IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧 ▶ トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッドの特許一覧

<>
  • 特表-同軸透過型整列結像システム 図1A
  • 特表-同軸透過型整列結像システム 図1B
  • 特表-同軸透過型整列結像システム 図2
  • 特表-同軸透過型整列結像システム 図3
  • 特表-同軸透過型整列結像システム 図4A
  • 特表-同軸透過型整列結像システム 図4B
  • 特表-同軸透過型整列結像システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-26
(54)【発明の名称】同軸透過型整列結像システム
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20230919BHJP
【FI】
G03F9/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509488
(86)(22)【出願日】2021-08-17
(85)【翻訳文提出日】2023-02-09
(86)【国際出願番号】 US2021046330
(87)【国際公開番号】W WO2022040201
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】63/066,779
(32)【優先日】2020-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】デヴィリアーズ,アントン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シェピス,アンソニー アール.
(72)【発明者】
【氏名】コンクリン,デイヴィッド
【テーマコード(参考)】
2H197
【Fターム(参考)】
2H197EA11
2H197EA15
2H197EA19
2H197EA25
2H197EA26
2H197EB05
2H197EB16
2H197EB22
2H197EB23
(57)【要約】
本開示の複数の態様は結像システムも提供する。例えば、結像システムにおいて、第1の光源は第1の波長を有する第1の光ビームを生成することができ、第2の光源は第2の波長を有する第2の光ビームを生成することができ、第2の光ビームは、ウェハの厚さの少なくとも一部を通過するのに充分な出力を有し、整列モジュールは、第2の光ビームを第1の光ビームと同軸的に整列することができ、同軸モジュールは、同軸的に整列された第1及び第2の光ビームを、ウェハの表側に配置された第1のパターン及び第1のパターンの下側に配置された第2のパターンに各々焦点化させることができ、画像取得モジュールは、第1のパターンの第1の画像及び第2パターンの第2の画像を取得することができる。第2の画像は、量子トンネル結像又は赤外(IR)透過結像により取得することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像システムであって、
第1の波長の第1の光ビームを生成するように構成された第1の光源と、
第2の波長の第2の光ビームを生成するように構成された第2の光源と、
前記第2の光ビームを前記第1の光ビームと同軸に整列するように構成された整列モジュールと、
前記同軸に整列された第1及び第2の光ビームを、それぞれ、ウェハの表側に配置された第1のパターン及び前記第1のパターンの下側に配置された第2のパターンに焦点化するように構成された同軸モジュールと、
前記第1のパターンの第1の画像及び前記第2のパターンの第2の画像を取得するように構成された画像取得モジュールと、
を有し、
前記第2の光ビームは、前記ウェハの厚さの少なくとも一部を通過して前記第2のパターンに到達する上で充分な強度を有する、結像システム。
【請求項2】
前記第2の波長は、前記第1の波長よりも長い、請求項1に記載の結像システム。
【請求項3】
前記第1の光源は、紫外(UV)光源であり、前記第2の光源は、赤外(IR)光源である、請求項2に記載の結像システム。
【請求項4】
前記第1の波長は、50~400ナノメートルであり、前記第2の波長は、1~10マイクロメートルである、請求項3に記載の結像システム。
【請求項5】
前記第1の波長は、266ナノメートルであり、前記第2の波長は、3.6又は3.7マイクロメートルである、請求項4に記載の結像システム。
【請求項6】
前記IR光源は、IRチューナブル量子カスケードレーザーを有する、請求項3に記載の結像システム。
【請求項7】
画像取得モジュールは、量子トンネル結像又はIR透過結像を介して、前記第2のパターンの前記第2の画像を取得する、請求項1に記載の結像システム。
【請求項8】
前記第2のパターンは、前記ウェハの下方に配置された参照プレートに組み込まれる、請求項1に記載の結像システム。
【請求項9】
さらに、前記ウェハを保持するように構成された基板ホルダを有し、前記参照プレートは、基板ホルダに組み込まれる、請求項8に記載の結像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2020年8月17日出願の米国仮出願第63/066,779号「Method for Producing Overlay Results with Absolute Reference for Semiconductor Manufacturing」の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、全般に半導体素子の製造方法に関し、具体的には重ね合わせ誤差に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体の製造には複数の異なるステップ及び工程が関わる。典型的な製造工程の一つは、フォトリソグラフィ(マイクロリソグラフィとも呼ばれる)として知られている。フォトリソグラフィは、紫外又は可視光等の照射を用いて、半導体素子の設計に従い微細パターンを形成する技術である。フォトリソグラフィ、エッチング、膜堆積、表面洗浄、金属化等の半導体製造技術を用いてダイオード、トランジスタ、集積回路等、各種の半導体素子を構築することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の複数の態様は、結像システムも提供する。例えば、結像システムは、第1の光源、第2の光源、整列モジュール、同軸モジュール、及び画像取得モジュールを有してもよい。第1の光源は、第1の波長を有する第1の光ビームを生成するように構成されてもよい。第2の光源は、第2の波長を有する第2の光ビームを生成するように構成されてもよい。整列モジュールは、第2の光ビームを第1の光ビームと同軸的に整列するように構成されてもよい。同軸モジュールは、同軸的に整列された第1及び第2の光ビームを、ウェハの表側に配置された第1のパターン及び第1のパターンの下側に配置された第2のパターンに各々焦点化させるように構成されてもよい。画像取得モジュールは、第1のパターンの第1の画像及び第2パターンの第2の画像を取得するように構成されてもよい。第2の光ビームは、ウェハの厚さの少なくとも一部を通過して第2のパターンに到達するのに充分な出力を有することができる。
【0005】
一実施形態において、第2の波長は第1の波長よりも長くてもよい。例えば、第1の光源はUV光源であってもよく、第2の光源は例えばIRチューナブル量子カスケードレーザーを含むIR光源であってもよい。別の例として、第1の波長は50~400ナノメートル、例えば266ナノメートルであってもよく、第2の波長は1~10マイクロメートル、例えば3.6又は3.7マイクロメートルであってもよい。
【0006】
一実施形態において、画像取得モジュールは、量子トンネル結像又はIR透過結像を介して第2のパターンの第2の画像を取得することができる。
【0007】
一実施形態において、第2のパターンは、ウェハの下側の参照プレート位置に組み込むことができる。別の実施形態において、結像システムは更に、ウェハを保持するように構成された基板ホルダを含んでもよく、参照プレートは基板ホルダに組み込まれる。
【0008】
理解されるように、所与のウェハ上で製造が進むに従い、形成される所与の素子に応じて多くの異なる材料及び層が生じ得る。従って、各工程段階で各ウェハは異なる形状を有することができる。これは、ウェハを通過するのに異なる波長が必要な場合があることを意味する。
【0009】
無論、本明細書に記述する異なるステップの説明の順序は、説明を分かり易くするため示している。一般に、これらのステップは任意の適当な順序で実行することができる。また、本明細書の異なる特徴、技術、構成等の各々に本開示の異なる場所で言及する場合があるが、各々の概念は互いに独立に、又は互いに組み合わせて実行できるものとする。従って、本開示は多くの異なる仕方で実施及び確認することができる。
【0010】
当該概要部分が本開示又は請求項の開示内容のあらゆる実施形態及び/又は漸進的に新規な態様を指定するものではない点に注意されたい。むしろ、当該概要部分は異なる実施形態に関する事前説明を行ない、従来技術よりも新規な対応する点を指摘するものに過ぎない。本開示及び実施形態の追加的な詳細事項及び/又は可能な展望について、読者には以下で更に説明する本開示の詳細な説明及び対応図面を参照されたい。
【0011】
複数の例として提示する本開示の各種の実施形態について、同一参照番号が同一要素を指す以下の図を参照しながら詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】量産時における重ね合わせの問題を示す。
図1B】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な参照パターンを用いる重ね合わせ負荷の軽減を示す。
図2】本開示のいくつかの実施形態による例示的な結像システムの機能ブロック図を示す。
図3図2の例示的な結像システムにより生成された同軸的に整列した光ビームの一部を示す拡大図を示す。
図4A】本開示のいくつかの実施形態による、図2の例示的な結像システムの第1及び第2の画像取得装置により取得されたウェハの一部の重ね合わせ画像の拡大上面図を示す。
図4B】本開示のいくつかの実施形態による、絶対的な独立した参照パターンを用いる重ね合わせ計算用の例示的画像解析を示す。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な結像方法を示すフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示によれば、特徴パターンを整列させるための整列マークとして絶対的且つ独立した参照パターンを用いる結像システム及び結像方法が提供される。特徴パターンはウェハの表側に形成されていてもよく、参照パターンはウェハの表側から独立している。例えば、参照パターンは、ウェハの内部又は下側に形成されてもよい。第1の波長を有する第1の光ビーム(例:紫外(UV)光ビーム)は、ウェハの第1の面に形成された特徴パターンの結像に使用でき、第2の波長を有する第2の光ビーム(例えば、赤外線(IR)光ビーム)は、ウェハの内部又は下部に形成された参照パターンの結像に使用できる。一実施形態において、第2の光ビームは、第1の光ビームと同軸的に整列させることができる。参照パターンは、ウェハの内部又は下部に形成されているため、第2の光ビームは、参照パターンを結像するためにウェハの厚さの一部又は全部を「透過する」必要がある。例えば、第2の光ビームは、量子トンネル結像、IR透過結像等を用いて参照パターンの画像を取得するように、参照パターンがウェハの内部又は下側に形成されているかに応じてウェハの厚さの一部又は全部を量子トンネル効果により通過するのに充分な出力又は強度を有することができる。従って、特徴パターンのUV画像と参照パターンのIR画像を同一光軸で取得して、互いに重ね合わせることができる。次に露光、検査、整列又はその他の処理を行う画像解析を実施することができる。UV及びIR画像は、同軸に取得されるが、画像検出器への伝送は同軸であっても、そうでなくてもよい。例えば、同軸に取得された画像は、光学的に分離され、後述するように、別々の画像検出器に伝送されてもよい。
【0014】
以下の開示は、提供する主題の異なる特徴を実装する多くの異なる実施形態又は例を提供する。本開示を簡潔にすべく要素及び構成の特定の例を以下に記述する。無論これらは例に過ぎず、本発明を限定するものではない。例えば、以下の記述における第2の特徴の上方又は直上に第1の特徴を形成することは、第1と第2の特徴が直接接触して形成された実施形態を含んでいても、及び第1と第2の特徴が直接接触しないように追加的な特徴が第1と第2の特徴の間に形成された実施形態を含んでいてもよい。また、本開示の各種の例において参照番号及び/又は文字を繰り返し用いている場合がある。この繰り返しは簡潔及び明快さを目的としており、これ自体は記述する各種の実施形態及び/又は構成間の関係を指すものではない。更に、「最上部」、「底部」、「下側」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」等の空間関係用語は、図示するように、ある要素又は特徴の別の要素(群)又は特徴(群)との関係の記述を容易にすべく本明細書で使用される場合がある。空間関係用語は、図示する向きに加え、使用又は動作中の機器の異なる向きを含むものとする。装置は、他の向き(90度回転された、又は他の向き)であってよく、本明細書で用いる空間関係記述子も同様に相応に解釈されてよい。
【0015】
本明細書に記述する異なるステップの説明の順序は分かり易さを目的として示している。一般に、これらのステップは任意の適当な順序で実行することができる。また、本明細書の異なる特徴、技術、構成等の各々に本開示の異なる場所で言及する場合があるが、各々の概念は互いに独立に、又は互いに組み合わせて実行できるものとする。従って、本開示は多くの異なる方法で実装及び認識することができる。
【0016】
微細加工は、ウェハ上に複数の膜及び層を形成して加工することである。これはウェハ上に10層以上の膜を積層するステップを有してもよい。各種の膜及び層を形成するようにウェハ上に設けられたパターンは、先に形成されたパターンに整列させる必要がある。従来、このような整列は、ウェハの一部を用いて整列マーク及びスクライブラインを形成することにより実現される。しかし、本願発明者らは、各種の膜堆積、エッチング、及び処理技術が時として整列マークを覆い、整列マークを完全に除去する場合もあることを認識した。整列マークは時折覆われたり、又は欠落したりしているため、後続パターンをウェハに形成する際に誤差が生じる恐れがある。重ね合わせ又は重ね合わせ誤差という用語は、所与のパターンの配置と、先に配置されたパターンとの差を表す。整列マークが定常的に破壊されていれば、層が増えるにつれて重ね合わせ誤差が蓄積し、性能低下及び素子の誤動作が生じる恐れがある。
【0017】
図1Aには、重ね合わせの産業上の問題を示す。同図の各矢印は、先行パターンの位置に対応する始点(例:111A、111B、121A及び131A)と、後続パターンの位置に対応する終点又は矢尻(例:111A、111N’、121N’)を有している。その結果、各矢印は、後続パターンが対応する先行パターンに重ね合わせて、又は横並びに形成された場合の重ね合わせ値又は重ね合わせ誤差を表す。例えば工程110Aにおいて、初期パターンを配置する際にグリッド又は参照プレートが存在しない。従って、第1の矢印の始点111Aに位置ずれが生じ易い、すなわち初期パターンは例えばウェハの縁に対する配置誤差を有している恐れがある。後続パターンは次いで、対応する最後のパターンに基づいて整列を試みる。図1Aに示すように、後続矢印の始点(例:111B)は、対応する最後又は直前の矢印の矢尻(例:111A’)と重なる。理論的に完全なシステムであっても、はみ出しが生じる可能性があることに注意する必要がある。例えば、システムのパターン配置公差が+/-4nmで各レベルが直前のレベルを参照する場合、はみ出しが生じる恐れがある。基準レベルを0エラーとする。第1の層は、従って+4nmずれている可能性がある。第1の層に対する第2の層の整列は、+4nmずれている可能性があり、これは第2の層が基準値から+8nmずれていることを意味する。初期整列マークが視認可能であっても、累積誤差を増大させ得るはみ出し/整列ずれを生起し得る製造工程全般にわたる負荷を生起させるか又は消散させる工程要因がある。
【0018】
さらに、整列マークは製造工程のステップS120で破壊され、基準マーク無しで再配置が行われる場合がある。整列マークの劣化により、後加工での整列誤差の蓄積が生じる恐れがある。始点111Aと同様に、新たな矢印の始点121Aもずれやすい。図1Aの例において、始点121Aは、矢尻111N’からずれている。工程は、ステップS130で整列マークが再び破壊されるまで、対応する最後のパターンに基づいて後続パターンを整列することにより進行する。同様に、基準マーク無しで配置が行われ、始点131Aは矢尻121N’からずれている。図1Aから分かるように、層が増えるにつれて、重ね合わせ誤差が蓄積されて製造歩留まりの低下、素子誤動作等につながる恐れがある。工程110Aは、非限定的な例であることに留意する必要がある。他の工程(例:110B及び110C)は、異なる重ね合わせ値(異なる矢印)及び/又は異なるステップを有することができる。
【0019】
本明細書の技術では整列マークを形成及び再形成する必要がない。代わりに、絶対参照パターン、すなわち、ウェハ又はウェハ上に積層されたパターンから独立した参照パターンが必要である。ウェハに適用される各パターンは、先のパターンに基づくことなく当該独立参照パターンに整列させることができる。
【0020】
図1Bに、本開示のいくつかの実施形態による例示的な参照パターンを用いた重ね合わせ負荷の軽減を示す。本明細書の技術により、ウェハ190の表側191に配置される全てのパターン(例:始点141Aを有するパターン)は、同一参照パターン102に基づいている。一実施形態において、参照パターン102は、ウェハ190の表側191の下側に配置されてもよい。例えば、参照パターン102は、ウェハ190の裏側192に形成されていても、又はウェハ190に組み込まれていてもよい。別の例として、参照パターン102は、参照プレート(図1Bに示さず)に組み込まれていてよく、参照プレートは、ウェハ190の下側に配置されても、ウェハ190の裏側192に配置又は接着されても、又はウェハ190の保持に用いるフォトリソグラフィスキャナ又はステッパ(図1Bに示さず)の基板ホルダに組み込まれていてもよい。換言すれば、参照パターン102は、パターンを形成するようにウェハ190の表側191に施されるエッチング、蒸着、化学機械研磨等のリソグラフィ処理の影響を受けない。従って、参照パターン102は、ウェハ190の表側191から独立しており、ウェハ190のリソグラフィ処理を実行する間、影響を受けない。従って、参照パターン102は使用可能であって絶対的、又はむしろ、ウェハ190の表側191に形成されたいずれのパターンからも独立していて、ウェハ190に施される各種の蒸着及びエッチングステップにより変化することがないと考えられる。一実施形態において、参照パターン102は、新たなパターンを配置する際にウェハ190と比較することができる。初期パターンの場合、当該パターンを参照パターン102にフィッティングできることを意味する。後続パターンの場合、これは依然として1個以上のパターンを参照パターン102と比較し、重ね合わせ補正を計算して同じ並びに戻すことができることを意味する。
【0021】
例えば、工程140において、参照パターン102を用いてウェハ190の表側191に初期パターンを整列させることができる。一実施形態において、参照パターン102は、参照パターン102をウェハ190内に埋め込むか、又は参照パターン102をウェハ190の裏側192に固定して設ける等によりウェハ表面に対して固定された位置に設けることができる。その結果、第1の矢印の始点141Aが、基準線150として示す位置の参照パターン102に整列される。後続パターンもまた、固定された絶対的且つ独立した参照パターン102を用いて整列される。後続パターン毎に新たなフォトレジスト層が形成されてよいが、参照パターン102に起因して整列マークをウェハ190に形成及び/又は破壊する必要は無い。その結果、複数の矢印が基準線150を中心として集まり、これは後続パターンが参照パターン102に整列されていることを意味する。整列は、例えば、パターン画像のマスクを移動させたり、又はマスクに対してウェハ190を移動させたりすることにより生じる場合がある。従って、形成された層が増えても重ね合わせ誤差が蓄積される可能性は少ない。
【0022】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な結像システム200の機能ブロック図である。例えば、例示的な結像システム200は、リソグラフィシステムのスキャナ又はステッパに実装することができる。別の例として、例示的な結像システム200は、レジストコーティングツール、例えば、東京エレクトロン株式会社製のCLEAN TRACK(商標)ACT(商標)12に実装可能であり、当該レジストコーティングツールは、先端的ソフトベークオーブンユニット、エッジビーズ除去モジュール、及び洗浄システム等の複数のマスク固有モジュールを含んでいる。例示的な結像システム200は、波長が異なる2本の光ビームを同軸的に整列させ、同軸的に整列させた2本の光ビームを基板(例えば、ウェハ)の表側に配置された第1のパターン、及び第1のパターンの下側に配置された第2のパターンの各々に焦点化させて、第1及び第2のパターンの画像を取得することができる。例えば、例示的な結像システム200は、第1の光源210、第2の光源220、整列モジュール230、同軸モジュール240、第1の画像取得装置250及び第2の画像取得装置260を含んでもよい。第1の画像取得装置250及び第2の画像取得装置260をまとめて画像取得モジュールと称する場合がある。
【0023】
一実施形態において、第1の光源210は、第1の波長を有する第1の入射光ビームを生成するように構成されてもよい。例えば、第1の光源210は、50~400ナノメートル、例えば266ナノメートルの第1の入射光ビーム(図2にUVincidentとして示す)を生成するUV光源であってもよい。別の例として、第1の光源210は、表面結像用の励起ナノ秒レーザー等、Optowaves(Optowares Inc.、Massachusetts,USA)固体レーザーであってもよい。
【0024】
一実施形態において、第2の光源220は、第2の波長を有する第2の入射光ビームを生成するように構成されてもよい。本開示のいくつかの態様によれば、絶対的且つ独立した参照パターンが、ウェハの表側に形成される筈のパターンの下側に配置されて第2の入射光ビームを用いて参照パターンを結像し、第2の入射光ビームは、ウェハ290等のウェハの厚さの少なくとも一部、又は全部を透過しなければならない。
【0025】
例えば、第2の入射光ビームは、量子トンネル結像、IR透過結像等を用いてウェハ290の全厚(例:750マイクロメートル)を通過して参照パターンの画像を取得するのに充分な出力又は強度を有する。別の例として、第2の光源220は、1~10マイクロメートル、例えば3.6又は3.7マイクロメートルの(図2にIRincidentとして示す)第2の入射光ビームを生成するIR光源であってもよい。一実施形態において、第2の光源220は、Pranalytica,Inc.(California,USA)から入手可能なIRチューナブル量子カスケードレーザーであってよい。エバネッセント波理論によれば、2個の異なる媒体(例:ウェハ290と、同軸モジュール240が配置された液浸リソグラフィにおける空気又は液体)の間の表面(例:図3に示すようなウェハ290の表側391)に衝突する光ビームの強度は、当該表面に垂直に指数関数的に減衰する。強度が1/e(約37%)に低下する浸透深度は、特に光ビームの波長に依存する。典型的な浸透深度は、表面に対する光ビームの入射角に依存して、光ビームの波長の分数、例えば波長の5分の1であってよい。第2の入射光ビームIRincidentの第2の波長が第1の入射光ビームUVincidentの第1の波長よりもはるかに長いため、出力が好適に制御されていれば、第2の入射光ビームIRincidentがウェハ290の全厚を通過することができる。
【0026】
一実施形態において、赤及び青色較正の相対位置とも呼ばれる第1の(UV)光源210と第2の(IR)光源220の相対位置は周期的に較正可能である。例えば、第1の光源210と第2の光源220の相対位置は、数10年程度の、従ってかなり広いセンサダイナミックレンジ内に維持することができる。しかし正規化は、既知の相対透過率のステージアーティファクトを必要に応じて結像することにより行うことができる。例えば、任意の相対強度の正規化が簡単に行えるように1日1回である。相対位置又はTISツール由来のシフト較正は計測機器に共通である。測定が行われる際に相対位置を実時間でグリッドプレートに対して再較正する。従って、例示的な結像システム200は常に実時間の絶対基準を有することができる。デジタル画像取得及び回帰を用いてもよい。
【0027】
一実施形態において、整列モジュール230は、第2の入射光ビームIRincidentを第1の入射光ビームUVincidentと同軸的に整列するように構成されてもよい。例えば、整列モジュール230は、第1の入射光ビームUVincidentを2個の部分に分割して一方を透過させ、他方を反射させることができる第1の光ビームスプリッタを含んでもよい。一実施形態において、第1の光ビームスプリッタはプリズムであってもよい。別の実施形態において、第1の光ビームスプリッタは、アルミニウム等の金属製の部分的に透明な薄膜で片面がコーティングされたガラス又はプラスチックシート等の透明板であってもよく、第1の入射光ビームUVincidentの一部を透過させ、他の一部を反射させることができる。例示的な結像システム200において、第1の光源210及び第1の光ビームスプリッタは、第1の入射光ビームUVincidentが第1の光ビームスプリッタに対して45度の角度で入射するように配置することができる。
【0028】
例えば、整列モジュール230は更に、第2の入射光ビームIRincidentを2個の部分に分割して一方を反射させ、他方を透過させることができる第2の光ビームスプリッタを含んでもよい。例えば、第2の光ビームスプリッタはプリズムであってもよい。別の例として、第2の光ビームスプリッタは、アルミニウムの薄膜で片面がコーティングされたガラス又はプラスチックシートであってよく、第2の入射光ビームIRincidentの一部分を反射させ、他の一部を透過させることができる。例示的な結像システム200において、第2の光源220及び第2の光ビームスプリッタは、第2の入射光ビームIRincidentが第2の光ビームスプリッタに対して45度の角度で入射するように配置することができる。
【0029】
例えば、整列モジュール230は更に、波長が異なる光ビームを反射又は透過させることができる第3ビームスプリッタを含んでもよい。例えば、第3ビームスプリッタは、第1の光ビームスプリッタから伝送された第1の波長を有する第1の入射光ビームUVincidentを反射し、第2の光ビームスプリッタから伝送された第2の波長を有する第2の入射光ビームIRincidentを透過させる、二色性材料で片面がコーティングされた透明板であってもよい。一実施形態において、第3ビームスプリッタは、透過された第2の入射光ビームIRincidentが、反射された第1の入射光ビームUVincidentと同軸的に整列し、透過された第2の入射光ビームIRincident及び反射された第1の入射光ビームUVincidentが同一光路に沿ってウェハ290まで移動できるように設計及び配置される。
【0030】
一実施形態において、同軸モジュール240は、第3ビームスプリッタから反射された第1の入射光ビームUVincidentをウェハ290の表側391に配置された第1のパターン301(図3に示す)に焦点化し、第3ビームスプリッタから伝送された第2の入射光ビームIRincidentを第1のパターン301の下側に配置された第2のパターン302(又は参照パターン)に焦点化するように構成されてもよい。例えば、同軸モジュール240は、第1のパターン301及び第2のパターン302の配置の公差(すなわち、焦点深度(DOF))を調整するように設計及び構成されてもよい。例えば、レベルセンサーを用いて第1のパターン301の最上部を追跡して、第1のパターン301の高さからウェハ290の高さを減算して、同軸的に整列された第1の入射光ビームUVincident及び第2の入射光ビームIRincidientのDOFを同時に自動調節することができる。深UV(DUV)光によるフォトレジストの損傷は無視できる。本明細書における250マイクロメートルの視野(FOV)は、4K解像度の場合、1ピクセル当たり約60ナノメートルに相当する。これは0.1ナノメートルの見当合わせ誤差の測定には充分な解像度である。充分な出力又は強度の光源を有することにより、金属層に影が生じるのを軽減できる。図3にはウェハ290に形成された物理的パターンの結像を示しているが、形成すべき(すなわち、活性化光への露光前の)パターンの画像は、例えばウェハ内のフォトレジストを活性化しない波長を有する光により実現できる。
【0031】
一実施形態において、同軸モジュール240は、2~12個の個々の光学素子、例えば、6個の光学素子を含んでもよい。各々の光学素は、サファイア、AlN、MgF、CaF、BaF、LiF、Ge、Si等を含んでもよい。
【0032】
第1の入射光ビームUVincidentは第1のパターン301により反射されて第1の反射光ビームUVrefelectionを形成することができる。第1の反射光ビームUVreflectionは、第3のビームスプリッタ及び第1の光ビームスプリッタにより順次反射されて第1の画像取得装置250により取得することができ、第1の画像取得装置250は第1のパターン301の対応する第1の画像を形成することができる。例えば、第1の画像取得装置250は、DataRayカメラであってよい。第2の入射光ビームIRincidentは、第2のパターン302により反射されて第2の反射光ビームIRreflectionを形成することができる。第2の反射光ビームIRreflectionは、第3のビームスプリッタ及び第2の光ビームスプリッタにより順次伝送されて第2の画像取得装置260により取得することができ、第2の画像取得装置260は第2のパターン302の対応する第2の画像を形成することができる。例えば、第2の画像取得装置260は、高速、高精細中波長IR(MWIR)カメラ、例えば、FLIRX8500MWIRであってもよい。一実施形態において、第1の画像及び第2の画像に対して画像解析を実行して、第1のパターン301の配置を決定するように重ね合わせ値を計算することができる。例えば、画像解析は、第1のパターン301の第1の画像と第2のパターン302の第2の画像を互いに重ね合わせて、第2のパターン302に対する第1のパターン301の座標位置を識別することにより実現できる。いくつかの実施形態において、画像解析は、第1のパターン301の配置を実時間で調整できるように実時間で実行することができる。
【0033】
一実施形態において、整列モジュール230は更に、第1のレンズ組及び第2のレンズ組を含んでもよい。例えば、第1のレンズ組は、第1の光源210により生成された第1の入射光ビームUVincidentを視準して、視準された第1の入射光ビームUVincidentを第1の光ビームスプリッタに誘導する反射及び/又は屈折光学系を含んでもよい。別の例として、第2のレンズ組はまた、第2の光源220により生成された第2の入射光ビームIRincidentを視準して、視準された第2の入射光ビームIRincidentを第2の光ビームスプリッタに誘導する反射及び/又は屈折光学系を含んでもよい。
【0034】
一実施形態において、例示的な結像システム200は更に、第3のレンズ組270及び第4のレンズ組280を含んでもよい。例えば、第3のレンズ組270は、第1の反射光ビームUVreflectionを第1の画像取得装置250上に焦点化させる反射及び/又は屈折光学系を含んでもよい。別の例として、第4のレンズ組280はまた、第2の反射光ビームIRreflectionを第2の画像取得装置260上に焦点化させる反射及び/又は屈折光学系も含んでもよい。
【0035】
一実施形態において、例示的な結像システム200は更に、同軸モジュール240の外側で回折光ビームを取得して第1の画像取得装置250及び第2の画像取得装置260に誘導できる光学系を含んでもよい。
【0036】
図3に示す例示的な実施形態において、第1のパターン301は、ウェハ290の表側391に配置されたフォトマスク(図示せず)に含まれてもよい。一実施形態において、フォトマスクは、接触印刷システムにおいてウェハ290と直接接触して配置することができる。別の実施形態において、フォトマスクは、近接印刷システム又は投影印刷システムにおいてウェハ290から離れた位置に配置することができる。
【0037】
図3に示す例示的な実施形態において、第2のパターン302は、ウェハ290の裏側392に配置されていて、第2の入射光ビームIRincidentは量子トンネル結像、IR透過結像等を用いて第2のパターン302の第2の画像を取得すべくウェハ290の全厚を通過するのに充分な出力を有している。一実施形態において、第2のパターン302は参照プレート310上に形成することができる。例えば、参照プレート310は、ほぼ完全に整列された20マイクロメートル×20マイクロメートルの複数の正方形を含むグリッドプレートであってもよく、第2のパターン302は、複数の正方形の少なくとも1個のコーナー点であってもよい。別の例として、参照プレート310は、点、線、コーナー、ボックス、数字、マーク、又は整列目的に適した他の任意のパターンの少なくとも1個を含んでもよく、第2のパターン302はこれらのうちの1個であってもよい。一実施形態において、参照プレート310は、ウェハ290の裏側392に接着することができる。従って、参照プレート310とウェハ290は1個のモジュールとして機能することができる。別の実施形態において、参照プレート310は、フォトリソグラフィスキャナ又はステッパの基板ホルダ320に組み込むことができる。所与のウェハを毎回、基板ホルダ320に以前の配置と比べて異なる位置又は向きに配置されてもよいが、これは重要ではない。所与の新たなパターンを配置又は露光する場合、ウェハは参照プレート310、例えばグリッドプレートにより結像することができる。従って、参照プレート310は、2個以上の点を表すベクトルを識別する相対基準点を提供し、そこからベクトル解析を用いて次の露光における重ね合わせ補正調整を計算することができる。例えば、未だにパターンを有しないウェハ290が参照プレート310の上に置かれた場合、ウェハ290は、参照プレート310に対して粗く事前整列される。別の例として、既に既存のパターンを有するウェハ290が参照プレート310の上に置かれた場合、既存のパターンと参照プレート310を同軸に整列させることができる。従来のリソグラフィ処理では、ウェハ裏側の引っ掻き傷、裏側の塵及び/又は熱に起因する基板の歪みにより生じた測定誤差が重ね合わせに影響を及ぼす可能性があるが、従来の重ね合わせシステムは往々にしてこれらの問題を認識できない。本発明の技術は、これらの問題を克服する、独立した参照プレート及び高い空間解像度を含む。
【0038】
一実施形態において、第2のパターン302はウェハ290の裏側392に形成されてもよく、第2の入射光ビームIRincidentは量子トンネル結像、IR透過結像等を用いて第2のパターン302の第2の画像を取得するようにウェハ290の全厚を通過するのに充分な強度も有する。他の技術は、放射性又は蛍光物質を用いるなどして、ウェハ290に第2のパターン302(例:グリッド線)を埋め込むことを含んでもよい。
【0039】
一実施形態において、第2のパターン302をウェハ290の表側291に形成することができ、次にシリコン及び/又は酸化シリコンの層がその上に蒸着される。例えば、第2のパターン302がウェハ290に効果的に「埋め込まれ」、シリコン及び/又は酸化シリコンの層上にパターンを形成できるように、シリコン及び/又は酸化シリコンの層は1~5マイクロメートルの厚さを有することができる。従って、第2の入射光ビームIRincidentは、量子トンネル結像、IR透過結像等を用いて第2のパターン302の第2の画像を取得すべくシリコン及び/又は酸化シリコンの層を通過するのに充分な強度を有する必要がある。別の例として、第2のパターン302は、ウェハ290の裏側292にシリコン又は酸化シリコン等の保護層が形成される前にウェハ290の裏側292に形成することができる。その結果、第2のパターン302はウェハ290に埋め込むこともできる。従って、第2の入射光ビームIRincidentは、量子トンネル結像、IR透過結像等を用いて第2のパターン302の第2の画像を取得すべくウェハ290の全厚を通過するのに充分な強度を有している必要がある。一実施形態において、第2のパターン302は、キャリアウェハの表側が対象ウェハの背面(例:ウェハ290の裏側392)に接着される前にキャリアウェハの表側に形成することができる。その結果、第2のパターン302を、共に1枚のウェハとして機能するキャリアウェハと対象ウェハとに挟むことができる。従って、第2の入射光ビームIRincidentは、量子トンネル結像、IR透過結像等を用いて第2のパターン302の第2の画像を取得すべく対象ウェハの全厚を通過するのに充分な強度を有している必要がある。いくつかの実施形態において、光投影を用いてもよい。例えば、第2のパターン302は、基板ホルダに置かれたウェハ290内に物理的に存在しない投影グリッドであっても、又は基板ホルダの下のグリッドプレートであってもよい。いくつかの実施形態において、第2のパターン302は物理的なマークと光の投影の組み合わせであってもよい。例えば、物理的基準マークは、基板ホルダ上に配置されたウェハで覆われていない基板ホルダの周辺領域に設けられていてよく、光投影は、トンネル効果が不要なようにウェハの領域内で参照パターンを完結させることができる。
【0040】
図4Aは本開示のいくつかの実施形態による、第1の画像取得装置250及び第2の画像取得装置260により取得されたウェハ290の一部の重ね合わせ画像の拡大上面図を示しており、当該部分は第1のパターン301及び第2のパターン302を有する。図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、第1のパターン301を用いる重ね合わせ計算用の例示的な画像解析を示しており、これは整列工程において参照パターンとして機能する。図4A、4Bは、2個のパターンの重ね合わせ値の計算に絶対的且つ独立した第1のパターン301がどのように使用できるかを示している。これは、座標系に共通な各参照パターンを知り、当該参照パターンを用いて各パターンが当該座標系の「どこに」あるかを知ることにより、行うことができる。参照パターン、例えば各レイヤー間の距離が分かれば、重ね合わせ値の抽出に必要なベクトル計算が簡単なベクトル代数で行われる。これは強力なツールが常に用意されているミックスマッチ重ね合わせ(MMO)であると考えられる。
【0041】
各ウェハには、重ね合わせに影響を及ぼす程度に深い引っ掻き傷の影響、熱の影響、チャッキング問題等があり得る。ウェハには更にパターニング欠陥が生じている可能性があり、これは、設計通りにラインが接続されていない、臨界寸法があまりにも小さい/大きい、又は短絡が生じる恐れがある隙間がある場合に存在し得る。第2の光ビームがウェハ290を通過できるため、第2の光ビームは欠陥に遭遇する場合もあり、取得された第2の画像は更に欠陥の情報を含んでもよい。一実施形態において、第1のパターン301の第1の画像及び第2のパターン302の第2の画像に対して画像解析を実行してウェハ290の欠陥の有無を検査することができる。
【0042】
一実施形態において、第1のパターン301(点Mと表記)、例えば20マイクロメートル×20マイクロメートルの複数の正方形を有するグリッドプレートの複数の正方形のうち1個のコーナーは絶対的又はウェハに依存しないと考えられ、第2のパターン302(点Nと表記)と、第2のパターン302の形成後に形成された第3のパターン401(点Pと表記)の間の重ね合わせ値の計算に用いることができる。第1のパターン301に第2のパターン302を重ね合わせることにより、座標差すなわち第1のパターン301の点Mから第2のパターン302の点Nまでのベクトル
【数1】
を求めることができる。同様に、第1のパターン301に第3のパターン401を重ね合わせることにより、別の座標差すなわち第1のパターン301の点Mから第3のパターン401の点Pまでのベクトル
【数2】
を求めることもできる。次いで、点Nと点Pの間の重ね合わせ値
【数3】
を次式:
【数4】
のように計算することができる。
【0043】
更に、第2のパターン302からの点の座標位置(例:N(Wx,Wy))と、第3のパターン401からの点の座標位置(例:P(Bx,By))を用いて、第2のパターン302から第3のパターン401までの重ね合わせ値又はシフトを求めることができる。次いでこの重ね合わせ値を用いて、独立した参照パターン、例えば第1のパターン301に対する重ね合わせを修正すべく第3以降のパターンを配置することができる。いくつかの実施形態において、全ての画像比較において均一な基準画像を有することにより、隣接するパターンの補正だけでなく、初期ライン又は絶対基準に基づく重ね合わせ補正を維持することができる。レジスト層に対する臨界寸法(CD)の変動効果に関する懸念を考慮して、レジスト層及び下部層(例:金属レジストパターンがビア孔パターンの大部分を覆う)に対するパターンCD変動効果無しでパターンの座標を抽出する。レジスト層に対するCD変動効果は整列に際して問題となり得るが、重ね合わせ測定担当者には無視される可能性がある。本発明の技術が大幅に向上しているのは、参照パターン自身が、CDの非点収差及びゼルニケに起因するパターンからのずれの影響を受ける整列マークよりもはるかに優れたパターン配置の指標を与えるためである。
【0044】
いくつかの実施形態において、画像の重ね合わせが不要であることに注意する必要がある。座標位置データは、ウェハの参照プレート及び作業面から収集できる、次いでベクトル解析を用いてずれの総計又は重ね合わせ値を求めることができる。
【0045】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、ウェハ(例:ウェハ290)を処理する例示的な結像方法500を示すフロー図である。例示的な結像方法500は、例示的な結像システム200に適用できる。各種の実施形態において、図示する例示的な結像方法500のいくつかのステップは図示するものと同時に又は異なる順序で実行可能であり、他の方法ステップで代替又は省略可能である。追加的な方法ステップも所望に応じて実行することができる。
【0046】
ステップS510において、第1の波長を有する第1の光ビーム及び第2の波長を有する第2の光ビームを生成することができる。一実施形態において、第1の光源210を用いて第1の光ビームを生成し、第2の光源220を用いて第2の光ビームを生成することができる。例えば、第2の波長は第1の波長よりも長くてもよい。別の例として、第1の光源210はUV光源であり、第2の光源220はIR光源であってよい。一実施形態において、第1の波長は50~400ナノメートル、例えば266ナノメートル、第2の波長は1~10マイクロメートル、例えば3.6又は3.7マイクロメートルである。
【0047】
ステップS520において、第1の光ビームを第2の光ビームと同軸的に整列させることができる。一実施形態において、整列モジュール230は、第1の光ビームを第2の光ビームと同軸的に整列させることができる。例えば、第1の光ビームスプリッタを用いて第1の光ビームを伝送し、第2の光ビームスプリッタを用いて第2の光ビームを反射することができ、第3のビームスプリッタを用いて、第1の光ビームスプリッタから伝送された第1の光ビームを反射し、第2の光ビームスプリッタから反射された第2の光ビームを伝送して、反射された第1の光ビームを伝送された第2の光ビームと同軸的に整列させることができる。
【0048】
ステップS530において、同軸的に整列された第1及び第2の光ビームを、ウェハの表側に配置された第1のパターン及び第1のパターンの下側に配置された第2のパターンの各々に焦点化させることができる。一実施形態において、同軸モジュール240を用いて第1の光ビームを第1のパターンに、及び第2の光ビームを第2のパターンに焦点化させることができる。第2の光ビームは、ウェハの厚さの少なくとも一部を通過するのに充分な強度を有することができる。一実施形態において、第2のパターンを参照プレート、例えば、ウェハの下側に配置されたサブナノメートルの位置精度を有する20マイクロメートル×20マイクロメートルの複数の正方形を有するグリッドプレートに組み込むことができる。例えば、参照プレートは、ウェハの裏側に配置又は接着することができる。従って、第2の光ビームは、ウェハの全厚を通過して第2のパターンに到達するのに充分な強度を有することができる。別の実施形態において、参照プレートは、フォトリソグラフィスキャナ又はステッパの基板ホルダ又はチャックに組み込むことができ、例示的な結像方法500は更に、同軸的に整列した第1及び第2の光ビームを焦点化させる前に、参照プレートをウェハと整列させるステップを含んでいてよい。また別の実施形態において、第2のパターンをウェハの裏側に形成することができる。従って、第2の光ビームは、ウェハの全厚を通過して第2のパターンに到達するのに充分な強度を有することができる。更に別の実施形態において、第2のパターンは、ウェハ内に埋め込まれていて1個以上の層を介してアクセス可能であってよい。従って、第2の光ビームは、ウェハの厚さの一部を通過するのに充分な強度を有することができる。例えば、第2のパターンは放射性又は蛍光物質を含んでいてよい。別の例として、第2のパターンは、点、線、コーナー、ボックス、三角形、数字、又はマークの少なくとも1個を含んでもよい。
【0049】
ステップS540において、第1のパターンの第1の画像及び第2のパターンの第2の画像を取得することができる。例えば、第1の画像取得装置250及び第2の画像取得装置260を用いて第1の画像及び第2の画像を各々取得することができる。一実施形態において、第2のパターンの第2の画像は量子トンネル結像又はIR透過結像を介して取得することができる。
【0050】
ステップS550において、第1の画像と第2の画像に対して画像解析を実行して重ね合わせ値を計算することができる。
【0051】
例示的な結像システム200及び例示的な結像方法500は、リソグラフィツールと組み合わせて動作可能なスタンドアロン型同軸測定システム及び方法、接続されたリソグラフィセルへのフィードフォワードを行う一体化されたトラック同軸測定システム及び方法、又は実時間修正のためリソグラフィツールに埋め込み可能な能動同軸測定システム及び方法として実装可能である。
【0052】
本開示の態様は、ウェハの表側に形成された従来の整列マークに依存しない正確且つ精密な整列機構を提供できる結像システム及び結像方法を提供する。その代わり、ウェハの内部/下側のパターン又はグリッドを参照して、後続パターンの精密且つ正確な見当合わせ及び整列を行うべく信頼できる参照パターンに繰り返しアクセスすることができる。本明細書の技術により従来の重ね合わせマークが不要になる。重ね合わせを行うためのこれらの新たなパラダイムは、洗浄を必要とせず、実装面積の損失が無く、及び複雑なスクライブライン設計を必要とせず、シリコン面積の利用度が向上し、整列マーク用の複雑な集積を無くすることができる。本明細書に開示する例示的な参照パターンは、従来行われていたように整列マークではなく素子を製造する好ましくない工程の影響を受けて一掃されることがなくなる。重ね合わせ配置の正確さは、参照パターンが毎回完璧に近いだけでなく常時ステージの直下に隠されているため、第2のパターンが配置されている正に最初の層から測定可能になっている。
【0053】
これまでの説明において、処理システムの特定の形状、及び使用される各種の要素及び処理の記述等、具体的な詳細事項を開示してきた。しかし、本発明の技術がこれらの具体的な詳細事項とは異なる他の実施形態で実施されてよいこと、及びそのような詳細事項は説明目的であって本発明を限定するものではないことを理解されたい。本明細書に開示する複数の実施形態について添付の図面を参照しながら記述してきた。同様に、説明目的のため、完全な理解が得られるよう、具体的な個数、材料、及び構成を開示してきた。にもかかわらず、そのように具体的な詳細事項が無くても複数の実施形態を実施することができる。実質的に同じ機能構造を有する要素は類似の参照符号で表記されており、従って冗長な記述があれば省略されてよい。
【0054】
各種の実施形態の理解を促進すべく各種の技術を複数の別々の動作として記述してきた。説明の順序は、これらの動作が必然的に順序に依存することを示唆するものと解釈すべきではない。実際、これらの動作は提示された順序で実行される必要がない。記述する動作は記述する実施形態とは異なる順序で実行されてもよい。複数の追加的な実施形態において、各種の追加的動作が実行されても、及び/又は記述する動作が省略されてもよい。
【0055】
本明細書で用いる「基板」又は「対象基板」は一般に、本開示に従い処理される物体を指す。基板は、素子、特に半導体その他の電子素子の任意の材料部分又は構造を含んでいてよく、例えば、半導体ウェハ、レチクル、又は薄膜等のベース基板構造上の、又はその上に重ねられた層のようなベース基板構造であってよい。従って、基板は、パターン化された又はされていない、いかなる特定のベース構造、下部層又は上部層に限定されず、そのようなあらゆる層又はベース構造、並びに複数の層及び/又はベース構造の任意の組み合わせを含むものとする。上の記述は特定の種類の基板を指す場合があるが、これは説明目的に過ぎない。
【0056】
当業者には、本開示の同じ目的を実現しながら、上で説明した技術の動作に多くの変更を施し得ることも理解されよう。そのような変更も本開示の範囲に含まれるものとする。このように、本開示の複数の実施形態に関する上の説明は本発明を限定することを意図していない。むしろ、本開示の複数の実施形態に対する制約があれば以下の請求項に示している。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】