IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラム リサーチ コーポレーションの特許一覧

特表2023-544274真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ
<>
  • 特表-真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ 図1
  • 特表-真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ 図2
  • 特表-真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ 図3
  • 特表-真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ 図4
  • 特表-真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ 図5
  • 特表-真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ 図6
  • 特表-真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ 図7
  • 特表-真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ 図8
  • 特表-真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ 図9
  • 特表-真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-23
(54)【発明の名称】真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20231016BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20231016BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20231016BHJP
   H01L 21/31 20060101ALN20231016BHJP
【FI】
H05H1/46 L
C23C16/455
C23C16/50
H01L21/31 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518344
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 US2021051179
(87)【国際公開番号】W WO2022066593
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】63/084,541
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラダラジャン・バドリ
(72)【発明者】
【氏名】ダービン・アーロン
(72)【発明者】
【氏名】キウ・フアタン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン・ボー
(72)【発明者】
【氏名】バツァー・レイチェル・イー.
(72)【発明者】
【氏名】ビマラセッティ・ゴピナス
(72)【発明者】
【氏名】ミラー・アーロン・ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】ブレイリング・パトリック・ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ホーン・ジェフリー
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA04
2G084AA05
2G084AA08
2G084AA13
2G084BB14
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084DD55
2G084FF02
2G084FF07
2G084FF13
2G084FF14
2G084FF32
2G084FF39
2G084HH20
2G084HH45
2G084HH52
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA05
4K030EA06
4K030FA01
4K030GA02
4K030HA01
4K030JA03
4K030KA17
4K030KA30
4K030KA41
4K030LA15
5F045AA08
5F045AB03
5F045AB32
5F045AD01
5F045AE01
5F045BB02
5F045DP03
5F045DQ10
5F045EF05
5F045EH11
5F045EH18
5F045EJ04
5F045EJ09
5F045EK07
(57)【要約】
【解決手段】シャワーヘッドは、第1、第2、及び第3のコンポーネントを含む。第1のコンポーネントは、円盤状部分と、円盤状部分から垂直に延びる円筒部分とを含む。円盤状部分は、円盤状部分の中心から円筒部分の内径まで広がる、それぞれ第1及び第2の直径を有する孔の第1及び第2のセットを含む。第2のコンポーネントは、円盤状であり、第1のコンポーネントの円盤状部分に取り付けられており、孔の第2のセットと流体連通しているプレナムを画定し、かつ、周縁に沿って上面の両端にある一対の円弧状溝と、一対の円弧状溝の間に延びる複数の溝とを含む。第3のコンポーネントは、円盤状であり、第2のコンポーネントに取り付けられており、かつ、プレナムに接続されたガス入口と、円弧状溝に接続された流体入口及び出口とを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ内で基板を処理するためのシャワーヘッドであって、
円盤状部分と、前記円盤状部分から垂直に延びる円筒部分とを含み、前記円盤状部分が、前記円筒部分の外径よりも大きい直径を有し、前記円筒部分が、前記基板の直径よりも大きい内径を有し、前記円盤状部分が、それぞれ第1及び第2の直径を有する孔の第1及び第2のセットを含み、かつ前記孔の第1及び第2のセットが、前記円盤状部分の中心から前記円筒部分の前記内径まで広がっている、第1のコンポーネントと、
円盤状であり、前記第1のコンポーネントの前記孔の第1のセットと整列している第1の貫通孔を含み、上面と、側面と、底面であって前記円筒部分の反対側で前記第1のコンポーネントの前記円盤状部分に取り付けられた、前記第1のコンポーネントの前記孔の第2のセットと流体連通しており、かつ前記第1のコンポーネントの前記孔の第1のセットとは別個のものであるプレナムを画定する底面と、を有し、前記上面が、周縁に沿って前記上面の両端にある一対の円弧状溝を含み、かつ前記一対の円弧状溝の間に延びる複数の溝を含む、第2のコンポーネントと、
円盤状であり、前記第2のコンポーネントの前記第1の貫通孔と整列し、且つ、前記第1のコンポーネントの前記孔の第1のセットと整列している第2の貫通孔を含み、かつ前記第2のコンポーネントの前記上面に取り付けられた底面を有する、第3のコンポーネントと
を含む、シャワーヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、前記孔の第1及び第2のセットが、六角形パターン、三角形パターン、又は六角形パターンと三角形パターンの組み合わせで配置されている、シャワーヘッド。
【請求項3】
請求項2に記載のシャワーヘッドであって、前記六角形パターンにおける六角形が、正六角形であり、かつ前記三角形パターンにおける三角形が、正三角形である、シャワーヘッド。
【請求項4】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、
前記孔の第1のセットが、六角形パターンで配置され、
前記孔の第2のセットが、前記孔の第1のセットによって形成された六角形内の三角形の頂点にあり、かつ
前記孔の第1のセットのうちの1つが、前記三角形の各々の中にある、
又は、
前記孔の第2のセットが、六角形パターンで配置され、
前記孔の第1のセットが、前記孔の第2のセットによって形成された六角形内の三角形の頂点にあり、かつ
前記孔の第2のセットのうちの1つが、前記三角形の各々の中にある、
シャワーヘッド。
【請求項5】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、前記第3のコンポーネントが、
前記プレナムと流体連通しているガス入口と、
前記一対の円弧状溝のうちの第1のものと流体連通している流体入口と、
前記一対の円弧状溝のうちの第2のものと流体連通している流体出口と
をさらに含む、シャワーヘッド。
【請求項6】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、
前記一対の円弧状溝及び前記複数の溝が、前記プレナム及び前記孔の第1及び第2のセットとは別個のものであり、
前記一対の円弧状溝が、前記第2のコンポーネントの前記第1の貫通孔を囲み、又は
前記一対の円弧状溝及び前記複数の溝が、等しい深さを有する、
シャワーヘッド。
【請求項7】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、前記第2のコンポーネントの前記底面が、前記第2のコンポーネントの前記底面の周縁に沿って半円形溝をさらに含み、前記半円形溝が、前記プレナムと流体連通しており、前記半円形溝が、前記第2のコンポーネントの前記第1の貫通孔を囲み、又は前記半円形溝が、前記一対の円弧状溝を囲む、シャワーヘッド。
【請求項8】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、前記一対の円弧状溝が、前記第3のコンポーネントの前記底面に接触する複数の垂直に延びるリッジを含み、前記複数の垂直に延びるリッジの高さが、前記複数の溝の深さと等しい、シャワーヘッド。
【請求項9】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、
前記複数の溝が、互いに平行であり、又は
前記複数の溝が、ジグザグ形状を有する、
シャワーヘッド。
【請求項10】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、前記複数の溝の第1の端部が、前記一対の円弧状溝のうちの第1のものと接続し、前記複数の溝の第2の端部が、前記一対の円弧状溝のうちの第2のものと接続する、シャワーヘッド。
【請求項11】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、前記第2のコンポーネントの前記第1の貫通孔が、前記複数の溝の間に存在する、シャワーヘッド。
【請求項12】
請求項1に記載のシャワーヘッドであって、
前記第1のコンポーネントの前記円筒部分の断面積に対する、前記孔の第1のセットの断面積の和の比率が、4.5%から5.5%の間であり、又は、
前記第1のコンポーネントの前記円筒部分の断面積に対する、前記孔の第1のセットの断面積の和の比率が、4%から6%の間であり、又は、
前記孔の第2のセットの数に対する、前記孔の第1のセットの数の比が、1.00から1.05の間であり、又は
前記孔の第1及び第2のセットの密度が、1平方インチあたり4から5個の孔である、
シャワーヘッド。
【請求項13】
処理チャンバ内で基板を処理するためのシャワーヘッドであって、
円盤状部分と、前記円盤状部分から垂直に延びる円筒部分とを含み、前記円盤状部分が、前記円筒部分の外径よりも大きい直径を有し、前記円筒部分が、前記基板の直径よりも大きい内径を有し、前記円盤状部分が、それぞれ第1及び第2の直径を有する孔の第1及び第2のセットを含み、かつ前記孔の第1及び第2のセットが、前記円盤状部分の中心から前記円筒部分の前記内径まで広がっている、第1のコンポーネントと、
円盤状であり、前記第1のコンポーネントの前記孔の第1のセットと整列している第1の貫通孔を含み、上面と、側面と、底面であって前記円筒部分の反対側で前記第1のコンポーネントの前記円盤状部分に取り付けられた、前記第1のコンポーネントの前記孔の第2のセットと流体連通しており、かつ前記第1のコンポーネントの前記孔の第1のセットとは別個のものであるプレナムを画定する底面と、を有し、前記上面が、周縁に沿って前記上面の両端にある一対の円弧状溝を含み、かつ前記一対の円弧状溝の間に延びる複数の溝を含む、第2のコンポーネントと、
円盤状であり、前記第2のコンポーネントの前記第1の貫通孔と整列し、且つ、前記第1のコンポーネントの前記孔の第1のセットと整列している第2の貫通孔を含み、かつ前記第2のコンポーネントの前記上面に取り付けられた底面を有する、第3のコンポーネントと
を含み、前記第3のコンポーネントが、
前記第3のコンポーネントの周縁に沿った、前記第3のコンポーネントの上面上の環状リッジと、
前記環状リッジの内径から前記第3のコンポーネントの前記上面の中心まで広がる凹部と
を含む、シャワーヘッド。
【請求項14】
請求項13に記載のシャワーヘッドであって、
前記環状リッジの前記内径が、前記第1のコンポーネントの前記円筒部分の前記内径以上であり、又は
前記環状リッジの外径が、前記第1のコンポーネントの前記円筒部分の外径以上である、
シャワーヘッド。
【請求項15】
請求項13に記載のシャワーヘッドであって、
前記環状リッジの幅が、前記第1のコンポーネントの前記円筒部分の厚さ以上であり、又は
前記環状リッジの前記内径が、前記基板の前記直径よりも大きい、
シャワーヘッド。
【請求項16】
請求項13に記載のシャワーヘッドであって、
前記凹部の直径が、前記第1のコンポーネントの前記円筒部分の前記内径以上であり、又は、
前記凹部が、前記基板の前記直径よりも大きい直径を有する、
シャワーヘッド。
【請求項17】
請求項13に記載のシャワーヘッドであって、
前記第3のコンポーネントの前記第2の貫通孔が、前記環状リッジの前記内径内にあり、又は
前記第3のコンポーネントの前記第2の貫通孔が、前記凹部内にある、
シャワーヘッド。
【請求項18】
処理チャンバと、
前記処理チャンバの上端に配置された、前記処理チャンバ内で基板を処理するためのシャワーヘッドと
を含むシステムであって、前記シャワーヘッドが、
円盤状部分と、前記円盤状部分から垂直に延びる円筒部分とを含み、前記円盤状部分が、前記円筒部分の外径よりも大きい直径を有し、前記円筒部分が、前記基板の直径よりも大きい内径を有し、前記円盤状部分が、それぞれ第1及び第2の直径を有する孔の第1及び第2のセットを含み、かつ前記孔の第1及び第2のセットが、前記円盤状部分の中心から前記円筒部分の前記内径まで広がっている、第1のコンポーネントと、
円盤状であり、前記第1のコンポーネントの前記孔の第1のセットと整列している第1の貫通孔を含み、上面と、側面と、底面であって前記円筒部分の反対側で前記第1のコンポーネントの前記円盤状部分に取り付けられた、前記第1のコンポーネントの前記孔の第2のセットと流体連通しており、かつ前記第1のコンポーネントの前記孔の第1のセットとは別個のものであるプレナムを画定する底面と、を有し、前記上面が、周縁に沿って前記上面の両端にある一対の円弧状溝を含み、かつ前記一対の円弧状溝の間に延びる複数の溝を含む、第2のコンポーネントと、
円盤状であり、前記第2のコンポーネントの前記第1の貫通孔と整列し、且つ、前記第1のコンポーネントの前記孔の第1のセットと整列している第2の貫通孔を含み、かつ前記第2のコンポーネントの前記上面に取り付けられた底面を有する、第3のコンポーネントと
を含み、前記システムが、
前記シャワーヘッドにプラズマを供給するための、前記シャワーヘッドの前記第3のコンポーネントの上に配置されたプラズマ発生器と、
前記処理チャンバ内に配置された台座であって、前記シャワーヘッドの前記第1のコンポーネントの前記円筒部分が、前記台座の上部分を囲む、台座と、
ガスを前記プレナムに供給するためのガス送達システムと、
前記一対の円弧状溝のうちの1つに流体を供給するための流体送達システムと
をさらに含む、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記シャワーヘッドの前記孔の第1のセットが、前記プラズマからのイオンをフィルタリングし、かつ前記プラズマからのラジカルを、前記シャワーヘッドを介して前記処理チャンバに通過させる、システム。
【請求項20】
請求項18に記載のシステムであって、
前記基板上に成膜された膜が、0.0%の不均一性を有し、又は、
前記基板上に成膜された膜が、0.1%未満の不均一性を有し、又は、
前記シャワーヘッドの前記第1のコンポーネントの前記円盤状部分の底面と、前記台座の上面との間のギャップが、0.11インチから0.2インチの間である、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2020年9月28日に出願された米国仮出願第63/084,541号の利益を主張する。上記の出願の全開示が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して基板処理システムに関し、より具体的には、真のラジカル処理のためのリモートプラズマアーキテクチャに関する。
【背景技術】
【0003】
ここで提供される背景技術の説明は、本開示の文脈を大まかに提示することを目的とする。現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究は、この背景技術の欄で説明される範囲内において、出願時に先行技術として別途みなされ得ない説明の態様と同様に、明示又は暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0004】
基板処理システムは、通常、処理中に半導体ウェハなどの基板が配置される台座を取り囲む処理チャンバを含む。ガス送達システムは、1つ又は複数の前駆体を含むプロセスガス混合物をプロセスチャンバ内に導入して、基板上に膜を成膜し、又は基板をエッチングしてもよい。プラズマは、処理チャンバ内でストライクされてもよい。或いは、プラズマは、処理チャンバから遠隔(すなわち、外部)で生成され、その後、処理チャンバ内に導入されてもよい。処理チャンバの外で生成されたプラズマは、リモートプラズマと呼ばれ、容量結合プラズマ(CCP)、誘導結合プラズマ(ICP)、トランス結合プラズマ(TCP)、及びマイクロ波を含む任意の方法で生成されてもよい。
【0005】
いくつかの基板処理システムは、原子層堆積(ALD)プロセスを使用して、材料を基板上に堆積する。ALDは、ガス状化学プロセスを順次実行し、基板の表面上に薄膜を成膜する薄膜堆積法である。ALDは、前駆体(反応物)と呼ばれる少なくとも2つの化学物質を使用し、一度に1つの前駆体が順次、自己制御的に基板の表面と反応する。別個の前駆体への繰り返し曝露を通じて、薄膜は、基板表面上に徐々に成膜される。
【発明の概要】
【0006】
処理チャンバ内で基板を処理するためのシャワーヘッドは、第1のコンポーネントと、第2のコンポーネントと、第3のコンポーネントとを含む。第1のコンポーネントは、円盤状部分と、円盤状部分から垂直に延びる円筒部分とを含む。円盤状部分は、円筒部分の外径よりも大きい直径を有する。円筒部分は、基板の直径よりも大きい内径を有する。円盤状部分は、それぞれ第1及び第2の直径を有する孔の第1及び第2のセットを含む。孔の第1及び第2のセットは、円盤状部分の中心から円筒部分の内径まで広がる。第2のコンポーネントは、円盤状であり、かつ、第1のコンポーネントの孔の第1のセットと整列している第1の貫通孔を含む。第2のコンポーネントは、上面と、側面と、底面であって円筒部分の反対側で第1のコンポーネントの円盤状部分に取り付けられ、かつプレナムを画定する底面と、を有する。プレナムは、第1のコンポーネントの孔の第2のセットと流体連通しており、かつ第1のコンポーネントの孔の第1のセットとは別個のものである。第2のコンポーネントの上面は、周縁に沿って上面の両端にある一対の円弧状溝を含み、かつ一対の円弧状溝の間に延びる複数の溝を含む。第3のコンポーネントは、円盤状であり、かつ、第2のコンポーネントの第1の貫通孔と整列し、且つ、第1のコンポーネントの孔の第1のセットと整列している第2の貫通孔を含む。第3のコンポーネントは、第2のコンポーネントの上面に取り付けられた底面を有する。
【0007】
別の特徴において、孔の第1及び第2のセットは、六角形パターンで配置される。
【0008】
別の特徴において、孔の第1及び第2のセットは、三角形パターンで配置される。
【0009】
別の特徴において、孔の第1及び第2のセットは、六角形パターンと三角形パターンの組み合わせを用いて配置される。
【0010】
他の特徴において、六角形パターンにおける六角形は、正六角形であり、かつ三角形パターンにおける三角形は、正三角形である。
【0011】
他の特徴において、孔の第1のセットは、六角形パターンで配置され、孔の第2のセットは、孔の第1のセットによって形成された六角形内の三角形の頂点にあり、かつ孔の第1のセットのうちの1つは、三角形の各々の中にある。
【0012】
他の特徴において、孔の第2のセットは、六角形パターンで配置され、孔の第1のセットは、孔の第2のセットによって形成された六角形内の三角形の頂点にあり、かつ孔の第2のセットのうちの1つは、三角形の各々の中にある。
【0013】
他の特徴において、第3のコンポーネントは、プレナムと流体連通しているガス入口と、一対の円弧状溝のうちの第1のものと流体連通している流体入口と、一対の円弧状溝のうちの第2のものと流体連通している流体出口とをさらに含む。
【0014】
別の特徴において、一対の円弧状溝及び複数の溝は、プレナム及び孔の第1及び第2のセットとは別個のものである。
【0015】
別の特徴において、第2のコンポーネントの底面は、第2のコンポーネントの底面の周縁に沿って半円形溝をさらに含み、半円形溝は、プレナムと流体連通している。
【0016】
別の特徴において、半円形溝は、第2のコンポーネントの第1の貫通孔を囲む。
【0017】
別の特徴において、半円形溝は、一対の円弧状溝を囲む。
【0018】
別の特徴において、一対の円弧状溝は、第3のコンポーネントの底面に接触する複数の垂直に延びるリッジを含む。
【0019】
別の特徴において、リッジの高さは、複数の溝の深さと等しい。
【0020】
別の特徴において、一対の円弧状溝は、第2のコンポーネントの第1の貫通孔を囲む。
【0021】
別の特徴において、一対の円弧状溝と複数の溝は、等しい深さを有する。
【0022】
別の特徴において、複数の溝は、互いに平行である。
【0023】
別の特徴において、複数の溝は、ジグザグ形状を有する。
【0024】
別の特徴において、複数の溝の第1の端部は、一対の円弧状溝のうちの第1のものと接続し、複数の溝の第2の端部は、一対の円弧状溝のうちの第2のものと接続する。
【0025】
別の特徴において、第2のコンポーネントの第1の貫通孔は、複数の溝の間に存在する。
【0026】
他の特徴において。第3のコンポーネントは、第3のコンポーネントの周縁に沿った、第3のコンポーネントの上面上の環状リッジと、環状リッジの内径から第3のコンポーネントの上面の中心まで広がる凹部とを含む。
【0027】
別の特徴において、環状リッジの内径は、第1のコンポーネントの円筒部分の内径以上である。
【0028】
別の特徴において、環状リッジの外径は、第1のコンポーネントの円筒部分の外径以上である。
【0029】
別の特徴において、環状リッジの幅は、第1のコンポーネントの円筒部分の厚さ以上である。
【0030】
別の特徴において、環状リッジの内径は、基板の直径よりも大きい。
【0031】
別の特徴において、凹部の直径は、第1のコンポーネントの円筒部分の内径以上である。
【0032】
別の特徴において、凹部は、基板の直径よりも大きい直径を有する。
【0033】
別の特徴において、第3のコンポーネントの第2の貫通孔は、環状リッジの内径内にある。
【0034】
別の特徴において、第3のコンポーネントの第2の貫通孔は、凹部内にある。
【0035】
別の特徴において、第1、第2、及び第3のコンポーネントは、拡散接合されている。
【0036】
別の特徴において、第1のコンポーネントの円筒部分の断面積に対する、孔の第1のセットの断面積の和の比率は、4.5%から5.5%の間である。
【0037】
別の特徴において、第1のコンポーネントの円筒部分の断面積に対する、孔の第1のセットの断面積の和の比率は、4%から6%の間である。
【0038】
別の特徴において、孔の第2のセットの数に対する、孔の第1のセットの数の比は、1.00から1.05の間である。
【0039】
別の特徴において、孔の第1及び第2のセットの密度は、1平方インチあたり4から5個の孔である。
【0040】
他の特徴において、システムは、シャワーヘッドと、処理チャンバと、シャワーヘッドにプラズマを供給するための、シャワーヘッドの第3のコンポーネントの上に配置されたプラズマ発生器とを含む。シャワーヘッドは、処理チャンバの上端に配置されている。システムは、処理チャンバ内に配置された台座を含む。シャワーヘッドの第1のコンポーネントの円筒部分は、台座の上部分を囲む。システムは、ガスをプレナムに供給するためのガス送達システムと、一対の円弧状溝のうちの1つに流体を供給するための流体送達システムとを含む。
【0041】
別の特徴において、シャワーヘッドの孔の第1のセットは、プラズマからのイオンをフィルタリングし、かつプラズマからのラジカルを、シャワーヘッドを介して処理チャンバに通過させる。
【0042】
別の特徴において、基板上に成膜された膜は、0.0%の不均一性を有する。
【0043】
別の特徴において、基板上に成膜された膜は、0.1%未満の不均一性を有する。
【0044】
別の特徴において、シャワーヘッドの第1のコンポーネントの円盤状部分の底面と、台座の上面との間のギャップは、0.11インチから0.2インチの間である。
【0045】
別の特徴において、処理チャンバは、原子層堆積(ALD)処理チャンバ、原子層エッチング(ALE)処理チャンバ、化学蒸着(CVD)処理チャンバ、又は物理蒸着(PVD)処理チャンバを含む。
【0046】
さらに他の特徴において、処理チャンバ内で基板を処理するためのシャワーヘッドは、第1のコンポーネントと、第2のコンポーネントと、第3のコンポーネントとを含む。第1のコンポーネントは、円盤状部分と、円盤状部分から垂直に延びる円筒部分とを含む。円盤状部分は、円筒部分の外径よりも大きい直径を有する。円筒部分は、基板の直径よりも大きい内径を有する。円盤状部分は、それぞれ第1及び第2の直径を有する孔の第1及び第2のセットを含む。孔の第1及び第2のセットは、円盤状部分の中心から円筒部分の内径まで広がる。第2のコンポーネントは、円盤状であり、かつ、第1のコンポーネントの孔の第1のセットと整列している第1の貫通孔を含む。第2のコンポーネントは、上面と、側面と、底面であって円筒部分の反対側で第1のコンポーネントの円盤状部分に取り付けられ、かつプレナムを画定する底面と、を有する。プレナムは、第1のコンポーネントの孔の第2のセットと流体連通しており、かつ第1のコンポーネントの孔の第1のセットとは別個のものである。第2のコンポーネントの上面は、周縁に沿って上面の両端にある一対の円弧状溝を含み、かつ一対の円弧状溝の間に延びる複数の溝を含む。第3のコンポーネントは、円盤状であり、かつ、第2のコンポーネントの第1の貫通孔及び第1のコンポーネントの孔の第1のセットと整列している第2の貫通孔を含む。第3のコンポーネントは、第2のコンポーネントの上面に取り付けられた底面を有する。孔の第1及び第2のセットは、六角形パターン、三角形パターン、又は六角形パターンと三角形パターンの組み合わせで配置される。六角形パターンにおける六角形は、正六角形であり、かつ三角形パターンにおける三角形は、正三角形である。孔の第1のセットは、六角形パターンで配置され、孔の第2のセットは、孔の第1のセットによって形成された六角形内の三角形の頂点にあり、かつ孔の第1のセットのうちの1つは、三角形の各々の中にある。孔の第2のセットは、六角形パターンで配置され、孔の第1のセットは、孔の第2のセットによって形成された六角形内の三角形の頂点にあり、かつ孔の第2のセットのうちの1つは、三角形の各々の中にある。
【0047】
他の特徴において、第3のコンポーネントは、プレナムと流体連通しているガス入口と、一対の円弧状溝のうちの第1のものと流体連通している流体入口と、一対の円弧状溝のうちの第2のものと流体連通している流体出口とをさらに含む。
【0048】
他の特徴において、一対の円弧状溝及び複数の溝は、プレナム及び孔の第1及び第2のセットとは別個のものであり、一対の円弧状溝は、第2のコンポーネントの第1の貫通孔を囲み、又は一対の円弧状溝及び複数の溝は、等しい深さを有する。
【0049】
別の特徴において、第2のコンポーネントの底面は、第2のコンポーネントの底面の周縁に沿って半円形溝をさらに含み、半円形溝は、プレナムと流体連通しており、半円形溝は、第2のコンポーネントの第1の貫通孔を囲み、又は半円形溝は、一対の円弧状溝を囲む。
【0050】
他の特徴において、一対の円弧状溝は、第3のコンポーネントの底面に接触する複数の垂直に延びるリッジを含み、複数の垂直に延びるリッジの高さは、複数の溝の深さと等しい。
【0051】
他の特徴において、複数の溝は互いに平行であり、又は複数の溝は、ジグザグ形状を有する。
【0052】
他の特徴において、複数の溝の第1の端部は、一対の円弧状溝のうちの第1のものと接続し、複数の溝の第2の端部は、一対の円弧状溝のうちの第2のものと接続する。
【0053】
他の特徴において、第2のコンポーネントの第1の貫通孔は、複数の溝の間に存在する。
【0054】
他の特徴において、第1のコンポーネントの円筒部分の断面積に対する、孔の第1のセットの断面積の和の比率は、4.5%から5.5%の間であり、第1のコンポーネントの円筒部分の断面積に対する、孔の第1のセットの断面積の和の比率は、4%から6%の間であり、孔の第2のセットの数に対する、孔の第1のセットの数の比は、1.00から1.05の間であり、又は孔の第1及び第2のセットの密度は、1平方インチあたり4から5個の孔である。
【0055】
さらに他の特徴において、処理チャンバ内で基板を処理するためのシャワーヘッドは、第1のコンポーネントと、第2のコンポーネントと、第3のコンポーネントとを含む。第1のコンポーネントは、円盤状部分と、円盤状部分から垂直に延びる円筒部分とを含む。円盤状部分は、円筒部分の外径よりも大きい直径を有する。円筒部分は、基板の直径よりも大きい内径を有する。円盤状部分は、それぞれ第1及び第2の直径を有する孔の第1及び第2のセットを含む。孔の第1及び第2のセットは、円盤状部分の中心から円筒部分の内径まで広がる。第2のコンポーネントは、円盤状であり、かつ、第1のコンポーネントの孔の第1のセットと整列している第1の貫通孔を含む。第2のコンポーネントは、上面と、側面と、底面であって円筒部分の反対側で第1のコンポーネントの円盤状部分に取り付けられ、かつプレナムを画定する底面と、を有する。プレナムは、第1のコンポーネントの孔の第2のセットと流体連通しており、かつ第1のコンポーネントの孔の第1のセットとは別個のものである。第2のコンポーネントの上面は、周縁に沿って上面の両端にある一対の円弧状溝を含み、かつ一対の円弧状溝の間に延びる複数の溝を含む。第3のコンポーネントは、円盤状であり、かつ、第2のコンポーネントの第1の貫通孔及び第1のコンポーネントの孔の第1のセットと整列している第2の貫通孔を含む。第3のコンポーネントは、第2のコンポーネントの上面に取り付けられた底面を有する。第3のコンポーネントは、第3のコンポーネントの周縁に沿った、第3のコンポーネントの上面上の環状リッジと、環状リッジの内径から第3のコンポーネントの上面の中心まで広がる凹部とを含む。
【0056】
他の特徴において、環状リッジの内径は、第1のコンポーネントの円筒部分の内径以上であり、又は環状リッジの外径は、第1のコンポーネントの円筒部分の外径以上である。
【0057】
他の特徴において、環状リッジの幅は、第1のコンポーネントの円筒部分の厚さ以上であり、又は環状リッジの内径は、基板の直径よりも大きい。
【0058】
他の特徴において、凹部の直径は、第1のコンポーネントの円筒部分の内径以上であり、又は凹部は、基板の直径よりも大きい直径を有する。
【0059】
他の特徴において、第3のコンポーネントの第2の貫通孔は、環状リッジの内径内にあり、又は第3のコンポーネントの第2の貫通孔は、凹部内にある。
【0060】
さらに他の特徴において、システムは、処理チャンバと、処理チャンバ内で基板を処理するためのシャワーヘッドとを含む。シャワーヘッドは、処理チャンバの上端に配置されている。シャワーヘッドは、第1のコンポーネントと、第2のコンポーネントと、第3のコンポーネントとを含む。第1のコンポーネントは、円盤状部分と、円盤状部分から垂直に延びる円筒部分とを含む。円盤状部分は、円筒部分の外径よりも大きい直径を有する。円筒部分は、基板の直径よりも大きい内径を有する。円盤状部分は、それぞれ第1及び第2の直径を有する孔の第1及び第2のセットを含む。孔の第1及び第2のセットは、円盤状部分の中心から円筒部分の内径まで広がる。第2のコンポーネントは、円盤状であり、かつ、第1のコンポーネントの孔の第1のセットと整列している第1の貫通孔を含む。第2のコンポーネントは、上面と、側面と、底面であって円筒部分の反対側で第1のコンポーネントの円盤状部分に取り付けられ、かつプレナムを画定する底面と、を有する。プレナムは、第1のコンポーネントの孔の第2のセットと流体連通しており、かつ第1のコンポーネントの孔の第1のセットとは別個のものである。第2のコンポーネントの上面は、周縁に沿って上面の両端にある一対の円弧状溝を含み、かつ一対の円弧状溝の間に延びる複数の溝を含む。第3のコンポーネントは、円盤状であり、かつ、第2のコンポーネントの第1の貫通孔及び第1のコンポーネントの孔の第1のセットと整列している第2の貫通孔を含む。第3のコンポーネントは、第2のコンポーネントの上面に取り付けられた底面を有する。システムは、シャワーヘッドにプラズマを供給するための、シャワーヘッドの第3のコンポーネントの上に配置されたプラズマ発生器と、処理チャンバ内に配置された台座とをさらに含む。シャワーヘッドの第1のコンポーネントの円筒部分は、台座の上部分を囲む。システムは、ガスをプレナムに供給するためのガス送達システムと、一対の円弧状溝のうちの1つに流体を供給するための流体送達システムとをさらに含む。
【0061】
他の特徴において、シャワーヘッドの孔の第1のセットは、プラズマからのイオンをフィルタリングし、かつプラズマからのラジカルを、シャワーヘッドを介して処理チャンバに通過させる。
【0062】
他の特徴において、基板上に成膜された膜は、0.0%の不均一性を有し、基板上に成膜された膜は、0.1%未満の不均一性を有し、又はシャワーヘッドの第1のコンポーネントの円盤状部分の底面と、台座の上面との間のギャップは、0.11インチから0.2インチの間である。
【0063】
本開示の応用可能性のさらなる領域は、詳細な説明、特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。詳細な説明及び具体例は、例示のみを目的とすることを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本開示は、詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【0065】
図1図1は、本開示に係る、リモートプラズマ及びシャワーヘッドを使用する基板処理システムの一例を示す。
【0066】
図2図2は、本開示に係る図1のシャワーヘッドの側面断面図を示す。
【0067】
図3図3は、本開示に係る図1のシャワーヘッドの断面斜視図を示す。
【0068】
図4図4は、本開示に係る、前駆体ガスをシャワーヘッドに導入するための、図1のシャワーヘッド内に配置されたプレナムの底面図を示す。
【0069】
図5図5は、本開示に係る、シャワーヘッド内で冷却剤を循環させるための、図1のシャワーヘッドに配置された冷却チャネルの上面図を示す。
【0070】
図6図6は、本開示に係る、シャワーヘッドで使用される孔パターンの一例を示す、図1のシャワーヘッドの底面図を示す。
【0071】
図7図7は、図6に示す孔パターンの拡大図を示す。
【0072】
図8図8は、本開示に係る図1のシャワーヘッドの上面図を示す。
【0073】
図9図9は、本開示に係る図1のシャワーヘッドの上部の斜視図を示す。
【0074】
図10図10は、本開示に係る図1のシャワーヘッドの底部の斜視図を示す。
【0075】
図面において、参照番号は、類似及び/又は同一の要素を識別するために再使用される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0076】
本開示は、接地されたシャワーヘッドと共にリモートプラズマを使用し、損傷を引き起こすリモートプラズマからのイオンをフィルタリングし、リモートプラズマ中のラジカルが処理チャンバを通過するのを可能にする基板処理システムに関する。ラジカルは、不対電子を持つがイオンなどの実効電荷を持たず、有益な膜特性を提供する。リモートプラズマのソースを処理チャンバに接続するシャワーヘッドの孔は、イオンをフィルタリングし、かつリモートプラズマからのラジカルを通過させるように最適化されている。便宜上、本開示を通じて、これらの孔をラジカル孔と呼ぶ。
【0077】
さらに、1つ又は複数の前駆体は、ALD動作のための適用量均一性及びパージ効率のために最適化されたシャワーヘッド内の別個のプレナムを介して処理チャンバに供給される。前駆体は、別個のプレナムから、シャワーヘッド内の孔の第2のセットを介して処理チャンバに供給され、孔の第2のセットは、本開示全体を通じて前駆体孔と呼ばれる。ラジカルと前駆体の送達を分離することで、両者を独立に最適化して、最適な膜特性及び均一性を達成できる。
【0078】
ラジカル孔の直径、アスペクト比、及び量などの特性は、処理チャンバ内の基板に送達されるラジカルの量を最適化しつつ、さもなければ基板に損傷を与える可能性のあるイオンをフィルタリングする効果のバランスも取るように選択される。さらに、ラジカル孔と前駆体孔のパターン(例えば、レイアウト、分布、及び密度)も、基板全体にわたって膜均一性を提供するように最適化される。このアーキテクチャは、任意の種類のプラズマ源と共に使用することができ、リモートプラズマ強化ALD又は化学蒸着(CVD)プロセスと共に使用することもできる。
【0079】
シャワーヘッドは、平面状のベース部分と、ベース部分の周縁から垂直に下方に延びる円筒部分とを含む。ベース部分は、冷却・前駆体プレナムと、ラジカル孔と、前駆体孔とを含む。円筒部分は、外壁と内壁とを有する。円筒部分の内壁は、シャワーヘッドの穴を画定する。基板を支持する台座は、シャワーヘッドのベース部分の直下で処理チャンバ内に配置される。台座は、平面状のトップ部分と、トップ部分の中心から垂直に下方に延びる垂直なベース部分とを含む。シャワーヘッドの円筒部分の内径(ID)(すなわち、シャワーヘッドの内壁の直径)は、台座のトップ部分の外径(OD)よりも大きい。シャワーヘッドの円筒部分の内壁は、台座のトップ部分を囲み、かつ、その下方に垂直に延びる。シャワーヘッドの円筒部分は、台座のトップ部分を覆い隠す。台座は、基板を搭載するために下に移動し、基板を処理するために上に移動し、基板を取り除くために下に移動する。台座のトップ部分は、シャワーヘッドの円筒部分内で上下に垂直に移動して、台座のベース部分とトップ部分の間のギャップを調整できる。
【0080】
シャワーヘッドの円筒部分は、台座のエッジの周りに比較的安定した熱及びガス流環境を提供し、これが、今度はシャワーヘッドと台座の間のギャップを変化させるプロセスを単純化する。具体的には、シャワーヘッドの円筒部分は、台座のトップ部分の下に垂直に延びており、台座がシャワーヘッドの円筒部分内で垂直に移動してシャワーヘッドと台座の間のギャップを調整する間、台座のエッジの周りに対称的な熱境界条件(すなわち、比較的一定の温度の領域)を提供する。
【0081】
さらに、シャワーヘッドの円筒部分はまた、台座がシャワーヘッドの円筒部分内で移動する間、台座のエッジの周りのガス流に比較的一定の圧縮を提供し、これは、ALDプロセスにおいてシャワーヘッドと台座の間のギャップ内のガスの微容量を制御するプロセスを単純化する。シャワーヘッドと台座の間の調整可能なギャップによって、ALDプロセスにおける微容量の精密な制御が可能になる。シャワーヘッドと台座の間の狭いギャップは、ALDプロセスにおける微容量内のラジカルの枯渇を防ぐ。本開示のシャワーヘッドのこれら及び他の特徴は、以下に詳細に説明される。
【0082】
本開示は、以下のように構成される。リモートプラズマ及び本開示に従い設計されたシャワーヘッドを利用する基板処理システムの一例を、図1を参照して示し、説明する。シャワーヘッドの側面図及び断面斜視図を、図2及び図3を参照して示し、説明する。シャワーヘッド内のガスプレナム及び冷却チャネルの底面図及び上面図を、それぞれ図4及び図5を参照して示し、説明する。シャワーヘッドの上面図及び底面図、並びにラジカル孔及び前駆体孔の様々な特性を、図6図8を参照して示し、説明する。シャワーヘッドの上部及び底部の斜視図を、それぞれ図9及び図10を参照して示し、説明する。
【0083】
図1は、本開示に係る基板処理システム100を示す。基板処理システム100は、処理チャンバ103と、シャワーヘッド104とを含む。シャワーヘッド104は、金属(例えば、アルミニウム)又は合金で作られている。シャワーヘッド104は、平面状のベース部分105と、ベース部分105から垂直に下方に延びる円筒部分107とを含む。ベース部分105は、円筒部分107の上端において半径方向外側に延び、フランジ200を形成している。ベース部分105については、図2及び図3を参照してさらに詳細に後述する。円筒部分107は、外壁109-1と、内壁109-2とを有する。円筒部分107の内壁109-2は、シャワーヘッド104の穴106を画定する(図2に見える)。穴106の直径は、シャワーヘッド104の円筒部分107の内壁109-2の直径(すなわち、円筒部分107のID)に等しい。
【0084】
処理チャンバ103は、側壁108と、底壁110とを有する。側壁108は、シャワーヘッド104の円筒部分107の底部に取り付けられている。側壁108は、シャワーヘッド104のベース部分105に対して垂直であり、かつシャワーヘッド104の円筒部分107の外壁109-1の底部から垂直に下方に延びる。処理チャンバ103の底壁110は、シャワーヘッド104のベース部分105に平行であり、処理チャンバ103の側壁108に垂直であり、かつ処理チャンバ103の側壁108に取り付けられている。
【0085】
基板処理システム100は、シャワーヘッド104の上方に配置されたプラズマ源102を含む。シャワーヘッド104は、プラズマ源102と処理チャンバ103の間に配置される。シャワーヘッド104は、プラズマ源102を処理チャンバ103から分離する。プラズマ源102については、さらに詳細に後述する。
【0086】
台座112は、処理チャンバ103内で、シャワーヘッド104の直下に配置されている。基板114は、処理中に台座112の上面116に配置される。台座112の上面116は、平面であり、シャワーヘッド104のベース部分105に平行であり、かつ処理チャンバ103の底壁110に平行である。したがって、基板114は、台座112の上面116、シャワーヘッド104のベース部分105、及び処理チャンバ103の底壁110に平行である。シャワーヘッド104の円筒部分107のID(すなわち、シャワーヘッド104の内壁109-2の直径)は、台座112の上面116のODよりも大きい。シャワーヘッド104の円筒部分107のID(すなわち、シャワーヘッド104の内壁109-2の直径)はまた、基板114のODよりも大きい。
【0087】
モータ122によって駆動されるアクチュエータ120は、シャワーヘッド104の円筒部分107内で、台座112をシャワーヘッド104に対して垂直に上下に移動させることができる。プラズマ源102及びシャワーヘッド104は、台座112に対して固定されている。シャワーヘッド104のベース部分105の底部と台座112の上面116との間のギャップは、シャワーヘッド104の円筒部分107内で台座112を垂直に移動させることによって調整されてもよい。例えば、シャワーヘッド104のベース部分105の底部と台座112の上面116との間のギャップは、約0.2インチ、0.15インチ、又は0.11インチのものであってもよい。
【0088】
プラズマ源102は、図示したようにドーム状であってもよく、又は任意の他の形状であってもよい。プラズマ源102の下端は開いており、第1の円筒形コンポーネント124の上端に取り付けられている。第1の円筒形コンポーネント124は、第1の円筒形コンポーネント124のほぼ中心から半径方向外側に延びる第1のフランジ126を有する。したがって、第1の円筒形コンポーネント124は、文字「T」を90度左に回転させた「T」字形状を有する。
【0089】
第2の円筒形コンポーネント128は、第1の円筒形コンポーネント124を囲む。第2の円筒形コンポーネント128は、第2の円筒形コンポーネント128の下端から半径方向内側に延びる第2のフランジ129を有する。したがって、第2の円筒形コンポーネント128は、文字「L」を左右反転させた「L」字形状を有する。第1の円筒形コンポーネント124の第1のフランジ126は、第2の円筒形コンポーネント128の第2のフランジ129に重なる。第1の円筒形コンポーネント124及び第2の円筒形コンポーネント128の下端は、シャワーヘッド104のベース部分105の周縁付近で、シャワーヘッド104のベース部分105の上部に取り付けられている。
【0090】
単なる例であるが、プラズマ源102は、ICPを使用してリモートプラズマ(すなわち、処理チャンバ103の外部のプラズマ)を生成する。プラズマ源102は、プラズマ源102の上部に配置されたガスインジェクタ132を介してガス分配システム130から受け取った1つ又は複数のガスを受け取るが、ガスは他の方法でプラズマ源102に注入されてもよい。コイル134は、プラズマ源102の周りに配置される。コイル134の第1の端部は接地され、かつコイル134の第2の端部はRF発生システム136に接続される。
【0091】
RF発生システム136は、RF電力を生成し、コイル134に出力する。単なる例であるが、RF発生システム136は、RF電力を生成するRF発生器138を含んでもよい。RF電力は、整合ネットワーク140によってコイル134に供給される。コイル134に供給されたRF電力は、ガスインジェクタ132によってプラズマ源102に注入された1つ又は複数のガスを点火し、プラズマ142を生成する。プラズマ源102は、処理チャンバ103から遠隔(すなわち、外部)でプラズマ142を生成するので、プラズマ142は、リモートプラズマ142と呼ばれる。
【0092】
ガス送達システム130は、1つ又は複数のガス源150-1、150-2、…、及び150-N(まとめて、ガス源150)を含み、ここでNは1より大きい整数である。ガス源150は、バルブ152-1、152-2、…、及び152-N(まとめて、バルブ152)及び質量流量コントローラ154-1、154-2、…、及び154-N(まとめて、質量流量コントローラ154)によって、マニホールド156に接続される。マニホールド156は、ガスインジェクタ132に接続される。
【0093】
シャワーヘッド104については、図2図8を参照してさらに詳細に後述する。簡単に言うと、シャワーヘッド104のベース部分105は、孔の第1のセット(上述したように、ラジカル孔とも呼ばれる)160-1、160-2、…、及び160-N(まとめて、ラジカル孔160)を含み、ここでNは1より大きい整数である。ラジカル孔160は、シャワーヘッド104のベース部分105の上面162から、シャワーヘッド104のベース部分105の基板に面する下面164(フェースプレート164とも呼ばれる)まで延びる。
【0094】
さらに、シャワーヘッド104のベース部分105は、ラジカル孔160とは別個であり、かつラジカル孔160と流体連通しないプレナム166を含む。プレナム166は、第2のガス送達システム170から1つ又は複数の前駆体ガスを受け取る。シャワーヘッド104のベース部分105は、孔の第2のセット(上述したように、前駆体孔とも呼ばれる)172-1、172-2、…、及び172-N(まとめて、前駆体孔172)をさらに含み、ここでNは1より大きい整数である。前駆体孔172は、プレナム166からシャワーヘッド104のフェースプレート164まで延びる。ラジカル孔160は、プレナム166及び前駆体孔172とは流体連通しない。ラジカル孔160は、前駆体孔172よりも直径及び長さが大きい。
【0095】
シャワーヘッド104のベース部分105は、複数の溝168-1、168-2、…、及び168-N(まとめて、溝168)をさらに含み、ここでNは1より大きい整数である。溝168は、冷却剤が流れる冷却チャネル(図3を参照して説明)を形成する。流体送達システム180は、シャワーヘッド104のベース部分105内の入口(図3に示す)を介して、冷却剤を溝168に供給する。
【0096】
1つ又は複数の温度センサ(図示せず)が、シャワーヘッド104のベース部分105に配置されてもよい。温度センサは、温度コントローラ182に接続されてもよい。温度コントローラ182は、流体送達システム180から溝168への冷却剤の供給を制御して、シャワーヘッド104の温度を制御してもよい。
【0097】
さらに、図示しないが、台座112は、1つ又は複数のヒータと、流体送達システム180から冷却剤を受け取る冷却システムと、1つ又は複数の温度センサとを含んでもよい。温度コントローラ182は、台座112内の温度センサに接続されてもよい。温度コントローラ182は、ヒータへの電力供給を制御してもよい。温度コントローラ182は、流体送達システム180から台座112内の冷却システムへの冷却剤の供給を制御して、台座112の温度を制御してもよい。
【0098】
バルブ186及びポンプ188は、処理チャンバ103内の圧力を制御し、処理中に処理チャンバ103から反応物を排出してもよい。システムコントローラ190は、上述した基板処理システム100のコンポーネントを制御してもよい。
【0099】
ここで、シャワーヘッド104をさらに詳細に説明する。上述したように、シャワーヘッド104は、リモートプラズマ142からのイオンをフィルタリングし、リモートプラズマ142からのラジカルを、ラジカル孔160を介して処理チャンバ103内に通過させる。ラジカルは、シャワーヘッド104と台座112の間のギャップ内で前駆体と反応し、ALDなどのプロセスを使用して基板114上に薄膜が成膜される。ラジカルがシャワーヘッド104を通過するためにラジカル孔160によって提供される開放面積、ラジカル孔160及び前駆体孔172の密度及びパターン、並びにシャワーヘッド104の円筒部分107の構造及び機能特性は、全て以下に詳細に説明されるが、シャワーヘッド104を使用して成膜された膜において、半径及び方位角のゼロに近い不均一性を提供する。
【0100】
図2は、シャワーヘッド104の側面断面図である。シャワーヘッド104は、ベース部分105と、シャワーヘッド104のベース部分105から垂直に下方に延びる円筒部分107とを含む。シャワーヘッド104のベース部分105は水平であり、かつ台座112の上面116(図1参照)及び処理チャンバ103の底壁110(図1参照)に平行である。ベース部分105は、円筒部分107の外径(OD)から半径方向外側に延びて、フランジ200を形成する。フランジ200は、ファスナ202を用いて処理チャンバ103のトッププレート(図示せず)に固定される。Oリング(図示せず)が、フランジ200とトッププレートの間に配置され、シャワーヘッド104とトッププレートの間にシールを形成してもよい。
【0101】
シャワーヘッド104のベース部分105の上面162は、比較的小さい高さを有する環状リッジ210を含む。環状リッジ210は、図3図8、及び図9にも示されている。環状リッジ210は、ベース部分105の上面162を表面に載せた状態でシャワーヘッド104が当該表面上に置かれる場合(すなわち、シャワーヘッド104が当該表面上に伏せて置かれる場合)、シャワーヘッド104の取り扱い中にラジカル孔160を保護する。環状リッジ210の幅は、円筒部分107の厚さとほぼ同じである(ただし、必ずしも同じである必要はない)。
【0102】
シャワーヘッド104のベース部分105の上面162はまた、環状リッジ210のIDからシャワーヘッド104の中心まで広がる凹部212を含む。凹部212は、図3にも示されている。凹部212の直径は、シャワーヘッド104の円筒部分107のIDとほぼ同じである(ただし、必ずしも同じである必要はない)。例えば、凹部212の直径は、シャワーヘッド104の円筒部分107のID以下とすることもできる。ラジカル孔160は、凹部212の領域内に配置される。凹部212及び環状リッジ210は共に、シャワーヘッド104の取り扱い中に、ラジカル孔160を保護する。
【0103】
環状リッジ210のID及び凹部212の直径は、円筒部分107のIDにほぼ等しい。いくつかの例では、環状リッジ210のID及び凹部212の直径は、円筒部分107のIDよりも大きくてもよい。環状リッジ210のODは、円筒部分107のOD以上であってもよい。いくつかの例では、環状リッジ210のID及び凹部212の直径は、円筒部分107の内径より小さくてもよく、環状リッジ210のODは、円筒部分107のODより小さくてもよい。したがって、環状リッジ210の幅は、円筒部分107の厚さよりも大きいか、等しいか、又は小さくてもよい。
【0104】
シャワーヘッドのベース部分105は、プレナム166と、プレナム166からシャワーヘッド104のベース部分105を通り、かつフェースプレート164を通って垂直に延びる前駆体孔172とを含む。プレナム166については、以下で図3及び図4を参照してさらに詳細に示し、説明する。
【0105】
ラジカル孔160は、前駆体孔172よりも大きい直径及び長さを有する。ラジカル孔160は、220で示されるように、上端(すなわち、プラズマ源102に面する側、図1を参照)でテーパ状である。ラジカル孔160及び前駆体孔172は、円筒形であり、かつ、図6及び図7を参照して詳細に後述するパターンで配置される。図6及び図7を参照して詳細に説明するように、ラジカル孔160の総断面積は、リモートプラズマ142からのイオンをフィルタリングし、リモートプラズマ142からのラジカルのみを、シャワーヘッド104を介して処理チャンバ103内に通過させるように最適化される。
【0106】
シャワーヘッド104のベース部分105は、冷却剤が循環する冷却チャネルを形成する溝168を含む。溝168及び冷却チャネルについては、以下で図3及び図5を参照してさらに詳細に示し、説明する。
【0107】
シャワーヘッド104の円筒部分107の外壁109-1は、処理チャンバ103のトッププレートに直接接触しない。この特徴により、かつシャワーヘッド104の円筒部分107が、基板114が配置された台座112の上面116の下に垂直に延びているため(図1参照)、シャワーヘッド104の円筒部分107は、台座112の上面116のエッジの周りに対称な熱境界条件(すなわち、温度が比較的一定な領域)を提供する(図1参照)。したがって、台座112は、円筒部分107内で(すなわち、その高さを通じて)垂直に移動して、台座112の上面116のエッジを囲む熱境界条件を大きく変えることなく、シャワーヘッド104と台座112の間のギャップを調整でき、これは基板処理中に有利である。
【0108】
さらに、上記で説明したように、シャワーヘッド104の円筒部分107はまた、台座112が円筒部分107内で上又は下に移動したときに、台座112の上面116のエッジの周りのガス流に比較的一定の圧縮を提供する。これによって、円筒部分107が台座112の上面116のエッジを囲み、かつそれに近接しているため、台座112の上面116のエッジの周りのガス流条件が比較的一定に保たれるので、シャワーヘッド104と台座112の間のギャップにおけるガスの微容量を制御するプロセスが単純化される。したがって、台座112は、円筒部分107内で(すなわち、その高さを通じて)垂直に移動して、台座112の上面116のエッジの周りのガス流条件を大きく変えることなく、シャワーヘッド104と台座112の間のギャップを調整できる。
【0109】
シャワーヘッド104のフェースプレート164と台座112の上面116との間のギャップが調整可能であることにより、ALDプロセスにおける微容量の精密な制御が可能になる。さらに、シャワーヘッド104のフェースプレート164と台座112の上面116との間の狭いギャップは、ギャップ内の微容量におけるラジカルの枯渇を防ぐ。これらの特徴は、いずれもシャワーヘッド104の円筒部分107の構造上、提供できる。
【0110】
図3は、シャワーヘッド104の断面斜視図であり、シャワーヘッド104の構造をさらに詳細に示す。シャワーヘッド104は、第1のコンポーネント230-1、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3の3つのコンポーネントを含む。第1のコンポーネント230-1、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3は、共に拡散接合されて(又は、ファスナ若しくはろう付けを用いて共に接合されて)、シャワーヘッド104を形成する。
【0111】
第1のコンポーネント230-1は、トップ部分231と、シャワーヘッド104の円筒部分107とを含む。第1のコンポーネント230-1のトップ部分231、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3は、シャワーヘッド104のベース部分105を形成する。第1のコンポーネント230-1のトップ部分231は、平面であり、かつ円盤状である。円筒部分107は、トップ部分231の周縁から垂直に下方に延びる。第1のコンポーネント230-1のトップ部分231は、円筒部分107のODを越えて半径方向外側に延びる。したがって、第1のコンポーネント230-1のトップ部分231の直径は、円筒部分107のODよりも大きい。円筒部分107の内壁109-2内(すなわち、円筒部分107のID内)のトップ部分231の領域は、シャワーヘッド104のフェースプレート164を形成する。
【0112】
ラジカル孔160及び前駆体孔172は、円筒部分107のID以下の直径を有するフェースプレート164の領域内に存在する。ラジカル孔160及び前駆体孔172が存在する領域の直径は、基板114の直径よりも大きく、また、図1及び図6に見られるように、台座112の上面116のOD以上である(基板114の直径を示す図6に描かれた点線の円250を参照)。ラジカル孔160及び前駆体孔172が存在するフェースプレート164の領域は、図2を参照して上記に示し、説明した凹部212と同じ直径及び面積を有する。
【0113】
いくつかの例では、第1のコンポーネント230-1は、モノリシックであってもよい。すなわち、第1のコンポーネント230-1のトップ部分231及び円筒部分107は、互いに取り付けられている別個のコンポーネントでなくてもよく、むしろ、第1のコンポーネント230-1は一体構造であってもよく、かつ第1のコンポーネント230-1のトップ部分231は、単一のモノリシック構造として円筒部分107と統合されてもよい。或いは、いくつかの例では、トップ部分231及び円筒部分107は、(例えば、ファスナ又は拡散接合によって)共に接合されて第1のコンポーネント230-1を形成する別個のコンポーネントであってもよい。
【0114】
次に、第2のコンポーネント230-2を、第2のコンポーネント230-2の底面図及び上面図をそれぞれ示す図4及び図5を追加参照して説明する。第2のコンポーネント230-2は、第1のコンポーネント230-1の上面232上に配置され、かつそれに取り付けられている。第2のコンポーネント230-2は、円盤状であり、かつ第1のコンポーネント230-1のトップ部分231と同じ直径を有する。したがって、第2のコンポーネント230-2の直径も、円筒部分107のODより大きい。
【0115】
第2のコンポーネント230-2の上面234及び側面236と、第1のコンポーネント230-1の上面232とが、プレナム166を画定する。図4は、プレナム166をさらに詳細に示す。図4に示すように、第2のコンポーネント230-2の底面237は、底面237の周縁に沿って半円形又は馬蹄形の溝167を含む。溝167は、複数の出口169-1、169-2、…、及び169-N(まとめて、出口169)を介してプレナム166と流体連通しており、ここでNは1より大きい整数である。溝167は、入口171を介して、第3のコンポーネント230-3に設けられたガス入口240と流体連通しており、入口171は、ガス入口240と流体連通している。したがって、プレナム166は、溝167を介してガス入口240と流体連通している。
【0116】
ガス入口240は、図1に示される第2のガス送達システム170に接続される。プレナム166は、ガス入口240及び溝167を介して第2のガス送達システム170から1つ又は複数の前駆体を受け取る。プレナム166は、第1のコンポーネント230-1の前駆体孔172と流体連通している。前駆体は、ガス入口240から、溝167、プレナム166、及び前駆体孔172を介して、処理チャンバ103に流入する。
【0117】
ラジカル孔160は、第1のコンポーネント230-1、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3を貫通して穿孔される。したがって、第1のコンポーネント230-1、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3の各々は、ラジカル孔160の部分である貫通孔を含む。ラジカル孔160は第2のコンポーネント230-2を貫くので、第2のコンポーネント230-2は、ラジカル孔160の部分であり(したがって160とも示される)、かつ第1のコンポーネント230-1及び第3のコンポーネント230-3のラジカル孔160の部分と整列する貫通孔を含む。
【0118】
溝167は、ラジカル孔160の部分である第2のコンポーネント230-2の貫通孔160を囲むが、それと流体連通していない。第2のコンポーネント230-2の貫通孔160は、溝167、プレナム166、及び前駆体孔172と流体連通していない。したがって、ラジカル孔160は、プレナム166及び前駆体孔172と流体連通していない。
【0119】
第2のコンポーネント230-2の上面234は、冷却チャネルを形成する溝168を含む。図5は、溝168及び冷却チャネルをさらに詳細に示す。図5に示すように、第2のコンポーネント230-2の上面234は、上面234の周縁に沿って2つの円弧状又は半円形の溝173-1及び173-2(まとめて、溝173)を含む。溝173は、上面234の両側に位置する。溝173-1は、第3のコンポーネント230-3上に設けられた流体入口242と流体連通している入口177-1を含む。溝173-2は、第3のコンポーネント230-3上に設けられた流体出口244(図8及び図9に示す)と流体連通している出口177-2を含む。
【0120】
溝168は、互いに平行であり、かつ溝173間を、上面234を横切って延びる。溝168の各々は、溝173-1に接続された一端と、溝173-2に接続された他端とを有する。したがって、溝168は、溝173と流体連通している。溝173及び168は、冷却チャネルを形成する。
【0121】
溝173は半円形であるため、溝168の長さは様々である。溝168は、同じ幅と深さを有する。溝168は波状又は曲がった(すなわち、ジグザグ形状を有する)ものであるが、代わりに直線状にすることもできる。溝173は、互いに直接接続されておらず、むしろ、溝168によって溝173は互いに接続されている。溝173及び168によって形成される冷却チャネルは、点線の円250によって示される基板114の直径を越えて延びる。
【0122】
第3のコンポーネント230-3上に設けられた流体入口242は、流体送達システム180に接続されている。流体送達システム180は、流体入口242に冷却剤を供給する。冷却剤は、流体入口242を通って流れ、溝173-1、溝168、及び溝173-2を通り、流体出口244を通って出て行く。
【0123】
溝173は、複数のリッジ175-1、175-2、…、及び175-N(まとめて、リッジ175)を含み、ここでNは1より大きい整数である。リッジ175は、ほぼ楕円形の形状であるが、リッジ175は任意の他の形状とすることもできる。リッジ175は、溝173の底部から垂直に上方に延び、かつ第3のコンポーネント230-3の底面238に接触する。溝173の各々におけるリッジ175の数は、溝168の数とほぼ等しい(ただし、そうである必要はない)。
【0124】
リッジ175は、溝173、168を通る冷却剤の流れを導くのに役立つ。溝168の深さは、リッジ173の高さとほぼ等しい。溝168及び173は、同じ深さである。第2のコンポーネント230-2の底面237の溝167は、第2のコンポーネント230-2の上面234の溝173を囲む。
【0125】
図5に示すように、溝173は、ラジカル孔160の部分である第2のコンポーネント230-2の貫通孔160を囲むが、流体連通はしていない。ラジカル孔160の部分である第2のコンポーネント230-2の貫通孔160は、溝168の両側にある。
【0126】
第3のコンポーネント230-3は、第2のコンポーネント230-2の上面234上に配置され、かつそれに取り付けられている。第3のコンポーネント230-3も円盤状であり、また、第1のコンポーネント230-1のトップ部分231と同じ直径を有する。したがって、第3のコンポーネント230-3の直径も、円筒部分107のODより大きい。さらに、第2のコンポーネント230-2と第3のコンポーネント230-3は、同じ直径を有する。
【0127】
第3のコンポーネント230-3の上面162は、環状リッジ210と凹部212とを含む。凹部212は、環状リッジのIDから第3のコンポーネント230-3の上面162の中心まで広がる。環状リッジ210及び凹部212は、既に図示され、図2を参照して詳細に上述されている。したがって、環状リッジ210及び凹部212については、簡潔にするために再度説明はしない。
【0128】
第3のコンポーネント230-3は、ガス入口240と、流体入口242と、流体出口244とを含む(図8及び図9に示す)。上記で説明したように、ガス入口240は、第2のコンポーネント230-2の溝167及びプレナム166と流体連通している。流体入口242は、第2のコンポーネント230-2の溝173-1と流体連通している。流体出口244は、第2のコンポーネント230-2の溝173-2と流体連通している。
【0129】
したがって、流体入口242及び流体出口244は、第2のコンポーネント230-2の溝173及び168と流体連通している。流体送達システム180によって供給される冷却剤は、流体入口242に流入し、溝173、168によって形成された冷却チャネルを通り、流体出口244を通って冷却チャネルから出る。流体出口244から出た冷却剤は、流体送達システム180に戻されてもよい。
【0130】
上述のように、ラジカル孔160は、第1のコンポーネント230-1、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3を貫通して穿孔され、したがって、第1のコンポーネント230-1、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3の各々は、ラジカル孔160の部分である貫通孔を含む。ラジカル孔160は第3のコンポーネント230-3を貫くので、第3のコンポーネント230-3は、ラジカル孔160の部分であり(したがって160とも示される)、かつ第2のコンポーネント230-2及び第1のコンポーネント230-1のラジカル孔160の部分と整列する貫通孔を含む。第3のコンポーネント230-3の貫通孔160は、第2のコンポーネント230-2のプレナム166及び溝167、168、173と流体連通していない。したがって、第3のコンポーネント230-3の貫通孔160は、前駆体孔172と流体連通していない。
【0131】
第1のコンポーネント230-1、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3は、拡散接合によって共に接合される。拡散接合は、ろう付けを使用してコンポーネントを接合する場合に通常使用されるフィラーを排除する。フィラーを排除することで、ろう付け及びその後の洗浄後に留まる傾向にある残留フィラーによる汚染の可能性を排除する。或いは、ファスナ及び/又はろう付けを使用して、第1のコンポーネント230-1、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3を接合してもよい。
【0132】
第1のコンポーネント230-1、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3が(任意の方法を使用して)共に接合された後、図6及び図7を参照して後述するパターンで、ラジカル孔160が第1のコンポーネント230-1、第2のコンポーネント230-2、及び第3のコンポーネント230-3を貫通して穿孔される。前駆体孔172は、図6及び図7を参照して後述するパターンで、第1のコンポーネント230-1を貫通して穿孔される。第1のコンポーネント230-1の前駆体孔172は、第2のコンポーネント230-2のプレナム166と整列している。
【0133】
上述のように、ラジカル孔160は、円筒形であり、かつ前駆体孔172よりも大きい直径及び長さを有する。ラジカル孔160は、220で示すように、上端(すなわち、プラズマ源102に面する端部)においてテーパ状(円錐状)である。ラジカル孔160は、溝168、173、及び167、プレナム166、並びに前駆体孔172と流体連通していない。次に、ラジカル孔160及び前駆体孔172のパターン、レイアウト、及び密度を詳細に説明する。
【0134】
図6及び図7は、ラジカル孔160及び前駆体孔172を詳細に示す。図6は、シャワーヘッド104の底面図である。図7は、シャワーヘッド104の底面図の一部を拡大した図である。図6及び図7が示すように、ラジカル孔160及び前駆体孔172は、六角形/三角形のパターンで配置される。このパターンは、シャワーヘッド104の中心のまわりで均一である。六角形及び三角形は正六角形及び正三角形として以下に示され、説明されるが、他の多角形及び三角形が使用されてもよい。
【0135】
具体的には、図7に示すように、前駆体孔172は正六角形の頂点に配置される。図6の252に示すように、ラジカル孔160もまた、正六角形の頂点に配置されている。さらに、図7に示すように、前駆体孔172は、正三角形の頂点に配置される。ラジカル孔160は、前駆体孔172によって形成された三角形内に、三角形の頂点から等距離に存在する。ラジカル孔160は、正三角形の頂点にも配置される。ラジカル孔160によって形成された少なくともいくつかの三角形において、前駆体孔172は、ラジカル孔160によって形成された三角形内に存在する。前駆体孔172は、ラジカル孔160によって形成された三角形の頂点から等距離に存在する。
【0136】
図6の252に示すように、ラジカル孔160は、正六角形の頂点に配置され、ラジカル孔160によって形成された六角形内では、前駆体孔172が、三角形の頂点に配置され、三角形内にラジカル孔160が配置されている。図6の254に示すように、前駆体孔172は、正六角形の頂点に配置され、前駆体孔172によって形成された六角形内では、ラジカル孔160が、三角形の頂点に配置され、三角形内には前駆体孔172が配置されている。
【0137】
ラジカル孔160及び前駆体孔172は、フェースプレート164の全体に比較的密に上記パターンで配置される。例えば、ラジカル孔160及び前駆体孔172の平均密度は、1平方インチあたり約4.5個の孔であってもよい。例えば、平均密度は、1平方インチあたり4~5個の孔であってもよい。
【0138】
さらに、ラジカル孔160の数と前駆体孔172の数は、ほぼ等しくてもよい。いくつかの例では、ラジカル孔160の数は、前駆体孔172の数よりもわずかに多くてもよい。例えば、前駆体孔172の数に対するラジカル孔160の数の比は、1.00から1.05の間であってもよい。
【0139】
さらに、ラジカル孔160及び前駆体孔172は、フェースプレート164の全体に(すなわち、円筒部分107の中心からIDまで)、上記のパターンで、かつ上記の密度で分布する。図6は、基板114の直径を表す円250を示す。図示されるように、ラジカル孔160及び前駆体孔172のパターン及び密度は、フェースプレート164において、円250を越えて円筒部分107のIDまで半径方向に広がる。ラジカル孔160及び前駆体孔172のパターン及び密度が、基板114のODを超えて半径方向に広がることにより、フェースプレート164の中心から、少なくともフェースプレート164上で円250(すなわち、基板114のOD)が広がるところまで、パターン及び密度が均一になることを保証する。
【0140】
これらのパターン及び密度の特徴の範囲及び均一性のために、材料は、基板114上に均一に堆積させることができる。例えば、プラズマ源102及びシャワーヘッド104を使用して基板114上に堆積された材料において、0.0%、0.1%未満、0.5%未満、又は1%未満の不均一性を達成できる。
【0141】
さらに、ラジカル孔160のサイズ(直径及び長さ)及び数などの特性は、リモートプラズマ142からのラジカルがプラズマ源102からシャワーヘッド104を通って処理チャンバ103内へと通過できる効率性を決定する。これらの特性のいくつかは、ラジカル孔160を通過できるラジカルの数を増やすために増加させることができるが、ラジカル孔160の一部のサイズ又はアスペクト比では、シャワーヘッド104は、リモートプラズマ142からのイオンを効果的にフィルタリングすることができない。したがって、ラジカル孔160は、イオンをフィルタリングしながらも、ラジカルがプラズマ源102からシャワーヘッド104を通過するために開放されている面積の割合が比較的高くなるように設計される(例を続ける)。
【0142】
具体的には、ラジカルがプラズマ源102からシャワーヘッド104を通過するために開放されている面積の割合は、シャワーヘッド104に取り付けられているプラズマ源102の底部の断面積に対する、全てのラジカル孔160の総断面積の比率として定義される。プラズマ源102及びシャワーヘッド104は、シャワーヘッド104の穴106の断面積(すなわち、円筒部分107の内壁109-2の断面積)が、プラズマ源102の底部の断面積と実質的に同じであり、したがって、その代用にできるように設計されている。
【0143】
したがって、ラジカルがプラズマ源102からシャワーヘッド104を通過するために開放されている面積の割合は、シャワーヘッド104の穴106の断面積(すなわち、円筒部分107の内壁109-2の断面積)に対する、全てのラジカル孔160の総断面積の比率として定義できる。数学的には、この比率は、ラジカル孔160の数にラジカル孔160の直径の2乗を乗じたものを、シャワーヘッド104の穴106のIDの2乗(すなわち、円筒部分107の内壁109-2の断面積)で割ったものに等しい。
【0144】
この面積の割合は、リモートプラズマ142からのイオンをフィルタリングしながらラジカルが通過できる効率を決定するが、面積の割合は、上述のラジカル孔160及び前駆体孔172のパターンと密度の組み合わせを使用することによって達成される不均一性をも改善する。例えば、基板114上に堆積された材料においてゼロに近い不均一性(上記の例を参照)を達成するために、上述のラジカル孔160及び前駆体孔172のパターン及び密度に加えて、ラジカルがシャワーヘッド104を通過するために開放されている面積の割合は、約5%であってもよい。例えば、面積の割合は、4.5%以上5.5%以下であってもよい。例えば、面積の割合は、4%以上6%以下であってもよい。
【0145】
さらに、面積の割合を最適化すると、ラジカルがシャワーヘッドを通過して処理チャンバ103に入ることのできる効率が高まるので、上述のように設計されたパターン、密度、及び面積の割合を使用して、プロセスサイクル(例えば、ALDサイクル)を迅速に実行できる。プロセスサイクルを迅速に実行できるので、所与の時間内に基板を処理できる速度(すなわち、スループット)が増加する。
【0146】
図8は、シャワーヘッド104の上面図を示す。この図では、ラジカル孔160のみが見えており、前駆体孔172は見えていない。さらに、プレナム166に接続するガス入口240が示されている。さらに、溝168によって形成されたチャネルに接続する流体入口242と、さらに流体出口244が示されている。さらに、この図では、ラジカル孔160の上部におけるテーパ付けが220で示されている。環状リッジ210及び凹部212も示されている。この図に見られるこれら及び他の要素は、図2及び図3を参照して既に詳細に上述されている。したがって、簡潔にするために、これらの要素については再度説明しない。
【0147】
図9及び図10はそれぞれ、シャワーヘッド104の上部及び底部の斜視図を示す。ここでも、図9に示すシャワーヘッド104の上部の斜視図には、ラジカル孔160のみが見えており、前駆体孔172は見えていない。さらに、プレナム166に接続するガス入口240が示されている。さらに、溝168によって形成されたチャネルに接続する流体入口242及び流体出口244が示されている。この図は、他の図面よりも、シャワーヘッド104の円筒部分107を良く見えるようにするものである。
【0148】
図10に示すシャワーヘッド104の底部の斜視図では、ラジカル孔160及び前駆体孔172は、図7及び図8を参照して上述したパターンで、シャワーヘッド104の円筒部分107のIDまでずっと広がるように示される。さらに、シャワーヘッド104のベース部分105に対するシャワーヘッド104の円筒形部分107の範囲(又は高さ)は、この図においてシャワーヘッド104の底部から知覚できる。
【0149】
前述の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その応用又は用途を限定することを意図しない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施できる。したがって、本開示は特定の例を含むが、他の変形が図面、明細書、及び以下の特許請求の範囲の検討により明らかになるので、本開示の真の範囲はそれほど限定されるべきではない。
【0150】
本開示の原理を変更することなく、方法内の1つ又は複数のステップを異なる順序で(又は同時に)実行してもよいことを理解されたい。さらに、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして上述されているが、本開示の任意の実施形態に関して説明されたそれらの特徴のうちの任意の1つ又は複数は、他の任意の実施形態において実装することができ、かつ/又はその組み合わせが明示的に説明されていなくても、他の任意の実施形態の特徴と組み合わせることができる。言い換えれば、記載された実施形態は、相互に排他的ではなく、1つ又は複数の実施形態を互いに入れ替えることは、本開示の範囲内である。
【0151】
要素間(例えば、モジュール、回路素子、半導体層などの間)の空間的及び機能的関係は、「接続された」、「係合した」、「連結された」、「隣接する」、「~の隣」、「~の上」、「上方」、「下方」、及び「配置された」などの様々な用語を用いて説明される。「直接的」であると明示的に記載されていない限り、第1及び第2の要素間の関係が上記開示に記載される場合、その関係は、第1及び第2の要素間に他の介在要素が存在しない直接的関係であり得るが、第1及び第2の要素間に(空間的又は機能的に)1つ又は複数の介在要素が存在する間接的関係である可能性もある。本明細書で使用される場合、A、B、及びCの少なくとも1つというフレーズは、非排他的論理ORを用いた論理(A又はB又はC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、及びCの少なくとも1つ」を意味すると解釈されるべきではない。
【0152】
いくつかの実施態様では、コントローラはシステムの一部であり、システムは上述の例の一部であり得る。このようなシステムは、1つ又は複数の処理ツール、1つ又は複数のチャンバ、1つ又は複数の処理用プラットフォーム、及び/又は特定の処理コンポーネント(台座、ガス流システムなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウェハ又は基板の処理前、処理中、及び処理後にそれらの動作を制御するための電子機器と統合されてもよい。電子機器は「コントローラ」と呼ばれることもあり、1つ又は複数のシステムの様々なコンポーネント又は子部品を制御してもよい。
【0153】
コントローラは、処理要件及び/又はシステムの種類に応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、液体送達設定、位置及び動作設定、ツールへのウェハの搬入出、並びに、特定のシステムに接続又は連動する他の搬送ツール及び/又はロードロックへのウェハの搬入出を含む、本明細書に開示されるプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。
【0154】
大まかに言えば、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの、様々な集積回路、論理、メモリ、及び/又はソフトウェアを有する電子機器として定義され得る。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、特定用途向け集積回路(ASICs)として定義されるチップ、及び/又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ又は複数のマイクロプロセッサ若しくはマイクロコントローラを含んでもよい。
【0155】
プログラム命令は、半導体ウェハに対して、半導体ウェハのために、又はシステムに対して、特定のプロセスを実行するための動作パラメータを定義する、様々な個々の設定(又はプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であってもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、1つ又は複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、及び/又はウェハのダイの製造中に1つ又は複数の処理ステップを達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0156】
コントローラは、いくつかの実施態様において、システムに統合された、システムに接続された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、又はそれらの組み合わせであるコンピュータの一部であってもよく、又はそのようなコンピュータに接続されていてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」、すなわちファブホストコンピュータシステムの全体又は一部であってもよく、これによりウェハ処理の遠隔アクセスが可能になる。コンピュータは、製造動作の現在の進行状況を監視し、過去の製造動作の履歴を調査し、複数の製造動作から傾向又は性能基準を調査し、現在の処理のパラメータを変更し、処理ステップを設定して現在の処理を追跡し、又は新たなプロセスを開始するために、システムへの遠隔アクセスを可能にしてもよい。
【0157】
いくつかの例では、遠隔コンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを介してシステムにプロセスレシピを提供でき、ネットワークはローカルネットワーク又はインターネットを含んでもよい。遠隔コンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力又はプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでもよく、パラメータ及び/又は設定は次いで遠隔コンピュータからシステムへと伝達される。いくつかの例では、コントローラは、1つ又は複数の動作中に実施される処理ステップのそれぞれのパラメータを指定する、データの形式の命令を受け取る。パラメータは、実施されるプロセスの種類及びコントローラがインタフェース接続する又は制御するように構成されたツールの種類に特有のものであってもよいことを理解されたい。
【0158】
したがって、上述したように、コントローラは、共にネットワーク化され、本明細書に記載のプロセス及び制御などの共通の目的にむけて動作する1つ又は複数の個別のコントローラを含むことなどにより、分散されてもよい。そのような目的のための分散型コントローラの一例は、遠隔地に設置され(プラットフォームレベルで、又は遠隔コンピュータの一部としてなど)、チャンバでのプロセスを協同で制御する1つ又は複数の集積回路と通信するチャンバ上の1つ又は複数の集積回路である。
【0159】
システムの例は、プラズマエッチングチャンバ又はモジュール、成膜チャンバ又はモジュール、スピンリンスチャンバ又はモジュール、金属メッキチャンバ又はモジュール、洗浄チャンバ又はモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ又はモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバ又はモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバ又はモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバ又はモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバ又はモジュール、イオン注入チャンバ又はモジュール、トラックチャンバ又はモジュール、並びに半導体ウェハの製作及び/又は製造に関連し得る、又は使用し得る、任意の他の半導体処理システムを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0160】
上述のように、ツールによって実行される1つ又は複数のプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路又はモジュール、他のツールコンポーネント、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接ツール、近隣ツール、工場全体に配置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場内のツール位置及び/又はロードポートへウェハの容器を搬入出する材料搬送に用いられるツールの、1つ又は複数と通信してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】