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特表2023-545166処理するガラス表面の割合を判定するプロセス及び関連するモバイルアプリケーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-26
(54)【発明の名称】処理するガラス表面の割合を判定するプロセス及び関連するモバイルアプリケーション
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/48 20150101AFI20231019BHJP
   C03C 17/06 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
H04B3/48
C03C17/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522770
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021078577
(87)【国際公開番号】W WO2022079225
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】20202380.0
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507090421
【氏名又は名称】エージーシー フラット グラス ノース アメリカ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AGC FLAT GLASS NORTH AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】11175 Cicero Dr. Suite 400, Alpharetta, GA 30022, U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】518428303
【氏名又は名称】エージーシー ビードロス ド ブラジル エルティーディーエー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ラドゥ, ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】ブルスカグリア, ミカエル
【テーマコード(参考)】
4G059
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AB07
4G059AC11
4G059DA00
(57)【要約】
本発明は、データベース(14)を使用して、所定の周波数(Fo)で所定の電磁受信及び/又は送信レベル(La)に到達するように、定義された密閉空間内でのデコーティングプロセスで処理するガラス表面の割合(Ds)を判定するプロセスに関する。前記プロセスは、内側及び/又は外側電磁信号振幅(So)を計測するステップ(101)、予測減衰レベル(Ta)を算出するステップ(104)、対応する基準減衰レベルが前記予測減衰レベル(Ta)以下である、処理された表面の基準割合(Ds_ref)を前記データベース(14)内で識別するステップ(105)、対応する基準減衰レベルが最小である、処理された表面の識別された基準割合(Ds_ref)に対応する、前記定義された密閉空間内で処理するガラス表面の割合(Ds)を判定するステップ(106)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理するガラス表面の割合(Ds)を判定するプロセスであって、前記処理は、データベース(14)を使用して、所定の周波数(Fo)で所定の電磁受信及び/又は送信レベル(La)に到達するように、定義された密閉空間(O1~O3)内において現場又は工場で行われることができ、
前記定義された密閉空間(O1~O3)は、全表面(Stot)の外部パーティションを含み、
前記データベース(14)は、処理された表面の異なる基準割合(Ds_ref)について、前記所定の周波数(Fo)で計測された基準減衰レベル(T_ref)を含み、
前記プロセスは、
- 前記定義された密閉空間(O1~O3)の内側及び/又は外側の少なくとも1つの位置(I1~I8、E1~E6)で前記所定の周波数(Fo)における内側及び/又は外側電磁信号振幅(So、Si)を計測するステップ(101、102)、
- 前記内側及び/又は外側電磁信号振幅(So、Si)並びに前記所定の電磁受信及び/又は送信レベル(La)の関数として、前記所定の周波数(Fo)における前記密閉空間(O1~O3)の内側の予測減衰レベル(Ta)を算出するステップ(104)、
- 処理された表面の基準割合(Ds_ref)を前記データベース(14)内で識別するステップ(105)、ただし対応する前記基準減衰レベル(T_ref)が前記予測減衰レベル(Ta)以下である、及び
- 前記処理された表面の識別された基準割合(Ds_ref)に対応する、前記定義された密閉空間(O1~O3)内で処理するガラス表面の割合(Ds)を判定するステップ(106)、ただし対応する前記基準減衰レベル(T_ref)が最小である、
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記処理するガラス表面の割合(Ds)及び前記処理された表面の基準割合(Ds_ref)は、前記外部パーティションの全表面(Stot、Stot_ref)によって表面(S、Sref)を正規化することによって算出される、請求項1に記載の判定プロセス。
【請求項3】
前記定義された密閉空間(O1~O3)は、前記全表面(Stot)以下である全ガラス表面(Sgtot)の外部パーティションを含み、前記判定ステップ(106)後、前記プロセスは、前記処理するガラス表面の判定された割合(Ds)が最大割合値(Ds_max)未満であるかどうかを確認し、前記最大割合値(Ds_max)は、前記全ガラス表面(Sgtot)を前記全表面(Stot)によって除算したものに対応する、請求項1又は2に記載の判定プロセス。
【請求項4】
- 前記定義された密閉空間(O1~O3)は、あるタイプのガラス(Tg)を有する外部パーティションを含み、かつ
- 前記データベース(14)は、あるタイプのガラス(Tg_ref)の外部パーティションを有する基準密閉空間(O_id)を含み、基準減衰レベル(T_ref)は、処理された表面の異なる基準割合(Ds_ref)について、前記所定の周波数(Fo)で計測されたものであり、かつ
- 前記識別(105、106)ステップは、前記基準密閉空間(O_id)タイプのガラス(Tg)と同じタイプのガラス(Tg_ref)を有する基準密閉空間(O_id)を前記データベース(14)内で選択することを更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の判定プロセス。
【請求項5】
- 前記定義された密閉空間(O1~O3)の外側の少なくとも1つの位置(E1~E6)で前記所定の周波数(Fo)における前記外側電磁信号振幅(Si)を計測するステップ(101)、
- 前記定義された密閉空間(O1~O3)の内側の少なくとも1つの位置(I1~I8)で前記所定の周波数(Fo)における前記内側電磁信号振幅(Si)を計測するステップ(102)、
- 前記内側(Si)電磁信号振幅と前記外側電磁信号振幅(So)との間の差を使用して、前記所定の周波数(Fo)における初期減衰レベル(T_init)を判定するステップ(103)、及び
- 前記処理された表面の識別された基準割合(Ds_ref)の前記基準減衰レベル(Tref)と、前記初期減衰レベル(T_init)との間の差に等しい予測利得(Ga)を算出するステップ(107)
を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の判定プロセス。
【請求項6】
前記定義された密閉空間(O1~O3)は、複数の外側計測位置(E1~E6)を含み、前記初期減衰レベル(T_init)は、内側計測位置(I1~I8)と、最も近接した外側計測位置(E1~E6)との間で判定される(103)、請求項1~5のいずれか一項に記載の判定プロセス。
【請求項7】
前記定義された密閉空間(O1~O3)は、複数の屋内計測位置(I1~I8)を含み、前記初期減衰レベル(T_init)は、前記複数の屋内計測位置(I1~I8)について算出された減衰レベルを平均することによって判定される(103)、請求項1~6のいずれか一項に記載の判定プロセス。
【請求項8】
- 前記定義された密閉空間(O1~O3)内において、前記割合の処理するガラス表面を処理するステップ(110)、
- 前記処理(110)後、前記定義された密閉空間(O1~O3)の内側及び/又は外側の前記少なくとも1つの位置(I1~I8、E1~E6)において、前記所定の周波数(Fo)における前記内側及び/又は外側電磁信号振幅(So、Si)の第2の計測を行うステップ(111、112)、
- 前記内側及び/又は外側電磁信号振幅(So、Si)を使用して、前記所定の周波数(Fo)における最終的な減衰レベル(T_end)を判定するステップ(113)、及び
- 前記最終的な減衰レベル(T_end)と前記初期減衰レベル(T_init)との間の差に等しい実際の利得(Gr)を算出するステップ(114)
を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の判定プロセス。
【請求項9】
前記予測利得(Ga)と前記実際の利得(Gr)との間の差を算出するステップ(115)を更に含む、請求項8に記載の判定プロセス。
【請求項10】
前記データベース(14)は、前記判定された初期減衰レベル(T_init)及び処理後に算出された前記最終的な減衰レベル(T_end)で完成される、請求項1~9のいずれか一項に記載の判定プロセス。
【請求項11】
前記外側電磁信号振幅(So)の前記計測(101)は、前記外部パーティションの開口部から1m未満の距離で前記密閉空間(O1~O3)の内側において実現される、請求項9又は10に記載の判定プロセス。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセスを実行するように構成されたアプリケーション。
【請求項13】
前記計測ステップ(101、102;111、112)は、通信事業者に対応する所定の周波数(Fo)の範囲を試験するために、前記通信事業者のネットワークを使用して実現される、請求項12に記載のモバイルアプリケーション。
【請求項14】
それぞれが異なる通信事業者のネットワークを使用する複数のスマートフォン又はタブレット間で共有される、請求項12又は13に記載のモバイルアプリケーション。
【請求項15】
複数の通信事業者ネットワークを試験することができる装置によって使用される、請求項13又は14に記載のモバイルアプリケーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物、列車、自動車、ボートなどの密閉空間内における電磁波受信及び/又は送信の改善の分野に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は、所定の電磁受信及び/又は送信レベルに到達するように、定義された密閉空間内で処理するガラス表面の割合を判定するプロセスを対象とする。ガラス表面のこのような処理は、ガラス表面上におけるフィルム、整合層若しくは同様のものの適用、ガラスパネルの適用、厚さ、組成などのガラスの構造の適合及び/又はデコーティングプロセスであり得る。このような処理は、予め又は後に現場又は工場で行われることができる。
【0003】
有利には、本発明は、ユーザーが、任意の建設、改造又はリノベーション作業を行う前に、自らが得ること希望し得る可能なネットワーク受信及び/又は受信の改善を予見することを可能にする。
【背景技術】
【0004】
他の建物及びインターネットサービスプロバイダのアンテナの位置に対する建物の位置に応じて、電磁受信及び/又は送信レベルは、建物、部屋又は場合により部屋内の位置ごとに大幅に変化し得る。同様に、Wi-Fiルーターの位置も建物のいくつかのエリア内で不良な受信及び/又は送信をもたらし得る。
【0005】
不良なレベルの受信及び/又は送信は、多くの場合、高減衰ファサードと組み合わされた建物内のガラス表面の存在に起因する。例えば、ガラスは、一般に、窓のため又は建物の内側で部屋を分離するためのいずれかで使用される。しかし、いくつかのタイプのガラスは、電磁波が部屋に進入するか又はそれから離脱することを妨げ、それにより不良な受信及び/又は送信をもたらすファラデーケージとして機能する金属層を含む。
【0006】
受信及び/又は送信の電磁レベルを改善し得る、本出願人によって提案された異なる解決策が存在する。
【0007】
所定の電磁受信及び/又は送信レベルに到達するためのこのような解決策は、ガラス表面上におけるフィルム、整合層若しくは同様のものの適用、ガラスパネルの適用、厚さ、組成などのガラスの構造の適合及び/又はデコーティングプロセスであり得る。処理は、予め又は後に現場又は工場で行われることができる。
【0008】
デコーティングプロセスを有する第1の解決策は、無線信号(350MHz~70GHz)に対してほとんど透明であり、且つ本出願人によって販売されているWaveThru(商標)解決策などの良好な断熱特性を維持しつつ、建物内の内側から外側への且つ/又は外側から内側への通信を大幅に改善し得る「ウェーブスルーガラス」を設置するか、又はガラス表面の一部分をそれに変更するステップを含む。
【0009】
デコーティングプロセスを有する第2の解決策は、ガラス表面を覆う金属層の小さい部分をデコーティングするステップを含む。金属層は、多層ガラス表面を構成するガラスパネルの表面上に適用された非常に薄い金属層又は太陽への曝露を低減するためにガラス表面の前面に設置された金属メッシュのいずれかであり得る。
【0010】
薄い金属層をデコーティングするために、国際公開第2015/050762号パンフレットからのデコーティング装置を使用することができる。デコーティング装置は、レーザー光源と、デコーティングするために窓の金属層上で前記レーザー光源を合焦するように構成されたレンズアレイとを含む。このような装置は、吸着盤を窓の上部に固定するように吸着盤上に取り付けられる。このタイプの装置は、X及びY軸に沿ってレールに沿ってレーザーを移動させるように構成された2つのモーターも含む。この結果、レーザーは、窓の電磁受信及び/又は送信を改善するために金属層上にグリッド形状を刻むことができる。
【0011】
しかし、ガラス表面の設置、変更又はデコーティングは、高価であり、且つ密閉空間が適切に使用され得ない多くの時間を必要とする。更に、電磁受信及び/又は送信レベルに対するガラス表面の設置、変更又はデコーティングの影響を予見することは、困難であり、なぜなら、これは、多くの異なるパラメータに依存するためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、解決されるべき技術的課題は、所定の電磁受信及び/又は送信レベルに到達するように、定義された密閉空間内で処理するガラス表面の最適な割合を識別する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この技術的課題を解決するために、本発明は、電磁受信及び/又は送信レベルに対するガラス表面の処理の効果を正確に予見するプロセスを提案する。より正確には、プロセスは、要求される受信及び/又は送信レベルを得るために、外部パーティションが生成するべきである減衰レベルを算出することを提案する。換言すれば、プロセスは、要求される受信及び/又は送信レベルを得るために、処理する外部パーティション表面の割合を判定する。この目的のために、減衰レベルの関数としての処理されたガラス表面の割合の少なくとも1つの表又は曲線を含むデータベースが使用される。
【0014】
所定の電磁受信及び/又は送信レベルは、3G、4G及び/若しくは5Gの場合のRSSi並びに/又は3G信号の場合のRSCP、4Gの場合のRSRP、5G信号の場合のss-RSRP並びに/或いは3G信号の場合のEc/No、4Gの場合のRSRQ及び5G信号の場合のss-RSRQなどの信号品質であることを理解されたい。
【0015】
後続する処理は、以下の通りであり得る。
【0016】
密閉空間内におけるウェーブスルーガラスパネルに対するガラス表面の割合の変更、即ち工場におけるデコーティングされたガラス表面による設置されたガラス表面の置換。
【0017】
設置された任意のガラス表面を依然として有しない、密閉空間内におけるある割合の特定のタイプのガラス表面の設置、即ち工場でデコーティングされたガラス表面の使用。
【0018】
及び/又は、密閉空間内におけるガラス表面の割合の原位置におけるデコーティング。
【0019】
換言すれば、第1の態様によれば、本発明は、デコーティングプロセスによって処理するガラス表面の割合を判定するプロセスに関し、このようなデコーティングプロセスは、データベースを使用して、所定の周波数で所定の電磁受信及び/又は送信レベルに到達するように、定義された空間内において現場又は工場で行われることができる。
【0020】
前記定義された密閉空間は、全表面の外部パーティションを含む。
【0021】
前記データベースは、処理された表面の異なる基準割合について、前記所定の周波数で計測された基準減衰レベルを含む。
【0022】
前記プロセスは、以下のステップを含む。
【0023】
前記定義された密閉空間の内側及び/又は外側の少なくとも1つの位置で前記所定の周波数における内側及び/又は外側電磁信号振幅を計測するステップ。
【0024】
内側及び/又は外側電磁信号振幅並びに前記所定の電磁受信及び/又は送信レベルの関数として、前記所定の周波数における前記密閉空間の内側の予測減衰レベルを算出するステップ。
【0025】
処理された表面の基準割合を前記データベース内で識別するステップ。ただし、対応する基準減衰レベルが前記予測減衰レベル以下である。
【0026】
及び、処理された表面の識別された基準割合に対応する、前記定義された密閉空間内で処理するガラス表面の割合を判定するステップ。ただし、対応する基準減衰レベルが最小である。このことは、このステップが、最小許容可能減衰レベルをもたらすガラス表面の最小割合を判定することを意味する。
【0027】
本発明によれば、「外部パーティション」は、密閉空間の外側から内側を分離する前記密閉空間の境界に対応する。外部パーティションは、現実のもの又は仮想的なもののいずれかであり得、且つ少なくとも壁を含む。例えば、特にIoT通信の場合、密閉空間が建物内の部屋であるとき、この部屋の「外部パーティション」は、建物の外部に開放した1つ又は複数のもの及び部屋、階段の吹き抜きなどの他の密閉空間に開放した1つ又は複数のものを含む、部屋の壁に対応する。外部パーティションは、木材又は金属などのいくつかの材料から構成され得、且つガラスを含み得る。
【0028】
減衰レベルは、以下として理解することができる。
【0029】
例えば、インターネットプロバイダアンテナから到来する無線周波数の減衰に対応する、密閉空間の外側から内側に到来する電磁波の減衰。
【0030】
又は、例えばWi-Fiルーターを収容する部屋の外側のWi-Fi信号など、部屋の外側の無線信号の減衰に対応する、密閉空間の内側から外側に到来する電磁波の減衰。
【0031】
減衰レベルがどのように計測されるかとは独立して、減衰レベルの絶対値は、データベース内に保存された他の減衰レベルとの比較のために使用される。
【0032】
従って、本発明は、所定の電磁受信及び/又は送信レベルに到達するように、定義された密閉空間内で処理するガラス表面の最適な割合を見出すことを可能にする。
【0033】
有利には、処理するガラス表面の割合及び処理された表面の基準割合は、外部パーティションの全表面によって表面を正規化することによって算出される。
【0034】
正規化された値は、比較のためにより良好である。実際に、データベースは、外部パーティションの寸法及び形状が非常に異なる多くの異なるタイプの基準密閉空間を含み得る。ガラス表面と、外部パーティションの全表面との間の比率が類似する限り、適切な比較が可能である。
【0035】
本発明の一実施形態では、前記定義された密閉空間は、前記全表面以下である全ガラス表面の外部パーティションを含み、判定ステップ後、前記プロセスは、前記処理するガラス表面の判定された割合が最大割合値未満であるかどうかを確認し、前記最大割合値は、全ガラス表面を全表面によって除算したものに対応する。
【0036】
換言すれば、この機能は、検討される外部パーティション内に既に存在するガラス表面が、要求される受信及び/又は送信レベルを得るために十分であるかどうかをユーザーに示す。処理するガラス表面の判定された割合が最大割合値未満である場合、これは、既存のガラス表面が、要求される受信及び/又は送信レベルを得るために十分であることを意味する。従って、リノベーション又は建設作業を実行することができる。
【0037】
しかし、処理するガラス表面の判定された割合が最大割合値を超える場合、既存のガラス表面は、要求される受信及び/又は送信レベルを得るために十分ではない。従って、新しいガラスパネルのための新しい自由空間を開放するために、密閉空間の青写真を変更しなければならない。この機能は、作業の費用を推定するための優れた方法である。
【0038】
本発明の別の実施形態では、以下の通りである。
【0039】
前記定義された密閉空間は、あるタイプのガラスを有する外部パーティションを含む。
【0040】
前記データベースは、あるタイプのガラスの外部パーティションを有する基準密閉空間を含み、基準減衰レベルは、処理された表面の異なる基準割合について、前記所定の周波数で計測されたものである。
【0041】
及び、識別ステップは、前記基準密閉空間タイプのガラスと同じタイプのガラスを有する基準密閉空間を前記データベース内で選択することを更に含む。
【0042】
この実施形態では、データベースは、計測された減衰レベルの関数としての処理されたガラス表面の割合のいくつかの表又は曲線を含む。それぞれの表又は曲線は、特定のタイプのガラスを有する密閉空間の異なる形状に対応する。この実施形態は、最も近接した基準密閉空間の選択及び誤り率の極小化を可能にする。
【0043】
本発明の別の実施形態では、プロセスは、以下のステップを更に含む。
【0044】
前記定義された密閉空間の外側の少なくとも1つの位置で前記所定の周波数における外側電磁信号振幅を計測するステップ。
【0045】
前記定義された密閉空間の内側の少なくとも1つの位置で前記所定の周波数における内側電磁信号振幅を計測するステップ。
【0046】
前記内側電磁信号振幅と前記外側電磁信号振幅との間の差を使用して、前記所定の周波数における初期減衰レベルを判定するステップ。
【0047】
及び、処理された表面の前記識別された基準割合の基準減衰レベルと、前記初期減衰レベルとの間の差に等しい予測利得を算出するステップ。
【0048】
具体的には、この実施形態は、任意の作業が実行される前にベース基準として初期減衰レベルを計測する。好ましくは、外側電磁信号が4G信号について-100dBm未満である場合、クライアントは、受信及び/又は送信の内側レベルを大幅に改善するために作業を実行することが不可能であることを知るべきであり、なぜなら、建物によって受け取られた信号が既に低過ぎるためである。
【0049】
プロセスの品質を更に改善し、且つ誤り率を低減するために、内側及び外側電磁信号の複数回の計測を実施することができる。この実施形態では、前記定義された密閉空間は、複数の外側計測位置を含み、前記初期減衰レベルは、内側計測位置と、最も近接した外側計測位置との間で判定される。
【0050】
同様に、前記定義された密閉空間も複数の屋内計測位置を含み得、前記初期減衰レベルは、複数の屋内計測位置について算出された減衰レベルを平均することによって判定される。
【0051】
更に、外側電磁信号振幅の前記計測は、外部パーティションの開口部から1m未満の距離で前記密閉空間の内側において実現され得る。
【0052】
本発明によれば、開口部は、窓開口部、ドア開口部又は密閉空間の内側と外側との間のアクセスを可能にする任意の開口部のいずれかであり得る。
【0053】
別の実施形態では、プロセスは、以下のステップを更に含む。
【0054】
前記定義された密閉空間内において、前記割合の処理するガラス表面を処理するステップ。
【0055】
処理後、前記定義された密閉空間の内側及び/又は外側の前記少なくとも1つの位置において、前記所定の周波数における内側及び/又は外側電磁信号振幅の第2の計測を行うステップ。
【0056】
前記屋内電磁信号振幅と前記屋外電磁信号振幅との間の比率を使用して、前記所定の周波数における最終的な減衰レベルを判定するステップ。
【0057】
及び、前記最終的な減衰レベルと前記初期減衰レベルとの間の差に等しい実際の利得を算出するステップ。
【0058】
任意選択により、前記プロセスは、予測利得と実際の利得との間の差を算出するステップを更に含む。
【0059】
この初期減衰レベル及び最終的な減衰レベルは、受信及び/又は送信の改善を推定するために比較される。これは、受信及び/又は送信が向上した程度を数値によって示すための良好な指標である。この指標は、受信及び/又は送信の改善の予測におけるプロセスの信頼性を推定するために、予測利得と実際の利得との比較で完成される。
【0060】
プロセスを実行した後、データベースは、判定された初期減衰レベル及び処理後に算出された最終的な減衰レベルで完成され得る。この機能は、データベースが完成されるのに伴ってより多くの基準を得ること及び誤り率を引き下げることを可能にする。
【0061】
処理のタイプに応じて、プロセスを適合させることができる。従って、プロセスが、デコーティングするガラス表面の割合の判定に関係する場合、プロセスは、以下のステップを含む。
【0062】
デコーティング装置構成を取得するステップ。
【0063】
装置によってデコーティングされ得る、前記定義された密閉空間内のガラス表面のエリアを識別するステップ。
【0064】
及び、デコーティングするガラス表面の識別されたエリア及び割合を考慮することにより、デコーティングする表面を判定するステップ。
【0065】
プロセスが、置換するガラス表面の割合の判定に関係する場合、プロセスは、以下のステップを含む。
【0066】
前記定義された密閉空間内の窓形状を識別するステップ。
【0067】
及び、置換する窓の可能な組合せにおける、置換する窓又は窓の組合せを判定するステップであって、ガラス表面の対応する割合は、置換するガラス表面の判定された割合を超え、且つそれに最も近接する、ステップ。
【0068】
プロセスが、設置するガラス表面の割合の判定に関係する場合、プロセスは、以下のステップを含む。
【0069】
密閉空間の青写真上で窓形状を識別するステップ。
【0070】
及び、設置する窓の可能な組合せにおける、設置する窓又は窓の組合せを判定するステップであって、ガラス表面の対応する割合は、設置するガラス表面の判定された割合を超え、且つそれに最も近接する、ステップ。
【0071】
第2の態様によれば、本発明は、第1の態様によるプロセスを実行するように構成されたアプリケーションにも関する。
【0072】
モバイルアプリケーションを使用して、第3の態様に従い、通信事業者のネットワークを使用して、前記通信事業者に対応する所定の周波数の範囲を試験するために計測ステップを実現することができる。
【0073】
更に、前記モバイルアプリケーションは、それぞれ異なる通信事業者のネットワークを使用する複数のスマートフォン又はタブレット間で共有され得る。代わりに、前記モバイルアプリケーションは、複数の通信事業者ネットワークを試験することができる装置によって使用され得る。
【0074】
本発明は、請求項又は記述される実施形態で記述される特徴のすべての可能な組合せに関する点に留意されたい。
【0075】
以下の説明は、建物用途に関するが、本発明は、自動車又は輸送用途などの他の分野にも適用可能であり得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
以下では、限定ではなく、例示として提供される本発明の様々な例示的実施形態を示す添付図面を参照して、本発明のこの及び他の態様について更に詳細に説明する。図面は、概略表現であり、その縮尺は、正確ではない。図面は、決して本発明を限定するものではない。更なる利点について例によって説明する。
【0077】
以下では、限定ではなく、例示として提供される本発明の様々な例示的実施形態を示す添付図面を参照して、本発明の異なる態様について更に詳細に説明する。図面は、概略表現であり、その縮尺は、正確ではない。図面は、決して本発明を限定するものではない。更なる利点について例によって説明する。
【0078】
図1】本発明の第1の実施形態によるプロセスのブロック図である。
【0079】
図2図1からの実施形態のデータベース内に含まれる情報を提示する表である。
【0080】
図3図1からの実施形態のデータベース内に含まれる情報の別の表現である、処理されたガラス表面の基準表面比率の関数としての減衰の曲線である。
【0081】
図4】本発明の第2の実施形態によるプロセスのブロック図である。
【0082】
図5図4からの実施形態のデータベース内に含まれる情報を表す表である。
【0083】
図6】建物フロアの外側電磁信号振幅計測の概略表現である。
【0084】
図7】建物フロアの内側及び外側電磁信号振幅計測の概略表現である。
【0085】
図8】建物フロアの減衰レベル計算の概略表現である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
よりよい理解のため、図面におけるそれぞれのコンポーネントの縮尺は、実際の縮尺と異なり得る。図1は、本発明の第1の実施形態によるプロセスの主要なステップを提示するブロック図である。プロセスは、ユーザーが自らの電話機又はタブレット上にインストールし得るアプリケーションによってホストされる。しかし、専用の装置を使用することもできる。
【0087】
プロセスを使用する前に、ユーザーは、いくつかのパラメータを定義しなければならない。
【0088】
定義する第1のパラメータは、プロセスが実施される密閉空間Oiである。密閉空間Oiは、建物内の部屋、列車の貨車、パティオ又はテラスのいずれかであり得る。一般に、この密閉空間Oiは、受信及び/又は送信の内側レベルLaが可もなく不可もないために識別されるか、又は建築プロジェクトの場合、この特定の密閉空間が良好な受信及び/又は送信レベルLaを必要とするために識別される。例えば、建物内のカフェテリア又は休憩室は、良好な受信及び/又は送信レベルLaを必要とし、なぜなら、多くの人々は、電話するか又は無線ネットワークを使用してインターネットをブラウジングするために自らの電話機を同時に使用するためである。密閉空間Oiはまた、隣接する部屋にも供給するように想定されるが、これらの隣接する部屋内における受信及び送信レベルLaが低いWi-Fiルーターを収容することために識別され得る。
【0089】
定義された密閉空間Oiは、全表面Stotの外部パーティションによって境界を定められる。この外部パーティションは、実際のもの又は仮想的なもののいずれかである。両方の場合、外部パーティションは、密閉空間Oiの外側からの内側の区別を可能にする。一般に、外部パーティションは、部分的又は全体的にガラスから製造され、且つ何らかの金属を含む少なくとも壁を含む。金属は、ファラデーケージとして機能し、且つ任意の電磁受信及び/又は送信を遮断する。外部パーティションの全表面Stotは、ユーザーによって手動で計測され得るか、又はそれは、外部パーティションの青写真上で推定され得る。
【0090】
プロセスを使用する前に、ユーザーは、その受信及び/又は送信の改善が必要とされる周波数範囲Foも定義しなければならない。例えば、課題がWi-Fiネットワークに由来する場合、検討しなければならない周波数範囲Foは、2.45GHz及び5GHzの範囲である。課題が特定のネットワークプロバイダの4G受信及び/又は送信に由来する場合、検討しなければならない周波数範囲Foは、その特定のネットワークプロバイダに割り当てられたものである。いくつかの周波数範囲Foの試験が明らかに可能であるが、それぞれの定義された周波数範囲Foごとに全体プロセスを連続的又は同時に実行しなければならない。
【0091】
最終的に、ユーザーは、少なくとも密閉空間Oiの内側の処理後にユーザーが到達すると予測する受信及び/又は送信レベルに対応する所定の電磁受信及び/又は送信レベルLaも定義しなければならない。
【0092】
プロセスの第1のステップ101は、所定の周波数範囲Foにおける内側及び/又は外側電磁信号So、Siを計測するためのものである。
【0093】
内側電磁信号Siの計測は、前記開口部が閉鎖されているとき、開口部(例えば、ドア又は窓)の前面の密閉空間Oiの内側で実現される。
【0094】
外側信号Soは、前記開口部が開放されているとき、開口部の前面における密閉空間Oiの外側又は密閉空間Oiの内側のいずれかで計測され得る。計測は、好ましくは、いくつかの位置で実現され、且つ平均される。
【0095】
計測は、ユーザーによって識別された周波数範囲Foを受け取るために、少なくともアンテナを装備した装置によって実行される。電話機又はタブレットの場合、電話機のsimカード又はeカードが特定のネットワーク事業者の周波数範囲Foに対してチューニングされる。従って、ユーザーは、存在する試験する事業者周波数範囲Foと同数の電話機/タブレット及び関連するsimカード/eカードを必要とする。いくつかの周波数範囲を連続的又は同時に試験するために、いくつかのアンテナを含む専用の装置を使用することもできる。
【0096】
プロセスの第2のステップ104は、予測減衰レベルTaを算出することであり、これは、所定の電磁受信及び/又は送信レベルLaに到達するために外部パーティションが有するべきである減衰に対応する。
【0097】
予測減衰レベルTaは、所定の電磁受信及び/又は送信レベルLa並びに内側及び/又は外側電磁信号Si、Soの計測の関数として算出される。
【0098】
例えば、外側電磁信号Soのみを利用し、外側電磁信号Soが-95dBmに等しく、且つ予測される電磁受信及び/又は送信レベルLaが-110dBmに等しいとする。この結果、予測減衰レベルTaは、所定の電磁受信及び/又は送信レベルLa値と、外側電磁信号So値との間の差を取得することによって算出され、-95-(-110)=15dBである。
【0099】
全ガラス表面Sgtotの初期減衰レベルを知ることにより、内側電磁信号Siのみを使用することもできる。内側電磁信号Siが-130dBmに等しく、且つ所定の電磁受信及び/又は送信レベルLaが-110dBmに等しい場合、ガラス表面を変更することによって20dBの内側電磁信号Siの改善が予測される。
【0100】
図1を再び参照すると、プロセスの第3のステップ105は、対応する基準減衰レベルT_refが前記予測減衰レベルTa以下である、処理された表面の基準割合Ds_refをデータベース14内で識別することである。
【0101】
図2及び図3は、データベース14内に含まれ得るものの一例を示す。実際に、データベース14は、所定の周波数範囲Foにおける基準減衰レベルT_refの関数として基準の処理されたガラス表面の割合Ds_refの基準表又は曲線のいずれかを含む。この実施形態では、表又は曲線は、一般的なものであり、且つその減衰レベルTaの推定が必要とされるすべての新しい密閉空間Oiに適用することができる。
【0102】
より詳細には、図2は、基準密閉空間の全表面Stot_refの割合で表現された基準の処理されたガラス表面のDs_refを含む第1の列を含む表を示す。従って、基準の処理されたガラス表面のDs_refは、基準の処理された表面のSrefを基準密閉空間の全表面Stot_refによって除算したものに等しい。表の第2の列は、こちらも割合で表現された基準減衰レベルT_refを含む。
【0103】
図2は、双曲線形状を有する曲線を示す。y軸は、dBで表現された基準減衰レベルT_refを表し、x軸は、割合で表現され、且つ上述のように算出された基準の処理されたガラス表面のDs_refを表す。
【0104】
図2の表が、基準の処理されたガラス表面の割合Ds_refを判定するために使用される場合、予測減衰レベルTaは、上述のように算出されて7dBに等しいものとなり得る。薄い灰色で強調表示された行は、第3のステップ105でプロセスによって選択されたものである。これらは、減衰レベルT_refが7dB以下である行に対応する。
【0105】
図3の表が、処理されたガラス表面の割合Ds_refを判定するために使用される場合、予測減衰レベルTaは、上述のように算出されて20dBに等しいものとなり得る。プロセスは、第3のステップ105において、薄い灰色で強調表示された曲線の部分を選択する。選択される値は、減衰レベルT_refが20dB以下である値に対応する。
【0106】
再び図1を参照すると、第4のステップ106は、最大基準減衰レベルT_refに対応する選択された行/値のうち、処理するガラス表面の基準割合Ds_refを判定するステップを含む。この処理するガラス表面の基準割合Ds_refは、密閉空間Oi内の処理するガラス表面の割合Dsとなる。
【0107】
図2の表では、識別された基準減衰レベルT_refが最大である行は、濃い灰色で強調表示される。この行は、23dBの基準減衰レベルT_refを得るには、少なくとも40%の処理するガラス表面の基準割合Ds_refが処理される必要があることを示す。従って、検討される密閉空間Oi内で23dB以下の予測減衰レベルTaを得るために、少なくとも40%のガラス表面の割合Dsが処理される必要がある。
【0108】
図3の曲線では、識別された基準減衰レベルT_refが最大である値Dsが点線によって強調表示される。20dBmの基準減衰レベルT_refを得るために、26.4%の処理するガラス表面の基準割合Ds_refが処理される必要がある。従って、検討される密閉空間Oi内で20dB以下の予測減衰レベルTaを得るために、26.4%のガラス表面の割合Dsが処理される必要がある。この表現は、曲線が連続的であることから、無限数の解決策を有するという利点を提示する。
【0109】
図4には、より完全なプロセスが提示されている。上述のように、ユーザーは、密閉空間Oiと、自らがこの密閉空間Oiの内側で必要とする受信及び/又は送信レベルLaと、この密閉空間の外部パーティションの全表面Stotとを予め判定しなければならない。この実施形態では、ユーザーは、外部パーティションの全ガラス表面Sgtot及び使用されるガラスのタイプTgを判定する必要もある。これらの2つの情報は、ユーザー自身によって計測若しくは判定され得るか、又はこれらは、密閉空間Oiの青写真上に見出され得る。
【0110】
プロセスの第1のステップ101、102、103は、初期減衰レベルT_initを得るステップを含む。この値は、任意の処理の前の密閉空間Oiの状態の良好な指標である。
【0111】
既に構築された密閉空間Oiの場合、初期減衰レベルT_initを得るための最も簡単な方法は、外側電磁信号Soを計測し101、且つ内側電磁信号Siを計測し102、及び初期減衰レベルT_initを得るためにこれらの2つの値を減算する103ことである。
【0112】
両方の計測は、開口部(例えば、ドア又は窓)の前面における密閉空間Oiの内側でも実現され得る。この場合、外側信号Soは、ドア/窓が開放されているときに計測され得、及び内側信号Siは、ドア/窓が閉鎖されているときに計測され得る。計測は、好ましくは、いくつかの位置E1-E6、I1-I8で実現される。図6図8は、ステップ101~103の実現の一例を示す。
【0113】
この例では、プロセスは、3つの主な部屋O1~O3を収容する建物の全体フロアに適用される。所定の周波数の範囲Foにおける建物ファサードの減衰を推定するために、すべての部屋O1~O3を試験する必要がある。図6では、外側電磁信号Soは、建物の周りを取り囲むように6つの異なる位置E1~E6で計測される。外側電磁信号Soの第1の推定は、外側電磁信号Soレベルが-100dBm未満である位置E2、E6を、外側電磁信号Soレベルが-100dBm超である位置E1、E3、E4、E5から区別することによって実施される。
【0114】
外側電磁信号Soの計測値の大部分が-100dBm未満である場合、本出願人は、任意の建設、改造又はリノベーション作業の実施を推奨せず、なぜなら、外側電磁信号Soは、良好な受信及び/又は送信レベルを得るには既に小さ過ぎるためである。
【0115】
図7では、内側電磁信号Siは、部屋O1~O3の周りを取り囲むように8つの異なる位置I1~I8で計測される。
【0116】
2つの最も近接した外側及び内側位置E1~E6、I1~I8の内側電磁信号Si及び外側電磁信号Soを減算することにより、いくつかの減衰レベルt1~t7が算出される。例えば、図8に示されるように、減衰レベルt3は、位置E3で計測された外側電磁信号Soから、位置I4で計測された内側電磁信号Siを減算したものに等しい。
【0117】
このステップ後、いくつかの減衰レベルt1~t7は、同じ部屋O1~O3に対応し得る。例えば、t2及びt3の両方が部屋O2に対応する。この場合、部屋O2の初期減衰レベルT_initは、これらの2つの値を平均することによって得られる。
【0118】
しかし、多くの場合、外側信号Soを計測することは、不可能であり、なぜなら、例えば窓が開放され得ないからである。この場合、データベース14からのデータを使用して初期減衰レベルT_initを推定する必要がある。同様に、依然として構築されていない密閉空間の場合、内側電磁信号Siを計測することが不可能である。従って、初期減衰レベルT_initもデータベース14からのデータを使用して推定する必要がある。
【0119】
初期減衰レベルT_initを見出すために、ユーザーは、図2図3及び図5の表又は曲線を判読することが可能であり、且つ0%に等しい処理されたガラス表面の基準割合Ds_refを探すことができる。対応する減衰レベルT_refは、表/曲線上で判読することができる。この減衰レベルT_refは、初期減衰レベルT_initである。これらのステップは、明らかにプロセスで自動化することができる。
【0120】
ステップ104は、図3について記述されるものと同様に実行される。しかし、ステップ105は、より完全な、即ち図5に表されるデータベース14に依存するために異なる。このデータベースは、異なる基準密閉空間O_id1、O_id2における所定の周波数範囲Foにおける減衰レベルの関数として処理されたガラス表面の割合に関するデータを含む副表によって充填される。これらの基準密閉空間O_id1、O_id2は、ガラス表面について使用されるガラスのタイプTg_refによって異なる。例えば、ガラス表面は、単純多層ガラス表面、二重dV多層ガラス表面又は三重tV多層ガラス表面のいずれかであり得る。
【0121】
従って、ステップ105は、まず、処理する密閉空間Oiに対して最も近接したガラスのタイプを有する基準密閉空間O_id1、O_id2を識別する必要がある。この基準密閉空間O_id1、O_id2が識別されると、処理する基準ガラス表面Ds_refを上述のように選択することが可能であり105、且つ処理するガラス表面Dsを更に同様に見出することができる106。
【0122】
図4のプロセスは、ステップ105で識別された基準減衰レベルT_refと、初期減衰レベルT_initとの間の差に対応する予測利得Gaを判定するステップ107によって完了される。次いで、処理する表面の処理Dsがステップ110で実行される。
【0123】
その後、プロセスの品質を制御するために、ステップ111、112及び113は、内側及び/又は外側信号So、Siを再び計測又は推定するステップと、最終的な減衰レベルT_endを算出するステップとを含む。プロセスは、ステップ113で識別された最終的な減衰レベルT_endと、ステップ103で識別された初期減衰レベルT_initとの間の差に対応する実際の利得Grを判定するステップ114によって完了される。両方の利得Ga及びGrを比較することにより、ユーザーは、プロセスがどの程度良好に密閉空間Oi内の受信及び/又は送信を予測したかを理解することができる。
【0124】
更に、両方の減衰レベルは、データベース14内に保存され得る。
【0125】
結論として、本発明は、所定の電磁受信及び/又は送信レベルに到達するように、定義された密閉空間内で処理するガラス表面の最適な割合を識別することができるプロセスを開示する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】