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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(54)【発明の名称】化学製造
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518020
(86)(22)【出願日】2021-09-16
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 EP2021075454
(87)【国際公開番号】W WO2022058414
(87)【国際公開日】2022-03-24
(31)【優先権主張番号】20197014.2
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ,ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ビンクラー,クリスティアン-アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ラウテンシュトラウホ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ユエン・エン
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA29
3C100AA59
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100CC02
3C100CC03
3C100EE11
(57)【要約】
本教示は、少なくとも1つの機器を含む工業プラントにおいて製造された化学製品をデジタル式に追跡するための方法であって、製品が、機器を介して、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、前記方法が、インターフェースを介して、投入材料データを含むオブジェクト識別子を提供し、投入材料データが投入材料の1つまたは複数の特性を示しており、インターフェースを介して機器からプロセスデータを受け取ることであって、プロセスデータが、投入材料が処理されるプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すこと、オブジェクト識別子にプロセスデータの少なくとも一部を加えることを含む、方法に関する。本教示は、化学製品をデジタル式に追跡するためのシステムおよびソフトウェア製品にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業プラントにおいて製造された化学製品をデジタル式に追跡するための方法であって、前記工業プラントが、少なくとも1つの機器を含み、前記製品が、前記機器を介して、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、前記方法が、
- インターフェースを介して、投入材料データを含むオブジェクト識別子を提供することであって、前記投入材料データが、前記投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- 前記インターフェースを介して、前記機器からプロセスデータを受け取ることであって、前記プロセスデータが、前記投入材料が処理されるプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すことと、
- 前記オブジェクト識別子に前記プロセスデータの少なくとも一部を加えることとを含む、方法。
【請求項2】
前記機器を介して処理するための前記投入材料が、少なくとも2つのパッケージに分割され、パッケージのサイズは、固定されているか、または投入材料重量もしくは量に基づいて決定され、機器がかなり一定のプロセスパラメータもしくは機器動作パラメータを提供することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも2つのパッケージの処理が、対応するデータオブジェクトによって管理され、前記データオブジェクトのそれぞれが、少なくともオブジェクト識別子を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記機器を介して提供されるトリガ信号に応答してデータオブジェクトが生成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記トリガ信号が、前記機器の機器ユニットのそれぞれに配置された対応するセンサの出力に応答して提供される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記プロセスデータが、前記製造プロセス中に測定された前記プロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示す少なくとも1つの数値および/または2進値を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記機器動作条件が、前記機器の状態を表すあらゆる特性または値、例えば、セットポイント、コントローラ出力、製造シーケンス、較正ステータス、あらゆる機器関連警告、振動測定、搬送エレメント速度などの速度、温度、フィルタ差圧などのファウリング値、メンテナンス日のうちのいずれか1つまたは複数である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記プロセスデータが、前記プロセスパラメータおよび/または前記機器動作条件のうちの1つまたは複数の時系列データを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記投入材料データが、履歴試験結果などの、前記投入材料に関連した実験室試料または試験データを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記オブジェクト識別子が、前記機器に動作可能に結合された計算ユニットを介して提供され、好ましくは、前記計算ユニットが前記機器の一部である、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記オブジェクト識別子が、メモリストレージエレメントにおいて提供されるまたは記憶されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記オブジェクト識別子が、トリガイベントまたは信号に応答して提供または生成され、前記イベントまたは信号が、好ましくは、前記機器を介して、より好ましくは、前記機器に動作可能に結合されたあらゆる1つまたは複数のセンサおよび/またはスイッチの出力に応答して提供される、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記製造プロセスが、前記計算ユニットを介して少なくとも部分的に制御可能であるまたは制御される、請求項6から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
加えられた前記オブジェクト識別子が、前記投入材料データおよび/または特定のプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を前記化学製品の少なくとも1つの性能パラメータに相関させるまたはマッピングするために使用可能であり、前記性能パラメータが、前記化学製品のいずれか1つもしくは複数の特性であるまたは前記化学製品のいずれか1つもしくは複数の特性を示している、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
加えられた前記オブジェクト識別子からのデータを含む訓練データを使用して機械学習(「ML」)モデルが訓練され、前記訓練が、好ましくは、前記計算ユニットを介して行われる、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記工業プラントが、Internet-of-Things(IoT)エッジデバイスまたはコンポーネントを含み、基礎となるMLシステムが、前記IoTエッジデバイスを制御するための対応して生成されたまたは見つけられたアルゴリズムを使用するために、前記IoTエッジデバイスまたはコンポーネントに展開されるアルゴリズムを見つけるまたは生成するために実装されている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
オブジェクトデータベースを含み、前記製造機器のための、前記対応する投入材料のためのおよびパッケージ関連データのための抽象化層として機能する抽象化層を提供する、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記抽象化層が、クラウドコンピューティングプラットフォーム内のある処理および/またはMLコンポーネントに接続されており、この接続のために、データストリーミングプロトコルが使用され、ストリーミングされかつ受け取られた製品データが、基礎となる化学製品に関連する追加的なデータを得るためのアルゴリズムを見つけるまたは生成するためにMLシステムによって使用される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記追加的なデータが、前記基礎となる化学製品の予測可能な製品品質制御(QC)データに関する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記MLモデルを訓練するための前記訓練データが、履歴および/もしくは現在の実験室試験データ、または過去および/もしくは最近の試料からのデータも含み、前記履歴および/または現在の実験室試験データが、前記化学製品の前記性能パラメータを示している、請求項15から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記MLモデルが、前記性能パラメータのうちの1つまたは複数を予測するために使用され、前記予測が、好ましくは、前記計算ユニットを介して行われる、請求項15から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記MLモデルが、好ましくは前記機器動作条件を調整することを介して、前記製造プロセスを少なくとも部分的に制御するために使用され、より好ましくは、前記制御が前記計算ユニットを介して行われる、請求項15から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記MLモデルが、例えば、計算ユニットによって、どのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件が前記化学製品に支配的な効果を有するかを決定するために使用され、これにより、前記化学製品に支配的な効果を有するプロセスパラメータおよび/または機器動作条件が、前記オブジェクト識別子に加えられる、請求項15から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記機器が、複数のゾーンを含み、これにより、前記製造プロセス中、前記投入材料が第1の機器ゾーンから少なくとも第2の機器ゾーンへ前進する、請求項1から23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記オブジェクト識別子が、前記第1の機器ゾーンにおいて提供され、少なくとも第2のオブジェクト識別子が、前記第1の機器ゾーンを横断した後、前記少なくとも1つの第2の機器ゾーンにおける前記投入材料の進入時に提供される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
オブジェクト識別子に加えられた前記プロセスデータが、前記第1の機器ゾーンからのプロセスデータの少なくとも一部である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも第2のオブジェクト識別子は、前記少なくとも第2の機器ゾーンからのプロセスデータの少なくとも一部が加えられ、前記少なくとも第2の機器ゾーンからの前記プロセスデータが、前記投入材料が前記少なくとも第2の機器ゾーンにおいて処理される前記プロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示している、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも第2のオブジェクト識別子は、前記第1のオブジェクト識別子からのデータの少なくとも一部が加えられる、請求項25から27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記投入材料が、前記少なくとも第2の機器ゾーンに進入する前に中間機器ゾーンを横断し、前記中間機器ゾーンが、前記第1の機器ゾーンと前記少なくとも第2の機器ゾーンとの間のゾーンであり、および前記投入材料、請求項25から28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも第2の機器ゾーンに進入する前記投入材料にさらなる材料が付加され、前記さらなる材料が、前記投入材料と同じタイプの材料であるか、または前記投入材料とは異なる材料である、請求項25から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記投入材料の一部が、前記少なくとも第2の機器ゾーンに進入する前に除去される、請求項25から29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記投入材料の前記一部が、第3の機器ゾーンにおいて提供される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記オブジェクト識別子が、前記第1の機器ゾーンにおいて提供され、前記少なくとも第2の機器ゾーンからのプロセスデータの少なくとも一部が、前記少なくとも第2の機器ゾーンにおける進入後に前記オブジェクト識別子に加えられ、前記少なくとも第2の機器ゾーンが、前記少なくとも第2の機器ゾーンにおいて進入する材料の量が、前記材料が前記少なくとも第2の機器ゾーンにおける進入前に処理されたゾーンにおける材料の量と同じまたは実質的に同じであるようになっており、前記ゾーンが、前記第1の機器ゾーン、または前記第1の機器ゾーンと前記少なくとも第2の機器ゾーンとの間の中間機器ゾーンである、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記オブジェクト識別子のいずれかまたはそれぞれが、固有の識別子、好ましくは、グローバル一意識別子(「GUID」)を含む、請求項1から33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記機器ゾーンのいずれかまたはそれぞれが、個々のMLモデルを介して監視および/または制御され、前記個々のMLモデルが、そのゾーンからのそれぞれの前記オブジェクト識別子からのデータに基づいて訓練される、請求項24から34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって工業プラントにおいて化学製品を製造するための少なくとも1つの機器を含むシステムであって、前記少なくとも1つの機器が計算ユニットに動作可能に結合されており、前記システムは、前記計算ユニットが、
- インターフェースを介して、投入材料データを含むオブジェクト識別子を提供することであって、前記投入材料データが、前記投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- 前記インターフェースを介して、前記機器からプロセスデータを受け取ることであって、前記プロセスデータが、前記投入材料が処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すことと、
- 前記オブジェクト識別子に、前記プロセスデータの少なくとも一部を加えることとを行う
ように構成されるように構成または適応されている、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって工業プラントにおいて化学製品を製造するための少なくとも1つの機器を含むシステム。
【請求項37】
命令を含む、コンピュータプログラム、またはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって工業プラントにおいて化学製品を製造するための少なくとも1つの機器に動作可能に結合された適切な計算ユニットによって前記プログラムが実行されたとき、前記計算ユニットに、
- インターフェースを介して、投入材料データを含むオブジェクト識別子を提供させ、前記投入材料データが、前記投入材料の1つまたは複数の特性を示しており、
- 前記インターフェースを介して、前記機器からプロセスデータを受け取らせ、前記プロセスデータが、前記投入材料が処理されるプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示しており、
- 前記オブジェクト識別子に、前記プロセスデータの少なくとも一部を加えさせる、コンピュータプログラム、またはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本教示は、概して、コンピュータ支援化学製造(computer assisted chemical production)に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
工業プラントにおいて、1つまたは複数の製品を製造するために投入材料が処理される。したがって、製造される製品の特性は、製造パラメータに依存する。通常、製品品質または製造安定性を保証するために製造パラメータを製品の少なくとも幾つかの特性に相関させることが望まれる。
【0003】
プロセス工業、または化学的または生物学的製造プラントなどの工業プラント内で、1つまたは複数の化学的または生物学的製品を製造するための製造プロセスを使用して、1つまたは複数の投入材料が処理される。プロセス工業における製造環境は複雑である可能性があり、したがって、製品の特性は、前記特性に影響する製造パラメータのばらつきに従って変動する場合がある。通常、製造パラメータとの特性の依存関係は複雑であり、特定のパラメータの1つまたは複数の組合せとのさらなる依存関係と絡み合っている可能性がある。したがって、一貫したおよび/または予測可能な品質で化学的または生物学的製品を製造することは困難である場合がある。
【0004】
個別処理(discrete processing)とは対照的に、連続的なキャンペーンまたはバッチプロセスなどの化学的または生物学的処理は、膨大な量の時系列データを提供する場合がある。しかしながら、従来の時系列アプローチを介した機械学習は、あまり実用的ではないことが確認された。なぜならば、価値連鎖(value chain)を横断する水平統合の必要性に従ってデータを統合することが困難である可能性があるからである。特に、容易かつ有意義なデータ交換または標準化は、大きな問題を課す可能性がある。
【0005】
したがって、バレルから最終製品までの価値連鎖を横断して品質および製造安定性を改善することができるアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要
従来技術の固有の問題のうちの少なくとも幾つかは、添付の独立請求項の主題によって解決されることが示される。さらなる有利な代替例のうちの少なくとも幾つかは、従属請求項に概説される。
【0007】
第1の観点から見た場合、工業プラントにおいて製造された化学製品をデジタル式に追跡するための方法であって、工業プラントが、少なくとも1つの機器を含み、製品が、機器を介して、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって製造され、方法が、
- インターフェースを介して、投入材料データを含むオブジェクト識別子を提供することであって、投入材料データが、投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- インターフェースを介して、機器からプロセスデータを受け取ることであって、プロセスデータが、投入材料が処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すことと、
- オブジェクト識別子に、プロセスデータの少なくとも一部を加えることとを含む、方法を提供することができる。
【0008】
出願人は、そうすることによって、製品を製造または処理するために投入材料が処理されたプロセスデータをオブジェクト識別子に封入することができることに気づいた。そうすることによって、化学製品のトレーサビリティを高めることができる。さらに、関連するプロセスデータは投入材料データとキャプチャされる場合があり、それにより、投入材料の特性との化学製品のあらゆる関係もキャプチャすることができる。これは、それらが化学製品のあらゆる1つまたは複数の特性に影響する場合がある様々な依存性の間のより完全な関係を提供することができる。別の利点は、投入材料特性および/またはプロセスパラメータの間に存在する場合がある様々な相互依存性の間の組合せもオブジェクト識別子内にキャプチャされるということである。したがって、加えられたオブジェクト識別子は、化学製品およびその特定の構成要素、または投入材料を追跡するのみならず、化学製品を生じるための原因となった特定のプロセスデータをも追跡するために使用することができる情報で強化される。その結果、加えられたオブジェクト識別子は、あらゆる機械学習(「ML」)およびそのような目的のために、より容易に統合されることができる。
【0009】
「工業プラント」または「プラント」は、制限なく、1つまたは複数の工業製品の製造、生産または処理の工業的目的、すなわち、工業プラントによって行われる製造もしくは生産プロセスまたはプロセシングのために使用されるあらゆる技術的インフラストラクチャを指す場合がある。工業製品は、例えば、化学的、生物学的、薬学的、食品、飲料、織物、金属、プラスチック、半導体などのあらゆる物理的製品であることができる。追加的または代替的に、工業製品は、サービス製品、例えば、リサイクルなどの回収または廃棄処理、1つまたは複数の化学製品への分解または溶解などの化学的処理であることもできる。したがって、工業プラントとは、化学プラント、プロセスプラント、薬剤プラント、石油および/または天然ガスなどの化石燃料処理施設、製油所、石油化学プラント、分留所などのうちの1つまたは複数である場合がある。工業プラントは、さらに、蒸留所、処理プラント、またはリサイクルプラントのうちのいずれかであることもできる。工業プラントは、さらに、上記の例またはそれらの類似のうちのいずれかの組合せであることもできる。
【0010】
インフラストラクチャは、熱交換器、分留塔などのカラム、炉、反応チャンバ、分留ユニット、貯蔵タンク、押出機、ペレタイザ、集塵機、ブレンダ、ミキサ、カッタ、硬化チューブ、気化器、フィルタ、ふるい、パイプライン、スタック、フィルタ、弁、アクチュエータ、ミル、トランスフォーマ、搬送システム、ブレーカ、機械、例えば、ヘビーデューティ回転機器、例えば、タービン、発電機、粉砕機、圧縮機、工業用ファン、ポンプ、コンベヤシステムなどの搬送エレメント、モータなどのうちのいずれか1つまたは複数などの機器またはプロセスユニットを含む場合がある。
【0011】
さらに、工業プラントは、典型的には、複数のセンサと、プラントにおけるプロセスに関連した少なくとも1つのパラメータまたはプロセスパラメータを制御するための少なくとも1つの制御システムとを含む。このような制御機能は、通常、センサのうちの少なくとも1つからの少なくとも1つの測定信号に応答して制御システムまたはコントローラによって行われる。プラントのコントローラまたは制御システムは、分散型制御システム(「DCS」)および/またはプログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)として実施される場合がある。
【0012】
したがって、工業プラントの機器またはプロセスユニットのうちの少なくとも幾つかは、工業製品のうちの1つまたは複数を製造するために監視および/または制御される場合がある。監視および/または制御は、さらに、1つまたは複数の製品の製造を最適化するために行われる場合がある。機器またはプロセスユニットは、1つまたは複数のセンサからの1つまたは複数の信号に応答して、DCSなどのコントローラを介して監視および/または制御される場合がある。加えて、プラントは、さらに、プロセスのうちの幾つかを制御するための少なくとも1つのプログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)を含む場合がある。工業プラントは、典型的には、監視および/または制御目的のために工業プラントに分散させられる場合がある複数のセンサを含む場合がある。このようなセンサは、大量データを生じる場合がある。センサは、機器の一部であると考えられても、または考えられなくてもよい。したがって、化学的および/またはサービス製造などの製造は、データヘビー環境であることができる。したがって、工業プラントは、大量のプロセス関連データを生じる場合がある。
【0013】
当業者は、工業プラントが通常、異なるタイプのセンサを含むことができる計装類を含む場合があることを認めるであろう。センサは、1つもしくは複数のプロセスパラメータを測定するためにおよび/または機器もしくはプロセスユニットに関連した機器動作条件もしくはパラメータを測定するために使用される場合がある。例えば、センサは、パイプライン内の流量、タンク内のレベル、炉の温度、ガスの化学的組成などのプロセスパラメータを測定するために使用される場合があり、幾つかのセンサは、粉砕機の振動、ファンの速度、弁の開放、パイプラインの腐食、変圧器における電圧などを測定するために使用することができる。これらのセンサの間の差は、それらが感知するパラメータのみに基づくことはできず、さらに、それぞれのセンサが使用する感知原理である場合がある。感知するパラメータに基づくセンサの幾つかの例は、温度センサ、圧力センサ、光センサなどの放射センサ、流れセンサ、振動センサ、変位センサ、およびガスなどの特定の物質を検出するためのセンサなどの化学的センサを含む場合がある。センサが使用する感知原理の観点から異なるセンサの例は、例えば、圧電センサ、ピエゾ抵抗センサ、熱電対、容量性センサなどのインピーダンスセンサおよび抵抗センサなどである場合がある。
【0014】
工業プラントは、さらに、複数の工業プラントの一部である場合がある。本明細書において使用される「複数の工業プラント」という用語は、広い用語であり、当業者にとって通常かつ慣用的な意味が与えられ、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されない。この用語は、特に、制限なく、少なくとも1つの共通の工業的目的を有する少なくとも2つの工業プラントの複合体を指す場合がある。特に、複数の工業プラントは、物理的および/または化学的に結合された少なくとも2つ、少なくとも5つ、少なくとも10、またはさらに多くの工業プラントを含む場合がある。複数の工業プラントは、複数の工業プラントを形成する工業プラントが、それらの価値連鎖、抽出物および/または製品のうちの1つまたは複数を共有する場合があるように結合される場合がある。複数の工業プラントは、コンパウンド、コンパウンドサイト、フェアブントまたはフェアブントサイトと呼ばれる場合もある。さらに、最終製品への様々な中間製品を介して複数の工業プラントの価値連鎖製造は、様々な工業プラントにおけるなど、様々なロケーションに分散化される場合があるか、またはフェアブントサイトまたはケミカルパークに統合される場合がある。このようなフェアブントサイトまたはケミカルパークは、1つもしくは複数の工業プラントである場合があるまたは1つもしくは複数の工業プラントを含む場合があり、少なくとも1つの工業プラントにおいて製造された製品は、別の工業プラントのための原料として役立つことができる。
【0015】
「製造プロセス」は、投入材料において使用されたまたは投入材料に適用されたときに化学製品を提供するあらゆる工業プロセスを指す。したがって、製造プロセスは、あらゆる製造もしくは処置プロセス、または化学製品を得るために使用される複数のプロセスの組合せであることができる。製造プロセスは、さらに、化学製品のパッケージングおよび/またはスタッキングを含む場合がある。
【0016】
「製造する」、「生産する」または「処理する」という用語は、製造プロセスの文脈において互換的に用いられる。これらの用語は、1つまたは複数の化学製品を生じる投入材料に対する工業プロセスのあらゆる種類の適用を包含する場合がある。
【0017】
本開示における「化学製品」は、化学的、薬学的、栄養、化粧、もしくは生物学的製品、またはさらにそれらの組合せのいずれかなどのあらゆる工業製品を指す場合がある。化学製品は、全体的に天然成分からなる場合があるか、または少なくとも部分的に1つもしくは複数の合成成分を含む場合がある。化学製品の幾つかの非限定的な例は、有機もしくは無機組成物、モノマー、ポリマー、発泡体、殺虫剤、除草剤、肥料、餌、栄養製品、前駆体、薬剤もしくは治療製品、またはそれらの成分もしくは活性成分のうちのいずれか1つもしくは複数である。幾つかの場合、化学製品は、さらに、エンドユーザまたは消費者によって使用可能な製品、例えば、化粧または薬剤組成物である場合がある。化学製品は、さらに、さらなる1つまたは複数の製品を作製するために利用可能な製品である場合があり、例えば、化学製品は、靴用のソールを製造するために利用可能な合成フォーム、または自動車外装のために利用可能なコーティングである場合がある。化学製品は、あらゆる形態で、例えば、固体、半固体、ペースト、液体、エマルジョン、溶液、ペレット、下流、または粉末の形態である場合がある。
【0018】
したがって、化学製品は、特にそれらの製造プロセス中にトレースまたは追跡することが困難である可能性がある。製造中、投入材料などの材料は、他の材料と混合される場合がある、および/または投入材料は、例えば、異なる方式で処理するために、製造チェーンの下流で異なる部分に分割される場合がある。時には、化学製品は、分割され、異なるパッケージにパッケージングされる場合がある。幾つかの場合、パッケージングされた製品またはその部分にラベル付けすることが可能である場合があるが、その特定の化学製品またはその部分を製造するための原因となった製造プロセスの詳細を取り付けることは困難である場合がある。多くの場合、投入材料および/または化学製品は、物理的にそれらにラベル付けすることが困難である形態である場合がある。したがって、本教示は、このような制限を克服するために1つまたは複数の物体識別子も使用することができる方法を提供する。
【0019】
製造プロセスは連続的である場合があり、キャンペーンにおいて、例えば、回復を要求する触媒に基づく場合、バッチ化学製造プロセスである場合がある。これらの製造タイプの間の1つの主な相違は、製造中に生成されるデータにおいて生じる周波数である。例えば、バッチプロセスにおいて、製造データは、製造プロセスの開始から最後のバッチまで、そのランにおいて製造された異なるバッチにわたって延びている。連続的セッティングにおいて、データはより連続的であり、製造の動作における潜在的なシフトおよび/またはメンテナンス・ドリブン・ダウンタイムを含む。
【0020】
「プロセスデータ」は、例えば、1つまたは複数のセンサを介して製造プロセス中に測定された値、例えば、数値または2進信号値を含むデータを指す。プロセスデータは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件のうちの1つまたは複数の時系列データである場合がある。好ましくは、プロセスデータは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件の時間情報を含み、例えば、データは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件に関連するデータポイントのうちの少なくとも幾つかのためのタイムスタンプを含む。より好ましくは、プロセスデータは、時間-スペースデータ、すなわち、時間データおよび物理的に離間した1つまたは複数の機器ゾーンに関連する位置またはデータを含み、これにより、時間-スペース関係をデータから導き出すことができる。時間-スペース関係は、例えば、任意の時点の投入材料の位置を計算するために使用することができる。
【0021】
「プロセスパラメータ」は、製造プロセス関連変数のいずれか、例えば、温度、圧力、時間、レベルなどのうちのいずれか1つまたは複数を指す場合がある。
【0022】
「投入材料」は、化学製品を製造するために使用される少なくとも1つの原料または未処理材料を指す場合がある。投入材料は、あらゆる有機もしくは無機物質またはさらにはそれらの組合せである場合がある。したがって、投入材料は、さらに、混合物である場合があるまたはあらゆる形式における複数の有機および/または無機成分を含む場合がある。幾つかの場合、投入材料は、例えば、上流処理施設またはプラントからの、中間の処理された材料である場合もある。
【0023】
「投入材料データ」は、投入材料の1つまたは複数の特性または性質に関連するデータを指す。したがって、投入材料データは、投入材料の量などの性質を示す値のうちのいずれか1つまたは複数を含む場合がある。代替的にまたは加えて、量を示す値は、投入材料の充填度および/または質量流量である場合がある。値は、好ましくは、機器に動作可能に結合されたまたは含まれた1つまたは複数のセンサを介して測定される。代替的にまたは加えて、投入材料データは、投入材料に関する試料/試験データを含む場合がある。代替的にまたは加えて、投入材料データは、密度、濃度、純度、pH、組成、粘度、温度、重量、体積などのうちのいずれか1つまたは複数などの、投入材料のあらゆる物理的および/または化学的特性を示す値を含む場合がある。代替的に、または加えて、投入材料データは、投入材料に関連した性能データを含む場合がある。
【0024】
基礎となる化学的製造環境の処理機器によって処理されている投入材料が、以下では「パッケージオブジェクト」(またはそれぞれ「物理的パッケージ」または「製品パッケージ」)と呼ばれる、物理的なまたは現実世界のパッケージに分割される。このようなパッケージオブジェクトのパッケージサイズは、例えば、材料重量または材料量によって固定することができるか、またはそれに対してかなり一定のプロセスパラメータまたは機器動作パラメータを処理機器によって提供することができる重量または量に基づいて判定することができる。このようなパッケージオブジェクトは、ドージングユニットによって投入液体および/または固体原材料から形成することができる。
【0025】
このようなパッケージオブジェクトのその後の処理は、言及された機器と結合されているまたはさらには機器の一部である計算ユニットを介して各パッケージオブジェクトに割り当てられたいわゆる「オブジェクト識別子」を含む対応するデータオブジェクトによって管理される。基礎となるパッケージオブジェクトの対応する「オブジェクト識別子」を含むデータオブジェクトは、計算ユニットのメモリストレージエレメントに格納されている。
【0026】
データオブジェクトは、機器を介して提供されるトリガ信号に応答して、好ましくは、機器ユニットのそれぞれに配置された対応するセンサの出力に応答して生成することができる。上述のように、基礎となる工業プラントは、異なるタイプのセンサ、例えば、1つもしくは複数のプロセスパラメータを測定するためのおよび/または機器またはプロセスユニットに関連する機器動作条件もしくはパラメータを測定するためのセンサを含む場合がある。
【0027】
言及された「オブジェクト識別子」は、より具体的には、投入材料のためのデジタル識別子を指す。オブジェクト識別子は、好ましくは、計算ユニットによって生成される。オブジェクト識別子の提供または生成は、機器によって、または例えば機器からのトリガイベントまたは信号に応答して、トリガされる場合がある。オブジェクト識別子は、計算ユニットに動作可能に結合されたメモリストレージエレメントに格納されている。メモリストレージは、少なくとも1つのデータベースを含む場合がある、または少なくとも1つのデータベースの一部である場合がある。したがって、オブジェクト識別子は、さらに、データベースの一部である場合がある。オブジェクト識別子があらゆる適切な形式を介して提供される場合がある、例えば、送信される、受信される場合があるまたは生成される場合がある。
【0028】
「計算ユニット」は、1つまたは複数の処理コアを有する、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどの処理手段もしくはコンピュータプロセッサを含む場合があるまたはそれらである場合がある。幾つかの場合、計算ユニットは、少なくとも部分的に機器の一部である場合があり、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)または分散型制御システム(「DCS」)などのプロセスコントローラである場合がある、かつ/または少なくとも部分的にリモートサーバである場合がある。したがって、計算ユニットは、機器に動作可能に接続された1つまたは複数のセンサから1つまたは複数の入力信号を受信する場合がある。計算ユニットが機器の一部ではない場合、計算ユニットは、機器から1つまたは複数の入力信号を受信する場合がある。代替的にまたは加えて、計算ユニットは、機器に動作可能に結合された1つまたは複数のアクチュエータまたはスイッチを制御する場合がある。1つまたは複数のアクチュエータまたはスイッチは、動作的に、さらに、機器の一部である場合がある。
【0029】
「メモリストレージ」は、適切なストレージ媒体におけるデータの形式の情報の記憶のためのデバイスを指す場合がある。好ましくは、メモリストレージは、コンピュータプロセッサを介して読取可能な機械可読の、例えばデジタルデータであるデジタル形式の情報を記憶するのに適したデジタルストレージである。したがって、メモリストレージは、コンピュータプロセッサによって読取可能デジタルメモリストレージデバイスとして実現される場合がある。さらに好ましくは、デジタルメモリストレージデバイスにおけるメモリストレージは、コンピュータプロセッサを介して操作される場合もある。例えば、デジタルメモリストレージデバイスに記録されたデータのあらゆる部分は、コンピュータプロセッサによって書き込まれるかつ/または消去されるかつ/または部分的または全体的に新たなデータで上書きされる場合がある。
【0030】
「計算ユニット」は、1つもしくは複数の処理コアを有する、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどの処理手段もしくはコンピュータプロセッサを含む場合があるまたはそれらである場合がある。幾つかの場合、計算ユニットは、少なくとも部分的に機器の一部である場合があり、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)もしくは分散型制御システム(「DCS」)などのプロセスコントローラである場合があり、かつ/または少なくとも部分的にリモートサーバである場合がある。したがって、計算ユニットは、機器に動作可能に接続された1つまたは複数のセンサから1つまたは複数の入力信号を受信する場合がある。計算ユニットが機器の一部ではない場合、計算ユニットは、機器から1つまたは複数の入力信号を受信する場合がある。代替的にまたは加えて、計算ユニットは、機器に動作可能に結合された1つまたは複数のアクチュエータまたはスイッチを制御する場合がある。1つまたは複数のアクチュエータまたはスイッチは、動作可能に、さらに、機器の一部である場合がある。
【0031】
したがって、計算ユニットは、例えば、機器動作条件のうちの1つまたは複数を操作することを介して、アクチュエータまたはスイッチおよび/またはエンドエフェクタユニットのうちのいずれか1つまたは複数を制御することによって、製造プロセスに関連する1つまたは複数のパラメータを操作することができる場合がある。制御は、好ましくは、機器から検索された1つまたは複数の信号に応答して行われる。
【0032】
この文脈における「エンドエフェクタユニット」または「エンドエフェクタ」は、機器の周囲の環境と相互作用するという目的を有する、機器の一部であるかつ/または機器に動作可能に接続されている、したがって、機器および/または計算ユニットを介して制御可能なデバイスを指す。幾つかの非限定的な例として、エンドエフェクタは、さらに環境、例えば、投入材料および/または化学製品と相互作用するように設計されたカッタ、グリッパ、噴霧器、混合ユニット、押出機チップなど、またはそれらのそれぞれの部分である場合がある。
【0033】
投入材料の場合の「性質」は、投入材料の量のうちのいずれか1つまたは複数、バッチ情報、投入材料の純度、濃度、またはあらゆる特性などの質を明示する1つまたは複数の値を指す場合がある。
【0034】
「インターフェース」は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素、少なくとも部分的に機器の一部であるか、またはオブジェクト識別子が提供される別の計算ユニットの一部である場合がある、幾つかの場合、インターフェースは、例えば、ネットワークにおけるハードウェア構成要素および/またはプロトコルレイヤの2つのピースとインターフェースするために、少なくとも1つのネットワークに接続する場合もある。例えば、インターフェースは、機器と計算ユニットとの間のインターフェースである場合がある。幾つかの場合、機器は、ネットワークを介して計算ユニットに通信可能に結合される場合がある。したがって、インターフェースは、さらにネットワークインターフェースである場合があるか、またはネットワークインターフェースを含む場合がある。幾つかの場合、インターフェースは、さらに、接続性インターフェースである場合があるか、または接続性インターフェースを含む場合がある。
【0035】
「ネットワークインターフェース」は、ネットワークとの動作可能な接続を許容する、デバイスまたは1つもしくは複数のハードウェアおよび/もしくはソフトウェア構成要素のグループを指す。
【0036】
「接続性インターフェース」は、伝送または交換または信号またはデータなどの通信を確立するためのソフトウェアおよび/またはハードウェアインターフェースを指す。通信は、有線である場合がある、または無線である場合がある。接続性インターフェースは、好ましくは、1つもしくは複数の通信プロトコルに基づくまたは1つもしくは複数の通信プロトコルをサポートする。通信プロトコルは、無線プロトコルである場合があり、例えば、Bluetooth(登録商標)もしくはWiFiなどの短距離通信プロトコル、またはセルラーもしくはモバイルネットワーク、例えば、第二世代セルラーネットワークすなわち(「2G」)、3G、4G、Long-Term Evolution(「LTE」)、もしくは5Gなどの長距離通信プロトコルである場合がある。代替的にまたは加えて、接続性インターフェースは、さらに、専用短距離または長距離プロトコルに基づく場合がある。接続性インターフェースは、あらゆる1つまたは複数の標準および/または専用プロトコルをサポートする場合がある。接続性インターフェースおよびネットワークインターフェースは、同じユニットである場合があるまたは異なるユニットである場合がある。
【0037】
本明細書に説明される「ネットワーク」は、あらゆる適切な種類のデータ伝送媒体、有線、無線、またはそれらの組合せである場合がある。特定の種類のネットワークは、本教示の範囲または一般論に限定されない。したがって、ネットワークは、少なくとも1つの通信終点と別の通信終点との間のあらゆる適切な任意の相互接続を指すことができる。ネットワークは、1つまたは複数の分散ポイント、ルータまたはその他のタイプの通信ハードウェアを含む場合がある。ネットワークの相互接続は、物理的にハードな配線、光学的および/または無線ラジオ周波数方法によって形成される場合がある。ネットワークは、特に、配線によって完全にまたは部分的に形成された物理的ネットワーク、例えば、ファイバ光学ネットワークもしくは導電性ケーブルによって完全にもしくは部分的に形成されたネットワークまたはそれらの組合せである場合があるあるいはそれらを含む場合がある。ネットワークは、少なくとも部分的にインターネットを含む場合がある。
【0038】
「機器」は、工業プラント内のいずれか1つまたは複数のアセットを指す場合がある。非限定的な例として、機器は、計算ユニットもしくはプログラマブルロジックコントローラ(「PLC」)などのコントローラもしくは分散型制御システム(「DCS」)、センサ、アクチュエータ、エンドエフェクタユニット、コンベヤシステムなどの搬送エレメント、ヒータなどの熱交換器、炉、冷却ユニット、反応器、ミキサ、フライス盤、チョッパ、圧縮機、スライサ、押出機、乾燥機、噴霧器、圧力もしくは真空チャンバ、チューブ、ビン、サイロおよび工業プラントにおける製造のためにもしくはその間に直接的もしくは間接的に使用されるあらゆるその他の種類の装置のいずれか1つもしくは複数、またはそれらのあらゆる組合せを指す場合がある。好ましくは、機器は、特に、製造プロセスに直接的または間接的に関与するアセット、装置または構成要素を指す。より好ましくは、化学製品の性能に影響することができるアセット、装置または構成要素である。機器はバッファされている場合があるかまたはバッファされていない場合がある。さらに、機器は、混合を伴うまたは伴わない、分離を伴うまたは伴わない場合がある。混合なしのバッファされていない機器の幾つかの非限定的な例は、コンベヤシステムまたはベルト、押出機、ペレタイザおよび熱交換器である。混合ありのバッファされた機器の幾つかの非限定的な例は、バッファサイロ、ビンなどである。混合ありのバッファされた機器の幾つかの非限定的な例は、ミキサを備えるサイロ、混合容器、切断ミル、二重円錐形ブレンダ、硬化チューブなどである。混合ありのバッファされていない機器の幾つかの非限定的な例は、静的または動的ミキサなどである。分離ありのバッファされた機器の幾つかの非限定的な例は、カラム、セパレータ、抽出、薄膜気化器、フィルタ、ふるいなどである。機器は、さらに、オクタビンフィリング、ドラム、バッグ、タンクトラックなどの貯蔵もしくはパッケージングエレメントであるまたはそれらを含む場合もある。
【0039】
「機器動作条件」という用語は、機器の状態を表すあらゆる特性または値、例えば、セットポイント、コントローラ出力、製造シーケンス、較正ステータス、あらゆる機器関連警告、振動測定、速度、温度、フィルタ差圧などのファウリング値、メンテナンス日などのうちのいずれか1つまたは複数を指す。
【0040】
したがって、プロセスデータの少なくとも一部はオブジェクト識別子に加えられることが認められるであろう。投入材料が機器によって処理されたプロセスデータが全体的にオブジェクト識別子に含まれるか、または前記データの一部が加えられるもしくはセーブされる。したがって、投入材料を処理するために関連していたプロセスデータのスナップショットは、利用可能にされるかまたはオブジェクト識別子とリンクされる。プロセスデータの全体またはその一部がセーブされるかどうかは、例えば、プロセスデータのどのサブセットがオブジェクト識別子に加えられるべきかに関する計算ユニットを介した判定に基づく場合がある。判定は、例えば、化学製品の所望の特性に影響を有するよりもプロセスパラメータおよび/または機器動作条件に最も優勢に基づいて行われる場合がある。これは、ある場合、特にオブジェクト識別子に大量のデータを加えるよりもむしろ、関連するプロセスデータが大きい場合に有利であることができ、計算ユニットは、プロセスデータのサブセットのいずれが加えられるかを判定する場合がある。したがって、オブジェクト識別子に加えられたプロセスデータの部分は、計算ユニットを介して判定される場合がある。さらに、判定は、1つまたは複数のMLモデルに基づくことができる。このようなモデルは、本開示において以下でより詳細に説明される。
【0041】
さらに1つの態様によれば、オブジェクト識別子は、プロセス特定データも加えられる。プロセス特定データは、製造プロセスレシピ、バッチデータ、レシピエントデータ、および化学製品への投入材料の変換に関連するデジタルモデルのうちのいずれか1つまたは複数である場合がある。デジタルモデルは、化学製品への投入材料の変換に関連する1つまたは複数の物理的および/または化学的変化を表す機械可読数学モデルのうちのいずれか1つまたは複数である場合がある。レシピエントデータは、例えば、1つまたは複数の顧客注文および/または仕様に関連するデータである場合がある。バッチデータは、製造中のバッチおよび/または同じ機器を介して製造された前の製品に関連するデータに関連する場合がある。そうすることによって、化学製品のトレーサビリティは、さらに、関連するプロセス特定データを束ねることによって改善することができる。より具体的には、バッチデータは、同じ機器を介して少なくとも部分的に製造される化学製品の製造をより最適に順序付けるために使用することができるが、この化学製品は、1つまたは複数の異なる特性または仕様を有する。例えば、このような化学製品の製造は、後続のバッチが前のバッチにより最も影響を受けない形式で、調整および/または順序付けされることができる。例えば、2つ以上の化学製品が異なる色である場合、製造の順序は計算ユニットを介して判定される場合があり、それにより、前の製品からの色の痕跡に関して、後に製造される製品は、前に製造された化学製品により最も影響を受けない。
【0042】
1つの態様によれば、加えられたオブジェクト識別子は、投入材料データおよび/または特定のプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を化学製品の少なくとも1つの性能パラメータに相関させるまたはマッピングするために使用可能である。
【0043】
「性能パラメータ」は、化学製品のいずれか1つまたは複数の特性である場合がある、またはそれを示す場合がある。したがって、性能パラメータは、特定の用途または使用のための化学製品の、適合性を示す1つまたは複数の所定の基準、または適合性の程度を満たすべきこのようなパラメータである。ある場合には、性能パラメータは、化学製品の特定の適用または使用のための、適合性の欠如、または不適合性の程度を示す場合があることが認められるであろう。非限定的な例として、性能パラメータは、引張強度などの強度、色、濃度、組成、粘度、ヤング率値などの剛性、パーツ・パー・ミリオン(「ppm」)値などの純度または不純度、平均故障時間(「MTTF」)などの故障率、または例えば所定の基準を使用する試験を介して判定される、あらゆる1つもしくは複数の値もしくは値範囲のうちのいずれか1つまたは複数である場合がある。したがって、性能パラメータは、化学製品の性能または品質を表す。所定の基準は、例えば、化学製品の品質または性能を判定するために、それに対して化学製品の性能パラメータが比較される1つまたは複数の基準値または範囲である場合がある。所定の基準は、1つまたは複数の試験を使用して判定されている場合があり、したがって、1つまたは複数の特定の使用または用途に適している化学製品のための性能パラメータに対する要求を規定する。
【0044】
通常、性能パラメータは、製造中および/または製造後に収集された化学製品1つまたは複数の試料から判定される。試料は、実験室へ運ばれ、性能パラメータを判定するために分析される場合がある。試料を収集し、処理または試験し、次いで試験結果を分析する活動全体は、かなりの時間および資金を費やす可能性があることが認められるであろう。
【0045】
したがって、試料を収集することと、投入材料および/またはプロセスパラメータおよび/または機器動作条件におけるあらゆる調整を実施することとの間にかなりの遅れが生じる可能性がある。この遅れまたはラグは、最適未満の化学製品が製造されるという結果を生じる場合があるか、または最悪の場合、試料が分析され、投入材料および/またはプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を調整することによるあらゆる修正動作が行われるまで、製造が停止させられる。
【0046】
投入材料および/またはプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を調整するためのサンプリングアプローチにおけるラグの効果を少なくとも減じるためのソリューションとして、MLモデルが、加えられたオブジェクト識別子を使用して訓練される。
【0047】
したがって、1つの態様によれば、回帰またはディープラーニングモデルなどのMLモデルは、オブジェクト識別子からのデータに基づいて訓練される場合がある。データは、MLモデルを訓練するために使用される場合があり、履歴および/もしくは現在の実験室試験データ、または過去および/もしくは最近の試料からのデータも含む場合がある。例えば、画像分析、実験室機器またはその他の測定技術などの1つまたは複数の分析からの品質データが使用される場合がある。
【0048】
したがって、加えられたオブジェクト識別子データにより訓練されたMLモデルは、性能パラメータのうちの1つまたは複数を予測するために使用することができる。したがって、サンプリングおよび試験要求の少なくとも幾つかを除去することができ、したがって、時間および資源を節約する。例えば、MLモデルへのインプットは、投入材料データおよび/またはプロセスパラメータおよび/または化学製品の製造において使用される機器動作条件であることができるが、MLモデルの出力サイドにおいて、性能パラメータのうちの1つまたは複数であることができる。当業者は、このようなMLモデルが、1つまたは複数の性能パラメータを必要としたまたは望んだ化学製品を得るためのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件のうちの1つまたは複数を制御するために使用される場合もあることを認めるであろう。したがって、MLモデルは、製造プロセスを監視するために使用することができる。
【0049】
さらに、MLモデルは、例えば、計算ユニットおよび/または機器を介して、製造プロセスを制御するために使用することができる。例えば、機器動作条件を好ましくは閉ループ形式で調整するためにMLモデルを使用することができ、すなわち、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件の1つまたは複数の値を測定し、次いで、機器動作条件を調整するために使用される出力を生成することによって行われ、これにより、調整されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件が、1つまたは複数の所要のまたは予め決定された特性または性能パラメータを有する制御された化学製品を生じる。したがって、所要の性能の範囲外の化学製品の廃棄を少なくとも減じることができる。したがって、機器動作条件がプロセスパラメータにおける望ましくない変動に適合させられることを保証しながら、製造をオンザフライで制御することができる。加えて、または代替的に、訓練されたMLモデルの入力は、製造が開始されるときの投入材料の投入材料データであることもできる。したがって、MLモデルは、機器動作条件を適合させることができ、これにより、所望の特性または性能を備える化学製品を製造するために、投入材料特性におけるあらゆる変動も考慮される。したがって、製造または製造プロセスは、より一貫した、予測可能なものとなることができる。さらに、製造は、異なる用途のために必要とされる化学製品特性の変化する程度に従って自動的に合わせられる場合もある。したがって、製造プロセスは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件のより細かい制御を可能にすることにより精密にチューニング可能となることができる。幾つかの場合、MLモデルは、どのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件が化学製品に最も支配的な効果を有するかを決定するために計算ユニットによって使用される場合もある。したがって、計算ユニットは、化学製品の特性に無視できる効果を有するプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を除外するように有効化される。これにより、特定の化学製品のためのプロセスデータの適合性を、それらのそれぞれのオブジェクト識別子のために高めることができる。
【0050】
1つの態様によれば、機器は、複数のゾーンを含み、それにより、製造または製造プロセスの間、投入材料が第1の機器ゾーンから第2の機器ゾーンへ前進する。さらなる態様によれば、オブジェクト識別子が第1の機器ゾーンにおいて提供され、第2のオブジェクト識別子が第1の機器ゾーンを横断した後に第2の機器ゾーンにおける投入材料の進入時に提供される。オブジェクト識別子は、第1の機器ゾーンからのプロセスデータの少なくとも一部が加えられる。第2のオブジェクト識別子は、第2の機器ゾーンからのプロセスデータの少なくとも一部が加えられる。第2のオブジェクト識別子は、オブジェクト識別子、もしくはより具体的には加えられたオブジェクト識別子からのデータを少なくとも部分的に封入するまたはそれによって強化される場合がある。代替的に、第2のオブジェクト識別子は、オブジェクト識別子にリンクされる場合がある。言い換えれば、第2のオブジェクト識別子は、オブジェクト識別子または加えられたオブジェクト識別子が加えられる。加えられたオブジェクト識別子および第2のオブジェクト識別子は、同じ位置に配置される場合があるか、または異なる位置に配置される場合がある。したがって、第2のオブジェクト識別子は、あるいは少なくとも部分的に第2のオブジェクト識別子の一部であるオブジェクト識別子によってオブジェクト識別子に関連させられている。同様に、第2のオブジェクト識別子は、あるいは少なくとも部分的に第2のオブジェクト識別子の一部である加えられたオブジェクト識別子によって、加えられたオブジェクト識別子に関連させられている。
【0051】
当業者は、「加えている」または「加える」という用語が、同じデータベースにおける、または同じメモリストレージエレメントにおける、データベースまたはメモリストレージにおける隣接するまたは異なる位置における、異なるデータエレメントを含むまたは取り付ける、例えば、節約することを意味する場合があるということを認めるであろう。この用語は、必要とされる場合にデータパッケージまたはストリームを読み出すかつ/またはフェッチするかつ/または組み合わせることができる形式で、同じまたは異なる位置における1つまたは複数のデータエレメント、パッケージまたはストリームのリンクを意味する場合もある。位置のうちの少なくとも1つは、リモートサーバの部分であるかまたはさらには少なくとも部分的にクラウドベースサービスの一部である場合がある。
【0052】
「リモートサーバ」は、プラントから離れて配置された1つもしくは複数のコンピュータまたは1つもしくは複数のコンピュータサーバを指す。したがって、リモートサーバは、プラントから数キロメートル以上に配置される場合がある。リモートサーバは、さらに、異なる国に配置される場合がある。リモートサーバは、さらに、少なくとも部分的にクラウドベースサービスまたはプラットフォームとして、実装される場合がある。この用語は、さらに、集合的に、異なる位置に配置された2つ以上のコンピュータまたはサーバを指す場合がある。リモートサーバは、データ管理システムである場合がある。
【0053】
第1のゾーンを横断した後の投入材料は、投入材料が第1のゾーンに進入した時点とは性質が実質的に異なる場合があることが認められるであろう。したがって、第2のゾーンにおける投入材料の進入時、投入材料は、中間処理材料に変換している場合がある。しかしながら、単純化のため、本教示の一般性を失うことなく、投入材料という用語は、製造プロセス中の投入材料がこのような中間処理材料に変換した場合をも指すために使用される。例えば、化学成分の混合物の形式の投入材料のバッチが、化学反応を誘発するためにバッチが加熱されるコンベヤベルト上の第1のゾーンを横断している場合がある。その結果、第1のゾーンを出た直後またはその他のゾーンも横断した直後、投入材料が第2のゾーンに進入するとき、材料は、投入材料とは特性が異なる中間処理材料になっている場合がある。しかしながら、上記で言及したように、このような中間処理材料もさらに投入材料と称することができる。なぜならば、少なくとも、このような中間処理材料と投入材料との関係は、製造プロセスを介して規定および決定することができるからである。さらに、その他の場合、投入材料は、さらに、例えば、第1のゾーンが投入材料を単に乾燥させるかまたは望ましくない材料のトレースを除去するために投入材料を濾過する場合、第1のゾーンまたはその他のゾーンをも横断した後でも基本的に類似の特性を保持している場合がある。したがって、当業者は、中間ゾーンにおける投入材料が中間処理材料に変換される場合があるまたは変換されない場合があることを理解するであろう。
【0054】
第1の機器ゾーンからのプロセスデータ、または第1のプロセスデータは、投入材料データおよび/または第1のゾーンプロセスパラメータおよび/または第1のゾーン機器動作条件を中間処理材料の少なくとも1つの性能パラメータと相関させるために使用可能である。
【0055】
第2の機器ゾーンからのプロセスデータ、または第2のプロセスデータは、投入材料データおよび/または中間処理材料データおよび/または第1のゾーンプロセスパラメータおよび/または第1のゾーン機器動作条件および/または第2のゾーンプロセスパラメータおよび/または第2のゾーン機器動作条件を化学製品の少なくとも1つの性能パラメータに相関させるために使用可能である。
【0056】
中間処理材料は、中間オブジェクト識別子が提供される場合があるか、または幾つかの場合には提供されない場合がある。出願人は、投入材料、もしくは中間処理材料が他の材料と組み合わされた場合、または投入材料、もしくは中間処理材料が多数の部分に分割もしくは断片化される場合、第2のオブジェクト識別子を生成することがより有利であることを発見した。またはより一般的に、オブジェクト識別子を提供した後、第2のオブジェクト識別子またはあらゆるその他のオブジェクト識別子の生成は、材料質量流が変化するゾーンにおいてのみ行われる場合がある。質量流量変化は、投入材料もしくは中間処理材料への新たな材料の付加もしくは混合および/または投入材料もしくは中間処理材料からの材料の除去もしくは分割の結果である質量の変化である場合がある。例えば、水分の除去による、または幾つかの場合に製造中の化学反応によって生じるガスの放出による質量の変化は、第2のまたはさらなるオブジェクト識別子をトリガする発生から排除される場合がある。特に、投入材料の質量の実質的な変化が生じないときのゾーンにおいて、さらなるオブジェクト識別子は提供されない場合がある。質量の「実質的な変化」のための制限を明示することは本明細書では必須ではない。なぜならば、当業者は、それが、他の要因の中でも特に、投入材料および/または製造されている化学製品のタイプに依存する場合があることを認めるからである。例えば、幾つかの場合、20%以上の質量の変化は実質的であると考えられる場合がある一方、他では5%以上、または幾つかの場合には1%以上、またはおそらくさらにはより低い%値である。例えば、貴重な製品の場合、より貴重でない別の製品と比較して、より小さな変化が著しいと考えられる場合がある。
【0057】
幾つかの例として、第1の機器ゾーンの後の機器ゾーンにおけるオブジェクト識別子の提供または生成の判定は、以下のうちのいずれかに基づく場合がある;機器ゾーンにおける逆混合度が、前記機器ゾーンに先行するゾーンにおけるパッケージのサイズよりも小さいかまたはほぼそのサイズである場合に新たなオブジェクト識別子を提供しない、機器ゾーンにおける逆混合度が、前記機器ゾーンに先行するゾーンにおけるパッケージのサイズよりも大きい場合、新たなオブジェクト識別子を提供する、1つまたは複数の搬送システムまたは要素を伴う搬送ゾーンでしかない機器ゾーンにおいて新たなオブジェクト識別子を提供しない、機器ゾーンが、前記ゾーンにおける材料の分離を伴い、1つまたは複数の構成要素が、材料の分離された構成要素である場合、1つまたは複数の構成要素のための新たなオブジェクト識別子を提供する、少なくとも1つのパッケージへの材料の充填またはパッケージングを伴い、各パッケージが、1つまたは複数の化学製品を含む場合、機器ゾーンにおいて少なくとも1つの新たなオブジェクト識別子を提供する。
【0058】
投入材料、中間処理材料または化学製品の試料が分析のために収集される場合、このような試料は、また、試料オブジェクト識別子が提供される場合がある。試料オブジェクト識別子は、本開示において説明されたオブジェクト識別子およびしたがって説明したように加えられた関連するプロセスデータと類似であることができる。したがって、試料は、前記試料の特性に関連する製造プロセスの正確なスナップショットが添付されることもできる。したがって、分析および品質制御をさらに改良することができる。さらに、製造プロセスは、例えば、1つもしくは複数のMLモデルの改良された訓練および/またはオブジェクト識別子によって提供された製造プロセスのより細かい制御に基づいて、相乗的に改良することができる。
【0059】
したがって、1つの態様によれば、オブジェクト識別子または第1のオブジェクト識別子は第1の機器ゾーンにおいて提供され、第2の機器ゾーンからのプロセスデータの少なくとも一部は、第2の機器ゾーンにおける進入後に同じオブジェクト識別子に加えられる。第2の機器ゾーンは、第2の機器ゾーンに進入する材料の量が、材料が第2の機器ゾーンにおける進入前に処理されたゾーンにおける材料の量と同じまたは実質的に同じであるようになっている場合がある。前記ゾーンは、第1の機器ゾーンである場合があるか、または第1の機器ゾーンと第2の機器ゾーンとの間の中間機器ゾーンである場合があり、この中間機器ゾーンを、投入材料または中間処理材料が、第1の機器ゾーンを出た後、第2の機器ゾーンに進入する前に通過する。新たな製造材料は投入材料に付加されておらず、量は、第1の機器ゾーンにおける進入時と実質的に同じであるので、このようなゾーンからの関連するプロセスデータを加えるために、同じオブジェクト識別子を使用することができる。量が、第1の機器ゾーンと第2の機器ゾーンとの間、例えば、中間機器ゾーンにおける進入時に変化しているならば、中間機器ゾーンからのデータを加えるために、中間機器ゾーンにおいて中間オブジェクト識別子を提供することができることが認められるであろう。その場合、第2の機器ゾーンにおいて進入する材料の量が、中間機器ゾーンにおける材料の量と同じまたは実質的に同じであるならば、中間オブジェクト識別子を第2の機器ゾーンのために使用することができる。
【0060】
したがって、1つの態様によれば、2つ以上の製造材料が集束する製造プロセス中の発生もしくはポイント、または等しいもしくは等しくない部分への分割などにより、1つまたは複数の材料が分散する場合、1つの態様によるこれらの発生のタイプは、第2のまたはさらなるオブジェクト識別子の生成をトリガするために使用される。または異なる用語において、新たな材料との組合せによるまたは分割による材料のポーションサイズの変化は、新たな識別子をトリガする。これを行うことによって、製造プロセスを通過する投入材料をトレースするための十分なデータ粒度を保持しながら、過剰に多数またはオブジェクト識別子を提供することを防止することができる。出願人は、製造プロセス、またはより具体的にはゾーン内で受けるプロセスの知識は、そこでのあらゆる質量変化、例えば、ゾーン内で生じる化学反応による投入材料からの気体成分の蒸発または放出を説明するために十分であり得ることに気づいた。このような変化は、多くの場合、小さいおよび/またはプロセス知識、例えば、1つまたは複数の化学反応式に基づく質量収支計算に基づいて計算可能である。例えば、第1のゾーンにおける進入時の投入材料の質量を知ることによっておよび投入材料が第1のゾーンにおいて受ける反応の化学反応式を知ることによって、投入材料または中間処理材料が第1のゾーンから出たときに質量の大きな変化が生じるかどうかおよびどのように生じるかを計算することができる。前に説明したように、プロセスデータの少なくとも一部は、オブジェクト識別子に加えられる。したがって、加えられたオブジェクト識別子は、投入材料または中間処理材料を追跡するためのみならず、中間処理材料の特性、または中間処理材料から生成された材料の別のポーションサイズの特性を決定したデータをも追跡するために、使用することができる。
【0061】
別の態様によれば、製造プロセスが、投入材料が、例えば、コンベヤシステムなどの搬送エレメントを使用してゾーンにおいて物理的に搬送されるまたは移動させられることを伴う場合、プロセスデータは、搬送エレメントの速度および/または製造プロセス中に投入材料が搬送される速度を示すデータも含む場合がある。速度は、センサのうちの1つもしくは複数を介して直接に提供される場合があるかつ/または計算ユニットを介して、例えば、ゾーンにおける進入の時間およびゾーンからの退出の時間もしくはそのゾーンの後続の別のゾーンにおける進入の時間に基づいて、計算される場合がある。したがって、オブジェクト識別子は、ゾーンにおける時間態様、特に、化学製品の1つまたは複数の性能パラメータに影響を与える場合があるものを処理することによってエンリッチすることができる。さらに、進入および退出または後続ゾーン進入のタイムスタンプを使用することによって、搬送エレメントのための速度測定センサまたはデバイスの要求を排除することができる。
【0062】
したがって、より具体的な態様によれば、投入材料からの質量が中間材料と組み合わされるこのようなゾーンにおいておよび/または投入材料の質量が異なる構成要素に分割されるこのようなゾーンにおいて、第2のオブジェクト識別子が提供または生成される。したがって、第2のオブジェクト識別子は、第1の機器ゾーンを横断した後、第2の機器ゾーンにおける投入材料の進入時に提供され、第2の機器ゾーンは、別の材料との投入材料の組合せを伴うかつ/または投入材料が等しいまたは等しくないサイズの多数の部分に分割されることを伴う。中間材料または別の材料は、投入材料と同じ材料である場合があるか、または投入材料とは異なる材料である場合がある。したがって、このような材料流中心データ処理は、次のゾーン、例えば、価値連鎖における次の中間製造ゾーンまたは最後もしくは終端ゾーンへ移送される場合がある特定のデータを収集することを可能にする。
【0063】
前に説明したように、さらなる材料が、第2の機器ゾーンに進入するときに投入材料に加えられる場合がある。さらなる材料は、投入材料と同じタイプの材料である場合があるかまたは投入材料とは異なる材料である。したがって、投入材料へのさらなる材料の付加により、第2のゾーンに進入する材料の量が第1の機器ゾーンにおける材料の量とは異なるとき、第2のオブジェクト識別子が提供される。
【0064】
同様に、幾つかの場合、投入材料の一部が、第2の機器ゾーンに進入する前に除去され得る場合がある。例えば、投入材料の一部が、例えば、さらなるもしくは異なる処理のために、またはさらには貯蔵もしくは廃棄のために、第3の機器ゾーンにおいて提供される場合がある。投入材料の除去された部分は、量および/またはタイプの観点から、第2の機器ゾーンに進入する投入材料の部分と等しいまたは本質的に等しい場合があるか、代替的に、量および/またはの観点から、第2の機器ゾーンに進入する投入材料の部分と等しくない場合がある。
【0065】
別の態様によれば、各オブジェクト識別子は、固有の識別子、好ましくはグローバル一意識別子(「GUID」)を含む。化学製品の少なくとも追跡は、化学製品のそれぞれの仮想パッケージにGUIDを添付することによって高められる場合がある。GUIDを介して、時系列データなどのプロセスデータのデータ管理も減じることができ、仮想/物理的パッケージと、製造履歴との直接的な相関関係を有効にすることができる。
【0066】
別の態様によれば、回帰またはディープラーニングモデルなどの第1のMLモデルが、オブジェクト識別子からのデータに基づいて訓練される場合がある。訓練データは、過去および/もしくは現在の実験室試験データ、または中間処理製品および/もしくは化学製品の過去および/もしくは最近の試料からデータを含む場合もある。さらに、回帰またはディープラーニングモデルなどの第2のMLモデルは、第2のオブジェクト識別子からのデータに基づいて訓練される場合がある。訓練データは、過去および/もしくは現在の実験室試験データ、または中間処理製品および/もしくは化学製品の過去および/もしくは最近の試料からのデータを含む場合もある。
【0067】
MLモデルに関する前に説明した利点に加え、製造ラインにおけるゾーンに基づく訓練されたモデルを有することは、材料のより詳細な追跡、およびそれらのそれぞれの性能パラメータおよびさらには化学製品性能パラメータを予測することを可能にすることができる。各ゾーンの制御は、より柔軟かつ透明であることもでき、例えば、上流ゾーンにおける最適未満の処理が、1つまたは複数の下流ゾーンにおける処理を操作することによって少なくとも部分的に補償されることを可能にすることもでき、これにより、化学製品を、さらに、同様のまたは同じ所望の性能パラメータで製造することができる。したがって、このように訓練されたモデルは、特定の製品出力を特定の予め規定された性能パラメータに合わせるために使用される場合がある。バッチ製造などの幾つかの製造シナリオにおいて、このようなモデルは、対応して製造を制御するためにオンザフライで使用される場合がある。したがって、1つまたは複数のゾーンが最善の処理状態にない場合でも最適な製造を維持することによって廃棄をさらに減じることができる。さらに、ゾーンの現在の状態にしたがって、製造の最適なモードを動的に探索することができる。これにより、製造の粒度または制御可能性をさらに高めることができる。
【0068】
したがって、機器ゾーンのいずれかまたはそれぞれは、個々のMLモデルを介して監視および/または制御される場合があり、個々のMLモデルは、そのゾーンからのそれぞれのオブジェクト識別子からのデータに基づいて訓練される。
【0069】
1つの態様によれば、オブジェクト識別子の提供は、投入材料の特性を示す値のうちのいずれか1つもしくは複数および/または機器動作条件からの値のうちのいずれか1つもしくは複数および/または所定のしきい値に到達する、満たす、もしくは超えるプロセスパラメータの値のうちのいずれか1つもしくは複数に応答して、生じるまたはトリガされる場合がある。あらゆるこのような値は、1つまたは複数のセンサおよび/またはスイッチを介して測定される場合がある。例えば、所定のしきい値は、機器において導入される投入材料の重量値に関連していることができる。したがって、機器において受け取られた投入材料の重量などの量が、重量しきい値などの所定の量しきい値に達した場合、トリガ信号が生成される場合がある。オブジェクト識別子を提供するためのイベントまたは発生をトリガするある例は、本開示において前にも説明されている。トリガ信号に応答して、または直接的に、所定の重量しきい値に達する量もしくは重量に応答して、オブジェクト識別子が提供される場合がある。トリガ信号は、別個の信号であることができるか、または単にイベント、例えば、計算ユニットおよび/もしくは機器を介して検出されるしきい値などの所定の基準を満たす特定の信号である場合がある。したがって、オブジェクト識別子は、所定の量しきい値に達する投入材料の量に応答して提供される場合があることも認められるであろう。量は、上記の例において説明したように重量として測定される場合がある、かつ/あるいはレベル、充填もしくは充填度もしくは体積など、および/または投入材料の質量流を合計することによるかもしくは投入材料の質量流に積分を適用することによる、あらゆる1つまたは複数のその他の値である場合がある。
【0070】
したがって、オブジェクト識別子は、トリガイベントまたは信号に応答して提供される場合があり、前記イベントまたは信号は、好ましくは、機器を介して提供される。これは、機器に動作可能に結合された1つまたは複数のセンサおよび/またはスイッチのうちのいずれかの出力に対する応答として行われる場合がある。トリガイベントまたは信号は、投入材料の量値、例えば、所定の量しきい値に達するまたはこれを満たす量値の発生に関連する場合がある。前記発生は、計算ユニットおよび/または機器を介して、例えば、1つまたは複数の重量センサ、レベルセンサ、充填センサ、または投入材料の量を測定もしくは検出することができるあらゆる適切なセンサを使用して検出される場合がある。
【0071】
オブジェクト識別子を提供するためのトリガとして量を使用する利点は、製造プロセス中の材料の量のあらゆる変化を、本教示において説明したようにさらに1つまたは複数のオブジェクト識別子を提供するためのトリガとして使用することができるということであることができる。出願人は、これが、1つまたは複数の化学製品を処理または製造するための工業環境における異なるオブジェクト識別子の生成をセグメント化するための最適な方法を提供することができ、これにより、基本的に製造チェーン全体を通じておよび少なくとも幾つかの場合にはそれを超えてもまた、量または質量流量を説明しながら、投入材料、あらゆる中間処理材料、および結局は化学製品を追跡することができることを実現した。ちょうど、新たな材料が導入もしくは投入される時点、または材料が分割される時点でオブジェクト識別子を提供することによって、製造の終点においてのみならず、その中でも材料の追跡可能性を保持しながら、オブジェクト識別子の数を最小限にすることができる。新たな材料が追加されない、または材料が分割されない製造ゾーン内で、このようなゾーン内のプロセスの知識は、2つの隣接するオブジェクト識別子内の可観測性を維持するために使用することができる。
【0072】
別の観点から見た場合、工業プラントにおいて製造された化学製品をデジタル式に追跡するためのシステムであって、本明細書に開示された方法のいずれかを行うように構成されている、システムを提供することもできる。または、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって工業プラントにおいて化学製品を製造するための少なくとも1つの機器を含むシステムであって、少なくとも1つの機器は、計算ユニットに動作可能に結合されており、システムは、計算ユニットが、本明細書に開示された方法を行うように構成されているように構成されている、システムを提供することができる。
【0073】
例えば、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって工業プラントにおいて化学製品を製造するための少なくとも1つの機器を含むシステムであって、少なくとも1つの機器が、計算ユニットに動作可能に結合されており、システムは、計算ユニットが、
- インターフェースを介して、投入材料データを含むオブジェクト識別子を提供することであって、投入材料データが、投入材料の1つまたは複数の特性を示すことと、
- インターフェースを介して、機器からプロセスデータを受け取ることであって、プロセスデータが、投入材料が処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示すことと、
- オブジェクト識別子に、プロセスデータの少なくとも一部を加えることとを行う
ように構成されているように構成または適応されている、システムを提供することができる。
【0074】
計算ユニットがインターフェースに動作可能に結合され得る、および/または、インターフェースが計算ユニットの一部であり得るということが認められるであろう。
【0075】
別の観点から見た場合、コンピュータプログラムであって、プログラムが適切な計算ユニットによって実行されたとき、計算ユニットに、本明細書に開示された方法を行わせる命令を含む、コンピュータプログラムを提供することもできる。適切な計算ユニットに、本明細書に開示されたあらゆる方法ステップを実行させるプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供することもできる。
【0076】
例えば、命令を含む、コンピュータプログラム、またはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令は、プログラムが、製造プロセスを使用して少なくとも1つの投入材料を処理することによって工業プラントにおいて化学製品を製造するための少なくとも1つの機器に動作可能に結合された適切な計算ユニットによって実行されたとき、計算ユニットに、
- インターフェースを介して、投入材料データを含むオブジェクト識別子を提供させ、投入材料データが、投入材料の1つまたは複数の特性を示しており、
- インターフェースを介して、機器からプロセスデータを受け取らせ、プロセスデータは、投入材料が処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示しており、
- オブジェクト識別子に、プロセスデータの少なくとも一部を加えさせる、コンピュータプログラム、またはプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を提供することができる。
【0077】
計算ユニットがインターフェースに動作可能に結合される場合があるおよび/またはインターフェースが計算ユニットの一部である場合があることが認められるであろう。
【0078】
コンピュータ可読データ媒体またはキャリアは、本明細書に説明された方法または機能のうちのいずれか1つまたは複数を具体化する命令(例えば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットが記憶されたあらゆる適切なデータストレージデバイスを含む。命令は、完全にまたは少なくとも部分的に、コンピュータ可読ストレージ媒体を構成する場合がある、計算ユニット、メインメモリおよび処理装置によるその実行中にメインメモリ内および/またはプロセッサ内に存在する場合もある。命令は、さらに、ネットワークインターフェースデバイスを介してネットワーク上で送信または受信される場合がある。
【0079】
本明細書に説明された実施形態のうちの1つまたは複数を実装するためのコンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒にまたは他のハードウェアの一部として供給される光学ストレージ媒体またはソリッドステート媒体などの適切な媒体に記憶および/または分配される場合があるが、インターネットまたはその他の有線もしくは無線遠隔通信システムなどを介して、その他の形式で分配される場合もある。しかしながら、コンピュータプログラムは、ワールド・ワイド・ウェブなどのネットワーク上で提供される場合もあり、このようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリへダウンロードすることができる。
【0080】
さらに、ダウンロードのためにコンピュータプログラム製品を利用可能にするためのデータキャリアまたはデータストレージ媒体を提供することもでき、このコンピュータプログラム製品は、本明細書に開示された態様のうちのいずれかによる方法を行うために配置されている。
【0081】
別の観点から見た場合、本明細書に開示された方法を行うためのコンピュータプログラムコードを含む計算ユニットを提供することもできる。また、本明細書に開示された方法を行うためのコンピュータプログラムコードを含むメモリストレージに動作可能に結合された計算ユニットを提供することができる。
【0082】
2つ以上の構成要素が「動作可能に」結合または接続されていることは、当業者にとって明らかである。非限定的な例において、これは、例えば、インターフェースまたはあらゆるその他の適切なインターフェースを介して、結合または接続された構成要素の間に通信接続が少なくとも存在する場合があることを意味する。通信接続は、固定されている場合があるかまたは除去可能である場合がある。さらに、通信接続は、一方向である場合があるか、または双方向である場合がある。さらに、通信接続は、有線および/または無線である場合がある。幾つかの場合、通信接続は、制御信号を提供するために使用される場合もある。
【0083】
この文脈における「パラメータ」は、温度、方向、位置、量、密度、重量、色、湿度、速度、加速度、変化率、圧力、力、距離、pH、濃度および組成などの、あらゆる関連する物理的または化学的特性および/またはその尺度に関する。パラメータは、ある特性の存在またはその欠如を指す場合もある。
【0084】
「アクチュエータ」は、直接的または間接的に、機械などの機器に関連したメカニズムを移動させかつ制御するために働くあらゆる構成要素を指す。アクチュエータは、弁、モータ、駆動装置などである場合がある。アクチュエータは、電気的、液圧式、空圧式、またはそれらの組合せのいずれかにおいて動作可能である場合がある。
【0085】
「コンピュータプロセッサ」は、コンピュータもしくはシステムの基本動作を行うために構成された任意論理回路、および/または、一般的に、計算もしくは論理動作を行うために構成されたデバイスを指す。特に、処理手段またはコンピュータプロセッサは、コンピュータまたはシステムを駆動する基本命令を処理するために構成される場合がある。1つの例として、処理手段またはコンピュータプロセッサは、少なくとも1つの算術論理演算ユニット(「ALU」)、少なくとも1つの浮動小数点ユニット(「FPU」)、例えば、数値演算コプロセッサまたは数値演算コプロセッサ、複数のレジスタ、特に、ALUにオペランドを供給しかつオペレーションの結果を記憶するために構成されたレジスタ、ならびにメモリ、例えば、L1およびL2キャッシュメモリを含む場合がある。特に、処理手段またはコンピュータプロセッサは、マルチコアプロセッサである場合がある。特に、処理手段またはコンピュータプロセッサは、中央処理装置(「CPU」)である場合があるまたはこれを含む場合がある。処理手段またはコンピュータプロセッサは、複数命令セットコンピューティング(「CISC」)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(「RISC」)マイクロプロセッサ、超長命令語(「VLIW」)マイクロプロセッサ、またはその他の命令セットを実装するプロセッサもしくは命令セットの組合せを実装するプロセッサである場合がある、あるいはそれらを含む場合がある。処理手段は、1つまたは複数の専用処理デバイス、例えば、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(「FPGA」)、結合プログラム可能論理回路(「CPLD」)、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、ネットワークプロセッサなどである場合もある。本明細書に説明された方法、システムおよび装置は、DSP、マイクロコントローラもしくはあらゆるその他のサイドプロセッサにおけるソフトウェアとして、またはASIC、CPLDもしくはFPGA内のハードウェア回路として実装される場合がある。処理手段またはプロセッサという用語は、1つまたは複数の処理デバイス、例えば、多数のコンピュータシステムを横断して配置された処理デバイスの分散型システム(例えば、クラウドコンピューティング)を指す場合もあり、別段の明示がないかぎり単一のデバイスに限定されないことが理解されるべきである。
【0086】
「コンピュータ可読データ媒体」またはキャリアは、本明細書に説明された方法または機能のうちのいずれか1つまたは複数を具体化する命令(例えば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットが記憶された、あらゆる適切なデータストレージデバイスまたはコンピュータ可読メモリを含む。命令は、完全にまたは少なくとも部分的に、コンピュータ可読外レージ媒体を構成する場合がある、計算ユニット、メインメモリおよび処理デバイスによるその実行中に、メインメモリ内および/またはプロセッサ内にある場合もある。命令は、さらに、ネットワークインターフェースデバイスを介してネットワーク上で送信または受信される場合がある。
【0087】
複数の図面の簡単な説明
ここで本教示の幾つかの態様を、例として前記態様を説明する以下の図面を参照しながら説明する。本教示の一般性はそれに依存しないので、図面は、縮尺どおりではない場合がある。図示された幾つかの特徴は、本教示の一般性に影響することなく、理解のために物理的特徴と一緒に示された論理特徴であることができる。あらゆる特定の要素または動作の説明を容易に識別するために、参照番号における最も顕著な1つまたは複数の数字は、その要素が最初に紹介された図面番号を指している。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】本教示によるシステムの幾つかの態様を示す。
図2】本教示による方法態様を示す。
図3】組み合わされたブロック/流れ図によって、本教示によるシステムおよび対応する方法の第1の実施形態を示す。
図4】組み合わされたブロック/流れ図によって、本教示によるシステムおよび対応する方法の第2の実施形態を示す。
図5】組み合わされたブロック/流れ図によって、本教示によるシステムおよび対応する方法の第3の実施形態を示す。
図6】複数の機器デバイスおよびしたがってその間を生産または製造プロセスの間に投入材料が前進する複数の機器ゾーンを含む、工業プラントまたはプラントのクラスターのトポロジー的構造を表すグラフベースのデータベース配列の第1の実施形態を示す。
図7図6に示されたグラフベースのデータベース配列の第2の実施形態を示す。
図8】組み合わされたブロック/流れ図によって、クラウドコンピューティングプラットフォームを使用する本教示によるシステムおよび対応する方法の別の実施形態を示し、機械学習(ML)プロセスがクラウドにおいて実装される。
【発明を実施するための形態】
【0089】
詳細な説明
図1は、工業プラントにおいて製造された化学製品170をデジタル式に追跡するためのシステム168の例を示している。方法態様の少なくとも幾つかも示されている。工業プラントは、製造プロセスを使用して化学製品170を生産または製造するための少なくとも1つの機器を含む。化学製品170は、あらゆる形式、例えば、薬剤製品、発泡体、栄養製品、農業製品、前駆体である場合がある。
【0090】
機器は、図1において、例えば、ホッパまたは混合ポット104および搬送エレメント102a-bとして示されている。示されたその他の機器は、以下で個別に説明する。混合ポット104は、投入材料を受け取り、投入材料は、単一の材料である場合があるか、または多数の成分を含む場合がある。ここでは、投入材料は、それぞれ第1の弁112aおよび第2の弁112bを介して混合ポット104に供給されて示されている2つの部分において受け取られる。
【0091】
オブジェクト識別子、またはこの場合、第1のオブジェクト識別子122が、投入材料114のために提供される。オブジェクト識別子は、他のオブジェクト識別子から区別可能な、固有の識別子、好ましくは、グローバル一意識別子(「GUID」)である場合がある。GUIDは、特定の工業プラントの仕様および/または製造される化学製品170の詳細および/または日付および時間の詳細、および/または使用される特定の投入材料の詳細に依存して提供される場合がある。第1のオブジェクト識別子122は、メモリストレージ128において提供されるように示されている。メモリストレージ128は、計算ユニット124に動作可能に結合されている。メモリストレージ128は、計算ユニット124の一部である場合もある。メモリストレージ128および/または計算ユニット124は、少なくとも部分的にクラウドベースサービスの一部である場合がある。計算ユニット124は、例えば、あらゆる適切な種類のデータ伝送媒体である場合があるネットワーク138を介して、機器に動作可能に結合されている。計算ユニット124は、機器の一部である場合もある。計算ユニット124は、少なくとも部分的にDCSおよび/またはPLCなどのプラント制御システムである場合もある。計算ユニット124は、機器に動作可能に結合された1つまたは複数のセンサからの1つまたは複数の信号を受信する場合がある。例えば、計算ユニット124は、充填センサ144および/または搬送エレメント102a~bに関連した1つまたは複数のセンサからの1つまたは複数の信号を受信する場合がある。計算ユニット124は、少なくとも部分的に機器またはその幾つかの部分を制御する場合もある。例えば、計算ユニット124は、例えば、それらのそれぞれのアクチュエータを介して弁112a,bを、および/またはヒータ118および/または搬送エレメント102a~bを制御する場合がある。図1の例における搬送エレメント102a,bおよびその他は、1つまたは複数のモータと、投入材料114がベルトを介してベルトの横断方向120に搬送されるようにベルトが移動するように前記モータを介して駆動されるベルトと、を含むコンベヤシステムとして示されている。
【0092】
本教示の範囲または一般性に影響することなく、コンベヤシステムの代わりにまたはコンベヤシステムと組み合わせてその他の種類の搬送エレメントを使用することもできる。幾つかの場合、材料の流れ、例えば、入ってくる1つまたは複数の材料および出ていく1つまたは複数の材料を伴うあらゆる種類の機器が、搬送エレメントと呼ばれる場合がある。したがって、コンベヤシステムまたはベルトの他に、押出機、ペレタイザ、熱交換器、バッファサイロ、ミキサを備えるサイロ、ミキサ、混合容器、切断ミル、二重円錐型ブレンダ、硬化チューブ、カラム、セパレータ、抽出器、薄膜蒸発器、フィルタ、ふるいなどの機器も、搬送エレメントと呼ばれる場合がある。したがって、少なくとも幾つかの場合に材料が質量流を介して1つの機器から別の機器へ直接に、または1つの機器を介して別の機器への通常流として移動する場合があるため、コンベヤシステムとしての搬送システムの存在は選択的である場合があることが認められるであろう。例えば、材料は、熱交換器からセパレータまたはさらにはカラムなどへ直接に移動する場合がある。したがって、幾つかの場合、1つまたは複数の搬送エレメントまたはシステムは、機器にとって固有である場合がある。
【0093】
投入材料の品質に関連する信号またはイベントである場合があるトリガ信号またはイベントに応答して、第1のオブジェクト識別子122が提供される場合がある。例えば、投入材料の充填度および/または重量などの少なくとも1つの量の値を検出するために、充填センサ144が使用される場合がある。量が所定のしきい値に達すると、計算ユニット124は、メモリストレージ128において第1のオブジェクト識別子122を提供する場合がある。第1のオブジェクト識別子122は、投入材料に関連したデータ、すなわち投入材料データを含む場合がある。投入材料データは、投入材料の1つまたは複数の特性を示している。
【0094】
幾つかの場合、混合ポット104、ならびに弁112a,bおよび充填センサ144などの関連する器具は、第1の機器ゾーンと考えられる場合がある。したがって、混合ポット104からのデータなどの、第1の機器ゾーンからのプロセスデータ126は、第1のオブジェクト識別子122に加えられる場合がある。プロセスデータ126は、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件、すなわち、投入材料が第1の機器ゾーンにおいて処理された、混合ポット104および弁112a-bの動作条件、例えば、進入する質量流量、出ていく質量流量、充填度、温度、湿度、進入のタイプスタンプまたは時間、退出時間などのうちのいずれか1つまたは複数、を示す。機器動作条件は、この場合、弁112a,bおよび/または混合ポット104の制御信号および/またはセットポイントである場合がある。プロセスデータ126は、時系列データである場合があるまたは時系列データを含む場合があり、これは、1つまたは複数のセンサを介して得られる場合がある時間依存信号、例えば、充填センサ144の出力を含む場合があることを意味する。時系列データは、連続的な信号を含む場合があるか、またはそれらのうちのいずれかが、規則的なもしくは不規則な間隔で断続的である場合がある。プロセスデータ126は、さらに、1つまたは複数のタイムスタンプ、例えば、混合ポット104への進入時間および/または混合ポット104からの退出時間を含む場合がある。したがって、特定の投入材料114は、オブジェクト識別子122を介してその投入材料114に関連したプロセスデータ126に関連付けられる場合がある。特定のプロセスデータおよび/または機器動作条件を特定の化学製品に相関させることができるように、オブジェクト識別子122が、製造プロセスの下流の他のオブジェクト識別子に加えられる場合がある。その他の重要な利点は、開示の他の部分、例えば、概要セクションにおいて既に説明されている。
【0095】
搬送エレメント102a,bおよび関連するベルトを含むコンベヤシステムは、中間機器ゾーンであると考えられる場合がある。この例における中間機器ゾーンは、ベルト上の投入材料に熱を加えるために使用されるヒータ118を含む。コンベヤシステムは、さらに、1つまたは複数のセンサ、例えば、速度センサ、重量センサ、温度センサ、または中間機器ゾーンにおける投入材料114のプロセスパラメータおよび/または特性を測定または判定するためのあらゆるその他の種類のセンサのうちのいずれか1つまたは複数を含む場合がある。センサのあらゆるまたは全ての出力は、計算ユニット124に提供される場合がある。
【0096】
投入材料114が横断方向120に沿って前進するとき、投入材料114はヒータ118を介して熱が加えられる。ヒータ118は、計算ユニット124に動作可能に結合されている場合があり、すなわち、計算ユニット124は、ヒータ118から信号またはプロセスデータを受け取る場合がある。さらに、ヒータ118は、計算ユニット124を介して、例えば、1つまたは複数の制御信号および/またはセットポイントを介して、制御可能である場合もある。同様に、搬送エレメント102a,bおよび関連するベルトを含むコンベヤシステムも、計算ユニット124に動作可能に結合されている場合があり、すなわち、計算ユニット124は、搬送エレメント102a,bから信号またはプロセスデータを受け取る場合がある。結合は、例えば、ネットワークを介するものである場合がある。さらに、搬送エレメント102a,bは、計算ユニット124を介して、例えば、計算ユニット124を介して提供される1つまたは複数の制御信号および/またはセットポイントを介して、制御可能である場合もある。例えば、搬送エレメント102a,bの速度は、計算ユニット124によって観察可能および/または制御可能である場合がある。選択的に、投入材料114の量が中間機器ゾーンにおいて一定またはほぼ一定であるので、中間機器ゾーンのためにさらなるオブジェクト識別子が提供されない場合がある。したがって、中間機器ゾーン、すなわち、ヒータ118および/または搬送エレメント102a,bからのプロセスデータは、前のまたは先行するゾーンのオブジェクト識別子、すなわち、第1のオブジェクト識別子122に加えられる場合もある。したがって、加えられたプロセスデータ126は、投入材料114が中間機器ゾーンにおいて処理される、中間機器ゾーンからのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件、すなわち、ヒータ118および/または搬送エレメント102a,bの動作条件、例えば、進入する質量流量、出ていく質量流量、中間ゾーンからの1つまたは複数の温度値、進入時間、退出時間、搬送エレメント102a,bおよび/またはベルトの速度などのうちのいずれか1つまたは複数をさらに示すためにエンリッチされる場合がある。この場合の機器動作条件は、搬送エレメント102a,bおよび/またはヒータ118の制御信号および/またはセットポイントである場合がある。プロセスデータ126が、投入材料114がそれぞれの機器ゾーンに存在している時間期間に主に関連することが明らかである。したがって、特定の投入材料114のための関連するプロセスデータの正確なスナップショットを、オブジェクト識別子122を介して提供することができる。投入材料114のさらなる観察可能性は、中間機器ゾーン内での製造プロセスの特定の部分または一部の知識、例えば、化学反応を介して抽出される場合がある。代替的に、または加えて、投入材料114が中間機器ゾーンを横断する速度は、計算ユニット124を介してさらなる観察可能性を抽出するために使用することができる。特定のタイムスタンプを有するプロセスデータ126、あるいは中間機器ゾーンにおける投入材料114の時系列データ、ならびに/または進入時間および/もしくは退出時間に関連して、投入材料114が中間機器ゾーンにおいて処理される条件のより粒度の細かい詳細が、オブジェクト識別子122から得られる場合がある。
【0097】
オブジェクト識別子122からのデータは、製造プロセスおよび/またはその特定の部分、例えば、第1の機器ゾーンおよび/または中間機器ゾーン内の製造プロセスの部分を監視および/または制御するために1つまたは複数のMLモデルを訓練するために使用される場合がある。MLモデルおよび/またはオブジェクト識別子122は、化学製品の1つまたは複数の性能パラメータを1つまたは複数のゾーンにおける製造プロセスの詳細に相関させるために使用される場合もある。
【0098】
投入材料114が横断方向120に沿って前進するとき、投入材料114は、その特性を変化させる場合があり、中間処理材料116となるまたは中間処理材料116に変換される場合があることが認められるであろう。例えば、ヒータ118が投入材料114を加熱すると、これは、中間処理材料116を生じる場合がある。当業者は、簡潔性および理解の容易さのために、中間処理材料116が、本教示において時には投入材料と呼ばれる場合もあることを認めるであろう。例えば、説明されている機器ゾーンまたは構成要素の文脈において、したがって、この例の説明において説明された製造プロセス内で投入材料がどの相にあるかが明らかになるであろう。
【0099】
ここで、材料が複数の部分に分割されるゾーンの例を説明する。図1は、切断ミル142および第2の搬送エレメント106a,bを含む第2の機器ゾーンとしてのこのようなゾーンを示している。横断方向154に沿って横断する中間処理材料116は、切断ミル142を使用して分割または断片化され、これにより、この例では第1の分割された材料140aおよび第2の分割された材料140bとして示された複数の部分を生じる。
【0100】
したがって、本教示の1つの態様によれば、個々のオブジェクト識別子が各部分に提供される場合がある。しかしながら、幾つかの場合、オブジェクト識別子は、各部分のために個々のオブジェクト識別子を提供する代わりに、部分のうちの1つ、または部分のうちの幾つかのためにのみ提供される場合がある。これは、例えば、いずれの部分を追跡するかが問題でない場合であり得る。例えば、オブジェクト識別子は、廃棄される中間処理材料116の部分のためには提供されない場合がある。ここで再び図1を参照すると、第1の分割されたオブジェクト識別子130aが第1の分割された材料140aのために提供され、第2の分割されたオブジェクト識別子130bが第2の分割された材料140bのために提供される。
【0101】
第1の分割されたオブジェクト識別子130aは、第1の分割されたプロセスデータ132aが加えられ、第2の分割されたオブジェクト識別子130bは、第2の分割されたプロセスデータ132bの少なくとも一部が加えられる。第1の分割されたプロセスデータ132aは、第2の分割されたプロセスデータ132bのコピーである場合があるか、または部分的に同じデータである場合がある。例えば、第1の分割された材料140aおよび第2の分割された材料140bが、同じプロセスを、すなわち基本的に同じ場所および時間において受ける場合、第1の分割されたオブジェクト識別子130aおよび第2の分割されたオブジェクト識別子130bに加えられるプロセスデータは、同じまたは類似である場合がある。しかしながら、第2の機器ゾーン内で、第1の分割されたオブジェクト識別子130aおよび第2の分割されたオブジェクト識別子130bが異なる処理を受ける場合には、第1の分割されたプロセスデータ132aと、第2の分割されたプロセスデータ132bとは、互いに異なる場合がある。
【0102】
しかしながら、当業者は、幾つかの場合、切断ミル142を介して処理された材料が複数の部分に分割される場合、1つのオブジェクト識別子のみが切断ミル142において提供される場合があり、次いで、複数のオブジェクト識別子がその後に切断ミル142に提供される場合があることを認めるであろう。したがって、特定の製造プロセスの詳細に応じて、切断ミルは、分離装置であるか、またはそうでない場合がある。同様に、幾つかの場合、先行するオブジェクト識別子にゾーンからのプロセスデータが加えられるように、新たなオブジェクト識別子が切断ミルのために提供されない場合がある。したがって、新たなオブジェクト識別子は、材料が分割されるかつ/または組み合わされるゾーンにおいて提供される場合がある。例えば、幾つかの場合、第1の分割されたオブジェクト識別子130aおよび第2の分割されたオブジェクト識別子130bは、切断ミル142の後に、例えば、切断ミル142の後の異なるゾーンにおける進入時に提供される場合がある。
【0103】
この例において、第2の機器ゾーンは、カメラまたはあらゆるその他の種類の光学センサである場合があるイメージングセンサ146も含む。イメージングセンサ146も、計算ユニット124に動作可能に結合されている場合がある。イメージングセンサ146は、第2の機器ゾーンに進入する前に中間処理材料116の1つまたは複数の特性を測定または検出するために使用される場合がある。これは、例えば、所与の品質基準に満たない材料を拒絶するまたは逸らせるために行われる場合がある。本教示の1つの態様により、材料の質量流量が第2の機器ゾーンにおいて変化させられると、第1の分割されたオブジェクト識別子130aおよび第2の分割されたオブジェクト識別子130bの前に、別のオブジェクト識別子(図1には示されていない)が提供されている場合がある。
【0104】
第1の分割されたオブジェクト識別子130aおよび第2の分割されたオブジェクト識別子130bの提供は、中間処理材料116がイメージングセンサ146を介して品質基準に合格することに応答してトリガされる場合がある。隣接するゾーンからのまたはオブジェクト識別子からのデータ、例えば、中間機器ゾーンからの質量流量および第2の機器ゾーンへの質量流量を相関させることによって、計算ユニット124は、どの特定の投入材料114または中間処理材料116が、後続のゾーンに進入する材料に関連しているかを決定する場合がある。代替的にまたは加えて、タイムスタンプのうちの2つ以上、例えば、中間機器ゾーンからの退出のタイムスタンプならびにイメージングセンサ146を介した検出および/または第2の機器ゾーンにおける進入のタイムスタンプが、ゾーンの間で相関させられる場合がある。センサ出力を介して直接的に測定されたまたは2つ以上のタイムスタンプから判定された搬送エレメント102a,bの速度は、投入材料の特定のパケットまたはバッチとそのオブジェクト識別子との間の関係を確立するためにも使用することができる。したがって、所与の時間に製造プロセス内のどこに特定の化学製品170があったかが判定される場合もあり、したがって、時間-スペース関係が確立される場合がある。これらの態様のうちの幾つかまたは全ては、投入材料から完成品までの化学製品170のトレーサビリティを改善するのみならず、製造プロセスを監視および改良しかつより適応可能および制御可能にするために使用可能であることができる。
【0105】
説明したように、第1の分割されたオブジェクト識別子130aおよび第2の分割されたオブジェクト識別子130bは、第2の機器ゾーンからそれぞれ第1の分割されたプロセスデータ132aおよび第2の分割されたプロセスデータ132bが加えられる。第1の分割されたプロセスデータ132aおよび第2の分割されたプロセスデータ132bは、第1のオブジェクト識別子122に結合されるまたは第1のオブジェクト識別子122が加えられる場合もある。前に説明したオブジェクト識別子122と同様に、第1の分割されたプロセスデータ132aおよび第2の分割されたプロセスデータ132bは、中間処理材料116が第2の機器ゾーンにおいて処理された、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件、すなわち、イメージングセンサ146の出力、切断ミル142および第2の搬送エレメント106a,bの動作条件、例えば、入ってくる質量流量、出ていく質量流量、充填度、温度、光学特性、タイムスタンプなどのうちのいずれか1つまたは複数を示している。この場合の機器動作条件は、切断ミル142および/または第2の搬送エレメント106a,bの制御信号および/またはセットポイントである場合がある。第1の分割されたプロセスデータ132aおよび第2の分割されたプロセスデータ132bは、時系列データを含む場合があり、これは、それが、1つまたは複数のセンサを介して得られる場合がある時間依存信号、例えば、イメージングセンサ146の出力および/または第2の搬送エレメント106a,bの速度を含む場合があることを意味する。
【0106】
イメージングセンサ146に直面した後、中間処理材料116が前進すると、中間処理材料116は、第2の搬送エレメント106a,bによって駆動される横断方向154に切断ミル142に向かって移動させられる。第2の搬送エレメント106a,bは、この例では、搬送エレメント102a,bを含むコンベヤシステムとは別個の第2のコンベヤベルトシステムの一部として示されている。第2のコンベヤベルトシステムは、搬送エレメント102a,bを含む同じコンベヤシステムの一部である場合もあることが認められるであろう。したがって、第2の機器ゾーンは、別のゾーンにおいて使用される同じ機器の幾つかを含む場合がある。
【0107】
図1に見られるように、第1の分割された材料140aおよび第2の分割された材料140bは、製造のより後において異なる経路を進み、それらのそれぞれのオブジェクト識別子、すなわち、第1の分割されたオブジェクト識別子130aおよび第2の分割されたオブジェクト識別子130bは、残りの製造プロセスを通じておよび幾つかの場合にはそれを超えてもまた個々にそれらを辿るまたは追跡することを可能にする。
【0108】
第2の機器ゾーンから出た後、第1の分割された材料140aは押出機150に供給されるのに対し、第2の分割された材料140bは、硬化装置162および第3の搬送エレメント108a,bを含む第3の機器ゾーンにおける硬化のために搬送される。したがって、示された搬送エレメント108a,bは、前に説明したように、非限定的な例である。
【0109】
第2の分割された材料140bがベルトを介して横断方向156に移動させられると、第2の分割された材料140bは、硬化装置162を介して硬化プロセスを受け、硬化した第2の分割された材料160を生じる。実質的な質量変化が生じない場合があるので、1つの態様によれば、第3の機器ゾーンのために新たなオブジェクト識別子は提供されない場合がある。したがって、前に説明したように、第3の機器ゾーンからのプロセスデータも、第2の分割されたオブジェクト識別子130bに加えられる場合がある。上記と同様に、加えられた第2の分割されたプロセスデータ132bは、したがって、第3の機器ゾーンからのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件、すなわち、第2の分割された材料140bが第3の機器ゾーンにおいて処理された硬化装置162および/または搬送エレメント108a,bの動作条件、例えば、進入する質量流量、退出する質量流量、第3のゾーンからの1つまたは複数の温度値、進入時間、退出時間、搬送エレメント108a,bおよび/またはベルトの速度などのうちのいずれか1つまたは複数をさらに示すようにエンリッチされる場合がある。この場合の機器動作条件は、搬送エレメント102a,bおよび/または硬化装置162の制御信号および/またはセットポイントである場合がある。
【0110】
同様に、第1の分割された材料140aは、押出機150、温度センサ148および第4の搬送エレメント110a,bを含む第4の機器ゾーンへ前進する。ここでも、実質的な質量変化が生じない場合があるので、1つの態様によれば、第4の機器ゾーンのために新たなオブジェクト識別子は提供されない場合がある。したがって、前に説明したように、第4の機器ゾーンからのプロセスデータも、第1の分割されたオブジェクト識別子130aに加えられる場合がある。上記と同様に、加えられた第1の分割されたプロセスデータ132aは、したがって、第4の機器ゾーンからのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件、すなわち、第1の分割された材料140aが第3の機器ゾーンにおいて処理される押出機150および/または温度センサ148および/または搬送エレメント108a,bの動作条件、例えば、進入する質量流量、退出する質量流量、第3のゾーンからの1つまたは複数の温度値、進入時間、退出時間、搬送エレメント110a,bおよび/またはベルトの速度などのうちのいずれかの1つまたは複数をさらに示すようにエンリッチされる場合がある。この場合の機器動作条件は、搬送エレメント108a,bおよび/または押出機150の制御信号および/またはセットポイントである場合がある。したがって、押し出された材料152への第1の分割された材料140aの変形の特性および依存関係も、第1の分割されたオブジェクト識別子130aに含まれる場合がある。
【0111】
認めることができるように、製造プロセスを通じた材料および製品監視を向上させながら、個々のオブジェクト識別子の数を減じることができる。
【0112】
押し出された材料152が、搬送エレメント108a,bを介して生成された横断方向158に移動すると、押し出された材料152は、収集ゾーン166において収集される場合がある。収集ゾーン166は貯蔵ユニットである場合があるか、または製造プロセスのさらなるステップを適用するためのさらなる処理ユニットである場合がある。収集ゾーン166において、追加の材料が組み合わされる場合があり、ここに示したように硬化した第2の分割された材料160が、押し出された材料152と組み合わされる場合がある。したがって、新たなオブジェクト識別子が提供される場合がある。このようなオブジェクト識別子は、組み合わされたオブジェクト識別子134として示されている。組み合わされたオブジェクト識別子134は、組み合わされたプロセスデータ136が加えられる場合があり、組み合わされたプロセスデータ136は、第1の分割されたオブジェクト識別子130aおよび第2の分割されたオブジェクト識別子130bの全部または一部を含む場合がある。したがって、組み合わされたオブジェクト識別子134は、本開示において詳細に説明したのと同様に、収集ゾーン166からのプロセスパラメータおよび/または機器動作条件が提供される。収集ゾーン166においていずれかが行われたならば機能またはさらなる処理に応じて、進入する質量流量、退出する質量流量、収集ゾーン166からの1つまたは複数の温度値、進入時間、退出時間、速度などのうちのいずれか1つまたは複数などのデータが、組み合わされたプロセスデータ136として含まれる場合がある。
【0113】
幾つかの場合、収集ゾーン166からの個々のロットは、貯蔵および/または分類および/またはパッケージングのために送られる場合がある。このような個々のロットは、第1のサイロ164aおよび第2のサイロ164bとして示されている。量は再び分割されているので、個々のオブジェクト識別子が、各サイロのために提供される場合があり、これにより、そのサイロにおける化学製品170、すなわち、第1のサイロ164aのための個々のオブジェクト識別子が、化学製品170がそこに曝されるプロセスデータまたは条件と関連付けられることができる。
【0114】
認められるように、オブジェクト識別子のそれぞれはGUIDである場合がある。それぞれは、先行するオブジェクト識別子からのデータを完全にまたは部分的に含む場合があるか、またはそれらはリンクされる場合がある。したがって、製造プロセス全体は、特定の化学製品170へのスナップショットまたは追跡可能リンクとして添付することができる。
【0115】
図2は、特に第1の機器ゾーンから見た、本教示の方法態様を示すフローチャート200またはルーチンを示す。ブロック202において、インターフェースを介して、投入材料データを含むオブジェクト識別子が提供される。投入材料データは、投入材料114の1つまたは複数の特性を示す。ブロック204において、インターフェースを介して、機器からのプロセスデータが受け取られる。プロセスデータは、投入材料が処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示している。ブロック206において、オブジェクト識別子122にプロセスデータの少なくとも一部が加えられる。
【0116】
同様に、さらなる機器ゾーンが存在する場合、投入材料が後続のゾーンへ前進するとき、別のオブジェクト識別子が提供されるか否かが決定される場合がある。判定されない場合、後続のゾーンからのプロセスデータも、同じオブジェクト識別子に加えられる場合がある。別のオブジェクト識別子が提供されることが判定されると、後続のゾーンからのプロセスデータが別のオブジェクト識別子に加えられる。これらのオプションのそれぞれのための詳細、そのような中間機器ゾーンは、本開示において、例えば、概要セクションにおいて、図1を参照して詳細に説明されている。
【0117】
図3に示されたブロック図は、本実施形態において、示された製品プロセシングライン全体に沿って配置された、10個の製品処理デバイスもしくはユニット300~318、またはそれぞれ技術機器を含む、工業プラントの製品製造システムの部分を表す。本実施形態において、これらのプロセシングユニットのうちの1つ(プロセシングユニット308)は、3つの対応する機器ゾーン320,322,324を含む(図3および図5におけるより詳細に示された実施形態も参照されたい)。
【0118】
この例において、化学製品は、投入材料として、原料に基づいて製造される。原料は、液体原料リザーバ300、固体原料リザーバ302、およびリサイクリングサイロ304を介してプロセシングラインに提供され、リサイクリングサイロ304は、例えば、不十分な材料/製品特性または不十分な材料/製品品質を含むあらゆる化学製品または中間製品をリサイクルする。プロセシングライン306~318に投入されるそれぞれの原料は、それぞれのプロセシング機器、すなわち、ドージングユニット306、後続加熱ユニット308、材料バッファ310を含む後続処理ユニット、および後続分類ユニット312を介して処理される。このプロセシング機器306~312の下流に、搬送ユニット314が配置されており、搬送ユニット314は、例えば、製造された材料の不十分な品質によりリサイクルされる必要がある材料を分類ユニットからリサイクリングサイロ304へ搬送する。最後に、分類ユニット312によって分類された材料は、第1および第2のパッキングユニット316,318へ移送され、第1および第2のパッキングユニット316,318は、対応する材料を、輸送のための材料コンテナ、例えば、バルク材量の場合の材料バッグまたは液体材料の場合のボトルに詰め込む。
【0119】
製造システム300~318は、この実施形態において、計算ユニットのデータインターフェースを提供し(両方ともこのブロック図には示されていない)、このデータインターフェースを介して、それぞれの投入材料および処理によるその変化についてのデータを含むデータオブジェクトが提供される。製造プロセス全体は、少なくとも部分的に、計算ユニットを介して制御される。
【0120】
処理機器306~312によって処理される投入材料は、物理的なまたは実世界のいわゆる「パッケージオブジェクト」(以下では「物理的パッケージ」または「製品パッケージ」とも呼ばれる)に分割され、これらのパッケージオブジェクトは、処理ユニット306~312のそれぞれによって取り扱われるまたは処理される。このようなパッケージオブジェクトのパッケージサイズは、例えば、材料重量によって(例えば、10kg、50kgなど)もしくは材料量によって(例えば、1デシメートル、1/10立方メートルなど)固定されることができるか、または重量もしくは量によって判定することもでき、この重量または量のために、かなり一定のプロセスパラメータまたは機器動作パラメータを処理機器によって提供することができる。
【0121】
ドージングユニット306は、まず、投入液体および/または固体原料および/またはリサイクリングサイロ304によって提供されたリサイクル材料からこのようなパッケージオブジェクトを生成する。パッケージオブジェクトを生成すると、ドージングユニットはこれらのオブジェクトを均質化ユニット308へ搬送する。均質化ユニット308は、パッケージオブジェクトの材料を均質化し、すなわち、例えば、処理された液体材料および固体材料、または2つの液体もしくは固体材料を均質化する。加熱プロセスの後、加熱ユニット308は、対応して加熱されたパッケージオブジェクトをトリートメントユニット310へ搬送し、トリートメントユニット310は、例えば、加熱、乾燥もしくは湿潤によってまたはある化学反応によって、投入パッケージオブジェクトの材料を異なる物理的および/または化学的状態に変換する。対応して変換されたパッケージオブジェクトは、次いで、3つの下流パッキングユニット316,318または言及された搬送ユニット314のうちの1つまたは複数へ搬送される。
【0122】
実世界パッケージオブジェクトのその後の処理は、機器306~312に動作可能に結合されたまたは機器の一部である計算ユニットを介してそれぞれのパッケージオブジェクトに割り当てられた対応するデータオブジェクト330,332,334(またはそれぞれ前に説明した「オブジェクト識別子」)によって管理され、計算ユニットのメモリストレージエレメントにおいて記憶される。本実施形態によれば、3つのデータオブジェクト330~334は、機器306~312を介して、すなわち、各機器ユニット306~312、またはそれぞれ対応するスイッチに配置された対応するセンサの出力に応答して提供されるトリガ信号に応答して生成され、このようなセンサは、機器ユニット306~312に動作可能に結合されている。前に言及したように、工業プラントは、異なるタイプのセンサ、例えば、1つもしくは複数のプロセスパラメータを測定するためのおよび/または機器もしくはプロセスユニットに関連した機器動作条件もしくはパラメータを測定するためのセンサを含む場合がある。本実施形態において、機器ユニット306~312内で処理されるバルクおよび/または液体材料の流量およびレベルを測定するためのセンサは、これらのユニットに配置されている。
【0123】
本実施形態において、図3に示された3つの例示的なデータオブジェクト330,332,334はそれぞれ、処理ユニット306~312および314~318に基づいて製品製造プロセス全体の異なる3つの機器ゾーン320,322,324に関する。
【0124】
最初の2つのデータオブジェクト330,332は、プロセスデータを含む製品パッケージオブジェクトを含む。プロセスデータは、関連する物理的パッケージが複数のプロセシングユニット内のその滞在/処理中に受けるプロセシング/処理情報を含む。プロセスデータは、関連するプロセシングユニット内の基礎となる物理的パッケージの滞在時間の間の計算された平均温度などの集合されたデータであることができるかつ/または基礎となる製造プロセスの時系列データであることができる。
【0125】
第1のデータオブジェクト330は、本実施形態において、2つの処理ユニット、ドージングユニット306および加熱ユニット308を通って搬送された物理的パッケージに割り当てられた第1の種類のパッケージ(図3において、「A-パッケージ」と呼ばれる)である。第1のデータオブジェクト330は、処理時間における現時点で、各滞在中の両ユニットの関連するデータを含む。第1のデータオブジェクトは、対応する「製品パッケージID」を含む。
【0126】
加熱ユニット308は、複数の機器ゾーン、本実施形態では、3つの機器ゾーン320,322,324(「ゾーン1」、「ゾーン2」、「ゾーン3」)を含む。これらの異なる機器ゾーンは、関連するプロセスデータを分類または選択するための分類グループとして利用される。このような分類は、関連する物理的パッケージがこの機器ゾーン内にある間の対応する時点内の基礎となる物理的パッケージの処理に関連する、関連する機器ゾーンからのパッケージオブジェクトのためのこれらのデータのみを取得することを助ける場合がある。しかしながら、本実施形態において、物理的パッケージの材料組成は、両処理ユニット306、308によって変化させられない。
【0127】
A-パッケージ330が次のトリートメントユニット310(本実施形態では、「バッファを備えるトリートメントユニット」)に到着すると、各物理的パッケージの材料組成が変化する。なぜならば、この処理ユニット310は、プラグフローモードにおいて物理的パッケージを搬送するだけではないからである。さらに、対応する物理的パッケージは、元のパッケージサイズよりも大きなバッファ体積を含み、これにより、このような物理的パッケージは、規定された逆混合度を有する。その結果、このトリートメントユニット310から出た各物理的パッケージは、図3において「B-パッケージ」と呼ばれる別の種類の物理的パッケージである。
【0128】
対応する第2のデータオブジェクト332(「B-パッケージ」)は、対応する「製品パッケージID」も含む。データオブジェクト332は、さらに、規定された数の前のデータオブジェクト、この例では、規定された割合における、「A-パッケージ」として示されたデータオブジェクト330、いわゆる「関連するA-パッケージからの集合データ」のデータを含む。対応する集合スキームまたはアルゴリズムは、例えば、基礎となる処理ユニット、基礎となる物理的パッケージのサイズ、基礎となる物理的パッケージの材料の混合能力、および基礎となる処理ユニット内の基礎となる物理的パッケージの滞在時間、または処理ユニットの対応する機器ゾーンに依存する。
【0129】
例えば、処理された物理的パッケージをコンテナ、ドラムまたはオクタビン容器などにパックすることによって、処理された物理的(製品)パッケージが、2つのパッキングユニット316,318のうちの一方によって別個の物理的パッケージにパックされると、本実施形態では、対応するパックされた物理的パッケージは、「物理的パッケージ」と呼ばれる別のデータオブジェクト334を介して取り扱われるまたは追跡される。このデータオブジェクト334は、それにパックされた関連する前の物理的パッケージ(本シナリオにおける「A-パッケージ」および「B-パッケージ」など)を含む。対応する「製品パッケージID」の指定は、完全なデータオブジェクトを使用する代わりに、例えば、追跡目的のために十分である。なぜならば、このような製品パッケージIDは、後のデータプロセシング、例えば、外部の「クラウドコンピューティング」プラットフォームによって行われるデータプロセシングの間に容易にリンクされることができるからである。
【0130】
第1のデータオブジェクト(または「オブジェクト識別子」)330は、特に、以下の情報を含む:
- 基礎となるパッケージのための「製品パッケージID」;
- パッケージの基礎となる処理された材料についての情報または仕様などの、基礎となるパッケージについて一般的情報;
- プロセシングライン306~318全体の中での基礎となるパッケージの現在の位置;
- プロセスデータ、すなわち、基礎となるパッケージの処理された材料の温度および/または重量の集合値としてのプロセスデータ;
- 基礎となる製造プロセスの時系列データ;ならびに
- 基礎となるパッケージからの試料への接続であり、製品パッケージは試料ステーションを通過し、規定された瞬間に、オペレータはこの製品パッケージから試料を取出し、実験室に提供する。この試料のために、試料オブジェクト(図6、参照符号634および638を参照)が生成され、関連する製品パッケージ(図6、参照符号626および630を参照)にリンクされる。この試料オブジェクトは、特に、実験室からの対応する製品品質制御(QC)データおよび/または対応する試験機械からの性能データを含む。
【0131】
第2のオブジェクト識別子332は、追加的に、
- バッファ310を備えるトリートメントユニットにおいて生成された関連するA-パッケージからの集合データ
を含む。
【0132】
第3のオブジェクト識別子334は、指定およびタイムスタンプ「物理的パッケージ 1976-02-06 19:12:21.123」を備える2つのパッキングユニット316,318によって生成され、以下の情報を含む:
- 再び、対応するパッケージまたはオブジェクト識別子(「パッケージID」)
図3に示された輸送のために2つの材料コンテナにパックされた製品の名称;
- 対応してパックされた製品を注文するための注文番号;および
- 対応してパックされた製品のロット番号。
【0133】
第1および第2のオブジェクト識別子330,332のパッケージ一般情報は、投入原料の材料データを含み、これは、本実施形態において、材料温度および/または重量などの、投入材料またはそれぞれ処理された材料の化学的および/または物理的特性、を示し、本実施形態では、履歴試験結果などの、投入材料に関連した上述の実験試料または試験データをも含む。
【0134】
図3によっても示された製品製造プロセスによれば、言及されたインターフェースを介して、機器全体からのプロセスデータが収集され、これらは、処理された材料の言及された温度および/または重量などのプロセスパラメータ、ならびに本実施形態において、言及されたヒータの温度および/または適用されたドージングパラメータなどの、投入材料が処理される機器動作条件をも示している。収集されたプロセスデータ、本実施形態では、関連するA-パッケージからの集合データなどのプロセスデータの一部のみが、本実施形態において、第2のオブジェクト識別子332に加えられる。
【0135】
前に説明したように、3つのオブジェクト識別子330~334は、本実施形態において、言及した投入材料データおよび/または特定のプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を化学製品の少なくとも1つの性能パラメータに相関させるまたはマッピングするために使用され、前記性能パラメータは、それぞれ基礎となる材料、例えば、対応する化学製品のいずれか1つまたは複数の特性である、またはこの特性を示す。
【0136】
図3に示された本実施形態によれば、2つのオブジェクト識別子330,332に含まれた収集されたプロセスデータ(集合値として)は、プロセスパラメータ、および追加的に製造プロセス中に測定された機器動作条件を示す数値を含む。加えて、オブジェクト識別子330,332は、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件のうちの1つまたは複数の時系列データとして提供されたプロセスデータを含む。機器動作条件は、機器の状態、本実施形態では、製造機械セットポイント、コントローラ出力、および、例えば、振動測定に基づく、あらゆる機器関連警告を表すあらゆる特性または値であることができる。加えて、搬送エレメント速度、温度およびフィルタ差圧などのファウリング値、メンテナンス日を含むことができる。
【0137】
図3に示された製品製造システムの実施形態において、製品処理機器306~318の全体は、言及された複数の3つの機器ゾーン320~324を含み、これにより、製造プロセス中、投入原料300~304が処理ライン306~318の全体に沿って横断し、本実施形態において、第1の機器ゾーン320から第2の機器ゾーン322へおよび第2の機器ゾーン322から第3の機器ゾーン324へ前進する。このような製造シナリオにおいて、第1のオブジェクト識別子330が第1の機器ゾーン320において提供され、第1の機器ゾーン320を通って処理された後に、第2のオブジェクト識別子332が第2の機器ゾーン322における投入材料の進入時に提供される。第2のオブジェクト識別子332は、第1のオブジェクト識別子330によって提供されるデータまたは情報の少なくとも一部が加えられまたはこれを含み、加えて、最後のデータ/情報「関連するA-パッケージからの集合データ」を含む。
【0138】
製造プロセス全体の間に対応するパッケージへのオブジェクト識別子の確実かつ安全な割り当てを可能にするために、オブジェクト識別子330~334のうちのいずれかまたはそれぞれが、固有の識別子、好ましくはグローバル一意識別子(「GUID」)を含む場合があることは注目に値する。
【0139】
本製品プロセシングシナリオにおいて、第1のオブジェクト識別子330に加えられた言及されたプロセスデータは、第1の機器ゾーン320から収集されたプロセスデータの少なくとも一部である。したがって、第2のオブジェクト識別子332は、第2の機器ゾーン322から収集されたプロセスデータの少なくとも一部が加えられ、第2の機器ゾーン322から収集されたプロセスデータは、投入原料300~304が第2の機器ゾーン322において処理されたプロセスパラメータおよび/または機器動作条件を示す。
【0140】
以下の表1において、別の例示的なオブジェクト識別子が、再び表形式で示されている。このオブジェクト識別子は、前に説明された3つのオブジェクト識別子330~334よりも大幅に多い情報/データを含む。
【0141】
この例示的なオブジェクト識別子は、以下に説明される図4に示されているが、図4に含まれたものよりも多くのデータを含むもののような、基礎となる日付およびタイムスタンプ「1976-02-06 18:31:53.401」を備えるいわゆる「B-パッケージ」に関する。
【0142】
固有の識別子(「固有ID」)は、この例において、固有URL(「uniqueObjectURL」)を含む。基礎となるパッケージの主な詳細(「パッケージ詳細」)は、この例において、2つの値「02.02.1976 18:31:53.401」を有するパッケージの生成の日付およびタイムスタンプ(「生成タイムスタンプ」)、ならびにパッケージタイプ「B」を有するこの例において、パッケージのタイプ(「パッケージタイプ」)である。基礎となる製造ラインに沿ったパッケージの現在の位置(「パッケージ位置」)は、「パッケージ位置リンク」、この例では製造ラインの「コンベヤベルト1」への搬送リンクによって規定される。
【0143】
コンベヤベルト1において、85℃の材料温度を現在表している平均温度(「平均値」)を測定するための測定機器(例示的な処理データまたは値を含む「測定点」を参照)および基礎となる温度ゾーンの対応する記述(「記述」)、この例では「温度ゾーン1」が提供される。加えて、測定機器は、コンベヤベルト1におけるパッケージの進入日/時間(「進入時間 (entry time, 入場時刻)」)、この例では「02.02.1976 18:31:54.431」を検出し、コンベヤベルト1からのパッケージの退出日/時間(「退出時間 (leaving time, 退場時刻)」)、この例では「02.02.1976 18:31:57.234」を検出するためのセンサも含むことができる。最後に、測定機器は、製造プロセスに関する基礎となる時系列情報(「時系列」)の時系列値(「時系列値」)を検出するためのセンサ機器を含む。
【0144】
加えて、示されたオブジェクト識別子は、この例において、さらに、既に処理された材料を中間で記憶するために、下流に配置された「コンベヤベルト2」、下流に配置された「ミキサ1」および下流に配置された「サイロ1」についての情報を含む。
【0145】
【表1】
【0146】
図4は、工業プラントの基礎となる製品製造システムのプロセスパートの第2の実施形態を示しており、工業プラントは、この第2の実施形態において、それぞれ6つの製品処理デバイス400,402,406,410,412,416または技術機器を含む。
【0147】
パッケージオブジェクトを処理するための「上流プロセス」400は、処理されたパッケージオブジェクトを分類するための「分類ユニット」402に接続されている。上流プロセス400および分類ユニット402は、第1のデータオブジェクト404によって管理される。このデータオブジェクト404は、その生成の日付および時間を示す基礎となる日付およびタイムスタンプ「1976-02-06 18:51:43.431」を備える既に記述された「B-パッケージ」に関する。データオブジェクト404は、現在処理されているパッケージオブジェクトの「パッケージID」(いわゆる「オブジェクト識別子」)を含む。データオブジェクト404は、さらに、現在処理されているパッケージオブジェクトについてのnの予め記述された化学的および/または物理的特性、この例では「特性1」および「特性n」を含む。
【0148】
投入材料、すなわち、この例において、上流プロセス400に供給される対応するパッケージオブジェクトは、「リサイクリングサイロ」406によって提供される。リサイクリングサイロ406は、他方では、リサイクルされなければならずかつしたがって分類ユニット402によってリサイクリングサイロ406に分類されるパッケージオブジェクトを搬送する「搬送ユニット1」410から基礎となるリサイクルされた材料を得る。基礎となる搬送プロセスステップ410は、上述の「B-パッケージ」に関しかつ言及された基礎となる日付およびタイムスタンプ「1976-02-06 18:51:43.431」、現在処理されるパッケージオブジェクトの「パッケージID」および2つの化学的および/または物理的特性「特性1」および「特性n」を含む第2のデータオブジェクト408によって管理される。しかしながら、基礎となる分類されたパッケージオブジェクトをリサイクルするための言及された要求により、第2のデータオブジェクト408は、さらに、特にそのパッケージオブジェクト、この例では、「低いまたは不十分な材料または製品性能」のためのそれぞれの性能インジケータを含む、基礎となるパッケージオブジェクトの別の化学的および/または物理的特性、この例では、「特性2」を含む。
【0149】
上流プロセス400によって処理されかつ分類ユニット402によって分類されないパッケージオブジェクトは、対応するパッケージオブジェクトのための性能値に応じて、分類ユニット402によって第1の「パッキングユニット1」412または第2の「パッキングユニット2」416に提供される。パッキングユニット412,416は、対応するパッケージオブジェクトをそれぞれのコンテナ414,418にパックするために使用される。2つのパッキングユニット412,416によって実行されるパッキングプロセスは、第3のデータオブジェクト420および第4のデータオブジェクト422によって管理される。
【0150】
2つのデータオブジェクト420,422は両方とも、「物理的パッケージ」に関し、上述の「B-パッケージ」と同じ日付「1976-02-06」を含むが、上述の「B-パッケージ」よりも遅いタイムスタンプ「19:12:21.123」を含む。それらは、基礎となるパッケージオブジェクトの「パッケージID」も含む。しかしながら、データオブジェクト420,422は、さらに、基礎となる最終製品のための性能インジケータ、この例では、第1のコンテナ(または充填サック)414に貯蔵された製品に関する「性能媒体範囲」および第2のコンテナ(または充填サック)418に貯蔵された製品の場合の「性能高範囲」を含む。加えて、2つのデータオブジェクト420,422は、対応する最終製品の「注文番号」および「ロット番号」を含む。
【0151】
図5は、この第2の実施形態では、それぞれ9個の製品処理デバイス500~516または技術機器を含む、工業プラントにおいて実装される基礎となる化学製品製造プロセスまたはシステムの部分の第3の実施形態を示す。
【0152】
この製品プロセシングアプローチは、公知の形式でポリマー材料を製造するために、2つの原料、すなわち「原料液体」500および「原料固体」502に基づく。図3および図4による前に説明した製造シナリオにおけるのと同様に、技術機器は、前に説明したように、リサイクルされた材料を使用するための「リサイクリングサイロ」504を含む。
【0153】
技術機器は、さらに、言及された投入原料に基づいてパッケージオブジェクトを生成するための「ドージングユニット506」を含み、投入原料は、それらを処理するために、示された4つのポリマー反応ゾーン(「ゾーン1~4」)510,512,514,516に沿ってパッケージオブジェクトを搬送する「反応ユニット」508と、反応ユニット508において製造されたポリマー材料(すなわち、対応するパッケージオブジェクト)を硬化させるための「硬化ユニット」518とによって、処理される。硬化ユニット518は、この実施形態において、材料バッファのみを含むが、逆混合機器は含まない。硬化ユニット518は、対応して処理されたパッケージオブジェクトも搬送する。
【0154】
「搬送ユニット1」520は、リサイクリングサイロ504によってそれらのリサイクリングのために分類されるパッケージオブジェクトを搬送する。最終的に処理された、すなわち、分類されていないユニットは、再び第1の「パッキングユニット1」522および第2の「パッキングユニット2」524へ搬送される。2つのパッキングユニット522,524は、対応するパッケージオブジェクトを変換し、それぞれのコンテナまたは充填サック526,528へ搬送する。
【0155】
図5に示された製造プロセスは、第1のデータオブジェクト530および第2のデータオブジェクト534によって管理される。
【0156】
第1のデータオブジェクト530は、生成日「1976-02-06」および生成時間「18:31:53.401」を有する「A-パッケージ」に関する。この製造シナリオにおけるデータオブジェクト530は、再び、予め記述された「パッケージID」、ドージングユニット506によって行われるドージングプロセスについてのプロセス情報(「ドージング特性」)、および反応ユニット508によるポリマー材料の製造についてのさらなるプロセス情報(「反応ユニット特性」)を含む。ドージング特性は、各パッケージオブジェクトのための原料量についての情報、すなわち「割合原料1(液体)」、「割合原料2(固体)」および製品温度を含む。反応ユニット特性は、4つのポリマー反応ゾーン510~516の温度(「温度ゾーン1」、「温度ゾーン2」、「温度ゾーン3」および「温度ゾーン4」)を含む。
【0157】
それに基づいて、第1のデータオブジェクト530は、プロセシングライン506~524に沿った基礎となるパッケージオブジェクトの現在の位置(「現在パッケージ位置」)を含む。パッケージオブジェクトの現在位置は、本実施形態において、「パッケージ位置リンク」および対応する「ゾーン位置」によって管理される。最後に含まれるのは、基礎となるポリマー反応についての化学的および/または物理的情報、すなわち対応する「反応エンタルピ/ターンオーバー度」である。これにより、所与のパッケージオブジェクトを搬送するプロセシングユニット506~524は、反応エンタルピ値を第1のデータオブジェクト530内に計算しかつ永久に書き込む/実現する。これは、パッケージ位置および対応する滞在時間についてのならびに対応するプロセス値、例えば、パッケージ温度についての既存の情報により可能である。第1のデータオブジェクト530と硬化ユニット518との間の通信ライン532を介して、第1のデータオブジェクト530に含まれた反応エンタルピおよび/またはターンオーバー度の現在の値に基づいて、硬化時間パラメータは、反応エンタルピの計算された値に基づいて調整される。
【0158】
第2のデータオブジェクト534は、パッキングユニット522,524のうちの1つによって処理される「物理的パッケージ」に関し、対応する生成日/時間情報「1976-02-06 19:12:21.123」を含む。含まれるのは、「パッケージID」、「製品」記述/仕様、「注文番号」、「ロッド番号」、ならびに計算されたエンタルピおよび/またはターンオーバー度の言及された値である。
【0159】
図6は、基礎となる工業プラント602の階層的またはトポロジー的構造を表すグラフベースのデータベース配列の第1の実施形態を示しており、これは、工業プラントのクラスター600の一部であり、複数の機器デバイスと、対応する製品プロセシングライン604の一部である対応する機器ゾーンとを含む。トポロジー的構造は、基礎となる製品パッケージの改良された処理またはプランニングを可能にするために、工業プラント602(または基礎となるプラントクラスタ600)の基礎となる異なる部分の間の機能的関係を視覚化することを可能にする。グラフベースデータベースの示された円形ノードは、接続ラインを介してリンクされており、そのための異なるリンクタイプが可能である。
【0160】
機器デバイスは、この実施形態において、材料処理ユニット606,614を含み、これらは、信号および/またはデータ接続を介して、処理ユニット606,614の一部であるセンサ/アクタ608,616に接続されておりかつ複数の入力/出力(I/O)デバイス610,612および618,620に接続されている。
【0161】
本実施形態において、第1の処理ユニット606は、さらに、例示的な3つの製品パッケージ(製品パッケージ1~3)622,624,626に接続されており、第2の処理ユニット614は、さらに、さらなる3つの製品パッケージ(製品パッケージ4~n)628,630,632に接続されている。例示的にのみ、「製品パッケージ3」626は、製品試料(試料1)634に接続されており、「製品パッケージ5」630は、別の製品試料(試料n)638に接続されている。「試料1」634は、さらに、「検査ロット」636と接続されており、「試料n」は、さらに、「検査ロットn」640と接続されている。最後に、両検査ロット636,640は、「検査インストラクション1」ユニット642と接続されており、「検査インストラクション1」ユニット642は、言及された検査ロットをどのように生成するかおよびそれぞれの基礎となる試料634,638の分析/品質制御をどのように実現するかについての仕様として働く。
【0162】
図6に示されたトポロジー的構造は、有利には、データ構造を提供し、このデータ構造は、示された化学プラントの機能性および処理の直観的かつ容易な理解、ひいては、ユーザ、特に機械/プラントオペレータによる化学プラントまたは化学プラントのクラスターにおけるこのような複雑な製造プロセスの容易な管理可能性を可能にする。なぜならば、示されたオブジェクト(ノード)は、対応する実世界オブジェクトと極めて類似してモデル化されるからである。
【0163】
より具体的には、このトポロジー的構造は、高度な文脈情報を提供し、それに基づいて、ユーザ/オペレータは、各オブジェクトの技術的および/または材料特性を容易に収集することができる。これは、さらに、ユーザによるかなり複雑なクエリ、例えば、オブジェクトの間の関連する製造関連接続または関係についての、特に、複数のノードまたはさらにトポロジー/階層レベルを横断するクエリを可能にする。これにより、図6に示されたオブジェクト(ノード)は、さらなる特性および/または値によってランタイム中に容易に拡張されることができる。
【0164】
図7は、図6に示されたグラフベースのデータベース配列の第2の実施形態を示すが、ただし製造ライン700(「ライン1」)についてのみである。
【0165】
機器デバイスは、本実施形態において、材料処理ユニット702「ユニット1」およびユニットn」708を含み、これらは、信号および/またはデータ接続を介して、対応する入力/出力(I/O)デバイス「I/O1」706および「I/On」712に接続されたセンサ/アクタ「センサ/アクタ1」704および「センサ/アクタn」710に接続されている。これらのI/Oデバイスは、製造ライン700の動作を制御するためのPLC(図示せず)への接続を含む。
【0166】
本実施形態において、第1の処理ユニット(「ユニット1」)702は、さらに、例示的な3つの製品パッケージ(「製品部分」1~3)714、716、718に接続されており、第2の処理ユニット(「ユニットn」)708は、さらに、さらなる2つの製品パッケージ(「製品部分」4およびn)720,722に接続されている。例示的にのみ、製品パッケージ3’’718は、製品試料(「試料1」)724に接続されており、製品パッケージn722は、別の製品試料(「試料n」)728に接続されている。
【0167】
図6に示された実施形態とは対照的に、第1の「センサ/アクタ1」704も、第1の製品試料(「試料1」)724に接続されており、第2の「センサ/アクタn」)710も、第2の製品試料(試料n’’)728に接続されている。これらの2つの追加的な接続は、独立した時間に、またはさらには同時に異なる試料ステーションにおいて独立して試料を採取することが可能であるという利点を有する。例えば、センサ/アクタ704は、試料ステーションに配置されたプッシュボタンであることができ、これは、試料が採取される瞬間にユーザまたはオペレータによって押下される。
【0168】
代替的に、このような資料は、サンプリング機械によって自動的に生成することができる信号であることができる。このような自動的に生成された信号は、例えば、示されたI/Oオブジェクト706を介してセンサ/アクタオブジェクト704に到達することができ、I/Oオブジェクト706は、PLC/DCS(図示せず)から、言及されたプッシュボタン情報を受け取る。試料を採取する瞬間、試料オブジェクト724(例えば)が生成され、その瞬間にサンプリングステーション位置に配置された製品部分にリンクされる。
【0169】
対応して生成された試料724,728に基づいて、1つの(かつ同じ)試料のためにも、1つまたは複数の検査ロット726,730を生成することができる。しかしながら、1つまたは複数の試料は、1つの処理ライン内で独立して、またはさらには同時に生成することができる。
【0170】
最後に、図6に示された実施形態におけるように、「試料1」724は、さらに、第1の「検査ユニット1」726と接続されており、「試料n」は、さらに、第2の「検査ユニットn」730と接続されている。両検査ユニット726,730は、最終的に、図6に示された「検査インストラクション1」ユニット642の場合と同様に、すなわち言及された検査ロットをどのように生成するかおよび基礎となる試料724,728の分析/品質制御をどのように実現するかについての仕様として再び機能する「検査インストラクション1」ユニット732と接続されている。「検査インストラクション1」ユニット732は、独立して生成することができ、「検査ロット1」726およびさらなる「検査ロットn」730によって図7に示されているように、1つだけよりも多い検査ロットのための検査インストラクション732を使用しながら、一度だけ生成される場合がある。
【0171】
図8は、抽象化層800を示しており、これは、オブジェクトデータベース801を含み、予め説明された製造機器および対応する原料のための、ならびに、予め説明された物理的パッケージまたは製品パッケージ関連データ、すなわち対応するデジタルツインを含む、予め説明された製品データのための抽象化層として働く。
【0172】
抽象化層800は、本実施形態において、外部クラウドコンピューティングプラットフォーム804との双方向通信ライン802を提供する。抽象化層800は、また、「PLC/DCS1」806の場合のように双方向に810、または「PLC/DCSn」808の場合のように一方向に812、多数のn製造PLC/DCSおよび/または機械PLC806,808と通信する。クラウドコンピューティングプラットフォーム804は、本実施形態において、顧客統合インターフェースまたはプラットフォーム816への双方向通信ライン814を含み、それを介して、本製造プラント所有者の顧客は、プラントの予め説明された機器ユニットへ制御信号を通信および/または送達することができる。
【0173】
オブジェクトデータベース801にさらに含まれるのは、それに関連した他のオブジェクト、例えば、上述の試料、検査ロット、試料インストラクション、センサ/アクタ、デバイス、デバイス関連ドキュメンテーション、ユーザ(例えば、機械またはプラントオペレータ)対応するユーザグループおよびユーザ権利、レシピ、注文、セットポイント-パラメータセット、またはクラウド/エッジデバイスからのインボックスオブジェクトである。
【0174】
クラウドコンピューティングプラットフォーム804において、人工知能(AI)または機械学習(ML)システムが実装され、それによって、Internet-of-Things(IoT)エッジデバイスまたはコンポーネント820への専用の展開パイプライン818を介して展開される最適なアルゴリズムを見つけまたは生成し、エッジデバイス820を制御するために対応して生成されたまたは見つけられたアルゴリズムを使用する。エッジデバイス820は、本実施形態において、抽象化層800と双方向で通信する822。
【0175】
抽象化層800および含まれたオブジェクトデータベース801によって、本文献内で説明されたように、予め説明された物理的または製品パッケージが生成される。抽象化層800は、クラウドコンピューティングプラットフォーム804内のあるプロセシングおよび/またはAI(またはML)構成要素に接続することもできる。この接続のために、公知のデータストリーミングプロトコル「Kafka」を使用することができる。これにより、基礎となる製品パッケージの生成の時間またはその付近において、まず、特に、基礎となる時系列データとは独立して、空のデータパケットをメッセージとして送信することができる。その後、最終製品パッケージが処理されたとき、別のメッセージを送信することができる。これらのメッセージは、データパケットIDとしての基礎となるパッケージのオブジェクト識別子を含むので、関連するパケットを、後でクラウドプラットフォームのサイドにおいて互いに再びリンクさせることができる。これは、クラウドへの送信のために大きなサイズのデータパケットを回避することができ、これにより、所要の送信帯域幅または容量を最小限にするという利点を有する。
【0176】
クラウドコンピューティングプラットフォーム804内で、ストリーミングおよび受信された製品データが、言及されたAI方法またはML方法によって使用され、予測された製品品質制御(QC)値などの、基礎となる製品に関連する追加的なデータを得るためのアルゴリズムを見つけるまたは生成する。このプロシージャがクラウドコンピューティングプラットフォーム804内で行われるために、関連する製品(または物理的)パッケージのQCデータまたは測定された性能パラメータなどの追加的なデータが必要とされる。これは、関連する製品パッケージについてのこのような情報を含む、試料オブジェクトおよび検査ロットオブジェクト(図6も参照)の形式のオブジェクトデータベース801から同じ方式を介して受け取られることができる。
【0177】
このような情報は、オブジェクトデータベース以外のあらゆる他のシステムから受け取ることもできる。この場合、他のシステムは、オブジェクトデータベースから試料/検査ロットIDと一緒にQCおよび/または性能データを送信する。クラウドコンピューティングプラットフォーム804内で、このデータは組み合わされ、例えば、MLベースのアルゴリズム/モデルを見つけるために使用される。これにより、クラウドプラットフォーム804内の計算能力を有効に使用することができる。
【0178】
本実施形態において、対応して見つけられたアルゴリズムまたはモデルは、展開パイプライン818を介してエッジデバイス820に展開される。エッジデバイス820は、抽象化層800のオブジェクトデータベース801の近く、ひいては、したがってまたPLC/DCS1~PLC/DCSn806,808の近くに、すなわち低ネットワークレイテンシおよび直接および確実な通信を可能にするネットワークセキュリティレベルおよび位置の観点から、配置されている。
【0179】
MLモデルの使用のために、このような計算能力は必要とされないので、エッジデバイス820は、MLモデルを使用して、言及した最新の情報を生成し、それをオブジェクトデータベース801に提供する。したがって、エッジデバイス820は、同じ情報または情報のサブセットを必要とし、これは、クラウドコンピューティングプラットフォーム804において使用され、MLベースアルゴリズムまたはモデルを生成し、オブジェクトデータベース801はこのデータをエッジデバイス820へ、例えば、公知の「Message Queuing Telemetry Transport」(MQTT)プロトコルなどの、機械同士の通信のためのオープンネットワークプロトコルを介して提供することができる。
【0180】
このセットアップは、AI/MLベース最新プロセス制御ならびに自律型製造および対応する自律して動作する機械の実現を可能にする。
【0181】
図8に示された実施形態に示されるように、予め説明したデータオブジェクト330~334(図3)からのデータに基づいて、クラウドコンピューティングプラットフォーム804のサイドにおいて、AI/MLシステムまたは対応するAI/MLモデルは、訓練データとしてのこのようなデータを使用して訓練される。したがって、訓練データは、本実施形態において、履歴および現在のラボラトリ試験データ、特に、化学製品の性能パラメータを示す、過去からのデータを含む場合がある。
【0182】
AI/MLモデルは、予め説明された性能パラメータのうちの1つまたは複数を予測するために使用することができ、前記予測は、好ましくは、計算ユニットを介して行われる。加えて、または代替的に、AI/MLモデルは、好ましくは機器動作条件を調整することを介して、製造プロセスを少なくとも部分的に制御するために使用することができ、より好ましくは、前記制御は、言及された計算ユニットを介して行われる。加えて、または代替的に、AI/MLモデルは、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件のうちのいずれが化学製品に主な影響を有するかを判定するために、例えば、計算ユニットによって使用することができ、これにより、プロセスパラメータおよび/または機器動作条件のこれらのドミナントは、それぞれデータオブジェクトまたは言及されたオブジェクト識別子に加えられる。
【0183】
当業者は、方法ステップ、少なくとも計算ユニットを介して行われるものが、「リアルタイム」またはほぼリアルタイムの形式で行われる場合があることを認めるであろう。用語は、コンピュータの技術分野において理解される。特定の例として、計算ユニットによって行われるいずれか2つのステップの間の時間遅延は、15s以下、特に10s以下、より具体的には5s以下である。好ましくは、遅延は、1秒未満、より好ましくは、2ミリ秒未満である。したがって、計算ユニットは、リアルタイム形式で方法ステップを実行するように構成される場合がある。さらに、ソフトウェア製品は、計算ユニットにリアルタイム形式で方法ステップを実行させる場合がある。
【0184】
方法ステップは、例えば、例または態様に列挙して示された順序で実行される場合がある。しかしながら、特定の状況下では、異なる順序も可能である場合があることに留意されたい。さらに、方法ステップの1つまたは複数を一回または反復して実行することも可能である。ステップは、規則的または不規則な間隔で反復される場合がある。さらに、特に方法ステップの幾つかまたはそれ以上が反復して実行される場合、方法ステップの2つ以上を同時にまたは時間的に重なった形式で実行することが可能である。方法は、さらに、列挙されていないステップを含む場合がある。
【0185】
化学製品をデジタル式に追跡するための方法、本明細書に開示された方法を行うためのシステム、化学製品をデジタル式に追跡するためのシステム、ソフトウェアプログラム、および本明細書に開示された方法を行うためのコンピュータプログラムコードを含む計算ユニットのための様々な例が上記で開示されている。しかしながら、当業者は、添付の請求項およびそれらの均等物の思想および範囲から逸脱することなく、これらの例に対して変更および修正が加えられる場合があることを理解するであろう。さらに、本明細書に説明された方法および製品実施形態からの態様は自由に組み合わされる場合があることが認められるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】