(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-12
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを用いた感光性樹脂膜、カラーフィルタ、およびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/075 20060101AFI20231004BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20231004BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G03F7/075 501
G03F7/004 505
G02B5/20 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518760
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 KR2022006318
(87)【国際公開番号】W WO2022260283
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0075929
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソヒュン
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンホ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン,ユホ
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
【Fターム(参考)】
2H148BE02
2H148BE13
2H148BE22
2H148BF12
2H148BF15
2H148BF16
2H148BG01
2H148BH08
2H148BH12
2H148BH13
2H148BH22
2H225AC23
2H225AC36
2H225AD06
2H225AN33P
2H225AN39P
2H225AN65P
2H225AN66P
2H225AN72P
2H225AN94P
2H225BA05P
2H225BA13P
2H225BA16P
2H225BA32P
2H225CA17
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】
(A)バインダー樹脂;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;(D)青色顔料を含む着色剤;(E)溶媒;(F)チオール系化合物;および(G)シランカップリング剤;を含み、前記チオール系化合物およびシランカップリング剤はそれぞれ独立して感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%以上0.3重量%未満で含まれる感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ、および前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バインダー樹脂;
(B)光重合性化合物;
(C)光重合開始剤;
(D)青色顔料を含む着色剤;
(E)溶媒;
(F)チオール系化合物;および
(G)シランカップリング剤;
を含み、
前記チオール系化合物およびシランカップリング剤はそれぞれ独立して感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%以上0.3重量%未満で含まれる感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記チオール系化合物およびシランカップリング剤は1:1~2:1の重量比で含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記チオール系化合物は、末端に下記化学式1で表される官能基を少なくとも2個以上含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物:
【化1】
上記化学式1中、
L
1およびL
2は、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。
【請求項4】
前記チオール系化合物は下記化学式1-1で表される、請求項3に記載の感光性樹脂組成物:
【化2】
上記化学式1-1中、
L
1およびL
2は、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、
u1およびu2は、それぞれ独立して、0または1の整数である。
【請求項5】
前記シランカップリング剤は、アミノ系シランカップリング剤である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記アミノ系シランカップリング剤は、下記化学式2で表される、請求項5に記載の感光性樹脂組成物:
【化3】
上記化学式2中、
R
1~R
3は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基であり、
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
L
3は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基である。
【請求項7】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記バインダー樹脂はアクリル系バインダー樹脂であり、前記アクリル系バインダー樹脂は5000g/mol~15000g/molの重量平均分子量を有する、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記バインダー樹脂はアクリル系バインダー樹脂であり、前記アクリル系バインダー樹脂は80mgKOH/g~130mgKOH/gの酸価を有する、請求項7に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物総量に対して、
前記バインダー樹脂5重量%~20重量%;
前記光重合性化合物1重量%~10重量%;
前記光重合開始剤0.1重量%~10重量%;
前記着色剤5重量%~50重量%;
前記溶媒30重量%~70重量%;
前記チオール系化合物0.1重量%~0.29重量%;および
前記シランカップリング剤0.1重量%~0.29重量%
を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1~11のうちのいずれか一項の感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜。
【請求項13】
請求項12の感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ。
【請求項14】
請求項13のカラーフィルタを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、感光性樹脂組成物、これを用いて製造される感光性樹脂膜、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ、および前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置の一つである液晶ディスプレイ装置は軽量化、薄型化、低価、低消費電力駆動化、および優れた集積回路との接合性の長所を有していて、ノートパソコン、モニター、およびTV画像用にその使用範囲が拡大されている。このような液晶ディスプレイ装置は、光の三原色に該当する赤(R)、緑(G)、青(B)のサブピクセルが集合された単位ピクセルが反復的に形成されたカラーフィルタを備える。各サブピクセルを隣接するように配置させた状態でそれぞれのサブピクセルに色信号を印加して明るさを制御すると三原色の合成によって単位ピクセルに特定の色が表示される。
【0003】
カラーフィルタは赤(R)、緑(G)、青(B)の染料または顔料から製造され、このような色素材料はバックライトユニットの白色光をそれぞれの該当する色に変える役割を果たすことになる。色素材料のスペクトルが要求される吸収波長以外に不必要な波長がなく、幅の狭い吸収バンドを有するほど色特性が向上する。また、カラーレジストのエッチング過程で露出される紫外線、酸、塩基条件下で、退色または変色されない優れた耐熱性、耐光性、および耐化学性を有しなければならない。
【0004】
しかし、高温高湿の苛酷環境で基板との密着力維持および昇華性異物生成防止に対するパネル企業の要求事項強化により水分に対するフォトレジスト安定性確保が新たな問題として浮上している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一実施形態は、高温高湿の苛酷環境でも昇華性異物生成を抑制し、剥離問題を最少化し、パターン性を確保することができる感光性樹脂組成物を提供するためのものである。
【0006】
他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供するためのものである。
【0007】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供するためのものである。
【0008】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、(A)バインダー樹脂;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;(D)青色顔料を含む着色剤;(E)溶媒;(F)チオール系化合物;および(G)シランカップリング剤;を含み、前記チオール系化合物およびシランカップリング剤はそれぞれ独立して感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%以上0.3重量%未満で含まれる感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
前記チオール系化合物およびシランカップリング剤は、1:1~2:1の重量比で含まれてもよい。
【0011】
前記チオール系化合物は、末端に下記化学式1で表される官能基を少なくとも2個以上含むことができる。
【0012】
【0013】
上記化学式1中、
L1およびL2は、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。
【0014】
前記チオール系化合物は、下記化学式1-1で表すことができる。
【0015】
【0016】
上記化学式1-1中、
L1およびL2は、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、
u1およびu2は、それぞれ独立して、0または1の整数である。
【0017】
前記シランカップリング剤は、アミノ系シランカップリング剤であってもよい。
【0018】
前記アミノ系シランカップリング剤は、下記化学式2で表すことができる。
【0019】
【0020】
上記化学式2中、
R1~R3は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基であり、
R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
L3は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基である。
【0021】
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0022】
前記バインダー樹脂はアクリル系バインダー樹脂であり、前記アクリル系バインダー樹脂は5000g/mol~15000g/molの重量平均分子量を有することができる。
【0023】
前記バインダー樹脂はアクリル系バインダー樹脂であり、前記アクリル系バインダー樹脂は80mgKOH/g~130mgKOH/gの酸価を有することができる。
【0024】
前記感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物総量に対して、前記バインダー樹脂5重量%~20重量%;前記光重合性化合物1重量%~10重量%;前記光重合開始剤0.1重量%~10重量%;前記着色剤5重量%~50重量%;前記溶媒30重量%~70重量%;前記チオール系化合物0.1重量%~0.29重量%;および前記シランカップリング剤0.1重量%~0.29重量%を含むことができる。
【0025】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0026】
他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜を提供する。
【0027】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0028】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0029】
その他の本発明の側面の具体的な事項は、以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0030】
一実施形態による感光性樹脂組成物は、高温高湿環境での昇華性異物発生(sublimation)を抑制し、同時にパターン性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施例1による感光性樹脂組成物から製造されたパターン写真である。
【
図2】実施例2による感光性樹脂組成物から製造されたパターン写真である。
【
図3】比較例10による感光性樹脂組成物から製造されたパターン写真である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0033】
本明細書で特別な言及がない限り、“置換”乃至“置換された”とは、本発明の官能基中の一つ以上の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(NH2、NH(R200)またはN(R201)(R202)であり、ここでR200、R201およびR202は同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式有機基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されたことを意味する。
【0034】
本明細書で特別な言及がない限り、“アルキル基”とは炭素数1~20のアルキル基を意味し、具体的には炭素数1~15のアルキル基を意味し、“シクロアルキル基”とは炭素数3~20のシクロアルキル基を意味し、具体的には炭素数3~18のシクロアルキル基を意味し、“アルコキシ基”とは炭素数1~20のアルコキシ基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルコキシ基を意味し、“アリール基”とは炭素数6~20のアリール基を意味し、具体的には炭素数6~18のアリール基を意味し、“アルケニル基”とは炭素数2~20のアルケニル基を意味し、具体的には炭素数2~18のアルケニル基を意味し、“アルキレン基”とは炭素数1~20のアルキレン基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルキレン基を意味し、“アリーレン基”とは炭素数6~20のアリーレン基を意味し、具体的には炭素数6~16のアリーレン基を意味する。
【0035】
本明細書で特別な言及がない限り、“(メタ)アクリレート”は“アクリレート”と“メタクリレート”の両方とも可能であるのを意味し、“(メタ)アクリル酸”は“アクリル酸”と“メタクリル酸”の両方とも可能であるのを意味する。
【0036】
本明細書で別途の定義がない限り、“組み合わせ”とは、混合または共重合を意味する。また、“共重合”とはブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、“共重合体”とはブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0037】
本明細書内化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は前記位置に水素原子が結合されているのを意味する。
【0038】
本明細書でカルド系樹脂とは、下記化学式3-1~化学式3-11からなる群より選択された一つ以上の官能基が樹脂内主骨格(backbone)に含まれる樹脂を意味する。
【0039】
また、本明細書で別途の定義がない限り、“*”は同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0040】
一実施形態は、(A)バインダー樹脂;(B)光重合性化合物;(C)光重合開始剤;(D)青色顔料を含む着色剤;(E)溶媒;(F)チオール系化合物;および(G)シランカップリング剤;を含み、前記チオール系化合物およびシランカップリング剤はそれぞれ独立して感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%以上0.3重量%未満で含まれる感光性樹脂組成物を提供する。
【0041】
高温高湿条件での昇華性異物形成(sublimation)防止のために、従来は顔料分散液内分散安定性確保のための顔料の表面処理変更または分散剤変更などの方法を使用し、基板でのフォトレジスト剥離(peeling)特性改善のためにシランカップリング剤を導入し、下部硬化度強化開始剤を適用するかガラス(Glass)との密着力の良い特定光重合性単量体やバインダー樹脂を適用して基板との密着力を増大させようとした。
【0042】
高温高湿条件で昇華性異物の要因は主に顔料分散液内適用される分散剤または顔料である場合が多く、これは顔料分散液安定性低下に起因する。顔料分散液安定性確保のための顔料変更または分散剤変更方法(従来の方法)の場合、色特性に影響を与えるため短期間内で全ての特性を満足させる材料を選別しにくいという問題がある。また、一般的なシランカップリング剤の場合、基板との密着力強化効果はあるが、昇華性異物制御効果は示されない限界を有する。
【0043】
よって、本発明者らは前記のような従来の方法の限界を明確に認識し、数多くの試行錯誤を経た末に、適正量のアミノ系シランカップリング剤を導入し、前記アミノ系シランカップリング剤の構造内の*-NH基によって顔料分散液内分散度安定性を確保し、さらにシラン基がガラス(Glass)とフォトレジスト内バインダー樹脂間接着力を強化させるので、剥離特性も同時に満足させることができた。
【0044】
但し、アミノ系シランカップリング剤の感度低下は、光重合開始剤の含量増加のみでは克服が難しかった。よって、本発明者らは数多くの研究を重ねた末に、前記感度低下問題を克服するためには増幅剤の適用が必須的であるのを確認したが、増幅剤の含量が増加するほどパターンのエッジ(edge)部不均一性が強く示される問題が発生するのを確認し、また再び何回もの試行錯誤を経て、ついに前記増幅剤とアミノ系シランカップリング剤の含量を特定範囲に制御することによって前記感度低下問題を克服するに至った。
【0045】
以下、各成分について具体的に説明する。
【0046】
(G)シランカップリング剤
一実施形態による感光性樹脂組成物はシランカップリング剤を含み、この時、前記シランカップリング剤が前記感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%以上0.3重量%未満で含まれることによって、高温高湿環境での昇華性異物発生および剥離問題を解決することができる。前記シランカップリング剤が前記感光性樹脂組成物総量に対して0.3重量%以上で含まれる場合、CD感度確保が不可であり、前記シランカップリング剤が感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%未満で含まれる場合、その含量が過度に微小であってシランカップリング剤添加によって得ようとする効果実現が不可であることがある。例えば、前記シランカップリング剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~0.29重量%で含まれてもよい。
【0047】
例えば、前記シランカップリング剤は、アミノ系シランカップリング剤であってもよい。前記シランカップリング剤がアミノ系シランカップリング剤ではない場合、高温高湿環境での昇華性異物発生を抑制することができないか剥離問題解決が難しいことがある。
【0048】
具体的に、前記アミノ系シランカップリング剤とは*-NR(Rは水素原子または炭素数1~20のアルキル基)基を含むシランカップリング剤を意味することができ、例えば下記化学式2で表すことができる。
【0049】
【0050】
上記化学式2中、
R1~R3は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基であり、
R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
L3は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基である。
【0051】
例えば、前記化学式2中、R4およびR5のうちの少なくとも一つは水素原子であってもよい。
【0052】
前記アミノ系シランカップリング剤も前記化学式2と異なる構造を有する場合、高温高湿環境での昇華性異物発生および剥離現象抑制に効果的でないことがある。
【0053】
前記シランカップリング剤、具体的に前記化学式2で表されるアミノ系シランカップリング剤の適用を通じて高温高湿環境での昇華性異物および剥離問題を解決することができるが、CD感度減少および耐化学性が低下する副作用があり、よって、後述のチオール系化合物を増幅剤として使用しなければならない。
【0054】
(F)チオール系化合物
一実施形態による感光性樹脂組成物はチオール系化合物を前記感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%以上0.3重量%未満に含み、これによって前記シランカップリング剤使用による副作用、即ち、CD感度減少という副作用を改善することができ、さらに、前記チオール系化合物の含量を前記範囲に制御することによってパターンエッジ部の均一性を確保することができる。また、前記チオール系化合物の使用を通じて硬化収縮率を大きく低めながら同時に輝度低下防止にも大きな効果を得ることができる。前記チオール系化合物が前記感光性樹脂組成物総量に対して0.3重量%以上に含まれる場合、パターン均一性確保が不可であり、前記チオール系化合物が感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%未満に含まれる場合、その含量が過度に微小であってチオール系化合物添加によって得ようとする効果実現が不可であることがある。例えば、前記チオール系化合物は前記感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~0.29重量%で含まれてもよい。
【0055】
前記チオール系化合物は、その構造によって末端に2個~10個、例えば2個~4個のチオール基(-SH)を有することができる。
【0056】
例えば、前記チオール系化合物は、末端に下記化学式1で表される官能基を少なくとも2個以上含むことができる。
【0057】
【0058】
上記化学式1中、
L1およびL2は、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基である。
【0059】
例えば、前記チオール系化合物は、下記化学式1-1で表すことができる。
【0060】
【0061】
上記化学式1-1中、
L1およびL2は、それぞれ独立して、単一結合、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキレン基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリーレン基または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリーレン基であり、
u1およびu2は、それぞれ独立して、0または1の整数である。
【0062】
例えば、前記化学式1および化学式1-1中、前記L1およびL2は、それぞれ独立して、単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基であってもよい。
【0063】
前記硫黄含有化合物の具体的な例としては、下記化学式1aで表されるペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(pentaerythritol tetrakis(3-mercaptopropionate))、下記化学式1bで表されるトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)(trimethylolpropane tris(3-mercaptopropionate))、下記化学式1cで表されるペンタエリトリトールテトラキス(メルカプトアセテート)(Pentaerythritol tetrakis(mercaptoacetate))、下記化学式1dで表されるトリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)(trimethylolpropane tris(2-mercaptoacetate))、下記化学式1eで表されるグリコールジ-3-メルカプトプロピオネート(Glycol di-3-mercaptopropionate)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されたいずれか一つが挙げられる。
【0064】
【0065】
前記チオール系化合物およびシランカップリング剤は、1:1~2:1の重量比で含まれてもよい。前記チオール系化合物およびシランカップリング剤がそれぞれ一実施形態による感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~0.3重量%で含まれると同時に、1:1~1:2の重量比で含まれる場合、高温高湿環境での昇華性異物発生抑制、剥離発生抑制、CD感度減少最少化、耐化学性およびパターン性向上という効果を同時に実現することができる。
【0066】
(A)バインダー樹脂
前記バインダー樹脂は、アクリル系バインダー樹脂、カルド系バインダー樹脂、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0067】
前記アクリル系バインダー樹脂は第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0068】
前記第1エチレン性不飽和単量体は一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、前記アクリル系バインダー樹脂総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれてもよい。
【0070】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0071】
前記アクリル系バインダー樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0072】
例えば、前記一実施形態による感光性樹脂組成物は、アクリル系バインダー樹脂を含むことができる。
【0073】
前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量は、5,000g/mol~15,000g/molであってもよい。前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、前記感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ、粘度が適切であり、カラーフィルタ製造時基板との密着性に優れる。
【0074】
前記アクリル系バインダー樹脂の酸価は、80mgKOH/g~130mgKOH/gであってもよい。前記アクリル系バインダー樹脂の酸価が前記範囲内である場合、ピクセルパターンの解像度に優れる。
【0075】
例えば、前記一実施形態による感光性樹脂組成物は、カルド系バインダー樹脂であるか前記アクリル系バインダー樹脂およびカルド系バインダー樹脂の混合物であってもよい。
【0076】
前記カルド系バインダー樹脂は、下記化学式3で表すことができる。
【0077】
【0078】
上記化学式3中、
R101およびR102は、それぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基であり、
R103およびR104は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であり、
Z1は、単一結合、O、CO、SO2、CR107R108、SiR109R110(ここで、R107~R110はそれぞれ独立して、水素原子または置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基である)または下記化学式3-1~3-11で表される連結基のうちのいずれか一つであり、
【0079】
【0080】
(上記化学式3-5中、
Rzは、水素原子、エチル基、C2H4Cl、C2H4OH、CH2CH=CH2またはフェニル基である。)
【0081】
【0082】
Z2は酸無水物残基または酸二無水物残基であり、
z1およびz2はそれぞれ独立して、0~4の整数である。
【0083】
前記カルド系バインダー樹脂の重量平均分子量は、500g/mol~50,000g/mol、例えば1,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記カルド系バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、遮光層製造時、残渣なくパターン形成がよく行われ、現像時、膜の厚さの損失がなく、良好なパターンを得ることができる。
【0084】
前記カルド系バインダー樹脂は、両末端のうちの少なくとも一つに下記化学式4で表される官能基を含むことができる。
【0085】
【0086】
上記化学式4中、
Z3は、下記化学式4-1~4-7で表すことができる。
【0087】
【0088】
(上記化学式4-1中、RhおよびRiはそれぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、エステル基またはエーテル基である。)
【0089】
【0090】
(上記化学式4-5中、Rjは、O、S、NH、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキレン基、炭素数1~20のアルキルアミン基または炭素数2~20のアルケニルアミン基である。)
【0091】
【0092】
前記カルド系バインダー樹脂は、例えば、9,9-ビス(4-オキシラニルメトキシフェニル)フルオレンなどのフルオレン含有化合物;ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリト酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ペリレンテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフタル酸無水物などの無水物化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールなどのアルコール化合物;プロピレングリコールメチルエチルアセテート、N-メチルピロリドンなどの溶媒類化合物;トリフェニルホスフィンなどのリン化合物;およびテトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロミド、ベンジルジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドなどのアミンまたはアンモニウム塩化合物のうちの二つ以上を混合して製造することができる。
【0093】
前記バインダー樹脂がカルド系バインダー樹脂を含む場合、感光性樹脂組成物の現像性に優れ、光硬化時感度が良くて微細パターン形成性に優れる。
【0094】
前記バインダー樹脂は、前記感光性樹脂組成物総量に対して5重量%~20重量%、例えば7重量%~15重量%で含まれてもよい。バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、カラーフィルタ製造時現像性に優れ、架橋性が改善されて優れた表面平滑度を得ることができる。
【0095】
(B)光重合性化合物
前記光重合性化合物は、少なくとも一つのエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0096】
光重合性化合物は前記エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時十分な重合を起こすことによって耐熱性、耐光性、および耐化学性に優れたパターンを形成することができる。
【0097】
光重合性化合物の具体的な例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0098】
前記光重合性化合物の市販される製品を例として挙げれば次の通りである。前記(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社のアロニックスM-101(登録商標)、同M-111(登録商標)、同M-114(登録商標)など;日本化薬株式会社のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成株式会社のアロニックスM-210(登録商標)、同M-240(登録商標)、同M-6200(登録商標)など;日本化薬株式会社のKAYARAD HDDA(登録商標)、同HX-220(登録商標)、同R-604(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335HP(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成株式会社のアロニックスM-309(登録商標)、同M-400(登録商標)、同M-405(登録商標)、同M-450(登録商標)、同M-710(登録商標)、同M-8030(登録商標)、同M-8060(登録商標)など;日本化薬株式会社のKAYARAD TMPTA(登録商標)、同DPCA-20(登録商標)、同-30(登録商標)、同-60(登録商標)、同-120(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社のV-295(登録商標)、同-300(登録商標)、同-360(登録商標)、同-GPT(登録商標)、同-3PA(登録商標)、同-400(登録商標)などが挙げられる。前記製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0099】
前記光重合性化合物は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0100】
前記光重合性化合物は、前記感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~10重量%、例えば3重量%~8重量%で含まれてもよい。光重合性化合物が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時硬化が十分に起こって信頼性に優れ、アルカリ現像液への現像性に優れる。
【0101】
(C)光重合開始剤
前記光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般に使用される開始剤であって、例えばアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物またはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0102】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0103】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0104】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0105】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0106】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジンなどが挙げられる。
【0107】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(o-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(o-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどが挙げられる。
【0108】
前記光重合開始剤は、前記化合物以外にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0109】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起状態となったのち、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用されてもよい。
【0110】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0111】
前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~10重量%、例えば0.1重量%~5重量%で含まれてもよい。光重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時硬化が十分に起こって優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐化学性に優れ、解像度および密着性も優れ、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0112】
(D)着色剤
一実施形態による感光性樹脂組成物は着色剤を含み、前記着色剤は青色顔料を含む。
【0113】
例えば、前記青色顔料は、イプシロン青色(epsilon blue)顔料を含むことができる。例えば、前記青色顔料は“イプシロン青色(epsilon blue)顔料”と共に、“‘イプシロン青色(epsilon blue)顔料’および‘キサンテン(Xanthene)系violet染料’の混合型(blue-hybrid)顔料”を全て含むことができる。この場合、キサンテン系violet染料を単独で使用する場合より輝度向上に役立つ。また、イプシロン青色(epsilon blue)顔料を含むことが400nm~450nmの波長領域での透過度を低く維持するのに有利である。即ち、本明細書でBlue-Hybrid青色顔料分散液とは、前記イプシロン青色(epsilon blue)顔料が分散された青色顔料分散液に前記キサンテン系violet染料が混合された青色顔料分散液を意味することができる。
【0114】
例えば、前記イプシロン青色(epsilon blue)顔料は、C.I.Pigment Blue15:6などであってもよい。
【0115】
例えば、前記青色顔料は、有機ポリマーと結合された誘導体であってもよい。
【0116】
例えば、前記青色顔料は、顔料分散液の形態で前記感光性樹脂組成物に含まれてもよい。
【0117】
前記顔料分散液は、固形分の顔料、溶剤、および前記溶剤内に前記顔料を均一に分散させるための分散剤を含むことができる。
【0118】
前記固形分の顔料は、顔料分散液総量に対して1重量%~20重量%、例えば8重量%~20重量%、例えば8重量%~15重量%、例えば10重量%~20重量%、例えば10重量%~15重量%で含まれてもよい。
【0119】
前記分散剤としては、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、陽イオン性分散剤などを使用することができる。前記分散剤の具体的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0120】
前記分散剤の市販される製品を例として挙げれば、BYK社のDISPERBYK-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など;EFKAケミカル社のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など;Zeneka社のSolsperse 5000、Solsperse 12000、Solsperse 13240、Solsperse 13940、Solsperse 17000、Solsperse 20000、Solsperse 24000GR、Solsperse 27000、Solsperse 28000など;またはAjinomoto社のPB711、PB821などがある。
【0121】
前記分散剤は、顔料分散液総量に対して1重量%~20重量%で含まれてもよい。分散剤が前記範囲内に含まれる場合、適切な粘度を維持することができて感光性樹脂組成物の分散性に優れ、これによって製品適用時光学的、物理的、および化学的品質を維持することができる。
【0122】
前記顔料分散液を形成する溶剤としては、エチレングリコールアセテート、エチルセロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチルラクテート、ポリエチレングリコール、シクロヘキサノン、プロピレングリコールメチルエーテルなどを使用することができる。
【0123】
前記青色顔料を含む着色剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して5重量%~50重量%、例えば10重量%~45重量%、例えば15重量%~40重量%で含まれてもよい。前記着色剤が前記範囲内に含まれる場合、工程マージン確保に有利であり、色再現率および明暗比に優れるようになる。
【0124】
一方、前記着色剤は、前記青色顔料以外に、下記化学式5で表される染料をさらに含むことができる。
【0125】
下記化学式5で表される染料は400nm~450nmの非常に狭い領域を強く吸光する分光特性を有しながら有機溶媒に対する溶解度が高くて、これを着色剤として含む感光性樹脂組成物を使用すると、色再現率に優れたカラーフィルタを製造することができる。400nm~450nmの非常に狭い領域は青色光危険地域(Blue Light Hazard Area)であって、400nm~450nmの波長領域での透過度が高ければ高いほどその分高色座標の実現(Bxを低めること)が難しくなり、400nm~450nmの波長領域での透過度が低ければ低いほどその分高色座標の実現(Bxを低めること)が容易になる。400nm~450nmの波長領域での透過度は透過度グラフの下部分の面積に比例するので、透過スペクトルを確認することによって、透過度が高いか低いかを容易に確認することができる。さらに、下記化学式5で表される染料を着色剤として含む組成物を使用して製造された感光性樹脂膜は、高い色再現率および低い反射率を有する。
【0126】
【0127】
上記化学式5中、
Mは、Cu、Co、VO、Zn、PtまたはInであり、
L4~L7は、それぞれ独立して、*-C(=O)O-*または*-S(=O)2NH-*であり、
R14~R17は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基または置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリール基であり、
R6~R13は、それぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子である。
【0128】
前記化学式5中、置換基(*-L4-R14、*-L5-R15、*-L6-R16、および*-L7-R17)の置換位置は、オルト(ortho)、メタ(meta)、パラ(para)のうちのパラ(para)位置に位置することが400nm~450nmの狭い波長領域での吸光度を高めるのに有利である。例えば、前記置換基の置換位置がパラ(para)である前記化学式1で表される染料は400nm~450nm、例えば400nm~435nmで非常に強い吸光度を示すため、これを着色剤として含む組成物はBxが低いながらも同時に色再現率や色安定性、耐光性などに優れる。
【0129】
例えば、前記化学式5中、前記L4~L7はそれぞれ独立して*-C(=O)O-*であり、前記R14~R17はそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基であってもよい。この場合、前記フタロシアニン系染料との相応性が最も優れて、400nm~450nmの波長領域で低い透過度を有しBxを低く維持しながら同時に優れた耐久性を維持することができる。
【0130】
例えば、前記化学式5で表される染料は、400nm~435nmの波長領域で最大吸光を有することができる。
【0131】
例えば、前記化学式5で表される化合物は下記化学式5-1~化学式5-14のうちのいずれか一つで表すことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
上記化学式5-1または化学式5-14中、
Mは、Cu、Co、VO、Zn、PtまたはInである。
【0139】
例えば、前記化学式5で表される染料は、後述のフタロシアニン系染料より少ない含量で含まれてもよい。例えば、前記化学式5で表される染料および前記フタロシアニン系染料は1:1.1~1:2の重量比で含まれてもよい。前記化学式5で表される染料が前記フタロシアニン系染料より少ない含量で含まれること、具体的に前記重量比で含まれることが(低いBxを維持する中で)耐熱性、耐化学性などの耐久性向上により有利である。
【0140】
前記化学式5で表される染料は、一実施形態による感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~10重量%、例えば5重量%~10重量%で含まれてもよい。
【0141】
一実施形態による感光性樹脂組成物は、前記青色顔料および前記化学式5で表される染料以外に、追加的に下記化学式6で表されるフタロシアニン系染料をさらに含むことができる。
【0142】
【0143】
上記化学式6中、
R17~R32は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルコキシ基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリールオキシ基である。
【0144】
例えば、前記化学式6中、R17~R20のうちの少なくとも一つおよびR25~R28のうちの少なくとも一つはハロゲン原子で置換された炭素数6~20のアリールオキシ基であってもよく、R21~R24のうちの少なくとも一つおよびR29~R32のうちの少なくとも一つは炭素数6~10のアリール基で置換された炭素数6~20のアリールオキシ基であってもよい。具体的に、前記化学式6中、R18およびR19のうちのいずれか一つおよびR26およびR27のうちのいずれか一つはハロゲン原子で置換された炭素数6~20のアリールオキシ基であってもよく、R22およびR23のうちのいずれか一つおよびR30およびR31のうちのいずれか一つは炭素数6~10のアリール基で置換された炭素数6~20のアリールオキシ基であってもよい。前記化学式6で表されるフタロシアニン系染料がこのようである場合、前述の前記化学式5で表される染料との相応性が最も優れて、(低いBxを維持する中で)耐熱性、耐化学性などの耐久性向上を効果的に図ることができる。
【0145】
前記フタロシアニン系染料は、一実施形態による感光性樹脂組成物総量に対して5重量%~20重量%、例えば5重量%~15重量%で含まれてもよい。前記範囲で含まれる場合、400nm~450nmの波長領域で低い透過度を有する高色座標を容易に達成することができる。
【0146】
(E)溶媒
前記溶媒は、前記チオール系化合物、前記シランカップリング剤、前記着色剤、前記バインダー樹脂、前記光重合性化合物、および前記光重合開始剤との相溶性を有するが反応しない物質を使用することができる。
【0147】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類;2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0148】
これらのうち、相溶性および反応性を考慮して、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類を使用することができる。
【0149】
前記溶媒は、前記感光性樹脂組成物総量に対して残部量、例えば、30重量%~70重量%、例えば30重量%~60重量%、例えば40重量%~70重量%で含まれてもよい。前記溶媒が前記範囲内に含まれる場合、前記感光性樹脂組成物が適切な粘度を有することによってカラーフィルタ製造時工程性に優れる 。
【0150】
(H)その他の添加剤
一実施形態による感光性樹脂組成物は、マロン酸;3-アミノ-1,2-プロパンジオール;ビニル基または(メタ)アクリルオキシ基を含むシラン系カップリング剤;レベリング剤;フッ素系界面活性剤;またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0151】
例えば、感光性樹脂組成物は基板との密着性などを改善するために、ビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシラン系カップリング剤をさらに含むことができる。
【0152】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γイソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γグリシドキシプロピルトリメトキシシラン、βエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0153】
前記シラン系カップリング剤は、前記感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部で含まれてもよい。シラン系カップリング剤が前記範囲内に含まれる場合、密着性、保存性などに優れる。
【0154】
また、前記感光性樹脂組成物は必要によってコーティング性向上および欠陥生成防止効果のために、界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0155】
前記フッ素系界面活性剤としては、BM Chemie社のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業株式会社のメガファックF 142D(登録商標)、メガファックF 172(登録商標)、メガファックF 173(登録商標)、メガファックF 183(登録商標)など;住友スリーエム株式会社のフロラードFC-135(登録商標)、フロラードFC-170C(登録商標)、フロラードFC-430(登録商標)、フロラードFC-431(登録商標)など;旭硝子株式会社のサーフロンS-112(登録商標)、サーフロンS-113(登録商標)、サーフロンS-131(登録商標)、サーフロンS-141(登録商標)、サーフロンS-145(登録商標)など;東レシリコン株式会社のSH-28PA(登録商標)、SH-190(登録商標)、SH-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)など;DIC株式会社のF-482、F-484、F-478、F-554などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0156】
前記フッ素系界面活性剤は、前記感光性樹脂組成物100重量部に対して0.001重量部~5重量部で使用することができる。前記フッ素系界面活性剤が前記範囲内に含まれる場合、コーティング均一性が確保され、染みが発生せず、ガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れる。
【0157】
また、前記感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で、酸化防止剤、安定剤などのその他の添加剤が一定量さらに添加されてもよい。
【0158】
他の一実施形態によれば、前記一実施形態による感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0159】
前記感光性樹脂膜内パターン形成工程は次の通りである。
【0160】
前記感光性樹脂組成物を支持基板上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェットプリンティングなどで塗布する工程;前記塗布された感光性樹脂組成物を乾燥して感光性樹脂組成物膜を形成する工程;前記感光性樹脂組成物膜を露光する工程;前記露光された感光性樹脂組成物膜をアルカリ水溶液で現像して感光性樹脂膜を製造する工程;および前記感光性樹脂膜を加熱処理する工程を含む。前記工程上の条件などについては当該分野で広く知られている事項であるので、本明細書で詳しい説明は省略する。
【0161】
また他の一実施形態によれば、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0162】
また他の一実施形態によれば、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0163】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明が下記実施例に限定されるのではない。
【実施例】
【0164】
(実施例)
(感光性樹脂組成物の合成)
実施例1~実施例6および比較例1~比較例13
下記言及された構成成分を下記表1に示す組成で混合して実施例1~実施例6および比較例1~比較例13による感光性樹脂組成物を製造した。
【0165】
具体的に、溶媒に光重合開始剤を溶かした後、2時間常温で攪拌した後、ここにバインダー樹脂および光重合性化合物を添加して2時間常温で攪拌した。その次に、得られた前記反応物に着色剤、チオール系化合物、シランカップリング剤、およびその他の添加剤を入れて2時間常温で攪拌した。その次に前記生成物を3回ろ過して不純物を除去することによって、感光性樹脂組成物を製造した。
【0166】
【0167】
(A)バインダー樹脂
アクリル系バインダー樹脂(SP-RY-25、Showadenko社)
(B)光重合性化合物
ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化薬社)
(C)光重合開始剤
オキシム系開始剤(三養社;SPI03)
(D)着色剤
(A-1)C.I.Pigment Blue15:6分散液(Iridos社;顔料固形分10%)
(A-2)Blue-Hybrid青色顔料分散液(Iridos社;イプシロン青色顔料+キサンテン系violet染料)
(E)溶媒
PGMEA(kyowa社)
(F)チオール系化合物
ペンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PEMP-20P、SC Organic Chemical Co., Ltd.)
(G)シランカップリング剤
(G-1)アミノ系シランカップリング剤(KBM573、Shin-etsu)
【0168】
【0169】
(G-2)非アミノ系シランカップリング剤(S510、CHISSO)
【0170】
【0171】
(G-3)非アミノ系シランカップリング剤(KBM403、Shin-etsu)
【0172】
【0173】
(G-4)非アミノ系シランカップリング剤(KBM503、Shin-etsu)
【0174】
【0175】
(G-5)非アミノ系シランカップリング剤(KBM803、Shin-etsu)
【0176】
【0177】
(H)添加剤
フッ素系界面活性剤(F-554、DIC社)
(評価)
1.パターン特性
脱脂洗浄した厚さ1mmのガラス基板上に1μm~3μmの厚さで前記実施例1~実施例6および比較例1~比較例13で製造した感光性樹脂組成物を250rpm~350rpmの条件で塗布し、90℃のホットプレート上で2分間乾燥させて塗膜を得た。続いて、塗膜に40mJ/cm2の条件で365nmの主波長を有する高圧水銀ランプを使用して全面露光を行った後、現像機で現像液(Daxin社、CD821溶液を希釈して使用)を用いて現像し、240℃の熱風循環式乾燥炉内で20分間乾燥させてパターン形成を完了した。
【0178】
完了されたパターンを光学顕微鏡を通じて500倍zoomしてwide100μmパターンのサイズを測定した。この時、パターンのwide sizeは104~105μm水準をtargetにした。
【0179】
2.Sublimation特性
前記パターン形成後、PCT装備内で120℃湿度100%、1時間処理後、光学顕微鏡を通じて50倍zoomでパターン周辺部異物有無を確認した。
【0180】
(評価結果表示方法)
O:昇華性異物ない
△:昇華性異物パターンが周辺に微弱に示される
X:昇華性異物がパターン周辺に広範囲に示される。
【0181】
3.剥離(peeling)特性
前記パターンが形成された試片を4*4sizeにカッティングした後、3M tapeを付着した後、水が入ったsus trayに投入する。試片が入ったtrayをPCT装置内で115℃湿度100%、30分処理後、水から試片を取り出してテープを除去した後、基板-膜間剥離有無を確認した。
【0182】
(評価結果表示方法)
O:剥離ない
△:一部剥離確認
X:全て剥離確認。
【0183】
4.耐化学性
前記パターンの上にNMP溶液を3~4滴droppingした後、常温で10分間放置する。溶液処理前後LCF装備を用いて色座標および輝度を測定し、色変更数値を基準にしてdel(E*)値を計算して耐化学特性を確認した。
【0184】
【0185】
【0186】
上記表2および
図1~
図3から、一実施形態による感光性樹脂組成物はアミノ系シランカップリング剤を含むことによって高温高湿環境での昇華性異物および剥離問題を解決することができ、前記アミノ系シランカップリング剤使用による問題点であるCD感度減少および耐化学性劣勢問題を前記アミノ系シランカップリング剤の含量を制御しながら同時にチオール系化合物を増幅剤として使用することによってCD感度減少問題を改善し、また前記チオール系化合物の含量制御を通じてパターンエッジ部の均一性(パターン性)も確保することができるのを確認できる。
【0187】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。
【国際調査報告】