(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】精製水を生成するための濾過膜、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
B01D 71/06 20060101AFI20231019BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20231019BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20231019BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20231019BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20231019BHJP
B01D 71/26 20060101ALI20231019BHJP
B01D 71/82 20060101ALI20231019BHJP
C02F 1/44 20230101ALI20231019BHJP
B01D 27/04 20060101ALI20231019BHJP
C02F 1/42 20230101ALI20231019BHJP
【FI】
B01D71/06
B01D61/02 500
B01D69/02
B01D69/12
B01D69/10
B01D71/26
B01D71/82 500
C02F1/44 J
B01D27/04
B01D71/82 510
C02F1/42 A
C02F1/42 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521752
(86)(22)【出願日】2021-10-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-31
(86)【国際出願番号】 US2021053081
(87)【国際公開番号】W WO2022076249
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハムズィク, ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】サンパス, シッダールス
(72)【発明者】
【氏名】ブリュースター, ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】バベ, アシュトッシュ シリカント
【テーマコード(参考)】
4D006
4D025
4D116
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA17
4D006GA32
4D006HA01
4D006HA41
4D006HA61
4D006HA91
4D006JA08A
4D006JA14A
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4D116QB05
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4D116QB36
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4D116VV08
(57)【要約】
電子および半導体デバイスを製造するプロセスで使用可能な精製水を調製する膜、システム、および方法を含む、精製(例えば、超純)水を生成するのに有用なフィルター膜、関連システム、および関連方法が記載される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質ポリマーベース膜と、
ポリマーベース膜に結合した3つ以上のヒドロキシル基を有するアミノポリオールリガンドと
を備えるポリマーフィルター膜。
【請求項2】
アミノポリオールリガンドが、N-メチル-D-グルカミンである、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
ポリマーベース膜が、ポリエチレンを含む、請求項1または2に記載の膜。
【請求項4】
シリカ粒子を除去するのに有効な多孔質ポリマーフィルター膜をさらに備える複合膜である、請求項1から3のいずれか一項に記載の膜。
【請求項5】
源水の流れから不純物を除去するために有用なシステムであって、
ポリマーフィルター膜であって、
多孔質ポリマーベース膜、および
ポリマーベース膜に結合した3つ以上のヒドロキシル基を有するアミノポリオールリガンド
を含むポリマーフィルター膜と、
イオン交換樹脂と、
ポリマーフィルター膜およびイオン交換樹脂を通過する源水の流れと
を備えるシステム。
【請求項6】
アミノポリオールリガンドが、N-メチル-D-グルカミンである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
ポリマーベース膜が、ポリエチレンを含む、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
膜が、シリカ粒子を除去するのに有効な多孔質ポリマーフィルター膜をさらに備える複合膜である、請求項5から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
源水の流れが最初にイオン交換樹脂を通過し、次にポリマーフィルター膜を通過するように構成されている、請求項5から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
源水の流れが最初にポリマーフィルター膜を通過し、次にイオン交換樹脂を通過するように構成されている、請求項5から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
源水が、
抵抗率:>18.18MΩ・cm、
全有機炭素:<1μg/L、
オンライン溶解酸素:<10μg/L、および
細菌:<1CFU/100mL
のうちの1つ以上を呈する一次純水である、請求項5から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
ポリマーフィルター膜およびイオン交換樹脂を通過した後の源水の流れが、0.1μg/L以下の個々の金属不純物濃度を有する、請求項5から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
ポリマーフィルター膜およびイオン交換樹脂を通過した後の源水の流れが、0.1μg/L以下のホウ素濃度を有する、請求項5から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
源水の流れから不純物を除去する方法であって、
多孔質ポリマーベース膜と、
ポリマーベース膜に結合した3つ以上のヒドロキシル基を有するアミノポリオールリガンドと
を備えるポリマーフィルター膜を通して源水を流すことを含む方法。
【請求項15】
アミノポリオールリガンドが、N-メチル-D-グルカミンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ポリマーベース膜が、ポリエチレンを含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
源水の流れをポリマーフィルター膜に通過させる前に又は後で、源水の流れをイオン交換樹脂に通過させることを含む、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
源水が、
抵抗率:>18.18MΩ・cm、
全有機炭素:<1μg/L、
オンライン溶解酸素:<10μg/L、および
細菌:<1CFU/100mL
のうちの1つ以上を呈する一次純水である、請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
源水が、イオン交換樹脂、紫外線照射、限外濾過、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせによって以前に加工された水である、請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
不純物が、溶解金属またはシリカである、請求項14から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
不純物が、ホウ素である、請求項14から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
源水をポリマーフィルター膜に通過させる前に又は後で、シリカ粒子を除去するのに有効な第2の多孔質ポリマーフィルター膜に源水を通過させることによって、源水からシリカ粒子を除去することを含む、請求項14から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
超純水を生成する、請求項12から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
0.1μg/L以下の個々の金属不純物濃度を有する水を生成する、請求項12から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
0.1μg/L以下のホウ素濃度を有する水を生成する、請求項12から24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィルター膜、関連するフィルターアセンブリおよび濾過システム、ならびに半導体およびマイクロ電子基板、部品、およびデバイスの加工(例えば、すすぎ)に使用可能な精製水の調製のために有用な膜、システム、および方法を含む、精製(例えば、超純)水の生成のために有用な関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「超純」水(「UPW」)と称されることもある水を含む高純度水は、半導体加工(例えば、半導体デバイス、液晶ディスプレイ、シリコンウェハ、プリント回路基板、ならびに他の電子およびマイクロ電子デバイスの製造)、原子力発電所の運転、および製薬製造を含む種々の商業用途に重要である。
【0003】
半導体加工に使用される精製水は、例えば「フロントエンド」または「バックエンド」プロセスレシピの一部として、半導体またはマイクロ電子デバイス基板の表面を洗浄または準備するためのすすぎ水として、半導体およびマイクロ電子加工(一例として)に有用である。使用として、超純水は、インプロセスマイクロ電子デバイスのウェットエッチングおよび洗浄(「WEC」)、フォトリソグラフィーならびに化学機械研磨(「CMP」)に使用され得る。水は、マイクロ電子デバイスまたは半導体基板を加工するために使用され、基板表面に残される水中の不純物が、基板から作製された得られた半導体またはマイクロ電子デバイスの歩留まりおよび短期/長期性能に影響を及ぼすため、非常に高純度でなければならない。
【0004】
超純水を調製するための濾過システムは、不純物(別名「夾雑物」)を非常に高い純度まで除去し、製造効率のために、濾過要素の交換の必要性を最小限に抑えながら長期間にわたって除去しなければならない。半導体加工機器に超純水を供給する濾過システムの濾過要素を取り外して交換するには、濾過要素を取り外して交換するのに必要な期間、すなわち「切替」期間、機器をシャットダウンする必要があり得る。切替期間は、半導体加工機器の使用時間のロスの点で高価であり、その結果、加工効率が低下し、全体コストが増加する。切替の頻度および期間は、精製水を直接使用する機器の効率に影響を及ぼす可能性があり、直接影響を受ける機器の下流で実行されるプロセスにも影響を及ぼす可能性がある。
【0005】
半導体加工に使用される超純水は、完全に純粋ではないが、シリカ粒子(コロイド状および硬質SiO2粒子)、有機物(溶解および非溶解)、ならびにホウ素、ケイ素(例えば、SiO2として)、鉄、およびチタンなどの溶解金属または金属含有化合物を含む非常に低レベルの夾雑物を含有すると理解される。ホウ素およびシリカ不純物は、現在の濾過システムがホウ素およびシリカ(例えば、コロイド状および固体シリカ粒子)を除去および保持するのに十分に効果的ではないため、または十分に長くはない動作寿命にわたってこれらの不純物を水流から除去するのに有効であり得るため、特に問題である。
【0006】
超純水生成設備の一般的な設計は、水からイオンを除去するために水が通過するポリマービーズの床の形態のイオン交換(IEX)樹脂を含む。ポリマー樹脂ビーズは、微量のイオン性不純物を引きつけて保持し、ポリマービーズの床を通って流れる水から不純物を除去する。そのようなイオン交換システムでは、ホウ素、ケイ素(例えば、固体およびコロイド状シリカ粒子、もしくは溶解シリカ)、またはその両方を水源から除去するためにシステムが使用される時間の後、ホウ素、ケイ素、またはその両方を除去および含有(保持)するためのイオン交換樹脂床の容量が使い果たされる。イオン交換システムが追加量のホウ素またはケイ素(シリカ)を水から除去し続ける能力は枯渇し、もはやホウ素またはケイ素を水流から除去しない。これが生じると、これらの不純物は、イオン交換システムを通過し始め、システムから下流の機器に望ましくない不純物として「漏れる」。
【0007】
マイクロ電子デバイスの統合の複雑度がさらに増すにつれて、超純水中の微量の夾雑物がますます重要になる。したがって、半導体またはマイクロ電子デバイスのウェハダイ歩留まりおよび全体的な信頼性に関する目標(経済的およびその他)を満たすために、さらに高レベルの純度を有する超純水が必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
以下の記載は、多孔質ポリマーベース膜およびベース膜に結合した少なくとも3つのヒドロキシル基を含有するアミノポリオールリガンド(「アミノポリオール」または「アミノポリオールリガンド」)を含む多孔質ポリマーフィルター膜に関する。この記載はまた、このタイプのフィルター膜を含むフィルターアセンブリおよび濾過システム、ならびにフィルター膜、フィルターアセンブリ、および水源(「源水」)を濾過して精製(例えば、超純)水を形成するための濾過システムを使用する方法に関する。
【0009】
記載されるようなフィルター膜は、水源から不純物を除去するために有用であり、溶解ホウ素およびケイ素(例えば、SiO2として)などの金属不純物を水源から除去して精製(例えば、超純)水を形成するために特に有用である。記載された方法に従って調製され、非常に少量のホウ素およびケイ素を含有する精製水は、半導体およびマイクロ電子基板の表面をすすぐためなどの半導体およびマイクロ電子製造プロセスを含む(しかし、これらに限定されない)工業プロセスにおいて有用であり得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、「超純水」という用語は、半導体加工産業で一般的に使用される意味を与えられ、有機および無機化合物、溶解および粒子状物質、揮発性および不揮発性不純物、荷電(アニオン性、カチオン性)および非イオン性不純物、反応性不純物および不活性不純物、親水性および疎水性不純物、ならびに溶解ガスを含む夾雑物タイプのグループに対して極めて高いレベルの純度に処理された水を指す。超純水は、有機粒子および溶解ガス、ならびに他の溶解した微量不純物を除去するために加工された水である。超純水は、一般に、精製水を生成するための前処理段階、水をさらに精製するための一次段階、および最終的な「研磨」段階、を含む3つの加工段階によって加工される。
【0011】
超純水中に存在する不純物のレベルを特定するための様々な公開規格が存在する。マイクロエレクトロニクス用途では、これらのグループには、半導体製造装置材料協会(SEMI)(マイクロエレクトロニクスおよび光起電力)、米国材料試験協会(ASTM International)(半導体、電力)、電力研究所、米国機械学会(ASME)(電力)、ならびに国際水・蒸気性質協会(IAPWS)(電力)が含まれる。製薬工場は、薬局方によって開発された水質基準に従い、その3つの例は、米国薬局方、欧州薬局方、および日本薬局方である。
【0012】
超純水の一般的な要求事項は、ASTM D5127「Standard Guide for Ultra-Pure Water Used in the Electronics and Semiconductor Industries」およびSEMI F63「Guide for ultrapure water used in semiconductor processing」によって文書化されている。
【0013】
一態様では、本開示は、ポリマーフィルター膜に関する。膜は、多孔質ポリマーベース膜およびポリマーベース膜に結合した3つ以上のヒドロキシル基を有するアミノポリオールリガンドを含む。
【0014】
別の態様では、本開示は、源水の流れから不純物を除去するために有用なシステムに関する。システムは、多孔質ポリマーベース膜と、ポリマーベース膜に結合した3つ以上のヒドロキシル基を有するアミノポリオールリガンドを含むポリマーフィルター膜と、を含む。システムはまた、イオン交換樹脂と、ポリマーフィルター膜およびイオン交換樹脂を通過する源水の流れと、を含む。
【0015】
さらに別の態様では、本開示は、源水の流れから不純物を除去する方法に関する。本方法は、多孔質ポリマーベース膜と、ポリマーベース膜に結合した3つ以上のヒドロキシル基を有するアミノポリオールリガンドと、を含むポリマーフィルター膜に源水を流すことを含む。
【0016】
本開示は、添付の図面に関連して様々な例証的な実施形態の以下の記載を考慮してより完全に理解され得る。図は、概略図であり、必ずしも縮尺通りではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】記載されるように、ベース膜に対するアミノポリオールリガンドを示す図である。
【
図2】本明細書の例示的なフィルターアセンブリを示す図である。
【
図3】本明細書の例示的な複合フィルターを示す図である。
【
図4】本明細書の例示的なフィルターアセンブリを示す図である。
【
図5A】本明細書の濾過システムの例示的な構成要素を示す図である。
【
図5B】本明細書の濾過システムの例示的な構成要素を示す図である。
【
図6】記載されるようなフィルター膜と共に使用される半導体製造機器および方法を概略的に示す図である。
【
図7】本明細書の実施例による試験システムを概略的に示す図である。
【
図8】本発明のフィルター膜および比較例のフィルター膜の試験データを示す図である。
【
図9】本発明のフィルター膜および比較例のフィルター膜の試験データを示す図である。
【
図10】本発明のフィルター膜および比較例のフィルター膜の試験データを示す図である。
【
図11】本発明のフィルター膜および比較例のフィルター膜の試験データを示す図である。
【
図12】本明細書の実施例による試験システムを概略的に示す図である。
【
図13】本発明のフィルター膜の試験データを示す図である。
【
図14】本発明のフィルター膜の試験データを示す図である。
【
図15】本発明のフィルター膜の試験データを示す図である。
【
図16】本発明のフィルター膜の試験データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、様々な変更および代替形態を受け入れることができるが、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に記載される。しかしながら、本開示の態様を記載された特定の例証的な実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、本開示の趣旨および範囲内に入るすべての修正、等価物、および代替物を網羅することである。
【0019】
以下の記載は、多孔質ポリマーベース膜と、フィルター膜の一部として少なくとも3つのヒドロキシル基を含有するアミノポリオールリガンド(「アミノポリオール」または「アミノポリオールリガンド」)と、を含むフィルター膜に関する。この記載はまた、このタイプのフィルター膜を含むフィルターアセンブリおよび濾過システム、ならびにフィルター膜、フィルターアセンブリ、および水の供給源を濾過して精製(例えば、超純)水を形成するための濾過システムを使用する方法に関する。
【0020】
記載されるようなフィルター膜は、水源から不純物を除去するために使用することができ、ホウ素およびケイ素(例えば、溶解SiO2、またはコロイド状もしくは固体のSiO2粒子)などの金属不純物を水源から除去して精製(例えば、超純)水を形成するために特に有用である。記載された方法に従って調製され、非常に少量のホウ素およびケイ素(例えば、シリカ、SiO2)を含有する精製水は、半導体およびマイクロ電子基板の表面をすすぐためなどの、半導体およびマイクロ電子製造プロセスを含む(しかし、これらに限定されない)産業プロセスにおいて使用され得る。記載されたフィルター膜は、製造システムで使用するための精製(例えば、超純)水を供給するために製造システムのすぐ上流の水の供給源を加工する使用点濾過システムとしてマイクロ電子または半導体デバイス製造システムで使用するように構成することができる。あるいは、記載されるようなフィルター膜、フィルターアセンブリ、または濾過システムを使用して、任意の貯蔵、輸送、および最終的な後の使用のために貯蔵容器に貯蔵するための精製水(例えば、超純水)を生成し得る。
【0021】
記載されるような膜は、アミノポリオールリガンドが直接的または間接的に結合する多孔質ポリマーベース膜を含む。ベース膜(略して「ベース」と称されることもある)は、任意の有用なポリマー材料または材料の組み合わせから作製されたポリマーシート(すなわち、平坦で平面の両面多孔質膜)の形態の膜であってもよい。例示的なベース膜は、多孔質濾過膜に有用であることが既知であり、化学修飾によってその表面にアミノポリオールリガンドを結合させることができるポリマー材料から作製され得る。ベース膜は、アミノポリオールリガンドを結合させることができる反応部位を含有するポリマーから作製されてもよく、またはアミノポリオールリガンドを結合させることができる反応部位を提供するように他の方法で化学的にコーティングもしくは修飾することができるポリマーから作製されてもよい。
【0022】
例示的なベース膜は、1つ以上のポリマー材料、例えば、単一のポリマー材料、異なるポリマー材料の混合物、またはポリマー材料および非ポリマー材料から形成されてもよい。
【0023】
ベース膜を形成するために使用することができるポリマー材料には、ポリオレフィンまたはハロゲン化ポリマーなどの疎水性ポリマーを含む様々なポリマーが含まれる。例示的なポリオレフィンには、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリブテン(PB)、ポリイソブチレン(PM)、ならびにエチレン、プロピレンおよびブチレンのうちの2つ以上の共重合体が含まれる。特定の実施形態では、ベース膜は、超高分子量ポリエチレン(UPE)を含み得る。UPE膜などの超高分子量ポリエチレンフィルター材料は、典型的には、約1×106ダルトン(Da)を超える、例えば約1×106~9×106Da、または1.5×106~9×106Daの範囲の分子量を有する樹脂から形成される。ポリエチレンなどのポリオレフィンポリマー間の架橋は、過酸化物(例えば、ジクミルペルオキシドもしくはジ-tert-ブチルペルオキシド)、シラン(例えば、トリメトキシビニルシラン)、またはアゾエステル化合物(例えば、2,2’-アゾ-ビス(2-アセトキシ-プロパン)などの熱もしくは架橋化学物質の使用によって促進することができる。
【0024】
例示的なハロゲン化ポリマーには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ素化エチレンポリマー(FEP)、ポリヘキサフルオロプロピレン、およびポリビニリデンフルオリド(PVDF)が含まれる。
【0025】
他の実施形態では、ベース膜は、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリエステル、ナイロン、セルロース、ポリカーボネート、またはそれらの組み合わせから選択されるポリマーから作製されてもよい。
【0026】
これらのポリマーのいずれか1つまたは組み合わせを含むベース膜は、これらのポリマーのいずれか1つまたは組み合わせを含んでもよく、これらからなってもよく、またはこれらから本質的になってもよい。ポリマーまたはポリマーの組み合わせから本質的になるベース膜は、ポリマーまたはポリマーの組み合わせ、およびわずかな量以下の他の材料、例えば5、2、1、0.5、または0.1重量パーセント以下の他の材料を含有するベース膜である。
【0027】
多孔質ポリマーフィルター膜の調製のために有用なポリマーの具体例は、米国特許公開第2020/0254398号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
ベース膜のポリマー材料は、いくつかの実施様式では、アミノポリオールリガンドによるベース膜の修飾を容易にするために化学的に修飾することができる。アミノポリオールリガンドは、ベース膜のポリマー材料への結合を容易にすることができるアミン基を含むことができる。ポリマー材料が本質的にアミン反応性でない場合、それは、アミノポリオールリガンドの結合のための表面反応化学を提供するためにハロゲン化またはハロアルキル化などによって修飾することができる。
【0029】
いくつかの実施様式では、ベース膜のポリマー材料をハロゲン化してアミン反応部位を提供する。例えば、ポリエチレンは、50℃を超える温度で気体塩素を、任意選択に、不活性ガスで希釈して、固体ポリエチレン粉末と反応させることによって塩素化することができる(例えば、米国特許第2,928,819号を参照されたい)。
【0030】
別の実施様式では、ベース膜のポリマーをハロアルキル化、例えばクロロメチル化することができる。クロロメチル化は、ポリマーを修飾するために使用される既知の技術であり、一般にクロロメチル化試薬(例えば、ビス-クロロメチルエーテル(BCME)、クロロメチルメチルエーテル(CMME)、ホルムアルデヒド/メタノール/塩化水素/クロロスルホン酸)を使用する。塩化亜鉛、酸化亜鉛、または塩化第二鉄などのルイス酸およびフリーデルクラフツ触媒を高温でクロロメチル化試薬と共に使用して、ポリマーを修飾することができる。(例えば、米国特許公開第2003/0018091号(Paffordら)および国際公開第2008/144115号(Harrisら)を参照されたい)。ポリマー材料上に本開示のリガンドを提供するために、ハロアルキル修飾フィルター材料のハロアルキル基をアミンポリオールまたはアミンポリホスホン酸と反応させて、フィルター材料の表面にリガンドを共有結合させることができる。
【0031】
別の実施様式では、アミノポリオールリガンドは、反応性架橋コーティングとの結合によってフィルター材料に結合させることができる。例えば、ポリマー材料は、ポリ(ビニルベンジルクロリド)、ポリ(エピクロロヒドリン)、またはエポキシ樹脂などのアミン反応性ポリマーでコーティングすることができる。次いで、コーティングされたポリマー材料を架橋し、残りの反応部位を所望のリガンドの結合に使用することができる。例えば、ポリ(ビニルベンジルクロリド)を適切な溶媒に溶解し、多孔質ポリマーベース膜上で乾燥させ、ジアミン、ポリアミン、または任意の他の多官能性反応性架橋剤で架橋し、続いてアミン含有ポリオールリガンドを結合させることができる。同様の方法を使用して、架橋およびリガンド結合が同時に起こすことができる。あるいは、アミン反応性ポリマーは、照射によって、または光開始剤架橋の使用によって架橋し、続いてアミン含有リガンドを結合させることができる。
【0032】
さらに別の実施様式では、リガンド結合は、ポリマーベース膜上にコーティングする前に生じ得る。例えば、アミノポリオール官能化ポリマーは、アミノポリオールリガンドを、リガンドのアミンと反応性の官能基を有するポリマー材料(ポリ(ビニルベンジルクロリド)など)と反応させることによって調製することができる。次いで、得られたアミノポリオールリガンド修飾ポリマーでベース膜をコーティングし、乾燥させることができる。任意の架橋技術が使用されてもよい。
【0033】
別の実施様式では、ベース膜は、モノマー架橋を介して所望のアミノポリオールリガンドで修飾され得る。例えば、所望のアミノポリオールリガンドは、アクリルアミド、ビニル、または他の適切な不飽和基を有する反応性モノマーの形態であり得る。アミノポリオールを有する反応性モノマーの例は、塩化ビニルベンジルとN-メチルグルカミンとの反応生成物である。アミノポリオール含有モノマーは、N,N’-メチレンビスアクリルアミドなどの二官能性モノマーを含有するモノマー配合物に添加することができる。これらのモノマー配合物は、OMNIRAD 2959(1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン)などの光開始剤も含有することができる。膜が得られたモノマー溶液に吸収されると、膜を照射して(紫外線、電子線、ガンマなど)、所望のアミノポリオールリガンドがコーティングに組み込まれた架橋コーティングを形成することができる(例えば、国際公開第2017/205722号(Jaberら)を参照されたい)。
【0034】
別の実施様式では、所望のアミノポリオールリガンドは、膜からのグラフト化を介してポリマー材料に結合することができる。「からのグラフト化」は、光開始剤および所望のアミノポリオールリガンドを含有する不飽和モノマーの存在下でのポリマー材料の照射によって達成することができる(例えば、国際公開第2016/081729A1号(Jaberら)を参照されたい)。別の実施様式では、ポリマー材料は、電子ビームまたはガンマ線照射を使用して膜からのグラフト化を介して所望のアミノポリオールリガンドと結合することができる。電子ビームまたはガンマ線照射を使用するグラフト化は、照射前グラフト化または同時照射グラフト化として既知の技術を用いて達成することができる。
【0035】
別の実施様式では、ポリマー材料を樹脂粒子で包埋して、ハイブリッド粒子/膜ベース膜を形成することができる。例えば、所望のアミノポリオールリガンドが結合した多孔質ポリ(スチレン-コ-ジビニルベンゼン)樹脂粒子を、膜押出または膜キャスティングに使用されるポリマー混合物に導入することができる。この方法を使用して、得られた多孔質ポリマー膜は、所望のアミノポリオールリガンドが結合した多孔質粒子を埋め込んでいる。いくつかの実施形態では、得られた膜は、多孔質粒子含有膜の下流に配置された緊密な粒子保持膜を有することができる(例えば、米国特許公開第2009/0039019A1(Raman)を参照されたい)。
【0036】
ベース膜のポリマー材料に導入されるアミノポリオールリガンドの量(濃度)は、アミノポリオールリガンドが所望の密度でベース膜の表面に固定化されることを可能にするのに十分であり得る。リガンド溶液は、ベース膜を溶液に噴霧する、浸漬する、ソーキングするなどのような任意の有用な技術によってベース膜の表面に塗布することができる。望ましくは、多孔質フィルター膜のすべての内面などのベース膜の表面全体を溶液と接触させることができる。必要に応じて、塗布工程は、例えば多孔質濾過材を圧延または圧搾して多孔質フィルターのすべての表面を湿潤させることによるフィルター材料の操作を含んでもよい。
【0037】
多孔質ベース膜、およびベース膜にアミノポリオールリガンドを化学的に結合することによってベース膜から作製されたフィルター膜は、多孔質フィルター膜の様々な物理的特徴に関して記載することができる。本明細書で使用される場合、多孔質フィルター膜の例示的な多孔質ベース膜は、対向する表面(側面)、2つの表面に沿って延在する長さおよび幅、ならびに2つの対向する表面の間に延在する厚さを有する両面シートの形態の多孔質固体を含む。多孔質膜は、膜の一方の表面から膜の反対側の表面まで延在する多孔質(例えば、微孔性)相互接続通路(細孔、チャネル、空隙)を収容する。通路は、一般に、濾過される源水が通過しなければならない曲がりくねったチャネルまたは経路を提供する。膜の細孔を通過するのに十分小さいサイズの金属種は、アミノポリオールリガンドとの相互作用、例えばリガンドと金属との間のキレート化相互作用によって膜上に捕捉され得る。これは、「非ふるい分け濾過機構」と称される。
【0038】
多孔質膜はまた、源水内に存在する粒子(例えば、金属含有粒子)が膜を通過するのを物理的に防止するように機能することができる。細孔よりも大きい粒子は、膜に入ることが防止されるか、または膜の構造(すなわち、ふるい分け型濾過機構により粒子を除去する)によって膜を通過することが物理的に防止され得る。源水が膜を通過すると、非ふるい分けまたはふるい分け機構によって除去される夾雑物の量が減少した、例えば、イオン性金属種の量が減少した、金属含有微粒子の量が減少した、またはその両方の夾雑物を含有する水が流れる。
【0039】
したがって、アミノポリオールリガンドが結合するポリマーベース膜を備える、記載されるような多孔質フィルター膜は、膜を通過する源水から金属および金属イオン夾雑物を除去するだけではなく膜の細孔を通過するには物理的に大きすぎるサイズの材料を除去するのに有効であり得る。
【0040】
本開示の多孔質膜は、膜の1つ以上の特性を参照して記載することができる。記載されるような例示的な多孔質ポリマーフィルター膜は、細孔径、バブルポイント、および多孔度を含む物理的特徴によって特徴付けることができる。例えば、膜は、細孔径を反映するために一般的に使用されるバブルポイントに関して記載することができる。
【0041】
膜のバブルポイントは、特定の流体および細孔径について、膜の一定の湿潤で、気泡を多孔質膜に押し通すのに必要な圧力が膜の細孔のサイズに反比例するという概念に基づく細孔径の間接的な測定値である。バブルポイントを決定するための方法は、膜を湿潤させることと、膜の片側を気体流体と接触させることと、次いで、気体流体が膜の反対側の表面から放出されるバブルとして膜を通過することができる圧力を決定することと、を含むことができる。多孔質材料のバブルポイントを決定するために、多孔質材料の試料をエトキシ-ノナフルオロブタンHFE 7200(3Mから入手可能)に20~25℃の温度で浸漬し、湿潤させる(例えば、22℃)。圧縮空気を使用して試料の片側にガス圧を加え、ガス圧を徐々に上昇させる。湿潤流が乾燥流(溶媒を湿潤させない流れ)の半分に等しい差圧は、バブルポイントと呼ばれる。
【0042】
本明細書の例示的なフィルター膜では、多孔質フィルター膜(例えば、ベース膜、またはアミノポリオールリガンドが結合したベース膜)は、任意の有用なバブルポイントを有することができ、有用なバブルポイントの例は、エトキシ-ノナフルオロブタン(HFE-7200)が湿潤溶媒として使用される場合、摂氏22度の温度で、約2psi~約400psi、約4psi~約200、または好ましくは約4psi~約160psiの範囲である。
【0043】
多孔質フィルター膜の別の特徴は、膜の細孔の細孔径、例えば平均細孔径である。細孔径は、水銀ポロシメトリー(MP)、走査電子顕微鏡法(SEM)、液体変位法(LLDP)、または原子間力顕微鏡法(AFM)などの既知の技術によって測定することができる。
【0044】
記載されるような多孔質膜(例えば、ベース膜、またはアミノポリオールリガンドが結合したベース膜)は、フィルター膜がフィルター膜として機能するのに有効であることを可能にする任意の細孔径を有することができる。細孔径は、バブルポイントの決定と相関させることができる。いくつかの実施形態では、多孔質フィルター膜は、約0.001ミクロン~約5または10ミクロン、例えば0.01~0.8ミクロンの範囲の平均細孔径を有することができる。平均細孔径は、流体流量、圧力、圧力降下の考慮、粘度の考慮、処理される液体中の不純物(金属不純物の量など)、および不純物の任意の粒径を含む1つ以上の要因に基づいて選択することができる。
【0045】
さらに、本開示は、膜の厚さ全体にわたってより高い程度の細孔対称度から生じる概して均質な細孔径を有するポリマーベース膜または多孔質フィルター膜、ならびに細孔非対称性から生じる不均質な細孔径(可変細孔径)を有する膜の使用を企図する。細孔は、等方性または異方性、表皮付きまたは表皮なし、対称性または非対称性、およびこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0046】
記載されるような多孔質ポリマーフィルター層は、多孔質ポリマーフィルター層が本明細書に記載されるように効果的であることを可能にする任意の多孔度を有し得る。例示的な多孔質ポリマーフィルター層は、比較的高い多孔度、例えば少なくとも60、70または80パーセントの多孔度を有することができる。本明細書で使用される場合、および多孔質体の技術分野では、多孔質体の「多孔度」(空隙率と称されることもある)は、本体の総体積のパーセントとしての本体中の空隙(すなわち、「空」である)空間の尺度であり、本体の総体積に対する本体の空隙の体積の割合として計算される。ゼロパーセントの多孔度を有する本体は、完全に固体である。
【0047】
記載されるような多孔質膜は、記載されるように使用されるフィルターアセンブリでの使用に適した任意の有用なまたは所望の幾何学的構成を有するシートであり得る。例示的な多孔質膜は、円形、半円形、楕円形、半楕円形、または正方形、長方形、六角形、もしくは八角形などの多角形から選択される形状を有し得る。多孔質膜は、とりわけ、平板、コルゲートシート、プリーツシート、および中空糸の形態であり得る。
【0048】
記載されるような多孔質膜は、任意の有用な厚さ、例えば20~400ミクロン、例えば40または80~100または200ミクロンの範囲の厚さを有するシートの形態であり得る。
【0049】
本明細書に記載されるように、多孔質フィルター膜は、ポリマー材料から作製されたベース膜を含み、ベース膜の表面に少なくとも3つのヒドロキシル基を含有するアミノポリオールリガンド(「アミノポリオール」または「アミノポリオールリガンド」)、例えばn-メチルグルカミンが化学的に添加される。n-メチルグルカミンなどのアミノポリオールリガンドは、源水を濾過材で濾過する工程によって精製(超純)水を形成する方法において、源水(例えば、非ふるい分け濾過機構によって)から金属イオンを除去するために濾過材の表面に配置すると有効であると確認されている。
【0050】
アミノポリオールリガンドは、n-メチルグルカミンまたは濾過によって源水から金属イオンを除去するのに有効な別のアミノポリオールリガンド(例えば、非ふるい分け濾過機構によって)であり得る。n-メチルグルカミン以外のアミノポリオールリガンドの具体例は、米国特許公開第2020/0254398号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
刊行物2020/0254398に記載されているように、「アミノポリオールリガンド」は、窒素、および3つ以上のヒドロキシル基を含有するポリオール部分を含む化学部分である。3つのヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、3-アミノブタン-1,2,4-トリオール(トレオサミニトール)、4-アミノブタン-1,2,3-トリオール、メチルアミノグリセロール(1-(メチルアミノ)プロパン-1,2,3トリオール)、2-(メチルアミノ)プロパン-5-アミノペンタン-1,2,4-トリオール、および5-アミノペンタン-1,2,3-トリオールが含まれる。
【0052】
4つのヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、1-アミノペンタン-1,2,3,5-テトロール、1-アミノペンタン-1,1,2,2-テトロール、1-アミノ-2,2-ビス(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール、1-アミノヘキサン-2,3,4,5-テトロール、1-(メチルアミノ)ヘキサン-2,3,4,5-テトロール、2-アミノペンタン-1,2,4,5-テトロール、2-アミノペンタン-1,2,3,4-テトロール、3-アミノペンタン-1,2,4,5-テトロール、4-アミノペンタン-1,1,2,3-テトロール、4-アミノペンタン-1,2,3,5-テトロール、5-アミノペンタン-1,2,3,4-テトロール(リバミン);1-アミノ-1-デオキシペンチトール)、5-アミノペンタン-1,1,1,5-テトロール、6-アミノヘキサン-1,2,3,4-テトロール、および6-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,4,5-テトロールが含まれる。
【0053】
5つのヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、1-アミノペンタン-1,2,3,4,5ペントール、1-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6ペントール、5-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6ペントール、6-アミノヘキサン-1,2,3,4,5ペントール、5-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,6ペントール、6-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5ペントール(n-メチルグルカミン)、1-デオキシ-1-(メチルアミノ)-D-グルシトール)、および6-(ブチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5ペントールが含まれる。
【0054】
6つのヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、6-(3-ヒドロキシプロピルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5ペントール、6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5ペントール、6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5ペントール、1-(プロピルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール、6-(メチルアミノ)ヘキサン-1,1,2,3,4,5-ヘキソール、7-(メチルアミノ)ヘプタン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール、および7-(プロピルアミノ)ヘプタン-1,2,3,4,5,6-ヘキソールが含まれる。
【0055】
7つのヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、6-(2,3-ジヒドロキシプロピルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペントール、1-(エチルアミノ)ヘキサン-1,1,2,3,4,5,6-ヘプトール、1-(2-ヒドロキシエチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール、および8-(メチルアミノ)オクタン-1,2,3,4,5,6,7ヘプトールが含まれる。
【0056】
7つを超えるヒドロキシル基を有するアミノポリオールの例には、6-(2,2,2トリヒドロキシエチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5ペントール、1-(2,3-ジヒドロキシプロピルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキソール、および6-(2,3,4,5,6ペンタヒドロキシヘキシルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5ペントールが含まれる。
【0057】
本開示はまた、本明細書に記載されるようなアミノポリオールのすべてのエナンチオマーおよび立体異性体を企図する。
【0058】
アミノポリオールリガンドを含むように化学修飾されたポリマーベース膜を備える例示的なフィルター膜は、ベース膜の表面に有用な方法で結合されたアミノポリオールリガンドを有することができる。例には、アミノポリオールリガンドがベース膜ポリマー、すなわちポリオレフィンに直接結合することによって化学的に修飾されたポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)から作製された多孔質ポリマーベース膜が含まれる。フィルター膜は、濾過プロセス中に液体源水と接触する表面を有することができ、表面は、結合したアミノポリオールリガンドを源水に提示する。いくつかの例では、フィルター膜のアミノポリオールリガンド修飾表面は、以下の式:MF-N-Pによって表すことができ、式中、MFは、フィルターの材料(例えば、ポリオレフィン)であり、Nは、窒素であり、Pは、アミノポリオールリガンドのポリオール部分を表す。他の例では、アミノポリオールリガンド修飾表面は、MF-L-N-Pによって表すことができ、式中、MF、NおよびPは、本明細書における定義を有し、Lは、アミノポリオールをフィルター材料に連結する化学リンカーである。例示的なアミノポリオールリガンドは、ベース膜のポリマーに化学的に結合される(すなわち、共有結合している)。他の実施形態では、アミノポリオールリガンド修飾表面は、Poly-N-Pによって表すことができ、式中、NおよびPは、本明細書における定義を有し、ポリは、ポリオールが結合しているポリマー骨格である。この実施形態では、フィルター材料は、架橋されてもよい修飾ポリマーコーティングによって内部コーティングされる。
【0059】
図1には、ベース膜10のポリマー(例えば、ポリオレフィン)に直接結合したアミノポリオールリガンド(例示されるようなn-メチルグルカミン)の例が示されている。
【0060】
多孔質フィルター膜は、フィルター膜を収容し、濾過工程のために液体を膜に通過させるハウジングを含むフィルターアセンブリの一部として存在することができる。フィルター膜は、ハウジングとして作用するフィルターカートリッジまたは他のフィルター製品もしくはアセンブリの一部として含まれてもよい。フィルターカートリッジおよびフィルター膜を収容するハウジングは、入口ポートおよび出口ポートとは別に流体密封され、液体が入口ポートを通過し、膜をバイパスすることなくハウジングに収容された膜を通過し、次いで出口ポートを通ってハウジングから出ることを可能にすることができる。ハウジングは、互いに一列に(直列に)複数の濾過または浄化デバイスをさらに含み得るより大きな濾過または浄水システムの構成要素として含めることができる。
【0061】
より大きな濾過システムは、例えば、フィルターアセンブリの一部として、またはフィルターカートリッジの一部として、液体(源水)の流路中に、液体の流れの少なくとも一部をフィルター膜に通過させるための本明細書に記載されるようなフィルター膜を含み、その結果、フィルター膜は、液体からある量の不純物または夾雑物を除去する。具体的には、本明細書に記載されるようなフィルター膜を通過する源水は、溶解金属および金属イオン(例えば、溶解鉄、チタン、およびホウ素)、溶解シリカ、ならびにシリカの粒子(コロイド状または固体粒子)から選択される不純物を除去するのに有効であり得る。
【0062】
フィルターアセンブリまたはフィルターカートリッジの構造は、フィルターアセンブリまたはフィルターカートリッジ内でフィルター膜を支持して、流体をフィルター入口からフィルター材料(例えば、フィルター膜)を通って、およびフィルター出口を通って流す様々な追加の材料および構造の1つ以上を含み得る。フィルターアセンブリまたはフィルターカートリッジによって支持されたフィルター膜は、任意の有用な形状、例えば、プリーツ付きシリンダ、円筒形パッド、1つ以上のプリーツのない(平坦な)円筒形シート、プリーツ付きシートなどであってもよい。
【0063】
図2を参照すると、フィルター装置の一例、および流動する液体源水から金属夾雑物を除去する方法の概略図が示されており、源水は、アミノポリオールリガンドを含む多孔質ポリマーフィルター膜を通過する。
図2に示すように、フィルター装置100は、多孔質ポリマーベース膜の表面に結合したアミンポリオールリガンドを含む多孔質ポリマーフィルター膜102を含む。フィルター装置100は、フィルター装置100の外部構造を提供し、フィルター膜102を収容するフィルターの内部を流体密封するハウジング104を含む。ハウジング104は、例えば、円筒形、多角形などの任意の形状およびサイズであり得る。
【0064】
フィルター装置100は、濾過される源水を受け入れるための入口ポート106を含む。入口ポート106は、源水の流れ(図示せず)を供給する流体供給ラインに接続されるように構成することができる。したがって、入口ポート106は、流体供給源への接続を容易にするために、バルブ、ガスケットなど(図示せず)を含むことができる。源水は、入口ポート106を通って矢印116で示す方向に流れ、多孔質ポリマーフィルター膜102の入力側表面124、ハウジング104の内面、および入口ポート106によって画定されるヘッドスペース114に流入することができる。
【0065】
フィルター装置100の内部は、任意の適切な配置または構成のフィルター膜102を収容し、
図2は、円盤状の形状を有するフィルター膜102を示している(断面図が示されている)。膜の外周などのフィルター膜102の一方の縁部122は、ハウジング104の内面と接触することができるか、そうでなければ液密シールを形成することができる。フィルター膜102はまた、最初に源水と接触する入力側表面124および低減された量の夾雑物(金属、金属イオンなど)を含む処理(濾過)された源水が流れる出力側表面126を含む。
【0066】
フィルター装置100は、任意選択に、フィルター装置の内部でフィルター膜102を支持する1つ以上の構造を含む。フレーム、フレーム、ブラケット、クリップ、ウェブ、ネット、カートリッジ、もしくはケージ、または接着剤など、フィルター膜102を支持するための任意の構成を使用してもよく、膜102を支持するのに有用であり得る。
図2に示すように、フィルター装置100は、フレーム部分110および112を有するフレームを含み、フレーム部分110は、部分112に取り付けられたハウジング104の内面と接触している。部分112は、膜102の出力側表面124と接触することができ、濾過中に膜102への支持を提供することができる。フレーム部分112は、濾過された液体がフィルター装置100の内部のバックスペース120に自由に通過することを可能にする格子状構造を有することができ、膜102を通る源水の流れによって引き起こされる流体圧力下で、ポリマー多孔質フィルター膜102の構造的支持を依然として提供する。
【0067】
使用中、源水などの液体は、矢印116で示す方向に入口ポート106を通ってフィルター装置100に入り、次いでフィルター装置100内のヘッドスペース114を満たす。源水を多孔質ポリマーフィルター膜(102)を所望の流量で移動させるのに十分な流体圧力が加えられる。フィルター膜102を通過した後、源水は、バックスペース120に入り、次いで出口108を通ってハウジング104から出る。
【0068】
濾過プロセスでの使用中に、記載されるようなフィルター膜、または記載されるような少なくとも1つのフィルター膜を含む複合(「積層」)フィルター膜(以下を参照されたい)は、フィルター膜を通る流体(例えば、源水)の有用な流量(時間当たりの体積)を可能にするはずである。流体の流れの有用な速度は、半導体加工機器などの機器に精製水の必要な流れ(時間当たりの体積)を供給するための、フィルター膜を有する濾過システムの効率的な(好ましくは経済的に効率的な)運転を可能にするものである。
【0069】
記載されるような多孔質膜の例示的な流速は、約0.1L/分~約40L/分、またはより好ましくは約10L/分~約30L/分(リットル/分)の範囲であり得る。あるいは、多孔質膜を通る流体の流量は、時間および圧力(例えば、リットル/m2/h=LMH)当たりのフィルターの面積当たりに流れる液体の量に関して、約100LMH/バール~約30,000LMH/バール、またはより好ましくは約5,000LMH/バール~約15,000LMH/バールなどで表され得る。
【0070】
記載されるような特定の例示的なフィルター膜によれば、フィルター膜は、膜を通って流れる源水から同じまたは異なる夾雑物を除去するのに有効な2つ以上のフィルター膜を含む複合膜(すなわち、「積層膜」)の1つの層であってもよい。複合膜は、記載されるようにアミノポリオールリガンドが結合したベースポリマーから作製された少なくとも1つのフィルター膜を含むことができる。この膜は、例えば、非ふるい分け濾過機構によって、フィルター膜を通る源水の流れから、ホウ素などの溶解金属含有夾雑物(例えば、溶解金属、金属イオン、または金属化合物)ならびにシリカのような夾雑物を効果的に除去する。第2の膜は、第1の膜とは異なり得、源水から他の(例えば、非金属もしくは非溶解金属または金属イオン)タイプの夾雑物を除去するのに有効であり得、例えば、シリカ(SiO2)粒子などの固体粒子状夾雑物を除去するのに有効であり得る。
【0071】
シリカ粒子などの固体粒子状夾雑物を除去するのに有用な多孔質ポリマーフィルター膜は、既知であり、アミノポリオールリガンドを必要としない本明細書に記載のポリマーフィルター膜の形態(例えば)であり得る。一般に、有用なフィルター膜は、微孔性(例えば、10ナノメートル~10ミクロンの範囲の平均細孔径を有する)であり、ポリスルホン、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)、またはフルオロポリマー(例えば、フッ素化ポリオレフィン)などの有用なポリマーから作製されたものであり得る(限定されない)。例示的な膜は、約10~100、例えば40~60psi(HFEで測定)の範囲のバブルポイントを有し得、ふるい分け機構と非ふるい分け機構との組み合わせによってシリカ粒子を除去するのに有効であり得る。
【0072】
複合膜はまた、複合体の構造を維持するように作用する1つ以上の追加の層、すなわち1つ以上の支持層を収容し得る。支持層は、複合膜に対して支持を提供するために複合膜に支持的に取り付けられる多孔質膜またはフィルムであり、一方の側から他方の側に源水が膜を通って流れることを依然として可能にする。例示的な支持層は、いかなる濾過機能も果たす必要はなく、複合体のフィルター膜のものよりも実質的に大きい細孔または開口部を有し得、それにより、支持層を通る源水の流れに対する抵抗は、複合膜のフィルター膜の流れに対する抵抗よりも小さい。
【0073】
例示的な支持膜は、複合体に支持体を付加するための構造および厚さを有する、任意の有用なポリマーから作製されたマクロ多孔質ポリマーフィルムを含み得る。細孔は、拡大せずに見える開口部または開窓であり得る。ポリマーは、ポリオレフィンまたは変性ポリオレフィンポリマー、例えば高密度ポリオレフィン、ポリプロピレン、ペルフルオロアルコキシルなどのような、十分に構造的かつ非化学的に反応性(不活性)の任意のポリマーであり得る。
【0074】
図3は、本明細書の複合膜の1つの単一の例の概略図を示す。概略的に示すように、複合膜150は、上流面152、下流面162、上流非濾過支持膜154、フィルター膜156、追加のフィルター膜158、および下流非濾過支持膜160を含む。
【0075】
上流非濾過支持膜154は、複合膜150の物理的および構造的支持を提供する非フィルター膜本体である。上流支持膜154は、多孔質であり、複合材の流れに対する全抵抗と比較して比較的低い抵抗で膜を通る源水の流れを可能にする。フィルター膜156は、化学的に結合したアミノポリオールリガンドと共に記載されるような多孔質ポリマーベース膜を含む、記載されるようなフィルター膜である。フィルター膜158は、シリカ粒子などの固体粒子を含む夾雑物を濾過する機能を果たすように適合された膜である。下流支持膜160は、多孔質であり、複合材の流れに対する全抵抗と比較して比較的低い抵抗で膜を通る源水の流れを可能にする。
【0076】
使用時に、源水は、上流面152に入り、上流非濾過支持膜154を通過し、アミノポリオールリガンドが化学的に結合した、記載されるような多孔質ポリマーベース膜を含むフィルター膜156と接触して通過する。源水をフィルター膜156に通過させることにより、膜156は、例えば非ふるい分け濾過機構によって源水から溶解金属などの溶解夾雑物を除去することが可能である。源水は次に、ふるい分け濾過機構によって源水からシリカ粒子などの粒子夾雑物を除去することができるフィルター膜158を通過する。次いで、源水は、下流非濾過支持膜160を通過する。
【0077】
図4に示す別の例では、フィルター装置200は、第1の多孔質ポリマー膜202および第2の多孔質ポリマー膜222を含む。2つのポリマー膜202、222は、複合膜に含まれていてもよく、または第2の多孔質ポリマー膜222の入力側表面と直接接触する第1の多孔質ポリマー膜202の出力側表面と直列に配列された別個の膜であってもよい。第1および第2の多孔質ポリマー膜202、222のうちの少なくとも1つは、記載されるようにアミノポリオールリガンドがそこに結合している。フィルター装置200は、ハウジング204と、入口ポート206と、ヘッドスペース214と、濾過中に膜を支持するためのフレーム部分210および212を有するフレームと、バックスペース220と、出口ポート208と、を含む。
【0078】
膜202と膜222との有用な組み合わせの1つの単一の例によれば、フィルター膜222は、多孔質ポリマーベース膜およびアミノポリオールリガンドを含有する、記載されるようなフィルター膜であり得る。この膜は、例えば、非ふるい分け濾過機構によって、フィルター膜222を通る源水の流れからホウ素などの溶解金属、金属イオン、または金属含有化合物の量を効果的に除去する。膜202は、源水から他の(非溶解金属または金属イオン)夾雑物を除去するのに有効な、例えばシリカ(SiO2)粒子などの固体粒子状夾雑物を除去するのに有効な多孔質ポリマー膜であり得る。
【0079】
また、
図4に示すように、フィルター装置200は、フレーム部分210および212を有するフレームを含み、フレーム部分210は、部分212に取り付けられたハウジング204の内面と接触している。部分212は、膜222の出力側表面224と接触することができ、濾過中に膜202および222への支持を提供することができる。
【0080】
例示的な濾過システムでは、記載されるようなフィルター膜または記載されるようなフィルター膜を含むフィルター装置は、さらに、本明細書のフィルター膜(ベース膜および結合したアミノポリオールリガンドを含有する)を通して濾過される源水の流れから不純物も除去する1つ以上の追加の濾過または精製デバイスを収容するより大きな濾過システムに有用であり得る。1つ以上の追加の濾過または精製デバイスは、例えば、源水が明細書のフィルター膜(ベース膜および結合したアミノポリオールリガンドを含有する)を通過する前に又は後で源水から微量不純物を除去するイオン交換システム、UV照射デバイス、逆浸透デバイスなどを含み得る。
【0081】
イオン交換樹脂は、液体から不純物を除去する様々な特定の用途で知られている。これらには、一般に、工業用水処理、発電、医薬用途、廃水および回収のため、ならびに超純水の調製に使用するためのものが含まれる。超純水の調製または加工における使用が具体的に示されているイオン交換樹脂の例には、スチレン系ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホネート)から作製された樹脂が含まれる。イオン交換樹脂は、「強酸性陽イオン交換樹脂」、「強塩基性陰イオン交換樹脂」と称されるタイプのものであってもよく、またはこれらの両方を含む混合型のものであってもよい。イオン交換樹脂は、ゲル状であってもよく、多孔質もしくは非多孔質であってもよく、または固体粒子(例えば、ビーズまたはペレット)の形態であってもよい。一部のイオン交換樹脂は、使用期間後に再生することができ(「再生可能」である)、他の樹脂は、再生することができない。
【0082】
図5Aに示すように、濾過システム300は、ベース膜および結合したアミノポリオールリガンドを収容する、記載されるような多孔質フィルター膜302を収容および封入するハウジング308を含むフィルター装置310を含む。いくつかの実施形態では、上述の複合膜150などの複合膜は、
図5Aおよび
図5Bに示すフィルター装置310に配置されるフィルター膜として使用され得る。フィルター装置310と直列かつその下流には、イオン交換樹脂322を含むフィルター装置320がある。濾過システム300の運転中、源水316は、フィルター装置310の入口306に流入し、次いでフィルター膜302を通過し、源水が膜302を通過するときに金属含有夾雑物が源水から除去される。次いで、濾過された源水は、導管328を通過してフィルター装置320のハウジング324に入る。源水は、イオン交換樹脂322の固体粒子(例えば、ビーズ、ペレット)を通って、越えて、またはその間を通過して、追加量の不純物を源水から除去する。例示的なイオン交換樹脂は、溶解鉄、チタン、およびホウ素、ならびに他の金属(電荷がアニオン性、カチオン性、または中性であってもよい)などの溶解金属夾雑物の量を除去するのに有用であり得る。フィルター装置320およびイオン交換樹脂322を通過した後、源水は、超精製水と考えられ得る精製水340としてハウジング324を出る。
【0083】
図5Bは、フィルター装置310およびフィルター装置320を逆の順序で含む代替の濾過システム300を示す。
図5Bでは、源水は、最初にフィルター装置320を通過し、続いてフィルター装置310を通過する。
【0084】
本開示のフィルター膜またはそのようなフィルター膜を含む複合膜は、比較的低レベルの不純物、例えば、既に実質的に純粋であるか、または濾過もしくは精製工程によって以前に加工された不純物を含む水源(「源水」)を濾過するために有用であり得る。例示的な方法では、不純物を除去するために以前に加工された源水が提供されてもよく、源水は、溶解金属不純物などのある量の残留不純物を除去するために記載されるようなフィルター膜を使用して加工されて、よりさらに精製された水(すなわち、「精製水」または「超純水」)を生成し得る。特に、記載されるような多孔質ポリマーフィルター膜は、膜を通って流れる源水から1つ以上の溶解および/または懸濁した金属含有不純物を除去するのに有用であり得る。固体粒子不純物は、ふるい分け機構もしくは非ふるい分け機構、またはその両方によって源水から除去され得、溶解金属不純物は、フィルター膜のアミノポリオールリガンドのヒドロキシル基への溶解不純物の結合を伴う非ふるい分け機構によって源水から除去され得る。比較的大きな金属含有粒子は、細孔径に応じたサイズ制限によるフィルターによって捕捉することができ、そうでなければフィルター膜の細孔を通過するのに十分小さい金属イオンは、膜表面に固定化されているものに結合したアミノポリオールリガンドとの化学的相互作用によって捕捉される。
【0085】
特定の方法では、ベース膜に結合したアミノポリオールリガンドを含む記載されるようなフィルター膜を使用して、望ましく低減され得るこれらの材料のレベルを含有する源水から金属夾雑物(溶解金属および金属イオン)を除去し、例えば、水を所望の製造プロセス、例えば半導体またはマイクロ電子デバイス製造プロセスで使用することができる。金属夾雑物(「不純物」)は、溶解金属およびホウ素、鉄、チタン、ケイ素、他の溶解金属などの金属化合物、金属化合物の粒子(例えば、コロイド状シリカもしくは固体シリカ)を含み、荷電していても(イオン性、例えばアニオン性またはカチオン性)または非荷電であってもよい(非イオン中性荷電)。
【0086】
源水は、例えば、水を超純水と称される水に加工するために、水を所望の高レベルまたは非常に高レベルの純度に加工するための工程として、夾雑物、粒子、沈殿物を除去するために以前に加工された水であり得る。
【0087】
超純水は、河川水、地下水、工業用水などのようなストック(非精製)水の供給源を「前処理」プロセスで処理して、ストック水中の懸濁物質および有機物の量を除去し、「一次純水」と称されるものを生成することによって生成される。一次純水は、超純水(以下の表1を参照されたい)の1つ以上の物理的特性または不純物レベルを呈し得るが、溶解金属または溶解した固体、もしくはコロイド状シリカなどの残留不純物の一部を除去するための追加の処理からも利益を得ることができる。一次純水は、水から非常に高度の残留不純物を除去するために、1つ以上の追加の濾過または精製工程によって処理され得る。
【0088】
その後の超純水の調製工程では、紫外線照射、イオン交換、電気脱イオン化(EDI)、逆浸透(RO)、脱気、限外濾過(膜を使用する)などのいずれか1つ以上の工程によって一次純水を処理し、一次純水中に存在し得る微量のイオン、有機物、微粒子、溶解ガスなどのような微量不純物を除去することができる。
【0089】
超純水の不純物含有量は、全有機炭素含有量(TOC)、抵抗率および導電率、全固体粒子含有量、pH、ならびに特定のイオンの特殊性測定に関して測定することができる。
【0090】
本明細書に記載されるような水源は、「一次純水」と称される水源であってよく、これは超純水を調製するための少なくとも1つの精製(例えば、濾過)工程を受けた水である。あるいは、水源は、「一次純水」を形成するための第1の精製工程、および紫外線照射、イオン交換、逆浸透、限外濾過(膜を使用する)、またはこれらのうちの2つ以上から選択される1つ以上の追加の精製工程を受けた水源であってもよい。そのような水源は、溶解ホウ素、鉄、チタン、またはケイ素などの微量の溶解金属含有夾雑物を依然として含有してもよく、シリカ粒子などの微量または少量の固体粒子を含有してもよい。本明細書のフィルター膜、フィルター装置、または濾過システムは、残留夾雑物の少なくとも一部を除去するのに有用である。
【0091】
記載されるような方法は、以下のレベルの不純物のうちの1つ以上を呈する超純水を生成するのに有効であり得る。
【0092】
一般的に半導体用途では、個々の金属不純物濃度が0.01μg/L以下の超純水が使用される。最近では、1ng/L以下の個々の金属不純物濃度など、さらに高いレベルの純度が必要とされる場合がある。
【0093】
一例では、記載されるようなフィルター膜は、例えば、製造中にマイクロ電子デバイス基板または半導体デバイス基板の表面を洗浄または準備するためのすすぎ水として、精製水(例えば、超純水)を半導体またはマイクロ電子デバイス加工システムに供給するのに有用であり得る。
【0094】
図6は、集積回路または半導体材料などのマイクロ電子部品が製作されるチャンバ402を含む半導体製作システム400を示す。チャンバ402は、チャンバ402に収容されたマイクロ電子デバイスまたは半導体基板を加工(例えば、洗浄)するための精製水(例えば、超純水)を受けることができる。精製水は、供給源412に含有され、かつそこから送達される源水から提供することができ、フィルター435を使用してさらに加工することができる。導管416を通る源水の移動は、ポンプ414によって影響を受ける可能性がある。バルブ430は、導管416と流体連通しており、フィルター435への源水の流れ、続いて導管438を通ってチャンバ402への源水の流れを調整することができる。フィルター435は、ベース膜に結合したアミノポリオールリガンドを有するベース膜を含む、本明細書に記載されるようなフィルター膜を含むことができる。フィルター435によって除去された不純物とは異なる、またはそれに加えて不純物を除去するために、フィルター435と直列の1つ以上の追加の濾過または精製デバイスを含めてもよい。任意選択の追加のフィルターデバイス(図示せず)は、フィルター435の上流または下流にあってもよい、イオン交換樹脂、紫外線照射機器、逆浸透機器などのうちの1つ以上であってもよい。
【0095】
使用中、源水は、供給源412からポンプ430を通り、フィルター435を通って流れ、溶解金属含有夾雑物(例えば、ホウ素、ケイ素など)などの微量の夾雑物を除去する。源水はまた、任意選択のイオン交換システムを通って流れることができ、フィルター435および任意選択のイオン交換システムによって濾過された水は、マイクロ電子デバイスまたは半導体デバイス基板の表面を洗浄するためなどの、チャンバ402内で実行される加工工程で使用することができる。
【実施例】
【0096】
粒子保持率試験
本明細書のフィルター膜を、粒子保持率を含む濾過性能について試験した。粒子保持率は、流体流中に配置された膜によって流体流から除去された試験粒子の数を測定することによって評価することができる。1つの方法では、既知の量(濃度)の試験粒子(既知の組成、平均サイズ、およびサイズ分布の粒子の集合体)を含有する試験供給液の流れを試験供給液の一定の流れで膜に通過させ、透過液を収集して、透過液の粒子含有量を測定することによって、粒子保持率を測定することができる。試験は、フィルターの粒子被覆率のレベルの範囲(「フィルター被覆率」と称される、例えば、0.05単層、0.1単層、および0.2単層の被覆率、すなわち、5パーセントのフィルター被覆率、10パーセントのフィルター被覆率、および20パーセントのフィルター被覆率)で実行され得る。濾液(または「透過液」)中の試験粒子の濃度は、透過液の吸収度から計算することができる。次いで、粒子保持率は、濾液([濾液])中の粒子の濃度に対する供給原料([供給原料])中の粒子の濃度に基づいて、以下の式を使用して計算される:
粒子保持率=([供給原料]-[濾液])/[供給原料]×100
【0097】
本明細書のフィルター膜の粒子保持試験は、SEMI C79試験法(2019年8月)を使用して実行した。
図7は、効果的な試験方法の概略図である(https://store-us.semi.org/products/c07900-semi-c79-guide-to-evaluate-the-efficacy-of-sub-15-nm-filters-used-in-ultrapure-water-upw-distribution-systemsを参照されたい)。
【0098】
図7を参照して、以下の材料、機器、および条件を使用して試験を実行した:
フラッシュ流量:10リットル/分(LPM)
試験中の流量:膜表面積に基づく(本発明者らの試験では、11.2LPM)
粒子タイプ:SiO
2
粒径:6~32nm(多分散)
測定ツール:DMA/CPCベースのLNS
1.5E9粒子≧6nmを標的チャレンジする負荷フィルター
DMA=差動モビリティアナライザ
CPC=凝縮粒子カウンタ
LNS=液体ナノサイザー
【0099】
2つのフィルター:フィルター1(比較)およびフィルター2(本発明)を試験した。
【0100】
フィルター1は、不均一な形態を有するポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ベース膜から調製され、化学的に結合した四級アンモニウムなどの任意のアミノポリオールリガンドを含むように加工されていない。フィルター1の特性には、バブルポイント:30~60psi、色素結合容量<0.1μg/cm2が含まれる。
【0101】
フィルター2は、ポリマー表面に結合した四級アンモニウムを含むように修飾されたフィルター1のベース膜である。フィルター2の特性には、バブルポイント:30~60psi、色素結合容量(DBC):少なくとも10μg/cm2が含まれる。
【0102】
【0103】
図8に示すように、粒径の範囲にわたる比較フィルター1による試験粒子の保持は、すべての直径について100パーセントをはるかに下回る範囲にあり、一方、本発明のフィルター2による試験粒子の保持は、すべての直径について100パーセントの粒径の範囲にわたる。
【0104】
図9に示すように、ある範囲の粒径およびある範囲のフィルター被覆率(単層パーセント)にわたる比較フィルター1による試験粒子の保持は、すべての直径およびフィルター被覆率の量について100パーセントをはるかに下回る範囲にある。比較すると、
図10は、本発明のフィルター2について、粒子保持率がすべての粒径について、フィルター被覆率(単層パーセント)の範囲にわたって100パーセントであることを示す。
【0105】
ホウ素除去の静的試験
本明細書の膜を、静的ソーキング(非流動)条件下でホウ素を除去するその能力について試験した。この試験により、フィルター膜の試料は、既知の量(濃度)の溶解ホウ素を含有する既知の体積の液体試験溶液(「添加供給原料」)に曝露される。試料フィルター膜は、非ふるい分け濾過機構によって、例えば、静電もしくは化学的引力、吸着、または試料フィルター膜の表面へのホウ素の別のタイプの結合もしくは引力によって、添加供給原料からのホウ素を添加供給原料から除去することを可能にする時間、添加供給原料と接触させる(添加供給原料に浸漬させる)。フィルター膜へのホウ素の非ふるい分け引力を可能にする時間の後、フィルター膜試料と接触した液体試験溶液中のホウ素の濃度を測定する。液体試験溶液中のホウ素濃度の低下は、試料フィルター膜によって除去されたホウ素の量を示す。
【0106】
Tech A(本発明)、Tech B(比較、非発明)、およびTech C(比較、非発明)の3つの試料フィルター膜を試験した。
【0107】
Tech A膜は、実質的に均一な形態および0.2umの平均細孔径、80ミクロンの厚さを有するポリエチレン超高分子量ポリエチレン(UPE)のベース膜から調製した。膜をN-メチル-D-グルカミンの安定なコーティングで表面修飾した。N-メチル-D-グルカミン修飾の量は、膜の表面上に接近可能な荷電アミンの量を示すDBC試験を実行することによって定量した。Tech AのDBCは、120μg/cm2であると決定された。
【0108】
Tech B膜は、実質的に均一な形態および30nmの平均細孔径、25~60ミクロンの厚さ、および少なくとも10μg/cm2のDBCを有する四級アンモニウムの安定なコーティングで修飾されたPTFE膜表面から調製した。
【0109】
Tech Cは、スルホン酸官能基で修飾された超高分子量ポリエチレン膜であり、実質的に均一な形態および0.2ミクロンの平均細孔径および80ミクロンの厚さを有していた。スルホン酸官能基で修飾されたUPE膜は、4.2meq/m2のイオン交換容量を呈する。
【0110】
試料フィルター膜のサイズは、47ミリメートル円の切り取り紙片であった。試験溶液の体積は、25ミリリットルであった。試験溶液への試料フィルター膜の浸漬量:16時間。ICP-MSを使用して、液体試験溶液中のホウ素濃度を測定した。
【0111】
結果を
図11に示す。示されるように、本発明のフィルター膜(Tech A)は、本質的に全量の溶解ホウ素を除去したが、比較の本発明ではないフィルター膜(Tech BおよびTech C)は、試験溶液中の溶解ホウ素のごく一部を除去した。
【0112】
N-メチル-D-グルカミンが結合した正荷電膜の色素結合容量の決定
この実施例は、負荷電色素分子ポンソーSの取り込みを測定することによって、多孔質膜上に存在する正電荷の程度をどのように近似できるかを実証する。
【0113】
この方法は、表面修飾UPE膜(Tech A)に印加される電荷量を測定するために使用される。最初に、既知の面積の切り取り紙片を、50%イソプロパノール中の50mLの希釈(0.005%重量百分率)ポンソーSレッド色素(Sigma Aldrich)供給溶液を含有する50mLコニカルチューブに入れ、直ちにチューブに蓋をして16時間回転させる。16時間の回転後、膜の切り取り紙片をポンソーS溶液から取り出す。回転溶液と比較して元の溶液からのUV吸収度の差を決定することにより、最終的な「色素結合容量」(DBC)を計算し、μg/cm2で表すことができる。この数は、膜の表面上の荷電官能基のレベルの近似値であり、膜イオン交換容量のレベルと相関する。結合したN-メチル-D-グルカミンの存在に起因する荷電アミンが存在する場合、DBCは、膜表面上のコーティングに結合したN-メチル-D-グルカミンの量を示す。非修飾のUPE膜(ベース膜)のポンソーS DBCは、0.00μg/cm2であり、N-メチル-D-グルカミン表面修飾膜のDBCは、120μg/cm2であると決定された。同じ方法は、これらの実施例の他の膜のDBCを決定するために有用であり得る。
【0114】
ホウ素除去の動的試験
動的条件下でホウ素を含む溶解金属を除去する容量について、Tech A膜を試験した。この試験により、フィルター膜(切り取り紙片)の試料は、ホウ素を含む既知の量(濃度)の溶解金属を含有する液体試験溶液(「供給原料」)の流れに保持される。試験溶液は、設定された時間の間、試料フィルター膜に流される。
図12を参照されたい。選択された時間量の後、濾液の試料が採取され、濾液中の溶解金属の濃度が測定される。試験溶液中の溶解金属の量に対する濾液中の溶解金属の濃度の減少は、試料フィルター膜によって除去される溶解金属の量を示す。
【0115】
図13を参照して、以下の材料、機器、および条件を使用して試験を実行した:
流量:10mL/分(シングルパス、監視および制御)
膜フォーマット:φ47mm切り取り紙片
試験金属および供給濃度:
B:5パーツ・パー・ビリオン(ppb)
Ti:3.6パーツ・パー・ビリオン(ppb)(高負荷)
Fe:6.4パーツ・パー・ビリオン(ppb)(高負荷)
Fe:0.68パーツ・パー・ビリオン(ppb)(低負荷)
Ni:0.13パーツ・パー・ビリオン(ppb)(低負荷)
Cu:0.13パーツ・パー・ビリオン(ppb)(低負荷)
サンプリング方法:時間ベース
サンプリング場所:膜の下流
測定ツール:ICP-MS
試験溶液および濾液中の溶解金属の濃度をICP-MSを使用して測定した。
【0116】
溶解ホウ素の除去における有効性についての結果を
図13に示す。示されるように、本発明のフィルター膜(Tech A)は、5、10、15、および20分の試料時間で本質的に全量の溶解ホウ素を除去した。
【0117】
「高負荷」供給濃度および「低負荷」供給濃度での他の溶解金属の除去における有効性についての結果を、それぞれ
図14および
図15に示す。試験は、Tech Aフィルター膜が、高負荷条件および低負荷条件の両方で試験溶液からかなりの量のこれらの金属を除去する能力を有することを示す(>80%のFe、>95%のTi、>50%のNi、>60%のCu)。
【0118】
ホウ素容量の動的試験
同様の動的試験構成および試験条件などを使用して、Technology A(Tech A)試料フィルター膜を長期間のシングルパス期間、試験して、Tech Aフィルター膜が試験溶液から除去されたホウ素を含有する容量を評価した。
流量:10mL/分(シングルパス、監視および制御)
膜フォーマット:90mm膜ディスク
ホウ素供給濃度:5パーツ・パー・ビリオン(ppb)
サンプリング方法:時間ベース
サンプリング場所:膜の下流
測定ツール:ICP-MS
試験溶液および濾液中の溶解金属の濃度をICP-MSを使用して測定し評価した。
【0119】
試験溶液からホウ素を除去および含有するための容量の結果を
図16に示す。試験は、2マイクログラムのホウ素がフィルター膜を通過した後でさえ、Tech Aフィルター膜が試験溶液から100パーセントのホウ素を除去することができることを示す。これは、10インチのフィルターカートリッジを使用して除去される約800マイクログラムのホウ素に相当する。
【0120】
このように本開示のいくつかの例証的な実施形態を記載してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲内でさらに他の実施形態を作製および使用することができることを容易に理解するであろう。本文書によって網羅される本開示の多くの利点は、前述の説明に記載されている。しかしながら、本開示は、多くの点で例証にすぎないことが理解されよう。本開示の範囲は、当然のことながら、添付の特許請求の範囲が表現される言語で定義される。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質ポリマーベース膜と、
ポリマーベース膜に結合した3つ以上のヒドロキシル基を有するアミノポリオールリガンドと
を備えるポリマーフィルター膜。
【請求項2】
アミノポリオールリガンドが、N-メチル-D-グルカミンである
か、もしくは
ポリマーベース膜が、ポリエチレンを含むか、または
両方である、
請求項1に記載の膜。
【請求項3】
シリカ粒子を除去するのに有効な多孔質ポリマーフィルター膜をさらに備える複合膜である、請求項1
または2に記載の膜。
【請求項4】
源水の流れから不純物を除去するために有用なシステムであって、
ポリマーフィルター膜であって、
多孔質ポリマーベース膜、および
ポリマーベース膜に結合した3つ以上のヒドロキシル基を有するアミノポリオールリガンド
を含むポリマーフィルター膜と、
イオン交換樹脂と、
ポリマーフィルター膜およびイオン交換樹脂を通過する源水の流れと
を備えるシステム。
【請求項5】
アミノポリオールリガンドが、N-メチル-D-グルカミンである
か、もしくは
ポリマーベース膜が、ポリエチレンを含むか、または
両方である、
請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
膜が、シリカ粒子を除去するのに有効な多孔質ポリマーフィルター膜をさらに備える複合膜である、請求項
4または5に記載のシステム。
【請求項7】
源水の流れが最初にイオン交換樹脂を通過し、次にポリマーフィルター膜を通過するように構成されている
か、または
源水の流れが最初にポリマーフィルター膜を通過し、次にイオン交換樹脂を通過するように構成されている、
請求項
4から
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
源水が、
抵抗率:>18.18MΩ・cm、
全有機炭素:<1μg/L、
オンライン溶解酸素:<10μg/L
、
細菌:<1CFU/100mL
のうちの1つ以上を呈す
る、請求項
4から
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
ポリマーフィルター膜およびイオン交換樹脂を通過した後の源水の流れが、0.1μg/L以下の個々の金属不純物濃度を有する
か、もしくは
ポリマーフィルター膜およびイオン交換樹脂を通過した後の源水の流れが、0.1μg/L以下のホウ素濃度を有するか、または
両方である、
請求項
4から
8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
源水の流れから不純物を除去する方法であって、
多孔質ポリマーベース膜と、
ポリマーベース膜に結合した3つ以上のヒドロキシル基を有するアミノポリオールリガンドと
を備えるポリマーフィルター膜を通して源水を流すことを含む方法。
【請求項11】
アミノポリオールリガンドが、N-メチル-D-グルカミンである
か、もしくは
ポリマーベース膜が、ポリエチレンを含むか、または
両方である、
請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
源水の流れをポリマーフィルター膜に通過させる前に又は後で、源水の流れをイオン交換樹脂に通過させることを含む、請求項
10または11に記載の方法。
【請求項13】
源水が、
抵抗率:>18.18MΩ・cm、
全有機炭素:<1μg/L、
オンライン溶解酸素:<10μg/L
、
細菌:<1CFU/100mL
のうちの1つ以上を呈す
る、請求項
10から
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
シリカ粒子を除去するのに有効
な多孔質ポリマーフィルター膜に源水を通過させることによって、源水からシリカ粒子を除去することを含む、請求項
10から
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
不純物が、溶解金属またはホウ素であり、方法が、
0.1μg/L以下の個々の金属不純物濃度、
0.1μg/L以下のホウ素濃度、または
両方
を有する水を生成する、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】