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特表2023-546522半導体プロセス装置、並びにその反応チャンバ及び膜層堆積方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-02
(54)【発明の名称】半導体プロセス装置、並びにその反応チャンバ及び膜層堆積方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20231026BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20231026BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/316 X
C23C16/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528533
(86)(22)【出願日】2021-11-17
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 CN2021131150
(87)【国際公開番号】W WO2022105778
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】202011296600.9
(32)【優先日】2020-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510182294
【氏名又は名称】北京北方華創微電子装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NAURA MICROELECTRONICS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.8 Wenchang Avenue Beijing Economic-Technological Development Area, Beijing 100176, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】チン ハイフォン
(72)【発明者】
【氏名】ラン ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】シー シュァイタオ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ファンユー
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャン ウェンチィァン
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030BA44
4K030FA03
4K030HA12
4K030HA16
4K030KA36
4K030KA37
4K030KA39
4K030KA41
5F045AA08
5F045AA15
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5F045AC09
5F045AC11
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5F045BB08
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5F045GB08
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5F058BF07
5F058BF22
5F058BF29
5F058BG10
(57)【要約】
本発明は半導体プロセス装置の反応チャンバ、半導体プロセス装置及び膜層堆積方法を提供し、反応チャンバはチャンバ本体と、監視モジュールと、堆積モジュールと、制御モジュールとを含み、堆積モジュールは、チャンバ本体内に1つの堆積周期における複数回の堆積ステップを実行することに用いられ、監視モジュールは、チャンバ本体に接続され、堆積モジュールが堆積ステップを実行する度にチャンバ本体の内部で生成されたプラズマ光源の輝度を監視し、且つプラズマ光源の輝度に基づいて第1信号を生成することに用いられ、制御モジュールは、監視モジュールに接続され、少なくとも1回の堆積ステップに対応する第1信号に基づいて、堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、YESの場合、異常処理プロセスを実行することに用いられる。本発明は目標膜層の厚さが目標の厚さからずれる問題を改善することに有利である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセス装置の反応チャンバであって、
チャンバ本体と、監視モジュールと、堆積モジュールと、制御モジュールとを含み、
前記堆積モジュールは、前記チャンバ本体内に1つの堆積周期における複数回の堆積ステップを実行することに用いられ、
前記監視モジュールは、前記チャンバ本体に接続され、前記堆積モジュールが前記堆積ステップを実行する度に前記チャンバ本体の内部で生成されたプラズマ光源の輝度を監視し、且つ前記プラズマ光源の輝度に基づいて第1信号を生成することに用いられ、
前記制御モジュールは、前記監視モジュールに接続され、少なくとも1回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号に基づいて、前記堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、YESの場合、異常処理プロセスを実行することに用いられることを特徴とする半導体プロセス装置の反応チャンバ。
【請求項2】
前記異常処理プロセスは、具体的に、
前記制御モジュールが異常警報信号を出し、及び/又は、前記堆積モジュールを制御して前記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の反応チャンバ。
【請求項3】
前記制御モジュールは、具体的に、
少なくとも1回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号に基づいて、プラズマ点火異常が発生した前記堆積ステップがあるか否かを判断し、YESの場合、前記目標膜層の厚さが異常であると判定して、前記異常処理プロセスを実行することに用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応チャンバ。
【請求項4】
前記制御モジュールは処理サブモジュール及び制御サブモジュールを含み、前記監視モジュール及び前記制御サブモジュールがいずれも前記処理サブモジュールに接続され、
前記処理サブモジュールは、毎回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号が予め設定された範囲を超えるか否かを判断し、YESの場合、該回の前記堆積ステップに対応する第2信号を生成することに用いられ、
前記制御サブモジュールは、前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数を統計し、前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数が0よりも大きい場合、前記目標膜層の厚さが異常であると判定して、前記異常処理プロセスを実行することに用いられることを特徴とする請求項3に記載の反応チャンバ。
【請求項5】
前記異常処理プロセスは、具体的に、
前記制御サブモジュールは前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数に基づいて、前記堆積モジュールを制御して前記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含むことを特徴とする請求項4に記載の反応チャンバ。
【請求項6】
前記堆積モジュールが前記堆積ステップを追加して実行する回数は前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数と同じであることを特徴とする請求項5に記載の反応チャンバ。
【請求項7】
前記監視モジュールはフォトレジスト又はフォトダイオードを含み、前記第1信号は前記プラズマ光源の輝度と負相関する電圧信号であることを特徴とする請求項1に記載の反応チャンバ。
【請求項8】
前記チャンバ本体の側壁に監視口が設けられ、前記監視モジュールは、前記チャンバ本体の外に位置し、前記監視口によって前記チャンバ本体内のプラズマ光源の輝度を監視することを特徴とする請求項1に記載の反応チャンバ。
【請求項9】
前記監視モジュール及び前記制御モジュールのうちの少なくとも一方はプリント回路基板に統合され、前記プリント回路基板は前記チャンバ本体に取り付けられ、且つ前記チャンバ本体の外に位置し、
前記反応チャンバは保護ハウジングをさらに含み、前記保護ハウジングは前記プリント回路基板の周りに覆設され、前記プリント回路基板を外部から仕切ることに用いられ、且つ前記保護ハウジングには信号を伝送するためのポートが設けられることを特徴とする請求項1、7又は8に記載の反応チャンバ。
【請求項10】
半導体プロセス装置であって、
請求項1~9のいずれか1項に記載の反応チャンバを含み、前記堆積モジュールは給気装置及び上部電極装置を含み、前記チャンバ本体にはウェハーを載置するためのベースが設けられ、前記給気装置は前記チャンバ本体内に前駆体を導入することに用いられ、前記上部電極装置は前記前駆体を励起してプラズマを形成することに用いられることを特徴とする半導体プロセス装置。
【請求項11】
プラズマ強化原子層堆積装置に適用されることを特徴とする請求項10に記載の半導体プロセス装置。
【請求項12】
膜層堆積方法であって、
請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体プロセス装置の反応チャンバに適用され、前記膜層堆積方法は、
前記堆積モジュールが前記チャンバ本体内に1つの堆積周期における複数回の堆積ステップを実行することと、
前記堆積モジュールが前記堆積ステップを実行する度に、前記チャンバ本体の内部で生成されたプラズマ光源の輝度を監視し、且つ前記プラズマ光源の輝度に基づいて第1信号を生成することと、
少なくとも1回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号に基づいて、前記堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、YESの場合、異常処理プロセスを実行することと、を含むことを特徴とする膜層堆積方法。
【請求項13】
前記異常処理プロセスは、具体的に、
異常警報信号を出し、及び/又は、前記反応チャンバを制御して前記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含むことを特徴とする請求項12に記載の膜層堆積方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の加工技術分野に関し、具体的に半導体プロセス装置の反応チャンバ、半導体プロセス装置及び膜層堆積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化ケイ素(SiO2)薄膜は半導体プロセスにおいて最もよく使用されている薄膜の1つであり、従来のSiO2薄膜の堆積方法例えば酸化プロセスなどは高温環境において行われる必要があり、温度が一般的に1000℃を超えるが、高温環境において望ましくない副生成物を生成して、さらに薄膜の被覆率に影響を与える恐れがある。
【0003】
プラズマ強化原子層堆積(PEALD、Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)方法は低温環境においてSiO2薄膜を堆積することを実現することができ、温度が一般的に70℃~300℃であり、酸化プロセスに比べて、PEALD方法はより高い薄膜被覆率を有し、且つ薄膜の厚さをより正確に制御できる。
【0004】
現在、PEALD方法によるSiO2薄膜の堆積は一般的にビスジエチルアミノシラン(SAM24)及び酸素(O2)を前駆体として用い、図1は従来のPEALD方法によるSiO2薄膜の堆積のフローチャートであり、図1に示すように、堆積過程は少なくとも、SAM24前駆体を反応チャンバに入れてウェハーの表面に吸着させるステップS1′と、O前駆体を反応チャンバに入れて反応チャンバに高周波電界を印加することにより、SAM24の高分子を小分子に分解し、酸素分子を励起して活性酸素原子及び酸素遊離基等の様々な活性基を形成し、SAM24の分解された小分子が酸素の活性基と反応してSiO2薄膜を形成するステップS2′と、を含む。上記過程は1回の循環とされるが、実際のプロセスにおいて形成されたSiO2薄膜の厚さが実際のニーズを満たすようにするために一般的に複数回繰り返し循環する必要がある。
【0005】
しかしながら、反応チャンバに高周波電界を印加すると、点火遅延ひいては点火失敗等の異常が発生する恐れがあり、複数回の循環のうち1回の循環に異常が発生すると、生成されたSiO2薄膜の厚さが目標の厚さからずれる恐れがあり、さらにチップの間の厚さの適合性が低くなり、製品の品質に影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術に存在する技術的課題の一つを少なくとも解決するために、半導体プロセス装置の反応チャンバ、半導体プロセス装置及び膜層堆積方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本発明は半導体プロセス装置の反応チャンバを提供し、チャンバ本体と、監視モジュールと、堆積モジュールと、制御モジュールとを含み、
前記堆積モジュールは、前記チャンバ本体内に1つの堆積周期における複数回の堆積ステップを実行することに用いられ、
前記監視モジュールは、前記チャンバ本体に接続され、前記堆積モジュールが前記堆積ステップを実行する度に前記チャンバ本体の内部で生成されたプラズマ光源の輝度を監視し、且つ前記プラズマ光源の輝度に基づいて第1信号を生成することに用いられ、
前記制御モジュールは、前記監視モジュールに接続され、少なくとも1回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号に基づいて、前記堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、YESの場合、異常処理プロセスを実行することに用いられる。
【0008】
選択可能に、前記異常処理プロセスは、具体的に、
前記制御モジュールが異常警報信号を出し、及び/又は、前記堆積モジュールを制御して前記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含む。
【0009】
選択可能に、前記制御モジュールは、具体的に、
少なくとも1回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号に基づいて、プラズマ点火異常が発生した前記堆積ステップがあるか否かを判断し、YESの場合、前記目標膜層の厚さが異常であると判定して、前記異常処理プロセスを実行することに用いられる。
【0010】
選択可能に、前記制御モジュールは処理サブモジュール及び制御サブモジュールを含み、前記監視モジュール及び前記制御サブモジュールがいずれも前記処理サブモジュールに接続され、
前記処理サブモジュールは、毎回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号が予め設定された範囲を超えるか否かを判断し、YESの場合、該回の前記堆積ステップに対応する第2信号を生成することに用いられ、
前記制御サブモジュールは、前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数を統計し、前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数が0よりも大きい場合、前記目標膜層の厚さが異常であると判定して、前記異常処理プロセスを実行することに用いられる。
【0011】
選択可能に、前記異常処理プロセスは、具体的に、
前記制御サブモジュールは前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数に基づいて、前記堆積モジュールを制御して前記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含む。
【0012】
選択可能に、前記堆積モジュールが前記堆積ステップを追加して実行する回数は前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数と同じである。
【0013】
選択可能に、前記監視モジュールはフォトレジスト又はフォトダイオードを含み、前記第1信号は前記プラズマ光源の輝度と負相関する電圧信号である。
【0014】
選択可能に、前記チャンバ本体の側壁に監視口が設けられ、前記監視モジュールは、前記チャンバ本体の外に位置し、前記監視口によって前記チャンバ本体内のプラズマ光源の輝度を監視する。
【0015】
選択可能に、前記監視モジュール及び前記制御モジュールのうちの少なくとも一方はプリント回路基板に統合され、前記プリント回路基板は前記チャンバ本体に取り付けられ、且つ前記チャンバ本体の外に位置し、
前記反応チャンバは保護ハウジングをさらに含み、前記保護ハウジングは前記プリント回路基板の周りに覆設され、前記プリント回路基板を外部から仕切ることに用いられ、且つ前記保護ハウジングには信号を伝送するためのポートが設けられる。
【0016】
本発明は半導体プロセス装置をさらに提供し、上記半導体プロセス装置の反応チャンバを含み、前記堆積モジュールは給気装置及び上部電極装置を含み、前記チャンバ本体にはウェハーを載置するためのベースが設けられ、前記給気装置は前記チャンバ本体内に前駆体を導入することに用いられ、前記上部電極装置は前記前駆体を励起してプラズマを形成することに用いられる。
【0017】
選択可能に、前記半導体プロセス装置はプラズマ強化原子層堆積装置に適用される。
【0018】
本発明は膜層堆積方法をさらに提供し、上記半導体プロセス装置の反応チャンバに適用され、前記膜層堆積方法は、
前記堆積モジュールが前記チャンバ本体内に1つの堆積周期における複数回の堆積ステップを実行することと、
前記堆積モジュールが前記堆積ステップを実行する度に前記チャンバ本体の内部で生成されたプラズマ光源の輝度を監視し、且つ前記プラズマ光源の輝度に基づいて第1信号を生成することと、
少なくとも1回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号に基づいて、前記堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、YESの場合、異常処理プロセスを実行することと、を含む。
【0019】
選択可能に、前記異常処理プロセスは、具体的に、
異常警報信号を出し、及び/又は、前記反応チャンバを制御して前記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0021】
本発明に係る半導体プロセス装置、並びにその反応チャンバ及び膜層堆積方法の技術案において、監視モジュールは堆積モジュールが堆積ステップを実行する度にチャンバ本体の内部で生成されたプラズマ光源の輝度を監視し、且つプラズマ光源の輝度に基づいて第1信号を生成し、制御モジュールは少なくとも1回の堆積ステップに対応する上記第1信号に基づいて、堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、YESの場合、異常処理プロセスを実行する。これにより、目標膜層の厚さが異常となった後に異常処理を直ちに行うことができ、さらに目標膜層の厚さが目標の厚さからずれる問題を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面は本発明の更なる理解を提供するためのものであって、明細書の一部となり、下記具体的な実施形態とともに本発明を解釈するためのものであるが、本発明を制限するものではない。
図1】従来のPEALDを用いてSiO2薄膜を堆積するフローチャートである。
図2】本発明の実施例に係る反応チャンバの第1構造模式図である。
図3】本発明の実施例に係る反応チャンバの第2構造模式図である。
図4】本発明の実施例に係る監視モジュールの回路構造模式図である。
図5】本発明の実施例に係る監視過程の模式図である。
図6】本発明の実施例に係る膜層堆積方法の第1フローチャートである。
図7】本発明の実施例に係る膜層堆積方法の第2フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を詳しく説明する。理解されるように、ここに説明した具体的な実施形態は単に本発明を説明及び解釈するためのものであり、本発明を制限するものではない。
【0024】
本発明は半導体プロセス装置の反応チャンバを提供し、図2は本発明の実施例に係る反応チャンバの第1構造模式図であり、図3は本発明の実施例に係る反応チャンバの第2構造模式図であり、図2及び図3に併せて参照されるように、反応チャンバはチャンバ本体1と、監視モジュール2と、制御モジュール3と、堆積モジュール4とを含み、堆積モジュール4はチャンバ本体1内に1つの堆積周期における複数回の堆積ステップを実行することに用いられ、具体的に、チャンバ本体1にはウェハー7を載置するためのベース8が設けられ、堆積モジュール4は例えば給気装置43及び上部電極装置を含み、毎回の堆積ステップは例えばいずれも、給気装置43がチャンバ本体1内に前駆体を導入することに用いられることと、上部電極装置がチャンバ本体1内の前駆体を励起してプラズマを形成するようにチャンバ本体1に高周波電界を印加することに用いられ、それによりウェハー7に目標膜層を堆積できることと、を含む。監視モジュール2は、チャンバ本体1に接続され、堆積モジュール4が堆積ステップを実行する度にチャンバ本体1の内部で生成されたプラズマ光源の輝度を監視し、且つプラズマ光源の輝度に基づいて第1信号を生成することに用いられる。選択可能に、検出モジュール2はプラズマ光源の輝度をリアルタイムに検出してもよく、又は一定の時間間隔でプラズマ光源の輝度を検出してもよい。制御モジュール3は、複数回の堆積ステップに対応する第1信号に基づいて、堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、YESの場合、異常処理プロセスを実行することに用いられる。
【0025】
いくつかの選択可能な実施例では、上記反応チャンバはSiO2薄膜堆積プロセスに適用でき、該プロセスはプラズマ強化原子層堆積(PEALD、Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition)プロセスを含むが、それに限らない。前駆体はソースガス(例えば、ビスジエチルアミノシランSAM24)及び反応ガス(例えば、酸素ガスO2)を含んでもよい。堆積モジュール4内の上部電極装置が高周波電界を印加すると、前駆体中のソースガスは高周波電界においてプラズマを励起してさらに発光し、それによりプラズマ光源を生成し、上部電極装置が高周波電界を印加する際に点火異常(例えば、点火失敗)が発生すると、チャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度は正常に点火する際のプラズマ光源の輝度と異なり、監視モジュール2はプラズマ光源の輝度に基づいてその関連する第1信号を生成することができ、例えば、第1信号は電圧信号であってもよく、そのサイズがプラズマ光源の輝度に関連する。
【0026】
本発明の実施例では、監視モジュール2は毎回の堆積ステップにおいていずれも第1信号を生成するが、制御モジュール3は少なくとも1回の堆積ステップにおいて生成された第1信号のサイズに基づいて、反応チャンバ内のプラズマ光源の輝度が異常である(例えば、輝度が低すぎる)か否かを判断することができ、YESの場合、堆積された目標膜層の厚さが異常であると判定できる。
【0027】
本発明の実施例の反応チャンバを用いると、プラズマ光源の輝度によって堆積された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、且つ目標膜層の厚さが異常である場合に異常処理を直ちに行うことができ、さらに堆積された目標膜層の厚さが目標の厚さからずれる問題を改善する。
【0028】
いくつかの選択可能な実施例では、上記異常処理プロセスは、具体的に、
制御モジュール3が異常警報信号を出し、及び/又は、堆積モジュール4を制御して上記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含む。
【0029】
堆積モジュール4を制御して上記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることにより、目標膜層の厚さを増加させることができ、それにより堆積された目標膜層の厚さと目標の厚さとの偏差を減少させる。
【0030】
発明者が研究中に発見したことは、PEALD堆積プロセスにおいて、目標膜層の厚さの異常を引き起こす要因は堆積モジュール4の点火が正常であるか否かであり、堆積モジュール4の点火が正常である場合、反応チャンバ内の前駆体におけるSAM24は小分子に分解されることができ、酸素分子は励起されて活性酸素原子及び酸素遊離基等の様々な活性基を形成することができ、SAM24小分子は活性基と反応した後に目標膜層を形成する。そして、堆積モジュール4の点火が異常である場合、目標膜層の堆積に失敗し、さらに目標膜層の厚さが異常となってしまう。
【0031】
従って、いくつかの具体的な実施例では、堆積モジュール4の点火が異常である場合、目標膜層の厚さが異常であると判定でき、具体的に、制御モジュール3は具体的に、少なくとも1回の堆積ステップに対応する第1信号に基づいて、プラズマ点火異常が発生した堆積ステップがあるか否かを判断し、YESの場合、目標膜層の厚さが異常であると判定して、異常処理プロセスを実行することに用いられる。
【0032】
いくつかの具体的な実施例では、第1信号は反応チャンバ内のプラズマ光源の輝度と負相関する電圧信号であり、図4は本発明の実施例に係る監視モジュール2の回路構造模式図であり、図4に示すように、監視モジュール2は降圧回路21と、フォトレジストRM(フォトダイオード)と、信号生成回路22とを含み、降圧回路21は、信号生成回路22に使用されるように第1電圧端子V1が提供した24V電圧を降下させることに用いられ、フォトレジストRMの抵抗値がチャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度に応じて変化し、信号生成回路22は、降圧回路21が生成した電圧信号及びフォトレジストRMの抵抗値に基づいて第1信号を生成することに用いられ、本発明の実施例では、第1信号はアナログ信号であってもよく、勿論、出力信号が様々なニーズを満足できるようにするために、信号生成回路22はアナログ信号を出力する以外に、パルス信号を出力してもよく、例えば、図4に示すように、具体的に以下のとおりである。
【0033】
本発明の実施例では、降圧回路21は第1コンパレータM1、ダイオードD、インダクタンスT、第1コンデンサC1、第2コンデンサC2、第3コンデンサC3、第1発光ダイオードL1及び第1抵抗R1を含む。第1コンパレータM1の第1端子は第1電圧端子V1に接続され、第1コンパレータM1の第2端子は第2電圧端子V2に接続され、第1コンパレータM1の第3端子はインダクタンスTの第2端子、第1コンデンサC1の第2端子、第2コンデンサC2の第2端子、第3コンデンサC3の第2端子及び第1発光ダイオードL1の第1端子に接続され、第1コンパレータM1の第4端子は第2電圧端子V2に接続され、第1コンパレータM1の出力端子はインダクタンスTの第1端子及びダイオードDの第2端子に接続され、ダイオードDの第1端子、第1コンデンサC1の第1端子及び第2コンデンサC2の第1端子はいずれも第2電圧端子V2に接続され、第3コンデンサC3の第1端子、第1抵抗R1の第1端子はいずれも接地端子に接続され、第1発光ダイオードL1の第2端子は第1抵抗R1の第2端子に接続される。
【0034】
信号生成回路22はスライド抵抗器R′と、第2抵抗R2と、第3抵抗R3と、第4抵抗R4と、第4コンデンサC4と、第2コンパレータM2と、第2発光ダイオードL2とを備える。第2コンパレータM2の第1端子は第2抵抗R2の第1端子、フォトレジストRmの第2端子、第4コンデンサC4の第2端子及び第1出力端子AOに接続され、第2コンパレータM2の第2端子はスライド抵抗器R′の第3端子に接続され、第2コンパレータM2の第3端子はスライド抵抗器R′の第2端子、第2抵抗R2の第2端子、第3抵抗R3の第2端子及び第2発光ダイオードL2の第1端子に接続される。第2コンパレータM2の第4端子はスライド抵抗器R′の第1端子、フォトレジストRmの第1端子及び第4コンデンサC4の第1端子に接続される。第2コンパレータM2の出力端子は第3抵抗R3の第1端子、第4抵抗R4の第1端子及び第2出力端子DOに接続される。
【0035】
本発明の実施例では、第1出力端子AOから出力された電圧信号は第1信号であり、チャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度が比較的高い場合、フォトレジストRmの抵抗値が比較的低く、フォトレジストRmの分圧も比較的低く、それにより第1出力端子AOに比較的低いアナログ信号を出力し、チャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度が比較的低い場合、フォトレジストRmの抵抗値が比較的高く、フォトレジストRmの分圧も比較的高く、それにより第1出力端子AOに比較的高いアナログ信号を出力する。
【0036】
チャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度が比較的高い場合、フォトレジストRmの抵抗値は比較的低く、フォトレジストRmの分圧も比較的低く、第2コンパレータM2の第1端子が受信した電圧は比較的低く、第2端子が受信した電圧よりも低い場合、第2コンパレータM2は低レベルを出力し、プラズマ光源の輝度が正常であることを表し、チャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度が比較的低い場合、フォトレジストRmの抵抗値は比較的高く、フォトレジストRmの分圧も比較的高く、第2コンパレータM2の第1端子が受信した電圧は比較的高く、第2端子が受信した電圧よりも高い場合、第2コンパレータM2は高レベルを出力し、プラズマ光源の輝度が異常であることを表す。
【0037】
第2コンパレータM2が低レベルを出力する場合、第2発光トランジスタL2は発光可能であり、第2コンパレータM2が高レベルを出力する場合、消灯可能であり、これにより提示する。
【0038】
なお、上記例では、第2コンパレータM2がNPN型である場合を例として説明したが、本発明の実施例における第2コンパレータM2の型番を制限するものではなく、実際の製品において、第2コンパレータM2はさらにその他の型番を用いてもよく、ここで制限しない。
【0039】
本発明の実施例では、スライド抵抗器R′の抵抗値が調整可能であり、それにより監視の感度を調整することができる。
【0040】
図2及び図3に併せて参照されるように、いくつかの具体的な実施例では、制御モジュール3は処理サブモジュール31及び制御サブモジュール32を含み、監視モジュール2及び制御サブモジュール32がいずれも処理サブモジュール31に接続される。
【0041】
本発明の実施例では、監視モジュール2及び処理サブモジュール31のうちの少なくとも一方はプリント回路基板(PCB、Printed Circuit Board)Aに統合されてチャンバ本体1に取り付けられてもよく、且つチャンバ本体1の外に位置する。制御サブモジュール32はプログラマブルロジックコントローラB(PLC、Programmable Logic Controller)に統合されてもよい。プリント回路基板Aのアスペクト比は5/3に設定される。
【0042】
いくつかの具体的な実施例では、反応チャンバは保護ハウジング6をさらに含んでもよく、該保護ハウジング6はプリント回路基板Aを外部から仕切るようにプリント回路基板Aの周りに覆設され、それによりプリント回路基板Aを保護する。プリント回路基板Aは信号線を介してプログラマブルロジックコントローラBに接続されてもよい。例えば、保護ハウジング6には信号を伝送するためのポートが設けられ、プリント回路基板Aは該ポートに接続され、信号線は、プラグCを含み、プラグCによって保護ハウジング6に設けられるポートに接続され、それによりプリント回路基板AとプログラマブルロジックコントローラBとの接続を実現する。信号線のプラグCは4ピンプラグを用いてもよい。
【0043】
本発明の実施例では、監視モジュール2及び処理サブモジュール31のうちの少なくとも一方をプリント回路基板Aに統合することにより、生産コストを削減して取り付けの利便性を向上させることができる。
【0044】
本発明の実施例では、処理サブモジュール31は、毎回の堆積ステップに対応する第1信号が予め設定された範囲を超えるか否かを判断し、YESの場合、該回の堆積ステップに対応する第2信号を生成することに用いられる。制御サブモジュール32は、処理サブモジュール31が堆積周期において第2信号を生成する回数を統計し、処理サブモジュール31が堆積周期において第2信号を生成する回数が0よりも大きい場合、目標膜層の厚さが異常であると判定して、異常処理プロセスを実行することに用いられる。
【0045】
選択可能に、毎回の堆積ステップに対応する第1信号が予め設定された範囲を超えないと、該回の堆積ステップに対応する第3信号を生成する。
【0046】
本発明の実施例では、処理サブモジュール31はフィルタリング回路を含んでもよく、予め設定された範囲は堆積モジュール4が正常に点火する際にチャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度に対応する電圧信号の範囲であってもよい。第2信号及び第3信号はデジタル信号であってもよく、例えば、第2信号はデジタル信号「1」であり、第3信号はデジタル信号「0」である。制御サブモジュール32が第2信号を受信した場合、制御サブモジュール32は累積カウントを行うことができ、且つ第2信号を受信した度に現在の累計値に1を加え、このようにして、制御サブモジュール32が第2信号を受信する回数(すなわち累計値)が0よりも大きい場合、堆積周期においてチャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度が異常輝度である堆積ステップが少なくとも1回あると説明され、このとき、制御サブモジュール32は目標膜層の厚さが異常であると判定し、さらに異常処理プロセスを実行する。
【0047】
いくつかの具体的な実施例では、堆積モジュール2は制御サブモジュール32に接続され、上記異常処理プロセスは具体的に、制御サブモジュール32は処理サブモジュール31が堆積周期において第2信号を生成する回数に基づいて、堆積モジュール2を制御して堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含む。具体的に、処理サブモジュール31が堆積周期において第2信号を生成する回数が0よりも大きい場合、制御サブモジュール32は処理サブモジュール31が堆積周期において第2信号を生成する回数に基づいて、堆積モジュール4を制御して堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含む。
【0048】
本発明の実施例では、目標膜層がSiO2膜層であって、目標の厚さが13Åである場合を例とし、1つの堆積周期において、堆積ステップを1回経た度に、ウェハー7に所定の厚さ(例えば、1Å)のSiO2膜層が形成され、1つの堆積周期において、堆積ステップを所定の回数(例えば、13回)実行することにより、ウェハー7に目標の厚さのSiO2膜層を形成することができる。そして、1つの堆積周期において、処理サブモジュール31が第2信号を生成する度に、堆積モジュール4が高周波電界を印加する際に点火異常が発生したと説明されるが、堆積モジュール4の点火異常は、今回の堆積ステップにおいてウェハー7に形成されたSiO2の厚さが1Åよりも小さく、さらに最終的に形成されたSiO2膜層の厚さが目標の厚さよりも小さく、すなわち、目標膜層の厚さが異常となることを引き起こしてしまう。従って、本発明の実施例では、処理サブモジュール31が堆積周期において第2信号を生成する場合、制御サブモジュール32は堆積モジュール4を制御して堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させ、それにより堆積モジュール4の点火失敗によるSiO2膜層が目標膜層よりも小さい問題を補償する。
【0049】
理解されるように、本発明の実施例では、追加して実行する堆積ステップは堆積周期において一般的に実行する堆積ステップと同じであり、いずれもチャンバ本体1内に前駆体ガスを導入して高周波電界を印加することを含む。そして、制御サブモジュール32が堆積モジュール4を制御して堆積ステップを追加して実行させる具体的な回数は実際の必要に応じて決定されてもよく、例えば、いくつかの具体的な実施例では、堆積モジュール4が堆積ステップを追加して実行する回数は処理サブモジュール31が堆積周期において第2信号を生成する回数と同じであり、それにより堆積モジュール4が堆積ステップを追加して実行する回数を堆積モジュール4の堆積周期における点火異常の回数と同じにし、さらにSiO2膜層の厚さが不十分である問題を最大限に補償する。
【0050】
本発明の実施例では、反応チャンバは堆積過程を監視し、且つ堆積モジュール4に点火異常が発生する場合に自動的に補償することができ、それにより堆積モジュール4の点火異常による目標膜層の厚さが目標の厚さからずれる問題を改善することができ、さらにプロセス結果の安定性を向上させ、チップの間の厚さの適合性を向上させることに有利である。
【0051】
いくつかの具体的な実施例では、チャンバ本体1の側壁に監視口5が設けられ、監視モジュール2は、チャンバ本体1の外に位置し、監視口5によってチャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度を監視する。
【0052】
いくつかの具体的な実施例では、監視モジュール2は監視口5に覆われてもよく、それにより監視口5の少なくとも一部を遮蔽して、外部環境光が監視モジュール2を干渉することを回避する。
【0053】
いくつかの具体的な実施例では、反応チャンバにはウェハー7を載置するためのベース8が設けられ、堆積モジュール4内の上部電極装置はチャンバ本体1の頂部に設けられる上部電極41及びそれに電気的に接続される上部高周波電源Vを含み、上部高周波電源Vが上部電極41によってチャンバ本体1の内部に高周波電界を印加する。
【0054】
選択可能に、該ベース8に下部電極42が設けられ、該下部電極42が例えば接地可能であり、監視口5が下部電極42と上部電極41との間に位置する。
【0055】
いくつかの具体的な実施例では、反応チャンバはチャンバ本体1内に前駆体を導入するための給気装置43をさらに含む。上部電極41、下部電極42及び給気装置43はプログラマブルロジックコントローラBに接続されてもよく、プログラマブルロジックコントローラBの制御によって堆積ステップを実行する。
【0056】
本発明の実施例の反応チャンバを用いると、堆積して形成された膜層の厚さの均一性が<0.4%であり、厚さの偏差が<0.4Aであり、比較的良い成膜品質を有する。
【0057】
図5は本発明の実施例に係る監視過程の模式図であり、以下に図2図5を参照して本発明の実施例に係る反応チャンバの堆積過程を説明する。
【0058】
堆積プロセスが開始する前に、上位コンピュータはプロセスメニュー及びプロセス開始命令をプログラマブルロジックコントローラBに送信し、プロセスメニューには目標の厚さを実現するために行う必要がある堆積ステップの回数が記録され、プログラマブルロジックコントローラBはプロセスメニューに基づいて堆積モジュール4を制御して堆積ステップを実行させ、上位コンピュータはウェイト状態に入る。
【0059】
堆積ステップは具体的に下記第1~第4ステップを含んでもよい。
【0060】
第1ステップ 給気装置43がチャンバ本体1内にソースガス(例えば、SAM24)を導入し、ソースガスが不活性ガス(例えば、アルゴンガスAr)に含まれてチャンバ本体1内に入ってウェハー7の表面に吸着される。このとき、監視モジュール4が監視を開始してもよい。
【0061】
第2ステップ ソースガスが十分に吸着された後にパージガスでチャンバ本体1及び給気装置43をパージし、それによりソースガスのその他の位置での残留を最大限に減少させる。
【0062】
第3ステップ 高周波電源Vをオンにすることにより、上部電極41と下部電極42との間に高周波電界を印加しながら反応ガス(例えば、酸素ガスO2)を導入し、高周波電界の作用下で、ソースガスの高分子が小分子に分解され、酸素ガス分子が励起されて活性酸素原子及び酸素遊離基等の様々な活性基を形成する。ソースガスの分解された小分子が酸素の活性基と反応してウェハー7にSiO2膜層を形成する。
【0063】
本ステップにおいて、監視モジュール2はプラズマ光源の輝度と負相関する第1信号を出力することができ、第1信号は電圧信号であってもよく、例えば、堆積モジュール4に点火異常が発生すると、チャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度が比較的低く、監視モジュール2が比較的大きな第1信号を生成し、堆積モジュール4に点火異常が発生しないと、チャンバ本体1内のプラズマ光源の輝度が比較的高く、監視モジュール2が比較的小さな第1信号を生成する。処理サブモジュール31は第1信号をフィルタリングした後、比較的大きな第1信号を第2信号に処理し、第2信号がデジタル信号「1」であってもよい。
【0064】
第4ステップ チャンバ本体1及び給気装置43を再びパージする。これまで1つの完全な堆積ステップが完了する。
【0065】
上位コンピュータがプログラマブルロジックコントローラBに送信した堆積ステップの回数が全て実行されるまで、1つの堆積ステップが完了した後に2回目の循環を行い、これまでは1つの堆積周期である。
【0066】
上記堆積周期において、制御サブモジュール32は処理サブモジュール31が第2信号を生成する回数を統計し、上記堆積周期が終了した後、制御サブモジュール32は処理サブモジュール31が第2信号を生成する回数が0よりも大きいと統計した場合、制御サブモジュール32は処理サブモジュール31が第2信号を生成する回数に基づいて、堆積モジュール4を制御して上記堆積ステップを追加して行わせ、追加する回数は処理サブモジュール31が第2信号を生成する回数と同じであり、それにより点火異常によるSiO2膜層の厚さと目標の厚さとの偏差を補償する。それと同時に、制御サブモジュール32はさらに、点火異常の回数及び堆積ステップを追加して実行する回数を含んでもよい点火異常信号を上位コンピュータに送信し、上位コンピュータは点火異常信号を受信した後、ウェイト状態を維持して、新たな命令をプログラマブルロジックコントローラBに送信することを停止してもよい。
【0067】
堆積ステップの追加実行が完了した後、プログラマブルロジックコントローラBは追加完了信号を上位コンピュータに送信してもよく、上位コンピュータは追加完了信号を受信した後、ウェイト状態を停止して、その他のプロセスステップを行うように新たな命令を送信する。
【0068】
本発明の実施例は膜層堆積方法をさらに提供し、図6は本発明の実施例に係る膜層堆積方法の第1フローチャートであり、図6に示すように、該膜層堆積方法は下記ステップS1~S4を含む。
【0069】
S1 堆積モジュール4がチャンバ本体1内に1つの堆積周期における複数回の堆積ステップを実行し、
具体的に、毎回の堆積ステップはいずれも、チャンバ本体1内に前駆体を導入して反応チャンバに高周波電界を印加することで反応チャンバ内にプラズマ光源を形成し、且つプラズマ光源によってウェハーに目標膜層を堆積することを含む。
【0070】
具体的に、前駆体はソースガス及び反応ガスを含み、ステップS1において、まず反応チャンバ内にソースガスを導入し、ソースガスが十分にウェハーの表面に吸着された後、反応チャンバに高周波電界を印加しながら反応ガスを導入してもよい。堆積ステップを実行した度に、完了した堆積ステップの回数が目標回数に達したか否かを判断し、YESの場合、ステップS3を実行し、NOの場合、ステップS1を実行し続ける。
【0071】
S2、堆積ステップを実行する度に反応チャンバ内のプラズマ光源の輝度を監視し、且つプラズマ光源の輝度に基づいて第1信号を生成する。
【0072】
S3、少なくとも1回の堆積ステップに対応する第1信号に基づいて、堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、YESの場合、異常処理プロセスを実行する。
【0073】
選択可能に、堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常ではない場合、正常堆積信号を出すことができ、次のプロセスを行うことができるようにユーザー及び/又はシステムに通知する。
【0074】
本発明の実施例に係る膜層堆積方法を用いると、プラズマ光源の輝度によって堆積された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断することができ、且つ目標膜層の厚さが異常となった後に異常警報信号を出し、それにより堆積ステップの追加を容易にし、さらに堆積膜層の厚さが目標の厚さからずれる問題を改善する。
【0075】
いくつかの具体的な実施例では、第1信号は反応チャンバ内のプラズマ光源の輝度と負相関する電圧信号であり、図7は本発明の実施例に係る膜層堆積方法の第2フローチャートであり、図7に示すように、ステップS3は、
第1信号が予め設定された範囲を超えるか否かを判断し、YESの場合、第2信号を生成するS31と、
堆積周期において第2信号を生成する回数を統計するS32と、
堆積周期において第2信号を生成する回数が0よりも大きいか否かを判断し、YESの場合、目標膜層の厚さが異常であると判定して、異常処理プロセスを実行するS33と、を含む。
【0076】
選択可能に、ステップS31において、第1信号が予め設定された範囲を超えない場合、第3信号を生成する。例えば、第2信号及び第3信号はデジタル信号であってもよく、例えば、第2信号はデジタル信号「1」であり、第3信号はデジタル信号「0」である。
【0077】
いくつかの具体的な実施例では、膜層堆積方法は、
堆積周期において第2信号を生成する回数が0よりも大きい場合、堆積周期において第2信号を生成する回数に基づいて堆積ステップを少なくとも1回追加して実行するS4をさらに含む。
【0078】
堆積ステップの追加実行が完了した後、追加完了信号を送信してもよく、その他のプロセスステップを行うことを容易にする。
【0079】
いくつかの具体的な実施例では、堆積ステップを追加して実行する回数は堆積周期において第2信号を生成する回数と同じである。
【0080】
本発明の実施例は上記反応チャンバを含む半導体加工装置をさらに提供する。図2に示すように、堆積モジュール4は給気装置43及び上部電極装置を含み、チャンバ本体1にはウェハーを載置するためのベース8が設けられ、給気装置43はチャンバ本体1内に前駆体を導入することに用いられ、上部電極装置は前駆体を励起してプラズマを形成することに用いられる。
【0081】
具体的に、上記上部電極装置はチャンバ本体1の頂部に設けられる上部電極41及びそれに電気的に接続される上部高周波電源Vを含んでもよく、上部高周波電源Vが上部電極41によってチャンバ本体1の内部に高周波電界を印加する。
【0082】
選択可能に、該ベース8には、例えば接地可能な下部電極42が設けられる。
【0083】
理解されるように、以上の実施形態は単に本発明の原理を説明するために用いた例示的な実施形態であるが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の主旨及び本質を逸脱せずに、種々の変形及び改良を行うことができ、これらの変形及び改良も本発明の保護範囲と見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-10-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセス装置の反応チャンバであって、
チャンバ本体と、監視モジュールと、堆積モジュールと、制御モジュールとを含み、
前記堆積モジュールは、前記チャンバ本体内1つの堆積周期における複数回の堆積ステップを実行することに用いられ、
前記監視モジュールは、前記チャンバ本体に接続され、前記堆積モジュールが前記堆積ステップを実行する度に前記チャンバ本体の内部で生成されたプラズマ光源の輝度を監視し、且つ前記プラズマ光源の輝度に基づいて第1信号を生成することに用いられ、
前記制御モジュールは、前記監視モジュールに接続され、少なくとも1回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号に基づいて、前記堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、YESの場合、異常処理プロセスを実行することに用いられ、前記異常処理プロセスは、具体的に、前記堆積モジュールを制御して前記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含むことを特徴とする半導体プロセス装置の反応チャンバ。
【請求項2】
前記異常処理プロセスは、さらに
前記制御モジュールが異常警報信号を出ことを含むことを特徴とする請求項1に記載の反応チャンバ。
【請求項3】
前記制御モジュールは、具体的に、
少なくとも1回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号に基づいて、プラズマ点火異常が発生した前記堆積ステップがあるか否かを判断し、YESの場合、前記目標膜層の厚さが異常であると判定して、前記異常処理プロセスを実行することに用いられることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応チャンバ。
【請求項4】
前記制御モジュールは処理サブモジュール及び制御サブモジュールを含み、前記監視モジュール及び前記制御サブモジュールがいずれも前記処理サブモジュールに接続され、
前記処理サブモジュールは、毎回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号が予め設定された範囲を超えるか否かを判断し、YESの場合、該回の前記堆積ステップに対応する第2信号を生成することに用いられ、
前記制御サブモジュールは、前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数を統計し、前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数が0よりも大きい場合、前記目標膜層の厚さが異常であると判定して、前記異常処理プロセスを実行することに用いられることを特徴とする請求項3に記載の反応チャンバ。
【請求項5】
前記異常処理プロセスは、具体的に、
前記制御サブモジュールは前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数に基づいて、前記堆積モジュールを制御して前記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含むことを特徴とする請求項4に記載の反応チャンバ。
【請求項6】
前記堆積モジュールが前記堆積ステップを追加して実行する回数は前記処理サブモジュールが前記堆積周期において前記第2信号を生成する回数と同じであることを特徴とする請求項5に記載の反応チャンバ。
【請求項7】
前記監視モジュールはフォトレジスト又はフォトダイオードを含み、前記第1信号は前記プラズマ光源の輝度と負相関する電圧信号であることを特徴とする請求項1に記載の反応チャンバ。
【請求項8】
前記チャンバ本体の側壁に監視口が設けられ、前記監視モジュールは、前記チャンバ本体の外に位置し、前記監視口によって前記チャンバ本体内のプラズマ光源の輝度を監視することを特徴とする請求項1に記載の反応チャンバ。
【請求項9】
前記監視モジュール及び前記制御モジュールのうちの少なくとも一方はプリント回路基板に統合され、前記プリント回路基板は前記チャンバ本体に取り付けられ、且つ前記チャンバ本体の外に位置し、
前記反応チャンバは保護ハウジングをさらに含み、前記保護ハウジングは前記プリント回路基板の周りに覆設され、前記プリント回路基板を外部から仕切ることに用いられ、且つ前記保護ハウジングには信号を伝送するためのポートが設けられることを特徴とする請求項1、7又は8に記載の反応チャンバ。
【請求項10】
半導体プロセス装置であって、
請求項1~9のいずれか1項に記載の反応チャンバを含み、前記堆積モジュールは給気装置及び上部電極装置を含み、前記チャンバ本体にはウェハーを載置するためのベースが設けられ、前記給気装置は前記チャンバ本体内に前駆体を導入することに用いられ、前記上部電極装置は前記前駆体を励起してプラズマを形成することに用いられることを特徴とする半導体プロセス装置。
【請求項11】
プラズマ強化原子層堆積装置に適用されることを特徴とする請求項10に記載の半導体プロセス装置。
【請求項12】
膜層堆積方法であって、
請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体プロセス装置の反応チャンバに適用され、前記膜層堆積方法は、
前記堆積モジュールが前記チャンバ本体内に1つの堆積周期における複数回の堆積ステップを実行することと、
前記堆積モジュールが前記堆積ステップを実行する度に、前記チャンバ本体の内部で生成されたプラズマ光源の輝度を監視し、且つ前記プラズマ光源の輝度に基づいて第1信号を生成することと、
少なくとも1回の前記堆積ステップに対応する前記第1信号に基づいて、前記堆積ステップを複数回実行した後に取得された目標膜層の厚さが異常であるか否かを判断し、YESの場合、異常処理プロセスを実行することと、を含むことを特徴とする膜層堆積方法。
【請求項13】
前記異常処理プロセスは、具体的に、
異常警報信号を出し、及び/又は、前記反応チャンバを制御して前記堆積ステップを少なくとも1回追加して実行させることを含むことを特徴とする請求項12に記載の膜層堆積方法。
【国際調査報告】