(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを生成するための不均一系触媒プロセス
(51)【国際特許分類】
C07D 239/06 20060101AFI20230919BHJP
C01B 39/38 20060101ALI20230919BHJP
B01J 29/89 20060101ALI20230919BHJP
B01J 29/40 20060101ALI20230919BHJP
B01J 29/65 20060101ALI20230919BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230919BHJP
【FI】
C07D239/06
C01B39/38
B01J29/89 Z
B01J29/40 Z
B01J29/65 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023507433
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-03-29
(86)【国際出願番号】 EP2021071729
(87)【国際公開番号】W WO2022029154
(87)【国際公開日】2022-02-10
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハイト,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゴルディロ ボロニオ,アルバロ
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】パルヴレスク,アンドレイ-ニコラエ
(72)【発明者】
【氏名】キュブラー,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
4H039
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA57
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073BB05
4G073BB24
4G073BB48
4G073BD21
4G073BD26
4G073CZ13
4G073CZ49
4G073CZ50
4G073FD08
4G073FD24
4G073GA01
4G073GA12
4G073UA03
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA14
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA42A
4G169BC16A
4G169BC17A
4G169BC18A
4G169BC22A
4G169BC22B
4G169BC23A
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC51A
4G169BD03A
4G169BD05A
4G169BE17C
4G169CB25
4G169CB38
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4G169CB62
4G169CB67
4G169CB77
4G169DA06
4G169DA08
4G169EA01Y
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EB18Y
4G169EC03Y
4G169EC04Y
4G169EC30
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB30
4G169FB57
4G169FB67
4G169ZA11A
4G169ZA11B
4G169ZA13A
4G169ZA13B
4G169ZA37B
4G169ZB03
4G169ZB08
4G169ZB09
4G169ZC04
4G169ZC07
4G169ZC08
4G169ZD06
4G169ZF02A
4G169ZF02B
4G169ZF05B
4G169ZF09A
4G169ZF09B
4H039CA42
4H039CH30
(57)【要約】
本発明は、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを生成するためのプロセスであって、(i)ゼオライト材料を含む触媒を収容する反応器を提供することであって、ゼオライト材料は、その骨格構造中にYO2を含み、且つ任意選択的にX2O3を含み、式中、Yは、四価元素であり、及びXは、三価元素である、提供すること、(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製すること、(iii)2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを含む反応生成物を得るために、反応器中の触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させることを含み、(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のアンモニア昇温脱離(NH3-TPD)プロファイルは、任意選択的に、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、250~500℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.5mmol/g以下の合計値をもたらし、(ii)で調製され、且つ(iii)で触媒と接触された混合物は、100重量%の反応混合物に基づいて10重量%未満の水を含有する、プロセスに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを生成するためのプロセスであって、
(i)ゼオライト材料を含む触媒を収容する反応器を提供することであって、前記ゼオライト材料は、その骨格構造中にYO
2を含み、且つ任意選択的にX
2O
3を含み、式中、Yは、四価元素であり、及びXは、三価元素である、提供すること、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製すること、
(iii)2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを含む反応生成物を得るために、前記反応器中の前記触媒を、(ii)で調製された前記反応混合物と接触させること
を含み、(i)で提供された前記触媒中に含まれる前記ゼオライト材料のアンモニア昇温脱離(NH
3-TPD)プロファイルは、任意選択的に、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、250~500℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.5mmol/g以下の合計値をもたらし、
(ii)で調製され、且つ(iii)で前記触媒と接触された前記混合物は、100重量%の前記反応混合物に基づいて10重量%未満の水を含有する、プロセス。
【請求項2】
(i)で提供された前記触媒中に含まれる前記ゼオライト材料の前記NH
3-TPDプロファイルは、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、250~500℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.45mmol/g以下の合計値をもたらす、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
(i)で提供された前記触媒中に含まれる前記ゼオライト材料の前記NH
3-TPDプロファイルは、強酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、510~800℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.05mmol/g以下の合計値をもたらす、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
強酸性部位に関連する前記1つ以上の帯域は、530~750℃の温度範囲でその最大値を有する、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
(i)で提供された前記触媒中に含まれる前記ゼオライト材料の前記NH
3-TPDプロファイル中の帯域であって、50~800℃の温度範囲で最大値を有する帯域の積分は、0.9mmol/g以下の合計値をもたらす、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記帯域は、80~750℃の温度範囲でその最大値を有する、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ゼオライト材料は、10T原子以下の最大環サイズを有する骨格構造を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
Yは、Si、Sn、Ti、Zr、Ge及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
Xは、B、Al、Ga、In及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ゼオライト材料は、5~300の範囲のYO
2:X
2O
3のモル比を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
(i)で提供された前記ゼオライト材料は、MFI及び/又はFER骨格タイプの構造を有するゼオライト材料を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
バッチプロセス又は連続プロセスとして実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
(iv)前記反応生成物から2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを分離して、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジン及び残留混合物を得ること、
(v)前記残留混合物の少なくとも一部分を(ii)の前記反応混合物中で再利用すること
を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
(ii)で調製された前記反応混合物中において、アセトンとアンモニアとのモル比は、1:1~25:1の範囲である、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記触媒は、成形物として提供され、前記成形物は、
(a)前記ゼオライト材料及び任意選択的に1つ以上の結合剤を含む混合物を調製すること、
(b)前記混合物に付形すること、
(c)任意選択的に、前記付形された材料をガス雰囲気中で乾燥させること、
(d)(b)又は(c)から得られた前記付形された材料をガス雰囲気中で焼成して前記成形物を得ること
を含むプロセスに従って調製される、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを生成するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンは、産業用有機化学における重要な中間体である。2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンの調製は、通常、連続的又は半連続的プロセスにおいて複雑な平衡系を介して進められ、ここで、アセトンが触媒の存在下でアンモニアによって変換される。典型的には、アンモニウム塩が均一系触媒として用いられる。この変換の種類は、環化縮合反応として分類され得、これにより水が放出される。しかし、当技術分野で既知のプロセスでは、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンは、更に2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンへと反応する。
【0003】
Cavani et al.のJournal of Molecular Catalysis A:Chemical 393(2014),325-332は、均一条件及び不均一条件下の両方で2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンオンを直接生成するためのアセトンとアンモニアとの酸触媒縮合についての研究を開示しており、ここでは、水性アンモニアがアンモニア源として用いられている。触媒としては、選択された特徴を有するH-Yゼオライトが試験されている。しかし、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンは、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン調製中の副生成物として少ない量でのみ形成される。Cavani et al.によれば、1,2,5,6-テトラヒドロ-2,2,4,6,6-ペンタメチル-ピリミジンは、水を挿入してアンモニアを除去すること又はアセトンの存在下において、アセトンにより、アセトンを挿入して2-イミノプロパンを除去することのいずれかにより、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンに変換し得る。しかし、Cavaniは、より低い反応温度を使用した場合、1,2,5,6-テトラヒドロ-2,2,4,6,6-ペンタメチル-ピリミジンの選択性が向上し、同時に2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの選択性が低下したことを指摘している。
【0004】
一方、独国特許出願公開第1 276 041 B号明細書は、酸触媒としてのモンモリロナイト様鉱物を介したアセトンとアンモニアとの反応による、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンの生成に関する。
【0005】
しかし、一般的に、副生成物の形成が回避又は少なくとも低減される、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを生成するための改善されたプロセスの開発に対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、特に2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンに対する改善された選択性に関する、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを生成するための改善されたプロセスを提供することであった。特に、特定の副生成物、特に2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの形成を完全に回避するか又は少なくとも低減させることが目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、驚くべきことに、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを生成するための不均一プロセスにおいて、特定の酸性度特性を有するゼオライト材料を含む触媒を使用することで、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンに対する改善された選択性がもたらされ、特に、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンの形成が、完全には抑制されないものの低減されることが判明した。
【0008】
従って、本発明は、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを生成するためのプロセスであって、
(i)ゼオライト材料を含む触媒を収容する反応器を提供することであって、ゼオライト材料は、その骨格構造中にYO2を含み、且つ任意選択的にX2O3を含み、式中、Yは、四価元素であり、及びXは、三価元素である、提供すること、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製すること、
(iii)2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを含む反応生成物を得るために、反応器中の触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させること
を含み、(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のアンモニア昇温脱離(NH3-TPD)プロファイル、好ましくは(i)で提供された触媒のNH3-TPDプロファイルは、任意選択的に、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、250~500℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.5mmol/g以下の合計値をもたらし、NH3-TPDプロファイルは、好ましくは、参考実施例2に従って決定され、(ii)で調製され、且つ(iii)で触媒と接触された混合物は、100重量%の反応混合物に基づいて10重量%未満の水、好ましくは100重量%の反応混合物に基づいて8重量%未満、より好ましくは6重量%未満、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満の水を含有する、プロセスに関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の更に好ましい実施形態によれば、(ii)で調製され、且つ(iii)で触媒と接触された混合物は、100重量%の反応混合物に基づいて0~10重量%の範囲、好ましくは0.01~6重量%の範囲、より好ましくは0.05~4重量%の範囲、より好ましくは0.1~1重量%の範囲、より好ましくは0.15~0.5重量%の範囲、より好ましくは0.2~0.3重量%の範囲の量の水を含有する。
【0010】
好ましくは、(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のNH3-TPDプロファイル、好ましくは(i)で提供された触媒のNH3-TPDプロファイルは、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、250~500℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.45mmol/g以下、好ましくは0.4mmol/g以下、より好ましくは0.35mmol/g以下、より好ましくは0.3mmol/g以下、より好ましくは0.25mmol/g以下、より好ましくは0.2mmol/g以下、より好ましくは0.15mmol/g以下、より好ましくは0.1mmol/g以下、より好ましくは0.05mmol/g以下、より好ましくは0.03mmol/g以下、より好ましくは0.02mmol/g以下、より好ましくは0.015mmol/g以下、より好ましくは0.01mmol/g以下、より好ましくは0.005mmol/g以下、より好ましくは0.001mmol/g以下の合計値をもたらし、NH3-TPDプロファイルは、好ましくは、参考実施例2に従って決定される。
【0011】
好ましくは、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域は、260~480℃、好ましくは270~450℃、より好ましくは275~430℃、より好ましくは280~400℃、より好ましくは285~380℃、より好ましくは290~350℃、より好ましくは295~330℃、より好ましくは300~310℃の温度範囲でその最大値を有する。
【0012】
好ましくは、(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のNH3-TPDプロファイルは、強酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、510~800℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.05mmol/g以下、好ましくは0.04mmol/g以下、より好ましくは0.03mmol/g以下、より好ましくは0.02mmol/g以下、より好ましくは0.015mmol/g以下、より好ましくは0.01mmol/g以下、より好ましくは0.005mmol/g以下、より好ましくは0.001mmol/g以下の合計値をもたらし、NH3-TPDプロファイルは、好ましくは、参考実施例2に従って決定される。
【0013】
(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のNH3-TPDプロファイルは、強酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、510~800℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.001~0.070mmol/gの範囲、好ましくは0.001~0.062mmol/gの範囲、より好ましくは0.002~0.024mmol/gの範囲、より好ましくは0.003~0.013mmol/gの範囲、より好ましくは0.004~0.006mmol/gの範囲の合計値をもたらし、NH3-TPDプロファイルは、好ましくは、参考実施例2に従って決定されることが更に好ましい。
【0014】
更に好ましくは、強酸性部位に関連する1つ以上の帯域は、530~750℃、好ましくは550~700℃、より好ましくは560~650℃、より好ましくは570~630℃、より好ましくは575~620℃、より好ましくは580~610℃、より好ましくは585~605℃、より好ましくは590~600℃の温度範囲でその最大値を有する。
【0015】
好ましくは、(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のNH3-TPDプロファイル中の帯域であって、50~800℃の温度範囲で最大値を有する帯域の積分は、0.9mmol/g以下、好ましくは0.7mmol/g以下、より好ましくは0.5mmol/g以下、より好ましくは0.3mmol/g以下、より好ましくは0.2mmol/g以下、より好ましくは0.15mmol/g以下、より好ましくは0.1mmol/g以下、より好ましくは0.08mmol/g以下、より好ましくは0.06mmol/g以下、より好ましくは0.04mmol/g以下、より好ましくは0.03mmol/g以下、より好ましくは0.02mmol/g以下、より好ましくは0.01mmol/g以下、より好ましくは0.005mmol/g以下の合計値をもたらし、NH3-TPDプロファイルは、好ましくは、参考実施例2に従って決定される。更に好ましくは、帯域は、80~750℃、好ましくは100~700℃、より好ましくは130~650℃、より好ましくは150~600℃、より好ましくは180~580℃、より好ましくは200~550℃、より好ましくは230~530℃の温度範囲でその最大値を有する。
【0016】
好ましくは、NH3-TPDプロファイルは、逆重畳積分されたNH3-TPDプロファイルであり、NH3-TPDプロファイルの1つ以上の帯域は、NH3-TPDプロファイルの1つ以上の逆重畳積分された帯域であり、帯域の逆重畳積分は、好ましくは、参考実施例2に従って達成される。
【0017】
好ましくは、ゼオライト材料は、10T原子以下の最大環サイズを有する骨格構造を有し、ゼオライト材料は、好ましくは、その2つ以上の混合構造を含む、MFI、FER、HEU、MEL、MWW、RRO及びTONからなる群から、好ましくはその2つ以上の混合構造を含む、MFI、FER及びMWWからなる群から選択される骨格構造タイプを有し、より好ましくは、ゼオライト材料は、MFI及び/又はFERタイプの骨格構造を有し、より好ましくは、ゼオライト材料は、MFIタイプの骨格構造を有する。
【0018】
好ましくは、触媒の5重量%以上は、ゼオライト材料からなり、好ましくは、触媒の10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、より好ましくは95~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%は、ゼオライト材料からなる。
【0019】
好ましくは、触媒は、粉末及び/又は成形物、好ましくは押出物として提供される。
【0020】
本発明によれば、成形物は、付形プロセスから得られる三次元的実体として理解されるものとし、従って、用語「成形物」は、用語「付形体」と同義に用いられる。
【0021】
好ましくは、Yは、Si、Sn、Ti、Zr、Ge及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、Yは、好ましくは、Siである。
【0022】
代わりに、Yは、Si及びSn、又はSi及びGe、又はSi及びZr、より好ましくはSi及びSnを含むことが好ましく、Yは、より好ましくは、Si及びSn、又はSi及びGe、又はSi及びZr、より好ましくはSi及びSnである。
【0023】
代わりに、Yは、Si及びTiを含むことが好ましく、より好ましくは、Yは、Si及びTiである。
【0024】
好ましくは、Xは、B、Al、Ga、In及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、Xは、Al及び/又はBであり、より好ましくは、Xは、Alである。
【0025】
好ましくは、(i)で提供されるゼオライト材料は、1つ以上の遷移金属元素を含有し、(i)で提供される触媒は、1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩を、ゼオライト材料の多孔質構造の孔内及び任意選択的にゼオライト材料の表面上に投入することを含むプロセスによって得られ、且つ/又は得ることが可能である。更に好ましくは、1つ以上の遷移金属元素は、Sc、Y、La、Hf、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Pm、Sm、Sc、Tb、Tm、Yb、Sn、Fe、Co、Ni及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から、好ましくはSc、Y、La、Hf、Ce、Sn、Fe、Co、Ni及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはSc、La、Hf、Ce、Sn、Fe及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはSc、La、Hf、Ce、Sn及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の遷移金属は、La及び/又はSn、好ましくはLaを含み、より好ましくは、1つ以上の遷移金属は、La及び/又はSn、好ましくはLaである。
【0026】
更に好ましくは、ゼオライト材料は、元素として計算して且つゼオライト材料の骨格構造中に含有される100重量%のYO2を基準として、0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、より好ましくは2~9重量%、より好ましくは3~8重量%、より好ましくは3.5~7重量%、より好ましくは4~6重量%、より好ましくは4.5~5.5重量%の1つ以上の遷移金属元素を含有する。
【0027】
更に好ましくは、ゼオライト材料の多孔質構造の孔内への且つ任意選択的にゼオライト材料の表面上の1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩の投入は、
(a)ゼオライト材料の多孔質構造に1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩の溶液を含浸させること、
(b)任意選択的に、(b)で得られた含浸ゼオライト材料を乾燥させること、
(c)(a)又は(b)で得られたゼオライト材料を焼成させること
を含む。
【0028】
なお更に好ましくは、(a)の溶液は、水溶液であり、好ましくは、溶液は、蒸留水中に溶解した1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩からなる。
【0029】
なお更に好ましくは、(a)で用いられた溶液の体積は、溶液を含浸させる前のゼオライト材料の合計孔体積の500%以下に等しく、好ましくは、(a)で用いられた溶液の体積は、溶液を含浸させる前のゼオライト材料の合計孔体積の50~350%、より好ましくは100~300%、より好ましくは150~270%、より好ましくは180~250%、より好ましくは200~230%、より好ましくは210~220%に等しく、合計孔体積は、好ましくは、DIN66134によるBJH法からの窒素吸着によって決定される。
【0030】
なお更に好ましくは、(a)は、5~40℃、好ましくは10~35℃、より好ましくは15~30℃、より好ましくは20~25℃の範囲の温度で実施される。
【0031】
なお更に好ましくは、1つ以上の塩は、ハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは塩化物、酢酸塩、硝酸塩及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の塩は、硝酸塩である。
【0032】
なお更に好ましくは、ゼオライト材料の多孔質構造の孔内への且つ任意選択的にゼオライト材料の表面上の1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩の投入は、
(a’)1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩とゼオライト材料との混合物を調製すること、
(b’)任意選択的に、(a’)で得た混合物をミリングすること、
(c’)(a’)又は(b’)で得られたゼオライト材料を焼成させること
を含む。
【0033】
なお更に好ましくは、(a’)の1つ以上の塩は、ハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは塩化物、酢酸塩、硝酸塩及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の塩は、硝酸塩である。
【0034】
なお更に好ましくは、(c)又は(c’)の焼成は、300~900℃、好ましくは350~700℃、より好ましくは400~600℃、より好ましくは450~550℃の範囲の温度で実施される。好ましくは、(c)又は(c’)の焼成は、空気中で実施される。
【0035】
なお更に好ましくは、(a)又は(a’)の、ゼオライト材料の多孔質構造の孔内への且つ任意選択的にゼオライト材料の表面上の1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩の投入前に、ゼオライト材料は、H形態であり、且つ骨格外イオンとしてプロトンを含有し、元素として計算して且つゼオライト材料中に含有される100重量%のYO2を基準として、骨格外イオンの0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.001重量%以下、より好ましくは0.0005重量%以下、より好ましくは0.0001重量%以下は、金属カチオンである。
【0036】
好ましくは、ゼオライト材料は、Naを実質的に含有せず、好ましくはNa又はKを実質的に含有せず、より好ましくはアルカリ金属を実質的に含有せず、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を実質的に含有しない。
【0037】
好ましくは、ゼオライト材料は、5~300、好ましくは10~200、より好ましくは15~150、より好ましくは20~120、より好ましくは25~100、より好ましくは30~80、より好ましくは35~70、より好ましくは40~60、より好ましくは45~55の範囲のYO2:X2O3のモル比を有する。
【0038】
好ましくは、(i)で提供されたゼオライト材料は、MFI骨格タイプの構造を有するゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、好ましくは、シリカライト、ZSM-5、[Fe-Si-O]-MFI、モノクリニックH-ZSM-5、[Ga-Si-O]-MFI、[As-Si-O]-MFI、AMS-1B、AZ-1、Bor-C、エンシライト、ボラライトC、FZ-1、LZ-105、ムティーナ沸石、NU-4、NU-5、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、ZMQ-TB、有機物フリーZSM-5及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはZSM-5、AMS-1B、AZ-1、FZ-1、LZ-105、NU-4、NU-5、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、ZMQ-TB及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上のゼオライトを含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、TS-1及び/又はZSM-5を含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、TS-1を含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、TS-1及び/又はZSM-5であり、より好ましくは、ゼオライト材料は、TS-1である。
【0039】
好ましくは、(i)で提供されたゼオライト材料は、FER骨格タイプの構造を有するゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、好ましくは、フェリエライト、ZSM-35、NU-23、FU-23、ISI-6、[Si-O]-FER、[Ga-Si-O]-FER、[B-Si-O]-FER及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはフェリエライト、ZSM-35、NU-23、FU-23、ISI-6、[Si-O]-FER及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上のゼオライトを含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、フェリエライトを含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、フェリエライトである。
【0040】
ゼオライト材料の化学的又は物理的性質に関して、特に制限は適用されない。好ましくは、ゼオライト材料は、50~100重量%、好ましくは75~100重量%、より好ましくは80~100重量%、より好ましくは90~100重量%の範囲の結晶化度を有し、結晶化度は、好ましくは、参考実施例3に記載されるように決定される。
【0041】
好ましくは、ゼオライト材料は、100~600m2/g、好ましくは150~500重量m2/g、より好ましくは200~450m2/g、より好ましくは225~425m2/g、より好ましくは250~400m2/g、より好ましくは275~375m2/g、より好ましくは300~350m2/g、より好ましくは315~335m2/gの範囲のBET比表面積を有し、BET表面積は、好ましくは、ISO9277:2010に従って決定され、より好ましくは参考実施例1に記載されるように決定される。
【0042】
好ましくは、(i)で提供されたゼオライト材料は、焼成ゼオライト材料であり、ゼオライト材料は、300~900℃、好ましくは400~700℃、より好ましくは450~650℃、より好ましくは500~600℃の範囲の温度で焼成されている。
【0043】
好ましくは、ゼオライト材料は、0.5~24時間、好ましくは1~15時間、より好ましくは2~12時間、より好ましくは2.5~9時間、より好ましくは3~7時間、より好ましくは3.5~6.5時間、より好ましくは4~6時間の期間にわたって焼成されている。
【0044】
好ましくは、触媒を(ii)の反応混合物と接触させる前に、触媒を最初にアセトンと接触させる。
【0045】
好ましくは、プロセスは、バッチプロセス又は連続プロセスとして実施され、好ましくは、プロセスは、連続プロセスとして実施される。
【0046】
好ましくは、プロセスは、バッチプロセスとして実施され、(iii)において、触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させることは、35~250℃、好ましくは40~200℃、より好ましくは45~150℃、より好ましくは50~100℃の範囲、より好ましくは55~80℃の範囲、より好ましくは60~70℃の範囲の温度で実施される。
【0047】
好ましくは、プロセスは、バッチプロセスとして実施され、(iii)において、触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させることは、1~30バール(abs)の範囲、好ましくは1~20バール(abs)の範囲、より好ましくは1~15バール(abs)の範囲、より好ましくは1~10バール(abs)の範囲、より好ましくは1~5の範囲、より好ましくは1~3バール(abs)の範囲の圧力で実施される。
【0048】
好ましくは、プロセスは、バッチプロセスとして実施され、(iii)における接触は、0.1~24時間の範囲、好ましくは0.5~20時間の範囲、より好ましくは1~15時間の範囲、より好ましくは3~10時間の範囲、より好ましくは4~8時間の範囲、より好ましくは5~7時間の範囲の期間にわたって実施される。
【0049】
代わりに、プロセスは、好ましくは、連続プロセスとして実施され、(iii)において、触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させることは、1~200バール(abs)の範囲、好ましくは20~150バール(abs)の範囲、より好ましくは30~100バール(abs)の範囲、より好ましくは40~80バール(abs)の範囲、より好ましくは45~70の範囲、より好ましくは50~60バール(abs)の範囲の圧力で実施される。
【0050】
単位バール(abs)は、105Paの絶対圧力を指し、単位オングストロームは、10-10mの長さを指す。
【0051】
好ましくは、プロセスは、連続プロセスとして実施され、(iii)における接触は、0.01~1000ml/(g・h)、好ましくは0.05~500ml/(g・h)、より好ましくは0.1~100ml/(g・h)、より好ましくは0.3~10ml/(g・h)、より好ましくは0.5~5ml/(g・h)、より好ましくは1~4ml/(g・h)、より好ましくは1.2~3ml/(g・h)、より好ましくは1.5~2ml/(g・h)の範囲の液空間速度(LHSV)で実施される。
【0052】
好ましくは、プロセスは、連続プロセスとして実施され、(iii)において、触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させることは、0~150℃、好ましくは5~100℃、より好ましくは10~50℃、より好ましくは15~40℃の範囲、より好ましくは20~35℃の範囲、より好ましくは25~30℃の範囲の温度で実施される。
【0053】
好ましくは、(iii)で得られた反応生成物は、水を更に含み、(iii)で得られた反応生成物は、より好ましくは、100重量%の反応生成物に基づいて0~10重量%の範囲、好ましくは1~8重量%の範囲、より好ましくは2~6重量%の範囲、より好ましくは2.5~4.5重量%の範囲、より好ましくは2.9~3.8重量%の範囲、より好ましくは3.0~3.7重量%の範囲の量で水を更に含有する。
【0054】
好ましくは、プロセスは、
(iv)反応生成物から2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを分離して、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジン及び残留混合物を得ること、
(v)残留混合物の少なくとも一部分を(ii)の反応混合物中で再利用すること
を更に含み、好ましくは、(iv)後且つ(v)前に、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンの沸点よりも高い沸点を有する化合物が残留混合物から分離されている。
【0055】
好ましくは、(ii)で調製された反応混合物中において、アセトンとアンモニアとのモル比は、1:1~25:1、好ましくは2:1~22:1、より好ましくは4:1~20:1、より好ましくは6:1~18:1、より好ましくは8:1~17:1、より好ましくは10:1~16:1の範囲、より好ましくは12:1.0~14.7:1.0の範囲、より好ましくは14.2:1.0~14.5:1.0の範囲である。
【0056】
好ましくは、触媒は、成形物として提供され、成形物は、
(a)ゼオライト材料及び任意選択的に1つ以上の結合剤を含む混合物を調製すること、
(b)好ましくは押出成形によって混合物に付形して、付形された材料を得ること、
(c)任意選択的に、付形された材料をガス雰囲気中で乾燥させること、
(d)(b)又は(c)から得られた付形された材料をガス雰囲気中で焼成して成形物を得ること
を含むプロセスに従って調製される。
【0057】
より好ましくは、(a)の混合物は、1つ以上の結合剤を含み、1つ以上の結合剤は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、グラファイト、多糖、糖アルコール及び合成ポリマーの1つ以上、好ましくはアルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、グラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、セルロース、変性セルロース及びデンプンの1つ以上、より好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、グラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、微結晶セルロース、セルロースエーテル、より好ましくはグラファイト、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びカルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0058】
より好ましくは、(a)の混合物において、1つ以上の結合剤のゼオライト材料に対する重量比は、1:10~1:30の範囲、好ましくは1:15~1:25の範囲内である。
【0059】
より好ましくは、プロセスは、(c)の乾燥を含み、乾燥は、90~150℃の範囲の温度、好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で実施され、好ましくは、乾燥は、10~15時間、より好ましくは11~13時間にわたって実施される。
【0060】
更に好ましくは、(d)のガス雰囲気は、400~600℃の範囲、好ましくは450~550℃の範囲の温度を有し、好ましくは、焼成は、3~7時間、より好ましくは4~6時間にわたって実施される。
【0061】
更に好ましくは、(c)及び(d)の1つ以上におけるガス雰囲気は、窒素、酸素及びアルゴンの1つ以上、好ましくは窒素を含み、好ましくは、(c)及び(d)の1つ以上におけるガス雰囲気は、空気を含み、より好ましくは、(c)及び(d)の1つ以上におけるガス雰囲気は、空気からなる。
【0062】
本発明を、示される従属関係及び後方参照から得られる下記の一連の実施形態及び実施形態の組み合わせによって更に例示する。特に、例えば「実施形態(1)~(4)のいずれか1つ」などの用語に関連して実施形態の範囲が言及される各例において、この範囲中の全ての実施形態が当業者に明示的に開示されていることを意味し、すなわち、この用語の語法は、「実施形態(1)、(2)、(3)及び(4)のいずれか1つ」と同義であると当業者に理解されるべきであることに留意されたい。更に、下記の一連の実施形態は、保護の範囲を規定する一連の請求項ではなく、本発明の一般的態様及び好ましい態様を対象とする本明細書の好ましい構成がなされた一部を表すことに明示的に留意されたい。
【0063】
実施形態(1)によれば、本発明は、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを生成するためのプロセスであって、
(i)ゼオライト材料を含む触媒を収容する反応器を提供することであって、ゼオライト材料は、その骨格構造中にYO2を含み、且つ任意選択的にX2O3を含み、式中、Yは、四価元素であり、及びXは、三価元素である、提供すること、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製すること、
(iii)2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを含む反応生成物を得るために、反応器中の触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させること
を含み、(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のアンモニア昇温脱離(NH3-TPD)プロファイル、好ましくは(i)で提供された触媒のNH3-TPDプロファイルは、任意選択的に、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、250~500℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.5mmol/g以下の合計値をもたらし、NH3-TPDプロファイルは、好ましくは、参考実施例2に従って決定され、(ii)で調製され、且つ(iii)で触媒と接触された混合物は、100重量%の反応混合物に基づいて10重量%未満の水、好ましくは100重量%の反応混合物に基づいて8重量%未満、より好ましくは6重量%未満、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満の水を含有する、プロセスに関する。
【0064】
実施形態(1)を具体化する好ましい実施形態(2)であって、(ii)で調製され、且つ(iii)で記触媒と接触された混合物は、100重量%の反応混合物に基づいて0~10重量%の範囲、より好ましくは0.01~6重量%の範囲、より好ましくは0.05~4重量%の範囲、より好ましくは0.1~1重量%の範囲、より好ましくは0.15~0.5重量%の範囲、より好ましくは0.2~0.3重量%の範囲の量で水を含有する、実施形態(2)。
【0065】
実施形態(1)又は(2)を具体化する好ましい実施形態(3)であって、(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のNH3-TPDプロファイル、好ましくは(i)で提供された触媒のNH3-TPDプロファイルは、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、250~500℃の温度範囲で最大値を有し、1つ以上の帯域の積分は、0.45mmol/g以下、好ましくは0.4mmol/g以下、より好ましくは0.35mmol/g以下、より好ましくは0.3mmol/g以下、より好ましくは0.25mmol/g以下、より好ましくは0.2mmol/g以下、より好ましくは0.15mmol/g以下、より好ましくは0.1mmol/g以下、より好ましくは0.05mmol/g以下、より好ましくは0.03mmol/g以下、より好ましくは0.02mmol/g以下、より好ましくは0.015mmol/g以下、より好ましくは0.01mmol/g以下、より好ましくは0.005mmol/g以下、より好ましくは0.001mmol/g以下の合計値をもたらし、NH3-TPDプロファイルは、好ましくは、参考実施例2に従って決定される、実施形態(3)。
【0066】
実施形態(1)~(3)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(4)であって、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域は、260~480℃、好ましくは270~450℃、より好ましくは275~430℃、より好ましくは280~400℃、より好ましくは285~380℃、より好ましくは290~350℃、より好ましくは295~330℃、より好ましくは300~310℃の温度範囲でその最大値を有する、実施形態(4)。
【0067】
実施形態(1)~(4)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(5)であって、(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のNH3-TPDプロファイルは、強酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、510~800℃の温度範囲で最大値を有し、1つ以上の帯域の積分は、0.05mmol/g以下、好ましくは0.04mmol/g以下、より好ましくは0.03mmol/g以下、より好ましくは0.02mmol/g以下、より好ましくは0.015mmol/g以下、より好ましくは0.01mmol/g以下、より好ましくは0.005mmol/g以下、より好ましくは0.001mmol/g以下の合計値をもたらし、NH3-TPDプロファイルは、好ましくは、参考実施例2に従って決定される、実施形態(5)。
【0068】
実施形態(1)~(5)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(6)であって、(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のNH3-TPDプロファイルは、強酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、510~800℃の温度範囲で最大値を有し、1つ以上の帯域の積分は、0.001~0.070mmol/gの範囲、好ましくは0.001~0.062mmol/gの範囲、より好ましくは0.002~0.024mmol/gの範囲、より好ましくは0.003~0.013mmol/gの範囲、より好ましくは0.004~0.006mmol/gの範囲の合計値をもたらし、NH3-TPDプロファイルは、好ましくは、参考実施例2に従って決定される、実施形態(6)。
【0069】
実施形態(5)又は(6)を具体化する好ましい実施形態(7)であって、強酸性部位に関連する1つ以上の帯域は、530~750℃、好ましくは550~700℃、より好ましくは560~650℃、より好ましくは570~630℃、より好ましくは575~620℃、より好ましくは580~610℃、より好ましくは585~605℃、より好ましくは590~600℃の温度範囲でその最大値を有する、実施形態(7)。
【0070】
実施形態(1)~(7)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(8)であって、(i)で提供された触媒中に含まれるゼオライト材料のNH3-TPDプロファイル中の帯域であって、50~800℃の温度範囲で最大値を有する帯域の積分は、0.9mmol/g以下、好ましくは0.7mmol/g以下、より好ましくは0.5mmol/g以下、より好ましくは0.3mmol/g以下、より好ましくは0.2mmol/g以下、より好ましくは0.15mmol/g以下、より好ましくは0.1mmol/g以下、より好ましくは0.08mmol/g以下、より好ましくは0.06mmol/g以下、より好ましくは0.04mmol/g以下、より好ましくは0.03mmol/g以下、より好ましくは0.02mmol/g以下、より好ましくは0.01mmol/g以下、より好ましくは0.005mmol/g以下の合計値をもたらし、NH3-TPDプロファイルは、好ましくは、参考実施例2に従って決定される、実施形態(8)。
【0071】
実施形態(8)を具体化する好ましい実施形態(9)であって、帯域は、80~750℃、好ましくは100~700℃、より好ましくは130~650℃、より好ましくは150~600℃、より好ましくは180~580℃、より好ましくは200~550℃、より好ましくは230~530℃の温度範囲でその最大値を有する、実施形態(9)。
【0072】
実施形態(1)~(9)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(10)であって、NH3-TPDプロファイルは、逆重畳積分されたNH3-TPDプロファイルであり、NH3-TPDプロファイルの1つ以上の帯域は、NH3-TPDプロファイルの1つ以上の逆重畳積分された帯域であり、帯域の逆重畳積分は、好ましくは、参考実施例2に従って達成される、実施形態(10)。
【0073】
実施形態(1)~(10)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(11)であって、ゼオライト材料は、10T原子以下の最大環サイズを有する骨格構造を有し、ゼオライト材料は、好ましくは、その2つ以上の混合構造を含む、MFI、FER、HEU、MEL、MWW、RRO及びTONからなる群から、好ましくはその2つ以上の混合構造を含む、MFI、FER及びMWWからなる群から選択される骨格構造タイプを有し、より好ましくは、ゼオライト材料は、MFI及び/又はFERタイプの骨格構造を有し、より好ましくは、ゼオライト材料は、MFIタイプの骨格構造を有する、実施形態(11)。
【0074】
実施形態(1)~(11)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(12)であって、触媒の5重量%以上は、ゼオライト材料からなり、好ましくは、触媒の10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、より好ましくは95~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%は、ゼオライト材料からなる、実施形態(12)。
【0075】
実施形態(1)~(12)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(13)であって、触媒は、粉末及び/又は成形物、好ましくは押出物として提供される、実施形態(13)。
【0076】
実施形態(1)~(13)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(14)であって、Yは、Si、Sn、Ti、Zr、Ge及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、Yは、好ましくは、Siである、実施形態(14)。
【0077】
実施形態(1)~(14)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(15)であって、Yは、Si及びSn、又はSi及びGe、又はSi及びZrを含み、好ましくはこれらからなり、Yは、好ましくは、Si及びSnである、実施形態(15)。
【0078】
実施形態(1)~(14)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(16)であって、Yは、Si及びTiを含み、より好ましくは、Yは、Si及びTiである、実施形態(16)。
【0079】
実施形態(1)~(16)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(17)であって、Xは、B、Al、Ga、In及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、好ましくは、Xは、Al及び/又はBであり、より好ましくは、Xは、Alである、実施形態(17)。
【0080】
実施形態(1)~(17)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(18)であって、(i)で提供されるゼオライト材料は、1つ以上の遷移金属元素を含有し、(i)で提供される触媒は、1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩を、ゼオライト材料の多孔質構造の孔内及び任意選択的にゼオライト材料の表面上に投入することを含むプロセスによって得られ、且つ/又は得ることが可能である、実施形態(18)。
【0081】
実施形態(18)を具体化する好ましい実施形態(19)であって、1つ以上の遷移金属元素は、Sc、Y、La、Hf、Ce、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、La、Lu、Nd、Pr、Pm、Sm、Sc、Tb、Tm、Yb、Sn、Fe、Co、Ni及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から、好ましくはSc、Y、La、Hf、Ce、Sn、Fe、Co、Ni及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはSc、La、Hf、Ce、Sn、Fe及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはSc、La、Hf、Ce、Sn及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の遷移金属は、La及び/又はSn、好ましくはLaを含み、より好ましくは、1つ以上の遷移金属は、La及び/又はSn、好ましくはLaである、実施形態(19)。
【0082】
実施形態(18)又は(19)を具体化する好ましい実施形態(20)であって、ゼオライト材料は、元素として計算して且つゼオライト材料の骨格構造中に含有される100重量%のYO2を基準として、0.1~15重量%、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%、より好ましくは2~9重量%、より好ましくは3~8重量%、より好ましくは3.5~7重量%、より好ましくは4~6重量%、より好ましくは4.5~5.5重量%の1つ以上の遷移金属元素を含有する、実施形態(20)。
【0083】
実施形態(18)~(20)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(21)であって、ゼオライト材料の多孔質構造の孔内への且つ任意選択的にゼオライト材料の表面上の1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩の投入は、
(a)ゼオライト材料の多孔質構造に1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩の溶液を含浸させること、
(b)任意選択的に、(b)で得られた含浸ゼオライト材料を乾燥させること、
(c)(a)又は(b)で得られたゼオライト材料を焼成させること
を含む、実施形態(21)。
【0084】
実施形態(21)を具体化する好ましい実施形態(22)であって、溶液は、水溶液であり、好ましくは、溶液は、蒸留水中に溶解した1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩からなる、実施形態(22)。
【0085】
実施形態(21)又は(22)を具体化する好ましい実施形態(23)であって、(a)で用いられた溶液の体積は、溶液を含浸させる前のゼオライト材料の合計孔体積の500%以下に等しく、好ましくは、(a)で用いられた溶液の体積は、溶液を含浸させる前のゼオライト材料の合計孔体積の50~350%、より好ましくは100~300%、より好ましくは150~270%、より好ましくは180~250%、より好ましくは200~230%、より好ましくは210~220%に等しく、合計孔体積は、好ましくは、DIN66134によるBJH法からの窒素吸着によって決定される、実施形態(23)。
【0086】
実施形態(21)~(23)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(24)であって、(a)は、5~40℃、好ましくは10~35℃、より好ましくは15~30℃、より好ましくは20~25℃の範囲の温度で実施される、実施形態(24)。
【0087】
実施形態(21)~(24)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(25)であって、1つ以上の塩は、ハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは塩化物、酢酸塩、硝酸塩及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の塩は、硝酸塩である、実施形態(25)。
【0088】
実施形態(21)~(25)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(26)であって、ゼオライト材料の多孔質構造の孔内への且つ任意選択的にゼオライト材料の表面上の1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩の投入は、
(a’)1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩とゼオライト材料との混合物を調製すること、
(b’)任意選択的に、(a’)で得た混合物をミリングすること、
(c’)(a’)又は(b’)で得られたゼオライト材料を焼成させること
を含む、実施形態(26)。
【0089】
実施形態(21)~(26)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(27)であって、1つ以上の塩は、ハロゲン化物、好ましくは塩化物及び/又は臭化物、より好ましくは塩化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくは塩化物、酢酸塩、硝酸塩及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、1つ以上の塩は、硝酸塩である、実施形態(27)。
【0090】
実施形態(21)~(27)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(28)であって、(c)又は(c’)の焼成は、300~900℃、好ましくは350~700℃、より好ましくは400~600℃、より好ましくは450~550℃の範囲の温度で実施される、実施形態(28)。
【0091】
実施形態(21)~(28)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(29)であって、(c)又は(c’)の焼成は、空気中で実施される、実施形態(29)。
【0092】
実施形態(21)~(29)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(30)であって、(a)又は(a’)の、ゼオライト材料の多孔質構造の孔内への且つ任意選択的にゼオライト材料の表面上の、1つ以上の遷移金属元素の1つ以上の塩の投入前に、ゼオライト材料は、H形態であり、且つ骨格外イオンとしてプロトンを含有し、元素として計算して且つゼオライト材料中に含有される100重量%のYO2を基準として、骨格外イオンの0.1重量%以下、好ましくは0.05重量%以下、より好ましくは0.001重量%以下、より好ましくは0.0005重量%以下、より好ましくは0.0001重量%以下は、金属カチオンである、実施形態(30)。
【0093】
実施形態(1)~(30)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(31)であって、ゼオライト材料は、Naを実質的に含有せず、好ましくはNa又はKを実質的に含有せず、より好ましくはアルカリ金属を実質的に含有せず、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を実質的に含有しない、実施形態(31)。
【0094】
実施形態(1)~(31)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(32)であって、ゼオライト材料は、5~300、好ましくは10~200、より好ましくは15~150、より好ましくは20~120、より好ましくは25~100、より好ましくは30~80、より好ましくは35~70、より好ましくは40~60、より好ましくは45~55の範囲のYO2:X2O3のモル比を有する、実施形態(32)。
【0095】
実施形態(1)~(32)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(33)であって、(i)で提供されたゼオライト材料は、MFI骨格タイプの構造を有するゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、好ましくは、シリカライト、ZSM-5、[Fe-Si-O]-MFI、モノクリニックH-ZSM-5、[Ga-Si-O]-MFI、[As-Si-O]-MFI、AMS-1B、AZ-1、Bor-C、エンシライト、ボラライトC、FZ-1、LZ-105、ムティーナ沸石、NU-4、NU-5、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、ZMQ-TB、有機物フリーZSM-5及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはZSM-5、AMS-1B、AZ-1、FZ-1、LZ-105、NU-4、NU-5、TS-1、TSZ、TSZ-III、TZ-01、USC-4、USI-108、ZBH、ZKQ-1B、ZMQ-TB及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上のゼオライトを含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、TS-1及び/又はZSM-5を含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、TS-1を含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、TS-1及び/又はZSM-5であり、より好ましくは、ゼオライト材料は、TS-1である、実施形態(33)。
【0096】
実施形態(1)~(33)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(34)であって、(i)で提供されたゼオライト材料は、FER骨格タイプの構造を有するゼオライト材料を含み、ゼオライト材料は、好ましくは、フェリエライト、ZSM-35、NU-23、FU-23、ISI-6、[Si-O]-FER、[Ga-Si-O]-FER、[B-Si-O]-FER及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から、より好ましくはフェリエライト、ZSM-35、NU-23、FU-23、ISI-6、[Si-O]-FER及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される1つ以上のゼオライトを含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、フェリエライトを含み、より好ましくは、ゼオライト材料は、フェリエライトである、実施形態(34)。
【0097】
実施形態(1)~(34)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(35)であって、ゼオライト材料は、50~100重量%、好ましくは75~100重量%、より好ましくは80~100重量%、より好ましくは90~100重量%の範囲の結晶化度を有し、結晶化度は、好ましくは、参考実施例3に記載されるように決定される、実施形態(35)。
【0098】
実施形態(1)~(35)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(36)であって、ゼオライト材料は、100~600m2/g、好ましくは150~500重量m2/g、より好ましくは200~450m2/g、より好ましくは225~425m2/g、より好ましくは250~400m2/g、より好ましくは275~375m2/g、より好ましくは300~350m2/g、より好ましくは315~335m2/gの範囲のBET比表面積を有し、BET表面積は、好ましくは、ISO9277:2010に従って決定され、より好ましくは参考実施例1に記載されるように決定される、実施形態(36)。
【0099】
実施形態(1)~(36)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(37)であって、(i)で提供されたゼオライト材料は、焼成ゼオライト材料であり、ゼオライト材料は、300~900℃、好ましくは400~700℃、より好ましくは450~650℃、より好ましくは500~600℃の範囲の温度で焼成されている、実施形態(37)。
【0100】
実施形態(1)~(37)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(38)であって、ゼオライト材料は、0.5~24時間、好ましくは1~15時間、より好ましくは2~12時間、より好ましくは2.5~9時間、より好ましくは3~7時間、より好ましくは3.5~6.5時間、より好ましくは4~6時間の期間にわたって焼成されている、実施形態(38)。
【0101】
実施形態(1)~(38)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(39)であって、触媒を(ii)の反応混合物と接触させる前に、触媒を最初にアセトンと接触させる、実施形態(39)。
【0102】
実施形態(1)~(39)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(40)であって、プロセスは、バッチプロセス又は連続プロセスとして実施され、好ましくは、プロセスは、連続プロセスとして実施される、実施形態(40)。
【0103】
実施形態(1)~(40)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(41)であって、プロセスは、バッチプロセスとして実施され、(iii)において、触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させることは、35~250℃、好ましくは40~200℃、より好ましくは45~150℃、より好ましくは50~100℃の範囲、より好ましくは55~80℃の範囲、より好ましくは60~70℃の範囲の温度で実施される、実施形態(41)。
【0104】
実施形態(1)~(41)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(42)であって、プロセスは、バッチプロセスとして実施され、(iii)において、触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させることは、1~30バール(abs)の範囲、好ましくは1~20バール(abs)の範囲、より好ましくは1~15バール(abs)の範囲、より好ましくは1~10バール(abs)の範囲、より好ましくは1~5の範囲、より好ましくは1~3バール(abs)の範囲の圧力で実施される、実施形態(42)。
【0105】
実施形態(1)~(42)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(43)であって、プロセスはバッチプロセスとして実施され、(iii)における接触は、0.1~24時間の範囲、好ましくは0.5~20時間の範囲、より好ましくは1~15時間の範囲、より好ましくは3~10時間の範囲、より好ましくは4~8時間の範囲、より好ましくは5~7時間の範囲の期間にわたって実施される、実施形態(43)。
【0106】
実施形態(1)~(40)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(44)であって、プロセスは、連続プロセスとして実施され、(iii)において、触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させることは、1~200バール(abs)の範囲、好ましくは20~150バール(abs)の範囲、より好ましくは30~100バール(abs)の範囲、より好ましくは40~80バール(abs)の範囲、より好ましくは45~70の範囲、より好ましくは50~60バール(abs)の範囲の圧力で実施される、実施形態(44)。
【0107】
実施形態(1)~(40)及び(44)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(45)であって、プロセスは、連続プロセスとして実施され、(iii)における接触は、0.01~1000ml/(g・h)、好ましくは0.05~500ml/(g・h)、より好ましくは0.1~100ml/(g・h)、より好ましくは0.3~10ml/(g・h)、より好ましくは0.5~5ml/(g・h)、より好ましくは1~4ml/(g・h)、より好ましくは1.2~3ml/(g・h)、より好ましくは1.5~2ml/(g・h)の範囲の液空間速度(LHSV)で実施される、実施形態(45)。
【0108】
実施形態(1)~(40)、(44)及び(45)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(46)であって、プロセスは、連続プロセスとして実施され、(iii)において、触媒を、(ii)で調製された反応混合物と接触させることは、0~150℃、好ましくは5~100℃、より好ましくは10~50℃、より好ましくは15~40℃の範囲、より好ましくは20~35℃の範囲、より好ましくは25~30℃の範囲の温度で実施される、実施形態(46)。
【0109】
実施形態(1)~(46)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(47)であって、(iii)で得られた反応生成物は、水を更に含み、(iii)で得られた反応生成物は、好ましくは、100重量%の反応生成物に基づいて0~10重量%の範囲、より好ましくは1~8重量%の範囲、より好ましくは2~6重量%の範囲、より好ましくは2.5~4.5重量%の範囲、より好ましくは2.9~3.8重量%の範囲、より好ましくは3.0~3.7重量%の範囲の量で水を更に含有する、実施形態(47)。
【0110】
実施形態(1)~(47)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(48)であって、プロセスは、
(iv)反応生成物から2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを分離して、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジン及び残留混合物を得ること、
(v)残留混合物の少なくとも一部分を、(ii)の反応混合物中で再利用すること
を更に含み、好ましくは、(iv)後且つ(v)前に、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンの沸点よりも高い沸点を有する化合物が残留混合物から分離されている、実施形態(48)。
【0111】
実施形態(1)~(48)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(49)であって、(ii)で調製された反応混合物中において、アセトンとアンモニアとのモル比は、1:1~25:1、好ましくは2:1~22:1、より好ましくは4:1~20:1、より好ましくは6:1~18:1、より好ましくは8:1~17:1、より好ましくは10:1~16:1の範囲、より好ましくは12:1.0~14.7:1.0の範囲、より好ましくは14.2:1.0~14.5:1.0の範囲である、実施形態(49)。
【0112】
実施形態(1)~(49)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(50)であって、触媒は、成形物として提供され、成形物は、
(a)ゼオライト材料及び任意選択的に1つ以上の結合剤を含む混合物を調製すること、
(b)好ましくは押出成形によって混合物に付形して、付形された材料を得ること、
(c)任意選択的に、付形された材料をガス雰囲気中で乾燥させること、
(d)(b)又は(c)から得られた付形された材料をガス雰囲気中で焼成して成形物を得ること
を含むプロセスに従って調製される、実施形態(50)。
【0113】
実施形態(50)を具体化する好ましい実施形態(51)であって、混合物は、1つ以上の結合剤を含み、1つ以上の結合剤は、アルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、グラファイト、多糖、糖アルコール及び合成ポリマーの1つ以上、好ましくはアルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、グラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、セルロース、変性セルロース及びデンプンの1つ以上、より好ましくはシリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、グラファイト、糖アルコール、合成ポリマー、微結晶セルロース、セルロースエーテル、より好ましくはグラファイト、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びカルボキシメチルセルロースナトリウムである、実施形態(51)。
【0114】
実施形態(50)又は(51)を具体化する好ましい実施形態(52)であって、(a)の混合物において、1つ以上の結合剤のゼオライト材料に対する重量比は、1:10~1:30の範囲、好ましくは1:15~1:25の範囲内である、実施形態(52)。
【0115】
実施形態(50)~(52)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(53)であって、プロセスは、(c)の乾燥を含み、乾燥は、90~150℃の範囲の温度、好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で実施され、好ましくは、乾燥は、10~15時間、より好ましくは11~13時間にわたって実施される、実施形態(53)。
【0116】
実施形態(50)~(53)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(54)であって、(d)のガス雰囲気は、400~600℃の範囲、好ましくは450~550℃の範囲の温度を有し、好ましくは、焼成は、3~7時間、より好ましくは4~6時間にわたって実施される、実施形態(54)。
【0117】
実施形態(50)~(54)のいずれか1つを具体化する好ましい実施形態(55)であって、(c)及び(d)の1つ以上におけるガス雰囲気は、窒素、酸素及びアルゴンの1つ以上、好ましくは窒素を含み、好ましくは、(c)及び(d)の1つ以上におけるガス雰囲気は、空気を含み、より好ましくは、(c)及び(d)の1つ以上におけるガス雰囲気は、空気からなる、実施形態(55)。
【実施例】
【0118】
本発明を下記の参考実施例、実施例及び比較実施例によって更に例示する。
【0119】
参考実施例1:BET比表面積、ラングミュア比表面積、微小孔体積、平均孔幅及び平均孔径(N2)の決定
BET比表面積、ラングミュア比表面積、微小孔体積、平均孔幅及び平均孔径(N2)を、DIN66131に開示される方法に従い、77Kでの窒素物理吸着を介して決定した。
【0120】
参考実施例2:酸性部位の決定:アンモニア昇温脱離(NH3-TPD)
アンモニア昇温脱離(NH3-TPD)を、熱伝導率検出器を備える自動化学吸着分析ユニット(Micromeritics AutoChem II 2920)内で実施した。脱離された種の連続的分析は、オンライン質量分析計(Pfeiffer Vacuum製OmniStar QMG200)を用いて完了した。試料(0.1g)を石英管内に導入し、下記のプログラムを用いて分析した。温度は、石英管内の試料の真上にあるNi/Cr/Ni熱電対によって測定した。分析には、純度5.0のHeを用いた。測定前に、較正のためにブランク試料を分析した。
【0121】
1.調製:記録の開始:1秒毎に1回の測定。25℃及びHe流量30cm3/分(室温(約25℃)及び1気圧)で10分間待機し、20K/分の加熱速度で600℃まで加熱し、10分間保持する。He流(30cm3/分)下、20K/分(炉勾配温度)の冷却速度で100℃まで冷却し、He流(30cm3/分)下、3K/分(試料勾配温度)の冷却速度で100℃まで冷却した。
2.NH3を用いた飽和:記録の開始:1秒毎に1回の測定。ガス流を100℃でHe中10%NH3の混合物(75cm3/分;100℃及び1気圧)に変更し、30分間保持する。
3.過剰物の除去:記録の開始:1秒毎に1回の測定。ガス流を100℃で75cm3/分のHe流(100℃及び1気圧)に変更し、60分間保持する。
4.NH3-TPD:記録の開始:1秒毎に1回の測定。He流(流量:30cm3/分)下、10K/分の加熱速度で600℃まで加熱し、30分間保持する。
5.測定の終了。
【0122】
脱離したアンモニアをオンライン質量分析計によって測定し、オンライン質量分析計は、熱伝導率検出器からの信号が脱離したアンモニアによって生じたことを示した。これは、アンモニアの脱離をモニタリングするために、アンモニアからのm/z=16信号の使用を伴った。吸着したアンモニアの量(試料のmmol/g)を、Micromeriticsソフトウェアを用いて、水平ベースラインを用いるTPDシグナルの積分により確認した。
【0123】
参考実施例3:X線粉末回折及び結晶化度の決定
40kV及び40mAで動作する銅陽極X線管で操作されるLYNXEYE検出器を備えた回折計(D8 Advance Series II,Bruker AXS GmbH)を用いて粉末X線回折(PXRD)データを収集した。幾何学的配置は、Bragg-Brentanoであり、空気散乱は、空気散乱シールドを使用して低減させた。
【0124】
TS-1の結晶化度の計算:結晶化度の計算は、較正ルーチンを用いて実施した。乾燥した初期結晶化懸濁液を含み、種結晶を含まない、理想的に結晶化した試料の様々な混合物を生成し、結晶性物質は、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%及び100%の重量パーセントを有する。これらの試料を下記のとおりに測定した。分析は、21,3°2θ及び25°2θの回折角間の正味強度を決定することによって実施した。これは、Bruker AXS GmbH(Karlsruhe)によって提供されるDIFFRAC.EVA内の「面積(area)」ツールを用いて実施する(User Manual for DIFFRAC.EVA Version 5,April 2019,Bruker AXS GmbH,Karlsruhe)。
Cr=Isample/Istandard
式中、Isampleは、試料の正味強度であり、Istandardは、標準の正味強度である。生結晶化度値は、標準試料の正味面積で割られた試料の正味面積を計算することによって決定した。これは、直線較正機能によって補正される。
C=Cr*a+b
式中、a及びbは、較正データを用いて決定した係数である。
【0125】
TS-1以外の他の全てのゼオライト試料の結晶化度の計算:試料の結晶化度を、Bruker AXS GmbH(Karlsruhe)により提供されるソフトウェアDIFFRAC.EVAを用いて、ユーザーマニュアルの121ページに記載される方法に従い決定した。計算のためのデフォルトパラメーターを使用した。
【0126】
相組成の計算:相組成を、Bruker AXS GmbHにより提供されるモデリングソフトウェアDIFFRAC.TOPASを用いて、生データに対して計算した(User Manual for DIFFRAC.TOPAS Version 6,2017,Bruker AXS GmbH,Karlsruhe)。特定された相の結晶構造、機器パラメーター及び個々の相の結晶サイズを用いて、回折パターンをシミュレートした。これを、バックグラウンド強度をモデリングする機能に加えて、データに対して適合させた。
【0127】
データ収集:試料を乳鉢内で均質化させ、続いてBragg-Brentano幾何学的配置データ収集のために、Bruker AXS GmbHにより提供される標準の平坦な試料ホルダ内に圧入した。平坦な表面は、ガラスプレートを用いて、試料粉末を圧縮して平坦化することで得た。データを、角度範囲2~70°2θから0.02°2θのステップサイズで収集し、可変発散スリットは、0.1°の角度に設定した。結晶質含有量は、合計発散強度に対する結晶質信号の強度を示す。
【0128】
実施例1:H-ZSM-5(MFIタイプ骨格構造)の調製
2m3の反応器中に最初に79.61kgの脱イオン水を導入する。水に411.15kgの水酸化テトラプロピルアンモニウム水溶液(TPAOH;40重量%)を攪拌しながら(70rpm)添加した。懸濁液を更に10分間攪拌し続ける。8.2kgの固形NaOHを攪拌しながら2.5kgの部分にゆっくりと添加し、各部分後に系を5分間混合させる。次に、29.25kgのトリイソプロポキシドアルミニウムを懸濁液に添加し、系を更に1時間攪拌させた。最後に、538,19kgのコロイドシリカ(Ludox AS-40)を添加し、続いて更に10kgの脱イオン水を添加した。合成混合物を室温で更に1時間攪拌し、続いて反応器を窒素ガスでフラッシュし、圧力を900mbarに下げる。
【0129】
その後、反応器を11時間で170℃に加熱する。70rpmで攪拌しながら、170℃で72時間の熱水合成を行う。結晶化後、合成混合物を30℃に冷却する。懸濁液をより大きい容器に移し、ここで、10重量%の硝酸水溶液を添加することによって懸濁液のpHを7±0,5に調節する。pHを調節した懸濁液を70rpmで更に30分間攪拌させたままにする。ゼオライトを濾過によって分離し、濾過ケークを、洗浄水の伝導率が200μS未満になるまで脱イオン水で洗浄する。濾過ケークを続いて120℃で96時間乾燥させる。乾燥した材料を550℃の空気中で6時間焼成させ、BET表面積が390m2/gであり、X線回折によって決定して94%の結晶化度を示す、焼成ZSM-5ゼオライトを得た。
【0130】
250kgの脱イオン水を400Lの反応器に添加し、25kgの硝酸アンモニウムを攪拌(150rpm)しながら添加する。懸濁液を80℃に加熱し、続いて25kgの焼成ゼオライトを添加する。混合物を80℃で更に1時間攪拌する。その後、反応混合物を冷却し、フィルタープレスを用いて濾過し、洗浄水の伝導率が200μS未満になるまで水で洗浄する。続いてイオン交換プロセスを繰り返して、アンモニウム交換ZSM-5を得る。第2のアンモニウムイオン交換プロセス後に得られた濾過ケークを120℃で10時間乾燥させ、500℃の空気中で5時間焼成させて(加熱速度2℃/分)、H-ZSM-5を得る。
【0131】
元素分析に基づき、得られた生成物は、0.1g未満の炭素、1.6gのアルミニウム、0.01g未満のナトリウム及び43gのケイ素の物質100gあたりで決定して以下の含有量を有していた。
【0132】
BET表面積は、408m2/gと決定された。
【0133】
実施例2:湿潤含浸によるLa-ZSM-5の調製及びその押出成形
実施例1に従って得られた100gのH-ZSM-5を、100mlの蒸留水に溶解させた16.4gのLa(NO3)3*6H2Oの溶液に添加し、混合物を室温で2時間攪拌し、その後、混合物を50℃に加熱し、ロータリーエバポレーター内で終夜蒸発乾固させた。続いて、固形残渣を2℃/分の速度で500℃に加熱し、その温度で5時間焼成させて、106gのLa-ZSM-5を得た。
【0134】
BET表面積は、318m2/gと決定された。
【0135】
続いて、79.5gのLa-ZSM-5を22.08gのコロイドシリカ(Ludox AS-40)及び3.9gのWalocel結合剤(Wolf Walsrode AG PUFAS Werk KG)と混合し、得られた混合物を10分間混練し、その後、50mlの蒸留水を添加し、得られた混合物を更に20分間混練した。混練した混合物を続いて押出成形して、直径2mmのストランドにした。続いて、押出物を3℃/分の速度で120℃に加熱し、その温度で7時間保持し、続いて2℃/分の速度で更に500℃に加熱し、その温度で2時間焼成して66.2gの焼成押出物を得た。
【0136】
実施例3A及び3B:TS-1の調製及びその押出成形
3A.粉末状のTS-1材料を、国際公開第2011/064191A1号パンフレットに開示される実験手順に従って調製した。
3B.押出成形されたTS-1材料を、国際公開第2011/064191A1号パンフレットに開示される実験手順に従って作製した。
【0137】
実施例4:Sn-FERの調製
6.11gのSn(OAc)2を112.5gの脱イオン水と混合して、灰色の懸濁液を形成した。20のSARを有する150gのHN4-FER(Zeolyst製CP914)を、続いて懸濁液に添加し、続いてへらを用いてこれを混合した。混合物を60℃の真空乾燥オーブン中で終夜乾燥させた。得られた粉末を500℃で3時間焼成させて(加熱勾配:2℃/分)Sn-FER生成物を得た。
【0138】
比較実施例5:H-ゼオライトY
実施例5として、25のシリカ対アルミナモル比及び95%の結晶化度を示す市販のH-ゼオライトYを採用し(Evertruth製DY-32)、ここで、元素分析は、3.1重量%のAl及び41.0重量%のSiを示した。材料は、788m2/gのBET表面積及び1,030m2/gのラングミュア表面積、0.297mL/gの合計微小孔体積及び2.56nmの平均孔幅、6.70nmの平均孔径(N2)を更に示した。
【0139】
実施例6:ゼオライト材料の特性
参考実施例2に従い、アンモニア昇温脱離(NH3-TPD)を用いて、実施例2、3B、4及び比較実施例5からのそれぞれの触媒材料の酸特性を分析した。結果を下記の表1に示すが、実施例2、3B及び4の材料は、中酸性部位及び強酸性部位の実質的により小さい濃度によって比較実施例5の材料と区別されることが明らかである。
【0140】
【0141】
実施例7:触媒試験 - バッチモード
実施例2、3A及び4並びに比較実施例5からの粉末触媒を、バッチモードで2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを作製するための触媒として試験した。この趣旨で、それぞれの触媒試料をアセトン及びアンモニアと共に反応器に入れ、ここで、触媒を、押出成形形態ではなく、粉末として試験した。試験は、65℃の反応器温度及び1.0~2.5バールの反応器圧で行い、試験期間は、6時間であった。試験中、反応混合物を150rpmの速度で攪拌した。反応前に、アセトン及びアンモニアは、14.30:1.00のアセトン:NH3モル比で反応器中に存在した。反応生成物の2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン、2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジン及びアセトン含有量を決定するためにガスクロマトグラフィーで分析し、結果を下記の表2に示す。
【0142】
【0143】
表2に示すバッチモードの触媒試験からの結果から分かり得るように、本発明の触媒は、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンに対して極めて高い選択性を示す一方、比較実施例は、非常に低い所望の生成物の収率を示す。特に、この結果から分かり得るように、本発明の実施例と比較実施例との差は、それぞれ2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジン及び2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンに対する選択性の完全な逆転をもたらす。従って、本発明の実施例は、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンに対する極めて高い選択性及び2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンに対する極めて低い選択性をもたらす一方、比較実施例は、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンに対する極めて高い選択性及び2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンに対する極めて低い濃度をもたらす。表1の材料の酸特性の比較から分かり得るように、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジン及び2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンに対する選択性の完全な逆転は、中酸性部位及び強酸性部位、特にそれぞれの材料の中酸性部位の濃度と相関する。
【0144】
実施例8:触媒試験 - 連続モード
実施例3Bの触媒を、連続モードで2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンの作製するための触媒として試験した。長さ1m及び直径8mmの反応器を使用した。反応器壁部の温度を室温に設定し、液空間速度をそれぞれ1.5ml/(g*h)(検査1)及び3.0ml/(g*h)(検査2)に設定し、圧力を55バールに設定した。供給ストリームは、アセトン及びアンモニアをそれぞれ14.3:1(検査1)及び7.15:1(検査2)のモル比で含有した。試験は、それぞれ6時間(検査1)及び46時間(検査2)行った。検査1及びまた検査2について、反応混合物の開始H2O含有量は、0.2~0.3重量%の範囲であった。検査1では、触媒試験の終了直前で、反応生成物のH2O含有量は、3.0重量%であった。検査2では、触媒試験の終了直前で、反応生成物のH2O含有量は、3.7重量%であった。
【0145】
連続モードの触媒試験では、それぞれの触媒を付形体として採用した(Ludox及び20%SiO2を含む0,5~0,8mmスプリット)。反応生成物の2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン、2,2,4,6-テトラメチル-2,3-ジヒドロピリジン、酸化メシチル、アセトン、ジアセトンアルコール(DAA)及びCH3C(O)CH2C(NH2)(CH3)2(DAAM=ジアセトンアミン)含有量を決定するためにガスクロマトグラフィーで分析し、結果を下記の表3に示す。
【0146】
【0147】
表3に示す連続モードの触媒試験からの結果から分かり得るように、本発明の実施例3Bの触媒は、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンに対する高い選択性を示す。しかし、バッチモードで得られた結果と比較すると、触媒は、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンに対する選択性を実質的に示さない。従って、バッチプロセスもさることながら、驚くべきことに、本発明のプロセスは、実質的な量の副生成物2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドンを産生することなく、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンに対する極めて高い選択性をもたらすことが判明した。
【0148】
引用文献:
- F.Cavani et al.のJournal of Molecular Catalysis A:Chemical 393(2014),325-332
- 独国特許第1276041B号明細書
【手続補正書】
【提出日】2022-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを生成するためのプロセスであって、
(i)ゼオライト材料を含む触媒を収容する反応器を提供することであって、前記ゼオライト材料は、その骨格構造中にYO
2を含み、且つ任意選択的にX
2O
3を含み、式中、Yは、四価元素であり、及びXは、三価元素である、提供すること、
(ii)アセトン及びアンモニアを含む反応混合物を調製すること、
(iii)2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを含む反応生成物を得るために、前記反応器中の前記触媒を、(ii)で調製された前記反応混合物と接触させること
を含み、(i)で提供された前記触媒中に含まれる前記ゼオライト材料のアンモニア昇温脱離(NH
3-TPD)プロファイルは
、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、250~500℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.5mmol/g以下の合計値をもたらし、
(ii)で調製され、且つ(iii)で前記触媒と接触された前記混合物は、100重量%の前記反応混合物に基づいて
0.01~10重量%の範囲の量の水を含有する、プロセス。
【請求項2】
(i)で提供された前記触媒中に含まれる前記ゼオライト材料の前記NH
3-TPDプロファイルは、中酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、250~500℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.45mmol/g以下の合計値をもたらす、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
(i)で提供された前記触媒中に含まれる前記ゼオライト材料の前記NH
3-TPDプロファイルは、強酸性部位に関連する1つ以上の帯域を示し、前記1つ以上の帯域は、510~800℃の温度範囲で最大値を有し、前記1つ以上の帯域の積分は、0.05mmol/g以下の合計値をもたらす、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
強酸性部位に関連する前記1つ以上の帯域は、530~750℃の温度範囲でその最大値を有する、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
(i)で提供された前記触媒中に含まれる前記ゼオライト材料の前記NH
3-TPDプロファイル中の帯域であって、50~800℃の温度範囲で最大値を有する帯域の積分は、0.9mmol/g以下の合計値をもたらす、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記帯域は、80~750℃の温度範囲でその最大値を有する、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ゼオライト材料は、10T原子以下の最大環サイズを有する骨格構造を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
Yは、Si、Sn、Ti、Zr、Ge及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
Xは、B、Al、Ga、In及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ゼオライト材料は、5~300の範囲のYO
2:X
2O
3のモル比を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
(i)で提供された前記ゼオライト材料は、MFI及び/又はFER骨格タイプの構造を有するゼオライト材料を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
バッチプロセス又は連続プロセスとして実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
(iv)前記反応生成物から2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジンを分離して、2,2,4,6,6-ペンタメチル-1,2,5,6-テトラヒドロ-ピリミジン及び残留混合物を得ること、
(v)前記残留混合物の少なくとも一部分を(ii)の前記反応混合物中で再利用すること
を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
(ii)で調製された前記反応混合物中において、アセトンとアンモニアとのモル比は、1:1~25:1の範囲である、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記触媒は、成形物として提供され、前記成形物は、
(a)前記ゼオライト材料及び任意選択的に1つ以上の結合剤を含む混合物を調製すること、
(b)前記混合物に付形すること、
(c)任意選択的に、前記付形された材料をガス雰囲気中で乾燥させること、
(d)(b)又は(c)から得られた前記付形された材料をガス雰囲気中で焼成して前記成形物を得ること
を含むプロセスに従って調製される、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【国際調査報告】