(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】熱可塑性フィルムで基材をラミネートするための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
B29C63/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023521482
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2021075766
(87)【国際公開番号】W WO2022073750
(87)【国際公開日】2022-04-14
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】エトナー,カイ
(72)【発明者】
【氏名】キンツェルマン,ハンス-ゲオルク
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AC03
4F211AD08
4F211AG01
4F211AG03
4F211AK02
4F211AM10
4F211SA07
4F211SC06
4F211SD01
4F211SH06
4F211SH09
4F211SH10
4F211SP04
4F211SP26
4F211SP41
4F211SP44
(57)【要約】
本発明は、基材(12)を熱可塑性フィルム(11)でラミネートするための装置(1)に関し、前記装置(1)は以下を備える:・基材(12)を熱可塑性フィルム(11)でラミネートするためのラミネートユニット(2)、・熱可塑性フィルム(11)をラミネートユニット(2)に供給するための供給装置(4)、ここで、熱可塑性フィルム(11)のための供給装置(4)は、フィルム(11)の第1の面(16)を加熱するための装置(14)と、フィルム(11)の第2の面(17)を冷却するための装置(15)と、冷却装置(15)上で生成した凝縮物を収集するための装置(20)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(12)を熱可塑性フィルム(11)でラミネートするための装置(1)であって、前記装置(1)は
・前記基材(12)を熱可塑性フィルム(11)でラミネートするためのラミネートユニット(2)、
・前記熱可塑性フィルム(11)をラミネートユニット(2)に供給するための供給装置(4)
を備え、
ここで、前記熱可塑性フィルム(11)のための供給装置(4)は、前記フィルム(11)の第1の面(16)を加熱するための装置(14)と、前記フィルム(11)の第2の面(17)を冷却するための装置(15)、および冷却装置(15)上で生成した凝縮物を収集するための装置(20)を備える、装置。
【請求項2】
前記冷却装置(15)は、フィルム(11)がガイドされる少なくとも1つの冷却ローラー(21)を備える、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記熱可塑性フィルム(11)は、前記冷却装置(15)から離れてガイドされる、請求項1に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記凝縮物を収集するための装置(20)は、前記冷却装置(15)の表面から凝縮物を掻き取るための少なくとも1つの装置を備える、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
基材(12)を熱可塑性フィルム(11)でラミネートするための装置(1)であって、前記装置(1)は
・前記基材(12)を熱可塑性フィルム(11)でラミネートするためのラミネートユニット(2)、
・前記熱可塑性フィルム(11)をラミネートユニット(2)に供給するための供給装置(4)
を備え
ここで、前記熱可塑性フィルム(11)のための供給装置(4)は、前記フィルム(11)の第1の面(16)を加熱するための装置(14)と、前記フィルム(11)の第2の面(17)を冷却するための装置(15)を備え、前記フィルム(11)は、前記冷却装置(15)から離れてガイドされる、装置。
【請求項6】
前記フィルム(11)が加熱装置(14)および冷却装置(15)を通過するようにガイドされる、多数の制御可能の従動ローラー(10)をさらに備え、前記フィルム(11)の張力は、前記従動ローラー(10)の速度によって調節できる、請求項1~5のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項7】
前記フィルム(11)が、少なくとも部分的にガイドされるコンベヤーベルト(26)をさらに備える、請求項1~6のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項8】
前記加熱装置(14)と熱可塑性フィルム(11)との間に、前記加熱装置(14)を前記フィルム(11)との接触から保護するためのグリッド(18)が配置される、請求項1~7のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項9】
前記供給装置(4)は、前記熱可塑性フィルム(11)と加熱装置(14)との間に空気流を発生させるための少なくとも1つの装置を備える、請求項1~8のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項10】
前記熱可塑性フィルム(11)は、前記供給装置(4)内で、少なくとも部分的に垂直に上向きおよび/または下向きに、および/または部分的に斜めに上向きおよび/または下向きに、および/または部分的に円弧上にガイドされる、請求項1~9のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項11】
前記供給装置(4)は、加熱装置(14)または冷却装置(15)を備えない、フィルム(11)のための代替供給経路を備える、請求項1~10のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項12】
基材(12)を熱可塑性フィルム(11)でラミネートするための方法であって、前記方法は前記フィルム(11)をラミネートユニット(2)に供給することを含み、ここで、供給する間、前記フィルム(11)は第1の面(16)を加熱され、第2の面(17)を冷却され、冷却装置(15)で形成する凝縮物が収集される方法。
【請求項13】
基材(12)を熱可塑性フィルム(11)でラミネートするための方法であって、前記方法は前記フィルム(11)をラミネートユニット(2)に供給することを含み、ここで、供給する間、前記フィルム(11)は第1の面(16)を加熱され、第2の面(17)を冷却され、前記フィルム(11)は冷却装置(15)から離れてガイドされる、方法。
【請求項14】
前記供給は、前記フィルム(11)がガイドされる多数の制御可能の従動ローラー(10)によって行われ、供給中、前記フィルム(11)の張力は、従動ローラー(10)の速度によって調整される、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記フィルム(11)は、前記フィルム(11)と加熱装置(14)との間の中間空間に吹き込まれる空気流によって、加熱装置(14)から離れて保持される、請求項12~15のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材を熱可塑性コーティング材料、特にフィルムで連続的にラミネートするための方法および装置に関する。基材はフィルムであってもよい。ただし、プラスチック、金属、またはその他の材料で作られた固体であってもよい。
【背景技術】
【0002】
基材を熱可塑性フィルムでラミネートするための様々な方法が知られている。EP 3183117 B1には、2つのフィルム状基材を接合するための方法および装置が記載されており、少なくとも1つのフィルムが、フィルムの片面が冷却され、他方は加熱されるような方法で、冷却および加熱装置を通過してコンベヤーベルト上をガイドされる。
【0003】
EP 3526042 B1には、対照的に、一つのフィルムが冷却されたローラー上でガイドされ、続いてこのローラー上で第2のフィルムに接合される類似の方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第3183117号明細書
【特許文献2】欧州特許第3526042号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フィルム表面での品質劣化が多く、ラミネート時に問題が発生することがわかった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、前述の欠点を有さない、基材を熱可塑性フィルムでラミネートするための装置および方法を特定することである。
【0007】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態および展開は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、基材を熱可塑性フィルムでラミネートするための装置が特定され、ここで、前記装置は、基材を熱可塑性フィルムでラミネートするためのラミネートユニットと、熱可塑性フィルムをラミネートユニットへ供給するための供給装置とを備える。熱可塑性フィルムのための供給装置は、フィルムの第1の面を加熱するための装置と、フィルムの第2の面を冷却するための装置とを備える。さらに、冷却装置で生成した凝縮物を収集するための装置を備えている。
【0009】
ラミネートユニットは、本明細書および以下において、特に圧力によって熱可塑性フィルムによる基材のコーティングを行う装置を意味すると理解される。この目的のために、基材がフィルムとして設計されている場合、2つのフィルムをガイドするローラーが典型的には設けられる。基材がフィルムとして設計されていない場合、ラミネートユニットは、多くの場合、熱可塑性フィルムを基材に適用するための少なくとも1つのローラーも備える。
【0010】
装置は、冷却装置上で生成する凝縮物が集められ、任意に排出され、フィルムの表面と接触しないという利点を有する。これは、凝縮物によって引き起こされるフィルム表面の損傷を回避できることを意味する。
【0011】
凝縮物がフィルムに直接触れると、フィルム表面が損傷し得る。これは、例えば、フィルムの第2の面が冷却要素、例えば冷却されたコンベヤーベルトまたは冷却されたローラーと接触している場合である。さらに、凝縮物が滴り落ちると、フィルムやプラント機器が損傷し得る。凝縮物を除去することでこれを防ぐ。
【0012】
凝縮物がフィルムと接触するのを防止するさらなる方法は、フィルムを冷却装置から離してガイドすることである。これは特に、フィルムが冷却面に直接接触しないことを意味する。この場合、凝縮物の収集と除去はすべての場合に必要というわけではないが、それにもかかわらず、例えば凝縮物が加熱装置または他のプラント機器に滴り落ちるのを防ぐために設けられ得る。
【0013】
フィルムと凝縮物との間の接触を防止するための両方のオプションを組み合わせることもできる。
【0014】
基材を熱可塑性フィルムでラミネートするための装置は、基材のための供給装置を備えることもでき、その設計は基材のタイプに依存する。特に、フィルムを加熱するための装置として赤外線エミッターを設けることができるが、レーザーなどの他の熱源を設けてもよい。冷却のためには、例えば冷却された金属シートを設けてよい。
【0015】
冷却装置で生成した凝縮物を収集するための装置は、特に、トラフの形態で設計できる。冷却装置で生成した凝縮物を収集するための装置の配置は、凝縮物が滴る場所を考慮に入れる。特に、凝縮物を収集するための装置は、凝縮物がフィルムまたは繊細なプラント機器に付着しないように配置される。
【0016】
収集のための装置は、いくつかの個々の要素、例えばいくつかのトラフ状の装置を備えることもできる。これらは、冷却表面から凝縮物を取り除く装置、例えば表面をこすって凝縮物を取り除き、それをトラフに送り込むスクレーパーなどによっても補うことができる。
【0017】
したがって、一実施形態によれば、凝縮物を収集するための装置は、冷却装置の表面から凝縮物をこすり取るための少なくとも1つの装置を備える。この実施形態では、凝縮物が形成される表面は、この凝縮物の除去後に、フィルムに損傷を与える危険性なくフィルムと接触させることができる。
【0018】
一実施形態によれば、冷却装置は、加熱装置の下または隣に配置される。これにより、凝縮物が加熱装置に滴り落ちるのを構造的に防ぐことができる。
【0019】
装置は、フィルムが加熱装置および冷却装置を通過するようにガイドする多数の制御可能な従動ローラーを備えることもでき、フィルムの張力は従動ローラーの速度によって調節できる。
【0020】
この実施形態は、制御可能な従動ローラーによって熱可塑性フィルムを実質的に非接触でガイドできるという利点を有する。従って、供給装置において、フィルムは、コンベヤーベルトまたは大径のローラーまたは別の表面上に平らに置かれるのではなく、制御可能な従動ローラーによって特定の点で支持および搬送されるだけであり、場合により偏向され、そうでなければ非接触方式でガイドされる。従動ローラーの回転速度は制御可能であり、特に調整することさえできるので、個々のローラー間の速度差を設けることによって、フィルム内の張力を均等化できる。例えば、ガイドされたフィルムが張力を失った場合、フィルムが再び張力を受けるように、2つのローラー間の速度差を設定できる。これは、熱可塑性フィルムを加熱するとフィルムの膨張と軟化の両方が生じるため、特に有利である。
【0021】
さらに、フィルムの実質的に非接触のガイドには、前記フィルムを特に効率的に加熱または冷却できるという利点がある。
【0022】
一実施形態によれば、従動ローラーは、冷却および加熱装置の少なくとも上流および/または下流において、フィルムの搬送方向に配置される、すなわち、従動ローラーは、フィルムが加熱および冷却装置を通過する直前にフィルムをガイドする。この実施形態は、フィルムの加熱または冷却によって引き起こされる熱可塑性フィルムの長さの変化が、ローラーの速度を調節することによって補償され得るという利点を有する。
【0023】
別の実施形態によれば、フィルムは、フィルムが載っているコンベヤーベルトによって、少なくとも部分的にガイドされる。
【0024】
熱可塑性フィルムは、特に加熱装置から離れてガイドされる。したがって、熱可塑性フィルムは加熱装置の要素と接触しない。
【0025】
冷却装置は、フィルムをガイドする少なくとも1つの冷却ローラーを備えることができる。あるいは、熱可塑性フィルムを冷却装置から離してガイドできる。後者の場合、冷却装置は、供給装置のローラー間で張られたフィルムウェブに沿って配置されるが、加熱装置と同じ側ではなく、反対側に配置される。
【0026】
熱可塑性フィルムが冷却装置から離れてガイドされる場合、凝縮物が形成される表面とフィルムが接触しないという利点がある。
【0027】
一実施形態によれば、加熱装置と熱可塑性フィルムとの間に、加熱装置をフィルムとの接触から保護するためのグリッドが配置される。そのようなグリッドは、熱可塑性フィルムと加熱装置との間の接触を防止するという利点を有する。さらなる保護手段として、供給装置は、熱可塑性フィルムと加熱装置との間に空気流を発生させるための少なくとも1つの装置を備えることができる。
【0028】
空気流を発生させるための装置は、送風機、圧縮空気源、または真空源として設計できる。フィルムのウェブ張力が低すぎる場合、またはウェブが裂けた場合、フィルムがグリッドまたは加熱装置に固着するのを防ぐという利点がある。この目的のために、空気流を生成するための装置は、ウェブの張力が失われたときに自動的におよび/または手動でスイッチが入れられるようにできる。この場合、例えば、加熱装置とフィルムまたはグリッドとの間に冷風を吹き込むことができる。グリッドが設けられている場合、空気はグリッドを通り抜け、加熱装置からフィルムを遠ざけるように吹きつける。
【0029】
従動ローラーおよび場合によりさらなるローラーまたは偏向ローラーまたは供給装置のコンベヤーベルトの配置には様々な選択肢がある。例えば、熱可塑性フィルムは、供給装置内で少なくとも部分的に垂直に上向きおよび/または下向きにガイドされ得る。しかしながら、少なくとも部分的に斜め上方および/または下方にガイドされることもあり得る。さらに、熱可塑性フィルムは、少なくとも部分的に円弧上にガイドされ得る。どの配置を選択するかは、とりわけ、利用可能なスペースやその他の実際的な考慮事項に依存し得る。
【0030】
一実施形態によれば、供給装置は、加熱装置も冷却装置も含まないフィルム用の代替供給経路を備える。したがって、この代替供給経路では、フィルムは加熱されることなくラミネートユニットに供給される。例えば、ラミネートに熱可塑性フィルムを使用せずに別の材料を使用する場合、またはフィルムと基材との間の結合を別の方法、例えば別個に適用した接着剤を使用する場合に、代替供給経路を使用できる。特に、1つのプラントで異なる方法を同時にまたは交互に使用する場合、代替供給経路の存在は有利である。
【0031】
本発明のさらなる態様によれば、基材を熱可塑性フィルムでラミネートする方法が特定され、この方法は、フィルムをラミネートユニットに供給することを含み、供給中、フィルムは第1の面で加熱され、第2の面で冷却され、冷却装置上で生成した凝縮物が集められ、場合によりフィルムと接触しないように排出される。
【0032】
凝縮物を収集し、場合により排出する代わりに、フィルムを冷却装置から離してガイドし、冷却面と直接接触させないようにできる。
【0033】
一実施形態によれば、供給は、フィルムをガイドする多数の制御可能な従動ローラーによって行われ、それにより、供給中にフィルムの張力が制御され、特に従動ローラーの速度によっても調整される。
【0034】
特に、供給装置内の速度の部分的な調整を提供でき、従動ローラーを個別に調整できるという事実によってこれが可能になる。ローラーの速度を互いに独立して調整できる場合、連続するローラー間に速度差を設定することが可能であり、それによってフィルムの張力を増加させたり減少させたりできる。
【0035】
フィルムの形態または別の形態で存在できる基材も、ラミネートユニットに供給される。
【0036】
一実施形態によれば、フィルムは、フィルムと加熱装置との間の中間空間に吹き込まれる空気流によって、加熱装置から離れて保持される。この目的のために、特に、中間空間に吹き込まれた空気がグリッドの開口部を通って出て、フィルムを加熱装置から遠ざけるように吹きつけることができる。
【0037】
本発明の実施形態は、概略図を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による、基材を熱可塑性フィルムでラミネートするための装置を概略的に示す。
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態による、基材を熱可塑性フィルムで積層するための装置を概略的に示す。
【
図3】
図3は、本発明の第3の実施形態による、基材を熱可塑性フィルムで積層するための装置を概略的に示す。
【
図4】
図4は、本発明の第4の実施形態による、基材を熱可塑性フィルムで積層するための装置を概略的に示す。
【
図5】
図5は、本発明の第5の実施形態による、基材を熱可塑性フィルムで積層するための装置を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、基材を熱可塑性フィルムでラミネートするための装置1を示す。
図1では、熱可塑性フィルムは参照符号11で示され、基材は参照符号12で示され、既にラミネートされた基材は参照符号13で示されている。
【0040】
装置1は、特にフィルム11を基材12上に押し付けるための多数のローラー3を備えるラミネートユニット2を備える。さらに、装置1は、熱可塑性フィルム11をラミネートユニット2に供給するための供給装置4を備える。フィルム11は、巻出機5から巻き出され、供給装置4によってラミネートユニット2に運ばれ、その後、コーティングされた基材13が巻取機6によって巻き上げられる。
【0041】
供給装置4は、多数の制御可能な従動ローラー10を備える。図示の実施形態では、3つの従動ローラー10が示されている。しかしながら、この図は単なる例示であり、より多くの、またはより少ない従動ローラーを設けることもできる。
【0042】
供給装置4は、フィルム11をガイドし偏向させる働きをする更なるローラーまたはロールを備え、それは例としてのみ示され、より詳細には説明されない。熱可塑性フィルム11は、従動ローラー10によって、矢印7の方向でラミネートユニット2に搬送される。図示の実施形態では、基材12は、適切な供給装置9によって矢印8に沿ってラミネートユニット2に搬送される。ラミネート後、ラミネートされた基材13は、矢印7に沿って巻取機6に搬送される。
【0043】
フィルム11は、大部分が非接触方式でガイドされる。ローラー10の領域においてのみ、フィルム11は特定の点でガイドまたは支持される。フィルム11は、ローラー10の間では支持されていない。したがって、フィルムは、特に、フィルムに作用する重力によっておよびローラー10の回転速度によって引き起こされる張力を有する。
【0044】
供給装置4を通るその経路に沿って、熱可塑性フィルム11は、フィルム11の第1の面16を加熱するための装置14およびフィルム11の第2の面17を冷却するための装置15を通過してローラー10の間にガイドされる。加熱装置14および冷却装置15もここでは単なる例として示されている。加熱装置14および冷却装置15の数および配置は変えることができる。
【0045】
第1の面16を加熱すると、第1の面16の熱可塑性フィルム11が軟化して部分的に溶融し、その結果、前記フィルムはラミネートユニット2内で基材12に結合できる。第2の面17を冷却することは、フィルム11が完全に溶融するのを防ぎ、ラミネートユニット2への搬送プロセスに必要な一定の安定性を維持するのに役立つ。したがって、冷却は、導入された熱を部分的に補償する。特に、加熱装置が赤外線エミッターとして設計されている場合、廃熱を補償できる。
【0046】
フィルム11は、加熱装置14および冷却装置15から距離を置いてガイドされるため、冷却された表面と直接接触しない。加熱装置14とフィルム11との間には、フィルム11が加熱装置14に付着するのを防止することを意図したグリッド18が配置されている。
【0047】
供給装置4は、
図1中で破線19によって示され、加熱装置14および冷却装置15を通るようにガイドされない、ラミネートユニット2へのフィルムの代替供給経路を備える。代替供給経路は、熱可塑性材料で構成されていないフィルム、または他の理由で加熱または冷却されないフィルムに使用できる。
【0048】
装置1は、湿った周囲空気によって冷却装置15に生成する凝縮物を収集するためのトラフ20をさらに備える。凝縮物が重力によって冷却装置15から流出し、トラフ20に滴下するように、トラフ20は冷却装置15の下に配置される。この経路上で、凝縮物は供給装置4のさらなる要素、特に、凝縮物によって損傷を受け得る加熱装置14またはフィルムウェブを通過しない。このようにトラフ20は、装置15に生成した凝縮物が直接トラフ20に滴下できるように配置される。凝縮物を排出することにより、表面の品質を低下し得る凝縮物がフィルム11と接触しないことが保証される。
【0049】
図2は、基材を熱可塑性フィルムでラミネートするための装置1の第2の実施形態を示す。この装置1は、半円形のウェブ上でフィルム11をガイドするいくつかの従動ローラー10が設けられているという点で、
図1に示される実施形態とは異なる。
【0050】
図3は、基材を熱可塑性フィルム11でラミネートするための装置1の第3の実施形態を示す。この実施形態は、フィルム11が部分的に垂直方向にガイドされるように、いくつかの従動ローラー10の1つが他の上に配置されているという点で、先に示したものとは異なる。図示の実施形態では、2つの加熱装置14および2つの冷却装置15の1つも、それぞれ他の上に配置されている。
【0051】
この構成は、特に省スペースであり、小さな設置スペースで実施することもできる。冷却装置15はこの実施形態では上下に配置されているが、加熱装置14の上には配置されていないため、凝縮物が加熱装置14上に滴下することはない。凝縮物を収集するためのトラフ20が、下部の冷却装置15のすぐ下に再び設けられている。
【0052】
図4は、基材12を熱可塑性フィルム11でラミネートするための装置1の第4の実施形態を示す。この実施形態は、フィルム11が非従動ローラー25によって、コンベヤーベルト26上で供給装置4においてガイドされるという点で、先に示したものとは異なる。コンベヤーベルト26は、冷却装置15から距離を置いてガイドされる。凝縮物を収集するためのトラフ20は、凝縮物がトラフ20に直接滴り落ち、さらなる要素と接触しないような形で、冷却装置15と供給装置4のさらなる要素との間に配置される。
【0053】
図5は、基材12を熱可塑性フィルム11でラミネートするための装置1の第5の実施形態を示す。この実施形態は、フィルム11が非接触方式ではなく、冷却ローラー21によって供給装置4内で部分的にガイドされるという点で、先に示したものとは異なる。したがって、フィルム11の第2の面17は、冷却ローラー21の表面上に所定の位置で置かれる。冷却ローラー21は、制御可能な速度で駆動することもできる。
【0054】
この実施形態では、冷却ローラー21上で生成した凝縮物をローラー21から掻き取り、それをトラフ20に滴下させるスクレーパー22が設けられる。この場合、スクレーパー22は、ローラー21の下面23の領域に配置され、一方、フィルム11はローラー21の上面24上でガイドされる。このようにして、フィルム表面の品質を低下させ得る、ローラー21の表面上の凝縮物がフィルム11と接触するのを防止する。
【0055】
冷却ローラー21の直前の従動ローラー10は、例えば、フィルム11の加熱による張力の減少に対応して、フィルム11のウェブ張力を調節することを可能にする。
【符号の説明】
【0056】
1 装置
2 ラミネートユニット
3 ローラー
4 供給装置
5 巻出機
6 巻取機
7 矢印
8 矢印
9 供給装置
10 ローラー
11 フィルム
12 基材
13 ラミネートされた基材
14 加熱装置
15 冷却装置
16 第1の面
17 第2の面
18 グリッド
19 破線
20 トラフ
21 ローラー
22 スクレーパー
23 下面
24 上面
25 ローラー
26 コンベヤーベルト
【国際調査報告】