(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(54)【発明の名称】コーティングを作成するように指定された乾燥プロセスを調整するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
F26B 25/00 20060101AFI20231017BHJP
F26B 13/10 20060101ALI20231017BHJP
H01M 4/139 20100101ALN20231017BHJP
【FI】
F26B25/00 A
F26B13/10 Z
H01M4/139
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519573
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2021076839
(87)【国際公開番号】W WO2022069572
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュミット-ハンスベルク,ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】ヒャン-ブラウン,クレーメンス・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,マルセル
(72)【発明者】
【氏名】セティネル,ファティ
(72)【発明者】
【氏名】エバリー,フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】ボルフ,ウーベ
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
3L113
5H050
【Fターム(参考)】
3L113AA08
3L113AB02
3L113AC01
3L113AC31
3L113AC45
3L113AC46
3L113BA34
3L113CB21
3L113CB34
3L113DA30
5H050AA19
5H050BA17
5H050GA02
5H050GA22
5H050GA29
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの基材(118、118’)上に少なくとも1つのコーティング(112、112’)を作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法(410)及びシステム(420)に関し、少なくとも1つの乾燥プロセスは、少なくとも1つの基材(118、118’)上に堆積された少なくとも1つの調製物に適用され、少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)を含み、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)の後に少なくとも1つのコーティング(112、112’)が作成される。本明細書において、方法(410)は、以下の工程、すなわち、
(i)少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)のレイアウトに関する情報(154、156、158)、調製物の組成に関する情報(154、156、158)、及び少なくとも1つの基材(118、118’)に関する情報(154、156、158)を受け取る工程と、
(ii)乾燥段階(222、224、226)の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値(162)を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いる工程と、
(iii)乾燥段階(222、224、226)の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値(162)を少なくとも1つのモデル及び情報(154、156、158)に基づいて決定する工程と、
(iv)乾燥段階(222、224、226)の少なくとも1つの最中に使用されるのに適した少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値(162)を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順(166)を提供する工程と、を含む。更に開示されるのは、少なくとも1つの基材(118、118’)上に少なくとも1つのコーティング(112、112’)を連続的に作成するための関連する方法及びシステム(110)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの基材(118、118’)上に少なくとも1つのコーティング(112、112’)を作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法(410)であって、前記少なくとも1つの乾燥プロセスは、前記少なくとも1つの基材(118、118’)上に堆積された少なくとも1つの調製物に適用され、前記少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)を含み、前記少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)の後に前記少なくとも1つのコーティング(112、112’)が作成され、前記方法(410)は、以下の工程、すなわち、
(i)前記少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)のレイアウトに関する情報(154、156、158)、前記調製物の組成に関する情報(154、156、158)、及び前記少なくとも1つの基材(118、118’)に関する情報(154、156、158)を受け取る工程と、
(ii)前記乾燥段階(222、224、226)の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値(162)を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いる工程と、
(iii)前記乾燥段階(222、224、226)の前記少なくとも1つの最中に使用される前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータの前記少なくとも1つの予測値(162)を前記少なくとも1つのモデル及び前記情報(154、156、158)に基づいて決定する工程と、
(iv)前記乾燥段階(222、224、226)の前記少なくとも1つの最中に使用されるのに適した前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータの前記少なくとも1つの予測値(162)を含む前記少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順(166)を提供する工程と、
を含む、コンピュータ実施方法(410)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのモデルは、前記乾燥段階(222、224、226)の前記少なくとも1つの最中に使用される前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの既知の値を使用することにより生成され、前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータの前記少なくとも1つの既知の値は、前記少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)の少なくとも1つのテストレイアウトを含む少なくとも1つのテスト乾燥プロセスで取得される、先行する請求項に記載のコンピュータ実施方法(410)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのモデルは、前記調製物の組成、前記調製物の少なくとも1つの成分の少なくとも1つの性質に関連する少なくとも1つのパラメータ、前記少なくとも2つの乾燥段階(222、224、226)の後の、前記少なくとも1つのコーティング(112、112’)に関連する少なくとも1つの材料パラメータの少なくとも1つの測定値、前記少なくとも1つのコーティング(112、112’)中のクラック形成に対する少なくとも1つの既知の影響、及び前記乾燥段階(222、224、226)の前記少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータの結果としての少なくとも1つのエネルギー消費値、のうちの少なくとも1つに基づく、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法(410)。
【請求項4】
前記少なくとも2つの乾燥段階(222、224、226)の後の、前記少なくとも1つのコーティング(112、112’)に関連する前記少なくとも1つの材料パラメータは、前記少なくとも1つの基材(118、118’)上の前記少なくとも1つのコーティング(112、112’)の付着力、及び少なくとも1つの用途における前記少なくとも1つのコーティングの性能のうちの少なくとも1つに関連する少なくとも1つのパラメータから選択される、先行する請求項に記載のコンピュータ実施方法(410)。
【請求項5】
前記少なくとも1つのモデルは、前記少なくとも1つの基材(118、118’)上の前記少なくとも1つのコーティング(112、112’)の付着力、及び少なくとも1つの用途における前記少なくとも1つのコーティング(112、112’)の前記性能のうちの少なくとも1つに関連する前記少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値を増加させること、並びに前記少なくとも1つのコーティング(112、112’)中のクラック形成に対する前記少なくとも1つの既知の影響及び前記少なくとも1つのエネルギー消費値の少なくとも1つの値を減少させることを目的とした最適化手順を適用することによって生成される、2つの先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法(410)。
【請求項6】
前記逐次的な乾燥段階(222、224、226)は、少なくとも1つの初期乾燥段階(222)と前記少なくとも1つの初期乾燥段階(222)に続く少なくとも1つの重要乾燥段階(224)とを含み、前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータは、前記少なくとも1つの重要乾燥段階(224)中に、前記少なくとも1つの初期乾燥段階(222)中に調整された前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータと異なるように調整される、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法(410)。
【請求項7】
少なくとも3つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)を含み、前記少なくとも3つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)は、前記少なくとも1つの重要乾燥段階(224)に続く少なくとも1つの最終乾燥段階(226)を更に含み、前記少なくとも1つの最終乾燥段階(226)中の前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータは、前記少なくとも1つの重要段階(224)中に調整された前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータと異なるように調整される、先行する請求項に記載のコンピュータ実施方法(410)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの推奨手順(166)は、前記少なくとも1つの乾燥段階(222、224、226)中に前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータを一定値に調整することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法(410)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータは、前記少なくとも1つの乾燥段階(222、224、226)中の個々の温度プロファイル及び個々の熱伝達プロファイルのうちの少なくとも1つを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法(410)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの推奨手順(166)は、少なくとも1つの温度制御ユニットを設定することによって前記個々の温度プロファイル、及び少なくとも1つのブローユニットを設定することによって前記個々の熱伝達プロファイルの少なくとも1つを調整することを含む、先行する請求項に記載のコンピュータ実施方法(410)。
【請求項11】
前記少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)のレイアウトに関する前記情報(154、156、158)、前記調製物の組成に関する前記情報(154、156、158)、及び前記少なくとも1つの基材(118、118’)に関する前記情報(154、156、158)を提供する工程と、前記乾燥段階(222、224、226)の前記少なくとも1つの最中に使用されるのに適した前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータの前記少なくとも1つの予測値(162)を含む前記少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための前記少なくとも1つの推奨手順(166)を受け取る工程とを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの基材(118、118’)上に前記少なくとも1つのコーティング(112、112’)を前記作成することは、前記少なくとも1つの基材(118、118’)上に前記少なくとも1つの調製物を連続的に堆積させることによって連続的なやり方で実施され、少なくとも1つのテープ(116)は前記少なくとも1つの基材(118、118’)であり若しくは前記少なくとも1つの基材(118、118’)を含み、又は前記少なくとも1つのテープ(116)は前記少なくとも1つの基材(112、112’)を担持し、前記少なくとも1つのテープ(116)は前記少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)中にあるテープ速度(122)で移動し、前記少なくとも1つのモデルは更に、前記テープ速度(122)の予測値(164)を生成するように構成されており、前記テープ速度(122)の前記予測値(164)は更に決定され、前記少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための前記少なくとも1つの推奨手順(166)は、前記テープ速度(122)の前記予測値(164)を出力することを更に含む、先行する請求項のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法(410)。
【請求項13】
少なくとも1つの基材(118、118’)上に少なくとも1つのコーティング(112、112’)を作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのシステム(420)であって、
- 少なくとも1つの処理ユニット(146)であって、前記少なくとも1つの処理ユニット(146)は、少なくとも1つの基材(118、118’)上に少なくとも1つのコーティング(112、112’)を作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法(410)を実施するように構成されており、前記少なくとも1つの乾燥プロセスは、前記少なくとも1つの基材(118、118’)上に堆積された少なくとも1つの調製物に適用され、前記少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)を含み、前記少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)の後に前記少なくとも1つのコーティング(112、112’)が作成され、前記方法(410)は、以下の工程、すなわち、
(i)前記少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)のレイアウトに関する情報(154、156、158)、前記調製物の組成に関する情報(154、156、158)、及び前記少なくとも1つの基材(118、118’)に関する情報(154、156、158)を受け取る工程と、
(ii)前記乾燥段階(222、224、226)の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値(162)を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いる工程と、
(iii)前記乾燥段階(222、224、226)の前記少なくとも1つの最中に使用される前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータの前記少なくとも1つの予測値(162)を前記少なくとも1つのモデル及び前記情報(154、156、158)に基づいて決定する工程と、
(iv)前記乾燥段階(222、224、226)の前記少なくとも1つの最中に使用される前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータの前記少なくとも1つの予測値(162)を含む前記少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順(166)を提供する工程と、
を含む、少なくとも1つの処理ユニット(146)と、
- 工程(i)に従って前記情報(154、156、158)を受け取るように構成された少なくとも1つの通信インターフェイス(168)と、
- 工程(iv)に従って前記少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための前記少なくとも1つの推奨手順(166)を提供するように構成されている少なくとも1つの更なる通信インターフェイス(168)と、
を含む、システム(420)。
【請求項14】
少なくとも1つのコーティング(112、112’)を作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのシステムであって、
- 少なくとも1つの乾燥プロセスで使用される少なくとも1つの調製物の少なくとも1つの成分であって、前記少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)を含み、前記少なくとも2つの逐次的な乾燥段階(222、224、226)の後に、前記少なくとも1つの成分を使用することによって少なくとも1つのコーティング(112、112’)が作成される、少なくとも1つの調製物の少なくとも1つの成分と、
- 前記少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順(166)であって、前記少なくとも1つの推奨手順(166)は、前記乾燥段階(222、224、226)の前記少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値(162)を含む、少なくとも1つの推奨手順(166)と、
を含む、システム。
【請求項15】
少なくとも1つの基材(118、118’)上に少なくとも1つのコーティング(112、112’)を連続的に作成する方法であって、以下の工程、すなわち、
a)少なくとも1つのテープ(116)をコーティングデバイス(120)に導入する工程であって、前記コーティングデバイス(120)は、少なくとも1つの適用エリア(126、126’)及び少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーン(130、130’、130’’)にわたって前記少なくとも1つのテープ(116)をあるテープ速度(122)で移動させるように構成されており、各乾燥ゾーン(130、130’、130’’)は少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)を含み、前記コーティングデバイス(120)は更に、前記テープ速度(122)、及び各乾燥ゾーン(130、130’、130’’)内の前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つを調整するように構成されている、導入する工程と、
b)前記少なくとも1つの適用エリア(126、126’)内で少なくとも1つの基材(118、118’)の少なくとも1つの面(114、114’)上に少なくとも1つの調製物を堆積させる工程であって、前記少なくとも1つのテープ(116)は前記少なくとも1つの基材(118、118’)である若しくは前記少なくとも1つの基材(118、118’)を含む、又は前記少なくとも1つのテープ(116)は前記少なくとも1つの基材(118、118’)を担持する、堆積させる工程と、
c)前記テープ速度(122)、及び前記乾燥ゾーン(130、130’、130’’)のうちの前記少なくとも1つの少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値(162、164)を前記少なくとも2つの乾燥ゾーン(130、130’、130’’)のレイアウトに関する情報(154、156、158)、前記調製物の組成に関する情報(154、156、158)、及び前記少なくとも1つの基材(118、118’)に関する情報(154、156、158)に基づいて生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いる工程と、
d)前記テープ速度(122)、及び前記乾燥ゾーン(130、130’、130’’)のうちの前記少なくとも1つの前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの前記少なくとも1つの予測値(162、164)を前記少なくとも1つのモデル及び前記情報(154、156、158)に基づいて決定する工程と、
e)前記テープ速度(122)、及び前記乾燥ゾーン(130、130’、130’’)のうちの前記少なくとも1つの前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの前記少なくとも1つの予測値(162、164)を含む少なくとも1つの推奨手順(166)を使用することによって少なくとも1つの乾燥プロセスを調整する工程と、
f)前記少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーン(130、130’、130’’)内で前記少なくとも1つの調製物を乾燥させる工程であって、それにより、前記ついに1つのコーティング(112、112’)が得られる、乾燥させる工程と、
を含む、方法。
【請求項16】
少なくとも1つの基材(118、118’)上に少なくとも1つのコーティング(112、112’)を連続的に作成するためのシステム(110)であって、
- コーティングデバイス(120)であって、前記コーティングデバイス(120)は、
・少なくとも1つのテープ(116)をあるテープ速度(122)で移動させるように構成されたついに1つのコンベヤドライブと、
・前記テープ(116)の少なくとも1つの面(114、114’)上に堆積される少なくとも1つの調製物を提供するように構成された少なくとも1つの適用エリア(126、126’)と、
・前記少なくとも1つの調製物を乾燥するように構成された少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーン(130、130’、130’’)であって、各乾燥ゾーン(130、130’、130’’)は少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)を含む、乾燥ゾーン(130、130’、130’’)と、
を含む、コーティングデバイス(120)と、
- 少なくとも1つのプログラム可能装置(140)であって、前記少なくとも1つのプログラム可能装置(140)は、
(i)前記少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーン(130、130’、130’’)のレイアウトに関する情報(154、156、158、160)、前記調製物の組成に関する情報(154、156、158、160)、前記少なくとも1つの基材(118、118’)に関する情報(154、156、158、160)、及び前記テープ速度(122)に関する情報(154、156、158、160)を受け取り、
(ii)前記テープ速度(122)、及び前記乾燥ゾーン(130、130’、130’’)のうちの少なくとも1つ内で使用される少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値(162、164)を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用い、
(iii)前記テープ速度(122)、及び前記乾燥ゾーン(130、130’、130’’)のうちの前記少なくとも1つ内の前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの前記少なくとも1つの予測値(162、164)を前記少なくとも1つのモデル及び前記情報(154、156、158、160)に基づいて決定し、
(iv)前記テープ速度(122)、及び前記乾燥ゾーン(130、130’、130’’)のうちの前記少なくとも1つ内の前記少なくとも1つの関連する乾燥機(132、132’、132’’)の前記少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの前記少なくとも1つの予測(162、164)値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順(166)を提供する
ように構成されている、少なくとも1つのプログラム可能装置(140)と、
- 少なくとも1つの制御ユニット(170)であって、
・前記少なくとも1つのプログラム可能装置(140)と相互作用し、
・少なくとも1つの推奨手順(166)を実施することにより前記少なくとも1つの乾燥プロセスを調整することによって前記コーティングデバイス(120)を制御する
ように構成されている、少なくとも1つの制御ユニット(170)と、
を含む、システム(110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明の分野
本発明は、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法及びシステム、並びにコンピュータ実施方法及びシステムを伴う、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成するための関連方法及びシステムに関する。特に、本発明は、バッテリー電極又は太陽電池の生産中に行われる少なくとも1つの乾燥プロセスの調整に関する。しかしながら、更に別の用途も可能である。
【背景技術】
【0002】
従来技術
少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された乾燥プロセス並びに少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成するための方法及びシステムは周知である。バッテリー電極又は太陽電池の光活性層などの特定の製品の生産プロセス中に行われ得るそのような乾燥プロセスの調整は、特に、同時に、製品品質を恒常的に又はプロセス効率を高めて改善するために推進され得る。
【0003】
一例として、S.Jaiser,Film Formation of Lithium-Ion Battery Electrodes during Drying,Dissertation,Karlsruher Institut fuer Technologie(KIT),2017,pp.227-228は、特定の乾燥プロファイルを使用してリチウムイオンバッテリーの負極の乾燥時間を削減するための基本手法について記述している。グラファイト負極の付着力に関しては、乾燥境界条件に対して明確な感度を呈する特徴的な段階の存在が示されている。低い蒸発速度は、特徴的な段階中に、基材に近い膜領域でバインダーが枯渇することを防ぐために調整された。総乾燥時間を削減するために、高い蒸発速度は初期乾燥段階及び最終乾燥段階中に調整された。この目的のために、空気力学的ガスフロー条件の変更によって、乾燥蒸発速度を単独で変化させていた。乾燥中の膜温度及び気相中の溶媒負荷量が主要な乾燥パラメータと考えられていた。
【0004】
更なる例として、Sanyal et al.,Adv.Energy Mater.2011,1,363-367は、有機太陽電池の製造における乾燥条件の関連性について記述している。更に、Schmidt-Hansberg et al.,ACS Nano 2011,5,11,8579-8590はまた、構造形成、したがって太陽電池の性能を担うある重要な事柄が乾燥工程に存在することを示していた。
【0005】
米国特許出願公開第2019/081317 A1号明細書は、両面コーティングシステム及びバッテリー電極として有用な基材などの基材をコーティングする方法を開示している。
【0006】
国際公開第2014/129214 A1号パンフレットは、コーティングを乾燥させるためのシミュレーションデバイスとコーティングを乾燥させるためのデバイスとを開示している。
【0007】
更に、Ternes et al.,Adv.Energy Mater.2019,9,1901581は、ペロブスカイト太陽電池の乾燥プロセスパラメータと太陽電池層構造と太陽電池性能との間の相関関係を明らかにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決される課題
したがって、本発明の目的は、既知の上記の技術的な欠点及び短所を少なくとも一部克服することができる、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法及びシステム、並びに少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するための方法及びシステムを提供することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスの調整への簡単且つ簡便なアクセスを提供することである。乾燥プロセスの調整は、その製造に少なくとも1つの乾燥プロセスを含む製品の品質を、特に生産中のスループット、少なくとも1つのコーティングの性能、及び乾燥プロセス中のエネルギー消費量のうちの少なくとも1つに関して、恒常的に又は乾燥プロセスの効率を高めて改善するように設計され得ることが特に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
この課題は、独立特許請求項の特徴を有する本発明によって解決される。個別に又は組み合わせて実施することができる本発明の有利な発展形態は、従属請求項並びに/又は以下の明細書及び詳細な実施形態に示されている。
【0011】
本発明の第1の態様では、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法が開示される。本明細書では、少なくとも1つの乾燥プロセスは、少なくとも1つの基材上に堆積された少なくとも1つの調製物に適用され、少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階を含み、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階の後に少なくとも1つのコーティングが作成される。本発明によれば、本方法は、以下の工程、すなわち、
(i)少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報を受け取る工程と、
(ii)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いる工程と、
(iii)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定の少なくとも1つの予測値を少なくとも1つのモデル及び情報に基づいて決定する工程と、
(iv)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用されるのに適した少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を提供する工程と、
を含む。
【0012】
特に、乾燥段階は、コーティングデバイスの乾燥ゾーンの数又は位置と無関係であり得る。
【0013】
乾燥段階のレイアウトは、特に、コーティングデバイスの乾燥ゾーンのレイアウトを指すことがある。
【0014】
一般に使用する場合、「コンピュータ実施方法」という用語は、少なくとも1つのプログラム可能装置、特に、コンピュータ、サーバ、コンピュータネットワーク、又は移動通信デバイスを伴う特定の種類の方法に関し、本方法の全ての工程は、コンピュータプログラムを使用することによって実施される。「コンピュータネットワーク」という用語は、少なくとも2つのコンピュータと少なくとも1つの通信インターフェイスとを含み、ついに(at last)1つのコンピュータが少なくとも1つの通信インターフェイスを介して少なくとも1つの更に別のコンピュータにアクセスを有する任意の種類のインフラを指す。本明細書では、コンピュータネットワークは、好ましくは、インターネット、イントラネット、又はローカルエリアネットワークのうちの少なくとも1つから選択され得る。しかしながら、更に別の種類のコンピュータネットワークも可能であり得る。更に、「移動通信デバイス」という用語は、ユーザによって持ち運ばれるように構成されており、したがってユーザとともに移動可能であり得る特定のタイプのプログラム可能装置を指す。本明細書では、移動通信デバイスは、好ましくは、スマートフォン、タブレット、又はパーソナルデジタルアシスタントのうちの少なくとも1つから選択され得る。しかしながら、更に別の種類の移動通信デバイスも可能であり得る。
【0015】
更に、一般に使用する場合、「コンピュータプログラム」及び「ソフトウェア」という用語は、命令のうちの少なくとも1つの結果として少なくとも1つの方法工程を実施するためにプログラム可能装置に提供されるように構成された一連のコンピュータ可読命令に関連する。この目的のために、コンピュータプログラムは、少なくとも1つの方法工程が直接的又は間接的に実施される少なくとも1つの特定の操作を実行するように構成された少なくとも1つのアルゴリズムを含むことができる。コンピュータプログラムは、特に代金決済及び/若しくはライセンシングによって少なくとも1人のユーザに譲渡されるように構成された「製品としてのソフトウェア」から、又は中央でホストされ、特にサブスクリプションベースでのネットワークアクセス用に構成された少なくとも1つの通信インターフェイスを介し、少なくとも1人のユーザによって使用されるように構成された「サービスとしてのソフトウェア」から選択され得る。
【0016】
本発明によるコンピュータ実施方法は、好ましくはこの目的のために構成されたコーティングデバイス内で少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するように設計されている。本明細書では、少なくとも1つの乾燥プロセスは、少なくとも1つの基材上に堆積された少なくとも1つの調製物に適用される。一般に使用する場合、「調製物」という用語は、少なくとも2つの異なる成分、すなわち、少なくとも1つの第1の成分と少なくとも1つの第2の成分とを含む物質を指す。本明細書では、少なくとも1つの第1の成分は、複数の少なくとも1つの固体成分であり得、又は複数の少なくとも1つの固体成分を含み得、少なくとも1つの固体成分は、複数の、結晶粒子、アモルファス粒子、又は溶解した分子のうちの少なくとも1つを含み得る。特に、固体成分の全体は、「マトリックス」と示されることもある。更に、少なくとも1つの第2の成分は、「溶媒」という用語によっても表される少なくとも1つの流体成分であり得、又はこうした流体成分を含み得、少なくとも1つの溶媒は、液体、気体、又はこれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択され得る。更に、調製物は、少なくとも1つの追加的な成分、特に、少なくとも1つのバインダーを含み得、「バインダー」という用語は、マトリックス内の固体成分を少なくとも部分的に、好ましくは完全に、共に維持するように指定された更なる物質を指す。しかしながら、更に別の種類の成分も考えられ得る。
【0017】
一般に使用する場合、「乾燥プロセス」という用語は、乾燥させる調製物に含まれる少なくとも1つの第2の成分、すなわち少なくとも1つの溶媒の含有量を、好ましくは少なくとも1つの溶媒の含有量が既定の閾値未満になり得るまで低減するように指定された工学的手順に関連する。本発明においては、乾燥プロセスは、少なくとも1つの基材上に堆積された乾燥させる少なくとも1つの調製物に適用される。乾燥プロセスの結果、少なくとも1つの基材上に所望のコーティングが作成される。更に、一般に使用する場合、「基材」という用語は、乾燥プロセスにおいて乾燥させる調製物の一部分を受け入れ、次いで、乾燥プロセスの結果としてコーティングを基材上に維持するように指定された機械的な支持物を指す。本明細書中で更に使用する場合、「堆積させる」という用語は、調製物の一部分を基材の隣接する表面上に適用することを指す。基材は、調製物の一部分を受け入れ、作成されたコーティングを維持することができる任意の材料から選択することができ、基材は、好ましくは不活性であり得、「不活性」という用語は、基材の隣接する表面との調製物又はコーティングのいずれの接触も基材のあらゆる種類の劣化につながる可能性はないという観測に関連する。
【0018】
更に、上記したように、少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階を含み、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階の後に少なくとも1つのコーティングが作成される。一般に使用する場合、「乾燥段階」という用語は、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの値によって特徴付けられる乾燥プロセスの期間を指す。特に、少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータは、対応する乾燥段階中に適用され得る個々の温度プロファイル及び個々の熱伝達プロファイルのうちの少なくとも1つを含み得る。換言すると、特定の乾燥段階は、少なくとも1つの関連する乾燥機の設定パラメータの少なくとも1つの値を、隣接する乾燥段階における少なくとも1つの関連する乾燥機の設定パラメータの少なくとも1つの値と異なるように選択することによって、隣接する乾燥段階から区別される。本明細書で使用する場合、「個々の温度プロファイル」という用語は、対応する乾燥段階中に調製物において優勢な温度の経過に関連し、「個々の熱伝達プロファイル」という用語は、対応する乾燥段階中に調製物に適用される熱伝達の経路を指す。本明細書では、温度は、特に、少なくとも1つの基材上に適用された少なくとも1つの調製物のアクセス可能な表面の温度を指すことがあり、熱伝達は、特に、少なくとも1つの調製物のアクセス可能な表面の上方における熱の伝達を指すことがある。本明細書では、少なくとも1つの個々の温度プロファイルは、好ましくは、加熱ユニット又は冷却ユニットのうちの少なくとも1つを制御するように構成された少なくとも1つの温度制御ユニットを使用することによって設定することができ、少なくとも1つの個々の熱伝達プロファイルは、好ましくは、少なくとも1つのブローユニットを使用することによって設定することができる。本明細書では、個々の温度プロファイル又は個々の熱伝達プロファイルのうちのついに(at last)1つは、好ましくは、特定の乾燥段階中に一定値に設定され得る。
【0019】
コンピュータ実施方法は、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報を提供する工程と、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用されるのに適した少なくとも1つの関連する(at least one associated)の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を受け取る工程とを更に含み得る。したがって、情報は、例えば外部サーバによって又は外部サーバを介して遠隔的に提供され得る。更に、少なくとも1つの推奨手順は、例えば外部サーバによって又は外部サーバを介して遠隔的に受け取られ得る。言い換えると、両工程は、異なる又は別個のデバイスで実行され得る。
【0020】
本発明の特定の実施形態では、逐次的な乾燥段階は、少なくとも1つの初期乾燥段階と、少なくとも1つの初期乾燥段階に続き得る少なくとも1つの重要乾燥段階とを含み得る。本明細書では、少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータは、少なくとも1つの重要乾燥段階中に、概して、少なくとも1つの初期乾燥段階中に調整された少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータと異なるように調整され得る。乾燥プロセスが少なくとも3つの逐次的な乾燥段階を含み得る更なる実施形態では、少なくとも3つの逐次的な乾燥段階は、少なくとも1つの重要乾燥段階に続くことができる少なくとも1つの最終乾燥段階を更に含み得る。本明細書では、少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータは、少なくとも1つの最終乾燥段階中に、概して、少なくとも1つの重要段階中に調整された少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータと異なるように調整され得る。
【0021】
理論によって拘束されることを望むものではないが、異なる乾燥段階の使用は、少なくとも1つの調製物の組成に適合され得る。上で既に示したように、調製物は、典型的には、少なくとも2つの異なる成分、すなわち、複数の少なくとも1つの固体成分(少なくとも1つの固体成分は、複数の、結晶粒子、アモルファス粒子、又は溶解した分子のうちの少なくとも1つを含み得る)と、少なくとも1つの第2の成分を有する溶媒(少なくとも1つの溶媒は、液体、気体、又はこれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択され得る)と、任意選択的に、マトリックス内の固体成分を共に維持するように指定された少なくとも1つのバインダーとを有するマトリックスを含む。少なくとも1つの乾燥プロセス中にコーティングを形成するために、粒子圧密化、バインダー移動、及び溶媒蒸発の組み合わせが逐次的な乾燥段階中に行われる。概して、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つの調製物を適用した直後に、少なくとも1つの乾燥プロセスは、典型的には、特に粒子圧密化とマトリックスからの溶媒蒸発との組み合わせによる少なくとも1つの基材上の少なくとも1つの調製物の体積の収縮を含む初期乾燥段階から開始する。その後、典型的には、少なくとも1つの基材上の少なくとも1つの調製物の体積の収縮が終了し、圧密化された粒子間の細孔からの溶媒蒸発が始まると重要段階が開始する。したがって、実験的に実証されるように、コーティングの高品質をできるだけ短時間内に得るために重要乾燥フェーズ中に行われる手順を適切に支援するために、重要乾燥段階中に異なる乾燥プロファイルを適用することが特に好ましい場合がある。最終乾燥段階中に、溶媒体積分率の値は、特に乾燥時間をできる限り削減するためにかなり高い蒸発速度を適用することによって、最終的にほぼゼロまで減少させることができる。
【0022】
特に、リチウムイオンバッテリーなどのバッテリーの正極又は負極の少なくとも1つの製造において、乾燥プロセスは特定のメカニズムを呈することがある。コーティングされる調製物は、典型的には、バインダー溶液中に分散し得る粒子を含み得、少なくとも1つのバインダーは、溶解したポリマー又はポリマー分散体から選択され得る。この特定の調製物によって、コーティングの乾燥中における特定の電極形成メカニズムが起こり得る。このメカニズムは、レイアウト、特にコーティング及び乾燥機器の乾燥ゾーンの数又は位置とは無関係の膜組成空間(film composition space)に関連する少なくとも2つの逐次的な段階、特に3つの特徴的な段階を呈する。初期乾燥段階において、基材上にコーティングされた調製物は溶媒蒸発の過程で収縮することができ、コーティングの収縮が停滞し得るように粒子が互いに接触することができる多孔質ネットワークが形成されるまで粒子が圧密化することになる。後続の乾燥段階において、更なる溶媒を多孔質ネットワークから蒸発させることができる。後続の乾燥段階において、バインダーは、乾燥機の設定によって調整される溶媒蒸発速度とともに増加する速度で表面に移動することができる。最終乾燥段階において、バインダーは、特に溶媒分率の低下とその結果として増加した粘度のせいで、移動にもはや敏感でなくなることがある。この特定のメカニズムにおいては、リチウムイオンバッテリーなどのバッテリーの正極又は負極の少なくとも1つを乾燥させるために使用される特定の乾燥プロセスは、好ましくは、他の材料システムに対して使用される、特に有機光起電力セル、ポリマー太陽電池、又はペロブスカイトベースの太陽電池から選択される太陽電池のコーティングの少なくとも1つの光活性層の乾燥などのために使用される典型的な乾燥プロセスとは異なる特定の3段階乾燥プロセスに従うことがある。しかしながら、この乾燥プロセスも、コーティングの最終特性に影響を及ぼすことがある。言及したこれらの光起電力関連システムにおいては、乾燥プロセスと製品性能との間の相関関係は、結晶率、結晶サイズ、及び配向などの決定的なパラメータを有する塩、小分子、又はポリマーの結晶化のメカニズムに基づく。このことは、バッテリー電極と比べて、異なる最適化基準のみならず完全に異なるプロセスパラメータにつながる。バッテリー電極においては、決定的なメカニズムはバインダーと導電性添加剤の勾配の形成であり、これがバッテリー性能を支配する。
【0023】
コーティング及び乾燥機器の乾燥ゾーンの数又は位置とは無関係の乾燥段階に基づいた少なくともオン(on)乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を提供することで、物理的及び化学的要件による調整が可能になる。これにより、特に品質を維持しながら、生産のより柔軟な調整、したがって生産能力のより適切な使用を可能にすることができる。既存の物理的なコーティングデバイスレイアウトに対する依存度が低下する。特に、乾燥段階を2つの乾燥ゾーンなどの1つより多い乾燥ゾーンに分ける、分割する、区画化する等ができることが明示される。言い換えると、乾燥段階の1つの部分は乾燥ゾーンで実行する又は行うことができ、乾燥段階の別の部分は逐次的な乾燥ゾーンなどの別の乾燥ゾーンで実行する又は行うことができる。
【0024】
概して、乾燥プロセスは、バッチ乾燥プロセス又は連続乾燥プロセスから選択することができ、連続乾燥プロセスが特に好ましい場合がある。一般に使用する場合、「バッチ乾燥プロセス」という用語は、特に少なくとも2つの逐次的な乾燥段階が逐次的に実施される単一乾燥ゾーン内において、好ましくは基材を移動させることなく各乾燥段階が同一の調製物に対して逐次的に実施される特定の乾燥プロセスを指す。これに対し、「連続乾燥プロセス」という用語は、各乾燥ゾーンが特に少なくとも2つの逐次的な乾燥段階の1つを実施するように指定され得る少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーンを通して、あるテープ速度で、好ましくは一定のテープ速度で連続的に搬送される、少なくとも1つのテープを含むコーティングデバイスにおいて特に実施され得る特定の乾燥プロセスに関する。本明細書では、少なくとも1つのテープは少なくとも1つの基材であり得る若しくは少なくとも1つの基材を含み得る、又はその代わりとして、少なくとも1つのテープは搬送用の少なくとも1つの基材を担持し得る。本明細書では、個々の温度プロファイル又は個々の熱伝達プロファイルのうちのついに(at last)1つは、好ましくは、特定の乾燥ゾーン内で一定値に設定され得る。
【0025】
更に、本明細書で使用する場合、「調整する」という用語又はその任意の文法的変化形は、乾燥プロセスの少なくとも1つのパラメータを所望のとおりに構成するように指定された手順に関する。好ましくは、乾燥プロセスの調整は、少なくとも1つの乾燥プロセスを実施することにより得られる少なくとも1つの基材上の少なくとも1つのコーティングの少なくとも1つの材料パラメータを恒常的に又は好ましくは乾燥プロセスの効率を高めて改善することができるように実施され得る。本明細書で使用する場合、「効率」という用語は、製造中のスループット、少なくとも1つのコーティングの性能、及び乾燥プロセス中のエネルギー消費量のうちの少なくとも1つを指す。このようにして、少なくとも1つの基材上の少なくとも1つのコーティングを含む製品はより高い品質を呈することができ、これは同じ又は好ましくはより少ない労力と費用で得ることができる。
【0026】
工程(i)に従って、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報が受け取られる。本明細書では、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報は、特に、乾燥ゾーンのレイアウト、より具体的には、各乾燥ゾーン及び乾燥段階中に各乾燥ゾーンで使用される少なくとも1つの関連する乾燥機に関する詳細を含み得る。好ましくは、この情報は、各乾燥ゾーンの長さ;好ましくは対流乾燥機、特に赤外線、UV、マイクロ波、若しくは電波に基づいた放射乾燥機、又は接触乾燥機のうちの少なくとも1つから選択される乾燥機の種類;特に乾燥機の上部若しくは底部の少なくとも1つの位置に関する乾燥機の少なくとも1つの設定、特に少なくとも1つの温度;ブロワの設定;乾燥ガス中の蒸発溶媒の分率を決定する新鮮なガスと再循環乾燥ガスとの間の比率;熱伝達係数;対流乾燥ノズルスリット幅;対流乾燥ノズル間距離;基材に対する対流乾燥ノズルの距離:放射源電力;放射源間の距離;基材に対する放射源の距離、放射源の分光分布のうちの少なくとも1つを含み得る。更に、調製物の組成に関する情報は、好ましくは、固体材料、溶媒、可能な添加剤の種類及び濃度、調製物の厚さ及び面積あたりのコーティング重量、又は得られるコーティングの空隙率のうちの少なくとも1つを含み得る。更に、少なくとも1つの基材に関する情報は、好ましくは、箔、不織布、織布、布帛、紙、又はガラス基材などの基材の種類;基材材料の組成、空隙率、厚さ、又は面積あたりの重量のうちの少なくとも1つを含み得る。しかしながら、少なくとも1つの更に別の情報も可能であり得る。工程(i)に関しては、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報は、特に、工業プラントのオペレータなどの、2つの乾燥段階を含む乾燥装置のユーザによって提供され得ることに留意されたい。少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報は、その後、調製物の供給者などの第三者によって受け取られ得る。情報は、インターネット又は任意の他のネットワークを介するなどの任意の有線又は無線手法を介して交換することができる。
【0027】
工程(ii)に従って情報を受け取るために、本明細書に開示されるコンピュータ実施方法が実施されるプログラム可能装置は、そのいずれによってもデータの形態の所望の情報が更なる処理のためにプログラム可能装置に提供される入力機能又は通信インターフェイスのうちの少なくとも1つを含む。一般に使用する場合、「入力機能」という用語は、プログラム可能装置によって使用される情報を手動で又は自動的に生成することによって情報を受け取るように構成されたプログラム可能装置に含まれるユニットを指す。特に、入力機能は、キーパッド、又は少なくとも1つのモニタ上に表示される仮想キーパッドのうちの少なくとも1つを含み得る。しかしながら、更に別の種類の入力機能も考えられ得る。
【0028】
更に、一般に使用する場合、「通信インターフェイス」という用語は、更なるプログラム可能装置から本明細書に開示されるコンピュータ実施方法が実施されるプログラム可能装置にデータを伝送するように指定された伝送チャネルに関する。特に、通信インターフェイスは、少なくとも1つの情報を単一方向に、特にプログラム可能装置に送信するように構成された一方向インターフェイスとして構成され得る。或いは、通信インターフェイスは、少なくとも1つのデータを2つの方向のうちの1つに又はその逆に送信するように構成された双方向通信インターフェイスとして構成され得る。本明細書では、双方向通信インターフェイスは、データ又はエラーメッセージを提供する要求などの要求又はメッセージを更なるプログラム可能装置に送信するために使用され得る。データ伝送の目的で、通信インターフェイスは、有線接続要素又は無線要素を含み得る。例として、有線接続要素は、銅線又は金線などの金属線、ユニバーサルシリアルバス(USB)などのコンピュータバスシステム、又は光ファイバーのうちの少なくとも1つから選択することができ、無線要素は、無線送信機又はBluetooth要素を含み得る。しかしながら、更に別の種類の通信インターフェイスも可能であり得る。
【0029】
工程(ii)に従って、少なくとも1つのモデルが用いられる。少なくとも1つのモデルは、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を生成するように構成される。本明細書で使用する場合、「モデル」という用語は、乾燥プロセスが少なくとも2つの逐次的な乾燥段階を含む乾燥プロセスのシミュレーションを生成するように構成された少なくとも1つのコンピュータプログラムに関する。特に、適切な結果を達成するために、シミュレーションは、工程(i)中に受け取った少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報に密接に基づき得る。本明細書で更に使用する場合、「用いる」という用語は、特に本発明で要求される手法で少なくとも1つのモデルを提供及び使用するプロセスを指す。モデルを用いるために、活物質、バインダー、添加剤、溶媒、及び組成物などの調製物の成分に関する情報などの調製物に関する情報(%)が提供される必要がある。したがって、特定のコーティング重量(g/m2)を目標設定値として定義することができ、スループット及び乾燥ゾーン内の循環空気の比率に関連するテープ速度(m/min)を決定することができる。
【0030】
モデルは、少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を決定するためにこの情報を乾燥段階と関連付けることができる。
【0031】
本明細書で更に使用する場合、「予測値」という用語は、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータに関して使用することができるように、少なくとも1つのモデルを使用することによって決定される少なくとも1つの値に関する。しかしながら、以下により詳細に説明するように、追加的に、更なる予測値、特にテープ速度の予測値の(valued)を生成することができる。
【0032】
特に好ましい実施形態では、少なくとも1つのモデルは、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの既知の値を使用することにより生成することができる。本明細書では、少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのついに(at last)1つの既知の値は、好ましくは、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階の少なくとも1つのテストレイアウトを含む少なくとも1つの既知の基材上の少なくとも1つの既知の調製物を使用することによる少なくとも1つのテスト乾燥プロセスにおいて取得され得る。少なくとも1つのモデルは、調製物の組成、調製物の少なくとも1つの成分の少なくとも1つの性質に関連する少なくとも1つのパラメータ、少なくとも2つの乾燥段階後の、少なくとも1つのコーティングに関連する少なくとも1つの材料パラメータの少なくとも1つの測定値、少なくとも1つのコーティング中のクラック形成に対する少なくとも1つの既知の影響、及び乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの結果としての少なくとも1つのエネルギー消費値、のうちの少なくとも1つに基づく、先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
【0033】
テスト乾燥プロセスの結果、少なくとも1つの関係が生成され得る。少なくとも1つの関係は、好ましくは、少なくとも1つの基材上のコーティングの最も少ない(the least)1つの材料パラメータ、特に、少なくとも1つの基材の少なくとも1つの面上の少なくとも1つのコーティングの付着力を示す剥離強度、及び対応する乾燥ゾーンの関連する乾燥機の複数の設定パラメータの複数の値を指すことがある。以下に例示的に示すように、少なくとも1つの関係は、2次元、3次元、又はそれより多い次元の少なくとも1つの図表、好ましくは複数の図表として示され得る。本明細書では、少なくとも1つの図表は、特に、基材上に適用されたコーティングの剥離強度と対応する乾燥段階中に少なくとも1つの特定の基材上の少なくとも1つの特定の調製物に適用される個々の温度プロファイル及び個々の熱伝達プロファイルの両方との間の関係を示すことがある。本明細書では、特に、基材上に適用されたコーティングの剥離強度と対応する乾燥段階中に適用される個々の温度プロファイル及び個々の熱伝達プロファイルの両方との間の関係を示すことがある少なくとも1つの図表に基づいて、特定の乾燥段階内の個々の温度プロファイル及び個々の熱伝達プロファイルの両方の予測値をこのようにして決定することができる。
【0034】
特に好ましい実施形態では、モデルは、少なくとも1つのデータ処理方法、一連の選択した特徴、及び少なくとも1つの学習アルゴリズムの組み合わせを適用することによって生成され得る。一般に使用する場合、「データ処理方法」という用語は、生データ、特に、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの複数の既知の値を、補正アルゴリズム、平滑化アルゴリズム、又はスケーリングアルゴリズムのうちの少なくとも1つを特に使用することによって修正するプロセスを指す。更に、一連の選択した特徴は、少なくとも1つの特定のデータ項目、好ましくは、少なくとも1つの基材上のコーティングの最も少ない(the least)1つの材料パラメータ、特に、少なくとも1つの基材の少なくとも1つの面上の少なくとも1つのコーティングの付着力を示す剥離強度の複数の値を指す可能性がある。更に、一般に使用する場合、「学習アルゴリズム」という用語は、少なくとも1つの既知のデータセットにおいて少なくとも1つのパターンを抽出するプロセスに関し、少なくとも1つのパターンは、その後、少なくとも1つの未知のデータセットに適用され得る。更に、更なる未知のデータセットを使用することにより、少なくとも1つのパターンを更に改善することができる。本明細書では、学習アルゴリズムは、好ましくは、機械学習アルゴリズム又は深層学習アルゴリズムから選択され得る。
【0035】
特に、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報を使用することによる乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定の少なくとも1つの予測値の決定は、好ましくは、既知の予測値と既知の情報の組み合わせに少なくとも1つの学習アルゴリズムを適用することによって実施され得る。本明細書では、学習アルゴリズムは、回帰アルゴリズム又は分類アルゴリズムのうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのアルゴリズムを含み得る。例として、以下のアルゴリズム、すなわち、部分最小二乗回帰;判別分析;単純ベイズ、ブルートフォースMAP学習、ベイズビリーフネットワーク、ベイズ最適分類器などのベイジアンアルゴリズム;複数のカーネルを有するサポートベクターマシン;ランダムフォレスト、CARTなどの決定木アルゴリズム;ラッソ、リッジ、エラスティックネットなどのロジスティック回帰及び線形回帰;一変量一般化モデル及び混合モデルなどの統計分析;完全連結NN、畳み込みNN、再帰型NNなどのニューラルネットワーク(NN)アルゴリズム;ガウス過程回帰、ガウスグラフィカルネットワークなどのガウスモデル;非負値行列因子分解、主成分分析(PCA)、t-sne、LLEなどの教師なし学習法、のうちの少なくとも1つが使用され得る。しかしながら、更に別のタイプの学習アルゴリズムも可能であり得る。
【0036】
工程(iii)に従って、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値が、工程(ii)中に用いられた少なくとも1つのモデル及び工程(i)中に受け取った情報に基づいて決定される。この目的のために、本明細書の別の場所により詳細に記載されるプログラム可能装置が好ましくは使用され得る。工程(iii)に関しては、この工程は、特に、乾燥機装置のユーザによって実行されず、調製物の供給者などの上記情報を受け取る第三者によって実行されることに留意されたい。この第三者は、その後、設定パラメータの予測値を決定するための計算手順を開始する。したがって、工程(iii)は、乾燥プロセスで後に使用可能な設定パラメータの予測に関する。
【0037】
工程(iv)に従って、少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順が提供される。本明細書では、少なくとも1つの推奨手順は、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む。本明細書で使用する場合、「推奨手順」という用語は、少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つのプロポーザルを含むデータセットを指す。本明細書では、推奨手順は、特に、ユーザが例えば、テープ速度及び/又はコーティングデバイスの乾燥ゾーン内で使用される各関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータを特に手動で変更することによって少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのプロポーザルの少なくとも1つ、好ましくは全部の実施を開始するために、ユーザに提供され得る。その代わりとして、以下でより詳細に説明するように、推奨手順は、特に、推奨手順を生成するように構成された処理ユニットを含むプログラム可能装置と制御ユニットとの間で情報を交換するように構成された少なくとも1つの通信インターフェイスを使用することによってコーティングデバイスを制御するように構成された制御ユニットに提供され得る。工程(iv)に関しては、この工程は、特に、乾燥機装置のユーザによって実行されず、調製物の供給者などの上記情報を受け取る第三者によって実行されることに留意されたい。この第三者は、その後、設定パラメータの予測値を決定するための計算手順を実行し、乾燥機装置のユーザに推奨手順を提供する。言い換えると、第三者は、ある種のマニュアル又は規定を提供し、これをその後推奨手順に従って乾燥プロセスを実行し得る乾燥機装置のユーザに送信する。
【0038】
本開示の第1の態様を簡潔にまとめると、本方法には2つの異なる当事者が関与し得る。第1の当事者は、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報を提供する乾燥装置のオペレータである。第2の当事者は、第1の当事者と部分的に離れている又は遠隔地に存在し得る。第2の当事者は、乾燥装置を操作するための推奨手順を第1の当事者によって提供された情報に基づいて予測し、その後、推奨手順を第1の当事者に送信し、第1の当事者は、その後、それに応じて乾燥プロセスを調整することができる。
【0039】
更なる態様では、本発明は、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのシステムに関する。本明細書では、システムは、
- 少なくとも1つの処理ユニットであって、少なくとも1つの処理ユニットは、本明細書の別の場所に記載される少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法を実施するように構成されている、少なくとも1つの処理ユニットと、
- 少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報を受け取るように構成された少なくとも1つの通信インターフェイスと、
- 乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を提供するように構成された少なくとも1つの更なる通信インターフェイスと、
を含む。
【0040】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの更なる通信インターフェイスは、特に画面を介してユーザに推奨手順を提供するように構成され得る。しかしながら、スピーカなどのユーザに推奨手順を提供するための更に別のデバイスも可能であり得る。
【0041】
更に好ましい実施形態では、少なくとも1つの更なる通信インターフェイスは、コーティングデバイスを制御するように構成された制御ユニットに推奨手順を提供するように構成され得る。
【0042】
更なる態様では、本発明は、特に本明細書の別の場所に記載されるように車両用途の電極内の少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法又はシステムの使用に関する。具体的には、この使用は、車両用途に使用され得るリチウムイオンバッテリーなどのバッテリーの正極又は負極に関する場合がある。より具体的には、この使用は、電極、特に、車両用途に使用されるリチウムイオンバッテリーなどのバッテリーの正極又は負極を作成する方法に関する場合がある。しかしながら、例えば、光起電力太陽電池パネルなどの太陽電池のコーティングに使用され得る少なくとも1つの光活性層の作成における、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法又はシステムの更に別の使用も可能であり得る。
【0043】
更なる態様では、本発明は、少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのシステムに関する。本明細書では、システムは、
- 少なくとも1つの乾燥プロセスで使用される少なくとも1つの調製物の少なくとも1つの成分であって、少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階を含み、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階の後に、少なくとも1つの成分を使用することによって少なくとも1つのコーティングが作成される、少なくとも1つの調製物の少なくとも1つの成分と、
- 少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順であって、少なくとも1つの推奨手順は、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む、少なくとも1つの推奨手順と、
を含む。
【0044】
少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのシステム、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法又はシステムの使用、及び少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのシステムに関する更なる詳細については、本明細書の別の場所に記載される、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法、及び少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成するためのシステムの説明を参照されたい。
【0045】
本発明の更なる態様では、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成する方法が開示される。本方法は以下の工程a)~f)を含み、工程a)~f)は、好ましくは所与の順序で実施することができ、工程の少なくとも2つは時間的に重なった状態で実施され得る。更に、本方法は、本明細書の別の場所に記載され得る又は記載されない更に別の工程を含んでもよい。したがって、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成する方法は、以下の工程、すなわち、
a)少なくとも1つのテープをコーティングデバイスに導入する工程であって、コーティングデバイスは、少なくとも1つの適用エリア及び少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーンにわたって少なくとも1つのテープをあるテープ速度で移動させるように構成されており、各乾燥ゾーンは少なくとも1つの関連する乾燥機を含み、コーティングデバイスは更に、テープ速度、及び各乾燥ゾーン内の少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つを調整するように構成されている、導入する工程と、
b)少なくとも1つの適用エリア内で少なくとも1つの基材の少なくとも1つの面上に少なくとも1つの調製物を堆積させる工程であって、少なくとも1つのテープは少なくとも1つの基材である若しくは少なくとも1つの基材を含む、又は少なくとも1つのテープは少なくとも1つの基材を担持する、堆積させる工程と、
c)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を少なくとも2つの乾燥ゾーンのレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報に基づいて生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いる工程と、
d)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値を少なくとも1つのモデル及び情報に基づいて決定する工程と、
e)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの推奨手順を使用することによって少なくとも1つの乾燥プロセスを調整する工程と、
f)少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーン内で少なくとも1つの調製物を乾燥させる工程であって、それにより、少なくとも1つのコーティングが得られる、乾燥させる工程と、
を含む。
【0046】
少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成するための方法に関する更なる詳細については、上記又は下記で更に詳細に示される実施形態の1つ以上に従って本明細書に示されるコンピュータ実施方法の説明を参照されたい。
【0047】
本発明の更なる態様では、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成するためのシステムが開示される。したがって、システムは、
- コーティングデバイスであって、コーティングデバイスは、
・少なくとも1つのテープをあるテープ速度で移動させるように構成されたついに(at last)1つのコンベヤドライブと、
・テープの少なくとも1つの面上に堆積される少なくとも1つの調製物を提供するように構成された少なくとも1つの適用エリアと、
・少なくとも1つの調製物を乾燥するように構成された少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーンであって、各乾燥ゾーンは少なくとも1つの関連する乾燥機を含む、乾燥ゾーンと、
を含む、コーティングデバイスと、
- 少なくとも1つのプログラム可能装置であって、少なくとも1つのプログラム可能装置は、
(i)少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーンのレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、少なくとも1つの基材に関する情報、及びテープ速度に関する情報を受け取り、
(ii)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つ内で使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用い、
(iii)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つ内の少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値を少なくとも1つのモデル及び情報に基づいて決定し、
(iv)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つ内の少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を提供する
ように構成されている、少なくとも1つのプログラム可能装置と、
- 少なくとも1つの制御ユニットであって、
・少なくとも1つのプログラム可能装置と相互作用し、
・少なくとも1つの推奨手順を実施することにより少なくとも1つの乾燥プロセスを調整することによってコーティングデバイスを制御する
ように構成されている、少なくとも1つの制御ユニットと、
を含む。
【0048】
一般に使用する場合、「乾燥ゾーン」という用語は、乾燥ゾーン内で使用される少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの値によって操作される少なくとも1つの関連する乾燥機を含むコーティングデバイスの区画を指す。特に、関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータは、対応する乾燥ゾーン内で適用され得る個々の温度及び個々の熱伝達のうちの少なくとも1つを含み得る。この目的のために、各乾燥ゾーンは、好ましくは、少なくとも1つの個々の温度を制御するように構成された少なくとも1つの温度制御ユニットによって制御され得る加熱ユニット又は冷却ユニットのうちの少なくとも1つと、少なくとも1つの個々の熱伝達を設定するように設計された少なくとも1つのブローユニットとを含み得る。複数の乾燥ゾーンを使用することにより、温度プロファイル及び熱伝達プロファイルが適用され得る。当然ながら、温度プロファイル及び熱伝達プロファイルは、単一の乾燥ゾーンにおいて温度及び熱伝達を特に経時的に変化させることによって実現され得る。
【0049】
本明細書中で更に使用するように、「制御ユニット」という用語は、コーティングデバイスを制御するように構成された任意の種類の装置を指す。上記で定義した「調整する」という用語とは対照的に、「制御する」という用語又はその文法的変化形は、乾燥プロセスの少なくとも1つのパラメータを所望のように構成することを指すだけでなく、これに加えて、乾燥プロセスの少なくとも1つのパラメータが所望のように調整されたかどうかを検討することと、必要に応じて、乾燥プロセスの少なくとも1つのパラメータを更に調整及び検討することとを含む。乾燥プロセスの少なくとも1つのパラメータを検討するために、コーティングユニットは、特に、少なくとも1つのセンサユニットを含み得る。本明細書では、少なくとも1つのセンサユニットは、特に、少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーンの後に、コーティングの少なくとも1つの材料パラメータの少なくとも1つの測定値を記録するように構成され得る。センサユニットは、好ましくは、少なくとも1つの光センサ、特に少なくとも1つの赤外線センサを含むことにより、特に、少なくとも1つのコーティングの少なくとも1つの表面の温度を測定するように構成され得る。或いは又は更に、少なくとも1つのセンサユニットは、少なくとも1つのコーティングの厚さ又は面積あたりのコーティング重量を測定するように構成することができ、好ましくは、超音波センサ、光学共焦点センサ、光学干渉ベースのセンサ、レーザ三角測量センサ、ガンマ放射線ベースのセンサ、又はベータ放射線ベースのセンサのうちの少なくとも1つを使用することを含む。或いは又は更に、少なくとも1つのセンサユニットは、好ましくは赤外分光法又はラマン分光法をベースとしたセンサを含むことによって、少なくとも1つのコーティングの組成を測定するように構成され得る。或いは又は更に、少なくとも1つのセンサユニットは、好ましくは渦電流センサ、又は光学顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、若しくはインターフェロメトリをベースとしたセンサを含むことによって、少なくとも1つのコーティングに関する構造情報を測定するように構成され得る。或いは又は更に、少なくとも1つのセンサユニットは、好ましくは水素炎イオン化検出器又は他の一般的なガスセンサのうちの少なくとも1つを使用することによって、蒸発した溶媒の分率などの気相成分を測定するように構成され得る。しかしながら、更に別の種類のセンサも可能であり得る。
【0050】
特に、少なくとも1つの制御ユニットは、少なくとも1つの更なる処理ユニットと、複数のインターフェイスと、任意選択的に、ストレージユニット、モニタ、又はキーボードのうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つの更なるデバイスとを含み得る。本明細書では、少なくとも1つの更なる処理ユニットは、特に複数のインターフェイスを使用することによって、特にコーティングデバイスを駆動するように構成され得る。本明細書では、少なくとも1つの、好ましくは全てのインターフェイスが、少なくとも1つのデータを2つの方向のうちの1つに又はその逆に送信するように構成された双方向通信インターフェイスとして構成され得る。特に、インターフェイスは、好ましくは、一方向においては、少なくとも1つの制御ユニットから少なくとも1つのコンベヤドライブ、少なくとも1つの適用エリア、又は少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーン、特に各乾燥ゾーンに含まれる温度制御ユニット及びブローユニットのうちの少なくとも1つに、特に推奨手順を実施することによって少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための命令を送信し、他方向においては、少なくとも1つのコンベヤドライブ、少なくとも1つの適用エリア、又は少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つから少なくとも1つの制御ユニットにデータ項目、測定値、又はエラーメッセージなどのメッセージを送信するための双方向通信インターフェイスとして使用することができる。更に、少なくとも1つの制御ユニットは、特に少なくとも1つの、好ましくは双方向通信インターフェイスを使用することによって少なくとも1つのプログラム可能装置と相互作用するように構成され得る。代替として、特に少なくとも1つの組み合わされたプログラム可能装置がスタンドアロンコンピュータ、サーバ、又はコンピュータネットワークに含まれ得る実施形態においては、少なくとも1つの制御ユニット及び少なくとも1つのプログラム可能装置は、少なくとも1つの組み合わされたプログラム可能装置内に実装することができてもよい(may can)。
【0051】
少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成するためのシステムに関する更なる詳細については、上記又は下記で更に詳細に示される実施形態の1つ以上に従って本明細書に示されるコンピュータ実施方法の説明を参照されたい。
【0052】
本発明の更なる態様では、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を提供するためのコンピュータ実施方法が開示される。本明細書では、少なくとも1つの乾燥プロセスは、少なくとも1つの基材上に堆積された少なくとも1つの調製物に適用され、少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階を含み、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階の後に少なくとも1つのコーティングが作成される。本発明によれば、本方法は、以下の工程、すなわち、
(i)少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報を提供する工程と、
(ii)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いる工程と、
(iii)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定の少なくとも1つの予測値を少なくとも1つのモデル及び情報に基づいて決定する工程と、
(iv)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を受け取る工程と、
を含む。
【0053】
本発明による方法及びシステムは、従来技術から公知の少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成する方法及びシステムに対して様々な利点を提供する。特に、本発明による方法及びシステムは、各乾燥段階中の乾燥条件を調整するために、各乾燥ゾーンの乾燥条件の個別の設定を可能にする。本発明による乾燥プロセスの調整が可能となる結果、その製造に少なくとも1つの乾燥プロセスが含まれる製品の品質を恒常的に又は乾燥プロセスの効率を高めて改善することができる。これにより、製造中のスループット、少なくとも1つのコーティングの性能、及び乾燥プロセス中のエネルギー消費量の少なくとも1つに肯定的な影響を及ぼすことができる。
【0054】
特に、本開示による方法及びシステムは、実験計画法(DOE)と比較した場合に顕著な利点を提供する。特に生産規模に関して、特にDOEは、時間、材料、エネルギー、及びリソースを消費する。実験室でのデータを生産規模に移すには、通常はパイロット装置が必要とされ、このことによってむしろ費用がかかる。それとは反対に、本開示による方法は、あらゆる実験手順を伴わず、予測手順に関連する。したがって、乾燥又はコーティング装置のユーザは、プロセスを最適化するために時間を費やすよりもむしろ製造手順のためにより多くの時間を得ることになる。それにより、本開示による方法は、大幅に少ない原料及びリソースを必要とし、且つパイロット装置を必要としないため、持続可能である。したがって、実験室から生産規模までの開発に必要な時間が大幅に短縮され、コーティングプロセスの開発のためにより多くの時間を提供する。特に、スラリー製造及び/又はコーティングプロセスの小さな適応又は変更を補償することができ、複雑な長期間の実験を必要としない。したがって、新たな乾燥プロファイルを必要としたはずの調整された乾燥プロセスによってスループットが増加する。したがって、バッテリー又は太陽電池の開発のためのより多くの時間がもたらされる。
【0055】
本明細書で更に使用する場合、「有する(have)」、「含む(comprise)」、若しくは「含む(include)」という用語又はそれらのあらゆる任意の文法的変化形は、非排他的であるように使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴の他に、この文脈で説明される実体に更なる特徴が存在しない状況と、1つ以上の更なる特徴が存在する状況との両方を指す場合がある。一例として、「AはBを有する(A has B)」、「AはBを含む(A comprises B)」及び「AはBを含む(A includes B)」という表現はいずれも、Bの他に、A中に他の要素が存在しない状況(すなわち、AがBのみからなる状況)と、Bの他に、要素C、要素C及び要素D、又は更に別の要素などの1つ以上の更なる要素が実体A中に存在する状況とを指すことがある。
【0056】
更に、本明細書で使用する場合、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「更に特に」、「具体的には」、「より具体的には」という用語、又は同様の用語は、代替可能性を制限することなく、任意の特徴とともに使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は任意の特徴であり、特許請求の範囲の範囲を制限するものでは一切ない。当業者であれば理解するように、本発明は、代替的な特徴を使用することにより実施され得る。同様に、「本発明の一実施形態において」又は類似の表現によって導入される特徴は、本発明の代替的な実施形態に関する制限のない、発明の範囲に関する制限のない、導入される特徴を本発明の他の任意の若しくは非任意の特徴と組み合わせる可能性に関する制限のない任意の特徴であることを意図するものである。
【0057】
上記の見解をまとめると、本発明内においては、以下の実施形態が好ましい。
実施形態1:少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法であって、少なくとも1つの乾燥プロセスは、少なくとも1つの基材上に堆積された少なくとも1つの調製物に適用され、少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階を含み、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階の後に少なくとも1つのコーティングが作成され、本方法は、以下の工程、すなわち、
(i)少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報を受け取る工程と、
(ii)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いる工程と、
(iii)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を少なくとも1つのモデル及び情報に基づいて決定する工程と、
(iv)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用されるのに適した少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を提供する工程と、
を含む、コンピュータ実施方法。
実施形態2:少なくとも1つのモデルは、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの既知の値を使用することにより生成される、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態3:少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのついに(at last)1つの既知の値は、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階の少なくとも1つのテストレイアウトを含む少なくとも1つのテスト乾燥プロセスで取得される、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態4:少なくとも1つのモデルは、調製物の組成、調製物の少なくとも1つの成分の少なくとも1つの性質に関連する少なくとも1つのパラメータ、少なくとも2つの乾燥段階後の、少なくとも1つのコーティングに関連する少なくとも1つの材料パラメータの少なくとも1つの測定値、少なくとも1つのコーティング中のクラック形成に対する少なくとも1つの既知の影響、及び乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの結果としての少なくとも1つのエネルギー消費値、のうちの少なくとも1つに基づく、先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態5:少なくとも2つの乾燥段階後の、少なくとも1つのコーティングに関連する少なくとも1つの材料パラメータは、少なくとも1つの基材上の少なくとも1つのコーティングの付着力、及び少なくとも1つの用途における少なくとも1つのコーティングの性能のうちの少なくとも1つに関連する少なくとも1つのパラメータから選択される、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態6:少なくとも1つのモデルは、少なくとも1つの基材上の少なくとも1つのコーティングの付着力、及び少なくとも1つの用途における少なくとも1つのコーティングの性能のうちの少なくとも1つに関連する少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つの値を増加させること、並びに少なくとも1つのコーティング中のクラック形成に対する少なくとも1つの既知の影響及び少なくとも1つのエネルギー消費値の少なくとも1つの値を減少させることを目的とした最適化手順を適用することによって生成される、2つの先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態7:少なくとも1つの基材上の少なくとも1つのコーティングは、バッテリー電極を作成するように指定され、最適化手順においては、更に、電気化学セルの少なくとも1つのバッテリー電極の少なくとも1つの用途における少なくとも1つのコーティングの電極性能を増加させることを目的とする、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態8:少なくとも1つの基材上の少なくとも1つのコーティングは、太陽電池の光活性層を作成するように指定され、最適化手順においては、更に、光起電力太陽電池パネルの少なくとも1つの太陽電池の少なくとも1つの用途における少なくとも1つのコーティングの電気性能を増加させることを目的とする、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態9:少なくとも1つの材料パラメータの少なくとも1つの測定値は、少なくとも1つのコーティングの表面の温度、少なくとも1つのコーティングの厚さ若しくは面積あたりのコーティング重量、少なくとも1つのコーティングの組成、又は少なくとも1つのコーティングに関する構造情報のうちの少なくとも1つに関する、5つの先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態10:少なくとも1つのコーティングの表面の温度の少なくとも1つの測定値は、少なくとも1つの光センサを使用することによって記録される、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態11:少なくとも1つのコーティングの厚さ又は面積あたりのコーティング重量の少なくとも1つの測定値は、超音波センサ、光学共焦点センサ、光学干渉ベースのセンサ、レーザ三角測量センサ、ガンマ放射線ベースのセンサ、又はベータ放射線ベースのセンサのうちの少なくとも1つを使用することによって記録される、2つの先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態12:少なくとも1つのコーティングの組成の少なくとも1つの測定値は、赤外分光法又はラマン分光法をベースとしたセンサを使用することによって記録される、3つの先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態13:少なくとも1つのコーティングに関する構造情報の少なくとも1つの測定値は、渦電流センサ、又は光学顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、若しくはインターフェロメトリをベースとしたセンサを使用することによって記録される、4つの先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態14:逐次的な乾燥段階は、少なくとも1つの初期乾燥段階と少なくとも1つの初期乾燥段階に続く少なくとも1つの重要乾燥段階とを含む、先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態15:少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータは、少なくとも1つの重要乾燥段階中に、少なくとも1つの初期乾燥段階中に調整された少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータと異なるように調整される、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態16:少なくとも3つの逐次的な乾燥段階を含み、少なくとも3つの逐次的な乾燥段階は、少なくとも1つの重要乾燥段階に続く少なくとも1つの最終乾燥段階を更に含む、2つの先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態17:少なくとも1つの最終乾燥段階中の少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータは、少なくとも1つの重要段階中に調整された少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータと異なるように調整される、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態18:少なくとも1つの推奨手順は、少なくとも1つの乾燥段階中に少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータを一定値に調整することを含む、先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態19:少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータは、少なくとも1つの乾燥段階中の個々の温度プロファイル及び個々の熱伝達プロファイルのうちの少なくとも1つを含む、先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態20:少なくとも1つの個々の温度プロファイルの調整は、少なくとも1つの温度制御ユニットを設定することによって実施される、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態21:少なくとも1つの個々の熱伝達プロファイルの調整は、少なくとも1つのブローユニットを設定することによって実施される、2つの先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態22:少なくとも1つの基材上の少なくとも1つのコーティングの作成は、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つの調製物を連続的に堆積させることによって連続的なやり方で実施される、先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態23:少なくとも1つのテープは少なくとも1つの基材であり若しくは少なくとも1つの基材を含み、又は少なくとも1つのテープは少なくとも1つの基材を担持し、少なくとも1つのテープは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階中にあるテープ速度で移動する、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態24:少なくとも1つのモデルは更に、テープ速度の予測値を生成するように構成されており、テープ速度の予測値は更に決定され、少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順は、テープ速度の予測値を出力することを更に含む、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態25:少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのシステムであって、
- 少なくとも1つの処理ユニットであって、少なくとも1つの処理ユニットは、先行する実施形態のいずれか1つによる、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法を実施するように構成されている、少なくとも1つの処理ユニットと、
- 少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報を受け取るように構成された少なくとも1つの通信インターフェイスと、
- 乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を提供するように構成された少なくとも1つの更なる通信インターフェイスと、
を含む、システム。
実施形態26:少なくとも1つの双方向通信インターフェイスを含み、少なくとも1つの双方向通信インターフェイスは、少なくとも1つの通信インターフェイスと少なくとも1つの更なる通信インターフェイスとを含む、先行する実施形態によるシステム。
実施形態27:少なくとも1つの更なる通信インターフェイスは、ユーザに推奨手順を提供するように構成されている、先行するシステム実施形態のいずれか1つによるシステム。
実施形態28:画面を更に含み、少なくとも1つの更なる通信インターフェイスは、画面を介してユーザに推奨手順を提供するように構成されている、先行する実施形態によるシステム。
実施形態29:少なくとも1つの更なる通信インターフェイスは、コーティングデバイスを制御するように構成された制御ユニットに推奨手順を提供するように構成されている、先行するシステム実施形態のいずれか1つによるシステム。
実施形態30:先行する実施形態のいずれか1つによる、少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法又はシステムの使用車両用途の電極。
実施形態31:少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのシステムであって、
- 少なくとも1つの乾燥プロセスで使用される少なくとも1つの調製物の少なくとも1つの成分であって、少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階を含み、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階の後に、少なくとも1つの成分を使用することによって少なくとも1つのコーティングが作成される、少なくとも1つの調製物の少なくとも1つの成分と、
- 少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順であって、少なくとも1つの推奨手順は、乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む、少なくとも1つの推奨手順と、
を含む、システム。
実施形態32:少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成する方法であって、以下の工程、すなわち、
a)少なくとも1つのテープをコーティングデバイスに導入する工程であって、コーティングデバイスは、少なくとも1つの適用エリア及び少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーンにわたって少なくとも1つのテープをあるテープ速度で移動させるように構成されており、各乾燥ゾーンは少なくとも1つの関連する乾燥機を含み、コーティングデバイスは更に、テープ速度、及び各乾燥ゾーン内の少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つを調整するように構成されている、導入する工程と、
b)少なくとも1つの適用エリア内で少なくとも1つの基材の少なくとも1つの面上に少なくとも1つの調製物を堆積させる工程であって、少なくとも1つのテープは少なくとも1つの基材である若しくは少なくとも1つの基材を含む、又は少なくとも1つのテープは少なくとも1つの基材を担持する、堆積させる工程と、
c)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を少なくとも2つの乾燥ゾーンのレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報に基づいて生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いる工程と、
d)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値を少なくとも1つのモデル及び情報に基づいて決定する工程と、
e)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの推奨手順を使用することによって少なくとも1つの乾燥プロセスを調整する工程と、
f)少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーン内で少なくとも1つの調製物を乾燥させる工程であって、それにより、少なくとも1つのコーティングが得られる、乾燥させる工程と、
を含む、方法。
実施形態33:少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータは、少なくとも1つの乾燥ゾーン内における個々の温度プロファイル及び個々の熱伝達プロファイルのうちの少なくとも1つを含む、先行する実施形態による方法。
実施形態34:少なくとも1つの個々の温度プロファイルの調整は、少なくとも1つの温度制御ユニットを設定することによって実施される、先行する実施形態によるコンピュータ実施方法。
実施形態35:少なくとも1つの個々の熱伝達プロファイルの調整は、少なくとも1つのブローユニットを設定することによって実施される、2つの先行する実施形態のいずれか1つによるコンピュータ実施方法。
実施形態36:少なくとも1つの乾燥段階は1つの乾燥ゾーン内で実施される、先行する実施形態による方法。
実施形態37:特定の乾燥段階は特定の乾燥ゾーン内で実施される、先行する実施形態による方法。
実施形態38:少なくとも1つの乾燥ゾーン内の個々の温度プロファイル及び個々の熱伝達プロファイルのうちの少なくとも1つは、テープの移動に沿った少なくとも1つの乾燥ゾーンの範囲にわたって一定値に調整される、5つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
実施形態39:少なくとも1つの調製物は、複数の粒子、少なくとも1つのバインダー、及び少なくとも1つの溶媒を含み、少なくとも1つのコーティングは、少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーンにわたる粒子圧密化、バインダー移動、及び溶媒蒸発の組み合わせによって形成される、先行する7つの実施形態のいずれか1つによる方法。
実施形態40:逐次的な乾燥ゾーンは、少なくとも1つの初期乾燥ゾーンと少なくとも1つの初期乾燥ゾーンに続く少なくとも1つの重要乾燥ゾーンとを含む、先行する実施形態による方法。
実施形態41:初期温度プロファイル及び初期熱伝達プロファイルのうちの少なくとも1つは、複数のコーティング粒子による細孔ネットワークの形成前における少なくとも1つの調製物の収縮を支援するために、少なくとも1つの初期乾燥ゾーン内で調整される、先行する実施形態による方法。
実施形態42:重要温度プロファイル及び重要熱伝達プロファイルのうちの少なくとも1つは、複数のコーティング粒子による細孔ネットワークの形成を支援し、細孔ネットワークからの溶媒蒸発を開始するために、少なくとも1つの重要乾燥ゾーン内で調整される、2つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
実施形態43:少なくとも3つの逐次的な乾燥ゾーンを含み、3つの逐次的な乾燥ゾーンは、少なくとも1つの重要乾燥ゾーンに続く少なくとも1つの最終乾燥ゾーンを更に含む、4つの先行する実施形態のいずれか1つによる方法。
実施形態44:最終温度プロファイル及び最終熱伝達プロファイルのうちの少なくとも1つは、細孔ネットワークからの溶媒蒸発を支援するために、少なくとも1つの最終乾燥ゾーン内で調整される、先行する実施形態による方法。
実施形態45:少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成するためのシステムであって、
- コーティングデバイスであって、コーティングデバイスは、
・少なくとも1つのテープをあるテープ速度で移動させるように構成されたついに(at last)1つのコンベヤドライブと、
・テープの少なくとも1つの面上に堆積される少なくとも1つの調製物を提供するように構成された少なくとも1つの適用エリアと、
・少なくとも1つの調製物を乾燥するように構成された少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーンであって、各乾燥ゾーンは少なくとも1つの関連する乾燥機を含む、乾燥ゾーンと、
を含む、コーティングデバイスと、
- 少なくとも1つのプログラム可能装置であって、少なくとも1つのプログラム可能装置は、
(i)少なくとも2つの逐次的な乾燥ゾーンのレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、少なくとも1つの基材に関する情報、及びテープ速度に関する情報を受け取り、
(ii)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つ内で使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用い、
(iii)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つ内の少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値を少なくとも1つのモデル及び情報に基づいて決定し、
(iv)テープ速度、及び乾燥ゾーンのうちの少なくとも1つ内の少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータのうちの少なくとも1つの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を提供する
ように構成されている、少なくとも1つのプログラム可能装置と、
- 少なくとも1つの制御ユニットであって、
・少なくとも1つのプログラム可能装置と相互作用し、
・少なくとも1つの推奨手順を実施することにより少なくとも1つの乾燥プロセスを調整することによってコーティングデバイスを制御する
ように構成されている、少なくとも1つの制御ユニットと、
を含む、システム。
実施形態46:各乾燥ゾーンは、少なくとも1つの乾燥段階を実施するように構成されている、先行する実施形態によるシステム。
実施形態47:特定の乾燥ゾーンは、特定の乾燥段階を実施するように構成されている、先行する実施形態によるシステム。
実施形態48:コーティングデバイスは少なくとも1つのセンサを更に含む、先行するシステム実施形態のいずれか1つによるシステム。
実施形態49:少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのコーティングの表面の温度を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つのコーティングの厚さ若しくは面積あたりのコーティング重量を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ、少なくとも1つのコーティングの組成を測定するように構成された少なくとも1つのセンサ、又は少なくとも1つのコーティングに関する構造情報を測定するように構成された少なくとも1つのセンサから選択される、先行する実施形態によるシステム。
実施形態50:少なくとも1つのコーティングの表面の温度の少なくとも1つの測定値を記録するために少なくとも1つの光センサが使用される、先行する実施形態によるシステム。
実施形態51:超音波センサ、光学共焦点センサ、光学干渉ベースのセンサ、レーザ三角測量センサ、ガンマ放射線ベースのセンサ、又はベータ放射線ベースのセンサのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのコーティングの厚さ又は面積あたりのコーティング重量の少なくとも1つの測定値を記録するために使用される、2つの先行する実施形態のいずれか1つによるシステム。
実施形態52:赤外分光法又はラマン分光法をベースとしたセンサが、少なくとも1つのコーティングの組成の少なくとも1つの測定値を記録するために使用される、3つの先行する実施形態のいずれか1つによるシステム。
実施形態53:渦電流センサ、又は光学顕微鏡法、共焦点顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、若しくはインターフェロメトリをベースとしたセンサが、少なくとも1つのコーティングに関する構造情報の少なくとも1つの測定値を記録するために使用される。4つの先行する実施形態のいずれか1つによるシステム。
実施形態54:少なくとも1つのプログラム可能装置は、少なくとも1つの移動通信デバイスである又は少なくとも1つの移動通信デバイスに含まれる、先行するシステム実施形態のいずれか1つによるシステム。
実施形態55:少なくとも1つの移動通信デバイスは、スマートフォン、タブレット、又はパーソナルデジタルアシスタントのうちの少なくとも1つを含む、先行するシステム実施形態のいずれか1つによるシステム。
実施形態56:少なくとも1つのプログラム可能装置は少なくとも1つの通信インターフェイスを介して制御ユニットと通信する、先行するシステム実施形態のいずれか1つによるシステム。
実施形態57:少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を提供するためのコンピュータ実施方法であって、少なくとも1つの乾燥プロセスは、少なくとも1つの基材上に堆積された少なくとも1つの調製物に適用され、少なくとも1つの乾燥プロセスは少なくとも2つの逐次的な乾燥段階を含み、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階の後に少なくとも1つのコーティングが作成され、本方法は、以下の工程、すなわち、
(i)少なくとも2つの逐次的な乾燥段階のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、及び少なくとも1つの基材に関する情報を提供する工程と、
(ii)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いる工程と、
(iii)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定の少なくとも1つの予測値を少なくとも1つのモデル及び情報に基づいて決定する工程と、
(iv)乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順を受け取る工程と、
を含む、コンピュータ実施方法が開示される。
実施形態58:
電極、特にバッテリー電極のコーティング用の材料と、
実施形態1に従って決定された乾燥段階の少なくとも1つの最中に使用される少なくとも1つの関連する乾燥機の少なくとも1つの設定パラメータの少なくとも1つの予測値を含む少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するための少なくとも1つの推奨手順と、
を含む、キット。
【0058】
図の簡単な説明
本発明の更なる任意の詳細及び特徴は、従属する実施形態とともに以下に記載する好ましい例示的な実施形態の説明から明らかである。この文脈においては、特定の特徴は、単独で又は任意の合理的な組み合わせで実施され得る。本発明は、例示的な実施形態に限定されない。例示的な実施形態は、図に概略的に示される。個々の図中の同一の参照番号は、同一の要素又は同一の機能を持つ要素、又はその機能に関して互いに対応する要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】テープの両面にコーティングを作成するためのシステムの好ましい実施形態を示す。
【
図2】異なるように設計された乾燥プロセスの経時的な乾燥プロファイルを示す。
【
図3A】本発明による少なくとも1つの乾燥プロセスを調整することにより得られる実験結果を示す。
【
図3B】本発明による少なくとも1つの乾燥プロセスを調整することにより得られる実験結果を示す。
【
図3C】本発明による少なくとも1つの乾燥プロセスを調整することにより得られる実験結果を示す。
【
図3D】本発明による少なくとも1つの乾燥プロセスを調整することにより得られる実験結果を示す。
【
図4】少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法の好ましい実施形態を示す。
【
図5】少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのシステムの好ましい実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
例示的な実施形態
図1は、テープ116の各面114、114’が各コーティング112、112’の基材118,118’として機能し得る、テープ116の1つ又は両方の面114、114’にコーティング112、112’を作成するためのシステム110の好ましい実施形態を概略的に示す。代替として、別個の基材(ここでは不図示)をテープ116の1つ又は両方の面114、114’によって担持することができ、コーティング112、112’はそれぞれ別個の基材に適用することができる。
【0061】
本発明によるシステム110はコーティングデバイス120を含む。本明細書では、コーティングデバイス120は、テープ116をテープ速度122で移動させるように構成されたコンベヤドライブを有する。
図1に概略的に示されるように、コンベヤドライブは、未コーティングテープ116を運び、提供する第1のドラム124と、コーティング済みテープ116を受け取る第2のドラム124’とを含む。概して、第1のドラム124はテープ116を所望のテープ速度122で進めるために駆動させることができ、第2のドラム124’は駆動されないアイドルドラムとして機能できることで十分である。しかしながら、コンベヤドライブの更に別の種類の構成も考えられる。
【0062】
更に、
図1に概略的に示されるコーティングデバイス120は2つの個別の適用エリア126、126’を有し、各適用エリア126、126’は個別のコーティングユニット128、128’を含み、個別のコーティングユニット128、128’は、各々の基材118、118’として機能するテープ116の各面114、114’上に堆積される調製物を提供するように構成されている。しかしながら、異なる数又は配置の適用エリア126、126’も可能であり得る。例として、単一のコーティング112のみをテープ116の単一面114上に作成するための単一の適用エリア126も可能であり得る。更なる例として、テープ116の同じ面114に少なくとも2つの個別のコーティング112、112’を逐次的に堆積させるために少なくとも2つの適用エリア126、126’が使用され得る。概して、調製物並びに適用エリア126、126’の数及び特定の配置は、想定されるコーティング112、112’の用途に依存する。例として、調製物は、バッテリー電極に使用されるように指定されたテープ116の1つ又は両方の面114、114’上にコーティング112、112’を作成するために使用され得る。更なる例として、調製物は、太陽電池の光活性層に使用されるように指定されたテープ116の1つ又は両方の面114、114’上にコーティング112、112’を作成するために使用され得る。しかしながら、更に別の例も考えられる。
図1に示されるコーティングデバイス120に含まれる2つの個別の適用エリア126、126’は、テープ116の第1の面114上に調製物を堆積させることにより作成されたテープ116の第1の面114上のコーティング112を第1の乾燥プロセスにおいて既に乾燥させた後に第2の適用エリア126’がテープ116の第2の面114’上に調製物を堆積させるように配置されている。
【0063】
更に、
図1に概略的に示されるコーティングデバイス120は、それぞれ個別の適用エリア126、126’の後に3つの逐次的な乾燥ゾーン130、130’、130’’を有する。しかしながら、簡略化のために第1の適用エリア126の後の3つの逐次的な乾燥ゾーン130、130’、130’’のみについて以下でより詳細に説明する。この細部は、同じく
図1に示される第2の適用エリア126#の後の3つの逐次的な乾燥ゾーン130、130’、130’’に準用可能である。第1の適用エリア126の後の各乾燥ゾーン130、130’、130’’は、第1のコーティングユニット128を使用することによって第1の適用エリア126内で堆積させた調製物を乾燥するように構成されている。この目的のために、各乾燥ゾーン130、130’、130’’は関連する乾燥機132、132’、132’’を含み、乾燥プロセスを調整するために、各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータが設定され得る。特に、各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータは、対応する乾燥ゾーン130、130’、130’’内で適用され得る個々の温度プロファイル及び個々の熱伝達プロファイルのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0064】
この目的のために、各乾燥ゾーン130、130’、130’’は、特に加熱ユニット又は冷却ユニットのうちの少なくとも1つ(ここでは不図示)を制御することによって、対応する乾燥ゾーン130、130’、130’’の個々の温度プロファイルを設定するように構成された少なくとも1つの温度制御ユニット(ここでは不図示)を含み得る。上記で定義したように、個々の温度プロファイルは、対応する乾燥ゾーン130、130’、130’’内の調製物において優勢な温度の経過に関連し、この温度は、具体的には、基材118、118’に適用された少なくとも1つの調製物のアクセス可能な表面の温度を指す場合がある。
【0065】
更に、各乾燥ゾーン130、130’、130’’は、対応する乾燥ゾーン130、130’、130’’の個々の熱伝達プロファイルを調整するように構成された少なくとも1つのブローユニット(ここでは不図示)を更に含み得る。上記で定義したように、個々の熱伝達プロファイルは、対応する乾燥ゾーン130、130’、130’’内の調製物に適用される熱伝達の経路を指し、熱伝達は、特に、少なくとも1つの調製物のアクセス可能な表面の上方における熱の伝達を指すことがある。
【0066】
このように、各乾燥ゾーン130、130’、130’’は、好ましくは特定の乾燥ゾーン130’に位置する関連する乾燥機132’の設定パラメータの少なくとも1つの値が、隣接する乾燥ゾーン130、130’’に位置する関連する乾燥機132、132’’の設定パラメータの少なくとも1つの値と異なるように好ましくは個々に対応され得る。上記のように及び以下でより詳細に説明するように、この利点は、各乾燥ゾーン130、130’、130’’の乾燥条件の個別の設定を可能にする。
【0067】
更に、
図1に概略的に示されるように、コーティングデバイス120は、更に、センサユニット134を有し得る。センサユニット134は、3つの逐次的な乾燥ゾーン130、130’、130’’の後にコーティング112、112’の少なくとも1つの材料パラメータの少なくとも1つの測定値を記録するように構成された少なくとも1つのセンサを含む。本明細書では、基材118、118’上のコーティング112、112’の少なくとも1つの材料パラメータは、少なくとも1つの乾燥プロセスを恒常的に改善するために、又は好ましくは乾燥プロセスの効率を高めるために使用され得る。特に、センサユニット134は、コーティング112、112’の表面の温度を測定するように構成された光センサ136、具体的には赤外線センサを含み得る。或いは又は更に、センサユニット134は、コーティング112、112’の面積あたりのコーティング重量を測定するように構成された超音波センサ138を含み得る。しかしながら、上記のようなセンサなどの更に別の種類のセンサも可能であり得る。
【0068】
概して、コーティング112、112’の少なくとも1つの材料パラメータは、コーティング112、112’の性質及び用途に依存することがある。例として、テープ116の1つ又は両方の面114、114’上のコーティング112、112’は、バッテリー電極に使用されるように指定されたコーティングであり得る。本明細書では、少なくとも1つの材料パラメータは、好ましくは、基材上のコーティング112、112’の剥離強度と、電気化学セルのバッテリー電極の用途においてはコーティング112、112’の電極性能とから選択され得る。更なる例として、テープ116の1つ又は両方の面114、114’上のコーティング112、112’は、太陽電池に使用されるように指定することができ、少なくとも1つの材料パラメータは、この場合、基材上のコーティング112、112’の剥離強度と、光起電力太陽電池パネルの太陽電池の用途におけるコーティング112、112’の電気性能とから選択され得る。しかしながら、更に別の例も可能である。
【0069】
本発明によれば、テープ116の1つ又は両方の面114、114’上にコーティング112、112’を作成するためのシステム110は、プログラム可能装置140を更に含む。
図1に概略的に示されるように、プログラム可能装置140は、移動通信デバイス142、具体的にはスマートフォン144であり得る、又は移動通信デバイス142、具体的にはスマートフォン144を含み得る。しかしながら、コンピュータ若しくはコンピュータネットワークなどの更に別の種類のプログラム可能装置、又は異なる種類の移動通信デバイスも本発明の目的のために使用することができる。しかしながら、以下の文を読みやすくするために、
図1の特定の実施形態はスマートフォン144の例に関して説明され、説明する細部は、更に別の種類のプログラム可能装置、具体的にはコンピュータ若しくはコンピュータネットワーク、又は異なる種類の移動通信デバイスに準用可能である。
【0070】
図1に概略的に示されるように、スマートフォン144は、特に1つ以上のアプリケーション(「アプリ」)を実行することによってスマートフォン144を駆動するように構成された処理ユニット146を含む。少なくとも1つのアプリケーションは、少なくとも1つの入力値に基づいて少なくとも1つの出力値を決定するように構成され得る。ここで更に示されるように、スマートフォン144はストレージユニット148を含む。ストレージユニット148は、少なくとも1つのコンピュータプログラム、特に、上で説明したような及び以下でより詳細に説明するような乾燥プロセスのシミュレーションを生成するように構成されたモデルを駆動する少なくとも1つのコンピュータプログラムと、少なくとも1つの値、特に、出力値、入力値、又は少なくとも1つのコンピュータプログラムで使用される値のうちの少なくとも1つとを格納するように構成されている。
図1に更に示されるように、スマートフォン144は画面150を含み、画面150は仮想キーパッド152を含み、仮想キーパッド152は、特に処理ユニット146で処理される及び/又はストレージユニット148に格納される少なくとも1つの入力値を受け取るように構成され得る。しかしながら、以下でより詳細に説明するように、少なくとも1つの入力値は、或いは又は更に、少なくとも1つの異なるチャネルを介して受け取ることができる。
【0071】
本発明においては、スマートフォン144は、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階130、130’、130’’のレイアウトに関する情報、調製物の組成に関する情報、基材118、118’に関する情報、及びテープ速度122に関する情報を受け取るように構成されている。しかしながら、これに加えて、少なくとも1つの更に別の情報もスマートフォン144によって受け取ることができる。
図1に概略的に示されるように、特に、情報154、156、158、160についてユーザに知らせて、ユーザが情報154、156、158、160を精査し、該当する場合には情報154、156、158、160を、特に仮想キーパッド152を使用することにより修正できるようにするために、調製物の組成に関する情報154、基材118、118’に関する情報156、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階130、130’、130’’のレイアウトに関する情報158、及びテープ速度122に関する情報160が画面150上に表示され得る。
【0072】
更に、本発明においては、スマートフォン144は、更に、テープ速度122の予測値162、及び乾燥ゾーン130、130’、130’’内で使用される各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータの予測値164を生成するように構成された少なくとも1つのモデルを用いるように構成されている。
【0073】
更に、本発明においては、スマートフォン144は更に、それぞれ、テープ速度122、及び乾燥ゾーン130、130’、130’’内で使用される各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータの予測値162、164を、上記で用いた少なくとも1つのモデル及び更に上記で受け取った情報154、156、158、160に基づいて決定するように構成されている。
【0074】
更に、本発明においては、スマートフォン144は更に、乾燥プロセスを調整するための推奨手順166を提供するように構成されている。
図1に概略的に示される実施形態では、推奨手順166は、それぞれ、テープ速度122、及び乾燥ゾーン130、130’、130’’内で使用される各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータの予測値162、164を含む。上で既に示したように、スマートフォン144のストレージユニット148は更に、乾燥プロセスのシミュレーションを生成するように構成されたモデルを駆動する少なくとも1つのコンピュータプログラムを格納するように構成されている。上記で定義したように、モデルは、乾燥プロセスのシミュレーションを生成するように構成された少なくとも1つのコンピュータプログラムを使用することによって予測値162、164を生成するように構成されており、乾燥プロセスは、
図1のコーティングデバイス120で使用される3つの逐次的な乾燥段階130、130’、130’’を含む。特に、シミュレーションは、上記のようなスマートフォン144によって受け取られる、調製物の組成に関する情報154、基材118、118’に関する情報156、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階130、130’、130’’のレイアウトに関する情報158、及びテープ速度122に関する情報160に密接に基づく。
【0075】
特に、モデルは、調製物の組成、基材118、118’、逐次的な乾燥段階130、130’、130’’のレイアウト、テープ速度122、各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータの既知の値、及び基材118、118’上のコーティング112、112’の少なくとも1つの材料パラメータ、特に、基材118、118’上のコーティング112、112’の付着力を示す剥離強度の既知の値を使用することによって生成され得る。本明細書では、既知の値は、好ましくは、テストコーティングデバイスの少なくとも1つのテストレイアウトと1つのテストテープ速度とを含む少なくとも1つのテスト乾燥プロセスにおいて少なくとも1つの既知の基材上に少なくとも1つの既知の調製物を使用することによって取得され得る。テスト乾燥プロセスの結果、少なくとも1つの関係が生成され得る。特定のコーティングデバイスに含まれる特定のレイアウトにおいて乾燥させる特定の基材上の特定の調製物に関する少なくとも1つの関係は、基材118、118’上のコーティング112、112’の少なくとも1つの材料パラメータ、特に基材118、118’上のコーティング112、112’の付着力を示す剥離強度、対応する乾燥ゾーン130、130’、130’’内の関連する乾燥機132、132’、132’’の複数の設定パラメータ、及びテープ速度122に関する複数の値を指すことがある。以下、
図3Bに示されるように、少なくとも1つの関係は少なくとも1つの図表として表示することができ、少なくとも1つの図表は、特に、剥離強度と、対応する乾燥ゾーン130、130’、130’’内で特定の基材上の特定の調製物に適用される個々の温度プロファイル及び個々の熱伝達プロファイルの両方との間の関係を示すことができる。
【0076】
更に、本発明においては、スマートフォン144によって提供される推奨手順166により、ユーザに、テープ速度122及び/又はコーティングデバイス120の乾燥ゾーン130、130’、130’’内で使用される各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータを特に手動で変更開始させることができる。しかしながら、
図1に更に示されるように、これに加えて、システム110は、特にスマートフォン144とシステム110に更に含まれる制御ユニット170との間で情報を交換するように構成され得る少なくとも1つの通信インターフェイス168を含み得る。本明細書では、少なくとも1つの通信インターフェイス168は、有線接続要素又は無線要素を含み得る。例として、有線接続要素は、銅線又は金線などの金属線、ユニバーサルシリアルバス(USB)などのコンピュータバスシステム、又は光ファイバーのうちの少なくとも1つから選択することができ、無線要素は、無線送信機又はBluetooth要素を含み得る。しかしながら、更に別の種類の通信インターフェイスも可能であり得る。好ましくは、通信インターフェイス168は、情報154、156、158、160を制御ユニット170からスマートフォン144に一方向に伝送し、推奨手順166を制御ユニット170に他方向に伝送するように構成された双方向通信インターフェイスとして構成され得る。
【0077】
図1に概略的に示されるように、制御ユニット170は、少なくとも1つの更なる処理ユニット172と、ストレージユニット174と、モニタ176と、キーボード178と、複数のインターフェイス180とを含み得る。本明細書では、少なくとも1つの更なる処理ユニット172は、特に複数のインターフェイス180を使用することによってコーティングデバイス120を駆動するように構成され得る。本明細書では、1つ以上の、好ましくは全てのインターフェイス180が、少なくとも1つのデータを2つの方向のうちの1つに又はその逆に送信するように構成された双方向通信インターフェイスとして構成され得る。特に、インターフェイス180は、好ましくは、一方向においては制御ユニット170からドラム124、124’、コーティングユニット128、128’、乾燥機132、132’、132’’、又はセンサユニット134のうちの少なくとも1つに命令を送信し、他方向においてはドラム124、124’、コーティングユニット128、128’、乾燥機132、132’、132’’、又はセンサユニット134のうちの少なくとも1つから制御ユニット170にデータ項目、測定値、又はエラーメッセージなどのメッセージを送信するための双方向通信インターフェイスとして使用することができる。更に、ストレージユニット174は、特にモニタ176によって表示され得る、特にこれらのデータ項目、測定値、又はエラーメッセージのいずれか1つを格納するように構成することができ、キーボード178は、特に、これらの命令の少なくとも1つを入力するように及び/又はこれらのデータ項目、測定値、若しくはエラーメッセージのいずれか1つを修正するように指定され得る。特に、制御ユニット170は、好ましくは通信インターフェイス168を介してスマートフォン144と相互作用するように、及び更には、好ましくは複数のインターフェイス180を介して、推奨手順166を実施することにより少なくとも1つの乾燥プロセスを調整することによってコーティングデバイス120を制御するように構成され得る。
【0078】
図2は、異なるように設計された乾燥プロセスの乾燥プロファイル212、214、216を示す図表210を示す。この目的のために、溶媒体積分率Φを時間tにわたってプロットし、Φは、異なる乾燥プロファイル212、214、216に関するものである。したがって、「粗い乾燥プロファイル」という用語によって示されることもある乾燥プロファイル212は、かなり高い蒸発速度(ここでは、r=3g/m
2・s)が調製物に適用され得る乾燥プロファイルの特定の実施形態を示す。乾燥プロファイル212は経済的観点からは興味深いものとなり得るが、特に乾燥時間218の減少のせいで、概して乾燥プロセスの完了後のコーティング112、112’の少なくとも1つの材料パラメータの測定値の記録から得ることができる所望の品質のコーティング112、112’はもたらさない。
【0079】
したがって、コーティング112、112’の品質を向上させるために、「穏やかなダイイング(dying)プロファイル」という用語によっても示される乾燥プロファイル214を使用することができる。乾燥プロファイル214においては、低高(low high)蒸発速度(ここでは、r=1g/m2・s)を調製物に適用することができ、乾燥プロセスの完了後のコーティング112、112’の少なくとも1つの材料パラメータの目標値を、特に増加する乾燥時間220という代償を払って提供する。両乾燥プロファイル212、214に関しては、関与する全ての乾燥ゾーン130、130’、130’’において、関連する乾燥機132、132’、132’’の設定パラメータの一定値が使用される。
【0080】
本発明においては、上記のように、テープ速度122及び/又はコーティングデバイス120に含まれる乾燥ゾーン130、130’、130’’内で使用される各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータを設定することによって乾燥プロセスを調整するための推奨手順166が提供される。
図2に示されるように、乾燥プロセスは、3つの逐次的な乾燥段階222、224、226に区画化することができる。したがって、この好ましい例示的な実施形態では、乾燥プロセスは、初期乾燥段階222と、初期乾燥段階222に続く重要乾燥段階224と、重要乾燥段階224に続く最終乾燥段階226とに区画化することができる。更に、乾燥段階222、224、226の1つ以上は、1つより多い乾燥ゾーン130、130’、130’’に区画化されてもよい。
【0081】
図2から得られるように、「区画化された乾燥プロファイル」という用語でも示される乾燥プロファイル216の蒸発速度は、初期乾燥段階222中には粗い乾燥プロファイル212の蒸発速度に従い、重要乾燥段階224中には穏やかな乾燥プロファイル214の蒸発速度を適用し、最終乾燥段階226中には粗い乾燥プロファイル212の蒸発速度に戻る。本明細書では、対応する乾燥段階222、224、226中の乾燥プロファイル212、214、216は、テープ速度122、及びコーティングデバイス120の各乾燥ゾーン130、130’、130’’の各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの各々の設定パラメータを設定することにより得ることができる。好ましくは、初期乾燥段階222は、本明細書では第1の乾燥ゾーン130内で、重要乾燥段階224は逐次的な乾燥ゾーン130’内で、最終乾燥段階226は最終乾燥ゾーン130’’内で実施され得る。
【0082】
その結果、この好ましい例示的な実施形態では、区画化された乾燥プロファイル216に従った乾燥プロセスを、粗い乾燥プロファイル212に必要な乾燥時間218は確実に超えるが、穏やかな乾燥プロファイル214に必要な乾燥時間220はなおも約40%下回る中間乾燥時間228において実施することができ、区画化された乾燥プロファイル216の適用により得られるコーティング112、112’の品質は、穏やかなダイイング(dying)プロファイル214の適用により得られるコーティング112、112’の品質に等しい。これは、区画化された乾燥プロファイル216に従った乾燥プロセスの完了後にコーティング112、112’の少なくとも1つの材料パラメータの測定値を記録することによって実証され得る。
【0083】
理論によって拘束されることを望むものではないが、
図2の図表210に示される結果は、乾燥プロセスの最初に基材118、118’に適用される調製物が少なくとも2つの異なる成分、すなわち、複数の少なくとも1つの固体成分(少なくとも1つの固体成分は、複数の、結晶粒子、アモルファス粒子、又は溶解した分子のうちの少なくとも1つを含み得る)と、少なくとも1つの第2の成分を有する溶媒(少なくとも1つの溶媒は、液体、気体、又はこれらの混合物のうちの少なくとも1つから選択され得る)とを有するマトリックスを含むことを考慮に入れることによって説明することができる。更に、調製物は、更に、少なくとも1つの追加的な成分、特に、マトリックス内の固体成分を共に維持するように指定された少なくとも1つのバインダーを含み得る。乾燥プロセス中にコーティング112、112’を形成するために、粒子圧密化、バインダー移動、及び溶媒蒸発の組み合わせが3つの逐次的な乾燥段階222、224、226にわたって行われる。概して、基材118、118’上に調製物を適用した直後に、乾燥プロセスは、典型的には、主に粒子圧密化とマトリックスからの溶媒蒸発との組み合わせによる基材118、118’上の調製物の体積の収縮を含む初期乾燥段階222から開始する。
図2に示されるように、溶媒体積分率の値は、初期乾燥段階222中に、Φ≒0.6からΦ≒0.4に減少する。その後、典型的には、基材118、118’上の調製物の体積の収縮が終了し、圧密化された粒子間の細孔からの溶媒蒸発が始まると、重要段階224が開始する。したがって、実験的に実証されるように、高品質のコーティング112、112’をできるだけ短時間内に得るために重要乾燥フェーズ224中に行われる手順を適切に支援するために、重要乾燥段階224中には穏やかな乾燥プロファイル216を適用することが好ましい場合がある(これがこの乾燥段階に「重要」という用語が用いられている理由である)。更に、
図2に示されるように、溶媒体積分率の値は、重要乾燥段階224中に、Φ≒0.4からΦ≒0.15に減少する。最終乾燥段階226中に、溶媒体積分率の値は、最終的には、Φ≒0まで減少し、特に乾燥時間228をできる限り低減するために、粗い乾燥プロファイル212のかなり高い蒸発速度が使用され得る。
【0084】
図3A~
図3Dは、本発明による少なくとも1つの乾燥プロセスを調整することにより得られた実験結果を示す。
【0085】
図3Aは、特定の乾燥プロセスの乾燥段階222、224、226を実施するために各乾燥ゾーン130、130’、130’’の各関連する乾燥機132、132’、132’’に関して使用される設定パラメータとしての、温度T
D(℃)の経過310及び熱伝達係数α(W/m
2・K)の経過312を示す。
【0086】
図3Bは、面積あたりのコーティング重量w≒78.5g/m
2に関して測定した、重要乾燥段階224中に適用した個々の温度プロファイルT(℃)及び個々の熱伝達プロファイルα(W/m
2・K)の関数としてのコーティング112、112’の90°剥離強度p(分析方法の説明については標準規格ASTM D6862を参照)を正規化した実験結果を示す図表314を示す。本明細書では、図表314中の第1の点316は、乾燥手順で使用される最適に満たない条件T≒120℃及びα≒60W/m
2・Kの例を示し、図表314中の第2の点318は、
図3Aに示される本発明による乾燥手順で使用される最適な条件T≒80℃及びα≒30W/m
2・Kの更なる例を示す。図表314は、
図3Aに示される特定の乾燥プロセスのモデルを構成する結果と考えることができる。
【0087】
図3Cは、乾燥段階222、224、226を実施する各乾燥ゾーン130、130’、130’’内の調製物の面積あたりのコーティング重量w(kg/m
2)の経過320及び調製物の表面の温度T
F(℃)の経過322を示す。本明細書では、調製物の表面の温度T
Fの経過322の測定値は光センサを使用することによって記録されたものであり、調製物の面積あたりのコーティング重量wの経過320の測定値は超音波センサを使用することによって記録されたものである。
【0088】
図3Dは、乾燥段階222、224、226を実施する各乾燥ゾーン130、130’、130’’における溶媒体積分率Φの経過324及び蒸発速度r(g/m
2・s)の経過326を示す。ここで示されているように、蒸発速度は、重要段階224に主に対応する乾燥ゾーン130’で特に低下する。
【0089】
図4は、基材118、118’上にコーティング112、112’を作成するように指定された乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法410の好ましい実施形態を概略的に示す。既に上記したように、乾燥プロセスは、基材118、118’上に堆積された調製物に適用され、乾燥プロセスは、3つの逐次的な乾燥段階222、224、226を含み、その後に、コーティング112、112’が作成される。本発明によれば、方法410は以下の工程を含む。
【0090】
工程(i)による受け取る工程412において、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階222、224、226のレイアウトに関する情報154、156、158、調製物の組成に関する情報154、156、158、及び少なくとも1つの基材118、118’に関する情報154、156、158を受け取る。
【0091】
工程(ii)による用いる工程414において、少なくとも1つのモデルを用いる。少なくとも1つのモデルは、乾燥段階222、224、226中に使用される各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータの予測値162、164を生成するように構成されている。
【0092】
工程(iii)による決定する工程416において、3つの乾燥段階222、224、226中に存在する各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータの予測値162、164が、用いる工程414で用いられた少なくとも1つのモデルと受け取る工程412で受け取った情報154、156、158とに基づいて決定される。
【0093】
工程(iv)による提供する工程418において、乾燥プロセスを調整するための推奨手順166が提供される。推奨手順166は、3つの乾燥段階222、224、226中の各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータの予測値162、164を含む。
【0094】
図5は、基材118、118’上にコーティング112、112’を作成するように指定された乾燥プロセスを調整するためのシステム420の好ましい実施形態を概略的に示す。
図5に示されるように、システム420は、既に上記したように基材118、118’上にコーティング112、112’を作成するように指定された乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法410を実施するように構成された処理ユニット146を含む。
【0095】
更に、システム420は、一方では、少なくとも2つの逐次的な乾燥段階222、224、226のレイアウトに関する情報154、156、158、調製物の組成に関する情報154、156、158、及び少なくとも1つの基材118、118’に関する情報154、156、158を受け取るように構成された第1の通信インターフェイスとして、他方では、3つの乾燥段階222、224、226中の各関連する乾燥機132、132’、132’’の少なくとも1つの設定パラメータの予測値162、164を含む乾燥プロセスを調整するための推奨手順166を、コーティングデバイス120を制御するように構成された制御ユニット170に含まれる更なる処理ユニット172に提供するように構成された更なる通信インターフェイスとして機能するように構成された双方向通信インターフェイス168を含む。
【0096】
図5に更に示されるように、システム420は、これに加えて、特に予測値162、164を含む推奨手順116を特に画面150を介してユーザに提供するように構成され得る少なくとも1つの追加的な通信インターフェイス422を含み得る。或いは又は更に、推奨手順166は、スピーカなどの異なるデバイス(ここでは不図示)を介してユーザに提供され得る。
【符号の説明】
【0097】
参照番号のリスト
110 少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを連続的に作成するためのシステム
112、112’ コーティング
114、114’ 面
116 テープ
118、118’ 基材
120 コーティングデバイス
122 テープ速度
124、124’ ドラム
126、126’ 適用エリア
128、128’ コーティングユニット
130、130’、130’’ 乾燥ゾーン
132、132’、132’’ 関連する乾燥機
134 センサユニット
136 光センサ
138 超音波センサ
140 プログラム可能装置
142 移動通信デバイス
144 スマートフォン
146 処理ユニット
148 ストレージユニット
150 画面
152 仮想キーパッド
154 情報
156 情報
158 情報
160 情報
162 予測値
164 予測値
166 推奨手順
168 (双方向)通信インターフェイス
170 制御ユニット
172 更なる処理ユニット
174 ストレージユニット
176 モニタ
178 キーボード
180 インターフェイス
210 図表
212 粗い乾燥プロファイル
214 穏やかな乾燥プロファイル
216 区画化された乾燥プロファイル
218 乾燥時間
220 乾燥時間
222 初期乾燥段階
224 重要乾燥段階
226 最終乾燥段階
228 乾燥時間
310 個々の温度の経過
312 個々の熱伝達係数の経過
314 図表
316 最適に満たない点
318 最適点
320 面積あたりのコーティング重量の経過
322 表面温度の経過
324 溶媒体積分率の経過
326 蒸発速度の経過
410 少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのコンピュータ実施方法
412 受け取る工程
414 用いる工程
416 決定する工程
418 提供する工程
420 少なくとも1つの基材上に少なくとも1つのコーティングを作成するように指定された少なくとも1つの乾燥プロセスを調整するためのシステム
422 追加的な通信インターフェイス
【国際調査報告】