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特表2023-539568リピータ欠陥検出のための教師なし学習
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】リピータ欠陥検出のための教師なし学習
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20230908BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023511617
(86)(22)【出願日】2021-08-18
(85)【翻訳文提出日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 US2021046397
(87)【国際公開番号】W WO2022040248
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/068,380
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/184,189
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン ジェン-シアン
(72)【発明者】
【氏名】タイ ブーン キアット
【テーマコード(参考)】
2G051
4M106
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB02
2G051AC21
2G051EB05
2G051EC01
4M106AA01
4M106CA38
4M106DB21
4M106DJ28
(57)【要約】
リピータ欠陥を見つけるために、1つ以上の半導体ウェハについての光学検査結果が得られる。光学検査結果に基づいて、1つ以上の半導体ウェハ上の複数の欠陥が識別される。複数の欠陥のうち、1つ以上の半導体ウェハの複数のダイ上の同一のダイ位置を有する欠陥は、リピータ欠陥として分類される。光学検査結果に基づいて、教師なし機械学習を使用して、リピータ欠陥を複数のクラスタにクラスタリングする。リピータ欠陥をスコア化する。リピータ欠陥をスコア付けすることは、複数のクラスタ内のクラスタがそれぞれのリピータ欠陥の複数のインスタンスを含む度合いに基づいてそれぞれのスコアをそれぞれのリピータ欠陥に割り当てることを含む。リピータ欠陥は、それぞれのスコアに基づいてランク付けされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
1つ以上の半導体ウェハについての光学検査結果を取得するステップと、
前記光学検査結果に基づいて、前記1つ以上の半導体ウェハ上の複数の欠陥を識別するステップと、
前記複数の欠陥のうち、前記1つ以上の半導体ウェハの複数のダイ上の同一のダイ位置を有する欠陥をリピータ欠陥として分類するステップと、
前記光学検査結果に基づいて、教師なし機械学習を使用して、前記リピータ欠陥を複数のクラスタにクラスタリングするステップと、
前記複数のクラスタ内のクラスタがそれぞれの前記リピータ欠陥の複数のインスタンスを含む度合いに基づいてそれぞれのスコアをそれぞれの前記リピータ欠陥に割り当てて、前記リピータ欠陥をスコアリングするステップと、
それぞれのスコアに基づいて前記リピータ欠陥をランク付けするステップと、
を備える方法。
【請求項2】
閾値を満たすそれぞれのスコアを有する前記リピータ欠陥を選択するステップと、
選択された前記リピータ欠陥を特定するレポートを生成するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分類するステップは、前記複数の欠陥のうち、前記1つ以上の半導体ウェハ上の同一のレチクルレベル位置を有する欠陥を前記リピータ欠陥として分類するステップを含む、請求項Iに記載の方法。
【請求項4】
それぞれの前記スコアは、前記複数のクラスタのクラスタにおけるそれぞれの前記リピータ欠陥のインスタンスの最大パーセンテージに対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
それぞれの前記スコアは、前記複数のクラスタにおけるそれぞれの前記リピータ欠陥のインスタンスの非ゼロパーセンテージの平均に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記光学的検査結果から前記リピータ欠陥の欠陥属性を抽出するステップをさらに含み、前記教師なし機械学習は、前記欠陥属性を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記欠陥属性は、サイズ、ダイ位置、ウェハ位置、及び光強度からなる群から選択される欠陥属性を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記光学検査結果は、前記1つ以上の半導体ウェハ上のダイのターゲット画像と、前記1つ以上の半導体ウェハ上のダイの差分画像とを含み、各差分画像は、それぞれのターゲット画像と参照画像との間の差分であり、
前記識別するステップは、前記差分画像内の複数の欠陥を識別するステップを含み、
前記教師なし機械学習を使用して前記リピータ欠陥をクラスタリングすることは、前記教師なし機械学習アルゴリズムにターゲット画像を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記教師なし機械学習を使用して前記リピータ欠陥をクラスタリングすることは、所定の数のクラスタを指定しない教師なし機械学習アルゴリズムを使用して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
1つ以上のプロセッサによって実行するための1つ以上のプログラムを記憶する、コンピュータ可読記憶媒体であって、前記1つ以上のプログラムは、
1つ以上の半導体ウェハについての光学検査結果を取得するステップと、
前記光学検査結果に基づいて、前記1つ以上の半導体ウェハ上の複数の欠陥を識別するステップと、
前記複数の欠陥のうち、前記1つ以上の半導体ウェハの複数のダイ上の同一のダイ位置を有する欠陥をリピータ欠陥として分類するステップと、
前記光学検査結果に基づいて、教師なし機械学習を使用して、前記リピータ欠陥を複数のクラスタにクラスタリングするステップと、
前記複数のクラスタ内のクラスタがそれぞれのリピータ欠陥の複数のインスタンスを含む度合いに基づいてそれぞれのスコアをそれぞれのリピータ欠陥に割り当てて、前記リピータ欠陥をスコアリングするステップと、
それぞれのスコアに基づいて前記リピータ欠陥をランク付けするステップ、
の命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項11】
前記1つ以上のプログラムは、
閾値を満たすそれぞれのスコアを有する前記リピータ欠陥を選択するステップと、
選択された前記リピータ欠陥を特定するレポートを生成するステップ、
の命令をさらに含む、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項12】
前記分類するための命令は、前記複数の欠陥のうち、前記1つ以上の半導体ウェハ上の同一のレチクルレベル位置を有する欠陥を前記リピータ欠陥として分類するための命令を含む、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項13】
それぞれの前記スコアは、前記複数のクラスタのクラスタにおけるそれぞれの前記リピータ欠陥のインスタンスの最大パーセンテージに対応する、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
それぞれの前記スコアは、前記複数のクラスタにおけるそれぞれの前記リピータ欠陥のインスタンスの非ゼロパーセンテージの平均に対応する、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記1つ以上のプログラムは、前記光学検査結果から前記リピータ欠陥の欠陥属性を抽出するための命令をさらに含み、前記教師なし機械学習を使用するための命令は、前記欠陥属性を使用して前記リピータ欠陥をクラスタリングするための命令を含む、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記欠陥属性は、サイズ、ダイ位置、ウェハ位置、及び光強度からなる群から選択される欠陥属性を含む、請求項15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記光学検査結果は、前記1つ以上の半導体ウェハ上のダイのターゲット画像と、前記1つ以上の半導体ウェハ上のダイの差分画像とを含み、各差分画像は、それぞれのターゲット画像と参照画像との間の差分であり、
前記識別するための命令は、前記差分画像内の複数の欠陥を識別するための命令を含み、
前記教師なし機械学習を使用して前記リピータ欠陥をクラスタリングするための命令は、前記教師なし機械学習アルゴリズムにターゲット画像を提供するための命令を含む、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記教師なし機械学習を使用して前記リピータ欠陥をクラスタリングするための命令は、所定の数のクラスタを指定しない教師なし機械学習アルゴリズムを使用するための命令を含む、請求項10に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
システムであって、
光学検査ツールと、
1つ以上のプロセッサと、
1つ以上のプロセッサによる実行のための1つ以上のプログラムを記憶するメモリであって、前記1つ以上のプログラムは、
前記光学検査ツールから前記1つ以上の半導体ウェハの光学検査結果を取得するステップと、
前記光学検査結果に基づいて、前記1つ以上の半導体ウェハ上の複数の欠陥を識別するステップと、
前記複数の欠陥のうち、前記1つ以上の半導体ウェハの複数のダイ上の同一のダイ位置を有する欠陥をリピータ欠陥として分類するステップと、
前記光学検査結果に基づいて、教師なし機械学習を使用して、前記リピータ欠陥を複数のクラスタにクラスタリングするステップと、
複数のクラスタ内のクラスタがそれぞれのリピータ欠陥の複数のインスタンスを含む度合いに基づいてそれぞれのスコアをそれぞれのリピータ欠陥に割り当てて、前記リピータ欠陥をスコアリングするステップと、
それぞれのスコアに基づいて前記リピータ欠陥をランク付けするステップ、
の命令を含む、メモリと、
を備えるシステム。
【請求項20】
前記1つ以上のプログラムは、
閾値を満たすそれぞれのスコアを有する前記リピータ欠陥を選択するステップと、
選択された前記リピータ欠陥を特定するレポートを生成するステップ、
の命令を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記分類するための命令は、前記複数の欠陥のうち、前記1つ以上の半導体ウェハ上の同一のレチクルレベル位置を有する欠陥を前記リピータ欠陥として分類するための命令を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
それぞれの前記スコアは、前記複数のクラスタのクラスタにおけるそれぞれの前記リピータ欠陥のインスタンスの最大パーセンテージに対応する、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
それぞれの前記スコアは、前記複数のクラスタにおけるそれぞれの前記リピータ欠陥のインスタンスの非ゼロパーセンテージの平均に対応する、請求項19に記載のシステム。
【請求項24】
前記1つ以上のプログラムは、
前記光学検査結果から前記リピータ欠陥の欠陥属性を抽出するための命令をさらに含み、
前記教師なし機械学習を使用するための命令は、欠陥属性を使用して前記リピータ欠陥をクラスタリングするための命令を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項25】
前記欠陥属性は、サイズ、ダイ位置、ウェハ位置、及び光強度からなる群から選択される欠陥属性を含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
光学検査結果は、前記1つ以上の半導体ウェハ上のダイのターゲット画像と、前記1つ以上の半導体ウェハ上のダイの差分画像とを含み、各差分画像は、それぞれのターゲット画像と参照画像との間の差分であり、
前記識別するための命令は、前記差分画像内の前記複数の欠陥を識別するための命令を含み、
前記教師なし機械学習を使用して前記リピータ欠陥をクラスタリングするための命令は、前記教師なし機械学習アルゴリズムにターゲット画像を提供するための命令を含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記教師なし機械学習を使用して前記リピータ欠陥をクラスタリングするための命令は、所定の数のクラスタを指定しない教師なし機械学習アルゴリズムを使用するための命令を含む、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体欠陥検出に関し、より詳細には、教師なし学習を使用してリピータ欠陥を検出することに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は、米国仮特許出願63/068,380号(2020年8月21日)に対する優先権を主張し、これは、あらゆる目的のために参照によりその全体が組み込まれる。
【0003】
半導体ウェハ上のリピータ欠陥は、水上の複数のダイ上の同じダイ位置で発生する欠陥である。リピータ欠陥は、レチクル(すなわち、フォトマスク)上の欠陥によって引き起こされる場合があり、これは、ウェハ上の特定のダイ上の同じ位置(すなわち、ウェハ上の複数のダイ上の同じレチクルレベル位置にある)に不正確に層がパターニングされる原因となる。リピータ欠陥の発見及び除去は、半導体製造の歩留まり改善の重要な部分である。
【0004】
リピータ欠陥を含む半導体ウェハ上の欠陥は、ウェハの光学検査によって識別することができる。しかしながら、光学検査は、ニューサンス欠陥ならびに対象の欠陥を識別する。対象の欠陥は、半導体デバイスの機能を損なう真の欠陥であるが、ニューサンス欠陥は、わずかなプロセス変動から生じ、デバイスの機能を損なわない。半導体ウェハ上の対象の欠陥の存在は、ウェハ歩留まり(すなわち、ウェハ上の機能ダイの数またはパーセンテージである)を低下させる。半導体ウェハ上のニューサンス欠陥の存在は、歩留まりに影響を及ぼさない。したがって、技術者は、関心のある欠陥を見つけることに関心があるが、ニューサンス欠陥を見つけることには関心がない。しかしながら、現代の光学検査では、ニューサンス欠陥は、関心のある欠陥を数桁上回る場合がある。
【0005】
リピータ欠陥は、光学検査を実行し、同じダイレベルまたはレチクルレベルの位置(例えば、複数のダイのi個の画像を積み重ねることによる)を有する欠陥を識別することによって識別することができる。しかし、このアプローチは、対象の欠陥であるリピータ欠陥を見つけるための低い信号対雑音比に悩まされる。光学検査によって識別される多数のニューサンス欠陥のため、この手法を使用して識別されるリピータ欠陥の多くはニューサンス欠陥になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0130199号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、対象の欠陥であるリピータ欠陥を識別するためのより正確な方法およびシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの実施形態では、リピータ欠陥を見つける方法は、1つ以上の半導体ウェハの光学検査結果を得ることを含む。光学検査結果に基づいて、1つ以上の半導体ウェハ上の複数の欠陥が識別される。複数の欠陥のうち、1つ以上の半導体ウェハの複数のダイ上の同一のダイ位置を有する欠陥は、リピータ欠陥として分類される。光学検査結果に基づいて、教師なし機械学習を使用して、リピータ欠陥を複数のクラスタにクラスタリングする。リピータ欠陥をスコア化する。リピータ欠陥をスコア付けすることは、複数のクラスタ内のクラスタがそれぞれのリピータ欠陥の複数のインスタンスを含む度合いに基づいてそれぞれのスコアをそれぞれのリピータ欠陥に割り当てることを含む。リピータ欠陥は、それぞれのスコアに基づいてランク付けされる。
【0009】
いくつかの実施形態では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行するための1つ以上のプログラムを記憶する。1つ以上のプログラムは、上記の方法を実行するための命令を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、システムは、光学検査ツールと、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサによる実行のための1つ以上のプログラムを記憶するメモリとを含む。1つ以上のプログラムは、上記の方法を実行するための命令を含む。
【0011】
この方法、システム、および非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、対象の欠陥であるリピータ欠陥(すなわち、真のリピータ欠陥)が高い信号対雑音比で識別されることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
説明される様々な実施形態をより良く理解するために、以下の図面と併せて、以下の詳細な説明を参照されたい。同様の参照番号は、図面および明細書全体を通して対応する部分を指す。
図1】半導体ウェハ上の欠陥位置を示すウェハマップである。
図2】いくつかの実施形態による、リピータ欠陥を見つける方法を示すフローチャートである。
図3A】いくつかの実施形態による、図2の方法において教師なし機械学習を使用して実行されるクラスタリングの結果の例を示す。
図3B】いくつかの実施形態による、図3Aのクラスタリングに基づくリピータ欠陥のスコアのグラフを示す。
図4】いくつかの実施形態による、ハイパーパラメータ値を選択するために使用されるグラフを示す。
図5】いくつかの実施形態による半導体欠陥識別システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
ここで、様々な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。以下の詳細な説明では、説明される様々な実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が述べられる。しかしながら、説明される様々な実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかであろう。他の例では、周知の方法、手順、構成要素、回路、およびネットワークは、実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないように、詳細には説明されていない。
【0014】
図1は、半導体ウェハ100上の欠陥位置を示すウェハマップである。半導体ウェハ100は、ウェハ100にわたってレチクル(すなわち、フォトマスク)をステッピングし、ウェハ上のそれぞれの領域102を連続的に露光して複数のダイ104のそれぞれの層をパターン化することによって、フォトリソグラフィを使用して製作される複数のダイ104を有する。各領域102は、半導体ダイ104のアレイを含む。アレイ内の(すなわち、領域102内の)各半導体ダイ104は、レチクル上のそれぞれのパターン形成された領域に対応する。各レチクルは、名目上同一のパターン化された領域のアレイを有し、その各々は、各領域102のアレイ内のそれぞれの半導体ダイ104に対応する。図1の例では、各領域102は、半導体ダイ104-1~104-6の2×3アレイを有し、各レチクルは、名目上同一のパターン化領域の対応する2×3アレイを有する。ウェハ100上の半導体ダイ104の数の他の例と同様に、領域102及びレチクルのアレイサイズの他の例が可能である。
【0015】
半導体ウェハ100のウェハマップ上に示される欠陥は、リピータ欠陥106および非リピータ欠陥108を含む。図1の例では、リピータ欠陥は、リピータ欠陥106-1、106-2、及び106-3を含む。リピータ欠陥106-1は、半導体ダイ104-1の6つのインスタンスにおいて同じダイレベル位置で発生し、したがって、6つの異なるダイにおいて同じレチクルレベル位置で発生する。リピータ欠陥106-2は、半導体ダイ104-4の2つのインスタンスにおいて同じダイレベル位置で発生し、したがって、2つの異なるダイにおいて同じレチクルレベル位置で発生する。リピータ欠陥106-3は、半導体ダイ104-6の3つのインスタンスにおいて同じダイレベル位置で発生し、したがって、3つの異なるダイにおいて同じレチクルレベル位置で発生する。非リピータ欠陥108は、複数の半導体ダイ104内の同じダイレベル位置では発生せず、したがって、複数の半導体ダイ104内の同じレチクルレベル位置では発生しない。一般に、欠陥は、それらが複数のダイ内の同じ位置にある場合、および複数のダイが領域102内のそれぞれのアレイ内の同じ位置にある場合、同じレチクルレベル位置を有する。
【0016】
図2は、いくつかの実施形態による、リピータ欠陥(例えば、図1のリピータ欠陥106-1、106-2、及び/又は106-3)を見つける方法200を示すフローチャートである。方法200は、光学検査ツール(例えば、図5の光学検査ツール530)に通信可能に結合されたコンピュータシステムによって実行することができる。例えば、方法200は、図5の半導体欠陥識別システム500内のコンピュータシステムによって実行することができる。
【0017】
方法200では、1つ以上の半導体ウェハ(例えば、半導体ウェハ100の1つ以上のインスタンスについて、図1を参照されたい)に対する光学検査結果が得られる(202)。光学検査結果は、1つ以上の半導体ウェハ上の半導体ダイの差分画像を含む。各差分画像は、それぞれのターゲット画像と参照画像との間の差分である:差分画像は、ダイのターゲット画像を参照画像(例えば、ターゲット画像から参照画像を減算することによるか、又はその逆による)と比較することによって生成される。ターゲット画像は、光学検査ツール(例えば、図5の光学検査ツール530)を使用して1つ以上のウェハを走査することによって生成される。いくつかの実施形態では、光学検査結果はまた、ターゲット画像を含む。光学検査結果は、光学検査ツールから直接取得されてもよく、および/または以前に記憶されたコンピュータシステムのメモリ(例えば、図5のメモリ510)から読み出されることによって取得されてもよい。
【0018】
光学検査結果に基づいて、1つ以上の半導体ウェハ上の複数の欠陥が識別される(204)。例えば、差分画像において複数の欠陥が特定される。複数の欠陥は、リピータ欠陥と非リピータ欠陥の両方を含むが、方法200のこの時点では、どれがどれであるかはまだ決定されていない。同様に、複数の欠陥は、関心のある欠陥とニューサンス欠陥の両方を含むが、方法200のこの時点では、どれがどれであるかは知られていない。
【0019】
複数の欠陥のうち、1つ以上の半導体ウェハの複数のダイ上の同一のダイ位置を有する欠陥は、リピータ欠陥として分類される(206)。いくつかの実施形態では、1つ以上の半導体ウェハ上の同一のレチクルレベル位置を有する複数の欠陥のうちの欠陥が、リピータ欠陥として分類される(208)。複数のダイ上の同一の位置で発生しない、または同一のレチクルレベル位置で発生しない欠陥は、リピータ欠陥(例えば、非リピータ欠陥として分類される)として分類されない。例えば、欠陥106-1、106-2、及び106-3(図1)は、リピータ欠陥として分類されるが、欠陥108(図1)は、リピータ欠陥(例えば、非リピータ欠陥として分類される)として分類されない。
【0020】
いくつかの実施形態では、リピータ欠陥の欠陥属性が、光学検査結果から抽出される(210)。欠陥属性は、例えば、サイズ、ダイ位置、ウェハ位置、および/または光強度(例えば、差分画像におけるグレーレベルによって示されるように)を含む(212)。ひとたび抽出されると、欠陥属性を光学検査結果に含めることができる。
【0021】
光学検査結果に基づいて、教師なし機械学習(教師なし学習とも呼ばれる)を使用して、リピータ欠陥を複数のクラスタにクラスタリングする(214)。いくつかの実施形態によれば、非リピータ欠陥はクラスタリングから除外される。教師なし機械学習は、複数の欠陥がクラスタ化されるべきクラスタの所定の数を指定しない教師なし機械学習アルゴリズムを使用して実行することができる(216)。例えば、アイテム(この場合、欠陥)がクラスタリングされるべき所定の数のクラスタを指定しない、ノイズを伴うアプリケーションの密度ベースの空間クラスタ化(DBSCAN)アルゴリズムが使用されてもよい。教師なし機械学習は、いくつかのリピータ欠陥が、複数のクラスタのいずれのクラスタにも含まれない外れ値であると判定することができる。外れ値は、破棄されてもよく、したがって、方法200の後続のステップでは考慮されなくてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、教師なし機械学習は、ステップ210で抽出されたリピータ欠陥に対する欠陥属性を使用する(218)。教師なし機械学習アルゴリズムは、欠陥属性を入力として受け取り、欠陥属性を使用してリピータ欠陥を複数のクラスタにクラスタリングする。欠陥属性は、リピータ欠陥がクラスタリングされる空間の寸法として使用することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では(例えば、欠陥属性抽出210を行わない)、光学検査からのターゲット画像が、教師なし機械学習アルゴリズムに提供される(220)。対象画像はパッチ画像と呼ばれることもある。教師なし機械学習アルゴリズムは、ターゲット画像を入力として受け取り、ターゲット画像を使用して複数の欠陥を複数のクラスタにクラスタリングする。したがって、教師なし機械学習アルゴリズムは、抽出された欠陥属性を受信することなくクラスタリングを実行することができる。このような実施形態は、欠陥属性に関する情報がターゲット画像に本質的に埋め込まれているので実行可能である。
【0024】
リピータ欠陥がスコア付けされる(222)。それぞれのスコアは、複数のクラスタ内のクラスタがそれぞれのリピータ欠陥の複数のインスタンスを含む度合いに基づいて、それぞれのリピータ欠陥(すなわち、同じダイロケーション(例えば、同じレチクルレベルロケーション)を有する欠陥のそれぞれのグループに対する)に割り当てられる。したがって、スコアは、それぞれのクラスタ内の同一のダイ位置(例えば、同一のレチクルレベル位置)を有するリピータ欠陥の出現に基づく。
【0025】
例えば、各クラスタにおける各リピータ欠陥の割合(例えば、トラクション又はパーセンテージ)が計算される。
ij=Cij/T (1)
ここで、Tjはi番目のクラスタにおけるi番目のリピータ欠陥のインスタンス数(欠陥数)、Tjはj番目のクラスタにおける総欠陥数(すなわち、ロケーションにかかわらず、リピータ欠陥の総数)、Pijはi番目のクラスタにおけるi番目のリピータ欠陥の割合である。スコアは、これらの比率に基づいて決定されてもよい。いくつかの実施形態では、各スコアは、複数のクラスタのクラスタにおけるそれぞれのリピータ欠陥のインスタンスの最大パーセンテージ(または割合)に対応する。
Score=max(Pij) (2)
ここで、iはリピータ欠陥を指し、iはクラスタを指し示す。いくつかの他の実施形態では、各スコアは、複数のクラスタ中のそれぞれのリピータ欠陥のインスタンスの非ゼロパーセンテージの平均に対応する。
Score=mean∀Pij≠0(Pij) (3)
ここで、iはリピータ欠陥のインデックスであり、jはクラスタのインデックスである。
【0026】
リピータ欠陥は、それぞれのスコアに基づいてランク付けされる(224)。いくつかの実施形態では、閾値を満たすそれぞれのスコアを有するリピータ欠陥が選択される(226)。例えば、閾値を超える、または閾値と等しい、または閾値を超えるスコアを有するリピータ欠陥が選択される。別の例では、最も高いスコアを有する指定された数またはパーセンテージのリピータ欠陥が選択される(すなわち、閾値は、リピータ欠陥のスコアが、指定された数またはパーセンテージのトップスコアのリピータ欠陥にそれを配置することである)。
【0027】
図3Aは、いくつかの実施形態による、ステップ214において教師なし機械学習を使用して実行されるクラスタリングの仮想結果300の例を示す。結果300は、4つのクラスタ302-1~302-4と、クラスタ302のいずれにも含まれない外れ値304とを含む。異常値304は、破棄され、したがって、ステップ222および224においてリピータ欠陥をスコア化およびランク付けするときに考慮されない。ステップ206で分類されたリピータ欠陥は、5つの異なるリピータ欠陥306-1~306-5を含む。クラスタ302-1は、リピータ欠陥306-1の4つのインスタンスと、リピータ欠陥306-2の1つのインスタンスとを含む。クラスタ302-2は、リピータ欠陥306-2の3つのインスタンスと、リピータ欠陥306-3の1つのインスタンスと、リピータ欠陥306-4の1つのインスタンスとを含む。クラスタ302-3は、リピータ欠陥306-3の2つのインスタンスと、リピータ欠陥306-2の1つのインスタンスと、リピータ欠陥306-4の1つのインスタンスとを含む。クラスタ302-4は、リピータ欠陥306-4の3つのインスタンスと、リピータ欠陥306-1の1つのインスタンスとを含む。クラスタ302-1から302-4のいずれも、リピータ欠陥306-5のいかなるインスタンスも含まない。
【0028】
図3Bは、いくつかの実施形態による、リピータ欠陥306-1から306-5に対するスコア312のグラフ310を示す。示されるように、クラスタ302におけるリピータ欠陥306-1の最も高い割合は、クラスタ302-1において80%(5のうちの4)である。クラスタ302におけるリピータ欠陥306-2の最も高い割合は、クラスタ302-2において60%(5のうちの3)である。クラスタ302内のリピータ欠陥306-3の最も高い割合は、クラスタ302-3内の50%(4のうちの2)である。クラスタ302内のリピータ欠陥306-4の最も高い割合は、クラスタ302-4内の75%(4のうちの3)である。また、クラスタ302内のリピータ欠陥306-5の最も高い割合は、クラスタ302-1~302-4のいずれにおいてもリピータ欠陥306-5のインスタンスが発生しないため、ゼロである。したがって、リピータ欠陥306-1~306-5は、それぞれ0.8,0.6,0.5,0.75,および0のスコアを有する(いくつかの実施形態では、リピータ欠陥306-5は、外れ値としてのみ生じるため、スコアを割り当てられない。)。それらのスコアに基づいてランク付けされるように、リピータ欠陥306の順序付けは、(最高から最低へ)306-1、306-4、306-2、306-3、および306-5である。リピータ欠陥306-1、306-2及び306-4のスコアは閾値314を満たすが、リピータ欠陥306-3及び306-5のスコアは満たさない。したがって、リピータ欠陥306-1、306-2、および306-4が選択されるが、リピータ欠陥306-3および306-5は選択されない。
【0029】
いくつかの実施形態では、選択されたリピータ欠陥を指定するレポートが生成される(228)。例えば、レポートは、選択されたリピータ欠陥のみを指定することができる。別の例では、レポートは、選択されたリピータ欠陥と選択されていないリピータ欠陥の両方を含み、どのリピータ欠陥が選択されたかを示す。レポートは、リピータ欠陥及び/又は対応するクラスタのリストを含むことができ、及び/又はウェハマップを含むことができる。ニューサンス欠陥に対する関心のある欠陥の比は、ステップ206において、リピータ欠陥として分類された欠陥のセットよりも、選択されたリピータ欠陥について著しく高い。
【0030】
方法200(図2)のステップ214で使用される教師なし機械学習アルゴリズムは、1つ以上のハイパーパラメータを有してもよい。ハイパーパラメータは、機械学習を行う前に選択された値を有するパラメータである。したがって、ハイパーパラメータの選択された値は、機械学習中に処理されるデータに基づかない。そのようなハイパーパラメータの例は、DBSCANの「eps」(イプシロンとも呼ばれる)である。教師なし機械学習アルゴリズムの開発プロセス中、方法200は、同じ光学検査結果について(したがって、同じ1つ以上の半導体ウェハについて)異なるハイパーパラメータ値で(たとえば、epsの異なる値で)繰り返し実行され得る。最も高いリピータカウント(例えば、これは、欠陥の最大総数を有する選択されたクラスタを生成する)を生成する値は、ハイパーパラメータ値として選択され得る。次いで、このハイパーパラメータ値は、方法200が生産環境において実施されるときに使用される。
【0031】
図4は、いくつかの実施形態による、ハイパーパラメータ値を選択するために使用される仮想グラフ400を示す。グラフ400のy軸はリピータカウント404であり、グラフ400のx軸はハイパーパラメータ値402である。異なるハイパーパラメータ値402は、方法200の異なる反復に対して異なるリピータカウント404をもたらす。最も高いリピータカウント404を生成するハイパーパラメータ値406が選択され、方法200が生産環境において実施されるときに教師なし機械学習のために使用される。
【0032】
図5は、いくつかの実施形態による半導体欠陥識別システム500のブロック図である。半導体欠陥識別システム500は、光学検査ツール530と、1つ以上のプロセッサ502(例えば、CPU)、ユーザインターフェース506、メモリ510、およびこれらの構成要素を相互接続する通信バス504を伴うコンピュータシステムとを含む。いくつかの実施形態では、光学検査ツール530は、1つ以上の有線および/または無線ネットワークを介してコンピュータシステムに通信可能に結合される。いくつかの実施形態では、半導体欠陥識別システム500は、コンピュータシステムと通信可能に結合された複数の光学検査ツール530を含む。コンピュータシステムはさらに、光学検査ツール530および/または遠隔コンピュータシステムと通信するための1つ以上の有線および/または無線ネットワークインターフェースを含んでもよい。
【0033】
ユーザインターフェース506は、ディスプレイ507および1つ以上の入力デバイス508(例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ507のタッチ感知面などである。)を含み得る。ディスプレイ507は、リピータ欠陥(例えば、図2の方法200のステップ228に従って選択されたクラスタを指定するレポート)を指定する報告を含む結果を表示することができる。
【0034】
メモリ510は、揮発性および/または不揮発性メモリを含む。メモリ510(例えば、メモリ510内の不揮発性メモリである)は、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含む。メモリ510は、随意に、プロセッサ502から遠隔に位置する1つ以上の記憶デバイス、および/またはシステム500に取り外し可能に挿入される非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。メモリ510(例えば、メモリ510の持続性コンピュータ可読記憶媒体)は、方法200(図2)の全部または一部を実行するための命令を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、メモリ510(例えば、メモリ510の持続性コンピュータ可読記憶媒体)は、以下のモジュールおよびデータ、またはそのサブセットもしくはスーパーセットを記憶する。様々な基本システムサービスを処理し、ハードウェア依存タスクを実行するための手順を含むオペレーティングシステム512;欠陥識別モジュール514(例えば、図2の方法200のステップ204を実行するためのものである);リピータ分類モジュール516(例えば、図2の方法200のステップ206を実行するためのものである);属性抽出モジュール518(例えば、図2の方法200のステップ210を実行するためのものである);クラスタリングモジュール520(例えば、図2の方法200のステップ214を実行するためのものである);クラスタスコアリング、ランク付け、および選択モジュール524(例えば、図2の方法200のステップ222、224、および/または226を実行するためのものである);報告モジュール526(例えば、図2の方法200のステップ228を実行するためのものである);光学検査結果528(例えば、差分画像、ターゲット画像、及び/又は欠陥属性を含む)。クラスタリングモジュール520は、教師なし機械学習522(例えば、教師なし機械学習アルゴリズムを実装するための命令を含むことができる)を実行することができる。いくつかの実施形態では、教師なし機械学習522は、複数の欠陥がクラスタ化される所定の数のクラスタを指定しない。
【0036】
メモリ510に記憶されたモジュールの各々は、本明細書で説明する1つ以上の機能を実行するための命令のセットに対応する。別個のモジュールは、別個のソフトウェアプログラムとして実装される必要はない。モジュールおよびモジュールのさまざまなサブセットは、組み合わされてもよく、さもなければ再構成されてもよい。いくつかの実施形態では、メモリ510は、上記で識別されたモジュールおよび/またはデータ構造のサブセットまたはスーパーセットを記憶する。
【0037】
図5は、構造的概略図としてよりも、半導体欠陥識別システムに存在し得る様々な特徴の機能的説明として意図されている。例えば、半導体欠陥識別システム500内のコンピュータシステムの機能性は、複数のデバイス間で分割されてもよい。メモリ510に記憶されたモジュールの一部は、代替的に、1つ以上のネットワークを介して半導体欠陥識別システム500のコンピュータシステムと通信可能に結合された1つ以上の他のコンピュータシステムに記憶されてもよい。
【0038】
前述の説明は、説明の目的のために、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、上記の例示的な説明は、網羅的であること、または特許請求の範囲を開示された厳密な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、特許請求の範囲の基礎をなす原理およびそれらの実際の適用を最良に説明し、それによって、当業者が、企図される特定の使用に適した様々な修正とともに実施形態を最良に使用することを可能にするために選択されたものである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】