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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】化学製造モニタリング
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517997
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2021075451
(87)【国際公開番号】W WO2022058412
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】20197014.2
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】20204095.2
(32)【優先日】2020-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21157647.5
(32)【優先日】2021-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビンクラー,クリスティアン-アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ラウテンシュトラウホ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ユエン・エン
(72)【発明者】
【氏名】バンデルノート,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヤクート,ナタリヤ
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA57
3C100AA59
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
3C100CC03
3C100EE11
(57)【要約】
本教示は、工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するための方法であって、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供し、機器ゾーンのうちの1つまたは複数からリアルタイムプロセスデータを受け取り、上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを判定し、リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて上流オブジェクト識別子に関連した化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算し、上流オブジェクト識別子に少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることを含む方法に関する。本教示は、製造プロセスを監視するためのシステム、データセット、使用、データセットを生成するための方法およびそのためのソフトウェアプログラムにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するための方法であって、前記工業プラントが、複数の物理的に分離された機器ゾーンを含み、前記製品が、前記複数の機器ゾーンを介して、前記製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、前記方法が、少なくとも部分的に計算ユニットを介して行われ、前記方法が、
- インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供することであって、前記投入材料データが、前記投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- 前記計算ユニットにおいて、前記機器ゾーンのうちの1つまたは複数からリアルタイムプロセスデータを受け取ることであって、前記リアルタイムプロセスデータが、リアルタイムプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含むことと、
- 前記計算ユニットを介して、前記上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいて前記リアルタイムプロセスデータのサブセットを判定することであって、前記ゾーン存在信号が、前記製造プロセス中の特定の機器ゾーンにおける前記投入材料の存在を示すことと、
- 前記計算ユニットを介して、前記リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて前記上流オブジェクト識別子に関連した前記化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算することと、
- 前記上流オブジェクト識別子に、前記少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることとを含む、方法。
【請求項2】
前記履歴データが、前に処理された前記投入材料に関連した1つまたは複数の履歴上流オブジェクト識別子からのデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの前記履歴上流オブジェクト識別子が、前に処理された前記投入材料が処理された前記プロセスパラメータおよび/または前記機器動作条件を示す前記履歴プロセスデータの少なくとも一部が加えられる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、前記上流オブジェクト識別子に、前記リアルタイムプロセスデータのサブセットの少なくとも一部を加えることを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ゾーン存在信号が、ゾーンタイム転換を行うことによって前記計算ユニットを介して生成され、この転換が、前記リアルタイムプロセスデータからの1つまたは複数の時間依存信号などを介して、前記投入材料に関連した少なくとも1つの特性を前記特定の機器ゾーンにマッピングする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの計算が、前記履歴データを使用して訓練された少なくとも1つの機械学習(「ML」)モデルを使用して行われる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記MLモデルが、前記少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの計算のための信頼レベルを示す少なくとも1つの信頼値を提供するように構成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの計算または予測の前記信頼レベルが精度しきい値よりも低下したことに応答して、好ましくは前記製造プロセスのための制御システムにおいて、警告信号が生成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの計算または予測の信頼レベルが精度しきい値よりも低下したことに応答してまたは前記警告信号に応答して、サンプリングオブジェクト識別子が自動的に生成され、前記サンプリングオブジェクト識別子が、前記信頼レベル精度が精度値を超えた時点またはその付近においてそのそれぞれのゾーンにある材料に関連している、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記警告信号に応答して少なくとも1つの実験室分析が行われ、好ましくは、分析が、警告に関連したそのそれぞれのソーンにある材料において行われる、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記分析の日付および/または結果が、前記サンプリングオブジェクト識別子に加えられ、好ましくは、前記サンプリングオブジェクト識別子からのデータが、前記計算ユニットによる将来の計算のために前記履歴データに含まれている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプリングオブジェクト識別子が、前記サンプリングオブジェクト識別子に対応するそれぞれの前記材料または前記化学製品に対して行われる1つまたは複数の試験または分析の種類を示す試験タイプデータが加えられる、請求項9から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記サンプリングオブジェクト識別子が、前記サンプリングオブジェクト識別子に対応するそれぞれの前記材料または前記化学製品において少なくとも1つの試験または分析を行うために使用されるべき、1つまたは複数の装置またはツールおよび/または試験材料を示すツールタイプデータが加えられる、請求項9から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプリングオブジェクト識別子が、前記試験または前記分析を行うために使用される前記装置または前記ツールのうちの少なくとも1つのための試験構成データが加えられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記試験構成データが、それぞれの1つまたは複数の前記装置または前記ツールのうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に自動的に提供される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記試験構成データが、前記試験または前記分析の少なくとも1つを少なくとも部分的に行うためにユーザによって使用可能な試験レシピを少なくとも部分的に含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の物理的に分離された機器ゾーンが、下流機器ゾーンも含み、これにより、前記製造プロセス中に、前記投入材料が、前記上流機器ゾーンから前記下流機器ゾーンへ横断し、方法が、また、
- 前記インターフェースを介して、前記上流オブジェクト識別子の少なくとも一部が加えられる下流オブジェクト識別子を提供することと、
- 前記計算ユニットを介して、前記下流オブジェクト識別子および前記ゾーン存在信号に基づいて前記リアルタイムプロセスデータの別のサブセットを判定することと、
- 前記計算ユニットを介して、前記リアルタイムプロセスデータの別のサブセットおよび別の履歴データに基づいて前記下流オブジェクト識別子に関連した前記化学製品の別の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算することであって、前記別の履歴データが、前記下流機器ゾーンにおいて前に処理された前記投入材料または派生材料に関連した1つまたは複数の履歴下流オブジェクト識別子からのデータを含み、各履歴下流オブジェクト識別子が、前に処理された前記投入材料または前記派生材料が前記下流機器ゾーンにおいて処理された前記プロセスパラメータおよび/または前記機器動作条件を示す前記プロセスデータの少なくとも一部が加えられることと、
- 前記下流オブジェクト識別子に、別の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることとを含む、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
上記方法請求項のうちのいずれかの、リアルタイム時系列データまたはプロセスデータのサブセットを提供するための方法であって、プロセスが、工業プラントにおける化学製品の製造プロセスに関連した少なくとも1つのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含み、前記方法が、前記製造プロセス中にメモリストレージに動作可能に結合された計算ユニットを介して行われ、前記方法が、
- 前記計算ユニットにおいて、リアルタイムプロセスデータを受け取ることと、
- 前記メモリストレージにおいて、開始信号を介して前記サブセットの開始を提供することと、
- 前記メモリストレージにおいて、停止信号を介して前記サブセットの停止を提供することとを含み、
前記開始信号および前記停止信号が、前記サブセットが前記リアルタイムプロセスデータから抽出されるようにそれぞれ前記開始時間と前記終了時間との間でサブセットを区切るために使用される、リアルタイム時系列データまたはプロセスデータのサブセットを提供するための方法。
【請求項19】
MLモデルを訓練するための、好ましくは、製造プロセスのための前記少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを判定または予測するための、請求項18により生成されたデータセットの使用。
【請求項20】
例えば、靴などのスポーツ用品または履物を製造するための、下流製造プロセスにおける請求項1から19のいずれか1つまたは複数により生成された少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの使用。
【請求項21】
工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するためのシステムであって、前記工業プラントが、複数の物理的に分離された機器ゾーンを含み、前記製品が、前記複数の機器ゾーンを介して、前記製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、計算ユニットが、
- インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供することであって、前記投入材料データが、前記投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- 前記計算ユニットにおいて、前記機器ゾーンのうちの1つまたは複数からのリアルタイムプロセスデータを受け取ることであって、前記リアルタイムプロセスデータが、リアルタイムプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含むことと、
- 前記計算ユニットを介して、前記上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを判定することであって、前記ゾーン存在信号が、前記製造プロセス中の特定の機器ゾーンにおける前記投入材料の存在を示すことと、
- 前記計算ユニットを介して、前記リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて前記上流オブジェクト識別子に関連した前記化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算することと、
- 前記上流オブジェクト識別子に、前記少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることとを行う
ように構成されるように、前記システムが構成または適応されている、工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するためのシステム。
【請求項22】
コンピュータプログラム、またはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令を含み、前記命令が、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって工業プラントにおいて化学製品を製造するための複数の機器ゾーンに動作可能に結合された、適切な計算ユニットによってプログラムが実行されたとき、前記計算ユニットに、
- インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供させ、前記投入材料データが、前記投入材料の1つまたは複数の特性を示しており、
- 前記機器ゾーンのうちの1つまたは複数からリアルタイムプロセスデータを受け取らせ、前記リアルタイムプロセスデータが、リアルタイムプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含み、
- 前記上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいて前記リアルタイムプロセスデータのサブセットを判定させ、前記ゾーン存在信号が、製造プロセス中の特定の機器ゾーンにおける前記投入材料の存在を示しており、
- 前記リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて前記上流オブジェクト識別子に関連した前記化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算させ、
- 前記上流オブジェクト識別子に、前記少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えさせる、コンピュータプログラム、またはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本教示は、概して、コンピュータ支援化学製造(computer assisted chemical production)に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
工業プラントにおいて、1つまたは複数の製品を製造するために投入材料が処理される。したがって、製造される製品の特性は、製造パラメータに依存する。通常、製品品質または製造安定性を保証するために製造パラメータを製品の少なくとも幾つかの特性に相関させることが望まれる。
【0003】
プロセス工業、または化学的または生物学的製造プラントなどの工業プラント内で、1つまたは複数の化学的または生物学的製品を製造するための製造プロセスを使用して、1つまたは複数の投入材料が処理される。プロセス工業における製造環境は複雑である可能性があり、したがって、製品の特性は、前記特性に影響する製造パラメータのばらつきに従って変動する場合がある。通常、製造パラメータへの特性の依存は、複雑であり、異なるパラメータの1つまたは複数の組合せへのさらなる依存と絡み合わされる可能性がある。幾つかの場合において、製造プロセスは、複数の段階に分割される場合があり、このことは、問題をさらに大きくする可能性がある。したがって、一貫したおよび/または予測可能な品質で化学的または生物学的製品を製造することは困難である場合がある。
【0004】
化学製品の品質を一貫したものに維持するために、品質制御が行われる場合がある。品質制御は、通常、製造プロセスの後または間に、化学製品の1つまたは複数の試料を収集することを含む。次いで、試料は分析され、次いで、必要に応じて、是正措置が取られる場合がある。有効とするため、試料は定期的に収集される必要がある場合があり、化学製品の統計学的変動を表すべきである。製造プロセスにおいて生じる変動の頻度に応じて、品質制御の頻度が整合させられることが要求される場合がある。したがって、品質制御は、高価で、時間がかかるものとなる可能性がある。
【0005】
さらに、個別処理(discrete processing)とは対照的に、連続的なキャンペーンまたはバッチプロセスなどの化学的または生物学的処理は、膨大な量の時系列データを提供する場合がある。しかしながら、従来の時系列アプローチを介した機械学習は、あまり実用的ではないことが確認された。なぜならば、価値連鎖(value chain)を横断する水平統合の必要性に従ってデータを統合することが困難である可能性があるからである。特に、容易かつ有意義なデータ交換または標準化は、大きな問題を課す可能性がある。
【0006】
したがって、理想的には、バレルから最終製品までの価値連鎖を横断して品質および製造安定性を改善することができるアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
従来技術の固有の問題のうちの少なくとも幾つかは、添付の独立請求項の主題によって解決されることが示される。さらなる有利な代替例のうちの少なくとも幾つかは、従属請求項に概説される。
【0008】
第1の観点から見たとき、工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するための方法であって、工業プラントは、複数の物理的に分離された機器ゾーンを含み、製品は、複数の機器ゾーンを介して、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、方法は、少なくとも部分的に計算ユニットを介して行われ、前記方法は、
- インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供することであって、投入材料データは投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- 計算ユニットにおいて、機器ゾーンのうちの1つまたは複数からリアルタイムプロセスデータを受け取ることであって、リアルタイムプロセスデータは、リアルタイムプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含むことと、
- 計算ユニットを介して、上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを判定することであって、ゾーン存在信号は、製造プロセス中の特定の機器ゾーンにおける投入材料の存在を示すことと、
- 計算ユニットを介して、リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて上流オブジェクト識別子に関連した化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算することと、
- 上流オブジェクト識別子に、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることとを含む、方法を提供することができる。
【0009】
出願人は、そうすることによって、基本的に投入材料が上流機器ゾーンにおいて処理されている間に、化学製品の品質を示す少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータが判定される場合があることに気づいた。少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータは、例えば、メタデータとして上流オブジェクト識別子に加えられる場合がある。したがって、化学製品の品質尺度は、したがって、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを介してオンザフライで評価される。さらに、品質尺度は、特定の化学製品を製造するために使用される投入材料データと共に加えられまたは一緒に取り付けられる。したがって、非常に関連するデータは、上流オブジェクト識別子に封入される。これは、非常に目標の定まった品質制御を可能にするのみならず、貴重な品質尺度を一緒に、前記品質尺度にベアリングを有するデータに関連付けることができる。これは、必要であるならば、オンザフライモニタリングを認証および制御することを可能にすることができる。さらに、オブジェクト識別子に加えられたデータは、機械学習アプローチのために非常に関連するようになり、そのうちの幾つかが本開示において説明される。上流オブジェクト識別子は、例えば、投入材料が上流機器ゾーンにあるときに提供される場合がある。
【0010】
上流機器ゾーンのためのリアルタイムプロセスデータのサブセットは、上流機器ゾーンにある投入材料を示すゾーン存在信号に応答して判定されることが理解されるであろう。
【0011】
履歴データは、少なくとも1つの履歴ゾーン特定性能パラメータをプロセスデータに関連付ける、過去のプロセスデータおよび/または品質制御データを含む場合がある。
【0012】
計算ユニットは、例えば、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算するための分析コンピュータモデルを使用する場合がある。
【0013】
1つの態様によれば、履歴データは、例えば上流機器ゾーンにおいて前に処理された投入材料に関連した1つまたは複数の履歴上流オブジェクト識別子からのデータを含む。
【0014】
幾つかの場合、履歴オブジェクト識別子は、過去の投入材料が処理された類似の製造を有する他の上流ゾーンからのものである場合があり、したがって、このようなゾーンからのこのような履歴オブジェクト識別子が、利用可能となる場合がある。
【0015】
したがって、前のまたは履歴上流オブジェクト識別子からのデータは、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算するために活用することができる。本明細書に開示されたオブジェクト識別子は、少なくとも特定の材料特性を、それらの投入材料データを介して、対応する過去に判定されたゾーン特定性能パラメータに関連付けることを可能にする。オブジェクト識別子データは、処理されている投入材料のための少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算するために活用することができる。
【0016】
さらに1つの態様によれば、履歴上流オブジェクト識別子のうちの少なくとも1つは、前に処理された投入材料が、例えば、上流機器ゾーンにおいて処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すプロセスデータの少なくとも一部が加えられる。
【0017】
したがって、1つまたは複数の履歴オブジェクト識別子は、対応する過去の投入材料の特性と共にそれらの性能パラメータとの関係を関連付けるために活用することができるプロセスデータのサブセットも含む場合がある。
【0018】
したがって、工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するための方法であって、工業プラントは、複数の物理的に分離された機器ゾーンを含み、製品は、複数の機器ゾーンを介して、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、方法は、少なくとも部分的に計算ユニットを介して行われ、前記方法は、
- インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供することであって、投入材料データは投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- 計算ユニットにおいて、機器ゾーンのうちの1つまたは複数からリアルタイムプロセスデータを受け取ることであって、リアルタイムプロセスデータは、リアルタイムプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含むことと、
- 計算ユニットを介して、上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを判定することであって、ゾーン存在信号は、製造プロセス中の特定の機器ゾーンにおける投入材料の存在を示すことと、
- 計算ユニットを介して、リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて上流オブジェクト識別子に関連した化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算することであって、履歴データは、上流機器ゾーンにおける前に処理された投入材料に関連した1つまたは複数の履歴上流オブジェクト識別子からのデータを含み、履歴上流オブジェクト識別子のうちの少なくとも1つは、前に処理された投入材料が上流機器ゾーンにおいて処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すプロセスデータの少なくとも一部が加えられることと、
- 上流オブジェクト識別子に、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることとを含む、方法を提供することができる。
【0019】
したがって、少なくとも1つの、好ましくはそれぞれ、履歴オブジェクト識別子は、それぞれの化学製品を製造または処理するためにそれぞれの前の投入材料が処理されたプロセスデータを封入する場合があり、本明細書に開示された履歴データは、したがって、製造中に1つまたは複数の性能パラメータの計算を行うために使用することができる、非常に関連しているが簡潔なデータセットである。したがって、これは、化学製品のトレーサビリティを改善することができるのみならず、化学製品のための品質制御を簡略化することができる。さらにそれについては、本開示においてさらに説明する。
【0020】
1つの態様によれば、方法は、
- 上流オブジェクト識別子に、リアルタイムプロセスデータのサブセットの少なくとも一部を加えることも含む。
【0021】
したがって、関連するプロセスデータは、上流オブジェクト識別子においても投入材料データと一緒にキャプチャされる場合があり、これにより、投入材料の特性との化学製品のあらゆる関係も、リアルタイムプロセスデータのサブセットの少なくとも一部としてキャプチャされた関連するプロセスデータと共にキャプチャされる場合がある。これは、それらが化学製品のあらゆる1つまたは複数の特性に影響する場合がある様々な依存性の間のより完全な関係を提供することができる。別の利点は、投入材料特性および/またはプロセスパラメータの間に存在する場合がある様々な相互依存性の間の組合せもオブジェクト識別子内にキャプチャされるということである。加えられたオブジェクト識別子は、化学製品および/または投入材料などの特定の構成要素を追跡するためにのみならず、化学製品を生じるための原因となる特定のプロセスデータも追跡するために使用することができる情報が補強される。その結果、履歴オブジェクト識別子のそれぞれなどのオブジェクト識別子は、あらゆる機械学習(「ML」)およびこのような目的のために、より容易に統合することができる。したがって、上流オブジェクト識別子は、将来の製造のための履歴オブジェクト識別子として使用することもできる。
【0022】
性能パラメータは、化学製品の1つもしくは複数の特性に直接に関連している場合があるかつ/または製造プロセス中に製造された派生材料もしくは製品の性能パラメータに関連している場合があることが認められるであろう。例えば、投入材料が、製造プロセスの経過の間に派生材料に変換させられる場合、時には、このような派生材料の品質または性能も追跡することが要求される場合がある。派生材料が、投入材料から生じる中間材料であるこのような場合において、前記派生材料は、次いで、化学製品を製造するために使用されることが理解されるであろう。化学製品は派生材料にも依存するので、時には、派生材料を試験しかつ追跡することが要求される場合がある。
【0023】
したがって、1つの態様によれば、ゾーン特定性能パラメータのうちの少なくとも1つは、派生材料の1つまたは複数の特性に関連している。
【0024】
1つの態様によれば、ゾーン存在信号が、投入材料に関連した少なくとも1つの特性を特定の機器ゾーンにマッピングするゾーン-時間変換を行うことによって計算ユニットを介して生成される場合がある。例えば、投入材料に関連した特性は、投入材料の重量である場合があり、これにより、例えば、リアルタイムプロセスデータを介して、製造プロセスの知識によって、投入材料または製造プロセス中に製造された派生材料の存在を判定することができる。一例として、上流機器ゾーンにおけるある重量を有する投入材料が、製造プロセスの間に下流機器ゾーンへ横断すると、下流ゾーンのためのゾーン存在信号を生成するために、下流ゾーンにおける、例えば、所定の時間におけるまたは所定の時間内の重量測定を使用することができる。同様に、製造中に投入材料またはその派生材料が横断する流動値、例えば、質量流量または体積流量は、特性であることができ、ゾーン存在信号を生成するために使用される。さらに、一例として、投入材料が機器ゾーンに沿って横断するスピードまたは速度は、投入材料またはその対応する派生材料が任意の時点にあるスペースまたは位置を判定するために使用することができる。代替的に、または追加的に、投入材料に関する特性のその他の非限定的な例は、体積、充填値、レベル、色などである。
【0025】
出願人は、製造環境において時間依存データ、例えば、時系列データであるリアルタイムプロセスデータを空間データにマッピングし、これにより、投入材料を表すデジタルフローエレメントを使用してリアルライフ製造流をマッピングすることによって、ゾーン存在信号を生成することが有利であることが分かった。例えば、投入材料のデジタルフローは、上流オブジェクト識別子を介して追跡することができ、時間依存リアルタイムプロセスデータにおける発生は、製造プロセスに沿って材料を位置特定するために使用することができる。これにより、材料は、既に測定された時間およびリアルタイムプロセスデータを介して、すなわち、製造チェーンに沿った投入材料の流れの時間次元に相関するプロセスデータの時間次元を使用して、追跡または位置特定される。
【0026】
ゾーン存在信号は、規則的なもしくは不規則な時間における計算を介して生成された断続的なものであるか、または連続的に生成される場合がある。これは、それぞれのオブジェクト識別子に関連した材料が連続的にまたは基本的に連続的に製造チェーン内に配置することができ、これにより、材料および化学製品へのその変換のために非常に関連するデータの追加を可能にするという利点を有することができる。規則的または不規則な時間における計算は、例えば、製造チェーン内のあるチェックポイントにおける材料の存在をチェックするために行われる場合がある。これは、例えば、以下に概説される1つまたは複数のセンサによって、リアルタイムプロセスデータにおける発生によって補足される場合がある。
【0027】
化学製造において、滞在時間および流速などの時間次元に関する動作パラメータは既知であるので、ゾーン-時間変換は時間スケールにおける単純なマッピングであることができる。代替的に、プロセスシミュレーションに基づくより複雑なモデルは、材料流の時間スケールとリアルタイムプロセスデータとを整合させるために使用される場合がある。いずれの場合にも、プロセスデータの時間スケールは、プロセスデータパラメータをより細かく材料の流れに帰するために材料の流れよりも細かい場合がある。
【0028】
追加的または代替的に、ゾーン存在信号は、少なくとも部分的に、特定ゾーンに関連したセンサを介して提供される場合がある。例えば、重量センサおよび/またはイメージセンサが、空間におけるまたは特定の機器ゾーンにおける投入材料または派生材料の存在を検出するために使用される場合がある。
【0029】
「機器」は、工業プラント内のあらゆる1つまたは複数のアセットを指す場合がある。非限定的な例として、機器は、計算ユニットもしくはプログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)などのコントローラもしくは分散制御システム(「DCS」)、センサ、アクチュエータ、エンドエフェクタユニット、コンベヤシステムなどの搬送エレメント、ヒータなどの熱交換器、炉、冷却ユニット、蒸発ユニット、抽出器、反応器、ミキサ、フライス盤、チョッパ、圧縮機、スライサ、押出機、ドライヤ、噴霧器、圧力もしくは真空チャンバ、チューブ、ビン、サイロ、および工業プラントにおける製造のためもしくは製造中に直接的もしくは間接的に使用されるあらゆるその他の種類の装置のうちのいずれか1つもしくは複数、またはそれらの組合せのいずれかを指す場合がある。好ましくは、機器は、特に、製造プロセスに直接的または間接的に関与するアセット、装置または構成要素を指す。より好ましくは、化学製品の性能に影響することができるアセット、装置または構成要素である。機器はバッファされている場合があるかまたはバッファされていない場合がある。さらに、機器は、混合を伴うまたは伴わない、分離を伴うまたは伴わない場合がある。混合なしのバッファされていない機器の幾つかの非限定的な例は、コンベヤシステムまたはベルト、押出機、ペレタイザおよび熱交換器である。混合ありのバッファされた機器の幾つかの非限定的な例は、バッファサイロ、ビンなどである。混合ありのバッファされた機器の幾つかの非限定的な例は、ミキサを備えるサイロ、混合容器、切断ミル、二重円錐形ブレンダ、硬化チューブなどである。混合ありのバッファされていない機器の幾つかの非限定的な例は、静的または動的ミキサなどである。分離ありのバッファされた機器の幾つかの非限定的な例は、カラム、セパレータ、抽出、薄膜気化器、フィルタ、ふるいなどである。機器は、さらに、オクタビンフィリング、ドラム、バッグ、タンクトラックなどの保管もしくはパッケージングエレメントである場合がある、またはそれらを含む場合がある。時には、機器の2つ以上のピースの組合せが、機器であると考えられる場合がある。
【0030】
「機器ゾーン」は、機器の同じピースの一部である物理的に分離されたゾーンを指す、またはゾーンは、化学製品を製造するために使用される機器の異なるピースである場合がある。ゾーンは、したがって、非同一位置に物理的に配置されている。位置は、横方向および/または垂直方向に非同一の地理学的位置である場合がある。したがって、投入材料は、上流機器ゾーンから出発し、上流機器ゾーンの下流にある1つまたは複数の機器ゾーンに向かって下流へ横断する。製造プロセスの様々なステップは、したがって、ゾーンの間に分散されている場合がある。
【0031】
本開示において、「機器」および「機器ゾーン」という用語は、互換的に使用される場合がある。
【0032】
「機器動作条件」という用語は、機器の状態を表すあらゆる特性または値、例えば、セットポイント、コントローラ出力、製造シーケンス、較正ステータス、あらゆる機器関連警告、振動測定、速度、温度、フィルタ差圧などのファウリング値、メンテナンス日などのうちのいずれか1つまたは複数を指す。
【0033】
「上流」という用語は、製造の流れとは反対方向であると理解される。例えば、製造プロセスが開始するまさに第1の機器ゾーンは、上流機器ゾーンである。しかしながら、この用語は、本開示におけるその意味の中で相対的な意味として使用される。例えば、第1の機器ゾーンと最後の機器ゾーンとの間にある中間機器ゾーンは、最後の機器ゾーンに対する上流ゾーン、および第1の機器ゾーンに対する「下流」機器ゾーンと呼ばれる場合もある。したがって、最後の機器ゾーンは、第1の機器ゾーンおよび中間機器ゾーンに対して下流ゾーンである。同様に、第1の機器ゾーンおよび中間機器ゾーンは、最後の機器ゾーンの上流にある。
【0034】
「工業プラント」または「プラント」は、制限なく、1つまたは複数の工業製品の製造、生産または処理の工業的目的、すなわち、工業プラントによって行われる製造もしくは生産プロセスまたはプロセシングのために使用されるあらゆる技術的インフラストラクチャを指す場合がある。工業製品は、例えば、化学的、生物学的、薬学的、食品、飲料、織物、金属、プラスチック、半導体などのあらゆる物理的製品であることができる。追加的または代替的に、工業製品は、サービス製品、例えば、リサイクルなどの回収または廃棄処理、1つまたは複数の化学製品への分解または溶解などの化学的処理であることもできる。したがって、工業プラントとは、化学プラント、プロセスプラント、薬剤プラント、石油および/または天然ガスなどの化石燃料処理施設、製油所、石油化学プラント、分留所などのうちの1つまたは複数である場合がある。工業プラントは、さらに、蒸留所、処理プラント、またはリサイクルプラントのうちのいずれかであることもできる。工業プラントは、さらに、上記の例またはそれらの類似のうちのいずれかの組合せであることもできる。
【0035】
インフラストラクチャは、熱交換器、分留塔などのカラム、炉、反応チャンバ、分留ユニット、貯蔵タンク、押出機、ペレタイザ、集塵機、ブレンダ、ミキサ、カッタ、硬化チューブ、気化器、フィルタ、ふるい、パイプライン、スタック、フィルタ、弁、アクチュエータ、ミル、トランスフォーマ、搬送システム、ブレーカ、機械、例えば、ヘビーデューティ回転機器、例えば、タービン、発電機、粉砕機、圧縮機、工業用ファン、ポンプ、コンベヤシステムなどの搬送エレメント、モータなどのうちのいずれか1つまたは複数などの機器またはプロセスユニットを含む場合がある。時には、これらのうちの2つ以上の組合せも機器であると考えられる場合がある。
【0036】
さらに、工業プラントは、典型的には、複数のセンサと、プラントにおけるプロセスに関連した少なくとも1つのパラメータまたはプロセスパラメータを制御するための少なくとも1つの制御システムとを含む。このような制御機能は、通常、センサのうちの少なくとも1つからの少なくとも1つの測定信号に応答して制御システムまたはコントローラによって行われる。プラントのコントローラまたは制御システムは、分散型制御システム(「DCS」)および/またはプログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)として実施される場合がある。
【0037】
したがって、工業プラントの機器またはプロセスユニットのうちの少なくとも幾つかは、工業製品のうちの1つまたは複数を製造するために監視および/または制御される場合がある。監視および/または制御は、さらに、1つまたは複数の製品の製造を最適化するために行われる場合がある。機器またはプロセスユニットは、1つまたは複数のセンサからの1つまたは複数の信号に応答して、DCSなどのコントローラを介して監視および/または制御される場合がある。加えて、プラントは、さらに、プロセスのうちの幾つかを制御するための少なくとも1つのプログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)を含む場合がある。工業プラントは、典型的には、監視および/または制御目的のために工業プラントに分散させられる場合がある複数のセンサを含む場合がある。このようなセンサは、大量データを生じる場合がある。センサは、機器の一部であると考えられても、または考えられなくてもよい。したがって、化学的および/またはサービス製造などの製造は、データヘビー環境であることができる。したがって、工業プラントは、大量のプロセス関連データを生じる場合がある。
【0038】
当業者は、工業プラントが通常、異なるタイプのセンサを含む場合がある計装類を含む場合があることを認めるであろう。センサは、1つもしくは複数のプロセスパラメータを測定するためにおよび/または機器もしくはプロセスユニットに関連した機器動作条件もしくはパラメータを測定するために使用される場合がある。例えば、センサは、パイプライン内の流量、タンク内のレベル、炉の温度、ガスの化学的組成などのプロセスパラメータを測定するために使用される場合があり、幾つかのセンサは、粉砕機の振動、ファンの速度、弁の開放、パイプラインの腐食、変圧器における電圧などを測定するために使用することができる。これらのセンサの間の差は、それらが感知するパラメータのみに基づくことはできず、さらに、それぞれのセンサが使用する感知原理である場合がある。感知するパラメータに基づくセンサの幾つかの例は、温度センサ、圧力センサ、光センサなどの放射センサ、流れセンサ、振動センサ、変位センサ、およびガスなどの特定の物質を検出するためのセンサなどの化学的センサを含む場合がある。センサが使用する感知原理の観点から異なるセンサの例は、例えば、圧電センサ、ピエゾ抵抗センサ、熱電対、容量性センサなどのインピーダンスセンサおよび抵抗センサなどである場合がある。
【0039】
工業プラントは、さらに、複数の工業プラントの一部である場合がある。本明細書において使用される「複数の工業プラント」という用語は、広い用語であり、当業者にとって通常かつ慣用的な意味が与えられ、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されない。この用語は、特に、制限なく、少なくとも1つの共通の工業的目的を有する少なくとも2つの工業プラントの複合体を指す場合がある。特に、複数の工業プラントは、物理的および/または化学的に結合された少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10、またはさらに多くの工業プラントを含む場合がある。複数の工業プラントは、複数の工業プラントを形成する工業プラントが、それらの価値連鎖、抽出物および/または製品のうちの1つまたは複数を共有する場合があるように結合される場合がある。複数の工業プラントは、コンパウンド、コンパウンドサイト、フェアブントまたはフェアブントサイトと呼ばれる場合もある。さらに、最終製品への様々な中間製品を介して複数の工業プラントの価値連鎖製造は、様々な工業プラントにおけるなど、様々なロケーションに分散化される場合があるか、またはフェアブントサイトまたはケミカルパークに統合される場合がある。このようなフェアブントサイトまたはケミカルパークは、1つもしくは複数の工業プラントである場合があるまたは1つもしくは複数の工業プラントを含む場合があり、少なくとも1つの工業プラントにおいて製造された製品は、別の工業プラントのための原料として役立つことができる。
【0040】
「製造プロセス」は、投入材料において使用されたまたは投入材料に適用されたときに化学製品を提供するあらゆる工業プロセスを指す。したがって、化学製品は、投入材料を直接に、または1つまたは複数の派生材料を介して、化学製品を生じるための製造プロセスを介して変換することによって提供される。したがって、製造プロセスは、少なくとも部分的に1つもしくは複数の化学的プロセスを伴うあらゆる製造もしくは処置プロセス、または化学製品を得るために使用されるプロセスの組合せであることができる。製造プロセスは、さらに、化学製品のパッケージングおよび/またはスタッキングを含む場合がある。したがって、製造プロセスは、化学的プロセスおよび物理的プロセスの組合せである場合がある。
【0041】
「製造する」、「生産する」または「処理する」という用語は、製造プロセスの文脈において互換的に用いられる。これらの用語は、1つまたは複数の化学製品を生じる投入材料に対する化学的プロセスを含む工業プロセスのあらゆる種類の適用を包含する場合がある。
【0042】
本開示における「化学製品」は、化学的、薬学的、栄養、化粧、もしくは生物学的製品、またはさらにそれらの組合せのいずれかなどのあらゆる工業製品を指す場合がある。化学製品は、全体的に天然成分からなる場合があるか、または少なくとも部分的に1つもしくは複数の合成成分を含む場合がある。化学製品の幾つかの非限定的な例は、有機もしくは無機組成物、モノマー、ポリマー、発泡体、殺虫剤、除草剤、肥料、餌、栄養製品、前駆体、薬剤もしくは治療製品、またはそれらの成分もしくは活性成分のうちのいずれか1つもしくは複数である。幾つかの場合、化学製品は、さらに、エンドユーザまたは消費者によって使用可能な製品、例えば、化粧または薬剤組成物である場合がある。化学製品は、さらに、さらなる1つまたは複数の製品を作製するために利用可能な製品である場合があり、例えば、化学製品は、靴用のソールを製造するために利用可能な合成フォーム、または自動車外装のために利用可能なコーティングである場合がある。化学製品は、あらゆる形態で、例えば、固体、半固体、ペースト、液体、エマルジョン、溶液、ペレット、下流、ビード、熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)粒子などの粒子、または粉末の形態である場合がある。
【0043】
したがって、化学製品は、特にそれらの製造プロセス中にトレースまたは追跡することが困難である可能性がある。製造中、投入材料などの材料は、他の材料と混合される場合がある、および/または投入材料は、例えば、異なる方式で処理するために、製造チェーンの下流で異なる部分に分割される場合がある。投入材料は、化学製品に変換される前に2回以上、例えば、1つまたは複数の派生材料に変換される場合がある。時には、化学製品は、分割され、異なるパッケージにパッケージングされる場合がある。幾つかの場合、パッケージングされた製品またはその部分にラベル付けすることが可能である場合があるが、その特定の化学製品またはその部分を製造するための原因となった製造プロセスの詳細を取り付けることは困難である場合がある。多くの場合、投入材料および/または化学製品は、物理的にそれらにラベル付けすることが困難である形態である場合がある。したがって、本教示は、このような制限を克服するために1つまたは複数の物体識別子も使用することができる方法を提供する。
【0044】
製造プロセスは連続的である場合があり、キャンペーンにおいて、例えば、回復を要求する触媒に基づく場合、バッチ化学製造プロセスである場合がある。これらの製造タイプの間の1つの主な相違は、製造中に生成されるデータにおいて生じる周波数である。例えば、バッチプロセスにおいて、製造データは、製造プロセスの開始から最後のバッチまで、そのランにおいて製造された異なるバッチにわたって延びている。連続的セッティングにおいて、データはより連続的であり、製造の動作における潜在的なシフトおよび/またはメンテナンス・ドリブン・ダウンタイムを含む。
【0045】
「プロセスデータ」は、例えば、1つまたは複数のセンサを介して製造プロセス中に測定された値、例えば、数値または2進信号値を含むデータを指す。プロセスデータは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件のうちの1つまたは複数の時系列データである場合がある。好ましくは、プロセスデータは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件の時間情報を含み、例えば、データは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件に関連するデータポイントのうちの少なくとも幾つかのためのタイムスタンプを含む。より好ましくは、プロセスデータは、時間-スペースデータ、すなわち、時間データおよび物理的に離間した1つまたは複数の機器ゾーンに関連する位置またはデータを含み、これにより、時間-スペース関係をデータから導き出すことができる。時間-スペース関係は、例えば、任意の時点の投入材料の位置を計算するために使用することができる。
【0046】
「リアルタイムプロセスデータ」は、基本的に製造プロセスを用いて特定の投入材料が処理されている間に測定されるまたは移行状態にあるプロセスデータを指す。例えば、投入材料のためのリアルタイムプロセスデータは、製造プロセスを用いる投入材料の処理と同じ時間からのまたは同じ時間付近のプロセスデータである。ここでは、同じ時間付近とは、時間遅延がほとんどまたは全くないことを意味する。「リアルタイム」という用語は、コンピュータおよび計装の技術分野において理解される。特定の非限定的な例として、投入材料において行われる製造プロセス中の製造発生と、測定されるまたは読み出されるプロセスデータとの間の時間遅延は、15s未満、特に10s以下、より具体的には5s以下である。高スループット処理の場合、遅延は、1秒未満、または数ミリ秒未満、またはさらに低い。したがって、リアルタイムデータは、投入材料の処理中に生成される時間依存プロセスデータの流れとして理解することができる。
【0047】
「プロセスパラメータ」は、製造プロセス関連変数のいずれか、例えば、温度、圧力、時間、レベルなどのうちのいずれか1つまたは複数を指す場合がある。
【0048】
「投入材料」は、化学製品を製造するために使用される少なくとも1つの原料または未処理材料を指す場合がある。投入材料は、あらゆる有機もしくは無機物質またはさらにはそれらの組合せである場合がある。したがって、投入材料は、さらに、混合物である場合があるまたはあらゆる形式における複数の有機および/または無機成分を含む場合がある。幾つかの場合、投入材料は、さらに、例えば、上流機器ゾーンから受け取られたまたは搬送された、派生材料または中間処理材料である場合がある。投入材料の幾つかの非限定的な例は、ポリエーテルアルコール、ポリエーテルジオール、ポリテトラヒドロフラン、アジピン酸およびブタン-1,4-ジオールなどに基づくポリエステルジオール、イソシアネート、フィラー材料-有機または無機材料、例えば、木材粉末、デンプン、亜麻、大麻、ラミー、ジュート、サイザル、綿、セルロースまたはアラミド繊維、ケイ酸塩、バライト、ガラス球、ゼオライト、金属または金属酸化物、タルク、チョーク、カオリン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ、石英粉末、アエロジル、クレー、マイカまたは珪灰石、鉄粉末、ガラス球、ガラスファイバまたは炭素繊維、のうちのいずれか1つまたは複数であることができる。
【0049】
さらなる非限定的な例として、投入材料は、熱可塑性ポリウレタンを得るために製造プロセスの少なくとも一部に供されるメチレンジフェニルジイソシアネート(「MDI」)および/またはポリテトラヒドロフラン(「PTHF」)である場合がある。したがって、幾つかの場合には派生材料である場合がある熱可塑性ポリウレタンを得るために投入材料が1つまたは複数の機器ゾーンにおいて化学的に処理されることが認められるであろう。派生材料は、化学製品を得るためにさらに処理される。例えば、熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)は、膨張熱可塑性ポリウレタン(「ETPU」)を得るために1つまたは複数のさらなる機器ゾーンにおいてさらに処理される場合がある。ETPUは、例えば、化学製品である場合がある。しかしながら、幾つかの場合、TPU自体が、さらに、さらなる処理のために下流の顧客または設備へ送られる化学製品である場合がある。
【0050】
「投入材料データ」は、投入材料の1つまたは複数の特性または性質に関連するデータを指す。したがって、投入材料データは、投入材料の量または総量などの性質を示す値のうちのいずれか1つまたは複数を含む場合がある。代替的にまたは加えて、量を示す値は、投入材料の充填度および/または質量流量である場合がある。値は、好ましくは、機器に動作可能に結合されたまたは含まれた1つまたは複数のセンサを介して測定される。代替的にまたは加えて、投入材料データは、投入材料に関する試料/試験データを含む場合がある。代替的にまたは加えて、投入材料データは、密度、濃度、純度、pH、組成、粘度、温度、重量、体積などのうちのいずれか1つまたは複数などの、投入材料のあらゆる物理的および/または化学的特性を示す値を含む場合がある。上流機器ゾーンが前の機器ゾーンの下流にある場合、投入材料データは、前の機器ゾーンのオブジェクト識別子からのデータの一部を含む場合があり、例えば、投入材料データは、したがって、前のゾーンのオブジェクト識別子への参照もしくはリンクを含む場合があるかまたはさらに幾つかの場合、前のオブジェクト識別子からのプロセスデータの少なくとも一部を含む場合がある。
【0051】
基礎となる化学的製造環境の処理機器によって処理されている投入材料が、以下では「パッケージオブジェクト」(またはそれぞれ「物理的パッケージ」または「製品パッケージ」)と呼ばれる、物理的なまたは現実世界のパッケージに分割される。このようなパッケージオブジェクトのパッケージサイズは、例えば、材料重量または材料量によって固定することができるか、またはそれに対してかなり一定のプロセスパラメータまたは機器動作パラメータを処理機器によって提供することができる重量または量に基づいて判定することができる。このようなパッケージオブジェクトは、ドージングユニットによって投入液体および/または固体原材料から形成することができる。
【0052】
このようなパッケージオブジェクトのその後の処理は、言及された機器と結合されているまたはさらには機器の一部である計算ユニットを介して各パッケージオブジェクトに割り当てられたいわゆる「オブジェクト識別子」を含む対応するデータオブジェクトによって管理される。基礎となるパッケージオブジェクトの対応する「オブジェクト識別子」を含むデータオブジェクトは、計算ユニットのメモリストレージエレメントに格納されている。
【0053】
データオブジェクトは、機器を介して提供されるトリガ信号に応答して、好ましくは、機器ユニットのそれぞれに配置された対応するセンサの出力に応答して生成することができる。上述のように、基礎となる工業プラントは、異なるタイプのセンサ、例えば、1つもしくは複数のプロセスパラメータを測定するためのおよび/または機器またはプロセスユニットに関連する機器動作条件もしくはパラメータを測定するためのセンサを含む場合がある。
【0054】
言及された「オブジェクト識別子」は、より具体的には、そのそれぞれの投入材料のためのデジタル識別子を指す。例えば、上流オブジェクト識別子は投入材料のために提供されている。同様に、履歴上流オブジェクト識別子は、より前に処理された特定の履歴投入材料に対応する。オブジェクト識別子は、好ましくは、計算ユニットによって生成される。オブジェクト識別子の提供または生成は、機器によって、または例えば上流機器ゾーンからのトリガイベントまたは信号に応答して、トリガされる場合がある。オブジェクト識別子は、計算ユニットに動作可能に結合されたメモリストレージエレメントまたはメモリストレージに格納されている。メモリストレージは、少なくとも1つのデータベースを含む場合がある、または少なくとも1つのデータベースの一部である場合がある。したがって、オブジェクト識別子は、さらに、データベースの一部である場合がある。オブジェクト識別子があらゆる適切な形式を介して提供される場合がある、例えば、送信される、受信される場合があるまたは生成される場合がある。
【0055】
「計算ユニット」は、1つまたは複数の処理コアを有する、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどの処理手段もしくはコンピュータプロセッサを含む場合があるまたはそれらである場合がある。幾つかの場合、計算ユニットは、少なくとも部分的に機器の一部である場合があり、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)または分散型制御システム(「DCS」)などのプロセスコントローラである場合がある、かつ/または少なくとも部分的にリモートサーバである場合がある。したがって、計算ユニットは、機器に動作可能に接続された1つまたは複数のセンサから1つまたは複数の入力信号を受信する場合がある。計算ユニットが機器の一部ではない場合、計算ユニットは、機器から1つまたは複数の入力信号を受信する場合がある。代替的にまたは加えて、計算ユニットは、機器に動作可能に結合された1つまたは複数のアクチュエータまたはスイッチを制御する場合がある。1つまたは複数のアクチュエータまたはスイッチは、動作的に、さらに、機器の一部である場合がある。
【0056】
「メモリストレージ」は、適切なストレージ媒体におけるデータの形式の情報の記憶のためのデバイスを指す場合がある。好ましくは、メモリストレージは、コンピュータプロセッサを介して読取可能な機械可読の、例えばデジタルデータであるデジタル形式の情報を記憶するのに適したデジタルストレージである。したがって、メモリストレージは、コンピュータプロセッサによって読取可能デジタルメモリストレージデバイスとして実現される場合がある。メモリストレージは、少なくとも部分的にクラウドサービスにおいて実装される場合がある。さらに好ましくは、デジタルメモリストレージデバイスにおけるメモリストレージは、コンピュータプロセッサを介して操作される場合もある。例えば、デジタルメモリストレージデバイスに記録されたデータのあらゆる部分は、コンピュータプロセッサによって書き込まれるかつ/または消去されるかつ/または部分的または全体的に新たなデータで上書きされる場合がある。
【0057】
「計算ユニット」は、1つもしくは複数の処理コアを有する、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどの処理手段もしくはコンピュータプロセッサを含む場合があるまたはそれらである場合がある。幾つかの場合、計算ユニットは、少なくとも部分的に機器の一部である場合があり、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)もしくは分散型制御システム(「DCS」)などのプロセスコントローラである場合があり、かつ/または少なくとも部分的にリモートサーバおよび/もしくはクラウドサービスである場合がある。したがって、計算ユニットは、機器または複数の機器ゾーンに動作可能に接続された1つまたは複数のセンサから1つまたは複数の入力信号を受信する場合がある。計算ユニットが機器の一部ではない場合、計算ユニットは、機器または機器ゾーンから1つまたは複数の入力信号を受信する場合がある。代替的にまたは加えて、計算ユニットは、機器に動作可能に結合された1つまたは複数のアクチュエータまたはスイッチを制御する場合がある。1つまたは複数のアクチュエータまたはスイッチは、動作可能に、さらに、機器の一部である場合がある。計算ユニットは、機器または複数の機器ゾーンに動作可能に結合されている。
【0058】
したがって、計算ユニットは、例えば、機器動作条件のうちの1つまたは複数を操作することを介して、アクチュエータまたはスイッチおよび/またはエンドエフェクタユニットのうちのいずれか1つまたは複数を制御することによって、製造プロセスに関連する1つまたは複数のパラメータを操作することができる場合がある。制御は、好ましくは、機器から検索された1つまたは複数の信号に応答して行われる。
【0059】
この文脈における「エンドエフェクタユニット」または「エンドエフェクタ」は、機器の周囲の環境と相互作用するという目的を有する、機器の一部であるかつ/または機器に動作可能に接続されている、したがって、機器および/または計算ユニットを介して制御可能なデバイスを指す。幾つかの非限定的な例として、エンドエフェクタは、さらに環境、例えば、投入材料および/または化学製品と相互作用するように設計されたカッタ、グリッパ、噴霧器、混合ユニット、押出機チップなど、またはそれらのそれぞれの部分である場合がある。
【0060】
投入材料の場合の「性質」は、投入材料の量のうちのいずれか1つまたは複数、バッチ情報、投入材料の純度、濃度、粘度またはあらゆる特性などの質を明示する1つまたは複数の値を指す場合がある。
【0061】
「インターフェース」は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素、少なくとも部分的に機器の一部であるか、またはオブジェクト識別子が提供される別の計算ユニットの一部である場合がある、例えば、インターフェースは、アプリケーションプログラミングインターフェース(「API」)である場合がある。幾つかの場合、インターフェースは、例えば、ネットワークにおけるハードウェア構成要素および/またはプロトコルレイヤの2つのピースとインターフェースするために、少なくとも1つのネットワークに接続する場合もある。例えば、インターフェースは、機器と計算ユニットとの間のインターフェースである場合がある。幾つかの場合、機器は、ネットワークを介して計算ユニットに通信可能に結合される場合がある。したがって、インターフェースは、さらにネットワークインターフェースである場合があるか、またはネットワークインターフェースを含む場合がある。幾つかの場合、インターフェースは、さらに、接続性インターフェースである場合があるか、または接続性インターフェースを含む場合がある。
【0062】
「ネットワークインターフェース」は、ネットワークとの動作可能な接続を許容する、デバイスまたは1つもしくは複数のハードウェアおよび/もしくはソフトウェア構成要素のグループを指す。
【0063】
「接続性インターフェース」は、伝送または交換または信号またはデータなどの通信を確立するためのソフトウェアおよび/またはハードウェアインターフェースを指す。通信は、有線である場合がある、または無線である場合がある。接続性インターフェースは、好ましくは、1つもしくは複数の通信プロトコルに基づくまたは1つもしくは複数の通信プロトコルをサポートする。通信プロトコルは、無線プロトコルである場合があり、例えば、Bluetooth(登録商標)もしくはWiFiなどの短距離通信プロトコル、またはセルラーもしくはモバイルネットワーク、例えば、第二世代セルラーネットワークすなわち(「2G」)、3G、4G、Long-Term Evolution(「LTE」)、もしくは5Gなどの長距離通信プロトコルである場合がある。代替的にまたは加えて、接続性インターフェースは、さらに、専用短距離または長距離プロトコルに基づく場合がある。接続性インターフェースは、あらゆる1つまたは複数の標準および/または専用プロトコルをサポートする場合がある。接続性インターフェースおよびネットワークインターフェースは、同じユニットである場合があるまたは異なるユニットである場合がある。
【0064】
本明細書に説明される「ネットワーク」は、あらゆる適切な種類のデータ伝送媒体、有線、無線、またはそれらの組合せである場合がある。特定の種類のネットワークは、本教示の範囲または一般論に限定されない。したがって、ネットワークは、少なくとも1つの通信終点と別の通信終点との間のあらゆる適切な任意の相互接続を指すことができる。ネットワークは、1つまたは複数の分散ポイント、ルータまたはその他のタイプの通信ハードウェアを含む場合がある。ネットワークの相互接続は、物理的にハードな配線、光学的および/または無線ラジオ周波数方法によって形成される場合がある。ネットワークは、特に、配線によって完全にまたは部分的に形成された物理的ネットワーク、例えば、ファイバ光学ネットワークもしくは導電性ケーブルによって完全にもしくは部分的に形成されたネットワークまたはそれらの組合せである場合があるあるいはそれらを含む場合がある。ネットワークは、少なくとも部分的にインターネットを含む場合がある。
【0065】
したがって、プロセスデータのそれぞれのサブセットの少なくとも一部はオブジェクト識別子に加えられることが認められるであろう。例えば、投入材料が上流機器ゾーンによって処理されたリアルタイムプロセスデータのサブセットが全体的に上流オブジェクト識別子に含まれるか、または前記サブセットデータの選択された部分が加えられるもしくはセーブされる。したがって、上流機器ゾーンにおいて投入材料を処理するために関連していたリアルタイムプロセスデータのスナップショットは、利用可能にされるかまたは上流オブジェクト識別子とリンクされる。リアルタイムプロセスデータの全体またはその一部がセーブされるかどうかは、例えば、プロセスデータのサブセットのどの部分がオブジェクト識別子に加えられるべきかに関する計算ユニットを介した判定に基づく場合がある。判定は、例えば、化学製品の所望の特性に影響を有するよりもプロセスパラメータおよび/または機器動作条件に最も優勢に基づいて行われる場合がある。これは、ある場合、特に上流オブジェクト識別子に大量のデータを加えるよりもむしろ、関連するリアルタイムプロセスデータのボリュームが大きい場合に有利であることができ、計算ユニットは、リアルタイムプロセスデータのサブセットのいずれが加えられるかを判定する場合がある。したがって、オブジェクト識別子に加えられたリアルタイムプロセスデータの部分は、計算ユニットを介して判定される場合がある。さらに、判定は、1つまたは複数のMLモデルに基づくことができる。このようなモデルは、本開示において以下でより詳細に説明される。
【0066】
さらに1つの態様によれば、上流オブジェクト識別子は、プロセス特定データも加えられる。データは含む場合がある。プロセス特定データは、エンタープライズリソースプランニング(「ERP」)データ、例えば、注文数および/または製造コードおよび/または製造プロセスレシピおよび/またはバッチデータ、レシピエントデータ、ならびに化学製品への投入材料の変換に関連するデジタルモデルのうちのいずれか1つまたは複数である場合がある。ERPデータは、工業プラントに関連したERPシステムから受信される場合がある。デジタルモデルは、化学製品への投入材料の変換に関連する1つまたは複数の物理的および/または化学的変化を表す機械可読数学モデルのうちのいずれか1つまたは複数である場合がある。レシピエントデータは、例えば、1つまたは複数の顧客注文および/または仕様に関連するデータである場合がある。バッチデータは、製造中のバッチおよび/または同じ機器を介して製造された前の製品に関連するデータに関連する場合がある。そうすることによって、化学製品のトレーサビリティは、さらに、関連するプロセス特定データを束ねることによって改善することができる。より具体的には、バッチデータは、同じ機器を介して少なくとも部分的に製造される化学製品の製造をより最適に順序付けるために使用することができるが、この化学製品は、1つまたは複数の異なる特性または仕様を有する。例えば、このような化学製品の製造は、後続のバッチが前のバッチにより最も影響を受けない形式で、調整および/または順序付けされることができる。例えば、2つ以上の化学製品が異なる色である場合、製造の順序は計算ユニットを介して判定される場合があり、それにより、前の製品からの色の痕跡に関して、後に製造される製品は、前に製造された化学製品により最も影響を受けない。
【0067】
「性能パラメータ」は、化学製品のいずれか1つまたは複数の特性である場合がある、またはそれを示す場合がある、またはそれに関連している場合がある。したがって、性能パラメータは、特定の用途または使用のための化学製品の、適合性を示す1つまたは複数の所定の基準、または適合性の程度を満たすべきこのようなパラメータである。ある場合には、性能パラメータは、化学製品の特定の適用または使用のための、適合性の欠如、または不適合性の程度を示す場合があることが認められるであろう。非限定的な例として、性能パラメータは、引張強度などの強度、ショア硬さなどの硬さ、バルク密度などの密度、色、濃度、組成、粘度、質量流量値(「MFV」)、ヤング率値などの剛性、パーツ・パー・ミリオン(「ppm」)値などの純度または不純度、平均故障時間(「MTTF」)などの故障率、または例えば所定の基準を使用する試験を介して判定される、あらゆる1つもしくは複数の値もしくは値範囲のうちのいずれか1つまたは複数である場合がある。したがって、性能パラメータは、化学製品の性能または品質を表す。所定の基準は、例えば、化学製品の品質または性能を判定するために、それに対して化学製品の性能パラメータが比較される1つまたは複数の基準値または範囲である場合がある。所定の基準は、臨床試験、信頼性または摩耗試験などの1つまたは複数の試験を使用して判定されている場合があり、したがって、1つまたは複数の特定の使用または用途に適している化学製品のための性能パラメータに対する要求を規定する。幾つかの場合、性能パラメータは、派生材料の特性に関連しているまたは派生材料の特性から測定される場合がある。
【0068】
この文脈における「ゾーン特定」は、特定の機器ゾーン、例えば上流機器ゾーンに関連することを指すことが認められるであろう。したがって、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータは、上流機器ゾーンのために計算される場合があるおよび/またはそのうちの1つまたは複数は、計算ユニットによって、上流機器ゾーンの下流における1つまたは複数の機器ゾーンのために計算される場合がある。したがって、予測されるパラメータは、化学製品に直接関連する場合があるかつ/または化学製品に変換される1つまたは複数の派生材料に関連する場合がある。通常、性能パラメータは、製造中および/または製造後に収集された化学製品および/または派生材料の1つまたは複数の試料から判定される。試料は、実験室へ運ばれ、性能パラメータを判定するために分析される場合がある。試料を収集し、処理または試験し、次いで試験結果を分析する活動全体は、かなりの時間および資金を費やす可能性があることが認められるであろう。
【0069】
したがって、試料を収集することと、投入材料および/またはプロセスパラメータおよび/または機器動作条件におけるあらゆる調整を実施することとの間にかなりの遅れが生じる可能性がある。この遅れまたはラグは、最適未満もしくは低品質の化学製品が製造されるという結果を生じる場合があるか、または最悪の場合、試料が分析され、投入材料および/またはプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を調整することによるあらゆる修正動作が行われるまで、製造が停止させられる必要がある場合がある。
【0070】
投入材料および/またはプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を調整するためのサンプリングアプローチにおけるラグの効果を少なくとも低減するためのソリューションとして、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの提案された計算を使用することができる。
【0071】
1つの態様によれば、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの計算は、少なくとも部分的に分析コンピュータモデルであるモデルを使用して行われる。加えてまたは代替的に、モデルは、少なくとも部分的に1つまたは複数の機械学習(「ML」)モデルである場合がある。MLモデルは、例えば、1つまたは複数の履歴上流オブジェクト識別子からの履歴データを使用して訓練される場合がある。
【0072】
本教示の文脈において、MLモデルは、履歴データを使用して訓練された場合にデータドリブンモデルを生じる場合がある予測モデルである場合があるまたはこの予測モデルを含む場合がある。「データドリブンモデル」は、データ、この場合は履歴データから少なくとも部分的に導き出されたモデルを指す。生理化学法則を使用して純粋に導き出される厳密なモデルとは対照的に、データドリブンモデルは、生理化学法則によってモデル化することができない関係を記述することを可能にすることができる。データドリブンモデルの使用は、生理化学法則からの数式を解くことなく関係を記述することを可能にすることができる。これは、計算能力を減じるかつ/またはスピードを高めることができる。
【0073】
データドリブンモデルは、回帰モデルである場合がある。データドリブンモデルは、数学モデルである場合がある。数学モデルは、提供された性能特性と、判定された性能特性との間の関係を関数として記述する場合がある。
【0074】
したがって、この文脈において、データドリブンモデル、好ましくはデータドリブン機械学習(「ML」)モデルまたは単にデータドリブンモデルは、それぞれの製造プロセスに関連した反応速度または生理化学プロセスを反映するために、上流履歴データまたは下流履歴データなどのそれぞれの訓練データセットに従ってパラメータ化された訓練された数学モデルを指す。訓練されていない数学モデルは、反応速度または生理化学プロセスを反映しないモデルを指し、例えば、訓練されていない数学モデルは、経験的観察に基づく科学的一般化を提供する物理法則から導き出されない。したがって、力学的または生理化学特性は、訓練されていない数学モデルに固有でない場合がある。訓練されていないモデルは、このような特性を反映しない。それぞれの訓練データセットを用いたフィーチャーエンジニアリングおよび訓練は、訓練されていない数学モデルのパラメータ化を可能にする。このような訓練の結果は、訓練プロセスの結果、好ましくは唯一訓練プロセスの結果として、製造プロセスに関連した反応速度または物理化学プロセスを反映する、単なるデータドリブンモデル、好ましくはデータドリブンMLモデルである。
【0075】
モデルは、さらに、ハイブリッドモデルである場合がある。ハイブリッドモデルは、第一原理部分、分析モデルまたはいわゆるホワイトボックス、および前に説明したようなデータドリブン部分、いわゆるブラックボックスを含むモデルを指す場合がある。モデルは、ホワイトボックスモデルおよびブラックボックスモデルの組合せならびに/またはグレーボックスモデルを含む場合がある。ホワイトボックスモデルは、生理化学法則に基づく場合がある。生理化学法則は、第一原理から導き出される場合がある。生理化学法則は、反応速度論、質量保存の法則、運動量およびエネルギ、任意次元における粒子集団のうちの1つまたは複数を含む場合がある。ホワイトボックスモデルは、それぞれの製造プロセスまたはその一部を支配する生理化学法則に従って選択される場合がある。ブラックボックスモデルは、例えば1つまたは複数の履歴オブジェクト識別子からの履歴データに基づく場合がある。ブラックボックスモデルは、機械学習、ディープラーニング、ニューラルネットワークまたはその他の形式の人工知能のうちの1つまたは複数を使用することによって構築される場合がある。ブラックボックスモデルは、訓練データセットとテストデータとの間の良好な適合性を生じるあらゆるモデルである場合がある。グレーボックスモデルは、モデルを完成させるために部分的な理論的構造をデータと組み合わせるモデルである。
【0076】
本明細書において使用される場合、「機械学習」または「ML」という用語は、明白にプログラムすることなく機械がデータからタスクを「学習」することを可能にする統計的方法を指す場合がある。機械学習技術は、「従来の機械学習」-手動で特徴量を選択し、次いで、モデルを訓練するワークフローを含む場合がある。従来の機械学習技術の例は、判定木、サポートベクターマシン、およびアンサンブル法を含む場合がある。幾つかの例において、データドリブンモデルは、データドリブンディープラーニングモデルを含む場合がある。ディープラーニングは、人間の脳の神経経路に緩くモデル化された機械学習のサブセットである。ディープは、入力層と出力層との間の多数の層を指す。ディープラーニングにおいて、アルゴリズムは、どの特徴量が有効であるかを自動的に学習する。ディープラーニング技術の例は、畳み込みニューラルネットワーク(「CNN」)、長-短期記憶(「LSTM」)などの回帰型ニューラルネットワーク、およびディープQネットワークを含む場合がある。
【0077】
本開示において、「MLモデル」および「訓練されたMLモデル」という用語は、互換的に使用される場合がある。しかしながら、特定のMLモデルが一緒に訓練されたどの種類のデータが、意図された機能を実行することができるかが示されるまたは当業者に明らかになるであろう。
【0078】
化学製造は、異なる機器から多数のデータを生成するデータヘビー環境であることができる。提案された教示が、工業プラント、特に化学プラントにおけるエッジコンピューティングのために適したおよびより効率的な品質制御方法またはシステムの実現も行うことも認められるであろう。したがって、安全性および/または品質制御などの監視は、処理能力および/またはメモリ要求などの計算資源が減じられながら、基本的にその場でまたはオンザフライで達成することができる。なぜならば、オブジェクト識別子は、性能パラメータの計算のための関連データの非常にターゲットが絞られたデータセットを提供するからである。計算におけるレイテンシを減じることも可能である場合があり、これにより、製造プロセスを減速させることなくナンバークランチングアルゴリズムのための十分な時間があることを確実にする。また、MLモデルのための訓練プロセスをより迅速かつより効率的にすることができる。
【0079】
同様の理由から、これは、また、本教示を、クラウドコンピューティングに適したものとする。なぜならば、データセットをコンパクトかつ効率的にすることができるからである。多くのクラウドサービスプロバイダは、計算資源の利用に基づくペイ・パー・ユースモデルで動作し、したがって、コストを減じることができるおよび/または計算能力をより効率的に利用することができる。
【0080】
したがって、1つの態様によれば、モデル、少なくとも部分的に少なくとも1つのMLモデルは、1つまたは複数の履歴上流オブジェクト識別子からのデータを使用して訓練される場合がある。MLモデルを訓練するために使用されるデータは、履歴および/もしくは現在の実験室試験データ、または化学製品および/もしくは派生材料の過去および/もしくは最近の試料からのデータを含む場合もある。例えば、画像分析、実験室機器またはその他の測定技術などの1つまたは複数の分析からの品質データが使用される場合がある。
【0081】
したがって、履歴上流オブジェクト識別子からのデータを用いて訓練された少なくとも1つのMLモデルは、化学製品に関連したゾーン特定性能パラメータのうちの1つまたは複数を予測するために使用することができる。したがって、手作業のサンプリングおよび試験要求の少なくとも幾つかを除去することができ、これにより、時間および資源を節約する。
【0082】
したがって、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算するために、履歴データを使用して訓練されたMLモデルは、入力として、投入材料データ、およびリアルタイムプロセスデータのサブセットの少なくとも一部を受け取る場合がある。したがって、MLモデルは、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算された値として提供することができる。したがって、このようなMLモデルは、製造プロセスを監視し、早期段階におけるあらゆる品質制御問題を警告するために使用することができる。
【0083】
別の態様によれば、モデルまたはMLモデルは、少なくとも1つのゾーン特定の性能パラメータのための信頼水準を示す少なくとも1つの信頼値も提供する場合がある。信頼値は、例えば、メタデータとして、上流オブジェクト識別子に加えられる場合もある。少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの予測または計算の信頼レベルが精度しきい値よりも低下すると、製造のための制御システムにおいて警告がトリガされる場合がある。警告は、例えば、実験室分析のための試料の物理的試験を開始するために、警告信号として生成される場合がある。これは、ある時間に、製造から収集された試料において実験室分析を行うのではなく、必要なときにこのような分析を行うことができるという利点を有することができる。実験室分析などのコストおよび時間がかかる手作業による品質制御の要求をさらに減じることができる。
【0084】
幾つかの場合、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの予測または計算の信頼レベルが精度しきい値よりも低下することに応答して、例えば、インターフェースを介して、サンプリングオブジェクト識別子が自動的に提供される。処理ユニットは、関連する材料のためのサンプリングオブジェクト識別子に、関連するプロセスデータのサブセットを加える場合があり、また、サンプリングオブジェクト識別子に少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加える場合がある。これにより、サンプリングオブジェクト識別子によって提供されるトラッキングにより正確な1つまたは複数の試料が製造から収集されることができる。さらに、信頼レベルの低下の原因を見つけるためにサンプリングオブジェクト識別子からのデータと一緒に試料が分析される場合がある。それが、不一致を生じたプロセスパラメータであるか、または投入材料データ、またはおそらくそれらの組合せであるかどうかを判定することができる。したがって、様々な変数の間の複雑な関係をより良く理解することができ、品質制御プロセスをさらに向上させることができるように活用することができる。分析の結果は、将来の計算を向上させるためにMLモデルを再訓練するために使用される場合がある。例えば、サンプリングオブジェクト識別子は、分析結果またはデータが加えられる場合がある。したがって、サンプリングオブジェクト識別子データは、履歴データに含まれ、将来少なくとも1つの性能パラメータを計算するために使用されることができる。
【0085】
1つの態様によれば、サンプリングオブジェクト識別子は、どの、またはどの種類の1つまたは複数の試験または分析が、サンプリングオブジェクト識別子に対応するそれぞれの材料または化学製品に対して行われるかを明示する試験タイプデータが加えられる。したがって、計算ユニットは、サンプリングオブジェクト識別子に試験タイプメタデータを自動的に加えるように構成される場合がある。試験タイプデータまたは試験メタデータは、信頼レベルおよび/または少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータおよび/またはリアルタイムプロセスデータのサブセットに応答して、判定される場合がある。したがって、関連する性能パラメータに従って、計算ユニットは、試験タイプデータを加えることによって試験または分析タイプを自動的に明示するように構成される場合がある。これは、望ましくない性能パラメータおよび/または信頼値の原因を判定する際に時間を節約するなどの利点を有することができる。さらに、エキスパートユーザは、試料について何がなされる必要があるかを判定することが要求されない場合がある。したがって、品質問題は、より迅速にかつより確実に解決することができる。これは、また、製造における特定の状況ごとに1つまたは複数の分析または試験を自動的に明示するために、履歴オブジェクト識別子、またはより具体的には履歴サンプリングオブジェクト識別子を活用することをより容易にすることができる。したがって、ユーザは、適切な判定を行う際に支援されることができる。
【0086】
加えて、または代替的に、サンプリングオブジェクト識別子は、サンプリングオブジェクト識別子に対応するそれぞれの材料または化学製品について少なくとも1つの試験または分析を行うために使用されるべき1つまたは複数の装置またはツールおよび/または試験材料を示すツールタイプデータが加えられる。このように、ユーザは、したがって、試料材料または製品を分析するためにどんな種類の装置および/または試験材料が使用されるべきかを自動的に選択することによってさらに支援されることができる。ツールタイプデータは、試験タイプデータの一部または別個のデータである場合がある。1つの態様によれば、サンプリングオブジェクト識別子は、試験または分析を行うために使用される装置またはツールのための試験構成データが加えられる。試験構成データは、試験タイプメタデータもしくはツールタイプデータの一部である場合がある、または別個のデータである場合がある。
【0087】
1つの態様によれば、試験構成データは、サンプリングオブジェクト識別子が生成されることに応答してそれぞれの1つまたは複数の装置またはツールに自動的に提供される。そうすることによって、それぞれの装置またはツールは、ユーザがそうしなければならないのではなく、試験または分析を行うために自動的に準備されることができる。ヒューマンエラーのソースも、分析を行うための装置および/またはツールを選択することによって減じることができる。好ましくは、試験構成データは、試験および/または分析のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に自動的に行うための機械可読命令を含む。しかしながら、試験構成データは、さらに、少なくとも部分的に、ユーザによって使用可能な試験レシピを含む場合がある。後者は、さらに、エキスパート知識の要求を少なくとも減じながら、要求される試験および/または分析を通じてユーザがガイドされるという利点を有することができる。エキスパートユーザにとっても、ヒューマンエラーのソースを減じることができる。試験および/または分析の結果は、それぞれの装置および/もしくはツールを介して完全にもしくは部分的に自動的に、対応するサンプリングオブジェクト識別子に加えられる場合があるか、または手動入力を介して少なくとも部分的に加えられる場合がある。したがって、サンプリングオブジェクト識別子は、履歴オブジェクト識別子としての、例えば、履歴データとしての将来の使用のためにさらにエンリッチされることができる。
【0088】
幾つかの場合、リアルタイムプロセスデータのサブセットのどの部分または構成要素が化学製品に最も支配的な効果を有するかを判定するために、同じMLモデルまたは別のMLモデルが計算ユニットによって使用される場合がある。したがって、計算ユニットは、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータに無視できる効果を有するプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を除外することを可能にされる。したがって、特定の化学製品のために加えられたリアルタイムプロセスデータの適合性が、それらのそれぞれのオブジェクト識別子のために改良されることができる。
【0089】
1つの態様によれば、複数の物理的に分離された機器ゾーンは、また、製造または生産プロセス中に投入材料が上流機器ゾーンから下流機器ゾーンへ前進するように下流機器ゾーンを含む。幾つかの場合、投入材料は、下流機器ゾーンに到達する前に、例えば、量において、分割または減少させられる場合がある。したがって、さらに1つの態様によれば、下流オブジェクト識別子は、下流機器ゾーンにおける投入材料の少なくとも一部のために提供される。幾つかの場合、投入材料の少なくとも一部は派生材料と呼ばれる場合があることも認められるであろう。説明されたのと同様に、いつ投入材料または派生材料が下流機器ゾーンにあるかを検出または計算するために、ゾーン存在信号が使用される場合があり、これにより、計算ユニットは、下流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータの別のサブセットを判定する場合がある。したがって、計算ユニットは、リアルタイムプロセスデータの別のサブセットおよび別の履歴データに基づいて、下流識別子に関連した化学製品の別の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算する場合があり、別の履歴データは、下流機器ゾーンにおける前に処理された投入材料に関連した1つまたは複数の履歴下流オブジェクト識別子からのデータを含み、それぞれの履歴下流オブジェクト識別子は、前に処理された投入材料が下流機器ゾーンにおいて処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すプロセスデータの少なくとも一部が加えられる。したがって、下流オブジェクト識別子は、別の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータが加えられる場合がある。
【0090】
したがって、方法は、以下のことも含む場合がある:
- インターフェースを介して、少なくとも基準を含む下流オブジェクト識別子を上流オブジェクト識別子に提供すること;
- 計算ユニットを介して、下流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータの別のサブセットを判定すること;
- 計算ユニットを介して、リアルタイムプロセスデータの別のサブセットおよび別の履歴データに基づいて下流オブジェクト識別子に関連した化学製品の別の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算すること;別の履歴データは、下流機器ゾーンにおける前に処理された投入材料に関連した1つまたは複数の履歴下流オブジェクト識別子からのデータを含み、それぞれの履歴下流オブジェクト識別子は、前に処理された投入材料が下流機器ゾーンにおいて処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すプロセスデータの少なくとも一部が加えられる、
- 下流オブジェクト識別子に、別の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加える。
【0091】
- さらに、前に説明したように、方法は、以下のことも含む:
- 下流オブジェクト識別子に、リアルタイムプロセスデータの別のサブセットの少なくとも一部を加える。
【0092】
したがって、下流オブジェクト識別子は、下流機器ゾーンからのリアルタイムプロセスデータの少なくとも一部が加えられる。これにより、下流オブジェクト識別子は、上流オブジェクト識別子、もしくはより具体的にはリアルタイムプロセスデータのサブセットの少なくとも一部が加えられた上流オブジェクト識別子からのデータを、少なくとも部分的に封入するまたはそれによってエンリッチされる場合がある。代替的に、下流オブジェクト識別子は、上流オブジェクト識別子にリンクされる場合がある。言い換えれば、下流オブジェクト識別子は、上流オブジェクト識別子が加えられる。下流オブジェクト識別子および上流オブジェクト識別子は、同じ位置もしくはメモリストレージに配置される場合があるか、またはそれらは異なる位置に配置される場合がある。したがって、下流オブジェクト識別子は、少なくとも部分的に下流オブジェクト識別子の一部である上流オブジェクト識別子によって、または下流オブジェクト識別子に加えられた上流オブジェクト識別子によって、上流オブジェクト識別子に関連させられる。
【0093】
これをすることによって、製造チェーンの様々な構成要素の品質へのより細かい可視性が向上させられることができる。例えば、それぞれの特定のゾーンの性能パラメータを、その特定のゾーンにおける材料の品質を追跡するために使用することもできる。
【0094】
上流機器ゾーンに関連する上記説明と同様に、MLモデルは、下流機器ゾーンに適用することもできる。同じことのための幾つかの例が以下に挙げられる。
【0095】
例えば、1つの態様によれば、前に説明されたモデルと同様の、下流モデル、少なくとも部分的に少なくとも1つの下流MLモデルは、1つまたは複数の履歴下流オブジェクト識別子からのデータに基づいて訓練される場合がある。下流MLモデルを訓練するために使用されるデータは、また、履歴および/もしくは現在の実験室試験データ、または化学製品および/もしくは派生材料の過去および/もしくは最近の試料からのデータを含む場合がある。例えば、画像分析、実験室機器またはその他の測定技術などの1つまたは複数の分析からの品質データが使用される場合がある。
【0096】
したがって、履歴下流オブジェクト識別子からデータを用いて訓練された少なくとも1つの下流MLモデルは、化学製品に関連したゾーン特定性能パラメータのうちの1つまたは複数を予測するために使用することができる。したがって、サンプリングおよび試験に要求の少なくとも幾つかを除去することができ、したがって、時間および資源を節約する。
【0097】
したがって、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算するために、履歴下流データを使用して訓練される下流MLモデルは、入力として、下流リアルタイムプロセスデータのサブセットの少なくとも一部を受け取る場合がある。したがって、下流MLモデルは、計算された値として少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを提供する場合がある。したがって、このような下流MLモデルは、製造プロセスを監視しかつ早期段階においてあらゆる品質制御問題をより細かく警告するために、上流機器ゾーンのためのMLモデルと一緒に使用することもできる。
【0098】
同様に、下流MLモデルは、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータのための信頼レベルを示す少なくとも1つの下流信頼値を提供する場合もある。下流信頼値は、例えば、メタデータとして、下流オブジェクト識別子に加えられる場合もある。少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの予測または計算の信頼レベルが精度しきい値よりも低下した場合、警告が、製造のための制御システムにおいてトリガされる場合がある。警告は、例えば、実験室分析のための試料の物理的試験を開始するために、警告信号として生成される場合がある。
【0099】
当業者は、「加えている」または「加える」という用語が、同じデータベースにおける、または同じメモリストレージエレメントにおける、データベースまたはメモリストレージにおける隣接するまたは異なる位置における、メタデータなどの異なるデータエレメントを含むまたは取り付ける、例えば、節約することを意味する場合があるということを認めるであろう。この用語は、必要とされる場合にデータパッケージまたはストリームを読み出すかつ/またはフェッチするかつ/または組み合わせることができる形式で、同じまたは異なる位置における1つまたは複数のデータエレメント、パッケージまたはストリームのリンクを意味する場合もある。位置のうちの少なくとも1つは、リモートサーバの部分であるかまたはさらには少なくとも部分的にクラウドベースサービスの一部である場合がある。
【0100】
「リモートサーバ」は、プラントから離れて配置された1つもしくは複数のコンピュータまたは1つもしくは複数のコンピュータサーバを指す。したがって、リモートサーバは、プラントから数キロメートル以上に配置される場合がある。リモートサーバは、さらに、異なる国に配置される場合がある。リモートサーバは、さらに、少なくとも部分的にクラウドサービスまたはプラットフォームとして、例えば、プラットフォーム・アズ・ア・サービス(「PaaS」)として実装される場合がある。この用語は、さらに、集合的に、異なる位置に配置された2つ以上のコンピュータまたはサーバを指す場合がある。リモートサーバは、データ管理システムである場合がある。
【0101】
幾つかの場合、上流機器ゾーンを通って横断した後の投入材料は、投入材料が上流機器ゾーンに進入したときとは性質が実質的に異なる場合があることが認められるであろう。したがって、説明したように、下流ゾーンにおける投入材料の進入において、投入材料は、派生材料または中間処理材料に変換されている場合がある。しかしながら、簡略化のために、本教示の一般性を喪失することなく、本開示において、投入材料という用語は、製造プロセス中の投入材料がこのような中間処理材料または派生材料に変換した場合も指すために使用される場合がある。例えば、化学的成分の混合物の形態の投入材料のバッチは、コンベヤベルト上で上流ゾーンを通って横断させられている場合があり、上流ゾーンでバッチは、化学反応を誘発するために加熱される。その結果、上流ゾーンから出た直後または他のゾーンも横断した後に、投入材料が下流ゾーンに進入するとき、材料は、投入材料とは特性が異なる派生材料となっている場合がある。しかしながら、上述のように、このような派生材料は依然として投入材料と呼ぶことができる。なぜならば、少なくとも、このような中間処理材料と投入材料との間の関係は、製造プロセスを介して規定および判定することができるからである。さらに、その他の場合、投入材料は、依然として基本的に、上流ゾーンまたは他のゾーンをも横断した後でも、例えば、望ましくない材料の痕跡を除去するために上流ゾーンが単に投入材料を乾燥させるかまたは濾過する場合、類似の特性を保持する場合がある。したがって、当業者は、中間ゾーンにおける投入材料が、派生材料に変換される場合があるまたは変換されない場合があることを理解するであろう。
【0102】
幾つかの場合、上流ゾーンと下流ゾーンとの間に1つまたは複数の中間ゾーンが存在する場合があるが、このようなゾーンのために別個のオブジェクト識別子は提供されていない。出願人は、投入材料もしくは派生材料が他の材料と組み合わされた場合、または投入材料もしくは派生材料が多数の部分に分割もしくは断片化された場合、下流オブジェクト識別子を生成することがより有利であることが分かった。またはより一般的に、オブジェクト識別子を提供した後、下流オブジェクト識別子またはあらゆるさらなるオブジェクト識別子の生成は、材料質量流量が変化するゾーンにおいてのみ行われる場合がある。質量流量変化は、投入材料または派生材料への新たな材料の付加または混合および/あるいは投入材料または派生もしくは中間処理材料からの材料の除去または分割の結果である質量の変化である場合がある。例えば、水分の除去による、または幾つかの場合に製造中の化学反応によって生じるガスの放出による質量の変化は、第2のまたはさらなるオブジェクト識別子をトリガする発生から排除される場合がある。特に、投入材料の質量の実質的な変化が生じないときのゾーンにおいて、さらなるオブジェクト識別子は提供されない場合がある。質量の「実質的な変化」のための制限を明示することは本明細書では必須ではない。なぜならば、当業者は、それが、他の要因の中でも特に、投入材料および/または製造されている化学製品のタイプに依存する場合があることを認めるからである。例えば、幾つかの場合、20%以上の質量の変化は実質的であると考えられる場合がある一方、他では5%以上、または幾つかの場合には1%以上、またはおそらくさらにはより低い%値である。例えば、貴重な製品の場合、より貴重でない別の製品と比較して、より小さな変化が著しいと考えられる場合がある。
【0103】
幾つかの例として、上流機器ゾーンの後の機器ゾーンにおけるオブジェクト識別子の提供または生成の判定は、以下のうちのいずれかに基づく場合がある;機器ゾーンにおける逆混合度が、前記機器ゾーンに先行するゾーンにおけるパッケージのサイズよりも小さいかまたはほぼそのサイズである場合に新たなオブジェクト識別子を提供しない、機器ゾーンにおける逆混合度が、前記機器ゾーンに先行するゾーンにおけるパッケージのサイズよりも大きい場合、新たなオブジェクト識別子を提供する、1つまたは複数の搬送システムまたは要素を伴う搬送ゾーンでしかない機器ゾーンにおいて新たなオブジェクト識別子を提供しない、機器ゾーンが、前記ゾーンにおける材料の分離を伴い、1つまたは複数の構成要素が、材料の分離された構成要素である場合、1つまたは複数の構成要素のための新たなオブジェクト識別子を提供する、少なくとも1つのパッケージへの材料の充填またはパッケージングを伴い、各パッケージが、1つまたは複数の化学製品を含む場合、機器ゾーンにおいて少なくとも1つの新たなオブジェクト識別子を提供する。
【0104】
説明したように、投入材料、派生材料または化学製品の試料が分析のために収集される場合、このような試料は、また、試料オブジェクト識別子が提供される場合がある。試料オブジェクト識別子は、原則的に、本開示において説明されたオブジェクト識別子およびしたがって説明したように加えられた関連する対応するプロセスデータと類似であることができる。したがって、試料は、前記試料の特性に関連する製造プロセスの正確なスナップショットがデジタル式に添付されることもできる。したがって、分析および品質制御をさらに改良することができる。さらに、製造プロセスは、例えば、1つまたは複数のMLモデルの改良された訓練に基づいて、相乗的に改良することができる。
【0105】
別の態様によれば、製造プロセスが、投入材料が、例えば、コンベヤシステムなどの搬送エレメントを使用してゾーンにおいてまたはゾーンの間で物理的に搬送されるまたは移動させられることを伴う場合、リアルタイムプロセスデータは、搬送エレメントの速度および/または製造プロセス中に投入材料が搬送される速度を示すデータも含む場合がある。速度は、センサのうちの1つもしくは複数を介して直接に提供される場合があるかつ/または計算ユニットを介して、例えば、リアルタイムプロセスデータを介したトラベルタイプ測定の時間に基づいて、例えば、ゾーンにおける進入の時間およびゾーンからの退出の時間もしくはそのゾーンの後続の別のゾーンにおける進入の時間を使用して、計算される場合がある。したがって、オブジェクト識別子は、ゾーンにおける時間態様、特に、化学製品の1つまたは複数の性能パラメータに影響を与える場合があるものを処理することによってエンリッチすることができる。さらに、進入および退出または後続ゾーン進入のタイムスタンプを使用することによって、搬送エレメントのための速度測定センサまたはデバイスの要求を排除することができる。
【0106】
別の態様によれば、各オブジェクト識別子は、固有の識別子、好ましくはグローバル一意識別子(「GUID」)を含む。化学製品の少なくとも追跡は、化学製品のそれぞれの仮想パッケージにGUIDを添付することによって高められる場合がある。GUIDを介して、時系列データなどのプロセスデータのデータ管理も減じることができ、仮想/物理的パッケージと、製造履歴と、品質制御履歴との直接的な相関関係を有効にすることができる。
【0107】
MLモデルに関して説明したように、1つの態様によれば、上流MLモデルは、上流オブジェクト識別子からのデータに基づいて訓練される場合がある。訓練データは、過去および/もしくは現在の実験室試験データ、または派生材料および/もしくは化学製品の過去および/もしくは最近の試料からのデータも含む場合がある。さらに、下流MLモデルは、下流オブジェクト識別子からのデータに基づいて訓練される場合がある。訓練データは、過去および/もしくは現在の実験室試験データ、または派生材料および/もしくは化学製品の過去および/もしくは最近の試料からのデータも含む場合がある。
【0108】
前のMLモデルに関する前に説明した利点に加え、製造ラインにおけるゾーンに基づく訓練されたモデルを有することは、材料のより詳細な追跡、およびそれらのそれぞれの性能パラメータおよびさらには化学製品性能パラメータを予測することを可能にすることができる。
【0109】
バッチ製造などの幾つかの製造シナリオにおいて、このようなモデルは、製造された化学製品のためのみならず、あらゆる派生材料のためにも品質制御問題を警告するためにオンザフライで使用される場合がある。
【0110】
したがって、機器ゾーンのいずれかまたはそれぞれは、個々のMLモデルを介して監視および/または制御される場合があり、個々のMLモデルは、そのゾーンからのそれぞれのオブジェクト識別子からのデータに基づいて訓練される。
【0111】
1つの態様によれば、ゾーンのためのそれぞれのオブジェクト識別子の提供は、投入材料の特性を示す値のうちのいずれか1つもしくは複数および/または機器動作条件からの値のうちのいずれか1つもしくは複数および/または所定のしきい値に到達する、満たす、もしくは超えるプロセスパラメータの値のうちのいずれか1つもしくは複数に応答して、生じるまたはトリガされる場合がある。あらゆるこのような値は、1つまたは複数のセンサおよび/またはスイッチを介して測定される場合がある。例えば、所定のしきい値は、機器において導入される投入材料の重量値に関連していることができる。したがって、機器において受け取られた投入材料の重量などの量が、重量しきい値などの所定の量しきい値に達した場合、トリガ信号が生成される場合がある。オブジェクト識別子を提供するためのイベントまたは発生をトリガするある例は、本開示において前にも説明されている。トリガ信号に応答して、または直接的に、所定の重量しきい値に達する量もしくは重量に応答して、オブジェクト識別子が提供される場合がある。トリガ信号は、別個の信号であることができるか、または単にイベント、例えば、計算ユニットおよび/もしくは機器を介して検出されるしきい値などの所定の基準を満たす特定の信号である場合がある。したがって、オブジェクト識別子は、所定の量しきい値に達する投入材料の量に応答して提供される場合があることも認められるであろう。量は、上記の例において説明したように重量として測定される場合がある、かつ/あるいはレベル、充填もしくは充填度もしくは体積など、および/または投入材料の質量流を合計することによるかもしくは投入材料の質量流に積分を適用することによる、あらゆる1つまたは複数のその他の値である場合がある。
【0112】
したがって、例えば、上流オブジェクト識別子は、トリガイベントまたは信号に応答して提供される場合があり、前記イベントまたは信号は、好ましくは、機器または上流機器ゾーンを介して提供される。これは、上流機器に動作可能に結合された1つまたは複数のセンサおよび/またはスイッチのうちのいずれかの出力に対する応答として行われる場合がある。トリガイベントまたは信号は、投入材料の量値、例えば、所定の量しきい値に達するまたはこれを満たす量値の発生に関連する場合がある。前記発生は、計算ユニットおよび/または上流機器を介して、例えば、1つまたは複数の重量センサ、レベルセンサ、充填センサ、または投入材料の量を測定もしくは検出することができるあらゆる適切なセンサを使用して検出される場合がある。
【0113】
上流オブジェクト識別子を提供するためのトリガとして量を使用する利点は、製造プロセス中の材料の量のあらゆる変化を、本教示において説明したようにさらに1つまたは複数のオブジェクト識別子を提供するためのトリガとして使用することができるということであることができる。出願人は、これが、1つまたは複数の化学製品を処理または製造するための工業環境における異なるオブジェクト識別子の生成をセグメント化するための最適な方法を提供することができ、これにより、基本的に製造チェーン全体を通じておよび少なくとも幾つかの場合にはそれを超えてもまた、量または質量流量を説明しながら、投入材料、あらゆる派生材料、および結局は化学製品を追跡することができることを実現した。ちょうど、材料分量または量が変化する時点、例えば、新たな材料が導入もしくは投入されるとき、または材料が分割される時点でオブジェクト識別子を提供することによって、製造の終点においてのみならず、その中でも材料の追跡可能性を保持しながら、オブジェクト識別子の数を最小限にすることができる。新たな材料が追加されない、または材料が分割されない機器または製造ゾーン内で、このようなゾーン内のプロセスの知識は、2つの隣接するオブジェクト識別子内の可観測性を維持するために使用することができる。
【0114】
認められるように、リアルタイムプロセスデータのサブセットなどのデータセットは、また、それ自体で新規でありかつ発明性がある。したがって、別の観点から見たとき、工業プラントにおける製造プロセスに関連する少なくとも1つのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含む時系列データセットも提供することができ、このデータセットは、開始時間および終了時間によって限定され、これらの時間は、
- 製造プロセスにおいて使用される材料の物理的な流れを、
- そこからデータセットが自動的に抽出されるリアルタイム時系列データに
相関させることによって製造プロセス中に計算ユニットを介して自動的に判定される。
【0115】
- したがって、データセットは、製造中に基本的にオンザフライで生成される、非常に関連した、目標が定められたデータセットであることができる。説明したように、このような方法で生成されたデータセットは、MLモデルの訓練、エッジコンピューティング、およびクラウドコンピューティングのうちの全てまたは幾つかのために使用可能であり、かつそれらを有効にすることができる。計算ユニットは、特定の機器ゾーンにおいて材料のためのゾーン存在信号を生成しかつ開始時間および終了時間内でデータセットを区切るために相関を使用する場合があり、これにより、データセットは、そのゾーンにおいて材料が処理されるプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を表す。データセットまたはその一部は、材料に関連したオブジェクト識別子に加えられる場合があり、そのための詳細は、本開示において説明されている。
【0116】
同様に、さらに別の観点から見たとき、工業プラントにおける化学製品の製造プロセスに関連した少なくとも1つのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含むリアルタイム時系列データまたはプロセスデータのサブセットを提供するための方法であって、方法は、製造プロセス中にメモリストレージに動作可能に結合された計算ユニットを介して行われ、方法は、
- 計算ユニットにおいて、リアルタイムプロセスデータを受け取ることと、
- メモリストレージにおいて、開始信号を介してサブセットの開始を提供することと、
- メモリストレージにおいて、停止信号を介してサブセットの停止を提供することと、を含み、
- 開始信号および停止信号は、サブセットがリアルタイムプロセスデータから抽出されるようにそれぞれ開始時間と終了時間との間でサブセットを区切るために使用される、方法を提供することもできる。
【0117】
認められるように、開始信号および停止信号のうちの一方または両方は、本開示において説明されるようにゾーン存在信号を使用して提供することができる。したがって、化学製品を製造するために製造プロセスにおいて使用される材料の物理的な流れを、生成されるリアルタイムプロセスまたは時系列データに相関させることによって、非常に関連したデータセットを生成することができる。
【0118】
データセットは、好ましくは、化学製品を製造するために処理される材料のそれぞれのオブジェクト識別子に加えられる。データセットまたはその一部は、また、化学製品のオブジェクト識別子に加えられる場合がある。
【0119】
この開示において説明されたその他の態様をここでも組み合わせることができる。
別の観点から見た場合、好ましくは、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを判定または予測するために、MLモデルを訓練するために本明細書に開示されたようなデータセットの使用を提供することもできる。少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータは、下流工業プラントにおける製造を監視および/または制御するために使用可能である場合がある。
【0120】
別の観点から見た場合、例えば、スポーツ用品または靴などの履物を製造するための製造プロセスを監視するための少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの使用を提供することもできる。したがって、本明細書に開示された方法態様のうちのいずれかに従って生成された少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータは、例えば、スポーツ用品または靴などの履物、またはさらにより一般的にはTPUおよび/またはETPUから形成された物品を製造するための下流工業プラントにおいて使用される場合がある。下流工業プラントは、工業プラントとは異なるまたはさらには離れている場合がある。下流工業プラントは、工業プラントによって供給される前駆体材料の形態の化学製品を受け取る場合がある。例えば、前駆体材料は、物品またはスポーツ用品もしくは履物の生産または製造において使用されるTPUおよび/またはETPUである場合がある。
【0121】
別の観点から見た場合、データセットを生成するためのシステムを提供することもでき、システムは、本明細書に開示された方法のうちのいずれかを行うように構成されている。
【0122】
別の観点から見た場合、製造プロセスを監視するためのシステムを提供することもでき、システムは、本明細書に開示された方法のうちのいずれかを行うように構成されている。または、工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するためのシステムであって、工業プラントは、複数の物理的に分離された機器ゾーンを含み、製品は、複数の機器ゾーンを介して、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、システムは、本明細書に開示された方法のうちのいずれかを行うように構成されている。
【0123】
例えば、工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するためのシステムであって、工業プラントは、計算ユニットと、複数の物理的に分離された機器ゾーンとを含み、製品は、複数の機器ゾーンを介して、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、システムは、
- インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供することであって、投入材料データは、投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- 計算ユニットにおいて、機器ゾーンのうちの1つまたは複数からリアルタイムプロセスデータを受け取ることであって、リアルタイムプロセスデータは、リアルタイムプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含むことと、
- 計算ユニットを介して、上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを判定することであって、ゾーン存在信号は、製造プロセス中に特定の機器ゾーンにおける投入材料の存在を示すことと、
- 計算ユニットを介して、リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて上流オブジェクト識別子に関連した化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算することと、
- 上流オブジェクト識別子に、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることとを行う
ように構成されている、システムを提供することができる。
【0124】
別の観点から見た場合、コンピュータプログラムであって、プログラムが適切な計算ユニットによって実行されたとき、計算ユニットに、本明細書に開示された方法のうちのいずれかを行わせる命令を含む、コンピュータプログラムを提供することもできる。適切な計算ユニットに、本明細書に開示されたあらゆる方法ステップを実行させるプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供することもできる。
【0125】
例えば、コンピュータプログラム、またはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、プログラムが、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって工業プラントにおいて化学製品を製造するための複数の機器ゾーンに動作可能に結合された、適切な計算ユニットによって実行されたとき、計算ユニットに、
- インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供させ、投入材料データは、投入材料の1つまたは複数の特性を示し、
- 機器ゾーンのうちの1つまたは複数からリアルタイムプロセスデータを受け取らせ、リアルタイムプロセスデータは、リアルタイムプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含み、
- 上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを判定させ、ゾーン存在信号が、製造プロセス中の特定の機器ゾーンにおける投入材料の存在を示し、
- リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて上流オブジェクト識別子に関連した化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算させ、
- 上流オブジェクト識別子に、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えさせる、
命令を含む、コンピュータプログラム、またはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供することができる。
【0126】
計算ユニットがインターフェースに動作可能に結合される場合があるおよび/またはインターフェースが計算ユニットの一部である場合があることが認められるであろう。
【0127】
コンピュータ可読データ媒体またはキャリアは、本明細書に説明された方法または機能のうちのいずれか1つまたは複数を具体化する命令(例えば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットが記憶されたあらゆる適切なデータストレージデバイスを含む。命令は、完全にまたは少なくとも部分的に、コンピュータ可読ストレージ媒体を構成する場合がある、計算ユニット、メインメモリおよび処理装置によるその実行中にメインメモリ内および/またはプロセッサ内に存在する場合もある。命令は、さらに、ネットワークインターフェースデバイスを介してネットワーク上で送信または受信される場合がある。
【0128】
本明細書に説明された実施形態のうちの1つまたは複数を実装するためのコンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒にまたは他のハードウェアの一部として供給される光学ストレージ媒体またはソリッドステート媒体などの適切な媒体に記憶および/または分配される場合があるが、インターネットまたはその他の有線もしくは無線遠隔通信システムなどを介して、その他の形式で分配される場合もある。しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールド・ワイド・ウェブなどのネットワーク上で提供される場合もあり、このようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリへダウンロードすることができる。
【0129】
さらに、ダウンロードのためにコンピュータプログラム製品を利用可能にするためのデータキャリアまたはデータストレージ媒体を提供することもでき、このコンピュータプログラム製品は、本明細書に開示された態様のうちのいずれかによる方法を行うために配置されている。
【0130】
別の観点から見た場合、本明細書に開示された方法を行うためのコンピュータプログラムコードを含む計算ユニットを提供することもできる。また、本明細書に開示された方法を行うためのコンピュータプログラムコードを含むメモリストレージに動作可能に結合された計算ユニットを提供することができる。
【0131】
2つ以上の構成要素が「動作可能に」結合または接続されていることは、当業者にとって明らかである。非限定的な例において、これは、例えば、インターフェースまたはあらゆるその他の適切なインターフェースを介して、結合または接続された構成要素の間に通信接続が少なくとも存在する場合があることを意味する。通信接続は、固定されている場合があるかまたは除去可能である場合がある。さらに、通信接続は、一方向である場合があるか、または双方向である場合がある。さらに、通信接続は、有線および/または無線である場合がある。幾つかの場合、通信接続は、制御信号を提供するために使用される場合もある。
【0132】
この文脈における「パラメータ」は、温度、方向、位置、量、密度、重量、色、湿度、速度、加速度、変化率、圧力、力、距離、pH、濃度および組成などの、あらゆる関連する物理的または化学的特性および/またはその尺度に関する。パラメータは、ある特性の存在またはその欠如を指す場合もある。
【0133】
「アクチュエータ」は、直接的または間接的に、機械などの機器に関連したメカニズムを移動させかつ制御するために働くあらゆる構成要素を指す。アクチュエータは、弁、モータ、駆動装置などである場合がある。アクチュエータは、電気的、液圧式、空圧式、またはそれらの組合せのいずれかにおいて動作可能である場合がある。
【0134】
「コンピュータプロセッサ」は、コンピュータもしくはシステムの基本動作を行うために構成された任意論理回路、および/または、一般的に、計算もしくは論理動作を行うために構成されたデバイスを指す。特に、処理手段またはコンピュータプロセッサは、コンピュータまたはシステムを駆動する基本命令を処理するために構成される場合がある。1つの例として、処理手段またはコンピュータプロセッサは、少なくとも1つの算術論理演算ユニット(「ALU」)、少なくとも1つの浮動小数点ユニット(「FPU」)、例えば、数値演算コプロセッサまたは数値演算コプロセッサ、複数のレジスタ、特に、ALUにオペランドを供給しかつオペレーションの結果を記憶するために構成されたレジスタ、ならびにメモリ、例えば、L1およびL2キャッシュメモリを含む場合がある。特に、処理手段またはコンピュータプロセッサは、マルチコアプロセッサである場合がある。特に、処理手段またはコンピュータプロセッサは、中央処理装置(「CPU」)である場合があるまたはこれを含む場合がある。処理手段またはコンピュータプロセッサは、複数命令セットコンピューティング(「CISC」)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(「RISC」)マイクロプロセッサ、超長命令語(「VLIW」)マイクロプロセッサ、またはその他の命令セットを実装するプロセッサもしくは命令セットの組合せを実装するプロセッサである場合がある、あるいはそれらを含む場合がある。処理手段は、1つまたは複数の専用処理デバイス、例えば、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(「FPGA」)、結合プログラム可能論理回路(「CPLD」)、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、ネットワークプロセッサなどである場合もある。本明細書に説明された方法、システムおよび装置は、DSP、マイクロコントローラもしくはあらゆるその他のサイドプロセッサにおけるソフトウェアとして、またはASIC、CPLDもしくはFPGA内のハードウェア回路として実装される場合がある。処理手段またはプロセッサという用語は、1つまたは複数の処理デバイス、例えば、多数のコンピュータシステムを横断して配置された処理デバイスの分散型システム(例えば、クラウドコンピューティング)を指す場合もあり、別段の明示がないかぎり単一のデバイスに限定されないことが理解されるべきである。
【0135】
「コンピュータ可読データ媒体」またはキャリアは、本明細書に説明された方法または機能のうちのいずれか1つまたは複数を具体化する命令(例えば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットが記憶された、あらゆる適切なデータストレージデバイスまたはコンピュータ可読メモリを含む。命令は、完全にまたは少なくとも部分的に、コンピュータ可読外レージ媒体を構成する場合がある、計算ユニット、メインメモリおよび処理デバイスによるその実行中に、メインメモリ内および/またはプロセッサ内にある場合もある。命令は、さらに、ネットワークインターフェースデバイスを介してネットワーク上で送信または受信される場合がある。
【0136】
複数の図面の簡単な説明
ここで本教示の幾つかの態様を、例として前記態様を説明する以下の図面を参照しながら説明する。本教示の一般性はそれに依存しないので、図面は、縮尺どおりではない場合がある。図示された幾つかの特徴は、本教示の一般性に影響することなく、理解のために物理的特徴と一緒に示された論理特徴であることができる。あらゆる特定の要素または動作の説明を容易に識別するために、参照番号における最も顕著な1つまたは複数の数字は、その要素が最初に紹介された図面番号を指している。
【図面の簡単な説明】
【0137】
図1】本教示によるシステムの幾つかの態様を示す。
図2】本教示による方法態様を示す。
図3】組み合わされたブロック/流れ図によって、本教示によるシステムおよび対応する方法の第1の実施形態を示す。
図4】組み合わされたブロック/流れ図によって、本教示によるシステムおよび対応する方法の第2の実施形態を示す。
図5】組み合わされたブロック/流れ図によって、本教示によるシステムおよび対応する方法の第3の実施形態を示す。
図6】複数の機器デバイスおよびしたがってその間を生産または製造プロセスの間に投入材料が前進する複数の機器ゾーンを含む、工業プラントまたはプラントのクラスターのトポロジー的構造を表すグラフベースのデータベース配列の第1の実施形態を示す。
図7図6に示されたグラフベースのデータベース配列の第2の実施形態を示す。
図8】組み合わされたブロック/流れ図によって、クラウドコンピューティングプラットフォームを使用する本教示によるシステムおよび対応する方法の別の実施形態を示し、機械学習(ML)プロセスがクラウドにおいて実装される。
【発明を実施するための形態】
【0138】
詳細な説明
図1は、工業プラントにおいて化学製品170を製造するための製造プロセスを監視するためのシステム168の例を示している。方法態様の少なくとも幾つかは以下の説明からも理解される。工業プラントは、製造プロセスを使用して化学製品170を製造または生産するための少なくとも1つの機器または複数の機器ゾーンを含む。化学製品170は、あらゆる形態において、例えば、薬剤製品、発泡体、栄養製品、農業製品、または前駆体である場合がある。例えば、化学製品170は、粒状形態の熱可塑性ポリウレタンである場合がある。化学製品170は、さらに、バッチ、例えば、それぞれ10kgのパッケージである場合がある。説明したように、このような化学製品の性質により、それらは、製造チェーンにおいて追跡することが困難である場合がある。しかしながら、各構成要素、例えば、各ユニットもしくはパッケージ、またはさらには内部の部分が、一貫した所望の特性または品質を有することを保証することが重要である場合がある。本教示はそれを可能にすることができる。
【0139】
機器ゾーンは、図1に、機器、例えば、上流機器ゾーンの一部である場合があるホッパまたは混合ポット104として示されている。混合ポット104は、投入材料を受け取り、投入材料は、単一の材料である場合があるか、または多数の成分、例えば、メチレンジフェニルジイソシアネート(「MDI」)および/もしくはポリテトラヒドロフラン(「PTHF」)を含む場合がある。ここでは、投入材料は、それぞれ第1の弁112aおよび第2の弁112bを介して混合ポット104に供給されて示されている2つの部分において受け取られる。第1の弁112aおよび第2の弁112bは、上流機器ゾーンにも属している場合がある。
【0140】
オブジェクト識別子、またはこの場合、上流オブジェクト識別子122が、投入材料114のために提供される。上流オブジェクト識別子122は、他のオブジェクト識別子から区別可能な、固有の識別子、好ましくは、グローバル一意識別子(「GUID」)である場合がある。GUIDは、特定の工業プラントの仕様および/または製造される化学製品170の詳細および/または日付および時間の詳細、および/または使用される特定の投入材料の詳細に依存して提供される場合がある。上流オブジェクト識別子122は、メモリストレージ128において提供されるように示されている。メモリストレージ128は、計算ユニット124に動作可能に結合されている。メモリストレージ128は、計算ユニット124の一部である場合もある。メモリストレージ128および/または計算ユニット124は、少なくとも部分的にクラウドサービスの一部である場合がある。
【0141】
計算ユニット124は、例えば、あらゆる適切な種類のデータ伝送媒体である場合があるネットワーク138を介して、上流機器ゾーンまたは上流機器ゾーンに属する機器に動作可能に結合されている。計算ユニット124は、プラントにおける機器の一部である場合もあり、例えば、少なくとも部分的に上流機器ゾーンの一部である場合がある。計算ユニット124は、少なくとも部分的にDCSおよび/またはPLCなどのプラント制御システムである場合もある。計算ユニット124は、上流機器ゾーンの機器に動作可能に結合された1つまたは複数のセンサからの1つまたは複数の信号を受信する場合がある。例えば、計算ユニット124は、充填センサ144および/または搬送エレメント102a~bに関連した1つまたは複数のセンサからの1つまたは複数の信号を受信する場合がある。前記センサも、上流機器ゾーンの一部である。計算ユニット124は、少なくとも部分的に上流機器ゾーンまたはその幾つかの部分を制御する場合もある。例えば、計算ユニット124は、例えば、それらのそれぞれのアクチュエータを介して弁112a,bを、および/またはヒータ118および/または搬送エレメント102a~bを制御する場合がある。図1の例における搬送エレメント102a,bおよびその他は、1つまたは複数のモータと、投入材料114がベルトを介してベルトの横断方向120に搬送されるようにベルトが移動するように前記モータを介して駆動されるベルトと、を含むコンベヤシステムとして示されている。
【0142】
本教示の範囲または一般性に影響することなく、コンベヤシステムの代わりにまたはコンベヤシステムと組み合わせてその他の種類の搬送エレメントを使用することもできる。幾つかの場合、材料の流れ、例えば、入ってくる1つまたは複数の材料および出ていく1つまたは複数の材料を伴うあらゆる種類の機器が、搬送エレメントと呼ばれる場合がある。したがって、コンベヤシステムまたはベルトの他に、押出機、ペレタイザ、熱交換器、バッファサイロ、ミキサを備えるサイロ、ミキサ、混合容器、切断ミル、二重円錐型ブレンダ、硬化チューブ、カラム、セパレータ、抽出器、薄膜蒸発器、フィルタ、ふるいなどの機器も、搬送エレメントと呼ばれる場合がある。したがって、少なくとも幾つかの場合に材料が質量流を介して1つの機器から別の機器へ直接に、または1つの機器を介して別の機器への通常流として移動する場合があるため、コンベヤシステムとしての搬送システムの存在は選択的である場合があることが認められるであろう。例えば、材料は、熱交換器からセパレータまたはさらにはカラムなどへ直接に移動する場合がある。したがって、幾つかの場合、1つまたは複数の搬送エレメントまたはシステムは、機器にとって固有である場合がある。
【0143】
投入材料の品質に関連する信号またはイベントである場合があるトリガ信号またはイベントに応答して、上流オブジェクト識別子122が提供される場合がある。例えば、投入材料の充填度および/または重量などの少なくとも1つの量の値を検出するために、充填センサ144が使用される場合がある。量が所定のしきい値に達すると、計算ユニット124は、メモリストレージ128において第1の上流オブジェクト識別子122を自動的に提供する場合がある。上流オブジェクト識別子122は、投入材料に関連するデータまたは投入材料データを含む。投入材料データは、投入材料の1つまたは複数の特性を示している。
【0144】
幾つかの場合、計算ユニット124は、工業プラントにおける全ての機器または機器ゾーンからプロセスデータを受け取る場合がある。計算ユニット124は、上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを受け取る場合がある。例えば、トリガ信号またはイベントは、上流機器ゾーンのためのゾーン存在信号を生成するためにも使用される場合がある。したがって、ゾーン存在信号は、上流機器ゾーンにおける投入材料114の処理に関連したプロセスパラメータおよび/または機器動作条件のみならず、リアルタイムプロセスデータに含まれた前記プロセスパラメータおよび/または機器動作条件の時間局面も判定するために使用することができる。計算ユニット124は、上流オブジェクト識別子122に関連した、化学製品170に関連した少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算する場合がある。計算は、この場合、選択的に上流オブジェクト識別子122において加えられるように示されているリアルタイムプロセスデータ126のサブセットに基づく。計算は、1つまたは複数の履歴上流オブジェクト識別子からのデータを含む履歴データにも基づく。各履歴上流オブジェクト識別子は、過去に上流機器ゾーンにおいて処理されたそれぞれの投入材料に関連している。それぞれの履歴上流オブジェクト識別子は、前に処理された投入材料が上流機器ゾーンにおいて処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すプロセスデータの少なくとも一部が加えられる。
【0145】
少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータは、例えば、メタデータとして上流オブジェクト識別子122に加えられる。したがって、上流オブジェクト識別子122は、化学製品170の品質に関連した性能パラメータでエンリッチされる。したがって、品質制御プロセスは、トレーサビリティを改良しながら、例えば、品質関連データを結果的に生じる化学製品170と結合することによって、単純化および改良されることができる。
【0146】
上流機器ゾーンからのリアルタイムプロセスデータ126のサブセットは、投入材料114が上流機器ゾーンにあった時間ウィンドウにおけるデータである場合があるか、または時間ウィンドウは、したがって、ちょうど投入材料114が混合ポット104を介して処理された時間のためにさらに短い場合がある。リアルタイムプロセスデータは、時間ウィンドウを判定するために使用することができる。したがって、上流オブジェクト識別子122は、リアルタイムプロセスデータの時間次元を使用することによって高関連データによってエンリッチすることができる。したがって、オブジェクト識別子は、製造プロセスにおいて材料を追跡するためのみならず、エッジコンピューティングおよび/またはクラウドコンピューティングをより効果的にすることができる高品質データを封入するために使用することができる。オブジェクト識別子データは、機械学習モデルのより迅速な訓練および再訓練に十分に適していることができる。オブジェクト識別子に封入されたデータは従来のデータセットよりもコンパクトであることができるので、データ統合を単純化することもできる。
【0147】
リアルタイムプロセスデータ126のサブセットの少なくとも一部は、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件、すなわち、投入材料が上流機器ゾーンにおいて処理された、混合ポット104および弁112a-bの動作条件、例えば、進入する質量流量、出ていく質量流量、充填度、温度、湿度、進入のタイプスタンプまたは時間、退出時間などのうちのいずれか1つまたは複数、を示す。機器動作条件は、この場合、弁112a,bおよび/または混合ポット104の制御信号および/またはセットポイントである場合がある。リアルタイムプロセスデータ126のサブセットは、時系列データである場合があるまたは時系列データを含む場合があり、これは、1つまたは複数のセンサを介して得られる場合がある時間依存信号、例えば、充填センサ144の出力を含む場合があることを意味する。時系列データは、連続的な信号を含む場合があるか、またはそれらのうちのいずれかが、規則的なもしくは不規則な間隔で断続的である場合がある。リアルタイムプロセスデータ126のサブセットは、さらに、1つまたは複数のタイムスタンプ、例えば、混合ポット104への進入時間および/または混合ポット104からの退出時間を含む場合がある。したがって、特定の投入材料114は、上流オブジェクト識別子122を介してその投入材料114に関連したリアルタイムプロセスデータ126のサブセットに関連付けられる場合がある。特定のプロセスデータおよび/または機器動作条件を特定の化学製品に相関させることができるように、上流オブジェクト識別子122が、製造プロセスの下流の他のオブジェクト識別子に加えられる場合がある。その他の重要な利点は、開示の他の部分、例えば、概要セクションにおいて既に説明されている。
【0148】
搬送エレメント102a,bおよび関連するベルトを含むコンベヤシステムは、上流機器ゾーンの下流にある中間機器ゾーンであると考えられる場合がある。この例における中間機器ゾーンは、ベルト上で横断する投入材料に熱を加えるために使用されるヒータ118を含む。コンベヤシステムは、さらに、1つまたは複数のセンサ、例えば、速度センサ、重量センサ、温度センサ、または中間機器ゾーンにおける投入材料114のプロセスパラメータおよび/または特性を測定または判定するためのあらゆるその他の種類のセンサのうちのいずれか1つまたは複数を含む場合がある。センサのあらゆるまたは全ての出力は、計算ユニット124に提供される場合がある。
【0149】
投入材料114が横断方向120に沿って前進するとき、投入材料114はヒータ118を介して熱が加えられる。ヒータ118は、計算ユニット124に動作可能に結合されている場合があり、すなわち、計算ユニット124は、ヒータ118から信号またはリアルタイムプロセスデータを受け取る場合がある。さらに、ヒータ118は、計算ユニット124を介して、例えば、1つまたは複数の制御信号および/またはセットポイントを介して、制御可能である場合もある。同様に、搬送エレメント102a,bおよび関連するベルトを含むコンベヤシステムも、計算ユニット124に動作可能に結合されている場合があり、すなわち、計算ユニット124は、搬送エレメント102a,bから信号またはプロセスデータを受け取る場合がある。結合は、例えば、ネットワークを介するものである場合がある。さらに、搬送エレメント102a,bは、計算ユニット124を介して、例えば、計算ユニット124を介して提供される1つまたは複数の制御信号および/またはセットポイントを介して、制御可能である場合もある。例えば、搬送エレメント102a,bの速度は、計算ユニット124によって観察可能および/または制御可能である場合がある。選択的に、投入材料114の量が中間機器ゾーンにおいて一定またはほぼ一定であるので、中間機器ゾーンのためにさらなるオブジェクト識別子が提供されない場合がある。したがって、中間機器ゾーン、すなわち、ヒータ118および/または搬送エレメント102a,bからのプロセスデータは、前のまたは先行するゾーンのオブジェクト識別子、すなわち、上流オブジェクト識別子122に加えられる場合もある。したがって、リアルタイムプロセスデータ126の加えられたサブセットは、投入材料114が中間機器ゾーンにおいて処理される、中間機器ゾーンからのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件、すなわち、ヒータ118および/または搬送エレメント102a,bの動作条件、例えば、進入する質量流量、出ていく質量流量、中間ゾーンからの1つまたは複数の温度値、進入時間、退出時間、搬送エレメント102a,bおよび/またはベルトの速度などのうちのいずれか1つまたは複数をさらに示すためにエンリッチされる場合がある。この場合の機器動作条件は、搬送エレメント102a,bおよび/またはヒータ118の制御信号および/またはセットポイントである場合がある。リアルタイムプロセスデータ126のサブセットが、投入材料114がそれぞれの機器ゾーンに存在している時間期間に主に関連することが明らかである。したがって、特定の投入材料114のための関連するプロセスデータの正確なスナップショットを、上流オブジェクト識別子122を介して提供することができる。投入材料114のさらなる観察可能性は、中間機器ゾーン内での製造プロセスの特定の部分または一部の知識、例えば、化学反応を介して抽出される場合がある。代替的に、または加えて、投入材料114が中間機器ゾーンを横断する速度は、計算ユニット124を介してさらなる観察可能性を抽出するために使用することができる。特定のタイムスタンプを有するリアルタイムプロセスデータ126のサブセット、あるいは中間機器ゾーンにおける投入材料114の時系列データ、ならびに/または進入時間および/もしくは退出時間に関連して、投入材料114が中間機器ゾーンにおいて処理される条件のより粒度の細かい詳細が、上流オブジェクト識別子122から得られる場合がある。
【0150】
上流オブジェクト識別子122からのデータは、製造プロセスおよび/またはその特定の部分、例えば、上流機器ゾーンおよび/または中間機器ゾーン内の製造プロセスの部分を監視するために1つまたは複数のMLモデルを訓練するために使用される場合がある。MLモデルおよび/または上流オブジェクト識別子122は、化学製品の1つまたは複数の性能パラメータを1つまたは複数のゾーンにおける製造プロセスの詳細に相関させるために使用される場合もある。
【0151】
投入材料114が横断方向120に沿って前進すると、投入材料114の特性が変化する場合があり、投入材料114が派生材料116に転換または変換する場合があることが認められるであろう。例えば、ヒータ118が投入材料114を加熱すると、投入材料114が派生材料116を生じる場合がある。当業者は、簡潔性および理解の容易さのために、派生材料116が本教示において時には投入材料と呼ばれる場合もあることを認めるであろう。例えば、説明されている機器ゾーンまたは構成要素の文脈において、したがって、この例の説明において説明された製造プロセス内で投入材料がどの相にあるかが明らかになるであろう。
【0152】
ここで、材料が複数の部分に分割されるゾーンの例を説明する。図1は、切断ミル142および第2の搬送エレメント106a,bを含む下流機器ゾーンとしてのこのようなゾーンを示している。横断方向154に沿って横断する派生材料116は、切断ミル142を使用して分割または断片化され、これにより、この例では第1の分割された材料140aおよび第2の分割された材料140bとして示された複数の部分を生じる。
【0153】
したがって、本教示の1つの態様によれば、個々のオブジェクト識別子が各部分に提供される場合がある。しかしながら、幾つかの場合、オブジェクト識別子は、各部分のために個々のオブジェクト識別子を提供する代わりに、部分のうちの1つ、または部分のうちの幾つかのためにのみ提供される場合がある。これは、例えば、いずれの部分を追跡するかが問題でない場合であり得る。例えば、オブジェクト識別子は、廃棄される派生材料116の部分のためには提供されない場合がある。ここで再び図1を参照すると、第1の下流オブジェクト識別子130aが第1の分割された材料140aのために提供され、第2の下流オブジェクト識別子130bが第2の分割された材料140bのために提供される。
【0154】
第1の下流オブジェクト識別子130aは、下流リアルタイムプロセスデータの第1のサブセット132aの少なくとも一部が加えられ、第2の下流オブジェクト識別子130bは、下流リアルタイムプロセスデータの第2のサブセット132bの少なくとも一部が加えられる。下流リアルタイムプロセスデータの第1のサブセット132aは、下流リアルタイムプロセスデータの第2のサブセット132bのコピーである場合があるか、または部分的に同じデータである場合がある。例えば、第1の分割された材料140aおよび第2の分割された材料140bが、同じプロセスを、すなわち基本的に同じ場所および時間において受ける場合、下流オブジェクト識別子130aおよび第2の下流オブジェクト識別子130bに加えられるプロセスデータは、同じまたは類似である場合がある。しかしながら、下流機器ゾーン内で、下流オブジェクト識別子130aおよび第2の下流オブジェクト識別子130bが異なる処理を受ける場合には、下流リアルタイムプロセスデータの第1のサブセット132aと、下流リアルタイムプロセスデータの第2のサブセット132bとは、互いに異なる場合がある。
【0155】
しかしながら、当業者は、幾つかの場合、切断ミル142を介して処理された材料が複数の部分に分割される場合、1つのオブジェクト識別子のみが切断ミル142において提供される場合があり、次いで、複数のオブジェクト識別子がその後に切断ミル142に提供される場合があることを認めるであろう。したがって、特定の製造プロセスの詳細に応じて、切断ミルは、分離装置であるか、またはそうでない場合がある。同様に、幾つかの場合、先行するオブジェクト識別子にゾーンからのプロセスデータが加えられるように、新たなオブジェクト識別子が切断ミルのために提供されない場合がある。したがって、新たなオブジェクト識別子は、材料が分割されるかつ/または組み合わされるゾーンにおいて提供される場合がある。例えば、幾つかの場合、下流オブジェクト識別子130aおよび第2の下流オブジェクト識別子130bは、切断ミル142の後に、例えば、切断ミル142の後の異なるゾーンにおける進入時に提供される場合がある。
【0156】
この例において、下流機器ゾーンは、カメラまたはあらゆるその他の種類の光学センサである場合があるイメージングセンサ146も含む。イメージングセンサ146も、計算ユニット124に動作可能に結合されている場合がある。イメージングセンサ146は、下流機器ゾーンに進入する前に派生材料116の1つまたは複数の特性を測定または検出するために使用される場合がある。これは、例えば、所与の品質基準を満たさない材料を拒絶するまたは逸らせるために行われる場合がある。材料の質量流量は、本教示の1つの態様に従って、下流機器ゾーンにおいて変化させられるので、下流オブジェクト識別子130aおよび第2の下流オブジェクト識別子130bの前に別のオブジェクト識別子(図1に示されていない)が提供されている場合がある。
【0157】
下流オブジェクト識別子130aおよび第2の下流オブジェクト識別子130bの提供は、イメージングセンサ146を介して、品質基準をパスする派生材料116に応答してトリガされる場合がある。隣接するゾーンまたはオブジェクト識別子からのデータ、例えば、中間機器ゾーンからの質量流量および下流機器ゾーンへの質量流量を相関させることによって、計算ユニット124は、どの特定の投入材料114または派生材料116が、後続のゾーンに進入する材料に関連させられるかを判定する場合がある。代替的にまたは加えて、タイムスタンプのうちの2つ以上、例えば、中間機器ゾーンからの退出のタイムスタンプならびにイメージングセンサ146を介した検出および/または下流機器ゾーンにおける進入のタイムスタンプが、ゾーンの間で相関させられる場合がある。センサ出力を介して直接的に測定されたまたは2つ以上のタイムスタンプから判定された搬送エレメント102a,bの速度は、投入材料の特定のパケットまたはバッチとそのオブジェクト識別子との間の関係を確立するためにも使用することができる。したがって、所与の時間に製造プロセス内のどこに特定の化学製品170があったかが判定される場合もあり、したがって、時間-スペース関係が確立される場合がある。これらの態様のうちの幾つかまたは全ては、投入材料から完成品までの化学製品170のトレーサビリティを改善するのみならず、製造プロセスを監視および改良しかつより適応可能および制御可能にするために使用可能であることができる。
【0158】
説明したように、第1の下流オブジェクト識別子130aおよび第2の下流オブジェクト識別子130bは、下流機器ゾーンからそれぞれ下流リアルタイムプロセスデータの第1のサブセット132aおよび下流リアルタイムプロセスデータの第2のサブセット132bが加えられる。下流リアルタイムプロセスデータの第1のサブセット132aおよび下流リアルタイムプロセスデータの第2のサブセット132bは、上流オブジェクト識別子122にリンクされているまたは上流オブジェクト識別子122が加えられる場合もある。前に説明した上流オブジェクト識別子122と同様に、下流リアルタイムプロセスデータの第1のサブセット132aおよび下流リアルタイムプロセスデータの第2のサブセット132bは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件、すなわち、イメージングセンサ146の出力、派生材料116が下流機器ゾーンにおいて処理される切断ミル142および第2の搬送エレメント106a,bの動作条件、例えば、進入する質量流量、出ていく質量流量、充填度、温度、光学特性、タイムスタンプなどのいずれかの1つまたは複数を示している。機器動作条件は、この場合、切断ミル142および/または第2の搬送エレメント106a,bの制御信号および/またはセットポイントである場合がある。下流リアルタイムプロセスデータの第1のサブセット132aおよび下流リアルタイムプロセスデータの第2のサブセット132bは、時系列データを含む場合があり、これは、1つまたは複数のセンサを介して得られる場合がある時間依存信号、例えば、イメージングセンサ146の出力および/または第2の搬送エレメント106a,bの速度を含む場合があることを意味する。
【0159】
派生材料116が、イメージングセンサ146に遭遇した後に前進すると、派生材料116は、第2の搬送エレメント106a,bによって駆動される横断方向154で切断ミル142に向かって移動させられる。第2の搬送エレメント106a,bは、この例では、搬送エレメント102a,bを含むコンベヤシステムとは別個の第2のコンベヤベルトシステムの一部として示されている。第2のコンベヤベルトシステムは、搬送エレメント102a,bを含む同じコンベヤシステムの一部である場合もあることが認められるであろう。したがって、下流機器ゾーンは、別のゾーンにおいて使用される同じ機器の幾つかを含む場合がある。
【0160】
図1に見られるように、第1の分割された材料140aおよび第2の分割された材料140bは、製造のより後において異なる経路を進み、それらのそれぞれのオブジェクト識別子、すなわち、下流オブジェクト識別子130aおよび第2の下流オブジェクト識別子130bは、残りの製造プロセスを通じておよび幾つかの場合にはそれを超えてもまた個々にそれらを辿るまたは追跡することを可能にする。
【0161】
下流機器ゾーンから出た後、第1の分割された材料140aは押出機150に供給されるのに対し、第2の分割された材料140bは、硬化装置162および第3の搬送エレメント108a,bを含む第3の機器ゾーンにおける硬化のために搬送される。したがって、示された搬送エレメント108a,bは、前に説明したように、非限定的な例である。第3の機器ゾーンが上流機器ゾーンおよび下流機器ゾーンの下流にあることが認められるであろう。
【0162】
第2の分割された材料140bがベルトを介して横断方向156に移動させられると、第2の分割された材料140bは、硬化装置162を介して硬化プロセスを受け、硬化した第2の分割された材料160を生じる。実質的な質量変化が生じない場合があるので、1つの態様によれば、第3の機器ゾーンのために新たなオブジェクト識別子は提供されない場合がある。したがって、前に説明したように、第3の機器ゾーンからのプロセスデータも、第2の下流オブジェクト識別子130bに加えられる場合がある。上記と同様に、下流リアルタイムプロセスデータの加えられた第2のサブセット132bは、したがって、第3の機器ゾーンからのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件、すなわち、第2の分割された材料140bが第3の機器ゾーンにおいて処理された硬化装置162および/または搬送エレメント108a,bの動作条件、例えば、進入する質量流量、退出する質量流量、第3のゾーンからの1つまたは複数の温度値、進入時間、退出時間、搬送エレメント108a,bおよび/またはベルトの速度などのうちのいずれか1つまたは複数をさらに示すようにエンリッチされる場合がある。この場合の機器動作条件は、搬送エレメント102a,bおよび/または硬化装置162の制御信号および/またはセットポイントである場合がある。
【0163】
同様に、第1の分割された材料140aは、押出機150、温度センサ148および第4の搬送エレメント110a,bを含む第4の機器ゾーンへ前進する。ここでも、実質的な質量変化が生じない場合があるので、1つの態様によれば、第4の機器ゾーンのために新たなオブジェクト識別子は提供されない場合がある。したがって、前に説明したように、第4の機器ゾーンからのプロセスデータも、下流オブジェクト識別子130aに加えられる場合がある。上記と同様に、下流リアルタイムプロセスデータの加えられた第1のサブセット132aは、したがって、第4の機器ゾーンからのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件、すなわち、第1の分割された材料140aが第3の機器ゾーンにおいて処理される押出機150および/または温度センサ148および/または搬送エレメント108a,bの動作条件、例えば、進入する質量流量、退出する質量流量、第3のゾーンからの1つまたは複数の温度値、進入時間、退出時間、搬送エレメント110a,bおよび/またはベルトの速度などのうちのいずれかの1つまたは複数をさらに示すようにエンリッチされる場合がある。この場合の機器動作条件は、搬送エレメント108a,bおよび/または押出機150の制御信号および/またはセットポイントである場合がある。したがって、押し出された材料152への第1の分割された材料140aの変換の特性および依存性も、下流オブジェクト識別子130aに含まれる場合がある。第4の機器ゾーンも、上流機器ゾーンおよび下流機器ゾーンの下流にあることが認められるであろう。
【0164】
認めることができるように、製造プロセスを通じた材料および製品監視を向上させながら、個々のオブジェクト識別子の数を減じることができる。
【0165】
押し出された材料152が、搬送エレメント108a,bを介して生成された横断方向158に移動すると、押し出された材料152は、収集ゾーン166において収集される場合がある。収集ゾーン166は貯蔵ユニットである場合があるか、または製造プロセスのさらなるステップを適用するためのさらなる処理ユニットである場合がある。収集ゾーン166において、追加の材料が組み合わされる場合があり、ここに示したように硬化した第2の分割された材料160が、押し出された材料152と組み合わされる場合がある。したがって、前に説明したように、新たなオブジェクト識別子が提供される場合がある。このようなオブジェクト識別子は、最終下流オブジェクト識別子134として示されている。最終下流オブジェクト識別子134は、下流オブジェクト識別子130aおよび第2の下流オブジェクト識別子130bの全部または一部を含む場合がある、最終ゾーンリアルタイムプロセスデータのサブセット136が加えられる場合がある。したがって、最終下流オブジェクト識別子134は、本開示において詳細に説明したのと同様に、収集ゾーン166からのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件が提供される。収集ゾーン166においていずれかが行われたならば機能またはさらなる処理に応じて、進入する質量流量、退出する質量流量、収集ゾーン166からの1つまたは複数の温度値、進入時間、退出時間、速度などのうちのいずれか1つまたは複数などのデータが、最終ゾーンリアルタイムプロセスデータ136として含まれる場合がある。
【0166】
幾つかの場合、収集ゾーン166からの個々のロットは、貯蔵および/または分類および/またはパッケージングのために送られる場合がある。このような個々のロットは、製品収集ビン164aとして示されている。量は再び分割されているので、個々のオブジェクト識別子が、各サイロのために提供される場合があり、これにより、そのサイロにおける化学製品170、すなわち、製品収集ビン164aのための個々のオブジェクト識別子が、化学製品170がそこに曝されるプロセスデータまたは条件と関連付けられることができる。
【0167】
認められるように、オブジェクト識別子のそれぞれはGUIDである場合がある。それぞれは、先行するオブジェクト識別子からのデータを完全にまたは部分的に含む場合があるか、またはそれらはリンクされる場合がある。したがって、関連する品質データは、スナップショットまたは追跡可能リンクとして特定の化学製品170に添付することができる。
【0168】
同じく説明したように、1つまたは複数のMLモデルは、1つまたは複数のゾーン特定性能パラメータを計算または予測するために使用される場合がある。MLモデルのそれぞれまたは幾つかも、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータのための信頼レベルを示す信頼値を提供するように構成されることも可能である。例えば、性能パラメータを予測する際の信頼レベルが所定の限界よりも低い場合に実験室分析のための試料の物理的試験を開始するために、警告信号として警告が生成される場合がある。精度しきい値よりも低下した予測の信頼レベルに応答して、サンプリングオブジェクト識別子がインターフェースを介して自動的に提供されることも可能である。サンプリングオブジェクト識別子は、同様の形式で提供される場合があり、計算ユニット124は、関連するプロセスデータのサブセットを、ここでは試料材料172として示された、サンプリングオブジェクト識別子が関連する材料のためのサンプリングオブジェクト識別子に加える場合がある。計算ユニット124は、低い信頼性レベルを有していた少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータをサンプリングオブジェクト識別子に加える場合もある。したがって、試料材料172は、オブジェクト識別子を使用して品質制御をさらに向上させるために、収集され、検証および/または分析されることができる。
【0169】
図2は、特に第1の機器ゾーンから見た、本教示の方法態様を示すフローチャート200またはルーチンを示す。ブロック202において、インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子122が提供される。投入材料データは、投入材料114の1つまたは複数の特性を示す。ブロック204において、インターフェースを介して、機器からまたは機器ゾーンのうちの1つもしくは複数からリアルタイムプロセスデータが受け取られる。リアルタイムプロセスデータは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含む。ブロック206において、上流オブジェクト識別子122およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセット126が判定される。ゾーン存在信号は、製造プロセス中の特定の機器ゾーンにおける投入材料114の存在を示す。この場合、上流機器ゾーンにおける。ブロック208において、リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて上流オブジェクト識別子に関連した化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータが計算される。履歴データは、上流機器ゾーンにおける前に処理された投入材料に関連した1つまたは複数の履歴上流オブジェクト識別子からのデータを含む。それぞれの履歴上流オブジェクト識別子は、前に処理された投入材料が上流機器ゾーンにおいて処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すプロセスデータの少なくとも一部が加えられる。ブロック210において、上流オブジェクト識別子122に、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータが加えられる。
【0170】
同様に、投入材料が後続のゾーンへ前進するとき、別のオブジェクト識別子が提供されるか否かが判定される場合がある。判定されない場合、後続のゾーンからのプロセスデータも、同じオブジェクト識別子に加えられる場合がある。別のオブジェクト識別子が提供されることが判定されると、後続のゾーンからのプロセスデータが別のオブジェクト識別子に加えられる。中間機器ゾーンおよび下流機器ゾーンなどの、これらのオプションのそれぞれのための詳細が、本開示において、例えば、概要セクションにおいておよび図1を参照して詳細に説明されている。
【0171】
図3に示されたブロック図は、本実施形態において、示された製品プロセシングライン全体に沿って配置された、10個の製品処理デバイスもしくはユニット300~318、またはそれぞれ技術機器を含む、工業プラントの製品製造システムの部分を表す。本実施形態において、これらのプロセシングユニットのうちの1つ(プロセシングユニット308)は、3つの対応する機器ゾーン320,322,324を含む(図3および図5におけるより詳細に示された実施形態も参照されたい)。
【0172】
この例において、化学製品は、投入材料として、原料に基づいて製造される。原料は、液体原料リザーバ300、固体原料リザーバ302、およびリサイクリングサイロ304を介してプロセシングラインに提供され、リサイクリングサイロ304は、例えば、不十分な材料/製品特性または不十分な材料/製品品質を含むあらゆる化学製品または中間製品をリサイクルする。プロセシングライン306~318に投入されるそれぞれの原料は、それぞれのプロセシング機器、すなわち、ドージングユニット306、後続加熱ユニット308、材料バッファ310を含む後続処理ユニット、および後続分類ユニット312を介して処理される。このプロセシング機器306~312の下流に、搬送ユニット314が配置されており、搬送ユニット314は、例えば、製造された材料の不十分な品質によりリサイクルされる必要がある材料を分類ユニットからリサイクリングサイロ304へ搬送する。最後に、分類ユニット312によって分類された材料は、第1および第2のパッキングユニット316,318へ移送され、第1および第2のパッキングユニット316,318は、対応する材料を、輸送のための材料コンテナ、例えば、バルク材量の場合の材料バッグまたは液体材料の場合のボトルに詰め込む。
【0173】
製造システム300~318は、この実施形態において、計算ユニットのデータインターフェースを提供し(両方ともこのブロック図には示されていない)、このデータインターフェースを介して、それぞれの投入材料および処理によるその変化についてのデータを含むデータオブジェクトが提供される。製造プロセス全体は、少なくとも部分的に、計算ユニットを介して制御される。
【0174】
処理機器306~312によって処理される投入材料は、物理的なまたは実世界のいわゆる「パッケージオブジェクト」(以下では「物理的パッケージ」または「製品パッケージ」とも呼ばれる)に分割され、これらのパッケージオブジェクトは、処理ユニット306~312のそれぞれによって取り扱われるまたは処理される。このようなパッケージオブジェクトのパッケージサイズは、例えば、材料重量によって(例えば、10kg、50kgなど)もしくは材料量によって(例えば、1デシメートル、1/10立方メートルなど)固定されることができるか、または重量もしくは量によって判定することもでき、この重量または量のために、かなり一定のプロセスパラメータまたは機器動作パラメータを処理機器によって提供することができる。
【0175】
ドージングユニット306は、まず、投入液体および/または固体原料および/またはリサイクリングサイロ304によって提供されたリサイクル材料からこのようなパッケージオブジェクトを生成する。パッケージオブジェクトを生成すると、ドージングユニットはこれらのオブジェクトを均質化ユニット308へ搬送する。均質化ユニット308は、パッケージオブジェクトの材料を均質化し、すなわち、例えば、処理された液体材料および固体材料、または2つの液体もしくは固体材料を均質化する。加熱プロセスの後、加熱ユニット308は、対応して加熱されたパッケージオブジェクトをトリートメントユニット310へ搬送し、トリートメントユニット310は、例えば、加熱、乾燥もしくは湿潤によってまたはある化学反応によって、投入パッケージオブジェクトの材料を異なる物理的および/または化学的状態に変換する。対応して変換されたパッケージオブジェクトは、次いで、3つの下流パッキングユニット316,318または言及された搬送ユニット314のうちの1つまたは複数へ搬送される。
【0176】
実世界パッケージオブジェクトのその後の処理は、機器306~312に動作可能に結合されたまたは機器の一部である計算ユニットを介してそれぞれのパッケージオブジェクトに割り当てられた対応するデータオブジェクト330,332,334(またはそれぞれ前に説明した「オブジェクト識別子」)によって管理され、計算ユニットのメモリストレージエレメントにおいて記憶される。本実施形態によれば、3つのデータオブジェクト330~334は、機器306~312を介して、すなわち、各機器ユニット306~312、またはそれぞれ対応するスイッチに配置された対応するセンサの出力に応答して提供されるトリガ信号に応答して生成され、このようなセンサは、機器ユニット306~312に動作可能に結合されている。前に言及したように、工業プラントは、異なるタイプのセンサ、例えば、1つもしくは複数のプロセスパラメータを測定するためのおよび/または機器もしくはプロセスユニットに関連した機器動作条件もしくはパラメータを測定するためのセンサを含む場合がある。本実施形態において、機器ユニット306~312内で処理されるバルクおよび/または液体材料の流量およびレベルを測定するためのセンサは、これらのユニットに配置されている。
【0177】
本実施形態において、図3に示された3つの例示的なデータオブジェクト330,332,334はそれぞれ、処理ユニット306~312および314~318に基づいて製品製造プロセス全体の異なる3つの機器ゾーン320,322,324に関する。
【0178】
最初の2つのデータオブジェクト330,332は、プロセスデータを含む製品パッケージオブジェクトを含む。プロセスデータは、関連する物理的パッケージが複数のプロセシングユニット内のその滞在/処理中に受けるプロセシング/処理情報を含む。プロセスデータは、関連するプロセシングユニット内の基礎となる物理的パッケージの滞在時間の間の計算された平均温度などの集合されたデータであることができるかつ/または基礎となる製造プロセスの時系列データであることができる。
【0179】
第1のデータオブジェクト330は、本実施形態において、2つの処理ユニット、ドージングユニット306および加熱ユニット308を通って搬送された物理的パッケージに割り当てられた第1の種類のパッケージ(図3において、「A-パッケージ」と呼ばれる)である。第1のデータオブジェクト330は、処理時間における現時点で、各滞在中の両ユニットの関連するデータを含む。第1のデータオブジェクトは、対応する「製品パッケージID」を含む。
【0180】
加熱ユニット308は、複数の機器ゾーン、本実施形態では、3つの機器ゾーン320,322,324(「ゾーン1」、「ゾーン2」、「ゾーン3」)を含む。これらの異なる機器ゾーンは、関連するプロセスデータを分類または選択するための分類グループとして利用される。このような分類は、関連する物理的パッケージがこの機器ゾーン内にある間の対応する時点内の基礎となる物理的パッケージの処理に関連する、関連する機器ゾーンからのパッケージオブジェクトのためのこれらのデータのみを取得することを助ける場合がある。しかしながら、本実施形態において、物理的パッケージの材料組成は、両処理ユニット306、308によって変化させられない。
【0181】
A-パッケージ330が次のトリートメントユニット310(本実施形態では、「バッファを備えるトリートメントユニット」)に到着すると、各物理的パッケージの材料組成が変化する。なぜならば、この処理ユニット310は、プラグフローモードにおいて物理的パッケージを搬送するだけではないからである。さらに、対応する物理的パッケージは、元のパッケージサイズよりも大きなバッファ体積を含み、これにより、このような物理的パッケージは、規定された逆混合度を有する。その結果、このトリートメントユニット310から出た各物理的パッケージは、図3において「B-パッケージ」と呼ばれる別の種類の物理的パッケージである。
【0182】
対応する第2のデータオブジェクト332(「B-パッケージ」)は、対応する「製品パッケージID」も含む。データオブジェクト332は、さらに、規定された数の前のデータオブジェクト、この例では、規定された割合における、「A-パッケージ」として示されたデータオブジェクト330、いわゆる「関連するA-パッケージからの集合データ」のデータを含む。対応する集合スキームまたはアルゴリズムは、例えば、基礎となる処理ユニット、基礎となる物理的パッケージのサイズ、基礎となる物理的パッケージの材料の混合能力、および基礎となる処理ユニット内の基礎となる物理的パッケージの滞在時間、または処理ユニットの対応する機器ゾーンに依存する。
【0183】
例えば、処理された物理的パッケージをコンテナ、ドラムまたはオクタビン容器などにパックすることによって、処理された物理的(製品)パッケージが、2つのパッキングユニット316,318のうちの一方によって別個の物理的パッケージにパックされると、本実施形態では、対応するパックされた物理的パッケージは、「物理的パッケージ」と呼ばれる別のデータオブジェクト334を介して取り扱われるまたは追跡される。このデータオブジェクト334は、それにパックされた関連する前の物理的パッケージ(本シナリオにおける「A-パッケージ」および「B-パッケージ」など)を含む。対応する「製品パッケージID」の指定は、完全なデータオブジェクトを使用する代わりに、例えば、追跡目的のために十分である。なぜならば、このような製品パッケージIDは、後のデータプロセシング、例えば、外部の「クラウドコンピューティング」プラットフォームによって行われるデータプロセシングの間に容易にリンクされることができるからである。
【0184】
第1のデータオブジェクト(または「オブジェクト識別子」)330は、特に、以下の情報を含む:
- 基礎となるパッケージのための「製品パッケージID」;
- パッケージの基礎となる処理された材料についての情報または仕様などの、基礎となるパッケージについて一般的情報;
- プロセシングライン306~318全体の中での基礎となるパッケージの現在の位置;
- プロセスデータ、すなわち、基礎となるパッケージの処理された材料の温度および/または重量の集合値としてのプロセスデータ;
- 基礎となる製造プロセスの時系列データ;ならびに
- 基礎となるパッケージからの試料への接続であり、製品パッケージは試料ステーションを通過し、規定された瞬間に、オペレータはこの製品パッケージから試料を取出し、実験室に提供する。この試料のために、試料オブジェクト(図6、参照符号634および638を参照)が生成され、関連する製品パッケージ(図6、参照符号626および630を参照)にリンクされる。この試料オブジェクトは、特に、実験室からの対応する製品品質制御(QC)データおよび/または対応する試験機械からの性能データを含む。
【0185】
第2のオブジェクト識別子332は、追加的に、
- バッファ310を備えるトリートメントユニットにおいて生成された関連するA-パッケージからの集合データ
を含む。
【0186】
第3のオブジェクト識別子334は、指定およびタイムスタンプ「物理的パッケージ 1976-02-06 19:12:21.123」を備える2つのパッキングユニット316,318によって生成され、以下の情報を含む:
- 再び、対応するパッケージまたはオブジェクト識別子(「パッケージID」)
図3に示された輸送のために2つの材料コンテナにパックされた製品の名称;
- 対応してパックされた製品を注文するための注文番号;および
- 対応してパックされた製品のロット番号。
【0187】
第1および第2のオブジェクト識別子330,332のパッケージ一般情報は、投入原料の材料データを含み、これは、本実施形態において、材料温度および/または重量などの、投入材料またはそれぞれ処理された材料の化学的および/または物理的特性、を示し、本実施形態では、履歴試験結果などの、投入材料に関連した上述の実験試料または試験データをも含む。
【0188】
図3によっても示された製品製造プロセスによれば、言及されたインターフェースを介して、機器全体からのプロセスデータが収集され、これらは、処理された材料の言及された温度および/または重量などのプロセスパラメータ、ならびに本実施形態において、言及されたヒータの温度および/または適用されたドージングパラメータなどの、投入材料が処理される機器動作条件をも示している。収集されたプロセスデータ、本実施形態では、関連するA-パッケージからの集合データなどのプロセスデータの一部のみが、本実施形態において、第2のオブジェクト識別子332に加えられる。
【0189】
前に説明したように、3つのオブジェクト識別子330~334は、本実施形態において、言及した投入材料データおよび/または特定のプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を化学製品の少なくとも1つの性能パラメータに相関させるまたはマッピングするために使用され、前記性能パラメータは、それぞれ基礎となる材料、例えば、対応する化学製品のいずれか1つまたは複数の特性である、またはこの特性を示す。
【0190】
図3に示された本実施形態によれば、2つのオブジェクト識別子330,332に含まれた収集されたプロセスデータ(集合値として)は、プロセスパラメータ、および追加的に製造プロセス中に測定された機器動作条件を示す数値を含む。加えて、オブジェクト識別子330,332は、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件のうちの1つまたは複数の時系列データとして提供されたプロセスデータを含む。機器動作条件は、機器の状態、本実施形態では、製造機械セットポイント、コントローラ出力、および、例えば、振動測定に基づく、あらゆる機器関連警告を表すあらゆる特性または値であることができる。加えて、搬送エレメント速度、温度およびフィルタ差圧などのファウリング値、メンテナンス日を含むことができる。
【0191】
図3に示された製品製造システムの実施形態において、製品処理機器306~318の全体は、言及された複数の3つの機器ゾーン320~324を含み、これにより、製造プロセス中、投入原料300~304が処理ライン306~318の全体に沿って横断し、本実施形態において、第1の機器ゾーン320から第2の機器ゾーン322へおよび第2の機器ゾーン322から第3の機器ゾーン324へ前進する。このような製造シナリオにおいて、第1のオブジェクト識別子330が第1の機器ゾーン320において提供され、第1の機器ゾーン320を通って処理された後に、第2のオブジェクト識別子332が第2の機器ゾーン322における投入材料の進入時に提供される。第2のオブジェクト識別子332は、第1のオブジェクト識別子330によって提供されるデータまたは情報の少なくとも一部が加えられまたはこれを含み、加えて、最後のデータ/情報「関連するA-パッケージからの集合データ」を含む。
【0192】
製造プロセス全体の間に対応するパッケージへのオブジェクト識別子の確実かつ安全な割り当てを可能にするために、オブジェクト識別子330~334のうちのいずれかまたはそれぞれが、固有の識別子、好ましくはグローバル一意識別子(「GUID」)を含む場合があることは注目に値する。
【0193】
本製品プロセシングシナリオにおいて、第1のオブジェクト識別子330に加えられた言及されたプロセスデータは、第1の機器ゾーン320から収集されたプロセスデータの少なくとも一部である。したがって、第2のオブジェクト識別子332は、第2の機器ゾーン322から収集されたプロセスデータの少なくとも一部が加えられ、第2の機器ゾーン322から収集されたプロセスデータは、投入原料300~304が第2の機器ゾーン322において処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示す。
【0194】
以下の表1において、別の例示的なオブジェクト識別子が、再び表形式で示されている。このオブジェクト識別子は、前に説明された3つのオブジェクト識別子330~334よりも大幅に多い情報/データを含む。
【0195】
この例示的なオブジェクト識別子は、以下に説明される図4に示されているが、図4に含まれたものよりも多くのデータを含むもののような、基礎となる日付およびタイムスタンプ「1976-02-06 18:31:53.401」を備えるいわゆる「B-パッケージ」に関する。
【0196】
固有の識別子(「固有ID」)は、この例において、固有URL(「uniqueObjectURL」)を含む。基礎となるパッケージの主な詳細(「パッケージ詳細」)は、この例において、2つの値「02.02.1976 18:31:53.401」を有するパッケージの生成の日付およびタイムスタンプ(「生成タイムスタンプ」)、ならびにパッケージタイプ「B」を有するこの例において、パッケージのタイプ(「パッケージタイプ」)である。基礎となる製造ラインに沿ったパッケージの現在の位置(「パッケージ位置」)は、「パッケージ位置リンク」、この例では製造ラインの「コンベヤベルト1」への搬送リンクによって規定される。
【0197】
コンベヤベルト1において、85℃の材料温度を現在表している平均温度(「平均値」)を測定するための測定機器(例示的な処理データまたは値を含む「測定点」を参照)および基礎となる温度ゾーンの対応する記述(「記述」)、この例では「温度ゾーン1」が提供される。加えて、測定機器は、コンベヤベルト1におけるパッケージの進入日/時間(「進入時間(entry time, 入場時刻)」)、この例では「02.02.1976 18:31:54.431」を検出し、コンベヤベルト1からのパッケージの退出日/時間(「退出時間(leaving time, 退場時刻)」)、この例では「02.02.1976 18:31:57.234」を検出するためのセンサも含むことができる。最後に、測定機器は、製造プロセスに関する基礎となる時系列情報(「時系列」)の時系列値(「時系列値」)を検出するためのセンサ機器を含む。
【0198】
加えて、示されたオブジェクト識別子は、この例において、さらに、既に処理された材料を中間で記憶するために、下流に配置された「コンベヤベルト2」、下流に配置された「ミキサ1」および下流に配置された「サイロ1」についての情報を含む。
【0199】
【表1】
【0200】
図4は、工業プラントの基礎となる製品製造システムのプロセスパートの第2の実施形態を示しており、工業プラントは、この第2の実施形態において、それぞれ6つの製品処理デバイス400,402,406,410,412,416または技術機器を含む。
【0201】
パッケージオブジェクトを処理するための「上流プロセス」400は、処理されたパッケージオブジェクトを分類するための「分類ユニット」402に接続されている。上流プロセス400および分類ユニット402は、第1のデータオブジェクト404によって管理される。このデータオブジェクト404は、その生成の日付および時間を示す基礎となる日付およびタイムスタンプ「1976-02-06 18:51:43.431」を備える既に記述された「B-パッケージ」に関する。データオブジェクト404は、現在処理されているパッケージオブジェクトの「パッケージID」(いわゆる「オブジェクト識別子」)を含む。データオブジェクト404は、さらに、現在処理されているパッケージオブジェクトについてのnの予め記述された化学的および/または物理的特性、この例では「特性1」および「特性n」を含む。
【0202】
投入材料、すなわち、この例において、上流プロセス400に供給される対応するパッケージオブジェクトは、「リサイクリングサイロ」406によって提供される。リサイクリングサイロ406は、他方では、リサイクルされなければならずかつしたがって分類ユニット402によってリサイクリングサイロ406に分類されるパッケージオブジェクトを搬送する「搬送ユニット1」410から基礎となるリサイクルされた材料を得る。基礎となる搬送プロセスステップ410は、上述の「B-パッケージ」に関しかつ言及された基礎となる日付およびタイムスタンプ「1976-02-06 18:51:43.431」、現在処理されるパッケージオブジェクトの「パッケージID」および2つの化学的および/または物理的特性「特性1」および「特性n」を含む第2のデータオブジェクト408によって管理される。しかしながら、基礎となる分類されたパッケージオブジェクトをリサイクルするための言及された要求により、第2のデータオブジェクト408は、さらに、特にそのパッケージオブジェクト、この例では、「低いまたは不十分な材料または製品性能」のためのそれぞれの性能インジケータを含む、基礎となるパッケージオブジェクトの別の化学的および/または物理的特性、この例では、「特性2」を含む。
【0203】
上流プロセス400によって処理されかつ分類ユニット402によって分類されないパッケージオブジェクトは、対応するパッケージオブジェクトのための性能値に応じて、分類ユニット402によって第1の「パッキングユニット1」412または第2の「パッキングユニット2」416に提供される。パッキングユニット412,416は、対応するパッケージオブジェクトをそれぞれのコンテナ414,418にパックするために使用される。2つのパッキングユニット412,416によって実行されるパッキングプロセスは、第3のデータオブジェクト420および第4のデータオブジェクト422によって管理される。
【0204】
2つのデータオブジェクト420,422は両方とも、「物理的パッケージ」に関し、上述の「B-パッケージ」と同じ日付「1976-02-06」を含むが、上述の「B-パッケージ」よりも遅いタイムスタンプ「19:12:21.123」を含む。それらは、基礎となるパッケージオブジェクトの「パッケージID」も含む。しかしながら、データオブジェクト420,422は、さらに、基礎となる最終製品のための性能インジケータ、この例では、第1のコンテナ(または充填サック)414に貯蔵された製品に関する「性能媒体範囲」および第2のコンテナ(または充填サック)418に貯蔵された製品の場合の「性能高範囲」を含む。加えて、2つのデータオブジェクト420,422は、対応する最終製品の「注文番号」および「ロット番号」を含む。
【0205】
図5は、この第2の実施形態では、それぞれ9個の製品処理デバイス500~516または技術機器を含む、工業プラントにおいて実装される基礎となる化学製品製造プロセスまたはシステムの部分の第3の実施形態を示す。
【0206】
この製品プロセシングアプローチは、公知の形式でポリマー材料を製造するために、2つの原料、すなわち「原料液体」500および「原料固体」502に基づく。図3および図4による前に説明した製造シナリオにおけるのと同様に、技術機器は、前に説明したように、リサイクルされた材料を使用するための「リサイクリングサイロ」504を含む。
【0207】
技術機器は、さらに、言及された投入原料に基づいてパッケージオブジェクトを生成するための「ドージングユニット506」を含み、投入原料は、それらを処理するために、示された4つのポリマー反応ゾーン(「ゾーン1~4」)510,512,514,516に沿ってパッケージオブジェクトを搬送する「反応ユニット」508と、反応ユニット508において製造されたポリマー材料(すなわち、対応するパッケージオブジェクト)を硬化させるための「硬化ユニット」518とによって、処理される。硬化ユニット518は、この実施形態において、材料バッファのみを含むが、逆混合機器は含まない。硬化ユニット518は、対応して処理されたパッケージオブジェクトも搬送する。
【0208】
「搬送ユニット1」520は、リサイクリングサイロ504によってそれらのリサイクリングのために分類されるパッケージオブジェクトを搬送する。最終的に処理された、すなわち、分類されていないユニットは、再び第1の「パッキングユニット1」522および第2の「パッキングユニット2」524へ搬送される。2つのパッキングユニット522,524は、対応するパッケージオブジェクトを変換し、それぞれのコンテナまたは充填サック526,528へ搬送する。
【0209】
図5に示された製造プロセスは、第1のデータオブジェクト530および第2のデータオブジェクト534によって管理される。
【0210】
第1のデータオブジェクト530は、生成日「1976-02-06」および生成時間「18:31:53.401」を有する「A-パッケージ」に関する。この製造シナリオにおけるデータオブジェクト530は、再び、予め記述された「パッケージID」、ドージングユニット506によって行われるドージングプロセスについてのプロセス情報(「ドージング特性」)、および反応ユニット508によるポリマー材料の製造についてのさらなるプロセス情報(「反応ユニット特性」)を含む。ドージング特性は、各パッケージオブジェクトのための原料量についての情報、すなわち「割合原料1(液体)」、「割合原料2(固体)」および製品温度を含む。反応ユニット特性は、4つのポリマー反応ゾーン510~516の温度(「温度ゾーン1」、「温度ゾーン2」、「温度ゾーン3」および「温度ゾーン4」)を含む。
【0211】
それに基づいて、第1のデータオブジェクト530は、プロセシングライン506~524に沿った基礎となるパッケージオブジェクトの現在の位置(「現在パッケージ位置」)を含む。パッケージオブジェクトの現在位置は、本実施形態において、「パッケージ位置リンク」および対応する「ゾーン位置」によって管理される。最後に含まれるのは、基礎となるポリマー反応についての化学的および/または物理的情報、すなわち対応する「反応エンタルピ/ターンオーバー度」である。これにより、所与のパッケージオブジェクトを搬送するプロセシングユニット506~524は、反応エンタルピ値を第1のデータオブジェクト530内に計算しかつ永久に書き込む/実現する。これは、パッケージ位置および対応する滞在時間についてのならびに対応するプロセス値、例えば、パッケージ温度についての既存の情報により可能である。第1のデータオブジェクト530と硬化ユニット518との間の通信ライン532を介して、第1のデータオブジェクト530に含まれた反応エンタルピおよび/またはターンオーバー度の現在の値に基づいて、硬化時間パラメータは、反応エンタルピの計算された値に基づいて調整される。
【0212】
第2のデータオブジェクト534は、パッキングユニット522,524のうちの1つによって処理される「物理的パッケージ」に関し、対応する生成日/時間情報「1976-02-06 19:12:21.123」を含む。含まれるのは、「パッケージID」、「製品」記述/仕様、「注文番号」、「ロッド番号」、ならびに計算されたエンタルピおよび/またはターンオーバー度の言及された値である。
【0213】
図6は、基礎となる工業プラント602の階層的またはトポロジー的構造を表すグラフベースのデータベース配列の第1の実施形態を示しており、これは、工業プラントのクラスター600の一部であり、複数の機器デバイスと、対応する製品プロセシングライン604の一部である対応する機器ゾーンとを含む。トポロジー的構造は、基礎となる製品パッケージの改良された処理またはプランニングを可能にするために、工業プラント602(または基礎となるプラントクラスタ600)の基礎となる異なる部分の間の機能的関係を視覚化することを可能にする。グラフベースデータベースの示された円形ノードは、接続ラインを介してリンクされており、そのための異なるリンクタイプが可能である。
【0214】
機器デバイスは、この実施形態において、材料処理ユニット606,614を含み、これらは、信号および/またはデータ接続を介して、処理ユニット606,614の一部であるセンサ/アクタ608,616に接続されておりかつ複数の入力/出力(I/O)デバイス610,612および618,620に接続されている。
【0215】
本実施形態において、第1の処理ユニット606は、さらに、例示的な3つの製品パッケージ(製品パッケージ1~3)622,624,626に接続されており、第2の処理ユニット614は、さらに、さらなる3つの製品パッケージ(製品パッケージ4~n)628,630,632に接続されている。例示的にのみ、「製品パッケージ3」626は、製品試料(試料1)634に接続されており、「製品パッケージ5」630は、別の製品試料(試料n)638に接続されている。「試料1」634は、さらに、「検査ロット」636と接続されており、「試料n」は、さらに、「検査ロットn」640と接続されている。最後に、両検査ロット636,640は、「検査インストラクション1」ユニット642と接続されており、「検査インストラクション1」ユニット642は、言及された検査ロットをどのように生成するかおよびそれぞれの基礎となる試料634,638の分析/品質制御をどのように実現するかについての仕様として働く。
【0216】
図6に示されたトポロジー的構造は、有利には、データ構造を提供し、このデータ構造は、示された化学プラントの機能性および処理の直観的かつ容易な理解、ひいては、ユーザ、特に機械/プラントオペレータによる化学プラントまたは化学プラントのクラスターにおけるこのような複雑な製造プロセスの容易な管理可能性を可能にする。なぜならば、示されたオブジェクト(ノード)は、対応する実世界オブジェクトと極めて類似してモデル化されるからである。
【0217】
より具体的には、このトポロジー的構造は、高度な文脈情報を提供し、それに基づいて、ユーザ/オペレータは、各オブジェクトの技術的および/または材料特性を容易に収集することができる。これは、さらに、ユーザによるかなり複雑なクエリ、例えば、オブジェクトの間の関連する製造関連接続または関係についての、特に、複数のノードまたはさらにトポロジー/階層レベルを横断するクエリを可能にする。これにより、図6に示されたオブジェクト(ノード)は、さらなる特性および/または値によってランタイム中に容易に拡張されることができる。
【0218】
図7は、図6に示されたグラフベースのデータベース配列の第2の実施形態を示すが、ただし製造ライン700(「ライン1」)についてのみである。
【0219】
機器デバイスは、本実施形態において、材料処理ユニット702「ユニット1」およびユニットn」708を含み、これらは、信号および/またはデータ接続を介して、対応する入力/出力(I/O)デバイス「I/O1」706および「I/On」712に接続されたセンサ/アクタ「センサ/アクタ1」704および「センサ/アクタn」710に接続されている。これらのI/Oデバイスは、製造ライン700の動作を制御するためのPLC(図示せず)への接続を含む。
【0220】
本実施形態において、第1の処理ユニット(「ユニット1」)702は、さらに、例示的な3つの製品パッケージ(「製品部分」1~3)714、716、718に接続されており、第2の処理ユニット(「ユニットn」)708は、さらに、さらなる2つの製品パッケージ(「製品部分」4およびn)720,722に接続されている。例示的にのみ、製品パッケージ3’’718は、製品試料(「試料1」)724に接続されており、製品パッケージn722は、別の製品試料(「試料n」)728に接続されている。
【0221】
図6に示された実施形態とは対照的に、第1の「センサ/アクタ1」704も、第1の製品試料(「試料1」)724に接続されており、第2の「センサ/アクタn」)710も、第2の製品試料(試料n’’)728に接続されている。これらの2つの追加的な接続は、独立した時間に、またはさらには同時に異なる試料ステーションにおいて独立して試料を採取することが可能であるという利点を有する。例えば、センサ/アクタ704は、試料ステーションに配置されたプッシュボタンであることができ、これは、試料が採取される瞬間にユーザまたはオペレータによって押下される。
【0222】
代替的に、このような資料は、サンプリング機械によって自動的に生成することができる信号であることができる。このような自動的に生成された信号は、例えば、示されたI/Oオブジェクト706を介してセンサ/アクタオブジェクト704に到達することができ、I/Oオブジェクト706は、PLC/DCS(図示せず)から、言及されたプッシュボタン情報を受け取る。試料を採取する瞬間、試料オブジェクト724(例えば)が生成され、その瞬間にサンプリングステーション位置に配置された製品部分にリンクされる。
【0223】
対応して生成された試料724,728に基づいて、1つの(かつ同じ)試料のためにも、1つまたは複数の検査ロット726,730を生成することができる。しかしながら、1つまたは複数の試料は、1つの処理ライン内で独立して、またはさらには同時に生成することができる。
【0224】
最後に、図6に示された実施形態におけるように、「試料1」724は、さらに、第1の「検査ユニット1」726と接続されており、「試料n」は、さらに、第2の「検査ユニットn」730と接続されている。両検査ユニット726,730は、最終的に、図6に示された「検査インストラクション1」ユニット642の場合と同様に、すなわち言及された検査ロットをどのように生成するかおよび基礎となる試料724,728の分析/品質制御をどのように実現するかについての仕様として再び機能する「検査インストラクション1」ユニット732と接続されている。「検査インストラクション1」ユニット732は、独立して生成することができ、「検査ロット1」726およびさらなる「検査ロットn」730によって図7に示されているように、1つだけよりも多い検査ロットのための検査インストラクション732を使用しながら、一度だけ生成される場合がある。
【0225】
図8は、抽象化層800を示しており、これは、オブジェクトデータベース801を含み、予め説明された製造機器および対応する原料のための、ならびに、予め説明された物理的パッケージまたは製品パッケージ関連データ、すなわち対応するデジタルツインを含む、予め説明された製品データのための抽象化層として働く。
【0226】
抽象化層800は、本実施形態において、外部クラウドコンピューティングプラットフォーム804との双方向通信ライン802を提供する。抽象化層800は、また、「PLC/DCS1」806の場合のように双方向に810、または「PLC/DCSn」808の場合のように一方向に812、多数のn製造PLC/DCSおよび/または機械PLC806,808と通信する。クラウドコンピューティングプラットフォーム804は、本実施形態において、顧客統合インターフェースまたはプラットフォーム816への双方向通信ライン814を含み、それを介して、本製造プラント所有者の顧客は、プラントの予め説明された機器ユニットへ制御信号を通信および/または送達することができる。
【0227】
オブジェクトデータベース801にさらに含まれるのは、それに関連した他のオブジェクト、例えば、上述の試料、検査ロット、試料インストラクション、センサ/アクタ、デバイス、デバイス関連ドキュメンテーション、ユーザ(例えば、機械またはプラントオペレータ)対応するユーザグループおよびユーザ権利、レシピ、注文、セットポイント-パラメータセット、またはクラウド/エッジデバイスからのインボックスオブジェクトである。
【0228】
クラウドコンピューティングプラットフォーム804において、人工知能(AI)または機械学習(ML)システムが実装され、それによって、Internet-of-Things(IoT)エッジデバイスまたはコンポーネント820への専用の展開パイプライン818を介して展開される最適なアルゴリズムを見つけまたは生成し、エッジデバイス820を制御するために対応して生成されたまたは見つけられたアルゴリズムを使用する。エッジデバイス820は、本実施形態において、抽象化層800と双方向で通信する822。
【0229】
抽象化層800および含まれたオブジェクトデータベース801によって、本文献内で説明されたように、予め説明された物理的または製品パッケージが生成される。抽象化層800は、クラウドコンピューティングプラットフォーム804内のあるプロセシングおよび/またはAI(またはML)構成要素に接続することもできる。この接続のために、公知のデータストリーミングプロトコル「Kafka」を使用することができる。これにより、基礎となる製品パッケージの生成の時間またはその付近において、まず、特に、基礎となる時系列データとは独立して、空のデータパケットをメッセージとして送信することができる。その後、最終製品パッケージが処理されたとき、別のメッセージを送信することができる。これらのメッセージは、データパケットIDとしての基礎となるパッケージのオブジェクト識別子を含むので、関連するパケットを、後でクラウドプラットフォームのサイドにおいて互いに再びリンクさせることができる。これは、クラウドへの送信のために大きなサイズのデータパケットを回避することができ、これにより、所要の送信帯域幅または容量を最小限にするという利点を有する。
【0230】
クラウドコンピューティングプラットフォーム804内で、ストリーミングおよび受信された製品データが、言及されたAI方法またはML方法によって使用され、予測された製品品質制御(QC)値などの、基礎となる製品に関連する追加的なデータを得るためのアルゴリズムを見つけるまたは生成する。このプロシージャがクラウドコンピューティングプラットフォーム804内で行われるために、関連する製品(または物理的)パッケージのQCデータまたは測定された性能パラメータなどの追加的なデータが必要とされる。これは、関連する製品パッケージについてのこのような情報を含む、試料オブジェクトおよび検査ロットオブジェクト(図6も参照)の形式のオブジェクトデータベース801から同じ方式を介して受け取られることができる。
【0231】
このような情報は、オブジェクトデータベース以外のあらゆる他のシステムから受け取ることもできる。この場合、他のシステムは、オブジェクトデータベースから試料/検査ロットIDと一緒にQCおよび/または性能データを送信する。クラウドコンピューティングプラットフォーム804内で、このデータは組み合わされ、例えば、MLベースのアルゴリズム/モデルを見つけるために使用される。これにより、クラウドプラットフォーム804内の計算能力を有効に使用することができる。
【0232】
本実施形態において、対応して見つけられたアルゴリズムまたはモデルは、展開パイプライン818を介してエッジデバイス820に展開される。エッジデバイス820は、抽象化層800のオブジェクトデータベース801の近く、ひいては、したがってまたPLC/DCS1~PLC/DCSn806,808の近くに、すなわち低ネットワークレイテンシおよび直接および確実な通信を可能にするネットワークセキュリティレベルおよび位置の観点から、配置されている。
【0233】
MLモデルの使用のために、このような計算能力は必要とされないので、エッジデバイス820は、MLモデルを使用して、言及した最新の情報を生成し、それをオブジェクトデータベース801に提供する。したがって、エッジデバイス820は、同じ情報または情報のサブセットを必要とし、これは、クラウドコンピューティングプラットフォーム804において使用され、MLベースアルゴリズムまたはモデルを生成し、オブジェクトデータベース801はこのデータをエッジデバイス820へ、例えば、公知の「Message Queuing Telemetry Transport」(MQTT)プロトコルなどの、機械同士の通信のためのオープンネットワークプロトコルを介して提供することができる。
【0234】
このセットアップは、AI/MLベース最新プロセス制御ならびに自律型製造および対応する自律して動作する機械の実現を可能にする。
【0235】
図8に示された実施形態に示されるように、予め説明したデータオブジェクト330~334(図3)からのデータに基づいて、クラウドコンピューティングプラットフォーム804のサイドにおいて、AI/MLシステムまたは対応するAI/MLモデルは、訓練データとしてのこのようなデータを使用して訓練される。したがって、訓練データは、本実施形態において、履歴および現在のラボラトリ試験データ、特に、化学製品の性能パラメータを示す、過去からのデータを含む場合がある。
【0236】
AI/MLモデルは、予め説明された性能パラメータのうちの1つまたは複数を予測するために使用することができ、前記予測は、好ましくは、計算ユニットを介して行われる。加えて、または代替的に、AI/MLモデルは、好ましくは機器動作条件を調整することを介して、製造プロセスを少なくとも部分的に制御するために使用することができ、より好ましくは、前記制御は、言及された計算ユニットを介して行われる。加えて、または代替的に、AI/MLモデルは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件のうちのいずれが化学製品に主な影響を有するかを判定するために、例えば、計算ユニットによって使用することができ、これにより、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件のこれらのドミナントは、それぞれデータオブジェクトまたは言及されたオブジェクト識別子に加えられる。
【0237】
当業者は、方法ステップ、少なくとも計算ユニットを介して行われるものが、「リアルタイム」またはほぼリアルタイムの形式で行われる場合があることを認めるであろう。用語は、コンピュータの技術分野において理解される。特定の例として、計算ユニットによって行われるいずれか2つのステップの間の時間遅延は、15s以下、特に10s以下、より具体的には5s以下である。好ましくは、遅延は、1秒未満、より好ましくは、2ミリ秒未満である。したがって、計算ユニットは、リアルタイム形式で方法ステップを実行するように構成される場合がある。さらに、ソフトウェア製品は、計算ユニットにリアルタイム形式で方法ステップを実行させる場合がある。
【0238】
方法ステップは、例えば、例または態様に列挙して示された順序で実行される場合がある。しかしながら、特定の状況下では、異なる順序も可能である場合があることに留意されたい。さらに、方法ステップの1つまたは複数を一回または反復して実行することも可能である。ステップは、規則的または不規則な間隔で反復される場合がある。さらに、特に方法ステップの幾つかまたはそれ以上が反復して実行される場合、方法ステップの2つ以上を同時にまたは時間的に重なった形式で実行することが可能である。方法は、さらに、列挙されていないステップを含む場合がある。
【0239】
「含む」という単語は、その他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除しない。単一の処理手段、プロセッサまたはコントローラまたはその他の類似のユニットは、請求項に記載された複数のアイテムの機能を満たす場合がある。ある手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用することができないことを示さない。請求項におけるあらゆる参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0240】
さらに、本開示において、ある特徴または要素が一回または二回以上存在する場合があることを示す「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」という用語または類似の表現は、典型的には、それぞれの特徴または要素を紹介するときに一度だけ使用されている場合がある。したがって、幾つかの場合、特に別段の定めがない限り、それぞれの特徴または要素に言及する場合、それぞれの特徴または要素が一回または二回以上存在する場合があるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という表現が繰り返されていない場合がある。
【0241】
さらに、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」という用語または類似の用語は、代替的な可能性を制限することなく、選択的特徴に関連して使用される。したがって、これらの用語によって紹介された特徴は、選択的な特徴であり、いかなる方法によっても請求項の範囲を制限することは意図されていない。本教示は、当業者が認識するように、代替的な特徴を使用することによって実行される場合がある。同様に、「1つの態様によれば」または類似の表現によって紹介された特徴は、本教示の選択肢に関するいかなる制限もなく、本教示の範囲に関するいかなる制限もなく、そのように紹介された特徴を本教示のその他の選択的または非選択的な特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もなく、選択的な特徴であることが意図されている。
【0242】
説明の中で利用されているあらゆるヘッディングは、便宜のためだけのものであり、したがって、このようなヘッドラインは、主題に対するいかなる制限効果も有さない。
【0243】
様々な例が、製造プロセスを監視するための方法、本明細書に開示された方法を行うためのシステム、製造プロセスを監視するためのシステム、データセット、データセットを生成するための方法、データセットを生成するシステム、データセットの使用、少なくとも1つの性能パラメータの使用、ソフトウェアプログラム、および本明細書に開示された方法を行うためのコンピュータプログラムコードを含む計算ユニットについて上記に開示されている。より具体的には、工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するための方法は、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供し、機器ゾーンのうちの1つまたは複数からリアルタイムプロセスデータを受け取り、上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを判定し、リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて上流オブジェクト識別子に関連した化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算し、上流オブジェクト識別子に少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることを含む。本教示は、製造プロセスを監視するためのシステム、データセット、使用、データセットを生成するための方法、およびそのためのソフトウェアプログラムにも関する。しかしながら、当業者は、添付の請求項およびそれらの均等物の思想および範囲から逸脱することなく、これらの例に対して変更および修正が加えられる場合があることを理解するであろう。さらに、本明細書に説明された方法および製品実施形態からの態様は自由に組み合わされる場合があることが認められるであろう。
【0244】
要約して、さらなる可能な実施形態を排除することなく、本教示の例である実施形態が以下の項目に要約される:
項目1.工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するための方法であって、工業プラントが、複数の物理的に分離された機器ゾーンを含み、製品が、複数の機器ゾーンを介して、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、方法が、少なくとも部分的に計算ユニットを介して行われ、方法が、
- インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供することであって、投入材料データが、投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- 計算ユニットにおいて、機器ゾーンのうちの1つまたは複数からリアルタイムプロセスデータを受け取ることであって、リアルタイムプロセスデータが、リアルタイムプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含むことと、
- 計算ユニットを介して、上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを判定することであって、ゾーン存在信号が、製造プロセス中の特定の機器ゾーンにおける投入材料の存在を示すことと、
- 計算ユニットを介して、リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて上流オブジェクト識別子に関連した化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算することと、
- 上流オブジェクト識別子に、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることとを含む、方法。
【0245】
項目2.履歴データが、前に処理された投入材料に関連した1つまたは複数の履歴上流オブジェクト識別子からのデータを含む、項目1に記載の方法。
【0246】
項目3.少なくとも1つの履歴上流オブジェクト識別子が、前に処理された投入材料が処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示す履歴プロセスデータの少なくとも一部が加えられる、項目2に記載の方法。
【0247】
項目4.ゾーン特定性能パラメータの少なくとも1つが、製造プロセス中に投入材料から製造されたが化学製品の前の派生材料にも関連している、項目1から項目3のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0248】
項目5.方法が、上流オブジェクト識別子に、リアルタイムプロセスデータのサブセットの少なくとも一部および/または企業資源計画(「ERP」)システムからのデータを加えることを含む、項目1から項目4のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0249】
項目6.ゾーン存在信号が、ゾーンタイム転換を行うことによって計算ユニットを介して生成され、この転換が、リアルタイムプロセスデータからの1つまたは複数の時間依存信号などを介して、投入材料に関連した少なくとも1つの特性を特定の機器ゾーンにマッピングする、項目1から項目5のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0250】
項目7.少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの計算が、履歴データを使用して訓練された少なくとも1つの機械学習(「ML」)モデルを使用して行われる、項目1から項目6のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0251】
項目8.MLモデルが、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの計算のための信頼レベルを示す少なくとも1つの信頼値を提供するように構成されている、項目7に記載の方法。
【0252】
項目9.少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの計算または予測の信頼レベルが精度しきい値よりも低下したことに応答して、好ましくは製造プロセスのための制御システムにおいて、警告信号が生成される、項目8に記載の方法。
【0253】
項目10.少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの計算または予測の信頼レベルが精度しきい値よりも低下したことに応答してまたは警告信号に応答して、サンプリングオブジェクト識別子が自動的に生成され、サンプリングオブジェクト識別子が、信頼レベル精度が精度値を超えた時点またはその付近においてそのそれぞれのゾーンにある材料に関連している、項目8または項目9に記載の方法。
【0254】
項目11.警告信号に応答して少なくとも1つの実験室分析が行われ、好ましくは、分析が、警告に関連したそのそれぞれのゾーンにある材料において行われる、項目9または項目10に記載の方法。
【0255】
項目12.分析の日付および/または結果が、サンプリングオブジェクト識別子に加えられ、好ましくは、サンプリングオブジェクト識別子からのデータが、計算ユニットによる将来の計算のために履歴データに含まれている、項目11に記載の方法。
【0256】
項目12a.サンプリングオブジェクト識別子が、サンプリングオブジェクト識別子に対応するそれぞれの材料または化学製品に対して行われる1つまたは複数の試験または分析の種類を示す試験タイプデータが加えられる、項目10から項目12のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0257】
項目12b.サンプリングオブジェクト識別子が、サンプリングオブジェクト識別子に対応するそれぞれの材料または化学製品において少なくとも1つの試験または分析を行うために使用されるべき、1つまたは複数の装置またはツールおよび/または試験材料を示すツールタイプデータが加えられる、項目10から項目12aのいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0258】
項目12c.サンプリングオブジェクト識別子が、試験または分析を行うために使用される装置またはツールのうちの少なくとも1つのための試験構成データが加えられる、項目12bに記載の方法。
【0259】
項目12d.試験構成データが、それぞれの1つまたは複数の装置またはツールのうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に自動的に提供される、項目12cに記載の方法。
【0260】
項目12e.試験構成データが、試験または分析の少なくとも1つを少なくとも部分的に行うためにユーザによって使用可能な試験レシピを少なくとも部分的に含む、項目12cまたは項目12dに記載の方法。
【0261】
項目13.複数の物理的に分離された機器ゾーンが、下流機器ゾーンも含み、これにより、製造プロセス中に、投入材料が、上流機器ゾーンから下流機器ゾーンへ横断し、方法が、また、
- インターフェースを介して、上流オブジェクト識別子の少なくとも一部が加えられる下流オブジェクト識別子を提供することと、
- 計算ユニットを介して、下流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータの別のサブセットを判定することと、
- 計算ユニットを介して、リアルタイムプロセスデータの別のサブセットおよび別の履歴データに基づいて下流オブジェクト識別子に関連した化学製品の別の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算することであって、別の履歴データが、下流機器ゾーンにおいて前に処理された投入材料または派生材料に関連した1つまたは複数の履歴下流オブジェクト識別子からのデータを含み、各履歴下流オブジェクト識別子が、前に処理された投入材料または派生材料が下流機器ゾーンにおいて処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すプロセスデータの少なくとも一部が加えられることと、
- 下流オブジェクト識別子に、別の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることと含む、項目1から項目12eのいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0262】
項目14.オブジェクト識別子のいずれかが、計算ユニットに動作可能に結合されたメモリストレージにおいて提供される、項目1から項目13のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0263】
項目15.計算ユニットおよび/またはメモリストレージが、MS Azureなどのクラウドベースサービスを介して少なくとも部分的に実装される、項目14に記載の方法。
【0264】
項目16.化学製品が、化学製品、薬剤製品、栄養製品、化粧品、または生物学的製品のうちのいずれか1つまたはそれらの組合せである、項目1から項目14のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0265】
項目17.化学製品が、固体状態、半固体状態、ペースト状態、液体状態、エマルジョン状態、溶液状態、ペレット状態、顆粒状態、または粉末状態である、項目1から項目16のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0266】
項目18.化学製品が、熱可塑性ポリウレタン(「TPU」)、またはより具体的には膨張TPUである、項目1から項目6のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0267】
項目19.投入材料が、メチレンジフェニルジイソシアネート(「MDI」)および/またはポリテトラヒドロフラン(「PTHF」)である、項目1または項目18に記載の方法。
【0268】
項目20.機器ゾーンのいずれかが、いずれか1つまたは複数の構成要素、例えば、コンベヤシステムなどの搬送エレメント、ヒータなどの熱交換器、炉、冷却ユニット、反応器、ミキサ、フライス盤、チョッパ、圧縮機、スライサ、押出機、乾燥機、噴霧器、圧力もしくは真空チャンバ、チューブ、ビン、サイロ、オクタビンまたは工業プラントにおける製造プロセスのためにもしくはその間に直接的もしくは間接的に使用されるあらゆるその他の種類の装置、より好ましくは、化学製品の性能に影響を有するこのような装置および/または構成要素を含む、項目1から項目19のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0269】
項目21.製造プロセスが、少なくとも部分的にバッチ製造プロセスである、項目1から項目20のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0270】
項目22.製造プロセスが、少なくとも部分的にキャンペーン製造プロセスである、項目1から項目21のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0271】
項目23.製造プロセスが、少なくとも部分的に連続製造プロセスである、項目1から項目22のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0272】
項目24.機器動作条件が、機器の状態を表すあらゆる特性または値、例えば、セットポイント、コントローラ出力、製造シーケンス、較正ステータス、あらゆる機器関連警告、振動測定、搬送エレメント速度などの速度、温度、フィルタ差圧などのファウリング値、メンテナンス日のうちのいずれか1つまたは複数である、項目1から項目23のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0273】
項目25.プロセスデータが、製造プロセス中に測定されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示す少なくとも1つの数値を含む、項目1から項目24のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0274】
項目26.プロセスデータが、製造プロセス中に測定または検出されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示す少なくとも1つの2進値を含む、項目1から項目25のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0275】
項目27.プロセスデータが、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件のうちの1つまたは複数の時系列データを含む、項目1から項目26のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0276】
項目28.プロセスデータが、プロセスパラメータおよび/もしくは機器動作条件の時間的情報、または時系列データを含む、項目1から項目27のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0277】
項目29.時間的情報が、プロセスパラメータおよび/もしくは機器動作条件に関連するデータポイントのうちの少なくとも幾つかのためのタイムスタンプを示すデータ、または時系列データの形式である、項目28に記載の方法。
【0278】
項目30.投入材料が、化学製品を製造するために使用される少なくとも1つの原料または未処理の材料である、項目1から項目29のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0279】
項目31.投入材料が、あらゆる有機物もしくは無機物、またはあらゆる形式における複数の有機成分および/もしくは無機成分を含むそれらの組合せである、項目1から項目30のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0280】
項目32.投入材料データが、投入材料の1つもしくは複数の特徴もしくは特性に関連するまたはそれらを示すデータを含む、項目1から項目31のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0281】
項目33.投入材料データが、履歴試験結果などの、投入材料に関連する実験室試料または試験データを含む、項目1から項目32のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0282】
項目34.投入材料データが、投入材料の物理的および/または化学的特性を示す値、例えば、密度、濃度、純度、pH、組成、粘度、温度、重量、体積、および/または投入材料に関連する性能データのうちのいずれか1つまたは複数を含む、項目1から項目33のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0283】
項目35.少なくとも1つの数値などの/または少なくとも1つの2進値などの/または時系列データなどの/または投入材料の物理的および/もしくは化学的特性を示す値のうちの少なくとも幾つかが、機器に動作可能に結合された1つまたは複数のセンサおよび/またはスイッチからの信号を介して少なくとも部分的に取得または測定され、好ましくは、前記センサおよび/またはスイッチが機器の一部である、項目25から項目34のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0284】
項目36.オブジェクト識別子が、機器ゾーンに動作可能に結合された計算ユニットを介して提供され、好ましくは、前記計算ユニットが機器の一部である、項目1から項目35までのいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0285】
項目37.計算ユニットが、分散制御システム(「DCS」)および/もしくはプログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)などの、コントローラもしくは制御システムであるまたはその一部である、項目36に記載の方法。
【0286】
項目38.オブジェクト識別子が、トリガイベントまたは信号に応答して提供または生成され、前記イベントまたは信号が、好ましくは、機器を介して、より好ましくは、機器に動作可能に結合された1つまたは複数のセンサおよび/またはスイッチのいずれかの出力に応答して提供される、項目1から項目37のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0287】
項目39.トリガイベントまたは信号が、投入材料の量値、より具体的には、所定の量しきい値に達するまたはこれを満たす量値の発生に関連し、前記発生が、計算ユニットおよび/または機器を介して検出される、項目38に記載の方法。
【0288】
項目40.量値が、重量値および/または充填ファクタおよび/またはレベル値および/または体積値である、項目39に記載の方法。
【0289】
項目41.機器が、1つまたは複数のアクチュエータおよび/またはエンドエフェクタユニットにも動作可能に結合されており、好ましくは、前記アクチュエータおよび/またはエンドエフェクタユニットが、機器の一部である、項目36から項目40のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0290】
項目42.製造プロセスが、計算ユニットを介して少なくとも部分的に制御可能であるまたは制御される、項目36から項目41のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0291】
項目43.製造プロセスが、1つまたは複数のアクチュエータおよび/またはエンドエフェクタユニットを介して少なくとも部分的に制御可能であるまたは制御される、項目42に記載の方法。
【0292】
項目44.製造プロセスが、1つまたは複数のセンサおよび/またはスイッチからの信号のいずれか1つまたは複数に応答して少なくとも部分的に制御可能であるまたは制御される、項目42から項目43のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0293】
項目45.オブジェクト識別子のいずれかまたはそれぞれが、固有の識別子、好ましくは、グローバル一意識別子(「GUID」)を含む、項目1から項目44のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0294】
項目46.機器ゾーンのいずれかまたはそれぞれが、個々のMLモデルを介して監視および/または制御され、個々のMLモデルが、そのゾーンからのそれぞれのオブジェクト識別子からのデータに基づいて訓練される、項目13から項目45のいずれか1つまたは複数に記載の方法。
【0295】
項目47.工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するための監視システムのためのシステムであって、工業プラントが、複数の物理的に分離された機器ゾーンを含み、製品が、複数の機器ゾーンを介して、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、システムが、上記方法項目のうちのいずれかに記載の方法ステップを行うように構成されている、システム。
【0296】
項目48.上記方法項目のうちのいずれかにおいて判定されたリアルタイムプロセスデータのサブセットであるデータセット。
【0297】
項目49.上記方法項目のうちのいずれかの、リアルタイム時系列データまたはプロセスデータのサブセットを提供するための方法であって、プロセスが、工業プラントにおける化学製品の製造プロセスに関連した少なくとも1つのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含み、方法が、製造プロセス中にメモリストレージに動作可能に結合された計算ユニットを介して行われ、この方法が、
- 計算ユニットにおいて、リアルタイムプロセスデータを受け取ることと、
- メモリストレージにおいて、開始信号を介してサブセットの開始を提供することと、
- メモリストレージにおいて、停止信号を介してサブセットの停止を提供することとを含み、
開始信号および停止信号が、サブセットがリアルタイムプロセスデータから抽出されるようにそれぞれ開始時間と終了時間との間でサブセットを区切るために使用される、リアルタイム時系列データまたはプロセスデータのサブセットを提供するための方法。
【0298】
項目50.MLモデルを訓練するための、好ましくは、製造プロセスのための少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを判定または予測するための、項目48または項目49により生成されたデータセットの使用。
【0299】
項目51.例えば、靴などのスポーツ用品または履物を製造するための、下流製造プロセスにおける項目1から項目46のいずれか1つまたは複数により生成された少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータの使用。
【0300】
項目52.上記方法項目のいずれかによる方法ステップを行うように構成された、計算ユニットを含むシステム。
【0301】
項目53.プログラムが適切な計算ユニットによって実行されたときに、計算ユニットに、上記方法項目のいずれかの方法ステップを行わせる命令を含む、コンピュータプログラムまたはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。
【0302】
項目54.工業プラントにおいて化学製品を製造するための製造プロセスを監視するためのシステムであって、工業プラントが、複数の物理的に分離された機器ゾーンを含み、製品が、複数の機器ゾーンを介して、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、計算ユニットが、
- インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供することであって、投入材料データが、投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- 計算ユニットにおいて、機器ゾーンのうちの1つまたは複数からのリアルタイムプロセスデータを受け取ることであって、リアルタイムプロセスデータが、リアルタイムプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含むことと、
- 計算ユニットを介して、上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを判定することであって、ゾーン存在信号が、製造プロセス中の特定の機器ゾーンにおける投入材料の存在を示すことと、
- 計算ユニットを介して、リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて上流オブジェクト識別子に関連した化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算することと、
- 上流オブジェクト識別子に、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えることとを行う
ように構成されるように、システムが構成または適応されている、システム。
【0303】
項目55.コンピュータプログラム、またはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令を含み、命令が、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって工業プラントにおいて化学製品を製造するための複数の機器ゾーンに動作可能に結合された、適切な計算ユニットによってプログラムが実行されたとき、計算ユニットに、
- インターフェースを介して、投入材料データを含む上流オブジェクト識別子を提供させ、投入材料データが、投入材料の1つまたは複数の特性を示しており、
- 機器ゾーンのうちの1つまたは複数からリアルタイムプロセスデータを受け取らせ、リアルタイムプロセスデータが、リアルタイムプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を含み、
- 上流オブジェクト識別子およびゾーン存在信号に基づいてリアルタイムプロセスデータのサブセットを判定させ、ゾーン存在信号が、製造プロセス中の特定の機器ゾーンにおける投入材料の存在を示しており、
- リアルタイムプロセスデータのサブセットおよび履歴データに基づいて上流オブジェクト識別子に関連した化学製品の少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを計算させ、
- 上流オブジェクト識別子に、少なくとも1つのゾーン特定性能パラメータを加えさせる、コンピュータプログラム、またはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】