(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-09
(54)【発明の名称】膜
(51)【国際特許分類】
C08J 5/22 20060101AFI20231101BHJP
B01D 61/46 20060101ALI20231101BHJP
B01D 71/82 20060101ALI20231101BHJP
B01J 43/00 20060101ALI20231101BHJP
B01J 47/12 20170101ALI20231101BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20231101BHJP
C08F 12/00 20060101ALI20231101BHJP
B32B 27/08 20060101ALI20231101BHJP
【FI】
C08J5/22
B01D61/46 500
B01D71/82 500
B01J43/00
B01J47/12
B01D69/10
C08F12/00
B32B27/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023519630
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2021076440
(87)【国際公開番号】W WO2022069386
(87)【国際公開日】2022-04-07
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509077761
【氏名又は名称】フジフィルム・マニュファクチュアリング・ヨーロッパ・ベスローテン・フエンノートシャップ
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】ファン ライエン,アドリアヌス・ヤコブス
(72)【発明者】
【氏名】成田 岳史
(72)【発明者】
【氏名】フエルタ・マルティネス,エリサ
(72)【発明者】
【氏名】ヘッシング,ヤッコ
【テーマコード(参考)】
4D006
4F071
4F100
4J100
【Fターム(参考)】
4D006GA13
4D006GA17
4D006MA03
4D006MA09
4D006MA15
4D006MA31
4D006MC18
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4D006MC23
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4D006MC39
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4D006MC51X
4D006MC54
4D006MC57X
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4D006MC59
4D006MC61
4D006MC62
4D006MC63
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4D006NA46
4D006NA54
4D006NA62
4F071AA15C
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4F100AK01B
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4J100AB07P
4J100AB15P
4J100BA32P
4J100BA55P
4J100BC73P
4J100FA03
4J100FA19
4J100JA16
(57)【要約】
アニオン交換層(AEL)およびカチオン交換層(CEL)を含む膜であって、CELが、式(I):
(式中、Xは、式-OC
nH
2n-1、または-OC
qH2
q-1(式中、nは1~6の値を有し、qは5または6の値を有する)のものであり、mは1または2の値を有する)の化合物を含む硬化性組成物を硬化させるステップを含む方法によって得られる、膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン交換層(AEL)およびカチオン交換層(CEL)を含む膜であって、CELが、式(I):
【化1】
(式中、
Xは、式-OC
nH
2n+1、または-OC
qH
2q-1(式中、nは1~6の値を有し、qは5または6の値を有する)のものであり、
mは1または2の値を有する)の化合物を含む硬化性組成物を硬化させるステップを含む方法によって得られる、膜。
【請求項2】
CELがそれから得られる前記組成物が、以下の成分:
(a)式(I)の化合物と、
任意に(b)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含む化合物と、
任意に(c)非水性溶媒と、
任意に(d)ラジカル開始剤と、
任意に(e)1つかつ1つのみのエチレン性不飽和基を含むアニオン性モノマーと
を含む、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
CELがそれから得られる前記組成物が、
(a)20~88wt%の成分(a)、
(b)10~60wt%の成分(b)、
(c)0~30wt%の成分(c)、
(d)0~2wt%の成分(d)、
(e)0~15wt%の成分(e)
を含む、請求項1または2に記載の膜。
【請求項4】
CELがそれから得られる前記組成物が、成分(b)、成分(c)、成分(d)、および成分(e)のうちの少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、より特には4つすべてを含む、請求項2または3に記載の膜。
【請求項5】
成分(a)と成分(b)とのモル比が、2:1~1:2の範囲にある、請求項2から4のいずれか一項に記載の膜。
【請求項6】
CELがそれから得られる前記硬化性組成物が、少なくとも60wt%の硬化性化合物を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の膜。
【請求項7】
AELが、硬化性カチオン性化合物を含む組成物を硬化させることによって得られる、請求項1から6のいずれか一項に記載の膜。
【請求項8】
AELが、以下の成分:
(a2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含む硬化性カチオン性化合物と、
任意に(b2)1つかつ1つのみのエチレン性不飽和基を含む化合物と、
任意に(c2)溶媒と、
任意に(d2)ラジカル開始剤と
を含む組成物を硬化させることによって得られる、請求項1から7のいずれか一項に記載の膜。
【請求項9】
AELがそれから得られる前記組成物が、
(i)30~80wt%の成分(a2)と、
(ii)0~40wt%の成分(b2)と、
(iii)10~40wt%の成分(c2)と、
(iv)0.001~2wt%の成分(d2)と
を含む、請求項8に記載の膜。
【請求項10】
成分(a2)の成分(b2)に対するモル比が、9:1~1:4の範囲にある、請求項8または9に記載の膜。
【請求項11】
AELが、成分(a2)と、成分(b2)、成分(c2)、および成分(d2)のうちの少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つ、特に3つすべてとを含む組成物から得られる、請求項8から10のいずれか一項に記載の膜。
【請求項12】
成分(a2)が式(II)
【化2】
(式中、
L
1は、アルキレン基またはアルケニレン基であり、
R
a、R
b、R
c、およびR
dはそれぞれ独立して、アルキル基もしくはアリール基であり、または
R
aおよびR
b、ならびに/もしくはR
cおよびR
dは、それらが結合する原子と一緒に環を形成してもよく、
n1およびn2はそれぞれ独立して、1~10の整数を表し、
X
1
-およびX
2
-はそれぞれ独立して、アニオンを表す)のものである、請求項8から11のいずれか一項に記載の膜。
【請求項13】
膜を製造するための方法であって、
(i)支持体にAEL組成物を適用するステップと、
(ii)AEL組成物を少なくとも部分的に硬化させ、それによりアニオン交換層(AEL)を形成するステップと、
(iii)AELにCEL組成物を適用するステップと、
(iv)CEL組成物を硬化させ、それによりAEL上にカチオン交換層(CEL)を形成するステップと
を含み、
CEL組成物が、請求項1から6のいずれか一項に定義されるとおりの式(I)の化合物を含み、かつAEL組成物が、硬化性カチオン性化合物を含む、方法。
【請求項14】
式(I)の化合物中の少なくともいくつかの-SO
2X基を、-SO
2OH基またはその塩に加水分解するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
AEL組成物が、請求項7から12のいずれか一項に定義されるとおりである、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
バイポーラ膜である、請求項1から12のいずれか一項に記載の膜。
【請求項17】
酸および塩基の製造のための、または発電のための、請求項1から12、または16のいずれか一項に記載の膜の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜(バイポーラ膜を含む)、およびそれらの調製のための方法、および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン交換膜は、電気透析、逆電気透析、電気分解、拡散透析、およびいくつかの他のプロセスにおいて使用される。典型的に、膜を介するイオンの輸送は、イオン濃度勾配または代替的に電位勾配などの駆動力の影響下で生じる。
【0003】
イオン交換膜は一般に、その優勢な電荷に応じて、カチオン交換膜(CEM)またはアニオン交換膜(AEM)に分類される。カチオン交換膜は、カチオンの通過を可能にするがアニオンを拒絶する負に帯電した基を含み、一方でアニオン交換膜は、アニオンの通過を可能にするがカチオンを拒絶する正に帯電した基を含む。バイポーラ膜(BPM)は、カチオン層およびアニオン層の両方を有する。
【0004】
いくつかのバイポーラ膜は、機械的強度を付与する多孔質支持体を含む。そのような膜は、イオンを区別するアニオン性およびカチオン性ポリマーと、機械的強度を与える多孔質支持体とが存在することに起因して、しばしば「複合バイポーラ膜」と呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
向上した特性、たとえば、高い選択透過性、低い電気抵抗、良好な機械的強度、および極度のpHでの安定性を有するバイポーラ膜を提供する要求がある。理想的には、そのようなバイポーラ膜は迅速に、効率的に、かつ安価に生成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、アニオン交換層(AEL)およびカチオン交換層(CEL)を含む膜であって、CELが、式(I):
【0007】
【0008】
(式中、
Xは、式-OCnH2n+1、または-OCqH2q-1(式中、nは1~6の値を有し、qは5または6の値を有する)のものであり、
mは1または2の値を有する)の化合物を含む硬化性組成物を硬化させるステップを含む方法によって得られる、膜が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本文献(特許請求の範囲を含む)において、「を含む」という動詞およびその活用型は、その非限定的な意味において使用され、この単語に続く品目が含まれることを意味するが、具体的に言及されない品目は除外されない。加えて、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」による要素への言及は、要素のうちの1つかつ1つのみが存在することを文脈上明確に求めていない限り、要素のうちの1つより多くが存在する可能性を除外しない。したがって、不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は通常、「少なくとも1つ」を意味する。AELを形成するために使用される組成物は、本明細書において、多くの場合、「AEL組成物」と略記される。同様に、CELであるか、またはCELになる層を形成するために使用される組成物は、本明細書において、多くの場合、「CEL組成物」と略記される。
【0010】
式(I)に示される-SO2X基は、アニオン基に変換可能であり、したがって、CELにアニオン基を与えるのに有用である。
式(I)における-SO2X基(Xは、上に定義されたとおりである)は、それらが求核剤と低反応性であることに起因して、XがClまたはOSO2R(RはC1~6-アルキル、またはC6~12-アリール)である類似化合物に比べて有利である。結果として、式(I)の化合物(式中、Xは、上に定義されたとおりである)は、XがClまたはOSO2R(RはC1~6-アルキル、またはC6~12-アリール)である対応する化合物よりも良好な安定性を有する。
【0011】
式(I)の化合物は公知であり、そのような化合物は多数市販されている。
好ましい実施形態において、mは1または2の値を有し、nは2の値を有するか(すなわち、Xはエチルオキシである)、またはqは6の値を有する(すなわち、Xはシクロヘキシルオキシである)。
【0012】
成分(a)は好ましくは、無極性の化合物、たとえば、無電荷の芳香族分子、たとえば、ジビニルベンゼンと高度に混和性である。
式(I)の化合物としては、以下:
【0013】
【0014】
(式中、Rは、-OCnH2n+1または-OCqH2q-1であり、nは1~6の値を有し、qは5または6の値を有する、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、tert-ブトキシ、またはシクロヘキシルオキシである)が挙げられる。
【0015】
CELがそれから得られてもよい硬化性組成物(すなわち、「CEL組成物」)は好ましくは、以下の成分:
(a)式(I)の化合物(上に定義されるとおり)と、
任意に(b)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含む化合物と、
任意に(c)非水性溶媒と、
任意に(d)ラジカル開始剤と、
任意に(e)1つかつ1つのみのエチレン性不飽和基を含むアニオン性モノマーと
を含む。
【0016】
好ましくは、CEL組成物は、成分(b)および/または成分(c)を含む。
好ましくは、CEL組成物は、成分(b)、成分(c)、成分(d)、および成分(e)(上に定義されるとおり)のうちの少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは少なくとも3つ、より特に好ましくは4つすべてを含む。
【0017】
好ましくは、CEL組成物は、
(a)20~88wt%の成分(a)と、
(b)10~60wt%の成分(b)と、
(c)0~30wt%の成分(c)と、
(d)0~2wt%の成分(d)と、
(e)0~15wt%の成分(e)と
を含む。
【0018】
CEL組成物において成分(a)として使用される式(I)の化合物に対する好ましい態様は、本発明の第1の態様に関して上述されるとおりである。
好ましくは、CEL組成物は、20~88wt%、より好ましくは30~80wt%、最も好ましくは40~75wt%の成分(a)を含む。
【0019】
成分(b)は典型的に、架橋剤として機能し、望ましくは高い架橋密度を有するCEL層を提供することができる。高い架橋密度は、好ましくは、水性環境にある際にバイポーラ膜の膨潤を制限する。
【0020】
好ましくは、成分(b)は、芳香族基、たとえば、フェニル基またはフェニレン基(たとえば、スチレンに見られるとおりの)を含む。
好ましいエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリル酸基、および/またはビニル基(たとえば、ビニルエーテル基、芳香族ビニル化合物、N-ビニル化合物、およびアリル基)が挙げられる。
【0021】
好適な(メタ)アクリル酸基の例としては、アクリラート(H2C=CHCO-)基、アクリルアミド(H2C=CHCONH-)基、メタクリラート(H2C=C(CH3)CO-)基、およびメタアクリルアミド(H2C=C(CH3)CONH-)基が挙げられる。アクリル酸基はより反応性であるため、アクリル酸基はメタクリル酸基よりも好ましい。
【0022】
得られる組成物の安定性およびpH許容範囲を向上することができるため、好ましいエチレン性不飽和基はエステル基を含まない。エステル基を含まないエチレン性不飽和基は、ビニル基を含む。
【0023】
成分(b)として使用されてもよい化合物の例としては、以下:
【0024】
【0025】
が言及され得る。
成分(b)として使用されてもよい上述の物質は、市販の供給源に関して、たとえば、Sigma-Aldrichから得ることができる。
【0026】
成分(b)は、ジビニルベンゼンであるか、またはジビニルベンゼンを含むことが特に好ましく、これは、この化合物が低コストで広く入手可能であるためである(多くの場合、異性体の混合物として)。
【0027】
好ましくは、CEL組成物は、10~60wt%、より好ましくは20~60wt%、最も好ましくは20~55wt%の成分(b)を含む。
成分(a)の成分(b)に対するモル比は好ましくは、それぞれ、3:1~1:2、より好ましくは2:1~1:2、特に2:1~1:1の範囲にある。
【0028】
成分(c)は好ましくは、不活性である、すなわち、CEL組成物の他の成分のうちのいずれとも反応することができない。
好ましくは、成分(c)は、CEL組成物の他の化合物と混和性である。したがって、成分(c)を使用してCEL組成物の他の成分を希釈して、コーティング機および装置における使用のために好適な、低粘度のCEL組成物を提供してもよい。
【0029】
CEL組成物の成分(c)として使用されてもよい非水性溶媒の例としては、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、ニトリル系溶媒、および有機リン系溶媒が言及され得る。成分(c)として、または成分(c)中で、使用されてもよいアルコール系溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびそれらの2つ以上を含む混合物が挙げられる。加えて、成分(c)中で使用されてもよい好ましい不活性の有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ピリジン、プロピオニトリル、ブタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジアセタート、シクロペンチルメチルエーテル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、y-ブチロラクトン、およびそれらの2つ以上を含む混合物が挙げられる。ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、アセトン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルエチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、およびそれらの2つ以上を含む混合物が好ましい。
【0030】
CEL組成物の成分(c)の他の例としては、無極性の非プロトン性溶媒、たとえば、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、ピロール、N-メチルピロール、ピリジン、ピラジン、および前述のうちの2つ以上を含む混合物が挙げられる。
【0031】
好ましくは、CEL組成物は、少量の成分(c)を含んでおり、高濃度のCELの調製が可能となる。硬化させる間にCEL組成物中に多量の成分(c)が存在すると、開放構造を有するフィルム(またはCEL)が形成されることがあり、成分(c)は開放空間を満たす。乾燥後、そのような開放構造は水性環境において膨潤する傾向があり、選択透過性の低減を生じ、これは望ましくない。
【0032】
好ましくは、CEL組成物は、0~30wt%の成分(c)、より好ましくは4~20wt%、特に2~15wt%の成分(c)を含む。
CEL組成物の成分(d)は好ましくは、熱開始剤、光開始剤、もしくはそれらの組合せであるか、またはそれらを含む。最も好ましくは、成分(d)は、熱開始剤であるか、または熱開始剤を含む。
【0033】
熱開始剤の例としては、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオナート)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジスルファート二水和物、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’-アゾビス{2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-エチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、および2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]が挙げられる。
【0034】
好ましくは、CEL組成物は、成分(d)を含まないか、または0.001~2wt%、より好ましくは0.2~1wt%の成分(d)を含む。電子ビーム(EB)またはガンマ線照射によってCEL組成物が硬化されることになる場合、成分(d)は必要ではない。
【0035】
任意に、CEL組成物は、少量の成分(e)をさらに含む。成分(e)は、加水分解プロセスの加速を助ける小さい親水性を有するCELを提供するのに有用であり得る。
成分(e)として使用されてもよい1つかつ1つのみのエチレン性不飽和基を含むアニオン性モノマーの例としては、遊離酸または塩の形態での、特にリチウム塩、ナトリウム塩、またはリチウムおよびナトリウムの混合塩の形態での、スルホン化スチレンが挙げられる。
【0036】
好ましくは、CEL組成物は、0~15wt%、より好ましくは15wt%未満の成分(e)を含有する。
一実施形態において、CEL組成物および/またはAEL組成物は、少なくとも60wt%の硬化性化合物を含む。
【0037】
好ましくは、本発明の膜は多孔質支持体を含む。多孔質支持体は、CEL中に、AEL中に、AELとCELとの接合部に、または前述の位置のうちの2つ以上において、含まれてもよい。また、1つより多い多孔質支持体が各位置において設けられてもよい。
【0038】
多孔質支持体の例として、合成の織布および不織布ならびに押出フィルムが言及されてもよい。例としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンなどのポリアリールエーテルケトン、およびそれらのコポリマーから作製された、湿式および乾式不織布材料、スパンボンド布、メルトブロー布、およびナノファイバーウェブが挙げられる。多孔質支持体はまた、多孔質膜、たとえば、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ポリフェニレンスルホン膜、ポリフェニレンスルフィド膜、ポリイミド膜、ポリエーテルイミド(polyethermide)膜、ポリアミド膜、ポリアミドイミド膜、ポリアクリロニトリル膜、ポリカルボナート膜、ポリアクリラート膜、酢酸セルロース膜、ポリプロピレン膜、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)膜、ポリイニリデンフルオリド膜、ポリテトラフルオロエチレン膜、ポリヘキサフルオロプロピレン膜、およびポリクロロトリフルオロエチレン膜、ならびにそれらの誘導体であってもよい。
【0039】
多孔質支持体は好ましくは、10~200μmの間、より好ましくは20~150μmの間の平均厚さを有する。
好ましくは、多孔質支持体は、30および95%の多孔率を有する。支持体の多孔率は、ポロメーター、たとえば、IB-FT GmbH、ドイツからのPorolux(商標)1000によって決定されてもよい。
【0040】
多孔質支持体は、存在する場合、その表面エネルギーを、たとえば、45mN/mを上回る値に、好ましくは55mN/mを上回る値に、改変させるように処理されてもよい。好適な処理としては、たとえば、多孔質支持体の濡れ性および多孔質支持体への接着性を向上する目的の、コロナ放電処理、プラズマグロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、または化学的処理などが挙げられる。
【0041】
市販されている多孔質支持体は、いくつかの供給源から、たとえば、Freudenberg Filtration Technologies(Novatexx材料)、Lydall Performance Materials、Celgard LLC、APorous Inc.、SWM(Conwed Plastics、DelStar Technologies)、Teijin、Hirose、Mitsubishi Paper Mills Ltd、およびSefar AGから利用可能である。
【0042】
好ましくは、支持体はポリマー性支持体である。好ましくは、支持体は、共有結合しているイオン基を有しない合成の織布または不織布または押出フィルムを含む。
本発明の第1の態様による膜は好ましくは、バイポーラ膜、または加水分解によってバイポーラ膜に変換可能な膜である。
【0043】
本発明の膜のAELは好ましくは、硬化性カチオン性化合物を含む組成物(すなわち、「AEL組成物」)を硬化させることによって調製可能である。したがって、AEL組成物は好ましくは、硬化性カチオン性化合物(成分(a2)として下記に説明される組成物において言及される)を含む。
【0044】
好ましい硬化性カチオン性化合物は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基、たとえば、式(II):
【0045】
【0046】
(式中、
L1は、アルキレン基またはアルケニレン基であり、
Ra、Rb、Rc、およびRdはそれぞれ独立して、アルキル基もしくはアリール基であり、または
RaおよびRb、ならびに/もしくはRcおよびRdは、それらが結合する原子と一緒に環を形成してもよく、
n1およびn2はそれぞれ独立して、1~10の整数を表し、
X1
-およびX2
-はそれぞれ独立して、アニオンを表す)の化合物を含む。
【0047】
L1は好ましくは、エチレン、プロピレン、ヘキシレン、またはビニレンである。
Ra、Rb、Rc、およびRdのうちのいずれかがアルキル基である場合、それは好ましくは、C1~4-アルキル基、特にメチルである。
【0048】
Ra、Rb、Rc、およびRdのうちのいずれかがアリール基である場合、それは好ましくは、C6~10-アリール基、特にフェニルである。
RaおよびRb、ならびに/またはRcおよびRdが、それらが結合する原子と一緒に環を形成する場合、環は好ましくは、5員環または6員環である。
【0049】
X1
-およびX2
-によって表されるアニオンは好ましくは、それぞれ独立して、ハロ、特にCl-である。
したがって、AEL組成物は好ましくは、以下の成分:
(a2)少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含む硬化性カチオン性化合物と、
任意に(b2)1つかつ1つのみのエチレン性不飽和基を含む化合物と、
任意に(c2)溶媒と、
任意に(d2)ラジカル開始剤と
を含む。
【0050】
好ましくは、AEL組成物は、成分(b2)、成分(c2)、および成分(d2)のうちの少なくとも1つ、より好ましくは少なくとも2つ、特に3つすべてを含む。
式(II)の化合物の例としては、以下、
【0051】
【0052】
が挙げられる。
合成法は、たとえば、EP3184558およびUS2016/0001238において見出すことができる。
【0053】
AEL組成物は好ましくは、30~80wt%の成分(a2)の化合物、より好ましくは40~70wt%の間の成分(a2)の化合物を含む。
好ましくは、AEL組成物は、
(i)30~80wt%の成分(a2)と、
(ii)0~40wt%の成分(b2)と、
(iii)10~40wt%の成分(c2)と
を含む。
【0054】
成分(b2)は好ましくは、芳香族基を含む。
成分(b2)は好ましくは、カチオン基を含む。
AEL組成物の成分(b2)として使用されてもよい化合物の例としては、以下:
【0055】
【0056】
が挙げられる。
上述の化合物は、たとえば、US2016177006に記載されるように、調製されてもよい。
【0057】
好ましくは、AEL組成物中の成分(a2)の成分(b2)に対するモル比は、9:1~1:4の範囲にある。
AEL組成物は、0~60wt%、より好ましくは5~45wt%、最も好ましくは10~40wt%の成分(b2)を含む。
【0058】
AEL組成物の成分(c2)は好ましくは、水、および任意に、特に有機溶媒の一部またはすべてが水混和性である、有機溶媒を含む。水は、式(II)の化合物を、および存在する場合は成分(c2)を、溶解するのに有用である。溶媒は、組成物の粘度および/または表面張力を低減するのに有用である。
【0059】
AEL組成物の成分(c2)として使用されてもよい好適な溶媒の例としては、水、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、スルホキシド系溶媒、スルホン系溶媒、ニトリル系溶媒、有機リン系溶媒、およびそれらのうちの2つ以上を含む混合物が挙げられる。成分(ii)として、または成分(ii)中で(特に水との組合せで)、使用されてもよいアルコール系溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、およびそれらのうちの2つ以上を含む混合物が挙げられる。加えて、成分(ii)中で使用されてもよい好ましい不活性の有機溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ピリジン、プロピオニトリル、ブタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジアセタート、シクロペンチルメチルエーテル、メチルエチルケトン、酢酸エチル、y-ブチロラクトン、およびそれらのうちの2つ以上を含む混合物が挙げられる。ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、アセトン、シクロペンチルメチルエーテル、メチルエチルケトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、およびそれらのうちの2つ以上を含む混合物が好ましい。
【0060】
いくつかの実施形態において、AEL組成物は、10~40wt%、より好ましくは10~35wt%、最も好ましくは15~30wt%の成分(c2)を含む。
AELを形成するために使用されるAEL組成物中に含まれてもよい成分(c2)~(d2)の例は、それぞれ成分(c)および成分(d)として、CEL組成物に関して上述されるとおりである。しかしながら、AEL組成物の成分(c2)は好ましくは、水性である。
【0061】
成分(d2)は好ましくは、熱開始剤、光開始剤、またはそれらの組合せであるか、またはそれらを含む。最も好ましくは、成分(d)は、光開始剤であるか、またはそれを含む。
【0062】
AEL組成物の成分(d2)として使用されてもよい好適な光開始剤の例としては、芳香族ケトン、アシルホスフィン化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトキシムエステル化合物、ホウ酸塩化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、およびアルキルアミン化合物が挙げられる。芳香族ケトン、アシルホスフィンオキシド化合物、およびチオ化合物の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」、77~117ページ(1993)に記載されている、ベンゾフェノン骨格またはチオキサントン骨格を有する化合物が挙げられる。それらのより好ましい例としては、JP1972-6416B(JP-S47-6416B)に記載されているアルファ-チオベンゾフェノン化合物、JP1972-3981B(JP-S47-3981B)に記載されているベンゾインエーテル化合物、JP1972-22326B(JP-S47-22326B)に記載されているアルファ-置換ベンゾイン化合物、JP1972-23664B(JP-S47-23664B)に記載されているベンゾイン誘導体、JP1982-30704A(JP-S57-30704A)に記載されているアロイルホスホン酸エステル、JP1985-26483B(JP-S60-26483B)に記載されているジアルコキシベンゾフェノン、JP1985-26403B(JP-S60-26403B)およびJP1987-81345A(JPS62-81345A)に記載されているベンゾインエーテル、JP1989-34242B(JP H01-34242B)、米国特許第4,318,791A号、およびEP0284561A1に記載されているアルファ-アミノベンゾフェノン、JP1990-211452A(JP-H02-211452A)に記載されているp-ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、JP1986-194062A(JPS61-194062A)に記載されているチオ-置換芳香族ケトン、JP1990-9597B(JP-H02-9597B)に記載されているアシルホスフィンスルフィド、JP1990-9596B(JP-H02-9596B)に記載されているアシルホスフィン、JP1988-61950B(JP-S63-61950B)に記載されているチオキサントン、およびJP1984-42864B(JP-S59-42864B)に記載されているクマリンが挙げられる。加えて、JP2008-105379AおよびJP2009-114290Aに記載されている光開始剤も好ましい。加えて、Kato Kiyomi著、「Ultraviolet Curing System」の65~148ページ(Research Center Co.,Ltd.出版、1989)に記載されている光開始剤が使用されてもよい。
【0063】
AEL組成物の成分(d2)として使用されてもよい特に好ましい光開始剤としては、以下の溶媒、水、エタノール、およびトルエンのうちの1つまたは複数において23℃の温度で測定される場合、380nmより長い波長で最大の吸収を有するNorrish Type II光開始剤が挙げられる。例としては、キサンテン、フラビン、クルクミン、ポルフィリン、アントラキノン、フェノキサジン、カンファーキノン、フェナジン、アクリジン、フェノチアジン、キサントン、チオキサントン、チオキサンテン、アクリドン、フラボン、クマリン、フルオレノン、キノリン、キノロン、ナフタキノン、キノリノン、アリールメタン、アゾ、ベンゾフェノン、カロテノイド、シアニン、フタロシアニン、ジピリン、スクアリン、スチルベン、スチリル、トリアジン、またはアントシアニン誘導体化光開始剤が挙げられる。
【0064】
AEL組成物は好ましくは、0.001~2wt%、より好ましくは0.005~0.9wt%の成分(d2)を含む。
AEL組成物およびCEL組成物は、任意に、それぞれ独立して、重合阻害剤をさらに含む。重合阻害剤は、保管および使用中に安定している組成物を作製するのに有用であり得る。
【0065】
重合阻害剤としては、周知の重合阻害剤を使用することができる。その例としては、フェノール化合物、ヒドロキノン化合物、ある特定のアミン化合物、メルカプト化合物、およびニトロキシルラジカル化合物が挙げられる。
【0066】
フェノール化合物の例としては、ヒンダードフェノール(オルト位置にt-ブチル基を有するフェノール、代表的に、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)、およびビスフェノールが挙げられる。ヒドロキノン化合物の具体例としては、モノメチルエーテルヒドロキノンが挙げられる。アミン化合物の具体例としては、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンおよびN,N-ジエチルヒドロキシルアミンが挙げられる。ニトロキシルラジカル化合物の具体例としては、4-ヒドロキシTEMPO(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルフリーラジカル)が挙げられる。
【0067】
AEL組成物およびCEL組成物は、任意に、それぞれ独立して、2種以上の重合阻害剤をさらに含む。
AELまたはCELを形成するために使用される組成物が重合阻害剤を含む場合、含有量は好ましくは、組成物の総重量に対して、0.01~5wt%、より好ましくは0.01~1wt%、さらに好ましくは0.01~0.5wt%である。
【0068】
AEL組成物およびCEL組成物は、任意に、それぞれ独立して、界面活性剤、ポリマー分散剤、および/またはクレーター防止剤をさらに含む。
AEL組成物および/またはCEL組成物のフィルムの物性を調整するために、様々なポリマー化合物がそれに含まれてもよい。好適なポリマー化合物としては、アクリルポリマー、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボナート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ゴム系樹脂、ワックス、および天然樹脂、ならびに前述のうちの2つ以上の組合せが挙げられる。
【0069】
AEL組成物およびCEL組成物は、任意に、それぞれ独立して、界面活性剤、たとえば、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、または有機フッ素系界面活性剤などをさらに含む。界面活性剤の具体例としては、アニオン性界面活性剤(たとえば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩、高級アルコールエーテルのスルホン酸塩、高級アルキルスルホンアミドのアルキルカルボン酸塩、およびアルキルリン酸塩)、および非イオン性界面活性剤(たとえば、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル、ポリ(オキシエチレン)脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アセチレングリコールのエチレンオキシド付加物、グリセリンのエチレンオキシド付加物、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)が挙げられる。好適な界面活性剤の他の例としては、両性界面活性剤(たとえば、アルキルベタインおよびアミドベタイン)、シリコーン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、当技術分野で公知の界面活性剤、またはその誘導体から好適に選択することができる。
【0070】
AEL組成物およびCEL組成物は、任意に、それぞれ独立して、ポリマー分散剤をさらに含む。
ポリマー分散剤の具体例としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリアクリルアミドが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルピロリドンを使用することが好ましい。
【0071】
AEL組成物およびCEL組成物は、任意に、それぞれ独立して、CELまたはAEL表面のムラを防止するためのクレーター防止剤(表面調整剤と呼ばれることがある)、レベリング剤、またはスリップ剤をさらに含み、それらの例としては、有機変性ポリシロキサン(ポリエーテルシロキサンとポリエーテルとの混合物)、ポリエーテル変性ポリシロキサンコポリマー、およびシリコン変性コポリマーが挙げられる。
【0072】
AELおよび/またはCELを形成するために使用される組成物に含まれてもよい市販のクレーター防止剤の例としては、Evonik industries GmbH製のTego Glide(商標)432、Tego Glide(商標)110、Tego Glide(商標)130、Tego Glide(商標)406、Tego Glide(商標)410、Tego Glide(商標)411、Tego Glide(商標)415、Tego Glide(商標)420、Tego Glide(商標)435、Tego Glide(商標)440、Tego Glide(商標)450、Tego Glide(商標)482、Tego Glide(商標)A115、Tego Glide(商標)B1484、およびTego Glide(商標)ZG400(すべて商品名である)が挙げられる。
【0073】
AEL組成物およびCEL組成物は、好ましくは、それぞれ独立して、0~10wt%、より好ましくは0~5wt%、特に1~2wt%のクレーター防止剤を含む(関連する組成物の総重量に対して)。
【0074】
一実施形態において、本発明による膜は触媒を含む。触媒は、AEL組成物および/またはCEL組成物中に含まれてもよい。たとえば、ディッピング、エアナイフコーティング、マイクロローラーコーティング、スプレー法、化学(蒸着)析出、または物理(蒸着)析出(しかしこれらに限定されない)を使用して、AELに触媒を適用することも可能である(後処理ステップとして)(たとえば、CEL組成物をそれに適用する前に)。
【0075】
好適な触媒の例としては、金属塩、金属酸化物、有機金属化合物、モノマー、ポリマー、またはコポリマーが挙げられる。例としては、FeCl3、FeCl2、AlCl3、MgCl2、RuCl3、CrCl3、Fe(OH)3、Al2O3、NiO、Zr(HPO4)2、MoS2、グラフェンオキシド、Fe-ポリビニルアルコール錯体、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアクリル酸(PAA)、アクリル酸と無水マレイン酸(PAAMA)とのコポリマー、および超分岐脂肪族ポリエステル、ならびに前述のうちの2つ以上を含む組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
AEL組成物またはCEL組成物が触媒を含む場合、触媒の量は好ましくは、関連する組成物の重量に対して、最大5wt%まで、たとえば、0.001wt%~1wt%である。AELおよび/またはCEL中に触媒が存在する場合、触媒の量は好ましくは、最大5wt%までの、たとえば、0.001wt%~1wt%である。
【0077】
本発明の第2の態様によれば、膜を製造するための方法であって、
(i)支持体にAEL組成物を適用するステップと、
(ii)AEL組成物を少なくとも部分的に硬化させ、それによりアニオン交換層(AEL)を形成するステップと、
(iii)AELにCEL組成物を適用するステップと、
(iv)CEL組成物を硬化させ、それによりAEL上にカチオン交換層(CEL)を形成するステップと
を含む、方法が提供される。
【0078】
ステップ(ii)において、好ましくは、AEL組成物は、たとえば紫外線を使用して光硬化される。したがって、好ましくは、AEL組成物の成分(d2)は光開始剤であるか、または光開始剤を含む。
【0079】
ステップ(ii)において、好ましくは、得られたAELが、CEL組成物のモノマーへの架橋に利用可能である未反応のエチレン性不飽和基を依然として有しながら、硬化性組成物適用ステーションにおいて処理され得るような程度に、AEL組成物が硬化される。
【0080】
ステップ(iv)において、CEL組成物は好ましくは熱的に硬化される。したがって、好ましくは、CEL組成物の成分(d)は熱開始剤であるか、または熱開始剤を含む。
CEL組成物を硬化させるのに好適な温度は、50~120℃、より好ましくは50~100℃、特に60~85℃である。
【0081】
CEL組成物の熱硬化は典型的には、1分以上から数時間かかる。
任意に、CEL組成物は、存在する場合、成分(c)の蒸発を防止するためにポリマーフィルムの間にはさまれた後、硬化される。
【0082】
本発明の第2の態様の方法において、組成物は好ましくは、ステップ(i)およびステップ(iii)において、好ましくは、組成物適用ステーション、組成物が光硬化性である場合には照射源を備える1つまたは複数の硬化ステーション、組成物が熱硬化性である場合には1つまたは複数の熱源を備える1つまたは複数の硬化ステーション、膜回収ステーション、および組成物適用ステーションから硬化ステーションへとかつ膜回収ステーションへと支持体を移動させるための手段を含む製造部によって、連続的に適用される。
【0083】
組成物適用ステーションは、硬化ステーションに対して上流の位置にあってもよく、硬化ステーションは、膜回収ステーションに対して上流の位置にあってもよい。
適用技法の例としては、スロットダイコーティング、スライドコーティング、エアナイフコーティング、ローラーコーティング、スクリーン印刷、およびディッピングが挙げられる。使用される技法および望ましい最終仕様に応じて、たとえば、ロールツーロールスクイーズ、ロールツーブレードもしくはブレードツーロールスクイーズ、ブレードツーブレードスクイーズ、またはコーティングバーを使用する除去によって、基材から過剰の組成物を除去することが必要となることがある。
【0084】
紫外線または可視光による光硬化は好ましくは、典型的に、40~1500mJ/cm2の間の光の線量を使用して、100nm~800nmの間の波長で実行される。熱硬化は好ましくは、20℃~100℃の間の温度で、たとえば、0.01時間~24時間の期間で実行される。
【0085】
任意に、第2の態様による方法は、たとえば、加水分解によって、基Xをヒドロキシル基に変換するステップをさらに含む。このようにして、膜は、バイポーラ膜、またはより多数の酸性基を有するバイポーラ膜に変換されてもよい。好適な加水分解法としては、たとえば、酸(たとえば、塩酸)、またはアルカリ(たとえば、金属水酸化物、特に水酸化ナトリウム、または水酸化カリウム)を使用する、酸性またはアルカリ性条件下での加水分解が挙げられる。
【0086】
本発明の第3の態様によれば、アニオン交換層(AEL)および-SO2X基(Xは、上に定義されるとおりである)を含む層を含む膜が提供される。
本発明の第4の態様によれば、本発明の第1の態様による膜における少なくともいくつかの-SO2X基を、-SO2OH基またはその塩に加水分解するステップを含む、バイポーラ膜を調製するための方法が提供される。
【0087】
一実施形態である本発明の第4の態様の方法において、SO2X基は、水性の酸および/またはアルカリとの接触によって、-SO2OH基(遊離酸、または塩の形態で)に加水分解される。加水分解は、たとえば、水性の酸および/またはアルカリ中に本発明の第1の態様の膜を浸漬することによって、好ましくは昇温で(たとえば、50~100℃で)達成されてもよい。加水分解は好ましくは、水性の酸および/またはアルカリとの接触によって、全部で1時間~1か月の期間、特に5時間~1週間、実行される。
【0088】
任意に、水性の酸および/またはアルカリは、界面活性剤を含む。
任意に、水性の酸および/またはアルカリは、水混和性有機溶媒を含む。
好ましくは、水性の酸および/またはアルカリは、特に0.05~1.0Nの強度での、水性である。
【0089】
好適な酸としては、塩酸および硫酸が挙げられる。
好適なアルカリとしては、炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化アンモニウムテトラメチル、水酸化カリウム、および水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0090】
任意に、酸および/またはアルカリは、極性溶媒、たとえば、ジメチルスルホキシド、イソプロピルアルコール、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、または前述のうちの2つ以上を含む。
【0091】
加水分解の程度は、赤外分光法によって経時的に観察することができる。
一実施形態において、第2の態様または本発明の第4の態様の方法は、好ましくは40℃~200℃の間の温度で、得られた膜を乾燥させるステップ(vi)をさらに含む。
【0092】
本発明の膜は、上述の方法を含むいくつかの代替的な方法によって製造されてもよい。
本発明の膜は、電気透析および酸/塩基生成を含む様々な用途のために使用されてもよい。CELおよびAELを含む本発明の膜はまた、特に、それらが酸性および塩基性媒体における良好な耐久性と低膨潤性を有し、安価に、迅速に、かつ効率的に生成され得るため、バイポーラ膜として使用されてもよい。
【実施例】
【0093】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明され、そこでは、別段の定めがない限り、部および百分率はすべて重量による。
本発明によるバイポーラ膜の性能は、強度対電圧のプロットによって特徴付けられた。このプロットを測定するために、6室セルが使用された。第1の電極室は、カソードとして白金板を含有し、CEM(AstomからのCMX)によって第2室から分離された。電極室は、0.5M Na2SO4で満たされた。第2室と第3室との間に参照BPM(Fumatechから)が存在した。第2室および第3室の両方は、0.5M NaCl溶液を含有した。第3室と第4室との間に、分析されることになるBPMが配置された。第4室と第5室との間に同じ参照BPM(Fumatechから)が、第5室と第6室との間にCEM(AstomからのCMX)が、配置された。第4室および第5室も、0.5M NaCl溶液で満たされる。アノードとして白金板を含有する第6室は電極室であり、0.5M Na2SO4を含有した。
【0094】
上述のセルを使用して、溶液は、25℃の温度で、600A/m2電流密度を印加して、室を通って送り出された。バイポーラ電圧は、分析されることになるBPMの各側に配置されたハーバー・ルギン管を使用して測定された。
【0095】
電気抵抗
以下の改変をしたDlugoleckiら、J.of Membrane Science、319(2008)、217~218ページによって説明される方法によって、実施例において調製された膜(またはその前駆体)のER(オーム.cm2)を測定した。
・補助膜は、日本のTokuyama SodaからのCMXおよびAMXであった、
・キャピラリーおよびAg/AgCl参照電極(Metrohm型6.0750.100)は3M KClを含有した、
・キャリブレーション液および室2、室3、室4および室5中の液体は25℃で0.5M NaCl溶液であった、
・膜有効面積は、9.62cm2であった、
・キャピラリー間の距離は5.0mmであった、
・測定温度は25℃であった、
・イージーロードIIモデル77200-62ギアポンプを備えたCole Parmer Masterflexコンソールドライブ(77521-47)をすべての室のために使用した、
・各流れの流量は、Porter Instrument流量計(150AV-B250-4RVS型)およびCole Parmer流量計(G-30217-90型)によって制御されて、475ml/分であったのであり、測定に先立って、試料をNaClの0.5M溶液中で、室温で少なくとも1時間、平衡させた。
好ましくは、膜のER(NaCl)は、5オーム/cm2より低い。
【0096】
選択透過性
実施例において調製された膜(またはそれらの前駆体)の電荷に対して反対の電荷のイオンの通過に対する選択性である選択透過性(%)を以下のとおり測定した。分析されることになる膜を2室システムに配置した。1室をNaOHの0.05M溶液で、他方をNaOHの0.5M溶液で満たした。
【0097】
設定
・キャピラリーおよびAg/AgCl参照電極(Metrohm型6.0750.100)は3M KClを含有した;
・膜有効面積は、9.62cm2であった;
・キャピラリー間の距離は約15mmであった;
・測定温度は21.0±0.2℃であった;
・イージーロードIIモデル77200-62ギアポンプを備えたCole Parmer Masterflexコンソールドライブ(77521-47)を2つの室のために使用した;
・Porter Instrument流量計(150AV-B250-4RVS型)およびCole Parmer流量計(G-30217-90型)を使用して流れを500ml/分一定に制御した;測定に先立って、膜試料を、0.5M NaOH溶液中で1hの間、平衡させた。20分後、標準的なVOM(マルチテスター)から電圧を読み取った。
膜のPS(NaOH)は好ましくは、70%を上回った。
【0098】
赤外分光法
910cm-1でのピークの強度を追うことによるアルキル-スルホン酸エステル基(式(I)における-SO2X)のスルホン酸基(-SO2OHまたは-SO2OM(MはNa+、Li+、またはK+))への加水分解を観察するための検出法として、従来のIR測定法を使用した。ダイヤモンドプローブを備えたPerkinElmerからのFrontier FT-IR分光光度計においてスペクトルを収集した。過剰の水をふき取った後、膜から直接、スペクトルを収集した。
【0099】
NMR分光法
実施例において合成された化合物の構造を、Magritek Spincolve 60 Carbon(60MHz、4回のスキャン)NMR分光計を使用して、1H-NMRによって確認した。重水素化溶媒に化合物をそれぞれ5wt%、溶解することによって、分析のための試料を調製した(実施例において示される)。
【0100】
実施例において、下記に示される略称を使用した。
【0101】
【0102】
【0103】
Et-DVBSの合成
【0104】
【0105】
ステップ1
DMF(250mL)中の2,4-ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(145.15g;0.625mol、1moleq.)とTEMPOL(4-OH-TEMPO;73mg、約500ppm)との溶液を、1時間以内で、氷浴中で0℃の温度に保たれたチオニル塩化物(318mL、520g;4.375mol、7moleq.)に滴下添加した。添加が完了した後、溶液をゆっくりと室温に加熱し、さらに16時間撹拌した。その後、反応混合物をゆっくりと氷/水(1.5L)に注いだ。トルエン(600mL)を加え、完全混合物をCeliteによってろ過して、未溶解の物質を除去した。水層をトルエン(300mL)で2回抽出し、合わせたトルエン層を飽和KCl溶液(500mL)で1回洗浄した。トルエン溶液を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、真空中で濃縮して黄色油状物(約120グラム;84%)を得た。第2のステップにおいて、さらなる精製はせずに粗生成物を使用した。1H NMRによって合成を確認した。
【0106】
ステップ2
ピリジン(150mL)中の、ステップ1において得られた生成物(120g;0.525mol)とTEMPOL(4-OH-TEMPO;60mg、約500ppm)との溶液を、氷冷され(0℃)、撹拌されているピリジン(75mL)中のエタノール溶液(46mL、36g;0.787mol、1.5moleq.)に滴下添加した。0℃の氷浴において2時間撹拌した後、反応混合物を、氷と、濃縮された36%-HClとが1:1の、氷冷された混合物に注いだ(総体積600mL)。クロロホルム(約800mL)を加え、混合物を分液漏斗に移した。水層を除去し、クロロホルム層を、3M HCl溶液および飽和NaCl溶液で連続的に洗浄した。クロロホルム層を硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。TEMPOL(約25mg;約200ppm)をこのろ液に加え、次いで、真空中で濃縮して橙/褐色油状物(103g;82%)を得た。1H NMRによって合成を確認した。
【0107】
表1において説明される組成物CELC1~4に従って、EtSS、DVB、LiSS、溶媒、および0.5wt%のV-65Bを含むコーティング組成物を調製した。組成物を多孔質基材にコーティングし、2つのPETホイル間に積層し、次いで、70℃のオーブンにおいて16時間、熱硬化した。次いで、得られたCEM前駆体フィルムPF1~PF4を50℃で加水分解プロセスに供した。加水分解条件および得られたカチオン交換膜(CEM)の特性は、表2に示される。
【0108】
【0109】
【0110】
AELの調製
58wt%の1,4-ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ビス[(4-エテニルフェニル)メチル]-,クロリド、19wt%の水、6wt%のIPA、1wt%のOmnirad(商標)TPO-L、および1wt%のOmnirad(商標)1173を含有するAEL組成物(AELC1)を調製した。ポリエチレン不織布上にAEL組成物をコーティングし、UVによって硬化し、AELを得た。
BPMを生成するためのCELのコーティングおよびAELへの適用
下記の表3に従って、CEL組成物を調製した。上述で調製されたAEL上に、各CEL組成物をコーティングし、次いで、第2のポリエチレン不織布をCEL組成物の層上に配置し、過剰のCEL組成物をふき取った。その後、膜をPETシート間に配置し、オーブンにおいて80℃で16時間硬化した。得られた膜を、10%のIPAを含む0.1N NaOH溶液中に72時間配置して、-SO2X(エステル)基を、対応するスルホン酸ナトリウム塩に加水分解してBPMを得た。
【0111】
これらのバイポーラ膜の電気化学特性およびバイポーラ特徴を、印加される電圧の関数として電流密度を測定する、いわゆる電流-電圧特性(I-U曲線)を使用して、参照膜と比較した。典型的には、所与の電流密度、すなわち600mA/cm2を生成するのに必要とされる電圧(U)が低いほど、特にイオン交換層のうちの一方または両方のイオン抵抗性が低く、また、一般にバイポーラ膜のイオン抵抗性が低い。カチオン交換層の場合において、低イオン抵抗性は、よりエネルギー効率がよい膜をもたらす。
【0112】
【0113】
比較のCEL組成物(CExCELC1)を調製した。その際、BPMのCEL層は、30wt%のNa-AMPS(純物質に基づいて算出された)、30wt%のM-11、39wt%の水、および1wt%のV-65Bからなる組成物から得られた。比較のBPMにおいて、本発明の実施例に関して説明されるのと全く同じAELを調製した。
得られたBPMおよびその特性は、下記の表4に示されるとおりであった。
【0114】
【国際調査報告】