(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】二液型硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 59/50 20060101AFI20230915BHJP
C08G 59/44 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
C08G59/50
C08G59/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513495
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(85)【翻訳文提出日】2023-04-14
(86)【国際出願番号】 US2021047446
(87)【国際公開番号】W WO2022046836
(87)【国際公開日】2022-03-03
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 チョンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ママガン、 ドンナ エム.
(72)【発明者】
【氏名】リ、 リン
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AJ21
4J036CB03
4J036CB05
4J036CB12
4J036DC02
4J036DC03
4J036DC04
4J036DC06
4J036DC09
4J036DC10
4J036DC11
4J036DC14
4J036DC38
4J036JA06
(57)【要約】
【解決手段】
室温で経時的に、実質的に相分離せず、高温条件での接着強度の保持が改善されていることを示すことができる、二液型硬化性組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)二量化脂肪酸とトリエチレンテトラミンとの反応生成物から作製されたポリアミド;
(b)二量化脂肪酸とジエチレングリコールジアミノアルキルエーテルとの反応生成物から作製されるポリアミド;
(c)ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとジエチレングリコールジアミノアルキルエーテルとの反応生成物から作製されたエポキシアミン付加物;
(d)任意で、ポリアミン;及び
(e)任意で、トリス-2,4,6-(ジメチルアミノメチル)フェノール;
を含む、組成物。
【請求項2】
(a)のトリエチレンテトラミンが、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミンから成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(b)又は(c)のジエチレングリコールジアミノアルキルエーテルがジエチレングリコールジアミノプロピルエーテルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
(d)のポリアミンが存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
(d)のポリアミンが、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、複素環ポリアミン、芳香族ポリアミン、分子の骨格にエーテル結合を含有するポリアミン及びそれらの様々な混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
(d)のポリアミンが、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ペンタエチレンヘキシルアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、4,4'-メチレン-ビス(シクロヘキシルアミン)、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン及びそれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
(d)のポリアミンがテトラエチレンペンタミンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(d)のポリアミンが、約15重量%以下の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
(d)のポリアミンが、約4~約15重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
(e)のトリス-2,4,6-(ジメチルアミノメチル)フェノールが存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
(c)のエポキシアミン付加物が、約7重量%以上の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
(c)のエポキシアミン付加物が、約7~約10重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
室温で約6ヶ月を超える期間、単相を維持する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
室温で約6ヶ月を超える期間、実質的に相分離を示さない、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
部分A:1つ又は複数のシラン基で任意に置換されるエポキシ樹脂、及び
部分B:請求項1に記載の組成物、
を含む、二液型硬化性組成物。
【請求項16】
部分Bが、室温で約6ヶ月を超える期間、実質的に相分離を示さず、部分Aと部分Bを混合したとき、エポキシ又は鋼鉄で構築された基材の1つの表面上に分配され、エポキシ又は鋼鉄で構築された別の表面と接合され、
その硬化物は、次の物理的特性の少なくとも1つ:
(a)エポキシで構築された表面上のラップシェア強度が約3100psi以上、及び約65℃でのラップシェア強度保持が50%を超える;並びに
(b)鋼鉄で構築された表面上のラップシェア強度が約3200psi以上、及び約65℃でのラップシェア強度保持が43%を超える;
を示す、請求項15に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
室温で経時的に、実質的に相分離せず、接着強度の保持が改善されていることを示すことができる二液型硬化性組成物。
【背景技術】
【0002】
プラスチック基材と金属基材の両方で、エポキシ製剤の安定性及び接着保持を改善する必要がある。既存のエポキシ製品は、許容可能な室温安定性を長期間にわたって示す場合、満足のいく接着保持を提供しないようである。または、他の既存の製品は、許容可能な接着保持を示す場合、長期にわたって満足のいく室温安定性を提供しないようである。
【0003】
その必要性が長い間感じられてきたが、これまでの努力にもかかわらず、達成困難なままであった。
【0004】
今まで。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
その問題の解決策として、本明細書に提供される組成物は、
(a) 二量化脂肪酸とトリエチレンテトラミンとの反応生成物から作製されたポリアミド;
(b) 二量化脂肪酸とジエチレングリコールジアミノアルキルエーテルとの反応生成物から作製されるポリアミド;
(c) ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとジエチレングリコールジアミノアルキルエーテルとの反応生成物から作製されたエポキシアミン付加物;
(d) 任意で、ポリアミン;及び
(e) 任意で、トリス-2,4,6-(ジメチルアミノメチル)フェノール;
を含む。
【0006】
そのように提供された組成物は、室温で約6ヶ月を超える期間、実質的に相分離を示さない、及び/又は室温で約6ヶ月を超える期間、単相を維持することができる。
【0007】
本明細書では、
部分A:1つ又は複数のシラン基で任意に置換されたエポキシ樹脂;及び
部分B:本明細書に記載のように提供された組成物;
を含む二液型硬化性組成物も提供される。
【0008】
そのように提供された二液型硬化性組成物は、室温で約6ヶ月を超える期間、実質的に相分離を示さないことが可能であり、部分Aと部分Bを混合したとき、エポキシ又は鋼鉄で構築された基材の1つの表面上に分配され、エポキシ又は鋼鉄で構築された別の表面と接合され、その硬化物は、次の物理的特性の少なくとも1つを示すことができる:(a)エポキシで構築された表面上のラップシェア強度が約3100psi以上、及び約65℃でのラップシェア強度保持が50%を超える;並びに(b)鋼鉄で構築された表面上のラップシェア強度が約3200psi以上、及び約65℃でのラップシェア強度保持が43%を超える。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記のように、本明細書で提供されるのは、
(a)二量化脂肪酸とトリエチレンテトラミンとの反応生成物から作製されたポリアミド;
(b)二量化脂肪酸とジエチレングリコールジアミノアルキルエーテルとの反応生成物から作製されるポリアミド;
(c)ビスフェノールAのジグリシジルエーテルとジエチレングリコールジアミノアルキルエーテルとの反応生成物から作製されたエポキシアミン付加物;
(d)任意で、ポリアミン;及び
(e)任意で、トリス-2,4,6-(ジメチルアミノメチル)フェノール;
を含む組成物である。
【0010】
そのように提供された組成物は、室温で約6ヶ月を超える期間、実質的に相分離を示さない、及び/又は室温で約6ヶ月を超える期間、単相を維持することが可能である。
【0011】
これらの組成物は、トリエチレンテトラミン(ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミンから選択されてよい)と二量化脂肪酸(トール油脂肪酸(TOFA)、及び0~約4単位の不飽和を含有するC8~C22、好ましくはC16~C22のモノカルボン酸を包含する他の二量体酸から選択されてよい)との反応生成物から作製されたポリアミドを包含する。このポリアミドの市販の例としては、アンカミド350A(エボニックから)、バーサミド140(ガブリエル・ケミカルズから)、エピクレ3140(ヘキシオンから)、アラドゥール240(ハンツマンから)及びLITE3040(カードライトから)が挙げられる。
【0012】
このポリアミドは、約34重量%以上、例えば、約34~約45重量%の量で存在しなければならない。
【0013】
これらの組成物は、二量化脂肪酸(例えば、ジアミノアルキルエーテルとポリカルボン酸から作製されたもの)とジエチレングリコールジアミノアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールジアミノプロピルエーテル)の反応生成物から作製されるポリアミドも包含する。このポリアミド市販の例としては、アンカミド910(エボニックから)が挙げられる。
【0014】
このポリアミドは、約40重量%以上、例えば、約41~約47重量%の量で存在しなければならない。
【0015】
これらの組成物は、ビスフェノール-Aのジグリシジルエーテルとジエチレングリコールジアミノアルキルエーテル(例えば、ジエチレングリコールジアミノプロピルエーテル)との反応生成物から作製されるエポキシアミン付加物をさらに包含する。このポリアミドの市販の例としては、アンカミド2638(エボニックから)が挙げられる。
【0016】
エポキシアミン付加物は、約7重量%以上、例えば、約7~約10重量%の量で存在しなければならない。
【0017】
さらに、これらの組成物はポリアミンを包含してよい。存在する場合、ポリアミンは、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、複素環ポリアミン、芳香族ポリアミン、分子の骨格にエーテル結合を含有するポリアミン及びそれらの様々な混合物から選択されてよい。例えば、ポリアミンは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ペンタエチレンヘキシルアミン、ポリエーテルジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノメチルフェノール、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、4,4'-メチレン-ビス(シクロヘキシルアミン)、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン及びそれらの混合物から選択されてよい。望ましくは、ポリアミンはテトラエチレンペンタミンである。
【0018】
存在する場合、ポリアミンは、約15重量%以下、例えば、約4~約15重量%の量で存在する。
【0019】
そして、これらの組成物は、トリス-2,4,6-(ジメチルアミノメチル)フェノールを包含してよい。
【0020】
存在する場合、トリス-2,4,6-(ジメチルアミノメチル)フェノールは、約10重量%以下、例えば、約0.5~約5.0重量%の量で存在する。
【0021】
本明細書ではまた、
部分A:1つ又は複数のシラン基で任意に置換されるエポキシ樹脂;及び
部分B:上記のように提供される組成物。
を含む2部構成の組成物も提供される。
【0022】
二液型硬化性組成物の部分Aは、1つ又は複数のシラン基で任意で置換されたエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂は、以下の市販のビスフェノールA又はFエポキシ樹脂:エポン828、エポン863(オリンから)、DER331(ヘキシオンから)、GY6010(ハンツマンから)、又は他の類似のビスフェノールA又はFエポキシ樹脂の1つ又は複数から選択されてよい。
【0023】
二液型硬化性組成物の部分Bは、室温で約6ヶ月を超える期間、実質的に相分離を示さないことが可能であり、部分Aと部分Bを混合したとき、エポキシ又は鋼鉄で構築された基材の1つの表面上に分配され、エポキシ又は鋼鉄で構築された別の表面と接合され、その硬化物は、次の物理的特性の少なくとも1つを示す:(a)エポキシで構築された表面上のラップシェア強度が約3100psi以上、及び約65℃でのラップシェア強度保持が50%を超える;並びに(b)鋼鉄で構築された表面上のラップシェア強度が約3200psi以上、及び約65℃でのラップシェア強度保持が43%を超える。
【0024】
以下の実施例は、提供される利益および利点をさらに説明する。
【実施例】
【0025】
以下の表において、列挙された成分から一連の試料を調製した。添加の順序は、試料の作製には重要ではない。
【0026】
【0027】
アンカミド350A硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化に使用するために促進された反応性液体ポリアミドである。
アンカミド910A硬化剤は、液体エポキシ樹脂で使用するために設計された多目的で柔軟な硬化剤である。
エピクレ3245のようなエピクレブランドの硬化剤は、未変性の脂肪族アミンであり、エポキシ硬化剤を包含するさまざまな用途に使用されている。
アンカミン2638硬化剤は、二液型製剤の液体エポキシ樹脂で使用するために設計された変性脂肪族アミンである。
【0028】
これらの成分は、以下の表の記載順に試料に包含される。また、各試料は、シランカップリング剤として0.99重量%のシランA1120/OFS6020と、0.01重量%のデフォーマーPC1244を包含していた。
【0029】
【0030】
試料は、室温硬化後及び適度な高温条件下(すなわち、65℃)でのエポキシ及び軟鋼基材上での貯蔵寿命安定性(室温で液状のまま、単相)及びラップシェア強度性能の観点からの外観、並びに適度な高温条件下(すなわち、65℃)でのラップシェア強度保持について評価した。これらのデータは、以下の表に取り込まれている。
【0031】
ここで、試料A-Iのそれぞれについて、室温(特に断りのない限り)での経時的な安定性及び均一性(又はその欠如)の観点から、その外観を観察する。
【0032】
【0033】
ここで、試料A-Iのそれぞれについて、エポキシラップシェア上のラップシェア強度を観察する。最初は、室温硬化後及び適度な高温条件(すなわち、65℃)でのエポキシ基材上の5ミルギャップのラップシェア強度性能、並びに適度な高温条件(すなわち、65℃)でのラップシェア強度保持を観察する。
【0034】
【0035】
試料F及びGは、24時間にわたって安定であることが観察されない場合、市場の要求を満たすことが実際的ではないため、試験されなかった。
【0036】
ここで、試料A-Iのそれぞれについて、エポキシラップシェア上のラップシェア強度を観察する。最初は、室温硬化後及び適度な高温条件(すなわち、65℃)でのエポキシ基材上の5ミルギャップのラップシェア強度性能、並びに適度な高温条件(すなわち、65℃)でのラップシェア強度保持を観察する。
【0037】
【0038】
さらに、ヘンケル社がロックタイトの商品名で販売している2つの商品も同様に評価した。これらの製品は、ロックタイトEA E-90FL及びロックタイトEA E-20HPである。
【0039】
これらの製品はそれぞれ安定であった。そして、試料A-Iとして評価した。結果を以下の表に示す。
【0040】
【0041】
【0042】
さらに、ロックタイトEA E-90FL及びロックタイトEA E-20HPは、高温下で金属又はプラスチック基材への43%接着強度保持を維持できなかった。
【国際調査報告】