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特表2023-539218リチウム二次電池用非水電解質およびそれを含むリチウム二次電池
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  • 特表-リチウム二次電池用非水電解質およびそれを含むリチウム二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用非水電解質およびそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0567 20100101AFI20230906BHJP
   H01M 10/0569 20100101ALI20230906BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230906BHJP
【FI】
H01M10/0567
H01M10/0569
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513213
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 KR2021013943
(87)【国際公開番号】W WO2022097939
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0148014
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘジン・パク
(72)【発明者】
【氏名】スジョン・コ
(72)【発明者】
【氏名】ダヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミュンフン・キム
(72)【発明者】
【氏名】サンヒュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】サンフン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スンリョン・オ
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK02
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ07
(57)【要約】
リチウム二次電池用非水電解質およびそれを含むリチウム二次電池を提供し、前記リチウム二次電池用非水電解質は非水性有機溶媒、リチウム塩、および化学式1で表される第1添加剤と化学式2で表される第2添加剤を0.5:1~10:1重量比で含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水性有機溶媒;
リチウム塩;および
下記化学式1で表される第1添加剤と下記化学式2で表される第2添加剤を含み、
前記第1添加剤および前記第2添加剤の混合比は0.5:1~10:1重量比である、
リチウム二次電池用非水電解質。
【化1】
(前記化学式1において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは非置換されたC1~C30アルキル基、置換若しくは非置換されたC2~C30アルケニル基、置換若しくは非置換されたC2~C30アルキニル基、置換若しくは非置換されたC3~C30シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C30シクロアルケニル基、置換若しくは非置換されたC3~C30シクロアルキニル基、または置換若しくは非置換されたC6~C30アリール基である。)
【化2】
(前記化学式2において、Aは置換若しくは非置換された脂肪族鎖または(-C-O-C-)であり、nは1~10の整数である)
【請求項2】
前記R~Rはそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは非置換されたC1~C10アルキル基、置換若しくは非置換されたC2~C10アルケニル基、置換若しくは非置換されたC2~C10アルキニル基、置換若しくは非置換されたC3~C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換されたC3~C10シクロアルキニル基、または置換若しくは非置換されたC6~C10アリール基である、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解質。
【請求項3】
前記第1添加剤および前記第2添加剤の混合比は0.5:1~5:1重量比である、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解質。
【請求項4】
前記第1添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒および前記リチウム塩含有量を100重量%としたとき、0.25重量%以上、10重量%未満である、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解質。
【請求項5】
前記第1添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒および前記リチウム塩含有量を100重量%としたとき、0.5重量%~5重量%である、請求項4に記載のリチウム二次電池用非水電解質。
【請求項6】
前記第2添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒および前記リチウム塩含有量を100重量%としたとき、0.1重量%以上、10重量%未満である、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解質。
【請求項7】
前記第2添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒および前記リチウム塩含有量を100重量%としたとき、0.1重量%~5重量%である、請求項6に記載のリチウム二次電池用非水電解質。
【請求項8】
前記非水性有機溶媒はプロピオネート系溶媒を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用非水電解質。
【請求項9】
前記プロピオネート系溶媒はメチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネートまたはこれらの組み合わせである、請求項8に記載のリチウム二次電池用非水電解質。
【請求項10】
前記プロピオネート系溶媒の含有量は非水性有機溶媒の全体体積に対して30体積%~80体積%である、請求項8に記載のリチウム二次電池用非水電解質。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか一項による非水電解質;
正極;および
負極
を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウム二次電池用非水電解質およびそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は放電電圧が高くてエネルギー密度が高いため、多様な電子機器の電源として注目を浴びている。
【0003】
リチウム二次電池の正極活物質としてはLiCoO、LiMn、LiNi1-xCo(0<x<1)などのようにリチウムイオンのインターカレーションが可能な構造を有するリチウムと遷移金属からなる酸化物が主に使用される。
【0004】
負極活物質としてはリチウムの挿入/脱離が可能な人造、天然黒鉛、ハードカーボンを含む多様な形態の炭素系材料が主に使用されている。
【0005】
リチウム二次電池の電解質としてはリチウム塩が溶解した有機溶媒が使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は高温でのガス発生を抑制して向上した高温安全性を示すリチウム二次電池用非水電解質を提供することにある。
【0007】
他の一実施形態は前記非水電解質を含むリチウム二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、非水性有機溶媒リチウム塩および下記化学式1で表される第1添加剤と下記化学式2で表される第2添加剤を含み、前記第1添加剤および前記第2添加剤の混合比は0.5:1~10:1重量比であるリチウム二次電池用電解質を提供する。
【化1】
(前記化学式1において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは非置換されたC1~C30アルキル基、置換若しくは非置換されたC2~C30アルケニル基、置換若しくは非置換されたC2~C30アルキニル基、置換若しくは非置換されたC3~C30シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C30シクロアルケニル基、置換若しくは非置換されたC3~C30シクロアルキニル基、または置換若しくは非置換されたC6~C30アリール基である。)
【0009】
【化2】
(前記化学式2において、Aは置換若しくは非置換された脂肪族鎖または(-C-O-C-)であり、nは1~10の整数である)
【0010】
前記化学式1において、前記R~Rはそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは非置換されたC1~C10アルキル基、置換若しくは非置換されたC2~C10アルケニル基、置換若しくは非置換されたC2~C10アルキニル基、置換若しくは非置換されたC3~C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換されたC3~C10シクロアルキニル基、または置換若しくは非置換されたC6~C10アリール基であり得る。
【0011】
前記第1添加剤および前記第2添加剤の混合比は0.5:1~5:1重量比であり得る。
【0012】
一実施形態において、前記第1添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒および前記リチウム塩含有量を100重量%としたとき、0.25重量%以上、10重量%未満であり得、前記第1添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒および前記リチウム塩含有量を100重量%としたとき、0.5重量%~5重量%であり得る。
【0013】
前記第2添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒および前記リチウム塩含有量を100重量%としたとき、0.1重量%以上、10重量%未満であり得、前記第2添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒および前記リチウム塩含有量を100重量%としたとき、0.1重量%~5重量%であり得る。
【0014】
前記非水性有機溶媒はプロピオネート系溶媒を含み得る。
【0015】
前記プロピオネート系溶媒はメチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネートまたはこれらの組み合わせであり得る。また、前記プロピオネート系溶媒の含有量は非水性有機溶媒の全体体積に対して30体積%~80体積%であり得る。
【0016】
他の一実施形態は前記非水電解質、正極、および負極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0017】
その他実施形態の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態によるリチウム二次電池用電解質は高温でガス発生を抑制することができ、そのため、高温安全性に優れたリチウム二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施形態によるリチウム二次電池を簡略に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、本発明はこれによって制限されず、本発明は後述する請求項の範疇によってのみ定義される。
【0021】
本明細書で別段の定義がない限り、「置換」とは、化合物中の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、C1~C20アルキル基、C2~C20アルケニル基、C2~C20アルキニル基、C6~C30アリール基、C7~C30アリールアルキル基、C1~C4アルコキシ基、C1~C20ヘテロアルキル基、C3~C20ヘテロアリールアルキル基、C3~C30シクロアルキル基、C3~C15シクロアルケニル基、C6~C15シクロアルキニル基、C2~C20ヘテロシクロアルキル基およびこれらの組み合わせより選ばれた置換基で置換されたものを意味する。
【0022】
一実施形態によるリチウム二次電池用非水電解質は非水性有機溶媒、リチウム塩、および下記化学式1で表される第1添加剤と下記化学式2で表される第2添加剤を含む。
【化3】
前記化学式1において、
~Rはそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは非置換されたC1~C30アルキル基、置換若しくは非置換されたC2~C30アルケニル基、置換若しくは非置換されたC2~C30アルキニル基、置換若しくは非置換されたC3~C30シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C30シクロアルケニル基、置換若しくは非置換されたC3~C30シクロアルキニル基、または置換若しくは非置換されたC6~C30アリール基である。
【0023】
一実施形態で、前記R~Rはそれぞれ独立して水素原子、置換若しくは非置換されたC1~C10アルキル基、置換若しくは非置換されたC2~C10アルケニル基、置換若しくは非置換されたC2~C10アルキニル基、置換若しくは非置換されたC3~C10シクロアルキル基、置換若しくは非置換されたC3~C10シクロアルケニル基、置換若しくは非置換されたC3~C10シクロアルキニル基、または置換若しくは非置換されたC6~C10アリール基であり得る。
【0024】
【化4】
前記化学式2において、Aは置換若しくは非置換された脂肪族鎖または(-C-O-C-)であり、nは1~10の整数である。
【0025】
一実施形態によれば、前記Aは炭素数2~20である炭化水素鎖または(-C-O-C-)であり得、nは1~5の整数であり得る。
【0026】
この時、前記第1添加剤および前記第2添加剤の混合比が0.5:1~10:1重量比であり得、0.5:1~5:1重量比であり得、1:1~5:1重量比であり得る。
【0027】
このように、一実施形態によるリチウム二次電池用電解質は第1添加剤および第2添加剤をすべて含み、特に0.5:1~10:1重量比で含むものであって、第1添加剤は正極表面に堅固な被膜を形成することによって高温での正極劣化を防止することができ、第2添加剤は還元分解して負極表面に被膜を形成して高温で電解質の副反応によってSEI層崩壊を抑制することができる。また、第2添加剤がリチウム塩を安定化させることができ、リチウム塩分解による溶媒分解およびHF生成による正極活物質から金属溶出抑制することができる。
【0028】
第1添加剤と第2添加剤を混合して使用することにより、正極と負極に適切な被膜を形成することによって初期の厚さは大きく増加させず、高温での負極被膜分解と正極劣化を防止して高温貯蔵時ガス生成量を効果的に減少させることができる。仮に第1添加剤および第2添加剤をすべて含んでも、その混合比が前記範囲を外れる場合、すなわち、第1添加剤を第2添加剤の1/2倍より小さい量で使用する場合、高温特性が低下し得、第1添加剤を第2添加剤の10倍を超えて使用する場合は、電解液の粘度を増加させて電池の充電特性を低下させ得る。
【0029】
このような第1添加剤と第2添加剤を共に使用することによる効果は、第1添加剤として前記化学式1の化合物を使用する場合に得られる効果である。
【0030】
このような効果は前記化学式1の化合物が硫黄を含んでも前記化学式1でないスルホキシドなどのような化合物に比べて正極表面に堅固な被膜を形成することにより得られる効果である。したがって、硫黄を含んでも、前記化学式1の構造を有しない化合物を第1添加剤として使用する場合は、その効果がわずかであり適切でない。
【0031】
この時、前記化学式1で表される第1添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒および前記リチウム塩の重量に対して、すなわち、非水性有機溶媒および前記リチウム塩含有量を100重量%としたとき(非水性有機溶媒およびリチウム塩含有量の全体100重量%に対して)、0.25重量%以上、10重量%未満であり得、一実施形態によれば、0.5重量%~5重量%であり得る。前記化学式1で表される第1添加剤の含有量が前記範囲に含まれる場合、高温信頼性の特性、例えば高温容量維持率の向上および高温抵抗増加率の低減などの効果を示すことができるため適切である。
【0032】
また、前記化学式2で表される第2添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒および前記リチウム塩の重量に対して、すなわち、非水性有機溶媒および前記リチウム塩含有量を100重量%としたとき(非水性有機溶媒およびリチウム塩含有量の全体100重量%に対して)0.1重量%以上、10重量%未満であり得、一実施形態によれば、0.1重量%~5重量%であり得、0.1重量%~3重量%であり得る。前記化学式2で表される第2添加剤の含有量が前記範囲に含まれる場合、高温信頼性の特性、例えば高温容量維持率の向上および高温抵抗増加率の低減などの効果を示すことができるため適切である。
【0033】
一実施形態による電解質において、前記非水性有機溶媒はカーボネート系溶媒を含み得、また、プロピオネート系溶媒を含むことができる。前記プロピオネート系溶媒としてはメチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネートまたはこれらの組み合わせであり得る。前記プロピオネート系溶媒を一つ以上使用する場合、その混合比は適宜調節することができる。
【0034】
前記非水性有機溶媒において、前記プロピオネート系溶媒の含有量は非水性有機溶媒の全体体積に対して、30体積%~80体積%であり得、一実施形態によれば、40体積%~80体積%であり得る。プロピオネート系溶媒の含有量が前記範囲に含まれる場合は電解液含浸性を向上させることができる。
【0035】
前記カーボネート系溶媒はジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)またはこれらの組み合わせを使用することができる。前記カーボネート系溶媒を一つ以上使用する場合、その混合比は適宜調節することができる。また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用した方が良い。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは1:1~1:9の体積比で混合して使用すると、優れた電解液の性能を示すことができる。
【0036】
一実施形態において、前記非水性有機溶媒はエステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒をさらに含むこともできる。
前記エステル系溶媒としてはメチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、t-ブチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、デカノリド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。
【0037】
前記エーテル系溶媒としてはジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができ、前記ケトン系溶媒としてはシクロヘキサノンなどを使用することができる。
【0038】
前記アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非プロトン性溶媒としてはT-CN(Tは炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類を使用することができる。
【0039】
また、前記非水性有機溶媒は芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含むこともできる。前記芳香族炭化水素系有機溶媒としては下記化学式3の芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【化5】
(前記化学式3において、R~R14は互いに同一または異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、ハロアルキル基およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものである。)
【0040】
前記芳香族炭化水素系有機溶媒の具体的な例としてはベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものである。
【0041】
前記リチウム二次電池用電解質は電池寿命を向上させるために、ビニルエチルカーボネート、ビニレンカーボネート、下記化学式4のエチレンカーボネート系化合物またはこれらの組み合わせを寿命向上添加剤としてさらに含むこともできる。
【化6】
(前記化学式4において、R15およびR16はそれぞれ独立して水素、ハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選ばれ、前記R15およびR16の少なくとも一つはハロゲン基、シアノ基(CN)、ニトロ基(NO)およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選ばれ、ただしR15とR16はすべて水素ではない。)
【0042】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としてはジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、またはシアノエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適宜調節することができる。
【0043】
前記リチウム塩は有機溶媒に溶解して、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオン移動を促進する役割をする物質である。このようなリチウム塩の代表的な例としてはLiPF、LiSbF、LiAsF、LiPO、LiN(SO、Li(CFSON、LiN(SO、Li(FSON(リチウムビスフルオロスルホニルイミド(lithium bis(fluorosulfonyl)imide:LiFSI)、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiPO、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、xおよびyは自然数であり、例えば1~20の整数である)、リチウムジフルオロビスオキソレートホスフェート(lithium difluoro(bisoxolato)phosphate)、LiCl、LiI、LiB(C(リチウムビスオキサレートボレート(lithium bis(oxalato)borate:LiBOB)、およびリチウムジフルオロ(オキソラト)ボレート(LiDFOB)からなる群より選ばれる一つまたは二つ以上を支持(supporting)電解塩として含む。リチウム塩の濃度は0.1M~2.0M範囲内で使用した方が良い。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0044】
一実施形態は前記非水電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【0045】
前記リチウム二次電池は前記非水電解質と、負極および正極を含む。
【0046】
一実施形態で、前記負極は負極活物質を含む負極活物質層と、この負極活物質層を支持する電流集電体を含む。
【0047】
前記負極活物質としてはリチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションできる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を使用することができる。
【0048】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションできる物質としては、その例として炭素物質、すなわちリチウム二次電池で一般的に使用される炭素系負極活物質が挙げられる。炭素系負極活物質の代表的な例としては結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらを共に使用することができる。前記結晶質炭素の例としては無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としてはソフトカーボン(soft carbon)またはハードカーボン(hard carbon)、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0049】
前記リチウム金属の合金としてはリチウムと、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選ばれる金属の合金を使用することができる。
【0050】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としてはSi、SiO(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる元素であり、Siではない)、Si-炭素複合体、Sn、SnO、Sn-R合金(前記Rはアルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる元素であり、Snではない)、Sn-炭素複合体などが挙げられ、また、これらの少なくとも一つとSiOを混合して使用することもできる。前記元素QおよびRとしてはMg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものを使用することができる。
【0051】
前記遷移金属酸化物としてはリチウムチタン酸化物を使用することができる。
【0052】
一実施形態による負極活物質はSi系活物質および炭素系活物質を含むSi-C複合体を含むことができる。
【0053】
前記Si系活物質はSi、SiO(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる元素であり、Siではない)またはこれらの組み合わせであり得る。
【0054】
前記Si系活物質の平均粒径は50nm~200nmであり得る。
【0055】
前記Si系活物質の平均粒径が前記範囲に含まれる場合、充放電時に発生する体積膨張を抑制することができ、充放電時の粒子破砕による伝導性経路(conductive path)の断絶を防ぐことができる。
【0056】
前記Si系活物質は前記Si-C複合体の全体重量に対して1重量%~60重量%で含まれ得、例えば3重量%~60重量%で含まれ得る。
【0057】
他の一実施形態による負極活物質は前述したSi-C複合体とともに結晶質炭素をさらに含むことができる。
【0058】
前記負極活物質がSi-C複合体および結晶質炭素を共に含む場合、前記Si-C複合体および結晶質炭素は混合物の形態で含まれ得、この場合、前記Si-C複合体および結晶質炭素は1:99~50:50の重量比で含まれ得る。より具体的には前記Si-C複合体および結晶質炭素は5:95~20:80の重量比で含まれ得る。
【0059】
前記結晶質炭素は例えば黒鉛を含み得、より具体的には天然黒鉛、人造黒鉛またはこれらの混合物を含むことができる。
【0060】
前記結晶質炭素の平均粒径は5μm~30μmであり得る。
【0061】
本明細書における平均粒径は累積分布曲線(cumulative size-distribution curve)における体積比として50%での粒子の大きさ(D50)であり得る。
【0062】
前記Si-C複合体はSi-C複合体の表面を囲むシェルをさらに含み得、前記シェルは非晶質炭素を含むことができる。前記シェルの厚さは5nm~100nmであり得る。
【0063】
前記非晶質炭素はソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスまたはこれらの混合物を含むことができる。
【0064】
前記非晶質炭素は炭素系活物質100重量部に対して1重量部~50重量部、例えば5重量部~50重量部、または10重量部~50重量部で含まれ得る。
【0065】
前記負極活物質層は負極活物質とバインダを含み、選択的に導電材をさらに含むことができる。
【0066】
前記負極活物質層で負極活物質の含有量は負極活物質層の全体重量に対して95重量%~99重量%であり得る。前記負極活物質層でバインダの含有量は負極活物質層の全体重量に対して1重量%~5重量%であり得る。また、導電材をさらに含む場合は負極活物質を90重量%~98重量%、バインダを1~5重量%、導電材を1重量%~5重量%使用することができる。
【0067】
前記バインダは負極活物質粒子を互いによく付着させ、また、負極活物質を電流集電体によく付着させる役割をする。前記バインダとしては非水系バインダ、水系バインダまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0068】
前記非水系バインダとしてはエチレンプロピレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
前記水系バインダとしてはスチレン-ブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0070】
前記負極バインダとして水系バインダを使用する場合、粘性を付与できるセルロース系化合物を増粘剤としてさらに含むことができる。このセルロース系化合物としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としてはNa、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤の使用含有量は負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であり得る。
【0071】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず、電子伝導性材料であればいかなるものでも使用可能である。導電材の例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、デンカブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料が挙げられる。
【0072】
前記集電体としては銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタニウム箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコートされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものを使用することができる。
【0073】
一実施形態で、前記正極活物質を含む正極は、この正極活物質を含む正極活物質層および、この正極活物質層を支持する電流集電体を含む。
【0074】
前記正極活物質としてはリチウムの可逆的なインターカレーションおよびデインターカレーションが可能な化合物(リチエイテッドインターカレーション化合物)を使用することができ、具体的にはコバルト、マンガン、ニッケル、およびこれらの組み合わせから選ばれる金属とリチウムとの複合酸化物のうち1種以上のものを使用することができる。より具体的な例としては下記化学式のいずれか一つで表される化合物を使用することができる。Li1-b(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5);Li1-b2-c(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05);Li1-b2-c(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05);Li2-b4-c(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05);LiNi1-b-cCoα(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α≦2);LiNi1-b-cCo2-αα(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α<2);LiNi1-b-cCo2-α(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α<2);LiNi1-b-cMnα(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α≦2);LiNi1-b-cMn2-αα(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α<2);LiNi1-b-cMn2-α(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.5,0<α<2);LiNi(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1);LiNiCoMn(0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1);LiNiG(0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1)LiCoG(0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1);LiMn1-b(0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1);LiMn(0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1);LiMn1-gPO(0.90≦a≦1.8,0≦g≦0.5);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiZO;LiNiVO Li(3-f)(PO(0≦f≦2);Li(3-f)Fe(PO(0≦f≦2);LiFePO(0.90≦a≦1.8)
【0075】
前記化学式において、AはNi、Co、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;XはAl、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;DはO、F、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;EはCo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;TはF、S、P、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;GはAl、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;QはTi、Mo、Mn、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;ZはCr、V、Fe、Sc、Y、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;JはV、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、およびこれらの組み合わせからなる群より選ばれる。
【0076】
もちろんこの化合物表面にコート層を有するものも使用することができ、または前記化合物とコート層を有する化合物を混合して使用することもできる。このコート層はコーティング元素のオキシド、コーティング元素のヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネートおよびコーティング元素のヒドロキシカーボネートからなる群より選ばれる少なくとも一つのコーティング元素化合物を含むことができる。これらコート層をなす化合物は非晶質または結晶質であり得る。前記コート層に含まれるコーティング元素としてはMg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはこれらの混合物を使用することができる。コート層の形成工程は前記化合物にこのような元素を使用して正極活物質の物性に悪影響を与えない方法(例えばスプレーコーティング、浸漬法など)でコートできればいかなるコーティング方法を用いてもよく、これについては当該分野に従事する人々によく理解される内容であるから詳しい説明は省略する。
【0077】
前記正極で、前記正極活物質の含有量は正極活物質層の全体重量に対して90重量%~98重量%であり得る。
【0078】
一実施形態において、前記正極活物質層はバインダおよび導電材をさらに含むことができる。この時、前記バインダおよび導電材の含有量は正極活物質層の全体重量に対してそれぞれ1重量%~5重量%であり得る。
【0079】
前記バインダは正極活物質粒子を互いによく付着させ、また、正極活物質を電流集電体によく付着させる役割をして、その代表的な例としてはポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロライド、カルボキシル化されたポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン-ブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレン-ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0080】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず、電子伝導性材料であればいかなるものでも使用可能である。導電材の例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料が挙げられる。
【0081】
前記電流集電体としてはアルミニウム箔、ニッケル箔またはこれらの組み合わせを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0082】
前記正極活物質層および負極活物質層は活物質、バインダおよび選択的に導電材を溶媒の中で混合して活物質組成物を製造し、この活物質組成物を電流集電体に塗布して形成する。このような活物質層の形成方法は当該分野に広く知られた内容であるから本明細書では詳細な説明は省略する。前記溶媒としてはN-メチルピロリドンなどを使用できるが、これに限定されるものではない。また、負極活物質層に水系バインダを使用する場合、負極活物質組成物の製造時に使用される溶媒として水を使用することができる。
【0083】
また、リチウム二次電池の種類によって正極と負極の間にセパレータが存在し得る。このようなセパレータとしてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフルオライドまたはこれらの2層以上の多層膜を使用することができ、ポリエチレン/ポリプロピレンの2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層セパレータなどのような混合多層膜を使用することができるのはもちろんである。
【0084】
他の一実施形態によれば、前記セパレータは多孔性基材およびこの多孔性基材上に位置する機能層を含む複合多孔性セパレータであり得る。前記機能層は追加的な機能付加が可能なものであり、例えば、耐熱層および接着層の少なくとも一つであり得る。前記耐熱層は耐熱性樹脂および選択的にフィラーを含むことができる。また、前記接着層は接着性樹脂および選択的にフィラーを含むことができる。前記フィラーは有機フィラー、無機フィラーまたはこれらの組み合わせであり得る。前記耐熱性樹脂、接着性樹脂、フィラーは当該分野のセパレータに使用できるものであれば、いかなるものでも使用することができる。
【0085】
図1に本発明の一実施形態によるリチウム二次電池の分解斜視図を示した。一実施形態によるリチウム二次電池はパウチ型電池を例として説明するが、本発明はこれに制限されるものではなくて、円筒型、角型など多様な形態の電池に適用することができる。
【0086】
図1を参照すると、一実施形態によるリチウム二次電池100は正極114、正極114と対向して位置する負極112、正極114と負極112の間に配置されているセパレータ113および正極114、負極112およびセパレータ113を含浸する電解液(図示せず)を含む電池組立体と、前記電池組立体を収納している電池容器120および前記電池容器120を密封する密封部材140を含む。
【実施例
【0087】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。しかし、下記の実施例は本発明の一実施例だけであり、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0088】
(比較例1)
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルプロピオネートおよびプロピルプロピオネートを20:10:30:40体積%で混合した非水性有機溶媒に1.5M LiPFを溶解させて、リチウム二次電池用電解質を製造した。
【0089】
(実施例1)
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルプロピオネートおよびプロピルプロピオネートを20:10:30:40体積%で混合した非水性有機溶媒に1.5M LiPFを溶解させて、下記化学式1aのスルホラン第1添加剤および下記化学式2aの化合物第2添加剤を添加して、リチウム二次電池用電解質を製造した。この時、下記化学式1aのスルホラン含有量の第1添加剤は前記非水性有機溶媒およびリチウム塩全体含有量100重量%に対して5重量%とし、下記化学式2aの化合物第2添加剤の含有量は前記非水性有機溶媒およびリチウム塩全体含有量100重量%に対して0.5重量%とし、そのため第1添加剤および第2添加剤の混合比は10:1であった。
【0090】
【化7】
【0091】
【化8】
【0092】
人造黒鉛負極活物質97重量%、ケッチェンブラック導電材1重量%、スチレン-ブタジエンゴムバインダ1重量%およびカルボキシメチルセルロース増粘剤1重量%を蒸留水溶媒中で混合して負極活物質スラリーを製造した。前記負極活物質スラリーを銅箔にコーティング、乾燥および圧延して負極を製造した。
【0093】
LiCoO正極活物質96重量%、ケッチェンブラック導電材2重量%およびポリビニリデンフルオライド2重量%をN-メチルピロリドン溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造した。前記正極活物質スラリーをアルミニウム箔にコーティング、乾燥および圧延して正極を製造した。
【0094】
前記電解質、前記正極および前記負極を用いて通常の方法で、4.4V級パウチ型リチウム二次電池を製造した。
【0095】
(実施例2~11および比較例2~5)
化学式1aのスルホラン使用量と化学式2aの化合物使用量を下記表1に示すとおりに変更したことを除いては前記実施例1と同一に実施して電解質を製造し、この電解質と、前記実施例1の負極および正極を使用して前記実施例1と同一に実施してリチウム二次電池を製造した。
【0096】
【表1】
【0097】
前記実施例1~11および比較例1~5のリチウム二次電池を25℃で0.7C、4.4Vおよび0.05Cカット-オフ条件で定電流-定電圧充電した後、60℃で30日間保存した。保存前の電池厚さ(初期厚さ)を測定して、30日保存後の電池厚さを測定した。この結果から、下記式1により電池厚さ増加率を計算して、その結果を初期厚さ、60℃、30日後の厚さとともに下記表2に示した。
【0098】
[式1]
厚さ増加率[%]=[(60℃、30日後の電池厚さ-保存前の電池厚さ)/保存前の電池厚さ]×100
【0099】
実験例2:容量維持率および容量回復率の評価
前記実験例1により、高温(60℃)で30日間放置したリチウム二次電池を常温(25℃)で0.2C、3.0Vまで定電流条件で放電して放電容量を測定した。
【0100】
次に、容量回復率を評価するために、前記放電容量が確認されたリチウム二次電池を再び0.2C、4.4Vまで定電流とする条件および0.05Cを終了電流にした定電圧条件で再充電して、0.2Cで3.0Vまで定電流条件で放電して放電容量を測定した。そして、下記の式2により容量回復率(recovery)を計算した後、その結果を下記表2に示した。
【0101】
[式2]
容量回復率[%]=[高温放置後の再充電されたリチウム二次電池の放電容量/高温放置前の初期放電容量]×100
【0102】
【表2】
【0103】
前記表2に示すように、第1および第2添加剤を0.5:1~10:1の重量比で含む電解液を使用した実施例1~11の場合、優れた容量維持率および容量回復率は維持し、かつ高温貯蔵時厚さ増加率が顕著に低いことがわかり、そのため、高温貯蔵時ガス生成量を効果的に減少させたことがわかる。
【0104】
反面、第1および第2添加剤を含まない電解液を使用した比較例1の場合は、高温貯蔵時の厚さ増加率が非常に高く、第1および第2添加剤を含んでも、その混合比が0.1:1で、第1添加剤を過度に少量含む電解液を使用した比較例2および比較例4の場合は厚さ増加率減少効果が微小であることがわかる。さらに、第1添加剤を過度に過量含む電解液を使用した比較例3および5の場合も高温貯蔵時の厚さ増加率減少効果が実施例に比べて低いことがわかる。
【0105】
本発明は前記実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態で実施できることを理解することができる。したがって、上記一実施例はすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
図1
【国際調査報告】