(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-17
(54)【発明の名称】ポリオール組成物及び反応性ポリウレタンホットメルト
(51)【国際特許分類】
C08G 18/42 20060101AFI20231010BHJP
C08G 18/40 20060101ALI20231010BHJP
C09J 175/06 20060101ALI20231010BHJP
C09J 175/08 20060101ALI20231010BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20231010BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20231010BHJP
【FI】
C08G18/42 002
C08G18/40 018
C09J175/06
C09J175/08
C09J11/06
C09J7/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519845
(86)(22)【出願日】2021-09-07
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2021074571
(87)【国際公開番号】W WO2022069163
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/119386
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】コー,フイ
(72)【発明者】
【氏名】シー,チョン ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ボケルン,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】クー,ユワン ヤン
【テーマコード(参考)】
4J004
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA14
4J004AB03
4J034BA07
4J034CE01
4J034DF01
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4J034LA08
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4J040EF051
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4J040HD37
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4J040KA31
4J040KA35
4J040KA38
4J040KA42
4J040LA08
(57)【要約】
本開示は、少なくとも1種のポリオールA及び少なくとも1種のポリオールBを含むポリオール組成物に関し、ここで、少なくとも1種のポリオールAが、70~110℃の範囲に位置する第2加熱の示差走査熱量測定(DSC)曲線における吸熱ピークを有し、少なくとも1種のポリオールBが、0~35℃の範囲に位置する第1冷却のDSC曲線における発熱ピーク、及び45~80℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピークを有し、少なくとも1種のポリオールAが少なくとも1種のポリオールBと異なる。また、本開示は反応性ポリウレタンホットメルトにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
70~110℃の範囲に位置する第2加熱の示差走査熱量測定(DSC)曲線における吸熱ピークを有する、少なくとも1種のポリオールA;及び
0~35℃の範囲に位置する第1冷却のDSC曲線における発熱ピーク、及び45~80℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピークを有する、少なくとも1種のポリオールB
を含むポリオール組成物であって、
前記少なくとも1種のポリオールAが前記少なくとも1種のポリオールBと異なり、
DSC曲線がDSCによって得られ、
このDSCにおいて、前記少なくとも1種のポリオールA又は前記少なくとも1種のポリオールBを、10℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱して、第1加熱のDSC曲線を得、
次に、10℃/分の降温速度で150℃から-70℃まで冷却して、第1冷却のDSC曲線を得、
次に、再度10℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱して、第2加熱のDSC曲線を得る、ポリオール組成物。
【請求項2】
前記第2加熱のDSC曲線における前記少なくとも1種のポリオールAの前記吸熱ピークが、80~105℃の範囲に位置する、請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
前記第1冷却のDSC曲線における前記少なくとも1種のポリオールBの前記発熱ピークが、8~33℃の範囲に位置する、請求項1又は2に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
前記第2加熱のDSC曲線における前記少なくとも1種のポリオールBの前記吸熱ピークが、48~73℃の範囲に位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のポリオールAの前記吸熱ピークの面積が、15~100J/g、好ましくは20~80J/gの範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のポリオールBの前記発熱ピークの面積の、前記少なくとも1種のポリオールBの前記吸熱ピークの面積に対する比が、0.35~4.0、好ましくは0.8~1.5の範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のポリオールAがポリエステルポリオールであり、好ましくは、前記少なくとも1種のポリオールAが、6~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジカルボン酸、又はその無水物、又はその低級アルコールとのエステル、8~12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸、又はその無水物、又はその低級アルコールとのエステル、及び6~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジオールから形成されるポリエステルポリオールである、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のポリオールBが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びそれらの混合物から選択され、好ましくは、前記少なくとも1種のポリオールBとしてのポリエステルポリオールが、4~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジカルボン酸、又はその無水物、又はその低級アルコールとのエステル、及び4~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジオールから形成され、前記直鎖脂肪族ジカルボン酸と前記直鎖脂肪族ジオールとが異なる炭素原子数を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種のポリオールBがポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの混合物であり、好ましくは、前記ポリエーテルポリオールが、少なくとも1種のポリテトラヒドロフランである、請求項8に記載のポリオール組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種のポリオールAと前記少なくとも1種のポリオールBとの質量比が、5:1~1:4、好ましくは3:1~1:2の範囲である、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1種のポリオールAの量が、前記ポリオール組成物の総質量に基づいて、15~75質量%、好ましくは25~60質量%の範囲である、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1種のポリオールBの量が、前記ポリオール組成物の総質量に基づいて、10~65質量%、好ましくは15~55質量%の範囲である、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項13】
非晶質ポリオール及び熱可塑性ポリマーから選択される成分(C)をさらに含み、好ましくは、前記非晶質ポリオール及び熱可塑性ポリマーが、少なくとも20℃のガラス転移温度を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項14】
いずれの場合も前記ポリオール組成物の総質量に基づいて、
15~70質量%、好ましくは25~55質量%の少なくとも1種のポリオールA、
10~60質量%、好ましくは15~50質量%の少なくとも1種のポリオールB、及び
5~45質量%、好ましくは10~30質量%の成分(C)
を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載のポリオール組成物、及びイソシアネート成分から形成される、反応性ポリウレタンホットメルト。
【請求項16】
請求項1から14のいずれか一項に記載のポリオール組成物と、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート成分との反応から形成される、請求項15に記載の反応性ポリウレタンホットメルト。
【請求項17】
70~110℃、好ましくは80~100℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピーク1、35~75℃、好ましくは40~60℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピーク2、及び0~25℃、好ましくは5~20℃の範囲に位置する第1冷却のDSC曲線における発熱ピーク1を有する反応性ポリウレタンホットメルトであって、
DSC曲線がDSCによって得られ、
このDSCにおいて、前記反応性ポリウレタンホットメルトを、2℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱して、第1加熱のDSC曲線を得、
次に、2℃/分の降温速度で150℃から-70℃まで冷却して、第1冷却のDSC曲線を得、
次に、再度2℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱して、第2加熱のDSC曲線を得る、反応性ポリウレタンホットメルト。
【請求項18】
請求項1から14のいずれか一項で定義された少なくとも1種のポリオールA、少なくとも1種のポリオールB及び任意に成分(C)、及びイソシアネート成分から形成され、好ましくは請求項1から14のいずれか一項に記載のポリオール組成物及びイソシアネート成分から形成される、請求項17に記載の反応性ポリウレタンホットメルト。
【請求項19】
少なくとも55KPa、好ましくは少なくとも75KPaの70℃でのグリーン強度を有する、請求項15から18のいずれか一項に記載の反応性ポリウレタンホットメルト。
【請求項20】
請求項15から19のいずれか一項に記載の反応性ポリウレタンホットメルトの、接着剤としての使用方法。
【請求項21】
請求項15から19のいずれか一項に記載の反応性ポリウレタンホットメルトから形成される接着剤層を含む物品。
【請求項22】
第1表面と、
前記第1の表面に隣接して配置された第2表面と、
前記第1表面及び第2表面が接着剤層によって接着結合されるように、前記第1表面と第2表面の間に配置された接着剤層と
を含む、請求項21に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のポリオールA及び少なくとも1種のポリオールBを含むポリオール組成物に関し、ここで、少なくとも1種のポリオールAが、70~110℃の範囲に位置する第2加熱の示差走査熱量測定(DSC)曲線における吸熱ピークを有し、少なくとも1種のポリオールBが、0~35℃の範囲に位置する第1冷却のDSC曲線における発熱ピーク、及び45~80℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピークを有し、少なくとも1種のポリオールAが少なくとも1種のポリオールBと異なる。そして、本発明は反応性ポリウレタンホットメルトに関する。
【背景技術】
【0002】
ホットメルト接着剤(又は「HMA」)は一般に、溶媒(単数又は複数)を含有しない、又は必要としない室温で100%固体の材料である。熱を加えると、HMAは溶融して液体/流動体となり、その状態で1つ以上の基材に適用される。冷却すると、HMAは以前の固体状態に戻り、初期の凝集力を得ることができる。溶融状態で適用され、冷却されて固化され、その後、化学的架橋反応によって硬化されるHMAは、ポリウレタンなどの特定の材料を用いて調製されている。
【0003】
接着剤用途の架橋性熱可塑性ポリウレタンは、反応性ポリウレタンホットメルトとも呼ばれる。反応性ポリウレタンホットメルトは、接着剤分野におけるポリウレタンの用途の中で、大きな成長を遂げている製品グループである。
【0004】
反応性ホットメルトは、最初の物理硬化と二次化学架橋の組み合わせによって硬化する。二次化学架橋は、熱、水分、又は熱と水分の両方によって開始することができる。冷却すると、初期の接着(又は「グリーン」)強度が急速に向上し、基材を迅速に貼り付けて次の工程に進むことができるようになりる。最終的な強度は、化学的な架橋が完了した後に到達する。水分によって架橋が開始されるシステムは、水分に曝されると反応する末端イソシアネート基を有する高分子量の「溶融性」ポリウレタンからなる。
【0005】
反応性ホットメルトの分野では、一方では、作業者は操作のための比較的長いオープンタイムが好ましく、他方では、作業者は接着剤適用後の待ち時間を最小限にすることが好ましい。技術的に言えば、作業者は、特に高い操作温度、例えば約70℃で、接着強度の立ち上がりが早く(すなわち、高いグリーン強度(green strength))、それでも十分に長い操作時間を有する接着剤を希望している。
【0006】
先行技術における反応性ホットメルトは、不十分なグリーン強度又は不十分なオープンタイムを有する。したがって、高いグリーン強度と比較的長いオープンタイムを併せ持つ反応性ホットメルトが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の概要
本発明の目的は、得られる反応性ポリウレタンホットメルトが優れたグリーン強度及び
十分な操作時間を有するように、ポリオールの特定の組み合わせを含むポリオール組成物を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、特に本発明のポリオール組成物とイソシアネート成分から形成される反応性ポリウレタンホットメルトを提供することであり、ここで、本発明による反応性ポリウレタンホットメルトが優れたグリーン強度及び十分な操作時間を有する。
【0009】
本発明のさらなる目的は、本発明の反応性ポリウレタンホットメルトの接着剤としての使用方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、本発明の反応性ポリウレタンホットメルトから形成される接着剤層を含む物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚いたことに、以下の実施形態により、上記の目的を達成できることが見出された。
【0012】
1.70~110℃の範囲に位置する第2加熱の示差走査熱量測定(DSC)曲線における吸熱ピークを有する、少なくとも1種のポリオールA;及び
0~35℃の範囲に位置する第1冷却のDSC曲線における発熱ピーク、及び45~80℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピークを有する、少なくとも1種のポリオールB
を含むポリオール組成物であって、
少なくとも1種のポリオールAが少なくとも1種のポリオールBと異なり、
DSC曲線がDSCによって得られ、
このDSCにおいて、少なくとも1種のポリオールA又は少なくとも1種のポリオールBを、10℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱して、第1加熱のDSC曲線を得、
次に、10℃/分の降温速度で150℃から-70℃まで冷却して、第1冷却のDSC曲線を得、
次に、再度10℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱して、第2加熱のDSC曲線を得る、ポリオール組成物。
【0013】
2.第2加熱のDSC曲線における少なくとも1種のポリオールAの吸熱ピークが、80~105℃の範囲に位置する、項目1に記載のポリオール組成物。
【0014】
3.第1冷却のDSC曲線における少なくとも1種のポリオールBの発熱ピークが、8~33℃の範囲に位置する、項目1又は2に記載のポリオール組成物。
【0015】
4.第2加熱のDSC曲線における少なくとも1種のポリオールBの吸熱ピークが、48~73℃の範囲に位置する、項目1から3のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【0016】
5.少なくとも1種のポリオールAの前記吸熱ピークの面積が、15~100J/g、好ましくは20~80J/gの範囲である、項目1から4のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【0017】
6.少なくとも1種のポリオールBの前記発熱ピークの面積の、少なくとも1種のポリオールBの前記吸熱ピークの面積に対する比が、0.35~4.0、好ましくは0.8~1.5の範囲である、項目1から5のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【0018】
7.少なくとも1種のポリオールAがポリエステルポリオールであり、好ましくは、少なくとも1種のポリオールAが、6~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジカルボン酸又はその無水物又は低級アルコールとのそのエステル、8~12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸又はその無水物又は低級アルコールとのそのエステル、及び6~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジオールから形成されるポリエステルポリオールである、項目1から6のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【0019】
8.少なくとも1種のポリオールBが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びそれらの混合物から選択され、好ましくは、少なくとも1種のポリオールBとしてのポリエステルポリオールが、4~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジカルボン酸又はその無水物又は低級アルコールとのそのエステル、及び4~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジオールから形成され、該直鎖脂肪族ジカルボン酸及び該直鎖脂肪族ジオールが異なる炭素原子数を有する、項目1から7のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【0020】
9.少なくとも1種のポリオールBがポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの混合物であり、好ましくは、ポリエーテルポリオールが、少なくとも1種のポリテトラヒドロフランである、項目8に記載のポリオール組成物。
【0021】
10.少なくとも1種のポリオールAと少なくとも1種のポリオールBとの質量比が、5:1~1:4、好ましくは3:1~1:2の範囲である、項目1から9のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【0022】
11.少なくとも1種のポリオールAの量が、ポリオール組成物の総質量に基づいて、15~75質量%、好ましくは25~60質量%の範囲である、項目1から10のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【0023】
12.少なくとも1種のポリオールBの量が、ポリオール組成物の総質量に基づいて、10~65質量%、好ましくは15~55質量%の範囲である、項目1から11のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【0024】
13.非晶質ポリオール及び熱可塑性ポリマーから選択される成分(C)をさらに含み、好ましくは、該非晶質ポリオール及び熱可塑性ポリマーが、少なくとも20℃のガラス転移温度を有する、項目1から12のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【0025】
14.いずれの場合もポリオール組成物の総質量に基づいて、
15~70質量%、好ましくは25~55質量%の少なくとも1種のポリオールA、
10~60質量%、好ましくは15~50質量%の少なくとも1種のポリオールB、及び
5~45質量%、好ましくは10~30質量%の成分(C)
を含む、項目1から12のいずれか一項に記載のポリオール組成物。
【0026】
15.項目1から14のいずれか一項に記載のポリオール組成物、及びイソシアネート成分から形成される、反応性ポリウレタンホットメルト。
【0027】
16.項目1から14のいずれか一項に記載のポリオール組成物と、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート成分との反応から形成される、項目15に記載の反応性ポリウレタンホットメルト。
【0028】
17.70~110℃、好ましくは80~100℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピーク1、35~75℃、好ましくは40~60℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピーク2、及び0~25℃、好ましくは5~20℃の範囲に位置する第1冷却のDSC曲線における発熱ピーク1を有する反応性ポリウレタンホットメルトであって、
DSC曲線がDSCによって得られ、
このDSCにおいて、反応性ポリウレタンホットメルトを、2℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱し、
次に、2℃/分の降温速度で150℃から-70℃まで冷却して、第1冷却のDSC曲線を得、
次に、再度2℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱して、第2加熱のDSC曲線を得る、反応性ポリウレタンホットメルト。
【0029】
18.項目1から14のいずれか一項で定義された少なくとも1種のポリオールA、少なくとも1種のポリオールB及び任意に成分(C)、及びイソシアネート成分から形成され、好ましくは項目1から14のいずれか一項に記載のポリオール組成物及びイソシアネート成分から形成される、項目17に記載の反応性ポリウレタンホットメルト。
【0030】
19.少なくとも55KPa、好ましくは少なくとも75KPaの70℃でのグリーン強度を有する、項目15から18のいずれか一項に記載の反応性ポリウレタンホットメルト。
【0031】
20.項目15から19のいずれか一項に記載の反応性ポリウレタンホットメルトの、接着剤としての使用方法。
【0032】
21.項目15から19のいずれか一項に記載の反応性ポリウレタンホットメルトから形成される接着剤層を含む物品。
【0033】
22.第1表面と、
前記第1の表面に隣接して配置された第2表面と、
前記第1表面及び第2表面が接着剤層によって接着結合されるように、前記第1表面と第2表面の間に配置された接着剤層と
を含む、項目21に記載の物品。
【0034】
本発明によるポリオール組成物は、ポリオールAとBの特定の組み合わせを含み、得られた反応性ホットメルトは優れたグリーン強度、特に高温での優れたグリーン強度を有し、該反応性ホットメルトは依然として長いオープンタイムを有するので、作業者が十分な操作時間を有すると同時に、ホットメルトも適したセット時間を有する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、AA-co-TPA-co-HDOのDSC曲線を示す。
【
図2】
図2は、AA-co-BDOのDSC曲線を示す。
【
図3】
図3は、5質量部のDDA-co-HDOと22.5質量部のPTHF 2000との混合物(実施例7で使用されるポリオールB)のDSC曲線を示す。
【
図4】
図4は、17.5質量部のDDA-co-HDOと10質量部のPTHF 2000との混合物(実施例4で使用されるポリオールB)のDSC曲線を示す。
【
図5】
図5は、10質量部のDDA-co-HDOと17.5質量部のPTHF 2000との混合物(実施例5で使用されるポリオールB)のDSC曲線を示す。
【
図6】
図6は、10質量部のDDA-co-HDOと17.5質量部のPTHF 1000との混合物(実施例6で使用されるポリオールB)のDSC曲線を示す。
【
図7】
図7は、7質量部のDDA-co-HDOと20.5質量部のPTHF 2000との混合物(実施例8で使用されるポリオールB)のDSC曲線を示す。
【
図8】
図8は、AA-co-HDOのDSC曲線を示す。
【
図9】
図9は、Dynacoll 7150のDSC曲線を示す。
【
図10】
図10は、Hoopol F-39030のDSC曲線を示す。
【
図11】
図11は、実施例1で調製した反応性ポリウレタンホットメルトのDSC曲線を示す。
【
図12】
図12は、実施例2で調製した反応性ポリウレタンホットメルトのDSC曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施形態
未定義の冠詞「a」、「an」、「the」は、前記冠詞に続く用語によって指定される種の1つ以上を意味しする。
【0037】
本開示の文脈において、特徴について言及された任意の特定の値(範囲における端点として言及された特定の値を含む)を再結合して、新しい範囲を形成することができる。
【0038】
本発明の1つの形態は、70~110℃の範囲に位置する第2加熱の示差走査熱量測定(DSC)曲線における吸熱ピークを有する、少なくとも1種のポリオールA;及び
0~35℃の範囲に位置する第1冷却のDSC曲線における発熱ピーク、及び45~80℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピークを有する、少なくとも1種のポリオールB
を含むポリオール組成物に関し、
ここで、少なくとも1種のポリオールAが少なくとも1種のポリオールBと異なり、
DSC曲線が示差走査熱量測定によって得られ、
この示差走査熱量測定において、少なくとも1種のポリオールA又は少なくとも1種のポリオールBを、10℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱して、第1加熱のDSC曲線を得、
次に、10℃/分の降温速度で150℃から-70℃まで冷却して、第1冷却のDSC曲線を得、
次に、再度10℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱して、第2加熱のDSC曲線を得る。
【0039】
本発明によれば、DSCは、ISO 11357-1:2016 Plasticsに従って行うことができる。
【0040】
本発明によれば、少なくとも1種のポリオールAは、70~110℃、例えば72~108℃、74~106℃、76~104℃、78~102℃、80~100℃、又は82~100℃、好ましくは80~105℃の範囲に位置する第2加熱の示差走査熱量測定(DSC)曲線における吸熱ピークを有する。
【0041】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のポリオールAの上記吸熱ピークは、広い吸熱ピークであり、例えば吸熱ピークの幅は、18~45℃、例えば20~42℃、22~40℃、25~38℃、又は28~36℃、好ましくは25~40℃の範囲にあり得る。吸熱ピークの幅は、ベースラインと吸熱ピークの低温側の変曲点における曲線の接線との交点に対応する温度である外挿開始温度と、ベースラインと吸熱ピークの高温側の変曲点における曲線の接線との交点に対応する温度である外挿開始温度との差に対応し、ベースラインは、吸熱ピークの高温側に位置するDSC曲線の部分を近似することによって得られる直線である。
【0042】
好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のポリオールAの前記吸熱ピークの面積は、15~100J/gの範囲、例えば20J/g、25J/g、30J/g、35J/g、40J/g、45J/g、50J/g、55J/g、60J/g、65J/g、70J/g、75J/g、80J/g、85J/g、90J/g又は95J/g、好ましくは20~80J/gの範囲であり得る。
【0043】
本開示の文脈において、吸熱ピーク又は発熱ピークの面積は、ISO 11357-1:2016 Plasticsによってテストすることができる。
【0044】
本発明によれば、少なくとも1種のポリオールAはまた、50~80℃、例えば55~75℃、又は60~70℃の範囲、好ましくは58~68℃の範囲に位置する第1冷却のDSC曲線における発熱ピークを有することができる。
【0045】
本発明によれば、ポリオール組成物は、少なくとも1種のポリオールBを含み、少なくとも1種のポリオールBは、0~35℃、例えば2~34℃、5~33℃、8~33℃、10~32℃、11~32℃、又は20~32℃の範囲、好ましくは8~33℃の範囲に位置する第1冷却のDSC曲線における発熱ピークを有する。
【0046】
本発明によれば、少なくとも1種のポリオールBは、45~80℃、例えば47~78℃、50~75℃、50~72℃、又は50~70℃の範囲、好ましくは48~73℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピークを有する。
【0047】
好ましい実施形態において、少なくとも1種のポリオールBの前記発熱ピークの面積と少なくとも1種のポリオールBの前記吸熱ピークの面積との比は、0.35~4.0、例えば0.38、0.4、0.42、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.2、1.5、1.8、2、2.5、3又は3.5、好ましくは0.8から1.5の範囲である。
【0048】
少なくとも1種のポリオールBの前記吸熱ピークの面積は、15~90J/gの範囲、例えば16J/g、18J/g、20J/g、25J/g、30J/g、35J/g、40J/g、45J/g、50J/g、55J/g、60J/g、65J/g、70J/g、75J/g、80J/g、又は85J/g、好ましくは16~80J/gの範囲、例えば35~80J/gの範囲であり得る。
【0049】
少なくとも1種のポリオールBの前記発熱ピークの面積は、15~90J/gの範囲、例えば16J/g、18J/g、20J/g、25J/g、30J/g、35J/g、40J/g、45J/g、50J/g、55J/g、60J/g、65J/g、70J/g、75J/g、80J/g、又は85J/g、好ましくは16~80J/gの範囲、例えば30~80J/gまでの範囲であり得る。
【0050】
一実施形態において、2種以上のポリオールを含む混合物がポリオールBとして使用される。このシナリオでは、混合物は完全に均質化され、例えば混合物は、DSC試験を実施する前に攪拌下で加熱して溶融される。
【0051】
一実施形態によれば、少なくとも1種のポリオールAはポリエステルポリオールである。好ましくは、少なくとも1種のポリオールAは、6~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジカルボン酸又はその無水物又は低級アルコール(例えばメタノール)とのそのエステル、8~12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸又はその無水物又は低級アルコール(例えばメタノール)とのそのエステル、及び6~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジオールから形成されるポリエステルポリオールである。直鎖脂肪族ジカルボン酸及びその無水物又はエステルと、芳香族ジカルボン酸及びその無水物又はエステルとモル比は、5:1~1:5、例えば4:1、3:1、2:1、1:2、1:3、1:4、好ましくは3:1~1:3の範囲であり得る。
【0052】
ポリオールAを形成するための直鎖脂肪族ジカルボン酸は、6~16個の炭素原子、好ましくは6~14個の炭素原子、例えば6、7、8、9、10、11、12又は14個の炭素原子、好ましくは6~12個の炭素原子を有することができる。直鎖脂肪族ジカルボン酸の具体例には、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸又はドデカン二酸、好ましくはアジピン酸を含むことができる。また、これらの酸の無水物又は低級アルコール(例えばメタノール)とのエステルも好適である。
【0053】
ポリオールAを形成するための芳香族ジカルボン酸は、8~12個の炭素原子、例えば8、10、12個の炭素原子を有することができる。芳香族ジカルボン酸の具体例には、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸を含むことができる。また、これらの酸の無水物又は低級アルコール(例えばメタノール)とのエステルも好適である。
【0054】
ポリオールAを形成するための直鎖脂肪族ジオールは、6~16個の炭素原子、例えば6、7、8、9、10、12又は14個の炭素原子、好ましくは6~12個の炭素原子を有することができる。直鎖脂肪族ジオールの具体例には、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、好ましくは1,6-ヘキサンジオールを含むことができる。
【0055】
好ましい実施形態によれば、ポリオールAを形成するための直鎖脂肪族ジカルボン酸及び直鎖脂肪族ジオールは、同じ数の炭素原子を有することができる。
【0056】
ポリオールAの質量平均分子量(Mw)は、1000~6000g/mol、好ましくは1500~5000g/molの範囲、例えば2000g/mol、2500g/mol、3000g/mol、3500g/mol、4000g/mol又は4500g/molであることができる。ポリオールAは、15~80mg KOH/g、例えば25mg KOH/g、30mg KOH/g、35mg KOH/g、40mg KOH/g、45mg KOH/g、50mg KOH/g、55mg KOH/g、60mg KOH/g、65mg KOH/g、70mg KOH/g又は75mg KOH/g、好ましくは20~50mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有することができる。
【0057】
少なくとも1種のポリオールAの量は、ポリオール組成物の総質量に基づいて、15~75質量%、例えば20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%、55質量%、60質量%、65質量%、70質量%、好ましくは25~60質量%の範囲であり得る。
【0058】
本発明によれば、ポリオール組成物中の少なくとも1種のポリオールBは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール及びそれらの混合物から選択することができる。
【0059】
一実施形態において、少なくとも1種のポリオールBはポリエステルポリオールである。少なくとも1種のポリオールBとしてのポリエステルポリオールは、4~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジカルボン酸又はその無水物又は低級アルコール(例えばメタノール)とのそのエステル、及び4~16個の炭素原子を有する直鎖脂肪族ジオールから形成され、該直鎖脂肪族ジカルボン酸及び該直鎖脂肪族ジオールが異なる炭素原子数を有する。
【0060】
直鎖脂肪族ジカルボン酸は、4~16個の炭素原子、例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16個の炭素原子、好ましくは4~12個の炭素原子を有することができる。これらの酸の具体例には、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸又はドデカン二酸、好ましくはアジピン酸及びドデカン二酸を含むことができる。また、これらの酸の無水物又は低級アルコール(例えばメタノール)とのエステルも好適である。
【0061】
直鎖脂肪族ジオールは、4~16個の炭素原子、例えば4、5、6、7、8、9、10、11、12又は14個の炭素原子、好ましくは4~12個の炭素原子を有することができる。直鎖脂肪族ジオールの具体例には、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオル、1,12-ドデカンジオール、好ましくは1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールを含むことができる。
【0062】
少なくとも1種のポリオールBとして使用されるポリエーテルポリオールは、例えば、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール及びポリテトラヒドロフランを含むことができる。
【0063】
一実施形態において、少なくとも1種のポリオールBは、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオール(例えばポリテトラヒドロフラン)との混合物を含む。混合物中のポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールの質量比は、10:1~1:10、例えば、8:1、5:1、3:1、1:1、1:3、1:5、1:8、好ましくは5:1~1:5の範囲であり得る。
【0064】
ポリオールBの質量平均分子量(Mw)は、800~6000g/mol、好ましくは1000~5000g/mol又は1500~5000g/molの範囲、例えば1000g/mol、2000g/mol、2500g/mol、3000g/mol、3500g/mol、4000g/mol又は4500g/molであることができる。ポリオールBは、15~95mg KOH/g、25mg KOH/g、30mg KOH/g、35mg KOH/g、40mg KOH/g、45mg KOH/g、50mg KOH/g、55mg KOH/g、60mg KOH/g、65mg KOH/g、70mg KOH/g又は75mg KOH/g又は80mg KOH/g又は85mg KOH/g又は90mg KOH/g、好ましくは20~85mg KOH/gの範囲のヒドロキシル価を有することができる。
【0065】
少なくとも1種のポリオールBの量は、ポリオール組成物の総質量に基づいて、10~65質量%の範囲、例えば15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%又は質量%、60質量%、好ましくは15~55質量%の範囲であり得る。
【0066】
本発明によれば、少なくとも1種のポリオールAと少なくとも1種のポリオールBとの質量比は、5:1~1:4の範囲、例えば4:1、3:1、2:1、1:1、1:2又は1:3、好ましくは3:1~1:2の範囲であり得る。
【0067】
本発明の実施形態によれば、ポリオール組成物は、非晶質ポリオール及び熱可塑性ポリマーから選択される成分(C)をさらに含む。好ましい実施形態において、非晶質ポリオール及び熱可塑性ポリマーは、少なくとも20℃、例えば少なくとも25℃、少なくとも30℃又は少なくとも40℃のガラス転移温度を有する。通常、非晶質ポリオール及び熱可塑性ポリマーのガラス転移温度は90℃を超えない。本開示の文脈において、ガラス転移温度はISO 11357-1:2016 Plasticsに従って10℃/分の昇温速度でテストする。
【0068】
成分(C)としての好適な非晶質ポリオールには、非晶質ポリエステルポリオール、非晶質ポリエーテルポリオール及びこれらの混合物が含まれる。
【0069】
非晶質ポリエステルポリオールは、少なくとも1種のジカルボン酸と少なくとも1種のジオールから形成することができる。
【0070】
ジカルボン酸には、芳香族ジカルボン酸、特にテレフタル酸及びイソフタル酸、及び3~10個、好ましくは4~8個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、又はその無水物又はその低級アルコール(例えばメタノール)とのエステルが含まれる。
【0071】
好ましい実施形態において、非晶質ポリオールの形成にテレフタル酸とイソフタル酸の混合物が使用される。
【0072】
非晶質ポリオールを形成するためのジオールの例には、2~16個の炭素原子、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12又は14個の炭素原子、好ましくは2~12個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、6~10個の炭素原子を有する脂環式ジオール、又はジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、及びポリブチレングリコール、又はこれらのジオールとヒドロキシルを有する酸とのエステル(例えば3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパノエート)。2~16個の炭素原子を有する脂肪族ジオールの具体例には、例えばエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,4-ブチレンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオル、メチルペンタンジオールが含まれる。脂環式ジオールの具体例には、例えばビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、例えば1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンが含まれる。
【0073】
2~16個の炭素原子を有する脂肪族ジオールの2種以上を含む混合物、又は2~16個の炭素原子を有する1種の脂肪族ジオール(特にエチレングリコール)及び当該脂肪族ジオールのヒドロキシルを有する酸とのエステルを含む混合物、又はジエチレングリコール及び2~16個の炭素原子を有する脂肪族ジオールを含む混合物を使用することが好ましい。
【0074】
非晶質ポリエーテルポリオールの例には、例えばテトラヒドロフラン(THF)と3-メチル-THFのコポリマー、ポリプロピレングリコール(PPG)、又はプロピレングリコールとポリエチレングリコールのコポリマーが含まれる。
【0075】
成分(C)としての非晶質ポリオールの質量平均分子量(Mw)は、1000~6000g/mol、好ましくは1000~5000g/mol又は1500~5000g/molの範囲、例えば1000g/mol、2000g/mol、2500g/mol、3000g/mol、3500g/mol、4000g/mol又は4500g/molであることができる。非晶質ポリオールは、15~80mg KOH/g、好ましくは20~60mg KOH/gの範囲、例えば25mg KOH/g、30mg KOH/g、35mg KOH/g、40mg KOH/g、45mg KOH/g、50mg KOH/g又は55mg KOH/gのヒドロキシル価を有することができる。
【0076】
成分(C)としての熱可塑性ポリマーには、例えば、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリオレフィが含まれる。
【0077】
熱可塑性ポリエステルは、脂肪族ポリエステル及び芳香族ポリエステルを含むことができる。脂肪族ポリエステルは、ポリブチレンサクシネート、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸及びポリ乳酸からなる群から選択することができる。芳香族ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、又はポリメチレンアジペート/テレフタレートを含むことができる。ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリブチレンを挙げることができる。
【0078】
成分(C)の量は、ポリオール組成物の総質量に基づいて、5~45質量%の範囲、例えば10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、好ましくは10~30質量%の範囲であることができる。
【0079】
通常、ポリオールA、ポリオールB、及び成分(C)として使用される非晶質ポリオールは、官能価が2である。
【0080】
好ましい実施形態において、本発明のポリオール組成物は、いずれの場合もポリオール組成物の総質量に基づいて、
15~70質量%、好ましくは25~55質量%の少なくとも1種のポリオールA、
10~60質量%、好ましくは15~50質量%の少なくとも1種のポリオールB、及び
5~45質量%、好ましくは10~30質量%の成分(C)
を含む。
【0081】
本発明の一態様は、本発明のポリオール組成物、及びイソシアネート成分から形成される反応性ポリウレタンホットメルトに関する。
【0082】
反応性ポリウレタンホットメルトは、本発明のポリオール組成物と、少なくとも1種のポリイソシアネートを含むイソシアネート成分との反応から形成することができる。
【0083】
本発明の文脈において好ましいポリイソシアネートは、ジイソシアネート、特に脂肪族、芳香族及び脂環式ジイソシアネートである。
【0084】
芳香族ジイソシアネートの例としては、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、MDI、例えば4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、及びいわゆるTDI混合物(2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリレンジイソシアネートの混合物)が挙げられる。
【0085】
脂肪族ジイソシアネートの例としては、1,4-ブチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネート、2-ブチル-2-エチルペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及び特にヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)が挙げられる。
【0086】
脂環式ジイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、2-イソシアナトプロピルシクロヘキシルイソシアネート、2,4’-メチレンビス(シクロヘキシル)ジイソシアネート、及び4-メチルシクロヘキサン1,3-ジイソシアネート(H-TDI)が挙げられる。
【0087】
反応性の異なる基を有するイソシアネートのさらなる例として、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、トルジンジイソシアネート、及び2,6-トリレンジイソシアネートが挙げられる。
【0088】
本発明によれば、好ましいポリイソシアネートは、芳香族ジイソシアネート、特にMDI、特に4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)である。
【0089】
反応性ポリウレタンホットメルトを調製する方法に関して、その方法は、イソシアネート成分及び本発明のポリオール組成物を提供する工程を含むことができる。各々成分は、様々な方法で提供される。成分は、任意の順序で組み合わせることができる。
【0090】
一実施形態において、この方法は、組み合わせる工程の前に、本発明のポリオール組成物及び/又はイソシアネート成分を溶融するまで加熱する工程をさらに含む。これは、成分が固体(又は半固体)形態である場合に特に有用である。
【0091】
好ましい一実施形態では、ポリオール成分を加熱して全てのポリオールを溶融させることができる。次いで、イソシアネート成分を添加して反応を行う。反応温度は、100~140℃、好ましくは110~130℃の範囲であることができる。
【0092】
一実施形態において、反応性ポリウレタンホットメルトの形成中の早期湿気硬化を防止するために、不活性雰囲気、例えば窒素及び/又はアルゴンブランケットが反応器内に確立される。同様のブランケットは、反応性ポリウレタンホットメルトの保管及び/又は出荷、例えばドラム缶で輸送/保管されている間にも使用することができる。
【0093】
反応性ポリウレタンホットメルトは、反応性ポリウレタンホットメルトの総質量に基づいて、典型的に約1~約5質量%、例えば約1.2質量%、1.4質量%、1.6質量%、1.8質量%、1.85質量%、1.9質量%、1.95質量%、2質量%、2.05質量%、2.1質量%、2.2質量%、2.3質量%、2.5質量%、2.8質量%、3質量%、3.5質量%、4質量%、4.5質量%、好ましくは約1.5~約2.5質量%の範囲のNCO基含有量を有する。NCO基含有量は、当技術分野で理解されるように、適用後のホットメルトの最終的な湿気硬化のために有用である。
【0094】
本発明の反応性ポリウレタンホットメルトは、高いグリーン強度、特に70℃で、例えば少なくとも55KPa、好ましくは少なくとも75KPa、例えば少なくとも80KPa、少なくとも100KPa、少なくとも120KPa、少なくとも140KPa、少なくとも150KPa、少なくとも180KPa、又は少なくとも200KPaの高いグリーン強度を有する。グリーン強度をテストするためのサンプルは、DIN EN 1465(接着剤-接着されたアセンブリの引張ラップせん断強度の決定)に従って調製することができる。
【0095】
実施形態において、70~110℃、好ましくは80~100℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピーク1、35~75℃、好ましくは40~60℃の範囲に位置する第2加熱のDSC曲線における吸熱ピーク2、及び0~25℃、好ましくは5~20℃の範囲に位置する第1冷却のDSC曲線における発熱ピーク1を有する反応性ポリウレタンホットメルトが提供され、ここで、
DSC曲線がDSCによって得られ、
このDSCにおいて、反応性ポリウレタンホットメルトを、2℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱し第1加熱のDSC曲線を得、
次に、2℃/分の降温速度で150℃から-70℃まで冷却して、第1冷却のDSC曲線を得、
次に、再度2℃/分の昇温速度で-70℃から150℃まで加熱して、第2加熱のDSC曲線を得る。
【0096】
一実施形態において、前記吸熱ピーク2の面積は、10~60J/gの範囲、例えば15J/g、20J/g、25J/g、30J/g、40J/g、50J/g、又は55J/g、好ましくは15~50J/gの範囲である。
【0097】
一実施形態において、前記発熱ピーク1の面積は、8~60J/gの範囲、例えば10J/g、15J/g、20J/g、25J/g、30J/g、40J/g、50J/g、又は55J/g、好ましくは10~50J/gの範囲である。
【0098】
前記発熱ピーク1の面積の前記吸熱ピーク2の面積に対する比は、0.1~4.0の範囲、例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.5、1.8、2、2.5、3、3.5又は4、好ましくは0.2~2の範囲であることができる。
【0099】
ここでは、ISO 11357-1:2016 Plasticsに従ってDSCを行うこともできる。
【0100】
この反応性ポリウレタンホットメルトは、少なくとも1種のポリオールA、少なくとも1種のポリオールB、及び任意に本開示の文脈で記載される成分(C)及びイソシアネート成分から形成することができ、好ましくは本発明のポリオール組成物及びイソシアネート成分から形成する。
【0101】
本発明のさらなる態様は、本発明の反応性ポリウレタンホットメルトの接着剤としての使用方法に関するものである。
【0102】
反応性ポリウレタンホットメルトは、上記のように直接使用することができるが、所望により、ホットメルトは、従来の添加剤、例えば粘着付与剤、安定剤、充填剤、流動制御剤、増粘剤、湿潤剤、消泡剤、架橋剤、可塑剤、老化防止剤、殺菌剤、顔料、染料、艶消し剤、及び中和剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、メルカプト/シラン接着促進剤、触媒などと配合してもよい。本開示は、添加剤の特定の種類又は量に限定されない。
【0103】
粘着付与剤は当業者にはそれ自体既知である。これらは、接着剤又はエラストマーの添加剤であり、これらのシステムの自動接着性(タック、固有粘着性、自己接着性)を向上させる。それらは一般に、比較的低いモル質量(Mn、約200~2000g/mol)、エラストマーのそれよりも高いガラス転移温度を有する。粘着付与剤の量は、100質量部のポリウレタンに対して、好ましくは5~100質量部、より好ましくは10~50質量部である。好適な粘着付与剤としては、例えば、ロジンなどの天然樹脂をベースとするものが挙げられる。天然樹脂をベースとする粘着付与剤には、天然樹脂そのもの、及び例えば不均化又は異性化、重合、二量化又は水素化によって形成されるそれらの誘導体も含まれる。これらは、それらの塩の形態(例えば、一価又は多価の対イオン(カチオン)を有する)で、又は好ましくは、エステル化した形態で存在してもよい。エステル化に使用されるアルコールは、一価又は多価のものであってよい。例としては、メタノール、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,3-プロパントリオール、及びペンタエリスリトールが挙げられる。また、さらに見出された有用な粘着付与剤は、フェノール樹脂、炭化水素樹脂、例えばクマロン-インデン樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンオリゴマー、不飽和CH化合物をベースとする炭化水素樹脂、例えばブタジエン、ペンテン、メチルブテン、イソプレン、ピペリレン、ジビニルメタン、ペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘキサジエン、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエンである。また、粘着付与剤としてますます使用されているものは、低モル質量のポリアクリレートである。これらのポリアクリレートは、好ましくは、30,000未満の質量平均分子量(Mw)を有する。ポリアクリレートは、好ましくは10~30%、より特に15~25%の程度のC1~C8アルキル(メタ)アクリレートで構成される。好ましい粘着付与剤は、天然又は化学的に修飾されたロジンである。ロジンは、アビエチン酸又はその誘導体を主成分とするものである。
【0104】
表面湿潤を改善するために、ホットメルトは湿潤補助剤を含んでいてもよく、例としては脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、スルホコハク酸エステル、ノニル-フェノールエトキシレート、ポリオキシエチレン/プロピレン、又はドデシルスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0105】
好適な安定剤は、例えば、湿潤剤、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びそれらの混合物を包含する群から選択される。
【0106】
本発明の反応性ポリウレタンホットメルトは、当技術分野で理解されている様々な手段、例えば押出、圧延、注入、スプレー、ブラッシング、塗り付け、塗抹、浸漬、シーティングなどによって適用することができる。適用後、ホットメルトは冷却しながら(すなわち再固化しながら)グリーン強度を発現し、その後、ホットメルトは残留NCO含有量に基づいて経時的に湿気硬化し、それにより内部架橋を形成し、ホットメルトを経時的に最終硬化状態に設定する。
【0107】
本発明による反応性ポリウレタンホットメルトは、多種多様な異なる材料、例えば金属、織物、木材、セラミック又はプラスチックの接着に適している。本発明の反応性ポリウレタンホットメルトは、特に、自動車産業における成形体、家具、例えばドア、又は消費財、スポーツ用品又は履物、例えば履物底の接着又は固定に使用することができる。
【0108】
本発明のさらなる態様は、本発明による反応性ホットメルトから形成された接着剤層を含む物品に関する。
【0109】
一実施形態において、この物品は、
第1表面と、
前記第1の表面に隣接して配置された第2表面と、
前記第1表面及び第2表面が接着剤層によって接着結合されるように、前記第1表面と第2表面の間に配置された接着剤層と
を含む。
【0110】
具体的には、接着剤層は、反応性ポリウレタンホットメルトと水との反応生成物を含む。ホットメルトを適用する前に、表面は、きれいでも汚れていてもよく(例えば、油状)、様々な材料を含むことができる。第1及び第2表面のそれぞれは、個々に、金属、木材(すなわち、リグノセルロース材料)、プラスチック、複合材料、又はそれらの組み合わせを含むことができる。反応性ポリウレタンホットメルトは、表面の一方又は両方に適用することができる。物品は、木材ベースのパネル、家具(ドアなど)又は家具の構成要素、すなわち家具の構成要素を含むことができ、又は自動車の内装部品を含むことができる。
【実施例】
【0111】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これらは本発明を説明するために記載されたものであり、それを限定するものとして解釈されるものではない。特に明記しない限り、全ての部及びパーセンテージは質量によるものである。
【0112】
A)材料と略語
Tm:DSCによって決定した、融解温度、
Tg:DSCによって決定した、ガラス転移温度、
TPA:テレフタル酸、
IPA:イソフタル酸、
EG:エチレングリコール、
Fn:官能価、
OHv:OH値、
DEG:ジエチレングリコール、
NPG:ネオペンチルグリコール、
AA:アジピン酸、
BDO:1,4-ブタンジオール、
HDO:1,6-ヘキサンジオール、
HDHP:3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパノエート、
NCOv:NCO値、
DDA:ドデカン二酸。
【0113】
AA-co-TPA-co-HDO:モル比1:1.6:2.6のアジピン酸、テレフタル酸及びヘキサンジオールのコポリマー;活性量:100%;官能価:2;ヒドロキシル価:27~34mg KOH/g;分子量(Mw):3750g/mol;そのDSC曲線を
図1に示す。
【0114】
AA-co-BDO:モル比1:1のアジピン酸と1,4-ブタンジオールのコポリマー;活性量:100%;官能価:2;ヒドロキシル価:28±1.5mg KOH/g;分子量(Mw):4000g/mol;そのDSC曲線を
図2に示す。
【0115】
DDA-co-HDO:モル比約1:1のDDAとHDOのコポリマー;官能価:2;ヒドロキシル価:27~34mg KOH/g;分子量(Mw):3500g/mol。
【0116】
PTHF 1000:テトラヒドロフランのホモポリマー、官能価:2;ヒドロキシル価:約112mg KOH/g;分子量(Mw):1000g/mol;そのDSC曲線を
図13に示す。
【0117】
PTHF 2000:テトラヒドロフランのホモポリマー、官能価:2;ヒドロキシル価:約56mg KOH/g;分子量(Mw):2000g/mol;そのDDSC曲線を
図14に示す。
【0118】
5質量部のDDA-co-HDOと22.5質量部のPTHF 2000との混合物;官能価:2;ヒドロキシル価:51mg KOH/g;そのDSC曲線を
図3に示す(実施例7で使用されるポリオールB)。
【0119】
17.5質量部のDDA-co-HDOと10質量部のPTHF 2000との混合物;官能価:2;ヒドロキシル価:44mg KOH/g;そのDSC曲線を
図4に示す(実施例4で使用されるポリオールB)。
【0120】
10質量部のDDA-co-HDOと17.5質量部のPTHF 2000との混合物;官能価:2;ヒドロキシル価:46mg KOH/g;そのDSC曲線を
図5に示す(実施例5で使用されるポリオールB)。
【0121】
10質量部のDDA-co-HDOと17.5質量部のPTHF 1000との混合物;官能価:2;ヒドロキシル価:83mg KOH/g;そのDSC曲線を
図6に示す(実施例6で使用されるポリオールB)。
【0122】
7質量部のDDA-co-HDOと20.5質量部のPTHF 2000との混合物;官能価:2;ヒドロキシル価:50mg KOH/g;そのDSC曲線を
図7に示す(実施例8で使用されるポリオールB)。
【0123】
Dynacoll 7150:1,3-ベンゼンジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、及び2,2’-オキシビス[エタノール]のコポリマー;活性量:100%;官能価:2;ヒドロキシル価:38~46mg KOH/g;分子量(Mw):2600g/mol;製造元:Evonik Industries AG;そのDSC曲線を
図9に示す。Dynacoll 7150のTgは48.2℃である。
【0124】
Hoopol F-39030:テレフタル酸、イソフタル酸、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール及びHDHPのコポリマー;官能価:2;ヒドロキシル価:31~39mg KOH/g;分子量(Mw):3000g/mol;製造元:Synthesia Technology Europe,S.L.U.;そのDSC曲線を
図10に示す。Hoopol F-39030のTgは26.2℃である。
【0125】
AA-co-HDO:アジピン酸と1,6-ヘキサンジオールのコポリマー;官能価:2;ヒドロキシル価:27~34mg KOH/g;分子量(Mw):3500g/mol;そのDSC曲線を
図8に示す。
【0126】
Lupranate MES:ジフェイルメタン-4,4’-ジイソシアネート(4,4’-MDI);活性量:100%;製造元:BASF社。
【0127】
B)テスト方法
B1)DSC
DSC試験は、ISO 11357-1:2016 Plasticsに基づき、TA instruments社のDiscovery DSCを利用して、25mL/分の雰囲気下で実施した。
【0128】
B2)グリーン強度
引張せん断テスト用の試料の調製は、DIN EN 1465(接着剤-接着されたアセンブリの引張ラップせん断強度の決定)に基づいた。反応性ホットメルトサンプルを、120℃の予熱オーブンで少なくとも0.5時間溶融し、その後、12.5×25mmの適用面積で第1木材基材上に適用した。第2木材基材を、できるだけ早く第1木材基材の上に置いた。この2つの木材基材の上に500gの金属棒を載せて余分なホットメルトを絞り出し、ナイフで余分なホットメルトを取り除いた。基材を15分間加圧し、その後、70℃のオーブンに5分間入れ、その後、できるだけ早く50mm/分の伸長速度で引張強度をテストした。
【0129】
B3)オープンタイム、セット時間
反応性ホットメルトサンプルを、まず120℃の予熱オーブンで0.5時間以上溶融させ、その後、ドローダウンバーを用いて120℃でテフロンシート上に500μmのフィルムでキャストした。その後、テフロンシートを含むフィルムを23℃及び50%R.H下でヒュームフードに入れた。一定時間ごとに紙片でフィルムに触れた。キャスティングフィルムから、フィルムに粘着性があるが紙片でホットメルトを落とさないまでの時間をセット時間として記録し、キャスティングフィルムから紙がフィルムに粘着しなくなったまでの時間をオープンタイムとして記録した。
【0130】
実施例の調製
実施例1-反応性ポリウレタンホットメルトの調製
ポリオール43%のAA-co-TPA-co-HDO(ポリオールA)、28%のAA-co-BDO(ポリオールB)、17%のDynacoll 7150(成分(C)として)を室温で反応器に添加した。反応器を密閉し、攪拌下で120℃まで加熱し、真空にして水分を除去した。混合物が溶融し、物理的な発泡が観察されなくなった後、真空引きを止め、不活性なN2を注入した。次に、12%のLupranat MES(4,4’-MDI)を、適度な攪拌下でワンショットで(ドロップワイズではなく)反応器に添加した。イソシアネートを投入すると、反応器を密閉し、真空下で攪拌機の撹拌数を上げた。反応を120℃で1.5時間行い、その後に反応混合物(反応性ポリウレタンホットメルト)を80℃まで冷却し、アルミニウムバッグに注ぎ、密封し、その後バッグを真空にした。
【0131】
得られた反応性ポリウレタンホットメルトのセット時間、オープンタイム、70℃でのグリーン強度及びNCO含有量を、以下の表2に示した。実施例1で調製した反応性ポリウレタンホットメルトのDSC曲線を、
図11に示した。
【0132】
実施例2~8及び比較例1~3
以下の表1に示す成分を使用した以外は、実施例1のすべての手順を繰り返した。得られたホットメルトのセット時間、オープンタイム及び70℃でのグリーン強度を、以下の表2に示した。実施例2で調製した反応性ポリウレタンホットメルトのDSC曲線を
図12に示した。
【0133】
【0134】
【国際調査報告】