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特表2023-540213基板を化学的に処理するためのプラズマ処理システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】基板を化学的に処理するためのプラズマ処理システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20230914BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230914BHJP
   C23C 16/507 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H05H1/46 L
H01L21/302 101C
C23C16/507
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513304
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-04-20
(86)【国際出願番号】 US2021046224
(87)【国際公開番号】W WO2022046461
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】17/003,734
(32)【優先日】2020-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンツェク,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ランジャン,アロック
(72)【発明者】
【氏名】大秦 充敬
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084AA13
2G084BB02
2G084CC03
2G084CC05
2G084CC06
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084FF02
2G084FF04
2G084FF33
2G084FF38
2G084FF39
4K030EA05
4K030EA11
4K030FA04
4K030KA02
4K030KA30
4K030KA47
5F004BA03
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB28
5F004DA01
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA23
5F004DA26
(57)【要約】
プラズマ処理システムは、ラジカル源チャンバであって、気体入口、無線周波数(RF)電源に連結された電極であって、ラジカル源チャンバ内でラジカルを生成するように構成された電極、及びラジカル源チャンバ内で生成されたラジカルのための出口を含むラジカル源チャンバと、ラジカル源チャンパの出口に取り付けられたプレナムであって、第一の熱伝導体で製作され、その壁が気体流のための開口を含むプレナムと、ラジカル源チャンバにプレナムを通じて接続されるプロセスチャンバと、を含む。プロセスチャンバは、プレナムの下に配置された基板ホルダと、基板ホルダの下の気体出口と、第二の熱伝導体を含むプロセスチャンバ壁と、を含み、プロセスチャンバのプロセスチャンバ壁はプレナムの壁に熱的に結合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理システムであって、
ラジカル源チャンバであって、
気体入口と、
無線周波数(RF)電源に結合された電極であって、
前記ラジカル源チャンバ内でラジカルを生成するように構成された電極と、
前記ラジカル源チャンバ内で生成されたラジカルのための出口と、を含む、ラジカル源チャンバと、
前記ラジカル源チャンバの前記出口に取り付けられたプレナムであって、
前記プレナムは、第一の熱伝導体で製作され、
前記プレナムの壁は、気体流のための開口を含む、プレナムと、
前記プレナムを通じて前記ラジカル源チャンバに接続されたプロセスチャンバであって、
前記プレナムの下に配置された基板ホルダと、
前記基板ホルダの下の気体出口と、
第二の熱伝導体を含むプロセスチャンバ壁であって、前記プレナムの前記壁に熱的に結合している、プロセスチャンバ壁と、を含む、プロセスチャンバと、を含む、プラズマ処理システム。
【請求項2】
前記第一の熱伝導体は紫外線を透過させない材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プレナムは、前記ラジカル源チャンバと前記基板ホルダとの間に介在し、前記プレナムは、前記ラジカル源チャンバから前記基板ホルダまでの直接見通し線の中で、前記ラジカル源チャンバ内から発せられる紫外線をブロックするように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第一の熱伝導体は、片面がアルミナ又はイットリアで被覆されたアルミニウムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第一の熱伝導体と前記第二の熱伝導体は同じ熱伝導体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電極は、前記ラジカル源チャンバの外部で誘電材料を含む上カバーの上に配置された平面コイルのような形状の導電体である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記電極は、前記ラジカル源チャンバの外部で誘電材料を含む円筒形側壁の周囲に配置された螺旋のような形状の導電体であり、前記導電体の長さは前記RF電源により電源供給された前記電極内のRF電磁振動の波長の4分の1の倍数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
プラズマ処理システムであって、
プレナムであって、
底壁と、
前記底壁の縁に沿った側壁と、
前記側壁から外側へと延びるリムと、
前記側壁と前記底壁との間のラジカルバラスト領域と、を含み、熱伝導構造である、プレナムと、
気体入口と、無線周波数(RF)電極と、前記プレナムの前記リムに取り付けられた底部出口と、を含む、ラジカル源チャンバと、
前記リムにおいて前記プレナムに物理的に取り付けられた熱伝導壁を含むプロセスチャンバであって、前記プレナムは、前記ラジカルバラスト領域を通じて前記プロセスチャンバを前記ラジカル源チャンバに接続する開口を含む、プロセスチャンバと、
前記プレナムの前記底壁の下に配置された基板ホルダと、を含む、プラズマ処理システム。
【請求項9】
前記プレナムはリングのような形状のリムを有する帽子を逆さにしたような形状である、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記リムの前記開口の幅は前記ラジカル源チャンバの前記出口の幅より小さいか、それと等しく、
前記ラジカルバラスト領域の幅は前記ラジカル源チャンバの前記出口の幅より大きいか、それと等しく、
前記ラジカルバラスト領域の幅は前記基板ホルダの幅より大きいか、それと等しく、
前記ラジカルバラスト領域の深さは5cm~15cmであり、
前記ラジカルバラスト領域の幅対深さの比は3~10である、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記開口は前記プレナムの前記側壁において、前記基板ホルダを通る軸の周囲に対称に配置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記開口は前記プレナムの前記側壁において、前記基板ホルダを通る鏡面の片側に対称に配置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記ラジカルバラスト領域は長方形の空洞のような形状であり、前記開口は前記プレナムの前記側壁の4つの長方形の面のうちの1つに配置される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記開口は前記プレナムの前記底壁に配置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記プレナムの前記底壁の前記開口は、前記開口を通過する紫外線エネルギを前記底壁の上面に入射する紫外線エネルギの1%未満に限定するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセスチャンバの1つの面のみに配置された気体出口をさらに含み、前記気体出口は、気体流を前記プロセスチャンバの、前記プレナムの1つの面のみに隣接する領域に案内して、前記基板ホルダの上方に直交流を生じさせるように構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項17】
プラズマ処理方法であって、
基板をプロセスチャンバの底の付近に配置された基板ホルダ上にのせるステップと、
気体入口を介して、プロセスガスとキャリアガスをラジカル源チャンバの中へと導入するステップであって、前記ラジカル源チャンバは、前記ラジカル源チャンバの下に配置されたプレナムに取り付けられた出口を含む、ステップと、
プラズマをラジカル源チャンバ内に保持するステップであって、前記プラズマはラジカルを含む、ステップと、
前記ラジカルを前記プレナムの壁の開口を通る気体流の中で前記基板へ輸送するステップと、
前記基板の表面を前記ラジカルで化学的に処理するステップと、
前記基板ホルダの下に配置された気体出口を介して余剰の反応物質及び気体副生成物を前記プロセスチャンバから排除するステップと、を含む、方法。
【請求項18】
前記輸送するステップは、前記気体流を、前記プレナムの側壁を通って前記基板ホルダを通る軸の周囲に対称に案内するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記輸送するステップは、前記気体流を、前記プレナムの側壁を通じて前記プレナムの片側のみに案内するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記基板の上方に前記ラジカルの直交流を生じさせるステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年8月26日に出願された米国特許出願第17/003,734号の優先権及び出願日の利益を主張するものであり、同出願の全体を参照により本願に援用する。
【0002】
本発明は一般に、基板を処理するためのシステム及び方法に関し、特定の実施形態において、基板を化学的に処理するためのプラズマ処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、集積回路(IC)等の半導体装置は、半導体基板上に誘電体、導電体、及び半導体材料の層を連続的に堆積させ、パターニングして、電子コンポーネント及び相互接続素子(例えば、トランジスタ、レジスタ、コンデンサ、金属線、コンタクト、ビア)をモノリシック構造に集積させたネットワークを形成することにより製作される。半導体装置の構成素構造を形成するために使用される堆積及びエッチ工程の多くは、プラズマ援用処理を含む。プラズマ処理技術には、化学的ドライエッチング(CDE:chemical dry etching)(例えば、プラズマ灰化)、プラズマ又はスパッタエッチング、物理的及び化学的ドライエッチングの組合せ(例えば、反応性イオンエッチング(RIE:reactive ion etching))、及びプラズマ強化CVD(PECVD:plasma-enhanced CDV)、プラズマ強化原子層エッチ(PEALE:plasma-enhanced atomic layer etch)、及びプラズマ強化原子層エッチ、及びプラズマ強化原子層堆積法(PEALD:plasma-enhanced atomic layer deposition)が含まれる。
【0004】
テクノロジノードが進化するたびに、最小加工寸法は、低コスト化のためにコンポーネントパッキング密度をほぼ二倍にすることで縮小されている。高機能で低コストの電子部品に対する需要から、加工寸法は数ナノメートルまで微細化され、半導体製造技術における課題の軟度がより高まっている。特に、プラズマ処理技術では、多くの場合、寸法が原子レベルで精密に制御されたナノ構造を、幅広の(例えば、300mm)のウェハに全体に均一に製造することが必要となる。より小型化される半導体装置の製造における精密さ、均一性、安定性、及び繰り返し性に対する厳しい要求を満たすためには、プラズマ設備及びプロセス設計のさらなる革新が必要かもしれない。
【発明の概要】
【0005】
プラズマ処理システムは、ラジカル源チャンバであって、気体入口、無線周波数(RF)電源に連結された電極であって、ラジカル源チャンバ内でラジカルを生成するように構成された電極、及びラジカル源チャンバ内で生成されたラジカルのための出口を含むラジカル源チャンバと、ラジカル源チャンパの出口に取り付けられたプレナムであって、第一の熱伝導体で製作され、その壁は、気体流のための開口を含むプレナムと、ラジカル源チャンバにプレナムを通じて接続されるプロセスチャンバと、を含む。プロセスチャンバは、プレナムの下に配置された基板ホルダ、基板ホルダの下の気体出口、及び第二の熱伝導体を含むプロセスチャンバ壁を含み、プロセスチャンバのプロセスチャンバ壁はプレナムの壁に熱的に結合される。
【0006】
プラズマ処理システムは、プレナムを含み、これは、底壁、底壁の縁に沿った側壁、側壁から外側へと延びるリム、及び側壁と底壁との間のラジカルバラスト領域を含む。プレナムは、熱伝導構造である。システムは、気体入口、無線周波数(RF)電極、及びプレナムのリムに取り付けられた底部出口を含むラジカル源チャンバと、リムにおいてプレナムに物理的に取り付けられた熱伝導壁を含むプロセスチャンバであって、プレナムは、プロセスチャンバをラジカル源チャンバにラジカルバラスト領域を通じて接続する開口を含むプロセスチャンバと、プレナムの底壁の下に配置された基板ホルダと、をさらに含む。
【0007】
プラズマ処理方法は、基板をプロセスチャンバの底の付近に配置された基板ホルダ上にのせるステップと、気体入口を介して、プロセスガスとキャリアガスをラジカル源チャンバの中へと導入するステップであって、ラジカル源チャンバは、ラジカル源チャンバの下に配置されたプレナムに取り付けられた出口を含む、ステップと、プラズマをラジカル源チャンバ内に保持するステップであって、プラズマはラジカルを含む、ステップと、ラジカルをプレナムの壁の開口を通る気体流の中で基板へ輸送するステップと、基板の表面をラジカルで化学的に処理するステップと、基板ホルダの下に配置された気体出口を介して余剰の反応物質及び気体副生成物をプロセスチャンバから排除するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明及びその利点をより完全に理解するために、ここで、以下の説明が添付の図面と併せて参照される。
【0009】
図1A】ある実施形態による、基板の表面を化学的に処理するためのプラズマシステムの断面図を示す。
図1B】ある実施形態による、図1Aの断面図に示されるプラズマシステムの一部の斜視図を示す。
図1C】ある実施形態による、図1Aの断面図に示されるプラズマシステムの部分の側面図を示す。
図2A】ある実施形態による、基板の表面を化学的に処理するためのプラズマシステムの断面図を示す。
図2B】ある実施形態による、図2Aの断面図に示されるプラズマシステムの一部の斜視図を示す。
図3A】ある実施形態による、基板の表面を化学的に処理するためのプラズマシステムの断面図を示す。
図3B】ある実施形態による、図3Aの断面図に示されるプラズマシステムの一部の斜視図を示す。
図4】ある実施形態による、基板の表面を化学的に処理するためのプラズマシステムの断面図を示す。
図5】ある実施形態による、基板の表面を化学的に処理する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示では、プラズマラジカル源から抽出されたラジカルを含む気体反応物質に基板を暴露させることにより、基板の表面を比較的低い基板温度で化学的に処理するプラズマシステム及び方法の実施形態を説明する。本開示によるプラズマシステムをそのために使用し得るプラズマ処理方式では、基板をプラズマに直接暴露させない。これらの手法において、基板は、基板から離れた位置にあるプラズマから抽出され、その後、気体流の中で化学的処理のために基板の表面へと輸送されるエネルギラジカルを使って化学反応を起こさせることにより処理される。本開示において説明される実施形態によって、以下により詳しく説明するような、効率的な熱放散のための設備設計により実現される、効率的なラジカル輸送、プラズマ誘導放射による損傷の少なさ、及び安定な処理環境といった幾つかの利点が提供される。
【0011】
比較的低い基板温度での表面の化学的処理は多くの場合、比較的高いラジカル対イオン比で存在する高いエネルギラジカルを含む気体に表面を暴露させることによって行われる。一般に、化学処理には、イオン衝撃からの基板への物理的損傷を軽減させ、プラズマ放電で生成される高いエネルギ電磁放射(例えば、紫外線)からのプラズマ誘導放射損傷を軽減させるために間接的プラズマシステムが好まれる。典型的に、間接的プラズマシステムには3つの区間がある:基板から物理的に分離されたラジカル源を含む第一の区間、そこを通ってラジカルが気体流中で輸送され得る第二の区間、及び第二区間と接し、その中で基板が基板ホルダ上に載せられ得て、その表面がラジカルで化学的に処理され、余剰の反応物質及び気体副生成物が気体出口を介して排除される第三の区間。
【0012】
本開示に記載の間接的プラズマシステムにおいて、第一の区間はラジカル源チャンバと呼ばれ、プラズマを保持するように構成され得て、第二の区間はプレナムと呼ばれ、ラジカルバラスト領域を含み、第三の区間はプロセスチャンバと呼ばれ、基板が化学処理のためにラジカルに到達できるように、プレナムを通じてラジカル源チャンバに接続され得る。本開示の例示的実施形態は、ラジカル源チャンバ内の、純粋に誘導結合されたプラズマを保持するように構成された無線周波数(RF)電極を使用することにより、気体流内のより高いラジカルフラックス対イオンフラックスの比を提供し得る。図1A図3Bに関して説明する実施形態は、ラジカル源チャンバのRF電極として螺旋共振器を使用し、それに対して図4に示される例示的実施形態ではプラズマコイルが使用されている。輸送中のラジカル損失は、遠隔プラズマ設計の代わりに隣接プラズマ設計を使用することによって軽減されていた。例示的実施形態の隣接プラズマ設計では、短いラジカルバラスト領域だけでラジカル源チャンバがプロセスチャンバから分離されている。プラズマ誘導損傷は、プレナムをそれらの間に介在させることによってプラズマをプロセスチャンバ内の基板から物理的分離することによってだけでなく、プレナムの壁を、ラジカル源チャンバから基板ホルダまでの直接的な見通し線内の紫外線を、紫外線不透過の材料を使ってブロックするように構成することによっても軽減されている。処理環境の不安定性は、プレナムの材料及び形状を効率的な熱放散のために設計することによって軽減されており、これは処理中の安定な低温を保持するのに役立つ。さらに、処理中の温度過渡に伴う表面の膨張と収縮が、堆積物の剥離の原因となり得て、それによってプロセスチャンバ内に不要な粒子が生成されることになる。
【0013】
プレナムの壁を貫通する気体流のための開口の位置は、プレナムの壁を通ってプロセスチャンバに入る気体を、プロセスチャンバ内の基板ホルダの上にのせられている基板の表面の上に所望のパターンで流れるように方向付ける構成で設計され得る。図1A~1Cは、気体流が基板の周辺から横方向に案内されるある実施形態の間接的プラズマシステム100を示している。図2A~2Bに示される実施形態では、プラズマシステム200内の気体流は上から縦方向に案内され、図3A~3Bに示される他の実施形態のプラズマシステム300では、気体は片側から、基板上で直交流を生成するように案内される。
【0014】
ここで図1Aを参照すると、プラズマシステム100は、ラジカル源チャンバ110と、ラジカル源チャンバ110の出口に取り付けられたプレナム120と、ラジカル源チャンバ110にプレナム120を通じて接続されるプロセスチャンバ130と、を含む。
【0015】
プラズマシステム100のラジカル源チャンバ110は、上カバー108内の気体入口102と側壁106の外側に配置された無線周波数(RF)電極104とを有する、逆さにした開放円筒体のような形状であり得る。RF電極104は、誘電体(例えば、セラミック材料)を含む側壁106の周囲に縦方向に巻かれた導電性螺旋であり得る。上カバーは、ラジカル源チャンバ110の内側向きの面に誘電体コーティングを有する導電性材料、例えばアルミナ又はイットリアで被覆されたアルミニウムを含む。各種の気体(例えば、アルゴン、酸素、六フッ化硫黄、及びテトラフルオロメタン、三フッ化窒素、その他)がチャンバ内に導入され得て、制御された気体放電プラズマがラジカル源として形成される。
【0016】
電極104は、RF電源(図示せず)に結合される。導体の長さは、RF電源により電源供給される電極のRF電磁振動の4分の1波長(λ/4)又は2分の1波長(λ/2)となるように設計され得る。各種の実施形態において、振動周波数fは、約15MHz~約500MHz、1つの実施形態においては約15MHz~約200MHzであり得る。電極104は、純粋に誘導結合されたモードで動作して、ラジカル源チャンバ110内で約0.01W/cm~約1W/cmのRF電力密度でプラズマを保持するように構成され得る。
【0017】
本開示のこの例示的実施形態において、幅dのラジカル源チャンバ110は、図1Aに示されるように、ラジカルがラジカル源チャンバ110から出る気体流の中で出口に取り付けられたプレナム120のラジカルバラスト領域128へと輸送されるようにする開放底部を有する。プレナム120は、底壁122、底壁122の縁に沿った側壁126、側壁から外側へと延びるリム124、及び側壁126と底壁122との間のラジカルバラスト領域128を含む。プレナム120は、図1Bの斜視図においてわかるように、側壁126及び底壁122により区切られるラジカルバラスト領域128へと続く中心開口を有するリング状のリム124のある、逆さにした帽子のような形状であり得る。リム124の中心開口の幅は、ラジカル源チャンバ110の幅dより小さいか、それと等しくなるように設計される。(図1Aにおいて、リム124の開口の幅は、あくまでも例としてdと等しく示されている。これによって、図1Aに示されているように、ラジカル源チャンバ110の底部出口をプレナム120のリム124に物理的に取り付けることができる。ラジカルはそれゆえ、リム124の中心開口を使ってラジカル源チャンバ110から出て、ラジカルバラスト領域128に入ることができる。
【0018】
また、リム124には、図1Aに示されるように、リム124の下に配置されたプロセスチャンバ130も取り付けられる。図1Aに示されるプラズマシステム100のような本願に記載の実施形態では、リム124は側壁126から外側に延びてプロセスチャンバ130の上部を覆い、プロセスチャンバ130の壁134の縦方向の部分に取り付けられる。その他の各種の実施形態において、リム124はプロセスチャンバ130の縁に向かって途中まで延び、プロセスチャンバ130の上カバーに取り付けられても、リム124及び壁134が1つのモノリシックな構造であってもよい。
【0019】
図1Aに示されるプロセスチャンバ130は、側壁126に隣接する環状領域を含み、さらに下に、底壁122に隣接する円筒形領域へと延びる。基板ホルダ132は、プレナムの底壁122の下の隣接領域に配置され得る。基材140は、基板ホルダ132上にのせられているように示されている。気体出口136は、基板ホルダ132の下に配置され得て、そこを介して余剰の反応物質及び気体副生成物がプロセスチャンバ130から排除され得る。使用されたプロセスチャンバ設計は本開示の全ての実施形態に共通であるが、気体出口136は、基板ホルダ132の上に所望の非対称の気体流パターンを生じさせやすくするために、プラズマシステム300(図3A参照)等の実施形態では非対称に配置され得る点が異なる。本開示の例示的なプラズマシステムの各々は1つの気体入口及び1つの気体出口を示しているが、複数の気体入口及び複数の気体出口も使用され得ると理解されたい。
【0020】
本開示に記載のプラズマシステムの設計の1つの態様は、効率的な熱放散である。その目的のために、プレナム120の壁、例えば底壁122、リム124、及び側壁126並びにプロセスチャンバ130の壁134は、アルミニウム、銅、又はその他等の熱伝導材料を含み、物理的且つ熱的に相互に結合される。当業者の間で知られているように、プラズマシステム100等のプラズマシステムの導電性の壁は、システムアース(基準電位)に電気的に接続され得る。プラズマシステム100では、プレナム120の接地壁と非弾性衝突する気体流中の正に帯電したエネルギイオンにより熱が生成され得て、壁にそのエネルギが熱として伝わる。エネルギを有するラジカルによるラジカルバラスト領域128の周囲の壁へのランダムな衝突も、熱生成に寄与する。生成された熱の迅速な排除は、高い熱伝導率を有する材料を使用することによってだけでなく、構造の機械的設計における部品間の接続数を減らすことによっても容易にされ得る。金属ジョイントの熱接触は、例えばラップジョイント、Tジョイント、又はコーナジョイント等のジョイントにより接続される吊り下げ部品の機械的応力によって経時的に溝内に広がるギャップにより劣化され得る。
【0021】
熱伝導材料を使用することに加えて、図1Bに示されるプレナム120の帽子を逆さにした構造は、プロセスチャンバ壁134への効率的な熱の流れを実現するために熱抵抗を減らすように、モノリシック構造として設計され得る。1つの実施形態において、プレナム120及びプロセスチャンバ壁134は、例えば鋳造又は他の何れかの金属成形プロセスにより、モノリシック構造として一体に形成できる。
【0022】
プロセスチャンバ壁134は、ヒートシンクとして動作する熱容量を有し得るか、又は外部ヒートシンクに熱的に接続され得る。上で説明したように、効率的な熱の除去は、安定な処理環境を保持するのに役立つという利点を提供する。プロセスチャンバ130の壁134及び、プレナム120の、隣接するプロセスチャンバに面する壁のコンディショニング及び/又は表面のアルミナ又はイットリア等の材料の薄層による被覆もまた、処理環境を安定化するに役立つ。
【0023】
図1Aに示される被覆層121は、様々な手法を使って提供され得て、例えば陽極酸化されたアルミニウム、イットリアでの被覆、又はプロセスチャンバ130のコンディショニングが用いられる。被覆層121は、プレナム120の壁のための1つの材料とプロセスチャンバ130の壁134のための異なる材料を含み得る。一般に、プラズマプロセスチャンバの化学的状態は、処理中に、イオン衝撃並びに各種のラジカル及び気体副生成物との化学反応により変化する。被覆層121は、壁の化学的状態のこのような可変性を減少させ、したがってプラズマ処理環境をさらに安定化させるという追加の利点を提供する。
【0024】
プロセスチャンバ130は、プレナム120のラジカルバラスト領域128を通じてラジカル源チャンバ110に接続される。ラジカルバラスト領域128の幅Dは、前述のように、ラジカルのための出口としても設計されているリム124の開口の幅より大きいか、それと等しい。したがって、本開示に記載の実施形態では、ラジカル源チャンバ110内でプラズマから抽出されたラジカルは、プレナムの壁の穴のみを通じて気体流の中で基板140へと輸送され得る。それゆえ、プレナム120の設計における開口の構成は、気体流をプレナム120を通じて、及びプロセスチャンバ130内で所望のパターンで案内するために使用され得る。図1A~4に示される実施形態では、ラジカルバラスト領域128及び328のラジカルバラスト領域の幅Dはまた、それぞれの基板ホルダ132の幅より大きいか、それと等しい。
【0025】
図1Aにおいて、リム124の中心開口の幅はラジカル源チャンバ110の幅dと等しく示されている。しかしながら、リム124内の中心開口の幅は、例えばリム124がさらに内側へと延びてラジカル源チャンバ110をラジカルバラスト領域128に接続する開口を収縮させるような設計において、より小さくてもよいと理解されたい。
【0026】
図1Aにおいて、気体入口102と気体出口136との間の気体流は、次のような3つの連続する区間を含むチャネルを通って流れるように示されている:図1Aにおいてブロック矢印で示されるように、ラジカル源チャンバ110、プレナム120、及びプロセスチャンバ130。気体出口136において接続された真空ポンプを含む気体流システム(図示せず)は、安定した気体流を保持するために制御された圧力勾配を生じさせるのに使用され得る。プラズマシステム100において、基板ホルダ132(及び基板140)はプロセスチャンバの周辺から半径方向に内側に案内されている。プラズマシステム100の設計の各種の開口の構成は、図1A~1Cに関して理解されるように、流れを導くために使用されている。
【0027】
気体混合物、例えば酸素とアルゴンの混合物は、ラジカル源チャンバ110の上カバー108にある気体入口102を通じて導入され得る。気体はイオン化され得て、酸素ラジカルを含むプラズマは、RF電源に結合された電極104からの電磁エネルギを使ってラジカル源チャンバ110の内側に保持され得る。プラズマシステム100では、電極104はセラミック側壁106の外側に配置され、プラズマに誘導結合された螺旋共振器である。ラジカル源チャンバ110の寸法は、ラジカル源チャンバ110の指定された容積内で気体放電プラズマを着火させ、そこに閉じ込めるように設計される。例えば、ラジカル源チャンバの高さh及び幅dは少なくとも表皮深さの数倍である。各種の実施形態において、hは約5cm~約20cmであり、dは約10cm~約20cmである。
【0028】
ラジカル(例えば、酸素ラジカル)は、気体流中でラジカル源チャンバ110から底部出口を通ってプレナム120のラジカルバラスト領域128へと輸送され得る。図1Bの斜視図に記されているように、ラジカルバラスト領域128は帽子を逆さにした形状のプレナム120の空洞である。ラジカルバラスト領域は、幅Dと深さLの円柱形状を有する。プラズマシステム100において、中実の底壁122(開口がない)は縦方向の流れをブロックし、それによって、図1A及び1Bでブロック矢印により示されているように、気体を半径方向に外側に円筒形のラジカルバラスト領域128の縦方向の側壁126へと流れるように案内する。気体がプレナム120から出てプロセスチャンバ130へと流れるようにするための開口は、ラジカルバラスト領域128の側壁126内に対称に位置付けられる。気体をプロセスチャンバの壁134に向かって半径方向の外側に導くことは、気体中のラジカル対イオンの比を大きくするのに役立つ。バラスト領域128の周囲の環状領域の表面積対体積の比を大きくすることにより、プロセスチャンバの壁134との衝突が増える。壁134との衝突では、イオンの付着係数はラジカルのそれより高い。したがって、衝突速度が速くなると、ラジカル対イオンの比が上昇する。基板ホルダ132及び基板140は、プレナム120の直下に配置され、気体出口136は基板ホルダ132の直下に位置付けられる。この構成により、構造は基板140の表面に垂直な軸の周囲でほぼ軸対称となり、基板140の上に気体の方位角的に対称な流れが生成される。
【0029】
図1Cは、プレナム120の幅Wと深さLとほぼ等しい長さの長方形の開口127を有する側壁126の側面図を示している。側壁126は、円形底壁122の縁に沿って配置され、円周の長さπDを有する。ラジカルバラスト領域128及び側壁126の開口127の寸法のための設計では、プレナムから出る気体流と熱の流れの両方に関する要求事項が考慮される。WとLがより小さいと、気体流は制約されるが、プレナムから出る熱の流れは改善される。
【0030】
ラジカルバラスト領域128の寸法は、気体がプロセスチャンバ130に入る前にほぼ安定で均一な密度を実現でき、また、ラジカル源チャンバ110への逆流を防止するのに十分な圧力勾配を提供するように設計され得る。一般に、深さLは拡散長さの数倍であり、それぞれの幅Dは所望の圧力勾配及び体積流量を実現するように設計される。様々な形状のコンジットの体積流量、圧力勾配、及び幾何学パラメータの間の既知の関係は、ラジカルバラスト領域の設計において利用され得る。図1Cに示される実施形態のラジカルバラスト領域128は円筒形状を有する。他の実施形態では、ラジカルバラスト領域は異なる形状を有し得る。例えば、図3A及び3Bのラジカルバラスト領域328は長方形の形状を有する。各種の実施形態において、深さLは約5cm~約15cmであり、比D/Lは約3~約10である。各種の実施形態において、長方形の開口127の幅Wは約0.1cm~約5cmであり得る。プロセスチャンバ130の圧力はプロセスレシピの仕様により制約され得て、様々な実施形態において約0.01Torr~約0.25Torrであり得る。ラジカル対イオン比を増大させ、望ましくないスパッタリングを回避し、逆流を防止するのを助けるために、ラジカル源チャンバ110内の圧力は比較的高く、典型的にはプレナム120内のチョーク流れ状態のそれの2倍である。各種の実施形態において、ラジカル源チャンバ110内の圧力は約0.5Torr~約1Torrであり得る。
【0031】
プラズマシステム100のプレナム120の中実底壁122は、有害な電磁波、例えば紫外線を基板に届かないようにブロックするという追加の利点を提供し得る。前述し、図1Aに示すように、プレナム120の幅Dは、底壁122の幅でもあるが、基板ホルダ132(及び基板140)の幅より大きく、また、その中にプラズマが閉じ込められ得るラジカル源チャンバ110の幅より大きくなるように設計されてよい。同じく前述したように、プレナムの壁(底壁122を含む)は、アルミニウムや銅等の金属を含み得る。当業者の間で知られているように、アルミニウムや銅等の金属は、あらゆる実践的目的のために、これらの材料の自由電子密度が非常に高いため、電磁放射を透過させない。したがって、プラズマシステム100の設計において、寸法は、底壁122がプラズマと基板との間の見通し線内にあるように調整され得て、したがって、基板140はプラズマ誘導放射による損傷から適切に遮蔽され得る。
【0032】
図2A及び2Bは、プラズマシステム200を示す。プラズマシステム100とプラズマシステム200との1つの相違点は、プラズマシステム200では、図2A及び2Bでブロック矢印により示されているように、プレナム220を通るプロセスチャンバ130への気体流がプレナム220の底壁222の開口227を通って縦方向に案内されることである。図2A及び2Bに示されているように、気体流のための開口227は、プロセスチャンバ130内のプレナム220の直下に位置付けられた基板ホルダ132及び基板140の表面に垂直な軸の周囲に対称に構成される。プラズマシステム100と同様に、基板ホルダ132の直下に気体出口136がある。したがって、気体は基板140の上で基板140の周辺で対称に外側へと流れ、気体出口136を通ってプロセスチャンバ130から出る。
【0033】
プレナム220の底壁222には開口227があるため、プラズマシステム200内のプラズマから発せられる電磁放射をブロックする能力は、プラズマシステム100と比べて縮小されるかもしれない。しかしながら、開口227は、ブロックする能力をほぼ同じに保持するように設計され得る。例えば、底壁222の穴(開口227)の幅は、高いアスペクト比を提供するために狭くなるように設計され得る。アスペクト比が高いと、プラズマの見通し線内で基板140が紫外線に暴露された状態を保つ全立体角は大幅に減少し、それによって、例えばラジカル源チャンバ内でプラズマにより発せられる紫外線エネルギのうち基板140に到達するのは1%未満であり得る。
【0034】
図3A~3Bは、プラズマシステム300の壁の開口の非対称構成により非対称の気体流が生成されるプラズマシステム300を示す。プラズマシステム100とプラズマシステム300との1つの相違点は、プラズマシステム300では、図3A~3Bでブロック矢印により示されるように、ラジカルバラスト領域328を通るプロセスチャンバ330への気体流がプレナム320の片側(例えば、図3A~3Bでは左側)に向かって非対称に案内され、プレナム320から出ると、気体は基板ホルダ132(及び基板140)の上でプロセスチャンバ330の中でプレナム320の反対側(例えば、図3A~3Bでは右側)への直交流として流れる点である。
【0035】
図3A~3Bに示される例では、ラジカルバラスト領域328内で一方向の直線流が望まれる。このような流れのパターンを生成するためには、プレナム320のために長方形の帽子を逆さにした形状を使用することが好ましい。図3Bの斜視図に示されているように、ラジカルバラスト領域328は側壁326の4つの長方形の縦方向の面間で横方向に延び、リム324から下方に長方形の底壁322に向かって縦に延びるように設計され得る。リム324の形状は、プラズマシステム100のリム124と同じのままであり得る。一方向の直線流パターンは、プレナム320を側壁326の1つの長方形の面に開口を有するように構成することによって生成され得て、プレナム320の側壁326の残りの3つの面と長方形の底壁322は中実で(開口がない)気体流をブロックするように設計される。側壁326の開口は非対称に片側に、例えば図3では左側に位置付けられているため、図3に示されるように、ラジカル化バラスト領域328内部の気体流は、左側へと案内される。基板140上の気体流パターンは、プロセスチャンバ330を、側壁326の開口が位置付けられている側の反対側であるプレナム320の右側に配置された気体出口336を有するように構成することによって案内され得る。プロセスチャンバ330内の基板ホルダ132の位置は、プレナム320の直下のままであり得る。
【0036】
プラズマシステム100、200、及び300のラジカル源チャンバは電極104を含み、これはRF電源をプラズマに結合するための螺旋共振器として構成され得る。図4はプラズマシステム400を示しており、ここではラジカル源チャンバ410が平面コイルのような形状の電極404を備えている。電極404はRF電源に結合され得る。図4に示されるように、電極404は誘電体(例えば、セラミック)上カバー408の上に配置されて、RF電源をプラズマへと誘導結合により供給するように構成され得る。ラジカル源チャンバ410の側壁406は、アルミニウム又は銅等の導電性材料を含み得て、気体入口402は気体(例えば、アルゴン、酸素、六フッ化硫黄、テトラフルオロメタン、三フッ化窒素、及びその他)を導入するように位置付けられ得る。
【0037】
処理方法のフロー図が図5に示されている。図5のブロック510に示されているように、基板は、プロセレスチャンバ内部、例えばプロセスチャンバの底の付近に位置付けられた基板ホルダ上にのせられ得る。ブロック520で、プロセスガスとキャリアガスの気体混合物は、例えばプロセスチャンバの上方に配置されたラジカル源チャンバの中へと導入され得る。ラジカル源チャンバは、ラジカルバラスト領域を含むプレナムに取り付けられる底部出口を有し得る。ブロック530に示されているように、プラズマはラジカル源チャンバ内で着火され、保持され得る。プラズマはラジカルを含み得て、したがって基板の表面を化学的に処理するために下流で使用されることになるラジカルの生成減であり得る。ブロック540に示されているように、ラジカル源チャンバを出てプレナムに入ったラジカルは、プレナムの壁の開口を通ってプロセスチャンバ内の基板へと輸送され得る。ラジカルは、基板の上で気体流の中で移動され得る。ブロック550で、基板の露出表面がラジカルで化学的に処理され得る。ブロック560に示されているように、気体流は、プロセスチャンバの気体出口を介して余剰な反応物質と気体副生成物を排除し得る。気体出口は、基板ホルダの下に位置付けられ得る。
【0038】
本発明の例示的な実施形態をここで要約する。他の実施形態も、本明細書の全体及び本明細書で出願される特許請求の範囲から理解することができる。
【実施例
【0039】
実施例1.プラズマ処理システムは:ラジカル源チャンバであって、気体入口、無線周波数(RF)電源に結合された電極であって、ラジカル源チャンバ内でラジカルを生成するように構成された電源、及びラジカル源チャンバ内で生成されたラジカルのための出口を含むラジカル源チャンバと、ラジカル源チャンバの出口に取り付けられたプレナムであって、第一の熱電導体で製作され、その壁が気体流のための開口を有するプレナムと、ラジカルは源チャンバにプレナムを通じて接続されたプロセスチャンバであって、プレナムの下に配置された基板ホルダと、基板ホルダの下の気体出口と、第二の熱伝導体を含むプロセスチャンバ壁を含み、そのプロセスチャンバ壁はプレナムの壁に熱的に結合されるプロセスチャンバと、
と、を含む。
【0040】
実施例2.実施例1によるシステムにおいて、第一の熱伝導体は紫外線を透過させない材料を含む。
【0041】
実施例3.実施例1又は2のうちの1つによるシステムにおいて、プレナムはラジカル源チャンバと基板ホルダとの間に介在し、プレナムは、ラジカル源チャンバから基板ホルダまでの直接見通し線の中で、ラジカル源チャンバ内から発せられる紫外線をブロックするように構成される。
【0042】
実施例4.実施例1~3のうちの1つによるシステムにおいて、第一の熱伝導体は、片面がアルミナ又はイットリアで被覆されたアルミニウムを含む。
【0043】
実施例5.実施例1~4のうちの1つによるシステムにおいて、第一の根さ伝導体及び第二の熱伝導体は同じ熱伝導体を含む。
【0044】
実施例6.実施例1~5のうちの1つによるシステムにおいて、電極は、ラジカル源チャンバの外部の誘電材料を含む上カバーの上方に配置された平面コイルのような形状の導電体である。
【0045】
実施例7.実施例1~6のうちの1つによるシステムにおいて、電極はラジカル源チャンバの外部の、誘電材料を含む円筒形側壁の周囲に配置された螺旋のような形状の導電体であり、導電体の長さはRF電源により電源供給される電極内のRF電磁振動の波長の4分の1の倍数である。
【0046】
実施例8.プラズマ処理システムは:底壁、底壁の縁に沿った側壁、側壁から外側へと延びるリム、及び側壁と底壁との間のラジカルバラスト領域を含むプレナムであって、熱伝導構造であるプレナムと、気体入口、無線周波数(RF)電極、及びプレナムのリムに取り付けられた底部出口を含むラジカル源チャンバと、リムにおいてプレナムに物理的に取り付けられた熱伝導壁を含むプロセスチャンバであって、プレナムがプロセスチャンバをラジカル源チャンバにラジカルバラスト領域を通じて接続する開口を有するようなプロセスチャンバと、プレナムの底壁の下に配置された基板ホルダと、を含む。
【0047】
実施例9.実施例8によるシステムにおいて、プレナムはリングのような形状のリムを有する帽子を逆さにしたような形状である。
【0048】
実施例10.実施例8又は9のうちの1つによるシステムにおいて、リムの開口の幅はラジカル源チャンバの出口の幅より小さいか、それと等しく、ラジカルバラスト領域の幅はラジカル源チャンバの出口の幅より大きいか、それと等しく、ラジカルバラスト領域の幅は基板ホルダの幅より大きいか、それと等しく、ラジカルバラスト領域の深さは5cm~15cmであり、ラジカルバラスト領域の幅対深さの比は3~10である。
【0049】
実施例11.実施例8~10のうちの1つによるシステムにおいて、開口はプレナムの側壁において、基板ホルダを通る軸の周囲で対称に位置付けられる。
【0050】
実施例12.実施例8~11のうちの1つによるシステムにおいて、開口はプレナムの側壁において、基板ホルダを通る鏡面の片側に非対称に位置付けられる。
【0051】
実施例13.実施例8~12のうちの1つによるシステムにおいて、ラジカルバラスト領域は長方形の空洞のような形状であり、開口はプレナムの側壁の4つの長方形の面のうちの1つに位置付けられる。
【0052】
実施例14.実施例8~13のうちの1つによるシステムにおいて、開口はプレナムの底壁に位置付けられる。
【0053】
実施例15.実施例8~14のうちの1つによるシステムにおいて、プレナムの底壁の開口は、開口をと通過する紫外線エネルギを、底壁の上面に入射する紫外線エネルギの1%未満に限定するように構成される。
【0054】
実施例16.実施例8~15のうちの1つによるシステムにおいて、プロセスチャンバの1つの面のみに配置された気体出口をさらに含み、気体出口は、気体流をプロセスチャンバの、プレナムの1つの面のみに隣接する領域に案内して、基板ホルダの上方に直交流を生じさせるように構成される。
【0055】
実施例17.プラズマ処理方法は:基板をプロセスチャンバの底の付近に配置された基板ホルダ上にのせるステップと、気体入口を介して、プロセスガスとキャリアガスをラジカル源チャンバの中へと導入するステップであって、ラジカル源チャンバは、ラジカル源チャンバの下に配置されたプレナムに取り付けられた出口を含むようなステップと、プラズマをラジカル源チャンバ内に保持するステップであって、プラズマはラジカルを含むようなステップと、ラジカルをプレナムの壁の開口を通る気体流の中で基板へと輸送するステップと、基板の表面をラジカルで化学的に処理するステップと、基板ホルダの下に配置された気体出口を介して、余剰な反応物質及び気体副生成物をプロセスチャンバから排除するステップと、を含む。
【0056】
実施例18.実施例17による方法において、輸送するステップは、気体流を、プレナムの側壁を通じて基板ホルダを通る軸の周囲で対称に案内するステップを含む。
【0057】
実施例19.実施例17又は18のうちの1つによる法補において、輸送するステップは、気体流を、プレナムの側壁を通じてプレナムの片側のみで案内するステップを含む。
【0058】
実施例20.実施例17~19のうちの1つによる方法において、基板の上方にラジカルの直交流を生じさせるステップをさらに含む。
【0059】
以上、基板の表面を化学的に処理するためのプラズマシステム及び方法の各種の実施形態を説明した。説明した実施形態は幾つかの利点を提供し、これには、低いラジカル損失と高いラジカル対イオン比、プラズマ誘導放射による損傷の軽減又は排除、処理中に安定した温度を提供する効率的な熱放散が含まれる。プラズマシステムには設計の多くのバリエーションがあり得、そのうちのいくつかを本開示において説明した。しかしながら、当業者であれば説明された例示的な実施形態から他の多くのバリエーションも考案し得ると理解されたい。例えば、RF電源は容量結合又はマイクロ波源からも提供され得る、プレナム内の気体流のための開口は異なる形状、例えば円形の穴若しくは長方形の穴の2次元配列でもあり得る、熱伝導体の幾何学設計を変更できる、プラズマシステムの構造の設計に異なる寸法や材料を使用できる。
【0060】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明されているが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者であれば、本明細書を参照することにより、それらの例示的実施形態の様々な修正形態及び組み合わせ並びに本発明の別の実施形態が明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
【国際調査報告】