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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】工場間通信
(51)【国際特許分類】
   H04L 69/10 20220101AFI20231004BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231004BHJP
   H04L 12/28 20060101ALI20231004BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALN20231004BHJP
【FI】
H04L69/10
G05B19/418 Z
H04L12/28 100F
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023512326
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2021073083
(87)【国際公開番号】W WO2022038243
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】20192174.9
(32)【優先日】2020-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガウ,セバスチャン
【テーマコード(参考)】
3C100
5K033
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA56
3C100AA62
3C100AA68
3C100BB13
3C100BB15
3C100CC04
5K033AA01
5K033BA03
5K033CB06
5K033CB13
5L049CC03
(57)【要約】
複数の産業工場(112)間の工場間通信のための方法が開示される。方法は、i.少なくとも1つの分散ユニット(132)で、複数の産業工場(112)のうちの少なくとも1つの産業工場(112)から工場関連データを受信するステップと、ii.少なくとも1つの分散ユニット(132)を介して、同報通信データを複数の産業工場(112)、特定的には複数の産業工場(112)の個々の産業工場(112)に送信するステップであって、同報通信データが工場関連データの少なくとも一部を含む、ステップとを含み、工場関連データの受信(136)および同報通信データの送信(138)は少なくとも1つのネットワーク(134)を介して実施される。さらに、複数の産業工場(112)間の工場間通信のための分散ユニット(132)、複数の産業工場(112)間の工場間通信を可能にするための工場通信システム(130)、コンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品およびコンピュータ可読記憶媒体が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の産業工場(112)間の工場間通信のための方法であって、
i.少なくとも1つの分散ユニット(132)で、前記複数の産業工場(112)のうちの少なくとも1つの産業工場(112)から工場関連データを受信するステップと、
ii.前記少なくとも1つの分散ユニット(132)を介して、同報通信データを前記複数の産業工場(112)、特定的には前記複数の産業工場(112)の個々の産業工場(112)に送信するステップであって、前記同報通信データが前記工場関連データの少なくとも一部を含む、ステップと
を含み、前記工場関連データの前記受信(136)および前記同報通信データの前記送信(138)が少なくとも1つのネットワーク(134)を介して実施される、方法。
【請求項2】
個々の産業工場(112a、112b、112c)が制御層(603a、603b、603c)を備え、前記複数の工場(112)の各々の前記制御層(603a、603b、603c)がオペレーション層(650)に通信結合され、前記工場関連データ(603a~c)が前記オペレーション層を介して前記少なくとも1つの分散ユニット(132)で提供され、前記同報通信データ(642a、642b、642c)が前記オペレーション層(650)を介して前記複数の産業工場(112)に提供され、前記少なくとも1つのネットワーク(134)が前記オペレーション層の一部である、先行する請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の産業工場(112)の個々の産業工場(112)が少なくとも1つのネットワークインタフェース(140)を介して前記少なくとも1つの分散ユニット(132)と接続され、前記ネットワークインタフェース(140)が少なくとも1つのOPC規格インタフェース(116)を備える、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの分散ユニット(132)が前記工場関連データを処理し、それにより前記同報通信データを獲得するように構成され、前記工場関連データの前記処理が、前記工場関連データの調和、前記工場関連データの文脈化、前記工場関連データへのタイムスタンプの提供、または前記工場関連データへの識別情報の少なくとも1つのアイテムの提供のうちの少なくとも1つを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記同報通信データが、前記複数の産業工場(112)からの工場関連データを含む工場関連データの束を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記同報通信データが、タイムスタンプおよび識別情報のアイテムのうちの少なくとも1つをさらに含む、先行する請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の産業工場(112)の各々が少なくとも1つの制御システムを備え、前記少なくとも1つの制御システムが工場関連データを前記分散ユニット(132)に提供するように構成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の制御システムのうちの少なくとも1つが少なくとも1つのアーカイブとデータを交換するように構成される、2つの先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、前記複数の産業工場(112)間でウェブ-プロトコルベースメッセージを交換するために少なくとも1つのウェブサーバ(142)を使用するステップをさらに含み、前記ウェブ-プロトコルベースメッセージが、前記複数の産業工場(112)の前記産業工場(112)のオペレータのための推奨アクションを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が少なくとも1つの決定論理(144)を使用するステップをさらに含み、前記少なくとも1つの決定論理(144)が工場関連データを前記分散ユニット(132)から検索するように構成され、前記少なくとも1つの決定論理(144)が、前記少なくとも1つの分散ユニット(132)から検索した前記工場関連データに基づいて少なくとも1つの推奨アクションを生成するように構成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記同報通信データが準実時間で前記複数の産業工場(112)に送信され、前記同報通信データの前記準実時間送信が、工場関連データの前記受信(136)と同報通信データの前記送信(138)との間のせいぜい15sの時間遅延を含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
複数の産業工場(112)間の工場間通信のための分散ユニット(132)であって、前記分散ユニット(132)が、
i.前記複数の産業工場(112)のうちの少なくとも1つの産業工場(112)から工場関連データを受信し、また、
ii.前記複数の産業工場(112)、特定的には前記複数の産業工場(112の個々の産業工場(112)に、前記工場関連データの少なくとも一部を含む同報通信データを送信する
ように構成され、分散ユニット(132)が、前記工場関連データを受信し、また、前記同報通信データを送信するために少なくとも1つのネットワーク(134)を使用するように構成される、分散ユニット(132)。
【請求項13】
複数の産業工場(112)間の工場間通信を可能にするための工場通信システム(130)であって、前記通信システム(130)が、分散ユニット(132)を参照した先行する請求項のいずれか1項による少なくとも1つの分散ユニット(132)を備え、前記工場通信システム(130)が、前記工場関連データを受信し(136)、また、前記同報通信データを送信する(138)ための前記少なくとも1つのネットワーク(134)をさらに備え、前記ネットワーク(134)が、前記分散ユニット(132)をより特定的には星形方式で前記複数の産業工場(112)の前記複数の産業工場(112)にリンクするように構成される、工場通信システム(130)。
【請求項14】
前記ネットワーク(134)を介して前記分散ユニット(132)にリンクされた前記複数の産業工場(112)をさらに備え、前記複数の産業工場(112)の各々が、前記複数の産業工場(112)を前記少なくとも1つの分散ユニット(132)と接続するための少なくとも1つのネットワークインタフェース(140)を備える、先行する請求項に記載の工場通信システム(130)。
【請求項15】
前記複数の産業工場(112)の各々が少なくとも1つの制御システムを備える、工場通信システム(130)を参照した先行する請求項のいずれか1項に記載の工場通信システム(130)。
【請求項16】
前記複数の産業工場(112)間でウェブ-プロトコルベースメッセージを交換するための少なくとも1つのウェブサーバ(142)をさらに備える、工場通信システム(130)を参照した先行する請求項のいずれか1項に記載の工場通信システム(130)。
【請求項17】
コンピュータまたはコンピュータシステム、特定的には分散ユニット(132)および/または工場通信システム(130)のコンピュータまたはコンピュータシステムによって実行されると、前記コンピュータまたはコンピュータシステムが、方法を参照した先行する請求項のいずれか1項による前記方法を実施することになる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項18】
コンピュータまたはコンピュータシステム、特定的には分散ユニット(132)および/または工場通信システム(130)のコンピュータまたはコンピュータシステムによって実行されると、前記コンピュータまたはコンピュータシステムが、方法を参照した先行する請求項のいずれか1項による前記方法を実施することになる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
コンピュータまたはコンピュータシステム、特定的には分散ユニット(132)および/または工場通信システム(130)のコンピュータまたはコンピュータシステムによって実行されると、前記コンピュータまたはコンピュータシステムが、方法を参照した先行する請求項のいずれか1項による前記方法を実施することになる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本教示は、複数の産業工場間の工場間通信のための方法に関する。本教示は、さらに、分散ユニット、および複数の産業工場間の工場間通信を可能にするための工場通信システム、ならびにコンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品およびコンピュータ可読記憶媒体に関する。方法およびデバイスは、例えば複数の産業工場間、特定的には、一般に、少なくとも1つの資源に少なくとも部分的に依存し、および/または一般に、少なくとも1つの資源の供給に少なくとも部分的に寄与する複数の産業工場間のプロセスパラメータの交換を可能にするために、特定的には産業の分野、例えば製造産業および/またはサービス産業の分野などで使用することができる。しかしながら本出願の用途の他の分野も同じく実行可能である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
製造産業および/またはサービス産業の分野などの産業の分野では、多くの場合、複数の産業工場が産業コンパウンドまたは複合産業ロケーションを形成している。時によってはこのような複数の産業工場は、Verbundサイト、例えば物理的および/または化学的に密に結合した工場のコンパウンドと呼ばれている。複数の産業工場内の複数の工場の少なくともいくつかは、1つまたは複数の供給連鎖、抽出物および/または製品を共有することができる。一般に、工場同士の間、およびコンパウンドを形成している工場のオペレータ同士の間の情報交換は、可能な限り高い製造効率を維持するための極めて重要な情報交換であり得る。典型的には、このような複数の工場の各々は、他の工場から隔離されている専用制御システムを有することができる。このような隔離は、例えばサイバー安全保護要求事項などの安全保護要求事項によって実施され得る。通常、ファックスまたは電話通信などの何十年も前に確立された技術が情報交換のために使用されている。例えば産業工場のオペレータは、Verbundサイトオペレーションと一致させるために、他の工場オペレータとの電話呼出しおよび/またはファックスを介して直接通信することができる。したがってこのような複数の工場間、またはVerbundサイトの複数の工場間の情報の交換は場合によっては速度が遅く、また、信頼性が高い方法における情報通信は場合によっては複雑で、かつ、時間を消費する。
【0003】
したがって上で言及した課題に少なくとも部分的に対処する、複数の産業工場間の工場間通信のためのデバイスおよび方法を提供することが望ましい。特定的には、複数の産業工場間の、高速で、効果的で、かつ、費用有効性の高い通信を可能にし得るデバイスおよび方法を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
独立請求項の特徴により、知られている技術に固有の問題のうちの少なくともいくつかが解決されることが示される。
【0005】
ある観点から見ると、複数の産業工場内の工場間通信を確立する解決法は、複数の工場内の複数の工場の各々をハード配線を介して複数の産業工場における他の工場に直接接続することによるものであり得る。ハード配線は、例えば重要な信号を1つの工場から他の工場へ輸送するための1つまたは複数の電気ケーブルおよび/または光ファイバケーブルを備えることができる。さらには、通信をハード配線によって制御システムレベル上で確立するための異なるオプションが存在し得る。
【0006】
完全相互接続工場セットアップを使用したこのような実現化は、監視機能、制御機能および工場間制御機能のうちの1つまたは複数のいずれかを可能にすることができる。また、この実現化は、個々の工場と他の工場の間の専用チャネルを保証することにより、通信チャネルの高い可用性をもたらし得る。第1の工場と第2の工場の間の通信が故障しても、他の工場同士の間、さらには第1の工場と、第2の工場を除く残りの工場との間の通信に影響が及ぶことはあり得ない。同様に、第2の工場と、第1の工場を除く残りの工場との間の通信も確保され得る。この方法によれば、通信チャネルの高い可用性を達成することができる。
【0007】
産業工場は、典型的には、複数のセンサ、および工場におけるプロセスに関連する少なくとも1つのパラメータを制御するための少なくとも1つの制御システムを備えている。制御機能は、通常、複数のセンサのうちの少なくとも1つからの少なくとも1つの測定信号に応答してコントローラによって実施される。工場のコントローラまたは制御システムは、分散制御システム(distributed control system)(「DCS」)として実現することができる。
【0008】
このような完全相互接続セットアップによって達成される利点にもかかわらず、いくつかの実際的な課題が残り得る。特定的には、産業工場同士の間のハード配線の設置が高価であり得る。さらに、設立された工場では、自由不動産は場合によっては不十分であり、および/または適正なロケーションで利用することができず、したがって場合によっては、通信を確立するために工場同士の間にハード配線ケーブルを敷設するための空間を見出すことが不可能である。したがって工場間通信を実現するための多くのビジネス事例は、サイトのインフラストラクチャのこのような構造的拡張の結果として、非経済的または非現実的になり得る。さらに、複数の産業工場内に1つまたは複数の追加工場を建設することによってサイトを拡張しなければならない場合、場合によってはその新しい工場と、複数の産業工場における既に存在している工場の各々との間の新しいハード配線が同じく実現される必要がある。したがって高い可用性を有しているにもかかわらず、完全相互接続工場解決法は、場合によっては柔軟性がなく、また、拡張性がない。
【0009】
本出願人は、複数の産業工場間の工場間通信のための方法および分散ユニットによって、複数の産業工場間の工場間通信を可能にするための工場通信システムによって、また、コンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品およびコンピュータ可読記憶媒体によってこれらの問題のうちの少なくともいくつかに対処することができることを認識した。隔離された方法で、または何らかの任意の組合せで実現することができる有利な実施形態は、従属請求項ならびに本明細書全体を通して挙げられている。
【0010】
以下で使用されているように、「有する」、「備える」または「含む」という用語、またはそれらの何らかの任意の文法的変形は、非排他的方法で使用されている。したがってこれらの用語は、これらの用語によって導入されている特徴以外に、この文脈で説明されている実態の中に他の特徴は存在しない状況、および1つまたは複数の他の特徴が存在する状況の両方を意味することができる。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、AにはB以外に他の要素は存在しない状況(すなわちAは排他的にBのみからなる状況)、および実体AにはB以外に1つまたは複数の他の要素、例えば要素C、要素CおよびD、またはさらに他の要素などが存在する状況の両方を意味することができる。
【0011】
さらに、「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」という用語、または特徴または要素が1回または2回以上存在し得ることを示す同様の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を導入する際に1回だけ使用されることになることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を参照する際に、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という表現は、それぞれの特徴または要素が1回または2回以上存在し得る事実にもかかわらず反復されない。
【0012】
さらに、以下で使用されているように、「好ましい」、「より好ましい」、「詳細には」、「より詳細には」、「特定的には」、「より特定的には」という用語または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意選択の特徴と関連して使用されている。したがってこれらの用語によって導入される特徴は任意選択の特徴であり、特許請求の範囲の範囲を制限することは一切意図されていない。本教示は、当業者には認識されるように、代替特徴を使用することによって実施することができる。同様に、「実施形態では」または同様の表現によって導入される特徴には、本教示の代替実施形態に関する一切の制限なく、本教示の範囲に関する一切の制限なく、また、このような方法で導入される特徴を本教示の他の任意選択または非任意選択の特徴と組み合わせる可能性に関する一切の制限なく、任意選択の特徴であることが意図されている。
【0013】
第1の観点から見ると、複数の産業工場間の工場間通信のための方法が開示される。方法は以下のステップを含み、これらのステップは、例として所与の順序で実施することができる。しかしながら、特定の状況の下では、異なる順序も同じく可能であることに留意されたい。さらに、これらの方法ステップのうちの1つまたは複数は1回実施することができ、または反復して実施することも可能である。さらに、特定的にはこれらの方法ステップのうちのいくつかまたは複数が反復して実施される場合、これらの方法ステップのうちの2つ以上を同時に実施することも可能であり、または適宜、重畳方式で実施することも可能である。方法は、挙げられてはいない他の方法ステップを含むことができる。
【0014】
方法は、
i.少なくとも1つの分散ユニットで、複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場から工場関連データを受信するステップと、
ii.少なくとも1つの分散ユニットを介して、同報通信データを複数の産業工場、特定的には複数の産業工場の個々の産業工場に送信するステップであって、同報通信データは工場関連データの少なくとも一部を含む、ステップと
を含み、工場関連データの受信および同報通信データの送信は少なくとも1つのネットワークを介して実施される。
【0015】
またはより一般的な意味では、方法は、
i.少なくとも1つの分散ユニットで、複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場から工場関連データを提供するステップと、
ii.少なくとも1つの分散ユニットを介して、同報通信データを複数の産業工場、特定的には複数の産業工場の個々の産業工場に提供するステップであって、同報通信データは工場関連データの少なくとも一部を含む、ステップと
を含み、工場関連データの受信および同報通信データの送信は少なくとも1つのネットワークを介して提供される。
【0016】
本明細書において使用されている「産業工場」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、産業目的のために使用される任意の技術的インフラストラクチャを意味することができる。産業目的は、1つまたは複数の産業製品の製造または処理であってもよく、すなわち産業工場によって実施される製造プロセスまたは処理であってもよい。産業製品は、例えば化学的製品、生物学的製品、製薬的製品、食品、飲料、織物、金属、プラスチック、半導体などの任意の物理的製品であってもよい。追加または別法として、産業製品は、さらには、電気、熱、空気調和、リサイクリングなどの廃棄物処理、分解または溶解などの化学的処理、さらには焼却、等々などのサービス製品であってもよい。したがって産業工場は、化学工場、処理工場、製薬工場、オイルおよび/または天然ガス井戸などの化石燃料処理施設、精製所、石油化学製品工場、分留工場、等々のうちの1つまたは複数であってもよい。産業工場は、さらには蒸留所、焼却炉または電力工場のうちの任意の工場であってもよい。産業工場は、さらには、その組合せが制御システムを共有するか、または同じ監視制御システム、例えば監視制御およびデータ収集(supervisory control and data acquisition)(「SCADA」)システムを介して制御されることを条件として、上で与えられた例のうちの任意の工場の組合せであってもよい。本教示を適用するために、いくつかの事例では、さらには大規模工場内の副施設も、その副施設が専用制御システムを備えている限り、産業工場と見なすことも可能である。専用制御システムはDCSであることが好ましい。しかしながらいくつかの事例、例えばより小規模の工場の事例では、専用制御システムは、プログラマブル論理コントローラ(programmable logic controller)(「PLC」)を使用して実現することができる。
【0017】
本教示の利点は、工場、施設または副施設が、センサおよび/または制御信号に関して、大規模工場内の他の副施設および/または工場のうちの少なくとも1つから隔離される場合にさらに認識することができる。センサおよび/または制御信号に関して隔離された、は、ここでは、工場、施設または副施設のセンサおよび/または制御信号のうちの少なくともいくつかは、他の大規模工場内の他の副施設および/または工場、または複数の工場で利用することができないことを意味していることは認識されよう。特に、センサおよび/または制御信号のうちの少なくともいくつかが他の副施設および/または工場のうちの1つまたは複数にとって重要なセンサおよび/または制御信号である場合、本教示は、このような信号を他の副施設および/または工場に高い信頼性で送信する方法を提供することができる。インフラストラクチャは、熱交換機、分留塔などの塔、炉、反応チャンバ、分留ユニット、貯蔵タンク、集塵機、パイプライン、スタック、フィルタ、バルブ、アクチュエータ、変圧器、遮断器、機械類、例えばタービン、発電機、粉砕機、圧縮機、ファン、ポンプ、電動機などの大型回転設備、等々のうちの任意の1つまたは複数などの設備または処理ユニットを備えることができる。したがって本教示の文脈における産業工場は、専用制御システム、例えばDCSシステムを備えた施設、副施設またはインフラストラクチャである。
【0018】
産業工場の設備または処理ユニットのうちの少なくともいくつかをモニタおよび/または制御して、1つまたは複数の産業製品を製造することができる。さらに、モニタおよび/または制御することにより、1つまたは複数の製品の製造を最適化することができる。設備または処理ユニットは、1つまたは複数のセンサからの1つまたは複数の信号に応答して、DCSなどのコントローラを介してモニタおよび/または制御することができる。さらに、工場は、さらには、複数のプロセスのうちのいくつかを制御するための少なくとも1つのプログラマブル論理コントローラ(「PLC」)を備えることができる。産業工場は、典型的には、モニタおよび/または制御目的のために産業工場中に分散させることができる複数のセンサを備えることができる。このようなセンサは大量のデータを生成することができる。したがって化学薬品製造および/またはサービス製造などの製造は、大量のデータを取り扱う環境であり得る。したがって個々の産業工場は大量のプロセス関連データをもたらし得る。
【0019】
当業者は、産業工場は、通常、異なるタイプのセンサを含むことができる計器を備えることができることを認識するであろう。これらのセンサを使用して様々なプロセスパラメータを測定することができ、および/または設備または処理ユニットに関連するパラメータを測定することができる。例えばこれらのセンサを使用して、パイプライン内の流量、タンクの内側のレベル、炉の温度、ガスの化学組成、等々などのプロセスパラメータを測定することができ、また、いくつかのセンサを使用して、タービンの振動、ファンの速度、バルブの開き、パイプラインの腐食、変圧器の両端間の電圧、等々を測定することができる。これらのセンサ間の相違は、それらが知覚するパラメータに基づき得るだけでなく、さらにはそれぞれのセンサが使用する知覚原理に基づき得る。知覚するパラメータに基づくセンサのいくつかの例は、温度センサ、圧力センサ、光センサなどの放射センサ、流量センサ、振動センサ、変位センサ、およびガスなどの特定の物質を検出するためのセンサなどの化学センサを含むことができる。使用する知覚原理の点で異なるセンサの例は、例えば圧電センサ、ピエゾ抵抗センサ、熱電対、容量センサおよび抵抗センサなどのインピーダンスセンサ、等々であり得る。
【0020】
要約したように、少なくとも1つの産業工場は複数の産業工場の一部であってもよい。本明細書において使用されている「複数の産業工場」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、少なくとも1つの共通の産業目的を有する少なくとも2つの産業工場のコンパウンドを意味することができる。特定的には、複数の産業工場は、物理的および/または化学的に結合されている少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10、さらにはそれ以上の産業工場を含むことができる。複数の産業工場は、これらの複数の産業工場を形成している産業工場がそれらの価値連鎖、抽出物および/または製品のうちの1つまたは複数を共有することができるように結合することができる。複数の産業工場は、コンパウンド、コンパウンドサイト、VerbundまたはVerbundサイトと呼ぶことも可能である。さらに、最終製品への様々な中間製品を介した複数の産業工場の価値連鎖製造は、様々な産業工場などの様々なロケーションに分散させることができ、またはVerbundサイトまたはケミカルパークに統合することができる。このようなVerbundサイトまたはケミカルパークは1つまたは複数の産業工場であってもよく、または1つまたは複数の産業工場を含むことができ、少なくとも1つの産業工場で製造される製品は、別の産業工場のためのフィードバックとして働くことができる。
【0021】
本教示は、複数の産業工場間の工場間通信を可能にすることができる。本明細書において使用されている「工場間通信」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、少なくとも2つの産業工場間の、配線システム、ワイヤレスシステム、光システムまたは他の電磁システムのうちの少なくとも1つによる、情報、データまたはコマンドのうちの少なくとも1つの単方向または双方向交換を意味することができる。特定的には、この用語は、配線送信による情報の単方向または双方向交換を意味することができる。分散ユニットを介した少なくとも2つの産業工場間の情報交換は双方向であることが好ましい。いくつかの事例では、複数の工場のうちの1つがアクティブではなく、すなわち運転停止中である場合、2つの産業工場間の情報交換は、さらには例えば単方向であってもよい。さらに、通信は、複数の工場のうちの少なくともいくつかの工場から工場関連データを受信することが有利であり得る、中央制御室などの他の施設に単方向方式で送ることさえ可能である。この少なくとも2つの産業工場は、複数の産業工場の一部であってもよく、特定的には産業工場の1つまたは複数のVerbundサイトの一部であってもよい。例えば工場間通信は、製造される産業製品の製造プロセスのインジケータである1つまたは複数のプロセスパラメータに関する情報を交換することができる。
【0022】
上で要約したように、方法は、少なくとも1つの分散ユニットで、複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場から工場関連データを提供するステップを含む。工場関連データは、少なくとも1つの産業工場からの前記データの送信を介して、少なくとも1つの分散ユニットで提供することができる。したがって工場関連データは少なくとも1つの分散ユニットで受信することができる。本明細書において使用されている「工場関連データ」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、上で定義した産業工場に関連する情報または産業工場から発信される情報の1つまたは複数のアイテムを意味することができる。特定的には、工場関連データは、製造パラメータ、センサ出力信号、および/または信号の品質および/またはその信号のソースを示す少なくとも1つのパラメータ、コントローラ設定点信号および/または出力信号、1つまたは複数の産業製品の処理の処理パラメータ、サービス製品パラメータ、等々のうちの任意の1つまたは複数などの重要な信号のうちの少なくとも1つを含むことができる。この文脈における工場関連データは、時系列信号、好ましくは実時間信号、および/または絶対タイムスタンプおよび/または範囲を有する信号、および/または信号の品質および/またはそのデータソースを示す少なくとも1つのパラメータを含むことができる。工場関連データは、特定的には、工場特化信号、例えば複数の産業工場の中の他の複数の産業工場のうちの少なくとも1つにとって重要な産業工場からの工場特化時系列信号を含み得る。より特定的には、工場関連データは、重要な信号であって、その信号に基づいて他の複数の産業工場のうちの少なくとも1つのオペレーションが依存し得る、または影響され得る重要な信号を含むことができる。さらに、工場関連データは、さらには、受信工場で、および/または分散ノードを介したいずれかで事前フィルタリングすることも可能である。これは、受信産業工場で、受信産業工場にとって関連のある1つまたは複数の重要な信号を表示するために実施することができる。
【0023】
工場関連データは、産業工場の設備および/または処理ユニットをモニタおよび/または制御する少なくとも1つのセンサによってモニタされる1つまたは複数のプロセスパラメータを含むことができる。したがって工場関連データは、少なくとも1つの産業工場の設備および/または処理ユニットの特定のプロセスパラメータであってもよい。したがって工場関連データは、産業工場の複数のセンサからの複数のプロセスパラメータを同じく含むことができることが認識されよう。同じく要約したように、工場関連データは少なくとも1つのタイムスタンプをさらに含むことができ、タイムスタンプは、1つまたは複数のプロセスパラメータが獲得される時間点を記録することができる。工場関連データは、さらには、例えば特定された時間期間の範囲を定めるために、2つのタイムスタンプを使用して時間期間を特定する情報またはデータを含むことも可能である。時間期間は、さらには、単一のタイムスタンプおよび継続期間値をいずれかの方向で使用して特定することも可能である。いずれの場合においても、時間期間内にさらなるタイムスタンプが存在し得る。
【0024】
本明細書において使用されている「分散ユニット」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、任意のデバイスまたはシステムを意味することができ、特定的には、データの受信、変換、処理および/または送信のうちの1つまたは複数のために、例えばハードウェア構成、および/または計算デバイスのソフトウェアプログラミングなどによって構成される電子計算デバイスまたはプロセッサを意味することができる。本明細書において使用されている「プロセッサ」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、コンピュータまたはシステムの基本動作を実施するように構成された任意の論理回路機構を意味することができ、および/または一般に、計算または論理演算を実施するように構成されるデバイスを意味することができる。詳細には、プロセッサは、コンピュータまたはシステムを駆動する基本命令を処理するように構成することができる。例として、プロセッサは、少なくとも1つの算術論理ユニット(arithmetic logic unit)(「ALU」)、算術コプロセッサまたは数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(floating-point unit)(「FPU」)、複数のレジスタ、特定的には、ALUにオペランドを供給し、かつ、演算の結果を記憶するように構成されたレジスタ、およびL1およびL2キャッシュメモリなどのメモリを備えることができる。詳細には、プロセッサはマルチ-コアプロセッサであってもよい。特定的には、プロセッサは中央処理装置(central processing unit)(「CPU」)であってもよく、または中央処理装置(「CPU」)を備えることができる。追加または別法として、プロセッサはマイクロプロセッサであってもよく、またはマイクロプロセッサを備えることができ、したがって特定的には、1つの単一の集積回路(integrated circuit)(「IC」)チップにプロセッサの要素を含めることができる。追加または別法として、プロセッサは、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuits)(「ASIC」)および/または1つまたは複数の書替え可能ゲートアレイ(field-programmable gate arrays)(「FPGA」)、等々であってもよく、またはそれらを備えることができる。特定的には、分散ユニットは、工場関連データを受信し、工場関連データを処理し、また、さらに同報通信データを送信するために、例えばハードウェア構成、および/または計算デバイスのソフトウェアプログラミングなどによって構成することができる。分散ユニットは、サーバ、プロセッサ、コンピュータ、等々のうちの1つまたは複数であってもよく、またはそれらを備えることができる。さらに、分散ユニットは、結線および/またはワイヤレス通信のためなどの受信ユニットおよび/または送信ユニットのうちの1つまたは複数を備えることができる。
【0025】
上でさらに要約したように、方法は、少なくとも1つの分散ユニットを介して、同報通信データを複数の産業工場に送信するステップを含む。特定的には、送信は分散ユニット自体によって、例えば自動的などで生じ得る。例として、分散ユニットは、以下でさらに詳細に要約されるように、例えば複数の産業工場のうちの1つまたは複数からの工場関連データを組み合わせ、および/または追加データを加えることなどによって、工場関連データを同報通信データに自動的に変換するように構成することができる。本教示によれば、サイクル-レス方式または準実時間方式で同報通信データを送信することができることは認識されよう。サイクル-レス準実時間送信は、ソースインタフェース上の値変化によって直接誘導される同報通信プロセスを意味することができる。この文脈におけるサイクル-レスは、ソースインタフェースにおける値変化が、この値をすべての構成済みターゲットインタフェース、例えば受信工場に送信するためのトリガとしての役割を果していることを意味している。したがって同報通信データを介した受信工場への工場関連データの信号送信時間をネットワーク待ち時間に近くすることができる。態様によれば、追加サイクル-ベース論理をウォッチドッグとして使用して、複数の受信工場または複数のターゲットインタフェースのうちの1つまたは複数が同報通信データを受信したこと、または同報通信データに対して肯定応答したことを検証することができる。したがって例えば分散ユニットの一部としてのウォッチドッグによって、同報通信データが複数の工場の各々によって高い信頼性で受信されることを保証することができる。
【0026】
本明細書において使用されている「同報通信データ」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、情報の1つまたは複数の変換されたアイテム、または処理されたアイテムを意味することができる。特定的には、同報通信データは、分散ユニットによって変換および/または処理され、また、ネットワークを介してさらに送信することができる情報の少なくとも1つのアイテムを含むことができる。特定的には、同報通信データは、複数の産業工場のうちの1つまたは複数からの、例えば少なくとも1つの分散ユニットによって処理され、また、少なくとも1つのネットワークを介して複数の産業工場へさらに送信される工場関連データの少なくとも一部を含み、または少なくとも部分的にこのような工場関連データを含む。分散ユニットにおける処理は特定的には自動的に生じさせることができ、すなわちユーザとの対話なしに生じさせることができる。例えば同報通信データは、少なくとも1つの分散ユニットによって調和および/または文脈化された工場関連データの少なくとも一部を含むことができる。さらに、同報通信データは、タイム-スタンプおよび/または識別子のうちの少なくとも1つを含むことも可能である。同報通信データは、特定的には工場関連データの束、より特定的には、タイムスタンプおよび識別子を備えた、複数の工場からの調和および/または文脈化された工場関連データの束を含むことができる。同報通信データに含まれている工場関連データの束は、特定的には複数の産業工場の複数の産業工場の各々からの工場関連データを含むことができる。態様によれば、同報通信データは、個々の工場におけるダッシュボード、例えばダッシュボードのためのソースとして働く個々の工場における局所バックエンドシステムにおけるダッシュボードの中に供給することができる。これは、工場間データが複数の工場の各々で表示される方法を調和させることができる。1つの工場からのユーザを異なる工場で転送しなければならない場合、ダッシュボードは人間の誤りの低減をもたらし得る。
【0027】
上で要約したように、方法は、工場関連データを提供し、また、同報通信データを送信するために少なくとも1つのネットワークを使用するステップを含む。したがって例として、複数の産業工場の各々は、工場関連データを分散ユニットに送信するための少なくとも1つの送信機または少なくとも1つの送信ネットワークインタフェースを備えることができ、また、分散ユニットから同報通信データを受信するための少なくとも1つの受信機または少なくとも1つの受信ネットワークインタフェースを備えることができる。いくつかの事例では、少なくとも1つの送信機および少なくとも1つの受信機は同じデバイス、例えばトランシーバであってもよい。したがって少なくとも1つの送信ネットワークインタフェースおよび少なくとも1つの受信ネットワークインタフェースは同じデバイス、例えば双方向ネットワークインタフェースであってもよく、より一般的に言えばここではネットワークインタフェースと呼ばれてもよい。したがって複数の産業工場の各々は少なくとも1つのネットワークインタフェースを備えることができる。同様に分散ユニットも、少なくとも1つの産業工場から工場関連データを受信するための少なくとも1つの受信機を備えることができ、また、同報通信データを産業工場に送信するための少なくとも1つの送信機を備えることができる。上記と同様、受信機-送信機の同様の実現、すなわち単方向または双方向ネットワークインタフェースをここでも同じく適用する。本明細書において使用されている「ネットワーク」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、少なくとも1つの通信エンドポイントと少なくとも1つの分散点との間の任意の相互接続を意味することができる。ネットワークの相互接続は、物理的ハード配線、光および/またはワイヤレス無線周波数方法によって形成することができる。上で要約したように、ネットワークは、特定的には、光ファイバネットワークなどの、完全に、または部分的にハード配線によって構築された物理的ネットワーク、または完全に、または部分的に導電ケーブルによって構築されたネットワーク、あるいはそれらの組合せであってもよく、またはそのようなネットワークを備えることができる。ネットワークは、特定的には、星形様ネットワーク、すなわち特定的にはすべて分散ユニット内において、通信エンドポイントがネットワークの中心に配置された分散点に接続されるネットワークであってもよい。バスネットワーク、環状ネットワーク、メッシュネットワーク、完全接続ネットワークまたはツリー形ネットワークなどの他のオプションも同じく実施可能である。特定的には、少なくとも1つの通信エンドポイントは、以下でさらに詳細に要約されるように、複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場の少なくとも1つのネットワークインタフェースであってもよく、またはそのようなネットワークインタフェースを備えることができる。少なくとも1つの分散ユニットは、星形ネットワークの中心における分散点などの、ネットワークの少なくとも1つの分散点であってもよい。したがってネットワークは、複数の産業工場の産業工場のネットワークインタフェースを少なくとも1つの分散ユニットと相互接続することができる。したがって複数の産業工場の産業工場、特定的には産業工場のネットワークインタフェースは、少なくとも1つのネットワークを介して互いに間接的に接続することができる。
【0028】
上で要約したように、方法は、複数の産業工場間の工場間通信を可能にする。複数の産業工場の産業工場は、少なくとも1つの分散ユニットを介して少なくとも1つのネットワークの中で相互接続することができる。したがって複数の産業工場の産業工場は、少なくとも1つの分散ユニットを介して少なくとも1つのネットワークの中で間接的に接続することができる。特定的には、複数の産業工場の産業工場は、産業工場同士の間における何らかの直接接続なしに、または直接接続されていない複数の産業工場内に少なくとも2つの産業工場が存在するように接続することができる。したがって複数の産業工場の複数の産業工場のうちの少なくとも2つは、互いに物理的に直接接続されていなくてもよい。したがって複数の産業工場の複数の産業工場のうちの少なくとも2つは、互いに直接通信することができなくてもよい。
【0029】
態様によれば、個々の産業工場は制御層を備えており、複数の工場の各々の制御層はオペレーション層に通信結合されており、工場関連データは、オペレーション層を介して、少なくとも1つの分散ユニットで提供され、また、同報通信データはオペレーション層を介して複数の産業工場に提供される。少なくとも1つのネットワークはオペレーション層の一部であることが好ましい。
【0030】
したがってより特定の観点から見ると、本教示は、複数の産業工場間の工場間通信のための方法を同じく提供することができ、個々の産業工場は制御層を備え、複数の工場の各々の制御層はオペレーション層に通信結合され、方法は、
- 少なくとも1つの分散ユニットで、複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場から工場関連データを提供するステップであって、工場関連データは、オペレーション層を介して、少なくとも1つの分散層で提供される、ステップと、
- 少なくとも1つの分散ユニットを介して、複数の産業工場に同報通信データを提供するステップであって、同報通信データは工場関連データの少なくとも一部を含み、また、同報通信データはオペレーション層を介して複数の産業工場に提供される、ステップと
を含む。
【0031】
同報通信データは、複数の産業工場における個々の産業工場に提供されることは理解されよう。
【0032】
他の特定の意味では、複数の産業工場間の工場間通信のための方法を同じく提供することができ、個々の産業工場は制御層を備え、複数の工場の各々の制御層はオペレーション層に通信結合され、方法は、
- 少なくとも1つの分散ユニットで、複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場から工場関連データを受信するステップであって、工場関連データは、オペレーション層を介して、少なくとも1つの分散ユニットで受信される、ステップと、
- 少なくとも1つの分散ユニットを介して、同報通信データを複数の産業工場に送信するステップであって、同報通信データは工場関連データの少なくとも一部を含み、同報通信データはオペレーション層を介して複数の産業工場で受信される、ステップと
を含む。
【0033】
同報通信データは、複数の産業工場における個々の産業工場で受信されることは理解されよう。
【0034】
個々の産業工場はデバイス層および制御層を備え、これらはその工場と関連付けられる。デバイス層は、センサなどのデバイス、設備および処理ユニットを備えることができ、これらのうちの少なくともいくつかは、工場内の物理的プロセスを示すデータを生成することができる。生成されたこのようなデータは、次に、例えば自身の主導で、または制御層からの要求に応答して制御層に送信することによって制御層に提供することができる。層同士の間のより高い隔離が望ましい場合、データの流れを単方向にすることができ、すなわち少なくとも特定の安全保護に厳格なデバイスに対して、デバイス層から制御層の方向にすることができる。データは直接または間接のいずれかで制御層に提供することができる。制御層は、生成されたデータのうちの少なくとも一部に応答して、工場の物理的プロセスのうちの少なくともいくつかを制御するための少なくとも1つの制御システムを備えている。したがって制御層は、1つまたは複数の処理デバイスおよび記憶デバイスを含むコア処理システムを備えることができる。制御層は、プログラマブル論理コントローラ(「PLC」)システム、またはその制御層が属しているそれぞれの産業工場全体に分散された制御ループを有する分散制御システム(「DCS」)を形成している1つまたは複数の分散処理および記憶デバイスを含むことができる。したがって工場のデバイス層および制御層は通信結合されている。制御層はオペレーション層にも通信結合されている。オペレーション層は、通常、複数の工場内の工場のための共通処理層である。個々の工場のデバイス層および制御層は他の工場のデバイス層および制御層から隔離されており、したがってこれらの層は工場に特化されていることは認識されよう。したがって異なる産業工場に属するこれらの層の間の直接工場間接続は存在しない。このような隔離は、例えば、それぞれの工場が異なるサプライヤによって供給される独立型工場であることによって、および/または安全保護要求事項によって存在し得る。
【0035】
オペレーション層は、典型的には、複数の工場内の複数の工場のうちの1つまたは複数の製造および/またはオペレーションなどの機能を管理するために使用される。このような機能の特定の非制限の代用的な例は、製造される製品の製造シーケンスの構成、製品バッチ管理、工場保全管理、製造計画、等々である。工場特化制御層は、例えば自身の主導で、またはオペレーション層からの要求に応答してオペレーション層に送信することによって監視データをオペレーション層に提供する。さらに、監視データは直接または間接のいずれかでオペレーション層に提供することができる。監視データは、さらには制御データの少なくとも一部を含むことができる。オペレーション層は、さらには、それぞれの工場の運転および/または製造を制御するために、工場特化制御層に製造データを提供することができる。制御層は、工場の所望のオペレーションおよび/または製造を達成するために、デバイス層に制御データを提供することができることは認識されよう。したがって制御層に提供される製造データを介してオペレーション層によって特定される所望のオペレーションおよび/または製造を達成するために、制御データを使用して、アクチュエータ、加熱器、スイッチ、炉、反応炉、等々のうちの任意の1つまたは複数などの1つまたは複数の設備を制御することができる。したがって制御データは、少なくとも部分的に、製造データの少なくとも一部に応答して生成することができる。したがって監視データは、生成されたデータの少なくとも一部を含むことができることは同じく認識されよう。監視データは、さらには制御データの少なくとも一部を含むことができる。オペレーション層は、少なくとも1つの分散限界で工場関連データを提供する。工場関連データは、複数の工場内の複数の工場のうちの1つまたは複数からの監視データの少なくとも一部を含む。したがって工場関連データは、1つまたは複数のセンサ出力信号などの、複数の工場のうちの1つまたは複数からの生成済みデータの少なくとも一部を含むことができる。工場関連データは、さらには、1つまたは複数の設定点および/またはコントローラ出力などの、複数の工場のうちの1つまたは複数の制御データの少なくとも一部を含むことができる。工場関連データは、さらには、複数の工場のうちの1つまたは複数の製造データの少なくとも一部を含むことができる。
【0036】
本明細書において考察されている処理層、すなわちデバイス層、制御層およびオペレーション層は、さらには、それぞれLevel1層、Level2層およびLevel3層と呼ぶことができるが、原理においては、これらの層の両側に1つまたは複数の他の処理層が存在し得る。デバイス層、制御層およびオペレーション層は、通常、安全なネットワークの中で構成される。
【0037】
安全なネットワークは、ファイアウォールによって分離された3つ以上の安全保護ゾーンを含む隔離されたネットワークであってもよい。このようなファイアウォールは、ネットワークファイアウォールまたはホスト-ベース仮想ファイアウォールあるいは物理的ファイアウォールであってもよい。ファイアウォールは、入力ネットワークトラフィックおよび出力ネットワークトラフィックを制御するために、ハードウェアに基づいていても、またはソフトウェアに基づいていてもよい。ここでは、ホワイトリスティングの意味における所定の規則は、アクセス管理または他の構成設定を介した被許可トラフィックを定義することができる。ファイアウォール構成に応じて、安全保護ゾーンは異なる安全保護規格を固守することができる。安全ネットワークは複数の工場内に物理的に配置することができる。しかしながらいくつかの事例では、安全ネットワークは、さらには、複数の産業工場の物理的ロケーションを越えて展開させることができる。例えば工場関連データベース、処理システムまたは他の計算サービスのうちの任意の1つまたは複数が、1つまたは複数のクラウド-ベースサービスとして実現される。
【0038】
他の態様では、デバイス層は、第1のファイアウォールを介して第1の安全保護ゾーンに構成され、また、制御層は、第2のファイアウォールを介して第2安全保護ゾーンに構成される。デバイス層を確実に保護するために、第1の安全保護レベルゾーンは、第2の安全保護ゾーンより高い安全保護規格を固守する。安全保護ゾーンまたはレベルは、Namur試料IEC62443にラインアウトされている安全保護規格などの一般的な産業規格を固守することができる。同様に、オペレーション層は、第3のファイアウォールを介して第3の安全保護ゾーンに構成することができる。第1の安全保護レベルおよび第2の安全保護レベルは、第3の安全保護レベルより高い安全保護規格を固守することができる。したがって第3の安全保護ゾーンおよび第2の安全保護ゾーンも安全保護規格の中で互い違いにすることができる。これは、制御層のより低い安全保護ゾーンに対してより高い安全保護規格を許容することができ、また、制御層のより高い安全保護ゾーンに対してより低い安全保護規格を許容することができる。
【0039】
本教示の文脈における「の一部」という表現は、それぞれのデータのこのような一部が、前記部分がカプセル封じすることを意図しているソースに関する情報が、それを読むことによってデータのその部分の意図されたレシピエントプロセッサによって獲得可能であるような部分を意味している。これに関するいくつかの非制限の例は、例えば、データ全体はセンサAおよびセンサBからの測値からなっているが、提供される、センサAの測値のみを含むデータの部分は、そのデータ全体の「一部」と呼ぶことができる。同様に、何らかの他の方法、例えばタイムスケールにおける整理編集および/または導出またはダウン-サンプリングなどによって、あるいは何らかの他の現実的なデータ圧縮または再分割手段を介して切り詰められているデータも同じくデータの一部と呼ぶことができる。現実的には、破損した、読むことができない、またはデータ全体からそれを抽出することに意味のないデータの一部は、本教示の文脈においては、場合によってはデータ全体の一部とは呼ばれない。
【0040】
同じく既に考察したように、個々の工場は少なくとも1つのネットワークインタフェースを備えることができ、このネットワークインタフェースはオペレーション層における通信のために使用される。1つまたは複数の工場は、それらの少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して、それらのそれぞれの工場関連データ、または工場関連データのそれらの部分を分散ユニットに提供することができる。ネットワークインタフェースは、任意のデータアクセスインタフェース、例えばオープンプラットフォーム通信データアクセス(Open Platform Communications Data Access)(「OPC DA」)インタフェースであってもよい。いくつかの事例では、ネットワークインタフェースは、工場情報を情報管理システムまたはデータリポジトリあるいはその産業工場に特化されたアーカイブに保管するために使用される。このようなアーカイブの例は製造情報管理システム(Production Information Management System)(「PIMS」)である。したがって態様によれば、複数の工場内で、複数の工場のうちの少なくともいくつかからの情報をそれらの工場特化リポジトリの各々に保管することができる。したがって、通常、個々の工場のそれぞれの制御層とそれらのそれぞれのリポジトリとの間に単方向チャネルが存在している。単方向チャネルは、個々の工場の少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して確立することができる。制御層の高い安全保護を確保するために、アーカイブをオペレーション層の中に論理的に置くことができる。しかしながら、通常、工場と他の工場のアーカイブの間に通信リンクは存在していない。いくつかの工場の場合、共有PIMSを有することが可能である。
【0041】
少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して分散ユニットへの通信を確立することにより、本教示は、新しいケーブル敷設を確立する必要性が不要になるよう、工場間通信が既存のオペレーション層を使用しててこ入れされるさらなる相乗効果を提供することができる。したがって安全保護要求事項を同じく尊重することができる。本出願人は、このような工場間通信によって要求される処理およびネットワーク負荷を取り扱うためのオペレーション層を使用することにより、制御層および/またはデバイス層に対する高度に敏感なオペレーションが影響されることを防止することができることをさらに認識した。さらに、デバイス層または制御層のいずれかに対する何らかの変更の要求事項を防止することができる。したがって工場信頼性および/または安全性を維持することができる。これは、さらに、複数の工場内に既に存在している産業工場のためのハードウェア構成の変更をほとんど必要としないか、全く必要としないことにより、複数の産業工場における新しい産業工場のオンボーディングを同じくより単純にすることができる、より拡張性および柔軟性に富んだシステムをもたらすことができる。
【0042】
したがって少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して、少なくとも1つの分散ユニットで、少なくとも1つの産業工場から工場関連データを提供することができる。それぞれの工場の少なくとも1つのネットワークインタフェースは、工場をオペレーション層にインタフェースすることができる。ネットワークインタフェースは、任意の適切なデータアクセスインタフェースであってもよい。非制限の例として、これらのインタフェースのうちの少なくとも1つはOPC DAインタフェースであってもよい。
【0043】
別のより特定の観点から見ると、複数の産業工場間の工場間通信のための方法を同じく提供することができ、個々の産業工場は制御層を備え、複数の工場の各々の制御層はオペレーション層に通信結合され、方法は、
- オペレーション層で、複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場から工場関連データを受信するステップであって、工場関連データは、少なくとも1つの産業工場の各々の制御層によって提供されるデータを含む、ステップと、
- 少なくとも1つの分散ユニットで、オペレーション層から工場関連データを受信するステップと、
- 少なくとも1つの分散ユニットを介して、同報通信データを複数の産業工場に送信するステップであって、同報通信データはオペレーション層から獲得された工場関連データの少なくとも一部を含む、ステップと、
- 複数の産業工場で同報通信データを受信するステップと
を含む。
【0044】
以上から、オペレーション層、分散ユニットおよび複数の工場の各々における様々なデータの受信および送信は、少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して実施することができることが理解されよう。それぞれの工場の少なくとも1つのネットワークインタフェースは、工場をオペレーション層にインタフェースすることができる。ネットワークインタフェースは任意の適切なデータアクセスインタフェースであってもよい。
【0045】
したがって以上から、態様によれば、少なくとも1つのネットワークは、少なくとも部分的に、製造ネットワークまたはLevel3ネットワークを備えることができる。Level3ネットワークは、オペレーション層の安全保護ゾーン内に存在するネットワークである。特定的には、ネットワーク、より特定的にはLevel3ネットワークは、ANSI/ISA-95規格によるネットワークまたはLevel3ネットワークであってもよい。
【0046】
Level3ネットワークは、特定的には、少なくとも1つのサーバまたはLevel3Serverを備えることができ、Level3サーバは、製造ネットワークにリンクされたネットワークインタフェースを有するサーバを意味することができる。
【0047】
任意の観点に対する別の態様によれば、同報通信データは複数の工場の各々の制御層に提供される。同報通信データは、同じネットワークインタフェースを介して、または異なるネットワークインタフェースを介して提供することができる。したがって関連する工場データを個々の工場で提供することができ、その一方で工場間のケーブル敷設の必要性を不要にすることができる。したがって既存のオペレーション層をてこ入れすることにより、制御層-制御層転送、またはより特定的にはDCS-DCS転送を実現することができる。別の利点は、同報通信データが本質的に同時方式で個々の工場に送信されることであってもよく、したがって個々の工場における何らかの過度の遅延をもたらすことなく同報通信データを提供することができる。これは、個々の工場へのデータのよりシーケンシャルな、またはよりシリアルな通信と比較すると、利点を有することができる。したがって関連する事象または出来事を複数の工場間でより良好に調整し、かつ、追跡することができ、これらの工場は、個別の分離された制御層のため、さもなければ互いに本質的に隔離され得る。したがって工場同士の間の信頼性の高い通信を低減されたコストで確立することができる。
【0048】
既に考察したように、以下でさらに詳細に説明される複数の工場、Verbundサイトおよび/または工場通信システムは、特定的には少なくとも1つの工場情報管理システム(「PIMS」)を備えることができる。より特定的には、PIMSは、1つまたは複数のデータベースを有し、および/または1つまたは複数のデータ記憶デバイスを有するアーカイブなどの、PIMSアーカイブとも呼ばれる少なくとも1つのアーカイブを備えることができ、1つまたは複数のデータ記憶デバイスの中に、VerbundサイトまたはVerbundサイトの一部のプロセスデータなどのデータを保管目的のために記憶することができる。製造ネットワークは確立されたネットワークであってもよく、また、例えば、産業工場の制御システムなどのVerbundサイトの他の構成要素をPIMSアーカイブに接続するために使用することができる。この製造ネットワークは、1つまたは複数のファイアウォールによって、複数の産業工場またはVerbundサイトのイントラネット、例えばLevel4すなわちL4ネットワークなどから分離することができる。イントラネットを使用して、複数の工場のうちの任意の工場のPIMSおよび/またはPIMSアーカイブにアクセスすることができる。しかしながら制御層および/またはデバイス層にはイントラネットを介してアクセスすることはできない。イントラネットは、複数の工場および関連施設、例えば事務所などのためのサイト-ワイドネットワークであってもよい。イントラネットは、通常、1つまたは複数のファイアウォールを介して公衆ネットワーク、例えばインターネットから隔離されている。
【0049】
同じく考察したように、複数の産業工場の個々の産業工場は、少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して少なくとも1つの分散ユニットと接続することができる。特定的には、複数の産業工場の各々、および同じく任意選択で分散ユニットは、それぞれ少なくとも1つのネットワークインタフェースを備えることができる。少なくとも1つのネットワークインタフェースは、それぞれ上で言及した送信機および/または受信機のタスクを引き継ぎ、および/またはサポートすることができる。したがって複数の産業工場の個々の産業工場のネットワークインタフェースは分散ユニットのネットワークインタフェースに接続することができる。例えばネットワークインタフェースは、OPC財団によって開発された産業自動化のための機械-機械通信プロトコルを提供する少なくとも1つのOPC規格インタフェース、すなわちOPC統一アーキテクチャ(OPC Unified Architecture)(「OPC UA」)規格を遵守するインタフェースを備えることができる。特定的には、個々の産業工場のネットワークインタフェース、さらに任意選択で、分散ユニット、決定論理またはWebサーバのうちの1つまたは複数は、以下でさらに詳細に説明されるように、規格IEC62541を遵守する少なくとも1つのOPCインタフェースを備えることができ、特定的には少なくとも1つのOPC DAインタフェース、例えばOPC最高水準仕様のOPCデータアクセス仕様を遵守するOPC DAインタフェースを備えることができる。追加または別法として、ネットワークインタフェースは、構成されたデータをOPC DAを介して制御システムに露出し、または制御システムから受信するDCSネットワークに接続されたサーバであってもよく、またはそのようなサーバを備えることができるDCSインタフェースを備えることができる。OPC DAは、データソース特化ネーム空間構造における様々なソースからの実時間時系列データを露出するためのCOM-ベース産業規格を意味することができる。
【0050】
既に考察したように、Level3ネットワークは少なくとも1つのLevel3Serverを備えることができる。
【0051】
上で要約したように、少なくとも1つの分散ユニットは、工場関連データを処理し、それにより同報通信データを得るために、ハードウェア構成、および/または計算デバイスのソフトウェアプログラミングなどによって構成することができる。特定的には、分散ユニットは、オンザフライ方式で工場関連データを処理するように構成することができる。本明細書において使用されているように、「オンザフライ」という用語は、それには限定されないが、特定的には、少なくとも2つの計算プロセスが、計算プロセスのうちの1つを故意に停止させ、フリーズさせ、または遅延させることなく、同時に実施される状況を意味することができる。特定的には、分散ユニットにおける工場関連データの処理は、分散ユニットの他の計算プロセスに対して同時に実施することができる。例えば工場関連データの処理は、同報通信データの受信および送信と同時に実施することができる。したがって工場関連データの受信、工場関連データの処理、および同報通信データの送信は、少なくとも部分的に時間重畳方式で実施することができる。
【0052】
工場関連データの処理は、特定的には工場関連データの名称集および/または識別子を調和させることによって工場関連データを調和させることを含むことができる。本明細書において使用されている「調和させる」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、データの読出、処理または理解のうちの1つまたは複数を2つ以上の第三者が実施することができるよう、少なくとも1つの共通の規格に従って、または少なくとも1つの合意に従ってデータを修正するプロセスを意味することができる。
【0053】
さらに、追加または別法として、工場関連データの処理は工場関連データの文脈化を同じく含むことができる。本明細書において使用されている「文脈化」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、追加情報のうちの少なくとも1つのアイテムをデータに追加するプロセスを意味することができ、このプロセスは、データをデータの発信源に関連する文脈、データの目的、データの意図された使用法、他の第三者によるデータの使用、または他のデータまたは他の情報へのクロスリンクのうちの1つまたは複数などの特定の文脈に設定する。
【0054】
追加または別法として、工場関連データの処理は工場関連データにタイムスタンプを提供することを含むことができる。したがって分散ユニットにおける工場関連データの処理は、工場関連データのタイムスケールをもたらすことができる。例えば複数の産業工場の個々の産業工場におけるタイムスケールはわずかに変化することがあり、したがって処理は、工場関連データのタイムスケールを調和させることを含むことができる。追加または別法として、工場関連データは、それぞれの工場からのデータが互いに対して適切な時間シーケンスで配列されるように調和される。工場関連データの処理は、識別情報の少なくとも1つのアイテムを工場関連データに提供することをさらに含むことができる。識別のアイテムは、例えば産業工場を識別する情報のアイテムによって工場関連データの発信源を識別することができ、より特定的には、工場関連データが記録された産業工場のセンサを識別することができる。識別のアイテムは、さらには、それぞれの工場の工場関連データの発信源である副施設またはロケーションを識別することができる。分散ユニットは複数の産業工場に同報通信データを分配するようにさらに構成することができる。分配は、複数の工場の各々に対して同時に実施されるか、または本質的に同時に実施されることが好ましい。追加または別法として、工場関連データの処理は、工場関連データをマスキングまたはフィルタリングすることを含むことができる。したがって同報通信データは工場関連データ全体を含んでいなくてもよい。したがって同報通信データは工場関連データの一部を含むことができる。例えば複数の工場のいずれの工場にとっても重要ではない信号および/またはパラメータなどのデータは、同報通信データを介して分配されるのを防止することができる。この方法によれば、フィルタリングおよび/または構成と関連した処理負荷を処理層、例えばオペレーション層から隔離することができる。少なくとも1つの分散ユニットでこのような機能を実施することにより、工場間通信の拡張性をさらに改善することができる。フィルタリングまたはマスキングなどの機能は、複数の工場における製造状況などの要因に依存し得る。例えばバッチ製造では、後続するバッチは、製品および/または価値連鎖の変更を要求し得る。このような変更は、工場関連データのうちの、オペレーション条件毎に関連し、または関連しなくなる部分に反映することができる。少なくとも分散ユニットでこのような変更を取り扱うことにより、それぞれの工場関連データのフィルタリングまたはマスキングの変更による可変資源要求に対して処理層を隔離することができる。したがって同報通信データの構成をより柔軟に、かつ、より効果的に取り扱うことができる。追加または別法として、フィルタリングまたはマスキングは、同報通信データを受信する複数の工場のうちの任意の工場によって実施することができる。例えば同報通信データに含まれている信号および/またはパラメータなどの何らかのデータが受信工場にとって重要ではない場合、このようなデータは、その工場で開示されるのを防止することができる。開示されることが防止される、は、ここでは、表示されることの防止、さらには音響信号としてアナウンスされることの防止を意味している。したがってマスキングまたはフィルタリングは分散ユニットで集中的に実施することができ、および/またはマスキングまたはフィルタリングは、複数の工場のうちの1つまたは複数の工場で実施することができる。両方のマスキングスキーム、すなわち分散ユニットで実施されるマスキングまたはフィルタリング、およびそれぞれの工場で実施されるマスキングまたはフィルタリングを縦並びで使用して、関連する工場関連データの分配をさらに改善することができる。例えば第1の工場からのパラメータが他の複数の工場のうちの少なくとも1つにとって関連している場合、そのパラメータを同報通信データに含めることができ、一方、前記パラメータが関連していない工場では、そのパラメータは、そのパラメータに関連していないそれぞれの工場で阻止される。
【0055】
分散ユニットは、分散サーバおよび分散ノードのうちの少なくとも1つを備えることができる。分散ノードは、ソフトウェアプログラミングなどによって、工場間情報交換を可能にするように構成される論理ユニットであってもよい。特定的には、分散ユニットは、少なくとも1つのコンピュータおよび/または少なくとも1つのプロセッサなどの少なくとも1つの計算デバイスであってもよい。したがって分散ノードは、単一のサーバ上または複数のサーバ上で走る一片のソフトウェアであってもよい。分散ノードは、高い可用性および冗長性のために分散方式で実行されることが好ましい。
【0056】
上で要約したように、同報通信データは工場関連データを処理することによって得ることができる。同報通信データは、特定的には複数の産業工場からの工場関連データを含む工場関連データの束を含むことができ、特定的には複数の産業工場の各々からの工場関連データを有する工場関連データの束を含むことができる。同じく上で要約したように、同報通信データは、複数の産業工場の各々からの工場関連データ全体、または複数の産業工場のうちの1つまたは複数からの工場関連データの一部のいずれかを含むことができる。したがって同報通信データは、さらには、複数の工場のうちの1つまたは複数からの工場関連データ全体、および複数の工場における他の1つまたは複数のそれぞれの工場の工場関連データのそれぞれの部分を含むことができる。それぞれの工場の工場関連データの部分は、全く同じ部分、すなわちそれらは同様のタイプのパラメータおよび/または信号に対応しているか、またはそれらは全く同じではない、すなわちそれらの部分は他の工場からの異なるタイプの信号および/またはパラメータに対応しているかのいずれかであってもよい。同報通信データは、タイムスタンプおよび識別情報のアイテム、例えば同報通信データ、同報通信データの少なくとも一部の発信源、等々のうちの少なくとも1つを識別する識別情報のアイテムなどのうちの少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0057】
上で要約したように、複数の産業工場の各々は少なくとも1つの制御システムを備えることができる。本明細書において使用されているように、「制御システム」という用語は、それには限定されないが、特定的には、ハードウェア構成および/または少なくとも1つのプロセッサのソフトウェアプログラミングなどによって、産業工場の少なくとも1つの機能を制御するように構成された任意のシステムを意味することができる。例えば制御システムは、産業工場の複数のセンサを制御および/またはモニタするように構成することができる。制御システムは、特定的には、少なくとも1つのプロセッサおよび/または少なくとも1つのコンピュータを備えることができる。制御システムは、特定的には、産業工場の工場オペレータが制御システムにコマンドおよび/または情報を入力することができる少なくとも1つのユーザインタフェースを備えることができ、および/または視覚ルック、音響情報または触覚情報のうちの1つまたは複数をオペレータに提供するように構成された少なくとも1つの表示デバイスを有することができる。特定的には、少なくとも1つの制御システムは他の産業工場から隔離することができる。制御システムは制御層の一部である。
【0058】
別の態様によれば、方法は、複数の産業工場間でウェブ-プロトコルベースメッセージを交換するために少なくとも1つのウェブサーバを使用するステップをさらに含むことができる。本明細書において使用されている「ウェブサーバ」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、完全に、または部分的にソフトウェアおよび/またはハードウェアの中で具体化することができる少なくとも1つのデバイスまたはシステムを意味することができ、特定的には、イントラネットなどの適切なプロトコルベースウェブ上で取り扱うことができ、および/またはクライアント要求を満たすことができる適切なソフトウェアを走らせるように構成されたハードウェアの中で具体化することができる。ウェブサーバは、特定的には、HTTPまたは他のウェブプロトコルを介して要求を処理するように構成することができる。ウェブサーバは、特定的には、少なくとも1つのウェブサイトをホストするように構成することができる。少なくとも1つのウェブサーバは複数の産業工場の各々と接続することができる。より特定的には、少なくとも1つのウェブサーバは、例えばイントラネットまたはLevel4ネットワークを介して工場関連データを受信し、また、同報通信データを送信するために使用されるネットワークとは独立して、複数の産業工場の各々と接続することができる。既に考察したように、オペレーションネットワークはLevel4層またはイントラネットに通信結合されている。追加または別法として、分散ユニットは、特定的には直接または間接的に、より特定的には少なくとも1つの決定論理を介して間接的にウェブサーバに接続することができる。例えばウェブ-プロトコルベースメッセージは、複数の産業工場の複数の産業工場のオペレータのための推奨アクション、特定的には工場関連データの実時間解析に基づく推奨アクションを含むことができる。ウェブサーバは、複数の産業工場間でウェブ-プロトコルベースメッセージを交換するためのチャットルーム機能などのチャットルーム機能を提供するようにさらに構成することができる。いくつかの事例では、分散ユニットは決定論理を含むことができる。いくつかの事例では、分散ユニットはウェブサーバを同じく含むことができる。態様によれば、分散ユニットは、実時間で解析し、かつ、工場ウェブ-ベースダッシュボードにフィードバックするための中央決定論理に同報通信データを提供することができる。
【0059】
さらに、方法は、上で既に言及した少なくとも1つの決定論理を使用するステップを含むことができる。本明細書において使用されている「決定論理」という用語は広義の用語であり、その普通の、慣習に従った意味が当業者に与えられ、特別な意味、または特化された意味に限定されない。この用語は、特定的には、それには限定されないが、完全に、または部分的にソフトウェアおよび/またはハードウェアの中で具体化することができる、ソフトウェアプログラミングなどによって、少なくとも1つの決定を情報の少なくとも1つのアイテムを含む入力に基づく出力として表現するように構成される、少なくとも1つのデバイスおよび/またはシステムを意味することができる。したがって例として、少なくとも1つの決定論理は、上で定義した、ソフトウェアによる適切なプログラミングを有するプロセッサなどの少なくとも1つのプロセッサを備えることができる。決定は、1つまたは複数のプログラムされたアルゴリズムおよび/または他のソフトウェアプログラムに基づいてなすことができる。したがって例として、決定は、人工ニューラルネットワークなどの少なくとも1つの訓練されたアルゴリズムを使用することによって同じくなすことができる。アルゴリズムは、特定の入力を有し、また、少なくとも1つの特定の決定を出力として表現する複数の事例に基づいて訓練することができる。少なくとも1つの決定論理は、ハードウェア構成および/または決定論理のソフトウェアプログラミングなどによって、分散ユニットから工場関連データを検索するように構成することができる。少なくとも1つの決定論理は、少なくとも1つの分散ユニットから検索した工場関連データに基づいて少なくとも1つの推奨アクションを生成するように構成することも可能である。決定論理は、少なくとも1つの推奨アクションを少なくとも1つのウェブサーバに提供するように構成することができる。さらに、少なくとも1つの決定論理は少なくとも1つのバックエンドサーバを備えることができる。決定論理は、例として、訓練することなどによって、複数の産業工場のうちの少なくとも1つのために最適化された設定を提供するように構成することができ、この設定は、例として、産業工場のそれぞれの制御システムに使用することができ、また、自動的におよび/または産業工場の少なくとも一人のオペレータによって産業工場のそれぞれの制御システムに入力することができる。
【0060】
少なくとも1つのウェブサーバおよび少なくとも1つの決定論理は、特に、経験のないオペレータによる重大な状況のより機敏な取扱いを可能にすることができる。さらに、決定論理による少なくとも1つの推奨アクションを提供することにより、人間の誤りの機会を少なくすることができる。したがって不当な停止を防止することができ、産業工場の安全な運転を保証することができ、また、廃棄物を少なくすることができる。重大な状況では、有害な結果を防止するためには運転職員の応答時間が重要であり得る。より経験を積んだオペレータは、1つまたは複数のパラメータを適切な応答でその状況に機敏に関連付けることにより、このような状況をより良好に取り扱うことができる。経験がより少ないオペレータは、工場パラメータにおける望ましくない傾向を速い段階で認識することができず、したがって積極的な行動が妨害され得る。決定論理を使用して、工場のオペレータが工場関連データ、例えば同報通信データからの1つまたは複数のパラメータに応答して実現すべきことを考慮することができるアクションを推奨することができる。これは、特定の状況に対する他の応答よりも良好であり得る推奨を思い起こすことができるより経験を積んだオペレータにとっても同じく有用であり得る。したがって工場の安全性および/または効率を改善することができる。
【0061】
上で要約したように、方法は、例えばステップiiで、複数の産業工場に同報通信データを送信するステップを含む。特定的には、例えばステップiiで、方法は、少なくとも1つの分散ユニットが工場関連データを受信した少なくとも1つの産業工場に同じく同報通信データを送信するステップをさらに含むことができる。したがって同報通信データは複数の産業工場の複数の産業工場の各々に送信することができ、それにより複数の産業工場の各々は同じ同報通信データを受信することができる。これは、個々の工場からの関連する工場関連データを適切なシーケンスで、かつ、適切な文脈で適切に評価することができるため、有用であり得る。したがって工場は、前記工場における事象に対して複数の工場の残りの工場で生じる事象に、より効果的に、かつ、より容易に従うことができる。したがって誤りの原因を少なくとも最少化することができる。したがって工場間通信を機敏にすることができるだけでなく、人間の誤りの原因を防止し、かつ、事象またはそれらのシーケンスの不適切な解釈を防止することにより、より信頼性を高くし、かつ、より有効にすることができる。同報通信データは、準実時間で複数の産業工場に送信することができる。特定的には、同報通信データの準実時間送信は、工場関連データの受信と同報通信データの送信との間のせいぜい15sの時間遅延、特定的にはせいぜい10s、より特定的にはせいぜい5sの時間遅延を含むことができる。したがって工場関連データの受信および同報通信データの送信は直接サイクル-レス信号パス-スルーを含むことができる。特定的には、工場関連データの受信および同報通信データの送信は、サイクル-レスコールバック-ベース方式における、少なくとも1つの産業工場などのソースから、複数の産業工場などのすべてのターゲットすなわちレシピエントへの工場関連データまたはDCSデータの直接転送を含むことができる。
【0062】
さらに、ステップiiは反復して実施することができ、特定的には連続して反復的に実施することができる。ステップiiは、例として、一定の割合で反復して実施することができる。一定の割合は工場関連データ毎に異なっていてもよい。例えば一定の割合は、分散ユニットによって処理され、かつ、送信される工場関連データに依存し得る。したがってステップiiは、第1の工場関連データに対しては第1の一定の割合で実施することができ、また、第2の工場関連データに対しては第2の一定の割合で実施することができ、第1の一定の割合は第2の割合と異なっていてもよい。一定の割合は、工場関連データの変化率などの工場関連データのタイプに依存し得る。さらに、ステップiiは10s毎に少なくとも1回実施することができ、特定的には5s毎に少なくとも1回実施することができ、より特定的には1s毎に少なくとも1回実施することができる。
【0063】
本教示の他の態様では、複数の産業工場間の工場間通信のための分散ユニットが開示される。分散ユニットは、特定的には、本教示、例えば上で開示した複数の実施形態のうちの任意の1つ、および/または以下でさらに詳細に開示される複数の実施形態のうちの任意の1つなどによる、
a.複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場から工場関連データを受信し、また、
b.複数の産業工場、特定的には複数の産業工場の個々の産業工場に、工場関連データの少なくとも一部を含む同報通信データを送信する
ための方法の複数の態様のうちの任意の態様を使用することによって構成される。
【0064】
分散ユニットは、工場関連データを受信するために、また、同報通信データを送信するために少なくとも1つのネットワークを使用するように構成される。分散ユニットは、適切なハードウェア構成によって、および/またはハードウェアのソフトウェアプログラミングによって、例えばプロセッサまたはコンピュータ、等々などの計算デバイスのソフトウェアプログラミングによって、上で言及した複数の機能のうちの任意の機能、および/または以下でさらに詳細に言及される複数の機能のうちの任意の機能を実施するように構成することができる。したがって分散ユニットは、本教示、例えば上で開示した複数の実施形態のうちの任意の1つ、および/または以下でさらに詳細に開示される複数の実施形態のうちの任意の1つなどによる方法を実施するように構成することができる。
【0065】
本教示の他の態様では、複数の産業工場間の工場間通信を可能にするための工場通信システムが開示される。工場通信システムは、本教示、例えば上で開示した複数の実施形態のうちの任意の1つ、および/または以下でさらに詳細に開示される複数の実施形態のうちの任意の1つなどによる少なくとも1つの分散ユニット、特定的には正確に1つの分散ユニットを備えている。工場通信システムは、工場関連データを受信するため、および同報通信データを送信するための少なくとも1つのネットワークをさらに備えており、ネットワークは、分散ユニットをより特定的には星形方式で複数の産業工場の複数の産業工場にリンクするように構成されている。
【0066】
工場通信システムは、ネットワークを介して、特定的には星形方式で分散ユニットにリンクされた複数の産業工場をさらに備えることができる。産業工場の定義および実施形態については、上で開示した方法の定義および実施形態が参照される。
【0067】
さらに、複数の産業工場の各々は、産業工場を少なくとも1つの分散ユニットと接続するための少なくとも1つのネットワークインタフェースを備えることができる。ネットワークインタフェースの定義および実施形態については、上で開示した方法の定義および実施形態が参照される。
【0068】
複数の産業工場の各々は少なくとも1つの制御システムを備えることができる。制御システムの定義および実施形態については、上で開示した方法の定義および実施形態が参照される。
【0069】
方法態様と同様、複数の工場の各々は制御層を備えることができる。したがって例として、複数の産業工場間の工場間通信を可能にするための工場通信システムを同じく提供することができ、個々の産業工場は制御層を備えており、また、複数の工場の各々の制御層はオペレーション層に通信結合されており、工場通信システムは少なくとも1つの分散ユニット、特定的には正確に1つの分散ユニットを備えており、少なくとも1つの分散ユニットは、
- オペレーション層を介して少なくとも1つの分散層で受信される工場関連データを複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場から受信し、
- 工場関連データの少なくとも一部を含み、また、オペレーション層を介して複数の産業工場で受信される同報通信データを複数の産業工場に送信する
ように構成されている。
【0070】
さらに別のより特定の観点から見ると、例えば、複数の産業工場間の工場間通信を可能にするための工場通信システムを同じく提供することができ、個々の産業工場は制御層を備えており、また、複数の工場の各々の制御層はオペレーション層に通信結合されており、工場通信システムは少なくとも1つの分散ユニット、特定的には正確に1つの分散ユニットを備えており、システムは、
- オペレーション層で、少なくとも1つの産業工場の各々の制御層によって提供されるデータを含む工場関連データを複数の産業工場のその少なくとも1つの産業工場から受信し、
- 少なくとも1つの分散ユニットで、オペレーション層から工場関連データを受信し、
- 少なくとも1つの分散ユニットを介して、オペレーション層から獲得された工場関連データの少なくとも一部を含む同報通信データを複数の産業工場に送信し、
- 複数の産業工場で同報通信データを受信する
ように構成されている。
【0071】
少なくとも1つの制御システムまたは制御層は、少なくとも1つのアーカイブ、特定的には少なくとも1つのPIMSアーカイブとデータを交換するように構成することができ、特定的にはアーカイブは、工場関連データの記憶、収集および統合のうちの少なくとも1つを実施するように構成することができる。制御システムは、アーカイブ、特定的にはPIMSアーカイブと通信するように構成することができる。例えばPIMSアーカイブとの制御システムの通信はリードオンリ通信を含むことができる。さらに、データを交換するための制御システムのターゲットは、ネットワークインタフェース、特定的にはOPC DAサーバなどのDCSインタフェースであってもよい。アーカイブ、特定的にはPIMSアーカイブの定義および実施形態については、上で開示した方法の定義および実施形態が参照される。
【0072】
工場通信システムは、複数の産業工場間でウェブ-プロトコルベースメッセージを交換するための少なくとも1つのウェブサーバをさらに備えることができる。ウェブサーバの定義および実施形態については、上で開示した方法の定義および実施形態が参照される。
【0073】
分散ユニットは少なくとも1つの決定論理を介してウェブサーバに接続することができる。決定論理の定義および実施形態については、上で開示した方法の定義および実施形態が参照される。
【0074】
本教示の他の態様ではコンピュータプログラムが開示される。コンピュータプログラムは、コンピュータまたはコンピュータシステム、特定的には、本教示、例えば上で開示した複数の実施形態のうちの任意の1つ、および/または以下でさらに詳細に開示される複数の実施形態のうちの任意の1つなどによる分散ユニットおよび/または工場通信システムのコンピュータまたはコンピュータシステムによって実行されると、そのコンピュータまたはコンピュータシステムが、本教示、例えば上で開示した複数の実施形態のうちの任意の1つ、および/または以下でさらに詳細に開示される複数の実施形態のうちの任意の1つなどによる方法を実施することになる命令を含む。
【0075】
したがって特定的には、コンピュータまたはコンピュータネットワークを使用することにより、好ましくはコンピュータプログラムを使用することにより、上で示した方法ステップiからiiまでのうちの1つ、2つ以上、さらにはすべてを実施することができる。
【0076】
本教示の他の態様ではコンピュータプログラム製品が開示される。コンピュータプログラム製品は、適切なコンピュータまたはコンピュータシステム、特定的には、本教示、例えば上で開示した複数の実施形態のうちの任意の1つ、および/または以下でさらに詳細に開示される複数の実施形態のうちの任意の1つなどによる分散ユニットおよび/または工場通信システムのコンピュータまたはコンピュータシステムによって実行されると、そのコンピュータまたはコンピュータシステムが、本教示、例えば上で開示した複数の実施形態のうちの任意の1つ、および/または以下でさらに詳細に開示される複数の実施形態のうちの任意の1つなどによる方法を実施することになる命令を含む。
【0077】
本教示の他の態様ではコンピュータ可読記憶媒体が開示され、コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータまたはコンピュータシステム、特定的には、本教示、例えば上で開示した複数の実施形態のうちの任意の1つ、および/または以下でさらに詳細に開示される複数の実施形態のうちの任意の1つなどによる分散ユニットおよび/または工場通信システムのコンピュータまたはコンピュータシステムによって実行されると、そのコンピュータまたはコンピュータシステムが、本教示、例えば上で開示した複数の実施形態のうちの任意の1つ、および/または以下でさらに詳細に開示される複数の実施形態のうちの任意の1つなどによる方法を実施することになる命令を含む。
【0078】
本明細書において使用されているように、「コンピュータ可読記憶媒体」という用語は、特定的には、コンピュータ実行可能命令をその上に記憶したハードウェア記憶媒体などの非一時的データ記憶手段を意味することができる。コンピュータ可読データキャリアまたは記憶媒体は、特定的には、ランダム-アクセスメモリ(random-access memory)(「RAM」)および/またはリード-オンリメモリ(read-only memory)(「ROM」)などの記憶媒体であってもよく、またはこのような記憶媒体を備えることができる。
【0079】
コンピュータプログラムはコンピュータプログラム製品として具体化することも可能である。本明細書において使用されているように、コンピュータプログラム製品は売買可能製品としてのプログラムを意味することができる。製品は、通常、ペーパーフォーマットの中、またはコンピュータ可読データキャリアおよび/またはコンピュータ可読記憶媒体の上などの任意のフォーマットで存在し得る。特定的にはコンピュータプログラム製品はデータネットワークを介して分配することができる。
【0080】
上で要約したように、本教示による方法およびデバイスは、当技術分野で知られている同様の方法およびデバイスに優る多くの利点を提供することができる。特定的には、本教示による方法およびデバイスは、産業工場のインフラストラクチャを構造的に拡張する必要性を最小にし、または必要性をなくしつつ、複数の産業工場間の工場間通信を可能にすることができる。例えば複数の産業工場の産業工場同士の間にハード配線接続を設置する要求事項を不要にすることができる。複数の産業工場の複数の産業工場は、特定的には、少なくとも1つのネットワークを介して工場関連データを受信し、また、同報通信データを送信する少なくとも1つの分散ユニットを介して互いに接続することができる。少なくとも1つのLevel3ネットワークを介して利用することにより、既存のネットワークを少なくとも利用し、かつ、人間の誤りの複数の原因を新規で、かつ、目立たない方法で低減する相乗利点を得ることができる。さらに、本教示は、複数の工場のうちの任意の工場の制御層、さらにはデバイス層に対する影響を最小にし、または影響をなくしつつ、工場間通信のための拡張可能で、かつ、柔軟な解決法を提供することができる。したがって提案されている方法およびデバイスは、コストを節約しつつ、複数の産業工場間の高速で、かつ、有効な工場間通信を可能にすることができる。
【0081】
さらに、方法は、少なくとも1つの分散ユニットによって、コンピュータプログラムによって、コンピュータプログラム製品によって、および/またはコンピュータ可読記憶媒体によって完全に自動的に実施することができる。したがって方法は、自動的に実施される場合、工場間通信に対する人間の影響を小さくすることができ、したがって人間の誤りを回避することができる。さらに、同報通信データを複数の産業工場の各々に準実時間で送信することができる。したがって方法は、複数の産業工場の安全な運転を改善することができる。例えば複数の産業工場の複数の産業工場のうちの1つにおける出来事は、その出来事に対する適合のための反応時間を短くすることができるよう、さらなる時間遅延を伴うことなく複数の産業工場の他の複数の産業工場にアクセスすることができる。さらに、本教示による方法を使用することにより、工場間通信は、電話呼出し、等々を介して出来事を送信する人間のオペレータには無関係にすることができる。したがってこの方法によれば、複数の産業工場を準実時間で調整することができる。さらに、工場関連情報は、少なくとも同報通信として個々の工場に送信されるため、同報通信データから引き出された事象のシーケンスが個々の工場で正しいことを保証することができる。
【0082】
さらに、本教示による方法は、他の複数の工場のうちの1つまたは複数における状況に応じて、潜在的に個々の工場によるより機敏な適合を可能にすることによって廃棄物を少なくすることができる。したがって工場はより積極的に行動することができ、また、高い信頼性で、製造などそれらの産業プロセスを制御することができ、したがって効率を改善し、かつ、廃棄物を少なくすることができる。例えば第1の工場の1つまたは複数のプロセスパラメータが、複数の産業工場における1つまたは複数の下流側の工場によって使用される第1の製品の製造が影響され得る方法で展開すると、下流側の工場は、同報通信データから引き出された1つまたは複数のプロセスパラメータに従ってより機敏に適合することができる。下流側の工場は、次に、例えば未完成製品の廃棄またはより長い在庫による廃棄物を防止することができるよう、それらのプロセスを適合させることができる。既に要約したように、工場安全性および効率の改善などの他の利点を同じく得ることができる。
【0083】
少なくとも1つの分散ユニットは、工場関連データの調和および/または文脈化のために、ハードウェア構成および/またはソフトウェアプログラミングなどによって構成することができる。したがって工場関連データの調和および/または文脈化は、一組の信号、特定的には匹敵するタイムスタンプおよび識別子を有する同じ一組の信号を含む同報通信データを複数の産業工場の個々の産業工場が受信することを保証することができる。分散ユニットは、すべてのソース値変化、例えば産業工場の少なくとも1つのセンサによってモニタされたプロセスパラメータのすべての変化を、特定的には直接サイクル-レス信号パス-スルーによって複数の産業工場の個々の産業工場に送信することができるよう、準実時間同報通信発信パターンをさらに利用することができる。さらに、少なくとも1つのネットワーク、例えば製造ネットワークおよび/またはLevel3ネットワークを使用して工場関連データを受信し、また、同報通信データを送信することは、場合によっては工場同士の間に追加ハード配線を確立する必要がないため、工場間通信を可能にする費用有効性の高い方法であり得る。さらに、工場関連データの文脈化および/または調和は、工場関連データの可読性および解釈を改善することによって人間の誤りを少なくすることができる。
【0084】
さらに、少なくとも1つのウェブサーバは、すべての産業工場からのすべてのオペレータが視覚文章メッセージなどの視覚メッセージまたは音響メッセージのうちの1つまたは複数を介して互いにチャッティングすることができるように構成されたチャットルームアプリケーションをホストするように構成することができる。少なくとも1つの決定論理はメッセージをチャットルームにディスパッチすることができる。工場関連データおよび/または同報通信データは、複数の産業工場内のすべてのオペレータのために共通のビューを描写する1つのダッシュボードにチャットルームと共に表示することができる。決定論理は、OPC UAインタフェースなどの分散ユニットのネットワークインタフェースを介して分散ユニットから検索した工場関連データの実時間解析に基づいて、オペレータのための推奨アクションをさらに計算することができる。
【0085】
他の可能な実施形態を排除することなく要約すると、以下の実施形態を想定することができる。
【0086】
実施形態1:複数の産業工場間の工場間通信のための方法であって、方法は、
i.少なくとも1つの分散ユニットで、複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場から工場関連データを提供するステップと、
ii.少なくとも1つの分散ユニットを介して、同報通信データを複数の産業工場、特定的には複数の産業工場の個々の産業工場に提供するステップであって、同報通信データは工場関連データの少なくとも一部を含む、ステップと
を含み、工場関連データの受信および同報通信データの送信は少なくとも1つのネットワークを介して実施される。
【0087】
実施形態2:先行する実施形態による方法であって、個々の産業工場は制御層を備え、複数の工場の各々の制御層はオペレーション層に通信結合されており、工場関連データは、オペレーション層を介して、少なくとも1つの分散ユニットで提供され、同報通信データはオペレーション層を介して複数の産業工場に提供される。
【0088】
実施形態3a:先行する実施形態のいずれかによる方法であって、複数の産業工場の複数の産業工場は少なくとも1つの分散ユニットを介して少なくとも1つのネットワークの中で相互接続される。
【0089】
実施形態3b:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、複数の産業工場の複数の産業工場は少なくとも1つの分散ユニットを介して少なくとも1つのネットワークの中で間接的に接続される。
【0090】
実施形態4:先行する実施形態による方法であって、複数の産業工場の複数の産業工場のうちの少なくとも2つは、互いに物理的に直接接続されていない。
【0091】
実施形態5:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、少なくとも1つのネットワークは、製造ネットワークおよびLevel3ネットワークのうちの少なくとも1つを備える。
【0092】
実施形態6:先行する実施形態による方法であって、Level3ネットワークはANSI/ISA-95規格によるLevel3ネットワークである。
【0093】
実施形態7:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、複数の産業工場の個々の産業工場は、少なくとも1つのネットワークインタフェースを介して少なくとも1つの分散ユニットと接続される。
【0094】
実施形態8:先行する実施形態による方法であって、ネットワークインタフェースは少なくとも1つのOPC規格インタフェース、特定的には少なくとも1つのOPC DAインタフェースを備える。
【0095】
実施形態9:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、少なくとも1つの分散ユニットは、工場関連データを処理し、それにより同報通信データを獲得するように構成される。
【0096】
実施形態10:先行する実施形態による方法であって、分散ユニットはオンザフライ方式で工場関連データを処理するように構成される。
【0097】
実施形態11:2つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、工場関連データの処理は、特定的には工場関連データの名称集および/または識別子を調和させることによって工場関連データを調和させることを含む。
【0098】
実施形態12:3つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、工場関連データの処理は工場関連データの文脈化を含む。
【0099】
実施形態13:4つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、工場関連データの処理は工場関連データにタイムスタンプを提供することを含む。
【0100】
実施形態14:5つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、工場関連データの処理は、識別情報の少なくとも1つのアイテムを工場関連データに提供することを含む。
【0101】
実施形態15:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、分散ユニットは複数の産業工場に同報通信データを分配するように構成される。
【0102】
実施形態16:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、分散ユニットは、分散サーバおよび分散ノードのうちの少なくとも1つを備える。
【0103】
実施形態17:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、同報通信データは、複数の産業工場からの工場関連データを含む工場関連データの束を含み、特定的には複数の産業工場の各々からの工場関連データを有する工場関連データの束を含む。
【0104】
実施形態18:先行する実施形態による方法であって、同報通信データは、タイムスタンプおよび識別情報のアイテムのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0105】
実施形態19:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、複数の産業工場の各々は少なくとも1つの制御システム、特定的には他の産業工場から隔離された少なくとも1つの制御システムを備える。
【0106】
実施形態20:先行する実施形態による方法であって、制御システムは、Level0システム、Level1システムおよびLevel2システムのうちの少なくとも1つを備える。
【0107】
実施形態21:2つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、少なくとも1つの制御システムは、特定的には自動的に分散ユニットに工場関連データを提供するように構成される。
【0108】
実施形態22:3つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、複数の制御システムのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのアーカイブ、特定的には少なくとも1つのPIMSアーカイブとデータを交換するように構成され、特定的にはアーカイブは、データの記憶、収集および統合のうちの少なくとも1つを実施するように構成される。
【0109】
実施形態23:先行する実施形態による方法であって、少なくとも1つの分散ユニットはアーカイブからデータを検索するように構成され、特定的には分散ユニットは、制御システムの少なくとも1つのネットワークインタフェースをバイパスするように構成される。
【0110】
実施形態24:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、方法は、複数の産業工場間でウェブ-プロトコルベースメッセージを交換するために少なくとも1つのウェブサーバを使用するステップをさらに含む。
【0111】
実施形態25:先行する実施形態による方法であって、少なくとも1つのウェブサーバは複数の産業工場の各々と接続され、特定的には、工場関連データを受信し、また、同報通信データを送信するために使用されるネットワークとは独立して接続される。
【0112】
実施形態26:2つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、さらに、分散ユニットは、特定的には直接または間接的に、特定的には少なくとも1つの決定論理を介して間接的にウェブサーバに接続される。
【0113】
実施形態27:3つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、ウェブ-プロトコルベースメッセージは、複数の産業工場の複数の産業工場のオペレータのための推奨アクション、特定的には工場関連データの実時間解析に基づく推奨アクションを含む。
【0114】
実施形態28:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、方法は少なくとも1つの決定論理を使用するステップをさらに含み、少なくとも1つの決定論理は分散ユニットから工場関連データを検索するように構成される。
【0115】
実施形態29:先行する実施形態による方法であって、少なくとも1つの決定論理は、少なくとも1つの分散ユニットから検索した工場関連データに基づいて少なくとも1つの推奨アクションを生成するように構成される。
【0116】
実施形態30:先行する実施形態による方法であって、少なくとも1つの決定論理は、少なくとも1つのウェブサーバに少なくとも1つの推奨アクションを提供するように構成される。
【0117】
実施形態31:3つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、少なくとも1つの決定論理は少なくとも1つのバックエンドサーバを備える。
【0118】
実施形態32:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、ステップiiは、少なくとも1つの分散ユニットが工場関連データを受信した少なくとも1つの産業工場に同じく同報通信データを送信するステップをさらに含む。
【0119】
実施形態33:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、同報通信データは準実時間で複数の産業工場に送信される。
【0120】
実施形態34:先行する実施形態による方法であって、同報通信データの準実時間送信は、工場関連データの受信と同報通信データの送信との間のせいぜい15sの時間遅延、特定的にはせいぜい10s、より特定的にはせいぜい5sの時間遅延を含む。
【0121】
実施形態35:先行する実施形態のいずれか1つによる方法であって、ステップiiは反復して実施され、特定的には連続して反復的に実施される。
【0122】
実施形態36:先行する実施形態による方法であって、ステップiiは一定の割合で反復して実施される。
【0123】
実施形態37:先行する実施形態による方法であって、ステップiiは10s毎に少なくとも1回実施され、特定的には5s毎に少なくとも1回実施され、より特定的には1s毎に少なくとも1回実施される。
【0124】
実施形態38:複数の産業工場間の工場間通信のための分散ユニットであって、分散ユニットは、
a.複数の産業工場のうちの少なくとも1つの産業工場から工場関連データを受信し、また、
b.複数の産業工場、特定的には複数の産業工場の個々の産業工場に、工場関連データの少なくとも一部を含む同報通信データを送信する
ように構成され、分散ユニットは、工場関連データを受信し、また、同報通信データを送信するために少なくとも1つのネットワークを使用するように構成される。
【0125】
実施形態39:先行する実施形態による分散ユニットであって、分散ユニットは、方法を参照した先行する実施形態のいずれか1つによる方法を実施するように構成される。
【0126】
実施形態40:複数の産業工場間の工場間通信を可能にするための工場通信システムであって、通信システムは、分散ユニットを参照した先行する実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの分散ユニットを備え、工場通信システムは、工場関連データを受信し、また、同報通信データを送信するための少なくとも1つのネットワークをさらに備え、ネットワークは、分散ユニットをより特定的には星形方式で複数の産業工場の複数の産業工場にリンクするように構成される。
【0127】
実施形態41:先行する実施形態による工場通信システムであって、ネットワークを介して、特定的には星形方式で分散ユニットにリンクされた複数の産業工場をさらに備える。
【0128】
実施形態42:2つの先行する実施形態のいずれか1つによる工場通信システムであって、複数の産業工場の各々は、産業工場を少なくとも1つの分散ユニットと接続するための少なくとも1つのネットワークインタフェースを備える。
【0129】
実施形態43:工場通信システムを参照した先行する実施形態のいずれか1つによる工場通信システムであって、複数の産業工場の各々は少なくとも1つの制御システムを備える。
【0130】
実施形態44:先行する実施形態による工場通信システムであって、複数の制御システムのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのアーカイブ、特定的には少なくとも1つのPIMSアーカイブとデータを交換するように構成され、特定的には双方向交換するように構成され、特定的には、アーカイブは、データの記憶、収集および統合のうちの少なくとも1つを実施するように構成される。
【0131】
実施形態45:工場通信システムを参照した先行する実施形態のいずれか1つによる工場通信システムであって、複数の産業工場間でウェブ-プロトコルベースメッセージを交換するための少なくとも1つのウェブサーバをさらに備える。
【0132】
実施形態46:先行する実施形態による工場通信システムであって、分散ユニットは少なくとも1つの決定論理を介してウェブサーバに接続される。
【0133】
実施形態47:コンピュータまたはコンピュータシステム、特定的には分散ユニットおよび/または工場通信システムのコンピュータまたはコンピュータシステムによって実行されると、そのコンピュータまたはコンピュータシステムが、方法を参照した先行する実施形態のいずれか1つによる方法を実施することになる命令を含むコンピュータプログラム。
【0134】
実施形態48:コンピュータまたはコンピュータシステム、特定的には分散ユニットおよび/または工場通信システムのコンピュータまたはコンピュータシステムによって実行されると、そのコンピュータまたはコンピュータシステムが、方法を参照した先行する実施形態のいずれか1つによる方法を実施することになる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【0135】
実施形態49:コンピュータまたはコンピュータシステム、特定的には分散ユニットおよび/または工場通信システムのコンピュータまたはコンピュータシステムによって実行されると、そのコンピュータまたはコンピュータシステムが、方法を参照した先行する実施形態のいずれか1つによる方法を実施することになる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【0136】
他の任意選択の特徴および実施形態については、好ましくは従属請求項に関連して、実施形態についての後続する説明の中でより詳細に開示されることになる。以下の説明では、それぞれの任意選択の特徴を、当業者が実現することになる単独方式ならびに何らかの任意の実施可能な組合せで認識することができる。本教示の範囲は好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図には概略的に描写されている。図においては、これらの図における全く同じ参照番号は、全く同じ要素または機能的に匹敵する要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0137】
図1】仮想の従来の通信システムを示す図である。
図2】完全相互接続通信システムの例を示す図である。
図3】複数の産業工場間の工場間通信を可能にするための、本教示による工場通信システムの例を示す図である。
図4】複数の産業工場間の工場間通信を可能にするための、本教示による工場通信システムの別の例を示す図である。
図5】複数の産業工場間の工場間通信のための、本教示による方法の例のフローチャートである。
図6】工場通信システムのための例示的ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0138】
詳細な説明
産業製造は、典型的には、さらに下流側の製品を引き出すために使用される上流側の製品で開始する。最終製品への様々な中間製品を介した価値連鎖製造に日付けを付けることは、高度に制限的で、かつ、サイロ化されたインフラストラクチャに基づいている。これは、IoT、クラウド計算およびビッグデータアナリティクスなどの新しい技術の導入を妨害し得る。
【0139】
いくつかの製造産業とは異なり、化学産業または生化学産業などのプロセス産業は、とりわけ可用性および安全保護に関して、非常に高い規格の対象になり得る。そのため、計算インフラストラクチャは、典型的には単方向性で、かつ、サイロ化されており、化学工場のモニタシステムおよび制御システムへのアクセスが高度に制限的である。
【0140】
一般に、化学工場などの産業工場は、サイロ化された方法で企業アーキテクチャに組み込まれており、オペレーション技術解決法と情報技術解決法との間を機能的に分離するためのレベルが異なっている。
【0141】
Level0は物理的プロセスに関係しており、また、工場における実際の物理的プロセスを定義している。Level1すなわちデバイス層は、例えばプロセスセンサ、アナライザ、アクチュエータおよび関連する計器を介して物理的プロセスを知覚し、操作するためのインテリジェントデバイスに関係している。Level2すなわち制御層は、物理的プロセスを監視し、モニタし、かつ、制御するための制御システムに関係している。実時間制御およびソフトウェア;DCS、人間-機械インタフェース(human-machine interface)(「HMI」);監視およびデータ収集(「SCADA」)ソフトウェアは典型的な構成要素である。Level3すなわちオペレーション層は、所望の製品を製造するための製造ワークフローを管理するための製造オペレーションシステムに関係している。バッチ管理;製造実行/オペレーション管理システム(manufacturing execution/operations management systems)(「MES」/「MOMS」);研究所、保全および工場性能管理システム、データヒストリアンおよび関連するミドルウェアは典型的な構成要素である。制御およびモニタのための時間フレームは、シフト、時間、分、秒であってもよい。これらは、さらにはLevel4層であってもよく、製造オペレーションのビジネス関連アクティビティを管理するためのビジネスロジスティックスシステムに関連付けることができる。典型的には、企業資源計画立案(enterprise resource planning)(「ERP」)システムは主システムであり、基本工場製造スケジュール、材料使用、出荷および在庫レベルを確立する。時間フレームは、月、週、日、シフトであってもよい。
【0142】
さらに、このような構造は、厳格な一方向通信プロトコルを固守し、レベル2以下へのデータの流入を許容しない。インターネットの外部の会社または企業は、このようなアーキテクチャには含まれていない。しかしながらモデルは、本質的な概念をサイバー安全保護の領域内に維持している。この文脈における課題は、クラウド計算およびビッグデータの利点をてこ入れし、その一方で既存のアーキテクチャの確立された利点、すなわち化学工場を制御するより低いレベルシステム(Level1およびLevel2)の高い可用性および信頼性、ならびにサイバー安全保護を依然として保証することである。
【0143】
ここで提示されている技術的教示によれば、このフレームワークのモニタおよび/または制御変更を体系的な方法で強化し、それにより既存のアーキテクチャと両立する新しい能力を導入することができる。本開示は、特定的には、プロセス産業のための高度に拡張可能で、柔軟性に富み、かつ、有用で、それと同時に高い安全保護規格を固守する計算インフラストラクチャに関している。
【0144】
図1には、産業工場112同士の間の通信を可能にするための仮想の従来の通信システム110が概略図で示されている。この従来の通信システム110は複数の産業工場112を備えることができる。これらの産業工場112の各々は、インタフェース116をPIMSアーカイブ118に接続する製造ネットワーク114を有することができる。特定的には、製造ネットワーク114は、1つまたは複数のファイアウォール122によって他の産業工場112の製造ネットワーク114から、また、産業工場112のイントラネット120から分離することができる。従来の通信システム110では、複数の産業工場112間の通信は、図1に産業工場112同士の間の矢印によって示されているように、電話呼出し124を使用して実施することができる。
【0145】
図2には、産業工場112同士の間の通信を可能にするための完全相互接続通信システム126が概略図で示されている。この完全相互接続通信システム126は、従来の通信システム110と同様、複数の産業工場112を備えることができる。従来の通信システム110とは対照的に、完全相互接続通信システム126は、ハード配線128を介して、例えば光ファイバケーブルおよび/または電気ケーブルを介して直接産業工場112を接続することができる。特定的には、完全相互接続通信システム126は、ハード配線128を介して産業工場112のインタフェースを直接接続することができる。したがって完全相互接続通信システム126は、分散通信システム(distributed communication system)(「DCS」)のレベルで産業工場112を直接相互接続することができる。しかしながら完全相互接続通信システム126のこのセットアップは、一般に、高いコストおよび産業工場112同士の間にハード配線128を確立する必要性と結びつき得る。
【0146】
図3には、複数の産業工場112間の工場間通信を可能にするための、本教示による工場通信システム130の例が概略図で示されている。工場通信システム130は少なくとも1つの分散ユニット132を備えている。さらに、工場通信システム130は、工場関連データを提供する、すなわち工場関連データを受信136するため、および同報通信データを送信138するための少なくとも1つのネットワーク134を備えている。ネットワーク134は、例えば図3から分かるように星形方式で少なくとも1つの分散ユニット132を複数の産業工場112の複数の産業工場112に結合する、すなわちリンクするように構成されている。工場関連データの受信136は、図3に、産業工場112から分散ユニット132に向かって指している矢印によって示されている。同様に、同報通信データの送信138は、図3に、分散ユニット132から産業工場112に向かって指している矢印によって示されている。
【0147】
分散ユニット132は複数の産業工場112間の工場間通信のために構成されている。特定的には、分散ユニット132は、
a.複数の産業工場112のうちの少なくとも1つの産業工場112から工場関連データを受信し、また、
b.複数の産業工場112、特定的には複数の産業工場112の個々の産業工場112に、工場関連データの少なくとも一部を含む同報通信データを送信する
ように構成されている。
【0148】
さらに、分散ユニット132は、工場関連データを受信するために、また、同報通信データを送信するために少なくとも1つのネットワーク134を使用するように構成されている。分散ユニット132は、ハードウェア構成および/またはハードウェアのソフトウェアプログラミングなどによって、複数の産業工場112間の工場間通信のための方法を実施するように構成することができ、複数の産業工場112間の工場間通信のための方法は、例として図5に示されており、また、以下でさらに詳細に説明される。分散ユニット132は、少なくとも1つのネットワーク134の中に分散サーバまたは分散ノードのうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0149】
複数の産業工場112の複数の産業工場112の各々は、産業工場112を少なくとも1つの分散ユニット132と接続するための少なくとも1つのネットワークインタフェース140を備えることができる。ネットワークインタフェース140は、OPC DAインタフェースなどの少なくとも1つのOPC規格インタフェース116であってもよく、またはこのような少なくとも1つのOPC規格インタフェース116を備えることができる。さらに、複数の産業工場112の各々は少なくとも1つの制御システムを備えることができ、制御システムは、ハードウェア構成またはソフトウェアプログラミングなどによって、少なくとも1つのアーカイブ、特定的には少なくとも1つのPIMSアーカイブ118とデータを交換するように構成することができる。アーカイブは、データ、特定的には工場関連データを記憶し、収集し、および統合するように構成することができる。制御システムおよびアーカイブは図3には示されていない。
【0150】
図4には、複数の産業工場112間の工場間通信を可能にするための工場通信システム130の本教示による別の例示的実施形態が概略図で示されている。図4に示されている工場通信システム130は、図3に示されている工場通信システム130にはなはだしく対応している。したがって図3の説明を参照することができる。
【0151】
しかしながら図4の工場通信システム130は、複数の産業工場112間でウェブ-プロトコルベースメッセージを交換するための少なくとも1つのウェブサーバ142をさらに備えることができる。したがってウェブサーバ142は、特定的には物理的ハード配線、光および/またはワイヤレス無線周波数方法によって複数の産業工場112の各々に接続することができる。さらに、ウェブサーバ142は、複数の産業工場112間でウェブ-プロトコルベースメッセージを交換するためのチャットルーム機能などの少なくとも1つのチャットルーム機能を提供するように構成することができる。
【0152】
ウェブサーバ142は、さらに、直接および/または間接的に分散ユニット132に接続することができる。したがって工場通信システム130は少なくとも1つの決定論理144をさらに備えることができる。決定論理144は、例えば物理的ハード配線、光および/またはワイヤレス無線周波数方法によって分散ユニット132に接続することができる。したがって決定論理144は、ハードウェア構成またはソフトウェアプログラミングなどによって、分散ユニット132から工場関連データおよび/または同報通信データを検索するように構成することができる。決定論理144は少なくとも1つのバックエンドサーバであってもよく、または少なくとも1つのバックエンドサーバを備えることができる。追加または別法として、決定論理144は、OPC規格インタフェース116、より特定的にはOPC UAインタフェースなどのインタフェースをさらに備えることができ、工場関連データおよび/または同報通信データは、決定論理144のインタフェースを介して分散ユニット132から検索することができる。
【0153】
さらに、分散ユニット132は少なくとも1つの決定論理144を介してウェブサーバ142に接続することができる。決定論理144は、分散ユニット132から検索した工場関連データまたは同報通信データに基づいて少なくとも1つの推奨アクションを生成するようにさらに構成することができる。少なくとも1つの推奨アクション、工場関連データおよび/または同報通信データは決定論理144によってウェブサーバ142に提供することができ、ウェブサーバ142は、例えばダッシュボード、等々を介してその少なくとも1つの推奨アクションをチャットルーム機能に提供することができる。
【0154】
図5には、複数の産業工場112間の工場間通信のための方法の態様のフローチャートが示されている。さらに、方法は、特定的には所与の順序で実施することができる以下のステップを含む。しかしながら異なる順序も同じく可能である。場合によっては方法ステップのうちの2つまたはそれ以上を完全に、または部分的に同時に実施することも可能である。場合によっては方法ステップのうちの1つ、2つ以上、さらにはすべてを1回または反復して実施することもさらに可能である。方法は、挙げられていない追加方法ステップを含むことができる。
【0155】
方法は、
i.(参照番号146によって示されている)少なくとも1つの分散ユニット132で、複数の産業工場112のうちの少なくとも1つの産業工場112から工場関連データを提供するステップ、すなわち受信するステップと、
ii.(参照番号148によって示されている)少なくとも1つの分散ユニット132を介して、同報通信データを複数の産業工場112、特定的には複数の産業工場112の個々の産業工場112に提供するステップ、すなわち送信するステップであって、同報通信データは工場関連データを含む、提供するステップ、すなわち送信するステップと
を含み、工場関連データの受信136および同報通信データの送信138は少なくとも1つのネットワーク134を介して実施される。
【0156】
方法、特定的にはステップiおよびiiのうちの1つまたは両方は反復して実施することができ、より特定的には連続して反復的に実施することができる。したがって方法ステップのうちの1つまたは複数、特定的にはステップiiは一定の割合で反復して実施することができる。この一定の割合は変更することができ、受信される工場関連データおよび送信される同報通信データに依存し得る。さらに、方法、特定的にはステップiおよびiiのうちの1つまたは両方は10s毎に少なくとも1回実施することができ、特定的には5s毎に少なくとも1回実施することができ、より特定的には1s毎に少なくとも1回実施することができる。したがって方法は、複数の産業工場112間の工場間通信が準実時間における工場間調整を許容することができるよう、複数の産業工場112に現在の同報通信データを送信するための手段を提供することができる。
【0157】
図6は、複数の産業工場112間の工場間通信を可能にするための工場通信システムの特定の態様を示すブロック図600表現を示したものである。より特定的には、3つの工場112a、112bおよび112cを備えた非制限例としての複数の産業工場112が示されている。当業者には理解されるように、示されている表現600は混合表現、すなわち考察を容易にするための物理的表現と論理的表現の組合せである。したがって図面のいくつかの構成要素は、それらが図面から出現し得る際に、物理的に分離されていなくても、あるいは距離を隔てていてもよい。同様に、表現600のいくつかの構成要素は、例えばデータの例えば611のように、たとえそれらの性質が論理的なものであっても物理的要素として示されている。このような表現は、視覚的な支援を使用して構成要素同士の間の相互作用を示すための理解を容易にするためになされている。
【0158】
個々の工場112aまたは112bあるいは112cは、それぞれLevel0 601a、601bまたは603cを備えている。例えば第1の工場112aは、第1の工場112aの物理的プロセスに関係している個別のLevel0 601aを有している。同様に、第2の工場112bおよび第3の工場112cは、それぞれの工場の実際の物理的プロセスを定義している独自のLevel 0層601bおよび601cをそれぞれ有している。これらの工場112の各々は、個別のデバイス層602すなわちLevel1を同じく備えている。例えば第1の工場112aは、例えばプロセスセンサ、アナライザ、アクチュエータおよび関連する計器を介して物理的プロセス601aを知覚し、かつ、操作するためのデバイスに関係している個別のLevel1すなわち第1のデバイス層602aを有している。同様に、第2の工場112bおよび第3の工場112cは、独自のLevel 1層602bおよび602cをそれぞれ有している。これらの工場112の各々は個別の制御層602すなわちLevel2を同じく備えている。例えば第1の工場112aは、物理的プロセスを監視し、モニタし、かつ、制御するための1つまたは複数の制御システムに関係している個別のLevel2すなわち第1の制御層603aを有している。603a~603cの任意の制御層は、例えば実時間制御およびソフトウェア;DCS、HMIおよびSCADAを備えることができる。同様に、第2の工場112bおよび第3の工場112cは、独自のLevel 2層602bおよび602cをそれぞれ有している。制御層602a~602cは全く同じ層であってもよく、またはそれらは互いに異なっていてもよい。
【0159】
Level3すなわちオペレーション層650は、例えば、所望の製品を製造するための製造ワークフローを管理するための製造オペレーションシステムに関係している。オペレーション層650は複数の工場112に対して共通であってもよい。制御層603a~603cの各々はオペレーション層650に通信結合されている。これらの制御層603a~603cの各々は、それぞれインタフェース61a、61bおよび61cを介してオペレーション層650とインタフェースしているネットワークインタフェース60a、60bおよび60cをそれぞれ備えている。工場のネットワークインタフェース、例えば60a、およびその工場のためのオペレーション層インタフェース、例えば61aは、同じ構成要素、例えばネットワークカードであってもよく、またはそれらは2つの個別のネットワークカードの形態であってもよい。これらのインタフェース、例えば60aおよび61aは、少なくとも1つのネットワークインタフェース140と呼ぶことができる。少なくとも1つのネットワークインタフェースは、同じ構成要素として、または制御層、例えば603aのサーバにおける1つまたは複数のネットワークカードなどの異なる構成要素のいずれかとしてそれぞれの工場に物理的に配置することができる。本教示におけるネットワークインタフェースは、コンピュータシステムによるネットワークへのアクセスを可能にする物理的デバイスおよび/または論理的デバイスを意味することができる。オペレーション層650におけるインタフェース61a~61cは、例えばそれぞれのネットワークインタフェース60a~60cを介して制御層603a~603cに通信接続された1つまたは複数のサーバであってもよいDCSインタフェースと呼ぶことができる。物理的ネットワークインタフェースが接続される層またはサーバは、論理OPC DAインタフェースをホストするコンピュータプログラムを実行することができる。例えば少なくとも1つのネットワークインタフェース140は、任意のそれぞれの工場の制御層に由来するデータを露出させるOPC DAインタフェースをホストすることができる。オペレーション層650は、複数の制御層603の各々から監視データ631を受信する。例えばオペレーション層650は、第1の工場112aの第1の制御層603aから第1の監視データ631aを受信する。同様に、オペレーション層650で、それぞれ第2の制御層603bおよび第3の制御層603cから第2の監視データ631bおよび第3の監視データ631cを受信することができる。オペレーション層650は、複数の制御層603のそれぞれに製造データ632を送信する。例えばオペレーション層650は、第1の工場112aの第1の制御層603aに第1の製造データ632aを送信する。同様に、オペレーション層650によって、それぞれ第2の制御層603bおよび第3の制御層603cに第2の製造データ632bおよび第3の製造データ632cを送信することができる。
【0160】
さらに、複数の制御層603の各々は、それらのそれぞれの工場112の複数のデバイス層602のそれぞれに通信結合することができる。制御層は工場毎に制御データをデバイス層に送信し、また、制御層は、生成されたデータをデバイス層から受信する。例えば第1の工場112aの場合、第1の制御層603aは第1の制御データ611aを第1のデバイス層602aに送信し、また、第1の制御層603aは、生成されたデータ612aを第1のデバイス層602aから受信する。同様に、第2の工場112bおよび第3の工場112cの場合、第2の制御層603bおよび第3の制御層603cは、第2の制御データ611bおよび第3の制御データ611cをそれぞれ第2のデバイス層602bおよび第3のデバイス層602cに送信することができる。第2の制御層603bおよび第3の制御層603cは、第2の生成されたデータ612bおよび第3の生成されたデータ612cをそれぞれ第2のデバイス層602bおよび第3のデバイス層602cから受信することができる。図から分かるように、制御層603は、それらのそれぞれの工場112に特化されており、また、さもなければ互いに隔離されている。したがって1つの工場からのパラメータを別の工場で利用することはできない。
【0161】
オペレーション層650は、アーカイブ118、例えばPIMSを備えている。この特定の例では、1つのアーカイブが個々の工場と結合して示されている。例えば第1のPIMSアーカイブ118aは第1の工場112aと結合され、第2のPIMSアーカイブ118bは第2の工場112bと結合され、また、第3のPIMSアーカイブ118cは第3の工場112cと結合されている。いずれかの工場がPIMSアーカイブを有していないことも同じく可能である。アーカイブは、それぞれの工場112のプロセスデータ、またはその少なくとも一部などのデータを保管目的で記憶することができるメモリ記憶ユニットとして理解することができる。例えばアーカイブ118aは、オペレーション層650のインタフェース61aを介して第1の工場112aからデータを受け取る。このような通信は、通常、単方向である。アーカイブ118は互いに隔離されている。
【0162】
少なくとも1つの分散ユニット132が示されており、示されている分散ユニット132はオペレーション層650に提供されている。分散ユニット132は、複数の工場112から工場関連データ641を受信するように構成されている。例えば第1の工場112aは第1の工場関連データ641aを分散ユニット132に提供し、第1の工場関連データ641aは第1の工場112aからの工場関連データである。同様に、第2の工場112bおよび第3の工場112cは第2の工場関連データ641bおよび第3の工場関連データ641cをそれぞれ分散ユニット132に提供している。分散ユニット132は、同報通信データ642を複数の工場112に提供する、すなわち送信するように構成されている。同報通信データ642は複数の工場112a~112cの各々に提供される。同報通信データ642は、工場関連データ641の少なくとも一部、または実時間工場関連データ641の少なくとも一部を含む。同報通信データ642は、複数の工場112のうちの任意の1つまたは複数からの工場関連データ641全体を含むことができ、または同報通信データ642は、複数の工場112のうちの任意の1つまたは複数からの工場関連データ641の一部を含むことができる。同報通信データ642は、それぞれの製造データ632a~632cの一部、および/または個別のデータストリームのいずれかとして、複数の工場112a~112cの各々に提供することができ、すなわち複数の工場112a~112cの各々で受信することができる。同報通信データ642は、複数の工場112の各々に提供される同じデータであることが好ましい。したがって第1の同報通信データ642aは、第2の同報通信データ642bおよび第3の同報通信データ642cと同じである。しかしながら任意選択で、同報通信データ642は、1つまたは複数の工場に対して、1つまたは複数の基準に従って分散ユニット132でフィルタリングすることも可能である。したがって第1の同報通信データ642aは、第2の同報通信データ642bおよび/または第3の同報通信データ642cと同じであっても、または同じでなくてもよい。さらに、第2の同報通信データ642bは、第3の同報通信データ642cと同じであっても、または同じでなくてもよい。
【0163】
したがって工場間通信を工場112同士の間で可能にすることができる。既存のLevel3 650ネットワークをてこ入れして、少なくとも個別のケーブル敷設ハードウェアの必要性をなくすことができ、したがってコストを節約することができる。さらに、それぞれの制御層603およびデバイス層602などの少なくとも重要なセクション層のハードウェア修正を防止することができる。
【符号の説明】
【0164】
110 仮想の従来の通信システム
112 産業工場
114 製造ネットワーク
116 OPC規格インタフェース
118 PIMSアーカイブ
120 イントラネット
122 ファイアウォール
124 電話呼出し
126 完全相互接続通信システム
128 ハード配線
130 工場通信システム
132 分散ユニット
134 ネットワーク
136 工場関連データの受信
138 同報通信データの送信
140 ネットワークインタフェース
142 ウェブサーバ
144 決定論理
146 分散ユニットで工場関連データを受信する
148 分散ユニットを介して同報通信データを送信する
112a 第1の産業工場
112b 第2の産業工場
112c 第3の産業工場
601a 第1のレベル0すなわち第1の産業工場のレベル0
601b 第2のレベル0すなわち第2の産業工場のレベル0
601c 第3のレベル0すなわち第3の産業工場のレベル0
602a 第1のデバイス層すなわち第1の産業工場のデバイス層
602b 第2のデバイス層すなわち第2の産業工場のデバイス層
602c 第3のデバイス層すなわち第3の産業工場のデバイス層
603a 第1の制御層すなわち第1の産業工場の制御層
603b 第2の制御層すなわち第2の産業工場の制御層
603c 第3の制御層すなわち第3の産業工場の制御層
650 オペレーション層
60a 第1のネットワークインタフェース
60b 第2のネットワークインタフェース
60c 第3のネットワークインタフェース
61a オペレーション層における第1のネットワークインタフェース
61b オペレーション層における第2のネットワークインタフェース
61c オペレーション層における第3のネットワークインタフェース
611a 第1の制御データ
611b 第2の制御データ
611c 第3の制御データ
612a 第1の生成されたデータ
612b 第2の生成されたデータ
612c 第3の生成されたデータ
631a 第1の監視データ
631b 第2の監視データ
631c 第3の監視データ
632a 第1の製造データ
632b 第2の製造データ
632c 第3の製造データ
641a 第1の工場関連データ
641b 第2の工場関連データ
641c 第3の工場関連データ
642a 第1の同報通信データ
642b 第2の同報通信データ
643c 第3の同報通信データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】