(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-17
(54)【発明の名称】光学部品
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20231010BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20231010BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20231010BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
G02B5/00 Z
G02B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519907
(86)(22)【出願日】2021-09-28
(85)【翻訳文提出日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 EP2021076562
(87)【国際公開番号】W WO2022069427
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】102020212367.5
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151987
【氏名又は名称】谷口 信行
(72)【発明者】
【氏名】ボルシンガー ヴァレンティン ヨナタン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H197
2H249
【Fターム(参考)】
2H042AA05
2H042AA17
2H042AA19
2H042AA25
2H197AA10
2H197BA02
2H197BA10
2H197CA10
2H197CA17
2H197GA03
2H197GA05
2H197GA06
2H197GA10
2H197GA12
2H197GA13
2H197GA21
2H197GA24
2H197HA03
2H249AA55
2H249AA61
2H249AA65
(57)【要約】
光学部品は、光学部品に入射する少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるための回折構造(7)を有する。回折構造(57)は、光学部品の少なくとも1つの部分で重畳され、第1の正の回折構造(42)および第1の負の回折構造(43)を有する、少なくとも2つの回折下部構造(41、47)を有して具現化される。回折下部構造のうちの第1の回折下部構造(41)は、第1の正の回折構造(42)および第1の負の回折構造(43)を有して具現化され、その配置は、第1の対称条件に従う。第2の回折下部構造(47)は、第2の正の回折構造(42)および第2の負の回折構造(43)を有して具現化され、その配置は、第1の対称条件とは異なる第2の対称条件に従う。この結果として、異なる目標波長についての回折効果および/または全く同一の目標波長についての改善された回折効果を有する回折構造の作製がより柔軟になる光学部品がもたらされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影リソグラフィのための投影露光装置において使用される光学部品であって、
- 前記光学部品に入射する少なくとも1つの波長の光(16;29)の出現方向に回折的に影響を与えるための回折構造(57;58;59;60;62)を有し、
- 前記回折構造(57;58;59;60;62)は、前記光学部品の少なくとも1つの部分(38、39;40)において、少なくとも2つの重畳された回折下部構造(41;45~56;61;63)から構築され、
- 前記回折下部構造(41;45~56;61;63)の第1の回折下部構造は、第1の正の回折構造(42)および第1の負の回折構造(43)を有して具現化され、その配置は、第1の対称条件に従っており、
- 前記回折下部構造(41;45~56;61;63)の第2の回折下部構造は、第2の正の回折構造(42)および第2の負の回折構造(43)を有して具現化され、その配置は、前記第1の対称条件とは異なる第2の対称条件に従う、光学部品。
【請求項2】
前記2つの回折下部構造(41、47;49、50、45、46;41、61;45、46、63)は、異なる光波長(λ
i、λ
j、λ
k)に回折的に影響を与えるために具現化されることを特徴とする、請求項1に記載の光学部品。
【請求項3】
前記回折下部構造(41;45~51;53~56;61;63)のうちの一方は、周期的構造として設計され、他方の回折下部構造(52)は、非周期的構造として設計されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学部品。
【請求項4】
前記回折下部構造(41;45;47~49;61)のうちの少なくとも一方は、構造原点(44)を中心とした回転対称を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項5】
前記回折下部構造(47~49)のうちの少なくとも一方は、構造原点(44)の周囲に配置されたスポーク構造を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項6】
前記回折下部構造(50;51)のうちの少なくとも一方は、格子状に配置された正の回折構造(42)および/または格子状に配置された負の回折構造(43)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項7】
前記回折下部構造(41;45~56;61;63)のうちの少なくとも一方は、二元構造として具現化されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項8】
前記回折下部構造(55;56)のうちの少なくとも一方の正の回折構造(42)と負の回折構造(43)との間の断面構造的遷移は、滑らかなプロファイルを有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項9】
少なくとも3つの回折下部構造(45;46;63)を特徴とし、前記回折下部構造のうちの第3の回折下部構造は、第3の正の回折構造(42)および第3の負の回折構造(43)を有して具現化され、その配置は、前記第1の対称条件および/または前記第2の対称条件とは異なる、更なる対称条件に従う、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項10】
EUV投影露光装置(1)において使用されるEUVコレクタ(17)として設計され、
- 前記コレクタ(17)は、プラズマ源領域(28)によって出射されるEUV使用光(16)を案内するように具現化され、
- 前記コレクタ(17)の入射面の少なくとも1つの構造化された迷光部分(38、39)は、回折によって迷光放射線(37)を引き離すように具現化され、前記迷光(37)の波長は、前記使用光(16)の波長とは異なる、
請求項1~9のいずれか1項に記載の光学部品。
【請求項11】
請求項10に記載のEUVコレクタ(17)を有し、結像されるべき物体(7)が配置可能な物体視野(5)を照らすための照明光学ユニット(4)を有し、前記使用EUV光を照明光(16)として用いる、照明系。
【請求項12】
請求項11に記載の照明系を有し、結像されるべき前記物体(7)の一部が結像されるべき基板(13)が配置可能な像視野(11)内へ前記物体視野(5)を結像するための投影光学ユニット(10)を有する、光学系。
【請求項13】
請求項12に記載の光学系を有し、EUV光源(3)を有する、投影露光装置(1)。
【請求項14】
構造化部品を作製するための方法であって、
- レチクル(7)およびウェハ(13)を設けるステップと、
- 請求項13に記載の投影露光装置を使用して、前記レチクル(7)上の構造を、前記ウェハ(13)の感光性層上に投影するステップと、
- 前記ウェハ(13)上に微細構造および/またはナノ構造を生成するステップと
を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法によって作製された、構造化部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、ドイツ特許出願第DE102020212367.5号の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光学部品に入射する少なくとも1つの波長の光の出射方向に回折的に影響を与えるための回折構造を有する、投影リソグラフィのための投影露光装置において使用される光学部品に関する。本発明は、EUVコレクタとして設計されたそのような光学部品、そのようなEUVコレクタを有する照明系、そのような照明系を有する光学系、そのような光学系を有する投影露光装置、そのような投影露光装置を使用して構造化部品を作製するための方法、およびそのような方法を用いて作製された微細構造化部品またはナノ構造化部品にも関する。
【背景技術】
【0003】
冒頭に記載した種類の光学部品は、DE102019200698A1、米国特許出願公開第2020/0225586(A1)号、およびDE102018218981A1から知られている。認証のために使用可能な光学セキュリティ部品の変形形態は、AU2017/270014A1から知られている。米国特許第6,462,875(B1)号は、回折光学部品の実施形態を記載する。米国特許出願公開第2017/0112376(A1)号は、レンズ素子を有する光学センサおよびレンズ素子を有しない光学センサを記載する。DE102016209359A1は、使用されたEUV波長を散乱させるための表層構造を有する鏡面を有するEUVコレクタを記載する。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、異なる目標波長についての回折効果および/または全く同一の目標波長についての改善された回折効果を有する回折構造の作製がより柔軟になるように、冒頭で述べた種類の光学部品を更に発展させることである。
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1において特定される特徴を持った回折構造を有する、投影リソグラフィのための投影露光装置において使用される光学部品によって達成される。この光学部品は、特にEUV投影リソグラフィで使用可能である。
【0006】
本発明によれば、2つより多い構造レベルを有する回折構造を形成するために、同じ対称条件を有する回折下部構造を重畳する必要があるとは限らないことが認められた。むしろ、所望の特性を有する回折構造を形成するために、異なる対称条件を有する回折下部構造を使用することが有益であると認められた。
【0007】
2つの回折下部構造の対称条件は、以下の基準のいずれも満たされない場合に異なる。
- 両方の回折下部構造が、周期的な格子であり、各々が厳密に1つの格子周期が延びる方向を有する。
- 両方の回折下部構造が、例えばコンピュータ生成ホログラム(CGH)構造などの対称性を全く有しない構造である。
【0008】
これらの2つの基準のうちの少なくとも1つが満たされる場合、回折下部構造は、異なる対称条件を有しない。
【0009】
以下の基準は、2つの回折下部構造の対称条件を異ならせるための更なる基準として適用可能である。
- 両方の回折下部構造が、平行移動によって相互に入れ換わり得る。
【0010】
この第3の基準が考慮されるべき範囲で、上記3つの基準のうちの少なくとも1つが満たされ次第、回折下部構造は、異なる対称条件を有しない。
【0011】
異なる対称条件を有する複数の回折下部構造の使用は、製造の簡略化を可能にする。更に、個別の回折下部構造が高精度で作製可能である。
【0012】
回折下部構造の少なくとも1つは、光学部品の光学的に使用される領域全体を被覆でき、相応の強力な回折効果につながる。全ての回折下部構造は、更に、光学部品の光学的に使用される領域全体を被覆できる。
【0013】
2つの回折下部構造は、異なる対称類に属することができる。そのような異なる対称類の例は、晶系、すなわち説明のためにそこで使用される7つの対称類(立方晶系、六方晶系、正方晶系、三方晶系、斜方晶系、単斜晶系、三斜晶系)の説明の文脈で使用されるものである。
【0014】
請求項2に記載の回折構造は、例えば全く同一の回折構造を使用して異なる迷光波長の迷光の出現方向に影響することを可能にする。代替として、全く同一の光波長に回折的に影響するように回折下部構造を設計することが可能である。この場合、回折効率における改善が実現され得る。この文脈において、米国特許出願公開第2020/0225586(A1)号を参照されたい。
【0015】
個々の回折下部構造の設計の例は、DE102019200698A1でも見られ得る。
【0016】
請求項3に記載の光学部品の場合、異なる回折下部構造(周期的/非周期的)のために異なる作製技法が使用可能である。代替として、回折構造において少なくとも2つの周期的回折下部構造、さもなければ少なくとも2つの非周期的回折下部構造を使用することが可能である。少なくとも1つの周期的回折下部構造が使用される場合、多様な構造周期または構造周期の関数関係も、DE102018218981A1に記載されるように可能である。
【0017】
請求項4に記載の回折構造において、回転対称の回折下部構造は、構造原点周囲の円形路の形態の正の回折構造および/または負の回折構造を有することができる。回折下部構造の回転対称は、正の回折構造および負の回折構造がそれによって円周方向において対応する複数の対応ステップで連続的に変換される場合に複数の回転対称が存在する場合にも存在可能である。回折下部構造の正の回折構造および/または負の回折構造のらせん形も可能である。この回折構造の2つの回折下部構造は、特に反対方向に回転するらせん路下部構造として具現化され得る。構造原点に関する円形路から逸脱する同心の閉路、例えば楕円路、正方形路、または矩形路も、正の回折構造および/または負の回折構造のプロファイルのために可能である。2つの回折下部構造の互いに異なる対称条件も、各々が互いに離れて配置された構造原点の周囲の円形路の形態で正の回折構造および/または負の回折構造として形成される回折下部構造から出現可能である。そのような回折構造は、2つの互いにオフセットした円形路下部構造の形態の回折下部構造の重畳であるとして理解可能である。
【0018】
請求項5に記載のスポーク構造は、回折下部構造の別の可能な類であると認められた。
【0019】
請求項6に記載の格子状に配置された構造も、回折下部構造のための可能な類であると認められた。格子構成は、正方形格子、矩形格子および/または点格子であり得る。
【0020】
請求項7に記載の二元構造は、良好な回折結果につながる。そのような二元構造は、それぞれの回折下部構造の正の回折構造の総面積が負の回折構造の総面積に等しい場合に存在する。回折下部構造は、ブレーズ構造として具現化され得る。
【0021】
請求項8に記載の断面構造的遷移の滑らかなプロファイル、例えば正弦波のプロファイルは、特定の用途に対して特に効果的であると認められた。滑らかなプロファイルは、特にそれぞれの断面構造的遷移のプロファイルが連続して微分可能な場合に存在する。そのような滑らかなプロファイルは、光学部品のための作製関連の利点につながり得る。滑らかなプロファイルを有する回折下部構造は、断面プロファイルにおいてエッジを有しない。これは、回折構造に対するコーティング、特に使用光のための光学部品の反射率を高めるコーティングの塗布を単純化する。回折構造に入射する使用光の影が回避される回折下部構造の滑らかなプロファイルの設計が可能である。回折下部構造のうちの少なくとも1つの正の回折構造と負の回折構造との間の断面構造的遷移のために、滑らかなプロファイルの代わりに、例えば、正弦波プロファイル、ガウスプロファイル、またはsin2プロファイルも存在し得る。
【0022】
代替として、正の回折構造および/または負の回折構造も、矩形構造の形態、正方形構造の三辺の形態、または三角形構造の形態の断面プロファイルを有し得る。断面プロファイルの三角形構造は、ブレーズ回折構造を生成するために使用可能である。
【0023】
請求項9に記載の少なくとも3つの回折下部構造を有する回折構造は、回折構造を設計するための可能性を更に拡大する。3つの回折下部構造は、各々が異なる光波長に回折的に影響するように設計され得る。3つの目標波長のうちの2つの和および3つの目標波長全ての和の各々の場合に対応する構造深さを生じさせることができる。全く同一の光波長に回折的に影響するように3つの回折下部構造を設計することも可能である。これは、この光波長の回折効率の改善につながる。最後に、3つの回折下部構造を使用すると、回折下部構造のうちの1つを第1の目標波長の回折のために、および回折下部構造の他の2つを第2の目標波長の回折のために具現化することが可能であり、異なる目標波長の回折効率に課される要件に適合するように適合され得る。
【0024】
この光学部品の利点は、請求項10に記載のEUVコレクタの設計の場合に特に顕著である。
【0025】
EUVコレクタがこのように設計された場合、特に、コレクタによって集束されるべき光源から発せられた異なる波長の光によって引き起こされることになる熱効果を回避することが可能である。
【0026】
抑制されるべき異なる波長は、例えば、赤外スペクトル領域の波長および/またはDUV(深紫外)スペクトル領域の波長および/またはEUVスペクトル領域の波長であり得る。
【0027】
請求項11に記載の照明系の利点は、本発明によるEUVコレクタを参照して上記で既に説明された利点に対応する。
【0028】
この照明系は、迷光除去位置の領域と、例えばこの目的のために設けられたビームダンプの領域とにおける迷光の均質な分布を結果的にもたらすように、上記で説明したように具現化される回折構造を有するEUVコレクタを用いて設計され得る。代替として、または追加して、コンピュータ生成ホログラムとして具現化されたコレクタ部分を用いて、特に照明系の照明ビーム路の特定部分、例えば瞳面の領域で使用光の最適な分布関数を確実にすることが可能である。
【0029】
この照明系は、照明光学ユニットの瞳面における照明光部分ビームのビーム径がごくわずかに円形から逸脱するため、平均径が測定される方向に関わらず、この平均径からビーム径が20%未満だけ逸脱する、すなわち、ほぼ円直径を有するように具現化されたコレクタを用いて設計され得る。
【0030】
請求項12に記載の光学系、請求項13に記載の投影露光装置、請求項14に記載の作製方法、および請求項15に記載の微細構造化またはナノ構造化部品の利点は、本発明によるコレクタを参照して上記で既に説明された利点に対応する。
【0031】
特に、半導体部品、例えばメモリチップは、上記投影露光装置を使用して作製可能である。
【0032】
以下で、本発明の少なくとも1つの例示的な実施形態が図面に基づいて説明される。図面は以下を含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】EUV投影リソグラフィのための投影露光装置のメリジオナル断面を概略的に示す図である。
【
図2】EUV使用光をプラズマ源領域から投影露光装置の照明光学ユニットの視野ファセットミラーへ案内するためのEUVコレクタの環境における投影露光装置の光源の詳細を示す図であり、EUVコレクタが、メリジオナル断面で示されている。
【
図3】EUVコレクタでの反射/回折の場合における第1にEUV使用光と、異なる波長の第2に迷光との案内を、
図2と比較してより抽象的に示した図である。
【
図4】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図5】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図6】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図7】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図8】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図9】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図10】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図11】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図12】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図13】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図14】回折構造の回折下部構造であって、光学部品に入射した少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるために少なくとも2つのそのような回折下部構造が互いに重畳された、回折構造の回折下部構造の例示的な実施形態を各々が示す平面図であり、EUVコレクタは、光学部品の一例であり、それらの例示的な実施形態は、異なる対称条件を有する正の回折構造および負の回折構造の配置を表す。
【
図15】同様に、正の回折構造と負の回折構造との間の断面構造的遷移を有する回折下部構造の2つの例であり、それらの断面構造的遷移が、正弦波プロファイルを有することを各々が示す平面図である。
【
図16】同様に、正の回折構造と負の回折構造との間の断面構造的遷移を有する回折下部構造の2つの例であり、それらの断面構造的遷移が、正弦波プロファイルを有することを各々が示す平面図である。
【
図17】同様に、2つの重畳された回折下部構造を有する光学部品のための回折構造の例を各々が示す上面図であり、2つの重畳された回折下部構造は各々が正の回折構造と負の回折構造とを有し、2つの回折下部構造におけるそれらの構造の配置は、異なる対称条件に従う。
【
図18】同様に、2つの重畳された回折下部構造を有する光学部品のための回折構造の例を各々が示す上面図であり、2つの重畳された回折下部構造は各々が正の回折構造と負の回折構造とを有し、2つの回折下部構造におけるそれらの構造の配置は、異なる対称条件に従う。
【
図19】同様に、2つの重畳された回折下部構造を有する光学部品のための回折構造の例を各々が示す上面図であり、2つの重畳された回折下部構造は各々が正の回折構造と負の回折構造とを有し、2つの回折下部構造におけるそれらの構造の配置は、異なる対称条件に従う。
【
図20】同様に、2つの重畳された回折下部構造を有する光学部品のための回折構造の例を各々が示す上面図であり、2つの重畳された回折下部構造は各々が正の回折構造と負の回折構造とを有し、2つの回折下部構造におけるそれらの構造の配置は、異なる対称条件に従う。
【
図21】3つの回折下部各構造を有する回折構造の更なる実施形態の上面図であり、3つの回折下部構造の各々は、正の回折構造と負の回折構造とを有し、3つの回折下部構造のそれらの構造の配置は、異なる対称条件に従う。
【発明を実施するための形態】
【0034】
最初に、
図1を参照して、マイクロリソグラフィ投影露光装置1の重要な一体部分が、以下で例示的に説明される。投影露光装置1の基本構造およびその構成要素の説明は、本明細書において限定するものとして解釈されるべきではない。
【0035】
投影露光装置1の照明系2の一実施形態は、光源または放射線源3に加えて、物体平面6における物体視野5を照らすための照明光学ユニット4を有する。代替的な実施形態では、光源3は、更に、照明系の残りから分離されたモジュールとして設けられ得る。この場合、照明系は、光源3を備えない。
【0036】
物体視野5に配置されたレチクル7は露出している。レチクル7は、レチクル保持部8によって保持される。レチクル保持部8は、特に走査方向においてレチクル変位駆動装置9によって変位可能である。
【0037】
説明目的で、デカルトxyz座標系が
図1に示される。x方向は、図面の平面に対して垂直に図面の平面へ延びる。y方向は水平方向に延び、z方向は垂直方向に延びる。走査方向は、
図1のy方向に延びる。z方向は、物体平面6に対して垂直に延びる。
【0038】
投影露光装置1は、投影光学ユニット10を備える。投影光学ユニット10は、像面12における像視野11内に物体視野5を結像する(image)ように動作する。像面12は、物体平面6に平行に延びる。代替として、物体平面6と像面12との間の0°からずれる角度も可能である。
【0039】
レチクル7上の構造は、像面12における像視野11の領域に配置されたウェハ13の感光性層上に結像される。ウェハ13は、ウェハ保持部14によって保持される。ウェハ保持部14は、特にy方向において、ウェハ変位駆動装置15によって変位可能である。第1に、レチクル変位駆動装置9によるレチクル7の変位、第2に、ウェハ変位駆動装置15によるウェハ13の変位は、互いに同期するように実施され得る。
【0040】
放射線源3はEUV放射線源である。放射線源3は、特に、以下で使用放射線、照明放射線または照明光とも呼ばれるEUV放射線16を放射する。特に、使用放射線は、5nmと30nmとの間の範囲の波長を有する。放射線源3は、例えばレーザ生成プラズマ(LPP)源またはガス放電生成プラズマ(GDPP)源などのプラズマ源であり得る。また、シンクロトロンベースの放射線源であることができる。放射線源3は、自由電子レーザ(FEL)であることができる。
【0041】
放射線源3から出射する照明放射線16は、コレクタ17によって集束される。コレクタ17は、1つまたは複数の楕円および/または双曲反射面を有するコレクタであることができる。照明放射線16は、かすめ入射(GI:grazing incidence)、すなわち、45°より大きい入射角を有して、または垂直入射(NI)、すなわち45°未満の入射角を有して、コレクタ17の少なくとも1つの反射面に入射可能である。コレクタ17は、一方で使用放射線のためのその反射率を最適化するため、他方で迷光を抑制するために、構造化および/または被覆されることができる。これに関する詳細は、
図2以下を参照して以下で説明される。
【0042】
照明放射線16は、コレクタ17の下流の中間焦点面18において中間焦点を通って伝搬する。中間焦点面18は、放射線源3およびコレクタ17を有する放射線源モジュールと照明光学ユニット4との間の分離を表し得る。
【0043】
照明光学ユニット4は、偏向ミラー19を備えており、ビーム路におけるその下流に、第1のファセットミラー20が配置される。偏向ミラー19は、平面偏向ミラー、または代替として、純粋な偏向効果を超えた、ビームに影響を与える効果を有するミラーであることができる。代替として、または加えて、偏向ミラー19は、照明放射線16の使用光波長を、そこから逸脱した波長の迷光から分離するスペクトルフィルタの形態とすることができる。第1のファセットミラー20が視野平面としての物体平面6と光学的に共役な照明光学ユニット4の平面に配置される場合、視野ファセットミラーとも呼ばれる。第1のファセットミラー20は、以下で視野ファセットとも呼ばれる多数の別個の第1のファセット21を備える。
図1は、例として、そのファセット21のうちのいくつかのみを図示する。
【0044】
第1のファセット21は、巨視的ファセットとして、特に矩形ファセットとして、または弧状のエッジ輪郭もしくは円の一部のエッジ輪郭を有するファセットとして具現化することができる。第1のファセット21は、平面ファセットとして、または代替として凸状または凹状の湾曲を有するファセットとして具現化することができる。
【0045】
例えばDE102008009600A1から知られているように、第1のファセット21自体は、いずれの場合でも、多数の別個のミラー、特に多数のマイクロミラーによって構成することもできる。第1のファセットミラー20は、特に微小電子機械システム(MEMSシステム)として形成することができる。詳細については、DE102008009600A1を参照されたい。
【0046】
照明放射線16は、コレクタ17と偏向ミラー19との間で、水平に、すなわちy方向に進行する。
【0047】
照明光学ユニット4のビーム路において、第2のファセットミラー22は、第1のファセットミラー20の下流に配置される。第2のファセットミラー22が照明光学ユニット4の瞳面に配置される場合、瞳ファセットミラーとも呼ばれる。第2のファセットミラー22は、照明光学ユニット4の瞳面から離れて配置することもできる。この場合、第1のファセットミラー20と第2のファセットミラー22との組合せは、鏡面反射鏡とも呼ばれる。鏡面反射鏡は、米国特許出願公開第2006/0132747(A1)号、EP1614008B1、および米国特許第6,573,978号から知られている。
【0048】
第2のファセットミラー22は、複数の第2のファセット23を備える。瞳ファセットミラーの場合、第2のファセット23は、瞳ファセットとも呼ばれる。
【0049】
第2のファセット23は、同様に巨視的ファセットであることができ、例えば円形、矩形、さもなければ六角形の境界を有することができ、または代替としてマイクロミラーから構成されるファセットであることができる。これに関して、同様にDE102008009600A1を参照されたい。
【0050】
第2のファセット23は、平面反射面、または代替として、凸状または凹状の湾曲を有する反射面を有することができる。
【0051】
照明光学ユニット4は、結果として、二重ファセット系を形成する。この基本原理は、フライアイコンデンサ(フライアイインテグレータ)とも呼ばれる。
【0052】
投影光学ユニット10の瞳面と光学的に共役な平面に第2のファセットミラー22を厳密でなく配置することは有益であることができる。
【0053】
第2のファセットミラー22を用いて、別個の第1のファセット21が、物体視野5に結像される。第2のファセットミラー22は、最後のビーム整形ミラーであり、事実上、物体視野5の上流のビーム路における照明放射線16の最後のミラーである。
【0054】
照明光学ユニット4の図示しない更なる実施形態では、特に物体視野5へ第1のファセット21の結像に寄与する転写光学ユニットは、第2のファセットミラー22と物体視野5との間のビーム路に配置することができる。転写光学ユニットは、厳密に1つミラーを有することができ、または代替として2つ以上のミラーを有することができ、2つ以上のミラーは、照明光学ユニット4のビーム路において一方が他方の背後に配置される。転写光学ユニットは、1つまたは2つの垂直入射ミラー(NIミラー)および/または1つまたは2つのかすめ入射ミラー(GIミラー)を特に備え得る。
【0055】
図1に示す実施形態では、照明光学ユニット4は、コレクタ17の下流に厳密に3つのミラー、具体的には、偏向ミラー19、視野ファセットミラー20、および瞳ファセットミラー22を有する。
【0056】
偏向ミラー19は、照明光学ユニット4の更なる実施形態において省かれることも可能であり、したがって照明光学ユニット4は、コレクタ17の下流に厳密に2つのミラー、具体的には第1のファセットミラー20および第2のファセットミラー22を有することができる。
【0057】
第2のファセット23を用いた、または第2のファセット23および転写光学ユニットを使用した物体平面6への第1のファセット21の結像は、概して、近似の結像に過ぎない。
【0058】
投影光学ユニット10は、複数のミラーMiを備えており、複数のミラーMiは、投影露光装置1のビーム路におけるそれらの配置に従って連続して番号が振られる。
【0059】
図1に示す例では、投影光学ユニット10は、6個のミラーM1~M6を備える。4個、8個、10個、12個、または任意の他の数のミラーMiを用いた代替案も同様に可能である。最後から2番目のミラーM5および最後のミラーM6は、各々が照明放射線16のための通路開口を有する。投影光学ユニット10は、2倍の隠蔽度の光学ユニットである。投影光学ユニット10は、0.5よりも大きい像側開口数を有し、更に0.6よりも大きくすることができ、例えば0.7または0.75であり得る像側開口数を有する。
【0060】
ミラーMiの反射面は、回転対称軸がない自由な形状の表面として具現化することができる。代替として、ミラーMiの反射面は、反射面形状の回転対称軸を厳密に1つ有する非球面として設計することができる。照明光学ユニット4のミラーと全く同様に、ミラーMiは、照明放射線16のための高反射率コーティングを有することができる。これらのコーティングは、特にモリブデンおよびケイ素からなる交互の層を有する多層コーティングとして設計することができる。
【0061】
投影光学ユニット10は、物体視野5の中心のy座標と像視野11の中心のy座標との間でy方向において大きい物体像オフセットを有する。このy方向における物体像オフセットは、物体平面6と像面12との間のz距離とほぼ同じ大きさであり得る。
【0062】
特に、投影光学ユニット10は、アナモルフィックの実施形態を有し得る。特に、投影光学ユニット10は、x方向およびy方向において、異なる結像尺度βx、βyを有する。投影光学ユニット7の2つの結像尺度βx、βyは、好ましくは、(βx,βy)=(+/-0.25,/+-0.125)である。正の結像尺度βは、像反転がない結像を意味する。結像尺度βの負符号は、像反転がある結像を意味する。
【0063】
投影光学ユニット10は、結果的に、x方向において、すなわち、走査方向に対して垂直な方向において、4:1の比率でサイズの減少をもたらす。
【0064】
投影光学ユニット10は、y方向において、すなわち、走査方向において、8:1の比率でサイズの減少をもたらす。
【0065】
他の結像尺度も同様に可能である。x方向およびy方向において同じ符号および同じ絶対値を有する結像尺度も、例えば0.125または0.25という絶対値を有する場合に可能である。
【0066】
物体視野5と像視野11との間のビーム路におけるx方向およびy方向の中間像面の数は、同じでもよく、または投影光学ユニット10の実施形態に応じて異なってもよい。x方向およびy方向における異なる数のそのような中間像を有する投影光学ユニットの例は、米国特許出願公開第2018/0074303(A1)号から知られている。
【0067】
いずれの場合にも、瞳ファセット23のうちの1つが、いずれの場合にも、物体視野5を照らすための照明チャンネルを形成するための視野ファセット21のうちの厳密に1つに対して割り当てられる。特に、これは、ケーラー原理による照明を発生させることができる。視野ファセット21によって、遠視野は、多数の物体視野5に分解される。視野ファセット21は、それに対してそれぞれ割り当てられた瞳ファセット23上に中間焦点の複数の像を生成する。
【0068】
割り当てられた瞳ファセット23によって、視野ファセット21は、いずれの場合にも、物体視野5を照らす目的で互いに重畳されるように、レチクル7上へ結像される。物体視野5の照明は、特に可能な限り均質である。その照明は、2%未満の均一性誤差を有することが好ましい。視野均一性は、異なる照明チャンネルのオーバーレイによって達成することができる。
【0069】
投影光学ユニット10の入射瞳の照明は、瞳ファセットの配置によって形状的に定義され得る。投影光学ユニット10の入射瞳における強度分布は、照明チャンネル、特に光を案内する瞳ファセットのサブセットを選択することによって設定することができる。この強度分布は、照明設定とも呼ばれる。
【0070】
定義されたように照らされる照明光学ユニット4の照明瞳の断面の範囲における同様に好ましい瞳均一性は、照明チャンネルの再配分によって達成され得る。
【0071】
物体視野5の照明、特に投影光学ユニット10の入射瞳の更なる態様および詳細が、以下で説明される。
【0072】
投影光学ユニット10は、特に共心の入射瞳を有することができる。この入射瞳は、取り扱い可能であることができる。また、取り扱い不可能であることができる。
【0073】
投影光学ユニット10の入射瞳は、通常、瞳ファセットミラー22を使用して厳密に照らされることができない。瞳ファセットミラー22の中心をウェハ13上へテレセントリックに結像する投影光学ユニット10の結像の場合、アパーチャ光線は、単一点で交差しない場合が多い。ただし、対と判断されたアパーチャ光線の距離が最小になる領域を発見することが可能である。この領域は、入射瞳、またはそれと共役である実空間における領域を表す。特に、この領域は、有限曲率を有する。
【0074】
これは、投影光学ユニット10が、正接のビーム路に対しての、およびサジタルビーム路に対しての入射瞳の異なる姿勢を有する場合であることができる。この場合、結像素子、特に転写光学ユニットの光学部品部分は、第2のファセットミラー22とレチクル7との間に設けられるべきである。この光学素子によって、正接入射瞳およびサジタル入射瞳の異なる姿勢は、考慮に入れることができる。
【0075】
図1に示される照明光学ユニット4の構成要素の配置において、瞳ファセットミラー22は、投影光学ユニット10の入射瞳と共役な領域に配置される。視野ファセットミラー20は、物体平面5に対して傾くように配置される。第1のファセットミラー20は、偏向ミラー19によって画定された配置平面に対して傾いて配置される。
【0076】
第1ファセットミラー20は、第2のファセットミラー22によって画定された配置平面に対して傾くように配置される。
【0077】
図2は、光源3の詳細を示す。
図1を参照して上記で既に説明された構成要素および機能に対応する構成要素および機能は、同じ参照符号を有し、重複して詳細には説明されない。
【0078】
光源3は、レーザ生成プラズマ(LPP)源である。プラズマ生成の目的のため、錫液滴24は、錫液滴生成器25によって連続した液滴列として生成される。錫液滴24の軌道は、EUV使用光16の主光線方向26を横断して延びる。ここで、錫液滴24は、錫液滴生成器25と錫取込装置27との間で自由に降下し、その液滴が、プラズマ源領域28を通過する。EUV使用光16は、プラズマ源領域28によって出射される。錫液滴24がプラズマ源領域28に到達すると、ポンプ光源30からのポンプ光29がその錫液滴に当たる。ポンプ光源30は、例えばCO2レーザの形態の赤外線レーザ源であり得る。異なるIRレーザ源も可能であり、特に固体レーザ、例えばNd:YAGレーザも可能である。
【0079】
ポンプ光29は、制御された手法で傾斜可能なミラーであり得るミラー31によって、および集束レンズ素子32によってプラズマ源領域28内に伝搬される。EUV使用光16を出射したプラズマは、プラズマ源領域28に到達した錫液滴24からのポンプ光衝突によって生成される。EUV使用光16のビーム路は、
図2において、プラズマ源領域28と視野ファセットミラー20との間に図示されているが、EUV使用光16がEUVコレクタ17とも呼ばれるコレクタミラー17によって反射される程度に、
図2における姿勢および配置に関して示唆されているに過ぎない。EUVコレクタ17は、集束レンズ素子32によってプラズマ源領域28に向かって集束されるポンプ光29のための中央通路開口33を備える。コレクタ17は、楕円ミラーとして具現化され、一方の楕円焦点に配置されたプラズマ源領域28によって出射されたEUV使用光16を、コレクタ17の他方の楕円焦点における中間焦点面18に配置されたEUV使用光16の中間焦点IFに伝搬する。
【0080】
視野ファセットミラー20は、EUV使用光16の遠視野の領域において、EUV使用光16のビーム路における中間焦点IFの下流に配置される。
【0081】
EUVコレクタ17と、錫液滴生成器25、錫取込装置27および集束レンズ素子32であることができる光源3の更なる構成要素は、真空ハウジング34に配置される。真空ハウジング34は、中間焦点IFの領域に通路開口35を有する。真空ハウジング34内へのポンプ光29の入射領域において、真空ハウジング34は、ポンプ光入射窓36を備える。
【0082】
図3は、中間焦点IFが配置された、光源3のプラズマ源領域28と、中間焦点面18との間で第1にEUV使用光、すなわち照明光16、第2に迷光37、特により長い波長の放射線、例えばIR放射線の案内を非常に抽象的に示す。同時に、
図3は、プラズマ源領域28へのポンプ光29の横方向案内の変形形態、すなわちEUVコレクタ17の通路開口33の種類の通路開口を必要としない案内を示す。使用光3と迷光37の両方は、プラズマ源領域28から発する。使用光3と迷光37の両方は、EUVコレクタ17の衝突面40全体の迷光部分38、39に入射する。迷光部分/迷光追加部分38、39は、各々が迷光放射線37を引き離す役割を果たす。入射面40は、正確に1つの迷光部分31を有し得る。入射面40は、正確に1つの迷光追加部分38、39を有し得る。
【0083】
迷光部分38または39は、入射面40全体にわたって延びし得る。
【0084】
迷光部分38、39は、回折によって迷光放射線37を引き離すように設計される。
【0085】
この目的のため、コレクタ17の迷光部分38、39は、照明光16および/または迷光37の出現方向に回折的に影響を与えるための、すなわちコレクタ17に入射する少なくとも1つの波長の光の出現方向に回折的に影響を与えるための回折構造として具現化される。コレクタ17のこの回折構造が構築される回折下部構造の例示的な実施形態が、
図4以下を参照して以下で説明される。
図1から
図3を参照して上記で既に説明された構成要素および機能に対応する構成要素および機能は、必要に応じて同じ参照符号を有し、重複して詳細には説明されない。
【0086】
図4は、
図2の視野角IVからのコレクタ17の平面図を示す。
【0087】
コレクタ17の入射面40全体は、迷光部分として具現化される。入射面40全体上の回折下部構造41は、正の回折構造42と負の回折構造43とを有し、負の回折構造43をハッチングで示す。回折下部構造41は、構造原点44周囲のらせん路の形態で設計され、通路開口33を有するコレクタ17の実施形態では、通路開口33の中央に存在する。回折下部構造41のらせん路のらせんのピッチは、非常に大きいため、通路開口33の外側境界も同時に表す入射面40の内側境界と、入射面40の外側境界との間で、5本と数千本との間のそのような個別の経路、すなわち放射状に連続した正の回折構造42および負の回折構造43が存在する。全体として、1本と100000本との間の個別の経路、例えば100本と30000本との間の個別の経路がそれぞれの回折下部構造41に対して存在し得る。
【0088】
回折下部構造41は、二次元の二元構造An(x,y)として説明され得る。最大深さ、すなわち負の回折構造43と正の回折構造42との間の最大z範囲は、λn/4cである。
【0089】
λn(n=1、...N)は、抑制されるべき迷光37の波長または複数の波長のうちの1つである。x,yは、コレクタの空間的座標である。
【0090】
cは、入射面x,zに垂直なその出現方向に関して影響される光の位置依存性の屈折率n(x,y)と、位置依存性の入射角度θi(x,y)とを含む位置依存性の関数である。
c(x,y)=θi(x,y)n(x,y) (1)
【0091】
回折下部構造41は、任意の所望の波長λに対して、遠視野における、すなわち例えば入射面40から距離Dに位置する中間焦点面18において以下の強度像I(λ,k)を生成する。
【数1】
(2)
ここで、kは、入射光の波動ベクトルである。
rは、位置ベクトルr=(x,y)
Tである。ここで「T」は、ベクトルが転置ベクトルであることを示し、したがって線表記もここでは可能である。
FT:位相関数のフーリエ変換
【数2】
【0092】
回折下部構造41のようにして少なくとも2つの回折下部構造を重畳することによって、特に構造的配置が異なる対称関係に従う回折下部構造を重畳することによって、それらの回折下部構造を備えるコレクタ17の回折構造に入射する複数の波長の光の出現方向が影響され、または1つの波長の入射光の抑制の可能な改善が達成される。一般に、N個のそのような構造An(x,y)(n=1、...N)の重畳A(x,y)は、以下のように記述され得る。
【0093】
【0094】
したがって、上記の重畳から生じる回折構造のための遠視野における強度分布について、以下が続く。
【数4】
(4)
ただし、*は、畳み込み演算子を示す。
【0095】
それぞれの回折下部構造、例えば
図4による回折下部構造41は、デカルト座標A
n(x,y)、または極座標A
n(r,φ)で与えることができる。
【0096】
それぞれの回折下部構造Anは、周期的であってもよく、すなわち正の回折構造と負の回折構造とが周期的に繰り返す並びを有し得る。遠視野における、例えば視野ファセットミラーの配置領域における回折下部構造Anの強度像は、離散的な強度最大値を有し得る。
【0097】
それぞれの回折下部構造Anの正の回折構造/負の回折構造の周期性は、機能的関係を満足し得る。より一般的には、構造周期Tは、それぞれの迷光部分38、39または入射面40全体にわたって変化し得る。これに関して、構造周期Tの対応する変形形態が説明されるDE102018218981A1を参照されたい。
【0098】
それぞれの回折下部構造は、非周期的となるようにも具現化され得る。
【0099】
図4による回折下部構造41の例にあるように、それぞれの回折下部構造は、二元構造として具現化され得る。そのような二元構造において、それぞれの迷光部分38、39の面積全体にわたって一体化している正の回折構造の面積は、そこに配置される負の回折構造の面積と全く同じ大きさである。代替として、または追加して、回折下部構造は、ブレーズ構造として具現化され得る。
【0100】
正の回折構造42および/または負の回折構造43の高さプロファイルは、矩形の構造プロファイルを有し得る。したがって例えば放射断面で見ると、構造原点44から始まる回折下部構造41の正の回折構造と負の回折構造43との間の断面構造的遷移は、矩形のプロファイルを有して具現化される。代替として、断面構造的遷移に対応する三角形のプロファイル、さもなければ回折下部構造の正の回折構造と負の回折構造との間の断面構造的遷移に対応する正弦波プロファイルも可能である。
【0101】
回折下部構造の更なる変形形態が
図5~
図16を参照して以下で説明される。異なる対称条件に従う配置を有する、回折下部構造のうちの少なくとも2つは、重畳されると、異なる目標波長に回折的に影響を与えるために、または全く同一の目標波長により良好に回折的に影響を与えるために、いずれかの回折構造全体を形成し得る。
図1~
図4を参照して上記で既に説明された構成要素および機能に対応する構成要素および機能は、同じ参照符号が与えられ、重複して詳細には説明されない。
【0102】
図5による回折下部構造45は、入射面40全体上に構造原点44の周囲に同心の円形路の形態で配置される正の回折構造42および負の回折構造43を有する。正の回折構造の高さから測定された場合の負の回折構造43の深さはλ
i/4cであり、ここでλ
iは目標波長であり、cは上記で定義された通りである。
【0103】
図6は、正の回折構造42が垂直に、すなわちy方向に沿って延び、その間に負の回折構造43が同様に垂直に延びる形態を有する回折下部構造46の更なる変形形態を示す。
【0104】
正の回折構造42および負の回折構造43の延び方向は、更に、
図6の配置の代替的な配置においてx/y座標軸に対して水平または斜めでもよい。
【0105】
図7は、回折下部構造47の別の変形形態を示す。負の回折構造43は、構造原点44に対して放射状に延びるスポークの形態で具現化され、そのスポークの間に、扇形の正の回折構造42が延びる。負の回折構造43の数は、4と30000との間の範囲、例えば10と10000との間の範囲、または100と5000との間の範囲であり得る。
【0106】
図7による実施形態において、厳密に16個の負の回折構造43が存在する。
【0107】
図8は、回折下部構造48の別の実施形態を示す。
図7による回折下部構造47において同様に配置される放射状に連続する負の回折構造43に加えて、回折下部構造45は、更に、不連続スポークの形態の第2の種類の負の回折構造43
1を有する。これらのスポーク43
1の場合は、構造原点44に対して放射状に延び、入射面40全体の半径の約半分の位置で始まる。負の回折構造43
1は、入射面40全体の外縁の外側に放射状に延びる。
【0108】
図9は、回折下部構造49の別の実施形態を示す。この場合、正の回折構造42と負の回折構造43の両方は、構造原点44を中心として扇形になるように設計される。ここでも、
図7による実施形態のように、16個の正の回折構造42と16個の負の回折構造43が存在する。
【0109】
図10は、回折下部構造50の別の実施形態を示す。回折下部構造50の正の回折構造42および負の回折構造43は、真四角の格子のようにして格子状に配置される。回折下部構造50では、正の回折構造42および負の回折構造43の並びは、市松模様の白領域および黒領域の並びと同様である。回折下部構造50の場合、正の回折構造42および負の回折構造43の並びの構造周期は、
図4および
図5による回折下部構造41、45の放射方向で測定される構造周期、または
図6による回折下部構造46の水平方向(x方向)で測定される構造周期、または
図7~
図9による回折下部構造47~49の構造原点44周囲の円周方向で測定される構造周期とほぼ同程度に大きくあり得る。
【0110】
図11は、回折下部構造51の別の実施形態を示す。負の回折構造43は、デカルト点格子のように配置される。したがって、正の回折構造42は、点状の負の回折構造43間に出現する。特に
図10による回折下部構造50の構造周期に関連して上述したものは、
図11による回折下部構造51の負の回折構造43の典型的な間隔に適用可能である。
【0111】
図12は、回折下部構造52の別の実施形態を示す。回折下部構造52は、非周期的なプロファイルに従う正の回折構造42および負の回折構造43を有するコンピュータ生成ホログラム(CGH)として具現化される。回折下部構造52の場合、正の回折構造42の総面積は、負の回折構造43の総面積と同程度に大きく、結果として二元回折下部構造52が全体的に出現する。
【0112】
図13は、回折下部構造53の別の実施形態を示す。この回折下部構造53の負の回折構造43は、中心としての構造原点44の周囲に延びる楕円路として具現化される。楕円路43の半軸は、x方向よりもy方向で大きくあり得る。
【0113】
回折下部構造の他のバージョンについて既に上記で説明したものは、第1に、負の回折構造43間に存在する正の回折構造42、第2に、負の回折構造43の並びの構造周期に適用可能である。
【0114】
図14は、回折下部構造54の別の実施形態を示す。この回折下部構造54の負の回折構造43は、いずれの場合でも中心が構造原点44と一致する正方形路の形態で具現化される。正の回折構造42の場合は、正方形路に沿って延びるそれらの負の回折構造43の間に配置される。ここでも、構造周期は、上記で説明した回折下部構造の構造周期に対応し得る。
【0115】
図15は、回折下部構造55の別の実施形態を示す。負の回折構造43および介在された正の回折構造42は、水平路に沿って、すなわちx方向に沿って延びる経路に沿って延びる。正の回折構造42と負の回折構造43との間の断面構造的遷移、すなわちyz面に平行な断面平面で見た場合の構造断面は、対応する網掛けによって
図15に示される正弦波プロファイルを有する。
【0116】
図16は、回折下部構造56の別の実施形態を示す。この回折下部構造56の負の回折構造43は、
図5による実施形態に相当する円形路を有し、それぞれの正の回折構造42が、この場合も、隣り合った負の回折構造43間に配置される。
図16による実施形態では、正の回折構造42と負の回折構造43との間の放射断面構造的遷移は、特に
図15と関連して上記で説明したものに対応する正弦波プロファイルを有する。
【0117】
図17は、2つの回折下部構造、すなわちスポーク形状の正/負の構造を有する
図4による回折下部構造41と、スポーク形状の正/負の構造を有する
図7による回折下部構造47との重畳として形成された回折構造57の可能な例のうちの1つを示す。特に
図4~
図16を参照して上記で説明した少なくとも2つの回折下部構造の他の組合せも、回折構造を形成するために可能であり、
図18~
図21を参照して以下で説明される。
【0118】
いずれの場合でも、少なくとも2つの回折下部構造は組み合わされ、その正の回折/負の回折の構造的配置は異なる対称条件に従う。これらの対称条件は、以下の基準のいずれも満たされない場合に異なる。
- 両方の回折下部構造が、周期的な格子であり、各々が厳密に1つの格子周期が延びる方向を有する。
- 両方の回折下部構造が、例えばCGH構造などの対称性を全く有しない構造である。
- 両方の回折下部構造が、平行移動によって相互に入れ換わり得る。
【0119】
回折構造57を形成するための2つの回折下部構造41、47の組合せのためには、上記3つの基準のいずれも満たされず、そのため2つの回折下部構造41、47の対称条件がしたがって異なる。
【0120】
2つの回折下部構造は、異なる対称類に属することができる。そのような異なる対称類の例は、晶系、すなわち説明のためにそこで使用される7つの対称類(立方晶系、六方晶系、正方晶系、三方晶系、斜方晶系、単斜晶系、三斜晶系)の説明の文脈で使用されるものである。
【0121】
図18は、回折構造58の更なる変形形態を形成するための2つの回折下部構造の別の可能な組合せを示す。互いに組み合わされた2つの回折下部構造は、第1に、
図9によるスポーク状回折下部構造49と、第2に、
図10による格子状回折下部構造50である。これらの2つの回折下部構造は、更に、上述した基準のいずれも満たしていないため、それらの対称条件が異なる。
【0122】
図19は、
図6による線形回折下部構造46と
図5による円形路形回折下部構造45との組合せとして形成された回折構造59の更なる変形形態を示す。これらの2つの回折下部構造45、46も、上記で列挙した3つの基準のいずれも満たさず、そのためそれらの対称条件は異なる。
【0123】
図20は、2つの回折下部構造の組合せ、すなわち、らせん路形回折下部構造41と、逆のらせん状に延びる方向を有する更なるらせん路形回折下部構造61との組合せとして形成される回折構造60の更なる変形形態を示す。らせん状に延びる方向が、回折下部構造41では逆時計回り方向に内側から外側へ放射状に延びる一方、回折下部構造61では、らせん状に延びる方向が、時計回り方向に内側から外側へ放射状である。
【0124】
2つの回折下部構造41、61の重畳が回折構造60を形成する2つの回折下部構造41、61の場合に上記基準のいずれも満たされず、その結果として、2つの回折下部構造41、61はそれらの対称条件が異なる。
【0125】
回折構造57~60の回折下部構造の重畳は、結果として、負の回折構造のうちの1つの深さ、すなわち第1の回折下部構造の負の回折構造43の深さ、または第2の回折下部構造の負の回折構造43の深さのいずれかを有する構造部分と、2つの回折下部構造の2つの負の回折構造の構造深さの和に相当する構造深さを有する構造部分とをもたらす。
【0126】
2つの回折下部構造が異なる波長の回折のために設計される限り、2つの回折下部構造の構造深さは異なり得る。異なる目標波長λi、λjの場合、例えば、2つの回折下部構造のうちの一方の回折下部構造は、λi/4cの構造深さを有することができ、他方はλj/4cの構造深さを有することができる。したがって、2つの回折下部構造の負の回折構造43が重畳されている構造領域において、(λi+λj)/4cの構造深さが出現する。これに関しては、式(1)に関連する上記説明も参照されたい。
【0127】
図21は、例えば
図6の図面の平面において構造原点44を中心として90°回折下部構造46を旋回することによって発生する3つの回折下部構造、すなわち回折下部構造46(垂直線)、回折下部構造45(円形路)、および更なる回折下部構造の重畳であり、結果として水平に延びる正の回折構造42および負の回折構造43が出現している、回折構造62の変形形態を示す。この水平線回折下部構造を、以下では回折下部構造63と呼ぶ。
【0128】
回折下部構造45および46は、
図17に関連して上記で説明した基準を満たさないため、異なる対称条件を有する。
【0129】
3つの回折下部構造45、46、63の重畳に起因して、3つの負の回折構造43のうちの厳密に1つ、それぞれ、回折下部構造45、46、63のうちの1つが存在する回折構造61における構造領域と、3つの回折下部構造45、46、63のそれらの負の回折構造43のうちの厳密に2つが互いに重畳されている構造領域と、回折下部構造45、46および63の3つの負の回折構造43全てが互いに重畳されている構造領域とが存在する。
【0130】
したがって、そのために回折下部構造45、46、63が設計されている波長λi、λj、λkに応じて、結果として、λi/4cの構造深さを有する構造領域、λj/4cの構造深さを有する構造領域、λk/4cの構造深さを有する構造領域、(λi+λj)/4cの構造深さを有する構造領域、(λj+λk)/4cの構造深さを有する構造領域、(λi+λk)/4cの構造深さを有する構造領域、(λi+λj+λk)/4cの構造深さを有する構造領域がもたらされる。
【0131】
以下は、波長λi,λj:λi=10μm、すなわち、例えばポンプ光29の波長、およびλj=1μm、すなわち、例えばプレパルスのための別のポンプ光源30の波長に適用することができる。
【0132】
以下は、第3の波長λk:λk=0.1μm、すなわち、光源3によって付随的に生成されたEUV放射線成分の波長に適用することができる。
【0133】
ここでは図示しない、更なる変形形態では、回折構造が、4つの異なる回折下部構造の重畳として形成されることも可能である。
【0134】
第1の回折下部構造は、回折下部構造46のようにして形成することができ、10μmのオーダーの目標波長を抑制するための構造深さを有し得る。第2の回折下部構造は、
図21に関連して上記で説明した回折構造62の第3の回折下部構造63のように設計することができ、水平方向の正の回折構造および負の回折構造を有し、1μmの目標波長を抑制するための構造深さを有し得る。第3の回折下部構造は、
図7による回折下部構造47のようにしてスポーク形状を有することができ、第1の寄生DUV波長を実現するために、150nmの目標波長を抑制するように設計することができる。第4の回折下部構造の場合は、
図7による回折下部構造47のようにして設計され得るが、250nmの更なる寄生DUV波長を抑制するために異なる構造深さを有する。したがって、4つの回折下部構造全てが4つの異なる目標波長を抑制するように設計される。
【0135】
図4~
図21と関連して上記で説明した回折下部構造の種類から選択された回折下部構造の種類の別の組合せも可能である。
【0136】
合計3つの重畳された回折下部構造を有する回折構造の更なる実施形態において、回折下部構造のうちの2つは、
図5による円形路の種類の回折下部構造45であり、その2つの回折下部構造は10.6μmおよび10.2μmの2つの異なる目標波長、すなわちプラズマ放射線源3の一実施形態のプレパルスおよび主パルスの波長を抑制することを目的として、それらの構造深さに関して具現化される。この回折構造の変形形態において、第3の回折下部構造は、
図4による回折下部構造41のようにして、らせん路形回折下部構造として具現化され、この場合も150nmの寄生DUV波長を抑制するために使用される。
【0137】
微細構造化またはナノ構造化部品を作製するために、投影露光装置1が以下のように使用される。最初に、反射マスク7またはレチクルと、基板またはウェハ13が設けられる。その後、投影露光装置1によって、レチクル7上の構造が、ウェハ13の感光性層上に投影される。その後、ウェハ13上の微細構造またはナノ構造、したがって微細構造化部品は、感光性層を現像することによって作製される。
【国際調査報告】