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特表2023-542358固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法
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  • 特表-固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法 図1
  • 特表-固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法 図2
  • 特表-固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法 図3
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  • 特表-固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法 図6
  • 特表-固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法 図7
  • 特表-固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-06
(54)【発明の名称】固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/06 20060101AFI20230929BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20230929BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230929BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20230929BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20230929BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20230929BHJP
   C01B 25/14 20060101ALI20230929BHJP
【FI】
H01B1/06 A
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/13
H01M4/62 Z
H01B13/00 Z
C01B25/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518289
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 KR2021012904
(87)【国際公開番号】W WO2022065855
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0122436
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ソク・ス・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ファン・ク
【テーマコード(参考)】
5G301
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5G301CA02
5G301CA04
5G301CA05
5G301CA08
5G301CA11
5G301CA12
5G301CA14
5G301CA15
5G301CA16
5G301CA17
5G301CA19
5G301CA23
5G301CA25
5G301CA27
5G301CA28
5G301CA30
5G301CD01
5G301CE02
5H029AJ03
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AK05
5H029AL02
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM12
5H029BJ12
5H029CJ02
5H029CJ08
5H029DJ09
5H029DJ16
5H029DJ17
5H029EJ07
5H029HJ02
5H029HJ05
5H029HJ12
5H029HJ13
5H029HJ14
5H029HJ20
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA12
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA13
5H050EA15
5H050FA02
5H050FA17
5H050FA19
5H050GA02
5H050GA10
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA12
5H050HA13
5H050HA14
5H050HA17
(57)【要約】
下記化学式1で表示され、アルジロダイト型(Argyrodite type)結晶構造を有し、25℃で3mS/cm以上のイオン伝導度(ion conductivity)を有し、平均粒径が0.5μm~7μmである、固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル及びその製造方法が提示される:
[化1]
LiM1PSM2M3
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
4≦a≦8、0≦x<1、3≦y≦7、0<z≦2、0≦w<2、1.5≦n≦5、及び0<x+w<3である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示され、
アルジロダイト型(Argyrodite type)結晶構造を有し、
25℃で3mS/cm以上のイオン伝導度(ion conductivity)を有し、
平均粒径が0.1μm~7μmである、固体イオン伝導体化合物:
[化1]
LiM1PSM2M3
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
4≦a≦8、0≦x<1、3≦y≦7、0<z≦2、0≦w<2、1.5≦n≦5、及び0<x+w<3である。
【請求項2】
前記M1がNa、K、Cu、Mg、Ag、Cu、Hf、In、Ti、Pb、Sb、Fe、Zr、Zn、Cr、B、Sn、Ge、Si、Zr、Ta、Nb、V、Ga、Al、As、またはそれらの組合わせを含む、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項3】
前記M2がF、Cl、Br、Iまたはそれらの組合わせを含み、
前記M3のSOが S,S,S,S,S,S,S,S,SO,SO,またはそれらの組合わせである、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項4】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式1aないし1cで表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
[化1a]
LiM1PSM2
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
4≦a≦8、0<x<1、3≦y≦7、及び0<z≦2である。
[化1b]
LiM1PSM2M3
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
4≦a≦8、0<x<1、3≦y≦7、0<z≦2、0<w<2、及び1.5≦n≦5である。
[化1c]
LiPSM2M3
前記式において、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
4≦a≦8、3≦y≦7、0<z≦2、0<w<2、及び1.5n≦5である。
【請求項5】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式2で表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
[化2]
Li7-mХv-zM1PS6-z-wM2M3
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、mは、M1の酸化数であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
0≦v<1、0<z≦2、0≦w<2、1.5≦n≦5、1≦m≦2、及び0<v+w<3である。
【請求項6】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式2aないし2cで表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
[化2a]
Li7-mХv-zM1PS6-zM2
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、mは、M1の酸化数であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
0<v<1、0<z≦2、及び1≦m≦2である。
[化2b]
Li7-mХv-zM1PS6-z-wM2M3
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、mは、M1の酸化数であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
0<v<1、0<z≦2、0<w<2、1.5≦n≦5、及び1≦m≦2である。
[化2c]
Li7-zPS6-z-wM2M3
前記式において、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
0<z≦2、0<w<2、1.5≦n≦5、及び1≦m≦2である。
【請求項7】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式3で表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
[化3]
Li7-mХv-zM4PS6-zM5z1M6z2
前記式において、
M4は、Na、K、Mg、Ag、Cu、Hf、In、Ti、Pb、Sb、Fe、Zr、Zn、Cr、B、Sn、Ge、Si、Zr、Ta、Nb、V、Ga、Al、As、またはそれらの組合わせであり、mは、M4の酸化数であり、
M5及びM6は、互いに独立してF、Cl、Br、またはIであり、
0<v<0.7、0<z1<2、0≦Z2<1、0<z<2、z=z1+z2及び1≦m≦2である。
【請求項8】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式3aないし3eで表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
[化3a]
Li7-v-zNaPS6-zM5z1M6z2
[化3b]
Li7-v-zPS6-zM5z1M6z2
[化3c]
Li7-v-zCuPS6-zM5z1M6z2
[化3d]
Li7-v-zMgPS6-zM5z1M6z2
[化3e]
Li7-v-zAgPS6-zM5z1M6z2
前記式において、
M5及びM6は、互いに独立してF、Cl、Br、またはIであり、
0<v<0.7、0<z1<2、0≦Z2<1、0<z<2及びz=z1+z2である。
【請求項9】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式で表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
Li7-v-zNaPS6-zz1,Li7-v-zNaPS6-zClz1,Li7-v-zNaPS6-zBrz1,Li7-v-zNaPS6-zz1
Li7-v-zNaPS6-zz1Clz2,Li7-v-zNaPS6-zz1Brz2,Li7-v-zNaPS6-zz1z2,Li7-v-zNaPS6-zClz1Brz2,Li7-v-zNaPS6-zClz1z2,Li7-v-zNaPS6-zClz1z2,Li7-v-zNaPS6-zBrz1z2,Li7-v-zNaPS6-zBrz1z2,Li7-v-zNaPS6-zBrz1Clz2,Li7-v-zNaPS6-zz1z2,Li7-v-zNaPS6-zz1Clz2,Li7-v-zNaPS6-zz1Brz2
Li7-v-zPS6-zz1,Li7-v-zPS6-zClz1,Li7-v-zPS6-zBrz1,Li7-v-zPS6-zz1
Li7-v-zPS6-zz1Clz2,Li7-v-zPS6-zz1Brz2,Li7-v-zPS6-zz1z2,Li7-v-zPS6-zClz1Brz2,Li7-v-zPS6-zClz1z2,Li7-v-zPS6-zClz1z2,Li7-v-zPS6-zBrz1z2,Li7-v-zPS6-zBrz1z2,Li7-v-zPS6-zBrz1Clz2,Li7-v-zPS6-zz1z2,Li7-v-zPS6-zz1Clz2,Li7-v-zPS6-zz1Brz2
Li7-v-zCuPS6-zz1,Li7-v-zCuPS6-zClz1,Li7-v-zCuPS6-zBrz1,Li7-v-zCuPS6-zz1
Li7-v-zCuPS6-zz1Clz2,Li7-v-zCuPS6-zz1Brz2,Li7-v-zCuPS6-zz1z2,Li7-v-zCuPS6-zClz1Brz2,Li7-v-zCuPS6-zClz1z2,Li7-v-zCuPS6-zClz1z2,Li7-v-zCuPS6-zBrz1z2,Li7-v-zCuPS6-zBrz1z2,Li7-v-zCuPS6-zBrz1Clz2,Li7-v-zCuPS6-zz1z2,Li7-v-zCuPS6-zz1Clz2,Li7-v-zCuPS6-zz1Brz2
Li7-v-zMgPS6-zz1,Li7-v-zMgPS6-zClz1,Li7-v-zMgPS6-zBrz1,Li7-v-zMgPS6-zz1
Li7-v-zMgPS6-zz1Clz2,Li7-v-zMgPS6-zz1Brz2,Li7-v-zMgPS6-zz1z2,Li7-v-zMgPS6-zClz1Brz2,Li7-v-zMgPS6-zClz1z2,Li7-v-zMgPS6-zClz1z2,Li7-v-zMgPS6-zBrz1z2,Li7-v-zMgPS6-zBrz1z2,Li7-v-zMgPS6-zBrz1Clz2,Li7-v-zMgPS6-zz1z2,Li7-v-zMgPS6-zz1Clz2,Li7-v-zMgPS6-zz1Brz2
Li7-v-zAgPS6-zz1,Li7-v-zAgPS6-zClz1,Li7-v-zAgPS6-zBrz1,Li7-v-zAgPS6-zz1
Li7-v-zAgPS6-zz1Clz2,Li7-v-zAgPS6-zz1Brz2,Li7-v-zAgPS6-zz1z2,Li7-v-zAgPS6-zClz1Brz2,Li7-v-zAgPS6-zClz1z2,Li7-v-zAgPS6-zClz1z2,Li7-v-zAgPS6-zBrz1z2,Li7-v-zAgPS6-zBrz1z2,Li7-v-zAgPS6-zBrz1Clz2,Li7-v-zAgPS6-zz1z2,Li7-v-zAgPS6-zz1Clz2,Li7-v-zAgPS6-zz1Brz2
前記式において、0<v<0.7、0<z1<2、0≦Z2<1、0<z<2及びz=z1+z2である。
【請求項10】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式4で表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
[化4]
Li7-mХv-zM4PS6-z-wM7(SO
前記式において、
M4は、Na、K、Mg、Ag、Cu、Hf、In、Ti、Pb、Sb、Fe、Zr、Zn、Cr、B、Sn、Ge、Si、Zr、Ta、Nb、V、Ga、Al、As、またはそれらの組合わせであり、mは、M4の酸化数であり、
M7は、F、Cl、Br、またはIであり、
0<v<1、0<z≦2、0<w<1、及び1≦m≦2である。
【請求項11】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式4aないし4eで表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
[化4a]
Li7-v-zNaPS6-z-wM7(SO
[化4b]
Li7-v-zPS6-z-wM7(SO
[化4c]
Li7-v-zCuPS6-z-wM7(SO
[化4d]
Li7-v-zMgPS6-z-wM7(SO
[化4e]
Li7-v-zAgPS6-z-wM7(SO
前記式において、
M7は、F、Cl、Br、またはIであり、
0<v<0.7、0<z≦2、及び0<w<0.2である。
【請求項12】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式で表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
Li7-v-zNaPS6-z-w(SO,Li7-v-zNaPS6-z-wCl(SO,Li7-v-zNaPS6-z-wBr(SO,Li7-v-zNaPS6-z-w(SO
Li7-v-zPS6-z-w(SO,Li7-v-zPS6-z-wCl(SO,Li7-v-zPS6-z-wBr(SO,Li7-v-zPS6-z-w(SO
Li7-v-zCuPS6-z-w(SO,Li7-v-zCuPS6-z-wCl(SO,Li7-v-zCuPS6-z-wBr(SO,Li7-v-zCuPS6-z-w(SO
Li7-v-zMgPS6-z-w(SO,Li7-v-zMgPS6-z-wCl(SO,Li7-v-zMgPS6-z-wBr(SO,Li7-v-zMgPS6-z-w(SO
Li7-v-zAgPS6-z-w(SO,Li7-v-zAgPS6-z-wCl(SO,Li7-v-zAgPS6-z-wBr(SO,Li7-v-zAgPS6-z-w(SO
前記式において、
0<v<0.7、0<z≦2、及び0<w<0.2である。
【請求項13】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式5で表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
[化5]
Li7-zPS6-z-wM7(SO
前記式において、
M7は、F、Cl、Br、またはIであり、
0<z≦2及び0<w<2である。
【請求項14】
前記化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が下記化学式で表示される、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物:
Li7-zPS6-z-w(SO,Li7-zPS6-z-wCl(SO,Li7-zPS6-z-wBr(SO,Li7-zPS6-z-w(SO
前記式において、
0<z≦2及び0<w<2である。
【請求項15】
CuKα線を用いたXRDスペクトルで回折角2θ=30.01゜±1.0゜における結晶性ピークのピーク強度(Ia)が、回折角2θ=19.0゜±3.0゜におけるブロード(broad)ピークのピーク強度(Ib)に比べて大きい、請求項1に記載の固体イオン伝導体化合物。
【請求項16】
請求項1~15のうち、いずれか1項に記載の固体イオン伝導体化合物を含む固体電解質。
【請求項17】
正極活物質層を含む正極層と、
負極活物質層を含む負極層と、
前記正極層及び負極層の間に配置される電解質層と、を含み、
前記正極活物質層及び前記電解質層のうち、1つ以上が請求項1~15のうち、いずれか1項に記載の固体イオン伝導体化合物を含む、電気化学セル。
【請求項18】
前記電気化学セルが全固体二次電池であり、
前記正極活物質層が含む固体イオン伝導体化合物の平均粒径が0.5~5μmであるか、
前記電解質層が含む固体イオン伝導体化合物の平均粒径が1~7μmである、請求項17に記載の電気化学セル。
【請求項19】
平均粒径7μm以下である互いに異なる種類の前駆体化合物を個別的に準備する段階と、
前記互いに異なる種類の前駆体化合物を互いに混合して混合物を準備する段階と、
前記混合物を熱処理して固体イオン伝導体化合物を準備する段階と、を含み、
前記固体イオン伝導体化合物の平均粒径が7μm以下である、固体イオン伝導体化合物の製造方法。
【請求項20】
前記前駆体粒子のD90-D10値が10μm以下である、請求項19に記載の固体イオン伝導体化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含むリチウム電池、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全固体リチウム電池は、電解質として固体電解質を含む。全固体リチウム電池は、可燃性有機溶媒を含まないので、安全性に優れる。
【0003】
従来の固体電解質材料は、全固体リチウム電池に適用するために、一定範囲の平均粒径を有するように粉砕されて使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、減少した粒径と向上したリチウムイオン伝導度を同時に有する固体イオン伝導体化合物を提供することである。
【0005】
他の課題は、前記固体イオン伝導体化合物を含む固体電解質を提供することである。
【0006】
さらに他の課題は、前記固体イオン伝導体化合物を含む電気化学セルを提供することである。
【0007】
さらに他の課題は、前記固体イオン伝導体化合物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一側面によって、下記化学式1で表示され、アルジロダイト型(Argyrodite type)結晶構造を有し、25℃で3mS/cm以上のイオン伝導度(ion conductivity)を有し、平均粒径が0.1μm~7μmである、固体イオン伝導体化合物が提供される:
[化1]
LiM1PSM2M3
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
4≦a≦8、0≦x<1、3≦y≦7、0<z≦2、0≦w<2、1.5≦n≦5、及び0<x+w<3である。
【0009】
他の一側面によって、前記による固体イオン伝導体化合物を含む固体電解質が提供される。
【0010】
さらに他の一側面によって、正極活物質層を含む正極層;負極活物質層を含む負極層;及び、前記正極層及び負極層の間に配置される電解質層;を含み、前記正極活物質層及び前記電解質層のうち、1つ以上が、前記による固体イオン伝導体化合物を含む電気化学セルが提供される。
【0011】
さらに他の一側面によって、平均粒径7μm以下である互いに異なる種類の前駆体化合物を個別に準備する段階;前記互いに異なる種類の前駆体化合物を互いに混合して混合物を準備する段階;及び、前記混合物を熱処理して固体イオン伝導体化合物を準備する段階;を含み、前記固体イオン伝導体化合物の平均粒径がそれぞれ7μm以下である、固体イオン伝導体化合物の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、向上したリチウムイオン伝導度及び減少した平均粒径を有する固体イオン伝導体化合物を含むことにより、改善されたサイクル特性を有する電気化学セルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1ないし3、比較例1、及び比較例4で製造された固体イオン伝導体化合物に対する粉末XRDスペクトルである。
図2】実施例1で使用されたリチウム前駆体、リン(P)前駆体、塩素前駆体、及び前駆体混合物の粒度分布図である。
図3】実施例1、比較例1及び比較例4で製造された固体イオン伝導体化合物の粒度分布図である。
図4】実施例1ないし3で製造された固体イオン伝導体化合物の粒度分布図である。
図5】実施例4ないし6及び比較例10で製造された全固体二次電池の寿命特性及び放電容量を示したグラフである。
図6】全固体二次電池の一具現例の概略図である。
図7】全固体二次電池の他の一具現例の概略図である。
図8】全固体二次電池の他の一具現例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
多様な具現例が添付図面に図示されている。しかし、本創意的思想は、多くの異なる形態に具体化され、本明細書に説明された具現例に限定されると解釈されてはならない。むしろ、これら実施例は、本開示が徹底なものであり、完全になされるように提供され、技術分野で通常の知識を有する者に、本創意的思想の範囲を十分に伝達するであろう。同じ図面符号は、同じ構成要素を指称する。
【0015】
ある構成要素が他の構成要素の「上に」あると言及されるとき、他の構成要素の真上にあるか、その間に他の構成要素が介在されうるということは、自明であろう。対照的に、構成要素が他の構成要素の「直上に」あると言及されるとき、その間に構成要素が介在しない。
【0016】
「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、本明細書において多様な構成要素、成分、領域、層及び/または区域を説明するために使用されうるが、それら構成要素、成分、領域、層及び/または区域は、それらの用語によって制限されてはならない。それらの用語は、1つの構成要素、成分、領域、層または区域を、他の要素、成分、領域、層または区域と区別するために使用されるだけである。したがって、後述する第1構成要素、成分、領域、層または区域は、本明細書の教示を外れずに、第2構成要素、成分、領域、層または区域とも指称される。
【0017】
本明細書で使用された用語は、特定の具現例のみを説明し、本創意的思想を制限するものではない。本願で使用される単数形表現は、明確に異なる内容を指示しない限り、「少なくとも1つ」を含む複数形表現を含む。「少なくとも1つ」は、単数形表現に制限されると解釈されてはならない。本明細書で使用されたように、「及び/または」という用語は、リスト項目のうち、1つ、あるいはそれ以上の任意の全ての組合わせを含む。詳細な説明で使用された「含む。」及び/または「含む」という用語は、明示された特徴、領域、整数、段階、動作、構成要素及び/または成分の存在を特定し、1つ以上の他の特徴、領域、整数、段階、動作、構成要素、成分及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除しない。
【0018】
「下」、「下側」、「下部」、「上」、「上側」、「上部」のような空間的に相対的な用語は、1つの構成要素または特徴の他の構成要素または特徴に対する関係を容易に記述するために、ここで使用されうる。空間的に相対的な用語は、図面に図示された方向に追加して、使用または作動時に装置の互いに異なる方向を含むように意図されたと理解されうる。例えば、図面の装置が上下反転されれば、他の構成要素または特徴の「下」または「下方」と記述された構成要素は、他の構成要素または特徴の「上」に配向される。したがって、例示的な用語「下方」は、上下方向をいずれも包括する。前記装置は、他の方向にも配置され(90°回転されるか、他の方向に回転されうる)、本明細書で使用される空間的に相対的な用語は、そのように解釈されうる。
【0019】
取り立てて定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術及び科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書で定義されたような用語は、関連技術及び本開示内容の文脈内のその意味と一致する意味を有すると解釈されなければならず、理想化されるか、過度に形式的な意味と解釈されてはならないということがさらに理解されるであろう。
【0020】
例示的な具現例が理想化された具現例の概略図である断面図を参照して本明細書で説明される。このように、例えば、製造技術及び/または許容誤差のような結果として図示の形状からの変形が予想されなければならない。したがって、本明細書に記述された実施例は、本明細書に図示されたような領域の特定形状に制限されると解釈されてはならず、例えば、製造から惹起される形状の偏差を含まなければならない。例えば、扁平であると図示されるか、記述された領域は、典型的に粗いか、及び/または、非線形特徴を有することができる。さらに、鋭く図示された角は、丸くもある。したがって、図面に図示された領域は、本質的に概略的であり、その形状は、領域の正確な形状を図示するためのものではなく、本請求項の範囲を制限しようとするものではない。
【0021】
「族」は、国際純粋及び応用化学連盟(「IUPAC」)1-18族の族分類システムによる元素周期律表のグループを意味する。
【0022】
本明細書において粒子の「粒径」は、粒子が球状である場合、平均直径を示し、粒子が非球状である場合には、平均長軸長を示す。粒子の粒径は、粒子サイズ分析器(particle size analyzer(PSA))を利用して測定する。粒子の「粒径」は、例えば、平均粒径である。「平均粒径」は、例えば、メジアン粒径であるD50である。
【0023】
D50は、レーザー回折法で測定される粒子サイズ分布において小粒子サイズを有する粒子側から計算して50%累積体積に該当する粒子サイズである。
【0024】
D90は、レーザー回折法で測定される粒子サイズ分布において小粒子サイズを有する粒子側から計算して90%累積体積に該当する粒子サイズである。
【0025】
D10は、レーザー回折法で測定される粒子サイズ分布において小粒子サイズを有する粒子側から計算して10%累積体積に該当する粒子サイズである。
【0026】
特定の具現例が記述されたが、現在予想されないか、予想できない代案、修正、変形、改善及び実質的な均等物が、出願人または当業者に発生しうる。したがって、出願され、修正されうる特許請求の範囲は、そのような全ての代案、修正、変形、改善及び実質的な均等物を含むものと意図される。
【0027】
以下、例示的な1つ以上の具現例による固体イオン伝導体化合物、それを含む固体電解質、それを含む電気化学セル、及び前記固体イオン伝導体化合物の製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0028】
[固体イオン伝導体化合物]
一具現例による固体イオン伝導体化合物は、下記化学式1で表示され、アルジロダイト型(Argyrodite type)結晶構造を有し、25℃で3mS/cm以上のイオン伝導度(ion conductivity)を有し、平均粒径が0.1μm~7μmである:
[化1]
LiM1PSM2M3
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
4≦a≦8、0≦x<1、3≦y≦7、0<z≦2、0≦w<2、1.5≦n≦5及び0<x+w<3である。
【0029】
例えば、5≦a≦8、0≦x≦0.7、4≦y≦7、0<z≦2及び0≦w≦0.5である。例えば、5≦a≦7、0≦x≦0.5、4≦y≦6、0<z≦2及び0≦w≦0.2である。例えば、5.5≦a≦7、0≦x≦0.3、4.5≦y≦6、0.2≦z≦1.8及び0≦w≦0.1である。例えば、5.5≦a≦7、0≦x≦0.1、4.5≦y≦6、0.5≦z≦1.8及び0≦w≦0.1である。例えば、5.5≦a≦7、0≦x≦0.05、4.5≦y≦6、1.0≦z≦1.8及び0≦w≦0.1である。
【0030】
化学式1で表示される化合物は、例えば、結晶構造を有する結晶性化合物(crystalline compound)であり、結晶構造内でリチウムサイト(site)の一部に置換されるM及び/またはMeを含むことにより、化合物内でリチウムイオンのイオン伝導度が向上し、活性化エネルギーが減少しうる。例えば、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が含むリチウムサイトの一部にリチウムと同じ酸化数を有しつつ、リチウムイオンに比べてイオン半径が類似しているか、さらに大きな他のイオンが配置されることにより、結晶格子体積(crystal lattice volume)が増加しうる。結晶格子の体積が増加することにより、結晶格子内でリチウムイオンの移動が容易にもなる。また、例えば、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が含むリチウムサイトの一部に、リチウムイオンに比べて酸化数がさらに大きい、すなわち、酸化数2以上のイオンが配置されることにより、リチウムサイトの一部が空サイト(vacant site)にもなる。結晶格子内に空サイトが存在することにより、結晶格子内でリチウムイオンの移動が容易にもなる。化学式1において、例えば、M1は、1価陽イオンまたは、2価陽イオンでもある。化学式1において、特に、M1は、1価陽イオンでもある。
【0031】
化学式1で表示される化合物は、平均粒径は、例えば、0.3μm~7μm、0.4μm~6μm、0.5μm~5μm、0.5μm~4μmまたは0.5μm~3μmである。固体イオン伝導体化合物が、そのような範囲の粒径を有することにより、全固体二次電池の正極層に好適に使用されうる。したがって、そのような固体イオン伝導体化合物を含む正極層を採用した全固体二次電池のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0032】
化学式1で表示される化合物は、平均粒径は、例えば、1μm~7μm、1μm~6μm、1μm~5μm、または2μm~4μmである。イオン伝導体化合物が、そのような範囲の粒径を有することにより、全固体二次電池の固体電解質層に好適に使用されうる。したがって、そのような固体イオン伝導体化合物を含む固体電解質層を採用した全固体二次電池のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0033】
化学式1で表示される化合物のD90-D10値は、例えば、1~30μm、1~25μm、1~20μm、1~15μm、1~10μm、1~9μm、1~8μm、1~7μm、または1~6μmである。イオン伝導体化合物が、そのような範囲のD90-D10値を有することにより、全固体二次電池の固体電解質層に好適に使用されうる。したがって、そのような固体イオン伝導体化合物を含む固体電解質層を採用した全固体二次電池のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0034】
化学式1で表示される化合物のイオン伝導度は、例えば、25℃で3mS/cm~100mS/cm、3mS/cm~50mS/cm、3mS/cm~40mS/cm、3mS/cm~30mS/cm、3mS/cm~20mS/cmまたは、3mS/cm~10mS/cmである。化学式1の固体イオン伝導体化合物が、そのような範囲のイオン伝導度を有することにより、そのような固体イオン伝導体を含む電気化学セルで、正極と負極とのイオン伝達を効果的に遂行して正極と負極との間に内部抵抗を減少させうる。イオン伝導度は、直流分極法(DC polarization method)を使用して測定しうる。または、イオン伝導度は、複数インピーダンス法(complex impedance method)を使用して測定してもよい。
【0035】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物において、例えば、M1が、Na、K、Mg、Ag、Cu、Hf、In、Ti、Pb、Sb、Fe、Zr、Zn、Cr、B、Sn、Ge、Si、Zr、Ta、Nb、V、Ga、Al、As、またはそれらの組合わせを含みうる。M1は、例えば、1価陽イオンまたは、2価陽イオンでもある。
【0036】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物において、例えば、M1が、Na、K、Cu、Mg、Agまたはそれらの組合わせを含みうる。M1は、例えば、1価陽イオンでもある。
【0037】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物において、例えば、M2が、F、Cl、Br、Iまたはそれらの組合わせを含みうる。M2は、例えば、1価陰イオンでもある。
【0038】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物において、例えば、M3のSOは、S,S,S,S,S,S,S,S,SO,SO,またはそれらの組合わせでもある。SOは、例えば、2価陰イオンでもある。 SO 2-は、例えば、S 2-,S 2-,S 2-,S 2-,S 2-,S 2-,S 2-,S 2-,SO 2-,SO 2-、またはそれらの組合わせでもある。
【0039】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式1aないし1cで表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
[化1a]
LiM1PSM2
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
4≦a≦8、0<x<1、3≦y≦7、及び0<z≦2である。
【0040】
化学式1aで表示される固体イオン伝導体化合物は、M1及びM2を含み、M3を含まない化合物である。
[化1b]
LiM1PSM2M3
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
4≦a≦8、0<x<1、3≦y≦7、0<z≦2、0<w<2、及び1.5≦n≦5である。
【0041】
化学式1bで表示される固体イオン伝導体化合物は、M1、M2及びM3をいずれも含む化合物である。
[化1c]
LiPSM2M3
前記式において、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
4≦a≦8、3≦y≦7、0<z≦2、0<w<2、及び1.5≦n≦5である。
【0042】
化学式1cで表示される固体イオン伝導体化合物は、M1を含まず、M2及びM3を含む化合物である。
【0043】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式2で表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
[化2]
Li7-mХv-zM1PS6-z-wM2M3
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、mは、M1の酸化数であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
0≦v<1、0<z≦2、0≦w<2、1.5≦n≦5、1≦m≦2、及び0<v+w<3である。
【0044】
例えば、0≦v≦0.7、0<z≦2及び0≦w≦0.5である。例えば、0≦v≦0.5、0<z≦2及び0≦w≦0.2である。例えば、0≦v≦0.3、0.2≦z≦1.8及び0≦w≦0.1である。例えば、0≦v≦0.1、0.5≦z≦1.8及び0≦w≦0.1である。例えば、0≦v≦0.05、1.0≦z≦1.8及び0≦w≦0.1である。
【0045】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式2aないし2cで表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
[化2a]
Li7-mХv-zM1PS6-zM2
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、mは、M1の酸化数であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
0<v<1、0<z≦2、及び1≦m≦2である。
【0046】
化学式2aで表示される固体イオン伝導体化合物は、M1及びM2を含み、M3を含まない化合物である。M1は、例えば、1種の金属元素または2種以上の金属元素でもある。
[化2b]
Li7-mХv-zM1PS6-z-wM2M3
前記式において、
M1は、周期律表1族ないし15族のうち、選択されたLi以外の1つ以上の金属元素であり、mは、M1の酸化数であり、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
0<v<1、0<z≦2、0<w<2、1.5≦n≦5、及び1≦m≦2である。
【0047】
化学式2bで表示される固体イオン伝導体化合物は、M1、M2及びM3を含む化合物である。M1は、例えば、1種の金属元素または2種以上の金属元素でもある。M2は、
【0048】
例えば、1種のハロゲン元素または2種以上のハロゲン元素でもある。
[化2c]
Li7-zPS6-z-wM2M3
前記式において、
M2は、周期律表17族から選択された1つ以上の元素であり、
M3は、SOであり、
0<z≦2、0<w<2、1.5≦n≦5、及び1≦m≦2である。
【0049】
化学式2cで表示される固体イオン伝導体化合物は、M2及びM3を含む化合物である。
【0050】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式3で表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
[化3]
Li7-mХv-zM4PS6-zM5z1M6z2
前記式において、
M4は、Na、K、Mg、Ag、Cu、Hf、In、Ti、Pb、Sb、Fe、Zr、Zn、Cr、B、Sn、Ge、Si、Zr、Ta、Nb、V、Ga、Al、As、またはそれらの組合わせであり、mは、M4の酸化数であり、
M5及びM6は、互いに独立してF、Cl、Br、またはIであり、
0<v<0.7、0<z1<2、0≦z2<1、0<z<2、z=z1+z2及び1≦m≦2である。
【0051】
例えば、0<v≦0.7、0<z1<2、0≦z2≦0.5、0<z<2、及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.5、0<z1<2、0≦z2≦0.5、0<z<2及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.3、0<z1≦1.5、0≦z2≦0.5、0.2≦z≦1.8及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.1、0<z1≦1.5、0≦z2≦0.5、0.5≦z≦1.8及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.05、0<z1≦1.5、0≦z2≦0.2、1.0≦z≦1.8及びz=z1+z2である。M4は、例えば、1種の金属元素または2種の金属元素でもある。
【0052】
化学式3で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、1種のハロゲン元素または2種のハロゲン元素を含む。
【0053】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式3aないし3eで表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
[化3a]
Li7-v-zNaPS6-zM5z1M6z2
[化3b]
Li7-v-zPS6-zM5z1M6z2
[化3c]
Li7-v-zCuPS6-zM5z1M6z2
[化3d]
Li7-v-zMgPS6-zM5z1M6z2
[化3e]
Li7-v-zAgPS6-zM5z1M6z2
前記式において、
M5及びM6は、互いに独立してF、Cl、Br、またはIであり、
0<v<0.7、0<z1<2、0≦Z2<1、0<z<2及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.7、0<z1<2、0≦z2≦0.5、0<z<2、及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.5、0<z1<2、0≦z2≦0.5、0<z<2及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.3、0<z1≦1.5、0≦z2≦0.5、0.2≦z≦1.8及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.1、0<z1≦1.5、0≦z2≦0.5、0.5≦z≦1.8及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.05、0<z1≦1.5、0≦z2≦0.2、1.0≦z≦1.8及びz=z1+z2である。
【0054】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式で表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
Li7-v-zNaPS6-zz1,Li7-v-zNaPS6-zClz1,Li7-v-zNaPS6-zBrz1,Li7-v-zNaPS6-zz1
Li7-v-zNaPS6-zz1Clz2,Li7-v-zNaPS6-zz1Brz2,Li7-v-zNaPS6-zz1z2,Li7-v-zNaPS6-zClz1Brz2,Li7-v-zNaPS6-zClz1z2,Li7-v-zNaPS6-zClz1z2,Li7-v-zNaPS6-zBrz1z2,Li7-v-zNaPS6-zBrz1z2,Li7-v-zNaPS6-zBrz1Clz2,Li7-v-zNaPS6-zz1z2,Li7-v-zNaPS6-zz1Clz2,Li7-v-zNaPS6-zz1Brz2
Li7-v-zPS6-zz1,Li7-v-zPS6-zClz1,Li7-v-zPS6-zBrz1,Li7-v-zPS6-zz1
Li7-v-zPS6-zz1Clz2,Li7-v-zPS6-zz1Brz2,Li7-v-zPS6-zz1z2,Li7-v-zPS6-zClz1Brz2,Li7-v-zPS6-zClz1z2,Li7-v-zPS6-zClz1z2,Li7-v-zPS6-zBrz1z2,Li7-v-zPS6-zBrz1z2,Li7-v-zPS6-zBrz1Clz2,Li7-v-zPS6-zz1z2,Li7-v-zPS6-zz1Clz2,Li7-v-zPS6-zz1Brz2
Li7-v-zCuPS6-zz1,Li7-v-zCuPS6-zClz1,Li7-v-zCuPS6-zBrz1,Li7-v-zCuPS6-zz1
Li7-v-zCuPS6-zz1Clz2,Li7-v-zCuPS6-zz1Brz2,Li7-v-zCuPS6-zz1z2,Li7-v-zCuPS6-zClz1Brz2,Li7-v-zCuPS6-zClz1z2,Li7-v-zCuPS6-zClz1z2,Li7-v-zCuPS6-zBrz1z2,Li7-v-zCuPS6-zBrz1z2,Li7-v-zCuPS6-zBrz1Clz2,Li7-v-zCuPS6-zz1z2,Li7-v-zCuPS6-zz1Clz2,Li7-v-zCuPS6-zz1Brz2
Li7-v-zMgPS6-zz1,Li7-v-zMgPS6-zClz1,Li7-v-zMgPS6-zBrz1,Li7-v-zMgPS6-zz1
Li7-v-zMgPS6-zz1Clz2,Li7-v-zMgPS6-zz1Brz2,Li7-v-zMgPS6-zz1z2,Li7-v-zMgPS6-zClz1Brz2,Li7-v-zMgPS6-zClz1z2,Li7-v-zMgPS6-zClz1z2,Li7-v-zMgPS6-zBrz1z2,Li7-v-zMgPS6-zBrz1z2,Li7-v-zMgPS6-zBrz1Clz2,Li7-v-zMgPS6-zz1z2,Li7-v-zMgPS6-zz1Clz2,Li7-v-zMgPS6-zz1Brz2
Li7-v-zAgPS6-zz1,Li7-v-zAgPS6-zClz1,Li7-v-zAgPS6-zBrz1,Li7-v-zAgPS6-zz1
Li7-v-zAgPS6-zz1Clz2,Li7-v-zAgPS6-zz1Brz2,Li7-v-zAgPS6-zz1z2,Li7-v-zAgPS6-zClz1Brz2,Li7-v-zAgPS6-zClz1z2,Li7-v-zAgPS6-zClz1z2,Li7-v-zAgPS6-zBrz1z2,Li7-v-zAgPS6-zBrz1z2,Li7-v-zAgPS6-zBrz1Clz2,Li7-v-zAgPS6-zz1z2,Li7-v-zAgPS6-zz1Clz2,Li7-v-zAgPS6-zz1Brz2
前記式において、0<v<0.7、0<z1<2、0<z2<1、0<z<2及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.7、0<z1<2、0<z2≦0.5、0<z<2、及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.5、0<z1<2、0<z2≦0.5、0<z<2及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.3、0<z1≦1.5、0<z2≦0.5、0.2≦z≦1.8及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.1、0<z1≦1.5、0<z2≦0.5、0.5≦z≦1.8及びz=z1+z2である。例えば、0<v≦0.05、0<z1≦1.5、0<z2≦0.2、1.0≦z≦1.8及びz=z1+z2である。
【0055】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式4で表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
[化4]
Li7-mХv-zM4PS6-z-wM7(SO
前記式において、
M4は、Na、K、Mg、Ag、Cu、Hf、In、Ti、Pb、Sb、Fe、Zr、Zn、Cr、B、Sn、Ge、Si、Zr、Ta、Nb、V、Ga、Al、As、またはそれらの組合わせであり、mは、M4の酸化数であり、
M7は、F、Cl、Br、またはIであり、
0<v<1、0<z≦2、0<w<1、及び1≦m≦2である。例えば、0<v≦0.7、0<z≦2及び0<w≦0.5である。例えば、0<v≦0.5、0<z≦2及び0<w≦0.2である。例えば、0<v≦0.3、0.2≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。例えば、0<v≦0.1、0.5≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。例えば、0<v≦0.05、1.0≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。
【0056】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式4aないし4eで表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
[化4a]
Li7-v-zNaPS6-z-wM7(SO
[化4b]
Li7-v-zPS6-z-wM7(SO
[化4c]
Li7-v-zCuPS6-z-wM7(SO
[化4d]
Li7-v-zMgPS6-z-wM7(SO
[化4e]
Li7-v-zAgPS6-z-wM7(SO
前記式において、
M7は、F、Cl、Br、またはIであり、
0<v<0.7、0<z≦2、及び0<w<0.2である。例えば、0<v≦0.7、0<z≦2及び0<w<0.2である。例えば、0<v≦0.5、0<z≦2及び0<w<0.2である。例えば、0<v≦0.3、0.2≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。例えば、0<v≦0.1、0.5≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。例えば、0<v≦0.05、1.0≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。
【0057】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式で表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
Li7-v-zNaPS6-z-w(SO,Li7-v-zNaPS6-z-wCl(SO,Li7-v-zNaPS6-z-wBr(SO,Li7-v-zNaPS6-z-w(SO
Li7-v-zPS6-z-w(SO,Li7-v-zPS6-z-wCl(SO,Li7-v-zPS6-z-wBr(SO,Li7-v-zPS6-z-w(SO
Li7-v-zCuPS6-z-w(SO,Li7-v-zCuPS6-z-wCl(SO,Li7-v-zCuPS6-z-wBr(SO,Li7-v-zCuPS6-z-w(SO
Li7-v-zMgPS6-z-w(SO,Li7-v-zMgPS6-z-wCl(SO,Li7-v-zMgPS6-z-wBr(SO,Li7-v-zMgPS6-z-w(SO
Li7-v-zAgPS6-z-w(SO,Li7-v-zAgPS6-z-wCl(SO,Li7-v-zAgPS6-z-wBr(SO,Li7-v-zAgPS6-z-w(SO
前記式において、
0<v<0.7、0<z≦2、及び0<w<0.2である。例えば、0<v≦0.7、0<z≦2及び0<w<0.2である。例えば、0<v≦0.5、0<z≦2及び0<w<0.2である。例えば、0<v≦0.3、0.2≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。例えば、0<v≦0.1、0.5≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。例えば、0<v≦0.05、1.0≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。
【0058】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式5で表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
[化5]
Li7-zPS6-z-wM7(SO
前記式において、
M7は、F、Cl、Br、またはIであり、
0<z≦2及び0<w<2である。例えば、0<z≦2及び0<w≦1である。例えば、0<z≦2及び0<w≦0.5である。例えば、0.2≦z≦1.8及び0<w≦0.2である。例えば、0.5≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。例えば、1.0≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。
【0059】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、下記化学式で表示される固体イオン伝導体化合物でもある:
Li7-zPS6-z-w(SO,Li7-zPS6-z-wCl(SO,Li7-zPS6-z-wBr(SO,Li7-zPS6-z-w(SO
前記式において、
0<z≦2及び0<w<2である。例えば、0<z≦2及び0<w≦1である。例えば、0<z≦2及び0<w≦0.5である。例えば、0.2≦z≦1.8及び0<w≦0.2である。例えば、0.5≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。例えば、1.0≦z≦1.8及び0<w≦0.1である。
【0060】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、立方晶系(cubic)結晶系に属し、さらに具体的に、F-43m空間群に属することができる。また、上述したように化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物がアルジロダイト型(argyrodite-type)結晶構造を有するアルジロダイト型硫化物(argyrodite-type sulfide)でもある。化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、アルジロダイト型結晶構造で、リチウムサイトの一部に、置換された1価陽イオン元素、及び2価陽イオン元素のうち、1つ以上を含むか、異種のハロゲン元素を含むか、ハロゲンサイトに、置換されたSO陰イオンを含むことにより、向上したリチウムイオン伝導度とリチウム金属に対する電気化学的安定性を同時に提供することができる。
【0061】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、CuKα線を用いたXRDスペクトルにおいて、例えば、25.48゜±0.50゜、30.01゜±1.0゜、31.38゜±0.50゜、46.0゜±1.0゜、48.5゜±1.0゜、53.0゜±1.0゜の位置にピークを有することができる。化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物がアジロダイト構造を有するので、CuKα線を用いたXRDスペクトルにおいてそのようなピークを有することができる。
【0062】
化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、CuKα線を用いたXRDスペクトルで回折角2θ=30.01±1.0゜における結晶性ピークのピーク強度(Ia)が回折角2θ=19.0゜±3.0゜におけるブロード(broad)ピークのピーク強度(Ib)に比べてさらに大きい。固体イオン伝導体化合物が、そのようなピーク強度の関係を有することにより、固体イオン伝導体化合物の高い結晶性を有するので、結果として、固体イオン伝導体化合物が25℃で3mS/cm以上の高いイオン伝導度を提供することができる。
【0063】
[固体電解質]
他の一具現例による固体電解質は、上述した化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物を含む。固体電解質は、そのような固体イオン伝導体化合物を含むことにより、高いイオン伝導度、及び高い化学的安定性を有することができる。化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物を含む固体電解質は、空気に対する改善された安定性を提供し、リチウム金属に対する電気化学的安定性を提供することができる。したがって、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物は、例えば、電気化学セルの固体電解質として使用されうる。
【0064】
固体電解質は、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物以外に、従来の一般的な固体電解質を追加して含みうる。例えば、従来の一般的な硫化物系固体電解質及び/または酸化物系固体電解質を追加して含みうる。追加して含まれる従来の固体イオン伝導体化合物は、例えば、LiO-Al-TiO-P(LATP),LISICON(Lithium Super Ionic Conductor),LIPON(Li3-yPO4-x,0<x<4,0<y<3),Thio-LISICON(Li3.25Ge0.250.75),LiS,LiS-P,LiS-SiS,LiS-GeS,LiS-B及びLiS-Alなどでもあるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で使用可能なものであれば、いずれも使用可能である。
【0065】
固体電解質は、粉末または成形物の形態でもある。成形物形態の固体電解質は、例えば、ペレット、シート、薄膜などの形態でもあるが、必ずしもそれらに限定されず、使用される用途によって多様な形態を有することができる。
【0066】
[電気化学セル]
他の一具現例による電気化学セルは、正極活物質層を含む正極層;負極活物質層を含む負極層;及び正極層及び負極層の間に配置される電解質層;を含み、正極活物質層及び/または電解質層が化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物を含む。電気化学セルが化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物を含むことにより、電気化学セルのリチウムイオン伝導性及びリチウム金属に対する安定性が向上する。電気化学セルは、例えば、全固体二次電池、液体電解質含有二次電池、またはリチウム空気電池でもあるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で使用可能な電気化学セルであれば、いずれも使用可能である。
【0067】
以下、全固体二次電池についてさらに具体的に説明する。
【0068】
[全固体二次電池:第1タイプ]
全固体二次電池は、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物を含みうる。
【0069】
全固体二次電池は、例えば、正極活物質層を含む正極層;負極活物質層を含む負極層;及び正極層及び負極層の間に配置される電解質層;を含み、正極活物質層及び/または電解質層が化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物を含みうる。
【0070】
一具現例による全固体二次電池は、次のように準備されうる。
【0071】
(固体電解質層)
まず、固体電解質層が準備されうる。
【0072】
固体電解質層は、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物とバインダーとを混合及び乾燥して製造するか、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物の粉末を一定の形態に1ton~10tonの圧力で圧延して製造することができる。化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物が固体電解質として使用される。
【0073】
固体電解質の平均粒径は、例えば、0.5μm~20μmでもある。固体電解質が、そのような平均粒径を有することにより、焼結体形成過程で結着性が向上し、固体電解質粒子のイオン伝導度及び寿命特性が向上しうる。
【0074】
固体電解質層の厚さは、10μm~200μmでもある。固体電解質層が、そのような厚さを有することにより、リチウムイオンの十分な移動速度が保証され、結果として高いイオン伝導度が得られる。
【0075】
固体電解質層は、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物以外に、従来の硫化物系固体電解質及び/または酸化物系固体電解質などの固体電解質をさらに含みうる。
【0076】
従来の硫化物(sulfide)系固体電解質は、例えば、硫化リチウム、硫化ケイ素、硫化リン、硫化ホウ素またはそれらの組合わせを含みうる。従来の硫化物系固体電解質粒子は、LiS,P,SiS,GeS,Bまたはそれらの組合わせを含みうる。従来の硫化物系固体電解質粒子は、LiSまたはPでもある。従来の硫化物系固体電解質粒子は、他の無機化合物に比べて高いリチウムイオン伝導度を有すると知られている。例えば、従来の硫化物系固体電解質は、LiS及びPを含む。従来の硫化物系固体電解質を構成する硫化物固体電解質材料がLiS-Pを含む場合、LiS:Pの混合モル比は、例えば、約50:50~約90:10の範囲でもある。また、LiPO、ハロゲン、ハロゲン化合物、Li2+2xZn1-xGeO(「LISICON」),Li3+yPO4-xx(“LIPON”),Li3.25Ge0.250.75(“ThioLISICON”),LiO-Al-TiO-P(「LATP」)などをLiS-P、LiS-P,SiS,GeS,B、またはそれらの組合わせの無機固体電解質に添加して製造された無機固体電解質が、従来の硫化物固体電解質として使用されうる。従来の硫化物固体電解質材料の非制限的な例は、LiS-P;LiS-P-LiX(X=ハロゲン元素);LiS-P-LiO;LiS-P-LiO-LiI;LiS-SiS;LiS-SiS-LiI;LiS-SiS-LiBr;LiS-SiS-LiCl;LiS-SiS-B-LiI;LiS-SiS-P-LiI;LiS-B;LiS-P-Z(0<m<10,0<n<10,Z=Ge,ZnまたはGa);LiS-GeS;LiS-SiS-LiPO;及びLiS-SiS-LiMO(0<p<10,0<q<10,M=P,Si,Ge,B,Al,GaまたはIn)を含む。これと関連して、従来の硫化物系固体電解質材料は、硫化物系固体電解質物質の原料開始物質(例えば、LiS、Pなど)を溶融急冷法(melt quenching method)、機械的ミリング法などによって処理することで製造されうる。また、焼成(calcinations)工程が前記処理後に遂行されうる。
【0077】
固体電解質層に含まれるバインダーは、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride)、ポリエチレン(polyethylene)、ポリビニルアルコール(Polyvinylalcohol)、またはそれらに限定されず、当該技術分野においてバインダーとして使用するものであれば、いずれも使用可能である。固体電解質層のバインダーは、正極層と負極層のバインダーと同種であるか、異なってもいる。
【0078】
(正極層)
次いで、正極層が設けられる。
【0079】
正極層は、集電体上に正極活物質を含む正極活物質層を形成させて製造しうる。正極活物質の平均粒径は、例えば、2μm~10μmでもある。
【0080】
正極活物質は、二次電池において一般的に使用されるものであれば、制限なしにいずれも使用可能である。例えば、リチウム遷移金属酸化物、遷移金属硫化物などでもある。例えば、コバルト、マンガン、ニッケル、及びそれらの組合わせから選択される金属とリチウムとの複合酸化物のうち、1種以上のものを使用し、その具体例としては、Li1-b(前記式において、0.90≦a≦1.8,及び0≦b≦0.5である);Li1-b2-c(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05である);LiE2-b4-c(前記式において、0≦b≦0.5,0≦c≦0.05である);LiNi1-b-cCoα(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α≦2である);LiNi1-b-cCo2-αα(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi1-b-cCo2-α(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi1-b-cMnα(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α≦2である);LiNi1-b-cMn2-αα(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi1-b-cMn2-α(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.5,0≦c≦0.05,0<α<2である);LiNi(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMnGeO(前記式において、0.90≦a≦1.8,0≦b≦0.9,0≦c≦0.5,0≦d≦0.5,0.001≦e≦0.1である);LiNiG(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式において、0.90≦a≦1.8,0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiIO;LiNiVO;Li(3-f)(PO(0≦f≦2);Li(3-f)Fe(PO(0≦f≦2);LiFePOの化学式のうち、いずれか1つで表現される化合物を使用することができる。前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組合わせであり、Bは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素またはそれらの組合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組合わせであり、Fは、F、S、P、またはそれらの組合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組合わせであり、Iは、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組合わせである。例えば、LiCoO,LiMn2x(x=1,2),LiNi1-xMn2x(0<x<1),Ni1-x-yCoMn(0≦x≦0.5,0≦y≦0.5),Ni1-x-yCoAl(0≦x≦0.5,0≦y≦0.5),LiFePO,TiS,FeS,TiS,FeSなどである。そのような化合物において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組合わせであり、Bは、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素またはそれらの組合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組合わせであり、Fは、F、S、P、またはそれらの組合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組合わせであり、Iは、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組合わせである。そのような化合物表面にコーティング層が付け加えられた化合物の使用も可能であり、上述した化合物と、コーティング層が付け加えられた化合物との混合物の使用も可能である。そのような化合物の表面に付加されるコーティング層は、例えば、コーティング元素のオキシド、ヒドロキシド、コーティング元素のオキシヒドロキシド、コーティング元素のオキシカーボネート、またはコーティング元素のヒドロキシカーボネートのコーティング元素化合物を含む。そのようなコーティング層をなす化合物は、非晶質または、結晶質である。コーティング層に含まれるコーティング元素としては、Mg、Al、Co、K、Na、Ca、Si、Ti、V、Sn、Ge、Ga、B、As、Zrまたはそれらの混合物である。コーティング層の形成方法は、正極活物質の物性に悪影響を与えない範囲内で選択される。コーティング方法は、例えば、スプレーコーティング、浸漬法などである。具体的なコーティング方法は、当業者であれば、理解することができる内容なので、詳細な説明は、省略する。
【0081】
正極活物質は、例えば、上述したリチウム遷移金属酸化物のうち、層状岩塩型(layered rock salt type)構造を有する遷移金属酸化物のリチウム塩を含む。「層状岩塩型構造」は、例えば、立方晶岩塩型(cubic rock salt type)構造の<111>方向に酸素原子層と金属原子層とが互いに規則的に配し、これにより、それぞれの原子層が2次元平面を形成している構造である。「立方晶岩塩型構造」は、結晶構造の一種である塩化ナトリウム型(NaCl type)構造を示し、具体的に、陽イオン及び陰イオンがそれぞれ形成する面心立方格子(face centered cubic lattice, fcc)が互いに単位格子(unit lattice)のリッジ(ridge)の1/2ほどずれて配置された構造を示す。そのような層状岩塩型構造を有するリチウム遷移金属酸化物は、例えば、LiNiCoAl(NCA)またはLiNiCoMn(NCM)(0<x<1、0<y<1、0<z<1、x+y+z=1)などの三元系リチウム遷移金属酸化物である。正極活物質が層状岩塩型構造を有する三元系リチウム遷移金属酸化物を含む場合、全固体二次電池のエネルギー(energy)密度及び熱安定性がさらに向上する。
【0082】
正極活物質は、上述したように被覆層によって覆われてもいる。被覆層は、全固体二次電池の正極活物質の被覆層として公知されたものであれば、いずれも使用可能である。被覆層は、例えば、LiO-ZrO(LZO)などである。
【0083】
正極活物質が、例えば、NCAまたはNCMなどの三元系リチウム遷移金属酸化物であり、ニッケル(Ni)を含む場合、全固体二次電池の容量密度を上昇させ、充電状態における正極活物質の金属溶出の減少が可能である。結果として、全固体二次電池の充電状態におけるサイクル(cycle)特性が向上する。
【0084】
正極活物質の形状は、例えば、真球、楕円球状などの粒子形状である。正極活物質の粒径は、特に制限されず、従来の全固体二次電池の正極活物質に適用可能な範囲である。正極層の正極活物質の含量も特に制限されず、従来の全固体二次電池の正極層に適用可能な範囲である。正極活物質層において正極活物質の含量は、例えば、50~95重量%でもある。
【0085】
正極活物質層は、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物をさらに含みうる。
【0086】
正極活物質層は、バインダーを含む。バインダーは、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride)、ポリエチレン(polyethylene)などである。
【0087】
正極活物質層は、導電材を含みうる。導電材は、例えば、黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェン(Ketjen)ブラック、炭素繊維、金属粉末などである。
【0088】
正極活物質層は、上述した正極活物質、固体電解質、バインダー、導電材以外に、例えば、フィラー(filler)、コーティング剤、分散剤、イオン導電助剤などの添加剤をさらに含みうる。
【0089】
正極活物質層が含むフィラー、コーティング剤、分散剤、イオン導電助剤などとしては、一般的に全固体二次電池の電極に使用される公知の材料を使用しうる。
【0090】
正極集電体は、例えば、アルミニウム(Al)、インジウム(In)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、ステンレススチール、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ゲルマニウム(Ge)、リチウム(Li)またはそれらの合金からなる板状体(plate)またはフォイル(foil)などを使用する。正極集電体は、省略可能である。
【0091】
正極集電体は、金属基材の一面または両面上に配置されるカーボン層をさらに含みうる。金属基材上にカーボン層が追加して配置されることにより、金属基材の金属が正極層が含む固体電解質によって腐食されることを防止し、正極活物質層と正極集電体との界面抵抗を減少させうる。カーボン層の厚さは、例えば、1μm~5μmでもある。カーボン層の厚さが過度に薄ければ、金属基材と固体電解質との接触を完全に遮断し難い。カーボン層の厚さが過度に厚ければ、全固体二次電池のエネルギー密度が低下してしまう。カーボン層は、非晶質炭素、結晶質炭素などを含みうる。
【0092】
(負極層)
次いで、負極層が設けられる。
【0093】
負極層は、正極活物質の代わりに、負極活物質が使用されるということを除き、正極層と同様の方法で製造されうる。負極層は、負極集電体上に負極活物質を含む負極活物質層を形成させて製造することができる。
【0094】
負極活物質層が上述した化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物をさらに含みうる。
【0095】
負極活物質は、リチウム金属、リチウム金属合金またはそれらの組合わせでもある。
【0096】
負極活物質層は、リチウム金属、リチウム金属合金またはそれらの組合わせ以外に、従来の負極活物質をさらに含みうる。従来の負極活物質は、例えば、リチウムと合金可能な金属、遷移金属酸化物、非遷移金属酸化物及び炭素系材料からなる群から選択された1つ以上を含みうる。リチウムと合金可能な金属は、例えば、Ag、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、Sb、Si-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、遷移金属、希土類元素またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などでもある。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組合わせでもある。遷移金属酸化物は、例えば、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物などでもある。非遷移金属酸化物は、例えば、SnO、SiO(0<x<2)などでもある。炭素系材料は、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはそれらの混合物でもある。結晶質炭素は、無定形、板状、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛でもあり、前記非晶質炭素は、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メソ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークスなどでもある。
【0097】
図6を参照すれば、一具現例による全固体二次電池40は、固体電解質層30と固体電解質層30との一面に配置された正極層10、固体電解質層30の他面に配置された負極層20を含む。正極層30は、固体電解質層30と接する正極活物質層12及び正極活物質層12と接する正極集電体11を含み、負極層20は、固体電解質層30と接する負極活物質層22及び負極活物質層22と接する負極集電体21を含む。全固体二次電池40は、例えば、固体電解質層30の両面に正極活物質層12及び負極活物質層22を形成させ、正極活物質層12及び負極活物質層22上に正極集電体11及び負極集電体21をそれぞれ形成させ、全個体形二次電池30が完成される。または、負極集電体21上に負極活物質層22、固体電解質層30、正極活物質層12、正極集電体11を順次に積層して全個体形二次電池40が完成される。
【0098】
全固体二次電池40において、正極活物質層12が含む固体イオン伝導体化合物の平均粒径は、例えば、0.5~5、0.5μm~4μmまたは0.5μm~3μmである。全固体二次電池40において、固体電解質層30が含む固体イオン伝導体化合物の平均粒径は、例えば、1~7μm、1μm~6μm、1μm~5μm、または、2μm~4μmである。正極活物質層12及び/または固体電解質層30が含む固体イオン伝導体化合物が、そのような範囲の粒径を有することにより、全固体二次電池40のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0099】
[全固体二次電池:第2タイプ]
図7及び図8を参照すれば、全固体二次電池1は、例えば、正極集電体11上に配置された正極活物質層12を含む正極層10;負極集電体21上に配置された負極活物質層22を含む負極層20;及び正極層10及び負極層20の間に配置される電解質層30;を含み、正極活物質層12及び/または電解質層30が化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物を含みうる。
【0100】
他の一具現例による全固体二次電池は、次のように準備されうる。
【0101】
正極層及び固体電解質層は、上述した全固体二次電池と同様に製造される。
【0102】
(負極層)
次いで、負極層が設けられる。
【0103】
図7及び図8を参照すれば、負極層20は、負極集電体21及び負極集電体21上に配置された負極活物質層22を含み、負極活物質層22は、例えば、負極活物質及びバインダーを含む。
【0104】
負極活物質層22が含む負極活物質は、例えば、粒子状を有する。粒子状を有する負極活物質の平均粒径は、例えば、4μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、または900nm以下である。粒子状を有する負極活物質の平均粒径は、例えば、10nm~4μm以下、10nm~3μm以下、10nm~2μm以下、10nm~1μm以下、または10nm~900nm以下である。負極活物質が、そのような範囲の平均粒径を有することにより、充放電時にリチウムの可逆的な吸蔵(absorbing)及び/または放出(desorbing)がさらに容易でもある。負極活物質の平均粒径は、例えば、レーザー式粒度分布計を使用して測定したメジアン(median)直径(D50)である。
【0105】
負極活物質層22が含む負極活物質は、例えば、炭素系負極活物質及び金属または半金属負極活物質のうち、選択された1つ以上を含む。
【0106】
炭素系負極活物質は、特に非晶質炭素(amorphous carbon)である。非晶質炭素は、例えば、カーボンブラック(carbon black)(CB)、アセチレンブラック(acetylene black)(AB)、ファーネスブラック(furnace black)(FB)、ケッチェンブラック(ketjen black)(KB)、グラフェン(graphene)などであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野において非晶質炭素に分類されるものであれば、いずれも使用可能である。非晶質炭素は、結晶性を有さないか、結晶性が非常に低い炭素であって、結晶性炭素または黒鉛系炭素とは区分される。
【0107】
金属または半金属負極活物質は、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上を含むが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野でリチウムと合金または化合物を形成する金属負極活物質または半金属負極活物質として使用するものであれば、いずれも使用可能である。例えば、ニッケル(Ni)は、リチウムと合金を形成しないので、金属負極活物質ではない。
【0108】
負極活物質層22は、そのような負極活物質のうち、一種の負極活物質を含むか、複数の互いに異なる負極活物質の混合物を含む。例えば、負極活物質層22は、非晶質炭素のみを含むか、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上を含む。または、負極活物質層22は、非晶質炭素と、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)からなる群から選択される1つ以上との混合物を含む。非晶質炭素と金などの混合物の混合比は、重量比として、例えば、10:1~1:2、5:1~1:1、または4:1~2:1であるが、必ずしもそのような範囲に限定されず、要求される全固体二次電池1の特性によって選択される。負極活物質が、そのような組成を有することにより、全固体二次電池1のサイクル特性がさらに向上する。
【0109】
負極活物質層22が含む負極活物質は、例えば、非晶質炭素からなる第1粒子及び金属または半金属からなる第2粒子の混合物を含む。金属または半金属は、例えば、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、シリコン(Si)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、ビスマス(Bi)、錫(Sn)及び亜鉛(Zn)などを含む。それ以外に、半金属は、半導体である。第2粒子の含量は、混合物の総重量を基準に、8~60重量%、10~50重量%、15~40重量%、または20~30重量%である。第2粒子が、そのような範囲の含量を有することにより、例えば、全固体二次電池1のサイクル特性がさらに向上する。
【0110】
負極活物質層22の含むバインダーは、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride)、ポリエチレン(polyethylene)、ビニリデンフルオリド/ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレートなどであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野においてバインダーとして使用するものであれば、いずれも使用可能である。バインダーは、単独または複数の互いに異なるバインダーで構成されうる。
【0111】
負極活物質層22がバインダーを含むことにより、負極活物質層22が負極集電体21上に安定化される。また、充放電過程で負極活物質層22の体積変化及び/または相対的な位置変更にもかかわらず、負極活物質層22のクラックが抑制される。例えば、負極活物質層22がバインダーを含まない場合、負極活物質層22が負極集電体21から容易に分離されうる。負極集電体21から負極活物質層22が離脱することにより、負極集電体21が露出された部分で、負極集電体21が固体電解質層30と接触することにより、短絡の発生可能性が増加する。負極活物質層22は、例えば、負極活物質層22を構成する材料が分散されたスラリーを負極集電体21上に塗布し、乾燥して製作される。バインダーを負極活物質層22に含めることにより、スラリー中に負極活物質の安定した分散が可能である。例えば、スクリーン印刷法でスラリーを負極集電体21上に塗布する場合、スクリーンの詰まり(例えば、負極活物質の凝集体による詰まり)を抑制しうる。
【0112】
負極活物質層22は、従来の全固体二次電池1に使用される添加剤、例えば、フィラー、コーティング剤、分散剤、イオン導電助剤などをさらに含みうる。
【0113】
負極活物質層22の厚さは、例えば、正極活物質層12、12a、12bの厚さの50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、または5%以下である。負極活物質層22の厚さは、例えば、1μm~20μm、2μm~10μm、または、3μm~7μmである。負極活物質層22の厚さが過度に薄ければ、負極活物質層22と負極集電体21との間に形成されるリチウムデンドライトが負極活物質層22を崩壊させて全固体二次電池1のサイクル特性が向上し難い。負極活物質層22の厚さが過度に増加すれば、全固体二次電池1のエネルギー密度が低下し、負極活物質層22による全固体二次電池1の内部抵抗が増加して全固体二次電池1のサイクル特性が向上し難い。
【0114】
負極活物質層22の厚さが減少すれば、例えば、負極活物質層22の充電容量も減少する。負極活物質層22の充電容量は、例えば、正極活物質層12の充電容量に比べて50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または2%以下である。負極活物質層22の充電容量は、例えば、正極活物質層12の充電容量に比べて、0.1%~50%、0.1%~40%、0.1%~30%、0.1%~20%、0.1%~10%、0.1%~5%、または0.1%~2%である。負極活物質層22の充電容量が過度に小さければ、負極活物質層22の厚さが非常に薄くなるので、繰り返される充放電過程で負極活物質層22と負極集電体21との間に形成されるリチウムデンドライトが負極活物質層22を崩壊させて全固体二次電池1のサイクル特性が向上し難い。負極活物質層22の充電容量が過度に増加すれば、全固体二次電池1のエネルギー密度が低下し、負極活物質層22による全固体二次電池1の内部抵抗が増加して全固体二次電池1のサイクル特性が向上し難い。
【0115】
正極活物質層12の充電容量は、正極活物質の充電容量密度(mAh/g)に正極活物質層12中の正極活物質の質量を乗算して得られる。正極活物質が複数種使用される場合、正極活物質ごとに充電容量密度×質量値を計算し、この値の総和が正極活物質層12の充電容量である。負極活物質層22の充電容量も同様の方法で計算される。すなわち、負極活物質層22の充電容量は、負極活物質の充電容量密度(mAh/g)に負極活物質層22中の負極活物質の質量を乗算して得られる。負極活物質が複数種使用される場合、負極活物質ごとに充電容量密度×質量値を計算し、この値の総和が負極活物質層22の容量である。ここで、正極活物質及び負極活物質の充電容量密度は、リチウム金属を相対電極として使用した全固体半電池(half-cell)を用いて推定された容量である。全固体半電池(half-cell)を用いた充電容量測定によって、正極活物質層12と負極活物質層22の充電容量が直接測定される。測定された充電容量をそれぞれ活物質の質量で除算すれば、充電容量密度が得られる。または、正極活物質層12と負極活物質層22の充電容量は、1サイクル目の充電時に測定される初期充電容量でもある。
【0116】
図8を参照すれば、全固体二次電池1aは、例えば、負極集電体21と負極活物質層22との間に配置される金属層23をさらに含みうる。金属層23は、リチウムまたはリチウム合金を含む。したがって、金属層23は、例えば、リチウム貯蔵庫(reservoir)として作用する。リチウム合金は、例えば、Li-Al合金、Li-Sn合金、Li-In合金、Li-Ag合金、Li-Au合金、Li-Zn合金、Li-Ge合金、Li-Si合金などであるが、それらに限定されず、当該技術分野においてリチウム合金として使用するものであれば、いずれも使用可能である。金属層23は、そのような合金のうち、1つまたはリチウムからなりうるか、複数種の合金からなる。
【0117】
金属層23の厚さは、特に制限されないが、例えば、1μm~1000μm、1μm~500μm、1μm~200μm、1μm~150μm、1μm~100μm、または1μm~50μmである。金属層23の厚さが過度に薄ければ、金属層23によるリチウム貯蔵庫(reservoir)の役割を遂行し難い。金属層23の厚さが過度に厚ければ、全固体二次電池1aの質量及び体積が増加し、むしろサイクル特性の低下可能性がある。金属層23は、例えば、そのような範囲の厚さを有する金属箔でもある。
【0118】
全固体二次電池1aにおいて金属層23は、例えば、全固体二次電池1の組立前に、負極集電体21と負極活物質層22との間に配置されるか、全固体二次電池1の組立後に、充電によって負極集電体21と負極活物質層22との間に析出される。全固体二次電池1aの組立前に、負極集電体21と負極活物質層22との間に金属層23が配置される場合、金属層23がリチウムを含む金属層なので、リチウム貯蔵庫(reservoir)として作用する。例えば、全固体二次電池1aの組立前に、負極集電体21と負極活物質層22との間にリチウム箔が配置される。これにより、金属層23を含む全固体二次電池1aのサイクル特性がさらに向上する。全固体二次電池1aの組立後に、充電によって金属層23が析出される場合、全固体二次電池1aの組立時に、金属層23を含まないので、全固体二次電池1aのエネルギー密度が増加する。例えば、全固体二次電池1の充電時、負極活物質層22の充電容量を超過して充電する。すなわち、負極活物質層22を過充電する。充電初期には、負極活物質層22にリチウムを吸蔵される。負極活物質層22が含む負極活物質は、正極層10から移動して来たリチウムイオンと合金または化合物を形成する。負極活物質層22の容量を超過して充電すれば、例えば、負極活物質層22の背面、すなわち、負極集電体21と負極活物質層22との間にリチウムが析出され、析出されたリチウムによって金属層23に該当する金属層が形成される。金属層23は、主にリチウム(すなわち、金属リチウム)で構成される金属層である。そのような結果は、例えば、負極活物質層22に含まれる負極活物質がリチウムと合金または化合物を形成する物質で構成されることにより得られる。放電時には、負極活物質層22及び金属層23、すなわち、金属層のリチウムがイオン化されて正極層10方向に移動する。したがって、全固体二次電池1aで、リチウムを負極活物質として使用しうる。また、負極活物質層22が金属層23を被覆するために、金属層23、すなわち、金属層の保護層の役割を行うと共に、リチウムデンドライト(dendrite)の析出成長を抑制する役割を遂行する。したがって、全固体二次電池1aの短絡及び容量低下を抑制し、結果として、全固体二次電池1aのサイクル特性を向上させる。また、全固体二次電池1aの組立後に、充電によって金属層23が配置される場合、負極集電体21と負極活物質層22及びそれらの間の領域は、例えば、全固体二次電池1aの初期状態または放電後の状態でリチウム(Li)を含まないLi-フリー(free)領域である。
【0119】
負極集電体21は、例えば、リチウムと反応しない、すなわち、合金及び化合物をいずれも形成しない材料で構成される。負極集電体21を構成する材料は、例えば、銅(Cu)、ステンレススチール、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びニッケル(Ni)などであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野で電極集電体として使用するものであれば、いずれも使用可能である。負極集電体21は、上述した金属のうち、1種で構成されるか、2種以上の金属の合金または被覆材料で構成されうる。負極集電体21は、例えば、板状または箔状(foil)である。
【0120】
全固体二次電池1、1aは、例えば、負極集電体21上にリチウムと合金を形成する元素を含む薄膜(thin film)をさらに含みうる。薄膜は、負極集電体21と前記負極活物質層22との間に配置される。薄膜は、例えば、リチウムと合金を形成する元素を含む。リチウムと合金を形成する元素は、例えば、金、銀、亜鉛、錫、インジウム、ケイ素、アルミニウム、ビスマスなどであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野でリチウムと合金を形成する元素であれば、いずれも使用可能である。薄膜は、それらの金属のうち、1つで構成されるか、複数種の金属の合金で構成される。薄膜が負極集電体21上に配置されることにより、例えば、薄膜24と負極活物質層22との間に析出される金属層23の析出形態がさらに平坦化され、全固体二次電池1のサイクル特性がさらに向上しうる。
【0121】
薄膜の厚さは、例えば、1nm~800nm、10nm~700nm、50nm~600nm、または100nm~500nmである。薄膜の厚さが1nm未満になる場合、薄膜による機能が発揮され難い。薄膜の厚さが過度に厚ければ、薄膜自体がリチウムを吸蔵し、負極でリチウムの析出量が減少して全固体電池のエネルギー密度が低下し、全固体二次電池1、1aのサイクル特性が低下しうる。薄膜は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などによって負極集電体21上に配置されうるが、必ずしもそのような方法に限定されず、当該技術分野で薄膜を形成する方法であれば、いずれも使用可能である。
【0122】
他の一具現例による固体イオン伝導体化合物の製造方法は、平均粒径7μm以下である互いに異なる種類の前駆体粒子を個別的に準備する段階;前記互いに異なる種類の前駆体粒子を互いに混合して混合物を準備する段階;及び前記混合物を熱処理して固体イオン伝導体化合物を準備する段階;を含み、前記固体イオン伝導体化合物の平均粒径が7μm以下である。
【0123】
このような製造方法によって、平均粒径7μm以下の前駆体粒子を使用し、機械的ミリングのような粒子の凝集を誘導する混合方法を使用しないことにより、7μm以下の平均粒径(D50)を有しつつも、25℃で3mS/cm以上の高いイオン伝導度を有する固体イオン伝導体化合物を製造することができる。固体イオン伝導体化合物は、例えば、化学式1で表示される固体イオン伝導体化合物である。
【0124】
前記製造方法は、全体製造過程において乾式ミリングのような粒子の凝集を誘導する混合方法の使用が排除される。乾式ミリングは、例えば、ボールミリングなどであるが、それらに限定されない。
【0125】
平均粒径7μm以下である互いに異なる種類の前駆体粒子を個別的に準備する。例えば、平均粒径7μm以下のリチウムを含む前駆体化合物、平均粒径7μm以下の周期律表2族及び11族のうち、選択された元素を含む前駆体化合物、平均粒径7μm以下のリン(P)を含む前駆体化合物及び平均粒径7μm以下の17族元素を含む前駆体化合物が個別的に準備される。必要であれば、平均粒径7μm以下の硫黄(S)を含む前駆体化合物が追加的に準備される。平均粒径は、例えば、D50粒径である。
【0126】
平均粒径7μm以下の前駆体化合物は、例えば、平均粒径10μm~10mmの前駆体化合物を湿式粉砕して準備することができる。湿式粉砕は、例えば、前駆体化合物を分散媒質に分散させた後、媒体撹拌型粉砕機、例えば、ボールミルなどを使用して粉砕する方法である。分散媒質としては、前駆体化合物に不活性である溶媒であれば、いずれも使用可能である。分散媒質は、例えば、有機溶媒である。有機溶媒は、例えば、キシレン(xylene)、ヘプタン(heptane)などである。湿式粉砕によって前駆体化合物粒子間の凝集(agglomeration)が防止される。
【0127】
平均粒径7μm以下の前駆体化合物の平均粒径は、例えば、0.5~5μm、0.5μm~4μmまたは0.5μm~3μmである。または、平均粒径7μm以下の前駆体化合物の平均粒径は、例えば、1~7μm、1μm~6μm、1μm~5μm、または、2μm~4μmである。平均粒径7μm以下の前駆体化合物のD90-D10は、例えば、1~10μm、1~9μm、1~8μm、1~7μm、または、1~6μmである。前駆体化合物が、そのような狭い範囲の粒度分布を有することにより、前駆体混合物の製造過程で粒子の凝集(agglomeration)が防止されうる。
【0128】
リチウムを含む前駆体化合物は、リチウムを含む硫化物を含む。例えば、硫化リチウムが言及される。
【0129】
周期律表2族及び11族のうち、選択された元素を含む前駆体化合物は、周期律表2族及び11族のうち、選択された元素を含む硫化物を含む。例えば、硫化銅、硫化銀、硫化ナトリウムが言及される。
【0130】
リン(P)を含む前駆体化合物は、リンを含む硫化物を含む。例えば、Pが言及される。
【0131】
17族元素を含む前駆体化合物は、17族元素を含むリチウム塩を含む。例えば、LiCl、LiF、LiBr、LiIが言及される。
【0132】
前駆体混合物は、Li以外の1族金属元素を含む化合物をさらに含みうる。Li以外の1族金属を含む化合物は、例えば、Li以外の1族金属の硫化物を含む。例えば、NaS、KSが言及される。
【0133】
前駆体混合物は、SO(1.5≦n≦5)を含む化合物をさらに含みうる。SO(1.5≦n≦5)を含む化合物は、SOを含むリチウム塩を含む。例えば、Li,Li,Li,Li,Li,Li,Li,Li,LiSO,LiSOなどが言及される。
【0134】
準備された前駆体化合物を適切な量、例えば、化学量論的量で混合して前駆体混合物が準備される。前駆体化合物の混合は、乾式または、湿式で遂行されうる。前駆体化合物の混合は、乾式ミキサーなどを使用しうる。乾式ミリングのような機械化学的反応を伴う方法は除外される。乾式ミリングによって前駆体化合物を混合する場合、前駆体化合物粒子の凝集(agglomeration)によって凝集物が発生し、そのような凝集物によって、後続する熱処理過程で得られる固体イオン伝導体の平均粒径が10μm以上に過度に増加しうる。前駆体混合物のD90-D10は、例えば、1~10μm、1~9μm、1~8μm、1~7μm、または、1~6μmである。
【0135】
化学量論的組成で混合された前駆体の混合物は、不活性雰囲気で熱処理して平均粒径7μm以下の固体イオン伝導体化合物を製造することができる。
【0136】
熱処理は、例えば、250~700℃、300~700℃、400~650℃、400~600℃、400~550℃、または400~500℃で遂行されうる。熱処理時間は、例えば、1~36時間、2~30時間、4~24時間、10~24時間、または16~24時間でもある。不活性雰囲気は、不活性気体を含む雰囲気である。不活性気体は、例えば、窒素、アルゴンなどであるが、必ずしもそれらに限定されず、当該技術分野において不活性ガスとして使用するものであれば、いずれも使用可能である。
【0137】
以下の実施例及び比較例を介して本創意的思想がさらに詳細に説明される。但し、実施例は、本創意的思想を例示するためのものであって、それらによってのみ本創意的思想の範囲が限定されるものではない。
【0138】
(固体イオン伝導体化合物の製造)
実施例1:Li 5.72 Cu 0.03 PS 4.75 Cl 1.25 の製造
リチウム前駆体であるLiS、リン(P)前駆体であるP、塩素前駆体であるLiCl及び銅前駆体であるCuSを個別的に準備した。
【0139】
上述した前駆体は、湿式で粉砕して個別的に準備された。前駆体10g及びキシレン(xylene)溶媒30ml、ジルコニアボール(ZrO ball)100gを80ml容器に投入し、800rpm速度で2時間湿式ボールミルを実施した。キシレン溶媒の除去は、120℃、36時間真空乾燥実施し、不活性雰囲気で粉砕された前駆体を保管した。湿式粉砕によって、粉砕された粒子の凝集(agglomeration)が防止された。準備された前駆体粒子のD50、D90、及びD10値を測定して下記表1に示した。
【0140】
個別的に準備された前駆体粒子を、所望の組成であるLi5.72Cu0.03PS4.75Cl1.25が得られるように化学量論的比率で混合して前駆体混合物を準備した。
【0141】
前駆体粒子の混合は、ドライミキサー(dry mixer)を使用して遂行された。ドライミキサーを使用して混合することにより、前駆体粒子の凝集(agglomeration)及び機械化学的反応(mechano-chemical reaction)が防止された。ドライミキサー工程は、目的組成10gを基準に個別前駆体を混合し、25000rpmで5分間(10秒回転及び10秒停止のサイクル反復)高速混合を実施した。準備された前駆体混合物のD50、D90、及びD10値を測定して下記表1及び図2に示した。
【0142】
準備された前駆体混合物粉末をカーボンルツボに入れてカーボンルツボを石英ガラス管を利用してアルゴン雰囲気で封じ込んだ。アルゴン封入された前駆体混合物を電気炉を利用して常温から450℃まで1.0℃/分で昇温した後、450℃で18時間熱処理した後、1.0℃/分で室温まで冷却して固体イオン伝導体化合物を製造した。製造された固体イオン伝導体化合物の組成は、Li5.72Cu0.03PS4.75Cl1.25であった。
【0143】
【表1】
【0144】
実施例2:Li 5.72 Cu 0.03 PS 4.75 Cl 1.15 Br 0.1 製造
所望の組成であるLi5.72Cu0.03PS4.75Cl1.15Br0.1が得られるように出発物質の化学量論的な混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法で固体イオン伝導体化合物を製造した。製造された固体イオン伝導体化合物の組成は、Li5.72Cu0.03PS4.75Cl1.15Br0.1であった。ブローム前駆体としてLiBrが追加して使用された。
【0145】
実施例3:Li 5.72 Cu 0.03 PS 4.725 Cl 1.25 (SO 0.025 製造
所望の組成であるLi5.72Cu0.03PS4.725Cl1.25(SO0.025が得られるように出発物質の化学量論的な混合比を変更したことを除き、実施例1と同様の方法で固体イオン伝導体化合物を製造した。製造された固体イオン伝導体化合物の組成は、Li5.72Cu0.03PS4.725Cl1.25(SO0.025であった。SO前駆体としてLiSOがさらに使用された。
【0146】
比較例1:Li 5.72 Cu 0.03 PS 4.75 Cl 1.25 製造、固相合成
実施例1の目的組成10gを基準に個別前駆体混合物10g及びジルコニアボール(ZrO ball)100gを80ml容器に投入し、100rpm速度で1時間乾式ボールミルを実施した後、800rpm速度で30分乾式ボールミルを実施して、ミリングされた前駆体混合物を準備した。準備された前駆体混合物を実施例1と同様の方法で熱処理して目的組成の固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0147】
比較例2:Li 5.72 Cu 0.03 PS 4.75 Cl 1.15 Br 0.1 製造、固相合成
目的組成を実施例2と同一に変更したことを除き、比較例1と同様の方法で目的組成の固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0148】
比較例3:Li 5.72 Cu 0.03 PS 4.725 Cl 1.25 (SO 0.025 製造、固相合成
目的組成を実施例3と同一に変更したことを除き、比較例1と同様の方法で目的組成の固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0149】
比較例4:Li 5.72 Cu 0.03 PS 4.75 Cl 1.25 製造、固相合成後、追加粉砕
比較例1で製造された固体イオン伝導体化合物を追加的に粉砕し、粉砕された固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0150】
比較例1で製造された固体イオン伝導体化合物の粉砕は、下記方法で遂行された。
【0151】
Ar雰囲気のグローブボックス(glove box)内において比較例1で製造された固体イオン伝導体化合物粉末、ジルコニアボール(ZrO ball)90g、及びキシレン(xylene)30mlを投入した後、遊星ボールミル(planetary ball mill)でもって100rpmで24時間粉砕した後、60℃で24時間真空乾燥して粉砕された固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0152】
比較例5:Li 5.72 Cu 0.03 PS 4.75 Cl 1.15 Br 0.1 製造、固相合成後、追加粉砕
比較例2で製造された固体イオン伝導体化合物を比較例4と同様の方法でさらに粉砕して固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0153】
比較例6:Li 5.72 Cu 0.03 PS 4.725 Cl 1.25 (SO 0.025 製造、固相合成後追加粉砕
比較例3で製造された固体イオン伝導体化合物を比較例4と同様の方法でさらに粉砕して固体イオン伝導体化合物を製造した。
【0154】
実施例4:全固体二次電池製造
(正極層製造)
大粒正極活物質LiNi0.8Co0.15Al0.05(NCA)(D50=14μm)、小粒正極活物質LiNi0.8Co0.15Al0.05(NCA)(D50=5μm)、導電材であるカーボンナノ繊維、バインダーであるポリテトラフルオロエチレン及び実施例1で製造された固体イオン伝導体化合物を混合した後、キシレン(xylene)を追加して正極スラリーを準備した。準備された正極スラリーをシート状に成形して正極シートを製造した。大粒正極活物質と小粒正極活物質の混合重量比は、3:1であった。正極活物質:導電材:バインダー:固体イオン伝導体化合物の混合重量比は、84:0.2:1.0:14.8であった。製造された正極シートを18μm厚さのアルミ箔の正極集電体上に圧着し、配置タイプのオイルチャンバに入れ、500MPaの圧力で、90℃で1時間、温間等方圧プレス(WIP, Warm Isostactic Press)工程を遂行して正極層を準備した。
【0155】
(固体電解質層の製造)
実施例1で製造された固体イオン伝導体化合物(D50=2.34μm)を固体電解質粉末として使用して、次のように固体電解質層を製造した。
【0156】
実施例1によって準備された固体電解質とバインダーであるアクリル系樹脂(Xeon社製造)を98.5:1.5の重量比で混合して混合物を準備した。準備された混合物に、溶媒であるイソブチルイソブチレート(IBIB, Isobutyl Isobutyrate)を追加し、撹拌して固体電解質スラリーを準備した。固体電解質スラリーをポリエチレン不織布上に配置し、空気中において25℃で12時間、乾燥及び70℃で2時間、真空乾燥した。以上の工程によって、ポリエチレン不織布上に形成されたシート状の固体電解質層を準備した。
【0157】
(負極層製造)
負極集電体としてNi箔(厚さ:10μm)を準備した。負極活物質として、Ag粒子(平均一次粒径約60nm)とカーボンブラック(平均一次粒径約35nm)を25:75の重量比で混合して混合粉末を準備した。容器に準備された混合粉末及びポリビニリデンフルオリド(PVDF)バインダー(#9300、クレハ社)を、N-メチルピロリドン(NMP)に入れて撹拌して負極スラリーを準備した。バインダー含量は、負極層全体乾燥重量を基準に7重量%であった。準備された負極スラリーをNi箔上にブレードコーター(blade coater)を利用して塗布し、空気中において80℃温度で20分間乾燥及び100℃で12時間真空乾燥して負極層を準備した。
【0158】
(全固体二次電池の製造)
正極層、固体電解質層、負極層を順に積層した後、圧着し、配置タイプのオイルチャンバに入れ、500MPaの圧力で、90℃で1時間、温間等方圧プレス(WIP, Warm Isotactic Press)工程を遂行して面積4cmの全固体電池を形成した。
【0159】
実施例5、6
実施例1で製造された固体電解質粉末の代わりに、実施例2、3で製造された固体電解質粉末をそれぞれ使用したことを除き、実施例4と同様の方法で全固体二次電池を製造した。
【0160】
比較例7ないし12
実施例1で製造された固体電解質粉末の代わりに、比較例1ないし6で製造された固体電解質粉末をそれぞれ使用したことを除き、実施例4と同様の方法で全固体二次電池を製造した。
【0161】
評価例1:イオン伝導度測定
実施例1ないし3及び比較例1ないし6で製造された固体イオン伝導体化合物粉末を準備した後、粉末200mgを4ton/cmの圧力で2分間プレスして、厚さ約0.101mm及び直径約13mmのペレット(pellet)試片を準備した。準備された試片の両面に、厚さ50μm及び直径13mmのインジウム(In)電極をそれぞれ配置して、対称セル(symmetry cell)を準備した。対称セルの準備は、Ar雰囲気のグローブボックスで進められた。
【0162】
インジウム電極が両面に配置された試片に対して、インピーダンス分析器(Material Mates 7260 impedance analyzer)を使用して、2-プロブ(probe)法でペレットのインピーダンスを測定した。周波数範囲は、0.1Hz~1MHz、振幅電圧は、10mVであった。Ar雰囲気の25℃で測定した。インピーダンス測定結果に対するナイキストプロット(Nyguist plot)の円弧(arc)から抵抗値を求め、試片の面積と厚さを考慮してイオン伝導度を計算した。測定結果を下記表2に示した。
【0163】
評価例2:粒径測定
粒子サイズ分析器(PSA, particle size analyzer)を利用して、実施例1ないし3及び比較例1ないし6で製造された固体イオン伝導体化合物粒子のD50及びD90-D10値を測定した。測定溶媒は、キシレン(xylene)であった。
【0164】
製造された固体イオン伝導体化合物粒子のD50値であるメジアン粒径(median particle diameter)を平均粒径とした。
【0165】
測定結果を下記表2及び図3図4に示した。
【0166】
【表2】
【0167】
表2及び図3図4から分かるように、実施例1ないし3の固体イオン伝導体化合物は、3mS/cm以上のイオン伝導度を有しつつ、平均粒径(D50)は、7μm以下であった。
【0168】
一方、比較例1ないし3の固体イオン伝導体化合物は、3mS/cm以上のイオン伝導度を有するが、平均粒径(D50)は、10μm以上であった。
【0169】
比較例4ないし6の固体イオン伝導体化合物は、平均粒径(D50)は、7μm以下だったが、イオン伝導度が2mS/cm未満であった。
【0170】
実施例1ないし3の固体イオン伝導体化合物は、優秀なイオン伝導度と減少した平均粒径を同時に提供したが、比較例1ないし6の固体イオン伝導体化合物は、イオン伝導度が劣るか、平均粒径が増大した。
【0171】
評価例3:X線回折実験
実施例1ないし3、比較例1及び比較例4で製造された固体イオン伝導体化合物粉末に対して粉末XRDスペクトルを測定し、その結果の一部を図1に図示した。XRDスペクトル測定にCuKα放射線(radiation)を使用した。実施例1ないし5の固体イオン伝導体化合物は、F-23m空間群に属し、立方晶系(cubic)の結晶系に属する構造を有し、アルジロダイト型(Argyrodite type)結晶構造を有するアルジロダイト型硫化物(Argyrodite type sulfide)であることを確認した。
【0172】
実施例1ないし3及び比較例1の固体イオン伝導体化合物は、CuKα線を用いたXRDスペクトルにおいて、回折角2θ=30.0゜±1.0゜における結晶性ピークのピーク強度(Ia)が、回折角2θ=19.0゜±3.0゜におけるブロード(broad)ピークのピーク強度(Ib)に比べて大きかった。実施例1ないし3及び比較例1の固体イオン伝導体化合物は、熱処理によって製造された固体イオン伝導体化合物をそのまま使用するので、回折角2θ=30.0゜±1.0゜における結晶性ピークが高いピーク強度(I)をそのまま保持したためであると判断された。
【0173】
一方、比較例4の固体イオン伝導体化合物は、CuKα線を用いたXRDスペクトルで、回折角2θ=30.0゜±1.0゜における結晶性ピークのピーク強度(Ia)が、回折角2θ=19.0゜±3.0゜におけるブロード(broad)ピークのピーク強度(Ib)に比べて小さかった。比較例4の固体イオン伝導体化合物は、熱処理によって製造された固体イオン伝導体化合物の粒径を減少させるための粉砕過程を経ることにより、粉砕過程で非晶質相の含量が増加することにより、回折角2θ=30.0゜±1.0゜における結晶性ピークのピーク強度(Ia)が減少したためであると判断された。
【0174】
評価例4:充放電試験
実施例4ないし6及び比較例7ないし12で製造された全固体二次電池の充放電特性を、次の充放電試験によって評価した。充放電試験は、全固体二次電池を45℃のチャンバに入れて遂行した。
【0175】
第1サイクルは、電池電圧が4.25Vになるまで、0.1Cの定電流及び4.25V定電圧で0.05C電流値になるまで充電した。次いで、電池電圧が2.5Vになるまで0.1Cの定電流で放電を実施した。
【0176】
第2サイクルは、電池電圧が4.25Vになるまで、0.1Cの定電流及び4.25V定電圧で0.05C電流値になるまで充電した。次いで、電池電圧が2.5Vになるまで0.33Cの定電流で放電を実施した。
【0177】
第3サイクルは、電池電圧が4.25Vになるまで0.1Cの定電流及び4.25V定電圧で0.05C電流値になるまで充電した。次いで、電池電圧が2.5Vになるまで1.0Cの定電流で放電を実施した。
【0178】
各サイクルごとに充電及び放電段階後に10分間休止期を置いた。測定結果の一部を下記表3に示した。
【0179】
実施例4ないし6及び比較例10で製造された全固体二次電池の各サイクルでの充電容量、放電容量及び充放電効率を下記表3に示した。
【0180】
充放電効率は、下記数式1から計算される。
【0181】
[数1]
充放電効率(%)=[放電容量/充電容量]X100
【0182】
【表3】
【0183】
表3に示されたように、実施例4ないし6の全固体二次電池は、比較例10の全固体二次電池に比べて放電容量が向上し、充放電効率も大部分の条件で向上した。
【0184】
このような放電容量の減少は、実施例4ないし6の全固体二次電池が含む固体イオン伝導体化合物のイオン伝導度が増加して、電池内部抵抗が比較例10の全固体二次電池に比べて減少したためであると判断された。
【0185】
評価例5:充放電試験、寿命特性評価
評価例4の率特性評価が終了した実施例4ないし6及び比較例10の全固体二次電池に対して寿命特性を評価した。充放電試験は、全固体二次電池を45℃のチャンバに入れて遂行した。
【0186】
電池電圧が4.25Vになるまで0.33Cの定電流充電し、4.25Vの定電圧で電流値が0.1Cになるまで充電した。次いで、電池電圧が2.5Vになるまで0.33Cの定電流で放電を実施した。そのような充放電サイクルを50回遂行した。各サイクルごとに充電及び放電段階後に10分間休止期を置いた。
【0187】
実施例4ないし6及び比較例10で製造された全固体二次電池の容量保持率を下記表4及び図5に示した。容量保持率は、下記数式2から計算される。
[数2]
容量保持率(%)=[50サイクル目の放電容量/1サイクル目の放電容量]X100
【0188】
【表4】
【0189】
表4及び図5から分かるように、実施例4ないし6の全固体二次電池は、比較例10の全固体二次電池に比べて高温寿命特性が向上した。
【0190】
また、図5から分かるように、実施例4ないし6の全固体二次電池は、比較例10の全固体二次電池に比べて放電容量も向上した。
【産業上の利用可能性】
【0191】
向上したリチウムイオン伝導度及び減少した平均粒径を有する固体イオン伝導体化合物を含むことにより、改善されたサイクル特性を有する電気化学セルが提供される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】