(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-01
(54)【発明の名称】スリットバルブ通路装置においてパージガスのガスカーテンを発生させるための方法、およびスリットバルブ通路装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230825BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20230825BHJP
F16K 3/02 20060101ALN20230825BHJP
【FI】
H01L21/68 A
C23C16/44 J
F16K3/02
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023500384
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021066637
(87)【国際公開番号】W WO2022008209
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モース,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】フェルドマン,マルコ
【テーマコード(参考)】
3H053
4K030
5F131
【Fターム(参考)】
3H053AA31
3H053BC01
3H053BD07
3H053DA09
4K030CA04
4K030CA12
4K030JA04
4K030KA10
5F131AA02
5F131BA03
5F131CA12
5F131EA04
5F131HA28
5F131JA07
5F131JA13
5F131JA15
5F131JA16
5F131JA24
5F131JA27
5F131JA29
5F131KA06
(57)【要約】
本発明は、半導体ウエハを処理するための装置の、スリットバルブ通路装置においてパージガスのガスカーテンを発生させるための方法、およびスリットバルブ通路装置に関する。この方法は、スリットバルブ通路装置の上部に配置され、取り外し可能なカバーで被覆される通路の2つの端部にパージガスを案内するステップと、スリットバルブ通路装置の上部と下部との間にある貫通孔内を半導体ウエハが搬送されている間に、通路の底にあるスリットを通してパージガスをガスカーテンとしてスリットバルブ通路装置の下部に案内するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハを処理するための装置のスリットバルブ通路装置においてパージガスのガスカーテンを発生させるための方法であって、
前記パージガスは、前記スリットバルブ通路装置の上部に配置され、取り外し可能なカバーで被覆される通路の2つの端部に向けられており、前記スリットバルブ通路装置の前記上部と下部との間にある貫通孔内を半導体ウエハが搬送されている間に、前記通路の底にあるスリットを通して前記スリットバルブ通路装置の前記下部に前記パージガスがガスカーテンの形で向けられる、方法。
【請求項2】
前記カバーは、前記ガスカーテンが発生される前後に取り外され、前記カバー、前記カバーを収容する凹部、および前記通路が洗浄される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スリットバルブ通路装置の前記下部に向けられた前記ガスカーテンは、90度の角度で前記半導体ウエハの表面に作用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記通路の前記底にある前記スリットは、斜めに切られた壁面によって横方向の範囲を定められ、これにより、前記スリットバルブ通路装置の前記下部に向けられた前記ガスカーテンの進路が変更され、90度に等しくない角度で前記半導体ウエハの表面に作用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
半導体ウエハを処理するための装置のスリットバルブ通路装置であって、上部と、下部と、前記上部と前記下部との間に、搬送路に沿って前記スリットバルブ通路装置を通して前記半導体ウエハを搬送するための貫通孔とを備え、
前記上部の上側にある凹部と、
前記凹部を被覆するための取り外し可能なカバーと、
前記凹部にある通路とを備え、前記通路は、前記搬送路に交差するように延在し、さらに、
パージガスを通過させるための、前記通路の底にあるスリットと、
前記通路の2つの端部に前記パージガスを送り込むための、前記上部にある穴とを含み、これにより、
前記パージガスを送り込む際、前記スリットバルブ通路装置の前記上部から前記下部に向けられるガスカーテンが形成される、スリットバルブ通路装置。
【請求項6】
前記スリットの横方向の範囲を定める垂直な壁面によって特徴付けられる、請求項5に記載のスリットバルブ通路装置。
【請求項7】
前記スリット横方向の範囲を定める斜めに切られた壁面によって特徴付けられる、請求項5に記載のスリットバルブ通路装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハを処理するための装置、たとえば、半導体ウエハを熱処理するための装置または半導体ウエハの上側に層を蒸着させるための装置のスリットバルブ通路装置において、パージガスのガスカーテンを発生させるための方法を提供する。また、本発明は、このような装置のスリットバルブ通路装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来技術/課題
米国特許第20100190343A1号では、通常のモジュール、特に、プロセスチャンバーと、搬送チャンバーと、ロードロックとを備える、半導体ウエハを処理するための装置が開示されている。処理対象の半導体ウエハは、予め定められた順序でこれらのモジュール内に搬送される。これらのモジュールは、ポートによって分離されている。
【0003】
韓国特許第101875305B1号では、粒子による汚染から半導体ウエハを保護するために、スリットバルブ通路装置をポートとして使用して、半導体ウエハがスリットバルブ通路装置内を搬送されている間に半導体ウエハにパージガスを向けることが提案されている。
【0004】
米国特許第20150083330A1号では、通路装置内を搬送されている半導体ウエハに、穴を通して上から下にパージガスを向けるスリットバルブ通路装置について説明している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スリットバルブ通路装置内に粒子が蓄積し、時間の経過とともにスリットバルブ通路装置自体が粒子の出所になり得るので、さらなる改善が必要である。
【0006】
本発明の目的は、半導体ウエハがスリットバルブ通路装置内を搬送されている間に粒子による異物混入が生じるリスクを大幅に排除することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、半導体ウエハを処理するための装置のスリットバルブ通路装置においてパージガスのガスカーテンを発生させるための方法によって実現される。ここでは、スリットバルブ通路装置の上部に配置され、取り外し可能なカバーで被覆される通路の2つの端部にパージガスが向けられ、スリットバルブ通路装置の上部と下部との間の貫通孔内を半導体ウエハが搬送されている間に、通路の底にあるスリットを通してスリットバルブ通路装置の下部に当該パージガスがガスカーテンの形で向けられる。
【0008】
好ましくは、上部から下部への移動方向において、半導体ウエハの表面にガスカーテンが直角で作用する。
【0009】
本発明の別の好ましい実施の形態によると、通路の下にあるスリットは、斜めに切られた壁面によって横方向の範囲を定められ、これにより、スリットバルブ通路装置の下部に向けられるガスカーテンの進路が変更され、90度に等しくない角度で半導体ウエハの表面に作用する。好ましくは、半導体ウエハが搬送チャンバーからプロセスチャンバーまたは閉室に搬送される場合、半導体ウエハの表面に斜めに作用するガスカーテンのせいで、半導体ウエハ上にある粒子は、半導体ウエハの移動方向とは反対方向に移動する推進力を受ける。このようにすれば、半導体ウエハの表面から粒子が除去され、スリットバルブ通路装置内にある粒子は、プロセスチャンバーから移動される。
【0010】
これに加えて、本発明は、上部と、下部と、搬送路に沿ってスリットバルブ通路装置を通して半導体ウエハを搬送するための、上部と下部との間の貫通孔とを備える、半導体ウエハを処理するための装置のスリットバルブ通路装置を提供する。このスリットバルブ通路装置は、
上部の上側にある凹部と、
凹部を被覆するための取り外し可能なカバーと、
凹部にある通路とを含み、当該通路は、搬送路に交差するように延在し、さらに、
パージガスを通過させるための、通路の底にあるスリットと、
通路の2つの端部にパージガスを送り込むための、上部にある穴とを含み、これにより、ガスを送り込む際、スリットバルブ通路装置の上部から下部に向けられるガスカーテンが形成される。
【0011】
パージガスを通路の両端に向け、通路にあるスリットを通して半導体ウエハまで向けることによって、均質なガスカーテンが形成され、その結果、半導体ウエハ上の粒子をその位置に関係なく同じ有効性を持って取り除くことができる。この通路は、取り外し可能なカバーによってアクセス可能であるので、粒子が蓄積され、粒子による半導体ウエハの汚染源になり得るクリティカルな領域には、洗浄措置の目的で容易にアクセス可能である。
【0012】
ガスカーテンは、スリットバルブ通路装置の貫通孔を通して搬送される半導体ウエハの直径よりも長い距離にわたって延在する。一実施の形態によると、この距離の長さ、従って、通路の長さは、300mmよりも大きく、特に好ましくは、320mmである。一実施の形態によると、ガスカーテンの所望の流速を実現するために、通路の底にあるスリットの幅を調整する。
【0013】
好ましい実施の形態によると、通路の底にあるスリットには、スリットの横方向の範囲を定める垂直な壁面があり、その結果、ガスカーテンは、90度の角度で半導体ウエハの表面に作用する。
【0014】
別の好ましい実施の形態によると、通路の底にあるスリットには、スリットの横方向の範囲を定める斜めに配置された壁面がある。この壁面によってガスカーテンの進路が変更され、その結果、90度に等しくない角度で半導体ウエハの表面にガスカーテンが作用する。
【0015】
好ましくは、カバーは、所定の間隔で取り外され、たとえば、半導体ウエハを処理するための装置のメンテナンス中に、カバー、カバーを収容する凹部、その次に通路が洗浄され乾燥される。洗浄および乾燥は、特別な手間をかけることなく、かなり素早く行うことができる。
【0016】
カバーは、凹部を塞ぎ、スリットバルブ通路装置の上部の上側に取り外し可能に固着される。一実施の形態によると、固着手段は、ねじであり、好ましくは、プラスチック素材またはセラミックスのねじである。一実施の形態によると、カバーと凹部との間をパージガスが通過することを防ぐ封止材が存在している。
【0017】
スリットバルブ通路装置は、前側と後ろ側を有する。一実施の形態によると、前側は、搬送チャンバーに隣接する側であり、後ろ側は、プロセスチャンバーまたは閉室に隣接する側である。
【0018】
スリットバルブ通路装置の上部には、通路の2つの端部にパージガスを送り込むための2つの穴が設けられる。一実施の形態によると、これらの穴は、スリットバルブ通路装置の後ろ側の2つの丸みを帯びた上隅の領域に位置する。
【0019】
スリットバルブ通路装置は、扉によって閉じることが可能である。一実施の形態によると、扉は、スリットバルブ通路装置の前側で貫通孔を閉じる。
【0020】
スリットバルブ通路装置は、半導体ウエハを処理するための装置の一部である。一実施の形態によると、装置は、基板ウエハ上にエピタキシャル層を蒸着させるための装置であり、好ましくは、単結晶シリコンの基板ウエハ上にシリコンのエピタキシャル層を蒸着させるための装置である。別の実施の形態によると、半導体ウエハ、好ましくは、単結晶シリコンの半導体ウエハを熱処理するための装置である。
【0021】
以下、本発明について、添付の図面を参照しながらさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】スリットバルブ通路装置の好ましい実施の形態の斜視図である。
【
図2】カバーが取り外された状態の、
図1に係るスリットバルブ通路装置を示す図である。
【
図3】作動可能なガスカーテンを有する、
図1に係るスリットバルブ通路装置の後ろ側を示す図である。
【
図4】
図1に係るスリットバルブ通路装置を横から見た概略図である。
【
図5】好ましい実施の形態における、
図1に係るスリットバルブ通路装置の断面を示す図である。
【
図6】別の好ましい実施の形態における、
図1に係るスリットバルブ通路装置の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る例示的な実施の形態の詳細な説明
図1は、スリットバルブ通路装置の好ましい実施の形態1の斜視図である。スリットバルブ通路装置1は、上部2と、下部3と、上部と下部との間にある貫通孔4とを備える。この図では、スリットバルブ通路装置1の後ろ側5を見ることができる。取り外し可能なカバー6は、ねじによって上部の上側に固着される。スリットバルブ通路装置1の後ろ側5の2つの丸みを帯びた上隅の領域には、カバー6によって被覆された通路の2つの端部にパージガスが向けられる2つの穴7が設けられている。矢印は、パージガスが流れる方向を表す。
【0024】
図2は、カバー6が取り外された状態の、
図1に係るスリットバルブ通路装置1を示す図である。上部2の上側には、カバー6がぴったり嵌まる凹部8が設けられている。2つの端部10を有する通路9が凹部に組み込まれており、当該通路は、貫通孔4の幅のほぼ全体にわたって延在しており、底においてスリット(図示せず)に向けて開口している。
【0025】
図3は、パージガスの作動可能なガスカーテン11を有する、
図1に係るスリットバルブ通路装置の後ろ側3を示す図である。
【0026】
図4は、
図1に係るスリットバルブ通路装置を横から見た概略図であり、スリットバルブ通路装置1の後ろ側5は、半導体ウエハを処理するための装置のモジュールAに隣接し、スリットバルブ通路装置1の前側は、当該装置のモジュールBに隣接する。矢印は、貫通孔4を閉じるための扉(図示せず)の移動方向を表す。モジュールAは、たとえば、プロセスチャンバーまたは閉室であり、モジュールBは、搬送チャンバーである。
【0027】
図5は、好ましい実施の形態におけるスリットバルブ通路装置の断面を示す図であり、垂直な壁面13によって、通路の底にあるスリットの範囲が定められる。ガスカーテンは、90度の角度でウエハに作用する。
【0028】
図6は、別の好ましい実施の形態におけるスリットバルブ通路装置の断面を示す図であり、斜めに切られた壁面13によって、通路の底にあるスリットの範囲が定められる。壁面のせいで、ガスカーテンの進路は、矢印が指す方向に変更される。
【0029】
例示的な実施の形態の上記説明は、一例であると理解されたい。それによって作られた本開示は、本発明およびそれに関する利点を当業者が理解できるようにするだけでなく、当業者の理解において明らかな、記載の構造および方法のバリエーションおよび変更も含む。そのため、このようなバリエーションおよび変更ならびに均等物のすべては、クレームの保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
使用する参照番号の一覧
1 スリットバルブ通路装置
2 上部
3 下部
4 貫通孔
5 後ろ側
6 カバー
7 穴
8 凹部
9 通路
10 端部
11 ガスカーテン
12 搬送路
13 壁面
A モジュール
B モジュール
【手続補正書】
【提出日】2021-08-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハを処理するための装置のスリットバルブ通路装置
(1)においてパージガスのガスカーテンを発生させるための方法であって、
前記パージガスは、前記スリットバルブ通路装置
(1)の上部
(2)に配置され、取り外し可能
に固着されたカバー
(6)で被覆される通路
(9)の2つの端部に向けられており、前記スリットバルブ通路装置
(1)の前記上部
(2)と下部との間にある貫通孔
(4)内を半導体ウエハが搬送されている間に、前記通路
(9)の底にあるスリットを通して前記スリットバルブ通路装置
(1)の前記下部
(3)に前記パージガスがガスカーテン
(11)の形で向けられる、方法。
【請求項2】
前記カバー
(6)は、前記ガスカーテン
(11)が発生される前後に取り外され、前記カバー
(6)、前記カバー
(6)を収容する凹部
(8)、および前記通路
(9)が洗浄される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スリットバルブ通路装置
(1)の前記下部
(3)に向けられた前記ガスカーテン
(11)は、90度の角度で前記半導体ウエハの表面に作用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記通路
(9)の前記底にある前記スリットは、斜めに切られた壁面
(13)によって横方向の範囲を定められ、これにより、前記スリットバルブ通路装置
(1)の前記下部
(3)に向けられた前記ガスカーテン
(11)の進路が変更され、90度に等しくない角度で前記半導体ウエハの表面に作用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
半導体ウエハを処理するための装置のスリットバルブ通路装置
(1)であって、上部
(2)と、下部
(3)と、前記上部
(2)と前記下部
(3)との間に、搬送路
(12)に沿って前記スリットバルブ通路装置
(1)を通して前記半導体ウエハを搬送するための貫通孔
(4)とを備え、
前記上部
(2)の上側にある凹部
(8)と、
前記凹部
(8)を被覆するための取り外し可能
に固着されたカバー
(6)と、
前記凹部
(8)にある通路
(9)とを備え、前記通路
(9)は、前記搬送路
(12)に交差するように延在し、さらに、
パージガスを通過させるための、前記通路
(9)の底にあるスリットと、
前記通路
(9)の2つの端部
(10)に前記パージガスを送り込むための、前記上部
(2)にある穴
(7)とを含み、これにより、
前記パージガスを送り込む際、前記スリットバルブ通路装置
(1)の前記上部
(2)から前記下部
(3)に向けられるガスカーテン
(11)が形成される、スリットバルブ通路装置。
【請求項6】
前記スリットの横方向の範囲を定める垂直な壁面
(13)によって特徴付けられる、請求項5に記載のスリットバルブ通路装置。
【請求項7】
前記スリット横方向の範囲を定める斜めに切られた壁面
(13)によって特徴付けられる、請求項5に記載のスリットバルブ通路装置。
【国際調査報告】