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特表2023-543662基板ウェーハ上に半導体材料の層を堆積させるための装置および方法
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  • 特表-基板ウェーハ上に半導体材料の層を堆積させるための装置および方法 図1
  • 特表-基板ウェーハ上に半導体材料の層を堆積させるための装置および方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-18
(54)【発明の名称】基板ウェーハ上に半導体材料の層を堆積させるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20231011BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20231011BHJP
【FI】
H01L21/205
C23C16/44 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023510449
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2023-04-11
(86)【国際出願番号】 EP2021070002
(87)【国際公開番号】W WO2022033805
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】20191166.6
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599119503
【氏名又は名称】ジルトロニック アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Siltronic AG
【住所又は居所原語表記】Einsteinstrasse 172,81677 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘヒト,ハネス
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030BA29
4K030BB02
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA03
4K030EA11
4K030GA06
4K030KA11
4K030KA47
5F045AA03
5F045AB02
5F045AD14
5F045AD15
5F045AD16
5F045AD17
5F045AE29
5F045AF03
5F045BB14
5F045DP04
5F045DP28
5F045DQ10
5F045EC05
(57)【要約】
基板ウェーハ上に半導体材料の層を堆積させるための装置であって、上方ドームと下方ドームとの間のベースリングと、層の堆積中の基板ウェーハのキャリアとしてのサセプタと、プロセスガスを基板ウェーハの上面上を通すためのガス入口およびガス出口、送出ガスラインおよびガス供給ラインと、スリットバルブトンネルおよびスリットバルブドアと、サセプタおよび基板ウェーハを上昇させて回すための上昇および回転手段とを含み、ステンレススチールからなる1つ以上の装置構成要素が、シリコンおよび水素を含むアモルファス層で覆われている、装置が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ウェーハ上に半導体材料の層を堆積させるための装置であって、
上方ドームと下方ドームとの間のベースリングと、
前記層の堆積中の前記基板ウェーハのキャリアとしてのサセプタと、
プロセスガスを前記基板ウェーハの上面上を通すためのガス入口およびガス出口、送出ガスラインおよびガス供給ラインと、
スリットバルブトンネルおよびスリットバルブドアと、
前記サセプタおよび前記基板ウェーハを上昇させて回すための上昇および回転手段とを含み、
ステンレススチールからなる1つ以上の装置構成要素が、シリコンおよび水素を含むアモルファス層で覆われている、装置。
【請求項2】
ステンレススチールの前記構成要素は、前記ベースリング、前記ガス入口、前記ガス出口、前記ガス供給ライン、蛇腹および円錐を含む前記送出ガスライン、前記スリットバルブトンネル、前記スリットバルブドア、ならびに、前記上昇および回転手段である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
単一ウェーハリアクタとして構成される、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
標準圧力下で前記基板ウェーハ上にエピタキシャル層を堆積させるために設計されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
基板ウェーハ上に半導体材料のエピタキシャル層を堆積させるための方法であって、
請求項1~4のいずれか1項に記載の装置において前記基板ウェーハを前記エピタキシャル層でコーティングするステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の主題は、気相からの堆積によって基板ウェーハ上に半導体材料の層を堆積させるための装置である。この発明のさらに別の主題は、当該装置を採用する方法である。
【背景技術】
【0002】
先行技術/課題
エレクトロニクス産業用のベース材料の生成の分野における、要求の厳しい用途は、基板ウェーハ上の半導体材料の層の堆積、より特定的には、基板ウェーハ上のエピタキシャル層の堆積を含む。
【0003】
層の堆積中、基板ウェーハは、堆積温度でサセプタ上に位置する。プロセスガスが基板ウェーハの上面上を通され、前記ガスに含有される化合物(前駆体)の分解産物が材料の層として当該上面上で結晶化する。
【0004】
たとえばUS2009 314 205 A1に記載された単一ウェーハリアクタなどの装置は、上述の目的のために特に好適である。前記リアクタは、上方ドームと下方ドームとの間に配置されたベースリングを有する。それらはともに、半導体材料の層の堆積中に基板ウェーハを担持するサセプタを収容する反応チャンバを形成する。基板ウェーハは、スリットバルブドアおよびスリットバルブトンネルを通って反応チャンバへ搬送される。プロセスガスが、ガス供給ラインによってガス入口からガス出口へ通される。基板ウェーハは、熱放射によって堆積温度にされる。
【0005】
エレクトロニクス産業用のベース材料は、電子部品の機能に影響を与え得る異物を非常に低レベルしか含んではならない。そのような物質は、特に金属不純物を含む。堆積温度などの一般的な堆積条件下でもこの要件を満たすために、ベースリング、ガス入口、ガス出口、ガス供給ライン、送出ガスライン(蛇腹および円錐を含む)、スリットバルブドア、およびスリットバルブトンネルといった装置構成要素は、概してステンレススチールからなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ステンレススチールは特に耐食性であると考えられるが、ステンレススチールからの鉄などの金属不純物が基板ウェーハ上に堆積された半導体材料の層に入る可能性を非常に大いに防ぐことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明が取り組む課題は、基板ウェーハ上に半導体材料の層を堆積させるための装置であって、
上方ドームと下方ドームとの間のベースリングと、
層の堆積中の基板ウェーハのキャリアとしてのサセプタと、
プロセスガスを基板ウェーハの上面上を通すためのガス入口およびガス出口、およびガス供給ラインと、
スリットバルブトンネルおよびスリットバルブドアと、
サセプタおよび基板ウェーハを上昇させて回すための上昇および回転手段とを含み、
ステンレススチールからなる1つ以上の装置構成要素が、シリコンおよび水素を含むアモルファス層で覆われている、装置によって解決される。
【0008】
不純物に対する半導体材料の堆積層を有する基板ウェーハの意図された保護のために、ステンレススチールのためのあるアモルファスコーティングが特に好適であるということが分かっている。これらは、熱的に誘導された化学ガス気相成長によってそれら自体が生成され、シリコンおよび水素を含む、ステンレススチールのためのコーティングである。
【0009】
ステンレススチールからなる少なくとも1つの装置構成要素が好ましくは、少なくとも、基板ウェーハ上の半導体材料の層の堆積中にプロセスガスにさらされる面で、ステンレススチールのためのコーティングでコーティングされる。好ましくは、ベースリング、ガス入口、ガス出口、ガス供給ライン、スリットバルブドア、スリットバルブトンネル、ならびに、サセプタおよび基板ウェーハを上昇させて回すための上昇および回転ユニットといった、少なくとも1つの構成要素が、このコーティングでコーティングされる。ステンレススチールから作られ、堆積条件下でプロセスガスと接触する装置構成要素のすべてまたはほぼすべてが、ステンレススチールのためのコーティングで覆われていれば、より好ましい。
【0010】
コーティングは好ましくは水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)または(a-Si1-x:H)を含み、より好ましくは官能性シリカ様コーティング(a-SiO:CH)を含む。ステンレススチール上の水素化アモルファスシリコンコーティングは、たとえば、シルコテック社(SilcoTek Corp.)からシルコロイ(Silicolloy)(登録商標)という商標名で、また、PT&Bシルコール社(PT&B SILCOR GmbH)からシルコール(登録商標)SiCという商標名で入手可能であり、官能性シリカ様コーティングは、同様にシルコテック社からダーサン(Dursan)(登録商標)という商標名で入手可能である。ステンレススチールは、好ましくはCVD(chemical vapor deposition:化学気相成長)またはPCVD(plasma-activated CVD:プラズマ励起CVD)によってコーティングされる。そのようなコーティングをステンレススチール上に配置するためのこの種の方法は、たとえばEP 2 988 327 A1に記載されている。
【0011】
この発明のさらに別の主題は、基板ウェーハ上に半導体材料のエピタキシャル層を堆積させるための方法であって、基板ウェーハは上述の特性を有する装置においてエピタキシャル層でコーティングされる、方法である。
【0012】
基板ウェーハは好ましくは、単結晶シリコンの半導体ウェーハであり、その上に、単結晶シリコンの層が標準圧力下でエピタキシャルに堆積される。堆積温度は好ましくは1000℃~1300℃である。基板ウェーハおよび/またはエピタキシャル層は、電気的に活性のドーパントでドープされたものであってもよい。ドーパントの型(p型、n型)は同じであっても異なっていてもよい。基板ウェーハは、好ましくは少なくとも200mm、より好ましくは少なくとも300mmの直径を有する。
【0013】
以下の説明において、図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明が関わる装置の複数の形状構成を断面表現で示す図である。
図2】μPCD測定(マイクロ波光伝導減衰)による少数電荷キャリアのライフタイム測定の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、この発明が関わる装置の複数の形状構成を断面表現で示す。装置3は、ベースリング7と、上方ドーム1と、下方ドーム2とを含む。上方ドーム1の上方と下方ドーム2の下方とに配置されているのは、基板ウェーハを堆積温度まで加熱するためのランプ6である。層の堆積中、基板ウェーハ4はサセプタ5上に位置し、それはそれ自体がサセプタキャリアアームによって担持される。サセプタキャリアアームは、サセプタおよび基板ウェーハを上昇させて回すための上昇および回転手段の一部である。プロセスガスが、ガス供給ラインを介して、およびガス入口8を通って装置3へ導入され、ガス出口10を通って装置から排出される。さらに、図示された実施形態は、基板ウェーハ上に層を堆積させるプロセス中にパージガスをサセプタより下方の領域に通すための、さらに別のガス入口9およびさらに別のガス出口11を含む。
【0016】
例示的な実施形態
例示的な実施形態は、コーティングされたステンレススチール構成要素の使用がコーティングされたガス供給ラインおよびコーティングされた送出ガスラインの使用に制限される場合でも、有用な効果が観察可能であるということを示す。アプライド・マテリアルズ社(Applied Materials, Inc)からのエピ300センチュラ(Epi 300 Centura)(登録商標)装置において、300mmの直径を有する単結晶シリコン基板ウェーハ上に、単結晶シリコンのエピタキシャル層が堆積された。ある実験シリーズ中、プロセスガスと接触するガス供給ラインの面と、(蛇腹および円錐を含む)送出ガスラインの第1のメータとは、ダーサン(登録商標)の層でコーティングされ、一方、第2の実験シリーズ中は、二酸化ケイ素でコーティングされ、第3の実験シリーズ中は、ステンレススチールの表面を有する元の状態で、コーティングされなかった。各実験シリーズの開始時、装置は、新たに整備された状態であった。
【0017】
エピタキシャル層の堆積後、少数電荷キャリアのライフタイムが、製品ウェーハに対するμPCDによって定められた。
【0018】
図2では、測定されたμPCD値が、堆積されたエピタキシャル層を有する測定された基板ウェーハの数Nに対してプロットされている。この発明に従って生成されたエピタキシャル層を有する基板ウェーハの場合、より長いライフタイムが測定され、また、適用されるしきい値(破線)により速く達しており、放出されてエピタキシャル層に取り込まれた鉄などの不純物がより少ないという結論を示唆した。
【符号の説明】
【0019】
記号のリスト
1:上方ドーム
2:下方ドーム
3:装置
4:基板ウェーハ
5:サセプタ
6:ランプ
7:ベースリング
8:プロセスガス用のガス入口
9:パージガス用のガス入口
10:プロセスガス用のガス出口
11:パージガス用のガス出口
μPCD:μPCD測定によって測定されたライフタイム値
N:堆積されたエピタキシャル層を有する測定された基板ウェーハの数
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2021-11-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板ウェーハ上に半導体材料の層を堆積させるための装置であって、
上方ドームと下方ドームとの間のベースリングと、
前記層の堆積中の前記基板ウェーハのキャリアとしてのサセプタと、
プロセスガスを前記基板ウェーハの上面上を通すためのガス入口およびガス出口、送出ガスラインおよびガス供給ラインと、
スリットバルブトンネルおよびスリットバルブドアと、
前記サセプタおよび前記基板ウェーハを上昇させて回すための上昇および回転手段とを含み、
ステンレススチールからなる1つ以上の装置構成要素が、官能性シリカ様コーティング(a-SiO :CH で覆われていることを特徴とする、装置。
【請求項2】
ステンレススチールの前記構成要素は、前記ベースリング、前記ガス入口、前記ガス出口、前記ガス供給ライン、蛇腹および円錐を含む前記送出ガスライン、前記スリットバルブトンネル、前記スリットバルブドア、ならびに、前記上昇および回転手段であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
単一ウェーハリアクタとして構成されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
標準圧力下で前記基板ウェーハ上にエピタキシャル層を堆積させるために設計されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
基板ウェーハ上に半導体材料のエピタキシャル層を堆積させるための方法であって、
前記基板ウェーハは、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置において前記エピタキシャル層でコーティングされることを特徴とする、方法。
【国際調査報告】