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特表2023-538488化学増幅型レジスト組成物およびそれを用いたレジスト膜の製造方法
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  • 特表-化学増幅型レジスト組成物およびそれを用いたレジスト膜の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-08
(54)【発明の名称】化学増幅型レジスト組成物およびそれを用いたレジスト膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20230901BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20230901BHJP
   C08F 212/14 20060101ALI20230901BHJP
   C07D 221/14 20060101ALI20230901BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230901BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 501
G03F7/004 503A
C08F212/14
C07D221/14
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501874
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2021073215
(87)【国際公開番号】W WO2022043236
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】P 2020142595
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ルイ
(72)【発明者】
【氏名】仁川 裕
(72)【発明者】
【氏名】片山 朋英
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H197CA06
2H197CA08
2H197CE10
2H197HA03
2H225AF24P
2H225AF44P
2H225AF71P
2H225AF75P
2H225AF99P
2H225AH12
2H225AH17
2H225AH19
2H225AJ13
2H225AJ44
2H225AJ48
2H225AN38P
2H225AN57P
2H225AN64P
2H225AN68P
2H225BA01P
2H225BA26P
2H225BA32P
2H225CA12
2H225CB08
2H225CC03
2H225CC15
4J100AB02Q
4J100AB07P
4J100AL03R
4J100AL08R
4J100BA03P
4J100BC03R
4J100BC09R
4J100CA05
4J100DA01
4J100JA38
(57)【要約】
【課題】矩形性の高いレジストパターンを形成できる化学増幅型レジスト組成物の提供。【解決手段】特定の構造を有し、cLogPが2.76~3.35であるアルカリ可溶性樹脂(A)、光酸発生剤(B)、および溶媒(C)を含んでなる化学増幅型レジスト組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂(A)、光酸発生剤(B)および溶媒(C)を含んでなる化学増幅型レジスト組成物。
ここで、
アルカリ可溶性樹脂(A)のcLogPが、2.76~3.35であり、
アルカリ可溶樹脂(A)は下記繰り返し単位の少なくともいずれか1つを含んでなる。
【化1】
(ここで、
11、R21、R41およびR45は、それぞれ独立にC1-5アルキル(ここで、アルキル中の-CH-が-O-によって置きかえられていてもよい)であり;
12、R13、R14、R22、R23、R24、R32、R33、R34、R42、R43、およびR44は、それぞれ独立にC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、または-COOHであり;
p11は0~4であり、p15は1~2であり、p11+p15≦5であり、
p21は0~5であり、
p41は0~4であり、p45は1~2であり、p41+p45≦5であり;
31はC4-20アルキルである(ここで、アルキルの一部または全部が環を形成してもよく、アルキルのHの一部または全部がハロゲンと置換してもよい))
【請求項2】
光酸発生剤(B)が、式(B-1)または式(B-2)で表される請求項1に記載の化学増幅型レジスト組成物。
n+カチオン Bn-アニオン (B-1)
ここで、
n+カチオンは式(BC1)で表されるカチオン、式(BC2)で表されるカチオン、または式(BC3)で表されるカチオンであり、Bn+カチオンは全体としてn価であり、nは1~3であり、
n-アニオンは、式(BA1)で表されるアニオン、式(BA2)で表されるアニオン、式(BA3)で表されるアニオン、または式(BA4)で表されるアニオンであり、Bn-アニオンは、全体としてn価である。
【化2】
(ここで、
b1は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C6-12アリール、C6-12アリールチオ、またはC6-12アリールオキシであり、
nb1は、それぞれ独立に、0、1、2または3である)
【化3】
(ここで、
b2は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはC6-12アリールであり、
nb2は、それぞれ独立に、0、1、2または3である)
【化4】
(ここで、
b3は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはC6-12アリールであり、
b4は、それぞれ独立に、C1-6アルキルであり、
nb3は、それぞれ独立に、0、1、2または3である)
【化5】
(ここで、Rb5は、それぞれ独立に、C1-6フッ素置換アルキル、C1-6フッ素置換アルコキシ、またはC1-6アルキルである)
【化6】
(ここで、Rb6は、C1-6フッ素置換アルキル、C1-6フッ素置換アルコキシ、C6-12フッ素置換アリール、C2-12フッ素置換アシル、またはC6-12フッ素置換アルコキシアリールである)
【化7】
(ここで、
b7は、それぞれ独立に、C1-6フッ素置換アルキル、C1-6フッ素置換アルコキシ、C6-12フッ素置換アリール、C2-12フッ素置換アシル、またはC6-12フッ素置換アルコキシアリールであり、ここで、2つのRb7が相互に結合してフッ素置換されたヘテロ環構造を形成していていもよい)
【化8】
(ここで、
b8は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはヒドロキシであり、
は、カルボニル、オキシまたはカルボニルオキシであり、
は、それぞれ独立に、水素またはフッ素であり、
nb4は、0~10の整数であり、かつ
nb5は、0~21の整数である)
【化9】
ここで、
b9は、C1-5フッ素置換アルキルであり、
b10は、それぞれ独立に、C3-10アルケニルもしくはアルキニル(ここで、アルケニルおよびアルキニル中のCH-がフェニルによって置換されていてもよく、アルケニルおよびアルキニル中の-CH-が-C(=O)-、-O-またはフェニレンの少なくともいずれか一つによって置き換えられていてもよい)、C2-10チオアルキル、C5-10飽和複素環であり、
nb6は、0、1または2である。
【請求項3】
さらに光酸発生剤(D)を含んでなり、光酸発生剤(D)が、式(D-1)で表される請求項1または2に記載の化学増幅型レジスト組成物。
m+カチオン Dm-アニオン (D-1)
ここで、
m+カチオンは式(DC1)で表されるカチオン、または式(DC2)で表されるカチオンであり、Dm+カチオンは全体としてm価であり、
mは1~3であり、
m-アニオンは式(DA1)で表されるアニオン、または式(DA2)で表されるアニオンであり、Dm-アニオンは全体としてm価であり、
【化10】
(ここで、
d1は、それぞれ独立に、C1-6のアルキル、C1-6アルコキシ、またはC6-12アリールであり、
nd1は、それぞれ独立に、0、1、2または3である)
【化11】
(ここで、
d2は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはC6-12アリールであり、
nd2は、それぞれ独立に、0、1、2または3である)
【化12】
(ここで、
Xは、C1-20の炭化水素または単結合であり、
d3は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシ、C1-6アルキル、またはC6-10アリールであり、
nd3は、1、2または3であり、
nd4は0、1または2である)
【化13】
(ここで、
d4は、C1-15アルキル(ここで、アルキルの一部または全部が環を形成していてもよく、アルキル中の-CH-が-C(=O)-によって置き換えられていてもよい)である)
好ましくは光酸発生剤(D)が光を受容することで生じるカチオン部分は、光酸発生剤(B)が光を受容することで生じるアニオン部分と反応するクエンチャーである。
【請求項4】
さらに塩基化合物(E)を含んでなる請求項1~3の少なくともいずれか一項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
好ましくは、塩基化合物(E)は、アンモニア、C1-16第一級脂肪族アミン化合物、C2-32第二級脂肪族アミン化合物、C3-48第三級脂肪族アミン化合物、C6-30芳香族アミン化合物、またはC5-30ヘテロ環アミン化合物である。
【請求項5】
さらに界面活性剤(F)を含んでなる請求項1~4の少なくともいずれか一項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
好ましくは、化学増幅型レジスト組成物はさらに添加物(G)を含んでなり、添加物(G)は表面平滑剤、可塑剤、色素、コントラスト増強剤、酸、ラジカル発生剤、基板密着増強剤および消泡剤からなる群の少なくとも1つから選択される。
【請求項6】
アルカリ可溶性樹脂(A)における繰り返し単位(A-1)、(A-2)、(A-3)および(A-4)の、繰り返し単位数nA-1、nA-2、nA-3、およびnA-4が、
A-1/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)=40~80%、
A-2/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)=0~40%、
A-3/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)=0~40%、または
A-4/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)=0~40%である請求項1~5の少なくともいずれか一項に記載の化学増幅型レジスト組成物:
好ましくは、アルカリ可溶樹脂(A)に含まれる全ての繰り返し単位の総数ntotalとすると、
(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)/ntotal=80~100%を満たす。
【請求項7】
光酸発生剤(B)が、露光により、酸解離定数pKa(HO)-20~1.4の酸を放出するものである請求項1~6の少なくともいずれか一項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
好ましくは、光酸発生剤(D)が、露光により、酸解離定数pKa(HO)1.5~8の弱酸を放出するものであり、または
好ましくは、塩基化合物(E)の塩基解離定数pKb(HO)が-12~5である。
【請求項8】
アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量が、化学増幅型レジスト組成物を基準として、0質量%より大きく20質量%以下であり、
光酸発生剤(B)の含有量が、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、0質量%より大きく20質量%以下であり、かつ
溶媒(C)の含有量が、化学増幅型レジスト組成物を基準として、80質量%以上100質量%未満である請求項1~7の少なくともいずれか一項に記載の化学増幅型レジスト組成物化学増幅型レジスト組成物:
好ましくは、光酸発生剤(D)の含有量が、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、0.01~5質量%であり、
好ましくは、塩基化合物(E)の含有量が、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、0.01~3質量%であり、
好ましくは、界面活性剤(F)の含有量が、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、0質量%より大きく1質量%以下であり、または
好ましくは、アルカリ可溶性樹脂(A)の質量平均分子量が1,000~50,000である。
【請求項9】
溶媒(C)が、水、炭化水素溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、またはこれらのいずれかの組合せである、請求項1~8の少なくともいずれか一項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
【請求項10】
薄膜化学増幅型レジスト組成物である、請求項1~9の少なくともいずれか一項に記載の化学増幅型レジスト組成物。
好ましくは、薄膜化学増幅型レジスト組成物は薄膜KrF化学増幅型レジスト組成物であり;
好ましくは、薄膜化学増幅型レジスト組成物は薄膜ポジ型化学増幅型レジスト組成物であり;または
好ましくは、薄膜化学増幅型レジスト組成物は薄膜KrFポジ型化学増幅型レジスト組成物である。
【請求項11】
下記工程を含んでなるレジスト膜の製造方法。
(1)基板の上方に請求項1~10の少なくとも一項に記載の組成物を適用する;
(2)前記組成物を加熱し、レジスト膜を形成する:
好ましくは、レジスト膜の膜厚が50nm~1,000nmであり;
好ましくは、前記(2)の加熱を、100~250℃および/または30~300秒間行う;または
好ましくは、前記(2)の加熱を、大気または窒素ガス雰囲気にて行う。
【請求項12】
下記工程を含んでなるレジストパターンの製造方法。
請求項11に記載の方法でレジスト膜を形成する;
(3)前記レジスト膜を露光する;
(4)前記レジスト膜を現像する。
【請求項13】
レジストパターンの頂部から底部までの高さをT、レジストパターンの底部からの高さが0.5Tにおけるレジスト幅をW0.5、レジスト幅が0.99W0.5となる高さをT’、高さTと高さT’の差をTrとすると、Tr/T=0~25%である請求項12に記載のレジストパターンの製造方法。
【請求項14】
下記工程を含んでなる加工基板の製造方法。
請求項12または13に記載の方法でレジストパターンを形成する;
(5)レジストパターンをマスクとして加工する:
好ましくは、前記(5)は下層膜または基板を加工する。
【請求項15】
請求項11~14の少なくとも一項に記載の方法を含んでなるデバイスの製造方法。
好ましくは、加工された基板に配線を形成する工程をさらに含んでなり;または
好ましくは、デバイスは半導体素子である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子や半導体集積回路などの製造に用いられる、化学増幅型レジスト組成物およびそれを用いたレジスト膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体等のデバイスの製造過程において、レジスト組成物を用いたリソグラフィ技術による微細加工が一般的に行われている。微細加工の工程は、シリコンウェハ等の半導体基板上に薄いフォトレジスト層を形成し、その層を目的とするデバイスのパターンに対応するマスクパターンで覆い、その層をマスクパターンを介して紫外線等の活性光線で露光し、露光された層を現像することでフォトレジストパターンを得て、得られたフォトレジストパターンを保護膜として基板をエッチング処理することを含み、それにより上述のパターンに対応する微細凹凸を形成する。
【0003】
レジストパターンの微細化が求められ、それが達成できるようなレジスト組成物が求められる。例えば、高解像で、かつ良好な形状のレジストパターンを得ることを目的に、化学増幅型のレジスト組成物の検討が存在する(特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-250271号公報
【特許文献2】特開2018-109701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、化学増幅型レジスト組成物およびその使用について、いまだ改良が求められる1以上の課題が存在すると考えた。それらは例えば以下が挙げられる:溶質の溶解性が不充分である;レジストパターンが先細りになる;充分に矩形のレジストパターンを得られない;現像前後での膜べりが大きい;充分な解像度を得ることができない;レジストパターンのドライエッチング耐性が不充分である;レジスト膜の硬度が不充分である;レジストパターンの硬度が不充分である;LWRが不充分である;レジスト組成物の感度が不充分である;レジストパターン製造工程で環境影響を受ける;アスペクト比が高いレジストパターンを形成できない;レジスト膜のクラックが多い;欠陥数が多い;保存安定性が悪い。
本発明は、上述のような技術背景に基づいてなされたものであり、化学増幅型レジスト組成物およびそれを用いたレジスト膜の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による化学増幅型レジスト組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光酸発生剤(B)および溶媒(C)を含んでなる。
ここで、
アルカリ可溶性樹脂(A)のcLogPが、2.76~3.35であり、
アルカリ可溶樹脂(A)は下記繰り返し単位の少なくともいずれか1つを含んでなる。
【化1】
ここで、
11、R21、R41およびR45は、それぞれ独立にC1-5アルキル(ここで、アルキル中の-CH-が-O-によって置きかえられていてもよい)であり;
12、R13、R14、R22、R23、R24、R32、R33、R34、R42、R43、およびR44は、それぞれ独立にC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、または-COOHであり;
p11は0~4であり、p15は1~2であり、p11+p15≦5であり、
p21は0~5であり、
p41は0~4であり、p45は1~2であり、p41+p45≦5であり;
31はC4-20アルキルである(ここで、アルキルの一部または全部が環を形成してもよく、アルキルのHの一部または全部がハロゲンと置換してもよい)。
【0007】
また、本発明によるレジスト膜の製造方法は、下記工程を含んでなる。
(1)基板の上方に上記の化学増幅型レジスト組成物を適用する;
(2)前記組成物を加熱し、レジスト膜を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の1または複数の効果を望むことが可能である。
溶質の溶解性が高い。レジストパターンが先細りにならない。矩形のレジストパターンを得ることができる。現像前後での膜べり量が小さい。充分な解像度を得ることができる。レジストパターンのドライエッチング耐性が高い。レジスト膜の硬度が高い。レジストパターンの硬度が高い。LWRが充分である。レジスト組成物の感度が充分である。レジストパターン製造工程で環境影響を受けない。アスペクト比が高いレジストパターンを形成できる。レジスト膜のクラックが少ない。欠陥数が少ない。保存安定性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】レジストパターンの断面形状を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
本明細書において、特に限定されて言及されない限り、本パラグラフに記載の定義や例に従う。
単数形は複数形を含み、「1つの」や「その」は「少なくとも1つ」を意味する。ある概念の要素は複数種によって発現されることが可能であり、その量(例えば質量%やモル%)が記載された場合、その量はそれら複数種の和を意味する。
「および/または」は、要素の全ての組み合わせを含み、また単体での使用も含む。
「~」または「-」を用いて数値範囲を示した場合、これらは両方の端点を含み、単位は共通する。例えば、5~25モル%は、5モル%以上25モル%以下を意味する。
「Cx-y」、「C~C」および「C」などの記載は、分子または置換基中の炭素の数を意味する。例えば、C1-6アルキルは、1以上6以下の炭素を有するアルキル鎖(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等)を意味する。
ポリマーが複数種類の繰り返し単位を有する場合、これらの繰り返し単位は共重合する。これら共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合、またはこれらの混在のいずれであってもよい。ポリマーや樹脂を構造式で示す際、括弧に併記されるnやm等は繰り返し数を示す。
温度の単位は摂氏(Celsius)を使用する。例えば、20度とは摂氏20度を意味する。
添加剤は、その機能を有する化合物そのものをいう(例えば、塩基発生剤であれば、塩基を発生させる化合物そのもの)。その化合物が、溶媒に溶解または分散されて、組成物に添加される態様もあり得る。本発明の一形態として、このような溶媒は溶媒(C)またはその他の成分として本発明にかかる組成物に含有されることが好ましい。
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0012】
<化学増幅型レジスト組成物>
本発明による化学増幅型レジスト組成物(以下、組成物ということがある)は、特定の構造を有するアルカリ可溶性樹脂(A)、光酸発生剤(B)、および溶媒(C)を含んでなる。
本発明による組成物は、好ましくは、薄膜化学増幅型レジスト組成物である。
ここで、本発明において、薄膜とは、1μm未満の厚さの膜を意味し、好ましくは50~900nm(より好ましくは50~500nm)の厚さの膜である。本発明による組成物の粘度は、好ましくは5~900cPであり;より好ましくは7~700cPである。ここで粘度は、細管粘度計により25℃で測定したものである。
本発明による組成物は、好ましい一態様として、薄膜KrF化学増幅型レジスト組成物である。本発明による組成物は、別の一態様として、好ましくは薄膜ポジ型化学増幅型レジスト組成物であり;より好ましくは薄膜KrFポジ型化学増幅型レジスト組成物である。
【0013】
アルカリ可溶性樹脂(A)
本発明において用いられるアルカリ可溶性樹脂(A)は、酸と反応してアルカリ性水溶液に対する溶解度が増加するものである。このようなポリマーは、例えば保護基によって保護された酸基を有しており、外部から酸を添加されると、その保護基が脱離して、アルカリ性水溶液に対する溶解度が増加するものである。アルカリ可溶性樹脂(A)は、下記の(A-1)、(A-2)、(A-3)、または(A-4)で示される繰り返し単位を少なくともいずれか1つ含んでなるものである。
アルカリ可溶性樹脂(A)のcLogPは、2.76~3.35;好ましくは2.77~3.12;より好ましくは2.78~3.00;よりさらに好ましくは2.78~2.99である。ここで、cLogPは、1-オクタノールと水への分配係数Pの常用対数LogPを算出する値である。cLogPは、「Prediction of Hydrophobic(Lipophilic) Properties of Small Organic Molecules」(Arup K.Ghoseら、J.Phys.Chem.A 1998,102,3762-3772)に記載の方法で算出できる。本明細書においては、CamridgeSoft社 ChemDraw Pro 12.0を用いて、各繰り返し単位のcLogPを算出し、それぞれの繰り返し単位のcLogP×構成比率を足し合わせ、アルカリ可溶性樹脂(A)のcLogPを算出する。各繰り返し単位のcLogPを算出する際、各繰り返し単位毎に重合したと仮定し、繰り返し単位外の末端は含めずに計算する。例えば、アルカリ可溶性樹脂(A)繰り返し単位A、BおよびCのcLogPが、それぞれ2.88、3.27、および2.05で、構成比率6:2:2である場合、アルカリ可溶性樹脂(A)のcLogPは、2.79である。
理論に拘束されないが、cLogPが、上記の範囲にあることで、上述の少なくともいずれかの効果がもたらされると考えられる。例えば、露光部における可溶性の制御が正確になることが期待される。これにより、多数の想定しうるアルカリ可溶性樹脂の中から、有利な特性を有するアルカリ可溶性樹脂を入手することが可能となる。
【0014】
式(A-1)は、以下である。
【化2】
ここで、
11は、それぞれ独立にC1-5アルキル(ここで、アルキル中の-CH-が-O-によって置きかえられていてもよい)であり;
12、R13、およびR14は、それぞれ独立にC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、または-COOHであり;
p11は0~4であり、p15は1~2であり、p11+p15≦5である。
【0015】
11は、好ましくは、メチルまたはエチルであり;より好ましくはメチルである。 R12、R13、およびR14は、好ましくは水素またはメチルであり;より好ましくは水素である。
アルカリ可溶性樹脂(A)は式(A-1)で表される複数種の構成単位を含むことが可能である。例えば、p15=1の構成単位とp15=2の構成単位を1:1で有することが可能である。この場合、全体としてp15=1.5となる。以下、特に明記されない限り、本発明において樹脂やポリマーを表現する数について同様である。
p11は、好ましくは0または1であり;より好ましくは0である。
p15は、好ましくは0または1であり;より好ましくは1である。
【0016】
式(A-1)の具体例として以下が挙げられる。
【化3】
【0017】
式(A-2)は以下である。
【化4】
ここで、
21は、それぞれ独立に、C1-5アルキル(ここで、アルキル中の-CH-が-O-によって置きかえられていてもよい)であり;
22、R23、およびR24は、それぞれ独立にC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、または-COOHであり;
p21は0~5である。
【0018】
21は、好ましくはメチル、エチル、t-ブチルまたはt-ブトキシであり;より好ましくはメチルまたはエチルであり;より好ましくはメチルである。
22、R23、およびR24は、好ましくは水素、またはメチルであり;より好ましくは水素である。
p21は好適には0、1、2、3、4または5であり;より好適には0または1であり;さらに好ましくは0である。
【0019】
式(A-2)の具体例として以下が挙げられる。
【化5】
【0020】
式(A-3)は以下である。
【化6】
ここで、
32、R33、およびR34は、それぞれ独立にC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、または-COOHである。
31はC4-20アルキルである。ここで、アルキルの一部または全部が環を形成してもよく、アルキルのHの一部または全部がハロゲンと置換してもよい。P31のアルキル部分は、分岐または環状であることが好ましい。P31のC4-20アルキルがハロゲンと置換する場合、全部が置換することが好ましく、置換するハロゲンはFまたはClが好ましく;Fがより好ましい。P31のC4-20アルキルのHはハロゲンで置換しないことが本発明の好適な一態様である。
【0021】
32、R33、およびR34は、好ましくは水素、メチル、エチル、t-ブチル、メトキシ、t-ブトキシまたは-COOHであり;より好ましくは水素またはメチルであり;さらに好ましくは水素である。
31は、好ましくは、メチル、イソプロピル、t-ブチル、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、エチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、アダマンチル、メチルアダマンチルまたはエチルアダマンチルであり;より好ましくはt-ブチル、エチルシクロペンチル、エチルシクロヘキシルまたはエチルアダマンチルであり;さらに好ましくはt-ブチル、エチルシクロペンチルまたはエチルアダマンチルであり;よりさらに好ましくはt-ブチルである。
【0022】
式(A-3)の具体例として以下が挙げられる。
【化7】
【0023】
式(A-4)は以下である。
【化8】
ここで、
41およびR45は、それぞれ独立に、C1-5アルキル(ここで、アルキル中の-CH-が-O-によって置きかえられていてもよい)であり;
42、R43、およびR44は、それぞれ独立にC1-5アルキル、C1-5アルコキシ、または-COOHであり;
p41は0~4であり、p45は1~2であり、p41+p45≦5である。
【0024】
45は、好ましくは、メチル、t-ブチルまたは-CH(CH)-O-CHCHである。
41は、好ましくは、メチル、エチルまたはt-ブチルであり;より好ましくはメチルである。
42、R43、およびR44は、好ましくは水素またはメチルであり;より好ましくは水素である。
p41は好ましくは0、1、2、3または4であり;より好ましくは0または1であり;さらに好ましくは0である。
p45は好ましくは1または2であり;より好ましくは1である。
【0025】
式(A-4)の具体例として以下が挙げられる。
【化9】
【0026】
これらの構成単位は、目的に応じて適切に配合され、それらの配合比はcLogPが2.76~3.35を満たすのであれば、特に限定されない。酸によってアルカリ性水溶液に対する溶解度の増加割合が適当になるように配合されるのが好適な態様である。
アルカリ可溶性樹脂(A)における繰り返し単位(A-1)、(A-2)、(A-3)および(A-4)の、繰り返し単位数nA-1、nA-2、nA-3およびnA-4について以下に説明する。
A-1/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)は好ましくは40~80%であり;より好ましくは50~80%であり;さらに好ましくは55~75%であり;よりさらに好ましくは60~70%である。
A-2/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)は好ましくは0~40%であり;より好ましくは5~35%であり;さらに好ましくは5~25%であり;よりさらに好ましくは10~20%である。
A-3/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)は好ましくは0~40%であり;より好ましくは10~35%であり;さらに好ましくは15~35%であり;よりさらに好ましくは20~30%である。
A-4/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)は好ましくは0~40%であり;より好ましくは10~35%であり;さらに好ましくは15~35%であり;よりさらに好ましくは20~30%である。
A-1/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)=40~80%、nA-2/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)=0~40%、nA-3/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)=0~40%、およびnA-4/(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)=0~40%が好適な態様として挙げられる。
本発明の一態様として、nA-3>0かつnA-4=0、またはnA-3=0かつnA-4>0が好適であり;nA-3>0かつnA-4=0、がより好適である。
【0027】
アルカリ可溶性樹脂(A)は、(A-1)、(A-2)、(A-3)および(A-4)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を含むこともできる。アルカリ可溶性樹脂(A)に含まれる全ての繰り返し単位の総数ntotalとすると
(nA-1+nA-2+nA-3+nA-4)/ntotalは好ましくは80~100%であり;より好ましくは90~100%であり;さらに好ましくは95~100%であり;よりさらに好ましくは100%である。
すなわち、(A-1)、(A-2)、(A-3)および(A-4)で表される繰り返し単位以外の構成単位を含まないことも、本発明の好ましい一態様である。
【0028】
アルカリ可溶性樹脂(A)の具体例として以下が挙げられる。
【化10-1】
【化10-2】
【化10-3】
【0029】
アルカリ可溶性樹脂(A)の質量平均分子量(以下、Mwということがある)は、好ましくは1,000~50,000であり;より好ましくは2,000~30,000であり;さらに好ましくは5,000~20,000であり;よりさらに好ましくは8,000~15,000である。
アルカリ可溶性樹脂(A)の数平均分子量(以下、Mnということがある)は、好ましくは1,000~50,000であり;より好ましくは2,000~30,000である。
本発明において、MwおよびMnはゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)にて測定することが可能である。同測定では、GPCカラムを摂氏40度、溶出溶媒テトラヒドロフランを0.6mL/分、単分散ポリスチレンを標準として用いることが好適な1例である。
【0030】
説明のために記載する。本発明の組成物において、これらのアルカリ可溶性樹脂(A)は上記の式で表される限り2種類以上を組合せて用いることもできる。例えば、以下の2種のアルカリ可溶性樹脂(A)を共に含む組成物も、本発明の一形態である。
【化11】
本発明の組成物について、特に明記されない限り以下の説明において同様である。
好適には本発明にかかる組成物が含むアルカリ可溶性樹脂(A)は1種類または2種類のポリマーからなり;より好適にはアルカリ可溶性樹脂(A)は1種類のポリマーからなる。Mw分布や重合のばらつきは許容される。
【0031】
アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量は、組成物を基準として、好ましくは0質量%より大きく20質量%以下であり;より好ましくは3~15質量%であり;さらに好ましくは4~15質量%であり;よりさらに好ましくは5~12質量%である。
本発明による組成物はアルカリ可溶性樹脂(A)以外のポリマーを含むことを許容する。アルカリ可溶性樹脂(A)以外のポリマーとは、上述の式(A-1)、(A-2)、(A-3)および(A-4)で表される繰り返し単位を全く含まないポリマーである。
アルカリ可溶性樹脂(A)以外のポリマーを含まない態様が、好適な一形態である。
【0032】
光酸発生剤(B)
本発明による組成物は、光酸発生剤(B)を含んでなる。ここで、光酸発生剤(B)は光の照射によって酸を放出する。好適には光酸発生剤(B)由来の酸がアルカリ可溶性樹脂(A)に作用して、アルカリ可溶性樹脂(A)のアルカリ性水溶液に対する溶解度を増加させる役割を果たす。例えばアルカリ可溶性樹脂(A)が保護基によって保護された酸基を有している場合に、酸によって、その保護基を脱離させる。本発明による組成物に用いられる光酸発生剤(B)は、従来知られているものから選択することができる。
【0033】
光酸発生剤(B)は、露光により、酸解離定数pKa(HO)が好ましくは-20~1.4;より好ましくは-16~1.4;さらに好ましくは-16~1.2;よりさらに好ましくは-16~1.1の酸を放出する。
【0034】
光酸発生剤(B)は、好ましくは以下の式(B-1)または式(B-2)で表され;より好ましくは以下の式(B-1)で表される。
【0035】
式(B-1)は、以下である。
n+カチオン Bn-アニオン (B-1)
ここで
n+カチオンは、式(BC1)で表されるカチオン、式(BC2)で表されるカチオン、または式(BC3)で表されるカチオンであり;好ましくは式(BC1)で表されるカチオンである。Bn+カチオンは全体としてn価であり、nは1~3である。 Bn-アニオンは、式(BA1)で表されるアニオン、式(BA2)で表されるアニオン、式(BA3)で表されるアニオン、または式(BA4)で表されるアニオンであり;好ましくは式(BA1)で表されるアニオンまたは式(BA2)で表されるアニオンである。
n-アニオンは、全体としてn価である。
nは、好ましくは1または2であり;より好ましくは1である。
【0036】
式(BC1)は、以下である。
【化12】
ここで、
b1は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C6-12アリール、C6-12アリールチオ、またはC6-12アリールオキシであり、 nb1は、それぞれ独立に、0、1、2または3である。
【0037】
b1は、好ましくは、メチル、エチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、フェニルチオ、またはフェニルオキシであり;より好ましくは、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、フェニルチオ、またはフェニルオキシである。
全てのnb1が1であり、全てのRb1が、同一であることも好適な一態様である。 また、全てのnb1が0であることも、好適な一態様である。
【0038】
式(BC1)の具体例として以下が挙げられる。
【化13】
【0039】
式(BC2)は以下である。
【化14】
ここで、
b2は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはC6-12アリールであり、
nb2は、それぞれ独立に、0、1、2または3である。
【0040】
b2は、好ましくは、C4-6の分岐構造を有するアルキルである。式中のそれぞれのRb2は同一であっても異なっていてもよく、同一であるものがより好適である。Rb2はさらに好ましくは、t-ブチルまたは1,1-ジメチルプロピルであり;よりさらに好ましくはt-ブチルである。
nb2は、それぞれ1であることが好ましい。
【0041】
式(BC2)の具体例として以下が挙げられる。
【化15】
【0042】
式(BC3)は以下である。
【化16】
ここで、
b3は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはC6-12アリールであり、
b4は、それぞれ独立に、C1-6アルキルであり、かつ
nb3は、それぞれ独立に、0、1、2または3である。
【0043】
b3は、好ましくは、それぞれ独立にメチル、エチル、メトキシ、またはエトキシであり;より好ましくは、それぞれ独立にメチルまたはメトキシである。
b4は、好ましくは、メチル、またはエチルであり;より好ましくはメチルである。 nb3は、好ましくは1、2または3であり;より好ましくは3である。
【0044】
式(BC3)の具体例として以下が挙げられる。
【化17】
【0045】
式(BA1)は以下である。
【化18】
ここで、Rb5は、それぞれ独立に、C1-6フッ素置換アルキル、C1-6フッ素置換アルコキシ、またはC1-6アルキルである。例えば、-CFはメチル(C)の水素の全てがフッ素に置換したものを意味する。前記のフッ素置換はアルキル部分に存在する水素の一部または全部がフッ素に置換することを意味し、より好適には全部がフッ素に置換する。
b5のアルキル部分は、好適にはメチル、エチルまたはt-ブチルであり、より好適にはメチルである。
【0046】
b5は、好ましくはフッ素置換アルキルであり;より好ましくは-CFである。
【0047】
式(BA1)の具体例として以下が挙げられる。
【化19】
【0048】
式(BA2)は以下である。
【化20】
ここで、Rb6は、C1-6フッ素置換アルキル、C1-6フッ素置換アルコキシ、C6-12フッ素置換アリール、C2-12フッ素置換アシル、またはC6-12フッ素置換アルコキシアリールである。例えば、-CFはメチル(C)の水素の全てがフッ素に置換したものを意味する。前記のフッ素置換はアルキル部分に存在する水素の一部または全部がフッ素に置換することを意味し、より好適には全部がフッ素に置換する。
b6のアルキル部分は直鎖であることが好適である。Rb6は、好適にはC1-6フッ素置換アルキルであり;より好適にはC2-6フッ素置換アルキルである。 Rb6のアルキル部分は、好適にはメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルであり;より好適にはプロピル、ブチルまたはペンチルである;さらに好適にはブチルである。
【0049】
式(BA2)の具体例として以下が挙げられる。
SO 、CSO
【0050】
式(BA3)は以下である。
【化21】
ここで、
b7は、それぞれ独立に、C1-6フッ素置換アルキル、C1-6フッ素置換アルコキシ、C6-12フッ素置換アリール、C2-12フッ素置換アシル、またはC6-12フッ素置換アルコキシアリールであり;好適にはC2-6フッ素置換アルキルである。例えば、-CFはメチル(C)の水素の全てがフッ素に置換したものを意味する。前記のフッ素置換はアルキル部分に存在する水素の一部または全部がフッ素に置換することを意味し、より好適には全部がフッ素に置換する。
2つのRb7が相互に結合してフッ素置換されたヘテロ環構造を形成していていもよい。ヘテロ環構造は好適には飽和環である。ヘテロ環構造はNとSを含めて、好適には5~8の単環構造であり;より好適には五員環または六員環であり;よりさらに好適には六員環である。
【0051】
b7のアルキル部分は、好適にはメチル、エチル、プロピル、ブチルまたはペンチルであり;より好適にはメチル、エチルまたはブチルであり;さらに好適にはブチルである。Rb6のアルキル部分は直鎖であることが好適である。
【0052】
式(BA3)の具体例として以下が挙げられる。
【化22】
【0053】
式(BA4)は以下である。
【化23】
ここで、
b8は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはヒドロキシであり、
は、カルボニル、オキシまたはカルボニルオキシであり、
は、それぞれ独立に、水素またはフッ素であり、
nb4は、0~10の整数であり、かつ
nb5は、0~21の整数である。
【0054】
b8は、好ましくは水素、メチル、エチル、メトキシ、またはヒドロキシであり;より好ましくは水素またはヒドロキシである。
は、好ましくはカルボニルまたはカルボニルオキシであり;より好ましくはカルボニルである。
好ましくはYの少なくとも1以上がフッ素である。
nb4は、好ましくは0である。
nb5は、好ましくは4、5または6である。
【0055】
式(BA4)の具体例として以下が挙げられる。
【化24】
【0056】
式(B-2)は、以下である。
【化25】
b9は、C1-5フッ素置換アルキルである。前記のフッ素置換はアルキル部分に存在する水素の一部または全部がフッ素に置換することを意味し、より好適には全部がフッ素に置換する。
b10は、それぞれ独立に、C3-10アルケニルもしくはアルキニル(ここで、アルケニルおよびアルキニル中のCH-がフェニルによって置換されていてもよく、アルケニルおよびアルキニル中の-CH-が-C(=O)-、-O-またはフェニレンの少なくともいずれか一つによって置き換えられていてもよい)、C2-10チオアルキル、C5-10飽和複素環である。ここで、本発明において、アルケニルとは、1以上の二重結合(好ましくは1つ)を有する1価基を意味するものとする。同様に、アルキニルとは、1以上の三重結合(好ましくは1つ)を有する1価基を意味するものとする。
nb6は、0、1または2である。
【0057】
b9は、好ましくはC1-4の、全ての水素がフッ素置換されているアルキルであり;より好ましくはCまたはCの全ての水素がフッ素置換されているアルキルである。Rb9のアルキルは直鎖であることが好ましい。
b10は、好ましくは、C3-12アルケニルもしくはアルキニル(ここで、アルケニルおよびアルキニル中のCH-がフェニルによって置換されていてもよく、アルケニルおよびアルキニル中の-CH-が-C(=O)-、-O-またはフェニレンの少なくともいずれか一つによって置き換えられていてもよい)、C3-5のチオアルキル、C5-6の飽和複素環である。
b10の具体例として、-C≡C-CH-CH-CH-CH、-CH=CH-C(=O)-O-tBu、-CH=CH-Ph、-S-CH(CH、-CH=CH-Ph-O-CH(CH)(CHCH)およびピぺリジンが挙げられる。ここで、tBuはt-ブチルを意味し、Phはフェニレンまたはフェニルを意味する。以降、特に言及しない限り同様である。
nb6は、0または1であることが好ましく;0がより好ましい。nb6=1であることも、好適な一態様である。
【0058】
式(B-2)の具体例として以下が挙げられる。
【化26】
【0059】
光酸発生剤(B)の分子量は、好ましくは400~2,500であり、より好ましくは400~1,500である。
【0060】
光酸発生剤(B)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、好ましくは、0質量%より大きく20質量%以下であり;より好ましくは0.5~10質量%であり;さらに好ましくは1~5質量%であり;よりさらに好ましくは2~4質量%である。
【0061】
溶媒(C)
本発明による組成物は、溶媒(C)を含んでなる。溶媒は、配合される各成分を溶解することができるものであれば特に限定されない。溶媒(C)は、好ましくは、水、炭化水素溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒、アルコール溶媒、ケトン溶媒、またはこれらいずれかの組合せである。
溶媒の具体例としては、例えば、水、n-ペンタン、i-ペンタン、n-ヘキサン、i-ヘキサン、n-ヘプタン、i-ヘプタン、2,2,4-トリメチルペンタン、n-オクタン、i-オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n-プロピルベンセン、i-プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i-ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ-i-プロピルベンセン、n-アミルナフタレン、トリメチルベンゼン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、sec-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、2-メチルブタノール、sec-ペンタノール、t-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、sec-ヘキサノール、2-エチルブタノール、sec-ヘプタノール、ヘプタノール-3、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、sec-オクタノール、n-ノニルアルコール、2,6-ジメチルヘプタノール-4、n-デカノール、sec-ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec-テトラデシルアルコール、sec-ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンタンジオール-2,4、2-メチルペンタンジオール-2,4、ヘキサンジオール-2,5、ヘプタンジオール-2,4、2-エチルヘキサンジオール-1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、メチル-n-ペンチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、メチル-n-ヘキシルケトン、ジ-i-ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4-ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョン、エチルエーテル、i-プロピルエーテル、n-ブチルエーテル(ジ-n-ブチルエーテル、DBE)、n-ヘキシルエーテル、2-エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ-2-エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、酢酸n-プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸-n-ブチル(ノルマルブチルアセテート、nBA)、酢酸i-ブチル、酢酸sec-ブチル、酢酸n-ペンチル、酢酸sec-ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸2-エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n-ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n-ブチル、プロピオン酸i-アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ-n-ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、乳酸n-ブチル、乳酸n-アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド、N-メチルピロリドン、硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、および1,3-プロパンスルトンが挙げられる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
溶媒(C)は、好ましくはPGME、PGMEA、EL、nBA、DBE、またはこれらのいずれかの混合物であり;より好ましくはPGME、EL、nBA、DBE、またはこれらのいずれかの混合物であり;さらに好ましくはPGME、EL、またはこれらの混合物であり;よりさらに好ましくはPGMEとELの混合物である。2種を混合する場合、第1の溶媒と第2の溶媒の質量比が95:5~5:95であることが好適である(より好適には90:10~10:90、さらに好適には80:20~20:80)。3種を混合する場合、第1の溶媒と3種の和の質量比が30~90%(より好ましくは50~80%;さらに好ましくは60~70%)であり、第2の溶媒と3種の和の質量比が10~50%(より好ましくは20~40%)であり、第3の溶媒と3種の和の質量比が5~40%(より好ましくは5~20%;さらに好ましくは5~15%)である。
【0062】
他の層や膜との関係で、溶媒(C)が水を実体的に含まないことも一態様である。例えば、溶媒(C)全体に占める水の量が、好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下であり、さらに好ましくは0.001質量%以下である。溶媒(C)が水を含まない(0質量%)ことも好適な一形態である。
【0063】
溶媒(C)の含有量は、組成物を基準として、80質量%以上100質量%未満であり;より好ましくは80~95質量%であり;さらに好ましくは85~95質量%である。組成物全体に占める溶媒の量を増減させることで、成膜後の膜厚を制御できる。
【0064】
光酸発生剤(D)
本発明による組成物は、下記式(D-1)で表される光酸発生剤(D)をさらに含むことが好ましい。本発明において光酸発生剤(D)は光酸発生剤(B)とは異なる。本発明の好適な一態様として、アルカリ可溶性樹脂(A)に直接作用する酸は光酸発生剤(D)ではなく光酸発生剤(B)から放出される酸である。
【0065】
本発明の好適な一態様として、光酸発生剤(D)由来のカチオンは、光酸発生剤(B)由来のアニオン部分と反応し、クエンチャーとして機能する。この場合、光酸発生剤(D)は、露光部で生成した光酸発生剤(B)に由来する酸の拡散を抑える、クエンチャーとしての機能を果たす。これは、理論に拘束されないが、以下のようなメカニズムと考えられる。露光により、光酸発生剤(B)から酸が放出され、この酸が未露光部に拡散すると、光酸発生剤(D)と塩交換がおこる。つまり、光酸発生剤(B)のアニオンと、光酸発生剤(D)のカチオンが塩となる。これにより、酸の拡散が抑えられるのである。このとき、光酸発生剤(D)のアニオンが放出されるが、これは弱酸であり、ポリマーを脱保護することができないため、未露光部には影響が出ないと考えられる。
【0066】
さらに、光酸発生剤(D)は、空気中に含まれるアミン等の成分によるレジスト膜表面の酸の失活を抑える効果がある。これは、理論に拘束されないが、以下のようなメカニズムと考えられる。露光部では、露光により、酸(光酸発生剤(D)に由来する弱酸と、光酸発生剤(B)に由来する酸)が発生する。空気中のアミンがレジスト膜表面に浸透することによって、そこに存在する酸は中和される。しかし、光酸発生剤(D)から放出された弱酸が存在することで光酸発生剤(B)から放出された酸が中和される頻度が減少する。このように露光部に酸を増加させることにより、酸の失活を抑えていると考えられる。
【0067】
上記の2つの効果を得るために、例えば、第3級アミンのような塩基化合物を添加してもよい。組成物に、光酸発生剤(D)を含む場合は、塩基性化合物を含む場合よりも、上記の2つの効果が高く、さらに、感度が高くなる傾向にある。理論に拘束されないが、塩基性化合物を露光部から未露光部に拡散する酸のクエンチャーとして添加する場合、露光部でも酸を中和(クエンチング)してしまうと考えられる。また、理論に拘束されないが、塩基化合物を空気中に含まれるアミン等の成分の影響によりレジスト膜表面の酸の失活を抑えるために添加する場合、既に塩基性組成物が膜に存在することで空気中から浸透してきたアミンの量が相対的に減少する。一方、空気中のアミン等の浸透は意図して制御するものではない。このように本発明のように光酸発生剤(D)を使用する方が、レジストパターン設計や安定した製造に好適であると考えられる。上記のように、塩基化合物を添加する場合と光酸発生剤(D)を添加する場合で、想定する作用機序が異なる。
【0068】
理論に拘束されないが、光酸発生剤(D)が固体である場合は、塩基性化合物よりも、膜中での分散性に優れているため、安定した効果が得られると考えられる。
【0069】
光酸発生剤(D)は、式(D-1)で表される。
m+カチオン Dm-アニオン (D-1)
ここで、
m+カチオンは式(DC1)で表されるカチオン、または式(DC2)で表されるカチオンであり;好ましくは式(DC1)d表されるカチオンである。
m+カチオンは全体としてm価であり、mは1~3である。
m-アニオンは式(DA1)で表されるアニオン、または(DA2)で表されるアニオンであり;好ましくは式(DA1)で表されるアニオンである。Dm-アニオンは全体としてm価である。
mは、好ましくは1または2であり;より好ましくは1である。
【0070】
式(DC1)は以下である。
【化27】
ここで、
d1は、それぞれ独立に、C1-6のアルキル、C1-6アルコキシ、またはC6-12アリールであり、
nd1は、それぞれ独立に、0、1、2または3である。
【0071】
d1は、好ましくは、メチル、エチル、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、フェニルチオまたはフェニルオキシであり;より好ましくは、t-ブチル、メトキシ、エトキシ、フェニルチオまたはフェニルオキシであり;さらに好ましくはt-ブチルまたはメトキシである。
nd1は、好ましくは0または1であり;より好ましくは0である。
全てのnd1が1であり、全てのRd1が、同一であることも好適な一態様である。
【0072】
式(DC1)の具体例として以下が挙げられる。
【化28】
【0073】
式(DC2)は以下である。
【化29】
ここで、
d2は、それぞれ独立に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはC6-12アリールであり、
nd2は、それぞれ独立に、0、1、2または3である。
【0074】
d2はC4-6の分岐構造を有するアルキルであることが好ましい。式中のそれぞれのRd2は同一であっても異なっていてもよく、同一であることがより好適である。Rd2はさらに好ましくは、t-ブチルまたは1,1-ジメチルプロピルであり;よりさらに好ましくはt-ブチルである。
nd2は、それぞれ1であることが好ましい。
【0075】
式(DC2)の具体例として以下が挙げられる。
【化30】
【0076】
式(DA1)は以下である。
【化31】
ここで、
Xは、C1-20の炭化水素または単結合であり、
d3は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシ、C1-6アルキル、またはC6-10アリールであり、
nd3は、1、2または3であり、かつ
nd4は0、1または2である。
【0077】
Xは、炭化水素である場合、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖または環状であることが好ましい。直鎖の場合は、C1-4であることが好ましく(より好ましくはC1-2)、鎖中に、二重結合を1つ有しているか、または飽和であることが好ましい。環状である場合は、芳香環の単環、または飽和の単環もしくは多環であってもよく、単環である場合は、6員環であることが好ましく、多環である場合は、アダマンタン環であることが好ましい。
Xは好適には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エタン、フェニル、シクロヘキサン、アダマンタンまたは単結合であり;より好適にはメチル、フェニル、シクロヘキサンまたは単結合であり;さらに好適にはフェニルまたは単結合であり;よりさらに好適にはフェニルである。
nd3は、好ましくは1または2であり;より好ましくは1である。
nd4は、好ましくは0または1であり;より好ましくは1である。
d3は、好ましくは、ヒドロキシ、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、t-ブチル、またはフェニルであり;より好ましくはヒドロキシである。
【0078】
Xが単結合である場合、Rd3は、水素であることが好ましい。Xは単結合、Rd3は水素、nd3=nd4=1の(DA1)は、H-COOであるアニオン表す。
【0079】
式(DA1)の具体例として以下が挙げられる。
【化32】
【0080】
式(DA2)は以下である。
【化33】
ここで、
d4は、C1-15アルキル(ここで、アルキルの一部または全部が環を形成していてもよく、アルキル中の-CH-が-C(=O)-によって置き換えられていてもよい)である。Rd4は好適にはC3-13アルキルであり;より好適にはC5-12アルキルであり;さらに好適にはC8-12アルキルであり;よりさらに好適にはC10アルキルである。Rd4のアルキルは、好適には一部または全部が環を形成し;より好適には一部が環を形成する。好適にはRd4のアルキル中の1または複数(より好適には1)の-CH-が-C(=O)-により置き換えられる。
【0081】
式(DA2)の具体例として以下が挙げられる。
【化34】
【0082】
光酸発生剤(D)は、露光により、酸解離定数pKa(HO)が好ましくは1.5~8;より好ましくは1.5~5の酸を放出する。
【0083】
光酸発生剤(D)の分子量は、好ましくは300~1,400であり;より好ましくは300~1,200ある。
【0084】
光酸発生剤(D)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、好ましくは、0.01~5質量%であり;より好ましくは0.03~1質量%であり;さらに好ましくは0.05~1質量%であり;よりさらに好ましくは0.5~1質量%である。
【0085】
塩基化合物(E)
本発明による組成物は、塩基化合物(E)をさらに含むことができる。塩基性化合物は、露光部で発生した酸の拡散を抑える効果と、空気中に含まれるアミン成分によるレジスト膜表面の酸の失活を抑える効果がある。なお、本発明による組成物において、上記したように、光酸発生剤(D)がこれらの効果を奏しうるので、光酸発生剤(D)と塩基化合物(E)の併用は必須ではない。
【0086】
塩基化合物(E)としては、好ましくは、アンモニア、C1-16第一級脂肪族アミン化合物、C2-32第二級脂肪族アミン化合物、C3-48第三級脂肪族アミン化合物、C6-30の芳香族アミン化合物、またはC5-30のヘテロ環アミン化合物が挙げられる。
【0087】
塩基化合物(E)の具体例としては、アンモニア、エチルアミン、n-オクチルアミン、n-ヘプチルアミン、エチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミントリス[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]アミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン‐7、1,5‐ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが挙げられる。
【0088】
塩基化合物(E)の塩基解離定数pKb(HO)は、好ましくは-12~5であり;より好ましくは1~4である。
【0089】
塩基化合物(E)の分子量は、好ましくは17~500であり;より好ましくは60~400である。
【0090】
塩基化合物(E)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、好ましくは0.01~3質量%であり;より好ましくは0.05~1質量%であり;さらに好ましくは0.1~0.5質量%である。組成物の保存安定性を考慮すると、塩基化合物(E)を含まないことも、好適な一形態である。
【0091】
界面活性剤(F)
本発明によるリソグラフィ組成物は、好ましくは界面活性剤(F)を含んでなる。界面活性剤を含むことで、塗布性を向上させることができる。本発明に用いることができる界面活性剤としては、(I)陰イオン界面活性剤、(II)陽イオン界面活性剤、または(III)非イオン界面活性剤を挙げることができ、より具体的には(I)アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホン酸、およびアルキルベンゼンスルホネート、(II)ラウリルピリジニウムクロライド、およびラウリルメチルアンモニウムクロライド、ならびに(III)ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアセチレニックグリコールエーテル、フッ素含有界面活性剤(例えば、フロラード(スリーエム)、メガファック(DIC)、スルフロン(旭硝子)、および有機シロキサン界面活性剤(例えば、KF-53、KP341(信越化学工業))が挙げられる。
【0092】
これら界面活性剤は、単独で、または2種以上混合して使用することができる。界面活性剤(F)の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、好ましくは0質量%より大きく1質量%以下であり、より好ましくは0.005~0.5質量%であり;さらに好ましくは0.01~0.2質量%である。
【0093】
添加物(G)
本発明による組成物は、さらに添加物(G)を含むことができる。添加物(G)は、好ましくは、表面平滑剤、可塑剤、色素、コントラスト増強剤、酸、ラジカル発生剤、基板密着増強剤、および消泡剤からなる群の少なくとも1つから選択される。
添加物(G)の含有量(複数の場合、その和)は、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、好ましくは0~20質量%であり;より好ましくは0.001~15質量%であり;さらに好ましくは0.1~10質量%である。本発明による組成物が、添加剤(G)を含まない(0質量%)ことも、本発明の形態の一つである。
【0094】
表面平滑剤を含むことにより、レジストパターンの側面を滑らかにすることができ、LER(Line Edge Roughness)やLWR(Line Width Roughness)を改善に寄与する。
表面平滑剤は、好ましくは以下の式で表される。
【化35】
ここで、
は、水素、C1-6アルキル、C3-10アルケニル(ここで、アルケニル中のCH-がフェニルによって置換されていてもよい)またはC6-10アリールであり、好ましくは、水素、メチル、エチル、プロペニル、フェニル、トリルである。
iiは、それぞれ独立に、C1-6アルキル、またはC6-10アリールであり、好ましくは、メチル、エチル、フェニルである。
表面平滑剤の例は、以下である。
【化36】
表面平滑剤の含有量は、好ましくは、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、好ましくは0~20質量%であり;より好ましくは0.001~10質量%であり;さらに好ましくは0.1~10質量%であり;よりさらに好ましくは3~10質量%である。
【0095】
可塑剤を含むことにより、厚膜形成時の膜割れを抑えることができる。
可塑剤の例としてアルカリ可溶性ビニルポリマーや酸解離性基含有ビニルポリマーを挙げることができる。より具体的には、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエーテルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、マレイン酸ポリイミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリルニトリル、ポリビニルフェノール、ノボラックおよびそれらのコポリマーなどが挙げられ、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリエーテルエステルがより好ましい。
【0096】
可塑剤の具体例として以下が挙げられる。
【化37】
【0097】
可塑剤の質量平均分子量は、好ましくは1,000~50,000であり;より好ましくは1,500~30,000であり;さらに好ましくは2,000~21,000であり;よりさらに好ましくは2,000~15,000である。
【0098】
可塑剤の含有量は、好ましくは、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、0~20質量%であり;より好ましくは0~17質量%である。可塑剤を含まない(0質量%)ことも、本発明の好適な一態様である。
【0099】
色素を含むことで、パターン形状を向上させることができる。色素としては、露光波長において適度な吸収を有する化合物であれば特に限定されることはない。例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、イソシアヌル酸、トリアジン、およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0100】
コントラスト増強剤としては、例えば、アルカリ可溶性のフェノール性化合物やヒドロキシシクロ環化合物から誘導される、酸に対して不安定な基(以下、離脱基という)を含む、分子量の低い化合物が挙げられる。ここで、離脱基は、脱保護剤から放出される酸と反応して化合物から離脱し、アルカリ性水溶液に対する化合物の溶解度が増加するため、コントラストが大きくなる。このような離脱基は、例えば、-Rr1、-COORr1、または-Rr2-COORr1(ここで、Rr1は炭素-炭素間に酸素原子を含んでもよい、炭素数1~10の、直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、Rr2は、炭素数1~10のアルキレン基である)であり、化合物に結合している水酸基中の水素と置換し得る。このようなコントラスト増強剤は分子内に離脱基を2個以上含むものが好ましい。また、質量平均分子量が3000以下であり、100~2,000であることが好ましい。ヒドロキシル基に離脱基を導入するまえの化合物として好ましい物は以下のものである。
【化38】
【0101】
これらのコントラスト増強剤は、単独で、または2種以上混合して使用することができ、その含有量は、アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、好ましくは0.5~40質量%であり;より好ましくは1~20質量%である。
【0102】
酸は、組成物のpH値の調整や添加剤成分の溶解性を向上させるために使用することができる。使用される酸は特に限定されないが、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、およびこれらの組み合わせが挙げられる。酸の含有量は、組成物を基準として、好ましくは0.005質量%以上0.1質量%以下(50ppm~1,000ppm)である。
【0103】
基板密着増強剤を用いることで、成膜時にかかる応力によりパターンが剥がれることを防ぐことができる。基板密着増強剤としては、イミダゾール類やシランカップリング剤などが好ましく、イミダゾール類では、2-ヒドロキシベンゾイミダゾール、2-ヒドロキシエチルベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-ヒドロキシイミダゾール、イミダゾール、2-メルカプトイミダゾール、2-アミノイミダゾールが好ましく、2-ヒドロキシベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾール、2-ヒドロキシイミダゾール、イミダゾールがより好ましく用いられる。基板密着増強剤の含有量は、アルカリ可溶性樹脂アルカリ可溶性樹脂(A)を基準として、好ましくは0~2質量%であり;より好ましくは0~1質量%である。
【0104】
<レジスト膜の製造方法>
本発明によるレジスト膜の製造方法は、
(1)基板の上方に本発明による組成物を適用する;および
(2)前記組成物を加熱し、レジスト膜を形成する
ことを含んでなる。
【0105】
以下、本発明による製造方法の一態様について説明する。
基板(例えば、シリコン/二酸化シリコン被覆基板、シリコンナイトライド基板、シリコンウェハ基板、ガラス基板およびITO基板等)の上方に、適当な方法により本発明による組成物を適用する。ここで、本発明において、上方とは、直上に形成される場合および他の層を介して形成される場合を含む。例えば、基板の直上に、平坦化膜やレジスト下層膜を形成し、その直上に本発明による組成物が適用されていてもよい。レジスト下層膜として、BARC層が挙げられる。適用方法は特に限定されないが、例えばスピナー、コーターによる塗布による方法が挙げられる。塗布後、加熱することにより本発明による膜が形成される。(2)の加熱は、例えばホットプレートによって行われる。加熱温度は、好ましくは100~250℃;より好ましくは100~200℃;さらに好ましくは100~160℃である。ここでの温度は加熱雰囲気、例えばホットプレートの加熱面温度である。加熱時間は、好ましくは30~300秒間;より好ましくは30~120秒間であり;さらに好ましくは45~90秒間である。加熱は、好ましくは大気または窒素ガス雰囲気にて行われる。
【0106】
レジスト膜の膜厚は、目的に応じて選択されるが、本発明による組成物を用いた場合、薄膜の塗膜を形成させた場合に、より優れた形状のパターンを形成できる。レジスト膜の厚さは、好ましくは50~2,000nm;より好ましくは50~1,000nmであり;さらに好ましくは50~500nmであり;よりさらに好ましくは50~400nmである。
【0107】
さらに、
(3)レジスト膜を露光する、
(4)レジスト膜を現像する
ことを含んでなる方法により、レジストパターンを製造することができる。明確性のために記載すると、(3)工程の前に、(1)および(2)の工程が行われる。工程を示す()の中の数字は、順番を意味する。以降において同様である。
レジスト膜に、所定のマスクを通して露光が行なわれる。露光に用いられる光の波長は特に限定されないが、波長が13.5~248nmの光で露光することが好ましい。具体的には、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、および極紫外線(波長13.5nm)等を使用することができ、好ましくはKrFエキシマレーザーである。これらの波長は±1%の範囲を許容する。露光後、必要に応じて露光後加熱(post exposure bake、PEB)を行なうこともできる。PEBの温度は好ましくは80~160℃;より好ましくは100~150℃であり、加熱時間は0.3~5分間;好ましくは0.5~2分間である。
【0108】
露光されたレジスト膜に、現像液を用いて現像が行なわれる。現像法としては、パドル現像法、浸漬現像法、揺動浸漬現像法など従来フォトレジストの現像の際用いられている方法を用いることができる。また現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウムなどの無機アルカリ、アンモニア、エチルアミン、プロピルアミン、ジエチルアミン、ジエチルアミノエタノール、トリエチルアミンなどの有機アミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)などの第四級アミンなどを含む水溶液が用いられ、好ましくは2.38質量%TMAH水溶液である。現像液に、さらに界面活性剤を加えることもできる。現像液の温度は好ましくは5~50℃;より好ましくは25~40℃、現像時間は好ましくは10~300秒;より好ましくは30~60秒である。現像後、必要に応じて、水洗またはリンス処理を行うこともできる。ポジ型レジスト組成物を利用した場合、露光された部分が現像によって除去され、レジストパターンが形成される。このレジストパターンに、例えばシュリンク材料を用いることでさらに微細化することも可能である。
【0109】
本発明による組成物を用いた場合に、矩形性の高いレジストパターンが形成される。本発明の製造方法の好適な態様として、製造されるレジストパターンの頂部から底部までの高さをT、レジストパターンの底部からの高さが0.5Tにおけるレジスト幅をW0.5、レジスト幅が0.99W0.5となる高さをT’、高さTと高さT’の差をTrとすると、Tr/Tは好ましくは0~25%であり;より好ましくは5~25%であり;さらに好ましくは5~15%であり;よりさらに好ましくは5~12%である。図1は、本発明の一態様のレジストパターンの断面図である。基板1の上に、レジストパターン2が形成されている。レジスト底部4に対するレジスト頂部3の高さがTである。このTに対して、0.5Tの高さにおけるレジストパターンのレジスト幅をW0.5とする。レジスト幅は、高さが高くなるほど、小さくなり、レジスト幅が0.99×W0.5となる高さをT’とし、高さTと高さT’の差をTrとする。このとき、Tr/Tは好ましくは0~25%である。
またこれらの数値の比較のための条件は可能な限り後述の実施例に揃えて測定することが好適であり、例えば400nm膜厚の膜を形成し、180nmの1:1のトレンチのレジストパターンを形成して比較することが好ましい。
【0110】
さらに、
(5)レジストパターンをマスクとして加工処理を行うこと
を含んでなる方法により、加工基板を製造することができる。
形成されたレジストパターンは、好ましくは下層膜または基板(より好ましくは基板)に加工処理を行うことに使用される。具体的には、レジストパターンをマスクとして、下地となる各種基板を、ドライエッチング法、ウェットエッチング法、イオン注入法、金属めっき法などを用いて、加工することができる。
レジストパターンを用いて下層膜を加工する場合、段階的に加工を行っても良い。例えば、レジストパターンを用いてBARC層を加工し、BARCパターンを用いてSOC膜を加工し、SOCパターンを用いて、基板を加工しても良い。
基板を加工して形成したギャップに配線を形成することもできる。
【0111】
その後、必要に応じて、基板にさらに加工がされ、デバイスが形成される。これらのさらなる加工は、公知の方法を適用することができる。デバイス形成後、必要に応じて、基板をチップに切断し、リードフレームに接続され、樹脂でパッケージングされる。本発明では、このパッケージングされたものをデバイスという。デバイスとしては、半導体素子、液晶表示素子、有機EL表示素子、プラズマディスプレイ素子、太陽電池素子が挙げられる。デバイスとは、好ましくは半導体素子である。
【実施例
【0112】
本発明を諸例により説明すると以下の通りである。なお、本発明の態様はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0113】
組成物1の調製
ポリマー1を100質量部、光酸発生剤B1を2.85質量部、光酸発生剤D1を0.14質量部、塩基化合物1を4質量部、および界面活性剤1を0.06質量部を、質量比PGME:EL=70:30の混合溶媒中に固形分比率が7.31質量%となるように添加する。これを室温で30分間、攪拌する。添加された材料が溶解していることを目視で確認する。これを0.05μmフィルターでろ過する。これによって組成物1を得る。
【化39】
6:2:2
(ポリマー1)ヒドロキシスチレン:スチレン:t-ブチルアクリレート共重合体、東邦化学工業株式会社、モル比でそれぞれ6:2:2、cLogP=2.79、Mw約12,000
上記の比は、各繰り返し単位の構成比を示し、以下も同じである。
【化40】
(光酸発生剤B1)
【化41】
(光酸発生剤D1)
【0114】
組成物2~6、比較組成物1、2の調製
組成を表1に記載のように変更し、溶媒は組成物1と同じで、固形分比は表1に記載になるように、組成物1の調製と同様にして、組成物2~6、および比較組成物1、2を得る。表中、各組成の質量は、質量部を示す。
【表1】
表中、
・ポリマー1:
【化42】
6:2:2、cLogP=2.79、Mw約12,000
・ポリマー2:
【化43】
6:2:2、cLogP=2.98、Mw約12,000
・ポリマー3:
【化44】
6:1:3、cLogP=2.96、Mw約12,000
・ポリマー4:
【化45】
6:2:2、cLogP=3.16、Mw約12,000
・ポリマー5:
【化46】
6:1:3、cLogP=2.67、Mw約12,000
・ポリマー6:
【化47】
7:1:2、cLogP=2.75、Mw約12,000
・光酸発生剤B1:
【化48】
・光酸発生剤B2:
【化49】
・光酸発生剤D1:
【化50】
・光酸発生剤D2:
【化51】
・塩基化合物1:トリエタノールアミン
・界面活性剤1:メガファックR-2011、DIC
・表面平滑剤1:N,N-ジメチルアクリルアミド
【0115】
<ポリマーの膜減り量の評価>
ポリマー1~5をそれぞれPGME中に8質量%となるように調製した溶液を、コーターMark 8(東京エレクトロン)を用いて基板に塗布し、110℃で60秒間ベークをおこなった。このときの膜厚を光干渉式膜厚測定装置ラムダエースVN-12010(スクリーン)を用いて測定する(以下の膜厚測定も同じである)。なお、膜厚は、ウェハ上で、中心部を除く8点で膜厚を測定し、その平均値を用いる。その後、基板を現像液として用いられる2.38質量%TMAH水溶液に60秒間浸漬し、洗浄乾燥を行った後に、再度、膜厚を測定する。得られた結果は、表2に記載のとおりである。
【表2】
【0116】
<レジストパターンの形成評価>
8インチシリコンウェハ上に、下層反射防止膜形成組成物AZ KrF-17B(メルクパフォーマンスマテリアルズ(以下MPMとする))を塗布し、180℃で60秒間ベークし、厚さ80nmの下層反射防止膜を形成する。その上に、上記のそれぞれの組成物を滴下し、回転塗布する。このウェハをホットプレート上で110℃60秒間ベークし、レジスト膜を形成する。このときの膜厚は、それぞれ400nmである。レジスト膜を、KrFステッパー(FPA 300-EX5、CANON)を用いて露光する。マスクパターンは、Dense Line L:S 1:1 180nmを用いる。その後、このウェハをホットプレート上で140℃60秒間ベーク(PEB)する。これを2.38質量%TMAH水溶液で60秒間パドル現像する。これによりLine=1700nm、Space(トレンチ)=340nm(Line:Space=5:1)のレジストパターンを得る。レジストパターンの断面形状を、CD-SEM S9200(日立ハイテク)を用いて確認し、上記のTr/Tを算出する。得られた結果は、表1に記載のとおりである。
【0117】
上述のように、本発明のレジスト組成物は良好な矩形のレジストパターンの形成が可能であり、同レジスト組成物で使用されるポリマーは膜減りが小さいことが確認される。
【符号の説明】
【0118】
1.基板
2.レジストパターン
3.レジスト頂部
4.レジスト底部
図1
【国際調査報告】