶形である。
【0049】
さらに、混合酸化物は、LaCoAl1119の結晶相及びLaAl(Co)Oの結晶相のうちの1つ以上を含むことが好ましい。混合酸化物がLaCoAl1119の結晶相及びLaAl(Co)Oの結晶相を含む場合、XRDを介して判定されるLaAl(Co)Oに対するLaCoAl1119の重量比は、好ましくは5:1~30:1の範囲内、より好ましくは10:1~25:1の範囲内、最も好ましくは12:1~22:1の範囲内、特に13:1~20:1の範囲内、たとえば13:1~15:1の範囲内である。混合酸化物は、さらなる結晶相La(OH)を含むことが特に好ましい。さらに、混合酸化物は、さらなる結晶相LaAlOを含むことが特に好ましい。
【0050】
さらに、混合酸化物は、さらなる結晶相CoAlを含むことが好ましい。混合酸化物が少なくともLaCoAl1119の結晶相及び結晶相CoAlを含む場合、混合酸化物中のCoAlに対するLaCoAl1119の重量比は、好ましくは8:1~35:1の範囲内、より好ましくは10:1~30:1の範囲内、さらに好ましくは12:1~30:1の範囲内、特に15:1~27:1の範囲内、最も好ましくは17:1~25:1の範囲内、たとえば20:1~22:1の範囲内である。
【0051】
固体成形体は、焼成固体成形体であることが好ましい。固体成形体は焼成固体成形体であることがより好ましく、焼成は、第1の代替形態では、350℃~450℃の範囲内、好ましくは390℃~410℃の範囲内の温度を有するガス雰囲気中で実行される。さらに、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気のうちの1つ以上である。好ましくは、焼成は2時間~10時間にわたって実行される。
【0052】
第2の代替形態では、固体成形体は焼成固体成形体であることがより好ましく、焼成は、1100℃~1400℃の範囲内、より好ましくは1175℃~1225℃の範囲内の温度を有するガス雰囲気中で実行され、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気のうちの1つ以上である。好ましくは、焼成は2時間~10時間にわたって実行される。
【0053】
固体成形体は、たとえば、
(i)ランタン塩、コバルト塩、酸化アルミニウム化合物(oxidic aluminum compound)、及び酸を含む混合物を調製することであり、ランタン塩及びコバルト塩のうちの1つ以上、好ましくはランタン塩及びコバルト塩の両方が、硝酸塩ではないことと、
(ii)(i)から得られた混合物から固体成形体を調製することであり、
(ii.1)(i)から得られた混合物を成形プロセスにかけて、第1の固体成形体を得て、
(ii.2)好ましくは(ii.1)から得られた第1の固体成形体をガス雰囲気中で乾燥させ、
(ii.3)(ii.1)又は(ii.2)から、好ましくは(ii.2)から得られた第1の固体成形体を、350℃~470℃の範囲内の温度を有するガス雰囲気中で焼成することと、
(iii)好ましくは(ii)から得られた焼成された第1の固体成形体を再成形プロセスにかけて、第1の固体成形体の幾何形状とは異なる幾何形状を有する第2の固体成形体を得ることと、
(iv)(ii)又は(iii)から、好ましくは(iii)から得られた固体成形体を、1100℃~1400℃の範囲内の温度を有するガス雰囲気中で焼成して、混合酸化物を含む固体成形体を得ることと、
を含むプロセスによって作製することができる。
【0054】
(i)による混合物を調製することは、混合物を混練することを含むことが好ましい。
【0055】
さらに、(i)から得られた混合物を(ii.1)による成形プロセスにかけることは、(iii)の再成形プロセスが実行されるとき、好ましくは押し出すことを含み、より好ましくは押し出すことからなる。
【0056】
(ii.2)による乾燥に関する第1の代替形態によれば、第1の固体成形体はガス雰囲気中で乾燥されることが好ましく、ガス雰囲気は、好ましくは50℃~150℃の範囲内、より好ましくは80℃~110℃の範囲内の温度を有し、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気のうちの1つ以上であり、(ii.2)による乾燥は、好ましくは5時間~25時間にわたって実行される。
【0057】
(ii.2)による乾燥に関する第2の代替形態によれば、第1の固体成形体はガス雰囲気中で乾燥されることが好ましく、ガス雰囲気は、好ましくは80℃~150℃の範囲内、より好ましくは90℃~140℃の範囲内の温度を有し、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気のうちの1つ以上であり、(ii.2)による乾燥は、好ましくは0.2時間~2時間にわたって実行され、乾燥は、好ましくはベルトドライヤを使用して行われる。
【0058】
(ii.3)による焼成に関する第1の代替形態によれば、第1の固体成形体は、好ましくは350℃~450℃の範囲内、より好ましくは390℃~410℃の範囲内の温度を有するガス雰囲気中で焼成される。さらに、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気のうちの1つ以上である。さらに、(ii.3)による焼成は、好ましくは2時間~10時間にわたって実行される。
【0059】
(ii.3)による焼成に関する第2の代替形態によれば、第1の固体成形体は、回転炉において、好ましくは350℃~450℃の範囲内、より好ましくは390℃~410℃の範囲内の温度を有するガス雰囲気中で、(ii.3)によって焼成される。さらに、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気のうちの1つ以上である。本明細書に開示するように、第1の固体成形体が(ii.3)によって焼成される場合、焼成は、好ましくは二酸化炭素をガス流から分離すること、より好ましくは二酸化炭素洗浄器によって二酸化炭素をガス流から分離することを含む。
【0060】
(iii)による再成形に関しては、(iii)による再成形は、(ii)から得られた焼成固体成形体を破砕し、得られた破砕材料を再成形プロセスにかけて、第2の固体成形体を得ることを含むことが好ましく、破砕は、より好ましくは粉砕によって行われる。
【0061】
再成形が、(ii)から得られた焼成固体成形体を破砕し、得られた破砕材料を再成形プロセスにかけて、第2の固体成形体を得ることを含む場合、(ii)から得られた焼成固体成形体を破砕した後、得られた破砕材料を(iii)による再成形プロセスにかける前に、このプロセスは特に、好ましくは破砕材料及び1つ以上の結合剤、より好ましくはグラファイト、多糖、糖アルコール、及び合成ポリマーのうちの1つ以上、さらにより好ましくはグラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、セルロース、変性セルロース、及びデンプンのうちの1つ以上、最も好ましくはグラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、微結晶セルロース、セルロースエーテル、より好ましくはグラファイト、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む混合物を調製することをさらに含む。これに関して、第1の代替形態によれば混合物中の破砕材料に対する1つ以上の結合剤の重量比は、好ましくは1:10~1:20の範囲内、より好ましくは1:12~1:18の範囲内、さらにより好ましくは1:13~1:17の範囲内である。第2の代替形態によれば、混合物の総重量に対して計算された混合物中の1つ以上の結合剤の重量は、好ましくは0.5重量%~10重量%の範囲内、より好ましくは2重量%~9重量%の範囲内、さらにより好ましくは4重量%~8重量%の範囲内、最も好ましくは5重量%~7重量%の範囲内である。
【0062】
さらに、再成形が、(ii)から得られた焼成固体成形体を破砕し、得られた破砕材料を再成形プロセスにかけて、第2の固体成形体を得ることを含む場合、(ii)から得られた焼成固体成形体を破砕した後、(iii)による再成形プロセスの前に、このプロセスは、破砕材料の粒子をそのサイズに従って2つ以上の小部分に分離することをさらに含むことが好ましい。好ましくは、最小のサイズを有する粒子の複数の小部分、好ましくは最小のサイズを有する粒子の1つの小部分が、再成形プロセスにかけられる。最小のサイズを有する粒子は、好ましくは2.0mmの最大直径、より好ましくは1.5mmの最大直径、さらにより好ましくは1.0mmの最大直径を有する。概して、0.75mm又は0.5mmなどのより小さい最大サイズを有する小部分も考えられる。
【0063】
最小のサイズを有していない粒子の1つの小部分又は複数の小部分が分離された場合、前記1つの小部分又は複数の小部分を再び破砕し、最小のサイズを有する粒子の複数の小部分、好ましくは最小のサイズを有する粒子の1つの小部分を分離して、(iii)による再成形プロセスにかけることが特に好ましい。上記によれば、最小のサイズを有する粒子は、好ましくは2.0mmの最大直径、より好ましくは1.5mmの最大直径、さらにより好ましくは1.0mmの最大直径を有し、それによって0.75mm又は0.5mmなどのさらに小さい最大サイズを有する小部分も考えられる。
【0064】
再成形が、(ii)から得られた焼成固体成形体を破砕し、得られた破砕材料を再成形プロセスにかけて、第2の固体成形体を得ることを含む場合、(iii)による再成形プロセスの前に、このプロセスは、破砕材料の粒子をそのサイズに従って2つ以上の小部分に分離することをさらに含み、このプロセスは、最小のサイズを有していない1つの小部分又は複数の小部分の粒子の少なくとも一部分をプロセスのステップ(i)へリサイクルすることをさらに含むことが好ましく、これは、ランタン塩、コバルト塩、酸化アルミニウム化合物、酸、より好ましくは水、及び前記小部分の少なくとも一部分を含む(i)による混合物を調製することを含む。
【0065】
さらに、(i)で調製された混合物の65重量%~95重量%、より好ましくは75重量%~95重量%、さらにより好ましくは85重量%~95重量%は、ランタン塩、コバルト塩、酸化アルミニウム化合物、酸、より好ましくは水からなり、混合物の5重量%~35重量%、より好ましくは5重量%~25重量%、さらにより好ましくは5重量%~15重量%は、前記小部分からなることが特に好ましい。
【0066】
最小のサイズを有していない1つの小部分又は複数の小部分の粒子は再凝集され、好ましくは圧縮によって再凝集されることが特に好ましい。より好ましくは、得られた再凝集粒子は、(iii)による再成形でリサイクルされる。第1の代替形態として、得られた再凝集粒子は、(iii)による再成形のみでリサイクルされ、したがって(ii)から得られた第1の焼成固体成形体としてリサイクルされる。第2の代替形態として、得られた再凝集粒子は、(iii)による再成形で、(ii)から得られた第1の焼成固体成形体とともにリサイクルされる。
【0067】
さらに、(iii)による再成形プロセスは、より好ましくは打錠からなることが好ましい。
【0068】
(ii)又は(iii)から得られた固体成形体を(iv)によって焼成することに関しては、(iv)は、焼成の前に、(ii)又は(iii)から、より好ましくは(iii)から得られた固体成形体を、好ましくは50℃~250℃の範囲内、より好ましくは80℃~100℃の範囲内の温度を有するガス雰囲気中で乾燥させることを含み、ガス雰囲気は、好ましくは酸素を含み、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気のうちの1つ以上であり、乾燥は、より好ましくは5時間~22時間にわたって実行される。
【0069】
第2の固体成形体を(iv)によって焼成することに関しては、第2の固体成形体は、好ましくは1125℃~1275℃の範囲内、より好ましくは1175℃~1225℃の範囲内の温度を有するガス雰囲気中で焼成され、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含み、より好ましくは酸素、空気、又は希薄空気のうちの1つ以上であり、(iv)による焼成は、より好ましくは2時間~10時間にわたって実行される。
【0070】
さらに、固体成形体を作製するプロセスは、ステップ(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)からなることが好ましく、(iv)は、好ましくは上述したように乾燥させることを含む。これに関して、(i)は、より好ましくは(ii)の前に実施され、(ii)は、より好ましくは(iii)の前に実施され、(iii)は、より好ましくは(iv)の前に実施され、(ii)は、より好ましくは(i)の後に実施され、(iii)は、より好ましくは(ii)の後に実施され、(iv)は、より好ましくは(iii)の後に実施されることが好ましい。
【0071】
本発明について、添付の図面によってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】円筒形を有する固体成形体の縦断面図。
図2】ローロイドの形の断面領域を有する固体成形体の横断面図。
図3】ローロイドの形の断面領域を有し、開口及び溝を含む固体成形体の横断面図。
図4】側面破砕強度の判定のための試験設定を示す図。
図5】側面破砕強度の判定のための試験設定を示す図。
図6】側面破砕強度の判定のための試験設定を示す図。
図7】従来技術による固体成形体の斜視図。
図8】従来技術による固体成形体の横断面図。
図9】従来技術によるさらなる固体成形体の斜視図。
図10】ローロイドの形の断面領域を有し、開口及び溝を含む固体成形体の異なる実施形態を示す図。
図11】ローロイドの形の断面領域を有し、開口及び溝を含む固体成形体の異なる実施形態を示す図。
図12】ローロイドの形の断面領域を有し、開口及び溝を含む固体成形体の異なる実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図1は、円筒形を有する固体成形体1の縦断面図を示す。固体成形体1は、第1の底面領域3及び第2の底面領域5を含み、第1の底面領域3及び第2の底面領域5は、側面領域7によって接続される。図1の例示的な実施形態では、第1の底面領域3及び第2の底面領域5はドーム形であり、ドーム高さ35を有する。さらに、固体成形体1は、高さ19及び直径17を有する。
【0074】
図2は、ローロイド2の形の断面領域を有する固体成形体1の横断面図を示す。ローロイド2は、重なり合った3つの円4の交差によって幾何学的に形成され、各円は円半径6を有し、3つの辺8及び3つの角10を含む。3つの角10は、直径17を有する包囲円12上に位置する。直径17は、固体成形体1の直径17であると理解される。直径17及び円半径6は同じ長さである。
【0075】
図3は、ローロイド2の形の断面領域を有する固体成形体1の横断面図を示し、固体成形体1は、4つの開口11及び6つの溝9含み、溝9は少なくとも1つの溝半径13を有する。第2の半径15を有する4つの開口11は、1つの中心開口14を含む。中心開口14は、固体成形体1の中心軸30に位置する。溝9は、固体成形体1の側面7に位置する。さらに、溝9及び開口11は、固体成形体1の第1の底面領域3から第2の底面領域5へ延びる。第1の溝21は第3の半径25を有し、第3の半径25は第2の溝23の第4の半径27より小さい。
【0076】
各々の第2の溝23は、2つの第1の溝21同士の間に配置され、逆も同様である。2つの隣接する第2の溝23は、突起37によって互いから分離され、突起37は第1の溝21のうちの1つ及び開口11のうちの1つを含む。したがって、図3による固体成形体1は3つの突起37を含む。
【0077】
固体成形体1の中心軸30から開口11のうちの3つの第1の中心31までの第1の距離29は、第1の中心31が位置する円の半径として表される。
【0078】
加えて、この例示的な実施形態では、固体成形体1の中心軸30から第1の溝21の第2の中心33までの第2の距離43は、固体成形体1の中心軸30から第2の溝23の第3の中心45までの第3の距離46に等しい。
【0079】
第2の距離43は、第1の溝21の第2の中心33が位置する円の半径として表される。第2の中心33はそれぞれ想像上の円を指し、この円の弧が第1の溝21を形成する。さらに、第3の距離46は、第2の溝23の第3の中心45が位置する円の半径として表される。第3の中心45はそれぞれ想像上の円を指し、この円の弧が第2の溝23を形成する。
【0080】
図4図6は、固体成形体1の側面破砕強度の判定のための3つの異なる試験設定を示し、試験機械47内の固体成形体1は3つの異なる位置にある。図4によって、側面破砕強度Aの判定が表される。ここで、サンプル固体成形体1は試験位置にあり、溝9、具体的には第2の溝23の上に立っている。図5は、側面破砕強度Bの判定を示し、サンプル固体成形体1は突起37の上に立ち、図4に示す設定と比較してそれぞれ45°又は60°回転している。奇数の突起の場合、各突起が1つの溝に対向するため、側面破砕強度Bは側面破砕強度Aに対応する。図6によれば、側面破砕強度Cが判定され、試験機械47による試験中にサンプル固体成形体1に印加される力の方向に対して固体成形体1の開口11が平行に向けられた位置を指す。
【0081】
図7は、従来技術による固体成形体1の斜視図を示し、図8は、図7による固体成形体1の横断面図を示す。固体成形体1は、第1の底面領域3から固体成形体1を通って延びる4つの溝9及び4つの開口11を含む。
【0082】
図9は、従来技術によるさらなる固体成形体1の斜視図を示し、固体成形体1はまた、開口11と同じ数の溝9を含む。
【0083】
図10図12は、ローロイド2の形の断面領域を有する固体成形体1の異なる実施形態を示す。固体成形体の各々は、3つの開口11及び6つの溝9を含み、3つの溝9は第1の溝21であり、3つの溝9は第2の溝23である。すべての開口11が円形の断面を有する。第1の溝21の第3の半径25は、第2の溝23の第4の半径27より小さい。さらに、開口11は、隣接する開口11から等距離に配置され、第1の溝21及び第2の溝23は、固体成形体1の側面領域7内に交互に配置される。
【0084】
[実施例及び比較例]
比較例1.1、1.2、1.2.1、及び1.2.2による固体成形体の寸法を表1に要約する。所与の参照番号は、それぞれ図1及び図3を指す。
【0085】
【表1】
【0086】
それぞれ図10図12に示す実施例2.1~2.3による固体成形体の寸法を表2に要約する。
【0087】
【表2】
【0088】
すべての実施例及び比較例に関して、それぞれの固体成形体の表面、体積、及び相対重量を計算し、表3に要約する。体積は、材料で充填された体積を示し、したがって開口及び溝の内側体積を引いた固体成形体の総外側体積である。
【0089】
各固体成形体の幾何学的表面及び幾何学的体積は、各固体成形体の幾何形状のCAD(コンピュータ支援設計)モデルに基づいて、CFD(計算流体力学)シミュレーションから判定した。
【0090】
【表3】
【0091】
得られた固体成形体の特性を表4に要約し、計算値として表す。
【0092】
固体成形体層の固体成形体間の空間内の流れを記述する数値流動シミュレーションを介して、各固体成形体の幾何形状に対する圧力降下を計算した。手順は、3つの連続するステップを含んだ。第1に、各固体成形体のCADモデルを作成した。約100mmの典型的な技術反応器の内径を有するチューブを、固体成形体層を含む外側容器と見なした。容器のデジタル幾何形状及び固体成形体のデジタル幾何形状の両方をシミュレーションプログラムへ供給した。シミュレーションプログラムは、ニュートンの運動方程式を使用して、容器に充填された固体成形体の配置を計算することが可能である。
【0093】
DN100チューブ内で、周囲温度の空気及び1m/秒の空塔速度において圧力降下の計算を実行した。ガスの熱力学特性及び輸送特性に関しては、1バールの一定の動作圧及び20℃の温度の空気に対する文献値を使用した。
【0094】
各固体成形体の破砕強度とも呼ばれる側面破砕強度(SCS)を計算するために、有限要素解析などの数値方法を使用し、アルミナに基づく固体成形体の各CADモデルを適用して、側面破砕強度試験をシミュレートした。
【0095】
最小SCS/粒子体積に関しては、判定された破砕強度のうち最低の破砕強度を固体成形体の体積で割った。Levenspiel, The Chemical Reactor Omnibook, 4. Edition, Chapter 64, 1993に従って、「Small Deviation from Plug Flow」を使用して、軸方向分散係数を計算した。理想的なプラグフロー反応器の場合、Dax→0である。
【0096】
【表4】
【0097】
モデル化された固体成形体から導出された表4による結果は、同じ幾何尺度に対応する比較例に対して実施例の軸方向分散係数が向上したことを示し、実施例2.2.1及び2.2.2は、異なる収縮レベルを表す実施例2.2の縮小である。さらに、実施例2.1及び2.3では、圧力降下が減少した。それぞれ比較例1.2、1.2.1、及び1.2.2に比べて軸方向分散係数が増大した。
【0098】
CaSOから調製され、3D印刷された代表的な固体成形体を用いて、得られた固体成形体の特性をさらに研究した。
【0099】
3D印刷された固体成形体は、Z Corporation Spectrum Z510モデルを使用した3Dプリンタによって製造した。錠剤とも呼ばれる一定の組成の固体成形体を、4Dconceptsによる市販のVisiJet PXL Coreを使用する石膏(CaSO)、及び4Dconceptsによる市販のVisiJet PXL Binderを使用する結合剤を含む混合物から作った。3D印刷プロセス中、個々の固体成形体は隣接する固体成形体に接触しておらず、すべての成形体は、固体成形体の開口が成形体を通って垂直に延びるように配向された。3D印刷は、0.1mmの3D印刷層厚さで実施した。典型的には、1つの実験において、1つの固体成形体を完成させるのに約200層を塗布し、約100個の固体成形体を3D印刷した。3D印刷プロセスを完了した後、印刷された固体成形体をそれぞれ印刷チャンバ及び造形エンベロープ内に1時間放置した。その後、固体成形体を手で個々に取り出し、残留した粉末を除去した。
【0100】
3D印刷された固体成形体を、以下の測定方法に従って分析した。測定の結果を表5に要約する。比較例1.2に関して、3つの異なるサイズの固体成形体を調査した。それぞれの固体成形体を異なる収縮レベルに縮小した。
【0101】
DIN EN ISO 7500-1:2018-06による機械特性の試験が可能なZwickからのタイプBZ2.5/TS1Sの市販の材料試験機械を使用して、3D印刷された成形体の側面破砕強度を実験的に判定した。各タイプの固体成形体に対して、10個の個別の固体成形体を調査した。適用した分析方法は、0.5Nの前負荷及び10mm/分の前負荷速度を含んだ。分析速度は1.6mm/分とした。固体成形体を試験し、それによって図4図6に示すように、側面破砕強度A、側面破砕強度B、及び側面破砕強度Cの判定が可能な3つの位置を調査した。
【0102】
個々の固体成形体の直径及び高さをキャリパによって判定した。固体成形体の重量を分析天秤によって判定した。典型的には、10個の成形体を分析し、平均値を考慮した。
【0103】
【表5】
【0104】
3D印刷されたサンプルの分析は、実施例2.1に対して、試験された3つの側面破砕強度のうちの少なくとも1つの改善を示し、実施例2.2は、表4に示す高い最小SCS/粒子体積によって特徴付けられる。
【符号の説明】
【0105】
1 固体成形体
2 ローロイド
3 第1の底面領域
4 円
5 第2の底面領域
6 円半径
7 側面領域
8 辺
9 溝
10 角
11 開口
12 包囲円
13 溝半径
14 中心開口
15 第2の半径
17 固体成形体1の直径
19 固体成形体1の高さ
21 第1の溝
23 第2の溝
25 第1の溝21の第3の半径
27 第2の溝23の第4の半径
29 第1の距離
30 固体成形体1の中心軸
31 開口11の第1の中心
33 第1の溝21の第2の中心
35 ドーム高さ
37 突起
43 第2の距離
45 第2の溝23の第3の中心
46 第3の距離
47 試験機械
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】