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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-20
(54)【発明の名称】タイヤ用TPU製品の最適な組成物
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/16 20060101AFI20231013BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
C08J9/16 CER
C08J9/16 CEZ
C08L101/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023516715
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 EP2021075077
(87)【国際公開番号】W WO2022053674
(87)【国際公開日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】20196004.4
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ペゼルト,エルマー
(72)【発明者】
【氏名】ティールベール,フランク
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,リザ マリー
(72)【発明者】
【氏名】ヒュールスマン,テレザ
(72)【発明者】
【氏名】グートマン,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ケッペラー,ウヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ラップ,フロリアン トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ハーゼ,エファ アンナ
【テーマコード(参考)】
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
4F074AA80
4F074BA32
4F074BA33
4F074BA95
4F074CA48
4F074DA02
4F074DA08
4F074DA09
4F074DA35
4F074DA36
4F074DA45
4F074DA58
4J002BB001
4J002BB032
4J002BB122
4J002BC021
4J002BC032
4J002CF001
4J002CF062
4J002CF072
4J002CF182
4J002CG022
4J002CH001
4J002CK021
4J002CL001
4J002CL002
4J002DA036
4J002DE236
4J002DM006
4J002FD011
4J002FD012
4J002FD016
4J002GC00
4J002GL00
4J002GN00
4J002GN01
(57)【要約】
本発明は、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを含む成形体に関する。本発明は、また、成形体を製造する方法であって、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある、熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを用意し、その発泡ペレットを融着して成形体を得る方法に関する。本発明は、また、上記方法によって得た又は得られる成形体に、及び、前記成形体を、家具、座席、クッション材として、車の車輪又は車の車輪の部品、おもちゃ、おもちゃの動物、タイヤ又はタイヤの部品、サドル、ボール及びスポーツ用品、例えばスポーツマット、又は、特にスポーツ用面、陸上競技用面、スポーツホール、子供の遊び場及び通路用の、床カバー材及び壁パネル材として使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを含むことを特徴とする成形体。
【請求項2】
発泡ペレットの平均長さが1~8mmの範囲にある、請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
ペレットの平均長さのペレットの平均幅に対する比が1.0~2.0の範囲にある、請求項1又は2に記載の成形体。
【請求項4】
熱可塑性エラストマーが、2K/分の加熱速度及び1Hzの周波数でDIN EN ISO 6721-2011-08に準拠した損失係数(tanδ)により決定される動的機械熱分析により決定した、<10℃の範囲のガラス転移温度Tgを持つ軟質相を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項5】
組成物(M1)が、2K/分の加熱プログラム及び1Hzの周波数でDIN EN ISO6721-1-7:2018-03に準拠する焼戻し体(20h/100℃)のDMAを用いて決定した、10~90MPaの範囲に、室温での緻密材料のG’弾性率を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項6】
熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリアミド(TPA)及び熱可塑性ポリエーテルエステル(TPC)、ポリエステルエステル(TPC)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項7】
組成物(M1)が、その組成物(M1)の質量に基づいて0.1~20質量%の範囲の量で充填剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項8】
成形体が、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項9】
下記の工程
(i)方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある、熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを用意する工程、
(ii)該発泡ペレットを融着して成形体を得る工程
を含むことを特徴とする成形体を製造する方法。
【請求項10】
発泡ペレットの平均長さが1~8mmの範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ペレットの平均長さのペレットの平均幅に対する比が1.0~2.0の範囲にある、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性エラストマーが、加熱速度及び1Hzの周波数でDINに準拠する損失係数(tanδ)により決定した、<10℃の範囲のガラス転移温度Tgを持つ軟質相を有する、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
組成物(M1)が、2K/分の加熱プログラム及び1Hzの周波数でDIN EN ISO6721-1-7:2018-03に準拠する焼戻し体(20h/100℃)のDMAを用いて決定した、10~90MPaの範囲に、室温での緻密材料のG’弾性率を有する、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリアミド(TPA)及び熱可塑性ポリエーテルエステル(TPC)、ポリエステルエステル(TPC)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド及び熱可塑性ポリエーテルエステル、ポリエステルエステル、及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択されたものである、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
組成物(M1)が、その組成物(M1)の質量に基づいて0.1~20質量%の範囲の量で充填剤を含む、請求項9~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程(ii)を熱融着によって行う、請求項9~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項9~18のいずれか一項に記載の方法によって得られた又は得られる成形体。
【請求項20】
請求項9~18のいずれか一項に記載の方法によって得られた又は得られる成形体又は請求項1~8若しくは請求項19のいずれか一項に記載の成形体を、家具、座席、クッション材として、車の車輪又は車の車輪の部品、おもちゃ、おもちゃの動物、タイヤ又はタイヤの部品、サドル、ボール及びスポーツ用品、例えばスポーツマット、又は、特にスポーツ用面、陸上競技用面、スポーツホール、子供の遊び場及び通路用の、床カバー材及び壁パネル材として使用する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを含む成形体に関する。本発明は、また、成形体を製造する方法であって、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある、熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを用意し、その発泡ペレットを融着して成形体を得る方法に関する。本発明は、また、上記方法によって得た又は得られる成形体に、また、家具、座席、クッション材として、車の車輪又は車の車輪の部品、おもちゃ、おもちゃの動物、タイヤ又はタイヤの部品、サドル、ボール及びスポーツ用品、例えばスポーツマット、又は、特にスポーツ用面(surface)、陸上競技用面、スポーツホール、子供の遊び場及び通路用の床カバー材及び壁パネル材として前記成形体を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡体、特に粒子発泡体は古くから知られており、例えばUllmannの「Encyclopedia of Technical Chemistry」、第4版、第20巻、p.416ffなど、文献に広く記載されている。
【0003】
熱可塑性エラストマー製の粒子発泡体など、高弾性で大部分が独立気泡の発泡体は、例えばオートクレーブ内で又は押出機プロセスにより製造されるものであり、特別な動的特性を示し、場合によっては優れた反発弾性をも示す。また、熱可塑性エラストマー粒子とシステム発泡体又はバインダーから製造したハイブリッド発泡体も知られている。フォーム密度、製造方法、及びマトリックス材料に応じて、その剛性を比較的広いレベルで調整することができる。発泡体の特性は、焼き戻しなどの発泡体に施す後処理によっても影響を受ける可能性がある。
【0004】
熱可塑性ポリウレタン又は他のエラストマーに基づく、粒子発泡体(又はビーズ発泡体、パーティクル発泡体)とも呼ばれる発泡ペレット、及びそれから製造した成形品が知られ(例えば、WO94/20568A1、WO2007/082838A1、WO2017/030835A1、WO2013/153190A1、WO2010/010010A1)ており、これらはさまざまな方法で使用することができる。
【0005】
本発明における意味の発泡ペレットすなわち粒子発泡体又はビーズ発泡体は、粒子の形態の発泡体を指し、その粒子の平均長は1~8mmの範囲であることが好ましい。球形でない場合、例えば細長い又は円筒形の粒子の場合は、長さによる最長寸法を意味する。
【0006】
発泡ペレット及び発泡ペレットから製造される成形体については、様々な用途が知られている。例えば、WO2019/185687A1は、ポリウレタンマトリックス及び発泡熱可塑性エラストマー粒子を含む非空気入りタイヤを開示し、この非空気入りタイヤは、60~90質量%のポリウレタンマトリックス及び10~40質量%の発泡熱可塑性エラストマー粒子を含む。しかし、そのタイヤは、空気入りタイヤと比較して十分な快適性を示さないことが多く、空気入りタイヤと比較して転がり抵抗が高く、半圧縮材料としては非常に高い密度を持っている。
【0007】
例えば5mmを超えるような長さの大きな発泡ペレットを使用すると、例えば充填の問題により密度分布が不均一になることが多い。
【0008】
また、WO2017/039451A1及びWO2018/004344A1は、非空気圧式又は非空気入りタイヤに関する。そこには、2つの対向する円形リムフランジを有するホイールリム、円形リムフランジに固定された2つのビードを有する外側タイヤ、インレー(inlay)、及び、熱可塑性ポリウレタン発泡体(E-TPU)を含む非空気入り内側タイヤを備える車両ホイールアセンブリが開示されていて、その内側タイヤは外側タイヤ、インレー及びホイールリムによって取り囲まれている。また、WO2017/039451A1及びWO2018/004344A1に開示されているタイヤは、空気圧式又は空気入りタイヤに比べて十分な快適性を示すが、空気入りタイヤに比べて転がり抵抗が高い。
【0009】
例えばタイヤなど、いくつかの用途では、発泡ペレットから製造した成形体は、十分な引張強度を有していて、製造プロセス中の安定性及びタイヤ寿命中の安定性の点で有利である。一般に、十分な引張強度を得るには、通常、その材料をより高いエネルギー量、つまりより高い温度とより長い時間をかけてスチームチェスト成形する必要がある。しかし、この場合、通常、圧縮強度が低い軟質な材料となるものであって、タイヤとしての使用には特に不利であり、結果として快適感が低下する。
【0010】
タイヤとしての用途には、材料の引張強度と圧縮強度との適切な組合せが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO94/20568A1
【特許文献2】WO2007/082838A1
【特許文献3】WO2017/030835A1
【特許文献4】WO2013/153190A1
【特許文献5】WO2010/010010A1
【特許文献6】WO2019/185687A1
【特許文献7】WO2017/039451A1
【特許文献8】WO2018/004344A1
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Ullmann「Encyclopedia of Technical Chemistry」第4版、第20巻、416頁ff
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、温和な条件下で成形することができ、その結果、同等の引張強度で良好な圧縮強度、及び、同等の密度を示す成形体をもたらす発泡ペレットを使用する成形体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、この目的は、方法-実施例1及び2に従って求めたペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲である熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを含む成形体により解決される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】PartAn 3Dの測定原理を模式的に示す概略図である。
図2】1つの粒子の幅(a)及び長さ(b)の定義を示す模式的な粒子を表す図である。
図3】回転楕円体、すなわち2つの等しい半軸を持つ楕円体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
驚くべきことに、方法-実施例1及び2に従って求めたペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にあり、好ましくは平均直径が1~8mmの範囲にある、成形体中発泡ペレットを含む成形体が、圧縮強度、引張強度及び密度などにおいて改善した特性を示すものであることが分かった。
【0017】
成形体中における発泡ペレットの寸法は、成形体の製造方法を実施した後に決定する。すなわち、その寸法は、成形体の製造に使用した発泡ペレットの寸法とは異なる可能性がある。
【0018】
さらなる実施形態によれば、本発明はまた、上述した成形体であって、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲外にある発泡ペレットを全く含まない成形体に関する。
【0019】
さらなる実施形態によれば、本発明はまた、上に開示した成形体であって、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある、熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを含む成形体に関する。
【0020】
さらなる態様によれば、本発明はまた、以下の工程、
(i)方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある、熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを用意する工程、
(ii)該発泡ペレットを融着して成形体を得る工程
を含む、成形体の製造方法に関する。
【0021】
驚くべきことに、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にあり、かつ、好ましくは平均直径が1~8mmの範囲の発泡ペレットを使用することによって、特性が改善した成形体、特に、圧縮強度、引張強度及び密度などの特徴が改善した組合せを示す成形体を、融着工程で温和な条件を使用して得ることができることを見出した。
【0022】
さらなる態様によれば、本発明はまた、以下の工程、すなわち
(i)方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある、熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを用意する工程、
(ii)該発泡ペレットを融着して成形体を得る工程
を含む方法によって得た、又は得られる成形体に関する。
【0023】
方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある、熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを使用して成形体を製造するときには、特定の引張強度を達成するために成形に必要なエネルギーの量を減少させることができる(例えば、蒸気圧力の減少又はむしろ蒸気処理時間の短縮によって)ことが分かった。また、本発明に従って使用する特定の発泡ペレットのエネルギー吸収性が改善することにより、融着工程に必要な時間を短縮することができ、その結果、発泡ペレット及び成形体の機械的特性の低下が抑制される。
【0024】
1~8mmの範囲の平均長さを有する発泡ペレットを使用することが有利である場合がある。平均長さが1~8mmの範囲であり、平均長さの平均幅に対する比が1.0~2.0の範囲である場合、さらに有利である。また、金型内の発泡ペレットのより均一な分布を達成することができ、その結果、得られる成形体は密度のばらつきが少ないことが分かった。
【0025】
本発明によれば、1個の粒子のサイズパラメータは、この特定の粒子について得られたすべての画像を画像分析することにより決定する。長さ及び幅は、各画像上の粒子の外縁に平行な接線を適用することによって測定する。方法実施例1に従って、長さは最大長さと、幅は2つの平行接線間の最短距離と定義する。
【0026】
さらなる実施形態によれば、本発明は、発泡ペレットの平均長さが、1~8mmの範囲、好ましくは1~6mmの範囲、特に2~6mmの範囲、より好ましくは3~5mmの範囲である、上記に開示した方法に関する。
【0027】
さらなる実施形態によれば、本発明は、発泡ペレットの平均長さが1~8mmの範囲にある、上記に開示した成形体に関する。
【0028】
さらなる実施形態によれば、本発明は、ペレットの平均長さのペレットの平均幅に対する比が1.0~2.0の範囲にある、上記に開示した方法に関する。
【0029】
さらなる実施形態によれば、本発明は、ペレットの平均長さのペレットの平均幅に対する比が1.0~2.0の範囲にある、上記に開示した成形体に関する。
【0030】
ペレットの平均長さのペレットの平均幅に対する比は、好ましくは1.0~1.7の範囲であり、より好ましくは1.0~1.3の範囲である。
【0031】
本発明による方法で使用するペレットは様々な形状であることができる。丸みを帯びた、非球状の、例えば細長い又は円筒状の粒子、並びに、例えば平坦な表面領域を有するペレットを使用することが可能である。
【0032】
成形体中の発泡ペレットの形状及び寸法は、プロセス条件により、その方法で使用した発泡ペレットの形状及び寸法とは異なる場合がある。例えば、丸みを帯びた発泡ペレットをその方法で使用するが、成形体中の発泡ペレットは丸みを帯びた非球形の形状を有し、例えば細長い又は円筒状のペレットである場合もあり、また、例えば平らな表面領域を有するペレットであることも可能である。成形体中の発泡ペレットの平均長さは、例えば、1~8mmの範囲であることができる。非球状、例えば細長い又は円筒形の粒子の場合は、長さによる最長寸法を意味する。
【0033】
本発明によれば、方法の工程(i)に従って、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均体積に対する平均表面積の比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡体ペレットを用意する。本発明によれば、それぞれの発泡ペレットを用意するに当たり、本発明に従う比をもたらす、それぞれの発泡ペレットの調製方法を使用することが可能である。また、ペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が適切である発泡ペレットを選択することによって、例えばふるい分けすることによって、それぞれの粒子を用意することも可能である。さらには、本発明に従う追加の手段又はそれぞれの手段の組合せを使用することも可能である。
【0034】
方法-実施例1及び2に従って求めたペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある発泡ペレットを使用するとき、有利な特性の成形体が得られることが分かった。
【0035】
本発明によれば、工程(ii)に従って発泡ペレットを融着(fuse)させる。発泡ペレットの融着は金型中で行い、得られる成形体を成形することが好ましい。原則として、発泡ペレットの融着するために適切なすべての方法を本発明に従って使用することができ、例えばスチームチェスト成形のような高温での融着、例えば電磁放射を用いた高周波での成形、ダブルベルトプレス装置を用いたプロセス、又はバリオサームプロセスなどが挙げられる。
【0036】
熱可塑性エラストマーから発泡ペレットを製造する方法は、それ自体当業者に知られている。本発明に従って、熱可塑性エラストマー(TPE-1)から製造した発泡顆粒を使用する場合、発泡顆粒の嵩密度は、例えば、20g/l~300g/lの範囲である。
【0037】
熱可塑性エラストマーは、<10℃の範囲のガラス転移温度Tgを有する軟質相を有することが好ましい。このガラス転移温度は、ねじれモードで2K/分の加熱速度及び1Hzの周波数でDIN EN ISO 6721-1-2011-08に準拠した損失係数(tanδ)によって決定される動的機械熱分析により決定する。DIN標準から逸脱して、その温度は1工程当たり5K及び35秒ずつ段階的に調整した。これは、2K/分の連続加熱速度に相当する。測定は、幅:厚さの比が1:6の試料を用いて実施した。その試料は、射出成形と、それに続く、100℃で20時間、材料をアニール処理することによって調製した。
【0038】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は、熱可塑性エラストマーが、ねじれモードで2K/分の加熱速度及び1Hzの周波数でDIN EN ISO 6721-1-2011-08に準拠した損失係数(tanδ)によって決定される動的機械熱分析により決定した、<10℃、より好ましくは-10℃未満、特に好ましくは-30℃未満の範囲のガラス転移温度Tgを有する軟質相を持つ、上記に開示した方法にも関する。DIN標準から逸脱して、その温度は1工程当たり5K及び35秒ずつ段階的に調整した。これは、2K/分の連続加熱速度に相当する。測定は、幅:厚さの比が1:6の試料を用いて実施した。その試料は、射出成形と、それに続き100℃で20時間、材料をアニール処理することによって調製した。
【0039】
さらなる実施形態によれば、本発明は、熱可塑性エラストマーが、ねじれモードで2K/分の加熱速度及び1Hzの周波数でDIN EN ISO 6721-1-2011-08に準拠した損失係数(tanδ)によって決定される動的機械熱分析により決定した、<10℃の範囲のガラス転移温度Tgを有する軟質相を有する、上記で開示した成形体に関する。DIN標準から逸脱して、その温度調節は1工程当たり5Kずつ35秒ごとに段階的に行った。これは、2K/分の連続加熱速度に相当する。測定は、幅:厚さの比が1:6の試料を用いて実施した。その試料は、射出成形とそれに続く100℃で20時間のアニール処理によって調製した。
【0040】
本発明に係る発泡体又は成形体を製造するための適切な熱可塑性エラストマーは、それ自体、当業者に知られている。適切な熱可塑性エラストマーは、例えば、Handbook of Thermoplastic Elastomers、第2版、2014年6月に記載されている。例えば、熱可塑性エラストマー(TPE-1)は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエーテルアミド(TPA)、ポリエーテルエステル(TPC)、ポリエステルエステル(TPC)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、オレフィン系架橋熱可塑性エラストマー又は熱可塑性加硫物(TPV)又は熱可塑性スチレン・ブタジエンブロックコポリマー(TPS)などであることができる。
【0041】
さらなる実施成形体によれば、本発明は、熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリアミド(TPA)及び熱可塑性ポリエーテルエステル(TPC)、ポリエステルエステル(TPC)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)、及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、上記に開示した成形体に関する。
【0042】
これらの熱可塑性エラストマー、又は前述の熱可塑性エラストマーで構成される発泡体又は発泡顆粒を製造するための適切な方法も同様に、当業者に知られている。
【0043】
適切な熱可塑性ポリエーテルエステル及びポリエステレステルは、4~20個の炭素原子を有する芳香族及び脂肪族ジカルボン酸又はそのエステルを適切な脂肪族及び芳香族ジ-及びポリオールとのエステル交換又はエステル化による、文献から知られているすべての従来のプロセスによって調製することができまる(「Polymer Chemistry」、Interscience Publ.、New York、1961年、111~127頁;Kunststoffhandbuch[プラスチックハンドブック]、VIII巻、C.Hanser Verlag、Munich 1973及びJournal of Polymer Science、Part A1、4、1851~1859頁(1966年)参照)。
【0044】
適切な芳香族ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びそれらのエステルが挙げられる。適切な脂肪族ジカルボン酸の具体例としては、飽和ジカルボン酸として、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、及びデカンジカルボン酸、並びに、不飽和ジカルボン酸として、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、及びテトラヒドロテレフタル酸を挙げることができる。
【0045】
好適なジオール成分には、例えば、一般式HO-(CH-OH(式中、n=2~20)のジオール、例えばエチレングリコール、プロパンジオール(1,3)、ブタンジオール(1,4)又はヘキサンジオール(1,6)がある。さらに、一般式HO-(CH-O-(CH-OH(式中、nはmと等しいか又は異なり、n又はm=2~20)のポリエーテルオール、不飽和ジオール及びポリエーテルオール、例えばブテンジオール-(1,4);芳香族単位を持つ、ジオール及びポリエーテルオール;並びにポリエステルオールがある。
【0046】
上述のカルボン酸又はそのエステル及び上述のアルコールに加えて、これらのクラスの化合物の他のすべての一般的な代表的化合物も、本発明に従って使用するポリエーテルエステル及びポリエステルエステルを用意するために使用することができる。
【0047】
熱可塑性ポリエーテルアミドは、アミンとカルボン酸又はそれらのエステルとの反応によって、文献から知られているすべての方法によって得ることができる。アミン及び/又はカルボン酸は、さらにR-O-R型(式中、R=有機ラジカル(脂肪族及び/又は芳香族))のエーテル単位を具備する。一般に、下記に挙げるクラスの化合物モノマーを使用する。すなわち、HOOC-R’-NHの化合物(式中R’は芳香族及び脂肪族であることができ、好ましくはR-O-R型(式中、R=有機ラジカル(脂肪族及び/又は芳香族))のエーテル単位を有するものである);芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸又はそれらのエステル、及びR-O-R型のエーテル単位を有する芳香族ジカルボン酸(R=有機ラジカル(脂肪族及び/又は芳香族));脂肪族ジカルボン酸、例えば飽和ジカルボン酸として、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸及びデカンジカルボン酸、並びに、不飽和物として、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸及びテトラヒドロテレフタル酸、並びに、脂肪族ジカルボン酸R=有機単位を含み、Rはエーテル単位であり、エーテル単位は脂肪族及び/又は芳香族であることができる);一般式HN-R’’-NHのジアミン(式中、R’’は芳香族及び脂肪族であって、好ましくはR-O-R型のエーテル単位を有するものであり(式中、R=有機ラジカル(脂肪族及び/又は芳香族));ε-カプロラクタム、ピロリドン、ラウロラクタムなどのラクタム;及び、アミノ酸である。
【0048】
上述のカルボン酸又はそのエステル及び上述のアミン、ラクタム及びアミノ酸に加えて、これらのクラスの化合物の他のすべての一般的な代表的化合物も、本発明に従って使用するポリエーテルアミンを用意するために使用することができる。
【0049】
本発明に従って使用するブロック共重合体構造を有する熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族単位、ブタジエン単位、及びイソプレン単位、さらにはポリオレフィン単位及びビニル単位、例えばエチレン、プロピレン、酢酸ビニル単位を具備することが好ましい。スチレン-ブタジエンコポリマーが好適である。
【0050】
本発明に従って使用するブロック共重合体構造を有する熱可塑性エラストマー、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル及びポリエステルエステルは、その融点が≦300℃、好ましくは≦250℃、特に≦220℃であるように選択することが好ましい。
【0051】
本発明に従って使用するブロック共重合体構造を有する熱可塑性エラストマー、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル及びポリエステルエステルは、部分的に結晶性又は非晶質であることができる。
【0052】
適切なオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)は特にハードセグメントとソフトセグメントを有し、ハードセグメントは例えばポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンであり、ソフトセグメントはエチレン-プロピレンゴムなどのゴム成分である。ポリオレフィンとゴム成分のブレンド、動的架橋タイプ、及び重合タイプが適している。
【0053】
例えば、ポリプロピレン中にエチレン-プロピレンゴム(EPM)を分散させた構造;架橋した又は部分架橋したエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)をポリプロピレンに分散させた構造;エチレンと、プロピレンやブテンなどのα-オレフィンとの統計共重合体;又はポリエチレンブロックとエチレン/α-オレフィン共重合体ブロックとのブロック共重合体が適切である。適切なα-オレフィンの例には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-n-デセン、3-メチル-1-ブテン及び4-メチル-1-ペンテン又はこれらのオレフィンの混合物がある。
【0054】
適切な半結晶ポリオレフィンは、例えば、エチレン又はプロピレンのホモポリマー、又はエチレン及び/又はプロピレンの単量体単位を持つコポリマーである。具体例には、エチレンとプロピレン又は4~12個のC原子を有するアルファオレフィンとのコポリマー、及びプロピレンと4~12個のC原子を有するアルファオレフィンとのコポリマーがある。これらコポリマー中のエチレン又はプロピレンの濃度は、コポリマーが半結晶性となるように高いことが好ましい。
【0055】
統計共重合体の場合、例えば、約70モル%以上の、エチレン含有量又はプロピレン含有量が適切である。
【0056】
適切なポリプロピレンは、プロピレンホモポリマー、又はポリプロピレンブロックコポリマー、例えばプロピレンと約6モル%以下のエチレンとの統計コポリマーである。
【0057】
適切な熱可塑性スチレンブロックコポリマーは通常、ポリスチレンブロックとエラストマーブロックを有する。適切なスチレンブロックは、例えばポリスチレン、置換ポリスチレン、ポリ(アルファ-メチルスチレン)、環-ハロゲン化スチレン、及び環-アルキル化スチレンから選択する。適切なエラストマーブロックは、例えば、ポリブタジエン及びポリイソプレンなどのポリジエンブロック、ポリ(エチレン/ブチレン)コポリマー及びポリ(エチレン/プロピレン)コポリマー、ポリイソブチレン、又はポリプロピレンスルフィド又はポリジエチルシロキサンなどである。
【0058】
さらなる実施形態によれば、本発明は、熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド及び熱可塑性ポリエーテルエステル、ポリエステルエステル及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、上記に開示した方法に関する。
【0059】
さらなる実施形態によれば、本発明は、熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択されたものである、上記に開示した方法に関する。
【0060】
さらに適切な熱可塑性エラストマー(TPE-1)は熱可塑性ポリウレタンである。熱可塑性ポリウレタンも、よく知られている。これらの物質は、イソシアネートと、イソシアネート反応性化合物、例えば数平均モル質量が500g/モル~10000g/モルのポリオールと、任意で、モル質量が50g/モル~499g/モルの鎖延長剤との反応により、任意で、触媒及び/又は従来の補助剤及び/又は追加物質の存在下で製造する。
【0061】
本発明の目的のためには、イソシアネートと、イソシアネート反応性化合物、例えば数平均モル質量が500g/モル~10000g/モルのポリオールと、モル質量が50g/モル~499g/モルの鎖延長剤との反応を介して、任意で、触媒及び/又は従来の補助剤及び/又は追加物質の存在下で得られる熱可塑性ポリウレタンが好ましい。
【0062】
イソシアネート、イソシアネート反応性化合物、例えばポリオール、及び、使用する場合は鎖延長剤も、個々に又は一緒に、構造成分と呼ばれる。構造成分はまた、触媒及び/又は慣用的な補助剤及び/又は追加の物質を合わせて、出発物質と呼ばれる。
【0063】
ポリオール成分の使用量のモル比は、熱可塑性ポリウレタンの硬度及びメルトインデックスを調整するために変えることができる。この場合、硬度及び溶融粘度は、TPUの分子量を一定のときポリオール成分中の鎖延長剤の含有量を増やすにつれて増加するが、メルトインデックスは低下する。
【0064】
熱可塑性ポリウレタンの製造のために、イソシアネートとポリオール成分(好ましい実施形態ではポリオール成分は鎖延長剤も含む)とを、触媒の存在下で、任意で、補助剤及び/又は追加物質の存在下で、ジイソシアネートのNCO基のポリオール成分のヒドロキシル基全体に対する当量比が1:0.8から1:1.3の範囲となる量で反応させる。
【0065】
この比率を説明するもう一つの変数はインデックス(指数)である。このインデックスは、反応中に使用するすべてのイソシアネート基の、イソシアネート反応性基すなわち特にポリオール成分と鎖延長剤の反応性基に対する比によって定義される。インデックスが1000の場合、各イソシアネート基に対して活性水素原子が1つ存在する。インデックスが1000を超えると、イソシアネート基がイソシアネート反応性基より多く存在する。
【0066】
ここでいう当量比1:0.8は1250のインデックス(インデックス1000=1:1)に相当し、比1:1.3は770のインデックスに相当する。
【0067】
好適な実施形態では、上記成分の反応におけるインデックスは、965~1110の範囲、好ましくは970~1110の範囲、特に好ましくは980~1030の範囲、さらに非常に特に好ましくは985~1010の範囲である。
【0068】
本発明では、熱可塑性ポリウレタンの質量平均モル質量(Mw)が少なくとも60000g/モル、好ましくは少なくとも80000g/モル、特に100000g/モルより大きい熱可塑性ポリウレタンの製造を優先する。熱可塑性ポリウレタンの質量平均モル質量の上限は、ごく一般的には、加工性、また、さらには所望の特性プロファイルによって決定される。熱可塑性ポリウレタンの数平均モル質量は80000~300000g/モルであることが好ましい。熱可塑性ポリウレタンについて、また、使用するイソシアネート及びポリオールについて、上記に記載した平均モル質量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、DIN55672-1、2016年3月に準拠)によって求めた質量平均値である。
【0069】
使用することができる有機イソシアネートは、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族イソシアネートである。
【0070】
使用する脂肪族ジイソシアネートは、慣用の脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート、例えば、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルテトラメチレン1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1-メチルシクロヘキサン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート、メチレンジシクロヘキシル4,4’-、2,4’-及び/又は2,2’-ジイソシアネート(H12MDI)である。
【0071】
適切な芳香族ジイソシアネートは、特に、ナフチレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、トリレン2,4-及び/又は2,6-ジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI)、pフェニレンジイソシアネート(PDI)、ジフェニルエタン4.4’-ジイソシアネート(EDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)である。ここで用語MDIはジフェニルメタン2,2’、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネートのことをいう。
【0072】
また、混合物も原則として使用することができる。混合物の具体例としては、メチレンジフェニル4,4’-ジイソシアネートとともに、少なくとも1種の更なるメチレンジフェニルジイソシアネートを含む混合物がある。ここでいう「メチレンジフェニルジイソシアネート」の用語は、ジフェニルメタン2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジイソシアネート又は2種又は3種の異性体の混合物を意味する。したがって、更なるイソシアネートとして、例示すれば、以下のものを使用することが可能である。すなわち、ジフェニルメタン2,2’-又は2,4’-ジイソシアネート又は2種又は3種の異性体の混合物である。この実施形態では、ポリイソシアネート組成物は、他に上述のポリイソシアネートも含むことができる。
【0073】
混合物の他の例としては、4,4’-MDIと2,4’-MDI、又は4,4’-MDIと3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル(TODI)又は4,4’-MDIとH12MDI(4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート)又は4,4’-MDIとTDI;又は4,4’-MDIと1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)を含むポリイソシアネート組成物がある。
【0074】
また、本発明によれば、3種以上のイソシアネートを使用することも可能である。ポリイソシアネート組成物は、一般に、ポリイソシアネート組成物全体に基づいて、2~50%の量の4,4’-MDIと、ポリイソシアネート組成物全体に基づいて、3~20%の量の更なるイソシアネートとを含む。
【0075】
架橋剤も同様に使用することができ、さらに、その例としては、前述の高官能性ポリイソシアネート又はポリオール、あるいは、複数のイソシアネート反応性官能基を有する他の高官能性分子が挙げられる。また、ヒドロキシル基に対して過剰のイソシアネート基を使用することによって生成物を架橋することも本発明の範囲内で可能である。より官能性の高いイソシアネートの具体例としては、トリイソシアネート、例えばトリフェニルメタン4,4’、4’’-トリイソシアネート、及び同様にイソシアヌレート、及び同様に前述のジイソシアネートのシアヌレート、及びジイソシアネートの水との部分反応によって得られるオリゴマー、例えば上記ジイソシアネートのビウレット、及び同様にセミブロック化ジイソシアネートと平均2個を超える、好ましくは3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールとの反応を制御することによって得られるオリゴマーが挙げられる。
【0076】
ここでいう架橋剤、すなわち高官能性イソシアネート及び高官能性ポリオールの量は、成分の混合物全体に基づいて、3質量%を超えないように、好ましくは1質量%を超えないようにすべきである。
【0077】
また、ポリイソシアネート組成物は、1種以上の溶媒を含んでもよい。適切な溶媒は当業者に知られている。適切な具体例としては、酢酸エチル、メチルエチルケトン及び炭化水素のような非反応性溶媒がある。
【0078】
イソシアネート反応性化合物は、モル質量Mnが好ましくは500g/モル~10000g/モル、より好ましくは500g/モル~5000g/モル、特に500g/モル~3000g/モルの化合物である。
【0079】
イソシアネート反応性化合物中のツェレウィチノフ(Zerewitinoff)活性を示す水素原子の統計的平均数は、少なくとも1.8個、多くとも2.2個、好ましくは2個であり、この数は、イソシアネート反応性化合物(b)の官能性とも呼ばれ、1分子に対して理論的に算出した分子中のイソシアネート反応基の量をモル量に基づいて示す。イソシアネート反応性化合物は、実質的に線状であることが好ましく、1つのイソシアネート反応性物質であるか、又はここに記載した要件を満たす、様々な物質の混合物である。
【0080】
使用するポリオールと鎖延長剤の比率は、PCT/EP2017/079049に開示されている式で計算できる所望のハードセグメント含有量をもたらす方法で変化させることができる。ここでいう適切なハードセグメント含有量は、60%未満、好ましくは40%未満、特に好ましくは25%である。
【0081】
イソシアネート-反応性化合物はヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基又はカルボン酸基から選択される反応性基を有することが好ましい。ここではヒドロキシル基が好ましく、第一級ヒドロキシル基が特に好ましい。イソシアネート反応性化合物(b)は、ポリエステルオール、ポリエーテルオール及びポリカーボネートジオールの群から選択されることが特に好ましく、これら化合物は用語「ポリオール」に含まれる。
【0082】
本発明における適切なポリマーは、ホモポリマー、例えばポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカーボネートジオール、ポリカーボネート、ポリシロキサンジオール、ポリブタジエンジオール、及びブロックコポリマー、並びにハイブリッドポリオール、例えばポリ(エステル/アミド)である。本発明における好適なポリエーテルオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(PTHF)、ポリトリメチレングリコールである。好適なポリエステルポリオールは、ポリアジペート、ポリコハク酸エステル及びポリカプロラクトンである。
【0083】
別の実施形態では、本発明は、また、ポリオール組成物がポリエーテルオール、ポリエステルオール、ポリカプロラクトン及びポリカーボネートからなる群から選択されるポリオールを含む、上記の熱可塑性ポリウレタンを提供する。
【0084】
適切なブロックコポリマーの例には、エーテル及びエステルブロックを有するもの、例えばポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシド末端ブロックを有するポリカプロラクトン、及びポリカプロラクトン末端ブロックを有するポリエーテルがある。本発明における好適なポリエーテルオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(PTHF)及びポリトリメチレングリコールである。なお、ポリカプロラクトンが好ましい。
【0085】
特に好適な実施形態では、使用するポリオールのモル質量Mnは、500g/モル~10000g/モルの範囲、好ましくは500g/モル~5000g/モルの範囲、特に500g/モル~3000g/モルの範囲である。
【0086】
したがって、本発明の別の実施形態は、ポリオール組成物に含まれる少なくとも1種のポリオールのモル質量Mnが500g/モル~10000g/モルの範囲である、上記の熱可塑性ポリウレタンを提供する。
【0087】
また、本発明において、種々のポリオールの混合物を使用することも可能である。
【0088】
本発明の実施形態は、熱可塑性ポリウレタンの製造のために、少なくともポリテトラヒドロフランを含む少なくとも1種のポリオール組成物を使用する。本発明のポリオール組成物は、ポリテトラヒドロフランとともに他のポリオールを含むこともできる。
【0089】
本発明における他のポリオールとして適切な材料には、一例として、ポリエーテル、ポリエステル、ブロックコポリマー、及びハイブリッドポリオール、例えばポリ(エステル/アミド)がある。適切なブロックコポリマーの例には、エーテル及びエステルブロックを有するもの、例えばポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシド末端ブロックを有するポリカプロラクトン、及びポリカプロラクトン末端ブロックを有するポリエーテルがある。本発明における好適なポリエーテルオールは、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールである。なお、他のポリオールとして好ましいのは、ポリカプロラクトンである。
【0090】
適切なポリオールの例には、ポリトリメチレンオキシド及びポリテトラメチレンオキシドなどのポリエーテルオールがある。
【0091】
したがって、本発明の別の実施形態は、ポリオール組成物が、少なくとも1種のポリテトラヒドロフランと、別のポリテトラメチレンオキシド(PTHF)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリカプロラクトンからなる群から選択される少なくとも1種の他のポリオールとを含む、上記の熱可塑性ポリウレタンを提供する。
【0092】
特に好適な実施形態では、ポリテトラヒドロフランの数平均モル質量Mnは、500g/モル~5000g/モルの範囲、より好ましくは550~2500g/モルの範囲、特に好ましくは650~2000g/モル、非常に好ましくは650~1400g/モルの範囲である。
【0093】
ポリオール組成物の組成は、本発明の目的のために広く変えることができる。一例として、第1のポリオール、好ましくはポリテトラヒドロフランの含量は、15%~85%の範囲、好ましくは20%~80%の範囲、より好ましくは25%~75%の範囲であることができる。
【0094】
また、本発明のポリオール組成物は溶媒を含むこともできる。適切な溶媒は、それ自体当業者に知られている。
【0095】
ポリテトラヒドロフランを使用する場合には、そのポリテトラヒドロフランの数平均モル質量Mnは、例えば、500g/モル~5000g/モルの範囲、好ましくは550~2500g/モルの範囲、特に好ましくは650~2000g/モルの範囲である。さらには、ポリテトラヒドロフランの数平均モル質量Mnは、650~1400g/モルの範囲であることが好ましい。
【0096】
ここで、数平均モル質量Mnは、ゲル透過クロマトグラフィーを用いることによって、上記のように決定することができる。
【0097】
また、本発明の別の実施形態は、ポリオール組成物が、500g/モル~5000g/モルの範囲、好ましくは550~2500g/モルの範囲、特に好ましくは650~2000g/モルの範囲の数平均モル質量Mnを有するポリテトラヒドロフランからなる群から選択されるポリオールを含む、上記の熱可塑性ポリウレタンを提供する。さらには、ポリテトラヒドロフランの数平均モル質量Mnは、650~1400g/モルの範囲であることが好ましい。
【0098】
本発明において、種々のポリテトラヒドロフランの混合物、すなわち種々のモル質量を有するポリテトラヒドロフランの混合物を使用することも可能である。
【0099】
使用する鎖延長剤は、50g/モル~499g/モルのモル質量を持ち、好ましくは、官能基とも呼ばれる2つのイソシアネート反応性基を有する、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物であることが好ましい。好適な鎖延長剤は、ジアミン及び/又はアルカンジオール、より好ましくはアルキレン部分に2~10個の炭素原子、好ましくは3~8個の炭素原子を有するアルカンジオールであり、これらは専ら一級ヒドロキシ基を有することがより好ましい。
【0100】
好適な実施形態では鎖延長剤を使用するものであるが、これらは、好ましくは、50g/モル~499g/モルのモル質量を有する脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物であり、官能基とも呼ばれる2つのイソシアネート反応性基を有することが好ましい。鎖延長剤は、エチレン1,2-グリコール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブタン-2,3-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ネオペンチルグリコール、及びハイドロキノンビス(ベータ-ヒドロキシエチル)エーテル(HQEE)からなる群から選択される、少なくとも1種の鎖延長剤であることが好ましい。特に適切な鎖延長剤は、1,2-エタンジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオールからなる群から選択されるもの、及び上記の鎖延長剤の混合物である。特定の鎖延長剤及びその混合物の例は、とりわけPCT/EP2017/079049に開示されている。
【0101】
好適な実施形態では、構造成分と共に触媒を使用する。この触媒は、特に、イソシアネートのNCO基とイソシアネート反応性化合物や(使用する場合には)鎖延長剤のヒドロキシル基との間の反応を促進する触媒である。
【0102】
適切な触媒の例としては、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ビスマス、亜鉛、アルミニウム、及び鉄のオルガニル化合物からなる群から選択される有機金属化合物がある。具体例としては、スズのオルガニル化合物、好ましくはジメチルスズ又はジエチルスズなどのジアルキルスズ化合物、又は脂肪族カルボン酸のスズ-オルガニル化合物、好ましくはスズジアセテート、スズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ビスマス化合物、例えばアルキルビスマス化合物等、又は鉄化合物、好ましくは鉄(III)アセチルアセトネート、又はカルボン酸の金属塩、例えばスズ(II)イソオクタノエート、スズジオクタノエート、チタン酸エステル又はネオデカン酸ビスマス(III)が挙げられる。特に好適な触媒は、スズジオクタノエート、デカン酸ビスマス及びチタン酸エステルである。触媒の好ましい使用量は、イソシアネート反応性化合物100質量部当たり0.0001~0.1質量部である。触媒と共に構造成分に添加することができる他の化合物は、従来の補助剤である。その例として、界面活性物質、充填剤、難燃剤、造核剤、酸化安定剤、潤滑剤及び離型体助剤、染料及び顔料、及び、場合によっては、好ましくは加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤、無機及び/又は有機充填剤、補強剤及び/又は可塑剤を挙げることができる。
【0103】
適切な染料及び顔料については、以下の後の段階で列挙する。
【0104】
本発明の目的のために使用する安定剤は、有害な環境影響からプラスチック又はプラスチック混合物を保護する添加剤である。その例としては、一次及び二次酸化防止剤、立体障害フェノール、ヒンダードアミン系光安定剤、UV吸収剤、加水分解安定剤、クエンチャー、及び難燃剤がある。市販の安定剤の具体例は、Plastics Additives Handbook、第5版、H.Zweifel編、Hanser Publishers、ミュンヘン、2001年([1])、pp.98-136に見られる。
【0105】
熱可塑性ポリウレタンは、既知の方法、例えば、反応押出機又は「ワンショット」法によるベルト法又はプレポリマー法を使用して、好ましくは「ワンショット」法により、バッチ式で又は連続的に製造することができる。「ワンショット」法では、反応させる成分、及び好適な実施形態ではポリオール成分中の鎖延長剤と、さらには触媒及び/又は添加剤を互いに連続的又は同時に混合し、直ちに重合反応を開始させる。次に、そのTPUを直接ペレット化するか、押し出しによって扁豆状(lenticular)ペレットに変換することができる。この工程では、他のアジュバント又は他のポリマーを併用することが可能である。
【0106】
押出機を用いる方法では、構造成分、及び、好ましい実施形態では鎖延長剤、触媒及び/又は添加剤も、個別に又は混合物の形態で押出機に導入し、これら材料を好ましくは100℃~280℃、好ましくは140℃~250℃の温度で反応させる。得られるポリウレタンを押し出し、冷却してペレット化するか、又は、直接、水中ペレタイザーで扁豆状ペレットの形態にペレット化する。
【0107】
好適なプロセスでは、第1の工程で、構造成分であるイソシアネート、鎖延長剤を含むイソシアネート反応性化合物、及び、好ましい実施形態においては他の原材料などから熱可塑性ポリウレタンを製造し、第2の押出工程で追加の物質又は補助剤を合体する。
【0108】
ここでは、二軸押出機を使用することが好ましい。二軸押出機は力搬送(force-conveying)モードで作動するもので、したがって押出機内の温度及び定量出力の調整精度をより高くすることができるからである。さらに、TPUの製造及び膨張は、当業者に知られている方法により、反応押出機内で、単一工程で、又はタンデム押出機を用いることにより行うことができる。
【0109】
本発明によれば、組成物(M1)は熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む。さらに、この組成物は、熱可塑性エラストマー又は充填剤などの更なる成分を含む場合がある。本発明との関連では、充填剤という用語は、例えば更なるポリマーのような有機及び無機充填剤を包含する。
【0110】
組成物(M1)は、その組成物(M1)の質量に基づいて85~100質量%の範囲の量で熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含むことができる。
【0111】
特に明記しない限り、組成物(M1)の成分の量は合計で100質量%になる。
【0112】
さらに別の実施形態によれば、本発明は、組成物(M1)が、その組成物(M1)の質量に基づいて0.1~20質量%の範囲の量で充填剤を含む、上記で開示した成形体に関する。
【0113】
更なる実施形態によれば、本発明は、組成物(M1)が、その組成物(M1)の質量に基づいて0.1~15質量%の範囲の量で充填剤を含む、上記で開示した方法に関する。
【0114】
例えば、充填剤は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート及びポリ乳酸などのような、有機充填剤からなる群から選択することができる。
【0115】
また、タルカム、チョーク、カーボンブラックなどの無機充填剤も、本発明との関連で使用することができる。熱可塑性エラストマーに適した充填剤は、原則として当業者に知られている。
【0116】
更なる実施形態によれば、組成物(M1)は、例えば、アタクチック、シンジオタクチック又はイソタクチックポリスチレン、より好ましくはアタクチックポリスチレンなどの、スチレンポリマーを含むことができる。
【0117】
本発明のアタクチックポリスチレンは、非晶質であり、100℃±20℃の範囲のガラス転移温度を有する(DIN EN ISO113571,2017年2月/DIN EN ISO11357-2,2014年7月,Inflection point method(変曲点法)に従って決定)。本発明のシンジオタクチック及びアイソタクチックポリスチレンは、それぞれ半結晶性であり、それぞれ270℃及び240℃の領域に融点を有する(DIN EN ISO11357-1、2017年2月/DIN EN ISO11357-3、2013年4月、peak melting temperature(ピーク融解温度))。
【0118】
使用するポリスチレンは、2500MPaを超える引張弾性率を有する(DIN EN ISO527-1/2、2012年6月)。
【0119】
本発明のポリスチレンの製造及び加工は、文献に広く記載されており、例えば、Becker/Braunによる「Kunststoff-Handbuch Band 4,’’Polystyrol’’[プラスチックハンドブック第4巻‘‘ポリスチレン’’](1996)に記載されている。
【0120】
また、市販の材料も使用することができる。例えば、PS 158K(Ineos)、PS 148H Q(Ineos)、STYROLUTION PS 156F、STYROLUTION PS 158N/L、STYROLUTION PS 168N/L、STYROLUTION PS 153F、SABIC PS 125、SABIC PS 155、SABIC PS 160がある。
【0121】
また、組成物(M1)は、2700MPa未満の弾性率(DIN EN ISO527-1/2、2012年6月)を有するスチレン、例えばスチレン系熱可塑性エラストマーの、及び、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)の群から選択されるスチレンポリマーを含むこともできる。一例として、SEBS、SBS、SEPS、SEPS-V、及び、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)などが挙げられる。ここでは耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が非常に特に好ましい。
【0122】
ここでは、市販の材料を使用することができる。例えば、Styron A-TECH 1175、Styron A-TECH 1200、Styron A-TECH 1210、Styrolution PS 495S、Styrolution PS 485N、Styrolution PS 486N、Styrolution PS 542N、Styrolution PS 454N、Styrolution PS 416N、Roechling PS HI、SABIC PS 325、SABIC PS 330がある。
【0123】
驚くべきことに、充填剤を使用すると、特定の引張強度を達成するために成形に必要なエネルギーがさらに減少し、エネルギーが減少すると、得られる成形体の圧縮強度が有利に高まることが分かった。
【0124】
得られる材料は、充填剤を含まない材料と比較して融点が低く製造プロセスに有利である。
【0125】
本発明との関連では、組成物(M1)の、特に使用する熱可塑性エラストマー(TPE-1)の貯蔵(G’)弾性率も、得られる成形体の特性に影響を与えることが見出された。室温でのG’弾性率を10~90MPaの範囲に調節することが特に有利であることが分かった。
【0126】
更なる実施形態によれば、本発明は、組成物(M1)が、10~90MPaの範囲の、室温での緻密材料(compact material)のG’弾性率を有する(その弾性率は2K/分の加熱プログラム及び1Hzの周波数でDIN EN ISO6721-1-7:2018-03に準拠した焼戻し体(20h/100℃)のDMAを用いて決定した)、上記で開示した方法に関する。
【0127】
更なる実施形態によれば、本発明は、組成物(M1)が、2K/分の加熱プログラム及び1Hzの周波数でDIN EN ISO6721-1-7:2018-03に準拠した焼戻し体(20h/100℃)のDMAを用いて決定したとき、10~90MPaの範囲の、室温での緻密材料のG’弾性率を有する、上記に開示した成形体に関する。
【0128】
本発明の方法は、工程(i)及び(ii)を含むものである。この方法は、例えば温度処理又は発泡ペレットの処理などの更なる工程を含むことができる。工程(i)に従って、発泡ペレットを、好ましくは適切な型(モールド)に用意し、次に工程(ii)に従って融着させる。この融着は発泡ペレットの熱融着によって行うのが好ましい。更なる実施形態によれば、本発明は、工程(ii)を熱融着によって実施する、上記に開示した方法に関する。
【0129】
更なる態様によれば、本発明は、また、上記に開示した方法に従って得られた、又は得られる成形体に関する。
【0130】
本発明に係る成形体は、様々な用途、例えば、家具、座席、クッション材として、車の車輪又は車の車輪の部品、おもちゃ、おもちゃの動物、タイヤ又はタイヤの部品、サドル、ボール及びスポーツ用品、例えばスポーツマット、又は、特にスポーツ用面、陸上競技用面、スポーツホール、子供の遊び場及び通路用の、床カバー材及び壁パネル材として使用することが可能である。
【0131】
更なる態様によれば、本発明は、また、上記に開示した方法によって得た又は得られる成形体を使用する方法、又は、家具、座席、クッション材として、車の車輪又は車の車輪の部品、おもちゃ、おもちゃの動物、タイヤ又はタイヤの部品、サドル、ボール及びスポーツ用品、例えばスポーツマット、又は、特にスポーツ用面、陸上競技用面、スポーツホール、子供の遊び場及び通路用の、床カバー材及び壁パネル材として上記に開示した成形体を使用する方法に関する。
【0132】
本発明につき、以下の一連の実施形態と、明示した従属性及び後方参照から生じる実施形態の組合せとによってさらに説明する。特に、例えば「実施形態1~4のいずれか一項に記載の~」といった用語に関連して、複数の実施形態をある範囲で言及している項では、この範囲内に含まれる全ての実施形態を当業者に明示的に開示する意図であり、すなわち、この用語の文言は、「実施形態1、2、3及び4のいずれか一項に記載の~」と同義であると理解されるべきものであることに留意されたい。さらに、以下の一連の実施形態は、保護の範囲を決定する特許請求の範囲における一組の請求項ではなく、本発明の一般的かつ好適な観点について適切に系統立てた説明を提示するものであることを明示的に指摘しておきたい。
【0133】
方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを含む成形体。
【0134】
実施形態(1)を具体化する、さらに好適な実施形態(2)は、発泡ペレットの平均長さが1~8mmの範囲である、前記成形体に関する。
【0135】
実施形態(1)又は(2)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(3)は、ペレットの平均長さのペレットの平均幅に対する比が1.0~2.0の範囲にある、前記成形体に関する。
【0136】
実施形態(1)~(3)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(4)は、熱可塑性エラストマーが、2K/分の加熱速度及び1Hzの周波数で、DIN EN ISO6721-2011-08に準拠する損失係数(tanδ)によって決定される動的機械熱分析により決定した、<10℃の範囲のガラス転移温度Tgを持つ軟質相を有する、前記成形体に関する。
【0137】
実施形態(1)~(4)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(5)は、組成物(M1)が、2K/分の加熱速度及び1Hzの周波数でDIN EN ISO6721-1-7:2018-03に準拠する焼戻し体(20h/100℃)のDMAを用いて決定したとき、10~90MPaの範囲に、室温での緻密材料のG’弾性率を有する、前記成形体に関する。
【0138】
実施形態(1)~(5)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(6)は、熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリアミド(TPA)及び熱可塑性ポリエーテルエステル(TPC)、ポリエステルエステル(TPC)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)、及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、前記成形体に関する。
【0139】
実施形態(1)~(6)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(7)は、組成物(M1)が、その組成物(M1)の質量に基づいて0.1~20質量%の範囲の量で充填剤を含む、前記成形体に関する。
【0140】
実施形態(1)~(7)のいずれか1つを具体化したさらに好適な実施形態(8)は、成形体が、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットからなる、前記成形体に関する。
【0141】
本発明の更なる実施形態(9)は、下記の工程、すなわち
(i)方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある、熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを用意する工程、
(ii)該発泡ペレットを融着して成形体を得る工程
を含む、成形体を製造する方法に関する。
【0142】
実施形態(9)を具体化する、さらに好適な実施形態(10)は、発泡ペレットの平均長さが1~8mmの範囲である、前記方法に関する。
【0143】
実施形態(9)又は(10)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(11)は、ペレットの平均長さのペレットの平均幅に対する比が1.0~2.0の範囲にある、前記方法に関する。
【0144】
実施形態(9)~(11)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(12)は、熱可塑性エラストマーが、加熱速度及び1Hzの周波数でDINに準拠する損失係数(tanδ)により決定した、<10℃の範囲のガラス転移温度Tgを持つ軟質相を有する、前記方法に関する。
【0145】
実施形態(9)~(12)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(13)は、組成物(M1)が、2K/分の加熱速度及び1Hzの周波数でDIN EN ISO 6721-1-7:2018-03に準拠した焼戻し体(20h/100℃)のDMAを用いて決定した、10~90MPaの範囲に室温での緻密材料のG’弾性率を有する、前記方法に関する。
【0146】
実施形態(9)~(13)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(14)は、熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリアミド(TPA)及び熱可塑性ポリエーテルエステル(TPC)、ポリエステルエステル(TPC)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)、及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、前記方法に関する。
【0147】
実施形態(9)~(14)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(15)は、熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド及び熱可塑性ポリエーテルエステル、ポリエステルエステル、及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、前記方法に関する。
【0148】
実施形態(9)~(15)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(16)は、熱可塑性エラストマーが熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択されたものである、前記方法に関する。
【0149】
実施形態(9)~(16)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(17)は、組成物(M1)が、その組成物(M1)の質量に基づいて0.1~20質量%の範囲の量で充填剤を含む、前記方法に関する。
【0150】
実施形態(9)~(17)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(18)は、工程(ii)を熱融着によって実施する、前記方法に関する。
【0151】
更なる実施形態(19)によれば、本発明は、実施形態(9)~(18)のいずれかに記載の方法によって得られた、又は得られる成形体に関する。
【0152】
更なる実施形態(20)によれば、本発明は、下記の工程、すなわち
(i)方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある、熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを用意する工程、
(iI)該発泡ペレットを融着して成形体を得る工程
を含む方法によって得られた、又は得られる成形体に関する。
【0153】
実施形態(20)を具体化する、さらに好適な実施形態(21)は、発泡ペレットの平均長さが1~8mmの範囲である、前記成形体に関する。
【0154】
実施形態(20)又は(21)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(22)は、ペレットの平均長さのペレットの平均幅に対する比が1.0~2.0の範囲にある、前記成形体に関する。
【0155】
実施形態(20)~(22)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(23)は、熱可塑性エラストマーが、加熱速度及び1Hzの周波数でDINに準拠する損失係数(tanδ)により決定した、<10℃の範囲のガラス転移温度Tgを持つ軟質相を有する、前記成形体に関する。
【0156】
実施形態(20)~(23)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(24)は、組成物(M1)が、2K/分の加熱速度及び1Hzの周波数でDIN EN ISO 6721-1-7:2018-03に準拠する焼戻し体(20h/100℃)のDMAを用いて決定した、10~90MPaの範囲に室温での緻密材料のG’弾性率を有する、前記成形体に関する。
【0157】
実施形態(20)~(24)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(25)は、熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリアミド(TPA)及び熱可塑性ポリエーテルエステル(TPC)、ポリエステルエステル(TPC)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)、及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、前記成形体に関する。
【0158】
実施形態(20)~(25)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(26)は、熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド及び熱可塑性ポリエーテルエステル、ポリエステルエステル、及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、前記成形体に関する。
【0159】
実施形態(20)~(26)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(27)は、熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択されたものである、前記成形体に関する。
【0160】
実施形態(20)~(27)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(28)は、組成物(M1)が、その組成物(M1)の質量に基づいて0.1~20質量%の範囲の量で充填剤を含む、前記成形体に関する。
【0161】
実施形態(20)~(28)のいずれか1つを具体化するさらに好適な実施形態(29)は、工程(ii)を熱融着によって実施する、前記成形体に関する。
本発明のさらなる実施形態は、実施形態(9)~(18)のいずれか1つに記載の方法によって得た又は得られる成形体、又は、実施形態(1)~(8)若しくは実施形態(19)~(29)のいずれか1つに記載の成形体を、家具、座席、クッション材として、車の車輪又は車の車輪の部品、おもちゃ、おもちゃの動物、タイヤ又はタイヤの部品、サドル、ボール及びスポーツ用品、例えばスポーツマット、又は、特にスポーツ用面、陸上競技用面、スポーツホール、子供の遊び場及び通路用の、床カバー材及び壁パネル材として使用する方法に関する。
【実施例
【0162】
本発明について、以下の参考例、比較例、及び実施例によってさらに説明する。
【0163】
I.調製
1.TPU合成
TPU前駆体の合成は、48D(12ゾーン)二軸押出機(ZSK58 MC、Coperion社)を用いて行った。押出機ハウジング/ゾーンの温度は150~230℃、スクリュー速度は180~240リットル(1)/分、スループットは180~220kg/hであった。最初のゾーンには、ポリオール、鎖延長剤、触媒、及びジイソシアネートを加えた。ゾーン8ではさらに添加剤を加えた。配合を表1に示す。
【0164】
ギアポンプ及びメルトフィルターを経て、180~210℃のポリマー溶融物を水中造粒機で造粒した。その後、加熱流動床(40~90℃)を使用してその造粒物を乾燥させた。
【0165】
【表1】
【0166】
2.eTPUの調製
E-TPUの製造は、スクリュー径44mm、L/D48の二軸押出機(Berstorff ZE40)に、メルトポンプ、スクリーンチェンジャー付きスタートバルブ、ダイプレート、及び水中ペレタイザーを加えて実施した。そのTPUを、処理ガイドに従って80℃で3時間、残留湿度が0.02質量%未満になるように予備乾燥した。材料にはポリスチレン樹脂(PS)を使用した。総スループットの含有量(質量%)は表2に従って調整した。
【0167】
これらの材料(TPU1とPS)を、重量式投入装置によって二軸スクリュー押出機の主供給部に別々に投入した。さらに、これらの成分に加えて、更なる熱可塑性ポリウレタン(変性TPU)を0.6質量%押出機に投入した。この変性TPUは、別の押出プロセスで、平均官能価2.05の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを配合したTPUから成る。
【0168】
投与後、材料を押出機で溶融混合し、その後、COとNの混合物を発泡剤として添加した。残りの押出機バレルでは、そのポリマーと発泡剤とを混合して均一な混合物にした。この混合物を、メルトポンプによってスクリーンチェンジャーを備える始動バルブに圧送し、最後にダイプレートを通って水中ペレット化システムのウォーターボックス内に投入する。そこで混合物を顆粒状にカットし、加圧し温調した水システム中で発泡させる。水流によってビーズを遠心分離乾燥機に運び、そこで水流からビーズを分離する。総スループットは40kg/h(ポリマー、発泡剤を含めて)に設定した。
【0169】
次の表2では、個々の設定と材料組成を確認することができる。
【0170】
【表2】
【0171】
使用したCOとNの発泡剤組成を次の表3に示す。発泡剤の量は、ポリマーの総スループットに基づいて計算したものである。
【0172】
【表3】
【0173】
結果として得た膨張ビーズの嵩密度については、表4に記載している。
【0174】
【表4】
【0175】
実施例及び比較例として用いたE-TPUの特徴は表5に示すとおりである。平均長さ、及び平均表面積対平均体積の比は、方法実施例1及び2で説明したように決定する。
【0176】
【表5】
【0177】
これらの発泡ペレット(実施例1及び2と比較例1及び2)を、Kurtz ersa GmbH社のスチームチェスト成形機型式Boost Energy Foamer68で寸法が200*200*10mm及び200*200*20mm(この寸法は収縮によりわずかに異なる場合がある)のプレート(実施例プレート1~2と比較例プレート1~2)に成形する。成形条件は表6に示すとおりである。
【0178】
実施例プレート1と比較例プレート1、実施例プレート2と比較例プレート2を比較すると、これらプレートは全て同じ蒸気条件で成形したものであるから、同じTPUから製造した発泡ビーズの平均表面積対平均体積の比を小さくすることにより、同等の反発性及び圧縮硬さで、より一層高い引張強度に到達できることが分かる。これにより、より少ない蒸気条件で平均表面積の平均体積に対する比が小さいビーズを成形することが可能となり、さらには、これにより、同等の引張強度及び反発性で、より一層圧縮硬さの高い部品を製造することができる(実施例プレート1~3を比較されたい)(表7)。引張強度、圧縮硬さ及び反発は、方法実施例3~5で説明したように測定したものである。
【0179】
【表6】
【0180】
【表7】
【0181】
II.方法実施例
1.方法実施例1:平均粒子径(長さ)及び幅:
a.遊離粒子
遊離粒子の平均粒子長(ここでは直径と定義)及び幅は、Microtrac MRB社製PartAn 3Dで測定した粒度分布から取得したものである。
【0182】
PartAn 3Dは、ISO 13322-2に準拠した画像評価により、個々の粒子についてその形状及びサイズのパラメータを決定する。その装置の概略構造を図1に示す。
【0183】
粒子のサンプル1個についての測定シーケンスは次のとおりである。1Lのビーズ(例えば1は約5,000個の粒子の数に相当する)を、振動チャネル(2)の上に取り付けた漏斗(1)内に充填する。測定が始まると、漏斗は上方に移動し、振動チャネルはカメラに向けて粒子の搬送を制御する。カメラは、上部に穴の開いた箱(3)に収納されている。振動チャネルの端に到達したビーズは、その穴に落ちていく。その粒子が底に向かう途中、カメラの視野を通って落下するとき数枚の写真を撮る。粒子が回転しながら下降する際に、さまざまな方向から写真を撮ることで、3D情報を得ることができる。振動チャネルと漏斗の動きを、上から落下する粒子の影によって画像領域が0.8%に不明瞭になるように調整する(詳細設定は表8に示す)。カメラは5MPの高速度カメラであって約120fpsで撮影する。このようにして、1個の落下粒子から平均して8枚の画像を取得することができる。対応する評価ソフトウェアにより、個々の画像を相互にマッピングすることで、数枚の画像から測定粒子のデータセットを決定する。
【0184】
1個の粒子のサイズパラメータは、この特定の粒子のすべての利用可能な画像について画像解析することで決定する。長さ及び幅は、それぞれの画像上の粒子の外縁に平行な接線を適用することで測定する。長さは最大のものと定義し、幅は2つの平行接線間の最短距離と定義する(図2)。1個の粒子について、その長さ、幅、厚みの値を得るために、ソフトウェアからF長さ(Flength)、F幅(Fwidth)、F厚さ(FThickness)のパラメータを取得する。各記号は次のように定義する。F長さ:特定のビーズについて、すべての一つ一つの写真から決定されるすべての長さの値のうちの最大値;F幅:特定のビーズについて、すべての一つ一つの写真から決定されるすべての幅の値のうちの最大値;F厚さ:特定のビーズについて、すべての一つ一つの写真から決定されるすべての幅の値のうちの最小値である。1個の試料粒子についての平均値を得るために、すべてのF長さ、F幅、F厚さの値の中央値を取る。
【0185】
【表8】
【0186】
b.成形体中の粒子
成形体中の発泡ペレットの平均粒子長(ここでは直径と定義)及び幅は、標準的なパラメータを用いてコンピュータ断層撮影法(CT-scan)で測定した粒度分布から求める。
【0187】
平均直径の決定は、成形部品の断面において、直交する2方向から少なくとも20個の個々の粒子を測定することで行う。
【0188】
2.方法実施例2:平均的な粒子の表面と体積
平均粒子表面と体積は、粒子を回転楕円体(2つの等しい半軸を持つ楕円体(図3))と仮定して計算する。計算には、式1及び式2を使用した。これをもとに、式1、式2に従い体積Vと表面Aを計算する。
【0189】
【数1】
【数2】
n = π = 3.141592653589793
a = F長さ、及び b = c = F厚さ
【0190】
本発明との関連では、特に断らない限り、ペレットの平均表面積の平均体積に対する絶対値を基準として、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)は、1.4~3.0の範囲である。
【0191】
特に断りのない限り、a、b、cは、本発明との関連ではmm単位で決定し、体積V及び表面Aは、本発明との関連では特に断りのない限り、それぞれの値で計算するものとする。
【0192】
3.方法実施例3:引張強度
引張強度と破断点伸びは万能試験機で測定する。この試験機は、2.5kNの力センサー(クラス0.5(ab 10N)、DIN EN ISO7500-1、2018)、ロングストローク-伸縮計(DIN EN ISO9513、2013の後のクラス1)及び空気圧クランプ(6バール、ピラミッドグリッドからのジョーをクランプ(Zwick T600R))を備える。
【0193】
試験片(150mmx25,4mmxテストプレートの厚さ)を、200x200x10mmのテストプレート(寸法は収縮によりわずかに異なる場合がある)から打ち抜きダイを使って抜き取る。その前に、標準的な気候条件(23±2℃、湿度50±5%)のもとで、テストプレートを少なくとも16時間保存した。また、測定も標準的な気候の中で行う。各試験片の密度を測定する。したがって、質量(精密はかり;精度:±0.001g)と厚さ(ノギス;精度:±0.01mm、接触圧力100Pa、値は試験片の中央で1回のみ測定)を測定する。長さ(150mm)、幅(25.4mm)は、打ち抜きダイの寸法から分かる。
【0194】
-位置(75mm)とロングストローク伸縮計の距離d(50mm)を確認した後、計測を開始する。試験片を上部クランプ上に置き、力を測定する。その後、試料片を固定し、測定を開始することができる。測定は試験速度100mm/分、力1Nで行う。最大張力である引張強度σmax(MPaで表す)の算出は式(3)により行う。この張力は、破断時の張力と同じである可能性がある。破断点伸び(%で表す)は、式(4)を使用して計算する。各材料について、3つの試験片をテストする。3回の測定から平均値を得る。試験片が選択領域外で破れた場合は、その旨を記載する。別の試験片を用いての繰り返しは行わない。
【0195】
【数3】
max=最大引張力[N]
d=試験片の厚さ[mm]
b=試験片の幅[mm]
【0196】
【数4】
=破断時の長さ[mm]
=測定を開始する前の長さ[mm]
【0197】
4.方法実施例4:圧縮硬さ
成形プレートの圧縮挙動を決定するために、寸法50mm*50mm*プレートの元の厚さ(一般に20mmであるが、収縮により厚さがわずかに変化する場合があり、表皮は除去しない)の3枚の試験片をプレートから帯鋸を用いて採取する。
【0198】
各試験片について、質量(精密はかり、精度±0.001g)、長さと厚さ(ノギス、精度±0.01mm、接触圧100Pa、試験片中央で1回のみ測定)を測定する。
【0199】
次いで、50kNの力変換器(DIN EN ISO7500-1:2018-06に準拠するクラス1)、クロスヘッドトラベルエンコーダ(DIN EN ISO9513:2013に準拠するクラス1)、及び、穴のない2枚の平行圧力板(直径2000mm、最大許容力250kN、最大許容面圧300N/mm)で圧縮挙動を測定する。試験片の密度を決定するために、測定した質量、長さ、厚さの値をZwick社製の試験機のソフトウェアの試験仕様に入力する。試験片の厚みは,万能試験機でトラバースパス測定システム(精度:±0.25mm)を用いて決定する。測定自体は、試験速度50mm/分、予力(pre-force)1Nで行う。10と50のスティント(stint)で力(単位kPa)を記録する。第1サイクル目の値を評価用として使用する。測定中のサンプルは76%まで圧縮する。
【0200】
測定は、1枚のプレートから採取した3枚の試験片で行う。その結果、3つの測定値すべてから平均値を算出する。
【0201】
5.方法実施例5:反発
本発明の枠内では、特に明記しない限り、反発はDIN 53512、2000年4月と同様に決定する。標準からの逸脱は、試験片の高さであり、12mmである必要があるが、この試験では、サンプルを「貫通」して基板を測定するのを避けるために20mmを採用する。
【0202】
引用文献:
Ullmann「Encyclopedia of Technical Chemistry」、第4版、第20巻、p.416以下
WO94/20568A1
WO2007/082838A1
WO2017/030835A1
WO2013/153190A1
WO2010/010010A1
WO2019/185687A1
WO2017/039451A1
WO2018/004344A1
Plastics Additives Handbook、第5版、H.Zweifel編、Hanser Publishers、ミュンヘン、2001年([1])、pp.98-136
Becker/BraunによるKunststoff-Handbuch Band 4,‘‘Polystyrol’’[プラスチックハンドブック第4巻‘‘ポリスチレン’’](1996)
【符号の説明】
【0203】
1 漏斗
2 振動チャネル
3 箱
4 カメラ
図1
図2
【図
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-10-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを含み、
ここで、体積V及び表面Aは、式(1)及び(2)
【数1】
【数2】
(式中、n = π = 3.141592653589793
a = F長さ、及び b = c = F厚さ
a、b、及びcは単位mmで決定する)
に従って計算することを特徴とする成形体。
【請求項2】
発泡ペレットの平均長さが1~8mmの範囲にある、請求項1に記載の成形体。
【請求項3】
ペレットの平均長さのペレットの平均幅に対する比が1.0~2.0の範囲にある、請求項1又は2に記載の成形体。
【請求項4】
熱可塑性エラストマーが、2K/分の加熱速度及び1Hzの周波数でDIN EN ISO 6721-2011-08に準拠した損失係数(tanδ)により決定される動的機械熱分析により決定した、<10℃の範囲のガラス転移温度Tgを持つ軟質相を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項5】
組成物(M1)が、2K/分の加熱速度及び1Hzの周波数でDIN EN ISO6721-1-7:2018-03に準拠する焼戻し体(20h/100℃)のDMAを用いて決定した、10~90MPaの範囲に、室温での緻密材料のG’弾性率を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項6】
熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリアミド(TPA)及び熱可塑性ポリエーテルエステル(TPC)、ポリエステルエステル(TPC)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項1~5のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項7】
組成物(M1)が、その組成物(M1)の質量に基づいて0.1~20質量%の範囲の量で充填剤を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項8】
成形体が、方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットからなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の成形体。
【請求項9】
下記の工程
(i)方法-実施例1及び2に従って決定したペレットの平均表面積の平均体積に対する比(A/V)が1.4~3.0の範囲にある、熱可塑性エラストマー(TPE-1)を含む組成物(M1)を含む発泡ペレットを用意する工程、
(ii)該発泡ペレットを融着して成形体を得る工程
を含み、
ここで、体積V及び表面Aは、式(1)及び(2)
【数3】
【数4】
(式中、n = π = 3.141592653589793
a = F長さ、及び b = c = F厚さ
a、b、及びcは単位mmで決定する)
に従って計算することを特徴とする成形体を製造する方法。
【請求項10】
発泡ペレットの平均長さが1~8mmの範囲にある、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ペレットの平均長さのペレットの平均幅に対する比が1.0~2.0の範囲にある、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性エラストマーが、加熱速度及び1Hzの周波数でDINに準拠する損失係数(tanδ)により決定した、<10℃の範囲のガラス転移温度Tgを持つ軟質相を有する、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
組成物(M1)が、2K/分の加熱プログラム及び1Hzの周波数でDIN EN ISO6721-1-7:2018-03に準拠する焼戻し体(20h/100℃)のDMAを用いて決定した、10~90MPaの範囲に、室温での緻密材料のG’弾性率を有する、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリアミド(TPA)及び熱可塑性ポリエーテルエステル(TPC)、ポリエステルエステル(TPC)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性スチレンエラストマー(TPS)及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリアミド及び熱可塑性ポリエーテルエステル、ポリエステルエステル、及びそれらの混合物からなる群から選択されたものである、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択されたものである、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
組成物(M1)が、その組成物(M1)の質量に基づいて0.1~20質量%の範囲の量で充填剤を含む、請求項9~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
工程(ii)を熱融着によって行う、請求項9~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
請求項9~18のいずれか一項に記載の方法によって得られた又は得られる成形体。
【請求項20】
請求項9~18のいずれか一項に記載の方法によって得られた又は得られる成形体又は請求項1~8若しくは請求項19のいずれか一項に記載の成形体を、家具、座席、クッション材として、車の車輪又は車の車輪の部品、おもちゃ、おもちゃの動物、タイヤ又はタイヤの部品、サドル、ボール及びスポーツ用品、例えばスポーツマット、又は、特にスポーツ用面、陸上競技用面、スポーツホール、子供の遊び場及び通路用の、床カバー材及び壁パネル材として使用する方法。
【国際調査報告】