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特表2023-536324揮発性有機化合物のガス放出が少ないポリエステル成形品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】揮発性有機化合物のガス放出が少ないポリエステル成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20230817BHJP
   C08K 3/34 20060101ALI20230817BHJP
   C08K 3/01 20180101ALI20230817BHJP
【FI】
C08L67/02
C08K3/34
C08K3/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507539
(86)(22)【出願日】2021-08-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 EP2021071564
(87)【国際公開番号】W WO2022029076
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】20189080.3
(32)【優先日】2020-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】グッベルス,エリック
(72)【発明者】
【氏名】レーエンマイアー,マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゴルディージョ ボロニオ,アルヴァロ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BG012
4J002CF063
4J002CF071
4J002DJ006
4J002FD010
4J002FD020
4J002FD170
4J002FD206
4J002GB00
4J002GC00
4J002GN00
(57)【要約】
本発明は、(i)成形品の総質量に基づいて、10質量%以上~99.99質量%の範囲の量のポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステル、(ii)成形品の総質量に基づいて、0.01質量%~10質量%の量のゼオライト材料を含む成形品に関し、ここで、ゼオライト材料は、YO及び任意にXを含み、Yは4価の元素であり、Xは3価の元素であり、ゼオライト材料がXを含む場合、ゼオライト材料は100を超えるYOのXに対するモル比を有する。さらに、本発明は、このような成形品の調製方法及びその使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)成形品の総質量に基づいて、10質量%以上~99.99質量%の範囲の量のポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステル、
(ii)成形品の総質量に基づいて、0.01質量%~10質量%の量のゼオライト材料
を含む成形品であって、
前記ゼオライト材料が、YO及び任意にXを含み、
Yが4価の元素であり、Xが3価の元素であり、前記ゼオライト材料がXを含む場合、前記ゼオライト材料が100を超えるYOのXに対するモル比を有する、成形品。
【請求項2】
前記ゼオライト材料が、100~500℃の温度範囲におけるアンモニアの温度プログラム脱着において、1.50μmol/g以下のアンモニア吸着を示し、前記アンモニアの温度プログラム脱着が参考例4に従って決定される、請求項1に記載の成形品。
【請求項3】
前記4価の元素Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の成形品。
【請求項4】
前記3価の元素Xが、B、Al、Ga、In、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項5】
前記ゼオライト材料が、10個以上のT原子の最大環径を有する骨格構造を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項6】
前記ゼオライト材料が、BEA、FAU、MFI、MWW、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、MEL、MFS、及びこれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択される骨格構造型を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項7】
前記ゼオライト材料が1~35質量%の範囲の水分吸着を示し、前記水分吸着が参考例1に従って決定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項8】
前記ゼオライト材料が0.5~25.0μmの範囲の体積基準の粒径D50を有し、前記体積基準の粒径D50が参考例6に従って決定される、請求項1から7のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項9】
前記ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルのジカルボキシレートが、アジペート、テレフタレート、セバケート、アゼレート、スクシナート及び2,5-フランジカルボキシレートのうちの1種以上を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項10】
アクリル酸ポリマーをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項11】
前記成形品が1種以上の添加剤をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の成形品。
【請求項12】
前記成形品が、前記成形品の総質量に基づいて、0質量%超~70質量%の範囲の量で前記1種以上の添加剤を含む、請求項11に記載の成形品。
【請求項13】
ポリ(ブチレン)テレフタレート及びゼオライト材料を含む成形品を調製するための方法であって、以下の工程
(i)混合物の総質量に基づいて、10質量%以上~99.99質量%の範囲の量のポリ(ブチレン)テレフタレート、混合物の総質量に基づいて、0.01質量%~10質量%の量のゼオライト材料、及び任意に混合物の総質量に基づいて、0質量%以上~70質量%の範囲の1種以上の添加剤を含む混合物を調製する工程と、
(ii)工程(i)で得られた前記混合物を成形する工程と
を含み、
前記ゼオライト材料が、YO及び任意にXを含み、
Yが4価の元素であり、Xが3価の元素であり、前記ゼオライト材料がXを含む場合、前記ゼオライト材料が100を超えるYOのXに対するモル比を有する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法によって得られる、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステル及びゼオライト材料を含む成形品。
【請求項15】
請求項1から12及び14のいずれか一項に記載の成形品の、パッケージングとしての、又は繊維、フィルム、カプセル若しくは請求項1から12及び14のいずれか一項に記載の成形品とは異なる形状を有する成形品の調製のための使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(i)成形品の総質量に基づいて、10質量%以上~99.99質量%の範囲の量のポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステル、(ii)成形品の総質量に基づいて、0.01質量%~10質量%の量のゼオライト材料を含む成形品に関し、ここで、ゼオライト材料は、YO及び任意にXを含み、Yは4価の元素であり、Xは3価の元素であり、ゼオライト材料がXを含む場合、ゼオライト材料は100を超えるYOのXに対するモル比を有する。さらに、本発明は、前記成形品の調製、及び特に低VOC放出を必要とする用途へのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルの固有の問題は、揮発性有機化合物(VOC)のガス放出である。例えば、1,4-ブタンジオールに由来する構成単位を含有するポリエステル(例えば、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT))は、揮発性有機化合物を放出することができ、ここで、特にテトラヒドロフランが典型的に全VOCの95%超を占める。放出する可能性があるその他の揮発性有機化合物としては、例えば、ブタジエン、アセトアルデヒド、フラン、アクロレイン、メタノール、1-ブテン-4-オール、及びテトラヒドロフランの誘導体が挙げられる。テトラヒドロフラン(THF)は通常、1,4-ブタンジオールに由来する構成単位のいわゆる「バックバイティング(back-biting)」反応から、特にポリエステルの末端基を形成する前記構成単位から生じる。このタイプの解重合プロセスは、特にポリエステルが溶融状態で長時間保持される場合、又は極端な条件下、例えば高温、高圧下などで処理される場合に起こるものである。
【0003】
揮発性有機化合物、特にTHFのガス放出は、特に欧州連合で移行制限が設定されているため、このようなポリエステルの使用は制限されている。より具体的には、食品接触及び医療用途において、欧州連合はTHFの移行制限を設定している。さらに、輸送部門では、車内の空気質基準によってTHFのレベルが設定されており、このレベルは通常数年おきに継続的に引き下げられている。1,4-ブタンジオール構成単位を含有する現在のポリエステル材料は、比較的高いガス放出を示し、それによってしばしば規制の閾値を超えるレベルに達する。
【0004】
EP 3004242 B1は、全有機炭素(TOC)放出が比較的少ないポリエステル成形組成物に関するものである。特に、少なくとも1種のポリアルキレンテレフタレートから構成するポリエステル、さらなるポリエステル、アクリル酸及び少なくとも1種の他のエチレン性不飽和モノマーから構成するアクリル酸ポリマーを特定量で含む熱可塑性成形組成物が開示されている。
【0005】
JP 2019 014826 Aは、樹脂と、RHO型ゼオライト、モレキュラーシーブ13X、LTA型ゼオライト、又はハイシリカゼオライトのいずれかとを含む複合物に関するものである。この樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、特にポリブチレンテレフタレート樹脂を含む。前記複合物は、低い線熱膨張係数を有することが開示されている。
【0006】
WO 2019/189337 A1は、少なくとも熱可塑性樹脂A及び臭気吸着剤を含む臭気吸着性成形物品樹脂組成物に関し、ここで、臭気吸着剤が、30/1~8000/1のSiO/Alモル比を有する疎水性ゼオライトを含み、熱可塑性樹脂Aのメルトフローレートが5~100g/分の範囲にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】EP 3004242 B1
【特許文献2】JP 2019 014826 A
【特許文献3】WO 2019/189337 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、揮発性有機化合物の低減された放出を示し、したがって、特に全有機炭素の放出に関して改善された特性を示す新規な成形品を提供することであった。本発明の特定の課題は、揮発性有機化合物の低減された放出、より具体的にはテトラヒドロフランの低減された放出を示す新規な成形品を提供することであった。さらに、本発明の目的は、そのような新規な成形品を調製するための方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステル及び特定のゼオライト材料を含む新規な成形品は、全有機炭素、特に揮発性有機化合物、より具体的にはテトラヒドロフランの低減された放出を示すことが見出された。特に、自動車用揮発性有機化合物の決定のために特に設計されたVDA277に従って試験した場合、揮発性有機化合物、特にテトラヒドロフランの放出に関して特に改善された特性を示す新規な成形品を本発明によって提供できることが見出された。
【0010】
したがって、本発明は、
(i)成形品の総質量に基づいて、10質量%以上~99.99質量%の範囲の量のポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステル、
(ii)成形品の総質量に基づいて、0.01質量%~10質量%の量のゼオライト材料
を含む成形品に関し、ここで、ゼオライト材料は、YO及び任意にXを含み、Yは4価の元素であり、Xは3価の元素であり、ゼオライト材料がXを含む場合、ゼオライト材料は100を超えるYOのXに対するモル比を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
成形品に含まれるゼオライト材料は、好ましくは参考例4に従って決定された100~500℃の温度範囲におけるアンモニアの温度プログラム脱着において、好ましくは1.50μmol/g以下、より好ましくは1.00μmol/g以下、より好ましくは0.50μmol/g以下、より好ましくは0.25μmol/g以下のアンモニア吸着を示す。
【0012】
成形品が、成形品の総質量に基づいて、好ましくは0.05~9.0質量%の範囲、より好ましくは0.10~7.5質量%の範囲、より好ましくは0.10~5.0質量%の範囲、より好ましくは0.15~3.5質量%の範囲、より好ましくは0.15~2.0質量%の範囲、より好ましくは0.2~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.2~1.0質量%の範囲の量でゼオライト材料を含む。
【0013】
成形品に含まれるゼオライト材料は、好ましくは1.2nm以下、より好ましくは0.1~1.2nmの範囲、より好ましくは0.5~1.0nmの範囲の、好ましくは参考例7に従って決定された一次細孔径を有する。
【0014】
成形品のゼオライト材料に含まれる4価の元素Yは、好ましくはSi、Sn、Ti、Zr、Ge、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはSi、Ti、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、4価の元素YがSi及び/又はTiである。
【0015】
成形品のゼオライト材料に含まれる3価の元素Xは、好ましくはB、Al、Ga、In、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはB、Al、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、4価の元素YがB及び/又はAlである。
【0016】
成形品に含まれるゼオライト材料は、その骨格構造に4価の元素Y、O、及び任意に3価の元素Xを含むことが好ましい。
【0017】
成形品に含まれるゼオライト材料は、10個以上のT原子の最大環径、好ましくは10個及び/又は12個のT原子の最大環径を有する骨格構造を有することが好ましい。
【0018】
成形品に含まれるゼオライト材料の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは97~100質量%、より好ましくは99~100質量%は、Y、O、H、及び任意にXからなる。
【0019】
成形品に含まれるゼオライト材料は、好ましくはBEA、FAU、MFI、MWW、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、MEL、MFS、及びこれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択され、より好ましくはBEA、FAU、MFI、MWW、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択され、より好ましくはBEA、MFI、FAU、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択される骨格構造型を有し、より好ましくは、このゼオライト材料がBEA型又はMFI型骨格構造を有する。
【0020】
成形品に含まれるゼオライト材料は、好ましくはTS-1ゼオライト、ベータゼオライト、シリカライト-1、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはTS-1ゼオライト、中空TS-1ゼオライト、シリカライト-1、ホウ素含有ベータゼオライト、全シリカベータゼオライト、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0021】
ゼオライト材料がXを含む場合、成形品に含まれるゼオライト材料は、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、より好ましくは400以上、より好ましくは500以上、より好ましくは500~1900の範囲、より好ましくは700~1500の範囲、より好ましくは900~1100の範囲の、YOのXに対するモル比を有する。
【0022】
成形品に含まれるゼオライト材料は、ゼオライト材料におけるYOとして計算されたYの100質量%に基づいて、好ましくは5.0質量%以下のX、より好ましくは2.0質量%以下のX、より好ましくは1.0質量%以下のX、より好ましくは0.1質量%以下のX、より好ましくは0.01質量%以下のX、より好ましくは0.001質量%以下のXを含む。
【0023】
成形品に含まれるゼオライト材料は、好ましくは参考例2に従って決定された、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、好ましくは100~250℃の範囲、より好ましくは105~200℃の範囲、より好ましくは110~175℃の範囲、より好ましくは115~150℃の範囲における最大値を有するピークを示す。
【0024】
成形品に含まれるゼオライト材料は、より好ましくは参考例2に従って決定された、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、1つの最大値を示すことが好ましい。
【0025】
成形品に含まれるゼオライト材料は、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、好ましくは1800~2550μmol/gの範囲、より好ましくは1850~2500μmol/gの範囲、より好ましくは1900~2450μmol/gの範囲、より好ましくは1950~2400μmol/gの範囲、より好ましくは1980~2390μmol/gの範囲の、好ましくは参考例2に従って決定されたテトラヒドロフラン吸着を示す。
【0026】
成形品に含まれるゼオライト材料は、水の温度プログラム脱着において、より好ましくは参考例1に従って決定されたIV型等温線を示すことが好ましい。
【0027】
成形品に含まれるゼオライト材料は、85%の相対湿度にさらされたとき、好ましくは1~35質量%の範囲、より好ましくは3~30質量%の範囲、より好ましくは5~28質量%の範囲、好ましくは9~27質量%の範囲、より好ましくは11~26.5質量%、より好ましくは12~26質量%の範囲、より好ましくは13~25.5質量%の範囲の水分吸着を示し、好ましくは、水分吸着は25℃等温条件下で測定され、好ましくは、水分吸着は参考例1に従って決定される。
【0028】
成形品に含まれるゼオライト材料は、好ましくは400~1100m/gの範囲、より好ましくは425~750m/gの範囲、より好ましくは450~600m/gの範囲の、好ましくは参考例3に従って決定されたBET比表面積を有する。
【0029】
成形品に含まれるゼオライト材料は、好ましくは0.2~7.5μmの範囲、より好ましくは0.5~5.5μmの範囲、より好ましくは0.75~3.5μmの範囲、より好ましくは1.0~2.5μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D10を有する。
【0030】
成形品に含まれるゼオライト材料は、好ましくは0.5~25.0μmの範囲、より好ましくは1.0~20.0μmの範囲、さらに好ましくは1.5~12.0μmの範囲、より好ましくは2.0~6.0μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D50を有する。
【0031】
成形品に含まれるゼオライト材料は、好ましくは1.0~35.0μmの範囲、より好ましくは2.0~25.0μmの範囲、より好ましくは3.0~12.0μmの範囲、より好ましくは3.5~9.0μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D90を有する。
【0032】
成形品は、成形品の総質量に基づいて、好ましくは30~99.0質量%の範囲、より好ましくは32.5~97.5質量%の範囲、より好ましくは32.5~95質量%の範囲、より好ましくは35~85質量%の範囲の量でポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルを含む。
【0033】
成形品に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルのジカルボキシレートは、好ましくはアジペート、テレフタレート、セバケート、アゼレート、スクシナート及び2,5-フランジカルボキシレートのうちの1種以上、より好ましくはアジペート及びテレフタレートのうちの1種以上、より好ましくはアジペートテレフタレート又はテレフタレートを含み、好ましくはこれらからなる。
【0034】
成形品が、ポリ(エチレン)テレフタレート及びポリ(プロピレン)テレフタレートのうちの1種以上をさらに含むことが好ましい。
【0035】
成形品は、ポリ(ブチレン)テレフタレートの総質量に基づいて、好ましくは30~100質量%の範囲、より好ましくは50~100質量%の範囲、より好ましくは60~100質量%の範囲の量で、ポリ(エチレン)テレフタレート及びポリ(プロピレン)テレフタレートのうちの1種以上を含む。
【0036】
成形品に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルは、好ましくは50~220の範囲、より好ましくは80~160の範囲の、好ましくはISO 1628-5:1998に従って決定された粘度数を有する。
【0037】
成形品に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルは、好ましくは1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり100meq以下、より好ましくは1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり50meq以下、より好ましくは1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり40meq以下の量の末端カルボキシ基を含む。
【0038】
成形品に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルは、好ましくは250ppm以下、より好ましくは200ppm以下、より好ましくは150ppm以下の量のTiを含む。
【0039】
成形品に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルとさらなるポリエステルとのブレンドを含むことが好ましく、より好ましくは、さらなるポリエステルが、ポリ(ブチレン)テレフタレートの繰り返し単位の成分であり、このポリエステルがポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルとは異なる。
【0040】
成形品に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルは、好ましくは全芳香族ポリエステル、より好ましくは芳香族ジカルボン酸の全芳香族ポリエステル又は芳香族ジヒドロキシ化合物の全芳香族ポリエステルを含む。
【0041】
成形品に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが全芳香族ポリエステルを含む場合、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが2~80質量%の全芳香族ポリエステルを含むことが好ましい。
【0042】
成形品に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルは、好ましくはポリカーボネート、より好ましくはハロゲンフリーポリカーボネート、より好ましくはビフェノール繰り返し単位を含むポリカーボネートを含む。
【0043】
成形品に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルがポリカーボネートを含む場合、このポリカーボネートは、好ましくは1.10~1.50の範囲、より好ましくは1.25~1.40の範囲の相対粘度nrelを示す。
【0044】
さらに、成形品に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルがポリカーボネートを含む場合、このポリカーボネートは、好ましくは10000~200000g/molの範囲、より好ましくは20000~80000g/molの範囲の、好ましくは参考例5に従って決定された平均モル質量M(質量平均モル質量)を有する。
【0045】
成形品は、成形品の総質量に基づいて、好ましくは0.01~2質量%の範囲、より好ましくは0.05~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.1~1質量%の範囲の量で、アクリル酸ポリマーをさらに含む。
【0046】
成形品がアクリル酸ポリマーをさらに含む場合、このアクリル酸ポリマーは、アクリル酸ポリマーの総質量に基づいて、好ましくは70~100質量%の範囲、より好ましくは85~100質量%の範囲の量でアクリル酸単位を含み、アクリル酸ポリマーが、アクリル酸とは異なり、モノエチレン性不飽和カルボン酸からなる群から選択されるエチレン性不飽和モノマーを、好ましくは0質量%以上~30質量%の範囲、より好ましくは0質量%以上~15質量%の範囲の量で含み、このモノエチレン性不飽和カルボン酸が、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸及びシトラコン酸の1つ以上を含む。
【0047】
さらに、成形品がアクリル酸ポリマーを含む場合、このアクリル酸ポリマーは、好ましくは1000~100000g/molの範囲、より好ましくは1000~12000g/molの範囲、より好ましくは1500~8000g/molの範囲、より好ましくは3500~6500g/molの範囲の、好ましくは参考例5に従って決定された平均モル質量M(質量平均モル質量)を有する。
【0048】
さらに、成形品がアクリル酸ポリマーを含む場合、このアクリル酸ポリマーは、好ましくは4以下、より好ましくは3以下のpHを有する。
【0049】
成形品が1種以上の添加剤をさらに含むことが好ましく、この添加剤は、酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から、より好ましくはガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0050】
成形品が1種以上の添加剤をさらに含む場合、安定剤がアルコキシメチルメラミン、アミノ置換トリアジン、立体障害フェノール、金属含有化合物、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属グリセロホスフェート、ポリアミド、立体障害アミンの1つ以上を含むことが好ましく、より好ましくは、金属含有化合物が水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及び炭酸マグネシウムの1種以上を含む。
【0051】
さらに、成形品が1種以上の添加剤をさらに含む場合、滑剤が脂肪酸及びポリオールのエステルを含むことが好ましく、好ましくは、脂肪酸が不飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸であり、好ましくは、飽和脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、飽和脂肪酸が、ステアリン酸を含み、より好ましくはステアリン酸からなり、好ましくは、不飽和脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、アルファ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、ポリオールが、トリオール、テトロール、ペントール、ヘキソール、及びそれらの2つ以上の混合物の群から選択され、より好ましくは、ポリオールが、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、トレイトール、及びペンタエリスリトールの1つ以上を含み、より好ましくは、ポリオールが、ペンタエリスリトールを含み、より好ましくはペンタエリスリトールからなる。
【0052】
さらに、成形品が1種以上の添加剤をさらに含む場合、成形品は、成形品の総質量に基づいて、好ましくは0.20~1.00質量%の範囲、より好ましくは0.35~0.70質量%の範囲、より好ましくは0.39~0.66質量%の範囲の量で滑剤を含む。
【0053】
さらに、成形品が1種以上の添加剤をさらに含む場合、ガラス繊維が、ガラス織布、ガラスマット、ガラス不織布、ガラスフィラメントロービング、及び低アルカリEガラスから作られたチョップドガラスフィラメントの1種以上を含むことが好ましく、ガラス繊維は、好ましくは5~200マイクロメータの範囲、より好ましくは8~50マイクロメータの範囲の直径を有する。
【0054】
さらに、成形品が1種以上の添加剤をさらに含む場合、耐衝撃改良剤が、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー、及び乳化ポリマーの1種以上を含むが好ましい。
【0055】
耐衝撃改良剤が、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー、及び乳化ポリマーの1種以上を含む場合、それぞれのエラストマーが均一な構造を持ち、コアシェル構造を有することが好ましく、好ましくは、コアシェル構造が、コアにおいて、1,3-ブタジエン、イソプレン、n-ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、スチレンアクリロニトリル、及びメチルメタクリレートの1つ以上の単位を含み、好ましくは、コアシェル構造が、シェルにおいて、スチレンアクリロニトリル、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、1,3-ブタジエン、イソプレン、及びエチルヘキシルアクリレートの1つ以上の単位を含む。
【0056】
さらに、耐衝撃改良剤が、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー、及び乳化ポリマーの1種以上を含む場合、乳化ポリマーが、n-ブチルアクリレート-(メタ)アクリル酸コポリマー、n-ブチルアクリレート-グリシジルアクリレートコポリマー又はn-ブチルアクリレート-グリシジルメタクリレートコポリマーからなる群から選択されることが好ましい。
【0057】
さらに、成形品が1種以上の添加剤をさらに含む場合、フィラーは、好ましくはカーボンブラック、ガラス繊維、ガラスビーズ、非晶質シリカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、チョーク、粉末石英、マイカ、硫酸バリウム、長石、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、及び針状ミネラルフィラーの1種以上、より好ましくは針状ウォラストナイトを含む。
【0058】
さらに、成形品が1種以上の添加剤をさらに含む場合、フッ素含有エチレンポリマーは、フッ素含有エチレンポリマーの総質量に基づいて、好ましくは55~76質量%の範囲、より好ましくは70~76質量%の範囲のフッ素含有量を含み、好ましくは、フッ素含有エチレンポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、及びテトラフルオロエチレンコポリマーの1種以上であり、好ましくは、成形品は、成形品の総質量に基づいて、0質量%以上~2質量%の範囲の量でフッ素含有エチレンポリマーを含む。
【0059】
さらに、成形品が1種以上の添加剤をさらに含む場合、成形品は、成形品の総質量に基づいて、好ましくは0質量%以上~70質量%の範囲、より好ましくは0.01~50質量%の範囲、より好ましくは0.1~30質量%の範囲、より好ましくは1~25質量%の範囲の量で1種以上の添加剤を含む。
【0060】
成形品は、粉末、顆粒、又は押出成形物の形態であることが好ましく、押出成形物はストランドであることが好ましい。
【0061】
成形品は、好ましくは最大50ppm、より好ましくは最大20ppm、より好ましくは最大15ppm、より好ましくは最大10ppmの、好ましくはVDA277に従って、より好ましくは実施例13に開示されたようにVDA277に従って決定された揮発性有機化合物の総放出量を有する。
【0062】
さらに、本発明は、ポリ(ブチレン)テレフタレート及びゼオライト材料を含む成形品を調製するための方法、好ましくは本明細書に開示された実施態様のいずれか1つに記載の成形品を調製するための方法に関し、この方法が、以下の工程
(i)混合物の総質量に基づいて、10質量%以上~99.99質量%の範囲の量のポリ(ブチレン)テレフタレート、混合物の総質量に基づいて、0.01質量%~10質量%の量のゼオライト材料、及び任意に混合物の総質量に基づいて、0質量%以上~70質量%の範囲の1種以上の添加剤を含む混合物を調製する工程と、
(ii)工程(i)で得られた混合物を成形する工程と
を含み、
ゼオライト材料が、YO及び任意にXを含み、Yが4価の元素であり、Xが3価の元素であり、ゼオライト材料がXを含む場合、ゼオライト材料が100を超えるYOのXに対するモル比を有する。
【0063】
方法の工程(i)による混合物の調製はミキサーで行われることが好ましい。
【0064】
方法の工程(i)による混合物の調製は、好ましくは225~300℃の範囲、より好ましくは230~280℃の範囲の混合物の温度で行われる。
【0065】
方法の工程(ii)による成形は、工程(i)から得られた混合物を、好ましくは押出機、より好ましくは二軸押出機で押し出すことを含む。
【0066】
方法の工程(ii)において、混合物を粉末、顆粒、又は押出成形物に成形することが好ましく、押出成形物はストランドであることがより好ましい。
【0067】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、好ましくは参考例4に従って決定された100~500℃の温度範囲におけるアンモニアの温度プログラム脱着において、好ましくは1.50μmol/g以下、より好ましくは1.00μmol/g以下、より好ましくは0.50μmol/g以下、より好ましくは0.25μmol/g以下のアンモニア吸着を示す。
【0068】
方法の工程(i)で調製された混合物は、混合物の総質量に基づいて、好ましくは0.05~9.0質量%の範囲、より好ましくは0.10~7.5質量%の範囲、より好ましくは0.10~5.0質量%の範囲、より好ましくは0.15~3.5質量%の範囲、より好ましくは0.15~2.0質量%の範囲、より好ましくは0.2~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.2~1.0質量%の範囲の量でゼオライト材料を含む。
【0069】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、好ましくは1.2nm以下、より好ましくは0.1~1.2nmの範囲、より好ましくは0.5~1.0nmの範囲の、好ましくは参考例7に従って決定された一次細孔径を有する。
【0070】
ゼオライト材料に含まれる4価の元素Yは、好ましくはSi、Sn、Ti、Zr、Ge、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはSi、Ti、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、4価の元素YがSi及び/又はTiである。
【0071】
ゼオライト材料に含まれる3価の元素Xは、好ましくはB、Al、Ga、In、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはB、Al、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、4価の元素YがB及び/又はAlである。
【0072】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、その骨格構造に4価の元素Y、O、及び任意に3価の元素Xを含むことが好ましい。
【0073】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、10個以上のT原子の最大環径、好ましくは10個及び/又は12個のT原子の最大環径を有する骨格構造を有することが好ましい。
【0074】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料の、好ましくは95~100質量%、より好ましくは97~100質量%、より好ましくは99~100質量%は、Si、O及びHからなり、より好ましくは、ゼオライト材料の95~100質量%、より好ましくは97~100質量%、より好ましくは99~100質量%はY、O、H、及び任意にXからなる。
【0075】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、好ましくはBEA、FAU、MFI、MWW、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、MEL、MFS、及びこれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択され、より好ましくはBEA、FAU、MFI、MWW、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択され、より好ましくはBEA、MFI、FAU、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択される骨格構造型を有し、より好ましくは、このゼオライト材料がBEA型又はMFI型骨格構造を有する。
【0076】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、好ましくはTS-1ゼオライト、ベータゼオライト、シリカライト-1、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはTS-1ゼオライト、中空TS-1ゼオライト、シリカライト-1、ホウ素含有ベータゼオライト、全シリカベータゼオライト、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0077】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、Xを含み、好ましくは200以上、より好ましくは300以上、より好ましくは400以上、より好ましくは500以上、より好ましくは500~1900の範囲、より好ましくは700~1500の範囲、より好ましくは900~1100の範囲の、YOのXに対するモル比を有する。
【0078】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、ゼオライト材料におけるYOとして計算されたYの100質量%に基づいて、好ましくは5.0質量%以下のX、より好ましくは2.0質量%以下のX、より好ましくは1.0質量%以下のX、より好ましくは0.1質量%以下のX、より好ましくは0.01質量%以下のX、より好ましくは0.001質量%以下のXを含む。
【0079】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、好ましくは参考例2に従って決定された、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、好ましくは100~250℃の範囲、より好ましくは105~200℃の範囲、より好ましくは110~175℃の範囲、より好ましくは115~150℃の範囲における最大値を有するピークを示す。
【0080】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、より好ましくは参考例2に従って決定された、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、1つの最大値を示すことが好ましい。
【0081】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、好ましくは1800~2550μmol/gの範囲、より好ましくは1850~2500μmol/gの範囲、より好ましくは1900~2450μmol/gの範囲、より好ましくは1950~2400μmol/gの範囲、より好ましくは1980~2390μmol/gの範囲の、好ましくは参考例2に従って決定されたテトラヒドロフラン吸着を示す。
【0082】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、水の温度プログラム脱着において、より好ましくは参考例1に従って決定されたIV型等温線を示すことが好ましい。
【0083】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、85%の相対湿度にさらされたとき、好ましくは1~35質量%の範囲、より好ましくは3~30質量%の範囲、さらに好ましくは5~28質量%の範囲、好ましくは9~27質量%の範囲、より好ましくは11~26.5質量%、より好ましくは12~26質量%の範囲、より好ましくは13~25.5質量%の範囲の水分吸着を示し、好ましくは、水分吸着は25℃等温条件下で測定され、好ましくは、水分吸着は参考例1に従って決定される。
【0084】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、好ましくは400~1100m/gの範囲、より好ましくは425~750m/gの範囲、より好ましくは450~600m/gの範囲の、好ましくは参考例3に従って決定されたBET比表面積を有する。
【0085】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、好ましくは0.2~7.5μmの範囲、より好ましくは0.5~5.5μmの範囲、より好ましくは0.75~3.5μmの範囲、より好ましくは1.0~2.5μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D10を有する。
【0086】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、好ましくは0.5~25.0μmの範囲、より好ましくは1.0~20.0μmの範囲、さらに好ましくは1.5~12.0μmの範囲、より好ましくは2.0~6.0μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D50を有する。
【0087】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるゼオライト材料は、好ましくは1.0~35.0μmの範囲、より好ましくは2.0~25.0μmの範囲、より好ましくは3.0~12.0μmの範囲、より好ましくは3.5~9.0μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D90を有する。
【0088】
方法の工程(i)で調製された混合物は、混合物の総質量に基づいて、好ましくは30~99.0質量%の範囲、より好ましくは32.5~97.5質量%の範囲、より好ましくは32.5~95質量%の範囲、より好ましくは35~85質量%の範囲の量でポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルを含む。
【0089】
方法の工程(i)で調製された混合物は、ポリ(エチレン)テレフタレート及びポリ(プロピレン)テレフタレートのうちの1種以上をさらに含むことが好ましい。
【0090】
方法の工程(i)で調製された混合物がポリ(エチレン)テレフタレート及びポリ(プロピレン)テレフタレートのうちの1種以上をさらに含む場合、方法の工程(i)で調製された混合物は、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルの総質量に基づいて、好ましくは30~100質量%の範囲、より好ましくは50~100質量%の範囲、より好ましくは60~100質量%の範囲の量で、ポリ(エチレン)テレフタレート及びポリ(プロピレン)テレフタレートのうちの1種以上を含む。
【0091】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルは、好ましくは50~220の範囲、より好ましくは80~160の範囲の、好ましくはISO 1628-5:1998に従って決定された粘度数を有する。
【0092】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルは、好ましくは1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり100meq以下、より好ましくは1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり50meq以下、より好ましくは1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり40meq以下の量の末端カルボキシ基を含む。
【0093】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルは、好ましくは250ppm以下、より好ましくは200ppm以下、より好ましくは150ppm以下の量のTiを含む。
【0094】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルとさらなるポリエステルとのブレンドを含むことが好ましく、より好ましくは、さらなるポリエステルが、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルの繰り返し単位の成分であり、さらなるポリエステルがポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルとは異なる。
【0095】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルとさらなるポリエステルとのブレンドを含む場合、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルは、好ましくは全芳香族ポリエステル、より好ましくは芳香族ジカルボン酸の全芳香族ポリエステル又は芳香族ジヒドロキシ化合物の全芳香族ポリエステルを含む。
【0096】
ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが全芳香族ポリエステルを含む場合、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが2~80質量%の全芳香族ポリエステルを含むことが好ましい。
【0097】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるポリエステルは、好ましくはポリカーボネート、より好ましくはハロゲンフリーポリカーボネート、より好ましくはビフェノール繰り返し単位を含むポリカーボネートを含む。
【0098】
方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるポリエステルポリカーボネートを含む場合、このポリカーボネートは、好ましくは1.10~1.50の範囲、より好ましくは1.25~1.40の範囲の相対粘度nrelを示す。
【0099】
さらに、方法の工程(i)で調製された混合物に含まれるポリエステルがポリカーボネートを含む場合、このポリカーボネートは、好ましくは10000~200000g/molの範囲、好ましくは20000~80000g/molの範囲の、好ましくは参考例5に従って決定された平均モル質量M(質量平均モル質量)を有する。
【0100】
方法の工程(i)で調製された混合物は、混合物の総質量に基づいて、好ましくは0.01~2質量%の範囲、より好ましくは0.05~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.1~1質量%の範囲の量で、アクリル酸ポリマーを含む。
【0101】
方法の工程(i)で調製された混合物がアクリル酸ポリマーを含む場合、このアクリル酸ポリマーは、アクリル酸ポリマーの総質量に基づいて、好ましくは70~100質量%の範囲、より好ましくは85~100質量%の範囲の量でアクリル酸単位を含み、アクリル酸ポリマーが、アクリル酸とは異なり、モノエチレン性不飽和カルボン酸からなる群から選択されるエチレン性不飽和モノマーを、より好ましくは0質量%以上~30質量%の範囲、より好ましくは0質量%以上~15質量%の範囲の量で含み、このモノエチレン性不飽和カルボン酸が、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸及びシトラコン酸の1つ以上を含む。
【0102】
さらに、方法の工程(i)で調製された混合物がアクリル酸ポリマーを含む場合、このアクリル酸ポリマーは、好ましくは1000~100000g/molの範囲、より好ましくは1000~12000g/molの範囲、より好ましくは1500~8000g/mol、より好ましくは3500~6500g/molの範囲の、好ましくは参考例5に従って決定された平均モル質量M(質量平均モル質量)を有する。
【0103】
さらに、方法の工程(i)で調製された混合物がアクリル酸ポリマーを含む場合、このアクリル酸ポリマーは、好ましくは4以下、より好ましくは3以下のpHを有する。
【0104】
方法の工程(i)で調製された混合物が1種以上の添加剤を含むことが好ましく、この添加剤は、酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から、より好ましくはガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0105】
方法の工程(i)で調製された混合物が酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の添加剤を含む場合、安定剤がアルコキシメチルメラミン、アミノ置換トリアジン、立体障害フェノール、金属含有化合物、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属グリセロホスフェート、ポリアミド、立体障害アミンの1つ以上を含むことが好ましく、好ましくは、金属含有化合物が水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムの1種以上を含む。
【0106】
さらに、方法の工程(i)で調製された混合物が酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の添加剤を含む場合、滑剤が脂肪酸及びポリオールのエステルを含むことが好ましく、好ましくは、脂肪酸が不飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸であり、好ましくは、飽和脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、飽和脂肪酸が、ステアリン酸を含み、より好ましくはステアリン酸からなり、好ましくは、不飽和脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、アルファ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、ポリオールが、トリオール、テトロール、ペントール、ヘキソール、及びそれらの2つ以上の混合物の群から選択され、より好ましくは、ポリオールが、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、トレイトール、及びペンタエリスリトールの1つ以上を含み、より好ましくは、ポリオールが、ペンタエリスリトールを含み、より好ましくはペンタエリスリトールからなる。
【0107】
さらに、方法の工程(i)で調製された混合物が酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の添加剤を含む場合、方法の工程(i)で調製された混合物は、工程(i)で調製された混合物の総質量に基づいて、好ましくは0.20~1.00質量%の範囲、より好ましくは0.35~0.70質量%の範囲、より好ましくは0.39~0.66質量%の範囲の量で滑剤を含む。
【0108】
さらに、方法の工程(i)で調製された混合物が酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の添加剤を含む場合、ガラス繊維が、ガラス織布、ガラスマット、ガラス不織布、ガラスフィラメントロービング、及び低アルカリEガラスから作られたチョップドガラスフィラメントの1種以上を含むことが好ましく、より好ましくは、ガラス繊維は、5~200マイクロメータの範囲、より好ましくは8~50マイクロメータの範囲の直径を有する。
【0109】
さらに、方法の工程(i)で調製された混合物が酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の添加剤を含む場合、耐衝撃改良剤が、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー、及び乳化ポリマーの1種以上を含むが好ましい。
【0110】
耐衝撃改良剤が、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー、及び乳化ポリマーの1種以上を含む場合、それぞれのエラストマーが均一な構造を持ち、コアシェル構造を有することが好ましく、好ましくは、コアシェル構造が、コアにおいて、1,3-ブタジエン、イソプレン、n-ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、スチレンアクリロニトリル、及びメチルメタクリレートの1つ以上の単位を含み、好ましくは、コアシェル構造が、シェルにおいて、スチレンアクリロニトリル、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、1,3-ブタジエン、イソプレン、及びエチルヘキシルアクリレートの1つ以上の単位を含む。
【0111】
さらに、耐衝撃改良剤が、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー、及び乳化ポリマーの1種以上を含む場合、乳化ポリマーが、n-ブチルアクリレート-(メタ)アクリル酸コポリマー、n-ブチルアクリレート-グリシジルアクリレートコポリマー又はn-ブチルアクリレート-グリシジルメタクリレートコポリマーからなる群から選択されることが好ましい。
【0112】
さらに、方法の工程(i)で調製された混合物が酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の添加剤を含む場合、フィラーは、好ましくはカーボンブラック、ガラス繊維、ガラスビーズ、非晶質シリカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、チョーク、粉末石英、マイカ、硫酸バリウム、長石、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、及び針状ミネラルフィラーの1種以上、より好ましくは針状ウォラストナイトを含む。
【0113】
さらに、方法の工程(i)で調製された混合物が酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の添加剤を含む場合、1種以上の添加剤は、好ましくはフッ素含有エチレンポリマー、より好ましくはフッ素含有エチレンポリマーの総質量に基づいて、55~76質量%の範囲、より好ましくは70~76質量%の範囲のフッ素含有量を含むフッ素含有エチレンポリマーを含み、好ましくは、フッ素含有エチレンポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、及びテトラフルオロエチレンコポリマーの1種以上であり、好ましくは、工程(i)で調製された混合物は、混合物の総質量に基づいて、0質量%以上~2質量%の範囲の量でフッ素含有エチレンポリマーを含む。
【0114】
さらに、方法の工程(i)で調製された混合物が酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の添加剤を含む場合、方法の工程(i)で調製された混合物は、混合物の総質量に基づいて、好ましくは0.01~50質量%の範囲、より好ましくは0.1~30質量%の範囲、より好ましくは1~25質量%の範囲の量で1種以上の添加剤を含む。
【0115】
またさらに、本発明は、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステル及びゼオライト材料を含む成形品に関し、ここで、この成形品が本明細書に開示された実施態様のいずれか1つに記載の方法によって得ることができる及び/又は得られる。
【0116】
またさらに、本発明は、本明細書に開示された実施態様のいずれか1つに記載の成形品の、パッケージングとして、好ましくは食品、化粧品、及び医薬品のうちの1つ以上のためのパッケージングとして、より好ましくはスキンクリーム、ヘアケア製品、デンタルケア製品、医薬品、コーヒー、コンビニ食品、肉、ジャム、乳製品の1つ以上のためのパッケージングとして、台所装置用の部品として、好ましくは飲料水と接触する部品として、又は車両の部品、好ましくは自動車内装の部品としての使用方法に関する。
【0117】
またさらに、本発明は、本明細書に開示された実施態様のいずれか1つに記載の成形品の、繊維、フィルム、又は本明細書に開示された実施態様のいずれか1つに記載の成形品とは異なる形状を有する成形品の調製のため、好ましくはカプセルの調製のための使用方法に関する。
【0118】
本発明によれば、ゼオライト材料は、細孔、特に均一なサイズの細孔を有する材料として理解することができる。典型的には、細孔は、小分子のサイズと同様の直径を有する。したがって、大きな分子は入り込むことも吸着することもできないが、小さな分子は入り込むことができる。IUPACの委員会によると、2nm(20Å)未満の孔径を有する材料をミクロ多孔性と、50nm(500Å)を超える孔径を有する材料をマクロ多孔性と、2~50nm(20~500Å)の孔径を有する材料をメソ多孔性と呼ぶことが推奨されている。
【0119】
本発明によれば、耐衝撃改良剤は、ポリマー、好ましくはゴム又はエラストマーであることができる。
【0120】
特に本発明の成形品の調製に使用されるさらなる成分の調製に関して、好適なさらなる成分を開示しているEP 3004242 B1を参照されたい。したがって、EP 3004242 B1は、その全体が本明細書に組み込まれている。
【0121】
特に本発明の成形品に含まれる添加剤に関して、好適な添加剤を開示しているUS 2003/195296 A1を参照されたい。したがって、US 2003/195296 A1は、その全体が本明細書に組み込まれる。
単位バール(abs)は1バールが10Paに等しい絶対圧力を指し、単位オングストローム(Å)は10-10mの長さを指す。
【0122】
本発明は、示されたような従属関係及び後方参照から生じる以下の一連の実施態様及び実施態様の組合せによってさらに説明される。特に、実施態様の範囲が言及される各例において、例えば、「実施態様(1)から(4)のいずれか一項」などの用語の文脈では、この範囲内のすべての実施態様が当業者に明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の文言は、「実施態様(1)、(2)、(3)、及び(4)のいずれか」と同義であると当業者に理解されることに留意されたい。
【0123】
さらに、以下の一連の実施態様は、保護の範囲を決定する一連の請求項ではなく、本発明の一般的かつ好ましい態様に向けられた説明の好適に構成された部分を表すことに明示的に留意されたい。
【0124】
実施態様(1)によれば、本発明は、
(i)成形品の総質量に基づいて、10質量%以上~99.99質量%の範囲の量のポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステル、
(ii) 成形品の総質量に基づいて、0.01質量%~10質量%の量のゼオライト材料
を含む成形品に関し、
ここで、ゼオライト材料は、YO及び任意にXを含み、Yは4価の元素であり、Xは3価の元素であり、ゼオライト材料がXを含む場合、ゼオライト材料は100を超えるYOのXに対するモル比を有する。
【0125】
実施態様(1)を具体化する好ましい実施態様(2)は前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、好ましくは参考例4に従って決定された100~500℃の温度範囲におけるアンモニアの温度プログラム脱着において、1.50μmol/g以下、好ましくは1.00μmol/g以下、より好ましくは0.50μmol/g以下、より好ましくは0.25μmol/g以下のアンモニア吸着を示す。
【0126】
実施態様(1)又は(2)を具体化する好ましい実施態様(3)は前記成形品に関し、ここで、成形品が、成形品の総質量に基づいて、0.05~9.0質量%の範囲、好ましくは0.10~7.5質量%の範囲、より好ましくは0.10~5.0質量%の範囲、より好ましくは0.15~3.5質量%の範囲、より好ましくは0.15~2.0質量%の範囲、より好ましくは0.2~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.2~1.0質量%の範囲の量でゼオライト材料を含む。
【0127】
実施態様(1)から(3)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(4)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料は、1.2nm以下、好ましくは0.1~1.2nmの範囲、より好ましくは0.5~1.0nmの範囲の、好ましくは参考例7に従って決定された一次細孔径を有する。
【0128】
実施態様(1)から(4)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(5)は、前記成形品に関し、ここで、4価の元素Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはSi、Ti、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、4価の元素YがSi及び/又はTiである。
【0129】
実施態様(1)から(5)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(6)は、前記成形品に関し、ここで、3価の元素Xが、B、Al、Ga、In、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはB、Al、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、4価の元素YがB及び/又はAlである。
【0130】
実施態様(1)から(6)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(7)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、その骨格構造に4価の元素Y、O、及び任意に3価の元素Xを含む。
【0131】
実施態様(1)から(7)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(8)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、10個以上のT原子の最大環径、好ましくは10個及び/又は12個のT原子の最大環径を有する骨格構造を有する。
【0132】
実施態様(1)から(8)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(9)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料の95~100質量%、好ましくは97~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Y、O、H、及び任意にXからなる。
【0133】
実施態様(1)から(9)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施態様(10)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、BEA、FAU、MFI、MWW、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、MEL、MFS、及びこれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択され、好ましくはBEA、FAU、MFI、MWW、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択され、より好ましくはBEA、MFI、FAU、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択される骨格構造型を有し、より好ましくは、ゼオライト材料がBEA型又はMFI型骨格構造を有する。
【0134】
実施態様(1)から(10)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(11)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、TS-1ゼオライト、ベータゼオライト、シリカライト-1、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはTS-1ゼオライト、中空TS-1ゼオライト、シリカライト-1、ホウ素含有ベータゼオライト、全シリカベータゼオライト、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0135】
実施態様(1)から(11)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(12)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料がXを含む場合、ゼオライト材料が、200以上、好ましくは300以上、より好ましくは400以上、より好ましくは500以上、より好ましくは500~1900の範囲、より好ましくは700~1500の範囲、より好ましくは900~1100の範囲の、YOのXに対するモル比を有する。
【0136】
実施態様(1)から(12)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(13)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、ゼオライト材料におけるYOとして計算されたYの100質量%に基づいて、5.0質量%以下のX、好ましくは2.0質量%以下のX、より好ましくは1.0質量%以下のX、より好ましくは0.1質量%以下のX、より好ましくは0.01質量%以下のX、より好ましくは0.001質量%以下のXを含む。
【0137】
実施態様(1)から(13)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(14)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、好ましくは参考例2に従って決定された、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、100~250℃の範囲、好ましくは105~200℃の範囲、より好ましくは110~175℃の範囲、より好ましくは115~150℃の範囲における最大値を有するピークを示す。
【0138】
実施態様(1)から(14)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(15)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、好ましくは参考例2に従って決定された、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、1つの最大値を示す。
【0139】
実施態様(1)から(15)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(16)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、1800~2550μmol/gの範囲、好ましくは1850~2500μmol/gの範囲、より好ましくは1900~2450μmol/gの範囲、より好ましくは1950~2400μmol/gの範囲、より好ましくは1980~2390μmol/gの範囲の、好ましくは参考例2に従って決定されたテトラヒドロフラン吸着を示す。
【0140】
実施態様(1)から(16)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(17)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、水の温度プログラム脱着において、好ましくは参考例1に従って決定されたIV型等温線を示す。
【0141】
実施態様(1)から(17)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(18)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、85%の相対湿度にさらされたとき、1~35質量%の範囲、好ましくは3~30質量%の範囲、より好ましくは5~28質量%の範囲、好ましくは9~27質量%の範囲、より好ましくは11~26.5質量%、より好ましくは12~26質量%の範囲、より好ましくは13~25.5質量%の範囲の水分吸着を示し、好ましくは、水分吸着が25℃等温条件下で測定され、好ましくは、水分吸着が参考例1に従って決定される。
【0142】
実施態様(1)から(18)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(19)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、400~1100m/gの範囲、好ましくは425~750m/gの範囲、より好ましくは450~600m/gの範囲の、好ましくは参考例3に従って決定されたBET比表面積を有する。
【0143】
実施態様(1)から(19)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(20)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、0.2~7.5μmの範囲、好ましくは0.5~5.5μmの範囲、より好ましくは0.75~3.5μmの範囲、より好ましくは1.0~2.5μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D10を有する。
【0144】
実施態様(1)から(20)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(21)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、0.5~25.0μmの範囲、好ましくは1.0~20.0μmの範囲、さらに好ましくは1.5~12.0μmの範囲、より好ましくは2.0~6.0μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D50を有する。
【0145】
実施態様(1)から(21)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(22)は、前記成形品に関し、ここで、ゼオライト材料が、1.0~35.0μmの範囲、好ましくは2.0~25.0μmの範囲、より好ましくは3.0~12.0μmの範囲、より好ましくは3.5~9.0μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D90を有する。
【0146】
実施態様(1)から(22)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(23)は、前記成形品に関し、ここで、成形品が、成形品の総質量に基づいて、30~99.0質量%の範囲、好ましくは32.5~97.5質量%の範囲、より好ましくは32.5~95質量%の範囲、より好ましくは35~85質量%の範囲の量でポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルを含む。
【0147】
実施態様(1)から(23)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(24)は、前記成形品に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルのジカルボキシレートが、アジペート、テレフタレート、セバケート、アゼレート、スクシナート及び2,5-フランジカルボキシレートのうちの1種以上、より好ましくはアジペート及びテレフタレートのうちの1種以上、好ましくはアジペートテレフタレート又はテレフタレートを含み、好ましくはこれらからなる。
【0148】
実施態様(1)から(24)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(25)は、前記成形品に関し、ここで、成形品が、ポリ(エチレン)テレフタレート及びポリ(プロピレン)テレフタレートのうちの1種以上をさらに含む。
【0149】
実施態様(1)から(25)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(26)は、前記成形品に関し、ここで、成形品が、ポリ(ブチレン)テレフタレートの総質量に基づいて、30~100質量%の範囲、好ましくは50~100質量%の範囲、より好ましくは60~100質量%の範囲の量で、ポリ(エチレン)テレフタレート及びポリ(プロピレン)テレフタレートのうちの1種以上を含む。
【0150】
実施態様(1)から(26)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(27)は、前記成形品に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、50~220の範囲、好ましくは80~160の範囲の、好ましくはISO 1628-5:1998に従って決定された粘度数を有する。
【0151】
実施態様(1)から(27)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(28)は、前記成形品に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり100meq以下、好ましくは1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり50meq以下、より好ましくは1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり40meq以下の量の末端カルボキシ基を含む。
【0152】
実施態様(1)から(28)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(29)は、前記成形品に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、250ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは150ppm以下の量のTiを含む。
【0153】
実施態様(1)から(29)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(30)は、前記成形品に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルとさらなるポリエステルとのブレンドを含み、好ましくは、さらなるポリエステルが、ポリ(ブチレン)テレフタレートの繰り返し単位の成分であり、このポリエステルがポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルとは異なる。
【0154】
実施態様(1)から(30)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(31)は、前記成形品に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、全芳香族ポリエステル、好ましくは芳香族ジカルボン酸の全芳香族ポリエステル又は芳香族ジヒドロキシ化合物の全芳香族ポリエステルを含む。
【0155】
実施態様(31)を具体化する好ましい実施態様(32)は、前記成形品に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが2~80質量%の全芳香族ポリエステルを含む。
【0156】
実施態様(1)から(32)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(33)は、前記成形品に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、ポリカーボネート、好ましくはハロゲンフリーポリカーボネート、より好ましくはビフェノール繰り返し単位を含むポリカーボネートを含む。
【0157】
実施態様(33)を具体化する好ましい実施態様(34)は、前記成形品に関し、ここで、ポリカーボネートが、1.10~1.50の範囲、好ましくは1.25~1.40の範囲の相対粘度nrelを示す。
【0158】
実施態様(33)又は(34)を具体化する好ましい実施態様(35)は、前記成形品に関し、ここで、ポリカーボネートが、10000~200000g/molの範囲、好ましくは20000~80000g/molの範囲の、好ましくは参考例5に従って決定された平均モル質量M(質量平均モル質量)を有する。
【0159】
実施態様(1)から(35)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(36)は、前記成形品に関し、ここで、成形品が、成形品の総質量に基づいて、0.01~2質量%の範囲、好ましくは0.05~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.1~1質量%の範囲の量で、アクリル酸ポリマーをさらに含む。
【0160】
実施態様(36)を具体化する好ましい実施態様(37)は、前記成形品に関し、ここで、アクリル酸ポリマーが、アクリル酸ポリマーの総質量に基づいて、70~100質量%の範囲、好ましくは85~100質量%の範囲の量でアクリル酸単位を含み、アクリル酸ポリマーが、アクリル酸とは異なり、モノエチレン性不飽和カルボン酸からなる群から選択されるエチレン性不飽和モノマーを、好ましくは0質量%以上~30質量%の範囲、より好ましくは0質量%以上~15質量%の範囲の量で含み、モノエチレン性不飽和カルボン酸が、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸及びシトラコン酸の1つ以上を含む。
【0161】
実施態様(36)又は(37)を具体化する好ましい実施態様(38)は、前記成形品に関し、ここで、アクリル酸ポリマーが、1000~100000g/molの範囲、好ましくは1000~12000g/molの範囲、より好ましくは1500~8000g/molの範囲、より好ましくは3500~6500g/molの範囲の、好ましくは参考例5に従って決定された平均モル質量M(質量平均モル質量)を有する。
【0162】
実施態様(36)から(38)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(39)は、前記成形品に関し、ここで、アクリル酸ポリマーが、4以下、好ましくは3以下のpHを有する。
【0163】
実施態様(1)から(39)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(40)は、前記成形品に関し、ここで、成形品が1種以上の添加剤をさらに含み、添加剤が、酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から、好ましくはガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0164】
実施態様(40)を具体化する好ましい実施態様(41)は、前記成形品に関し、ここで、安定剤がアルコキシメチルメラミン、アミノ置換トリアジン、立体障害フェノール、金属含有化合物、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属グリセロホスフェート、ポリアミド、立体障害アミンの1つ以上を含み、好ましくは、金属含有化合物が水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、及び炭酸マグネシウムの1種以上を含む。
【0165】
実施態様(40)又は(41)を具体化する好ましい実施態様(42)は、前記成形品に関し、ここで、滑剤が脂肪酸及びポリオールのエステルを含み、好ましくは、脂肪酸が不飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸であり、好ましくは、飽和脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、飽和脂肪酸が、ステアリン酸を含み、より好ましくはステアリン酸からなり、好ましくは、不飽和脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、アルファ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、ポリオールが、トリオール、テトロール、ペントール、ヘキソール、及びそれらの2つ以上の混合物の群から選択され、より好ましくは、ポリオールが、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、トレイトール、及びペンタエリスリトールの1つ以上を含み、より好ましくは、ポリオールが、ペンタエリスリトールを含み、より好ましくはペンタエリスリトールからなる。
【0166】
実施態様(40)から(42)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(43)は、前記成形品に関し、ここで、成形品が、成形品の総質量に基づいて、0.20~1.00質量%の範囲、好ましくは0.35~0.70質量%の範囲、より好ましくは0.39~0.66質量%の範囲の量で滑剤を含む。
【0167】
実施態様(40)から(43)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(44)は、前記成形品に関し、ここで、ガラス繊維が、ガラス織布、ガラスマット、ガラス不織布、ガラスフィラメントロービング、及び低アルカリEガラスから作られたチョップドガラスフィラメントの1種以上を含み、ガラス繊維が、好ましくは5~200マイクロメータの範囲、より好ましくは8~50マイクロメータの範囲の直径を有する。
【0168】
実施態様(40)から(44)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(45)は、前記成形品に関し、ここで、耐衝撃改良剤が、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー、及び乳化ポリマーの1種以上を含む。
【0169】
実施態様(45)を具体化する好ましい実施態様(46)は、前記成形品に関し、ここで、エラストマーが均一な構造を持ち、コアシェル構造を有し、好ましくは、コアシェル構造が、コアにおいて、1,3-ブタジエン、イソプレン、n-ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、スチレンアクリロニトリル、及びメチルメタクリレートの1つ以上の単位を含み、好ましくは、コアシェル構造が、シェルにおいて、スチレンアクリロニトリル、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、1,3-ブタジエン、イソプレン、及びエチルヘキシルアクリレートの1つ以上の単位を含む。
【0170】
実施態様(45)又は(46)を具体化する好ましい実施態様(47)は、前記成形品に関し、ここで、乳化ポリマーが、n-ブチルアクリレート-(メタ)アクリル酸コポリマー、n-ブチルアクリレート-グリシジルアクリレートコポリマー又はn-ブチルアクリレート-グリシジルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される。
【0171】
実施態様(40)から(47)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(48)は、前記成形品に関し、ここで、フィラーが、カーボンブラック、ガラス繊維、ガラスビーズ、非晶質シリカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、チョーク、粉末石英、マイカ、硫酸バリウム、長石、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、及び針状ミネラルフィラーの1種以上、より好ましくは針状ウォラストナイトを含む。
【0172】
実施態様(40)から(48)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(49)は、前記成形品に関し、ここで、フッ素含有エチレンポリマーが、フッ素含有エチレンポリマーの総質量に基づいて、55~76質量%の範囲、好ましくは70~76質量%の範囲のフッ素含有量を含み、好ましくは、フッ素含有エチレンポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、及びテトラフルオロエチレンコポリマーの1種以上であり、好ましくは、成形品は、成形品の総質量に基づいて、0質量%以上~2質量%の範囲の量でフッ素含有エチレンポリマーを含む。
【0173】
実施態様(40)から(49)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(50)は、前記成形品に関し、ここで、成形品が、成形品の総質量に基づいて、0質量%以上~70質量%の範囲、好ましくは0.01~50質量%の範囲、より好ましくは0.1~30質量%の範囲、より好ましくは1~25質量%の範囲の量で1種以上の添加剤を含む。
【0174】
実施態様(1)から(50)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(51)は、前記成形品に関し、ここで、成形品が、粉末、顆粒、又は押出成形物の形態であり、好ましくは、押出成形物がストランドである。
【0175】
実施態様(1)から(51)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(52)は、前記成形品に関し、ここで、成形品が、最大50ppm、好ましくは最大20ppm、より好ましくは最大15ppm、より好ましくは最大10ppmの、好ましくはVDA277に従って、より好ましくは実施例13に開示されたようにVDA277に従って決定された揮発性有機化合物の総放出量を有する。
【0176】
本発明の実施態様(53)は、ポリ(ブチレン)テレフタレート及びゼオライト材料を含む成形品を調製するための方法、好ましくは実施態様(1)から(52)のいずれか一項に記載の成形品を調製するための方法に関し、この方法が、以下の工程
(i)混合物の総質量に基づいて、10質量%以上~99.99質量%の範囲の量のポリ(ブチレン)テレフタレート、混合物の総質量に基づいて、0.01質量%~10質量%の量のゼオライト材料、及び任意に混合物の総質量に基づいて、0質量%超~70質量%の範囲の1種以上の添加剤を含む混合物を調製する工程と、
(ii)工程(i)で得られた混合物を成形する工程と
を含み、
ゼオライト材料が、YO及び任意にXを含み、Yが4価の元素であり、Xが3価の元素であり、ゼオライト材料がXを含む場合、ゼオライト材料が100を超えるYOのXに対するモル比を有する。
【0177】
実施態様(53)を具体化する好ましい実施態様(54)は、前記方法に関し、ここで、工程(i)による混合物の調製がミキサーで行われる
実施態様(53)又は(54)を具体化する好ましい実施態様(55)は、前記方法に関し、ここで、工程(i)による混合物の調製が、225~300℃の範囲、好ましくは230~280℃の範囲の混合物の温度で行われる。
【0178】
実施態様(53)から(55)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(56)は、前記方法に関し、ここで、工程(ii)による成形が、工程(i)から得られた混合物を、好ましくは押出機、より好ましくは二軸押出機で押し出すことを含む。
【0179】
実施態様(53)から(56)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(57)は、前記方法に関し、ここで、工程(ii)において、混合物を粉末、顆粒、又は押出成形物に成形し、好ましくは、押出成形物がストランドである。
【0180】
実施態様(53)から(57)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(58)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、好ましくは参考例4に従って決定された100~500℃の温度範囲におけるアンモニアの温度プログラム脱着において、1.50μmol/g以下、好ましくは1.00μmol/g以下、より好ましくは0.50μmol/g以下、より好ましくは0.25μmol/g以下のアンモニア吸着を示す。
【0181】
実施態様(53)から(58)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(59)は、前記方法に関し、ここで、工程(i)で調製された混合物が、混合物の総質量に基づいて、0.05~9.0質量%の範囲、好ましくは0.10~7.5質量%の範囲、より好ましくは0.10~5.0質量%の範囲、より好ましくは0.15~3.5質量%の範囲、より好ましくは0.15~2.0質量%の範囲、より好ましくは0.2~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.2~1.0質量%の範囲の量でゼオライト材料を含む。
【0182】
実施態様(53)から(59)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(60)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、1.2nm以下、好ましくは0.1~1.2nmの範囲、より好ましくは0.5~1.0nmの範囲の、好ましくは参考例7に従って決定された一次細孔径を有する。
【0183】
実施態様(53)から(60)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(61)は、前記方法に関し、ここで、4価の元素Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはSi、Ti、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、4価の元素YがSi及び/又はTiである。
【0184】
実施態様(53)から(61)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(62)は、前記方法に関し、ここで、3価の元素Xが、B、Al、Ga、In、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはB、Al、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、4価の元素YがB及び/又はAlである。
【0185】
実施態様(53)から(62)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(63)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、その骨格構造に4価の元素Y、O、及び任意に3価の元素Xを含む。
【0186】
実施態様(53)から(63)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(64)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、10個以上のT原子の最大環径、好ましくは10個及び/又は12個のT原子の最大環径を有する骨格構造を有する。
【0187】
実施態様(53)から(64)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(65)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料の95~100質量%、好ましくは97~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、O及びHからなり、より好ましくは、ゼオライト材料の95~100質量%、より好ましくは97~100質量%、より好ましくは99~100質量%がY、O、H、及び任意にXからなる。
【0188】
実施態様(53)から(65)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(66)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、BEA、FAU、MFI、MWW、GIS、MOR、LTA、FER、TON、MTT、MEL、MFS、及びこれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択され、好ましくはBEA、FAU、MFI、MWW、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択され、より好ましくはBEA、MFI、FAU、及びそれらの2つ以上の混合構造からなる群から選択される骨格構造型を有し、より好ましくは、ゼオライト材料がBEA型又はMFI型骨格構造を有する。
【0189】
実施態様(53)から(66)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(67)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、TS-1ゼオライト、ベータゼオライト、シリカライト-1、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはTS-1ゼオライト、中空TS-1ゼオライト、シリカライト-1、ホウ素含有ベータゼオライト、全シリカベータゼオライト、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0190】
実施態様(53)から(67)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(68)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、200以上、好ましくは300以上、より好ましくは400以上、より好ましくは500以上、より好ましくは500~1900の範囲、より好ましくは700~1500の範囲、より好ましくは900~1100の範囲の、YOのXに対するモル比を有する。
【0191】
実施態様(53)から(68)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(69)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、ゼオライト材料におけるYOとして計算されたYの100質量%に基づいて、5.0質量%以下のX、好ましくは2.0質量%以下のX、より好ましくは1.0質量%以下のX、より好ましくは0.1質量%以下のX、より好ましくは0.01質量%以下のX、より好ましくは0.001質量%以下のXを含む。
【0192】
実施態様(53)から(69)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(70)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、好ましくは参考例2に従って決定された、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、100~250℃の範囲、好ましくは105~200℃の範囲、より好ましくは110~175℃の範囲、より好ましくは115~150℃の範囲における最大値を有するピークを示す。
【0193】
実施態様(53)から(70)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(71)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、好ましくは参考例2に従って決定された、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、1つの最大値を示す。
【0194】
実施態様(53)から(71)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(72)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、テトラヒドロフランの温度プログラム脱着において、1800~2550μmol/gの範囲、好ましくは1850~2500μmol/gの範囲、より好ましくは1900~2450μmol/gの範囲、より好ましくは1950~2400μmol/gの範囲、より好ましくは1980~2390μmol/gの範囲の、好ましくは参考例2に従って決定されたテトラヒドロフラン吸着を示す。
【0195】
実施態様(53)から(72)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(73)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、水の温度プログラム脱着において、好ましくは参考例1に従って決定されたIV型等温線を示す
実施態様(53)から(73)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(74)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、85%の相対湿度にさらされたとき、1~35質量%の範囲、好ましくは3~30質量%の範囲、さらに好ましくは5~28質量%の範囲、好ましくは9~27質量%の範囲、より好ましくは11~26.5質量%、より好ましくは12~26質量%の範囲、より好ましくは13~25.5質量%の範囲の水分吸着を示し、好ましくは、水分吸着が25℃等温条件下で測定され、好ましくは、水分吸着が参考例1に従って決定される。
【0196】
実施態様(53)から(74)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(75)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、400~1100m/gの範囲、好ましくは425~750m/gの範囲、より好ましくは450~600m/gの範囲の、好ましくは参考例3に従って決定されたBET比表面積を有する。
【0197】
実施態様(53)から(75)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(76)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、0.2~7.5μmの範囲、好ましくは0.5~5.5μmの範囲、より好ましくは0.75~3.5μmの範囲、より好ましくは1.0~2.5μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D10を有する。
【0198】
実施態様(53)から(76)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(77)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、0.5~25.0μmの範囲、好ましくは1.0~20.0μmの範囲、さらに好ましくは1.5~12.0μmの範囲、より好ましくは2.0~6.0μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D50を有する。
【0199】
実施態様(53)から(77)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(78)は、前記方法に関し、ここで、ゼオライト材料が、1.0~35.0μmの範囲、好ましくは2.0~25.0μmの範囲、より好ましくは3.0~12.0μmの範囲、より好ましくは3.5~9.0μmの範囲の、好ましくは参考例6に従って決定された体積基準の粒径D90を有する。
【0200】
実施態様(53)から(78)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(79)は、前記方法に関し、ここで、工程(i)で調製された混合物が、混合物の総質量に基づいて、30~99.0質量%の範囲、好ましくは32.5~97.5質量%の範囲、より好ましくは32.5~95質量%の範囲、より好ましくは35~85質量%の範囲の量でポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルを含む。
【0201】
実施態様(53)から(79)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(80)は、前記方法に関し、ここで、工程(i)で調製された混合物が、ポリ(エチレン)テレフタレート及びポリ(プロピレン)テレフタレートのうちの1種以上をさらに含む
実施態様(80)を具体化する好ましい実施態様(81)は、前記方法に関し、ここで、工程(i)で調製された混合物が、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルの総質量に基づいて、30~100質量%の範囲、好ましくは50~100質量%の範囲、より好ましくは60~100質量%の範囲の量で、ポリ(エチレン)テレフタレート及びポリ(プロピレン)テレフタレートのうちの1種以上を含む。
【0202】
実施態様(53)から(81)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(82)は、前記方法に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、50~220の範囲、好ましくは80~160の範囲の、好ましくはISO 1628-5:1998に従って決定された粘度数を有する。
【0203】
実施態様(53)から(82)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(83)は、前記方法に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり100meq以下、好ましくは1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり50meq以下、より好ましくは1kgのポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルあたり40meq以下の量の末端カルボキシ基を含む。
【0204】
実施態様(53)から(83)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(84)は、前記方法に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、250ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは150ppm以下の量のTiを含む。
【0205】
実施態様(53)から(84)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(85)は、前記方法に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルとさらなるポリエステルとのブレンドを含み、好ましくは、さらなるポリエステルが、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルの繰り返し単位の成分であり、さらなるポリエステルがポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルとは異なる。
【0206】
実施態様(85)を具体化する好ましい実施態様(86)は、前記方法に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが、全芳香族ポリエステル、好ましくは芳香族ジカルボン酸の全芳香族ポリエステル又は芳香族ジヒドロキシ化合物の全芳香族ポリエステルを含む。
【0207】
実施態様(86)を具体化する好ましい実施態様(87)は、前記方法に関し、ここで、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステルが2~80質量%の全芳香族ポリエステルを含む
実施態様(53)から(87)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(88)は、前記方法に関し、ここで、ポリエステルが、ポリカーボネート、好ましくはハロゲンフリーポリカーボネート、より好ましくはビフェノール繰り返し単位を含むポリカーボネートを含む。
【0208】
実施態様(88)を具体化する好ましい実施態様(89)は、前記方法に関し、ここで、ポリカーボネートが、1.10~1.50の範囲、好ましくは1.25~1.40の範囲の相対粘度nrelを示す。
【0209】
実施態様(88)又は(89)を具体化する好ましい実施態様(90)は、前記方法に関し、ここで、ポリカーボネートが、10000~200000g/molの範囲、好ましくは20000~80000g/molの範囲の、好ましくは参考例5に従って決定された平均モル質量M(質量平均モル質量)を有する。
【0210】
実施態様(53)から(90)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(91)は、前記方法に関し、ここで、工程(i)で調製された混合物が、混合物の総質量に基づいて、好ましくは0.01~2質量%の範囲、より好ましくは0.05~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.1~1質量%の範囲の量で、アクリル酸ポリマーを含む。
【0211】
実施態様(91)を具体化する好ましい実施態様(92)は、前記方法に関し、ここで、アクリル酸ポリマーが、アクリル酸ポリマーの総質量に基づいて、70~100質量%の範囲、好ましくは85~100質量%の範囲の量でアクリル酸単位を含み、アクリル酸ポリマーが、アクリル酸とは異なり、モノエチレン性不飽和カルボン酸からなる群から選択されるエチレン性不飽和モノマーを、好ましくは0質量%以上~30質量%の範囲、より好ましくは0質量%以上~15質量%の範囲の量で含み、このモノエチレン性不飽和カルボン酸が、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、メチレンマロン酸及びシトラコン酸の1つ以上を含む。
【0212】
実施態様(90)又は(91)を具体化する好ましい実施態様(93)は、前記方法に関し、ここで、アクリル酸ポリマーが、1000~100000g/molの範囲、好ましくは1000~12000g/molの範囲、より好ましくは1500~8000g/mol、より好ましくは3500~6500g/molの範囲の、好ましくは参考例5に従って決定された平均モル質量M(質量平均モル質量)を有する。
【0213】
実施態様(90)から(93)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(94)は、前記方法に関し、ここで、アクリル酸ポリマーが、4以下、好ましくは3以下のpHを有する。
【0214】
実施態様(53)から(94)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(95)は、前記方法に関し、ここで、工程(i)で調製された混合物が1種以上の添加剤を含み、添加剤が、好ましくは酸化防止剤、ガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、顔料、安定剤、フィラー、酸化遅延剤、分解中和剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの混合物からなる群から、より好ましくはガラス繊維、鉱物、耐衝撃改良剤、フッ素含有エチレンポリマー、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される。
【0215】
実施態様(95)を具体化する好ましい実施態様(96)は、前記方法に関し、ここで、安定剤がアルコキシメチルメラミン、アミノ置換トリアジン、立体障害フェノール、金属含有化合物、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属グリセロホスフェート、ポリアミド、立体障害アミンの1つ以上を含み、好ましくは、金属含有化合物が水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムの1種以上を含む。
【0216】
実施態様(95)又は(96)を具体化する好ましい実施態様(97)は、前記方法に関し、ここで、滑剤が脂肪酸及びポリオールのエステルを含み、好ましくは、脂肪酸が不飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸であり、好ましくは、飽和脂肪酸が、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、飽和脂肪酸が、ステアリン酸を含み、より好ましくはステアリン酸からなり、好ましくは、不飽和脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノエライジン酸、アルファ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、及びそれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、ポリオールが、トリオール、テトロール、ペントール、ヘキソール、及びそれらの2つ以上の混合物の群から選択され、より好ましくは、ポリオールが、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、トレイトール、及びペンタエリスリトールの1つ以上を含み、より好ましくは、ポリオールが、ペンタエリスリトールを含み、より好ましくはペンタエリスリトールからなる。
【0217】
実施態様(95)から(97)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(98)は、前記方法に関し、ここで、工程(i)で調製された混合物が、工程(i)で調製された混合物の総質量に基づいて、0.20~1.00質量%の範囲、好ましくは0.35~0.70質量%の範囲、より好ましくは0.39~0.66質量%の範囲の量で滑剤を含む。
【0218】
実施態様(95)から(98)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(99)は、前記方法に関し、ここで、ガラス繊維が、ガラス織布、ガラスマット、ガラス不織布、ガラスフィラメントロービング、及び低アルカリEガラスから作られたチョップドガラスフィラメントの1種以上を含み、ガラス繊維が、好ましくは5~200マイクロメータの範囲、より好ましくは8~50マイクロメータの範囲の直径を有する。
【0219】
実施態様(95)から(99)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(100)は、前記方法に関し、ここで、耐衝撃改良剤が、エチレン-プロピレンエラストマー、エチレン-プロピレン-ジエンエラストマー、及び乳化ポリマーの1種以上を含む。
【0220】
実施態様(100)を具体化する好ましい実施態様(101)は、前記方法に関し、ここで、エラストマーが均一な構造を持ち、コアシェル構造を有し、好ましくは、コアシェル構造が、コアにおいて、1,3-ブタジエン、イソプレン、n-ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、スチレンアクリロニトリル、及びメチルメタクリレートの1つ以上の単位を含み、好ましくは、コアシェル構造が、シェルにおいて、スチレンアクリロニトリル、メチルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、1,3-ブタジエン、イソプレン、及びエチルヘキシルアクリレートの1つ以上の単位を含む。
【0221】
実施態様(100)又は(101)を具体化する好ましい実施態様(102)は、前記方法に関し、ここで、乳化ポリマーが、n-ブチルアクリレート-(メタ)アクリル酸コポリマー、n-ブチルアクリレート-グリシジルアクリレートコポリマー又はn-ブチルアクリレート-グリシジルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される。
【0222】
実施態様(95)から(102)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(103)は、前記方法に関し、ここで、フィラーが、カーボンブラック、ガラス繊維、ガラスビーズ、非晶質シリカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、チョーク、粉末石英、マイカ、硫酸バリウム、長石、アラミド繊維、チタン酸カリウム繊維、及び針状ミネラルフィラーの1種以上、より好ましくは針状ウォラストナイトを含む。
【0223】
実施態様(95)から(103)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(104)は、前記方法に関し、ここで、1種以上の添加剤が、フッ素含有エチレンポリマー、好ましくはフッ素含有エチレンポリマーの総質量に基づいて、55~76質量%の範囲、より好ましくは70~76質量%の範囲のフッ素含有量を含むフッ素含有エチレンポリマーを含み、好ましくは、フッ素含有エチレンポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、及びテトラフルオロエチレンコポリマーの1種以上であり、好ましくは、工程(i)で調製された混合物が、混合物の総質量に基づいて、0質量%以上~2質量%の範囲の量でフッ素含有エチレンポリマーを含む。
【0224】
実施態様(95)から(104)のいずれか一項を具体化する好ましい実施態様(105)は、前記方法に関し、ここで、工程(i)で調製された混合物が、混合物の総質量に基づいて、0.01~50質量%の範囲、好ましくは0.1~30質量%の範囲、より好ましくは1~25質量%の範囲の量で1種以上の添加剤を含む。
【0225】
本発明の実施態様(106)は、ポリ(ブチレンジカルボキシレート)ポリエステル及びゼオライト材料を含む成形品に関し、ここで、成形品が実施態様(53)から(105)のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる及び/又は得られる。
【0226】
本発明の実施態様(107)は、実施態様(1)から(52)及び(106)のいずれか一項に記載の成形品の、パッケージングとして、好ましくは食品、化粧品、及び医薬品のうちの1つ以上のためのパッケージングとして、より好ましくはスキンクリーム、ヘアケア製品、デンタルケア製品、医薬品、コーヒー、コンビニ食品、肉、ジャム、乳製品の1つ以上のためのパッケージングとして、台所装置用の部品として、好ましくは飲料水と接触する部品として、又は車両の部品、好ましくは自動車内装の部品としての使用方法に関する。
【0227】
本発明の実施態様(108)は、実施態様(1)から(52)及び(106)のいずれか一項に記載の成形品の、繊維、フィルム、又は実施態様(1)から(52)及び(106)のいずれか一項に記載の成形品とは異なる形状を有する成形品の調製のため、好ましくはカプセルの調製のための使用方法に関する。
【0228】
以下の実施例及び参考例によって、本発明をさらに説明する。
【実施例
【0229】
参考例1:水分吸着/脱着等温線の決定
実験セクションの実施例の水吸着特性の計算は、TA Instruments社のVTI SA装置を用いて、ステップ等温線プログラムに従って実施した。実験は、装置内部のマイクロバランスパン上に置かれたサンプル材料における1回又は一連の実行からなった。測定開始前に、サンプルを120℃まで加熱し(加熱ランプは5℃/分)、N流下で6時間保持することにより、サンプルの残留水分を除去した。乾燥プログラムの後、セル内の温度を25℃まで下げ、測定中は等温に保持した。マイクロ天びんを校正し、乾燥サンプルの質量を測定した(最大質量偏差は0.01質量%)。サンプルによる吸水量は、乾燥サンプルに対する質量の増加分として測定した。まず、サンプルが曝される相対湿度(RH)(セル内雰囲気中の水分を質量%で表す)を上昇させ、平衡状態でのサンプルの吸水量を測定することにより、吸着曲線を測定した。RHは5質量%から85質量%まで1つのステップあたり10質量%で上昇させ、システムは、各ステップで、RHを制御し、平衡状態に達するまでサンプル質量をモニターし、質量増加量を記録した。サンプルを85質量%のRHにさらした後、サンプルによる吸着水の総量を測定した。脱着測定中は、RHを85質量%から10質量%まで1つのステップあたり10質量%で下げ、サンプル質量の変化(吸水量)をモニターし、記録した。
【0230】
参考例2:THFの温度プログラム脱着(THF-TPD)の決定
熱伝導度検出器を備える自動化学吸着分析装置(Micromeritics AutoChem II 2920)で、アンモニアの温度プログラム脱着(THF-TPD)を実施した。サンプル(<0.1g)を石英管に導入し、下記のプログラムを用いて分析した。石英管内のサンプルの直上のNi/Cr/Ni熱電対で、温度を測定した。分析には、純度6.0のHeを使用した。測定の前に、校正のため、ブランクサンプルを分析した。
【0231】
1.準備:記録開始;5秒に1回測定。25℃及び50cm/分のHe流速(室温(約25℃)及び1atm)で10分間待機;10K/分の加熱速度で250℃まで加熱し;60分間保持した。He流(50cm/分)下、20K/分の冷却速度で40℃まで冷却した(サンプルランプ温度)。
【0232】
2.THFで飽和させ、40℃でパルス化学吸着を20回繰り返した。
【0233】
3.THF-TPD:記録開始;1秒に1回測定。He流(流速:50cm/分)下で、10K/分の加熱速度で400℃まで加熱し;15分間保持した。
【0234】
4.測定終了。
【0235】
Micromeriticsソフトウェアを用いて、TPD信号を水平ベースラインで積分することにより、THFの吸着量(1gのサンプル当たりmmol)を確認した。
【0236】
参考例3:BET比表面積、ラングミュア比表面積、微細孔容積、平均孔幅、及び平均孔径の決定(N
DIN 66131に開示された方法に従って、77Kで窒素物理吸着法により、BET比表面積、ラングミュア比表面積、微細孔容積、平均孔幅、及び平均孔径(N)を決定した。
【0237】
参考例4:アンモニアの温度プログラム脱着(NH-TPD)の決定
熱伝導度検出器を備える自動化学吸着分析装置(Micromeritics AutoChem II 2920)で、アンモニアの温度プログラム脱着(NH-TPD)を実施した。オンライン質量分析計(Pfeiffer Vacuum社製のOmniStar QMG200)を用いて、脱着した化学種の連続分析を行った。サンプル(0.1g)を石英管に導入し、下記のプログラムを用いて分析した。石英管内のサンプルの直上のNi/Cr/Ni熱電対で、温度を測定した。分析には、純度5.0のHeを使用した。測定の前に、校正のため、ブランクサンプルを分析した。
【0238】
1.準備:記録開始;5秒に1回測定。25℃及び30cm/分のHe流速(室温(約25℃)及び1atm)で10分間待機;20K/分の加熱速度で600℃まで加熱し;10分間保持した。He流(30cm/分)下、20K/分の冷却速度で100℃まで冷却し(炉ランプ温度);He流(30cm/分)下、3K/分の冷却速度で100℃まで冷却した(サンプルランプ温度)。
【0239】
2.NHでの飽和:記録開始;1秒に1回測定。100℃で、ガス流を、He中10%のNH(75cm/分;100℃及び1atm)の混合物に変更し;30分間保持した。
【0240】
3.余分の取り除き:記録開始;1秒に1回測定。100℃で、ガス流を、75cm/分のHe流(100℃及び1atm)に変更し;60分間保持した。
【0241】
4.NH-TPD:記録開始;1秒に1回測定。He流(流速:30cm/分)下で、10K/分の加熱速度で600℃まで加熱し;30分間保持した。
【0242】
5.測定終了。
【0243】
オンライン質量分析計で脱着したアンモニアを測定し、これは、熱伝導検出器からの信号が脱着したアンモニアに起因することを実証した。アンモニアの脱着を監視するために、これは、アンモニアからのm/z=16の信号を利用することを含んでいた。Micromeriticsソフトウェアを用いて、TPD信号を水平ベースラインで積分することにより、アンモニアの吸着量(1gのサンプル当たりmmol)を確認した。
【0244】
参考例5:ポリマーの分子量の決定
GPCにより、採用したポリエステル及びポリマーのモル質量を決定した。使用したGPCの条件は以下の通りであった:いずれもPolymer Standard Services(ドイツ、マインツ)からのSuprema Gel(HEMA)製品を使用する、2本のカラム(Suprema Linear M)と1本のプレカラム(Suprema pre-column)は、35℃で0.8ml/分の流速で運転した。使用した溶離液は、0.15MのNaClと0.01MのNaNと混合した、TRISによりpH7で緩衝化した水溶液を含んでいた。SEC/レーザー光散乱の組み合わせにより累積モル質量分布曲線を決定したNa-PAA標準を用いて、M.J.R.Cantowらの校正法(J.Polym.Sci.,A-1.5(1967)1391-1394)により校正を行ったが、その文献で提案されている濃度補正は行わなかった。50質量%水酸化ナトリウム水溶液で、すべての試料を7のpHに調整した。この溶液の一部を脱イオン水で固形分1.5mg/mlに希釈し、12時間攪拌した。その後、試料をろ過し、100μlをSartorius Minisart RC(0.2μm)に注入した。
【0245】
参考例6:粒径分布の決定
Malvern Panalytical社のMastersizer 2000(5.12G版)を用いて、平均粒径分布を測定した。サンプルを水に分散させ、得られた分散液に超音波に2分間供した。
【0246】
以下のパラメータを設定した:
- 焦点 幅:300RF mm
- ビームの長さ:10.00mm
- モジュール:MS17
- シャドーイング:16.9%
- 分散 モデル:Hydro 2000S (A)
- 分析 モデル:ユニバーサル
- 補正 :なし。
【0247】
参考例7:一次細孔径の決定
一次細孔径の決定は、国際ゼオライト協会(IZA)が公開しているデータにより(https://europe.iza-structure.org/IZA-SC/ftc_table.php参照)、すべてのゼオライト骨格について確立されている。
【0248】
多孔性の決定に関しては、全細孔容積及び吸着平均細孔幅(4V/A)の決定が特にISO 15901-2:2006を参照し、細孔容積の決定がISO 15901-3:2007を参照し、脱着平均細孔径(4V/A)の決定がDIN 66134:1998-02を参照した。
【0249】
参考例8:ゼオライトベータ(Si-ベータゼオライト)の調製
WO 2013/117537 A1の実施例6.2に従って、骨格構造型BEAを有するゼオライトを調製した。
【0250】
得られたゼオライト材料は、1.1μmのD10値、2.1μmのD50値及び4.0μmのD90値によって特徴付けられる、参考例6に従って決定された体積ベースの粒径分布を有していた。さらに、得られたゼオライト材料は、85%の相対湿度にさらされたとき、20.5質量%の、参考例1に従って決定された水分吸着を示した。さらに、100~500℃の温度範囲で0.132mmol/gの酸サイト濃度を示し、ここで、173℃での第1最大値及び480℃での第2最大値の2つの最大値が観察された(参考例4に従って決定した)。水の温度プログラム脱着では、得られたゼオライト材料は、参考例1に従って決定されるIV型等温線を示した。
【0251】
実施例1~12及び比較例0~8:ポリ(ブチレン)テレフタレート及びゼオライト材料を含む組成物の調製
出発材料として、110cm/g 10分のメルトボリュームフローレート(MVR)(ISO 1133に従い、250℃/2.0kg)を有するポリ(ブチレン)テレフタレート(PBT、BASF社のUltradur(登録商標)B1950 NAT.16kg)、及び45cm/g 10分のメルトボリュームフローレート(MVR)(ISO 1133に従い、250℃/2.0kg)を有するポリ(ブチレン)テレフタレート(PBT、BASF社のB2550 NAT.)を使用した。
さらに、2のpHを有する49%水溶液の形態で平均モル質量(M)が5000g/mol(GPCによる)のポリアクリル酸(BASF SE社のSokalan(登録商標)PA 25 XS)、及びガラス繊維(PBTに適したガラス繊維;3B社)を使用した。滑剤としては、ペンタエリスリトールのC16~C18脂肪酸エステルの混合物を使用した。
【0252】
本発明による実施例において、WO2011/064191 A1に従ってチタンシリカライト-1(TS-1)を調製し、Si-MFIゼオライトはChina Catalyst Groupから購入し(シリカライト-1、製品コード:CCG19Z02、SiO2 99.97)、Si-MFIゼオライトはClariantから入手し(TCP9024)、ZSM-5ゼオライト(Zeoflair 100)はZeochemから入手し、B-ベータゼオライトはWO 2013/117537 A1の実施例6.1に従って調製し、Si-ベータゼオライトはTWRDから入手し(Si-ベータ TWRD)、Si-ベータゼオライト(Si-Beta BASF)はWO 2013/117537 A1の例6.2に従って、参考例8で概説したように調製した。
【0253】
比較例1~8においては、3つの異なるゼオライトY(80、30、60のSARを有し;それぞれCBV780、CBV720、及びCBV760;全てZeolystから購入した)、アンモニウムゼオライトY(12のSARを有するZeolystからのCBV712)、ナトリウムゼオライトY(5.1のSARを有するZeolystからのCBV100)、及びナトリウムAゼオライト(2.5のSARを有するモレキュラーシーブ13X;Alfa Aesar社;US 4,061,662に従い)を使用した。使用した材料の特性の概要は表1に見出すことができる。
【0254】
【表1】
【0255】
得られた成形品が、成形品の総質量に基づいて1又は2質量%のゼオライト材料を含むように、ゼオライト材料を使用した。したがって、表2及び3に記載している出発材料及びその量を用いて、本発明による実施例も比較例も調製したが、比較例0及び7はゼオライト材料を使用せずに調製し、比較例8は、30質量%のガラス繊維及び0.4質量%のカーボンブラック(B4500中25%のPrintex 60)を含む組成物を得るために、ガラス繊維(平均直径10μm、エポキシシランサイジングあり)を使用して調製した。
【0256】
【表2】
【0257】
【表3】
【0258】
【表4】
【0259】
二軸押出機を用いて、DSMミニ押出機に240℃の溶融温度で、比較例0~6及び本発明による実施例1~7(表2及び3参照)において、ポリ(ブチレンテレフタレート)(含水量0.04質量%未満)、ポリアクリル酸及び滑剤をゼオライト材料と共に押出した。ポリ(ブチレンテレフタレート)及びゼオライト材料を秤量し、80℃で一晩乾燥させた。得られた乾燥混合物を予熱したDSMミニ押出機に入れ、ポリアクリル酸溶液を添加した。この混合物を3分間配合させ、この時間後に溶融物を放出し、造粒した。
【0260】
二軸押出機(ZE40AUTXi)を用いて、265~275℃の溶融温度、80kg/hの総スループット、190rpmの間の回転数で、比較例7~8及び本発明による実施例8~12において、ポリ(ブチレンテレフタレート)(含水量0.04質量%未満)、ポリアクリル酸をゼオライト材料と共に押出した。ポリ(ブチレンテレフタレート)及びゼオライト材料をコールドフィードで供給し、ポリアクリル酸溶液をホットフィード(押出機のゾーン4)で添加した。押出機ハウジングの押出機温度は280℃であり、押出機は、30の長さ/直径比、及び5×4mmのノズルを有していた。実施例の組成は、表4に見出すことができる。得られた押出物をさらに使用することができる顆粒に造粒した。以下に示すように、GCによって試料を分析した。射出成形を用いて、顆粒を、60×60×1mmの大きさのプラークにさらに加工した。260℃の溶融温度、60℃の鋳型温度、及び150~1000バールの射出圧力を用いて、射出成形を行った。この方法を用いて、表4に示すサンプルを調製した。
【0261】
実施例13:VOCガス放出の決定
TOC(=有機炭素排出総量)の決定において、自動車工業会の標準法であるVDA 277に従って、放出分析を行った。VDA 277を使用して、自動車に使用される非金属材料の炭素排出を調査する。
【0262】
試験手順VDA 277(ドイツ語:「Pruefvorschrift VDA 277」;Volkswagen社のVW-Norm PV3341に相当)に従って、全ての比較例0~8及び本発明による実施例1~12を、それらのVOCガス放出に関して試験した。
【0263】
VDA 277に従って、以下の条件を適用した。各試験を3回行い、その結果を平均化した。1回の試験では、10~25mgの範囲の質量を有する顆粒を含むサンプル2gを、密閉可能な円筒形フラスコ(ドイツ語:「Head-Space-Glaeschen」)に入れた。サンプル相及びいわゆるヘッドスペース相を含むように、このフラスコを密閉した。次に、顆粒を120℃の温度で5時間加熱し、顆粒をヘッドスペース相にガス放出させた。加熱後、直ちにガス相をガスクロマトグラフィーで分析し、ガス放出を決定した。その結果を以下の表5及び表6に示している。
【0264】
【表5】
【0265】
【表6】
【0266】
VOCガス放出の測定結果から分かるように、本発明による実施例1~12は、いずれも比較例0~8より比較的低い放出を示している。特に、VDA 277に従って決定されたガス放出に関して、本発明により実施例では、比較的低いガス放出が見出されている。同様に、本発明による実施例は比較例よりも比較的低いTHF放出も示している。
【0267】
引用文献
- EP 3004242 B1
- JP 2019 014826 A
- WO 2019/189337 A1
- US 2003/195296 A1
【国際調査報告】