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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-27
(54)【発明の名称】難燃性熱可塑性ポリウレタン
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/04 20060101AFI20231020BHJP
   C08K 5/53 20060101ALI20231020BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20231020BHJP
【FI】
C08L75/04
C08K5/53
C08K3/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023518118
(86)(22)【出願日】2021-09-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2021075640
(87)【国際公開番号】W WO2022058514
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】20196813.8
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ヘンツェ,オリファー シュテッフェン
(72)【発明者】
【氏名】ミューレン,オリファー
(72)【発明者】
【氏名】シュプレーン,レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】ランゲ,タンヤ
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002CK021
4J002CK031
4J002CK041
4J002DH027
4J002DH036
4J002DH046
4J002DH056
4J002EW047
4J002EW127
4J002EW137
4J002EW147
4J002FD136
4J002FD137
4J002GQ00
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン、リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される第1難燃剤(F1)、及びホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるリン含有難燃剤(F2)を含む組成物、並びに、ケーブルシースの製造のための本発明による組成物の使用方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも成分(i)~(iii):
(i)熱可塑性ポリウレタン、
(ii)リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される第1難燃剤(F1)、及び
(iii)ホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるリン含有難燃剤(F2)、
を含む、組成物。
【請求項2】
難燃剤(F1)が20000Da~150000Daの範囲の平均分子量を有するポリリン酸アンモニウムから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
難燃剤(F1)が、コーティングを有するポリリン酸アンモニウムから選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
難燃剤(F1)が、0.0001~1.0g/lの範囲の、方法実施例1に従って決定される溶解度を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
難燃剤(F1)が0.1~100μmの範囲の粒径(d50)を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
リン含有難燃剤(F2)がホスフィン酸の誘導体からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、リン酸の誘導体からなる群から選択されるさらなるリン含有難燃剤(F3)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物中の難燃剤(F1)とリン含有難燃剤(F2)の合計の割合が、組成物全体に基づいて2質量%~50質量%の範囲である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
難燃剤(F1)の割合が、組成物全体に基づいて1質量%~40質量%の範囲である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の難燃剤(F2)の割合が、組成物全体に基づいて2質量%~25質量%の範囲である、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の難燃剤(F3)の割合が、組成物全体に基づいて1質量%~30質量%の範囲である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
熱可塑性ポリウレタンが60000~500000Daの範囲の平均分子量(M)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
組成物中の熱可塑性ポリウレタンの割合が、組成物全体に基づいて50質量%~95質量%の範囲である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ケーブルシースの製造のための、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリウレタン、リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される第1難燃剤(F1)、及びホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるリン含有難燃剤(F2)を含む組成物、並びに、ケーブルシースの製造における本発明による組成物の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
難燃性熱可塑性ポリウレタンは、例えばケーブルの製造においてケーブルシースとして広く使用されている。ここでは、一般的な要件は、関連する火炎試験(例えばVW1)に合格するだけでなく、十分な機械的特性を有する薄いケーブルシースを有する薄いケーブルである。
【0003】
熱可塑性ポリウレタン(TPU)は、ハロゲン含有難燃剤又はハロゲンフリー難燃剤のいずれかと混和されてもよい。ハロゲンフリー難燃剤を含む熱可塑性ポリウレタンは、一般に、燃焼時に毒性及び腐食性の低い煙ガスを発生させるという利点を有する。ハロゲンフリー難燃性TPUは、例えば、EP 0 617 079 A2、WO 2006/121549 A1又はWO 03/066723 A2に記載されている。US 2013/0059955 A1には、リン酸塩ベース難燃剤を含むハロゲンフリーTPU組成物も開示されている。
【0004】
US 2013/0081853 A1は、TPUポリマー及びポリオレフィンを含み、さらにリンベース難燃剤及びさらなる添加剤を含むハロゲンフリー難燃性組成物に関するものである。US 2013/0081853 A1によれば、この組成物は、良好な機械的特性を有する。
【0005】
また、メラミンシアヌレートは、エンジニアリングプラスチックの難燃剤として古くから知られている。例えば、WO 97/00916 A1には、脂肪族ポリアミドにおいて、難燃剤として、メラミンシアヌレートとタングステン酸/タングステン酸塩との組合せが記載されている。EP 0 019 768 A1には、メラミンシアヌレートと赤リンの混合物によるポリアミドの難燃化が開示されている。
【0006】
WO 03/066723 A1によれば、難燃剤としてメラミンシアヌレートのみを含む材料は、例えば、薄い壁厚の場合のUL94試験における性能によって決定される、良好な限界酸素指数(LOI)も良好な難燃性もない。WO 2006/121549 A1には、難燃剤として、ポリリン酸メラミン、ホスフィン酸塩及びホウ酸塩の組合せを含む材料も記載されている。これらの材料は、薄い壁厚で高いLOI値を達成するが、UL94試験で良好な結果を得ることができない。
【0007】
例えば、難燃剤としてメラミンシアヌレートとリン酸エステル及びホスホン酸エステルとの組み合わせを含む材料は、UL94V試験で良好な結果を有するが、LOI値は非常に低く、例えば25%未満である。このようなメラミンシアヌレートとリン酸エステル及びホスホン酸エステルとの組み合わせは、特に薄いケーブルのシースの場合、難燃剤として不適切である。高いLOI値は、例えばDIN EN 45545において、様々な難燃性用途の規格で規定されている。
【0008】
メラミンが有害である可能性が指摘されている。メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、メラミンポリホスフェートなどのメラミンベース化合物も少量のメラミンを含有しているので、これらの難燃剤に置き換えることが有利になるかもしれない。
【0009】
さらに、メラミンシアヌレート、メラミンホスフェート及びメラミンポリホスフェートなどのメラミンベース難燃剤を含有する熱可塑性ポリウレタン組成物は、しばしば不透明な材料を得る。多くの用途では、材料が透明又は半透明であることが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】EP 0 617 079 A2
【特許文献2】WO 2006/121549 A1
【特許文献3】WO 03/066723 A2
【特許文献4】US 2013/0059955 A1
【特許文献5】US 2013/0081853 A1
【特許文献6】WO 97/00916 A1
【特許文献7】EP 0 019 768 A1
【特許文献8】WO 03/066723 A1
【特許文献9】WO 2006/121549 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、先行技術から出発して、本発明の目的は、良好な機械的特性及び良好な難燃性を有すると同時に、良好な機械的耐性及び耐薬品性を有し、UV照射下でほとんど変色しない難燃性熱可塑性ポリウレタンを提供することである。特に、本発明の目的は、良好な機械的特性及び良好な難燃性を有すると同時に、良好な機械的耐性及び耐薬品性と高い可撓性を示す難燃性熱可塑性ポリウレタンを提供することである。本発明のさらなる目的は、生物分解性難燃剤の使用である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、この目的は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i)熱可塑性ポリウレタン、
(ii)リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される第1難燃剤(F1)、及び
(iii)ホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるリン含有難燃剤(F2)
を含む組成物によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による組成物は、少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタン、及び2種のリン含有難燃剤(F1)と(F2)の組合せを含む。
【0014】
驚くべきことに、本発明による組成物は、本発明の成分の組み合わせの結果として、特にケーブルシースとして使用するために、特性の最適化されたプロファイルを有することが見出された。驚くべきことに、本発明による組成物は、良好な機械的特性及び優れた難燃性を有することが見出された。さらに、本発明による組成物は、生物分解性難燃剤を含有し、好ましくは、メラミン又はメラミン誘導体を含まない。
【0015】
熱可塑性ポリウレタンに、リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される難燃剤(F1)を添加することにより、透明性の高い組成物が得られることを見出した。
【0016】
特定されるように、本発明による組成物は、成分(i)として熱可塑性ポリウレタン、成分(ii)としてリン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される第1リン含有難燃剤(F1)、及びホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるさらなるリン含有難燃剤(F2)を含む。
【0017】
本発明によれば、組成物は、好ましくは、メラミン又はメラミン誘導体を含まない。本発明の文脈では、「メラミン又はメラミン誘導体を含まない」とは、組成物が50ppm未満のメラミン又はメラミン誘導体、好ましくは20ppm未満のメラミン又はメラミン誘導体を含むことを意味すると理解される。好ましい実施形態では、組成物は0ppmのメラミン又はメラミン誘導体を含む。
【0018】
本出願の文脈では、メラミン又はメラミン誘導体は、特にすべての慣用的かつ商業的に利用可能な製品品質を意味するものと理解される。
【0019】
さらに、本発明による組成物は、好ましくは、多価アルコール、例えば3-、4-、5-及び6-価アルコールのみを含んでいる。本発明による組成物は、より好ましくは、多価アルコール、特に3-、4-、5-及び6-価アルコールを含まない。
【0020】
本発明の文脈では、「3-、4-、5-及び6-価アルコールを含まない」とは、組成物が50ppm未満の多価アルコール、好ましくは20ppm未満の多価アルコールを含むことを意味すると理解される。好ましい実施形態では、組成物は0ppmの多価アルコールを含む。
【0021】
本発明によれば、難燃剤(F1)は、リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される。本出願の文脈において、リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムは、特に、すべての慣用的かつ商業的に利用可能な製品品質を意味すると理解される。
【0022】
ポリリン酸アンモニウムは、原則的に難燃剤として当該技術分野で知られており、記載されている。好適な難燃剤は、例えば、オルトリン酸アンモニウム、例えばNH4H2PO4、(NH4)2HPO4又はこれらの混合物、二リン酸アンモニウム、例えばNH4H3P2O7、(NH4)2H2P2O7、(NH4)3HP2O7、(NH4)4P2O7又はこれらの混合物、ポリリン酸アンモニウム、特に限定されないがJ.Am.Chem.Soc.91,62(1969)に記載されているもの、例えば結晶構造相1を有するもの、結晶構造相2を有するもの、又はこれらの混合物である。
【0023】
好ましくは、ポリリン酸アンモニウムは、20000Da超、例えば80000Da超、特に100000超の平均分子量を有する。ポリリン酸アンモニウムの平均分子量は、例えば20000Da~150000Daの範囲であってもよい。
【0024】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、難燃剤(F1)が、20000Da~150000Daの範囲の平均分子量を有するポリリン酸アンモニウムから選択される。
【0025】
リン酸アンモニウム成分は、コーティングされていてもよく、コーティングされていなくてもよい。好ましくは、リン酸塩成分はコーティングされている。
【0026】
好適なコーティングされたポリリン酸アンモニウムは、例えばUS 4,347,334、US 4,467,056、US 4,514,328及びUS 4,639,331に記載されている。このようなカプセル化ポリリン酸アンモニウムは、典型的には、個々のポリリン酸アンモニウム粒子を包む硬化した水不溶性樹脂を含有する。この樹脂は、例えば尿素、エポキシ樹脂、又はシランをベースとするものであってもよい。
好適なコーティングは、例えば、有機官能性シラン又は有機官能性シランの混合物、又はオリゴマー有機シロキサン又はオリゴマー有機シロキサンの混合物をベースとするものである。好適な有機官能性シランは、例えば、アミノアルキル又はエポキシアルキル又はアクリルオキシアルキル又はメタクリルオキシアルキル又はメルカプトアルキル又はアルケニル又はアルキル官能性を有するアルコキシシランである。特に好ましい有機官能性アルコキシシランは、3-アミノプロピルトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、プロピルトリアルコキシシラン、ブチルトリアルコキシシラン、ペンチルトリアルコキシシラン、ヘキシルトリアルコキシシラン、ヘプチルトリアルコキシシラン、オクチルトリアルコキシシラン、プロピルメチルジアルコキシシラン及びブチルメチルジアルコキシシランであり、アルコキシ基は、特にメトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基である。
【0027】
コーティングは、例えば、難燃剤の量に基づいて、ケイ素含有コーティング剤を0.05~10質量%、特に好ましくは0.1~3質量%、非常に特に好ましくは0.5~1.5質量%の量で適用することができる。
【0028】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、難燃剤(F1)が、コーティングを有するポリリン酸アンモニウムから選択される。
【0029】
好ましくは、難燃剤(F1)は、方法の実施例1に従って決定される1.0g/l未満の溶解度、特に方法の実施例1に従って決定される0.1g/l未満の溶解度を有する。
【0030】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、難燃剤(F1)が、方法の実施例1決定された、1.0g/l未満、例えば0.0001~1.0g/lの範囲、好ましくは0.001~0.9g/lの範囲、より好ましくは0.01~0.8g/lの範囲の溶解度を有する。
【0031】
本発明に従って好適なリン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムは、典型的に0.1μm~100μm、好ましくは0.5μm~60μm、特に好ましくは1μm~30μm、非常に特に好ましくは5~25μmの範囲の平均粒径D50を有する粒子からなる。好適な方法は、このタイプの粉末状難燃剤を乾燥した、すなわち自由流動性の形態で使用することである。粒子は、好ましくは100μm未満、より好ましくは90μm未満の平均粒径D99を有する。本発明の文脈において、粒子は、好ましくは、0.1μm~100μmの範囲の平均粒径D50、及び100μm未満の平均粒径D99を有する。本発明の文脈において、粒径分布は、単峰性であってもよく、さもなければ多峰性、例えば二峰性であってもよい。
【0032】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、難燃剤(F1)が0.1~100μmの範囲の粒径(d50)を有する。
【0033】
特にコーティングされたリン酸アンモニウム成分を使用することで、ブルーミングの傾向が低い組成物が得られることが見出された。
【0034】
化合物(F1)は、本発明の組成物中に好適な量で存在する。例えば、組成物中の(F1)の割合は、組成物全体に基づいて、1質量%~40質量%の範囲、特に5質量%~40質量%の範囲、好ましくは組成物全体に基づいて5質量%~30質量%の範囲、特に10質量%~20質量%の範囲である。
【0035】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、難燃剤(F1)の割合が、組成物全体に基づいて1質量%~40質量%である。
【0036】
いずれの場合も、組成物の成分の合計は100質量%である。
【0037】
組成物は、ホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるリン含有難燃剤(F2)をさらに含む。
【0038】
ホスフィン酸の誘導体から選択される難燃剤(F2)は、有機カチオン又は無機カチオンを含む塩、又は有機エステルから選択される場合が好ましい。有機エステルとは、リンに直接結合している少なくとも1個の酸素原子が有機ラジカルでエステル化されたホスフィン酸の誘導体である。好ましい実施形態では、有機エステルはアルキルエステルであり、別の好ましい実施形態では、アリールエステルである。ホスフィン酸の全てのヒドロキシル基がエステル化されている場合が特に好ましい。
【0039】
ホスフィン酸エステルは一般式R1R2(P=O)OR3を有し、ここで、3つの有機基R1、R2及びR3はすべて同一でも異なっていてもよい。ラジカルR1、R2及びR3は脂肪族又は芳香族のものであり、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個の炭素原子を有する。好ましくは、少なくとも1つのラジカルは脂肪族のものであり、好ましくは全てのラジカルは脂肪族のものであり、非常に特に好ましくはR1及びR2はエチル基である。R3もエチル基又はメチル基である場合がより好ましい。好ましい実施形態では、R1、R2及びR3は、同時にエチル基又はメチル基である。
【0040】
また、ホスフィン酸塩、すなわちホスフィン酸の塩も好ましい。R1及びR2ラジカルは脂肪族又は芳香族のものであり、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~3個の炭素原子を有する。好ましくは、少なくとも1つのラジカルは脂肪族のものであり、好ましくは全てのラジカルは脂肪族のものであり、非常に特に好ましくはR1及びR2はエチル基である。ホスフィン酸の好ましい塩は、アルミニウム塩、カルシウム塩又は亜鉛塩であり、より好ましくはアルミニウム塩又は亜鉛塩である。好ましい実施形態は、ジエチルホスフィン酸アルミニウムである。
【0041】
また、好適なのは、次亜リン酸アルカリ金属塩、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、チタン塩及び亜鉛塩、特に次亜リン酸アルミニウム塩及び次亜リン酸カルシウム塩である。
【0042】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、リン含有難燃剤(F2)がホスフィン酸の誘導体からなる群から選択される。
【0043】
本発明による難燃剤(F1)と(F2)の組み合わせにより、難燃性に優れた組成物が得られる。この組成物は、好ましくは自己消火性である。
【0044】
難燃剤(F1)と難燃剤(F2)の組み合わせにより、難燃性と良好な値の導電率及び煙ガスの毒性と組み合わせた組成物が得られる。
【0045】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、リン含有難燃剤(F2)がホスフィン酸塩である。
【0046】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、ホスフィン酸塩がホスフィン酸アルミニウム又はホスフィン酸亜鉛からなる群から選択される。
【0047】
本発明による組成物中の難燃剤(F2)の割合は、例えば、組成物全体に基づいて、2質量%~25質量%、特に2質量%~20質量%の範囲、好ましくは組成物全体に基づいて3質量%~15質量%、特に組成物全体に基づいて5質量%~10質量%の範囲である。
【0048】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、組成物中の難燃剤(F2)の割合が、組成物全体に基づいて2質量%~25質量%の範囲である。
【0049】
組成物中のリン含有難燃剤(F1)とリン含有難燃剤(F2)の合計の割合は、組成物全体に基づいて5質量%~50質量%の範囲、より好ましくはいずれの場合も組成物全体に基づいて、10質量%~35質量%の範囲、特に好ましくは15質量%~30質量%の範囲である。
【0050】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、組成物中の難燃剤(F1)とリン含有難燃剤(F2)の合計の割合が、組成物全体に基づいて5質量%~50質量%の範囲である。
【0051】
いずれの場合も組成物全体に基づいて、15質量%~30質量%の範囲の量、好ましくは20質量%~25質量%の範囲の量の難燃剤(F1)を、2質量%~10質量%の範囲の量の難燃剤(F2)と組み合わせて使用することが有利である。
【0052】
さらなる実施形態によれば、組成物は、いずれの場合も組成物全体に基づいて、5質量%~10質量%の範囲の量の難燃剤(F1)と、10質量%~25質量%の範囲の量の難燃剤(F2)との組み合わせを含む。
【0053】
本発明の文脈では、難燃剤(F2)を使用することが好ましく、ここで、粒子が、0.1μm~100μm、好ましくは0.5μm~60μm、特に好ましくは20μm~40μmの範囲の平均粒径D50を有する。粒子は、好ましくは100μm未満、より好ましくは90μm未満の平均粒径D99を有する。本発明の文脈において、粒子は、好ましくは、0.1μm~100μmの範囲の平均粒径D50、及び100μm未満の平均粒径D99を有する。本発明の文脈において、粒径分布は、単峰性であってもよく、さもなければ多峰性、例えば二峰性であってもよい。
【0054】
本発明によれば、組成物は、さらなる難燃剤、例えばリン酸エステルのようなさらなるリン含有難燃剤を含んでいてもよい。好ましくは、組成物は、1~30質量%の範囲の量のさらなるリン含有難燃剤を含む。
【0055】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、組成物が、リン酸の誘導体からなる群から選択されるさらなるリン含有難燃剤(F3)を含む。
【0056】
好適なのは、例えば、リン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体、ホスフィン酸の誘導体、又はこれらの誘導体の2種以上の混合物である。好適なさらなる難燃剤は、例えば21℃で液体であることができる。
【0057】
好ましくは、リン酸、ホスホン酸又はホスフィン酸の誘導体は、有機又は無機カチオンを有する塩、又は有機エステルである。有機エステルは、リンに直接結合している少なくとも1個の酸素原子が有機ラジカルでエステル化された、リン含有酸の誘導体である。好ましい実施形態において、有機エステルはアルキルエステルであり、別の好ましい実施形態において、アリールエステルである。より好ましくは、対応するリン含有酸の全てのヒドロキシル基がエステル化されている。好ましいリン酸エステルの例には、フェニレン1,3-ビス(ジフェニル)ホスフェート、フェニレン1,3-ビス(ジキシレニル)ホスフェート及びn=3~6の平均オリゴマー化レベルを有する対応するオリゴマー生成物が含まれる。好ましいレゾルシノールは、典型的にオリゴマーで存在するレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(RDP)である。
【0058】
さらに好ましいリン含有難燃剤は、典型的にはオリゴマー形態であるビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(BDP)、及びジフェニルクレジルホスフェート(DPK)である。
【0059】
使用される難燃剤(F3)の量は、広い範囲内で変化してもよい。組成物は、例えば、組成物全体に基づいて1質量%~30質量%の範囲の量、好ましくは組成物全体に基づいて2質量%~25質量%の範囲の量、特に組成物全体に基づいて2質量%~20質量%の範囲の量で難燃剤(F3)を含んでいてもよい。
【0060】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、組成物中の難燃剤(F3)の割合が、組成物全体に基づいて1質量%~30質量%の範囲である。
【0061】
本発明の組成物は、少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタンをさらに含む。熱可塑性ポリウレタンは原則的に既知である。その製造は、典型的には、任意に少なくとも1種の(d)触媒及び/又は(e)慣用の助剤及び/又は添加剤の存在下で、成分(a)イソシアネート及び(b)イソシアネート反応性化合物及び任意に(c)鎖延長剤を反応させることにより行われる。成分(a)イソシアネート、(b)イソシアネート反応性化合物、(c)鎖延長剤は、個別に又は総称してビルディングブロック成分とも呼ばれる。
【0062】
本発明の文脈では、典型的に用いられるイソシアネート及びイソシアネート反応性化合物が原則的に好適である。
【0063】
好ましく使用される有機イソシアネート(a)には、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族イソシアネート、より好ましくはトリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソフォロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、及び/又は4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネートが含まれる。4,4’-MDIを使用することが特に好ましい。
【0064】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンがジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をベースとする。
【0065】
使用可能なイソシアネート反応性成分(b)には、原則として、当業者に知られている全ての好適な化合物が含まれる。本発明によれば、イソシアネート反応性化合物(b)として、少なくとも1種のジオールが使用される。
【0066】
本発明の文脈では、任意の好適なジオール、例えば、ポリエーテルジオール又はポリエステルジオール又はそれらの2種以上の混合物を使用することができる。
【0067】
本発明に従って、任意の好適なポリエステルジオールを原則的に使用することができ、ここで、本発明の文脈では、ポリエステルジオールという用語は、ポリカーボネートジオールも含む。
【0068】
本発明の一実施形態は、ポリカーボネートジオール又はポリテトラヒドロフランポリオールを用いる。好適なポリテトラヒドロフランポリオールは、例えば500~5000g/mol、好ましくは500~2000g/mol、特に好ましくは800~1200g/molの範囲の分子量を有する。
【0069】
好適なポリカーボネートジオールには、例えばアルカンジオールをベースとするポリカーボネートジオールが含まれる。好適なポリカーボネートジオールは、厳密に二官能のOH-官能性ポリカーボネートジオール、好ましくは厳密に二官能のOH-官能性脂肪族ポリカーボネートジオールである。好適なポリカーボネートジオールは、例えば、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール又は1,6-ヘキサンジオール、特に1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチルペンタン-(1,5)-ジオール又はこれらの混合物、特に好ましくは1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール又はこれらの混合物をベースとするものである。本発明の文脈において好ましく採用されるのは、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、1,6-ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、及びこれらのポリカーボネートジオールの2種以上の混合物である。
【0070】
本発明による組成物は、好ましくは、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種のポリカーボネートジオールをベースとする熱可塑性ポリウレタン、及び少なくとも1種のジイソシアネート及びポリテトラヒドロフランポリオールをベースとする熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタンを含む。したがって、本発明による組成物中に存在するポリウレタンの製造は、成分(b)として少なくとも1種のポリカーボネートジオール又はポリテトラヒドロフランポリオールを用いる。
【0071】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンが、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種のポリカーボネートジオールをベースとする熱可塑性ポリウレタン、及び少なくとも1種のジイソシアネート及びポリテトラヒドロフランポリオールをベースとする熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタンを含む。したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンが、少なくとも1種の芳香族ジイソシアネート及び少なくとも1種のポリカーボネートジオールをベースとする熱可塑性ポリウレタン、及び少なくとも1種の芳香族ジイソシアネート及びポリテトラヒドロフランポリオールをベースとする熱可塑性ポリウレタンからなる群から選択される。
【0072】
さらなる実施形態において、本発明はまた、上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンが、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種のポリカーボネートジオールをベースとする熱可塑性ポリウレタンである。採用されたポリカーボネートジオールが、GPCによって決定される500~4000g/molの範囲、好ましくはGPCによって決定される650~3500g/molの範囲、特に好ましくはGPCによって決定される800~2500g/molの範囲の数平均分子量Mnを有する場合が好ましい。
【0073】
さらなる実施形態において、本発明はさらに、上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンが、少なくとも1種のジイソシアネート及び少なくとも1種のポリカーボネートジオールをベースとする熱可塑性ポリウレタンであり、少なくとも1種のポリカーボネートジオールが、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、1,6-ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、及びこれらのポリカーボネートジオールの2種以上の混合物からなる群から選択される。また、好ましくは、約2000g/molの分子量Mnを有する、1,5-ペンタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールをベースとするコポリカーボネートジオールである。
【0074】
したがって、さらなる実施形態では、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、ポリカーボネートジオールが、GPCによって決定される500~5000g/molの範囲、好ましくはGPCによって決定される650~3500g/molの範囲、より好ましくはGPCによって決定される800~2500g/molの範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0075】
好ましくは、採用可能な鎖延長剤(c)には、0.05kg/mol~0.499kg/molの分子量を有する脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物、好ましくは、二官能性化合物、例えばアルキレンラジカルに2~10個の炭素原子を有するジアミン及び/又はアルカンジオール、3~8個の炭素原子を有するジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-及び/又はデカアルキレングリコール、特に1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、好ましくは対応するオリゴ及び/又はポリプロピレングリコールが含まれ、ここで、鎖延長剤の混合物も採用される。化合物(c)は、好ましくは一級ヒドロキシル基のみを有し、1,4-ブタンジオール又は1,3-プロパンジオールと1,4-ブタンジオールの混合物が非常に特に好ましい。
【0076】
本発明によれば、再生可能な原料から少なくとも部分的に得られた多価アルコール、例えばプロパンジオール及び/又はさらなるジオールを採用することも可能である。多価アルコールが、部分的に又は全体的に再生可能な原料から得られたものであることが可能である。本発明によれば、採用される多価アルコールの少なくとも1種は、再生可能な原料から少なくとも部分的に得られていてもよい。
【0077】
いわゆるバイオ-1,3-プロパンジオールは、例えばトウモロコシ及び/又は糖類から得ることができる。さらに、バイオディーゼル生産から排出されるグリセロールの変換も可能である。また、1,4-ブタンジオールは、再生可能な原料から得ることができる。本発明のさらに好ましい実施形態では、多価アルコールは、少なくとも部分的に再生可能な原料から得られた1,3-プロパンジオール又は1,4-ブタンジオールである。
【0078】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンが、少なくとも30%の程度で再生可能な原料をベースとする。
【0079】
好ましい実施形態では、特にジイソシアネート(a)のNCO基とイソシアネート反応性化合物(b)のヒドロキシル基と鎖延長剤(c)との反応を促進する触媒(d)は、3級アミン、特にトリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N,N’-ジメチルピペラジン、2-(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンである。別の好ましい実施形態において、これらは、有機金属化合物、例えば、チタネートエステル、鉄化合物、好ましくは鉄(III)アセチルアセトナート、スズ化合物、好ましくはスズジアセテート、スズジオクトエート、スズジラウレート、又は脂肪族カルボキシル酸のジアルキルチン塩、好ましくはジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、又はビスマスが2若しくは3、特に3の酸化状態であるビスマス塩である。カルボン酸の塩が好ましい。採用されるカルボン酸は、好ましくは6~14個の炭素原子、特に好ましくは8~12個の炭素原子を有するカルボン酸である。好適なビスマス塩の例は、ビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2-エチルヘキサノエート及びビスマスオクタノエートである。
【0080】
触媒(d)は、好ましくは、100質量部のイソシアネート反応性化合物(b)あたり、0.0001~0.1質量部の量で使用される。スズ触媒、特にスズジオクトエートを使用することが好ましい。
【0081】
合成成分(a)~(c)には、触媒(d)だけでなく、慣用の助剤(e)も添加することができる。例には、表面活性物質、フィラー、さらなる難燃剤、核剤、酸化安定剤、滑剤及び離型剤、染料及び顔料、任意に、例えば加水分解、光、熱又は変色に対する安定剤、無機及び/又は有機フィラー、補強剤及び可塑剤を含む。好適な助剤及び添加物質は、例えば、Kunststoffhandbuch,第VII巻,Vieweg及びHoechtlen編,Carl Hanser Verlag,Munich 1966(103~113頁)に見出すことができる。
【0082】
熱可塑性ポリウレタンの製造方法は、例えばEP 0 922 552 A1、DE 101 03 424 A1又はWO 2006/072461 A1に開示されている。製造は、通常、ベルト装置又は反応押出機で行われるが、実験室規模では、例えば手動鋳造法で行うこともできる。成分の物理的性質に応じて、これらはすべて互いに直接混合されるか、又は個々の成分が、例えばプレポリマーを提供するために予備混合及び/又は予備反応され、その後に重付加のみに付される。さらなる実施形態では、熱可塑性ポリウレタンは、最初にビルディングブロック成分から、任意に触媒とともに製造され、その中に任意に助剤も組み込まれてもよい。その場合、少なくとも1種の難燃剤がこの材料に導入され、均一に分散される。均一に分散されることは、好ましくは、押出機、好ましくは二軸押出機で行われる。TPUの硬度を調整するために、ビルディングブロック成分(b)及び(c)の使用量は、比較的広いモル比内で変化させることができ、典型的には鎖延長剤(c)の含有量が増加すると硬度が上昇する。
【0083】
熱可塑性ポリウレタン、例えば95未満、好ましくは95~80ショアA、特に好ましくは約85AのショアA硬度を有するものを製造するために、実質的に二官能性のポリヒドロキシル化合物(b)及び鎖延長剤(c)は、得られるビルディングブロック成分(b)及び(c)の混合物が200を超え、特に230~450のヒドロキシル当量を有するように、有利に1:1~1:5、好ましくは1:1.5~1:4.5のモル比で使用されてもよい。一方、硬質TPU、例えば98を超える、好ましくは55~75ショアDのショアA硬度を有するものを製造するには、(b):(c)のモル比は、得られる(b)と(c)の混合物が、110~200、好ましくは120~180のヒドロキシル当量を有するように、1:5.5~1:15、好ましくは1:6~1:12の範囲である。
【0084】
本発明に従って使用される熱可塑性ポリウレタンは、好ましくは、DIN ISO 7619-1(ショア硬度試験A(3s))に従って決定された68A~100Aの範囲、好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定された70A~98Aの範囲、より好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定された75A~95Aの範囲、特に好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定された75A~90Aの範囲、特にDIN ISO 7619-1に従って決定された78A~85Aの範囲の硬度を有する。代替の実施形態において、使用された熱可塑性ポリウレタンは、好ましくは、DIN ISO 7619-1(ショア硬度試験A(3s))に従って決定された70A~80Aの範囲の硬度を有する。
【0085】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンが、DIN 53505に従って決定された80A~100Aの範囲のショア硬度を有する。
【0086】
本発明に従って使用される熱可塑性ポリウレタンを製造するために、ビルディングブロック成分(a)、(b)及び(c)は、好ましくは触媒(d)及び任意に助剤及び/又は添加剤(e)の存在下で、典型的には、ジイソシアネート(a)のNCO基と、ビルディングブロック成分(b)及び(c)のヒドロキシル基の合計との当量比が0.9~1.1:1、好ましくは0.95~1.05:1、特に約1.0~1.04:1であるように反応させる。
【0087】
本発明による組成物は、少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタンを、組成物全体に基づいて50質量%~95質量%の範囲、特に組成物全体に基づいて60質量%~92質量%の範囲、好ましくはいずれの場合も組成物全体に基づいて68質量%~90質量%の範囲、より好ましくは70質量%~88質量%の範囲、特に好ましくは70質量%~85質量%の範囲の量で含む。
【0088】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、組成物中の熱可塑性ポリウレタンの割合が、組成物全体に基づいて50質量%~95質量%の範囲である。組成物中の全ての成分の合計は、いずれの場合も100質量%である。
【0089】
本発明に従って好ましく使用される熱可塑性ポリウレタンは、60000~500000ダルトンの範囲の平均分子量(MW)を有する熱可塑性ポリウレタンである。熱可塑性ポリウレタンの平均分子量(MW)の上限は、一般に、加工性だけでなく、所望の特性のスペクトルによって決定される。熱可塑性ポリウレタンは、好ましくは100,000~300,000Daの範囲、より好ましくは120,000~250,000Daの範囲、特に好ましくは80,000~200,000Daの範囲の平均分子量(MW)を有する。
【0090】
したがって、さらなる実施形態によれば、本発明は上記に開示された組成物にも関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンが60000~500000Daの範囲の平均分子量(M)を有する。
【0091】
60000~500000Daの範囲の平均分子量(M)は、組成物中の熱可塑性ポリウレタン、すなわち組成物の調製後に存在する熱可塑性ポリウレタンに関するものである。
【0092】
本発明によれば、特に100000~300000Daの範囲の分子量(MW)を有する熱可塑性ポリウレタンの使用は、特性の特に有利な組み合わせを有する組成物をもたらすことが見出された。
【0093】
また、本発明によれば、組成物が、例えばそれらの平均分子量又はそれらの化学組成において異なる2種以上の熱可塑性ポリウレタンを含むことも可能である。例えば、本発明による組成物は、第1熱可塑性ポリウレタンTPU-1と第2熱可塑性ポリウレタンTPU-2、例えば脂肪族ジイソシアネートをベースとする熱可塑性ポリウレタンTPU-1と芳香族ジイソシアネートをベースとするさらなるTPU-2を含んでもよい。
【0094】
TPU-1の製造には脂肪族イソシアネートが使用され、TPU-2の製造には芳香族イソシアネートが使用される。
【0095】
TPU-1を製造するために好ましく採用される有機イソシアネート(a)は、脂肪族又は脂環式イソシアネート、より好ましくはトリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-及び/又はオクタメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2-エチルブチレン1,4-ジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ブチレン1,4-ジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、1,4-及び/又は1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1-メチル-2,4-及び/又は-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート及び/又は4,4’-、2,4’-及び2,2’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートである。
【0096】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンTPU-1が、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート及びジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタンからなる群から選択される少なくとも1種の脂肪族ジイソシアネートをベースとする。
【0097】
TPU-2 Rを製造するために好ましく採用される有機イソシアネート(a)は、芳香脂肪族及び/又は芳香族イソシアネート、より好ましくは2,2’-、2,4’-及び/又は4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、2,4-及び/又は2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、3,3’-ジメチルジフェニルジイソシアネート、1,2-ジフェニルエタンジイソシアネート及び/又はフェニレンジイソシアネートである。4,4’-MDIを使用することが特に好ましい。
【0098】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンTPU-2がジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をベースとする。
【0099】
TPU-1及びTPU-2に好ましく採用されるイソシアネート反応性化合物(b)としては、ポリカーボネートジオール又はポリテトラヒドロフランポリオールが挙げられる。好適なポリテトラヒドロフランポリオールは、例えば500~5000、好ましくは500~2000、特に好ましくは800~1200の範囲の分子量を有する。
【0100】
本発明によれば、好ましくは少なくとも1種のポリカーボネートジオール、好ましくは脂肪族ポリカーボネートジオールが、TPU-1及びTPU-2を製造するために使用される。好適なポリカーボネートジオールには、例えばアルカンジオールをベースとするポリカーボネートジオールが含まれる。好適なポリカーボネートジオールは、厳密に二官能性OH-官能性ポリカーボネートジオール、好ましくは厳密に二官能性OH-官能性脂肪族ポリカーボネートジオールである。好適なポリカーボネートジオールは、例えばブタンジオール、ペンタンジオール又はヘキサンジオール、特に1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチルペンタン-(1,5)-ジオール又はこれらの混合物、特に好ましくは1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール又はこれらの混合物をベースとするものである。本発明の文脈において好ましく採用されるのは、ブタンジオール及びヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、ペンタンジオール及びヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、ヘキサンジオールをベースとするポリカーボネートジオール、及びこれらのポリカーボネートジオールの2種以上の混合物である。
【0101】
TPU-1及びTPU-2の製造に用いられるポリカーボネートジオールは、好ましくは、GPCによって決定される500~4000の範囲、好ましくはGPCによって決定される650~3500の範囲、特に好ましくはGPCによって決定される800~3000の範囲の数平均分子量Mnを有する。
【0102】
TPU-1及びTPU-2を製造するための好ましくは採用可能な鎖延長剤(c)には、0.05kg/mol~0.499kg/molの分子量を有する脂肪族、芳香脂肪族、芳香族及び/又は脂環式化合物、好ましくは二官能性化合物、例えばアルキレンラジカルに2~10個の炭素原子を有するジアミン及び/又はアルカンジオール、3~8個の炭素原子を有するジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、ヘプタ-、オクタ-、ノナ-及び/又はデカアルキレングリコール、特に1,2-エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、好ましくは対応するオリゴ及び/又はポリプロピレングリコールが含まれ、ここで、鎖延長剤の混合物も採用される。化合物(c)は、好ましくは一級ヒドロキシル基のみを有し、1,4-ブタンジオールと上記の化合物から選択されるさらなる鎖延長剤との混合物、例えば100:1~1:1の範囲、好ましくは95:1~5:1の範囲、特に好ましくは90:1~10:1の範囲のモル比で1,4-ブタンジオールと第2鎖延長剤を含む混合物を使用することが非常に特に好ましい。
【0103】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンを製造するための鎖延長剤として、1,4-ブタンジオールとさらなる鎖延長剤の混合物が採用される。
【0104】
TPU-1又はTPU-2の硬度を調整するために、ビルディングブロック成分(b)及び(c)の使用量を比較的広いモル比で変化させることができ、ここで、硬度が通常、鎖延長剤(c)の含有量が増加するに伴い増加する。
【0105】
本発明によれば、TPU-1は、好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定される85A~70Dの範囲、好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定される95A~70Dの範囲の、より好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定される55D~65Dの範囲の硬度を有している。
【0106】
本発明によれば、TPU-2は、好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定される70A~70Dの範囲、より好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定される80A~60Dの範囲、特に好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定される80A~90Aの範囲の硬度を有している。
【0107】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンTPU-1が、DIN ISO 7619-1に従って決定される85A~65Dの範囲のショア硬度を有する。したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンTPU-2が、DIN ISO 7619-1に従って決定される70A ~65Dの範囲のショア硬度を有する。
【0108】
TPU-1は、好ましくは100000Da超の分子量を有し、TPU-2は、好ましくは150000~300000Daの範囲の分子量を有する。熱可塑性ポリウレタンの数平均分子量の上限は、一般に、加工性、及びまた所望の物性スペクトルによって決定される。
【0109】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンTPU-1が100000Daから400000Daの範囲の分子量を有する。したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンTPU-2が150000Daから300000Daの範囲の分子量を有する。
【0110】
本発明による組成物は、少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタンTPU-1と少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタンTPU-2を、いずれの場合も組成物全体に基づいて、50質量%~95質量%の範囲、特に68質量%~92質量%の範囲、好ましくは70質量%~88質量%の範囲、より好ましくは70質量%~85質量%の範囲の合計量で含んでいる。
【0111】
本発明の文脈では、採用される熱可塑性ポリウレタンの比は広い範囲内で変化させることができる。例えば、熱可塑性ポリウレタンTPU-1と熱可塑性ポリウレタンTPU-2は、2:1~1:5の範囲の比で採用される。熱可塑性ポリウレタンTPU-1と熱可塑性ポリウレタンTPU-2は、好ましくは1:1~1:5の範囲、より好ましくは1:2~1:4の範囲、特に好ましくは1:2.5~1:3の範囲の比で採用される。
【0112】
したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、この組成物が、脂肪族ジイソシアネートをベースとする熱可塑性ポリウレタンTPU-1、及び芳香族ジイソシアネートをベースとする熱可塑性ポリウレタンTPU-2を含む混合物を含んでいる。
【0113】
一実施形態では、本発明による組成物は、熱可塑性ポリウレタン及び難燃剤(F1)及び(F2)を一段階で処理することによって製造される。他の好ましい実施形態では、本発明による組成物は、最初に反応押出機、ベルトアセンブリ又は他の好適な装置を使用して、熱可塑性ポリウレタンを、好ましくは顆粒として製造し、その中に難燃剤(F1)及び(F2)を、その後少なくとも1つのさらなる工程、又は他の複数の工程において導入することによって製造される。
【0114】
熱可塑性ポリウレタンと他の成分との混合は、好ましくは内部ニーダー又は押出機、好ましくは二軸押出機である混合ユニットで実施される。好ましい実施形態では、少なくとも1つの更なる工程において混合ユニットに導入される少なくとも1種の難燃剤は、液体、すなわち21℃の温度で液体である。押出機の使用の別の好ましい実施形態では、導入された難燃剤は、押出機内の材料の流れ方向における充填点の下流で優勢な温度で、少なくとも部分的に液体である。
【0115】
本発明によれば、組成物は、例えばリン含有難燃剤も含むさらなる難燃剤を含んでいてもよい。例えば、組成物は、さらなるリン含有難燃剤(F3)、例えばリン酸エステルを含んでいてもよい。
【0116】
しかしながら、代替的な実施形態において、本発明による組成物は、リン含有難燃剤(F1)及び(F2)に加えて、さらなる難燃剤を含まない。
【0117】
本発明の文脈において、本発明による組成物の硬度は、広い範囲内で変化させることができる。組成物の硬度は、例えばDIN ISO 7619-1(ショア硬度試験A(3s))に従って決定される65A~80Dの範囲、好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定される80A~60Dの範囲、より好ましくはDIN ISO 7619-1に従って決定される80A~95Aの範囲であってもよい。
【0118】
機械的特性及び難燃性は、本発明に従って、さまざまな難燃剤の組み合わせによって最適化される。
【0119】
本発明によれば、組成物は、さらなる構成成分、例えば熱可塑性ポリウレタン用の標準的な助剤及び添加物質を含んでいてもよい。組成物が、少なくとも1種のリン含有難燃剤(F1)及び少なくとも1種のリン含有難燃剤(F2)に加えて、さらなる難燃剤を含有しない場合が好ましい。本発明による組成物が、リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される正確に1種のリン含有難燃剤(F1)、並びにホスフィン酸の誘導体からなる群から選択される正確に1種のリン含有難燃剤(F2)を含む場合がより好ましい。
【0120】
本発明による組成物は、例えばフィラー又は染料を、好ましくは組成物全体に基づいて0.1質量%~5質量%の範囲の量で含んでいてもよい。したがって、さらなる実施形態において、本発明は上記に開示された組成物に関し、ここで、組成物が、組成物全体に基づいて0.1質量%~5質量%の範囲の量の二酸化チタンを含む。
【0121】
本発明はまた、上記に開示された少なくとも1種の難燃性熱可塑性ポリウレタンを含む本発明のよる組成物の、コーティング、減衰要素、ベローズ、フィルム又は繊維、成形品、建物及び輸送用の床、不織布、好ましくはシール、ローラー、靴底、ホース、ケーブル、ケーブルコネクター、ケーブルシース、クッション、ラミネート、プロファイル、ベルト、サドル、フォーム、プラグコネクター、巻取ケーブル(trailing cables)、ソーラーモジュール、自動車トリムを製造するための使用方法に関する。ケーブルシースの製造に使用することが好ましい。製造は、好ましくは、本発明による組成物の、射出成形、カレンダー加工、粉末焼結又は押出成形によって、及び/又は追加発泡によって顆粒から行われる。
【0122】
したがって、本発明はまた、少なくとも1種の熱可塑性ポリウレタン、リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される第1リン含有難燃剤(F1)、及びホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるさらなるリン含有難燃剤(F2)を含む本明細書に記載した組成物の、ケーブルシースの製造のための使用方法に関するものである。
【0123】
したがって、さらなる態様によれば、本発明は、上記に開示された組成物の、ケーブルシースの製造のための使用方法にも関する。さらに、本発明は、上記に開示された組成物を含むケーブルシースにも関する。
【0124】
本発明による組成物は、特に細いケーブル、例えば2mm未満の外径及び0.5mm未満の壁厚を有するケーブルの製造を可能にする。したがって、さらなる実施形態において、本発明は、上記に開示された組成物の、0.1~0.5mmの範囲の壁厚を有するケーブルシースの製造のための使用方法にも関する。
【0125】
本発明は、示されたような従属関係及び後方参照から生じる以下の一連の実施形態及び実施形態の組み合わせによってさらに説明される。特に、実施形態の範囲が言及される各例において、例えば「実施形態(1)から(4)のいずれか一項」などの用語の文脈では、この範囲内のすべての実施形態が当業者のために明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の文言は、「実施形態(1)、(2)、(3)、及び(4)のいずれか一項」と同義であると当業者に理解されるべきことに留意されたい。さらに、以下の一連の実施形態は、保護の範囲を決定する一連の請求項ではなく、本発明の一般的かつ好ましい態様に向けられた説明の好適に構成された部分を表すことを明示的に留意されたい。
【0126】
本発明の実施形態(1)は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i)熱可塑性ポリウレタン、
(ii)リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される第1難燃剤(F1)、及び
(iii)ホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるリン含有難燃剤(F2)、
を含む組成物に関する。
【0127】
実施形態(1)を具体化するさらに好ましい実施形態(2)は前記組成物に関し、ここで、難燃剤(F1)が20000Da~150000Daの範囲の平均分子量を有するポリリン酸アンモニウムから選択される。
【0128】
実施形態(1)又は(2)を具体化するさらに好ましい実施形態(3)は、前記組成物に関し、ここで、難燃剤(F1)が、コーティングを有するポリリン酸アンモニウムから選択される。
【0129】
実施形態(1)から(3)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(4)は前記組成物に関し、ここで、難燃剤(F1)が、0.0001~1.0g/lの範囲の、方法実施例1に従って決定される溶解度を有する。
【0130】
実施形態(1)から(4)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(5)は前記組成物に関し、ここで、難燃剤(F1)が0.1~100μmの範囲の粒径(d50)を有する。
【0131】
実施形態(1)から(5)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(6)は前記組成物に関し、ここで、リン含有難燃剤(F2)がホスフィン酸の誘導体からなる群から選択される。
【0132】
実施形態(1)から(6)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(7)は前記組成物に関し、ここで、組成物が、リン酸の誘導体からなる群から選択されるさらなるリン含有難燃剤(F3)を含む。
【0133】
実施形態(1)から(7)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(8)は前記組成物に関し、ここで、組成物中の難燃剤(F1)とリン含有難燃剤(F2)の合計の割合が、組成物全体に基づいて2質量%~50質量%の範囲である。
【0134】
実施形態(1)から(8)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(9)は前記組成物に関し、ここで、難燃剤(F1)の割合が、組成物全体に基づいて1質量%~40質量%の範囲である。
【0135】
実施形態(1)から(9)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(10)は前記組成物に関し、ここで、組成物中の難燃剤(F2)の割合が、組成物全体に基づいて2質量%~25質量%の範囲である。
【0136】
実施形態(1)から(10)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(11)は前記組成物に関し、ここで、組成物中の難燃剤(F3)の割合が、組成物全体に基づいて1質量%~30質量%の範囲である。
【0137】
実施形態(1)から(11)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(12)は前記組成物に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンが60000~500000Daの範囲の平均分子量(M)を有する。
【0138】
実施形態(1)から(12)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(13)は前記組成物に関し、ここで、組成物中の熱可塑性ポリウレタンの割合が、組成物全体に基づいて50質量%~95質量%の範囲である。
【0139】
さらなる実施形態(14)は、成分(i)~(iii):
(i)熱可塑性ポリウレタン、
(ii)リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される第1難燃剤(F1)、及び
(iii)ホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるリン含有難燃剤(F2)、
を混合する工程を含む、少なくとも成分(i)~(iii)を含む組成物を調製する方法に関する。
【0140】
実施形態(14)を具体化するさらに好ましい実施形態(15)は前記方法に関し、ここで、難燃剤(F1)が、20000Da~150000Daの範囲の平均分子量を有するアンモニウムポリリン酸塩から選択される。
【0141】
実施形態(14)又は(15)を具体化するさらに好ましい実施形態(16)は前記方法に関し、ここで、難燃剤(F1)が、コーティングを有するポリリン酸アンモニウムから選択される。
【0142】
実施形態(14)から(16)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(17)は前記方法に関し、ここで、難燃剤(F1)が、0.0001~1.0g/lの範囲の、方法実施例1に従って決定される溶解度を有する。
【0143】
実施形態(14)から(17)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(18)は前記方法に関し、ここで、難燃剤(F1)が0.1~100μmの範囲の粒径(d50)を有する。
【0144】
実施形態(14)から(18)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(19)は前記方法に関し、ここで、リン含有難燃剤(F2)がホスフィン酸の誘導体からなる群から選択される。
【0145】
実施形態(14)から(19)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(20)は前記方法に関し、ここで、組成物が、リン酸の誘導体からなる群から選択されるさらなるリン含有難燃剤(F3)を含む。
【0146】
実施形態(14)から(20)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(21)は前記方法に関し、ここで、組成物中の難燃剤(F1)とリン含有難燃剤(F2)の合計の割合が、組成物全体に基づいて2質量%~50質量%の範囲である。
【0147】
実施形態(14)から(21)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(22)は前記方法に関し、ここで、難燃剤(F1)の割合が、組成物全体に基づいて1質量%~40質量%の範囲である。
【0148】
実施形態(14)から(22)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(23)は前記方法に関し、ここで、組成物中の難燃剤(F2)の割合が、組成物全体に基づいて2質量%~25質量%の範囲である。
【0149】
実施形態(14)から(23)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(24)は前記方法に関し、ここで、組成物中の難燃剤(F3)の割合が、組成物全体に基づいて1質量%~30質量%の範囲である。
【0150】
実施形態(14)から(24)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(25)は前記方法に関し、ここで、熱可塑性ポリウレタンが60000~500000Daの範囲の平均分子量(M)を有する。
【0151】
実施形態(14)から(25)のいずれか一項を具体化するさらに好ましい実施形態(26)は前記方法に関し、ここで、組成物中の熱可塑性ポリウレタンの割合が、組成物全体に基づいて50質量%~95質量%の範囲である。
【0152】
本発明のさらなる実施形態(27)は、実施形態(1)から(13)のいずれか一項に記載の組成物の、ケーブルシースの製造のための使用方法に関する。
【0153】
本発明のさらなる実施形態(28)はケーブルシースの調製方法に関し、ここで、実施形態(1)から(13)のいずれか一項に記載の組成物が成形工程に供される。
【0154】
本発明のさらなる実施形態(29)は、実施形態(1)から(13)のいずれか一項に記載の組成物を含むケーブルシースに関する。
【0155】
本発明のさらなる実施形態(30)は、少なくとも成分(i)~(iii):
(i)熱可塑性ポリウレタン、
(ii)リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される第1難燃剤(F1)、及び
(iii)ホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるリン含有難燃剤(F2)、
を含む組成物を含むケーブルシースに関する。
【0156】
以下に示す実施例は、本発明を説明するためのものであり、決して本発明の主題を限定するものではない。
【実施例
【0157】
実施例は、本発明の混合物の特性がメラミンシアヌレートをベースとする一般的な難燃性TPUの特性と同等であることを示している。本発明の混合物は、低腐食性及び低煙毒性の利点を有し、より透明に見える。
【0158】
1.実施例1(出発原料)
Elastollan 1185A10:BASF Polyurethanes GmbH, Elastogranstrasse 60, 49448 Lemfordeから、1000の分子量を有するポリテトラヒドロフランポリオール(PTHF)、ブタン-1,4-ジオール、MDIをベースとするショア硬度85AのTPU。
【0159】
Melapur MC 15 ED:メラミンシアヌレート(1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリアミンとの化合物(1:1))、CAS番号:37640-57-6、BASF SE、67056 Ludwigshafen、ドイツ、粒径D99%<1=50μm、D50%<=4.5μm、含水量%(w/w)<0.2。
【0160】
Melapur 200/70:メラミンポリホスフェート(窒素含有量42~44質量%、リン含有量12~14質量%))、CAS番号:218768-84-4、BASF SE、67056 Ludwigshafen、ドイツ、粒径D99%<1=70μm、平均粒径D50%<=10μm、含水量%(w/w)<0.3。
【0161】
Fyrolflex RDP:、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、CAS番号:125997-21-9、Supresta Netherlands B.V.,Office Park De Hoef,Hoefseweg 1,3821 AE Amersfoort,オランダ、リン含有量10.7%、25℃での粘度=700mPas、酸価<0.1mg KOH/g、含水量%(w/w)<0.1。
【0162】
Exolit OP 1230:アルミニウムジエチルホスフィネート、CAS番号:225789-38-8、Clariant Produkte(Deutschland)GmbH,Chemiepark Knapsack,50351 Huerth、平均粒径D50%=20~40μm、含水量%(w/w)<0.2。
【0163】
Exolit AP 423:ポリリン酸アンモニウム、CAS番号:68333-79-9、Clariant Produkte(Deutschland)GmbH,Chemiepark Knapsack,50351 Huerth、リン含有量%(w/w)約31~32(酸化溶解後の測光);窒素含有量(質量%)約14~15(元素分析)、25℃での粘度(10%の水性懸濁液)<100mPas;pH値(5.0~7.5)(10%の水性懸濁液での電位差測定);分解温度、アンモニアの初期発生>275℃;平均粒径、d50=8μm;かさ密度:0.7g/cm3;水中の溶解度(%w/w)<1.0;25℃での110%の水性懸濁液のろ過後の重量測定、含水量%(w/w)<0.5。
【0164】
FR Cross 486:コーティング(3-アミノプロピルトリエトキシシラン,CAS 919-30-2)を有するポリリン酸アンモニウム(相II)、CAS番号:68333-79-9、Budenheim Iberica S.L.U.,Extramuros,s/n,50784 La Zaida ES、P2O5含有量%(w/w)約72;窒素含有量(質量%)約14、pH値(6.0~7.5);分解温度>250℃;平均粒径、d50=18μm;かさ密度:600g/l、水中の溶解度(0.1g/100cm3)<0.1。
【0165】
Budit 383:コーティングを有するポリリン酸アンモニウム(相II)、CAS番号:68333-79-9、Budenheim Iberica S.L.U.,Extramuros,s/n,50784 La Zaida ES、P2O5含有量%(w/w)約68;窒素含有量(質量%)約18、pH値(約7.5);分解温度>300℃;平均粒径、d50=20μm;水中の溶解度(0.1g/100cm3)<0.1。
【0166】
2.実施例2(組成物)
以下の表は、個々の出発物質の質量部(PW)が記載されている組成物を列挙している。それぞれの場合において、35Dのスクリュー長を有し10個のバレルセクションに分割したBerstorff社製の二軸押出機で、混合物を製造した。Galaの水中水中造粒ユニットを用いて、顆粒を得た。
【0167】
【表1】
【0168】
【表2】
【0169】
3.実施例3(機械的性能)
混合セクションを備えた3つのゾーンのスクリュー(スクリュー比1:3)を有するArenz単軸押出機で、混合物を押し出して、厚さ1.6mmのフィルムを得た。対応する試料の密度、ショア硬度、引張強度、引裂伝播抵抗、摩耗及び破断伸びを測定した。いずれの組成物も良好な機械的特性を有している。結果を表3及び表4にまとめている。
【0170】
【表3】
【0171】
【表4】
【0172】
4.実施例4(難燃性)
難燃性を評価するために,ISO 5660のpart1及びpart2(2002-12)に従って、コーンカロリーメータで、厚さ5mmの試験試料を強度35kW/mの放射強度で水平にテストした。スクリュー直径30mmのArburg 520Sを用いて、寸法100×100×5mmのコーン測定用の試験試料を射出成形した。異なる材料のコーン測定の主要なパラメータを表5及び表6に示している。本発明の実施例は、比較例と比較して、同様のTHE及びPHRRを示す。
【0173】
【表5】
【0174】
【表6】
【0175】
5.実施例5(導電率及び煙ガスの毒性)
DIN EN 60754-2(2015)を用いて決定した導電率は、本発明の実施例についてはるかに低いことが判明した。したがって、本発明の混合物は、比較用混合物と比較して、はるかに腐食性が低いように見える。また、本発明の実施例は、比較用混合物と比較して、燃焼中に青酸(HCN)を形成することが少ないことが分かった。NF X 70-100 Part 1+2(2006)を用いて決定したITC値は、比較例で見出されたものよりもはるかに小さい。その結果を表7及び表8に示している。
【0176】
【表7】
【0177】
【表8】
【0178】
7.方法実施例1
使用した化合物の水溶性を調査した。そのために、各難燃剤50gを200gの水と共に20℃で1時間振盪した後、濾過し、濾液から乾燥残留物を定量した。
【0179】
引用文献
EP 0 617 079 A2
WO 2006/121549 A1
WO 03/066723 A2
US 2013/0059955 A1
US 2013/0081853 A1
WO 97/00916 A1
WO 03/066723 A1
WO 2006/121549 A1
US 4,347,334
US 4,467,056
US 4,514,328
US 4,639,331
Kunststoffhandbuch,第VII巻,Vieweg及びHoechtlen編,Carl Hanser Verlag,Munich 1966(103~113頁)
EP 0 922 552 A1
DE 101 03 424 A1
WO 2006/072461 A1
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも成分(i)~(iii):
(i)熱可塑性ポリウレタン、
(ii)リン酸アンモニウム及びポリリン酸アンモニウムからなる群から選択される第1難燃剤(F1)、及び
(iii)ホスフィン酸の誘導体、ホスホン酸の誘導体及びリン酸の誘導体からなる群から選択されるリン含有難燃剤(F2)、
を含む組成物であって、
難燃剤(F1)が20000Da~150000Daの範囲の平均分子量を有するポリリン酸アンモニウムから選択され、
難燃剤(F1)が0.1~100μmの範囲の粒径(d50)を有する、組成物
【請求項2】
難燃剤(F1)が、コーティングを有するポリリン酸アンモニウムから選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
難燃剤(F1)が、0.0001~1.0g/lの範囲の、方法実施例1に従って決定される溶解度を有する、請求項1又は2に記載の組成物
【請求項4】
リン含有難燃剤(F2)がホスフィン酸の誘導体からなる群から選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が、リン酸の誘導体からなる群から選択されるさらなるリン含有難燃剤(F3)を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の難燃剤(F1)とリン含有難燃剤(F2)の合計の割合が、組成物全体に基づいて2質量%~50質量%の範囲である、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
難燃剤(F1)の割合が、組成物全体に基づいて1質量%~40質量%の範囲である、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物中の難燃剤(F2)の割合が、組成物全体に基づいて2質量%~25質量%の範囲である、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
組成物中の難燃剤(F3)の割合が、組成物全体に基づいて1質量%~30質量%の範囲である、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
熱可塑性ポリウレタンが60000~500000Daの範囲の平均分子量(M)を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の熱可塑性ポリウレタンの割合が、組成物全体に基づいて50質量%~95質量%の範囲である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ケーブルシースの製造のための、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物の使用方法。
【国際調査報告】