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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】膜を移転するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20231024BHJP
【FI】
H01L27/12 B
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520443
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 FR2021051733
(87)【国際公開番号】W WO2022079374
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】2010644
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598054968
【氏名又は名称】ソイテック
【氏名又は名称原語表記】Soitec
【住所又は居所原語表記】Parc Technologique des fontaines chemin Des Franques 38190 Bernin, France
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ダラス, フランソワ‐ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】ギスレン, ブルーノ
(57)【要約】
本発明は、空洞(11)の上方に圧電性の膜(14)を備えるデバイス(10)を製作するための方法に関し、この方法は、a)キャリア基板の第1の面(12)上へと開口している空洞(11)が設けられたキャリア基板(1)を用意するステップであって、空洞(11)が30μmよりも大きな横方向寸法を持っているステップと、b)表面層(22)の範囲を定めている埋め込み弱化平面(20)が設けられたドナー基板(2)を用意するステップと、c)ドナー基板(2)の前面(21)に、500nmよりも厚い厚さ(e)を持つ圧電材料から作られる強化層(13)を堆積するステップと、d)キャリア基板(1)とドナー基板(2)とを接合するステップと、e)表面層(22)と強化層(13)とを含んでいる膜(14)をキャリア基板(1)へ移転するために埋め込み弱化平面(20)においてドナー基板(2)を剥離するステップとを含む。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの空洞(11)の上方に圧電性の膜(14)を備えているデバイス(10)を製作するための方法であって、
a)平面(x,y)の全体に広がっている第1の面(12)を有すると共に、前記第1の面(12)上へと開口している空洞(11)が設けられたキャリア基板(1)を用意するステップであって、前記空洞(11)が30μmよりも大きな前記平面(x,y)内の横方向寸法を持っている、キャリア基板(1)を用意するステップと、
b)ドナー基板(2)の前面(21)を通して軽元素種を注入することによって形成された埋め込み弱化平面(20)が設けられた前記ドナー基板(2)を用意するステップであり、前記弱化平面(20)が表面層(22)の範囲を定めている、ドナー基板(2)を用意するステップと、
c)前記ドナー基板(2)の前記前面(21)に、500nmよりも厚い厚さ(e)を持つ圧電材料から作られる強化層(13)を堆積するステップと、
d)前記キャリア基板(1)の前記第1の面(12)と前記強化層(13)との間に配置されたボンディング界面(30)において前記キャリア基板(1)とドナー基板(2)とを接合するステップと、
e)ステップd)の後で、前記表面層(22)と前記強化層(13)とを含んでいる膜(14)を前記キャリア基板(1)へ移転するように前記埋め込み弱化平面(20)において前記ドナー基板(2)を剥離するステップであって、前記膜(14)が前記空洞(11)の上方に設置されている、前記ドナー基板(2)を剥離するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ドナー基板(2)が、シリコン又は炭化ケイ素から作られている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリア基板(1)が、シリコンから作られている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ドナー基板(2)が、シリコンから作られていて、前記強化層(13)が、450℃より低い温度で堆積されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ドナー基板が、炭化ケイ素から作られていて、前記強化層(13)が、850℃より低い温度で堆積されている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記注入された軽元素種が、水素イオン及び/又はヘリウムイオンである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第1の導電性層(31)が、前記強化層(13)と前記キャリア基板(1)との間に挟まれていて、前記第1の層(31)が、前記強化層(13)と直接接触していて、前記デバイス(10)の下部電極(31)を形成するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ボンディング層(32)が、前記強化層(13)と前記キャリア基板(1)との間に挟まれていて、前記ボンディング層(32)が前記キャリア基板(1)と直接接触している、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ボンディング層(32)が、酸化シリコンから作られている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第2の導電性層(33)が、前記強化層(13)に形成されていて、前記第2の層(33)が前記デバイス(10)の上部電極(33)を形成するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
剥離するステップe)の後に、前記表面層(22)への少なくとも1つの機械的グラインディング操作及び/又は少なくとも1つの化学機械研磨操作及び/又は少なくとも1つの化学エッチング操作を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
接合するステップd)が、一方で前記強化層(3)が設けられた前記ドナー基板(2)と他方で前記キャリア基板(1)の前記第1の面(12)との間の分子接着によってボンディングすることを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記表面層(22)の自由表面上の堆積のステップが、前記表面層(22)の厚さを厚くするためにステップe)の後で実行される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
30μmよりも大きな横方向寸法を持っている少なくとも1つの空洞が設けられたキャリア基板へ圧電性の膜(14)を移転するように構成されたドナー基板(2)であって、
前記ドナー基板(2)に配置されていて、表面層(22)の範囲を定めている弱化平面(20)と、
前記表面層(22)に配置され500nmよりも厚い厚さ(e)を持っている圧電材料から作られた強化層(13)と、
を備える、ドナー基板(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロエレクトロニクス及びマイクロシステムズの分野に関する。特に、本発明は、少なくとも1つの空洞の上方を変形させることができる圧電性を有する膜を備えている構造を製作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MEMS(微小電気機械システム)デバイスは、様々なセンサの製造において幅広い利用を見出している。これらのMEMSデバイスのうちの多くの動作原理は、空洞の上方の柔軟な膜を振動させるものである。記載が、例えば、PMUT(圧電マイクロマシン超音波トランスデューサ)マイクロシステムズになされることがある。動作では、物理パラメータ、例えば、音響波の伝播によって生じる膜の振動が、電気信号へと変換される(又は逆も同様であり、デバイスが受信機モードであるかエミッタモードであるかどうかに依存する)。
【0003】
空洞の上方に吊り下げられた膜を有する構造を製作するために、多数の取り組みが行われていることがある。最初の取り組みは、空洞が設けられた基板に以前に貼り付けられたSOI(シリコンオンインシュレータ)基板をバラバラにすることから成る。もう1つの取り組みは、膜の堆積のステップ及び化学侵食を通して膜を解放するステップを含む。
【0004】
犠牲堆積によって吊り下げ膜を形成することは、多数の欠点:限定されるはずの空洞内の何もない空間、解放の間に空洞の底部への膜のボンディングのリスク、部分的解放のリスク、膜上への機械的ストレスを管理することの困難さ、等がある。加えて、SOI基板をグラインディング/化学侵食によって除去する前にSOI基板をボンディングすることによって吊り下げ型膜を形成することが、(ボンディングの瞬間に封じられる)空洞内の雰囲気のより優れた制御を可能にする。しかしながら、この作業がSOI基板の消費を必要とするという理由で、この作業は比較的費用がかかる。
【0005】
もう1つの、よりすっきりとした代替形態は、吊り下げ型膜を形成するためにスマートカット(Smart-Cut)(商標)技術を使用して空洞の直接上方への層の移転を利用することから成る。
【0006】
この代替形態を用いると、大きな寸法を有する空洞の上方に膜を移転することが困難である。しかしながら、大きな寸法を有する空洞にとって、特にPMUTデバイスの動作周波数が大き過ぎず、0.1と10MHzとの間であるように空洞が一般に数100ミクロンの寸法があるPMUTデバイスにとって現実の必要性がある。
【0007】
フランス特許FR2715502は、スマートカットを使用して空洞を覆って吊り下げられる膜をどのように移転するかを記載している。この教示によれば、空洞を含んでいる基板がシリコンから作られるときには、空洞の寸法(Lmax)は、移転される膜の厚さ(e0)の10倍未満であるべきである。空洞の「寸法」により理解されるものは、基板の前面の主平面内の横方向寸法、例えば、幅、長さ、直径、等である。
【0008】
加えて、スマートカット(商標)タイプの方法を使用して移転しようとする膜の最大厚さ(e0)は、ドナー基板注入エネルギーによって制限され、以て数ミクロン以上ではあり得ない。具体的に、より深い注入を可能にできる高エネルギーイオン注入(>250keV)は、低フラックスであり、イオン注入ステップは、著しく長い時間を必要とするはずである。結果として、目標ドーズ(数1016cm-2)を注入するために、この方法は、実行することが困難であり(遅く)そして費用がかかるはずである。加えて、このような機器は、標準ではない。その結果、スマートカットを使用して得られるこのタイプの構造の空洞の最大横方向寸法は、数10ミクロン以上にはなり得ない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、前述の欠点のすべて又はそのうちのいくつかを克服することを目的とする。本発明は、大きなサイズの少なくとも1つの空洞を含む基板へ圧電性の膜を移転するためにスマートカットを使用するための方法に関する。
【0010】
そのために、発明は、少なくとも1つの空洞の上方に圧電性の膜を備えているデバイスを製作するための方法に関し、前記方法は、
a)平面(x,y)の全体に広がっている第1の面を有しそして前記第1の面上へと開口している空洞が設けられたキャリア基板を用意するステップであり、前記空洞が30μmよりも大きい前記平面(x,y)内の横方向寸法を有している、キャリア基板を用意するステップと、
b)ドナー基板の前面を通して軽元素種を注入することによって形成された埋め込み弱化平面が設けられた前記ドナー基板を用意するステップであり、前記弱化平面が表面層の範囲を定めている、ドナー基板を用意するステップと、
c)前記ドナー基板の前記前面に、500nmよりも厚い厚さを持つ圧電材料から作られる強化層を堆積するステップと、
d)前記キャリア基板の前記第1の面と前記強化層との間に配置されるボンディング界面のところで前記キャリア基板と前記ドナー基板とを接合するステップと、
e)ステップd)の後で、前記表面層及び前記強化層を含んでいる膜を前記キャリア基板へ移転させるために前記埋め込み弱化平面において前記ドナー基板を剥離するステップであり、前記膜が前記空洞の上方に設置される、前記ドナー基板を剥離するステップと
を含む。
【0011】
単独で又はいずれかの技術的に実行可能な組み合わせで実施されてもよいこの製造方法の他の利点及び非限定的な特徴によれば、
前記ドナー基板が、シリコン又は炭化ケイ素から作られており、
前記キャリア基板が、シリコンから作られており、
前記ドナー基板が、シリコンから作られていて、前記強化層が、450℃よりも低い温度で堆積されており、
前記ドナー基板が、炭化ケイ素から作られていて、前記強化層が、850℃より低い温度で堆積されており、
前記注入された軽元素種が、水素イオン及び/又はヘリウムイオンであり、
第1の導電性層が、前記強化層と前記キャリア基板との間に挟まれていて、前記第1の層が、前記強化層と直接接触していて、前記デバイスの下部電極を形成するように構成されており、
ボンディング層が、前記強化層と前記キャリア基板との間に挟まれていて、前記ボンディング層が前記キャリア基板と直接接触していて、前記ボンディング層が酸化シリコンから好ましくは作られており、
第2の導電性層が、前記強化層上に形成されていて、前記第2の層が、前記デバイスの上部電極を形成するように構成されており、
前記方法が、剥離するステップe)の後で、前記表面層の少なくとも1つの機械的グラインディング操作及び/又は少なくとも1つの化学機械研磨操作及び/又は少なくとも1つの化学エッチング操作を含んでおり、
接合するステップd)が、一方では前記強化層が設けられた前記ドナー基板と他方では前記キャリア基板の前記第1の面との間を分子接着によりボンディングすることを含んでおり、
前記表面層の自由表面上の堆積のステップが、前記表面層の厚さを厚くするためにステップe)の後で実行される。
【0012】
発明のもう1つの態様によれば、発明はまた、30μmよりも大きな横方向寸法を持っている少なくとも1つの空洞が設けられたキャリア基板へ圧電性の膜を移転するように構成されたドナー基板にも関し、前記ドナー基板が、
前記ドナー基板(2)に配置されており、表面層の範囲を定めている弱化平面と、
前記表面層(22)に配置され500nmよりも厚い厚さ(e)を持っている圧電材料から作られた強化層と
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0013】
発明の他の特徴及び利点は、添付の図を参照して与えられる発明の下記の詳細な説明から明らかになるであろう。
図1】本発明にしたがって、埋め込み空洞の上方に配置された膜を移転するための方法のステップを示す図である。
図2】本発明にしたがって、埋め込み空洞の上方に配置された膜を移転するための方法のステップを示す図である。
図3】本発明にしたがって、埋め込み空洞の上方に配置された膜を移転するための方法のステップを示す図である。
図4】本発明にしたがって、埋め込み空洞の上方に配置された膜を移転するための方法のステップを示す図である。
図5】本発明にしたがって、埋め込み空洞の上方に配置された膜を移転するための方法のステップを示す図である。
図6A】本発明による移転方法の変形形態及び他のステップを示す図である。
図6B】本発明による移転方法の変形形態及び他のステップを示す図である。
図6C】本発明による移転方法の変形形態及び他のステップを示す図である。
図6D】本発明による移転方法の変形形態及び他のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
説明では、複数の図中の同じ参照符号が、同じタイプの要素に対して使用されることがある。図は、読み易さのために等尺ではない模式的な表現である。特に、z軸に沿った層の厚さは、x軸及びy軸に沿った横方向寸法に対して等尺ではなく、そして複数の層の互いに対する相対的な厚さは、図では必ずしも重視される必要がない。
【0015】
発明は、空洞11を含んでいるキャリア基板1へ圧電性の膜14を移転するための方法に関し(図1図5)、前記移転方法は、大きなサイズの埋め込み空洞11を含んでいる構造10を製作することを目的にしている。
【0016】
発明による方法は、キャリア基板1を用意するステップ(図1参照)を含み、キャリア基板1は、ドナー基板2へ接合されるものである第1の面12と、第1の面12の反対の、裏面と呼ばれる第2の面12’とを有する。非限定的な例として、キャリア基板1は、シリコン、ガラス、サファイア、等から構成されてもよい。キャリア基板1の厚さは、数100μm程度のもの、典型的には、ほぼ300mmの直径を有する基板に関して775μmのものであってもよい。
【0017】
キャリア基板1は、キャリア基板の第1の面12上へと開口している複数の空洞11を含んでいる。各々の空洞11は、底面及び周囲壁を有する。キャリア基板1は、シリコン基板であることが好ましい。
【0018】
目標デバイス、特に目標MEMSデバイスに依存する各々の空洞11の幾何学的形状は、下記によって規定され、
キャリア基板1の第1の面12(主平面(x,y)と呼ばれる)の平面内の空洞11の形状、この形状は、おそらく円形、正方形、長方形又は多角形であろう、
主平面(x,y)内の空洞11の横方向寸法L、前記横方向寸法Lは、数10ミクロン~数ミリメートルまでおそらく変わるであろう、
主平面(x,y)に垂直なz軸に沿った空洞11の深さ、前記深さは、数100ナノメートル~数10ミクロン又は数100ミクロンまでおそらく変わるであろう。
【0019】
発明によれば、移転方法は、大きなサイズの埋め込み空洞11を含んでいるキャリア基板1へ圧電性の膜14を移転することを含む。「大きなサイズ」により意味されるものは、空洞11の平面(x,y)内の横方向寸法Lが30μmよりも大きいことである。
【0020】
空洞11の平面的分布、すなわち主平面(x,y)内の空洞の分布もまた、目標デバイスに依存し、空洞間間隔11を規定するであろう:空洞間間隔は、数ミクロン~数100ミクロン、又は数ミリメートルまでおそらく変わるであろう。空洞間間隔は、キャリア基板1の全表面にわたりおそらく一様で同じであろう、又は前記キャリア基板1の表面上の複数の領域同士の間で変わるであろう。
【0021】
特に、埋め込み空洞を含んでいる構造10へと様々なタイプのデバイスを共に集積することが行われる場合に、キャリア基板1は、異なる形状、横方向寸法、深さ及び/又は平面的分布を有する空洞11をおそらく含有するであろうことが注目されるであろう。
【0022】
様々な層(例えば、窒化シリコン、酸化シリコン、等)が、埋め込み空洞11を含んでいる構造10を用いて製作しようと意図されるデバイスのタイプに応じて、空洞11の底面及び/又は壁面におそらく堆積されるであろう。
【0023】
発明による方法はさらに、キャリア基板1に接合されるものである前面21、及び裏面21’を有するドナー基板2を用意するステップも含む(図2参照)。
【0024】
例として、そして非限定的な方式で、ドナー基板2は、少なくとも1つの半導体材料、例えば、シリコン、炭化ケイ素、窒化ガリウム、等、又は圧電材料、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、PZT、等をおそらく含むであろう。ドナー基板2は、シリコン基板又は炭化ケイ素(SiC)基板であることが好ましい。
【0025】
ドナー基板2を用意するステップはさらに、表面層22を形成するものであるドナー基板1の第1の部分とドナー基板2の残部を構成するものである第2の部分23との間に横たわる弱化平面20を形成するように、前面21を通して前記ドナー基板2の中へと軽元素種を注入するステップも含む。注入される軽元素種は、水素イオン及び/又はヘリウムイオンであることが好ましい。
【0026】
第1の部分、そしてそれゆえに将来の表面層22の厚さは、軽元素種(例えば、水素及び/又はヘリウム)の注入エネルギーに依存する。注入エネルギーは、ドナー基板2の第1の部分が約0.2ミクロン~2ミクロンまでの厚さを持つように選択されることが有利である。
【0027】
加えて、発明による方法は、ドナー基板2の前面21に圧電性を有する材料から作られた強化層13を堆積するステップをさらに含む(図3参照)。堆積ステップは、ドナー基板2への軽元素種のイオン注入のステップの後で実施される。層13の厚さeは、500nmよりも厚い。層13の厚さeが、1μm又はさらに4μmよりも厚いことがさらにもっと好ましい。
【0028】
強化層13は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNa1-xNbO又はKNN)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、石英、チタン酸ジルコン酸鉛又はPZT(Pb(Zr,Ti)O)、求められる特性に応じて可変比率(例えば、70/30又は90/10)でのニオブ酸鉛マグネシウムとチタン酸鉛との混合物(PMN-PT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)又は窒化アルミニウムスカンジウム(AlScN)、等から選択される材料から構成されてもよい。
【0029】
強化層13は、AlN又はPZTから作られることが好ましい。具体的に、これら2つの材料は、MEMS分野では最も一般的に使用されている圧電材料であると考えられている。加えて、AlNの弾性係数は、300GPa程度のものであり、PZTの弾性係数よりも実質的に大きい。このように、AlNが強化層13の圧電材料として選択さることがさらにもっと好ましい。
【0030】
例示的な実装形態として、強化層13がAlNから作られていて、そしてドナー基板2がほぼ50μmの横方向寸法を持つ空洞が設けられているシリコンから作られているときに、強化層の厚さは、好ましくは1.5μm以上である。強化層13がPZTから作られているもう1つの類似の例示的な実装形態によれば、そのときには、強化層13の厚さは、7.5μmよりも厚くなるように好ましくは選択される。
【0031】
加えて、当業者は、膜14を移転することを上手くやるように空洞11の横方向寸法L及び強化層13の機械的特性(例えば、ヤング率)にしたがって強化層13の厚さを選択することが可能であろう。
【0032】
当業者はまた、ブリスタリングを防止するようにドナー基板2の性質にしたがって強化層13の堆積のための温度を適応させることもできるであろう。
【0033】
言い換えると、強化層13は、大きなサーマルバジェットを有する熱処理の影響で弱化平面20によって引き起こされることがあるブリスタリングを防止するように適応されそして構成される温度で有利には堆積される。
【0034】
具体的に、軽イオンを注入する効果は、弱化平面20のところに欠陥(原子空孔欠陥又は格子間原子欠陥)を作り出すことである。これらの欠陥は、プレートレットと一般に呼ばれ、約10ナノメートル程度のサイズを有する。温度の効果は、オストワルドライプニングを介してこれらの欠陥の個数の変化を引き起こすことにより、マイクロクラック又はマイクロキャビティの発生をもたらす。過飽和したときには、ドナー基板2へと注入された軽イオンは、温度の効果の下でこれらのマイクロキャビティへとガス状の形態で凝集する。大きなサーマルバジェットが加えられると、空洞は、気泡の形態で縦方向及び横方向にそのときには成長しそして合体して、前面21にブリスタリングを生じさせる。
【0035】
1つの変形実施形態によれば、ドナー基板2がシリコンから作られる(又は軽イオンが注入されているシリコンから作られた層を含む)ときには、堆積温度は、好ましくは450℃よりも低い、さらにより好ましくは400℃よりも低い。
【0036】
もう1つの変形実施形態によれば、ドナー基板2が炭化ケイ素から作られる(又は軽イオンが注入されている炭化ケイ素から作られた層を含む)ときには、堆積温度は、好ましくは850℃よりも低い。
【0037】
層13は、マイクロエレクトロニクス分野における従来の方法に匹敵する当業者には知られたいずれかの技術を使用して堆積されてもよい。強化層13が、カソードスパッタリングを使用して又はゾル-ゲル技術、化学堆積技術使用して堆積されることが好ましい。
【0038】
例として、カソードスパッタリングによる堆積は、窒化アルミニウム(AlN)などのある種の材料に関して300又は400℃程度の低い堆積温度用の結晶化した圧電層を得ることを有利に可能にする。
【0039】
AlNから作られた圧電強化層13が、発明にしたがってカソードスパッタリングを使用して堆積されることが有利である。
【0040】
加えて、PZTが、結晶化されるために、AlNの堆積に対するよりも相対的に高い温度でカソードスパッタリングを使用して堆積される。PZTの堆積のための温度は、700℃に達することがある。
【0041】
発明の1つの実施形態によれば、PZTから作られた強化層13は、ゾル-ゲル法を使用して堆積されてもよい。これは、化学堆積技術であり、堆積されるべき前駆体が溶剤に固体の形態で添加される。得られた溶液は、次いでドナー基板2の前面21の全体にわたり広げられる。広げることが、スピンコーティングにより実現されてもよい。基板は、次いで、炭素鎖を切断する焼成のステップを受ける前に溶剤を蒸発させるために乾燥される。広げるステップ、乾燥するステップ及び焼成ステップのシーケンスは、得られる層の厚さを厚くするために複数回繰り返されてもよい。加えて、得られる層は、本質的に一般に非晶質であり、最終結晶化/緻密化熱処理ステップを必要とする。
【0042】
もう1つの実施形態によれば、PZTから作られる強化層13は、低温MOCVD(有機金属化学気相堆積)を使用して製作されてもよい。具体的に、この技術が、400℃よりも低くてもよい又はさらにより低くてもよい温度で結晶状態のPZTを堆積することを可能にさせることが知られている。
【0043】
発明の1つの実施形態によれば、方法は、堆積した強化層13を修復するための熱処理を任意選択で含む。前記修復熱処理は、強化層13を部分的に又は完全に再結晶化するように有利には働くことがある。この処理はまた、圧電層の堆積中に、前に又は後で層へと取り込まれることがある不純物を堆積した圧電層から脱ガスするため及び/又は取り除くために使用されてもよい。1つの代替形態によれば、熱処理は、堆積した層13の結晶品質を改善するための熱アニールを含んでもよい。
【0044】
図4に図示したように、発明による方法は、キャリア基板1とドナー基板2とを接合するステップをさらに含む。キャリア基板1及びドナー基板2は、キャリア基板1の第1の面12とドナー基板2の前面21に配置された強化層13との間に配置されるボンディング界面30において接合される。
【0045】
このステップは、一方ではキャリア基板1の第1の面12と、他方ではキャリア基板1の強化層13との間の分子接着による直接ボンディングを含むことが有利である。先行技術では良く知られている分子接着の原理は、ここではさらに詳細には説明されないであろう。接合しようとする表面は、良い品質の接合が得られるためには非常に良い表面仕上げ(清浄度、小さな粗さ、等)でなければならないことに留意されたい。
【0046】
良い品質の接合を保証するために、接合するステップが、ドナー基板2の接合しようとする表面(ここではこの実施形態によれば強化層13の表面)及びキャリア基板1の接合しようとする表面を、前記表面同士が接触する前に、洗浄することを含むことが有利である。例として、特にシリコン系の基板について、マイクロエレクトロニクスで使用される従来のシーケンスは、中間のリンスをともなう、オゾン洗浄、SC1洗浄(SC1は標準洗浄(Standard Clean)1の頭字語である)及びSC2洗浄(SC2は標準洗浄2の頭字語である)を含む。接合しようとする表面はまた、前記表面同士の間を高いボンディングエネルギーに高めるために、接触させる前に、例えば、プラズマを使用しておそらく活性化されるであろう。
【0047】
発明による方法は、表面層22及び強化層13を含む膜14をキャリア基板1へ移転するように埋め込み弱化平面20においてドナー基板2を剥離するステップをさらに提供する。剥離することは、ドナー基板2の表面層22と残部23との間の埋め込み弱化平面20において生じる(図2図4及び図5参照)。
【0048】
加えて、剥離するステップは、当然のことながら、キャリア基板1と強化層13が設けられたドナー基板2とを接合するステップの後で行われる。この剥離するステップは、スマートカット法による従来の剥離するステップである。
【0049】
図5に図示したように、剥離するステップの完了で、キャリア基板1へ移転された膜14が得られる。スマートカット法は、優れた厚さ均一性を有する薄層が得られることを有利に可能にすることが思い出されるであろう。この基準は、制御された厚さを示す柔軟な膜を必要としているある種のMEMSデバイスにとって非常に有利であり得る。
【0050】
この剥離することは、数100度と950℃との間の温度での熱処理中に好ましくは実行される。剥離することは、弱化平面がドナー基板2のシリコン層内に配置されるときには、700℃よりも低い温度で行われる熱処理中に実施されることが好ましい。もう1つの実施形態によれば、剥離することは、弱化平面がドナー基板2の炭化ケイ素層内に配置されるときには、950℃よりも低い温度で行われる熱処理中に実施される。
【0051】
1つの実施形態によれば、剥離するステップは、代替で、機械的ストレスを用いて熱処理の後で機械的に支援されてもよい又は実行されてもよい。
【0052】
強化層13がゾル-ゲルを使用して堆積されたPZTから作られている実施形態によれば、500と750℃との間の温度において実行される剥離熱処理は、ドナー基板を剥離することと堆積したPZTの再結晶化を有利に可能にするであろう。言い換えると、剥離熱処理はまた、PZT層を修復するための熱処理も含んでいる。
【0053】
膜14がキャリア基板1へ移転された後で、剥離するステップは、結晶品質(層からの欠陥の除去)、表面品質(層22の自由表面からの残留粗さの除去)を改善すること及び/又は表面層22の厚さを修正することを目的とする仕上げ処理を含んでもよい。この処理は、1つ又は複数の熱処理、化学機械研磨、化学エッチ、エピタキシャル成長及び/又は追加の層の堆積をおそらく含むであろう。
【0054】
具体的に、スマートカット法を使用して移転された表面層22の厚さが不十分であるある種のケースでは、上に述べた仕上げ処理中に、例えば、エピタキシャル成長又は他の知られた堆積方法によって表面層22の自由表面に追加の層を堆積することによってこの厚さを増加させることが可能である(図6D参照)。追加の層は、好ましくは表面層22と同じ性質のものである。
【0055】
発明による方法の完了で、得られたものは、大きなサイズの埋め込み空洞11及び1つ又は複数の空洞11の上方に(表面層22及び強化層13を含む)圧電性の膜14を設けた構造10である。
【0056】
発明による方法は、実施することが容易であり、そして大きな空洞が設けられたキャリア基板への膜の効果的な移転を有利なことに可能にし、前記空洞が30μmよりも大きな横方向寸法を持っている。膜は、その全体が移転され、そしてスマートカット法の利点から恩恵を受ける。具体的に、出願人は、500nmよりも厚い厚さを持っている強化層は、その性質が圧電性でありそしてドナー基板とは異なっていても、ドナー基板に強化効果を大きくすることを可能にさせることを観察した。これは、スマートカット法が大きなサイズの空洞で覆われたキャリア基板を取り扱うときに生じることがある膜のブリスタリングの問題及び/又は部分移転の問題を回避することを有利なことに可能にする。「部分移転」によって意味されるものは、膜の一部が剥離するステップの後でキャリア基板に移転されていないことである。
【0057】
加えて、発明による強化層は、圧電性のものである。このように、発明による方法は、簡潔であり、実施することが容易でありそして大きなサイズの空洞を有する基板に圧電性の膜を製作する際に効果的であり、一方でスマートカット法の利点から恩恵を受ける解決策を提供する。言い換えると、移転された膜は、制御された厚さを有し、空洞の上方に柔軟な膜を必要とするある種のMEMSデバイスとって極めて有利であり得る厚さの優れた均一性を示す。特に、得られた構造は、空洞が一般に数100ミクロンの大きさであるPMUTデバイスを製作するために使用されてもよい。移転された膜の圧電性のものであり及びキャリア基板内の空洞の大きなサイズのものであるスマートカット法の利点のおかげで、発明による方法は、特に正確で一様な動作周波数を有するPMUTデバイスの製作のために構成された構造を得ることを可能にする。
【0058】
図6Aに図示した1つの実施形態によれば、キャリア基板1及び/又はドナー基板2は、それらの界面の結合品質及びボンディングエネルギーを高めるために、それぞれ、第1の面12において及び/又は強化層13より上にボンディング層32を含んでもよい。ボンディング層32は、ボンディング界面30がキャリア基板1の第1の面12と前記ボンディング層32との間であるように強化層13上に好ましくは配置される(図6A及び図6C参照)。ボンディング層32は酸化シリコンから作られることが有利である。具体的に、酸化シリコンは、容易に堆積される材料でありそして直接ボンディングに匹敵する粗さが得られることを可能にする。
【0059】
ボンディング層32が酸化シリコンから作られ、そしてTEOS(テトラエチルオルトケイ酸塩)PECVDを使用して形成されることが好ましい。ボンディング層の堆積の後で、酸化物層は、上に説明したように、直接ボンディングステップのための酸化物層を準備するために、平坦化されそして次いで洗浄されてもよい。
【0060】
ボンディングを向上させるように構成された層32に加えて、追加の層が、特に強化層13において設けられてもよい。これらの層の配置、性質及び機能は、下記に詳細に説明されるであろう。
【0061】
図6Bに図示した1つの実施形態によれば、第1の導電性層31が強化層13とキャリア基板1との間に挟まれる。第1の層31は、強化層13と直接接触しており、発明による方法の完了で製作されるデバイス10の下部電極31を形成するように構成される。
【0062】
第1の層31は、強化層13を堆積するステップの後で堆積されてもよい。この層31は、白金(Pt)、金(Au)、銅(Cu)、モリブデン又はアルミニウム(Al)から作られてもよい。加えて、第1の層31は、マイクロエレクトロニクスの分野では従来の方法に匹敵する当業者には知られているいずれかの技術を使用して製作されてもよい。下部電極31は、互いに組み合わせられた櫛の形態を有利には取ってもよい。
【0063】
例として、第1の層31は、PVD(物理気相堆積)を使用して堆積されてもよい。堆積は、(450℃よりも低い)低温で好ましくは実行される。層31の堆積に関して、密着層及び/又は拡散バリア層もまた設けられてもよい。密着層は、特に、層31が金属的な性質のものである場合に、ドナー基板2上の層31の堆積の品質を向上させるように働く。加えて、拡散バリア層は、可能性のある後の技術的ステップ中に最終構造への金属の拡散を防止することを有利には可能にする。
【0064】
1つの実施形態によれば、層31が直接ボンディングに匹敵する(十分なレベルの粗さ)ときに、層31は、キャリア基板1に直接にボンディングされてもよい(例えば、Au/Au直接ボンディング)。このケースでは、熱圧着ボンディングもまた想定され得る。
【0065】
ボンディング層32が上に説明したように使用される発明の1つの実施形態によれば、ボンディング層32が第1の層31に堆積されてもよい。
【0066】
図6Bに図示したもう1つの実施形態によれば、第2の導電性層33が表面層22に形成される。第2の層32は、表面層22と直接接触しており、発明による方法の完了で製作されるデバイス10の上部電極32を形成するように構成される。
【0067】
第2の層33は、剥離するステップの後で(図6B参照)又は強化層13の堆積の前に(図6C参照)堆積されてもよい。この層33は、白金(Pt)、金(Au)、銅(Cu)、モリブデン又はアルミニウム(Al)から作られてもよい。
【0068】
図6Cに図示したように、層33は、剥離するステップの後で、表面層22と強化層13との間に挟まれるように強化層13の堆積の前に堆積されることが好ましい。この実施形態によれば、電極31及び33は、有利には埋め込まれ、そしてそれゆえに、電極が望まれない酸化又は悪化をほとんど受けないように不動態化される。
【0069】
加えて、第2の層33は、層31と同じ方法で、言い換えると、マイクロエレクトロニクス分野における従来方法に匹敵する当業者には知られたいずれかの技術を使用して製作されてもよい。さらにその上、層31及び33は、数ナノメートル~数10ナノメートルまでの範囲にわたる厚さを持ってもよい。
【0070】
発明はまた、大きなサイズの空洞11を含むキャリア基板1へ圧電性の膜14を移転するように構成されたドナー基板2にも関する(図1から図5)。
【0071】
図3に図示したように、ドナー基板2は、少なくとも1つの半導体材料、例えば、シリコン、炭化ケイ素、窒化ガリウム、等、又は圧電材料、例えば、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、PZT、等を含むバルク基板を含む。ドナー基板2は、シリコン基板又は炭化ケイ素(SiC)基板であることが好ましい。
【0072】
発明によるドナー基板は、表面層22を形成するものであるドナー基板1の第1の部分とドナー基板2の残部を作るものである第2の部分23との間に横たわる弱化平面20が設けられる。弱化平面は、前記ドナー基板2中へと軽元素種を注入することにより形成される。注入される軽元素種は、水素イオン及び/又はヘリウムイオンであることが好ましい。
【0073】
さらにその上、ドナー基板2は、ドナー基板2の前面21に配置された圧電性の強化層13が設けられる。層13の厚さは、500nmよりも厚い。層13の厚さeは、1μm又はさらに4μmよりも厚いことがさらにもっと好まれる。
【0074】
強化層13は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNa1-xNbO若しくはKNN)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、石英、チタン酸ジルコン酸鉛若しくはPZT(Pb(Zr,Ti)O)、求められる特性に応じて可変比率(例えば、70/30若しくは90/10)でのニオブ酸鉛マグネシウムとチタン酸鉛(PMN-PT)との混合物、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)又は窒化アルミニウムスカンジウム(AlScN)、等から選択される材料を含んでもよい。
【0075】
強化層13は、AlN又はPZTから作られることが好ましい。
【0076】
層13は、マイクロエレクトロニクス分野における従来の方法に匹敵する当業者には知られているいずれかの技術を使用して堆積されてもよい。強化層13は、カソードスパッタリングを使用して又は化学堆積技術であるゾル-ゲル技術を使用して堆積されることが好ましい。
【0077】
発明によるドナー基板は、強化層13と表面層22とにより形成された膜14を大きなサイズの空洞11が設けられたキャリア基板1へ移転するように有利には構成される(図5参照)。発明によるドナー基板2は、膜の良好で効果的な移転を容易にする強化性と、このような材料を必要とするデバイス、特にPMUTデバイスを製作するための圧電性との両方を提供する膜の移転を有利なことに可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
【国際調査報告】