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特表2023-544862オルガノシリコン化合物、着色化合物、シーリング試薬、及び前処理剤の使用を含む、ケラチン物質の着色方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(54)【発明の名称】オルガノシリコン化合物、着色化合物、シーリング試薬、及び前処理剤の使用を含む、ケラチン物質の着色方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20231018BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20231018BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20231018BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q5/10
A61K8/41
A61K8/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521625
(86)(22)【出願日】2021-08-31
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2021073939
(87)【国際公開番号】W WO2022073696
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】102020212814.6
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】ヒッペ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダー,イェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘプフナー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD022
4C083AD092
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD162
4C083AD282
4C083BB21
4C083BB24
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法であって、以下の工程:ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、前記剤(v)は:(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、前記剤(a)は:(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランを含む群から選ばれる少なくとも1つのオルガノシリコン化合物を含む:及び、ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、前記剤(b)は(b1)少なくとも1つのシーリング試薬を含む、を含む方法に関し、ここで、剤(a)及び(b)の少なくとも一方は、顔料及び/又は直接染料の群から選ばれる少なくとも1つの着色化合物も含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法であって、以下の工程:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、該剤(v)は
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む、及び
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬を含む、
を含み、
ここで、該剤(a)及び(b)の少なくとも一方は、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含む、方法。
【請求項2】
剤(a)は、式(I)及び/又は(II):
【化1】
[式中、
- R、Rは、独立して水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
- Lは、直鎖又は分岐鎖の二価C-C20アルキレン基であり、
- R、Rは、互いに独立してC-Cアルキル基を表し、
- aは1~3の整数を表し、
- bは整数3-aを表す]
【化2】
[式(II)で示される有機ケイ素化合物において、
- R、R’、R''、R、R'及びR''は独立して、C-Cアルキル基を表し、
- A、A'、A''、A'''及びA''''は独立して、直鎖又は分岐鎖の二価C-C20アルキレン基を表し、
- R及びRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基、又は式(III):
【化3】
〔式中、
- cは、1~3の整数を表し、
- dは、整数3-cを表し、
- c'は、1~3の整数を表し、
- d'は、整数3-c'を表し、
- c''は、1~3の整数を表し、
- d''は、整数3-c''を表し、
- eは、0又は1を表し、
- fは、0又は1を表し、
- gは、0又は1を表し、
- hは、0又は1を表し、
ただし、e、f、g及びhの少なくとも1つは0とは異なる〕
で示される基を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
剤(a)は、式(I):
【化4】
[式中、
- R、Rは共に水素原子を表し、
- Lは直鎖、二価のC-Cアルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)又はエチレン基(-CH-CH-)を表し、
- R、Rは独立してメチル基又はエチル基を表し、
- aは数3を表し、
- bは数0を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
剤(a)は、
- (3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
- (3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
- 1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
- (2-アミノエチル)トリエトキシシラン
- (2-アミノエチル)トリメトキシシラン
- 1-(2-アミノエチル)シラントリオール
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
- 1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
- (2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
- (2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン及び/又は
- 1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群から選択される式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
剤(a)は、式(II):
【化5】
[式中、
- e及びfは共に数1を表し、
- g及びhは共に数0を表し、
- A及びA'は独立して、直鎖、二価のC-Cアルキレン基を表し、
- Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基、又は式(III)で示される基を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
剤(a)は、式(IV):
【化6】
[式中、
- Rは、C-C18アルキル基を表し、
- R10は、水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
- R11は、C-Cアルキル基を表し、
- kは、1~3の整数であり、
- mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
剤(a)は、
- メチルトリメトキシシラン
- メチルトリエトキシシラン
- エチルトリメトキシシラン
- エチルトリエトキシシラン
- プロピルトリメトキシシラン
- プロピルトリエトキシシラン
- ヘキシルトリメトキシシラン
- ヘキシルトリエトキシシラン
- オクチルトリメトキシシラン
- オクチルトリエトキシシラン
- ドデシルトリメトキシシラン
- ドデシルトリエトキシシラン
- オクタデシルトリメトキシシラン
- オクタデシルトリエトキシシラン及び
- これらの混合物
からなる群から選択される式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
剤(a)は、少なくとも2つの構造的に異なる有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
シーリング試薬は、フィルム形成ポリマー、アルカリ化剤、酸性化剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
剤(v)は、以下:
i)モノアルキルクワット又はジアルキルクワット、特にモノアルキルクワット、
ii)エステルクワット、
iii)式(Tkat1):
【化7】
[式中、
基Rは互いに独立して、それぞれ8~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を表し、Aは生理学的に許容されるアニオンを表す]
で示される第4級イミダゾリン、
iv)カチオン化アミン、
v)ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)化合物、
vi)第4級窒素原子を有するセルロース誘導体、特にポリクオタニウム10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、
vii)高分子ジメチルジアリルアンモニウム塩、並びに、それらとアクリル酸及びメタクリル酸のエステル及びアミドとのコポリマー、特にポリクオタニウム-7、
viii)ビニルピロリドンとジアルキルアミノアルキルアクリレート及びメタクリレートの4級化誘導体とのコポリマー、特にポリクオタニウム-11、
ix)ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、特にポリクオタニウム-16、並びに
それらの混合物
からなる群から選択される少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物(v1)を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
剤(v)は、セチルトリメチルアンモニウムフロリド(CTAF)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、ポリクオタニウム-10(INCI)、及びそれらの混合物からなる群から選択される第4級アンモニウム化合物(v1)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
剤(a)は、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物(a2)を更に含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
剤(a)は、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物(a2)を更に含み、ここで該着色化合物(a2)が少なくとも1つの有機顔料及び/又は少なくとも1つの金属基材プレートレット系顔料を含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
剤(b)は、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物(b2)を更に含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
別々に包装された以下:
- 剤(v)を含む第1容器、該剤(v)は:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
- 剤(a')を含む第2容器、該剤(a')は:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む、並びに
- 剤(a'')を含む第3容器、該剤(a'')は:
(a2)顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む、並びに
- 剤(b)を含む第4容器、ここで該剤(b)は:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬を含む、
を含む、ケラチン物質を染色するための部材キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を処理するための方法に関し、該方法は、2つの剤(a)及び(b)、並びに前処理剤の塗布を含む。剤(a)は、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含有することを特徴とする。また、剤(b)は、少なくとも1つのシーリング試薬(b1)を含む。更に、剤(a)若しくは剤(b)の一方、又は、剤(a)及び(b)の両方が、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む。
【0002】
本出願の更なる主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分包装ユニット(部材キット)であって、これは、別々に準備された少なくとも3つの剤(a')、(a'')及び(b)並びに前処理剤を含む。剤(a')及び(a'')は、上記方法で使用される剤(a)を調製するために使用され得る。
【0003】
本願の更に別の主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分包装ユニット(部材キット)であって、これは、別々に組み立てられた、少なくとも4つの剤(a')、(a'')、(a''')及び(b)、並びに前処理剤を含む。剤(a')、(a'')及び(a''')は、上記方法で使用される剤(a)を調製するために使用され得る。
【背景技術】
【0004】
ケラチン繊維、特に毛髪の形状及び色を変えることは、現代の化粧品の重要な分野である。毛髪の色を変えるため、専門家には、着色の要求に応じた、様々なカラーリングシステム(着色系)が知られている。良好な堅牢性及び良好な白髪カバー性を備えた長期的な強い染色のためには、通常、酸化染料が使用される。このような染料は通常、酸化染料前駆物質、いわゆる顕色成分及びカプラー成分を含み、これらは過酸化水素などの酸化剤の影響下で実際の染料を互いに生成する。酸化染料は、非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0005】
直接染料を使用する場合、既に生成された染料が着色剤から毛髪繊維内に拡散する。酸化染毛と比較して、直接染料を用いて得られる染色物は、より短い保持期間及びより早い洗浄性を有する。直接染料を有する染料は、通常、5~20回の洗浄の間、毛髪に残留する。
【0006】
毛髪及び/又は皮膚の色を短期間変えるために、着色顔料の使用が知られている。着色顔料は、一般的には、不溶性の着色物質であると理解されている。着色顔料は、小粒子の形で染料組成物中に溶解せずに存在し、外部から毛髪繊維及び/又は皮膚表面に単に付着するにすぎない。従って、これらは通常、界面活性剤を含む洗浄剤で数回洗浄することで、残留することなく除去され得る。このタイプの様々な製品は、「ヘアマスカラ」の名称で市販されている。
【0007】
特に長持ちする染色をユーザーが望む場合は、これまで酸化染料の使用が唯一の選択肢であった。しかし、多くの最適化の試みにもかかわらず、酸化染毛剤では不快なアンモニア臭又はアミン臭を完全に回避することはできない。酸化染料の使用に伴う毛髪の損傷は、依然としてユーザーの毛髪に悪影響を及ぼす。
【0008】
欧州特許第2168633号明細書は、顔料を使用して長持ちする毛髪着色を製造するという課題に取り組む。この文献は、顔料、有機ケイ素化合物、フィルム形成ポリマー及び溶剤を組み合わせて毛髪に使用する場合、特に摩耗及び/又はシャンプーに対して耐性を有する着色を生じ得ることを教示する。
【0009】
一方では高い洗浄堅牢性及び摩擦堅牢性を有し、他方では扱いやすさ及び感触のような毛髪特性に悪影響を与えない、顔料を含む染毛剤を提供する必要がある。この目的のためには、ケラチン物質上の顔料の良好かつ均一なリフトによって、強い着色を得ることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第2168633号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の課題は、酸化着色に匹敵する堅牢性を有する顔料を用いたカラーリングシステムを提供することであった。洗浄堅牢性が特に優れているべきだが、この目的のために通常使用される酸化染料前駆体を使用することは避けるべきである。特に、均一で長持ちする着色を達成することもまた望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、今回、最初に前処理剤、次に少なくとも2つの剤(a)及び(b)をケラチン物質(毛髪)に塗布する方法によってケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色する場合、前述の課題を見事に解決できることが見出された。ここで、第1剤(a)は、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。第2剤(b)は、少なくとも1つのシーリング試薬を含む。更に、剤(a)若しくは(b)の一方、又は剤(a)及び(b)の両方が、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む。
【0013】
2つの剤(a)及び(b)を染色方法で使用した場合、特に高い着色強度、及び高い堅牢性をもってケラチン物質を染色できた。
【0014】
前処理剤を用いてケラチン物質を前処理することにより、少なくとも1つの着色化合物の驚くべき均一で長持ちするリフトを達成できた。
【0015】
本発明の第1の対象は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色するための方法であって、以下の工程:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む、及び
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬を含む、
を含み、
ここで、該剤(a)及び(b)の少なくとも一方は、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含む。
【0016】
本発明に至る研究において、剤(a)及び(b)の優先的な連続塗布により、ケラチン物質上に非常に安定で洗浄堅牢性のある着色を生じ得ることが見出された。有機ケイ素化合物(a1)の塗布は、ケラチン物質上に、特に耐性のあるフィルムの形成をもたらす。第2剤(b)の塗布により、ケラチン物質に塗布されたフィルムは封止され、洗浄及び/又は摩耗に対する耐性がより高くなる。顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を、剤(a)及び(b)の少なくとも一方に組み込むことにより、着色フィルムが得られる。
【0017】
このようにして、ケラチン物質に着色化合物を恒久的に固定することができるので、摩耗及び/又は特にシャンプーに対する良好な耐性を有する極めて洗浄堅牢性のある着色を得ることができる。
【0018】
前処理剤(v)の助けにより、生成されるフィルム中の着色化合物のリフトは、著しく増加し、より均質となり得る。前処理剤がケラチン物質の表面を平らにし、それにより、有機ケイ素化合物(a1)の塗布によって形成されるフィルムの均一で長持ちするリフトを可能にすることが考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<ケラチン物質>
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手指の爪及び/又は足指の爪)を含む。羊毛、毛皮、及び羽毛も、ケラチン物質の定義に該当する。
【0020】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚及びヒトの爪、特に手指の爪、及び足指の爪であると理解される。特に、ケラチン物質はヒトの毛髪であると理解される。
【0021】
<前処理剤(v)>
記載される方法において、まず、前処理剤(v)をケラチン物質、特にヒトの毛髪に塗布する。前処理剤(v)は、少なくとも1つの第4級化合物(v1)を含むことを特徴とする。
【0022】
本方法の好ましい実施形態によれば、剤(v)中の少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物(v1)は、以下からなる群から選択される:
i)モノ又はジアルキルクワット、特にモノアルキルクワット、
ii)エステルクワット、
iii)式(Tkat1):
【化1】
[式中、
基Rは互いに独立して、それぞれ、8~30個の炭素原子の鎖長を有する飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を表し、Aは生理学的に許容されるアニオンを表す]
で示される第4級イミダゾリン、
iv)カチオン化アミン、
v)ポリ(メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム)化合物、
vi)第4級窒素原子を有するセルロース誘導体、特にポリクオタニウム10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-72、
vii)高分子ジメチルジアリルアンモニウム塩、並びに、それらとアクリル酸及びメタクリル酸のエステル及びアミドとのコポリマー、特にポリクオタニウム-7、
viii)ビニルピロリドンとジアルキルアミノアルキルアクリレート及びメタクリレートの4級化誘導体とのコポリマー、特にポリクオタニウム-11、
ix)ビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、特にポリクオタニウム-16、並びに
それらの混合物。
【0023】
本方法の特に好ましい実施形態によれば、前処理剤(v)中の少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物(v1)は、モノアルキルクワット、第4級窒素原子を含むセルロース誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0024】
モノアルキルクワットは、トリメチルアンモニウム塩であり、国際用語ではしばしば略してトリモニウムと称され、3つの水素原子(H)をメチル基(CH)で置換することによってアンモニアNHから形式的に誘導される、第4級アンモニウム化合物の群を形成する。この群の物質の個々の代表例は、第4置換基の性質と異なり、(第4級窒素原子が正に帯電した)負に帯電した対イオンの性質と異なる。窒素原子上の第4置換基は、直鎖、分枝、置換、又は非置換のアルキル鎖であり得る。
【0025】
特に好ましい第4級アンモニウム化合物(v1)は、8~24個、特に10~22個の炭素原子を有するアルキル基を含むモノアルキルクワットである。最も好ましくは、少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物(v1)は、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(LTAC)、セチルトリメチルアンモニウムメトサルフェート(CTAMS)、セチルトリメチルアンモニウムフロリド(CTAF)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド(STAC)、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド(STAB)、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド(BTAC)、及び/又はベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート(BTAMS)を含む。モノアルキルクワットの群からの好ましい第4級アンモニウム化合物(v1)には、セチルトリメチルアンモニウムフロリド(CTAF)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0026】
更に特に好ましい第4級アンモニウム化合物(v1)は、第4級窒素原子を有するセルロース誘導体である。
【0027】
第4級窒素原子を含有するセルロース誘導体は、異なる置換度、カチオン電荷密度、窒素含有量、及び分子量を有するものが、市販され入手可能である。
【0028】
第4級窒素原子を有する特に適当なセルロース誘導体は、INCI名称「ポリクオタニウム-10」の下知られている。ポリクオタニウム-10は、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロース(HEC)に基づく。ポリクオタニウム-10は、例えば、Ucare(登録商標)Polymer JR 125、Ucare(登録商標)Polymer JR 30M、又はUcare(登録商標)Polymer JR 400(Dow社製)、及びCelquat(登録商標)SC 230M、Celquat(登録商標)SC 240C、又はCelquat SC-140CG(Nouryon社製)の名称の下、市販されている。
【0029】
また、第4級窒素原子を有する適当なセルロース誘導体は、INCI名称、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-67、及びポリクオタニウム-72の下、知られている。
【0030】
ポリクオタニウム-67は、例えば、SoftCat(登録商標)Polymer SL、又はSoftCat(登録商標)Polymer SK(Dow社製)の名称の下、市販されている。別の適当なセルロースは、商品名、Mirustyle(登録商標) CP(Croda社製)の下、提供されている。これは、INCI名称ポリクオタニウム-72を有する、トリモニウム及びココジモニウムヒドロキシエチルセルロース誘導体化セルロースである。
【0031】
第4級窒素原子を有するセルロース誘導体の形態の特に好ましい第4級アンモニウム化合物(v1)は、特に、INCI名称ポリクオタニウム10、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-67、及び/又はポリクオタニウム-72を有するセルロース誘導体を含み、特にINCI名称ポリクオタニウム10を有するセルロース誘導体が好ましい。
【0032】
特に均一な染色結果を得るために、本方法において使用される前処理剤(v)が、セチルトリメチルアンモニウムフロリド(CTAF)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、ポリクオタニウム-10(INCI)、及びそれらの混合物からなる群から選択される第4級アンモニウム化合物を含む場合が好ましいことがわかった。
【0033】
従って、前処理剤(v)が、
(v1)セチルトリメチルアンモニウムフロリド(CTAF)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、ポリクオタニウム-10(INCI)、及びそれらの混合物からなる群から選択される第4級アンモニウム化合物
を含む方法が好ましい。
【0034】
前処理剤(v)は、0.1~20重量%、より好ましくは0.5~17.5重量%、特に好ましくは0.75~12重量%の好ましい量で、少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物(v1)を含み、前記量は前処理剤(v)の総重量に基づく。
【0035】
第4級アンモニウム化合物(v1)の量は、使用される第4級アンモニウム化合物の種類によって決めてよい。従って、モノアルキルクワットが使用される場合、例えば、セチルトリメチルアンモニウムフロリド(CTAF)及び/又はセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)が使用される場合、第4級アンモニウム化合物(v1)の量は、それぞれ前処理剤(v)の総量に基づいて、5~15重量%、より好ましくは8~12重量%であることが好ましい場合がある。
【0036】
第4級窒素原子を有するセルロース誘導体を使用する場合、例えばポリクオタニウム-10を使用する場合、第4級アンモニウム化合物(v1)の量は、それぞれ前処理剤(v)の総量に基づいて、0.5~1.5重量%、より好ましくは0.8~1.2重量%であることが好ましい場合がある。
【0037】
少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物(v1)に加えて、前処理剤(v)は、好ましくは、化粧品担体として水を含む。
【0038】
少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物(v1)に加えて、前処理剤(v)は、特に前処理剤(v)の塗布特性を最適に調整するために、更なる成分を含んでよい。
【0039】
前処理剤の他の成分としては、特に、増粘剤、防腐剤、及び/又は香料を含んでよい。
【0040】
<前処理剤(v)のpH値>
前処理剤(v)が酸性のpHを有する場合が好ましいと判明した。従って、前処理剤(v)は、7未満のpH値を有する。
【0041】
前処理剤(v)が2~6の範囲のpH、より好ましくは3~5の範囲のpHを有する場合、特に好ましいことが判明した。
【0042】
pHを調整するために、前処理剤(v)は、少なくとも1つの酸性化剤を更に含んでよい。
【0043】
<剤(a)及び(b)>
記載される方法において、剤(a)及び(b)は、前処理剤(v)の後に、ケラチン物質、特にヒトの毛髪に塗布される。2つの剤(a)及び(b)は、互いに異なる。
【0044】
<剤(a)>
好ましくは、剤(a)は、化粧品担体中、特に好ましくは水性又は水性-アルコール性化粧品担体中に、本発明に必須の成分(a1)を含む。この、化粧品担体は、液体、ゲル、又はクリームであり得る。また、ペースト状、固体状、又は粉末状の化粧品担体も、剤(a)の調製に使用され得る。毛髪処理、特に毛髪着色を目的とするために、このような担体は、例えば、クリーム、エマルジョン、ゲル、又は界面活性剤含有発泡性溶液、例えばシャンプー、泡状エアゾール、泡状組成物、又は毛髪への塗布に適した他の調製物などである。
【0045】
好ましくは、化粧品担体は、その重量に基づいて、少なくとも2重量%の水を含む。更に好ましくは、水の含有量は10重量%より多く、なお更に好ましくは20重量%より多く、特に好ましくは40重量%より多い。化粧品担体はまた、水性-アルコール性であり得る。本発明の文脈における水性/アルコール性溶液は、2~70重量%のC-Cアルコール、より特にはエタノール又はイソプロパノールを含む水性溶液である。剤は、更に他の有機溶媒、例えばメトキシブタノール、ベンジルアルコール、エチルジグリコール、又は1,2-プロピレングリコールを含んでよい。好ましいのは、いずれも水溶性有機溶媒である。
【0046】
<シランの群からの有機ケイ素化合物(a1)>
本発明に必須の成分(a1)として、剤(a)は、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0047】
特に好ましくは、剤(a)は、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、前記有機ケイ素化合物は、1分子あたり1個以上のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を含む。
【0048】
剤(a)に含まれるこれらの有機ケイ素化合物(a1)又は有機シランは、反応性化合物である。
【0049】
オルガノシリコン化合物とも称される有機ケイ素化合物は、ケイ素-炭素直接結合(Si-C)を有する化合物、又は炭素が酸素、窒素若しくは硫黄原子を介してケイ素原子に結合している化合物である。本発明の有機ケイ素化合物は1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個又は2個のケイ素原子を含む。
【0050】
IUPAC法によると、用語「シラン化合物」は、ケイ素骨格及び水素に基づく。有機シランでは、水素原子の全て又は一部が、(置換)アルキル基及び/又はアルコキシ基などの有機基により置換されている。有機シランにおいて、水素原子の一部は、ヒドロキシル基で置換されてよい。
【0051】
特に好ましい実施形態では、方法は、ケラチン物質に剤(a)を塗布し、前記剤(a)が、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、前記有機ケイ素化合物が更に1分子当たり1つ以上のヒドロキシル基又は加水分解性基を含むことを特徴とする。
【0052】
非常に特に好ましい実施形態では、方法は、ケラチン物質に剤(a)を塗布し、前記剤(a)が、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、前記有機ケイ素化合物が更に、1分子当たり1つ以上の塩基性化学官能基、及び1つ以上のヒドロキシル基又は加水分解性基を含むことを特徴とする。
【0053】
この塩基性基又は塩基性化学官能基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はトリアルキルアミノ基であってよく、それらは好ましくはリンカーを介してケイ素原子に連結される。好ましくは、塩基性基は、アミノ基、C-Cアルキルアミノ基、又はジ(C-C)アルキルアミノ基である。
【0054】
加水分解性基は、好ましくはC-Cアルコキシ基、特にエトキシ基又はメトキシ基である。加水分解性基が、ケイ素原子に直接結合している場合が好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基である場合、有機ケイ素化合物は、好ましくは構造単位R'R''R'''Si-O-CH-CHを含む。基R'、R''及びR'''は、ケイ素原子の3つの残りの自由原子価を表す。
【0055】
非常に特に好ましい方法は、剤(a)が、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含み、前記有機ケイ素化合物が、好ましくは1分子あたり1つ以上の塩基性化学官能基及び1つ以上のヒドロキシル基又は加水分解性基を含むことを特徴とする。
【0056】
特に、剤(a)が式(I)及び/又は(II)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む場合に、良好な結果が得られた。
【0057】
式(I)及び(II)で示される化合物は、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、前記有機ケイ素化合物は、1分子当たり1つ以上のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を含む。
【0058】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本方法は剤をケラチン物質(又はヒトの毛髪)に塗布し、前記剤(a)は式(I)及び/又は(II):
【化2】
[式中、
-R、Rは、独立して水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
-Lは、直鎖又は分岐鎖の二価C-C20アルキレン基であり、
-Rは、水素原子又はC-Cアルキル基であり、
-Rは、C-Cアルキル基を表し、
-aは1~3の整数を表し、
-bは整数3-aを表す]
【化3】
[式中、
-R、R5'、R5''は、独立して、水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
-R、R6'及びR6''は、互いに独立して、C-Cアルキル基を表し、
-A、A'、A''、A'''及びA''''は独立して、直鎖又は分岐鎖の二価C-C20アルキレン基を表し、
-R及びRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基、又は式(III):
【化4】
〔式中、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c'は、1~3の整数を表し、
-d'は、整数3-c'を表し、
-c''は、1~3の整数を表し、
-d''は、整数3-c''を表し、
-eは、0又は1を表し、
-fは、0又は1を表し、
-gは、0又は1を表し、
-hは、0又は1を表し、
-ただし、基e、f、g及びhの少なくとも1つは0とは異なる〕
で示される基を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a)を含むことを特徴とする。
【0059】
式(I)及び(II)で示される化合物における置換基R、R、R、R、R、R'、R''、R、R'、R''、R、R、L、A、A'、A''、A'''及びA''''を、以下に例として説明する。
-Cアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基及びt-ブチル基、n-ペンチル基、及びn-ヘキシル基である。プロピル、エチル及びメチルが好ましいアルキル基である。C-Cアルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニル、及びイソブテニルであり、好ましいC-Cアルケニル基は、ビニル及びアリルである。ヒドロキシC-Cアルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチル、及び6-ヒドロキシヘキシル基である;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC-Cアルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖二価のC-C20アルキレン基の例としては、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)、及びブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)が挙げられる。プロピレン基(-CH-CH-CH-)が特に好ましい。3C原子の鎖長から、二価のアルキレン基は分岐していることもある。分岐した二価のC-C20アルキレン基の例は、(-CH-CH(CH)-)及び(-CH-CH(CH)-CH-)である。
【0060】
式(I):
【化5】
で示される有機ケイ素化合物において、基R及びRは、互いに独立して、水素原子又はC-Cアルキル基を表す。非常に好ましくは、基R及びRは、共に水素原子を表す。
【0061】
有機ケイ素化合物の中央部は、構造単位又はリンカー-L-であり、これは、直鎖又は分岐鎖の二価C-C20アルキレン基を表す。
【0062】
二価のC-C20アルキレン基は、代替的に二価(divalente)又は二結合性(zweibindige)のC-C20アルキレン基と称されることがあり、これにより、各L原子団が2つの結合を形成し得ることが意味されている。1つの結合は、アミノ基RNからリンカーLであり、2つ目の結合は、リンカーLとケイ素原子との間である。
【0063】
好ましくは、-L-は、直鎖二結合性(すなわち二価)のC-C20アルキレン基を表す。更に好ましくは、-L-は、直鎖二価のC-Cアルキレン基を表す。特に好ましい-L-は、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)又はブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)を表す。特にLは、プロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0064】
直鎖プロピレン基(-CH-CH-CH-)は、代替的にプロパン-1,3-ジイル基と称されることがある。
【0065】
式(I):
【化6】
で示される有機ケイ素化合物は、各一端にケイ素含有基-Si(OR3)a(R4)bを有する。
【0066】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bにおいて、Rは水素又はC-Cアルキル基であり、RはC-Cアルキル基である。特に、R及びRは、互いに独立して、メチル基又はエチル基を表す。
【0067】
ここで、aは、1~3の整数を表し、bは、整数3-aを表す。aが数3を表す場合、bは0に等しい。aが数2を表す場合、bは1に等しい。aが数1を表す場合、bは2に等しい。
【0068】
剤(a)が、基R、Rが互いに独立してメチル基又はエチル基を表す式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む場合、特に耐性の高いフィルムを作製できた。
【0069】
ケラチン物質を染色するための方法を使用する場合、剤(a)が基R、Rが互いに独立してメチル基又はエチル基を表す式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合、最高の洗浄堅牢性を有する染色物を同様に得ることができた。
【0070】
更に、剤(a)が、基aが数3を表す式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合、最高の洗浄堅牢性を有する染色物を得ることができた。この場合、bは、数0を表す。
【0071】
更なる好ましい実施形態では、本方法で使用される剤(a)が、式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とし、式(I)において、
- R、Rは、互いに独立して、メチル基又はエチル基を表し、
- aは数3を表し、
- bは、数0を表す。
【0072】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、式(I):
【化7】
[式中、
- R、Rは、共に水素原子を表し、
- Lは、直鎖二価のC-Cアルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)又はエチレン基(-CH-CH-)を表し、
- Rは、水素原子、エチル基、又はメチル基を表し、
- Rは、メチル基、又はエチル基を表し、
- aは数3を表し、
- bは数0を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0073】
本発明による課題を解決するために特に適当な式(I)で示される有機ケイ素化合物は、
- (3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
【化8】
- (3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
【化9】
- 1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
【化10】
- (2-アミノエチル)トリエトキシシラン
【化11】
- (2-アミノエチル)トリメトキシシラン
【化12】
- 1-(2-アミノエチル)シラントリオール
【化13】
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
【化14】
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
【化15】
- 1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
【化16】
- (2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
【化17】
- (2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、及び
【化18】
- 1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
【化19】
である。
【0074】
更に好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が以下:
- (3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
- (3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
- 1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
- (2-アミノエチル)トリエトキシシラン
- (2-アミノエチル)トリメトキシシラン
- 1-(2-アミノエチル)シラントリオール
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
- 1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
- (2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
- (2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン及び/又は
- 1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0075】
式(I)で示される前記有機ケイ素化合物は市販されている。例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランはSigma-Aldrich社から購入できる。また、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランも、Sigma-Aldrich社から市販されている。
【0076】
更なる実施形態では、剤は、式(II):
【化20】
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む。
【0077】
式(II)で示されるオルガノシリコン化合物は、それぞれその両末端にケイ素含有基(RO)(RSi-及びSi(R')d'(OR')c'を有する。
【0078】
式(II)で示される分子の中央部には、基-(A)-及び-[NR-(A')]-及び-[O-(A'')]-及び-[NR-(A''')]-が存在する。ここで、e、f、g及びhのそれぞれは、相互に独立して、数0又は1を表し、ただしe、f、g及びhの少なくとも1つは0とは異なる。言い換えると、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、-(A)-及び-[NR-(A')]-及び-[O-(A'')]-及び-[NR-(A''')]-からなる群から選択される少なくとも1つの原子団を含む。
【0079】
2つの末端構造単位(RO)(RSi-及びSi(R')d'(OR')c'において、基R、R'、R''は、互いに独立して水素原子又はC-Cアルキル基を表す。基R、R'及びR''は、独立してC-Cアルキル基を表す。
【0080】
ここで、cは、1~3の整数を表し、dは、整数3-cを表す。cが数3を表す場合、dは0に等しい。cが数2を表す場合、dは1に等しい。cが数1を表す場合、dは2に等しい。
【0081】
同様に、c'は、1~3の整数を表し、d'は、整数3-c'を表す。c'が数3を表す場合、d'は0である。c'が数2を表す場合、d'は1である。c'が数1を表す場合、d'は2である。
【0082】
基c及びc'が共に数3を表す場合、最も安定性の高いフィルム又は最高の洗浄堅牢性を有する染料を得ることができた。この場合、d及びd'は、共に数0を表す。
【0083】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が式(II):
【化21】
[式中、
- R及びR'は独立して、メチル基又はエチル基を表し、
- c及びc'は、共に数3を表し、
- d及びd'は、共に数0を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むこと特徴とする。
【0084】
c及びc'が共に数3であり、d及びd'が共に数0である場合、本発明の有機ケイ素化合物は、式(IIa):
【化22】
に相当する。
【0085】
e、f、g及びhは独立して、数0又は1を表し、e、f、g及びhの少なくとも1つは0とは異なる。従って、記号e、f、g及びhは、原子団-(A)-及び-[NR-(A')]-及び-[O-(A'')]-及び-[NR-(A''')]-のいずれかが、式(II)で示される有機ケイ素化合物の中央部に位置することを規定する。
【0086】
これに関して、特定の原子団の存在が、洗浄能力を高めるという点で特に有益であることが証明された。特に良好な結果は、e、f、g及びhの少なくとも2つが数1を表す場合に得られた。非常に好ましくは、e及びfは共に数1を表す。更には、g及びhは共に数0を表す。
【0087】
e及びfが共に数1を表し、g及びhが共に数0を表す場合、本発明における有機ケイ素化合物は、式(IIb):
【化23】
に相当する。
【0088】
基A、A'、A''、A'''及びA''''は独立して、直鎖又は分岐の、二価のC-C20アルキレン基を表す。好ましくは、基A、A'、A''、A'''及びA''''は互いに独立して、直鎖二価のC-C20アルキレン基を表す。更に好ましくは、基A、A'、A''、A'''及びA''''は独立して、直鎖二価のC-Cアルキレン基を表す。特に好ましくは、基A、A'、A''、A'''及びA''''は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)又はブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)を表す。非常に好ましくは、基A、A'、A''、A'''及びA''''は、プロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0089】
二価のC-C20アルキレン基は、代替的に二価(divalente)又は二価(zweibindige)のC-C20アルキレン基と称されることがあり、これにより、各原子団A、A'、A''、A'''及びA''''が2つの結合を形成し得ることを意味する。
【0090】
直鎖プロピレン基(-CH-CH-CH-)は、代替的に、プロパン-1,3-ジイル基と称され得る。
【0091】
基fが数1を表す場合、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造原子団-[NR-(A')]-を含む。
【0092】
基hが数1を表す場合、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造原子団-[NR-(A''')]-を含む。
【0093】
式中、基R及びRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基又は式(III):
【化24】
で示される基を表す。
【0094】
非常に好ましくは、基R及びRは互いに独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基又は式(III)で示される基を表す。
【0095】
fが数1を表し、hが数0を表す場合、有機ケイ素化合物は、原子団[NR-(A')]を含むが、原子団[NR-(A''')]を含まない。基Rが式(III)で示される原子団をまさに表す場合、剤(a)は、3つの反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0096】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、式(II):
【化25】
[式中、
- e及びfは、共に数1を表し、
- g及びhは、共に数0を表し、
- A及びA'は独立して、直鎖二価のC-Cアルキレン基を表し、
- Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基又は式(III)で示される基を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0097】
更に好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、式(II)
[式中、
- e及びfは、共に数1を表し、
- g及びhは、共に数0を表し、
- A及びA’は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)又はプロピレン基(-CH-CH-CH-)を表し、
- Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基、又は式(III)で示される基を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0098】
本発明に従う課題を解決するために好適な式(II)で示される有機ケイ素化合物は、
- 3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化26】
- 3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化27】
- N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化28】
- N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化29】
- 2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
【化30】
- 2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化31】
- 3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化32】
- 3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化33】
- N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化34】
- N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化35】
- N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化36】
- N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化37】
である。
【0099】
式(II)で示される前記有機ケイ素化合物は、市販されている。
【0100】
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrich社から購入できる。
【0101】
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えば、Sigma-Aldrich社から購入できる。
【0102】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、代替的にビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとして称され、Sigma-Aldrich社又はFluorochem社から商業的に購入できる。
【0103】
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、Fluorochem社又はSigma-Aldrich社から購入できる。
【0104】
更に好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、
- 3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- 3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- 2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
- 2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
- 3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- 3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
- N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
- N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、及び/又は
- N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0105】
更なる試験、特に染色試験において、本方法においてケラチン物質に塗布される剤(a)が式(IV):
【化38】
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合、特に有利であることも見出されている。
【0106】
式(IV)で示される化合物は、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、前記有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基及び/又は加水分解性基を含む。
【0107】
式(IV):
【化39】
[式中、
- Rは、C-C18アルキル基を表し、
- R10は、水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
- R11は、C-Cアルキル基を表し、
- kは、1~3の整数であり、
- mは、整数3-kを表す]
で示される有機ケイ素化合物はまた、アルキル-アルコキシ-シラン又はアルキル-ヒドロキシ-シラン型のシランとも称される。
【0108】
更なる好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)が、式(IV):
【化40】
[式中、
- Rは、C-C18アルキル基を表し、
- R10は、水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
- R11は、C-Cアルキル基を表し、
- kは、1~3の整数であり、
- mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)含むことを特徴とする。
【0109】
更なる好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、有機ケイ素化合物又は式(I)で示される化合物に加えて、式(IV):
【化41】
[式中、
- Rは、C-C18アルキル基を表し、
- R10は、水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
- R11は、C-Cアルキル基を表し、
- kは、1~3の整数であり、
- mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1つの更なる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0110】
更なる好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、有機ケイ素化合物又は式(II)で示される化合物に加えて、式(IV):
【化42】
[式中、
- Rは、C-C18アルキル基を表し、
- R10は、水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
- R11は、C-Cアルキル基を表し、
- kは、1~3の整数であり、
- mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1つの更なる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0111】
更なる好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、有機ケイ素化合物又は式(I)及び/又は(II)で示される化合物に加えて、式(IV):
【化43】
[式中、
- Rは、C-C18アルキル基を表し、
- R10は、水素原子又はC-Cアルキル基を表し、
- R11は、C-Cアルキル基を表し、
- kは、1~3の整数であり、
- mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1つの更なる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0112】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基Rは、C-C18アルキル基を表す。このC-C18アルキル基は、飽和しており、直鎖又は分岐であり得る。好ましくは、Rは、直鎖C-C18アルキル基を表す。好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基、又はn-オクタデシル基を表す。特に好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、n-ヘキシル基、又はn-オクチル基を表す。
【0113】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R10は水素原子又はC-Cアルキル基を表す。特に好ましくは、R10はメチル基又はエチル基を表す。
【0114】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R11はC-Cアルキル基を表す。特に好ましくは、R11はメチル基又はエチル基を表す。
【0115】
更に、kは、1~3の整数を表し、mは、整数3-kを表す。kが数3を表す場合、mは0に等しい。kが数2を表す場合、mは1に等しい。kが数1を表す場合、mは2に等しい。
【0116】
式(IV):式中、基kは数3である、に対応する少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a)を本方法において使用した場合、特に安定なフィルム、すなわち特に良好な洗浄堅牢特性を有する染色が得られた。この場合、基mは数0を表す。
【0117】
本発明に従う課題を解決するために特に適した式(IV)で示される有機ケイ素化合物は、
- メチルトリメトキシシラン
【化44】
- メチルトリエトキシシラン
【化45】
- エチルトリメトキシシラン
【化46】
- エチルトリエトキシシラン
【化47】
- n-ヘキシルトリメトキシシラン
【化48】
- n-ヘキシルトリエトキシシラン
【化49】
- n-オクチルトリメトキシシラン
【化50】
- n-オクチルトリエトキシシラン
【化51】
- n-ドデシルトリメトキシシラン、及び/又は
【化52】
- n-ドデシルトリエトキシシラン
【化53】
n-オクタデシルトリメトキシシラン及び/又はn-オクタデシルトリエトキシシランである。
【0118】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-プロピルトリメトキシシラン
-プロピルトリエトキシシラン
-ヘキシルトリメトキシシラン
-ヘキシルトリエトキシシラン
-オクチルトリメトキシシラン
-オクチルトリエトキシシラン
-ドデシルトリメトキシシラン
-ドデシルトリエトキシシラン
-オクタデシルトリメトキシシラン
-オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から選択される式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0119】
上記有機ケイ素化合物は、反応性化合物である。これに関して、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、1つ以上の有機ケイ素化合物(a1)を、0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量で含む場合、好ましいと見出されている。
【0120】
更なる好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量で、1つ以上の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0121】
特に良好な染色結果を得るためには、式(I)及び/又は(II)で示される有機ケイ素化合物を、剤(a)において特定の量範囲で使用することが特に有利である。特に好ましくは、剤(a)は、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%の総量で、式(I)及び/又は(II)で示される1つ以上の有機ケイ素化合物を含む。
【0122】
更なる好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、式(I)及び/又は(II)で示される1つ以上の有機ケイ素化合物を、0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%の総量で含むことを特徴とする。
【0123】
更に、式(IV)で示される有機ケイ素化合物が、剤(a)中に特定の量範囲で存在する場合も、特に好ましいことが証明されている。特に好ましくは、剤(a)は、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは4~9重量%の総量で、式(IV)で示される1つ以上の有機ケイ素化合物を含む。
【0124】
更なる好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは3.2~10重量%の総量で、式(IV)で示される1つ以上の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0125】
本発明に至る研究の過程で、剤(a)が互いに構造的に異なる2つの有機ケイ素化合物を含む場合でさえ、ケラチン物質上で特に安定で均一なフィルムを得られることが見いだされた。
【0126】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、少なくとも2つの構造的に異なる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0127】
好ましい実施形態において、方法は、式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物及び式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む剤(a)が、ケラチン物質に塗布されることを特徴とする。
【0128】
明示的に非常に特に好ましい実施形態において、方法は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン及び(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択される式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びにメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン及びヘキシルトリエトキシシランからなる群から選択される式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を更に含む剤(a)をケラチン物質に塗布することを特徴とする。
【0129】
更なる好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、以下:
- 0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、及び(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第1有機ケイ素化合物(a1)、並びに
- 3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、及びオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第2有機ケイ素化合物(a1)
を含むことを特徴とする。
【0130】
本実施形態では、剤(a)は0.5~5重量%の総量で、1つ以上の第1群の有機ケイ素化合物を含む。この第1群の有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、及び/又は(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される。
【0131】
この実施形態において、剤(a)は3.2~10重量%の総量で、1つ以上の第2群の有機ケイ素化合物を含む。この第2群の有機ケイ素化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、及びオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される。
【0132】
少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物では、少量の水の添加でさえも加水分解が起こる。この加水分解生成物及び/又は少なくとも1つのヒドロキシ基を有する有機ケイ素化合物は、縮合反応において互いに反応し得る。このため、少なくとも1つの加水分解性基を有するオルガノシリコン化合物及びそれらの加水分解生成物及び/又は縮合生成物の両方が剤(a)中に存在し得る。少なくとも1つのヒドロキシル基を有するオルガノシリコン化合物を用いる場合、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物、及びそれらの縮合生成物の両方が剤(a)中に存在し得る。
【0133】
縮合生成物とは、それぞれ、1分子あたり少なくとも1つのヒドロキシル基又は加水分解性基を有する少なくとも2つ以上の有機ケイ素化合物の、水の除去及び/又はアルカノールの除去による反応によって形成される生成物であると理解される。縮合生成物は、モノマーと平衡状態である縮合生成物による、例えば、二量体であっても、三量体やオリゴマーであってもよい。加水分解で使用又は消費される水の量に応じて、平衡はモノマー有機ケイ素化合物から縮合生成物へと移行する。
【0134】
式(I)及び/又は(II)で示される有機ケイ素化合物を本方法に使用した場合に、特に良好な結果が得られた。なお、既に上述したように、加水分解/縮合は微量の水分で既に始まっているため、有機ケイ素化合物(I)及び/又は(II)の加水分解生成物及び/又は縮合生成物も、本実施形態に含まれる。
【0135】
<剤(a)のpH値>
剤(a)が、アルカリ性のpHに調整された含水剤の形態で構成される場合、好ましいことが判明している。
【0136】
pH値を調整するために、剤(a)は、少なくとも1つのアルカリ化剤を含んでよい。
【0137】
従って、所望のpHを調整するために、剤(a)は少なくとも1つのアルカリ化剤を含んでもよい。本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されたpH値である。
【0138】
アルカリ化剤として、剤(a)は、例えば、アンモニア、アルカノールアミン及び/又は塩基性アミノ酸を含んでよい。
【0139】
組成物中の剤であり得るアルカノールアミンは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するC-Cアルキル主鎖を有する第一級アミンから好ましくは選択される。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールにより形成される群から選択される。
【0140】
特に好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール及び/又は2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択される。従って、特に好ましい実施形態は、剤がアルカリ化剤として、2-アミノエタン-1-オール及び/又は2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択されるアルカノールアミンを含むことを特徴とする。
【0141】
本発明の目的のため、アミノ酸は、その構造中に少なくとも1つのプロトン化可能なアミノ基及び少なくとも1つの-COOH基又は1つの-SOH基を含む有機化合物である。好ましいアミノ酸は、アミノカルボン酸、特にα-アミノカルボン酸及びω-アミノカルボン酸であり、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0142】
塩基性アミノ酸は、等電点pIが7.0より大きいアミノ酸である。
【0143】
塩基性α-アミノカルボン酸は、少なくとも1つの不斉炭素原子を含む。本発明の文脈では、両方の存在し得るエナンチオマーを、特定の化合物又はその混合物として、特にラセミ体として同等に使用できる。しかし、天然に好ましい異性体(通常はL-立体配置)を使用することが特に有利である。
【0144】
塩基性アミノ酸は、好ましくは、アルギニン、リジン、オルニチン及びヒスチジン、特に好ましくはアルギニン及びリジンによって形成される群から選択される。従って、更なる特に好ましい実施形態では、剤は、アルカリ化剤が、アルギニン、リジン、オルニチン及び/又はヒスチジンからなる群から選択される塩基性アミノ酸であることを特徴とする。
【0145】
加えて、製品は他のアルカリ化剤、特に無機アルカリ化剤を含んでよい。本発明に従い使用できる無機アルカリ化剤は、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムによって形成される群から選択される。
【0146】
特に好ましいアルカリ化剤は、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リジン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムである。
【0147】
剤(a)は、好ましくはアルカリ性範囲のpH値に調整されるが、それにもかかわらず、所望のpH値の微調整のために少量の酸性化剤も使用することが原理的に必要であり得る。本発明に従う適当な酸性化剤は、例えば、クエン酸、乳酸、酢酸、又は希釈された鉱酸(例えば塩酸、硫酸、リン酸など)である。
【0148】
しかしながら、本発明に至る研究の過程で、アルカリ化剤の存在又はアルカリ性pHの調整が、ケラチン物質上の耐性フィルムの形成に不可欠であることが見出された。過剰な量の酸の存在は、フィルムの強度に悪影響を及ぼし得る。このため、剤(a)で使用する酸の量を可能な限り少なく保つことが好ましいことがわかった。このため、剤(a)に含まれる有機酸及び/又は無機酸の総量が、特定の値を超えないことが有利である。
【0149】
更に好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)に含まれるクエン酸、酒石酸、リンゴ酸、及び乳酸からなる群からの有機酸の総量が、1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、更により好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0150】
更に好ましい実施形態において、方法は、剤(a)に含まれる塩酸、硫酸、及びリン酸からなる群からの無機酸の総量が、1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、更により好ましくは0.1重量%未満、非常に特に好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0151】
上記で示した剤(a)に含まれる酸の最大総量は、常に剤(a)の総重量に基づく。
【0152】
<剤(b)>
ケラチン物質の処理方法は、剤(v)及び(a)、並びに剤(b)の塗布を含む。剤(b)は、少なくとも1つのシーリング試薬(b1)を含むことを特徴とする。
【0153】
剤(a)で処理されたケラチン物質への剤(b)の塗布は、本方法で得られた着色をより持続させる効果を有する。特に、剤(b)の使用は、本方法で得られた着色の洗浄堅牢性及び摩擦堅牢性を向上することができる。
【0154】
シーリング試薬(b1)が、フィルム形成ポリマー、アルカリ化剤、酸性化剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含むことが好ましい。
【0155】
シーリング試薬がフィルム形成ポリマーを含むことが好ましい場合がある。
【0156】
ポリマーは、少なくとも1000g/mol、好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有する高分子であり、同一の繰り返し有機単位からなる。本発明のポリマーは、1種類のモノマーを重合することにより調製される合成的製造ポリマーであってもよいし、互いに構造的に異なる種類のモノマーを重合することにより調製される合成的製造ポリマーであってもよい。1種類のモノマーの重合により製造されるポリマーの場合、そのポリマーはホモポリマーと称される。構造的に異なる種類のモノマーを用いて重合した場合、得られるポリマーはコポリマーと称される。
【0157】
ポリマーの最大分子量は、重合度(重合されているモノマーの数)及びバッチサイズに依存し、重合方法によって決定される。本発明に関しては、シーリング試薬(b1)としてのフィルム形成ポリマーの最大分子量は、10g/mol以下、好ましくは10g/mol以下、特に好ましくは10g/mol以下である場合が好ましい。
【0158】
本発明の意味において、フィルム形成ポリマーは、基材上、例えばケラチン物質又はケラチン繊維上にフィルムを形成することができるポリマーである。フィルムの形成は、例えば、ポリマー処理されたケラチン物質を顕微鏡で観察することにより実証され得る。
【0159】
剤(b)中におけるフィルム形成ポリマー(b1)は、親水性又は疎水性であり得る。
【0160】
第1実施形態においては、剤(b)中に少なくとも1つの疎水性フィルム形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として使用することが好ましい場合がある。
【0161】
疎水性ポリマーは、1重量%未満の25℃での水への溶解度(760mmHg)を有するポリマーである。
【0162】
例えば、フィルム形成、疎水性ポリマーの水溶性は、以下の方法で測定できる。1gのポリマーをビーカーに入れる。水で100gにする。撹拌子を加え、この混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に加熱する。60分間撹拌する。その後、その水性混合物を目視で評価する。ポリマー-水混合物が、その混合物の濁度が高いために目視で評価できない場合、その混合物をろ過する。未溶解のポリマーの一部がろ紙上に残留する場合、ポリマーの溶解度は1重量%未満である。
【0163】
これらは、アクリル酸タイプのポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、セルロースポリマー、ニトロセルロースポリマー、シリコーンポリマー、アクリルアミドタイプのポリマー、及びポリイソプレンが挙げられる。
【0164】
特に好適なフィルム形成、疎水性ポリマーは、例えば、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマー又はコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマー又はコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマー又はコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマー又はコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマー又はコポリマー、プロピレンのホモポリマー又はコポリマー、スチレンのホモポリマー又はコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル及び/又はポリアミドの群からのポリマーである。
【0165】
更なる好ましい実施形態において、剤(b)は、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマー又はコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマー又はコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマー又はコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマー又はコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマー又はコポリマー、プロピレンのホモポリマー又はコポリマー、スチレンのホモポリマー又はコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル及び/又はポリアミドからなる群から選択される少なくとも1つのフィルム形成、疎水性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0166】
合成ポリマー、ラジカル重合により得られるポリマー又は天然ポリマーの群から選択されるフィルム形成疎水性ポリマーは、本発明による課題を解決するために特に適していることが証明されている。
【0167】
他の特に好適なフィルム形成疎水性ポリマーは、シクロオレフィン、ブタジエン、イソプレン又はスチレンなどのオレフィンのホモポリマー又はコポリマー、ビニルエーテル、ビニルアミド、少なくとも1つのC-C20アルキル基、アリール基又はC-C10ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステル又はアミドから選択され得る。
【0168】
他のフィルム形成疎水性ポリマーは、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、のホモ又はコポリマー及び/又はそれらの混合物から選択されてよい。
【0169】
更なるフィルム形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル-(メタ)アクリルアミド、特にC-C18アルキル基を有するもの、例えばN-エチル-アクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、le N-オクチルアクリルアミド、N-ジ(C-C)アルキル(メタ)アクリルアミドなどの、ホモポリマー又はコポリマーから選択され得る。
【0170】
他の好ましいアニオン性コポリマーは、例えば、INCI名アクリレートコポリマーの下で販売されている、アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのC-Cアルキルエステルのコポリマーである。適当な市販品は、例えば、Rohm & Haas社のAculyn(登録商標)33である。アクリル酸、メタクリル酸、又はそれらのC-Cアルキルエステル、及びエチレン性不飽和酸とアルコキシル化脂肪アルコールとのエステルのコポリマーもまた好ましい。適当なエチレン性不飽和酸は、特にアクリル酸、メタクリル酸及びイタコン酸であり、適当なアルコキシル化脂肪アルコールは、特にSteareth-20又はceteth-20である。
【0171】
市場で非常に特に好ましいポリマーは、例えば、Aculyn(登録商標)22(アクリレート/Steareth-20 メタクリレートコポリマー)、Aculyn(登録商標)28(アクリレート/Beheneth-25 メタクリレートコポリマー)、Structure 2001(登録商標)(アクリレート/Steareth-20 イタコネートコポリマー)、Structure 3001(登録商標)(アクリレート/Ceteth-20 イタコネートコポリマー)、Structure Plus(登録商標)(アクリレート/アミノアクリレートC10-30アルキルPEG-20イタコネートコポリマー)、Carbopol(登録商標)1342、1382、Ultrez 20、Ultrez 21(アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー)、Synthalen W 2000(登録商標)(アクリレート/Palmeth25アクリレートコポリマー)、又はRohme und Haas社が販売しているSoltex OPT(アクリレート/C12-22 アルキルメタクリレートコポリマー)である。
【0172】
ビニルモノマーに基づく適当なポリマーとしては、例えば、N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル-(C-C)アルキル-ピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジン、又はビニルイミダゾールのホモポリマー及びコポリマーを挙げてよい。
【0173】
また、特に適しているのは、NATIONAL STARCH社からAMPHOMER(登録商標)又はLOVOCRYL(登録商標)47の商品名で市販されているようなオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、又はNATIONAL STARCH社からのDERMACRYL(登録商標)LT及びDERMACRYL(登録商標)79の商品名で販売されているアクリレート/オクチルアクリルアミドのコポリマーである。
【0174】
適当なオレフィン系ポリマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレン、及びブタジエンのホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。
【0175】
別の実施形態では、フィルム形成疎水性ポリマーは、スチレン又はスチレンの誘導体の少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマーであってよい。これらのブロックコポリマーは、スチレンブロックに加えて、スチレン/エチレン、スチレン/エチレン/ブチレン、スチレン/ブチレン、スチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエンなどの1つ以上のブロックを含むコポリマーであってよい。そのようなポリマーは、BASF社から「Luvitol HSB」の商品名で市販されている。
【0176】
驚くべきことに、剤(b)が、アクリル酸のホモポリマー及びコポリマー、メタクリル酸のホモポリマー及びコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマー及びコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマー及びコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマー及びコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマー及びコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマー及びコポリマー、エチレンのホモポリマー及びコポリマー、プロピレンのホモポリマー及びコポリマー、スチレンのホモポリマー及びコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル及びポリアミドからなる群から選択される、少なくとも1つのフィルム形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として含む場合、特に強く、且つ洗浄堅牢性のある着色物が得られることが見出された。
【0177】
更なる好ましい実施形態において、方法は、剤(b)が、アクリル酸のホモポリマー及びコポリマー、メタクリル酸のホモポリマー及びコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマー及びコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマー及びコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマー及びコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマー及びコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマー及びコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマー及びコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマー及びコポリマー、エチレンのホモポリマー及びコポリマー、プロピレンのホモポリマー及びコポリマー、スチレンのホモポリマー及びコポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、及びポリアミドからなる群から選択される、少なくとも1つのフィルム形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0178】
更なる実施形態では、剤(b)中のシーリング試薬(b1)として、少なくとも1つの親水性フィルム形成ポリマーを用いることが好ましい場合がある。
【0179】
親水性ポリマーとは、1重量%より大きい、好ましくは2重量%より大きい、25℃での水への溶解度(760mmHg)を有するポリマーである。
【0180】
フィルム形成親水性ポリマーの水溶性は、例えば、以下の方法で測定できる。ビーカーにポリマー1gを入れる。水で100gにする。撹拌子を加え、その混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に加熱する。60分間撹拌する。その後、その水性混合物を目視で評価する。完全に溶解したポリマーは、マクロ的に均質に見える。ポリマー-水混合物がその混合物の濁度が高いために目視で評価できない場合は、混合物をろ過する。ろ紙上に未溶解のポリマーが残らなければ、ポリマーの溶解度は1重量%より大きい。
【0181】
フィルム形成、親水性ポリマーとして、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、及びカチオン性ポリマーが使用され得る。
【0182】
適切なフィルム形成親水性ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール(コ)ポリマー、ビニルアセテート(コ)ポリマー、カルボキシビニル(コ)ポリマー、アクリル酸(コ)ポリマー、メタクリル酸(コ)ポリマー、天然ゴム、多糖類、及び/又はアクリルアミド(コ)ポリマーからなる群から選択されてよい。
【0183】
更に、フィルム形成親水性ポリマーとして、ポリビニルピロリドン(PVP)及び/又はビニルピロリドン含有コポリマーを使用することが特に好ましい。
【0184】
別の非常に特に好ましい実施形態において、剤(b)は、ポリビニルピロリドン(PVP)、及びポリビニルピロリドンのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのフィルム形成、親水性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0185】
剤が、フィルム形成親水性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を含む場合、更に好ましい。驚くべきことに、PVPを含有する剤(b)を用いて得られた着色物の洗浄堅牢性も非常に良好であった。
【0186】
特に好適なポリビニルピロリドンは、例えば、Luviskol(登録商標)Kの名称でBASF SE社から、特にLuviskol(登録商標)K 90、又はLuviskol(登録商標)K 85の名称でBASF SE社から入手可能である。
【0187】
Ashland社(ISP、POI Chemical)から販売されているポリマーPVP K30も、別の明示的に非常に適したポリビニルピロリドン(PVP)として使用することができる。PVP K 30は、冷水に非常に可溶であり、CAS番号9003-39-8を有するポリビニルピロリドンである。PVP K 30の分子量は約40000g/molである。
【0188】
他の特に適当なポリビニルピロリドンは、LUVITEC K 17、LUVITEC K 30、LUVITEC K 60、LUVITEC K 80、LUVITEC K 85、LUVITEC K 90、及びLUVITEC K 115の商品名で知られているBASF社から入手可能な物質である。
【0189】
シーリング試薬(b1)として、ポリビニルピロリドンのコポリマーの群からのフィルム形成親水性ポリマーの使用もまた、特に良好で洗浄堅牢性のある着色結果をもたらした。
【0190】
Luviskol(登録商標)(BASF社製)の商標で販売されているようなビニルピロリドン-ビニルエステルコポリマーは、特に適したフィルム形成親水性ポリマーである。Luviskol(登録商標)VA 64、及びLuviskol(登録商標)VA 73は、共にビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーであり、特に好ましい非イオン性ポリマーである。
【0191】
ビニルピロリドン含有コポリマーのうち、スチレン/VPコポリマー、及び/又はビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、及び/又はVP/DMAPAアクリレートコポリマー、及び/又はVP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーは化粧品組成物において特に好ましい。
【0192】
ビニルピロリドン-ビニルアセテートコポリマーは、Luviskol(登録商標)VAの名称でBASF SE社から販売されている。例えば、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーは、Aquaflex(登録商標)SF-40の商品名でAshland Inc.社から販売されている。例えば、VP/DMAPAアクリレートコポリマーは、Styleze CC-10の名称でAshland社から販売されており、非常に好ましいビニルピロリドン含有コポリマーである。
【0193】
ポリビニルピロリドンの他の適当なコポリマーは、N-ビニルピロリドンと、V-ビニルホルムアミド、ビニルアセテート、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルカプロラクトン、及び/又はビニルアルコールからなる群からの少なくとも1つの更なるモノマーとの反応により得られるものでもよい。
【0194】
別の非常に特に好ましい実施形態において、剤(b)は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、ビニルピロリドン/スチレンコポリマー、ビニルピロリドン/エチレンコポリマー、ビニルピロリドン/プロピレンコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルホルムアミドコポリマー、及び/又はビニルピロリドン/ビニルアルコールコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのフィルム形成、親水性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0195】
ビニルピロリドンの別の適当なコポリマーは、INCI名マルトデキストリン/VPコポリマーで知られるポリマーである。
【0196】
更に、フィルム形成親水性ポリマーとして、非イオン性フィルム形成親水性ポリマーを使用した場合、非常に良好な洗浄堅牢性を有する強く着色されたケラチン物質、特に毛髪が得られ得る。
【0197】
別の実施形態では、剤(b)は、少なくとも1つの非イオン性、フィルム形成、親水性ポリマーをシーリング試薬(b1)として含んでよい。
【0198】
本発明によると、非イオン性ポリマーは、プロトン性溶媒(例えば水など)において、標準条件下で電気的中性を維持しながら対イオンによって補償されなければならない、恒久的なカチオン性基又はアニオン性基を含む構造単位を有しないポリマーであると理解される。カチオン性基は、4級化アンモニウム基を含むが、プロトン化されたアミンは含まない。アニオン性基には、カルボン酸基及びスルホン酸基が含まれる。
【0199】
特に好ましいのは、以下:
- ポリビニルピロリドン、
- N-ビニルピロリドンと2~18個の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステルとのコポリマー、特にN-ビニルピロリドンとビニルアセテートとのコポリマー、
- N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとメタクリルアミドとのコポリマー、
- N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとアクリルアミドとのコポリマー、
- N-ビニルピロリドンとN,N-ジ(C-C)アルキルアミノ-(C-C)アルキルアクリルアミドとのコポリマー、
からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを、非イオン性、フィルム形成、親水性ポリマーとして含む製品である。
【0200】
N-ビニルピロリドンとビニルアセテートとのコポリマーが使用される場合、N-ビニルピロリドンモノマー中に含まれる構造単位とビニルアセテートモノマー中に含まれるポリマーの構造単位のモル比は、20:80~80:20、特に30:70~60:40の範囲内である場合好ましい。ビニルピロリドンとビニルアセテートとの適当なコポリマーは、例えば、BASF SE社からLuviskol(登録商標)VA 37、Luviskol(登録商標)VA 55、Luviskol(登録商標)VA 64、及びLuviskol(登録商標)VA 73の商標の下、入手可能である。
【0201】
別の特に好ましいポリマーは、INCI名称VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーから選択され、これはLuviset Clearの商品名の下、BASF SE社から入手可能である。
【0202】
別の特に好ましい非イオン性、フィルム形成、親水性ポリマーは、N-ビニルピロリドンとN,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドとのコポリマーであり、これは例えばINCI名称VP/DMAPA アクリレートコポリマーの下、例えばStyleze(登録商標)CC 10の商品名でISP社によって販売されている。
【0203】
カチオン性ポリマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、及び3-(メタクリロイルアミノ)プロピル-ラウリル-ジメチルアンモニウムクロリドのコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-69)であり、これは、例えば、AquaStyle(登録商標)300(エタノール-水混合物中の活性物質28~32重量%、分子量350000)の商品名の下、ISP社によって販売されている。
【0204】
他の適当なフィルム形成親水性ポリマーとしては、以下が挙げられる:
- Luviquat(登録商標)FC 370、FC 550の名称、ポリクオタニウム-16のINCI名称、並びにFC 905及びHM 552の下で、提供されるビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、
- 例えばAquaflex(登録商標)SF 40の名称の下で市販されている、第3モノマー成分としてアクリル酸エステル及びアクリル酸アミドを有するビニルピロリドン-ビニルカプロラクタム-アクリレートターポリマー。
【0205】
ポリクオタニウム-11は、硫酸ジエチルと、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマーとの反応生成物である。適当な市販品は、Dehyquart(登録商標)CC 11、及びLuviquat(登録商標)PQ 11 PNの名称の下で、BASF SE社から、又はGafquat 440、Gafquat 734、Gafquat 755、若しくはGafquat 755Nの名称の下で、Ashland Inc社から入手可能である。
【0206】
ポリクオタニウム-46は、ビニルカプロラクタム及びビニルピロリドンと、メチルビニルイミダゾリウムメトサルフェートとの反応生成物であり、例えば、BASF SE社からLuviquat(登録商標)Holdの名称の下で、入手可能である。ポリクオタニウム-46は、好ましくは、化粧品組成物の総重量に基づいて、1~5重量%の量で使用される。ポリクオタニウム-46は、カチオン性グアー化合物と組み合わせて使用されることが特に好ましい。ポリクオタニウム-46はカチオン性グアー化合物及びポリクオタニウム-11と組み合わせて使用されることさえ非常に好ましい。
【0207】
適当なアニオン性フィルム形成、親水性ポリマーは、例えば、アクリル酸ポリマーであり得、これは未架橋、又は架橋の形態であり得る。そのような製品は、Lubrizol社によってCarbopol 980、981、954、2984、及び5984の商品名で、又は3V Sigma(The Sun Chemicals, Inter Harz社)によってSynthalen M、及びSynthalen Kの名称で商業的に販売されている。
【0208】
天然ガムの群からの適当なフィルム形成、親水性ポリマーの例は、キサンタンガム、ジェランガム、キャロブガムである。
【0209】
多糖類の群からの適当なフィルム形成、親水性ポリマーの例は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースである。
【0210】
アクリルアミドの群からの適当なフィルム形成、親水性ポリマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド-C-C-アルキルスルホン酸、又はそれらの塩のモノマーから調製されるポリマーである。対応するポリマーは、ポリアクリルアミドメタンスルホン酸、ポリアクリルアミドエタンスルホン酸、ポリアクリルアミドプロパンスルホン酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリ2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、及び/又はポリ2-メチルアクリルアミド-n-ブタンスルホン酸のポリマーから選択されてよい。
【0211】
ポリ(メタ)アクリルアミド-C1-C4-アルキルスルホン酸の好ましいポリマーは架橋され、少なくとも90%中和されている。これらのポリマーは、架橋されていても、未架橋であってもよい。
【0212】
ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸タイプの、架橋され、且つ完全又は部分中和されたポリマーは、INCI名称、“アンモニウム ポリアクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホネート”、又は“アンモニウム ポリアクリルジメチルタウラミド”の下で、入手可能である。
【0213】
このタイプの別の好ましいポリマーは、Clariant社によってHostacerin AMPSの商品名で販売されている架橋ポリ-2-アクリルアミド-2メチル-プロパンスルホン酸ポリマーであり、これはアンモニアで部分的に中和されている。
【0214】
別の明示的に非常に特に好ましい実施形態において、方法は、剤(b)が、少なくとも1つのアニオン性フィルム形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0215】
これに関連して、剤(b)が、式(P-I)で示される少なくとも1つの構造単位、及び式(P-II)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化54】
[式中、
Mは、水素原子、又はアンモニウム(NH)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウム若しくは1/2カルシウムである]
を含む少なくとも1つのフィルム形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として含む場合に、最良の結果が得られた。
【0216】
更なる好ましい実施形態において、方法は、剤(b)が、式(P-I)で示される少なくとも1つの構造単位、及び式(P-II)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化55】
[式中、
Mは、水素原子、又はアンモニウム(NH)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウム若しくは1/2カルシウムである]
を含む少なくとも1つのフィルム形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0217】
Mが水素原子を表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸単位に基づく。
Mがアンモニウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸のアンモニウム塩に基づく。
Mがナトリウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸のナトリウム塩に基づく。
Mがカリウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸のカリウム塩に基づく。
【0218】
Mがマグネシウム対イオンの1/2当量を表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸のマグネシウム塩に基づく。
Mがカルシウム対イオンの1/2当量を表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸のカルシウム塩に基づく。
【0219】
フィルム形成ポリマー又はポリマー(b1)は、好ましくは、剤(b)中において特定の範囲の量で使用される。本明細書において、剤(b)は、剤(b)の総重量に基づいて、0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で1つ以上のフィルム形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として含む場合に、本発明に従う課題を解決するために特に好ましいことが証明されている。
【0220】
更なる好ましい実施形態において、方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に基づいて、0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で1つ以上のフィルム形成ポリマーをシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0221】
シーリング試薬(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む剤(b)の塗布は、剤(a)の塗布によって最初に生成された任意着色フィルムを封止及び/又は固定することを意図する。シーリング試薬(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む第2剤(b)の塗布により、フィルム形成ポリマー(b1)が、第1の層で生成した任意着色フィルム上に更なるフィルムの形で堆積される。剤(b)が少なくとも1つの着色化合物を更に含む場合、使用される着色化合物に応じて、第1工程で製造された着色フィルムの色印象が強化又は変更され、又は、第1未着色フィルム上に第2着色フィルムを形成することによって、処理されたケラチン物質の着色が得られる。このようにして作成された多層フィルム系は、外部影響に対する向上した耐性を示す。
【0222】
代替的な実施形態では、シーリング試薬(b1)は、アルカリ化剤を含む。
【0223】
特に好ましくは、アルカリ化剤は、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物、及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選択される。
【0224】
別の特に好ましい実施形態において、方法は、剤(b)がアンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属メタケイ酸塩、アルカリ金属炭酸塩、及びアルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤をシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0225】
アンモニアを含む剤(b)での後処理は、本方法において得られる染色の洗浄堅牢性及び摩擦堅牢性の向上に特に良好な影響をもたらすことが判明している。
【0226】
更なる非常に特に好ましい実施形態の文脈において、方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)としてアンモニアを含むことを特徴とする。
【0227】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つのC-Cアルカノールアミンを含む場合にも、良好な結果が得られた。
【0228】
剤(b)に使用され得るアルカノールアミンは、例えば、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するC-Cアルキル主鎖を有する第1級アミンの群から選択され得る。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールによって形成される群から選択される。
【0229】
更なる好ましい実施形態において、本発明による方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、及び2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールからなる群から好ましくは選択されるアルカノールアミンの群からの少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0230】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として、少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む場合も同様に、良好な結果が得られた。
【0231】
本発明の目的のために、アミノ酸は、その構造中に少なくとも1つのプロトン化可能なアミノ基、及び少なくとも1つの-COOH又は1つの-SOH基を含む有機化合物である。好ましいアミノ酸はアミノカルボン酸、特にα-(アルファ)-アミノカルボン酸、及びω-アミノカルボン酸であり、それによりα-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0232】
本発明によれば、塩基性アミノ酸は、7.0より大きい等電点pIを有するアミノ酸である。
【0233】
塩基性α-アミノカルボン酸は、少なくとも1つの不斉炭素原子を含む。本発明の文脈では、両方の存在し得るエナンチオマーを、特定の化合物又はそれらの混合物として、特にラセミ体として同等に使用できる。しかし、天然に好ましい異性体、通常はL-立体配置、を使用することが特に有利である。
【0234】
塩基性アミノ酸は、アルギニン、リジン、オルニチン、及びヒスチジン、特に好ましくはアルギニン、及びリジンによって形成される群から好ましくは選択される。従って、更に特に好ましい実施形態において、本方法は、シーリング試薬(b1)が、アルギニン、リジン、オルニチン、及び/又はヒスチジンからなる群から選択される塩基性アミノ酸を含むアルカリ化剤であることを特徴とする。
【0235】
更なる好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)が好ましくはアルギニン、リジン、オルニチン、及びヒスチジンの群から選択される塩基性アミノ酸の群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤をシーリング試薬(b1)として含むことを特徴とする。
【0236】
また、剤(b)がシーリング試薬(b1)として、少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物を含む場合にも、良好な結果が得られた。好適なアルカリ金属水酸化物の例は、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムである。
【0237】
また、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物を含むアルカリ化剤を含む場合にも、良好な結果が得られた。適当なアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び水酸化バリウムが挙げられる。
【0238】
また、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、少なくとも1つのアルカリ金属ケイ酸塩、及び/又はアルカリ金属メタケイ酸塩を含む場合にも、良好な結果が得られた。適切なアルカリ金属ケイ酸塩としては、ナトリウムケイ酸塩、及びカリウムケイ酸塩が挙げられる。適当なアルカリ金属メタケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウム、及びメタケイ酸カリウムが挙げられる。
【0239】
また、剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つのアルカリ金属炭酸塩、及び/又はアルカリ土類金属炭酸塩を含む場合にも、良好な結果が得られた。適当なアルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムが挙げられる。適当なアルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸マグネシウム、及び炭酸カルシウムが挙げられる。
【0240】
アルカリ化剤の形態での前記シーリング試薬(b1)の群の中で、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、及びアルカリ金属水酸化物が特に適していることが証明されている。
【0241】
更なる特に好ましい実施形態の文脈において、本方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、及びアルカリ金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0242】
別の特に好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リジン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0243】
剤(b)は、化粧品担体中、好ましくは水性化粧品担体中にシーリング試薬(b1)としてアルカリ化剤を含む。
【0244】
これに関して、剤(b)が、剤(b)の総重量に基づいて、5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、なおより好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含む場合、好ましいことが見出されている。
【0245】
更なる実施形態の文脈では、本方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に基づいて、5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、なおより好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含むことを特徴とする。
【0246】
剤(b)に含まれるアルカリ化剤は、剤(b)のpH値に影響を及ぼす。特に特定のアルカリ性pH値は、本方法において達成可能な染色性能、及び染色の堅牢特性への有益な影響を有することが見出された。
【0247】
このため、シーリング試薬(b1)としてアルカリ化剤を含む剤(b)は、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.5~9.5のpHを有することが好ましい。
【0248】
pH値は、組合せ電極を介したガラス電極を用いたpH測定、又はpH試験紙を用いたpH測定など、当業界で既知の通常の方法を用いて測定され得る。
【0249】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)としてアルカリ化剤を含み、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.5~9.5のpHを有することを特徴とする。
【0250】
本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されたpH値である。
【0251】
なお更なる別の実施形態において、シーリング試薬(b1)は、酸性化剤を含む。
【0252】
特に好ましくは、酸性化剤は、無機酸、有機酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0253】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つの無機酸を含む場合、良好な結果が得られた。適当な無機酸は、例えば、リン酸、硫酸、及び/又は塩酸であり、硫酸が特に好ましい。
【0254】
更なる好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、リン酸、硫酸、塩酸、及びそれらの混合物からなる群から好ましくは選択される無機酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸性化剤を含むことを特徴とする。
【0255】
更なる、なおより好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として硫酸を含むことを特徴とする。
【0256】
剤(b)がシーリング試薬(b1)として少なくとも1つの有機酸を含む場合にも、良好な結果が得られた。有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオール酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、カンフル酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイック酸、ヒドラトロピック酸(Hydratropasaeure)、アトロピック酸(Atropasaeure)、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4’-ジシアノ-6,6’-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸又はプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、及びそれらの混合物からなる群から好ましくは選択される。
【0257】
更なる好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、有機酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸性化剤を含み、ここで、前記有機酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオール酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、カンフル酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイック酸、ヒドラトロピック酸、アトロピック酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4’-ジシアノ-6,6’-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタルアミド酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸又はプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、及びそれらの混合物からなる群から好ましくは選択されることを特徴とする。
【0258】
更なる、なおより好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として酢酸を含むことを特徴とする。
【0259】
また、適当な酸性化剤としては、メタンスルホン酸、及び/又は1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸が挙げられる。
【0260】
酸性化剤の形態での前記シーリング試薬(b1)の群の中で、硫酸、及び/又は酢酸が特に適当であることが証明されている。
【0261】
更なる特に好ましい実施形態の文脈において、本方法は、剤(b)が、シーリング試薬(b1)として、硫酸、酢酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸性化剤を含むことを特徴とする。
【0262】
剤(b)は、化粧品担体中、好ましくは水性化粧品担体中にシーリング試薬(b1)として酸性化剤を含む。
【0263】
剤(b)に含まれる酸性化剤は、剤(b)のpHに影響を及ぼす。また、酸性のpH値は、本方法において達成可能な染色性能、及び染色の堅牢特性に有益な影響を与えることが見出された。
【0264】
このため、シーリング試薬(b1)として酸性化剤を含む剤(b)は、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することが好ましい。
【0265】
pH値は、組合せ電極を介したガラス電極を用いたpH測定、又はpH試験紙を用いたpH測定など、当業界で既知の通常の方法を用いて測定され得る。
【0266】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)がシーリング試薬(b1)として酸性化剤を含み、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することを特徴とする。
【0267】
なお、本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定したpH値である。
【0268】
<剤(a)及び(b)中の他の成分>
上記の剤(a)及び(b)は、1つ以上の任意成分を含んでよい。しかし、本発明においては、剤(a)及び(b)の少なくとも一方が、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含むことが必須である。
【0269】
また、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)に加えて、剤(a)が顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含むことが好ましい場合がある。
【0270】
あるいは、剤(b)が、シーリング試薬(b1)に加えて、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含むことが好ましい場合がある。
【0271】
本方法の同様に好ましい実施形態において、剤(a)及び剤(b)はそれぞれ、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含む。
【0272】
剤(a)及び/又は(b)に関係なく、顔料の使用は、本明細書において特に好ましいと証明されている。
【0273】
別の非常に特に好ましい実施形態においては、方法は、剤(a)及び/又は剤(b)が、顔料からなる群から選択される少なくとも1つの着色付与化合物を更に含むことを特徴とする。
【0274】
本発明の意味における顔料は、0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、なおより好ましくは0.05g/L未満の25℃での水への溶解度を有する着色化合物である。水への溶解度は、例えば、以下に示す方法で測定できる。ビーカーに0.5gの顔料を秤量する。撹拌子を加える。次いで、1リットルの蒸留水を添加する。この混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に1時間加熱する。この時間の経過後、混合物中に顔料の未溶解成分がまだ見える場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。微細に分散している可能性のある顔料の強度が高いために、顔料-水混合物を目視で評価できない場合は、混合物をろ過する。ろ紙上に未溶解顔料の一部が残留する場合、その顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0275】
適当な顔料は、無機由来、及び/又は有機由来であり得る。
【0276】
好ましい実施形態において、方法は、剤(a)及び剤(b)が、無機顔料及び/又は有機顔料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含むことを特徴とする。
【0277】
好ましい顔料は、合成又は天然の無機顔料から選択される。天然由来の無機顔料は、例えば、チョーク、黄土、アンバー、緑土、焼成テーラ・ディ・シエナ、又はグラファイトから製造できる。更に、黒色酸化鉄などの黒色顔料、ウルトラマリン又は赤色酸化鉄などの有色顔料、及び蛍光顔料又は燐光顔料を、無機着色顔料として使用できる。
【0278】
特に適当なのは、有色の金属酸化物、金属水酸化物、及び金属酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩、及び/又はモリブデン酸塩である。特に好ましい顔料は、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色及び褐色酸化鉄(CI 77491)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、紺青(フェロシアン化鉄、CI 77510)、及び/又はカーマイン(コチニール)である。
【0279】
また、特に好ましい顔料は、有色真珠光沢顔料である。これらは、通常、雲母及び/又は雲母系であり、1以上の金属酸化物で被覆され得る。雲母は層状ケイ酸塩に属する。これらのケイ酸塩の最も重要な代表例は、白雲母、金雲母、ソーダ雲母、黒雲母、リシア雲母、及びマーガライトである。金属酸化物と組み合わせた真珠光沢顔料を製造するには、雲母、主に白雲母、又は金雲母などを金属酸化物で被覆する。
【0280】
従って、好ましい方法は、剤(a)及び/又は剤(b)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、青銅顔料、及び/又は少なくとも1つの金属酸化物及び/又は金属オキシ塩化物で被覆された天然又は合成雲母に基づく着色顔料の群から選択される顔料の群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含むことを特徴とする。
【0281】
更なる好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)及び/又は剤(b)が、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色及び/又は褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、酸化クロム(CI 77288)及び/又は紺青(フェロシアン化鉄、CI 77510)からなる群から選ばれる、1つ以上の金属酸化物と反応させた天然又は合成雲母に基づく顔料から選択される顔料の群から選ばれる少なくとも1つの着色化合物を含むことを特徴とする。
【0282】
他の適当な顔料は、金属酸化物で被覆されたプレートレット形状のホウケイ酸塩に基づく。これらは、例えば、酸化スズ、酸化鉄、二酸化ケイ素及び/又は二酸化チタンで被覆される。このようなホウケイ酸塩に基づく顔料は、例えば、MIRAGE(Eckart社製)又はReflecks(BASF SE社製)の名称の下で、入手可能である。
【0283】
特に適当な顔料の例は、Merck社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)、及びTimiron(登録商標)、Sensient社からAriabel(登録商標)、及びUnipure(登録商標)、Eckart Cosmetic Colors社からPrestige(登録商標)、又はSynCrystal、BASF SE社からFlamenco(登録商標)、Cellini(登録商標)、Cloisonne(登録商標)、Duocrome(登録商標)、Gemtone(登録商標)、Timica(登録商標)、MultiReflections、Chione、並びにサンスター社からSunshine(登録商標)の商品名の下で、商業的に入手可能である。
【0284】
商品名がColorona(登録商標)である非常に特に好ましい顔料は、例えば以下である:
Colorona Copper, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Copper Fine, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), アルミナ
Colorona Patina Silver, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン, フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Aborigine Amber, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue, Merck, CI 77499(酸化鉄), 雲母
Colorona Patagonian Purple, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン), CI 77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet, Merck, CI 77491(二酸化チタン), 雲母, CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), D&C RED NO. 30 (CI 73360)
Colorona Majestic Green, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), フェロシアン化鉄 (CI 77510)
Colorona Red Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), 酸化鉄 (CI 77491)
Colorona Carmine Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン, カーマイン
Colorona Blackstar Green, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Sienna, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, CI 77491(酸化鉄), 酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29, Merck, 雲母, 二酸化チタン, 酸化鉄, 雲母, CI 77891, CI 77491 (EU)
Colorona Mica Black, Merck, CI 77499(酸化鉄), Mica, CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona(登録商標) SynCopper, Merck, 合成フルオロフロゴパイト(及び)酸化鉄
Colorona(登録商標) SynBronze, Merck, 合成フルオロフロゴパイト(及び)酸化鉄。
【0285】
商品名がXirona(登録商標)である更なる特に好ましい顔料は、例えば以下である:
Xirona(登録商標) Golden Sky, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona(登録商標) Caribbean Blue, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, 酸化スズ
Xirona(登録商標) Kiwi Rose, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona(登録商標) Magic Mauve, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona(登録商標) Le Rouge, Merck, 酸化鉄 (及び)シリカ。
【0286】
加えて、商品名がUnipure(登録商標)である特に好ましい顔料は、例えば以下である:
Unipure Red LC 381 EM,Sensient CI 77491(酸化鉄),シリカ
Unipure Black LC 989 EM,Sensient,CI 77499(酸化鉄),シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM,Sensient,CI 77492(酸化鉄),シリカ。
【0287】
また、商品名がFlamenco(登録商標)である特に好ましい顔料は、例えば、以下である:
Flamenco(登録商標) Summit Turquoise T30D、BASF、二酸化チタン(及び)雲母
Flamenco(登録商標) Super Violet 530Z、BASF、雲母(及び)二酸化チタン。
【0288】
更なる実施形態において、本方法において剤(a)及び/又は剤(b)は、有機顔料の群から選ばれる1つ以上の着色化合物を含んでもよい。
【0289】
有機顔料は、例えばニトロソ-、ニトロ-アゾ-、キサンテン-、アントラキノン-、イソインドリノン-、イソインドリン-、キナクリドン-、ペリノン-、ペリレン-、ジケトピロロピロール-、インディゴ-、チオインディゴ-、ジオキサジン-、及び/又はトリアリールメタン化合物の群から選択されてよい、相応に不溶性の有機染料又は着色剤である。
【0290】
特に適当な有機顔料の例は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、及び/又はCI 75470の赤色顔料である。
【0291】
別の特に好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)及び/又は剤(b)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料及びそれらの混合物からなる群から選択される有機顔料の群から選ばれる少なくとも1つの着色化合物を含むことを特徴とする。
【0292】
有機顔料はカラーペイントであってもよい。本発明の意味において、用語「カラーラッカー」は、吸収された染料の層を含む粒子を意味しており、粒子及び染料のユニットは、上記条件下で不溶性である。粒子は例えば無機物質であり得、これは、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム、又はアルミニウムであり得る。
【0293】
例えば、アリザリンカラーワニスを使用できる。
【0294】
本方法の更なる実施形態において、剤(a)及び/又は剤(b)は、有機顔料の群から選ばれる1つ以上の着色化合物を含んでもよい。
【0295】
別の特に好ましい実施形態では、方法は、剤(a)及び/又は剤(b)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、及び/又はCI 75470の赤色顔料からなる群から選択される有機顔料の群から選ばれる少なくとも1つの着色化合物を含むことを特徴とする。
【0296】
また、顔料の群から選ばれる適当な着色化合物は、ポリマーで改質された無機顔料及び/又は有機顔料である。ポリマー改質は、例えば、少なくとも1つの層のそれぞれの物質に対する顔料の親和性を高められる。
【0297】
剤(a)及び/又は剤(b)において、着色剤としていわゆる金属効果顔料を使用することも可能である。
【0298】
特に、金属効果顔料は、ラメラ基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー基材プレートレットに基づく顔料、及び/又は「真空金属化顔料」(VMP)を含む基材プレートレットに基づく顔料を含んでよい。これらの金属効果顔料において、基材プレートレットは、金属、好ましくはアルミニウム、又は合金を含む。金属基材プレートレット系金属効果顔料は、好ましくは、特に保護層として機能するコーティングを有する。
【0299】
適当な金属効果顔料としては、例えば、Alegrace(登録商標)Marvelous、Alegrace(コピーライト)Gorgeous、又はAlegrace(登録商標)Aurous(Schlenk Metallic Pigments社製)などの顔料が挙げられる。
【0300】
また、SILVERDREAMシリーズのアルミニウム系顔料、及びVISIONAIREシリーズのアルミニウム又は銅/亜鉛含有金属合金に基づく顔料(Eckart社製)も適当な金属効果顔料である。
【0301】
優れた光安定性及び温度安定性のために、剤(a)及び/又は剤(b)において上記顔料の使用は特に好ましい。また、使用する顔料がある特定の粒度を有する場合も好ましい。この粒度は、一方では形成されたポリマーフィルム中の顔料の均一な分布につながり、他方では化粧品の塗布後の毛髪や皮膚のざらつき感を回避することにつながる。従って、本発明によれば、少なくとも1つの顔料が、1~50μm、好ましくは5~45μm、好ましくは10~40μm、特に14~30μmの平均粒度D50を有する場合に有利である。平均粒度D50は、例えば、動的光散乱(DLS)を用いて測定できる。
【0302】
更なる好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)が、剤(a)の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も好ましくは0.5~4.5重量%の総量で顔料の形態での1つ以上の着色付与化合物を更に含むことを特徴とする。
【0303】
更なる、同様に好ましい実施形態では、本方法は、剤(b)が、剤(b)の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で顔料の形態での1つ以上の着色付与化合物を更に含むことを特徴とする。
【0304】
着色化合物として、本方法に使用される剤(a)及び/又は剤(b)は、1つ以上の直接染料を含んでもよい。直接染料は、毛髪表面上に直接描画し、色を形成する酸化工程を必要としない染料である。直接染料は、通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン、トリアリールメタン染料、又はインドフェノールである。
【0305】
本発明の意味における直接染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って顔料としてみなされない。好ましくは、本発明の意味における直接染料は、1g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0306】
直接染料は、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料、及び非イオン性直接染料に分類できる。
【0307】
更に好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)及び/又は剤(b)が、着色化合物として、少なくとも1つのアニオン性、カチオン性、及び/又は非イオン性の直接染料を更に含むことを特徴とする。
【0308】
更に好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)及び/又は剤(b)が、アニオン性、非イオン性、及び/又はカチオン性の直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含むことを特徴とする。
【0309】
適当なカチオン性直接染料としては、Basic Blue 7、Basic Blue 26、Basic Violet 2、Basic Violet 14、Basic Yellow 57、Basic Red 76、Basic Blue 16、Basic Blue 347(Cationic Blue 347 / Dystar)、HC Blue No. 16、Basic Blue 99、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87、Basic Orange 31、Basic Red 51 Basic Red 76が挙げられる。
【0310】
非イオン性直接染料としては、非イオン性ニトロ及びキノン染料、並びに天然アゾ染料を使用できる。適当な非イオン性直接染料は、以下の国際名称又は商品名で記載されているものである:HC Yellow 2、HC Yellow 4、HC Yellow 5、HC Yellow 6、HC Yellow 12、HC Orange 1、Disperse Orange 3、HC Red 1、HC Red 3、HC Red 10、HC Red 11、HC Red 13、HC Red BN、HC Blue 2、HC Blue 11、HC Blue 12、Disperse Blue 3、HC Violet 1、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Black 9の既知の化合物、並びに1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール2-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-メチルベンゼン、1-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2’-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]安息香酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸及びその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸、及び2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノール。
【0311】
本発明に至る研究の過程において、特に少なくとも1つのアニオン性直接染料を含む剤(a)及び/又は(b)を用いた場合、特に強い着色強度を有する染色が製造できることが見出された。
【0312】
明示的にかなり特に好ましい実施形態において、本方法は、従って、剤(a)及び/又は剤(b)が、着色化合物として少なくとも1つのアニオン性直接染料を更に含むことを特徴とする。
【0313】
アニオン性直接染料は、酸性染料とも呼ばれる。酸性染料は、少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)及び/又は1つのスルホン酸基(-SOH)を有する直接染料である。pH値により、カルボン酸又はスルホン酸基のプロトン化形態(-COOH、-SOH)は、それらの脱プロトン化形態(-COO、-SO が存在)と平衡である。pHの低下に伴い、プロトン化形態の割合は増加する。直接染料がその塩の形態で使用される場合、カルボン酸基又はスルホン酸基は脱プロトン化形態で存在し、電気的中性を維持するために、対応する化学量論的に同等のカチオンで中和される。酸性染料は、それらのナトリウム塩及び/又はそれらのカリウム塩の形態でも使用され得る。
【0314】
本発明の意味における酸性染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料としてみなされない。好ましくは、本発明の意味における酸性染料は、1g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0315】
酸性染料のアルカリ土類塩(例えばカルシウム塩及びマグネシウム塩)又はアルミニウム塩は、しばしば対応するアルカリ塩よりも低い溶解度を有する。これらの塩の溶解度が0.5g/L未満(25℃、760mmHg)の場合、それらは直接染料の定義に含まれない。
【0316】
酸性染料の重要な特徴は、アニオン電荷を形成する能力であり、これを担うカルボン酸基又はスルホン酸基は通常、異なる発色団系に結合している。適当な発色団系は、例えば、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料及び/又はインドフェノール染料の構造に見られる。
【0317】
従って、一実施形態の文脈において、剤(a)及び/又は剤(b)が、着色化合物として、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料、及び/又はインドフェノール染料からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性直接染料を更に含むことを特徴とする、ケラチン物質を染色するための方法が好ましく、上記群から選ばれる前記染料は、それぞれ少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)、カルボン酸ナトリウム基(-COONa)、カルボン酸カリウム基(-COOK)、スルホン酸基(-SOH)、スルホン酸ナトリウム基(-SONa)、及び/又はスルホン酸カリウム基(-SOK)を含む。
【0318】
例えば、以下の群からの1以上の化合物は、特に好適な酸性染料として選択され得る:Acid Yellow 1(D&C Yellow 7、Citronin A、Ext. D&C Yellow No. 7、Japan Yellow 403、CI 10316、COLIPA n°B001)、Acid Yellow 3(COLIPA n°:C54、D&C Yellow N°10、Quinoline Yellow、E104、Food Yellow 13)、Acid Yellow 9(CI 13015)、Acid Yellow 17(CI 18965)、Acid Yellow 23(COLIPA n°C 29、Covacap Jaune W 1100(LCW)、Sicovit Tartrazine 85 E 102(BASF)、Tartrazine、Food Yellow 4、Japan Yellow 4、FD&C Yellow No. 5)、Acid Yellow 36(CI 13065)、Acid Yellow 121(CI 18690)、Acid Orange 6(CI 14270)、Acid Orange 7(2-Naphthol orange、Orange II、CI 15510、D&C Orange 4、COLIPA n°C015)、Acid Orange 10(C.I. 16230;Orange G ナトリウム塩)、Acid Orange 11(CI 45370)、Acid Orange 15(CI 50120)、Acid Orange 20(CI 14600)、Acid Orange 24(BROWN 1;CI 20170;KATSU201;ナトリウム塩不含有;Brown No.201;RESORCIN BROWN;ACID ORANGE 24;Japan Brown 201;D & C Brown No.1)、Acid Red 14(C.I.14720)、Acid Red 18(E124、Red 18; CI 16255)、Acid Red 27(E 123、CI 16185、C-Rot 46、Real red D、FD&C Red Nr.2、Food Red 9、Naphthol red S)、Acid Red 33(Red 33、Fuchsia Red、D&C Red 33、CI 17200)、Acid Red 35(CI C.I.18065)、Acid Red 51(CI 45430、Pyrosin B、Tetraiodfluorescein、Eosin J、Iodeosin)、Acid Red 52(CI 45100、Food Red 106、Solar Rhodamine B、Acid Rhodamine B、Red n°106 Pontacyl Brilliant Pink)、Acid Red 73(CI CI 27290)、Acid Red 87(Eosin、CI 45380)、Acid Red 92(COLIPA n°C53、CI 45410)、Acid Red 95(CI 45425、Erythtosine,Simacid Erythrosine Y)、Acid Red 184(CI 15685)、Acid Red 195、Acid Violet 43(Jarocol Violet 43、Ext. D&C Violet n°2、C.I. 60730、COLIPA n°C063)、Acid Violet 49(CI 42640)、Acid Violet 50(CI 50325)、Acid Blue 1(Patent Blue、CI 42045)、Acid Blue 3(Patent Blue V、CI 42051)、Acid Blue 7(CI 42080)、Acid Blue 104(CI 42735)、Acid Blue 9(E 133、Patent Blue AE、Amido blue AE、Erioglaucin A、CI 42090、C.I. Food Blue 2)、Acid Blue 62(CI 62045)、Acid Blue 74(E 132、CI 73015)、Acid Blue 80(CI 61585)、Acid Green 3(CI 42085、Foodgreen1)、Acid Green 5(CI 42095)、Acid Green 9(C.I.42100)、Acid Green 22(C.I.42170)、 Acid Green 25(CI 61570、Japan Green 201、D&C Green No. 5)、Acid Green 50(Brilliant Acid Green BS、C.I. 44090、Acid Brilliant Green BS、E 142)、Acid Black 1(Black n°401、Naphthalene Black 10B、Amido Black 10B、CI 20 470、COLIPA n°B15)、Acid Black 52(CI 15711)、Food Yellow 8(CI 14270)、Food Blue 5、D&C Yellow 8、D&C Green 5、D&C Orange 10、D&C Orange 11、D&C Red 21、D&C Red 27、D&C Red 33、D&C Violet 2、及び/又はD&C Brown 1。
【0319】
例えば、アニオン性直接染料の水溶性は、以下方法で測定できる。0.1gのアニオン性直接染料をビーカーに添加する。撹拌子を加える。次いで、100mLの水を添加する。この混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に加熱する。60分間撹拌する。次いで、水性混合物を目視で評価する。未溶解残留物がまだ存在する場合、例えば10mL刻みで、水の量を増やす。使用した染料の量が完全に溶解するまで水を加える。染料の強度が高いために、染料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物をろ過する。未溶解染料の一部がろ紙上に残留する場合は、より多くの水を用いて溶解度試験を繰り返す。0.1gのアニオン性直接染料が25℃で100mLの水に溶解した場合、その染料の溶解度は1g/Lである。
【0320】
Acid Yellow 1は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩と称され、少なくとも40g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
Acid Yellow 3は、2-(2-キノリル)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンのモノスルホン酸とジスルホン酸のナトリウム塩の混合物であり、20g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
Acid Yellow 9は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は40g/L(25℃)より大きい。
Acid Yellow 23は、4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1-(4-スルホフェニル)-4-((4-スルホフェニル)アゾ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の三ナトリウム塩であり、25℃の水に非常に溶解性である。
Acid Orange 7は、4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アゾ]ベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。その水への溶解度は、7g/L(25℃)より大きい。
Acid Red 18は、7-ヒドロキシ-8-[(E)-(4-スルホナト-1-ナフチル)-ジアゼニル)]-1,3-ナフタレンジスルホネートの三ナトリウム塩であり、20重量%より大きい非常に高い水溶性を有する。
Acid Red 33は、5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホネートの二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は2.5g/L(25℃)である。
Acid Red 92は、3,4,5,6-テトラクロロ-2-(1,4,5,8-テトラブロモ-6-ヒドロキシ-3-オキソキサンテン-9-イル)安息香酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は10g/L(25℃)より大きい。
Acid Blue 9は、2-({4-[N-エチル(3-スルホナトベンジル]アミノ]フェニル}{4-[(N-エチル(3-スルホナトベンジル)イミノ]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}メチル)-ベンゼンスルホネートの二ナトリウム塩であり、20重量%(25℃)より大きい水への溶解度を有する。
【0321】
従って、非常に特に好ましい方法は、剤(a)及び/又は剤(b)が、以下からなる群から選択されるアニオン性直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含むことを特徴とする:Acid Yellow 1、 Acid Yellow 3、 Acid Yellow 9、 Acid Yellow 17、 Acid Yellow 23、 Acid Yellow 36、 Acid Yellow 121、 Acid Orange 6、 Acid Orange 7、 Acid Orange 10、 Acid Orange 11、 Acid Orange 15、 Acid Orange 20、 Acid Orange 24、 Acid Red 14、 Acid Red 27、 Acid Red 33、 Acid Red 35、 Acid Red 51、 Acid Red 52、 Acid Red 73、 Acid Red 87、 Acid Red 92、 Acid Red 95、 Acid Red 184、 Acid Red 195、 Acid Violet 43、 Acid Violet 49、 Acid Violet 50、 Acid Blue 1、 Acid Blue 3、 Acid Blue 7、 Acid Blue 104、 Acid Blue 9、 Acid Blue 62、 Acid Blue 74、 Acid Blue 80、 Acid Green 3、 Acid Green 5、 Acid Green 9、 Acid Green 22、 Acid Green 25、 Acid Green 50、 Acid Black 1、 Acid Black 52、 Food Yellow 8、 Food Blue 5、 D&C Yellow 8、 D&C Green 5、 D&C Orange 10、 D&C Orange 11、 D&C Red 21、 D&C Red 27、 D&C Red 33、 D&C Violet 2、及び/又はD&C Brown 1。
【0322】
直接染料、特にアニオン性直接染料は、所望の着色強度に応じて、剤(a)及び/又は剤(b)中に異なる量で使用できる。剤(a)及び/又は剤(b)が、それぞれの場合においてその総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で、1つ以上の直接染料を着色化合物として含む場合に特に良好な結果が得られた。
【0323】
更なる好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)及び/又は剤(b)が、剤(a)及び/又は剤(b)の総重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も好ましくは0.5~4.5重量%の総量で、1つ以上の直接染料を着色化合物として更に含むことを特徴とする。
【0324】
本方法の好ましい実施形態において、剤(a)は、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物(a2)を更に含む。この実施形態では、着色化合物(a2)が、少なくとも1つの有機顔料、及び/又は少なくとも1つの金属基材プレートレット系顔料を含むことが好ましい場合がある。
【0325】
本方法の同様に好ましい実施形態において、剤(b)は、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物(b2)を更に含む。
【0326】
着色付与化合物に関する本方法の更なる好ましい実施形態を以下に開示する。
【0327】
1.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬。
【0328】
2.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、及びそれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの無機顔料と、ラメラ金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料とを含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬。
【0329】
3.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、及びそれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの無機顔料、並びにα)雲母を含む基材プレートレットと、β)TiO、SnO及び/又は酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングとを含む少なくとも1つの顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬。
【0330】
4.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、並びに
(b2)ラメラ金属基材プレートレット系顔料、レンチキュラー金属基材プレートレット系顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレット系顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0331】
5.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、並びに
(b2)α)雲母を含む基材プレートレットと、β)TiO、SnO及び/又は酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングとを含む顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0332】
6.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、並びに
(b2)α)ホウケイ酸ガラスを含む基材プレートレットと、β)TiO、SnO、SiO及び/又は酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングとを含む顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0333】
7.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬。
【0334】
8.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料と、ラメラ金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料とを含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬。
【0335】
9.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料、並びに、α)雲母を含む基材プレートレットと、β)TiO、SnO及び/又は酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングとを含む少なくとも1つの顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬。
【0336】
10.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、並びに
(b2)ラメラ金属基材プレートレット系顔料、レンチキュラー金属基材プレートレット系顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレット系顔料、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0337】
11.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、並びに
(b2)α)雲母を含む基材プレートレットと、β)TiO、SnO、及び/又は酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングとを含む顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0338】
12.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
- ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は以下を含む:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物、
- ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、並びに
(a2)カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
- ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、並びに
(b2)α)ホウケイ酸ガラスを含む基材プレートレットと、β)TiO、SnO、SiO及び/又は酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングとを含む顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0339】
剤(a)及び/又は(b)は、更に1つ以上の界面活性剤を含んでよい。界面活性剤という用語は、界面活性物質を意味する。疎水性基及び負に帯電した親水性の頭部基からなるアニオン性界面活性剤、負電荷及び補償する正電荷の両方を有する両性イオン性界面活性剤、疎水性基に加えて正に帯電した親水性基を有するカチオン性界面活性剤、並びに電荷は有さないが、水溶液中で強い双極子モーメントを有し強く水和している非イオン性界面活性剤に分類される。
【0340】
双性イオン性界面活性剤は、分子内に少なくとも1つの第4級アンモニウム基と少なくとも1つの-COO(-)基又はSO (-)基を有する表面活性化合物である。特に適当な双性イオン性界面活性剤はいわゆるベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-グリシネート、例えばココアルキル-ジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば各々、アルキル基又はアシル基内に8~18個のC原子を有するココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネート及び2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン性界面活性剤は、INCI名コカミドプロピルベタインで知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0341】
両性イオン性界面活性剤は、分子中のC-C24アルキル基又はアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基及び少なくとも1つの-COOH基又は-SOH基を含み、内部塩を形成することができる表面活性化合物である。適当な両性イオン性界面活性剤の例は、それぞれアルキル基中に約8~24個のC原子を有するN-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸、及びアルキルアミノ酢酸である。両性イオン性又は双性イオン性界面活性剤の典型的な例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノ-プロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタイン、及びスルホベタインである。
【0342】
特に好ましい両性イオン性界面活性剤は、N-ココサルキルアミノプロピオネート、ココサシルアミノエチルアミノプロピオネート、及びC12-C18-アシルサルコシンである。
【0343】
剤(a)及び/又は(b)は、更に、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含んでもよい。適当な非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド、並びに脂肪アルコール又は脂肪酸の1molあたりに2~30molのエチレンオキシドを有する、脂肪アルコール及び脂肪酸のアルキレンオキシド付加生成物である。また、それらが、非イオン性界面活性剤として、少なくとも2molのエチレンオキシドと反応させたエトキシル化グリセロールの脂肪酸エステルを含む場合も、良好な特性を有する製剤が得られる。
【0344】
更に、剤は、少なくとも1つのカチオン性界面活性剤を含んでもよい。カチオン性界面活性剤は、界面活性剤、すなわち表面活性化合物であり、それぞれ1つ以上の正電荷を有する。カチオン性界面活性剤は、正電荷のみを含む。通常、これらの界面活性剤は、疎水性部分と親水性頭部基とからなり、疎水性部分は通常、(例えば、1つ又は2つの直鎖又は分岐アルキル鎖からなる)炭化水素骨格からなり、正電荷は親水性頭部基中に位置する。カチオン性界面活性剤の例は、
- 疎水性基として炭素原子8~28個の鎖長を有する1つ又は2つのアルキル鎖を有してよい第4級アンモニウム化合物、
- 炭素原子8~28個の鎖長を有する1つ以上のアルキル鎖で置換された第4級ホスホニウム塩、又は
- 第3級スルホニウム塩
である。
【0345】
更に、カチオン電荷は、オニウム構造の形態の複素環(例えば、イミダゾリウム環又はピリジニウム環)の一部でもあり得る。カチオン電荷を有する官能性単位に加えて、カチオン性界面活性剤は、例えばエステルクワットの場合のように、他の非電荷官能性基を含んでもよい。カチオン性界面活性剤は、それぞれの剤の総重量に基づいて、0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0346】
更に、剤(a)及び/又は(b)は、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含んでもよい。アニオン性界面活性剤は、(対応する対カチオンによって中和される)アニオン性電荷を排他的に有する表面活性化合物である。アニオン性界面活性剤の例は、脂肪酸、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、並びにアルキル基中に12~20個のC原子、及び分子中に最大16個のグリコールエーテル基を有するエーテルカルボン酸である。
【0347】
アニオン性界面活性剤は、それぞれの剤の総重量に基づいて、0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0348】
剤(a)及び/又は剤(b)は、艶消し剤を更に含んでよい。適当な艶消し剤としては、例えば、(変性)澱粉、ワックス、タルク及び/又は(変性)シリカが挙げられる。艶消し剤の量は、剤(a)又は剤(b)の総量に基づいて、好ましくは、0.1~10重量%の間である。好ましくは、剤(a)は艶消し剤を含む。
【0349】
剤(a)及び/又は剤(b)は、更に増粘剤を含んでよい。
【0350】
剤(a)及び/又は剤(b)を使用する場合、薄すぎてケラチン物質から滴り落ちてはならない。このため、剤(a)及び/又は(b)は更に増粘剤を含むことが好ましい場合がある。
【0351】
従って、一実施形態の文脈において、ケラチン物質を染色するための方法は、剤(a)及び/又は剤(b)が更に増粘剤を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0352】
剤はまた、他の活性成分、助剤、及び添加剤、例えば溶媒;C-C30脂肪酸トリグリセリド、C-C30脂肪酸モノグリセリド、C-C30脂肪酸ジグリセリド、及び/又は炭化水素などの脂肪成分;ストラクチュラント(structurants)、例えばグルコース、マレイン酸、及び乳酸、ヘアコンディショニング化合物、例えばリン脂質、例えばレシチン及びケファリン(kephaline);香油、ジメチルイソソルバイド、及びシクロデキストリン;繊維構造改善活性成分、特に単糖類、二糖類、及びオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース(fructose)、フルクトース(fruchtzucker)、及びラクトース;製剤を着色するための染料;フケ防止活性成分、例えばピロクトンオラミン、亜鉛オマジン、及びクリンバゾール;アミノ酸、及びオリゴペプチド;動物系、及び/又は植物系、並びにそれらの脂肪酸縮合物又は任意にアニオン変性型若しくはカチオン変性型誘導体の形態のタンパク質加水分解物;植物油;光安定剤、及びUVブロッカー;活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸、及びその塩、並びにビサボロール;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン(leukoanthocyanidine)、アントシアニジン、フラバノン、フラボン、及びフラボノール;セラミド、又は擬似セラミド;ビタミン類、プロビタミン、及びビタミン前駆体;植物抽出物;脂肪、及びワックス、例えば脂肪アルコール、ミツロウ、モンタンワックス、及びパラフィン;膨潤剤及び浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カーボネート、炭酸水素塩、グアニジン、尿素、及び第1級、第2級、及び第3級ホスフェート;乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVP及びスチレン/アクリルアミドコポリマー;真珠光沢剤、例えばエチレングリコールモノ及びジステアレート、並びにPEG-3-ジステアレート;並びに、発泡剤、例えばプロパン-ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、CO2、及び空気を含んでもよい。
【0353】
これらの他の物質の選択は、剤の所望の特性に応じて、専門家により行われる。その他の任意成分、及びこれらの成分の使用量については、専門家に知られている関連マニュアルを参照されたい。追加の活性成分及び補助物質は、好ましくは、それぞれの剤の総重量に基づいて、それぞれ0.0001~25重量%、特に0.0005~15重量%の量で本発明による製剤に使用される。
【0354】
<ケラチン物質を染色するための方法>
本発明による手順では、剤(v)、(a)、及び(b)を、ケラチン物質、特にヒトの毛髪に塗布する。従って、剤(v)、(a)、及び(b)は、即用剤である。剤(v)、(a)、及び(b)は互いに異なる。
【0355】
原則的に、剤(a)及び(b)は同時に、又は連続的に塗布することができ、それにより連続的に塗布することが好ましい。剤(v)は、剤(a)及び(b)の前に塗布される。
【0356】
まず第1工程で剤(v)をケラチン物質に塗布し、第2工程で剤(a)を塗布し、第3工程で剤(b)を塗布した場合に、最良の結果が得られた。
【0357】
従って、かなり特に好ましいのは、ケラチン物質を処理するための方法、特にケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色するための方法であって、示された順序で以下の工程:
1.第1工程においてケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は:
(a1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
2.第2工程においてケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤(a)は:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む、及び
3.第3工程においてケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで該剤(b)は:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬を含む、
を含み、
ここで、該剤(a)及び(b)の少なくとも一方は、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含む、方法である。
【0358】
更に、より長い期間にわたって、染色されたケラチン物質に対して高い耐浸出性を付与するために、剤(v)、(a)、及び(b)は、特に好ましくは1つの同じ染色工程内で塗布され、これは、剤(v)及び(b)の塗布の間に最大数時間の期間が存在することを意味する。
【0359】
更なる好ましい実施形態において、本方法は、最初に剤(v)、次に剤(a)、その後剤(b)を塗布し、剤(v)と(b)との塗布の間の期間が、最大24時間、好ましくは最大12時間、特に好ましくは最大6時間であることを特徴とする。
【0360】
剤(a)の際立った特徴は、剤(a)が少なくとも1つの反応性有機ケイ素化合物(a1)を含有することである。反応性有機ケイ素化合物(a1)は、オリゴマー化又はポリマー化反応を起こし、これにより毛髪と接触するとすぐに毛髪表面を官能化する。本方法の第2工程では、今度は、第2剤(b)を毛髪に塗布する。シーリング試薬(b1)として少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを含む剤(b)の塗布の間、シーリング試薬(b1)はシランフィルムと相互作用し、これによりケラチン物質と結合する。シーリング試薬(b1)として少なくとも1つのアルカリ化剤又は酸性化剤を含む剤(b)の塗布の間、シランフィルムの形成は好影響を与えられる。ケラチン物質の所望の着色は、剤(a)及び/又は剤(b)中の着色化合物を用いて達成される。着色は、着色されたシランフィルム(着色化合物は剤(a)のみに含まれる)、着色されたポリマーフィルム(着色化合物は剤(b)のみに含まれ、剤(b)はシーリング試薬(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む)、又は着色されたシランフィルム及び着色されたポリマーフィルム(剤(a)及び(b)はそれぞれ少なくとも1つの着色化合物を含み、剤(b)はシーリング試薬(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む)によって達成され得る。
【0361】
更なる実施形態の文脈において、示された順序での以下の工程:
(1)ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、
(2)10秒~10分間、好ましくは10秒~5分間、剤(v)を作用させる工程、
(3)ケラチン物質を水ですすぐ、又はケラチン物質を水及びシャンプーですすぐ工程、
(4)ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、
(5)10秒~10分間、好ましくは10秒~5分間、剤(a)を作用させる工程、
(6)必要に応じて、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(7)ケラチン物質上に剤(b)を塗布する工程、
(8)30秒~30分間、好ましくは30秒~10分間、剤(b)を作用させる工程、
(9)ケラチン物質を水ですすぐ工程
を含む方法が非常に特に好ましい。
【0362】
本方法の工程(6)及び(9)において、ケラチン物質を水ですすぐことは、本発明によれば、すすぎ工程に水のみを使用し、剤(a)及び(b)以外の他の剤を使用しないことを意味すると理解される。
【0363】
工程(1)において、まず剤(v)をケラチン物質、特にヒトの毛髪に塗布する。
【0364】
塗布後、剤(v)は、ケラチン物質に作用するように放置される。これに関して、10秒~30分、好ましくは1分~25分、最も好ましくは5~20分の毛髪上での曝露時間が特に有益であることがわかった。
【0365】
本方法の好ましい実施形態において、後続の工程で剤(a)を毛髪に塗布する前に、今度は剤(v)をケラチン物質からすすぐ。
【0366】
工程(4)において、剤(a)をケラチン物質、特にヒトの毛髪に塗布する。
【0367】
塗布後、剤(a)は、ケラチン物質に作用するように放置される。これに関して、10秒~10分、好ましくは20秒~5分、特に好ましくは30秒~2分の毛髪への塗布時間が特に有益であることがわかった。
【0368】
本方法の好ましい実施形態において、後続の工程で剤(b)を毛髪に塗布する前に、今度は剤(a)をケラチン物質からすすぐことができる。
【0369】
まだ剤(a)に曝露されているケラチン物質に剤(b)を塗布した場合、同様に良好な洗浄堅牢性を有する染色が得られた。
【0370】
工程(7)では、今度はケラチン物質に剤(b)を塗布する。塗布後、剤(b)を毛髪に作用させる。
【0371】
剤(b)の接触時間が短くても、本方法により、特に優れた強度及び洗浄堅牢性を有する染色を生じることができる。10秒~10分、好ましくは20秒~5分、最も好ましくは30秒~3分の毛髪への塗布時間が特に有益であることがわかった。
【0372】
工程(9)において、今度は、剤(b)(及び任意にまだ存在する剤(a))をケラチン物質から水ですすぐ。
【0373】
この実施形態では、工程順(1)~(9)は、好ましくは24時間以内に行われる。
【0374】
剤(a)は、有機ケイ素化合物と共に、使用時に加水分解又はオリゴマー化及び/又はポリマー化を起こし得る高反応性化合物のクラスを含む。その高い反応性の結果として、これらの有機ケイ素化合物は、ケラチン物質上にフィルムを形成する。
【0375】
早期のオリゴマー化又はポリマー化を避けるために、塗布直前に即用剤(a)を調製することは、ユーザーにとってかなりの利点である。
【0376】
更に別の実施形態において、好ましいのは、示された順序で以下の工程:
(1)ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は:
(a1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
(2)第1剤(a’)と第2剤(a’’)との混合により、剤(a)を調製する工程、ここで、
該第1剤(a’)は、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、並びに
該第2剤(a’’)は、水、及び必要に応じて、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物(a2)を含む、
(3)ケラチン物質上に該剤(a)を塗布する工程、
(4)10秒~10分間、好ましくは10秒~5分間、該剤(a)を作用させる工程、
(5)必要に応じて、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(6)ケラチン物質上に剤(b)を塗布する工程、
(7)30秒~30分間、好ましくは30秒~10分間、該剤(b)を作用させる工程、
(8)ケラチン物質を水ですすぐ工程
を含む方法である。
【0377】
保存中に可能な限り安定な製剤を提供できるために、剤(a’)自体は、好ましくは低水分又は水を含まないように調製される。
【0378】
好ましい実施形態において、方法は、剤(a’)が、剤(a’)の総重量に基づいて、0.001~10重量%、好ましくは0.5~9重量%、より好ましくは1~8重量%、非常に特に好ましくは1.5~7重量%の含水量を含むことを特徴とする。
【0379】
剤(a’’)は、増粘剤を更に含んでよい。
【0380】
好ましい実施形態において、方法は、剤(a’’)が、剤(a’’)の総重量に基づいて、15~99.9重量%、好ましくは35~99重量%、より好ましくは55~99重量%、なおより好ましくは65~99重量%、非常に特に好ましくは75~99重量%の含水量を有することを特徴とする。
【0381】
この実施形態において、即用剤(a)は、剤(a’)と(a’’)との混合によって調製される。
【0382】
例えば、ユーザーは、まず、有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a’)を、含水剤(a’’)と混合又は振とうしてよい。その調製後直ちに、又は10秒~20分の短い反応時間後に、ユーザーは、この(a’)及び(a’’)の混合物をケラチン物質に塗布できる。その後、ユーザーは、上述のように、剤(b)を塗布できる。
【0383】
本方法が、顔料及び/又は直接染料(a2)からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む剤(a’’)を更に用いる場合も好ましい場合がある。
【0384】
更なる実施形態の文脈において、特に好ましいのは、示された順序で以下の工程:
(1)ケラチン物質に剤(v)を塗布する工程、ここで該剤(v)は:
(a1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
(2)10秒~10分間、好ましくは10秒~5分間、剤(a)を作用させる工程、
(3)ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(4)第1剤(a’)、第2剤(a’’)、及び第3剤(a’’’)の混合により、剤(a)を調製する工程、ここで、
- 該第1剤(a’)は、1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、
- 該第2剤(a’’)水、
- 該第3剤(a’’’)は、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物(a2)を含む、
(5)ケラチン物質上に該剤(a)を塗布する工程、
(6)10秒~10分間、好ましくは10秒~5分間、該剤(a)を作用させる工程、
(7)必要に応じて、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(8)ケラチン物質上に剤(b)を塗布する工程、
(9)30秒~30分間、好ましくは30秒~10分間、該剤(b)を作用させる工程、
(10)ケラチン物質を水ですすぐ工程
を含む方法である。
【0385】
この実施形態では、即用剤(a)は、剤(a’)、剤(a’’)、及び剤(a’’’)の混合によって調製される。
【0386】
例えば、ユーザーは、有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a’)を、まずは含水剤(a’’)と、次に少なくとも1つの着色化合物を含む剤(a’’’)と、撹拌又は振とうできる。ユーザーは、この(a’)、(a’’)及び(a’’’)の混合物を、その調整後直ちに、又は10秒~20分の短い反応時間後に、ケラチン物質に塗布できる。その後、ユーザーは、上述のように、剤(b)を塗布できる。
【0387】
例えば、ユーザーは、有機ケイ素化合物を含む剤(a’’’)を、まずは含水剤(a’ ’)と、次に有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a’)と、撹拌又は振とうできる。ユーザーはこの(a’)、(a’’)、及び(a’’’)の混合物を、その調整後直ちに、又は10秒~20分の短い反応時間後に、ケラチン物質に塗布できる。その後、ユーザーは、上述のように、剤(b)を塗布できる。
【0388】
即用剤(b)は、特に少なくとも1つの着色化合物を含む場合、剤(b)の使用直前に調製されてもよい。この場合、即用剤(b)は、例えば、剤(b’)と(b’’)との混合によって調製される。
【0389】
例えば、ユーザーは、シーリング試薬(b1)を含む剤(b’)と、少なくとも1つの着色化合物(b2)を含む剤(b’’)とを撹拌又は振とうできる。その調製後直ちに、又は10秒~20分の短い反応時間後のいずれかにユーザーは、この(b’)と(b’’)との混合物をケラチン物質に塗布できる。
【0390】
顔料及び直接染料からなる群からの少なくとも1つの着色化合物(a2)及び/又は(b2)は、好ましくは、少なくとも1つの着色化合物(a2)及び/又は(b2)、並びに液体担体媒体を含む顔料懸濁液の形態で用いられる。担体媒体は、好ましくは非水性である。担体媒体は、例えば、シリコーンオイルを含んでよい。従って、剤(a)及び(b)は、それぞれ、2つの必須成分(a1)及び(b1)、並びに少なくとも1つの着色化合物(a2)及び/又は(b2)に加えて、液体担体媒体を更に含んでよい。
【0391】
<多成分包装ユニット(部材キット)>
ユーザーの利便性を高めるため、好ましくは、ユーザーは全ての必要な剤を多成分包装ユニット(部材キット)の形で提供される。
【0392】
従って、本発明の第2の主題は、以下:
- 剤(v)を含む第1容器、ここで該剤(v)は:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
- 剤(a')を含む第2容器、ここで該剤(a')は:
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む、及び
- 剤(a'')を含む第3容器、ここで該剤(a'')は:
水を含む、並びに
- 剤(b)を含む第4容器、ここで該剤(b)は:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬を含む、
が互いに別々に包括的に包装された、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(部材キット)であり、
ここで、成分(a1)及び(b1)は、上記で詳細に開示されており、剤(a’’)及び(b)の少なくとも一方は、顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を更に含む。
【0393】
従って、本発明の第3の対象は、以下:
- 剤(v)を含む第1容器、ここで該剤(v)は:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
- 剤(a')を含む第2容器、ここで該剤は(a'):
(a1)1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む、及び
- 剤(a'')を含む第3容器、ここで該剤(a'')は:
水を含む、並びに
- 剤(a''')を含む第4容器、ここで該剤(a''')は:
(a2)顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物含む、
- 剤(b)を含む第5容器、ここで該剤(b)は:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬を含む、
が互いに別々に準備された、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(部材キット)であり、
ここで、成分(a1)、(a2)、及び(b1)は、上記で詳細に開示されている。
【0394】
更なる実施形態の文脈において、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(部材キット)は、以下:
- 剤(v)を含む第1容器、ここで該剤(v)は:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
- 剤(a')を含む第2容器、ここで該剤(a')は:
1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、
- 剤(a'')を含む第3容器、ここで該剤(a'')は:
水と
(a2)顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物とを含む、並びに
- 剤(b)を含む第4容器、ここで該剤(b)は:
(b1)少なくとも1つのシーリング試薬を含む、
が好ましくは互いに別々に包装され、
ここで、成分(a1)、(a2)、及び(b1)は、上記で詳細に開示されている。
【0395】
更なる実施形態の文脈において、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(部材キット)は、以下:
- 剤(v)を含む第1容器、ここで該剤(v)は:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
- 剤(a')を含む第2容器、ここで該剤(a')は:
1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、
- 剤(a'')を含む第3容器、ここで該剤(a'')は:
水を含む、並びに
- 剤(b)を含む第4容器、ここで該剤(b)は:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬、及び更に
(b2)顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される着色化合物を含む
が好ましくは互いに別々に包装され、
ここで、成分(a1)、(b1)、及び(b2)は、上記で詳細に開示されている。
【0396】
なお別の実施形態の文脈において、好ましいのは、別々に準備された以下:
- 剤(v)を含む第1容器、ここで該剤(v)は:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
- 剤(a')を含む第2容器、ここで該剤(a')は:
1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、
- 剤(a'')を含む第3容器、ここで該剤(a'')は:
水を含む、
- 剤(a''')を含む第4容器、ここで該剤(a''')は:
(a2)顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む、
- 剤(b')を含む第5容器、ここで該剤(b')は:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬を含む、並びに
- 剤(b'')を含む第6容器、ここで該剤(b'')は:
(b2)顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む、
を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(部材キット)であって、
ここで、成分(a1)、(a2)、(b1)、及び(b2)は、上記で詳細に開示されている。
【0397】
なお別の実施形態の文脈において、好ましいのは、別々に準備された以下:
- 剤(v)を含む第1容器、ここで該剤(v)は:
(v1)少なくとも1つの第4級アンモニウム化合物を含む、
- 剤(a')を含む第2容器、ここで該剤(a')は:
1個、2個又は3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、
- 剤(a'')を含む第3容器、ここで該剤(a'')は:
水を含む、
- 剤(b')を含む第4容器、ここで該剤(b')は:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング試薬を含む、並びに
- 剤(b'')を含む第5容器、ここで該剤(b'')は:
(b2)顔料及び/又は直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む、
を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(部材キット)であって、
ここで、成分(a1)、(a2)、(b1)、及び(b2)は、上記で詳細に開示されている。
【0398】
前記多成分包装ユニットの更に好ましい実施形態に関しては、本方法について、同様のことが必要な変更を加えて適用される。
【実施例
【0399】
以下の製剤を調製した(特に断りのない限り、数値はすべて有効成分重量%である)。
【0400】
【表1】
【0401】
前記3つの剤(vI)~(vIII)のpHを、塩酸を用いて5.3の値に調整する。
【0402】
【表2】
【0403】
【表3】
【0404】
【表4】
【0405】
剤(a')5g、剤(a''')5g、及び水(剤(a'’))15gとの混合により、即用剤(a)を調製した。アンモニア又は乳酸を添加することにより、剤(a)のpH値を10.5の値に調整した。
【0406】
【表5】
【0407】
剤(v)を1束の毛髪(Kerling社製、Euronatural hair white)へ一度に揉みこみ、10分間放置して作用させた。その後、剤(v)を水及びシャンプーですすいだ。
【0408】
次に、剤(a)を前記毛髪束に揉みこみ、1分間放置して作用させた。その後、剤(a)を水ですすいだ。
【0409】
続いて、剤(b)を前記毛髪束に塗布し、1分間放置して作用させた後、同じく水ですすいだ。
【国際調査報告】