(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】ウェーハ間接合のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20230908BHJP
【FI】
H01L21/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501115
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 US2020042286
(87)【国際公開番号】W WO2022010497
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】イップ,ネイサン
(57)【要約】
ウェーハ接合処理の第1のウェーハ接合レシピ及びモデルを有することであって、モデルが、第2のウェーハに接合される第1のウェーハの物理パラメータを示す入力を含み、第1のウェーハの物理パラメータに基づいてウェーハ接合レシピを出力するよう構成されている、ことと、第1のウェーハの測定値を取得して、第1のウェーハの物理パラメータを取得することと、モデルによって、第1のウェーハの物理パラメータに基づいて第1のウェーハ接合レシピを生成することと、第1のウェーハ接合レシピに従って第1のウェーハを第2のウェーハに接合して、第1の接合後ウェーハを生成することと、を含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
ウェーハ接合処理の第1のウェーハ接合レシピ及びモデルを有するステップであって、前記モデルは、第2のウェーハに接合される第1のウェーハの物理パラメータを示す入力を含み、前記第1のウェーハの前記物理パラメータに少なくとも部分的に基づいて、ウェーハ接合レシピを出力するよう構成される、ステップと、
前記第1のウェーハの測定値を取得して、前記第1のウェーハの前記物理パラメータを取得するステップと、
前記モデルにより、前記第1のウェーハの前記物理パラメータに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のウェーハ接合レシピを生成するステップと、
前記第1のウェーハ接合レシピに従って、前記第1のウェーハを前記第2のウェーハに接合して、第1の接合後ウェーハを生成するステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
さらに、前記第1の接合後ウェーハをアニールして、融着接合ウェーハを生成するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のウェーハの前記物理パラメータは、前記第1のウェーハの面外歪みを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記ウェーハ接合処理の前記モデルを導出するステップを有し、該導出するステップは、
第3のウェーハ及び第4のウェーハの測定値を取得して、前記第3のウェーハの物理パラメータ及び前記第4のウェーハの物理パラメータを取得するステップと、
処理条件に従って、前記第3のウェーハ及び前記第4のウェーハのウェーハ接合をシミュレーションして、シミュレーションされた接合後ウェーハの物理パラメータを推定するステップと、
前記第3のウェーハの前記物理パラメータ、前記第4のウェーハの前記物理パラメータ、前記処理条件、及び前記シミュレーションされた接合後ウェーハの推定された物理パラメータに従って、前記ウェーハ接合処理の前記モデルを形成するステップと、
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ウェーハ接合処理の前記モデルを形成するステップは、
前記第3のウェーハの前記物理パラメータ、前記第4のウェーハの前記物理パラメータ、前記処理条件、及び前記シミュレーションされた接合後ウェーハの推定された物理パラメータを比較するステップと、
前記比較に従って、前記ウェーハ接合処理の前記モデルを判定するステップと、
を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のウェーハ接合レシピを形成するステップは、
前記モデルにより、前記第1のウェーハの前記物理パラメータに従って、前記第1の接合後ウェーハの接合後歪みを推定するステップと、
前記第1のウェーハ接合レシピの処理条件を調整して、前記第1の接合後ウェーハの推定された接合後歪みを最適化するステップと、
前記調整された処理条件に従って、前記第1のウェーハ接合レシピを生成するステップと、
を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記第2のウェーハの測定値を取得して、前記第2のウェーハの物理パラメータを取得するステップを有し、
前記第1のウェーハ接合レシピは、さらに、前記第2のウェーハの前記物理パラメータに基づいて生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記第1のウェーハ接合レシピに従って、第3のウェーハを第4のウェーハに接合して、第2の接合後ウェーハを生成するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のウェーハ及び前記第3のウェーハは、第1のウェーハロットの一部であり、前記第2のウェーハ及び前記第4のウェーハは、第2のウェーハロットの一部であり、
前記第1のウェーハロット及び前記第2のウェーハロットは、半導体製造プロセスフローにおいて一緒に処理される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
方法であって、
ウェーハ接合処理のモデルを有するステップであって、前記モデルは、第1の接合後ウェーハの物理パラメータを示す入力を含み、前記第1の接合後ウェーハの前記物理パラメータに基づいてウェーハ接合レシピを出力するように構成される、ステップと、
ウェーハ接合レシピに従って、第1のウェーハを第2のウェーハに接合して、前記第1の接合後ウェーハを形成するステップと、
前記第1の接合後ウェーハの測定値を取得して、前記第1の接合後ウェーハの前記物理パラメータを取得するステップと、
前記モデルにより、前記第1の接合後ウェーハの前記物理パラメータに従って、第1のウェーハ接合レシピを生成するステップと、
前記第1のウェーハ接合レシピに従って、第3のウェーハを第4のウェーハに接合して、第2の接合後ウェーハを形成するステップと、
を有する、方法。
【請求項11】
さらに、
前記第1の接合後ウェーハをアニールして、第1の融着接合ウェーハを生成するステップと、
前記第2の接合後ウェーハをアニールして、第2の融着接合ウェーハを生成するステップと、
を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
測定値を取得するステップは、前記第1の接合後ウェーハをスキャンして、前記第1の接合後ウェーハの前記物理パラメータを取得するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
さらに、
前記第2の接合後ウェーハの測定値を取得して、前記第2の接合後ウェーハの物理パラメータを取得するステップと、
前記モデルにより、前記第2の接合後ウェーハの前記物理パラメータに従って、第2のウェーハ接合レシピを生成するステップと、
前記第2のウェーハ接合レシピに従って、第5のウェーハを第6のウェーハに接合して、第3の接合後ウェーハを形成するステップと、
を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
処理システムであって、
実行された際に、コンピューティングデバイスのプロセッサに、半導体ウェーハ製造プロセスと連携して動作を実行させる命令を有する、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を有し、
前記命令は、
ウェーハ接合処理の第1のウェーハ接合レシピ及びモデルを有するステップであって、前記モデルは、第2のウェーハに接合される第1のウェーハの物理パラメータを示す入力を含み、前記第1のウェーハの前記物理パラメータに基づいて、ウェーハ接合レシピを出力するよう構成される、ステップと、
前記第1のウェーハの測定値を取得して、前記第1のウェーハの前記物理パラメータを取得するステップと、
前記モデルにより、前記第1のウェーハの前記物理パラメータに基づいて前記第1のウェーハ接合レシピを生成するステップと、
前記第1のウェーハ接合レシピに従って、前記第1のウェーハを前記第2のウェーハに接合して、第1の接合後ウェーハを生成するステップと、
を含む、処理システム。
【請求項15】
さらに、
処理チャンバと、
前記処理チャンバ内の基板ホルダであって、前記第1のウェーハが前記第2のウェーハに接合される際、前記第2のウェーハを機械的に支持するように構成された、基板ホルダと、
前記処理チャンバの外部で複数のウェーハを保持するバッチシステムと、
を有する、請求項14に記載の処理システム。
【請求項16】
前記命令は、さらに、前記ウェーハ接合処理の前記モデルを導出するステップを有し、該導出するステップは、
第3のウェーハ及び第4のウェーハの測定値を取得して、前記第3のウェーハの物理パラメータ及び前記第4のウェーハの物理パラメータを取得するステップと、
処理条件に従って、前記第3のウェーハ及び前記第4のウェーハのウェーハ接合をシミュレーションして、シミュレーションされた接合後ウェーハの物理パラメータを推定するステップと、
前記第3のウェーハの前記物理パラメータ、前記第4のウェーハの前記物理パラメータ、前記処理条件、及び前記シミュレーションされた接合後ウェーハの推定された物理パラメータに従って、前記ウェーハ接合処理の前記モデルを形成するステップと、
を有する、請求項14に記載の処理システム。
【請求項17】
前記ウェーハ接合処理の前記モデルを形成するステップは、
前記第3のウェーハの前記物理パラメータ、前記第4のウェーハの前記物理パラメータ、前記処理条件、及び前記シミュレーションされた接合後ウェーハの推定された物理パラメータを比較するステップと、
前記比較に従って、前記ウェーハ接合処理の前記モデルを判定するステップと、
を有する、請求項16に記載の処理システム。
【請求項18】
前記第1のウェーハ接合レシピを生成するステップは、
前記モデルにより、前記第1のウェーハの前記物理パラメータに従って、前記第1の接合後ウェーハの接合後歪みを推定するステップと、
前記第1のウェーハ接合レシピの処理条件を調整して、前記第1の接合後ウェーハの推定された接合後歪みを最適化するステップと、
前記調整された処理条件に従って、前記第1のウェーハ接合レシピを生成するステップと、
を有する、請求項17に記載の処理システム。
【請求項19】
前記命令は、さらに、前記第1のウェーハ接合レシピに従って、第3のウェーハを第4のウェーハに接合して、第2の接合後ウェーハを生成するステップを有する、請求項14に記載の処理システム。
【請求項20】
当該処理システムは、ウェーハ接合システムを有する、請求項14に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月9日に出願された、「Apparatus and Methods for Wafer to Wafer Bonding」と題する、米国特許出願第16/924,847号明細書に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、基板処理に関し、特定の実施形態では、ウェーハ間接合のための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ウェーハ間接合は、微小電気機械システム(MEMS)、ナノ電気機械システム(NEMS)、マイクロエレクトロニクス及びオプトエレクトロニクスの製造において使用されるパッケージング技術である。融着接合(一般に、直線接合とも呼ばれる)は、いかなる追加の中間層も必要としない、ウェーハ間接合処理である。融着接合では、2枚のウェーハ(例えば、上部ウェーハ及び下部ウェーハ)を一体化し、ウェーハの表面が接触し始めると2枚のウェーハは接合し始め、接合後ウェーハを形成する。この接合後ウェーハを高温でアニールすることにより、2枚のウェーハ間の接合強度を増大させ、融着接合ウェーハを形成する。
【0004】
図1Aは、従来の融着接合処理を使用して2枚のウェーハを接合するためのウェーハ間接合処理100の一部を示している。融着接合では、上部ウェーハ105と下部ウェーハ110とが接合されて、接合後ウェーハ115を形成する。融着接合にはまた、
図1Aには示されていないが、2枚のウェーハ間の接合を強化するために接合後ウェーハをアニールすることを含む。
【0005】
ウェーハ間接合の品質は、2つの別個のカテゴリ、すなわち、ウェーハ特性及び処理条件にグループ化され得る様々な要因に依存し得る。ウェーハ特性の例には、ウェーハ平坦度、ウェーハ平滑度、ウェーハ清浄度、ウェーハ材料などが含まれ、処理条件の例には、接合温度、ウェーハ間接合が実行される接合チャンバ内の環境条件、印加圧力などが含まれる。
【0006】
図1Bは、接合後ウェーハ115の側面図を示している。
図1Bに示されるように、上部ウェーハ105及び下部ウェーハ110は一体に良好に接合され、2枚のウェーハ間に平滑な界面が存在している。
図1Cは、接合後ウェーハ130の側面図を示しており、2枚のウェーハ間の不良な接合を強調している。
図1Cに示されるように、上部ウェーハ105は凹状プロファイルを有し、上部ウェーハ105と下部ウェーハ110とが接合されるとギャップ135の形成につながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、方法が提供される。方法は、ウェーハ接合処理の第1のウェーハ接合レシピ及びモデルを有することであって、モデルが、第2のウェーハに接合される第1のウェーハの物理パラメータを示す入力を含み、第1のウェーハの物理パラメータに基づいてウェーハ接合レシピを出力するよう構成されている、ことと、第1のウェーハの測定値を取得して、第1のウェーハの物理パラメータを取得することと、モデルによって、第1のウェーハの物理パラメータに基づいて第1のウェーハ接合レシピを生成することと、第1のウェーハ接合レシピに従って第1のウェーハを第2のウェーハに接合して、第1の接合後ウェーハを生成することと、を含む。
【0008】
別の実施形態によれば、方法が提供される。方法は、ウェーハ接合処理のモデルを有することであって、モデルが、第1の接合後ウェーハの物理パラメータを示す入力を含み、第1の接合後ウェーハの物理パラメータに基づいてウェーハ接合レシピを出力するよう構成されている、ことと、ウェーハ接合レシピに従って第1のウェーハを第2のウェーハに接合して、第1の接合後ウェーハを形成することと、第1の接合後ウェーハの測定値を取得して、第1の接合後ウェーハの物理パラメータを取得することと、モデルによって、第1のポスト接合ウェーハの物理パラメータに従って第1のウェーハ接合レシピを生成することと、第1のウェーハ接合レシピに従って第3のウェーハを第4のウェーハに接合して、第2の接合後ウェーハを形成することと、を含む。
【0009】
本発明の更に別の実施形態によれば、処理システムが提供される。処理システムは、実行されると、コンピューティングデバイスのプロセッサに、半導体ウェーハ製造プロセスと連携して動作を実行させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、ウェーハ接合処理の第1のウェーハ接合レシピ及びモデルを有することであって、モデルが、第2のウェーハに接合される第1のウェーハの物理パラメータを示す入力を含み、第1のウェーハの物理パラメータに基づいてウェーハ接合レシピを出力するよう構成されている、ことと、第1のウェーハの測定値を取得して、第1のウェーハの物理パラメータを取得することと、モデルによって、第1のウェーハの物理パラメータに基づいて第1のウェーハ接合レシピを生成することと、第1のウェーハ接合レシピに従って第1のウェーハを第2のウェーハに接合して、第1の接合後ウェーハを生成することと、を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。
【0010】
本発明及びその利点をより完全に理解するために、ここで、添付図面と併せて読まれるべき以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】従来の融着接合処理を使用して2枚のウェーハを接合するためのウェーハ間接合処理の一部を示す図である。
【
図2】従来のウェーハ融着接合処理を示す図である。
【
図3】本明細書に提示される例示的な実施形態による、ウェーハ計測データを利用してウェーハ接合レシピを調整するウェーハ接合システムを示す図である。
【
図4】本明細書に提示される例示的な実施形態による、ウェーハ処理ツールの一例を示す図である。
【
図5】本明細書に提示される例示的な実施形態による、例示的なフィードバック動作を伴うウェーハ融着接合処理を示す図である。
【
図6】本明細書に提示される例示的な実施形態による、第1の例示的なフィードフォワード動作を伴うウェーハ融着接合処理を示す図である。
【
図7】本明細書に提示される例示的な実施形態による、第2の例示的なフィードフォワード動作を伴うウェーハ融着接合処理を示す図である。
【
図8】本明細書に提示される例示的な実施形態による、ウェーハ接合レシピのフィードフォワード最適化を伴うウェーハ接合処理において生じる例示的な動作のフロー図である。
【
図9A】本明細書に提示される例示的な実施形態による、半経験的モデル化を用いて強化された有限要素モデル化(FEM)技法を使用してウェーハ接合処理のモデルを作成する、第1の例示的な処理のフロー図である。
【
図9B】本明細書に提示される例示的な実施形態による、半経験的モデル化及び較正を用いて強化されたFEM技法を使用してウェーハ接合処理のモデルを作成する、第2の例示的な処理のフロー図である。
【
図10】本明細書に提示される例示的な実施形態による、フィンガープリント関数を使用したウェーハ接合処理のモデルの作成において生じる例示的な動作のフロー図である。
【
図11】本明細書に提示される例示的な実施形態による、ウェーハ接合レシピのフィードフォワードベースの最適化を伴うウェーハ接合レシピの生成において生じる動作のフロー図である。
【
図12】本明細書に提示される例示的な実施形態による、ウェーハ接合レシピのフィードバック最適化を伴うウェーハ接合処理において生じる例示的な動作のフロー図である。
【
図13】本明細書に提示される例示的な実施形態による、フィードバックデータを使用してウェーハ接合処理のモデルを作成する際の例示的な処理のフロー図である。
【
図14】本明細書に提示される例示的な実施形態による、ウェーハ接合レシピのフィードバックベースの最適化を伴うウェーハ接合レシピの生成において生じる動作のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
異なる図中の対応する数字及び記号は、特段の指示のない限り、対応する部分を概して参照する。図面は、実施形態の関連する態様を明確に示すように描かれており、必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。図面に描かれる特徴の端部は、特徴の範囲の終端を必ずしも示していない。
【0013】
様々な実施形態を作成すること及び使用することについて、以下で詳述する。しかしながら、本明細書で説明する様々な実施形態は、多様な具体的な文脈において適用可能であると理解されるべきである。述べる具体的な実施形態は、様々な実施形態を作成及び使用する具体的な方法を単に例示するものであり、限定された範囲において解釈されるべきではない。
【0014】
本明細書に記載されるような様々な技法は、ウェーハ計測データを使用してウェーハ接合レシピを動的に制御し、接合後ウェーハの歪みを制御するためのウェーハ融着に関連する。一例として、ウェーハ計測データは、ウェーハ接合処理のモデルに提供されて、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成すると予測されるウェーハ接合処理の処理条件を判定し、これが次いで、ウェーハの実際の接合に適用され得る。言い換えれば、ウェーハ計測データは、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成することになるウェーハ接合レシピを調整するために使用される。
【0015】
図2は、従来のウェーハ融着接合処理200を示している。
図2に示されるように、ウェーハ処理ツール205は、プロセスオブレコード(POR)ウェーハ接合レシピを使用して、第1の上部ウェーハ210と第1の下部ウェーハ220とを融着接合して、第1の接合後ウェーハ230を形成する。典型的には、複数の上部ウェーハが複数の下部ウェーハと接合されて、複数の接合後ウェーハを形成する。一例として、第2の上部ウェーハ212は第2の下部ウェーハ222と接合されて、第2の接合後ウェーハ232を形成し、N番目の上部ウェーハ214はN番目の下部ウェーハ224と接合されて、N番目の接合後ウェーハ234を形成する。従来のウェーハ融着接合処理200のアニール段階は、
図2には示されていない。
【0016】
従来のウェーハ融着接合処理では、上部及び下部のウェーハが同じそれぞれのウェーハロットに属するか否かに関係なく、全ての上部及び下部のウェーハに対して同じPORウェーハ接合レシピが使用されている。
【0017】
ウェーハは一般的に、ロット単位で処理される。1つのロットは最大25枚のウェーハを含むことができ、25枚のウェーハのうちの1枚は、例えば接合処理において使用されてもされなくてもよい監視ウェーハである。ロット間ウェーハ変動は、接合後ウェーハ歪みの大きな要因である。生産ウェーハは通常、ロットごとに変動し、これは、前のステップの処理制御の変動、固有のウェーハ変形、又は他のあまり顕著でない要因による処理条件に起因する可能性がある。ウェーハ間の変動は、形状変動と呼ばれる。形状変動は局所的であり得、これは例えば、ロジックデバイスを有する300mmウェーハにおいて1μm~5μmの範囲にある形状変動の1つの標準偏差により、1つのウェーハロットの平均表面マップが別のウェーハロットの平均表面マップとは全く異なって見えることを意味する。形状変動は、メモリデバイスを有するウェーハにおいて異なる場合がある。形状変動はまた、全体的なものになる可能性があり、これは、山から谷までの変動が、ロットごとに10μmのオーダー以上になる可能性があることを意味する。メモリアプリケーションの場合、形状変動は、更に大きくなる可能性がある。分割ロットの場合を除いて、ロット内変動は通常小さい。分割ロットとは、ロット内ウェーハのサブセットが分離され、異なって処理されることを意味する。分割ロットを考慮しない場合、ロット内変動は通常、ロット間変動の10%をはるかに下回るが、実際の値は、考慮されるウェーハに応じて異なり得る。
【0018】
形状変動は、面内歪み(又は単に「歪み」と呼ばれる)と直接相関する。ウェーハの面内歪みは、ウェーハの主平面に沿った偏差として定義される。一例として、ウェーハの表面上の高いスポット(例えば、山)及び低いスポット(例えば、谷)は、ウェーハの面内歪みである。観察によると、1μmの形状変動は、約5nmの面内歪みに起因する場合がある。したがって、面内歪みは、ウェーハ接合処理の性能にとって重要な指標である。
【0019】
ウェーハ接合処理の品質を評価する1つの方法は、接合後ウェーハを検査することである。例えば、接合後ウェーハの形状変動が大きい場合、ウェーハ接合処理は、接合されているウェーハに対して良好に調整されない場合がある。一方、接合後ウェーハの形状変動が小さい場合、ウェーハ接合処理は、接合されているウェーハに対して良好に調整され得る。例えば、接合後ウェーハの形状変動がロット内ウェーハでは小さく、ロット間ウェーハでは大きい場合、ウェーハ接合処理は、特定のウェーハロットに対しては良好に調整され得るが、異なるウェーハロットに対してはそうでない場合がある。
【0020】
接合されている両方のウェーハがパターン化される(すなわち、両方のウェーハがデバイス及び/又は構造を含む)場合、接合界面に沿った2枚の基板のパターン間の位置合わせが重要である。パターン化された各層の位置合わせマークは、接合後ステップにおいてスキャナによって測定され得る。スキャナ測定ステップは、必ずしも接合ステップの直後に実行されなくてもよい。一例として、接合後ウェーハは、処理チャンバ内で高温(例えば、摂氏数百度)でアニールされて、2つの層間の接合強度を向上させることができる。別の例として、ウェーハのうちの1枚を研磨によって薄くして、接合界面を露出させることができる。また、ウェーハ接合ステップと接合後計測ステップとの間に、あまり顕著でない他のステップが存在してもよい。いずれにせよ、接合後ウェーハの2枚のウェーハ間の絶対シフトが非常に重要である。1つの標準偏差変動における典型的な接合後位置合わせ誤差は、例えば、約30nmであり得る。
【0021】
1枚のウェーハのみがパターン化される場合、パターン化されたウェーハの接合後歪みが重要である。接合後歪みは、接合前ウェーハ並びにウェーハ接合処理の両方の形状変動の関数であり得る。接合後歪みを判定する重要な要因には、ウェーハの温度分布、ウェーハ上のチャック力、ウェーハ間の接着、2枚のウェーハの接合面の表面粗さ、チャックの平坦度、接合処理前のウェーハ間の間隔、2つの目標接合面の前洗浄、及び本明細書に列挙されていない多くの要因が含まれる。接合後、両方のウェーハがパターン化される場合と同様に、接合後歪みもスキャナによって測定され得る。しかしながら、この場合、接合後歪みは、理想的な歪みからの絶対偏差として定義される。理想的な歪みは、スキャナによって定義され得る。スキャナが理想的な歪みを定義するために採用され得る多くのモデルが存在する。伝統的に、スキャナは、理想的な歪みに対して6項モデルを使用する。6項には、歪み表面マップの倍率及び傾きが含まれる。直近では、例えば、33項モデルが提案され、モデルはより複雑になっている。いくつかの最新技術は、自由形式モデル(数千の項)をサポートしている。高度に複雑なモデルのうちの1つを選択することから生じる課題は、そのようなモデルを作成するために必要とされる時間及びコストが、生産環境では実現不可能になることである。
【0022】
更に、接合後歪みは、ますます達成が困難な生産目標になりつつある。例えば、現在の最新技術の接合後歪みの閾値は、10nm以下の1つの標準偏差を有し、接合後歪みに対する顧客の要求値は、短期的にも長期的にも減少し続けている。
【0023】
図2に示される従来のウェーハ接合処理は(接合されているウェーハがロット内ウェーハ又はロット間ウェーハであるか否かに関係なく)単一のPORウェーハ接合レシピを使用してウェーハを接合するため、接合後歪みに影響を与える接合処理関連要因(すなわち、ウェーハの温度分布、ウェーハ上のチャック力、チャックの平坦度、接合処理前のウェーハ間の間隔、2つの接合目標表面の前洗浄など、PORウェーハ接合レシピによって制御される要因)は一定のままであり、ウェーハの形状変動は、個々のウェーハ及びウェーハロット間で変化する。したがって、ロット間形状変動が大きく、且つ固定ウェーハ接合レシピがロット間形状変動を補償しないため、ロット間の接合後歪み制御は不良である場合がある。
【0024】
例示的な実施形態によれば、ウェーハ計測データを利用してウェーハ接合レシピを調整するウェーハ接合システムが提供される。ウェーハ計測データは、ウェーハ接合処理のモデルに提供され、モデルは、ウェーハ接合レシピの処理条件を調整して、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成する。
【0025】
ウェーハ上で直接測定される接合後歪みは重要であるが、この測定を実行する際に伴われるコストは、研究開発目的に対して高い。例えば、計測ステップの前に前述の接合ステップの全てを実行するための時間は非常に長く、場合によっては数週間程度になる。一実施形態では、接合後歪みを直接測定する代わりに、ウェーハ形状データなどのウェーハの物理パラメータを接合後ウェーハに対して測定し、接合後歪みを推定するためのプロキシとして使用することができる。一例として、ウェーハ形状データは、独立したウェーハのトポロジの高密度グリッドマップの形式である。グリッドは、例えば、0.5mmの横方向分解能を有し、ウェーハ全体にわたって測定され得る。一例として、ウェーハ形状計測は、ウェーハの主平面に直交する平面に沿った偏差として定義され得る面外方向において、1nm未満の分解能を有するべきである。ウェーハ形状データは、幾何学的定式化によって歪みに直接関連付けることができる。幾何学的定式化の例には、弾性理論、ビーム理論、又は自由形式ウェーハ形状測定に基づいて、ウェーハ形状データ及び歪みを相関させるものが含まれる。
【0026】
一実施形態では、ウェーハ計測データには、接合前ウェーハの計測データ(例えば、上部ウェーハ、下部ウェーハ、又は上部及び下部ウェーハの両方のウェーハ計測データ)が含まれ、ウェーハ計測データは、モデルに対して、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成するためにウェーハ接合レシピの処理条件を調整するように提供される。言い換えれば、モデルは、接合前ウェーハのウェーハ計測データが与えられると、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成するために、ウェーハ接合レシピの処理条件を調整するように使用される。モデルは、接合前ウェーハのウェーハ計測データに基づいて接合後ウェーハの接合後歪みを予測し、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成するために、ウェーハ接合レシピを調整する。この動作モードは、フィードフォワード動作と呼ばれる。フィードフォワード動作の詳細な説明を、以下に提供する。
【0027】
一実施形態では、ウェーハ計測データには、接合後ウェーハの計測データが含まれ、ウェーハ計測データは、モデルに対して、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成するためにウェーハ接合レシピの処理条件を調整するように提供される。言い換えれば、モデルは、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成するために、接合後ウェーハの計測データに基づいて、ウェーハ接合レシピの処理条件を調整するように使用される。この動作モードは、フィードバック動作と呼ばれる。フィードバック動作の詳細な説明を、以下に提供する。
【0028】
一実施形態では、ウェーハ計測データには、接合前ウェーハ及び接合後ウェーハの両方の計測データが含まれ、計測データは、モデルに対して、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成するためにウェーハ接合レシピの処理条件を調整するように提供される。接合前ウェーハ及び接合後ウェーハの両方の計測データが利用可能なため、接合前ウェーハのウェーハ計測データに基づいて接合後ウェーハの接合後歪みを予測し、接合前ウェーハ及び接合後ウェーハの両方の計測データに基づいてウェーハ接合レシピの処理条件を調整するようにモデルを使用して、接合後歪みの閾値を満たす接合後ウェーハを生成することができる。
【0029】
図3は、本明細書に提示される例示的な実施形態による、ウェーハ接合レシピを調整するようにウェーハ計測データを利用するウェーハ接合システム300を示している。一実施形態では、ウェーハ接合システム300は、接合前ウェーハ(上部ウェーハ、下部ウェーハ、若しくは上部ウェーハ及び下部ウェーハの両方のいずれか)のウェーハ計測データ、並びに/又は接合後ウェーハを使用して、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成するためにウェーハ接合レシピの処理条件を調整する。
【0030】
ウェーハ接合システム300は、接合前ウェーハ(すなわち、上部ウェーハ310及び下部ウェーハ315)を接合して接合後ウェーハ320を生成するウェーハ処理ツール305を含む。ウェーハ処理ツール305は、市販品として広く利用可能である。ウェーハ接合システム300は、上部ウェーハ310、下部ウェーハ315、又は上部ウェーハ310及び下部ウェーハ315の両方のウェーハ形状データなどの物理パラメータを測定する形状計測ツール325を含む。形状計測ツール325の一例は、表面形状測定装置である。形状計測ツール325の別の例は、原子間力顕微鏡ツール、臨界寸法走査型電子顕微鏡などの、リソグラフィ表面スキャナである。物理パラメータは、結果として得られる接合後ウェーハ320が接合後歪みパラメータを満たすように、接合前ウェーハを接合するために使用されるウェーハ接合レシピを調整するようにウェーハ処理ツール305に提供され得る。
【0031】
図3に示されるように、ウェーハ接合システム300は、上部ウェーハ310がパターン化ウェーハであり、下部ウェーハ315がキャリアウェーハである接合前ウェーハを接合するように構成されているため、下部ウェーハ315の物理パラメータを測定する必要がない場合がある。したがって、下部ウェーハ315と形状計測ツール325との間の線は、破線で示されている。しかしながら、別の構成では、たとえ下部ウェーハ315がキャリアウェーハである場合でも、下部ウェーハ315の物理パラメータが取得されて、ウェーハ接合レシピの調整のために使用されてもよい。更に、上部ウェーハ310がキャリアウェーハであり、下部ウェーハ315がパターン化ウェーハである状況では、下部ウェーハ315の物理パラメータが測定され、ウェーハ処理ツール305に提供されてウェーハ接合レシピを調整するが、上部ウェーハ310の物理パラメータの測定は任意選択的であってもよい。上部ウェーハ310及び下部ウェーハ315の両方がパターン化される状況では、両方のウェーハの物理パラメータが測定され、ウェーハ処理ツール305に提供され必要がある。
【0032】
ウェーハ接合システム300はまた、接合後ウェーハ320の歪みデータ(接合後歪みデータなど)を判定するために接合後ウェーハ320をスキャンするスキャナ330を含む。歪みデータは、ウェーハ処理ツール305に提供されてウェーハ接合レシピを調整し、接合後ウェーハが接合後歪みパラメータを確実に満たすことを支援することができる。いくつかの実施形態では、スキャナ330はまた、形状計測ツール325として使用されて、接合前ウェーハの物理パラメータを測定する。
【0033】
一実施形態では、接合前ウェーハを接合するために使用されるウェーハ接合レシピを調整するために、接合後ウェーハ320の物理パラメータがウェーハ処理ツール305に提供される。全ての実施形態ではなく、この特定の実施形態では、接合後ウェーハ320の物理パラメータを測定する必要があるため、接合後ウェーハ320と形状計測ツール325との間の線は、破線として示されている。
【0034】
図4は、本明細書に提示される例示的な実施形態による、ウェーハ処理ツール400の一例を示している。ウェーハ処理ツール400は、例えば、
図3のウェーハ処理ツール305の例示的な実装形態であり得る。
【0035】
ウェーハ処理ツール400は、上部ウェーハと下部ウェーハとの接合が行われる処理チャンバ405を含む。処理チャンバ405は、温度、雰囲気圧力、プラズマ電力などの制御された環境を提供する。処理チャンバ405は、ウェーハホルダ410を含む。一実施形態では、ウェーハホルダ410は、上部ウェーハを保持するための上部チャック、及び下部ウェーハを保持するための下部チャックを含む。上部ウェーハ415及び下部ウェーハ420は、それぞれ上部搬送機構417及び下部搬送機構422によって処理チャンバ405内に搬送され得る。
【0036】
一実施形態では、上部ウェーハ及び下部ウェーハが処理チャンバ405に搬送されると、形状計測ツール325がウェーハを測定し、ウェーハの物理パラメータを判定する。プロセッサ425は、物理パラメータに従ってウェーハ接合レシピの処理条件を調整して、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成する。処理条件の調整の詳細な説明を、以下に提供する。
【0037】
一実施形態では、上部ウェーハ及び下部ウェーハは、ウェーハ処理ツール400にロードされる前に、形状計測ツール325又はいくつかの他の形状計測ツールによって予め計測され、ウェーハの物理パラメータは、例えば、メモリ425に格納されたデータベースに記憶される。次いで、上部ウェーハ及び下部ウェーハが処理チャンバ405に入ると、プロセッサ430が、ウェーハ用の物理パラメータを取得し、物理パラメータに従ってウェーハ接合レシピの処理条件を調整して、接合後歪み閾値を満たす接合後ウェーハを生成する。処理条件の調整の詳細な説明を、以下に提供する。
【0038】
搬送機構437は、接合後ウェーハ435を処理チャンバ405から移動させる。スキャナ330は、接合後ウェーハ435をスキャンして、接合後ウェーハの歪みデータ(接合後歪みデータなど)を判定する。歪みデータはまた、メモリ430に格納されたデータベースに記憶され得る。
【0039】
図5は、本明細書に提示される例示的な実施形態による、例示的なフィードバック動作を伴うウェーハ融着接合処理500を示している。
図5に示されるように、ウェーハ処理ツール505は、第1の接合後ウェーハ520を形成するために、PORウェーハ接合レシピを使用して、第1の上部ウェーハ510と第1の下部ウェーハ515とを融着接合する。第1の接合後ウェーハ520の(例えば、スキャナによって測定された)歪みデータは、ウェーハ処理ツール505に提供されて、(「OPTレシピ」として
図5に示されている)ウェーハ接合レシピを最適化する。後続の上部ウェーハ(例えば、第2の上部ウェーハ512及びN番目の上部ウェーハ514)は、最適化されたウェーハ接合レシピに従って後続の下部ウェーハ(例えば、第2の下部ウェーハ517及びN番目の下部ウェーハ519)に接合されて、後続の接合後ウェーハ(例えば、第2の接合後ウェーハ522及びN番目の接合後ウェーハ524)を生成する。後続のウェーハが、対応する第1のウェーハと同じロットの一部である状況では、フィードバック動作を伴うウェーハ融着接合処理500は、同じウェーハロットに見られる比較的小さな変動に対して最適化されたウェーハ接合レシピで接合後ウェーハを生成することができ得る。
【0040】
一実施形態では、第2の接合後ウェーハ522などの後続の接合後ウェーハの歪みデータは、ウェーハ接合レシピを更に最適化するために、測定されてウェーハ処理ツール505に提供されてもよい。一例として、第2の接合後ウェーハ522の歪みデータは、第3の接合後ウェーハを接合するために使用されるウェーハ接合レシピを最適化するために、測定されてウェーハ処理ツール505に提供される。次いで、第3の接合後ウェーハの歪みデータは、第4の接合後ウェーハを接合するために使用されるウェーハ接合レシピを最適化するために、測定されてウェーハ処理ツール505に提供される、などである。
【0041】
一実施形態では、複数のウェーハ処理ツールがウェーハ融着接合を実行するために使用される状況において、第1の接合後ウェーハ520の歪みデータは、ウェーハ接合レシピを別々に最適化するために、複数のウェーハ処理ツールに提供される。別の実施形態では、複数のウェーハ処理ツールがウェーハ融着接合を実行するために使用される状況において、最適化されたウェーハ接合レシピは、複数のウェーハ処理ツール間で共有される。
【0042】
図6は、本明細書に提示された例示的な実施形態による、第1の例示的なフィードフォワード動作を伴うウェーハ融着接合処理600を示している。
図6に示されるように、ウェーハ処理ツール605は、第1の上部ウェーハ610及び第1の下部ウェーハ615の物理パラメータを使用して、ウェーハ接合レシピ(
図6では「OPTレシピ」として示されている)を最適化する。ウェーハ処理ツール605は、最適化されたウェーハ接合レシピを使用して、第1の上部ウェーハ610及び第1の下部ウェーハ615を接合して、第1接合後ウェーハ620を形成する。第1の上部ウェーハ610及び第1の下部ウェーハ615の物理パラメータは、ウェーハ接合レシピを最適化するために利用可能な時間を最大化するために、ウェーハ接合レシピの最適化に使用される前に測定され得る。一例として、物理パラメータ測定は、ウェーハがウェーハ製造施設に受け取られるときに行われ(場合によっては、それらが実際に接合される前にかなりの時間がかかる)、測定値はデータベースに記憶される。別の例として、物理パラメータの測定は、ウェーハがウェーハ接合ツールにロードされるときに行われ、測定値はデータベースに記憶される。一実施形態では、後続の上部ウェーハ(例えば、第2の上部ウェーハ612及びN番目の上部ウェーハ614)は、最適化されたウェーハ接合レシピに従って後続の下部ウェーハ(例えば、第2の下部ウェーハ617及びN番目の下部ウェーハ619)に接合されて、後続の接合後ウェーハ(例えば、第2の接合後ウェーハ622及びN番目の接合後ウェーハ624)を生成する。ウェーハ融着接合処理600の利点は、(ウェーハロット内で)全てのウェーハが、同じウェーハロットに見られる比較的に小さな変動に対して最適化されたウェーハ融着レシピを使用して接合されることである。
【0043】
一実施形態では、2つの接合前ウェーハのうちの1枚がパターン化されている(例えば、上部ウェーハがパターン化されており、下部ウェーハがキャリアウェーハであるか、又は下部ウェーハがパターン化されており、上部ウェーハがキャリアウェーハである)状況において、パターン化されたウェーハの物理パラメータのみが、ウェーハ接合レシピを最適化するために使用される。一例として、上部ウェーハがパターン化されており、下部ウェーハがキャリアウェーハである状況では、ウェーハ処理ツール605は、第1の上部ウェーハ610と第1の下部ウェーハ615とを接合するために使用されるウェーハ接合レシピを最適化するために、第1の上部ウェーハ610の物理パラメータを使用する。別の例として、下部ウェーハがパターン化されており、上部ウェーハがキャリアウェーハである状況では、ウェーハ処理ツール605は、第1の上部ウェーハ610と第1の下部ウェーハ615とを接合するために使用されるウェーハ接合レシピを最適化するために、第1の下部ウェーハ615の物理パラメータを使用する。
【0044】
一実施形態では、複数のウェーハ処理ツールがウェーハ融着接合を実行するために使用される状況において、第1の上部ウェーハ610及び第1の下部ウェーハ615の物理パラメータは、ウェーハ融着レシピを別々に最適化するために、複数のウェーハ処理ツールに提供される。別の実施形態では、複数のウェーハ処理ツールがウェーハ融着接合を実行するために使用される状況において、最適化されたウェーハ接合レシピは、複数のウェーハ処理ツール間で共有される。
【0045】
図7は、本明細書に提示された例示的な実施形態による、第2の例示的なフィードフォワード動作を伴うウェーハ融着接合処理700を示している。
図7に示されるように、ウェーハ処理ツール705は、第1の上部ウェーハ710及び第1の下部ウェーハ715の物理パラメータを使用して、ウェーハ接合レシピ(
図7では「OPTレシピ1」として示されている)を最適化する。ウェーハ処理ツール705は、最適化されたウェーハ接合レシピを使用して、第1の上部ウェーハ710及び第1の下部ウェーハ715を接合して、第1接合後ウェーハ720を形成する。第1の上部ウェーハ710及び第1の下部ウェーハ715の物理パラメータは、ウェーハ接合レシピを最適化するために利用可能な時間を最大化するために、ウェーハ接合レシピの最適化に使用される前に測定され得る。一例として、物理パラメータ測定は、ウェーハがウェーハ製造施設に受け取られるときに行われ(場合によっては、それらが実際に接合される前にかなりの時間がかかる)、測定値はデータベースに記憶される。別の例として、物理パラメータの測定は、ウェーハがウェーハ接合ツールにロードされるときに行われ、測定値はデータベースに記憶される。後続の上部ウェーハ及び後続の下部ウェーハの物理パラメータは、後続の接合後ウェーハを接合するために使用されるウェーハ接合レシピを最適化するために使用される。一例として、第2の上部ウェーハ712及び第2の下部ウェーハ717の物理パラメータは、第2の接合後ウェーハ722を接合するために使用されるウェーハ接合レシピを最適化するために使用される。同様に、N番目の上部ウェーハ714及びN番目の下部ウェーハ719の物理パラメータは、N番目の接合後ウェーハ724を接合するために使用されるウェーハ接合レシピを最適化するために使用される。ウェーハ融着接合処理700の利点は、ウェーハ接合レシピが、ウェーハロットに関係なく、接合されるウェーハに対して個別に最適化されることである。
【0046】
一実施形態では、2つの接合前ウェーハのうちの1枚がパターン化されている(例えば、上部ウェーハがパターン化されており、下部ウェーハがキャリアウェーハである)状況において、パターン化されたウェーハの物理パラメータのみが、ウェーハ接合レシピを最適化するために使用される。一例として、ウェーハ処理ツール705は、第1の上部ウェーハ710と第1の下部ウェーハ715とを接合するために使用されるウェーハ接合レシピを最適化するために、第1の上部ウェーハ710の物理パラメータを使用する。
【0047】
一実施形態では、ウェーハ接合レシピのフィードフォワード最適化及びフィードバック最適化の組み合わせが使用される。そのような実施形態では、接合前ウェーハの物理パラメータ及び接合後ウェーハの歪みデータの両方が、ウェーハ接合レシピを最適化するために使用される。
【0048】
図8は、本明細書に提示される例示的な実施形態による、ウェーハ接合レシピのフィードフォワード最適化を伴うウェーハ接合処理において生じる例示的な動作800のフロー図を示している。動作800は、ウェーハ処理ツールがウェーハ接合レシピのフィードフォワード最適化を伴うウェーハ接合処理を使用してウェーハを接合するときに、ウェーハ処理ツールにおいて生じる動作を示し得る。動作800は、ウェーハ融着接合処理600及び700を説明するものであり得る。
【0049】
動作800は、ウェーハ接合処理のモデルの作成から開始する(ブロック805)。ウェーハ接合処理のモデルは、接合前ウェーハの物理パラメータ、並びにウェーハ接合処理の処理条件を考慮し、それらを接合後ウェーハのシミュレーションされた歪みに関連付ける、ウェーハ接合処理の数学的モデルである。ウェーハ接合処理のモデルは、有限要素解析、線形回帰、ランダムフォレストアルゴリズム、遺伝的プログラミングアルゴリズム、パターン検索アルゴリズム、ニューラルネットワークアルゴリズム、ディープラーニングアルゴリズムなどの任意の組み合わせを利用して、接合後ウェーハのシミュレーションされた歪みを接合前ウェーハの物理パラメータ及びウェーハ接合処理の処理条件に関連付けることができる。一実施形態では、モデルは、ウェーハ処理ツールによってアプリオリに作成され、メモリに記憶される。一実施形態では、モデルは、ウェーハの接合に直接関与しないツールによって作成され、次いでウェーハ処理ツールに提供される。モデルを作成するために使用され得るいくつかの手法の詳細な説明を以下に提供する。
【0050】
ウェーハ接合処理の処理条件には、前洗浄時間、前洗浄液の化学組成、上部ウェーハチャックの温度、下部ウェーハチャックの温度、プラズマ前処理時間、プラズマ前処理電力、ウェーハアイドル時間、接合時間、接合初期力、チャンバ雰囲気圧力、チャンバ平均温度、チャンバ湿度、チャンバ雰囲気ガス組成、下部ウェーハチャック真空圧力、下部ウェーハチャック真空ゾーン、上部ウェーハチャック真空オン/オフ時間、上部ウェーハチャック高さ変動、下部ウェーハチャック高さ変動、接合ギャップ、前チャックウェーハ温度、チャック高さなどが含まれ得る。ウェーハ接合処理のモデルは、上記に列挙された処理条件の一部又は全部を考慮することができる。
【0051】
ウェーハ処理ツールは、入ってくる上部ウェーハを測定する(ブロック807)。ウェーハ処理ツールは、表面形状測定装置などの様々な計測ツールのいずれか、又はスキャナを使用して上部ウェーハを測定することができる。上部ウェーハの測定は、上部ウェーハの物理パラメータ(ウェーハ形状データなど)を提供する。ウェーハ処理ツールは、任意選択的に、入ってくる下部ウェーハを測定する(ブロック809)。入ってくる下部ウェーハの測定は、上述の上部ウェーハの測定と同様の処理に従うことができる。入ってくる下部ウェーハがキャリアウェーハである(すなわち、下部ウェーハがパターン化されていない)状況では、下部ウェーハの物理パラメータの接合後ウェーハの歪みに対して与える影響は、パターン化されたウェーハ(例えば、入ってくる上部ウェーハ)の影響と比較して軽微であり得る。したがって、下部ウェーハを測定する必要はない場合がある。しかしながら、両方のウェーハがパターン化されている場合、入ってくる下部ウェーハを測定する必要がある。入ってくるウェーハの歪みはまた、入ってくるウェーハの測定値から取得される(ブロック811)。ウェーハの歪みは、例えば、ウェーハ接合処理のモデルの作成中に使用されるのと同じ技法を使用して取得され得る。フィンガープリント係数はまた、例えば、ウェーハ接合処理のモデルを作成するために以下で詳細に説明するのと同じ技法を使用して、ウェーハに対して取得することができる。
【0052】
入ってくる上部ウェーハと入ってくる下部ウェーハとを接合するためのウェーハ接合レシピが生成される(ブロック813)。ウェーハ接合レシピは、入ってくる上部ウェーハと入ってくる下部ウェーハ(任意選択的)の物理パラメータ、及び接合後ウェーハの接合後歪み閾値に従って生成される。ウェーハ接合レシピは、例えば、ブロック805で作成されたウェーハ接合処理のモデルを使用して生成される。一実施形態では、ウェーハ接合レシピは、入ってくる上部ウェーハ及び入ってくる下部ウェーハ(任意選択的)の物理パラメータ、及び初期ウェーハ接合レシピ(例えば、ウェーハ接合処理のPORウェーハ接合レシピ)の処理条件に基づいて、ウェーハ接合レシピを最適化することによって生成される。一例として、推定された接合後歪みが接合後歪み閾値よりも小さくなるポイントまで処理条件を調整することによって、ウェーハ接合レシピが最適化される。最適化アルゴリズムは、線形計画法アルゴリズム、遺伝的アルゴリズム、ランダムフォレストアルゴリズム、回帰アルゴリズム、又は他の技法であり得る。
【0053】
最適化された処理条件を含む最適化されたウェーハ接合レシピは、ウェーハ処理ツールが、入ってくる接合前ウェーハ対に対してウェーハ接合処理を実行するための命令である。最適化された処理条件には、前洗浄時間、前洗浄液の化学組成、上部ウェーハチャックの温度、下部ウェーハチャックの温度、プラズマ前処理時間、プラズマ前処理電力、ウェーハアイドル時間、接合時間、接合初期力、チャンバ雰囲気圧力、チャンバ平均温度、チャンバ湿度、チャンバ雰囲気ガス組成、下部ウェーハチャック真空圧力、下部ウェーハチャック真空ゾーン、上部ウェーハチャック真空オン/オフ時間、
上部ウェーハチャック高さ変動、下部ウェーハチャック高さ変動、接合ギャップ、前チャックウェーハ温度、チャック高さなどが含まれ得る。
【0054】
一実施形態では、ウェーハ接合処理のモデルは、入ってくる上部ウェーハ及び入ってくる下部ウェーハの物理パラメータ(任意選択的)及び初期ウェーハ接合レシピ(例えば、PORウェーハ接合レシピ)を用いて、接合後ウェーハの接合後歪みを推定するために使用される。推定された接合後歪みが接合後歪みの閾値を満たす場合、初期ウェーハ接合レシピが、入ってくる上部ウェーハと入ってくる接合ウェーハを接合するためのウェーハ接合レシピとして選択される。推定された接合後歪みが接合後歪みの閾値を満たさない場合、ウェーハ処理ツールは、ウェーハ接合レシピの1つ以上の処理条件を変更し、接合後歪みを再推定する。反復処理では、ウェーハ処理ツールは、推定された接合後歪みが接合後歪み閾値を満たすまで(又は、例えば、指定された反復回数が満たされるまで)、処理条件を変更し続けることができる。
【0055】
一実施形態では、推定された接合後歪みが接合後歪み閾値を満たす結果となる第1のウェーハ接合レシピは、入ってくるウェーハを接合するために使用されるウェーハ接合レシピである。一実施形態では、複数のウェーハ接合レシピが接合後歪み閾値を満たす推定された接合後歪みをもたらす状況において、複数のウェーハ接合レシピのうち、処理条件変更回数が最も少ない(又は処理条件の変更量が最も少ない、処理条件変更が最も実施しやすいなど)ウェーハ接合レシピが、入ってくるウェーハの接合に使用されるウェーハ接合レシピとなる。一例として、2枚のウェーハ接合レシピの推定された接合後歪みがほぼ等しい場合、最も実施しやすい処理条件の変更(例えば、変更回数が最も少ない、変更量が最も少ない、処理条件変更が最も容易など)を伴うウェーハ接合レシピが、入ってくるウェーハの接合に使用されるウェーハ接合レシピとなる。
【0056】
ウェーハ処理ツールは、入ってくる上部ウェーハと入ってくる下部ウェーハとを接合する(ブロック815)。ウェーハ処理ツールは、例えば、ブロック813で生成されたウェーハ接合レシピを使用して、入ってくるウェーハを接合する。
【0057】
接合すべき更なるウェーハが存在するかどうかを判定するためのチェックが実行される(ブロック819)。接合すべき追加のウェーハが存在する場合、別のチェックを実行して、追加のウェーハが以前に接合されたウェーハと同じウェーハロットからのものであるかどうかを判定する(ブロック821)。同じロット比較は、例えば、ブロック813で生成されたウェーハ接合レシピに関連付けられたウェーハロットを、入ってくるウェーハ対のウェーハロットと比較することによって実行され得る。このチェックは、ウェーハ接合レシピを再最適化する必要があるかどうかを判定する際に有用であり得る。前述のように、ロット内変動は、ロット間変動よりも大幅に小さい。追加のウェーハが同じウェーハロットからのものである場合、ウェーハ接合レシピを再度最適化する必要はない場合がある。接合すべき追加のウェーハが存在しない場合、ウェーハ処理ツールは、ウェーハ接合処理を停止し、場合によっては、接合後ウェーハに対して追加の処理を実行することができる(ブロック829)。接合後ウェーハの追加の処理には、接合後ウェーハをアニールすることを含み得、これは、接合後ウェーハのウェーハ間の接合を強化するために、指定時間に対して高温で接合後ウェーハを保持することを伴う。
【0058】
追加のウェーハが同じウェーハロットからのものである場合、ブロック813において生成された同じウェーハ接合レシピが追加のウェーハを接合するために使用され得る。ウェーハ処理ツールは、ブロック815に戻って、別の入ってくるウェーハ対を接合する(1点破線823として示されている)。ウェーハ処理ツールは、同じウェーハ接合レシピを使用して、この入ってくるウェーハ対を接合する。ウェーハ処理ツールがブロック815に戻って、その入ってくるウェーハ対の測定を行うことなく、又は場合によってはウェーハ接合レシピを更新しながら、別の入ってくるウェーハ対を接合するときに示される動作は、
図6に示されるウェーハ融着接合処理の一例である。
【0059】
ウェーハ接合レシピの再最適化は、同じウェーハロットに対して必要ない場合があるが、各入ってくるウェーハ対に対してウェーハ接合レシピを再最適化することは依然として可能である。そのような状況では、ウェーハ処理ツールは、ブロック807に戻って入ってくるウェーハを測定し、歪みを取得し、別のウェーハ接合レシピを生成して、入ってくるウェーハを接合する(2点破線825として示されている)。ウェーハ処理ツールがブロック807に戻って、その入ってくるウェーハ対の測定を行い、且つ場合によってはウェーハ接合レシピを更新しながら、別の入ってくるウェーハ対を接合するときに示される動作は、
図7に示されるウェーハ融着接合処理の一例である。1つの実際的な実装態様では、ウェーハ測定は、ウェーハがウェーハ処理ツールに入る前、例えば、前のステップを受けるとき又はその前に、各ウェーハ対に対して実行され得る。これにより、最適化された処理レシピを生成するための追加の時間を提供することができる。そのような場合、モデルは、実行される処理ステップによって導入される追加の歪みをオフセットするための補正を含み得る。
【0060】
追加のウェーハが同じウェーハロットからのものではない場合、ブロック813において生成された同じウェーハ接合レシピは、接合後歪み閾値を満たす接合後歪みを用いてウェーハを接合することができない場合がある。ウェーハ接合レシピは、追加のウェーハの物理パラメータを用いて再生成されるべきである。ウェーハ処理ツールは、ブロック807に戻って入ってくるウェーハを測定し、歪みを取得し、別のウェーハ接合レシピを生成し、入ってくるウェーハを接合する(実線827として示されている)。
【0061】
一実施形態では、最適化されたウェーハ接合レシピを利用して接合される接合後ウェーハの測定値が使用されて、ウェーハ接合処理のモデルを改良することが、モデルの推定精度を向上するのに役立つ。モデルの改良は、
図9又は
図10に示される技術、又はいくつかの他の技法に従うことができる。
【0062】
図9Aは、本明細書に提示される例示的な実施形態に従って半経験的モデル化で強化された有限要素モデル化(FEM)技法を使用してウェーハ接合処理のモデルを作成する、第1の例示的な処理900のフロー図を示している。処理900は、半経験的モデル化で強化されたFEM技法を使用してウェーハ接合処理のモデルを作成するときに、ウェーハ処理ツール又はモデル作成専用のツールなどのツールにおいて生じる動作を示すことができる。一実施形態では、FEM技法は、広範囲の入ってくるウェーハの物理的特性及びウェーハ接合レシピの処理条件にわたって、ウェーハ接合処理をシミュレーションするために使用される。例えば、異なる形状プロファイルを有するウェーハは、次いでウェーハ接合処理のモデルで表現され得る特定のパターン及び/又は挙動を取得するためにシミュレーションされ得る。FEMシミュレーションは、通常、有限要素解析技法を用いて、ウェーハの2D(2次元)又は3D(3次元)表現を使用して、応力-歪み方程式を解く。1つの実際的な実装態様では、ウェーハ測定は、ウェーハがウェーハ処理ツールに入る前、例えば、前のステップを受けるとき又はその前に、各ウェーハ対に対して実行され得る。これにより、最適化された処理レシピを生成するための追加の時間が提供され得る。そのような場合、モデルは、実行される処理ステップによって導入される追加の歪みをオフセットするための補正を含み得る。加えて、並行して行われるFEMシミュレーションはまた、ウェーハ接合処理中にシステムの応力-歪みを変化させる他の物理的処理をシミュレーションすることができる。いくつかの例には、ウェーハ内の反応、応力を変化させる材料のリフロー、ウェーハ内の異なる材料層からのガス放出などが含まれる。
【0063】
一実施形態では、FEM技法を使用して生成されたデータを使用してモデルを作成及び改良するために、半経験的モデル化が利用される。処理900は、
図8のブロック805の例示的な実装形態であり得る。
【0064】
処理900は、接合前ウェーハの物理的特性及びウェーハ接合レシピの処理条件から開始する(ブロック905)。接合前ウェーハの物理的特性及びウェーハ接合レシピの処理条件は、ウェーハ接合処理のシミュレーションに対する入力であり得る。入力は、ウェーハ接合処理に含まれる物理量のFEMシミュレーションに提供される(ブロック907)。FEMシミュレーションは、入力(すなわち、接合前ウェーハの物理的特性、並びに印加圧力及び温度などのウェーハ接合レシピの処理条件)に基づいて、シミュレーションされた接合後ウェーハを生成する。FEMシミュレーションは、シミュレーションされた接合後ウェーハを生成する(ブロック907)。シミュレーションされた接合後ウェーハのシミュレーションされた歪みデータが判定され得る。
【0065】
FEMシミュレーションは、ウェーハ接合に関与する物理量を使用して、入力(すなわち、接合前ウェーハの物理的特性、並びに印加圧力及び温度などのウェーハ接合レシピの処理条件)から出力(すなわち、接合後ウェーハの変形データ)をシミュレーションすることができるが、FEMシミュレーションには計算量が集中する場合がある。したがって、FEMシミュレーションは、実際のウェーハ接合の展開において直接的に使用され得るが、特定の実施形態では、半経験的モデルを使用してもよい。一実施形態では、半経験的モデル化は、ウェーハ接合処理のモデルの作成に関連する計算要件の低減を支援するために使用される。
【0066】
入力及び出力が、半経験的モデル化処理に提供され得る(ブロック911)。入力は、広範囲の接合前ウェーハ及びウェーハロット、並びに、広範囲の処理条件又はウェーハ接合レシピであってよく、出力は、入力に従って接合されたシミュレーションされた接合後ウェーハのシミュレーションされた歪みデータである。半経験的モデル化処理は、入力と出力の間の関係を判定するために使用される。言い換えれば、半経験的モデル化処理は、経験的データ(入力及び出力)を利用して、ウェーハ接合処理のモデルを開発する。半経験的モデル化処理は、ウェーハ接合処理のモデルを出力する。半経験的モデル化処理は、最適化技術、検索技術、アニール技術、(ニューラルネットワーク技術、ディープラーニング技術、回帰技術、分類技術、クラスタリング技術、次元削減技術、アンサンブル法、転移学習技術、強化学習技術などを含むがこれらに限定されない)機械学習技術、などの様々な技術のうちのいずれかを使用することができる。
【0067】
一実施形態では、実際のデータ(例えば、接合前ウェーハの実際の物理的特性、ウェーハ接合レシピの処理条件、及びウェーハ接合レシピを使用して接合された接合後ウェーハの実際の歪み)もまた半経験モデル化処理に提供されて、ウェーハ接合処理のモデルを更に改良するのに役立てられる。
【0068】
図9Bは、本明細書に提示される例示的な実施形態による半経験的モデル化及び較正で強化されたFEM技法を使用してウェーハ接合処理のモデルを作成する際の第2の例示的な処理950のフロー図を示している。較正は、例えば、前洗浄時間、又はアニール前のブロック815においてウェーハが一緒に保持される又は時間、又はアニール時間など、FEMシミュレーションにおいて考慮することが困難であり得るパラメータを考慮するためにモデルを改良するのに役立ち得る。加えて、プロセスノブの多くが同様にモデル化され得、例えば、上部ウェーハチャック位置及び下部ウェーハチャック位置が独立して制御され得るが、物理モデルが相対距離のみを使用するときに同様にモデル化されてもよい。したがって、様々な処理条件をモデルと結びつけるために較正が必要となり得る。
【0069】
更に、較正を半経験的モデル化に関して以下に説明するが、半経験的モデルなしでFEMシミュレーションが直接用いられる場合にも、同様の手法を使用することができる。
【0070】
処理950は、半経験的モデル化で強化されたFEM技法を使用してウェーハ接合処理のモデルを作成するときに、ウェーハ処理ツール又はモデル作成専用のツールなどのツールにおいて生じる動作を示すことができる。加えて、較正を使用して、ウェーハ接合処理のモデルに対する異なる処理パラメータの寄与及び影響を判定することができる。処理950は、
図8のブロック805の例示的な実装形態であり得る。
【0071】
図9Bに示されるように、半経験的モデル化で強化されたFEM技法を使用して、ウェーハ接合処理のモデルが作成される(ブロック955)。モデルは、接合前ウェーハの物理的特性及びウェーハ接合レシピの処理条件に基づいて作成され得る。
図9Aの処理900は、ブロック955の一例であり得る。
【0072】
モデルが作成された後、又はモデルが作成されているときに、較正が実行され得る(ブロック957)。較正は、ウェーハ接合レシピの1つ以上の処理条件を所定の値に設定し、次いで較正された処理条件に従って出力をシミュレーションすることを含み得る。較正を使用して、接合後ウェーハの歪みに対する個別の処理条件の影響又は寄与を判定することができる。一例として、処理条件の残りを一定に保ったまま、1つの処理条件を変更し、その処理条件を使用して、結果として得られる接合後ウェーハがシミュレーションされる。ウェーハ接合処理のモデルは、シミュレーションされた結果に従って改良され得る。
【0073】
図10は、本明細書に提示される例示的な実施形態による、フィンガープリント関数を使用したウェーハ接合処理のモデルの作成において生じる例示的な動作1000のフロー図を示している。動作1000は、ツールがフィンガープリント関数を使用してウェーハ接合処理のモデルを作成するときに、ウェーハ処理ツール又はモデル作成専用ツールなどのツールにおいて生じる動作を示すことができる。動作1000は、
図8のブロック805の例示的な実装形態であり得る。
【0074】
動作1000は、物理パラメータを取得するためにウェーハを測定することから開始する(ブロック1005)。測定されたウェーハには、接合前ウェーハ(すなわち、上部ウェーハ及び下部ウェーハ)が含まれる。ウェーハは、計測ツール(表面形状測定装置、スキャナなど)を使用して測定され得る。上部ウェーハ及び下部ウェーハの両方がパターン化されている状況では、両方のウェーハを測定する必要がある。1枚のウェーハのみがパターン化されている状況では、パターン化されていないウェーハを測定する必要はない場合がある。測定は、複数の接合前ウェーハに対して行われる。一例として、異なるロットからの上部及び下部ウェーハが測定される。ウェーハの測定値から、歪みが取得される(ブロック1007)。歪みは、例えば、幾何学的計算によってウェーハの測定値から導出され得る。
【0075】
フィンガープリント関数が、歪みに適合される(ブロック1009)。一般に、フィンガープリント関数は、測定値の空間情報を保持するそれぞれの指標の数学的モデルである。フィンガープリント関数の歪みへの適合は、指定された閾値内に歪みを適合させるためにフィンガープリント関数のパラメータを選択及び調整するための分析(回帰分析など)を伴い得る。一例として、歪みは、多項式(例えば、ゼルニケ多項式)又は関数(例えば、フーリエ級数若しくはベッセル関数)などの、フィンガープリント関数の有限系列として数学的に表現され得る。各多項式又は関数は、歪みに適合するように調整され得る適合パラメータである、それぞれの係数によって重み付けされる。適合された係数は、特定のウェーハに対する歪みの固有の傾向を表す。一実施形態では、フィンガープリント関数は、ウェーハ(例えば、接合前ウェーハ及び接合後ウェーハ)の歪みに適合される。
【0076】
フィンガープリント関数の適合された係数は、ウェーハ接合処理の処理条件の関数として適合される(ブロック1011)。ウェーハ接合処理のモデルは、フィンガープリント関数の適合された係数を、ウェーハを接合するために使用されるウェーハ接合処理の処理条件、並びに接合後ウェーハの歪みの関数として適合することによって作成され得る(これもフィンガープリント係数に変換される)。関数は、先に説明した処理条件のうちの1つ以上を用いた、線形、2次、指数、又は他の非線形形式であってもよい。また、関数は、処理条件のうちの2つ以上が、線形、2次、指数、又は他の非線形形式、方法で互いに相互作用する項を含んでもよい。関数の正確な形式は、例えば、線形回帰、ランダムフォレスト、遺伝的プログラミング、パターン検索、ニューラルネットワーク、ディープラーニングなどのコンピュータアルゴリズムによって判定され得る。このモデルは、データベースの範囲内である任意の処理条件、及び接合前ウェーハの物理パラメータを使用することによって、接合後ウェーハ歪みが推定され得るように構築される。ウェーハ接合処理の処理条件及び接合前ウェーハの特性に応じて接合後ウェーハの歪みを推定するウェーハ接合処理のモデルの能力により、接合前ウェーハ対の接合前のウェーハ接合レシピの最適化を可能にする。フィンガープリント関数及びその使用の詳細な説明は、2019年10月28日に出願された、「Systems and Methods for Manufacturing Microelectronic Devices」と題する、共有の米国特許出願第16/666087号明細書に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
図11は、本明細書に提示される例示的な実施形態による、ウェーハ接合レシピのフィードフォワードベースの最適化を伴うウェーハ接合レシピの生成において生じる動作1100のフロー図を示している。動作1100は、ウェーハ処理ツールがウェーハ接合レシピのフィードフォワードベースの最適化を用いてウェーハ接合レシピを生成するときに、ウェーハ処理ツールにおいて生じる動作を示すことができる。動作1100は、
図8のブロック813の例示的な実装形態であり得る。
【0078】
動作1100は、ウェーハ処理ツールのブロック805のモデルから開始し、初期ウェーハ接合レシピを使用して接合された接合後ウェーハの接合後歪みを推定する(ブロック1105)。
図8のブロック807、809、811に記載されているように、接合後ウェーハの接合後歪みは、入ってくるウェーハの物理パラメータ及び初期ウェーハ接合レシピ(例えば、PORウェーハ接合レシピ)の処理条件を使用して推定される。
【0079】
接合後ウェーハの推定された接合後歪みが接合後歪み閾値を満たすかどうかを判定するためのチェックが実行される(ブロック1107)。推定された接合後歪みが接合後歪み閾値を満たす場合、ウェーハ処理ツールは、ウェーハ接合レシピを作成する(ブロック1109)。ウェーハ接合レシピは、ブロック1105の推定において使用されたウェーハ接合レシピの処理条件から作成される。ウェーハ接合レシピには、初期ウェーハ接合レシピの処理条件への変更が含まれる。
【0080】
接合後ウェーハの推定された接合後歪みが接合後歪み閾値を満たさない場合、ウェーハ接合レシピの1つ以上の処理条件に変更が加えられる(ブロック1111)。1つ以上の処理条件の選択は、推定された接合後歪みが接合後歪みの閾値を満たすことからどれくらい離れているか、処理条件が接合後歪みに与える影響、処理条件の変更の容易さ、などの要因に基づき得る。一例として、推定された接合後歪みが接合後歪み閾値を満たすことに近い場合、変更される1つ以上の処理条件は、変更しやすく、且つ推定された接合後歪みを細粒状に変化させることが示されている処理条件であってもよく、推定された接合後歪みが接合後歪み閾値を満たすことから遠い場合、変更される1つ以上の処理条件は、推定された接合後歪みを粗粒状の変化させることが示されている処理条件であってもよい(例えば、場合によっては、推定された接合後歪みが接合後歪みの閾値を満たす前にウェーハ接合レシピが変更される回数を減少させるために)。別の例として、いくつかの処理条件は、変更がより容易である。例えば、ウェーハチャック温度は、前洗浄液の化学組成よりも変更させやすい場合がある。したがって、そのような処理条件は、より変更させやすい実現可能な候補となる。
【0081】
ウェーハ接合レシピの例示的な変更には、以下の処理条件のうちのいずれか1つ以上の変更が含まれ得る。前洗浄時間、前洗浄液の化学組成、上部ウェーハチャックの温度、下部ウェーハチャックの温度、プラズマ前処理時間、プラズマ前処理電力、ウェーハアイドル時間、接合時間、接合初期力、チャンバ雰囲気圧力、チャンバ平均温度、チャンバ湿度、チャンバ雰囲気ガス組成、下部ウェーハチャック真空圧力、下部ウェーハチャック真空ゾーン、上部ウェーハチャック真空オン/オフ時間、上部ウェーハチャック高さ変動、下部ウェーハチャック高さ変動、接合ギャップ、前チャックウェーハ温度、チャック高さ、など。ウェーハ処理ツールは、ブロック1105に戻って、変更されたウェーハ接合レシピに従って接合された接合後ウェーハの接合後歪みを再推定する。
【0082】
図12は、本明細書に提示される例示的な実施形態によるウェーハ接合レシピのフィードバック最適化を伴うウェーハ接合処理において生じる例示的な動作1200のフロー図を示している。動作1200は、ウェーハ処理ツールがウェーハ接合レシピのフィードバック最適化を伴うウェーハ接合処理を使用してウェーハを接合するときに、ウェーハ処理ツールにおいて生じる動作を示すことができる。動作1200は、ウェーハ融着接合処理500を説明するものであり得る。
【0083】
動作1200は、ウェーハ接合処理のモデルの作成から開始する(ブロック1205)。ウェーハ接合処理のモデルは、接合後ウェーハの測定値及びウェーハ接合レシピの処理条件に基づいて作成され得る。ウェーハ接合処理のモデルは、有限要素解析、線形回帰、ランダムフォレストアルゴリズム、遺伝的プログラミングアルゴリズム、パターン検索アルゴリズム、ニューラルネットワークアルゴリズム、ディープラーニングアルゴリズムなどの任意の組み合わせを利用して、接合後ウェーハの歪みをウェーハ接合レシピの処理条件と関連付けることができる。一実施形態では、モデルは、ウェーハ処理ツールによってアプリオリに作成され、メモリに記憶される。一実施形態では、モデルは、ウェーハの接合に直接関与しないツールによって作成され、次いでウェーハ処理ツールに提供される。モデルを作成するために使用され得る例示的な手法の詳細な説明を以下に提供する。
【0084】
ウェーハ処理ツールは、入ってくる上部ウェーハと入ってくる下部ウェーハとを接合する(ブロック1207)。一実施形態では、ウェーハ処理ツールは、例えば、PORウェーハ接合レシピを使用して、入ってくる上部ウェーハと下部ウェーハとを接合する。別の実施形態では、ウェーハ処理ツールは、同じ設計のウェーハを接合するために使用される最新のウェーハ接合レシピを使用して、入ってくる上部ウェーハと下部ウェーハとを接合する。接合されているウェーハは、同じロットからのものであってもよく、又は最新のウェーハ接合レシピを使用して接合された異なるロットからのものであってもよい。ウェーハ処理ツールは、接合後ウェーハを測定する(ブロック1209)。一例として、接合後ウェーハの歪みが測定される。接合後ウェーハの測定は、スキャナなどの計測ツールを使用して実行され得る。
【0085】
ウェーハ接合レシピが生成される(ブロック1215)。ウェーハ接合レシピは、接合後ウェーハの測定値(例えば歪み)に従って生成される。ウェーハ接合レシピは、例えば、ブロック1205で作成されたウェーハ接合処理のモデルを使用して生成される。一実施形態では、ウェーハ接合レシピは、接合後ウェーハの歪み、及び初期ウェーハ接合レシピ(例えば、ウェーハ接合処理のPORウェーハ接合レシピ)の処理条件に基づいて、ウェーハ接合レシピを最適化することによって生成される。一例として、推定された接合後歪みが接合後歪み閾値よりも小さくなるポイントまで処理条件を調整することによって、ウェーハ接合レシピが最適化される。最適化アルゴリズムは、線形計画法アルゴリズム、遺伝的アルゴリズム、ランダムフォレストアルゴリズム、回帰アルゴリズム、又は他の手法であり得る。
【0086】
ウェーハ処理ツールは、入ってくるウェーハ対を接合する(ブロック1217)。入ってくるウェーハ対は、ブロック1215で生成されたウェーハ接合レシピに従って接合される。
【0087】
接合すべき更なるウェーハが存在するかどうかを判定するためのチェックが実行される(ブロック1221)。接合すべき追加のウェーハが存在する場合、別のチェックを実行して、追加のウェーハが以前に接合されたウェーハと同じウェーハロットからのものであるかどうかを判定する(ブロック1223)。同じロット比較は、例えば、ブロック1215で生成されたウェーハ接合レシピに関連付けられたウェーハロットを、入ってくるウェーハ対のウェーハロットと比較することによって実行され得る。このチェックは、ウェーハ接合レシピを再最適化する必要があるかどうかを判定する際に有用であり得る。前述のように、ロット内変動は、ロット間変動よりも大幅に小さい。
【0088】
追加のウェーハが同じウェーハロットからのものである場合、ウェーハ接合レシピを再度最適化する必要はない場合がある。そのような状況では、ウェーハ処理ツールは、ブロック1217に戻って入ってくるウェーハ対を接合する(線1225として示されている)。一実施形態では、たとえ追加のウェーハが同じウェーハロットからのものであっても、ウェーハ接合レシピは依然として再最適化され得る。この状況では、ウェーハ処理ツールは、ブロック1209に戻って接合後ウェーハの測定を行い、その測定値を使用して、ブロック1215でウェーハ接合レシピを生成する。接合すべき追加のウェーハが存在しない場合、ウェーハ処理ツールは、ウェーハ接合処理を停止し、場合によっては、接合後ウェーハに対して追加の処理を実行することができる(ブロック1229)。接合後ウェーハの追加の処理には、接合後ウェーハをアニールすることを含み得、これは、接合後ウェーハのウェーハ間の接合を強化するために、指定時間に対して高温で接合後ウェーハを保持することを伴う。
【0089】
追加のウェーハが異なるウェーハロットからのものである場合、ウェーハ処理ツールはブロック1207(線1227として示されている)に戻って異なるウェーハロットからの初期ウェーハ対を接合する。異なるウェーハロットからの初期ウェーハ対を含む接合後ウェーハを使用して、異なるウェーハロットからの残りのウェーハを接合する際に使用可能な新しいウェーハ接合レシピを生成することができる。
【0090】
一実施形態では、最適化されたウェーハ接合レシピを利用して接合される接合後ウェーハの測定値が使用されて、ウェーハ接合処理のモデルを改良し、モデルの推定精度を向上させるのに役立つ。
【0091】
図13は、本明細書に提示される例示的な実施形態による、フィードバックデータを使用してウェーハ接合処理のモデルを作成する際の例示的な処理1300のフロー図を示している。処理1300は、ツールがフィードバックデータを使用してウェーハ接合処理のモデルを作成するときに、ウェーハ処理ツール又はモデル作成専用のツールなどのツールにおいて生じる動作を示すことができる。実施形態では、フィンガープリント関数は、接合後ウェーハの歪みデータとウェーハ接合レシピの処理条件との間の関係を判定する際に使用される。フィンガープリントの使用により、各ウェーハに最適化された処理レシピを生成するための計算負荷が有利に低減される。処理1300は、
図12のブロック1205の例示的な実装形態であり得る。
【0092】
処理1300は、接合後ウェーハの測定値(ブロック1305)及びウェーハ接合レシピの処理条件(ブロック1307)などの入力が、フィンガープリント処理(ブロック1309)に提供されることから開始する。接合後ウェーハの歪み測定などの測定は、(特定のウェーハ接合レシピを使用して)接合後、又はアニール後に、接合後ウェーハに対して行うことができる。処理条件は、接合後ウェーハを形成するために使用されるウェーハ接合レシピに対応する。フィンガープリント処理には、フィンガープリント関数を歪み測定値に適合させることを含み得る。前述のように、フィンガープリント関数は、測定値の空間情報を保持するそれぞれの指標の数学的モデルである。適合された係数は、特定の接合後ウェーハに対する歪みの固有の傾向を表している。一実施形態では、フィンガープリント関数は、接合後ウェーハの歪みに適合される。
【0093】
フィンガープリント関数の適合された係数は、モデル化処理に提供されて、ウェーハ接合処理のモデルを作成する(ブロック1311)。フィンガープリント関数の適合された係数は、ウェーハ接合処理の処理条件の関数として適合され得る。ウェーハ接合処理のモデルは、フィンガープリント関数の適合された係数を、ウェーハを接合するために使用されるウェーハ接合処理の処理条件、並びに接合後ウェーハの歪みの関数として適合することによって作成され得る。関数は、先に説明した処理条件のうちの1つ以上を用いた、線形、2次、指数、又は他の非線形形式であってもよい。また、関数は、処理条件のうちの2つ以上が、線形、2次、指数、又は他の非線形形式、方法で互いに相互作用する項を含んでもよい。関数の正確な形式は、例えば、線形回帰、ランダムフォレスト、遺伝的プログラミング、パターン検索、ニューラルネットワーク、ディープラーニングなどのコンピュータアルゴリズムによって判定されてもよい。このモデルは、接合後ウェーハの任意の歪みを使用することによって処理条件が推定され得るように構築される。接合後ウェーハの歪みに応じて処理条件を推定するウェーハ接合処理のモデルの能力により、接合後ウェーハの歪み測定値からのウェーハ接合レシピの最適化を可能にする。
【0094】
図14は、本明細書に提示される例示的な実施形態によるウェーハ接合レシピのフィードバックベースの最適化を伴うウェーハ接合レシピの生成において生じる動作1400のフロー図を示している。動作1400は、ウェーハ処理ツールがウェーハ接合レシピのフィードバックベースの最適化を用いてウェーハ接合レシピを生成するときに、ウェーハ処理ツールにおいて生じる動作を示すことができる。動作1400は、
図12のブロック1215の実装形態であり得る。
【0095】
動作1400は、ウェーハ処理ツールが、接合後ウェーハ歪み閾値を満たさない接合後ウェーハの部分を特定することから開始する(ブロック1405)。一例として、接合後ウェーハ歪み閾値を満たさない歪みを有する、特定の接合後ウェーハが与えられると、ウェーハ処理ツールは、接合後ウェーハ歪み閾値を満たさない歪み測定値を有する接合後ウェーハの1つ以上の部分を判定する。一実施形態では、接合後ウェーハの複数の部分の全てが接合後ウェーハの歪み閾値を満たさない状況において、ウェーハ処理ツールは、複数の部分のサブセットを特定し、その特定されたサブセットに対して補正し、その全てが接合後ウェーハ歪み閾値を満たさない接合後ウェーハの複数の部分の全てが対処されるまで、複数の部分の他のサブセットに対して繰り返すことができる。
【0096】
ウェーハ処理ツールは、接合後ウェーハの特定された部分の歪みを変化させる(ブロック1407)。一実施形態では、ウェーハ処理ツールは、接合後ウェーハの特定された部分のみの歪みを変化させる。一実施形態では、ウェーハ処理ツールは、接合後ウェーハの特定された部分だけでなく、接合後ウェーハの隣接する部分及びおそらくは近くの部分の歪みを変化させて、歪みの変化を連続的にする。「近くの部分」の定義は、ウェーハ処理ツールの構成パラメータであり得、場合によっては、最適化の複雑さを接合性能に対してトレードオフする。
【0097】
ウェーハ処理ツールは、歪み測定値を用いて接合後ウェーハを生成するウェーハ接合レシピの処理条件を推定する(ブロック1409)。言い換えれば、ウェーハ処理ツールは、ウェーハ接合処理のモデルを使用して、変化された歪みと一致する測定歪みを有する接合後ウェーハをもたらすことになる処理条件を推定する。ウェーハ処理ツールは、推定された処理条件からウェーハ接合レシピを作成する(ブロック1411)。
【0098】
実施例1.方法であって、ウェーハ接合処理の第1のウェーハ接合レシピ及びモデルを有することであって、モデルが、第2のウェーハに接合される第1のウェーハの物理パラメータを示す入力を含み、第1のウェーハの物理パラメータに少なくとも部分的に基づいてウェーハ接合レシピを出力するよう構成されている、ことと、第1のウェーハの測定値を取得して、第1のウェーハの物理パラメータを取得することと、モデルによって、第1のウェーハの物理パラメータに少なくとも部分的に基づいて第1のウェーハ接合レシピを生成することと、第1のウェーハ接合レシピに従って第1のウェーハを第2のウェーハに接合して、第1の接合後ウェーハを生成することと、を含む、方法。
【0099】
実施例2.第1の接合後ウェーハをアニールして、融着接合ウェーハを生成すること、を更に含む、実施例1に記載の方法。
【0100】
実施例3.第1のウェーハの物理パラメータが、第1のウェーハの面外歪みを含む、実施例1又は2に記載の方法。
【0101】
実施例4.第3のウェーハ及び第4のウェーハの測定値を取得して、第3のウェーハの物理パラメータ及び第4のウェーハの物理パラメータを取得することと、処理条件に従って第3のウェーハ及び第4のウェーハのウェーハ接合をシミュレーションして、シミュレーションされた接合後ウェーハの物理パラメータを推定することと、第3のウェーハの物理パラメータ、第4のウェーハの物理パラメータ、処理条件、及びシミュレーションされた接合後ウェーハの推定された物理パラメータに従って、ウェーハ接合処理のモデルを作成することと、を含む、ウェーハ接合処理のモデルを導出すること、を更に含む、実施例1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施例5.ウェーハ接合処理のモデルを作成することが、第3のウェーハの物理パラメータ、第4のウェーハの物理パラメータ、処理条件、及びシミュレーションされた接合後ウェーハの推定された物理パラメータを比較することと、比較に従って、ウェーハ接合処理のモデルを判定することと、を含む、実施例1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
実施例6.第1のウェーハ接合レシピを生成することが、モデルによって、第1のウェーハの物理パラメータに従って第1の接合後ウェーハの接合後歪みを推定することと、第1のウェーハ接合レシピの処理条件を調整して、第1の接合後ウェーハの推定された接合後歪みを最適化することと、調整された処理条件に従って第1のウェーハ接合レシピを生成することと、を含む、実施例1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
実施例7.第2のウェーハの測定値を取得して、第2のウェーハの物理パラメータを取得することであって、第1のウェーハ接合レシピが、第2のウェーハの物理パラメータに基づいて更に生成される、こと、を更に含む、実施例1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
実施例8.第1のウェーハ接合レシピに従って第3のウェーハを第4のウェーハに接合して、第2の接合後ウェーハを生成すること、を更に含む、実施例1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0106】
実施例9.第1のウェーハ及び第3のウェーハが、第1のウェーハロットの一部であり、第2のウェーハ及び第4のウェーハが、第2のウェーハロットの一部であり、第1のウェーハロット及び第2のウェーハロットが、半導体製造プロセスフローにおいて一緒に処理される、実施例1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
実施例10.方法であって、ウェーハ接合処理のモデルを有することであって、モデルが、第1の接合後ウェーハの物理パラメータを示す入力を含み、第1の接合後ウェーハの物理パラメータに基づいてウェーハ接合レシピを出力するよう構成されている、ことと、ウェーハ接合レシピに従って第1のウェーハを第2のウェーハに接合して、第1の接合後ウェーハを形成することと、第1の接合後ウェーハの測定値を取得して、第1の接合後ウェーハの物理パラメータを取得することと、モデルによって、第1のポスト接合ウェーハの物理パラメータに従って第1のウェーハ接合レシピを生成することと、第1のウェーハ接合レシピに従って第3のウェーハを第4のウェーハに接合して、第2の接合後ウェーハを形成することと、を含む、方法。
【0108】
実施例11.第1の接合後ウェーハをアニールして、第1の融着接合ウェーハを生成することと、第2の接合後ウェーハをアニールして、第2の融着接合ウェーハを生成することと、を更に含む、実施例10に記載の方法。
【0109】
実施例12.測定値を取得することが、第1の接合後ウェーハをスキャンして、第1の接合後ウェーハの物理パラメータを取得することを含む、実施例10又は11に記載の方法。
【0110】
実施例13.第2の接合後ウェーハの測定値を取得して、第2の接合後ウェーハの物理パラメータを取得することと、モデルによって、第2の接合後ウェーハの物理パラメータに従って第2のウェーハ接合レシピを生成することと、第2のウェーハ接合レシピに従って第5のウェーハを第6のウェーハに接合して、第3の接合後ウェーハを形成すること、を更に含む、実施例10~12のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
実施例14.処理システムであって、実行されると、コンピューティングデバイスのプロセッサに、半導体ウェーハ生成処理と連携して動作を実行させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、ウェーハ接合処理の第1のウェーハ接合レシピ及びモデルを有することであって、モデルが、第2のウェーハに接合される第1のウェーハの物理パラメータを示す入力を含み、第1のウェーハの物理パラメータに基づいてウェーハ接合レシピを出力するよう構成されている、ことと、第1のウェーハの測定値を取得して、第1のウェーハの物理パラメータを取得することと、モデルによって、第1のウェーハの物理パラメータに基づいて第1のウェーハ接合レシピを生成することと、第1のウェーハ接合レシピに従って第1のウェーハを第2のウェーハに接合して、第1の接合後ウェーハを生成することと、を含む、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む、処理システム。
【0112】
実施例15.処理チャンバと、処理チャンバ内の基板ホルダであって、第1のウェーハが第2のウェーハに接合されるときに第2のウェーハを機械的に支持するように構成された基板ホルダと、処理チャンバの外部で複数のウェーハを保持するバッチシステムと、を更に含む、実施例14に記載の処理システム。
【0113】
実施例16.命令が、第3のウェーハ及び第4のウェーハの測定値を取得して、第3のウェーハの物理パラメータ及び第4のウェーハの物理パラメータを取得することと、処理条件に従って第3のウェーハ及び第4のウェーハのウェーハ接合をシミュレーションして、シミュレーションされた接合後ウェーハの物理パラメータを推定することと、第3のウェーハの物理パラメータ、第4のウェーハの物理パラメータ、処理条件、及びシミュレーションされた接合後ウェーハの推定された物理パラメータに従って、ウェーハ接合処理のモデルを作成することと、を含む、ウェーハ接合処理のモデルを導出すること、を更に含む、実施例14又は15に記載の処理システム。
【0114】
実施例17.ウェーハ接合処理のモデルを作成することが、第3のウェーハの物理パラメータ、第4のウェーハの物理パラメータ、処理条件、及びシミュレーションされた接合後ウェーハの推定された物理パラメータを比較することと、比較に従って、ウェーハ接合処理のモデルを判定することと、を含む、実施例14~16のいずれか1つに記載の処理システム。
【0115】
実施例18.第1のウェーハ接合レシピを生成することが、モデルによって、第1のウェーハの物理パラメータに従って第1の接合後ウェーハの接合後歪みを推定することと、第1のウェーハ接合レシピの処理条件を調整して、第1の接合後ウェーハの推定された接合後歪みを最適化することと、調整された処理条件に従って第1のウェーハ接合レシピを生成することと、を含む、実施例14~17のいずれか1つに記載の処理システム。
【0116】
実施例19.命令が、第1のウェーハ接合レシピに従って第3のウェーハを第4のウェーハに接合して、第2の接合後ウェーハを生成すること、を更に含む、実施例14~18のいずれか1つに記載の処理システム。
【0117】
実施例20.処理システムが、ウェーハ接合システムを含む、実施例14~19のいずれか1つに記載の処理システム。
【0118】
本発明は、例示的な実施形態を参照して説明されているが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。例示的な実施形態の様々な修正形態及び組み合わせ、並びに本発明の他の実施形態は、本明細書を参照することにより、当業者に明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図される。
【国際調査報告】