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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-01
(54)【発明の名称】適用装置及び適用装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20231025BHJP
【FI】
B65D83/00 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522413
(86)(22)【出願日】2021-09-30
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2021076935
(87)【国際公開番号】W WO2022078768
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】20201502.0
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ,カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ルシェ,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】ルーテ-シュタインジーク,カイ
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LD01
3E014PA03
3E014PC03
3E014PC06
3E014PE16
3E014PF10
(57)【要約】
本発明は、基材上に粘性材料を適用するための適用装置(1)に関する。適用装置(1)は、粘性材料を収容するための吐出口(18)を有する内側容器(3);内側容器(3)を囲み、内径D1を有する実質的に中空円筒状のネック領域(6)及びネック領域(6)に形成された開口部(7)を有する外側ケーシング(2);並びに外側ケーシング(2)に接続されたアプリケーター(4)を含んでなり、外側ケーシング(2)への圧力によって、粘性材料が内側容器(3)からアプリケーター(4)に搬送され、前記アプリケーターによって基材上に適用でき、適用装置(1)は、吐出口(18)の領域で内側容器(3)に気密に接続されている挿入部(19)を含んでなる換気装置を有し、この装置は実質的に中空円筒状であり、かつ外径D2を有し、挿入部(19)の外径D2は、外側ケーシング(2)のネック領域(6)の内径D1よりも小さく、挿入部(19)は、その外側にラッチ手段(22)を有し、その助けにより挿入部は外側ケーシング(2)のネック領域(6)内の挿入位置にラッチされ、この挿入位置において、異なる直径D1及びD2の結果として、挿入部(19)と外側ケーシング(2)のネック領域(6)との間に環状ギャップが形成され、この環状ギャップを通じて空気が外側ケーシング(2)と内側容器(3)との間の中間空間に外部から流入することができ、その逆もまた同様であり、アプリケーター(4)と外側ケーシング(2)との間の接続部も空気に対して透過性であり、アプリケーター(4)は、アプリケーター(4)が挿入位置にあるとき、内側容器(3)の内部容積が外側ケーシング(2)と内側容器(3)との間の中間空間から気密かつ漏れなく密封されるシーリング手段(25)を含んでなる。本発明は、さらに、この種の適用装置(1)の製造方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に粘性材料を適用する適用装置(1)であって、該粘性材料を収容するための吐出口(18)を有する内側容器(3)と、内側容器(3)を囲み、内径D1の実質的に中空円筒状のネック領域(6)及びネック領域(6)に設計された開口部(7)を有する外側ケーシング(2)と、外側ケーシング(2)に接続されたアプリケーター(4)とを含んでなり、前記粘性材料は、外側ケーシング(2)への圧力により内側容器(3)からアプリケーター(4)に運ばれ、該アプリケーターにより基材に適用することができ、適用装置(1)は、吐出口(18)の領域で内側容器(3)に気密な方法で接続され、実質的に中空円筒の形状に設計され、及び外径D2を有する挿入部(19)を含んでなる換気装置を有し、挿入部(19)の外径D2は、外側ケーシング(2)のネック領域(6)の内径D1よりも小さく、挿入部(19)は、その外側にラッチ手段(22)を有し、該ラッチ手段(22)により外側ケーシング(2)のネック領域(6)内の挿入部位置でラッチされ、この挿入部位置では、直径D1及びD2が異なるため、挿入部(19)と外側ケーシング(2)のネック領域(6)との間に環状ギャップが設計され、該環状ギャップを通じて、空気は外側から、外側ケーシング(2)と内側容器(3)との間の中間空間に流入することができ、その逆も同様であり、さらにアプリケーター(4)と外側ケーシング(2)との間の接続部は、空気透過性であるように設計され、アプリケーター(4)はシーリング手段(25)を含んでなり、該シーリング手段(25)により、アプリケーター(4)の使用位置において、外側ケーシング(2)と内側容器(3)との間の中間空間に対して内側容器(3)の内容積の気密及び漏れ防止のシーリングを提供することを特徴とする、適用装置(1)。
【請求項2】
前記環状ギャップは、0.4~1mmのギャップ幅を有することを特徴とする、請求項1に記載の適用装置(1)。
【請求項3】
外側ケーシング(2)は、外側ケーシング(2)の圧縮が促進されるラメラ折り(9)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の適用装置(1)。
【請求項4】
ラメラ折り(9)は、外側ケーシング(2)の圧縮が、前記粘性材料の主流方向(16)に対して垂直な方向に実質的に生じるように設計されていることを特徴とする、請求項3に記載の適用装置(1)。
【請求項5】
内側容器(3)は、フィルムバッグとして設計されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の適用装置(1)。
【請求項6】
内側容器(3)は、アルミニウム系フィルムから設計されていることを特徴とする、請求項5に記載の適用装置(1)。
【請求項7】
内側容器(3)は溶接により挿入部(19)に接続され、溶接された接続は、少なくとも1.5barまでの耐圧性を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の適用装置(1)。
【請求項8】
アプリケーター(4)は、本体(30)と、適用された粘性材料の平滑化手段(26、29)及び/又は隣接する基材領域の洗浄手段(27、28)とを含んでなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の適用装置(1)。
【請求項9】
アプリケーター(4)は、異なる剛性の少なくとも2つの材料を有し、本体(30)は、平滑化手段及び/又は洗浄手段(26、27、28、29)よりも剛性の高い材料で作られていることを特徴とする、請求項8に記載の適用装置(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の適用装置(1)の製造方法であって、以下の工程:
・内側容器(3)と、内側容器(3)に接続された挿入部(19)と、ネック領域(6)及び開口部(7)を有する外側ケーシング(2)と、アプリケーター(4)とを提供する工程;
・内側容器(3)の左側面(21)及び内側容器(1)の右側面(20)を直接重ねることにより、内側容器(3)をU字状に折り畳む工程;
・U字状に折り畳まれた内側容器(3)を外側ケーシング(2)の開口部(7)から挿入する工程;
・外側ケーシング(2)のネック領域(6)に内側容器(3)の挿入部(19)をラッチし、内側容器(3)の挿入部(19)と外側ケーシング(2)のネック領域(6)との間に環状ギャップを形成する工程;
・内側容器(3)に粘性材料を充填する工程;
・アプリケーター(4)を外側ケーシング(2)に適用し、アプリケーター(4)と外側ケーシング(2)とを接合する工程であって、アプリケーター(4)と外側ケーシング(2)との接合は空気透過性であるが、アプリケーター(4)が内側容器(3)の内容積から外側ケーシング(2)と内側容器(3)との間の中間空間を密閉する工程;
・必要に応じて、アプリケーター(4)に保護キャップを被せ、保護キャップを外側ケーシング(2)にラッチする工程
を含んでなる、方法。
【請求項11】
外側ケーシング(2)は、射出ブロー成形法で熱可塑性エラストマーから製造されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に粘性物質を適用するための適用装置に関する。また、本発明は、このような適用装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような適用装置は、先行技術において塗布具として知られており、例えば、工業、工芸品又はDIYの分野で使用されている。例えば、このような適用装置は、衛生的な分野における部材間の接合部を閉じるためのシーラントを吐出するために使用できる。あるいは、このような適用装置を利用して、接着剤などの粘性物質を適用することもできる。
【0003】
適用装置は、WO2016/166237から知られており、シーラントを収容するための容器と、容器の開口部に配置して容器にラッチすることができるアプリケーターとを有する。アプリケーターは、シーラントを容器から基材上に吐出するための吐出口を有し、また、吐出直後に一方では吐出されたシーラントが滑らかになり、他方では基材の隣接する表面領域が過度なシーラントから解放されるように設計されている。換言すれば、アプリケーターは、シーラントの吐出及び形成の両方に使用されるだけでなく、基材の隣接領域のその後の洗浄にも使用される。シーラントは、使用者が容器の壁を絞ることにより、適用装置の容器から吐出される。容器の前部及び後部作動面は、容器の内容積を減少させるように互いに向かって移動し、それによってシーラントをアプリケーターに押し込み、その吐出口を通して吐出する。この目的のために、作動面は容器の壁の変形を可能にし、容易にするために、領域において柔軟又は薄壁になるように設計できる。
【0004】
このような適用装置には、いくつかの欠点がある。多くの粘性材料はチキソトロピックな挙動を有するため、通常、適用装置を使用前に攪拌して材料の流動性を改善し、吐出口まで搬送する必要がある。特に、垂直方向の基材上への適用のために、このプロセスは、適用の間に数回繰り返されて、吐出口での製品の利用可能性を確実にする必要がある場合がある。しかし、振ることにより材料に空気が入り込み、均一で気泡のない材料の排出には不利である。容器への圧力効果が弱まり、復元力が作用して容器の壁が元の形状に戻るとすぐに、既存の真空により、一定量の粘性材料が適用装置に引き戻されることがある。また、特に空気は外部から容器内に引き込まれる。この空気は、後続の吐出手順中に制御不能な方法で逃げ出し、及び/又は適用された材料に閉じ込められる場合がある。このようなエアポケットは、適用された材料の機能、例えばシーリング機能又は接着機能を損なう可能性があり、製品の耐久性は、容器への空気の浸透により低下する。
【0005】
最後に、容器壁の可撓性であるがまだ比較的固体の材料のため、容器の残りを空にすることはほとんど不可能であり、すなわち、かなりの量の粘性材料が常に容器内に残り、これはもはや容器の壁を圧縮することによって排出できない。
【0006】
適用装置は、DE 20 2015 106 902 U1から知られており、ペースト状組成物用の受容器、注ぎ口を備えたキャップ、及び受容器を囲む変形可能な包装を有する。包装にはベローズ型の折りが付いており、包装の絞りを促進してペースト状の塊を受容器から排出する。これにより、残留排水の改善をもたらし得るが、ここで空気取入口とエアポケットの問題が同等に存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO2016/166237
【特許文献2】DE 20 2015 106 902 U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、簡単な方法で均一かつより完全な方法で、粘性材料を容器から基材に吐出できる適用装置を提供することである。本発明のさらなる目的は、そのような適用装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、請求項1の特徴を有する適用装置、及び請求項10の特徴を有する方法によって解決される。
【0010】
請求項1によれば、本発明は、粘性材料を収容するための吐出口を有する内側容器と、内側容器を囲み、内径D1の実質的に中空円筒状のネック領域及びネック領域に形成された開口部を有する外側ケーシングと、外側ケーシングに接続されたアプリケーターとを含んでなり、前記粘性材料は、外側ケーシングへの圧力により内側容器からアプリケーターに運ばれ、該アプリケーターにより基材に適用することができる。本発明の適用装置は、吐出口の領域で内側容器に気密な方法で接続され、実質的に中空円筒の形状に設計され、及び外径D2を有する挿入部を含んでなる換気装置を含んでなり、挿入部の外径D2は、外側ケーシングのネック領域の内径D1よりも小さく、挿入部は、その外側にラッチ手段を有し、該ラッチ手段により外側ケーシングのネック領域内の挿入部位置でラッチされ、この挿入部位置では、直径D1及びD2が異なるため、挿入部と外側ケーシングのネック領域との間に環状ギャップが設計され、該環状ギャップを通じて、空気は外側から、外側ケーシングと内側容器との間の中間空間に流入することができ、その逆も同様であり、さらにアプリケーターと外側ケーシングとの間の接続部は、空気透過性であるように設計され、アプリケーターはシーリング手段を含んでなり、該シーリング手段により、アプリケーターの使用位置において、外側ケーシングと内側容器との間の中間空間に対して内側容器の内容積の気密及び漏れ防止のシーリングを提供することを特徴とする。
【0011】
換言すれば、本発明は、外側ケーシングが圧縮されたときに、外側ケーシングと内側容器との間にある空気が、最初に外側ケーシングのネック領域と内側容器の挿入部との間の環状ギャップを通じて出ていき、ねじ接続等のアプリケーターと外側ケーシングとの間の非気密接続領域を通じて出ていくように換気装置を適用装置に組み込むことを提案する。外側ケーシングにかかる圧力が内側ケーシングに伝わり、粘性材料が内側ケーシングからアプリケーターに運ばれ、アプリケーターから基材に吐出される。外側ケーシングにかかる圧力が解放されるとすぐに、アプリケーターと外側ケーシングとの間の接続領域を通じて外側から、内側容器と外側ケーシングとの間の中間空間に再び空気が吸い込まれ、ここに蓄積された圧力を解放し、外側ケーシングをその元の形状に戻す。しかし同時に、粘性材料を保管する内側ケーシングには空気が入らない。これは、本発明による、外側ケーシングと内側ケーシングとの間の中間空間が、アプリケーター内に配置されたシーラント、例えばシーリングによって密閉されているためである。したがって、外側ケーシングは、空気の流入により各適用手順の後に元の形状に戻るが、内側容器は各適用手順でさらに圧縮され、不可逆的に変形する。
【0012】
統合された換気装置は、計量中及びその後の外側ケーシングのリセット中に、粘性材料を保管する内側容器に空気が引き込まれるのを防ぐ。これにより、使用前に適用装置を振ったり「スパイク」したりする必要がなくなり、基材に粘性材料を気泡のない状態で確実に適用できる。内側容器は、各適用手順ごとにさらに変形し、この変形は可逆的ではないため、粘性材料は最初に吐出口に向かって戻らなければならない内側容器の領域に戻ることができない。代わりに、粘性材料は、適用装置のどの向きでも、例えばオーバーヘッド適用であっても常にすぐに利用でき、泡を立てずに確実に吐出できる。これが残留物の排出の大幅な改善をもたらす。これにより、適用装置の外観は、外側ケーシングが常に元の形状に戻り、次第に変形される内側容器が使用者には見えないため、使用者にとって一貫して魅力的である。さらに、内側容器への空気の取り込みがなくなるため、粘性材料の耐久性も高まる。
【0013】
アプリケーターは計量及び成形システムとして機能し、外側ケーシングに接続される。アプリケーターと外側ケーシングを接続するために、外側ケーシングのネック領域は雄ネジを有し、アプリケーターは対応する雌ネジを有していてよい。ねじ接続部は、右ねじとして設計できるが、特に、使用者によるアプリケーターの外側ケーシングからの偶発的なねじ外れに対抗するために、左ねじとして設計することもできる。いずれにせよ、ねじ接続部は空気を透過するように設計されているため、空気がねじを通して、内側容器と外側ケーシングとの間の中間空間に流入し、またその逆も可能である。アプリケーターに含有されるシーラントが、これらの空気の流れから内側容器の内容積を密閉する。
【0014】
本発明の適用装置は、粘性材料、例えばシーリング材を基材に最初に適用する場合だけでなく、修復の必要性があり得る既存の材料層に材料を後から適用する場合にも同様に適する。
【0015】
本発明の実施形態によれば、内側容器の挿入部と外側ケーシングのネック領域との間に設計された環状ギャップは、0.4~1mmのギャップ幅を有する。このギャップ幅は、外側ケーシングのネック領域の内径D1と挿入部の外径D2との差の半分に起因する。このようなギャップ幅により、外側ケーシングが圧縮されたときに、外側ケーシングと内側容器との間の中間空間から空気が速やかに外部に逃げることができ、また、外側ケーシングにかかる圧力が解放されるときに、空気が外部からこの中間空間に同様に速やかに逆流できる。この場合、粘性材料がアプリケーターの吐出口からわずかに後退する前に圧力平衡がすでに回復されるように、空気は、粘性材料がアプリケーターの吐出口からわずかに後退するよりも、はるかに速く中間空間に引き込まれる。これにより、内側容器への空気の混入を防ぐことができる。
【0016】
外側ケーシングは、ボトル状の形状を有していてよい。この点に関して、外側ケーシングの断面は、圧力を内側容器に伝達するために前部及び後部の作動面が互いに向かって移動するように設計されるよう、実質的に長方形であってよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、外側ケーシングは、外側ケーシングの圧縮を容易にするラメラ折りを有する。ベローズ型のラメラ折りが外側ケーシングの圧縮を促進し、内側容器から粘性物質を排出する。好ましい実施形態によれば、ラメラ折りは、外側ケーシングの圧縮が粘性材料の主流方向に対して実質的に垂直な方向に起こるように設計される。材料の主流方向は、内側容器の後端から内側容器の反対側の端に位置する排出口に向かう方向により与えられる。この主流方向に平行な方向に外側ケーシングの領域を折り畳むことにより、外側ケーシングを主流方向に垂直な方向に容易に圧縮できる。このように、本発明の適用装置の片手操作は、使用者が親指と、同じ手の少なくとも1本のさらなる指とで外側ケーシングを保持し、親指と少なくとも1本のさらなる指とを互いに向かって動かすことによって、大きな力を必要とせずに、ラメラ折りによって有利に外側のケーシングを圧縮することが可能となる。外側ケーシングにかかる圧力は内側容器に伝わり、粘性材料がアプリケーターに運ばれ、アプリケーターから基材に吐出される。外側ケーシングの良好な圧縮性により、良好な残留排出機能が促進される。
【0018】
折り目又はラメラの数は原理的に変えることができ、ラメラの数が多いほど外側ケーシングの圧縮が促進されるが、同時に外側ケーシングの強度及び安定性が低下する。この点で、一方では良好な圧縮性、もう一方では外側ケーシングの十分な安定性の間で妥協点を見つける必要がある。一般に、このような妥協点は3~7枚のラメラで与えられる。2つの隣接するラメラ間の開口角度は約30°~55°にできる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、内側容器はフィルムバッグとして設計される。フィルムバッグは一般に可撓性が高く、容易に変形できるため、外側ケーシングにかかる圧力がフィルムバッグ及びその中に保管されている粘性材料に容易かつ効率的に伝達されることができる。例えば、内側容器はアルミニウム系フィルムから設計されてよい。フィルム材料は、少なくとも1つのアルミニウム層を含んでなる積層体であってよい。このような材料は、適用装置が一定の高さから地面に落下した場合などに力が加わった場合でも、フィルムバッグが引き裂かれたり、粘性材料が内側容器と外側ケーシングとの間の中間空間に誤って漏れたりするのを防ぐのに十分な安定性と強度も備えている。フィルムバッグを囲む外側ケーシングのせいで、使用者はフィルムバッグ内の漏れにすぐには気づかないため、このことはさらに重要である。最後に、アルミニウム積層体には、湿気をほとんど通さないという利点がある。このようにして、粘性材料からバッグ壁を通って水が拡散するのを防ぐことができ、粘性材料が適用装置にある間に硬化するのを防ぐことができる。これにより、製品の保存性が大幅に向上する。例示的な積層体は、PET層、アルミニウム層、OPA層及びPE層からなる4層複合体として構築される。
【0020】
本発明の一実施形態では、内側容器が溶接によって挿入部に接続されており、溶接接続は少なくとも1.5バールまでの耐圧性を有する。このように、適用装置と内側容器との間の接続部は、適用装置が一定の高さから地面に落下したとき等に生じる力に耐えられるように設計されており、これにより、適用装置が内側容器から外れたり、粘性材料が内側容器と外側ケーシングとの間の中間空間に逃げることを防止する。挿入部自体は、例えば射出成形プロセスを使用して熱可塑性プラスチックから製造できる。
【0021】
本発明の一実施形態では、アプリケーターは、本体と、適用された粘性材料の平滑化手段及び/又は隣接する基材領域の洗浄手段とを含んでなる。この目的のために、アプリケーターの本体にデルタ形状の翼を形成でき、その外縁は、適用された材料を滑らかにし、隣接する基材領域を洗浄するのに役立つ。アプリケーターはまた、少なくとも1つの平滑エッジ又は洗浄エッジを有する実質的に長方形に設計されたブレードを含んでなってもよい。この点に関して、アプリケーターは剛性の異なる少なくとも2つの材料を有し、本体は平滑化手段及び/又は洗浄手段よりも剛性の高い材料から作られる。例えば、平滑化及び/又は洗浄に使用されるブレードの外縁は、柔軟な材料で作製できるが、アプリケーターの本体は、熱可塑性エラストマーなどの硬い材料で作製できる。このように設計されたアプリケーターを使用すると、外側ケーシングに圧力を加え、同時に適用装置を基材上で引くことにより、粘性材料を1回の操作で吐出して形成でき、余分な材料を基材から引き離して収集できる。
【0022】
本発明は、請求項1~9のいずれか一項に記載の適用装置の製造方法であって、以下の工程:
・内側容器と、内側容器に接続された挿入部と、ネック領域及び開口部を有する外側ケーシングと、アプリケーターとを提供する工程;
・内側容器の左側面及び内側容器の右側面を直接重ねることにより、内側容器をU字状に折り畳む工程;
・U字状に折り畳まれた内側容器を外側ケーシングの開口部から挿入する工程;
・外側ケーシングのネック領域に内側容器の挿入部をラッチし、内側容器の挿入部と外側ケーシングのネック領域との間に環状ギャップを形成する工程;
・内側容器に粘性材料を充填する工程;
・アプリケーターを外側ケーシングに適用し、アプリケーターと外側ケーシングとを接合する工程であって、アプリケーターと外側ケーシングとの接合は空気透過性であるが、アプリケーターが内側容器の内容積から外側ケーシングと内側容器との間の中間空間を密閉する工程;
・必要に応じて、アプリケーターに保護キャップを被せ、保護キャップを外側ケーシングにラッチする工程
を含んでなる方法に関する。
【0023】
内側容器を外側ケーシングに挿入するには、内側容器を折り畳む必要がある。内側容器に粘性物質を充填することで、最終的に内側容器は再び外側ケーシング内に展開される。本発明による方法に不可欠なのは、内側容器、例えばフィルムバッグのU字状の折り畳みであり、内側容器の右側面と内側容器の左側面が直接上下に配置される。このため、U字状の折りは、内側容器の一方の側面を前方に折り畳み、他方の側面を後方に折り畳む、いわゆるZ字状の折りと区別される。U字状の折りは、Z字状の折りに比べて、粘性物質を充填した際の内側容器の展開が著しく改善され、より確実に展開できるため、内側容器への充填をより均一かつ完全に行うことができるという利点がある。
【0024】
本方法の実施形態によれば、適用装置の外側ケーシングは、射出ブロー成形プロセスで熱可塑性エラストマーから製造できる。ラメラ折りを有する外側ケーシングの形成には、複合射出ブロー成形プロセスが特に適している。
【0025】
以下、本発明を実施形態の例により、添付図を参照しながら、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の適用装置の一実施形態を透視図で示す。
図2図2は、図1の適用装置の外側ケーシングを示す。
図3図3は、図2に示す外側ケーシングの側面図を示す。
図4図4は、挿入部を有する適用装置の内側容器を示す。
図5図5は、U字状に折り畳まれた図4の内側容器を示す。
図6図6は、U字状に折り畳まれた内側容器を上から見た図を示す。
図7図7は、図5の内側容器をすでに部分的に展開した状態を示す。
図8図8は、挿入部の例を下から見た斜視図を示す。
図9図9は、アプリケーター、挿入部及び外側ケーシングの接続領域の概略図を示す。
図10図10は、アプリケーターの代替実施形態の透視図を示す。
図11図11は、外側ケーシングのネック領域でラッチされて環状ギャップを形成する挿入部の概略断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、基材に粘性材料を適用するための、全体で1と指定された適用装置を示す。適用装置1は、外側ケーシング2と図1の図示では見えない内側容器3とを含んでなり、内側容器3は外側ケーシング2の内側に配置され、粘性材料、例えばシーラントを貯蔵する。内側容器3については、図4図7に関連して後でさらに詳しく説明する。
【0028】
さらに、適用装置1は、ねじ接続を介して外側ケーシング2に接続されたアプリケーター4を含んでなる。アプリケーター4と外側ケーシング2との間のねじ接続部は、空気透過性となるように設計されている。外側ケーシング2にかかる外圧が内側容器3に伝わり、粘性材料が内側容器3からアプリケーター4に搬送され、基材に適用される。この目的のために、アプリケーター4は、粘性材料が適用装置1から出ることができる吐出口5を有する。
【0029】
図2及び図3は、図1の適用装置1の外側ケーシング2の2つの図を示す。外側ケーシング2は、開口部7を有するネック領域6を含んでなり、ネック領域6は、実質的に中空円筒として設計され、内径D1を有する。ネック領域6には雄ねじ8が設けられており、外側ケーシング2を適用装置1のアプリケーター4にねじ込むのに役立つ。雄ねじ8は左ねじとして設計される。
【0030】
外側ケーシング2は、ベローズの態様でラメラ折り9を有し、ラメラ10は、外側ケーシング2のネック領域6の下の領域から始まって、外側ケーシング2の左側11を越え、その下面12を越え、右側13を越えて、順にネック領域6まで円周方向に延びている。ラメラ折り9は、外側ケーシング2の圧縮を容易にする。この目的のために、使用者は、親指と他の少なくとも1本の指との間で、片手で外側ケーシング2を掴み、2つの対向する作動面14及び15に圧力を適用して、2つの作動面14及び15を互いに向かって動かすことができる。
【0031】
この点に関して、ラメラ折り9は、外側ケーシング2の圧縮が、適用装置1内の粘性材料の主流方向に対して実質的に垂直な方向に起こるように設計されている。粘性材料の主流方向は、図1及び図3に矢印16で示されており、外側ケーシング2の底部12からそれぞれアプリケーター4及び開口部7に向かって延びている。図3では、外側ケーシング2の圧縮が起こる垂直方向も矢印17で示されている。図示の実施形態は5つのラメラを有し、2つの隣接するラメラ間の開口角αは約47°である。
【0032】
図4に適用装置2の内側容器3を示す。内側容器3は、フィルム厚さ約100μmのアルミニウム積層体をエッジシールにより形成したフィルムバッグとして設計されている。内側容器3は、粘性材料を貯蔵するために使用され、吐出口18を有する。吐出口18の領域では、挿入部19が溶接によって内側容器3に気密に接続されている。挿入部19は実質的に中空円筒の形状に設計されており、これは図6及び図11でより明確に見ることができる。挿入部19の外径D2は、外側ケーシング2のネック領域6の内径D1より小さい(図11も参照)。挿入部19は換気装置の一部であり、これについては以下でより詳細に説明する。
【0033】
図1の適用装置1では、外側ケーシング2の内部に内側容器3が配置されている。外側ケーシング2内に挿入するために、内側容器3は、図5及び図6に見られるように、U字状に折り畳まれる。この目的のために、右側面20が内側容器3の中央領域上に折り畳まれ、次に内側容器3の左側面21がその上に直接配置される。図6は、U字状に折り畳まれた状態における内側容器3の側面20及び21の配置の上面図を示す。この状態で、内側容器3を開口部7から外側ケーシング2の内部領域に挿入できる。続いて、開口部18を通して内側容器3に粘性材料を充填すると、内側容器3が徐々に展開し、内側容器3の下部領域が展開される前に、図7に示すように、内側容器3の上部領域が最初に展開し、さらに充填すると完全に広がる。他のタイプの折り畳みと比較して、U字状の折り畳みは、内側容器3の展開を特に確実にし、粘性材料のより均一かつ完全な充填を可能にする。
【0034】
外側ケーシング2内に挿入された内側容器3は、ラッチ機構により外側ケーシング2に接続される。この目的のために、内側容器2に接続された挿入部19は、その外側にラッチ手段22を有する(図2を参照)。これは図8にも示されており、外側ケーシング2内への内側容器3の挿入位置において、外側ケーシング2のネック領域6の内側にある対応するラッチ手段によってラッチされる。挿入部19の外径D2とネック領域6の内径D1との差により、挿入部19の挿入位置において挿入部19と外側ケーシング2のネック領域6との間に環状ギャップが設計される(図11を参照)。図11は、図5に示す線A-Bに沿った挿入部19の断面の上面図を示しており、挿入部19は外側ケーシング2のネック領域6に挿入されている。環状ギャップは、スケール通りではないが、ここでは影付きの領域で示されている。空気は、この環状ギャップを通って外側ケーシング2と内側容器3との間の中間空間に流入でき、またその逆も可能である。図示の実施形態では、直径D1は約19.3mmであり、直径D2は約17.8mmである。したがって、環状ギャップは約0.75mmのギャップ幅を有する。
【0035】
図9は、アプリケーター4、挿入部19、及び外側ケーシング2のネック領域6の接続領域の断面を部分的に切り取った概略図を示す。アプリケーター4と外側ケーシング2のネック領域6との間のネジ接続部は空気透過性であり、空気が外部から矢印23で示す方向にネジ接続領域に流入して通過し、最終的に矢印24で示す領域で挿入部19と外側ケーシング2のネック領域6との間の環状ギャップを通して内側容器3と外側ケーシング2との間の中間空間に流入することを可能にする。同時に、アプリケーター4は、シーリング手段25を有し、このシーリング手段によって、吐出口18を介してアクセス可能な内側容器3の内部容積が、外側ケーシング2と内側容器3との間の中間空間に対してシールされる。すなわち、外側ケーシング2と内側容器3との間の中間空間には空気が流入できるが、この空気が内側容器3内に流入することはない。
【0036】
この換気装置は、適用装置1から粘性物質が気泡なく均一に排出されることを可能にする。上述の方法で使用者によって外側ケーシング2が圧縮されると、外側ケーシング2と内側容器3との間に位置する空気が、最初に外側ケーシング2のネック領域6と内側容器3の挿入部19との間の環状ギャップから抜け、アプリケーター4と外側ケーシング2との間の空気透過性のねじ接続部を介して外部に通じる。外側ケーシング2の圧力が内側ケーシング3に伝わり、内側ケーシング3からアプリケーター4に粘性材料が搬送され、吐出口5から基材に吐出される。外側ケーシング2の圧力が解放されると同時に、アプリケーター4と外側ケーシング2との間の接続領域を通じて、外側から再び空気が内側容器3と外側ケーシング2との間の中間空間に取り込まれ、ここに溜まった負圧を緩和して外側ケーシング2を元の形状に戻す。しかし同時に、粘性物質を収納する内側容器3は、アプリケーター4に配置されたシーリング手段25によって、外側ケーシング2と内側容器3との間の中間空間から密閉されているため、空気が入ることはない。このため、外側ケーシング2は、空気の流入により各適用手順の後に元の形状に戻る一方、内側容器3は各適用手順でさらに圧縮され、不可逆的に変形する。
【0037】
統合された換気装置は、計量及びその後の外側ケーシング2のリセットの間に、内側容器3内に空気が引き込まれ、粘性材料が引き裂かれることを防止する。これにより、使用前に適用装置1を振ったり「スパイク」したりする必要がなくなり、基材への粘性材料の気泡のない適用が保証される。内側容器3は適用手順ごとにさらに変形し、この変形は可逆的ではないため、粘性材料は、最初に吐出口18に向かって戻さなければならない内側容器3の領域に戻ることはできない。むしろ、粘性材料は、適用装置1のどの向きでも常にすぐに利用可能であり、泡を立てずに確実に吐出できる。これにより、残留物排出も大幅に改善される。これにより、適用装置1の外観は、外側ケーシング2が常に元の形状に戻り、変形が進む内側容器3が使用者に見えないため、常に使用者に魅力的である。
【0038】
図10は、アプリケーター4の代替実施形態を示す。図1のアプリケーター4の実質的に長方形の形状と比較して、図10のアプリケーター4はデルタ形状に設計されている。図1及び図4のアプリケーター4の外縁26、27、28、29は、それぞれ、適用された粘性材料の平滑化手段及び隣接する基材領域の洗浄手段として機能する。この場合、アプリケーター4の本体30は、柔軟な材料で作られる平滑化手段及び洗浄手段よりも硬い材料で作られる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】