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特表2023-540638故障軽減機能を有する自動車ネットワークゾーンアーキテクチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(54)【発明の名称】故障軽減機能を有する自動車ネットワークゾーンアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20230915BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230915BHJP
【FI】
H02J1/00 309
B60R16/02 645A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516197
(86)(22)【出願日】2022-02-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2022053552
(87)【国際公開番号】W WO2022171881
(87)【国際公開日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】2102080.5
(32)【優先日】2021-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519108707
【氏名又は名称】ヴィテスコ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】522296653
【氏名又は名称】コンチネンタル・オートモーティヴ・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ラムザウアー・ルートヴィヒ
(72)【発明者】
【氏名】クノル・ライナー
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165BB02
5G165BB11
5G165DA01
5G165EA02
5G165FA01
5G165GA04
5G165GA09
5G165JA07
(57)【要約】
故障軽減機能を有する電力消費ノードのセットのための電力供給ネットワークが開示される。ネットワークは2つ以上のゾーンを有し、ゾーンは、2つ以上の電力消費ノードと、ゾーンへの電力の出入りを制御する少なくとも1つの電力スイッチ(110、120、130、140、150)とを備える。電力供給ネットワークの部分的又は完全な故障の場合、電力はゾーンのノード間で再分配される。「緊急トリガ」は、安全な状態を維持及び/又は実行するよう「最終コマンド」の実行を引き起こしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のゾーンを備える電力消費ノードのセットのための電力供給ネットワークであって、
少なくとも1つのゾーンは、2つ以上の電力消費ノードと、前記ゾーンへの電力の出入りを制御する少なくとも1つの電力スイッチとを備え、
前記電力供給ネットワークの故障の場合、電力はゾーンのノード間及び/又はゾーン間で再分配される、
電力供給ネットワーク。
【請求項2】
故障の1種類は、前記ネットワークに電力を供給する電力供給における故障である、請求項1に記載のネットワーク。
【請求項3】
故障の1種類は、前記ネットワークを形成する、及び/又は前記ネットワークの一部である電気接続の中断である、請求項1又は2に記載のネットワーク。
【請求項4】
故障の1種類は、ノード間及び/又はゾーン間の通信における中断である、請求項1~3のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項5】
電力は、前記ネットワークから1つのゾーン又は2つ以上のゾーンを切断することによって再分配される、請求項1~4のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項6】
電力は、故障の種類に応じて再分配される、請求項1~5のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項7】
1つ以上のノードは、ゾーンの一部ではない独立型ノードである、請求項1~6のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項8】
1つ以上のゾーンはそれぞれ、少なくとも1つのゾーンECUを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項9】
前記電力スイッチは、ゾーンのノードを前記ネットワークの残りと切断又は接続するよう構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項10】
ゾーン間の電気接続は、少なくとも部分的又は完全にリングの形態である、請求項1~9のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項11】
前記ネットワークは、ゾーン又は電力スイッチの複数のリングを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項12】
前記電力供給ネットワークの故障の場合、ゾーン、ゾーンECU、独立型ノード、及び/又は中央サーバは、それらの間で、及び/又は互いの間で通信して、特に電力の再分配を特定する、請求項1~11のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項13】
中央サーバは、個々の「最終コマンド」をゾーン、ゾーンECU、及び/又は独立型ノードに送信する、請求項1~12のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項14】
「最終コマンド」は、故障の少なくとも1種類を特定することに応答して送信される、請求項13に記載のネットワーク。
【請求項15】
「最終コマンド」は、検出された故障の種類に依存する、請求項13又は14に記載のネットワーク。
【請求項16】
中央サーバ、ゾーン、ゾーンECU、及び/又は独立型ノードは、「緊急トリガ」ラインを介して接続される、請求項1~15のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項17】
前記「緊急トリガ」ラインは、リングとして部分的に又は完全に接続される、請求項16に記載のネットワーク。
【請求項18】
前記「緊急トリガ」ラインに接続される一部又は全てのコンポーネントは、通信の中断、前記「緊急トリガ」ライン上の通信の中断、及び/又はアクティブな「緊急トリガ」の場合に、1つ以上の「最終コマンド」措置を実行する、請求項16又は17に記載のネットワーク。
【請求項19】
前記アクティブな「緊急トリガ」は、前記「緊急トリガ」ラインを用いて送信される、請求項18に記載のネットワーク。
【請求項20】
ゾーンの前記ノードは、前記電力供給ネットワークの故障の場合に最終コマンドを実行する、請求項1~19のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項21】
少なくとも1つのゾーンはローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部を備える、請求項1~20のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項22】
前記ローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部は、バッテリ、若しくはキャパシタ、及び/又は他の電気供給若しくは貯蔵装置を備えるか、又はそれらとして具現化される、請求項21に記載のネットワーク。
【請求項23】
所定のゾーン、1つのゾーン、若しくは2つ以上のゾーン、又は各ゾーンは、故障の場合に、別のゾーンのローカルバッファ若しくはローカル電気貯蔵部から、及び/又は駆動若しくはトラクションモータからの回復エネルギーから電力を受け取るよう構成される、請求項21又は22に記載のネットワーク。
【請求項24】
前記ローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部は、ローカルバッファを有していないか、及び/又はローカル電気貯蔵部を有していないか、及び/又は不十分なローカル貯蔵部を有するゾーンのために追加の電力を供給するよう構成される、請求項21~23のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項25】
電力は、ローカルバッファ及び/又はローカル電気貯蔵部から、前記ローカルバッファ及び/又は前記ローカル電気貯蔵部と同じゾーンの1つ以上のノードに電力を供給することによって、再分配される、請求項21~24のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項26】
電力は、ローカルバッファ及び/又はローカル電気貯蔵部から、前記ローカルバッファ及び/又は前記ローカル電気貯蔵部とは異なるゾーンの1つ以上のノードに電力を供給することによって、再分配される、請求項21~25のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項27】
少なくとも1つのゾーンはサブゾーンを備える、請求項1~26のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項28】
自動車環境における使用に適合する、請求項1~27のいずれか一項に記載のネットワーク。
【請求項29】
2つ以上のゾーンを備える電力供給ネットワークを動作させる方法であって、前記電力供給ネットワークの故障の場合、電力はゾーンのノード間、及び/又はゾーン間で再分配される方法。
【請求項30】
故障の場合、ゾーンのゾーンECU及び/又はゾーンのノードは、どの1つ以上のノードが電力を受け取るかを特定するか、又はそれらの間で及び/又は互いに通信して特定する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ノードはリングの周りに電気を通す、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記故障の場合、中央電力供給からのローカル消費部のピーク消費が低減されるか、及び/又は前記中央供給からの消費が平均負荷の消費により近くなるよう制限される、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
請求項1~29のいずれか一項に記載のネットワークを用いて実行される、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車環境において用いられる電気的に動作するゾーンのネットワークのための電力供給アーキテクチャに関する。自動車内のネットワークのゾーンを形成してもよいノード、電子制御ユニット、又は電子制御ユニット(ECU)の集合等のネットワークのゾーンは、自動車環境に特有であることが多い変動にも関わらず、使用可能な電力供給を継続的に保証することが望ましい場合がある。
【背景技術】
【0002】
自動車車両製造業者(OEM)及び自動車産業へのティアワンサプライヤは、自動車制御装置又は電子制御ユニット(ECU/ノード)のための新しいアーキテクチャを開発し続けている。1つの開発は、いわゆる「ゾーン指向アーキテクチャ」であり、これにおいて、物理的な設置場所に共に位置するノードは、例えば、フロント右ドアゾーン等の「ゾーンECU」に接続されている。ゾーンECUは中央サーバに接続され、即ち、ノードは、他のノードに直接且つ物理的に接続されないか、又は常に接続されるわけではなく、むしろ通信又はデータチャネルを用いてゾーンECU及び中央サーバを介して接続される。ゾーン自体は、主に同じ場所に設置されたノード、又は関連する機能を有するノード、或いはその両方であるノードのグループを備えていてもよい。
【0003】
自動車ネットワークに関する課題は、アクティブであるか又は通信を望む全てのゾーンが、十分な電力を供給する電力供給部を有することを保証することにある。これは、特に、安全関連機能、例えばステアリング又はブレーキを有するゾーンECUに当てはまる。電力は、十分な電圧及び電流のものであり、所定のゾーン及び/又はそのノードが正確且つ確実に動作することができる「クリーン」又は十分に外乱がないものでなければならない。
【0004】
特に自動車環境において、「クリーン」な供給を保証することを困難にする多くの要因がある。スタータモータ又はPTCヒータ等の幾つかの消費部ノードは、室内灯等の別の単一のノードが用いる可能性があるものよりも1桁以上大きい電力量を用いる可能性がある。電力は、時には、完全に充電されていない可能性があるか、又は経年劣化、低温等により容量が低下している可能性があるバッテリから供給される可能性がある。故障は、供給ケーブル又は供給コネクタが部分的に又は完全に故障している可能性がある別の要因である。故障は、ゾーンECU及び/又は独立型ノードに影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
加えて、ブレーキング及びステアリング等の自動車機能の電力化は、電力量が制限されている場合、ある特定のノードにより高い優先度を与えなければならないことを意味する。例えば、十分な電力が利用可能ではない場合、電動シート加熱は、電動ステアリングよりも低い優先度を与えられなければならない。これは、ひいては、供給アーキテクチャが、他のゾーン又はゾーン内のある特定のノードが潔く無効にされている間であっても、電力を受け取り続け、動作及び通信することができるように、ある特定のゾーン又はゾーン内のある特定のノードに優先順位を付けることができなければならないことを意味する。このように、部分的又は完全な故障の影響を軽減することができる。対応するゾーンECUのない独立型ノードについても同じことが当てはまる。
【0006】
集中型アーキテクチャ、例えば、単一の電力バスは、全ての同時に必要とされる電力を搬送するよう設計されなければならない。利用可能な電力が限られている場合、それぞれ個々のゾーンは、それがより低い優先順位のものである場合、それ自体を切断しなければならない。加えて、単一ゾーン故障は、例えば、ゾーンが短絡を生じる場合、電力供給全体の破局的故障を意味する可能性がある。
【0007】
冗長電力供給を用いて、安全重視ゾーン等の高優先度ゾーンに電力を供給してもよい。DC/DCコンバータは、供給部における電圧降下に対して十分な動作電圧を保証するために用いられてもよい。しかし、かかるアーキテクチャは、コスト、複雑さ、及び重量の増加をもたらす可能性がある。動的再構成はまた、冗長供給経路及びコンバータを含むアーキテクチャと共に複雑になる。
【0008】
別の可能性は、異なる供給ゾーンを有するリング構造である(引用して本明細書に含む独国特許第10317362号明細書を参照)。
【0009】
従って、安全な動作を可能な限り保証することができるように、異なる優先度のゾーン及びノードに電力を再分配する、改善された電力供給アーキテクチャに対するニーズが存在している。アーキテクチャは、障害に対して堅牢でなければならず、過度に複雑なサポート回路を必要とせずに容易に再構成されなければならない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、2つ以上のゾーンを備える電力消費ノードのセットのための電力供給ネットワークであって、
少なくとも1つのゾーンは、2つ以上の電力消費ノードと、ゾーンへの電力の出入りを制御する好ましくは少なくとも1つの電力スイッチとを備えることが好ましい、電力供給ネットワークに関する。電力供給ネットワークの故障の場合、電力はゾーンのノード間及び/又はゾーン間で再分配されることが実装されてもよい。
【0011】
故障は、特に部分故障であってもよい。特に、各ゾーンは、2つ以上のノードを備えていてもよく、及び/又は幾つかのノード若しくは各ノードは、それぞれのゾーンの一部であってもよい。また、2つ以上のゾーン又は全てのゾーンはそれぞれ、2つ以上の電力消費ノードを備えていてもよい。加えて、1つのノードのみを有する1つ以上のゾーンが存在してもよい。そうでなければ、それらは2つ以上のノードを有するゾーンとして具体化されてもよい。
【0012】
可能な実装によれば、故障の1種類は、ネットワークに電力を供給する電力供給における故障である。
【0013】
可能な実装によれば、故障の1種類は、ネットワークを形成する、及び/又はネットワークの一部である電気接続の中断である。
【0014】
特に、これらの電気接続は、ネットワークのコンポーネント間で電力を分配するために用いられてもよい。
【0015】
可能な実装によれば、故障の1種類は、ノード間及び/又はゾーン間の通信における中断である。かかる通信のために、特殊ライン及び/又はバスシステムのような実装が用いられてもよい。
【0016】
可能な実装によれば、電力は、ネットワークから1つのゾーン又は2つ以上のゾーンを切断することによって再分配される。ゾーンを切断することは、特に、ゾーンが、切断されている間、ネットワークを用いて電力を受信しないことを意味する可能性がある。それは、例えば、そのノードを非アクティブ化することができるか、及び/又は切断されている間、ローカル電力供給、例えば、本明細書中に説明するようなローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部のようなローカル電力供給を用いることができる。
【0017】
可能な実装によれば、電力は、故障の種類に応じて再分配される。
【0018】
可能な実装によれば、1つ以上のノードは、ゾーンの一部ではない独立型ノードである。かかる独立型ノードは、それぞれが2つ以上のノードを備えるゾーンに加えて存在してもよい。
【0019】
可能な実装によれば、1つ以上のゾーン、又は各ゾーンはそれぞれ、少なくとも1つのゾーンECUを備える。ゾーンECUは、例えば、ゾーンを制御するために、並びに/又は、他のゾーン、独立型ノード、及び/若しくはサーバと通信するために、異なるタスクを実行してもよい。
【0020】
可能な実装によれば、電力スイッチは、ゾーンのノードをネットワークの残りと切断又は接続するよう構成される。接続されている間、ゾーンは、ネットワークを用いて中央電力供給から電力を受け取ってもよい。接続されていない間、かかる受電は中断されてもよい。
【0021】
可能な実装によれば、ゾーン間の電気接続は、少なくとも部分的又は完全にリングの形態である。例えば、各ゾーンは、リングを形成するために、正確に2つの他のゾーンと、正確に1つの独立型ノード及び1つのゾーンと、又は2つの独立型ノードと接続されてもよい。独立型ノードについても同じことが言える。
【0022】
可能な実装によれば、ネットワークは、ゾーン又は電力スイッチの複数のリングを備える。従って、リングの概念は、2つ以上のリングを用いることによって拡大縮小してもよい。
【0023】
可能な実装によれば、電力供給ネットワークの故障の場合、ゾーン、ゾーンECU、独立型ノード、及び/又は中央サーバは、それらの間で、及び/又は互いの間で通信して、特に電力の再分配を特定する。例えば、かかる通信は、通信しているコンポーネント間のアービトレーションにつながってもよい。
【0024】
可能な実装によれば、中央サーバは、個々の「最終コマンド」をゾーン、ゾーンECU、及び/又は独立型ノードに送信する。
【0025】
可能な実装によれば、「最終コマンド」は、故障の少なくとも1種類を特定することに応答して、又は故障を特定することに応答して送信される。
【0026】
可能な実装によれば、「最終コマンド」は、検出された故障の種類に依存する。
【0027】
可能な実装によれば、中央サーバ、ゾーン、ゾーンECU、及び/又は独立型ノードは、「緊急トリガ」ラインを介して接続される。
【0028】
可能な実装によれば、「緊急トリガ」ラインは、リングとして部分的に又は完全に接続される。
【0029】
可能な実装によれば、「緊急トリガ」ラインに接続される一部又は全てのコンポーネントは、通信の中断、「緊急トリガ」ライン上の通信の中断、及び/又はアクティブな「緊急トリガ」の場合に、1つ以上の「最終コマンド」措置を実行する。
【0030】
可能な実装によれば、アクティブな「緊急トリガ」は、「緊急トリガ」ラインを用いて送信される。
【0031】
可能な実装によれば、ゾーンのノードは、電力供給ネットワークの故障の場合に最終コマンドを実行する。
【0032】
可能な実装によれば、少なくとも1つのゾーンはローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部を備える。
【0033】
可能な実装によれば、ローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部は、バッテリ、若しくはキャパシタ、及び/又は他の電気供給若しくは貯蔵装置を備えるか、又はそれらとして具現化される。
【0034】
可能な実装によれば、所定のゾーン、1つのゾーン、若しくは2つ以上のゾーン、又は各ゾーンは、故障の場合に、別のゾーンのローカルバッファ若しくはローカル電気貯蔵部から、及び/又は駆動若しくはトラクションモータからの回復エネルギーから電力を受け取るよう構成される。
【0035】
可能な実施形態によれば、ローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部は、ローカルバッファを有していないか、及び/又はローカル電気貯蔵部を有していないか、及び/又は不十分なローカル貯蔵部を有するゾーンのために追加の電力を供給するよう構成される。不十分なローカル貯蔵部は、特に、指定する閾値を下回るバッテリ、キャパシタ、又は他の貯蔵手段の負荷印加状態を特徴としてもよい。
【0036】
可能な実装によれば、電力は、ローカルバッファ及び/又はローカル電気貯蔵部から、ローカルバッファ及び/又はローカル電気貯蔵部と同じゾーンの1つ以上のノードに電力を供給することによって、再分配される。
【0037】
可能な実装によれば、電力は、ローカルバッファ及び/又はローカル電気貯蔵部から、ローカルバッファ及び/又はローカル電気貯蔵部とは異なるゾーンの1つ以上のノードに電力を供給することによって、再分配される。
【0038】
可能な実施形態によれば、少なくとも1つのゾーンはサブゾーンを備える。
【0039】
可能な実装によれば、ネットワークは、自動車環境における使用に適合する。
【0040】
本発明は更に、2つ以上のゾーンを備える電力供給ネットワークを動作させる方法であって、電力供給ネットワークの故障の場合、電力はゾーンのノード間、及び/又はゾーン間で再分配される方法に関する。
【0041】
可能な実装によれば、故障の場合、ゾーンのゾーンECU及び/又はゾーンのノードは、どの1つ以上のノードが電力を受け取るかを特定するか、又はそれらの間で及び/又は互いに通信して特定する。場合によっては、他のノードはもはや電力を受け取らない。これは、電力スイッチ又は他の要素を適切に切り替えることによって実装されてもよい。
【0042】
可能な実装によれば、ノードはリングの周りに電気を通す。
【0043】
可能な実装によれば、故障の場合、中央電力供給からのローカル消費部のピーク消費が低減されるか、及び/又は中央電力供給からの消費が平均負荷の消費により近くなるよう制限される。
【0044】
可能な実装によれば、方法は、本明細書中に開示するようなネットワークを用いて実行される。ネットワークに関して、全ての開示された実装及び変形例を適用することができる。
【0045】
本発明の実施形態において、ノードは、位置、例えば車両内の位置によってゾーンECUに接続される。本発明の一態様において、故障に対する冗長性は、リング内の供給接続を用いて、又は冗長供給接続によって、提供されてもよい。別の態様において、供給アーキテクチャは、消費部又はノードの典型的な負荷のために設計され、ゾーンは、ゾーンのためのローカル電力供給を有していてもよく、ノードは、比較的一定の電力消費を有していてもよい。
【0046】
本発明の別の態様において、ノード又はゾーンECU全体でさえも、ローカルゾーン制御の下で、又は例えば電力を再分配するよう中央制御装置からの指示によって、電力スイッチにより中央電力供給をオン又はオフにし、それに接続し、又はそれから切断することができる。追加の態様において、ゾーンECUは、適応電力消費を有していてもよく、それによって、電力消費は、低減された機能を提供することによって低減される。低減は、快適機能のためのノードから開始し、安全関連機能のためのノードのみによる絶対最小消費に進んでもよい。電力消費の低減又は電力消費は、選択されたノードをオフにすることによって、又はゾーン内の1つ以上のノードの電力消費を低減することによって達成されてもよい。
【0047】
特許請求範囲の方法は、特に、特許請求範囲のネットワークを用いて実行することができることに留意されたい。更に、特許請求範囲のネットワークは、特許請求範囲の方法を実行するよう構成することができる。本明細書中に開示するような全てのそれぞれの実施形態及び変形例を適用することができる。
【0048】
ノードは、ゾーンECU及び/又は中央サーバと通信して、ゾーン内のどのノードが電力消費を最も容易に低減することができるか、又は車両の安全な動作に対するリスクなしにどのノードをオフにすることができるかを特定してもよい。ゾーンは、相対的な優先度を特定するよう通信してもよいか、又は、どのゾーン及びどのノードがそれらの電力消費を低減するかを特定する固定の又は予め確立された優先度方式が存在してもよい。
【0049】
本発明の別の態様において、各ゾーンは、ローカルエネルギー源又はエネルギー貯蔵部又は負荷バッファを有していてもよい。ゾーンは、中央電力供給からのローカル消費部のピーク消費をカバーしてもよく、又はゾーンは、中央電力供給からの消費をその平均負荷に制限してもよい(負荷平準化)。一態様において、ゾーンは、ローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部を用いて、中央供給部からの電力を伴わずに、又は少ない電力で自律的に動作してもよい。ローカル貯蔵部は、平均使用を超えるピーク負荷をカバーするよう、又はピーク負荷の固定部分をカバーするよう寸法設定されてもよい。ローカル貯蔵部は、車両がフェールセーフ又は「安全シャットダウン」状態にされる可能性があるまで、中央電力供給の故障の場合にゾーンが機能し続けることを可能にするよう寸法設定されてもよい。それらの特徴は、本明細書中に開示する他の特徴又は実装から独立して実装することができる別の発明態様と見なされてもよい。
【0050】
一実施形態において、ゾーンECUは、負荷印加又は負荷を測定し、負荷印加を連続的に観察し、及び/又は予想される将来の負荷印加を予測する機能を有していてもよい。同様に、ゾーンECUは、ゾーンECUの意思決定及び制御を可能にする中央制御装置を有するか、又は割り当てられてもよい。ゾーンECUに接続されるノードの意思決定及び制御はまた、ゾーン内のノードの一部若しくは全ての間で分散されてもよく、又は中央制御装置とゾーンECUとの間で共有されてもよい。
【0051】
車両の電力供給ネットワークのトポロジーに関する情報、即ち、制御装置ネットワークの接続構造及び交換されるデータに関する情報は、車両の構成中又は構成後に、単一の時点において手動で又は静的に提供されてもよい。このトポロジー情報は、所定のものとして、即ち製造業者から取得されてもよい。しかし、自動車生産における変種の複雑さ及び多様性の増大は、各生産車に対するトポロジー情報への静的なアプローチを、あまり効率的ではなく、望ましくないものにしている。トポロジーは、動的ソフトウェア又は個々のアプリケーションによって動的に特定されてもよい。本発明は、動的トポロジー機能をサポートするために用いることができる。
【0052】
本発明は、以下に説明するように、図面を参照して最良に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】「ゾーンアーキテクチャ」を示す。
図2】ゾーンのための電力スイッチ及び電力スイッチモジュールを示す。
図3】ゾーンのための通信アダプタを示す。
図4】ゾーンの典型的なコンポーネントを示す。
図5】自動車用途における本発明の概念の一例を示す。
図6】緊急トリガラインを有する、ゾーンECUと中央サーバとの間の主な通信チャネルを示す。
図7-1】故障軽減のステップを示す。
図7-2】故障軽減のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本明細書中に記載する詳細な説明は、本発明の特定の実装の理解を当業者に与えることを意図している。
【0055】
図1は、自動車ゾーンアーキテクチャの一実施例を示している。電力スイッチ110、120、130、140、150は、リングトポロジ101内のバッテリ105及びDC-DCコンバータ107としての中央電力供給装置に接続される。電力スイッチは、それぞれのゾーン141(例示的)の一部であり、エネルギーアダプタ144、並びに任意にバッテリ135及び/又はキャパシタ136及び/又は他の電源供給若しくは電源或いは蓄電装置を備える。モジュール141は、電力リング101から消費部ノード149a、149b、149c(例示的)に電力を提供する。
【0056】
このアーキテクチャにおける複数のゾーンのうちの1つは、電力スイッチモジュール141及びノード149a、149b、149cを備える。ノード149a、149b、149cは、互いの間で、及び電力スイッチ140と通信してもよい。同様に、このアーキテクチャにおける他の全てのゾーンはそれぞれ、互いの間で、及びそれぞれの電力スイッチと通信する電力スイッチモジュール及びノードを備えていてもよい。しかし、ネットワーク内のゾーンのサブセットのみが電力スイッチモジュールを備え、及び/又は電力再分配に参加することも実装されてもよい。
【0057】
ゾーンはまた、2つ以上のゾーンECU及び/又は2つ以上の電力スイッチを備えていてもよいことに留意されたい。従って、1つのかかる要素の機能を、幾つかのかかる要素に分散させることができる。加えて、冗長性のために幾つかのかかる要素を有することが可能である。
【0058】
エネルギーアダプタ144は、キャパシタ136又はバッテリ135のうちの少なくとも1つと共に、ローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部を形成する。要素140~149cを有するようなゾーンは、中央電力供給接続101からのローカル消費部ノード149a~149cのピーク消費をカバーしてもよいか、又はゾーンの電力スイッチ140は、中央供給からの消費をゾーンの平均負荷に制限してもよく、即ち負荷平準化を実行する。本発明の一態様において、負荷平準化は、長期平均負荷の120%以内、又は長期平均負荷のその他の割合に負荷を平準化してもよい。一態様において、ゾーンは、バッテリ135又はキャパシタ136等のローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部を用いて、中央供給部からの電力を伴わずに、又は少ない電力で自律的に動作してもよい。ローカル貯蔵部は、中央電力供給の一時的事象(例えば、エンジンクランク等による過電圧/不足電圧)又は故障の場合に、一時的事象が終了するか、又は故障が分離され、中央電力供給を再接続することができるか、又は車両をフェールセーフ又は「安全シャットダウン」状態にすることができるまで、即ち、ゾーンがローカルバッファを用いて限られた時間の間「フェールオペレーショナル」であるまで、ゾーンが機能し続けることを可能にするよう寸法設定されてもよい。このセクションにおいて開示する特徴及び実装は、本明細書中に開示する他の特徴及び実装とは別に実装されてもよい。このセクションの特徴及び実装は、別の発明と考えられてもよい。特に、それらは、電力再分配を欠いて実装されてもよい。
【0059】
分散システムにおいて、ノード149a、149b、149cはそれぞれ、故障状態を特定することが可能であってもよい。ゾーンは、故障状態があると特定すると、これを幾つか又は他の全てのゾーン、独立型ノード、及び中央制御装置に通信することによって、故障軽減を開始する。ゾーンECU及び/又は中央サーバは、次いで、故障を軽減するためにどのノードを優先しなければならないかを特定する。特定は、安全上の注意に基づいてもよい。特定は、どのノードが現在アクティブに動作を実行しているか、又はどれが次の動作を有するかに基づいてもよい。特定は、故障の場合にどのノードが消費を低減するべきかのスケジュール又はリストに基づいてもよい。特定は、各ノードに与えられたそれぞれの優先順位に基づいてもよい。ノードは、その優先度が低いほど早く非アクティブ化されてもよいことが実装されてもよい。これは、全てのノード及び/又はそれぞれのゾーン内で実行されてもよい。特定はまた、上記の要因の組み合わせを用いてもよい。
【0060】
代替として、集中型システムにおいて、ゾーンECU又は別の中央制御装置は、そのゾーンのための又は別のゾーンにおける電力の部分的又は完全な故障があることを特定してもよい。本発明はまた、上で説明した分散アプローチと集中アプローチとの組み合わせを用いることを想定している。
【0061】
図6に示す中央サーバ610は、定期的に若しくはイベント駆動方式で、且つ、車両モード若しくは状態に応じて、個々の「最終コマンド」を各ゾーンECUに送信してもよい。この「最終コマンド」は、通信が途絶えた後にコンポーネントが実行すべき1つ以上のアクティビティを指示している。中央サーバはまた、「アクティブ」な「緊急トリガ」を送信してもよい。「最終コマンド」は、特に、故障にも関わらず車両が安全に走行できる状態にあるコンポーネントを設定するコマンドと考えてもよい。それは、例えば、不必要なノード又は機能の非アクティブ化につながる可能性がある。
【0062】
ゾーンECU624の一実施例を図6に示す。ゾーンECU624又は安全関連消費部若しくは機能を有する独立型ノードが、他のゾーン及び/又は中央サーバとの連絡を失った場合、一般的な安全原則に従って、車両は速やかに安全な状態にされるべきである。アクティブ化は、「緊急トリガ」630を用いることによって行うことができる。この緊急トリガは、例えばライン又はリング(HV(高電圧)車両用のインターロックと同様)を介して、ゾーンECU、独立型ノード、及び中央サーバを接続する追加チャネル又は信号ラインであってもよい。信号が「アクティブ」である場合、それは、車両が安全状態に移行されるべきであるという信号である。他のゾーン及び/又はサーバとの通信がない場合、影響を受けるゾーンECU及び専用ノードは、ここで、故障を軽減するよう「最終コマンド」又は動作のセットを実行する。リング又はラインが非アクティブのままである限り(例えば、堅牢性を考慮することにより高電位にある)、「最終コマンド」は実行されず、通常動作が継続する。
【0063】
他のゾーンが互いに又は/及びサーバと通信し続ける場合、優先度は、安全な状態に達することであり、例えば、全ての機能しているゾーンは、中央制御装置からの更なる命令を待機してもよい。
【0064】
信号は、例えば、重大な損傷によって引き起こされた場合、中央サーバ自体によって、又は通信なしで「緊急トリガ」に接続されたゾーンECU及び/又は独立型ノードから送信することができる。緊急トリガを用いて、全てのゾーンは、最終コマンドアクティブ化について通知され、これは、故障軽減及びエネルギー節約対策が全てのゾーンにおいて同時に行うことができることを意味する。例えば、ゾーンとしてのドア制御ユニットは、最終コマンドが緊急トリガによってトリガされた場合に、ミラー加熱、周辺光等の接続された消費部をオフに切り替えることができ、車両が停止した場合に車両を開錠できるようドアロックを非アクティブ化することができる。
【0065】
残りの通信的に到達可能なゾーンは、それぞれ、最終コマンドを最適に(例えば、利便性、精度、順序、及び速度)実行されるように制御することができる。「緊急トリガ」に接続される各ゾーンECU又は独立型ノードは、最終コマンドにどのように反応するかに関する情報を有していてもよい。
【0066】
実施形態において、部分的に欠陥のあるゾーンでも実際に最終コマンドを実行することができることを保証してもよい。この場合、ゾーンは、それでもなお、動作することが可能であってもよいが、信号の送信者とゾーンとの間の通信は不可能である。言い換えれば、ゾーンはそれでもなお動作しているが、新しいデータを取得することはできない。ゾーンの機能が車両を停止させることに関連する場合、サーバは、通信によって到達可能な残りのゾーンでは実行されない負荷コマンドが来ていることを、全ての正常なゾーンに通知することができる。例えば、信号が中央制御装置から送信されるとすぐにその機能が車両の停止に寄与する場合、障害ゾーンのみが最終コマンドを実行しようと試みる。
【0067】
中央サーバが1つ以上のセキュリティ関連ゾーンECU及び/又は独立型ノードの喪失を認識した場合、中央サーバは、1つ以上のゾーン故障にも関わらず、旅を続けるために必要な機能が利用可能であれば、「リンプホーム」を決定することができる。中央サーバは、次いで、最終コマンドのための緊急トリガを送信せず、リンプホーム信号のみを送信する。これは、例えば、ゾーンECUがそれに接続された安全関連消費部を有している可能性があるが、これらの消費部が現在の運転状況では必要ない場合である可能性がある。例えば、日中であり、ルート上にトンネル等が存在しない場合のライト機能である。
【0068】
運転タスクに必要とされない全ての機能は、障害又は故障の場合に、最終コマンドによって低減又は格下げされてもよい。これは、ゾーンECUのゾーンにおいて必要とされるエネルギー貯蔵の大きさの更なる最適化を可能にする。一実施形態において、他のゾーンに対する障害ゾーンの悪影響又はエネルギー損失効果を回避するために、及び/又は電力を再分配するために、ゾーンがリング又は他の主電力供給構造からそれ自体を分離できることが重要である可能性がある。
【0069】
別の態様は、エネルギー貯蔵装置の分散配置である。ゾーンベースのアプローチは、最大電力が現場でのエネルギー貯蔵装置によってカバーされ、これらが故障の場合に必要な一時的な平均電力を提供することもできるため、平均電力供給のみが車載電力供給の残りから要求されることを可能にする。従って、分配システムの要素であるハーネスの断面を大幅に減少させることができる。
【0070】
図2は、本発明の概念の別の態様を示している。モジュールは、ゾーン内の負荷印加又は負荷を測定する機能を有していてもよい。各ゾーンは、例えばセンサ250及びローカル負荷モニタ251を用いて負荷印加を連続的に観測し、及び/又は252において予想される将来の負荷印加を予測してもよい。モジュールは、瞬間的な負荷印加を測定し、負荷印加を連続的に観察し、及び/又は予想される将来の負荷印加を予測する機能を有していてもよい。同様に、各ゾーンモジュールは、意思決定及びゾーンの制御を可能にする中央制御装置を有するか、又は割り当てられてもよい。これは、電力スイッチャ140、エネルギーアダプタ144、又は中央制御装置(図示せず)の一部、或いはこれらのうちのいずれか1つの組み合わせにおいて実装されてもよい。図2において、電力スイッチャ140が符号210で示され、エネルギーアダプタ144が符号214で示されている。
【0071】
エネルギーアダプタ144は、ピーク負荷状況等の負荷エクスカーションに対処するよう適合されてもよい。供給部の電力ブースト又は「平滑化」を提供してもよい。特に、負荷バッファ内の電気エネルギーの負荷印加及び負荷軽減を指示してもよい。また、ローカルバッテリ215又はキャパシタ216の現在の状態を保持してもよい。必要に応じて、ローカルバッテリ及び/又はキャパシタに負荷を印加するよう、負荷バッファと通信し、協働してもよい。
【0072】
負荷バッファ214aは、別体であってもよいか、又はエネルギーアダプタ214等の他の要素と一体化されてもよい。バッテリ又はキャパシタ又はその両方を用いて、限界負荷のためのローカル電力バッファを提供する。限られた時間ではあるが、負荷ピーク又は平均負荷を超える負荷をカバーする。追加の態様は、システム電力の完全な又は部分的な損失の場合に、短期電力供給を提供する機能であってもよい。これは、例えば、安全機能のための最終コマンド実行の「フェールオペレーション」機能を可能にする支援機能を含んでいてもよい。負荷バッファはまた、特に、これが過度のコスト、重量、大きさ等を伴わずに提供できる場合、長期電力供給のための寸法にされてもよい。
【0073】
他の態様と組み合わせることができるが、別の態様と考えることもできる本発明の一態様において、所定のゾーン(例えば、135、136)のローカル負荷バッファ214a並びにバッテリ215又はキャパシタ(cap)216等の1つ以上のストレージデバイスは、異なるソースから充電されてもよい。ローカル貯蔵部は、リング101を介して、中央電源から、又は別のゾーンのローカルバッファ若しくは貯蔵部から、又は回復エネルギーから(例えば、駆動若しくはトラクションモータから)、又はこれらの組み合わせから充電されてもよい。
【0074】
同様に、他の態様と組み合わせることができるが、別の態様と考えることもできる本発明の別の態様において、所定のゾーンは、異なるソースから付属ノードに分配するための電力を取得してもよい。ゾーンは、105又は107等の中央電源から、又は別のゾーンのローカル貯蔵部から、又は回復エネルギーから(例えば、駆動又はトラクションモータから)、又はこれらの組み合わせから、及び/又は電力を再分配するよう、電力を受け取ってもよい。
【0075】
所定のゾーン135及び/又は136のローカル貯蔵部はまた、例えばピーク負荷のニーズをカバーするよう、又はローカル貯蔵部を有していないゾーンのために追加の電力を供給するよう、バッテリ105等の中央供給部に電力を供給してもよい。言い換えれば、1つのゾーンのローカル貯蔵部は、別のゾーンのためのローカル貯蔵部として(少なくとも部分的に)機能してもよい。
【0076】
電力スイッチ210は、リングを介して負荷バランサ261、262に接続されてもよい。負荷バランサは、小型キャパシタ等の高周波フィルタを備えていてもよい。負荷バランサは、リング間に分散され、自律的に動作して電力供給の品質を改善してもよい。
【0077】
故障が発生した場合の自律動作は、自律車両にとって重要である可能性がある。全てのノード又は負荷を有するゾーンは、自給式又は部分的に自給式であってもよい。例えば、ゾーンは、故障の場合に、少なくとも車両が安全な状態になるまで、又は運転者が動作の制御を行うまで、負荷に供給することができるエネルギー貯蔵装置としてローカル貯蔵部を有していてもよい。
【0078】
実施形態において、ゾーンは、エネルギーであると共に、機能的にも自給式であり、ここでゾーンはまた、ローカル制御を引き継ぎ、直接接続された負荷及びセンサを制御する電力スイッチ210を含んでいてもよいか、又はそれとして具現化されてもよいか、又はそれに加えて存在してもよいゾーンECU制御ユニットを有する。
【0079】
中央制御ユニットにそれでもなお完全に機能して接続される可能性がある他の機能の利用可能性は、それでもなお部分的にサポートすることができる。例えば、ヘッドライト制御をそれにもかかわらず独立して作動させてもよく、これにより、暗闇でも物体認識のためのカメラの機能を保証する。
【0080】
高度に自動化された車両であっても10~15分以内に到達すべき目標を有する可能性がある車両の停止管理も、改善された故障軽減によってサポートすることができる。
【0081】
ゾーンへの通信がない場合、ゾーンは、「最終コマンド」の原則に従って動作してもよい。実施形態において、アクチュエータは、例えば車両を停止させる安全状態のために必要であるような方法で、ゾーン内で制御されてもよい。例えば、ゾーン内に位置するステアリングシステムは、車両のための最後の既知の自由経路を選択し、それに従ってもよい。この実施例において、ゾーンは、車両の最後のGPSデータ及び計画されたルートを含む。これは、車両が高速道路等にあって直ちに停止できない場合に特に重要である。一般に、ゾーンは、駆動コマンド、特に駆動指令「最終コマンド」に必要な情報を常に受信し、ゾーンは、安全な状態、例えば「停止」に到達することを保証しなければならない。車両は、「リンプホーム」状態、例えば、減速に移行してもよい。これにより、既存のデータを用いて、機能の時間限定の拡張された利用可能性、従って安全運転の時間限定の継続を達成することが可能になる。機能はダウングレードされてもよいが、運転「停止」の安全状態はそれにもかかわらず達成されなければならない。
【0082】
図3は、電力スイッチモジュール311(図1において参照符号140で示されている)に結合されるか、又は一体化されてもよい通信アダプタ377を示している。通信は、システム全体の負荷バランシング、電気エネルギーの転送等を可能にするために必要とされる。例示的な通信アダプタは、303としての経路1及び304としての経路2の2つの経路を介した通信を可能にする。
【0083】
この実施例における通信完全性チェック373、374は、入力及び出力のための特定のタスクを有している。入力に関し、「ハートビート」をチェックし、肯定応答し、タイミングをチェックし、巡回冗長符号(CRC)を検証し、及び/又は次の「ハートビート」信号をスケジューリングする。出力に関し、スケジューリングされた「ハートビート」信号を送信し、メッセージをラインidによりマークし、チェックサムCRCを計算し、最後に受信したメッセージのサービス品質(QoS)値を計算する。
【0084】
入力に関する通信コンパレータ及びスプリッタ375は、メイン及びバックアップ通信経路303、304からのデータ又は信号を比較する。それは、例えば、タイミング又はQoS値に基づいて用いられる経路を選択する。出力に関し、モジュール311からのメッセージを2つの経路に分割する。
【0085】
通信アダプタ377は、特に、サーバと、ゾーンと、及び/又はノードと、及び/又は他のエンティティ、例えば、本明細書中に言及するか、又は本明細書中に言及しないエンティティと通信するために用いることができる。
【0086】
図4は、図1に示すような電力スイッチモジュール又はゾーン141のために用いられてもよいゾーン又はゾーンECU450の例示的な構成を示している。電力スイッチ410は、リング電力供給401に接続されている。電力スイッチは、バッテリ415を用いてローカルバッファ又は貯蔵部を提供するエネルギーアダプタ414を有する。エネルギーアダプタは、マイクロコントローラ414mと組み合わされている。3つの電気消費部ノード又は負荷、即ち、非限界負荷419a、安全重視負荷419b、及びスレーブ限界負荷419cが、エネルギーアダプタ414を介して電力を得る。全ての接続された消費部は、CANバス402を介してゾーンECU又はゾーンECU制御装置414mと通信することができる。更に、電力スイッチ410及びゾーンECUは、電力線通信(PLC)を用いてリング上で双方向に通信することができる。
【0087】
例示的な実装において、ゾーンは、PLCを用いて冗長通信を提供するために通信機能を有する。別の実施形態において、ゾーンは、故障動作機能のための特定のネットワーク接続を有していてもよいか、又は他の通信チャネルを用いてもよい。異種通信技術が、機能的安全性のために干渉からの自由を実現するために用いられてもよい。特に、バス通信及びPLCは同時に実装されてもよい。異種通信チャネルは、「緊急トリガ」チャネルとしても用いられてもよい。
【0088】
図5は、自動車環境への適用を示し、ゾーンの階層構造も示している。一次電力スイッチ591、592、593は、電源(図示せず)から電力を供給する主電力供給リングに接続されている。ゾーンECUも同様に接続することができる。
【0089】
本発明の概念の一態様において、ゾーンは階層であってもよく、一次ゾーンは1つ以上の二次又はサブゾーンを含んでいてもよい。一次電力スイッチノードは、リングであってもなくてもよい供給接続を介して、二次電力スイッチ511、521、551に電力を供給する。二次電力スイッチは、順に、消費部ノード519a、519b、529a、529b、559a、559bに電力を供給する。一次ゾーンは、一次電力スイッチ591、592、593の周囲にあり、ノード519a、519bを有するもの等の二次ゾーンは、511等の二次電力スイッチを中心に位置する。電力供給ネットワークの部分的又は完全な故障の場合、電力スイッチを用いて、ゾーンのノード間又はゾーン間で電力を再分配することができる。
【0090】
本発明の概念の別の態様において、ゾーンは、動的にグループに構成されるか、又は2つ以上のゾーンの調整を必要とする機能を有するよう構成されてもよい。ゾーンは、主に同じ場所に設置されたノード、又は関連する機能を有するノード、或いはその両方であるノードのグループを備えていてもよい。
【0091】
図6は、通常及びバックアップ通信チャネルを含む、自動車環境への別の適用を示している。ゾーンECU621、622、623、及び624は、1つ以上のノード626を有するそれぞれのゾーンを表してもよい。ノード625は、独立型ノードと考えることができ、ゾーンECUを有するゾーンの一部でなくてもよい。従って、ノード625もサーバ610と直接通信する。ゾーン621及び623は一次通信チャネルを共有し、ゾーン622及び624はそれぞれサーバ610への一次チャネルを有する。ノード624、625、626のうちのいずれか1つは、安全重視であっても安全重視でなくてもよい。全てのゾーンは、バックアップ通信チャネル630(最終コマンドの実行をトリガする緊急ライン)を共有している。この実施形態において、1つのチャネルにおいて故障が発生した場合でも、サーバは他のチャネルを介して通信を継続することができる。
【0092】
自動車環境のための電力供給アーキテクチャの文脈が、好ましい実施形態として与えられる。しかし、当業者にとって、本発明の概念は他のネットワークにおいて、及び産業ユースケース等の他の環境のために実装することができることは明らかである。
【0093】
図7には、電力供給故障の影響を軽減する実施形態のステップを示している。動作中、システムは、ステップ700において故障軽減を開始する。サーバは、ステップ701において「最終コマンド」を全てのゾーンに送信する。緊急トリガは、ステップ702において、開始状態(例えば、「OFF」)に設定される。
【0094】
ステップ720において、サーバ状態チェックが実行される。721における結果がOKではなく、いいえである場合、次のステップは、サーバが緊急トリガをONに設定することである。ステップ721の結果が、はいである場合、次のステップは722であり、格納するために「最終コマンド」をゾーンに送信する。ステップ723において、緊急措置が必要かどうかを特定するよう、サーバチェックが必要とされる。はいの場合、次のステップは上記のような770である。いいえの場合、サーバは、ステップ743において緊急トリガをOFFに設定する。ステップ742において緊急トリガがOFFである場合、システムは、720のサーバ状態チェックに戻り、そうでなければ、ステップ742においてトリガがONである場合、次のステップは、緊急トリガを無視するメッセージを全てのゾーンに送信し、警告メッセージ又は問題状況の他のインジケータを設定することである。
【0095】
ステップ750において、ゾーン状態チェックが実行される。751においてゾーンがOKである場合、システムはステップ750に進み、それを繰り返し、そうでなければ、ゾーンは、緊急トリガが保留中であることを示さなければならない。753において、サーバは、緊急措置が必要かどうかをチェックする。措置が必要とされる場合、ステップ770において、サーバは緊急トリガを行う。結果がいいえである場合、754において、サーバは、緊急トリガをOFFに設定し、任意のステップとして、755において、サーバは、信号「NOK」又は問題のゾーンに関する別のマーカを格納する。
【0096】
以下において、可能な項目が構造化された形式で与えられる。これらは、別の発明と考えられてもよい。これらは、単独で、組み合わせて、又は本明細書中に開示する他の側面と組み合わせて採用されてもよい。
1.2つ以上のゾーンにグループ化される電力消費ノードのセットのための電力供給ネットワークであって、
少なくとも1つのゾーンは、2つ以上の電力消費ノードと、ゾーンへの電力の出入りを制御する少なくとも1つのゾーンECU及び電力スイッチ(110、120、130、140、150)とを備え、
電力供給ネットワークの部分的又は完全な故障の場合、電力はゾーンのノード間又はゾーン間で再分配される、
電力供給ネットワーク。
2.ノード間の電気接続は少なくとも部分的にリングの形態である、項目1に記載のネットワーク。
3.ネットワークは電力スイッチの複数のリングを備える、項目1又は2に記載のネットワーク。
4.電力供給ネットワークの部分的又は完全な故障の場合、ゾーンECU及び中央サーバは、電力の再分配を特定するようそれらの間で通信する、項目1~3のいずれか一項に記載のネットワーク。
5.中央サーバは、個々の「最終コマンド」をゾーンECU及び/又は独立型ノードに送信する、項目1~4のいずれか一項に記載のネットワーク。
6.中央サーバ、ゾーンECU、及び独立型ノードは、「緊急トリガ」ラインを介して接続される、項目1~5のいずれか一項に記載のネットワーク。
7.「緊急トリガ」ラインはリングとして少なくとも部分的に接続される、項目6に記載のネットワーク。
8.「緊急トリガ」ラインに接続される一部又は全てのコンポーネントは、通信が中断され、「緊急トリガ」が「アクティブ」である場合に、1つ以上の「最終コマンド」の措置を実行する、項目6又は7に記載のネットワーク。
9.ゾーンのノードは、電力供給ネットワークの故障の場合に最終コマンドを実行する、項目1~8のいずれか一項に記載のネットワーク。
10.少なくとも1つのゾーンはローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部を備える、項目1~9のいずれか一項に記載のネットワーク。
11.ローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部は、バッテリ若しくはキャパシタ及び/又は他の電気供給若しくは貯蔵装置を備える、項目10に記載のネットワーク。
12.所定のゾーンは、故障の場合に、別のゾーンのローカル貯蔵部から、又は駆動若しくはトラクションモータからの回復エネルギーから電力を受け取るよう構成される、項目10又は11に記載のネットワーク。
13.ローカルバッファ又はローカル電気貯蔵部は、ローカル貯蔵部を有していないか又は不十分なローカル貯蔵部を有するゾーンのために追加の電力を供給するよう構成される、項目10~12のいずれか一項に記載のネットワーク。
14.少なくとも1つのゾーンはサブゾーンを備える、項目1~13のいずれか一項に記載のネットワーク。
15.自動車環境における使用に適合する、項目1~14のいずれか一項に記載のネットワーク。
16.2つ以上のゾーンを備える電力供給ネットワークを動作させる方法であって、電力供給ネットワークの部分的又は完全な故障の場合、電力はノード間又はゾーン間で再分配される方法。
17.故障の場合に、ゾーンのゾーンECUは、どの1つ以上のノードが電力を受け取るかを特定する、項目16に記載の方法。
18.ノードはリングの周りに電気を通す、項目16又は17に記載の方法。
19.故障の場合、中央電力供給からのローカル消費部のピーク消費を低減するため、及び/又は中央電力供給からの消費を平均負荷の消費により近くなるよう制限するために適用される、項目16~18のいずれか一項に記載の方法。
【0097】
本発明の方法の言及したステップは、所定の順序で実行することができる。しかし、それらは、技術的に合理的である限り、別の順序で行うこともできる。本発明の方法は、一実施形態において、例えばステップのある特定の組み合わせにより、更なるステップが実行されないように実行することができる。しかし、言及されていないステップを含む他のステップも実行されてもよい。
【0098】
特徴は、これらの特徴が互いに独立して使用又は実装されてもよいという事実にも関わらず、例えば、より良好な理解を提供するために、特許請求の範囲及び説明において組み合わせて説明される可能性があることに留意されたい。当業者は、かかる特徴が他の特徴と組み合わせることができるか、又は互いに独立した特徴の組み合わせであってもよいことに気付くであろう。
【0099】
従属請求項における参照は、それぞれの特徴の好ましい組み合わせを示す可能性があるが、他の特徴の組み合わせを除外するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
【国際調査報告】