IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

特表2023-536329分岐状ポリアスパラギン酸エステル及びその調製
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-24
(54)【発明の名称】分岐状ポリアスパラギン酸エステル及びその調製
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/685 20060101AFI20230817BHJP
   C08G 18/46 20060101ALI20230817BHJP
【FI】
C08G63/685
C08G18/46 015
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507565
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(85)【翻訳文提出日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2021071681
(87)【国際公開番号】W WO2022029130
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】20189411.0
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー-クリスタドロ,アンナ マリーア
(72)【発明者】
【氏名】ブルッホマン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェダ,ダヴィド
【テーマコード(参考)】
4J029
4J034
【Fターム(参考)】
4J029AA01
4J029AB01
4J029AD01
4J029AD02
4J029AD03
4J029AE11
4J029AE13
4J029AE17
4J029BA01
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029BA07
4J029BA08
4J029BA09
4J029BA10
4J029BD02
4J029BD03A
4J029BF09
4J029BF10
4J029BF17
4J029BF18
4J029BF25
4J029CA01
4J029CA03
4J029CA06
4J029CH01
4J029DA06
4J029DA10
4J029FB16
4J029FC02
4J029FC03
4J029FC04
4J029FC05
4J029FC07
4J029FC08
4J029FC29
4J029GA13
4J029GA14
4J029JA251
4J029JB131
4J029JC021
4J029JC031
4J029JC072
4J029JF221
4J029JF321
4J029JF371
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE05
4J034DA01
4J034DB05
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF32
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC35
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034RA07
(57)【要約】
本発明は、酸成分と、ジオール成分と、ポリオール成分とによって形成される分岐状ポリエステルであって、酸成分が、式(I)(式中、Rは、水素、又は1~20個の炭素原子を有する炭化水素であり、炭化水素中、1個又は複数個の炭素原子が酸素によって置換可能であるが、ただし、置換される炭素は第一級炭素原子ではなく、2個以上の酸素が炭素原子を置換する場合、隣接する酸素原子の間に少なくとも2個の炭素原子が存在する)のアミノジカルボン酸を含み、ジオール成分がジオールを含み、ポリオール成分がポリオールを含み、並びに酸成分が、ジオール成分及びポリオール成分とカルボン酸エステル基を形成し、破線が、共有する酸素を介してのジオール又はポリオールへの結合を示し、ジオール成分とポリオール成分とのモル比が、2:1~1:2の範囲であることを特徴とする、分岐状ポリエステルに関する。本発明は、前記分岐状ポリエステルの調製方法、前記分岐状ポリエステルとポリイソシアネートとの反応生成物、及び前記反応生成物の使用にさらに関する。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸成分と、ジオール成分と、ポリオール成分とによって形成される分岐状ポリエステルであって、前記酸成分が、式(I)
【化1】
(式中、Rは、水素、又は1~20個の炭素原子を有する炭化水素であり、前記炭化水素中、1個又は複数個の炭素原子が酸素によって置換可能であるが、ただし、前記置換される炭素は第一級炭素原子ではなく、2個以上の酸素が炭素原子を置換する場合、隣接する酸素原子の間に少なくとも2個の炭素原子が存在する)のアミノジカルボン酸を含み、
前記ジオール成分がジオールを含み、
前記ポリオール成分が、少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリオール、好ましくはトリオール又はテトラオール、より好ましくはトリオールを含み、
前記酸成分が、前記ジオール成分及び前記ポリオール成分とカルボン酸エステル基を形成し、破線が、共有する酸素を介しての前記ジオール又は前記ポリオールへの結合を示し、
ジオール成分とポリオール成分とのモル比が、2:1~1:2の範囲であることを特徴とする、分岐状ポリエステル。
【請求項2】
前記酸成分が1種のアミノジカルボン酸からなることを特徴とする、請求項1に記載の分岐状ポリエステル。
【請求項3】
が1~20個の炭素原子を有する炭化水素であり、前記炭化水素中、1個又は複数個の炭素原子が酸素によって置換可能であるが、ただし、前記置換される炭素は第一級炭素原子ではなく、2個以上の酸素が炭素原子を置換する場合、隣接する酸素原子の間に少なくとも2個の炭素原子が存在し、好ましくは炭化水素原子は3~10個の炭素原子を有し、1個又は2個の炭素原子が酸素原子によって置換可能である、請求項1又は2に記載の分枝状ポリエステル。
【請求項4】
が、n-ブチル、tert.-ブチル、n-ペンチル、n-オクチル、2-エチル-1-ヘキシル、シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル及び3-メトキシプロピル、からなる群から選択され、好ましくは2-エチル-1-ヘキシルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の分枝状ポリエステル。
【請求項5】
前記ジオール成分が1種のジオールからなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の分岐状ポリエステル。
【請求項6】
前記ジオールが、トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール及び2-エチル-1,3-ヘキサンジオールからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の分岐状ポリエステル。
【請求項7】
前記ポリオール成分が、1種のポリオール、好ましくはトリオール又はテトロール、より好ましくはトリオールからなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の分岐状ポリエステル。
【請求項8】
前記ポリオールがトリオールであり、好ましくは前記トリオールが、グリセロール、ブタン-1,2,4-トリオール、n-ペンタン-1,2,5-トリオール、n-ペンタン-1,3,5-トリオール、n-ヘキサン-1,2,6-トリオール、n-ヘキサン-1,2,5-トリオール、n-ヘキサン-1,3,6-トリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールメタン又は上記三官能性アルコール若しくはそのアルコキシレートの混合物であり、好ましくは前記トリオールがトリメチロールプロパン又はグリセロール、好ましくはトリメチロールプロパンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の分岐状ポリエステル。
【請求項9】
ジオール成分とポリオール成分とのモル比が1.5:1~1:1.5の範囲である、請求項1~8のいずれか一項に記載の分岐状ポリエステル。
【請求項10】
酸成分と、ジオール成分及びポリオール成分の合計とのモル比が1:2~2:1の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載の分岐状ポリエステル。
【請求項11】
(a)酸成分をジオール成分及びポリオール成分の混合物と反応させるステップであって、前記酸成分が活性化マレイン酸又は活性化フマル酸、好ましくは活性化マレイン酸を含み、前記ジオール成分がジオールを含み、前記ポリオール成分がポリオールを含み、
前記酸成分が前記ジオール成分及び前記ポリオール成分とカルボン酸エステル基を形成し、ジオール成分とポリオール成分とのモル比が2:1~1:2の範囲であることを特徴とするステップと;
(b)ステップ(a)から得られた生成物をアザ-マイケル(aza-Michael)付加反応においてR-NH(式中、Rは請求項1に示される意味を有する)と反応させ、分岐状ポリエステルを得るステップと
を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の分岐状ポリエステルの調製方法。
【請求項12】
前記酸成分が、1種の活性化マレイン酸又は1種の活性化フマル酸、好ましくは1種の活性化マレイン酸からなる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記活性化マレイン酸が、無水マレイン酸、マレイン酸とC1~4アルキルアルコールとのジエステル又はマレイン酸のジハライド、好ましくは無水マレイン酸である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の分岐状ポリエステルと、2又は2を超える官能性を有するイソシアネートとの反応生成物。
【請求項15】
接着剤、印刷インク、コーティング、フォーム、被覆材及び塗料における請求項14に記載の反応生成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸成分、ジオール成分及びポリオール成分によって形成される分岐状ポリエステル(分岐状ポリアスパラギン酸エステル)に関する。本発明は、さらに前記分岐状ポリエステルの調製方法、前記分岐状ポリエステルとポリイソシアネートとの反応生成物、及び前記反応生成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
第二級アミン基を有する分岐状ポリアスパラギン酸エステル(PAE)はイソシアネートに対して適度な反応性を示す。これらの化合物の適度な反応性は、2Kポリウレタン/ポリウレアコーティング、グルー、及びエポキシ系などの用途において大きな利点となる可能性がある。
【0003】
ポリアスパラギン酸エステルは、それらの構造中にモノ-N-置換アスパラギン酸単位を含むポリマーである。名前に反して、これらのポリマーはアスパラギン酸からではなく、不飽和ポリエステル(UPE)及び第一級アミンからアザ-マイケル(Aza-Michael)付加を使用して合成される。この反応の生成物は、第二級アミン基を介して骨格鎖に連結された側鎖を有するポリエステル骨格鎖を含有する。
【0004】
米国特許出願公開第2005/0059791A1号明細書には、例えば、マレイン酸ジエチルと1,4-ブタンジオールとの反応、及びその後の1,6-ヘキサンジアミンのようなポリアミンによる付加によって形成される可撓性のポリアスパラギン酸エステルが記載されている。
【0005】
独国特許出願公開第4244030A1号明細書には、アミノ基含有ポリエステル樹脂が記載されている。実施例1では、1ヘキサンジオール-1,6、トリメチロールプロパン、1,4-(ジヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、アジピン酸及び無水マレイン酸、ここでジオールとトリオールとのモル比は4:1であり、その後、第一級アミンと反応させる。
【0006】
独国特許出願公開第1157773A1号明細書には、アミノポリエステルからのポリウレタンの調製が記載されている。実施例A14では、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、アジピン酸及び無水マレイン酸を互いに反応させ、ここでジオールとトリオールとのモル比は17:1であり、その後、シクロヘキシルアミンと反応させる。
【0007】
米国特許第2,969,335A号明細書には、ポリエステルと第一級アミンとの反応生成物が記載されている。実施例14では、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン及び無水マレイン酸の混合物からポリエステルが形成され、ここでジオールとトリオールとのモル比は15:1である。
【0008】
マレイン酸ジエチルと脂肪族ジアミンとの低分子量アスパラギン酸エステルの形態の同様の化合物は、CovestroによってDesmophen(登録商標)NHという名称で既に生産されている。
【0009】
Desmophen(登録商標)NH製品は、ポリイソシアネートの共反応剤(反応性希釈剤)であり、2成分ポリウレタントップコート及び無溶媒コーティング材の配合を可能にする。
【0010】
Desmophen(登録商標)NHの合成に使用されるアミンの構造を変更することにより、第二級アミンの反応性を大幅に調整することができ、それによって、ポットライフ及び乾燥時間のパラメータを幅広い範囲で調整することが可能になる。
【0011】
分枝状ポリアスパラギン酸エステルは当技術分野において既知であるが、適度な硬化時間、UV安定性、薄膜から適度な膜厚までの形成、高い耐薬品性及び耐摩耗性、並びに高い固形分などのコーティング用途において十分にバランスのとれた特性を有する新規分枝状ポリアスパラギン酸エステルを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、そのような分岐状ポリアスパラギン酸エステルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、酸成分と、ジオール成分と、ポリオール成分とによって形成される分岐状ポリエステルであって、酸成分が、式(I)
【化1】
(式中、Rは、水素、又は1~20個の炭素原子を有する炭化水素であり、炭化水素中、1個又は複数個の炭素原子が酸素によって置換可能であるが、ただし、置換される炭素は第一級炭素原子ではなく、2個以上の酸素が炭素原子を置換する場合、隣接する酸素原子の間に少なくとも2個の炭素原子が存在する)のアミノジカルボン酸を含み、
ジオール成分がジオールを含み、
ポリオール成分が、少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリオール、好ましくはトリオール又はテトラオール、より好ましくはトリオールを含み、
酸成分が、ジオール成分及びポリオール成分とカルボン酸エステル基を形成し、破線が、共有する酸素を介してのジオール又はポリオールへの結合を示し、
ジオール成分とポリオール成分とのモル比が、2:1~1:2の範囲であることを特徴とする、分岐状ポリエステルによって達成される。
【0014】
驚くべきことに、本発明の分岐状ポリエステルにおける分岐度を調整するために、特定の比率、すなわちモル比2:1~1:2のジオール及びポリオールの混合物を使用することにより、上記の良好な特性を見出すことができることが見出された。分岐状ポリエステルの溶液粘度は著しく低いことが見出された。このことは、所与の粘度に対する溶媒の量を低減することに役立ち、最終配合物中のより高い固形分量を生じる。このことは、つまり、ポリイソシアネートとの反応後のポリウレタン材料の特性、例えば、このポリウレタンから得られるコーティングの粘度及び反応性に関して、乾燥及び硬化の観点から、改善された特性をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の分岐状ポリアスパラギン酸エステルは、典型的には500~5000g/モルの間のモル質量Mnを有する。本発明の分岐状ポリアスパラギン酸エステルは、酢酸ブチル中65重量%で溶解し、好ましくは可能な限り低い粘度を有する。好ましくは、本発明の分岐状ポリアスパラギン酸エステルは、適度であり且つ理想的に調整可能な反応性を示し、ゼロに近い総酸価を有し得る。
【0016】
本発明の分岐状ポリエステルは、カルボン酸エステル基が酸成分によって形成されているポリエステルである。前記酸成分は、式(I)のアミノジカルボン酸を含み、好ましくは式(I)のアミノジカルボン酸からなる。このアミノジカルボン酸は、RをN-置換基とするアスパラギン酸誘導体として命名することも可能である。また、好ましくはないが、酸成分は、2種以上のアミノジカルボン酸を含むことも可能である。さらに本発明の分岐状ポリエステルが、式(I)のアミノジカルボン酸、好ましくはマレイン酸又はフマル酸の形成のための出発物質として、シュウ酸、マロン酸又はアジピン酸のようなモノカルボン酸及びジカルボン酸、特に不飽和ジカルボン酸などの酸成分をさらに含むことも可能である。これらの酸のカルボン酸基は、反応させることも、未反応のままであることも可能である。好ましくは、未反応の出発物質を除き、さらなるカルボン酸又はジカルボン酸は含まれない。
【0017】
は、水素又は1~20個の炭素原子を有する炭化水素である。好ましくは、Rは水素以外である。Rが水素以外である場合、Rは非環状であっても環状であってもよい。Rが非環式である場合、直鎖状又は分枝状であり、及び飽和又は不飽和であることが可能である。好ましくは、Rは飽和、すなわち、1~20個の炭素原子を有するアルキル基であり、ここでアルキル基は直鎖状又は分枝状であり、好ましくは分枝状である。Rが環状である場合、Rは1個又は複数個の環を有することが可能であり、これらは互いに連結しているか、又は縮合していることが可能である。環状Rは、飽和又は不飽和、特に芳香族であることが可能である。しかしながら、Rが飽和であり、1つの環のみを有することが好ましい。
【0018】
非環状炭化水素は、1個又は複数個の環状炭化水素によって置換されることが可能であり、両者はRを形成する。そのような状況では、炭素の総数は非環状炭素と環状炭素との合計であり、数20を超えないことは明らかである。一例として、7個の炭素原子を有するシクロヘキシルメチルが挙げられる。
【0019】
環状炭化水素は、1個又は複数個の非環状炭化水素によって置換されることが可能であり、両者はRを形成する。そのような状況では、炭素の総数は環状炭素と非環状炭素との合計であり、数20を超えないことは明らかである。一例として、7個の炭素原子を有するメチルシクロヘキシルが挙げられる。
【0020】
の炭化水素において、1個又は複数個の炭素原子を酸素によって置換することが可能であるが、置換される炭素は第一級炭素原子ではないことが条件である。したがって、酸素はエーテル基のみを形成することが可能であり、ヒドロキシル基を形成することはできない。
【0021】
さらに、2個以上の酸素が炭素原子を置換する場合、-O-C-O-構造又はO-O-構造を防ぐために、隣接する酸素原子の間に少なくとも2個の炭素原子が存在することが好ましい。
【0022】
好ましくは、Rは、3~10個の炭素原子を有する炭化水素原子であり、ここで1個又は2個の炭素原子は酸素原子によって置換可能である。より好ましくは、Rは、n-ブチル、tert.-ブチル、n-ペンチル、n-オクチル、2-エチル-1-ヘキシル、シクロヘキシル、2-メチルシクロヘキシル及び3-メトキシプロジルからなる群から選択され、より好ましくは、Rは2-エチル-1-ヘキシルである。
【0023】
ジオール成分は、ジオールを含み、好ましくはジオールからなる。ジオールという用語は、官能基として2個のヒドロキシル基を示す有機化合物を意味する。ジオールは、小モノマー分子であることも、又は繰り返し単位を示すポリマー分子であることも可能である。例示的なジオールは、エチレングリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2,2-ジメチル-プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブタン-2,3-ジオール、ペンタン-1,2-ジオール、ペンタン-1,3-ジオール、ペンタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ペンタン-2,3-ジオール、ペンタン-2,4-ジオール、ヘキサン-1,2-ジオール、ヘキサン-1,3-ジオール、ヘキサン-1,4-ジオール、ヘキサン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘキサン-2,5-ジオール、ヘプタン-1,2-ジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,5-ヘキサジエン-3,4-ジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ピナコ-ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールHO(CHCHO)-H又はポリプロピレングリコールHO(CH(CH)CHO)-H又は上記化合物の2種以上の代表物の混合物であり、nは4~10の整数である。また、上記ジオール中のヒドロキシル基の一方又は両方がSH基によって置換されていることも可能である。トリエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール及び2-エチル-1,3-ヘキサンジオールが好ましい。
【0024】
ポリオール成分は、少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリオールを含む。好ましくは、ポリオールは、トリオール又はテトロール、或いはトリオール及びテトロールを含み、より好ましくはトリオール又はテトロールを含み、さらに好ましくはトリオールを含む。好ましくは、ポリオール成分は、少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリオールからなる。好ましくは、ポリオールは、トリオール又はテトロール、或いはトリオール及びテトロールからなり、より好ましくはトリオール又はテトロールからなり、さらに好ましくはトリオールからなる。トリオールという用語は、官能基として3個のヒドロキシル基を示す有機化合物を意味する。トリオールは、小モノマー分子であることも、又は繰り返し単位を示すポリマー分子であることも可能である。例示的なトリオールは、グリセロール、ブタン-1,2,4-トリオール、n-ペンタン-1,2,5-トリオール、n-ペンタン-1,3,5-トリオール、n-ヘキサン-1,2,6-トリオール、n-ヘキサン-1,2,5-トリオール、n-ヘキサン-1,3,6-トリオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、トリメチロールメタン又は上記の三官能性アルコールの混合物である。上記のトリオールをベースとするエトキシレート、プロポキシレート又は混合エトキシレート/プロポキシレートオリゴマー及びポリマーなどのさらにそのアルコキシレートを使用することが可能である。好ましくは、グリセロール及びトリメチロールプロパンであり、より好ましくは、トリオールはトリメチロールプロパンである。
【0025】
テトロールという用語は、官能基として4個のヒドロキシル基を示す有機化合物を意味する。テトロールは、小モノマー分子であることも、又は繰り返し単位を示すポリマー分子であることも可能である。例示的なテトロールは、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン二量体、エリスリトール、或いは出発成分として上記テトロールをベースとするエトキシレート、プロポキシレート又は混合エトキシレート/プロポキシレートオリゴマー及びポリマーである。より好ましくは、テトロールはペンタエリスリトール又はジグリセロールである。
【0026】
好ましくは、ジオール成分とポリオール成分とのモル比は、1.5:1~1:1.5、より好ましくは1.2:1~1:1.2、さらに好ましくは1.1:1~1:1.1の範囲、特に1:1である。
【0027】
好ましくは、酸成分と、ジオール成分及びポリオール成分の合計とのモル比は、1:2~2:1、より好ましくは1.5:1~1:1.5、さらに好ましくは1:2:1~1:1.2、さらに好ましくは1.1:1~1:1.1の範囲、特に1:1である。
【0028】
例として、シス二重結合はトランス二重結合よりもアミンのアザ-マイケル付加に対してはるかに反応性が高いため、活性化マレイン酸としてのマレイン酸の誘導体(例えば、マレイン酸ジエチル及び無水マレイン酸)を二重結合源として選択することも可能である。しかしながら、フマル酸も使用することができる。
【0029】
合成の例示的な第一段階では、マレイン酸誘導体と選択されたジオール(HO-R-OH)及びトリオール(R(OH))との重縮合により、分岐状不飽和ポリエステル構造(ある量のマレイン酸はトランス配置に変換される)が得られる。
【化2】
【0030】
合成の例示的な第2段階では、分枝状不飽和ポリエステルは、アザ-マイケル付加を介して第一級モノアミンR-NHによって変性される。
【化3】
【0031】
したがって、本発明の別の態様は、
(a)酸成分をジオール成分及びポリオール成分の混合物と反応させるステップであって、酸成分が活性化マレイン酸又は活性化フマル酸、好ましくは活性化マレイン酸を含み、ジオール成分がジオールを含み、ポリオール成分がポリオールを含み、
酸成分がジオール成分及びポリオール成分とカルボン酸エステル基を形成し、ジオール成分とポリオール成分とのモル比が2:1~1:2の範囲であることを特徴とするステップと;
(b)ステップ(a)から得られた生成物をアザ-マイケル付加反応においてR-NH(式中、Rは上記で示される意味を有する)と反応させ、分岐状ポリエステルを得るステップと
を含む、本発明の分岐状ポリエステルの調製プロセスである。
【0032】
好ましくは、酸成分は、1種の活性化マレイン酸又は1種の活性化フマル酸からなり、より好ましくは1種の活性化マレイン酸からなる。好ましくは、活性化マレイン酸は、無水マレイン酸、マレイン酸とC1~4アルキルアルコールとのジエステル、又はマレイン酸のジハライドであり、より好ましくは無水マレイン酸である。フマル酸についても同様である。
【0033】
本発明の分岐状ポリエステルをポリイソシアネートと反応させることができる。したがって、本発明の別の態様は、本発明の分岐状ポリエステルと、官能性が2(ジイソシアネート)の又は2を超える(ポリイソシアネート)イソシアネートとの反応生成物である。前記反応生成物は、コーティング用途に使用することができる。
【0034】
本発明によれば、「ポリイソシアネート」という用語は、少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリマー化合物のモノマー性オリゴマーを意味する。ポリイソシアネートの例は、脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂環族ジイソシアネート、例えば、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)である。
【0035】
好ましい脂肪族ポリイソシアネートは、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン及びメチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)である。
【0036】
好適な芳香族ジイソシアネートは、特にナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トルイレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート(MDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル(TODI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ジフェニルエタン4,4’-ジイソシアネート(EDI)及びポリマージフェニルメタンジイソシアネート(ポリマーMDI)である。
【0037】
また、本発明に関して、より高官能性のイソシアネート、例えばトリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン4,4’,4’’-トリイソシアネート、及び上記のジイソシアネートのイソシアヌレート、及びジイソシアネートと水との部分反応により得られるオリゴマー、例えば上記のジイソシアネートのウレア及びビウレット、さらにジ-又はポリイソシアネートと平均2個又は2個以上、好ましくは3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールとの制御された反応によって得られるイソシアネート基官能化オリゴマー、いわゆるイソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーを使用することも可能である。好ましい実施形態では、ポリイソシアネートはHDIイソシアヌレートである。
【0038】
本発明の分岐状ポリエステルを調製するためのプロセスのステップ(a)は、当該技術分野において周知であり、例えば、国際公開第03/093343A1号パンフレット、国際公開第2005/037893A1号パンフレット又は国際公開第2005/118677A1号パンフレットに記載されている。
【0039】
ステップ(a)の反応は、無溶媒又は溶媒の存在下で実施することができる。好適な例としては、パラフィン又は芳香族などの炭化水素が挙げられる。特に好適なパラフィンは、n-ヘプタン及びシクロヘキサンである。特に好適な芳香族は、トルエン、オルト-キシレン、メタ-キシレン、パラ-キシレン、キシレン異性体混合物、エチルベンゼン、クロロベンゼン並びにオルト-及びメタ-ジクロロベンゼンである。酸性触媒の非存在下で特に好適な追加の溶媒としては、例えば、ジオキサン又はテトラヒドロフランなどのエーテル、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンなどのケトンが挙げられる。
【0040】
添加される溶媒の量は、使用される反応させるべき出発物質の質量を基準として、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも10重量%であることが可能である。また、利用される反応させるべき出発物質の質量を基準として、例えば1.01~10倍などの過剰量の溶媒を利用することも可能である。利用される反応させるべき出発物質の質量を基準として100倍より多い溶媒量は、反応物の濃度が優位に低いと反応速度が著しく低下し、不経済に長い反応時間をもたらすので、有利ではない。
【0041】
しかしながら、活性化マレイン酸とジオール及びポリオールの混合物との反応は、無溶媒で実施されることが好ましい。
【0042】
本発明のプロセスのステップ(a)を実施するために、反応の開始時に添加される水除去添加剤の存在下で操作することが可能である。好適な例としては、モレキュラーシーブ、特にモレキュラーシーブ4Å、MgSO及びNaSOが挙げられる。また、反応の間にさらに水除去添加剤を添加すること、又は水除去添加剤を新鮮な水除去添加剤に置き換えることも可能である。また、反応の間に生成した水又はアルコールを蒸留除去すること、及び例えば水分離器を使用することも可能である。
【0043】
本発明のプロセスのステップ(a)は、酸性触媒の非存在下で実施することができる。酸性無機触媒、有機金属触媒、有機触媒、又は酸性無機触媒、有機金属触媒、有機触媒の2種以上の混合物の存在下で操作することが好ましい。
【0044】
本発明の目的のための酸性無機触媒としては、例えば、硫酸、リン酸、ホスホン酸、次亜リン酸、硫酸アルミニウム水和物、ミョウバン、酸性シリカゲル(pH=6、特に=5)及び酸性アルミナが挙げられる。また、酸性無機触媒として、例えば、一般式Al(OR)のアルミニウム化合物及び一般式Ti(OR)のチタン酸塩も使用可能であり、上記式中、基Rはそれぞれ同一であることも又は異なることも可能であり、互いに独立して、C~C10-アルキル基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、sec-ペンチル、ネオペンチル、1,2-ジメチルプロピル、イソアミル、n-ヘキシル、イソヘキシル、sec-ヘキシル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、n-ノニル又はn-デシル、C~C12-シクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシルから選択され;好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルである。
【0045】
好ましくは、Al(OR)及びTi(OR)中の基Rはそれぞれ同一であり、イソプロピル又は2-エチルヘキシルから選択される。
【0046】
好ましい酸性有機金属触媒は、例えばジアルキルスズオキシドRSnOから選択され、ここでRは上記で定義した通りである。酸性有機金属触媒の特に好ましい代表は、オキソ-スズの形態で市販されているジ-n-ブチルスズオキシドである。
【0047】
好ましい酸性有機触媒は、例えば、リン酸基、スルホン酸基、硫酸基又はホスホン酸基を含有する酸性有機化合物である。特に好ましくは、例えばパラ-トルエンスルホン酸などのスルホン酸である。酸性有機触媒として酸性イオン交換体も使用可能であり、例えば、スルホン酸基を含有し、約2モル%のジビニルベンゼンで架橋されたポリスチレン樹脂である。
【0048】
また、2種以上の上記の触媒の組合せを使用することも可能である。別の可能性は、固定化された形態で、離散分子の形態であるそれらの有機又は有機金属又は無機触媒を使用することである。
【0049】
酸性無機、有機金属又は有機触媒の使用が望まれる場合、本発明に従って使用される触媒の量は、0.01~10重量%、好ましくは0.02~2重量%である。
【0050】
本発明のプロセスのステップ(a)は、好ましくは不活性ガス雰囲気下で:すなわち、例えば、二酸化炭素、窒素又は希ガス下で実施され、その中でも特にアルゴンを挙げることができる。
【0051】
本発明のプロセスのステップ(a)は、80℃~200℃の温度で実施される。130℃~180℃、特に130℃~150℃、又はそれ未満の温度で操作することが好ましい。特に好ましくは、最高温度145℃まで、非常に好ましくは140℃までである。
【0052】
本発明のプロセスのステップ(a)における圧力条件は、それ自体重要ではない。例えば10~500mbarのかなり減圧下で操作することが可能である。本発明のステップ(a)はまた、500mbarを超える圧力で実施することも可能である。簡略化の理由から、大気圧で反応を実施することが好ましいが、例えば1200mbarまでのわずかに高い圧力で実施することも可能である。さらに、例えば10barまでの圧力で、著しく高い圧力下で操作することも可能である。大気圧で反応させることが好ましい。
【0053】
本発明のプロセスのステップ(a)の反応時間は、通常10分~48時間、好ましくは30分~24時間、より好ましくは1時間~20時間である。
【0054】
反応終了後、ステップ(a)の反応生成物は、例えば、溶液を濾過して触媒を除去し、濾液を通常減圧下で濃縮することにより、容易に単離することができる。さらに非常に好適なワークアップ方法としては、水を加えた後に沈殿させ、その後洗浄及び乾燥する方法が挙げられる。
【0055】
ステップ(a)の反応生成物は、典型的には、500~10000g/モル、好ましくは600~5000、より好ましくは700~2500、非常に好ましくは750~2000g/モルの分子量Mn(THF又はDMAc中のGPC)を有する。したがって、それらは通常、易溶性である;すなわち、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸n-ブチル、エタノール及び多数の他の溶媒中に、本発明のポリエステルの50重量%まで、場合によっては80重量%まで、ゲル粒子が肉眼で検出されない透明溶液を調製することが可能である。
【0056】
典型的には、ステップ(a)からの分岐状不飽和ポリエステルのガラス転移温度は、-5℃~50℃の範囲である。
【0057】
本発明の分岐状ポリエステルを調製するためのプロセスのステップ(b)は、当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許出願公開第2005/0059791A1号明細書、独国特許出願公開第4244030A1号明細書、独国特許出願公開第1157773A1号明細書及び米国特許第2,969,335A号明細書に記載されているアザ-マイケル付加に基づくものである。
【0058】
ステップ(b)の反応は、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸n-ブチル、エタノール、及びステップ(a)からの反応生成物を溶解することができる多数の他の溶媒のような溶媒中で実施することができる。酢酸n-ブチルが好ましい。
【0059】
反応温度は重要ではなく、室温が好ましい。しかしながら、アザ-マイケル付加は発熱性であるため、温度は反応中に上昇する可能性がある。
【0060】
本発明の分岐状ポリエステルは、アミノ基官能性に加えて、カルボキシ末端、カルボキシ及びヒドロキシル末端、好ましくはヒドロキシル末端であり、例えば、接着剤、印刷インク、コーティング、フォーム、被覆材及び塗料の調製のために有利に使用することができる。
【0061】
本発明のさらなる態様は、ポリウレタンを調製するための本発明の分岐状ポリエステルの使用である。ポリウレタンを調製するための本発明のヒドロキシル末端分岐状ポリエステルの使用が好ましい。
【0062】
本発明のさらなる態様は、接着剤、コーティング、フォーム、被覆材及び塗料の成分としての本発明の分岐状ポリエステル及びまた分岐状ポリエステルから調製されるポリウレタンの使用である。
【0063】
本発明のさらなる態様は、本発明の分岐状ポリエステル又は本発明の分岐状ポリエステルから調製されるポリウレタン生成物を含む印刷インク、接着剤、コーティング、フォーム、被覆材及び塗料である。
【0064】
本発明のポリウレタンは、成形体などの一次元、二次元及び三次元物体の表面特性の変性に好適である。
【0065】
本発明によれば、「ポリウレタン」という用語には、ウレタン基のみではなく、ジ-又はポリイソシアネートを、活性水素を有する化合物と反応させた結果、ウレア-、アロファネート-、ビウレット-、カルボジイミド-、アミド-、ウレトンイミン-、ウレトジオン-、イソシアヌレート-又はオキサゾリドン基が生じる他の基を有するポリマーも包含される。「ポリウレタン」という用語は、特にポリウレア-ポリウレタンを包含する。反応性基は、特にヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基である。
【0066】
本発明のさらに好ましい態様は、印刷インク、特にフレキソ印刷及び/又はグラビア印刷用のパッケージングインクであって、少なくとも1種の溶媒又は異なる溶媒の混合物、少なくとも1種の着色剤、少なくとも1種のポリマーバインダー及び任意選択的にさらなる添加剤を含み、ポリマーバインダーの少なくとも1種が本発明の分岐状ポリエステルであるものである。
【0067】
本発明に関して、本発明の分岐状ポリエステルは、他のバインダーと混合して使用することもできる。本発明の印刷インクのためのさらなるバインダーの例には、ポリビニルブチラル、ニトロセルロース、ポリアミド、ポリアクリレート又はポリアクリレートコポリマーが含まれる。分岐状ポリエステルとニトロセルロースとの組合せは特に有利であることが証明されている。本発明の印刷インク中の全バインダーの総量は、全成分の合計を基準として、通常5~35重量%、好ましくは6~30重量%、より好ましくは10~25重量%である。また全バインダーの総量に対する分岐状ポリエステルの比率は、通常30重量%~100重量%の範囲であり、好ましくは少なくとも40重量%であるが、分岐状ポリエステルの量は、印刷インクの全成分の合計に対して、一般に3重量%以上、好ましくは4重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上であるべきである。
【0068】
個々の溶媒を利用することも、又は2種以上の溶媒の混合物を利用することも可能である。原則的に適切な溶媒は、印刷インク、特にパッケージングインク用の慣用的な溶媒である。本発明の印刷インクに特に適切な溶媒は、例えばエタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール、例えばエトキシプロパノールなどの置換アルコール、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n-プロピル又はn-ブチルなどのエステルである。原則的に適切なさらなる溶媒は水である。特に好ましい溶媒は、エタノール、又はエタノールを主成分とする混合物である。原理的に可能な溶媒の中で、当業者は、ポリエステルの溶解特性及び印刷インクの所望の特性に従って、適切な選択を行うであろう。印刷インクの全成分の合計に対して40~80重量%の溶媒を使用するのが一般的である。
【0069】
使用可能な着色剤は、慣用の染料、特に慣用の顔料である。例としては、二酸化チタン顔料又は酸化鉄顔料などの無機顔料、干渉顔料、カーボンブラック、特にアルミニウム、真鍮又は銅粉などの金属粉、またアゾ顔料、フタロシアニン顔料若しくはイソインドリン顔料などの有機顔料が挙げられる。理解されるように、異なる染料又は着色剤の混合物、及び可溶性有機染料を使用することも可能である。全成分の合計に対して、5~25重量%の着色剤を使用するのが通常である。
【0070】
本発明のパッケージングインクは、任意選択的に、さらなる添加剤及び助剤を含んでいてもよい。添加剤及び助剤の例は、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム水和物又はケイ酸アルミニウム若しくはケイ酸マグネシウムなどの充填剤である。ワックスは、耐摩耗性を高め、潤滑性を向上させる役割を果たす。特に例として、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、石油ワックス又はセレシンワックスが挙げられる。表面平滑性を高めるために脂肪酸アミドを使用することができる。可塑剤は、乾燥フィルムの弾力性を増加させる。例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル、クエン酸エステル、又はアジピン酸のエステルである。顔料を分散させるために分散助剤を使用することができる。本発明の印刷インクの場合、接着促進剤を使用しないことが有利に可能であるが、これは接着促進剤の使用を絶対に排除すべきことを示すように意図するものではない。全ての添加剤及び助剤の総量は、通常、印刷インクの全成分の合計に対して20重量%を超えず、好ましくは0~10重量%である。
【0071】
本発明のパッケージングインクは、原則的に周知の手法で、例えばディゾルバー、攪拌ボアミル又はトリプルロールミルなどの慣用の装置で成分を集中的に混合及び/又は分散させることによって調製することができる。最初に、1部の成分と1部の溶媒で濃縮顔料分散液を調製し、後に、この分散液を、さらなる成分及びさらなる溶媒によって仕上げられた印刷インクへとさらに加工することが有利である。
【0072】
本発明の別の好ましい態様は、少なくとも1種の溶媒又は異なる溶媒の混合物、少なくとも1種のポリマーバインダー及び任意選択的にさらなる添加剤を含み、ポリマーバインダーの少なくとも1種が本発明の分岐状ポリエステル又はそのポリウレタンである印刷ニス、並びにまた保護ニスとしての下塗り用、及び多層材料製造用の本発明の印刷ニスを使用することである。
【0073】
本発明の印刷ニスは、もちろん着色剤を含まないが、それを除けば、既に説明した本発明の印刷インクと同じ成分を有する。他の成分の量は、それに応じて増加する。
【実施例
【0074】
1.方法
ヒドロキシル価(HN)
直鎖及び分岐状不飽和ポリエステルのヒドロキシル価(HN)は、ASTM E222規格に従って、過塩素酸触媒法を使用して決定した。
【0075】
全酸価(AN)
直鎖及び分岐状不飽和ポリエステルの全酸価(AN)は、ISO 2114:2000に従って決定した。
【0076】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
不飽和ポリエステル及びポリアスパラギン酸エステルのGPC測定は、THF又はDMAc(0.5% LiBr含有)中、室温でPSS Agilent 1200 Seriesによって実施した。公称溶媒流速は1mL/分であった。分画には、PSS Polymer StandardsからのTHF用100、1000及び10000Å、並びにDMAc用30、2×1000Åの細孔径を有する3本のSECカラムを使用した。Agilent Technologiesからの屈折率検出器G136A及びUV/Vis検出器G1314Bを使用した。校正は、THF中の試料にはポリスチレン、そしてDMAc中の試料にはポリ(メタクリル酸メチル)を標準物質として実施した。結果は、Polymer Standards Service GmbHからのWinGPC UniChrom V 8.20ソフトウェアを使用して評価した。
【0077】
粘度測定
酢酸ブチル中の不飽和ポリエステル及びポリアスパラギン酸エステルの65重量%溶液の粘度を、Brookfield DV-III Ultra Programmable Rheometer(Brookfield Engineering Laboratories,Inc,11 Commerce Boulevard,Middleboro,MA 02346 USA)を使用して測定した。試料(v=400mL)を内径d=8.6cmの600mLビーカーに入れた。測定は、スピンドルモデルHA02を用い、100rpm、21~22℃で行った。
【0078】
熱重量分析(TGA)
分解開始温度の決定には、PerkinElmer Pyris TGA 4000を使用した。試料を空気下で50から最大650℃まで10K/分の加熱速度で加熱した。
【0079】
示差走査熱量計(DSC)
Netzsch DSC 200 F3(Erich Netzsch GmbH & Co.Holding KG,Selb,Germany)を用いて、試料のガラス転移温度を決定した。窒素雰囲気下、試料を-150℃から150℃まで10℃/分の速度で加熱した。各試料に対して2回の冷却-加熱を行い、2回目の加熱曲線のデータを使用した。Netzsch Proteus Thermal Analysis(Version 4.8.1)ソフトウェアを使用し、データを分析した。
【0080】
2.材料
無水マレイン酸(MAn、≧99%)、マレイン酸ジエチル(DEM、≧96%)、トリエチレングリコール(TEG、99%)、1,4-ブタンジオール(BD、99%)、1,6-ヘキサンジオール(HD、99%)、ネオペンチルグリコール(NPG、99%)、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオール(DMHD、97%)、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(EHD、97%)、グリセロール(≧99.5%)、トリメチロールプロパン(TMP、≧98%)、シクロヘキシルアミン(CHA、≧99.9%)、2-メチルシクロヘキシルアミン(MCHA、シス及びトランス異性体の混合物、98%)、n-ブチルアミン(nBA、99.5%)、tert-ブチルアミン(tBA、98%)、オクチルアミン(OC、99%)、3-メトキシプロピルアミン(MPA、99%)、2-エチル-1-ヘキシルアミン(EHA、98%)、酢酸n-ブチル(99.5%)、ジブチルスズジラウレート(DBTDL、95%)及び4-メトキシフェノール(MeHQ、99%)はSigma-Aldrichから購入し、受け取ったままの状態で使用した。Basonat HI 100(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、88%)は、BASF SEから提供され、受け取ったままの状態で使用した。1-ペンチルアミン(PA、98%)は、Alfa Aesarから購入し、受け取ったままの状態で使用した。ジエチレングリコール(DEG、≧99.5%)はMerckから購入し、受け取ったままの状態で使用した。
【0081】
3.合成プロトコル
3.1.無水マレイン酸からの分岐状不飽和ポリエステル
(不飽和ポリエステルI=UPE I)
無水マレイン酸(MAn)、種々のジオール(ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、1,4-ブタンジオール(BD)、1,6-ヘキサンジオール(HD)、ネオペンチルグリコール(NPG)及び2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(EHD)、並びに2種の分岐試薬(グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP))から重縮合法によって一連の分岐状不飽和ポリエステルを合成した。無水物、ジオール及びトリオールのモル比は1:0.5:0.5であった。
【0082】
全ての分岐状不飽和ポリエステルの合成のための実験手順は常に同一であり、以下にその一例を記載する。
【0083】
マグネチックスターラーバーを備えた100mL丸底フラスコに無水マレイン酸(11.40g、116.3mmol)、ネオペンチルグリコール(6.05g、58.1mmol)及びトリメチロールプロパン(7.80g、58.1mmol)を入れた。このフラスコにクライゼン(Claisen)ヘッド付きリービッヒ(Liebig)冷却器を取り付け、ヘッドを通して乾燥Nをゆっくり流して、反応を不活性雰囲気下に保持し、水蒸気の除去を向上させた。この反応系を140℃の油浴中に20時間配置した。20時間後、少量のMeHQをポリエステルに溶解させ、反応フラスコの内容物をバイアルに移した。
【0084】
以下の表は、上記のプロトコルに従って調製された不飽和ポリエステルを要約したものである。
【0085】
【表1】
【0086】
分岐状不飽和ポリエステルは、さらに精製することなく研究のために使用された。選択されたポリエステルのモル質量、粘度、全酸価、ヒドロキシル価及びガラス転移温度を決定した。
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】
3.2.分枝状不飽和ポリエステルIへの第一級モノアミンのアザ-マイケル付加反応
選択された分岐状不飽和ポリエステルと8種の第一級モノアミン(シクロヘキシルアミン(CHA)、2-メチルシクロヘキシルアミン(2-MCHA)、n-ブチルアミン(BA)、tert-ブチルアミン(t-BA)、ペンチルアミン(PA)、オクチルアミン(OC)、3-メトキシプロピルアミン(MPA)及び2-エチル-1-ヘキシルアミン(EHA))との間のアザ-マイケル反応をポリアスパラギン酸エステルの濃度65重量%で酢酸n-ブチル中で実施した。
【0090】
全てのポリアスパラギン酸エステルの合成のための実験手順は常に同一であり、以下にその一例を記載する。
【0091】
無水マレイン酸、ネオペンチルグリコール及びトリメチロールプロパンの分岐状不飽和ポリエステル(1.21g、6.08mmolの二重結合)をスクリューキャップ及びマグネチックスターラーバーを備えた5mLバイアルに入れた。次に、1.22mL(1.08g)の酢酸n-ブチルをバイアルに添加し、バイアルを密栓し、マグネチックスターラー上に室温で24時間配置した(ポリエステルの完全な溶解)。24時間後に2-エチル-1-ヘキシルアミン(0.996mL、0.786g、6.08mmol)をバイアルに添加し、バイアルを密栓し、マグネチックスターラー上に室温で48時間配置した。24時間、48時間及び2週間後の試料の写真を撮影した。
【0092】
合成したポリアスパラギン酸エステルは、さらに精製することなく研究のために使用した(一部の分析では酢酸n-ブチルを蒸発させた)。選択されたポリアスパラギン酸エステルのモル質量、粘度、ガラス転移温度及び分解開始温度を決定した。
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
3.3.無水マレイン酸、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール及びTMPの分岐状不飽和ポリエステルへの2-エチル-1-ヘキシルアミンのアザ-マイケル付加(バルク)反応
無水マレイン酸、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパンの分岐状不飽和ポリエステルは、3.4章に記載の手順に従って合成した(一口フラスコの代わりに三口フラスコを使用し、マグネチックスターラーの代わりにメカニカルスターラーを使用した)。無水物、ジオール、トリオールのモル比は標準的な1:0.5:0.5を用い、無水マレイン酸11.40g(116.3mmol)に対して合成を行った。
【0096】
重縮合反応の20時間後、2-エチル-1-ヘキシルアミン(19.04mL、15.02g、116.3mmol)を入れた滴下ロート及び還流冷却器を、窒素流下でポリエステルを含有するフラスコに取り付けた。140℃で攪拌しているポリエステルにアミンを1時間かけて滴下した。アザ-マイケル反応を140℃でさらに23時間継続させた。翌日、フラスコを常温まで冷却し、内容物をバイアルに移した。分岐状ポリアスパラギン酸エステルIのモル質量及びガラス転移温度を決定した。
【0097】
3.4.マレイン酸ジエチル(DEM)を用いた分岐状不飽和ポリエステルの合成(不飽和ポリエステルII=UPE II)
重縮合法によって、マレイン酸ジエチル、トリメチロールプロパン及び2種の異なるジオール:1,6-ヘキサンジオール及びトリエチレングリコールから分岐状不飽和ポリエステルを合成した。マレイン酸、ジオール、トリオールのモル比は1:0.5:0.5又は1.1:0.5:0.5であった。
【0098】
以下に、分岐状不飽和ポリエステルの合成のための実験手順の一例を記載する。
【0099】
マレイン酸ジエチル(385g、2.24mol)、ヘキサンジオール(120.10g、1.02mol)、トリメチロールプロパン(136.37g、1.02mol)及びジブチルチンジラウレート(1.41g、1.32mL、2.23mmol)をPTFEブレードによるメカニカルスターラーを備えた1L二口丸底フラスコに入れた。フラスコにクライゼンヘッド付きリービッヒコンデンサーを取り付け、ヘッドを通して乾燥Nをゆっくり流し、不活性雰囲気下に反応を維持した。この反応系を160℃の油浴中10時間配置した。最初の2時間、反応混合物をN流下に保持し、系内の圧力は真空ポンプを使用して50mbarまで徐々に低下させた。10時間後、660mgのMeHQをポリエステルに溶解させ、反応フラスコの内容物をボトルに移した。
【0100】
この分岐状不飽和ポリエステルは、精製することなく、さらなる研究のために使用した。ポリエステルのモル質量、粘度、総酸価、ヒドロキシル価及びガラス転移温度を決定した。
【0101】
【表6】
【0102】
【表7】
【0103】
3.5.分枝状不飽和ポリエステルIIへの2-エチル-1-ヘキシルアミンのアザ-マイケル付加反応
選択された直鎖/分岐状不飽和ポリエステルと2-エチル-1-ヘキシルアミンとのアザ-マイケル反応は、ポリアスパラギン酸エステルの濃度65重量%で酢酸n-ブチル中で実施した。
【0104】
全てのポリアスパラギン酸エステルの合成のための実験手順は常に同一であり、以下にその一例を記載する。
【0105】
マレイン酸ジエチル、ヘキサンジオール及びトリメチロールプロパンの分岐状不飽和ポリエステル(357.50g、1.74molの二重結合)を、マグネチックスターラーバーを備えた1Lボトルに入れた。次に、355.18mL(313.27g)の酢酸n-ブチルをボトルに添加し、ボトルを密栓し、スターラー上に室温で24時間配置した(ポリエステルの完全な溶解)。24時間後に284.27mLの2-エチル-1-ヘキシルアミン(224.29g、1.74mol)を滴下ロートから攪拌溶液に添加し(2時間)、その後、ボトルを密栓して室温で48時間撹拌した。
【0106】
合成したポリアスパラギン酸エステルは、さらに精製することなく研究のために使用した(一部の分析では酢酸n-ブチルを蒸発させた)。選択されたポリアスパラギン酸エステルのモル質量、粘度、ガラス転移温度を決定した。
【0107】
【表8】
【0108】
3.6.分岐状ポリアスパラギン酸エステルとHDIイソシアヌレート三量体との反応における反応性
選択されたポリアスパラギン酸エステルの反応性について、Basonat HI 100(HDIイソシアヌレート)との反応で調査した。Basonat HI 100中のNCO基に対するポリエステル中のOH/NH基という反応性基含有量の観点から、エステルとBasonat HI 100との間のモル比は常に等しくした。実験手順は常に同一であり、以下に2つの例を記載する。
【0109】
PAE-II-1とBasonat HI 100との反応に関して:
2gのPAE-I-1の65重量%溶液(3.87mmolのNH基)を、マグネチックスターラーを備えた10mLバイアルに入れた。その後、0.74gのBasonat HI 100(3.87mmolのNCO基)を撹拌溶液に添加し、ストップウォッチで混合物のポットライフを測定した。
【0110】
UPE-II-1とBasonat HI 100との反応に関して:
3gのUPE-II-1の65重量%溶液(7.37mmolのOH基)を、マグネチックスターラーを備えた10mLバイアルに入れた。その後、1.41gのBasonat HI 100(7.37mmolのNCO基)を撹拌溶液に添加し、ストップウォッチで混合物のポットライフを測定した。
【0111】
【表9】
【国際調査報告】