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特表2023-540364リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、およびこれを含むリチウム二次電池
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  • 特表-リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、およびこれを含むリチウム二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-22
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20230914BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230914BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20230914BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20230914BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 C
C01G53/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023515350
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 KR2021008864
(87)【国際公開番号】W WO2022092488
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0142247
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ギヨン・アン
(72)【発明者】
【氏名】トウク・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンスン・コン
(72)【発明者】
【氏名】ソンヨン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】ミンギュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ジュ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドゥキョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ギジュ・ホン
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB02
4G048AC06
4G048AD04
4G048AE05
5H050AA07
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB12
5H050GA02
5H050GA10
5H050HA02
5H050HA13
5H050HA14
(57)【要約】
一実施形態によって、複数の1次粒子が凝集された2次粒子を含むニッケル系複合金属酸化物を含む正極活物質であって、前記2次粒子は中心部と表面部を含み、前記表面部はマンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物を含み、前記表面部に存在する複数の1次粒子の粒界(grain boundary)に存在するマンガンの含量は1次粒子の内部に存在するマンガンの含量より高い、リチウム二次電池用正極活物質を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の1次粒子が凝集された2次粒子を含むニッケル系複合金属酸化物を含む正極活物質であって、
前記2次粒子は中心部と表面部を含み、
前記表面部はマンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物を含み、
前記表面部に存在する複数の1次粒子の粒界(grain boundary)に存在するマンガンの含量は1次粒子の内部に存在するマンガンの含量より高い、
リチウム二次電池用正極活物質。
【請求項2】
前記マンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物は、前記ニッケル系複合金属酸化物の金属の総量(モル%)に対して0.1モル%~5モル%のマンガンを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項3】
前記中心部はマンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物を含まない、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項4】
前記2次粒子の表面部から中心部までマンガン濃度が連続的に減少する濃度勾配を有する、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項5】
前記表面部は前記2次粒子の中心から最表面までの総距離中の最表面から中心方向に50長さ%内に位置する、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項6】
前記マンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物は下記化学式1で表される化合物である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質:
[化学式1]
LiNi1-x-y-zCoMn
上記化学式1中、
0<x≦0.05、0.001≦y≦0.05、および0≦z≦0.02であり、MはNi、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、La、B、Ta、Pr、Si、BaおよびCeより選択される少なくとも一つの金属元素である。
【請求項7】
前記マンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物は層状(layered)構造の酸化物、スピネル構造の酸化物、岩塩構造の酸化物またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項8】
前記表面部はリチウムマンガン酸化物をさらに含む、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項9】
前記リチウムマンガン酸化物はLiMnO、LiMnまたはこれらの組み合わせである、請求項8に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項10】
前記正極活物質のX線回折分析によるFWHM(003)値が0.1°~0.2°(degree)である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項11】
前記2次粒子の表面部に存在する1次粒子のc軸長さ(d-spacing)値が4.88Å以上である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項12】
前記1次粒子の大きさが100nm~800nmである、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項13】
複数の1次粒子が凝集された2次粒子を含むニッケル系複合金属化合物を溶媒に分散させた分散液を製造し(ここで、前記2次粒子は中心部と表面部を有する)、
減少した酸素含量を有する雰囲気で前記分散液にマンガン塩水溶液および沈殿剤を投入してマンガン塩でコーティングされたニッケル系複合金属化合物を製造し(ここで、マンガン塩は前記表面部の1次粒子にコーティングされる)、
前記マンガン塩でコーティングされたニッケル系複合金属化合物を乾燥した後、リチウムソースを混合して熱処理する工程を含む、
リチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項14】
前記ニッケル系複合金属化合物は、下記化学式2または下記化学式3で表される、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法:
[化学式2]
Ni1-x-y-zCo(OH)Mn
上記化学式2中、
0<x≦0.05、0≦y≦0.02であり、0<w≦3、0<q≦4、MはNi、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、LaおよびCeより選択される少なくとも一つの金属元素であり、
[化学式3]
Ni1-x-y-zCoMn
上記化学式3中、
0<x≦0.05、0≦y≦0.02であり、0<w≦3、0<q≦4、MはNi、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、LaおよびCeより選択される少なくとも一つの金属元素である。
【請求項15】
前記マンガン塩は硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガンおよびこれらの組み合わせから選択される、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項16】
前記減少した酸素含量を有する雰囲気は不活性ガスを注入する工程で得られ、
前記不活性ガスはNである、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項17】
前記不活性ガスの注入速度は50sccm~5000sccmである、請求項16に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項18】
前記乾燥は100℃~200℃で実施する、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項19】
前記方法は前記マンガン塩でコーティングされたニッケル系複合金属化合物をリチウムソースと混合する前に350℃~600℃で熱処理する工程を追加的に含む、請求項13に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項20】
請求項1~12のうちのいずれか一項の正極活物質を含む正極;
負極活物質を含む負極;および
電解質
を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法、およびこれを含むリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種機器の小型化、高性能化に符合するためにリチウム二次電池の小型化、軽量化以外に高エネルギー密度化が重要になっている。また、電気車量(Electric Vehicle)などの分野に適用されるためにリチウム二次電池の高容量および高温、高電圧での安全性が重要になっている。
【0003】
前記用途に符合するリチウム二次電池を実現するために多様な正極活物質が検討されている。
【0004】
Ni、Co、Mnなどを同時に含むニッケル系リチウム遷移金属酸化物は従来のLiCoOに比べて単位重量当り高い放電容量を提供することに反し、低い充填密度によって単位体積当り容量および放電容量は相対的に低い。また、前記ニッケル系リチウム遷移金属酸化物は高電圧で駆動時、安全性が低下することがある。
【0005】
よって、ニッケル系リチウム遷移金属酸化物の構造安定性およびサイクル寿命改善のための方案が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、構造安定性に優れ、リチウム二次電池のサイクル寿命改善に効果的な正極活物質を提供する。
【0007】
他の実施形態は、前記正極活物質の製造方法を提供する。
【0008】
また他の実施形態は、前記正極活物質を含む正極を採用して充放電効率とサイクル寿命特性が向上したリチウム二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態は、複数の1次粒子が凝集された2次粒子を含むニッケル系複合金属酸化物を含む正極活物質であって、前記2次粒子は中心部と表面部を含み、前記表面部はマンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物を含み、前記表面部に存在する複数の1次粒子の粒界(grain boundary)に存在するマンガンの含量は1次粒子の内部に存在するマンガンの含量より高い、リチウム二次電池用正極活物質を提供する。
【0010】
前記マンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物は、前記ニッケル系複合金属酸化物の金属の総量(モル%)に対して0.1モル%~5モル%のマンガンを含むことができる。
【0011】
前記2次粒子の中心部は、マンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物を含まなくてもよい。
【0012】
前記正極活物質は、2次粒子の表面部から中心部までマンガン濃度が連続的に減少する濃度勾配を有することができる。
【0013】
前記2次粒子の表面部は、前記2次粒子の中心から最表面までの総距離中の最表面から中心方向に50長さ%内に配置されてもよい。
【0014】
前記マンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物は、下記化学式1で表すことができる:
[化学式1]
LiNi1-x-y-zCoMn
上記化学式1中、
0<x≦0.05、0.001≦y≦0.05、および0≦z≦0.02であり、MはNi、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、La、B、Ta、Pr、Si、BaおよびCeより選択される少なくとも一つの金属元素である。
【0015】
前記マンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物は層状(layered)構造の酸化物、スピネル構造の酸化物、岩塩構造の酸化物またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0016】
前記2次粒子の表面部は、リチウムマンガン酸化物をさらに含むことができる。
前記リチウムマンガン酸化物は、LiMnO、LiMn、LiMnまたはこれらの組み合わせであってもよい。
【0017】
前記正極活物質のX線回折分析によるFWHM(003)値は0.1°~0.2°(degree)の範囲内の値であってもよい。
【0018】
前記正極活物質の前記2次粒子の表面部に存在する1次粒子のc軸長さ(d-spacing)値は4.88Å以上であってもよい。
前記正極活物質の1次粒子の大きさは100nm~800nmであってもよい。
【0019】
他の一実施形態は、複数の1次粒子が凝集された2次粒子を含むニッケル系複合金属化合物を溶媒に分散させた分散液を製造し(ここで、前記2次粒子は中心部と表面部を有する);減少した酸素含量を有する雰囲気で前記分散液にマンガン塩水溶液および沈殿剤を投入してマンガン塩でコーティングされたニッケル系複合金属化合物を製造し(ここで、マンガン塩は前記表面部の1次粒子にコーティングされる);前記マンガン塩でコーティングされたニッケル系複合金属化合物を乾燥した後、リチウムソースを混合して熱処理する工程を含むリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供する。
【0020】
前記ニッケル系複合金属化合物は、下記化学式2または下記化学式3で表すことができる:
[化学式2]
Ni1-x-y-zCo(OH)Mn
上記化学式2中、
0<x≦0.05、0≦y≦0.02であり、0<w≦3、0<q≦4、MはNi、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、LaおよびCeより選択される少なくとも一つの金属元素であり、
[化学式3]
Ni1-x-y-zCoMn
上記化学式3中、
0<x≦0.05、0≦y≦0.02であり、0<w≦3、0<q≦4、MはNi、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、LaおよびCeより選択される少なくとも一つの金属元素である。
【0021】
前記マンガン塩は、硫酸マンガン、硝酸マンガン、酢酸マンガンおよびこれらの組み合わせから選択することができる。
【0022】
前記減少した酸素含量を有する雰囲気は不活性ガスを注入する工程で得ることができ、前記不活性ガスは窒素(N)であってもよい。
【0023】
前記不活性ガスの注入速度は、50sccm~5000sccmであってもよい。
前記乾燥は、100℃~200℃で実施することができる。
【0024】
前記製造方法は、前記マンガン塩でコーティングされたニッケル系複合金属化合物をリチウムソースと混合する前に350℃~600℃で熱処理する工程を追加的に含むことができる。
【0025】
他の一実施形態は、前記正極活物質を含む正極;負極活物質を含む負極;および電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
その他の本発明の実施形態に関する具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0026】
正極活物質の2次粒子の一定の深さに存在する1次粒子の間にマンガンが粒界(grain boundary)コーティングされた正極活物質を使用することによって容量を極大化しながらもサイクル寿命を改善し同時に初期充放電効率まで増加させることができる。また、正極活物質の1次粒子の粒界にマンガンを湿式で均一にコーティングして表面の活性度が高い機能層を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施形態による1次粒子が粒界コーティングされた正極活物質を示した概略的断面図である。
図2】リチウム二次電池の代表的な構造を概略的に示した斜視図である。
図3】正極活物質の複数の1次粒子の断面を示すSTEM image(HAADF)である。
図4図3の複数の1次粒子(A、BおよびC)に分布するマンガンの含量を示したグラフである。
図5】正極活物質の表面部と中心部断面のSTEM(Scanning transmission electron microscopy)image(HAADF(high-angle annular dark-field))である。
図6】実施例1の正極活物質の2次粒子の表面部に位置する1次粒子の表面のSTEM写真である。
図7】実施例1の正極活物質の2次粒子の表面部に位置する1次粒子の内部のSTEM写真である。
図8】比較例1の正極活物質の1次粒子のSTEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0029】
本明細書で特別な言及がない限り、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上に”あるという時、これは他の部分の“直上”にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0030】
本発明において“粒子大きさ”または“粒径”は、粒径分布曲線(cumulative size-distribution curve)で体積累積量の50%基準での平均粒径(D50)と定義することができる。前記粒径は、例えば走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)または電界放射型走査電子顕微鏡(field emission scanning electron microscopy、FE-SEM)などを用いた電子顕微鏡観察や、またはレーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定することができる。レーザー回折法によって測定時、より具体的には、測定しようとする粒子を分散媒中に分散させた後、市販されるレーザー回折粒度測定装置(例えば、Microtrac社のMT 3000)に導入して約28kHzの超音波を60Wの出力で照射した後、測定装置における粒径分布の50%基準での平均粒径(D50)を算出することができる。
【0031】
本明細書で、“中心”とは、粒子の最も長い軸を二等分した地点を意味する。
“1次粒子”は、結晶性粒子(crystallite particle)またはグレイン(grain)であってもよい。複数の1次粒子は粒界を成しながら互いに共に凝集して2次粒子を形成し、1次粒子は球形または類似球形(フレーク形状など)の多様な形態を有することができる。
【0032】
“2次粒子”は複数の1次粒子を含み他の粒子の凝集体でない粒子またはそれ以上凝集されない粒子を言い、2次粒子は球形または類似球形の形態を有することができる。
【0033】
以下、図1を参照してリチウム二次電池用正極活物質を説明する。図1は、一実施形態による1次粒子が粒界コーティングされた正極活物質を示した概略的断面図である。
【0034】
図1を参照すれば、一実施形態による正極活物質は、複数の1次粒子3が凝集された2次粒子1を含むニッケル系複合金属酸化物を含む。
【0035】
前記2次粒子1は中心部5aと表面部5bを含み、前記表面部5bは複数の1次粒子3の粒界(grain boundary)7に存在するマンガンがドーピングされたニッケル系複合金属酸化物(以下、マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物とも言う)を含む。即ち、前記正極活物質は一定の深さに該当する表面部5bに粒界コーティングされたマンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物を含むことができる。
【0036】
前記2次粒子1の中心部5aは、前記2次粒子1の中心から最表面までの総距離(100長さ%)中、中心から50長さ%以下の領域~中心から80長さ%以下の領域、例えば中心から75長さ%以下の領域、70長さ%以下の領域、65長さ%以下の領域、60長さ%以下の領域、55長さ%以下の領域、50長さ%以下の領域または2次粒子1の最表面から2μm以内の領域を除いた残り領域であってもよい。
【0037】
前記表面部5bは中心部5aを除いた部分であって、中心から最表面までの総距離(100長さ%)中、最表面から20長さ%以下の領域~最表面から50長さ%以下の領域、例えば最表面から25長さ%以下の領域、30長さ%以下の領域、35長さ%以下の領域、40長さ%以下の領域、45長さ%以下の領域、50長さ%以下の領域または2次粒子1の最表面から2μm以内の領域をいう。
【0038】
一実施形態で、前記2次粒子の表面部5bから前記2次粒子の中心部5aまでの領域は、1000nm以下の領域、例えば400nm以下、450nm以下、500nm以下、550nm以下、600nm以下、650nm以下、700nm以下、750nm以下、800nm以下、850nm以下、900nm以下、または950nm以下の領域であってもよい。
【0039】
前記表面部5bは、1次粒子3の粒界コーティングが形成された領域である。前記2次粒子1の表面部5bの断面を基準にして1次粒子が2~3個程度含まれてもよい。一実施形態で、前記1次粒子3の大きさは100nm~800nmであってもよい。前記1次粒子3の大きさは、50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上、450nm以上、500nm以上、550nm以上、600nm以上、650nm以上、700nm以上、または750nm以上であってもよい。また他の実施形態で、前記1次粒子3の大きさは800nm以下、750nm以下、700nm以下、650nm以下、600nm以下、550nm以下、500nm以下、450nm以下、400nm以下、350nm以下、300nm以下、250nm以下、200nm以下、または150nm以下であってもよい。
【0040】
前記表面部5bは1次粒子3の間(即ち、粒界)にマンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物を含み、前記表面部5bに存在する複数の1次粒子3の粒界7に存在するマンガンの含量は1次粒子3の内部に存在するマンガンの含量より高い。即ち、マンガンが1次粒子3の粒界にコーティングされる量が1次粒子3の内部にコーティングされる量より高い。
【0041】
前記“粒界(grain boundary)”は、二つの隣接した1次粒子3の界面(interface)を意味する。一実施形態で、前記粒界は1次粒子3の中心から最表面(隣接する1次粒子3の間の境界面)までの総距離中、最表面から20長さ%以下の領域~最表面から40長さ%以下の領域、例えば最表面から25長さ%以下、30長さ%以下の領域または35長さ%以下の領域を意味することができる。前記1次粒子3の内部は粒界を除いた部分を意味する。一実施形態で、前記1次粒子3の内部は1次粒子の中心から最表面(隣接する1次粒子3の間の境界面)までの総距離中、中心から60長さ%以下の領域~中心から80長さ%以下の領域、例えば中心から40長さ%以下の領域、45長さ%以下の領域、50長さ%以下の領域、55長さ%以下の領域、60長さ%以下の領域、65長さ%以下の領域、70長さ%以下の領域、75長さ%以下の領域または80長さ%以下の領域を意味することができる。
【0042】
一実施形態で、前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物は、前記ニッケル系複合金属酸化物の金属(リチウムを除いた金属、以下同一である)の総量(モル%)に対して0.1モル%~5モル%のマンガンを含むことができる。前記2次粒子1の表面部5bのマンガンの濃度は前記中心部5aのマンガンの濃度に比べて前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物のマンガンの含量だけ高くてもよい。即ち、前記2次粒子1の表面部5bでのマンガンの濃度は、前記中心部5aに存在するマンガンの濃度に対比して0.1モル%~5モル%のマンガンをさらに含むことができる。ニッケル系複合金属酸化物の金属の総量(モル%)に対して0.1モル%~5モル%のマンガンを含むことによって、正極活物質の構造的安定性およびサイクル特性が向上できる。
【0043】
一実施形態で、前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物の金属(リチウムを除いた金属)の総量(モル%)に対するマンガンの含量は、0.1モル%以上、0.2モル%以上、0.3モル%以上、0.4モル%以上、0.5モル%以上、0.6モル%以上、0.7モル%以上、0.8モル%以上、0.9モル%以上、1.0モル%以上、1.1モル%以上、1.2モル%以上、1.3モル%以上、1.4モル%以上、1.5モル%以上、1.6モル%以上、1.7モル%以上、1.8モル%以上、1.9モル%以上、2.0モル%以上、2.1モル%以上、2.2モル%以上、2.3モル%以上、2.4モル%以上、2.5モル%以上、2.6モル%以上、2.7モル%以上、2.8モル%以上、2.9モル%以上、3.0モル%以上、3.1モル%以上、3.2モル%以上、3.3モル%以上、3.4モル%以上、3.5モル%以上、3.6モル%以上、3.7モル%以上、3.8モル%以上、3.9モル%以上、4.0モル%以上、4.1モル%以上、4.2モル%以上、4.3モル%以上、4.4モル%以上、4.5モル%以上、4.6モル%以上、4.7モル%以上、4.8モル%以上、4.9モル%以上または5.0モル%以上であってもよい。
【0044】
一実施形態で、前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物の金属(リチウムを除いた金属)の総量(モル%)に対するマンガンの含量は、5.0モル%以下、4.9モル%以下、4.8モル%以下、4.7モル%以下、4.6モル%以下、4.5モル%以下、4.4モル%以下、4.3モル%以下、4.2モル%以下、4.1モル%以下、4.0モル%以下、3.9モル%以下、3.8モル%以下、3.7モル%以下、3.6モル%以下、3.5モル%以下、3.4モル%以下、3.3モル%以下、3.2モル%以下、3.1モル%以下、3.0モル%以下、2.9モル%以下、2.8モル%以下、2.7モル%以下、2.6モル%以下、2.5モル%以下、2.4モル%以下、2.3モル%以下、2.2モル%以下、2.1モル%以下、2.0モル%以下、1.9モル%以下、1.8モル%以下、1.7モル%以下、1.6モル%以下、1.5モル%以下、1.4モル%以下、1.3モル%以下、1.2モル%以下、1.1モル%以下、1.0モル%以下、0.9モル%以下、0.8モル%以下、0.7モル%以下、0.6モル%以下、0.5モル%以下、0.4モル%以下、0.3モル%以下、0.2モル%以下、または0.1モル%以下であってもよい。
【0045】
一実施形態で、前記正極活物質は、前記2次粒子1の表面部5bから中心部5aまでマンガンの濃度が連続的に減少する濃度勾配を有することができる。前記2次粒子1の表面部5bは最表面に近い第1表面部と中心に近い第2表面部を含むことができ、第1表面部は第2表面部に比べてマンガンの濃度が高くてもよい。
【0046】
一実施形態で、前記2次粒子1の中心部5aに対する表面部5bのマンガン含量比(モル比)は、5~15であってもよい。例えば、前記2次粒子1の中心部5aに対する表面部5bのマンガン含量比は、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上、11以上、12以上、13以上または14以上、および15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、10以下、9以下、8以下、7以下、または6以下であってもよい。一実施形態で、前記2次粒子1の中心部5aに対する表面部5bのマンガン含量比は10であってもよい。
【0047】
他の実施形態で、前記2次粒子の中心部5aは、マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物を含まなくてもよい。
【0048】
前記で説明された通り、一実施形態による正極活物質は2次粒子1の最表面から一定の深さまで、即ち、表面部5bに存在する1次粒子の間にマンガンが高濃度でドーピングされたニッケル系複合金属酸化物を含む。これは従来の2次粒子の表面をコーティングする構成とは異なることであって、最表面から一定の深さの1次粒子をコーティングすることによって正極活物質の構造的安定性を改善させることができる。
【0049】
1次粒子3の粒界に前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物7(ニッケル系リチウム金属酸化物)を含むことによって、2次粒子5の中心部5aまでリチウム拡散が円滑に行われ2次粒子5の中心部5aからニッケルイオンが溶出されることを抑制することができる。また、2次粒子5の中心部5aの1次粒子と電解液の副反応が抑制できる。したがって、前記構造を有する正極活物質を含むリチウム二次電池のサイクル特性が向上できる。
【0050】
そして、2次粒子5の内部に配置される複数の1次粒子3の表面残留リチウムの含量が減少して正極活物質の劣化が抑制されガス発生が減少することによってリチウム二次電池の熱安定性が向上できる。隣接した1次粒子3の間の粒界に配置されたマンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物が正極活物質の洗浄過程で発生する1次粒子の表面損傷を防止してリチウム二次電池の寿命特性低下を防止することができる。
【0051】
隣接した1次粒子3の間の粒界に配置されたマンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物7が1次粒子の充放電による体積変化を受容して1次粒子間の亀裂を抑制することによって長期間充放電後にも正極活物質の機械的強度低下を抑制してリチウム二次電池の劣化を防止することができる。また、1次粒子にマンガンがドーピングされることによってニッケル系金属複合酸化物の結晶構造が安定化されて正極活物質を含むリチウム二次電池のサイクル特性がさらに向上できる。
【0052】
一実施形態で、前記2次粒子の表面部5bは、リチウムマンガン酸化物をさらに含むことができる。前記リチウムマンガン酸化物は、LiMnO、LiMn、LiMnまたはこれらの組み合わせから選択できる。
【0053】
一実施形態で、前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物は、層状構造(layered)の酸化物、スピネル構造の酸化物、岩塩構造の酸化物またはこれらの組み合わせであってもよい。他の実施形態で、前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物は層状構造の酸化物が大部分であり、スピネル構造の酸化物と岩塩構造の酸化物が一部混ざっていてもよい。
【0054】
前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物は下記化学式1で表すことができる:
[化学式1]
LiNi1-x-y-zCoMn
上記化学式1中、
0<x≦0.05、0.001≦y≦0.05、および0≦z≦0.02であり、MはNi、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、La、B、Ta、Pr、Si、BaおよびCeより選択される少なくとも一つの金属元素である。
【0055】
一実施形態で、前記化学式1の化合物は、LiNi1-x-yCoMn、LiNi1-x-y-zCoMnAl、LiNi1-x-y-zCoMny+zであってもよい。
前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物はニッケルを高含量で含有するため、容量を極大化することができる。ニッケルを高含量で含有する場合、容量が高いが寿命が低まるという問題が発生することがあるが、マンガンを一定量ドーピングすることによって寿命劣化を解決することができる。
【0056】
一実施形態で、前記化学式1のyは、0.001≦y≦0.03であってもよい。前記化学式1のyが0.05を超過する場合、マンガン同士に互いに凝集が発生することがある。一実施形態で、前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物7は、Li[(NiCoAl)0.995Mn0.005]O、Li[(NiCoAl)0.99Mn0.01]O、Li[(NiCoAl)0.985Mn0.015]O、Li[(NiCoAl)0.98Mn0.02]O、Li[(NiCoAl)0.975Mn0.025]O、Li[(NiCoAl)0.97Mn0.03]Oなどであってもよい。
【0057】
一実施形態で、前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物を含む正極活物質粉末に対してXRD測定時、(003)ピークの半値幅(full width at half maximum)値であるFWHM(003)値は0.1°~0.2°(2θ)であってもよい。
【0058】
一実施形態で、前記半値幅値は0.1°以上、例えば0.11°以上、0.12°以上、0.13°以上、0.14°以上、0.15°以上、0.16°以上、0.17°以上、0.18°以上、0.19°以上および、例えば0.20°以下、0.19°以下、0.18°以下、0.17°以下、0.16°以下、0.15°以下、0.14°以下、0.13°以下、0.12°以下、または0.11°以下であってもよい。
【0059】
前記半値幅値は同じ温度で焼成してもマンガンのコーティング量が多くなるほど値が大きくなり、半値幅値が0.1°~0.2°(2θ)以上である場合、正極活物質にマンガンがコーティングされたとみることができるが、0.1°(2θ)以下である場合、マンガンが均一にコーティングされたとみることができない。
【0060】
一実施形態で、前記マンガン-ドーピングニッケル系複合金属酸化物を含む正極活物質の2次粒子1の表面部5bに存在する1次粒子のc軸長さ(d-spacing)値が4.88Å以上であってもよい。前記c軸長さ値はマンガンがコーティングされるほど大きくなるので、c軸長さを比較してマンガンがコーティングされたかどうかを確認することができる。2次粒子1の表面部5bに存在する1次粒子にマンガンが粒界コーティングされた場合、マンガンがコーティングされることによって前記1次粒子のc軸長さが大きくなるが、2次粒子1中心部5aの1次粒子のc軸長さは変化が殆どない。即ち、2次粒子1の中心部5aと表面部5bの1次粒子のc軸長さを比較してマンガンが2次粒子表面部5bの1次粒子3の表面または粒界にのみコーティングされたかどうかを確認することができる。そしてこれによって、2次粒子表面部5bの1次粒子の表面または粒界にマンガンの含量が高く、ニッケルの含量が相対的に減少するということが分かる。
【0061】
一実施形態で、前記2次粒子表面部5bの1次粒子のc軸長さは、4.88Å以上、4.89Å以上、4.90Å以上、4.91Å以上、4.92Å以上、4.93Å以上、4.94Å以上、4.95Å以上、4.96Å以上、4.97Å以上、4.98Å以上、4.99Å以上、または5.00Å以上であってもよい。
【0062】
一実施形態で、2次粒子1の表面部5bに存在する1次粒子のc軸長さは、2次粒子1の中心部5aに存在する1次粒子のc軸長さより長くてもよい。例えば、2次粒子1の表面部5bに存在する1次粒子のc軸長さは4.94Åであり、2次粒子1の中心部5aの1次粒子のc軸長さは4.83Åであってもよい。
【0063】
一実施形態で、2次粒子1の中心部5aの1次粒子のc軸長さと2次粒子の表面部の1次粒子内部のc軸長さが同一であってもよい。
【0064】
前記正極活物質は下記製造方法によって製造される。
まず、複数の1次粒子が凝集された2次粒子を含むニッケル系複合金属化合物と溶媒を反応器に入れ分散させて分散液を製造する。
前記溶媒は蒸留水であってもよい。
【0065】
前記ニッケル系複合金属化合物、即ち、正極活物質前駆体は下記化学式2または化学式3で表される化合物であってもよい:
[化学式2]
Ni1-x-y-zCo(OH)Mn
上記化学式2中、
0<x≦0.05、0≦y≦0.02であり、0<w≦3、0<q≦4、MはNi、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、La、B、Ta、Pr、Si、BaおよびCeより選択される少なくとも一つの金属元素であり、
[化学式3]
Ni1-x-y-zCoMn
前記化学式3 中、
0<x≦0.05、0≦y≦0.02であり、0<w≦3、0<q≦4、MはNi、Mn、Al、Cr、Fe、V、Mg、Ti、Zr、Nb、Mo、W、Cu、Zn、Ga、In、Sn、La、B、Ta、Pr、Si、BaおよびCeより選択される少なくとも一つの金属元素である。
【0066】
前記化学式2で表される化合物はNi1-xCo(OH)・Mn、Ni1-x-yCoAl(OH)・Mn、またはNi1-x-yCoMn(OH)・Mn、前記化学式3で表される化合物はNi1-xCo・Mn、Ni1-x-yCoAl・Mn、またはNi1-x-yCoMn・Mnであってもよい。
前記化学式2で表される化合物は共沈法を通じて製造される。
【0067】
前記ニッケル複合金属化合物と溶媒を反応器に入れ攪拌して分散液を製造し、攪拌時、前記反応器に不活性ガスを注入することができる。反応器に不活性ガスを注入して、溶存酸素の分圧を低めることができる。溶存酸素が高い場合、マンガンが水酸化物でない酸化物として存在してニッケル複合金属化合物表面にコーティングされにくい。したがって、これを防止するために、反応器に不活性ガスを注入して溶存酸素の分圧を低めてニッケル複合金属化合物と溶存酸素の反応を最少化することができる。
【0068】
前記不活性ガスは、N、He、Arおよびこれらの組み合わせから選択できる。
前記不活性ガスの注入速度は、50sccm~5000sccmであってもよい。前記不活性ガスの注入速度は、例えば500sccm以上、1000sccm以上、1500sccm以上、2000sccm以上、2500sccm以上、3000sccm以上、3500sccm以上、4000sccm以上または4500sccm以上であってもよい。
【0069】
攪拌時反応器の温度は30℃~60℃、例えば40℃~50℃または45℃であってもよい。
【0070】
前記反応器の攪拌速度は、300rpm~600rpmであってもよい。前記反応器の攪拌速度は、例えば300rpm以上、350rpm以上、400rpm以上、450rpm以上、500rpm以上、550rpm以上、または600rpm以上および600rpm以下、550rpm以下、500rpm以下、450rpm以下、400rpm以下、または350rpm以下であってもよい。
【0071】
不活性ガスを注入することによって、減少された酸素含量雰囲気で前記分散液にマンガン塩水溶液および沈殿剤を投入して共沈法で、マンガン塩でコーティングされたニッケル系複合金属化合物を製造することができる。
【0072】
この時、前記マンガン塩は、ニッケル系複合金属水酸化物の2次粒子の表面部に存在する1次粒子にマンガン水酸化物形態で粒界コーティングできる。前記マンガン塩は、硫酸マンガン(MnSO)、硝酸マンガン、酢酸マンガンおよびその水和物のうちから選択できる。
【0073】
前記沈殿剤は、NaOHであってもよい。沈殿剤がNaOHである場合、NaOHは反応器のpH調節剤としての役割を果たすことができる。
【0074】
前記反応器のpHは8~13で維持できる。前記反応器のpHは、8以上、8.5以上、9以上、9.5以上、10以上、10.5以上、11以上、11.5以上、12以上、12.5以上、または13以上、および13以下、12.5以下、12以下、11.5以下、11以下、10.5以下、10以下、9.5以下、9以下、または8.5以下であってもよい。
【0075】
前記反応器の温度は20℃~50℃で維持できる。前記反応器の温度は、20℃以上、30℃以上および40℃以上、または50℃以下、40℃以下、および30℃以下であってもよい。
【0076】
反応器内の前記マンガン塩でコーティングされたニッケル系複合金属化合物を、100℃~200℃の温度で真空乾燥機で乾燥することができる。前記乾燥は、対流を用いた乾燥であってもよい。対流を用いた乾燥時、酸素が流入してマンガン水酸化物が酸素と反応して酸化物になり得る。前記マンガン水酸化物が酸素と反応して、MnO、Mn、Mnなどのマンガン酸化物になり得る。
【0077】
前記乾燥後、400℃~600℃の温度で乾燥されたニッケル系複合金属化合物を熱処理することができる。前記熱処理を通じてマンガン水酸化物が酸化物になり得る。前記熱処理を通じてマンガン水酸化物がマンガン酸化物(MnO)になり得る。
【0078】
その後、前記ニッケル系複合金属化合物にリチウムソースを混合した後に焼成して、ニッケル系複合金属酸化物である正極活物質を得ることができる。前記リチウムソースはLiOH、LiCO、これらの水和物であってもよい。
【0079】
前記焼成温度は600℃~800℃であってもよく、例えば600℃以上、625℃以上、650℃以上、675℃以上、700℃以上、725℃以上、750℃以上、775℃以上および800℃以下、775℃以下、750℃以下、725℃以下、700℃以下、675℃以下、650℃以下、または625℃以下であってもよい。
【0080】
他の実施形態で、前記正極活物質を含む正極、負極活物質を含む負極;および電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【0081】
以下、一実施形態によるリチウム二次電池を図面を参照して説明する。図2は、一実施形態によるリチウム二次電池の代表的な構造を概略的に示した斜視図である。
【0082】
図2を参照すれば、リチウム二次電池31は、一実施形態による正極活物質を含む正極33、負極32およびセパレータ34を含む。前述の正極活物質を含む正極33、負極32およびセパレータ34がワインディングされるか折りたたまれて電池ケース35に収容される。その次に、前記電池ケース35に有機電解液が注入されキャップアセンブリー36を用いて密封されてリチウム二次電池31が完成される。前記電池ケース35は円筒形、角型、薄膜型などであってもよい。
【0083】
前記リチウム二次電池はリチウムイオン電池であってもよい。
前記正極および負極は、集電体上に正極活物質層形成用組成物および負極活物質層形成用組成物をそれぞれ塗布しこれを乾燥して製作される。
【0084】
前記正極活物質形成用組成物は正極活物質、導電剤、バインダーおよび溶媒を混合して製造され、前記正極活物質は前述の通りである。
【0085】
前記バインダーは、活物質と導電剤などの結合と集電体に対する結合に助力する成分であって、正極活物質の総重量100重量部を基準にして1~50重量部で添加される。このようなバインダーの非制限的な例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。その含量は、正極活物質の総重量100重量部を基準にして2~5重量部を使用する。バインダーの含量が前記範囲である時、集電体に対する活物質層の結着力が良好である。
【0086】
前記導電剤としては当該電池に化学的変化を誘発しないながら導電性を有するものであれば特に制限されるわけではなく、例えば天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボン系物質;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン;アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使用することができる。前記導電剤の含量は、正極活物質の総重量100重量部を基準にして2~5重量部を使用する。導電剤の含量が前記範囲である時、最終的に得られた電極の伝導度特性に優れる。
【0087】
前記溶媒の非制限的例として、N-メチルピロリドンなどを使用する。前記溶媒の含量は、正極活物質100重量部を基準にして10~100重量部を使用することができる。溶媒の含量が前記範囲である時、活物質層を形成するための作業が容易である。
【0088】
前記正極集電体は3~500μmの厚さであって、当該電池に化学的変化を誘発しないながら高い導電性を有するものであれば特に制限されるわけではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、熱処理炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを使用することができる。集電体はその表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態が可能である。
【0089】
これと別途に、負極活物質、バインダー、導電剤、溶媒を混合して負極活物質層形成用組成物を準備する。前記負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出することができる物質が使用される。前記負極活物質の非制限的な例として、黒鉛、炭素のような炭素系材料、リチウム金属、その合金、シリコンオキシド系物質などを使用することができる。本発明の一実施形態によれば、シリコンオキシドを使用する。
【0090】
前記バインダー、導電剤および溶媒は正極製造時と同一な種類の物質を使用することができる。前記バインダーは、負極活物質の総重量100重量部を基準にして1~50重量部で添加される。前記導電剤は、負極活物質の総重量100重量部を基準にして1~5重量部を使用する。導電剤の含量が前記範囲である時、最終的に得られた電極の伝導度特性に優れる。前記溶媒の含量は負極活物質の総重量100重量部を基準にして1~10重量部を使用する。溶媒の含量が前記範囲である時、負極活物質層を形成するための作業が容易である。
【0091】
前記負極集電体としては、一般に3~500μmの厚さで作られる。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発しないながら導電性を有するものであれば特に制限されるわけではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、熱処理炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などを使用することができる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用することができる。
【0092】
前記正極および負極の間にセパレータが配置されて巻き取られるか積層されて電極組立体が形成できる。前記セパレータは、気孔直径が0.01~10μmであり、厚さは一般に5~300μmであるものを使用する。具体的な例として、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマー;またはガラス繊維から作られたシートや不織布などが使用される。電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には固体電解質がセパレータを兼ねることもできる。
【0093】
前記電極組立体がケースに収容されて、電解質を注入し、得られた結果物が密封されると、リチウム二次電池が完成される。前記電解質としては、非水性溶媒とリチウム塩を含む非水系電解質、有機固体電解質、無機固体電解質などを使用することができる。前記非水性溶媒は例えば、N-メチル-2-ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ホルム酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカルボナート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒を使用することができる。前記リチウム塩は前記非水系溶媒に溶解しやすい物質であって、非制限的な例として、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、(CFSONLi、リチウムクロロボレート、低級脂肪族カルボン酸リチウム、テトラフェニルほう酸リチウム、リチウムイミドなどを使用することができる。
【0094】
前記有機固体電解質としては、非制限的な例として、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデンなどを使用することができる。
【0095】
前記無機固体電解質としては、非制限的な例として、LiN、LiI、LiNI、LiN-LiI-LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO-LiI-LiOH、LiPO-LiS-SiSなどを使用することができる。
【0096】
前記リチウム二次電池が回路として構成されて電池パックを形成し、必要によって単一または複数から構成されたパックが高容量および高出力が要求される全ての機器に使用できる。例えば、ノートパソコン、スマートフォン、電気車量などに使用することができる。また、前記リチウム二次電池は高温で保存安定性、寿命特性および高率特性に優れるので電気車量(electric vehicle、EV)に使用できる。例えば、プラグインハイブリッド車両(plug-in hybrid electric vehicle、PHEV)などのハイブリッド車両に使用できる。
【0097】
以下の実施例および比較例を通じて本発明がさらに詳細に説明される。但し、実施例は本発明を例示するためのものであって、これらのみで本発明の範囲が限定されるのではない。
【実施例
【0098】
実施例1
(正極活物質の製造)
Ni0.945Co0.04Al0.015(OH)と蒸留水を入れた反応器に、Nガスを4000sccmの速度で供給し、反応器内水溶液の温度を45℃で維持させながら300~600rpmで攪拌した。2M濃度の硫酸マンガン水溶液と5.5MのNaOH水溶液を反応槽に30分~1時間連続的に投入した。反応器内pHの濃度は10~12の間を維持しながらニッケル系複合金属水酸化物にMnを2mol%コーティングした。Mn化合物がコーティングされたニッケル系複合金属水酸化物は、最終120℃の温度で真空乾燥機で乾燥して得た。
【0099】
その後、前記ニッケル系複合金属水酸化物と水酸化リチウムを1:1のモル比で混合した後、720℃で5時間焼成してLi[Ni0.926Co0.039Al0.015Mn0.02]O正極活物質粉末を得た。
【0100】
(正極製造)
前記正極活物質94重量%、ケッチェンブラック3重量%およびポリビニリデンフルオライド3重量%をN-メチルピロリドン溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造した。前記正極活物質スラリーをAl箔にコーティング、乾燥および圧延して正極を製造した。
【0101】
(コインセル製造)
前記で製造された正極を使用して、リチウム金属を相対電極とし、PTFEセパレータと1.15M LiPFがEC(エチレンカーボネート)、DEC(ジエチルカーボネート)およびEMC(エチルメチルカーボネート)の混合溶媒(3:4:3体積比)に溶けている溶液を電解質として使用してコインセルを製造した。
【0102】
実施例2
Mnを0.5mol%コーティングしたことを除いては、実施例1と同一に行って正極活物質を製造し、これを用いて正極とコインセルを製造した。
【0103】
実施例3
Mnを1mol%コーティングしたことを除いては、実施例1と同一に行って正極活物質を製造し、これを用いて正極とコインセルを製造した。
【0104】
実施例4
Ni0.945Co0.04Al0.015(OH)の代わりにNi0.945Co0.04Al0.015を使用し、Mnを0.5mol%コーティングしたことを除いては、実施例1と同一に行って正極活物質を製造し、これを用いて正極とコインセルを製造した。
【0105】
比較例1
(正極活物質製造)
Ni0.945Co0.04Al0.015(OH)と蒸留水を反応器に入れて一定時間攪拌した後、マンガンアセテートCMnOを投入して同時に攪拌した。その後、攪拌した混合物を80℃で乾燥させて、Mn化合物がコーティングされたニッケル系複合金属水酸化物を得た。その後、前記水酸化物を450℃で熱処理してMnOがコーティングされたニッケル系複合金属酸化物を得た。
【0106】
その後、前記ニッケル系複合金属酸化物を用いて前記実施例1に記載された正極およびコインセル製造方法によって正極とコインセルを製造した。
【0107】
評価1.EDS(Energy dispersive X-ray spectroscopy)測定
評価1-1.1次粒子の間のマンガン分布測定
正極活物質の2次粒子の表面部に存在する1次粒子の界面にMnがよく分布しているのを確認するために、実施例1で製造された正極活物質の断面をEDSで分析した。図3はEDS分析に使用された正極活物質に存在する複数の1次粒子の断面を示すSTEM image(HAADF)であり、図4図3の複数の1次粒子(A、BおよびC)に分布するマンガンの含量を示したグラフである。
【0108】
図3図4を参照すれば、矢印で表示した部分が2次粒子の表面部に位置する1次粒子の界面に該当し、当該界面でマンガンのmol%が1次粒子の内部と比較して顕著に高いということを確認することができる。このような結果は、マンガンが2次粒子の表面部に位置する1次粒子に粒界コーティングされたことを示すものである。
【0109】
評価1-2.正極活物質の表面部と中心部でのマンガン分布測定
正極活物質の表面部と中心部のMn分布を確認するために、実施例1で製造された正極活物質の断面をEDSで分析した。図5は、正極活物質の表面部と中心部断面のSTEM image(HAADF)である。図5のArea1~Area3は正極活物質の表面部に該当し、Area4~8は正極活物質の中心部に該当する。図5の各地点(Area)の金属のmol%を測定して下記表1に示した。表1で各金属の含量はリチウムを除いた金属総量に対する含量である。
【0110】
【表1】
【0111】
上記表1で確認できるように、Mnの含量が正極活物質表面に近づくほど大きくなるのを確認することができた。これによって、実施例1の正極活物質にマンガンが表面部に集中してコーティングされたのを確認することができる。
【0112】
評価2.c軸長さ(d-spacing)測定
Mnが1次粒子に粒界コーティングされるかどうかを確認するために、実施例1の正極活物質の2次粒子の表面部に位置する1次粒子のc軸長さおよび中心部(bulk)に位置する1次粒子のc軸長さを測定するためにSTEM分析を実施し、結果をそれぞれ図6および図7に示した。図6は実施例1の正極活物質の2次粒子の表面部に位置する1次粒子のSTEM写真であり、図7は実施例1の正極活物質の2次粒子の中心部に位置する1次粒子のSTEM写真である。また、比較のために、比較例1の正極活物質の1次粒子のc軸長さを測定するためにSTEM分析を実施し、結果を図8に示した。図8は、比較例1の正極活物質の1次粒子のSTEM写真である。
【0113】
図6図7を参照すれば、前記2次粒子内1次粒子の位置によってc軸長さ値が互いに異なるということを確認することができる。即ち、2次粒子表面部に位置する1次粒子のc軸長さが4.94Åであって、2次粒子中心部に位置する1次粒子のc軸長さである4.83Åより長いということを確認することができ、これは2次粒子表面部に位置する1次粒子の粒界にマンガンがコーティングされてc軸長さが長くなったと判断される。
【0114】
一方、図8にはマンガンをコーティングしていない正極活物質の1次粒子のc軸長さが示されており、これは4.81Åであって、前記実施例1の2次粒子中心部に位置する1次粒子のc軸長さとほとんど同等な長さが測定された。このような結果は、マンガンが正極活物質の2次粒子の表面に存在する1次粒子の間の界面にコーティング、即ち、粒界コーティングされるということを示す。
【0115】
評価3.X線回折(XRD)data測定
X線回折分析を下記のように実施した。X線回折装備を使用してCu-Ka波長を用いて0.2theta/stepのスキャン速度で測定した。また、X-ray tubeの電圧および電流はそれぞれ40KVおよび40mAであり、発散スリット(divergence slit)を0.5°、ソーラースリット(Soller slit)を0.04radとし、波長を8.05keV(@50%PHD)にして、測定した。
【0116】
その後、HighScore Plusプログラムを用いて測定された値に対してRietveld fittingを行ってFWHM値を導出した。
そのうち、実施例2~4、および比較例1の正極活物質のXRDデータ測定結果を下記表2に示した。
【0117】
【表2】
【0118】
半値幅値はマンガンのコーティング量が多くなるほど値が大きくなり、上記表2で確認できるように、実施例2~4の半値幅(FWHM)値が比較例1より高いところ、これは共沈法を用いて製造された実施例2~4の正極活物質にマンガンがコーティングされたのを示す結果である。
【0119】
評価4.初期充放電容量および充放電効率評価
実施例2~4、および比較例1で製造されたコインセルを0.2Cで1回充放電を実施して充電容量、放電容量および充放電効率を求めた。これを下記表3に示した。
【0120】
【表3】
【0121】
上記表3に示したように、実施例2~4で製造されたコインセルの充放電効率が比較例1に比べてさらに優れることが分かる。
【0122】
評価5.サイクル寿命特性評価
実施例2~4、比較例1で製造されたコインセルを45℃で1.0C rateの電流で電圧が4.30V(vs.Li)に達するまで定電流充電し、次いで定電圧モードで4.30Vを維持しながら0.05C rateの電流でカットオフ(cut-off)した。その次に、放電時に電圧が3.0V(vs.Li)に達するまで1.0C rateの定電流で放電するサイクルを50thサイクルまで繰り返した。前記全ての充放電サイクルで一つの充電/放電サイクル後、10分間の停止時間を置いた。50thサイクルでの寿命(容量維持率)を下記表4に示した。
【0123】
容量維持率は、下記式1によって計算した:
[式1]
50thサイクルでの容量維持率[%]=[50thサイクルでの放電容量/1stサイクルでの放電容量]×100[%]
【0124】
【表4】
【0125】
上記表4に示したように、実施例2~4で製造されたコインセルの充放電効率が比較例1に比べてさらに優れることが分かる。
【0126】
以上で本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく添付された特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0127】
1 2次粒子
3 1次粒子
5a 中心部
5b 表面部
7 粒界
31 リチウム二次電池
32 負極
33 正極
34 セパレータ
35 電池ケース
36 キャップアセンブリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】