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特表2023-539624ポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄
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  • 特表-ポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-15
(54)【発明の名称】ポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230908BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20230908BHJP
   C11D 1/12 20060101ALI20230908BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20230908BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20230908BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20230908BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20230908BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20230908BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
H01L21/304 622Q
H01L21/304 622X
H01L21/304 647B
C11D3/20
C11D1/12
C11D1/72
C11D1/722
C11D3/37
C11D3/22
C11D3/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513702
(86)(22)【出願日】2021-08-26
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 US2021047780
(87)【国際公開番号】W WO2022047053
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】63/071,906
(32)【優先日】2020-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】ドニャネーシュ タンボリ
(72)【発明者】
【氏名】ヘ ミン ファン
(72)【発明者】
【氏名】チョン ヨン ヨ
【テーマコード(参考)】
4H003
5F057
5F157
【Fターム(参考)】
4H003AB14
4H003AB18
4H003AC04
4H003AC08
4H003DA05
4H003DA09
4H003EA03
4H003EA05
4H003EA21
4H003EA23
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB19
4H003EB30
4H003EB42
4H003ED02
4H003FA13
4H003FA16
4H003FA28
4H003FA34
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5F157BF39
5F157BF42
5F157BF48
5F157BF63
5F157CB03
(57)【要約】
本発明は、水と;1種以上の有機酸と;少なくとも2種の界面活性剤であって、第1の種類の界面活性剤がジフェニルジスルホン系界面活性剤であり、第2の種類の界面活性剤が水中での0.01重量%の濃度で50ダイン/cm未満の表面張力を有し、第2の種類の界面活性剤が第1の種類の界面活性剤ではない、少なくとも2種の界面活性剤と;任意に、フッ素化合物と、ポリマーと、腐食防止剤と、生物学的防腐剤と、pH調整剤と、を含む洗浄組成物を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄組成物であって、
少なくとも1種の有機酸又はその塩;
少なくとも2種の界面活性剤であって、
前記少なくとも2種の界面活性剤の少なくとも1つが、少なくとも2つのスルホン酸基を有する第1の種類の界面活性剤であり、前記少なくとも2種の界面活性剤の少なくとも1つが、前記第1の種類の界面活性剤でない第2の種類の界面活性剤である、少なくとも2種の界面活性剤;
並びに
水;
を含み、
任意に、
フッ化物化合物;
水溶性ポリマー又はコポリマー;
腐食防止剤;
生物学的防腐剤;及び
pH調整剤、
を含む、ポストCMP洗浄組成物。
【請求項2】
前記第1の種類の界面活性剤が、ジフェニルジスルホン酸又はその塩を有するジフェニルジスルホン酸系界面活性剤である、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項3】
前記第1の種類の界面活性剤が、
(a)、
【化1】
(b)、
【化2】
(c)、
【化3】
(d)、
【化4】
(e)、及び
【化5】
(f)、
【化6】
からなる群から選択される構造を有する、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項4】
前記第2の種類の界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の種類の界面活性剤が、誘電体材料を含む表面のゼータ電位の大きさを増加させる、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項5】
前記第2の種類の界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の種類の界面活性剤が、洗浄表面における接触角を低下させる、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項6】
前記第2の種類の界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の種類の界面活性剤が、水中での0.01重量%の濃度で50ダイン/cm未満、好ましくは水中での0.01重量%の濃度で45ダイン/cm未満、より好ましくは水中での0.01重量%の濃度で40ダイン/cm未満の表面張力を有する、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項7】
前記第2の種類の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の種類の界面活性剤が、誘電体材料を含む表面のゼータ電位の大きさを増加させる、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項8】
前記第2の種類の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の種類の界面活性剤が、洗浄表面における接触角を低下させる、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項9】
前記第2の種類の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の種類の界面活性剤が、水中での0.01重量%の濃度で50ダイン/cm未満、好ましくは水中での0.01重量%の濃度で45ダイン/cm未満の表面張力を有する、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項10】
前記第2の種類の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、前記組成物中でアニオン性特性を示す両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の種類の界面活性剤が、誘電体材料を含む表面のゼータ電位の大きさを増加させる、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項11】
前記第2の種類の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、前記組成物中でアニオン性特性を示す両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の種類の界面活性剤が、洗浄表面における接触角を低下させる、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項12】
前記第2の種類の界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、前記組成物中でアニオン性特性を示す両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第2の種類の界面活性剤が、水中での0.01重量%の濃度で50ダイン/cm未満、好ましくは水中での0.01重量%の濃度で45ダイン/cm未満の表面張力を有する、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項13】
前記第2の種類の界面活性剤が、エチレンオキシド基若しくはポリプロピレンオキシド基、又は両方の基を含む非イオン性界面活性剤からなる群から選択される、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1種の有機酸が、モノカルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1種の有機酸が、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルコン酸、グルタル酸、アスコルビン酸、ギ酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリシン、α-アラニン、シスチン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種の有機酸が、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項17】
前記フッ化物化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、第4級アンモニウムフッ化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項18】
前記フッ化物化合物が、フッ化アンモニウムである、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項19】
前記水溶性ポリマーが、スルホン酸基、アクリル酸基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基を含み、前記水溶性コポリマーが、スルホン酸基、アクリル酸基、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される基を有するモノマーを含む、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項20】
前記水溶性ポリマー又はコポリマーが、アクリル酸-アクリルアミドプロパンスルホン酸コポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(1-ビニルピロリドン-co-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(4-スチレンスルホン酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)コポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記水溶性ポリマー又はコポリマーの分子量が、好ましくは100~10,000,000の範囲である、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項21】
前記腐食防止剤が、エチレンイミン、プロピレンイミン、ポリエチレンイミン(PEI)、及びこれらの組み合わせを含むオリゴマー又はポリマーからなる群から選択され、前記オリゴマー又は前記ポリマーの分子量が、500~1,000,000、好ましくは500~15,000の範囲である、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項22】
前記生物学的防腐剤が、テトラメチルアンモニウムクロライド;テトラエチルアンモニウムクロライド;テトラプロピルアンモニウムクロライド;アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド;アルキルベンジルジメチルアンモニウムヒドロキシド;亜塩素酸ナトリウム;次亜塩素酸ナトリウム;メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、ベンズイソチアゾリノン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるイソチアゾリノン化合物;及びこれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項23】
前記pH調整剤が、スルホン酸、又はリン酸からなる群から選択される無機酸硝酸;水酸化アンモニウム、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムからなる群から選択される無機塩基;及び第4級アンモニウム水酸化物及びアミン化合物からなる群から選択される有機塩基、からなる群から選択される、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項24】
前記組成物が、1~7、好ましくは2~6、より好ましくは3~6のpHを有する、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項25】
前記組成物が、使用時に水で2~500倍に希釈される、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項26】
前記組成物が、5NTU未満、好ましくは2.5NTU未満、より好ましくは2NTU未満、最も好ましくは1NTU未満の濁度を有する、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項27】
前記組成物が、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の有機酸を含み;2つ以上のスルホン酸基を含む前記第1の種類の界面活性剤が、ジフェニルジスルホン酸又はその塩であり;前記第2の種類の界面活性剤が、C12~C17の疎水性鎖を有する第2級アルカンスルホン酸を含む、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項28】
前記組成物が、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の有機酸を含み;2つ以上のスルホン酸基を含む前記第1の種類の界面活性剤が、ジフェニルジスルホン酸又はその塩であり;前記第2の種類の界面活性剤が、C12~C17の疎水性鎖を有する第2級アルカンスルホン酸を含み;前記フッ化物化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、第4級アンモニウムフッ化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項29】
前記組成物が、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の有機酸を含み;2つ以上のスルホン酸基を含む前記第1の種類の界面活性剤が、ジフェニルジスルホン酸又はその塩であり;前記第2の種類の界面活性剤が、C12~C17の疎水性鎖を有する第2級アルカンスルホン酸を含み;前記フッ化物化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、第4級アンモニウムフッ化物、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;前記水溶性ポリマーがアクリル酸基を含む、又は前記水溶性コポリマーがアクリル酸基を有するモノマーを含む、請求項1に記載のポストCMP洗浄組成物。
【請求項30】
金属膜、誘電体膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの表面を含む半導体ウェーハのポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄方法であって、
前記半導体ウェーハを提供する工程と、
請求項1~29のいずれか一項に記載の前記ポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄組成物を提供する工程と、
前記ポストCMP洗浄用組成物を使用して前記半導体ウェーハを洗浄する工程と、
を含み、
前記金属膜が、タングステン、銅、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
方法。
【請求項31】
前記方法が、前記少なくとも1つの表面から、Fe、W、Ti、TiN、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属残留物を除去する、請求項30に記載のポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄方法。
【請求項32】
金属膜、誘電体膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの表面を含む半導体ウェーハのポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄のためのシステムであって、
前記半導体ウェーハと、
請求項1~29のいずれか一項に記載の前記ポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄組成物と、
を含み、
前記少なくとも1つの表面が、前記ポストCMP洗浄組成物と接触しており、前記金属膜が、タングステン、銅、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年8月28日に出願された米国仮出願第63/071,906号の優先権を主張し、その内容全体は、全ての許容される目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造を含む工程では、有機/無機残留物を除去するために様々な工程で洗浄が必要とされる。半導体製造工程で望まれる残留物除去を改善するための洗浄としては、ポストCMP(化学機械平坦化)洗浄、フォトレジスト灰残留物除去、フォトレジスト除去、プレプローブウェーハ洗浄、ダイシング、研削などの後工程パッケージにおける様々な用途が挙げられる。
【0003】
化学機械平坦化(CMP)工程によって形成された様々な構造のポストCMP洗浄において、洗浄を改善する特別な必要性が存在する。CMP工程は、材料除去のための研磨効果を提供し、平坦性を提供するCMPスラリーを用いてウェーハを研磨パッドに押し付けることにより、ウェーハ上に堆積された1つ以上の膜の層を研磨することを含む。
【0004】
CMP工程の後、ウェーハ表面は、多数の欠陥を含み、表面から洗浄されないと、最終製品として欠陥のあるチップをもたらすことになる。CMP工程後の典型的な欠陥には、無機粒子、有機残留物、化学残留物、ウェーハ表面とCMPスラリーとの相互作用による表面上の反応生成物、及び表面上の望ましくない金属値の上昇がある。研磨工程の後、ウェーハは、最も一般的にはブラシスクラブ工程を使用して洗浄される。この工程の間、洗浄化学がウェーハに分配され、ウェーハが洗浄される。ウェーハはまた、乾燥工程が行われる前に脱イオン(DI)水ですすがれる。
【0005】
本出願の分野で一般に行われている先行研究としては、US2019/0390139,JP11-181494;米国特許第6,440,856号;米国特許第7,497,966 B2号;米国特許第7,427,362 B2号;米国特許第7,163,644 B2号;PCT/US2007/061588;米国特許第7,396,806号;米国特許第6,730,644号;米国特許第7,084,097号;米国特許第6,147,002号;US2003/0129078;及びUS2005/0067164が挙げられる。
【0006】
技術の進歩に伴い、半導体ウェーハの生産収率に重要な欠陥の閾値の規模及び数が小さくなり、それによってポストCMP洗浄剤の性能要件も高くなる。本発明における配合物又は組成物(配合物及び組成物は、交換可能)は、上述したCMP研磨工程によって残された残留物を除去するのに非常に有効であることが判明した。
【発明の概要】
【0007】
本明細書に記載されるのは、ポストCMP工程のポストCMP洗浄組成物又は配合物、方法、及びシステムである。
【0008】
1つの態様では、本明細書に記載されるのは、ポストCMP洗浄組成物(又は配合物)であって、
少なくとも1種の有機酸又はその塩;
少なくとも2種の界面活性剤であって、
少なくとも2種の界面活性剤の少なくとも1つは、少なくとも2つのスルホン酸基を有する第1の種類の界面活性剤であり、少なくとも2種の界面活性剤の少なくとも1つは、第1の種類の界面活性剤でない第2の種類の界面活性剤である、少なくとも2種の界面活性剤;
並びに
水;
を含み、
任意に、
フッ化物化合物;
水溶性ポリマー又はコポリマー;
腐食防止剤;
生物学的防腐剤;及び
pH調整剤、
を含む。
【0009】
ポストCMP洗浄組成物は、1~7、好ましくは2~6、より好ましくは3~6のpHを有する。
【0010】
組成物は、使用時に脱イオン水で2~500倍に希釈することができる。
【0011】
第1の種類の界面活性剤の例としては、ジフェニルジスルホン酸又はその塩を有するジフェニルジスルホン酸系界面活性剤が挙げられるが、これに限定されない。
【0012】
第2の種類の界面活性剤の例としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、第2の種類の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、第2の種類の界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、組成物中にアニオン性特性を示す両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。他の好ましい実施形態では、第2の種類の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。他の好ましい実施形態では、第2の種類の界面活性剤は、エチレンオキシド(EO)基若しくはポリプロピレンオキシド(PO)基、又はEO基及びPO基の両方を含む非イオン性界面活性剤である。
【0013】
第2の種類の界面活性剤は、誘電体材料を含む表面のゼータ電位の大きさを増加させることができる。
【0014】
第2の種類の界面活性剤は、水中での0.01重量%の濃度で50ダイン/cm未満、好ましくは水中での0.01重量%の濃度で45ダイン/cm未満、より好ましくは水中での0.01重量%の濃度で40ダイン/cm未満の表面張力を有する。
【0015】
第2の種類の界面活性剤は、洗浄表面における接触角を低下させることができる。
【0016】
いずれかの界面活性剤種類の界面活性剤濃度は、0.001~2重量%、好ましくは0.01~0.75重量%、より好ましくは0.01~0.5重量%にすることができる。
【0017】
配合物は、任意に、フッ化物化合物を含む。フッ化物化合物の例としては、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、第4級アンモニウムフッ化物が挙げられる。好ましい化合物は、フッ化アンモニウムである。配合物中のフッ化物成分の濃度は、好ましくは1~25重量%、好ましくは1.25~20重量%、より好ましくは1.5~15重量%、最も好ましくは2~10重量%の範囲にある。
【0018】
配合物は、任意に、1種以上の水溶性ポリマー又はコポリマーを含んでもよい。ポリマーは、アクリル酸-アクリルアミドプロパンスルホン酸コポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(1-ビニルピロリドン-co-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(4-スチレンスルホン酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)コポリマー、及びこれらの組み合わせ、並びにこれらの塩、を含む群から選択されてもよいが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、ポリマーは、ポリアクリル酸基又はスルホン酸基を含むポリマー又はコポリマーである。
【0019】
水溶性ポリマー又はコポリマーは、0.01~10重量%、好ましくは0.1~5重量%の範囲の濃度で使用される。
【0020】
配合物は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸及びポリカルボン酸からなる群から選択される有機酸を任意に含む。例としては、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルコン酸、グルタル酸、アスコルビン酸、ギ酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリシン、α-アラニン、及びシスチンが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい有機酸は、シュウ酸及びクエン酸である。配合物中の有機酸濃度は、1~30重量%の範囲、より好ましくは5~20重量%の範囲であってもよい。
【0021】
本発明の組成物は、表面に少なくとも1つ以上の金属膜又は誘電体膜を含む半導体ウェーハの洗浄に使用できる。金属膜は、銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、ルテニウム、又はこれらの合金を含む相互接続金属線又はビアを含むことができる。誘電体層は、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)前駆体から得られるような酸化ケイ素膜、ケイ素、炭素、窒素、酸素、及び水素などの1種以上の元素を有する誘電体膜であり得る。誘電体膜は、多孔質又は非多孔質であることができ、又は構造体は、空隙を含んでもよい。
【0022】
他の態様では、本明細書に記載されるのは、金属膜、誘電体膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの表面を含む半導体ウェーハのポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄方法であって、
半導体ウェーハを提供することと、
上記のポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄組成物を提供することと、
ポストCMP洗浄組成物を使用して半導体ウェーハを洗浄することと、
を含み、
金属膜は、タングステン、銅、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0023】
その中で、当該方法は、少なくとも1つの表面から、Fe、W、Ti、TiN及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属残留物を除去する。
【0024】
洗浄組成物は、ブラシボックス洗浄、スプレー洗浄、メガソニック洗浄、パッド上のバフ洗浄、単一ウェーハスプレーツール、バッチ式浸漬洗浄ツールなどを含むがこれらに限定されない様々な種類の洗浄技術でウェーハ表面を洗浄するために使用することができる。
【0025】
更に他の態様では、本明細書に記載されるのは、金属膜、誘電体膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの表面を含む半導体ウェーハのポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄のためのシステムであって、
半導体ウェーハと、
上記のポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄組成物と、
を含み、
少なくとも1つの表面は、ポストCMP洗浄組成物と接触しており、金属膜は、タングステン、銅、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0026】
ある好ましい実施形態では、水で希釈した場合の洗浄組成物は、好ましくは0.2~50オングストローム/分、より好ましくは1~20オングストローム/分、最も好ましくは1~10オングストローム/分のエッチング速度で誘電体膜をエッチングすることができる。
【0027】
ある好ましい実施形態では、水で希釈した場合の洗浄組成物は、室温で、1~10オングストローム/分の間のエッチング速度で誘電体膜をエッチングし、1オングストローム/分未満のエッチング速度でタングステンをエッチングし、5オングストローム/分未満のエッチング速度で窒化チタン膜をエッチングすることができる。
【0028】
本明細書の重要な部分を構成する添付図面には、以下のものが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】2種の界面活性剤の比率が異なる配合物における時間の関数としての接触角。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書に記載され開示されるのは、ポストCMP(化学機械平坦化)洗浄、フォトレジスト灰残留物除去、フォトレジスト除去、プレプローブウェーハ洗浄、ダイシング、研削などの後工程パッケージにおける様々な用途を含む半導体製造における洗浄のための組成物である。当該配合物は、ポストCMPの洗浄配合物として適切である。
【0031】
本発明の配合物は、CMP工程により誘電体に囲まれた金属配線構造が形成される金属CMP工程、及び1つ以上の誘電体が研磨されて平面状の表面又は構造が形成される誘電体CMP工程を含む、CMP工程後のポストCMP洗浄配合物として特に有用である。金属CMP工程の例としては、タングステンCMP、銅CMP、コバルトCMP、ルテニウムCMP、アルミニウムCMPなどが挙げられるが、これらに限定されず、誘電体領域で分離された金属線又はビアが形成される。誘電体CMPの例としては、シャロートレンチアイソレーション(STI)CMPが挙げられ、酸化ケイ素膜構造を、窒化ケイ素領域及び層間絶縁膜(ILD)研磨により分離して形成する。
【0032】
好ましい実施形態の1つでは、本発明の洗浄配合物は、タングステンCMP後のポストCMPの洗浄に使用される。本発明の配合物は、タングステンCMP後のウェーハ表面に通常形成されるFe、W、Ti及びTiNなどの金属残留物の除去に特に有効であり、同時に有機及び無機残留物除去能力を著しく向上させる。本発明の配合物は、タングステンの腐食低減、表面粗さの低下、及びタングステンとライナー材料との間のガルバニック腐食の低減に適切である。
【0033】
洗浄配合物は、溶媒として水で作られる。配合物は、好ましくは濃縮液の形態で作られ、配合物は、ユースポイント配合物(point of use formulation)としても供給され得るが、製造、出荷及び取り扱いのコストを削減するために、使用時に水で希釈される。濃縮配合物は、使用時に1倍(配合物1重量部:水1重量部)から1000倍(配合物1重量部:水1000重量部)まで希釈することができる。洗浄配合物中の添加物について提供される濃度は、1倍~1000倍、好ましくは5倍~100倍、最も好ましくは25倍~75倍の範囲で希釈することができる濃縮物のものである。
【0034】
ポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄組成物であって、
少なくとも1種の有機酸又はその塩;
少なくとも2種の界面活性剤であって、
少なくとも2種の界面活性剤の少なくとも1つは、少なくとも2つのスルホン酸基を有する第1の種類の界面活性剤であり、少なくとも2種の界面活性剤の少なくとも1つは、第1の種類の界面活性剤でない第2の種類の界面活性剤である、少なくとも2種の界面活性剤;
並びに
水;
を含み、
任意に、
フッ化物化合物;
水溶性ポリマー又はコポリマー;
腐食防止剤;
生物学的防腐剤;及び
pH調整剤、
を含む。
【0035】
有機酸又はその混合物:有機酸は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、ポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、又はこれらの混合物などの広い範囲の酸から選択することができる。有機酸の具体例としては、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、グルコン酸、グルタル酸、アスコルビン酸、ギ酸、酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリシン、α-アラニン、シスチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。ポリカルボン酸は、複数のカルボン酸基を有する有機酸分子である。カルボン酸基を含むモノマーを有するポリマーは、本出願ではポリカルボン酸としては見なさない。また、有機酸の塩を使用してもよい。同様に、酸/塩の混合物を使用してもよい。有機酸は、微量金属除去を向上させ、有機物残留物を除去し、pHを調整し、金属の腐食を抑制するための機能を果たす。
【0036】
一実施形態では、洗浄組成物は、シュウ酸、クエン酸、マロン酸、グリシン、及びα-アラニンから選択される1種以上の有機酸を含む。洗浄組成物の他の実施形態では、シュウ酸、クエン酸、及びマロン酸の混合物を含む。他の好ましい実施形態では、有機酸は、クエン酸を含む。他の実施形態では、有機酸は、クエン酸及びシュウ酸の混合物を含む。
【0037】
洗浄化学は、0.1重量%~30重量%の有機酸及び/又はその塩を含んでもよい。好ましい酸の濃度は、5重量%~20重量%の範囲にある。
【0038】
幾つかの好ましい実施形態では、第1の種類の界面活性剤は、2つ以上のスルホン酸基を有することになる。好ましい界面活性剤は、ジフェニルジスルホン酸又はその塩を有する界面活性剤である。
【0039】
このような構造を有する界面活性剤の例としては、
(a)、
【化1】
(b)、
【化2】
(c)、
【化3】
(d)、
【化4】
(e)、及び
【化5】
(f)、
【化6】
が挙げられる。
【0040】
ジフェニルジスルホン酸を有する市販のアニオン性界面活性剤としては、Dow Chemical CompanyのDowfax(登録商標)シリーズ:DowfaxTM2A1(構造b)、DowfaxTM3b2(構造d)、DowfaxTMC6L(構造e)及びDowfaxTM8390(構造f);並びにPilot Chemical CompanyのCalfax(登録商標)シリーズ:Calfax(登録商標)DBA-70、Calfax(登録商標)10L-45、Calfax(登録商標)16L-35、Calfax(登録商標)6LA-70などが挙げられる。半導体用途では、ナトリウムなどの非常に低いレベルの可動イオンを有する高純度の化学物質を必要とするため、界面活性剤溶液を、イオン交換を含む適切な手法で精製し、金属イオンを除去することができる。
【0041】
ポストCMP配合物はまた、ジフェニルジスルホン酸基を含まない少なくとも1種の第2の種類の界面活性剤を含む。適切な第2の種類の界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの混合物が挙げられる。第2の種類の界面活性剤の目的は、ジフェニルジスルホン酸系界面活性剤を単独で使用した場合には得られない溶液特性を提供することである。
【0042】
ジフェニルジスルホン酸界面活性剤を含む溶液は、典型的には、洗浄表面上である程度高い表面張力と高い接触角を有する。適切な特性を有する第2の種類の界面活性剤は、ポストCMP洗浄溶液の洗浄性能を改善することができる、様々なフィルム表面、粒子、残留物の表面改質に関して、付加的な利点を提供することもできる。したがって、ジフェニルジスルホン酸系界面活性剤と組み合わせて、より優れた濡れ特性を有する第2の種類の界面活性剤が望まれる。好ましい実施形態では、第2の種類の界面活性剤は、水中の0.01重量%の濃度で50ダイン/cm未満、より好ましくは水中の0.01重量%の濃度で45ダイン/cm未満、又は最も好ましくは水中の0.01重量%の濃度で40ダイン/cm未満の表面張力を有する。
【0043】
非イオン性界面活性剤は、長鎖アルコール、エトキシル化アルコール、エトキシル化アセチレンジオール界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、グルコシドアルキルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルフェニル(alkylpgenyl)エーテル、グリセロールアルキルエステル、ポリオキシエチレングリコールソルビトンアルキルエステル、ソルビトンアルキルエステル、コカミドモノエタノールアミン、コカミドジエタノールアミンドデシルジメチルアミンオキシド、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのブロックコポリマー、ポリエトキシル化牛脂アミン、フッ素系界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない科学的種類の範囲から選択することができる。
【0044】
アニオン性界面活性剤としては、適切な疎水性尾部及びアニオン性官能基、例えばカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、第2級スルホン酸塩(asulfonate)、リン酸塩、重カルボン酸塩、硫酸水素塩、重リン酸塩、例えばアルコキシカルボン酸塩、アルコキシ硫酸塩、アルコキシリン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。この種類の界面活性剤の対イオンとしては、カリウム、アンモニウム及び他の陽イオンが挙げられるが、これらに限定されない。疎水性基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0045】
カチオン性界面活性剤は、分子骨格の主要な部分に正の正味電荷を有する。カチオン性界面活性剤は、典型的には、疎水性鎖と、アミン、第4級アンモニウム、ベンジアルコニウム、及びアルキルピリジニウムイオンなどのカチオン性電荷中心と、を含む分子のハロゲン化物である。
【0046】
他の態様では、界面活性剤は、主分子鎖に正(カチオン性)と負(アニオン性)の両方の電荷を有し、それらに関連する対イオンを持つ、両性界面活性剤であり得る。カチオン部分は、第1級、第2級、第3級アミン又は第4級アンモニウムカチオンに基づいている。アニオン部分は、より多様で、スルタイン類の中でもCHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)及びコカミドプロピルヒドロキシスルタインのようなスルホネートを含むことができる。コカミドプロピルベタインなどのベタイン類は、アンモニウムを含むカルボキシレートを有する。両性界面活性剤の一部は、リン脂質のホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、及びスフィンゴミエリンなどの、アミン又はアンモニウムを含むリン酸アニオンを有してもよい。
【0047】
他の好ましい実施形態では、第2の種類の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。他の好ましい実施形態では、第2の種類の界面活性剤は、エチレンオキシド(EO)基若しくはポリプロピレンオキシド(PO)基又はEO基及びPO基の両方を含む非イオン性界面活性剤である。好ましい第2の種類の界面活性剤の例は、Clariant社製のアニオン性界面活性剤Hostapur SAS(登録商標)シリーズなどの、C12~C17疎水性鎖を有する第2級アルカンスルホン酸を含む界面活性剤である。好ましい第2の種類の界面活性剤の他の例としては、Dow Chemicals社製のTergitol(登録商標)Minfoam 1×が挙げられる。
【0048】
配合物は、2つ以上のアニオン性基を有する少なくとも1種の界面活性剤を含む。特定の理論に拘束されることなく、2つ以上のアニオン性基を有する界面活性剤は、高イオン性溶液中でさえ十分な静電場を有する可能性が高いと理論化することができる。したがって、界面活性剤分子が崩壊して溶液が濁るような構造に対して、界面活性剤溶液は、安定である。
【0049】
限定されないが、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などの適切な技術によって測定される界面活性剤の分子量は、百から千万を超える範囲であってもよい。
【0050】
いずれかの界面活性剤の種類の界面活性剤濃度は、0.001~2重量%、好ましくは0.01~0.75重量%、より好ましくは0.01~0.5重量%の範囲であり得る。
【0051】
洗浄配合物は、任意に、水溶性ポリマー添加剤を含むことができる。ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってもよい。ポリマーは、アクリル酸-アクリルアミドプロパンスルホン酸コポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ(1-ビニルピロリドン-co-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(4-スチレンスルホン酸)、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)コポリマー、及びこれらの組み合わせ、並びにこれらの塩からなる群から選択することができるが、これらに限定されない。GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)などの適切な技術によって測定されるポリマーの分子量は、100~10,000,000の範囲であり得る。
【0052】
好ましいポリマーは、スルホン酸基、アクリル酸基、又はスルホン酸基とアクリル酸基とを有するモノマーのコポリマーを含むポリマーである。
【0053】
適切な塩基を有するポストCMP配合物へのポリマーの添加は、洗浄性能の大きな改善をもたらす。洗浄性能向上のメカニズムは、依然として研究中である。1つの可能性として、表面への物理的吸着が考えられ、これにより除去された粒子や他の残留物の再堆積を防ぐことができる。また、残留物(有機物)との親和性が高いため、洗浄工程中のリフトオフの駆動力が高まるというメカニズムも考えられる。
【0054】
これらの種類のポリマー又はその混合物は、洗浄配合物に対して0.01~10重量%の濃度で添加することができる。好ましい濃度範囲は、0.1重量%~5重量%の間である。配合物は、水などの溶媒の添加により、使用時に2~500倍で希釈することができる。あるいは、使用時に希釈することなく、直接使用するために希釈した状態で供給することもできる。
【0055】
配合物はまた、任意に、フッ化物化合物を含む。フッ化物化合物の例としては、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、二フッ化アンモニウム、第4級アンモニウムフッ化物などが挙げられる。好ましい化合物は、フッ化アンモニウムである。配合物中のフッ素成分の濃度は、1~25重量%、好ましくは1.25~20重量%、より好ましくは1.5~15重量%、最も好ましくは2~10重量%であり、配合物は、使用時に2~500倍に希釈する。
【0056】
pH調整剤としては、硝酸、スルホン酸、リン酸などの無機酸を使用できる。また、pH調整剤としては、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの無機塩基、水酸化第4級アンモニウムなどの有機塩基、様々なアミン化合物を使用できる。
【0057】
配合物のpHは、好ましくは1~7、より好ましくは2~6、最も好ましくは3~6である。
【0058】
配合物は、使用時にDI水で2~500倍に希釈することができる。
【0059】
ポストCMP洗浄配合物については、洗浄性能に役立つ追加の成分が存在する場合がある。一般的な種類の添加剤には、以下のものを含む。
【0060】
洗浄化学は、任意に、キレート剤を含むことができる。
【0061】
キレート剤は、ある金属イオンに関して他の金属イオンよりも選択性が高い場合があるため、複数のキレート剤又はその塩が、本明細書に記載の組成物において使用される。これらのキレート剤は、基材表面上の金属イオン汚染物質に結合し、それらを組成物中に溶解させることができると考えられている。さらに、特定の実施形態では、キレート剤は、これらの金属イオンを組成物中に保持し、イオンが基材表面に再堆積するのを防止できるはずである。使用することができる適切なキレート剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(NHEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチルクレノトリアミン五酢酸(DPTA)、エタノールジグリシネート、クエン酸、グルコン酸、シュウ酸、リン酸、酒石酸、メチルジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチリデンジホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、1-ヒドロキシプロピリデン-1,1-ジホスホン酸、エチルアミノビスメチレンホスホン酸、ドデシルアミノビスメチレンホスホン酸、ニトリロトリスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンビスメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ヘキサジアミンテトラキスメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸及び1,2-プロパンジアミンテトラメチレンホスホン酸又はアンモニウム塩、有機アミン塩、マロン酸、コハク酸、ジメルカプトコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フタル酸、フマル酸、トリカルバリル酸、プロパン-1,1,2,3-テトラカルボン酸、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、ピロメリト酸などのポリカルボン酸類、グリコール酸、β-ヒドロキシプロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ピルビン酸、ジグリコール酸、サリチル酸、没食子酸などのオキシカルボン酸類、カテコール、ピロガロールなどのポリフェノール類、ピロリン酸、ポリリン酸などのリン酸類、8-オキシキノリンなどの複素環式化合物、及びα-ジピリジルアセチルアセトンなどのジケトン類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
キレート剤は、0.01重量%~30重量%の範囲にある濃度で使用できる。
【0063】
洗浄化学は、任意に消泡剤化合物を含むことができる。消泡剤(defoamer)又は消泡剤(anti-foaming agent)は、配合物中の泡の形成を減少させ、かつ妨げる化学添加剤である。消泡剤(anti-foaming agent)と消泡剤(defoamer)という用語は、しばしば互換的に使用される。一般的に使用される薬剤は、不溶性油、ポリジメチルシロキサン及び他のシリコン、特定のアルコール、ステアレート及びグリコール、ポリエーテル界面活性剤と多価アルコール脂肪酸エステルの組み合わせなどの特定の界面活性剤、Emonik Chemicals社製のSurfynol MD20界面活性剤である。消泡化合物は、洗浄配合物中に0.00001重量%~0.01重量%の範囲の濃度で使用できる。
【0064】
洗浄化学は、任意で殺生物剤を含むことができる。CMP配合物は、殺生物剤などの生物学的成長を制御するための添加剤も含んでもよい。生物学的成長を制御するための添加剤の幾つかは、米国特許第5,230,833号(Rombergerら)及び米国特許出願公開第2002/0025762号に開示されており、これらは、参照によりここに組み込まれる。生物学的成長阻害剤としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラプロピルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド及びアルキルベンジルジメチルアンモニウムヒドロキシドであって、アルキル鎖が1~約20個の炭素原子であるもの、亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン、ベンズイソチアゾリノンなどのイソチアゾリノン化合物が挙げられるが、これらに限定されない。市販の防腐剤の幾つかとしては、Dow Chemicals社製のKATHONTM及びNEOLENETM製品ファミリー、並びにLanxess社製のPreventolTMファミリーが挙げられる。
【0065】
好ましい殺生物剤は、メチルイソチアゾリノン、メチルクロロイソチアゾリノン及びベンズイソチアゾリノンなどのイソチオジロン化合物である。
【0066】
配合物は、保存中の細菌及び真菌の増殖を防ぐために、0.0001重量%~0.10重量%、好ましくは0.0001重量%~0.005重量%、より好ましくは0.0002重量%~0.0025重量%の範囲の殺生物剤を含んでもよい。
【0067】
化学物質は、表面から残留物を除去することを要求する、様々な洗浄用途で使用され得る。残留物は、性質上、無機又は有機であってよい。これらのポリマーを含む配合物が有効であり得るプロセスの例としては、ポストCMP洗浄、フォトレジスト灰残留物除去、フォトレジスト除去、及びプレプローブウェーハ洗浄、ダイシング、研削などの後工程パッケージにおける様々な用途、並びに光起電力用途のウェーハの洗浄が挙げられる。
【0068】
本発明の組成物は、表面に金属膜又は誘電体膜の少なくとも1つ以上を含む半導体ウェーハの洗浄に特に適している。金属膜は、銅、タングステン、コバルト、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム-アンチモン-テルル(GST)、又はこれらの合金を含む相互接続金属線又はビアを含み得る。誘電体層は、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)前駆体から得られるような酸化ケイ素膜、ケイ素、炭素、窒素、酸素、及び水素などの1種以上の元素を有する誘電体膜とすることができる。誘電体膜は、多孔質又は非多孔質であってもよく、又は当該構造は、空隙を含んでもよい。
【0069】
洗浄組成物は、ブラシボックス洗浄、スプレー洗浄、メガソニック洗浄、パッド上のバフ洗浄、単一ウェーハスプレーツール、バッチ式浸漬洗浄ツールなど、又はこのような方法の組み合わせを含むがこれらに限定されない様々な種類の洗浄技術でウェーハ表面を洗浄するために使用することができる。
【0070】
特定の好ましい実施形態では、水で希釈したときの洗浄組成物は、室温で好ましくは0.2~50オングストローム/分、より好ましくは1~20オングストローム/分の間のエッチング速度で誘電体膜をエッチングすることができる。
【0071】
幾つかの好ましい実施形態では、金属膜(タングステン及び窒化チタン)の室温エッチング速度は、非常に低く、好ましくは10オングストローム/分未満、より好ましくは5オングストローム/分未満、最も好ましくは2オングストローム/分未満である。
【0072】
本発明の配合物は、タングステンのポストCMP洗浄用途に特に適している。タングステンCMPは、誘電体表面上に目に見えない残留物を形成し得る、W、Ti、及びFeを含む金属残留物をもたらす。これらの残留物は、リーク電流を増加させ、半導体装置の有効性を低下させる可能性がある。特にチタンは、一般に広いpH範囲にわたって固体酸化物相として安定であるため、ウェーハ表面から除去するのが非常に困難である。本発明の配合物は、適切な有機酸と誘電体エッチング能力により、チタン残留物を効果的に除去し、装置の電気的性能を向上させることができる。
【0073】
ポストCMP洗浄溶液が低濁度であることが望ましい。高い濁度を有することは、溶液中に存在する粒子の数の測定に干渉をもたらし、これはポストCMP洗浄溶液の品質を制御するために重要である。濁度は、適切な光学技術を使用して測定することができる。濁度値は、通常、溶液サンプルに光を当てたときに溶液中の物質によって散乱される光の量を測定することによって測定される。散乱光の強度が高ければ高いほど、濁度は高くなる。濁度の測定単位としては、ネフェロメトリック濁度単位(NTU)が一般的に用いられている。ポストCMP洗浄溶液の濁度は、5NTU未満、好ましくは2.5NTU未満、より好ましくは2.0NTU未満、又は最も好ましくは1NTU未満であることが望ましい。
【0074】
他の態様では、本明細書に記載されるのは、金属膜、誘電体膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの表面を含む半導体ウェーハのポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄方法であって、
半導体ウェーハを提供する工程と、
上記のポスト化学機械平坦化(CMP)の洗浄組成物を提供する工程と、
ポストCMP洗浄組成物を使用して半導体ウェーハを洗浄する工程と、
を含み、
金属膜は、タングステン、銅、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0075】
その中で、当該方法は、少なくとも1つの表面から、Fe、W、Ti、TiN及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属残留物を除去する。
【0076】
更に他の態様では、本明細書に記載されるのは、金属膜、誘電体膜、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの表面を含む半導体ウェーハのポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄のためのシステムであって、
半導体ウェーハと、
上記のポスト化学機械平坦化(CMP)洗浄組成物と、
を含み、
少なくとも1つの表面は、ポストCMP洗浄組成物と接触しており、金属膜は、タングステン、銅、コバルト、ルテニウム、アルミニウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0077】
特定の好ましい実施形態では、水で希釈した場合の洗浄組成物は、室温で、1~10オングストローム/分の間のエッチング速度で誘電体膜をエッチングし、1オングストローム/分未満のエッチング速度でタングステンをエッチングし、5オングストローム/分未満のエッチング速度で窒化チタン膜をエッチングすることができる。
【0078】
本明細書に記載の洗浄組成物、方法及びシステムは、以下の実施例を参照してより詳細に説明されるが、それに限定されるとは見なされないことが理解されるべきである。
【実施例
【0079】
実施例1
表1に示すように、濃縮配合物を作成した。
【0080】
配合物1重量部を、水49重量部に希釈した。
【0081】
タングステン及びTEOS表面のゼータ電位は、Zetasizer Nano tool(Malvern Instruments Inc.117 Flanders Road Westborough MA 01581-1042)の表面ゼータ電位セルを使用して、高純度シリカ粒子を微粒子として加えることにより測定した。
【0082】
界面活性剤は、酸の形態で使用した。
【0083】
データは、C12疎水性鎖を含むジフェニルジスルホン酸であるPilot Chemical Company,9075 Centre Pointe Drive,Suite 400,West Chester,OH 45069のCalfax(登録商標)DBA-70が、タングステン表面のゼータ電位の大きさを増加させるために非常に有効であることを示す。
【0084】
一方、C12~C17疎水性鎖を含む第2級アルカンスルホン酸であるClariant社製のHostapur SAS(登録商標)(アニオン性界面活性剤)の第2の種類の界面活性剤(ジフェニルジスルホン酸界面活性剤ではない)は、TEOS表面のゼータ電位の大きさを増加させるためにより有効である。
【表1】
【0085】
界面活性剤による表面のゼータ電位変化は、吸着によってフィルム表面を改質し、洗浄しやすくする能力を強く示している。負のゼータ電位の大きさの増加は、界面活性剤中のアニオン性基と関連していると考えられる。2.55のpHを使用して、フッ化アンモニウムを使用せずにゼータ電位変化を測定した。
【0086】
1つがジフェニルジスルホン酸形態である、2種の界面活性剤の組み合わせは、金属及び誘電体の両方の表面を含むパターン化ウェーハの洗浄に不可欠な、金属(この例ではタングステン)及び誘電体(この例ではTEOS)の両方の強力な表面改質を実現した。
【0087】
実施例2
表1の配合物1にCalfax(登録商標)DBA-70及びHostapur(登録商標)SASの両界面活性剤を添加して、異なる配合物を作成した。
【0088】
最初に、配合物1を49重量部の水で希釈し、50倍希釈液を作成した。
【0089】
次に、界面活性剤を希釈液に添加した。希釈液中の全界面活性剤濃度は、60ppmに固定された。
【0090】
界面活性剤混合物中の個々の界面活性剤の分画は、全界面活性剤量の0~100%の間で変化させた。
【0091】
タングステン膜を50℃で4日間保持することにより、疎水性タングステン表面を作成した。
【0092】
タングステンフィルム表面の接触角を、フィルム上に液滴を置いた後の時間の関数として測定した。測定された接触角は、図1に示されている。
【0093】
この図から明らかなように、界面活性剤Calfax(登録商標)DBA70を増加しても、接触角の低下には殆ど影響がなかった。第2の種類の界面活性剤Hostapur(登録商標)SASは、(Calfax(登録商標)DBAが0%の曲線に示されているように)非常に効果的に接触角を下げることができる。Calfax(登録商標)DBA界面活性剤を界面活性剤全体の33%まで添加することによって、タングステンに対する接触角を大幅に低下させることができる。
【0094】
実施例3
配合物6は、表2に記載したように調製した。
【表2】
【0095】
表3に示すように、配合物6において様々な濃度の界面活性剤を添加した。
【0096】
表3において、界面活性剤1は、Dow Chemical Company社のDowfax(登録商標)シリーズであった。界面活性剤1は、異なる構造を持つジフェニルジスルホン酸系界面活性剤であった。
【0097】
表3の第2の種類の界面活性剤である界面活性剤2 Hostapur(登録商標)SASは、ジフェニルジスルホン酸系界面活性剤ではなかった。
【0098】
配合物の安定性は、Hatch濁度試験ツールを使用した濁度測定により測定した。表3は、濁度データを纏めたものである。
【0099】
界面活性剤2 Hostapur(登録商標)SASを配合物6に添加すると、配合物7の濁度データから明らかなように、非常に高い濁度(29.6)となる。
【0100】
しかしながら、ジフェニルジスルホン酸系界面活性剤1を添加すると、濁度は下がった。
【0101】
これらの界面活性剤を含む大部分の溶液は、濁度が2NTU未満であり、これは澄んだ透明溶液であることを示す。これは、ジフェニルジスルホン酸系界面活性剤が第2の界面活性剤を可溶化する予想外の能力を示す。
【表3】
【0102】
実施例4
配合物20は、表4に記載したように調製した。
【表4】
【0103】
この配合物に、表5に示すように、種々な濃度(重量%)の界面活性剤を添加した。
【0104】
様々な界面活性剤の組み合わせの濁度測定を、Hatch濁度テストツールを使用して行った。
【表5】
【0105】
表5は、濁度データを纏めたものである。
【0106】
Calfax(登録商標)DBA-40は、Pilot Chemical Companyから入手可能なC12(分岐)ジフェニルジスルホン酸系界面活性剤である。
【0107】
他の界面活性剤は、Millipore Sigma(400 Summit Drive Burlington 01803 米国)から購入した。
【0108】
ジフェニルジスルホン酸系界面活性剤の添加は、広範囲の界面活性剤を含むポストCMP洗浄液の濁度を低減できることが、表から明らかである。
【0109】
実施例5
表6のとおりに配合物を作成し、濁度試験を行った。
【0110】
TergitolTMMin Foam 1xは、Dow Chemicals社製のエチレンオキシド基とプロピレンオキシド基を含む界面活性剤である。
【表6】
【0111】
表6は、濁度データを纏めたものである。
【0112】
ジフェニルジスルホン酸系界面活性剤Calfax(登録商標)DBA-40の添加は、ポストCMPの洗浄液の濁度を低減できることが、表から明らかである。Calfax(登録商標)DBA-40を含む全ての溶液は、濁度が2NTU未満であり、これは澄んだ透明溶液であることを示す。これは、ジフェニルジスルホン酸系界面活性剤がTergitol Min-Foam 1xを可溶化する予想外の能力を再度示す。
【0113】
実施例6
各種界面活性剤の表面張力は、(rame-hart instrument co.19 Route 10 East,Suite 11Succasunna,NJ 07876 米国、によって製造された)rame-hart 590ツールを用いて、無次元滴下法を使用して測定した。このツールは、輪郭フィッティングアルゴリズム、及び液滴の輪郭のプロファイル座標を使用して、液体の表面張力を計算する。表6は、水中の0.01%濃度の様々な界面活性剤による表面張力を提供する。
【表7】
【0114】
表7から明らかなように、Calfax(登録商標)DBA-40に代表されるジフェニルジスルホン酸系界面活性剤は、所定の濃度で高い表面張力値を有する。表面張力値の低い第2の界面活性剤は、洗浄液の表面張力を低下させるために必要である。
【0115】
本発明をその特定の実施形態と併せて説明したが、前述の説明に照らして、多くの代替案、修正、及び変形が当業者に明らかになることは明らかである。したがって、一般的な発明概念の精神又は範囲から逸脱することなく、このような詳細から逸脱することができる。
図1
【国際調査報告】