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特表2023-544855インピーダンス整合方法、インピーダンス整合器及び半導体プロセス装置
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  • 特表-インピーダンス整合方法、インピーダンス整合器及び半導体プロセス装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】インピーダンス整合方法、インピーダンス整合器及び半導体プロセス装置
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20231018BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H01L21/302 101G
H01L21/302 101C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521609
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 CN2021123317
(87)【国際公開番号】W WO2022078336
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】202011089179.4
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ジン
(72)【発明者】
【氏名】チェン シン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ガン
(72)【発明者】
【氏名】ファ ユェピン
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084CC12
2G084CC13
2G084DD55
2G084HH05
2G084HH08
2G084HH23
2G084HH24
2G084HH52
5F004BA20
5F004CA07
5F004CB07
(57)【要約】
本発明は、半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法、インピーダンス整合器及び半導体プロセス装置を提供する。該インピーダンス整合方法は、プロセスが開始するとき、インピーダンス整合器の可変素子のパラメータ値を予め設定される初期値に調節することと、無線周波数電源がオンにされる場合、予め記憶されたプロセスに対応する最適な整合経路に基づいて可変素子のパラメータ値を調節することであって、最適な整合経路が予め設定される整合時間帯内の異なる時刻に対応する可変素子のパラメータ値を含むことと、予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、インピーダンス整合を実現するまで自動整合アルゴリズムを採用し可変素子のパラメータ値を調節することと、を含む。本発明に係る上記インピーダンス整合方法、インピーダンス整合器及び半導体プロセス装置は、プロセスの再現性及び安定性を向上させることができるだけでなく、プラズマインピーダンスに対する微細化調節を実現することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法であって、
プロセスが開始するとき、インピーダンス整合器の可変素子のパラメータ値を予め設定される初期値に調節することと、
無線周波数電源がオンにされる場合、予め記憶された前記プロセスに対応する最適な整合経路に基づいて前記可変素子のパラメータ値を調節することであって、前記最適な整合経路が予め設定される整合時間帯内の異なる時刻に対応する前記可変素子のパラメータ値を含むことと、
前記予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、インピーダンス整合を実現するまで自動整合アルゴリズムを採用し前記可変素子のパラメータ値を調節することと、を含むことを特徴とする半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法。
【請求項2】
前記最適な整合経路の取得方法は、
前記可変素子のパラメータ値を前記初期値に調節することと、
前記無線周波数電源をオンにし、且つインピーダンス整合を実現するまで自動整合アルゴリズムを採用し前記可変素子のパラメータ値を調節することであって、整合経路を取得するように整合過程全体における異なる時刻に対応する前記可変素子のパラメータ値を記録することと、
前記整合経路の取得ステップをN回繰り返し行い、Nは所定数値以上の整数であることと、
N本の前記整合経路から1本の整合経路を前記最適な整合経路として選択して記憶することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のインピーダンス整合方法。
【請求項3】
N本の前記整合経路から1本の整合経路を前記最適な整合経路として選択して記憶することは、具体的に、
N本の前記整合経路から消灯現象のない整合経路を選択することと、
前記消灯現象のない整合経路から、繰り返し出現回数の最も多い整合経路を前記最適な整合経路として選択して記憶することと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のインピーダンス整合方法。
【請求項4】
インピーダンス整合器の可変素子のパラメータ値を予め設定される初期値に調節するステップの前に、
前記プロセスに対応する前記最適な整合経路が記憶されるか否かを判断することと、
YESの場合、インピーダンス整合器の可変素子のパラメータ値を予め設定される初期値に調節するステップを行うことと、
NOの場合、前記最適な整合経路の取得方法を実行し、且つ前述した、プロセスに対応する前記最適な整合経路が記憶されるか否かを判断するステップに戻ることと、を更に含むことを特徴とする請求項2に記載のインピーダンス整合方法。
【請求項5】
前記所定数値が20以上であることを特徴とする請求項2に記載のインピーダンス整合方法。
【請求項6】
前記初期値は、プラズマの点灯条件を満たす場合に対応する前記可変素子のパラメータ値であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のインピーダンス整合方法。
【請求項7】
同じ前記プロセスを用いて異なる被加工ワークを加工するとき、予め設定される前記初期値が同じであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のインピーダンス整合方法。
【請求項8】
前記可変素子が可変容量であり、前記可変素子のパラメータ値が前記可変容量の容量値又は容量位置であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のインピーダンス整合方法。
【請求項9】
無線周波数伝送線路上の電圧信号及び電流信号を検出するためのセンサ、可変素子、実行ユニット、記憶ユニット及び制御ユニットを備えるインピーダンス整合器であって、
前記実行ユニットは、前記可変素子のパラメータ値を調節するために用いられ、
前記記憶ユニットは、前記可変素子のパラメータ値の初期値及び異なるプロセスに対応する最適な整合経路を記憶するために用いられ、前記最適な整合経路が予め設定される整合時間帯内の異なる時刻に対応する前記可変素子のパラメータ値を含み、
前記センサは、前記予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、無線周波数伝送線路上の電圧信号及び電流信号をリアルタイムに検出して前記制御ユニットに送信するために用いられ、
前記制御ユニットは、プロセスが開始するとき、前記記憶ユニットに記憶される前記初期値を呼び出して、前記実行ユニットを制御して前記可変素子のパラメータ値を前記初期値に調節させ、無線周波数電源がオンにされる場合、前記記憶ユニットに記憶される現在のプロセスに対応する最適な整合経路を呼び出して、前記最適な整合経路に基づいて前記実行ユニットを制御して前記可変素子のパラメータ値を調節させ、前記予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、インピーダンス整合を実現するまで前記電圧信号及び電流信号に基づいて自動整合アルゴリズムを採用し前記実行ユニットを制御して前記可変素子のパラメータ値を調節させるために用いられることを特徴とするインピーダンス整合器。
【請求項10】
プロセスチャンバと、インピーダンス整合器により前記プロセスチャンバに無線周波数電力をロードするための無線周波数電源と、を備える半導体プロセス装置において、
前記インピーダンス整合器が請求項9に記載のインピーダンス整合器を用いることを特徴とする半導体プロセス装置。
【請求項11】
前記半導体プロセス装置が用いるプラズマ源は、誘導結合プラズマ源又は容量結合プラズマ源であることを特徴とする請求項10に記載の半導体プロセス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体技術分野に関し、具体的に、半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法、インピーダンス整合器及び半導体プロセス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置において、プロセスチャンバ中のプロセスガスを励起してプラズマを形成するように、無線周波数電源が無線周波数エネルギーをインピーダンス整合器によりプロセスチャンバに伝送し、プラズマに大量の電子、イオン、励起状態の原子、分子及びラジカルなどの活性粒子を含有し、これらの活性粒子がウェハと相互作用して、ウェハ材料の表面に様々な物理及び化学反応を発生させ、これにより、ウェハのエッチング又は堆積などのプロセス過程を完了する。
【0003】
無線周波数エネルギーの伝送過程において、無線周波数電源の出力インピーダンスが一般的に50オームであり、プロセスチャンバの入力インピーダンスが一般的に実部インピーダンス及び虚部インピーダンスを有する50オーム以外のインピーダンス値であり、このため、インピーダンスが整合されておらず、このような場合、無線周波数エネルギーをプロセスチャンバに直接に伝送すると、無線周波数エネルギーの反射が発生することとなり、即ちプロセスチャンバに伝送される無線周波数エネルギーが不十分であり、このため、正常に励起してプラズマを形成できず、従って、無線周波数電源の後部の入力インピーダンスを50オームに調節するように、無線周波数電源とプロセスチャンバとの間に1つのインピーダンス整合器を接続する必要があり、これにより、無線周波数エネルギーの正常伝送を実現し、即ちインピーダンス整合を実現する。
【0004】
既存のインピーダンス整合器は、センサ、可変素子、実行ユニット及び制御ユニットを備え、センサは、無線周波数伝送線路上の電圧信号及び電流信号をリアルタイムに検出して制御ユニットに送信するために用いられ、制御ユニットは、センサが検出した信号に基づいて自動整合アルゴリズムを採用し可変素子のパラメータ値の調整量を計算して取得し、且つインピーダンス整合状態を実現するまで該調整量に基づいて実行ユニットを制御して可変素子のパラメータ値(例えば、可変容量の容量値)を調節させるために用いられ、それにより、最大の無線周波数電力をプロセスチャンバに伝送してプラズマを励起形成する。
【0005】
しかしながら、上記整合する過程において、特にICP(Inductively Coupled Plasma、誘導結合プラズマ)にとっては、プラズマが点灯過程においてE-Hモードのホッピング(即ち、EモードからHモードにホッピングする)の不安定状態にあるため、異なるプロセスの整合経路に相違及び非再現性があり、このため、異なるウェハの加工プロセスに使用される整合時間に相違があり、更にウェハ間のプロセス結果が異なり、特にプロセス時間が比較的に短いプロセスにとっては、このようなプロセス結果の相違がより明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、少なくとも従来技術の技術的問題の1つを解決することを目的とし、半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法、インピーダンス整合器及び半導体プロセス装置を提供し、プロセスの再現性及び安定性を向上させることでプロセス結果の一致性を向上させることができるだけでなく、プラズマインピーダンスに対する微細化調節を実現することもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明の実施例は、半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法を提供し、この方法は、
プロセスが開始するとき、インピーダンス整合器の可変素子のパラメータ値を予め設定される初期値に調節することと、
無線周波数電源がオンにされる場合、予め記憶された前記プロセスに対応する最適な整合経路に基づいて前記可変素子のパラメータ値を調節することであって、前記最適な整合経路が予め設定される整合時間帯内の異なる時刻に対応する前記可変素子のパラメータ値を含むことと、
前記予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、インピーダンス整合を実現するまで自動整合アルゴリズムを採用し前記可変素子のパラメータ値を調節することと、を含む。
【0008】
選択肢として、前記最適な整合経路の取得方法は、
前記可変素子のパラメータ値を前記初期値に調節することと、
前記無線周波数電源をオンにし、且つインピーダンス整合を実現するまで自動整合アルゴリズムを採用し前記可変素子のパラメータ値を調節することであって、整合経路を取得するように整合過程全体における異なる時刻に対応する前記可変素子のパラメータ値を記録することと、
前記整合経路の取得ステップをN回繰り返し行い、Nは所定数値以上の整数であることと、
N本の前記整合経路から1本の整合経路を前記最適な整合経路として選択して記憶することと、を含む。
【0009】
選択肢として、N本の前記整合経路から1本の整合経路を前記最適な整合経路として選択して記憶することは、具体的に、
N本の前記整合経路から消灯現象のない整合経路を選択することと、
前記消灯現象のない整合経路から、繰り返し出現回数の最も多い整合経路を前記最適な整合経路として選択して記憶することと、を含む。
【0010】
選択肢として、インピーダンス整合器の可変素子のパラメータ値を予め設定される初期値に調節するステップの前に、
前記プロセスに対応する前記最適な整合経路が記憶されるか否かを判断することと、
YESの場合、インピーダンス整合器の可変素子のパラメータ値を予め設定される初期値に調節するステップを行うことと、
NOの場合、前記最適な整合経路の取得方法を実行し、且つ前述した、プロセスに対応する前記最適な整合経路が記憶されるか否かを判断するステップに戻ることと、を更に含む。
【0011】
選択肢として、前記所定数値が20以上である。
【0012】
選択肢として、前記初期値は、プラズマの点灯条件を満たす場合に対応する前記可変素子のパラメータ値である。
【0013】
選択肢として、同じ前記プロセスを用いて異なる被加工ワークを加工するとき、予め設定される前記初期値が同じである。
【0014】
選択肢として、前記可変素子が可変容量であり、前記可変素子のパラメータ値が前記可変容量の容量値又は容量位置である。
【0015】
他の技術案として、本発明の実施例は、インピーダンス整合器を更に提供し、このインピーダンス整合器は、無線周波数伝送線路上の電圧信号及び電流信号を検出するためのセンサ、可変素子、実行ユニット、記憶ユニット及び制御ユニットを備え、前記実行ユニットは、前記可変素子のパラメータ値を調節するために用いられ、
前記記憶ユニットは、前記可変素子のパラメータ値の初期値及び異なるプロセスに対応する最適な整合経路を記憶するために用いられ、前記最適な整合経路が予め設定される整合時間帯内の異なる時刻に対応する前記可変素子のパラメータ値を含み、
前記センサは、前記予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、無線周波数伝送線路上の電圧信号及び電流信号をリアルタイムに検出して前記制御ユニットに送信するために用いられ、
前記制御ユニットは、プロセスが開始するとき、前記記憶ユニットに記憶される前記初期値を呼び出して、前記実行ユニットを制御して前記可変素子のパラメータ値を前記初期値に調節させ、無線周波数電源がオンにされる場合、前記記憶ユニットに記憶される現在のプロセスに対応する最適な整合経路を呼び出して、前記最適な整合経路に基づいて前記実行ユニットを制御して前記可変素子のパラメータ値を調節させ、前記予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、インピーダンス整合を実現するまで前記電圧信号及び電流信号に基づいて自動整合アルゴリズムを採用し前記実行ユニットを制御して前記可変素子のパラメータ値を調節させるために用いられる。
【0016】
他の技術案として、本発明の実施例は、半導体プロセス装置を更に提供し、この半導体プロセス装置は、プロセスチャンバと、インピーダンス整合器により前記プロセスチャンバに無線周波数電力をロードするための無線周波数電源とを備え、前記インピーダンス整合器が本発明の実施例に係る上記インピーダンス整合器を用いる。
【0017】
選択肢として、前記半導体プロセス装置が用いるプラズマ源は、誘導結合プラズマ源又は容量結合プラズマ源である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の実施例の有益な効果は、以下のとおりである。
【0019】
本発明の実施例に係る半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法及びインピーダンス整合器の技術案において、まず、予め記憶されたプロセスに対応する最適な整合経路に基づいて可変素子のパラメータ値を調節し、次に、予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、インピーダンス整合を実現するまで自動整合アルゴリズムを採用し可変素子のパラメータ値を調節する。同じプロセスを用いて異なる被加工ワークを加工するとき、点灯段階においていずれも予め記憶された最適な整合経路を用いて整合するため、異なる被加工ワークを加工するプロセスが点灯段階において採用する整合経路をほぼ同じにすることができるとともに、最適な整合経路に基づいて整合することにより消灯現象の発生を回避することができ、これにより、プロセスの再現性及び安定性を向上させることができ、更にプロセス結果の一致性を向上させることができる。また、最適な整合経路を完了した後、自動整合アルゴリズムに切り替えて自動整合を行うことにより、プラズマインピーダンスがプロセス時間の変化につれて生じた微細な変化をリアルタイムに監視することができ、これにより、プラズマインピーダンスに対する微細化調節を実現することができる。
【0020】
本発明の実施例に係る半導体プロセス装置は、本発明の実施例に係る上記インピーダンス整合器を用いることにより、プロセスの再現性及び安定性を向上させることでプロセス結果の一致性を向上させることができるだけでなく、プラズマインピーダンスに対する微細化調節を実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施例に係る半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法のフローチャートである。
図2】インピーダンス整合器の原理図である。
図3】本発明の第1実施例が用いる整合経路の模式図である。
図4】本発明の第1実施例が用いる整合過程図である。
図5図5は本発明の第2実施例に係る半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
当業者に本発明の技術案をより良く理解させるために、以下に図面を参照しながら本発明の実施例に係る半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法、インピーダンス整合器及び半導体プロセス装置について詳しく説明する。
【0023】
図1を参照し、本発明の第1実施例に係る半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法は、以下のステップを含む。
【0024】
S1、プロセスが開始するとき、インピーダンス整合器の可変素子のパラメータ値を予め設定される初期値に調節する。
図2に示されるインピーダンス整合器1を例とし、該インピーダンス整合器1は無線周波数電源3とプロセスチャンバ2との間に接続され、無線周波数電源3の後部の入力インピーダンスを調節することにより無線周波数エネルギーの正常伝送を実現し、即ちインピーダンス整合を実現するために用いられる。具体的に、インピーダンス整合器1は、センサ11、整合ネットワーク12、実行ユニット14及び制御ユニット13を備え、センサ11は、無線周波数伝送線路上の電圧信号及び電流信号をリアルタイムに検出して制御ユニット13に送信するために用いられ、整合ネットワーク12は、2つの可変容量(C1、C2)を備え、両方が可変素子として使用され、両方の容量値又は容量位置が可変素子のパラメータ値であり、制御ユニット13は、2つのモータ(M1、M2)を制御してそれぞれ2つの可変容量(C1、C2)の容量位置を調節させるために用いられ、異なる容量位置は異なる容量値に対応し、それによって、無線周波数電源3の後部の入力インピーダンスを調節してインピーダンス整合の目的を実現する。当然ながら、実際の応用では、インピーダンス整合器の構造は図2に示される上記インピーダンス整合器の構造に限定されるものではなく、その可変素子は無線周波数電源3の後部の入力インピーダンスを調節できる他の任意の構造、例えば可変インダクタンス又は可変容量と可変インダクタンスとの組み合わせなどを用いてもよい。整合ネットワーク12は、例えばL型、π型、T型などである。
【0025】
いくつかの選択可能な実施例では、上記可変素子のパラメータ値の初期値はプラズマの点灯条件を満たし、即ちプラズマの点灯を実現するために必要な可変素子のパラメータ値である。該プラズマの点灯条件は、プロセスチャンバにロードされる無線周波数電力によってチャンバの共振による電界強度を最も大きくする程度にすることにより、電子の衝突を加速してプラズマを励起形成することができる。
【0026】
一般的には、プロセスチャンバのハードウェア条件が一定である場合、該プロセスチャンバがプラズマの点灯を実現する条件は同様に一定であり、これに基づいて、選択肢として、同じプロセスを用いて異なる被加工ワークを加工するとき、予め設定される初期値が同じであり、即ち異なる被加工ワークを加工するプロセスが開始するとき、可変素子のパラメータ値をいずれも同じ初期値に調節し、このように、プロセスの再現性を向上させることに寄与し、更にプロセス結果の一致性を向上させることができる。
【0027】
S2、無線周波数電源3がオンにされる場合、予め記憶されたプロセスに対応する最適な整合経路に基づいて上記可変素子のパラメータ値を調節する。
上記最適な整合経路は、予め設定される整合時間帯内の異なる時刻に対応する可変素子のパラメータ値を含む。
【0028】
最適な整合経路に基づいて上記可変素子のパラメータ値を調節することとは、予め設定される整合時間帯内に、パラメータ値をいつ何の数値に調節するかがいずれも予め設定されており、即ち各時刻に対応する可変素子のパラメータ値がいずれも予め設定されており、時間順序に従って設定されたこれらのパラメータ値が整合経路を構成することを意味する。該整合経路に基づいて整合する過程において、制御ユニット13は、該時刻に対応する予め設定されたパラメータ値に等しくするように、各時刻に可変素子のパラメータ値を直接調節すればよい。
【0029】
所謂の最適な整合経路とは、消灯現象がなく、再現性が最も高く、安定性が最も高いなどの条件を満たす整合経路を意味する。
【0030】
同じプロセスを用いて異なる被加工ワークを加工するとき、点灯段階にいずれも予め記憶された最適な整合経路を用いて整合し、即ち異なる被加工ワークを加工するプロセスが点灯段階において採用する整合経路はほぼ同じであるとともに、最適な整合経路に基づいて整合し、消灯現象の発生を回避することができ、これにより、プロセスの再現性及び安定性を向上させることができ、更にプロセス結果の一致性を向上させることができる。
【0031】
上記最適な整合経路の取得方法は様々であり、例えば、該取得方法は、以下のステップを含む。
【0032】
ステップ1、可変素子のパラメータ値を初期値に調節する。
該初期値が上記ステップS1における初期値と同じであってもよい。
【0033】
ステップ2、無線周波数電源をオンにして、インピーダンス整合を実現するまで自動整合アルゴリズムを採用し可変素子のパラメータ値を調節し、整合経路を取得するように整合過程全体における異なる時刻に対応する可変素子のパラメータ値を記録する。
上記自動整合アルゴリズムとは、センサ11を利用して無線周波数伝送線路上の電圧信号及び電流信号をリアルタイムに検出し、且つ該電圧信号及び電流信号に基づいて可変素子のパラメータ値の調整量を計算して取得し、且つインピーダンス整合状態を実現するまで該調整量に基づいて可変素子のパラメータ値(例えば、可変容量の容量値又は容量位置)を自動的に調節することを意味する。
【0034】
図3に示すように、整合経路に基づいてインピーダンス整合を行う整合過程全体において、予め設定される整合時間帯からn個の時刻(t1、t2、…、tn-1、tn)を選択し、且つ各時刻に対応するパラメータ値を記録し、時刻の数nが具体的なプロセス状況に応じて設定されてもよく、n個の時刻に対応する1組のパラメータ値が1本の整合経路を構成し、例えば、図3には、3組のパラメータ値で構成される3本の整合経路を示し、それぞれ経路1、経路2及び経路3であり、可変素子のパラメータ値が2つの可変容量C1及びC2の容量値である場合を例とし、下記表1には、各本の整合経路で示される時刻と容量値との対応関係表を示す。
【0035】
【表1】
【0036】
上記表1及び図3から分かるように、3本の整合経路の始点時刻t1に対応するパラメータ値(C11、C21)は同じであり、該パラメータ値は、例えばプラズマの点灯条件を満たすために設定した初期値に等しく、このとき、始点時刻t1が点灯点と称されてもよい。この3本の経路の終点時刻tnに対応するパラメータ値(C1n、C2n)は同じであり、且つ該終点時刻tnにいずれもインピーダンス整合を実現し、このとき、終点時刻tnが整合点と称されてもよい。容易に理解されるように、上記始点時刻t1と終点時刻tnとの間の時間帯は、上記ステップS2における予め設定される整合時間帯であり、該予め設定される整合時間帯は、整合経路に基づいてインピーダンス整合を行う過程全体である。
【0037】
ステップ3、整合経路を取得するステップ(即ち、上記ステップ2)をN回繰り返し行い、Nは所定数値以上の整数である。
取得された整合経路の数Nは1本の最適な整合経路を選択できる条件を満たせば、上記所定数値は、具体的なプロセス状況に応じて設定されてもよく、該所定数値は、例えば20以上である。
【0038】
ステップ4、N本の整合経路から1本の整合経路を最適な整合経路として選択して記憶する。
【0039】
最適な整合経路を選択する方式は、様々であってもよく、例えば、上記ステップ4は、具体的に、
N本の整合経路から消灯現象のない整合経路を選択するステップ41と、
消灯現象のない整合経路から、繰り返し出現回数の最も多い整合経路を最適な整合経路として選択して記憶するステップ42と、を含む。
【0040】
S3、最適な整合経路の終点時刻(即ち、tn)に到達した後、インピーダンス整合を実現するまで自動整合アルゴリズムを採用し可変素子のパラメータ値を調節する。
【0041】
上記自動整合アルゴリズムとは、センサ11を利用して無線周波数伝送線路上の電圧信号及び電流信号をリアルタイムに検出し、且つ該電圧信号及び電流信号に基づいて可変素子のパラメータ値の調整量を計算して取得し、且つインピーダンス整合状態を実現するまで該調整量に基づいて可変素子のパラメータ値(例えば、可変容量の容量値又は容量位置)を自動的に調節することを意味する。
【0042】
いくつかの実施例では、図4に示すように、時間軸Tにおいて、無線周波数電源のオンから無線周波数電源のオフまでの過程はプロセス過程全体であり、該プロセス過程は第1整合時間帯T1及び第2整合時間帯T2を含み、可変素子のパラメータ値が2つの可変容量C1及びC2の容量値である場合を例とし、第1整合時間帯T1において、最適な整合経路に基づいて2つの可変容量C1及びC2の容量値を調節し、無線周波数電源のオン時刻が該最適な整合経路の始点時刻t1であり、対応する容量値がそれぞれ(C11、C21)であり、最適な整合経路の終点時刻tnに対応する容量値が(C1n、C2n)であり、且つ該終点時刻tnにおいていずれもインピーダンス整合を実現する。且つ、制御ユニット13は始点時刻t1と終点時刻tnとの間の各時刻に対応する容量値に基づいて2つの可変容量C1及びC2の容量サイズを調節する。
【0043】
第2整合時間帯T2において、無線周波数伝送線路上の電圧信号及び電流信号をリアルタイムに検出し、且つ該電圧信号及び電流信号に基づいて自動整合アルゴリズムを採用し自動整合を行うことにより、プラズマインピーダンスがプロセス時間の変化につれて生じた微細な変化をリアルタイムに監視することができ、これにより、プラズマインピーダンスに対する微細化調節を実現することができる。
【0044】
図5を参照し、本発明の第2実施例に係る半導体プロセス装置に使用されるインピーダンス整合方法は、上記第1実施例の1つの具体的な実施形態である。具体的に、インピーダンス整合方法は、
現在のプロセスに対応する最適な整合経路が記憶されるか否かを判断し、
YESの場合、ステップS102を行い、NOの場合、ステップS107を行うステップS101と、
可変素子のパラメータ値を予め設定される初期値に調節するステップS102と、
無線周波数電源がオンにされるか否かを判断し、
YESの場合、ステップS104を行い、NOの場合、ステップS103に戻るステップS103と、
予め記憶された現在のプロセスに対応する最適な整合経路に基づいて上記可変素子のパラメータ値を調節するステップS104と、
予め設定される整合時間帯の終点時刻(即ち、tn)に到達した後、自動整合アルゴリズムを採用し可変素子のパラメータ値を調節するステップS105と、
インピーダンス整合を実現するか否かを判断し、
YESの場合、工程が終了し、NOの場合、インピーダンス整合を実現しない問題を調べるステップS106と、
可変素子のパラメータ値を初期値に調節するステップS107と、
無線周波数電源がオンにされるか否かを判断し、
YESの場合、ステップS109を行い、NOの場合、ステップS108に戻るステップS108と、
自動整合アルゴリズムを採用し可変素子のパラメータ値を調節するステップS109と、
インピーダンス整合を実現するか否かを判断し、
YESの場合、ステップS111を行い、NOの場合、インピーダンス整合を実現しない問題を調べるステップS110と、
整合過程全体における異なる時刻に対応する可変素子のパラメータ値を記録することによって、整合経路を取得するステップS111と、
無線周波数電源をオフにするステップS112と、
整合経路を取得するステップ(即ち、上記ステップ2)をN回行うか否かを判断し、
YESの場合、ステップS114を行い、NOの場合、ステップS101に戻るステップS113と、
N本の整合経路から1本の整合経路を最適な整合経路として選択して記憶するステップS114と、を含む。
【0045】
本実施例に係る半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法は、現在のプロセスに対応する最適な整合経路が記憶されない場合、最適な整合経路の取得を自動的に行うことができ、それによりすべてのプロセスのインピーダンス整合に適用され得る。
【0046】
他の技術案として、本発明の実施例は、インピーダンス整合器を更に提供し、図2に示されるインピーダンス整合器1を例とし、該インピーダンス整合器1は、センサ11、可変素子(例えば、2つの可変容量C1及びC2)、実行ユニット14、記憶ユニット(図示せず)及び制御ユニット13を備える。
【0047】
実行ユニット14は、可変素子のパラメータ値を調節するために用いられ、該実行ユニット14は、例えばモータであり、可変素子が2つの可変容量C1及びC2である場合を例とし、実行ユニット14は、2つのモータM1及びM2を備え、それぞれ2つの可変容量C1及びC2の容量位置を調節することにより両方の容量サイズを調節するために用いられる。記憶ユニットは、可変素子のパラメータ値の初期値及び異なるプロセスに対応する最適な整合経路を記憶するために用いられ、該最適な整合経路が予め設定される整合時間帯内の異なる時刻に対応する可変素子のパラメータ値を含み、センサ11は、予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、無線周波数伝送線路上の電圧信号及び電流信号をリアルタイムに検出して制御ユニット13に送信するために用いられ、制御ユニット13は、プロセスが開始するとき、記憶ユニットに記憶される初期値を呼び出して、実行ユニット14を制御して可変素子のパラメータ値を初期値に調節するために用いられ、そして、無線周波数電源3がオンにされる場合、記憶ユニットに記憶される現在のプロセスに対応する最適な整合経路を呼び出して、該最適な整合経路に基づいて実行ユニット14を制御して可変素子のパラメータ値を調節させ、予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、制御ユニット13はインピーダンス整合を実現するまで、受信された電圧信号及び電流信号に基づいて自動整合アルゴリズムを採用し実行ユニット14を制御して可変素子のパラメータ値を調節させる。
【0048】
以上により、本発明の実施例に係る半導体プロセス装置に応用されるインピーダンス整合方法及びインピーダンス整合器の技術案において、まず、予め記憶されたプロセスに対応する最適な整合経路に基づいて可変素子のパラメータ値を調節し、次に、予め設定される整合時間帯の終点時刻に到達した後、インピーダンス整合を実現するまで自動整合アルゴリズムを採用し可変素子のパラメータ値を調節する。同じプロセスを用いて異なる被加工ワークを加工するとき、点灯段階においていずれも予め記憶された最適な整合経路を用いて整合するため、異なる被加工ワークを加工するプロセスが点灯段階において採用する整合経路をほぼ同じにすることができるとともに、最適な整合経路に基づいて整合することにより消灯現象の発生を回避することができ、これにより、プロセスの再現性及び安定性を向上させることができ、更にプロセス結果の一致性を向上させることができる。また、最適な整合経路を完了した後、自動整合アルゴリズムに切り替えて自動整合を行うことにより、プラズマインピーダンスがプロセス時間の変化につれて生じた微細な変化をリアルタイムに監視することができ、これにより、プラズマインピーダンスに対する微細化調節を実現することができる。
【0049】
他の技術案として、本発明の実施例は、半導体プロセス装置を更に提供し、この半導体プロセス装置は、プロセスチャンバと、インピーダンス整合器によりプロセスチャンバに無線周波数電力をロードするための無線周波数電源とを備え、該インピーダンス整合器が本発明の実施例に係る上記インピーダンス整合器を用いる。
【0050】
いくつかの実施例では、上記半導体プロセス装置が用いるプラズマ源は誘導結合プラズマ源又は容量結合プラズマ源である。
【0051】
本発明の実施例に係る半導体プロセス装置は、本発明の実施例に係る上記インピーダンス整合器を用いることにより、プロセスの再現性及び安定性を向上させることでプロセス結果の一致性を向上させることができるだけでなく、プラズマインピーダンスに対する微細化調節を実現することもできる。
【0052】
理解されるように、以上の実施形態は単に本発明の原理を説明するために用いた例示的な実施形態であるが、本発明はこれに限定されるのではない。当業者であれば、本発明の主旨及び本質を逸脱せずに、種々の変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本発明の保護範囲として見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】