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特表2023-544111第二の酵素を含む、プロテアーゼとプロテアーゼ阻害薬との改善された組合せ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-20
(54)【発明の名称】第二の酵素を含む、プロテアーゼとプロテアーゼ阻害薬との改善された組合せ
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/54 20060101AFI20231013BHJP
   C07K 5/08 20060101ALI20231013BHJP
   C12N 9/16 20060101ALI20231013BHJP
   C12N 9/00 20060101ALI20231013BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
C12N9/54 ZNA
C07K5/08
C12N9/16 Z
C12N9/00
C11D3/386
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518095
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2021075665
(87)【国際公開番号】W WO2022063699
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】20201088.0
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20197482.1
(32)【優先日】2020-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェネヴァイン,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ベーネマン,ガブリエル
【テーマコード(参考)】
4H003
4H045
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AC08
4H003DA01
4H003DA17
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003EC01
4H003EC02
4H003FA28
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA12
4H045BA50
4H045DA55
4H045DA56
4H045EA36
(57)【要約】
本発明は、プロテアーゼとプロテアーゼ阻害薬との改善された組合せを含む組成物に関する。活性部位ループに負電荷が導入されたプロテアーゼとペプチドアルデヒドに基づくプロテアーゼ阻害薬との組合せが、プロテアーゼ及びペプチドアルデヒドに基づくプロテアーゼ阻害薬と一緒に組成物中にさらに存在する追加の酵素の安定性の向上をもたらすことが明らかとなった。このことは、プロテアーゼを他の酵素と一緒に含む、保存中に酵素不安定性を頻繁に生じる洗剤組成物において特に有益である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物。
【請求項2】
プロテアーゼが、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101Dを含むアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
配列番号2の番号付けに従ったプロテアーゼが、
a. 3位のスレオニン又はセリン(3T又は3S)、
b. 4位のイソロイシン又はバリン(4I又は4V)、
c. 63位のセリン、アラニン、スレオニン、又はアルギニン(63S、63A、63T、又は63R)、
d. 156位のスレオニン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸(156T、156D、又は156E)、
e. 194位のセリン又はプロリン(194S又は194P)、
f. 199位のセリン、バリン、又はメチオニン(199S、199V、又は199M)、
g. 205位のイソロイシン又はバリン(205I又は205V)、及び
h. 217位のアスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、又はロイシン(217D、217E、217Q、217G、又は217L)
からなる群から選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
プロテアーゼが、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、並びにアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
プロテアーゼが、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、並びにS156D、L262E、Q137H、S3T、R45E,D,Q、P55N、T58W,Y,L、Q59D,M,N,T、G61D,R、S87E、G97S、A98D,E,R、S106A,W、N117E、H120V,D,K,N、S125M、P129D、E136Q、S144W、S161T、S163A,G、Y171L、A172S、N185Q、V199M、Y209W、M222Q、N238H、V244T、N261T,D、及びL262N,Q,Dからなる群から選択される1つ以上の置換を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
プロテアーゼが、配列番号2の番号付けに従った217位にさらなる変異、好ましくはL217Q、L217D、L217E、又はL217Gを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
プロテアーゼが、
a)配列番号3のアミノ酸配列、
b)配列番号3のアミノ酸配列であり、
i. 3位のスレオニン(3T)、
ii. 4位のイソロイシン(4I)、
iii. 63位のセリン、アラニン、スレオニン、又はアルギニン(63S、63A、63T、又は63R)、
iv. 156位のスレオニン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸(156T、156D、又は156E)、
v. 194位のセリン又はプロリン(194S又は194P)、
vi. 199位のメチオニン又はセリン(199M又は199S)、
vii. 205位のイソロイシン(205I)、及び
viii. 217位のアスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、又はグリシン(217D、217E、217Q、又は217G)
からなる群から選択される少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換を含む、アミノ酸配列、
c)配列番号4のアミノ酸配列、並びに
d)配列番号4のアミノ酸配列であり、
i. 3位のセリン(3S)、
ii. 4位のバリン(4V)、
iii. 63位のセリン、アラニン、スレオニン、又はアルギニン(63S、63A、63T、又は63R)、
iv. 156位のスレオニン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸(156T、156D、又は156E)、
v. 194位のセリン又はプロリン(194S又は194P)、
vi. 199位のメチオニン又はセリン(199M又は199S)、
vii. 205位のバリン(205V)、及び
viii. 217位のアスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、又はグリシン(217D、217E、217Q、又は217G)
からなる群から選択される少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換を含む、アミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
プロテアーゼ阻害薬が、ペプチドアルデヒド、好ましくは、式(IV)
【化1】
[式中、
R1及びR2は、NH-CHR1-CO及び/又はNH-CHR2-COが非極性アミノ酸となるような基であり、
R3は、NH-CHR3-COが非極性アミノ酸となるような基であり、
Zは、好ましくはベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル(Ac)、メチルオキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、及びtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)から選択されるN末端保護基である]
の化合物から選択されることが好ましいトリペプチドアルデヒドである、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
R1及びR2が、NH-CHR1-CO及びNH-CHR2-COがGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Ser、Thr、Asp、Gln、Tyr、Cys、Lys、Arg、His、Asn、Glu、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Nva、若しくはNleのL又はD-アミノ酸残基となるような基、好ましくは、互いに独立してAla、Val、Gly、及びLeuのL又はD-アミノ酸残基から選択されるような基である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
R3が、NH-CHR3-COがGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Ser、Thr、Asp、Gln、Tyr、Cys、Lys、Arg、His、Asn、Glu、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Nva、若しくはNleのL又はD-アミノ酸残基となるような基であるか、あるいはR3が(CH3)3SiCH2であり、好ましくは、互いに独立してTyr、Phe、Val、Ala、及びLeuのL又はD-アミノ酸残基から選択される、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
界面活性剤をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素が、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、アスパラギナーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、ヒアルロン酸合成酵素、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、プロテアーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、ディスパーシン、及び/又はキシラナーゼからなる群から独立して選択され、好ましくは、少なくとも第二の酵素が、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、ディスパーシン、及びDNaseからなる群から独立して選択され、より好ましくは、少なくとも1種の第二の酵素が、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、及びリパーゼ、好ましくはリパーゼからなる群から独立して選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
界面活性剤を含む請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物を含む洗剤組成物。
【請求項14】
食器洗浄用洗剤組成物又は洗濯用洗剤組成物である、請求項13に記載の洗剤組成物。
【請求項15】
洗剤組成物に、洗剤組成物中のプロテアーゼではない酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を付与するための方法であって、請求項1から12のいずれか一項に記載の洗剤組成物の使用を含む、方法。
【請求項16】
洗剤組成物中のプロテアーゼではない酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を付与するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテアーゼとプロテアーゼ阻害薬との改善された組合せを含む組成物に関する。活性部位ループに負電荷が導入されたプロテアーゼとペプチドアルデヒドに基づくプロテアーゼ阻害薬との組合せは、プロテアーゼ及びペプチドアルデヒドに基づくプロテアーゼ阻害薬と一緒に組成物中にさらに存在する追加の酵素の安定性の向上をもたらすことが明らかとなった。このことは、プロテアーゼを他の酵素と一緒に含む、保存中に酵素不安定性を頻繁に生じる洗剤組成物に特に有益である。
【背景技術】
【0002】
酵素は、様々な用途において石油化学に代わる持続可能な手段として使用されることが増えている。酵素は、生分解性であり、より低い温度においてすでに触媒として活性となる可能性があり、エネルギー消費の削減をもたらす。クリーニング効率を改善することによって洗浄工程におけるエネルギー消費を削減する試みの1つは、洗剤組成物に酵素を使用することである。特にプロテアーゼは、今日、洗剤組成物において慣例的に使用されている。しかしながら、酵素の使用は、これらの生体分子の、特に洗剤組成物中での不安定性によって妨げられている。さらに、プロテアーゼは自身を分解し、製剤中に存在する他の酵素も分解する。この欠点を克服するために、プロテアーゼ阻害薬が使用可能である。プロテアーゼの種類の1つは、ペプチドアルデヒド及びペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物である。
【0003】
WO2009/118375は、ペプチドアルデヒドによって安定化されたサブチリシン型プロテアーゼを有する洗剤を開示している。WO2013/004636は、サブチリシンとペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物とを含む組成物を開示している。
【0004】
サブチリシンとは、商業製品(例えば、洗濯用及び食器洗浄用洗剤、並びにコンタクトレンズ洗浄剤)及び研究目的(合成有機化学における触媒)で広く使用されているプロテアーゼの一種である。サブチリシンのアミノ酸配列を改変して、これらの酵素の生化学的特性、特にその安定性及び洗浄性能に関する生化学的特性を向上させる様々な試みが行われている。洗剤製剤における使用のための、サブチリシンファミリーのメンバーの1つであるバシラス・レンタス(Bacillus lentus)由来の高アルカリプロテアーゼ及びそのバリアントは、国際特許出願公開第9102792号に記載されている(BLAP、配列番号1)。
【0005】
しかしながら、ペプチド安定化剤を含む組成物、特に洗剤組成物中での酵素安定性の向上に対する必要性は依然として存在する。とりわけ、プロテアーゼが存在する場合は、プロテアーゼ含有製剤に添加される第二の酵素を効率的に安定化する必要がある。
【0006】
本発明者らは、特定のサブチリシンプロテアーゼの使用がプロテアーゼ阻害薬を含む組成物にさらに存在する第二の酵素の安定性を向上させることを証明した。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物を対象とする。
【0008】
さらに、本発明は、本発明の組成物を含む洗剤組成物、特に食器洗浄(好ましくは自動食器洗浄(ADW))及び洗濯に好適な洗剤組成物を対象とする。
【0009】
さらに、本発明は、洗剤組成物に、洗剤組成物中のプロテアーゼではない酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を付与するための方法であって、本発明の洗剤組成物の使用を含む、方法を対象とする。
【0010】
さらに、本発明は、洗剤組成物中のプロテアーゼではない酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を付与するための本発明の組成物の使用を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、本発明の実施形態及び本明細書に含まれる実施例に関する以下の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解されるだろう。
【0012】
本発明は、特定の実施形態に関して記載されるが、この記載は限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0013】
定義
別段の指摘がない限り、本明細書で使用される用語は、関連する技術分野における当業者によって従来の用法に従って理解されるべきである。
【0014】
本発明の例示的な実施形態を詳細に記載する前に、本発明を理解するのに重要な定義を示す。別段の記述がなく、定義の性質から明らかでもない限り、定義は、本明細書に記載される全ての方法及び使用に適用される。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「1つの(a)」及び「1つの(an)」という単数形は、文脈上別段の指示が明確にない限り、それぞれの複数形も含む。本発明の文脈において、「約」及び「およそ」という用語は、当該特徴の技術的効果を依然として保証する、当業者が理解し得る正確さの区間を表す。この用語は、典型的には、示された数値からの、±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、より一層好ましくは±5%の偏差を示す。
【0016】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」、又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」等の用語、及びそれに類する用語は、類似した要素を区別するために使用され、必ずしも起こった順序又は時系列での順序を記載するために使用されるわけではない。そのように使用される用語は、適切な状況下において交換可能であり、本明細書に記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は例示される以外の順番で操作可能であることが理解されるべきである。「第1」、「第2」、「第3」、又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」等の用語が方法又は使用又はアッセイの工程に関する場合、工程間には時間又は時間間隔の一貫性が存在しない、すなわち、本明細書で上又は以下に記載の適用において別段の指示がない限り、工程は同時に実行されてもよく、そのような工程間に数秒、数分、数時間、数日、数週間、数か月、又は数年もの時間間隔が存在してもよい。
【0017】
本出願全体にわたって、様々な刊行物が参照される。これにより、これらの刊行物及びそれらの刊行物に引用される参考文献の全ての開示は、本発明が関係する最新技術をより完全に記載するために、その全体が参照によって本出願に組み込まれる。
【0018】
「含む」という用語は非限定的であることが理解されるべきである。本発明の目的において、「からなる」という用語は「含む」という用語の好ましい一実施形態であると考えられる。以下において、ある群が少なくとも一定数の実施形態を含むと定義される場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も包含することを意味する。
【0019】
特定のアミノ酸配列への「少なくとも2つの負電荷の導入」という用語は、少なくとも2つの負電荷による特定のアミノ酸配列の正味電荷の増加を指す。少なくとも2つの負電荷による特定のアミノ酸配列の正味電荷のそのような増加は、アミノ酸配列を変更することによって実現され、置換、欠失、及び挿入からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸配列変更、好ましくは1つ以上のアミノ酸置換によって達成することができる。少なくとも2つの負電荷による特定のアミノ酸配列の正味電荷の増加は、正電荷を除去すること、又は負電荷を導入すること、又はそれらの組合せによって実現することができる。アスパラギン酸(Asp、D)、グルタミン酸(Glu、E)、リジン(Lys、K)、及びアルギニン(Arg、R)の4種類のアミノ酸は、中性pHで帯電することがある側鎖を有する。pH7.0において、アスパラギン酸(Asp、D)及びグルタミン酸(Glu、E)の2種類は負に帯電し(酸性側鎖)、リジン(Lys、K)及びアルギニン(Arg、R)の2種類は正に帯電する(塩基性側鎖)。したがって、アミノ酸配列への少なくとも2つの負電荷の導入は、例えば、アルギニンをグルタミン酸と置換すること、2つの非荷電ロイシン残基を2つのグルタミン酸残基と置換すること、2つのアスパラギン酸残基を挿入すること、又は2つのリジン残基を欠失することによって達成することができる。アミノ酸配列の改変による少なくとも2つの負電荷の導入は、好ましくは、洗浄工程に通例存在する条件下、好ましくはpH6~11、好ましくはpH7~9、より好ましくはpH7.5~8.5、さらに好ましくはpH7.0~8.0、最も好ましくはpH7.0又はpH8.0で評価される。
【0020】
「親」配列(「親酵素」又は「親タンパク質」とも称される)とは、変化の導入(例えば1つ以上のアミノ酸置換を導入することによる)のための、親配列の「バリアント」を生じる配列の出発配列である。したがって、「酵素バリアント」又は「配列バリアント」又は「タンパク質バリアント」という用語は、それぞれのバリアント酵素の起源である親酵素との関連において使用される。したがって、親酵素には、野生型酵素、及びさらなるバリアントの開発のために使用される野生型酵素のバリアントが含まれる。バリアント酵素は、アミノ酸配列の点で親酵素とある程度異なるが、バリアントは、それぞれの親酵素の酵素特性を少なくとも維持する。好ましくは、酵素特性は、それぞれの親酵素と比較した場合、バリアント酵素において向上している。より好ましくは、バリアント酵素は、それぞれの親酵素と比較した場合、少なくとも同じ酵素活性を有するか、又はバリアント酵素は、それぞれの親酵素と比較した場合、増加した酵素活性を有する。
【0021】
本発明のバリアントを記載する場合、一般に認められているIUPACの1文字又は3文字アミノ酸略記法に従って使用される単一アミノ酸の略記が使用される。
【0022】
「置換」は、本来のアミノ酸と、それに続くアミノ酸配列内での位置番号と、それに続く置換されたアミノ酸とを示すことによって記載される。例えば、120位のヒスチジンのアラニンでの置換は、「His120Ala」又は「H120A」と示される。
【0023】
「欠失」は、本来のアミノ酸と、それに続くアミノ酸配列内での位置番号と、それに続く*とを示すことによって記載される。したがって、150位のグリシンの欠失は、「Gly150*」又は「G150*」と示される。或いは、欠失は、例えば「D183及びG184の欠失」と示される。
【0024】
「挿入」は、本来のアミノ酸と、それに続くアミノ酸配列内での位置番号と、それに続く本来のアミノ酸及び追加のアミノ酸とを示すことによって記載される。例えば、180位でのグリシンの隣へのリジンの挿入は、「Gly180GlyLys」又は「G180GK」と示される。2つ以上のアミノ酸残基が挿入される場合、例えば、Gly180の後にLys及びAlaが挿入される場合、これはGly180GlyLysAla又はG195GKAと示され得る。
【0025】
置換と挿入とが同じ位置で起こる場合、これは、S99SD+S99A又は簡潔にS99ADと示され得る。既存のアミノ酸残基と同一のアミノ酸残基が挿入される場合、命名法における縮重が生じることは明らかである。例えば、上記の例においてグリシンがグリシンの後に挿入される場合、これは、G180GGと示され得る。複数の変更を含むバリアントは、「+」によって区切られ、例えば、「Arg170Tyr+Gly195Glu」又は「R170Y+G195E」は、170位及び195位のアルギニン及びグリシンの、それぞれチロシン及びグルタミン酸での置換を表す。或いは、複数の変更はスペース又はカンマによって、例えばそれぞれR170Y G195E又はR170Y,G195Eのように区切られる場合がある。異なる変更が1つの位置に導入され得る場合、異なる変更は、カンマによって区切られ、例えば「Arg170Tyr,Glu」及びR170T,Eはそれぞれ、170位のアルギニンのチロシン又はグルタミン酸での置換を表す。或いは、異なる変更又は任意の置換は、括弧中で、例えば、Arg170[Tyr,Gly]若しくはArg170{Tyr,Gly}、又は簡潔にR170[Y,G]若しくはR170{Y,G}のように示される場合がある。
【0026】
本明細書に記載されるサブチリシンプロテアーゼのアミノ酸残基の番号付けは、サブチリシンプロテアーゼに関して一般的に使用されているように(P. N. Bryan, Biochimica et Biophysica Acta 1543(2000)、203~222を参照、204ページ、左欄、第3段落を参照)、配列番号2に示すバシラス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のBPN'サブチリシンプロテアーゼの番号付けに従っている(すなわち、配列番号2の番号付けに従っているか、又は「BPN'番号付け」に従っている)。
【0027】
親酵素分子のバリアントは、全長ポリペプチド配列と比較して、酵素活性を有するそれぞれの親酵素のアミノ酸配列と少なくともnパーセント同一のアミノ酸配列を有することができ、nは、50~100の間の整数、好ましくは50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99である。好ましくは、親酵素と比較した場合にnパーセント同一のバリアント酵素は酵素活性を有する。
【0028】
本明細書における、2つのアミノ酸配列の比較に関する「同一性」は、同一残基の数を、完全長にわたるより短い配列を示しているアラインメント領域の長さで割ることによって計算される。この値に100を掛けて、「同一性パーセント」が得られる。代替的な実施形態では、本明細書における、2つのアミノ酸配列の比較に関する「同一性」は、同一残基の数を、完全長にわたる本発明の配列を示しているアラインメント領域の長さで割ることによって計算される。この値に100を掛けて、代替的に「同一性パーセント」が得られる。
【0029】
2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントを決定する(すなわち、ペアワイズ配列アラインメント)ためには、2つの配列は、第1の工程において完全長にわたってアラインメントされなければならない(すなわち、グローバルアラインメント)。2つの配列のグローバルアラインメントを生成するために、任意の好適なコンピュータプログラム、例えば、プログラム「NEEDLE」(European Molecular Biology Open Software Suite(EMBOSS))、プログラム「MATGAT」(Campanella, J. J、Bitincka, L.及びSmalley, J.(2003)、BMC Bioinformatics, 4:29)、プログラム「CLUSTAL」(Higgins, D. G.及びSharp, P. M.(1988)、Gene、73、237~244)、又は類似したプログラムが使用可能である。いずれのプログラムもない場合、配列は手動でアラインメントされてもよい。
【0030】
2つの配列をアラインメントした後、第2の工程において、同一性の値がアラインメントから決定される。同一性パーセントの計算に適用される方法に応じて、所与のアラインメントから異なる同一性パーセントの値が計算されることがある。したがって、配列アラインメントを作成し、加えてアラインメントから同一性パーセントの値を計算するコンピュータプログラムは、プログラムによってどの計算方法が使用されるかに応じて、所与のアラインメントから異なる同一性パーセントの値を報告する場合もある。したがって、以下の、本発明における同一性パーセントの計算が適用される:
同一性パーセント=(同一残基/完全長にわたるより短い配列を示しているアラインメント領域の長さ)×100。
【0031】
代替的な実施形態では、以下の、本発明における同一性パーセントの計算が適用される:
同一性パーセント=(同一残基/完全長にわたる本発明の配列を示しているアラインメント領域の長さ)×100。
【0032】
アミノ酸置換に関する特別な態様の1つは保存的変異であり、これは、多くの場合、タンパク質フォールディングに対して最低限の効果を及ぼし、親酵素の酵素特性と比較して、それぞれの酵素バリアントの酵素特性の実質的な維持をもたらすと考えられる。保存的変異とは、1つのアミノ酸が類似したアミノ酸と交換される変異である。そのような交換はほぼ確実に酵素特性を変化しない。本明細書において、特に類似性パーセントの決定において、以下の保存的交換が考慮される:
【0033】
【0034】
保存的アミノ酸置換は、機能性タンパク質、例えば酵素のポリペプチド配列の配列の全長にわたって起こり得る。好ましくは、そのような変異は酵素の機能ドメインに関係しない、より好ましくは、保存的変異は酵素の触媒中心に関係しない。
【0035】
保存的変異を考慮に入れるために、2つのアミノ酸配列の「類似性」の値が計算される場合がある。本明細書における、2つのアミノ酸配列の比較に関する「類似性」は、同一残基の数と類似残基の数との和を、完全長にわたるより短い配列を示しているアラインメント領域の長さで割ることによって計算される。この値に100を掛けて、「類似性パーセント」が得られる。代替的な実施形態では、本明細書における、2つのアミノ酸配列の比較に関する「類似性」は、同一残基の数と類似残基の数との和を、完全長にわたる本発明の配列を示しているアラインメント領域の長さで割ることによって計算される。この値に100を掛けて、代替的に「類似性パーセント」が得られる。
【0036】
したがって、以下の、本発明における類似性パーセントの計算が適用される:
類似性パーセント=[(同一残基+類似残基)/完全長にわたるより短い配列を示しているアラインメント領域の長さ]×100。
【0037】
代替的な実施形態では、以下の、本発明における類似性パーセントの計算が適用される:
類似性パーセント=[(同一残基+類似残基)/完全長にわたる本発明の配列を示しているアラインメント領域の長さ]×100。
【0038】
とりわけ、全長ポリペプチド配列と比較して、それぞれの親配列と少なくともmパーセント類似している、保存的変異を含むバリアント酵素(ここで、mは、50~100の間の整数、好ましくは50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99である)は、本質的に変化していない酵素特性を有すると予期される。好ましくは、親酵素と比較した場合にmパーセントの類似性を有するバリアント酵素は酵素活性を有する。
【0039】
「酵素特性」としては、これらに限定されないが、触媒活性それ自体、基質/補因子特異性、産物特異性、時間経過における増加した安定性、熱安定性、pH安定性、化学的安定性、及び保存条件下での向上した安定性が挙げられる。
【0040】
「基質特異性」という用語は、酵素によって触媒的に変換することができる基質の範囲を反映する。
【0041】
「酵素活性」とは、酵素によって発揮される触媒としての効果を意味し、酵素1ミリグラム当たりの単位(比活性)、又は1分当たりに転換された酵素1分子当たりの基質の分子(分子活性)として表される。酵素活性は、酵素の実際の機能によって規定することができ、例えば、プロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解による切断を触媒することによってタンパク質分解活性を発揮し、リパーゼは、エステル結合の加水分解による切断によって脂肪分解活性を発揮する、等である。
【0042】
「プロテアーゼ」(又は代替的に「ペプチダーゼ」若しくは「プロテイナーゼ」)という用語は、タンパク質分解活性を有する酵素、すなわち、ポリペプチド鎖においてアミノ酸を1つに連結しているペプチド結合を加水分解する酵素に対して使用される。
【0043】
酵素活性は、酵素の保存中又は操作上の使用中に変化し得る。本発明における「酵素安定性」という用語は、保存又は操作中の時間に応じた酵素活性の保持に関する。保存中の時間に応じた酵素活性の保持は、本発明の文脈では「保存安定性」と称され、好ましいものである。
【0044】
ある特定の条件下で保存又は使用されている酵素の触媒活性の経時的な変化を決定及び定量するために、「初期酵素活性」が規定の条件下で時間0において(100%)、及びその後のある特定の時点において(x%)測定される。測定された値の比較によって、酵素活性の潜在的な喪失が程度として決定可能である。酵素活性喪失の程度は、酵素の安定性又は非安定性を決定する。
【0045】
「酵素活性の半減期」とは、初期値の2分の1(50%)まで低下する酵素活性の減衰に必要とされる時間の尺度である。
【0046】
「酵素阻害薬」は、以下に概略を示すいくつかの機構によって酵素活性を鈍化する。阻害薬結合は、可逆的又は不可逆的のいずれかである。不可逆的阻害薬は、通例、酵素活性に必要とされる重要なアミノ酸を改変することによって酵素に共有結合する。可逆的阻害薬は、通例、非共有結合する(水素結合、疎水性相互作用、イオン結合)。一般的な4種類の可逆的阻害薬が公知である:
(1)基質と阻害薬とが、酵素の活性部位への接近に関して競合する(競合阻害)、
(2)阻害薬が、基質-酵素複合体に結合する(不競合阻害)、
(3)阻害薬の結合が、酵素活性を低下させるが、基質の結合に影響を及ぼさない(非競合阻害)、
(4)阻害薬が、基質と同時に酵素に結合することができる(混合阻害)。
【0047】
本発明の目的においては、明確な指示がない限り、立体中心を含む化合物はいずれの鏡像異性体も包含及び開示すると考えられる。化合物が2つ以上の立体中心を含む場合は、明確な指示がない限り、鏡像異性体だけでなく全てのジアステレオマーも包含及び開示されると考えられる。本発明における化合物を含む組成物又は混合物について言及される場合、その化合物は、鏡像異性体的に及び/若しくはジアステレオマー的に純粋な化合物として、又は鏡像異性体及び/若しくはジアステレオマーの混合物、例えば、以下に定義されるアミノ酸残基のL若しくはD-鏡像異性体のラセミ混合物としてのいずれでも存在し得ることが理解される。同じことは本発明の化合物の合成に関しても当てはまり、化合物は、鏡像異性体的に及び/若しくはジアステレオマー的に純粋な化合物として、又は鏡像異性体及び/若しくはジアステレオマーの混合物、例えば、以下に定義されるアミノ酸残基のL若しくはD-鏡像異性体のラセミ混合物としてのいずれでも得られ得る。
【0048】
本明細書で使用する場合、酵素の「洗浄性能」(本明細書では「クリーニング性能」とも称される)とは、洗剤組成物のクリーニング性能への酵素の寄与度、すなわち、酵素の性能によって洗剤組成物に追加されるクリーニング性能を指す。「洗浄性能」という用語は、本明細書では、洗濯及び硬質表面クリーニングについて同様に使用される。洗浄性能は、関連する洗浄条件下で比較される。「関連する洗浄条件」という用語は、本明細書では、食器用洗剤の市場区分における家庭で実際に使用される条件、特に、洗浄温度、時間、洗浄機、泡濃度、洗剤の種類、及び水の硬度を示すために使用される。「向上した洗浄性能」という用語は、染みの除去において関連する洗浄条件下でより良好な最終結果が得られること、又は対応する対照条件と比べて同じ最終結果を得るために必要な重量ベースでの酵素がより少ないことを示すために使用される。
【0049】
本明細書で使用する場合、「特異的性能」という用語は、活性酵素の単位当たりの特定の染み又は汚れのクリーニングを指す。一部の実施形態では、特異的性能は、卵、卵黄、牛乳、草、挽肉の血、チョコレートソース、ベビーフード、皮脂等の染み又は汚れを使用して決定される。
【0050】
本発明の洗剤組成物及び/又は洗剤溶液は、1つ以上の洗剤成分を含む。「洗剤成分」という用語は、本明細書では、洗剤組成物及び/又は洗剤溶液において使用することができる化学物質の種類を意味すると定義される。
【0051】
本発明における洗剤組成物及び/又は洗剤溶液には、種々の用途、例えば洗濯及び硬質表面クリーニングのための洗剤組成物及び/又は洗剤溶液が含まれる。
【0052】
「洗濯」という用語は、家庭での洗濯と工業的洗濯の両方に関し、本発明の洗剤組成物を含有する溶液を用いてテキスタイル及び/又は布地を処理するプロセスを意味する。洗濯プロセスは、技術的装置、例えば家庭用又は工業用洗濯機を使用することによって実行され得る。或いは、洗濯プロセスは手で行われ得る。
【0053】
「テキスタイル」という用語は、織糸(編むため又は織るために使用される、天然又は合成繊維から作られた糸)、織糸中間体、繊維、不織材料、天然材料、合成材料、並びにこれらの材料から作られた布地、例えば、衣類、布、及び他の物品を含む任意のテキスタイル材料を意味する。「布地」(繊維を織るか、編むか、又はフェルト状にすることによって作られるテキスタイル)又は「衣類」(テキスタイルから作られた任意の衣料品)という用語は、本明細書で使用する場合、より広い用語であるテキスタイルも含むように意味する。
【0054】
「繊維」という用語には、天然繊維、合成繊維、及びそれらの混合物が含まれる。天然繊維の例は、植物起源のもの(例えば、亜麻、ジュート、及び綿)、又はタンパク質、例えば、コラーゲン、ケラチン、及びフィブロインを含む動物起源のもの(例えば、絹、羊毛、アンゴラ、モヘア、カシミヤ)である。合成起源の繊維の例は、ポリウレタン繊維、例えばSpandex(登録商標)若しくはLycra(登録商標)、ポリエステル繊維、ポリオレフィン、例えばエラストフィン(elastofin)、又はポリアミド繊維、例えばナイロンである。繊維は、単繊維であっても、テキスタイルの一部、例えば、ニットウェア、織布、又は不織布であってもよい。
【0055】
「硬質表面クリーニング」という用語は、本明細書では、硬質表面のクリーニングとして定義され、ここで、硬質表面には、家庭におけるあらゆる硬質表面、例えば、床、家具、壁、衛生陶器、ガラス、カトラリーを含む金属表面、又は食器が含まれ得る。硬質表面クリーニングの特定の形態の1つは全自動食器洗浄(ADW)である。
【0056】
「食器洗浄」という用語は、例えば手又は全自動食器洗浄による、全ての形態の食器の洗浄を指す。食器の洗浄としては、これらに限定されないが、全ての形態の陶器類、例えば、プレート、カップ、グラス、ボウル、全ての形態のカトラリー、例えば、スプーン、ナイフ、フォーク、及び給仕用具、並びに陶器、プラスチック、例えばメラミン、金属、磁器、ガラス、及びアクリルのクリーニングが挙げられる。
【0057】
本発明の技術分野では、通例「染み」という用語は、洗濯、例えば、テキスタイル、布地、又は繊維のクリーニングに関して使用され、「汚れ」という用語は、通例、硬質表面クリーニング、例えば、食器及びカトラリーのクリーニングに関して使用される。しかしながら、本明細書では、「染み」及び「汚れ」という用語は交換可能に使用されるものとする。
【0058】
この点において「ピリング」という用語は、繊維の損傷又は絡まりに起因する、綿含有布地の表面における毛玉及び毛羽の形成である。
【0059】
「抗ピリング」という用語は、綿含有布地の表面における毛玉及び毛羽の形成の防止、並びに綿含有布地からの毛玉及び毛羽の除去を表すために使用される。抗ピリングは、通常、着色された綿含有布地を処理する場合は色彩澄明化をもたらす。
【0060】
この点において「色彩澄明化」という用語は、着色された布地の処理、とりわけ洗濯用洗剤を用いた処理によって灰色がかった外観を呈したセルロース系繊維を含有するか又はそれからなる着色された布地の魅力的で新鮮な外見を回復することである。
【0061】
この点において「再付着」という用語は、洗濯洗浄又はテキスタイル処理中にこれらのテキスタイル又は布地から除去された汚れ成分又は色成分が付着することである。
【0062】
この点において「抗再付着」という用語は、汚れ成分及び色成分の布地への再付着を防止又は低減するセルラーゼの作用である。抗再付着は、本明細書では、抗灰色化と称される場合がある。
【0063】
詳細な説明
プロテアーゼ
本発明における組成物は、本明細書に記載されるプロテアーゼを含む。また、本発明の方法は、本明細書に記載されるプロテアーゼの使用を含む。プロテアーゼは、配列番号1に示す親プロテアーゼ、好ましくはサブチリシンプロテアーゼのバリアントプロテアーゼである。好ましくは、バリアントプロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、プロテアーゼのアミノ酸配列は、配列番号2の番号付け(BPN'番号付け、すなわち、位置は、配列番号2として確立されたB.アミロリクエファシエンスのサブチリシンBPN'のアミノ酸配列との対応によって番号付けされている)に従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含み、好ましくは、プロテアーゼは触媒三残基としてアミノ酸であるアスパラギン酸、ヒスチジン、及びセリンを含み、好ましくは、プロテアーゼはサブチリシンプロテアーゼである。
【0064】
好ましくは、本明細書に記載されるプロテアーゼであって、配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含むプロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に少なくとも2つのさらなる負電荷を含まないプロテアーゼと比較して、好ましくは、配列番号1に示すアミノ酸配列を含むプロテアーゼと比較して、天然プロテアーゼ阻害薬に対する、好ましくは、染み、好ましくはテキスタイル又は硬質表面の染みに含まれる阻害薬に対する増大した耐性を示す。好ましくは、プロテアーゼは、天然に存在するプロテアーゼ阻害薬に対して低下した結合親和性を示す。好ましくは、本明細書に記載されるプロテアーゼはサブチリシンプロテアーゼである。
【0065】
好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む。好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む。
【0066】
好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101D又はR101E、好ましくはR101Eを含む。好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101D又はR101E、好ましくはR101Eを含む。好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と100%の配列同一性を有し、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101D又はR101E、好ましくはR101Eを含む、すなわち、プロテアーゼは、配列番号1と比較してわずか1つのアミノ酸交換を含む。
【0067】
好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101D又はR101E、並びにアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iを含む。より好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101D又はR101E、並びにアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iを含む。より一層好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有し、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101D又はR101E(好ましくはR101E)、並びにアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iを含む。好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と100%の配列同一性を有し、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101D又はR101E(好ましくはR101E)、並びにアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iを含む、すなわち、プロテアーゼは、配列番号1と比較してわずか4つのアミノ酸交換を含む。
【0068】
好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%の配列同一性を有し、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含み、配列番号1と比較して、本明細書に記載される1つ以上の保存的アミノ酸交換を含む。好ましくは、配列番号1と比較して、プロテアーゼは、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも30個、又は少なくとも40個の保存的アミノ酸交換を含む。
【0069】
好ましくは、配列番号1と比較して、本明細書に記載されるプロテアーゼは、残基98~104のループ領域に少なくとも2つのさらなる負電荷をもたらす改変に加えて、好ましくは、配列番号2の番号付けに従った置換R101D又はR101E、並びに好ましくはアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iに加えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個の保存的アミノ酸交換を含み得る。
【0070】
好ましくは、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%の配列同一性を有し、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含み、配列番号1と比較した残りのアミノ酸配列の相違は、本明細書に記載される保存的アミノ酸交換に起因する。
【0071】
好ましい実施形態では、プロテアーゼは、3、4、9、15、24、27、33、36、57、68、76、77、87、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、106、118、120、123、128、129、130、131、154、160、167、170、194、195、199、205、206、217、218、222、224、232、235、236、245、248、252、及び274からなる群から選択される配列番号2の番号付けに従った位置に、配列番号1と比較して1つ以上の置換を含む。
【0072】
好ましくは、バリアントプロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、プロテアーゼのアミノ酸配列は、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含み、プロテアーゼは、3、4、9、15、24、27、33、36、45、55、57、58、59、61、68、76、77、87、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、106、117、118、120、123、124、128、129、130、131、136、137、143、154、156、160、161、163、167、170、171、172、185、194、195、199、205、206、209、217、218、222、224、232、235、236、238、244、245、248、252、261、262、及び274からなる群から選択される配列番号2の番号付けに従った位置に、配列番号1と比較して1つ以上の置換を含む。
【0073】
好ましくは、プロテアーゼは、本明細書に記載される配列番号1と少なくとも80%の配列同一性を有し、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号2の残基98~104に対応する配列番号1の領域と比較して少なくとも2、3、又は4つのさらなる負電荷、より好ましくは3つのさらなる負電荷、最も好ましくは2つのさらなる負電荷を含む。
【0074】
好ましくは、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域における少なくとも2つのさらなる負電荷は、置換、欠失、及び挿入からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸変更、好ましくは置換によって得られる。好ましくは、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域における少なくとも2つのさらなる負電荷は、D99E、R101D、及びR101Eからなる群から選択される1つ以上のアミノ酸変更によって得られる。
【0075】
好ましくは、プロテアーゼにおいて、残基98~104のループ領域における配列番号1と比較した少なくとも2つのさらなる負電荷は、98、99、100、101、102、103、及び104からなる群から選択される配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸位、好ましくは101位における1つ以上のアミノ酸置換によって生じる。
【0076】
好ましい実施形態では、プロテアーゼは、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101Dを含むアミノ酸配列を含む。別の好ましい実施形態では、残基98~104のループ領域における配列番号1と比較した少なくとも2つのさらなる負電荷は、アミノ酸置換R101E又はR101Dのいずれによっても生じない。
【0077】
好ましい実施形態では、ループ配列98~104は、以下の配列ADGEGAI、ADGDGAI、ADGDGSV、ADGEGSV、AADGEGSV、又はASEGEGSVにおいて、配列番号1と比較して2つのさらなる負電荷を有し、より長い配列はループ配列に挿入を有する。
【0078】
本発明の別の実施形態では、プロテアーゼであって、本明細書に記載されるように配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含むプロテアーゼは、配列番号2の番号付けに従って、
a. 3位のスレオニン又はセリン(3T又は3S)、
b. 4位のイソロイシン又はバリン(4I又は4V)、
c. 63位のセリン、アラニン、スレオニン、又はアルギニン(63S、63A、63T、又は63R)、
d. 156位のスレオニン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸(156T、156D、又は156E)、
e. 194位のセリン又はプロリン(194S又は194P)、
f. 199位のセリン、バリン、又はメチオニン(199S、199V、又は199M)、
g. 205位のイソロイシン又はバリン(205I又は205V)、及び
h. 217位のアスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、又はロイシン(217D、217E、217Q、217G、又は217L)
からなる群から選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0079】
好ましい実施形態では、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%同一であり、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101Dを含むアミノ酸配列を含み、配列番号2の番号付けに従ったプロテアーゼは、
a. 3位のスレオニン又はセリン(3T又は3S)、
b. 4位のイソロイシン又はバリン(4I又は4V)、
c. 63位のセリン、アラニン、スレオニン、又はアルギニン(63S、63A、63T、又は63R)、
d. 156位のスレオニン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸(156T、156D、又は156E)、
e. 194位のセリン又はプロリン(194S又は194P)、
f. 199位のセリン、バリン、又はメチオニン(199S、199V、又は199M)、
g. 205位のイソロイシン又はバリン(205I又は205V)、及び
h. 217位のアスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、又はロイシン(217D、217E、217Q、217G、又は217L)
からなる群から選択されるアミノ酸残基のうちの少なくとも1つを含む。
【0080】
好ましくは、本明細書に記載されるプロテアーゼは、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、並びにアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iを含む。
【0081】
別の実施形態では、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、並びにS156D、L262E、Q137H、S3T、R45E,D,Q、P55N、T58W,Y,L、Q59D,M,N,T、G61D,R、S87E、G97S、A98D,E,R、S106A,W、N117E、H120V,D,K,N、S125M、P129D、E136Q、S144W、S161T、S163A,G、Y171L、A172S、N185Q、V199M、Y209W、M222Q、N238H、V244T、N261T,D、及びL262N,Q,Dからなる群から選択される1つ以上の置換を含む。
【0082】
別の実施形態では、プロテアーゼは、配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E並びにS156D及び/又はL262E、並びに、場合によりI104T、H120D、Q137H、S141H、R145H、及びS163Gから選択される少なくとも1つのさらなる変異を含む。
【0083】
好ましくは、プロテアーゼは、配列番号2の番号付けに従った217位にさらなる変異、好ましくはL217Q、L217D、L217E、又はL217Gを有する。
【0084】
好ましい実施形態では、プロテアーゼは、
配列番号3のアミノ酸配列、
配列番号3のアミノ酸配列であり、
3位のスレオニン(3T)、
4位のイソロイシン(4I)、
63位のセリン、アラニン、スレオニン、又はアルギニン(63S、63A、63T、又は63R)、
156位のスレオニン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸(156T、156D、又は156E)、
194位のセリン又はプロリン(194S又は194P)、
199位のメチオニン又はセリン(199M又は199S)、
205位のイソロイシン(205I)、及び
217位のアスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、又はグリシン(217D、217E、217Q、又は217G)
からなる群から選択される少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換を含む、アミノ酸配列、
配列番号4のアミノ酸配列、並びに
配列番号4のアミノ酸配列であり、
3位のセリン(3S)、
4位のバリン(4V)、
63位のセリン、アラニン、スレオニン、又はアルギニン(63S、63A、63T、又は63R)、
156位のスレオニン、アスパラギン酸、又はグルタミン酸(156T、156D、又は156E)、
194位のセリン又はプロリン(194S又は194P)、
199位のメチオニン又はセリン(199M又は199S)、
205位のバリン(205V)、及び
217位のアスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、又はグリシン(217D、217E、217Q、又は217G)
からなる群から選択される少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換を含む、アミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0085】
好ましくは、プロテアーゼのアミノ酸配列は、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従った103位にアラニン(103A)及び104位にイソロイシン(104I)、より好ましくは、101R、104I、及び103Aを含む。
【0086】
さらに好ましい実施形態では、プロテアーゼのアミノ酸配列は、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従った98~104位のループ領域にさらなるアミノ酸残基を含まない。好ましくは、プロテアーゼのアミノ酸配列は、配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従った42~43、51~55、155~165、187~189、217~218、又は218~219位の間にさらなるアミノ酸残基を含まない。
【0087】
本発明におけるセリンプロテアーゼを含むプロテアーゼは「タンパク質分解活性」(「プロテアーゼ活性」とも称される)を有する。この特性は、タンパク質含有基質、例えば、カゼイン、ヘモグロビン、及びBSAに対するプロテアーゼの加水分解活性(タンパク質分解、これは、ポリペプチド鎖においてアミノ酸を1つに連結しているペプチド結合の加水分解を意味する)に関連する。定量的には、タンパク質分解活性は、規定の時間経過におけるプロテアーゼ又はタンパク質分解酵素によるタンパク質の分解速度に関連する。タンパク質分解活性を解析するための方法は文献において周知である(例えばGuptaら(2002)、Appl. Microbiol. Biotechnol. 60:381~395を参照のこと)。
【0088】
例えば、タンパク質分解活性、及びそれに関連するタンパク質分解活性それ自体に対する阻害薬の効果は、スクシニル-Ala-Ala-Pro-Phe-p-ニトロアニリド(Suc-AAPF-pNA、簡潔にAAPF、例えばDelMarら(1979)、Analytical Biochem 99、316~320を参照のこと)を基質として使用することによって決定することができる。pNAはタンパク質分解切断によって基質分子から切断され、その結果、OD405を測定することによって定量可能な黄色の遊離pNAの放出が生じる。
【0089】
タンパク質分解活性の経時的な変化を決定するために、プロテアーゼの「初期酵素活性」が規定の条件下で時間0において、及びその後のある特定の時点において測定される。後者の活性を時点0の活性で割ることによって残存活性を計算することができる(x%)。測定されたx%値は、好ましくは、活性が失われていないことを意味する100%値と等しい。100%値とx%値との比較によって、タンパク質分解活性の潜在的な喪失が程度として決定可能である。
【0090】
プロテアーゼ阻害薬
本発明の組成物におけるプロテアーゼ阻害薬は、ペプチドアルデヒド又はその誘導体であり、好ましくは、本発明の組成物におけるプロテアーゼ阻害薬は、ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、又はそれらの組合せである。
【0091】
プロテアーゼ阻害薬は、2、3、4、5、又は6つのアミノ酸残基を含み得る。ペプチドアルデヒドのN末端は、Hであっても、N末端保護基(本明細書ではZと称される)で保護されていてもよい。
【0092】
プロテアーゼ阻害薬は、1E-12~1E-03、より好ましくは1E-11~1E-04、より一層好ましくは1E-10~1E-05、より一層好ましくは1E-10~1E-06、最も好ましくは1E-09~1E-07のセリンプロテアーゼに対する阻害定数Ki(M、mol/L)を有し得る。
【0093】
好ましくは、プロテアーゼ阻害薬はペプチドアルデヒドである。
【0094】
好ましくは、ペプチドアルデヒドは、一般式(I)A4-A3-A2-A1
[式中、
・ A1は、セリンヒドロラーゼの活性部位においてセリンに結合し得るアルデヒド(CHO)又はアルデヒド類似体(COCX3、COCHX2、COCH2X、若しくはCOCH3(ここで、Xはハロゲン原子である)であり、
・ A2は、そのC末端炭素が上に記載したA1に含まれている、芳香族又は脂肪族側鎖を有するアミノ酸残基である。好ましいアミノ酸は、D-若しくはL-Tyr(p-チロシン)、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシ-フェニルアラニン、Leu、Phe、Val、Met、Nva、Nleであり、
・ A3は、存在する場合、1~3つのいずれかの小さいアミノ酸(例えば、Gly、Ala、Leu、ノルロイシン、ノルバリン)からなる好ましくは疎水性の嵩高くないリンカーであり得、
・ A4は、存在する場合、保護基(例えば以下に記載されるN保護基)、又は任意のアミノ酸、好ましくはGly若しくはValであり得る]
を有する。
【0095】
ペプチドアルデヒドは、式(II)B2-B1-B0-R
[式中、
a)Rは、水素、CH3、CX3、CHX2、又はCH2X(ここで、Xはハロゲン原子である)であり、
b)B0は単一アミノ酸残基であり、
c)B1は1個~2個のアミノ酸残基であり、
d)B2は、場合によりN末端保護基又はB1に結合したN末端保護基を含む、1個以上(好ましくは1個又は2個)のアミノ酸残基からなる]
を有し得る。
【0096】
上記式(II)において、B0は、場合により置換されている脂肪族又は芳香族側鎖を有するL又はD-アミノ酸、好ましくは、D-若しくはL-Tyr(p-チロシン)、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Leu、Phe、Val、Gly、Met、Trp、Ile、Nva、又はNleであり得る。
【0097】
B1は、好ましくはAla、Cys、Gly、Leu、Arg、Pro、Ser、Ile、Thr、Val、Nva、又はNleから選択され、最も好ましくはAla、Gly、Leu、Nva、又はNieから選択される、場合により置換されている小さい脂肪族側鎖を有する1個~2個、好ましくは2個のアミノ酸残基であり得る。最も好ましい組合せは、Gly-Ala、Ala-Ala、Gly-Gly、及びGly-Leuである。
【0098】
式(II)のB2は、タンパク質化学から知られ、好ましくはベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、pメトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル、メチルオキシ、メチルオキシカルボニル/メチルカルバメート、若しくはメチル尿素から選択されるNキャップ基であり得るか、又はB2は、場合により上に記載した保護基を含む、構造を特定しない任意の1個~2個のアミノ酸残基、好ましくはGly若しくはValであり得る。
【0099】
より詳細には、ペプチドアルデヒドは、Z-GGY-H、Z-GGF-H、Z-GGG-H、ZGAG-H、Z-RAY-H、Ac-GAY-H、Z-GAY-H、Z-GAL-H、Z-GAF-H、Z-GAV-H、Z-RVY-H、Z-LVY-H、Z-VAL-H、Ac-LGAY-H、Ac-FGAY-H、Ac-YGAY-H、Ac-FGVY-H、Ac-FGAM-H、Ac-WLVY-H、MeO-CO-VALH、MeO-CO-LLY-H、MeOCO-FGAL-H、MeO-FGAF-H、MeNCO-FGAL-H、Z-VAL-CF3(ここで、Zは好ましくはベンジルオキシカルボニルであり、Meはメチルであり、Acはアセチルである)であり得る。
【0100】
或いは、ペプチドアルデヒドは、式(III)B2-B1-B0-R
[式中、
Rは、水素、CH3、CX3、CHX2、又はCH2X(ここで、Xはハロゲン原子である)であり、
B0は単一アミノ酸残基であり、
B1は単一アミノ酸残基であり、
B2は、必要に応じてN末端保護基を含む1個以上(好ましくは1個又は2個)のアミノ酸残基からなる]
を有し得る。
【0101】
上記式(III)において、B0は、場合により置換されている脂肪族若しくは芳香族側鎖を有するL又はD-アミノ酸、好ましくは、D-又はL-Tyr(p-チロシン)、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Leu、Phe、Val、Met、Nva、又はNleであり得る。
【0102】
式(III)のB1は、場合により置換されている小さい脂肪族側鎖を有する残基、好ましくはAla、Cys、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Nva、又はNleであり得る。
【0103】
式(III)のB2は、以下に記載される「芳香族(aromate)」又は「小さい」保護基から選択されるN末端保護基を場合によって含む、いずれかの小さい脂肪族側鎖を有する残基B2(好ましくはGly、Ala、Thr、Val、若しくはLeu)、又はArg又はGlnのいずれか1つであり得るか、或いはB2は2つの残基B3-B2'(ここで、B2'は上記のB2と同様であり、B3は、場合によりN保護基を含む、疎水性又は芳香族側鎖を有する残基(好ましくはPhe、Tyr、Trp、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、フェニルグリシン、Leu、Val、Nva、Nle、又はIle)である)であり得る。
【0104】
好ましくは、式(III)のB2は、アルデヒドから数えて「4番目の位置」に芳香族系又は疎水系を置くことを可能にし、これは、N-「芳香族」-B2(ここで、B2は上に記載したものと同様であり、「芳香族」保護基は芳香族基又は疎水基、例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、又はp-メトキシフェニル(PMP)を含む)であり得る。或いは、最も好ましくは、B2はN-「小さい(small)」-B3-B2'(ここで、B2'及びB3は、「小さい」N末端保護基が結合した、上に記載したものと同様のもの、例えば、ホルミル、アセチル、メチルオキシ、又はメチルオキシカルボニルである)の形態のジペプチドであり得る。
【0105】
特に好ましい実施形態では、ペプチドアルデヒドは、式(IV)
【0106】
【化1】
の化合物又はその塩から選択されることが好ましいトリペプチドアルデヒドである。
【0107】
式(IV)におけるR1、R2、R3、及びZは以下のように定義される:
R1は、NH-CHR1-COがGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Ser、Thr、Asp、Gln、Tyr、Cys、Lys、Arg、His、Asn、Glu、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Nva、若しくはNleのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。好ましくは、R1は、NH-CHR1-COがAla、Val、Gly、Arg、Leu、Phe、Ile、His、若しくはThrのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。より好ましくは、R1は、NH-CHR1-COがAla、Val、Gly、Arg、Leu、Ile、若しくはHisのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。
【0108】
R2は、NH-CHR2-COがGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Ser、Thr、Asp、Gln、Tyr、Cys、Lys、Arg、His、Asn、Glu、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Nva、若しくはNleのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。好ましくは、R2は、NH-CHR2-COがAla、Cys、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Nva、若しくはNleのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。より好ましくは、R2は、NH-CHR2-COがAla、Gly、Pro、若しくはValのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。
【0109】
R3は、NH-CHR3-COがTyr、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Phe、Val、Ala、Met、Nva、Leu、Ile、若しくはNle、又はアルキル基を有する他の非天然アミノ酸のL又はD-アミノ酸残基となるような基である。好ましくは、R3は、NH-CHR3-COがTyr、Phe、Val、Ala、若しくはLeuのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。
【0110】
一実施形態では、式(IV)のR1及びR2は、NH-CHR1-CO及び/又はNH-CHR2-COが好ましくは互いに独立してAla、Val、Gly、及びLeuのL又はD-アミノ酸残基から選択される非極性アミノ酸となるような基である。R3は、NH-CHR3-COがTyr、Phe、Val、Ala、若しくはLeuのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。
【0111】
一実施形態では、式(IV)のR1は、NH-CHR1-COがGly若しくはValのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、R2は、NH-CHR2-COがAlaのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、R3は、NH-CHR3-COがTyr、Ala、若しくはLeuのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。
【0112】
一実施形態では、式(IV)のR1、R2、及びR3から選択される少なくとも2つは、NH-CHR1-CO及び/又はNH-CHR2-CO及び/又はNH-CHR3-COが好ましくは互いに独立してAla、Val、Gly、及びLeuのL又はD-アミノ酸残基から選択される非極性アミノ酸残基となるような基である。
【0113】
一実施形態では、式(IV)のR1は、NH-CHR1-COがValのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、R2は、NH-CHR2-COがAlaのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、R3は、NH-CHR3-COがLeuのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。
【0114】
式(IV)のZは、水素、N末端保護基、及び場合によりN末端保護基を含む1つ以上のアミノ酸残基から選択される。好ましくは、ZはN末端保護基である。
【0115】
好ましい実施形態では、本発明の液体組成物は、式(IV)
[式中、
・ R1は、NH-CHR1-COがGly若しくはValのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、R2は、NH-CHR2-COがAlaのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、R3は、NH-CHR3-COがTyr、Ala、若しくはLeuのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、
・ N末端保護基Z、好ましくは、Zは、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル(Ac)、メチルオキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、又はtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)から選択される]
の化合物から選択される少なくとも1つのペプチドアルデヒド(成分(a))を含み、
少なくとも1つのペプチドアルデヒドは、液体組成物の総重量に対して約0.05重量%~0.8重量%の範囲の量で含まれ、量は100%活性の含量に関する。好ましくは、ペプチドアルデヒドは、いずれも液体組成物の総重量に対して約0.1重量%~0.6重量%、約0.12重量%~0.5重量%、約0.15%~0.4%、又は約0.2重量%~0.35重量%の範囲の量で含まれる。
【0116】
より好ましい実施形態では、少なくとも1つのペプチドアルデヒドは式(IV)
[式中、
・ R1は、NH-CHR1-COがValのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、R2は、NH-CHR2-COがAlaのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、R3は、NH-CHR3-COがLeuのL又はD-アミノ酸残基となるような基である]
の化合物から選択される。
【0117】
より一層好ましくは、ペプチドアルデヒドのN末端保護基Zはベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0118】
一実施形態では、式(IV)のR1及びR2は、NH-CHR1-CO及びNH-CHR2-COがGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Ser、Thr、Asp、Gln、Tyr、Cys、Lys、Arg、His、Asn、Glu、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Nva、若しくはNleのL又はD-アミノ酸残基となるような基、好ましくは、互いに独立してAla、Val、Gly、及びLeuのL又はD-アミノ酸残基から選択されるような基である。
【0119】
一実施形態では、式(IV)のR3は、NH-CHR3-COがGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Ser、Thr、Asp、Gln、Tyr、Cys、Lys、Arg、His、Asn、Glu、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Nva、若しくはNleのL若しくはD-アミノ酸残基となるような基であるか、又はR3は(CH3)3SiCH2であり、好ましくは、互いに独立してTyr、Phe、Val、Ala、及びLeuのL又はD-アミノ酸残基から選択される。
【0120】
一実施形態では、式(IV)のR1は、NH-CHR1-COがAla、Val、Gly、Arg、Leu、Phe、若しくはThrのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。
【0121】
一実施形態では、式(IV)のR2は、NH-CHR2-COがAla、Cys、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Nva、若しくはNleのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。
【0122】
一実施形態では、式(IV)のR3は、NH-CHR3-COがTyr、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Phe、Val、Ala、Met、Nva、Leu、Ile、若しくはNleのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。
【0123】
本明細書に記載されるペプチドアルデヒドは対応するアミノ酸から調製することができ、それによって前記アミノ酸のC末端はカルボキシル基からアルデヒド基に変換される。そのようなアルデヒドは、例えばUS5,015,627、EP185930、EP583534、及びDE3200812に記載されているような公知のプロセスによって調製することができる。
【0124】
プロテアーゼ阻害薬はまた、ペプチドアルデヒドのハイドロサルファイト付加物でもあり得る。ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物は、式(V)X-B1-NH-CHR-CHOH-SO3M
[式中、
a)MはH(水素)又はアルカリ金属であり、
b)Rは、NH-CHR-COがL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、
c)B1は1つのアミノ酸残基であり、
d)Xは、場合により本明細書に記載されるN末端保護基を含む1つ以上のアミノ酸残基からなる]
であり得る。
【0125】
好ましくは、式(V)のRは、NH-CHR-COがTyr、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Phe、Val、Met、Nva、Leu、Iie、若しくはNleのL又はD-アミノ酸残基となるような基である。
【0126】
好ましくは、式(V)のB1は、Ala、Cys、Gly、Pro、Ser、Thr、Val、Nva、又はNieの残基である。
【0127】
好ましくは、式(V)のXは、B2、B3-B2、Z-B2、又はZ-B3-B2(ここで、B2及びB3はそれぞれ1個のアミノ酸残基を表し、ZはN末端保護基である)である。
【0128】
好ましくは、式(V)のB2は、Val、Gly、Ala、Arg、Leu、Phe、又はThrの残基である。
【0129】
好ましくは、式(V)のB3は、Phe、Tyr、Trp、フェニルグリシン、Leu、Val、Nva、Nle、又はIleの残基である。
【0130】
最も好ましくは、プロテアーゼ阻害薬はペプチドアルデヒド、好ましくはZ-GAY-H又はZ-VAL-H、特に好ましくはZ-VAL-Hである。
【0131】
ペプチドアルデヒド又はペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物は、好ましくはN末端保護基を含む。N末端保護基は、ホルミル、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、トリフルオロアセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、メトキシスクシニル、芳香族及び脂肪族ウレタン保護基、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、アダマンチルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)、又はp-メトキシフェニル(PMP)、メトキシカルボニル(Moc);メトキシアセチル(Mac);メチルカルバメート、メチルアミノカルボニル/メチル尿素基、トリチル(Trt)、3,5-ジメトキシフェニルイソプロキシカルボニル(Ddz)、2-(4-ビフェニル)イソプロポキシカルボニル(Bpoc)、2-ニトロフェニルスルフェニル(Nps)、2-(4-ニトロフェニルスルホニル)エトキシカルボニル(Nsc)、1,1-ジオキソベンゾ[b]チオフェン-2-イルメチルオキシカルボニル(Bsmoc)、(1,1-ジオキソナフト[1,2-b]チオフェン-2-イル)メチルオキシカルボニル(α-Nsmoc)、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル(ivDde)、2,7-ジ-tert-ブチル-Fmoc(Fmoc*)、2-フルオロ-Fmoc(Fmoc(2F))、2-モノイソオクチル-Fmoc(mio-Fmoc)及び2,7-ジイソオクチル-Fmoc(dio-Fmoc)、テトラクロロフタロイル(TCP)、2-フェニル(メチル)スルホニオ)エチルオキシカルボニルテトラフルオロボレート(Pms)、エタンスルホニルエトキシカルボニル(Esc)、2-(4-スルホフェニルスルホニル)エトキシカルボニル(Sps)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、o-ニトロベンゼンスルホニル(oNBS)、2,4-ジニトロベンゼンスルホニル(dNBS)、ベンゾチアゾール-2-スルホニル(Bts)、2,2,2-トリクロロエチルオキシカルボニル(Troc)、ジチアスクシノイル(Dts)、p-ニトロベンジルオキシカルボニル(pNZ)、α-アジド酸、プロパルギルオキシカルボニル(Poc)、o-ニトロベンジルオキシカルボニル(oNZ)、4-ニトロベラトリルオキシカルボニル(NVOC)、2-(2-ニトロフェニル)プロピルオキシカルボニル(NPPOC)、2(3,4-メチレンジオキシ-6-ニトロフェニル)プロピルオキシカルボニル(MNPPOC)、9-(4-ブロモフェニル)-9-フルオレニル(BrPhF)、アジドメチルオキシカルボニル(Azoc)、ヘキサフルオロアセトン(HFA)、2-クロロベンジルオキシカルボニル(Cl-Z)、トリフルオロアセチル(tfa)、2-(メチルスルホニル)エトキシカルボニル(Msc)、テトラクロロフタロイル(TCP)、フェニルジスルファニルエチルオキシカルボニル(Phdec)、2-ピリジルジスルファニルエチルオキシカルボニル(Pydec)、又は4-メチルトリチル(Mtt)から選択され得る。
【0132】
上記式中のZがN末端保護基を含む1つ以上のアミノ酸残基である場合、N末端保護基は、好ましくは、小さい脂肪族基、例えば、ホルミル、アセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、メトキシカルボニル(Moc);メトキシアセチル(Mac);メチルカルバメート、又はメチルアミノカルボニル/メチル尿素基である。トリペプチドの場合、N末端保護基は、好ましくは、嵩高い芳香族基、例えば、ベンゾイル(Bz)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、p-メトキシベンジル(PMB)、又はp-メトキシフェニル(PMP)である。
【0133】
さらに好適なN末端保護基は、John Wiley & Sons, Incから2014年に出版されたPeter G. M. WutsによるGreene's Protective Groups in Organic Synthesis、第5版、及びIsidro-Llobetら、Amino Acid-Protecting Groups、Chem. Rev. 2009 109(6)、2455~2504に記載されている。
【0134】
好ましくは、N末端保護基は、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル(Ac)、メチルオキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、又はtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)から選択される。
【0135】
好ましいペプチドアルデヒドプロテアーゼ阻害薬は、以下からなる群から選択される。より詳細には、ペプチドアルデヒドは、Z-GGY-H、Z-GGF-H、Z-GGG-H、ZGAG-H、Z-RAY-H、Ac-GAY-H、Z-GAY-H、Z-GAL-H、Z-VAL-H、Z-VAL-CF3、Z-GAF-H、Z-GAF-CF3、Z-GAV-H、Z-GGY-H、Z-GGF-H、Z-RVY-H、Z-LVY-H、Ac-LGAY-H、Ac-FGAY-H、Ac-YGAY-H、Ac-FGAL-H、Ac-FGAF-H、Ac-FGVY-H、Ac-FGAM-H、AcWLVY-H、MeO-CO-VAL-H、MeNCO-VAL-H、MeO-CO-FGAL-H、MeO-CO-FGAF-H、MeSO2-FGAL-H、MeSO2VAL-H、PhCH2O(OH)(O)P-VAL-H、EtSO2-FGAL-H、PhCH2SO2VAL-H、PhCH2O(OH)(O)P-LAL-H、PhCH2O(OH)(O)P-FAL-H、及びMeO(OH)(O)P-LGAL-H(ここで、Meはメチルであり、Acはアセチルであり、Zは好ましくはベンジルオキシカルボニルである)であり得る。最も好ましいペプチドアルデヒドはZ-GAY-H又はZ-VAL-H、さらに好ましくはZ-VAL-Hである。
【0136】
ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物は、Cbz-RA-NHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、Ac-GANHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、Cbz-GA-NHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、Cbz-GANHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、Cbz-VA-NHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、Cbz-GA-NHCH(CH2Ph)C(OH)(SO3M)-H、Cbz-GA-NHCH(CH(CH3)2)C(OH)(SO3M)-H、Cbz-GGNHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、Cbz-GG-NHCH(CH2Ph)C(OH)(SO3M)-H、Cbz-RVNHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、Cbz-LV-NHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、Ac-LGANHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、Ac-FGA-NHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、Ac-YGA-NHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、Ac-FGA-NHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、AcFGA-NHCH(CH2Ph)C(OH)(SO3M)-H、Ac-FGV-NHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、Ac-FGANHCH(CH2CH2SCH3)(SO3M)-H、Ac-WLV-NHCH(CH2C5H4OH)C(OH)(SO3M)-H、MeO-CO-VANHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、MeNCO-VA-NHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、MeO-CO-FGA-NHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、MeO-CO-FGA-NHCH(CH2Ph)-C(OH)(SO3M)-H、MeSOrFGA-NHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、MeSOrVANHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、PhCH2O(OH)(O)P-VA-NHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、EtSOrFGA-NHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、PhCH2SOrVANHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、PhCH2O(OH)(O)P-LA-NHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、PhCH2O(OH)(O)P-FA-NHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、MeO(OH)(O)P-LGA-NHCH(CH2CH(CH3)2))C(OH)(SO3M)-H、及びF-尿素-RVNHCH(CH2C6H4OH)C(OH)(SO3M)-H(ここで、M=負電荷、H、Na、若しくはK、又は別の対イオン)からなる群から選択され得る。最も好ましいペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物はZ-GAY-H又はZ-VAL-Hのハイドロサルファイト付加物である。
【0137】
第二の酵素
本発明の組成物は、上に記載したプロテアーゼと異なる少なくとも1種の第二の酵素をさらに含む。好ましくは、少なくとも1種の第二の酵素は洗剤用酵素である。一実施形態では、第二の酵素は、オキシドレダクターゼ(EC 1)、トランスフェラーゼ(EC 2)、ヒドロラーゼ(EC 3)、リアーゼ(EC 4)、イソメラーゼ(EC 5)、又はリガーゼ(EC 6)(1993~1999年に出版された補遺を含むEnzyme Nomenclature, Recommendations (1992) of the Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biologyに従ったEC番号付け)として分類される。
【0138】
好ましい実施形態では、第二の酵素はヒドロラーゼ(EC 3)であり、一実施形態ではグリコシダーゼ(EC 3.2)又はペプチダーゼ(EC 3.4)である。一実施形態では、酵素は、アミラーゼ(特にアルファ-アミラーゼ(EC 3.2.1.1))、セルラーゼ(EC 3.2.1.4)、ラクターゼ(EC 3.2.1.108)、マンナナーゼ(EC 3.2.1.25)、リパーゼ(EC 3.1.1.3)、フィターゼ(EC 3.1.3.8)、ヌクレアーゼ(EC 3.1.11~EC 3.1.31)、及びプロテアーゼからなる群から選択される。より好ましい実施形態では、第二の酵素は、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、アミノペプチダーゼ、アミラーゼ、アスパラギナーゼ、カルボヒドラーゼ、カルボキシペプチダーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ、キチナーゼ、クチナーゼ、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、エステラーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、ベータ-グルコシダーゼ、ヒアルロン酸合成酵素、インベルターゼ、ラッカーゼ、リパーゼ、マンノシダーゼ、ムタナーゼ、オキシダーゼ、ペクチン分解酵素、ペルオキシダーゼ、フィターゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、プロテアーゼ、リボヌクレアーゼ、トランスグルタミナーゼ、ディスパーシン(dispersin)、及び/又はキシラナーゼからなる群から選択される。特に、第二の酵素は、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、ディスパーシン、及びDNaseからなる群から選択される。好ましくは、第二の酵素は、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、及びリパーゼ、好ましくはリパーゼからなる群から選択される。
【0139】
リパーゼ
少なくとも1種の酵素はリパーゼの群から選択され得る。「リパーゼ」、「脂肪分解酵素」、「脂質エステラーゼ」は全て、ECクラス3.1.1(「カルボン酸エステルヒドロラーゼ」)の酵素を指す。リパーゼとは、リパーゼ活性(若しくは脂肪分解活性;トリアシルグリセロールリパーゼ、EC 3.1.1.3)、クチナーゼ活性(EC 3.1.1.74;クチナーゼ活性を有する酵素は、本明細書ではクチナーゼと称され得る)、ステロールエステラーゼ活性(EC 3.1.1.13)、及び/又はワックスエステルヒドロラーゼ活性(EC 3.1.1.50)を有する活性タンパク質を意味する。リパーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。
【0140】
脂肪分解活性を決定するための方法は、文献において周知である(例えば、Guptaら(2003)、Biotechnol. Appl. Biochem. 37、63~71ページを参照のこと)。例えば、リパーゼ活性は、基質パラ-ニトロフェニルパルミテート(pNP-パルミテート、C:16)におけるエステル結合加水分解によって測定することができ、黄色のpNPを放出し、405nmで検出可能である。
【0141】
「脂肪分解活性」とは、リパーゼによって発揮される触媒としての効果を意味し、脂肪分解単位(LU)で提供され得る。例えば、1LUは、以下の条件、すなわち、温度30℃、pH=9.0、基質は、5mmol/lトリス緩衝液中の13mmol/lCa2+及び20mmol/lNaClの存在下における3.3重量%のオリーブ油と3.3%アラビアガムとのエマルションであり得る、という条件下で、pHスタットにおいて1分当たりに1μmolの滴定可能な脂肪酸を生成するリパーゼの量に対応し得る。
【0142】
本発明の一態様では、好適なリパーゼ(成分(b))は以下:フミコラ属(Humicola、サーモマイセス属(Thermomyces)と同義)由来、例えばEP258068、EP305216、WO92/05249、及びWO2009/109500に記載されているH.ラヌギノーサ(H. lanuginosa)(T.ラヌギノーサス(T. lanuginosus))又はWO96/13580に記載されているH.インソレンス(H. insolens)由来のリパーゼ;WO92/05249に記載されているリゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)に由来するリパーゼ;シュードモナス属(Pseudomonas)(これらの一部は現在、バークホルデリア属(Burkholderia)に改名されている)の株由来、例えばP.アルカリゲネス(P. alcaligenes)又はP.シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)(EP218272、WO94/25578、WO95/30744、WO95/35381、WO96/00292)、P.セパシア(P. cepacia)(EP331376)、P.スタッツェリ(P. stutzeri)(GB1372034)、P.フルオレッセンス(P. fluorescens)、シュードモナス属の種株SD705(WO95/06720及びWO96/27002)、P.ウィスコンシネンシス(P. wisconsinensis)(WO96/12012)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)(WO95/14783)、P.グルマエ(P. glumae)(WO95/35381、WO96/00292)由来のリパーゼ;ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)(WO2011/150157)及びS.プリスチナエスピラリス(S. pristinaespiralis)(WO2012/137147)由来のリパーゼ、GDSL型ストレプトマイセス属(Streptomyces)リパーゼ(WO2010/065455);WO2011/084412に開示されたサーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)由来のリパーゼ;WO2011/084417に開示されたゲオバシラス・ステアロサーモフィルス(Geobacillus stearothermophilus)由来のリパーゼ;例えばWO00/60063に開示されたバシラス属リパーゼ、Dartoisら(1992)、Biochemica et Biophysica Acta、1131、253~360若しくはWO2011/084599に開示された枯草菌(B. subtilis)、B.ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)(JP S64-074992)、又はB.プミルス(B. pumilus)(WO91/16422)由来のリパーゼ;WO94/01541に開示されたカンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica)由来のリパーゼ;シュードモナス・メンドシナ(US5,389,536、WO88/09367)由来のクチナーゼ;マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)(WO2010/107560)由来のクチナーゼ;WO90/09446、WO00/34450、及びWO01/92502に開示されたフザリウム・ソラニ・ピシ(Fusarium solani pisi)由来のクチナーゼ;並びにWO00/34450及びWO01/92502に開示されたフミコラ・ラヌギノーサ由来のクチナーゼ、から選択される。
【0143】
そのような好適なリパーゼバリアントは、例えばWO95/22615、WO97/04079、WO97/07202、WO00/60063、WO2007/087508、EP407225、及びEP260105に開示された方法によって開発されているものである。
【0144】
好適なリパーゼには、脂肪分解活性を有する、上に記載したリパーゼのバリアントであるものも含まれる。一実施形態では、リパーゼバリアントには、上に開示した親酵素の全長ポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも40~100%の同一性を有するバリアントが含まれる。一実施形態では、脂肪分解活性を有するリパーゼバリアントは、上に開示した親酵素の全長ポリペプチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である。
【0145】
別の実施形態では、本発明は、それぞれのリパーゼの機能ドメインに関係しない保存的変異を含むリパーゼバリアントに関する。脂肪分解活性を有するこの実施形態のリパーゼバリアントは、親酵素の全長ポリペプチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%類似であり得る。
【0146】
一実施形態では、リパーゼバリアントは、親リパーゼと比較した場合に増大した脂肪分解活性を呈する場合、本発明における脂肪分解活性を有する。
【0147】
市販のリパーゼ酵素としては、これらに限定されないが、Lipolase(商標)、Lipex(商標)、Lipolex(商標)、及びLipoclean(商標)(Novozymes A/S)、Lumafast(元来はGenencor)、Preferenz L(DuPont)、並びにLipomax(Gist-Brocades/現在はDSM)の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0148】
一実施形態では、リパーゼは、真菌のトリアシルグリセロールリパーゼ(ECクラス3.1.1.3)から選択される。真菌のトリアシルグリセロールリパーゼは、サーモマイセス・ラヌギノーサ(Thermomyces lanuginosa)のリパーゼから選択され得る。一実施形態では、少なくとも1種のサーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼは、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269のトリアシルグリセロールリパーゼ及び脂肪分解活性を有するそのバリアントから選択される。
【0149】
サーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼは、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269の全長ポリペプチド配列と比較した場合、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一の脂肪分解活性を有するバリアントから選択されてもよい。
【0150】
サーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼは、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269の機能ドメインに関係しない保存的変異のみを含む、脂肪分解活性を有するバリアントから選択されてもよい。脂肪分解活性を有するこの実施形態のリパーゼバリアントは、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269の全長ポリペプチド配列と比較した場合、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%類似であり得る。
【0151】
サーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼは、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269と比較した場合、少なくとも以下のアミノ酸置換:T231R及びN233Rを含む、脂肪分解活性を有するバリアントから選択されてもよい。前記リパーゼバリアントは、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269と比較した場合、以下のアミノ酸交換:Q4V、V60S、A150G、L227G、P256Kのうちの1つ以上をさらに含み得る。
【0152】
サーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼは、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269のポリペプチド配列内に少なくともアミノ酸置換T231R、N233R、Q4V、V60S、A150G、L227G、P256Kを含む、脂肪分解活性を有するバリアントから選択されてもよく、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269の全長ポリペプチド配列と比較した場合、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%類似である。
【0153】
サーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼは、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269内にアミノ酸置換T231R及びN233Rを含む、脂肪分解活性を有するバリアントから選択されてもよく、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269の全長ポリペプチド配列と比較した場合、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%類似である。
【0154】
サーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼは、脂肪分解活性を有する、US5,869,438の配列番号2のアミノ酸1~269のバリアントであって、アミノ酸置換T231R及びN233Rを含有することを特徴とする、バリアントであってもよい。
【0155】
サーモマイセス・ラヌギノーサリパーゼは、WO2015/01009の配列番号1のアミノ酸1~269のポリペプチド配列内に少なくともアミノ酸置換N11K/A18K/G23K/K24A/V77I/D130A/V154I/V187T/T189Q、又はN11K/A18K/G23K/K24A/L75R/V77I/D130A/V154I/V187T/T189Qを含む、脂肪分解活性を有するバリアントから選択されてもよく、WO2015/01009の配列番号1のアミノ酸1~269の全長ポリペプチド配列と比較した場合、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%類似である。
【0156】
脂肪分解活性を有するこの実施形態のリパーゼバリアントは、親酵素の全長ポリペプチド配列と少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%類似であり得る。
【0157】
好ましくは、リパーゼは、配列番号6又は7に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。より好ましくは、リパーゼは、配列番号6又は7に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する。
【0158】
アミラーゼ
本発明における「アミラーゼ」(アルファ及び/又はベータ)としては、細菌又は菌類起源のものが挙げられる(それぞれEC 3.2.1.1及び3.2.1.2)。好ましくは、成分(b)は、アルファ-アミラーゼ(EC 3.2.1.1)の群から選択される少なくとも1種の酵素を含む。化学修飾されたか又はタンパク質操作された変異体が含まれる。
【0159】
本発明におけるアミラーゼは、多糖におけるグルコシド結合の(内部)加水分解に関与する「アミロース分解活性」又は「アミラーゼ活性」を有する。アルファ-アミラーゼ活性は、当業者に公知である、アルファ-アミラーゼ活性の測定のためのアッセイによって決定され得る。アルファ-アミラーゼ活性を測定するアッセイの例は、以下の通りである。
【0160】
アルファ-アミラーゼ活性は、ファデバス(Phadebas)錠剤を基質として用いる方法(ファデバスアミラーゼ試験、Magle Life Scienceによって供給)によって決定することができる。デンプンをアルファ-アミラーゼによって加水分解して、可溶性の青色断片を得る。結果として得た青色溶液の620nmで分光測定した吸光度はアルファ-アミラーゼ活性の関数である。測定した吸光度は、一定の条件下での当該アルファ-アミラーゼの比活性(純粋アルファ-アミラーゼタンパク質1mg当たりの活性)に正比例する。
【0161】
アルファ-アミラーゼ活性は、エチリデン-4-ニトロフェニル-アルファ-D-マルトヘプタオシド(EPS)を用いる方法によっても決定することができる。D-マルトヘプタオシドとは、エンドアミラーゼによって切断することができるブロックオリゴ糖である。切断後、基質を消化するキットに含まれるアルファ-グルコシダーゼは、黄色を有するために可視分光光度法によって405nmで測定することができる遊離PNP分子を遊離する。EPS基質及びアルファ-グルコシダーゼを含有するキットは、Roche Costum Biotechによって製造される(カタログ番号10880078103)。時間依存性吸収曲線の傾きは、一定の条件下での当該アルファ-アミラーゼの比活性(酵素1mg当たりの活性)に正比例する。
【0162】
アミロース分解活性は、酵素1グラム当たりの単位で提供され得る。例えば、1単位のアルファ-アミラーゼは、pH6.9、20℃において3分でデンプンから1.0mgのマルトースを遊離し得る。
【0163】
本発明の一態様では、少なくとも1種のアミラーゼは以下から選択される:
・ WO95/10603に記載されている配列番号2を有する、バシラス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)由来のアミラーゼ。以下の位置:15、23、105、106、124、128、133、154、156、178、179、181、188、190、197、201、202、207、208、209、211、243、264、304、305、391、408、及び444に1つ以上の置換を含み、アミロース分解活性を有する好適なバリアントは、WO95/10603に記載されている。バリアントは、WO94/02597、WO94/018314、WO97/043424に、またWO99/019467の配列番号4に記載されている。
・ WO02/10355に開示された配列番号6を有する、B.ステアロサーモフィルス由来のアミラーゼ、又は場合により野生型配列に対するC末端切断を有するアミラーゼ。配列番号6の好適なバリアントとしては、181及び/若しくは182位に欠失、並びに/又は193位に置換を含むものが挙げられる。
・ WO99/19467に開示された配列番号6を有する、バシラス属の種707由来のアミラーゼ。配列番号6の好ましいバリアントは、以下の位置:R181、G182、H183、G184、N195、I206、E212、E216、及びK269のうちの1つ以上に置換、欠失、又は挿入を有するものである。
・ WO96/23872に記載されている配列番号2又は配列番号7を有する、本明細書ではSP-722としても記載されるバシラス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)由来のアミラーゼ。好ましいバリアントは、WO97/3296、WO99/194671、及びWO2013/001078に記載されている。
・ WO00/22103に開示された配列番号4を有する、バシラス属の種DSM 12649由来のアミラーゼ。
・ WO2009/061380に開示された配列番号2を有する、バシラス株TS-23由来のアミラーゼ。
・ WO2013/184577に開示された配列番号1を有する、サイトファーガ(Cytophaga)属の種由来のアミラーゼ。
・ WO2010/104675に開示された配列番号1を有する、バシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)DSM 90由来のアミラーゼ。
・ WO00/60060に記載されている配列番号2のアミノ酸1~485を含む、バシラス属の種由来のアミラーゼ。
・ 好ましくはWO2016/092009に記載されている配列番号3のアミラーゼから選択される、バシラス・アミロリクエファシエンス由来のアミラーゼ又はそのバリアント。
・ WO2006/002643に記載されている配列番号12を有するアミラーゼ、又は前記配列番号12内に置換Y295F及びM202LITVを含むアミラーゼバリアント。
・ WO2011/098531に記載されている配列番号6を有するアミラーゼ、又は前記配列番号6内の193[G,A,S,T若しくはM]、195[F,W,Y,L,I若しくはV]、197[F,W,Y,L,I若しくはV]、198[Q若しくはN]、200[F,W,Y,L,I若しくはV]、203[F,W,Y,L,I若しくはV]、206[F,W,Y,N,L,I,V,H,Q,D若しくはE]、210[F,W,Y,L,I若しくはV]、212[F,W,Y,L,I若しくはV]、213[G,A,S,T若しくはM]及び243[F,W,Y,L,I若しくはV]からなる群から選択される1つ以上の位置に置換を含むアミラーゼバリアント。
・ WO2013/001078に記載されている配列番号1を有するアミラーゼ、又は前記配列番号1内の位置G304、W140、W189、D134、E260、F262、W284、W347、W439、W469、G476、及びG477に対応する2つ以上(いくつか)の位置に変更を含むアミラーゼバリアント。
・ WO2013/001087に記載されている配列番号2を有するアミラーゼ、又は前記配列番号2内の181+182、若しくは182+183、若しくは183+184位の欠失を含み、場合により、前記配列番号2内のW140、W159、W167、Q169、W189、E194、N260、F262、W284、F289、G304、G305、R320、W347、W439、W469、G476、及びG477に対応する位置のいずれかに1つ若しくは2つ以上の改変を含むアミラーゼバリアント。
・ 例えばWO2006/066594に記載されているような、上述のアミラーゼ由来のハイブリッドアルファ-アミラーゼであるアミラーゼ。
・ WO2014/183920の配列番号2と少なくとも90%の同一性を有するA及びBドメインと、WO2014/183920の配列番号6と少なくとも90%の同一性を有するCドメインとを有する、WO2014/183920に記載のハイブリッドアミラーゼであって、アミロース分解活性を有する、ハイブリッドアミラーゼ。好ましくは、ハイブリッドアルファ-アミラーゼは、WO2014/183920の配列番号23と少なくとも95%同一であり、アミロース分解活性を有する。
・ WO2014/183921に開示された配列番号2、配列番号15、配列番号20、配列番号23、配列番号29、配列番号26、配列番号32、及び配列番号39と少なくとも75%の同一性を有するA及びBドメインと、WO2014/183921の配列番号6と少なくとも90%の同一性を有するCドメインとを有する、WO2014/183921に記載のハイブリッドアミラーゼであって、アミロース分解活性を有する、ハイブリッドアミラーゼ。好ましくは、ハイブリッドアルファ-アミラーゼは、WO2014/183921に開示された配列番号30と少なくとも95%同一であり、アミロース分解活性を有する。
【0164】
好適なアミラーゼには、アミロース分解活性を有する、上に記載したアミラーゼのバリアントであるものも含まれる。一実施形態では、アミラーゼバリアントには、上に開示した親酵素の全長ポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも40~100%の同一性を有するバリアントが含まれる。一実施形態では、アミロース分解活性を有するアミラーゼバリアントは、上に開示した親酵素の全長ポリペプチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である。
【0165】
別の実施形態では、本発明は、それぞれのアミラーゼの機能ドメインに関係しない保存的変異を含むアミラーゼバリアントに関する。アミロース分解活性を有するこの実施形態のアミラーゼバリアントは、親酵素の全長ポリペプチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%類似であり得る。
【0166】
一実施形態では、アミラーゼバリアントは、親アミラーゼと比較した場合に増大したアミロース分解活性を呈する場合、本発明におけるアミロース分解活性を有する。
【0167】
一実施形態では、アミラーゼバリアントは、それぞれの親アミラーゼのアミロース分解活性の少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%を呈する場合、本発明におけるアミロース分解活性を有する。
【0168】
一実施形態では、少なくとも1種のアミラーゼは、これらに限定されないが、Duramyl(商標)、Termamyl(商標)、Fungamyl(商標)、Stainzyme(商標)、Stainzyme Plus(商標)、Natalase(商標)、Liquozyme X及びBAN(商標)、Amplify(商標)、Amplify Prime(商標)(Novozymes A/S製)、並びにRapidase(商標)、Purastar(商標)、Powerase(商標)、Effectenz(商標)(M100、DuPont製)、Preferenz(商標)(S1000、S110、及びF1000、DuPont製)、PrimaGreen(商標)(ALL、DuPont製)、Optisize(商標)(DuPont)の商品名で販売されている製品を含む市販のアミラーゼから選択される。
【0169】
マンナナーゼ
本発明の組成物に含まれる少なくとも1種の酵素は、マンナン分解酵素の群から選択され得る。少なくとも1種のマンナン分解酵素は、β-マンノシダーゼ(EC 3.2.1.25)、エンド-1,4-β-マンノシダーゼ(EC 3.2.1.78)、及び1,4-β-マンノビオシダーゼ(EC 3.2.1.100)から選択され得る。好ましくは、少なくとも1種のマンナン分解酵素は、本明細書でエンド-β-1,4-D-マンナナーゼ、β-マンナナーゼ、又はマンナナーゼと称され得る酵素群であるエンド-1,4-β-マンノシダーゼ(EC 3.2.1.78)の群から選択される。
【0170】
マンナン分解活性又はマンナナーゼ活性を有するポリペプチドは、当技術分野で公知の標準試験手順に従って、例えば、0.2% AZCLガラクトマンナン(イナゴマメ)、すなわち、Megazyme社製のカタログ番号I-AZGMA(Megazymeのインターネットアドレス、http://www.megazyme.com/Purchase/index.html)として入手可能なエンド-1,4-ベータ-D-マンナナーゼのアッセイのための基質を含有する寒天プレートに開けた直径4mmの穴に試験溶液を適用することによって試験され得る。
【0171】
マンナン分解活性は、McCleary, B. V.(1978)、Carbohydrate Research、67(1)、213~221に記載されている、レマゾールブリリアントブルー(Remazol Brilliant Bue)で染めたイナゴマメガラクトマンナンを使用する液体アッセイにおいて試験され得る。マンナン分解活性を試験するための別の方法は、基質、例えばグアーガム又はローカストビーンガムと共にインキュベートした場合における還元糖の検出を使用する(参考として、Miller, G. L. Use of Dinitrosalicylic Acid Reagent for Determination of Reducing Sugars. Analytical Chemistry 1959; 31:426~428を参照のこと)。
【0172】
本発明の組成物に含まれる少なくとも1種のマンナナーゼは、ファミリー5又は26のアルカリマンナナーゼから選択され得る。「アルカリマンナナーゼ」という用語は、7~12、好ましくは7.5~10.5の範囲の所与のpHにおいて最大活性の少なくとも40%の酵素活性を有するマンナナーゼを包含することを意味する。
【0173】
本発明の組成物に含まれる少なくとも1種のマンナナーゼは、例えばJP-0304706[バシラス属の種由来のベータ-マンナナーゼ]、JP-63056289[熱安定性アルカリベータ-マンナナーゼ]、JP-63036774[アルカリpHでベータ-マンナナーゼ及びベータ-マンノシダーゼを産生するバシラス属の微生物FERM P-8856]、JP-08051975[好アルカリ性のバシラス属の種AM-001由来のアルカリベータ-マンナナーゼ]、WO97/11164[バシラス・アミロリクエファシエンス由来のマンナナーゼ]、WO91/18974[極度のpH及び温度で活性のマンナナーゼ]、WO97/11164[バシラス・アミロリクエファシエンス由来のマンナナーゼ]、WO2014/100018[バシラス・サークランス(Bacillus circulans)又はバシラス・レンタス株CMG1240からクローニングしたエンド-(3-マンナナーゼ1(Bleman1、US5,476,775を参照のこと)]に記載されている、バシラス属の生物を起源とするマンナナーゼから選択され得る。好適なマンナナーゼはWO99/064619]に記載されている。
【0174】
本発明の組成物に含まれる少なくとも1種のマンナナーゼは、例えばWO93/24622に開示された、トリコデルマ属(Trichoderma)の生物を起源とするマンナナーゼから選択されてもよい。
【0175】
好適なマンナナーゼには、マンナン分解活性を有する、上に記載したマンナナーゼのバリアントであるものも含まれる。一実施形態では、マンナナーゼバリアントには、上に開示した親酵素の全長ポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも40~100%の類似性及び/又は同一性を有するバリアントが含まれる。一実施形態では、マンナン分解活性を有するマンナナーゼバリアントは、上に開示した親酵素の全長ポリペプチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%類似及び/又は同一である。
【0176】
一実施形態では、マンナナーゼバリアントは、親マンナナーゼと比較した場合に増加したマンナン分解活性を示す場合、本発明におけるマンナン分解活性を有する。
【0177】
一実施形態では、マンナナーゼバリアントは、それぞれの親マンナナーゼのマンナン分解活性の少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%を示す場合、本発明におけるマンナン分解活性を有する。
【0178】
少なくとも1種のマンナナーゼは市販のマンナナーゼ、例えばMannaway(登録商標)(Novozymes A/S)から選択されてもよい。
【0179】
セルラーゼ
本発明の組成物に含まれる少なくとも1種の酵素は、セルラーゼの群から選択され得る。本発明におけるセルラーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。
【0180】
本発明の組成物に含まれる少なくとも1種のセルラーゼは、セロビオヒドロラーゼ(1,4-P-D-グルカンセロビオヒドロラーゼ、EC 3.2.1.91)、エンド-ss-1,4-グルカナーゼ(EC 3.2.1.4)、及びss-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21)から選択され得る。ECクラス3.2.1.4のエンドグルカナーゼは、エンドグルカナーゼ、エンド-1,4-ss-D-グルカン4-グルカノヒドロラーゼ、エンド-1,4-ベータ-グルカナーゼ、カルボキシメチルセルラーゼ、及びベータ-1,4-グルカナーゼと命名され得る。
【0181】
エンドグルカナーゼは、EC 3.2.1.4の20種を超えるエンドグルカナーゼを含むファミリー5の下でアミノ酸配列類似性によって分類され得る(Henrissat, B.、2011年10月26日にUniProtで入手)。W. M. Fogarty、Microbial Enzymes and Biotechnology、Applied Science Publishers、183~224ページ(1983)におけるT.-M. Enveri、「Microbial Cellulases」;Methods in Enzymology、(1988)第160巻、200~391ページ(Wood, W. A.及びKellogg, S. T.編);Beguin, P.、「Molecular Biology of Cellulose Degradation」、Annu. Rev. Microbiol.(1990)、第44巻、219~248ページ;Begun, P.及びAubert, J-P.、「The biological degradation of cellulose」、FEMS Microbiology Reviews 13(1994)25~58ページ;Henrissat, B.、「Cellulases and their interaction with cellulose」、Cellulose(1994)、第1巻、169~196ページもまた参照されたい。
【0182】
好ましくは、本発明の組成物に含まれる少なくとも1種のセルラーゼは、グリコシルヒドロラーゼファミリー7(GH7、pfam00840)から選択され、好ましくはエンドグルカナーゼ(EC 3.2.1.4)から選択される。
【0183】
本発明における「セルラーゼ」、「セルラーゼ酵素」、又は「セルロース分解酵素」とは、セルロースの加水分解に関与する酵素である。「セルラーゼ活性」又は「セルロース分解活性」の測定のためのアッセイは当業者に公知である。例えば、セルロース分解活性は、セルラーゼがカルボキシメチルセルロースを還元炭水化物に加水分解し、その還元能がHoffman, W. S.、J. Biol. Chem. 120、51(1937)に記載のフェリシアン化物反応によって比色分析により決定されるという事実によって決定することができる。
【0184】
セルロース分解活性は、酵素1グラム当たりの単位で提供され得る。例えば、1単位は、pH5.0、37℃(2時間のインキュベーション時間)において1時間でセルロースから1.0μモルのグルコースを遊離し得る。
【0185】
一実施形態では、本発明の組成物に含まれる少なくとも1種のセルラーゼは、セルロース結合ドメインを含むセルラーゼから選択される。一実施形態では、少なくとも1種のセルラーゼは触媒ドメインのみを含むセルラーゼから選択され、これは、セルラーゼがセルロース結合ドメインを欠くことを意味する。
【0186】
一実施形態では、本発明の組成物は、以下を起源とするECクラス3.2.1.4の少なくとも1種のエンドグルカナーゼを含む:
・ バシラス属、例えばバシラス属の種CBS 670.93及びCBS 669.93、
・ メラノカルプス属(Melanocarpus)、例えばWO97/14804に開示されたメラノカルプス ・ アルボマイセス(Melanocarpus albomyces)、
・ クロストリジウム属(Clostridium)、例えばクロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、
・ フミコラ属、例えばEP0495257、EP0531315、EP0531372、US4,435,307、US5,648,263、US5,776,757、WO89/09259、WO91/17244、WO94/07998(図1に示される配列「その43kdのヒトバリアント)、WO95/24471、WO96/11262、及びWO98/12307に開示されたフミコラ・インソレンス(DSM1800)、
・ フザリウム属(Fusarium)、例えばフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、例えばEP0495257、EP0531315、EP0531372、US5,648,263、US5,776,757、WO89/09259、WO91/17244、WO95/24471、及びWO96/11262に開示された株J79(DSM2672)、
・ チエラビア属(Thielavia)、例えばEP0531315、US5,648,263、US5,776,757、WO89/09259、WO91/17244、WO95/24471、WO96/11262、WO96/29397(配列番号9及びそのバリアント)、及びWO98/12307に開示されたチエラビア・テレストリス(Thielavia terrestris)又はミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)株CBS 11765、
・ トリコデルマ属、例えばEP1305432、EP1240525、WO92/06165、WO94/21801、WO94/26880、WO95/02043、WO95/24471、及びWO02/099091に開示されたトリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ・ロンギブラキアタム(Trichoderma longibrachiatum)、又はトリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、
・ アスペルギルス属(Aspergillus)、例えばWO93/17244に開示されたアスペルギルス ・ アクレアツス(Aspergillus aculeatus)、
・ エルウィニア属(Erwinia)、例えばEuropean Journal of Biochemistry、第162巻、311~316ページ(1987)にM. H. Boyerらによって記載されているエルウィニア・クリサンセミ(Erwinia chrysanthemi)、
・ アクレモニウム属(Acremonium)、例えばWO96/11262及びWO96/29397(配列番号5及びそのバリアント)に開示されたアクレモニウム属の種、アクレモニウム・ペルシシヌム(Acremonium persicinum)、アクレモニウム・アクレモニウム(Acremonium acremonium)、アクレモニウム・ブラキペニウム(Acremonium brachypenium)、アクレモニウム・ジクロモスポルム(Acremonium dichromosporum)、アクレモニウム・オブクラバツム(Acremonium obclavatum)、アクレモニウム・ピンケルトニアエ(Acremonium pinkertoniae)、アクレモニウム・ロゼオグリセウム(Acremonium roseogriseum)、アクレモニウム・インコロラツム(Acremonium incoloratum)、及びアクレモニウム・フラツム(Acremonium furatum)、
・ セルビブリオ属(Cellvibrio)、例えばWO98/08940に開示されたセルビブリオ・ミクスタス(Cellvibrio mixtus)DSM 11683、セルビブリオ・ミクスタスDSM 11684、セルビブリオ・ミクスタスDSM 11685、セルビブリオ・ミクスタスACM 2601、セルビブリオ・ミクスタスDSM 1523、及びセルビブリオ・ギルバス(Cellvibrio gilvus)DSM 11686、
・ セファロスポリウム属(Cephalosporium)、例えばWO96/11262に開示されたセファロスポリウム属の種RYM-202。
【0187】
好適なセルラーゼには、セルロース分解活性を有する、上に記載したセルラーゼのバリアントであるものも含まれる。一実施形態では、セルラーゼバリアントには、上に開示した親酵素の全長ポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも40~100%の同一性を有するバリアントが含まれる。一実施形態では、セルロース分解活性を有するセルラーゼバリアントは、上に開示した親酵素の全長ポリペプチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%類似及び/又は同一である。
【0188】
一実施形態では、本発明の組成物は、エンドグルカナーゼ、セロビオヒドロラーゼ、及びベータ-グルコシダーゼ活性を有するフミコラ・インソレンスDSM 1800セルラーゼ複合体を含む。
【0189】
一実施形態では、本発明の組成物は、WO91/17244の図14A~Eに開示されたアミノ酸配列、好ましくは前記配列のアミノ酸20~434を有する、より好ましくは182、223、及び231から選択される位置に1つ以上の置換、最も好ましくはP182S、A223V、及びA231Vから選択される1つ以上の置換を有する少なくとも1種のフミコラ・インソレンスDSM 1800エンドグルカナーゼ(EC 3.2.1.4)を含む。一実施形態では、エンドグルカナーゼは、WO95/02675の配列番号2のポリペプチドと少なくとも80%類似及び/又は同一である。
【0190】
一実施形態では、本発明の組成物は、WO2004/053039の配列番号2の1位~773位のアミノ酸配列と少なくとも80%類似及び/若しくは同一のポリペプチド又はその触媒活性断片から選択される少なくとも1種のバシラス属の種のセルラーゼ(EC 3.2.1.4)を含む。
【0191】
一実施形態では、本発明の組成物は、WO2004/053039の配列番号4の1位~299位のアミノ酸配列と少なくとも80%類似及び/若しくは同一のポリペプチド又はその触媒活性断片を有する少なくとも1種のチエラビア・テレストリスセルラーゼ(EC 3.2.1.4)を含む。
【0192】
一実施形態では、セルラーゼバリアントは、親セルラーゼと比較した場合に増加したセルロース分解活性を示す場合、本発明におけるセルロース分解活性を有する。
【0193】
一実施形態では、セルラーゼバリアントは、それぞれの親セルラーゼのセルロース分解活性の少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%を示す場合、本発明におけるセルロース分解活性を有する。
【0194】
少なくとも1種のセルラーゼは、Renozyme(登録商標)、Celluzyme(登録商標)、Celluclean(登録商標)、Endolase(登録商標)、及びCarezyme(登録商標)(Novozymes A/S)、Clazinase(商標)及びPuradaxHA(商標)(Genencor Int. Inc.)、並びにKAC-500(B)(商標)(花王株式会社)から選択されてもよい。少なくとも1種のペルオキシダーゼはGuardzyme(商標)(Novozymes A/S)から選択されてもよい。
【0195】
DNAse
本発明の組成物に含まれる少なくとも1種の酵素は、DNA分解酵素の群から選択され得る。前記酵素は、通例、DNAにおけるホスホジエステル結合の加水分解による切断を触媒する。DNAseは、例えばE.C. 3.1.11、E.C. 3.1.12、E.C. 3.1.15、E.C. 3.1.16、E.C. 3.1.21、E.C 3.1.22、E.C 3.1.23、E.C 3.1.24、及びE.C. 3.1.25、並びにEC 3.1.21.Xに分類され、ここで、X=1、2、3、4、5、6、7、8、又は9である。
【0196】
DNAse活性は、供給業者のマニュアルに従って調製されるべきであるDNAse Test Agar with Methyl Green(BD、Franklin Lakes、NJ、USA)において決定することができる。簡潔に述べると、21gの寒天を500mlの水に溶解し、次いで121℃で15分間オートクレーブする。オートクレーブした寒天を水浴中で10~48℃にし、20mlの寒天をペトリ皿に注ぎ、室温で一晩インキュベーションすることによって固化させる。固化した寒天プレート上に5μlの酵素溶液を添加し、DNAse活性をスポットした酵素溶液を中心とする無色の部分として観察する。
【0197】
DNAse活性は、DNAseAlert(商標)キット(11-02-01-04、IDT lntergrated DNA Technologies)を供給業者のマニュアルに従って使用することによって決定してもよい。簡潔に述べると、95μlのDNase試料を5μlの基質とマイクロタイタープレート中で混合し、直ちに蛍光を、例えばBMG Labtech製のClariostarマイクロタイターリーダー(励起536nm、放射556nm)を使用して測定する。
【0198】
本発明の組成物に含まれる少なくとも1種のDNAseは、バシラス属、例えばバシラス・シービー(Bacillus cibi)、バシラス・ホリコシイ(Bacillus horikoshii)、バシラス・ホルネキアエ(Bacillus horneckiae)、バシラス・イドリエンシス(Bacillus idriensis)、バシラス・アルギコーラ(Bacillus algicola)、バシラス・ベトナメンシス(Bacillus vietnamensis)、バシラス・ヒュワジンポエンシス(Bacillus hwajinpoensis)、パエニバシラス・ムシランギノサス(Paenibacillus mucilanginosus)、バシラス・インディカス(Bacillus indicus)、バシラス・ルシフェレンシス(Bacillus luciferensis)、バシラス・マリスフラビ(Bacillus marisflavi)を起源とするDNAse及びそのバリアントから選択され得る。一実施形態では、本発明の組成物に含まれる少なくとも1種のDNAseは、WO2019/081724の配列番号1と80%同一のポリペプチドから選択される。前記ポリペプチドは、WO2019/081724及びWO2019/081721に全て開示されている、T1、G4、S7、K8、S9、S13、N16、T22、S25、S27、D32、L33、S39、G41、S42、D45、Q48、S57、S59、N61、T65、S66、V76、F78、P91、S101、S106、Q109、A112、S116、T127、S130、T138、Q140、S144、A147、C148、W154、T157、Y159、G162、S167、Q174、G175、L177、S179、及びC180から選択される位置に1つ以上の置換を含み得る。
【0199】
本発明の組成物は、上に開示した対応する親酵素の全長ポリペプチド配列と比較した場合に少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%類似及び/又は同一の、DNA分解活性を有するDNAseバリアントを含み得る。
【0200】
本発明においては、本発明の組成物は少なくとも2種のDNAseの組合せを含み得る。
【0201】
他の酵素
アシルトランスフェラーゼ/ペルヒドロラーゼ
少なくとも1種の酵素は、アシルトランスフェラーゼ(E.C 2.3.1)又はペルヒドロラーゼから選択され得る。ペルヒドロラーゼは、過酸素源(例えば過酸化水素)の存在下でカルボン酸エステル(アシル)基質から過酸の生成をもたらす過加水分解(perhydrolysis)反応を触媒する。多くの酵素は低レベルでこの反応を行うが、ペルヒドロラーゼは、多くの場合1を超える高い過加水分解:加水分解比を呈する。好適なペルヒドロラーゼは、植物、細菌、又は真菌起源のものであり得る。化学修飾されたか又はタンパク質操作された変異体が含まれる。
【0202】
有用なペルヒドロラーゼの例としては、カンジダ・アンタークティカリパーゼAと相同性を有するアシルトランスフェラーゼ(WO2010/111143)及び天然に存在するマイコバクテリウム属(Mycobacterium)ペルヒドロラーゼ酵素、又はそれらのバリアント、例えばWO2005/056782、WO2008/063400、US2008145353、及びUS2007167344に記載されているマイコバクテリウム・スメグマティス(Mycobacterium smegmatis)のバリアント;CE7ファミリー由来のペルヒドロラーゼ(WO2009/67279)、及びM.スメグマティスペルヒドロラーゼのバリアント、特にS54Vバリアント(WO2010/100028)が挙げられる。
【0203】
ペルオキシダーゼ
洗剤製剤における漂白目的で過酸化水素を供給するために、オキシドレダクターゼ酵素が用いられ得る。この触媒反応は、有機基質、グルコースオキシダーゼにおいては例えばグルコースから電子受容体としての酸素への電子の移動であり、所望の過酸化水素の形成を伴う。
【0204】
「ペルオキシダーゼ活性」は、Childsら1975(Biochemical J、145、93~103ページ)に記載されているABTS法によって測定することができ、商業的なキットが様々な供給業者から入手可能である。他の測定法は当業者に公知である。
【0205】
本明細書における過酸化水素生成オキシドレダクターゼは、酸素を電子受容体として使用して過酸化水素を生成する酵素に関する。この点において特に好ましいオキシドレダクターゼとしては、ECクラスE.C. 1.1.3(電子供与体としてCH-OH)、E.C. 1.2.3(電子供与体としてアルデヒド又はオキソ基)、E.C. 1.4.3(供与体としてCH-NH2)、E.C. 1.7.3(供与体としてN含有基)、及びE.C. 1.8.3(供与体としてS含有基)が挙げられ、ここでECクラスEC 1.1.3の酵素が考慮される。
【0206】
好ましい実施形態では、過酸化水素生成オキシドレダクターゼは、糖が電子供与体として使用されるオキシドレダクターゼである。過酸化水素生成及び糖酸化オキシドレダクターゼは、好ましくは、グルコースオキシダーゼ(EC 1.1.3.4)、ヘキソースオキシダーゼ(EC 1.1.3.5)、ガラクトースオキシダーゼ(EC 1.1.3.9)、及びピラノースオキシダーゼ(EC 1.1.3.10)から選択される。本発明においては、グルコースオキシダーゼ(EC 1.1.3.4)が特に好ましい。一実施形態では、酵素と相互作用して、オキシドレダクターゼの活性を増強する(エンハンサー)か、又は酸化酵素と酸化還元電位が大きく異なる染みとの間の電子流を促進する(メディエーター)芳香族化合物が添加される。
【0207】
少なくとも1種の酵素は、オキシダーゼ、例えばアミノ酸オキシダーゼ及びポリオールオキシダーゼ(例えばWO2008/051491)から選択され得る。オキシダーゼ及びその対応する基質は、過酸化水素発生酵素系、したがって過酸化水素源として使用され得る。
【0208】
いくつかの酵素、例えばペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、及びペルヒドロラーゼは過酸化水素源を必要とする。EC 1.1.3._、EC 1.2.3._、EC 1.4.3._、及びEC 1.5.3._、又は(国際生化学連合の下での)同様のクラスを研究することによって、そのようなオキシダーゼと基質との組合せの他の例は当業者に容易に認識される。
【0209】
一実施形態では、少なくとも1種のオキシドレダクターゼは、過酸化物を電子受容体として使用する酵素(ECクラス1.11又は1.11.1)、特に、一般にペルオキシダーゼという用語の下に分類することもできるカタラーゼ(EC 1.11.1.6)、ペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.7)、グルタチオンペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.9)、塩化物ペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.10)、マンガンペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.13)、及び/又はリグニンペルオキシダーゼ(EC 1.11.1.14)から選択される。有用なペルオキシダーゼの例としては、ササクレヒトヨタケ属(Coprinus)、例えばWO93/24618、WO95/10602、WO98/10060、及びWO98/15257に記載されているウシグソヒトヨタケ(C. cinereus)由来のペルオキシダーゼ、及びそのバリアントが挙げられる。
【0210】
本発明における使用のためのペルオキシダーゼとしては、ハロペルオキシダーゼ酵素、例えばクロロペルオキシダーゼ、ブロモペルオキシダーゼ、及びクロロペルオキシダーゼ活性又はブロモペルオキシダーゼ活性を呈する化合物も挙げられる。ハロペルオキシダーゼは、ハロゲン化物イオンに対する特異性に従って分類される。クロロペルオキシダーゼ(E.C. 1.11.1.10)は、塩化物イオンからの次亜塩素酸塩の形成を触媒する。
【0211】
ある実施形態では、ハロペルオキシダーゼはクロロペルオキシダーゼである。一実施形態では、ハロペルオキシダーゼはバナジウムハロペルオキシダーゼ、すなわちバナジン酸塩含有ハロペルオキシダーゼである。本発明の一実施形態では、バナジン酸塩含有ハロペルオキシダーゼは塩化物イオン源と組み合わされる。
【0212】
ハロペルオキシダーゼは、多くの異なる真菌、特に暗色系不完全菌類(dematiaceous hyphomycetes)の真菌群、例えばカルダリオマイセス属(Caldariomyces)、例えば、C.フマゴ(C. fumago)、アルテルナリア属(Alternaria)、カーブラリア属(Curvularia)、例えば、C.ベルクロサ(C. verruculosa)及びC.イナエクアリス(C. inaequalis)、ドレシュレラ属(Drechslera)、ウロクラジウム属(Ulocladium)、並びにボトリチス属(Botrytis)から単離されている。ハロペルオキシダーゼは、細菌、例えばシュードモナス属、例えばP.ピロシニア(P. pyrrocinia)、及びストレプトマイセス属、例えばS.アウレオファシエンス(S. aureofaciens)からも単離されている。
【0213】
一実施形態では、ハロペルオキシダーゼは、カーブラリア属の種、特にカーブラリア・ベルクロサ又はカーブラリア・イナエクアリス、例えばWO95/27046に記載されているC.イナエクアリスCBS 102.42;又はWO97/04102に記載されているC.ベルクロサCBS 147.63若しくはC.ベルクロサCBS 444.70;或いはWO2001/79459に記載されているドレシュレラ・ハルトレビイ(Drechslera hartlebii)、WO2001/79458に記載されているデンドリフィエラ・サリナ(Dendryphiella salina)、WO2001/79461に記載されているファエオトリココニス・クロタラリエ(Phaeotrichoconis crotalarie)、或いはWO2001/79460に記載されているゲニクロスポリウム属(Geniculosporium)の種由来である。
【0214】
市販のペルオキシダーゼとしては、Guardzyme(商標)(Novozymes A/S)、PrimaGreen(商標)Oxy(DuPont)が挙げられる。
【0215】
ラッカーゼ
少なくとも1種の酵素はラッカーゼから選択され得る。「ラッカーゼ活性」という用語は、本明細書では、酵素分類EC 1.10.3.2に包含されるもの、又は分子酸素を使用して基質の酸化を触媒する類似した活性、例えばカテコールオキシダーゼ活性(EC 1.10.3.1)、o-アミノフェノールオキシダーゼ活性(EC 1.10.3.4)、若しくはビリルビンオキシダーゼ活性(EC 1.3.3.5)として定義される。
【0216】
「ラッカーゼ活性」は、好気性条件下でのシリンガルダジンの酸化によって決定される。生成される青紫色は530nmで測定される。分析条件は、19μMシリンガルダジン、23mMトリス/マレイン酸緩衝液、pH7.5、30℃、及び1分の反応時間である。
【0217】
好ましいラッカーゼ酵素は微生物起源の酵素である。この酵素は、植物、細菌、又は菌類(糸状菌及び酵母を含む;例えばポリポルス・ラジアータ(Polyporus radiata)(WO92/01046)、アラゲカワラタケ(Coriolus hirsutus)(JP2238885)、ウシグソヒトヨタケ(Coprinopsis cinerea)(WO97/08325)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(WO95/33836))に由来し得る。
【0218】
一実施形態では、ラッカーゼは、WO2009/127702の配列番号2、4、6、及び8に記載されているもの、並びにそれらのバリアントから選択される。
【0219】
少なくとも1種のラッカーゼは、Novozymes製の市販のラッカーゼDenilite(登録商標)1及び2から選択されてもよい。
【0220】
リアーゼ
一実施形態では、少なくとも1種の酵素はリアーゼから選択される。「リアーゼ」は、例えばUS6,124,127、WO99/027083、WO99/027084、WO2002/006442、WO2002/092741、WO2003/095638に記載されている、バシラス属、特にB.リケニフォルミス若しくはB.アガラドハエレンス(B. agaradhaerens)に由来するペクチン酸リアーゼ、又はこれらのいずれかに由来するバリアントであり得る。
【0221】
市販のペクチン酸リアーゼは、Xpect(商標)、Pectawash(商標)、及びPectaway(商標)(Novozymes A/S);PrimaGreen(商標)、EcoScour(DuPont)である。
【0222】
その他
一実施形態では、少なくとも1種の酵素は、ペクチナーゼ(EC 3.2.1.15グリコシダーゼ)、及び/又はアラビナーゼ(EC 3.2.1.99)、及び/又はガラクタナーゼ(EC 3.2.1.89及びEC 3.2.1.181)、及び/又はキシラナーゼ(EC 3.2.1.8、EC 3.2.1.32、EC 3.2.1.136、及びEC 3.2.1.156)の群から選択される。
【0223】
一実施形態では、少なくとも1種の酵素はディスパーシン、好ましくはWO2017/186943に開示された配列番号10と少なくとも80%同一の少なくとも1種のディスパーシンである。
【0224】
組成物
上で論じられたように、本発明は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物に関する。
【0225】
組成物は液体又は固体形態で提供され得る。
【0226】
プロテアーゼ阻害薬と酵素(例えばサブチリシン)とのモル比は少なくとも1:1又は1.5:1であり、モル比は1000:1未満、より好ましくは500:1未満、より一層好ましくは100:1~2:1又は20:1~2:1であり、最も好ましくは、モル比は10:1~2:1である。
【0227】
組成物は、さらなる酵素阻害薬又は安定剤を含み得る。そのような酵素阻害薬又は安定剤の例は、ポリオール(例えば、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、グリセロール、及び1,2-プロパンジオール)、塩(例えば、CaCl2、MgCl2、NaCl)、ギ酸、ギ酸塩(例えばギ酸ナトリウム)、ホウ酸、及びボロン酸である。ボロン酸の例は、アルキルボロン酸、例えばメチルボロン酸、ブチルボロン酸、及び2-シクロヘキシルエチルボロン酸;並びにアリールボロン酸、例えばフェニルボロン酸、4-メトキシフェニルボロン酸、3,5-ジクロロフェニルボロン酸、及び4-ホルミルフェニルボロン酸(4-FPBA)である。
【0228】
好ましくは、組成物は、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に少なくとも2つのさらなる負電荷を有しないプロテアーゼを含む組成物と比較した場合、プロテアーゼ(a)と異なる第二の酵素の増大した残存活性を含む。
【0229】
好ましくは、組成物は、組成物の37℃での30日間の保存後、プロテアーゼ(a)を有しない場合の第二の酵素の安定性と比較して、プロテアーゼ(a)の存在下において、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の第二の酵素の残存活性を含む。
【0230】
また、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む、
プロテアーゼ、及び
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物が本明細書に記載される。
【0231】
さらに、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101Dを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、及び
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物が本明細書に記載される。
【0232】
さらに、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101Dを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、及び
b)好ましくはZ-GAY-H又はZ-VAL-Hのペプチドアルデヒドであるプロテアーゼ阻害薬
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物が本明細書に記載される。
【0233】
さらに、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101Dを含むアミノ酸配列を含み、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iをさらに含む、
プロテアーゼ、及び
b)好ましくはZ-GAY-H又はZ-VAL-Hのペプチドアルデヒドであるプロテアーゼ阻害薬
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物が本明細書に記載される。
【0234】
洗剤組成物
一態様では、洗剤組成物に関する発明は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、又はそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素、及び好ましくは
d)界面活性剤
を含む洗剤製剤に関する。
【0235】
洗剤組成物は、例えば洗濯用洗剤組成物又は食器洗浄用洗剤組成物、好ましくは自動食器洗浄用洗剤(ADW)であり得る。
【0236】
液体洗剤組成物は固体(又は気体)ではない物理的形態である。これは、注入可能な液体、注入可能なゲル、又は注入不可能なゲルであり得る。これは、等方性であっても構造化されていてもよいが、好ましくは等方性である。これは、全自動洗濯機での洗浄又は手での洗浄に有用な製剤を含む。洗剤組成物は少なくとも1種の界面活性剤を含有する。洗剤組成物はビルダーも含み得る。
【0237】
微粒子洗剤組成物は顆粒若しくは粉末、又は錠剤、ブリケットに圧縮される粉末/顆粒であり得る。洗剤組成物は、錠剤、棒、又は多区画パウチを含むパウチの形態であり得る。洗剤組成物は、粉末、例えば自由流動性粉末、例えば凝集体、噴霧乾燥粉末、カプセル、押出成形体、ニードル、ヌードル、フレーク、又はそれらの任意の組合せの形態であり得る。
【0238】
パウチは、例えば水との接触前にパウチから組成物を放出させない、組成物を保持するのに好適な任意の形態、形状、及び材料のものであり得る。パウチは内容積を取り囲む水溶性フィルムから作製される。前記内容積はパウチの複数の区画に分割することができる。好ましいフィルムは高分子材料、好ましくはフィルム又はシートに形成されるポリマーである。好ましいポリマー、コポリマー、又はそれらの誘導体は、選択されたポリアクリレート、及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリンナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、最も好ましくはポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。好ましくは、フィルムにおけるポリマー、例えばPVAのレベルは少なくとも約60%である。好ましい平均分子量は典型的には約20,000~約150,000であり得る。フィルムはまた、加水分解性かつ水溶性のポリマーブレンド、例えばポリラクチド及びポリビニルアルコール(Gary、Ind.、USのChris Craft In. Prod.によって販売されている取引照会番号M8630において公知)と可塑剤、例えばグリセロール、エチレングリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びそれらの混合物とを含むブレンド組成物であり得る。パウチは、水溶性フィルムによって分離されている固体洗濯クリーニング組成物若しくは一部の成分、及び/又は液体クリーニング組成物若しくは一部の成分を含み得る。液体成分の区画は、固体を含有する区画と組成が異なっていてもよい(例えばUS2009/0011970を参照のこと)。
【0239】
一実施形態では、本発明における組成物は、洗剤組成物1リットル当たり0.001~100mgのタンパク質、例えば0.01~100mgのタンパク質、好ましくは0.005~50mgのタンパク質、より好ましくは0.01~25mgのタンパク質、より一層好ましくは0.05~10mgのタンパク質、最も好ましくは0.05~5mgのタンパク質、さらに最も好ましくは0.01~1mgのタンパク質に対応する量で洗剤組成物に添加され得る。
【0240】
液体又は顆粒洗剤等の組成物では、各酵素(例えばサブチリシン及び場合により第2の又はより多くの酵素)の量は、典型的には、純粋酵素タンパク質として計算して0.04~80μM(又はμmol/kg)、特に0.2~30μM、とりわけ0.4~20μM(概して1~2000mg/l又はmg/kg、特に5~750mg/l、とりわけ10~500mg/l)であり得る。酵素濃縮物等の組成物では、各酵素の量は、典型的には、純粋酵素タンパク質として計算して0.01~20mM、特に0.04~10mM、とりわけ0.1~5mM(概して0.3~500g/l、特に1~300g/l、とりわけ3~150g/l)であり得る。
【0241】
上に記載したように、洗剤組成物は、陰イオン性及び/又は陽イオン性及び/又は非イオン性及び/又は半極性及び/又は双性イオン性、又はそれらの混合物であり得る1種以上の界面活性剤を含み得る。一実施形態では、洗剤組成物は、1種以上の非イオン性界面活性剤と1種以上の陰イオン性界面活性剤との混合物を含む。
【0242】
界面活性剤は、典型的には、約0.1重量%~60重量%、例えば約1%~約40%、又は約3%~約20%、又は約3%~約10%で存在する。界面活性剤は、所望のクリーニング用途に基づいて選択され、当技術分野で公知の任意の従来の界面活性剤が挙げられる。当技術分野で公知の、洗剤における使用のための任意の界面活性剤が利用可能である。
【0243】
陰イオン性界面活性剤の例としては、硫酸塩及びスルホン酸塩、特に、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、LASの異性体、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(BABS)、フェニルアルカンスルホン酸塩、アルファ-オレフィンスルホン酸塩(AOS)、オレフィンスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、アルカン-2,3-ジイルビス(硫酸塩)、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩及びジスルホン酸塩、アルキル硫酸塩(AS)、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、脂肪アルコール硫酸塩(FAS)、第一級アルコール硫酸塩(PAS)、アルコールエーテル硫酸塩(AES又はAEOS又はFES、アルコールエトキシ硫酸塩又はラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)を含む脂肪族アルコールエーテル硫酸塩としても公知、石鹸又は脂肪酸;第二級アルカンスルホン酸塩(SAS)、パラフィンスルホン酸塩(PS)、エステルスルホン酸塩、スルホン化脂肪酸グリセロールエステル、メチルエステルスルホン酸塩(MES)を含むアルファ-スルホ脂肪酸メチルエステル(アルファ-SFMe又はSES)、アルキル-又はアルケニルコハク酸、ドデセニル/テトラデセニルコハク酸(DTSA)、アミノ酸の脂肪酸誘導体、スルホコハク酸のジエステル及びモノエステル、又は石鹸、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0244】
洗剤組成物に含まれる場合、洗剤組成物は、通例、約1重量%~約40重量%、例えば約5%~約30%、例えば約5%~約15%又は約20%~約25%の陰イオン性界面活性剤を含有し得る。
【0245】
非イオン性界面活性剤の例としては、アルコールエトキシレート(AE又はAEO)、アルコールプロポキシレート、プロポキシル化脂肪アルコール(PFA)、アルコキシル化脂肪酸アルキルエステル、例えばエトキシ化及び/若しくはプロポキシル化脂肪酸アルキルエステル、アルキルフェノールエトキシレート(APE)、ノニルフェノールエトキシレート(NPE)、アルキルポリグリコシド(APG)、アルコキシル化アミン、脂肪酸モノエタノールアミド(FAM)、脂肪酸ジエタノールアミド(FADA)、エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド(EFAM)、プロポキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(PFAM)、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミンのN-アシルN-アルキル誘導体(グルカミド、GA、又は脂肪酸グルカミド、FAGA)、並びにSPAN及びTWEENの商品名で入手可能な製品、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0246】
洗剤組成物に含まれる場合、洗剤組成物は、通例、約0.2重量%~約40重量%、例えば約0.5%~約30%、特に約1%~約20%、約3%~約10%、例えば約3%~約5%、又は約8%~約12%の非イオン性界面活性剤を含有し得る。
【0247】
洗剤組成物は、約0~65重量%のビルダー若しくはコビルダー、又はそれらの混合物を含有し得る。食器洗浄洗剤では、ビルダーのレベルは典型的には40~65%、特に50~65%である。ビルダー及び/又はコビルダーは、特に、Ca及びMgと水溶性錯体を形成するキレート剤であり得る。当技術分野で公知の、洗濯用洗剤における使用のための任意のビルダー及び/又はコビルダーが利用可能である。含まれ得るビルダーの例は、特に、ケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム(特にゼオライト)、炭酸塩、有機ジ及びポリカルボン酸の塩、並びにこれらの物質の混合物である。ビルダーの非限定的な例としては、ゼオライト、二リン酸塩(ピロリン酸塩)、三リン酸塩、例えば三リン酸ナトリウム(STP又はSTPP)、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸、アルキル-又はアルケニルコハク酸、炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、可溶性ケイ酸塩、例えばメタケイ酸ナトリウム、層状ケイ酸塩(例えば、Hoechst製のSKS-6)、エタノールアミン、例えば2-アミノエタン-1-オール(MEA)、イミノジエタノール(DEA)、及び2,2',2"-ニトリロトリエタノール(TEA)、及びカルボキシメチルイヌリン(CMI)、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0248】
ビルダーは、強力なビルダー、例えばメチルグリシン二酢酸(「MGDA」)又はN,N-ジカルボキシメチルグルタミン酸四ナトリウム塩(GLDA)であってもよく、中程度のビルダー、例えばトリポリリン酸ナトリウム(STPP)であってもよく、弱いビルダー、例えばクエン酸ナトリウムであってもよい。
【0249】
洗剤組成物に存在し得る有機ビルダーは、例えば、ナトリウム塩の形態で使用することができるポリカルボン酸であり、ポリカルボン酸は、2つ以上の酸機能を有するカルボン酸であると理解される。これらは、例えば、クエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、糖酸、アミノカルボン酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、並びにそれらの誘導体及び混合物である。好ましい塩は、ポリカルボン酸、例えばクエン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、糖酸、及びそれらの混合物の塩である。
【0250】
高分子ポリカルボン酸塩もまたビルダーとして好適である。これらは、例えば、ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸のアルカリ金属塩、例えば600~750,000g/molの相対モル質量を有するアルカリ金属塩である。
【0251】
好適なポリマーは、特に、好ましくは1000~15,000g/molのモル質量を有するポリアクリレートである。この群のうち、優れた溶解度のために、1000~10,000g/mol、特に好ましくは1000~5000g/molのモル質量を有する短鎖ポリアクリレートを優先することができる。
【0252】
また、コポリマーポリカルボン酸塩、特にアクリル酸とメタクリル酸との、及びアクリル酸又はメタクリル酸とマレイン酸とのコポリマーポリカルボン酸塩も好適である。溶解度を向上させるために、ポリマーは、アリルスルホン酸、例えばアリルオキシベンゼンスルホン酸及びメタリルスルホン酸をモノマーとして含有することもできる。
【0253】
しかしながら、可溶性ビルダー、例えばクエン酸、又は1000~5000g/molのモル質量を有するアクリルポリマー等が好ましく使用される。
【0254】
本出願の意味する範囲内において、高分子ポリカルボン酸塩に関して明記されるモル質量は、原則としてUV検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定した個々の酸形態の重量平均モル質量Mwである。測定は、検討中のポリマーに対する構造的親和性のために実際的なモル質量値を示す外部ポリアクリル酸標準に対して実行した。これらの数値は、ポリスチレンスルホン酸を標準として使用して得られたモル質量値と大きく異なる。ポリスチレンスルホン酸に対して測定されたモル質量は、一般に、本文に示されるモル質量よりも著しく高い。
【0255】
そのような有機ビルダー物質は、所望の場合、最大40重量%、特に最大25重量%、好ましくは1重量%~8重量%の量で含めることができる。言及した上限に近い量は、好ましくはペースト状又は液体、特に水を含有する洗剤組成物において使用される。
【0256】
本発明における組成物が液体形態で提供される場合、組成物は好ましくは水を主溶媒として含有する。非水性溶媒も使用可能であるか、又は追加的に使用可能である。好適な非水性溶媒には、特定の濃度範囲において水と混和性であることを条件として、一価若しくは多価アルコール、アルカノールアミン、又はグリコールエーテルが包含される。溶媒は、好ましくは、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、グリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、グリセロール、ジグリコール、プロピルジグリコール、ブチルジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジイソプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピレングリコールモノエチルエーテル、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、1-ブトキシエトキシ-2-プロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、プロピレングリコールt-ブチルエーテル、ジ-n-オクチルエーテル、及びこれらの溶媒の混合物から選択される。しかしながら、組成物は非水性溶媒としてポリオールを含有することが好ましい。ポリオールとしては、特に、グリセロール、1,2プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及び/又はジプロピレングリコールが包含され得る。組成物は、好ましくは、特にポリオールと一価アルコールとの混合物を含有する。非水性溶媒は、0.5重量%~15重量%だが好ましくは12重量%以下の量で使用することができる。
【0257】
他の成分を混合することでは自動的に確立されない所望のpHを設定するために、組成物は系適合性かつ環境適合性の酸、特に、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸、及び/又はアジピン酸を含有することができ、さらに無機酸、特に硫酸、又は塩基、特にアンモニウム若しくはアルカリ水酸化物も含有することができる。そのようなpH調節剤は、好ましくは20重量%を超えない、特に1.2重量%~17重量%の量で薬剤に含まれる。
【0258】
本発明における組成物は、例えば粘度調整の目的に適う1種以上の水溶性塩をさらに含有することができる。水溶性塩は無機及び/又は有機塩であり得る。使用することができる無機塩は、好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、及び/又は遷移金属の、無色で水溶性のハロゲン化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、及び/又は酸化物を含む群から選択され、アンモニウム塩もまた使用することができる。アルカリ金属のハロゲン化物及び硫酸塩が特に好ましく、したがって無機塩は、好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、及びそれらの混合物を含む群から選択される。使用することができる有機塩は、例えば、カルボン酸の、無色で水溶性のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルミニウム、及び/又は遷移金属塩である。塩は、好ましくは、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、乳酸塩、及びそれらの混合物を含む群から選択される。
【0259】
組成物は、増粘目的で1種以上の増粘剤を含有することができる。増粘剤は、好ましくは、キサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、寒天、ジェラン、ペクチン、イナゴマメ種子粉、及びそれらの混合物を含む群から選択される。これらの化合物は、無機塩の存在下においても効果的な増粘剤である。増粘剤はさらに、連続低界面活性剤相を安定化し、巨視的な相分離を防止する。
【0260】
本発明の洗剤組成物における酵素の安定性は、他の洗剤組成物と比較して向上する。好ましくは、組成物は、組成物の37℃での30日間の保存後、プロテアーゼ(a)を有しない場合の第二の酵素の安定性と比較して、プロテアーゼ(a)の存在下において、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の第二の酵素の残存活性を含む。
【0261】
同様に、本発明の洗剤組成物の洗浄性能も他の洗剤組成物と比較して向上し、特に酵素洗浄性能、特に脂肪分解洗浄性能が向上する。好ましくは、本発明の洗剤組成物は、洗浄性能、好ましくは酵素洗浄性能、より好ましくは脂肪分解洗浄性能が少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、又は少なくとも30%向上する。
【0262】
使用方法
本発明はまた、洗剤組成物に、洗剤組成物中のプロテアーゼではない酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を付与するための方法であって、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、又はそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素、及び
d)界面活性剤
を含む洗剤組成物の使用を含む、方法に関する。
【0263】
本発明はまた、洗剤組成物中のプロテアーゼではない酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を付与するための、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、又はそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素、及び場合により
d)界面活性剤
を含む組成物の使用に関する。
【0264】
さらに、本発明はまた、配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含むプロテアーゼであって、プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含むプロテアーゼを使用することによって、ペプチドアルデヒド又はペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物を含む洗剤組成物中のプロテアーゼではない第二の酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を洗剤組成物に付与するための方法に関する。
【0265】
好ましい実施形態
本発明は好ましくは、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物を対象とする。
【0266】
好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0267】
好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)プロテアーゼ阻害薬であり、ペプチドアルデヒド、好ましくは、式(IV)
【0268】
【化2】
[式中、
R1及びR2は、NH-CHR1-CO及び/又はNH-CHR2-COが非極性アミノ酸となるような基であり、
R3は、NH-CHR3-COが非極性アミノ酸となるような基であり、
Zは、好ましくはベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル(Ac)、メチルオキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、及びtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)から選択されるN末端保護基である]
の化合物から選択されることが好ましいトリペプチドアルデヒドである、プロテアーゼ阻害薬、
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素、好ましくはリパーゼ
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0269】
好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)プロテアーゼ阻害薬であり、式(IV)
【0270】
【化3】
[式中、R1及びR2は、NH-CHR1-CO及びNH-CHR2-COがGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Ser、Thr、Asp、Gln、Tyr、Cys、Lys、Arg、His、Asn、Glu、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Nva、又はNleのL又はD-アミノ酸残基となるような、好ましくは、互いに独立してAla、Val、Gly、及びLeuのL又はD-アミノ酸残基から選択されるような基であり、
R3は、NH-CHR3-COがGly、Ala、Val、Leu、Ile、Met、Pro、Phe、Trp、Ser、Thr、Asp、Gln、Tyr、Cys、Lys、Arg、His、Asn、Glu、m-チロシン、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、Nva、若しくはNleのL若しくはD-アミノ酸残基となるような基であるか、又はR3は(CH3)3SiCH2であり、好ましくは、互いに独立してTyr、Phe、Val、Ala、及びLeuのL又はD-アミノ酸残基から選択され、
Zは、好ましくはベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル(Ac)、メチルオキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、及びtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)から選択されるN末端保護基である]
の化合物から選択されることが好ましいトリペプチドアルデヒドである、プロテアーゼ阻害薬、
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素、好ましくはリパーゼ
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0271】
好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)プロテアーゼ阻害薬であり、式(IV)
【0272】
【化4】
[式中、R1及びR2は、NH-CHR1-CO及びNH-CHR2-COが互いに独立して選択されるAla、Val、Gly、又はLeuのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、
R3は、NH-CHR3-COがTyr、Phe、Val、Ala、又はLeuのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、
Zは、好ましくはベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル(Ac)、メチルオキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、及びtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)から選択されるN末端保護基である]
の化合物から選択されるトリペプチドアルデヒドである、プロテアーゼ阻害薬、
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素、好ましくはリパーゼ
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0273】
好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)プロテアーゼ阻害薬であり、式(IV)
【0274】
【化5】
[式中、R1及びR2は、NH-CHR1-CO及びNH-CHR2-COが互いに独立して選択されるAla、Val、又はGlyのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、好ましくは、R1はVal又はGlyでありR2はAlaであり、
R3は、NH-CHR3-COがTyr又はLeuのL又はD-アミノ酸残基となるような基であり、好ましくはR1がGlyである場合R3はTyrであるか、又は好ましくはR1がValである場合R3はLeuであり、
Zは、好ましくはベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル(Ac)、メチルオキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、及びtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)から選択されるN末端保護基である]
の化合物から選択されるトリペプチドアルデヒドである、プロテアーゼ阻害薬、
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素、好ましくはリパーゼ
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0275】
好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物であって、
配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101Dのいずれも有しないプロテアーゼを含む組成物と比較した場合、第二の酵素の増加した残存活性を有する、
組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0276】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101E、並びにアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iを含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0277】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E並びにアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iを含む、
プロテアーゼ、
b)プロテアーゼ阻害薬であり、ペプチドアルデヒド、好ましくは、式(IV)
【0278】
【化6】
[式中、
R1及びR2は、NH-CHR1-CO及び/又はNH-CHR2-COが非極性アミノ酸となるような基であり、
R3は、NH-CHR3-COが非極性アミノ酸となるような基であり、
Zは、好ましくはベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-メトキシベンジルカルボニル(MOZ)、ベンジル(Bn)、ベンゾイル(Bz)、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP)、ホルミル、アセチル(Ac)、メチルオキシ、アルコキシカルボニル、メトキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、及びtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)から選択されるN末端保護基である]
の化合物から選択されることが好ましいトリペプチドアルデヒドである、プロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素、好ましくはリパーゼ
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0279】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0280】
さらに好ましい実施形態は、組成物であって、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含み、組成物が、組成物の37℃での30日間の保存後、プロテアーゼ(a)を有しない場合の第二の酵素の安定性と比較して、プロテアーゼ(a)の存在下において少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の第二の酵素の残存活性を含む、
組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0281】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含み、好ましくは配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iをさらに含む、
プロテアーゼ、
b)好ましくはZ-GAY-H又はZ-VAL-Hのペプチドアルデヒドであるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0282】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含み、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iをさらに含む、
プロテアーゼ、
b)Z-VAL-Hであるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素、好ましくはリパーゼ
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0283】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素であり、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、及びDNaseからなる群から独立して選択される、少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0284】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒドであるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素であり、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、及びDNaseからなる群から独立して選択される、少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0285】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)トリペプチドアルデヒドであるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素であり、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、及びDNaseからなる群から独立して選択される、少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0286】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)トリペプチドアルデヒドであるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含み、少なくとも1種の第二の酵素がリパーゼであり、組成物が、組成物の37℃での30日間の保存後、プロテアーゼ(a)を有しない場合の第二の酵素の安定性と比較して、プロテアーゼ(a)の存在下において、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%の第二の酵素の残存活性を含む、
組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0287】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)トリペプチドアルデヒドであるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素であり、リパーゼである、少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0288】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含み、好ましくは配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iをさらに含む、
プロテアーゼ
b)トリペプチドアルデヒドZ-GAY-H又はZ-VAL-Hであるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素であり、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、及びDNaseからなる群から独立して選択され、好ましくはリパーゼである、少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0289】
さらに好ましい実施形態は、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E並びに配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iを含むアミノ酸配列を含む、
プロテアーゼ、
b)トリペプチドアルデヒドZ-GAY-H又はZ-VAL-H、好ましくはZ-VAL-Hであるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素であり、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、及びDNaseからなる群から独立して選択され、好ましくはリパーゼである、少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物、好ましくは洗剤組成物である。
【0290】
さらに好ましい実施形態は、洗剤組成物に、洗剤組成物中のプロテアーゼではない酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を付与するための方法であって、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む洗剤組成物の使用を含む、方法である。
【0291】
さらに好ましい実施形態は、洗剤組成物に、洗剤組成物中のプロテアーゼではない酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を付与するための方法であって、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含み、好ましくは配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iをさらに含む、
プロテアーゼ、
b)トリペプチドアルデヒドZ-GAY-H又はZ-VAL-Hであるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素であり、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、及びDNaseからなる群から独立して選択され、好ましくはリパーゼである、少なくとも1種の第二の酵素
を含む洗剤組成物の使用を含む、方法である。
【0292】
さらに好ましい実施形態は、洗剤組成物に、洗剤組成物中のプロテアーゼではない酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を付与するための、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)プロテアーゼのアミノ酸配列が、配列番号2の番号付けに従った残基98~104のループ領域に、配列番号1と比較して少なくとも2つのさらなる負電荷を含む、
プロテアーゼ、
b)ペプチドアルデヒド、ペプチドアルデヒドハイドロサルファイト付加物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物の使用である。
【0293】
さらに好ましい実施形態は、洗剤組成物に、洗剤組成物中のプロテアーゼではない酵素の向上した安定性及び/又は洗浄性能を付与するための、
a)プロテアーゼであり、
a1)配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%同一のアミノ酸配列を含み、
a2)配列番号1と比較して、配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換R101E又はR101D、好ましくはR101Eを含むアミノ酸配列を含み、好ましくは配列番号2の番号付けに従ったアミノ酸置換S3T、V4I、及びV205Iをさらに含む、
プロテアーゼ、
b)トリペプチドアルデヒドZ-GAY-H又はZ-VAL-Hであるプロテアーゼ阻害薬、並びに
c)プロテアーゼ(a)と異なる少なくとも1種の第二の酵素であり、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、及びDNaseからなる群から独立して選択され、好ましくはリパーゼである、少なくとも1種の第二の酵素
を含む組成物の使用である。
【実施例
【0294】
全体的な実験の詳細:プロテアーゼ及びリパーゼ酵素の様々な保存時間後の残存活性を、標準的な解析方法を使用して測定する。プロテアーゼ活性は、50℃、pH9.5でのN,N-ジメチルカゼインの加水分解によって測定し、リパーゼは、pNPバレレートを30℃、pH8.0で使用して測定した。
【0295】
[実施例1]
リパーゼ(配列番号6のもの)活性の保存
残存酵素安定性を解析するために、プロテアーゼ、リパーゼ、及びプロテアーゼ阻害薬を、洗剤ES1(Maranil DBS/LC LAS 5.5%w/w、Edenorココ脂肪酸C12~C18ココ脂肪酸2.4%w/w、Lutensol AO7 AEO 5.4%w/w、Texapon N70 FAEO 5.4%w/w、1,2プロピレングリコール6.0%w/w、エタノール2.0%w/w、KOH 2.2%w/w)及び8.0~8.5のpHをもたらす3%クエン酸ナトリウム中に加えた。プロテアーゼ阻害薬は、常にプロテアーゼに対して3倍モル過剰で添加した。
【0296】
全てのプロテアーゼを15μM、プロテアーゼ阻害薬を45μMのレベルでそれぞれ製剤に加えて、以下の製剤を作製した。プロテアーゼ阻害薬としてZ-VAL-Hを使用した。リパーゼ(配列番号6)は1.4μMの濃度で加えた:
【0297】
【表1】
【0298】
製剤を37℃で30日間保存し、1日、8日、14日、及び30日後に残存酵素決定のためにアリコートを採取した。測定前、試料を-20℃で凍結状態に保持した。
【0299】
残存リパーゼ活性の結果を、0日目の値を100%として以下の表に示す:
【0300】
【表2】
【0301】
残存プロテアーゼ活性の結果を、0日目の値を100%として以下の表に示す:
【0302】
【表3】
【0303】
プロテアーゼは、予期された通り、プロテアーゼ阻害薬によって安定化するが、安定化したプロテアーゼは、活性部位ループにおける電荷とは無関係に類似した残存活性を示す。
【0304】
プロテアーゼ阻害薬の添加が、とりわけ活性部位ループへの2つの負電荷の導入を有するバリアントとの組合せにおいて、リパーゼ配列番号6の残存活性を大きく増大させることは明らかである(配列番号4を有する製剤2が配列番号2の番号付けにおけるR101E変異を含む)。
【0305】
プロテアーゼ阻害薬のプロテアーゼのみに対する安定化効果は、2つの負電荷が活性部位ループに導入されたプロテアーゼでは向上しないため、リパーゼに対する効果は驚くべきものである。
【0306】
[実施例2]
リパーゼ(配列番号7のもの)活性の保存
残存酵素安定性を解析するために、プロテアーゼ、リパーゼ、及びプロテアーゼ阻害薬を、洗剤ES1(Maranil DBS/LC LAS 5.5%w/w、Edenorココ脂肪酸C12~C18ココ脂肪酸2.4%w/w、Lutensol AO7 AEO 5.4%w/w、Texapon N70 FAEO 5.4%w/w、1,2プロピレングリコール6.0%w/w、エタノール2.0%w/w、KOH 2.2%w/w)及び8.0~8.5のpHをもたらす3%クエン酸ナトリウム中に加えた。プロテアーゼ阻害薬は、常にプロテアーゼに対して3倍モル過剰で添加した。
【0307】
全てのプロテアーゼを15μM、プロテアーゼ阻害薬を45μMのレベルでそれぞれ製剤に加えて、以下の製剤を作製した。プロテアーゼ阻害薬としてZ-VAL-Hを使用した。リパーゼ(配列番号7)は1.4μMの濃度で加えた。
【0308】
【表4】
【0309】
製剤を37℃で30日間保存し、1日、8日、14日、及び30日後に残存酵素決定のためにアリコートを採取した。測定前、試料を-20℃で凍結状態に保持した。
【0310】
残存リパーゼ活性の結果を、0日目の値を100%として以下の表に示す:
【0311】
【表5】
【0312】
残存プロテアーゼ活性の結果を、0日目の値を100%として以下の表に示す:
【0313】
【表6】
【0314】
プロテアーゼは、予期された通り、プロテアーゼ阻害薬によって安定化するが、安定化したプロテアーゼは、活性部位ループにおける電荷とは無関係に類似した安定性を有する。
【0315】
プロテアーゼ阻害薬の添加が、とりわけ活性部位ループへの2つの負電荷の導入を有するバリアントとの組合せにおいて、リパーゼ配列番号7の残存活性を大きく増大させることは明らかである(配列番号4を有する製剤2が配列番号2の番号付けにおけるR101E変異を含む)。この安定化は、プロテアーゼの非存在の規模である(製剤2対製剤5)。プロテアーゼのみの安定化は、2つの負電荷が活性部位ループに導入されたプロテアーゼの場合には見られないため、リパーゼに対する効果は驚くべきものである。
【配列表】
2023544111000001.app
【国際調査報告】