IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの特許一覧

特表2023-5404501,4-ブタンジオール含有ポリマーの改良された酸素バリア
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】1,4-ブタンジオール含有ポリマーの改良された酸素バリア
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/00 20060101AFI20230915BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20230915BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20230915BHJP
   C08K 5/098 20060101ALI20230915BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
C08L67/00
C08L101/02
C08L9/00
C08K5/098
C08K3/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023508544
(86)(22)【出願日】2021-08-06
(85)【翻訳文提出日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 EP2021071999
(87)【国際公開番号】W WO2022029288
(87)【国際公開日】2022-02-10
(31)【優先権主張番号】20189999.4
(32)【優先日】2020-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】グッベルス,エリック
(72)【発明者】
【氏名】レーエンマイアー,マクシミリアン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002AA03X
4J002AC05X
4J002AC06X
4J002CF00W
4J002CF07W
4J002DH036
4J002EG006
4J002EG046
4J002EG056
4J002FD206
4J002GG00
(57)【要約】
第1の態様において本発明は、(i)ポリエステル及び(ii)少なくとも1つの易酸化性C=C二重結合を含む、分岐又は非分岐アルキル鎖から成る易酸化性有機ポリマーを含むポリマー組成物に関する。本発明の第2の態様は、ポリマー物品の調製のための第1の態様に従うポリマー組成物の使用に関する。第3の態様において、本発明は第1の態様に従うポリマー組成物を含むポリマー物品に関する。第4の態様において、本発明は酸素消費活性を有するポリマー組成物の調製方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)ポリエステル;
ii)少なくとも1つの酸化可能なC=C二重結合を含む、分枝状又は非分枝状のアルキル鎖から成る易酸化性有機ポリマー、
を含むポリマー組成物。
【請求項2】
前記(i)に従うポリエステルは、1,4-ブタンジオールをベースとし、好ましくは前記(i)に従うポリエステルは、1,4-ブタンジオール及び少なくとも1種の有機ジカルボン酸に基づくコポリマーであり、より好ましくは1,4-ブタンジオール及びテレフタル酸に基づくポリエステルである、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記(ii)に従う易酸化性有機ポリマーが、ポリ(1,4-イソプレン)、ポリ(1,4-ブタジエン)及びこれらの2種以上の混合物から成る群から選択され、及び好ましくは少なくともポリ(1,4-ブタジエン)を含む請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
iii)少なくとも1種の鉄含有触媒、を更に含み、
前記(iii)に従う少なくとも1種の鉄含有触媒は、好ましくはイオン含有塩の群から選択され;より好ましくはFe3+含有塩、Fe2+含有塩及びFe3+含有塩とFe2+含有塩との混合物から成る群から選択され;より好ましくはFe3+含有塩の群から選択され;より好ましくは、Fe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物の群から選択され;より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート及びFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートとの混合物から成る群から選択され、前記(iii)に従う少なくとも1種の鉄含有触媒は、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含み、より好ましくは少なくとも1種の鉄含有触媒の95~100質量%の範囲が、Fe(III)ピロホスフェートから成り、より好ましくは少なくとも1種の鉄含有触媒が、Fe(III)ピロホスフェートである、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
(i)、(ii)及び任意に(iii)がブレンド(化合物)の形態で前記ポリマー組成物中に存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
酸素除去が可能な更なる化合物を含まない請求項1~5のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記(ii)に従う易酸化性有機ポリマーを、前記(i)に従うポリエステルに対する質量基準比で、0.1:100~10:100の範囲、好ましくは0.2:100~8:100の範囲、より好ましくは0.5:100~5:100の範囲で含有する請求項1~6のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記(iii)に従う少なくとも1種の鉄含有触媒を、前記(i)に従うポリエステルに対する質量基準比で、0.0001:100~5:100の範囲、好ましくは0.01:100~5:100の範囲、より好ましくは0.002:100~0.5:100の範囲で含有する、請求項4~7のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
(i)少なくともPBTを含むポリエステル;
(ii)少なくともポリ(1,4-ブタジエン)を含む易酸化性有機ポリマー;
(iii)任意に、Fe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物から成る群から選ばれる、より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート及びFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートとの混合物から成る群から選ばれる1種以上のFe3+含有塩を含む、少なくとも1種の鉄含有触媒であって、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含み、より好ましくはFe(III)ピロホスフェートである、少なくとも1種の鉄含有触媒;
(iv)任意に1種以上の添加剤、
を含む、好ましくはこれらから成る、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
参考例2に従って求めた、ポリマー組成物1グラム当たり少なくとも5ミリバールの酸素消費量を有する、好ましくはポリマー組成物1グラム当たり5~25ミリバールの範囲、より好ましくはポリマー組成物1グラム当たり6~15ミリバールの範囲の酸素消費量、より好ましくはポリマー組成物1グラム当たり10~15ミリバールの範囲の酸素消費量を有する請求項1~9のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
ポリマー物品、好ましくは梱包物品、密封物品、包装物品から成る群より選択されるポリマー物品、を調製するために、好ましくは酸素感受性物質の包装、密封、包装のためのポリマー物品;より好ましくは食品梱包、食品密封又は食品包装物品を調製するために請求項1~10のいずれか1項に記載のポリマー組成物を使用する方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載のポリマー組成物を含むポリマー物品。
【請求項13】
酸素消費活性を有するポリマー組成物を調製するための方法であって、
a)ポリエステル(i)、少なくとも1つの易酸化性C = C二重結合を含む、分枝状又は非分枝状のアルキル鎖から成る易酸化性有機ポリマー(ii)、任意に鉄含有触媒(iii)、及び任意に1つ以上の添加剤(iv)を提供する工程;
b)(i)、(ii)、任意に(iii)及び任意に(iv)の混合物を得るために、(a)に従い提供された(i)、(ii)、任意に(iii)、及び任意に(iv)を混合する工程;
c)任意に、(b)で得られた混合物を、水を除去するために任意に50~100℃の範囲の温度で乾燥し、乾燥混合物を得る工程;
d)(b)で得られた混合物及び/又は(c)で得られた乾燥混合物を、好ましくは225~300℃の範囲の温度でコンパウンドし、(i)、(ii)、任意に(iii)、及び任意に(iv)を含む配合形態のポリマー組成物を得る工程、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様において本発明は、(i)ポリエステル及び(ii)少なくとも1つの易酸化性C=C二重結合を含む、分岐又は非分岐アルキル鎖から成る易酸化性有機ポリマーを含むポリマー組成物に関する。本発明の第2の態様は、ポリマー物品の調製のための第1の態様に従うポリマー組成物の使用に関する。第3の態様において、本発明は第1の態様に従うポリマー組成物を含むポリマー物品に関する。第4の態様において、本発明は酸素消費活性を有するポリマー組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマー組成物は、食品又は飲料等の酸素感受性製品を貯蔵するための様々な包装物品を製造するために包装業界で広く使用されている。酸素に敏感な製品の保管には、空気等の酸素含有気体媒体の侵入を避けるために、包装材料の良好なバリア特性が第1に必要である。第2に、貯蔵された酸素感受性製品と共に封入される酸素の量を減らすために、酸素除去特性が望まれる。
【0003】
特許文献1(EP 1 889 704 A1)は、酸素除去特性を有するドライブレンド、及び単層包装物品を製造するためのその使用を記載している。特許文献2(EP 2 886 602 A1)は、ベースポリエステル、コポリエステル-エーテル、遷移金属ベースの酸化触媒及びチタン化合物を含む物品、プリフォーム(preform)又は容器を調製するための組成物を開示している。特許文献3(GB 2435 394 A)は、水素供与体(例えばポリビニルピロリドン又はジオキサン)、アスコルビン酸又はその酸素除去誘導体、ラジカル発生光開始剤、及び場合によりビタミンE又はその誘導体又は遷移金属化合物又は錯体を含む酸素除去組成物(該組成物は、ポリマー又はオリゴマーを含む)を開示している。Mahanらは、テレフタル酸とエチレングリコールとの溶融重合(及び活性酸素除去剤としてモノオレイン又は3-シクロヘキセン-1,1-ジメタノール)によって合成された活性バリア(ポリエチレンテレフタレート)材料及びそのPETコポリマーについて論じている(非特許文献1:Mahan et al, J. AppL Polym. Sci. 2013, 4273-4283)。特許文献4(US 8,029,842 B2)は、鉄、シリカゲル、水、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化リチウム、ヨウ化物、炭酸塩、硫酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される保湿剤塩を含む酸素除去(消去)組成物に関する。特許文献5(US 10,207,853 B2)は、テレフタル酸及びイソフタル酸からなる群から選択される少なくとも1種の酸又はそれらのジメチルエステルと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール及び1,3-ブタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種のグリコール及び4-シクロヘキサンジメタノール(CHDM);及びイソプレン単位に基づく特定の式を有する1種以上の化合物を含む酸素除去組成物を反応させてなるポリエステルホストポリマーを開示している。特許文献6(US 2007/0138436 A1)は、ポリプロピレンオキシドセグメント及びポリマーセグメントを含むコポリマーと酸化触媒とを含む酸素除去組成物を開示している。Wangらは、鉄錯体触媒を含む酸素消去及び酸素バリアポリ(1,2-ブタジエン)フィルムを記載している〔非特許文献2:Wangら、Macromol. Chem. Phys. 2019, 220, 1900294〕。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP 1 889 704 A1
【特許文献2】EP 2 886 602 A1
【特許文献3】GB 2435 394 A
【特許文献4】US 8,029,842 B2
【特許文献5】US 10,207,853 B2
【特許文献6】US 2007/0138436 A1
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mahan et al, J. AppL Polym. Sci. 2013, 4273-4283
【非特許文献2】Wangら、Macromol. Chem. Phys. 2019, 220, 1900294
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
酸素感受性物品の包装に使用されるポリマー製品の使用需要が着実に増加していることを考慮して、例えば酸素感受性食品及び飲料製品の包装のために、十分なガスバリア特性並びに酸素除去特性を有する更なるポリマー材料が依然として必要とされている。
【0007】
従って、本発明に存在する客観的な技術的課題は、酸素除去(消去)特性を有するポリマー物品の提供であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、
i)ポリエステル;
ii)少なくとも1つの酸化可能なC=C二重結合を含む、分枝状又は非分枝状のアルキル鎖から成る易酸化性有機ポリマー、
を含むポリマー組成物によって解決された。
【0009】
驚くべきことに、易酸化性有機ポリマー(ii)をポリエステル(i)と一緒に組成物に使用すると、既に触媒なしで、純粋なポリエステルと比較してポリマー組成物の酸素消費量が著しく改善されることが見出された。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ポリマー組成物の好ましい態様によれば、(i)に従うポリエステルは、少なくとも1種の多価アルコール及び少なくとも1種の有機ジカルボン酸をベースとする。少なくとも1種の有機ジカルボン酸としては、好ましくは炭素数2~12の1種以上の有機ジカルボン酸、好ましくは炭素数8~12の1種以上の芳香族ジカルボン酸である。好ましくは、前記少なくとも1種の有機ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スルベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、及びフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、異性体ナフタレンジカルボン酸及びこれらの有機ジカルボン酸の2種以上の混合物からなる群より選択され、更に好ましいのは、少なくとも1種の有機ジカルボン酸はテレフタル酸を含む。遊離ジカルボン酸の代わりに、対応するジカルボン酸誘導体、例えば1~4個の炭素原子を有するアルコールのジカルボン酸エステル、又はジカルボン酸無水物を使用することも可能である。少なくとも1種の多価アルコールは、好ましくは少なくとも1種の、炭素数2~12のジオールであり、好ましくは炭素数は2~6である。好ましくは、少なくとも1種の多価アルコールは、少なくとも1,4-ブタンジオールを含む。ポリマー組成物の好ましい態様によれば、(i)に従うポリエステルは1,4-ブタンジオールをベースとし、より好ましいのは(i)に従うポリエステルは、上述した1,4-ブタンジオールと少なくとも1種の有機ジカルボン酸に基づく共重合体であり、更に好ましくは1,4-ブタンジオールとテレフタル酸に基づくポリエステルである。1,4-ブタンジオール及びテレフタル酸(ポリブチレンテレフタレート、PBT)に基づくポリエステルは、好ましくはDIN EN ISO 1628-5(2012年10月)に従って決定される88~160cm/gの範囲の粘度数(VN)を有する。
【0011】
ポリマー組成物の好ましい態様によれば、(ii)に従う易酸化性有機ポリマーが、ポリ(1,4-イソプレン)、ポリ(1,4-ブタジエン)及びこれらの2種以上の混合物からなる群より選択され;好ましくは少なくともポリ(1,4-ブタジエン)を含む。ポリ(1,4-ブタジエン)は、好ましくは、100~10g/molの範囲の平均分子量Mwを有する。
【0012】
ポリマー組成物の好ましい態様によれば、上記ポリマー組成物は、(ii)に従う易酸化性有機ポリマーを、(I)に従うポリエステルに対する質量ベースの比率(比率(ii):(i))が0.1:100~10:100の範囲、好ましくは0.2:100~8:100の範囲、より好ましくは0.5:100~5:100の範囲で含む。
【0013】
ポリマー組成物の好ましい実施形態によれば、ポリマー組成物は更に、
iii)少なくとも1種の鉄含有触媒
を含み、ここで、(iii)に従う少なくとも1種の鉄含有触媒は、好ましくはイオン含有塩の群から選択され;より好ましくはFe3+含有塩、Fe2+含有塩、及びFe3+含有塩とFe2+含有塩との混合物;より好ましくはFe3+含有塩の群;より好ましくはFe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物の群;より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート、及びFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートの混合物からなる群から選択され、ここで、(iii)に従う少なくとも1種の鉄含有触媒は好ましくは、少なくともFe(III)ピロホスフェートを含む。より好ましくは、少なくとも1種の鉄含有触媒の95~100質量%の範囲で、Fe(III)ピロホスフェートから成り、より好ましくは少なくとも1種の鉄含有触媒は、Fe(III)ピロホスフェートである。
【0014】
(i)、(ii)及び追加的に触媒として鉄含有触媒(iii)、特にFe(III)アセチルアセトネート及び/又はFe(III)ピロホスフェート、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含むポリマー組成物は、ポリエステル(i)及び触媒のみと比較して、並びに純粋なポリエステル(i)と比較して、酸素消費量を改善した。
【0015】
好ましくはポリマー組成物は、(i)に従うポリエステルに対する質量基準比で(比(iii):(i))、(iii)に従う鉄含有触媒の少なくとも1種を、0.0001:100~5:100の範囲で含有し、好ましくは0.01:100~1:100の範囲、より好ましくは0.002:100~0.5:100の範囲で含有する。
【0016】
好ましくは(i)、(ii)及び場合により(iii)は、ブレンド(化合物)の形態でポリマー組成物中に存在する。
【0017】
ポリマー組成物の好ましい態様に従えば、ポリマー組成物は更に、酸素除去(消去)が可能な化合物を、ポリマー組成物の全質量に基づいて、1質量%未満の量で含有し、好ましくは0~1質量%の範囲、より好ましくは0~0.5質量%の範囲、更に好ましくは0~0.01質量%の範囲の量で含有する。より好ましくはポリマー組成物は、酸素除去(消去)が可能な更なる化合物を含まない。「酸素消去が可能な更なる化合物」とは、US 10,2007,853 B2に記載のイソプレノイドに由来する酸素除去剤、特にUS 10,2007,853 B2に開示されているような式(I)、(II)及び/又は(III)を有する酸素除去分子を意味し、特にUS 10,2007,853 B2の第2欄、第23行目~第5欄、5行目に記載のイソプレノイドに由来する酸素除去剤を意味し、ここでそれぞれの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0018】
好ましい実施形態に従えば、ポリマー組成物は:
(i)少なくともPBTを含むポリエステル;
(ii)少なくともポリ(1,4-ブタジエン)を含む易酸化性有機ポリマー;
(iii)任意選択で、Fe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物から成る群から選ばれる、より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート及びFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートとの混合物から成る群から選ばれる1種以上のFe3+含有塩を含む、少なくとも1種の鉄含有触媒であって、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含み、より好ましくはFe(III)ピロホスフェートである、少なくとも1種の鉄含有触媒;
(iv)任意選択で1種以上の添加剤、
を含む。
【0019】
好ましい実施形態に従えば、ポリマー組成物は:
(i)少なくともPBTを含むポリエステル;
(ii)少なくともポリ(1,4-ブタジエン)を含む易酸化性有機ポリマー;及び
(iii)Fe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物から成る群から選ばれる、より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート及びFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートとの混合物から成る群から選ばれる1種以上のFe3+含有塩を含む、少なくとも1種の鉄含有触媒であって、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含み、より好ましくはFe(III)ピロホスフェートである、少なくとも1種の鉄含有触媒;
(iv)任意選択で1種以上の添加剤、
を含む。
【0020】
更に好ましい実施形態に従えば、ポリマー組成物の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、更に好ましくは99~100質量%、更に好ましくは100質量%が、
(i)少なくともPBTを含むポリエステル;
(ii)少なくともポリ(1,4-ブタジエン)を含む易酸化性有機ポリマー;
(iii)任意選択で、Fe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物から成る群から選ばれる、より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート及びFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートとの混合物から成る群から選ばれる1種以上のFe3+含有塩を含む、少なくとも1種の鉄含有触媒であって、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含み、より好ましくはFe(III)ピロホスフェートである、少なくとも1種の鉄含有触媒;
(iv)任意選択で1種以上の添加剤、
から成る。
【0021】
更に好ましい実施形態に従えば、ポリマー組成物の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、更に好ましくは99~100質量%、更に好ましくは100質量%が、
(i)少なくともPBTを含むポリエステル;
(ii)少なくともポリ(1,4-ブタジエン)を含む易酸化性有機ポリマー;
(iii)Fe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物から成る群から選ばれる、より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート及びFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートとの混合物から成る群から選ばれる1種以上のFe3+含有塩を含む、少なくとも1種の鉄含有触媒であって、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含み、より好ましくはFe(III)ピロホスフェートである、少なくとも1種の鉄含有触媒;
(iv)任意選択で1種以上の添加剤、
から成る。
【0022】
好ましくは、(iv)に従う添加剤(複数可)は、充填剤、耐衝撃性改良剤、界面活性物質、難燃剤、核剤、酸化安定剤、滑剤、離型助剤、染料、補強剤、殺生物剤、防曇剤、可塑剤、着色剤、顔料、加水分解から保護するための安定剤、光から保護するための安定剤、熱から保護するための安定剤及び変色に対する安定剤からなる群から選択される。
充填剤は、無機充填剤、有機充填剤、及び無機充填剤と有機充填剤の混合物からなる群から選ばれることが好ましい。無機充填剤は好ましくは、ケイ酸塩鉱物(例えば層状ケイ酸塩、例えばアンチゴライト、蛇紋岩、角閃石、角閃石、クリソタイル、タルク);ゼオライト;カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化鉄等の金属酸化物;チョーク、炭酸塩などの金属塩、及び二酸化チタンや硫化亜鉛などの無機顔料;及びガラス、好ましくはガラス繊維からなる群より選択される。有機充填剤は好ましくは、炭素、メラミン、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂、グラフトポリマー、及び有機繊維からなる群から選択され、特に炭素繊維、セルロース繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸エステルに基づくポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、及びこれらの繊維の2種以上の混合物が挙げられる。好ましくは、充填剤は補強性充填剤であり、これは上述の従来の有機及び/又は無機補強充填剤を意味すると理解されるべきであり、好ましくは補強性充填剤は、ガラス繊維、炭素繊維、セルロース繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸エステルに基づくポリエステル繊維、ポリウレタン系繊維、及びこれらの繊維の2種以上の混合物から成る群から選ばれる1種以上を含む。好ましくは、補強ファイラーはガラス繊維を含む。1種以上の繊維は、ショートカット、切断繊維、長繊維、絡み合った繊維(もつれた繊維)、又はこれらの繊維の2つ以上の混合物形態として導入することが可能である。添加剤としては例えば、耐衝撃性改良剤、界面活性剤、難燃剤、核剤、酸化安定剤、滑剤、離型助剤、染料、補強剤、殺生物剤、防曇剤、可塑剤、着色剤、顔料、加水分解から保護するための安定剤、光から保護するための安定剤、熱から保護するための安定剤、及び変色に対する安定剤が当業者に知られている。
【0023】
上記1種以上の添加剤は、(i)に従うポリエステルに対して、質量ベースの比(比率(iv):(i))で、0.1:100~80:100の範囲、好ましくは0.1:100~75:100の範囲で存在する。
【0024】
第1の態様のポリマー組成物は、酸素除去(消去)特性を有し、特にポリマー組成物は、その周囲で酸素を消費することが可能である。更に好ましい実施形態に従えばポリマー組成物は、参照例2に従って測定して、ポリマー組成物1グラム当たり、少なくとも5ミリバールの酸素消費量を有し、これはより好ましくは、ポリマー組成物1グラム当たり5~25ミリバールの範囲であり、より好ましくはポリマー組成物1グラム当たり6~15ミリバールの範囲であり、より好ましくはポリマー組成物1グラム当たり10~15ミリバールの範囲である。
【0025】
第2の態様-ポリマー組成物の使用
第2の態様では、本発明はポリマー物品の調製のための第1の態様に従うポリマー組成物の使用に関する。第2の態様に従えば、本発明は、第1の態様に従うポリマー組成物を用いたポリマー物品の調製方法にも関する。上記ポリマー物品(ポリマー物品の使用及び調製方法の両方について)は、好ましくは、梱包物品、密封物品、包装物品から成る群より選択され、これは好ましくは酸素感受性物質の梱包、密封、包装用であり;より好ましくは、食品梱包、食品密封又は食品包装物品の調製用のものである。ポリマー組成物の実施形態及び好ましい実施形態は、第1の態様に関して既に上述されている; 詳細については、上記第1の態様への参照がなされる。
【0026】
第3の態様-ポリマー組成物
本発明の第3の態様は、第1の態様に従うポリマー組成物を含むポリマー物品に関する。ポリマー組成物の実施形態及び好ましい実施形態は、第1の態様に関して既に上記に開示されている;詳細については、上記の第1の態様への参照がなされる。
【0027】
第4の態様-ポリマー組成物の調製方法
第4の態様では、本発明は、酸素消費活性を有するポリマー組成物の調製方法であって、
a)ポリエステル(i)、少なくとも1つの易酸化性C = C二重結合を含む、分枝状又は非分枝状のアルキル鎖から成る易酸化性有機ポリマー(ii)、任意選択で鉄含有触媒(iii)、及び任意選択で1つ以上の添加剤(iv)を提供する工程;
b)(i)、(ii)、任意に(iii)及び任意に(iv)の混合物を得るために、(a)に従い提供された(i)、(ii)、任意に(iii)及び任意に(iv)を混合する工程;
c)任意に、(b)で得られた混合物を、水を除去するために任意選択で50~100℃の範囲の温度で乾燥し、乾燥混合物を得る工程;
d)(b)で得られた混合物及び/又は(c)で得られた乾燥混合物を、好ましくは225~300℃の範囲の温度でコンパウンドし、(i)、(ii)、場合により(iii)、及び場合により(iv)を含む配合形態のポリマー組成物を得る工程、
を含む方法にも関する。
【0028】
上記(d)で得られるポリマー組成物は、本発明の第1の態様に係るポリマー組成物であることが好ましい。ポリマー組成物の実施形態及び好ましい実施形態は、第1の態様に関して既に上に開示されている;詳細については、上記の第1の態様への参照がなされる。
【0029】
本発明は、以下の実施形態及び依存性と引用から由来する実施形態の組合せセットによって更に説明される。特に、実施例の範囲が記載されている各実例(インスタンス)において例えば、「実施例(1)~(4)の何れか1つ」等の用語では、この範囲内の全ての実施例が、この技術分野の当業者に明確に開示されていることが意味され、すなわち、この技術分野の当業者にとって、この用語の記載は、「実施形態(1)、(2)、(3)及び(4)の何れか1つ」と同義であると理解されるべきである。更に、以下の一連の実施形態は、保護の範囲を決定する請求項のセットではなく、本発明の一般的且つ好ましい態様に向けられた記載の適切に構造化された部分を表すことに明示的に留意されたい。
【0030】
実施形態(1)に従えば本発明は、
i)ポリエステル;
ii)少なくとも1つの酸化可能(易酸化性)なC = C二重結合を含む、分枝状又は非分枝状のアルキル鎖からなる易酸化性有機ポリマー、
を含むポリマー組成物に関する。
【0031】
好ましい実施形態(2)は、具体化実施形態(1)を具体化したもので、上記ポリマー組成物に関し、上記(i)に従うポリエステルが、1,4-ブタンジオールをベースとし、好ましくは上記(i)に従うポリエステルは、1,4-ブタンジオールと少なくとも1種の有機ジカルボン酸に基づくコポリマーであり、より好ましくは、1,4-ブタンジオールとテレフタル酸をベースとするポリエステルである。
【0032】
更に好ましい実施形態(3)は、実施形態(1)又は(2)を具体化したもので、上記ポリマー組成物に関し、(ii)に従う易酸化性有機ポリマーは、ポリ(1,4-イソプレン)、ポリ(1,4-ブタジエン)及びこれらの2種以上の混合物から成る群より選択され;好ましくは少なくともポリ(1,4-ブタジエン)を含む。
【0033】
更に好ましい実施形態(4)は、実施形態(1)~(3)のいずれか1つを具体化したもので、上記ポリマー組成物に関し、これは
iii)少なくとも1種の鉄含有触媒、
を含み、上記(iii)に従う少なくとも1種の鉄含有触媒は、好ましくはイオン含有塩の群から選択され;より好ましくはFe3+含有塩、Fe2+含有塩、並びにFe3+含有塩及びFe2+含有塩の混合物塩の群から選択され;より好ましくはFe3+含有塩の群から選択され;より好ましくはFe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物の群から選択され;より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート、並びにFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートの混合物からなる群より選択され、ここで上記(iii)に記載の少なくとも1種の鉄含有触媒は、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含み、より好ましくは、少なくとも1種の鉄含有触媒の95~100質量%の範囲が、Fe(III)ピロホスフェートから成り、より好ましくは、少なくとも1種の鉄含有触媒はFe(III)ピロホスフェートである。
【0034】
更に好ましい実施形態(5)は、実施形態(1)~(4)のいずれか1つを具体化したもので、上記ポリマー組成物に関し、上記(i)、(ii)及び場合により(iii)がブレンド(化合物)の形態でポリマー組成物中に存在するものである。更に好ましい実施形態(6)は、実施形態(1)~(5)のいずれか1つを具体化したもので、酸素除去が可能な更なる化合物を含まない上記ポリマー組成物に関する。
【0035】
更に好ましい実施形態(7)は、上記ポリマー組成物に関する実施形態(1)~(6)のいずれか1つを具体化し、及び(i)に従うポリエステルに対する質量基準比で(ii)に従う易酸化性有機重合体を0.1:100~10:100の範囲で含有し、これは好ましくは0.2:100~8:100の範囲、より好ましくは0.5:100~5:100の範囲である。
【0036】
更に好ましい実施形態(8)は実施形態(1)~(7)のいずれか1つを具体化したもので、上記ポリマー組成物に関し、(i)に従うポリエステルに対する質量基準比で、(iii)に従う少なくとも1種の鉄含有触媒を、0.0001:100~5:100の範囲、好ましくは0.01:100~1:100の範囲、 より好ましくは0.002:100~0.5:100の範囲で含む。
【0037】
更に好ましい実施形態(9)は実施形態(1)~(8)のいずれか1つを具体化したもので、上記ポリマー組成物に関し、該ポリマー組成物は、
(i)少なくともPBTを含むポリエステル;
(ii)少なくともポリ(1,4-ブタジエン)を含む易酸化性有機ポリマー;及び
(iii)任意選択で、Fe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物から成る群から選ばれる、より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート及びFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートとの混合物から成る群から選ばれる1種以上のFe3+含有塩を含む、少なくとも1種の鉄含有触媒であって、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含み、より好ましくはFe(III)ピロホスフェートである、少なくとも1種の鉄含有触媒;
(iv)任意選択で1種以上の添加剤、
を含む、好ましくはこれらから成るものである。
【0038】
更に好ましい実施形態(10)は実施形態(1)~(9)のいずれか1つを具体化したもので、上記ポリマー組成物に関し、該ポリマー組成物は、参考例2に従って求めた、ポリマー組成物1グラム当たり少なくとも5ミリバールの酸素消費量を有する、好ましくはポリマー組成物1グラム当たり5~25ミリバールの範囲、より好ましくはポリマー組成物1グラム当たり6~15ミリバールの範囲の酸素消費量、更に好ましくはポリマー組成物1グラム当たり10~15ミリバールの範囲の酸素消費量を有するものである。
【0039】
本発明の実施形態(11)は、ポリマー物品、好ましくは包装物品、密封物品、包装物品からなる群より選択されるポリマー物品、を調製するために、好ましくは酸素感受性物質の包装、密封、包装のためのポリマー物品;より好ましくは食品梱包、食品密封又は食品包装物品を調製するために実施形態1~10のいずれか1つに記載のポリマー組成物を使用する方法に関する。
【0040】
本発明の実施形態(12)は、実施形態1~10のいずれか1つに従うポリマー組成物を含むポリマー物品に関する。
【0041】
本発明の実施形態(13)は、酸素消費活性を有するポリマー組成物を調製するための方法であって、
e)ポリエステル(i)、少なくとも1つの易酸化性C = C二重結合を含む、分枝状又は非分枝状のアルキル鎖から成る易酸化性有機ポリマー(ii)、任意選択で鉄含有触媒(iii)、及び任意選択で1つ以上の添加剤(iv)を提供する工程;
h)(i)、(ii)、任意に(iii)及び任意に(iv)の混合物を得るために、(a)に従い提供された(i)、(ii)、任意に(iii)、及び任意に(iv)を混合する工程;
g)任意に、(b)で得られた混合物を、水を除去するために任意選択で50~100℃の範囲の温度で乾燥し、乾燥混合物を得る工程;
h)(b)で得られた混合物及び/又は(c)で得られた乾燥混合物を、好ましくは225~300℃の範囲の温度でコンパウンドし、(i)、(ii)、場合により(iii)、及び場合により(iv)を含む配合形態のポリマー組成物を得る工程、
を含む方法に関する。
【0042】
上述した一連の実施形態は、保護範囲を決定する請求項のセットではなく、本発明の一般的且つ好ましい実施形態に向けられた説明の適切に構造化された部分を表すことに明示的に留意されたい。
【0043】
本発明を、以下の参考例、比較例、及び実施例により更に説明する。
【実施例
【0044】
実施例
化学物質
【0045】
【表1】
【0046】
参照例1:粘度数の決定
粘度数(VN)は、DIN EN ISO 1628-5(2012年10月)に従って決定された。
【0047】
参照例2:酸素消費量試験
表1に示した化合物顆粒の所定量(5g)を20mLバイアル瓶に装填し、そして蓋をバイアル瓶上に圧着して閉じた。圧着後、バイアル瓶内の空気組成は周囲の空気の組成に似ており、及びバイアル瓶内の圧力は圧力計を使用して決定された。圧力低下は、圧着したバイアル瓶内の圧力を時間の関数として測定することによって測定した。表1では、密閉容器内の圧力の最大低下の概要が提示されており、これは化合物1グラム当たりの最大圧力低下をmbar(ミリバール)で表している。
【0048】
実施例1:化合物顆粒E1の製造
化合物顆粒を以下のようにして製造した:PBT(19.58g)をガラス容器中で、ポリ(1,4-ブタジエン)(0,4g)及びFe(III)ステアレート(0.024g)と合わせ、真空下で80℃で一晩乾燥させてPBT中の水分量を低減した。物理的混合物の乾燥後、混合物をDSM-IVミニ押出機に添加し、そしてこれを260℃に予熱した。この混合物をミニ押出機で溶融し、及び260℃の温度で3分間、混ぜ合わせた。この時間の後、PBTからの溶融化合物がストランドとして押出機から排出された。次いで、このストランドを手で造粒して最終生成物(本発明例1~E1の化合物顆粒)を形成した。表1に、エダクト(排出物)及び使用量及び参照例2に従って行った酸素消費試験の結果を示す。
【0049】
実施例2~7
実施例2~7の本発明化合物造粒体(E2-E7)を、E1についての上記実施例1と同様の方法を用いて調製し、エダクト及び使用量並びに参考例2に従って行った酸素消費量試験の結果を表1に示した。
【0050】
比較例1~2
比較例1~2の化合物造粒体(C1-C2)を、E1についての上記実施例1と同様の方法を用いて調製し、化合物及び使用量並びに参考例2に従って行った酸素消費量試験の結果を表1に示した。
【0051】
【表2】
【0052】
PBTを有する化合物中に、ポリ(1,4-ブタジエン)を易酸化性有機ポリマーとして用いると、酸素消費量が相当に改良され、すなわちPBTと触媒のみの化合物(C1)と比較して、及び純粋なPBT(C3)と比較して、各化合物(E7)のmbar/gでの圧力低下が大きく改善された。鉄含有触媒、特にFe(III)アセチルアセトネート(E4、E5)又はFe(III) ピロホスフェート(E2)を触媒として使用すると、PBTと触媒のみのブレンド(C1)と比較して、また純粋なPBT(C3)と比較して、酸素消費量が改善された。ポリ(1,4-ブタジエン)の代わりにポリ(1,2-ブタジエン)を用いると、たとえ触媒として鉄含有触媒(Fe(III)ステアレート、C2)を用いても酸素消費量が著しく悪いものであった。
【0053】
引用文献
-EP1889704A1
-EP2886602A1
-GB2435394A
-Mahan et al., J.Appl.Polym.Sci.2013,4273-4283
-US8,029,842B2
-US10,207,853B2
-US2007/0138436A1
-Wang et al.,Macromol.Chem.Phys.2019,220,1900294
【手続補正書】
【提出日】2022-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)1,4-ブタンジオール及び少なくとも1種の有機ジカルボン酸に基づくコポリマーである、ポリエステル;
ii)少なくとも1つの酸化可能なC=C二重結合を含む、分枝状又は非分枝状のアルキル鎖から成る易酸化性有機ポリマーであって、ポリ(1,4-ブタジエン)である易酸化性有機ポリマー、
を含むポリマー組成物。
【請求項2】
前記(i)に従うポリエステルは、1,4-ブタンジオール及びテレフタル酸に基づくポリエステルである、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
iii)少なくとも1種の鉄含有触媒、を更に含み、
前記(iii)に従う少なくとも1種の鉄含有触媒は、好ましくはイオン含有塩の群から選択され;より好ましくはFe3+含有塩、Fe2+含有塩及びFe3+含有塩とFe2+含有塩との混合物から成る群から選択され;より好ましくはFe3+含有塩の群から選択され;より好ましくは、Fe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物の群から選択され;より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート及びFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートとの混合物から成る群から選択され、前記(iii)に従う少なくとも1種の鉄含有触媒は、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含み、より好ましくは少なくとも1種の鉄含有触媒の95~100質量%の範囲が、Fe(III)ピロホスフェートから成り、より好ましくは少なくとも1種の鉄含有触媒が、Fe(III)ピロホスフェートである、請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
(i)、(ii)及び任意に(iii)がブレンドの形態で前記ポリマー組成物中に存在する、請求項1~のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
酸素除去が可能な更なる化合物を含まない請求項1~のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記(ii)に従う易酸化性有機ポリマーを、前記(i)に従うポリエステルに対する質量基準比で、0.1:100~10:100の範囲、好ましくは0.2:100~8:100の範囲、より好ましくは0.5:100~5:100の範囲で含有する請求項1~のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記(iii)に従う少なくとも1種の鉄含有触媒を、前記(i)に従うポリエステルに対する質量基準比で、0.0001:100~5:100の範囲、好ましくは0.01:100~5:100の範囲、より好ましくは0.002:100~0.5:100の範囲で含有する、請求項のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
(i)少なくともPBTを含むポリエステル;
(ii)ポリ(1,4-ブタジエン)である易酸化性有機ポリマー;
(iii)任意に、Fe(III)ステアレート、Fe(III)ピロホスフェート、Fe(III)シトレート、Fe(III)アセチルアセトネート及びこれらのFe(III)塩の2種以上の混合物から成る群から選ばれる、より好ましくはFe(III)ピロホスフェート、Fe(III)アセチルアセトネート及びFe(III)ピロホスフェートとFe(III)アセチルアセトネートとの混合物から成る群から選ばれる1種以上のFe3+含有塩を含む、少なくとも1種の鉄含有触媒であって、好ましくは少なくともFe(III)ピロホスフェートを含み、より好ましくはFe(III)ピロホスフェートである、少なくとも1種の鉄含有触媒;
(iv)任意に1種以上の添加剤、
を含む、好ましくはこれらから成る、請求項1~のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
参考例2に従って求めた、ポリマー組成物1グラム当たり少なくとも5ミリバールの酸素消費量を有する、好ましくはポリマー組成物1グラム当たり5~25ミリバールの範囲、より好ましくはポリマー組成物1グラム当たり6~15ミリバールの範囲の酸素消費量、より好ましくはポリマー組成物1グラム当たり10~15ミリバールの範囲の酸素消費量を有する請求項1~のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
ポリマー物品、好ましくは梱包物品、密封物品、包装物品から成る群より選択されるポリマー物品、を調製するために、好ましくは酸素感受性物質の包装、密封、包装のためのポリマー物品;より好ましくは食品梱包、食品密封又は食品包装物品を調製するために請求項1~のいずれか1項に記載のポリマー組成物を使用する方法。
【請求項11】
請求項1~のいずれか1項に記載のポリマー組成物を含むポリマー物品。
【請求項12】
酸素消費活性を有するポリマー組成物を調製するための方法であって、
a)1,4-ブタンジオール及び少なくとも1種の有機ジカルボン酸に基づくコポリマーである、ポリエステル(i)、ポリ(1,4-ブタジエン)である、少なくとも1つの易酸化性C = C二重結合を含む、分枝状又は非分枝状のアルキル鎖から成る易酸化性有機ポリマー(ii)、任意に鉄含有触媒(iii)、及び任意に1つ以上の添加剤(iv)を提供する工程;
b)(i)、(ii)、任意に(iii)及び任意に(iv)の混合物を得るために、(a)に従い提供された(i)、(ii)、任意に(iii)、及び任意に(iv)を混合する工程;
c)任意に、(b)で得られた混合物を、水を除去するために任意に50~100℃の範囲の温度で乾燥し、乾燥混合物を得る工程;
d)(b)で得られた混合物及び/又は(c)で得られた乾燥混合物を、好ましくは225~300℃の範囲の温度でコンパウンドし、(i)、(ii)、任意に(iii)、及び任意に(iv)を含む配合形態のポリマー組成物を得る工程、
を含む方法。
【国際調査報告】