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▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-05
(54)【発明の名称】芳香化学物質としての環式化合物
(51)【国際特許分類】
   C25B 3/07 20210101AFI20230829BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 15/00 20060101ALI20230829BHJP
   A61Q 9/02 20060101ALI20230829BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20230829BHJP
   A23L 29/00 20160101ALI20230829BHJP
   C25B 3/23 20210101ALI20230829BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20230829BHJP
   C07C 43/188 20060101ALI20230829BHJP
   C07C 43/162 20060101ALI20230829BHJP
【FI】
C25B3/07
A61K8/33
A61Q13/00 101
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q5/00
A61Q17/04
A61Q15/00
A61Q9/02
A61K47/08
A23L29/00
C25B3/23
C25B9/00 G
C07C43/188 CSP
C07C43/162
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023505676
(86)(22)【出願日】2021-07-27
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 EP2021070983
(87)【国際公開番号】W WO2022023330
(87)【国際公開日】2022-02-03
(31)【優先権主張番号】20188087.9
(32)【優先日】2020-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キルステ,アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ペルツァー,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ビルク,フローリアン
(72)【発明者】
【氏名】フラーツ,マルコ アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ツォルン,ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】アウスト,ニコラ クリスチアヌ
【テーマコード(参考)】
4B035
4C076
4C083
4H006
4K021
【Fターム(参考)】
4B035LG04
4B035LK02
4C076DD39T
4C076FF52
4C083AA122
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC352
4C083AC472
4C083AC842
4C083AD042
4C083AD531
4C083AD532
4C083CC17
4C083CC19
4C083CC21
4C083CC23
4C083CC25
4C083CC32
4C083CC33
4C083CC38
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE18
4C083KK02
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB14
4H006BP10
4H006BP20
4H006GN01
4H006GP01
4H006GP02
4K021AC04
4K021BA07
4K021BA11
4K021BA18
4K021BB01
4K021BB03
4K021BB04
4K021DA04
4K021DC15
(57)【要約】
本発明は、芳香化学物質として、好ましくはフレグランスとしての、テルペンC1~C8-アルキルエーテル組成物並びに新規の単環式及び二環式テルペンのC1~C8-アルキルエーテルの使用に関する。本発明はまた、テルペンC1~C8-アルキルエーテル組成物並びに新規の単環式及び二環式テルペンのC1~C8-アルキルエーテルに関する。本発明はまた、モノ不飽和又はポリ不飽和、非芳香族、一又は二環式テルペン炭化水素の電気分解によって、単環式及び二環式テルペンのC1~C8-アルキルエーテルを調製するための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単環式及び二環式テルペンのC1-C8-アルキルエーテルを調製するための方法であって、10~15個の炭素原子を有するモノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和、非芳香族、単環式又は二環式テルペン炭化水素を、最大少なくとも50%が少なくとも1種のC1~C8-アルカノールからなり、少なくとも1種の導電性塩を含む電解液中での電気分解に供することを含み、電解液が、1000ppm未満のハロゲン化物イオンを含み、導電性塩が、アルカリ金属塩及び第四級アンモニウム塩から選択され、そのアニオンが、オルガノサルフェート、オルガノスルホネート、オルガノホスフェート、フルオロアルキルカルボキシレート及びジスルホニルイミドから選択される、前記方法。
【請求項2】
単環式及び二環式テルペンのC1~C8-アルキルエーテルが、
式(I)
【化1】
(式中、
Lは、
【化2】
からなる群から選択され、
Lの結合点は、*によって示され、
Dは、
-CH2-C(CH3)OR-CH(OR)-、-CH2-C(CH3)OR-CH=、-CH2-C(CH3)=CH-、
-CH2-CH(CH3)-C(OR)=、-CH2-C(CH2-O-R)=CH-、-CH2-C(OR)2-CH(CH3)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、-CH=C(CH3)-CH(OR)-、=CH-C(CH3)(OR)-CH2-、
=CH-C(OR)(CH2OR)-CH2-、=CH-C(=O)-CH2-、-C(CH3)(CH(OR)2)-CH2-、
-CH2-C(CH3)(OCH3)-CH(OCH3)-、-C=C(CH3)-CH(OCH3)-、-C=C(-CH2OCH3)-CH=、
-CH2-C(O)-CH(OCH3)-、-CH2-C(CH2-O-CH3)=CH-
からなる群から選択され、
「a」及び「b」は、炭素原子を表し、上記炭素鎖Dにより結合して、5又は6員環を形成しており、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキルであり、
R1は、H又は-ORである)、
又は式(II)
【化3】
(式中、
【化4】
は、C-C単結合又はC=C二重結合であり、
kは、1、2又は3であり、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキル、好ましくは、非置換、直鎖C1~C4-アルキルであり、OR基は、C=C二重結合の一部ではない任意の炭素原子に結合している)
の少なくとも1種の化合物から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
テルペン炭化水素が、メンテン又はメンタジエン骨格を有し、リモネン、α-フェランドレン、β-フェランドレン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン及びそれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
テルペン炭化水素が、α-ピネン、β-ピネン、カンフェン、3-カレン、β-カリオフィレン及びそれらの混合物から選択される二環式テルペン炭化水素である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
C1~C8-アルカノールが、直鎖C1~C4-アルカノール、好ましくは、メタノール又はエタノールからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
特徴a)~l):
a)電解液が、電解液の総質量に対して、30重量%未満の水を含む;
b)電解液中のアルカノールの濃度が、電解液の総質量に対して、60~98重量%の範囲である;
c)電解液中のテルペンの濃度が、電解液の総質量に対して、1~25重量%の範囲である;
d)電解液が、電解液の総質量に対して、1~20重量%の範囲の濃度の少なくとも1種の導電性塩を含む;
e)導電性塩が、そのアニオンがC1~C8-アルキルサルフェート、C1~C8-アルキルスルホネート、アリールスルホネート及びビス(フルオロ-C1~C4-アルキルスルホニル)イミドから選択される塩から選択される;
f)アノード材料が炭素材料である;
g)電気分解が、非分割電気分解セル中で実施される;
h)電気分解が、ガルバノスタットで実施される;
i)電気分解が、二極電極配置を有する電気分解セル中で実施される;
j)電気分解が、二極積層プレートセル中で実施される;
k)電気分解が、テルペン1mol当たり0.3~10Fの電気量で実施される;
l)電気分解が、5~80mA/m2の範囲の電流密度で実施される
のうちの少なくとも1つを有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
請求項2に記載の一般式(I)の化合物
【化5】
(式中、
Lは、
【化6】
からなる群から選択され、
Lの結合点は、*によって示され、
Dは、
-CH2-C(CH3)OR-CH(OR)-、
-CH2-C(CH3)OR-CH=、
-CH2-C(CH3)=CH-、
-CH2-CH(CH3)-C(OR)=、
-CH2-C(CH2-O-R)=CH-、
-CH2-C(OR)2-CH(CH3)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、
=CH-C(CH3)(OR)-CH2-、
=CH-C(OR)(CH2OR)-CH2-、
=CH-C(=O)-CH2-、
-C(CH3)(CH(OR)2)-CH2-、
-CH2-C(CH3)(OCH3)-CH(OCH3)-、
-C=C(CH3)-CH(OCH3)-、
-C=C(-CH2OCH3)-CH=、
-CH2-C(O)-CH(OCH3)-、
-CH2-C(CH2-O-CH3)=CH-
からなる群から選択され、
「a」及び「b」は、炭素原子を表し、上記炭素鎖Dにより結合して、5又は6員環を形成しており、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキルであり、
R1は、H又は-ORであり、
式Iの化合物は、1、2又は3つの-OR基を有する)、
の、芳香化学物質、好ましくはフレグランスとしての、使用。
【請求項8】
Rが、メチル又はエチルである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
芳香の印象、好ましくはフレグランスの印象を組成物に付与する方法であって、請求項7又は8に記載の化合物を組成物に添加するステップを少なくとも含む、前記方法。
【請求項10】
組成物が、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、請求項7~9のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項11】
式(I)の化合物が、組成物の総重量に対して、≧0.01重量%~≦70.0重量%の範囲内の量で存在する、請求項7~10のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項12】
請求項2に記載の一般式(I)の化合物
【化7】
(式中、
Lは、
【化8】
からなる群から選択され、
Lの結合点は、*によって示され、
Dは、
-CH2-C(CH3)OR-CH(OR)-、
-CH2-C(CH3)OR-CH=、
-CH2-C(CH3)=CH-、
-CH2-CH(CH3)-C(OR)=、
-CH2-C(CH2-O-R)=CH-、
-CH2-C(OR)2-CH(CH3)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、
=CH-C(CH3)(OR)-CH2-、
=CH-C(OR)(CH2OR)-CH2-、
=CH-C(=O)-CH2-、
-C(CH3)(CH(OR)2)-CH2-
からなる群から選択され、
「a」及び「b」は、炭素原子を表し、上記炭素鎖Dにより結合して、5又は6員環を形成しており、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキルであり、
R1は、H又は-ORであり、
式Iの化合物は、1、2又は3つの-OR基を有する)。
【請求項13】
Rが、メチル又はエチルである、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
以下のものからなる群から選択される、請求項12に記載の化合物:
1-エトキシメチル-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン;
2-エトキシ-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチレンシクロヘキサン;
4-イソプロペニル-1,2-ジエトキシ-1-メチルシクロヘキサン;
4-イソプロペニル-1,1-ジエトキシ-2-メチルシクロヘキサン;
6-エトキシ-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-エトキシ-4-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-エトキシ-4-(1-エトキシメチルビニル)-1-メチルシクロヘキセン;
5-エトキシ-1-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-4-メチルシクロヘキサ-1,3-ジエン;
1-エトキシメチル-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)ベンゼン;
3-エトキシ-6-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-3-メチルシクロヘキセン;
3-エトキシ-3-エトキシメチル-6-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン;
4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン;
4-イソプロペニル-1,2-ジメトキシ-1-メチルシクロヘキサン;
4-イソプロペニル-1,1-ジメトキシ-2-メチルシクロヘキサン;
6-メトキシ-4-(2-メトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-メトキシ-4-(1-メトキシメチルビニル)-1-メチルシクロヘキセン;
5-エトキシ-1-(2-メトキシ-1-メチルエチル)-4-メチルシクロヘキサ-1,3-ジエン;
3-メトキシ-6-(1-メトキシ-1-メチルエチル)-3-メチルシクロヘキセン;
3-メトキシ-3-メトキシメチル-6-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン;
1-エトキシ-3-イソプロペニル-6-メチル-シクロヘキセン;
1-エトキシ-4-イソプロペニル-1-メチル-シキロヘキサン;
3-エトキシ-4-イソプロペニル-1-メチル-シクロヘキセン;
1-(エトキシメチル)-4-イソプロペニル-シクロヘキセン;
1-(ジエトキシメチル)-3-イソプロペニル-1-メチル-シクロペンタン;
1,2-ジエトキシ-4-イソプロペニル-1-メチル-シキロヘキサン;及び
4-(1-メトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか一項に記載の少なくとも1種の式(I)の化合物と、
(i) 式(I)の化合物とは異なる少なくとも1種の芳香化学物質、又は
(ii) 少なくとも1種の非芳香化学物質担体、又は
(iii) (i)及び(ii)の両方
とを含む、組成物。
【請求項16】
少なくとも1種の非芳香化学物質担体(ii)が、界面活性剤、油成分、抗酸化剤、デオドラント活性剤及び溶媒からなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
組成物が、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、請求項15又は16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項12に記載の式(I)の化合物を調製するための方法であって、モノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和、非芳香族、単環式テルペン炭化水素を、最大少なくとも50%が少なくとも1種のC1~C8-アルカノールからなり、少なくとも1種の導電性塩を含む電解液中での電気分解に供することを含み、電解液が、1000ppm未満のハロゲン化物イオンを含み、導電性塩が、アルカリ金属塩及び第四級アンモニウム塩から選択され、そのアニオンが、オルガノサルフェート、オルガノスルホネート、オルガノホスフェート、フルオロアルキルカルボキシレート及びジスルホニルイミドから選択される、前記方法。
【請求項19】
単環式テルペンが、リモネン、α-フェランドレン、β-フェランドレン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレンからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項2に記載の一般式(II)の化合物
【化9】
(式中、
【化10】
は、C-C単結合又はC=C二重結合であり、
kは、1、2又は3であり、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキル、好ましくは、非置換、直鎖C1~C4-アルキルであり、OR基は、C=C二重結合の一部ではない任意の炭素原子に結合している)。
【請求項21】
Rが、メチル又はエチルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
以下のものからなる群から選択される、請求項20に記載の式(II)の化合物:
3-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
7-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
9-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
4-エトキシメチル-11,11-ジメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6,8-ジエトキシ-4,8,11,11-テトラメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
8-(ジエトキシメチル)-6-エトキシ-4,11,11-トリメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
3-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
7-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
9-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
4-メトキシメチル-11,11-ジメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6,8-ジメトキシ-4,8,11,11-テトラメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;及び
8-(ジメトキシメチル)-6-メトキシ-4,11,11-トリメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン。
【請求項23】
請求項2に記載の一般式(II)の化合物
【化11】
(式中、
【化12】
は、C-C単結合又はC=C二重結合であり、
kは、1、2又は3であり、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキル、好ましくは、非置換、直鎖C1~C4-アルキルであり、OR基は、C=C二重結合の一部ではない任意の炭素原子に結合している)
の、芳香化学物質、好ましくはフレグランスとしての、使用。
【請求項24】
Rが、メチル又はエチルである、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
芳香の印象、好ましくはフレグランスの印象を組成物に付与する方法であって、
請求項20~22による式(II)の化合物を組成物に添加するステップ
を少なくとも含む、前記方法。
【請求項26】
組成物が、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、請求項23~25に記載の使用又は方法。
【請求項27】
式(II)の化合物が、組成物の総重量に対して≧0.01重量%~≦70.0重量%の範囲内の量で存在する、請求項23~26に記載の使用又は方法。
【請求項28】
請求項20~22に記載の少なくとも1種の式(II)の化合物と、
(i) 式(II)の化合物とは異なる少なくとも1種の芳香化学物質、又は
(ii) 少なくとも1種の非芳香化学物質担体、又は
(iii) (i)及び(ii)の両方
とを含む、組成物。
【請求項29】
少なくとも1種の非芳香化学物質担体(ii)が、界面活性剤、油成分、抗酸化剤、デオドラント活性剤及び溶媒からなる群から選択される、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
組成物が、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、請求項28~29のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項31】
請求項20に記載の式(II)の化合物を調製するための方法であって、10~15個の炭素原子を有するモノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和、非芳香族、二環式テルペン炭化水素を、最大少なくとも50%が少なくとも1種のC1~C8-アルカノールからなり、少なくとも1種の導電性塩を含む電解液中での電気分解に供することを含み、電解液が、1000ppm未満のハロゲン化物イオンを含み、導電性塩が、アルカリ金属塩及び第四級アンモニウム塩から選択され、そのアニオンが、オルガノサルフェート、オルガノスルホネート、オルガノホスフェート、フルオロアルキルカルボキシレート及びジスルホニルイミドから選択される、前記方法。
【請求項32】
二環式テルペン炭化水素が、α-ピネン、β-ピネン、カンフェン、3-カレン、β-カリオフィレンからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレグランスとしての、テルペンC1~C8-アルキルエーテル組成物並びに新規の単環式及び二環式テルペンのC1~C8-アルキルエーテルの使用に関する。本発明はまた、テルペンC1~C8-アルキルエーテル組成物並びに新規の単環式及び二環式テルペンのC1~C8-アルキルエーテルに関する。本発明はまた、モノ不飽和又はポリ不飽和、非芳香族、単環式又は二環式テルペン炭化水素の電気分解によって、単環式及び二環式テルペンのC1~C8-アルキルエーテルを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香化学物質、特にフレグランス(fragrances)は、とりわけ化粧品並びに洗浄組成物及び洗濯用組成物の分野において強い関心が持たれている。天然由来のフレグランスは大抵高価であり、それらの利用可能な量は限られている場合が多く、環境条件が変動することによって、それらの含有量、純度等が変動することもある。従って、これらの望ましくない要素を回避するために、より高価な天然のフレグランスに類似している感覚刺激特性を有するか、又は新規で興味深い感覚刺激プロファイルを有する合成物質を創出することに強い関心が持たれている。
【0003】
多数の合成芳香化学物質(フレグランス及び香味料(fragrances and flavorings))が既に存在しているにもかかわらず、極めて多様な利用分野について所望される数多くの特性を満たすことができるように、新たな成分が常に必要とされている。これらは、第一に感覚刺激特性を含み、すなわち、化合物は有利な香気(嗅覚)特性又は味覚特性を有するべきである。さらに、芳香化学物質はまた、付加的な好ましい第2の特性、例えば、効率的な調製方法、他のフレグランスとの相乗効果の結果としてより優れた感覚プロファイルを提供し得ること、特定の適用条件下でのより高い安定性、より高い拡張性、より優れたより高い持続性等なども有するべきである。
【0004】
感覚の印象、特にウッディ(woody)/フルーティ(fruity)/スウィート(sweet)/ドライフルーツ(dried fruit)/フローラル(floral)/オリス(orris)/パウダリー(powdery)/フード様(foodlike)な香気の印象を組成物に付与することができる芳香化学物質に対する必要性が増大している。このような特性は、例えば、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物及び香りディスペンサー用組成物などの組成物について特に興味深いものである。特に興味深いのは、1つ以上の明確な感覚印象を組成物に付与し、それにより組成物の豊かで興味深い感覚プロファイル、特に嗅覚プロファイルに寄与し得る芳香化学物質である。さらに、特に芳香の印象を付与することができる芳香化学物質に関しては、組成物並びにその組成物で処理した表面において長期間持続する嗅覚印象を得るために、持続性(substantivity)並びに保持力(tenacity)が、特に興味深いものである。
【0005】
しかしながら、化学構造における小さな変化であっても、匂い及びまた香味などの感覚特性における大きな変化をもたらすため、特定の感覚特性(例えば特定の匂い)を有する物質を標的とする探索は、極めて困難である。従って、新たな芳香化学物質の探索は、大半の場合、困難で時間と労力を要し、所望の匂い及び/又は香味を有する物質が実際に見出されるか否かさえ不明である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新たな芳香化学物質を提供することである。これらは、好ましくは、快い感覚刺激特性を有しているべきである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、組成物において芳香化学物質として使用し得る物質を提供することであり、特に快い匂いを有する匂いの強い物質が求められる。さらに、これらは他の芳香化学物質と組み合わせることが可能であり、新規の有利な感覚プロファイルの創出を可能とするべきである。さらに、これらの芳香化学物質は、それらの迅速で経済的な製造を可能とする、容易に入手可能な出発物質から得ることが可能であるべきである。
【0008】
この目的は、10~15個の炭素原子を有するモノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和、非芳香族、単環式又は二環式テルペン炭化水素を使用する電気分解によってテルペンから誘導された新規化合物の提供により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、単環式及び二環式テルペンのC1~C8-アルキルエーテルである化合物を調製する方法に関する。
【0010】
従って、本発明は、一般式(I)の化合物
【化1】
(式中、
Lは、
【化2】
からなる群から選択され、
Lの結合点は、*によって示され、
Dは、
-CH2-C(CH3)OR-CH(OR)-、-CH2-C(CH3)OR-CH=、-CH2-C(CH3)=CH-、
-CH2-CH(CH3)-C(OR)=、-CH2-C(CH2-O-R)=CH-、-CH2-C(OR)2-CH(CH3)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、-CH=C(CH3)-CH(OR)-、=CH-C(CH3)(OR)-CH2-、
=CH-C(OR)(CH2OR)-CH2-、=CH-C(=O)-CH2-、-C(CH3)(CH(OR)2)-CH2-、
-CH2-C(CH3)(OCH3)-CH(OCH3)-、-C=C(CH3)-CH(OCH3)-、-C=C(-CH2OCH3)-CH=、
-CH2-C(O)-CH(OCH3)-、-CH2-C(CH2-O-CH3)=CH-
からなる群から選択され、
「a」及び「b」は、炭素原子を表し、上記炭素鎖Dにより結合して、5又は6員環を形成しており、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキルであり、
R1は、H又は-ORであり、
式Iの化合物は、1、2又は3つの-OR基を有する)
の、芳香化学物質、好ましくはフレグランスとしての、使用に関する。
【0011】
さらなる態様では、本発明は、上記に示される一般式(I)の化合物
(式中、
Lは、
【化3】
からなる群から選択され、
Lの結合点は、*によって示され、
Dは、
-CH2-C(CH3)OR-CH(OR)-、-CH2-C(CH3)OR-CH=、-CH2-C(CH3)=CH-、
-CH2-CH(CH3)-C(OR)=、-CH2-C(CH2-O-R)=CH-、-CH2-C(OR)2-CH(CH3)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、-CH=C(CH3)-CH(OR)-、=CH-C(CH3)(OR)-CH2-、
=CH-C(OR)(CH2OR)-CH2-、=CH-C(=O)-CH2-、-C(CH3)(CH(OR)2)-CH2-
からなる群から選択され、
「a」及び「b」は、炭素原子を表し、上記炭素鎖Dにより結合して、5又は6員環を形成しており、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキルであり、
R1は、H又は-ORであり、
式(I)の化合物は、1、2又は3つの-OR基を有する)
に関する。
【0012】
本発明のさらなる態様は、一般式(II)の化合物:
【化4】
(式中、
【化5】
は、C-C単結合又はC=C二重結合であり、
kは、1、2又は3であり、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキル、好ましくは非置換直鎖C1~C4-アルキルであり、OR基は、C=C二重結合の一部ではない任意の炭素原子に結合している)
及び、芳香の印象を組成物に付与するためのその使用に関する。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、芳香化学物質、好ましくはフレグランスとしての、一般式(II)の化合物の使用に関する。
【0014】
本発明のさらなる態様は、芳香の印象を組成物に付与する方法であって、本明細書中上記及び下記の一般式(I)又は(II)の化合物を組成物に添加するステップを少なくとも含む、上記方法に関する。
【0015】
本発明のなおさらなる態様は、本発明の化合物、並びに(i) 本発明の化合物とは異なる少なくとも1種のさらなる芳香化学物質、又は(ii) 少なくとも1種の非芳香化学物質担体、又は(iii) (i)及び(ii)の混合物を含む組成物に関する。
【0016】
本発明の別の態様は、芳香化学物質組成物の芳香の特徴を改質するための、本発明の化合物の使用に関する。
【0017】
本発明のさらなる態様は、組成物の芳香をブーストする方法に関する。前記方法は、本発明の化合物と他の成分、例えば、少なくとも1種の他の芳香化学物質及び/又は少なくとも1種の非芳香化学物質担体などとを混合して、芳香化学物質組成物を得るステップを含む。
【0018】
本発明のさらに別の態様は、化学組成物の芳香を改質する方法に関する。前記方法は、本発明の化合物を芳香化学物質組成物に組み込んで、芳香が改質された芳香化学物質組成物を得るステップを含む。
【0019】
本発明の化合物及びそれらの芳香化学物質組成物は、有利な感覚刺激特性、特に快い芳香の印象を有する。従って、これらは、香水組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物及び口腔及び歯科衛生用品を含む)、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い組成物を含む)、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、作物保護組成物及び他の組成物において、成分として好ましく使用することができる。
【0020】
快い芳香の印象、低揮発性及び優れた溶解性により、本発明の化合物は、快い芳香が望ましい組成物において好適な成分となる。本発明の化合物は、その物理的特性により、香水組成物において、他の芳香化学物質及び慣用の成分と十分に組み合わせることができる。これは、例えば、新規の有利な感覚プロファイルを有する芳香組成物、特に香水組成物の創出を可能とする。
【0021】
さらに、本発明の化合物は、容易に入手可能な出発物質から出発する簡単な合成により、優れた収率及び純度で製造することができる。従って、本発明の化合物は、大規模且つ簡単で費用効率の良い方法で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明は、事実上例示に過ぎず、本発明又は本発明の適用及び使用を限定することを意図するものではない。さらに、先行する技術分野、背景、概要又は以下の詳細な説明に示されるいかなる理論にも拘泥することを意図するものではない。
【0023】
本明細書中で使用される「含む(comprising)」、「含む(comprises)」及び「構成される(comprised of)」という用語は、「含む(including)」、「含む(includes)」又は「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであって、付加的な記載されていない部材、要素又は方法ステップを排除するものではない。本明細書中で使用される「含む(comprising)」、「含む(comprises)」及び「構成される(comprised of)」という用語は、「からなる(consisting of)」、「からなる(consists)」及び「からなる(consists of)」という用語を含むことが理解されるであろう。
【0024】
さらに、明細書及び特許請求の範囲における「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」等などの用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時系列的な順序を記述するためのものではない。このように使用される用語は、適切な状況下では互換的であり、本明細書中に記載される主題の実施形態は、本明細書中に記載又は例示される以外の順序で操作可能であることを理解されたい。「(A)」、「(B)」及び「(C)」又はAA)、BB)及びCC)又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「(i)」、「(ii)」等の用語が方法又は使用又はアッセイのステップに関連する場合、本明細書中上記又は下記に示される適用において別段に指示されない限り、ステップ間に時間又は時間間隔コヒーレンス(time interval coherence)は存在せず、すなわち、ステップは、同時に実施されてもよいし、又はこのようなステップ間に数秒間、数分間、数時間、数日間、数週間、数カ月間、さらには数年間の時間間隔があってもよい。
【0025】
以下の文章では、本主題の様々な態様がより詳細に定義される。そのように定義される各態様は、それとは反対のことが明確に示されない限り、任意の他の態様(1つ又は複数)と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示される任意の特徴は、好ましい又は有利であると示される任意の他の特徴(1つ又は複数)と組み合わせることができる。
【0026】
本明細書全体を通して「一実施形態」又は「ある実施形態」又は「好ましい実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通した様々な箇所における「一実施形態において」又は「好ましい実施形態において(In a preferred embodiment)」又は「好ましい実施形態において(in a preferred embodiment)」というフレーズの出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではないが、同じ実施形態を指している場合もある。さらに、1つ以上の実施形態において、当業者には本開示から明らかであるように、特徴、構造又は特性を任意の好適な方法で組み合わせてもよい。さらに、本明細書中に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴は含むが、他の特徴は含まず、異なる実施形態の特徴の組合せは、当業者に理解されるように、本主題の範囲内であり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲では、請求される実施形態のいずれかが、任意の組合せで使用される。
【0027】
さらに、本明細書全体を通して定義される範囲は終値(end value)も含み、すなわち、1~10の範囲は、1と10の両方がこの範囲内に含まれることを意味する。疑義を回避するため、出願人は適用可能な法律に従ってあらゆる均等物に対する権利を有するものとする。
【0028】
定義
本発明の文脈において、「芳香」という用語は感覚特性を指し、匂い及び/又は香味を含む。
【0029】
「芳香化学物質」という用語は、感覚又は感覚刺激の(本明細書中で互換的に使用される)印象を得るために使用される物質を表し、嗅覚及び/又は香味の印象を得るためのその使用を含む。「嗅覚の印象」又は「ノート」(本明細書中で互換的に使用される)という用語は、肯定的又は否定的な判断のいずれも伴わない匂いの印象を表し、一方、本明細書中で使用される「香りの印象」又は「フレグランスの印象」又は「芳香の印象」(本明細書中で互換的に使用される)という用語は、一般に快いと感じられる匂いの印象に結びついている。従って、「フレグランス」又は「香り」は、主に快い匂いの印象を誘導する芳香化学物質を表す。香味は、味の印象を誘導する芳香化学物質を示す。
【0030】
本明細書中で使用される「芳香組成物」という用語は、芳香を誘導する組成物を指す。芳香組成物という用語は、「匂い組成物」及び/又は「香味組成物」を含む。匂い組成物は、主に匂いの印象を誘導する組成物であり、香味組成物は、主に味の印象を誘導する組成物である。
【0031】
「匂い組成物」という用語は、主に一般に快いと感じられる匂いの印象を誘導する「フレグランス組成物」又は「香り組成物」(本明細書中で互換的に使用される)を含む。
【0032】
「有利な感覚特性」又は「有利な感覚刺激特性」という一般的な快楽的表現は、芳香化学物質により伝達される感覚刺激印象の心地よさ(niceness)及び簡明さ(conciseness)について説明する。「心地よさ」及び「簡明さ」は、調香師などの当業者によく知られている用語である。「心地よさ」は一般的に、自然にもたらされる、良好に知覚される快い感覚印象を指す。しかしながら、「心地よい(nice)」は、「甘い(sweet)」と同義である必要はない。「心地よい」はまた、ジャコウ(musk)又はビャクダン(sandalwood)の匂いである場合もある。「簡明さ」は、一般に、同じ試験パネルに対して、特定の何かを再現性よく同一に思い出させる、自然にもたらされる感覚印象を指す。例えば、ある物質は「リンゴ(apple)」の匂いを自然に思い出させる匂いを有し得、この匂いはその後、簡明に「リンゴ」の匂いとなるであろう。このリンゴの匂いが、例えば、甘く、完熟したリンゴを思い出させることから極めて快いものであった場合、その匂いは「心地よい」と呼ばれるであろう。しかしながら、典型的に酸っぱいリンゴの匂いもまた、簡明であり得る。上記物質の匂いを嗅いだ際に、両方の反応が生じる場合、従ってこの例においては心地よく簡明なリンゴの匂いがする場合、この物質は、特に有利な感覚特性を有する。
【0033】
「~の組合せ」、「~と組み合わせて」又は「~と組み合わせる」という表現は、本明細書中で使用される場合、2つの化合物が前記化合物の物理的混合物の形態で使用される必要はないが、別々に使用する(例えば添加する)ことができるという事実を考慮に入れて、2つの化合物の組成物、方法又は使用を指す。化合物が別々に使用される場合、それらは、任意の順序で逐次的に(すなわち、次々に)、又は同時に(すなわち、基本的に同時に)使用(例えば添加)することができる。
【0034】
「ブーストする(boosting)」又は「ブースト(boost)」という用語は、本明細書中で、芳香化学物質又は組成物の芳香を増強及び/又は改質する効果について記載するために使用される。「増強する」という用語は、芳香の心地よさ及び/又は簡明さを向上させること、及び/又は強度を向上させることを含む。「改質する」という用語は、芳香プロファイルを変化させることを含む。
【0035】
強度は、閾値測定により決定することができる。匂いの閾値は、代表的な試験パネルにより匂いの印象が依然として知覚され得るにすぎない関連のガス空間中の物質の濃度であるが、これはもはや定義する必要がない。
【0036】
ブースター効果は、フレグランス組成物において、匂いが特に迅速に且つ強く伝えられるトップノートを特徴とする用途が求められる場合、例えば、消臭剤においてはエアフレッシュナーで、又は味部門においてはチューインガムで、特に望ましい。
【0037】
「本発明は~に関する」及び「本発明は~を対象とする」という用語は、本発明全体を通して同義的に使用される。
【0038】
「化合物」及び「物質」という用語は、本発明全体を通して同義的に使用される。「化合物」という用語は、式(I)の化合物又は式(II)の化合物を意味する。「化合物」という用語はまた、混合物を包含する。
【0039】
「保持力(tenacity)」という用語は、芳香化学物質の経時的蒸発挙動について記載している。保持力は、例えば、芳香化学物質を試験ストリップに適用すること、及びその後の試験ストリップの匂いの印象の嗅覚評価により決定することができる。保持力が高い芳香化学物質については、パネルが依然として芳香の印象を識別できる期間が長い。
【0040】
「持続性(substantivity)」という用語は、芳香化学物質と表面、例えば皮膚又は繊維製品などとの相互作用、特に、表面のその後の処理(例えば洗浄など)の後の相互作用について記載している。持続性は、例えば、繊維製品を、芳香化学物質を含む繊維用洗剤組成物で洗浄すること、並びにその後の、洗浄直後の繊維製品(湿った繊維製品)の嗅覚評価並びに長期保管後の乾燥した繊維製品の評価により決定することができる。
【0041】
「安定性(stability)」という用語は、酸素、光及び/又は他の物質と接触した際の芳香化学物質の挙動について記載している。高い安定性を有する芳香化学物質は、長期間にわたり、好ましくは様々な組成物中で、及び様々な保存条件下で、その芳香プロファイルを維持する。
【0042】
長期間持続する芳香の印象を、組成物又は組成物で処理した表面に付与するため、好ましくは、組成物中の芳香化学物質の保持力、持続性並びに安定性は高くあるべきである。
【0043】
本明細書中で別段に特定されない限り、本明細書中に記載される「化合物」は、一般式(I)又は式(II)によって定義される化合物に関する。
【0044】
化合物:
本発明のある実施形態において、式(I)の化合物は、
【化6】
(式中、
Lは、
【化7】
からなる群から選択され、
Lの結合点は、*によって示され、
Dは、
-CH2-C(CH3)OR-CH(OR)-、-CH2-C(CH3)OR-CH=、-CH2-C(CH3)=CH-、
-CH2-CH(CH3)-C(OR)=、-CH2-C(CH2-O-R)=CH-、-CH2-C(OR)2-CH(CH3)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、-CH=C(CH3)-CH(OR)-、=CH-C(CH3)(OR)-CH2-、
=CH-C(OR)(CH2OR)-CH2-、=CH-C(=O)-CH2-、-C(CH3)(CH(OR)2)-CH2-
からなる群から選択され、
「a」及び「b」は、炭素原子を表し、上記炭素鎖Dにより結合して、5又は6員環を形成しており、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキルであり、
R1は、H又は-ORであり、
式Iの化合物は、1、2又は3つの-OR基を有する)
である。
【0045】
本発明のある実施形態において、Rは、メチル又はエチルである。
【0046】
本発明のさらに別の実施形態において、R1は、-ORである。
【0047】
本発明のある実施形態において、Lは、
【化8】
である。
【0048】
本発明のある実施形態において、Lは、
【化9】
である。
【0049】
本発明のさらに別の実施形態において、Lは、
【化10】
である。
【0050】
本発明のある実施形態において、式(I)の化合物は、以下の表Cの化合物のリストから選択される。
【0051】
【表1】
【0052】
本発明のさらに別の実施形態において、式(I)の化合物は、以下のものからなる群から選択される:
1-エトキシメチル-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン;
2-エトキシ-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチレンシクロヘキサン;
4-イソプロペニル-1,2-ジエトキシ-1-メチルシクロヘキサン;
4-イソプロペニル-1,1-ジエトキシ-2-メチルシクロヘキサン;
6-エトキシ-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-エトキシ-4-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-エトキシ-4-(1-エトキシメチルビニル)-1-メチルシクロヘキセン;
5-エトキシ-1-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-4-メチルシクロヘキサ-1,3-ジエン;
1-エトキシメチル-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)ベンゼン;
3-エトキシ-6-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-3-メチルシクロヘキセン;
3-エトキシ-3-エトキシメチル-6-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン;
4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン;
4-イソプロペニル-1,2-ジメトキシ-1-メチルシクロヘキサン;
4-イソプロペニル-1,1-ジメトキシ-2-メチルシクロヘキサン;
6-メトキシ-4-(2-メトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-メトキシ-4-(1-メトキシメチルビニル)-1-メチルシクロヘキセン;
5-エトキシ-1-(2-メトキシ-1-メチルエチル)-4-メチルシクロヘキサ-1,3-ジエン;
3-メトキシ-6-(1-メトキシ-1-メチルエチル)-3-メチルシクロヘキセン;
3-メトキシ-3-メトキシメチル-6-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン;
1-エトキシ-3-イソプロペニル-6-メチル-シクロヘキセン;
1-エトキシ-4-イソプロペニル-1-メチル-シキロヘキサン;
3-エトキシ-4-イソプロペニル-1-メチル-シクロヘキセン;
1-(エトキシメチル)-4-イソプロペニル-シクロヘキセン;
1-(ジエトキシメチル)-3-イソプロペニル-1-メチル-シクロペンタン;
1,2-ジエトキシ-4-イソプロペニル-1-メチル-シキロヘキサン;及び
4-(1-メトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン。
【0053】
本発明のさらに別の実施形態において、一般式(II)の化合物は、
【化11】
(式中、
【化12】
は、C-C単結合又はC=C二重結合であり、
kは、1、2又は3であり、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキル、好ましくは、非置換、直鎖C1~C4-アルキルであり、OR基は、C=C二重結合の一部ではない任意の炭素原子に結合している)
である。
【0054】
本発明のさらに別の実施形態において、式IIの化合物は、Rがメチル又はエチルのものである。
【0055】
本発明のさらなる実施形態において、一般式(II)の化合物は、以下のものからなる群から選択される
3-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
7-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
9-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
4-エトキシメチル-11,11-ジメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6,8-ジエトキシ-4,8,11,11-テトラメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
8-(ジエトキシメチル)-6-エトキシ-4,11,11-トリメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
3-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
7-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
9-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
4-メトキシメチル-11,11-ジメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6,8-ジメトキシ-4,8,11,11-テトラメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;及び
8-(ジメトキシメチル)-6-メトキシ-4,11,11-トリメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン。
【0056】
使用:
本発明の一実施形態は、式(I)の化合物
【化13】
(式中、
Lは、
【化14】
からなる群から選択され、
Lの結合点は、*によって示され、
Dは、
-CH2-C(CH3)OR-CH(OR)-、-CH2-C(CH3)OR-CH=、-CH2-C(CH3)=CH-、
-CH2-CH(CH3)-C(OR)=、-CH2-C(CH2-O-R)=CH-、-CH2-C(OR)2-CH(CH3)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、-CH=C(CH3)-CH(OR)-、=CH-C(CH3)(OR)-CH2-、
=CH-C(OR)(CH2OR)-CH2-、=CH-C(=O)-CH2-、-C(CH3)(CH(OR)2)-CH2-、
-CH2-C(CH3)(OCH3)-CH(OCH3)-、-C=C(CH3)-CH(OCH3)-、-C=C(-CH2OCH3)-CH=、
-CH2-C(O)-CH(OCH3)-、-CH2-C(CH2-O-CH3)=CH-
からなる群から選択され、
「a」及び「b」は、炭素原子を表し、上記炭素鎖Dにより結合して、5又は6員環を形成しており、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキルであり、
R1は、H又は-ORであり、
式Iの化合物は、1、2又は3つの-OR基を有する)、
の、芳香化学物質、好ましくはフレグランスとしての、使用を対象とする。
【0057】
本発明の別の実施形態は、以下の表Uのリストから選択される式(I)の化合物の使用を対象とする。
【0058】
【表2】
【0059】
本発明のさらなる実施形態は、組成物の芳香をブーストするための式(I)の化合物の使用を対象とする。
【0060】
本発明のさらなる実施形態は、芳香化学物質、好ましくはフレグランスとしての、式(II)の化合物の使用を対象とする。
【0061】
本発明のある実施形態において、本発明の化合物(式(I)又は式(II)の化合物)、又は前記化合物を含む芳香化学物質組成物は、フレグランスとして使用される。
【0062】
特に、本発明の化合物は、ハーバル(herbal)、アーシー(earthy)、フレッシュ(fresh)なニンジン様、フレッシュ、グリーン(green)、フローラル、スパイシー(spicy)、ジュニパー様、スウィーティッシュ(sweetish)、フルーティ、アニス様、リコリス様(liquorice like)、シナモン様、丁子様、コリアンダー様、パセリ様、ディル様、タルト(tart)、ウッディ、ミンティ(minty)、キャラウェー様、メントール様、シトラス様、樹脂様ノート又は2種以上のノートの組合せからなる群から選択されるノートを付与するために使用される。
【0063】
特に、本発明の化合物は、パイン様、樹脂の特徴(aspects of resin)、針葉樹林、ウイキョウ様、ディル様、スウィーティ、パンジェント(pungent)、ピクルスの缶詰を思い出させるもの、ファッティ(fatty)、フローラル、シトラス(citric)、ウッディ、又は2種以上のノートの組合せからなる群から選択されるノートを付与するために使用される。
【0064】
好適な組成物は、例えば、パーソナルケアにおいて、ホームケアにおいて、工業用途において使用される組成物、並びに、例えば医薬組成物又は作物保護組成物などの、他の用途において使用される組成物としての組成物である。
【0065】
好ましくは、本発明の化合物は、香水組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物及び口腔及び歯科衛生用品を含む)、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い組成物を含む)、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される組成物において使用される。本発明の化合物は、上記組成物において、芳香化学物質として、好ましくはフレグランスとして使用される。
【0066】
特に、本発明の式(I)又は(II)の化合物は、ドライフルーツ、フローラル、スウィート、オリス及びパウダリーノートからなる群から選択されるノートを付与するために使用され;式(I)及び/又は(II)の化合物は、好ましくは、組成物にスウィート、フローラル、フルーティエレメントを思い出させる芳香の印象を付与するために使用される。
【0067】
上記に列挙される組成物の詳細は、以下に示される。
【0068】
同様に、本発明の式(I)及び(II)の化合物は、組成物中に含まれる他の芳香化学物質(例えば、他のフレグランス)との相乗効果の結果として化学物質組成物の感覚プロファイルを改善することが可能であり、これは、本化合物が、前記他の芳香化学物質に対するブースター効果を提供し得ることを意味する。従って、上記化合物は、他の芳香化学物質のブースターとして好適である。
【0069】
従って、本発明はまた、芳香を付与した(例えば、フレグランスを付与した)組成物の芳香の特徴(例えば、香りの特徴)を改質するための本発明の式(I)又は(II)の化合物の使用;及び特に、他の芳香化学物質のブースターとしての使用にも関する。
【0070】
物質のブースター効果とは、その物質が、芳香化学物質製剤(例えば、香水製剤など)において、製剤の全体的な感覚(例えば、嗅覚)印象を増強及び強化することを意味する。ブースター効果は、匂いの印象が特に迅速に且つ強く伝達されるトップノートを特徴とする用途が求められる場合、例えば、消臭剤においてはエアフレッシュナーで、又は味部門においてはチューインガムで、特に望ましい。
【0071】
このようなブースター効果を達成するため、本発明の化合物は、例えば、結果として得られる芳香化学物質組成物の総重量に対して0.001重量%~10重量%(重量%)の量で、例えば0.01重量%~2重量%、好ましくは0.05重量%~1重量%の量で、特に0.1重量%~0.5重量%の量で使用することができる。
【0072】
さらに、式(I)又は(II)の化合物は、それが使用される組成物に対してさらなる好ましい効果を有し得る。例えば、上記化合物は、それらが組み込まれる組成物の全体的な性能(例えば、組成物の安定性(例えば製剤安定性)、拡張性又は持続力)を高めることができる。
【0073】
プロセス/方法
本発明のある実施形態において、式(I)及び/又は(II)の化合物を調製するための方法は、10~15個の炭素原子を有するモノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和、非芳香族、単環式又は二環式テルペン炭化水素を、最大少なくとも50%が少なくとも1種のC1~C8-アルカノールからなり、少なくとも1種の導電性塩を含む電解液中での電気分解に供することを含み、電解液は、1000ppm未満のハロゲン化物イオンを含み、導電性塩は、アルカリ金属塩及び第四級アンモニウム塩から選択され、そのアニオンは、オルガノサルフェート、オルガノスルホネート、オルガノホスフェート、フルオロアルキルカルボキシレート及びジスルホニルイミドからなる群から選択される。
【0074】
定義
置換基及び基の定義の文脈において、接頭辞Cn~Cmは、それぞれの置換基又はそれぞれの基が有し得る炭素原子の数を指定する。
【0075】
本明細書中及び本明細書中以降で、アルキルは、直鎖又は分岐鎖、飽和炭化水素残基である。例えば、例として、C1~C4-アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、2-メチルプロピル(=イソブチル)又は2-メチルプロパン-2-イル(=tert-ブチル)である。従って、C1~C8-アルキルは、1~8個の炭素原子を有する直鎖若しくは分岐鎖アルキル、例えば、上記に例示されるC1~C4-アルキルであり、又はn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル及びそれぞれの異性体である。
【0076】
フルオロ-C1~C4-アルキルは、少なくとも1個、又は特に全ての水素原子が、フッ素で置きかえられた、上記で定義されるC1~C4-アルキルである。フルオロアルキルの例は、特にトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル及びヘプタフルオロイソプロピルである。フルオロ-C1~C4-アルキルは、とりわけ、トリフルオロメチルである。
【0077】
C1~C8-ヒドロキシアルキルは、1個の水素原子がOHで置きかえられた、上記で定義されるC1~C8-アルキルである。ヒドロキシアルキルは、C2~C4-ヒドロキシアルキル、例えば、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、1-メチル-2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシブチル、1-メチルヒドロキシプロピル及び4-ヒドロキシブチルである。
【0078】
アリールは、場合によりC1~C4-アルキル又はハロゲンで単置換又は多置換された芳香族炭化水素残基、例えば、フェニルである。例は、フェニル、トリル、p-クロロフェニル、p-フルオロフェニル及びペンタフルオロフェニルである。
【0079】
「電解液」という用語は、本明細書中及び本明細書中以降で、電気分解が実施される溶媒、使用される導電性塩及びテルペン炭化水素を含む液体組成物を指す。
【0080】
第1の好ましい実施形態において、テルペン炭化水素は、メンテン又はメンタジエン骨格を有する。そのような化合物は、式(III):
【化15】
により記載される。
【0081】
式(III)中、変数は以下の通り定義される:
【化16】
は、C-C単結合又はC=C二重結合であり、但し、1又は2つの非隣接
【化17】
結合は、C=C二重結合である。
【0082】
式(III)の化合物は、1個以上の不斉炭素原子を有し、従って、エナンチオマー及びジアステレオマーを形成し得る。本発明による方法において、それらは、純粋なエナンチオマー又は純粋なジアステレオマーとして、ジアステレオマーの混合物又はエナンチオマーの混合物として、例えば、エナンチオマーの非ラセミ混合物として、又はエナンチオマーのラセミ混合物として、使用することができる。
【0083】
メンテン又はメンタジエン骨格を有する化合物の例は、リモネン(式III-a)、α-フェランドレン(式III-b)、β-フェランドレン(式III-c)、α-テルピネン(式III-d)、β-テルピネン(式III-e)、γ-テルピネン(式III-f)、及びテルピノレン(式III-g)である。当然のことながら、式(III)の混合物も使用することができる:
【化18】
【0084】
式(III-a)、(III-b)、(III-c)の化合物は、少なくとも1個の不斉炭素原子を有し、従って、本発明による方法において、純粋なエナンチオマー又は純粋なジアステレオマーとして、ジアステレオマーの混合物として、又はエナンチオマーの混合物として、例えば、エナンチオマーの非ラセミ混合物として、又はラセミ混合物として使用することができる。
【0085】
本発明のある実施形態において、式(I)の化合物を調製するための方法は、モノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和、非芳香族単環式テルペン炭化水素を、最大少なくとも50%が少なくとも1種のC1~C8-アルカノールからなり、少なくとも1種の導電性塩を含む電解液中での電気分解に供することを含み、電解液は、1000ppm未満のハロゲン化物イオンを含み、導電性塩が、アルカリ金属塩及び第四級アンモニウム塩から選択され、そのアニオンは、オルガノサルフェート、オルガノスルホネート、オルガノホスフェート、フルオロアルキルカルボキシレート及びジスルホニルイミドからなる群から選択される。
【0086】
本発明のさらなる実施形態において、単環式テルペンは、リモネン、α-フェランドレン、β-フェランドレン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレンからなる群から選択される。
【0087】
第2の好ましい実施形態において、テルペン炭化水素は、10又は15個の炭素原子を有する二環式テルペン炭化水素、特に、モノ不飽和又はジ不飽和、二環式テルペン炭化水素、とりわけ、モノ不飽和又はジ不飽和、二環式テルペン炭化水素である。その例は、特に、α-ピネン(2,6,6-トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタ-2-エン)、β-ピネン(6,6-ジメチル-2-メチレンビシクロ[3.1.1]ヘプタン)、カンフェン(2,2-ジメチル-3-メチレンビシクロ[2.2.1]ヘプタン)、3-カレン(3,7,7-トリメチルビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エン)及びβ-カリオフィレン(式(IV)の化合物)である。
【0088】
【化19】
【0089】
本発明による電気分解は、C1~C8-アルカノールを主成分として含む電解液中で実施される。電解液のさらなる構成成分は、導電性塩及びテルペン炭化水素である。
【0090】
本発明のある実施形態において、式(II)の化合物を調製するための方法は、10~15個の炭素原子を有するモノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和、非芳香族、二環式テルペン炭化水素を、最大少なくとも50%が少なくとも1種のC1~C8-アルカノールからなり、少なくとも1種の導電性塩を含む電解液中での電気分解に供することを含み、電解液は、1000ppm未満のハロゲン化物イオンを含み、導電性塩は、アルカリ金属塩及び第四級アンモニウム塩から選択され、そのアニオンは、オルガノサルフェート、オルガノスルホネート、オルガノホスフェート、フルオロアルキルカルボキシレート及びジスルホニルイミドからなる群から選択される。
【0091】
本発明のさらなる実施形態において、二環式テルペン炭化水素は、α-ピネン、β-ピネン、カンフェン、3-カレン、β-カリオフィレンからなる群から選択される。
【0092】
電解液中のアルカノールの濃度は、電解液の総質量に対して、60~99重量%の範囲、特に70~98重量%の範囲、とりわけ80~95重量%の範囲である。
【0093】
モノ不飽和又はポリ不飽和テルペン炭化水素は、典型的には、電気分解の開始時又は連続電気分解中の準定常状態での電解液中のその濃度が、電解液の総質量に対して、好ましくは1~25重量%の範囲、特に5~10重量%の範囲である量で使用される。
【0094】
電解液中の導電性塩の濃度は、電解液の総質量に対して、0.1~60重量%の範囲であり、好ましくは、電解液の総質量に対して、1~20重量%の範囲、とりわけ、3~12重量%の範囲である。
【0095】
C1~C8-アルカノールは、好ましくは、直鎖C1~C4-アルカノール、特にメタノール及びエタノールから選択される。
【0096】
本発明によると、電解液は、そのアニオンが以下の群から選択される導電性塩を含む:
- 有機サルフェート、例えば、硫酸アニオン(SO4 2-)、硫酸水素イオン、C1~C8-アルキルサルフェート、例えば、メチルサルフェート又はエチルサルフェート、及びアリールサルフェート、例えば、フェニルサルフェート;
- 有機スルホネート、例えば、C1~C8-アルキルスルホネート、例えば、メタンスルホネート又はエタンスルホネート、アリールスルホネート、例えば、フェニルスルホネート又はトルエンスルホネート、フルオロ-C1~C4-アルキルスルホネート、例えば、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート=F3C-SO3 -);
- 有機ホスフェート、例えば、モノ-及びジ-C1~C8-アルキルホスフェート、例えば、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、エチルヘキシルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、並びにモノ及びジ-C1~C4-フルオロアルキルホスフェート、例えば、トリフルオロメチルホスフェート;
- フルオロアルキルカルボキシレート、例えば、トリフルオロアセテート;
- スルホニルイミド、例えば、ビス(フルオロ-C1~C4-アルキルスルホニル)イミド、例えば、トリフルイミド(ビス(トリフルオロメチルスルホニルイミド)=(F3C-SO2)2N-)。
【0097】
好ましい導電性塩は、以下の群から選択されるアニオンの塩である:
- 無機及び有機サルフェート、例えば、硫酸アニオン(SO4 2-)、硫酸水素イオン、C1~C8-アルキルサルフェート、例えば、メチルサルフェート又はエチルサルフェート、アリールサルフェート、例えば、フェニルサルフェート;
- スルホネート、例えば、C1~C8-アルキルスルホネート、例えば、メタンスルホネート又はエタンスルホネート、アリールスルホネート、例えば、フェニルスルホネート又はトルエンスルホネート、フルオロ-C1~C4-アルキルスルホネート、例えば、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート=F3C-SO3 -);
- ビス(フルオロ-C1~C4-アルキルスルホニル)イミド、例えば、トリフルイミド。
【0098】
特に、導電性塩は、以下の群から選択される以下のアニオンの塩から選択される:
- C1~C4-アルキルサルフェート、例えば、メチルサルフェート又はエチルサルフェート;
- C1~C4-アルキルスルホネート、例えば、メタンスルホネート又はエタンスルホネート;
- アリールスルホネート、例えば、フェニルスルホネート又はトルエンスルホネート;
- フルオロ-C1~C4-アルキルスルホネート、例えば、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート=F3C-SO3 -);及び
- ビス(フルオロ-C1~C4-アルキルスルホニル)イミド、例えば、トリフルイミド。
【0099】
導電性塩のカチオンは、好ましくは、アルキル金属カチオン、例えば、リチウム、ナトリウム又はカリウム、アルカリ土類金属カチオン、例えば、マグネシウム又はカルシウム、及び第四級アンモニウムイオンから選択される。
【0100】
アルカリ金属カチオン、とりわけ、ナトリウム又はカリウム、特に第四級アンモニウムイオンが好ましい。第四級アンモニウムイオンは、とりわけ、式K-1~K-4のものである。
【0101】
【化20】
(式中、式K-2のkは、1又は2であり;
Ra、Rb、Rc、Rdは、同じであるか又は異なり、互いに独立して、C1~C8-アルキル又はC1~C8-ヒドロキシアルキルであり;
Re、Rfは、同じであるか又は異なり、互いに独立して、C1~C8-アルキルであり;
Rg、Rhは、同じであるか又は異なり、互いに独立して、C1~C8-アルキルであり;
Rkは、C1~C8-アルキルである)。
【0102】
一般式K-1のカチオンの例は、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ-n-プロピルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウム及びメチルトリ-n-ブチルアンモニウムである。
【0103】
一般式K-2のカチオンの例は、N,N-ジメチルピロリジニウム、N,N-ジエチルピロリジニウム、N-メチル-N-プロピルピロリジニウム及びN-メチル-N-ブチルピロリジニウムである。
【0104】
一般式K-3のカチオンの例は、N,N'-ジメチルイミダゾリウム、N,N'-ジエチルイミダゾリウム、N-メチル-N'-エチルイミダゾリウム、N-メチル-N'-プロピルイミダゾリウム及びN-メチル-N-ブチルイミダゾリウムである。
【0105】
一般式K-4のカチオンの例は、N-メチルピリジニウム、N-エチルピリジニウム、N-(n-プロピル)ピリジニウム及びN-ブチルピリジニウムである。
【0106】
導電性塩の例は、メチル硫酸ナトリウム、硫酸テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウムメチルサルフェート、テトラエチルアンモニウムトシレート、テトラ-n-ブチルアンモニウムメチルサルフェート、メチル-トリ-n-ブチルアンモニウムメチルサルフェート(MTBS)、メチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート(MTES)、メチル-トリ-n-ブチルアンモニウムメタンスルホネート、メチル-トリス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウム(lammonium)メチルサルフェート、メチル硫酸ナトリウム、N,N'-ジメチルイミダゾリウムメチルサルフェート、N,N'-ジエチルアンモニウムエチルサルフェート、N-メチル-N'-エチルイミダゾリウムメチルサルフェート、N-メチル-N'-エチルイミダゾリウムエチルサルフェート、N-メチル-N'-n-ブチルイミダゾリウムメチルサルフェート、N,N'-ジメチルイミダゾリウムトシレート、N,N'-ジエチルアンモニウムトシレート、N-メチル-N'-エチルイミダゾリウムトシレート、N-(n-ブチル)-N-メチルピロリジニウムトリフルイミド、メチル-トリ-n-ブチルアンモニウムトリフルイミド、ジメチルイミダゾリウムトリフルイミド、N-メチル-N'-エチルイミダゾリウムトリフルイミド及びN-メチル-N'-n-ブチルイミダゾリウムトリフルイミドである。
【0107】
アルカノール、不飽和テルペン炭化水素及び導電性塩に加えて、電解液はまた、不活性溶媒も含み得る。不活性溶媒としては極性非プロトン性溶媒が好ましい。不活性溶媒の割合は、一般に、40重量%、特に30重量%、とりわけ10重量%を超えない。不活性溶媒の例は、N,N-ジアルキルアミド、例えば、ジメチルホルムアミド及びジメチルアセトアミド、N-アルキルラクタム、例えば、N-メチルピロリドン、N-メチルピペリドン、アルキレンカーボネート、例えば、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネート、ジアルキルエーテル、例えば、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、tert-ブチルエチルエーテル、脂環式エーテル、例えば、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン及びジオキサン、並びにまたこれらの溶媒の混合物である。
【0108】
電解液は、一般に、水を全く又はごく少量しか含まない。電解液は、一般に、電解液の総質量に対して、30重量%未満、特に10未満%、とりわけ1重量%未満の水を含む。
【0109】
不飽和テルペン炭化水素のテルペンC1~C8-アルキルエーテルへの変換は、アノードで生じる。反応は、おそらく、アリル基を形成するアリル水素の抽出によって開始され、続いて、アノードへの電子の移動によりアリルカチオンが形成する。アノードで生じる水素化物の抽出も適切である。次いで、アリルカチオンは、C1~C8-アルカノールと反応して、テルペンC1~C8-アルキルエーテルが形成する。
【0110】
アノードのための好適な電極材料は、基本的に、電気分解条件下で安定な電気伝導性半金属及び金属である。貴金属、例えば、白金及び白金合金、並びにまた、特に炭素材料、すなわち、元素炭素を主成分として含む電極材料が有利であることが証明された。
【0111】
好適な炭素材料は、例えば、ガス拡散層電極の形態の、例えば、グラファイト、ホウ素ドープダイヤモンド、カーボンフェルト、グラッシーカーボン、網状ガラス状カーボン、担持カーボン紙である。好ましい炭素材料は、グラファイト、グラッシーカーボン、カーボン紙及びホウ素ドープダイヤモンドである。
【0112】
基本的に、当業者に公知の全ての電極形態を、アノードとして使用することができる。これらは、全体がそれぞれのアノード材料からなってもよく、アノード材料でコーティングされた支持体を有する支持電極であってもよい。アノードとして使用される電極は、全面、網状又は格子状として、フォームとして、又はガス拡散層を有する電極(GDL電極)として構成されてもよい。
【0113】
基本的に、アルコール電解液の電気分解に好適な、当業者に公知の全ての電極を、カソードとして使用することができる。還元反応がカソードで生じ、テルペン炭化水素がアノードで酸化されるため、重金属、例えば、水銀、ニッケル、鉛、スズ又はそれらの合金をカソード用の電極材料として使用する場合、電解液へのこの重金属の夾雑は、得られるテルペンC1~C8-アルキルエーテル組成物を化粧品又は食料品に容易に使用できる程度に低い。電極材料は、好ましくは、低水素過電圧を示す。カソードとして好適な電極は、例えば、ニッケル、Ni系合金、鉄、鋼を含むFe系合金、銅、Cu系合金、銀、銀、Ag系合金、スズ、スズ合金、鉛、水銀、チタン、白金、並びに炭素材料、例えば、グラファイト、炭素、グラッシーカーボン、カーボンフェルト、カーボン紙、網状ガラス状カーボン及びホウ素ドープダイヤモンドから選択される電極材料を有するものである。特に、カソードの電極材料は、ニッケル、Ni系合金、鉄、鋼を含むFe系合金、銅、Cu系合金、並びに前述の炭素材料、とりわけ、グラファイト、グラッシーカーボン、及び担持カーボン紙から選択される。
【0114】
基本的に、当業者に公知の全ての電極形態を、カソードとして使用することができる。これは、全体がそれぞれの電極材料からなってもよく、電極材料でコーティングされた電気伝導性支持体を有する支持電極であってもよい。
【0115】
アノード及びカソードの配置は限定されず、例えば、いくつかの交互分極スタックの形態でも配置され得る平面格子及び/又はプレートの配置、並びにやはりいくつかの交互分極シリンダーの形態で配置され得る円筒形状メッシュ、格子又はチューブの円筒状配置を含む。
【0116】
最適な空間-時間収率を達成するための様々な電極幾何学形状が、当業者に公知である。ロッド形状のアノードが円筒状カソードに封入されている配置、又はカソード及びアノードの両方がワイヤメッシュからなり、これらのワイヤメッシュが互いに重ねられ、円筒状に巻かれている配置であるいくつかの電極の二極配置が有利である。
【0117】
アノード及びカソードは、セパレーターによって互いから隔てることができる。基本的に、電気分解セルで慣用的に使用される全てのセパレーターが、セパレーターとして好適である。セパレーターは、典型的には、電気分解条件下で不活性な非電気伝導性材料、例えば、プラスチック材料、特に、テフロン材料又はテフロンでコーティングされたプラスチック材料で構成された、電極間に配置された多孔質のフラットな構造、例えば、格子、メッシュ、織布又は不織布である。
【0118】
分割又は非分割連続フローセル、キャピラリーギャップセル又は積層プレートセルなどの、当業者に公知の任意の電気分解セルを、電気分解に使用することができる。非分割電気分解セルが好ましく、すなわち、アノード及びカソードはセパレーターによって隔てられていない。
【0119】
特に、電気分解は、二極電極配置を有する電気分解セル中、特に二極積層プレートセル中で実施される。そのような積層プレートセルは、いくつかのプレート形状電極を有し、これらは、スタックに配置され、交互に分極されている。
【0120】
本発明による方法はまた、工業規模で実施することができる。適切な電気分解セルは、当業者に公知である。本発明の全ての実施形態は、研究室規模だけでなく、工業規模も指す。
【0121】
電気分解セルの内容物は、混合することができる。当業者に公知の任意の機械撹拌器を、セルの内容物の前記混合のために使用することができる。他の混合方法、例えば、Ultra-turrax、超音波又はジェットノズルの使用も好ましい。
【0122】
電気分解電圧をアノード及びカソードに印加することで、電解液に電流が伝導する。過酸化及び起爆ガスの形成などの副反応を回避するため、一般に、電流密度は、200mA/cm2、多くの場合150mA/cm2、特に100mA/cm2、とりわけ60mA/cm2を超えない。方法が実施される電流密度は、一般に、1~150mA/cm2、好ましくは5~100mA/cm2である。本発明による方法は、15~60mA/cm2の間の電流密度で実施することが特に好ましい。
【0123】
印加される電荷の量は、一般に、不飽和テルペン炭化水素1mol当たり0.3~10Fの範囲、特に、不飽和テルペン炭化水素1mol当たり1~8Fの範囲、とりわけ、1mol当たり2~6Fの範囲である。
【0124】
電気分解は、ガルバノスタットで、すなわち、定電流で、又はポテンショスタットで、すなわち、定クランプ電圧で実施することができる。電気分解は、好ましくは、ガルバノスタットで実施される。
【0125】
電気分解の総持続時間は、電気分解セル、使用される電極及び電流密度に自然に依存する。最適な持続時間は、通常の実験によって、例えば、電気分解中のサンプリングによって、当業者が決定することができる。
【0126】
電極への堆積を回避するため、極性は、短い時間間隔で逆転させることができる。極性は、30秒~10分の間隔で逆転させることができ、30秒~2分の間隔が好ましい。この場合、アノード及びカソードは、同じ材料からなることが適切である。
【0127】
電気分解は、一般に、0~80℃、好ましくは15~60℃、特に20~50℃の範囲の温度で本発明による方法に従って実施される。
【0128】
本発明による方法では、電気分解は、一般に、最大1000kPa、特に最大500kPa、とりわけ最大300kPa、例えば、80~1000kPaの範囲、特に85~500kPa、とりわけ90~300kPaの範囲の圧力で実施される。本発明による方法は、大気圧の範囲の圧力(101±10kPa)で実施されることが特に好ましい。
【0129】
特に好ましい実施形態において、本発明による方法は、20~50℃の範囲の温度、及び大気圧の範囲(101±20kPa)で実施される。
【0130】
本発明による方法により、一般に、様々なテルペンC1~C8-アルキルエーテルの混合物が得られ、正確な組成物は、出発材料によってだけでなくまた電気分解条件によって自然に決定される。
【0131】
本発明に従って入手可能なテルペンC1~C8-アルキルエーテル組成物は、メンテン又はメンタジエン骨格を有するテルペン、例えば、一般式III、特に一般式III-a~III-gの化合物又はピネンが出発材料として使用される場合、単環式テルペンの少なくとも1種のジ-若しくはトリ-C1~C8-アルキルエーテル及び/又は少なくとも1種のケト-C1~C8-アルキルエーテルを含む。単環式テルペンの少なくとも1種のモノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和ジ-又はトリ-C1~C8-アルキルエーテル及び/又は少なくとも1種のケト-C1~C8-アルキルエーテルを含むテルペンC1~C8-アルキルエーテル組成物は、多くの場合、この方法で入手可能である。特に、そのようなテルペンC1~C8-アルキルエーテル組成物は、メンテン又はメンタジエン骨格を有するテルペンの少なくとも1種のモノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和ジ-又はトリ-C1~C8-アルキルエーテル、及び場合により、単環式テルペンの1種以上のケト-C1~C8-アルキルエーテルを含む。具体的には、そのようなテルペンC1~C8-アルキルエーテル組成物は、上記で定義される少なくとも1種の一般式(I)の化合物を含む。
【0132】
テルペンC1~C8-アルキルエーテルという用語は、それらが単環式又は二環式、モノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和モノ-、ジ-又はトリ-C1~C8-アルキルエーテルであるかに関わらず、特に、テルペンC1~C4-アルキルエーテル、とりわけテルペンメチルエーテル及びテルペンエチルエーテルを含む。
【0133】
本発明のある実施形態において、単環式及び二環式テルペンのC1~C8-アルキルエーテルを調製するための方法は、以下の特徴a)~l):
a)電解液が、電解液の総質量に対して、30重量%未満の水を含む;
b)電解液中のアルカノールの濃度が、電解液の総質量に対して、60~98重量%の範囲である;
c)電解液中のテルペンの濃度が、電解液の総質量に対して、1~25重量%の範囲である;
d)電解液が、電解液の総質量に対して、1~20重量%の範囲の濃度の少なくとも1種の導電性塩を含む;
e)導電性塩が、そのアニオンがC1~C8-アルキルサルフェート、C1~C8-アルキルスルホネート、アリールスルホネート及びビス(フルオロ-C1~C4-アルキルスルホニル)イミドから選択される塩から選択される;
f)アノード材料が炭素材料である;
g)電気分解が、非分割電気分解セル中で実施される;
h)電気分解が、ガルバノスタットで実施される;
i)電気分解が、二極電極配置を有する電気分解セル中で実施される;
j)電気分解が、二極積層プレートセル中で実施される;
k)電気分解が、テルペン1mol当たり0.3~10Fの電気量で実施される;
l)電気分解が、5~80mA/m2の範囲の電流密度で実施される
のうちの少なくとも1つを含む。
【0134】
組成物:
ある実施形態において、本発明は、式(I)又は(II)の化合物と:
(i) 式(I)若しくは(II)の化合物以外の少なくとも1種の化合物、又は
(ii) 少なくとも1種の非芳香化学物質担体、又は
(iii) (i)及び(ii)の両方
とを含む、組成物に関する。
【0135】
好ましくは、組成物は、芳香組成物である。
【0136】
本発明の組成物中の非芳香化学物質担体は、界面活性剤、油成分及び溶媒から選択することができる。
【0137】
芳香化学物質(i)は、本発明による少なくとも1種の化合物とは異なる。
【0138】
本発明の化合物は、その物理的特性により、芳香を付与した(例えば、フレグランスを付与した)香水組成物において、芳香化学物質(例えば、フレグランス)及び他の慣用の成分と十分に組み合わせることができる。これは、例えば、新規の有利な感覚プロファイルを有する芳香組成物(例えば、香水組成物)の創出を可能とする。とりわけ、上記で既に説明した通り、化合物は、芳香化学物質(例えば、フレグランス)に対するブースター効果を提供することができる。
【0139】
従って、本発明による組成物は、本明細書中で定義される少なくとも1種の式(I)又は(II)の化合物と;本発明の式(I)又は(II)の化合物とは異なる少なくとも1種の芳香化学物質とを含む。
【0140】
上記の芳香化学物質(i)は、例えば、以下のものからなる群から選択される、1種、好ましくは2、3、4、5、6、7、8種又は芳香化学物質であり得る:ゲラニルアセテート、アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド、2-フェノキシエチルイソブチレート、ジヒドロミルセノール、メチルジヒドロジャスモネート、4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロシクロペンタ[g]ベンゾピラン、テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、ベンジルサリチレート、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナミルアルコール、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5-インデニルアセテート及び/又は4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-6-インデニルアセテート、シトロネロール、シトロネリルアセテート、テトラヒドロゲラニオール、バニリン、リナリルアセテート、スチロリルアセテート、オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-アセトナフトン及び/又は2-アセチル-1,2,3,4,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチルナフタレン、ヘキシルサリチレート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、アルファ-イオノン、n-アルファ-メチルイオノン、アルファ-イソメチルイオノン、クマリン、テルピニルアセテート、2-フェニルエチルアルコール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、エチレンブラシレート、(E)-及び/又は(Z)-3-メチルシクロペンタデカ-5-エノン、15-ペンタデカ-11-エノリド及び/又は15-ペンタデカ-12-エノリド、15-シクロペンタデカノリド、1-(5,6,7,8-テトラヒドロ-3,5,5,6,8,8-ヘキサメチル-2-ナフタレニル)エタノン、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、cis-3-ヘキセニルアセテート、trans-3-ヘキセニルアセテート、trans-2/cis-6-ノナジエノール、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、2,4,4,7-テトラメチルオクタ-6-エン-3-オン、2,6-ジメチル-5-ヘプテン-1-アール、ボルネオール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール、2-メチル-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロパナール、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、7-メチル-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-3(4H)-オン、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート、2,5,5-トリメチル-1,2,3,4,4a,5,6,7-オクタヒドロナフタレン-2-オール、3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール、エチル2-メチルペンタノエート、エトキシメトキシシクロドデカン、2,4-ジメチル-4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d][1,3]ジオキシン、(2-tert-ブチルシクロヘキシル)アセテート、並びに3-[5,5,6-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル]シクロヘキサン-1-オール。
【0141】
さらに別の好ましい実施形態において、少なくとも1種の芳香化学物質(i)は、メチルベンゾエート、ベンジルアセテート、ゲラニルアセテート、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール、リナロール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール及びメチルベンゾエートからなる群から選択される。
【0142】
さらに別の好ましい実施形態において、少なくとも1種の芳香化学物質(i)は、エチルバニリン、バニリン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン(フラネオール)又は3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン(マルトール)からなる群から選択される。
【0143】
本発明の化合物と組み合わせて本発明による組成物を生成し得るさらなる芳香化学物質は、例えば、自費出版されたS. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals, Vol. I及びII, Montclair, N. J., 1969、又はK. Bauer、D. Garbe及びH. Surburg, Common Fragrance and Flavor Materials、第4版、Wiley- VCH、Weinheim 2001に見出すことができる。具体的には、以下のものが言及され得る:
【0144】
天然原料由来の抽出物、例えば精油、コンクリート(concrete)、アブソリュート(absolute)、樹脂、レジノイド、バルサム、チンキ、例えば、
【0145】
アンバーグリスチンキ、アミリス油、アンゼリカ種子油、アンゼリカ根油、アニス油、吉草油、メボウキ油、ツリーモスアブソリュート、ベイ油、ヨモギ油、ベンゾイン樹脂、ベルガモット油、蜜蝋アブソリュート、バーチタール油、ビターアーモンド油、セイバリー油、ブークリーフ油、カブリューバ油、カデ油、ショウブ油、ショウノウ油、カナンガ油、カルダモン油、カスカリラ油、カシア油、カシアアブソリュート、カストリウムアブソリュート、シダーリーフ油、シダーウッド油、シスタス油、シトロネラ油、レモン油、コパイババルサム、コパイババルサム油、コリアンダー油、コスタス根油、クミン油、サイプレス油、ダバナ油、ディルウィード油、ディル種子油、オードブルアブソリュート(Eau de brouts absolute)、オークモスアブソリュート、エレミ油、タラゴン油、ユーカリシトリオドラ油、ユーカリ油、ウイキョウ油、松葉油、ガルバナム油、ガルバナム樹脂、ゼラニウム油、グレープフルーツ油、グアヤックウッド油、ガージャンバルサム、ガージャンバルサム油、ヘリクリサムアブソリュート、ヘリクリサム油、ショウガ油、アイリス根アブソリュート、アイリス根油、ジャスミンアブソリュート、ショウブ油、ブルーカモミール油、ローマカモミール油、ニンジン種子油、カスカリラ油、松葉油、スペアミント油、キャラウェー油、ラブダナム油、ラブダナムアブソリュート、ラブダナム樹脂、ラバンジンアブソリュート、ラバンジン油、ラベンダーアブソリュート、ラベンダー油、レモングラス油、ロベージ油、蒸留ライム油、圧搾ライム油、リナロール油、アオモジ(litsea cubeba)油、ローレル(laurel)葉油、メース油、マジョラム油、マンダリン油、マッソイア樹皮油、ミモザアブソリュート、ジャコウ種子油、ジャコウチンキ、クラリセージ油、ナツメグ油、ミルラアブソリュート、ミルラ油、ミルテ油、丁子葉油、丁子花油、ネロリ油、乳香アブソリュート、乳香油、オポパナックス(opopanax)油、オレンジフラワーアブソリュート、オレンジ油、オリガナム油、パルマローザ油、パチョリ油、エゴマ油、ペルーバルサム油、パセリ葉油、パセリ種子油、プチグレン油、ペパーミント油、胡椒油、ピメント油、パイン油、ペニーローヤル油、ローズアブソリュート、ローズウッド油、ローズ油、ローズマリー油、ダルマチアセージ油、スペインセージ油、白檀油、セロリ種子油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、エゴノキ油、タゲテス油、ファーニードル油、ティーツリー油、テレピン油、タイム油、トルーバルサム、トンカアブソリュート、チュベローズアブソリュート、バニラ抽出物、バイオレットリーフアブソリュート、バーベナ油、ベチバー油、ジュニパーベリー油、ブドウ酒粕油(wine lees oil)、ニガヨモギ油、ウィンターグリーン油、ヒソップ油、シベットアブソリュート、シナモン葉油、シナモン樹皮油及びこれらの画分、又はこれらから単離される成分など、
【0146】
炭化水素の群から選択される個々のフレグランス、例えば、3-カレン、アルファ-ピネン、ベータ-ピネン、アルファ-テルピネン、ガンマ-テルピネン、p-シメン、ビサボレン、カンフェン、カリオフィレン、セドレン、ファルネセン、リモネン、ロンギフォレン、ミルセン、オシメン、バレンセン、(E,Z)-1,3,5-ウンデカトリエン、スチレン、ジフェニルメタンなど、
【0147】
脂肪族アルコール、例えば、ヘキサノール、オクタノール、3-オクタノール、2,6-ジメチルヘプタノール、2-メチル-2-ヘプタノール、2-メチル-2-オクタノール、(E)-2-ヘキセノール、(E)-及び(Z)-3-ヘキセノール、1-オクテン-3-オール、3,4,5,6,6-ペンタメチル-3/4-ヘプテン-2-オールと3,5,6,6-テトラメチル-4-メチレンヘプタン-2-オールとの混合物、(E,Z)-2,6-ノナジエノール、3,7-ジメチル-7-メトキシオクタン-2-オール、9-デセノール、10-ウンデセノール、4-メチル-3-デセン-5-オールなど、
【0148】
脂肪族アルデヒド及びそのアセタール、例えば、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、ドデカナール、トリデカナール、2-メチルオクタナール、2-メチルノナナール、(E)-2-ヘキセナール、(Z)-4-ヘプテナール、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、10-ウンデセナール、(E)-4-デセナール、2-ドデセナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、ヘプタナールジエチルアセタール、1,1-ジメトキシ-2,2,5-トリメチル-4-ヘキセン、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、(E/Z)-1-(1-メトキシプロポキシ)-ヘキサ-3-エン、脂肪族ケトン及びそのオキシム、例えば、2-ヘプタノン、2-オクタノン、3-オクタノン、2-ノナノン、5-メチル-3-ヘプタノン、5-メチル-3-ヘプタノンオキシム、2,4,4,7-テトラメチル-6-オクテン-3-オン、6-メチル-5-ヘプテン-2-オンなど、
【0149】
脂肪族硫黄含有化合物、例えば、3-メチルチオヘキサノール、3-メチルチオヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキサノール、3-メルカプトヘキシルアセテート、3-メルカプトヘキシルブチレート、3-アセチルチオヘキシルアセテート、1-メンテン-8-チオールなど、
【0150】
脂肪族ニトリル、例えば、2-ノネンニトリル、2-ウンデセンニトリル、2-トリデセンニトリル、3,12-トリデカジエンニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル、3,7-ジメチル-6-オクテンニトリルなど、
【0151】
脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルホルメート、エチルアセトアセテート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、3,5,5-トリメチルヘキシルアセテート、3-メチル-2-ブテニルアセテート、(E)-2-ヘキセニルアセテート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルアセテート、オクチルアセテート、3-オクチルアセテート、1-オクテン-3-イルアセテート、エチルブチレート、ブチルブチレート、イソアミルブチレート、ヘキシルブチレート、(E)-及び(Z)-3-ヘキセニルイソブチレート、ヘキシルクロトネート、エチルイソバレレート、エチル2-メチルペンタノエート、エチルヘキサノエート、アリルヘキサノエート、エチルヘプタノエート、アリルヘプタノエート、エチルオクタノエート、エチル(E,Z)-2,4-デカジエノエート、メチル2-オクチネート、メチル2-ノニネート、アリル2-イソアミルオキシアセテート、メチル-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエノエート、4-メチル-2-ペンチルクロトネートなど、
【0152】
非環式テルペンアルコール、例えば、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ラバンジュロール、ネロリドール、ファルネソール、テトラヒドロリナロール、2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチルオクタン-2-オール、2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール、2,6-ジメチル-5,7-オクタジエン-2-オール、2,6-ジメチル-3,5-オクタジエン-2-オール、3,7-ジメチル-4,6-オクタジエン-3-オール、3,7-ジメチル-1,5,7-オクタトリエン-3-オール、2,6-ジメチル-2,5,7-オクタトリエン-1-オール、並びにそれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエートなど、
【0153】
非環式テルペンアルデヒド及びケトン、例えば、ゲラニアール、ネラール、シトロネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、ゲラニルアセトン、並びにゲラニアール、ネラール、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナールのジメチル-及びジエチルアセタール、環状テルペンアルコール、例えば、メントール、イソプレゴール、アルファ-テルピネオール、テルピン-4-オール、メンタン-8-オール、メンタン-1-オール、メンタン-7-オール、ボルネオール、イソボルネオール、リナロールオキシド、ノポール、セドロール、アンブリノール、ベチベロール、グアイオール(guajol)、並びにそれらのホルメート、アセテート、プロピオネート、イソブチレート、ブチレート、イソバレレート、ペンタノエート、ヘキサノエート、クロトネート、チグリネート及び3-メチル-2-ブテノエートなど、
【0154】
環状テルペンアルデヒド及びケトン、例えば、メントン、イソメントン、8-メルカプトメンタン-3-オン、カルボン、ショウノウ、フェンコン、アルファ-イオノン、ベータ-イオノン、アルファ-n-メチルイオノン、ベータ-n-メチルイオノン、アルファ-イソメチルイオノン、ベータ-イソメチルイオノン、アルファ-イロン、アルファ-ダマスコン、ベータ-ダマスコン、ベータ-ダマセノン、デルタ-ダマスコン、ガンマ-ダマスコン、1-(2,4,4-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、1,3,4,6,7,8a-ヘキサヒドロ-1,1,5,5-テトラメチル-2H-2,4a-メタノナフタレン-8(5H)-オン、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、ノートカトン、ジヒドロノートカトン、4,6,8-メガスチグマトリエン-3-オン、アルファ-シネンサール、ベータ-シネンサール、アセチル化シダーウッド油(メチルセドリルケトン)など、
【0155】
環状アルコール、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、3-イソカンフィルシクロヘキサノール、2,6,9-トリメチル-Z2,Z5,E9-シクロドデカトリエン-1-オール、2-イソブチル-4-メチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-オールなど、
【0156】
脂環式アルコール、例えば、アルファ-3,3-トリメチルシクロヘキシルメタノール、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)エタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ブタノール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-2-ブテン-1-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)ペンタン-2-オール、3-メチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンタ-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ペンタン-3-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オールなど、
【0157】
環状及び脂環式エーテル、例えば、シネオール、セドリルメチルエーテル、シクロドデシルメチルエーテル、1,1-ジメトキシシクロドデカン、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、アルファ-セドレンエポキシド、3a,6,6,9a-テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン、3a-エチル-6,6,9a-トリメチルドデカヒドロ-ナフト[2,1-b]フラン、1,5,9-トリメチル-13-オキサビシクロ-[10.1.0]トリデカ-4,8-ジエン、ローズオキシド、2-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-5-メチル-5-(1-メチルプロピル)-1,3-ジオキサンなど、
【0158】
環状及び大環状ケトン、例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノン、2,2,5-トリメチル-5-ペンチルシクロペンタノン、2-ヘプチルシクロペンタノン、2-ペンチルシクロ-ペンタノン、2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-cis-2-ペンテン-1-イル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-2-ペンチル-2-シクロペンテン-1-オン、3-メチル-4-シクロペンタ-デセノン、3-メチル-5-シクロペンタデセノン、3-メチルシクロペンタデカノン、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5-テトラメチルシクロヘキサノン、4-tert-ペンチルシクロヘキサノン、5-シクロヘキサデセン-1-オン、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、8-シクロ-ヘキサデセン-1-オン、7-シクロヘキサデセン-1-オン、(7/8)-シクロヘキサデセン-1-オン、9-シクロ-ヘプタデセン-1-オン、シクロペンタデカノン、シクロヘキサデカノンなど、
【0159】
脂環式アルデヒド、例えば、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド、2-メチル-4-(2,2,6-トリメチルシクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒド、4-(4-メチル-3-ペンテン-1-イル)-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドなど、
【0160】
脂環式ケトン、例えば、1-(3,3-ジメチルシクロヘキシル)-4-ペンテン-1-オン、2,2-ジメチル-1-(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-1-プロパノン、1-(5,5-ジメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-4-ペンテン-1-オン、2,3,8,8-テトラメチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2-ナフタレニルメチルケトン、メチル2,6,10-トリメチル-2,5,9-シクロドデカトリエニルケトン、tert-ブチル(2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)ケトンなど、
【0161】
環状アルコールのエステル、例えば、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、4-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアセテート、デカヒドロ-2-ナフチルアセテート、2-シクロペンチルシクロペンチルクロトネート、3-ペンチルテトラヒドロ-2H-ピラン-4-イルアセテート、デカヒドロ-2,5,5,8a-テトラメチル-2-ナフチルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルアセテート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルプロピオネート、4,7-メタノ-3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-5又は6-インデニルイソブチレート、4,7-メタノオクタヒドロ-5又は6-インデニルアセテートなど、
【0162】
脂環式アルコールのエステル、例えば、1-シクロヘキシルエチルクロトネートなど、
【0163】
脂環式カルボン酸のエステル、例えば、アリル3-シクロヘキシルプロピオネート、アリルシクロヘキシルオキシアセテート、cis-及びtrans-メチルジヒドロジャスモネート、cis-及びtrans-メチルジャスモネート、メチル2-ヘキシル-3-オキソシクロペンタンカルボキシレート、エチル2-エチル-6,6-ジメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2,3,6,6-テトラメチル-2-シクロヘキセンカルボキシレート、エチル2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-アセテートなど、
【0164】
芳香脂肪族アルコール、例えば、ベンジルアルコール、1-フェニルエチルアルコール、2-フェニルエチルアルコール、3-フェニルプロパノール、2-フェニルプロパノール、2-フェノキシエタノール、2,2-ジメチル-3-フェニルプロパノール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)プロパノール、1,1-ジメチル-2-フェニルエチルアルコール、1,1-ジメチル-3-フェニルプロパノール、1-エチル-1-メチル-3-フェニルプロパノール、2-メチル-5-フェニルペンタノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、3-フェニル-2-プロペン-1-オール、4-メトキシベンジルアルコール、1-(4-イソプロピルフェニル)エタノールなど、
【0165】
芳香脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、ベンジルアセテート、ベンジルプロピオネート、ベンジルイソブチレート、ベンジルイソバレレート、2-フェニルエチルアセテート、2-フェニルエチルプロピオネート、2-フェニルエチルイソブチレート、2-フェニルエチルイソバレレート、1-フェニルエチルアセテート、アルファ-トリクロロメチルベンジルアセテート、アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルアセテート、アルファ,アルファ-ジメチルフェニルエチルブチレート、シンナミルアセテート、2-フェノキシエチルイソブチレート、4-メトキシベンジルアセテートなど、
【0166】
芳香脂肪族エーテル、例えば、2-フェニルエチルメチルエーテル、2-フェニルエチルイソアミルエーテル、2-フェニルエチル1-エトキシエチルエーテル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ヒドロアトロパアルデヒドジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドグリセロールアセタール、2,4,6-トリメチル-4-フェニル-1,3-ジオキサン、4,4a,5,9b-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン、4,4a,5,9b-テトラヒドロ-2,4-ジメチルインデノ[1,2-d]-m-ジオキシンなど、
【0167】
芳香族及び芳香脂肪族アルデヒド、例えば、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロパナール、ヒドロアトロパアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、3-(4-エチルフェニル)-2,2-ジメチルプロパナール、2-メチル-3-(4-イソプロピルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-イソブチルフェニル)プロパナール、3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール、シンナムアルデヒド、アルファ-ブチルシンナムアルデヒド、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、アルファ-ヘキシルシンナムアルデヒド、3-メチル-5-フェニルペンタナール、4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシ-ベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、3,4-ジメトキシベンズアルデヒド、2-メチル-3-(4-メトキシフェニル)プロパナール、2-メチル-3-(4-メチレンジオキシフェニル)プロパナールなど、
【0168】
芳香族及び芳香脂肪族ケトン、例えば、アセトフェノン、4-メチルアセトフェノン、4-メトキシアセトフェノン、4-tert-ブチル-2,6-ジメチルアセトフェノン、4-フェニル-2-ブタノン、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1-(2-ナフタレニル)-エタノン、2-ベンゾフラニルエタノン、(3-メチル-2-ベンゾフラニル)エタノン、ベンゾフェノン、1,1,2,3,3,6-ヘキサメチル-5-インダニルメチルケトン、6-tert-ブチル-1,1-ジメチル-4-インダニルメチルケトン、1-[2,3-ジヒドロ-1,1,2,6-テトラメチル-3-(1-メチルエチル)-1H-5-インデニル]エタノン、5',6',7',8'-テトラヒドロ-3',5',5',6',8',8'-ヘキサメチル-2-アセトナフトンなど、
【0169】
芳香族及び脂肪族カルボン酸並びに芳香族及び脂肪族カルボン酸のエステル、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、メチルベンゾエート、エチルベンゾエート、ヘキシルベンゾエート、ベンジルベンゾエート、メチルフェニルアセテート、エチルフェニルアセテート、ゲラニルフェニルアセテート、フェニルエチルフェニルアセテート、メチルシンナメート、エチルシンナメート、ベンジルシンナメート、フェニルエチルシンナメート、シンナミルシンナメート、アリルフェノキシアセテート、メチルサリチレート、イソアミルサリチレート、ヘキシルサリチレート、シクロヘキシルサリチレート、cis-3-ヘキセニルサリチレート、ベンジルサリチレート、フェニルエチルサリチレート、メチル2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチルベンゾエート、エチル3-フェニルグリシデート、エチル3-メチル-3-フェニルグリシデートなど、
【0170】
窒素含有芳香族化合物、例えば、2,4,6-トリニトロ-1,3-ジメチル-5-tert-ブチルベンゼン、3,5-ジニトロ-2,6-ジメチル-4-tert-ブチルアセトフェノン、シンナモニトリル、3-メチル-5-フェニル-2-ペンテノニトリル、3-メチル-5-フェニルペンタノニトリル、メチルアントラニレート、メチル-N-メチルアントラニレート、メチルアントラニレートと7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)プロパナール又は2,4-ジメチル-3-シクロヘキセンカルボアルデヒドとのシッフ塩基、6-イソプロピルキノリン、6-イソブチルキノリン、6-sec-ブチルキノリン、2-(3-フェニルプロピル)ピリジン、インドール、スカトール、2-メトキシ-3-イソプロピル-ピラジン、2-イソブチル-3-メトキシピラジンなど、
【0171】
フェノール、フェニルエーテル及びフェニルエステル、例えば、エストラゴール、アネトール、オイゲノール、オイゲニルメチルエーテル、イソオイゲノール、イソオイゲニルメチルエーテル、チモール、カルバクロール、ジフェニルエーテル、ベータ-ナフチルメチルエーテル、ベータ-ナフチルエチルエーテル、ベータ-ナフチルイソブチルエーテル、1,4-ジメトキシベンゼン、オイゲニルアセテート、2-メトキシ-4-メチルフェノール、2-エトキシ-5-(1-プロペニル)フェノール、p-クレシルフェニルアセテートなど、
【0172】
複素環式化合物、例えば、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-2H-フラン-3-オン、2-エチル-4-ヒドロキシ-5-メチル-2H-フラン-3-オン、3-ヒドロキシ-2-メチル-4H-ピラン-4-オン、2-エチル-3-ヒドロキシ-4H-ピラン-4-オンなど、
【0173】
ラクトン、例えば、1,4-オクタノリド、3-メチル-1,4-オクタノリド、1,4-ノナノリド、1,4-デカノリド、8-デセン-1,4-オリド、1,4-ウンデカノリド、1,4-ドデカノリド、1,5-デカノリド、1,5-ドデカノリド、4-メチル-1,4-デカノリド、1,15-ペンタデカノリド、cis-及びtrans-11-ペンタデセン-1,15-オリド、cis-及びtrans-12-ペンタデセン-1,15-オリド、1,16-ヘキサデカノリド、9-ヘキサデセン-1,16-オリド、10-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、11-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、12-オキサ-1,16-ヘキサデカノリド、エチレン1,12-ドデカンジオエート、エチレン1,13-トリデカンジオエート、クマリン、2,3-ジヒドロクマリン、オクタヒドロクマリンなど。
【0174】
組成物において使用される芳香化学物質(i)は、公知の市販供給源から得られ、ドイツから調達される。
【0175】
好ましい実施形態において、少なくとも1種の非芳香化学物質担体(ii)は、界面活性剤、油成分、抗酸化剤、デオドラント活性剤及び溶媒からなる群から選択される。
【0176】
本発明の文脈において、「溶媒」は、それ自体は芳香を有することなく、本発明により使用される本発明の化合物及び/又は組成物の任意のさらなる成分の希釈に役立つ。
【0177】
溶媒(1種又は複数種)の量は、組成物に応じて選択される。
【0178】
さらに別の好ましい実施形態において、溶媒は、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチルシトレート及びイソプロピルミリステートからなる群から選択される。
【0179】
さらに別の好ましい実施形態において、溶媒は、組成物の総重量に対して、0.01重量%~99.0重量%の量、より好ましくは0.05重量%~95.0重量%の量、なおより好ましくは0.1重量%~80.0重量%の量、最も好ましくは0.1重量%~70.0重量%の量、特に0.1重量%~60.0重量%の量で組成物中に存在する。
【0180】
本発明のさらに別の好ましい実施形態において、組成物は、組成物の総重量に対して、0.05重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%、なおより好ましくは0.2重量%~3重量%の溶媒(1種又は複数種)を含む。本発明のさらに別の好ましい実施形態において、組成物は、組成物の総重量に対して、20重量%~70重量%、より好ましくは25重量%~50重量%の溶媒(1種又は複数種)を含む。
【0181】
本発明の一実施形態は、本発明の化合物及び少なくとも1種の油成分を含む組成物を対象とする。
【0182】
好ましい実施形態において、油成分は、組成物の総重量に対して、0.1~80重量%、より好ましくは0.5~70重量%、なおより好ましくは1~60重量%、さらにより好ましくは1~50重量%、特に1~40重量%、より詳細には5~25重量%、具体的には5~15重量%の量で存在する。
【0183】
油成分は、例えば、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールをベースとするゲルベアルコール、並びに他のさらなるエステル、例えば、ミリスチルミリステート、ミリスチルパルミテート、ミリスチルステアレート、ミリスチルイソステアレート、ミリスチルオレエート、ミリスチルベヘネート、ミリスチルエルケート、セチルミリステート、セチルパルミテート、セチルステアレート、セチルイソステアレート、セチルオレエート、セチルベヘネート、セチルエルケート、ステアリルミリステート、ステアリルパルミテート、ステアリルステアレート、ステアリルイソステアレート、ステアリルオレエート、ステアリルベヘネート、ステアリルエルケート、イソステアリルミリステート、イソステアリルパルミテート、イソステアリルステアレート、イソステアリルイソステアレート、イソステアリルオレエート、イソステアリルベヘネート、イソステアリルオレエート、オレイルミリステート、オレイルパルミテート、オレイルステアレート、オレイルイソステアレート、オレイルオレエート、オレイルベヘネート、オレイルエルケート、ベヘニルミリステート、ベヘニルパルミテート、ベヘニルステアレート、ベヘニルイソステアレート、ベヘニルオレエート、ベヘニルベヘネート、ベヘニルエルケート、エルシルミリステート、エルシルパルミテート、エルシルステアレート、エルシルイソステアレート、エルシルオレエート、エルシルベヘネート及びエルシルエルケートから選択することができる。同様に、C18~C38アルキルヒドロキシカルボン酸と直鎖若しくは分岐鎖のC6~C22脂肪アルコールとのエステル(さらに特にジオクチルマレート)、直鎖及び/若しくは分岐鎖の脂肪酸と多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ダイマージオール若しくはトリマートリオール)とのエステル、C6~C10脂肪酸をベースとするトリグリセリド、C6~C18脂肪酸をベースとする液体モノ-、ジ-及びトリグリセリド混合物、C6~C22脂肪アルコール及び/又はゲルベアルコールと芳香族カルボン酸、さらに特に安息香酸とのエステル、ジカルボン酸と2~10個の炭素原子及び2~6個のヒドロキシル基を含有するポリオールとのエステル、植物油、分岐鎖第一級アルコール、置換シクロヘキサン、直鎖及び分岐鎖のC6~C22脂肪アルコールカーボネート、例えばジカプリリルカルボネート(Cetiol(登録商標)CC)など、6~18個、好ましくは8~10個の炭素原子を含有する脂肪アルコールをベースとするゲルベカルボネート、安息香酸と直鎖及び/若しくは分岐鎖のC6~C22アルコール(例えば、Finsolv(登録商標)TN)とのエステル、アルキル基1個当たり6~22個の炭素原子を含有する直鎖若しくは分岐鎖の対称若しくは非対称ジアルキルエーテル、例えばジカプリリルエーテル(Cetiol(登録商標)OE)など、ポリオールによるエポキシ化脂肪酸エステルの開環生成物、及び炭化水素、又はそれらの混合物も好適である。
【0184】
抗酸化剤は、酸素効果及び他の酸化過程によって引き起こされる、保護される組成物における望ましくない変化を抑制又は予防し得ることを理解されたい。抗酸化剤の効果は、ほとんどの場合、それらが、自動酸化中に生じるフリーラジカルに対するフリーラジカルスカベンジャーとして作用することにある。
【0185】
好ましい実施形態において、抗酸化剤は、以下のものからなる群から選択される:
- アミノ酸(例えば、グリシン、アラニン、アルギニン、セリン、トレオニン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びその誘導体、
- イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)及びその誘導体、
- ペプチド、例えば、D,L-カルノシン、D-カルノシン、L-カルノシン(=β-アラニル-L-ヒスチジン)及びその誘導体、
- カロテノイド、カロテン(例えば、アルファ-カロテン、ベータ-カロテン、リコペン、ルテイン)又はその誘導体、
- クロロゲン酸及びその誘導体、
- リポ酸及びその誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、
- アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミン並びにそれらのグリコシル、N-アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル及びラウリル、パルミトイル、オレイル、ガンマ-リノレイル、コレステリル及びグリセリルエステル)並びにその塩、
- ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)、
- スルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタチオニンスルホキシミン)、
- (金属)キレート剤(例えば、アルファヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、
- アルファヒドロキシ酸(例えばクエン酸、乳酸、リンゴ酸)、
- フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、ボルジン(=植物ペウムス・ボルドゥス(Peumus boldus)由来のアルカロイド、ボルド抽出物、
- EDTA、EGTA及びその誘導体、
- 不飽和脂肪酸及びその誘導体(例えば、ガンマ-リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、
- 葉酸及びその誘導体、
- ユビキノン及びユビキノール並びにその誘導体、
- ビタミンC及び誘導体(例えば、アスコルビルパルミテート、Mgアスコルビルホスフェート、アスコルビルアセテート)、
- トコフェロール及び誘導体(例えば、ビタミンEアセテート)、
- ビタミンA及び誘導体(例えば、ビタミンAパルミテート)、
- ガムベンゾインのコニフェリルベンゾエート、ルチン酸(rutic acid)及びその誘導体、アルファ-グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、
- ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、
- ノルジヒドログアイアシン酸(nordihydroguaiacic acid)、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、
- スーパーオキシドディスムターゼ、
- 亜鉛及びその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、
- セレン及びその誘導体(例えばセレノメチオニン)、並びに
- スチルベン及びその誘導体(例えばスチルベンオキシド、trans-スチルベンオキシド)。
【0186】
好ましい実施形態において、抗酸化剤は、ペンタエリスリチル、テトラ-ジ-t-ブチル-ヒドロキシヒドロシンナメート、ノルジヒドログアイアレチン酸、フェルラ酸、レスベラトロール、プロピルガレート、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビルパルミテート及びトコフェロールからなる群から選択される。
【0187】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明による組成物は、抗酸化剤を、組成物の総重量に対して0.001~25重量%、好ましくは0.005~10重量%、より好ましくは0.01~8重量%、なおより好ましくは0.025~7重量%、さらにより好ましくは0.05~5重量%の量で含み得る。
【0188】
消臭組成物(デオドラント及び制汗剤)は、体臭を抑えるか、マスキングするか、又は除去する。体臭は、アポクリン発汗時の皮膚細菌の作用を介して形成され、これにより、不快な匂いの分解生成物の形成をもたらす。
【0189】
従って、本発明の一実施形態は、本発明の化合物及び少なくとも1種のデオドラント活性剤を含む組成物を対象とする。好ましい実施形態において、デオドラント活性剤は、制汗剤、エステラーゼ阻害剤及び抗菌剤からなる群から選択される。
【0190】
好適な制汗剤は、アルミニウム、ジルコニウム又は亜鉛の塩からなる群から選択される。例は、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート及びそれらの錯体化合物(例えば、1,2-プロピレングリコールとの錯体化合物)、アルミニウムヒドロキシアラントイネート(aluminium hydroxyallantoinate)、アルミニウムクロリドタルタレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、及びそれらの錯体化合物(例えば、グリシンなどのアミノ酸との錯体化合物)である。アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート及びそれらの錯体化合物が、好ましくは使用される。
【0191】
好ましい実施形態において、制汗剤は、塩化アルミニウム、アルミニウムクロロハイドレート、アルミニウムジクロロハイドレート、アルミニウムセスキクロロハイドレート、アルミニウムヒドロキシアラントイネート、アルミニウムクロリドタルタレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート及びアルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレートからなる群から選択される。
【0192】
汗が脇の下の領域に存在する場合、細胞外酵素であるエステラーゼ、主にプロテアーゼ及び/又はリパーゼが細菌により形成され、汗の中に存在するエステルを分解し、この過程で匂いを放出する。好適なエステラーゼ阻害剤は、例えば、トリアルキルシトレート、例えばトリメチルシトレート、トリプロピルシトレート、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレート、特にトリエチルシトレートである。エステラーゼ阻害剤は、酵素活性を阻害し、このようにして匂いの形成を抑える。遊離酸は、おそらくはクエン酸エステルの切断により放出され、皮膚のpH値を、酵素がアシル化により不活化される程度まで低下させる。他のエステラーゼ阻害剤は、ステロールスルフェート又はホスフェート、例えば、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール及びシトステロールのスルフェート又はホスフェート、ジカルボン酸及びそのエステル、例えば、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸及びマロン酸ジエチルエステル、ヒドロキシカルボン酸及びそのエステル、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸又は酒石酸ジエチルエステル並びに亜鉛グリシネートなどである。
【0193】
好ましい実施形態において、エステラーゼ阻害剤は、トリメチルシトレート、トリプロピルシトレート、トリイソプロピルシトレート、トリブチルシトレート、トリエチルシトレート、ラノステロール、コレステロール、カンペステロール、スチグマステロール、シトステロールスルフェート、シトステロールホスフェート、グルタル酸、グルタル酸モノエチルエステル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸、アジピン酸モノエチルエステル、アジピン酸ジエチルエステル、マロン酸、マロン酸ジエチルエステル、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酒石酸ジエチルエステル及び亜鉛グリシネートからなる群から選択される。
【0194】
本発明による組成物は、エステラーゼ阻害剤を、組成物の総重量に対して、0.01~20重量%、好ましくは0.1~10重量%、さらに特に0.5~5重量%の範囲内で含み得る。
【0195】
本明細書中で使用される「抗菌剤」という用語は、殺菌特性及び/又は静菌特性を有する物質を包含する。典型的には、これらの物質は、グラム陽性菌に対して作用し、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロルヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミド、例えばサリチル酸-n-オクチルアミド又はサリチル酸-n-デシルアミドなどである。
【0196】
好ましい実施形態において、抗菌剤は、キトサン、フェノキシエタノール、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-フェノール、4-ヒドロキシ安息香酸並びにその塩及びエステル、N-(4-クロロフェニル)-N'-(3,4-ジクロロフェニル)-尿素、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノール、2,2'-メチレン-ビス-(6-ブロモ-4-クロロフェノール)、3-メチル-4-(1-メチルエチル)-フェノール、2-ベンジル-4-クロロフェノール、3-(4-クロロフェノキシ)-プロパン-1,2-ジオール、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、クロルヘキシジン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド(TTC)、フェノキシエタノール、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノラウレート(GML)、ジグリセロールモノカプレート(DMC)、サリチル酸-N-アルキルアミドからなる群から選択される。
【0197】
本発明による組成物は、抗菌剤を、組成物の総重量に対して、0.01~5重量%、好ましくは0.1~2重量%の範囲内で含む。
【0198】
本発明の化合物の特徴的な感覚特性とその持続性、保持力並びに安定性により、本発明の化合物を使用して、匂い、好ましくはフレグランスの印象を、界面活性剤含有組成物、例えば洗浄剤(特に、ランドリーケア用品及び多目的洗浄剤)などに提供することができる。好ましくは、界面活性剤は、長時間持続するフラワリー(flowery note)及び/又はマリンノート及び/又はグリーンノート及び/又はスウィートノート及び/又はラバリーノート(rubbery note)及び/又はナッティーノート(nutty note)及び/又はウッディノート及び/又はダスティノート(dusty note)及び/又はルーティーノート(rooty note)及び/又はレモンノート(lemon note)を、界面活性剤を含む組成物に付与するために使用することができる。
【0199】
このように、本発明による組成物は、好ましくは少なくとも1種の界面活性剤を含み得る。
【0200】
好ましい実施形態において、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び双性イオン性界面活性剤からなる群から選択される。さらに別の好ましい実施形態において、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。
【0201】
本発明による組成物は、通常、界面活性剤(1種又は複数種)を、全体として(in the aggregate)、組成物の総重量に対して、0~40重量%、好ましくは0~20重量%、より好ましくは0.1~15重量%、特に0.1~10重量%の量で含有する。非イオン性界面活性剤の典型例は、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、アルコキシ化トリグリセリド、混合エーテル及び混合ホルマール、場合により部分的に酸化されたアルキル(アルケニル)オリゴグリコシド又はグルクロン酸誘導体、脂肪酸-N-アルキルグルカミド、タンパク質加水分解物(特に、コムギベースの植物産物)、ポリオール脂肪酸エステル、糖エステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート並びにアミンオキシドである。非イオン性界面活性剤がポリグリコールエーテル鎖を含有する場合、非イオン性界面活性剤は、従来のホモログ分布を有していてもよいが、好ましくは、狭い範囲のホモログ分布を有する。
【0202】
双性イオン性界面活性剤は、分子中に少なくとも1個の第四級アンモニウム基及び少なくとも1個のCOO(-)又はSO3 (-)基を含有する、表面活性化合物である。特に好適な双性イオン性界面活性剤は、いわゆるベタイン、例えば、アルキル基又はアシル基中に8~18個の炭素原子を含有する、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアルキルジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、ココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート、及び2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。コカミドプロピルベタインのCTFA名で知られる脂肪酸アミド誘導体が、特に好ましい。
【0203】
両性界面活性剤は、特に共界面活性剤としても好適である。両性界面活性剤は、C8~C18アルキル基又はアシル基に加えて、分子中に少なくとも1個の遊離アミノ基及び少なくとも1個の-COOH基又は-SO3H基を含有し、内塩を形成することができる、表面活性化合物である。好適な両性界面活性剤の例は、アルキル基中に約8~18個の炭素原子を含有する、N-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸及びアルキルアミノ酢酸である。特に好ましい両性界面活性剤は、N-ココアルキルアミノプロピオネート、ココアシルアミノエチルアミノプロピオネート及びアシルサルコシンである。
【0204】
アニオン性界面活性剤は、水溶性のアニオン性基、例えば、カルボキシレート基、スルフェート基、スルホネート基、又はホスフェート基、及び親油性基などを特徴とする。皮膚科学的に安全なアニオン性界面活性剤は、関連の教科書から多数のものが実務者に知られており、商業的に入手可能である。アニオン性界面活性剤は特に、アルカリ金属塩、アンモニウム塩又はアルカノールアンモニウム塩の形態のアルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルカルボキシレート、アシルイセチオネート、アシルサルコシネート、直鎖C12~C18アルキル基又はアシル基を含有するアシルタウリン、並びに、アルカリ金属塩又はアンモニウム塩の形態のスルホスクシネート及びアシルグルタメートである。
【0205】
特に好適なカチオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物、好ましくはアンモニウムハロゲン化物、さらにとりわけクロリド及びブロミド、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド及びトリアルキルメチルアンモニウムクロリド、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド及びトリセチルメチルアンモニウムクロリドである。さらに、容易に生分解され得る第四級エステル化合物、例えば、Stepantexeの名称で販売されているジアルキルアンモニウムメトスルフェート及びメチルヒドロキシアルキルジアルコイルオキシアルキル(dialkoyloxyalkyl)アンモニウムメトスルフェートなど、並びに対応するDehyquart(登録商標)シリーズの製品を、カチオン性界面活性剤として使用してもよい。「エステルクワット(Esterquat)」は、一般的に、第四級化脂肪酸トリエタノールアミンエステル塩であると理解される。エステルクワットは、本組成物に格別の柔らかさを与えることができる。エステルクワットは、関連の有機化学の方法によって調製される公知の物質である。本発明による使用に適した他のカチオン性界面活性剤は、第四級化タンパク質加水分解物である。
【0206】
本発明の一実施形態は、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される組成物を対象とする。
【0207】
前記組成物は、好ましくは、芳香化学物質組成物、より好ましくはフレグランス組成物である。
【0208】
好適な組成物は、例えば、香水組成物、ボディケア組成物(化粧品組成物及び口腔及び歯科衛生用品を含む)、衛生用品、洗浄組成物(食器洗い用組成物を含む)、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物、並びに作物保護組成物である。
【0209】
香水組成物は、ファインフレグランス、液体形態、ゲル状形態、又は固体キャリアに塗布された形態のエアフレッシュナー、エアロゾルスプレー、香り付き洗浄剤、賦香キャンドル及び賦香油(例えばランプ用オイル又はマッサージ用オイル)から選択され得る。
【0210】
ファインフレグランスの例は、香水抽出物、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、オードソリッド、及びエクストレパルファム(Extrait Parfum)である。
【0211】
ボディケア組成物は、化粧品組成物及び口腔及び歯科衛生用品を含み、アフターシェーブ製品、プレシェーブ製品、スプラッシュコロン、固体石けん及び液体石けん、シャワージェル、シャンプー、シェービングソープ、シェービングフォーム、バスオイル、水中油型、油中水型及び水中油中水型の化粧品用エマルション、例えばスキンクリーム及びスキンローション、フェイスクリーム及びフェイスローション、日焼け止めクリーム及び日焼け止めローション、アフターサンクリーム及びアフターサンローションなど、ハンドクリーム及びハンドローション、フットクリーム及びフットローション、脱毛クリーム及び脱毛ローション、アフターシェーブクリーム及びアフターシェーブローション、日焼けクリーム及び日焼けローション、ヘアケア製品、例えばヘアスプレー、ヘアジェル、整髪ローション、ヘアコンディショナー、ヘアシャンプー、パーマネント型及びセミパーマネント型の染毛剤、ヘアシェーピング組成物、例えばコールドウェーブ薬剤(cold wave)及びヘアスムージング組成物、ヘアトニック、ヘアクリーム及びヘアローションなど、消臭剤及び制汗剤、例えば脇の下用のスプレー剤、ロールオン、消臭スティック及び消臭クリーム、装飾用化粧品、例えばアイライナー、アイシャドウ、マニキュア液、メイクアップ、口紅及びマスカラなど、並びに口腔及び歯科衛生用品、例えば練り歯磨き、デンタルフロス、マウスウォッシュ、ブレスフレッシュナー、デンタルフォーム、デンタルジェル、及びデンタルストリップから選択することができる。
【0212】
衛生用品は、線香、殺虫剤、防虫剤、噴射剤、さび取り剤、香り付きふき取りシート(perfumed freshening wipe)、脇パッド、赤ちゃん用おむつ、生理用ナプキン、トイレットペーパー、化粧品ふき取りシート(cosmetic wipe)、ポケットティッシュ、食洗機(dishwasher)及び消臭剤から選択することができる。
【0213】
洗浄組成物、例えば固体表面のための洗浄剤などは、香り付きの酸性、アルカリ性及び中性洗浄剤、例えば床用洗浄剤、窓用洗浄剤、手洗い用及び機械洗浄用の食器洗い用組成物、浴室用洗浄剤及びサニタリー用洗浄剤、研磨用ミルク(scouring milk)、固体及び液体のトイレ用洗浄剤、粉末状及び泡状のカーペット用洗浄剤、ワックス及び磨き剤、例えば家具用磨き剤、床用ワックス、靴クリーム、消毒剤、表面消毒剤及びサニタリー用洗浄剤、ブレーキ用洗浄剤、パイプ用洗浄剤、水垢除去剤、グリル用及びオーブン用洗浄剤、藻類除去剤及びコケ除去剤、カビ除去剤、ファサード洗浄剤(facade cleaner)などから選択することができる。
【0214】
繊維用洗剤組成物は、液体洗剤、粉末洗剤、洗濯用前処理剤、例えば漂白剤、浸漬剤及び染み除去剤、繊維柔軟剤、洗濯石けん、洗濯タブレットから選択することができる。
【0215】
食品は、未処理の、加熱調理した、若しくは加工した食用の物質、氷菓、飲料、又は、全体として若しくは部分的にヒトの摂取に使用されるか若しくは使用が意図される成分、あるいはチューインガム、グミ、ゼリー、及び菓子を意味する。
【0216】
栄養補助食品は、さらなる栄養価を飲食物に付加するように意図された食用成分を含有する、摂取が意図される製品である。食用成分は、以下の物質、すなわち、ビタミン、ミネラル、ハーブ又は他の植物性物質、アミノ酸、人々が総食物摂取量を増加させることにより食事を補うために使用される飲食用物質、濃縮物、代謝物、構成成分、又は抽出物のうちの1つ又は任意の組合せであり得る。栄養補助食品は、タブレット、カプセル、ソフトゲル、ゲルキャップ、液体、又は粉末などの多くの形態で見られ得る。
【0217】
医薬組成物は、疾患の診断、治療、軽減、処置又は予防における使用が意図される組成物、並びに、人間又は他の動物の身体の構造又は任意の機能に影響を及ぼすことが意図される物品(食品以外)を含む。
【0218】
作物保護組成物は、農作物及び森林を損なう、植物病害、雑草、及び他の有害生物(脊椎動物及び無脊椎動物の両方)の管理のために意図される組成物を含む。
【0219】
好ましい実施形態において、組成物は、保存料、研磨剤、抗にきび剤、皮膚の老化を抑えるための薬剤、抗セルライト剤、フケ防止剤、抗炎症剤、刺激予防剤、刺激緩和剤、収れん剤、発汗抑制剤、消毒剤、静電気防止剤、結合剤、緩衝剤、キャリア材料、キレート化剤、細胞刺激物質、ケア剤(care agent)、脱毛剤、乳化剤、酵素、精油、繊維、フィルム形成剤、保留剤(fixative)、泡形成剤、泡安定剤、発泡防止用物質、発泡増進剤、殺菌剤、ゲル化剤、ゲル形成剤、ヘアケア剤、ヘアシェーピング剤、ヘアスムージング剤、水分供与剤、加湿物質、保湿剤物質、漂白剤、補強剤、染み除去剤、蛍光増白剤、含浸剤、汚れ忌避剤(soil repellent)、減摩剤、滑沢剤、保湿クリーム、軟膏、乳白剤、可塑剤、被覆剤、磨き剤、光沢剤、ポリマー、粉末、タンパク質、加脂剤(refatting agent)、剥離剤(exfoliating agent)、シリコーン、皮膚鎮静剤、皮膚洗浄剤、スキンケア剤、皮膚治癒剤、皮膚美白剤、皮膚保護剤、皮膚軟化剤、冷却剤、皮膚冷却剤、加温剤(warming agent)、皮膚加温剤、安定剤、紫外線吸収剤、紫外線フィルター、繊維柔軟剤、懸濁剤、日焼け剤、増粘剤、ビタミン、ワックス、脂肪、リン脂質、飽和脂肪酸、モノ不飽和又はポリ不飽和脂肪酸、α-ヒドロキシ酸、ポリヒドロキシ脂肪酸、液化剤、染料、着色防止剤(color-protection agent)、顔料、防食剤、ポリオール、電解質、及びシリコーン誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の助剤をさらに含む。
【0220】
本発明の一実施形態は、
(i) 式(I)若しくは(II)の化合物以外の少なくとも1種の化合物、又は
(ii) 少なくとも1種の非芳香化学物質担体、又は
(iii) (i)及び(ii)の両方
を含む組成物を調製する方法を対象とする。
【0221】
例えば、本方法は、本明細書中に記載される本発明の式(I)又は(II)の化合物と:
(i) 式(I)若しくは(II)の化合物以外の少なくとも1種の化合物、又は
(ii) 少なくとも1種の非芳香化学物質担体、又は
(iii) (i)及び(ii)の両方
とを混合することによって実施することができる。
【0222】
また本発明は、フレグランス組成物などの組成物の芳香の印象をブーストするための方法も対象とし、ここで上記方法は、本明細書中に記載される本発明の化合物を、組成物中に組み込むことを含む。
【0223】
特に、本発明は、香水組成物、ボディケア組成物、衛生物品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物を調製する方法であって、本明細書中に記載される本発明の化合物を、香水組成物、ボディケア組成物、衛生物品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物中に含めることを含む、上記方法を対象とする。
【0224】
一実施形態において、本発明は、スウィートエレメント、及び/又はフルーティエレメント、及び/又はフローラルエレメント、及び/又はオリスエレメント、及び/又はパウダリーエレメントを思い出させるノートを、香水組成物、ボディケア組成物、衛生物品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物に付与するための方法であって、本発明の化合物を、香水組成物、ボディケア組成物、衛生物品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物又は作物保護組成物中に含めることを含む、上記方法を対象とする。
【0225】
実施形態
以下において、本開示をさらに説明するための実施形態のリストが提供されるが、上記開示を以下に列挙される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0226】
1. 単環式及び二環式テルペンのC1-C8-アルキルエーテルを調製するための方法であって、10~15個の炭素原子を有するモノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和、非芳香族、単環式又は二環式テルペン炭化水素を、最大少なくとも50%が少なくとも1種のC1~C8-アルカノールからなり、少なくとも1種の導電性塩を含む電解液中での電気分解に供することを含み、電解液が、1000ppm未満のハロゲン化物イオンを含み、導電性塩が、アルカリ金属塩及び第四級アンモニウム塩から選択され、そのアニオンが、オルガノサルフェート、オルガノスルホネート、オルガノホスフェート、フルオロアルキルカルボキシレート及びジスルホニルイミドから選択される、上記方法。
【0227】
2. 単環式及び二環式テルペンのC1~C8-アルキルエーテルが、
式(I)
【化21】
(式中、
Lは、
【化22】
からなる群から選択され、
Lの結合点は、*によって示され、
Dは、
-CH2-C(CH3)OR-CH(OR)-、-CH2-C(CH3)OR-CH=、-CH2-C(CH3)=CH-、
-CH2-CH(CH3)-C(OR)=、-CH2-C(CH2-O-R)=CH-、-CH2-C(OR)2-CH(CH3)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、-CH=C(CH3)-CH(OR)-、=CH-C(CH3)(OR)-CH2-、
=CH-C(OR)(CH2OR)-CH2-、=CH-C(=O)-CH2-、-C(CH3)(CH(OR)2)-CH2-、
-CH2-C(CH3)(OCH3)-CH(OCH3)-、-C=C(CH3)-CH(OCH3)-、-C=C(-CH2OCH3)-CH=、
-CH2-C(O)-CH(OCH3)-、-CH2-C(CH2-O-CH3)=CH-
からなる群から選択され、
「a」及び「b」は、炭素原子を表し、上記炭素鎖Dにより結合して、5又は6員環を形成しており、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキルであり、
R1は、H又は-ORである)、
又は式(II)
【化23】
(式中、
【化24】
は、C-C単結合又はC=C二重結合であり、
kは、1、2又は3であり、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキル、好ましくは、非置換、直鎖C1~C4-アルキルであり、OR基は、C=C二重結合の一部ではない任意の炭素原子に結合している)
の少なくとも1種の化合物から選択される、実施形態1による方法。
【0228】
3. テルペン炭化水素が、メンテン又はメンタジエン骨格を有し、リモネン、α-フェランドレン、β-フェランドレン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン及びそれらの混合物から選択される、実施形態1又は2による方法。
【0229】
4. テルペン炭化水素が、α-ピネン、β-ピネン、カンフェン、3-カレン、β-カリオフィレン及びそれらの混合物から選択される二環式テルペン炭化水素である、実施形態1~3のいずれかによる方法。
【0230】
5. C1~C8-アルカノールが、直鎖C1~C4-アルカノール、好ましくは、メタノール又はエタノールからなる群から選択される、実施形態1~4のいずれかによる方法。
【0231】
6. 特徴a)~l):
a)電解液が、電解液の総質量に対して、30重量%未満の水を含む;
b)電解液中のアルカノールの濃度が、電解液の総質量に対して、60~98重量%の範囲である;
c)電解液中のテルペンの濃度が、電解液の総質量に対して、1~25重量%の範囲である;
d)電解液が、電解液の総質量に対して、1~20重量%の範囲の濃度の少なくとも1種の導電性塩を含む;
e)導電性塩が、そのアニオンがC1~C8-アルキルサルフェート、C1~C8-アルキルスルホネート、アリールスルホネート及びビス(フルオロ-C1~C4-アルキルスルホニル)イミドから選択される塩から選択される;
f)アノード材料が炭素材料である;
g)電気分解が、非分割電気分解セル中で実施される;
h)電気分解が、ガルバノスタットで実施される;
i)電気分解が、二極電極配置を有する電気分解セル中で実施される;
j)電気分解が、二極積層プレートセル中で実施される;
k)電気分解が、テルペン1mol当たり0.3~10Fの電気量で実施される;
l)電気分解が、5~80mA/m2の範囲の電流密度で実施される
のうちの少なくとも1つを有する、実施形態1~5のいずれかによる方法。
【0232】
7. 実施形態2による一般式(I)の化合物
【化25】
(式中、
Lは、
【化26】
からなる群から選択され、
Lの結合点は、*によって示され、
Dは、
-CH2-C(CH3)OR-CH(OR)-、-CH2-C(CH3)OR-CH=、-CH2-C(CH3)=CH-、
-CH2-CH(CH3)-C(OR)=、-CH2-C(CH2-O-R)=CH-、-CH2-C(OR)2-CH(CH3)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、-CH=C(CH3)-CH(OR)-、=CH-C(CH3)(OR)-CH2-、
=CH-C(OR)(CH2OR)-CH2-、=CH-C(=O)-CH2-、-C(CH3)(CH(OR)2)-CH2-、
-CH2-C(CH3)(OCH3)-CH(OCH3)-、-C=C(CH3)-CH(OCH3)-、-C=C(-CH2OCH3)-CH=、
-CH2-C(O)-CH(OCH3)-、-CH2-C(CH2-O-CH3)=CH-
からなる群から選択され、
「a」及び「b」は、炭素原子を表し、上記炭素鎖Dにより結合して、5又は6員環を形成しており、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキルであり、
R1は、H又は-ORであり、
式Iの化合物は、1、2又は3つの-OR基を有する)
の、芳香化学物質、好ましくはフレグランスとしての、使用。
【0233】
8. Rが、メチル又はエチルである、実施形態7による使用。
【0234】
9. 芳香の印象、好ましくはフレグランスの印象を組成物に付与する方法であって、実施形態7又は8に記載される化合物を組成物に添加するステップを少なくとも含む、上記方法。
【0235】
10. 組成物が、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、実施形態7~9のいずれかによる使用又は方法。
【0236】
11. 式(I)の化合物が、組成物の総重量に対して、≧0.01重量%~≦70.0重量%の範囲内の量で存在する、実施形態7~10のいずれかによる使用又は方法。
【0237】
12. 実施形態2による一般式(I)の化合物
【化27】
(式中、
Lは、
【化28】
からなる群から選択され、
Lの結合点は、*によって示され、
Dは、
-CH2-C(CH3)OR-CH(OR)-、-CH2-C(CH3)OR-CH=、-CH2-C(CH3)=CH-、
-CH2-CH(CH3)-C(OR)=、-CH2-C(CH2-O-R)=CH-、-CH2-C(OR)2-CH(CH3)-、
-CH=C(CH3)-CH(OR)-、-CH=C(CH3)-CH(OR)-、=CH-C(CH3)(OR)-CH2-、
=CH-C(OR)(CH2OR)-CH2-、=CH-C(=O)-CH2-、-C(CH3)(CH(OR)2)-CH2-
からなる群から選択され、
「a」及び「b」は、炭素原子を表し、上記炭素鎖Dにより結合して、5又は6員環を形成しており、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキルであり、
R1は、H又は-ORであり、
式(I)の化合物は、1、2又は3つの-OR基を有する)。
【0238】
13. Rが、メチル又はエチルである、実施形態12による化合物。
【0239】
14. 以下のものからなる群から選択される実施形態12による化合物:
1-エトキシメチル-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン;
2-エトキシ-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチレンシクロヘキサン;
4-イソプロペニル-1,2-ジエトキシ-1-メチルシクロヘキサン;
4-イソプロペニル-1,1-ジエトキシ-2-メチルシクロヘキサン;
6-エトキシ-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-エトキシ-4-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-エトキシ-4-(1-エトキシメチルビニル)-1-メチルシクロヘキセン;
5-エトキシ-1-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-4-メチルシクロヘキサ-1,3-ジエン;
1-エトキシメチル-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)ベンゼン;
3-エトキシ-6-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-3-メチルシクロヘキセン;
3-エトキシ-3-エトキシメチル-6-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン;
4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン;
4-イソプロペニル-1,2-ジメトキシ-1-メチルシクロヘキサン;
4-イソプロペニル-1,1-ジメトキシ-2-メチルシクロヘキサン;
6-メトキシ-4-(2-メトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-メトキシ-4-(1-メトキシメチルビニル)-1-メチルシクロヘキセン;
5-エトキシ-1-(2-メトキシ-1-メチルエチル)-4-メチルシクロヘキサ-1,3-ジエン;
3-メトキシ-6-(1-メトキシ-1-メチルエチル)-3-メチルシクロヘキセン;
3-メトキシ-3-メトキシメチル-6-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン;
1-エトキシ-3-イソプロペニル-6-メチル-シクロヘキセン;
1-エトキシ-4-イソプロペニル-1-メチル-シキロヘキサン;
3-エトキシ-4-イソプロペニル-1-メチル-シクロヘキセン;
1-(エトキシメチル)-4-イソプロペニル-シクロヘキセン;
1-(ジエトキシメチル)-3-イソプロペニル-1-メチル-シクロペンタン;
1,2-ジエトキシ-4-イソプロペニル-1-メチル-シキロヘキサン;及び
4-(1-メトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキサ-2-エン-1-オン。
【0240】
15. 実施形態12~14のいずれかによる少なくとも1種の式(I)の化合物と、
(i) 式(I)の化合物とは異なる少なくとも1種の芳香化学物質、又は
(ii) 少なくとも1種の非芳香化学物質担体、又は
(iii) (i)及び(ii)の両方
とを含む、組成物。
【0241】
16. 少なくとも1種の非芳香化学物質担体(ii)が、界面活性剤、油成分、抗酸化剤、デオドラント活性剤及び溶媒からなる群から選択される、実施形態15による組成物。
【0242】
17. 組成物が、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、実施形態15又は16による組成物。
【0243】
18. 実施形態12による式(I)の化合物を調製するための方法であって、モノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和、非芳香族単環式テルペン炭化水素を、最大少なくとも50%が少なくとも1種のC1~C8-アルカノールからなり、少なくとも1種の導電性塩を含む電解液中での電気分解に供することを含み、電解液が、1000ppm未満のハロゲン化物イオンを含み、導電性塩が、アルカリ金属塩及び第四級アンモニウム塩から選択され、そのアニオンが、オルガノサルフェート、オルガノスルホネート、オルガノホスフェート、フルオロアルキルカルボキシレート及びジスルホニルイミドからなる群から選択される、上記方法。
【0244】
19. 単環式テルペンが、リモネン、α-フェランドレン、β-フェランドレン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレンからなる群から選択される、実施形態18による方法。
【0245】
20. 実施形態2による一般式(II)の化合物
【化29】
(式中、
【化30】
は、C-C単結合又はC=C二重結合であり、
kは、1、2又は3であり、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキル、好ましくは、非置換、直鎖C1~C4-アルキルであり、OR基は、C=C二重結合の一部ではない任意の炭素原子に結合している)。
【0246】
21. Rが、メチル又はエチルである、実施形態20による化合物。
【0247】
22. 以下のものからなる群から選択される実施形態20による一般式(II)の化合物:
3-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
7-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
9-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
4-エトキシメチル-11,11-ジメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6,8-ジエトキシ-4,8,11,11-テトラメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
8-(ジエトキシメチル)-6-エトキシ-4,11,11-トリメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
3-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
7-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
9-メトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
4-メトキシメチル-11,11-ジメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6,8-ジメトキシ-4,8,11,11-テトラメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;及び
8-(ジメトキシメチル)-6-メトキシ-4,11,11-トリメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン。
【0248】
23. 実施形態2による一般式(II)の化合物
【化31】
(式中、
【化32】
は、C-C単結合又はC=C二重結合であり、
kは、1、2又は3であり、
Rは、非置換、直鎖又は分岐鎖C1~C8-アルキル、好ましくは、非置換、直鎖C1~C4-アルキルであり、OR基は、C=C二重結合の一部ではない任意の炭素原子に結合している)
の、芳香化学物質、好ましくはフレグランスとしての、使用。
【0249】
24. Rが、メチル又はエチルである、実施形態23による使用。
【0250】
25. 芳香の印象、好ましくはフレグランスの印象を組成物に付与する方法であって、
実施形態20~22による式(II)化合物を組成物に添加するステップ
を少なくとも含む、上記方法。
【0251】
26. 組成物が、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、実施形態23~25に記載の組成物。
【0252】
27. 式(II)の化合物が、組成物の総重量に対して≧0.01重量%~≦70.0重量%の範囲内の量で存在する、実施形態23~26いずれかに記載の使用又は方法。
【0253】
28. 実施形態20~22のいずれかによる少なくとも1種の式(II)の化合物と、
(i) 式(II)の化合物とは異なる少なくとも1種の芳香化学物質、又は
(ii) 少なくとも1種の非芳香化学物質担体、又は
(iii) (i)及び(ii)の両方
とを含む、組成物。
【0254】
29. 少なくとも1種の非芳香化学物質担体(ii)が、界面活性剤、油成分、抗酸化剤、デオドラント活性剤及び溶媒からなる群から選択される、実施形態28による組成物。
【0255】
30. 組成物が、香水組成物、ボディケア組成物、衛生用品、洗浄組成物、繊維用洗剤組成物、香りディスペンサー用組成物、食品、栄養補助食品、医薬組成物及び作物保護組成物からなる群から選択される、実施形態28~29のいずれかによる組成物。
【0256】
31. 実施形態20による式(II)の化合物を調製するための方法であって、10~15個の炭素原子を有するモノ不飽和、ジ不飽和又はトリ不飽和、非芳香族、二環式テルペン炭化水素を、最大少なくとも50%が少なくとも1種のC1~C8-アルカノールからなり、少なくとも1種の導電性塩を含む電解液中での電気分解に供することを含み、電解液が、1000ppm未満のハロゲン化物イオンを含み、導電性塩が、アルカリ金属塩及び第四級アンモニウム塩から選択され、そのアニオンが、オルガノサルフェート、オルガノスルホネート、オルガノホスフェート、フルオロアルキルカルボキシレート及びジスルホニルイミドから選択される、上記方法。
【0257】
32. 二環式テルペン炭化水素が、α-ピネン、β-ピネン、カンフェン、3-カレン、β-カリオフィレンからなる群から選択される、実施形態31による方法。
【実施例
【0258】
本発明は、以下に続く非限定的な実施例によって詳細に説明される。さらに特に、本明細書中以降で特定される試験方法は、本出願の一般的な開示の一部であって、特定の実施例に限定されるものではない。
【0259】
[実施例A]
電気分解
略号:
CI: 化学イオン化
EI: 電子イオン化
面積%: 面積%
GC: ガスクロマトグラフィー
GCMS: 質量分析計と組み合わせたガスクロマトグラフィー
MS: 質量分析
MKUS: SGL製グラファイトタイプ
MTBS: メチル-トリ-n-ブチルアンモニウムメチルサルフェート
MTES: メチルトリエチルアンモニウムメチルサルフェート
HEMS: トリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート
BMP-TFSi: N-n-ブチル-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
Et4NOTs: テトラエチルアンモニウムトシレート
EMIM-EtSO4: エチルメチルイミダゾリウムエチルサルフェート
EMIM-OTs: エチルメチルイミダゾリウムトシレート
Na-MeSO4: メチル硫酸ナトリウム
【0260】
以下の実施例では、以下の電極を使用した:
積層プレートセル用グラファイト電極: d=140mm、h=5mm、タイプSIGRAFINE(登録商標)MKUS、製造元SGL
チューブ状セル用ロッド形状グラファイト電極: d=3.5cm、h=85cm、特性、タイプSIGRAFINE(登録商標)MKUS、製造元SGL
チューブ状セル用環状ステンレス鋼カソード: サイズd(内)=4.5cm、h=85cm、V2A鋼、タイプ、Feinmechanik BASF
チューブ状セル用ホウ素ドープダイヤモンド電極ロッド: サイズd=3.5cm、h=85cm、特性、タイプDIACHEM(登録商標)、シリコン上15ym BDD(多層)、製造元CONDIAS
ガラスビーカーセル用グラファイト電極: 70×20×5mm(5cm浸漬深さ)、特性、タイプSIGRAFINE(登録商標)MKUS、製造元SGL。
【0261】
以下の実施例1及び2は、二極配置グラファイト電極(MKUS、10ギャップ)を使用して、積層プレートセル中で実施した。プレート間のギャップ幅は約1mmであった。GOSSEN製の定MSPガルバノスタットを電流源として役立てた。
【0262】
実施例3、4、7及び12は、中心のロッド形状アノード(長さ85cm、直径3.5cm)及び円筒状に配置されたステンレス鋼カソード(長さ85cm、内径4.5cm)を有する内径4.5cmのチューブ状セル中で実施した。電極の間隔は約10mmであった。GOSSEN製の定SSPガルバノスタットを電流源として役立てた。
【0263】
実施例5、6、8~11及び13は、1cmのギャップで取り付けた2つの電極(面積10cm2)を有する容量100mlのガラスビーカーセル中であった。GOSSEN製の定MSPガルバノスタットを電流源として役立てた。
【0264】
粗生成物をGC/MS又はGC/GCMSによって分析した。
【0265】
電気分解粗生成物のガスクロマトグラフィー分析について、使用した固定相は、長さ60m、直径0.32mm及び層厚5μmのAgilent製DB1カラムであった。このカラムを、30分間かけて6℃/分の温度プログラムによって100℃から280℃に加熱する。この温度を、20分間維持する。使用した担体ガスは、3mL/分の流速のヘリウムであった。
【0266】
構造は、質量分析によってGCピークに帰属した(機器: ガスクロマトグラフ: HP 6890、質量分析: HP 5973、EI 70eV、CI(NH3))。
【0267】
[実施例1]
β-ピネンの電気分解
73.3g(3重量%)のβ-ピネン及び115.0g(5重量%)のMTBSを、2099g(92重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、二極配置グラファイト電極(MKUS、10ギャップ)を有する積層プレートセル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのピネンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、34.2~51.4Vのクランプ電圧をもたらした。2312.8gの粗生成物を、80%のピネン変換率で得た。
【0268】
GC/GCMSによると、粗生成物は、>5%の分率で以下の生成物を含んだ:
2-エトキシ-4-(1-メチルビニル)-1-メチレンシクロヘキサン(13.5面積%);
1-エトキシメチル-4-(1-メチルビニル)シクロヘキセン(11.1面積%);
2-エトキシ-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチレンシクロヘキサン(7.5面積%);
1-エトキシメチル-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン(21.4面積%)。
【0269】
[実施例2]
β-ピネンの電気分解
230g(9重量%)のβ-ピネン及び231.25g(5重量%)のトリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェートを、2099g(92重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、二極配置グラファイト電極(MKUS、10ギャップ)を有する積層プレートセル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのピネンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、44.8~48.4Vのクランプ電圧をもたらした。2312.8gの粗生成物を、96%のピネン変換率で得た。
【0270】
GC/GCMSによると、粗生成物は、>5%の分率で以下の生成物を含んだ:
2-エトキシ-4-(1-メチルビニル)-1-メチレンシクロヘキサン(7.5面積%);
1-エトキシメチル-4-(1-メチルビニル)シクロヘキセン(16.7面積%);
2-エトキシ-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチレンシクロヘキサン(9.4面積%);
1-エトキシメチル-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)ベンゼン(5.9面積%);
1-エトキシメチル-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン(24.6面積%)。
【0271】
[実施例3]
D-(+)-リモネンの電気分解
108.8g(5重量%)のD-(+)-リモネン及び115.0g(5重量%)のMTBSを、2099g(92重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、グラファイトアノード及びステンレス鋼カソードを有するチューブ状セル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのD-(+)-リモネンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、8.4~8.7Vのクランプ電圧をもたらした。2159gの粗生成物を、97%のD-(+)-リモネン変換率で得た。
【0272】
GC/GCMSによると、粗生成物は、以下の主生成物を含んだ:
5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン;
2-エトキシ-4-(1-メチルビニル)-1-メチレンシクロヘキサン。
【0273】
[実施例4]
D-(+)-リモネンの電気分解
108.8g(5重量%)のD-(+)-リモネン及び115.0g(5重量%)のMTBSを、2099g(92重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、ホウ素ドープダイヤモンドアノード及びステンレス鋼カソードを有するチューブ状セル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのD-(+)-リモネンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、9.5~10.8Vのクランプ電圧をもたらした。2227gの粗生成物を、39%のD-(+)-リモネン変換率で得た。
【0274】
GC/GCMSによると、粗生成物は、以下の主生成物を含んだ:
5-イソプロペニル-2-メチルシクロヘキサノン;
2-エトキシ-4-(1-メチルビニル)-1-メチレンシクロヘキサン。
【0275】
[実施例5]
α-テルピネンの電気分解
3.0g(4重量%)のα-テルピネン及び3.5g(5重量%)のMTBSを、70g(91重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、グラファイト電極を有するガラスビーカーセル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのα-テルピネンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、10.3~13.1Vのクランプ電圧をもたらした。68.2gの粗生成物を、93%のテルピネン変換率で得た。
【0276】
GC/GCMSによると、粗生成物は、以下の主生成物を含んだ:
5-エトキシ-1-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-4-メチルシクロヘキサ-1,3-ジエン;
1-エトキシメチル-4-(1-メチルエチル)ベンゼン。
【0277】
[実施例6]
テルピノレンの電気分解
2.9g(4重量%)のテルピノレン及び3.5g(5重量%)のMTBSを、70g(91重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、グラファイト電極を有するガラスビーカーセル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのテルピノレンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、11.7~13.4Vのクランプ電圧をもたらした。73.7gの粗生成物を、93%のテルピノレン変換率で得た。
【0278】
GC/GCMSによると、粗生成物は、>5面積%の分率で以下の生成物を含んだ:
1-エトキシメチル-4-(1-メチルエチル)ベンゼン;
5-エトキシ-1-(1-メチルエチル)-4-メチルシクロヘキサ-1,3-ジエン;
1-エトキシメチル-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)シクロヘキセン;
5-エトキシ-1-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-4-メチルシクロヘキサ-1,3-ジエン;
6-エトキシ-4-(1-エトキシメチルビニル)-1-メチルシクロヘキセン。
【0279】
[実施例7]
β-カロフィレン(carophyllene)の電気分解
108.8g(5重量%)のβ-カロフィレン及び115.0g(5重量%)のMTBSを、2099g(92重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、グラファイトアノード及びステンレス鋼カソードを有するチューブ状セル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのβ-カロフィレンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、8.0~8.7Vのクランプ電圧をもたらした。2221gの粗生成物を、83%のβ-カロフィレン変換率で得た。
【0280】
GC/GCMSによると、粗生成物は、以下の主生成物を含んだ:
6-エトキシ-4,11,11-トリメチル-8-メチレンビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;
6,8-ジエトキシ-4,8,11,11-テトラメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン;及び
8-(ジエトキシメチル)-6-エトキシ-4,11,11-トリメチルビシクロ[7,2,0]ウンデカ-4-エン。
【0281】
[実施例8]
α-ピネンの電気分解
108.8g(5重量%)のα-ピネン及び115.0g(5重量%)のMTBSを、2099g(92重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、グラファイトアノード及びステンレス鋼カソードを有するチューブ状セル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのピネンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、8.0~8.6Vのクランプ電圧をもたらした。2176gの粗生成物を、α-97%のピネン変換率で得た。
【0282】
GC/GCMSによると、粗生成物は、以下の主生成物を含んだ:
6-エトキシ-4-(1-メチルビニル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-エトキシ-4-(1-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
6-エトキシ-4-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-1-メチルシクロヘキセン;
1-エトキシ-6,6-ビス(エトキシメチル)-2-メチルビシクロ[3.1.1]シクロヘプテン。
【0283】
[実施例9]
3-カレンの電気分解
3.5g(5重量%)の3-カレン及び3.5g(5重量%)のMTBSを、70g(90重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、グラファイト電極を有するガラスビーカーセル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molの3-カレンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、12.7~14.9Vのクランプ電圧をもたらした。67.2gの粗生成物を、98%の3-カレン変換率で得た。
【0284】
GC/GCMSによると、粗生成物は、>3面積%の分率で以下のものを含んだ:
3モノ不飽和カレンモノエチルエーテル異性体(m/z 180);
2モノ不飽和カレンジエチルエーテル異性体(m/z 226);
2モノ不飽和カレントリエチルエーテル異性体(m/z 270)。
【0285】
[実施例10]
カンフェンの電気分解
2.9g(5重量%)のカンフェン及び2.5g(4重量%)のトリス(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェートを、55.2g(91重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、グラファイト電極を有するガラスビーカーセル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのカンフェンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、14.5~17.0Vのクランプ電圧をもたらした。
【0286】
64.0gの粗生成物を、92%のカンフェン変換率で得た。
【0287】
GC/GCMSによると、粗生成物は、>5面積%の分率で以下のものを含んだ:
4モノ不飽和カンフェンジエチルエーテル異性体(m/z 226);
1モノ不飽和カンフェントリエチルエーテル異性体(m/z 270)。
【0288】
[実施例11]
α-フェランドレンの電気分解
3.0g(4重量%)のα-フェランドレン及び3.5g(5重量%)のMTBSを、70g(91重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、グラファイト電極を有するガラスビーカーセル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのフェランドレンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、8.7~13.9Vのクランプ電圧をもたらした。70.4gの粗生成物を、95%のα-フェランドレン変換率で得た。
【0289】
GC/GCMSによると、粗生成物は、>5面積%の分率で以下の主生成物を含んだ:
1モノ不飽和カレンモノエチルエーテル異性体(m/z 180);
3モノ不飽和カレンジエチルエーテル異性体(m/z 226)。
【0290】
[実施例12]
S-(-)-リモネンの電気分解
108.8g(5重量%)のS-(-)-リモネン及び191.7g(8重量%)のMTBSを、2099g(87重量%)のメタノールに溶解した。溶液を、グラファイトアノード及びステンレス鋼カソードを有するチューブ状セル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、2F/molのS-(-)-リモネンを、20mA/cm2の定電流密度で印加し、これは、8.0~8.6Vのクランプ電圧をもたらした。2328.3gの粗生成物を、84%のS-(-)-リモネン変換率で得た。
【0291】
GC/GCMSによると、粗生成物は、>5面積%の分率で以下のものを含んだ:
2-メトキシ-4-(1-メチルビニル)-1-メチレンシクロヘキサン;
1-メトキシメチル-4-(1-メチルビニル)シクロヘキセン;
3-メトキシ-3-メチル-6-(1-メチルビニル)シクロヘキセン;
6-メトキシ-4-(1-メチルビニル)-1-メチルシクロヘキセン;
1-メトキシ-1-メチル-4-(1-メチルビニル)シキロヘキサン;
1,1-ジメトキシ-2-メチル-4-(1-メチルビニル)シキロヘキサン。
【0292】
[実施例13a~13h]
D-(+)-リモネンの電気分解
2.8g(5重量%)のD-(+)-リモネン及び2.5g(4重量%)のそれぞれの導電性塩を、55.2g(91重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、グラファイト電極を有するガラスビーカーセル中、25℃及び標準圧力で電気分解した。この場合、4F/molのフェランドレンを、20mA/cm2の定電流密度で印加した。使用した導電性塩、及び変換率を、表に示す。
【0293】
GC/GCMSによると、粗生成物は、以下の表1に特定される生成物分布を含んだ:
【0294】
【表3】
【0295】
[実施例14]
D-(+)-リモネンの電気分解
122.5gのD-(+)-リモネン(純度94%;5重量%)及び294.0gのMTBS(12重量%)を、2035.5g(83重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、二極電極のスタックを有するキャピラリーギャップセル中、25℃で電気分解した。カソードとして鋼箔(0.025mm)で被覆したグラファイト(MKUS)電極をアノードとして、9ギャップとなるように用いた。3Fを、17mA/cm2の定電流密度で印加した。2414gの粗生成物を得た。
【0296】
[実施例15]
S-(-)-リモネンの電気分解
122.5gのS-(-)-リモネン(純度95%;5重量%)及び294.0gのMTBS(12重量%)を、2035.5g(83重量%)のエタノールに溶解した。溶液を、二極電極のスタックを有するキャピラリーギャップセル中、25℃で電気分解した。鋼カソード(2mm)で被覆したグラファイト(MKUS)電極をアノードとして、7ギャップとなるように用いた。3Fを、20mA/cm2の定電流密度で印加した。2393.6gの粗生成物を得た。
【0297】
実施例14の化合物の単離及び特徴付け。
サンプルの予備分離
サンプルのアリコートを、カラムクロマトグラフィーによって予備分離した。シリカゲル60を、固定相として使用した。移動相は、異なる混合比のn-ヘキサン(A)及び塩化メチレン(B)で構成される。それぞれ、最終画分(100%A;80%A+20%B;60%A+40%B;40%A+60%B;20%A+80%B;100%B)について200mLの、およそ100mLで構成される6つの画分を収集した。各々の画分の溶媒を、窒素流下で除去した。
【0298】
分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
予備分離した画分を、分取HPLCによってさらに分析した。使用したHPLCシステムは、異なる溶離液の組合せ(表A)による、Young Lin機器(Anyang-si、South Korea)YL9110Sクォータナリポンプ(流量: 15mL・分-1)であった。HPLCは、YL9120S UV/Vis検出器(波長:210及び235nm)及びAdvantec(Dublin、CA)CHF 112SCフラクションコレクター(使用した溶媒系及び収集した単離物については表Aを参照)と連結した極性カラム(ガードカラム: Macherey-Nagel(Duren、Germany)、Nucleodur 100-5、10mm×16mm、分取カラム: Macherey-Nagel、Nucleodur 100-5、250mm×21mm)を備えた。分取HPLCから得られた全ての画分を、水素炎イオン化検出器(GC-FID)と連結したガスクロマトグラフィーによって分析した(表B)。
【0299】
純粋な画分を合わせ、溶媒を除去し、残留物をCDCl3に溶解し、サンプルを核磁気共鳴(NMR)分光によって分析した。NMR実験(1H、13C、DEPT135、COSY、HSQC、HMBC)を、Bruker(Rheinstetten、Germany)Avance II 400MHz、Bruker Avance III HD 400MHz及びBruker Avance III 600MHz分光計で実施した(表C)。
【0300】
嗅覚の印象
調製した化合物の嗅覚の印象(質及び強度)を、香りストリップ試験を使用して試験した。この目的のため、吸収紙のストリップを、エタノール中1~10重量%の被試験化合物を含有する溶液に浸漬した。溶媒の蒸発(約30秒間)後、5名の訓練を受けた調香師のパネルが、嗅覚の印象を評価した。匂いの印象については表Cを参照されたい。
【0301】
【表4】
【0302】
【表5】
【0303】
【表6】
【0304】
有利な組成物
実施例1~15で形成された化合物を、表2及び表3による組成物に配合し、「化合物A」と名付けた。
【0305】
【表7】
【0306】
【表8】
【0307】
表2及び表3による組成物、すなわち1A、1B、2A、2Bは、デオポンプスプレー(Deo pump spray)、クリーンヘアコンディショナー、フェイスウォッシュゲル、フォームバス濃縮物、ヘアジェル、自己発泡ボディウォッシュ、スプレー可能サンケアエマルション、スプレー可能サンプロテクションエマルション、エモリエントフェイシャルゲル、2相オイルフォームバス、シャンプー、シャワーバス、水性-アルコール性AP/デオポンプスプレー、エアロゾル、水性/アルコール性AP/デオロールオン、「アウトオブベッド」タイプスタイリングジェル、シェービングフォーム、敏感肌用乳児用シャンプー、敏感肌用ボディウォッシュ、敏感頭皮用光沢向上シャンプー、デオスティック、乳児用ワイプ、アフターシェーブバーム、フェイスゲル、フェイスデイケアクリーム、フェイスクレンザー、ボディローション、サンケアSPF50+、スプレー可能ローション、手洗い用食器洗剤-レギュラー、手洗い用食器洗剤-濃縮物、サニタリー洗浄剤-濃縮物、多目的洗浄剤、抗菌布地柔軟剤、洗剤組成物、粉末洗剤組成物及び液体洗剤組成物からなる群から選択される様々な組成物に含めることが可能であった。
【0308】
当業者は、上記製品のための様々な一般的な配合法に精通し得る。
【0309】
組成物1A、1B、2A及び2Bは、例えば、New Aroma Chemicalsという表題のIP.com Number: IPCOM000258614D, 第6~46ページ、表1~表D13に開示されているような特定の製剤に配合することが可能であり、その場合、「フレグランス組成物1A」は、同量の組成物1A、1B、2A又は2Bで置きかえられる。
【国際調査報告】