(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-19
(54)【発明の名称】リサイクルプラスチック合成用単量体組成物、その製造方法、並びにそれを用いたリサイクルプラスチック、成形品および可塑剤組成物
(51)【国際特許分類】
C08J 11/24 20060101AFI20231012BHJP
C08G 63/183 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
C08J11/24 ZAB
C08G63/183
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519069
(86)(22)【出願日】2022-07-14
(85)【翻訳文提出日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 KR2022010302
(87)【国際公開番号】W WO2023003277
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0094470
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0094471
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0094472
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0094473
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パク、テ-スン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョンナム
(72)【発明者】
【氏名】ファン、チファン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、ムホ
【テーマコード(参考)】
4F401
4J029
【Fターム(参考)】
4F401AA22
4F401BA06
4F401CA02
4F401CA22
4F401CA30
4F401CA67
4F401CA75
4F401CB10
4F401DA16
4F401DC01
4F401EA07
4F401EA46
4F401EA60
4F401EA68
4F401FA01Z
4F401FA07Z
4J029AA03
4J029AB01
4J029AB04
4J029AD01
4J029AE01
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029BA08
4J029BD07A
4J029BF25
4J029CA06
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029JB131
4J029JF321
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE05
4J029KE12
4J029KG01
4J029KG02
(57)【要約】
本発明はテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収しながらも不純物であるイソフタル酸の含有量を極めて減少させて、粒子直径が増加したテレフタル酸の確保が可能なリサイクルプラスチック合成用単量体組成物、その製造方法、並びにそれを用いたリサイクルプラスチック、成形品および可塑剤組成物に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタル酸を含み、
リサイクルプラスチック合成用単量体組成物に100モル%を基準としてモル比が0.5モル%未満のイソフタル酸をさらに含み、
前記テレフタル酸の粒子直径が10μm以上300μm以下であり、
前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物はテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたことを特徴とする、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項2】
前記テレフタル酸およびイソフタル酸は前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物の回収に使用されたテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたことを特徴とする、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項3】
前記テレフタル酸はリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が99.5モル%超過である、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項4】
前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物100重量%を基準として重量比率が10ppm未満の有機溶媒をさらに含む、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒はN-メチル-2-ピロリドンまたはジメチルアセトアミドを含む、請求項4に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項6】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体はポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンテレフタレート系共重合体、および熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれた1種以上の(共)重合体を含む、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項7】
テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させて、ジオール成分を除去する段階;
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階;および
前記再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を含む、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項8】
前記洗浄段階で使用される溶媒は水を含む、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項9】
前記洗浄段階で、
前記再結晶段階の結果物1重量部に対して5重量部以上10重量部以下の溶媒を使用する、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項10】
前記再結晶段階で使用される有機溶媒はN-メチル-2-ピロリドンまたはジメチルアセトアミドを含む、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項11】
前記再結晶段階で、
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物1重量部に対して4重量部以上10重量部以下の有機溶媒を使用する、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項12】
前記再結晶段階は、
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を50℃以上130℃以下の温度で有機溶媒に溶解させる段階;および
前記溶解した溶液を10℃以下の温度で冷却させる段階;を含む、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項13】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応は、
テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体1モルに対して1.5モル以上2.5モル以下の含有量で塩基を反応させて行うことを特徴とする、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項14】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応は、
アルキレングリコール溶媒下で行うことを特徴とする、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項15】
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階の前に、
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の酸による中和反応段階;をさらに含む、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項16】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させて、ジオール成分を除去する段階の後に、
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の精製段階をさらに含む、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項17】
請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の反応生成物を含む、リサイクルプラスチック。
【請求項18】
前記リサイクルプラスチックはASTM D1238により測定した溶融流動性指数が15g/10min以上27g/10min以下である、請求項17に記載のリサイクルプラスチック。
【請求項19】
請求項17に記載のリサイクルプラスチックを含む、成形品。
【請求項20】
請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物およびアルコールの反応生成物を含む、可塑剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2021年7月19日付韓国特許出願第10-2021-0094470号、2021年7月19日付韓国特許出願第10-2021-0094471号、2021年7月19日付韓国特許出願第10-2021-0094472号および2021年7月19日付韓国特許出願第10-2021-0094473号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明はテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合によりテレフタル酸を回収するとき、不純物であるイソフタル酸の含有量が顕著に減少してテレフタル酸の純度を高めることができ、再結晶により粒子直径が増加したテレフタル酸の確保が可能なリサイクルプラスチック合成用単量体組成物、その製造方法、並びにそれを用いたリサイクルプラスチック、成形品および可塑剤組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は熱可塑性(共)重合体であって、優れた透明性、断熱性など優れた特性を有して電線被覆、生活用品、おもちゃ、電気絶縁体、ラジオ、テレビケース、包装材などに広く使用されるプラスチックである。
【0004】
多様な用途に広く使用されるポリエチレンテレフタレートであるが、廃処理時の環境と健康に関する懸念は持続的に提起されてきた。現在、物理的なリサイクル方法が行われているが、これは品質低下を伴う問題が発生していて、ポリエチレンテレフタレートの化学的リサイクルへの研究が進められている。
【0005】
テレフタル酸は広範囲な種類の製品原料として使用される有用な化合物であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル繊維、包装および容器用ポリエステルフィルムの主原料として使用される。
【0006】
エチレングリコールをテレフタル酸と共に縮重合してポリエチレンテレフタレート(PET)を生成するのは可逆反応工程であって、ポリエチレンテレフタレート(PET)を解重合して単量体またはオリゴマーに戻すことができる。
【0007】
ポリエチレンテレフタレート(PET)を分解して原料になるモノマーを回収する方法としては従来より多様な方法が提案されている。リサイクルプラスチックに再び作るための重縮合反応に用いられる単量体はポリエチレンテレフタレート(PET)廃棄物のアルカリ分解により得ることができる。
【0008】
例えば、塩基性条件でのポリエチレンテレフタレート(PET)の分解生成物はエチレングリコールおよびテレフタル酸の塩を含み、テレフタル酸の塩を強酸による中和反応をさらに行ってテレフタル酸を製造する。
【0009】
しかし、従来の方法で得られたテレフタル酸には通常1~2%のイソフタル酸が不純物として含まれ、PBT/TPEEなどの高付加価値性プラスチックの製造原料として再使用される場合、(共)重合体物性の低下(低い融点、低い引張強度、低い剛性など)の問題が発生する限界があった。
【0010】
したがって、ポリエチレンテレフタレート(PET)をはじめとするテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を分解して原料になるモノマーを回収する過程で、不純物であるイソフタル酸の含有量を顕著に減らすことができる方法に関する開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合によりテレフタル酸を回収するとき、不純物であるイソフタル酸の含有量が顕著に減少してテレフタル酸の純度を高めることができ、再結晶により粒子直径が増加したテレフタル酸の確保が可能なリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、前記のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法、並びにリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を利用したリサイクルプラスチック、成形品および可塑剤組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、本明細書では、テレフタル酸を含み、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物に100モル%を基準としてモル比が0.5モル%未満のイソフタル酸をさらに含み、前記テレフタル酸の粒子直径が10μm以上300μm以下であり、前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物はテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたことを特徴とするリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を提供する。
【0014】
本明細書ではまた、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させて、ジオール成分を除去する段階;前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階;および前記再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を含むリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法が提供される。
【0015】
本明細書ではまた、前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の反応生成物を含むリサイクルプラスチックが提供される。
【0016】
本明細書ではまた、前記リサイクルプラスチックを含む成形品が提供される。
【0017】
本明細書ではまた、前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物およびアルコールの反応生成物を含む、可塑剤組成物が提供される。
【0018】
以下、発明の具体的な実施形態によるリサイクルプラスチック合成用単量体組成物、その製造方法、並びにそれを用いたリサイクルプラスチック、成形品および可塑剤組成物についてより詳細に説明する。
【0019】
本明細書で明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0020】
本明細書で使用される単数形は文脈上明らかに逆の意味を示さない限り複数形も含む。
【0021】
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
【0022】
そして、本明細書で「第1」および「第2」のように序数を含む用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され、前記序数によって限定されない。例えば、本発明の権利範囲内で第1構成要素は第2構成要素と名付けられてもよく、同様に第2構成要素は第1構成要素と名付けられてもよい。
【0023】
1.リサイクルプラスチック合成用単量体組成物
発明の一実施形態によれば、テレフタル酸を含み、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が0.5モル%未満のイソフタル酸をさらに含み、前記テレフタル酸の粒子直径が10μm以上300μm以下であり、前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物はテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたことを特徴とするリサイクルプラスチック合成用単量体組成物が提供されることができる。
【0024】
本発明者らは前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物のように、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたが、本発明における主な合成目標物質であるテレフタル酸でないその他単量体であるイソフタル酸の比率がリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が0.5モル%未満で極めて減少して、これを用いてポリエチレンテレフタレートまたは高付加価値のプラスチック(PBT,TPEE)を合成する場合、優れた物性の実現が可能であることを実験により確認して発明を完成した。
【0025】
また、テレフタル酸の粒子直径が10μm以上300μm以下で従来に比べて増加して、より多くのテレフタル酸がテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されてテレフタル酸の損失を最小化することによって、回収効率が高くなることを確認した。
【0026】
特に、従来より知られている方法で得られたテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたテレフタル酸には通常1~2%のイソフタル酸が不純物として含まれるか、再結晶に使用される有機溶媒が不純物として含まれることに対して、本発明は後述するリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法上、特徴的な再結晶工程および高温洗浄工程によりイソフタル酸ないし再結晶に使用された有機溶媒をほぼ完全に除去させることができた。
【0027】
具体的には、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物はテレフタル酸を含むことができる。前記テレフタル酸は前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物の回収に使用されたテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたことを特徴とする。
【0028】
すなわち、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を得るためにテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体で回収を行った結果、テレフタル酸も共に得られることを意味する。したがって、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を製造するためにテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体での回収とは別に外部で新規のテレフタル酸を添加させる場合は本願発明のテレフタル酸の範疇に含まれない。
【0029】
具体的には、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたとは、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応により得られたことを意味する。
【0030】
より具体的には、前記解重合反応は酸性、中性、塩基性下で行われることができ、例えば、塩基性(アルカリ)の条件下で解重合反応の進行時、前記ポリエチレンテレフタレートから一次的にNa2-TPAというテレフタル酸塩とエチレングリコールが生成され、2次強酸中和によりNa2-TPAをTPAに転換してテレフタル酸を回収することができる。
【0031】
すなわち、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたテレフタル酸はテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の塩基(アルカリ)分解物、その酸中和物、またはこれらの混合物を含むことができる。具体的には、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の塩基(アルカリ)分解物はNa2-TPAを含むことができ、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の塩基(アルカリ)分解物の酸中和物はテレフタル酸を含むことができる。
【0032】
前記テレフタル酸はリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が99.5モル%超過、または99.9モル%以上、または99.5モル%超過100モル%以下、または99.9モル%以上100モル%以下であり得る。
【0033】
前記テレフタル酸のモル比を測定する方法の例は大きく限定されるものではなく、例えば、1H NMR、ICP-MS分析、HPLC分析方法などを制限なく用いることができる。前記NMR、ICP-MS、HPLCの具体的な方法、条件、装備などは従来より知られている多様な内容を制限なく適用することができる。
【0034】
前記テレフタル酸のモル比を測定する方法の一例を挙げると、常圧、20℃以上30℃以下条件でリサイクルプラスチック合成用単量体組成物5mg以上20mg以下を試料として採取して1ml DMSO-d6溶媒に溶解させた後、Agilent DD1 500MHz NMR装備により1H NMRスペクトルを得て、分析ソフトウェア(MestReC)を用いてテレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)などの検出されるすべての物質ピークをそれぞれ指定し、積分してピーク積分値を基準として前記試料で分析された全体単量体化合物100モル%内に含有されたテレフタル酸のモル比(モル%)を計算した。
【0035】
このように、本発明における主な合成目標物質であるテレフタル酸の比率がリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が99.5モル%超過で極めて増加して、テレフタル酸の不純物単量体(例えば、イソフタル酸)を最小化することによって、これを用いてポリエチレンテレフタレートまたは高付加価値のプラスチック(PBT,TPEE)を合成する場合、優れた物性の実現が可能である。
【0036】
特に、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてテレフタル酸モル比が99.5モル%超過で極めて増加することは、後述するように解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる工程と、再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する工程により、テレフタル酸あるいはその塩の溶解度の増加により結晶、または結晶の間々に付いていたイソフタル酸などの不純物を最大限溶媒で溶解させることができ、溶解したテレフタル酸と不純物の間の溶解度の差異を用いて温度を低くしてテレフタル酸を再び回収できるからである。
【0037】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてテレフタル酸のモル比が99.5モル%以下に減少すると、十分な水準の不純物の除去とテレフタル酸の高純度、高収率の確保が難しいので、テレフタル酸の回収工程効率が減少し、回収されたテレフタル酸およびこれから合成された(共)重合体の物性が不良である。
【0038】
また、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が0.5モル%未満のイソフタル酸をさらに含むことができる。
【0039】
前記イソフタル酸は前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物の回収に使用されたテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたことを特徴とする。
【0040】
すなわち、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を得るためにテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体で回収を行った結果、イソフタル酸も共に得られることを意味する。したがって、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を製造するためにテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体での回収とは別に外部で新規のイソフタル酸を添加させる場合は本願発明のイソフタル酸の範疇に含まれない。
【0041】
具体的には、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたとは、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応により得られたことを意味する。前記解重合反応は酸性、中性、塩基性下で行われることができ、特に、塩基性(アルカリ)の条件下で解重合反応を行うことができる。
【0042】
前記イソフタル酸はリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が0.5モル%未満、または0.1モル%以下、または0モル%以上0.5モル%未満、または0モル%以上0.1モル%以下であり得る。
【0043】
前記イソフタル酸のモル比を測定する方法の例は大きく限定されるものではなく、例えば、1H NMR、ICP-MS分析、HPLC分析方法などを制限なく用いることができる。前記NMR、ICP-MS、HPLCの具体的な方法、条件、装備などは従来より知られている多様な内容を制限なく適用することができる。
【0044】
前記イソフタル酸のモル比を測定する方法の一例を挙げると、常圧、20℃以上30℃以下条件でリサイクルプラスチック合成用単量体組成物5mg以上20mg以下を試料として採取して1ml DMSO-d6溶媒に溶解させた後、Agilent DD1 500MHz NMR装備により1H NMRスペクトルを得て、分析ソフトウェア(MestReC)を用いてテレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)などの検出されるすべての物質ピークをそれぞれ指定し、積分してピーク積分値を基準として前記試料で分析された全体単量体化合物100モル%内に含有されたイソフタル酸のモル比(モル%)を計算した。
【0045】
このように、本発明における主な合成目標物質であるテレフタル酸でない不純物単量体であるイソフタル酸の比率がリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が0.5モル%未満で極めて減少することによって、これを用いてポリエチレンテレフタレートまたは高付加価値のプラスチック(PBT,TPEE)を合成する場合、優れた物性の実現が可能である。
【0046】
特に、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において、テレフタル酸でない不純物単量体であるイソフタル酸の比率がリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が0.5モル%未満で極めて減少するのは、後述するように再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する工程により、テレフタル酸あるいはその塩の溶解度の増加により結晶、または結晶の間々に付いていたイソフタル酸などの不純物を最大限溶媒で溶解させることができ、溶解したテレフタル酸と不純物の間の溶解度の差異を用いて温度を低くしてテレフタル酸を再び回収できるからである。
【0047】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてイソフタル酸のモル比が0.5モル%以上に増加すると、十分な水準の不純物除去とテレフタル酸の高純度、高収率の確保が難しいので、テレフタル酸の回収工程効率が減少し、回収されたテレフタル酸およびこれから合成された(共)重合体の物性が不良である。
【0048】
また、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたことを特徴とする。すなわち、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を得るためにテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体で回収を行った結果、テレフタル酸、イソフタル酸が含有されたリサイクルプラスチック合成用単量体組成物が共に得られることを意味する。
【0049】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体において、前記(共)重合体は重合体または共重合体をすべて含む意味であり、単量体の(共)重合体反応により得られる反応生成物を総称する。前記(共)重合体は分子量範囲による低分子化合物、オリゴマー、高分子をすべて含むことができる。
【0050】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体は、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンテレフタレート系共重合体、および熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれた1種以上の(共)重合体を含むことができる。すなわち、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体はポリアルキレンテレフタレート1種、ポリアルキレンテレフタレート系共重合体1種、熱可塑性ポリエステルエラストマー1種、またはこれらの2種以上の混合物を含むことができる。
【0051】
前記ポリアルキレンテレフタレート系共重合体はポリアルキレンテレフタレートを合成する単量体であるアルキレングリコールとテレフタル酸に基づいて追加的な共単量体をさらに反応させて得られた共重合体を意味する。
【0052】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体はテレフタル酸および共単量体の反応生成物を含むことができる。すなわち、前記テレフタル酸を含む単量体は、テレフタル酸と共に共単量体をさらに含むことができる。
【0053】
前記テレフタル酸と反応できる共単量体の例も、大きく限定されるものではなく、具体的な例としては脂肪族ジオール、ポリアルキレンオキシド、脂肪酸、脂肪酸誘導体またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
前記脂肪族ジオールは一例として数平均分子量(Mn)300g/mol以下のジオール、すなわちエチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール(1,4-butane diol、1,4-BG)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-cycloheanedimethanol,1,4-CHDM)のうち1種以上を使用することができ、具体的な例としては1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0055】
前記ポリアルキレンオキシドはソフトセグメントを構成する単位であって、脂肪族ポリエーテルを構成成分とすることができる。一例としてポリオキシエチレングリコール(polyoxyethylene glycol)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(poly(tetramethylene) glycol,PTMEG)、ポリオキシヘキサメチレングリコール(polyoxyhexamethylene glycol)、エチレンオキシド(ethylene oxide)とプロピレンオキシド(propylene oxide)の共重合体、ポリプロピレンオキシドグリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)の共重合体のうち1種以上を使用することができ、具体的な例としてPTMEGを使用することができ、特に数平均分子量(Mn)が600g/mol~3,000g/mol、1,000g/mol~2,500g/molあるいは1,500g/mol~2,200g/molであるPTMEGを使用することができる。
【0056】
前記脂肪酸は一例としてテレフタル酸を除いた脂肪族カルボン酸化合物のうち1種以上を使用することができ、具体的な例としてアジピン酸を使用することができる。前記脂肪酸誘導体は上述した脂肪酸から由来した化合物であって、一例として脂肪酸エステル、脂肪酸塩化物、脂肪酸無水物、脂肪酸アミドのうち1種以上を使用することができ、具体的な例としてアジピン酸エステルを使用することができる。
【0057】
具体的な例を挙げると説明すると、前記テレフタル酸と反応できる共単量体として前記脂肪族ジオールである1,4-ブタンジオールを使用すると、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールの重合反応により前記ポリアルキレンテレフタレートの一種であるポリブチレンテレフタレート(PBT)が得られる。
【0058】
また、前記テレフタル酸と反応できる共単量体として前記脂肪族ジオールであるエチレングリコールを使用すると、テレフタル酸とエチレングリコールの重合反応により前記ポリアルキレンテレフタレートの一種であるポリエチレンテレフタレート(PET)が得られる。
【0059】
また、前記テレフタル酸と反応できる共単量体として前記脂肪族ジオールである1,4-ブタンジオールと前記ポリアルキレンオキシドであるPTMEGを共に使用すると、テレフタル酸と1,4-ブタンジオール、PTMEGの重合反応により熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)が得られる。
【0060】
また、前記テレフタル酸と反応できる共単量体として前記脂肪族ジオールである1,4-ブタンジオールと脂肪酸であるアジピン酸を共に使用すると、テレフタル酸と1,4-ブタンジオール、アジピン酸の重合反応により前記ポリアルキレンテレフタレート系共重合体の一種であるポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)が得られる。
【0061】
また、前記テレフタル酸と反応できる共単量体として前記脂肪族ジオールであるエチレングリコールと1,4-シクロヘキサンジメタノールを共に使用すると、テレフタル酸とエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールの重合反応により前記ポリアルキレンテレフタレート系共重合体の一種であるグリコール変性PET樹脂(glycolmodified polyethylene terephthalate,PETG)が得られる。
【0062】
具体的な例として、前記ポリアルキレンテレフタレートはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートおよびポリトリメチレンテレフタレートのうち選ばれた1種以上の(共)重合体を含むことができる。
【0063】
また、具体的な例として、前記ポリアルキレンテレフタレート系共重合体はポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)およびグリコール変性PET樹脂(glycolmodified polyethylene terephthalate,PETG)のうち選ばれた1種以上の(共)重合体を含むことができる。
【0064】
なお、前記テレフタル酸の粒子直径が10μm以上300μm以下であり得る。前記テレフタル酸の粒子直径とは、粒子の重心を通る直線が粒子境界線と接する二つの地点の間の距離を意味する。
【0065】
前記テレフタル酸の粒子直径を測定する方法の例は大きく限定されるものではなく、例えば、FE-SEMイメージなどを制限なく用いることができる。前記FE-SEMの具体的な方法、条件、装備などは従来より知られている多様な内容を制限なく適用することができる。前記テレフタル酸の粒子直径を測定する方法の一例を挙げると、HITACHI-S4800でFE-SEMイメージにより測定することができる。
【0066】
このように、本発明における主な合成目標物質であるテレフタル酸の粒子直径が10μm以上300μm以下に増加して、テレフタル酸の不純物単量体(例えば、イソフタル酸)が最小化され、テレフタル酸の回収効率を上げることによって、これを用いてポリエチレンテレフタレートまたは高付加価値のプラスチック(PBT,TPEE)を合成する場合、優れた物性の実現が可能である。
【0067】
特に、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において、テレフタル酸の粒子直径が10μm以上300μm以下に増加するのは、後述するようにテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させて、ジオール成分を除去する工程後に、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる工程により、解重合反応生成物に含有されたテレフタル酸の溶解度の増加により結晶、または結晶の間々に付いていたイソフタル酸などの不純物を最大限溶媒で溶解させることができ、溶解したテレフタル酸が不純物に比べて溶解度が悪いので、後に温度を低くしたときに溶解度の差異により容易にテレフタル酸結晶として析出されることができるからである。
【0068】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において、テレフタル酸の粒子直径が10μm未満に減少すると、十分な水準の不純物除去とテレフタル酸の高純度、高収率の確保が難しいので、テレフタル酸の回収工程効率が減少し、回収されたテレフタル酸およびこれから合成された(共)重合体の物性が不良である。
【0069】
前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物100重量%を基準として重量比率が10ppm未満の有機溶媒をさらに含むことができる。前記有機溶媒は前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物の回収工程のうち後述する再結晶工程で使用された有機溶媒に該当する。
【0070】
前記再結晶工程に使用される有機溶媒の具体的な例は大きく限定されるものではなく、従来のテレフタル酸の再結晶技術分野で広く使用される多様な有機溶媒が制限なく適用可能である。ただし、前記有機溶媒の一例を挙げて説明すると、N-メチル-2-ピロリドンまたはジメチルアセトアミドを使用することができる。
【0071】
特に、前記N-メチル-2-ピロリドンまたはジメチルアセトアミド溶媒の場合、相対的に低い温度でもテレフタル酸とその他不純物を十分に溶解させることができ、後の溶液の冷却時に冷却温度においてテレフタル酸とその他不純物の間の溶解度の差異が大きくてテレフタル酸のみを効率的に再結晶分離することができる。
【0072】
すなわち、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を得るためにテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体で回収を行った結果、有機溶媒も共に得られることを意味する。したがって、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物を製造するためにテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体での回収とは別に外部で新規の有機溶媒を添加させる場合は本願発明の有機溶媒の範疇に含まれない。
【0073】
具体的には、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたとは、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応により得られたことを意味する。前記解重合反応は酸性、中性、塩基性下で行われることができ、特に、塩基性(アルカリ)の条件下で解重合反応を行うことができる。より具体的には、前記有機溶媒は前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応後に、テレフタル酸の高純度精製のための再結晶に使用される再結晶溶媒から由来したものであり得る。
【0074】
本発明における主な合成目標物質であるテレフタル酸でない不純物である有機溶媒の重量比率が前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物100重量%を基準として重量比率が10ppm未満で極めて減少することによって、これを用いてポリエチレンテレフタレートまたは高付加価値のプラスチック(PBT,TPEE)を合成する場合、優れた物性の実現が可能である。
【0075】
前記有機溶媒の重量比率を測定する方法の例は大きく限定されるものではなく、例えば、1H NMR、ICP-MS分析、HPLC分析方法などを制限なく用いることができる。前記NMR、ICP-MS、HPLCの具体的な方法、条件、装備などは従来より知られている多様な内容を制限なく適用することができる。
【0076】
前記有機溶媒の重量比率を測定する方法の一例を挙げると、常圧、20℃以上30℃以下の条件でリサイクルプラスチック合成用単量体組成物0.5gを試料として採取してICP-OES装備により無機分析を行って、前記試料100重量%を基準としてそれに含有された有機溶媒重量比率(重量%)を測定した。
【0077】
特に、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において、テレフタル酸でない不純物単量体である有機溶媒の比率がリサイクルプラスチック合成用単量体組成物100重量%を基準として重量比率が10ppm未満で極めて減少するのは、後述するように再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する工程により、再結晶有機溶媒の沸点を超過する温度で再結晶有機溶媒が気化して除去できるからである。
【0078】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物において、テレフタル酸でない不純物単量体である有機溶媒の比率がリサイクルプラスチック合成用単量体組成物100重量%を基準として重量比率が10ppm超に増加すると、テレフタル酸に過量残留する再結晶有機溶媒によって、回収されたテレフタル酸およびこれから合成された(共)重合体の物性が不良である。
【0079】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は、一部の少量のその他添加剤、溶媒をさらに含み得、具体的な添加剤や溶媒の種類は大きく限定されず、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合によるテレフタル酸の回収工程で広く使用される多様な物質を制限なく適用することができる。
【0080】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は、後述するリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法により得られたものであり得る。すなわち、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応後に、本発明における主な合成目標物質であるテレフタル酸のみを高純度で確保するために多様な濾過、精製、洗浄、乾燥工程を経て得られた結果物に該当する。
【0081】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物は、後述する多様なリサイクルプラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、グリコール変性PET樹脂(glycolmodified polyethylene terephthalate,PETG)、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE))合成に使用される単量体製造原料に適用されるか、プラスチック(例えば、ポリ塩化ビニル(PVC))加工に使用されるその他添加剤(例えば、ジオクチルテレフタレート可塑剤)の製造原料として使用することができる。
【0082】
2.リサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法
発明の他の実施形態によれば、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させて、ジオール成分を除去する段階;前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階;および前記再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を含むリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法が提供されることができる。
【0083】
本発明者らは前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法のように、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体からテレフタル酸を回収する工程で、有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる再結晶工程;および前記再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する洗浄工程を適用することにより、本発明における主な合成目標物質であるテレフタル酸でないその他単量体であるイソフタル酸、再結晶有機溶媒の比率が極めて減少して、これを用いてポリエチレンテレフタレートまたは高付加価値のプラスチック(PBT,TPEE)を合成する場合、優れた物性の実現が可能であることを実験により確認して発明を完成した。
【0084】
特に、従来の方法により得られたテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたテレフタル酸には通常1~2%のイソフタル酸が不純物として含まれたことに対して、本発明は後述するリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法上、特徴的な再結晶および洗浄工程によりイソフタル酸や再結晶有機溶媒をほぼ完全に除去させることができた。
【0085】
これは、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる工程により、解重合反応生成物に含有されたテレフタル酸の溶解度の増加により結晶、または結晶の間々に付いていたイソフタル酸などの不純物を最大限溶媒で溶解させることができ、溶解したテレフタル酸が不純物に比べて溶解度が悪いので、後に温度を低くしたときに溶解度の差異により容易にテレフタル酸結晶として析出されることができるからである。
【0086】
また、前記200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する工程により、テレフタル酸あるいはその塩の溶解度の増加により結晶、または結晶の間々に付いていたイソフタル酸などの不純物を最大限溶媒で溶解させることができ、溶解したテレフタル酸と不純物の間の溶解度の差異を用いて温度を低くしてテレフタル酸を再び回収できるからである。
【0087】
具体的には、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させて、ジオール成分を除去する段階を含むことができる。
【0088】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体は合成により生産された新規のテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体、再生工程により生産された再生テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体、またはテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体廃棄物など多様な形態、種類に関係なく適用することができる。
【0089】
ただし、必要に応じて、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応を行う前に、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の前処理工程を行って、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体からテレフタル酸を回収する工程の効率を上げることができる。前記前処理工程の例としては洗浄、乾燥、粉砕、がグリコール分解などが挙げられ、それぞれの前処理工程の具体的な方法は限定されず、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合によるテレフタル酸の回収工程において広く使用される多様な方法を制限なく適用することができる。
【0090】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応時、前記解重合反応は酸性、中性、塩基性下で行われることができ、例えば、塩基性(アルカリ)の条件下で解重合反応の進行時、前記ポリエチレンテレフタレートから一次的にNa2-TPAというテレフタル酸塩とエチレングリコールが生成され、2次強酸中和によりNa2-TPAをTPAに転換してテレフタル酸を回収することができる。
【0091】
より具体的には、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応は、水、またはアルキレングリコール、またはアルコール溶媒下で行うことができる。前記アルキレングリコール溶媒の具体的な例としてはエチレングリコールが挙げられ、前記アルコール溶媒の具体的な例としてはエタノールが挙げられる。
【0092】
また、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応は塩基条件で行うことができる。前記塩基の種類は大きく限定されず、一例として水酸化ナトリウム(NaOH)が挙げられる。
【0093】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応時、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体1モルに対して2.5モル以下、1.5モル以上2.5モル以下、または1.5モル以上2.3モル以下の含有量で塩基を反応させて行うことができる。
【0094】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応時、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体1モルに対して2.5モル超過で塩基を反応させると、イソフタル酸塩の溶解度の減少およびアルカリ塩の発生量増加の影響により主な合成目標物質であるテレフタル酸でない不純物であるイソフタル酸およびソジウム(Na)が増加して、後述する洗浄工程によっても十分に除去されにくいからである。
【0095】
また、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応を行う温度は大きく限定されるものではないが、例えば25℃以上200℃以下、または130℃以上180℃以下で行うことができる。また、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応を行う時間は0分以上3時間以下で行うことができる。
【0096】
なお、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させた後に、ジオール成分を除去することができる。例えば、前記ポリエチレンテレフタレート(PET)のアルカリ分解生成物はエチレングリコールおよびテレフタル酸塩を含む。
【0097】
本発明の主な回収目標物質はテレフタル酸であるから、それ以外の副産物は濾過により除去させることができる。濾過された副産物は前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応に分離精製過程なしにリサイクルするか、必要に応じて通常の蒸留、抽出、吸着方式の分離精製を経てリサイクルすることができる。
【0098】
具体的な一例を挙げると、前記ポリエチレンテレフタレートを解重合反応の生成物を50℃以下に冷却した後、真空濾過によりエチレングリコールを除去してテレフタル酸塩を得ることができる。
【0099】
また、本発明の主な回収目標物質はテレフタル酸であるから、テレフタル酸塩の場合、後述するように追加的な強酸による中和工程によりテレフタル酸に転換させることができる。
【0100】
なお、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階を含むことができる。
【0101】
前述したように、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物にはエチレングリコールが除去され、テレフタル酸塩や、またはその中和により得られたテレフタル酸を含有することができる。ただし、テレフタル酸を得る回収工程中に多様な不純物が残留しているので、これを十分に除去して高純度のテレフタル酸を確保するために再結晶を行うことができる。
【0102】
具体的には、前記再結晶段階は前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階を含むことができる。前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる工程により、解重合反応生成物に含有されたテレフタル酸、またはその塩の溶解度の増加により結晶、または結晶の間々に付いていたイソフタル酸などの不純物を最大限溶媒で溶解させることができ、溶解したテレフタル酸が不純物に比べて溶解度が悪いので、後に温度を低くしたときに溶解度の差異により容易にテレフタル酸結晶として析出されることができる。
【0103】
前記再結晶工程に使用される有機溶媒の具体的な例は大きく限定されるものではなく、従来のテレフタル酸の再結晶技術分野で広く使用される多様な有機溶媒が制限なく適用可能である。ただし、前記有機溶媒の一例を挙げて説明すると、N-メチル-2-ピロリドンまたはジメチルアセトアミドを使用することができる。
【0104】
前記N-メチル-2-ピロリドンまたはジメチルアセトアミド溶媒の場合、相対的に低い温度でもテレフタル酸とその他不純物を十分に溶解させることができ、後の溶液の冷却時に冷却温度においてテレフタル酸とその他不純物の間の溶解度の差異が大きくてテレフタル酸のみを効率的に再結晶分離することができる。
【0105】
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物1重量部に対して4重量部以上10重量部以下の有機溶媒を使用することができる。前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物1重量部に対して有機溶媒が4重量部未満で使用されると、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物に含有されたテレフタル酸を溶解するための温度が過度に高くなって工程効率が悪くなり、再結晶による不純物の除去が容易でない。反面、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物1重量部に対して有機溶媒が10重量部超過で使用されると、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物に含有されたテレフタル酸の溶解度が過度に高くなって再結晶後に回収されるテレフタル酸の収率が減少し、多量の溶媒使用による工程効率性が減少し得る。
【0106】
より具体的には、前記再結晶段階は、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を50℃以上130℃以下、または50℃以上100℃以下、または50℃以上70℃以下の温度で有機溶媒に溶解させる段階;および前記溶解した溶液を10℃以下、または0℃以上10℃以下、または5℃以上10℃以下の温度で冷却させる段階;を含むことができる。
【0107】
再結晶が行われる高温温度範囲、冷却温度範囲が相対的に温和な条件であっても、高い水準で不純物を除去してテレフタル酸の回収効率を上げることができる長所がある。前記温度条件は溶媒による再結晶が行われる容器内部の温度を意味し、常温を外れる高温、低温を維持するために多様な加熱、冷却機構を制限なく適用することができる。
【0108】
前記再結晶工程の具体的な溶解、冷却条件、装置、方法の具体的な例は大きく限定されるものではなく、従来のテレフタル酸の再結晶技術分野で広く使用される多様な方法が制限なく適用可能である。
【0109】
なお、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、前記再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階を含むことができる。
【0110】
前記再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する工程により、テレフタル酸あるいはその塩の溶解度の増加により結晶、または結晶の間々に付いていたイソフタル酸などの不純物を最大限溶媒で溶解させることができ、溶解したテレフタル酸と不純物の間の溶解度の差異を用いて温度を低くしてテレフタル酸を再び回収することができる。
【0111】
前記再結晶段階の結果物にはテレフタル酸、その塩、またはこれらの混合物を含有することができる。ただし、テレフタル酸を得る回収工程中に多様な不純物が残留しているので、これを十分に除去して高純度のテレフタル酸を確保するために洗浄を行うことができる。
【0112】
具体的には、前記洗浄段階は、前記再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下、または205℃以上300℃以下、または200℃以上250℃以下、または205℃以上250℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階を含むことができる。前記温度条件は溶媒による洗浄が行われる洗浄容器の内部の温度を意味し、常温を外れる高温を維持するために多様な加熱機構を制限なく適用することができる。
【0113】
前記再結晶段階の結果物を洗浄する温度が200℃未満に減少すると、テレフタル酸の溶解度が十分に上がりにくくて、結晶、または結晶の間々に付いていたイソフタル酸などの不純物を最大限溶媒で溶解しにくい限界があり、再結晶に使用された溶媒の沸点より低い温度が形成されて再結晶有機溶媒を十分に除去し難い。反面、前記再結晶段階の結果物を洗浄する温度が300℃超過で過度に増加すると、極限の温度条件を維持するために厳しい条件が形成されて工程の効率性が減少し得る。
【0114】
前記洗浄段階で使用される溶媒は水を含むことができる。前記洗浄段階で使用される溶媒は前記再結晶段階の結果物1重量部に対して5重量部以上10重量部以下の重量比率で使用することができる。前記再結晶段階の結果物1重量部に対して洗浄溶媒が5重量部未満で使用されると、テレフタル酸の溶解度が十分に上がりにくくて、結晶、または結晶の間々に付いていたイソフタル酸などの不純物を最大限溶媒で溶解しにくい限界がある。反面、前記再結晶段階の結果物1重量部に対して洗浄溶媒が10重量部超過で使用されると、多量の溶媒使用による工程効率性が減少し得る。
【0115】
前記再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階は少なくとも1回以上繰り返して行うことができる。
【0116】
また、必要に応じて、前記再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階を行った後には濾過により残留する溶媒を除去する工程を追加で経ることができる。
【0117】
なお、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を洗浄する段階の後に、冷却段階;をさらに含むことができる。前記冷却によりテレフタル酸と不純物との溶解度の差異により、結晶化されたテレフタル酸を濾過などにより得て、不純物を溶媒に溶解した状態で除去することができる。具体的な冷却条件は大きく限定されるものではないが、例えば100℃以下、または50℃以上100℃以下の温度で冷却を行うことができる。前記冷却時に使用される具体的な乾燥装備、方法については従来より公知された多様な冷却技術が制限なく適用可能である。
【0118】
なお、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を洗浄する段階の前に、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の酸による中和反応段階;をさらに含むことができる。
【0119】
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)アルカリ分解生成物は、エチレングリコールおよびテレフタル酸塩を含むが、本発明の主な回収目標物質はテレフタル酸であるから、前記アルカリ分解により得られたテレフタル酸塩の場合、追加的な強酸による中和工程によりテレフタル酸に転換させることができる。すなわち、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応がアルカリ分解である場合、酸による中和反応段階を経ることができる。
【0120】
前記中和反応時に使用される酸は強酸を使用することができ、例えば、塩酸(HCl)が挙げられる。前記強酸による中和反応により、中和反応終了時のpHが4以下、または2以下を満たすことができる。前記中和反応時の温度は25℃以上100℃以下に調節することができる。
【0121】
また、必要に応じて、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の酸による中和反応段階を行った後には濾過により残留する不純物を除去する工程を追加で経ることができる。
【0122】
なお、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させて、ジオール成分を除去する段階の後に、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の精製段階をさらに含むことができる。
【0123】
前記精製により残留する不純物を除去することができ、具体的な精製条件は大きく限定されるものではなく、具体的な精製装備、方法については従来より公知された多様な精製技術が制限なく適用可能である。
【0124】
具体的な一例を挙げると、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の精製段階は、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を溶解して濾過させる段階;および吸着剤による吸着段階;を含むことができる。
【0125】
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を溶解して濾過させる段階で、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を溶解させる溶媒としては水を使用することができ、溶解温度は25℃以上100℃以下で行うことができる。これにより、解重合反応で反応しなかった残留テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を除去することができる。
【0126】
前記吸着剤による吸着段階で、吸着剤の例としては活性炭、木炭(charcoal)、セライト(celite)、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0127】
必要に応じて、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の精製段階で抽出段階、洗浄段階、沈殿段階、再結晶段階、乾燥段階などを制限なく追加で適用可能である。
【0128】
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の精製段階を行う場合、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の精製段階の後に上述した前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階を行うことができる。
【0129】
また、前述したように解重合反応がアルカリ分解である場合、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の精製段階を行うと、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の精製段階の後に上述した前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の酸による中和反応段階を経て前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階を行うことができる。
【0130】
すなわち、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させて、ジオール成分を除去する段階、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の精製段階、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の酸による中和反応段階、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階の順に行うことができる。
【0131】
なお、前記他の実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法は、前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を洗浄する段階の後に乾燥段階;をさらに含むことができる。前記乾燥により残留する溶媒を除去することができ、具体的な乾燥条件は大きく限定されるものではないが、例えば100℃以上150℃以下の温度で乾燥を行うことができる。前記乾燥時に使用される具体的な乾燥装備、方法については従来より公知された多様な乾燥技術が制限なく適用可能である。
【0132】
3.リサイクルプラスチック
発明のまた他の実施形態によれば、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の反応生成物を含むリサイクルプラスチックが提供されることができる。前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物に係る内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含む。
【0133】
前記リサイクルプラスチックに該当する例は大きく限定されるものではなく、テレフタル酸を単量体として合成される多様なプラスチックが制限なく適用可能であり、より具体的な例としてはテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体が挙げられる。
【0134】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体において、前記(共)重合体は重合体または共重合体をすべて含む意味であり、単量体の(共)重合体反応により得られる反応生成物を総称する。前記(共)重合体は分子量範囲による低分子化合物、オリゴマー、高分子をすべて含むことができる。
【0135】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体はポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンテレフタレート系共重合体、および熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれた1種以上の(共)重合体を含むことができる。すなわち、前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体はポリアルキレンテレフタレート1種、ポリアルキレンテレフタレート系共重合体1種、熱可塑性ポリエステルエラストマー1種、またはこれらの2種以上混合物を含むことができる。
【0136】
前記ポリアルキレンテレフタレート系共重合体はポリアルキレンテレフタレートを合成する単量体であるアルキレングリコールとテレフタル酸に基づいて追加的な共単量体をさらに反応させて得られた共重合体を意味する。
【0137】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された高純度のテレフタル酸と反応できる共単量体の例も、大きく限定されるものではなく、具体的な例としては脂肪族ジオール、ポリアルキレンオキシド、脂肪酸、脂肪酸誘導体またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0138】
前記脂肪族ジオールは一例として数平均分子量(Mn)300g/mol以下のジオール、すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール(1,4-butane diol、1,4-BG)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-cycloheanedimethanol、1,4-CHDM)の中で1種以上を使用することができ、具体的な例として1,4-ブタンジオール、エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、またはこれらの混合物を使用することができる。
【0139】
前記ポリアルキレンオキシドはソフトセグメントを構成する単位であって、脂肪族ポリエーテルを構成成分とすることができる。一例としてポリオキシエチレングリコール(polyoxyethylene glycol)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(poly(tetramethylene) glycol,PTMEG)、ポリオキシヘキサメチレングリコール(polyoxyhexamethylene glycol)、エチレンオキシド(ethylene oxide)とプロピレンオキシド(propylene oxide)の共重合体、ポリプロピレンオキシドグリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)の共重合体のうち1種以上を使用することができ、具体的な例としてPTMEGを使用することができ、特に数平均分子量(Mn)が600g/mol~3,000g/mol、1,000g/mol~2,500g/molあるいは1,500g/mol~2,200g/molであるPTMEGを使用することができる。
【0140】
前記脂肪酸は一例としてテレフタル酸を除いた脂肪族カルボン酸化合物のうち1種以上を使用することができ、具体的な例としてアジピン酸を使用することができる。前記脂肪酸誘導体は上述した脂肪酸から由来した化合物であって、一例として脂肪酸エステル、脂肪酸塩化物、脂肪酸無水物、脂肪酸アミドのうち1種以上を使用することができ、具体的な例としてアジピン酸エステルを使用することができる。
【0141】
具体的な例を挙げると説明すると、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された高純度のテレフタル酸と反応できる共単量体として前記脂肪族ジオールである1,4-ブタンジオールを使用すると、テレフタル酸と1,4-ブタンジオールの重合反応により前記ポリアルキレンテレフタレートの一種であるポリブチレンテレフタレート(PBT)が得られる。
【0142】
また、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された高純度のテレフタル酸と反応できる共単量体として前記脂肪族ジオールであるエチレングリコールを使用すると、テレフタル酸とエチレングリコールの重合反応により前記ポリアルキレンテレフタレートの一種であるポリエチレンテレフタレート(PET)が得られる。
【0143】
また、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された高純度のテレフタル酸と反応できる共単量体として前記脂肪族ジオールである1,4-ブタンジオールと前記ポリアルキレンオキシドであるPTMEGを共に使用すると、テレフタル酸と1,4-ブタンジオール、PTMEGの重合反応により熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)が得られる。
【0144】
また、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された高純度のテレフタル酸と反応できる共単量体として前記脂肪族ジオールである1,4-ブタンジオールと脂肪酸であるアジピン酸を共に使用すると、テレフタル酸と1,4-ブタンジオール、アジピン酸の重合反応により前記ポリアルキレンテレフタレート系共重合体の一種であるポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)が得られる。
【0145】
また、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された高純度のテレフタル酸と反応できる共単量体として前記脂肪族ジオールであるエチレングリコールと1,4-シクロヘキサンジメタノールを共に使用すると、テレフタル酸とエチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールの重合反応により前記ポリアルキレンテレフタレート系共重合体の一種であるグリコール変性PET樹脂(glycolmodified polyethylene terephthalate,PETG)が得られる。
【0146】
具体的な例として、前記ポリアルキレンテレフタレートはポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートおよびポリトリメチレンテレフタレートのうち選ばれた1種以上の(共)重合体を含むことができる。
【0147】
また、具体的な例として、前記ポリアルキレンテレフタレート系共重合体はポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)およびグリコール変性PET樹脂(glycolmodified polyethylene terephthalate,PETG)のうち選ばれた1種以上の(共)重合体を含むことができる。
【0148】
前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の反応方法の例は特に限定されず、従来より知られている多様な方法を制限なく適用することができる。ただし、前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の反応の具体的な一例として溶融縮重合および固相重合が挙げられる。
【0149】
より具体的な例として、前記リサイクルプラスチックで熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)を製造する場合、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、ポリアルキレンオキシドをチタンブトキシド(titaniumbutoxide,TBT)触媒下に180℃以上250℃以下で30分以上210分以下の間エステル化反応によりBHBT(bis(4-hydroxy) butyl terephthalate)オリゴマーを生成した後TBT触媒を再投入して溶融重縮合反応を200℃以上270℃以下で20分以上240分以下の間760torrから0.3torrまで段階的に減圧しながら実施することができる。前記溶融重縮合反応終結後に窒素圧で反応器内で吐出してストランドのペレタイジングによりペレット(pellet)化することができる。
【0150】
その次に、前記ペレットを固相重合反応器、あるいは回転可能な真空乾燥器で140℃以上200℃以下の温度範囲で10時間以上24時間以下にわたって高真空下窒素などの不活性気流下で固相重合を行うことができる。
【0151】
また、前記リサイクルプラスチックでポリアルキレンテレフタレートを製造する場合、芳香族ジカルボン酸と数平均分子量(Mn)が300g/mol以下である脂肪族ジオールを溶融重合した後に固相重合したものであり得る。
【0152】
前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂は溶融重合により得られた低分子量ペレットを固相重合反応器に入れて上述した熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)の固相重合で提示したように、高真空、不活性状態下で反応させて高分子量の樹脂を得ることができる。
【0153】
前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の反応で、前記ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、またはポリブチレンアジペートテレフタレートを製造する具体的な方法については特に限定されず、従来の再生プラスチック合成分野に広く知られた多様な工程を制限なく適用することができる。
【0154】
前記リサイクルプラスチックはASTM D1238により測定した溶融流動性指数が15g/10min以上27g/10min以下であり得る。前記リサイクルプラスチックの溶融流動性指数が27g/10min超に増加すると、前記リサイクルプラスチックの成形が容易でなくなる。
【0155】
ただし、前記リサイクルプラスチックの溶融流動性指数を測定する方法の一例を挙げると、ASTM D1238に準拠して230℃~250℃、2.16kg、4分間荷重を加えて測定することができる。
【0156】
より具体的には、例えば、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)の場合、ASTM D1238に準拠して230℃、 2.16kg、4分間荷重を加えて測定することができる。また、前記ポリアルキレンテレフタレートの場合、ASTM D1238に準拠して250℃、2.16kg、4分間荷重を加えて測定することができる。
【0157】
前記リサイクルプラスチックの溶融流動性指数特性は、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の重量比率によって変わり、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の重量比率は特に限定されるものではなく、熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)を基準として一例を挙げると、TPA/(TPA+PTMG)=61.5の重量比率で合成されることができる。
【0158】
4.成形品
発明のまた他の実施形態によれば、前記他の実施形態のリサイクルプラスチックを含む成形品が提供されることができる。前記リサイクルプラスチックに係る内容は前記他の実施形態で上述した内容をすべて含む。
【0159】
前記成形品は前記リサイクルプラスチックを公知された多様なプラスチック成形方法を制限なく適用して得られたものであり得、前記成形方法の一例を挙げると、射出成形、発泡射出成形、ブロー成形、または押出成形が挙げられる。
【0160】
前記成形品の例は大きく限定されるものではなく、プラスチックを使用する多様な成形品に制限なく適用可能である。前記成形品の一例を挙げると、自動車、電機電子製品、通信製品、生活用品が挙げられる。
【0161】
5.可塑剤組成物
発明のまた他の実施形態によれば、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物およびアルコールの反応生成物を含む可塑剤組成物が提供されることができる。前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物に係る内容は前記一実施形態で上述した内容をすべて含む。
【0162】
一般的に可塑剤は、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂と充填材、安定剤、顔料、防曇剤などの多様な添加剤を適宜添加して多様な加工物性を付与して押出成形、射出成形、カレンダリングなどの加工法により電線、パイプ、床材、壁紙、シート、人造皮革、ターポリン、テープおよび食品包装材業種の製品に至るまで多様な製品の素材として使用される。
【0163】
通常可塑剤はアルコールがフタル酸およびアジピン酸のようなポリカルボン酸と反応してそれに相応するエステルを形成する。また、人体に有害なフタレート系可塑剤の国内外の規制を考慮して、テレフタレート系、トリメリテート系、その他高分子系などのフタレート系可塑剤の代わりとなる可塑剤組成物に係る研究が続けられている。
【0164】
前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物およびアルコールの反応生成物はテレフタレート系化合物を含むことができる。具体的には、前記一実施形態のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有されたテレフタル酸とアルコールの直接エステル化反応によりテレフタレート系化合物が得られる。
【0165】
前記直接エステル化反応は、アルコールにテレフタル酸を投入した後に触媒を添加して窒素雰囲気下で反応させる段階;未反応アルコールを除去して、未反応酸を中和させる段階;および減圧蒸留により脱水および濾過する段階;で準備される。
【0166】
前記テレフタレート系化合物の例は大きく限定されるものではないが、一例を挙げると、ジオクチルテレフタレート(DOTP)、ジイソノニルテレフタレート(DINTP)、ジイソデシルテレフタレート(DIDTP)、またはジ(2-プロピルヘプチル)テレフタレート(DPHTP)などが挙げられる。
【0167】
前記テレフタレート系化合物は、オクタノール、イソノニルアルコール、イソデシルアルコールおよび2-プロピルヘプチルアルコールからなる群より選ばれたいずれか一つのアルコールと、テレフタル酸が反応する直接エステル化反応により製造することができる。
【0168】
前記可塑剤組成物は電線、床材、自動車内装材、フィルム、シート、壁紙あるいはチューブ製造に適用することができる。
【発明の効果】
【0169】
本発明によれば、テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合によりテレフタル酸を回収するとき、不純物であるイソフタル酸の含有量が顕著に減少してテレフタル酸の純度を高めることができ、再結晶により粒子直径が増加したテレフタル酸の確保が可能なリサイクルプラスチック合成用単量体組成物、その製造方法、並びにそれを用いたリサイクルプラスチック、成形品および可塑剤組成物が提供されることができる。
【発明を実施するための形態】
【0170】
発明を下記の実施例でより詳細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示するだけであり、本発明の内容は下記の実施例によって限定されない。
【0171】
<実施例>
(実施例1)
(1)リサイクルテレフタル酸単量体組成物の製造
ポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルスクラップ(bottle scrap)300g(1.56mol)、エチレングリコール(EG)1939.69g(31.25mol)、水酸化ナトリウム(NaOH)128.13g(3.20mol)を3L SUS反応器に投入した後、閉じた系状態で180℃で2時間の間攪拌してPET解重合反応を行った。前記解重合反応の生成物を50℃以下に冷却した後、真空濾過によりテレフタル酸ナトリウム塩(Na2-TPA)を得た。
【0172】
前記テレフタル酸ナトリウム塩(Na2-TPA)が含有された濾過物を水3000gに完全に溶解させた後、再び真空濾過により未反応PETを除去した。その後、前記濾過物に木炭(charcoal)15gを投入した後、1時間攪拌させた後に濾過により木炭(charcoal)を除去した。その後、6N HCl約500~550mlを投入して20~30℃で中和させて、pH2以下に低くなったスラリーを再び真空濾過してテレフタル酸(TPA)を得た。
【0173】
得られたテレフタル酸(TPA)に対して10倍のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を投入して60℃に昇温して60℃ですべて溶解させた後、TPA/NMP溶液を10℃まで冷却させて再結晶によりテレフタル酸(TPA)結晶を回収した。
【0174】
前記回収されたテレフタル酸(TPA)結晶と、テレフタル酸(TPA)に対して10倍の水を3L SUS高圧Vesselに投入して、205℃に昇温して205℃で洗浄して、100℃以下、常圧で徐冷した後、真空濾過した。
【0175】
前記洗浄過程を行った後、100℃コンベクションオーブンで12時間乾燥してリサイクルされたテレフタル酸(TPA)が回収されたリサイクルテレフタル酸単量体組成物を製造した。
【0176】
(2)リサイクルプラスチックの製造
前記実施例1の(1)で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物200g、1,4-ブチレングリコール200g、数平均分子量が1,000-2,000g/molであるポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(poly(tetramethylene)glycol,PTMEG)125gをエステル交換(ester interchange)反応器に入れてTBT触媒を0.1wt%加えた。200~240℃を維持しながら120~180分間反応させ、反応率(反応流出物である水量を反応率に換算した値)が90%以上である時点に反応を終結させてオリゴマーを得た。
【0177】
その後、製造されたオリゴマーを重縮合(polycondensation)反応器に移してTBT触媒0.1wt%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.14~0.15wt%、芳香族アミン系酸化防止剤または硫黄系安定剤を0.15~0.2wt%投入して230~250℃を維持させながら760torrから0.3torrまで30分間減圧しながら溶融重縮合反応を行った後0.3torr以下の高真空条件で攪拌機にかかるトルク(torque)が所望のトルクに到達するまで溶融重縮合を行った。反応を終結して窒素圧を用いて吐出してストランド化、冷却後にペレット(pellet)化して熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)樹脂を製造した。
【0178】
(実施例2)
下記表1に示すように、前記実施例1の(1)で再結晶溶媒NMP使用量を得られたテレフタル酸(TPA)に対して5倍に変更したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルテレフタル酸単量体組成物およびリサイクルプラスチックを製造した。
【0179】
(実施例3)
下記表1に示すように、前記実施例1の(1)で再結晶溶媒NMP使用量を得られたテレフタル酸(TPA)に対して4倍に変更したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルテレフタル酸単量体組成物およびリサイクルプラスチックを製造した。
【0180】
(実施例4)
下記表1に示すように、前記実施例1の(1)で再結晶溶媒NMP使用量を得られたテレフタル酸(TPA)に対して4倍、洗浄水使用量をテレフタル酸(TPA)に対して5倍に変更したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルテレフタル酸単量体組成物およびリサイクルプラスチックを製造した。
【0181】
(実施例5)
下記表1に示すように、前記実施例1の(1)で再結晶溶媒を得られたテレフタル酸(TPA)に対して5倍のジメチルアセトアミド(DMAc)に変更したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルテレフタル酸単量体組成物およびリサイクルプラスチックを製造した。
【0182】
(実施例6)
(1)リサイクルテレフタル酸単量体組成物の製造
前記実施例1の(1)と同一の方法でリサイクルテレフタル酸単量体組成物を製造した。
【0183】
(2)リサイクルプラスチックの製造
前記実施例1の(1)で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物300g、1,4-ブチレングリコール300gをエステル(esterification)反応器に入れてTBT触媒0.1wt%を加えた。200~240℃を維持しながら120~180分間反応させ、反応率(反応流出物である水量を反応率に換算したとき)が90%以上である時点に反応を終結させてオリゴマーを得た。
【0184】
その後、製造されたオリゴマーを重縮合(polycondensation)反応器に移して230~260℃を維持しながら760torrから0.3torrまで30分間減圧しながら溶融重縮合し、攪拌機にかかるトルク(torque)が所望のトルク値に到達するまで0.3torr以下の高真空条件下に溶融重縮合反応を行った。反応を終結して窒素圧を利用、吐出してストランド化して冷却後にペレット(pellet)化してポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂を製造した。
【0185】
<比較例>
(比較例1)
下記表1に示すように、前記実施例1の(1)で洗浄溶媒を水とNMPを1:1で混合した溶液(テレフタル酸(TPA)に対して10倍)に変更して、20~30℃で洗浄したことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルテレフタル酸単量体組成物およびリサイクルプラスチックを製造した。
【0186】
(比較例2)
下記表1に示すように、前記実施例1の(1)で洗浄時、テレフタル酸(TPA)に対して10倍の水で、20~30℃で2回洗浄して、再結晶は行わなかったことを除いては、前記実施例1と同一の方法でリサイクルテレフタル酸単量体組成物およびリサイクルプラスチックを製造した。
【0187】
(比較例3)
下記表1に示すように、前記実施例3の(1)で洗浄温度を20~30℃に変更したことを除いては、前記実施例3と同一の方法でリサイクルテレフタル酸単量体組成物およびリサイクルプラスチックを製造した。
【0188】
<実験例1>
前記実施例、および比較例で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物に対して、下記方法で物性を測定し、その結果を表1に示した。
【0189】
1.テレフタル酸(TPA)の収率
下記数式によりテレフタル酸(TPA)の収率を計算した。
【0190】
[数式]
TPA収率(%)={(リサイクルテレフタル酸単量体組成物に含有されたTPAモル数)/(最初に投入したPETモル数)}×100
2.テレフタル酸(TPA)粒子の大きさ
前記実施例および比較例で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物に含有されたテレフタル酸(TPA)粒子に対して、HITACHI-S4800でFE-SEMイメージにより最大直径と最小直径をそれぞれ測定した。
【0191】
3.再結晶有機溶媒の含有量
常圧、20~30℃条件でリサイクルテレフタル酸単量体組成物5~20mgを試料として採取して1ml DMSO-d6溶媒に溶解させた後、Agilent DD1 500MHz NMR装備により1H NMRスペクトルを得た。分析ソフトウェア(MestReC)を用いてテレフタル酸(TPA)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などの検出されるすべての物質ピークをそれぞれ指定し、積分した。ピーク積分値を基準として前記試料で分析した全体リサイクルテレフタル酸単量体組成物100重量%内に含有された再結晶有機溶媒N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド(DMAc)の重量比率(ppm)を計算した。
【0192】
4.テレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)の含有量
常圧、20~30℃条件でリサイクルテレフタル酸単量体組成物5~20mgを試料として採取して1ml DMSO-d6溶媒に溶解させた後、Agilent DD1 500MHz NMR装備により1H NMRスペクトルを得た。分析ソフトウェア(MestReC)を用いてテレフタル酸(TPA)、イソフタル酸(IPA)などの検出されるすべての物質ピークをそれぞれ指定し、積分した。ピーク積分値を基準として前記試料で分析された全体単量体化合物100モル%内に含有されたテレフタル酸とイソフタル酸のモル比(モル%)を計算した。
【0193】
【0194】
前記表1に示すように、実施例1~5で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物に含まれた単量体のうち99.9モル%~100モル%がテレフタル酸が含有され、不純物であるイソフタル酸が完全に除去され、また他の不純物である再結晶有機溶媒含有量が0ppmで未検出されて高純度のテレフタル酸精製効率を示した。反面、比較例1で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物に含まれた単量体のうち不純物であるイソフタル酸が0.8モル%で実施例に比べて過量含有され、また他の不純物である再結晶有機溶媒含有量が500ppmで実施例に比べて過量含有されてテレフタル酸精製効率が大きく減少することを確認することができた。
【0195】
また、比較例2で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物に含まれた単量体のうち不純物であるイソフタル酸が2.2モル%で実施例に比べて過量含有されてテレフタル酸精製効率が大きく減少することを確認することができた。
【0196】
また、比較例3で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物に含まれた単量体のうち不純物であるイソフタル酸が1.2モル%で実施例に比べて過量含有され、また他の不純物である再結晶有機溶媒含有量が400ppmで実施例に比べて過量含有されてテレフタル酸精製効率が大きく減少することを確認することができた。
【0197】
なお、実施例で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物に含まれたテレフタル酸の粒子大きさは10μm~300μmで、0.5μm~10μmである比較例より増加したことを確認することができた。
【0198】
<実験例2>
前記実施例、および比較例で得られたリサイクルプラスチックに対して、下記方法で物性を測定し、その結果を表2に示した。
【0199】
1.溶融流動性指数(Melt Flow Index (MFI))
(1)実施例1~5、比較例1~3で得られた熱可塑性ポリエステルエラストマー(TPEE)に対して、ASTM D1238に準拠して230℃、2.16kg、4分間荷重を加えて溶融流動性指数を測定した。
【0200】
(2)実施例6で得られたポリブチレンテレフタレート(PBT)に対して、ASTM D1238に準拠して250℃、2.16kg、4分間荷重を加えて溶融流動性指数を測定した。
【0201】
【0202】
前記表2に示すように、実施例1~5で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物から合成されたTPEE(共)重合体の場合、溶融流動性指数が19.5g/10min~26g/10minで示された。また、実施例6で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物から合成されたPBT(共)重合体の場合、溶融流動性指数が20.2g/10minで示された。
【0203】
反面、比較例2で得られたリサイクルテレフタル酸単量体組成物から合成されたTPEE(共)重合体の場合、溶融流動性指数が43.9g/10minで大きく増加して不良であることが確認された。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタル酸を含み、
リサイクルプラスチック合成用単量体組成物に
含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が0.5モル%未満のイソフタル酸をさらに含み、
前記テレフタル酸の粒子直径が10μm以上300μm以下であり、
前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物はテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたことを特徴とする、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項2】
前記テレフタル酸およびイソフタル酸は前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物の回収に使用されたテレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体から回収されたことを特徴とする、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項3】
前記テレフタル酸はリサイクルプラスチック合成用単量体組成物に含有された全体単量体化合物100モル%を基準としてモル比が99.5モル%超過である、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項4】
前記リサイクルプラスチック合成用単量体組成物100重量%を基準として重量比率が10ppm未満の有機溶媒をさらに含む、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒はN-メチル-2-ピロリドンまたはジメチルアセトアミドを含む、請求項4に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項6】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体はポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンテレフタレート系共重合体、および熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれた1種以上の(共)重合体を含む、請求項1に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物。
【請求項7】
テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させて、ジオール成分を除去する段階;
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階;および
前記再結晶段階の結果物を200℃以上300℃以下の温度で溶媒で洗浄する段階;を含む、リサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項8】
前記洗浄段階で使用される溶媒は水を含む、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項9】
前記洗浄段階で、
前記再結晶段階の結果物1重量部に対して5重量部以上10重量部以下の溶媒を使用する、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項10】
前記再結晶段階で使用される有機溶媒はN-メチル-2-ピロリドンまたはジメチルアセトアミドを含む、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項11】
前記再結晶段階で、
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物1重量部に対して4重量部以上10重量部以下の有機溶媒を使用する、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項12】
前記再結晶段階は、
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を50℃以上130℃以下の温度で有機溶媒に溶解させる段階;および
前記溶解した溶液を10℃以下の温度で冷却させる段階;を含む、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項13】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応は、
テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体1モルに対して1.5モル以上2.5モル以下の
量で塩基を反応させて行うことを特徴とする、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項14】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体の解重合反応は、
アルキレングリコール溶媒下で行うことを特徴とする、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項15】
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物を有機溶媒に溶解させた後に再結晶させる段階の前に、
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の酸による中和反応段階;をさらに含む、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項16】
前記テレフタル酸を含む単量体から合成された(共)重合体を解重合反応させて、ジオール成分を除去する段階の後に、
前記ジオール成分が除去された解重合反応生成物の精製段階をさらに含む、請求項7に記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物の製造方法。
【請求項17】
請求項1
~6のいずれかに記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物および共単量体の反応生成物を含む、リサイクルプラスチック。
【請求項18】
前記リサイクルプラスチックはASTM D1238により測定した溶融流動性指数が15g/10min以上27g/10min以下である、請求項17に記載のリサイクルプラスチック。
【請求項19】
請求項17に記載のリサイクルプラスチックを含む、成形品。
【請求項20】
請求項1
~6のいずれかに記載のリサイクルプラスチック合成用単量体組成物およびアルコールの反応生成物を含む、可塑剤組成物。
【国際調査報告】