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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】FGFR阻害剤の併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/06 20060101AFI20230929BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20230929BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230929BHJP
   A61K 31/498 20060101ALI20230929BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230929BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230929BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20230929BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
A61K45/06 ZNA
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 121
A61K31/498
A61K39/395 T
C07K16/28
C12Q1/6827 Z
G01N33/50 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516479
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2021075145
(87)【国際公開番号】W WO2022053697
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】63/078,193
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】サンティアゴ-ウォーカー,アデミ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】モイ,クリストファー,エイチ.
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB02
2G045CB30
2G045DA13
2G045DA14
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ53
4B063QS28
4B063QX01
4C084AA20
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZC202
4C084ZC412
4C084ZC511
4C084ZC751
4C085AA14
4C085BB01
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC52
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA34
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC20
4C086ZC51
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
本明細書では、がん治療を必要とする患者に、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤を、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤、サイクリンD1(CCND1)阻害剤又はBRAF阻害剤と組み合わせて投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR、CCND1又はBRAF遺伝子変化をそれぞれ保有する、方法について記載する。本明細書では、がんを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者における無増悪生存期間(PFS)又は全生存期間(OS)の長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR、CCND1、又はBRAF遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR、CCND1、又はBRAF遺伝子変化の存在が、それぞれ少なくとも1つのEGFR、CCND1、又はBRAF遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、あるいはそれぞれ少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR、CCND1、又はBRAF遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いこと又はOSの長さが短いことを示す、方法についても記載する。更に、本明細書では、EGFR阻害剤、CCND1阻害剤又はBRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかったがん患者と比較して、がん患者におけるPFS又はOSを改善する方法であって、当該方法が、当該患者に、FGFR阻害剤を、EGFR阻害剤、CCND1阻害剤又はBRAF阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、それぞれ、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR、CCND1又はBRAF遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がん治療を必要とする患者に、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤を上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤と組み合わせて投与することを含む、がんを治療する方法であって、前記患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、方法。
【請求項2】
前記がんが、尿路上皮癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記尿路上皮癌が、局所進行性又は転移性である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記EGFR阻害剤と組み合わせた前記FGFR阻害剤の投与が、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかったがん患者と比較して、全生存期間又は無増悪生存期間によって測定される抗腫瘍活性を改善する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記患者が、エルダフィチニブによる治療に対して耐性であるか、又はエルダフィチニブによる治療に対する耐性を獲得している、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記患者が、前記FGFR阻害剤及び前記EGFR阻害剤の投与前に尿路上皮癌を治療するための少なくとも1つの全身療法を受けた、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記尿路上皮癌を治療するための前記少なくとも1つの全身療法が、白金含有化学療法である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記尿路上皮癌が、少なくとも1つのラインの前記白金含有化学療法の間又はその後に進行した、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記FGFR2遺伝子変化が、遺伝子融合である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記FGFR2遺伝子融合が、FGFR2-BICC1、FGFR2-CASP7、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記FGFR3遺伝子変化が、遺伝子融合である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記FGFR3遺伝子融合が、FGFR3-TACC3、FGFR3-BAIAP2L1、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記FGFR3遺伝子変化が、遺伝子突然変異である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記FGFR3遺伝子突然変異が、R248C、S249C、G370C、Y373C、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記EGFR遺伝子変化が、遺伝子増幅、遺伝子突然変異、遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記EGFR遺伝子突然変異が、K80N置換である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記EGFR遺伝子挿入が、N771_H773dup挿入である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記患者が、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化も保有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記CCND1遺伝子変化が、遺伝子増幅である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記患者にCCND1阻害剤を投与することを更に含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
前記患者が、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化も保有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記BRAF遺伝子変化が、遺伝子増幅、遺伝子突然変異、遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記BRAF遺伝子突然変異が、D594G置換、K601E置換、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記患者にBRAF阻害剤を投与することを更に含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記FGFR阻害剤及び前記EGFR阻害剤の投与の前に、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在について、前記患者からの生体試料を評価することを更に含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記生体試料が、血液、リンパ液、骨髄、固形腫瘍試料、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記FGFR阻害剤が、エルダフィチニブである、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
エルダフィチニブが、毎日投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
エルダフィチニブが、経口投与される、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
エルダフィチニブが、連続した毎日投薬スケジュールで経口投与される、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
エルダフィチニブが、1日1回約8mgの用量で経口投与される、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
(a)前記患者が、治療開始から14~21日後に約5.5mg/dL未満の血清リン酸(PO)レベルを呈し、かつ
(b)エルダフィチニブの1日1回8mgの投与により眼障害が生じなかったか、又は
(c)エルダフィチニブの1日1回8mgの投与によりグレード2以上の有害反応が生じなかった場合に、エルダフィチニブの前記用量が、1日1回8mgから1日1回9mgに増量され、
前記1日1回8mgから1日1回9mgへの増量が、治療開始から14~21日後に始まる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
エルダフィチニブが、固体剤形として存在する、請求項27~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記固体剤形が、錠剤である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記EGFR阻害剤が、単離された二重特異性上皮増殖因子受容体(EGFR)/肝細胞増殖因子受容体(c-Met)抗体である、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記EGFR/c-Met抗体が、第1の重鎖(HC1)、第1の軽鎖(LC1)、第2の重鎖(HC2)及び第2の軽鎖(LC2)を含み、前記HC1、前記LC1、前記HC2及び前記LC2が、それぞれ配列番号41、42、43及び44のアミノ酸配列を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記FGFR阻害剤及び前記EGFR阻害剤が、同時に、並行して、又は順次、投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
患者のがんを治療する方法であって、
(a)少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子変化又は線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在について、前記患者からの生体試料を評価することと、
(b)前記少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び前記少なくとも1つのEGFR遺伝子変化が前記試料中に存在する場合、前記患者をEGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤で治療することと、を含む、方法。
【請求項39】
がんを有するヒト患者の無増悪生存期間の長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在について前記患者からの生体試料を評価することを含み、前記少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有しないがんを有するヒト患者と比較して、より短い無増悪生存期間の長さを示す、方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び前記少なくとも1つのEGFR遺伝子変化が前記試料中に存在する場合、FGFR阻害剤をEGFR阻害剤と組み合わせて前記患者に投与することを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記患者が、エルダフィチニブによる治療に対して耐性であるか、又はエルダフィチニブによる治療に対する耐性を獲得している、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
前記患者が、BRAF遺伝子変化、サイクリンD1(CCND1)遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせも保有する、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
がんを有するヒト患者の全生存期間の長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在について前記患者からの生体試料を評価することを含み、前記少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有しないがんを有するヒト患者と比較して、より短い全生存期間の長さを示す、方法。
【請求項44】
前記少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び前記少なくとも1つのEGFR遺伝子変化が前記試料中に存在する場合、FGFR阻害剤をEGFR阻害剤と組み合わせて前記患者に投与することを更に含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記患者が、エルダフィチニブによる治療に対して耐性であるか、又はエルダフィチニブによる治療に対する耐性を獲得している、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項46】
がん患者の全生存期間を、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤と組み合わせた線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤による治療を受けていなかったがん患者と比較して改善する方法であって、前記方法が、前記患者にFGFR阻害剤をEGFR阻害剤と組み合わせて与えることを含み、前記患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、方法。
【請求項47】
がん患者の無増悪生存期間を、上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤と組み合わせた線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤による治療を受けていなかった尿路上皮癌を有する患者と比較して改善する方法であって、前記方法が、前記患者にFGFR阻害剤をEGFR阻害剤と組み合わせて与えることを含み、前記患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、方法。
【請求項48】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するための線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤及び上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤。
【請求項49】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つの上皮増殖因子受容体(EGFR)遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療用の薬剤を製造するための線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤の使用であって、前記FGFR阻害剤がEGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用。
【請求項50】
少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子変化又は線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者における尿路上皮癌の治療用の薬剤を製造するための上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤の使用であって、前記EGFR阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用。
【請求項51】
がん治療を必要とする患者に、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤をサイクリンD1(CCND1)阻害剤と組み合わせて投与することを含む、がんを治療する方法であって、前記患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、方法。
【請求項52】
前記がんが、尿路上皮癌である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記尿路上皮癌が、局所進行性又は転移性である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
CCND1阻害剤との組み合わせた前記FGFR阻害剤の投与が、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかったがん患者と比較して、無増悪生存期間によって測定される抗腫瘍活性を改善する、請求項51~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記患者が、エルダフィチニブによる治療に対して耐性であるか、又はエルダフィチニブによる治療に対する耐性を獲得している、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記患者が、前記FGFR阻害剤及び前記CCND1阻害剤の投与前に尿路上皮癌を治療するための少なくとも1つの全身療法を受けている、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記尿路上皮癌を治療するための前記少なくとも1つの全身療法が、白金含有化学療法である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記尿路上皮癌が、少なくとも1つのラインの前記白金含有化学療法の間又はその後に進行した、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記FGFR2遺伝子変化が、遺伝子融合である、請求項51~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記FGFR2遺伝子融合が、FGFR2-BICC1、FGFR2-CASP7、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記FGFR3遺伝子変化が、遺伝子融合である、請求項51~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記FGFR3遺伝子融合が、FGFR3-TACC3、FGFR3-BAIAP2L1、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記FGFR3遺伝子変化が、遺伝子突然変異である、請求項51~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記FGFR3遺伝子突然変異が、R248C、S249C、G370C、Y373C、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記CCND1遺伝子変化が、遺伝子増幅である、請求項51~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記患者が、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化も保有する、請求項51~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記EGFR遺伝子変化が、遺伝子増幅、遺伝子突然変異、遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記EGFR遺伝子突然変異が、K80N置換である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記EGFR遺伝子挿入が、N771_H773dup挿入である、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記患者にEGFR阻害剤を投与することを更に含む、請求項66~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記患者が、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化も保有する、請求項51~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記BRAF遺伝子変化が、遺伝子増幅、遺伝子突然変異、遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記BRAF遺伝子突然変異が、D594G置換、K601E置換、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記患者にBRAF阻害剤を投与することを更に含む、請求項71~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記FGFR阻害剤及び前記CCND1阻害剤の投与の前に、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化の存在について、前記患者からの生体試料を評価することを更に含む、請求項51~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記生体試料が、血液、リンパ液、骨髄、固形腫瘍試料、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記FGFR阻害剤が、エルダフィチニブである、請求項51~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
エルダフィチニブが、毎日投与される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
エルダフィチニブが、経口投与される、請求項77又は78に記載の方法。
【請求項80】
エルダフィチニブが、連続した毎日投薬スケジュールで経口投与される、請求項77~79のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
エルダフィチニブが、1日1回約8mgの用量で経口投与される、請求項77~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
(a)前記患者が、治療開始から14~21日後に約5.5mg/dL未満の血清リン酸(PO)レベルを呈し、かつ
(b)エルダフィチニブの1日1回8mgの投与により眼障害が生じなかったか、又は
(c)エルダフィチニブの1日1回8mgの投与によりグレード2以上の有害反応が生じなかった場合に、エルダフィチニブの前記用量を1日1回8mgから1日1回9mgに増量し、
前記1日1回8mgから1日1回9mgへの増量が、治療開始から14~21日後に始まる、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
エルダフィチニブが、固体剤形として存在する、請求項77~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記固体剤形が、錠剤である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記FGFR阻害剤及び前記CCND1阻害剤が、同時に、並行して、又は順次、投与される、請求項51~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
患者のがんを治療する方法であって、
(a)少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子変化又は線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子変化及び少なくとも1つのサイクリンD1(CCND1)遺伝子変化の存在について、前記患者からの生体試料を評価することと、
(b)前記少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び前記少なくとも1つのCCND1遺伝子変化が前記試料中に存在する場合、前記患者をCCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤で治療することと、を含む、方法。
【請求項87】
がんを有するヒト患者の無増悪生存期間の長さを予測する方法であって、少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子変化又は線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子変化及び少なくとも1つのサイクリンD1(CCND1)遺伝子変化の存在について前記患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び前記少なくとも1つのCCND1遺伝子変化の前記存在が、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有しないがんを有するヒト患者と比較して、より短い無増悪生存期間の長さを示す、方法。
【請求項88】
前記少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び前記少なくとも1つのCCND1遺伝子変化が前記試料中に存在する場合、FGFR阻害剤をCCND1阻害剤と組み合わせて前記患者に投与することを更に含む、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記患者が、エルダフィチニブによる治療に対して耐性であるか、又はエルダフィチニブによる治療に対する耐性を獲得している、請求項87又は88に記載の方法。
【請求項90】
前記患者が、BRAF遺伝子変化、EGFR遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせも保有する、請求項87~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
がん患者の無増悪生存期間を、サイクリンD1(CCND1)阻害剤と組み合わせた線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤による治療を受けていなかったがん患者と比較して改善する方法であって、前記方法が、前記患者にFGFR阻害剤をCCND1阻害剤と組み合わせて与えることを含み、前記患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、方法。
【請求項92】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するための線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤及びサイクリンD1(CCND1)阻害剤。
【請求項93】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのサイクリンD1(CCND1)遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療用の薬剤を製造するための線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤の使用であって、前記FGFR阻害剤がCCND1阻害剤と組み合わせて用いられる、使用。
【請求項94】
少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子変化又は線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者における尿路上皮癌の治療用の薬剤を製造するためのサイクリンD1(CCND1)阻害剤の使用であって、前記CCND1阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用。
【請求項95】
がん治療を必要とする患者に、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤をBRAF阻害剤と組み合わせて投与することを含む、がんを治療する方法であって、前記患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、方法。
【請求項96】
前記がんが、尿路上皮癌である、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記尿路上皮癌が、局所進行性又は転移性である、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
BRAF阻害剤と組み合わせた前記FGFR阻害剤の投与が、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかったがん患者と比較して、無増悪生存期間によって測定される抗腫瘍活性を改善する、請求項95~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記患者が、エルダフィチニブによる治療に対して耐性であるか、又はエルダフィチニブによる治療に対する耐性を獲得している、請求項95~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記患者が、前記FGFR阻害剤及び前記BRAF阻害剤の投与前に尿路上皮癌を治療するための少なくとも1つの全身療法を受けている、請求項95~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記尿路上皮癌を治療するための前記少なくとも1つの全身療法が、白金含有化学療法である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記尿路上皮癌が、少なくとも1つのラインの前記白金含有化学療法の間又はその後に進行した、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記FGFR2遺伝子変化が、遺伝子融合である、請求項95~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記FGFR2遺伝子融合が、FGFR2-BICC1、FGFR2-CASP7、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記FGFR3遺伝子変化が、遺伝子融合である、請求項95~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記FGFR3遺伝子融合が、FGFR3-TACC3、FGFR3-BAIAP2L1、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記FGFR3遺伝子変化が、遺伝子突然変異である、請求項95~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記FGFR3遺伝子突然変異が、R248C、S249C、G370C、Y373C、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記BRAF遺伝子変化が、遺伝子増幅、遺伝子突然変異、遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項95~108のいずれか一項に記載の方法。
【請求項110】
前記BRAF遺伝子突然変異が、D594G置換、K601E置換、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記患者が、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化も保有する、請求項95~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記CCND1遺伝子変化が、遺伝子増幅である、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記患者にCCND1阻害剤を投与することを更に含む、請求項11又は112に記載の方法。
【請求項114】
前記患者が、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化も保有する、請求項95~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記EGFR遺伝子変化が、遺伝子増幅、遺伝子突然変異、遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記EGFR遺伝子突然変異が、K80N置換である、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記EGFR遺伝子挿入が、N771_H773dup挿入である、請求項115に記載の方法。
【請求項118】
前記患者にEGFR阻害剤を投与することを更に含む、請求項114~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記FGFR阻害剤及び前記BRAF阻害剤の投与の前に、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の前記存在について、前記患者からの生体試料を評価することを更に含む、請求項95~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記生体試料が、血液、リンパ液、骨髄、固形腫瘍試料、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記FGFR阻害剤が、エルダフィチニブである、請求項95~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
エルダフィチニブが、毎日投与される、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
エルダフィチニブが、経口投与される、請求項121又は122に記載の方法。
【請求項124】
エルダフィチニブが、連続した毎日投薬スケジュールで経口投与される、請求項121~123のいずれか一項に記載の方法。
【請求項125】
エルダフィチニブが、1日1回約8mgの用量で経口投与される、請求項121~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
(a)前記患者が、治療開始から14~21日後に約5.5mg/dL未満の血清リン酸(PO)レベルを呈し、かつ
(b)エルダフィチニブの1日1回8mgの投与により眼障害が生じなかったか、又は
(c)エルダフィチニブの1日1回8mgの投与によりグレード2以上の有害反応が生じなかった場合に、エルダフィチニブの前記用量を1日1回8mgから1日1回9mgに増量し、
前記1日1回8mgから1日1回9mgへの増量が、治療開始から14~21日後に始まる、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
エルダフィチニブが、固体剤形として存在する、請求項121~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記固体剤形が、錠剤である、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記FGFR阻害剤及び前記BRAF阻害剤が、同時に、並行して、又は順次、投与される、請求項121~128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
患者のがんを治療する方法であって、
(a)少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子変化又は線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の存在について、前記患者からの生体試料を評価することと、
(b)前記少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び前記少なくとも1つのBRAF遺伝子変化が前記試料中に存在する場合、前記患者をBRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤で治療することと、を含む、方法。
【請求項131】
がんを有するヒト患者の無増悪生存期間の長さを予測する方法であって、少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子変化又は線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の存在について前記患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び前記少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の前記存在が、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有しないがんを有するヒト患者と比較して、より短い無増悪生存期間の長さを示す、方法。
【請求項132】
前記少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び前記少なくとも1つのBRAF遺伝子変化が前記試料中に存在する場合、FGFR阻害剤をBRAF阻害剤と組み合わせて前記患者に投与することを更に含む、請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記患者が、エルダフィチニブによる治療に対して耐性であるか、又はエルダフィチニブによる治療に対する耐性を獲得している、請求項131又は132に記載の方法。
【請求項134】
前記患者が、CCND1遺伝子変化、EGFR遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせも保有する、請求項131~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
がん患者の無増悪生存期間を、BRAF阻害剤と組み合わせた線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤による治療を受けていなかったがん患者と比較して改善する方法であって、前記方法が、前記患者にFGFR阻害剤をBRAF阻害剤と組み合わせて与えることを含み、前記患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、方法。
【請求項136】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するための線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤及びBRAF阻害剤。
【請求項137】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療用の薬剤を製造するための線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤の使用であって、前記FGFR阻害剤がBRAF阻害剤と組み合わせて用いられる、使用。
【請求項138】
少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)遺伝子変化又は線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者における尿路上皮癌の治療用の薬剤を製造するためのBRAF阻害剤の使用であって、前記BRAF阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用。
【請求項139】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者のがんの治療に使用するための線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤であって、前記FGFR阻害剤が上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤と組み合わせて用いられる、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤。
【請求項140】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者のがんの治療に使用するための上皮増殖因子受容体(EGFR)阻害剤であって、前記EGFR阻害剤が線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤と組み合わせて用いられる、EGFR阻害剤。
【請求項141】
前記EGFR遺伝子変化が、K80N置換又はN771_H773dup挿入である、請求項139又は140に記載の使用のための阻害剤。
【請求項142】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者のがんの治療に使用するための線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤であって、前記FGFR阻害剤がサイクリンD1(CCND1)阻害剤と組み合わせて用いられる、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤。
【請求項143】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者のがんの治療に使用するためのサイクリンD1(CCND1)阻害剤であって、前記CCND1阻害剤が線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤と組み合わせて用いられる、サイクリンD1(CCND1)阻害剤。
【請求項144】
前記CCND1遺伝子変化が、遺伝子増幅である、請求項142又は143に記載の使用のための阻害剤。
【請求項145】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者のがんの治療に使用するための線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤であって、前記FGFR阻害剤がBRAF阻害剤と組み合わせて用いられる、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤。
【請求項146】
少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者のがんの治療に使用するためのBRAF阻害剤であって、前記BRAF阻害剤が線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤と組み合わせて用いられる、BRAF阻害剤。
【請求項147】
前記BRAF遺伝子変化が、D594G置換又はK601E置換である、請求項145又は146に記載の使用のための阻害剤。
【請求項148】
前記がんが、尿路上皮癌である、請求項48、92、136若しくは139~147のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤、又は請求項49、50、93、94、137若しくは138のいずれか一項に記載の使用。
【請求項149】
前記尿路上皮癌が、局所進行性又は転移性である、請求項148に記載の使用のための阻害剤又は使用。
【請求項150】
前記FGFR2遺伝子変化が、遺伝子融合である、請求項48、92、136若しくは139~149のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤、又は請求項49、50、93、94、137、138、148若しくは149のいずれか一項に記載の使用。
【請求項151】
前記FGFR2遺伝子融合が、FGFR2-BICC1、FGFR2-CASP7、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項150に記載の使用のための阻害剤又は使用。
【請求項152】
前記FGFR3遺伝子変化が、遺伝子融合である、請求項48、92、136若しくは139~149のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤、又は請求項49、50、93、94、137、138、148若しくは149のいずれか一項に記載の使用。
【請求項153】
前記FGFR3遺伝子融合が、FGFR3-TACC3、FGFR3-BAIAP2L1、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項152に記載の使用のための阻害剤又は使用。
【請求項154】
前記FGFR3遺伝子変化が、遺伝子突然変異である、請求項48、92、136若しくは139~149のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤、又は請求項49、50、93、94、137、138、148若しくは149のいずれか一項に記載の使用。
【請求項155】
前記FGFR3遺伝子突然変異が、R248C、S249C、G370C、Y373C、又はそれらの任意の組み合わせである、請求項154に記載の使用のための阻害剤又は使用。
【請求項156】
前記FGFR阻害剤が、エルダフィチニブである、請求項48、92、136、若しくは139~155のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤、又は請求項49、50、93、94、137、138、148~155のいずれか一項に記載の使用。
【請求項157】
エルダフィチニブが、毎日投与される、請求項156に記載の使用のための阻害剤又は使用。
【請求項158】
エルダフィチニブが、経口投与される、請求項156又は157に記載の使用のための阻害剤又は使用。
【請求項159】
エルダフィチニブが、連続した毎日投薬スケジュールで経口投与される、請求項156~158のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤又は使用。
【請求項160】
エルダフィチニブが、1日1回約8mgの用量で経口投与される、請求項156~159のいずれか一項に記載の使用のための阻害剤又は使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、がん治療を必要とする患者に、線維芽細胞増殖因子受容体(fibroblast growth factor receptor、FGFR)阻害剤を、上皮増殖因子受容体(epidermal growth factor receptor、EGFR)阻害剤、サイクリンD1(Cyclin D1、CCND1)阻害剤又はBRAF阻害剤と組み合わせて投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR、CCND1又はBRAF遺伝子変化をそれぞれ保有する、方法を開示する。本明細書では、がんを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者における無増悪生存期間(progression-free survival、PFS)又は全生存期間(overall survival、OS)の長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR、CCND1、又はBRAF遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR、CCND1、又はBRAF遺伝子変化の存在が、それぞれ少なくとも1つのEGFR、CCND1、又はBRAF遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、又はそれぞれ少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR、CCND1、又はBRAF遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いこと又はOSの長さが短いことを示す、方法も開示される。更に、本明細書では、EGFR阻害剤、CCND1阻害剤又はBRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていないがん患者と比較して、がん患者におけるPFS又はOSを改善する方法であって、当該方法が、FGFR阻害剤を、EGFR阻害剤、CCND1阻害剤又はBRAF阻害剤と組み合わせて当該患者に与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR、CCND1、又はBRAF遺伝子変化をそれぞれ保有する、方法も開示される。
【0002】
背景
汎FGFR阻害剤エルダフィチニブによる治療は、局所進行性又は転移性尿路上皮癌(metastatic urothelial carcinoma、mUC)を有する患者にとって有益である。Loriot Y,et al.N Engl J Med.2019;381:338-348。循環腫瘍DNA(Circulating tumor DNA、ctDNA)分析は、腫瘍に存在する体細胞遺伝子変化を特定するための非侵襲的方法である。Morales-Barrera R,et al.Transl Androl Urol.2018;7:S101-S103;Lodewijk I,et al.Int J Mol Sci.2018;19:2514。局所進行性又は転移性のUC及びFGFR2/3変化を有する患者におけるエルダフィチニブの第2相多施設非盲検試験(NCT02365597)からの結果より、mUCに対して承認された最初の標的化療法として、エルダフィチニブが米国食品医薬品局により承認された。Loriot Y,et al.N Engl J Med.2019;381:338-348;Marandino L,et al.Expert Rev Anticancer Ther.2019;19:835-846。エルダフィチニブに対する内因性耐性のマーカーを特定するため、次世代シークエンシング(next-generation sequencing、NGS)を用いてBLC2001において患者から得た血漿試料からのctDNAを分析した。
【0003】
FGFR2/3変化及びエルダフィチニブに対する内因性耐性のマーカーを有する患者において有効である併用療法が求められている。
【0004】
概要
本明細書では、がん治療を必要とする患者に、FGFR阻害剤をEGFR阻害剤と組み合わせて投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、方法について記載する。
【0005】
本明細書では、患者のがんを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化が存在する場合、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む方法についても記載する。
【0006】
本明細書では、がんを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるPFSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いことを示す、方法についても記載する。
【0007】
本明細書では、広くはがんを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるOSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、OSの長さが短いことを示す、方法についてもなお更に記載する。
【0008】
本明細書では、がんを有する患者におけるOSを、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかったがんを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にEGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0009】
本明細書では、がんを有する患者におけるPFSを、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかったがんを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にEGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、方法についても更に記載する。
【0010】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するためのFGFR阻害剤及びEGFR阻害剤についてもなお更に記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するためのFGFR阻害剤であって、EGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するためのEGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、EGFR阻害剤についても記載する。
【0011】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療用の薬剤を製造するためのFGFR阻害剤の使用であって、FGFR阻害剤がEGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【0012】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者におけるがん、特に尿路上皮癌の治療用の薬剤を製造するためのEGFR阻害剤の使用であって、EGFR阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【0013】
本明細書では更に、がん治療を必要とする患者に、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、方法について記載する。
【0014】
本明細書では、患者のがんを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化が存在する場合、FGFR阻害剤とCCND1阻害剤との組み合わせにより患者を治療することと、を含む方法についてもなお更に記載する。
【0015】
本明細書では、がんを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるPFSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いことを示す、方法について記載する。
【0016】
本明細書では、がんを有する患者におけるPFSを、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかったがんを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にCCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0017】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するためのFGFR阻害剤及びCCND1阻害剤についても更に記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するためのFGFR阻害剤であって、CCND1阻害剤と組み合わせて用いられる、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するためのCCND1阻害剤であって、FGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、CCND1阻害剤についても記載する。
【0018】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療用の薬剤を製造するためのFGFR阻害剤の使用であって、FGFR阻害剤がCCND1阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についてもなお更に記載する。
【0019】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者におけるがん、特に尿路上皮癌の治療用の薬剤を製造するためのCCND1阻害剤の使用であって、CCND1阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【0020】
本明細書では更に、がん治療を必要とする患者に、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、方法について記載する。
【0021】
本明細書では、患者のがんを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化が存在する場合、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む方法についてもなお更に記載する。
【0022】
本明細書では、がんを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるPFSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有しないがんを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いことを示す、方法についても記載する。
【0023】
本明細書では、がんを有する患者におけるPFSを、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかったがんを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にBRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0024】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するためのFGFR阻害剤及びBRAF阻害剤についても更に記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するためのFGFR阻害剤であって、BRAF阻害剤と組み合わせて用いられる、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療に使用するためのBRAF阻害剤であって、FGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、BRAF阻害剤についても記載する。
【0025】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者におけるがんの治療用の薬剤を製造するためのFGFR阻害剤の使用であって、FGFR阻害剤がBRAF阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についてもなお更に記載する。
【0026】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者におけるがん、特に尿路上皮癌の治療用の薬剤を製造するためのBRAF阻害剤の使用であって、BRAF阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
発明の概要、並びに以下の発明を実施するための形態は、添付の図面と併せて読むことで、更に理解される。本開示の方法及び使用を例示する目的で、本方法及び使用の例示的な実施形態を図面に示す。しかしながら、方法及び使用は、開示される特定の実施形態に限定されるものではない。図面のうち:
図1】実施例1に記載される第2相多施設非盲検試験(NCT02365597)の概略図である。A=14日目までに≧5.5mg/dLの目標血清リン酸濃度に達せず、かつ治療関連有害事象がない場合、用量増量。
図2A】y軸上に生存確率又は層(EGFR変化が存在するか又は存在しない)を示し、x軸上に月単位のPFSを示す、EGFR変化状態による無増悪生存期間を示すカプラン・マイヤー曲線である。
図2B】y軸上に生存確率又は層(CCND1変化が存在するか又は存在しない)を示し、x軸上に月単位のPFSを示す、CCND1変化状態による無増悪生存期間を示すカプラン・マイヤー曲線である。
図2C】y軸上に生存確率又は層(BRAF変化が存在するか存在しない)を示し、x軸上に月単位のPFSを示す、BRAF変化状態による無増悪生存を示すカプラン・マイヤー曲線である。
図3】y軸上に生存確率又は層(EGFR変化が存在するか又は存在しない)を示し、x軸上に月単位のOSを示す、EGFR変化状態によるOSを示すカプラン・マイヤー曲線である。
図4】ベースラインにおけるctDNAの遺伝子変化プロファイルを示す。
図5】より短いPFSに関連する遺伝子の同時発現データを示す。交点サイズ(y軸)が、BRAF、EGFR、CCND1及び野生型(wild-type、WT)対象について示されている。
【0028】
実施形態の詳細な記述
別個の実施形態に照らして明確にするために本明細書に記載される、本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わされて提供されてもよいことが理解される。すなわち、明白に不適合であるか又は具体的に除外されない限り、各個々の実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせ可能であるとみなされ、このような組み合わせは、別の実施形態であるとみなされる。逆に、単一の実施形態に照らして簡潔にするために記載される本発明の異なる特徴は、別々に又は任意の部分的組み合わせとして提供されてもよい。最後に、実施形態は、一連の工程の一部として又はより全般的な構造の一部として記載されてもよいが、その各工程は、他と組み合わせ可能である、それ自体が独立する実施形態であるとみなされてもよい。
【0029】
特定の用語
移行句「備える/含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting)」は、特許用語において広く受け入れられている意味を含意することを意図しており、すなわち、(i)「備える/含む(comprising)」は、「含む」、「含有する」、又は「特徴とする」と同義であり、包括的又は非制限的なものであり、その他の列挙されていない要素又は方法工程を除外するものではなく、(ii)「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において特定されていない、あらゆる要素、工程、又は成分を除外し、並びに(iii)「から本質的になる」は、特定される材料又は工程、並びに、特許請求される発明の「基本的かつ新しい特徴に実質的に影響しないもの」に、特許請求の範囲を制限する。より具体的には、基本的及び新規の特徴は、本方法が、本明細書の他の箇所で記載する、ヒト比較集団の生存性と比較して、ヒト集団の生存性を改善できることを含むが、それに限定されない、本明細書に記載される利益のうちの少なくとも1つを提供可能であることに関する。「備える/含む(comprising)」という用語(又はその均等語)で記載される実施形態はまた、実施形態として、「からなる」及び「から本質的になる」という用語で独立して記載されるものを提供する。
【0030】
ある値が、記述語「約」の使用によって近似値として表現されるとき、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解される。概して、「約」という用語の使用は、開示する発明主題によって得ようとしている所望の特性に依存して変動し得る近似値を示し、その機能に基づいて、それが使用される特定の文脈において解釈されるべきである。当業者は、これを日常的な問題として解釈することができる。場合によっては、特定の値に対して用いられる有効数字の数は、用語「約」の程度を決定する1つの非限定的な方法であり得る。他の場合、一連の値において用いられている漸次的変化を用いて、各値について用語「約」に利用可能な意図する範囲を決定することができる。存在する場合、全ての範囲は、包括的であり、組み合わせ可能である。すなわち、範囲で記述される値への言及は、その範囲内の全ての値を含む。
【0031】
特に指定されない場合、用語「約」は、関連する値の±10%の変動を意味するが、更なる実施形態では、±5%、±15%、±20%、±25%、又は±50%の変動である場合も含む。
【0032】
リストが提示される場合、特に指定されない限り、そのリストの各個々の要素及びそのリストの全ての組み合わせは別個の実施形態であることを、理解されたい。例えば、「A、B、又はC」として提示される実施形態のリストは、実施形態「A」、「B」、「C」、「A又はB」、「A又はC」、「B又はC」、又は「A、B、又はC」を含むと解釈すべきである。
【0033】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は複数を含むものとする。
【0034】
本明細書で使用される場合、「少なくとも1つ」という用語は、「1つ又は2つ以上」を意味する。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「患者」は、任意の動物、特に哺乳動物を意味するものとする。したがって、本方法は、ヒト及び非ヒト動物に適用可能であるが、ヒトに適用可能であるのが最も好ましい。「患者」及び「対象」という用語は、互換的に使用することができる。
【0036】
「治療する」及び「治療」という用語は、病態に冒された患者の処置を指し、がん細胞を死滅させることにより病態を緩和する作用ばかりでなく、病態の進行の阻害をもたらす作用も指し、進行の速度の低下、進行の速度の停止、病態の寛解、及び病態の治癒を含む。予防措置としての治療(すなわち、予防薬)も含まれる。
【0037】
「用量」という用語は、各回に摂取される治療薬の量又は分量を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「がん」という用語は、制御なく増殖する傾向があり、いくつかの場合では浸潤(拡散)する傾向がある、細胞の異常な増殖を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「同時投与」、「組み合わせを投与」などの用語は、選択された各治療剤の単一の患者への投与を包含し、各薬剤が同じ若しくは異なる投与経路によって、又は同じ若しくは異なる時間に投与されるような治療レジメンを含むものとする。選択された各治療剤は、同時に、並行して、又は順次、投与することができる。本明細書で使用される場合、「順次」とは、EGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT阻害剤を、FGFR阻害剤による治療中又は治療後の患者に投与することを指す。一実施形態では、選択された各治療剤は、同時に又は並行して投与される。一実施形態では、選択された各治療剤は、治療、特に局所進行性又は転移性尿路上皮癌の治療の早期に投与される。
【0040】
「連続した毎日投薬スケジュール」という用語は、特定の療法薬について休薬日を含まない、当該特定の療法薬の投与を指す。いくつかの実施形態では、特定の療法薬の継続的な連日投薬スケジュールは、毎日およそ同時刻に特定の療法薬を投与すること、を含む。
【0041】
「無増悪生存期間」(PFS)という用語は、最初の投薬から、疾患進行又は死亡のいずれか早い方の記録されたエビデンスの日付までの時間として定義される。
【0042】
「全生存期間」(OS)という用語は、無作為化から任意の原因による被験者の死亡日までの時間として定義される。
【0043】
本明細書で使用される場合、「プラセボ」という用語は、FGFR阻害剤を含まない医薬組成物の投与を意味する。
【0044】
「無作為化」という用語は、臨床治験について言う場合、患者が臨床治験に適格であることが確認され、治療群に割り当てられる時点を指す。
【0045】
「キット」及び「製造物品」という用語は、同義語として使用される。
【0046】
「生体試料」とは、がん性細胞を得ることができる、特定の遺伝子変化の検出が可能であるような、患者から得られるあらゆる試料を指す。適当な生物学的試料としては、血液、リンパ液、骨髄、固形腫瘍試料、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、生体試料は、ホルマリン固定パラフィン包埋組織(formalin-fixed paraffin-embedded tissue、FFPET)、特にホルマリン固定パラフィン包埋腫瘍組織とすることができる。
【0047】
「有害事象」という用語は、治験薬を投与された被験者において生じる任意の望ましくない医学的事象であり、関連する治験薬と明確な因果関係を有する事象のみを必ずしも示すわけではない。
【0048】
本明細書で使用される場合、「無細胞DNA」(cell-free DNA、cfDNA)という用語は、細胞ターンオーバー時に血流中に流されるDNAの短いセグメントを指す。
【0049】
本明細書で使用される場合、「循環腫瘍DNA」(ctDNA)という用語は、原発性腫瘍、転移性病変、又は循環腫瘍細胞(circulating tumor cells、CTC)に由来し得る、細胞ターンオーバー時に血流中に流されるDNAの短いセグメントを指す。
【0050】
遺伝子変化
FGFR遺伝子変化
タンパク質チロシンキナーゼ(protein tyrosine kinase、PTK)受容体の線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは、有糸分裂誘発、創傷治癒、細胞分化及び血管新生、並びに発生を含む多種多様な生理学的機能を調節している。正常細胞及び悪性細胞の成長並びに増殖は、自己分泌因子及びパラ分泌因子として作用する細胞外シグナル伝達分子であるFGFの局所濃度の変化に影響される。自己分泌型FGFシグナル伝達は、ステロイドホルモン依存性がんのホルモン非依存性状態への進行において特に重要であり得る。
【0051】
以下の略語を、本開示全体を通じて使用する。FGFR(線維芽細胞増殖因子受容体);FGFR3-TACC3 v1(FGFR3をコードする遺伝子と形質転換酸性コイルドコイル含有タンパク質3変異体1をコードする遺伝子との融合体であり、本明細書ではFGFR3-TACC3 V1とも称される);FGFR3-TACC3 v3(FGFR3をコードする遺伝子と形質転換酸性コイルドコイル含有タンパク質3変異体3をコードする遺伝子との融合体であり、本明細書ではFGFR3-TACC3_V3」とも称される);FGFR3-BAIAP2L1(FGFR3をコードする遺伝子と脳特異的血管新生阻害因子1関連タンパク質2様タンパク質1をコードする遺伝子との融合体);FGFR2-BICC1(FGFR2をコードする遺伝子とバイテイルCホモログ1をコードする遺伝子との融合体);FGFR2-CASP7(FGFR2をコードする遺伝子とカスパーゼ7をコードする遺伝子との融合体)。
【0052】
FGF及びそれらの受容体は、いくつかの組織及び細胞株において高いレベルで発現され、その過剰発現は悪性表現型に寄与するものと考えられる。更に、多くのがん遺伝子は、増殖因子受容体をコードする遺伝子のホモログであり、ヒト膵臓癌におけるFGF依存性シグナル伝達を異常に活性化させる可能性がある(Knight et al.Pharmacology and Therapeutics 2010 125:1(105-117);Korc M.et al Current Cancer Drug Targets 2009 9:5(639-651))。
【0053】
酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF又はFGF1)及び塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF又はFGF2)が2つのプロトタイプメンバーであり、これまでに少なくとも20種の異なるFGFファミリーメンバーが特定されている。FGFに対する細胞応答は、1~4の番号付けがされた4種類の高親和性膜貫通タンパク質チロシンキナーゼFGFR(FGFR1~FGFR4)を介して伝達される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「FGFR遺伝子変化」は、野生型FGFR遺伝子の変化を指し、FGFR融合遺伝子、FGFR突然変異、FGFR増幅、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、FGFR増幅は、コピー数増幅である。「変異体」及び「変化」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0055】
特定の実施形態では、FGFR2又はFGFR3遺伝子変化は、FGFR遺伝子融合である。「FGFR融合」又は「FGFR遺伝子融合」とは、FGFRの一部(例えば、FGFR2又はFGFR3)と、本明細書に開示される融合パートナーのうちの1つ又はその一部とをコードする遺伝子であって、2つの遺伝子間の転座によって作り出される遺伝子を指す。「融合」及び「転座」という用語は、本明細書では互換的に使用される。患者からの生体試料中の以下のFGFR融合遺伝子、すなわち、FGFR3-TACC3、FGFR3-BAIAP2L1、FGFR2-BICC1、FGFR2-CASP7、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は2つ以上のものの存在を、開示される方法又は使用を使用して判定することができる。特定の実施形態では、FGFR3-TACC3は、FGFR3-TACC3変異体1(FGFR3-TACC3 V1)又はFGFR3-TACC3変異体3(FGFR3-TACC3 V3)である。表1は、FGFR融合遺伝子並びに互いに融合されたFGFRと融合パートナーエクソンを示す。個々のFGFR融合遺伝子の配列を表4に開示する。
【0056】
【表1】
【0057】
FGFR遺伝子変化には、FGFRの一ヌクレオチド多型(single nucleotide polymorphism、SNP)が含まれる。「FGFR一ヌクレオチド多型」(SNP)とは、単一のヌクレオチドが個体間で異なるFGFR2又はFGFR3遺伝子を指す。特定の実施形態では、FGFR2又はFGFR3遺伝子変化は、FGFR3遺伝子突然変異である。特に、「FGFR一ヌクレオチド多型」(SNP)とは、単一のヌクレオチドが個体間で異なるFGFR3遺伝子を指す。患者からの生体試料中の以下のFGFR SNP、すなわち、FGFR3 R248C、FGFR3 S249C、FGFR3 G370C、FGFR3 Y373C、又はそれらの任意の組み合わせのうちの1つ又は2つ以上のものの存在を、当業者には周知の方法又は国際公開第2016/048833号に開示される方法によって判定することができる。FGFR SNPの配列を表2に示す。
【0058】
【表2】
配列は、FGFR3(Genebank識別番号NM_000142.4)のヌクレオチド920~1510に相当する。
太字下線のヌクレオチドは、SNPを表す。
文献では誤ってY375Cと称されている場合もある。
【0059】
本明細書で使用される場合、「FGFR遺伝子変化遺伝子パネル」は、上記に列挙されたFGFR遺伝子変化のうちの1つ又は2つ以上を含む。いくつかの実施形態では、FGFR遺伝子変化遺伝子パネルは、患者のがんのタイプに依存する。
【0060】
開示された方法の評価ステップにおいて使用されるFGFR遺伝子変化遺伝子パネルは、患者のがんのタイプに一部基づく。尿路上皮癌、特に局所進行性又は転移性UCを有する患者の場合、適当なFGFR遺伝子変化遺伝子パネルは、FGFR3-TACC3 V1、FGFR3-TACC3 V3、FGFR3-BAIAP2L1、FGFR2-BICC1、FGFR2-CASP7、FGFR3 R248C、FGFR3 S249C、FGFR3 G370C、若しくはFGFR3 Y373C、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0061】
特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化、及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化、及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化、及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化、及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化、及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化若しくはFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化、少なくとも1つのARID1A遺伝子変化、少なくとも1つのTERT遺伝子変化、少なくとも1つのErbB2遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせを保有する。
【0062】
特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化若しくはFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化、少なくとも1つのARID1A遺伝子変化、少なくとも1つのTERT遺伝子変化、少なくとも1つのErbB2遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせを保有する。
【0063】
EGFR変化
本明細書では、がん治療を必要とする患者に、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、方法について記載する。特定の実施形態では、がんは、mUCである。
【0064】
本明細書で使用される「上皮成長因子受容体」又は「EGFR」とは、配列番号38及びGenBankアクセッション番号NP_005219に示される配列を有するヒトEGFR(HER1又はErbB1としても知られる)(Ullrich et al.,Nature 309:418-425,1984)、並びにその天然に存在する変異体を指す。そのような変異体としては、よく知られたEGFRvIII及び他の選択的スプライス変異体(例えば、SwissProtアクセッション番号P00533-1(野生型;配列番号38及びNP_005219と同一)、P00533-2(F404L/L4055)、P00533-3(628~705:CTGPGLEGCP(配列番号45)...GEAPNQALLR(配列番号46)→PGNESLKAML(配列番号47)...SVIITASSCH(配列番号48)及び706~1210が欠失)、P00533-4(C628S及び629~1210が欠失)、変異体GlnQ98、R266、K521、I674、G962、及びP988(Livingston et al.,NIEHS-SNPs,environmental genome project,NIEHS ES15478)、T790M、L858R/T790M及びdel(E746,A750)が挙げられる。
【0065】
本明細書で使用される場合、「EGFRリガンド」には、EGF、TGFα、ヘパリン結合EGF(heparin binding EGF、HB-EGF)、アンフィレグリン(amphiregulin、AR)、及びエピレグリン(epiregulin、EPI)を含むEGFRの全ての(例えば、生理的)リガンドが包含される。
【0066】
本明細書で使用される場合、「上皮成長因子」とは、配列番号39に示されるアミノ酸配列を有する周知のアミノ酸53個のヒトEGFを指す。
【0067】
本明細書で使用される場合、「EGFR遺伝子変化」とは、EGFR突然変異、EGFR増幅、EGFR遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、野生型EGFR遺伝子の変化を指す。特定の実施形態では、EGFR増幅は、コピー数増幅である。
【0068】
特定の実施形態では、EGFR遺伝子変化は、遺伝子突然変異である。EGFR遺伝子突然変異には、EGFRの一ヌクレオチド多型(SNP)が含まれる。「EGFR一ヌクレオチド多型」(SNP)は、単一のヌクレオチドが個体間で異なるEGFR遺伝子を指す。特定の実施形態では、EGFR遺伝子変化は、K80N置換である。特定の実施形態では、EGFR遺伝子変化は、遺伝子挿入である。いくつかの実施形態では、遺伝子挿入は、N771_H773dup挿入である。
【0069】
特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化、及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化、及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化、及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化、及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化、及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化、及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する。
【0070】
BRAF遺伝子変化
本明細書では更に、がん治療を必要とする患者に、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、方法について記載する。特定の実施形態では、がんは、mUCである。
【0071】
本明細書で使用される場合、「BRAF」、「B-Raf」、「Braf」及び「BRaf」という用語は、互換的に使用され得る。BRAFは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(mitogen-activated protein kinase、MAPK又はERK)シグナル伝達経路の調節に関与するシグナル伝達プロテインキナーゼである。いくつかの実施形態では、遺伝子BRAFは、GENBANKアクセッション番号NM_004333.5、NR_148928.1又はNM_001354609.1として特定され得る。
【0072】
本明細書で使用される場合、「BRAF遺伝子変化」とは、BRAF突然変異、BRAF増幅、BRAF遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、野生型BRAF遺伝子の変化を指す。特定の実施形態では、BRAF増幅は、コピー数増幅である。
【0073】
特定の実施形態では、BRAF遺伝子変化は、遺伝子突然変異である。BRAF遺伝子突然変異には、BRAFの一ヌクレオチド多型(SNP)が含まれる。「BRAF一ヌクレオチド多型」(SNP)は、単一のヌクレオチドが個体間で異なるBRAF遺伝子を指す。特定の実施形態では、BRAF遺伝子突然変異は、D594G置換、K601E置換、又はそれらの任意の組み合わせである。特定の実施形態では、BRAF遺伝子突然変異は、D594G置換である。特定の実施形態では、BRAF遺伝子突然変異は、K601E置換である。
【0074】
特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化、及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化、及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化、及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化、及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化、及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する。
【0075】
CCND1遺伝子変化
本明細書では更に、がん治療を必要とする患者に、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、方法について記載する。特定の実施形態では、がんは、mUCである。
【0076】
特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する。ヒトにおいて、CCND1遺伝子は、G1/S特異的サイクリンD1タンパク質をコードする。G1/S特異的サイクリンD1は、高度に保存されたサイクリンファミリーに属し、そのメンバーは、細胞周期全体を通じたタンパク質存在量の周期性によって特徴付けられる。サイクリンは、CDK(サイクリン依存性キナーゼ)の調節因子として機能する。
【0077】
本明細書で使用される場合、「CCND1遺伝子変化」とは、CCND1突然変異、CCND1増幅、CCND1遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、野生型CCND1遺伝子の変化を指す。特定の実施形態では、CCND1増幅は、コピー数増幅である。
【0078】
特定の実施形態では、CCND1遺伝子変化は、遺伝子突然変異である。CCND1遺伝子突然変異には、CCND1の一ヌクレオチド多型(SNP)が含まれる。「CCND1の一ヌクレオチド多型」(SNP)は、単一のヌクレオチドが個体間で異なるCCND1遺伝子を指す。特定の実施形態では、CCND1遺伝子突然変異は、CCND1遺伝子増幅である。
【0079】
特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化、及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化、及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化、及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化、及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化、及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する。
【0080】
ARID1A遺伝子変化
本明細書では更に、がん治療を必要とする患者に、ATリッチ相互作用ドメイン含有タンパク質1A(AT-rich interactive domain-containing protein 1A、ARID1A)阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する、方法について記載する。特定の実施形態では、がんは、mUCである。
【0081】
ARID1Aは、BRG1関連因子(BRG1-associated factor、BAF)クロマチンリモデリング複合体の構成成分である。
【0082】
「ARID1A遺伝子変化」とは、ARID1A突然変異、ARID1A増幅、ARID1A遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、野生型ARID1A遺伝子の変化を指す。特定の実施形態では、ARID1A増幅は、コピー数増幅である。
【0083】
特定の実施形態では、ARID1A遺伝子変化は、遺伝子突然変異である。ARID1A遺伝子突然変異には、ARID1Aの一ヌクレオチド多型(SNP)が含まれる。「ARID1Aの一ヌクレオチド多型」(SNP)は、単一のヌクレオチドが個体間で異なるARID1A遺伝子を指す。特定の実施形態では、ARID1A遺伝子突然変異は、Q288機能喪失突然変異、Q524機能喪失突然変異、H1881fs機能喪失突然変異、F1750fs機能喪失突然変異、Q585E置換、Q1401K置換、P392P置換、又はそれらの任意の組み合わせである。特定の実施形態では、ARID1A遺伝子突然変異は、Q288機能喪失突然変異である。特定の実施形態では、ARID1A遺伝子突然変異は、Q524機能喪失突然変異である。特定の実施形態では、ARID1A遺伝子突然変異は、H1881fs機能喪失突然変異である。特定の実施形態では、ARID1A遺伝子突然変異は、F1750fs機能喪失突然変異である。特定の実施形態では、ARID1A遺伝子突然変異は、Q585E置換である。特定の実施形態では、ARID1A遺伝子突然変異は、Q1401K置換である。特定の実施形態では、ARID1A遺伝子突然変異は、P392P置換である。
【0084】
特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのARID1A遺伝子変化、及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのARID1A遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのARID1A遺伝子変化、及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのARID1A遺伝子変化、及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのARID1A遺伝子変化、及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのARID1A遺伝子変化、及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する。
【0085】
ErbB2遺伝子変化
本明細書では更に、がん治療を必要とする患者に、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する、方法について記載する。特定の実施形態では、がんは、mUCである。
【0086】
ErbB受容体は、受容体チロシンキナーゼのファミリーに属し、細胞外リガンド結合ドメイン、1回膜貫通ドメイン、及びチロシンキナーゼ活性を有する細胞内ドメインから構成される。ErbBファミリーは、ErbB1(EGFRとしても知られる)、ErbB2(HER2又はneuとしても知られる)、ErbB3(HER3としても知られる)、及びErbB4(HER4としても知られる)を含む。
【0087】
本明細書で使用される場合、「ErbB2遺伝子変化」とは、ErbB2突然変異、ErbB2増幅、ErbB2遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、野生型ErbB2遺伝子の変化を指す。特定の実施形態では、ErbB2増幅は、コピー数増幅である。
【0088】
特定の実施形態では、ErbB2遺伝子変化は、遺伝子突然変異である。ErbB2遺伝子突然変異には、ErbB2の一ヌクレオチド多型(SNP)が含まれる。「ErbB2の一ヌクレオチド多型」(SNP)は、単一のヌクレオチドが個体間で異なるErbB2遺伝子を指す。特定の実施形態では、ErbB2遺伝子変化は、S310F置換、S250C置換、S423T置換、又はそれらの任意の組み合わせである。特定の実施形態では、ErbB2遺伝子変化は、S310F置換である。特定の実施形態では、ErbB2遺伝子変化は、S250C置換である。特定の実施形態では、ErbB2遺伝子変化は、S423T置換である。
【0089】
特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのErbB2遺伝子変化、及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのErbB2遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのErbB2遺伝子変化、及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのErbB2遺伝子変化、及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのErbB2遺伝子変化、及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのErbB2遺伝子変化、及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する。
【0090】
TERT遺伝子変化
本明細書では更に、がん治療を必要とする患者に、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、がんを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する、方法について記載する。特定の実施形態では、がんは、mUCである。
【0091】
本明細書で使用される場合、「TERT」という用語は、TP2、TRT、EST2、TCS1及びhEST2としても知られるテロメラーゼ逆転写酵素を指す。TERTは、酵素テロメラーゼの触媒サブユニットであり、テロメラーゼRNA成分(telomerase RNA component、TERC)と共に、テロメラーゼ複合体の最も重要な単位を構成する。ヒトTERT遺伝子は第5番染色体に位置し、GenBankデータベースでアクセッション番号NM_001193376.1を有する。
【0092】
本明細書で使用される場合、「TERT遺伝子変化」とは、TERT突然変異、TERT増幅、TERT遺伝子挿入、又はそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、野生型TERT遺伝子の変化を指す。特定の実施形態では、TERT増幅は、コピー数増幅である。
【0093】
特定の実施形態では、TERT遺伝子変化は、遺伝子突然変異である。TERT遺伝子突然変異には、TERTの一ヌクレオチド多型(SNP)が含まれる。「TERT一ヌクレオチド多型」(SNP)は、単一のヌクレオチドが個体間で異なるTERT遺伝子を指す。特定の実施形態では、TERT遺伝子変化は、Y667N置換、イントロンプロモーター突然変異、又はそれらの任意の組み合わせである。特定の実施形態では、TERT遺伝子変化は、Y667N置換である。特定の実施形態では、TERT遺伝子変化は、イントロンプロモーター突然変異である。
【0094】
特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのTERT遺伝子変化、及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのTERT遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのTERT遺伝子変化、及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのTERT遺伝子変化、及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのTERT遺伝子変化、及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、少なくとも1つのTERT遺伝子変化、及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する。
【0095】
開示される方法又は使用で使用される阻害剤
FGFR阻害剤
本明細書では、開示される方法及び使用における使用に適したFGFR阻害剤を提供する。FGFR阻害剤は、本明細書に記載される治療方法及び使用において、単独で、又は1つ又は2つ以上の更なるFGFR阻害剤、EGFR阻害剤、BRAF阻害剤、CCND1阻害剤、ARID1A阻害剤、ErbB2阻害剤、若しくはTERT阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、試料中に1つ又は2つ以上のFGFR遺伝子変化が存在する場合、尿路上皮癌は、米国特許出願公開第2013/0072457(A1)号(本明細書に参照により援用する)に開示されるFGFR阻害剤(その任意の互変異性体又は立体化学的異性体、及びそのN-オキシド、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を含む)によって治療することができる。
【0097】
いくつかの態様では、例えば、がん、特に尿路上皮癌は、その任意の互変異性型、そのN-オキシド、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を含む、N-(3,5-ジメトキシフェニル)-N’-(1-メチルエチル)-N-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)キノキサリン-6-イル]エタン-1,2-ジアミン(本明細書では「JNJ-42756493」又は「JNJ493」又はエルダフィチニブと称する)で治療することができる。いくつかの実施形態では、FGFR阻害剤は、エルダフィチニブとも称される式(I)の化合物:
【0098】
【化1】
又はその薬学的に許容される塩であってもよい。いくつかの態様では、薬学的に許容される塩は、HCl塩である。好ましい態様では、エルダフィチニブ塩基が使用される。
【0099】
1日1回の経口汎FGFRキナーゼ阻害剤であるエルダフィチニブ(Erdafitinib、ERDAとも称される)は、感受性FGFR3又はFGFR2遺伝子変化を有する局所進行性UC又はmUCを有し、少なくとも1ラインの以前の白金含有化学療法の間、又はその後に進行した(ネオアジュバント又はアジュバント白金含有化学療法の12カ月以内を含む)成人患者の治療用に米国食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)によって承認されている。Loriot Y et al.NEJM.2019;381:338-48。エルダフィチニブは、mUC及びFGFR発現の変化を有する患者において臨床上の効果及び忍容性を示している。Tabernero J,et al.J Clin Oncol.2015;33:3401-3408;Soria J-C,et al.Ann Oncol.2016;27(Suppl 6):vi266-vi295.Abstract 781PD;Siefker-Radtke AO,et al.ASCO 2018.Abstract 4503;Siefker-Radtke A,et al.ASCO-GU 2018.Abstract 450。
【0100】
いくつかの実施形態では、がん、特に尿路上皮癌は、FGFR阻害剤で治療することができ、ここで、FGFR阻害剤は、N-[5-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)エチル]-2H-ピラゾール-3-イル]-4-(3,5-ジメチルピペラジン-1-イル)ベンズアミド(AZD4547)(Gavine,P.R.,et al.,AZD4547:An Orally Bioavailable,Potent,and Selective Inhibitor of the FGFR Tyrosine Kinase Family,Cancer Res.April 15,2012 72;2045に記載される)
【0101】
【化2】
である(化学的に可能な場合には、その任意の互変異性体又は立体化学的異性体、及びそのN-オキシド、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を含む)。
【0102】
いくつかの実施形態では、がん、特に尿路上皮癌は、FGFR阻害剤で治療することができ、ここで、FGFR阻害剤は、国際公開第2006/000420号に記載されるような3-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ-フェニル)-l-{6-[4-(4 エチル-ピペラジン-l-イル)-フェニルアミノ]-ピリミジ-4-イル}-メチル-尿素(NVP-BGJ398)
【0103】
【化3】
である(化学的に可能な場合には、その任意の互変異性体又は立体化学的異性体、及びそのN-オキシド、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を含む)。
【0104】
いくつかの実施形態では、がん、特に尿路上皮癌は、FGFR阻害剤で治療することができ、ここで、FGFR阻害剤は、国際公開第2006/127926号に記載されるような4-アミノ-5-フルオロ-3-[6-(4-メチルピペラジン-l-イル)-lH-ベンズイミダゾール-2-イル]-lH-キノリン-2-オン(ドビチニブ)
【0105】
【化4】
である(化学的に可能な場合には、その任意の互変異性体又は立体化学的異性体、及びそのN-オキシド、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を含む)。
【0106】
いくつかの実施形態では、がん、特に尿路上皮癌は、FGFR阻害剤で治療することができ、ここで、FGFR阻害剤は、6-(7-((1-アミノシクロプロピル)-メトキシ)-6-メトキシキノリン-4-イルオキシ)-N-メチル-1-ナフタミド(AL3810)(ルシタニブ;E-3810)(Bello,E.et al.,E-3810 Is a Potent Dual Inhibitor of VEGFR and FGFR that Exerts Antitumor Activity in Multiple Preclinical Models,Cancer Res February 15,2011 71(A)1396-1405及び国際公開第2008/112408号に記載される)
【0107】
【化5】
である(化学的に可能な場合には、その任意の互変異性体又は立体化学的異性体、及びそのN-オキシド、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を含む)。
【0108】
更なる適当なFGFR阻害剤としては、BAY1163877(Bayer)、BAY1179470(Bayer)、TAS-120(Taiho)、ARQ087(ArQule)、ASP5878(Astellas)、FF284(Chugai)、FP-1039(GSK/FivePrime)、Blueprint、LY-2874455(Lilly)、RG-7444(Roche)、ペミガチニブ、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる(化学的に可能な場合には、その任意の互変異性体又は立体化学的異性体、及びそのN-オキシド、その薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物が含まれる)。
【0109】
一実施形態では、広くはFGFR阻害剤、より具体的にはエルダフィチニブは、薬学的に許容される塩として投与される。好ましい実施形態では、広くはFGFR阻害剤、より具体的にはエルダフィチニブは、塩基形態として投与される。一実施形態では、広くはFGFR阻害剤、より具体的にはエルダフィチニブは、8mgの塩基当量に相当する量、又は9mgの塩基当量に相当する量で薬学的に許容される塩として投与される。好ましい実施形態では、広くはFGFR阻害剤、より具体的にはエルダフィチニブは、8mg又は9mgの量で塩基形態として投与される。
【0110】
これらの塩は、例えば、広くはFGFR阻害剤、より具体的にはエルダフィチニブを、適当な溶媒中で適当な酸と反応させることによって調製することができる。
【0111】
酸付加塩を、無機酸及び有機酸と形成させてもよい。酸付加塩の例としては、酢酸、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸(メシラート)、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、マロン酸、グルクロン酸及びラクトビオン酸からなる群から選択される酸と形成される塩が挙げられる。酸付加塩の別の群には、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、DL-乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、馬尿酸、塩酸、グルタミン酸、DL-リンゴ酸、メタンスルホン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸及び酒石酸から形成される塩が含まれる。
【0112】
一実施形態では、広くはFGFR阻害剤、より具体的にはエルダフィチニブは、溶媒和物の形態で投与される。本明細書で使用される場合、「溶媒和物」という用語は、広くはFGFR阻害剤、より具体的にはエルダフィチニブと1つ以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、水素結合など、イオン結合及び共有結合の度合いの変化を伴う。特定の場合では、例えば1つ又は2つ以上の溶媒分子が結晶質固体の結晶格子に組み込まれているとき、この溶媒和物を単離することができるようになる。「溶媒和物」という用語は、溶液相溶媒和物と、単離可能な溶媒和物の両方を包含するものとする。溶媒和物を形成し得る溶媒の非限定的な例としては、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸又はエタノールアミンなどが挙げられる。
【0113】
溶媒和物は、製薬化学では周知のものである。溶媒和物は、物質を調製するためのプロセスにおいて(例えば、それらの精製に関連して)、物質の保管(例えば、その安定性)、また物質の取り扱いの容易さに関して重要であり得、しばしば、化学合成の単離又は精製段階の一環として形成される。当業者によれば、所与の化合物を調製するために用いられる単離条件又は精製条件によって水和物又は他の溶媒和物が形成されたかどうかを、標準的かつ長く使用されてきた技術によって判定することができる。そのような技術の例としては、熱重量分析(thermogravimetric analysis、TGA)、示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry、DSC)、X線結晶学(例えば、単結晶X線結晶学又はX線粉末回折)及び固体NMR(Solid-State NMR、SS-NMR、マジック角回転NMR又はMagic Angle Spinning NMR、MAS-NMRとしても知られる)が挙げられる。このような技術は、NMR、IR、HPLC及びMSと同様、熟練した化学者の標準的な分析ツールキットの一部である。あるいは、当業者は、特定の溶媒和物に必要な量の溶媒を含む結晶化条件を用いて溶媒和物を意図的に形成することができる。その後、上記の標準的な方法を使用して、溶媒和物が形成されたかどうかを確認することができる。また、任意の複合体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との包接複合体若しくは包接体、又は金属との錯体)も包含される。
【0114】
更に、化合物は、1つ又は2つ以上の多形(結晶性)又は非晶質形態を有し得る。
【0115】
化合物は、1つ又は2つ以上の同位体置換を有する化合物を含み、特定の元素への言及は、その元素の全ての同位体がその範囲内に含まれる。例えば、水素への言及には、その範囲内にH、H(D)、及びH(T)が含まれる。同様に、炭素及び酸素への言及は、それらの範囲内に12C、13C及び14C、並びに16O及び18Oがそれぞれ含まれる。このような同位体は、放射性同位体であってもよく、又は非放射性同位体であってもよい。一実施形態では、化合物は放射性同位体を含有しない。このような化合物は治療用途で好ましい。しかしながら、別の実施形態では、化合物は、1つ又は2つ以上の放射性同位体を含み得る。このような放射性同位体を含む化合物は、診断の場面において有用であり得る。
【0116】
EGFR阻害剤
本明細書では、開示される方法及び使用における使用に適したEGFR阻害剤を提供する。EGFR阻害剤は、本明細書に記載される治療方法及び使用において、単独で、又は1つ又は2つ以上の更なるEGFR阻害剤、FGFR阻害剤、BRAF阻害剤、CCND1阻害剤、ARID1A阻害剤、ErbB2阻害剤、若しくはTERT阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0117】
EGFR阻害剤という用語は、野生型EGFR又は本明細書に開示される遺伝子変化のうちの1つ又は2つ以上を有するEGFRの活性及び/又は発現に影響を及ぼすことができる任意の1つ又は2つ以上の薬剤(薬物)、化合物又は分子を指す。特定の実施形態では、1つ以上のEGFR遺伝子変化が試料中に存在する場合、がん、特に尿路上皮癌は、抗EGFR抗体セツキシマブ(アービタックス)、パンチヌマブ(ベクティビックス)、マツズマブ、ニモツズマブ、低分子量EGFR阻害剤タルセバ(エルロチニブ)、IRESSA(ゲフィチニブ)、EKB-569(ペリチニブ、不可逆性EGFR TKI)、汎ErbB及び他の受容体チロシンキナーゼ阻害剤ラパチニブ(EGFR及びHER2阻害剤)、ペリチニブ(EGFR及びHER2阻害剤)、バンデタニブ(ZD6474、ZACTIMA(商標)、EGFR、VEGFR2及びRET TKI)、PF00299804(ダコミチニブ、不可逆性汎ErbB TKI)、CI-1033(不可逆性汎ErbB TKI)、アファチニブ(BIBW2992、不可逆性ErbB TKI)、AV-412(二重EGFR及びErbB2阻害剤)、EXEL-7647(EGFR、ErbB2、GEVGR及びEphB4阻害剤)、CO-1686(不可逆性突然変異体選択的EGFR TKI)、AZD9291(不可逆性突然変異体選択的EGFR TKI)、HKI-272(ネラチニブ、不可逆性EGFR/ErbB2阻害剤)、EGFR標的化ショートヘアピンRNA(short hairpin RNAs、shRNA)、EGFR標的化低分子干渉RNA(small interfering RNAs、siRNA)、及びそれらの組み合わせを含む適当なEGFR阻害剤で治療することができる。それぞれの可能性は、別々の実施形態である。
【0118】
いくつかの態様において、1つ以上のEGFR遺伝子変化が試料中に存在する場合、がん、特に尿路上皮癌は、本明細書に参照によりその全容を援用するところの国際公開第2014081954号に記載されるような二重特異性抗EGFR/c-Met分子で治療することができる。特定の実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met分子は、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体である。特定の実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Metは、アミバンタマブ(JNJ-61186372としても知られる)である。
【0119】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のEGFR変化が試料中に存在する場合、がん、特に尿路上皮癌は、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(tyrosine kinase inhibitor、TKI)で治療することができる。特定の実施形態では、EGFR TKIは、オシメルチニブである。特定の実施形態では、EGFR TKIは、ラゼルチニブである。ラゼルチニブの構造及び合成は、本明細書に参照によりその全容を援用するところの米国特許第9,593,098号に記載されている。ラゼルチニブは、N-(5-(4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イルアミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミドとも称される場合がある。
【0120】
特定の実施形態によれば、ラゼルチニブは、T790Mの単一突然変異及び二重突然変異に対して強い阻害活性を有する高度に選択的かつ不可逆性のEGFR TKIであり、例えば、活性化EGFR突然変異del19及びL858R、並びにT790M突然変異を標的とする。本発明の一態様では、突然変異は、delE746-A750、L858R、又はT790Mであってもよく、delE746-A750/T790M又はL858R/T790Mから選択される二重突然変異であってもよい。
【0121】
がんに関連し得る例示的なEGFR活性化突然変異などのEGFR突然変異の例としては、チロシンキナーゼ活性の上昇、受容体ホモ二量体及びヘテロ二量体の形成、リガンド結合の強化などのEGFRの少なくとも1つの生物活性を増加させる点突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異、逆位、又は遺伝子増幅が挙げられる。突然変異は、EGFR遺伝子又はEGFR遺伝子に関連する調節領域の任意の部分に位置する可能性があり、エクソン18、19、20、若しくは21における突然変異を含む。EGFR活性化突然変異の他の例は、当該技術分野では周知のものである(例えば、本明細書に参照により援用するところの米国特許出願公開第2005/0272083号を参照されたい)。
【0122】
いくつかの実施形態では、EGFR突然変異は、E709K、L718Q、L718V、G719A、G719X、G724X、G724S、I744T、E746K、L747S、E749Q、A750P、A755V、V765M、C775Y、T790M、L792H、L792V、G796S、G796R、G796C、C797S、T854I、L858P、L858R、L861X、delE746-A750、delE746_T751InsKV、delE746_A750InsHS、delE746_T751InsFPT、delE746_T751InsL、delE746_S752InsIP、delE746_P753InsMS、delE746_T751InsA、delE746_T751InsAPT、delE746_T751InsVA、delE746_S752InsV、delE746_P753InsVS、delE746_K754InsGG、delE746_E749、delE746_E749InsP、delL747_E749、delL747_A750InsP、delL747_T751InsP、delL747_T751InsN、delL747_S752InsPT、delL747_P753InsNS、delL747_S752InsPI、delL747_S752、delL747_P753InsS、delL747_K754、delL747_T751InsS、delL747_T751、delL747_P753InsS、delA750_I759InsPT、delT751_I759InsT、delS752_I759、delT751_I759InsN、delT751_D761InsNLY、delS752_I759、delR748-P753、delL747-P753insS、delL747-T751、M766_A767InsA、S768_V769InsSVA、P772_H773InsNS、D761_E762InsX、A763_Y764InsX、Y764_Y765 InsX、M766_A767InsX、A767_V768 InsX、S768_V769 InsX、V769_D770 InsX、D770_N771 InsX、N771_P772 InsX、P772_H773 InsX、H773_V774 InsX、V774_C775 InsX、EGFRのエクソン20内の1つ又は2つ以上の欠失若しくはEGFRのエクソン20内の1つ又は2つ以上の挿入、EGRFのエクソン19内の1つ又は2つ以上の欠失若しくはEGFRのエクソン19内の1つ又は2つ以上の挿入であり、Xは、天然に存在するアミノ酸のうち任意のものを指し、アミノ酸1~7個の長さであってもよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、EGFR突然変異は、エクソン19内の1つ又は2つ以上の欠失若しくはL858R、又はこれらの任意の組み合わせである。例示的なエクソン19欠失は、delE746-A750、delE746_T751InsKV、delE746_A750InsHS、delE746_T751InsFPT、delE746_T751InsL、delE746_S752InsIP、delE746_P753InsMS、delE746_T751InsA、delE746_T751InsAPT、delE746_T751InsVA、delE746_S752InsV、delE746_P753InsVS、delE746_K754InsGG、delE746_E749、delE746_E749InsP、delL747_E749、delL747_A750InsP、delL747_T751InsP、delL747_T751InsN、delL747_S752InsPT、delL747_P753InsNS、delL747_S752InsPI、delL747_S752、delL747_P753InsS、delL747_K754、delL747_T751InsS、delL747_T751、delL747_P753InsS、delA750_I759InsPT、delT751_I759InsT、delS752_I759、delT751_I759InsN、delT751_D761InsNLY、delS752_I759、delR748-P753及びdelL747-P753insS、delL747-T751である。
【0124】
例示的なc-Met突然変異としては、チロシンキナーゼ活性の上昇、受容体ホモ二量体及びヘテロ二量体の形成、リガンド結合の強化などのc-Metタンパク質の少なくとも1つの生物活性を増加させる点突然変異、欠失突然変異、挿入突然変異、逆位、又は遺伝子増幅が挙げられる。突然変異は、c-Met遺伝子の任意の部分又はc-Metのキナーゼドメインにおける突然変異などの遺伝子に関連する制御領域に位置し得る。例示的なc-Met突然変異は、残基位置N375、V13、V923、R175、V136、L229、S323、R988、S1058/T1010、及びE168における突然変異、又はエクソン14スキッピング突然変異である。
【0125】
いくつかの実施形態では、c-Met突然変異は、c-Metのエクソン14スキッピング突然変異である。
【0126】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、HC1、LC1、HC2、及びLC2を含む単離された二重特異性EGFR/c-Met抗体を提供し、HC1は配列番号41の配列を含み、LC1は配列番号42の配列を含み、HC2は配列番号43の配列を含み、LC2は配列番号44の配列を含む。特定の実施形態では、HC1、LC1、HC2及び/又はLC2は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15個の保存的アミノ酸置換を更に含む。
【0127】
HC1、LC1、HC2、及びLC2アミノ酸配列が本明細書に開示される抗体とわずかに異なる二重特異性EGFR/c-Met抗体は、本発明の範囲内に包含される。典型的には、これは、抗体の特性に悪影響を及ぼすことなく、抗原結合部位若しくはフレームワークにおいて類似する電荷、疎水性、又は立体化学的特徴を有するアミノ酸との1つ以上の保存的アミノ酸置換を伴う。保存的置換は、例えば安定性又は親和性といった抗体の特性を向上させるためにも行われ得る。1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のアミノ酸置換が、例えば、VH1、VL1、VH2及び/又はVL2に対して行われ得る。例えば、「保存的アミノ酸置換」では、その位置のアミノ酸残基の極性又は電荷にほとんどあるいはまったく影響しないように天然アミノ酸残基を非天然残基と置換することができる。更に、ポリペプチド中の任意の天然残基はまた、アラニンスキャニング突然変異誘発(MacLennan et al.,Acta Physiol Scand Suppl 643:55-67,1998;Sasaki et al.,Adv Biophys 35:1-24,1998)に関して以前に記載されているように、アラニンで置換することもできる。所望のアミノ酸置換は、そのような置換が望まれる時点で当業者が決定することができる。例えば、アミノ酸置換を用いることによってその分子の配列の重要な残基を特定したり、又は本明細書で述べる分子の親和性を増大若しくは減少させることができる。例示的な保存的アミノ酸置換は、上記に記載されている。
【0128】
本明細書で使用される場合、「二重特異性抗EGFR/c-Met抗体」又は「二重特異性EGFR/c-Met抗体」という用語は、EGFRに特異的に結合する第1のドメインとc-Metに特異的に結合する第2のドメインとを有する二重特異性抗体を指す。EGFR及びc-Metに特異的に結合するドメインは、典型的には、VH/VL対であり、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、EGFR及びc-Metに対する結合に関して一価である。
【0129】
本明細書で使用される場合、「置換する」、又は「置換した」、又は「突然変異する」、又は「突然変異した」という用語は、その配列の変異体を生成するために、ポリペプチド又はポリヌクレオチドの配列に1つ以上のアミノ酸又はヌクレオチドを変化させること、欠失させること、又は挿入することを指す。
【0130】
本明細書で使用される場合、「変異体」とは、例えば、置換、挿入、又は欠失のような1つ以上の改変において参照ポリペプチド又は参照ポリヌクレオチドと異なるポリペプチド又はポリヌクレオチドを指す。
【0131】
本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」又は「特異的結合」という用語は、二重特異性EGFR/c-Met抗体が、約1×10-6M以下、例えば、約1×10-7M以下、約1×10-8M以下、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、約1×10-12M以下、又は約1×10-13M以下の解離定数(K)で所定の抗原に結合する能力を指す。典型的には、二重特異性EGFR/c-Met抗体は、例えば、Proteon機器(BioRad)を使用した表面プラズモン共鳴によって測定した場合に、非特異的抗原(例えば、BSA又はカゼイン)に対するKよりも少なくとも10倍低いKで所定の抗原(すなわち、EGFR又はc-Met)に結合する。したがって、二重特異性EGFR/c-Met抗体は、少なくとも約1×10-6M以下、例えば、約1×10-7M以下、約1×10-8M以下、約1×10-9M以下、約1×10-10M以下、約1×10-11M以下、約1×10-12M以下、又は約1×10-13M以下の結合親和性(K)で各EGFR及びc-Metに特異的に結合する。しかしながら、所定の抗原に特異的に結合する二重特異性EGFR/c-Met抗体は、他の関連する抗原、例えば他の種に由来する同じ所定の抗原(ホモログ)に対して交差反応性を有し得る。
【0132】
本明細書で使用される場合、「肝細胞増殖因子受容体」又は「c-Met」という用語は、配列番号40又はGenBankアクセッション番号NP_001120972に示されるアミノ酸配列を有するヒトc-Met及びその天然の変異体を指す。
【0133】
本明細書で互換的に使用される「結合を遮断する」、又は「結合を阻害する」とは、二重特異性EGFR/c-Met抗体が、EGFRに対するEGF及び/又はc-Metに対するHGFなどのEGFRリガンドの結合を遮断又は阻害できることを指し、部分的及び完全な遮断/阻害の両方を包含する。二重特異性EGFR/c-Met抗体の遮断/阻害は、遮断又は阻害を伴わないEGFRへのEGFRリガンドの結合及び/又はc-MetへのHGFの結合と比較して、EGFRシグナル伝達及び/又はc-Metシグナル伝達の正常レベルを部分的又は完全に低下させる。二重特異性EGFR/c-Met抗体は、阻害が少なくとも30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である場合、EGFRに対するEGF及び/又はc-Metに対するHGFなどのEGFRリガンドの「結合を遮断する」。結合の阻害は、周知の方法、例えば、二重特異性EGFR/c-Met抗体に暴露されたEGFR発現A431細胞に対するビオチン化EGFの結合の阻害をFACSを用いて測定することによって、又はc-Met細胞外ドメインに対するビオチン化HGFの結合の阻害を周知の方法及び本明細書に記載の方法を用いて測定することによって測定することができる。
【0134】
「EGFRシグナル伝達」という用語は、EGFRに対するEGFRリガンドの結合により誘発されるシグナル伝達を指し、それによってEGFRの少なくとも1個のチロシン残基の自己リン酸化が起こる。例示的なEGFRリガンドはEGFである。
【0135】
本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、広義の意味を有するものとし、ポリクローナル抗体、マウス、ヒト、ヒト適合化、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体を含む、モノクローナル抗体、抗体フラグメント、二重特異性又は多重特異性抗体、二量体、四量体、又は多量体抗体、及び一本鎖抗体を含む、免疫グロブリン分子を含む。
【0136】
免疫グロブリンは、重鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて5つの主なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプのIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類される。いずれの脊椎動物種の抗体軽鎖も、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて2つの明確に異なるタイプ、すなわちカッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に割り当てられ得る。
【0137】
「抗体フラグメント」という用語は、重鎖及び/又は軽鎖抗原結合部位、例えば、重鎖相補性決定領域(heavy chain complementarity determining region、HCDR)1、2、及び3、軽鎖相補性決定領域(light chain complementarity determining region、LCDR)1、2、及び3、重鎖可変領域(heavy chain variable region、VH)、又は軽鎖可変領域(light chain variable region、VL)を有する免疫グロブリン分子の部分を指す。抗体フラグメントは、VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価のフラグメントであるFabフラグメントと、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントであるF(ab’)2フラグメントと、VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメントと、抗体の1本のアームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメントと、VHドメインからなる、ドメイン抗体(dAb)フラグメント(Wardら(1989年)、Nature 341:544~546)と、を含む。VHドメイン及びVLドメインは、操作され、合成リンカーを介して一緒に連結して様々な種類の一本鎖抗体設計を形成することができ、ここでVH/VLドメインは、分子内で対合するか、又はVHドメイン及びVLドメインが別々の一本鎖抗体構築物によって発現される場合には分子間で対合して、一本鎖Fv(single chain Fv、scFv)又はダイアボディなどの一価の抗原結合部位を形成する。これらは、例えば、国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、同第1994/13804号、及び同第1992/01047号に記載されている。これらの抗体フラグメントは、当業者に周知の技術を使用して得られ、これらのフラグメントは完全長抗体の場合と同一の方法で、有用性に関してスクリーニングされる。
【0138】
「単離された抗体」という語句は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体又は抗体フラグメントを指す(例えば、EGFR及びc-Metに特異的に結合する単離された二重特異性抗体は、ヒトEGFR及びc-Met以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない)。しかしながら、EGFR及びc-Metに特異的に結合する単離された抗体は、カニクイザル(Macaca fascicularis)EGFR及び/又はc-MetなどのヒトEGFR及び/又はc-Metのオルソログなどの他の抗原に対する交差反応性を有し得る。更に、単離された抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まない場合がある。
【0139】
抗体可変領域は、3つの「抗原結合部位」によって中断された「フレームワーク」領域からなる。抗原結合部位は、様々な用語を用いて定義される:(i)相補性決定領域(CDR)、これは、配列特異性に基づいてVH内に3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)及びVL内に3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)が存在する(Wu and Kabat J Exp Med 132:211-50,1970、Kabat et al Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)、(ii)VH内に3つ(H1、H2、H3)及びVL内に3つ(L1、L2、L3)の「超可変性領域」、「HVR」、又は「HV」は、Chothia及びLesk(Chothia and Lesk Mol Biol 196:901-17,1987)によって定義されるとおり、構造において超可変性である、抗体可変ドメインの領域を指す。他の用語には、「IMGT-CDR」(Lefranc et al.,Dev Comparat Immunol 27:55-77,2003)及び「Specificity Determining Residue Usage」(SDRU)(Almagro Mol Recognit 17:132-43,2004)が含まれる。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベース(http://www_imgt_org)は、抗原結合部位についての標準的番号及び定義を提供する。CDR、HV、及びIMGT概要説明の対応が、Lefranc et al.,Dev Comparat Immunol 27:55-77,2003に記載されている。
【0140】
本明細書で使用される場合、「Chothia残基」は、Al-Lazikani(Al-Lazikani et al.,J Mol Biol 273:927-48,1997)に従って番号付けされた抗体VL残基及びVH残基である。
【0141】
「フレームワーク」又は「フレームワーク配列」は、抗原結合部位として定義されたものを除く、可変領域の残りの配列である。抗原結合部位は上述のような様々な用語によって定義され得るため、フレームワークの正確なアミノ酸配列は抗原結合部位がどのように定義されたかによる。
【0142】
「ヒト化抗体」とは、抗原結合部位が非ヒト種に由来し、可変領域フレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する、抗体を指す。ヒト化抗体はフレームワーク領域内に置換を含む可能性があることから、かかるフレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン又は生殖細胞系列遺伝子配列の完全な複製物でなくてもよい。
【0143】
「ヒト抗体」とは、フレームワーク及び抗原結合部位の両方がヒト起源の配列に由来する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を有する抗体を指す。抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もヒト起源の配列に由来する。
【0144】
ヒト抗体は、抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合のヒト起源の配列に「由来する」重鎖可変領域又は軽鎖可変領域を含む。そのような系は、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及び本明細書に記載されるヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するマウスなど、トランスジェニックの非ヒト動物を含む。「ヒト抗体」は、例えばフレームワーク又は抗原結合部位内に天然に存在する体細胞突然変異、又は意図的な置換の導入によりヒト生殖系列又は再編成された免疫グロブリン配列と比較した場合に、アミノ酸の相違を含有し得る。典型的には、ヒト抗体は、アミノ酸配列において、ヒト生殖系列又は再編成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一である。一部の場合では、「ヒト抗体」は、例えばKnappik et al.,J Mol Biol 296:57-86,2000)に記載されるヒトフレームワーク配列分析から得られたコンセンサスフレームワーク配列、又は例えばShi et al.,J Mol Biol 397:385-96,2010及び国際特許出願公開第2009/085462号)に記載される、ファージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた合成HCDR3を含有し得る。抗原結合部位が非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれない。
【0145】
単離されたヒト化抗体は合成であり得る。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来するものであるが、合成CDR及び/若しくは合成フレームワークを組み込んだファージディスプレイなどの系を用いて生成され得るか、又はインビトロ突然変異誘発を行って抗体の特性を改善することができ、インビボのヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しない抗体を得ることができる。
【0146】
本明細書で使用される場合、「組換え抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン遺伝子のトランスジェニック若しくは染色体導入動物(例えばマウス)又はそれから調製されたハイブリドーマ(下記に更に述べる)から単離された抗体、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から単離された抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリから単離された抗体、並びにヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライスすることを伴う任意の他の手段により調製、発現、創出、又は単離された抗体、あるいはFabアーム交換を用いてインビトロで生成される抗体などの組換え手段により調製、発現、創出、又は単離される全ての抗体を含む。
【0147】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、単一分子組成物の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性及び親和性を示し、又は二重特異性モノクローナル抗体の場合には、2つの別個のエピトープに対する二重結合特異性を示す。
【0148】
本明細書で使用される場合、「実質的に同一の」という表現は、比較される2つの抗体可変領域のアミノ酸配列が同一であるか又は「わずかな相違」があるということを意味する。わずかな相違は、抗体特性に悪影響を及ぼさない抗体可変領域配列中の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15アミノ酸の置換である。本明細書に開示される可変領域配列と実質的に同一のアミノ酸配列は、本発明の範囲内である。一部の実施形態では、配列の同一性は、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれよりも高い可能性がある。同一性パーセントは、例えば、Vector NTI v.9.0.0(Invitrogen、Carlsbad,Calif.)のAlignXモジュールの初期設定を使用するペアワイズアライメントによって決定することができる。タンパク質配列、特に本明細書に記載されるタンパク質配列をクエリー配列として使用して、例えば、関連配列を確認するための公開データベース又は特許データベースに対して検索を行うことができる。そのような検索を実行するために使用される例示的なプログラムは、初期設定を使用する、XBLAST若しくはBLASTPプログラム(http_//www_ncbi_nlm/nih_gov)、又はGenomeQuest(商標)(GenomeQuest、Westborough,Mass.)スイートである。
【0149】
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、抗体が特異的に結合する抗原の部分を意味する。エピトープは通常、アミノ酸又は多糖類側鎖のような部位の化学的に活性な(極性、非極性又は疎水性など)表面基からなり、特定の三次元構造特性及び特定の電荷特性を有し得る。エピトープは、立体配座的な空間単位を形成する連続的な、かつ/又は不連続的なアミノ酸で構成されうる。不連続なエピトープでは、抗原の直鎖配列の異なる部分にあるアミノ酸が、タンパク質分子の折り畳みにより三次元空間でごく近接するようになる。
【0150】
BRAF阻害剤
本明細書では、開示される方法及び使用における使用に適したBRAF阻害剤を提供する。BRAF阻害剤は、本明細書に記載される治療方法及び使用において、単独で、又は1つ又は2つ以上の更なるBRAF阻害剤、FGFR阻害剤、EGFR阻害剤、CCND1阻害剤、ARID1A阻害剤、ErbB2阻害剤、若しくはTERT阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0151】
BRAF阻害剤という用語は、野生型BRAF又は本明細書に開示される遺伝子変化のうちの1つ又は2つ以上を有するBRAFの活性及び/又は発現に影響を及ぼすことができる任意の1つ又は2つ以上の薬剤(薬物)、化合物又は分子を指す。阻害剤は選択的であっても非選択的であってもよい。一実施形態では、化合物又は薬剤は、BRAFをアンタゴナイズし、構成的BRAF活性に関連する下流の生物学的作用を阻害する(例えば、MEK及びERKのリン酸化を阻害する)。いくつかの実施形態では、阻害剤は、阻害剤がMAPK活性の増加を誘導する逆説的なMAPK効果を呈し得る。いくつかの実施形態では、BRaf阻害剤は、化合物、その誘導体、その許容される塩及び/又はその溶媒和物を含み得る。一実施形態では、BRAF阻害剤は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(mitogen-activated protein kinase kinase、MEK)阻害剤などのBRAFシグナル伝達経路の阻害剤である。
【0152】
特定の実施態様では、1つ又は2つ以上のBRAF遺伝子変化が試料中に存在する場合、がん、特に尿路上皮癌は、U0126、2’-アミノ-3’-メトキシフラボン、SB2033580(4-(4’-フルオロフェニル)-2-(4’-メチルスルフィニルフェニル)-5-(4’-ピリジル)-イミダゾール)、CI-1040(PD184352)、PD325901、GDC 0973(XL 518)、AZD6244(セルメチニブ、ARRY-142886)、GSK1120212(トラメチニブ)、RDEA119(レファメチニブ)、PD318088、AS703026、AZD8330、TAK-733、CH4987655(RO4987655)、MEK-162(ビニメチニブ)、PD98059、及びこれらの組み合わせを含むマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)阻害剤などのBRAFシグナル伝達経路の適当な阻害剤で治療することができる。特定の実施形態では、1つ又は2つ以上のBRAF遺伝子変化が試料中に存在する場合、がん、特に尿路上皮癌は、BRAFを標的とするショートヘアピン型RNA(shRNA)、BRAFを標的とする低分子干渉RNA(siRNA)、及びこれらの組み合わせを含むBRAFの適当な阻害剤で治療することができる。それぞれの可能性は、別々の実施形態である。
【0153】
加えて、発がん性BRAF(BRAF又は突然変異BRAF)の発現又は活性を阻害する化合物は、当業者に周知のスクリーニング方法を使用して容易に特定することができる(例えば、米国特許出願第2008/0072337号を参照されたい)。一実施形態では、スクリーニング方法によって特定される化合物は、BRAF核酸又はBRAFポリペプチドに特異的に結合する。インビボ又は細胞培養アッセイを使用して、試験化合物が、細胞内のBRAFを阻害するアンタゴニストとして機能するかどうかを決定することができる。
【0154】
CCND1阻害剤
本明細書では、開示される方法及び使用における使用に適したCCND1阻害剤を提供する。CCND1阻害剤は、本明細書に記載される治療方法及び使用において、単独で、又は1つ又は2つ以上の更なるCCND1阻害剤、FGFR阻害剤、EGFR阻害剤、BRAF阻害剤、ARID1A阻害剤、ErbB2阻害剤、若しくはTERT阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0155】
CCND1阻害剤という用語は、野生型CCND1又は本明細書に開示される遺伝子変化のうちの1つ又は2つ以上を有するCCND1の活性及び/又は発現に影響を及ぼすことができる任意の1つ又は2つ以上の薬剤(薬物)、化合物又は分子を指す。いくつかの実施形態では、1つ以上のCCND1遺伝子変化が試料中に存在する場合、がん、特に尿路上皮癌は、インジルビン、アルシリアフラビンA、NSC625987、ファスカプリシン、インジルビン-5-スルホン酸ナトリウム塩、インドロ[6,7-a]ピロロ[3,4-c]カルバゾール、CCND1標的化ショートヘアピンRNA(shRNA)、CCND1標的化低分子干渉RNA(siRNA)、及びこれらの組み合せを含む適当なCCND1阻害剤で治療することができる。それぞれの可能性は、別々の実施形態である。
【0156】
ErbB2阻害剤
本明細書では、開示される方法及び使用における使用に適したErbB2阻害剤を提供する。ErbB2阻害剤は、本明細書に記載される治療方法及び使用において、単独で、又は1つ又は2つ以上の更なるErbB2阻害剤、FGFR阻害剤、EGFR阻害剤、BRAF阻害剤、ARID1A阻害剤、CCND1阻害剤、若しくはTERT阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0157】
ErbB2阻害剤という用語は、野生型ErbB2又は本明細書に開示される遺伝子変化のうちの1つ又は2つ以上を有するErbB2の活性及び/又は発現に影響を及ぼすことができる任意の1つ又は2つ以上の薬剤(薬物)、化合物又は分子を指す。特定の実施形態では、ErbB2阻害剤は、ErbB2リン酸化を阻害するか(すなわち、ErbB2活性化を阻害し、ErbB2キナーゼ活性及び下流のシグナル伝達を遮断する)、又はErbB2タンパク質レベルの低下を引き起こすかのいずれかによってErbB2活性を阻害するのに有効な化合物又は薬剤である。
【0158】
特定の実施形態では、1つ又は2つ以上のErbB2遺伝子変化が試料中に存在する場合、がん、特に尿路上皮癌は、ペルツズマブ、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ダコミチニブ、国際公開第2012162561号に記載されるErbB2抗体、ネラチニブ、アリチニブトシラート、ポジオチニブ、CUDC-101(Curis)、BT-2111(biOsasis)、マルゲツキシマブ、エクセリクシス、NT-004又はNT-113(Jiangsu Kanion Pharmaceutical Co Ltd)、S-222611(Shionogi & Co Ltd)、AG879、ムブリチニブ、AC-480(Bristol-Myers Squibb Co)、サピチニブ、MM-111(Merrimack Pharmaceuticals Inc)、PR-610(University of Auckland)、シパチニブ、トラスツズマブ-デュオカルマイシン、プロランタ、バルリチニブ、カハラリドF、TrasGEX、マソプロコール、ARRY-380(Array BioPharma)、エルビシヌマブ、HuMax-Her2、CP-724714(Pfizer)、COVA-208(Covagen)、ラパチニブ及びパゾパニブ、AEE-788(Novartis)、カネルチニブ、ペリチニブ、BMS-690514(Bristol-Meyers Squibb)、アファチニブ、ダコミチニブ、AV-412、EXEL-7647、HKI-272(ネラチニブ)、セツキシマブ(アービタックス)、パニツムマブ(ベクティビックス)、ErbB2標的化ショートヘアピンRNA(shRNA)、ErbB2標的化低分子干渉RNA(siRNA)、及びこれらの組み合わせを含む適当なErbB2阻害剤又はErbB2受容体阻害剤で治療することができる。それぞれの可能性は、別々の実施形態である。
【0159】
TERT阻害剤
本明細書では、開示される方法及び使用における使用に適したTERT阻害剤を提供する。TERT阻害剤は、本明細書に記載される治療方法及び使用において、単独で、又は1つ又は2つ以上の更なるTERT阻害剤、FGFR阻害剤、EGFR阻害剤、BRAF阻害剤、ARID1A阻害剤、ErbB2阻害剤、若しくはCCND1阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0160】
TERT阻害剤という用語は、野生型TERT又は本明細書に開示される遺伝子変化のうちの1つ又は2つ以上を有するTERTの活性及び/又は発現に影響を及ぼすことができる任意の1つ又は2つ以上の薬剤(薬物)、化合物又は分子を指す。特定の実施形態では、1つ又は2つ以上のTERT遺伝子変化が試料中に存在する場合、がん、特に尿路上皮癌は、TERTを標的とするショートヘアピン型RNA(shRNA)、TERTを標的とする低分子干渉RNA(siRNA)、及びこれらの組み合わせを含む適当なTERT阻害剤で治療することができる。それぞれの可能性は、別々の実施形態である。
【0161】
ARID1A阻害剤
本明細書では、開示される方法及び使用における使用に適したARID1A阻害剤を提供する。ARID1A阻害剤は、本明細書に記載される治療方法及び使用において、単独で、又は1つ又は2つ以上の更なるARID1A阻害剤、FGFR阻害剤、EGFR阻害剤、BRAF阻害剤、TERT阻害剤、ErbB2阻害剤、若しくはCCND1阻害剤と組み合わせて使用することができる。
【0162】
ARID1A阻害剤という用語は、野生型ARID1A又は本明細書に開示される遺伝子変化のうちの1つ又は2つ以上を有するARID1Aの活性及び/又は発現に影響を及ぼすことができる任意の1つ又は2つ以上の薬剤(薬物)、化合物又は分子を指す。特定の実施形態では、1つ又は2つ以上のARID1A遺伝子変化が試料中に存在する場合、がん、特に尿路上皮癌は、ARID1Aを標的とするショートヘアピン型RNA(shRNA)、ARID1Aを標的とする低分子干渉RNA(siRNA)、及びこれらの組み合わせを含む適当なARID1A阻害剤で治療することができる。特定の実施形態では、1つ又は2つ以上のARID1A遺伝子変化が試料中に存在する場合、がん、特に尿路上皮癌は、タンパク質のブロモドメイン及びエキストラ末端ドメイン(bromodomain and extra terminal domain、BET)ファミリーの適当な阻害剤、特にBRD2阻害剤で、又は免疫チェックポイント阻害剤、特にPD-L1阻害剤で治療することができる。特定の実施形態では、BET阻害剤は、JQ1又はiBET-762である。それぞれの可能性は、別々の実施形態である。
【0163】
治療方法/使用される化合物
開示される方法及び使用の特定の実施形態では、がんは尿路上皮癌である。いくつかの実施形態では、尿路上皮癌は、局所進行性又は転移性である。特定の実施形態では、がんは、mUCである。特定の実施態様において、患者は、高リスク患者、特に転移性又は外科的に切除不能な尿路上皮癌、特に選択されたFGFR遺伝子変化(FGFR転座又は突然変異)、特に本明細書で定義される少なくとも1つのEGFR、CCND1、BRAF、ARID1A、ErbB2又はTERT遺伝子変化に加えて本明細書で定義されるFGFR遺伝子変化を保有する転移性又は外科的に切除不能な尿路上皮癌を有する高リスク患者である。高リスク患者とは、以下の基準のうちの1つ又は2つ以上を満たす患者である。すなわち、年齢75歳以上、ECOG PS2、ヘモグロビン値10g/dL未満、特に肝臓、肺及び/又は骨への内臓転移、並びに2又は3つのベルムントリスク因子。一実施形態では、ヘモグロビン値は全血で測定される。
【0164】
開示される方法及び使用の特定の実施形態では、患者は、エルダフィチニブによる治療に対して耐性であるか、又はエルダフィチニブによる治療に対する耐性を獲得している。
【0165】
FGFRの併用療法
本明細書では、広くはがん治療を、より具体的にはmUCの治療を必要とする患者に、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、それからなる、又はそれから本質的になる、広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する、方法について記載する。
【0166】
本明細書では、患者の広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化が存在する場合、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる、方法についても記載する。
【0167】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するための2つ以上のFGFR阻害剤についてもなお更に記載する。
【0168】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのFGFR阻害剤の使用であって、FGFR阻害剤が第2のFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【0169】
特定の実施形態では、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OS又はPFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、PFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。
【0170】
特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、1つのみのFGFR阻害剤による治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、プラセボによる治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、無治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、標準治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、mUCを有しない患者集団と比較したものである。
【0171】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるPFSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いことを示す、方法についても記載する。
【0172】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるOSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、OSの長さが短いことを示す、方法についてもなお更に記載する。
【0173】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者に第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0174】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者に第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0175】
当該方法及び使用には、広くはがんを、より具体的にはがんを診断された患者への、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのFGFR阻害剤の投与も包含される。本明細書に記載のFGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、それぞれ、少なくとも1つのEGFR、CCND1、BRAF、ARID1A、ErbB2、若しくはTERT遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせを保有する患者への、少なくとも1つ、2つ、3つ、若しくは4つのEGFR、CCND1、BRAF、ARID1A、ErbB2、若しくはTERT阻害剤、又はそれらの任意の組み合わせの投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのCCND1遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのCCND1阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのEGFR遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのEGFR阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのBRAF遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのBRAF阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載されるFGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用は、患者が少なくとも1つのARID1A遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのARID1A阻害剤の投与も包含する。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのErbB2遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのErbB2阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのTERT遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのTERT阻害剤の投与も包含される。
【0176】
FGFRとEGFRの併用療法
本明細書では、広くはがん治療を、より具体的にはmUCの治療を必要とする患者に、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、それからなる、又はそれから本質的になる、広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、方法について記載する。
【0177】
本明細書では、患者の広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化が存在する場合、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる、方法についても記載する。
【0178】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤及びEGFR阻害剤についてもなお更に記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤であって、EGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのEGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、EGFR阻害剤についても記載する。
【0179】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのFGFR阻害剤の使用であって、FGFR阻害剤がEGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのEGFR阻害剤の使用であって、EGFR阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【0180】
特定の実施形態では、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OS又はPFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、PFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。
【0181】
特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、FGFR阻害剤による治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、プラセボによる治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、無治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、標準治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、mUCを有しない患者集団と比較したものである。
【0182】
全体的な応答又は将来の進行を評価するため、ベースラインでの全体的な腫瘍量を推定し、その後の測定における比較基準として用いることができる。測定可能な疾患は、少なくとも1つの測定可能な病変の存在によって定義される。
【0183】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるPFSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いことを示す、方法についても記載する。
【0184】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるOSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、OSの長さが短いことを示す、方法についてもなお更に記載する。
【0185】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をEGFR阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0186】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がEGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、FGFR阻害剤と組み合わせたEGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるEGFR阻害剤であって、EGFR阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。
【0187】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をEGFR阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、方法についても更に記載する。
【0188】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、EGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がEGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、FGFR阻害剤と組み合わせたEGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるEGFR阻害剤であって、EGFR阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。
【0189】
当該方法及び使用には、広くはがんを、より具体的にはmUCを診断された患者に、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのEGFR阻害剤を、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのFGFRと組み合わせて投与することも包含される。本明細書に記載のFGFR及びEGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、それぞれ、少なくとも1つのCCND1、BRAF、ARID1A、ErbB2、若しくはTERT遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせを保有する患者への、少なくとも1つ、2つ、3つ、若しくは4つのCCND1、BRAF、ARID1A、ErbB2、若しくはTERT阻害剤、又はそれらの任意の組み合わせの投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びEGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのCCND1遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのCCND1阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びEGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのBRAF遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのBRAF阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びEGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのARID1A遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのARID1A阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びEGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのErbB2遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのErbB2阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びEGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのTERT遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのTERT阻害剤の投与も包含される。
【0190】
特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びEGFR阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのCCND1遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのCCND1阻害剤の投与、及び患者が少なくとも1つのBRAF遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのBRAF阻害剤の投与も包含される。
【0191】
FGFRとCCND1の併用療法
本明細書では、広くはがん治療を、より具体的にはmUCの治療を必要とする患者に、FGFR阻害剤をCCND1阻害剤と組み合わせて投与することを含む、それからなる、又はそれから本質的になる、広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、方法について記載する。
【0192】
本明細書では、患者の広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化が存在する場合、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる、方法についても記載する。
【0193】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤及びCCND1阻害剤についてもなお更に記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤であって、CCND1阻害剤と組み合わせて用いられる、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのCCND1阻害剤であって、FGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、CCND1阻害剤についても記載する。
【0194】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのFGFR阻害剤の使用であって、FGFR阻害剤がCCND1阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのCCND1阻害剤の使用であって、CCND1阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【0195】
特定の実施形態では、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OS又はPFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、PFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。
【0196】
特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、FGFR阻害剤による治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、プラセボによる治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、無治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、標準治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、広くはがんを、より具体的にはmUCを有しない患者集団と比較したものである。
【0197】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるPFSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いことを示す、方法についても記載する。
【0198】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるOSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、OSの長さが短いことを示す、方法についてもなお更に記載する。
【0199】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をCCND1阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0200】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がCCDN1阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるCCND1阻害剤であって、CCND1阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、CCND1阻害剤についても記載する。
【0201】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をCCND1阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、方法についても更に記載する。
【0202】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、CCND1阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がCCDN1阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、CCND1阻害剤と組み合わせたEGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるCCND1阻害剤であって、CCND1阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのCCND1遺伝子変化を保有する、CCND1阻害剤についても記載する。
【0203】
当該方法及び使用には、広くはがんを、より具体的にはmUCを診断された患者に、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのFGFRを、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのCCND1阻害剤と組み合わせて投与することも包含される。本明細書に記載のFGFR及びCCND1阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、それぞれ、少なくとも1つのEGFR、BRAF、ARID1A、ErbB2、若しくはTERT遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせを保有する患者への、少なくとも1つ、2つ、3つ、若しくは4つのEGFR、BRAF、ARID1A、ErbB2、若しくはTERT阻害剤、又はそれらの任意の組み合わせの投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びCCND1阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのEGFR遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのEGFR阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びCCND1阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのBRAF遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのBRAF阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びCCND1阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのARID1A遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのARID1A阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びCCND1阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのErbB2遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのErbB2阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びCCND1阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのTERT遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのTERT阻害剤の投与も包含される。
【0204】
特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びCCND1阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのEGFR遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのEGFR阻害剤の投与、及び患者が少なくとも1つのBRAF遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのBRAF阻害剤の投与も包含される。
【0205】
FGFRとBRAFの併用療法
本明細書では、広くはがん治療を、より具体的にはmUCの治療を必要とする患者に、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、それからなる、又はそれから本質的になる、広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、方法について記載する。
【0206】
本明細書では、患者の広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化が存在する場合、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む、それからなる、又はそれから本質的になる、方法についても記載する。
【0207】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤及びBRAF阻害剤についてもなお更に記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤であって、BRAF阻害剤と組み合わせて用いられる、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのBRAF阻害剤であって、FGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、BRAF阻害剤についても記載する。
【0208】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのFGFR阻害剤の使用であって、FGFR阻害剤がBRAF阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのBRAF阻害剤の使用であって、BRAF阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【0209】
特定の実施形態では、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OS又はPFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、PFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。
【0210】
特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、FGFR阻害剤による治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、プラセボによる治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、無治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、標準治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、広くはがんを、より具体的にはmUCを有しない患者集団と比較したものである。
【0211】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるPFSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いことを示す、方法についても記載する。
【0212】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるOSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、OSの長さが短いことを示す、方法についてもなお更に記載する。
【0213】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をBRAF阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0214】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がBRAF阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、BRAF阻害剤と組み合わせたEGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるBRAF阻害剤であって、BRAF阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、BRAF阻害剤についても記載する。
【0215】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をBRAF阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0216】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、BRAF阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がBRAF阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、BRAF阻害剤と組み合わせたEGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるBRAF阻害剤であって、BRAF阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF遺伝子変化を保有する、BRAF阻害剤についても記載する。
【0217】
当該方法及び使用には、広くはがんを、より具体的にはmUCを診断された患者に、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのFGFRを、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのBRAF阻害剤と組み合わせて投与することも包含される。本明細書に記載のFGFR及びBRAF阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、それぞれ、少なくとも1つのEGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2、若しくはTERT遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせを保有する患者への、少なくとも1つ、2つ、3つ、若しくは4つのEGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2、若しくはTERT阻害剤、又はそれらの任意の組み合わせの投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びBRAF阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのEGFR遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのEGFR阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びBRAF阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのCCND1遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのCCND1阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びBRAF阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのARID1A遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのARID1A阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びBRAF阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのErbB2遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのErbB2阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びBRAF阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのTERT遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのTERT阻害剤の投与も包含される。
【0218】
特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びBRAF阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのEGFR遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのEGFR阻害剤の投与、及び患者が少なくとも1つのCCND1遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのCCND1阻害剤の投与も包含される。
【0219】
FGFRとARID1Aの併用療法
本明細書では、広くはがん治療を、より具体的にはmUCの治療を必要とする患者に、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、それからなる、又はそれから本質的になる、広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する、方法について記載する。
【0220】
本明細書では、患者の広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化が存在する場合、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる、方法についても記載する。
【0221】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤及びARID1A阻害剤についてもなお更に記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤であって、ARID1A阻害剤と組み合わせて用いられる、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのARID1A阻害剤であって、FGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、ARID1A阻害剤についても記載する。
【0222】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのFGFR阻害剤の使用であって、FGFR阻害剤がARID1A阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのARID1A阻害剤の使用であって、ARID1A阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【0223】
特定の実施形態では、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OS又はPFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、PFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。
【0224】
特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、FGFR阻害剤による治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、プラセボによる治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、無治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、標準治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、広くはがんを、より具体的にはmUCを有しない患者集団と比較したものである。
【0225】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるPFSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いことを示す、方法についても記載する。
【0226】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者におけるOSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、OSの長さが短いことを示す、方法についてもなお更に記載する。
【0227】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をARID1A阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0228】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がARID1A阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるARID1A阻害剤であって、ARID1A阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する、ARID1A阻害剤についても記載する。
【0229】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をARID1A阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する、方法についても更に記載する。
【0230】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がARID1A阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、ARID1A阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるARID1A阻害剤であって、ARID1A阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのARID1A遺伝子変化を保有する、ARID1A阻害剤についても記載する。
【0231】
当該方法及び使用には、広くはがんを、より具体的にはmUCを診断された患者に、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのFGFRを、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのARID1A阻害剤と組み合わせて投与することも包含される。本明細書に記載のFGFR及びARID1A阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、それぞれ、少なくとも1つのEGFR、CCND1、BRAF、ErbB2、若しくはTERT遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせを保有する患者への、少なくとも1つ、2つ、3つ、若しくは4つのEGFR、CCND1、BRAF、ErbB2、若しくはTERT阻害剤、又はそれらの任意の組み合わせの投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びARID1A阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのEGFR遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのEGFR阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びARID1A阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのCCND1遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのCCND1阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びARID1A阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのBRAF遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのBRAF阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びARID1A阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのErbB2遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのErbB2阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びARID1A阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのTERT遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのTERT阻害剤の投与も包含される。
【0232】
FGFRとErbB2の併用療法
本明細書では、広くはがん治療を、より具体的にはmUCの治療を必要とする患者に、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤を投与することを含む、それからなる、又はそれから本質的になる、広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する、方法について記載する。
【0233】
本明細書では、患者の広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのERBB2遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化が存在する場合、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる、方法についても記載する。
【0234】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤及びErbB2阻害剤についてもなお更に記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤であって、ErbB2阻害剤と組み合わせて用いられる、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのErbB2阻害剤であって、FGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、ErbB2阻害剤についても記載する。
【0235】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのFGFR阻害剤の使用であって、FGFR阻害剤がErbB2阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのErbB2阻害剤の使用であって、ErbB2阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【0236】
特定の実施形態では、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがん、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OS又はPFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがん、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがん、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、PFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。
【0237】
特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、FGFR阻害剤による治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、プラセボによる治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、無治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、標準治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、広くはがんを、より具体的にはmUCを有しない患者集団と比較したものである。
【0238】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるPFSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いことを示す、方法についても記載する。
【0239】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるOSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、OSの長さが短いことを示す、方法についてもなお更に記載する。
【0240】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をErbB2阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0241】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がErbB2阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるErbB2阻害剤であって、ErbB2阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する、ErbB2阻害剤についても記載する。
【0242】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をErbB2阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する、方法についても更に記載する。
【0243】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、ErbB2阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がErbB2阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、ErbB2阻害剤と組み合わせたEGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるErbB2阻害剤であって、ErbB2阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのErbB2遺伝子変化を保有する、ErbB2阻害剤についても記載する。
【0244】
当該方法及び使用には、広くはがんを、より具体的にはmUCを診断された患者に、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのFGFRを、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのErbB2阻害剤と組み合わせて投与することも包含される。本明細書に記載のFGFR及びErbB2阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、それぞれ、少なくとも1つのEGFR、CCND1、BRAF、ARID1A、若しくはTERT遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせを保有する患者への、少なくとも1つ、2つ、3つ、若しくは4つのEGFR、CCND1、BRAF、ARID1A、若しくはTERT阻害剤、又はそれらの任意の組み合わせの投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びERBB2阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのEGFR遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのEGFR阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びErbB2阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのCCND1遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのCCND1阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びErbB2阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのBRAF遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのBRAF阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びErbB2阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのARID1A遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのARID1A阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びErbB2阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのTERT遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのTERT阻害剤の投与も包含される。
【0245】
FGFRとTERTの併用療法
本明細書では、広くはがん治療を、より具体的にはmUCの治療を必要とする患者に、FGFR阻害剤をTERT阻害剤と組み合わせて投与することを含む、それからなる、又はそれから本質的になる、広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する、方法について記載する。
【0246】
本明細書では、患者の広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化が存在する場合、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む、それからなる、又はそれから本質的になる、方法についても記載する。
【0247】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤及びTERT阻害剤についてもなお更に記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのFGFR阻害剤であって、TERT阻害剤と組み合わせて用いられる、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療に使用するためのTERT阻害剤であって、FGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、TERT阻害剤についても記載する。
【0248】
本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのFGFR阻害剤の使用であって、FGFR阻害剤がTERT阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。本明細書では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する患者における、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療用の薬剤を製造するためのTERT阻害剤の使用であって、TERT阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられる、使用についても記載する。
【0249】
特定の実施形態では、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがん、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OS又はPFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがん、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、OSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。特定の実施形態では、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤の投与は、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者又は患者集団と比較して、PFSによって測定される抗腫瘍活性を改善する。
【0250】
特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、FGFR阻害剤による治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、プラセボによる治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、無治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、標準治療と比較したものである。特定の実施形態では、抗腫瘍活性の改善は、広くはがんを、より具体的にはmUCを有しない患者集団と比較したものである。
【0251】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるPFSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、PFSの長さが短いことを示す、方法についても記載する。
【0252】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者における、特にFGFR阻害剤による治療中の患者におけるOSの長さを予測する方法であって、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することを含み、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化の存在が、少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、又は少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有しない、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者、特にヒト患者と比較して、OSの長さが短いことを示す、方法についてもなお更に記載する。
【0253】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をTERT阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0254】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がTERT阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるOSを、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるTERT阻害剤であって、TERT阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する、TERT阻害剤についても記載する。
【0255】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善する方法であって、当該方法が、当該患者にFGFR阻害剤をTERT阻害剤と組み合わせて与えることを含み、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する、方法についても記載する。
【0256】
本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるFGFR阻害剤であって、FGFR阻害剤がTERT阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する、FGFR阻害剤についても記載する。本明細書では、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者におけるPFSを、TERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤による治療を受けていなかった、広くはがんを、より具体的にはmUCを有する患者と比較して改善するために使用されるTERT阻害剤であって、TERT阻害剤がFGFR阻害剤と組み合わせて用いられ、当該患者が、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのTERT遺伝子変化を保有する、TERT阻害剤についても記載する。
【0257】
当該方法及び使用には、広くはがんを、より具体的にはmUCを診断された患者に、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのFGFRを、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つのTERT阻害剤と組み合わせて投与することも包含される。本明細書に記載のFGFR及びTERT阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、それぞれ、少なくとも1つのEGFR、BRAF、ARID1A、ErbB2、若しくはCCND1遺伝子変化、又はそれらの任意の組み合わせを保有する患者への、少なくとも1つ、2つ、3つ、若しくは4つのEGFR、BRAF、ARID1A、ErbB2、若しくはCCND1阻害剤、又はそれらの任意の組み合わせの投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びTERT阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのEGFR遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのEGFR阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びTERT阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのCCND1遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのCCND1阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びTERT阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのBRAF遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのBRAF阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びTERT阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのARID1A遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのARID1A阻害剤の投与も包含される。特定の実施形態では、本明細書に記載のFGFR及びTERT阻害剤の投与に加えて、当該方法及び使用には、患者が少なくとも1つのErbB2遺伝子変化も保有する場合、少なくとも1つ、2つ、3つ、又は4つのErbB2阻害剤の投与も包含される。
【0258】
遺伝子変化の存在についての試料の評価
本明細書では、患者の広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT遺伝子変化がそれぞれ存在する場合、BRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる、方法についても記載する。
【0259】
本明細書では、患者の広くはがんを、より具体的にはmUCを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1遺伝子変化がそれぞれ存在する場合、第2のFGFR阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる、方法についても記載する。
【0260】
少なくとも1つのFGFR2又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1、BRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT遺伝子変化の存在について、特に、少なくとも1つのFGFR2又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT遺伝子変化の存在について生体試料を評価するための以下の方法は、上記で開示された治療方法及び使用のいずれにも等しく適用される。
【0261】
開示される方法は、少なくとも1つのFGFR2又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1、BRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERTが患者からの生体試料中に存在する場合、特に、少なくとも1つのFGFR2又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERTが患者からの生体試料中に存在する場合、患者の広くはがんを、具体的にはmUCを治療するのに適している。いくつかの実施形態では、遺伝子変化は、1つ又は2つ以上の融合遺伝子であり得る。いくつかの実施形態では、遺伝子変化は、1つ又は2つ以上の突然変異であり得る。いくつかの実施形態では、遺伝子変化は、1つ又は2つ以上の増幅であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の遺伝子変化の組み合わせが、患者からの生体試料中に存在し得る。
【0262】
例えば、いくつかの実施形態では、FGFR2又はFGFR3遺伝子変化は、1つ又は2つ以上のFGFR2又はFGFR3融合遺伝子及び1つ又は2つ以上のFGFR2又はFGFR3突然変異であり得る。例示的なFGFR融合遺伝子が表1に示されており、FGFR2-BICC1、FGFR2-CASP7、FGFR3-BAIAP2L1、FGFR3-TACC3 V1、FGFR3-TACC3 V3、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。
【0263】
本明細書で特定される遺伝子変化のいずれについても、限定することを意図するものではないが、少なくとも1つの遺伝子変化の存在について生体試料を評価することは、以下の工程、すなわち、生体試料からRNAを単離する工程、RNAからcDNAを合成する工程、及びcDNAを増幅する工程(予め増幅された、又は予め増幅されない)の任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子変化の存在について生体試料を評価することは、少なくとも1つの遺伝子変化に結合してこれを増幅するプライマーペアを用いて患者からのcDNAを増幅することと、少なくとも1つの遺伝子変化が試料中に存在するかどうかを判定することと、を含むことができる。いくつかの態様では、cDNAは予め増幅することができる。いくつかの態様では、評価する工程は、試料からRNAを単離することと、単離されたRNAからcDNAを合成することと、cDNAを予め増幅することと、を含むことができる。
【0264】
具体的には、FGFRに関して、1つ又は2つ以上のFGFR遺伝子変化の存在について生体試料を評価するための適当な方法は、本明細書の方法のセクション並びに本明細書にそれらの全容を援用するところの国際公開第2016/048833号及び米国特許出願第16/723,975号に記載されている。増幅工程を実施するための適当なプライマーペアとしては、下記表3に例示されるような国際公開第2016/048833号に開示されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0265】
【表3】
【0266】
本明細書で特定される遺伝子変化のいずれかの存在は、診断時、腫瘍摘出後、第一選択治療後、臨床治療中、又はそれらの任意の組み合わせを含む任意の適当な時点で評価することができる。
【0267】
例えば、患者から採取した生体試料を分析して、患者が罹患しているか又は罹患している可能性があるがんなどの状態又は疾患が、FGFR2若しくはFGFR3及びBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2若しくはTERTのレベル若しくは活性の上方制御、又は正常なFGFR2若しくはFGFR3及びBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2若しくはTERT活性への経路の感作をもたらす遺伝子異常又は異常タンパク質発現により特徴付けられるものであるかどうかを判定することができる。例えば、FGFR2、FGFR3又はFGFR1の遺伝子異常又は異常タンパク質発現は、増殖因子リガンドレベル若しくは増殖因子リガンド活性などのこれらの増殖因子シグナル伝達経路のアップレギュレーション、又はFGFR活性化の下流の生化学的経路のアップレギュレーションをもたらし得る。
【0268】
FGFRシグナルの活性化又は感作をもたらすそのような異常の例としては、アポトーシス経路の喪失若しくは阻害、受容体若しくはリガンドのアップレギュレーション、又は受容体若しくはリガンドの遺伝子変化、例えば、PTK変異体の存在が挙げられる。FGFR1、FGFR2若しくはFGFR3若しくはFGFR4の遺伝子変化、又はFGFR1のアップレギュレーション、特に過剰発現、又はFGFR2若しくはFGFR3の機能獲得型遺伝子変化を有する腫瘍は、特にFGFR阻害剤に対する感受性を有し得る。
【0269】
本方法、薬剤製品、及び使用は、投与する工程の前に、生体試料中の少なくとも1つのFGFR2又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのFGFR1、BRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT遺伝子変化の存在を評価する工程を更に含むことができる。
【0270】
一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がFGFR阻害剤による治療を受ける前に評価される。
【0271】
一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がそれぞれ、FGFR阻害剤及びEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT阻害剤による治療を受ける前に評価される。
【0272】
一実施形態では、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療時又は治療後に評価される。一実施形態では、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療時に評価される。一実施形態では、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療後に評価される。
【0273】
一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がFGFR阻害剤による治療を受ける前に評価され、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療時又は治療後に評価される。一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がFGFR阻害剤による治療を受ける前に評価され、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療時に評価される。一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がFGFR阻害剤による治療を受ける前に評価され、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療後に評価される。
【0274】
一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がFGFR阻害剤による治療を受ける前に評価され、がん患者からの試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化が存在する場合、がん患者はFGFR阻害剤による治療を受け、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療時又は治療後に評価される。一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がFGFR阻害剤による治療を受ける前に評価され、がん患者からの試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化が存在する場合、がん患者はFGFR阻害剤による治療を受け、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療時に評価される。一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がFGFR阻害剤による治療を受ける前に評価され、がん患者からの試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化が存在する場合、がん患者はFGFR阻害剤による治療を受け、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療後に評価される。
【0275】
一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がFGFR阻害剤による治療を受ける前に評価され、がん患者からの試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化が存在する場合、がん患者はFGFR阻害剤による治療を受け、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療時又は治療後に評価され、試料中に少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化が存在する場合、患者は、それぞれ、EGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT阻害剤による治療を受ける。一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がFGFR阻害剤による治療を受ける前に評価され、がん患者からの試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化が存在する場合、がん患者はFGFR阻害剤による治療を受け、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療時に評価され、試料中に少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化が存在する場合、患者は、それぞれ、EGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT阻害剤による治療を受ける。一実施形態では、少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でがん患者がFGFR阻害剤による治療を受ける前に評価され、がん患者からの試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化が存在する場合、がん患者はFGFR阻害剤による治療を受け、少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在は、がん患者、特に尿路上皮癌患者からの試料でFGFR阻害剤によるがん患者の治療後に評価され、試料中に少なくとも1つのEGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化が存在する場合、患者は、それぞれ、EGFR、BRAF、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT阻害剤による治療を受ける。
【0276】
診断検査及びスクリーニングは、典型的には、腫瘍生検試料、血液試料(脱落した腫瘍細胞の単離及び濃縮)、糞便生検、痰、染色体分析、胸水、腹水、頬スピアーズ、生検、循環DNA、又は尿から選択される生体試料に対して行われる。特定の実施形態では、生体試料は、血液、リンパ液、骨髄、固形腫瘍試料、又はそれらの任意の組み合わせである。特定の実施形態では、生体試料は、固形腫瘍試料である。特定の実施形態では、生体試料は、血液試料である。特定の実施形態では、生体試料は、尿試料である。
【0277】
遺伝子変化及びタンパク質のアップレギュレーションの特定及び分析の方法は、当該技術分野では周知のものである。スクリーニング方法は、これらに限定されるものではないが、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(reverse-transcriptase polymerase chain reaction、RT PCR)、又は蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(in-situ hybridization such as fluorescence in situ hybridization、FISH)などのインサイチュハイブリダイゼーションのような標準的な方法を含み得る。
【0278】
本明細書に記載の少なくとも1つのFGFR2又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT遺伝子変化を有する個人の特定は、患者が、BRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT阻害剤のそれぞれと組み合わせたエルダフィチニブによる治療に特に適していることを意味し得る。腫瘍は、遺伝的変異体の存在について治療前に選択的にスクリーニングすることができる。スクリーニングプロセスは、典型的には、直接シークエンシング、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析、又は突然変異体特異的抗体を含む。更に、このような遺伝子変化を有する腫瘍の診断は、当業者には周知の、かつ本明細書中に記載されるようなRT-PCR及びFISHなどの方法を用いて行うことができる。
【0279】
更に、例えば、FGFRの遺伝子変化は、例えば、PCRを用いた腫瘍生検の直接シークエンシング、及び上記のようなPCR産物を直接シークエンシングするための方法によって特定することができる。当業者には、上記のタンパク質の過剰発現、活性化又は突然変異の検出のためのそのような周知の技術はいずれも、本発明の場合に適用できることが認識されよう。
【0280】
RT-PCRによるスクリーニングでは、腫瘍中のmRNAのレベルは、mRNAのcDNAコピーを作製した後、PCRによってcDNAを増幅することによって評価される。PCR増幅の方法、プライマーの選択、及び増幅条件は、当業者には周知のものである。核酸の操作及びPCRは、例えば、Ausubel,F.M.et al.,eds.(2004)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons Inc.、又はInnis,M.A.et al.,eds.(1990)PCR Protocols:a guide to methods and applications,Academic Press,San Diegoに記載の標準的方法によって行われる。核酸技術を伴う反応及び操作は、Sambrook et al.,(2001),3rd Ed,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressにも記載されている。あるいは、RT-PCR用の市販のキット(例えば、Roche Molecular Biochemicals)を用いることもでき、又は本明細書に参照により援用する米国特許第4,666,828号、同第4,683,202号、同第4,801,531号、同第5,192,659号、同第5,272,057号、同第5,882,864号、及び同第6,218,529号に記載の方法を用いてもよい。mRNA発現を評価するためのインサイチュハイブリダイゼーション技術の例としては、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)がある(Angerer(1987)Meth.Enzymol.,152:649を参照)。
【0281】
概して、インサイチュハイブリダイゼーションは、以下の主要な工程、すなわち、(1)分析する組織の固定、(2)標的核酸のアクセシビリティを高め、非特異的結合を減少させるための試料のプレハイブリダイゼーション処理、(3)核酸の混合物と生物学的構造又は組織中の核酸とのハイブリダイゼーション、(4)ハイブリダイゼーションで結合しなかった核酸フラグメントを除去するためのポストハイブリダイゼーション洗浄、及び(5)ハイブリダイズした核酸フラグメントの検出、を含む。このような用途で使用されるプローブは、典型的には、例えば、放射性同位体又は蛍光レポーターで標識される。好ましいプローブは、ストリンジェントな条件下での標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションを可能とするのに十分な長さ、例えば、約50、100、又は200ヌクレオチド~約1000ヌクレオチド以上である。FISHを行うための標準的な方法は、Ausubel,F.M.et al.,eds.(2004)Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons Inc 及びFluorescence In Situ Hybridization:Technical Overview by John M.S.Bartlett in Molecular Diagnosis of Cancer,Methods and Protocols,2nd ed.;ISBN:1-59259-760-2;March 2004,pps.077-088;Series:Methods in Molecular Medicineに記載されている。
【0282】
遺伝子発現プロファイリングのための方法は、(DePrimo et al.(2003),BMC Cancer,3:3)に記載されている。要約すると、プロトコルは以下のとおりである。第1鎖のcDNA合成をプライミングするための(dT)24オリゴマーを用い、続いてランダムヘキサマープライマーを用いて第2鎖のcDNAを合成することにより、全RNAから二本鎖cDNAを合成する。この二本鎖cDNAを、ビオチン化リボヌクレオチドを用いたcRNAのインビトロ転写の鋳型として使用する。cRNAを、Affymetrix(Santa Clara,CA,USA)により記載されるプロトコルに従って化学的に断片化した後、Human Genome Array上で一晩ハイブリダイズさせる。
【0283】
あるいは、mRNAから発現させたタンパク質産物を、腫瘍試料の免疫組織化学、マイクロタイタープレートを用いた固相イムノアッセイ、ウェスタンブロッティング、二次元SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリー、及び特定のタンパク質の検出用に当該技術分野では周知の他の方法によってアッセイしてもよい。検出方法には、部位特異的抗体の使用が含まれる。当業者には、タンパク質レベルのアップレギュレーションの検出又は遺伝的変異体若しくは突然変異体の検出のためのそのような周知の技術はいずれも、本発明の場合に適用可能できることが認識されよう。
【0284】
FGFRなどのタンパク質の異常なレベルは、例えば本明細書に記載されるアッセイなどの標準的な酵素アッセイを使用して測定することができる。活性化又は過剰発現はまた、Chemicon Internationalより販売されるアッセイなどのアッセイを用いてチロシンキナーゼ活性を測定することによって、組織試料(例えば、腫瘍組織)中で検出することもできる。目的のチロシンキナーゼを試料ライセートから免疫沈降させ、その活性を測定する。
【0285】
特にFGF2、FGFR3又はFGFR1遺伝子変化に関して、そのアイソフォームを含むFGFRの過剰発現又は活性化の測定のための別の方法として、微小血管密度の測定がある。これは、例えば、Orre and Rogers(Int J Cancer(1999),84(2)101-8)によって記載される方法を使用して測定することができる。アッセイ方法はまた、マーカーの使用を含む。
【0286】
したがって、これらの技術のいずれも、本発明の化合物による治療に特に適した腫瘍を特定するためにやはり使用することができる。
【0287】
エルダフィチニブは、遺伝子変化したFGFR、特に突然変異FGFR又はFGFR融合を有する患者の治療に特に有用である。特定の実施形態では、尿路上皮癌は、FGFR2遺伝子変化及び/又はFGFR3遺伝子変化を生じやすい。特定の実施形態では、FGFR2又はFGFR3遺伝子変化は、FGFR3遺伝子突然変異又はFGFR2若しくはFGFR3遺伝子融合である。いくつかの実施形態では、FGFR3遺伝子突然変異は、R248C、S249C、G370C、Y373C、又はそれらの任意の組み合わせである。更なる実施形態では、FGFR2又はFGFR3遺伝子融合は、FGFR3-TACC3、特にFGFR3-TACC3 V1若しくはV3、FGFR3-BAIAP2L1、FGFR2-BICC1、FGFR2-CASP7、又はそれらの任意の組み合わせである。
【0288】
特定の実施形態によれば、FGFR2及び/又はFGFR3遺伝子変化は、QIAGEN therascreen(登録商標)FGFR RGQ RT-PCRキットを含むがこれに限定されない市販のキットを使用して特定することができる。特定の実施形態によれば、BRAF、EGFR、ARID1A、ERBB2及びTERT遺伝子変化は、GUARDANT360(登録商標)アッセイを含むがこれに限定されない市販のキットを使用して特定することができる。
【0289】
FGFR阻害剤の医薬組成物及び投与経路
その有用な薬理学的特性を鑑み、広くはFGFR阻害剤、より具体的にはエルダフィチニブは、投与目的で様々な医薬形態に製剤化することができる。
【0290】
一実施形態では、医薬組成物(例えば、製剤)は、少なくとも1つの本発明による活性化合物、特にFGFR阻害剤を、1つ以上の薬学的に許容される担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、滑沢剤、又は当業者には周知の他の材料、及び必要に応じて他の治療剤又は予防剤ととともに含む。
【0291】
医薬組成物を調製するには、活性成分としての有効量の広くはFGFR阻害剤、より具体的にはエルダフィチニブを、薬学的に許容される担体と加え合わせてよく混合するが、この担体は、投与に望ましい製剤の形態に応じて様々な形態とすることができる。医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻腔内、眼内、耳内、直腸内、膣内、又は経皮投与に適した任意の形態とすることができる。これらの医薬組成物は、好ましくは経口投与、直腸投与、経皮投与、又は非経口注射による投与に適した単位剤形とすることが望ましい。例えば、経口剤形として阻害剤を調製する際に、例えば、懸濁液、シロップ、エリキシル剤、及び溶液などの経口液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコール;又は散剤、丸剤、カプセル剤、及び錠剤の場合、デンプン、糖、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの固形担体など、通常の薬学的媒体のいずれも用いることができる。
【0292】
本発明の医薬組成物、特にカプセル剤及び/又は錠剤は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤(薬学的に許容される担体)、例えば、崩壊剤、希釈剤、充填剤、結合剤、緩衝剤、滑沢剤、滑剤、増粘剤、甘味剤、着香料、着色料、保存料などを含むことができる。いくつかの賦形剤は複数の目的に役立つことができる。
【0293】
好適な崩壊剤は大きい膨張率を有するものである。その例は親水性で水に不溶性又は水溶性度が低い架橋ポリマー、例えばクロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)及びクロスカルメロースナトリウム(架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)である。本発明による錠剤中の崩壊剤の量は、便宜上、約2.5~約15%(w/w)の範囲、好ましくは約2.5~7%(w/w)の範囲であってもよく、特に約2.5~5%(w/w)の範囲とすることができる。崩壊剤は本来、大量に用いられると徐放製剤をもたらすので、崩壊剤を希釈剤又は充填剤と呼ばれる不活性物質で希釈するのが有利である。
【0294】
多様な材料を希釈剤又は充填剤として用いることができる。例としては、ラクトース一水和物、無水ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、セルロース(例えば微結晶セルロース(Avicel(商標))、ケイ化微結晶セルロース)、二水和若しくは無水二塩基性リン酸カルシウム、及び当該技術分野では周知の他のもの、及びそれらの混合物(例えば、Microcelac(商標)として市販されるラクトース一水和物(75%)と微結晶セルロース(25%)との噴霧乾燥混合物)がある。微結晶セルロース及びマンニトールが好ましい。本発明の医薬組成物中の希釈剤又は充填剤の総量は、便宜上、約20%~約95%(w/w)の範囲とすればよく、好ましくは約55%~約95%(w/w)、又は約70%~約95%(w/w)、又は約80%~約95%(w/w)、又は約85%~約95%(w/w)の範囲である。
【0295】
滑沢剤及び滑剤は、ある種の剤形の製造において用いることができ、通常は錠剤を製造する場合に用いられる。滑沢剤及び滑剤の例は、水素化植物油、例えば水素化綿実油、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、コロイドシリカ、コロイド無水シリカ、タルク、それらの混合物、及び当該技術において既知の他のものである。興味深い滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸マグネシウムとコロイドシリカの混合物であり、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。好ましい滑剤、はコロイド無水シリカである。
【0296】
存在する場合、滑剤は、概して、全阻害剤重量の0.2~7.0%(w/w)、具体的には0.5~1.5%(w/w)、より具体的には1~1.5%(w/w)を構成する。
【0297】
存在する場合、滑沢剤は、概して、全組成物重量の0.2~7.0%(w/w)、特に0.2~2%(w/w)、又は0.5~2%(w/w)、又は0.5~1.75%(w/w)、又は0.5~1.5%(w/w)を構成する。
【0298】
結合剤は、本発明の医薬組成物において必要に応じて使用することができる。適当な結合剤は、アルキルセルロース、例えばメチルセルロースなど;ヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシブチルセルロースなど;ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなど;カルボキシアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロースなど;カルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウムなど;カルボキシアルキルアルキルセルロース、例えばカルボキシメチルエチルセルロースなど;カルボキシアルキルセルロースエステル;デンプン;ペクチン、例えばカルボキシメチルアミロペクチンナトリウムなど;キチン誘導体、例えばキトサンなど;-二糖類、オリゴ糖類、及び/又は多糖類、例えばトレハロース、シクロデキストリン及びそれらの誘導体、アルギン酸、そのアルカリ金属及びアンモニウム塩、カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガント、寒天、アラビアガム、グアーガム、及びキサンタンガム;ポリアクリル酸、及びそれらの塩;ポリメタクリル酸、それらの塩及びエステル、メタクリレートコポリマー;ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)、ポリビニルアルコール(polyvinylalcohol、PVA)、及びそれらのコポリマー(例えば、PVP-VA)などの水溶性ポリマーである。好ましくは、水溶性ポリマーは、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース15cps)である。
【0299】
着色剤及び顔料などの他の賦形剤も本発明の組成物に加えることができる。着色剤及び顔料は、二酸化チタン及び食物に適した染料を含む。着色剤又は顔料は本発明の製剤における任意成分であるが、使用される場合、着色剤は全組成物重量に基づいて3.5%(w/w)以下の量で存在することができる。
【0300】
着香料は、組成物において任意であり、合成香味油及び風味付け用芳香性物質又は天然油、植物の葉、花、果実などからの抽出物、並びにそれらの組み合わせから選択することができる。これらは、桂皮油、冬緑油、ペパーミント油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油を含むことができる。着香料としてやはり有用なのは、バニラ、柑橘油、例えばレモン、オレンジ、グレープ、ライム、及びグレープフルーツなど、フルーツエッセンス、例えばリンゴ、バナナ、ナシ、もも、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコットなどである。着香料の量は、所望の感覚刺激効果を含むいくつかの因子に依存し得る。概して、着香料は、約0%~約3%(w/w)の量で存在する。
【0301】
ホルムアルデヒドスカベンジャーは、ホルムアルデヒドを吸収することができる化合物である。ホルムアルデヒドスカベンジャーは、ホルムアルデヒドスカベンジャーとホルムアルデヒドとの間に1つ又は2つ以上の可逆的又は不可逆的結合を形成するような、ホルムアルデヒドとの反応性をシュウする窒素中心を含む化合物を含む。例えば、ホルムアルデヒドスカベンジャーは、ホルムアルデヒドと反応してホルムアルデヒドと後で結合することができるシッフ塩基イミンを形成する1つ又は2つ以上の窒素原子/中心を含む。例えば、ホルムアルデヒドスカベンジャーは、ホルムアルデヒドと反応して1つ又は2つ以上の5~8員環を形成する1つ又は2つ以上の窒素中心を含む。ホルムアルデヒドスカベンジャーは、好ましくは1つ又は2つ以上のアミン又はアミド基を含む。例えば、ホルムアルデヒドスカベンジャーは、アミノ酸、アミノ糖、アルファアミン化合物、又はそれらのコンジュゲート若しくは誘導体、又はそれらの混合物であり得る。ホルムアルデヒドスカベンジャーは、2種以上のアミン及び/又はアミドを含んでもよい。
【0302】
ホルムアルデヒドスカベンジャーとしては、例えば、グリシン、アラニン、セリン、スレオニン、システイン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、リシン、オルニチン、シトルリン、タウリン、ピロリシン、メグルミン、ヒスチジン、アスパルテーム、プロリン、トリプトファン、シトルリン、ピロリシン、アスパラギン、グルタミン、又はそれらのコンジュゲート若しくは混合物;又は可能な場合、それらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0303】
本発明の一態様において、ホルムアルデヒドスカベンジャーは、メグルミン又はその薬学的に許容される塩、特にメグルミン塩基である。
【0304】
一実施形態では、本明細書に記載の方法及び使用において、エルダフィチニブは、エルダフィチニブ又は薬学的に許容されるその塩、特にエルダフィチニブ塩基と、ホルムアルデヒドスカベンジャー、特にメグルミン又はその薬学的に許容される塩、特にメグルミン塩基と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物、特に錠剤又はカプセル剤として投与されるか、又は投与されるべきである。
【0305】
本発明の別の目的は、特に錠剤又はカプセルの形態の、本明細書に記載される医薬組成物を調製するプロセスであって、ホルムアルデヒドスカベンジャー、特にメグルミンと、エルダフィチニブ、薬学的に許容されるその塩又はその溶媒和物、特にエルダフィチニブ塩基とを薬学的に許容される担体とブレンドすることと、当該ブレンドを錠剤に圧縮するか又は当該ブレンドをカプセルに充填することと、を特徴とする、プロセスを提供することにある。
【0306】
投与が容易であるため、錠剤及びカプセルは最も有利な経口投薬単位形態であるが、この場合、固体医薬担体が使用されることは明らかである。非経口組成物の場合、担体は通常、少なくとも大部分が滅菌水を含むが、例えば溶解性を補助するための他の成分が含まれてもよい。例えば、担体が生理食塩水、グルコース溶液又は生理食塩水とグルコース溶液との混合物を含む注射用溶液を調製することができる。注射用懸濁液を調製してもよく、その場合、適当な液体担体、懸濁化剤などを用いてもよい。経皮投与に適した組成物において、担体は、場合により浸透促進剤及び/又は適当な湿潤剤を、場合により少量の皮膚に対して顕著な有害作用を引き起こさないなんらかの適当な添加剤と組み合わせて含む。当該添加剤は、皮膚への投与を容易にすることができ、及び/又は所望の組成物を調製するうえで役立ち得る。これらの組成物は、例えば経皮パッチとして、スポットオンとして、軟膏として、様々な方法で投与することができる。上記の医薬組成物は投与を容易とし、用量を均一とするために単位剤形として製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される場合、単位剤形とは、単一の投与量として適当な物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要な薬理学的担体と併せて、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性成分を含有する。そのような単位剤形の例は、錠剤(割線入り錠剤又はコーティング錠剤を含む)、カプセル、ピル、粉末パケット、ウエハー、注射用溶液又は懸濁液、小さじ1杯、大さじ1杯など、及びそれらの複数分割量である。好ましい形態は錠剤及びカプセルである。
【0307】
特定の実施形態では、FGFR阻害剤は、固体単位剤形、及び経口投与に適した固体単位剤形で存在する。単位剤形は、単位剤形当たり約1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10mgのFGFR阻害剤、又はこれらの値のうちの2つによって限定される範囲内の量、特に単位用量当たり3、4、若しくは5mgの量を含有し得る。
【0308】
投与様式に応じて、医薬組成物は、好ましくは0.05~99重量%、より好ましくは0.1~70重量%、更により好ましくは0.1~50重量%の本発明による化合物、特にFGFR阻害剤と、1~99.95重量%、より好ましくは30~99.9重量%、更により好ましくは50~99.9重量%の薬学的に許容される担体とを含む(全てのパーセンテージは組成物の全重量に基づく)。
【0309】
本発明の錠剤又はカプセル剤は、味を改良するため、嚥下の容易さ及び優美な外観を与えるために、更にフィルムコーティングされてもよい。ポリマー系フィルムコーティング材料は当該技術分野では周知のものである。好ましいフィルムコーティングは、溶媒ベースのフィルムコーティングよりも水ベースのフィルムコーティングであり、これは後者がより多くの微量アルデヒドを含有し得るためである。好ましいフィルムコーティング材料としては、Opadry(登録商標)II水性フィルムコーティングシステム、例えば、Opadry II 85F92209などのOpadry II 85Fがある。更に好ましいフィルムコーティングは、環境中の水分から保護する水ベースのフィルムコーティングであり、例えば、水性防湿フィルムコーティングシステムである、Readilycoat(登録商標)(例えばReadilycoat(登録商標)D)、AquaPolish(登録商標)MS、Opadry(登録商標)amb、Opadry(登録商標)amb IIなどがある。好ましいフィルムコーティングとしては、ポリエチレングリコールを含まないPVAベースの即時放出システムである高性能防湿フィルムコーティングであるOpadry(登録商標)amb IIがある。
【0310】
本発明による錠剤では、フィルムコートは、重量にして全錠剤重量の約4%(w/w)以下を構成することが好ましい。
【0311】
本発明によるカプセルでは、ヒプロメロース(hypromellose、HPMC)カプセルがゼラチンカプセルよりも好ましい。
【0312】
本発明の一態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、特にカプセル剤又は錠剤の形態で、0.5mg~20mg塩基当量、又は2mg~20mg塩基当量、又は0.5mg~12mg塩基当量、又は2mg~12mg塩基当量、又は2mg~10mg塩基当量、又は2mg~6mg塩基当量、又は2mg塩基当量、3mg塩基当量、4mg塩基当量、5mg塩基当量、6mg塩基当量、7mg塩基当量、8mg塩基当量、9mg塩基当量、10mg塩基当量、11mg塩基当量又は12mg塩基当量のエルダフィチニブ、薬学的に許容されるその塩又はその溶媒和物を含む。特に、本明細書に記載の医薬組成物は、3mg塩基当量、4mg塩基当量又は5mg塩基当量のエルダフィチニブ、薬学的に許容されるその塩又はその溶媒和物、特に3mg又は4mg又は5mgのエルダフィチニブ塩基を含む。
【0313】
本発明の一態様において、本明細書に記載の医薬組成物は、特にカプセル剤又は錠剤の形態で、0.5mg~20mg、又は2mg~20mg、又は0.5mg~12mg、又は2mg~12mg、又は2mg~10mg、又は2mg~6mg、又は2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg又は12mgのエルダフィチニブ塩基を含む。特に、本明細書に記載される医薬組成物は、3mg、4mg又は5mgのエルダフィチニブ塩基を含む。特に、本明細書に記載の医薬組成物は、3mg、4mg又は5mgのエルダフィチニブ塩基、及び約0.5~約5%(w/w)、約0.5~約3%(w/w)、約0.5~約2%(w/w)、約0.5~約1.5%(w/w)、又は約0.5~約1%(w/w)のホルムアルデヒドスカベンジャー、特にメグルミンを含む。特に、本明細書に記載の医薬組成物は、3mg、4mg又は5mgのエルダフィチニブ塩基、及び約0.5~約1.5%(w/w)又は約0.5~約1%(w/w)のホルムアルデヒドスカベンジャー、特にメグルミン、より具体的にはメグルミン塩基を含む。
【0314】
本発明の一態様では、所望の用量、例えば1日用量を得るために、本明細書に記載の複数の(例えば2つの)医薬組成物を投与することができる。例えば、8mg塩基当量の1日用量のエルダフィチニブでは、それぞれ4mgエルダフィチニブ塩基当量の2個の錠剤又はカプセルを投与することができる。あるいは、3mgエルダフィチニブ塩基当量の錠剤又はカプセルと5mg塩基当量の錠剤又はカプセルを投与してもよい。例えば、9mg塩基当量の1日用量のエルダフィチニブでは、それぞれ3mgエルダフィチニブ塩基当量の3個の錠剤又はカプセルを投与することができる。あるいは、4mgエルダフィチニブ塩基当量の錠剤又はカプセルと5mg塩基当量の錠剤又はカプセルを投与してもよい。
【0315】
本発明による医薬組成物中のホルムアルデヒドスカベンジャー、特にメグルミンの量は、約0.1~約10%(w/w)、約0.1~約5%(w/w)、約0.1~約3%(w/w)、約0.1~約2%(w/w)、約0.1~約1.5%(w/w)、約0.1~約1%(w/w)、約0.5~約5%(w/w)、約0.5~約3%(w/w)、約0.5~約2%(w/w)、約0.5~約1.5%(w/w)、約0.5~約1%(w/w)の範囲とすることができる。
【0316】
特定の実施形態によれば、エルダフィチニブは、経口投与用の3mg、4mg又は5mgのフィルムコーティング錠剤として供給され、以下の不活性成分又はその等価物、すなわち、錠剤コア:クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、メグルミン、及び微結晶性セルロース;並びにフィルムコーティング:Opadry amb II:グリセロールモノカプリロカプレートI型、部分加水分解ポリビニルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、二酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄(オレンジ及び褐色錠剤用)、四酸化三鉄/黒色酸化鉄(褐色錠剤用)を含有する。
【0317】
安全性を調べる試験は、薬剤への曝露により生じ得るあらゆる潜在的な有害作用を特定しようとするものである。有効性は、多くの場合、適切な状況、例えば、厳しく制御された臨床治験において試験された場合、活性医薬成分が偽薬又は他の介入よりも健康効果を示すかどうかを判定することによって、測定される。
【0318】
製剤、組成物、又は成分に関して、本明細書で使用される場合、「許容可能な」という用語とは、治療中のヒトの全身的な健康に対する、その製剤、組成物又は成分の、その有害な影響を実質的に上回る有益な効果を意味する。
【0319】
経口投与のための全ての製剤は、かかる投与に好適な剤形である。
【0320】
二重特異性EGFR/c-Met抗体医薬組成物及び投与経路
本発明は、本明細書に記載される二重特異性EGFR/c-Met抗体(例えば、アミバンタマブ)と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。二重特異性抗EGFR/c-Met抗体、特にアミバンタマブは、50mg/mL~450mg/mLで二重特異性抗EGFR/c-Met抗体と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物中に配合することができる。薬学的に許容される担体は、1つ又は2つ以上の希釈剤、補助剤、賦形剤、ビヒクルなどであってもよい。このようなビヒクルは、水、及び石油、動物、植物、又は合成物由来のものを含む油、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの液体であってもよい。例えば、0.4%生理食塩水及び0.3%グリシンを使用して、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体を製剤化してもよい。製剤はまた、組換えヒトヒアルロニダーゼなどの皮下注射を容易とする薬剤を含有してもよい。これらの溶液は滅菌され、概して粒子状物質を含まない。これらは、従来周知の滅菌技術(例えば、濾過)によって滅菌することができる。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、静脈内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、二重特異性抗EGFR/c-Met抗体は、皮下注射によって投与される。
【0321】
投薬方法及び治療レジメン
本明細書では、広くはがん治療を、より具体的にはmUCの治療を必要とする患者に、FGFR阻害剤を、別のFGFR阻害剤又はBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2、若しくはTERT阻害剤と組み合わせて投与することを含む、それからなる、又はそれから本質的になる、広くはがんを、具体的にはmUCを治療する方法であって、患者が、それぞれ少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化、及び少なくとも1つのFGFR1、BRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2、若しくはTERT遺伝子変化を保有し、FGFR阻害剤が好ましくは経口投与される、方法について記載する。いくつかの実施形態では、広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、毎日、特に1日1回投与される。いくつかの実施形態では、広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、1日2回投与される。いくつかの実施形態では、広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、1日3回投与される。いくつかの実施形態では、広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、1日4回投与される。いくつかの実施形態では、広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、1日置きに投与される。いくつかの実施形態では、広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、週1回投与される。いくつかの実施形態では、広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、週2回投与される。いくつかの実施形態では、広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、1週置きに投与される。いくつかの実施形態では、広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、連続した毎日投薬スケジュールで経口投与される。
【0322】
概して、ヒトにおける本明細書に記載の疾患又は症状の治療に使用されるFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブの用量は、典型的には1日当たり約1~20mgの範囲である。いくつかの実施形態では、FGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、約1mg/日、約2mg/日、約3mg/日、約4mg/日、約5mg/日、約6mg/日、約7mg/日、約8mg/日、約9mg/日、約10mg/日、約11mg/日、約12mg/日、約13mg/日、約14mg/日、約15mg/日、約16mg/日、約17mg/日、約18mg/日、約19mg/日又は約20mg/日の用量でヒトに経口投与される。
【0323】
いくつかの実施形態では、エルダフィチニブは、経口投与される。特定の実施形態では、エルダフィチニブは、1日1回約8mgの用量で経口投与される。更なる実施形態では、エルダフィチニブの用量は、1日1回8mgから1日1回9mgに増量される。いっそう更なる実施形態では、(a)患者が、治療開始から14~21日後に約5.5mg/dL未満の血清リン酸(PO)レベルを呈し、かつ(b)エルダフィチニブの1日1回8mgの投与により眼障害が生じなかったか、又は(c)エルダフィチニブの1日1回8mgの投与によりグレード2以上の有害反応が生じなかった場合に、エルダフィチニブの用量は1日1回8mg~1日1回9mgに増量され、1日1回8mgから1日1回9mgへの増量は、治療開始から14~21日後に始まる。
【0324】
特定の実施形態では、エルダフィチニブの用量は、治療開始から14日後に1日1回8mgから1日1回9mgに増量される。特定の実施形態では、エルダフィチニブの用量は、治療開始から15日後に1日1回8mgから1日1回9mgに増量される。特定の実施形態では、エルダフィチニブの用量は、治療開始から16日後に1日1回8mgから1日1回9mgに増量される。特定の実施形態では、エルダフィチニブの用量は、治療開始から17日後に1日1回8mgから1日1回9mgに増量される。特定の実施形態では、エルダフィチニブの用量は、治療開始から18日後に1日1回8mgから1日1回9mgに増量される。特定の実施形態では、エルダフィチニブの用量は、治療開始から19日後に1日1回8mgから1日1回9mgに増量される。特定の実施形態では、エルダフィチニブの用量は、治療開始から20日後に1日1回8mgから1日1回9mgに増量される。特定の実施形態では、エルダフィチニブの用量は、治療開始から21日後に1日1回8mgから1日1回9mgに増量される。
【0325】
一実施形態では、エルダフィチニブは、8mg、特に1日1回8mgの用量で投与される。一実施形態では、エルダフィチニブは、8mg、特に1日1回8mgの用量で投与され、血清中リン酸レベルに応じて(例えば、血清リン酸レベルが5.5mg/dL未満であるか、又は7mg/dL未満であるか、又は7mg/dLを含む~9mg/dL以下の範囲であるか、又は9mg/dL以下である場合)、及び観察された治療関連の有害事象に応じて9mgに増量されてもよい。一実施形態では、増量するか否かを判定するための血清リン酸レベルは、エルダフィチニブ治療の最初のサイクルの間の治療日に、特にエルダフィチニブ投与の14±2日目に、より特に14日目に測定される。
【0326】
一実施形態では、本明細書で使用される治療サイクルは、28日周期である。特定の実施形態では、治療サイクルは、最大2年まで28日周期である。特定の実施形態では、治療サイクルは、4週間である。
【0327】
一実施形態では、所望の用量は、単回用量で、若しくは同時に(若しくは短期間に)投与される分割用量で、又は適切な間隔で、例えば、1日当たり2回、3回、4回、又はそれ以上のサブ用量で、与えられるのが好都合である。いくつかの実施形態では、FGFR阻害剤は、1日1回、同時に(又は短期間に)投与される分割用量で便宜よく投与される。いくつかの実施形態では、FGFR阻害剤は、1日2回、等分されて投与される分割用量で便宜よく投与される。いくつかの実施形態では、FGFR阻害剤は、1日3回、等分されて投与される分割用量で便宜よく投与される。いくつかの実施形態では、FGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブは、1日4回、等分されて投与される分割用量で便宜よく投与される。
【0328】
特定の実施形態では、1日を通じて部分単位投与量によって投与される広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブの総量が1日の総投与量となるように、所望の用量は、1日を通じて1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回の部分単位投与量で投与することができる。
【0329】
いくつかの実施形態では、ヒトに与えられる広くはFGFR阻害剤、具体的にはエルダフィチニブの量は、疾患又は病状の状態及び重症度、並びにヒトの属性(例えば、体重)、並びに投与される特定の更なる治療剤(適用可能な場合)などであるがこれらに限定されない因子に応じて変わる。
【0330】
本明細書に記載の二重特異性EGFR/c-Met抗体、特にアミバンタマブは、例えば、静脈内(intravenous、IV)注入又はボーラス注射により非経口的に、筋肉内又は皮下又は腹腔内など任意の適当な経路によって患者に投与することができる。IV注入は、短くて15分かけて与えてもよいが、多くの場合、30分、60分、90分、2時間、3時間、又は更には7~8時間にわたって投与することができる。最初の投与は、2日間にわたる分割注入としてもよい。二重特異性EGFR/c-Met抗体は、疾患の部位(例えば腫瘍自体)に直接注射することもできる。がんを有する患者に与えられる用量は、治療される疾患を緩和するか又は少なくとも部分的に抑制するうえで十分な量(「治療有効量」)であり、しばしば、0.1~10mg/kg体重、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8,9、又は10mg/kgであるが、更に高くてもよく、例えば、15、17.5、20、30、40、50、60、70、80、90、又は100mg/kgであってもよい。例えば、50、100、200、500、1000、1050、1400mg、又は1700~1800mgの固定単位用量を与えてもよく、又は用量は、例えば、400、300、250、200、若しくは100mg/mの患者の表面積に基づいたものとしてもよい。がんを治療するには、通常、1~8回の用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8回)を投与することができるが、10、12、20回以上の用量が与えられる場合もある。本発明の二重特異性EGFR/c-Met抗体、特にアミバンタマブの投与は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、5週間、6週間、7週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月以上の後に繰り返すことができ、例えば、週1回を4週間、その後、毎週とすることができる。また、治療過程を繰り返すことも、長期にわたる投与として可能である。繰り返し投与は、同一用量であっても異なる用量であってもよい。
【0331】
特定の一実施形態では、FGFR阻害剤は、BRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ERBB2又はTERT阻害剤と組み合わせて投与され、FGFR阻害剤及びBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT阻害剤は、広くはがんの、より具体的にはmUCの異なる性質を調節し、それによって、いずれかの治療剤単独の投与よりも高い全体的な効果をもたらす。
【0332】
患者が受ける全体的な効果は、単純に2つの治療剤の相加的なものである場合もあり、又は患者は相乗的な効果を受ける場合もある。
【0333】
特定の実施形態では、患者は、広くはFGFR阻害剤、より具体的にはエルダフィチニブによる治療を受けた後、広くはFGFR阻害剤を、より具体的にはエルダフィチニブを、少なくとも1つのBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2若しくはTERT阻害剤と、又は別のFGFR阻害剤と同時投与された。
【0334】
本明細書では、患者のがんを治療する方法であって、(a)少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価することと、(b)試料中に少なくとも1つのFGFR2遺伝子変化又はFGFR3遺伝子変化及び少なくとも1つのBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT遺伝子変化がそれぞれ存在する場合、BRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2又はTERT阻害剤と組み合わせたFGFR阻害剤により患者を治療することと、を含む、方法について記載する。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価する工程(a)の前に、FGFR阻害剤によって治療される。特定の実施形態では、患者は、少なくとも1つのBRAF、EGFR、CCND1、ARID1A、ErbB2、又はTERT遺伝子変化の存在について患者からの生体試料を評価する工程(a)の前に、エルダフィチニブによる治療に対して耐性を有するか、又はエルダフィチニブによる治療に対する耐性を獲得している。
【0335】
特定の実施形態では、患者は、本明細書に記載される併用療法のいずれかの投与前に、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療のための少なくとも1つの全身療法を受けている。いくつかの実施形態において、広くはがんの、より具体的にはmUCの治療のための少なくとも1つの全身療法は、白金含有化学療法である。更なる実施形態において、広くはがん、より具体的にはmUCは、少なくとも1つのラインの白金含有化学療法の間又はその後に進行している。
【0336】
特定のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列
FGFR融合cDNAのヌクレオチド配列を表4に示す。下線を付した配列はFGFR3又はFGFR2のいずれかに対応し、黒で示した配列は融合パートナーを表す。
【0337】
【表4-1】
【0338】
【表4-2】
【0339】
【表4-3】
【0340】
【表4-4】
【0341】
【表4-5】
【0342】
【表4-6】
【0343】
【表4-7】
【0344】
【表4-8】
【0345】
【表4-9】
【0346】
EGFR、EGF及びc-Metタンパク質の核酸配列を表5に示す。
【0347】
【表5】
【0348】
本明細書に記載のEGFR/c-Met二重特異性抗体の重鎖及び軽鎖の核酸配列を表6に示す。
【0349】
【表6】
【実施例
【0350】
これらの実施例は、あくまで例示を目的として示されるものであって、本明細書に示される特許請求の範囲を限定するためのものではない。
【0351】
実施例1:FGFR標的化療法に対する内因性耐性のマーカーを特定するための局所進行性又は転移性尿路上皮癌(mUC)におけるエルダフィチニブの第2相BLC2001試験からの循環腫瘍DNA(ctDNA)の分析
FGFR阻害に対する内因性耐性のマーカーを特定するため、局所進行性又は転移性の尿路上皮癌(mUC)及びFGFR2/3変化(突然変異/融合)を有する患者におけるエルダフィチニブの第2相多施設非盲検試験(NCT02365597)から得た血漿試料を、循環腫瘍遺伝子における遺伝子変化の存在について次世代シークエンシングによって評価した。
【0352】
方法
データキュレーション
FGFR突然変異又は融合(NCT02365597)を有する進行性UC患者におけるエルダフィチニブの第2相試験の155人の患者から得た治療前血漿試料を、ctDNAにおける体細胞変化について次世代シークエンシング(NGS)を用いて評価した。下流解析集団は、8mgのエルダフィチニブを毎日投与した82人の患者を中心とし、臨床的に関連する投薬レジメンを反映して、毎日9mgに増量する可能性があり、有効な臨床応答を示した(図1)。
【0353】
73個の遺伝子にわたってカバーされたエクソンの完全なシークエンシングを与えるGUARDANT360(登録商標)検査を用いてNGSを行った。突然変異データをフィルタリングして、生殖系列及び同義突然変異を除去した後、OncoKB(www.oncokb.org)及びがんホットスポット(www.cancerhotspots.org)知識ベースを使用して、可能性の高いドライバー事象(すなわち、病原性変異体)について選択した。融合又は増幅にはフィルタリングを適用しなかった。その遺伝子において影響を受けたアミノ酸位置がいずれかの知識ベースで報告された場合、単一ヌクレオチド変異体(Single nucleotide variant、SNV)を含めた。全ての増幅、スプライシング、融合、及びプロモーター突然変異は、知識ベースにおけるアノテーションとは独立して含めた。全てのフレームシフト及びナンセンス突然変異は、その遺伝子ががん遺伝子(EGFR、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、RET、PIK3CA、NRAS、KIT、ErbB2、BRAF、AR、MET、MYC、KIT、PDGFRA)として予め指定されていない限り、病原性であるとみなした。
【0354】
統計分析:
下流の関連分析に含めるうえで、各遺伝子は、少なくとも3人の患者で治療前血漿において病原性変化が検出されることを必要条件とした。治療前遺伝子変化とエルダフィチニブに対する臨床応答との関係を、フィッシャーの正確確率検定を用いて評価した。治療前の変化状態と患者の無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)との関連を、コックス比例ハザードモデルを用いて評価した。ベンジャミーニ-ホッホベルク法を用いて偽発見率(q)を制御するためにP値を調整した。
【0355】
結果
変化した遺伝子と臨床応答との関連
スクリーニングされた72個の遺伝子のいずれかにおける変化とエルダフィチニブに対する最良総合効果(best overall response、BOR)との間の関連性を評価し、応答(完全応答者(complete responder、CR)及び部分応答者(partial responder、PR))群において観察された変化を進行性疾患(progressive disease、PD)のBORを有する患者と比較した。エルダフィチニブに応答してPDのBORと有意に関連する遺伝子はなかった。ARID1Aの変化は、調整されていない名目p値によって評価されるように、PDのBORとの有意な関連を示した(表7)。
【0356】
【表7】
安定疾患のBORを有する患者を含まない;フィッシャーの正確確率検定。
【0357】
変化遺伝子とPFS及びOSとの関連
エルダフィチニブ治療患者におけるベースラインにおける遺伝子変化の存在並びにPFS及びOS転帰との関連を評価した。
【0358】
治療前血漿におけるEGFR、CCND1又はBRAFの変化を有する患者は、これらの遺伝子の変化について陰性の患者と比較して、PFSが有意に短かった。ベースラインにおけるEGFR変化を有する患者は、変化陰性患者における5.7か月と比較して、PFSの中央値は2.8ヶ月であった(HR=4.3;95%CI=2.1~8.9、q=0.0026)(表8及び図2A)。同様に、ベースラインにおけるCCND1(5.7ヶ月に対して2.8ヶ月;HR=3.6、95%CI=1.8~7.1、q=0.0041)(表8及び図2B)、及びBRAF(5.6ヶ月に対して2.8ヶ月;HR=3.6、95%CI=1.6~8.2、q=0.024)(表8及び図2C)変化を有する患者は、変化陰性患者と比較してPFSの中央値がより短かった。
【0359】
【表8】
名目p値<0.05の遺伝子
【0360】
EGFR変化を有する患者では、EGFR変化を有しない患者と比較して、OSの中央値が有意に短かった(14.2ヶ月に対して4.7ヶ月;HR=3.9、95%CI=1.7~9.0、q=0.045)(表9及び図3)。
【0361】
【表9】
名目p値<0.05の遺伝子
【0362】
内因性耐性のマーカーの頻度
増量の可能性のある8mg/日のエルダフィチニブコホートにおける82人の患者のうち、EGFR(n=10、12%)、CCND1(n=11、13%)、又はBRAF(n=7、9%)変化が、患者の21%(17/82)で観察された(表10、図4)。増幅は主要な変化であり、8/10(80%)、11/11(100%)、及び6/7(86%)の患者が、それぞれEGFR、CCND1、又はBRAF遺伝子の増幅を呈した(表10)。
【0363】
【表10】
【0364】
変化した耐性遺伝子の同時発現が観察された(表11)。
【0365】
【表11】
EGFR,CCND1,BRAF
【0366】
ベースラインにおいて、EGFR及びBRAFの同時変化が4人の患者で、EGFR及びCCND1の同時変化が3人の患者で、EGFR、BRAF及びCCND1の同時変化が2人の患者で観察された(図5)。
【0367】
まとめ及び結論
局所進行性又はmUC及びFGFR2/3変化を有する患者において、ベースラインにおけるEGFR、CCND1、及びBRAF変化の存在は、より短いPFSと相関しており、ベースラインにおけるEGFR変化は、より短いOSと相関していた。遺伝子増幅は、このFGFR変化陽性集団で観察された主要な変化であった。
【0368】
EGFR、CCND1及びBRAFにおける変化を有する患者は、エルダフィチニブに応答した。これらの結果は、併用療法が、FGFR及びこれらの遺伝子のうちの1つの両方に変化を有する患者で更に有益である可能性を示すものである。特に、エルダフィチニブと、EGFR、CCND1若しくはBRAF阻害剤、又はこれらの経路の阻害剤との組み合わせ。併用療法は、これらの遺伝子のうちの少なくとも1つに変化があった試験対象患者の21%で効果を示すことができた。
【0369】
本明細書に記載の実施例及び実施形態は例示のみを目的とし、様々な修正又は変更が、当業者に提示され、本出願の趣旨及び範囲、並びに添付の特許請求の範囲内に含まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
【国際調査報告】