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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(54)【発明の名称】反応器
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/00 20060101AFI20230823BHJP
   B01J 19/18 20060101ALI20230823BHJP
   C08F 2/01 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
B01J19/00 301B
B01J19/18
C08F2/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023507711
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 KR2021012137
(87)【国際公開番号】W WO2022055224
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0117211
(32)【優先日】2020-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0118408
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ソン-ポム
(72)【発明者】
【氏名】イ、チン
(72)【発明者】
【氏名】ペク、チョン-ヨル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウォン-ヒ
【テーマコード(参考)】
4G075
4J011
【Fターム(参考)】
4G075AA13
4G075AA32
4G075BA10
4G075CA03
4G075CA54
4G075EA07
4G075EB01
4G075EC09
4G075ED02
4G075ED06
4G075ED09
4J011AA05
4J011DA04
4J011DB12
4J011DB23
4J011HA03
4J011HB03
(57)【要約】
【要約】
本発明は、反応器に関し、本発明による反応器は、内部に反応流体の重合反応が行われる収容空間が形成された反応器タンク;前記反応器タンクの外側に位置して冷媒が流れる外部冷媒ジャケット;及び前記反応器タンクの内側に位置して冷媒が流れる内部冷媒ジャケットを含み、前記外部冷媒ジャケット及び前記内部冷媒ジャケットの冷媒が流れる方向に互いに反対である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に反応流体の重合反応が行われる収容空間が形成された反応器タンク;
前記反応器タンクの外側に位置して冷媒が流れる外部冷媒ジャケット;及び
前記反応器タンクの内側に位置して冷媒が流れる内部冷媒ジャケットを含み、
前記外部冷媒ジャケット及び前記内部冷媒ジャケットの冷媒が流れる方向は、互いに反対である、反応器。
【請求項2】
前記外部冷媒ジャケットは、前記外部冷媒ジャケットの内部に冷媒が投入される外部冷媒投入部と、冷媒が排出される外部冷媒排出部とを含み、
前記内部冷媒ジャケットは、前記内部冷媒ジャケットの内部に冷媒が投入される内部冷媒投入部と、冷媒が排出される内部冷媒排出部とを含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記外部冷媒投入部及び前記内部冷媒投入部は、上下方向に対して互いに反対側に位置し、
前記外部冷媒排出部及び前記内部冷媒排出部は、上下方向に対して互いに反対側に位置する、請求項2に記載の反応器。
【請求項4】
前記外部冷媒投入部及び前記内部冷媒排出部は、前記反応器タンクの下部一側に位置し、前記外部冷媒排出部及び前記内部冷媒投入部は、前記反応器タンクの上部他側に位置する、請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
前記外部冷媒ジャケット及び前記内部冷媒ジャケットは、内部に前記冷媒が流れる管状に形成される、請求項1に記載の反応器。
【請求項6】
前記外部冷媒ジャケット及び前記内部冷媒ジャケットは、コイル(Coil)状に巻き取られた形態である、請求項5に記載の反応器。
【請求項7】
前記外部冷媒ジャケット及び前記内部冷媒ジャケットは、断面が四角形である管を備えた、請求項6に記載の反応器。
【請求項8】
前記内部冷媒ジャケットは、前記内部冷媒ジャケットの内外側に流動通路が形成されるように隔壁を形成する、請求項6に記載の反応器。
【請求項9】
前記反応器タンクの内側部に設置され、前記反応流体の方向性を誘導するインペラーをさらに含む、請求項8に記載の反応器。
【請求項10】
前記インペラーは、前記内部冷媒ジャケットの内側及び外側に位置し、前記内部冷媒ジャケットの内側に前記反応流体の上昇を、かつ前記内部冷媒ジャケットの外側に前記反応流体の下降を誘導する、請求項9に記載の反応器。
【請求項11】
前記反応器タンクの内部に前記インペラーが流動する前記反応流体の流動方向と同一の方向に前記反応流体の流動をガイドするガイドベーン(Guide vane)が更に備えられる、請求項10に記載の反応器。
【請求項12】
前記ガイドベーンは、前記反応器タンクの内部で上側部及び下側部に備えられる支持板と、前記支持板から前記反応器タンクの内側方向に突出されたガイド部を含む、請求項11に記載の反応器。
【請求項13】
モノマー及び溶媒を前記反応器タンク内部に投入させるモノマー及び溶媒の投入部;及び
触媒を前記反応器タンク内部に投入させる触媒投入部をさらに含み、
前記モノマー及び溶媒の投入部と、前記触媒投入部が前記外部冷媒投入部及び前記内部冷媒投入部が位置した側に備えられる、請求項2から4のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項14】
前記モノマー及び溶媒の投入部が前記内部冷媒投入部の位置した側に備えられ、前記触媒投入部が前記外部冷媒投入部の位置した側に備えられる、請求項13に記載の反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年9月11日付韓国特許出願第10-2020-0117211号及び2021年9月6日付韓国特許出願第10-2021-0118408号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、反応器に関する。
【背景技術】
【0003】
重合体(polymer)の原料となる単位体又はモノマー(monomer)が化学反応を介して2個以上結合し、分子量が大きい化合物を生成する反応を重合といい、重合体は、重合度によりダイマー、トリマー、マルチマーと称される。
【0004】
重合反応が起こる反応器は、内部にモノマー、溶媒及び触媒が投入されて重合反応が起こり得る。ポリブテン(polybutene)は、陽イオン重合の代表的な事例である。ポリブテン(polybutene)重合が起こる反応器は、安定的な重合のために低温を維持しなければならない。従来の技術では、摂氏-90度~-60度の低温を維持することが必要であった。しかし、従来には、反応器の内部を連続的に均一な低温状態に維持しにくいという問題がある。これにより、安定的な分子量を得ることが困難であり、異性体(isomer)の選択的反応が起こりにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2019-0027623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの観点は、均一に低温熱伝達が行われ得る反応器を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態による反応器は、内部に反応流体の重合反応が行われる収容空間が形成された反応器タンク;前記反応器タンクの外側に位置して冷媒が流れる外部冷媒ジャケット;及び前記反応器タンクの内側に位置して冷媒が流れる内部冷媒ジャケットを含み、前記外部冷媒ジャケット及び前記内部冷媒ジャケットの冷媒が流れる方向は、互いに反対であってよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、冷媒が流れる冷媒ジャケットを反応器の内部から内外側に二重に備えられるので均一な反応物の冷却ができる。
【0009】
また、相対的に内側に位置したジャケットと外側に位置したジャケットに冷媒の流出入通路が反対に備えられて冷媒が互いに逆方向に流れるようになるのに伴って、より均一な反応物(反応流体)の冷却が可能であり得る。
【0010】
そして、効率的な熱交換の過程を介して、熱伝導体の負担が少なくなるので冷却器(反応器)の負荷が低くなる。これにより、エネルギー効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による反応器を例示的に示した斜視図である。
図2】本発明の実施形態による反応器を例示的に示した断面図である。
図3】本発明の実施形態による反応器における内部冷媒ジャケットを例示的に示した斜視図である。
図4】本発明の実施形態による反応器におけるガイドベーンを例示的に示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的、特定の長所及び新規な特徴は、図と関連付けられる以下の詳細な説明と好ましい実施形態からさらに明白になるであろう。本明細書において各図の構成要素に参照番号を付加するのに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ他の図上に表示されるとしても、可能な限り同一の番号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明は、幾多の異なる形態に具現されてよく、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、本発明を説明するのに際し、本発明の要旨を不要に濁し得る関連の公知技術に対する詳細な説明は省略する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態による反応器を例示的に示した斜視図であり、図2は、本発明の実施形態による反応器を例示的に示した断面図であり、図3は、本発明の実施形態による反応器における内部冷媒ジャケットを例示的に示した斜視図である。
【0014】
図1から図3を参考すると、本発明の実施形態による反応器100は、内部に収容空間111が形成された反応器タンク110、反応器タンク110の外側に位置して冷媒が流れる外部冷媒ジャケット120、及び反応器タンク110の内側に位置して冷媒が流れる内部冷媒ジャケット130を含む。
【0015】
また、本発明の実施形態による反応器100は、インペラー140及びガイドベーン150をさらに含むことができる。
【0016】
より詳細には、反応器タンク110は、内部に反応流体の重合反応が行われる収容空間111が形成されてよい。このとき、反応器タンク110は、円筒状のベッセル(vessel)状に備えられてよい。
【0017】
また、反応器タンク110の収容空間111にモノマー、溶媒及び触媒が投入されて重合反応が起こり得る。
【0018】
ここで、反応器タンク110の収容空間111でポリブテン(polybutene)重合が起こり得る。すなわち、反応器タンク110の内部で重合反応が起こり重合体を製造することができ、例えば、ポリブテン(polybutene)重合体を製造することができる。
【0019】
触媒は、例えば、三フッ化ホウ素(BF3)、塩化アルミニウム(AlCl3)などのルイス酸(lewis acid)系列が用いられてよい。
【0020】
外部冷媒ジャケット120は、反応器タンク110の外側に位置して冷媒が流れ得る。
【0021】
外部冷媒ジャケット120は、外部冷媒ジャケット120の内部に冷媒が投入される外部冷媒投入部121及び冷媒が排出される外部冷媒排出部122を含むことができる。
【0022】
一方、外部冷媒ジャケット120は、内部に冷媒が流れる管状に形成されてよい。
【0023】
また、外部冷媒ジャケット120は、コイル(Coil)状に巻き取られた形態であってよい。これにより、外部冷媒ジャケット120は、反応器タンク110の外側面を取り囲むことができる。
【0024】
併せて、外部冷媒ジャケット120は、断面が四角形である管を備えてよい。すなわち、断面が「□」状の管に備えられてよい。これにより、外部冷媒ジャケット120の内部に流れる冷媒の方向性を付与することができる。
【0025】
内部冷媒ジャケット130は、反応器タンク110の内側に位置して冷媒が流れ得る。
【0026】
内部冷媒ジャケット130は、内部冷媒ジャケット130の内部に冷媒が投入される内部冷媒投入部131及び冷媒が排出される内部冷媒排出部132を含むことができる。
【0027】
そして、内部冷媒ジャケット130は、内部に冷媒が流れる管状に形成されてよい。
【0028】
併せて、内部冷媒ジャケット130は、断面が四角形である管を備えてよい。すなわち、断面が「□」状の管に備えられてよい。これにより、内部冷媒ジャケット130の内部に流れる冷媒の方向性を付与することができる。
【0029】
また、内部冷媒ジャケット130は、コイル(Coil)状に巻き取られた形態であってよい。
【0030】
ここで、内部冷媒ジャケット130は、内部冷媒ジャケット130の内側130a及び外側130bに流動通路が形成されるように隔壁を形成することができる。
【0031】
これにより、反応流体の方向性を誘導して限定された空間において反応時間の確保が可能であり得る。
【0032】
一方、外部冷媒ジャケット120及び内部冷媒ジャケット130の冷媒が流れる方向は、互いに反対であってよい。
【0033】
また、外部冷媒投入部121及び内部冷媒投入部131は、上下方向(D1)に対して互いに反対側に位置し、外部冷媒排出部122及び内部冷媒排出部132は、上下方向(D1)に対して互いに反対側に位置してよい。
【0034】
併せて、外部冷媒投入部121及び内部冷媒排出部132は、反応器タンク110の下部一側に位置し、外部冷媒排出部122及び内部冷媒投入部131は、反応器タンク110の上部他側に位置してよい。
【0035】
これにより、外部冷媒ジャケット120及び内部冷媒ジャケット130の冷媒投入部分と排出部分が互いに反対に位置するので、冷媒が互いに逆方向に流れるのに伴い、反応器タンク110の内部で均一な熱伝達が行われ、反応流体が均一に低温を維持することができる。このとき、例えば、外部冷媒ジャケット120及び内部冷媒ジャケット130を介して反応流体を極低温に維持させることができる。そして、外部冷媒ジャケット120及び内部冷媒ジャケット130を介して反応流体に熱伝達を容易にするのに伴い、外部冷媒ジャケット120だけ反応器タンク110に備えられる際より冷媒温度をより高くしても反応が円滑に起こるようにすることができる。また、例えば、反応器タンク110の温度を-30℃~-49℃に維持させて反応流体の反応が起こるようにするため、本発明の反応器100に投入される触媒温度をこれと類似にするか、-10℃~-20℃さらに低く供給しても熱伝達がよく行われるので、反応が円滑になされ得る。しかし、外部冷媒ジャケット120だけ反応器100に備えられると、熱伝達効率が下がり冷媒投入温度をより顕著に下げなくてはならない。結局、本発明の反応器100は、外部冷媒ジャケット120及び内部冷媒ジャケット130を介して反応流体に効率的に熱伝達をさせることができるので、より高い温度の冷媒を反応器100に供給しても反応温度を確保することができるようになるのに伴い、エネルギー効率が顕著に良いという効果がある。
【0036】
また、反応流体を均一に低温状態で維持することができるので、連続的に安定的な重合が起こり得る。よって、安定的な分子量を得ることが可能であり、異性体(isomer)の陽イオン重合ができる。
【0037】
インペラー140は、反応器タンク110の内側部に設置され、反応流体の方向性を誘導することができる。
【0038】
インペラー140は、内部冷媒ジャケット130の内側130a及び外側130bに位置し、内部冷媒ジャケット130の内側130aに反応流体の上昇及び内部冷媒ジャケット130の外側130bに反応流体の下降を誘導することができる。
【0039】
インペラー140は、反応器タンク110に回転可能に装着された回転軸141及び回転軸141に装着されたインペラープレード142、143を含むことができる。
【0040】
このとき、内部冷媒ジャケット130の内側130aに位置するインペラープレード142及び外側130bに位置するインペラープレード143は、互いに反対方向に流体を流動させるように備えられてよい。ここで、例えば、内部冷媒ジャケット130の内側130aに位置するインペラープレード142及び外側130bに位置するインペラープレード143は、回転軸141に互いに反対の傾きを有して装着されてよい。
【0041】
図4は、本発明の実施形態による反応器におけるガイドベーンを例示的に示した平面図である。
【0042】
図2及び図4を参考すると、ガイドベーン150(Guide vane)は、反応器タンク110の内部にインペラー140が流動する反応流体の流動方向と同一の方向に反応流体の流動をガイドすることができる。
【0043】
反応器において、ガイドベーン150は、反応器タンク110の内部で上側部及び下側部に備えられる支持板152と、支持板152から反応器タンク110の内側方向に突出されたガイド部151とを含む。
【0044】
支持板152は、反応器タンク110の天井面及び底面に固定されてよい。
【0045】
ガイド部151は、支持板152から螺旋状の形態に突出されてよい。
【0046】
これにより、ガイドベーン150が反応流体の流動をガイドすることができる。すなわち、ガイドベーン150は、反応器タンク110の収容空間111においてインペラー140により流動される反応流体が内部冷媒ジャケット130の内側130a及び外側130bを容易に循環するようにガイド(Guide)することができる。このとき、例えば、反応器タンク110の内部で上側に位置したガイド部151は、内部冷媒ジャケット130の内側130aで上昇される流体を内部冷媒ジャケット130の外側130bに移動されるようにガイドし、反応器タンク110の内部で下側に位置したガイド部151は、内部冷媒ジャケット130の外側130bで下降される流体を内部冷媒ジャケット130の内側130aに移動されるようにガイドすることができる。
【0047】
結局、内部冷媒ジャケット130の内外側130a、130bにインペラープレード142、143が備えられたインペラー140及び流体の流れを誘導するガイドベーン150を介して反応器100内部で流体の均一な循環が可能であり得る。
【0048】
図1及び図2を参考すると、本発明の実施形態による反応器100は、モノマー及び溶媒を反応器タンク110の内部に投入させるモノマー及び溶媒の投入部160、触媒を反応器タンク110の内部に投入させる触媒投入部170、及び反応物が排出される反応物排出部180をさらに含むことができる。
【0049】
モノマー及び溶媒の投入部160と、触媒投入部170が外部冷媒投入部121及び内部冷媒投入部131が位置した側に備えられてよい。これにより、反応流体の低温確保が有利であり得る。
【0050】
ここで、モノマー及び溶媒の投入部160が内部冷媒投入部131が位置した側に備えられ、触媒投入部170が外部冷媒投入部121が位置した側に備えられてよい。
【0051】
このとき、触媒投入部170は、反応器タンク110の下部一側に位置し、モノマー及び溶媒の投入部160は、反応器タンク110の上部他側に位置してよい。
【0052】
<製造例1>
外側及び内側に冷媒ジャケットがあるベッセル(vessel)状に備えられ、内部にインペラーが備えられた反応器を製造した。このとき、外側及び内側に冷媒ジャケットの冷媒が互いに逆方向に流れるようにした。
【0053】
触媒溶液と、モノマー(Isobutylene)及び溶媒(hexane&DCM)を反応器に入れ、-40度で30分間反応させた。このとき、モノマーの濃度は、40(wt%)で反応器に投入した。
【0054】
<製造例2>
反応器に投入されるモノマーの濃度が55(wt%)であることを除いて、製造例1と同一過程を行った。
【0055】
<比較例1>
反応器の外側にだけ冷媒ジャケットがあることを除いて、製造例1と同一過程を行った。
【0056】
<比較例2>
モノマーの濃度が55(wt%)であることを除いて、比較例1と同一過程を行った。
【0057】
<実験例1>
反応器の上下端の温度をチェック(check)し、温度分布を確認した。
【0058】
そして、反応物溶液中の溶媒を除去して最終製品を収得し、収得率を確認した。
【0059】
実験例1の実験を介して測定された反応器の上下端の温度、及び収得率などを下記表1に示した。
【0060】
【表1】
【0061】
表1を参考するとき、比較例1及び比較例2は、分子量(Mw)450kの収得率が0.2~43%である一方、製造例1及び製造例2は、分子量(Mw)450kの収得率が48~62%と顕著に高いことが分かる。特に、モノマー濃度が55(wt%)であるとき、比較例2は、製品の生成に必要な分子量(Mw)450kの収得率が0.2%とほとんど収得することができず、製造例2は、分子量(Mw)450kの収得率が62%と顕著に増加したことが分かる。一方、比較例2は、製品の生成に不要な分子量(Mw)248kの収得率が62%と示された。比較例1及び比較例2は、反応器の上下部の温度差が7.9℃~15.9℃である一方、製造例1及び製造例2は、反応器の上下部の温度差が5.1℃~6.8℃と顕著に小さいことが分かる。よって、製造例1及び製造例2は、比較例1及び比較例2より顕著に均一な熱伝達が可能であることが分かる。
【0062】
モノマー濃度が40(wt%)であるとき、反応体温度と冷媒温度差は、比較例1では約25℃である一方、製造例1では約15℃と顕著に反応体温度と冷媒温度差が低いことが分かる。また、モノマー濃度が55(wt%)であるとき、反応体温度と冷媒温度差は、比較例2では約45℃である一方、製造例1では約27℃と顕著に反応体温度と冷媒温度差が低いことが分かる。結局、比較例1、2に比べて製造例1、2の熱伝達効率が良好であることが分かる。
【0063】
結局、比較例1及び比較例2の反応器は、外側にだけ冷媒ジャケットがあるので低い熱伝達効率を示すことが分かる。これにより、モノマー濃度を増加させる設計が不可能であり、これは単位時間当りの生産性の向上に限界がある。
【0064】
しかし、製造例1及び製造例2の反応器は、外側だけでなく内側にも冷媒ジャケットがあるので、熱伝達面積が増加して高い熱伝達効率を示し、流体の流れ性の向上を図って単位時間当りの熱伝達率を増加させることが分かる。すなわち、反応流体の方向性を誘導して限定された空間において反応時間の確保が可能であることが分かる。これにより、冷却器(反応器)の容量を十分にし、モノマーの濃度を増加させる設計が可能であり、これは、単位時間当りの生産性を顕著に上昇させて物性の確保が可能であるという効果がある。
【0065】
以上、本発明を具体的な実施形態を介して詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明はこれに限定されない。本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者によって多様な実施が可能であるといえる。
【0066】
また、発明の具体的な保護の範囲は、特許請求の範囲によって明確になるはずである。
【符号の説明】
【0067】
100: 反応器
110: 反応器タンク
111: 収容空間
120: 外部冷媒ジャケット
121: 外部冷媒投入部
122: 外部冷媒排出部
130: 内部冷媒ジャケット
131: 内部冷媒投入部
132: 内部冷媒排出部
140: インペラー
141: 回転軸
142、143: インペラープレード
150: ガイドベーン
151: ガイド部
152: 支持板
160: モノマー及び溶媒の投入部
170: 触媒投入部
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に反応流体の重合反応が行われる収容空間が形成された反応器タンク;
前記反応器タンクの外側に位置して冷媒が流れる外部冷媒ジャケット;及び
前記反応器タンクの内側に位置して冷媒が流れる内部冷媒ジャケットを含み、
前記外部冷媒ジャケット及び前記内部冷媒ジャケットの冷媒が流れる方向は、互いに反対である、反応器。
【請求項2】
前記外部冷媒ジャケットは、前記外部冷媒ジャケットの内部に冷媒が投入される外部冷媒投入部と、冷媒が排出される外部冷媒排出部とを含み、
前記内部冷媒ジャケットは、前記内部冷媒ジャケットの内部に冷媒が投入される内部冷媒投入部と、冷媒が排出される内部冷媒排出部とを含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記外部冷媒投入部及び前記内部冷媒投入部は、上下方向に対して互いに反対側に位置し、
前記外部冷媒排出部及び前記内部冷媒排出部は、上下方向に対して互いに反対側に位置する、請求項2に記載の反応器。
【請求項4】
前記外部冷媒投入部及び前記内部冷媒排出部は、前記反応器タンクの下部一側に位置し、前記外部冷媒排出部及び前記内部冷媒投入部は、前記反応器タンクの上部他側に位置する、請求項3に記載の反応器。
【請求項5】
前記外部冷媒ジャケット及び前記内部冷媒ジャケットは、内部に前記冷媒が流れる管状に形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の反応器。
【請求項6】
前記外部冷媒ジャケット及び前記内部冷媒ジャケットは、コイル(Coil)状に巻き取られた形態である、請求項5に記載の反応器。
【請求項7】
前記外部冷媒ジャケット及び前記内部冷媒ジャケットは、断面が四角形である管を備えた、請求項6に記載の反応器。
【請求項8】
前記内部冷媒ジャケットは、前記内部冷媒ジャケットの内外側に流動通路が形成されるように隔壁を形成する、請求項6に記載の反応器。
【請求項9】
前記反応器タンクの内側部に設置され、前記反応流体の方向性を誘導するインペラーをさらに含む、請求項8に記載の反応器。
【請求項10】
前記インペラーは、前記内部冷媒ジャケットの内側及び外側に位置し、前記内部冷媒ジャケットの内側に前記反応流体の上昇を、かつ前記内部冷媒ジャケットの外側に前記反応流体の下降を誘導する、請求項9に記載の反応器。
【請求項11】
前記反応器タンクの内部に前記インペラーが流動する前記反応流体の流動方向と同一の方向に前記反応流体の流動をガイドするガイドベーン(Guide vane)が更に備えられる、請求項10に記載の反応器。
【請求項12】
前記ガイドベーンは、前記反応器タンクの内部で上側部及び下側部に備えられる支持板と、前記支持板から前記反応器タンクの内側方向に突出されたガイド部を含む、請求項11に記載の反応器。
【請求項13】
モノマー及び溶媒を前記反応器タンク内部に投入させるモノマー及び溶媒の投入部;及び
触媒を前記反応器タンク内部に投入させる触媒投入部をさらに含み、
前記モノマー及び溶媒の投入部と、前記触媒投入部が前記外部冷媒投入部及び前記内部冷媒投入部が位置した側に備えられる、請求項2から4のいずれか1項に記載の反応器。
【請求項14】
前記モノマー及び溶媒の投入部が前記内部冷媒投入部の位置した側に備えられ、前記触媒投入部が前記外部冷媒投入部の位置した側に備えられる、請求項13に記載の反応器。
【国際調査報告】