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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-31
(54)【発明の名称】プロセス
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20231024BHJP
   C08F 20/20 20060101ALI20231024BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20231024BHJP
【FI】
C08F2/44 Z
C08F20/20
G02B5/20
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521898
(86)(22)【出願日】2021-10-11
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 EP2021078009
(87)【国際公開番号】W WO2022078939
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】20201305.8
(32)【優先日】2020-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21157392.8
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸本 匡史
(72)【発明者】
【氏名】平山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】ブルシュカ,ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 照晃
(72)【発明者】
【氏名】グライネルト,ニルス
(72)【発明者】
【氏名】グローツマン,デニス
(72)【発明者】
【氏名】シャヴィフ,エフド
(72)【発明者】
【氏名】アヴィフ,ヤロン
(72)【発明者】
【氏名】コッソイ,エリザヴェータ
【テーマコード(参考)】
2H148
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
2H148AA00
2H148AA05
2H148AA07
2H148AA09
2H148AA19
2H148BD11
2H148BD25
2H148BF16
2H148BF18
2H148BF20
2H148BG02
2H148BG07
2H148BG08
2H148BG12
2H148BH01
4J011AA05
4J011AC04
4J011FB01
4J011PA04
4J011PA08
4J011PA09
4J011PA10
4J011PA36
4J011PA46
4J011PB25
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA03
4J011QA12
4J011SA84
4J011UA01
4J011VA05
4J011WA05
4J100AL05Q
4J100AL62P
4J100AL63Q
4J100FA02
4J100FA03
4J100JA32
(57)【要約】
本発明は、硬化した組成物を製作するためのプロセスに関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下のステップ:
a)第1光照射として、組成物を光で照射すること;
b)第2光照射として、組成物を光で照射すること
を含む、硬化した組成物を製作するためのプロセスであって、
ここで組成物は、少なくとも1の発光部および反応性モノマーを含む;
ここで第1光照射の光の強度および第2光照射の光の強度が、以下の式(I):
第1光照射の光の強度<第2光照射の光の強度 -(I)
を満足する、前記プロセス。
【請求項2】
第1光照射の光のピーク光波長および第2光照射の光のピーク光波長が、互いに独立して、200nmから450nmまでの範囲にある、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ステップa)での第1光照射の照射時間が、1秒から500秒までの範囲にあり、および
ステップb)での第2光照射の照射時間が、1秒から500秒までの範囲にある、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップ(a)での第1光照射の光の強度が、0.1mW/cm2から20mW/cm2までの範囲にあり、および
ステップ(b)での第2光照射の光の強度が、20mW/cm2から100W/cm2までの範囲にある、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
組成物が、複数の発光部を含有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
組成物が、散乱粒子を含み、ここで散乱粒子の総量は、組成物の固体含量の総量に基づき10wt%以下である、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
反応性モノマーが、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーである、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
組成物は、請求項7に記載の(メタ)アクリラートモノマーとは異なる別の(メタ)アクリラートモノマーをさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーが、組成物中にあり、および
化学式(I)によって表される請求項7に記載の(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの混合比が、1:99(式(I):式(II))から99:1までの範囲にあり、
【化1】

式中
X1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
【化2】

X3は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、またはアルコキシ基である;
R5は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である、
請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
化学式(I)および/または化学式(II)で表される該(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)が、250℃以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
組成物の粘度が、室温にて35cP以下である、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
該発光部は、有機発光材料および/または無機発光材料である、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
組成物は、組成物の総量に基づき10wt%以下で溶媒を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセスから得られるかまたは得ることができる、硬化した組成物。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセスから得られるかまたは得ることができる、層。
【請求項16】
発光部、マトリックス材料、および散乱粒子を含有する層であって、
ここで発光部の総量が、層の総量に基づき0.1wt.%から90wt.%までの範囲にあり、
ここで散乱粒子の総量が、層の総量に基づき10wt%以下である、前記層。
【請求項17】
層の層厚が、1umから50umまでの範囲にある、請求項15または16に記載の層。
【請求項18】
請求項14に記載の硬化した組成物で一部もしくは全部が満たされているか、または請求項15~17のいずれか一項に記載の層で一部もしくは全部が満たされている、少なくとも第1画素(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む、色変換デバイス(100)。
【請求項19】
光を調節するように構成されているか、または光を発するように構成されている、少なくとも1の機能媒体(320、420、520)と、請求項18に記載の色変換デバイス(100)とを含有する、光学デバイス(300)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、硬化した組成物を作製するためのプロセス、硬化した組成物、層、色変換デバイス、色変換デバイスおよび光学デバイスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
WO 2017/054898 A1には、赤色放射型ナノ結晶、湿潤剤・分散剤、溶媒としてのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、酸基を包含するアクリル単位およびシラン修飾アクリル単位を包含するアクリルポリマー混合物を含む組成物が記載されている。
【0003】
WO 2019/002239 A1には、半電導性発光ナノ粒子、ポリマー、およびほぼ90cpの高粘度を有する1.4.シクロヘキサンジメタノール-モノアクリラートなどの(メタ)アクリラートを含む組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献
【特許文献1】WO 2017/054898 A1
【特許文献2】WO 2019/002239 A1
【発明の概要】
【0005】
本発明の概要
しかしながら、本発明者らは、下に挙げられるとおりの、改善が所望される相当な問題が、依然として1つ以上存在することを新たに発見した。
QDインク中、散乱粒子として典型的に使用されるTiO2粒子は、かなり高い密度を有しており、効率的な可視光散乱に必要とされるかなり大きな粒子サイズと組み合わされて、沈降が共通の課題となっている。沈降は、しばしば凝集によって引き起こされるが、インクジェット印刷の最中の課題へ繋がり得る。ゆえに、一般に高EQEを達成するのにより少ない量のTiO2しか要求されないかまたは散乱粒子がまったく要求されないインクを開発することが所望される。
【0006】
加えて、TiO2の添加は、粘度の有意な増大へも繋がる。したがって、TiO2もしくは散乱粒子がより少ないかまたはないQDインク、したがって一般に、インクの設計ならびに他のインク構成要素の選択および濃度に対してより多くの柔軟性を提供するであろうQDインクを提供することが所望される。
【0007】
本発明の利益は、散乱粒子がないかまたは散乱粒子の量がより少ないQDインクにおいて、参照インクと比較したとき、より高いEQEかつより少ないBLを達成すること、参照インクと比較したとき、散乱粒子がないかまたは散乱粒子の量がより少ない硬化QDインクの、より高い曇り価を達成すること、および参照インクと比較したとき、散乱粒子がないかまたは散乱粒子の量がより少ない硬化QDインクの、より高い曇り価、かつ同時により高いEQEを達成し、ことによると同時により少ない青色漏出を実現することである。
【0008】
EQEがより高く、青色漏出がより少なく、プロセス時間がより短く、硬化後の曇り価が改善され、組成物を重合する硬化が改善され、および/またはより小さい組成物の粘度を実現する、硬化した組成物を製作するための新しいプロセスが、所望される。
【0009】
組成物中の最良の量の発光部および散乱粒子を見出し、組成物の、より小さい粘度、より高いEQE、より少ない青色漏出、良好なインクジェット能を達成した。
本発明者らは、上述の問題の1つ以上を解決することを目的とした。
【0010】
そこで、少なくとも以下のステップ;
a)第1光照射として、組成物を光で照射すること;
b)第2光照射として、組成物を光で照射すること
を含む、硬化した組成物を製作するための新規プロセスを見出したが、
ここで組成物は、少なくとも1の発光部および反応性モノマー、好ましくは官能基の1以上を有する該モノマー(より好ましくは、それは、(メタ)アクリラートモノマーである)を含む;
ここで第1光照射の光の強度および第2光照射の光の強度は、以下の式(I)を満足する。
第1光照射の光の強度<第2光照射の光の強度 -(I)
【0011】
別の側面において、本発明はさらに、本発明のプロセスから得られるかまたは得ることができる硬化した組成物に関する。
別の側面において、本発明はさらに、本発明のプロセスから得られるかまたは得ることができる層に関する。
【0012】
別の側面において、本発明はさらにまた、発光部、マトリックス材料、および散乱粒子を含有する層に関し、
ここで発光部の総量は、層の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、より好ましくは10wt.%から70wt.%まで、なおもより好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲にある;および
ここで散乱粒子の総量は、層の総量に基づき、10wt%以下であり、好ましくは5wt%から1wt%までの範囲に、より好ましくは4wt%から2wt%までの範囲にあり、好ましくは層は、青色から緑色への変換効率のため、EQE値を20%以上に達成するように構成されており、より好ましくは該EQE値は、20%から99%までの範囲にあり、より好ましくは該EQE値は、30%から50%までの範囲にあり、なおもより好ましくは該EQE値は、30%から40%までの範囲にあり、好ましくは層はパターン化層であり、好ましくは該層はパターン化層である。
【0013】
別の側面において、本発明はまた、本発明の硬化した組成物で一部もしくは全部が満たされているか、または本発明のいずれか1つの層で一部もしくは全部が満たされている、第1画素(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを少なくとも含む色変換デバイス(100)にも関し、好ましくは色変換デバイス(100)は、支持媒体(170)をさらに含有する。
【0014】
別の側面において、本発明は、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の機能媒体(320、420、520)を含有する光学デバイス(300)における色変換デバイス(100)の使用に関する。
【0015】
さらに、別の側面において、本発明は、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の機能媒体(320、420、520)と、本発明の色変換デバイス(100)とを含有する光学デバイス(300)に関する。
本発明のさらなる利点は、以下の詳細な記載から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面の記載
図1図1:は、色変換フィルム(100)の一態様の概略の横断面図を示す。
図2図2:は、本発明の色変換フィルム(100)の別の態様の概略の上面図を示す。
図3図3:は、本発明の光学デバイス(300)の一態様の概略の横断面図を示す。
図4図4:は、本発明の光学デバイス(300)の別の態様の概略の横断面図を示す。
図5図5:は、本発明の光学デバイス(300)の別の態様の概略の横断面図を示す。
図6図6:は、実施例12のEQE測定の結果を示す。
図7図7:は、実施例12の青色漏出測定の結果を示す
図8図8:は、実施例14のEQE測定の結果を示す。
図9図9:は、実施例14のEQE測定の結果を示す。
図10図10:は、実施例15の粘度測定の結果を示す。
図11図11:は、実施例15の粘度測定の結果を示す。
【符号の説明】
【0017】
図1中の引用符号のリスト
100. 色変換デバイス
110. 発光部
110R.発光部(赤色)
110G.発光部(緑色)
120. マトリックス材料
130. 光散乱粒子(任意)
140. 着色剤(任意)
140R.着色剤(赤色)(任意)
140G.着色剤(緑色)(任意)
140B.着色剤(青色)(任意)
150. バンク
161. 第1画素
162. 第2画素
163. 第3画素
170. 支持媒体(基体)(任意)
【0018】
図2中の引用符号のリスト
200. 色変換フィルム
210R.画素(赤色)
210G.画素(緑色)
210B.画素(青色)
220. バンク
【0019】
図3中の引用符号のリスト
300. 光学デバイス
100. 色変換デバイス
110. 発光部
110R.発光部(赤色)
110G.発光部(緑色)
120. マトリックス材料
130. 光散乱粒子(任意)
140. 着色剤(任意)
140R.着色剤(赤色)(任意)
140G.着色剤(緑色)(任意)
140B.着色剤(青色)(任意)
150. バンク
320. 光モジュレーター
321. 偏光子
322. 電極
323. 液晶層
330. 光源
331. LED光源
332. 導光プレート(任意)
333. 光源(330)からの光放射
【0020】
図4中の引用符号のリスト
400. 光学デバイス
100. 色変換デバイス
110. 発光部
110R.発光部(赤色)
110G.発光部(緑色)
120. マトリックス材料
130. 光散乱粒子(任意)
140. 着色剤(任意)
140R.着色剤(赤色)(任意)
140G.着色剤(緑色)(任意)
140B.着色剤(青色)(任意)
150. バンク
420. 光モジュレーター
421. 偏光子
422. 電極
423. 液晶層
430. 光源
431. LED光源
432. 導光プレート(任意)
440. 色フィルター
433. 光源(330)からの光放射
【0021】
図5中の引用符号のリスト
500. 光学デバイス
100. 色変換デバイス
110. 発光部
110R.発光部(赤色)
110G.発光部(緑色)
120. マトリックス材料
130. 光散乱粒子(任意)
140. 着色剤(任意)
140R.着色剤(赤色)(任意)
140G.着色剤(緑色)(任意)
140B.着色剤(青色)(任意)
150. バンク
520. 発光デバイス(例として、OLED)
521. TFT
522. 電極(アノード)
523. 基体
524. 電極(カソード)
525. 発光層(例として、OLED層(単数または複数))
526. 発光デバイス(520)からの光放射
530. 光学層(例として、偏光子)(任意)
540. 色フィルター
【発明を実施するための形態】
【0022】
用語の定義
本明細書において、記号、単位、略語、および用語は、別様に特定されない限り、以下の意味を有する。
【0023】
本明細書において、特に断りのない限り、単数形は、複数形を包含し、「1つ(one)」または「その(that)」は、「少なくとも1つの」を意味する。本明細書において、特に断りのない限り、概念の要素は、複数種によって表現され得、量(例えば、質量%またはmol%)が記載されているとき複数種の和を意味する。「および/または」は、すべての要素の組み合わせを包含し、また要素の単一使用も包含する。
【0024】
本明細書において、数字で表した範囲が、「まで(to)」または「~」を使用して指し示されているとき、両端点を包含し、その単位は共通している。例えば、5~25mol%は、5mol%以上かつ25mol%以下を意味する。
【0025】
本明細書において、炭化水素は、炭素および水素を包含し、任意に酸素または窒素も包含するものを意味する。ヒドロカルビル基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の炭化水素を意味する。本明細書において、脂肪族炭化水素は、線状の、分枝状の、または環状の脂肪族炭化水素を意味し、脂肪族炭化水素基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の脂肪族炭化水素を意味する。芳香族炭化水素は、任意に置換基として脂肪族炭化水素基を含むのみならず脂環と縮合されていてもよい芳香環を含む炭化水素を意味する。芳香族炭化水素基は、一価もしくは二価の、またはより高い価数の芳香族炭化水素を意味する。さらに、芳香環は、共役不飽和環構造を含む炭化水素を意味し、脂環は、環構造を有するが共役不飽和環構造を含まない炭化水素を意味する。
【0026】
本明細書において、アルキルは、線状または分枝状の飽和炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味し、線状アルキルおよび分枝状アルキルを包含しており、シクロアルキルは、環状構造を含む飽和の炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味し、任意に環状構造において側鎖として線状または分枝状のアルキルを包含する。
【0027】
本明細書において、アリールは、芳香族炭化水素からいずれか1個の水素を除去することによって得られる基を意味する。アルキレンは、線状または分枝状の飽和炭化水素からいずれか2個の水素を除去することによって得られる基を意味する。アリーレンは、芳香族炭化水素からいずれか2個の水素を除去することによって得られる炭化水素基を意味する。
【0028】
本明細書において、ポリマーが複数のタイプの繰り返し単位を有するとき、これらの繰り返し単位は共重合する。これらの共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれか、またはこれらいずれの混合物である。
【0029】
本発明に従うと、用語「(メタ)アクリラートポリマー」は、メタクリラートポリマー、アクリラートポリマー、またはメタクリラートポリマーとアクリラートポリマーとの組み合わせを意味する。
【0030】
用語「放射」は、原子および分子中の電子遷移による電磁波の放射を意味する。
本明細書において、セ氏は、温度単位として使用される。例えば、20度は、セ氏20度を意味する。
【0031】
本発明の詳細な記載
- プロセス
本発明に従うと、硬化した組成物を製作するためのプロセスは、少なくとも以下のステップ;
a) 第1光照射として、組成物を光で照射すること;
b) 第2光照射として、組成物を光で照射すること
を含む;
ここで組成物は、少なくとも1の発光部、および反応性モノマー、好ましくは官能基の1以上を有する該モノマー、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマーを含む;
ここで第1光照射の光の強度および第2光照射の光の強度は、以下の式(I)を満足する。
第1光照射の光の強度<第2光照射の光の強度 -(I)
【0032】
本特許出願において「2ステップ硬化プロセス」と呼ばれる。
上記「2ステップ硬化プロセス」を適用することによって、反応性モノマー(単数または複数)、発光部を包含する組成物の反応条件が十分に制御され得ること、およびプロセス時間がより短くなり得ること、およびそれが最適化され得ることが考えられる。ひいてはそれによって、硬化した組成物(フィルム)の、より少ない青色漏出でより高いEQE値、および/または改善された曇り価に繋がる。
【0033】
本発明の好ましい態様において、第1光照射の光のピーク光波長および第2光照射の光のピーク光波長は、互いに独立して、200から450nmまで、好ましくは365から410nmまで、より好ましくは375から405nmまでの範囲にある。かかるピーク光波長は、組成物の滑らかな硬化に好ましいものと見なされる。
【0034】
本発明の好ましい態様において、ステップa)での第1光照射の照射時間は、1秒から500秒までの範囲にあり、かつステップb)での第2光照射の照射時間は、1秒から500秒までの範囲にあり、好ましくは、ステップa)での第1光照射の照射時間は、2秒から100秒までの範囲にあり、かつステップb)での第2光照射の照射時間は、2秒から100秒までの範囲にあり、より好ましくは、ステップa)での第1光照射の照射時間は、3秒から50秒までの範囲にあり、ステップb)での第2光照射の照射時間は、5秒から50秒までの範囲にあり、なおもより好ましくは、より好ましくは、ステップa)での第1光照射の照射時間は、4秒から20秒までの範囲にあり、かつステップb)での第2光照射の照射時間は、7秒から20秒までの範囲にある。
【0035】
第1光照射を適用することによって、組成物が重合を開始すると考えられる。第1光照射の光強度は、第2光照射の光強度より弱い。したがって、より温和な硬化条件下で、組成物はより温和に重合し得る。次いで、光強度がより強い第2光照射を適用することによって、組成物は十分に重合され得る。次いで、硬化した組成物のより高いEQE値および硬化した組成物のより少ない青色光漏出に繋がる。さらに、2ステップ硬化プロセスを適用することによって、プロセス時間が自由に制御され得、およびより短いプロセス時間が実現され得る。
【0036】
本発明の好ましい態様において、ステップ(a)での第1光照射の光の強度は、0.1mW/cm2から20mW/cm2までの範囲にあり、かつステップ(b)での第2光照射の光の強度は、20mW/cm2から100W/cm2までの範囲にあり、好ましくは、ステップ(a)での第1光照射の光の強度は、0.5mW/cm2から10mW/cm2までの範囲にあり、かつステップ(b)での第2光照射の光の強度は、100mW/cm2から10W/cm2までの範囲にあり、より好ましくは、ステップ(a)での第1光照射の光の強度は、1mW/cm2から5mW/cm2までの範囲にあり、かつステップ(b)での第2光照射の光の強度は、200mW/cm2から5W/cm2までの範囲にある。
【0037】
上記光強度を選択することによって、改善されたEQE値、より少ない青色光漏出、および最適化されたより短いプロセス時間、ならびに十分に重合した硬化フィルム(組成物)が実現され得ると考えられる。
【0038】
より高いEQEを実現する観点から、組成物が重合するまで、より低い光強度を有する光で組成物を照射することが好適である。好ましくは、光照射の総エネルギーは、900mJ/cm2から5J/cm2までの範囲にある。より好ましくは、ほぼ2~3J/cm2である。
【0039】
本発明の好ましい態様において、組成物は複数の発光部を含有し、好ましくは発光部の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、より好ましくは10wt.%から70wt.%まで、なおもより好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲にある。
【0040】
本発明の好ましい態様において、組成物は散乱粒子を含むが、ここで散乱粒子の総量は、組成物の固体含量の総量に基づき、10wt%以下、好ましくは10~0wt%、より好ましくは5から1wt%までの範囲にあり、なおもより好ましくは4から2wt%までの範囲にある。
【0041】
上記範囲は、とくにインク噴射、散乱粒子の良好な分散性、組成物の硬化後のより高いEQE値および/または改善された曇り価にとって、組成物の好適な粘度の観点から好ましいと考えられる。
【0042】
別の側面において、硬化したフィルム/組成物のさらに改善されたEQE値および曇り価を実現する観点から、「2ステップ硬化プロセス」を適用せずに第1光照射のみを適用してもよい。このケースにおいては、組成物へ適用される第2照射ステップが存在しない。第1光照射は、組成物が硬化するまで、上記のより低い強度で適用される。
【0043】
このケースにおいて、ステップ(a)での第1光照射の光の強度は0.1mW/cm2から20mW/cm2までの範囲にあり、かつ第2光照射が存在せず、好ましくは、ステップ(a)での第1光照射の光の強度は0.5mW/cm2から10mW/cm2までの範囲にあり、より好ましくは、ステップ(a)での第1光照射の光の強度は1mW/cm2から5mW/cm2までの範囲にある。
【0044】
好ましくは、光照射の総エネルギーは、900mJ/cm2から~5J/cm2までの範囲にある。より好ましくは、ほぼ2~3J/cm2である。
【0045】
- 反応性モノマー
本発明に従うと、プロセスに使用される組成物は、少なくとも1つの反応性モノマーを含有し、好ましくは、該モノマーは官能基の1以上を含有し、より好ましくは、それは(メタ)アクリラートモノマーである。
【0046】
本発明の好ましい態様において、該(メタ)アクリラートモノマーは、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択され、より好ましくは、ジ-メタクリラートモノマーまたはジ-アクリラートモノマー、トリ-メタクリラートモノマー、トリ-アクリラートモノマーであり、なおもより好ましくは、以下の化学式(I)、
【化1】

によって表され、式中
X1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
好ましくは、記号X1は、
【化2】

であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の記号X2への接続点を表す;
nは、0または1である;
好ましくは、記号X2は、
【化3】

であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の記号X1への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR2への接続点を表す;
mは、0または1である;
好ましくは、少なくともmまたはnは、1である;
R3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくは、R3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する、直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2によって置き換えられていてもよい;
R4は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくは、R4は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する、直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2によって置き換えられていてもよい;
Raは、出現毎に、同一であるかまたは異なっており、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基Raはここでまた、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を形成していてもよい。
【0047】
本発明の好ましい態様において、組成物の粘度は、室温にて35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、なおもより好ましくは2から25cPまでの範囲にある。
【0048】
本発明に従うと、該粘度は、振動型粘度計VM-10A(SEKONIC)によって室温にて測定され得る。
https://www.sekonic.co.jp/english/product/viscometer/vm/vm_series.html
【0049】
より低い粘度は、インクジェット印刷に好適な低粘度組成物を作製するのに重要であると考えられる。したがって、上述のパラメータ範囲内の粘度値を有する(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷用組成物を作製するのにとくに好適である。組成物においてこれらの(メタ)アクリラートモノマーを使用することによって、これを半電導性発光ナノ粒子などの別の材料と高ロード(high loading)で混合したとき、組成物は、インクジェット印刷に好適な範囲内のより低い粘度を依然として保ち得る。
【0050】
本発明の好ましい態様において、化学式(I)で表される該(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、大面積に一様な(large area uniform)インクジェット印刷のために、250℃以上、好ましくは250℃から350℃まで、なおもより好ましくは280℃から350℃まで、さらにより好ましくは300℃から348℃までの範囲にある。
【0051】
該高沸点はまた、より小さい蒸気圧(好ましくは、0.001mmHg未満)を有する、大面積に一様な印刷のための組成物を作製するのにも重要であって、大面積に一様なインクジェット印刷に好適な組成物を作製するために、高ロードの別の材料(高ロードの半電導性発光ナノ粒子など)と混合する場合であっても、25℃にて25cP以下の粘度値かつ少なくとも250℃以上の(好ましくは250℃から350℃まで、より好ましくは300℃から348℃までの範囲にある)沸点を有する式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーを使用するのが好ましいと考えられる。
【0052】
本発明に従うと、該B.P.は、Science of Petroleum, Vol.II. p.1281 (1398), https://www.sigmaaldrich.com/chemistry/solvents/learning-center/nomograph.htmlなどに記載された方法といった、知られている方法によって見積もられ得る。
【0053】
本発明に従うと、化学式(I)によって表される、公的に入手可能なアクリラートおよび/またはメタクリラートのいずれのタイプも、好ましく使用され得る。
とくに第1の側面では、化学式(I)によって表される、25℃にて25cP以下の粘度値を有する公的に入手可能なアクリラートおよび/またはメタクリラートのいずれのタイプも、使用され得る。
【0054】
さらにより好ましくは、式(I)の該R3および式(I)のR4は各々、互いに独立して、以下の基から選択されるが、ここで基はRaで置換され得、好ましくはRaによって置換されていない。
【表1-1】

【表1-2】
【0055】
殊更好ましくは、式(I)の該R3およびR4は、出現毎に、独立してまたは異なって、以下の基から選択される。
【表2-1】

【表2-2】

式中「*」はR3の場合、式の酸素原子への接続点または式のX2への接続点を表し、および式中「*」はR4の場合、式の酸素原子への接続点または式のX1への接続点を表す。
【0056】
さらにより好ましくは、該式(I)は、NDDA(ノナンジオールジアクリラート;BP:342℃)、HDDMA(ヘキサンジオールジメタクリラート;BP:307)、HDDA(ヘキサンジオールジアクリラート;BP:295℃)、またはDPGDA(BP:314℃)である。
【化4】
【0057】
- 別の反応性モノマー
本発明に従うと、好ましい態様において、組成物はさらに、別の反応性モノマー、好ましくは官能基の1以上を有する該別の反応性モノマー、より好ましくは化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーとは異なる(メタ)アクリラートモノマーを含み、好ましくは、該別の(メタ)アクリラートモノマーは、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、より好ましくはモノ-メタクリラートモノマーまたはモノ-アクリラートモノマーであり、なおもより好ましくは以下の化学式(II)によって表される。
【化5】

X3は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、またはアルコキシ基である;
好ましくは、記号X3は、
【化6】

であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR5への接続点を表す;
lは、0または1である;
R5は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R6は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、好ましくはR6は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2によって置き換えられていてもよい;
R7は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはR7は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2によって置き換えられていてもよい;
Raは、出現毎に、同一であるかまたは異なっており、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基Raはここでまた、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を相互に形成していてもよい。
【0058】
以下の化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマーは、式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの粘度よりはるかに小さい粘度値を示すと考えられる。よって、化学式(II)によって表される(メタ)アクリラートモノマーを化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーと組み合わせて使用することによって、滑らかなインクジェット印刷に所望されるはるかにより小さい粘度を有する組成物が、好ましくは外部量子効率(EQE)値を減少させずに、実現され得る。
【0059】
該組み合わせは、多量の別の材料(高ロードの半電導性発光ナノ粒子など)を含む低粘度組成物を実現し得ると考えられる。よって、これは、組成物が別の材料を含むとき、インクジェット印刷にとくに好適である。
【0060】
本発明の好ましい態様において、該化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、大面積に一様なインクジェット印刷のために、250℃以上であり、好ましくは化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、250℃以上、より好ましくは250℃から350℃まで、なおもより好ましくは280℃から350℃まで、さらにより好ましくは300℃から348℃までの範囲にある。
【0061】
本発明のさらに好ましい態様において、化学式(I)で表される該(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)、および/または該化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、大面積に一様なインクジェット印刷のために、250℃以上であり、好ましくは化学式(I)および化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、250℃以上であり、より好ましくは250℃から350℃まで、なおもより好ましくは280℃から350℃まで、さらにより好ましくは300℃から348℃までの範囲にある。
【0062】
さらにより好ましくは、式(II)の該R7は、出現毎に、独立してまたは異なって、以下の基から選択されるが、ここで基は、Raで置換され得、好ましくはRaによって置換されていない。
【表3】

式中「*」はlが1である場合、X3のR6への接続点を表し、およびそれはnが0である場合、式(II)のX3の酸素原子への接続点を表す。
【0063】
さらにより好ましくは、該式(II)は、ラウリルメタクリラート(LM、粘度6cP、BP:142℃)またはラウリルアクリラート(LA、粘度:4.0cP、BP 313.2℃)である。
【0064】
本発明の好ましい態様において、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは組成物中にあり、かつ化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに対する混合比は、1:99から99:1(式(I):式(II))まで、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60まで、なおもより好ましくは15:85から25:75までの範囲にあり、好ましくは、化学式(I)、(II)によって表される、少なくとも精製された(メタ)アクリラートモノマーが組成物中に使用され、より好ましくは、化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーがともに、精製方法によって得られるかまたは得ることができる。
【0065】
化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの総量に対する、より多い量の化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、組成物の改善されたEQEに繋がり、化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの総量に対する化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーの、50wt.%未満の混合重量比が、組成物の粘度、組成物のより良好なインク噴射特性の観点から好ましいと考えられる。
【0066】
好ましくは、(メタ)アクリラートモノマーなどの反応性モノマーは、シリカカラムを使用することによって精製されるか、または使用に先立ちモレキュラーシーブに通過させることによって精製される。
(メタ)アクリラートモノマーからのシリカカラム精製による不純物除去は、組成物中の半電導性発光ナノ粒子の改善されたQYに繋がると考えられる。
【0067】
本発明のいくつかの態様において、組成物はさらに、以下の化学式(III);
【化7】

によって表される(メタ)アクリラートモノマーを含み、式中R9は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(IV)
【化8】

によって表される(メタ)アクリル基である;
R6は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(V)
【化9】

によって表される(メタ)アクリル基である;
R7は、水素原子、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基、または化学式(VI)
【化10】

によって表される(メタ)アクリル基である;
式中R8a、R8b、およびR8cは、出現毎に各々独立してまたは互いに依存して、HまたはCH3である;
式中R9、R10、およびR11の少なくとも1つは、(メタ)アクリル基であり、好ましくはR9、R10、およびR11の2つは、(メタ)アクリル基であり、かつ他の1つは、水素原子または1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキル基であり、好ましくは式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの電気伝導率(S/cm)は、1.0*10-10以下、好ましくは5.0*10-11以下、より好ましくは5.0*10-11から1.0*10-15までの範囲にあり、なおもより好ましくは5.0*10-12から1.0*10-15までの範囲にある。
【0068】
化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷後の組成物から後に作られるその固体性(solidity)を改善するのに有用であると考えられる。
本発明に従うと、以下の化学式(III)によって表される、公知の(メタ)アクリラートモノマーは、インクジェット印刷および架橋後の層の固体性を改善するのに使用され得る。
【0069】
極めて好ましくは、トリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)は、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーとして使用される。
本発明の好ましい態様において、化学式(III)で表される(メタ)アクリラートモノマーの量は、組成物中の(メタ)アクリラートモノマーの総量に基づき、0.001wt.%から25wt.%までの範囲にあり、より好ましくは0.1wt.%から15wt.%まで、なおもより好ましくは1wt.%から10wt.%まで、さらにより好ましくは3から7wt%までの範囲にある。
【0070】
好ましくは、(メタ)アクリラートモノマーなどの反応性モノマーは、シリカカラムを使用することによって精製されるか、または使用に先立ちモレキュラーシーブに通過させることによって精製される。
(メタ)アクリラートモノマーからのシリカカラム精製による不純物除去は、組成物中の半電導性発光ナノ粒子の改善されたQYに繋がると考えられる。
【0071】
本発明に従うと、好ましい態様において、組成物の粘度は、室温にて35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、なおもより好ましくは2から25cPまでの範囲にある。
【0072】
本発明の好ましい態様において、組成物は、組成物の総量に基づき、溶媒を10wt%以下、より好ましくは5wt%以下含み、より好ましくは、組成物は、無溶媒の組成物であり、好ましくは、組成物は、以下からなる群の1以上のメンバーから選択される以下の溶媒のいずれか1つを含まない:エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどの、エチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどの、ジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの、プロピレングリコールモノアルキルエーテル;酢酸メチルセロソルブおよび酢酸エチルセロソルブなどの、エチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどの、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどの、ケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、トリエチエングリコール、およびグリセリンなどの、アルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナート、および乳酸エチルなどの、エステル;ならびにガンマ-ブチロ-ラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、たとえば、1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、3-メチルビフェニル、4-メチルビフェニル、およびジクロロベンゼンなどの、塩素化炭化水素、好ましくは、該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルである。
【0073】
組成物中10wt%未満の溶媒は、改善されたインク噴射に繋がり、溶媒の蒸発後の同じ画素上への2回以上のインク噴射を回避し得ると考えられる。
【0074】
- 発光部(110)
本発明の好ましい態様において、該発光部は、有機発光材料および/または無機発光材料であり、好ましくは、該有機発光材料は、有機色素、または有機発光ダイオードデバイス用の有機発光材料であり、好ましくは、該無機発光材料は、無機リン光体(phosphor)および/または量子(サイズの)材料などの半電導性発光ナノ粒子である。
【0075】
本発明のいくつかの態様において、発光部(110)の総量は、第1画素(161)の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは10wt.%から70wt.%まで、より好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲にある。
【0076】
- iii)半電導性発光ナノ粒子
本発明に従うと、用語「半導体」は、室温にて伝導体(銅など)の電気伝導率と絶縁体(ガラスなど)の電気伝導率との間の程度の電気伝導率を有する材料を意味する。好ましくは、半導体は、電気伝導率が温度とともに増加する材料である。
【0077】
用語「ナノサイズ(の)」は、0.1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmの間にあるサイズを意味する。
【0078】
よって、本発明に従うと、「半電導性発光ナノ粒子」は、そのサイズが、0.1nm~150nm、より好ましくは3nm~50nmの間にあり、室温にて伝導体(銅など)の電気伝導率と絶縁体(ガラスなど)の電気伝導率との間の程度の電気伝導率を有する発光材料を意味するものと解釈され、好ましくは、半導体は、電気伝導率が温度とともに増加し、かつサイズが、0.1nmと150nmとの間、好ましくは0.5nm~150nm、より好ましくは1nm~50nmにある材料である。
【0079】
本発明に従うと、用語「サイズ」は、半電導性ナノサイズ発光粒子の最長軸の平均直径を意味する。
【0080】
半電導性ナノサイズ発光粒子の平均直径は、Tecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeによって創作されたTEM画像中の100半電導性発光ナノ粒子に基づき算出される。
本発明の好ましい態様において、本発明の半電導性発光ナノ粒子は、量子サイズの材料である。
【0081】
本発明に従うと、用語「量子サイズ(の)」は、例えばISBN:978-3-662-44822-9に記載されるように量子閉じ込め効果を示し得る、配位子も別の表面修飾もない半電導性材料自体のサイズを意味する。
【0082】
例えば、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnSeS、ZnTe、ZnO、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgSe、HgTe、InAs、InP、InPZn、InPZnS、InPZnSe、InPZnSeS、InPZnGa、InPGaS、InPGaSe、InPGaSeS、InPZnGaSeSおよびInPGa、InCdP、InPCdS、InPCdSe、InSb、AlAs、AlP、AlSb、Cu2S、Cu2Se、CuInS2、CuInSe2、Cu2(ZnSn)S4、Cu2(InGa)S4、TiO2の合金、ならびにこれらのいずれの組み合わせも使用され得る。
【0083】
本発明の好ましい態様において、第1の半電導性材料は、周期表の第13族の少なくとも1つの元素と周期表の第15族の1つの元素とを含み、好ましくは、第13族の元素はInであり、かつ第15族の元素はPであり、より好ましくは、第1の半電導性材料は、InP、InPZn、InPZnS、InPZnSe、InPZnSeS、InPZnGa、InPGaS、InPGaSe、InPGaSeS、InPZnGaSeS、およびInPGaからなる群から選択される。
【0084】
本発明に従うと、半電導性発光ナノ粒子のコアの形状のタイプ、および合成された半電導性発光ナノ粒子の形状は、具体的に限定されない。
【0085】
例えば、球状に成形された、細長く成形された、星状に成形された、多面体状に成形された、ピラミッド状に成形された、四脚に成形された、4面体状に成形された、血小板状に成形された、円錐状に成形された、および不規則に成形されたコアおよび-または半電導性発光ナノ粒子が、合成され得る。
【0086】
本発明のいくつかの態様において、コアの平均直径は、1.5nmから3.5nmまでの範囲にある。
コアの平均直径は、Tecnai G2 Spirit Twin T-12 Transmission Electron Microscopeによって創作されたTEM画像中の100半電導性発光ナノ粒子に基づき算出される。
【0087】
本発明のいくつかの態様において、少なくとも1つのシェル層は、周期表の第12族の第1元素と周期表の第16族の第2元素とを含むかまたはこれらからなり、好ましくは、第1元素はZnであり、かつ第2元素はS、Se、またはTeである;好ましくは、該コア上を直接覆う第1シェル層は、周期表の第12族の第1元素と周期表の第16族の第2元素とを含むかまたはこれらからなり、好ましくは、第1元素はZnであり、かつ第2元素はS、Se、またはTeである。
【0088】
本発明の好ましい態様において、少なくとも1つのシェル層(第1シェル層)は、以下の式(XI)によって表され、好ましくは、コアを直接覆うシェル層は、化学式(XI)によって表される;
ZnSxSeyTez -(XI)
式中0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、好ましくは、0≦x≦1、0≦y≦1、z=0、およびx+y=1、好ましくは、シェル層は、ZnSe、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezである。
【0089】
本発明のいくつかの態様において、該シェル層は、合金のシェル層または勾配のある(graded)シェル層であり、好ましくは、該勾配のあるシェル層は、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTez、より好ましくはZnSxSeyである。
【0090】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子はさらに、該シェル層上の第2のシェル層を含み、好ましくは、第2のシェル層は、周期表の第12族の第3元素と周期表の第16族の第4元素とを含むかまたはこれらからなり、より好ましくは、第3元素はZnであり、かつ第4元素はS、Se、またはTeであるが、ただし第4元素と第2元素とは、同じではない。
【0091】
本発明の好ましい態様において、第2のシェル層は、以下の式(XI')、
ZnSxSeyTez -(XI')
によって表され、式中0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、およびx+y+z=1、好ましくは、シェル層は、ZnSe、ZnSxSey、ZnSeyTez、またはZnSxTezであるが、ただしシェル層と第2のシェル層とは、同じではない。
【0092】
本発明のいくつかの態様において、該第2のシェル層は、合金のシェル層であり得る。
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子はさらに、マルチシェル(multishell)として、第2のシェル層上へ1以上の追加のシェル層を含み得る。
【0093】
本発明に従うと、用語「マルチシェル」は、3以上のシェル層からなる積み重ねシェル層を表す。
【0094】
例えば、CdSe/CdS、CdSeS/CdZnS、CdSeS/CdS/ZnS、ZnSe/CdS、CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnS、InZnPS/ZnS、InZnPS ZnSe、InZnPS/ZnSe/ZnS、ZnSe/CdS、ZnSe/ZnS、またはこれらいずれかの組み合わせが、使用され得る。好ましくは、InP/ZnS、InP/ZnSe、InP/ZnSe/ZnS、InZnP/ZnS、InZnP/ZnSe、InZnP/ZnSe/ZnS、InGaP/ZnS、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnSe/ZnSである。
【0095】
かかる半電導性発光ナノ粒子は、公的に入手可能であるか(例えば、Sigma Aldrichから)、および/または例えば、US 7,588,828 B、US 8,679,543 B、およびChem.Mater.2015,27,pp4893-4898に記載される方法で合成され得る。
【0096】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、2以上の半電導性発光ナノ粒子を含む。
本発明のいくつかの態様において、組成物は、複数の半電導性発光ナノ粒子を含む。
【0097】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、好ましくは10wt.%から70wt.%まで、より好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲にある。
【0098】
- 配位子
本発明のいくつかの態様において、任意に、半電導性発光ナノ粒子は、1以上の配位子によって直接上から覆われ得るか、または半電導性発光ナノ粒子の無機部分の最外表面が、追加の配位子によって直接覆われ得、かつ追加の配位子はさらに、ポリマーによって覆われる。
【0099】
追加の配位子として、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、およびトリブチルホスフィン(TBP)などの、ホスフィンならびにホスフィンオキシド;ドデシルホスホン酸(DDPA)、トリデシルホスホン酸(TDPA)、オクタデシルホスホン酸(ODPA)、およびヘキシルホスホン酸(HPA)などの、ホスホン酸;アミン、たとえば、オレイルアミン、ドデシルアミン(DDA)、テトラデシルアミン(TDA)、ヘキサデシルアミン(HDA)、およびオクタデシルアミン(ODA)、オレイルアミン(OLA)、1-オクタデセン(ODE)、ヘキサデカンチオールおよびヘキサンチオールなどのチオール;メルカプトプロピオン酸およびメルカプトウンデカン酸などの、メルカプトカルボン酸;オレイン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸などの、カルボン酸;酢酸、ポリエチレンイミン(PEI)、単官能PEGチオール(mPEG-チオール)またはmPEGチオールの誘導体、およびこれらいずれの組み合わせも使用され得る。
【0100】
かかる配位子の例は、例えば、国際特許出願公開第WO 2012/059931A号に記載されている。
【0101】
- 散乱粒子
本発明に従うと、散乱粒子として、SiO2、SnO2、CuO、CoO、Al2O3 TiO2、Fe2O3、Y2O3、ZnO、ZnS、MgOなどの、公知の小粒子の無機オキシド;重合ポリスチレン、重合PMMAなどの、有機粒子;中空シリカなどの無機中空オキシド、またはこれらいずれの組み合わせ;も使用され得る。散乱粒子の量は、層の固体含量の総量に基づき、好ましくは4wt%以下、好ましくは4から0wt%までの範囲にあり、より好ましくは1から0wt%までの範囲にあり、より好ましくは、層および/または組成物はいずれの散乱粒子も含有しない。
【0102】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、
iii)第1半電導性ナノ粒子を含む少なくとも1つの半電導性発光ナノ粒子、任意に少なくとも一部の第1半電導性ナノ粒子を覆う1以上のシェル層を含み、好ましくは、組成物はEQE値を23%以上、好ましくは24%以上かつ95%未満有する。
【0103】
本発明に従うと、透明のポリマーとして、例えばWO 2016/134820Aに記載の、光学デバイスに好適な多種多様の公知の透明のポリマーが、好ましく使用され得る。
【0104】
本発明に従うと、用語「透明の」は、光学媒体に使用される厚さにて、かつ光学媒体の操作最中に使用される波長または波長の範囲にて、少なくともほぼ60%の入射光の透過を意味する。好ましくは、それは70%超、より好ましくは75%超、最も好ましくは80%超である。
【0105】
本発明に従うと、用語「ポリマー」は、繰り返し単位を有し、かつ重量平均分子量(Mw)1000g/mol以上を有する材料を意味する。
【0106】
分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対してGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
本発明のいくつかの態様において、透明のポリマーのガラス転移温度(Tg)は、70℃以上かつ250℃以下である。
【0107】
Tgは、http://pslc.ws/macrog/dsc.htm;Rickey J Seyler, Assignment of the Glass Transition, ASTM publication code number (PCN) 04-012490-50に記載されるように、示唆走査熱量測定において観察される熱容量の変化に基づき測定される。
【0108】
例えば、透明のマトリックス材料用の透明のポリマーとして、ポリ(メタ)アクリラート、エポキシ、ポリウレタン、ポリシロキサンが、好ましく使用され得る。
【0109】
本発明の好ましい態様において、透明のマトリックス材料としてのポリマーの重量平均分子量(Mw)は、1,000から300,000g/molまで、より好ましくは10,000から250,000g/molまでの範囲にある。
【0110】
本発明に従うと、公知の抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および/または界面活性剤が、WO 2016/134820Aに記載のように、好ましく使用され得る。
【0111】
本発明に従うと、好ましくは、組成物はさらに、以下からなる群の1以上のメンバーから選択される別の材料を含む;
【0112】
A)請求項1に記載の発光部とは異なる別の発光部、好ましくは、該発光部は有機発光材料および/または無機発光材料であり、より好ましくは、該有機発光材料は、有機色素、または有機発光ダイオードデバイス用の有機発光材料であり、より好ましくは、該無機発光材料は無機リン光体および/または量子材料であり、好ましくは、該発光部は配位子を含み、より好ましくは、該発光部は炭素原子2~25個を有するアルキルまたはアルケニルタイプの配位子を含む;
B)別の(メタ)アクリラートモノマー;ならびに
C)光学的に透明のポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および/または界面活性剤。
【0113】
本発明のいくつかの態様において、好ましくは、本発明の組成物は、
v)散乱粒子;および
vii)少なくとも1のポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成される該ポリマー
を含む;ここでポリマーは、少なくともホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはこれらの組み合わせを含み、好ましくは、ポリマーは、三級アミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む。
【0114】
本発明に従うと、ポリマーであって、該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成される該ポリマーは、ホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、またはこれらの組み合わせをを含む少なくとも繰り返し単位Aを含み、好ましくは、繰り返し単位Aは、三級アミン、ホスフィンオキシド基、ホスホン酸、またはホスファート基を含む。
【0115】
本発明のいくつかの態様において、繰り返し単位Aおよび繰り返し単位Bは、構成繰り返し単位である。
【0116】
なおもより好ましくは、繰り返し単位Aは、以下の化学式(VII)、
NR12R13R14- -(VII)
によって表される三級アミンを含み、式中R12は、水素原子、1~30個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、または1~30個の炭素原子を有するアリール基である;R13は、水素原子、1~30個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、または1~30個の炭素原子を有するアリール基である;R12およびR13は、互いに同じかまたは異なり得る;R14は、単結合、1~30個の炭素原子を有する直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基、1~30個の炭素原子を有するアルケニレン基、1~30個の炭素原子を有する(ポリ)オキサアルキレン基である。
【0117】
なおもより好ましくは、R12は、1~30個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基である;R13は、1~30個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状のアルキル基である;R12およびR13は、互いに同じかまたは異なり得る。
【0118】
さらにより好ましくは、R12は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、またはn-ブチル基である;R13は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、またはn-ブチル基である。
本発明に従うと、好ましい態様において、繰り返し単位Aは、塩を含有しない。
【0119】
本発明の好ましい態様において、ポリマーは、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、交互コポリマー、およびランダムコポリマーからなる群から選択されるコポリマーであり、好ましくは、該コポリマーは、繰り返し単位Aと、いずれのホスフィン基、ホスフィンオキシド基、ホスファート基、ホスホナート基、チオール基、三級アミン、カルボキシル基、複素環基、シラン基、スルホン酸、ヒドロキシル基、ホスホン酸、およびこれらの組み合わせも包含しない繰り返し単位Bとを含み、より好ましくは、コポリマーは、以下の化学式(VIII)または(IX)、
An - Bm -(VIII)
Bo - An - Bm -(IX)
によって表されるブロックコポリマーであり、式中記号「A」は、繰り返し単位Aを表す;記号「B」は、繰り返し単位Bを意味するものと解釈される;記号「n」、「m」、および「o」は、出現毎に、互いに独立してまたは依存して、整数1~100、好ましくは5~75、より好ましくは7~50である;なおもより好ましくは、繰り返し単位Bは、(ポリ)エチレン、(ポリ)フェニレン、ポリジビニルベンゼン、(ポリ)エーテル、(ポリ)エステル、(ポリ)アミド、(ポリ)ウレタン、(ポリ)カーボナート、ポリ乳酸、(ポリ)ビニルエステル、(ポリ)ビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース、およびこれらのいずれの誘導体からなる群から選択されるポリマー鎖を含む。
【0120】
本発明の好ましい態様において、繰り返し単位Bのポリマー鎖は、ポリエチレングリコールである。
【0121】
より好ましくは、繰り返し単位Bは、以下の化学式(X)、
【化11】

によって表される化学構造を含み、化学式(X)中R15は、水素原子またはメチル基である;R16は、1~10個の炭素原子を有するアルキル基である;ならびにnは、整数1~5であり、「*」は、別のポリマー繰り返し単位またはポリマーの末端への接続点を表す。
【0122】
なおもより好ましくは、R15は、水素原子またはメチル基であり得、R16は、エチル基であり得、およびnは、整数1~5である。
【0123】
本発明のいくつかの態様において、半電導性発光ナノ粒子のコアの表面、または1以上のシェル層の最外表面は、ポリマーによって一部または全部が上から覆われ得る。
【0124】
例えばThomas Nann, Chem. Commun.,2005,1735-1736,DOI:10.1039/b-414807jに記載の、配位子交換方法を使用することによって、ポリマーは、半電導性発光ナノ粒子のコアの表面またはコアの最外表面上へ導入され得る。
【0125】
本発明に従うと、いくつかの態様において、該ポリマーの含量は、半電導性発光ナノ粒子の総重量に関し、1%から500重量%までの範囲にあり、より好ましくは20%から350重量%まで、なおもより好ましくは50%から200重量%までの範囲にある。
【0126】
本発明の好ましい態様において、ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、200g/molから30,000g/molまで、好ましくは250g/molから2,000g/molまで、より好ましくは400g/molから1,000g/molまでの範囲にある。
分子量Mwは、内部ポリスチレン標準に対しGPC(=ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いて決定される。
【0127】
ポリマーとして、非極性および/または低極性の有機溶媒に溶解され得る市販の湿潤・分散添加剤が、好ましく使用され得る。たとえば、BYK-111、BYK-LPN6919、BYK-103、BYK-P104、BYK-163([商標]、BYK com.から)、TERPLUS MD1000シリーズ、例えば、MD1000、MD1100([商標]、Otsuka Chemicalから)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアミン(Sigma-Ald 767565[商標]、Sigma Aldrichから)、ポリエステルビス-MPAデンドロン、32ヒドロキシル、1チオール、(Sigma-Ald 767115[商標]、Sigma Aldrichから)、LIPONOL DA-T/25(Lion Specialty Chemicals Co.から)、カルボキシメチルセルロース(Polyscience等々から)、「Marc Thiry et.al.,ACSNANO,American Chemical society,Vol.5,No.6,pp4965-4973,2011」、「Kimihiro Susumu,et.al.,J.Am.Chem.Soc.2011,133,pp9480-9496」に開示された別の湿潤・分散添加剤である。
【0128】
よって、本発明のいくつかの態様において、組成物は、化学式(I)で表される少なくとも(メタ)アクリラートモノマーと、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーと、ポリマーであって該ポリマーが散乱粒子を組成物中に分散できるように構成される該ポリマーとを含み、ここで化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマー:化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマー:ポリマーの混合比は、10:89:1~50:40:10、好ましくは15:82:3から30:60:10までの範囲にある。
【0129】
本発明のいくつかの態様において、組成物は、本発明の組成物の(メタ)アクリラートモノマーに由来するかもしくは由来し得るポリマーを少なくとも含むか、本質的にこれらからなるか、またはこれらからなる。
【0130】
本発明の好ましい態様において、該ポリマーは、組成物中のすべての(メタ)アクリラートモノマー、例えば、化学式(I)で表される少なくとも(メタ)アクリラートモノマーおよび/または化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに由来するかあるいは由来し得る。
【0131】
- QY算出
組成物の量子収率(QY)測定は、絶対PL量子収率分光計C9920-02(Hamamatsu Photonics K.K.)を使用することによって実行され、および以下の式が使用される。
量子収率(QY)=試料から発せられた光子数/試料の吸収された光子数。
【0132】
半電導性発光ナノ粒子を含む光学媒体(例えば、量子サイズの材料を含有する光学フィルム)からのアウトカップリング(out-coupling)効率を増強するため、散乱粒子をフィルムおよび/または隣接するフィルム中に組み込むこと、中空シリカ粒子を組み込むことによってフィルムの屈折率を低減すること、および好適な形状の構造体を設置することなどの数種の方法が提案されている(cf. Proceedings of SPIE,P.184,5519-33,2004)。これらのうち、量子材料含有フィルムの上に構造化フィルムを設置することが、局所的調光技法が高ダイナミックレンジを達成するために適用される大きなTV用途に最も好適である。散乱粒子は、散光が色にじみ(color blur)を引き起こすから調光技法に支障を来し、実用レベルまで十分にフィルム屈折率を低減することは、中空シリカ粒子の体積が限定されるせいで困難である。屈折率の低減と構造化フィルムの設置との組み合わせもまた、適用され得る。
【0133】
別の側面において、本発明はさらに、本発明のプロセスから得られるかまたは得ることができる硬化した組成物に関する。
別の側面において、本発明はさらにまた、本発明のプロセスから得られるかまたは得ることができる層に関する。
【0134】
別の側面において、本発明はまた、発光部、マトリックス材料、および散乱粒子を含有する層にも関し、ここで発光部の総量は、層の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、より好ましくは10wt.%から70wt.%まで、なおもより好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲にある;ならびに、
ここで散乱粒子の総量は、層の総量に基づき、10wt%以下、好ましくは5から1wt%までの範囲にあり、より好ましくは4から2wt%までの範囲にあり、好ましくは、層はEQE値を20%以上達成するように構成され、より好ましくは、該EQE値は20%から99%までの範囲にあり、より好ましくは、該EQE値は30%から50%までの範囲にあり、なおもより好ましくは、青色→緑色変換効率のため、該EQE値は30%から40%までの範囲にあり、好ましくは層はパターン化層であり、好ましくは該層はパターン化層である。
【0135】
本発明の好ましい態様において、層の層厚は、1から50umまで、好ましくは5~15、より好ましくは8~15、さらにより好ましくは8~12umの範囲にある。
【0136】
別の側面において、本発明はまた、少なくとも請求項16に記載の硬化した組成物で一部もしくは全部が満たされているかまたは本発明の層で満たされた第1画素(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む色変換デバイス(100)にも関し、好ましくは、色変換デバイス(100)はさらに、支持媒体(170)を含有する。
【0137】
- 第1画素(161)
本発明に従うと、該第1画素(161)は、少なくとも発光部(110)を含有するマトリックス材料(120)を含む。好ましい態様において、第1画素(161)は、少なくとも1のアクリラートモノマーを少なくとも1の発光部(110)とともに含有する本発明の組成物を硬化することによって得られるかまたは得ることができる固体層であり、好ましくは、該硬化は、光照射による光硬化、熱硬化、または光硬化と熱硬化との組み合わせである。
【0138】
好ましい態様において、バンク(150)の高さは、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは1から25μmまで、さらにより好ましくは5から20μmまでの範囲にある。
【0139】
本発明のいくつかの態様において、画素(161)の層厚は、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは5から25μmまでの範囲にある。
【0140】
本発明のいくつかの態様において、色変換デバイス(100)はさらに、第2画素(162)を含有し、好ましくは、デバイス(100)は、少なくとも該第1画素(161)、第2画素(162)、および第3画素(163)を含有し、より好ましくは、該第1画素(161)は赤色画素であり、第2画素(162)は緑色画素であり、および第3画素(163)は青色画素であり、なおもより好ましくは、第1画素(161)は赤色発光部(110R)を含有し、第2の色画素(162)は緑色発光部(110G)を含有し、および第3画素(163)はいずれの発光部も含有しない。
【0141】
いくつかの態様において、少なくとも1の画素(160)は加えて、マトリックス材料(120)中に少なくとも1の光散乱粒子(130)を含み、好ましくは、画素(160)は、複数の光散乱粒子(130)を含有する。
【0142】
本発明のいくつかの態様において、該第1画素(161)は、励起光によって照射されたときに赤色を発するように構成されている1の画素または2以上のサブ画素(sub-pixels)からなり、より好ましくは、該サブ画素は、同じ発光部(110)を含有する。
【0143】
好ましい態様において、バンク(150)は、該第1画素(161)の面積を決定するように構成されており、少なくとも一部のバンク(150)は、少なくとも一部の第1画素(161)と直接接触しており、好ましくは、バンク(150)の該第2ポリマーは、第1画素(161)の少なくとも一部の第1ポリマーと直接接触している。
【0144】
好ましい態様において、該バンク(150)は、フォトリソグラフィにより(photolithographically)パターン化されており、該第1画素(161)は、バンク(150)によって囲まれており、好ましくは、該第1画素(161)、第2画素(162)、および第3画素(163)はすべて、フォトリソグラフィによりパターン化されたバンク(150)によって囲まれている。
【0145】
本発明に従うと、WO 2021/018927 A1に記載のように、公知のバンク組成物、公知のバンク製作方法が、好ましく使用され得る。
【0146】
- マトリックス材料(120)
好ましい態様において、マトリックス材料(120)は、(メタ)アクリラートポリマー、好ましくはメタクリラートポリマー、アクリラートポリマー、またはこれらの組み合わせ、より好ましくはアクリラートポリマーを含有し、なおもより好ましくは、該マトリックス材料(120)は、少なくとも1のアクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、さらにより好ましくは、該マトリックス材料(120)は、少なくとも1のジ-アクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、殊更好ましくは、該マトリックス材料(120)は、少なくとも1のジ-アクリラートモノマーおよびモノ-アクリラートモノマーを含有する本発明の組成物から得られるかまたは得ることができ、好ましくは、該組成物は、感光性組成物である。
【0147】
- 支持媒体(170)
本発明のいくつかの態様において、該支持媒体(170)は、基体、より好ましくは透明の基体である。
【0148】
一般に、透明の基体などの該基体は、フレキシブル、半硬質、または硬質であり得る。
光学デバイスに好適な公知の透明の基体が所望のとおりに使用され得る。
【0149】
好ましくは、透明の基体として、透明のポリマー基体、ガラス基体、透明のポリマーフィルム上に積み重なった薄いガラス基体、透明の金属オキシド(例えば、オキシドシリコーン、オキシドアルミニウム、オキシドチタン)、透明の金属オキシドをもつポリマーフィルム基体が使用され得る。なおもより好ましくは、透明のポリマー基体またはガラス基体である。
【0150】
透明のポリマー基体は、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、テトラフルオロエチレン-ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレンエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレンヘキサフルオロポリマーコポリマー、またはこれらいずれの組み合わせから作製され得る。
【0151】
用語「透明の」は、光起電デバイスに使用される厚さにて、かつ光電池の操作最中に使用される波長または波長の範囲にて、少なくともほぼ60%の入射光の透過を意味する。好ましくは、それは70%超、より好ましくは75%超、最も好ましくは80%超である。
【0152】
- 使用
別の側面において、本発明は、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の機能媒体(320、420、520)を含有する光学デバイス(300)における本発明の色変換デバイス(100)の使用に関する。
【0153】
- 光学デバイス
別の側面において、本発明はさらに、光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の色変換デバイス(100)および機能媒体(320、420、520)を含有する光学デバイス(300、400、500)に関する。
【0154】
本発明のいくつかの態様において、光学デバイスは、液晶ディスプレーデバイス(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、光学ディスプレー用バックライトユニット、発光ダイオードデバイス(LED)、微小電気機械システム(下文にて「MEMS」)、エレクトロウェッティングディスプレー、または電気泳動ディスプレー、照明デバイス、および/または太陽電池であり得る。
【0155】
図4~6は、本発明の光学デバイスのいくつかの態様示す。
【0156】
好ましい態様
1.少なくとも以下のステップ;
a)第1光照射として、組成物を光で照射すること;
b)第2光照射として、組成物を光で照射すること
を含む、硬化した組成物を製作するためのプロセスであって、
ここで組成物は、少なくとも1の発光部および反応性モノマーを含み、好ましくは、該モノマーは官能基の1以上を有し、より好ましくは(メタ)アクリラートモノマーである;
ここで第1光照射の光の強度および第2光照射の光の強度は、以下の式(I):
第1光照射の光の強度<第2光照射の光の強度 -(I)
を満足する。
【0157】
2.第1光照射の光のピーク光波長および第2光照射の光のピーク光波長は、互いに独立して、200nmから450nmまで、好ましくは365から410nmまで、より好ましくは375から405nmまでの範囲にある、態様1のプロセス。
【0158】
3.ステップa)での第1光照射の照射時間は、1秒から500秒までの範囲にあり、およびステップb)での第2光照射の照射時間は、1秒から500秒までの範囲にあり、好ましくは、ステップa)での第1光照射の照射時間は、2秒から100秒までの範囲にあり、およびステップb)での第2光照射の照射時間は、2秒から100秒までの範囲にあり、より好ましくは、ステップa)での第1光照射の照射時間は、3秒から50秒までの範囲にあり、およびステップb)での第2光照射の照射時間は、5秒から50秒までの範囲にあり、なおもより好ましくは、ステップa)での第1光照射の照射時間は、4秒から20秒までの範囲にあり、およびステップb)での第2光照射の照射時間は、7秒から20秒までの範囲にある、態様1または2のプロセス。
【0159】
4.ステップ(a)での第1光照射の光の強度は、0.1mW/cm2から20mW/cm2までの範囲にあり、およびステップ(b)での第2光照射の光の強度は、20mW/cm2から100W/cm2までの範囲にあり、好ましくは、ステップ(a)での第1光照射の光の強度は、0.5mW/cm2から10mW/cm2までの範囲にあり、およびステップ(b)での第2光照射の光の強度は、100mW/cm2から10W/cm2までの範囲にあり、より好ましくは、ステップ(a)での第1光照射の光の強度は、1mW/cm2から5mW/cm2までの範囲にあり、およびステップ(b)での第2光照射の光の強度は、200mW/cm2から5W/cm2までの範囲にある、態様1~3のいずれか1つのプロセス。
【0160】
5.組成物は、複数の発光部を含有し、好ましくは、発光部の総量は、組成物の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、より好ましくは10wt.%から70wt.%まで、なおもより好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲にある、態様1~4のいずれか1つのプロセス。
【0161】
6.組成物は、散乱粒子を含み、ここで散乱粒子の総量は、組成物の固体含量の総量に基づき10wt%以下、好ましくは10~0wt%であり、より好ましくは5から1wt%までの範囲にあり、なおもより好ましくは4から2wt%までの範囲にある、態様1~5のいずれか1つのプロセス。
【0162】
7.反応性モノマーは、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、ジ-(メタ)アクリラートモノマー、またはトリ-(メタ)アクリラートモノマーから選択される(メタ)アクリラートモノマーであり、より好ましくはジ-メタクリラートモノマーまたはジ-アクリラートモノマー、トリ-メタクリラートモノマー、トリ-アクリラートモノマーであり、なおもより好ましくは以下の化学式(I)、
【化12】

によって表され、式中
X1は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
X2は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、あるいはアルコキシ基またはエステル基である;
R1は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R2は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
好ましくは、記号X1は、
【化13】

であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の記号X2への接続点を表す;
nは、0または1である;
好ましくは、記号X2は、
【化14】

であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の記号X1の炭素原子への接続点を表し、および右側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR2への接続点を表す;
mは、0または1である;
好ましくは、少なくともmまたはnは、1である;
R3は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくは、R3は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2によって置き換えられていてもよい;
R4は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖もしくはアルコキシレン鎖、3~25個の炭素原子を有するシクロアルカン、または3~25個の炭素原子を有するアリール基であり、好ましくは、R4は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する、直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2によって置き換えられていてもよい;
Raは、出現毎に、同一であるかまたは異なっており、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基Raはここでまた、相互に、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を形成していてもよい、態様1~6のいずれか1つのプロセス。
【0163】
8.組成物は、化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーとは異なる別の(メタ)アクリラートモノマーをさらに含み、好ましくは、該別の(メタ)アクリラートモノマーは、モノ-(メタ)アクリラートモノマー、より好ましくはモノ-メタクリラートモノマーまたはモノ-アクリラートモノマーであり、なおもより好ましくは以下の化学式(II)、
【化15】

によって表され、
X3は、非置換もしくは置換のアルキル基、アリール基であるか、またはアルコキシ基である;
好ましくは、記号X3は、
【化16】

であり、ここで式の左側にある「*」は、式(I)の末端基C=CR5への接続点を表す;
lは、0または1である;
R5は、水素原子、Cl、Br、もしくはFのハロゲン原子、メチル基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、エステル基、またはカルボン酸基である;
R6は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖、好ましくはR6は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2によって置き換えられていてもよい;
R7は、1~25個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であり、好ましくはR7は、1~15個の炭素原子、より好ましくは1~5個の炭素原子を有する直鎖状のアルキレン鎖またはアルコキシレン鎖であって、
これらは、1以上のラジカルRaによって置換されていてもよく、ここで1以上の非隣接CH2基は、RaC=CRa、C≡C、Si(Ra)2、Ge(Ra)2、Sn(Ra)2、C=O、C=S、C=Se、C=NRa、P(=O)(Ra)、SO、SO2、NRa、OS、またはCONRaによって置き換えられていてもよく、およびここで1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CN、またはNO2によって置き換えられていてもよい;
Raは、出現毎に、同一であるかまたは異なっており、H、D、または1~20個の炭素原子を有するアルキル基、3~40個の炭素原子を有する環状のアルキル基もしくはアルコキシ基、5~60個の炭素環原子を有する芳香環系、または5~60個の炭素原子を有する複素芳香環系であり、ここでH原子は、D、F、Cl、Br、Iによって置き換えられていてもよい;2以上の隣接置換基Raはここでまた、単-もしくは多環式の、脂肪族の、芳香族の、または複素芳香族の環系を相互に形成していてもよい、態様1~7のいずれか1つのプロセス。
【0164】
9.化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーは組成物中にあり、かつ化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーの、化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーに対する混合比は、1:99から99:1(式(I):式(II))まで、好ましくは5:95から50:50まで、より好ましくは10:90から40:60まで、なおもより好ましくは15:85から25:75までの範囲にあり、好ましくは、化学式(I)、(II)によって表される、少なくとも精製された(メタ)アクリラートモノマーが組成物中に使用され、より好ましくは、化学式(I)で表される(メタ)アクリラートモノマーおよび化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーがともに、精製方法によって得られるかまたは得ることができる、態様1~8のいずれか1つのプロセス。
【0165】
10.化学式(I)および/または化学式(II)で表される該(メタ)アクリラートモノマーの沸点(B.P.)は、250℃以上であり、好ましくは、化学式(I)および化学式(II)で表される(メタ)アクリラートモノマーはともに、250℃以上、より好ましくは250℃から350℃まで、なおもより好ましくは280℃から350℃まで、さらにより好ましくは300℃から348℃までの範囲にある、態様1~9のいずれか1つのプロセス。
【0166】
11.組成物の粘度は、室温にて35cP以下、好ましくは1から35cPまで、より好ましくは2から30cPまで、なおもより好ましくは10から28cPまでの範囲にある、態様1~10のいずれか1つのプロセス。
【0167】
12.該発光部は配位子を含み、より好ましくは、該発光部は、炭素原子2~20個を有するアルキルまたはアルケニルタイプの配位子を含む、態様1~11のいずれか1つのプロセス。
【0168】
13.該発光部は、有機発光材料および/または無機発光材料であり、好ましくは、該有機発光材料は、有機色素、または有機発光ダイオードデバイス用の有機発光材料であり、好ましくは、該無機発光材料は、無機リン光体および/または量子材料である、態様1~12のいずれか1つのプロセス。
【0169】
14.組成物は、以下;
A)請求項1に記載の発光部とは異なる別の発光部、好ましくは、該発光部は有機発光材料および/または無機発光材料であり、より好ましくは、該有機発光材料は、有機色素、または有機発光ダイオードデバイス用の有機発光材料であり、より好ましくは、該無機発光材料は無機リン光体および/または量子材料であり、好ましくは、該発光部は配位子を含み、より好ましくは、該発光部は炭素原子2~25個を有するアルキルまたはアルケニルタイプの配位子を含む;
B)別の(メタ)アクリラートモノマー;ならびに
C)光学的に透明のポリマー、抗酸化剤、ラジカルクエンチャー、光開始剤、および/または界面活性剤
からなる群の1以上のメンバーから選択される追加材料をさらに含む、態様1~13のいずれか1つのプロセス。
【0170】
15.組成物は、組成物の総量に基づき、溶媒を10wt%以下、より好ましくは5wt%以下含み、より好ましくは、組成物は、無溶媒の組成物であり、好ましくは、組成物は、以下からなる群の1以上のメンバーから選択される以下の溶媒のいずれか1つを含まない:エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびエチレングリコールモノブチルエーテルなどの、エチレングリコールモノアルキルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、およびジエチレングリコールジブチルエーテルなどの、ジエチレングリコールジアルキルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの、プロピレングリコールモノアルキルエーテル;酢酸メチルセロソルブおよび酢酸エチルセロソルブなどの、エチレングリコールアルキルエーテルアセタート;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセタート、およびプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセタートなどの、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、およびシクロヘキサノンなどの、ケトン;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、トリエチエングリコール、およびグリセリンなどの、アルコール;エチル3-エトキシプロピオナート、メチル3-メトキシプロピオナート、および乳酸エチルなどの、エステル;ならびにガンマ-ブチロ-ラクトンなどの環状エステル;クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トリメチルベンゼン、たとえば、1,3,5-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,2,3-トリメチルベンゼン、ドデシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,3,4-テトラメチルベンゼン、1,2,3,5-テトラメチルベンゼン、3-イソプロピルビフェニル、3-メチルビフェニル、4-メチルビフェニル、およびジクロロベンゼンなどの、塩素化炭化水素、好ましくは、該溶媒は、プロピレングリコールアルキルエーテルアセタート、アルキルアセタート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、およびプロピレングリコールモノアルキルエーテルである、態様1~14のいずれか1つのプロセス。
【0171】
16.態様1~15のいずれか1つから得られるかまたは得ることができる、硬化した組成物。
【0172】
17.態様1~15のいずれか1つから得られるかまたは得ることができる、層。
【0173】
18.発光部、マトリックス材料、および散乱粒子を含有する層であって、発光部の総量は、層の総量に基づき、0.1wt.%から90wt.%まで、より好ましくは10wt.%から70wt.%まで、なおもより好ましくは30wt.%から50wt.%までの範囲にある;ならびに、
ここで散乱粒子の総量は、層の総量に基づき、10wt%以下、好ましくは5から1wt%までの範囲にあり、より好ましくは4から2wt%までの範囲にあり、好ましくは、層はEQE値を20%以上達成するように構成され、より好ましくは、該EQE値は20%から99%までの範囲にあり、より好ましくは、該EQE値は30%から50%までの範囲にあり、なおもより好ましくは、青色→緑色変換効率のため、該EQE値は30%から40%までの範囲にあり、好ましくは層はパターン化層であり、好ましくは該層はパターン化層である。
【0174】
19.層の層厚は、1から50umまで、好ましくは5~15、より好ましくは8~15、さらにより好ましくは8~12umの範囲にある、態様17または18の層。
【0175】
20.少なくとも態様16の硬化した組成物で一部もしくは全部が満たされているかまたは態様17~19のいずれか1つの層で満たされた第1画素(161)と、少なくともポリマー材料を含むバンク(150)とを含む色変換デバイス(100)であって、好ましくは、色変換デバイス(100)は、支持媒体(170)をさらに含有する。
【0176】
21.バンク(150)の高さは、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは1から25μmまで、さらにより好ましくは5から20μmまでの範囲にある、請求項20に記載のデバイス(100)。
【0177】
22.画素(161)の層厚は、0.1から100μmまで、好ましくは1から50μmまで、より好ましくは5から25μmまでの範囲にある、請求項20または21に記載のデバイス(100)。
【0178】
23.第2画素(162)をさらに含有する、態様20~22のいずれか1つのデバイス(100)であって、好ましくは、デバイス(100)は、少なくとも該第1画素(161)、第2画素(162)、および第3画素(163)を含有し、より好ましくは、該第1画素(161)は赤色画素であり、第2画素(162)は緑色画素であり、および第3画素(163)は青色画素であり、なおもより好ましくは、第1画素(161)は赤色発光部(110R)を含有し、第2の色画素(162)は緑色発光部(110G)を含有し、および第3画素(163)はいずれの発光部も含有しない。
【0179】
24.少なくとも1の画素(160)は加えて、マトリックス材料(120)中に少なくとも1の光散乱粒子(130)を含み、好ましくは、画素(160)は、複数の光散乱粒子(130)を含有する、態様20~23のいずれか1つのデバイス(100)。
【0180】
25.該第1画素(161)は、励起光によって照射されたときに赤色を発するように構成されている1の画素または2以上のサブ画素からなり、より好ましくは、該サブ画素は、同じ発光部(110)を含有する、態様20~24のいずれか1つのデバイス(100)。
【0181】
26.バンク(150)は、該第1画素(161)の面積を決定するように構成されており、少なくとも一部のバンク(150)は、少なくとも一部の第1画素(161)と直接接触しており、好ましくは、バンク(150)の該第2ポリマーは、第1画素(161)の少なくとも一部の第1ポリマーと直接接触している、態様20~25のいずれか1つのデバイス(100)。
【0182】
27.該バンク(150)は、フォトリソグラフィによりパターン化されており、該第1画素(161)は、バンク(150)によって囲まれており、好ましくは、該第1画素(161)、第2画素(162)、および第3画素(163)はすべて、フォトリソグラフィによりパターン化されたバンク(150)によって囲まれている、態様20~26のいずれか1つのデバイス(100)。
【0183】
28.光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1の機能媒体(320、420、520)を含有する光学デバイス(300)における態様20~27のいずれか1つの色変換デバイス(100)の使用。
【0184】
29.光を調節するように構成されているかまたは光を発するように構成されている少なくとも1つの機能媒体(320、420、520)、および態様20~28のいずれか1つの色変換デバイス(100)を含有する、光学デバイス(300)。
【0185】
本発明の技術的効果
TiO2もしくは散乱粒子がより少ないかまたはないQDインク、したがって一般に、インクの設計ならびに他のインク構成要素の選択および濃度に対してより多くの柔軟性を提供するであろうQDインクを提供すること。
【0186】
本発明の利益は、散乱粒子がないかまたは散乱粒子の量がより少ないQDインクにおいて、参照インクと比較したとき、より高いEQEかつより少ないBLを達成すること、参照インクと比較したとき、散乱粒子がないかまたは散乱粒子の量がより少ない硬化QDインクの、より高い曇り価を達成すること、および参照インクと比較したとき、散乱粒子がないかまたは散乱粒子の量がより少ない硬化QDインクの、より高い曇り価、かつ同時により高いEQEを達成し、ことによると同時により少ない青色漏出を実現することである。
【0187】
EQEがより高く、青色漏出がより少なく、プロセス時間がより短く、硬化後の曇り価が改善され、組成物を重合する硬化が改善され、および/またはより小さい組成物の粘度を実現する、硬化した組成物を製作するための新しいプロセス。
【0188】
組成物中の最良の量の発光部および散乱粒子を見出し、組成物の、より小さい粘度、より高いEQE、より少ない青色漏出、良好なインクジェット能を達成した。
【0189】
下の実施例1~15は、本発明の記載、ならびにそれらの製作の詳細な記載を提供する。
【0190】
実施例
実施例1: モノマー混合物の調製
1,6-ヘキサンジオールジアクリラート(HDDA)を使用に先立ち、モレキュラーシーブに通過させることによって精製する。2gのHDDAおよび8gのラウリルアクリラート(LA、粘度:4.0cP、BP:313.2℃)を、ガラス製バイアル中で混合し、よってモノマー混合物が得られる。モノマー混合物中のHDDA:LAの重量比は、20:80である。
【0191】
実施例2: QDインクの調製
QDインクAを、以下の材料を混合することによって調製する。
【表4】
【0192】
実施例3: QDインクの調製
QDインクBを、以下の材料を混合することによって調製する。
【表5】
【0193】
実施例4: QD試験セルの製作
実施例2で得られたQDインクAを、ギャップが10mmの6つの試験セル中へ注入する。
次いで、QDインクAを含有する得られた6試験セルを、異なる硬化時間条件でUV光照射を適用することによって硬化し、試験セル中で硬化したインクを互いに作製する。
●UV強度:第1の照射ステップ:1.7mW/cm2
第2光照射ステップ:300mW/cm2
●光源:395nm LED(ピーク光波長:395nm)
●N2条件下(O2:0.1%)
●硬化時間:
【表6】

試験セル1~6が得られる。
【0194】
実施例5: QD試験セルの製作
試験セルBを、実施例3で得られたQDインクBをQDインクAの代わりに使用すること以外は実施例3に記載のやり方と同じやり方で製作する。
●硬化時間:
【表7】

試験セル7~12が得られる。
【0195】
実施例6: EQE測定および青色漏出測定
EQE測定を、光ファイバーによる励起光(CWL:450nm)を備えた積分球および分光計(USB4000、Ocean Optics)を使用することによって実行する。励起光の光子を検出するため、室温にて大気を参照として使用する。
【0196】
セルから積分球への光放射の光子数を、室温にて分光計によって計数する。
EQEを、以下の算出方法によって算出する。
EQE=光子[放射光]/光子[励起光]
【0197】
算出のための波長範囲
励起:430nm~470nm
放射:[緑色]480nm~600nm、[赤色]560nm~680nm
【0198】
青色漏出測定を、光ファイバーによる励起光(CWL:450nm)を備えた積分球および分光計(USB4000、Ocean Optics)を使用することによって実行する。励起光の光子を検出するため、室温にて大気を参照として使用する。
【0199】
セルから積分球への光放射の光子数を、室温にて分光計によって計数する。
青色漏出を、以下の算出方法によって算出する。
BL=光子[吸収されない励起光]/光子[励起光]
【0200】
算出のための波長範囲
励起:430nm~470nm
表1は、実施例4および5で得られた試験セルのEQE測定および青色漏出(BL)測定の結果を示す。
【0201】
表1:
【表8】
【0202】
本発明の2ステップ硬化プロセスを適用することによって、改善されたEQE、短い産生時間、低減された青色漏出値が、同時に達成される。
【0203】
より高いEQEを実現させる観点から、組成物を、組成物が重合するまでより小さい光強度を有する光で照射することは、好適である。好ましくは、光照射の総エネルギーは、ほぼ2~3J/cm2である。
【0204】
実施例7: QD試験セルの製作および曇り測定
曇り価測定のため、実施例2および4に記載の条件と同じ条件で、4試験セル(QD45-1、QD45-2、QD45-3、QD45-4)を製作する。
【0205】
次いで、4試験セル(QD45-SB-1、QD45-SB-2、QD45-SB-3、QD45-SB-4)もまた、実施例3および4に記載のやり方と同じやり方で製作する。
【0206】
さらに、4試験セル(QD50-1、QD50-2、QD50-3、QD50-4)を、50wt%のGreen QD(Merck)を45wt%の代わりに使用すること以外は実施例2および4に記載のやり方と同じやり方で製作する。
【0207】
最終的に、4試験セル(QD50-SB-1、QD50-SB-2、QD50-SB-3、QD50-SB-4)を、50wt%のGreen QD(Merck)を45wt%のGreen QDの代わりに使用すること以外は実施例3および4に記載のやり方と同じやり方で製作する。
【0208】
次いで、これら得られた試験セルを、以下の条件で照射することによって硬化する。
●光源:395nm LED(ピーク光波長:395nm)
●N2条件下(O2:0.1%)
●UV強度:試料1および試料2については1.7mW/cm2
(QD45-1、QD45-2、QD45-SB-1、QD45-SB-2、QD50-1、QD50-2、QD50-SB-1、およびQD50-SB-2)
試料3および試料4については300mW/cm2
(QD45-3、QD45-4、QD45-SB-3、QD45-SB-4、QD50-3、QD50-4、QD50-SB-3、およびQD50-SB-4)
注記:これは「2ステップ硬化プロセス」ではない。
【0209】
曇り値を、積分球検出器が装着された分光光度計(Shimadzu、UV-2550)を使用し、大気条件中、室温にて、試験試料を光硬化する前およびその後に測定し、2枚の0.7mm厚AFガラス間に差し込まれた組成物を10μm厚の層(液体状態のまたは硬化した固体状態の)として含有する試験セルを、積分球前のビーム経路中に装着し、次いで測定を、以下のステップT1~T4によってこの順で、380~780nmの波長範囲において実施する:
(T1)分光光度計の光源から発せられたすべての光を、白色反射体で閉じられている積分球によって収集し、これを分光光度計によって測定するが、該試験セルは積分球前のビーム経路中にはない;
(T2)入射光は最初に試料を通過した後、閉じられた積分球中で収集されることで、試料を通過したすべての光を測定するが、該試験セルは積分球前のビーム経路中に置かれている;
(T3)入射光を、開かれた積分球に通過させて、散光の量を決定するが、該試験セルは積分球のビーム経路中にはない;
(T4)光が最初に試料を通過し、次いで開かれた積分球によって収集されるが、該試験セルは積分球前のビーム経路中に置かれている;試料によって散乱された光の量は、この配置で決定される;
次いで、該曇り価は、以下の方程式を使用して算出する:
曇り価=((T4/T2)-(T3/T1))*100[%]。
【0210】
表2~7は、実施例7で得られた試験セルの曇り測定の結果を示す。
表2:
【表9】
【0211】
ここで表中、例えば、1.7mW-1は、試料1(QD45-1およびQD45-SB-1)へ照射された光の光強度を意味し、1.7mW-2は、試料2(QD45-1およびQD45-SB-1)へ照射された光の光強度を意味する。
表3:
【表10】
【0212】
表4:
【表11】
【0213】
表5:
【表12】
【0214】
表6:
【表13】
【0215】
表7:
【表14】
【0216】
実施例8: QD試験セルの製作
試験セルのQD45およびQD50を、QDインクを45wt.%でおよび50wt.%QDを使用し、かつギャップが10mmの試験セルを製作のために使用する以外は、実施例2および4に記載のやり方と同じやり方で製作する。
【0217】
次いで得られた試験セルを、異なる光照射条件で硬化する。
●光源:395nm LED(ピーク光波長:395nm)
●N2条件下(O2:0.1%)
●UV強度:1.7、10、50、150、および300mW/cm2
【0218】
実施例9: EQE測定および青色漏出測定
EQE測定および青色漏出測定を、実施例8で得られた試験セルを使用する以外は実施例6に記載のやり方と同じやり方で実施する。
【0219】
表8:
【表15】
【0220】
実施例10: QD試験セルの製作
QDインクCを、以下の材料を混合することによって調製する。
【表16】
【0221】
実施例10で得られたQDインクCを、ギャップが15mmの7試験セル中へ注入する。
次いで、試験セルを各々独立して、下に記載のとおりの異なる硬化条件で硬化する。
【0222】
実験条件
●試験試料:15um 試験セル
●硬化条件:
900mJ/cm 2 に固定されたUV線量
●N2フロー下(0.2%O2)
【表17】
【0223】
実施例11: QD試験セルの製作
QDインクDを、モノマー混合物LA+TMPTA(LA:TMPTA=90:10)をモノマー混合物LA+HDDA(LA:HDDA=80:20)の代わりに使用する以外は実施例10に記載のやり方と同じやり方で調製する。
【0224】
次いで、実施例11で得られたQDインクDを、ギャップが15mmの7試験セル中へ注入する。
次いで、試験セルを各々独立して、実施例10に記載のやり方と同じやり方で硬化する。
【0225】
実施例12: EQE測定および青色漏出測定
実施例10および11で得られた試験セルのEQE測定および青色漏出測定を、実施例10および11で得られた試験セルを使用する以外は実施例6に記載のやり方と同じやり方で実施する。
図6および7は、測定結果を示す。
【0226】
図6に記載のとおり、300mW/cm2光照射によって硬化した場合、QDインクDを使用して得られたEQE値よりほぼ5%高いEQE値が、QDインクCを使用して得られる。
【0227】
図7に示されるとおり、300mW/cm2光照射によって硬化した場合、QDインクDを使用して得られた青色漏出よりほぼ8%低減された青色漏出が、QDインクCを使用して得られる。
【0228】
実施例13: QDインクおよび試験セル製作
QDロード:40、45、50wt.%
二酸化チタン(散乱粒子):1、3、5、7wt.%
【0229】
実施例14: EQE測定および青色漏出測定
試験セルのEQE測定を、実施例13で得られた試験セルを使用する以外は実施例6に記載のやり方と同じやり方で実施する。
図8および9は、測定結果を示す。
図8に示されるとおり、TiO2のロード3wt.%が、最良のEQE値を示す。
【0230】
実施例15: 粘度測定
実施例13で得られたQDインクの粘度を、室温にて振動型粘度計VM-10A(SEKONIC)によって測定する。
https://www.sekonic.co.jp/english/product/viscometer/vm/vm_series.html
【0231】
図10および11は、測定結果を示す。
QDインク組成物の粘度の観点から、EQE値および青色漏出、TiO2のロード3wt.%およびQDのロード45wt.%が、QDインクの最も好適な組み合わせである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】