IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サノフイの特許一覧

特表2023-536903酸素レベルを制御するためのシステムおよび方法
<>
  • 特表-酸素レベルを制御するためのシステムおよび方法 図1
  • 特表-酸素レベルを制御するためのシステムおよび方法 図2
  • 特表-酸素レベルを制御するためのシステムおよび方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】酸素レベルを制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/36 20060101AFI20230823BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
C12M1/36
C12M1/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507562
(86)(22)【出願日】2021-07-22
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 US2021042734
(87)【国際公開番号】W WO2022031452
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】63/062,134
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20315463.8
(32)【優先日】2020-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.IOS
2.Linux
3.UNIX
4.WINDOWS
5.macOS
6.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ブルック・タム
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】カイ・ヘフナー
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA07
4B029BB01
4B029CC01
4B029DB11
4B029DF04
4B029FA12
(57)【要約】
センサが、環境の溶存酸素(DO)測定値および環境の媒体の静電容量測定値を表す測定データを取り込むように構成される。メモリがコンピュータ実行可能命令を含む。1つまたはそれ以上のプロセッサが1つまたはそれ以上のセンサに通信可能に結合され、コンピュータ実行可能命令を実行して、1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれる第1の測定データを用いて、DO測定値の第1のセットと、静電容量測定値の第1のセットとの間の関係に基づいてモデルを生成することと;1つまたはそれ以上のセンサから第2の測定データを受信することと;モデルを用いて、新たな静電容量測定値に基づいて、期待されるDO測定値を予測することと;期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することと;期待されるDO測定値に基づいて、決定された酸素入力量を環境内に流すように弁を制御することとを含む動作を行うように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって:
環境の溶存酸素(DO)測定値および環境の媒体の静電容量測定値を表す測定データを取り込むように構成された1つまたはそれ以上のセンサと;
コンピュータ実行可能命令を含むコンピュータ可読メモリと;
1つまたはそれ以上のセンサに通信可能に結合され、コンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つまたはそれ以上のプロセッサと、
を含み、該1つまたはそれ以上のプロセッサがコンピュータ実行可能命令を実行しているとき、該1つまたはそれ以上のプロセッサは:
第1の時間間隔中に1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、DO測定値の第の1セットおよび静電容量測定値の第1のセットを表す第1の測定データを用いて、DO測定値の第1のセットと、静電容量測定値の第1のセットとの間の関係に基づいてモデルを生成することと;
1つまたはそれ以上のセンサから、第2の時間間隔中に該1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、新たなDO測定値および新たな静電容量測定値を表す第2の測定データを受信することと;
モデルを用いて、新たな静電容量測定値に基づいて、期待されるDO測定値を予測することと;
酸素入力量を決定するために、期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することと;
期待されるDO測定値を用いると決定されたとき、期待されるDO測定値に基づいて、決定された酸素入力量を環境内に流すように弁を制御することと、
を含む動作を実行するように構成される、前記システム。
【請求項2】
期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:
新たなDO測定値およびDO測定値の第1のセットに基づいてDO変化率を決定することと;
新たな静電容量測定値および静電容量測定値の第1のセットに基づいて静電容量変化率を決定することと;
DO変化率が静電容量変化率を変化率閾値だけ超えているとき、期待されるDO測定値を用いると決定することと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
バイオリアクタを更に含み、1つまたはそれ以上のセンサはDOセンサおよび静電容量センサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:
新たな静電容量測定値を静電容量閾値と比較することと;
新たな静電容量測定値が静電容量閾値を超えているとき、新たなDO測定値を用いると決定することと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:
期待されるDO測定値および新たなDO測定値を比較することと;
期待されるDO測定値が新たなDO測定値を超えているとき、期待されるDO測定値を用いると決定することと、
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
動作は:
1つまたはそれ以上のセンサから、第3の時間間隔中に該1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、DO測定値の第2のセットおよび静電容量測定値の第2のセットを表す第3の測定データを受信することと;
第3の測定データに基づいてモデルを更新することと、
を更に含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
第3の測定データは第2の測定データを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
方法であって:
第1の時間間隔中に1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、DO測定値の第の1セットおよび静電容量測定値の第1のセットを表す第1の測定データを用いて、DO測定値の第1のセットと、静電容量測定値の第1のセットとの間の関係に基づいてモデルを生成することであって、1つまたはそれ以上のセンサは、環境の溶存酸素(DO)測定値および環境の媒体の静電容量測定値を表す測定データを取り込むように構成されることと;
1つまたはそれ以上のセンサから、第2の時間間隔中に該1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、新たなDO測定値および新たな静電容量測定値を表す第2の測定データを受信することと;
モデルを用いて、新たな静電容量測定値に基づいて、期待されるDO測定値を予測することと;
酸素入力量を決定するために、期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することと;
期待されるDO測定値を用いると決定されたとき、期待されるDO測定値に基づいて、決定された酸素入力量を環境内に流すように弁を制御することと、
を含む、前記方法。
【請求項9】
期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:
新たなDO測定値およびDO測定値の第1のセットに基づいてDO変化率を決定することと;
新たな静電容量測定値および静電容量測定値の第1のセットに基づいて静電容量変化率を決定することと;
DO変化率が静電容量変化率を変化率閾値だけ超えているとき、期待されるDO測定値を用いると決定することと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
1つまたはそれ以上のセンサはDOセンサおよび静電容量センサを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:
新たな静電容量測定値を静電容量閾値と比較することと;
新たな静電容量測定値が静電容量閾値を超えているとき、新たなDO測定値を用いると決定することと、
を含む。請求項8に記載の方法。
【請求項12】
期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:
期待されるDO測定値および新たなDO測定値を比較することと;
期待されるDO測定値が新たなDO測定値を超えているとき、期待されるDO測定値を用いると決定することと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
1つまたはそれ以上のセンサから、第3の時間間隔中に該1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、DO測定値の第2のセットおよび静電容量測定値の第2のセットを表す第3の測定データを受信することと;
第3の測定データに基づいてモデルを更新することと、
を更に含む、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
第3の測定データは第2の測定データを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、1つまたはそれ以上のプロセッサによって実行されると、該1つまたはそれ以上のプロセッサに:
第1の時間間隔中に1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、DO測定値の第の1セットおよび静電容量測定値の第1のセットを表す第1の測定データを用いて、DO測定値の第1のセットと、静電容量測定値の第1のセットとの間の関係に基づいてモデルを生成することであって、1つまたはそれ以上のセンサは、環境の溶存酸素(DO)測定値および環境の媒体の静電容量測定値を表す測定データを取り込むように構成されることと;
1つまたはそれ以上のセンサから、第2の時間間隔中に該1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、新たなDO測定値および新たな静電容量測定値を表す第2の測定データを受信することと;
モデルを用いて、新たな静電容量測定値に基づいて、期待されるDO測定値を予測することと;
酸素入力量を決定するために、期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することと;
期待されるDO測定値を用いると決定されたとき、期待されるDO測定値に基づいて、決定された酸素入力量を環境内に流すように弁を制御することと、
を含む動作を実行させる、前記非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:
新たなDO測定値およびDO測定値の第1のセットに基づいてDO変化率を決定することと;
新たな静電容量測定値および静電容量測定値の第1のセットに基づいて静電容量変化率を決定することと;
DO変化率が静電容量変化率を変化率閾値だけ超えているとき、期待されるDO測定値を用いると決定することと、
を含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
1つまたはそれ以上のセンサはDOセンサおよび静電容量センサを含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:
新たな静電容量測定値を静電容量閾値と比較することと;
新たな静電容量測定値が静電容量閾値を超えているとき、新たなDO測定値を用いると決定することと、
を含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項19】
期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:
期待されるDO測定値および新たなDO測定値を比較することと;
期待されるDO測定値が新たなDO測定値を超えているとき、期待されるDO測定値を用いると決定することと、
を含む、請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項20】
動作は:
1つまたはそれ以上のセンサから、第3の時間間隔中に該1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、DO測定値の第2のセットおよび静電容量測定値の第2のセットを表す第3の測定データを受信することと;
第3の測定データに基づいてモデルを更新することと、
を含む、請求項15~19のいずれか1項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項21】
第3の測定データは第2の測定データを含む、請求項20に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年8月6日に出願された米国仮特許出願第63/062,134号、および2020年11月20日に出願された欧州特許出願第20315463.8号の優先権を主張し、これらの出願の内容は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に、バイオリアクタ等の活性環境に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオリアクタは、生物学的に活性な環境をサポートする任意の製造されたデバイスまたはシステムを指すことができる。例えば、バイオリアクタは、有機物またはそのような有機物から導出された生物学的に活性な物質を伴う化学プロセスが実行されるベッセルとすることができる。このプロセスは、有酸素または嫌気性とすることができる。これらのバイオリアクタは、リットルから立法メートルのサイズの範囲を取る円筒形とすることができ、ステンレス鋼から作ることができる。バイオリアクタは、細胞培養の文脈において細胞または組織を増殖させるように設計されたデバイスまたはシステムも指すことができる。そのようなデバイスは、組織工学または生化学/バイオプロセス工学における使用のために開発することができる。バイオリアクタは、バッチ、フェドバッチまたは連続(例えば、連続撹拌タンクリアクタモデル)として分類することができる。連続バイオリアクタの例は、ケモスタットである。バイオリアクタ内で増殖する有機物は、液体媒体内に浸すことができるか、または固体媒体の表面に取り付けることができる。浸された培養物は、懸濁または固定することができる。
【0004】
溶存酸素(DO)は、バイオリアクタ等の水源内に溶融された酸素量を指すことができる。用途に依拠して、水中の溶存酸素量を測定および追跡することが必須である場合がある。発酵および細胞培養で機能するとき、溶存酸素プローブを用いて、バイオリアクタおよび細胞培養物内の溶存酸素の測定を行うことができる。新たな薬物を開発していようと、細胞の生化学を研究していようと、溶存酸素の正確な量は、バイオリアクタが効果的に機能するのに重要である可能性がある。バイオリアクタにおける低溶存酸素レベルは、細胞成長速度および栄養素の取り込みに問題を引き起こす可能性があり、これは、研究および実験に対しマイナスの影響を有する可能性がある。そのような課題を回避するために、溶存酸素センサを用いて溶存酸素レベルを絶えず測定することができる。
【0005】
DO濃度は、細胞培養物の増殖および製造にとって高度に重要である可能性がある。過度に高いかまたは過度に低いDOレベルは、逆効果を引き起こす可能性がある。例えば、DOレベルがバイオリアクタ内で過度に低いとき、増殖速度が低下する可能性があり、栄養素の取り込みが悪化する可能性があり、代謝物合成が影響を受ける可能性があり、これにより、最終製品の品質低下および歩留まりの低下につながる可能性がある。他方で、より高いDOレベルは、活性酸素種の発現につながる可能性があり、活性酸素種は、細胞死を引き起こす可能性がある高度に不安定な分子である場合がある。また、物質の或る特定の成分が酸化する可能性があり、これが細胞変異を引き起こす場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、システムが提供される。システムは、環境の溶存酸素(DO)測定値および環境の媒体の静電容量測定値を表す測定データを取り込むように構成された1つまたはそれ以上のセンサを含む。システムは、コンピュータ実行命令を含むコンピュータ可読メモリを含む。システムは、1つまたはそれ以上のセンサに通信可能に結合され、コンピュータ実行可能命令を実行するように構成された1つまたはそれ以上のプロセッサを含み、1つまたはそれ以上のプロセッサがコンピュータ実行可能命令を実行しているとき、1つまたはそれ以上のプロセッサは:第1の時間間隔中に1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、DO測定値の第の1セットおよび静電容量測定値の第1のセットを表す第1の測定データを用いて、DO測定値の第1のセットと、静電容量測定値の第1のセットとの間の関係に基づいてモデルを生成することと;1つまたはそれ以上のセンサから、第2の時間間隔中に1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、新たなDO測定値および新たな静電容量測定値を表す第2の測定データを受信することと;モデルを用いて、新たな静電容量測定値に基づいて、期待されるDO測定値を予測することと;酸素入力量を決定するために、期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することと;期待されるDO測定値を用いると決定されたとき、期待されるDO測定値に基づいて、決定された酸素入力量を環境内に流すように弁を制御することとを含む動作を行うように構成される。他の実施態様は、方法、デバイス、コンピュータ可読媒体、コンピュータプログラム製品および他の技術を含むことができる。
【0007】
実施態様は、以下の構成のうちのいくつか、または全てを含むか、またはいずれも含まないことが可能である。期待される溶存酸素量を用いるか、新たなDO量を用いるかを決定することは:新たなDO測定値およびDO測定値の第1のセットに基づいてDO変化率を決定することと;新たな静電容量測定値および静電容量測定値の第1のセットに基づいて静電容量変化率を決定することと;DO変化率が静電容量変化率を変化率閾値だけ超えているとき、期待されるDO測定値を用いると決定することを含む。1つまたはそれ以上のセンサはDOセンサおよび静電容量センサを含む、バイオリアクタ。期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:新たな静電容量測定値を静電容量閾値と比較することと;新たな静電容量測定値が静電容量閾値を超えているとき、新たなDO測定値を用いると決定することとを含む。期待されるDO測定値を用いるか、または新たなDO測定値を用いるかを決定することは:期待されるDO測定値および新たなDO測定値を比較することと;期待されるDO測定値が新たなDO測定値を超えているとき、期待されるDO測定値を用いると決定することとを含む。1つまたはそれ以上のセンサから、第3の時間間隔中に1つまたはそれ以上のセンサによって取り込まれ、DO測定値の第2のセットおよび静電容量測定値の第2のセットを表す第3の測定データを受信することと;第3の測定データに基づいてモデルを更新すること。第3の測定データは第2の測定データを含む。
【0008】
本開示の実施態様は、以下の利点のうちの1つまたはそれ以上を提供することができる。従来技術と比較して、環境(例えば、バイオリアクタ)における溶存酸素の量は、精度および正確度を増大させて調整することができ、細胞培養および発酵プロセスを改善することができ、センサ出力からのノイズを低減することができる。
【0009】
これらのおよび他の態様、構成および実施態様は、機能を実行するための方法、装置、システム、コンポーネント、プログラム製品、手段またはステップとして、および他の方式で表すことができる。
【0010】
これらのおよび他の態様、構成および実施は、特許請求の範囲を含む以下の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】酸素レベルを制御するための例示的なシステムを示すブロック図である。
図2】酸素レベルを制御するための例示的な方法を示すフロー図である。
図3】本開示のいくつかの実施態様による、本開示に説明されるように、記載されたアルゴリズム、方法、関数、プロセス、フロー、およびプロシージャに関連する計算機能を提供するために使用される例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
バイオリアクタシステム(本明細書において、バイオリアクタと呼ばれる場合もある)は、所望の生成物への栄養素および酸素のより良好な輸送のために、内容物の細胞を均一条件に保つようにバイオリアクタシステムの内容物を混合するための撹拌機と;ベッセル内の渦形成を破壊するのに用いられるバッフルと;増殖細胞に酸素(溶存酸素)を供給するためのスパージャと;水の一定温度の循環のための環状エリアを提供するジャケットとを有するベッセルを含むことができる。バイオリアクタシステムは、ベッセルに入る或る特定のタイプの液体または気体を制御および維持するための、比例-積分-微分コントローラ(PIDコントローラ)および質量流量コントローラ(MFC)等の処理メカニズムも含むことができる。バイオリアクタにおける溶存酸素(DO)の監視を容易にするために、DOセンサを用いて、バイオリアクタにおけるDOの量を測定することができる。細胞増殖中、バイオリアクタの酸素需要の量が増大する可能性があり、結果として、細胞増殖を維持するための酸素気泡の連続注入の増大が生じる。しかしながら、これらの酸素気泡は、DOセンサと相互作用して、DOセンサに誤った読み値を与える場合がある(すなわち、これらの酸素気泡は、DOセンサに、バイオリアクタ内に実際にあるDOよりも多くのDOをバイオリアクタ内で測定させる場合がある)。誤った読み値は、細胞増殖を維持するためにバイオリアクタに加えられるべきDOの量を決定するとき、処理メカニズムの正確度の低減を引き起こす可能性がある。
【0013】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、上述した欠点の影響を低減することができる。いくつかの実施態様では、経時的にバイオリアクタの静電容量(バイオマス)を測定するために、静電容量センサがDOセンサとともに用いられる。バイオリアクタ(または発酵槽)内の無傷の原形質膜を有する細胞は、電界の影響下でコンデンサとしての役割を果たすとみなすことができる。原形質膜の非導電性特性により、電荷の蓄積が可能になる。結果として得られる静電容量を測定することができ、この静電容量は、これらの細胞の膜結合量に比例することができる。このため、静電容量を、バイオマス(例えば、セル密度)の直交測定値として用いることができる。いくつかの実施態様では、経時的なDOセットポイント(目標DO値)を維持するために、経時的に測定された静電容量を用いて、測定された静電容量と酸素需要(MFC、アクチュエータからのO2出力)との間の関係のモデル(傾き)を生成する。細胞ごとの酸素需要は、一定のままである(すなわち、酸素の取り込み速度を導出することができる)ことを想定することができる。したがって、静電容量が増大するにつれ、酸素需要の増大が一定の速度で(すなわち、酸素の取り込み速度に従って)増大するはずである。したがって、いくつかの実施態様では、生成されたモデルを用いて、DOセットポイントを維持するために必要な、バイオリアクタにおける期待される酸素出力を予測することができ、この期待される酸素出力量を用いて、細胞増殖を助長するためにバイオリアクタに加え、DOセットポイントに適合させるための、酸素気体の量を決定することができることを予測することができる。いくつかの実施態様では、モデルは、新たな測定値に基づいて所定の時間量後に更新される。いくつかの実施態様では、新たなDO測定値がDOセンサによって取り込まれるとき、どれだけの酸素がバイオリアクタに入力されるかを決定するために、新たなDO測定値を用いるかまたは予測DO測定値を用いるかが決定される。いくつかの実施態様では、酸素出力と、静電容量との比較の履歴データを利用して、どれだけの酸素がバイオリアクタ内に入力されるかを決定することができる。これは、DO測定ノイズが酸素出力と静電容量との間の関係の正確な生成を妨げる事例において利用することができる。この決定は、DOの決定された変化率と、静電容量の決定された変化率との比較に基づくか、または予測DO量と新たなDO値との比較に基づくことができる。
【0014】
図面では、デバイス、モジュール、命令ブロックおよびデータ要素を表すもの等の、概略的な要素の特定の配置または順序が、説明を容易にするために示されている。しかしながら、当業者であれば、図面中の概略要素の特定の順序または配置は、処理の特定の順序もしくはシーケンス、または処理の分離が必要であることを暗示することを意図したものではないことを理解されたい。更に、図面に概略的な要素が含まれることは、そのような要素が全ての実施態様において必要であることも、そのような要素によって表される構成が、いくつかの実施態様において他の要素に含まれない、または他の要素と組み合わされないことも暗示することを意図したものではない。
【0015】
更に、図面で、実線もしくは破線または矢印等の連結要素が、2つ以上の他の概略要素間の連結、関係、または関連を説明するために使用されている場合、そのような連結要素がないことは、連結、関係、または関連が存在できないことを暗示することを意図したものではない。言い換えると、要素間のいくつかの連結、関係、または関連は、開示内容を不明瞭にしないようにするために、図面に示されていない。加えて、図示しやすくするために、単一の連結要素が、要素間の複数の連結、関係、または関連を表すのに用いられる。例えば、連結要素が信号、データ、または命令の通信を表す場合、当業者であれば、このような要素は、必要に応じて、通信に影響を与えるための1つまたはそれ以上の信号経路(例えば、バス)を表すことを理解されたい。
【0016】
次に、添付の図面に例が示されている実施態様を詳細に参照する。以下の詳細な説明では、記載された様々な実施態様の完全な理解をもたらすために、多数の具体的な詳細が示される。しかしながら、記載された様々な実施態様は、これらの具体的な詳細がなくても実施することができることが当業者には明らかであろう。他の例では、よく知られている方法、手順、構成要素、回路、およびネットワークは、実施態様の態様を不必要に不明瞭にしないようにするために、詳細に説明されていない。
【0017】
以下に、各々互いに独立して、または他の構成の任意の組み合わせとともに用いることができる、いくつかの構成について説明する。しかしながら、いずれの個々の構成も、上記で論じた問題のいずれにも対処しない場合があるか、または、上記で論じた問題の1つにしか対処しないことがある。上記で論じた問題のいくつかは、本明細書に記載された構成のいずれによっても完全には解決されないことがある。見出しが設けられている場合があるが、特定の見出しに関連するがその見出しを持つセクションで見つからないデータが、本明細書の他の場所で見つかる場合もある。
【0018】
図1は、酸素レベルを制御するための例示的なシステム100を示すブロック図である。システム100は、1つまたはそれ以上のセンサ120と、スパージャ130と、制御弁140と、コンピュータプロセッサ110とを含む。
【0019】
1つまたはそれ以上のセンサ120はDOセンサを含む。いくつかの実施態様では、DOセンサは、ポーラログラフセンサまたはガルバニセンサ等の電気化学DOセンサを含む。いくつかの実施態様では、DOセンサは光DOセンサを含む。DOセンサは、バイオリアクタ150におけるDOの量を測定し、測定されたDOの量を表す測定データを生成するように構成される。1つまたはそれ以上のセンサ120は静電容量センサも含む。静電容量センサは、バイオリアクタにおける媒体の静電容量の量(例えば、細胞量)を測定し、測定された静電容量の量を表す測定データを生成するように構成される。
【0020】
制御弁140は、酸素供給ラインと流体連通し、制御弁140を用いて、スパージャ130を通るバイオリアクタ150内への酸素の流れを調整することができる。後述するように、弁140はコンピュータプロセッサ110によって制御することができる。
【0021】
コンピュータプロセッサ110は1つまたはそれ以上のセンサ120に連通して結合され、コンピュータ可読メモリ111およびコンピュータ可読命令112を含む。コンピュータ可読メモリ111(またはコンピュータ可読媒体)は、現地の技術環境に適した任意のデータ記憶技術の形式を含み、限定でないが、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光メモリデバイスおよびシステム、固定メモリ、リムーバブルメモリ、ディスクメモリ、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)等を含む。いくつかの実施態様では、コンピュータ可読メモリ111は、実行可能命令を有するコードセグメントを含む。
【0022】
コンピュータプロセッサ110は、汎用プロセッサ、中央処理ユニット(CPU)、および/または少なくとも1つの特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。コンピュータプロセッサ110は、汎用プログラマブルマイクロプロセッサ、専用プログラマブルマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用電子回路またはこれらの組み合わせも含むことができる。コンピュータプロセッサ110は、コンピュータ実行可能命令112等のプログラムコード手段を実行するように構成される。いくつかの実施態様では、コンピュータプロセッサ110はPIDコントローラの全てまたは一部を含む。いくつかの実施態様では、コンピュータプロセッサ110は質量流量コントローラの全てまたは一部を含む。
【0023】
コンピュータ実行可能命令112を実行するとき、コンピュータプロセッサ110は、1つまたはそれ以上のセンサ120から測定データを受信し、測定データに基づいて、複数の酸素出力および複数の静電容量測定値間の関係に基づくモデルを生成するように構成される。いくつかの実施態様では、モデルを生成する前に、コンピュータプロセッサは、指数(例えば、プロセス変数(PV)フィルタ)を測定データに適用し、測定データの所定のノイズ量を低減し、所定のノイズ量に基づいて測定データの測定された値を補正するように構成される。所定のノイズ量は、既知の設計パラメータと、1つまたはそれ以上のセンサ120および他のシステムパラメータの試験に基づいて所定とすることができる(すなわち、1つまたはそれ以上のセンサ120の試験および較正に基づいて、1つまたはそれ以上のセンサ120が本来どれだけのノイズを測定データに加えるかを知ることができる)。いくつかの実施態様では、1つまたはそれ以上のセンサ120は、測定時間間隔において測定データを取り込むように構成される。例えば、1つまたはそれ以上のセンサ120は、5秒ごと、10秒ごと、または15秒ごとに測定データを取り込むように構成することができる。次に、コンピュータプロセッサ110は、傾きを生成するために所定の時間間隔(例えば、一時間)中に取り込まれた静電容量測定値のセットに対し、DO測定値のセットをプロットするように構成される。例えば、1つまたはそれ以上のセンサ120が、5秒ごとに測定データを取り込むように構成される場合、コンピュータプロセッサ110は、一時間の経過にわたって、t0(時間=0)に測定されたDO測定値を、t0において測定された静電容量測定値に対しプロットし、t1(時間=5秒)において測定されたDO測定値をt1において測定された静電容量測定値に対しプロットし、t2(時間=10秒)において測定されたDO測定値をt2において測定された静電容量測定値に対しプロットし、以下同様とすることができる。いくつかの実施態様では、モデルは傾きを表し、コンピュータプロセッサ110は、傾きの平均を決定するように構成される。いくつかの実施態様では、モデルは、所定の時間量の後(例えば、720秒ごと)に新たな測定値で更新することができる。例えば、一時間の時間間隔の後に720秒ごとに取り込まれる測定値をモデルに加えることができ、新たな傾き平均を決定することができる(これは、移動平均関数であり、新たな値がアレイ内の古い値を追い出し、傾きが低速に変化可能であるようにする。720秒は変更することができる)。
【0024】
モデルが生成されると、コンピュータプロセッサ110は、新たな測定データ(DO、静電容量および酸素出力についての対応する新たな測定値を含む)を受信し、モデルを用いて、新たな静電容量測定値に基づいて、期待される酸素出力量を決定するように構成される。例えば、新たな静電容量測定値ごとに、コンピュータプロセッサ110はモデルを適用して、決定された平均傾きを用いて期待される酸素出力値を決定することができる。次に、コンピュータプロセッサ110は、新たな酸素出力値を用いるかまたは期待される酸素出力値を用いるかを決定し、どれだけ多くの酸素をスパージャ130を通してバイオリアクタ150内に流すべきかを決定するように構成される。いくつかの実施態様では、これは、DO変化率(RoC)を静電容量RoCと比較することを含む。例えば、DO測定値間のRoCは、静電容量測定値間のRoCと比較することができる。いくつかの実施態様では、DO RoCが静電容量RoCよりも高い場合、バイオリアクタに加えるDOの量を決定するために、期待されるDO測定値が用いられる。いくつかの実施態様では、静電容量RoCは、実際の静電容量RoCを酸素流量単位に変換したものである。例えば、静電容量RoCは、経時的な静電容量における実際の変化に、期待される酸素出力RoCを得るために以前に決定された酸素出力/静電容量の傾きを乗算したものとすることができる。いくつかの実施態様では、期待される酸素出力RoCが酸素出力RoCよりも高い場合、バイオリアクタ150に加える酸素の量を決定するために、期待される酸素出力測定値が用いられる。期待される酸素出力RoCが酸素出力RoC以下である場合、バイオリアクタ150に加える酸素の量を決定するために、新たな酸素出力が用いられる。いくつかの実施態様では、期待される酸素出力が新たな酸素出力よりも高い場合、バイオリアクタ150に加える酸素の量を決定するために、決定された酸素出力が用いられる。いくつかの実施態様では、新たな静電容量測定値が静電容量閾値よりも高い場合、バイオリアクタ150に加える酸素の量を決定するために、新たな酸素出力が用いられる。静電容量閾値は、バイオリアクタ150の増殖段階に基づくことができ、新たな酸素出力が、増殖段階が完了した後に用いられることを確実にすることができる。いくつかの実施態様では、上述したように、新たな酸素出力および新たな静電容量測定値を用いてモデルを更新する。
【0025】
使用のための酸素出力のタイプ(すなわち、期待される酸素出力または新たな酸素出力のいずれか)が決定されると、コンピュータプロセッサ110は、決定された酸素出力およびバイオリアクタ150のための所望の酸素出力量に基づいて、バイオリアクタに加える酸素量を決定するように構成される。所望の酸素出力量は、例えば、効果的な細胞培養条件の要件に基づくことができる。コンピュータプロセッサ110は、酸素がスパージャ130を通ってバイオリアクタ150に入るように弁140を動作させるように構成される。
【0026】
図2は、酸素レベルを制御するための例示的な方法200を示すフロー図である。いくつかの実施態様では、方法200は、図1を参照して上記で論考したコンピュータプロセッサ110によって実行される。方法200は、第1の測定データに基づいてモデルを生成すること(ブロック210)と;第2の測定データを受信すること(ブロック220)と;期待される酸素出力を予測すること(ブロック230)と;期待される酸素出力を用いるか、または新たな酸素出力を用いるかを決定すること(ブロック240)と;期待される酸素出力または新たな酸素出力に基づいて弁を制御すること(ブロック250)とを含む。
【0027】
一般に、プロセス200は、DO測定値をPIDに送信して酸素出力を生成することと;静電容量測定値を得ることと;酸素出力と静電容量との間の傾きを確立することと;傾きの移動平均および/または指数フィルタを生成することと;移動平均/指数フィルタリングされた傾き値に静電容量を乗算して、期待される酸素出力を決定することと;期待される酸素出力を用いるか、または新たな酸素出力を用いるかを決定することと;期待される酸素出力または新たな酸素出力値に基づいて弁(アクチュエータ)を制御することとを含む動作を実行することとみなすことができる。
【0028】
ブロック210において、所定の時間間隔にわたって取り込まれたDO測定値のセットおよび静電容量測定値のセットを表す測定データが1つまたはそれ以上のセンサ(例えば、図1に示すセンサ120)から受信される。酸素出力が対応する静電容量測定値に対しプロットされ、プロットに基づいて平均スロープが決定される。
【0029】
ブロック220において、新たなDO測定値および新たな静電容量測定値を表す第2の測定データが受信される。
【0030】
ブロック230において、平均傾きが新たな静電容量測定値に適用され、期待される酸素出力が決定される。
【0031】
ブロック240において、バイオリアクタに加えられる酸素の量を決定する際に、期待される酸素出力を用いるかまたは新たな酸素出力を用いるかが決定される。いくつかの実施態様では、決定は、図1を参照して上述したように、DO RoCと静電容量RoCとの比較に基づく。いくつかの実施態様では、決定は、図1を参照して上述したように、期待される酸素出力と新たな酸素出力との比較に基づく。
【0032】
ブロック250において、期待される酸素出力を用いると決定された場合、期待される酸素出力に基づいて酸素をバイオリアクタに入らせるように制御弁が制御される。新たな酸素出力を用いると決定された場合、新たな酸素出力に基づいて酸素をバイオリアクタに入らせるように制御弁が制御される。
【0033】
図3は、本開示のいくつかの実施態様による、本開示に説明される、記載されたアルゴリズム、方法、関数、プロセス、フロー、およびプロシージャに関連する計算機能を提供するために使用される例示的なコンピュータシステム500のブロック図である。図示されたコンピュータ502は、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ/ノートブックコンピュータ、ワイヤレスデータポート、スマートフォン、パーソナルデータアシスタント(PDA)、タブレットコンピューティングデバイス、またはこれらのデバイス内の1つもしくはそれ以上のプロセッサ(物理インスタンス、仮想インスタンス、またはその両方を含む)等の任意のコンピューティングデバイスを包含することが意図されている。コンピュータ502は、ユーザ情報を受け入れることができるキーパッド、キーボード、およびタッチスクリーン等の入力デバイスを含むことができる。また、コンピュータ502は、コンピュータ502の動作に関連する情報を伝達することができる出力デバイスを含むことができる。情報は、デジタルデータ、視覚データ、音声情報、または情報の組合せを含むことができる。情報は、グラフィカルユーザインタフェース(UI)(またはGUI)で提示することができる。
【0034】
コンピュータ502は、本開示に記載されている主題を実行するための、クライアント、ネットワークコンポーネント、サーバ、データベース、またはコンピュータシステムのコンポーネントとしての役割を果たすことができる。図示のコンピュータ502は、ネットワーク530と通信可能に結合されている。いくつかの実施態様では、コンピュータ502の1つまたはそれ以上のコンポーネントは、クラウドコンピューティングベース環境、ローカル環境、グローバル環境、および環境の組合せを含む異なる環境で動作するように構成することができる。
【0035】
高レベルにおいて、コンピュータ502は、記載された主題に関連するデータおよび情報を受信、伝送、処理、記憶および管理するように動作可能な電子コンピューティングデバイスである。いくつかの実施態様によれば、コンピュータ502はまた、アプリケーションサーバ、電子メールサーバ、ウェブサーバ、キャッシングサーバ、ストリーミングデータサーバ、またはサーバの組合せを含むか、またはそれらと通信可能に結合することができる。
【0036】
コンピュータ502は、(例えば、別のコンピュータ502上で実行している)クライアントアプリケーションからネットワーク530を介して要求を受信することができる。コンピュータ502は、ソフトウェアアプリケーションを用いて受信した要求を処理することにより、受信した要求に応答することができる。要求は、内部ユーザ(例えば、コマンドコンソール)、外部(または第三者)、自動化されたアプリケーション、エンティティ、個人、システム、およびコンピュータから、コンピュータ502に送ることもできる。
【0037】
コンピュータ502の各コンポーネントは、システムバス503を使用して通信することができる。いくつかの実施態様では、ハードウェアまたはソフトウェアコンポーネントを含むコンピュータ502のコンポーネントのいずれかまたは全ては、システムバス503を介して、互いにまたはインタフェース505(または両方の組合せ)とインタフェースすることができる。インタフェースは、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)512、サービスレイヤ513、またはAPI512とサービスレイヤ513の組合せを用いることができる。API512は、ルーチン、データ構造、およびオブジェクトクラスのための仕様を含むことができる。API512は、コンピュータ言語に依存しないものでも依存するものでもよい。API512は、完全なインタフェース、単一の機能、または一連のAPIを指すことができる。
【0038】
サービスレイヤ513は、コンピュータ502と、コンピュータ502に通信可能に結合されている他のコンポーネント(図示の有無にかかわらず)にソフトウェアサービスを提供することができる。コンピュータ502の機能は、このサービスレイヤを使用する全てのサービス消費者にとってアクセス可能である。サービスレイヤ513によって提供されるようなソフトウェアサービスは、定義されたインタフェースを介して、再利用可能で定義された機能を提供することができる。例えば、インタフェースは、JAVA(登録商標)、C++、または拡張可能マークアップ言語(XML)フォーマットでデータを提供する言語で書かれたソフトウェアとすることができる。コンピュータ502の統合されたコンポーネントとして図示されているが、代替の実施態様では、API512またはサービスレイヤ513は、コンピュータ502の他のコンポーネントおよびコンピュータ502に通信可能に結合された他のコンポーネントに関連して、スタンドアローンコンポーネントとすることができる。更に、API512またはサービスレイヤ513の任意のまたは全ての部分は、本開示の範囲から逸脱することなく、別のソフトウェアモジュール、エンタープライズアプリケーション、またはハードウェアモジュールの、子モジュールまたはサブモジュールとして実施することができる。
【0039】
コンピュータ502は、インタフェース504を含む。図3に単一のインタフェース504として図示されているが、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、または特定の実施、および、記載された機能に従って、2つ以上のインタフェース504を用いることができる。インタフェース504は、分散環境においてネットワーク530に接続されている他のシステム(図示の有無にかかわらず)と通信するために、コンピュータ502によって使用することができる。一般に、インタフェース504は、ネットワーク530と通信するように動作可能なソフトウェアまたはハードウェア(またはソフトウェアとハードウェアの組合せ)で符号化されたロジックを含むかまたはこれを用いて実施することができる。より具体的には、インタフェース504は、通信に関連する1つまたはそれ以上の通信プロトコルをサポートするソフトウェアを含むことができる。したがって、ネットワーク530またはインタフェースのハードウェアは、図示のコンピュータ502の内部および外部で物理信号を通信するように動作可能とすることができる。
【0040】
コンピュータ502は、プロセッサ505を含む。図3には単一のプロセッサ505として図示されているが、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、または特定の実施、および、記載された機能に従って、2つ以上のプロセッサ505を用いることができる。一般に、プロセッサ505は、本開示で説明されるようなアルゴリズム、方法、関数、プロセス、フロー、およびプロシージャを使用する動作を含む、コンピュータ502の動作を実行するために、命令を実行することができ、データを操作することができる。
【0041】
コンピュータ502はまた、コンピュータ502、およびネットワーク530に接続された他のコンポーネント(図示の有無にかかわらず)のためにデータを保持することができるデータベース506を含む。例えば、データベース506は、インメモリ、従来型、または本開示と一致するデータを記憶するデータベースとすることができる。いくつかの実施態様では、データベース506は、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、または特定の実施、および、記載された機能に従って、2つ以上の異なるデータベースタイプ(例えば、ハイブリッドインメモリおよび従来型データベース)の組合せとすることができる。図3には単一のデータベース506として図示されているが、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、または特定の実施、および、記載された機能に従って、(タイプの同じ、異なる、または組合せの)2つ以上のデータベースを用いることができる。データベース506は、コンピュータ502の内部コンポーネントとして図示されているが、代替的な実施態様では、データベース506がコンピュータ502の外部にあることもできる。
【0042】
コンピュータ502はまた、コンピュータ502、またはネットワーク530に接続されたコンポーネントの組合せ(図示の有無にかかわらず)のためのデータを保持することができるメモリ507を含む。メモリ507は、本開示と一致する任意のデータを記憶することができる。いくつかの実施態様では、メモリ507は、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、または特定の実施、および、記載された機能に従って、2つ以上の異なるタイプのメモリの組合せ(例えば、半導体と磁気記憶の組合せ)とすることができる。図3には単一のメモリ507として図示されているが、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、または特定の実施、および、記載された機能に従って、(タイプの同じ、異なる、または組合せの)2つ以上のメモリ507を使用することができる。メモリ507は、コンピュータ502の内部コンポーネントとして図示されているが、代替的な実施態様ではメモリ507がコンピュータ502の外部にあることもできる。
【0043】
アプリケーション508は、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、または特定の実施、および、記載された機能に従って、機能を提供するアルゴリズムのソフトウェアエンジンとすることができる。例えば、アプリケーション508は、1つまたはそれ以上のコンポーネント、モジュール、またはアプリケーションとして機能することができる。更に、単一のアプリケーション508として図示されているが、アプリケーション508は、コンピュータ502上の複数のアプリケーション508として実施することができる。更に、コンピュータ502の内部として図示されているが、代替的な実施態様ではアプリケーション508がコンピュータ502の外部にあることもできる。
【0044】
コンピュータ502はまた、電源514を含むことができる。電源514は、ユーザ交換可能またはユーザ交換不可能のいずれかであるように構成することができる再充電可能または非再充電可能バッテリを含むことができる。いくつかの実施態様では、電源514は、再充電、スタンバイ、および電力管理機能を含む電力変換および管理回路を含むことができる。いくつかの実施態様では、電源514は、コンピュータ502を壁コンセントまたは電源に差し込み、例えば、コンピュータ502に電力を供給するまたは再充電可能なバッテリを再充電することを可能にする電源プラグを含むことができる。
【0045】
各コンピュータ502がネットワーク530を介して通信する、コンピュータ502を含むコンピュータシステムに関連したまたは外部の任意の数のコンピュータ502が存在することができる。更に、用語「クライアント」、「ユーザ」、および他の適切な用語は、本開示の範囲から逸脱することなく、適宜交換可能に用いることができる。更に、本開示は、多くのユーザが1つのコンピュータ502を使用することができ、1人のユーザが複数のコンピュータ502を使用することができることを企図する。
【0046】
本明細書に記載された主題および機能動作の実施は、デジタル電子回路で、有形に具現化されたコンピュータソフトウェアまたはファームウェアで、本明細書に開示された構造およびそれらの構造的均等物を含むコンピュータハードウェアで、またはそれらの1つもしくはそれ以上の組合せで実施することができる。記載された主題のソフトウェアの実施は、1つまたはそれ以上のコンピュータプログラムとして実施することができる。各コンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行するために、またはデータ処理装置の動作を制御するために、有形の非一時的なコンピュータ可読コンピュータ記憶媒体に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つまたはそれ以上のモジュールを含むことができる。代替的に、または追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝搬信号内/上に符号化することができる。例は、信号は、データ処理装置による実行に適した受信機装置への伝送のために、情報を符号化するために生成される機械生成電気信号、光信号、または電磁信号とすることができる。コンピュータ記憶媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、ランダムもしくはシリアルアクセスメモリデバイス、またはコンピュータ記憶媒体の組合せとすることができる。
【0047】
用語「データ処理装置」、「コンピュータ」、および「電子コンピュータデバイス」(または当業者によって理解されるような均等物)は、データ処理ハードウェアを指す。例えば、データ処理装置は、一例として、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、または複数のプロセッサもしくはコンピュータを含む、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、およびマシンを包含することができる。装置はまた、例えば、中央処理装置(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定用途向け集積回路(ASIC)を含む専用論理回路を含むことができる。いくつかの実施態様では、データ処理装置または専用論理回路(またはデータ処理装置もしくは専用論理回路の組合せ)はハードウェアベースまたはソフトウェアベース(またはハードウェアベースおよびソフトウェアベースの双方の組合せ)とすることができる。この装置は場合により、コンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、または実行環境の組合せを構成するコードを含むことができる。本開示は従来のオペレーティングシステム、例えば、LINUX、UNIX、WINDOWS、MACOS、ANDROID、またはIOSを伴うまたは伴わないデータ処理装置の使用を企図する。
【0048】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、またはコードとしても参照または記述することができるコンピュータプログラムは、任意の形式のプログラミング言語で記述することができる。プログラミング言語は例えば、コンパイラ型言語、インタープリタ型言語、宣言型言語、または手続き型言語を含むことができる。プログラムは、スタンドアローンプログラム、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境で使用するユニットとして含める、任意の形態で配置することができる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応することができるが、必須ではない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部に記憶することができ、これは例えば、マークアップ言語文書に、当該プログラム専用の単一ファイルに、または1つもしくはそれ以上のモジュール、サブプログラム、もしくはコードの一部を記憶する複数の協調ファイルに、記憶される1つまたはそれ以上のスクリプトである。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行するために、または、例えば、1つのサイトに配置されている、または通信ネットワークによって相互接続されている複数のサイトに分散して配置されている、複数のコンピュータ上で実行するために、展開することができる。様々な図に示されるプログラムの部分は、様々なオブジェクト、方法、またはプロセスを介して様々な構成および機能を実施する個々のモジュールとして示される場合があるが、プログラムは代わりに、いくつかのサブモジュール、サードパーティサービス、コンポーネント、およびライブラリを含むことができる。逆に、様々なコンポーネントの構成および機能は、適宜単一のコンポーネントに組み合わせることができる。計算による判定を行うために用いられる閾値は、静的に、動的に、または静的および動的の双方で判定することができる。
【0049】
本明細書に記載される方法、プロセス、または論理フローは、入力データに対して動作し、出力を生成することによって機能を実行するために、1つまたはそれ以上のコンピュータプログラムを実行する1つまたはそれ以上のプログラマブルコンピュータによって実行することができる。方法、プロセス、または論理フローは、専用論理回路、例えばCPU、FPGA、またはASICによって実行することもでき、装置は、専用論理回路として実施することもできる。
【0050】
コンピュータプログラムの実行に適したコンピュータは、1つまたはそれ以上の汎用および専用マイクロプロセッサならびに他の種類のCPUに基づくことができる。コンピュータの要素は、命令を実行または達成するためのCPU、ならびに命令およびデータを記憶するための1つまたはそれ以上のメモリデバイスである。一般に、CPUは命令およびデータをメモリから受信する(およびメモリにデータを書き込む)ことができる。コンピュータはまた、データを記憶するための1つもしくはそれ以上の大容量記憶デバイスを含むことができ、またはそれに作動的に結合することができる。いくつかの実施態様では、コンピュータは、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクを含む大容量記憶デバイスからデータを受信し、大容量記憶デバイスにデータを転送することができる。更に、コンピュータは、別のデバイスに、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオもしくはビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、または、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ等の、ポータブル記憶デバイスに組み込むことができる。
【0051】
コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体(適宜、一時的または非一時的)は、永久/非永久および揮発性/不揮発性メモリ、媒体、およびメモリデバイスの全ての形態を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリデバイス等の半導体メモリデバイスを含むことができる。コンピュータ可読媒体はまた、例えば、テープ、カートリッジ、カセット、および内部/取外し可能ディスク等の磁気デバイスを含むことができる。コンピュータ可読媒体はまた、光磁気ディスク、および光メモリデバイス、ならびに例えばデジタルビデオディスク(DVD)、CDROM、DVD+/-R、DVD-RAM、DVD-ROM、HD-DVD、およびBLURAYを含む技術を含むことができる。メモリは、キャッシュ、クラス、フレームワーク、アプリケーション、モジュール、バックアップデータ、ジョブ、ウェブページ、ウェブページテンプレート、データ構造、データベーステーブル、リポジトリ、および動的情報を含む、様々なオブジェクトまたはデータを記憶することができる。メモリに記憶されるオブジェクトおよびデータのタイプは、パラメータ、変数、アルゴリズム、命令、ルール、制約、およびリファレンスを含むことができる。更に、メモリは、ログ、ポリシー、セキュリティまたはアクセスデータ、およびレポートファイルを含むことができる。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補足するか、または専用論理回路に組み込むことができる。
【0052】
本開示で説明される主題の実施は、ユーザへの情報の表示(およびユーザからの入力の受信)を含む、ユーザとの対話を提供するためのディスプレイデバイスを有するコンピュータ上で実施することができる。ディスプレイデバイスのタイプは、例えば、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、およびプラズマモニタを含むことができる。ディスプレイデバイスは、キーボード、および、例えば、マウス、トラックボール、またはトラックパッドを含むポインティングデバイスを含むことができる。また、ユーザ入力は、圧力感度を有するタブレットコンピュータ表面または静電容量または電気センシングを使用するマルチタッチスクリーン等のタッチスクリーンの使用を通じてコンピュータに提供することもできる。他の種類のデバイスを使用して、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックを含む感覚フィードバックを含む、ユーザフィードバックを受信することを含むユーザとの対話を提供することができる。ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力の形態で受信することができる。更に、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスに文書を送信し、そこから文書を受信することによって、ユーザと対話することができる。例えば、コンピュータは、ウェブブラウザから受信した要求に応答して、ユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送信することができる。
【0053】
用語「グラフィカルユーザインタフェース」すなわち「GUI」は、単数形または複数形において、1つまたはそれ以上のグラフィカルユーザインタフェースおよび特定のグラフィカルユーザインタフェースの各表示を記述するために使用することができる。したがって、GUIは、情報を処理し、その情報結果をユーザに効率的に提示する、ウェブブラウザ、タッチスクリーン、またはコマンドラインインタフェース(CLI)を含むが、これらに限定されない、任意のグラフィカルユーザインタフェースを表すことができる。一般に、GUIは、複数のユーザインタフェース(UI)要素を含むことができ、いくつかまたは全てがインタラクティブフィールド、プルダウンリスト、ボタン等のウェブブラウザに関連する。これらおよび他のUI要素は、ウェブブラウザの機能に関連するか、またはそれを表すことができる。
【0054】
この明細書に記載されている主題の実施は、コンピューティングシステムで実施することができ、コンピューティングシステムは、例えばデータサーバとしての、バックエンドコンポーネントを含むか、または、ミドルウェアコンポーネント、例えばアプリケーションサーバを含む。更に、コンピューティングシステムは、フロントエンドコンポーネント、例えばクライアントコンピュータを含むことができ、クライアントコンピュータは、ユーザがコンピュータと対話することができる、グラフィカルユーザインタフェースまたはウェブブラウザの一方または両方を有する。システムのコンポーネントは、通信ネットワークでの有線または無線デジタルデータ通信(またはデータ通信の組合せ)の任意の形態または媒体によって相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ワイマックス(Worldwide Interoperability for Microwave Access、WIMAX)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)(例えば、802.11a/b/g/nもしくは802.20またはプロトコルの組合せを使用)、インターネットの全部もしくは一部、または1つもしくはそれ以上の場所にある任意の他の単数もしくは複数の通信システム(または通信ネットワークの組合せ)を含む。ネットワークは、例えば、インターネットプロトコル(IP)パケット、フレームリレーフレーム、非同期転送モード(ATM)セル、音声、ビデオ、データ、またはネットワークアドレス間の通信タイプの組合せと通信することができる。
【0055】
コンピューティングシステムは、クライアントとサーバとを含むことができる。クライアントおよびサーバは一般に、互いに離れた場所にあることができ、典型的には、通信ネットワークを介して相互作用することができる。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行される、クライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムにより生じることができる。
【0056】
クラスタファイルシステムは、読取りおよび更新のために複数のサーバからアクセス可能な任意のファイルシステムタイプとすることができる。交換ファイルシステムのロッキングは、アプリケーション層で行うことができるので、ロッキングまたは一貫性トラッキングは必要でない場合がある。更に、Unicodeデータファイルは、Unicode以外のデータファイルとは異なることができる。
【0057】
本明細書は、多くの特定の実施の詳細を含むが、これらは特許請求することができるものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実施に固有とすることができる構成の説明として解釈されるべきである。別個の実施の文脈で本明細書において説明されている或る特定の構成は、組み合わせて、単一の実施で、実施することもできる。逆に、単一の実施の文脈で説明される様々な構成は、複数の実施で、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。更に、前述の構成は、或る特定の組み合わせで動作するものとして説明されてもよく、そのようなものとして最初に特許請求することができるが、特許請求された組合せからの1つまたはそれ以上の構成は、場合によってはその組合せから削除することもでき、特許請求された組合せは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形を対象とすることができる。
【0058】
主題の特定の実施態様について説明した。記載された実施の他の実施、変更、および置換は、当業者には明らかであるように以下の請求の範囲内である。動作は、図面または請求項に特定の順序で示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序でまたは一連の順番でそのような動作が実行されることを必要とするものとして理解されるべきではなく、または全ての図示された動作が実行される(いくつかの動作は随意的とみなすことができる)ことを必要とするものとして理解されるべきではない。或る特定の状況では、マルチタスクまたは並列処理(またはマルチタスクおよび並列処理の組合せ)を行うことが有利であり、適切と思われる場合に実行される。
【0059】
更に、既述の実施における様々なシステムモジュールおよびコンポーネントの分離または統合が、全ての実施においてそのような分離または統合を必要とするものとして理解されるべきではない。また、記載されたプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般的には、単一のソフトウェア製品に統合することができるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化することができることが理解されるべきである。
【0060】
したがって、上述した例示的な実施態様は、本開示を画成するものでも制約するものでもない。他の変更、置換、および変更も、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく可能である。
【0061】
更に、請求された任意の実施は、少なくとも、コンピュータにより実施される方法;コンピュータにより実施される方法を実施するためのコンピュータ可読命令を記憶する非一時的なコンピュータ可読媒体;およびコンピュータシステムに適用可能であると考えられる。コンピュータシステムは、ハードウェアプロセッサに相互に動作可能に結合されたコンピュータメモリを含み、ハードウェアプロセッサは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータにより実施される方法または命令を実行するように構成される。
【0062】
これらのシステムおよび方法の複数の実施態様が説明された。しかしながら、これらのシステムおよび方法は他の実施態様を含むことができる。例えば、システムおよび方法は、バイオリアクタの文脈において説明されたが、説明されたシステムおよび方法は、他の文脈においても有用とすることができる。このタイプの制御は、モデル予測コントローラとPIDコントローラとのハイブリッドに類似している。PIDコントローラの出力を利用し、バイオリアクタ内の他の測定値に対する関係または相関を決定することによって、これを適用して制御のロバスト性を増大させることができる。PIDコントローラの出力に影響を及ぼす入力測定値の過剰なノイズが存在するとき、このタイプの制御方式を利用することができる。モデルを用いてPIDコントローラを拡張することによって、そのコントローラの出力をより信頼性のあるものに変更することができる。これは、PIDの直接出力を、モデルの期待される出力と置き換えること、またはモデルからの期待される出力を通じてPIDに対し制約を課すことによって実施することができる。この事例において、静電容量測定値を用いた酸素の制御が実証される(業界初)。
図1
図2
図3
【国際調査報告】